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( ^ω^)文戟のブーンのようです[3ページ目]
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≪とりあえずこれだけ分かっていれば万事OKなQ&A≫
Q.ここってどんなスレ?
A.お題に沿った作品を指定期間内に投下
投票と批評、感想を経て切磋琢磨するスレ
Q.投票って?
A.1位、2位とピックアップを選ぶ
1位→2pt 2位→1pt で集計され、合計数が多い生徒が優勝
Q.参加したい!
A.投票は誰でもウェルカム
生徒になりたいなら>>4にいないAAとトリップを名前欄に書いて入学を宣言してレッツ投下
Q.投票って絶対しないとダメ?
A.一応は任意
しかし作品を投下した生徒は投票をしないと獲得ptが、-1になるので注意
Q.お題はどう決まるの?
A.前回優勝が決める。
その日のうちに優勝が宣言しなかった場合、2位→3位とお題と期間決めの権利が譲渡されていく
Q.使いたいAAが既に使われてる
A.後述の「文戟」を参照
詳しいルールは>>2-9を参照してください!
また雰囲気を知りたい方は
スレ1
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1531744456/
スレ2
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1533540427/
へGO!!
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(*´・_ゝ・`)「ただいま!」
僕はその言葉と同時に、後ろ手で扉にロックを掛ける。
厳重に二重のチェーンロックまで施して。
(//、`*川「おかえりなさいませ、ご主人様」
(//、`*川「そんなに血相変えて、なにかありまして?」
(*´・_ゝ・`)「君に聞きたいことがあるんだ!」
(//、`;川「は、はぃ?」
僕は足早に彼女に歩み寄ると、両肩に手を乗せて目を見開く。
言いたい言葉があるけど、息切れと、うまい説明が見つからなくて
パクパクと二度三度口を開いては閉じてを繰り返してしまう。
それが自分でもじれったくて、地団駄を踏みたい気分に駆られる。
(//、`*川「大丈夫ですよ、落ち着いてくださいな」
そんな僕の内情を察したのか、彼女は優しく語りかける。
以前僕がそうしたように、僕の髪に指を通す。
冷たい彼女の指の感覚は、僕の頭の芯を冷静にさせた。
目を瞑り、深呼吸をする。
出来るだけ、シンプルに伝えよう。そう思う。
それだけ決めると、僕はゆっくりと瞳を開いた。
そして彼女に告げる。
(´・_ゝ・`)「君に、料理をしてほしいんだ」
(//、`*川「ぅん?」
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しまった、シンプル過ぎた。
僕の言葉の真意が汲み取れないまま、彼女は小首を傾げる。
その拍子に、しなやかな黒髪が包帯の下辺りに揺れて、
なんだかとても艶めかしい。
もう一度、今度はもう少し情報を添加して説明する。
(´・_ゝ・`)「君は以前『再現できる味に限りがある』と言っていたね」
(//、`*川「……ええ、言いましたわ」
(´・_ゝ・`)「それは、"五基本味"しか再現できないってことなのかな?」
(//、`*川「――それとも、もっと複雑な」
(´・_ゝ・`)「"料理"の中で限りがあるってことなの?」
(//、`*川「そ、れは……」
僕が彼女を家に招いて初めて、言い澱む。
その顔は迷いであり、怯えであり、恐れであり、哀れみでもあるように思えた。
彼女の表情の根底にあるものにすぐに合点がいく。
僕は彼女は次の言葉を紡ぐより早く、再び話を切り出した。
(´・_ゝ・`)「クリアランス違反……ってこと?」
(//、-*川「――そうですわ」
.
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単純な話だ。
今までの彼女との会話の中で、僕からクリアランス違反の話をすることはあっても、
彼女から新しく知り得る様な情報を開示されたことは一切なかった。
それは彼女の思いやりだ。
あるいは単にロボットしての原則従っているのかもしれないが
ともかく彼女が僕をご主人様と呼んでいるということは、
少なくとも僕の立場を危うくするような行為は一切出来ないということなのだろう。
味の話も、再現も、僕が僕のクリアランスで知り得る範囲である
"五基本味"の中だけで行われてきた。
美味人形の存在だって、
そういうものが上流階級にはあるという事は下級市民にも開示されている。
だが、そこまでだ。
この世界に"五基本味"以外の味があり、
それらを組み合わせて更なる美味を生み出せるという事は
最上階級でしか知り得ない情報だ。
本をくすねて、クリアランス外の情報を持つ僕ですら
何故か遠いおとぎ話のように思っていた。
だから現実にしようなんて一度も考えなかった。
.
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でも、事情が変わった。僕は手に入れてしまったのだ。
(´・_ゝ・`)「……これを、見てほしい」
僕はコートの裏側に隠していた一冊の本を彼女に見せた。
残る左目を大きく見開いて、彼女は僕の顔と本とを交互に見た。
(//、`*川「――料理のレシピ本」
(´・_ゝ・`)「そう。もう僕は知ってしまった」
(´・_ゝ・`)「料理というものは、物語の中だけの存在じゃない。現実に作り出せるものなんだって」
(´・_ゝ・`)「……答えてほしい」
(´・_ゝ・`)「君は、料理の味を再現、出来るの?」
しっかりと、彼女の瞳を見据える。
人工角膜の向こうにセンサーアイがうっすらと見える。
そのピントが収縮と拡散を繰り返し、小さくカシャと音を立てる。
そして、一度目を閉じると
僕の胸に頭を埋めるように寄りかかりながら、腰に手を回してくる。
しっかりと密着した状態で、彼女は僕の質問に答えた。
(//、^*川「――出来ますわ。貴方がそれを、望むなら」
その声は、音響装置を通して出ているはずなのに、震えている様ように聞こえた。
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僕はレシピ本を普段食事に使用しているテーブルの上に置くと、あるページを開いた。
本来ならば燃やすべきこの本を、懐に入れてしまった一番の理由がそこにある。
(´・_ゝ・`)「僕は、コレが、食べてみたい」
そう言って指さしたレシピのタイトルは、【Strawberry sponge cake】
見開きの右ページは原材料と制作の工程表が、
左のページには、完成品と思われる料理の写真がカラーで掲載されている。
おそらく数百年以上前、まだ人類が地上に暮らしていた核戦争以前の産物だ。
僕はこの写真の中の料理に惹かれてしまった。
三角柱の形は、おそらく円形の一部をカットしたものだろう。
海綿質の柔らかな層の間に、白いクリームが挟まり、
赤い果実の断面が見えている。
層の上部にも、クリームがたっぷりと飾られていて、
その頂点に血液のように昏い紅色をした果実が輝いていている。
味も食感も全くの未知。
しかし僕の脳髄に直接響くように、この料理を食べたい衝動が広がる。
写真を見ているだけで、口内に唾液が溜まっていく。
なるほどコンピューター様の見立てはまったくもって正しかった訳だ。
一度味をしめてしまえば、その先の人間の欲望に歯止めはない。
僕は本来ならば、仕事終わりにダストシュートにまとめて放り込むはずの本の束から
レシピ本だけを抜いて、懐に隠し家まで持って帰った。
そして彼女に味の再現をこうして頼むに至るのである。
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(//、^*川「これはまた、随分とお可愛いものを」
先程までの震えた声と不安の表情をすっかり消して、彼女は笑う。
どうやらこの料理は男性市民が口にするのは恥ずかしい類のものらしい。
(´・_ゝ・`)「この料理を知ってるのかい?」
(//、`*川「これは、『スイーツ』と呼ばれる菓子類ですわ」
(´・_ゝ・`)「菓子……」
いくつかの図書にその言葉が出てきたのを思い出す。
ちょっとした空腹を満たすための、甘い料理という説明だった気がする。
なるほど写真をよく見てみれば、確かに横に添えられたフォークと大きさを比べると
それほど食いでのある料理では無いらしいことが分かる。
(//、`*川「旧時代に、女性が好んで食べたモノですわよ」
(;´・_ゝ・`)「そ、そうなのかい? でもこんなにキレイなものに、男も女もないさ」
ロマンチストですのね、と彼女はもう一度口元に手を添えた。
その笑みが終わると、彼女は僕に背を向けて、
人工食糧が保管されている戸棚の前まで歩む。
そしていつもの食事の準備と同じ様に、皿の上にそれを盛り付けると、
テーブルの上、開かれたレシピ本の隣に置いた。
.
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(//、^*川「きっと写真を見ながら食べたほうが美味しいですわ」
(//、`*川「さぁ、おすわりになって」
そう言って手のひらで椅子を指し示す。
僕はその申し出に素直に従う。
ほぼ着席と同時に人工食糧に手を伸ばしたけど、
ふと彼女の方を見ると、じっと僕の顔を見つめていたので、
なんとなくもう一度尻の居所を調節してから、「いただきます」と言った。
(//、^*川「はい、召し上がれ」
いつものやり取りをこなすと、彼女は満足したように両手を広げた。
先程よりも少し冷静な気持ちに引き戻された僕は、
無性に緊張しながら、再度皿の上に手を伸ばした。
この緊張の中には、『期待を裏切られたらどうしよう』という後ろ向きのものも含まれてしまっている。
定型のあいさつによりニュートラルに引き戻された思考が、もしもの保険をかけはじめているのだ。
それでも僕は欲求に抗うことが出来ない。
指の先につまんだ人工食糧も、いつもよりも重量がある気がしてならない。
震える指先を口元まで運ぶ。
一瞬彼女を見る。
笑っている。
それにひどく安堵を覚えて、僕は一気に口に放り込んだ。
.
