したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

二つ名を持つ異能者になって戦うスレ避難所5

456 ◆ICEMANvW8c:2010/08/08(日) 21:01:58
代理投稿お願いします。

ピッピッ──スキャナーが順調に時間を刻んでいく。
建物から聞こえてくる悲鳴と銃声、爆発音に耳を傾けているだけで、
はや10分が経過しようとしていた。

「相手が100人や1000人いるわけでもあるまいに……何手間取ってやがる」
苛立つように地面から小石を拾っては次々に握りつぶしていくディートハルト。
氷室は彼ほど気が短くはなかったが、「手間取っている」ということに関しては、
彼女も内心、気にはなっていたことであった。
「筆頭。そろそろ相手が何者か教えてくれたっていいんじゃないか?」
「……」
流し目をして訪ねる氷室に、雲水はただ同じように横目で返すだけで、答えようとしない。
氷室の経験上、これは見当もつかず答えられない、という意思表示ではなく、
見当はついているが、何か理由があって答えたくない、といったものだろう。
「スキャナーさえ通さないあの建物……明らかにカノッサを意識して造られてる。
 見当くらいはついてるんだろ? どうせ隠したっていずれバレるんだ、教えなよ」
引き下がらない氷室に観念したか、やがて雲水はその重い口を開いた。
「恐らく、化身を匿ってるのは『アソナ』とかいう元・カノッサの構成員で作られた組織だ。
 人数にして10名足らずらしいが、随分前からこの街で活動しているらしい」

「裏切り者どもの集団かよ?
 なるほど、それなら確かに化身の存在を嗅ぎ付けていてもおかしくねェな。
 ……だけどよ、裏切り者は機密保持の為に真っ先に消されるはずだろう?
 他でもない筆頭、あんたお抱えの『暗殺部隊』にな」

訝るような視線を投げかけてディートハルトが言う。
雲水が抱えている部隊には諜報部隊をはじめいくつか存在する。
その内の一つに、裏切り者を抹殺する為だけに組織された暗殺部隊がある。
任務が暗殺という失敗が許されないこの部隊は、上級以上の選りすぐりの武闘派で構成される。
故に一度目をつけられれば、まず助かる者はいないと言われている。
実際にそれが彼らの信頼にも繋がっていたし、同時に離反者の続出にも歯止めをかけていた。
それが影で離反者を多く取り逃がしていたとなれば、不審に感じるのは当然である。

「……以前、差し向けた暗殺部隊が全滅した、ということがあっただろう?」
雲水の言葉に二人は記憶を辿った。
そして思い出したのが遡ること二年前──あの『幾億の白刃』との闘いである。
あの闘いは四天王全員が乗り出すことになった過去例にないものだったが、
そもそもそうなった原因は、まず差し向けた当時の暗殺部隊が全滅したからなのだ。
少なくとも雲水も氷室もディートハルトも、そう報告を受けていた。

ここで氷室は雲水が何を言わんとしているのか気がついた。
「まさか……全滅というのは虚報? 暗殺部隊そのものが裏切っていた……?」
氷室も、流石のディートハルトも、これには驚きを隠せなかった。
だが、こう考えれば雲水が珍しく答え難そうにしていたのも、
アソナというありえない裏切り者集団が存在するのも、全て合点がいくのである。
    インフィニットセイバー
「あの『幾億の白刃』との闘いで何を知り、裏切りと至ったのは今となっては定かではない。
 だが、いずれにしろ奴らはここで裏切りの報いを受ける……それだけは確かだ」




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板