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二つ名を持つ異能者になって戦うスレ避難所5

419鳴神 御月 ◆21WYn6V/bk:2010/07/15(木) 22:26:29
――角鵜野市都心から東へ数キロ離れたとある港の端にある防波堤。
そこに一人の人間が座っていた。
ぱっと見は少女のように思える。堤防に座っているために地面に広がるほどの長い銀髪に整った顔立ち。
10人に聞けば10人が美少女と答えるような容姿。
しかしそれは当人にとって邪魔以外の何者でもなかった。

「ふぁ…眠…」
彼女、いや"彼"は手に持つ棒状のものを少し揺すって欠伸と共に呟いた。先端からは糸がたれて海中に消えている。
要するに――彼は釣りをしていた。しかし彼の横に置いてある水槽に魚の姿は見えない。
後方の街で現在起こっている事態を何となくはわかっているようだが、興味を見せるそぶりはない。実際あまり興味がないのだろう。
そんな彼に二人の男が近寄る。

「お嬢ちゃん、こんなところで何してるんだい?」
「…」
少年は答えない。というよりも聞いていない。
「おい、聞いてんのか?」
「…」
「おい!」
「…釣り」
少年は面倒くさそうに答える。
「あぁ!?んなモンは見りゃ分かんだよ!馬鹿にしてんのかテメェ!?」
「おい、落ち着け!」
「止めるな!!ブっ殺す!!」
止めようとする背の高い方の男を無視し、背の低い方の男が少年に掴みかかろうとする。

その刹那――男の首は胴体と離れていた。
意思をなくした男の体は、勢いをそのままに少年の体をすり抜けそのまま海に落ちる。首はその場に落ちた。

暫し呆然としていたもう一人の男が我に返る。
「き、貴様……今何をした!?」
男が拳銃を構える。
男の目には突然仲間の首が飛んだようにしか見えなかった。
少年は黙って釣りを続けている。
「こ、答えろ!今何をした!?」
男は怯えながらも再度叫ぶ。

「あ、釣れた」
少年の手には一匹の魚。

「〜〜〜〜〜〜ッ!!」
怒りと恐怖で精神が限界に達した男が震える手で発砲しようとする。
しかし男が発砲するより早く、男の喉に何かが刺さった。
薄れ行く意識の中、男が最後に見たものは、こちらに鋭い視線を向ける少年と自分の喉に刺さる、銀色に光るメスの柄だった。

「さて、次はあっちに行こうかな…」
少年は歩き出す。背後にあるものなど気にも留めず。一匹だけ釣れた魚を手に下げ、「何か」が起こっている街へ――

【鳴神 御月、下級戦闘員×2に勝利。角鵜野市に入り非戦闘中の人物いずれかに向かう】




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