レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。
二つ名を持つ異能者になって戦うスレ避難所5
-
*「ここは 【邪気眼】二つ名を持つ異能者になって戦うスレ の避難所です」
*「雑談や 連絡の場として どうぞ」
*「このURLの先が 現行の 本スレです」
ttp://changi.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1246115227/
*「避難所の 過去スレです」
避難所1
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/20066/1206954054/
避難所2
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/20066/1211908307/
避難所3
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/20066/1221605457/
避難所4
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/20066/1232545359/
*「まとめサイトです」
ttp://www9.atwiki.jp/hutatuna/pages/1.html
-
>>62
インフィニット・セイバー
「『幾億の白刃』という二つ名を持った剣士を、あなたは知っていますか?」
女性の口から出た思いもよらぬ名に、氷室は一瞬、眉をピクリと動かした。
知らないはずがない──
『幾億の白刃(インフィニットセイバー)』とは、
今から八年ほど前に『無間刀』なる刀を所有していたが為にカノッサと対立し、
氷室ら四天王によって殺された有名な殺し屋の二つ名である。
「私は知ったんです。実はあなた達カノッサがその剣士を殺したことを、そして剣士が所有していたある刀を手にしたことを。
私は、ただそれを求めてこの街に来た、武器収集家ですよ」
(武器収集家……? フッ、見え透いてるね……)
八年前に突如として裏の世界から行方をくらました『幾億の白刃』については、
今日まで事実が流布されることなく、憶測のみが様々に飛び交うに留まっている。
全てがカノッサによって極秘裏に処理され、事実が明るみに出ることがなかったからだ。
にも拘らずそれらを知っているとなれば、少なくとも各地を放浪する武器収集家ではないことは明白である。
(まぁ、喋る気がないならそれでもいいさ)
「こっちも疑問なのですが、あなたのように強い機関の人間が何故こんな街中でいきなり戦闘を行うのです?
さきほどもあなたに勝るとも劣らない、自称紳士の機関の人間を見たのですが、やはりいきなり戦闘を仕掛けられました
一体、この街で何が始まるのですか?」
と、ナイフと刀を構えながら訊ねる女性に、氷室は
「──世界が、本来あるべき姿に戻ろうとしているだけさ」
と一言、放った。
女性には何のことか理解できないかもしれない。
しかし、このままカノッサの計画が進めば、彼らの言う通り世界が変わるのだ。
──弱者が息絶え、強者のみが生存を許された世界に──
「さて、これ以上の問答は時間の無駄。そろそろ決着をつけようか?」
氷室の両手の指先から、再び刃状の冷気が形成される。
しかし、今度の氷室は左手を女性に向けるのみで、足を動かす気配がない。
というのも、彼女の『爪』は、短い間合いでのみ威力を発揮するものではないからだ──。
「迂闊に近付いて反撃されると厄介。だから、ここから切り刻ませてもらうよ。
──受けろ、我が爪の恐怖を! ──『アークティッククロー』!!」
瞬間、女性の体の皮膚が、鋭利に切り裂かれる。
氷室が、指先に形成した爪をあたかも弾丸のように飛ばしたのだ。
「痛みで悶え死ぬのが先か、それとも凍りついて死ぬのが先か……さて、どっちかな?」
【氷室 霞美:アークティッククローを飛ばし、切り刻んでいく】
-
もっとキャラ増えないかなー、カノッサの中級とか、第三者とか居ても面白そう。
-
新規ですが参加よろしいでしょうか?
-
どうぞ、どうぞ
大歓迎です
-
ありがとうございます。
では本スレにいってきまーす ノシ
そして良い素材が無いとまったく役に立たない俺は役に立つのかが心配です。
-
一応プロフィールをここに投下しとこうぜ
-
何かイベント的なもの起こさないとgdgdになりそうじゃね?
何処かが襲われるとか
-
*プロフィール
名前:赤月怜
性別:男
年齢:21歳
身長:180cm
体重:69kg
職業:土木工事のアルバイト
容姿:一般的な日本人の容姿。凄く温和そうな顔をしていおり肌は青白い。黒いワイシャツにジーンズ。
能力:性質を変化させる能力を持っている。
触れたモノを自分の支配下に置き様々な性質を変化させる。
そのおかげで自分は吸血鬼もどきの能力をもっている
能力の延長上の能力によりどんな武器だろうと特殊な武器だろうと完全な『担い手』になれる。
魔法具なら封印されておろうと使用可、武器なら様々な使い方、型を習得できる。
だが性質の変化は『不死』や『絶対貫通』等ぶっ飛び過ぎたモノは不可
性質の変化が触れたモノの性質なら他の物より強く出来る
(例:影に『分裂』『伸びる』『消滅』等々を加えると他の物体より変化度合が強くなる。だが『発光』等は極端に弱くなる
キャラ説明:
能力で吸血鬼の様になった男。
唯の能力なので血は飲まなくても平気。十字架や日光、水等吸血鬼の弱点は無い、が本人は偶に輸血パックを飲んでいる。
普段はのんびりしているが邪魔だと思った者を笑いながら殺害する等異常な一面もある。
殺し合いを楽しむ節があるが自分から戦おうとはせず普段は温厚、常識人。
気に入った相手を守ろうとしたりする。飲む血は女性の血を好む
様々な得技を持つ、がそれを行っても周りからはあまり信じて貰えない。
*パラメータ
(本体)
筋 力:A
敏捷性:B
耐久力:B
成長性:C
(能力)
射 程:D
破壊力:N〜S
持続性:S
成長性:C
すみません、ではプロフィール貼っておきます。
って変化系みたいな能力ですけど大丈夫ですよね?
-
>>368
話の大筋を決めといて、でそれに合わせてイベント起こせばスムーズにいく気がする
前身スレも活かせなかった設定やキャラ多かったし(北村幽玄、鬼頭燕雀、ツバサ、ヤハウェの三天使……
機関の具体的な計画とか、始祖の化身はPCにするのかNPCにするのかとか決めた方がいいかも
>>369
おk
sage忘れずにね
-
>>369
コピペするなww
一番下に【黒部 夕護:虹色兄弟達の方向へ歩き始める】が残ってるぞww
>>370
だよな
もう少し情報がないとPCも動きづらいし、折角の避難所なんだから名無しも交えて色々決めていきたいね
そいで盛り上がってくればまたPCが集まってくると思うし
-
カノッサの計画の全容についてはいずれ氷室の口から明らかにするつもりでしたが、
予めここで相談しておいた方がいいんですかね。
化身については「やりたい」という方がいたら前身のヤハウェの時と同様に
その人に任せるつもりですが、いなければ私の方でNPCを投下します。
-
>>371
すみません、楽がしたくてコピペしちゃいました。
お願い、短剣を投げないで!
>>370申し訳ない、以後気を付けます
-
>>372
計画の全容とまではいかなくてもこれからどう進めていくつもりとか少し話し合うといいんじゃない?
皆何やって良いのか分からなくて戸惑ってるようにも見える
-
wikiやプロフィールの意味のわからない所を治させて頂きました。
魔法具ってなんだよ!や。
何であんな自由自在に影を操れんだよ!や
能力の延長上の能力って意味わかんねえよ!等を治させて頂きました。
魔法具はオーラ等で作られた物の事です。
影などを単純な動作なら操れるようにしてみました。本職よりは弱いです。
武器についてですが自分の『一般人』を『武人』に変える事で武器を使えるようにしてみました。
もし何かあった場合行って下さい。至急治します。
-
代理お願いします
この後の展開は新しいサブキャラ出して、そいつが海部ヶ崎を回収する予定です
>>65
「──世界が、本来あるべき姿に戻ろうとしているだけさ」
この言葉に海部ヶ崎は、その意味も意図も何一つ理解することは出来なかった。
ただ……山で育ち、たった数ヶ月の旅を経験しただけの19の少女にとって、『世界』という単語は
とても縁遠いものに聞こえた。
「さて、これ以上の問答は時間の無駄。そろそろ決着をつけようか?」
青髪の女性の両手が、爪状から刃状に変化したオーラに覆われる。
これまでの攻撃からまた一瞬の強襲を仕掛けるか、と海部ヶ崎は警戒したのだが……
「迂闊に近付いて反撃されると厄介。だから、ここから切り刻ませてもらうよ。
──受けろ、我が爪の恐怖を! ──『アークティッククロー』!!」
その言葉が言い終わったときには既に海部ヶ崎の露出した脇腹から血が流れていた。
「ッ!! 攻撃!?」
「痛みで悶え死ぬのが先か、それとも凍りついて死ぬのが先か……さて、どっちかな?」
攻撃を受けた後に理解が出来た。これはあの手のオーラを飛ばしたモノだと。
その手から高速の魔弾たちが次々と、真っ直ぐな軌跡を描き、海部ヶ崎に襲い掛かる。
彼女の二刀を握り締めた両手は器用にその刃を操って、冷気の塊の軌道を逸らす。
(接近戦でもあの爪は弾けた。だからこれも弾ける…………けど、動けない)
体に受けた大きな爪痕。それを抱えた今の海部ヶ崎にはここから反撃する力は体には残っていない。
苦痛の表情は野球帽のつばが真昼の太陽の影で覆い隠しているから、幸い相手には気付かれていない。
(でもこちらの体力が限界なのがバレなくても、どちらにしろこのままだと……)
能力で反撃するにしても、さっきみたいに一瞬で砕かれるだろうし、なにより貴重な武器を更に失う事になる。
「なら、前に進むしか……無い!!」
海部ヶ崎は両手の動きを最低限に控えて地を蹴り、駆け出した。
体温によって徐々に溶け出した腹の凍傷から、血が流れ出す。
オーラの弾丸は致命傷になるものだけを弾き、残りは無視をしてとにかく足の動きに集中した。
無視したものは次々と体に命中し、太ももや二の腕が切り裂かれ、凍っていく。
(私が悶え死ぬか、凍死するか、“それとも”あなたの首が飛ぶか……勝負!!)
