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二つ名を持つ異能者になって戦うスレ避難所5

376海部ヶ崎 綺咲 ◆3LPMHhiq9U:2010/06/27(日) 19:07:42
代理お願いします
この後の展開は新しいサブキャラ出して、そいつが海部ヶ崎を回収する予定です

>>65
「──世界が、本来あるべき姿に戻ろうとしているだけさ」

この言葉に海部ヶ崎は、その意味も意図も何一つ理解することは出来なかった。
ただ……山で育ち、たった数ヶ月の旅を経験しただけの19の少女にとって、『世界』という単語は
とても縁遠いものに聞こえた。

「さて、これ以上の問答は時間の無駄。そろそろ決着をつけようか?」
青髪の女性の両手が、爪状から刃状に変化したオーラに覆われる。
これまでの攻撃からまた一瞬の強襲を仕掛けるか、と海部ヶ崎は警戒したのだが……

「迂闊に近付いて反撃されると厄介。だから、ここから切り刻ませてもらうよ。
 ──受けろ、我が爪の恐怖を! ──『アークティッククロー』!!」

その言葉が言い終わったときには既に海部ヶ崎の露出した脇腹から血が流れていた。
「ッ!! 攻撃!?」
「痛みで悶え死ぬのが先か、それとも凍りついて死ぬのが先か……さて、どっちかな?」

攻撃を受けた後に理解が出来た。これはあの手のオーラを飛ばしたモノだと。
その手から高速の魔弾たちが次々と、真っ直ぐな軌跡を描き、海部ヶ崎に襲い掛かる。
彼女の二刀を握り締めた両手は器用にその刃を操って、冷気の塊の軌道を逸らす。
(接近戦でもあの爪は弾けた。だからこれも弾ける…………けど、動けない)
体に受けた大きな爪痕。それを抱えた今の海部ヶ崎にはここから反撃する力は体には残っていない。
苦痛の表情は野球帽のつばが真昼の太陽の影で覆い隠しているから、幸い相手には気付かれていない。
(でもこちらの体力が限界なのがバレなくても、どちらにしろこのままだと……)
能力で反撃するにしても、さっきみたいに一瞬で砕かれるだろうし、なにより貴重な武器を更に失う事になる。

「なら、前に進むしか……無い!!」
海部ヶ崎は両手の動きを最低限に控えて地を蹴り、駆け出した。
体温によって徐々に溶け出した腹の凍傷から、血が流れ出す。
オーラの弾丸は致命傷になるものだけを弾き、残りは無視をしてとにかく足の動きに集中した。
無視したものは次々と体に命中し、太ももや二の腕が切り裂かれ、凍っていく。
(私が悶え死ぬか、凍死するか、“それとも”あなたの首が飛ぶか……勝負!!)
二人の異能者が近距離攻撃の範囲にお互いに相手を捕らえた瞬間だった。

一閃――――

その閃きのなかで幾重もの斬撃と金属音が混ざり、二人が交差し終える。
青髪の女性は肩から多少の血を流すも、それほどの深手にはなっていない。
それに対し、海部ヶ崎は――パキン!! と手にあったナイフが砕け、それと同時に露出した脇腹から血が飛び散った。

「せめて、その肩の傷がナイフのものなら……」
ドサ。血だらけの四肢はそのまま地に伏せ、腹の傷が血溜まりを作っていく。

(こんな形じゃ……父上に…会えないのに…取り返すって……ちゃんと刀を取り戻してくるって……)
肉体は血の中へ、精神は父へ悔いる気持ちで、海部ヶ崎は深く沈んでいった。

【海部ヶ崎 綺咲:敗北】




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