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(*´・_ゝ・`)「――っ!!」
突き抜けるような爽やかな刺激が、口の中で爆発した。
おそらくは酸っぱいに近い味なのだろうけど、全く嫌じゃなくて、
むしろいつまでもその中に溺れていたいと思わせるような、晴れやかなものだった。
その余韻もつかの間、次に現れたのが、まるい甘み。
それはいつも口にしていた単純な『甘い』とは全く違う質感を持っていた。
きめ細かく、かつ重厚なそれが、
行進するみたいに舌の上を縦横無尽に駆ける。
ゆっくり丹念に編み上げられた極上の織物のような、
軽いはずなのに質量があると錯覚してしまう上品な味。
その2つが続けざまに発現したあと、最高の波が遅れて到着する。
甘いと、酸っぱいの混ざりあったその味は、心臓の奥の奥まで到達したみたいで、
僕の胸は一気に苦しくなる。
なんだこれは。
服の上から心臓に手を当てる。大きく脈打っている。
今までの都市生活で感じたことの無い感覚。
それがこの味で想起させられているんだ。
例える言葉が見つからないまま、その味覚の奔流に身を任せる。
甘い、酸っぱい、甘い、酸っぱい。
苦しい。胸が。締め付けられる。
でも決して嫌じゃないんだ。嫌なんかじゃない。
.
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――ポタ。
胸を押さえる僕の手の甲に、ほのかに温かい水滴が落ちた。
(´;_ゝ;`)「――あ」
僕は、泣いていた。
美味しい、なんて言葉だけじゃ何ページ書いたって足りない。
この味が説明出来ないように、自分の感情にも正しい意味をもたせることが出来ない。
僕は嗚咽を漏らさないように、むりくりに微笑みながら彼女を見る。
(//、-*川「いいんですのよ。本当に美味しいものを食べたら、人は涙を流すものですの」
彼女の冷たい指先が、僕の頬を走る涙の跡に触れた。
そして親指でゆっくりとそれを拭う。
僕は咀嚼を止めることも出来ないままだったけど、
彼女は何度も何度も僕の頬を撫でた。
それが嬉しくて、ありがたくて、涙の方も止まることが無かった。
.
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(//、-*川「知っていまして?」
そう彼女は僕に投げかけたけど、
返答を求める問いかけじゃないことはすぐに分かった。
そのまま彼女の言葉に耳を傾ける。
(//、`*川「今ご主人の口に広がる味を『甘酸っぱい』っていいますの」
(´・_ゝ・`)「あふぁふっはい……」
(//、^*川「ふふっ、お口にものを入れたまましゃべるのはお行儀がよろしくありませんわ」
(´・_ゝ・`)「むぐ……」
(//、`*川「この『甘酸っぱい』には、前時代、変わった意味合いがありましたの」
(´・_ゝ・`)「――それは、なんだい?」
(//、`*川「……」
(´・_ゝ・`)「……」
.
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(//、^*川「――ふふっ」
(//、^*川「ひ・み・つ、ですわ」
(;´・_ゝ・`)「……なんだい、それ」
(//、^*川「でもね、ヒントを差し上げます」
(//、`*川「もし、今、私が擬似的に模倣しているこの感情に名前をつけるなら、きっと」
(//、^*川「とっても『甘酸っぱい』ものになりますの」
(;´・_ゝ・`)「……わからん」
(//、`*川「往々にして、殿方とはそういう生き物ですわ」
(//、^*川「さぁ、まだまだたくさんありますわ。残さず召し上がってください」
彼女はそれだけ言うと、頬杖付いて、僕の顔を眺めるようにした。
頭の中には彼女の言ったヒントが飛び回っていた。
それでも彼女のススメ通り、更に手を伸ばしているうちに、ゆっくり記憶の底に消えていった。
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すっかりと平らげる頃には、すでに明日の仕事に支障が出てしまうほどの時間が迫っていた。
一つ一つをあまりに大事に食べすぎたらしい。
僕は少し焦りながらも、ごちそうさまと、それから彼女への謝辞を忘れなかった。
その言葉に、彼女は微笑みだけで返すと、皿をテーブルから取り上げ、流しへと向かった。
(´・_ゝ・`)「あ」
瞬間、口の中にザラつく無味の感覚が蘇った。
食事が終わったので、彼女の感応効果が切れたのだ。
その不快な質感に思わず声が漏れた。
彼女は首だけでこちらを振り返ると、
(//、`*川「どうか、しましたの?」
と言った。
(;´・_ゝ・`)「うん、ちょっとね」
僕はそれを返すのが精一杯で、コップの中の濾過消毒水を流し込んだ。
それで口の中の砂粒みたいな感触はとりあえず喉の奥へしまい込むことが出来た。
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(´-_ゝ-`)「きっと『本物』なら、こんなことないんだろうな……」
意識せず零れた自分の言葉に気づいて、慌てて口を覆った。
そんなことで、発言を取り消せるわけでもないのに。
恐る恐る彼女の方を見る。
先と変わらない様子で洗い物を続ける後姿に、僕は胸を撫で下ろした。
間違っても言っちゃいけない言葉だった。彼女に対してあまりにも失礼な――。
人間の欲望に際限がない。
やはりそれは正しい。
手際の良い洗い物の音に耳を傾けながら、僕は自責と自制の念を、今一度深く心に刻んだ。
.
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********************************************
それから僕は定期的に、彼女にレシピ本から味の際限を頼んだ。
カレーに、ハンバーグに、唐揚げなんていうのも食べた。
どうやら僕の味覚は前時代でいうところの『子供』に相当するものらしくて、
そういうものばかり頼む僕に、彼女はいつも微笑んだ。
全部美味しかった。
そしてやっぱりそのどれもがそれ以上の言葉で飾ることが出来なかった。
僕は仕事に行く前に、必ず彼女に本を一冊渡す。
家に戻ると、大抵彼女はソファに腰掛けて、その本を読んでいた。
食事の話題は必然的にそれら本の内容に関してだった。
あれが面白かった。コレはイマイチだった。
この登場人物が好き。こいつは嫌い。
この会話も、当然今まで誰ともしたことが無かった。
だから凄く楽しくて、僕はいつまでも彼女とこうしていたい想いに捕らわれる。
美味しい料理と、素敵な友人。
たったこの2つで人生がどれほど豊かになるのか、
この都市の市民の何人がこのことを知っているのだろうと思うと、
やはりここが哀れな囚人共の牢獄でしか無いことを嫌でも再確認させられた。
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――その日も、雨が降っていた。
濡れないように細心の注意を払いながら、帰路につく。
デルタ・コンプレックスの天候と昼夜には一定の規則がなく、
コンピューター様の思いつきでコロコロと切り替えられる。
中でも劣悪なのが、雨と夜の組み合わせだ。
ただでさえ視界の悪い雨の日に、夜の帳が降りる。
これは完璧に区画整理された居住区画で目的地にたどり着く確率を格段に下げる。
間違った部屋に入れば処刑対象なので、
こういう日は誰も外出したがらないし、仕事を終えた市民はそのまま仕事場で朝を迎えるか、
ある程度の覚悟の下帰宅するかのいずれかを選択しなければならない。
家に帰らない選択もリスキーで、
例えばそのまま朝を迎えた直後にコンピューター様からのトラブルシューティング依頼が来たりすると、
風呂に入る間もなくブリーフィングに出席することになる。
そうなると、その後に待ち受ける"清潔度チェック"でとんでもない目にあったりもする。
全くもって質の悪い――
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そんなことを考えていると、雨の向こう側に人影を見た。
暗くて視界も悪かったので、一瞬見間違いかとも思ったが、
確かに左右に揺れるように進んで行く姿を見つけた。
傘を差していない代わりに、
撥水加工のされたレインコートを羽織っているようだ。
この区画を往くにはあまりにも命知らずな速度で、
半ば駆けるように大通りの角を曲がっていった。
あの曲がり角の先には僕の家がある。
胸騒ぎがして、僕も歩を早めた。
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(´・_ゝ・`)「ただいま」
(//、`*川「あら、おかえりなさい」
彼女はいつもどおりソファに腰掛け文庫本を読んでいた。
僕が扉を開けると同時に本を閉じて、僕の方に歩み寄る。
その時、一瞬なにかに躓くようによろけはしたが、
すぐに体勢を立て直す。
(//、^*川「ごめんなさい、昼間ワックスを掛けたので滑りやすくなってるんですの」
そう笑いながら、濡れて肌に張り付いた僕の仕事着を脱ぐのを手伝ってくれる。
……なにも変わったところはない。
自分の取り越し苦労に胸を撫で下ろしながら、
それでも一応確かめずには居られなかった。
(´・_ゝ・`)「――今日、君、外出とか……した?」
(//、^*川「あら、いやですわ。私これでも逃亡者ですのよ?」