二人の異能者が近距離攻撃の範囲にお互いに相手を捕らえた瞬間だった。
一閃――――
その閃きのなかで幾重もの斬撃と金属音が混ざり、二人が交差し終える。
青髪の女性は肩から多少の血を流すも、それほどの深手にはなっていない。
それに対し、海部ヶ崎は――パキン!! と手にあったナイフが砕け、それと同時に露出した脇腹から血が飛び散った。
「せめて、その肩の傷がナイフのものなら……」
ドサ。血だらけの四肢はそのまま地に伏せ、腹の傷が血溜まりを作っていく。
(こんな形じゃ……父上に…会えないのに…取り返すって……ちゃんと刀を取り戻してくるって……)
肉体は血の中へ、精神は父へ悔いる気持ちで、海部ヶ崎は深く沈んでいった。
【海部ヶ崎 綺咲:敗北】
-
>>372
一応全貌は把握しておきたいです。
カノッサ側の計画を知りつつ行動するキャラも居たら面白いですし、知らない設定にしても的外れな見当をつけなくてすみます。
他にも始祖狙ってる設定の奴とか居てもおかしくないです。
イベントというのは具体的には戦闘ですか?
-
まぁ、大体はPCが集まって戦って情報交換だな
-
>>72
氷室の指先から次々と冷気の爪が放たれる。
女性は手にした二刀の刃で弾いていくが、
高速で際限なく繰り出されるそれをこの先全て防ぐことなどできるものではない。
「なら、前に進むしか……無い!!」
当の彼女もそれは解っていたのだろう。
彼女は意を決したように、ほぼ無防備となって弾幕の中に向かっていった。
敢えて自らを傷付ける攻撃に打って出る、それは一か八かの賭けには違いない。
しかしながら、この局面では最善の策であろうことにまた違いはないのだ。
氷室もそれは解っていた。
「そう、一縷の望みにすがりたいなら、それしかないだろうね」
氷室が下げていた右腕を起こす。
その指先に形成されていた爪は、まるで彼女の挑戦を待っていたかのように
より一層鋭利なものへと変貌しており、鈍い冷気の輝き放っていた。
「──けど、その希望も今引き裂かれる。体ごとね──ッ」
氷室が地面を蹴り、地面をかすめながら女性目掛けて猛烈な勢いで跳ぶ。
そして二人の体が交錯した瞬間、希望を引き裂く爪が、空気を切り裂く刃が同時に繰り出された。
──斬撃の衝突音が辺りに鳴り響く──。
その中、二人は互いに背を向け静かに着地した。
「まさか、私に一度ならず二度までも傷をつけるとは……」
言いながら、後ろを振り返った氷室の右肩から、ブシュッと血しぶきがあがる。
一瞬、顔を苦痛に歪めるが、氷室はすぐにニヤリと笑って見せた。
「せめて、その肩の傷がナイフのものなら……」
女性が血を噴き出して倒れ込む。
彼女は手にしていたナイフを砕かれ、脇腹に致命傷を受けていたのだ。
「そのナイフ……ただのナイフじゃなかったんだろ?
妙に自信を持って繰り出してきたように見えたからね。破壊させてもらったよ。
もっとも、そのお陰でもう一方の刀で肩を斬られたけど……
あの一瞬に生まれた隙を見逃さないなんて、やっぱり大した腕だよ、あんた」
氷室は死にゆく強敵への手向けというように賞賛の言葉を口にした。
しかし、既に気を失っているのか、女性には反応がない。
スキャナーも急速に彼女の異能値が落ちていくのを計測していた。
これは、もはや放っておいても数分後には完全に死に至る、そんな絶望的な瀕死の状態を示しているのだ。
(それにしても……この娘、一体何者だったのか。
我々の存在を知り、しかもあの刀のことまで知っていた……とてもただの異能者とは思えない。
……まぁ、何者であろうともはや終わったこと。どうでもいいこと、か……)
氷室は死を待つばかりの女性を一瞥して、公園から立ち去った。
「……さぁ、次は何者が相手かな」
【氷室 霞美:海部ヶ崎が死んだと思い、公園から去る。現時刻PM12:00】
-
角鵜野市の西地区──そこには角鵜野湖(かくうのこ)と呼ばれる巨大な湖が広がっていた。
そこは海や山などと並んで、市内有数のレジャースポットとして人々に広く認知されているが、
実はその湖に、もう一つの裏の顔があることを知る者は少ない。
湖の底──水深400mの湖底、それより更に底の地下。
本来、ただの土で埋め尽くされているはずのそこには、
頑丈な鉄筋とコンクリートに覆われた、巨大な地下基地が広がっていた。
内部は近未来的な設備が整えられ、大勢の人間が通路を行き交い、中には武装した人間もいる。
これこそが湖の裏の顔──そう、秘密結社カノッサの総本部が置かれていたのだ。
氷室が海部ヶ崎と戦っていた頃、ここ地下基地のメインルームでは、
市内に放たれた構成員達の通信による戦果報告を逐一耳に入れる、
黒服と、季節外れの黒コートに身を包み、黒い長髪をオールバックに決め込む若い男がいた。
この黒づくめの男の名は『雲水 凶介(うんすい きょうすけ)』。 リーダー
彼こそ氷室が「筆頭」と呼んだカノッサ四天王の筆頭、事実上のカノッサの指導者である。
「計画の発動からおよそ三時間あまり……
直ぐにでも尻尾を出すかと思ったが、どうもそうはいかないようだな。
なぁ……? 白済よ」
雲水とは対照的に、白装束に身を包み長い白髭を蓄えた小さな老人が、彼の横にすっと現れる。
老人の名は『白済 閣両(しらずみ かくりょう)』。
雲水の補佐役を務めるカノッサの知恵袋といわれる人物である。
「偉大な力を持つ存在でありながら人と同化し、人に異能をもたらしたと伝えられる我らの『始祖』。
神の気まぐれが生んだ存在なのか、それとも悪魔の悪戯によって生まれた存在なのか、
『始祖』の正体は今となっては定かではない。
しかし、数百年に一度、『始祖』の血を色濃く受け継ぐ異能者、すなわち『化身』がこの世に降誕する。
そして十数年の時を経て、自らの宿命に目覚めその力を発揮する時が正に今であるということに、
本当に間違いはないのだな? 白済よ!」
「ホッホッホ、これは心外ですな雲水様。
この閣両、生涯に渡って『化身』について調べ尽して参りました故、間違いなどありえませぬ。
『化身』は間違いなくこの街のどこかにおり、そして、近々必ず覚醒(めざ)めまする。
雲水様は、その時をただ待たれればよいのですじゃ……」
「……そうか。では、言うとおりただ待つことにしようか。
愚かなる人間どもよ……精々、今の内に短い人生を楽しんでおくがいい」
雲水は、これまでに無いほどその顔をどす黒く染め、続けた。
「そう、我々が『化身』を擁し、全世界を席巻するその日までな…………」
【筆頭の名は雲水 凶介と判明。白済 閣両が登場。】
-
>>377
雲水は強大な力を持つ始祖の化身を擁しその力を借りることで全世界を跪かせてみせよう、という腹。
(ただ、雲水しか知らぬ思惑があるのかもしれないし、もしかしたらないかも)
当然、カノッサの連中は全員それに同調しています。
ちなみにこいつらがそんな大それた計画を作ったのにはそれぞれの過去に原因があるの・・・かも。
とまぁ、全容と言ったって骨組みぐらいしかありませんけどね。
一から全てキッチリ作りこんでから始めたわけじゃないですから、
実はこの一ヶ月でおじゃんにした構想が二、三あったりもします。
イベントはどうしようか・・・
そもそもカノッサ側のPCが少ないんで、NPC戦意外の戦闘のイベントが起こり難いんですよね。
誰か名無しの方でまだ見ぬ四天王の一人くらいやってみませんか?
-
今更ながらもう少し戦闘できる能力にすればよかったとし後悔してる
いっそのこと後付け設定たっぷりして化身にでもしてみようかと思ってみたり
-
黒部夕護さんは居ますか?
