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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 2●
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プロバイダー規制や本スレの空気などでSSを投下できない人が、
本スレの代わりにこっちでSSを投下するスレ。
ごあー。
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4レスほど拝借。
1日前ですが
自炊)お嬢と七草粥
早朝、携帯電話の着メロが鳴り響く。
まだ寝てたのに……。寝ぼけ気味に通話ボタンを押す。相手はクラスメートの神野リナだった。
『独り暮らしで正月気分も味わえない貴方に七草粥を御馳走致しますわ!!』
流石は財閥の一人娘、なかなかのお嬢様っぷりだ。
「なんで俺?他の人は?」
『そっ、そんなことより!!今すぐ私の家に来なさい!!』
ガチャリ。電話が切られた。
「急に言われてもなぁ……」
まぁ、御馳走してくれると言うし、行って損は無いだろう。
俺は着替え、神野の屋敷に行くことにした。
〜神野邸〜
『お待ちしておりました』
メイドの冥さんが玄関で待っていた。
『上着をお持ちします』
「あ、どうもすいません」
冥さんに上着を渡す。
『…………』
……気のせい、だろうか。冥さんの顔が少し赤い。
上着も心なしか、こう、抱き締めるような……?
『失礼します。お嬢様、連れて参りました』
そう言い、冥さんは粥の準備に退室した。
『ご苦労様。さぁ、タカシ。テーブルに着きなさい』
「お前の家には何回か来てるが、未だに何処に座ればいいか分からん」
いくらなんでもテーブル長すぎるだろ。椅子もどんだけあんだよ。
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『はぁ……学習能力のない輩は、これだから……』
リナが俺を可哀想なモノを見るような目で俺を見る。
『ココですわ。早く座りなさい』
と、リナは隣の席を指し、命令。
「おう、了解」
応じて座る俺。
「そう言えば、リナ」
『なんですの?』
俺は先程の冥さんの様子を話した。
『……そ、それはどういう言ですの?風邪?』
「いや、そんなんじゃなくて、なんかポーッとしてて、想い耽ってると言うか……」
『……冥。今日やけに嬉しそうにしてると思ったら……。そういうことでしたのね……』
「嬉しそう?」
『い、いゃあ、何でもありませんですことよ?』
めちゃめちゃ怪しいっての。
「まぁ、何とも無いんなら、いいやな」
『そうですわね』
『お嬢様。七草粥をお持ちしました』
冥さん再び入室。
リナの前に七草粥を置いた。
『どうぞ。タカシ様』
「ありがとうございます。ではさっそく……」
『お待ち下さい!!』
食べようとした瞬間、冥さんが声を張る。
「な、どうしたんですか……?」
『……お、おいしくな〜れ♪らぶらぶきゅん♪』
…………。
「え?」
『い、いえ。テレビでメイドがやっていたもので。これをやると美味しさが普段の倍になるとの事』
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淡々と冥さん。ただ、顔は先程の非でなく真っ赤だ。
『客人には、美味しいものを召し上がって頂きたいという、スタッフの一存です』
真っ赤な顔の冥さん、可愛いなぁ。
『タカシ……?何を惚けてらっしゃるのかしら?』
「……目が笑ってないぞ、リナ」
『大体、冥!!なんで私にはソレをやりませんの!?』
『さぁ、早く召し上がって下さい。最高級のペンペン草を使用しております』
『話をそらさないで!!』
「最高級のペンペン草!?マジかよ!?」
『タカシもつられない!!』
「御馳走さん!!」
『早いですわね!!』「どうした?食わないのか?」
「ん、いいのか?」
『よろしくてよ。はい、あ〜ん……』
「待て。どういう事だ」
『テ、テレビで見ましたの。何やら、あ〜んすると、美味しさが倍になるとか……』
「リナ、お前もか……」
『つべこべ言うのは禁止ですわ。はい、あ〜ん……』
『あ〜ん……』
「あ〜ん……って何でスプーンが二つも」
『冥?その手を退けなさいな。命令ですわよ……?』
『客人をもてなしてこそメイドの本分。譲るわけには……!』
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「ええいお前ら!!あんま喧嘩してると俺がお前らにあ〜んするぞ」
『え!?』
『……!!』
「なんてな、冗談……あれ?」
『『あ〜ん♪』』
「結局こうなるのかー!!」
以上。
なんか最後おかしな感じになったが気にしない。
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GJ!!
冥さんも嫉妬するお嬢もかわええwwwww
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4レスほど拝借。
新年。学校も始まり、正月ボケもやっと覚めたある休日のお話。
僕は、先輩であり彼女(のはず、多分)の尊先輩の家の前にいた。
週末に先輩からメールが来たのだ。『書初めやるから、来い』と。
決して拒否を許さない問い。今年も先輩は強引だ。断るつもりは無かったけど。
――書初め、か……。あまり得意じゃないんだよなぁ。
そんなことを考えながら、呼び鈴を鳴らす。
『……遅いぞ、バカ。遅刻魔。変態』
不機嫌そうな声。尊先輩だった。
ただ、最後のは確実に悪口だ。
『まぁ、入れ』
「はい」
先輩に促され、家の中に入り、先輩の部屋へ。
『さて、やるか!!』
「すいません、先輩。習字道具が家に有りませんでした……」
『いや、良いよ。私のを貸す!!』
さっきの不機嫌さは何処に行ったのか。
『でもな、タカシ……』
鋭い目線を僕に向ける。
「え、えと……先輩……?」
『【習字】じゃない。【書道】だ』
僕が芸人ならすかさずツッコんでいるかもしれない。
「は、はぁ……」
『うむ。分かれば良いんだ。さぁ、やるぞ!!』
どうやら、先輩は【書】に相当なこだわりを持っているようだった。
-
道具をだし、いよいよ書初め開始。
『とりあえず、書道は墨をする事から。さぁ、やれ。タカシ』
「はい」
言われるがままに墨をする。硯に水を指し、墨を持ち、力強く硯に擦る。
あらかたすり終わり、さて書こうとしたその時。
『バカ者!!』
ペチリ。なかなか痛い。どうやら得物は定規のようだ。
『まだだ!!そんなので良い字が書けると思っているのかぁ!!』
「えぇ〜……」
『こんなものじゃあ、薄すぎて話にならないぞ!!』
先輩は我慢の限界、といった感じで、僕の背後に立つ。
そして僕の右腕を持ち、
『良いか!!こ、こうするんだ!!(////』
僕の腕をホールド。先輩の腕の力で墨をする。
しかし、密着状態。背中には、柔らかな二つの双丘が僕の背中を幸せで満たす。
尚且つ先輩もその事実に気付いているようで、少し手が震えているのが分かった。
尊先輩、可愛いなぁ。
『……よし。これでいい……(/////』
先輩が僕から離れる。背中の感触が非常に名残惜しい。
『む。き、貴様!!何を顔を赤らめて……へ、変態っ!!』
「いえいえ。あんな感触、今年初めてです」
『なっ……(///』
先輩の顔は、これ以上ない位に紅潮していた。
-
「いやぁ、新年早々ツイてるなぁ。願わくば、これ以上の幸せあらんことを」
僕が本気で願い出したからか、先輩の瞳に悲哀の色が浮かぶ。
『タカシは……』
「なんですか?」
『タカシは……私より胸の大きい女が好みか?』
さらに続ける。
『なぁ、答えてくれ。タカシは、タカシは……』
「やだなぁ……先輩だって充分巨乳じゃないですか」
と、いうか、充分過ぎる。それだけの質量が、先輩の胸にはあった。
『い、いや、それは解っている。でも……不安なのだ。大体、タカシは変態だからな。胸が大きければ良いと考える生き物かも分からんからな』
「はぁ……」
ひどい言われようだった。
「まぁ、書初めやりましょう。先ずは僕が」
『お、おい!!人の話は……!!』
「はい、先輩」
半紙に書いた文字を、先輩に見せる。
書かれた文字は、【尊命】
下手なりに書いた、僕の精一杯だ。
「少し、気障ですかね?でも、これが僕の答えです」
『お、お前……』
「さて、交代」
涙目の先輩に、更に一言。
「半紙の上でくらい、素直になってくださいよ?」
『う、五月蝿い。タカシの癖に……生意気だ(///』
言いながら、半紙に筆を滑らせていく。
『……出来たぞ(///』
-
書かれた文字は……長文?
