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【個】『サロン』【他】
2
:
『主宰者』
:2024/06/15(土) 23:25:43
◇サロンの概要◇
『未来に起こり得る災い』に備えて『人脈』を広げ、
『スタンド使い同士の親睦』を深める事を目的とした『社交場』です。
『お茶』を飲んだり『お菓子』を摘みながら『会話』を行い、
『お互いについて理解し合う事』が基本的な活動内容です。
『スタンドに関する情報交換の場』として使う事も出来ますが、
『日常的な雑談』に終始して頂いても構いません。
『主宰者』は『小石川文子』が務め、『本拠地』は『小石川家』です。
活動の時間帯は特に定まっていませんが、概ね『正午から夕方』を目安にして下さい。
◇加入方法◇
『サロン』は『招待制』です。
『主宰者の友人』か『会員の友人』のみ加入できます。
『会員証』は『ラベンダーのサシェ』です。
『主宰者の友人』には基本的に無条件で渡し、
『会員の友人』には『主宰者』が判断した上で渡します。
これらによって生じる責任は『主宰者』が負います。
『会員証を持つPC』は『正会員』、『会員証を持たないPC』は『仮会員』です。
誰かが『サロン』を訪れた時、『正会員』は『主宰者』の代わりに応対する事が出来ます。
◇具体的な流れ◇
『サロン』を訪問する旨のレスを行うと、『主宰者』が応対し、
『お茶』と『お菓子』が出され、通常の場スレと同じように『会話』を行います。
『主宰者』が不在の場合は応対できませんが、
『正会員』が『主宰者代理』として応対してくれるかもしれません。
その際は『留守番を頼まれた』などの扱いになります。
『お茶』や『お菓子』は常に用意されているので、それを出して頂いて構いません。
『お茶』はラベンダーティー、
『お菓子』はケーキやパイや焼き菓子などの洋菓子が主ですが、
それ以外でも構いませんし、『持ち込み』も歓迎します。
◇利用できる部屋について◇
主に利用可能なのは『リビング』・『ダイニング』・『キッチン』の三ヶ所です。
『リビング』と『ダイニング』は扉を介して繋がっており、
『ダイニング』の奥に『キッチン』があります。
『リビング』にはソファーとテーブルとテレビ、
『ダイニング』にはダイニングテーブルと椅子が、
『キッチン』には様々な調理器具が揃っています。
また、希望があれば『離れ』も利用可能です。
『離れ』は『アトリエ』になっており、
風景画・静物画・人物画が飾られ、イーゼルが置かれています。
◇注意事項◇
『社交場に相応しくない振る舞い』はご遠慮下さい。
3
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/06/17(月) 03:29:34
>(一抹)
コト…………
リビングのテーブルに準備を整えて、約束を交わした『訪問者』を待つ。
確かな接点はあるものの、実際に会うのは初めてだ。
『味の好み』が分からないので、口に合うかどうかが少し心配だった。
4
:
一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』
:2024/06/17(月) 03:56:31
>>3
コンコンコン…
部屋の入口をノックする音がする。約束通りの時間だ。
入出の許可を持っているようだ。
「あの、一抹です…入っていいですか…?」
扉の向こうから気弱そうな小学生ぐらいの男の子の声が聞こえる。
5
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/06/17(月) 04:38:08
>>4
…………ガチャ
呼び掛けに応じて扉が開くと、目の前に立っていたのは『喪服』を着た女だった。
同時に、シックな『グレージュカラー』で統一されたインテリアが視界に入る。
室内に置かれている家具は、フレンチテイストの『猫足』デザインだ。
「こんにちは、一抹さん……。あなたが来られるのをお待ちしていました」
スッ
「――どうぞ、そちらにお掛けになって下さい」
片手でソファーを指し示し、自らも着席する。
テーブルの上には、手作りの『マカロン』が用意されていた。
生地の間にバタークリームを挟んだ『パリジャン』と呼ばれる種類だ。
『ハーブティー』の入ったガラス製のティーポットと、人数分のカップも見える。
お茶からは『ラベンダー』の香りが感じられた。
「よろしければ……お茶とお菓子を摘みながら、お話をしましょう」
コポポ…………
カップに『ラベンダーティー』を注ぎ、一抹に勧める。
6
:
一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』
:2024/06/17(月) 05:39:48
>>5
扉の向こうに立っていたのは涼しく刺すような玲瓏とした風貌のあどけない少年。
透き通った肌は血管が薄く見えて、淡い青色に微かなエメラルドの反射が混じる瞳。
ウルフカットの白髪。総じて生命印刷コピーの失敗と言える奇妙な外見だ。
服装は学生服で縫い直した後が目立つ。バッグも傷だらけだ。
率直に言って貧乏なのだろう。
「お、お邪魔します…わっ、綺麗なお部屋…」
オドオドしながら小石川に促されるままにソファに着席する。
『マカロン』を見つめてそれが何なのか不思議そうに見つめる。
『ハーブティー』という物も生まれて初めてなのか興味深そうに見つめる。
「私が出来る『お話』は今まで斬った人達の話に『アリーナ』の内情
今もしぶとく生き残っていた『エクリプス』最盛期の構成員」
「あとは、自分のスタンドについてですね」
背後に『ディヴァイン・インダルジェンス』を発現する。
一抹の背後に十字架の意匠があるスタンドが浮かぶ。
7
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/06/17(月) 07:07:03
>>6
一抹の背後に立つヴィジョン――『ディヴァイン・インダルジェンス』を見つめる。
やがて、『十字架の意匠』に目を留めた。
『罪』や『赦し』を思わせるモチーフが、心の琴線に触れたせいかもしれない。
「……『私達に共通するお話』をしましょうか」
視線を一抹に戻し、改めて口を開く。
「一抹さんもご存知のように、『魔物』による被害は阻止できました。
しかし、『それで終わり』ではありません。
彼は、我々に『気付き』を残してくれたのです」
「今、一抹さんがおっしゃった『問題』は、スタンド使いが『数人』集まれば、
『強引な手段』で解決できる可能性のある規模です」
きっと一抹は、今までに多くの戦いを経験してきたのだろう。
彼の過去を否定するつもりはない。
だが、時として『それが通用しない状況』が存在する。
「――あの『魔物事件』は、『大勢の人々』が協力し、
互いに『知恵』を出し合わなければ、決して『決着』には至らなかったでしょう……」
例の一件は、『目の前の敵を倒せばいい』というような、単純な話ではなかったのだから。
「私が『気付き』という言葉を使ったのは、
『未来の災いに備える必要性』を、強く感じているからです。
今後、『同じような事件』が起きないという保障は、どこにもありません。
そして、『災害』が起きてから『準備』を始めても、もう間に合わないのです」
スウッ
カップに手を伸ばし、それを胸の高さに持ち上げる。
「……今日、一抹さんをお呼びした理由は、私が作る『社交場』にお誘いする為です」
トッ トッ トッ…………
その時、廊下の向こうから、小さな『足音』が聞こえてきた。
8
:
一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』
:2024/06/17(月) 20:01:48
>>7
「確かに『夏の魔物』は正攻法では『絶対』に倒せない存在でした
寄らば影と成りて戦いにすらならなかった」
「事態が悪化したのも私個人が独りで解決しようとしたからです。
あの時は時間が経てば経つほど悪化する事態に居合わせた少数
で対応するしかありませんでした」
あの時は氷山さんの『かき氷化』が悪化する原因であるおばあちゃんの家に増援として呼んだ夕立先輩たちを向かわせ、自分が『安息』で氷山さんを鎮めておけば良かったのだが…
しかし、見ず知らずの学生数人が氷山さんの友人と言い張って痴呆のおばあちゃん家に向かっても追い出されただろう。
結局は氷山さんを連れて行かねば、おばあちゃんは氷山さんを思い出すこともなかったかもしれない。
「『厄災』はどのような『聖人』も避けて通れない」
「もしも、『スタンド』ではない『厄災』のようなものに巻き込まれ
た時は近距離パワー型では解決できない『ルール』のような能力
縛られて戦うこともできないかもしれない」
「そういった手合いをどうにかするための集まりを作るんですね」
『夏の魔物』の時に『アリーナ』は協力してくれたが『最低限』という感じが否めなかった。
夏のクリスマスも殆どは小石川さんが中心になって様々なスタンド使いを集めて強引に星見町を『冬』に染め上げたのだ。
『アリーナ』の協力は否定しないが本腰ではなかった。
「『夏の魔物』の被害者はそれなりにいたようですが『アリーナ』は
本腰を入れて解決しようとする感じはありませんでした」
「金にならない。被害者が少ない。そもそも興味を持たない」
「『アリーナ』が頼りにならないなら我々が連携するしかない…」
9
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/06/17(月) 22:55:41
>>8
その場にはいなかったものの、一抹が民家で体験した状況は、
同行者であった七篠達から伝え聞いていた。
「初期の段階では『事態の深刻さ』を把握する事は困難だったでしょう。
ですが、『こうしておけば良かった』と悔やむ気持ちは、よく分かります。
あの事件で、私も自分の『無力さ』を思い知りました……」
一抹の言葉からは、強い感情が伝わってくる。
それは小石川自身の心情にも重なり合うものだった。
せっかく分かりあえた『サマー・フォーエヴァー』が滅ぶ様を、
この目で見届けなければならなかったのだから。
あの時に感じた思いは、言葉では言い表せないだろう。
決して忘れる事は出来ないし、何があろうとも忘れてはならない。
「だからこそ、同じ『過ち』は繰り返さない事を誓ったのです。
私は、今できる事をしなければなりません」
コト
緩やかにカップを傾け、またテーブルに戻す。
「『大きな災い』の前で『一人の力』は弱く、
大勢であっても『烏合の衆』では意味がない……。
『市井のスタンド使い』が助け合う為に、
お互いを深く理解し合う集まり……」
「――『サロン』と命名しました」
「現在、『主宰者』である私を含めて『5名』が在籍しています。
一抹さんの知る朝山さんと笑美さんにも加入して頂けました」
魔物事件では『20人』を集めたが、とにかく時間を優先したので、
結局のところ同じ目的を持つだけの集まりだった。
それでも、あの時は密接な連携は不可欠ではなかったから、
全体の動きに支障を来すような問題は生じなかったのだ。
逆に『サロン』が必要としているのは、単純な利害関係を超えた結び付きである。
「よろしければ、
一抹さんも『会員』としてお迎えしたいのですが……
ご興味はおありでしょうか?」
「もし加わって下さるなら、この場で詳しい説明をお聞かせします」
トッ トッ トッ…………
「にゃあ」
やがて足音と共に姿を現したのは『猫』だった。
しかし、普通の猫ではない。
『キャペリンハット』の形をした奇妙な黒猫だ。
「……失礼しました。この子の名前は『撫子』です。
『あるスタンド能力』によって生まれました」
撫子と呼ばれた『帽子猫』は、来客である一抹の足元に近寄ってくる。
10
:
一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』
:2024/06/18(火) 00:26:26
>>9
「戦いなら幾らでも経験したし、今まで怖いとも思いませんでした
けど、『冬』で『夏』を覆い隠そうとした我々を襲う氷山さんは
『かき氷』の能力を得て、我々は押さえ込むのに必死でした」
「居合わせたスタンド使いとしての後輩の七篠先輩が機転を利かせ
てくれなかったら氷山先輩の手足を刺すだけでは…」
あの時の氷山先輩は徹底的に夏を冬で覆い隠そうとする我々に対する怒りでスタンドパワーが上がり、『インダルジェンス』をパワーで僅かに上回り、本体は『かき氷』に由来する不気味な能力を得ていた。
間一髪で制圧できたが『同じことをもう一度やれ』などと言われたら間違いなく無理だと答えるだろう。
「事件の終盤の事は七篠先輩から聞きました。『夏の魔物』は
『一切の悪意』が無くて『ただ友達』を増やしたいというまるで
私ぐらいの子供のような性質をしていたと」
「小石川さんは彼の『純粋さ』を理解して最後まで助けようとした
ことや、語る言葉を持たぬ彼とノートで意思疎通するまでに至ったこと」
「その場に私のようなスタンド使いが居れば落ち着いて最後まで
対話して彼に『善悪』という概念を与えられたかもしれません」
「私は弟を朝顔にされた兄が『夏の魔物』に抗い奪われ悲しみ
怒りをぶつけた日誌を読みました」
「けど、私は小石川さんの行動理念や彼の喪失の悲しみも分かります」
多くはない数の人々を『夏の魔物』は『夏の名物』に変えていった。
実際に戦友である氷山先輩を失いかけた絶望。
『かき氷化』が完遂するまでの人柱になる時の覚悟。
夏のクリスマスで多くの仲間を斬った事実。
それでも『和解』できたなら全て丸く収まって良かったのではないかと思う。
「最後まで『和解派』だった小石川さんは色々な思いがあったはず
誰か一人とでも『和解』したい思いを共有したかったでしょう。
その場で『和解』を唱えることを責められてつらかったでしょう
もし、『夏の魔物』と『和解』できなかったらという恐怖」
「本当にありがとうございました」
拒否されなければ少しの間だけ『インダルジェンス』と共に小石川さんを抱擁する。
オマケで『悪感情の鎮静』が起きるが一人で戦った彼女を褒め称える者がいてもいいはずだ。
「『サロン』ですか? 良いですね! こう見えてもスタンド使い
の知り合いはとっても多いのです! 目指せ、30人!」
「出来れば私のように特殊な事態に対応できるスタンド使いを
多く仲間にしたいですね!」
「あとは、理不尽なパワーの『厄災』に対応できる強い人も!」
「朝山さんは…『ニュー・エクリプス』を名乗ってるけど良いのかな…」
「私がお役に立てるなら是非とも加入したいです!」
トットットと自分に歩いて来る『撫子』に驚きはない。
誘拐されたり『悪霊』だのスタンド使いの動物やら不思議なことは目一遭遇しているので慣れたものだ。
11
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/06/18(火) 01:42:32
>>10
もし『ディヴァイン・インダルジェンス』がいれば、
スムーズな『対話』を実現できたかもしれない。
しかし、本体である一抹自身が『夏』に囚われていた為、それは不可能だった。
様々な要因が重なった結果ではあるが、
今となっては、これも何かの運命の巡り合わせだったようにも感じる。
「大切な人を奪われた被害者の悲しみや憤りは、
計り知れないものだったでしょう……。
将来そうした苦しみを増やさない為にも、
『人の輪』を広げる事には、大きな意味があるはずです」
両手の薬指に光る『銀の指輪』。
少しの間だけ、それらを見下ろし、二度と会えない『彼』を想う。
その瞳には、どこか遠くを見ているような表情があった。
「……最終的に『能力』は解除され、姿を変えられていた人々は元に戻りました。
それは喜ぶべき事ですが、私は『魔物』の最期を見守る事しか出来ず、
同時に多くの人の心を傷付けてしまいました。
あの瞬間において、私は何も為す事が出来なかったのです」
「私は……『罪滅ぼし』がしたいのかもしれません」
小さな声で呟きながら、軽く目を閉じて、
『十字架』の意匠を持つ『ディヴァイン・インダルジェンス』の抱擁を受け入れる。
『悪感情の鎮静』によって、自然と心が軽くなっていく。
このような『精神に作用する能力』には、あまり出会った記憶がない。
「――ありがとうございます」
「少し……気が楽になりました」
スゥゥゥゥ………
静かに深呼吸し、再び目を開く。
「それでは、ご説明します――」
そう前置きしてから、『サロンの詳細(
>>2
)』を語り始めた。
「たった今お話しした通り、『正会員』には『会員証』をお渡ししています……」
ソッ
「『これ』を一抹さんにもお渡しします。ここを訪れる際にはご持参下さい」
テーブルの上に『ラベンダーのサシェ』が置かれた。
小さな布袋の中に、乾燥させたラベンダーを入れたものだ。
手製のものらしい。
「それから……『小林丈』さんの事ですが、
『サロン』が彼を捜す助けになれるかもしれません。
朝山さんからも頼まれていますので、他の『会員』の方にも、
なるべくお伝えしておきます……」
『小林の足取り』に関する情報は、
『ゴースト』と呼ばれる『特殊なルート』を用いて、既に掴んでいる。
だが、それは口外しない。
残された者達の気持ちは尊重したいが、本人の意志で姿を消したのなら、
小林の意思で姿を見せるのが最良だと考えているからだ。
12
:
一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』
:2024/06/18(火) 03:07:07
>>11
「少なくない人を夏の風物詩にした『夏の魔物』は許されない。
しかし、死ぬべきであったとも断言できません」
「彼の力を使えば大きな病を患った人の時間を止めたり、
臓器の交換の必要だった人に猶予を与えられた」
「必要だったのは贖罪だったのです」
しかし、私の読んだ日誌の兄弟は再開できたのだろうか?
風物詩の中には向日葵も存在したと聞いているが…
おそらく互いに思っていたなら会えただろう。
「和解を持ちかけられた彼からは裏切りと思われたかもしれません
ですが、最後に彼は小石川さんという『友人』を得られた」
「人の心は傷ついても向日葵のように前を向きます。
スタンド使いって変人ばかりだから大丈夫ですよ、きっと」
何だかんだ自分も前を向き始めている。
さらなる力を求めるためには下を向いてなどいられない。
まだ自分には『先』があるのだから…
クンクン
クンクン
「良い匂い! では、受け取っておきますね」
「小林先輩は事件の後に村田という人物について行ったことを
知っています。そこから足取りを掴めないことも…」
「もし、小林さんが彼に殺されていたなら…」
「私は、それを許せるほど『殺意』を意のままにしたいッ!」
実際に小林先輩を殺したとしても血痕や死体が残る。
人を一人消すのは容易ではない。だからきっと…
歩いて来た『撫子』を膝に乗せて宝物の小さなライオンの縫いぐるみを見せる。
「君は可愛いね。永続型スタンドってやつかな?
これはね、ぼくの宝物! これとも友達になってね!」
13
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/06/18(火) 04:01:02
>>12
「私は、彼に『贖罪の機会』を与えられませんでした。
だから、せめて私が代わりに背負ってあげたい――」
「……そのように思うのです」
単なる自己満足かもしれないが、
『過去の災い』が『未来の災い』に活かされるなら、
あの小さな魂も救われると信じている。
「きっと……小林さんは無事でいてくれますよ。
私も彼が戻られる時を待っています……」
『ゴースト』の話によると、『二つの光』が対峙し、やがて片方が消えた。
そして、さらに『別の光』が二つ現れ、合流して『病院』に向かっている。
状況から見て、おそらく小林を病院に運んだのは村田だ。
その後、『新病棟』を経由せずに『旧病棟』に入った事から、
何らかの『治療以外の処置』を受けたところまで突き止めている。
少なくとも『生存』は確実なのだが、深い事情が窺える事から、
簡単に明かしてしまうのは躊躇われた。
姿を消す前の言動から推測すると、
『アリーナ』に『身売り』した話が関わっている事は想像に難くない。
「――にゃあ……」
スン…………
撫子は大人しい性格らしく、暴れたりする事もなく抱えられた。
『飼い主に似る』という事なのだろう。
『ライオンのぬいぐるみ』に鼻先を近付けて、観察するように眺めている。
「『お互いを理解する事』が『サロン』の活動内容です。
その『ぬいぐるみ』の事を教えてくれますか?
私も一抹さんの事を、よく知りたいものですから……」
14
:
一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』
:2024/06/18(火) 19:46:27
>>13
「『夏の魔物』は人間にとって良き隣人になれたかもしれません。
ちょっと似た話でスタンド能力を使うオジロって犬が友達にいるんです」
「彼はとある人物に狙われていましたが七篠先輩と二人で
助け出せました」
「どうやら狙った人物も犬に怨みがあったようでオジロが歩み寄る
形で解決して彼は今も遊びに来てくれます」
「『贖罪』というよりオジロのような存在を助けて『夏の魔物』を
『忘れない』。それだけでも彼は喜びそうですよ。
『アリーナ』で救えない存在を救って彼を弔いましょう!」
『アリーナ』は強大な組織だが内部が一枚岩ではなく腰も重い。
『エクリプス』残党のような凶悪犯が現れなければ動きもしない。
実際にアダージョと太門を討伐したのは来たのは全て終わった後だ。
『アリーナ』では救えないものが多すぎる。
「あぁ、それと小林さんが『最中派』に知ったスタンド能力を
知らせるという話も聞きました」
「まったく大して役に立たなかった癖に対価を求める役立たず!
今からでも『最中派』から抜けてやりたい!!」
「小林さんは『最中派』から身を隠しているのかもしれません。
だから、私が彼等の幹部…というより実質トップに様々な『情報』
をぼかして切り売りして小林さんを自由にしてきます」
あの時に『最中派』の整形女と四木は自分の今までを書き記したノートを露骨に欲しがった。
供与者とのバトル、夢世界と『悪霊』の話、『夏の魔物』について。
これを武器にして北落と勝負に出る。
「この縫いぐるみは義父が作ってくれたお守りなんです」
「私はクリスマスの日に湖畔の教会前にゴミ袋の中に入れられて
捨てられた赤ん坊でした」
「この国ではクリスチャンは圧倒的な少数派で私の見た目も
変わったものだからよく虐められます」
だから、私は親を侮辱した虐めっ子たちの歯をへし折り鼻を折り
カッターで斬り階段から突き落としました」
「私は捨てられた時に親が『殺意』を込めた目で私を見た時から
私も『殺意』を覚えたのでしょう。
「だから『慈悲の刃』しか持たぬ身で格上たちを斬れた。
『無痛』の斬撃をする隠し刃です」
『インダルジェンス』が手を天に翳すと手の甲から『20cm』の刃が音もなく飛び出した。
こんなものが戦闘中に飛び出したら大抵のスタンド使いは対処も出来ずに串刺しか、斬られるだろう。
「それでやり過ぎと怒られてからまたクリスマスの件で両親に全て
暴露したら、『殺意』が溢れたらこれを見て抑え込んで欲しいと…」
スタンドは本体の精神性を現すというからには『ディヴァイン・インダルジェンス』には一抹の『慈悲』の『鎮静』。
少年の身に余る『殺意』が『慈悲の刃』として現れたのだろう。
どうにもチグハグなスタンドだが一抹の精神はこういったものなのだろう。
15
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/06/19(水) 01:18:25
>>14
彼が味わった境遇は察するに余りあるものだ。
どれだけ言葉を尽くしたとしても足りないだろう。
だから、敢えて何か言おうとはしない。
「――よく話してくれましたね……」
ニコ…………
「……ありがとうございます、一抹さん」
一抹が語る半生に耳を傾け、穏やかな微笑を返す。
ただ、彼の『全て』を受け入れた。
良い部分も、そうでない部分も。
「よろしければ、お茶をどうぞ……。
『ラベンダー』には心を鎮めてくれる作用があります」
手つかずのカップを勧め、一抹の話を引き継ぐ形で口を開く。
「その『最中派』ですが……私も『内部』に入った事があります。
分かった事をお伝えしておきましょう」
「まず『私の能力』は知られていませんでした。
また、小林さんが所属しているかどうか尋ねましたが、
『関わった事はあるが所属した事はない』という返事をもらっています」
「それを信じるなら、彼は『属してはいない』のでしょう……」
そして、『ディヴァイン・インダルジェンス』の腕から飛び出す『刃』を目撃した。
何か思うところがあるような眼差しで、その輝きを見つめる。
自分以外に『無痛の斬撃』を持つ者に出会ったからだ。
「『慈悲の刃』――ですか……」
スラァァァァァ――――――z______
スラァァァァァ――――――z______
突如として、小石川の両手に『二振りのナイフ』が現れる。
刃渡りは『25cm』程だ。
薬指の『指輪』と同じように、どちらも似通ったデザインだった。
「これが『私の慈悲の刃』……決して『傷付けない刃』です」
スパァンッ!
左手の『スーサイド・ライフ』を振り、自らの『首』を容易く切り飛ばす。
「……このように対象を『両断』し、痛みも傷も残しません」
ソファーの上に転がった『頭部』が、そのように言葉を続けた。
フワッ
音もなく『首から上』が浮き上がり、
見えない糸に操られているかのような挙動で、
独りでに『元の位置』に戻っていく。
「――『こちら』は『本体以外』を斬る『不殺の刃』です」
ク ル ッ
右手の『ビー・ハート』を器用に回し、順手から逆手に持ち替える。
『痛みを伴わない斬撃』。
『慈悲の刃』と『不殺の刃』は、まさしく『似て非なる能力』と言えるだろう。
16
:
<削除>
:<削除>
<削除>
17
:
一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』
:2024/06/19(水) 02:00:06
>>15
「ラベンダーって紅茶になるんですね〜! 知らなかったです!」
「あの、これって食べ物ですよね?」
『マカロン』を指差しながら不思議な物を見るようにする。
貧乏な教会での暮らしでは決してお目にかかれないものだ。
ラベンダーの紅茶を恐る恐る口にする。
「わっ! 良い匂いが口に広まっていく! 凄い!
それに仄かに甘くてお菓子と合いそうです!」
無邪気にラベンダーの紅茶の風味を楽しんでいたが『最中派』の中の話になると表情が変わった。
下水に顔を突っ込んだような露骨に嫌そうな顔だ。
「あいつら平然と嘘吐きますし、敗北した女性を凌辱するカスの
集まりで、リング外に落ちた選手と戦う選手を客たちと参加すら
してないランカーが凌辱しようとする派閥です」
「頭に来たので私が参戦して有耶無耶になりましたが…」
「どうせ、関わったの部分で『夏の魔物』に関わったスタンド使い
の能力を聞き出すように命じたのでしょう」
「どうにも選手に最中がスタンド能力で何かしてるようですし。
そして、一度だけ参戦しただけなのに『派閥』入りさせられて…」
どうやら『最中派』に入らせられた一抹は内情に詳しいらしい。
リング禍が有ろうと試合を続行する恐ろしい実態まで知っている。
「無痛の斬撃に切断部の操作。私の上位互換じゃ…
それにそのナイフ捌きはスタンド能力によるものですね!」
「うーん、ここまで完全上位互換のスタンドに出会うとは…
小石川さんと戦ったら私って勝てないのでは?」
18
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/06/19(水) 03:02:22
>>17
無事に頭が『定位置』に戻ると、
色白で細い首筋には何の傷跡も残っておらず、
先程までと少しも変わりがなかった。
「この『ビー・ハート』は、これまでの経験によって『開花』しました。
『スーサイド・ライフ』と同じく、
『首から上』を切り落として『解除』すれば、
思考する為の『頭部』がなくなるので、必然的に意識は消失します……」
「傷付ける事なく『無力化』する……そういった力です」
相手に刃を振るう『ビー・ハート』に関しては、この場での『実演』はしない。
「――ええ、これは『マカロン』というフランスのお菓子です。
私が作っておいたのですが……よろしければ食べてみて下さい」
マカロンを口にしたなら、サクッとした生地の食感と、
滑らかなクリームの舌触りが感じられるだろう。
小石川は料理が得意なようで、客観的な仕上がりは上々だった。
店売りの品と言っても通じるかもしれない。
「……一抹さんのおっしゃりたい事は分かります。
以前、私も『水着』が条件の『試合』に出ましたので……」
やや言いづらそうに声を落とし、軽く目を伏せた。
『最中派』の空気は、自分自身で体験している。
だから、一抹の言葉が概ね間違っていない事が理解できた。
「今後――『私の能力』が必要な時は、いつでも連絡して下さい。
『友人』である一抹さんの為に、出来る限りのお手伝いを約束します」
二本の『ナイフ』を解除すると、一抹に向き直って改めて告げる。
また、膝の上の『撫子』も、『ライオンのぬいぐるみ』に寄り添う。
おそらく飼い主と同じように、『一抹の心』を感じ取ったのだろう。
19
:
一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』
:2024/06/19(水) 04:21:39
>>18
「そうか! 思考する頭を落としてしまえば無駄な戦いをせずとも済む!」
「むむっ! 悔しいけど本当に完全上位互換ですね!