-
>>383
はい、います、レス遅れてすみませんー
-
サブでカノッサを動かしてみたいですねー。四天王とはいかずともやられ役の中級キャラとか。
-
代理お願いします
PCの不調で一日遅れだが、まぁ一人だったからいいか
そして新しく設定を増やしてみました。
>>73
海部ヶ崎が敗れ、氷室が立ち去ってから約一分後。
血に伏した動かぬ人間と、砕けて破片となった刃が周囲に飛び散った、この殺伐とした空間に新たな人影が加わる。
「お、あれが回収対象か?」
「ん……そうなんじゃねーの?」
血に沈んだ体を見つめながら公園に進入する二人の男。
二人の容姿はどこにでも居そうな、ただの大学生であった。
片方の男が持っている大きなゴルフバッグ以外は。
「うぁ、マジで人が死んでらぁ。おっかねーの」
「んなこと言ってねーで、とっととバッグに死体入れろよ」
彼らは機関のためにこのように、戦闘のあとを隠すために派遣された人員である。
だがしかし、“彼らにその自覚は無い”。
機関の精神干渉系の異能力者によって作られた操り人形――通称『デバッガ』と呼ばれるが、もとは……いや今もただの一般人だ。
オーラを使えなく、戦闘もできない。そんなデバッガ達は雑務をさせられるために機関に利用されている。
主な仕事は、死体を片付けて血を適当に消し、周辺の戦闘の痕跡を抹消する。自覚無く。
仕事を終わったら、あとは適当に記憶を改竄されて自然にもとの生活に戻る。記憶無く。
あらかじめプログラムされた仕事を、その場に近いものが処理する。そういうシステムなのだ。
これは機関が今回の作戦を隠密に済ませるために講じた手の一つだ。
現在、この街には莫大な数のデバッガが存在し、知らず知らずのうちに機関に利用されている。
ただ、それだけ膨大な数の人間を操るため、デバッガ達の作業内容(手順、時間、確実さ)は本人の性格や思考回路に頼ることが多いのが、玉に瑕だ。
黒系の服を着た男が、周辺の刃を集め始め、白いTシャツを着た男が海部ヶ崎の体に近づいた。
「……うわ、こいつまだ生きてるよ」
「マジかよ」
彼らはどうやら、あまり良いデバッガではないらしく、早々に作業の手を止めた。
「こんなに血ぃ流してるのに?」
「いや、この血溜まりさ、薄く広く広がってるから、あんま出血してねーんだと思うよ」
「それにしても、頑丈だろ……で、どうするよ?」
ヤ
「そりゃー……殺っといた方がいいだろうよ」
「そうか」、と黒服の大学生はたった今回収したナイフを逆手に握り締め、一瞬の迷い無く振り下ろした……が、その手を何者かが掴んだ。
「おっと、女の子の柔肌にンナ事したら、アカンよー」
「んな!? なんだよ、お前!!」
二人の大学生達の横にいきなり見知らぬ男性が立っていた。
二カッとした張り付いたような笑顔に、どこの国のものか分からない奇妙な模様の付いた半纏を着た男が。
全身から醸し出している雰囲気は、まるで胡散臭さを凝縮したような感じだった。
黒服はすぐに、手を振りほどこうとしたが何故だか力が入らない。
いや、むしろどんどん弱まっていく感じだった。
ドサ、と黒服の青年はそのまま海部ヶ崎の様に倒れてしまった。
「おい、どうしたんだよ!!」
「まぁ、そう怯エンといてーな。痛いモンちゃうし」
白いTシャツの男が反応できない速度で、その頭は男に鷲掴みにされた。
「ほな、オヤスミな」
「あ……あぁああ…」
白いTシャツの男も黒服に続くように、その体は地面に崩れ落ちた
-
「さて、と。キサちゃんとの久々の再会がこんな大ピーンチな状況なのは残念やけど……」
見た目では中年に成りかけ始めた年齢といった半纏男は、年齢にそぐわず肌つやが無駄に良いその顔を海部ヶ崎の傷に近づけた。
「とりあえず、止血しとかんと、こりゃマジでヤバイわ」
出来るだけ揺らさないよう、その血だらけの体を仰向けにして、そのままお姫様抱っこでベンチに運んでいく。
「うつ伏せで倒れタンのが幸いやったな。ま、キサちゃんが頑丈だったから、この出血量で済ンダンやろうけど……」
ベンチにゆっくりと海部ヶ崎の体を下ろして、上着(大学生から剥ぎ取ったもの)を枕にした。
「さて、どんくらいオーラを送ればいいやろ? あんま多すぎても負担になるやろうし」
海部ヶ崎の負傷とは裏腹に、軽い感じに独り言を呟く半纏男。
彼がオペをするときの医者のように両手をあげると、そこにオーラが充実していく。
「んじゃ、こんくらいでいっか」と言い終わると同時に、その手を前に向けた。
触れても居ないその手から、徐々にオーラが海部ヶ崎の体に行き渡って行く。
行き渡ってから数十秒後、傷は塞がり、血の流れは外に漏れることは無くなった。
「止血はOKっと。もう少ししたら、目ぇ覚ますやろ」
歌うようにそう呟くと、彼はオーラを送るのをやめて目覚めのあいさつをどうするかを考え始めた。
【海部ヶ崎 綺咲:公園で半纏男から治療を受ける】
戦闘の後始末係は特殊部隊だと前回と被るんで、今回は街の人たちにしてもらいました
-
イベントするなら化身役を決めないと難しく無いかな?
設定を詳細にしたNPCでもいけるけど、どうするか早めに決めたいね。
後はカノッサ側の参加者が少ないのがネック、サブキャラで動かすのもありなのかな。
-
「──あぁ、さっきまで妙な娘と闘ってたところさ。
お前のスキャナーにも、南のACU-276地点で反応があっただろ?」
先程の公園からざっと1km東に位置する海に面した廃ビル──
そこの屋上で、海の潮風にその青い特徴的な髪をサラサラと靡かせながら、
一人ぶつぶつと呟く氷室の姿があった。
誰もいない屋上で、肩から出血した女性が、顔に変な機械をつけて独り言を呟く……
もし誰か見ている者がいたら、何とも薄気味悪い光景に見えることだろう。
しかし、周囲には誰もいないとはいえ、氷室は決して独り言を言っているわけではない。
「ああ、やたらでかい反応が二つな。その片方がお前だったのか?
フッ、まぁそんなところだろうとは思ったがな」
氷室の顔に装着されたスキャナーから少々斜に構えたようなクールな男の声が漏れる。
スキャナーについている通信機能を使い、会話していたのだ。
相手は当然同じカノッサの人間。それもただの構成員ではない。
『ディートハルト・アイエン(藍園)』──日本人とドイツ人の血を引く異能者であり、
『冥界の傀儡師(ハデスマリオネイター)』の異名をとる四天王の一人である。
「しかし、お前が闘っていたその娘は、一体何者だったんだ?
俺のスキャナーが故障していなければ、その数値は確かに2000を超えていた……
カノッサの戦闘員でもない小娘にしては異常に高い数値だ」
「妙なのは数値だけじゃない。あの娘はカノッサのことも、『無間刀』のことさえ知っていた」
「なんだと? 『無間刀』についてはカノッサでも上級以上の者でしか知りえぬことだ。
一体どこからどうやってそんな情報を……」
「さぁね。結局、正体もわからずじまいさ。
ただ、筆頭が言うには、少なくとも同じようなレベルの使い手はまだ他にもいるらしい。
ディー、お前も気をつけた方がいいんじゃないか? 油断するとその首、危ないかもね」
と氷室が鼻先で笑うと、一方のディートハルトも「ククク」と笑い声を漏らした。
「冗談を言うな。中級を圧倒できるレベルだろうが、所詮この俺の敵ではないさ。
そいつらもいずれそれを思い知るだろうぜ」
「相変わらず血の気が多い奴だな。ま、お前が張り切ってくれると私も楽ができるからいいけど」
「おっと、そろそろ通信を切るぞ。油を売ってるとまた筆頭に言われるからな。
とその前にだ、白済の爺さんから秘密裏に新たな命令が下ったそうだが、聞いたか?」
「何だって?」
「筆頭は思ったように戦果が出ぬ現状にお怒りのご様子。
事後処理はワシが受け持つ故、これまで以上に徹底的に、無差別にやることを許可する。
……だ、そうだ」 アイツ
「……フン、相変わらず雲水も気が短いね。子供の時と変わってな──」
突如、ドーンという爆音が響き渡る。
爆音の方向を見れば、東地区市街にある建物から赤い炎と黒煙がもうもうと立ち昇っている。
それは、カノッサが本格的な無差別殺戮に乗り出したことを示す、合図であった。
「……ククク、部下どもも発破をかけられてその気になったか。
化身を捕獲した頃には、この街は消えてなくなってるかもしれん。
こりゃあ爺さん、自分で言い出したこととはいえ、処理が大変だろうぜ。同情するねぇ。
お? 爆発に刺激を受けたか、早速あちこちで強い異能が発生し、動き出したようだぜ。
さぁーて、ゴキブリ狩りに行くとするか……!」
というディートハルトの嬉々とした声を残して、スキャナーは交信を終了した。
「……」
いつもの様にその表情に変化はない氷室だったが、
悲鳴と絶叫の入り混じる炎の色を映し出すその瞳は、どこかおぼろげに見えた。
【氷室 霞美:現在地、東地区に佇む廃ビルの屋上。】
【四天王の三人目の名は『ディートハルト・アイエン』と判明。カノッサの攻撃が一層苛烈になる】
-
機関ができたのって何年前?
-
ディートハルトはNPCですが、しばらくは私の方で動かしていきたいと思います。
絡んでいい方がいたらそちらへ向かわせます。
>>388
ありですよ。前回でも二役、三役やってた方はいましたし。
-
>>390
カノッサ結成は10年前です。
現在の四天王の四人で結成されました。
-
>>392
結構新しいんだな
とんくす
-
場面転換したいけれど、赤月さんを待った方がいいのだろうか
それよりまず、赤月さん居ます?
-
【プロフィール】
名前:ディートハルト・アイエン
性別:男
年齢:24
身長:179cm
体重:74kg
職業::「カノッサ」幹部・四天王の一人。
容姿:セミショートの銀髪に青い目。襟首が非情に長い黒皮の戦闘スーツに黒いブーツ姿。
能力:オーラを対象者に送り込むことで肉体と精神に干渉し操作することができる。
『デバッカ』なども彼の能力によって操作されたものである。
キャラ説明:秘密結社「カノッサ」結成当初からの古株メンバーの一人。
日本人の父とドイツ人の母から生まれ、父方の「藍園」の名字を名乗っている。
ニヒルで斜に構えたような性格で、どこかつかみどろこがない。
死体でさえ操れるということから、『冥界の傀儡師(ハデスマリオネイター)』と呼ばれている。
【パラメータ】
(本体)
筋 力:C
敏捷性:C
耐久力:C
成長性:N
(能力)
射 程:D〜S(技によって変動する)
破壊力:D(基本的にないが、技によっては殺傷性が付加される)
持続性:S
成長性:N
ディートハルトのプロフを投下しておきます。
-
>>394
三日過ぎたら居ないものと思って進めるべき
-
今まで化身が見つかってない理由、
『化身』本体のの自己防衛手段として、能力を持たない一般人を主人格にしているからである、
とかそういう設定どうだろう。
スカウターには記載されず、危機に陥れば化身が姿を現し身を護る、とか。
哀さんの人工化身はカノッサの探してる化身と一致するのかな?