僕が冗談を言ったと思ったのか、彼女は肩を震わせて笑う。
その笑い声にどこか無機質なものを感じながらも、
僕はそれ以上追求することが出来なかった。
僕の彼女に対する疑念が悟られるのも嫌だったし、
それ以上に、この先に踏み込むことの出来ない壁のものに僕は気圧されていた。
いつも通りの美味しい食事と、楽しい会話。
でも僕はそれに集中できずにいた。
それでも、その内情を知られないように僕は努めて明るく彼女と話した。
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――僕は、間違っていたし、正しかったと知る頃には、取り返しがつかなくなっていた。
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その日は大捕物を終えた後で、酷く疲れていた。
有毒図書を所有する"赤《レッド》"階級の市民がミュータント能力を持っていて、
しかもそれが透明になる事ができるなんていう、こと逃亡に関して実に厄介な代物で
追跡と捕縛に予定の数倍以上の時間と人員を割かれたのだ。
しかもその有毒図書というのも、前時代のポルノ雑誌で
一部の職員を除いては、脱力と同時に座り込んでしまうほどの下らなさだった。
珍しいことに、今回の事案に参加した焚書士には明日の特別休暇が与えられ、
その誰もが一日中睡眠でも取ろうという漠然とした決意を胸に帰宅した。
(´・_ゝ・`)(意外とこういう時にトラブルシューティングの指令が入ったりするのが人生なんだよなぁ)
僕は捻くれた考えを抱きながらも、工業区画を抜けようとする。
爪'ー`)「ダンナ」
聞き覚えのない嗄れた声と共に、僕の合皮鞄の端が掴まれた。
咄嗟に、僕は鞄から光線銃を引き抜くと、振り返りざま声の主に突きつけた。
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爪'ー`)「おっとっと、止めてくださいよ。怪しいものですが悪人じゃねぇ」
(´・_ゝ・`)「……物取りなら、相手が悪かったね」
爪'ー`)「知ってますよ。結構噂立ってますぜ、歴戦の焚書士だって」
――なるほど、どうやらコイツは"土竜《ジムグリ》"の類らしい。
普段はコンピューター様の監視の目が届かない通気口や、
地下都市の更に地下を走る下水管の中を住処にしていて、
機密情報の売買や、違法物資の流通、闇市の経営などを生業としているアウトローの総称だ。
(´・_ゝ・`)「僕は、君を知らないけど」
僕は無造作に構えていた銃の先を、
しっかりとそいつの眉間に合わせながら返す。
『僕の特別製の鼻』のことを知られたのであれば、
この場で処刑する必要があった。
この手の輩は情報を元手に強請りも集りもやる。
そして骨の髄までしゃぶり尽くされて気が狂った同僚を一人知っている。
爪'ー`)「怖いなぁ……こわい、こわい」
ひっ、ひっ、と粘ついた笑いに肩を震わせる土竜に、嫌が応にも眉間に皺が寄る。
ただでさえ不愉快な悪臭をその身に纏ったコイツに、馬鹿にされている気分になる。
もう面倒くさいから、いっそ引き金を引いて帰ってしまおうか。
.
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そこまで考えた僕に勘付いたのか、土竜は早口に話しだした。
爪'ー`)「いえね、ダンナにはお世話になってやすもんで、一度ご挨拶と思いましてね」
(´・_ゝ・`)「……?」
(´・_ゝ・`)「もう一度言うよ。僕は君を知らない」
爪'ー`)「いやいや、姿形は知らなくても、存在はご存知でしょ?」
(´・_ゝ・`)「そりゃ君らみたいな溝鼠がこの辺りを寝ぐらにしてるのは知ってるけど」
爪'ー`)「え、いや、そうじゃなくてですね」
爪'ー`)「……ありゃりゃ、こりゃおかしいな」
(´・_ゝ・`)「なんだい、一人で合点しないでくれ」
爪'ー`)「もしかして、ダンナからの依頼じゃないんですかい?」
(´・_ゝ・`)「だから、何が」
爪;'ー`)「……マジですかぃ」
爪;'Д`)「こりゃ、まずい」
そこまで言って、土竜の顔から笑みが消え、額の皺に汗が浮かんだ。
同時に僕の胸中には暗雲が立ち込める。
フラッシュバックするように、あの雨の夜、レインコートの後ろ姿が脳裏を過った。
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爪;'ー`)「……怒らないで聞いてくれやすか?」
土竜の言葉は、急に媚びるような声色に変わった。
本当ならは逃げ出すのがセオリーなのだろうが、
こうも至近距離で光線銃を突きつけられてはそれも出来ない。
だから逃走から、哀願、命乞いにシフトさせるといった様子だ。
(´・_ゝ・`)「内容による」
僕はそれだけ返すと、話の続きの催促をするように顎をやった。
爪;'ー`)「先に言っときます。
アッシは武装なんかは一つも持ち合わせておりやせんので、いきなりZAP、ZAPは無しにしてくださいね」
そう言うと、土竜は身にまとった襤褸切れの内側に手をやった。
そして戻ってきた手に握られているのは、
何処かで見覚えのある、金属の球体だった。
.
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(;´・_ゝ・`)「――センサー……アイ?」
爪;'ー`)「……てっきり、借金にでも困ったダンナが、
自分の自律人形にパーツを切り売りさせているもんだと」
(´・_ゝ・`)「――いつからだ」
爪;'ー`)「さ、三ヶ月ほど前になりやす」
――丁度、あの日の辺りじゃないか。
僕が彼女に料理の再現を頼んだ、あの日から。
(´・_ゝ・`)「今まで、どんなパーツを買った」
明らかに怒気を孕んだ僕の声に、土竜は一層身を縮こませながら答える。
爪;'ー`)「基本は内部パーツです。"調律器《ハーモニクサー》"、"平衡維持装置《スタビライザー》"……」
爪;'ー`)「それから服で隠れる部分の人工被膜と、その下のケイ素クッションも頂きやした」
(´・_ゝ・`)「それで、今日はその、センサーアイか?」
爪;'ー`)「い、いえ、コレは初日にお売り頂きやした」
爪;'ー`)「包帯で隠れている部分だから、いらないって……」
爪;'ー`)「あまりに上等品だったんで、こうして肌身離さず持ち歩いてるんです」
.
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(´・_ゝ・`)「それじゃ、今日は――」
爪;'ー`)「……それが、そのう――」
(#´・_ゝ・`)「サッサと言えッッッ!!!!!!」
僕の放った怒声は、工場の軋むような駆動音をかき消すように広がる。
剥き出しの鉄骨や金属の壁に反響して、その語尾が間延びする。
爪;'Д`)「きょ、今日が最後だって……」
爪;'Д`)「『闇市で材料が揃う』って――」
もう一度襤褸切れの中に差し込まれた手が、一際大きな金属の塊を掴んで戻ってくる。
機械に疎い僕にだって分かる。
それは、
彼女の命そのものじゃないのか。
(´・_ゝ・`)「"主電源装置《メインパワーセル》"……」
爪;'ー`)「だいぶイカれてやしてね、あと数ヶ月も持たないって代物でした」
爪;'ー`)「それでも、あっしはそれだけは止したほうがって言ったんですぜ?」
爪;'ー`)「でも予備電源があるからって……、あと数時間でいいって……」
.
-
穴が、空いたような、気がした。
足元に、ぽかんと。
昏く、深く、悲しく、寂しい。
虚無であり、虚脱であり、悔恨であって、絶望だった。
(´・_ゝ・`)「あ、あ……ぁ――」
自分がどんな顔をしているのか分からないけど、
土竜の反応でなんとなく察しがついた。
酷い、顔なのだろう。
爪;'Д`)「あ、あっしこんな稼業で、もう"予備"がありやせんで……」
眼の前の溝鼠が吐く、汚物にも似た言葉は耳に入れど聞いていなかった。
ただただ彼女の笑顔と、美味しい料理と、
そしてあの日僕が言ってしまった言葉が、繰り返し頭の中をかき乱す。
爪;'Д`)「ひっ、ひぃいッ!」
そんな僕の隙を付いて、土竜は反転すると一目散に駆け出した。
その背中に光線銃を浴びせる気力すら、今の僕には無かった。
(´・_ゝ・`)「……そうだ」
急がなくては。
奴が言っていたじゃないか。
あと、もって、数時間だと――
.
-
僕はこの仕事を始めてから何年も使い古した合皮鞄を放り投げた。
少しでも身軽になりたかった。
そして、一秒でも早く、彼女の下へ辿り着きたかった。
重い、足が重い。
苦しい、胸が苦しい。
熱い、目頭が熱い。
嗚呼、今の僕の感情を、彼女風に表現するなら、きっと『苦い』がお似合いだ。
.
-
(´・_ゝ・`)「ただいま」
家に入る前は、あんなにも纏まらなかった思考が
玄関ドアを開けた瞬間にクリアになった。
(//、^*川「おかえりなさいませ」
それはきっと、彼女がいつものように微笑んでくれたからで、
だからこそ僕は、いつも通りで居なきゃいけないって、そう思ったんだ。
部屋の明かりはすべて落とされていて、
いつも食事に使っているテーブルの上だけが仄かに光を放っていた。
(´・_ゝ・`)「今日も大変だったんだ」
僕は言いながら、コートを脱ぐ。
彼女はそれを受け取ると、ポールスタンドに掛けた。
(//、`*川「毎日お疲れ様ですわ」
言いながら、よろける。
そうだ、彼女の中に平衡維持装置はもう無い。
机の上の明かりを頼りに、僕らは向かい合って座る。
.