『お、お前への気持ちは、簡潔には表せん……と、とりあえず、読め!!!』
とりあえず、読む。
書かれていた内容は、およそこんな感じ。
『タカシ、いつも素直になれなくて御免ね』とか、『本当はタカシじゃなくてタカ君と呼びたい』とか。挙げ句の果てには、『胸はタカ君に、おっきくしてほしいな(はぁと×2』なんて事も……。
「……デレッデレな……」
『……わ、悪いか!!私にも、こんな想いがあるんだ!!付き合っていて何で気付かん!?』
「んな事言われても!!」
『五月蝿い!!この……鈍感!!』
ゴン。先輩の拳骨がクリーンヒット。
『罰として、き、貴様にはなぁ……』
「はい……」
『その文に書いてある事を、全部叶えて貰う!!』
「いいですよ?」
僕は再び文に視線を落とす。
『タ、タカ君……?』
「なんでしょう?先輩?」
『ホントにいいのか……?』
「大好きな先輩になら、どんな呼び方でも構わないですよ」
『……!!』
先輩の瞳が輝く。まるで、プレゼントを貰った子供のように。
そして、僕はこう思うのだ。
――あぁ、やっぱり先輩は可愛いなぁ、と。
先輩の胸を大きくするのは、また別のお話。
以上。ツンが少ない気がするなぁ
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>>579
GJ!!
さらにデレると先輩と呼ぶのも直させられるのですね?
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>>579
GJ!
別のお話マダー
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デレッデレ
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1175.jpg
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>>582
夜中のしかも避難所に投下はズルイぜ?
あの…その…あーGJだよ
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>>582
男には絶対見せられない表情ですね
GJ!!
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>>582
うわあああああああGJ!!
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なんかみなぎってきたGJ!
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>>568は俺か
そしてまとめてで本当に申し訳ないが
>>567も>>574も>>579もナイス脳汁!!
ところで>>579の続きマダー?
>>582
なんだスナイパーか(ハートを撃ちぬく的な意味で)
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くちびるだいすき
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org559612.jpg
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こっちのくちびるもすき
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1178.jpg
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なんで荒木風なんだよw
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バカヤロウwwwwww
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吹いたwwww
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本スレで既出だけんども
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1180.jpg
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>>593
今気付いたぜ
GJ過ぎるwwwww
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俺達は何かとても大切なものを見失っていたのかもしれない…
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1182.jpg
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きもちわる
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八重歯いいよな
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違うんだ。
尊大+黒ストっていい感じの組み合わせだよなと思ったんだ。
そしたら描いてみたくなるだろ?
これは決してやましい気持ちとかではなk(ry
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1187.jpg
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>>598
描き忘れがあったのでリトライ
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1189.jpg
あと線路早速ブックした。
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>>599
GJ
朝からヤバスwww
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尊のぱんつを見て良いのは俺だけだ!と叫びたい
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>>601
言った直後、「だ、誰が見せるかぁ!!」とアゴにハイキック喰らって、でもそのせいでやっぱりパンツ見えちゃう、みたいな妄想が沸いた
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友「つまんなーい!!最近すっかり静かになっちゃってネタが無いじゃないの!!」
山「ま、まぁみんな色々事情があるから仕方ないよ」
友「むー!!山田!アンタなんとかしなさいよ!!」
山「なんとかって…どうすりゃ良いのさ…」
友「それをアンタが考えるの!!」
山「うーん…そうだな…じゃあ…」
ちゅっ
友「んむっ…!?ちょ、ちょっと!!何考えてんのよ!!」
山「…だから、なんとかするんだよ」
友「な、なんで私なのよ!私は主役じゃないでしょうが!!」
山「(…この子も立派なツンデレだと思うけどなぁ)」
山「良いから良いから。ほら、ボクらがこうしてるの見たら周りも触発されて盛り上がるかもよ?」
友「む、むぅ…盛り上げるためなら…仕方ないわね…け、けど」
山「うん、別にボクとこうしたいわけじゃないとか言わなくて良いからね」
友「!!!!ひ、人の心を読むなぁ!!」
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友ちゃんは可愛いなあ
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規制ウザい友ちゃんカワイイ
-
少し借ります
〜早朝 タカシの部屋〜
目覚まし時計が鳴る。
「ん……ふぁあ……」
時計の針は、7時を示していた。
せっかくの休日なのに目覚まし時計をセットしてしまっていたらしい。くそ、昨日の俺め。
「一回起きると寝れないんだよなぁ……」
ぼやきつつ、携帯電話を開く。
と、画面には《メール受信 1件》の表示があった。
「かなみ……?」
どうやら送り主は向かいの家の幼馴染、かなみのようだ。
とりあえず確認。
1/24 6:47
差出人:かなみ
件名:命令よ!!
本文:風邪引いた。今すぐ来なさい。
来なかったら殺すから。
「…………」
休日の朝からなんとまぁ。
てか俺殺されるね?
「まぁ……暇だし、行くか……」
とりあえず、支度にかかることにした。
〜椎水かなみ宅前〜
「とりあえず着いたな」
向かいだけど。
それにしても、このメール、かなみは一体何のようがあって俺にメールを……?
「まあ、かなみに聞けば解るな」
インターホンを押す。
ややあって、スピーカーから返事。
『……開いてるわよ……』
「じゃあ入るぞ」
ドアを開けると、パジャマ姿のかなみが玄関に立っていた。
『……遅い。死刑よ……』
おかしい。いつもなら――
『遅い!!極刑よ!!死刑!死刑!死刑なんだからぁーー!!』
「ちょ、かなみ!!流石にドリルはまず……ぎゃあーー!!!」
――なはずなのに。
『……アンタ、今物凄く失礼な想像しなかった?』
「ハハ、まさか」
誤魔化すため、笑みは忘れずに。
「で、どうしたんだ?あんな朝から。風邪ごときで」
『……熱出たのよ』
言うかなみの顔は赤い。よく見ると汗もかいてるようだ。
『だから……看病しなさい』
「おばさんは?」
『……お母さん、買い物。お父さん、仕事……。私、一人』
「解ったお前すぐベッド行け」
熱に浮かされ片言になってやがる。
『……』
フラフラと自室に戻るかなみ。
さて、どうしたものか。
「とりあえず、お粥でもつくるか……」
-
「他にすることあるか?」
『……着替え』
「ゴメン無理」
『……何よ?私みたいな可愛い娘のハダカ見れるのよ?』
「見ないから」
『……良いから取ってきなさい。と言うかその箪笥の中』
かなみに促され、箪笥の中から新しいパジャマを出す。
「はい、じゃあ着替えの間は俺は外に」
『着替えさせて』
「……は?」
『……早く。汗かいて辛いんだからね。あ、汗拭いてくれる?』
「……背中だけなら」
かなみは無言でバンザイをする。脱がせ、とでも言うのだろうか。
「……やるしかないのか」
『……何よ。私だってさせたくてさせてるんじゃないんだからね?手を動かすのも辛いのよ?』
「解った解った」
かなみのパジャマはワンピースなので、下を脱がすという変態的な事はせずに済む。
俺はかなみの服を脱がした。
『……エッチ。胸、触った』
「ほれ、早く着ろ。悪化するぞ」
素早く服を着せる俺。
今年始まって以来の良い仕事だったかもしれない。
「薬はいいのか?」
『……流石に座薬は無理よ』
座薬とな。最近の医者は容赦ないな。
「まぁ、ぐっすり寝ることだな。じゃ、もういいよな?帰るぞ」
-
『……待って』
帰ろうと踵を返した俺の服の裾を掴むかなみ。
『あの……ね。一つ、気になること、無い……?』
気になること。確かに一つ、重要な事を聞き忘れていた。
「……なんで俺なんだ?」
メールをもらった時から疑問だった。
かなみは女の子だ。女の子の看病を何故男の俺に頼んだのか?女の子なら、着替えも体を拭くことも、なんら恥は無いはずなのに。
『……タカシにして欲しかったから』
「答えになってないぞ」
『……好きな人に看病して欲しかったのよ。悪い?』
「いや、悪くは無いんだけど……」
いきなり告白された、のか?