-
申し訳ない。出れなくて困っていました。
えっ…出られる所が無い|電柱|´・ω・`)
海咲さん。とりあえず氷室さんに絡ませて貰います。
-
>>84
道を歩いていた怜は突然止まった。
「良い…匂いがする」
肉体が人間の枠を超えている怜は街中からする血の匂いの中からとても香ばしい血の匂いを嗅ぎ分けた。
「先程の奴らとは別格だね。でも…飲みたい」
突如怜は走り出す。屋根の上を匂いの強い方へ最短距離で跳ぶ。
街の周りで爆音が響く。だが彼には関係無い、此処は彼の住む場所では無いのだから。
前方を見れば屋根の上で黒服が拳銃を構えていた。無意識に自分のオーラの性質を元に戻していた様だ。
「そこの男、止まれ!」
黒服が喚く。止まる?馬鹿かこの男は。こんな良い匂いが眼と鼻の先にあるのに止まれる物か。
そう心の中で毒づくも怜は何もしない。
「チッ!」
男が銃を撃つが気にしない、怜には頼れる仲間が二人いる。
怜の頼れる仲間は己の主の期待通り働いた。
【シャドウ】と呼ばれた怜の影が黒服の背後に出現し円錐状に形を変え黒服の腹を貫いた。
【シャドウ・ブラッド】と呼ばれた赤い影の様なモノが怜へ迫る弾丸を全て弾く。
黒服が屋根から落ちていくのには眼をくれず怜は屋根を跳びながら再び自分のオーラを変質させオーラを隠す。
匂いの発生場所の詳しい探索には心配は無い。【シャドウ】が探している。
【シャドウ】達には指示を出している。
【シャドウ】は周りの探索と敵遭遇時は攻撃。新たに血の匂いの発生場所の特定の三つ
【シャドウ・ブラッド】は怜の影に扮し、怜を守り、怜の周囲に近づいた敵への攻撃の三つ。
近くの廃ビルに黒く細い柱が立った、【シャドウ】が血の発生場所らしき所を見つけたらしい。
怜は大きく跳躍すると黒い柱の隣へ降りた。
そこには肩を怪我した青髪の女性が居る。
「そこの人、少し良いかな?」
突如話しかけた怜を見て青髪の女性がほんの少し驚いていた。
「顔も可愛いね、パーフェクトだ。」
女性に近づきながら怜は呟いた。
「君の血を飲ませて欲しいんだ。」
普段通りの温和で和やかな表情で怜は言った。
【赤月怜:カノッサ中級戦闘員一人に勝利。その後氷室霞美に血を要求】
-
>>397
一致するか真の化身の噛ませになるかどちらかになる多分
つまり他に化身がでたら噛ませになり、でなかったらカノッサの求める化身になる
-
>>84
炎──それは氷室にとって呼水。
心の奥底に封印した、かつての記憶を呼び覚ます、呼水でしかない。
絶え間なく鳴り響く銃音、人々の悲鳴と絶叫、そして焼かれゆく──
「……クッ」
氷室は目頭を押さえ、肩を震わせながら脳裏に浮かぶ幻影を懸命に振り払う。
「久々に……きたか。ようやく克服できたと思ったんだが……」
目頭から指を離した時には、氷室は既に平常心を取り戻していた。
それまでにかかった時間はほんの数秒と言ったところだろうか。
しかしその間、スキャナーが一瞬だけ迫り来るオーラを感知していたことに、彼女は気がつかなかった。
「そこの人、少し良いかな?」
突然の背後からの声に、氷室はいつもの余裕の表情なく、驚いたように振り返った。
と、そこには、黒いワイシャツにジーンズを穿いた、若い男の姿。
「顔も可愛いね、パーフェクトだ。」
ナンパでもするかのような台詞を吐きながら近付いて来る男には、
依然としてスキャナーは何の反応も示さない。
だが、かといって一般人ではないのは明からである。
というのもこの廃ビル、老朽化のため途中で階段が崩れており、
屋上まで一般人では決して登ってくることができないからだ。
(異能者か……。しかし、スキャナーにまるで反応がないのはどういうことだ……?)
疑問を感じている氷室に男は和やかな表情のまま続けざまに言う。
「君の血を飲ませて欲しいんだ。」
「フッ……」
氷室は表情を変えずに鼻で笑って見せた。
果たして、ここで「はい、わかりました」という奴がいるだろうか?
力づくを前提にした要求以外の何物でもないだろう。
つまり、事実上の宣戦布告である。少なくとも氷室はそう解釈した。
「『お前を殺す』と、なぜストレートに言わない? 私は回りくどい奴が嫌いでね」
瞳孔が見る見る開いていき、目つきが一層の鋭さを増す。
遥か格下の相手ならばそれだけで威圧され畏縮してしまうところだろう。
だが、彼は違った。それは彼の実力がそこらの雑魚とは違うという証明である。
氷室はまた鼻で笑った。
私ら
「何だかカノッサと同じ臭いがするよ、お前。どうやら立場は違えど、生きてきた世界は似てるようだね。
だが、だからこそ、私らにとっては危険だ。──お前は殺すよ」
両の指から、鋭利な爪が形成された。
【氷室 霞美:闘いを開始する】
-
真の化身が居たら、カノッサと町の能力者の化身担ぎ上げ合戦みたいになって面白いかもしれんが。
ここからストーリーがどう動くのか、もうちょっと具体的に話し合ってても良いんじゃ無いか?
-
PCの調子が悪いので(主にバッテリーの調子が悪く)
しばらく書き込むのが遅いときが多くなると思いますので
-
参加希望なんですがどうすればいいですか?ウィキ見たけどよく分からん・・・
-
テンプレにあるプロフィールをここに投下すればおkっすよ
wikiには後で追加すればいいし
-
>>405
ありがとうございます!こんな感じですかね?
*プロフィール
名前:鳴神 御月(なるかみ みつき)
性別:男
年齢:21
身長:165cm
体重:52kg
職業:何でも屋(無職とも言う)
容姿:銀の腰まである長髪に碧と茶色のオッドアイ、つばの広いハット、黒のロングコートに白のYシャツ、黒のパンツを履いている。
能力:能力の続く限り無限に武器を生成できる。ただし構造が複雑なもの(銃器など)ほど生成に時間がかかる。 生成した武器は壊れるか自分の意思で解体するまで使える。自分の能力を込めて使用するため、弾丸などの消耗品は不要。
キャラ説明:普段は物静かで、感情をあまり表に出さない。基本的に自分から手は出さないが、売られた喧嘩は買う。また、満月の夜には原因不明の破壊衝動が起こり、性格が180度変わる。剣を好んで使用していることから、能力と相まって「無限騎士」と呼ばれたことがある。元は大学生だったが、留年したことを理由に中退し、何でも屋を始める。背が低いのと(170以上になりたかった)、よく女に間違われることがコンプレックス。
*パラメータ
(本体)
筋 力:B
敏捷性:A
耐久力:B
成長性:D
(能力)
射 程:D〜S(生成した武器による)
破壊力:D〜S(生成した武器による)
持続性:B
成長性:N
*戦歴
*技一覧
-
>>91
氷室の爪を見て、男も得物を取り出す。
いや、というよりは、氷室と同様創り出したと言った方が正しい。
突如として空中に現出したそれは、赤黒い何とも不気味な輝きを放っていた。
(刀……? オーラを具現化したか、あるいは大気中の物質を練ったものか……)
いずれにしても、わざわざ具現化した物体となれば、
何かしらの特殊な効力が付加されていると考えるのが妥当である。
(要は迂闊に近付くと危険──まずは様子を見るか)
氷室はじりじりと慎重に間合いを取りつつ、突き刺すような視線で男の動きを牽制する。
対する男も隙は見せず、ただじっと氷室の様子を窺う。
膠着状態に突入する典型的な流れである。
しかし、その均衡が崩れたのは、膠着状態に突入するかと思われた矢先のことだった。
男の姿がその場から消える。
いや、並の異能者であったならそう錯覚してもおかしくはない。
しかし、氷室の眼は男が高速で間合いを詰めつつ刀を振り下ろす姿を捉えていた。
瞬時に後方にステップを踏む氷室の胸元を、刃が紙一重でかすめる。
体ではなく空を切り裂いた刃は、その勢いのまま地面に直撃──
硬いコンクリートで固められた地面を木っ端微塵に粉砕した。
「一つ聞いておく。君の名前は?」
「知りたいなら、まず自分から名乗るのが礼儀というものだろ?
……まぁ、いいさ。私の名は氷室。カノッサと呼ばれる組織の者さ」
再び刀を構えた男に、氷室は目を細めながら答え、そして続けた。
「ハンマーで叩いたような破壊力、そして刃毀れ一つしないその強度。
やはりただの刀じゃないな。普通の刀とは強度も、恐らく“重さ”も違う──。
いくら私でも直撃したらただじゃ済まないだろう」
氷室は更に後方にステップし、先程よりも広く距離をとると、爪の形成された指をすっと男に向けた。
「直撃すれば──ね」
指先が鈍く発光──瞬間、全てを裂き、凍らせる恐怖の爪弾が放たれた。
それも無数に次々と、まるでマシンガンのように。
だが、爪弾だけで倒せるとはハナから思っていない氷室は、
もう片方の手に、密かに強力な冷気を集約させつつあった。
【氷室 霞美:遠隔戦に持ち込む】
-
>>406
>>1の前身スレのまとめwikiにもリンクは貼ってありますが、
現行スレのまとめwikiは>>320のやつです。
前身スレのまとめwikiにプロフを追加しても無意味なので、
今後、プロフの追加・編集などは現行のwikiでお願いします。
-
>>408
色々とありがとうございます!