-
中心には、真っ白の皿の上に、あの日写真で見たとおりの、あの菓子が盛られていた。
底辺に丸みを帯びた、二等辺三角形の三角柱。
一番下に、薄い黄色の海綿層。
その次は美しく光を反射する白い滑らかな層。
赤い果実の断面は、肉眼で見ても分かるくらいに瑞々しかった。
その上にもう一度海綿層があって、その上にはクリームが丁寧に、均一に塗られていた。
最後に、クリームで作られた飾り器がデコレートされていて、
その上に、紅く熟れた果実が、一際素晴らしい芳香を放ちながら、乗っていた。
その脇には蝋燭が立てられ、小さな燈が灯っている。
(*´・_ゝ・`)「わぁ、美味しそうだなぁ」
渦巻く『苦い』も『しょっぱい』もおくびにも出さず、
僕は柔らかに微笑む彼女にそう言った。
(//、^*川「どうぞ、召し上がれ」
いつもと、同じ、彼女の声音に、僕は、すぐにでも、泣き出してしまいたくなる。
.
-
(´-_ゝ-`)「頂きます」
一度手を合わせ、目を瞑る。
目尻から、すうと、熱いものが流れ落ちた気がする。
皿の横に添えられた金属製のフォークを手に取る。
悟られるな、震えを。
彼女は"美食人形《グルマヌカン》"。
僕はそのご主人様なのだ。
食事は、楽しいものでなくてはならない。
フォークの先が、緩慢に皿へと向かう。
心臓が、痛い。
.
-
(//、`*川「……私」
その静謐な空気を割いたのは、意外にも彼女の方だった。
フォークの位置はそのままに、彼女を見つめる。
(//、`*川「大好きなお伽噺がありますの」
唐突に。
(//、`*川「一番最初にご主人からお借りした『オスカー・ワイルド』の短編集」
そこまで聞いて、僕は、もう一つの過ちに気がついた。
喉の奥が、痛い。
(//、`*川「素敵なお話でしたわ」
(//、-*川「私も、こんな風に生きたいって思いましたの」
ああ、止めてくれ。
僕は、君に、何もしてあげられていないのに。
(//、-*川「私も、あの『幸福な王子』みたいに、誰かの幸せのために、そう、思いましたのよ」
(//、-*川「もうすぐ尽きる命ならば、せめて、誰か、愛する人に――」
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(//、`*川「――ねぇ、ご主人」
(//、`*川「今」
(//、^*川「幸せですか?」
.
-
微笑む。
あの日見た、雨に濡れた彼女の顔。
同じように微笑んでいた。
廃棄処分寸前で逃げ出し、『苦くて』『しょっぱくて』、
それでもその中で僕に笑いかけてくれた。
なぜ、僕だったの?
幸せか、だって?
そんなの、
そんなの――
(´^_ゝ^`)「――幸せだよ」
.
-
この後にも、いっぱい、たくさん言葉を紡ごうとしたのに、何一つ出てこなかった。
そのかわりに、一気に僕の双眸から涙が溢れた。
みっともなく、嗚咽を漏らしながら、フォークを握っていない方の手でズボン生地を握りしめた。
(//、^*川「――召し上がれ」
彼女はもう一度そういう。
僕は涙でぐしゃぐしゃになりながら、フォークを生地に沈ませ、一角を削り取る。
想像通りの柔らかな質感と彼女の肌の思い出が重なる。
喉はこんなにもひりついているのに、
僕はそれを口に運ぶという行為を止められなかった。
食べたかった。
彼女の与えてくれた『幸福』を。
一つも残さず、全て、キレイに。
舌の上に乗せられた、その切片は、あの日再現された味と寸分違わないもので、
しかし食感が伴っているだけで何倍もの美味に感じられた。
(´;_ゝ;`)「ふぉいひぃよ……」
これが、僕の精一杯だった。
僕には、これしか、無かったんだ。
.
-
(//、^*川「あらあら、ものを口に入れたままお話しては駄目なんですのよ?」
いつか聞いたセリフも、何もかも、すべてが、幸福の為に。
(//、-*川「でも、今日だけは、もっと言ってくださいまし」
(´;_ゝ;`)「ふぉいひぃ……」
(//、-*川「もっと」
(´;_ゝ;`)「ふぉいしい」
(//、-*川「もっと……」
(´;_ゝ;`)「おいしい」
(//、-*川「もっと――」
(´;_ゝ;`)「美味しい、美味しいよ」
.
-
(//、^*川「――ふふっ」
(//、`*川「私も、私にとって」
(//、-*川「貴方との生活は」
(//、^*川「とっても『美味しい』ものでしたわ――」
もぐ、もぐ。
(//、`*川「――ご主人は、お好きなものは最後に食べるんですのね」
もぐ、もぐ。
(//、`*川「ねぇ、その果実。それが『甘酸っぱい』んですの」
もぐ、もぐ。
(//、`*川「あの日の答え、教えて差し上げますわ」
もぐ。
(//、-*川「『甘酸っぱい』っていうのは――」
ごくん。
.
-
****************************************
_、_
( ,_ノ` )「馬鹿野郎、随分な場所におっ建てやがるじゃねぇか……」
店に入ってくるなり、男はそうこぼした。
厚手の合皮で出来たロングコートを着ていても筋肉質な体つきである事が分かる。
(´・_ゝ・`)「コートは入り口のポールにでも掛けてください」
僕はそれだけ言うと、コップに氷と水を注いで、カウンターの上に乗せた。
_、_
( ,_ノ` )「おいおい、俺は客じゃねぇぞ」
(´・_ゝ・`)「入り口からご入店いただいた以上、誰もお客様です」
_、_
( ,_ノ` )「変わったやつだな。このご時世に料理なんてよ」
(´・_ゝ・`)「好きなんです。それじゃ駄目ですか?」
_、_
( ,_ノ` )「この地下都市で、他人のために何かやることに意味なんてねぇだろ」
(´-_ゝ-`)「食べてくれた人が、美味しいって笑ってくれれば、それで」
_、_
( ,_ノ` )「やっぱりあんた、変わりもんだ。もしくは筋金入りの"偏執狂《パラノイア》"だ」
(´-_ゝ-`)「……そうかもしれませんね」
男はそれに答えることはせずに、お冷の乗ったカウンターの前に座る。
光線銃は手にしていない。
.
-
_、_
( ,_ノ` )「闇市で買った天然素材で作った、前時代の美食を振る舞う……ねぇ」
(´・_ゝ・`)「ちょっとしたコネクションがね」
_、_
( ,_ノ` )「土竜あたりか?」
(´・_ゝ・`)「まぁ、そんなとこです」
_、_
( ,_ノ` )「これだけの規模とメニューだ。金もかかるだろうに」
手元のメニュー表を開きながら、男は顎を撫でる。
(´-_ゝ-`)「焚書士時代に、ちょっとね、色々」
_、_
( ,_ノ` )「言わなくても大体分かるよ。蔵書のたぐいは闇市でも人気の品だ」
(´・_ゝ・`)「それで、お客様、今日は何をお召し上がりになりますか?」
_、_
( ,_ノ` )「だから、俺は客じゃね――」
(´-_ゝ-`)「"反乱分子《レジスタンス》"に正義の鉄槌を下す、勇敢なトラブルシューター様、ですか?」
_、_
( ,_ノ` )「――もういい」
(´・_ゝ・`)「さ、ご注文を」
_、_
( ,_ノ` )「……分かんねぇよ。俺のクリアランスに開示されてる情報じゃ、どれが美味いのか分からん」
(´^_ゝ^`)「どれも美味しいです」
_、_
( ,_ノ` )「――それじゃ、お前のオススメをくれ」
_、_
( ,_ノ` )「美味かったら、見逃してやる」
-
(´・_ゝ・`)「……それじゃ、これなんていかがですか?」
僕は、彼の手からメニューを受け取ると、あるページを開いた。
_、_
( ,_ノ` )「……なんだこの、三角形。黄色と白と赤って、本当に食い物か?」
(´・_ゝ・`)「味は、保証しますよ」
_、_
( ,_ノ` )「ほぉ……どんな味なんだよ」
(´-_ゝ-`)「――大変失礼ですが、お客様、恋人がいた経験はおありですか?」
_、_
( ,_ノ` )「なんだ藪から棒に。それと味が関係あるのか?」
(´・_ゝ・`)「大いに」
_、_
( ,_ノ` )「恋人なんて、コンピューター様が管理しているこの社会で、持ってるやつのほうが異常だぜ?」
.
-
(´・_ゝ・`)「それじゃ、きっと、この味は」
(´^_ゝ^`)「お気に召すと思いますよ」
_、_
( ,_ノ` )「なんだそりゃ」
(´・_ゝ・`)「だって、その味は――」
(´・_ゝ・`)Strawberry On The――のようです(//、`*川 【了】
.,
-
うおおおぉぉおつ!おつ!好き!