『……ゴメン。我が儘よね。こんな嫌な女……彼女になんて』
「おいおい、俺が何年幼馴染やってると思ってるんだ?お前の我が儘で俺が怒ったことあるか?」
『……無い、です』
「じゃあ、良いじゃねえか。俺も、お前の事好きだし」
かなみは、少しきょとんとし、少し顔をしかめた。
『ズルい。私がどれだけ勇気出したと思ってんのよ』
「ハハ、すまん」
『でも、嬉しい……です』
そう言って微笑むかなみ。
「ドラマとかだとここで抱き締めたりキスしたりするんだが――」
『……風邪よ。伝染るからやめて』
「そうだな。じゃあ、医療的な意味をこめて、ヴィップス 〇ポラップを塗ってやろう」
何か地味に段階跳ばしてる気がするが、まぁいいだろう。
『…ぅ……ふぁぁ……』
よし、ぬりぬり終了。
『……タカシのエッチ』
「風邪薬だって。医療行為だよー」
『……』
あ、かなみさんご立腹か。
「なでなでー」
頭を撫でてやる。
『……ぅにゅう♪』
「……簡単な奴だな」
『……うるさい、ばか……ぅにゃ♪』
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以上。
普段強気な子が病気になると弱気になるのっていいよね。
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こんな夜にこっそりと…許さ…スミマセン許すんで続きお願いします
風邪治ったらどんな反応だろうなwktk
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すごくいい
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座薬…ゴクリ
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>>609
GJ!!
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かなみ可愛すg…うにゃ♪
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調子に乗って、後日談とか。
翌日。俺、別府タカシにメールが届いた。差出人はかなみで、どうやら風邪が治ったらしい。だから部屋に来い、と。
何故?と思いつつかなみの部屋へ行くと、
『正座よ!!!』
黙って正座をする俺を、かなみは仁王立ちで見下す。
どうやら、これから説教をされるらしい。
「いきなり呼び出されたと思ったら……」
『うるさいっ!!』
捲し立てるかなみの顔は真っ赤だ。
「あ、もしかして昨日の」
『にゃあああああ』
あ、かなみが壊れた。
『きっ、昨日のアレは、そのっ……熱で頭がおかしくなってたのよ!!』
「ほう」
『だいたい、着替えとか……胸とか……もー!!』
一人で悶えるかなみ。ウム。眼福眼福。
『アンタ!!責任取りなさい!!』
「いや……指差されてもだな……でも、確かに昨日付き合うみたいな雰囲気になったけど、お前が嫌なら……」
『え……?』
「かなみは凄い高熱出してたからな。俺も正常な状態でかなみの気持ちが聴きたい」
一息。俺の目が真剣なものに変わる。
「かなみ、好きだ。もし俺なんかで良ければ……付き合って、くれないか?」
顔が熱い。昨日はかなみから言ってきたので楽に言えたが、流石に自分が言うときは緊張する。
『……バカ』
かなみは膝をつき、俺と同じ目線になる。
『タカシじゃなきゃ……ダメだもん……』
かなみの顔が更に紅くなり、目には涙が溜まっている。
「かなみ……」
『ずっと……ひくっ……待ってたんだよ……?』
かなみの頬を水が伝う。
「泣くなー、かなみー」
わざとおどけた調子で。
勿論頭を撫でるのも忘れない。
『ぇうっ……ひぐっ…ぅ……にゅぁ……はゆぅ……♪』
……本当に単純な奴だ。
『……タカシ?』
「……何だ?」
『ドラマだったら、こう言うとき、どうするんだっけ……?』
「……よし」
かなみを抱き寄せ、唇を重ねる。
しかし、ホントにドラマみたいだな……。
『……撫でなさい』
唇を放し、命令。そしてまたキスをしてくる。
……かなみ、好きだぞ。
頭を撫でながら、キス。
『ん……ちゅ…ぅ…ふぁ……ぅにゃ…ちゅっ……♪』
以上。
後日談って蛇足だよね。
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そんなことないよおおおおおお
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顔面の筋肉が崩壊した
超GJ!
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>>616
そうですか……
蛇足だ、と言われると思うと怖くて怖くて
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こまけぇこたぁ(ry
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>>615
蛇足は嫌いじゃないんだぜ。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1202.jpg
看病とか弱ってるのとかいいよね
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死ぬwww
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>>620
可愛い!!
GJーー!!
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>>620
GJだぜ
俺がこういう事を言うのはおこがましいが、
どんどん手を描くのが上手くなってるよな
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ヴイックスヴェポラッブの存在を始めてしった
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かつみんの本気。男のことバカにでもされたんでしょう
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org605099.jpg
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著作権とか色々言われないといけないのはわかる。
でも俺がこのスレに居座ることになった理由の50%以上はお前のダウナー絵だったんだ。ありがとう。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1214.jpg
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寒いのでちゅんでれを抱きしめてみた
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1219.jpg
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また俺の日常が覗かれてるようだな
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俺は悪くないんだ
昨日立ってたスレで「褐色+ホイップクリーム」とかふざけたことぬかしてた奴が悪いんだ
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1221.jpg
お嬢結婚しようぜふひひwwwww
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内臓が破裂するまで食ったwwwwwwwwwwwww
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少しレスかります。
1日遅れですが、節分ネタ。
仕事から帰宅したらいきなり豆を投げられた。
「……尊さん?」
俺は、豆を投擲した犯人――我が妻、尊を睨む。
『今日は節分だ。タカシ。お前は普段から邪念の塊だからな。きっちり穢れを……ってどうした恐い顔して』
「いや……何でもないっす……」
いつものような罵声。どちらかと言うと、尊さんのが鬼じゃないだろうか。
『……鬼は外』
考えてる事に気付かれたのか、豆を投げられる。
「……風呂」
『……え?』
「風呂、入ります。んですぐ寝ますから」
乱暴に言い、浴室に向かった。
「……あぁ〜……」
言い過ぎた……。
確かに、仕事帰りで疲れていた。それを尊さんに当たるなんて……
「……最低だな、俺」
『……タ、タカシ?』
浴室のドアに外の人影が見える。尊さんだ。
「……何ですかー?」
『あ……あの、いっ、いっ…しょに、入らないか?』
「……は?」
『いっ、いや……たまには、一緒に入ってもいいかな……とかな!!ほ、ほら!!今日節分だし……』
節分は関係無いかと。
もしかして、尊さん……責任感じてる?
-
尊さんは普段絶対に一緒に風呂に入りたがらない。そんな尊さんが……何かおかしい。
「尊さん。無理しなくて良いですよー」
尊さんに気を使わせたくなかった。
『……そ、そうか……すまんな……』
……あれ?
予想外の反応だった。
おかしい。俺、何か勘違いしてる?
浴槽から上がり、風呂を出て、着替え。急いでリビングに向かう。
「……尊さん?」
『……ぐすっ……』
尊さんは食卓の椅子に座り、伏せて泣いていた。
「……すみません、尊さん。ちょっと仕事で疲れてて、つい……」
『うぅ……馬鹿者ぉ……』
顔を上げる尊さん。目と鼻が少し赤かった。
『折角、節分を利用して……タカシと……普段、素直になれないからぁ……っ』
尊さんが椅子から立ち上がり、俺に抱きつく。
「み……尊さん?」
『本当は……こうしていたいし、一緒にお風呂も入りたい』
抱き締める両腕は更に強く、
『たかしぃっ……すきぃ……』
「尊さん……すみませんでした」
心からの謝罪。おまけに頭を撫でる。
『馬鹿者……』
「じゃあ、飯にしますか?」
-
『今日は恵方巻だ』
「……食べたいな〜」
『ダメだ。お前はさっき、風呂に入ったら寝ると言ったもんな?』
うぅ、返す言葉も無い。
『それに、私は今、充分幸せだぞ?』
「……俺もです」
『恵方なんか向かなくていいだろう?』尊さんは顔を更に紅くし、
『……もっと、私を見ろ』
「そうですね。俺にとっては、福は尊さんですから」
『……タカシ』
「鬼も尊さんですけど」
『なっ!?きっ、貴様ぁ……』
鬼が出る前に、口を塞いでやる。勿論、唇で。
『ん……ふぅ、む……ば、馬鹿者ぉ……』
結局、鬼も福もいてくれた方が、俺は幸せなのだった。
終了。あんま節分関係無いっすね。ゴメンナサイ。
-
すばらしい
すばらしい
-
>>633
GJ
お題に沿って書き始めたはずなのにどうしてこうなったってのは自分も多いです……
-
いや素晴らしい
-
規制されたからとりあえず録画する。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1223.jpg
-
>>637
GJGJ
-
>>637
gj
AVかww
-
>>637
GJ!!