-
街のあちらこちらで爆音が轟き、その度に真っ赤な炎と黒煙が天を汚す。
それらに誘われるかのように、とこからともなく現れた漆黒の皮を纏う狼達が、
炎と煙から逃げ惑う子羊達に群がり、容赦なくその牙を突き立てる。
「ひいいいい!」
「だ、誰か、誰か助けてくれーー!!」
人々の悲鳴と絶叫、ほとばしる鮮血、ゴミのように打ち捨てられる肉塊。
ここにはもはや戦いとは無縁の平和な都市の日常はない。
あるのは、さながら内戦の最前線にでも迷い込んだかのような、
ただ無差別に破壊と殺戮が繰り返される非日常の光景であった。
「警察だー! 誰か警察を……いや、軍隊を──ヒッ!?」
「無駄だ。この街は我々の手によって通信網が外部から隔絶されている。諦めろ」
狼達の頭目がニタリと笑い、逃げ惑う男の首目掛けて腕を一閃する。
瞬間、男の首から上はまるでミキサーにかけたようにズタズタに引き裂かれ、
真っ赤とも真っ黒もつかない血を噴き出しながら無残に四散した。
カノッサ
「もっとも、軍隊など所詮は凡人の集団。呼んだところで俺達の前ではどうすることもできんだろうがな。
──そぉら、手を緩めるな! 動いてる奴は全員殺せ! 無差別に、徹底的にとの命令だからな!
殺した分だけ化身に近づける、それを忘れるな!」
「オオオオッ!!」
頭目の、いや、ディートハルト・アイエンの咆哮に、黒尽くめの部下達が呼応する。
まるで枯れ木を薙ぎ倒すかの如く蹂躙される人々を見て、ディートハルトは一人ほくそ笑んだ。
「初めからこうしておけばよかったのさ。どっち道、無能者どもは淘汰される運命にあるのだからな。
そうだ、もっと血を流せ、もっと地獄を見ろ……かつて俺が味わった地獄をなぁ……!」
ピピピ!
「──ッ」
高揚にその顔をどす黒く染めかけて、ふとディートハルトの顔が神妙なものとなる。
装着するスキャナーが彼に代わって冷静に強い異能をキャッチしたのだ。
距離は近い。どうやら騒ぎを嗅ぎ付けた者が向かっているらしい。
「──フッ、この高ぶりを鎮めるには調度いい」
ディートハルトは燃え盛る炎を背にして、目標の反応に向かった。
【ディートハルト:黒部夕護のもとへ向かう】
-
ああ、ついに携帯も規制された。
>>410の代理投稿お願いします。
名前欄はディートハルト・アイエンで。
-
参加希望です。
*テンプレ
【プロフィール】
名前:ドヴェルド・マクドナルダ
性別:男
年齢:???
身長:195㎝
体重:80㎏
職業:カノッサ機関経営ファーストフードチェーン店マクドナルダGHO(最高幸福責任者)
容姿:骨のように白い肌に血のように紅いアフロと口紅を施したピエロのような男、黄色スーツに赤と白の縞模様の服、赤くて大きい靴。
能力:黒歴史ノートなどのキャラや設定、及び脳内設定などに込められた妄想力をオーラにして具現化させる能力。
キャラ説明:世界的に有名なマスコットキャラクター。世界中の言語を話せるらしい。
だがその裏で子供に夢を与える名目で異能者を増やすカノッサ機関の四天王の1人「マクドナルダの紅き死神」
その素性を知る者は少なく、カノッサ機関に敵対する異能者も生み出した事があるという噂もあり、一枚岩ではない様子。
また自店の商品より、何故か林檎を食べている所をよく目撃される。
普段戦う時は、どこからか取り出す分厚い巨大な辞典のようなノートから何か出してくる。
さらに肉弾戦においても、近づくオーラに無意識に身体が自然に動いちゃう体質を設定している。
ちなみにドヴェルドの異能値は
【パラメータ】※基本ランクは「S→別格 A→人外 B→逸脱 C→得意 D→普通(常人並) N→機能無し」の六つ。
(本体)
筋 力:C
敏捷性:B
耐久力:A
成長性:B
(能力)
射 程:A(S→50m以上 A→20数m B→10数m C→数m D→2m以下)
破壊力:?(能力の対人殺傷性)
持続性:?
成長性:C
もし四天王枠に入れちゃダメなら大幹部という事にします。ついでに良ければ化身にしてみたいとも思ってます。
-
完全にネタキャラやん
冷やかしで終わる気満々やろw
-
これって誰かに参加する時、絡まなきゃいけないんですかね?
-
誰かに絡んでもいいし
NPCと戦って能力とキャラを紹介、という手もある
好きなようにすればいいのさ
-
それより、今何人残ってますかね?
もしかしてカノッサ側は既に自分ひとり?
-
ちなみに阿合の人はまだいます
-
カノッサ側に>>412で出ようと思っていたのですが、ダメそうなのでこっちにしようと思います。
*プロフィール
名前:ダークフェニックス
性別:男
年齢:24
身長:175㎝
体重:60㎏
職業:傭兵
容姿:癖の強い黒髪、肌は小麦色、ゴーグルで隠れてどんな目をしているのか見えない。黒い鳥の紋章のついた黒いコートを羽織っている。
能力:炎
キャラ説明:カノッサに古くから雇われし傭兵。天涯孤独の身の上でコードネーム以外の人としての名は与えられていない。
身に付けているゴーグルがスキャナーの役割をしている。そこに隠された素顔を知る者は少ない。
そのオーラは感情に左右されやすく、戦闘時以外は極力あらゆる感情と共に抑えられている。
だが何故か氷室霞美と会う度に、オーラも抑えず、立場も弁えず何かと突っかかる。
*パラメータ
(本体)
筋 力:D
敏捷性:C
耐久力:A
成長性:A
(能力)
射 程:S
破壊力:A
持続性:C
成長性:B
-
――角鵜野市都心から東へ数キロ離れたとある港の端にある防波堤。
そこに一人の人間が座っていた。
ぱっと見は少女のように思える。堤防に座っているために地面に広がるほどの長い銀髪に整った顔立ち。
10人に聞けば10人が美少女と答えるような容姿。
しかしそれは当人にとって邪魔以外の何者でもなかった。
「ふぁ…眠…」
彼女、いや"彼"は手に持つ棒状のものを少し揺すって欠伸と共に呟いた。先端からは糸がたれて海中に消えている。
要するに――彼は釣りをしていた。しかし彼の横に置いてある水槽に魚の姿は見えない。
後方の街で現在起こっている事態を何となくはわかっているようだが、興味を見せるそぶりはない。実際あまり興味がないのだろう。
そんな彼に二人の男が近寄る。
「お嬢ちゃん、こんなところで何してるんだい?」
「…」
少年は答えない。というよりも聞いていない。
「おい、聞いてんのか?」
「…」
「おい!」
「…釣り」
少年は面倒くさそうに答える。
「あぁ!?んなモンは見りゃ分かんだよ!馬鹿にしてんのかテメェ!?」
「おい、落ち着け!」
「止めるな!!ブっ殺す!!」
止めようとする背の高い方の男を無視し、背の低い方の男が少年に掴みかかろうとする。
その刹那――男の首は胴体と離れていた。
意思をなくした男の体は、勢いをそのままに少年の体をすり抜けそのまま海に落ちる。首はその場に落ちた。
暫し呆然としていたもう一人の男が我に返る。
「き、貴様……今何をした!?」
男が拳銃を構える。
男の目には突然仲間の首が飛んだようにしか見えなかった。
少年は黙って釣りを続けている。
「こ、答えろ!今何をした!?」
男は怯えながらも再度叫ぶ。
「あ、釣れた」
少年の手には一匹の魚。
「〜〜〜〜〜〜ッ!!」
怒りと恐怖で精神が限界に達した男が震える手で発砲しようとする。
しかし男が発砲するより早く、男の喉に何かが刺さった。
薄れ行く意識の中、男が最後に見たものは、こちらに鋭い視線を向ける少年と自分の喉に刺さる、銀色に光るメスの柄だった。
「さて、次はあっちに行こうかな…」
少年は歩き出す。背後にあるものなど気にも留めず。一匹だけ釣れた魚を手に下げ、「何か」が起こっている街へ――
【鳴神 御月、下級戦闘員×2に勝利。角鵜野市に入り非戦闘中の人物いずれかに向かう】
-
代理の人ありがとうございます!何か規制されてたorz
-
今度は問題なしと見て参加させてもらいました。
何故かトリップ変わっちゃってますが、本編のダークフェニックスは私です。
-
>>新規の方々
これからよろしくお願いします。
-
>>92
少年は角鵜野市の中を歩いていた。
時折爆発のような音が聞こえ、黒煙が立ち上るのが視界に映る。
しかしさして気に留める事もなく、少年は歩き続ける。
「お腹、空いた…」
少年は空腹だった。
手に魚を持ってはいるが、調理する器具がない。
包丁なら自分で"生成"出来るのだが、切るだけでは意味がない。
せめてまな板ぐらいは欲しいものである。
どこか調理できそうな場所はないかと探していた時、ふと何かを見つけ立ち止まり帽子のつばを上に傾ける。
それはこちらに向かって歩いてくる三人の少年達の姿だった。
何か―恐らくは商売だろうと思われる―の気配を感じ取った少年は、三人に向かう。
港を出るときはまだ元気だった魚は、既に動かなくなっていた。
三人との距離が近づく。
眼鏡などの細かな違いはあるが、顔の造りが皆似ている。恐らくは兄弟か何かだろう。
そして三人の前まで歩いていき、かぶっていた帽子を取って声をかける。
「…何かお困りのことはありませんか?」
【鳴神 御月:虹色兄弟に接触】
-
>>422
よろしくおねがいします。
現在自分は待ちの姿勢でいますが、話が進められそうになければタイミング見計らってどこか絡みに行きます。
あと遠距離ビーム街中に撃ちまくってるので、この事生かしてなんか飛んできたよ危ねーな的に話転がしてくれても構いません。
-
>>102
「特に何も…あ、そうだ! 先日、謎の女性に襲われて…
その女性は…化身がどうとか言ってたんですけど、それについて何か知りませんか?」
「それとこの辺りって異能者が多いんですか?」
「ところで、貴方お腹が減ってるんじゃないですか?」
一気に質問され、頭の中で整理する
「最初の質問…。化身、という言葉はどこかで聞いたことがある。でも詳しくは知らない。ごめん…。
次の質問。異能者…かどうか分からないけど、さっき港で変な二人組に会った。
確かに、普通の人間じゃない気配、たくさん感じる…。
最後の質問。お腹、すごく減ってる…」
質問に答え、少年達に聞いてみる。
「あ、名前…。鳴神 御月。一応何でも屋やってる…。男、だよ?それで、ものは相談なんだけど…。
もし良かったら、雇ってくれないかな…?護衛から庭の手入れまで何でもやる…。あ、君達学生かな…?報酬は、ご飯食べさせてくれればいいから…。
無理なら、せめてまな板貸してくれる…?」
【鳴神 御月:虹色兄弟に依頼の話を持ちかける】
-
PCが完全に壊れて、旧型のPCで何とか書き込み
これからは三日ルールを守れるかと
あと、私の説明不足のせいなのですが『幾億の白刃』は八年前に失踪していますが
カノッサに殺されたのは二年前という設定ですので、wikiも書き換えときました
ダークフェニックスさんと鳴神さん、はじめまして。
これからよろしくお願いします
-
>>426
よろしくおねがいします。
初書き込みから3日経って、待っていても動きそうにないのでこちらからどこか向かいますねー。
どう見ても見本なあの子を引き立て役のNPCで終わらせるか、化身の伏線とかにするかは今後の展開次第
-
季節はいつなんだろう
前は確か2,3月ぐらいの冬だった気がするが、今回は初夏ぐらいかな
ジャージやタンクトップだけの奴もいるし
-
>>426、>>422
遅れてすいません。よろしくお願いします
-
黒部さんが来ないのでルールに従って勝手に進めさせてもらいました。
もし戦闘終了まで黒部さんが帰ってこない場合、
黒部夕護というキャラはNPC化して勝手に決着をつけさせてもらいますので悪しからず。
>>428
前回は三月でしたけど、今回はとりあえず六月の初めくらいをイメージしてます。
ちなみにそれに深い意味はありません。単純にスレ立て日が五月下旬だったんで。
-
ダーさんが暑苦しい格好なのは仕様です。
海部ヶ崎さん組に絡もうと思ってるのですが、なるべくスルーされないように書きたいので質問です。
キャンピングカーで走行中(というか今の状況で)空から知らない男が落ちてきたらどうしますか?