それにしてもよく戦ってきたんですね! 私と同じ成長回数!」
「私の『鎮静』にも『先』がありまして能力の名は『安息』
頭を掴めばより強力な『鎮静』で意識を深層に沈めます」
「今まで戦ってきて私のような精神干渉型スタンドは一人だけ。
夢の世界で思い込みや思考の破壊などをする電気椅子の男です」
「彼は彼なりに悪党でも生きていける世界を作るのが目的でした。
だから、私は彼等が出所するまでに生きていける場所を作ってあげたい…」
能力の話からポツリと出た一抹の目標の一つ。
一抹は苛烈な『殺意』を持つが敵に同乗する『慈悲』の心も持つ。
アンバランスなようでバランスが取れているのかもしれない。
「わぁ! お菓子だ! 見たのは何年ぶりだろう!」
「甘くてサクサクした外側としっとりした中身が美味しいです」
「家族に持って帰って良いですか?」
小学生と変わらない小さな口でマカロンをちびちび食べる姿は小動物のようだった。
お菓子を小石川にねだる姿は孫か、子供のようだった。
「水着ですか。あいつらにしては生温いルールですね。
『交渉』が上手くいったらまた連絡しますね」
一抹もスタンドを解除してマカロンに夢中になる。
傍から見ると親と子に見えなくもないだろう。
「私もたくさんの友達がいるので頼ってくださいね。
今は連絡出来ませんが一撃必殺の人もいますから!」
撫子の頭を撫でながらライオンの縫いぐるみをスリスリする。
よく分からない生き物だが可愛いのでストレス無く生きて欲しいものだ。
20
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/06/19(水) 05:20:07
>>19
『ビー・ハート』と『ディヴァイン・インダルジェンス』は、
どちらも『刃』を持ち、対峙する者に『安息』を与える能力。
両者には違う点も多いが、もたらす結果は似通っている。
あるいは、いつか何処かの場で、共に立つ機会が訪れるかもしれない。
「お互いに支え合い、助け合いましょう。その為の『サロン』です」
スゥッ
「ええ……ご家族と一緒に召し上がって下さい。
余った分は袋詰にしておきましょう」
ソファーから立ち上がり、袋を手にして戻ってくると、
残りのマカロンが手際良く詰められていく。
一抹と言葉を交わす表情には、優しげな微笑みが浮かんでいる。
『我が子』を持つ事が出来ない小石川にとって、
今この瞬間は紛れもなく楽しい時間だった。
「――いつの間にか、長く引き留めてしまいましたね」
一抹がマカロンを食べ終わったタイミングで、壁に掛けられている時計が視界に入る。
時刻を見ると『いい時間』になっていた。
膝の上の『撫子』も寝息を立て始め、今日のところは『お開き』になりそうだ。
「一抹さん、最後に『お返し』したいものがあるのですが……」
ソッ
『マカロンの袋詰』を差し出し、膝を曲げて一抹と目線を合わせ、静かに問い掛ける。
21
:
一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』
:2024/06/19(水) 05:59:26
>>20
「そうですね。私は一人で突っ走り気味なので助かります。
もっともっと『サロン』の会員を増やして…」
「いつかは『アリーナ』にも負けない自助団体へ!」
膝の上の撫子を『インダルジェンス』で静かに動かして帰る準備を始める。
こんなにも一人のスタンド使いと話したのは初めてかもしれない。
やはり、似た者同士なのか、親と子の関係に似ているからなのか?
「小石川さんと話せて楽しかったです。
町に救われる前は自分なんか必要ないと思ってたけど…」
「今はそうでもないかな…」
マカロンを詰めた袋を受け取りながら首を傾げる。
貰ったものはあれど返してもらう物に心当たりはない。
「な、なんでしょう…?」
22
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/06/19(水) 07:59:37
>>21
陽炎のように脳裏をよぎったのは『魔物事件』の『最終局面』だった。
ソッ…………
言葉の代わりに両手を伸ばし、小さな身体を柔らかく抱き締める。
あの時、消え去る間際の『サマー・フォーエヴァー』にしていたように。
彼と同じ『少年』であり、一度は『夏』に囚われた一抹だからこそ、
そうしていたのかもしれない。
「――さっきの『お返し』ですよ」
先程、『ディヴァイン・インダルジェンス』は、
過去に起因する『悪感情』を『鎮静』してくれている。
もちろん、この腕には何の力も宿っていない。
しかし、もし叶うのであれば、『ライオンのぬいぐるみ』のように、
少しでも彼の気持ちを和らげてあげたかった。
「私は待っていますから、また顔を見せに来て下さい」
スッ
一抹の顔を正面から見つめ、やがて身体を離す。
「一抹さん、玄関までお送りします」
リビングの扉を開けて、そこと繋がる廊下に出る。
よく手入れされた庭の中を、爽やかな初夏の風が通り過ぎ、
空気の流れに乗って『ラベンダー』の香りが漂う。
そして、安らかな微笑と共に、小石川文子は一抹貞世を見送るのだった。
23
:
一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』
:2024/06/19(水) 16:57:55
>>22
ヴィジョンが薄れゆき消滅する『サマー・フォーエヴァー』。
まるで雪のように全身が白く儚い印象の一抹。
小石川は2度も似た『少年』を抱擁した。
『インダルジェンス』の『鎮静』のような力は無いが人が抱擁するとされた者は安心するそうだ。
「えへへ、また抱擁されてしまいました。夢見ヶ崎さんに抱擁され
七篠先輩にもされて小石川さんにもされちゃった」
「私もお返しの抱擁です」
身長差があるが一抹は頑張って小石川に抱擁を返した。
まるで親子のように純粋に互いを思う抱擁。
この時、一抹は得難いものを得たことに気づいて微笑んだ。
「私は夏になると命の危機が迫るので冬に生存報告しますね!」
ジンクスのようなものだが本当に一度は死んだので馬鹿にできない。
拉致され、夢の世界に囚えられ、『悪霊』に襲われ、バイクに轢かれ、『アリーナ』ではC級ランカーと思えない相手と戦い、最後は『夏の魔物』に憑かれる。
最近は平和だがそういった時に危機は牙を剥くのだ。
「このラベンダーの香りは落ち着きます。
また、お菓…お話に来ますね。土産話をしてあげます!」
「では、門限を破ると義父とスタンドバトルになるので帰ります!
また! また、お会いしましょうね! 小石川さん!」
自転車で爆走する一抹は小石川が家に引っ込むまで手を振った。
こうして一抹は『殺意』をさらに無秩序な暴力ではなく意のままに振るう意志の力としたのであった。
24
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/06/20(木) 00:29:07
>(空井)
一抹の姿が見えなくなった後、庭を通って『離れ』に向かう。
新進気鋭の『画家』であった亡き夫が、
自らの作品を描く為の『アトリエ』として使っていた場所だ。
今は、彼が遺した作品群を鑑賞できるように展示している。
『魔物事件』の際には、ここにスタンド使い達を集めた事を思い出す。
あの中に『彼女』はいなかった。
コン コン コン…………
「――空井さん、いらっしゃいますか?」
数回ノックして呼び掛け、室内の反応を確かめる。
ここに『空井イエリ』を呼んだのだが、彼女は来てくれているのだろうか?
どちらにせよ、次の瞬間には扉を開けて足を踏み入れるだろう。
25
:
空井イエリ『ソラリス』
:2024/06/20(木) 04:57:05
>>24
「―――――――ああ。いる」
鈴を転がすような声色だが、
語調ははっきりと、扉の奥から響く。
「お邪魔させてもらってるよ」
あじさいのような色合いの、
メルヘンなワンピースを着た少女。
下を向いていて、左右のおさげはロップイヤーのように垂れる。
『小石川』が呼びつけた『空井イエリ』で間違いない。
「悪いな、おれだけ別で、時間をとってもらうような真似をして」
「まっ、とはいえ場所はおまえさんの指定だ。
おれの時間指定と、おあいこにしてくれるか?」
カチッ …
首から下げたアクセサリーらしい懐中時計を見ていたが、
それを手放すと、入室した小石川に、重い瞼越しの視線を向ける。
26
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/06/20(木) 10:48:22
>>25
訪問者の姿を認めると、軽い会釈を行い、俯いていた空井に歩み寄っていく。
「いえ――こちらから呼び出したのですから、感謝するのは私の方なのでしょう……」
空井の隣に立ち、一枚の絵画に向き合う。
視線の先に掛けられているのは、翅を広げて羽ばたく『蝶』を描いたものだ。
繊細な筆致でありながら、見る者に力強さを感じさせる。
「……ここに飾られている絵は、全て『夫』の『治生』が遺した作品です」
「ずっと身体が弱かった彼は、
『死の気配』を身近に感じていたそうです。
『自分が生きた証』を残したいという思いから、
絵を描き始めたのだと話してくれました……」
その証拠に、ここに展示されている数々の絵画は、どれも『生命力』に溢れている。
「その後、彼は『事故』で亡くなりました」
皮肉にも、彼の命が失われたのは『病気』ではなく、
新婚旅行中に起きた『不慮の事故』だった。
もし自分と結婚しなければ、今も生き続けていたのかもしれない。
あるいは彼が感じ続けていた『死の気配の正体』は、
『彼と結ばれる人間』だったのだろうか。
ふとした拍子に、そんな事を考えてしまう時もある。
そして、最愛の人を失った直後の自分は、いつも『死ぬ事』ばかり思っていた。
それは『死の気配が治生から文子に移った』とも言える。
だが、彼の前で立てた『誓い』を思い出し、踏み止まってきた。
「その時に交わしたのが……以前お話した『約束』です」
そこまで言うと言葉を切り、空井の話が始まるのを待つ。
27
:
空井イエリ『ソラリス』
:2024/06/20(木) 11:41:22
>>26
「なるほど……重いな。
いや、皮肉じゃない。重さは大切だ。
おれはいつだってそれを探してるしな」
「それと……良い絵だ。
これも、皮肉じゃあない。本音だ」
『絵』が単なる鑑賞物でなく感じられても、
『鑑賞する価値』を毀損するものではない。
同時に、イエリにかかる重積でもない。
「………………ああ、おれの話からか」
少しだけ沈黙が続いたが、
恐らく『小石川の説明が先』と思っていたのだろう。
が、『別時間』を設けてもらったことを考えれば、
『イエリの話に緊急性がある』と考えるのは妥当。
「悪いな、そこまで大したことじゃあないんだ」
だから、そう前置きをした。
「簡単な話なんだ。……『意図』を聞いておきたい。
あの時に聞いてから帰るべきだった事は謝る。
だが小石川さん。なぜ、おまえさんは『会員証』の制度を……」
「いや、むしろ、こっちか」
「おまえさんの考える『適切さ』の定義は、なんだ?」
『難しい質問』ではないと思った。
『サロン』に『門』を設ける意味はいくつか、わかる。
だが、その意味によっては『組織のありよう』は大きく変わると、そう思う。
28
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/06/20(木) 13:21:18
>>27
「……その質問にも関わってきますので、
ひとまず『サロン』について詳しくお話しておきます」
先程、一抹に語ったのと同じ内容(
>>2
)を、改めて空井にも説明する。
「――『質問の答え』は、『最低限の協調性』をお持ちかどうかです。
『他の会員に危害を加える』といったような方は、お断りしています」
「つまり、『余程の事』がない限りは、
どなたでも『正会員』になって頂く事が出来ます。
『サロン』の目的は『お互いを理解し合う事』であり、
その前段階として『理解しようとする意思』が必要です。
最初から『門戸』を狭める意図はありません」
「ただ、『会員証』を渡すのは『主宰者』になりますから、
一度は対面して頂く必要はありますが……。
これは『会員の判断』を信頼しない訳ではなく、何か問題が生じた際に、
『最終的な責任』の所在を『主宰者』にする為の仕組みだとお考え下さい。
また、『目に見える繋がり』を感じて頂きたいという思いを、
お渡しした『会員証』に託しています」
「先日、『見学に来ただけの方には渡さない』と言ったのは、
『二度目以降』に渡す形にする事で、
『より関心を持ってもらいたい』という意味で申し上げました。
『サロン』に関心の薄い方は、『会員証』を受け取った事で満足し、
それ以降は『疎遠』になるといった可能性も考えられます。
『正会員になる』という理由を『訪れる目的』に加えれば、
自然と『他の会員と接する機会』も増える事になり、
『サロン自体に対する興味』を促進するきっかけにも繋がるでしょう」
「ただ……こちらに関しては、あまり重視せずとも良いと今は思っています。
あくまでも『そういうケースも有り得る』という程度に留めます」
『質問の答え』を話し終わり、一呼吸つく。
「一通りお話したつもりですが……不明点がありましたら、おっしゃって下さい」
29
:
空井イエリ『ソラリス』
:2024/06/22(土) 14:24:04
>>28
「話してくれてありがとう。……会員制の必要性は分かる。
話の通じない……『怪物』が入ってきちまうと、
相互互助ってやつは成り立たないからな。
ただの連絡網を作りたいってわけじゃあないなら、
誰でも彼でも広げりゃいいってもんではないんだろう……」
チラ
「ま、わざわざ目に見える証は弱点にもなると思うが……」
窓の方を――無いなら入り口だろう――見る。
『ラベンダー』は、平和の象徴というだけではなく。
「おまえさんにとっては思い入れがあるんだろう。そこは、いい。
全部に共感するなんてのは、
多分、おれと小石川さんには似合う関係じゃないからな」
声を荒げるような反論ではない。
無論、戦意などもそこには無い。
『違う種類の人間』だからこそ、手を組む理由があるのだ。
「解せねーってのは、『おまえさんの立ち位置』だ。
……『主宰者』って部分じゃねーぜ?
それは事実だ。場所を提供するのもおまえさんだ。
ルールや、シンボルも誰かが決めなきゃあいけない。
現状、それは『最初の一人』が適任なのも、妥当だよな」
『私益』のために彼女が組織力を使う事はないのだろう。
『主宰』という立場も、事実以上の意味は持つまい。
だからそこではない。
「おれが言いたいのは……『責任』の話だ。
おまえさんは誰かの痛みのためなら傷ついても良いと言ったが、
……『責任を取る』っていうのは、何をすることなんだろうな?」
『責任の所在』を、『主宰』という立場に背負わせることだ。
「おれはな」
「『おまえさんが責任を取る集まり』には、入る気はない。
感情的にも、実利としてもだ………………分かるか?」
言葉をもう少し足すことが出来るが、あえてそこでとどめ反応を待つ。
30
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/06/22(土) 16:04:21
>>29
「……誤解なさっているようですね。
いえ、『空井さんなら理解して下さるのではないか』と、
少し甘え過ぎていたのかもしれません」
「私が『夫』の事を打ち明けたのは、何故だと思いますか?
『サロン』の理念に則り、『私という人間』を理解して頂く為です。
その『続き』をさせて下さい」
空井の言葉に動揺する事なく、毅然とした表情で言葉を紡ぐ。
「何か問題が起きたとします。
まず全員で話し合う事になりますが、
その場における『進行役』は私が務めさせて頂きます。
そして、意見が纏まった段階で、次のように言うでしょう」
「『このような結論で宜しいでしょうか?』と――」
「つまり、私の言う『最終的な責任』は、
『話し合いの最後』に『総意の確認』を行うのが、
『主宰者』であるという意味です。
実際に『サロン名義』の行動を起こすに際しては、
『サロンの責任』は『関わった全員の責任』です」
「他に、ご不明な点があればどうぞ。もしくは……」
スッ
慎ましい所作で、自らの片手を空井に差し出す。
「『お渡しした物』を、この場でお返し下さっても構いません。
空井さんの口からは、『サロンに加入する』という言葉は、
まだ頂いておりませんでしたので」
31
:
空井イエリ『ソラリス』
:2024/06/22(土) 16:46:28
>>30
「はっ。おっしゃる通り、買いかぶりすぎだぜ。
言われてない事がわかるほど出来た人間じゃあない。
……こう見えて、人生経験が浅いもんでな?」
毅然とした態度に対し、特に感心も動揺も無い。
先ほど『全部を言い切らなかった』のは、
『小石川』に反論の用意があるのを想像していたからだ。
「本当に。『最終責任』が、『議長』のこととは思ってなかった。
誤解を謝るよ。おれはてっきり――――
おまえさんがサロンの、
・ ・ ・
『始末屋』になるつもりかと思ってた」
ジ…
「『最終責任』ってのは、そういう、ひとでなしの仕事だとな」
特に冗談を言っているわけではないのだろう。
『最終的な責任』とは『決める重荷』に対するものなのか、
それとも『実行する重荷』に対するものなのか、それだけだ。
「『最後は小石川さんが血を被ってくれるから』
『適当にやってても、自分は責任を負わなくっていいから』
……そーゆー連中でお菓子を食べるだけの集団に属するなら、
おれがおれの判断で人を助けるだけの方がよっぽどやりやすい。
おれ自身の荷物を、預けたいとも思わないしな……」
スッ
「だが、『血を被る』時……『結論』の責任をおまえさんが持つだけで、
背負うものは全員覚悟してるんだったら……
少なくともそうあるべきと思うんだったら。背負いがいが、あるってもんだ」
『袋』を目の前に掲げる。
「……まっ。別に全員が殺しの覚悟を持ってなくてもいいんだ。
それが出来ない普通のひとが、いたっていい。
なにせ。おれみたいなひとでなしが、『サロン』に加入するわけだからな?」
奪い返すことはできるだろう。
『空井イエリ』は、小石川と『考え方が合わない』のが確かな相手だ。
32
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/06/22(土) 19:01:58
>>30
「話し合いの機会を設け、その旨を周知し、実際の場において舵取りを行う……。
すなわち『問題を放置せずに取り上げる事』が『主宰者』の『責任』です。
私の一存で決定を下す事はありません」
「……以前お話しましたが、一人だけで全てを背負える程、
私は強い人間ではありません。
私に出来るのは、ほんの小さな事の積み重ねです」
小石川には手を貸してくれる友人達がいるが、空井は根本的に違う。
『考え方が合わない』。
『だからこそ受け入れる』。
異なる視点から出される意見は『サロン』の一助となるはずだ。
それに、最初から何もかも理解し合っている必要はないのだから。
「お互いに『理解』が不足しているのは当然でしょう。
叶うなら……これから少しずつ埋めていける事を願っています」
差し出した手を戻し、『ラベンダーのサシェ』を見た。
「自分が守られていると思うだけでも心の安らぎを得る事が出来る。
それが結果的に『幸運』を呼ぶ。
『お守り』に対する友人の考えですが、私も共感を覚えています」
「『目に見える証は弱点にもなる』とおっしゃいました。
私は『それ以上の利点がある』と考えています」
ソッ…………
左手の指先で『右手の指輪』に触れ、その感触を確かめる。
「空井さん――改めて、よろしくお願いします……」
それから、『窓』の方に視線を向けた。
「……『お茶』を飲んでいかれますか?
主に『ハーブティー』ですが、その他の物も用意してあります」
33
:
空井イエリ『ソラリス』
:2024/06/22(土) 23:00:12
>>32
「それでいいさ。いや、それがいい。
……おれにはそれは出来ないし、
おまえさんに出来ないことを、おれは出来るだろう」
『小石川』の説明に頷き、それ以上は求めない。
「心の安らぎか。
……おれにそれは過分だな。
だが、ま、『使い道次第』だろう」
ゴソ
『うさぎのぬいぐるみ』のようなポーチに、
『袋』をゆっくりと入れる。
「――改めてよろしく、小石川さん」
ザッ
そうして踵を返しかけるが……
「そうだな、いただいていこう。
ああ……砂糖は多めで頼む。舌が子供なもんでね」
『サロン』らしく、誘いに乗ってから帰ることにしよう。
34
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/06/24(月) 08:21:36
>>33
『サロン』の目的は『未来の災いに備える事』であり、
その為に『お互いを理解し合う場所』だ。
『最愛の人』の事を話したのは『空井を理解したいから』でもある。
相手を知る為には、自分の事も知ってもらう。
そうして心の距離を縮めていけば、少しずつでも教えてくれると信じていた。
『空井イエリ』という人間の事を。
「……また空井さんが来られる際には、
『シュガーポット』を用意しておきますね」
そして、今日は『お茶の好み』を知る事が出来た。
こうした『小さな積み重ね』が、やがては『大きな力』になる。
『人と人の繋がり』というのは、そういうものなのだから。
――――――パタン
『離れ』の扉を閉めて、空井を家の中に案内する。
ソファーの上では『撫子』が眠っており、
出された『ラベンダーティー』は希望通り『砂糖多め』だった。
『社交場』の名を持つ『互助組織』は、まだ歩み始めたばかりだ。
35
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/09/07(土) 03:42:24
冷たい飲み物と手作りのお菓子を用意して、誰かが訪れるのを待っていた。
今日は爽やかな『ミントティー』と、見た目も涼しい『フルーツゼリーケーキ』だ。
暑気払いには丁度いい取り合わせだろう。
「――ふふ……」
ソファーに腰を下ろし、スマートフォンに保存された写真を眺める。
36
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/09/09(月) 00:20:34
>>35
「失礼しまーす…」
玄関のチャイムが鳴った。
どうやら誰かがやってきたようだ。
「…勝手に上がってもいいのかなこれ…」
涙音はここに来るのは初めてではないものの
急に上がり込んでいいのかと気にしているようだ。
37
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/09/09(月) 05:17:55
>>36
チャイムを鳴らした涙音は、すぐに小石川によって迎え入れられた。
「――涙音さん、よく来て下さいましたね……」
今はソファーに座るよう促され、ちょうど腰を下ろしたところだ。
まず、たっぷりのミントを使った『ミントティー』が、テーブルの上に置かれた。
グラスに注がれており、よく冷えている。
メントールに由来する清涼感は、まだ暑い時期には相応しい。
砂糖と蜂蜜もあるので、好みで入れてもいいだろう。
「既に笑美さんから聞いていらっしゃる事と思いますが……
民間のスタンド使いが助け合う為の『組織』を立ち上げました」
そして、飲み物に続いて『フルーツゼリーケーキ』が出された。
ケーキ用の型を使って作られた大きなフルーツゼリーだ。
いちご・ブルーベリー・桃・ブドウ・みかんなど、
色とりどりのフルーツが閉じ込められ、宝石のように輝いている。
「……にゃあ」
トッ トッ トッ
帽子猫の『撫子』も姿を見せ、涙音の足元に近寄ってきた。
38
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/09/09(月) 14:32:34
>>37
「どうもありがとうございます。
…またお世話になりますね。」
涙音は頭を下げて家に上がる。
ソファーに座ると、差し出されたミントティーを手に取った。
「まだまだ暑いですからね。
こういうのは嬉しいです。」
そう言って近くにあるはちみつを軽く一匙ほどミントティーを混ぜる。
「はい、お母さんからそのことについては詳しく教えていただきました。
できれば私にも協力を仰ぎたいと…
夏の魔物の一件のこともありますからね。たしかに必要なことだと思います…」
軽くお茶を飲んでから再び答える。
「わあ、このゼリーとっても綺麗ですね!