-
ミセ*>ワ<)リ「っしゃぁっ!! どやぁっ!!」
ミセ*>ワ<)リ「初めて"デミペニ"使ったけど、いいねっ! いいねでしたっ!」
ミセ;゚д゚)リ「ってもぉこんな時間!?」
ミセ;゚д゚)リ「明日もしご――」
ミセ;゚〜゚)リ「学校早いのにぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
ミセ*>ワ<)リ「夜更かしは美容の大敵だからもう寝るねッ!」
ミセ*>ワ<)リ「それじゃ皆、ちゃんと読んでねぇ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」
.
-
爪;'ー`)y- 「今日、夜遅くまで仕事があるんだ」
爪'ー`)y- 「帰ってきたら投下すれば、セーフだよな?」
爪'ー`)y- 「今回も力作ぞろいで読み応えあったぜ。残りも楽しみだ」
-
投下するよー
-
(0)
安らぎを得られる時間とはどこだろう?
熱した頭で椎名は思考に耽っていた。
睡眠を回答にする人間はそれなりにいそうだ。
確かにそうだなぁと共感を持てる。
食事や入浴を回答にする人間もそれなりにいそうだ。
羨ましいというよりは妬ましい。
不特定多数に敵意を向け、椎名は手を真っ直ぐに伸ばした。
長方形の鏡に触れ、水蒸気を軽く拭う。
傷を抉る行為だった。既に不快なものを見ているというのに。
それでも止める事は出来なかった。
数秒もしない内に自身の全体像が露わになった。
シャワーに打たれ続けている女が、棒切れのような脚で立っている。
(#゚;;-゚)「はぁ……」
今日も椎名は醜かった。
.
-
(1)
ミセ*゚ー゚)リ「おーい、起きてますかー」
(*゚ー゚)「……え? ああ、うん」
ミセ*゚ー゚)リ「どうしたん? 寝不足?」
教室の机に身を預けていた椎名に、芹沢が声を掛けた。
(*゚ー゚)「いやさ、つい遅くまで机に向かっちゃって」
丁度大学受験を控えている時期だ。
誤魔化すためのカードはすぐ手元にあった。
ミセ;゚ー゚)リ「真面目だねー……しぃちゃんは。
私なんて駄目だよ、快眠続き」
(*゚ー゚)「そんなことないよ。ただちょっとブレーキが効かなくなっただけ」
椎名は立ち眩みを覚えながら帰り支度をした。
-
ブレーキが効かなくなった、というのはあながち嘘でも無い。
いわゆるやけ食いというやつだった。中々合格ラインを越え切れない。
そんな焦燥がストレスの種になり、手軽な発散方法を作ってしまった。
ここ半年ほどの椎名は就寝時間が遅くなっていた。
置かれている状況から、両親もどちらかと言えば応援する側だ。
時折夜食まで運んでくれるのだから感謝以外無かった。
しかし、食事に安らぎを見出しすぎてしまったのはこれが原因かもしれない。
ついには自ら買い溜めをし、菓子パンを摂取する毎日。
気づいた時には体重計の一の位が上がっていた。
-
ミセ;゚ぺ)リ「んー、昔の感覚で買っちゃうと太る気がするんだよねぇ」
帰路の途中で寄ったコンビニで、芹沢は食べ物を物色していた。
(;*゚ー゚)「昔って、半年も経ってないでしょうに」
ミセ*゚ー゚)リ「いやーハタチで人生折り返しって言うでしょ?
あれは嘘だねきっと。多分部活やめたら折り返しだよ。
もうあっという間。あーあ、そろそろ私もおばちゃんかぁ」
(;*゚ー゚)「その理屈だと部活入ってなかった私はどうなるの?」
ミセ*゚ー゚)リ「えっ、まあ長生きすんじゃない?」
(;*゚ー゚)「雑だなぁ……」
椎名は棚から適当にメロンパンを取り、芹沢も悩む事に飽きたのか同じものを取った。
-
会計を終え、店を出た二人は既に封を開けていた。
値段なりの味を楽しめる程度の話に花を咲かせ歩く。
椎名は今だけを考えるように努め、いつも通りの日常を過ごした。
やがて当たり前の別れが訪れる。
芹沢の影が完全に遠ざかると、張っていた気が瞬く間に緩んだ。
-
駅のトイレに駆け込み、無理やり嘔吐した。
良くない行為だとは分かっている。なのに体重が気になってしょうがない。
多分病気なのだろうが、通院する時間も勉強に当てたかった。
加えて親にこんな事を言いたくはない。根本的に椎名は見栄を張る人間だった。
可否はともかくとして、椎名は高校を卒業するまで意地を通し続けた。
途中から胃の中身が自然と上がってくるようになった。それでも醜態を晒さないように努めた。
その結果、逃げた。
ほとんど生活の体を成していない一人暮らしを始めた。
死ぬ気で入った大学では単位をかき集めるのが精一杯だった。
キャンパスライフという幻想はあっという間に崩れ去った。
.
-
(2)
椎名は夜が好きだ。
唯一の安寧である眠りが取りやすい時間だ。
しかし、それはそれで虚しかった。
どこに救いを求めているのか、という問いの答えが見えてしまいそうだから。
ただ、夜が好きな理由はもう一つあった。
こうして外に出る際に誤魔化しやすいのは大きな利点だ。
着こなせもしない標準サイズのニットを身に纏いながら、目的地へ足を進めた。
-
相も変わらずに毒々しい。
向かっていた場所に到着した椎名は少したじろいだ。
常時クリスマスシーズンを迎えているような外装だ。
寒色と暖色を詰め込んだ蛍光色のライトが目に差す。
防音しきれないノイズが耳を突き刺す。隣接する歩道の隅で騒ぐ学生で頭が痛い。
椎名は少し身を縮こまらせながら、ライブハウスの中へ入った。
ドリンク券と水で割ったようなビールを交換し、客席の後方に立つ。
ステージ上の明かりに近づいて姿が照らされるのは嫌だ。
熱狂に乗るのも難しい。なんとか場に溶け込めそうなのはこのポジションだった。
苦労の対価として楽しみが見合うのかは分からない。
それでも好きなバンドが近くに来たのだから聴きに来ようと思った。
-
多分、椎名が高校生ならのめり込まない演奏が始まった。
その理由は大人になったからでもなんでもない。
メジャーなものが受け付けなくなってしまっただけ。
そんな、中学生まで退化しているような笑えるものだった。
別に人との違いを作るために聴いている訳ではない。
寧ろ違いなんて作りたくなかったのに、ここに収まってしまった。
もう愛の言葉は聞きたくない。
今の椎名には到底重ねる事が出来ない。
結局、あなたとか君なんてどこにもいないのだから。
-
目が巻き髪で隠れているボーカルが気だるい生活を歌う。
椎名がリピートしている曲だった。聴衆は静かに熱狂している。
なのにどうしてだろう、鳥瞰してしまう自身に気がついた。
ここに集まったファンは似たような思いを抱いているはずなのに、疎外感を覚える。
分かっている。一ミリ単位も狂いがない共感なんて無い。
分かってはいるのに、結局全員他人なんだなと、当たり前の事が胸を重くさせる。
私は何を求めに来たのだろうと、椎名はノイズを聞き流し続けた。
-
(,,゚Д゚)「姉ちゃん一人かぁ? 俺と遊ばねぇ?」
俯きながらライブハウスから出ると、一人の男に絡まれた。
顔を上げて分かったが、キャッチという格好には見えない。
恐らくは椎名と同じような年代の学生だった。
半端に茶色が混じった髪をした男は、如何にも酒気帯びといった様相だ。
普段なら軽く断って人混みに逃げるという選択肢もあった。
だが、その日の椎名は無視をしてフラフラと歩くしか無かった。
(,,゚Д゚)「おい聞いてんのか!」
(;*゚ー゚)「……っ!」
-
後方から男に手首を握られた。
チークや服なんかでは誤魔化せない、椎名の中身だった。
(,,゚Д゚)「……は?」
気の抜けた声が聞こえる。
椎名は男を振り払い、足早に去っていく。
(,,゚Д゚)「……きっしょ」
背中に突き刺さった言葉を拭い去る事は、椎名にとってはあまりにも困難だった。
.