いやもう、エロくなくてもツンデレさんの日常を撮ってるだけで興奮するわ
-
ついでにはめd(ry
-
なんかグッジョブなカキコあるし!節分ネタ1日遅れだが俺もこっそり投下するぜ!
-
・勢いで虎柄ビキニを買ってしまい、悩むツンデレ
♪あんまりソワソワしないで〜
ボクの名前は水上梓。ごく普通の女子高生・・・のつもり。そこ!ちびっこ言わない!後で酷いかんね!?
こほん。ま、普通の女の子のつもりなんだ。普通にガッコ通って、普通に勉強して、普通に友達とおしゃべりして、・・・普通に恋して。
でもね、片思いの相手にはライバル多いんだ。
♪貴方はいつでもキョロキョロ〜
タカシ!ボクの友達や先輩、知人に可愛い娘が多いからって、フラフラし過ぎ!
♪あぁ〜男の人って〜幾つも愛を持っているのね〜
ちょっとタカシ!かなみちゃんと仲良くし過ぎ!ちなみちゃんとくっつき過ぎ!リナちゃんの胸見過ぎ!みこと先輩にでれでれし過ぎ!
あったま来た!ちょうど今日は節分だし、タカシの煩悩払ってライバルに差を付けてやるっ!!
-
そして、ボクは自分の部屋でその物体の目前で悩んでいるのであった。
♪好きよ好きよ好きよ(うっふん)
タカシを振り向かせ、かつ煩悩を解消する・・・。
今にして思えば、ちょっとテンション変だったのかもねー。
いっつも行く下着屋さんで目にして、店員のおねーさんに乗せられるままに購入してしまった・・・虎柄のビキニ。
うわ・・・思わず変なノリのまま着けてみたケド、スッゴくこれエッチじゃない?胸は・・・まぁ「多少」控え目かも知れない自覚はあるのにさ・・・。
問題はショーツの方だよ!布面積少ないよ!ハイレグだよ!軽くお尻のほうも食い込んじゃうよ!おまけにオプションに虎柄のしっぽと獣耳、角があるし!
これじゃ鬼娘って言うより虎娘だよ!
・・・などと一人ツッコミしてたら・・・妙なテンションのまま全部装着しちゃってました。
-
うぅ、変だよボク。こんなコトしてもタカシは振り向いてくるないかも知れないし。馬鹿だよ、ボク。
・・・でも・・・
♪貴方が一番好きよ〜
タカシ「あ、梓!?」
梓「タカシっ!?何でボクのウチにいるのさっ!?」タカシ「お前が豆撒きしようって言ったんじゃねーか!来たら来たでエロい格好してるし!」
梓「(////)!!こうなりゃヤケだ!とうっ!」
タカシ「うわっ!いきなり何してんだお前!」
梓「タカシ・・・ボクのコト嫌い?」
タカシ「・・・嫌いな訳ねーだろ?じゃなきゃわざわざお前ん家こねーし。それに、こんな可愛い虎娘の電撃にやられちまったようだぜ・・・」
梓「鬼娘だってば!・・・もぅ。う、ウチもダーリンの事好きだっちゃ?」
タカシ「うはwwwラムちゃんキタコレ!いただきまーすwwww」
梓「あんっ!いきなりはダメだよぅ・・・」
この後部屋から粘っこい甘やかな水音したり、梓が「んくっ!タカシの恵方巻き・・・おっきい(////)」とか言ったり、梓のお豆クリクリしたりするのはゴールデンタイムなんで自重するわ。
あ!?オチなんてねーよ!全部前スレ>>451のせいだから。
後あずあずは俺の嫁な。ワッフルワッフル!
-
…ふぅ
まったくちびっこのビキニで興奮するわけないd
…ふぅ
-
ちょっとレス借ります
節分の夜。
俺、別府タカシは妹のちなみと豆まきに興じていた。
『鬼は外……なの』俺の顔には鬼の面がつけられている。
「ふはは、がおー」
豆をぶつけられたので、後ろに退く。
『鬼は外……鬼は外……』
立て続けに豆をぶつけられ、玄関まで追い詰められ、
「ぐあぁ、助けてー」
ドアを開け、家をでた。その時、
ガチャリ。
……錠の落ちる音。
あれ?閉め出された。
インターホンを押す。
「ちなー?開けてくれ?」
『鬼は外……おにぃは外、なの……』
いつもながら辛辣な妹だ。
ポケットから家の鍵を取り出し、開ける。
「ふっふっふ、ちな?甘かったな」
『……うるさい』
酷え。
嘆いても仕方がないので、夕食の準備。
今日は恵方巻だ。
「ちな?恵方巻の食べ方、知ってるか?」
ちなみは不機嫌そうに、
『知ってる……にぃといっしょにするな……です』
「……可愛くない奴」
『……訂正を要求するです……』
右手の恵方巻を頬に押し付けてくる。
「こらこら、酢飯が頬っぺたに付くだろ」
『……もぐもぐ』
聞いてなかった。
ちなみは恵方を向き黙々と恵方巻を食べている。
-
「はぁ……」
……相手にされてないなぁ、俺。
『……もぐもぐ』
黙々と寿司を食べるちなみが可愛かったので、頭を撫でてみる。
『……はぅぅ……っ!!!』
目を細め、小さく唸るちなみ。
しかし、何故か叩かれる俺。
『ばかばか……にぃ……ばかばか』
ぽかぽか殴られる。
「ちな?俺……何した?」
『……とちゅう、切っちゃった……にぃのせい』
あぁ、そうだ。
恵方巻は、恵方を向いて何も言わず、黙々と一気に食べなければいけない。
「あぁ、俺が撫でたから恵方巻噛みきっちゃったのか……」
『福、来ない……にぃの、せい』
「……すみませんでした……」
『それくらいじゃ……足りないの……もっと、態度で……示すです』
「……どうやって?」
『…………』
ちなみは無言で、胡座をかいている俺の上に座る。
『……さいちゃれんじ』
恵方巻を掴み、恵方を向く。
偶然なのか、恵方を向くちなみと、俺が対面するような形となった。
『……なでる、です……』
「お、おぅ……」
頭を撫でる。
『……しあわせ……もぐもぐ』
ちなみが恵方巻を食べる間、俺はずっと頭を撫でることになった。
終了。
ダウナーっていいよね。
-
GJ
妹ダウナーとはすばらしい
-
避難所でしか投下出来ない長いの一気に行きます
-
・ツンデレに今年の抱負を聞いてみた
「先輩。今年の抱負って何か決めましたか?」
『ふぇっ!? な、何?』
唐突だったので、驚いて彼女が僕の方を見つめる。
「ああ、すみません。急に質問したりして」
『驚かさないでよね。全くもう。で、何だっけ?』
髪を苛立たしげにかき上げつつ、先輩が聞き返す。僕はあらためて言った。
「いや。年初めですし、先輩は何か、今年の抱負を決めたのかなと思って」
『抱負…… 抱負、ねぇ……』
腕を組んで考え出してしまった先輩の顔を覗き込んで、僕は聞く。
「もしかして、何も考えてなかったですか?」
すると先輩は、パッと顔を上げ、顔を赤くして僕を睨み付けると、怒ったように言った。
『バッ……バカ言わないでよ!! あたしだって、抱負くらいあるわよ。ただ、その……
急だったから、咄嗟に出て来なかっただけよ』
「普通、抱負なんて日頃やろうとかしなきゃいけないなって思ってる事を、そのまま一
年の目標に据えるだけだと思いますけど。例えば、今年はちゃんと真面目に授業を受け
ようとか、遅刻しないようにしようとか」
『何それ? あたしへの当て付け?』
僻みっぽい声で先輩が言ったのも当然である。無論、僕が言ったのは去年の先輩の行
動を意識しての事だから。
「いえ。別に抱負を決めるのは先輩ですから。ただまあ、前日飲み過ぎて一限欠席する
のはともかく、夜更かしし過ぎた挙句の単なる寝坊とか、部活の友達や先輩と遊びに行っ
て授業サボるのって、普通女の子はあんまやらないんじゃないですかね」
『新年一発目から、くだらない説教してんじゃないわよっ!!』
「いえ。どちらかと言えば、僕からの希望ですが」
先輩が、授業をサボるたびに、出席票を取ったりノートを見せなくてはならない僕と
しては、切実なお願いだった。というか、普通は男女逆だと思うんだけど。
『ふうん。じゃあ、それは絶対しない。大体、学年が一緒になったからって偉そうにす
るんじゃないわよ。アンタが一年年下である事には変わりないんだからねっ!!』
-
「つまり、今年も一年間僕をこき使うという事ですか?」
ため息混じりに言うと、先輩はニッコリと頷いた。
『そうよ。このあたしにこき使われるんだから、感謝しなさいよね』
「やれやれ……」
些か大げさな態度でうんざりさをアピールすると、先輩に軽く頭を叩かれた。