それにいい匂いで美味しそう…」
すぐに手を付けそうになったところで、涙音は
近くによってきた撫子の姿を確認する。
「フヒヒ、こっちこっち」
そう言って足元にいる撫子を膝に呼ぼうとしている。
膝に座ってもらえるのを期待しているらしい。
39
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/09/09(月) 16:29:46
>>38
蜂蜜入りのミントティーは、爽やかな風味に上品な甘さが加わって、
より飲みやすいまろやかな味わいになるだろう。
「にゃ……」
スッ
しばらく涙音を眺めていた撫子だったが、
その意図を察したのか、期待した通り膝の上に落ち着く形となった。
「ええ――未来に起こり得る『災い』に備えて、
平時から互いに対する『理解』を深め、
いざという時の『結束力』を高める事が、
『サロン』の主な目的です」
フルーツゼリーケーキを切り分けつつ、改めて自らの口から『理念』を語る。
「実は……『会員』の皆さんの『相互理解』をお手伝いする為に、
『レクリエーション』の案を検討していました。
一言で説明すれば『会話ゲーム』です。
初対面だと、なかなか会話が弾まない場面もあるかと思います。
そういった時に役立つのではないかと……」
コト
小皿に取ったゼリーケーキを涙音の手元に置く。
「――こちらに『ルール』を纏めておきましたので、
よろしければ涙音さんと私で試してみませんか?」
ニコ……
微笑と共に1枚の紙を取り出すと、裏向きにしてテーブルに載せた。
そこにゲームのルールが書いてあるらしい。
『会話によるゲーム』という話なので、特に何か用意する必要はなさそうだ。
40
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/09/09(月) 18:27:41
>>39
「…万が一のときに備えることが必要ですね。
こうして集合できる場所があれば助かります。」
ミントティーを軽く飲みながら答える。
どうやら美味しかったようで、その表情は穏やかそうだ。
「よしよし。
…こうしてみれば本当にネコですね。」
膝の上に乗った撫子を軽く撫でる。
「レクリエーションですか。
確かに…会話を考えるのに役に立ちそうですね。
ぜひとも、協力させてください。」
そう言ってゼリーケーキを手に取った。
スッと出されたテーブルに置かれた紙をじっと見つめる涙音。
「ふむ…この紙に話す会話の内容が記載されているってことでしょうかね?」
この紙をひっくり返そうかと思い、小石川に質問する。
41
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/09/09(月) 18:57:38
>>40
フルーツゼリーケーキも事前に冷やされており、
口当たりは涼やかで、果物の自然な甘味が一杯に感じられる。
膝の上の撫子は、気持ち良さそうに目を細めていた。
その名前が表している通り、撫でられるのが好きなのだ。
「――いえ、少し違います。そうですね……」
「『テニス』で『打ち合い』が続く事を『ラリー』と呼びます。
私が考えたのは『会話』で『ラリー』を行うゲームです」
ソ ッ
片手を伸ばして紙を表向きにすると、そこには以下のように記されていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ゲーム名:『コミュニケーション・ラリー』
◯ゲームの目的
交互に『質問』を繰り返す『会話ゲーム』。
『質問の連鎖(ラリー)』を途切れさせる事なく、出来る限り『連続』させる。
『勝ち負け』は存在せず、『全員』が『協力』して、最終的な『高得点』を目指す。
◯基本的なゲームの流れ(2人で行う場合)
1:AがBに質問する。
2:BがAの質問に答える。
3:BがAに質問する。
4:AがBの質問に答える。
(以下、これを繰り返す)
◯ポイント獲得のルール
・相手が質問に答えてくれたらポイント獲得。
・『内容の重要度』に応じてポイント数が変化する。
・『誰にでも話せる内容』なら『1ポイント』加点。
・『限られた相手にしか話せない内容』なら『3ポイント』加点。
・『重要度』は『質問された側』が判定して伝える。
・獲得したポイントは『全員』で『共有』する。
・『最終的な獲得ポイント数』が多いほど良い。
◯その他のルール
・『嘘』をついてはいけない。
・質問に答えられない時は『答えられない』と伝える。
・誰かが質問に答えなかった時点で『ゲームセット』。
◯備考
・なるべく『ラリー』を持続させる為には、
『答えられる質問』には出来るだけ答える事が望ましい。
・また、『相手が答えやすい質問』を出す事も大切。
・『深い質問』は高ポイントだが、『答えてもらえない可能性』がある事には注意。
42
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/09/09(月) 20:28:07
>>41
「これもとっても美味しいですね。
手作り…それともどこかで買ったんでしょうか?」
フルーツゼリーケーキを美味しそうに食べながら答える。
そうしている間にも撫子をそっとなで続ける。
「ふむー、言葉のラリーですか。
続く限り質問と回答をし続ける…
これは意外に面白そうな話ですね…」
じっくりとルールの内容を見続ける。
「それにしても『限られた相手にしか話せない内容』…
色々と答えづらそうな質問もありそうですね。
流石にまず答えられないような話はお互いに悪いですし…
そこら辺はなかなか難しいですね。」
興味深そうにその注意書きを見る。
踏み込んだ内容をいかに調整するかが重要そうだ。
「お互いのことを知るのには使えそうな気がしますね。ふむ…
なるほどー…」
どうやらある程度は理解ができたようだ。
43
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/09/10(火) 06:39:39
>>42
涙音の意見は全面的に正しい。
ゲームだからといって無理に答えさせてはいけないのは言うまでもない事だ。
だから『答えづらい質問は回答を拒否できる』というルールを設けてあった。
そして、誰かが答えなかった時点で『ラリー』が終わってしまうので、
『踏み込んだ質問』には『相応の慎重さ』が必要になる。
逆に言えば、『深い質問』に対して『答え』が返ってきたなら、
それは『信頼の証』と解釈しても差し支えないだろう。
「このゲームは、相手の事を理解していれば、質問を考えやすくなります。
『こういう質問なら答えてもらえる』という予想が出来ますから……。
つまり、『どれだけ相互理解が出来ているか』を推し量る意味もあるのです」
「……涙音さんがおっしゃるように、
答えてもらう為には『相手を思いやる気持ち』が大切です。
また、質問を重ねる内に、少しずつ相手の事が分かっていくでしょう」
「『お互いを理解し合う事』が、そのまま『ハイスコア』に繋がります」
コトッ
「はい……このフルーツゼリーケーキは私が作りました。
気に入って頂けたなら、とても嬉しく思います」
ミントティーで喉を潤してから、再び言葉を続ける。
お菓子は手作りだったようだ。
味も外見も、店売りの品と比べても遜色ない出来栄えだった。
「それでは実際に試してみましょうか。『最初の質問』は私から……」
『朱鷺宮涙音』と『小石川文子』は、何度も顔を合わせている友人同士だ。
既に『相互理解』が進んでいる間柄なので、
お互いに『踏み込んだ質問』をして『ハイスコア』を目指す事も出来るだろう。
これが『初対面』なら、もっと難易度は上がる事になる。
「――涙音さん……『好きな卵料理は何ですか?』」
しかし、まずは分かりやすく『軽い質問』を選ぶ事にした。
これによって『涙音の好み』が分かり、さらに『理解』を深められる。
そうして『理解し合う事』が、このゲームの趣旨なのだから。
44
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/09/10(火) 18:11:43
>>43
「相手のことを理解できるかが大事…
仲良くなるためにはまず相手を理解することですね。確かに。」
「このゲームがその第一歩になったらいいんですけど」
もぐもぐとフルーツゼリーケーキを食べながら答える。
「へぇー、手作りなんですねこれ。
お店で売ってそうなくらい綺麗ですねぇ…
せっかくだから作り方も後で教えてほしいです。」
と言ってから少し質問を待つ。
「好きな卵料理はー…
色々ありますけど『オムライス』が一番好きですね。
お母さんは結構うまく作ってくれるんですよ。
チキンライスとかも手作りして、卵もふわふわに作ってくれるんです。」
「由楽なんておかわりしちゃうくらい大好きなんですよ。
あぁそういえば、炒飯も卵料理に入るならそれも好きですね。
私も作ったりします。」
会話が比較的成り立ったと言えるだろう。
好物の話をすると、自然と他の家族のことも話してしまっている。
由楽も同じようなものが好きなのかも知れない。
「どうでしょうね。次はこっちの質問の番でしょうか?」
と言って顔を上げ、小石川を見る。
「えーと、それじゃあ小石川さんは…
お肉料理とか好きなものありますか?」
小石川の姿をじっと見てから質問をしてみる。
細身に見えたのかも知れない。
45
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/09/11(水) 03:57:44
>>44
「……ええ、構いませんよ。後でお教えします」
ゼリーケーキをスプーンで掬いながら、作り方を尋ねる涙音に微笑みかける。
涙音と由楽が泊まりに来た時にも、同じようなやり取りを交わした記憶があった。
『母親代わり』を務める事が出来たのは、楽しかった思い出の1つだ。
「以前『炒飯はよく作る』とお聞きしました……。
ここで『バターライス』を作って頂いた時です。
きっと笑美さんのオムライスには、
沢山の愛情が詰まっているのでしょうね」
小さく頷いて、『質問の答え』に相槌を打つ。
「『ゲームの流れ』は問題ありません。
このまま進めていきましょう」
客観的に見ても、小石川は肉付きの良い身体ではない。
ただ、朱鷺宮姉妹の為に『チキンカレー』を作っていたので、
食べられない訳ではないのだろう。
しかし、あまり積極的に食べている印象もなかった。
「――『ハムサンド』……でしょうか。
表面を軽くトーストしたパンにマーマレードを塗って、
たっぷりのパセリと一緒にハムを挟むのです」
「少し変わった組み合わせですが、
ハムの塩気がパセリのほろ苦さやマーマレードの甘みと1つになって、
とても美味しいですよ。
よろしければ、また今度ご馳走しましょう……」
『やや珍しい答え』が返ってきたが、
これも『今まで知らなかった一面』と言えるかもしれない。
「では、次は私の番ですね。
もし『旅行』に出掛けるとしたら、
どこか『行ってみたい場所』はありますか?」
46
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/09/11(水) 20:18:38
>>45
「どうもありがとうございます。」
そう言って頭を下げた。
「フヒヒ、そう…ですね。
なんというか炒める系のご飯モノが得意ですね。
由楽があれだけ気に入っているので…
愛情もたっぷり詰まってますよ。きっと。」
少し楽しそうに答えた。
「なるほど、ハムサンドですか…
へぇー、ハムサンドにマーマレードですか!
私はちょっとその取り合わせが思いついたことはなかったですね。」
サンドイッチというのは小石川に似合うと思えた。
しかし、取り合わせの方に少し驚いているようだ。
「なるほどねー、塩味と甘さと苦み…
その取り合わせが最高なんですね。組み合わせが大切と…
…今度食べさせていただきます。」
どこかその表情は楽しみそうに見える。
「旅行に行くとしたら…
うーん、色々ありますが…」
少し考えてから答える。
「以前お母さんが別荘地にいったことがありましたよね?
ラベンダーの香りが漂う素敵な場所だって何度も聞いてるんですよ。
それと、とても不思議な出会いがあったとかで…」
「話を聞いているうちに、いずれ行ってみたいなって思うようになったんです。
行きたいのはどこかと言われると、最初に思いつくのはそこですね。」
そう言って微笑んだ。
「…じゃあこちらの質問ですけど…」
少し踏み込んだ質問をしようか、と涙音は考えた。
「私の母…ええ、朱鷺宮笑美のことですが
小石川さんととても仲良さそうな感じがするんですよね。
その、小石川さんから見て母はどういう人だと思いますか?」
涙音にとって、母親は人から見てどう思われているか。
個人的に気になることなのかも知れない。
47
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/09/12(木) 10:01:35
>>46
涙音の答えに頷き、当時を思い返しながら、窓の外を眺める。
笑美が赴いた別荘地には、ラベンダーの花畑があった。
この家の庭にも同じ花が咲いている。
「ええ、『薫衣草園』で笑美さんとお会いしましたね。
……振り返ってみれば、あの時は気付きませんでした」
別荘地で出会う前から、小石川は笑美と面識があったのだが、
それを思い出したのは後になってからだった。
しかし、それは無理もない事だっただろう。
なにしろ幼い頃の記憶なのだから。
「その別荘には『烏丸香奈枝』さんもいらっしゃいました。
私がお誘いして一緒に出掛けた先で、
偶然にも笑美さんと顔を合わせたのです。
以前、私が催した『パーティー』に来て下さっていたので、
涙音さんも烏丸さんの事はご存知だと思いますが……」
今、烏丸は『大きな依頼を受けた』と聞いている。
どんな内容なのかは定かではないが、彼女は物事を誇張する人間ではない。
おそらく本当に『大きな仕事』なのだろう。
そして、『スタンド使い』の彼女が言うからには、
おそらく『スタンド』が関わっているはずだ。
『スタンドが絡む大きな仕事』――烏丸の無事を願わずにはいられなかった。
「是非、いつか涙音さんもいらして下さい。
お互いの都合が合えば、私も同行させて頂きます」
そして、『踏み込んだ質問』を受け、改めて笑美について考える。
涙音にとって、彼女は血の繋がった母親だ。
どう思われているか気に掛けるのは当然だろう。
「実は、笑美さんと私は『昔からの知り合い』なのです。
まだ私が由楽さんくらいの頃に、一緒に遊んでもらいました。
とても優しく接してくれて、楽しかった事を覚えています」
涙音の姿を見つめながら、彼女に『過去の笑美』を重ね合わせ、無意識に目を細める。
「その時から大切な友人ですし、
20年以上が経った今も、それは変わりません。
私が本当に『助け』を必要としている時、
いつも支えてくれる笑美さんには、心から感謝しています」
「――これは『誰にでも話す事』ではありません」
『回答』を終えた後で、そのように付け加えた。
このゲームにおいて『踏み込んだ質問に答える事』は『信頼の裏付け』を示す指標。
小石川文子は朱鷺宮涙音を『信頼』している。
「私からの『質問』ですが……涙音さんは私に対して、
どのような印象を抱いていますか?
よろしければ、率直なご意見を聞かせて下さい」
『ラリー』を続けるように、涙音に『踏み込んだ質問』を返す。
48
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/09/12(木) 22:09:28
>>47
「『薫衣草園』…そこがお母さんの言った場所なんですね。
小石川さんとお母さんはそこで顔合わせをしたと…」
どこか運命的な出会いだとも感じた。
「烏丸さん…あの人とも知り合いだったみたいですね。お母さんは。
なんというか、やっぱり姉妹だと思われてたみたいですね。私とお母さん。
…わかりました。機会があれば行ってみたいです。」
あのとき、ノリで姉妹を名乗ろうとした笑美のことを思い出し、
どこかおかしいと思って微笑んだ。
「まさか、昔からの知り合いだったなんて…
それも20年以上も?
てことはお母さんが学校に行ってたくらいってことになりますか…?」
以外そうな顔で答える。
「まさかその頃からだなんて…
あのときのお母さんはどんな人だったんだろう…って。
質問重ねるのはだめですね。」
「そういえばお母さん、あんまり昔のことは話すようなことなかったなぁ。
お父さんも馴れ初めとかの話をあんまりしないし…
まだまだ知らないことが多いな。」
「ありがとうございます…その踏み込んだ質問に答えていただいて」
彼女にとって母の過去はそこまで詳しいことは知らないのだ。
ただなんとなく『物々しさ』のようなものがあるように感じられることだけはわかる。
小石川を通じてもっと知りたいとも思った。
「ふーむ、小石川さんの印象ですか…」
そう言ってじっと小石川を見つめる。
「…わたしが感じた印象は、なんというか儚げな感じに思えましたね。
正直最初はちょっと近寄りがたい雰囲気を感じていました。申し訳ないことですが。」
「ですけど…何度か顔を合わせるうちに、とても優しい人なんだってわかりましたよ。
誰かのために必死になって、護りたいという思いがとても強い方なんだと思いました。
なんだかうちの母に負けず劣らずの母性を感じるというか」
「サロンの設立も、そんな皆を護りたいという思いで作られたものなんでしょうね。」
そう言って少し微笑む。
「あとは、ちょっとだけ母より年上かな?と思ったかなぁ…
あ、これは流石に他の人には話したりしません…。」
少し申し訳無さそうな顔になる。
母の見た目が若すぎるだけだと内心感じた。
「さて、次の質問はと…」
少し考えると、一つ思いついたように答える。
「そういえば、よく黒系のファッションをしていますよね、小石川さん。
そのファッションにはどのようなこだわりがありますか?」
流石に母について聞くのは踏み込み過ぎかと思い
涙音的には当たり障りのないラリーをかえす。
49
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/09/13(金) 10:00:18
>>48
記憶の中に残る『鵲笑美』は、『朱鷺宮笑美』のように穏やかな雰囲気ではなく、
どちらかといえば『ぶっきらぼう』な少女だった。
しかし、それを怖いと感じた事はない。
彼女の無愛想な態度が、なんとなく『寂しさの裏返し』のように思えたのだ。
「もし気になるのでしたら、
このゲームを笑美さんに紹介してみてはいかがでしょうか?
そういう形で質問すれば、聞きやすいのではないかと思います……」
普段は尋ねにくい事を尋ねられる機会を設けるのも、
『コミュニケーション・ラリー』の狙いなのだから。
「きっと……お互いの事を改めて理解できますよ」
ただ、笑美が話しづらいと思う気持ちも分かった。
誰だって伏せておきたい事はあるものだ。
だから、小石川が行うのは、あくまでも『提案』に留まる。
「……そうですね」
『第一印象』を聞いて口元に浮かぶのは、どこか曖昧な微笑みだった。
『近寄りがたい』という認識は正常なものだろう。
はからずも、『かつての笑美』と似たような印象を抱かれるようになったのは、
ある種の運命なのだろうか。
「こちらこそ、答えて下さってありがとうございます」
笑美も小石川も、自らの『伴侶』を愛し続けている。
そこに違いがあるとすれば、相手の『生死』だ。
小石川は笑美のように子供を持つ事が出来なかったが、
だからこそ人一倍『母性愛』が強いのかもしれない。
「――この『服』は……」
自分の服装を見下ろし、僅かな間が空いた後に口を開く。
「これは『喪服』ですから、普通は『弔事』の正装として着用されます。
でも、私は『これしか着ない』ようにしています」
「……どんな事があっても、
決して変わる事のない『永遠の愛』の証として、
今も身に纏い続けています。
私自身が『最愛の人』の下に向かうまで。
誰にでも話す内容ではありませんが、
涙音さんにはお伝えしておきます」
上質な素材を使用し、露出と装飾を抑えた『ブラックフォーマルドレス』。
涙音は『着物姿』も見た事があるが、それは『和装の喪服』だ。
数少ない例外を除き、小石川が『喪服以外』を身に着ける場面は限られる。
「私からの質問ですが……
涙音さんが『スタンド使い』になられた理由を聞かせて頂けますか?」
小石川のような『後天的なスタンド使い』には、何かしらの動機がある。
涙音が『生まれつき』かどうかは知らないが、
そうでなければ『きっかけ』があった可能性が高い。
それを尋ねてみようと考えた。
50
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/09/13(金) 20:37:36
>>49
「…実際に試してみようかな…
お母さんも割と話をしてくれるかも。
母娘だから、色々と聞きたいこともありますし。」
このコミュニケーションラリーはもしかしたら自分の知らない母親の側面を見られるかも知れない。
そう思うと、どこか楽しみな気持ちもある。
「ああ、第一印象と言っても今は違いますから!」
どこか申し訳無さそうな顔で慌てて返事を返す。
小石川の表情を見て罪悪感を感じてしまったのだろうか。
「喪服…」
小石川の服装に関する言葉を聞いて、少し表情に緊張が走る。
「最愛の人…あぁその、つまり…
その人はとても大事な人なんですね。
…たしかにそれは強い誓いですね。」
彼女の言葉を聞いてなんとなく察することができた。
小石川の最愛の人はもうこの世に居ないということなのだろう。
「わたしはその人のことはわかりませんけど…
きっと幸せになってほしい…んでしょうね。」
今の彼女は多くの仲間とともにいる。
幸せは人それぞれなものの、それが幸いであることを涙音は望んでいるようだ。
そして再び質問に答える側である。
「スタンド使いになった理由ですか?
ふーむ、そうですね。…これはここだけの秘密ですけどね。」
そう言うと、涙音は鳩尾のあたりに手を当てる。
「実を申しますと私は、スゴク運が悪い人間なんです。
なんというか、道を歩けば『ここ』に向けていろんな物がぶつかってくるんですよね。
それが嫌だったんですけど…」
鳩尾のあたりをさすりながら言う。
「そんなあるときに、風の噂で『力』を与えるお店の話を聞いたんです。
半信半疑でしたけど、あのときはもういろんな物がぶつかってシッチャカメッチャカな状況だったので…
もう藁にもすがる思いで、その人に会いに行ったんですよ。」
彼女の鳩尾には能力を手にした『印』が刻まれているのだ。
その結果彼女は今、『フォートレス・アンダー・シージ』を手にしている。
「今でもこの選択は正解だったと思います。
こうしていろんな『スタンド使い』の人たちと出会えたので。」
彼女の表情に確かに後悔はないようだ。
小石川と出会えたこともまた、嬉しいのかも知れない。
「…それでは私も、小石川さんが『スタンド使い』になった理由について、聞いてもいいですか?」
小石川に同じ質問を返す。質問された以上、返すのがちょうどいいと涙音は思ったのだろう。
51
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/09/14(土) 11:33:25
>>50
慌てる涙音を落ち着かせるように、静かに首を横に振った。
「……お気になさらないで下さい。素直に話して頂いて嬉しいですよ」
先程の質問で聞きたかったのは、涙音の正直な気持ちだ。
そして、彼女は打ち明けてくれた。
また1つ理解を深められた事に、大いに感謝している。
「ええ、私は『幸せ』です……。
涙音さんや多くの友人に助けられていますから。
きっと、とても恵まれているのでしょう」
涙音に向かって軽く頷き、それから撫子に視線を移す。
「それに――今では『家族』もいてくれます」
いつの間にか、帽子猫は眠ってしまったようだ。
涙音の膝の上で、すやすやと寝息を立てている。
2人の会話が子守歌になったらしい。
「『力を与える店』……ですか」
自分の知る『音仙』は、店というより『カウンセリング』に近かった。
おそらく違う場所なのだろう。
『力を与える者』が複数いるのは不思議な事でもない。
「笑美さんから『会員証』は受け取っていらっしゃる事と思います。
よろしければ、それを『お守り』の1つにして下さい」
スッ
確認するように『自分の会員証』を見せる。
『ラベンダーのサシェ』だ。
朱鷺宮親子に渡した物と相違ない。
「――私は『最愛の人の後を追う』つもりでした」
おもむろに口を開き、当時を思い出しながら、質問に答える。
「ただ、彼は最後に言い残したのです。
『自分の分まで生きて欲しい』と……。
その『約束』を守る為に生きてきました」
「でも……『彼に会いたい』という欲求が抑えられなくなったのです。
あのままでは、遠からず自分に負けてしまっていたでしょう」
「自分自身に打ち勝つ『きっかけ』を求めて、
『スーサイド・ライフ』を手にしました」
フ ッ ……
利き手である左手を持ち上げ、一瞬だけ『ナイフのヴィジョン』を発現する。
「……では、ゲームの続きを。
『学校内』に『スタンド使いの友人』は、
どれくらいいらっしゃいますか?
『魔物事件に関与した人は除いて』です」
敢えて『魔物事件の関係者』を外したのは、
『交友関係の輪』を広げる必要があるからだ。
そして、『未来の災い』に備える為には、
あらゆる場所に目を向けなければならない。
部外者である小石川にとって『学校』は『死角』になっている。
52
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/09/14(土) 15:12:32
>>51
「ああ、すいません…」
彼女の言葉を聞いて少し安心した表情になる。
「それを聞けて私も嬉しいです。
友人と…新しい家族も居てくれる」
そう言って膝の上で眠っている撫子を見る。
「これもきっと生きようと思うからこそでしょうね。」
そう言って改めて撫子を優しくなでた。
「そうです。『刺青』を彫ることで力を得ることができる店という感じでしたね。
今となってはあの人はどこにいるのかはわかりませんけどね。」
どうやらこれが彼女が能力を手にした場所であるらしい。
しかしその人物はもうすでにどこにいるのかもわからないのだ。
「会員証、ええ。それならもちろん今も持っています。」
そう言って涙音も自分の会員証を見せる。
「最愛の人を失った悲しみですか…
きっとそれは身を裂くほどの思いなんでしょうね」
自分はまだそのような思いはしたことがないが
それでも想像するだけでも辛いことがわかる。
「スタンドを手に入れたことが小石川さんにとっての幸いでしょうね。
…スタンドがきっかけになっていろんな友人と出会えたと言えます。
間違いなく、小石川さんは自分に打ち勝つことができたでしょうね。」
嬉しそうな顔で涙音は答える。
小石川自身の心の強さがスタンドを得られたと思えるのだ。
「学校でスタンド使いの友人ですか?
なかなか難しいですね〜…
何しろ、学校内ではなかなかスタンドを見せてくれる人はいませんから」
腕を組んで考える。
「そういえば、以前演劇部を見に行ったときに
顔を合わせたことがありますね。
龍美丹さんと三枝千草さん。奈津川恋子さんの3人。
あとは、稗田さんもスタンド使いの友人と言えるでしょうね。
赤月さんも同じクラスで知り合った友人ですね。」
そう言ってから少し考える。
「…こうしてみると結構学校にスタンド使いの友人多いみたいですね。」
改めて振り返って答える。
「それじゃあこちらの質問ですが…
せっかくだから小石川さんのご友人さんのことを何人か教えていただけないですか?
もちろん『スタンド使い』の友人の方に限定させていただきますけど。」
もしかしたら自分の知り合いもいるかも知れないと思い、
小石川さんの友人はどれくらいいるのだろうかと興味を持ったようだ。
53
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/09/15(日) 11:50:01
>>52
涙音が発した言葉には、少し驚いたというのが正直な気持ちだった。
「『刺青』――ですか……」
『刺青を彫る』というのは、スタンド関係なしに『勇気』の要る行動だ。
年若い少女なら尚更だろう。
同時に、それほどまでに悩んでいたのだと理解できる。
「その方を私は存じませんが……
普通の商売と同じように新しく始める人もいれば、
看板を下ろした人もいらっしゃるのでしょうね」
おそらくは『そういうこと』なのだろうと解釈した。
「きっと涙音さんのおっしゃる通りなのでしょう。
『スタンド使い』になって得た『繋がり』が、
今の私を生かしてくれている」
「……そう思います」
願わくば、全ての人間と分かり合えたなら最良だ。
それは不可能に近い理想であり、机上の空論に過ぎないのかもしれない。
だが、一度は対立した相手であっても、いつかは手を取り合えると信じたかった。
「――私は『どれくらいいるか』とお尋ねしました。
涙音さんは『名前』を教えて下さいましたね……」
ニコ…………
「丁寧に答えて下さって、ありがとうございます」
『涙音の答え』を聞いて、柔らかい微笑みを返す。
『スタンド使いの友人』に関する質問は、簡単に答えてもらえる内容ではない。
また、答えてくれたとしても、『人数だけ明かす』という答え方も出来ただろう。
しかし、涙音は違った。
だからこそ、『信頼してもらえたこと』に感謝したのだ。
「……私が知らない方は『龍さん』と『奈津川さん』ですね。
先程お話した『サンドイッチ』は、稗田さんにご馳走したこともありました」
『稗田』の名前が出たことは意外だった。
小石川にとっても、彼女は友人の1人だが、
稗田がスタンド使いだと知ったのは、かなり後になってからだ。
涙音と付き合いがあるというのは予想していなかった。
「そう……ですね」
涙音も知っているように、小石川には『スタンド使いの知人』は多い。
一期一会の相手も少なくないが、今でも交流が続いている人間もいる。
『魔物事件』で人手を集められたのも、そうした人脈があったからだ。
「まず、私が『初めて出会ったスタンド使い』について――」
そう言い置いて、過去を振り返りながら話を始める。
「『水溜意(みずたまりこころ)』という方です。
『魔物事件』の際にも、この家にお呼びしていましたが、
彼女は私が初めて知り合ったスタンド使いでした」
「以前、『アリーナ』が主催する『パーティー』で再会しましたが、
とても『ピアノ』が上手な方ですよ」
『エアピアノ』のヴィジョンを持つ『RLP』は、一度だけ目にしたことがあった。
「それから、『遊部玲実さん』についてお話しましょう。
私が初めて『共闘』したスタンド使いです。
涙音さん達と同じように、『ホームパーティー』にも出席して頂きました」
遊部に関しては、色々と『複雑な事情』が絡んでいる。
「彼女は……何かと抱え込みやすい性格の方です。
悩みがあっても、それを表には出さないような……。
もし顔を合わせる機会があれば、気に掛けてあげて下さい」
遊部が『多重人格者』であることは伏せておく。
個人のプライバシーを侵害するつもりはない。
彼女が他者の権利を尊重している限りは。
「共闘の経験があるといえば、『常原ヤマトさん』という方も私の友人です。
彼は『裁縫』が得意で、気配りも行き届いています。
常原さんも『アリーナのパーティー』に参加されていたのですが、
手際良く『会場の手伝い』をされていました」
そこまで話し、言葉を区切る。
「お互いに、次を『最後の質問』にしましょうか。では、私から……」
「今後、『用意して欲しいお菓子』はありますか?
