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二つ名を持つ異能者になって戦うスレ避難所5
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>>72
氷室の指先から次々と冷気の爪が放たれる。
女性は手にした二刀の刃で弾いていくが、
高速で際限なく繰り出されるそれをこの先全て防ぐことなどできるものではない。
「なら、前に進むしか……無い!!」
当の彼女もそれは解っていたのだろう。
彼女は意を決したように、ほぼ無防備となって弾幕の中に向かっていった。
敢えて自らを傷付ける攻撃に打って出る、それは一か八かの賭けには違いない。
しかしながら、この局面では最善の策であろうことにまた違いはないのだ。
氷室もそれは解っていた。
「そう、一縷の望みにすがりたいなら、それしかないだろうね」
氷室が下げていた右腕を起こす。
その指先に形成されていた爪は、まるで彼女の挑戦を待っていたかのように
より一層鋭利なものへと変貌しており、鈍い冷気の輝き放っていた。
「──けど、その希望も今引き裂かれる。体ごとね──ッ」
氷室が地面を蹴り、地面をかすめながら女性目掛けて猛烈な勢いで跳ぶ。
そして二人の体が交錯した瞬間、希望を引き裂く爪が、空気を切り裂く刃が同時に繰り出された。
──斬撃の衝突音が辺りに鳴り響く──。
その中、二人は互いに背を向け静かに着地した。
「まさか、私に一度ならず二度までも傷をつけるとは……」
言いながら、後ろを振り返った氷室の右肩から、ブシュッと血しぶきがあがる。
一瞬、顔を苦痛に歪めるが、氷室はすぐにニヤリと笑って見せた。
「せめて、その肩の傷がナイフのものなら……」
女性が血を噴き出して倒れ込む。
彼女は手にしていたナイフを砕かれ、脇腹に致命傷を受けていたのだ。
「そのナイフ……ただのナイフじゃなかったんだろ?
妙に自信を持って繰り出してきたように見えたからね。破壊させてもらったよ。
もっとも、そのお陰でもう一方の刀で肩を斬られたけど……
あの一瞬に生まれた隙を見逃さないなんて、やっぱり大した腕だよ、あんた」
氷室は死にゆく強敵への手向けというように賞賛の言葉を口にした。
しかし、既に気を失っているのか、女性には反応がない。
スキャナーも急速に彼女の異能値が落ちていくのを計測していた。
これは、もはや放っておいても数分後には完全に死に至る、そんな絶望的な瀕死の状態を示しているのだ。
(それにしても……この娘、一体何者だったのか。
我々の存在を知り、しかもあの刀のことまで知っていた……とてもただの異能者とは思えない。
……まぁ、何者であろうともはや終わったこと。どうでもいいこと、か……)
氷室は死を待つばかりの女性を一瞥して、公園から立ち去った。
「……さぁ、次は何者が相手かな」
【氷室 霞美:海部ヶ崎が死んだと思い、公園から去る。現時刻PM12:00】
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