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【場】砂浜

192嵐ノ宮 暁利『トワイライト・オペラ』:2015/04/05(日) 23:53:24
>>191
「別に嫌な気分なんかじゃあないよ。
 もしかして、『もしかして怒ってる?』なんて思ってる?」

微かな笑い声が嵐ノ宮から漏れる。
してやったり、なんて言い出しそうな得意げなニュアンスが感じられるだろう。

「朱鷺宮さんって『単純』だよね。
 『国語』が苦手なタイプでしょ。作者の気持ち、わかる?」

朱鷺宮へのからかいは続く。
小馬鹿にしたようなことを言いながらも嵐ノ宮は朱鷺宮へ一歩近づき、
髪を梳く――いや、違う。朱鷺宮の頭を優しく撫でている。

「私は最初から、あなたに『説教』をしてるの。
 もうちょっと他人のことを考えてみて。例えどんな相手だろうと、その人にはその人の人生がある。
 『自分がこれをされたらどう思うか』とか、『こういうこと聞かれたらどう思うか』とか。
 最初はちょっとだけでもいい。そうやって少しずつ他人に気配りできるようになろう」

今度はからかいではなく、慈しむような声。
彼女と朱鷺宮に、歳の差はない。自分の感じたことや体験したことを舌先三寸でこねくり回して、
それに対して反論させないように『誘導』している。スキンシップは人を安心させる効果があるためだ。
『私は助言を施しているんですよ』という体をとりながら、実際はからかっている。
朱鷺宮がこれに対してどう思うにせよ、彼女の撫で方は心地良ということには変わりない。


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