希望を伝えて頂ければ、今度の機会までに作っておきますよ」
決して『深刻な内容』ではないが、ある意味で『大事な質問』だろう。
54
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/09/15(日) 20:19:13
>>53
「まぁ躊躇しなかったわけじゃないですけどね。
あのときはいっぱいいっぱいでしたから。」
そう言って鳩尾のあたりをさすっている。
そこに刺青が掘られているのだろうか。
「今はどうしているのやら…
まぁまたどこかで同じような仕事をやってるでしょう。」
特にその人物のことを心配していることはないのだろう。
きっとどこかで元気にやっていると思っているのだ。
「スタンド使いは惹かれ合うといいますが…
良縁を引き寄せるということでもあるのでしょうね。それは。
きっと色んな人と手を取り合えますよ。」
彼女が夏の魔物事件で、仲間を救うために頑張っていたことは知っている。
その思いは届くだろうと思う。
「稗田さんとお友達なんですね。
私は割と気が合う者同士と言った感じですが…」
繋がりのある人が居たことに何処か嬉しさを覚える。
「ココロさんは…私もあったことがあります。
色々とお世話になったことがあって…
ピアノがとてもお上手、ですね。」
涙音もかつて世話になったことがある。
よく知った人物なのだろう。
「遊部さんも夏の魔物事件で活躍された方ですね。
あの人とまた話す機会があれば、そのときは…わかりました。」
「それと常原ヤマトさん…ですね。
本当に色々とお世話になる方が多いみたいですね。
いずれ…みなさんとまたお会いしたいです。」
そう言って、感謝するように頭を下げた。
「最後の質問ですね…
うーん、用意してほしいお菓子というと」
そう言って少し考えてから口を開く。
「私はヨーグルト系の味が特に好きなんですよね。
ちょっとアバウトになりますけど…そういうタイプの味があるお菓子とかがあると…
私は嬉しいですね。…ラッシーとかも結構好きですけど。」
自分の好きなおやつはそういう物が多い。
「ふむ、最後の質問となると…
そうですね。」
そう言って少し考える。
「その…今の自分自身は、好きですか?」
小石川の過去を聞いて、どこか気になったのだろう。
今の自分自身のことをどう思っているのだろうかと
55
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/09/16(月) 11:53:04
>>54
『スタンド使いは惹かれ合う』という説には信憑性を感じる。
つい先日も『甘城天音』に出会えたばかりだ。
あの場合は『マシュメロの繋がり』と言った方が正しいのかもしれないが、
いずれにしても『スタンドによる縁』であることには変わりない。
「次は『ヨーグルトケーキ』を作っておきましょうか。
ヨーグルトを使ったレアチーズケーキなど……。
その時を楽しみにしておいて下さい」
頭の中でレシピを思い出しながら、涙音の希望に沿う旨を伝える。
「……自分というのは、決して離れられないものです。
それでいて、自分のことは意外に分かりません」
「『魔物事件』以降、自分自身と向き合う機会が増えました。
そこで『自己理解』を深める内、私は自分に疑問を抱くようになりました。
このままでいいのだろうかと――」
「私は何も成すことが出来なかったのですから」
あの日、『魔物』を救おうとして叶わず、多くの人々の『心』を傷付けてしまった。
この『罪』を、どう償えばいいのだろう。
毎日そればかり考えていた。
「だから、『変わらなければならない』と考えた時もありました。
でも、『今までの自分』を捨てるのは、とても難しいことなのだと悟りました。
同時に、自分自身に無理をさせていたことに気付いたのです。
自分自身を労ってみて、以前よりも自分について理解できたように思います」
「私は――『今の自分』が好きですよ」
ニコ…………
穏やかな微笑と共に『質問の答え』を告げてから、少しの間を作る。
「以前……笑美さんに言われたことがあります」
「多くの命を守ろうとしても、伸ばせる腕にも掬える手のひらにも限りがある。
全てを拾おうとしても、指の隙間からこぼれ落ちてしまう。
でも、一人だけでなければ、より多くの手のひらがあれば、
零れた命も救えるのではないか」
彼女にもらった言葉は、今も大切に持ち続けている。
「そして、私は『サロン』を立ち上げました」
スゥゥゥゥ…………
話し終わると目を閉じて深呼吸し、1枚の白紙と1本のペンをテーブルの上に置いた。
『得点計算』に用いる道具だ。
そこに『これまで出された質問』を纏めていく。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・好きな卵料理は何ですか?
・お肉料理とか好きなものありますか?
・もし旅行に出掛けるとしたら、どこか行ってみたい場所はありますか?
・小石川さんから見て、母はどういう人だと思いますか?※
・涙音さんは私に対して、どのような印象を抱いていますか?
・そのファッションにはどのようなこだわりがありますか?※
・涙音さんがスタンド使いになられた理由を聞かせて頂けますか?
・小石川さんがスタンド使いになった理由について、聞いてもいいですか?※
・学校内にスタンド使いの友人は、どれくらいいらっしゃいますか?
・小石川さんのご友人さんのことを何人か教えていただけないですか?※
・今後、用意して欲しいお菓子はありますか?
・今の自分自身は好きですか?※
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「――『限られた相手にしか話せない内容』に印を付けました。
同じように『チェック』を入れて頂けませんか?」
ソッ
上記を書いた紙を、涙音の手元に差し出す。
56
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/09/16(月) 14:42:30
>>55
「ありがとうございます。
ヨーグルトケーキ…とても美味しそう。
実に楽しみです。」
どうやら新しいお菓子について楽しみになったようだ。どこか嬉しそうに答える。
「そうですか…夏の魔物の一件で…
色んな人の心に残る出来事でしたね。」
なんとなくではあるが、夏の魔物事件でいろいろな人の運命を変えてしまったような予感がした。
「…それを聞いて安心しました。
今の自分を大事にして、捨てることなく
思うことができること…それはとても大事なことです」
そう言って頷いた。
「お母さんがそんなことを…
フヒヒ、さすがお母さん。
素敵なことを言ってくれますね。」
どこか誇らしげにも見える表情で涙音が答える。
「お母さんの言葉がきっかけだったんですか…
なんだか嬉しいです。
それで色んな人を救えると…そう思います。」
そう言って頷いた。
その後、質問がまとめられた紙を見る。
「なるほど…限られた相手にしか話せない内容は…」
そう言って涙音もチェックを入れに行く。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・好きな卵料理は何ですか?
・お肉料理とか好きなものありますか?
・もし旅行に出掛けるとしたら、どこか行ってみたい場所はありますか?
・小石川さんから見て、母はどういう人だと思いますか?※
・涙音さんは私に対して、どのような印象を抱いていますか? ◯
・そのファッションにはどのようなこだわりがありますか?※
・涙音さんがスタンド使いになられた理由を聞かせて頂けますか? ◯
・小石川さんがスタンド使いになった理由について、聞いてもいいですか?※
・学校内にスタンド使いの友人は、どれくらいいらっしゃいますか? ◯
・小石川さんのご友人さんのことを何人か教えていただけないですか?※
・今後、用意して欲しいお菓子はありますか?
・今の自分自身は好きですか?※
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「こんな感じですかね。
お菓子はある意味他の人には言わない質問ではありますけどね。」
そう言って嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとうございます。小石川さん。
色々とあなたのことが分かったような気がします。」
57
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/09/17(火) 06:16:28
>>56
『サロン』を立ち上げた最初のきっかけは、やはり『魔物事件』だ。
あの事件の存在が、『未来の災禍に備える重要性』を教えてくれた。
また、何も成すことが出来なかった無力感も、大きく関係している。
そして、最終的に背中を押したのは、『笑美の言葉』だったのかもしれない。
少なくとも、『決意の一部』であることは確かだろう。
「――ありがとうございます」
涙音と自分の間に置かれた紙を改めて眺める。
「1人『6つ』ずつ質問できましたね……。
今日、これだけのことが分かったのです」
このゲームはレクリエーションだが、
お互いについて知る上で、決して馬鹿には出来ない情報量だ。
情報の開示を繰り返していけば、自然と『相互理解』が深まっていく。
先程の『テストプレイ』で、『改善のアイディア』も思い付いた。
「涙音さんと試した結果を反映させて、少し『ルール』を変更しました。
『限られた相手だけに話せる内容』は『5点』にしましょう。
さらに、『秘密』を明かした場合は『10点』とします」
「もちろん『秘密を明かす』というのは、非常に『重み』を伴う行為です。
ですから、『今回は秘密の開示は無しにする』というように、
各自が好きなように『アレンジ』して下さって構いません」
「今回、涙音さんと私は、
『秘密の開示は無しでプレイした』ということにしましょう。
それを踏まえて『得点』を計算すると――」
サラサラサラサラサラ
「……『44点』ですね。
せっかくですから、この数字は2人の『累計得点』として記録しておきます」
ペンを手に取って『今日の得点』を書き込み、もう1枚の白紙をテーブルに広げる。
「分かりやすいように『ルール』を書き直します。
これは目立つ場所に置いておきますので、
必要に応じて『会員』の方々に利用してもらいましょう」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
☆『主宰者』からのお知らせを申し上げます。
『会員間の交流』を円滑に進める為の『レクリエーション』をご用意しました。
必要な際には各自でご自由にお使い下さい。
ゲーム名:『コミュニケーション・ラリー』
◯ゲームの概要
交互に『質問と回答』を繰り返す『会話ゲーム』。
『質問の連鎖』による『ラリー』を途切れさせることなく、出来る限り『連続』させる。
『勝ち負け』は存在せず、参加者が『協力』して、最終的な『ハイスコア』を目指す。
◯基本的なゲームの流れ(2人で行う場合)
1:『A』が『B』に質問する。
2:『B』が『A』の質問に答える。
3:『B』が『A』に質問する。
4:『A』が『B』の質問に答える。
5:『A』が『B』に質問する。
(以下、これを繰り返す)
◯ポイント獲得のルール
1:相手が質問に答えてくれたら『ポイント獲得』となり、
『内容の重要度』に応じて『ポイント数』が変化する。
2:『誰にでも話せる内容』なら『1ポイント』加点。
3:『限られた相手にしか話せない内容』なら『5ポイント』加点。
4:『秘密』なら『10ポイント』加点。
5:『重要度』は『質問された側』が判定する。
6:『獲得したポイント』は『参加者同士』で『共有』する。
7:『相互理解度の目安』に繋がるので、『その回の合計獲得ポイント』を、
『累計得点の一部』として記録しておくことを『推奨』。
◯その他のルール
1:『嘘』をついてはいけない。
2:質問に答えられない時は『答えられない』と伝える。
3:誰かが質問に答えなかった時点で『ゲームセット』。
◯備考
1:なるべく『ラリー』を持続させる為には、
『答えられる質問』には出来るだけ答えることが望ましい。
2:また、『相手が答えやすい質問』を出すことも大切。
3:『踏み込んだ質問』は『ハイスコア』に繋がるが、
『答えてもらえない可能性』があることには注意。
※このゲームの主な目的は『会話のきっかけ作り』です。
なお、上記は『基本ルール』です。
『今回は秘密の開示は無しにする』など、
プレイしやすいように『アレンジ』して頂いても構いません。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「涙音さん……楽しんで頂けましたか?」
涙音のグラスが空いているなら、そこにミントティーを注ぎつつ感想を求める。
58
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/09/17(火) 19:38:03
>>57
「…どういたしまして。」
今までの質問でサロンを立ち上げた理由を知ることができて
どこか嬉しそうな表情の涙音であった。
「6つの質問…これだけでもお互いのことがよくわかりましたね。
この質問ラリーは、仲を深めるのに最適と言えるでしょうね。
…助けになれたのならば嬉しく思います。」
そう言って頭を下げた。
「ふむふむ、秘密を明かすことにはさらに得点をですか…
秘密を明かすくらいの仲になったときに更に踏み込んだ話ができそうですね。」
「44点、これは結構お話ができたほうかも知れませんね。」
どこかその表情は嬉しそうである。
その後、レクリエーションの内容をじっくり読み取って
「こんな感じで良さそうですね。
いい感じのレクリエーションになると思います。」
そう言ってから一息ついた。
「ええ、とても楽しかったですよ。
小石川さんのこともわかりましたし、それに…」
そう言ってミントティーの入ったグラスを手にとる
「私のお母さんのことも、ちょっとわかりましたからね。」
軽くミントティーを飲んで微笑んだ。
59
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/09/18(水) 10:51:55
>>58
一通りの話が終わった後、膝の上の撫子が目を覚まし、おもむろに両目を開いた。
「もし涙音さんに『留守番』をお願いして、
『他の会員』の方がいらっしゃった時は、
私の代わりに『レクリエーションの説明』をして頂けませんか?
実際に試した涙音さんなら、きっと分かりやすく話せると思います」
――――――カラン
自分のグラスにも冷えたお茶を注ぎ、乾いた喉を潤す。
「……実を言うと、他にもレクリエーションの案を考えてあるのです」
「ただ――そちらは『大人数』で行うことを前提にしていますから、
いずれ皆さんに集まって頂いた際に、改めてお伝えします。
楽しみにしていて下さいね」
スッ
ふと思い出してスマートフォンを取り出し、画面に表示させた写真を涙音に見せる。
「先日……『撫子の仲間』と知り合いました。
『ナックラヴィー』という名前だそうです」
写真の中にいるのは2人と2匹。
背景から判断すると、撮影場所は海岸らしい。
『ラムネ瓶』のような猫がいて、その上に『帽子猫』が乗っている。
また、小石川と少女が一緒に写っていた。
ふわふわの髪をツインテールにしており、
気だるげな雰囲気を感じさせる垂れ目が特徴的だ。
「こちらは『甘城さん』です……。
涙音さんと近い年頃なので、
学校で顔を合わせる機会もあるかもしれませんね」
今後、涙音と甘城が出会うことがあったとしたら、
それも『スタンド使いの引力』なのかもしれない。
60
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/09/18(水) 18:46:33
>>59
「わかりました。
留守番することがありましたら、ぜひとも。
お母さんもきっと協力してくれると思います。」
そう言ってから、またお茶を飲む。
「他のレクリエーションも楽しみにしていますね。
大人数で参加するのも…いずれやってみたいです。」
嬉しそうな顔で答え、頭を下げた
「どれどれ」
差し出されたスマートフォンを見ると、そこには少女と小石川、
それと2匹のかわいい生き物を見る。
「へぇ、ネコちゃんがもう一ぴきいるんですね。
こっちはラムネ猫ちゃん…かな。
ナックラヴィーちゃん…こっちも可愛いですね。」
なんとも不思議な見た目だが、こうしてみるとなんとも可愛らしく見える。
「甘城さん…この子がそうなんですね。
…いずれあってみたいものです。
この子もナイさんの力で生まれた子なんでしょうかね?」
いずれまたどこかで会えるかもしれないと思うとどこか楽しくなる。
そしえ、ラムネ猫のこともどこか気になるのであった。
61
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/09/19(木) 11:56:49
>>60
やはり一度は会員同士で顔を合わせてもらいたい。
その為には、ここに集まってもらう必要がある。
各々の都合を考慮しなければならないので、今すぐとはいかないが、
いずれは実現させるつもりでいた。
「『ナイさんの力』――というよりは、
『ナイさんが連れている猫の力』ですが、おそらく間違いないでしょう。
別々の理由で生まれたと考えるよりは、
同じ力によって誕生した可能性の方が高いはずです」
ソッ…………
撫子の長い被毛を優しくかき分けると、ピンク色の『肉球マーク』が見つかった。
「ナックラヴィーにも同じ『印』がありました。
ある意味では『血の繋がり』と言えるのかもしれません」
姿形こそ全く似ていないが、『同じ力で生まれた存在』というのは、
『涙音と由楽の関係』に近いのかもしれない。
「甘城さんは撫子を被ったことがあります。
……涙音さんも被ってみますか?」
撫子を両手で抱き上げ、胸の高さに持ち上げる。
元々は帽子であり、大人しい性格だ。
頭に被ったとしても問題はないだろう。
62
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/09/19(木) 19:16:12
>>61
「なんとも不思議な能力ですねー。
他にもいろんな猫がいるんでしょうか…」
ラムネと帽子、まだまだ色んな種類がいるかも知れない
なんとも不思議な気分に感じた。
「あら、可愛いマークですね。」
肉球マークを見ながらニッコリ微笑んだ。
「血の繋がりってことは、きょうだいとか親戚みたいな感じでしょうかね。
家族と言えるかもしれませんね。」
そう言って軽く撫子をなでてみる。
「…いいんですか?
実をいうと、ずっと被ってみたかったんです。
それじゃあ…」
小石川に言われるまま、撫子を被ってみる。
果たして似合っているだろうか。
「もふもふですね〜…
なんか、普通の帽子よりもあったかくて柔らかいです。」
猫特有の温かさと柔らかさを兼ね備えた帽子。
もし商品として実在したならば最高の発明だろうと実感する感触だった。
「もうしばらく、撫子ちゃんのお相手、させていただきますね。
なんだか被っているとしばらく手放せないです。」
そう言って涙音は微笑んだ。
撫子を愛でることに夢中になり、しばらく帰れそうもないだろう。
63
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/10/02(水) 16:22:05
>(『サロン』正会員)
『正会員』の皆さんに提案があります。
各自の都合を考慮すると、なかなか全員が顔を合わせることは難しいでしょう。
そこで、皆さんに『自己紹介文』を作成して頂けないでしょうか?
その内容を『全員』で『共有』して、
『コミュニケーションの一助』にしたいと考えています。
集まった自己紹介文は、私から全員に回し、
『本拠地』でも見られるようにしておくつもりです。
もちろん『明かしても構わない情報』だけで構いません。
『自己紹介文を提出するか否か』も任意です。
私のことは、ある程度ご存知かと思いますが、
『一例』として以下に添付しておきます。
[こんにちは、小石川文子です。
私達が相互理解を深められる場を作るため、
サロンの主宰者として、これからも尽力する所存です。
皆さんにも是非ご助力をお願い致します。
今、私は撫子と名付けた猫と暮らしています。
もし会う機会がありましたら、どうか仲良くしてあげて下さい]
64
:
空織 清次『エラッタ・スティグマ』
:2024/10/02(水) 22:37:06
>>63
(自己紹介文)
[ 『空織 清次 (くおり きよつぐ)』だ。
おそらくこの会の中で
わたしのことを知っている者は一人もおるまい。
特に語り甲斐のある身の上でもないが、
お上品なサロンにわたしみたいな
得体の知れない飲んだくれがいると、
君たちも要らん気を張るだろう。
簡単に自己紹介だけさせてくれ。
小石川氏と知り合いになったのは『偶然の成り行き』で、
サロンに参加することになったのも同じくらい『成り行き』だ。
それでも彼女がこの会に込めた意味には賛同しているし、
自分にできることがあれば力を貸したいと思っている。
そしてそれは小石川氏に対してだけではなく、
彼女が信頼して集めたという君たちに対しても同じだ。
可能かどうかは別として、そうありたいと思っているよ。
なお……わたしは『仕立て屋』を生業としているので、
衣装や服飾に関する相談事があればいつでもお受けする。
特に衣裳を仕立ててほしいという依頼なら大歓迎だ。
仕立て料はハッキリ言って安くないが……
それに見合うだけの品を提供することを約束しよう。
以上だ。
連絡先は書いておくから、話したいことがあればご自由に。
こんな人間だが、仲良くしてもらえると助かるよ。 ]
65
:
一抹貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』
:2024/10/03(木) 16:36:26
>>63
夏の魔物事件でプロフィール丸裸な気がしますが紹介しましょう。
名は一抹貞世。スタンドは『ディヴァイン・インダルジェンス』。
近距離パワー型で接触した生物の『悪感情』を鎮静する珍しいスタンドです。
他にも『慈悲の刃』とか言う隠し武器を持ちます。
これだけ自分のスタンドを何故、明かすのか気になりますか?
それは弱っちいから明かしても結果が変わらないなからです。
でも、戦闘経験から豊富な方かな?
小石川さんとの関係は夏の魔物から救ってくれた仲かな?
勿論、小石川さんがギリギリまで夏の魔物を説得してくれたのは知ってます。
それを踏まえて小石川さんの精神性を尊重して『サロン』に入会しました。
もう、私と夏の魔物のような犠牲を生まないためにです。
どうにもならなくなった時の『安息』係として頑張ります!
66
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/10/05(土) 10:53:48
>(常原)
『月曜日』――お茶とお菓子を用意して、『約束した相手』の訪問を待っていた。
ここに来たのであれば、まず『ラベンダー』の庭が目に入るはずだ。
それから『リビング』に通されて、ソファーに腰を下ろすことになるだろう。
室内に置かれている家具や調度品は、
アンティークとフレンチモダンを融合させた『シャビーシック』で統一されていた。
全体的に『くすんだ色』が基調となっており、落ち着いた雰囲気に包まれた空間と言える。
……………… ……………… ……………… ……………… ………………
床に敷かれたラグの上では、『帽子猫』の『撫子』が寝息を立てている。
ただ、傍目からは帽子が落ちているようにしか見えない。
特徴的な『耳』が伏せているので、なおさら分かりづらかった。
67
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2024/10/05(土) 15:28:31
>>66
(小石川)
『常原ヤマト』は『家政婦』を自称している。
漢らしい名に反さず、実際男性であり、大柄で筋肉質な体格、左目に眼帯。
黒い革ジャンでも羽織っていれば、腕っぷしの強いアウトローのような
近寄りがたい風貌になるのだろうが、
白黒のワンピとエプロン、『メイド服』を纏っているために、
率直に言って近寄りたくない風貌をしている。
「お邪魔いたします」
そのメイド男が、なにやら小石川の屋敷にお呼ばれしてしまったのだった。
「お庭の雑草取り!!!!……は不要そうですね…」
「掃除…………も、いらないですね………」
「洗濯!!!!……も溜まってなさそうですね………
おや、『帽子』が落ちています!これだけでも洗いましょうか?」
キャビネットや机に埃が積もっている様子もなく。
俺にできることと言えば、力仕事くらいだろうか。
海外の大ぶりな調度品を、女性一人で運び込んでいるとも思えず
このあたりは、おそらくは『伴侶』の仕事だったのだろう……
「す……座………!!!!!」
「そんな!!!!!家政婦めが!!!!
お屋敷の椅子に腰掛けようなどと!!!!!!」
68
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/10/05(土) 17:44:55
>>67
一般的な観点から見ると、確かに常原の服装は奇矯に映るだろう。
しかし、それは『喪服』で通している小石川も同じことだ。
他人には理解しがたくとも、当人にとって大切なものはある。
「――いえ、どうかお座りになって下さい。
今日は『話し相手』になって頂くためにお呼びしたのですから……」
コポポ…………
「……それから『味見』もして欲しいのです」
テーブルに置かれたカップに『ラベンダーティー』を注ぐと、
リラックス効果を持つフローラルな香りが漂う。
また、手作りの『ヨーグルトケーキ』とカトラリーも用意されていた。
ビスケットで出来た土台の上に、
クリームチーズとヨーグルトを使ったケーキが載ったスイーツだ。
見栄えは綺麗に整っており、おそらく味も相応だろう。
片手を差し出し、それらを常原に勧める。
「――――にゃあ…………」
ピコッ
不意に『黒いキャペリンハット』から『猫の耳』が生えた。
音量の大きな声で『帽子猫』が目覚めたのだ。
半分ほど開いた両目で『来客』の姿を見上げている。
「この子は『撫子』と名付けました。
『あるスタンド』によって生まれたのですが……
こうして一緒に暮らしています」
常原と出会った頃の小石川文子は『独り暮らし』だった。
いつも心の片隅に『寂しさ』を抱えていたが、今は新しい『家族』がいる。
そのせいなのか、以前と比べると小石川の表情は柔らかだった。
69
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2024/10/05(土) 21:04:37
>>68
(小石川)
「しかし、いや………………かしこまりました。」
あまり固辞するのも、家政婦としてはよくない、と
ソファに腰掛ける。
小石川は『家政婦』ではなく『俺』を呼びつけたのだと、薄々察してはいたが、
こういった場での『客人』としての振る舞いに、慣れていない。
一回のメイドが、座して、奥様が茶を注ぎ菓子を出されるのを見ているだけ……もどかしい。
「(それに、俺は、ここに招かれうる人物たりえるか?とも思う…………)」
食器に手をつけるのも躊躇われ、茶の波紋や、小石川の居住まいを眺める。
いい匂いだな、と思う。
「はっ!?
………お話ですか!!お聞きします!!!!!!」
>にゃあ
「猫!?!? すごく可愛……!! ……!
…………
………愛くるしいですね」
声量は抑える。
70
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/10/06(日) 00:54:20
>>69
どこか落ち着かない様子を見て、こうした状況に慣れていないのだろうと感じた。
彼の立場を考えれば、それは当然のことなのかもしれない。
全く逆の側に回るというのは、にわかに受け入れにくい部分があるものだ。
「常原さん……『もてなされる側』に立ってみるのも、
きっと良い経験になると思います」
ソッ…………
向かいに座る客人の緊張を和らげるように微笑を浮かべ、
常原が手を出しやすいようにするため、自分のカップに口をつけた。
「……つい差し出がましいことを言ってしまいました」
――――コト
静かにカップを置くと、目覚めたばかりの撫子を一瞥してから話し始める。
「まず結論から申し上げます。
私は『組織』を立ち上げました。
市井のスタンド使いが集まる『互助組織』です」
常原にとっては寝耳に水の話だろう。
すぐに理解してもらえるとは考えていない。
だから、順を追って説明する。
「これは決して単なる思いつきではありません。
今から『何故そうしたか』を、常原さんにお話させて下さい。
もし質問があれば、その都度お答えします……」
「――よろしいでしょうか?」
本題に入る前に確認を取り、常原の見解を求める。
71
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2024/10/06(日) 12:56:51
>>70
「………気を遣わせてしまいました!!!
申し訳ありません!!!いただきます!!!!!!!!!!」
カップに指をかけ、慌てて口に運ぶ。
すこし多めに飲んでしまった。
「互助組織、ですか」
「………続けてください」
背筋を伸ばし、話の続きを促す。
細かい部分はこれから明らかになるだろう。
72
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/10/06(日) 14:34:22
>>71
「……以前に起きた『魔物事件』を覚えておいででしょうか?
あの一件で、私が多くの人を集めていたことは、
常原さんもご存知かと思います」
「そうした経験から、私は『3つの学び』を得ました」
そこで言葉を区切り、少しの間を置いて先を続ける。
「第一に、あのように『大きな災い』は、
いつ何処で起きるか分からないということ……。
災害が起きた後に『避難の準備』を始めても間に合いません。
早い段階から備えておけば、有事の際に素早く動くことが出来ます」
小石川が多数のスタンド使いを招集できたのは、
これまで築いてきた『人脈』があったからだ。
しかし、それを最大限に駆使しても、
全員に話をつけるまでには相当な時間を費やしてしまった。
もし、その段階を省けていたなら、他に気を回す余裕が出来ていただろう。
「また、万一の事態に対応するためには、
『人と人の繋がり』が大切だということです。
未曾有の問題が生じた時、『結束』は大きな力になります。
一人では不可能な行動も、複数人が集まれば実現できるでしょう」
かつて『魔物事件』で小石川が立案した計画は、単独では成し得ないものだった。
多数の力を合わせたからこそ、実行に移すことが出来たのだ。
まさしく結束が生み出した結果に他ならない。
「そして……一時的な集まりではなく、『強い絆』が必要になると考えました。
『利害が一致するだけの集団』は、
些細な綻びから瓦解してしまう可能性を孕んでいます。
だからこそ、お互いを深く理解し合い、
助け合うことの出来る『相互理解の場』を作りたいと思ったのです」
『目的を同じくする者の集まり』を作った小石川は、
『魔物事件』の終局において『共に戦ってきた仲間達の離散』を体験した。
それぞれの考え方の違いから対立し、後戻り出来ない亀裂が刻まれてしまったのだ。
『とにかく頭数を揃える』というような方法では、強固な結び付きは得られない。
「常原さん――私は『その場』を『サロン』と命名しました」
73
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2024/10/08(火) 00:43:09
>>72
「『サロン』、ですか」
「……災害………結束……相互理解……」
小石川の言ったことを、口の中で転がすように呟く。
『魔物事件』。俺は顛末を知るようで知らないのだが、
とにかくそういう事変があったのは記憶している。
解決にあたり、小石川が音頭を取っていたことも覚えている。
「…話は読めて参りました!!!
……ですが、自分からも3つ…………」
指を3本立てる。問いかけねば。
「1つ目。『誰も彼も招き、動かす』わけでは無いでしょうね?」
奥様の事だ、互助の意識、去る者拒まず、のスタンスなのだろうが、
『招くべきでない人物』………
『悪意のある人物』はどうするのか?