落ちてくる場所は車の前でも上でも自由です。
A、車を止める
B、車を出て駆けつける
C、そのまま轢くor止まらず避けて行く
D、その他
-
前に降りてきたら、一旦停止して(相手との距離によりますけど)
上に乗ってきたら、海部ヶ崎が能力使って上に行くかな
-
規制解除されてた。代理の人ありがとう!
-
ご回答ありがとうございます。
海部ヶ崎の能力でどうやって上に来るのかわからないので、前に落として車を止めさせました。
キャンピングカー破壊確定がまずければ、別の車と間違えてたとでも後付けでも構いません。
-
念の為に補足しておくと、キャンピングカーの前に落ちてきたのはダーさんじゃなくて鷲に掴まれていた男です。
-
初めて絡んだものの、結構状況動かしたので、反応ないとKYな書き込みだったかと思って焦ってしまうな…
明日で4日経つので、ルール注意です<海部ヶ崎さん
-
虹色さん、自分レス早いっすかね?もしそうなら言って頂ければ時間調整しますよ
-
そろそろ他のところも煮詰まってきた頃かと思いますので、
次で氷室とディートハルトの戦闘を一旦終了させて、
機関が阿合さんのところを襲撃するイベントに入りたいと思います。
-
虹色さん来ていないようなので、勝手に進めさせてもらいます
-
あと、しばらく受身になりそうなんで、どなたか絡んでくれるとありがたいです
-
アクセス規制食らったけど、バーサーカー黒部と引き合わせようと書いてみました。
よければ使ってください。
「命ある限り、カノッサ以外の異能者をとにかく殺せ…」
『命ある限り、カノッサ以外の異能者をとにかく殺せ』
頭の中に聞こえるその言葉に従ってとにかくカノッサ以外の異能者を探した。
そしてふらつく頭を抱えてオーラを発する異能者を見つける。
「何度も思い通りにはさせない…!」
そこで一つ疑問が生まれる。
そして気づく。これはこの指令(プログラム)の隙。
俺はカノッサかどうかの見極めなど付かない。聞いてみなければわからない。
だから頼む。カノッサでないなら答えないでくれ!
「…お前はカノッサか?」
指令を果たす為の行動に抗う事はできず、俺は鳴神御月に声をかけた。
【黒部夕護:鳴神御月と接触】
-
赤月さんが来られないので先に進めました。
そろそろもう一度くらい生存確認しておきますか?
>>441
私でよければ代理投稿いたしますが
-
ダーさんはいます。自分も規制くらったので代理お願いします。
角鵜野市南地区──ポイントBZZ-901。
俺を含め、集った者達の衣服はみんな黒を基調とするカラーで統一されている。
>>134
そこに現われた無数の黒服の男達の中で目立つ青髪のジャージ女。
あいつを見ていると俺の中のオーラが抑え切れない衝動に駆られる。
この夏のくそ暑い中、みんな黒い格好で統一を図っているというのに、あの女はやはり涼しい風貌で現れた。
みんなの上に立つ四天王という幹部の立場だから、自由にしていいとでも思っているのだったら大間違いだ。
上に立つ者ならばこそみんなの見本とならねばならない。
それを誰も咎めない。立場の関係を恐れてるのか力の関係を恐れてるのかは知らないが、貴様らが言えないのなら俺が言おう。
そう思って黒服達から氷室の方を向き直すと目が合った。…俺の方を見てたのか?
氷室はなにやら呟いて顔を背ける。
「なんだジャージ女…今俺を笑ったか――」
「おっと──お喋りはここまでのようだぜ」
氷室に近づいていったところでディートハルトが止めに入る。
その顎で差す先に四天王筆頭、雲水凶介がいた。俺と似たような黒いコートを着ている。
「…ジャージ女、あれが上に立つ者の正しい振る舞いだ。今後もカノッサにいるつもりなら心得ておけ」
【ダークフェニックス:雲水を見ながら氷室に今後格好を正すように言う】
-
まとめて対応しました。
-
また規制食らった…。代理お願いします。
>>135
「…お前はカノッサか?」
視界の外から声がした。
声のした方を見ると、190以上はあろうかという巨躯の男がこちらを見ていた。
どうやら自分に声をかけているらしい。
自分がカノッサかどうか聞いてきた、ということは2つの可能性が考えられる。
1つは、彼はカノッサの敵で、自分と共に戦ってくれる人間を探す、若しくはカノッサの人間を殲滅して回っている場合。
もう1つは、彼はカノッサの人間で、異能者狩りを行う部隊の人間である場合。
どちらも考えられる。痛む頭でどうするべきか考える。もうあまり時間がない。
――ククク…さぁ、どうする…?――
「じ、自分、は…」
頭痛は限界に達している。
――決められないようだな…では――
「カ、カノッサ、の…」
視界が歪み、頭の中が空白になる。
――交代の時間だ――
最後まで答えられず、意識を手放した。
「"我"がカノッサか、だと?――下らん」
問いかけてきた黒部夕護に対し、そう答えた。
【鳴神御月:????と人格交代。黒部夕護の問いを一蹴】
-
まだ書き込めません。
「"我"がカノッサか、だと?――下らん」
「そうか…下らん…か」
その一言で判断はついた。この異能者はカノッサではない。
ならば殺さなければならない。
『障壁』
自分を中心に鳴神を囲むように、半径10m程度の青みがかった壁を作り出す。
本来は自分を外側から自分や護衛者を護る為の技。
しかし相手を殺す事を重点に置く今の彼にとっての使い道は、相手を逃がさないように閉じ込める為の壁である。
「これで逃げる事は敵わない。殺されてもらおう」
一定ダメージを受ければ壁は壊れるものの、それに手間をかけようとすれば隙ができる。
逃げようとも、突っ込んでこようとも、『衝打』を叩き込みお前を殺す。
【黒部夕護:自分と鳴神御月を『障壁』で閉じ込める】
-
阿合さんが来られないようでしたら、
阿合とその父はNPC化して勝手に動かすことにします。
ダークフェニックスさんもそうして下さい。
>>446
書き込んできます
-
>>139
「そうか…下らん…か」
眼前の男はそう呟き、周囲に青みがかった壁を作り出した。
(本来この手の能力は対象の守護に使うものだが…。どうやら今は我を逃がさぬ為に張ったらしいな)
(とすると、先の御月の考察は後者、と言う事になるな。まぁいい、少し遊んでやるか…ん?)
ふとあることに気付く。どうも相手の動きに違和感を感じた。
(もしや…ククッ、そういうことか)
「これで逃げる事は敵わない。殺されてもらおう」
男はそう口にする。
「逃げる?馬鹿を言うでない。何故我が貴様の様な、それも"誰かに操られるような"雑魚相手に逃げなくてはならないのだ?