『露骨に嫌そうな態度見せんな。このバカ』
「アイテテテ。先輩は、その乱暴なところも直した方がいいですよ。出来れば今年一年
の抱負と言わず、今すぐにでも」
『大丈夫よ。これも別府君限定だから。むしろあたしに頭を叩かれるなんて光栄に思い
なさいよね』
「謹んでお断りします。そんな限定、嬉しくも何ともありませんから。キスするとかな
ら嬉しいですけど」
最後の一言に、先輩の顔がポフッという擬音が似合うくらい見事に真っ赤に染まった。
一瞬、先輩の眉がつり上がりかけただけに、最後の一言を咄嗟に付け足して良かったな
と思う。そうでなければ、きっともう一発、頭を叩かれただろう。
『じょっ……そ、そんなの、そのっ……冗談じゃないわよっ…… 誰がアンタなんかにっ
……ていうか、その……たかだか一回や二回させてあげたくらいで、ちょっ……調子
に乗るんじゃないわよ。限定とかそんなの……お断りなんだから……』
何か必死になって否定してるけど、さっきまでとは明らかに態度が違う。口調もしど
ろもどろだし。まあ、こういう所が先輩の可愛らしいところなんだけど。
「でも、今のところは事実上そうですよね?」
『うるさいっ!! 今までのは、その……いろいろ訳ありだっただけよっ!!』
そう指摘すると、先輩が真っ赤な顔のまま、怒鳴り声を上げた。これ以上この話題を
突くと、逆効果になりそうだから、この辺で切り上げる事にして、僕は話題を元に戻した。
「でも、先輩のだらしない生活態度を改めないとすると、一体何を今年の抱負にしたん
ですか? 無事に二年に進級するとか?」
『アンタはあたしをどんだけダメ人間にしたいのよっ!! それに、別に抱負になんか
しなくたって、ちゃんと問題なく進級くらい出来るわよ!!』
まあ、ウチの大学だと、二年生への進級は、必修科目さえ落とさなければ可能なので、
落ちる人はまずいないけれど、と僕は先輩の顔を見つめながら思う。
-
「じゃあ、何なんですか? それとも、強がってはいるけど、やっぱり本当は特に抱負
なんてないとか」
先輩の事だから、特に考えもしてなかったとしても、不思議でも何でもない。しかし、
先輩はまなじりを逆立てて睨み付けて来る。
『しつこいわね。アンタはどうしてもあたしをだらしない女の子に仕立て上げたいみた
いだけど、一応、ちゃんとあるわよ。けど、教えてあげない』
「何でですか? 僕には言えない恥ずかしい目標だからですか? 例えば、今年中に体
重を60kg以内に落とすとか」
『ちちち、違うわよ!! ていうか、あたしは60kgも体重ないから!!』
「まあ、先輩の身長で60kgもあったら、もう少しポチャッとしてるでしょうけどね」
女子としては、まあ先輩は平均的な身長で、やや胸は薄い。60kgあってもデブではな
いだろうけど、こんなスリムな体型はありえないところだ。
『分かってるなら言うな!! 全く、女の子に体重の話題振るなんて、ホント、アンタっ
て、最低もいいところよね』
胸の前で腕を組んで、僕を睨み付ける。しかし、僕は真正面から先輩を見据えて言った。
「一応言っておきますけど、今のはお菓子ばかり食べている先輩に対する警告の意味も
含んでますから。今のうちに食生活を改善しておかないと、何年か経って急に太り始め
るかもしれませんよ。僕は、申し訳ありませんけど、太ってる子は好みではありませんので」
『そんな事、大きなお世話よ。アンタに言われなくたって、ちゃんと気にはしてるんだ
から。それに、その……アンタの好みなんて、あたしの知った事じゃないし……』
強気な態度を演出しているが、語気に勢いがなくなっているし、顔もちょっと俯き加
減になっている所から、僕の一言が、大分気になっていると察する。
「まあ、それならいいんですけどね。ただ、僕の家に遊びに来ている時の様子から見る
と、とてもそうは見えなかったものですから」
『あれはその……遊びに行くと、アンタが必ずお菓子を出してくるからよ。ああいうの
は、一度食べ始めると、結構止まらなくなっちゃうんだから』
でも、出さなきゃ出さないで文句言うくせに、とは心の中でだけで呟いておく。
「それじゃあ、今年から先輩が一人で遊びに来た時はお持て成しを止めますか。僕とし
ては、先輩に太って貰いたくはありませんし」
『それはダメ!!』
-
バシッと眼前に手の平を差し出されて、僕は思わず仰け反った。先輩は、両手を腰に
当てると、居丈高なポーズで僕を睨み付ける。
『ああいうのはね。お客様に対する気持ちの表れなんだから。アンタごときが、遊びに
来てあげてるあたしに対して茶菓子の一つも出さないとか許されない事なんだから』
「でも、太っても知りませんよ?」
真顔で忠告しても、断固として先輩は譲る気配を見せなかった。
『それはそれ。これはこれ、よ。大体、今はまだ体重増えてないもん。危険水域越えて
から考えるわよ』
「まあ、確かにそれは先輩の自由ですけどね。僕がいくら口を出そうが、結局は先輩の
問題ですし」
そう答えつつ、何となく先輩の胸やらお腹やら腰つきやらをしげしげと眺める。大学
生になって、お酒を飲むという体に悪いお付き合いが増えた割にはスタイルに変化はな
さそうだ。
『ちょっ……っ!? ひっ……人の体をジロジロと見ないでよね、このドスケベ!!』
「いえ。一応確認をと思ったんですが」
『し……しなくていいってば、そんなのっ……!!』
怒りをむき出しにしつつも、ちょっと照れた感じで両腕で体を抱き締める先輩を微笑
ましく眺めつつ、ようやく話を本題に戻せるな、と思った。
「で、先輩。ホントのところは何なんですか? 恥ずかしい理由でないんだったら、教
えて下さいよ」
しかし、先輩は即答だった。
『ヤダ。教えない。つか、あたしの事ばかり聞いてるけど、アンタはどうなのよ? 今
年の抱負はあんの? あるんだったら、まず自分のを話してから、それからあたしに聞
きなさいよね』
「へえ? 先輩は僕の抱負に興味があると?」
そう切り返すと、先輩は、へっ?と小さく声を上げ、それから慌てて取り繕い始めた。
『べ、別にその……アンタの抱負なんかに興味ないわよ。だけどその……あたしばかり
言わせようとするなんて、ズルイじゃない。だから、人に聞く前に、自分のを言ってか
らにしろっての』
「じゃあ、僕が抱負を語ったら、先輩のも教えてくれます?」
-
先輩の目を覗き込むように言うと、先輩は思わず体を少し引いた。それから視線を逸
らし、たどたどしく答える。
『そっ……そんなの分かんないわよ。聞く権利だけ与えてあげるって、そういう事だも
ん。あとその、そんな風に人の顔を覗き込まないでよね。気持ち悪い……』
「はいはい」
敢えて気軽に返事をして、僕は先輩から離れる。女の子から気持ち悪いと言われれば、
僕だって例外なく傷つくが、先輩だけは別だ。何故なら、さすがに知り合って5年も経
てば、本気で気持ち悪がっている時の顔と照れ隠しの暴言の時の顔の区別くらいは付く
ようになっているから。
「でも、聞く権利だけって言うのは、ちょっと不公平じゃないですか? やっぱり、僕
のを教えるからには、先輩のもちゃんと教えてくれないと」
抗議だけはキチンとするが、先輩は意外そうな顔で僕を見て言う。
『何言ってんのよ。アンタとあたしが対等な訳ないでしょ。むしろ、ホントならアンタ
の抱負なんて取引材料にもならないのを、大まけにまけて、聞くだけは許してあげるっ
ていってるんだから、感謝して欲しいわね』
年が明けても、先輩の横暴っさぷりは変わらないようだった。僕はため息を吐くと、
仕方無さそうな顔を見せて首を左右に振る。
「仕方ないですね。じゃあ、もし部活とかでそういう話題になった時は、先輩の抱負は
人に言えない恥ずかしい事だって、言っておきますから」
『言うなっ!! ていうか、何捏造しようとしてんのよ。勝手に人の抱負を怪しげな物
にすんな!!』
「それだったら、僕にだけでも教えてくれた方が無難だと思いますけど。人前で、ポロッ