そして『お坊ちゃま、お嬢様』を無理に巻き込むようであれば…………。
「2つ目。様々な事柄に『どう責任を取る』のですか?」
中立や専守を気取っても、いやだからこそ、災害と縁は絶えない。
結束のお題目のもと、敵を共有する、その恐ろしさ。
哀しみ。痛み。怪我。死。
「3つ目。『なぜ、奥様がそれをする』のでしょうか?」
指を立てたまま、その隻眼で、小石川を見つめる。
74
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/10/08(火) 14:22:55
>>73
常原ヤマトと小石川文子が向かい合って座るのは、思い返せば『あの時』以来だった。
「常原さんのご質問に答える前に、
その『前提』となる部分からお話しましょう……」
「『サロン』は『招待制』です。
『他の会員から紹介された方』のみ入ることが出来ます。
なお、『正式な会員』には『会員証』をお渡ししています」
…………スッ
小さな布袋を取り出し、テーブルの上に置く。
ハーブティーと同じ花の香りが漂う。
『ラベンダーのサシェ』だ。
「これを持っている方を『正会員』とし、
お持ちでない方は『仮会員』とします。
両者の主な違いは、『本拠地』を訪れる方に対し、
応対する資格を持つか否かということになります」
「つまり、『ここ』です。
また、『会員証』をお渡しするのは『主宰者』の役割になっています」
「そして――『主宰者』は私です」
いったん言葉を止め、まもなく再び口を開く。
「『1つ目』の答えですが、
最低限の『協調性』を持ち合わせていない方はお断りしています。
『正会員』にはなれませんし、
場合によっては『仮会員』の資格も取り消す可能性があります」
「『サロン』の『互助』は『自由意志』に基づきます。
お願いすることはあっても、強制することはありません」
「『2つ目』に移らせて頂きます。
何らかの『問題』が生じた際には、私が『責任』を持ちます。
すなわち、率先して『会議の場』を設け、全体の『舵取り』を行います」
「これは『主宰者が会員証を渡す理由』でもあります。
『責任の所在』が明らかでなければ、以後の対応は円滑に進みません。
また、『仮会員』の方は、基本的に『会議』にはお呼びしないつもりです。
一人の発言が全体に影響を及ぼすという『自覚』を持って頂きたいからです」
「ただ……常原さんがおっしゃりたいのは、『実際に危険がある場合』でしょう」
「『サロン』として動く場合、それは『関わった全員の責任』です。
お断りしておきますが、『会員だから』といって、
常に関わらなければならない『義務』は存在しません。
関わるかどうかは『本人の意志』で決定され、
判断するために必要な情報を伏せておくことはありません」
「『3つ目』をお答えします。
『それ』というのが『責任』という意味でしたら、
『主宰者としての役割』です。
善意で加わって頂いたのですから、皆さんが過ごしやすい空間を維持するのは、
私の果たすべき務めだと考えています。
重ねて申し上げますが、『サロンとしての責任』は『全員の責任』です」
「……初めてお会いした時のことを覚えていらっしゃいますか?
ずいぶん前になりますから、お忘れかもしれませんが、
私は常原さんに言われた『言葉』を覚えています。
私は、私自身のことを、しっかり見てあげて欲しいと――」
常原ヤマトと小石川文子が知り合ったのは、一軒の『喫茶店』だった。
僅かな時間だったものの、お互いについて語り合えたのは貴重な経験だったように思う。
その中で投げ掛けられた一言を、無意識の内に振り返る。
(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453647631/267)
「これまでの私は、『それが出来ていた』とは言い難いでしょう。
『全てを独りで背負おう』とした結果、大きな『過ち』を犯してしまいました。
その『重み』に耐え切れず、『折れてしまった』のです」
常原を見つめ返す瞳は、あの頃と変わらず憂いを帯びている。
同時に、『当時の姿』を知る常原は、明確な『変化』に気付くことが出来た。
この町で『スタンド使い』として生きてきた経験が、そうさせたのだろう。
陰を含んだ瞳の奥には、幾重にも折り重なった『過去』が秘められている。
一瞬、そのように感じられた。
「――『私だけが全責任を負う』ということは『しません』。
その考え方は私だけでなく、他の方々にも迷惑を掛けてしまうからです」
一通りの回答を終え、常原のために沈黙を挟んだ。
75
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2024/10/08(火) 23:59:06
>>70
・招待性でセーフネットを張るが、参加は自由意志。
・主宰が取り纏めを行うが、各員に発現の権利あり。
・集団として動く場合には、動いた者たちの『連帯責任』。
といった所か。
「……それでもですよ。それでも、………『サロン』。
人が寄り合えば、『衝突』はあります。絆があろうと。
そして『組織の外』。危機を乗り越えるために………寄り合い、何かや誰かと『敵対』する。
これから先、奥様は『無傷』ではいられないでしょう………」
「最後に一つ、問わせてください………」
あなた、また傷つくぞ。今からでも思い直して、
何にも関わらない平穏な暮らしを送るべきじゃあないか?
…………と、疑問を投げかけようとしたところで。
小石川の黒い瞳に見つめ返される。
たしか喫茶店で相席をした、その程度の邂逅だったが。
互いに、古傷を見せ合うような会話があった。
その時のこの女性は、ようやく傷を克服し、再び立ち上がり始めたような様子だった。
今は………………
「(…………愚問か)」
肩の力を抜き、息をつく。質問を変えよう。
「――――――『家政婦』のお手伝いは必要でしょうか!?!?!?!?
丁度ここに一人いるのですが!!!!!!!!!!!」
76
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/10/09(水) 15:19:49
>>75
『あの頃の自分』なら、
『平穏に生きるべきだ』という助言を受け入れられただろう。
星見町で『スタンド』を得てから、幾度も争いの渦中に身を投じている。
今から後戻りするには、あまりにも多くのことを知り過ぎてしまった。
しかし、後悔はしていない。
また傷付いたのなら、その度に立ち上がれば良いのだから。
『常原ヤマト』を見つめる『小石川文子』の瞳は、
そのように物語っていた――――。
「こちらにいらっしゃる方には、
『お茶』と『お菓子』を出すことにしています。
私が不在の場合、他の会員に『留守番』をお願いするのですが、
経験豊富な『ハウスキーパー』がいて下されば、
きっと安心できるでしょう……」
テーブルの上に置かれた『香り袋』に視線を落とす。
「『ラベンダー』には『鎮静作用』があります。
将来、この町で『災禍』が起きた時、
それを『鎮静』したい――そういった意味を込めました」
小石川自身、ラベンダーの香りには助けられてきた。
どうしようもなく心に乱れが生じた時、精神の安定をもたらしてくれる。
その効能を知っているからこそ、ある種の『象徴』として選んだ。
「……『私の話』をお聞きになった上で、
もし『来て頂ける』のであれば、これを収めて下さい」
神妙な面持ちで顔を上げ、眼前の『友人』に向けて恭しく告げる。
77
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2024/10/10(木) 01:44:37
>>76
「……奥様とは違って、俺は……たぶん………自分の痛みに、向き合えてはいない
あなたほど、俺は、俺を信頼できない………」
常原ヤマトは、少しの間、呟きながらカップの波紋を見ていた。
一人の人間としての己を顧みて、『己は相応しいか』?自信はない。
加えて、組織に対しての心配事も尽きたとは言えない。
それでも。
「それでも……
『よく乾いてアイロンがけされたシャツ』…
『季節のもので作られた食事』…!
『水垢のない洗面台と磨かれた鏡』!!
仲の良い家族!!安心して帰れる『家』!!!!!」
「俺の実現したいものです!!
……だから、『サロン』の『理念』に、
いち『家政婦』として、賛同させていただきます!!!!」
人よりも大きめな手を、『香り袋』の上に乗せる。
常原ヤマトは、落ち着きのある方とは言えないため、
鎮静作用がうまく効くかはちょっとわからないが。
そういう上辺の事じゃない、もっと意義のある物品だ。
『香り袋』を受け取りたい。
78
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/10/10(木) 11:49:00
>>77
初めて出会った時、彼は『妹の話』をしてくれた。
妹の誕生日に『人形』を贈り、その修理のために『裁縫』を始めたのだと。
そして、それが『形見』になったと聞いている。
詳しい事情は知らない。
ただ、『苦しみに立ち向かうために針仕事を始めた』と語った彼の姿に、
確かな『共感』を覚えたことは事実だ。
「以前、『同じ事件』に居合わせたことがありましたね……。
『魔物事件』ではなく、もっと前です。
あの時も、常原さんにはお世話になりました」
ふと口にしたのは、『ある雨の日に起きた出来事』に関わる記憶。
『スタンド使い』として力を合わせ、共に困難を切り抜けた。
それも今となっては懐かしく思える。
(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1454252126/404-555)
「――改めてよろしくお願い致します」
目線を合わせ、会釈を行う。
『香り袋』――『サシェ』は、常原の手と比べると小さい。
しかし、『匂い』は分かる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「私は、この香りが好きなんです。
気持ちが落ち着きますから……」
「家の庭でも育てているんです」
「そういえばニオイって妙に脳とか記憶を刺激しません?
昔から持ってたヌイグルミの香りとか、
嗅ぐ度に胸がギュ―ゥ―――――――ッ!!として」
「昔思い出して泣いちゃいますよ俺」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
あの日の喫茶店で、そう言葉を交わし合った。
かつて常原自身が言っていたように、匂いは記憶を刺激する。
『ラベンダーのサシェ』からは、『あの時と同じ匂い』が感じられた。
スッ
まもなく、1枚の紙とペンをテーブルに用意する。
「お手数ですが、こちらに『自己紹介文』をお願い出来ますか?
他の会員の方々に常原さんを紹介する際に、使わせて頂きたいのです。
その内容は『サロン』の会員間で共有されますので、
『明かせることだけ』で構いませんし、提出するかどうかも『任意』です」
「今の時点で『2人分』受け取っています。
……実際にお見せしましょう」
もう1枚の紙を取り出し、
『空織清次(
>>64
)』と『一抹貞世(
>>65
)』の自己紹介文を見せる。
79
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2024/10/11(金) 01:26:10
>>78
「ええ、懐かしいです。あの事件……」
ちょっとした事件の記憶。また少し目を伏せる。今日の俺はうつむき過ぎだ。
あの騒ぎだって、俺からすれば嫌なオチがついて、その記憶は不安になるんだ。
……懐かしい芳香でふと我に返る。
…小石川は、人を愛する人だ。
そして、愛と覚悟をもって手を下せる人だ。
何かがあっても…………きっと。
「……おっと失礼しました!!
自己紹介ですね!手早く書きます!!!!!」
他の会員の自己紹介に目を通しながら、紙にじぶんのことを書き連ねる。
サラ サラ
「一抹貞世さま!!覚えました!!!
この町にも、まだまだ俺の知らないお坊ちゃまがたくさん……
す、救いたい!!!!すべてのお坊ちゃまお嬢様を!!!うおおおおお!!!!」
カリカリカリカリ
「この空織さまという方、『テーラー(仕立て屋)』なのですか!!!
是非ともお会いしてみたいですね!!!!!!!!!!!!」
そんな事を叫びながらも、
>>80
の内容を記入し終えたので、
いかがでしょうか!!!!!と差し出す。
80
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2024/10/11(金) 01:26:50
>>63
常原大和(ツネハラ ヤマト)と申します。
流しの家政婦を生業としております。
ひとえに家政婦と申しましても、様々な伝統、スタイルがございますが、
この常原の流派は、メイドの流派でございます。
西洋の、白黒エプロンドレスを着用して家事に臨むのが伝統です。
お嬢様、お坊ちゃま、ご主人様、奥様が。
俺のメイド服にビックリされてしまうことは多いのですが、
それでも満足いただけるよう、愛をこめて家事をさせていただきます。
掃除洗濯家事炊事、何でもご用とあらば、
この常原をお呼びつけください。
補足:特に裁縫が得意で、趣味でもあります!
81
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/10/11(金) 13:39:11
>>79-80
自己紹介文を受け取ると丁寧に目を通し、肯定の意を込めて小さく頷いた。
「――確かに『受領』いたしました。
常原さんに頂いた内容は、他の方々にもお伝えしておきます」
「それから……会員同士のコミュニケーションを助けるために、
私の方で『レクリエーション』を用意しました。
必要な際には、ご自由にお使い下さい」
一連の『ルール』が記されたもの(
>>57
)を見せる。
「一度『ある方』と試した時は『44点』でした。
多いか少ないかは別として、このように数字として可視化することで、
『相互理解の度合い』を分かりやすくするという狙いもあります……」
「それぞれの事情がありますので、
なかなか全員が集まることは難しいですが、
折を見て『機会』を設けたいと考えています。
そこでは『別のゲーム』を行うつもりですから、
ご都合が合えば常原さんも是非いらっしゃって下さい」
そこで、手つかずの『ヨーグルトケーキ』が載った皿に視線を移す。
「……差し支えなければ、感想を聞かせて頂けますか?
常原さんのご意見を伺いたいのです」
カチャ…………
自らもフォークを手に取り、ケーキの一片を口に運ぶ。
濃厚なクリームチーズと爽やかな酸味の効いたヨーグルトの味わいが広がり、
土台を形成するビスケットの香ばしさがアクセントを添えている。
主観的には、概ね成功と呼べる出来具合だ。
82
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2024/10/12(土) 12:51:01
>>81
『レクリエーション』のルールと睨めっこしていたが、
菓子を促され、そういえば手を付けていなかった事に気付かされた。
「いただきます!!!!」
がっつり切り分けて、食べる。
ちょっと濃い目のクリームチーズも、
ヨーグルトの酸味と水気でするすると喉を通る。
土台の硬さもいい感じ。
「おいしい!!」
子供みたいな反応をしてしまった。
83
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/10/12(土) 16:07:34
>>82
普段、用意する料理は1人分だけ。
誰かに食べてもらえるというのは、それだけで嬉しいことだった。
口に合ったのなら、なおさら喜ばしい。
「――ふふ……」
無邪気な反応を受けて、柔らかな微笑みを返す。
「『リビング』・『ダイニング』・『キッチン』は、
ご自由に使って頂いて構いません。
常原さんが『留守番』の際に、
どなたかがいらっしゃった時は、よろしくお願い致します」
改めて頭の中を整理して、伝え忘れたことがないか確認する。
「これで一通りお話しました……。
私からは以上ですが、よろしければ『離れ』をご覧になりますか?
もし必要な場合は、そちらを利用して頂くことも出来ます」
「……『アトリエ』として使われていた場所で、
今は幾つかの『絵』を展示してあります」
そこは亡き伴侶の『仕事場』だった。
同時に複数人が居合わせている時、
『2人だけで話したい』といった場合などには便利だろう。
そのように考えて開放している。
84
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2024/10/12(土) 21:56:27
>>83
「かしこまりました。
俺も別のハウスキーピングがあり常駐できない時もありますが、
奥様が不在の際には、なるべくこの常原、駆け付けて対応をさせていただきます。」
(ちなみに常原の言う『別のハウスキーピング』には、
正しい依頼で任された家事だけでなく、
目に付いた家や学生寮に違法に侵入し許可なく家事をする行為、も含まれる。
小石川が自身の住居を任せることにより、
この町の『不法侵入』の件数が減るのは間違いない。)
「離れですか!!よいですね
少し、お邪魔させていただきます」
ケーキを平らげると、何かを思い出している小石川の様子に気づき、
「………本当に、立ち入ってよろしいですか?」
奥様にとって神聖な場所なのではないか。
不法侵入になんの頓着のないメイドだが、
立ち入るな、と言われれば立ち入らない程度の良識がある
(この男のある種厄介な部分とも言える)。
85
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/10/13(日) 01:14:28
>>84
常原の呼び掛けに応じる形で、一瞬の郷愁から現実に引き戻される。
「ええ、もちろん構いません。
それに、常原さんにも見て頂きたいですから……」
スッ
ソファーから立ち上がると、先に立って玄関を抜け、
ラベンダーの咲く庭を通り、その先に立つ『離れ』に向かう。
「――どうぞ」
ガチャ…………
おもむろに扉を開けて、常原を室内に招き入れる。
そこは『小さな美術館』を思わせる空間だった。
風景画・静物画・人物画など、様々なジャンルの『絵画』が飾られている。
それらは繊細かつ力強く描かれており、鑑賞者に『生命力』を感じさせる筆致だ。
そうした絵の数々と対を成しているかのように、空っぽの『イーゼル』が佇んでいた。
「……私と出会う前から、『彼』は身体が弱かったそうです。
自分の『生きた証』を残すために、
『絵』を描き始めたのだと教えてくれました」
小石川が見つめるのは、花瓶に生けられた色彩豊かな『花々の絵』。
多種多様な花が描かれているものの、
別々の季節に咲く品種が共存するところから、
現実には有り得ない組み合わせであることが分かる。
おそらく自由な考えに基づいて製作されたのだろう。
静物画は『動かない命』と呼ばれているが、
光の陰影や茎のうねりは生き生きとした雰囲気を醸し出す。
また、透けるような花弁の表現から、瑞々しさと同時に儚さが感じ取れた。
「私も……『彼』と交わした『約束』を守るために、
これからも生きていくつもりです」
常原に視線を戻し、自らの信条を口にする。
『約束の内容』については、詳しく話す必要はないだろう。
以前、既に伝えていたのだから。
86
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2024/10/13(日) 03:13:34
>>85
小石川の後ろをついてゆく。
途中、薄紫に染まった庭園を眺め、
「さすがにこれは俺も触れません!!!!
ちゃんとした庭師か、奥様ご自身で!!手入れされるのがよろしいかと!」
と申し上げながら、『離れ』のドアをくぐる。
絵の具やら何やらで汚れた『画家』らしい風景を想像していたが、
想像より整えられた部屋だな、と感じた。
夫婦揃って几帳面だったのが伺える。
確か、『自分のぶんも生きろ』、だったか。
その言葉と、こんなに豊かな絵を、思い出を遺されたのだから、
小石川に『後を追う』という選択肢はなかったのだろう。
「………死のうと思ってた、俺 実際に身も投げたんですがね」
「やはり そんな事するべきじゃあない」
「この常原、造詣は深くないのですが……」
「いい絵です。間違いございません。」
自分の死と生のことについて、すこし感傷に浸った。
そういう力のある絵だ。
どこかに『ラベンダー』の絵もあるのだろう。
あるのだろうか。観覧を続ける。
87
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/10/13(日) 13:05:16
>>86
コレクションには『ラベンダーの絵』も含まれていた。
絨毯のように広がる『ラベンダーの花畑』と、楚々としたチャペルが描かれている。
咲き誇る花弁は風に揺れ、絵を通して香りが漂ってくるようだ。
「私達は『ラベンダーウェディング』で式を挙げました。
その年は例年よりも開花が遅れていたのですが、
お陰で満開の花を目にすることが出来たのです」
当時は『不思議なことがあるものだ』と思った。
あるいは『祝福』してくれているのかもしれない。
そのように解釈し、記憶の中の私は『彼の手』を取る。
「これからも……私は命ある限り生き続けます」
ソ ッ
「常原さんも、どうか生きていて下さい……」
緩やかに身体ごと正面を向き、拒否されなければ『常原の手』を取る。
「……お互いに生き続けましょう」
『小石川の手』は、常原と比べて小さく細い。
ほんの少し力を加えただけで、呆気なく壊れてしまいそうに見える。
しかし、『内に秘めるもの』は常原と変わりなかった。
88
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2024/10/13(日) 22:51:11
>>87
ラベンダーが描かれた絵から小石川に向き合い、手を取られる。
「………はっきり申し上げます。
奥様ほどに、この常原は向き合えてはいません。
今後、劇的な心変わりをしないと、『約束できません』。
失格でございますね。」
「私人としての『常原ヤマト』は。まだ少し。時間がかかりそうです…
……ですが、その為の『サロン』。違いますか?」
小石川は、シンパシーを感じ取ってくれているようで、冥利に尽きるのだが、
『メイド』ではなく『復讐者』だったころの常原が、
きっかけ次第で容易に顔を出すのが、最近分かってきた。
具体的には、『死んだ奴が蘇る』、とか言われれば、
案外コロッと寝返りそうな自分に気づかされた経験がある。
そして、そのことを奥様に明かせはしない。恥だし、何より………
………そんなだから、『サロン』の話を持ち掛けられても
普段であれば即答でやります!!!!!!と返事しそうなものなのに、
柄にもなく懸念し、不安がっているのだ。
「ですが、『家政婦』の装束を身に纏った俺は、力になると!!!」
「お約束します!!!!!」
「家政婦としてなのか。『獅子身中の虫』なのか。」
「扱いはお任せしますが……」
信頼し、強く握り返す。
小石川の手だって、そう簡単に壊れはしないだろう。(物の例えだ、もちろん握力の加減はする)
「よろしくお願いいたします!」
89
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/10/13(日) 23:56:12
>>88
常原の『宣言』を受け止めた瞬間、ほんの僅かに目を伏せる。
しかし、それは一瞬の出来事に過ぎなかった。
真っ直ぐな視線で見つめ返し、次の言葉を紡ぎ出す。
「――『理解』には時間が掛かるものです。
『他者』に対しても『自分』に対しても……」
「『サロン』の『根幹』を汲み取って頂けたことを嬉しく思います」
『約束できない』というのが、紛れもなく彼の『本心』だということは伝わった。
正直な気持ちを打ち明けてもらえただけで十分だ。
『真摯なやり取りの積み重ね』こそ、本当の『相互理解』に繋がるのだから。
「……私からも告白します」
「最近になって気付いたことなのですが……
私は『自分のために動くこと』は苦手なようです」
『誰かのために動くこと』には気を回せる。
一方で、問題の焦点が『自分自身』になると、
どうすべきか思い悩んでしまう時がある。
小石川文子は、そういった気質を持っているのかもしれない。
「もし、私が戸惑ってしまっていたら、どうか力を貸して下さい」
ソッ…………
握り返してくれた常原の手の上に、もう片方の手を添えた。
心からの『感謝』と共に。
そして、確かな『信頼』を込めて。
90
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2024/10/15(火) 02:36:41
>>89
「……!はい! 力添えいたします!!!!!」
常原も両手を添え、
ぶんぶんと振る。
「如何様な我儘でも!!!!!!
お申し付けください!!!!」
無私の人、というだけでなく、
単に人に頼られる方が好き、というのもあるのだろう。
常原にもそういう面はある。相似する部分は多い。
心の内を明かしたが、
お互いに知るべきことは、まだたくさんある。
今は言いにくい心の内。だけでなく、
お気に入りの茶葉、月に何回シーツを洗うか、
好きな音楽とかもだ。
『信頼』を深めていこう。
「そしてご安心ください!!!
俺の前で苦手なことはされなくて結構!!!
奥様を困らせず!奥様のために動くのが家政婦!!!
ですので俺はたくさん『お願い』をいたします!!俺は!!!!」
「……さしあたって!