それに、人の事をとやかく言う前に前に自分の心配をしたらどうだ?」
男は気付いていないようだが、男の背後、さらに正確に言うなら首のすぐ後ろと頭上にメスが数本浮いていた。
さらに自分の背後に手を向け、力を集中させる。無論、視線は相手に向けたまま。
(この手の障壁は過剰な力を加えれば壊れるはず。向こうも分かっているはずだがな)
「フフッ…さぁどうする?」
【????:黒部夕護にメスを突きつけ、『障壁』の破壊を試みる】
-
>>138
「ダークフェニックス、先陣はお前に任せる。これより上級以下の部下どもを率いて乗り込め。
歯向かう奴がいたら殺して構わん。ただし、化身を発見したら直ちに報せろ、よいな?」
筆頭は直接俺に任務を言い渡す。わざわざ了承の確認を取らずとも、俺は言い渡された任務は黙って遂行する。
たとえその任務がどれほど理不尽でも、何の意義を見出す事ができないものでもだ。
カノッサがそういう組織である事は昔からわかっている。わかっていてついていっているのだ。
「……」
『乗り込め』か。化身を探すなら建物ごと破壊してしまえば早そうなのだが、化身が消し飛ぶ恐れがあるのか?
もしその程度の奴なら、俺には化身かどうかの判別などつきそうもないんだがな…まあ他の奴に判断させればいいだろう。スキャナーの通信機能も壊れているしな。
「…四方向から突入する。1個小隊下級20人中級10人上級3人の計33人で3個小隊を編成、残りの下級18人、中級11人、上級3人は俺に付け。
俺の隊が正面、3個小隊はそれぞれ裏口、屋上、地下から突入する。各自能力に合わせて迅速に分かれろ」
この場に集った部下達を、力の配分を考えて均等に分ける。
人数の関係上、下級の代わりに中級上級がいる分、俺の隊は若干他より強くなっているが、ゆえに正面という最も狙われやすい場所を選んだ。
「各小隊、指定位置での待機完了との報告です」
俺は報告を受け取ると、その報告者からスキャナー受け取って無線のように口元に持ってくる。
それから懐からは銃を取り出し、空に向けて高く上げる。
「ではこれより突入する。化身の発見は四天王に報告、その他のトラブルがあれば俺の隊に報告、以上だ」
バンッ
俺は引き金を引いて空砲を鳴り響かせる。突入の合図だ。
【ダークフェニックス:部下達と共に正面、裏口、屋上、地下の四方向からアソナ本拠地に突入】
-
さて、また私も規制・・・。
代理はここではなくて専用スレに頼んだ方がいいかもしれません。
-
アソナの本拠地――
正面出入り口より突入したダークフェニックス率いる小隊は、防衛システムと戦っていた。
メインルームのモニター映像は天井や壁に設置された機関銃が無数のレーザー光弾を照射し、戦闘員を次々と倒していく様をとらえていた。
次々とレーザーに撃たれてバタバタと倒れていく下級戦闘員達。
「…え?」
中級以上の異能者は皆レーザーを避けて、機関銃を破壊している状況である。
だが、その中で他の下級戦闘員と同じように、レーザーに撃たれて床に仰向けに倒れている異能者がいた。
それが彼、ダークフェニックスだった。
「……お前達は先に行け」
「…了解」
様々な疑念や思惑はあっただろう。
それでも統一されたカノッサの隊は彼の命に黙って従い、そのまま先へと進んだ。
バタリ
そしてレーザーで体中を撃ち抜かれ、内臓の至る所が穴だらけとなった俺は、失血と呼吸困難で死んだ。
【ダークフェニックス、下級戦闘員18人死亡】
-
ダークフェニックスさんは死亡退場でしょうか?
それとも黄泉返りを予定しているんでしょうか?
仮に前者だとまさか残ってるの私と鳴神さんだけ?
-
蘇り予定です
-
今残ってるのって氷室さん(達)とダークフェニックスさんだけでしょうか?
黒部さんとの戦闘は勝手に進めちゃっていいのかな?
-
ふざけて書かれたんだとは思うけど、せっかくだからゾンビネタを拾ってみました。
>>143-144
グヘヘヘヘヘヘヘ、アバババババ、ゾンビだぜぇーーーーーーーーーーー
死の寸前、俺は何かが憑いたように狂った言動を取った。
…いや、今日死ぬのはこれで2度目だ。何かに憑かれてもおかしくはないだろう。
――だが目覚めて理解した。
目の前には俺と共にレーザーで撃ち殺された下級戦闘員がゾンビと化していた。
初めはディートハルトが仕込みを入れていたのかと思った。
だがこの様子は見覚えがある。
かつてカノッサの中で行われていた下級戦闘員の強化、不死の実験。
その実験でゾンビとなった下級戦闘員は中級と張り合えるほどの肉体に強化する事に成功したが、
彼らは知性を無くし、忠実な戦闘員としては使い物にならない為、実験は中断された。
天井や壁にある壊された機関銃を見る。…まさかあのレーザーがその放射線だったのか?
ゾンビとなって蘇った下級戦闘員達は穴だらけの身体で、奇声を上げている。
俺もああなっていたかと思うとゾッとするな。
『いまのはオーラが使える者だったら訓練次第で誰でも出来る単なる歩法や』
あの男の言葉を思い出す。俺以外の異能者は皆レーザーを避けていった。
レーザーを食らった俺の身体中にあった穴は、目覚めた時から焼き塞がれている。
どうやら俺は、実際にこの体質に頼り切って訓練を怠っていたようだな。
今後もあまり死に続けるようでは、身体は無事でも、精神を別の奴に乗っ取られかねない。
地獄の奴らから見れば、この身体はそれだけ価値のあるものだからな…
ガッ
その身体を風穴の開いた手の触れられた。
その手は爪を立てて俺の血を搾り出そうとしている様子だった。
「……離せ」
爪を立てるゾンビは言う事を聞かない。…いや、声も聞こえていない様子だ。
振りほどこうとするが、ゾンビの力は並みの腕力の俺では振りほどく事はできない。
ならば仕方が無い。
「『歯向かう奴がいたら殺して構わん』この任務における筆頭の言葉だ」
ボッ
俺に爪を立てていたゾンビは炎に包まれ燃えていく。
当然俺にも飛び火は来るが、俺の身体は燃えない。その怒りのオーラは怒りの対象のみを焼き尽くす。
間もなくゾンビは焼き崩れた。跡形も無く焼き尽くせばゾンビも蘇る事はない。
「先に地獄で待っていな…ラ・ヨダソウ・スティアーナ」
ラ・ヨダソウ・スティアーナ…俺が傭兵時代から使われていた別れの言葉だ。
そこに込められた意味は知らないが、仲間を手にかける時、俺は今でもこの言葉を使う。
だがその余韻に浸る間もなく、様子に気づいたゾンビ達が次々に俺に襲い掛かってきた。
「なんでカノッサの実験の産物がこんな所にあるんだろうな…」
ゴオッ
まとまったゾンビ達は俺の怒りの炎で一掃された。
【ダークフェニックス:ゾンビとなった下級戦闘員達を焼殺】
-
代理投稿お願いします。
ピッピッ──スキャナーが順調に時間を刻んでいく。
建物から聞こえてくる悲鳴と銃声、爆発音に耳を傾けているだけで、
はや10分が経過しようとしていた。
「相手が100人や1000人いるわけでもあるまいに……何手間取ってやがる」
苛立つように地面から小石を拾っては次々に握りつぶしていくディートハルト。
氷室は彼ほど気が短くはなかったが、「手間取っている」ということに関しては、
彼女も内心、気にはなっていたことであった。
「筆頭。そろそろ相手が何者か教えてくれたっていいんじゃないか?」
「……」
流し目をして訪ねる氷室に、雲水はただ同じように横目で返すだけで、答えようとしない。
氷室の経験上、これは見当もつかず答えられない、という意思表示ではなく、
見当はついているが、何か理由があって答えたくない、といったものだろう。
「スキャナーさえ通さないあの建物……明らかにカノッサを意識して造られてる。
見当くらいはついてるんだろ? どうせ隠したっていずれバレるんだ、教えなよ」
引き下がらない氷室に観念したか、やがて雲水はその重い口を開いた。
「恐らく、化身を匿ってるのは『アソナ』とかいう元・カノッサの構成員で作られた組織だ。
人数にして10名足らずらしいが、随分前からこの街で活動しているらしい」
「裏切り者どもの集団かよ?
なるほど、それなら確かに化身の存在を嗅ぎ付けていてもおかしくねェな。
……だけどよ、裏切り者は機密保持の為に真っ先に消されるはずだろう?
他でもない筆頭、あんたお抱えの『暗殺部隊』にな」
訝るような視線を投げかけてディートハルトが言う。
雲水が抱えている部隊には諜報部隊をはじめいくつか存在する。
その内の一つに、裏切り者を抹殺する為だけに組織された暗殺部隊がある。
任務が暗殺という失敗が許されないこの部隊は、上級以上の選りすぐりの武闘派で構成される。
故に一度目をつけられれば、まず助かる者はいないと言われている。
実際にそれが彼らの信頼にも繋がっていたし、同時に離反者の続出にも歯止めをかけていた。
それが影で離反者を多く取り逃がしていたとなれば、不審に感じるのは当然である。
「……以前、差し向けた暗殺部隊が全滅した、ということがあっただろう?」
雲水の言葉に二人は記憶を辿った。
そして思い出したのが遡ること二年前──あの『幾億の白刃』との闘いである。
あの闘いは四天王全員が乗り出すことになった過去例にないものだったが、
そもそもそうなった原因は、まず差し向けた当時の暗殺部隊が全滅したからなのだ。
少なくとも雲水も氷室もディートハルトも、そう報告を受けていた。
ここで氷室は雲水が何を言わんとしているのか気がついた。
「まさか……全滅というのは虚報? 暗殺部隊そのものが裏切っていた……?」
氷室も、流石のディートハルトも、これには驚きを隠せなかった。
だが、こう考えれば雲水が珍しく答え難そうにしていたのも、
アソナというありえない裏切り者集団が存在するのも、全て合点がいくのである。
インフィニットセイバー
「あの『幾億の白刃』との闘いで何を知り、裏切りと至ったのは今となっては定かではない。
だが、いずれにしろ奴らはここで裏切りの報いを受ける……それだけは確かだ」
-
部下から初めて報告が入ったのは、そんなやり取りから更に10分後のことだった。
いや──報告と言うよりは、戦闘員の悲愴な実況とでも言った方がいいだろうか。
「こちら第3小隊!