と言葉がこぼれ落ちてからじゃ遅いとは思いますけどね」
言いながら、我ながら脅迫じみているなあという感想を抱く。しかし、こうでもしな
いと、こっちだけ言い損になってしまうし。先輩の抱負を聞きたかったのに僕のを言っ
て終わりじゃ、本末転倒だ。
『言ったら殺す。絶対に殺す。マジで殺すからね』
先輩が僕の襟首を掴んで言った。冗談抜きで目が殺気立ってます。
「だ、だから、先輩も教えてくれるって約束すれば、絶対に言いませんて。こればっか
りは神に誓って」
-
『ほんっとでしょうね? 適当な噂がばら撒かれてたら、間違いなくアンタを殺すわよ』
先輩がうっかり言った言葉を、僕は聞き逃さなかった。
「本当です。約束します。何だったら、ゆびきりげんまんしますか?」
僕の提案に、先輩はちょっと驚いたように目を丸くした。それから、襟から手を離す
と、クルリと反転して言った。
『ば……ばっかばかしい。そんな事しないわよ。子供じゃないんだし……』
先輩の態度に、僕は思わずおかしみを覚えてしまう。もっと恥ずかしい事だっていろ
いろしてる割には、些細な事に照れたりする先輩が可愛らしかった。
「それじゃあ、とにかく取引は成立という事で。僕から言った方がいいんでしょうね?」
『当たり前じゃない。そんな事――って、何よ。取引成立って?』
やはり、先輩は自分の言葉に気付いていなかったようだ。僕は親切に教えてあげる事にする。
「さっき言ったじゃないですか。先輩が教えてくれれば……っていう条件に、先輩がほ
んっとでしょうねって。わざわざ確認するって事は、条件に乗ったって事でいいんでしょ
う? 少なくとも僕はそう取りましたが」
キョトンとした顔で、先輩は、僕の言葉を頭の中で考えた。それから、ハッとした顔
をした後、慌てて否定し始める。
『ち、違うわよ!! 別にアンタの条件飲んだとかそんな事じゃなくて、って言うか、
大体あたしはまだうんって言ってないじゃない。あくまで確認しただけでしょ? 勝手
に話を進めないでよね!!』
「でも、不成立だと、僕の方の約束も、無論、無しになりますが?」
ぐぬぬぬぬ、と唸り出しそうな顔で先輩は僕を睨み付ける。僕がやると言ったらやる
人間である事は、先輩も十分承知の上だ。もっとも、そうでなければあんな脅しが効く
わけもない。
『とっ……とにかく、アンタから言いなさいよ!! 話はそれからだわ』
どうやら、聞く権利だけから考えてあげるまではステップアップしたようだ。無論、
本来ならこの程度で満足するわけには行かないのだが、先輩は一度妥協すると、その後
はなし崩しに条件を飲んでくれる事が多いので、後は僕が先に抱負を語ってから、押し
の一手で攻めまくればいいだけだ。
-
「ま、いいでしょう。僕の今年の抱負は、もうちょっと人に優しく接する(先輩除く)
ように努力する事ですね。とりわけ、女の子からは、冷たいとかはっきり言い過ぎると
か言われますので。今年は後輩も入る訳ですし、もう少し思いやりを持とうかと」
『ちょっと待ちなさいよ。アンタが冷血漢だってのはその通りだけど、そのかっこ先輩
除くってのは何なのよ!!』
すかさず先輩がツッコミを入れてきたが、僕は真正面から受けて立った。
「だって、先輩には優し過ぎる程に優しくしてるじゃないですか。むしろ、もうちょっ
と手厳しくしてもいいくらいですよ」
『どこが優しいのよ。後輩のクセに生意気だし、アンタの歯に衣着せない言葉で、どん
だけあたしのガラスのハートが傷ついたと思ってんのよ』
「先輩の心はガラス製でも、防弾ガラス並の強度がありますから、心配要りませんよ」
『そういうのが冷血だって言うのよ!! アンタ、女の子の繊細な心を一体何だと思っ
てんのよ』
だって、本当の事だし、と心の中で付け加える。そもそも先輩だって、僕をあごでこ
き使って、しかも役立たずとか散々罵るんだから、おあいこだろうと。
「ですから、女性(先輩除く)に対して、もう少し気配りを持って話そうかなって。もっ
とも、意識して酷い事を言ってるつもりはないんで、どこまで達成出来るかは分から
ないんですけど」
『だから、その、かっこを外せっての!! 何であたしだけいちいち除外するのよ!!』
ムキになって先輩が文句を言うので、僕は先輩をジッと見返して言った。
「もしかして先輩。僕に優しくされたいんですか?」
『へっ……?』
先輩の怒り顔が、急に呆然とした顔にとって変わる。それから、パアッと花を散らし
たように、その頬が赤く染まった。
「先輩が、僕に優しくして欲しいって言うんでしたら、思う存分優しくしてあげますよ。
何でしたら、今からでも」
しばらく、先輩はほけーっとした顔で僕を見つめていたが、それからピクッと体を震
わせた。そして、慌てて視線を逸らすと、わざと吐き捨てるように言う。
『バッ……バカ言わないでよ。べ、別にその……アンタなんかに優しくされたいとか、
おっ……思ってないんだから……』
-
口と態度が真逆な先輩を見て、思わず顔がニヤついてしまう。しかし、それを必死で
我慢して、僕は努めて冷静に言った。
「それでしたら、何もカッコを外す必要はないですよね。先輩は僕に優しくして貰わな
くていいんですから」
『それはダメ!!』
即座に先輩に否定された。そこでムキになっちゃう所が先輩の可愛い所なんだよなと
思って見ていると、先輩はもう一度、僕の顔から視線を外し、横向きに俯いて呟く。
『べ、別に優しくされたい訳じゃないわよ。けど、その……そうやってあたしだけ除外
されると、何だかバカにされてるって言うか、女の子として認められていないみたいじゃ
ない。それが嫌なだけよ』
「大丈夫ですよ。先輩だって、十分に可愛らしい女の子ですから。いえ。むしろ先輩ほ
ど可愛らしい子はなかなかいませんって」
だからこそ、言葉弄りをしたくなる訳で、と内心僕は思う。先輩は、口では素直じゃ
ないけど、すぐに顔や態度に出てくるので、そこが可愛くって仕方が無いのだ。今も、
僕の言葉に、凄く顔を真っ赤にしているし。
『てっ……適当なお世辞言ってご機嫌取ろうとするんじゃないわよ。アンタの言う事な
んて、その……ぜんっぜん信用出来ないんだから……』
「先輩が信じてくれなくても構いませんよ。僕は自分の思ったことを素直に言ってるだ
けですから」
何か言い返そうとして、先輩の口がパクパクと動くが、言葉にならず俯く。そのまま、
ギュッと抱き締めたくなるほどの可愛さだが、今は外だし、グッと我慢する。と、先輩
が真っ赤な顔に強気な目線で僕を見上げた。
『かっ……勝手に言ってなさいよ!! このバカッ!!』
このセリフが出るという事は、もはや言い返せなくなったという事だ。完全勝利に満
足しつつ、僕はいよいよ本題に掛かる。
「さて、僕の抱負は言ったので、今度は先輩のを聞かせてください。約束の通りに」
すると先輩は、しかめっ面のままで口を尖らせた。
『ちょっと待ちなさいよ。まだ、言うとは言ってないでしょ? 勝手に約束にすんなっつーの』
「いえ。そういう事なら別にいいんですが…… まあ、先輩が言いたくないと言うのでしたら」
ワザとらしく思わせぶりな口調を使うと、先輩は慌てたように口を開く。
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『ちょ、ちょっと待ちなさいよ!! まだ言わないとは言ってないでしょ?』
僕は、笑顔で頷く。
「そうですね。まあ、言う言わないは先輩の自由ですし。まさか無理矢理聞き出す訳に
は行きませんものね」
『あんったの場合、無理矢理聞き出そうとしてんのと一緒でしょうがっ!!』
噛み付く先輩の言葉を、僕は冷静に否定する。
「いえいえ。そんな事はありませんよ。脅してるつもりだって毛頭ありませんし。ただ、
もしかしたら、他の人とそういう話題になった時に、うっかり僕の推測を言ってしまう
かもなってだけで」
『うっかりじゃなくて確信犯で言うつもりでしょっ!! 絶対そうよ。この悪魔!!』