『掃除道具の場所』を!俺にお教えてください!!!」
91
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/10/15(火) 14:53:22
>>90
『人の縁』とは不思議なものだ。
常原ヤマトと小石川文子の交流は、些細な『偶然』から始まった。
それが巡り巡って、今に至っている。
スタンド使いの間に働く引力なのか、似通った部分を持つ影響なのか。
あるいは、その両方なのかもしれない。
「……ありがとうございます」
ニコ…………
力強く発せられた常原の言葉に応えるように、たおやかに微笑んだ。
淑やかであると同時に、芯の強さを秘めた微笑。
表層こそ異なるものの、内側にある共通点は見て取れる。
「『掃除道具』は、階段下の納戸に入れてあります。
せっかくですから、直接お見せしましょう」
やがて手を離すと、案内するために歩き出し、アトリエを後にする。
納戸を開ければ、掃除に必要な道具が一通り収納されており、
いつでも使うことが出来るだろう。
今後の『仕事』に支障はなさそうだ。
「常原さん――これからもよろしくお願いします」
こうして、小石川文子は常原ヤマトを『サロン』に迎え入れた――――。
92
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/10/15(火) 15:21:00
>>91
『空織清次(
>>64
)』・『一抹貞世(
>>65
)』・『常原ヤマト(
>>80
)』は、
『それぞれの自己紹介文』が、小石川を介して『共有』された。
他の会員も、小石川宛に『自己紹介文』を送れば、同等に処理されるだろう。
そうしないことも自由であり、全ては各自の判断に一任されている。
93
:
空井イエリ『ソラリス』
:2024/10/15(火) 15:39:07
>>63
ウツイ
[空井イエリ。大学生だ。
困ったことがあるならおれに言え。
出来ることなら一緒に背負うよ。
それと、冷たいものと甘いものが好きだ。
『サロン』のみなさん、よろしく頼むぜ。
(⇒ここに連絡先が添えられている)]
94
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/10/19(土) 16:41:24
>(正会員)
現在、『空織清次(
>>64
)』・『一抹貞世(
>>65
)』・
『常原ヤマト(
>>80
)』・『空井イエリ(
>>93
)』は、
『自己紹介文(
>>63
)』が『共有』されている。
こうした情報は、お互いを知る上で足掛かりとなるだろう。
なお、まだ募集は『継続中』のようだ。
95
:
朱鷺宮母娘
:2024/10/19(土) 20:43:36
>>63
(自己紹介文)
[皆様、よろしくお願いします。『朱鷺宮 笑美(ときのみや えみ)』と申します。
小石川さんとはとても仲良くさせていただいております。
サロン立ち上げの際にお声がけをさせていただきまして
私も小石川さんの志に共感して、こうしてサロンに参加させていただいた次第です。
『夏の魔物事件』…この一件について、私も色々と考えることがありました。
参加したのはそういった事件に対応できたら嬉しいと思ったのが大きいです。
一応、サロンのメンバー第一号?ということもありますので
お会いした際には心のケア、とまではいかなくとも楽しいお話相手に慣れたら嬉しいです。]
-----------------
[『朱鷺宮 涙音(ときのみや るね)』といいます。
まだ顔を合わせていない方も、顔合わせをしていない方も
サロンでお会いできたら嬉しい限りです。
私は、母…朱鷺宮笑美からの誘いを受けて参加することにしました。
母の考えたことと同じ、私もできることがあればな、という思いがあります。
一応学生なのでそこまで顔を出せるかはわかりませんけど、できれば色んな人と会えたらいいなと思います。]
96
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/12/29(日) 06:58:27
>(正会員)
年の瀬を間近に控えた時節、いかがお過ごしでしょうか。
『正会員』の皆さんに、私から提案したいことがございます。
今は多忙な時期でもあり、全員で集まるのが難しいことは承知しています。
そこで、『個人単位で行える活動』を考案いたしました。
私達は『スタンド使い』であり、この私自身を含めて、
『能力を活かせる場面』は少なくないでしょう。
言い換えれば、『スタンドを使えること』が『当たり前』になっています。
そして、私達は『1人のスタンド使い』であると同時に『1人の人間』です。
『スタンド使いとして何ができるか』を考える前に、
まず『1人の人間として何ができるか』を考えることは、
『非常事態に対する心構え』にも繋がるのではないでしょうか。
自らを『一般人の立場』に寄せることで、
『スタンド使いとしての自分』を客観的に見つめ直し、
『新たな気付き』を得るきっかけにするというのが私の提案です。
具体的には『スタンドが見える一般人』として、
『一切スタンドを使わずに一週間過ごすこと』を、
『サロン』の『防災週間』として位置付けたいと思っています。
もちろん本当に必要が生じた際には使って頂いて構いませんし、
決して無理にお願いすることではありませんので、
この案を実行するか否かは皆さんの判断にお任せします。
なお、提案者として、私は『本日』より実施します。
本年は『サロン』の立ち上げに協力して頂き、
まことにありがとうございました。
来年も引き続き、よろしくお願いいたします。
また皆さんと直接お会いできる機会を楽しみにしております。
97
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/12/29(日) 08:33:13
>>96
『いつ防災週間を行うか』については、特に決まったタイミングは設けません。
皆さんのご都合が良い時に、各自で実施して頂ければと思います。
自分自身を見つめ直す上で、この試みを少しでも役立てて頂ければ幸いです。
(※一週間は『リアル期間』を想定しています)
98
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2025/01/01(水) 06:58:09
新しい年を迎えた『元旦』の早朝――――。
…………パチ
いつも通り自然に目が覚めると、緩やかに身体を起こす。
ベッドの上からフローリングの床に降り、一歩ずつ歩みを進める度に、
繊細なレースをあしらったワンピースの裾が揺れた。
まもなくキッチンに立ってお茶を淹れ始める。
コポポポ…………
『一切スタンドを使わずに過ごす』という試みから、今日で『4日目』に入る。
ちょうど折り返し地点に差し掛かっているが、特別な不便さは感じていない。
今まで日常的にスタンドを使うことが少なかったせいだ。
役立てられる場面がない訳ではない。
むしろ『ナイフ』は汎用性が高いヴィジョンであり、活かせる機会は多かった。
今回の『防災週間』を通じて、1つ『気付いたこと』がある。
『日常生活でスタンドを使う行為』を、自分は無意識の内に避けていた。
おそらく『軽々しく振るうべきではない』という意識が影響していたのだろう。
しかし、改めてスタンドの使い方を深めるなら、『普段使い』してみるのも有意義だ。
そういった視点で見つめ直すと、新たな発見に繋がるかもしれない。
そして、今の時期は『新しいこと』を始めるには相応しいタイミングに思えた。
――――コト
「――……ふぅ」
リビングのソファに座り、一口飲んだカップをテーブルに置く。
ローズマリーのハーブティーは、
血液の循環を促す作用を持ち、冷えた身体を温めてくれる。
『新年』に思いを馳せながら、心が引き締まるような気持ちを感じていた。
99
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2025/01/05(日) 06:59:10
>>98
『スタンドを使わずに1週間過ごす』という試みを終えた後、
キッチンに立って『作業』を行っていた。
トン トン トン トン トン
ザク ザク ザク ザク ザク
シャッ シャッ シャッ シャッ シャッ
手の中に発現させた『スーサイド・ライフ』を使って、次々に野菜を切っていく。
千切り、くし切り、みじん切り。
当然ながら包丁よりも速く精確で、手入れしなくても切れ味は鈍らない。
ただ、これでいいのだろうかとも思う。
例えば、『料理を教える場合』などは、自分だけができても意味がない。
そう考えると、やはり料理には包丁を使いたかった。
「にゃあ」
「――あっ……」
『撫子』の鳴き声で我に返り、ふと気付く。
まな板の隣に置かれたボウルの中身。
たくさんの野菜が切り刻まれて、うず高く山盛りになっている。
とても一度では使い切れない量だ。
試し切りに集中しすぎて、『切った後』のことを忘れてしまっていた。
「……冷凍しておかないと」
ソソ…………
ナイフの柄から手を離してスタンドを解除し、
いそいそと『食品用保存袋』の用意を始めるのだった。
100
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2025/01/17(金) 11:49:31
>(正会員)
新年あけましておめでとうございます。
昨年は大変お世話になりました。
不束者ですが、今年もよろしくお願い致します。
本日は、昨年末にお話した『防災週間』について、
私自身が実施した結果をお知らせします。
実施期間を『1週間』に固定していましたが、適切な期間に関しては、
その人の事情や能力の使用頻度によって、かなり差が出るものと思います。
実際、私の場合ほぼ普段と変わらない生活を送っていました。
上記の点を踏まえて、名前を『防災期間』と改め、
『実施期間は各自が決める』という形に変更したいと思います。
皆さんの判断で『スタンドを使わない日数』を定めた上で、
『自分が決めた目標の達成』を目指して下さい。
まず『1日』から始めれば、無理なく日常の習慣に取り入れやすいですし、
私のように長期間の継続が可能な方は、
『できるだけ長く続ける』という意欲にも繋がるでしょう。
以前お話したように、『実施するか否か』は個人の自由意志にお任せします。
もし実施したい方がいらっしゃれば、私や他の会員の方達に『報告』して頂くと、
モチベーションの維持に役立つかと思います。
最後に、今回の『防災期間』において、私自身が得た『気付き』をご報告します。
私は日常生活の中で『スタンド』を使うことを、
無意識に避けていたのかもしれません。
『スタンドを使わない生活』が、
『普段の生活』と変わらなかったことで、それに気付けました。
このように、『新しい気付き』を得るきっかけとして、
『防災期間』を役立てて頂ければ幸いです。
101
:
『主宰者』
:2025/01/17(金) 11:58:57
○『サロン』の『防災期間』について
・『スタンドの発現』を自主的に封印し、
『スタンドが見える一般人』として動くイベントです。
・一切『スタンド』を使わず、『一般人に近い立場』に身を置くことで、
『スタンド使いとしての自分』を見つめ直し、
『新たな気付き』を得るきっかけとするというのがPC的な趣旨です。
・なお、リアル日数によるカウントは取り止め、
以後は『1回場スレに出ること』を『1日』とカウントします。
・例えば、実施期間を『1周間』に設定した場合、
『7回』場スレに登場して『目標達成』となります。
・サロン全体の話題にもなりますので、
実施するPCからの『開始宣言』および『報告』は推奨します。
○基本的な流れ
1.『スタンドを使わない日数』を決める。
2.『1回場スレに出ること』を『1日』とカウントし、
『自分で設定した日数の達成』を目指す。
3.『日数』を満たせたら『目標達成』。
○備考
・『スタンドを使わない日数』は『途中変更可能』です。
・例えば、最初に『1日』と設定し、それを達成できた後で、
『3日』に延長するといったやり方もできます。
・名前欄に【1/3】(3日間を目標とした場合の1日目)などと入れると、
分かりやすいかもしれません。
102
:
<削除>
:<削除>
<削除>
103
:
空井イエリ『ソラリス』
:2025/02/11(火) 23:12:13
「…………『防災』、か」
「ま」
「ものは試しってやつだ。
やらずに言っても、しょうがないよな?」
-----------------------------------------
『防災期間』開始を宣言します。
期間は『1日』とさせていただきます。
104
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2025/02/13(木) 11:32:36
>(正会員)
現在、改めて『防災期間』を実施しています。
まだ途中の段階ですが、その中で私が感じたのは、
『スタンドがないと何もできない訳ではない』ということです。
この機会に『1人の人間』として何ができるかを、もう少し考えてみたいと思っています。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
『期間』:『7日』/残り『6日』
>>103
(イエリ)
ご報告ありがとうございます。
今、私も『防災期間』を実施しており、また新しい発見がありました。
詳しくは後日お話しますので、空井さんも時間のある時にいらっしゃって下さい。
105
:
『主宰者』
:2025/02/18(火) 11:35:30
暖房の効いたリビングには、いつも通り『お菓子』と『お茶』が用意されていた。
『洋菓子店甘城』で購入した『ポルボロン』と『ブール・ド・ネージュ』。
ティーポットには温かい紅茶が淹れられ、いつでもカップに注げるようになっている。
キッチンに行けば、コーヒーや各種ハーブティーも見つかるはずだ。
しかし、『主宰者』の姿は見当たらない。
何か用事があって外出しているようだ。
その間、他の『正会員』に『留守番』を頼んでいた。
『彼』もしくは『彼女』は、家主が戻るまで自由に過ごして構わないと言われている。
また、もし『来客』があれば、今ここにいる人物が応対してくれるだろう。
いずれにせよ、この場に通されるのは『サロン』の存在を知る者に限られる――――。
※上記のような通知がない場合も、
『正会員』は『自由に出入り可能(名目は留守番など)』です。
106
:
空井イエリ『ソラリス』
:2025/02/19(水) 18:57:41
「……おれの時間があるときが、
他人の時間のあるときなわけはないよな」
>>104
との事で訪れたところ、
留守番を任されてしまった。
アポ無しだったのが、勿論よくない。
(『防災期間』……こいつの意義について、
小石川さんと一席ぶちたかったんだがな)
『サロン』という組織の存在は、まだ地盤が緩い。
踏み固めていかなくては意義を失いかねない。
それでも。
(でかい『荷物』を……
おれに背負わせてくれる……)
『空井イエリ』というより危うい地盤の上に成り立つ存在にとって、
その固まっていない塊は、それでも。『意義』になりえるものだ。
107
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2025/02/20(木) 11:57:55
>>106
(イエリ)
出掛ける直前、小石川から伝えられたことが幾つかあった。
まず、『新しいメンバー(
>>80
)』が加わったようだ。
そして、お互いについて知る『きっかけ作り』のために、
『レクリエーション(
>>57
)』を考案したらしい。
それから、ソファーで眠る『撫子』の様子を見ていて欲しいと。
「最初にお伝えした通り、『ここに来て誰かと話す』のが、
『サロン』の『基本的な活動内容』です。
ただ、それが難しい場合もあり、その間に『何もなし』では、
『繋がり』が途切れてしまうのではないかと……。
そのような事情で『防災期間』という個人活動を設けました」
「ただ、普通に生活するだけで終わってしまうケースもあるでしょう。
そういった方のために、私からは『2つ』ほど追加の提案ができます」
「1つは『もっと長く続けてみる』。
もう1つは、逆に『日常生活でスタンドを役立てる方法を考えてみる』です」
「――『後者』は私も試しました」
小石川が見せたのは、大量の野菜が様々な形に切られた光景を写した写真(
>>99
)だった。
「……これは知人から頂いた『ねこびし』です。
もし撫子が起きたら、その時は遊んであげて下さい」
可愛らしい柄の布で作られた三角錐に、ねずみの尻尾のようなものが付いている。
鈴が入っているらしく、動かすと音が鳴った。
猫を飼っているイエリには馴染み深い代物だろう。
「――では……よろしくお願いします」
そう言い残し、小石川は出掛けていった。
テーブルにはシュガーポットもあり、お茶に入れる『砂糖』には不自由しない。
このように『相手の好み』を理解することも『サロン』の活動の一部だ。
108
:
空井イエリ『ソラリス』
:2025/02/21(金) 09:51:22
>>107
シュガーポットからは角砂糖がみっつほど減り、
カップは一度だけ、空になった形跡があった。
(おれの『ソラリス』は…………
生活の範囲なら、たいていのことは出来る)
(おれらしくは、ない)
『後天的』に備わったその異能は…………
誰にとっての才能だったのだろうか。
(…………よくないな)
スッ
『ねこびし』に手を伸ばし、寝ている猫を見る。
動物は、単純に『好き』というのとは少し違うが、
それでも好ましいものだった。
(留守番が終わったとしても……
小石川さんと話す時間はねーな)
時計の針だけが動く部屋で、もう少しだけ留守番が続く。
109
:
空織 清次『エラッタ・スティグマ』
:2025/02/21(金) 15:11:24
>>108
(空井イエリ)
今日のわたしの出で立ちは、
センターパートの髪型に、ボストン型の鼈甲眼鏡。
シルクブレンドのベストと薄いブルーのシャツの上に、
みずから仕立てたSuper 180’Sウール100%のスーツを羽織る。
そして片手には紙袋。
たまたま得意先との懇談が近場であったので、
帰りがけにふらっと立ち寄ることにした。
ここが『小石川文子』氏主催の……
「…………」
「主催の……『サロン』……
で、いいんだよな、ここが?」
眼鏡の弦をつまみながら、玄関先で周囲を見渡す。
高級住宅地に立つ『離れつきの一戸建て』。
思えば彼女が普段なにをしてどんな暮らしをしているか、
何もかもわたしは知らないままだ。
『小石川文子』。
彼女とは互いの『傷跡』を通して、
精神世界の深部に立ち会った気配はしていたが――
現実世界ではその浅瀬にさえ、足を踏み入れるのは初めてだ。
庭先から運ばれてくる馴染み深い花の香りは、
揺らめく彼女の存在の幻にすこしだけ、
現実の手触りを与えてくれていた。
「…………」 ポチ
チャイムを鳴らし、期待する『家主』の出迎えを待つ。
110
:
空井イエリ『ソラリス』
:2025/02/21(金) 18:17:47
>>109
ガチャ
ドアが開いたとき、一瞬、その目には人が映らない。
『小石川文子』の顔があるはずの位置には空がある。
もちろん、すぐに気づけることだ。
出てきたのは小石川よりずっと背丈の低い少女……
年齢的には……10代だろうか。
括ったおさげ髪もあり幼くは見える。
「どうも」
『喪服』とは似ても似つかないような、
胸元や裾に『うさぎのぬいぐるみ』のくっついた、
あちこちがフリルだらけの水色ワンピース。
(仕立て屋の目には『品質の良さ』は伝わる筈だ)
眠たげな目や鈴を転がすような声色もあって、
初対面という白紙のキャンパスの上に、
ラベンダー畑に立つ淑女とは全く異なる……
童話の森に転がるような姿を描き出す。
「家主は。……留守だぜ」
とはいえあくまで第一印象に過ぎないそれは、
ぶっきらぼうな口調が飛び出るまで、かもしれない。
とはいえ。
「もっとも、すぐ戻るとは思うが……」
(じゃなきゃ留守番は任せねーだろう)
『印象』は『初対面』において大きな影響を齎す。
(で、だ。留守を任された以上、
こいつが誰なのか見極めねーとな)
ジッ…
(小石川さんなら来客のある時間に外出はしない。
……配達員って見た目にも見えないしな?
つまり『アポ無し』で来る間柄……か。
かといって、訪問販売とかにも見えねー。
…………見た目で言えば、随分洒落てやがるぜ。
この家も…………『似たシュミ』ではあるよな)
イエリは『自己紹介(
>>63
)』こそ読んでいたが、
『得体の知れない飲んだくれ』というフレーズが、
それはもう強烈な『印象』として記憶されていた。
(年齢もそう遠くは離れちゃいねーだろう。
そんでもって、『手土産持ち』ときてやがる)
チラ
(小石川さん側の気持ちは分からねーが……)
つまり。
この『伊達男』を頭の中で『高級仕立服』に結びつける直行路に、
特大の『泥の沼』が配置され、横道に入る事を余儀なくされている。
一度固定されつつある思考は、指先の輝きくらいは見落とす物だ。
もう少し言い訳をさせてもらうと、逆光もあるし、距離も少しある。
それゆえに。
「…………なんというか、だ。
すごく、お邪魔をしちまってるのかもしれないな?」
横道の先にあった『相当な大間違い』に飛びつき、真剣な顔で首を傾げた。
111
:
空織 清次『エラッタ・スティグマ』
:2025/02/21(金) 23:24:07
>>110
(空井イエリ)
「…………」 ↓
「…………」 ↓
「…………」 ↓
「……うおっ!?」
わたしの目線は屋上から降りるエレベーターのように
何もない宙空の階層を順番に下っていき、
やがてわたしを見上げる視線の階で停止した。
「ど、どうも……?」
背丈と服装から判断するに、
『小学校高学年』くらいだろうか。
心の中で『会員名簿』のページを繰るが、
もちろん『女子小学生』はリストになかった。
だが冷静に考えてみれば……
もしわたしの『娘』が生きていれば、
ちょうどそのくらいだ。
そしてわたしは先の通り、
小石川氏が歩んできた現実のことを何一つ知らない。
だから……
そりゃ小石川氏にだって、
『これぐらいの』…………
いても……おかしくは……ない。
ないよな。そうだよな。
「…………いや、お邪魔というか……
むしろそれはこちらのセリフだ。
すまない、お留守番の邪魔をしたね。
君、名前はなんというのかな」
膝を折り、子どもの高さに目線を合わせる。
明らかに仕立ての良い児童服は、
この豪奢な邸宅の一族であることの証左のようだ。
「小石川氏――じゃない、
お母さんに伝言を頼んでもいいかな」
112
:
空井イエリ『ソラリス』
:2025/02/22(土) 12:01:31
>>111
「………………いや。おまえさんは邪魔じゃーない」
(小石川氏、ときたもんだ。
いや、それより、『お母さん』…………?
こいつ、何を言っていやがるんだ?
小石川さんの息子って歳じゃねーだろ)
訝しさを隠せない表情で男を見つめる。
(…………それともまさか、こいつ、
おれを娘と勘違いしてるのか?
……いや、それはねーだろう?
小石川さんに娘がいるとしたら、
せいぜい幼稚園か、小学生か……)
「なにせ、むしろ、留守番ってのは、
客が来ないとやりがいがねーからな」
『空井イエリ』は自分の外見を客観視こそしているが、
・・・
(おれは、若く見えて高校生くらいの……)
『大学生にしては幼く見える』程度にしか捉えていない。
とはいえ、流石に。
「『イエリ』だ。
…………目線は合わせなくていいぜ。
せっかくのおめかしが土で汚れるのは悪いしな?」
膝を折ってまで目線を合わせてきたのを見れば、
何か『誤解』があるのは感じ取れた。
「ま、伝言するのは構わない。
おれはあいにく『そういう』機微には詳しくねーが、
……自分の口から言いたい事なんじゃねーのか?」
チラ
「…………それと。聞かれてないが、おれの年は20だ」
もっとも、自分の側の誤解は解けていないわけだが…………
『イエリ』という珍しい名前が、混迷の糸を解してくれるかもしれない。
113
:
空織 清次『エラッタ・スティグマ』
:2025/02/23(日) 08:43:49
>>112
(空井イエリ)
...
「…………『イエリ』?」
┌───────────────────…
│ ウツイ
│ [空井イエリ。大学生だ。
│ 困ったことがあるならおれに言え。
└───────────────────…
「…………………
…………………」
『空井イエリ氏ってあの紹介文で女性だったの!?』
『そんで君はハタチだったの!?』
二つのショックが喉奥で正面衝突した結果、
わたしの驚嘆の声は逆に『無音』になった。
(ノイズキャンセリングの仕組みと同じだ)
促されるまま立ち上がり、膝の汚れを払って襟を正す。
フフッと一息ついてから、今度はペコーッと頭を下げる。
「……すまん!
君に対する直近のわたしの言動と行動を謝罪させていただきたい。
正直に言って、わたしは君の外見だけで
すべきでない判断の早合点をしていた」
「それは目の前の君に対してのみならず、
主催の小石川氏に対しても礼を失する振る舞いだった。
君からすれば『なんのこっちゃ』って感じかもしれんが……」
「それでも、あるいはだからこそ、大変失礼した」
たっぷり数秒低頭し、顔を上げる。
今度はあるべき自然な高さまで。
もはや目線の位置は同じではなくなったが、
だからこそ今わたしと彼女の『立場』は同じになる。
「そして……なるほど。
君が『空井イエリ』氏だったんだな」
自戒から切り替えた瞳の中に、
隠しきれない好奇と興味の光が灯る。
紙袋を持ち替えて、彼女の前に右手を差し出す。
「お会いできて光栄だ。
傍輩の『空織清次』だ」
114
:
空井イエリ『ソラリス』
:2025/02/23(日) 12:45:44
>>113
「『空織』――――――――……さん、そうか、なるほど」
スッ
同じく、頭を下げた。
「いや。全く同じ返事をさせてくれ。
すまない。誤解していた。
おれも、おまえさんを見た目だけで判断していたし、
それはたぶん、小石川さんにも失礼だった。
ここに人が来る、はっきりした理由を忘れてたよ」
「『空織清次』さん、はじめましてだな」
自分自身も、アポなどない来訪だった。
呼ばれたから来たというだけで、
場合によっては手土産の1つも持っていたはずだ。
ハシ
そして、頭を上げてから握手を受ける。
ウツイ
「改めてだが、『正会員』の『空井イエリ』だ。よろしく」
ザッ
数秒ほど交わしたあと――――
「外は寒くて舌も弾まねー。
空織さんが紅茶派なら、もう『用意』も出来てる」
眠たげな瞼を少しだけ持ち上げ、続ける。
サロン
「『社交会』らしくいこう。……勿論、伝言だけ預かってもいいけどな?」
『早合点』から始まった会話である以上、
念のため確認はしておくことにした。
普通に『小石川に用がある』という可能性も、自分同様にあり得る事だ。
115
:
空織 清次『エラッタ・スティグマ』
:2025/02/23(日) 14:23:24
>>114
(空井イエリ)
「……『誤解』?」
「あっ……えっ?
まさか『お邪魔』ってそういう意味だったのか?」
「それは何というか……ハハ。
たしかにお互い、ずいぶん失礼な誤解をしていたようだ」
苦笑する頬を左手で掻き、
薬指に収められた『銀色』を閃かせる。
わたしと小石川氏の共通項であるこの小さな輪は、
同時にわたしたちの永遠の孤絶を象徴してもいた。
「……ああ、伝言ってのは別に大したことじゃない。
『良かったらみんなで召し上がってくれ』だよ。
彼女に会えなければ渡して帰るつもりだった」
「だが君がそう言ってくれるなら、
是非ともご厚意に預かりたいね。
なにせ紅茶はこの世で二番目に好きな飲み物だ」
微笑みながら紙袋を持ち上げる。
高彩度のパターン模様に、菓子店の名前が印字してあった。
そこでイエリ氏の『自己紹介の続き』(
>>93
)を思い出し、
いたずらっぽく笑いかける。
「君のお眼鏡にかなうと良いが」
さて……何もかも初めての場所だ。
お招きいただけるなら、
イエリ氏の案内についていくことにしよう。
116
:
<削除>
:<削除>
<削除>
117
:
空井イエリ『ソラリス』
:2025/02/23(日) 15:32:44
>>115
「悪いな、機微に疎いんだよ。
……『おあいこ』といいてーが、
足りない分は『借り』にさせてくれ」
その銀色は輝きだけでなく、
もっと深く核心に迫る『価値』なのだろう。
イエリにはないものだ。
別離の表象はこの存在そのものだから。
「そうだな、おれも紅茶は嫌いじゃあないし、
それに『みんな』の一人でもあるしな?
もちろん、おまえさんもそうなる」
フッ
「甘いものは紅茶よりもっと好きだってことだ。
多いに越したことはねー。それじゃ、入ろう」
笑みを返しながら、部屋に戻る。
・・・
「ただいま」
室内は出迎えに出た時から特に変わらず、
ソファの上では、『キャペリンハット』が……
『キャペリンハットが猫になったようなもの』が寝ている。
イエリは一瞥だけしてから、空織に視線を戻した。
「おれんちじゃあないが……適当にかけてくれ。
紅茶以外の飲み物も向こうに置いてたが、
おまえさんの『一番』があるかは見えないな」
ボフ
「…………ちなみにそいつは、なんて菓子なんだ?」
話せることはいろいろあるとは思われるが、
ひとまず『空織』が腰を落ち着けるまでは雑談を振る。
……もちろん、この洒落た男の買ってきた菓子への興味もある。
118
:
空織 清次『エラッタ・スティグマ』
:2025/02/23(日) 17:14:33
>>117
(空井イエリ)
「朴念仁加減ならわたしも『おあいこ』だろうな。
むしろ人の懐に飛び込むことなら
君のほうがずっと上手そうだ」
「『みんな』を茶会に誘ういい口説き文句を知っている」
気安い笑みに軽口で応じつつ、
イエリ氏に従い部屋の中へ。
・・・
「ほう……」
外観に負けず劣らず調えられた室内に、
感嘆の吐息を静かに漏らす。
イエリ氏の着座を確認すると、対面に腰を落ち着けた。
「ん……ああ、中身は『焼き菓子』のアソートらしい。
実は得意先からの頂き物でわたしも詳しくは分からん」
「甘味はわたしも嫌いじゃないが、こういうのは
よりふさわしい場に提供した方が良かろうと思ってな」
紙袋から抜き出し、包装を解く。
リッチな金の印字を施された、
30cm四方ほどの化粧箱が顔を見せた。
「あとな、人様と楽しむなら『二番目』ぐらいが丁度いい。
一番の物ほど味や好みに口出しせずに済む………」 「ん?」
「…………」
「………………」
「……………………」
「……あの、わたしの気のせいかもしれないんだが、
そこの『帽子』、なんか……『変』……じゃないか?」
存在感の『重み』を感じたぞ今。
119
:
空井イエリ『ソラリス』
:2025/02/24(月) 11:08:54
>>118
「1人で食べるには量も多そうだしな。
おれも、このサイズなら、
ここに持ってくるかもしれねー。
小石川さんも、こういうのは好きそうだし」
小石川の食べ物の好みはもちろん知らないが、
置かれている茶菓子からなんとなく推察は出来る。
少なくとも、歓迎されないことはなかろう。
「それに……そうだな。
まさに、だぜ。こーいうアソートってのは、
色々入ってる分『こだわり』に囚われねー。
まったくもって『社交界』向け…………」
「…………」
チラ
「ああ」「そうだな」
「触れないでいるのも潮時だと思ってたぜ」
菓子箱から視線が動く先は、言うまでもなく。
「おれも深く追及した事はないんだが…………」
初対面の時も、それを見た。
今日もごく自然に預けられた。
「小石川さんは…………『猫』だって言ってたぜ」
「名前は『撫子』。
……可愛がられてるらしいな?」
来客にも警戒せず眠る姿は、
それが『帽子すぎる』点を除けば、『愛猫』そのもの。
この瀟洒なインテリアの中でひとつだけ、あまりにも『奇妙』だ。
120
:
空織 清次『エラッタ・スティグマ』
:2025/02/24(月) 21:17:33
>>119
(空井イエリ)
「ね、『猫』ぉ? ――あ!」
いつぞやの電話中、
小石川氏との会話に割り込んできた鳴き声!
ひょっとして正体はこいつか?
