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二つ名を持つ異能者になって戦うスレ避難所5

407 ◆ICEMANvW8c:2010/07/09(金) 22:06:50
>>91
氷室の爪を見て、男も得物を取り出す。
いや、というよりは、氷室と同様創り出したと言った方が正しい。
突如として空中に現出したそれは、赤黒い何とも不気味な輝きを放っていた。
(刀……? オーラを具現化したか、あるいは大気中の物質を練ったものか……)
いずれにしても、わざわざ具現化した物体となれば、
何かしらの特殊な効力が付加されていると考えるのが妥当である。
(要は迂闊に近付くと危険──まずは様子を見るか)
氷室はじりじりと慎重に間合いを取りつつ、突き刺すような視線で男の動きを牽制する。
対する男も隙は見せず、ただじっと氷室の様子を窺う。
膠着状態に突入する典型的な流れである。
しかし、その均衡が崩れたのは、膠着状態に突入するかと思われた矢先のことだった。

男の姿がその場から消える。
いや、並の異能者であったならそう錯覚してもおかしくはない。
しかし、氷室の眼は男が高速で間合いを詰めつつ刀を振り下ろす姿を捉えていた。
瞬時に後方にステップを踏む氷室の胸元を、刃が紙一重でかすめる。
体ではなく空を切り裂いた刃は、その勢いのまま地面に直撃──
硬いコンクリートで固められた地面を木っ端微塵に粉砕した。

「一つ聞いておく。君の名前は?」
「知りたいなら、まず自分から名乗るのが礼儀というものだろ?
 ……まぁ、いいさ。私の名は氷室。カノッサと呼ばれる組織の者さ」
再び刀を構えた男に、氷室は目を細めながら答え、そして続けた。
「ハンマーで叩いたような破壊力、そして刃毀れ一つしないその強度。
 やはりただの刀じゃないな。普通の刀とは強度も、恐らく“重さ”も違う──。
 いくら私でも直撃したらただじゃ済まないだろう」
氷室は更に後方にステップし、先程よりも広く距離をとると、爪の形成された指をすっと男に向けた。

「直撃すれば──ね」
指先が鈍く発光──瞬間、全てを裂き、凍らせる恐怖の爪弾が放たれた。
それも無数に次々と、まるでマシンガンのように。
だが、爪弾だけで倒せるとはハナから思っていない氷室は、
もう片方の手に、密かに強力な冷気を集約させつつあった。

【氷室 霞美:遠隔戦に持ち込む】




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