それは実に正しい推測だなと、心の中で思いつつも、僕はやんわりと否定する。
「確信犯だなんて、僕はそこまで酷い人間じゃありませんよ」
『十分に酷いわよっ!!』
苦悩する先輩を見ていると、何だかもうそれだけで楽しくなってくる。恐らくもう、
ほとんど落とされているんだろうけど、あともう一歩、踏み込めない事があるのかもし
れない。そのほんの一押しをしてあげる事にした。
「もし、キチンと教えてくれるなら、それは絶対秘密にします。誰にも言ったりはしませんよ」
笑顔を消し、真面目な顔で言うと、先輩がすぐに食いついてきた。
『ホントに? 絶対に誰にも言わない?』
しかし、ハッと気付いたような顔になると、先輩は小さく首を振り、小声で呟く。
『ううん。ダメダメダメ。危うく乗せられるところだったわ。つか、別府君に聞かれる
のが一番イヤなのに……』
「何で僕に聞かれるのがそんなにイヤなんですか?」
先輩の言葉を捉えて聞くと、先輩は顔を上げて僕を見つめ、それからちょっと恥ずか
しそうに顔を逸らして呟いた。
『だ、だって……その…… アンタの事だもん。絶対に笑い者にするし……』
「そんな事ありませんよ。僕はいつだって先輩の事を笑ったりなんてしてませんから」
『ウソ。調子のいい事ばかり言ってさ。絶対笑うって』
-
どうやら、僕は信用されてないらしい。まあ、これだけ弄っていれば無理もないか。
けれど、それはあくまで先輩の可愛らしさを引き出すためであって、バカにしたりする
為じゃない。そこだけは分かって欲しいと思いつつ、先輩を説得する。
「絶対に笑いません。先輩が真面目に考えた抱負だったら、たとえどんなにバカバカし
く思えても、僕は応援しますよ」
『……本当に? 絶対に笑ったりバカにしたり呆れたりしない?』
「ええ。ですから、安心して言って下さい」
コクリと頷くと、先輩に微笑みかける。先輩は上目遣いに僕を見つめていたが、やが
て、恥ずかしそうに視線を逸らした。
『えっと……こ、今年はね。その……もう少し、何て言うか、女の子らしくって言うか
……女を磨こうかなーって……』
先輩の呟きを、僕は大人しく聞いていた。まあ、先輩が女の子らしくなってくれると
言うのは、僕にとっても悪い話じゃない。出来るかどうかは別問題として。
先輩は、言い訳をするかのように、話を続ける。
『だ、だってさ。その……もう、二十歳になって、今年成人式だったじゃない。だった
ら、もう少し大人の女になりたいなっていうか、アンタいつもバカにするから、ちょっ
と見返してやりたいってのもあるし……』
「いいんじゃないですか。立派な抱負だと思いますよ」
そう言うと、先輩はパッと顔を上げて、睨むような目付きで僕をジッと見つめた。
『ホントにそう思って言ってんでしょうね? からかってるわけじゃないわよね?』
全く、どれだけ信用が無いんだか。僕は。
「もちろんですよ。先輩が力になって欲しい事があれば、何でも言ってください」
信じて貰おうと思って、僕は真面目な顔でそう提案したのだが、先輩はプイッと顔を
逸らして、不機嫌そうに答えた。
『いいわよ。別に、アンタなんかに協力して貰わなくたって、一人でコレくらい出来るわよ』
「強気なのはいいんですけど、先輩は自分に甘いですからね。それに、男の視点からも
いろいろと意見を聞いた方が、偏りが無くていいと思いますけど」
『誰が自分に甘いって言うのよ!!』
もっともらしく忠告したら、怒鳴り返された。確かに余計な一言かもしれないけど、
先輩はもっと自分の欠点は自覚した方がいいと思う。
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「まあ、そこは先輩次第として、どうです? 先輩はあんまり腹を割って話せる男の知
り合いなんていないでしょ? そこで、僕が一つ、いろいろとアドバイスするって言うのは」
『アンタはさっきからいちいちいちいち余計な事ばかり言うわねー』
先輩の声がさらに苛立ちを増す。僕は恐縮して頭を下げた。
「すみません。こればっかりは性分ですから」
『開き直ってんじゃないわよ。これじゃあ、アンタの方が抱負なんて達成出来ないんじゃ
ないの?』
「ご心配なく。さっきも言ったとおり、先輩は除外ですから」
先輩の心配は杞憂とばかりにニコヤカに切り返すと、先輩の怒りが爆発した。
『だから除外すんなって言ってんでしょうがっ!! 大体アンタはあたしを馬鹿にし過
ぎなのよ!! そんな奴のアドバイスなんて聞けるかっての!!』
もっとも、先輩の怒りは受け慣れているので、僕にとっては爆風もそよ風みたいなも
のだ。先輩の感情がちょっと落ち着くのを待ってから、僕は言った。
「それとこれとは別ですよ。安心してください。僕は先輩の事を馬鹿になんてしてませ
ん。むしろ、なまじっか優しくしてあげるだけの子に対してより、先輩の方が僕はずっ
と、女の子として意識して対応してるつもりです」
その言葉に、先輩がピクッと反応する。
『な、何言ってんのよ。アンタのどこが、その、あたしを女の子扱いしてるって言うのよ』
「してますよ。でなきゃ、こんなにいろいろと尽くしたりはしません。お世話になった
先輩ってだけじゃ、ね」
思わせぶりに笑って見せると、先輩は照れたような不満そうな、複雑な表情になって、
唇を尖らせる。
『……尽くすのは当たり前じゃない。後輩なんだから』
「それとも、尽くすだけじゃ足りませんか?」
そう言って先輩のすぐ間近に立つ。この位置だと、手を回せば抱き締める事が出来る
し、あごをしゃくればキスも出来る。そんな雰囲気を感じ取ったのか、先輩はビクンと
肩を小さく震わせた。が、僕から離れようとせず、視線を逸らして小さく言った。
『……そ、それじゃあ、その……何してくれるのよ……?』
「え?」
微妙にピントのズレた逆質問に反射的に聞き返すと、先輩は、強気になって僕に視線を戻す。
-
『女の子扱いしてるって言うんでしょ? だったら、その……アンタは男として、どん
なアドバイスをくれるつもりなのかって聞いてんのよっ!!』
ありゃ、話を逸らされたな、と僕はちょっと残念な気持ちになった。先輩が一言、足
りないって、そう言ってくれれば、いっぱい可愛がるチャンスだったのに。でもまあ、
今はそれを望んでいないと言うのなら仕方が無い、と僕は気持ちを切り替える。
「そうですね。先輩はオシャレが苦手だから、可愛らしい服を選んであげたりお化粧の
仕方をアドバイスしたりとか、お菓子作りを伝授してあげたり、僕がやれる事はいっぱ
いあります」
そう言うと、先輩はちょっと呆れたように返す。
『あんたってば、男のクセに何で女の子以上に女らしい事に詳しいかなー』
「別に女の子になりたいとか思ってる訳じゃありません。ただ、雑学は分け隔てなく覚
えるのが好きなだけです」
こればっかりは僕の自慢出来るところなので自信を持って言うと、先輩はやれやれと
いった調子で肩をすくめた。
『ま、アンタにお願いなんてしたくないけどね。どうせほっといたって口を出してくる
んでしょうから、勝手にしなさいよね』
つまりそれは、宜しくお願いします、という事だと僕は解釈した。なんせ、先輩が素
直に協力を求めてくるなんて有り得ないんだから、勝手にすればいいという事は、勝手
にして欲しいと言う。そこまで深読みしないとこの人とは付き合えない。
「了解です。それじゃあ、さっそくまずは週末デートしますか」
『は……?』
急な僕の提案に、先輩は咄嗟の反応が出来ず、ポカンとした顔になる。それから少し
経って、ようやく事態が飲み込めたのか、一気に顔が真っ赤になった。
『ちょっ……ちょちょちょ、待ちなさいよっ!! ななな、何であたっ……あたしが、
アンタなんかとデートしなきゃなんないのよっ!!』
興奮気味にまくし立てる先輩を、まあまあと手で押し止める。
「落ち着いてください。先輩はあくまで、擬似デートと捉えてくださって結構ですから」
『擬似デートって言ったってデートでしょっ!! 何考えてんのよアンタはっ!!』