だとすればわたしにも多少縁のある相手だ。
「いやしかし……驚いたな……」
「『帽子のような猫』か『猫のような帽子』か。
どう形容すればいいのか分からんが、
ともかくこんなものが実在するとは――」
心中では『仕立て師』として好奇の食指が跳ねてもいるが、
ここで寝入り猫に手を出すような野暮はしない。
「……実はこのスリッパだとかもカーペットも
フサフサなだけの犬だったりするのか?」
衝動を軽口で希釈しつつ、
かわりに卓上のティーポットを手に取った。
「…………しかし、世界は広いな」
卓上に広げられたのは、個包装されたカヌレやパイ、
マドレーヌ、フロランタン。
どうやら『世界一周』がテーマのアソートだったらしく、
黄金色の菓子類は箱内で地図状に配置されていた。
「あるいは君や小石川氏に比べると、
単にわたしが『そういった世界』に
不見識なだけなのかもしれんが――」
ポットを傾け、雪を溶かすように紅茶を注ぐ。
視線で『猫』を示しながら、対面のイエリ氏に問いかける。
「――これも誰かの『スタンド能力』なのか?」
121
:
空井イエリ『ソラリス』
:2025/02/24(月) 22:26:46
>>120
「そいつは『帽子のような猫』だぜ」
答えは知っている。
「サロンらしく情報交換といくが、
そいつは『猫のスタンド』が作った、
『スタンド猫』……のはずだ。
似たようなのが作られる現場を、見たんでね」
スッ
『終わらない夏』の中で、戦友が抱えたハンカチ猫を覚えている。
「ただ、おれも別に詳しくはねー。
偶然、見て、知ってたってだけさ」
ズ
「といっても……スタンドなんてのは、たぶん、
体系的に知識を積み立てるもんでもねーし、
見て知る以外にやりようもないんだろうけどな?」
自分の紅茶を一口含んでから、続ける。
人型のスタンドひとつですらその全てが千差万別で。
「……『情報交換』だけじゃー限界がある。
味方のやれることを知るのは大事だけどな」
誤った先入観はむしろ、理解の妨げになる。
『お互いを知る』を掲げるこの場所の方針は、正しいのだろう。
「ま、ひとまず……いただくぜ。
空織さん、カヌレをもらっていいかな?」
甘い『世界地図』に視線だけを落としながら、問いかけた。
122
:
空織 清次『エラッタ・スティグマ』
:2025/02/25(火) 21:00:27
>>121
(空井イエリ)
「…………参ったね」
『帽子のような猫』、
『猫のスタンド』、
『スタンド猫』……ときたか。
だったら次に出てくるのは
『長靴のような猫』か、
『長靴をはいた猫』のスタンドか?
こんな児童文学のごとき光景が、
わたしの人生と地続きにあるとは。
「……『スタンド』に対するわたしの世界観が
いかに狭小だったかよく分かった」
「そのお礼に足るかは分からんが、
好きなだけ世界を召し上がってくれ」
見たところ『お茶請け』は
サロン側でたっぷり用意してあるみたいだし、
手土産ひとつ当日中に消えたところで困るまい。
(しょせん頂き物だ)
「しかし『情報交換』か………そうは言っても、
わたしから差し出せる情報はほとんどなさそうだな」
「まあお招き下さった小石川氏も、あまりわたしに
そういう役割を期待していない様子ではあったが」
片頬だけで苦笑しつつ、
喉の奥でイエリ氏の言葉を転がす。
『味方のやれることを知る』……か。
カップを持ち上げ、花開いた香りを楽しむ。
口付けはまだだ。
微香のカーテン越しに、イエリ氏に視線を向ける。
「……訊いてもいいか?
君が『サロン』に参加した目的を」
123
:
空井イエリ『ソラリス』
:2025/02/25(火) 22:00:30
>>122
「おれにとっては、猫の話も、
世界の味も……同じくらいのありがたみだ。
これについては貸し借り無しってわけだな」
ガリッ
小さなカヌレを口に放り込んで、
しばらくその咀嚼に気を割いていた。
「んん」
問われた『理由』に答えるため、飲み込む。
「目的ときたか」
「一言で言えば、そうだな。
…………『背負えるもの』があるからだな」
その語りは。
「おれは小石川さんとまるで意見が違う人間だ。
いや、どいつとどいつも意見は違うだろうが、
『違う』ことをお互い、理解できてるって話だ。
だからこの組織がどこに歩んで行くにしても……
違うからこそ、その旅に立ち会いたいと思ってる。
そうしてさ。何か重いものを背負いたいと……
いや。背負うことになるだろうと、期待してる」
長く、答えを探すように揺れていたが。
「背負えるものがほしいんだ。
がらんどうでも、吹いて飛ばないような」
最後に付け加えられた端的なその言葉は、
間違いなく本音のフレーバーを含みながら、
奥底にある香の正体を掴ませない。
冷えた声色は、注がれた感情を花開かせない。
「要するにおれは。利己的なのさ。……おまえさんはどうだ?」
抽象的な答えに、『貸し借り無し』で返す必要があるかは――空織次第だ。
124
:
空織 清次『エラッタ・スティグマ』
:2025/02/26(水) 20:31:55
>>123
(空井イエリ)
「『背負えるもの』か。
それはまたずいぶんと――」
茫漠とした回答だった。
遠い空の浮雲を掴むような。
中途の理路も、どこか観念的な掴みがたさがある。
『本心』は上手く隠されてしまった、ということか?
……いや、そうではない。
むしろ彼女自身も話しながら、
適切な言葉を掴みかね、
今なお探しつづけているようだった。
道中の『迷い』すら曝け出すその姿勢こそが、
たどり着いた言葉以上に
彼女の本質を体現しているように思えた。
「(しかし……『がらんどう』とはな)」
これまで彼女と発したやり取りのなかで、
いちばん強い断絶を感じる言葉だ。
どこまで踏み込んでよいか迷っている間に、
質問の矛先はわたしへと移る。
「ああ……わたしの参加理由か?
『紹介文』(
>>64
)で言ったとおりだ。
『成り行き』だよ」
あっけらかんと答える。
追いかけるように小さな笑い声がこぼれ、
困り顔で頬を掻く。
「まあ……それじゃ君の答えと『収支』が合わないよな。
もちろん『個人的な理由』はいくらかある。
君が知りたいなら突っ込んだ話をしてもいいが」
傾けたカップ越しに、
悪童のような視線をイエリ氏へ向ける。
『味方のやれることを知る』と彼女は言った。
ならば……
彼女は『味方』にどこまで踏み込んでくるのか。
裏返せば、彼女はどこまで踏み込ませてくれるのか。
その心の手綱を量ることが、
わたしにとって『味方を知る』第一歩だった。
「代わりと言っちゃあなんだが、
もし他に質問があれば何でも答えるよ」
125
:
空井イエリ『ソラリス』
:2025/02/27(木) 10:25:16
>>124
「おいおい、ほんとに『成り行き』か。
照れ隠しか何かだと思ってたぜ。
ま……おれだって。成り行きみたいなもんだが」
パチ…
「……だが、だよな。『収支』か」
一瞬だけその視線は『指輪』に向いていたが、
『気にしていなければ』悟れないくらいの時間で、
眠たげな目が、完全に閉じる。
「いや」
それから、少しだけ時間をかけて、開いた。
視線は『空織』の額のあたりに戻っていた。
― ズギャン
「おまえさんの……『能力』のことを、教えてくれよ」
「おれの『ソラリス』のように、
おまえさんにも……『能力』があるんだろう」
『ソラリス』――旅人のヴィジョンを背後に浮かべ、
問いかけるその言葉は『空織』への問いだった。
「『味方のやれること』を。
……知るのは、大切だからな」
しかし、『空織清次』という、一人の人間の、人生への問いではない。
126
:
空織 清次『エラッタ・スティグマ』
:2025/02/27(木) 14:34:52
>>125
(空井イエリ)
「ほう……」
カップをソーサーの上に戻し、感嘆の吐息。
イエリ氏の背後に現れた半可視の『像』に、
静かに精神のピントを合わせる。
そうか、イエリ氏の『心の図像』は……
『旅人』か。
空白のピースが収まるように、
不思議と妙に合点が行った。
「……君の言う通りだな」
わたしはどこか清々しい気分になって、
ニヤリと片頬だけで笑みを作る。
「『わたしたち』の場合、
相互理解に千の言葉を尽くすよりも、
『そいつ』を見せる方が『話が早い』」
瞬間、脳裡で自らの『魂の形』の図面を引き、
その像を虚空の中に織り上げてみせる。
すると『そいつ』はわたしの背後に、
黙視の従者のように立っている。
数多の『糸車』を備えた『機械人形』。
「『エラッタ・スティグマ』。
わたしの悪食な愛機の名だ」
言うなり、卓上の『カヌレ』を一摘み。
振り向かず背後に向かってポイッと投げ渡すと、
ヴィジョンの『右手』で受け止めさせる。
直後、カヌレを掴んだ『右掌』の糸車が、
音を立てて回り始めた。
ギャルルル ル ル ルルルル……
わたしの精神の風が回す糸車の上で、
カヌレは風色にほどけるように消えていく。
そして従者はわたしから『名刺』を一枚受け取ると、
精緻な『左手』の指先でその表面を弾いていく。
トトトトトトト …… トン!
「『わたしにやれること』はこの通り」
糸始末を終えた名刺を卓上に起き、
イエリ氏の前へと滑らせる。
その名刺には……世にも珍しい『カヌレの糸』によって、
最初からそう印字されていたかのような自然さで、
美しい『英文』のカリグラフィが『刺繍』してあった。
その内容はこうだ―――
" What’s your move? "
さて、君は?
127
:
空井イエリ『ソラリス』
:2025/02/27(木) 16:59:02
>>126
「『スタンド』は、心の象徴で、
名刺より深く刻まれた自己紹介カード」
『後天的』に備わったその異能は、
誰にとっての才能だったのだろうか?
『空井意依理』のユメから目覚めたそれは、
果たして誰のものなのだろうか?
「そういうわけだ。……わけなんだろう」
スタンドを見せるという行為の意味も、
一人、一人にとって違う。
とはいえ……『空織の意味』は、十二分に伝わる。
スッ
「お前さんの事は、よく分かったぜ。
……おれのは少しややこしい。手を出してくれ」
『エーテル薬瓶』をマントの中から二本取り出し、
そのうち一本を…………
「『甘い』自己紹介を返すからな。
ただし仕立て屋のやり方は真似しない」
…………菓子箱のそばに寝かせ、
蓋をほんの少しだけ、緩める。零れないように。
キュポ
「少し時期には遅いが……バレンタインには、
お菓子がいろんな『メッセージ』を持つ。
ドーナツは愛情、マシュマロは拒絶」
「そして、こいつは」
もう一本の蓋を開けると、それを差し出し、
『傾ける』ジェスチャーを『空織』の手の前に示す。
「『友達になろう』」
許されるなら、手に『エーテル』をかけたと同時、
その手の上に『マドレーヌ』を『投影』する。
『エーテル』の揮発により物体を『投影』し、
『エーテル』の効能により、その『幻影』は実体を持つ。
「……これが『ソラリス』で。おれのやり方だ。受け取ってくれたか?」
128
:
空織 清次『エラッタ・スティグマ』
:2025/02/28(金) 10:23:34
>>127
(空井イエリ)
「…………なんと」
促されるまま差し出した手の上に広がる、
焼き菓子の鮮やかな質感と香り、
――確かな『存在の重み』。
上書きされた現実感にひととき息を呑む。
そうして驚きはすれど――もはや動揺はなかった。
このサロンでは。
帽子が猫になるのなら、
幻もマドレーヌになれるだろう。
この日の出会いが広げたわたしの世界観は、
手の中の愛らしい魔法を穏やかに受け止める。
―― 『友達になろう』。
この小さな貝殻に託された、
甘やかな『寓意』の重みと一緒に。
「たしか……『機微に疎い』だったか?
君の自己評価は」
「とんだ謙遜もあったもんだな。
君のこのメッセージは――」
「――わたしの人生の中で、
『二番目』に美しい『口説き文句』だ」
掌の上の『メッセージボトル』を摘み上げ、
賛意の微笑をイエリ氏へ贈り返す。
『一番目』は今も、わたしの薬指の中にある。
その銀色のきらめきの中に、いつも幸せな日の幻を見た。
反射の眩さに、あるいは追憶に目を細めながらも、
わたしの左手は今、もうひとつの『二番目』を
卓上から持ち上げる。
サロンの『仲間』と――いや、
わたしの『友達』と。
幻ではない『二番目』の温かみを、
ともに味わうために。
129
:
空井イエリ『ソラリス』
:2025/02/28(金) 23:34:00
>>128
「……おれは『物書き』の端くれでね。
中身が空っぽな分、
こういうのはたくさん詰め込んできた」
「『機微』じゃないのさ。
だが、喜んでくれたなら、
それは悪い気はしねー」
フッ
笑みは貸し借り無しだ。
『マドレーヌ』は元々空織のもの。
『投影』されるのは、本物ありきのこと。
「幻はせめて……美しくあるべきだ」
それでも『幻像』にも価値があるのだとすれば、
それは、イエリにとっても意味のある事だ。
スッ
「……おかわりを淹れるか。
もう少し話す事もありそうだ……なんせ、
『二番目』は、話すのにちょうどいい」
ティーポットに手を伸ばしながら、
「もちろん、無理にとは言わないぜ。
『サロン』があるなら、話す機会は『今度』もあるだろうから」
そう付け加えた。
・・・
『小石川』が戻ってくるのがいつになるかは分からない。
ただ、この『留守番』は――この後も悪い時間にはならないだろう。
130
:
空織 清次『エラッタ・スティグマ』
:2025/03/01(土) 17:40:11
>>129
(空井イエリ)
「なら『今度』は……
もっと良い手土産を持ってこなくちゃならんな。
今日の『こいつ』と収支を合わせるには」
手の中の甘やかな幻を軽口で示しながら、
わたしはが『マドレーヌ』がその母国にて持つ、
『もう一つの寓意』に思いを馳せる。
あなたの『マドレーヌ』は何?
“Quelle est votre madeleine” ――
マドレーヌ
『幸せな思い出』。
差し出した掌のわずか先、
わたしと対面する少女の小さな背丈に、
在りし日の思い出の影が重なった。
わたしからの手土産を、口いっぱいに頬張って笑う、
小さく愛おしい、わたしの大切な、
たったひとりの――
「……―― せっかくだ。新しい湯を沸かしてこよう」
「わたしもいつかは『応対する側』として、
この屋敷の勝手を覚えとく必要がありそうだからな」
見飽きた感傷を軽口で拭い去り、席を立つ。
台所案内を頼むべく、彼方の美しい幻ではなく、
目の前のイエリ氏を穏やかに見つめる。
今はただ……このサロンがわたしにとって
新たな『思い出の場所』となることを願おう。
そして、自らを『空っぽ』と評し続ける、
眼下の少女の小さなシルエットにもまた。
願わくばその空洞が、
マドレーヌ
たくさんの『幸せな思い出』で満たされんことを
――静かに祈った。
131
:
『主宰者』
:2025/06/26(木) 04:26:53
>(正会員)
────────────────────────────────────────
個人的に『大切な用事』があり、しばらく家を空けなければいけません。
およそ2週間以内には戻れる予定ですが、
その間『サロン』の活動に支障を来たさないように、出発前に取り計らっておきました。
皆様よろしくお願いいたします。
────────────────────────────────────────
(※現在、『小石川文子』は『不在』です。
『常原ヤマト』・『朱鷺宮笑美』・『朱鷺宮涙音』に留守中の対応を任せました。
小石川の不在中に、上記の3名以外が動く場合は、
『3名の誰かに留守番を頼まれた』というような形で処理してください)
132
:
<削除>
:<削除>
<削除>
133
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【4/7】
:2025/07/24(木) 19:59:54
『N県』に旅立ってから約2週間後、『新たな装い』で星見町に戻ってきた。
留守中の清掃を『常原』に任せたこともあり、出発前よりも綺麗に整えられているようだ。
食事を終えた『帽子猫』もソファで眠っている。
ファサッ…………
普段着である『喪服』の上に、大判の『ストール』を羽織り、来客の訪問を待つ。
『サロン』の存在を知る者が訪ねてくれば、いつものように応対することになる。
家の中は適温に保たれており、快適に過ごすことができるだろう。
134
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【4/7】
:2025/08/03(日) 21:31:18
>>133
明治時代から大正時代にかけて、『S県』の隣県である『N県』では、
冷涼な気候を活かした『養蚕業』が発展し、
一大産地として栄えたことから『蚕糸王国』と称された――――。
通常、『1匹の蚕』は『1つの繭』しか作らない。
しかし、全体の3%程度の確率で、『2匹の蚕』が寄り添い、
『1つの大きな繭』を作り出すことがある。
これは『玉繭(たままゆ)』と呼ばれ、そこに入る蚕は、
『必ずオスとメスの組み合わせになる』という特徴を持つ。
しかも、『気の合う者同士』でなければ、決して一緒にはならないのだ。
確かな理由は解明されていないが、いわば『運命の相手』であり、
『良縁』を願うお守りとしても重宝されてきた。
また、特に『玉繭を作りやすい蚕』も存在する。
『玉小石(たまこいし)』という名前を与えられた品種だ。
『小石川文子』が選んだ『生地』は『玉小石の玉繭』だった。
色は『濃い紫色』――正式な色名は『二人静(ふたりしずか)』。
その起源は鎌倉時代まで遡る。
『静御前』という『源義経の愛妾』が『源頼朝』に捕らえられた。
舞を舞うように命じられた時、彼女は敵である頼朝の前で、
臆することなく『義経を懐かしむ歌』を詠んだという。
こうした歴史上の出来事が『二人静』の由来となったらしい。
『フタリシズカ』という同名の花も実在し、花言葉は『いつまでも一緒に』。
────────────────────────────────────
「――桃園さんは『滝で会った』と……」
『ユウリ・桃園・シャルロット』と出会ってから、
この町の何処かにいる『ノエ』と接触する方法を考えていた。
まだ情報は少ないが、以前『小林丈の生存』を確認できた時も、
ほとんど手掛かりらしい手掛かりはなかったのだ。
それでも『真実』に到達できたのだから、十分に希望はある。
135
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【4/7】
:2025/08/05(火) 16:56:10
>>134
差し当たって考えられるのは『ナイの家』だ。
その前は『公園』に住んでいたようなので、そちらかもしれない。
しかし、人目を避けているらしい状況を考えると、
生活を営む空間に干渉することは避けるべきだろう。
どこか中立的な場所で会えないだろうか。
頭の中で考えを纏めていた時、一つの手掛かりに気付く。
「――……『滝』」
ノエが『水場』に現れたのは、偶然ではない気がした。
まだ確証はない。
しかし、『人目につかない水場』なら、捜す範囲を絞れそうだ。
カチャ…………
手元の湯呑みを持ち上げ、その水面を見つめる。
今日は趣向を変えて『蕎麦茶』を用意していた。
『N県』は蕎麦の名産地としても広く知られている。
「にゃあ」
トトトトト
ふと撫子が目を覚まし、リビングの窓に向かう。
レースのカーテン越しに、うっすらと外の様子が窺える。
それは『来客』かもしれないし、単なる通行人かもしれなかった。
136
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【4/7】
:2025/08/06(水) 23:53:16
>>135
撫子がカーテンを捲ると、ラベンダーの咲く庭が垣間見えた。
「……にゃあ」
窓の外には『誰もいない』。
しかし、何故か気配を感じたように思う。
その理由を考えながら、カレンダーに目を向けた時、おぼろげに理解した。
「――あ……」
今日の日付は『8月6日』――――『サマー・フォーエヴァー』が生まれた日だ。
…………コト
グラスに蕎麦茶を注ぎ、氷を入れてテーブルに置く。
それを受け取る者はおらず、ただ静謐な空気が流れる。
空いた席に向き合い、気持ちを引き締めて姿勢を正す。
「私は『あの夏』を無駄にはしません」
────カラン
静かな決意と共にグラスを手に取り、冷えた蕎麦茶を一息に飲み干した。
137
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2025/08/24(日) 01:02:39
常原ヤマトの自認は『流浪の家政婦(メイド)』だ。
様々な邸宅での家事雑事を請け負う『傭兵じみた働き方』をしており、
なんと私生活でも、周囲の邸宅やら学生寮に不法侵入して勝手に家事を行う。
特定の雇用主を持たない狂人ハウスキーパーである。
しかし。
このごろは、未亡人小石川と、『サロン』との関わりにより、
やや落ち着きを見せている………のだろうか?
ザッ ザッ
「……む!!」
「奥様がいない間…無事に乗り切れた安堵が……今!急に来た」
この間、小石川から受けた
『二週間のハウスキーピング依頼』の事を思い出し、
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1688977700/244-255
「…そういえば、あんなこともありましたね………」
常原ヤマトは軒先を竹箒で掃きながら、ある日のことを思い出す。
以下、回想シーンスタート。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
138
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2025/08/24(日) 01:03:18
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
では、小石川が不在の間、邸宅で何が起きたのだろうか?
レス募集中。
単なる訪問者レスでも歓迎です。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
139
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/08/26(火) 18:28:02
>>137-138
(回想)
小石川が旅行に行っている間の出来事…
「失礼しまーす…」
ある日のサロン。
ノック音が聞こえたかと思うと、扉がゆっくりと開いた。
「少し様子を見に来ましたよー…」
朱鷺宮笑美が入ってきた。
(撫子ちゃんは元気にしてるかな…)
合鍵を小石川から預かっていた笑美は
しばらく小石川が不在の間のことも少し任されているのだ。
「さて…今はどこにいるのかなー、撫子ちゃん」
もしかしたら今はねているのか?
などと思いつつ、なるべく静かに入ってきた。
140
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2025/08/26(火) 23:11:12
>>139
「……おや!」
「散らかっていて申し訳ございません!!」
「すぐに向かいます!お掛けになってお待ちくださ………………撫子さん」
ふだんのサロンとは違い、空気に埃が舞っている。
掃除道具が散乱していたり、棚の上の調度品が下ろされていたり
どうやら『掃除』の最中だったようだ。
「お体を……お舐めにならないでください。」
リビングに『黒い服装』の大柄な男が正座している。
正座する男の前には、蠢く埃の塊。
「撫子さん。この俺が悪うございます。ですから。ですが。」
「お風呂に入りませんか。」
141
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/08/27(水) 06:48:29
>>140
(あっ、もう他の人が来てるのね)
そういえば小石川がハウスキーピングに頼んでいると言っていた。
だとしたら今ここにいるのはその人だろうか
「こんにちはー。
…もしかして」
大柄な男の姿を見て、多少は目を丸くしつつも
直ぐに元の笑顔に戻る。
「あなたが小石川さんの言っていたハウスキーパーさん…
えーっと確か名前は…常原ヤマトさんですね?」
そして視線は撫子の方に。
「撫子ちゃんのお世話もなさっているんですね。
本当にありがとうございます。」
どこか微笑ましそうな顔で告げる。
見たところ彼に撫子は懐いているようだ。
142
:
『主宰者』
:2025/08/28(木) 05:56:34
>>140-141
(常原&笑美)
『帽子猫』である撫子は『長毛種』に分類される。
長く柔らかい豊かな被毛は、上質な絹のように心地よい手触りだが、
それゆえに汚れが付きやすいという短所も併せ持つ。
埃まみれの体を舐めているのは、綺麗にしようとしているのかもしれない。
「――にゃあ……」
ちょうど常原と向かい合っていた時、
聞き覚えのある笑美の声に反応し、そちらを振り向く。
『飼い主が信頼した相手』であれば、撫子も安心して身を任せるだろう。
もちろん『常原ヤマト』と『朱鷺宮笑美』に対しても同様に接するはずだ。
(※小石川不在中の撫子は自由に動かしていただいて構いません)
143
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2025/08/28(木) 23:15:45
>>141-142
「左様でございます。『常原』です。
しばらくの間、お屋敷のあれこれをさせて頂いております。」
男が立ち上がる。
『眼帯』と、『黒いワンピース』、
レースの飾りがあしらわれており、意匠だけ見ればかなり『女性的』な服装。
それに反し、本人は筋肉質で大柄な男だ。
「お世話、といいますか。」
「………埃が沢山出たのですけれど、
撫子さんが。こう、ドサァッッッ、と。
お被りになられてしまい……」
傍らを見やる。もぞもぞ動いている『帽子猫』。
長い毛が埃まみれになり、もはや帽子にすら見えないシルエット。
「お体を洗ってさしあげたいのですが……どうにも。」
要領がわからないのか、懐きが足りないのか、
とにかく困っている様子。
144
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/08/29(金) 18:35:01
>>142-143
「よろしくお願いいたします。
なにかお困りのことがあれば、私もお手伝いさせていただきたいです。」
笑美もまた、留守を任された身である。
できればなにか手伝えることがあれば…と思っているようだ。
(あの衣装…ハウスキーパーの制服かしらね?)
筋肉質な体格にワンピースという一見アンバランスな格好。
それに関して軽く一人で納得してしまう笑美だった。
少し気になっている表情が相手側にも伝わるかもしれない。
「あらあら、これはまた…
撫子ちゃん、とても大変そうですね。
…ここはお任せください。」
そう言って撫子の下へと駆け寄っていく。
「さ、撫子ちゃん。
ホコリをまずは軽く払いましょうねー。」
そう言って、おそらく顎のあたりであろう部分を軽く撫でる。
猫を落ち着かせるにはこうするのが一番だ。
そうやっている最中に、とりあえず払えそうなホコリは払おうとする。
「…自己紹介がまだでしたね。
私の名前は朱鷺宮笑美です。
小石川さんには色々とお世話になってまして…
こうしてここのことを任されてます。」
そう言って微笑みかけてきた。
実は小石川とは意外と古い付き合いだったりするのである。
145
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2025/08/30(土) 19:18:43
>>144
「ああ、『朱鷺宮さま』でございましたか!
お名前は伺っております。」
>気になっている様子
「………ああ!!
さきほど『エプロン』を汚してしまいまして!
すぐ『正装』にいたします、申し訳ありません!!!!」
『常原』はガチで焦った様子で部屋の奥に駆け込むと、
しばらくして『白いエプロン』、その他フリフリした装飾品が増えた形態で帰ってきた。
………『メイド服』だ。
確かに、ハウスキーパーの制服では言えるのだろうが。
「申し訳ありません!!!
ああ、奥様のお召し物にも埃が…」
『正装』とやらを着用するついでに、
タオルだとか、猫用ブラシとかの役立ちそうな物を入れた籠も持ってきて、
朱鷺宮の脇でワタワタしている。
「これがふつうの帽子でしたら、
お洒落着用洗剤とぬるま湯で洗って差し上げたいところなのですが…」
146
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/08/31(日) 00:39:01
>>145
「ああ、すいません。特にそんなつもりでは…」
と、そのまま奥に駆け込んだヤマトを見送る。
そうしている間にも軽く撫子の体からホコリを払っていく
しばらくして戻ってきたヤマトの姿はエプロン服のメイド姿であった。
「うわぁー、フリフリがいっぱいです!