敵の9名までは始末しましたが、と……突然現れた少女に、戦闘員が次々と塵にされて……
こ、こんな光景は初めてです! とにかく異常な──ヒィッ!? ぎゃああああああああ!!」
「こちら第4小隊! こちら第4小隊! 化身と思われし少女が恐るべきスピードで──
ヒッ、こっちへ来たぁぁぁーーー!! 助けてくれェぇええええええッ!!」
──ブチ。
氷室は、耳を劈くような悲鳴の連続に、たまらずスキャナーの電源を落とした。
「……私の鼓膜を破る気かい。……そろそろ私達も出番かな?」
と雲水に目を向けると、彼は無言ながら「ああ」と言うように建物に向かって歩を進めた。
「いよいよか」と笑うディートハルトが直ぐ後に続き、少し遅れて氷室も続く。
彼らの表情に恐怖は微塵もない。あるのは、余裕からくる平然とした表情だけであった。
──アソナ本拠地三階──
「ぎゃあああああああ!!」
腹を強引に引き裂かれて、戦闘員がまた一人、血を噴き出して絶命する。
その返り血を浴びながら、少女は無機質な眼差しのまま、ただ新たな獲物を見据える。
「…………」
感情の無い、機械のような目。
彼女が、ほんの数時間前に父親との再会に感極まり涙した少女、
阿合 哀であることなど果たして誰が信じるだろうか?
「な、なんてことだ……」
娘の戦いぶりを物陰から見つめる父親、昭の顔は恐怖に引きつっていた。
始祖の血によって人工化身としたまではよかった。
しかし、彼の誤算は、眠りから覚めた娘が正に化身の力を持つ殺人マシーンと化していたことだった。
「まさか、始祖の血が人格にまで影響を及ぼすとは……完全に誤算だ……。
私には……いや、例え誰であっても、哀は制御できない……!!」
今の昭にできることといえば、ただ後悔の念に頭を抱えるだけであった……。
【阿合 哀:人工化身(戦闘マシーン化)し、カノッサの戦闘員を次々と葬っていく。
オーラの絶対量増大・本体、能力のパラメータ全てA以上にアップするが、その代わり理性を失う】
【アソナの構成員は昭を残して死亡】
-
>>454
黒部との戦闘は勝手に進めていいと思いますよ。
現状あのキャラはNPCですし。
-
「――!?」
黒部は驚いていた。御月の行動の速さにも驚いたが、それ以上に驚いたことがある。
「何故、私が操られていると分かった?」
「簡単なことだ。貴様の表情と行動に違和感を感じたのでな。どうも自分の意志で
動かせているわけではなさそうだったからな――む」
黒部の質問に答えていたが、遠くの方で戦闘、そして人が死んでゆく気配を感じた。
それも大量に。そして更に別の気配も。
「この気配は…。ふむ。どうやら貴様と遊んでやる暇はなくなったようだ。悪いが少し眠ってもらうぞ」
そう言って黒部に向かって走り出す。
「何?それは出来ない相談…ッ!?」
向かってくる御月に対し、『衝打』を叩き込もうとした黒部は顔を歪ませた。
腕が、いや全身が動かない。
「貴様、何を…!」
「悪いな。貴様の神経を一時的に麻痺させた。こいつでな」
そういって御月は左手に細い鍼を作り出して見せた。
「く、メスは囮だったのか…!」
動けない黒部の側頭部に、右手に作り出した剣の柄を叩きつける。
「ぐっ…」
まともに食らった黒部は吹っ飛び、『障壁』に激突して地面に落ちた。
「そこでしばらく寝ていろ。朝になれば動けるだろう」
御月はそう言いながらも走る速度を落とさず、剣を構えて『障壁』に突っ込む。
「フッ―!」
気合と共に剣に能力を込めて一閃。『障壁』を粉砕、そのまま走り去っていった。
【鳴神御月:黒部夕護に勝利。アソナの本拠地へ向かう】
-
>>147
「まさか、始祖の血が人格にまで影響を及ぼすとは……完全に誤算だ……。
私には……いや、例え誰であっても、哀は制御できない……!!」
「何が誤算だ…白々しいな、阿合昭」
人工化身が戦闘員達と戦ってる物陰で、遅れてきた俺は頭を抱えている見覚えのある面を発見する。
機関の裏切り者の1人、阿合昭。
「俺の記憶では、貴様は予知夢を見る能力があるはずだ。
無かったとしても強力な異能、それも始祖の血など取り入れて人格になんの影響も与えないわけがない事ぐらい予測できる。
そんな事もわからないレベルならジャージ女の占い(笑)の方がまだ当てになるぜ」
先程葬ったゾンビ達がその例だ。あいつらは異能者じゃなかったが、あのレーザーと始祖の血では力の上昇は比較にならないだろう。
この女が異能者だったとしても正気でいられるわけがない。
「貴様はわかっていたんだろう?今日この日、カノッサに自分が裏切りの報いを受ける事を。
そして我が身を護る為に、実の娘を殺人兵器にした。我々を抹殺する為にな。
誤算だったのは貴様がこの日、死ぬ運命が変わらない事だろう?」
俺は阿合昭を指差す。その先に破壊のオーラが集中している事はこの男が異能者ならわかるだろう。
「その女は貴様を護りはしない。わかるな?今貴様の運命を左右するのは俺の意思1つだ」
人工化身と戦闘員達の戦いを背景に、俺は裏切り者を追い詰める。
「だが俺はこの任務で『歯向かう奴がいたら殺して構わん』と言われているが、貴様ら敵の殲滅を命じられてるわけではない。
貴様がこれから俺の要求に歯向かわなければ、この場から生かして逃がしてやろう。
もちろん他のカノッサの連中からもな。そろそろ四天王の連中も動く頃だから決断は早めに頼むぜ」
今からこの言葉を信用できるか裏付ける予知夢を見ている時間などない。
この時点で俺は嘘を言っているつもりはないが未来は確かではない。
"今"の俺の意思がどうでも、この要求はそれを約束させないものである事はこの男にもわかるだろう。
だがこの男が自分の命を第一に考えるなら選択肢はない。
「要求は1つだ。俺に始祖の血をよこせ」
【ダークフェニックス:阿合昭に始祖の血を要求】
-
>>149
「何が誤算だ…白々しいな、阿合昭」
背後からの突然の声に、昭は驚き、そして振り返った。
「──ッ! お前は……」
そこには素顔を覆い隠すゴーグルと小麦色の肌が特徴的な見覚えのある男が立っていた。
昭の記憶に間違いがなければ、その男の名は「ダークフェニックス」。
カノッサの中で四天王に次ぐ実力を持つ異能者である。
「俺の記憶では、貴様は予知夢を見る能力があるはずだ。
無かったとしても強力な異能、それも始祖の血など取り入れて人格になんの影響も与えないわけがない事ぐらい予測できる。
そんな事もわからないレベルならジャージ女の占い(笑)の方がまだ当てになるぜ。
貴様はわかっていたんだろう?今日この日、カノッサに自分が裏切りの報いを受ける事を。
そして我が身を護る為に、実の娘を殺人兵器にした。我々を抹殺する為にな。
誤算だったのは貴様がこの日、死ぬ運命が変わらない事だろう?」
すっと哀を指差すダークフェニックス。
その指先からは強力なオーラが集まっていることは、昭にもわかっていた。
「その女は貴様を護りはしない。わかるな?今貴様の運命を左右するのは俺の意思1つだ」
「……私に何をさせようというのだ?」
その問いに、ダークフェニックスは小さく笑って、答えた。
「要求は1つだ。俺に始祖の血をよこせ」
「……フッ、フフフフ……。始祖の血か……そんなものを手に入れてどうする気だ?
まさか自ら化身となるつもりか? ……だとするなら無駄だと言っておこう。
娘が人工化身となれたのは、生まれつき始祖の血に対する抵抗力を持っていたからだ。
他の人間が真似したところで一秒と持たず肉体ごと塵と化すのが関の山だ」
途端に嘲るような顔でダークフェニックスを睨め回す昭は更に言葉を続ける。
「そしてお前は誤解している。私は我が身可愛さの為だけに行動はしない。
でなければ常に付き纏う死のリスクを背負ってまでお前達を裏切ったりはしなかった。
能力である予知にしても、実際は精神が戦闘時における一種の興奮状態にある時のみ自動で発動し、
脳裏に数秒先の未来が過ぎる程度のもので、お前が考えているほど神がかり的なものではない。
遠い先の未来を読むことができたならば、失敗すると判っている人工化身計画など推進しなかった。
フッ……もっとも、始祖の血の影響を事前に予想できなかった以上、
私はお前の言うような利己的な人間と過小評価されても致し方のないことだがな……」
今度は昭は目だけを、今も尚、一方的な虐殺を続ける哀に向ける。
「娘には敵も味方も関係ない。今や無間に溢れ出すパワーと闘争本能しか持たぬ獣だ。
父親である私を見ても、今の彼女は迷うことなくその牙を突き立てるだろう。
それも娘の運命を狂わせた報いとして甘んじて受けねばなるまい。
……しかし」
目をゆっくりとダークフェニックスへと戻した昭は不気味に笑った。
「私の誤算は同時にお前らにとっての誤算だ。もはやお前達でもどうすることもできまい。
化身を弄ぼうとした報いを受けて、その淡い野望と共に潰えるがいい……フフフフ」
「──さて、それはどうかな?」
低い、それでいて澄んだ声が、ダークフェニックスの遥か後ろから木霊した。
|
|
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板