「もちろん、先輩がどうやったら女として磨かれるかって事ですが」
-
もっともらしく答えつつ、僕は心の中で首を傾げる。一緒に帰ったりお茶したり、週
末は一緒に過ごすし、映画なんかも二人で見に行くのに、どうしてデートって単語を付
けるだけで、こんなに恥ずかしがるかなと。
『あたしが女を磨く事とデートに何の因果関係があるのよ。きっちり説明しない限り、
そんなの受けられる訳ないでしょ?』
ようやく、ちょっと落ち着いた先輩を前に僕は説明を始めた。
「やっぱり、女の子が自分を磨こうとする最大の動機って、好きな人が出来る事だと思
うんですよ」
『は?』
聞き返す先輩に頷いて、僕は続ける。
「そりゃ、まあ中には恋をしてなくてもそういう努力をするのが好きな人もいますけど、
やっぱり好きな男の人が出来たら、その人に可愛いって思って貰いたいから、一生懸命
努力するでしょ? 先輩だってそうじゃありませんか?」
僕の質問に、先輩は曖昧な顔で頷く。
『えっ……と…… まあ、そりゃ、そうだけど…… でも、あたしはその……好きな人
なんて…………いないし』
好きな人なんて、の後で、先輩がチラリと僕を見たような気がした。気がしたけど、
それは僕の願望込みなのかもしれないので、気にしない事にしておく。
「ですから、僕を好きな人に見立てて、デートの時におしゃれしたり、好きな人の前で
可愛く振舞う練習をしたりすれば、自然と女の子としての魅力もアップしていくんじゃ
ないですかと、僕はそう思うんですけど」
僕の提案に、先輩は戸惑いがちに俯く。それから、ちょっと不服そうな感じで呟く。
『その……アンタの言ってる事は、分からなくもないけど……けど、何でその……アン
タ相手に、あたしが着飾ったりとか、しなきゃなんないのよ……』
「ですから、練習ですよ」
僕はニッコリと微笑んで、先輩のおとがいに手を当て、軽く上に上げる。先輩の目が、
驚いたように大きく見開かれて、僕を見つめた。
「日頃、一緒にいる事が多いんですから、何かとやりやすいでしょ? 僕も、先輩の魅
力を引き出す為に、努力しますよ」
あごから手を離すと、先輩の視線が、また伏目がちになる。
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『で、でもやっぱりその……今更感が……しない?』
先輩の言いたいことは分かるが、僕は首を振ってそれを否定する。
「だから、デートなんですよ。そう定義するだけで、何か違った感じっていうか、その
……新鮮味があるでしょ? それとも、相手が僕じゃ役不足ですか?」
『そ、そりゃあそうに決まってるじゃない!! あたしの相手なのよ。アンタなんかに
本来は務まる訳ないでしょっ!!』
先輩の答えに、僕は思わずニヤリとしてしまう。わざと間違った使い方をしたが、予
想通りまんまとはまったなと。だけど、敢えて本当の事は言わずに話を進める。
「本来は……って事は、渋々だけどオッケーって事でいいですか?」
言葉尻を捉えて聞くと、先輩は強気に僕を睨み付け、それから視線を外して吐き捨てた。
『しょうがないでしょっ!! 相手役……他にいないんだもん。まさか、部の男子の誰
かに頼む訳にも行かないし……』
「じゃあ、決まりですね。それじゃあ、今度の日曜、早速デートしましょうか?」
スケジュールなんて聞かなくても、デートの約束を取り付けられる女の子は世界広し
といえど、僕には先輩しかいないな、と心の中で思う。
『ちょ、ちょっと待って? いきなり?』
慌てて聞き返す先輩に、僕は頷く。
「ええ。まずは、可愛い服を探しに行きましょうよ。先輩のお出かけ着って限られてま
すからね。まずは外見から磨かないと」
『そりゃそうだけど、でも、そんないきなりとか……』
「いいじゃないですか。どのみち、日曜日はまた僕んちに来るつもりだったんでしょ?」
僕にしてみると、二人で過ごすには違いないんだから、そんなに大して変わりないは
ずだと思う。なのに、いざ形式ばってデートとすると、途端に後ろ向きになる。そんな
先輩が可愛くて仕方が無かったりする。
『あたしのスケジュールを勝手に決めんなっ!!』
僕に予定を言われたことが不満だったのか、先輩が文句を言う。が、僕はあっさり言
い返した。
「じゃあ、他に何か予定ありましたか? 僕は何も聞いてませんけど」
大抵、都合が悪くて顔を出さない時は、先輩は事前に僕に言う。それも何故かちょっ
と自信ありげな感じで。だから、何も言わない時はほぼ100パーセント、僕と過ごすという事だ。
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『う…… まあ、その……ない、けど……』
ちょっと悔しそうに先輩は答えた。僕はニッコリと笑って頷く。
「じゃあ、決まりですね。とりあえず、先輩がどんなオシャレをしてくるのか、楽しみ
にしてますよ」
『ちょっとちょっとちょっと!! 日曜もオシャレしなくちゃいけない訳?』
慌てたように聞き返す先輩に、僕は頷いた。
「当然でしょう? デートなんですから、恋人と行く気分でお願いしますよ」
『こっ……恋人とって……うっく……』
真っ赤に照れて俯いてしまった先輩を見ながら、僕は、これから先輩と何度もデート
が出来ることを思って、ついつい気分が浮かれがちになるのだった。
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『ハァ……』
小さくため息を吐いて、あたしはベッドに転がり込んだ。日曜日に別府君とデートを
するという事実を思い返すたびに、心がくすぐったいような変な気分になって、ギュッ
と身を縮み込ませる。
『うーっ…… 何でなんだろ……別に、一緒にいる事には変わりないのに……』
いや。今までだって、別府君の家に行くのになんとも思ってない訳ではなかったけど、
でも、ここまで変な気分になった事はなかったのに。
『やっぱり……デートだから……かな……?』
口に出して言うと、余計意識してしまって、思わず身を捩じらせた。
『あぁ……もうっ!! 何で、こんな事になっちゃったんだろう……』
いや。この展開はある意味、望むべきところなんだけど。だって、あたしの本当の抱
負は、女の子らしくなって、別府君に告白させる事、だったんだから。上手いこと別府
君好みの子になれれば、それはそれでいいのかも知れない。だけど、逆に言えば、別府
君が協力してしまったら、変わったあたしを見せて、驚かせる事は出来なくなってしまう。
『むつかしいところだけどね…… でも、もうしょうがないし……』
いつも、あたしを立てるようなフリをしつつ、結局主導権は別府君が持って行ってし
まうのだ。きっと、今回だってそうなるだろう。
『デートかぁ…… あらたまってするのは初めて、かも…… はぅぅ……』
別府君が、どんな風にあたしを変えて行くのか。それを想像するだけで、心臓がドキ
ドキしてしまってしょうがない。デートの日まで、いや、もしかしたらその後も、あた
しにとっては眠れない夜が続く事になりそうだった。
終わり
これも本当は1月中に仕上げたかったorz
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久しぶり…gj
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久しいなw
イイヨイイヨー
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いつもながら素晴らしい
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>>666
GJ
風呂でうとうとしてたらメイドさんにバットで叩き起こされる夢見てビクってなった
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