-
(3)
電車に乗る素振りもなく、椎名は夢遊病患者のように彷徨っていた。
駅と隣接したコインロッカーに荷物も置いたままだ。
代わりに持っていたのはビニール袋だった。
椎名は中身をあまり把握していなかった。
取りあえず酔っているのだからアルコール類かと推測する。
やがて歩行すらままならなくなり、何か柵の様なものに上半身を預けた。
(*゚ー゚)「……」
視界に映った暗い水面に椎名は少し慄いた。
遠い。
どうやらここは高架橋らしい。
後方から聞こえるエンジン音や、覚束ない視界で把握出来る外装を見るにそうだろう。
歩道があって助かったと言うべきなのだろうか。
-
少し強い風が吹き、地面との接触が薄くなった。
痩身と呼ぶにも足らないような細切れに、アルコールは重すぎた。
まともに食いつなげていないのなら尚更だ。
もしかしたらこのまま身を投げてしまうかもしれない。
そして、それは椎名にとっては悪い選択ではない。
とっくに辿り着いていた結論ではあった。
椎名はビニール袋に手を伸ばした。
ロシアンルーレットのそれに近かった。
引き金に見立てた缶を漁るが、中々掴めない。
これは始める前に終わってしまう可能性も出てきたなと笑う。
-
(*゚ー゚)「……ん?」
椎名は明らかな異物感を覚えた。
その正体を暴こうと悪戦苦闘する。
缶の手触りでは無いそれは、水気で滑って中々取り出せなかった。
なんとか掴み、思いっきり引っ張り上げると、釣られて缶一本が水底に沈んで行った。
あーあ、と椎名は橋の下を覗く。一回分損してしまった。
まあいいやと気を取り直し、手に持っているものを目にした。
-
(*゚ー゚)「……うわぁ、なつかしー」
何の変哲もないメロンパンが包装されていた。
椎名は特に躊躇もせず、封を開けて中身を唇の前まで運んだ。
溶けた脳のせいか、投げやりになっているせいかは分からない。
分からないが、一瞬身体が震えただけで口は開き、舌に甘味が広がった。
(*゚ー゚)「あんまおいしくないやこれ」
いくらで買ったかは忘れたが、値段相応のそれだった。
それでもあの頃は幸福感に包まれていた。
それどころか、今だって同じだった。
-
(*゚ー゚)「……あーもうやだなぁ」
その場にへたり込んで、腰を地面に預けた。
パンを掴んでいる手から伸びた腕を見る。
こんなもののために何を捨てた?
数えるだけ無駄だった。
ただ分かっているのは、自らの安寧が一つだけ戻った事だった。
-
(*゚ー゚)「……冬眠しよ」
ひたすらに食べて食べて寝る。
もうそれだけで良い。今の椎名は幸せを安く買い叩ける。
ずっとは続かないのも理解していた。いずれは行き詰る時がやってくる。
それでもまだ見ぬ春を待ちながら、眠り続けてみようと思った。
今思えば死ぬのなんて馬鹿らしい。一回しか寝られない。
椎名はなんとか立ち上がって埃を払った。
(*゚ー゚)「帰ろ」
幸せの種を頬張りながら、あの頃のように帰路を進んだ。
(*゚ー゚)は拒食症だったようです 了
.
-
以上!
滑り込み回避出来てよかったー
-
('、`*川「ギリギリになっちまったが投下するよー」
-
(-@∀@)「お隣さんから栗をもらってしまった」
(-@∀@)「A4サイズの封筒いっぱいに入れるとはなかなか…」
(-@∀@)「どうしようかなぁ」
(-@∀@)「とりあえず半分くらい茹でてみるか」
24センチの鍋に栗と水をを入れる。これだけでもいっぱいいっぱいだ。
(-@∀@)「何分茹でたら良いかわかんないし、とりあえず十分?」
(-@∀@)「タイマーオン!」
(@∀@-)「開いた時間で課題ー課題ー」
-
ピピピピピピピピ
(-@∀@)「んー?もうたったの?」
(-@∀@)「どれどれー」
(#-@Д@)「あっづ!!!!」
(;-@∀@)「くそ…栗なんか素手で触るんじゃなかった」
(-@∀@)「とりあえず切ってみるか」
(-@∀@)「あま○りむいちゃいましたの爪を使おう」
(-@∀@)「よいしょっ」
(-@∀@)
-
(#-@∀@):
:(#-@Д@):
:(#-@Д@):「あああああああ!!!!!!」
(;-@∀@)「むり…かてぇ…」
(;-@∀@)「大人しく包丁使うか」
(-@∀@)「せいやぁ!」
-
(@∀@-)
(-@∀@)
(@∀@-)
(-@∀@)「おかしいな、栗が消えたぞ。そして向こうの部屋に転がっている」
(-@∀@)「おかしいなぁ、ちょっとググってみるか」
(-@∀@)
(-@∀@)「あー…うん。なるほどね」
(-@∀@)「30分は茹でなきゃダメなのかぁ」
(-@∀@)「…」
-
鍋の栗をザルに開け、玄関へ向かう。
そして貰った人とは反対のお隣のインターホンを押した。
「はーい」
ガチャ
ミセ*゚ー゚)リ「お、朝日やんけ。どないしたん?」
(-@∀@)「三瀬ちゃん、栗好き?」
ミセ*゚ー゚)リ「栗⁈めっちゃ好き!もしかしてその手にあるのは…」
(-@∀@)「栗」
ミセ*゚ー゚)リ「…くれたりとか」
-
(-@∀@)「あげに来た」
ミセ*゚ー゚)リ「やーん!朝日まじ神!!愛してるー!!」
(-@∀@)「どーも」
ミセ*゚ー゚)リ「どうしよっかなー、栗ご飯?甘露煮も捨てがたい…」
(-@∀@)「あー、あのさ」
ミセ*゚ー゚)リ「なに?」
(-@∀@)「もし何か作ったなら、お裾分けしてくれる?」
ミセ*゚ー゚)リ「モチのロン!それくらいはするよ!!」
(-@∀@)「ありがとう」
ミセ*゚ー゚)リ「お礼を言いたいのはこっち!!ほんとありがとう!!美味しいの作るから!!」
ミセ*゚ー゚)リノシ「ほなな」
バタン
(-@∀@)
(-@∀@)「…作れる人が作るべきだよね!」
みかくの飽きのようです
【了】
-
('、`*川「はいしゅーりょー」
('、`*川「短編とも呼べないね、この長さだと!」
('、`*川「まぁ、誰かの生活の一片とでも思ってもらえれば良いかな?」
('、`*川「ほのぼのっぽいの書きたかったし」
('、`*川ノシ「じゃね」
-
( ^ω^)「今回も見事に化け物揃いで良い感じに怖いお」
( ^ω^)「みんな乙だお!」
( ^ω^)「そしてどうにか形になったので投下するお!!!!っぶね〜〜〜〜!!!!」
-
ξ゚⊿゚)ξ こんにちは、しぃさん
(*゚ー゚) 誰……?
ξ゚⊿゚)ξ 私はツン。帝国軍の少尉よ
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ 危害は加えないから身構えなくていいわ
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ 話の前に確認したいのだけど、ギコという獣人を知ってる?
(*゚ー゚) ……私の、恋人です
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ 戦争で亡くした恋人で、間違いないかしら
(*゚ー゚),, コクリ
ξ゚⊿゚)ξ 私、彼を殺したわ
(*゚ー゚)
(*゚ー゚) え
-
ξ゚⊿゚)ξ 詳しく聞きたいかしら
(*゚ー゚)
(*゚ー゚) はい
ξ゚⊿゚)ξ ありがとう
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ 少し唐突なんだけどね……
ξ゚⊿゚)ξ 私の乗ってた艦が沈んで、仲間達と無人島へ漂着したの
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ 同じ頃にギコ二等兵の乗ってた艦も沈んで、同じように漂着したらしいわ
ξ゚⊿゚)ξ やっとの思いで辿り着いて、私達は安堵したわ
ξ゚⊿゚)ξ 後に聞くと、彼も同じ思いだったと言ってた
-
ξ゚⊿゚)ξ お互いに敵と遭遇するとは思っていなかったから、半ばパニック状態で
ξ゚⊿゚)ξ 半日位だったかしら。皆無我夢中で殺し合って
(*゚ー゚) ……ギコくんは、その時に?
