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二つ名を持つ異能者になって戦うスレ避難所5

461 ◆ICEMANvW8c:2010/08/10(火) 17:54:28
>>149
「何が誤算だ…白々しいな、阿合昭」
背後からの突然の声に、昭は驚き、そして振り返った。
「──ッ! お前は……」
そこには素顔を覆い隠すゴーグルと小麦色の肌が特徴的な見覚えのある男が立っていた。
昭の記憶に間違いがなければ、その男の名は「ダークフェニックス」。
カノッサの中で四天王に次ぐ実力を持つ異能者である。

「俺の記憶では、貴様は予知夢を見る能力があるはずだ。
 無かったとしても強力な異能、それも始祖の血など取り入れて人格になんの影響も与えないわけがない事ぐらい予測できる。
 そんな事もわからないレベルならジャージ女の占い(笑)の方がまだ当てになるぜ。

 貴様はわかっていたんだろう?今日この日、カノッサに自分が裏切りの報いを受ける事を。
 そして我が身を護る為に、実の娘を殺人兵器にした。我々を抹殺する為にな。
 誤算だったのは貴様がこの日、死ぬ運命が変わらない事だろう?」

すっと哀を指差すダークフェニックス。
その指先からは強力なオーラが集まっていることは、昭にもわかっていた。
「その女は貴様を護りはしない。わかるな?今貴様の運命を左右するのは俺の意思1つだ」
「……私に何をさせようというのだ?」
その問いに、ダークフェニックスは小さく笑って、答えた。
「要求は1つだ。俺に始祖の血をよこせ」

「……フッ、フフフフ……。始祖の血か……そんなものを手に入れてどうする気だ?
 まさか自ら化身となるつもりか? ……だとするなら無駄だと言っておこう。
 娘が人工化身となれたのは、生まれつき始祖の血に対する抵抗力を持っていたからだ。
 他の人間が真似したところで一秒と持たず肉体ごと塵と化すのが関の山だ」

途端に嘲るような顔でダークフェニックスを睨め回す昭は更に言葉を続ける。

「そしてお前は誤解している。私は我が身可愛さの為だけに行動はしない。
 でなければ常に付き纏う死のリスクを背負ってまでお前達を裏切ったりはしなかった。
 能力である予知にしても、実際は精神が戦闘時における一種の興奮状態にある時のみ自動で発動し、
 脳裏に数秒先の未来が過ぎる程度のもので、お前が考えているほど神がかり的なものではない。
 遠い先の未来を読むことができたならば、失敗すると判っている人工化身計画など推進しなかった。

 フッ……もっとも、始祖の血の影響を事前に予想できなかった以上、
 私はお前の言うような利己的な人間と過小評価されても致し方のないことだがな……」

今度は昭は目だけを、今も尚、一方的な虐殺を続ける哀に向ける。

「娘には敵も味方も関係ない。今や無間に溢れ出すパワーと闘争本能しか持たぬ獣だ。
 父親である私を見ても、今の彼女は迷うことなくその牙を突き立てるだろう。
 それも娘の運命を狂わせた報いとして甘んじて受けねばなるまい。
 ……しかし」

目をゆっくりとダークフェニックスへと戻した昭は不気味に笑った。

「私の誤算は同時にお前らにとっての誤算だ。もはやお前達でもどうすることもできまい。
 化身を弄ぼうとした報いを受けて、その淡い野望と共に潰えるがいい……フフフフ」

「──さて、それはどうかな?」
低い、それでいて澄んだ声が、ダークフェニックスの遥か後ろから木霊した。




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