ξ゚⊿゚)ξ いえ。彼は生き残ったの。私と彼だけは、生き残ったの
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ 私達は臆病だった
ξ゚⊿゚)ξ 最後の一人と向かい合った時、互いに撃つ事ができなかった
ξ゚⊿゚)ξ 無言で銃を捨てて、それぞれの仲間を埋葬したわ
ξ゚⊿゚)ξ けど私はね、いつ襲われるか気が気では無かった
ξ゚⊿゚)ξ まぁ後で聞いたけど、彼にはそんなつもりは一切無かったの
ξ゚⊿゚)ξ 何故なら、彼は私に貴方の面影を見ていたから
(*゚ー゚)
-
ξ゚⊿゚)ξ けれどお互いにそんな事を知る由もなかった。話をしなかったから
ξ゚⊿゚)ξ そのまま二週間程度だったかしら
ξ゚⊿゚)ξ レーションで命を繋ぎながら救助を待ったわ
ξ゚⊿゚)ξ 本当はお互いに乗ってきたボートで逃げる事が出来れば良かったんだけど、戦闘で壊れてしまったからそれも出来なかった
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ やがて食料も切れて、私達は飢えた
ξ゚⊿゚)ξ 彼は木の根を齧り、草を食みながら飢えを凌いでいたけど、私には食べられる植物の知識なんて無かった
(*゚ー゚) ……彼、自然が好きだから
ξ゚⊿゚)ξ ……そうだったのね
(*゚ー゚)
-
ξ゚⊿゚)ξ そんなある日、見かねた彼が私の元へ食べられる植物なんかを持ってきてくれたの
ξ゚⊿゚)ξ けれど、私は彼を信用していなかった
ξ゚⊿゚)ξ 今にも空腹で死んでしまいそうだった事もあって、それはフルコースにも勝る品々にも見えた
ξ゚⊿゚)ξ けど、繰り返すけれど、私は彼をこれっぽっちも信用していなかった
ξ゚⊿゚)ξ ……いえ
ξ゚⊿゚)ξ 正確には、獣人を
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ フィレンクト大佐ってご存知かしら
(*゚ー゚) いえ
ξ゚⊿゚)ξ そう。帝国では有名なんだけどね
ξ゚⊿゚)ξ 私の父なの
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ ……まぁ、それは後で話すとして
-
ξ゚⊿゚)ξ そんなある日、見かねた彼が食べられる草や木の根を持ってきてくれたの
ξ゚⊿゚)ξ けど、さっきも言った通り、私は彼を信用していなかった
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ 彼の手を、思い切り振り払った
ξ゚⊿゚)ξ 「獣人風情の施しなど信用できるか」……だとか、酷いことを言った気もする
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ けど、彼は怒らなかった
ξ゚⊿゚)ξ それどころか、その中の一つを拾い上げて、私に見せるように食べたの
ξ゚⊿゚)ξ 「どうだ、平気だろ」って
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ それを見て、私は赤子のように泣いてしまった
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ それから必死になって草を貪ったわ。彼が驚くくらいに
-
ξ゚⊿゚)ξ そして、少しずつ、少しずつ色々な事を話したわ
ξ゚⊿゚)ξ 故郷の事、家族の事、軍に入ったきっかけ、戦争の事、あなたの事も
ξ゚⊿゚)ξ そして、将来の「夢」
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ 彼の夢は……
(*゚ー゚) 彼の夢は、猟師になる事だった。故郷で、猟をしながら私と一緒に暮らす事が
ξ゚⊿゚)ξ,,
ξ゚⊿゚)ξ 彼は良い人だった。本当に、本当に良い人だった
-
ξ゚⊿゚)ξ なんの夢も無く、暗い目的の為に軍人になった私には無い物を、沢山持っていた
ξ゚⊿゚)ξ とても羨ましかった
ξ゚⊿゚)ξ そして、生まれてから初めての、憎しみを感じない獣人だった
(*゚ー゚) ……なら
(*゚ー゚) どうして、殺したんですか……
ξ゚⊿゚)ξ
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ ……励まし、助け合いながら、更に一週間の時を過ごした
ξ゚⊿゚)ξ それでも明らかに限界は近付いていた
ξ゚⊿゚)ξ そして、その限界が近いのは彼の方だった
(*゚ー゚)
-
ξ゚⊿゚)ξ 獣人と人間では身体構造に違いがあるの
ξ゚⊿゚)ξ 雑食性の人間と、肉食寄りの雑食性である獣人ではね
(*゚ー゚) ……はい
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ ……だから、私は彼に。自分の肉体を食べて貰おうと思った
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ 今思えば、本当に愚かだった。彼がそんな事を許す筈が無かったのにね
ξ゚⊿゚)ξ 彼に、私の肉体を食べて欲しいと伝えた
ξ゚⊿゚)ξ 当然彼は怒った。どこにそんな体力が残っていたのかと驚く位の剣幕で
ξ゚⊿゚)ξ けど、私も引けなかった。その位彼に対して恩義を……
ξ゚⊿゚)ξ ……いえ。正直に言うわね
ξ゚⊿゚)ξ その位、彼の事を愛していた
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ ……気味の悪い事を言ってごめんなさい
(*゚ー゚) ……いえ
-
ξ゚⊿゚)ξ ……それで、彼に……
ξ゚⊿゚)ξ 酷く、侮辱的で、差別的な言葉をぶつけた
ξ゚⊿゚)ξ 私に対して憎しみを抱くような、酷く尊厳を傷つけるような、そんな言葉をぶつけた
ξ゚⊿゚)ξ ……そうすれば、私に対して殺意を覚えてくれるかも、なんて思った
ξ゚⊿゚)ξ 結果は、真逆だった
ξ゚⊿゚)ξ 彼は、深く傷付いた顔をした後に
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ 悲しそうな、安堵したような笑顔で
ξ゚⊿゚)ξ 拳銃で、自分の頭を撃ち抜いたの
(*゚ー゚)
-
ξ゚⊿゚)ξ 私は理解出来なかった。彼の遺体に擦り寄って、赤子のように泣き叫んだ
ξ゚⊿゚)ξ 自分を責めて、泣いて。罪悪感で死んでしまいそうだった
ξ゚⊿゚)ξ けど、彼が最後に浮かべた笑みの理由に至った時
ξ゚⊿゚)ξ 絶対に死ぬ事は出来ないと思った
ξ゚⊿゚)ξ 彼は、私なら。獣人を、人以下の家畜だと言い放った、私なら
ξ゚⊿゚)ξ その身を食べて、生きるだろうと、そう思ったに違いなかったから
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ だから死ななかった。死ねなかった
-
ξ゚⊿゚)ξ 私は、彼を食べた
ξ゚⊿゚)ξ 彼の腕を、脚を、心臓を
ξ゚⊿゚)ξ 可能な限り、全てを食べた
ξ゚⊿゚)ξ お陰で、私は助けが来るまで生き延びることが出来た
(*゚ー゚)
(*゚ー゚) それを
(*゚ー゚) それを聞いた私は
(*゚ー゚) 貴方を殺したいと思っている私は
(*゚ー゚) どうしたら
(*゚ー゚) どうすればいいんですか
-
ξ゚⊿゚)ξ
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ 私の父の話をするわね
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ ……フィレンクト大佐。帝国ではその名前を知らない人間は居ない
ξ゚⊿゚)ξ 父は、貴方達の国へ使者として訪れた
ξ゚⊿゚)ξ 平和的な交流の為。両国発展のための架け橋として
ξ゚⊿゚)ξ 元々、軍でかなりの戦果を上げていた事もあってね
ξ゚⊿゚)ξ あなた達の国には軍事面での視察と、指導も兼ねて訪れたようなの
ξ゚⊿゚)ξ けど、帰らぬ人となった。暗殺されてね
-
(*゚ー゚) ……思い出しました。開戦のきっかけの一つになった、要人殺害事件
ξ゚⊿゚)ξ,,
(*゚ー゚) けど、それは――
ξ゚⊿゚)ξ えぇ。これは獣人による犯行では無かった
ξ゚⊿゚)ξ 父と同じ、私達人間によるものだったと。私は最近になって突き止めた
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ あの人は元々、貴方達獣人と、差別のない交流を実現したかったそうよ
ξ゚⊿゚)ξ まぁ、私がそれを知ったのは戦争が終わってからなのだけど
ξ゚⊿゚)ξ けど、当時の帝国では獣人による犯行として極めて大々的に取り上げられた
ξ゚⊿゚)ξ 口封じの為に、情報統制を行った人物が殺害され、更に殺害を行った人物が殺害される程、厳重に情報が規制された
ξ゚⊿゚)ξ ……そして、それを指示したのが、現在の総統なの
-
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ それから間も無くして母が亡くなった
ξ゚⊿゚)ξ 死因は事故死。列車の大規模な脱輪事故で、百人近い人達と一緒に亡くなったわ
ξ゚⊿゚)ξ それも、誰かが仕組んだことなのかは今となっては分からないわ
ξ゚⊿゚)ξ そんな、天涯孤独の身となった私を救ってくれたのは、軍だった
ξ゚⊿゚)ξ 幼い私は愛国心を徹底的に叩き込まれたわ
ξ゚⊿゚)ξ 獣人を憎み、祖国を愛し、父の仇をとる為に
ξ゚⊿゚)ξ そんな私はまるでマスコットのように昇進を繰り返し、気が付けば少尉にまで成り上がっていたわ
ξ゚⊿゚)ξ 獣人のせいで父を亡くした悲劇のヒロインというのは、プロパガンダに有効だったようね
-
(*゚ー゚)
(*゚ー゚) それを……
(*゚ー゚) それを、私に伝えてどうしたいんですか
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ 私は
ξ゚⊿゚)ξ この国を破壊するわ
(*゚ー゚) !
ξ゚⊿゚)ξ 私達は、戦争に勝ってしまった。貴方達を、家畜のように飼ってしまった
ξ゚⊿゚)ξ これは、絶対に許されない
-
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ 貴方を買ったそれ
(*゚ー゚)"
ξ゚⊿゚)ξ そう。そこで死んでるそれ
ξ゚⊿゚)ξ 獣人を奴隷化する案を出したのはそいつよ
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ けどこいつだけじゃない
ξ゚⊿゚)ξ 軍部に、政府に、この国の至る所に、こいつ以下のウジが、沢山沢山巣食ってる
ξ゚⊿゚)ξ この国を、世界を、自分達の好きな様に……食べ尽くそうとしてるの
-
(*゚ー゚) ……許せない
ξ゚⊿゚)ξ,,
ξ゚⊿゚)ξ 私は仲間を集めてる。獣人、人間、信頼出来る人物を
ξ゚⊿゚)ξっ
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξっ 手を取って。この鉄の籠から出るの
ξ゚⊿゚)ξっ そして、どうか。私と一緒に、この国を変えて欲しい
ξ゚⊿゚)ξっ 貴方達と、私達の未来の為に
ξ゚⊿゚)ξっ それが、私の「夢」
-
(*゚ー゚)
(*゚ー゚)っ
ξ゚⊿゚)ξっ
ξ゚ー゚)ξ ありがとう
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ いつか、全てが終わったら
ξ゚⊿゚)ξ その時は
(*゚ー゚) ……言わないで
ξ゚⊿゚)ξ
-
(*゚ー゚) それまでに、貴方を許せるかもしれないから
ξ゚⊿゚)ξ
(*゚ー゚) けど、くれぐれも信用しないで
(*゚ー゚) ふとした瞬間に、貴方を殺してしまうかもしれないから
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ 彼の言っていた通りの人ね
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ 食えない女、ってやつ
(*゚ー゚) ふふ
ξ゚ー゚)ξ 行きましょう
(*゚ー゚),,
-
(,,゚Д゚) ブバルディアの蕾のようです
【了】
-
从 ゚∀从 「いいもん書くじゃねえか」
从 ゚∀从 「間に合わねえとか言ってたくせによお」
从 ゚∀从 「乙!」
从 ゚∀从 「投下するぜっ」
-
( ^ω^)「いやはや」
( ^ω^)「本当は序盤の漂流シーンとかも描写するつもりで75レス近く書き溜めてたんだお」
( ^ω^)「けど途中でどう足掻いても間に合わない事に気がついたんで、ラストシーンを使ってダイジェスト形式にしてまとめるっていう荒業で挑んだお!」
(;^”ω^)「正直、今朝の通勤時に書き始めたから絶対に間に合わないと思ったお」
(;^ω^)「ともあれなんとか間に合って良かったお!ハインちゃんとドクオもガンバだお!」
-
―――――
森の住人である一角獣は、人と共に生きている。
小さな角を誇らしげに掲げた繊細なこの獣は、太古の昔から人々に愛されてきた。
―――――
青みがかった灰色の毛並みに覆われた剥製の前で彼女は足を止めた。
ζ(゚ー゚*ζ 「わ。一角獣とこんな所で会えるとは思ってなかったです」
滑らかに整えられた毛並みはあでやかに光を反射し、七色に輝く。
額に生えた白く小さな一本の角を誇らしげに天に突き上げて、その獣は永久の時に縛り付けられていた。
( ^ν^) 「へぇ」
銀色の案内板に刻まれた二行足らずの説明書きを読むともなく眺めていた。
つまらなそうなため息のように響いてしまったのだろうか。
食い入るように剥製を見つめていた彼女が振り返る。
ζ(゚ー゚*ζ 「あんまり、興味ありませんか?」
( ^ν^) 「いや、別に」
ζ(゚ー゚*ζ 「んもう、つれないなぁ」
困ったように眉を下げ、軽く頬を膨らまして。
潤いを湛えた二つの瞳は、何かを探してきょろきょろと彷徨った。
ζ(゚ー゚*ζ 「あ、じゃあこっちは?」
耳の下で緩く結われた髪が、彼女の顔の動きに少し遅れて揺れ動く。
その度に、正体不明の甘い香りが俺を包んだ。
彼女が指さす先にあったのはオランウータンの剥製。
年老いた浮浪者のように怠惰に座り込み、肘をついてこちらをまっすぐ見つめている。
数え切れないほどの皺が刻まれた大きな丸い顔、その中央に鎮座する双眸は濡れたように艶々と光っていた。
.
-
爪;'ー`)y- 「……間に合ったか!?」
爪'ー`)y- 「ハインが終わったら、投下するぜ」
-
( ^ν^) 「なんかコイツ、オッサンくさいのにつぶらな目だな」
顔を寄せ、まじまじと覗き込む。
映りこんだ己の間抜けな表情に気づき、慌てて目を逸らした。
( ^ν^) 「そりゃそうだよな」
ζ(゚ー゚*ζ 「え?」
( ^ν^) 「ガラス玉だよな。本物の目なんかすぐ腐るし」
ζ(゚ー゚*ζ 「ふふ。ニュッさん、ホントの目だと思って見てたんですか?」
( ^ν^) 「いや全然。全く」
右手を口に当ててはにかむ様に笑って、彼女はこちらを見上げてきた。
ζ(゚ー゚*ζ 「オランウータンの顔が大きくなる理由を知っていますか?」
( ^ν^) 「年取るにつれ膨らむ、とかか?」
皺くちゃな肌、深く刻まれた眉間の皺、頭頂部の薄毛。
下腹のたるんだだらしない身体。
どこを見ても、目の前の獣はオッサンだ。オッサンウータンだ。
ふと、気づく。
自分は当たり前のように、人間の中年の条件をこの獣に当てはめていた、と。
ζ(゚ー゚*ζ 「んーと。まあそれも条件の一つにはなるんでしょうけど」
昔聞いた話だから、うろ覚えなんですけどね。と呟いて。
座り込むオランウータンを見つめて彼女は言葉を続けた。
ζ(゚ー゚*ζ 「殺しを重ねると、大きくなるんだそうです」
そう言い切って、彼女はこちらを見上げ、微笑んだ。
.
-
暗い灰色の絨毯を踏みしめ、歩き出す。
死んだ獣が息づくこの部屋も、もう殆ど見て回った。
順路を示した白い矢印を踏みながら、話の続きを促した。
( ^ν^) 「で?」
ζ(゚ー゚*ζ 「オランウータンって殆ど草食なんですって」
栗色の巻き髪の先を人差し指に巻き付けて、くるくると弄びながら口を開く。
俺が知る数少ない彼女の癖のひとつだ。
会話に夢中になるとこうして毛先を弄ぶせいで、右側のヘアセットが乱れやすいことに、彼女は気づいているだろうか。
ζ(゚ー゚*ζ 「でも、稀に肉食を好む個体もあって」
ζ(゚ー゚*ζ 「殺しをすると、男性ホルモンが増えて顔が大きくなるって、どこかで聞きました」
( ^ν^) 「あのさ」
ζ(゚ー゚*ζ 「はい?」
( ^ν^) 「二回目のデートでするような話か? それ」
ζ(゚、゚*ζ
ζ(゚ー゚*ζ 「盲点でした」
声を抑えて語らう間に、いつしか順路も終わりまで来た。
音もなく開いた自動ドアをくぐり抜けると、むわりと蒸し暑い熱に身体が包まれる。
数多の動物の体臭や糞の臭い、鳴き声、羽ばたきや足音、人の声。
波のように押し寄せる匂いと音に出迎えられて初めて、先程まで居た場所の静けさに気がつく。
.
-
( ^ν^) 「あっつ」
ζ(゚ー゚*ζ 「戻りますか? 資料館に」
彼女は今出たばかりの建物を振り返る。
水色のタイルに覆われた壁の向こうの、生ける屍のような彼らを思いだし、俺は首を振った。
( ^ν^) 「いや、俺は別に」
ζ(゚ー゚*ζ 「そうですね。そんなに面白いものなかったし」
ゆるやかなスロープを下ると猿山が見えてきた。
すり鉢状に掘られた深い穴の中で日々を営む猿の群れが。
それよりも、視界の隅に映りこんだ赤いのぼりに心を惹かれた。
ソフトクリームを模った立体看板の置かれた、小さな売店がそこにはあった。
白字でクレープと書かれたのぼりを指さし、彼女に声をかける。
( ^ν^) 「なんか少し、食いませんか」
ζ(゚ー゚*ζ 「ふふ、いい匂いがする。ポップコーン食べたいな」
前回のデートの際に、食の好みは聞いていた。
肉や魚は一切口にしない、所謂菜食主義者だという彼女が口にできる料理は、このような店ではあまり種類がない。
財布を取り出そうとする彼女を制してポップコーンとホットドック、そしてコーラを二つ注文する。
威勢のいいオバサンからそれらを受け取り、周囲を見渡した。
土曜日の午後ということもあり、適度に賑わいを見せる園内。
猿山に向かい合う形で置かれたベンチのうちの一つが空いていたのでそちらへ向かう。
.
-
ζ(゚ー゚*ζ 「ここ、景色がいいですね」
そう言ってベンチの右側に腰を下ろした彼女の前で、俺は少し、迷う。
婚活サイトを通して出会い、今日が二回目のデートである。
会話は少しずつ弾んでは来たが、寄り添って座るほど親密でもない。
少し悩んで、彼女の隣に食品の入った紙袋を置いた。俺はその隣に腰かける。
ポップコーンとコーラの幅が、今の俺たちの適切な距離だろうか。
ポップコーンが溢れんばかりに収められた紙カップを紙袋から取り出す。
コーラの紙コップはこの短時間でもうすでに汗をかいていた。
ζ(゚ー゚*ζ 「いただきまーす」
人
手を合わせる彼女を横目で見つつ、ホットドックの包み紙に手をかける。
いいトシして律儀にいただきます、か。
純粋さや育ちの良さと見るか、あざとさと思うか。男によって評価が分かれるところだろう。
婚活サイトを通して出会うのがお互い初めてではないことは、前回の顔合わせで確認済みだ。
ケチャップとマスタードで極彩色に彩られたホットドックにかぶりつく。
水分を含んでふにゃりと柔らかくなったコッペパンは、ほんの僅かの間俺の歯を拒み、やがて力に耐えかねる。
中に横たわったソーセージは確かな弾力で歯を受け止め、パキリと弾けて旨味を溢れさせた。
ζ(゚ー゚*ζ 「あ、出来立てで美味しい」
芳しいバターの香りが鼻をくすぐる。
さくりさくりと軽い音を立てて咀嚼する彼女を見ていると、無性に食欲がそそられた。
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