…結構似合いますね。」
一見ミスマッチに見えて驚いた笑美だったが、
こうしてみると、意外と似合っているように思えてくる…
「そこまで気にしなくてもいいんですけどね。
撫子ちゃんも満足してるっぽいですし。」
そういいつつも問題ないと言いたげに撫子のホコリを払う
「うーん、このコは猫ちゃんですからね…
だとしたら、猫用のシャンプーなどが良さそうですが…
ありますかね?この家に」
一見帽子だが、撫子は猫である。
もしかしたらそういう物があるかもしれないと考えた。
147
:
『主宰者』
:2025/08/31(日) 05:48:45
>>145-146
(常原&笑美)
長毛種の猫は毛が絡まりやすく、放置すると毛玉が生じてしまう。
毛並みを整えるためには、定期的なシャンプーが必要になる。
そういった事情から、オーガニック系の『猫用シャンプー』も用意されており、
常原が運んできた籠の中に紛れ込んでいた。
撫子を洗うのであれば、『浴室』を利用しても構わないだろう。
そこに向かったなら、『モザイクタイル』で仕上げられた空間が見えるはずだ。
広い洗い場と大きな浴槽を備え、もちろんシャワーも設置されている。
それらは本来、家族で使うことを想定した設計らしい。
148
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2025/09/03(水) 08:10:44
>>146-147
「似合いますか!?よかったです!!!!!!!!」
「いやはや、皆様がたの『ご指摘』は把握しているのですが」
「しかし……『正装』なので………」
『男なのに何故そんな格好してるねん』、
という突っ込み事態は慣れているようだ。
「シャンプーならありますよ」
「小石川様がご用意されたものでしょうね、これなら正しいでしょう。」
>『浴室』
ザーーーーーーッ
腕をまくり、桶に湯を貯め始める。
シャンプーを手に取り泡を立て始め、待機。
「………2人がかりで手早く漬けて手早く済ませてしまいましょう。」
「さあ撫子さん!!!!湯を用意いたしました!!!さあ!!!!」
シャンプーが用意されているという事は、
洗われること自体には慣れている、と思いたいが。
入浴に抵抗を示す猫も多いので、ふたりがかりで戦うのがよかろう、という判断。
「朱鷺宮様お願いいたします!!!!!!!」
149
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/09/04(木) 00:14:50
>>147-148
「あら…色んな人からご指摘されているんですね。
…でもまぁ、私は似合っていると思いますよ。」
意外とそのアンバランスさがいい…
と少し思う。
「ああ、良かったです。
猫ちゃん用のシャンプーがあるならできそうです。
…私も手伝いますよ。」
笑美は常原といっしょに浴室へと歩いていく。
「わかりました。
それじゃあお手伝いしますね。」
撫子を優しく抱えながら
シャンプーの入った桶に近寄る。
「あっ、急に近づいたらびっくりしちゃいますね」
とりあえず撫子に桶の様子を見せる。
まずはぬるま湯を認識させて少しずつ慣れさせたうえで
ゆっくりと洗っていくのだ。
150
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/09/14(日) 11:42:52
>>148-149
(常原&笑美)
笑美に抱えられた撫子は、大人しく桶の中に漬けられる。
おそらく入浴に慣れているのだろう。
それだけではなく、常原と笑美の手際も良かった。
「にゃあ……」
モコ モコ
「……にゃあ」
モコ モコ
2人の協力によって、帽子猫は白い泡に包まれた。
それに伴い、埃を被って汚れた体が、少しずつ綺麗になっていく。
最後にぬるま湯で洗い流すと、本来の繊細な毛並みを取り戻す――――――。
>>149
(笑美)
――――――そして『現在』。
「――『そんなこと』があったのですか……」
向かい合った状態でソファーに座り、留守中の一部始終を聞いていた。
テーブルの上には『蕎麦粉のロールケーキ』が載っており、
それに合わせて『蕎麦茶』も用意されている。
これらは小石川の出身地である『N県』のお土産だ。
「ふふ……撫子が綺麗になっていた訳が分かりました」
スヤァ…………
そして、当の撫子自身は笑美の隣で眠っている。
151
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/09/14(日) 19:25:46
>>150
モコモコと撫子を洗っていくと
段々と元のふわふわとした毛並みを取り戻し…
その後はきれいに乾かすために
猫用のドライヤーなどを使ったのであった。
…時は現在。
「はい、とても楽しかったですよ。
家ではネコを飼ってはいないので
少しお世話をするのが新鮮でした。」
笑美もソファーに座り、くつろいでいる。
お土産の蕎麦粉のロールケーキに視線を向けながらも楽しそうに話している。
「ええ、毛並みを整えるのも少し大変でしたね。
こう、ブラシでかるーく毛を撫でたりしながら…
ネコであると同時に帽子でもありますからね。
つけ心地も考慮しないといけないです。」
そう言ってから、少しフォークでロールケーキを取る。
「お土産ありがとうございます。
これも…とても美味しいです。」
口をモグモグさせながら微笑みかける。
152
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/09/15(月) 10:02:16
>>151
このロールケーキは蕎麦粉100%の生地で、クリームにも蕎麦茶を使用していた。
しっとりした食感で甘さは控えめだが、蕎麦らしい豊かな風味が楽しめるだろう。
また、蕎麦の実もトッピングされており、カリッとした歯触りと香ばしさを添えている。
「笑美さん、ありがとうございました……。
のちほど常原さんにもお礼を伝えておきます」
おもむろに手を伸ばすと、足元のバッグを開け、シンプルな箱を取り出す。
「私は――『これ』を完成させてきました」
…………ソッ
箱を開けて取り出したのは、『黒紫色のストール』だった。
輝くような光沢と柔らかな風合いを兼ね備え、一見して上質な品であることが窺える。
全体の長さは『200cm』程で、幅は『60cm』ぐらいだろうか。
「……『玉小石』という蚕糸で織られているのです」
『ストール』を両手で持ち、笑美の前で広げてみせる。
153
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/09/15(月) 19:59:56
>>152
「いいおみやげですね。
私も少し行ってみたくなりました。」
美味しいロールケーキを頬張ると
思わずその表情も綻んでしまう。
「常原さん、最初はちょっとびっくりしましたけど…
でもあの人のハウスキーパーとしての情熱は本物だと感じました。
自分の仕事に誇りを持って望む姿勢は、少し尊敬してしまいます。」
その後も色々と仕事を手伝ったり
或いは撫子と仲良く遊んだりと、いろんなことがあった。
もう一度会えるかもしれないとも考えている。
「…わぁ、これは」
箱の中から出てきたのは美しい色合いのストール。
笑美はそういうのにはそこまで詳しくはないが…
「素敵な色合いのストールですね。
シックなようできらびやかでもある…
小石川さんにとても似合いそうです。」
少し嬉しそうにストールを見つめる。
「手触りも良さそうですね。
ちょっと触ってみたいです…」
触っていいのだろうかと、少し目配せをしながら尋ねる。
154
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/09/15(月) 20:52:39
>>153
笑美の感想は的を得たものだろう。
この『玉小石のストール』は、落ち着いた印象と同時に、優美な艶が滲み出ている。
紛れもなく一級品と呼べる品物だ。
「――この色は『二人静』です。
平安時代に『静御前』という女性がいて、
愛する人のために歌を詠んだ逸話が伝わっているのですが、
その話を元にした能の演目から名付けられたと聞きました」
「『フタリシズカ』という同名の花もあり、
花言葉は『いつまでも一緒に』だそうです……」
ストールを手にした小石川の両手には、『永遠』の証である銀色の指輪が光っている。
「……どうぞ、触ってみてください」
スッ
笑美が触れやすいように、軽くストールを差し出す。
間近で見ると、表面が独特の立体感を持っていることが分かった。
繊維に『節』のある糸が使われていて、それが空気を多く含んでいるらしい。
155
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/09/16(火) 23:58:16
>>154
「フタリシズカ…ですか」
名前、そしてその花の言葉に
どこか強い思いを感じたように思えた。
「きっとこれは…
大切な人の思いも込められているんでしょうね。」
そう言ってじっとストールを見つめる。
「すごくふわふわしてる感じがしますね。
手触りが…とても良さそうです。」
「それでは…失礼します。」
差し出されたストールになるべく優しく手を触れてみる。
触った感触は…おそらくとても柔らかいものなのかもしれない。
156
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/09/17(水) 12:37:36
>>155
『玉小石のストール』は柔らかく、
しなやかな感触を笑美の手に伝え、その感触は『天女の羽衣』を思わせた。
また、笑美が触れたことで、表面の立体感に変化が生じる。
微妙に光の当たり方が異なり、それが『グラデーション』のような効果をもたらして、
あたかも色合いが変化しているように見えるのだ。
「普通、1頭の蚕は1つの繭しか作りませんが、
稀に2頭の蚕――オスとメスの蚕が、共同で1つの繭を作る場合があります。
『玉繭』と呼ばれていて、『良縁のお守り』として大切にされているそうです」
「……『玉小石』は玉繭を作りやすい蚕で、
玉繭の大きな特徴は、糸に『節』ができることなのです。
だからこそ、こうした『立体的な質感』が生まれるのです」
「このストールは『玉繭のみ』を使用しています。
『いつまでも一緒にいられるように』という願いを込めて……」
生地は玉繭、色は二人静。
それらには『愛する人に向けた想い』が秘められている。
そして、その想いは決して消えることはない。
157
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/09/18(木) 06:21:37
>>156
「すごいですね、これ…
触ったり、見る角度によって
色んな色が見えてきます。」
少し触ればいろいろな美しい色が見えてくる。
その様子に笑美はとても楽しげな雰囲気を見せた。
「それに…これはとても柔らかいです。」
さぞ着心地も良いものだろう。
そう思うとどこか表情も綻んでしまう。
「玉繭…素敵なお話ですね。それは…」
小石川の告げる玉小石と玉繭の話。
それは絡み合う糸と二匹の繭糸から
良縁の証になるという話だ。
「これは二匹の繭から生み出された織りなす糸なんですね。
まるで決してほつれることのない縁みたいです。」
「きっと、どんなことがあろうと途切れることはありませんよ。
このストールに込められた思いは。」
そう言ってにっこり微笑んだ。
きっと分かたれた後でも途切れることのない良縁となるかもしれない。
158
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/09/18(木) 11:32:38
>>157
『二人静』は『黒に近い紫』だが、『玉繭の節』が生み出す独特の立体感によって、
『黒』や『紫』などに変化していく様子は、
蚕の繭が『生命の糸』である事実を改めて思い起こさせる。
「……先程お話した『節』が空気を含んでいるので柔らかいのですよ」
繊維の隙間に空気の層ができることも、『玉繭』が持つ特徴の一つだ。
「ええ……そうであってほしいと願っています」
ス…………
『玉小石のストール』を羽織り、肩を包み込むように巻き付けていく。
この巻き方は『肩ケープ巻き』と呼ばれる。
楚々とした喪服に優美なアクセントが加えられ、
気品のある装いという印象を与えるだろう。
「――……にゃあ」
ふと撫子が目を覚まし、小さな鳴き声を上げた。
「笑美さん、また撫子を被ってみますか?」
出発前、笑美が頭に載せたがっていたことを思い出し、微笑みながら提案する。
159
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/09/18(木) 22:50:00
>>158
「そうなんですね。
空気を包みこんでるからここまで柔らかくなるんですか…
こんなに柔らかいのは初めてですね…」
もうちょっと触っていたいなーと思いつつも
「…ありがとうございます。
とても素晴らしい品ですね。これは」
あんまりベタベタ触るのも失礼だと思い
手を離す。
「ずっと大事にしていきたいですね。」
そう言ってまた笑い返す。
「…いいんですか?
撫子ちゃんを被ったりして。」
少し驚いた顔をしているが
同時にとても嬉しそうでもある。
「ありがとうございます。
それじゃあ遠慮なく…」
そう言ってそっと頭を下げる。
ぜひとも被らせていただきたい。ということなのかもしれない
160
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/09/19(金) 11:58:24
>>159
撫子を両手で持ち上げると、笑美の言葉に頷きを返し、先程の提案を実行に移す。
「ふふ……よくお似合いですよ」
笑美が言ったように、撫子は帽子であると同時に猫でもある。
以前にも被ったことがあるので、その感触は覚えているだろう。
長毛種らしい繊細な毛並みが、笑美の頭を優しく覆った。
────ピコン
ゆっくりと両目を開けた撫子が、笑美の頭上で三角形の耳を立てる。
「そういえば――また『撫子の仲間』を見つけました……。
名前は『ルシャボテ』で、『浴衣』から生まれた猫だそうです」
自然公園の出来事を振り返りながら、さらに話を続ける。
「飼い主は『桃園』という女の子で、彼女も『スタンド使い』です。
信頼できる方だと思えましたから、『サロン』のことを話しておきました。
興味は持っていただけたようですので、いつか来られるかもしれません」
そこで言葉を切り、湯呑みに注いだ蕎麦茶で喉を潤す。
161
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/09/20(土) 00:34:05
>>160
「フヒヒ、お似合いですかぁ…
撫子ちゃんの毛並みもとても良くて
被っててとても気持ちいいです。」
そう言って嬉しそうに笑った。
柔らかい毛並みと、ネコ特有の温かみも感じるような気がする。
感触はとても良いものだ。
「えっ、撫子ちゃんと同じような猫がいるんですか?」
以外そうな顔で答える。
無機物ネコというのは割といるんだろうか…
「浴衣のネコだなんて…
一体どんな姿をしているのかしら。
ちょっと会ってみたくなりますね。」
見栄えとか毛並みとか
色々と気になる部分がある…
「桃園さんですね。
…その人も人助けをしたい人なんですね…
いずれサロンの会員になってくださるんでしょうか。」
まだ見ぬ少女の姿を思いながら
いつ出会うのだろうかと楽しみになった。
162
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/09/20(土) 11:37:00
>>161
元が帽子の撫子は、『頭の上』という場所に落ち着きを感じる傾向がある。
どうやら笑美の頭上は居心地が良いようだ。
飼い主である小石川が、特に信頼した相手ということも、
もしかすると関係しているのかもしれない。
「涙音さんにはお話しましたが、
まだ笑美さんには伝えていませんでしたね。
他にも『ナックラヴィー』というラムネ瓶の猫もいるのです。
ですから……正確には『3匹目』ということになるでしょう」
ススッ
スマートフォンを手に取り、前に撮った写真(
>>59
)を見せる。
「桃園さんは『強くなりたい』と思っていらっしゃるようです。
『サロン』はスタンド使いが集まる場所なので、
他の会員と関わることが修行に繋がるのではないかと……」
「……きちんと『協調性』をお持ちの方ですから、
私はお迎えしたいと考えています」
桃園に『会員証』は渡していないが、この場所は教えておいた。
彼女が足を運ぶことがあれば、『正会員』として迎え入れる用意はある。
参加は自由意志なので、こちらからは待つだけだ。
163
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/09/20(土) 22:46:39
>>162
帽子猫の撫子は、そのまま落ち着いた吐息が聞こえてくる。
たまに寝息が聞こえてきそうな心地よさを感じる帽子。
猫になったことでより一層帽子としての良さも増したような気がする。
「その子は他にもいろんな猫を持っているんですね。
ラムネ瓶の猫…聞いただけではどんな子なのかわからないですね…」
そう思っていると、スマホの写真を差し出された。
じっとその写真を見る。
「この子がナックラヴィーちゃんなんですね。
確かにこれは…ラムネ瓶というのが正しいですね。
天城さんも仲良しなんですねー。」
一緒に写っていた天城の姿を同時に見る。
以前なんやかんやあった時に天城と知り合ったのである。
「修行…
結構ストイックな子なんでしょうかね。
でも、いいことのためにスタンドを使うのはいいことです。」
桃園のイメージが少し離れているかもしれない。
真面目な子というイメージがとても強くなっているようだ。
「その人ともし会うことができたら、
私も桃園さんと仲良くしたいと思います。」
そう言って微笑んだ。
164
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/09/21(日) 11:06:31
>>163
桃園は一見すると破天荒ではあるものの、根は真面目だと感じた。
笑美が抱いたイメージも、完全に的外れではないはずだ。
だが、実際に会った時に別の印象を抱く可能性は否定できない。
「……甘城さんをご存知だったのですか。
彼女にも『サロン』について説明しましたが、
お返事は『気が向いたら』ということでした」
スゥ
「ご両親はお菓子屋さんを経営していらっしゃいます……」
財布から『洋菓子店・甘城のポイントカード』を取り出し、笑美に見せる。
「『甘城』のお菓子を買ってありますから、それも出しましょう」
ソファーから立ち上がり、まもなく袋を2つ手にして戻ってきた。
片方は薄いピンクのリボンで、もう片方は白いリボンでラッピングされている。
それぞれの袋の中には、クッキーに似たお菓子が20個ずつ入っているようだ。
「『ポルボロン』と『ブール・ド・ネージュ』です。
スペインの伝統的な焼き菓子で、とても崩れやすい特徴があるのですが、
口の中に入れて崩さずに『ポルボロン』と3回唱えられたら、
『幸せが訪れる』という言い伝えがあります」
「『ブール・ド・ネージュ』は、
ポルボロンがフランスに伝えられて生まれたお菓子です。
ポルボロンはホロホロとした食感ですが、
ブール・ド・ネージュはサクッとした歯触りです」
その両方をテーブルに置き、リボンを外して袋を開く。
「――『ポルボロンの願掛け』を試してみませんか?」
崩れやすいお菓子を口の中に入れた状態で、3回ポルボロンと唱えるのは難しいだろう。
しかし、笑美は自他共に認める『幸運』の持ち主だ。
もしかすると成功するかもしれない。
165
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/09/21(日) 22:29:46
>>164
「ええ、偶然知り合った感じですけど…
あの人もサロンに…は、まだ参加してないんですね。」
色々とすごい人、というのが笑美が抱いているイメージである。
「洋菓子店…
色々作ってた人ですからもしやと思っていましたが、
やはりそうだったんですね。
小石川さん、常連さんなんですねー。」
過去に会った時にそういった光景を見たことがある。
「わぁ、お菓子を食べさせていただけるなんて嬉しいです。
…どちらも美味しそうですね。」
ラッピングされた袋の中にはクッキーに似たお菓子が入っていた。
どちらも美味しそうである。
「なかなか面白い願掛けの話ですね。
でも、このお菓子…とても柔らかそうですね。
すぐにでも崩れてしまいそう…」
できるだろうか?と心配になりつつも
「わかりました。やってみます…
私はこう見えても運には自身があるんですよ!」
そう言って軽く手を叩いた。
166
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/09/22(月) 09:39:05
>>165
まさか笑美と甘城が『ハイポーション』を作っていたとは考えていなかった。
「常連という程ではありませんが、
甘城さんが接客してくださったことがあって、
それから何度か立ち寄っています。
とても品揃えの豊富なお店で、
撫子の『猫用クッキー』も頂きました」
キャビネットの引き出しを開けると、猫の形に仕上げられたクッキーが出てきた。
猫は甘味を感じることができないため、
甘い味付けではなく、魚や昆布などの出汁を使っている。
これも『甘城』で購入したものだ。
「――それでは……」
ソ ッ
ポルボロンの袋から1つ取り出し、片手を差し出して笑美にも勧める。
「……『ポルボロン』」
「……『ポルボロン』」
こちらのポルボロンは、口の中に入れて2回唱えた所で崩れてしまった。
「私の分は……失敗してしまいましたね」
果たして、笑美は『ポルボロンの願掛け』を成功させられるだろうか。
167
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/09/22(月) 22:46:49
>>166
「へぇー、そんなに付き合いがあったんですね。
…ちゃんと猫ちゃん用のクッキーまで作ってもらえるなんて
やっぱり飼い主同士の付き合いみたいなことなんでしょうかね。」
見た目とても美味しそうに見える猫用クッキーを見ながら答える。
(ハイポーションを作ったのは、単なる冒険だったのかしら。
お菓子も普通に美味しそうだし…)
以前会った時に一緒にハイポーション作りを見た時に
いろいろなことをやっていたような気がする。
「どうも…ありがとうございます。」
じっと小石川の動きを見ていたが…
どうやら2回目で失敗したようだ。
「やっぱり、結構崩れやすいんですね…
私はできるでしょうか…」
軽く息を呑んだうえで、手に取ったポルボロンを口の中にいれる…
『ポルボロン…』
『ポルボロン…』
問題なく唱えてみせた。
あと一回言えば願掛けを成功…
『ポルボルボ…あふっ』
まさかの3回目で唱える言葉を噛んでしまった。
更にそれに慌ててしまい。
「あっ」
潰れた感じの音が口の中から聞こえたのを感じた。
「ダメでした…
これは失敗ですね。」
ちょっと恥ずかしそうに答える。
168
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/09/23(火) 12:55:11
>>167
願掛けは失敗してしまったものの、ポルボロン自体は美味しいお菓子だった。
「……このお菓子は甘城さんのご両親が作ったものだそうです」
つまり、甘城が作ったものではない。
もし彼女自身が作った場合、どのような結果になるかは不明だ。
少なくとも、この場で出てくることはないだろう。
「ふふ……やはり『3回』は難しいようですね」
失敗しても『不幸』が舞い込むわけではないのだから、
気軽に試せるおまじないであると言える。
「そういえば――笑美さんは『小野塚遥』という女性をご存知ですか?
私と同じぐらいの年齢で、私よりも背が高い方です。
髪の色は『ホワイトブロンド』、目の色は『金色』でした」
今度はブール・ド・ネージュを勧めながら、
小野塚の特徴を思い出しつつ、さらに話を続ける。
「以前、『鵺鳴川沿いの散歩道』で出会いました。
その方に確認したいことがあるのですが、
連絡先を聞きそびれていたもので……」
「今後どこかで見かける機会があれば、
笑美さんから私の連絡先を伝えていただけませんか?」
おそらく会える可能性は低いだろうが、1人より2人の方が確率は高くなる。
あの時、小野塚には『ノエに向けた伝言』を託した。
先方の反応は別として、無事に伝わったかどうかだけは確かめておきたい。
169
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/09/23(火) 21:54:03
>>168
「ふー、結構難しいですね。
言えそうだったのに、いざあと少しでできると思うと…
ちょっと緊張してしまいました。フヒヒ…」
3回目も噛んだりしなければ…と思いつつも
少しおかしいかのように笑ってみせた。
結構真面目にやっていただけに、ちょっとおかしいと思ってしまったのだろう。
「ご両親が…とても美味しかったとお知らせしないといけませんかね。
天城さんに。」
そういいつつとりあえずポルボロンはもったいないのでちゃんと飲み込んだ。
「ん、小野塚遥…ですか?
えっと…そうですねぇ…」
ブール・ド・ネージュに手を付けながら
少し考える。
「うーん、すいません…
少なくとも面と向かってあったことはないと思います。」
もしかしたら忘れているかもしれない。
しかし少なくとも会ったことはないと思うのだ。
「別に構いませんが…
その人…遥さんですか。
なにか伝えたいことがあるんですか?」
軽く差し出されたお菓子を食べながら答える。
170
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/09/24(水) 15:09:58
>>169
『ブール・ド・ネージュ』という名前は、フランス語で『雪の玉』を意味する。
粉砂糖をまぶした白い外見が、雪に覆われているように見えることから名付けられた。
口に入れて齧れば、サクッとした軽やかな食感と上品な甘さが楽しめるだろう。
「『洋菓子店・甘城』の場所を教えますから、
よろしければ笑美さんも立ち寄ってみてください。
天音さんが店番をしていらっしゃるかもしれません」
店の住所を笑美に伝え、自分もブール・ド・ネージュに手を伸ばす。
「……笑美さんには話しておきましょう。
私は『小林丈さんの消息』を突き止めました。
まだ未確定ですが、かなり可能性は高いはずです」
「小林さんが『病院』に運ばれ、
そこで『特殊な処置』を受けていることはご存知と思いますが、
しばらく前から『全身に包帯を巻いた人物』が目撃されているのです。
彼は『ノエ』と名乗っていて、人目を避けるように行動しているらしいと……」
「『ナイさん』を覚えていらっしゃいますか?
『魔物事件』が終わった後、この家に彼女を招いた時に聞いたのです。
『新しい出会いはありましたか?』――そう尋ねた時、
ノエという人の話をしてくれました。
つまり、ナイさんが件の人物と顔を合わせたタイミングは、
『魔物事件の後』と考えて間違いないでしょう」
ナイと交わした会話を振り返り、これまでの調査から導き出した『結論』を告げる。
(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1665841153/170-174)
「これらの事実から、私は両者が『同一人物』ではないかと考えています。
小林さんに『姿を消す理由』があることを踏まえると、
十分に有り得る話ではないでしょうか?」
雪玉を思わせるブール・ド・ネージュを指で摘み、いったん話を区切った。
171
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/09/25(木) 00:25:31
>>170
「うーん、とっても美味しいです。
初めて食べましたが、これもいいものですね!」
ブール・ド・ネージュの味も彼女は気に入ったようだ。
嬉しそうな顔でどんどんと食べていく。
「ありがとうございます。
…今度立ち寄ってみますね。」
そう言ってスマホに住所をメモする。
「…小林さん…
あの日以降姿を見せなくなったあの人が…」
ここで消息についての話になり、表情が真剣になる。
「…全身に包帯を巻いている…
もしかしたら顔面も変えているのかもしれませんね。
いえ、もし危険な状況にあるなら…そのような処置をとってもおかしくない…」
包帯を巻いた人物の話を聞くに連れ、同一人物という印象は強く感じる。
「…魔物事件の後、小林さんは消息不明になり、
そしてその後に現れた『ノエ』という人物ですか…」
少し考えてから、ブール・ド・ネージュをまた食べる。
「…ノエという人と、小林さん…
有り得そうですね」
同一人物と言う言葉に同意するように頷いた。
「憶測でしかありませんけど…
身を隠さなければいけない理由があるとするならスタンド使い絡みのことかもしれないです。
…スタンド使いが身を隠さなければいけない理由があるなら。」
「その『ノエ』という人は…たぶん正体を知られたくないのでしょうね。
特に知人には。」
172
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/09/25(木) 11:42:42
>>171
『小林の消息』に関する話は、まだ笑美以外の者には明かしていない。
これが極めてデリケートな話題であり、現状では緊急性が薄いと判断できるからだ。
だから『ここだけの話』に留めている。
「『整形』……ですか。
病院で『治療以外の処置』を受けた可能性が高い以上、
その線も大いに有り得るでしょう。
今でも包帯を外さないのは、念のために用心しているのかもしれません」
「彼が『身を隠す理由』については、おそらく笑美さんの言う通りでしょう。
あの時、小林さんは『最中派』の一員になって、
『私達の情報も提供するだろう』と言いましたね。
『小林丈』という人間がいなくなれば、情報が渡る機会はなくなります。
彼は自ら消えることによって、秘密を守ろうとしたのではないでしょうか?」
コポポ…………
用意した湯呑みに蕎麦茶を注ぎ、笑美の手元に差し出す。
「これは前にもお話しましたが、私は『最中派』と接触しています。
彼らは私の能力を知りませんでした。
そして、小林さんと関わったことはあるものの、
それ以降は繋がりが途絶えていると……」
「こうした事実も、小林さんが『自ら消えた』という裏付けになるでしょう」
「……小野塚さんの話に戻りましょうか。
私が『鵺鳴川』に行ったのは、ノエさんを捜すためです。
小林さんの能力には『水』が必要で、
さらに『目立つことを避けている』のであれば、
『人通りの少ない水場』に立ち寄るのではないかと思ったのです」
実のところ『ノエの住処』は把握している。
しかし、直接そこに向かうべきではないと感じていた。
『最中派』に追われていないことは確認しているが、
彼が会いたくないと考えているなら、生活の場に踏み込むべきではないだろう。
173
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/09/25(木) 21:11:19
>>172
「確かに…
スタンド使いにとってスタンドの情報…
いえ、それよりもその人の個人情報まで含まれていれば
渡す行為は致命的ですね。
私はそこまでアリーナの人間のことは知りませんけど…
もしその最中派の人が無理な要求をすることも辞さない相手だったら、とも思えます。」
「…でもそうだったら相手側からすれば身を隠す行為は
『不義理』と言えるものでしょうね。」
一息つくように差し出された蕎麦茶をゆっくり飲んだ。
「小林さんの能力は詳しく知りませんが…
能力には水が必要で、常に水場近くにいるなら
やはり追ってくるものの存在を常に危惧しているんでしょうね。」
少なくとも穏やかな生活はできていないだろう。
と、笑美は心配そうな顔になる。
「…知り合いの顔は把握してるでしょうから、
見つけるのはかなり難しいでしょう…」
174
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/09/26(金) 14:22:43
>>173
蕎麦茶からは蕎麦の実に由来する独特の香りが漂い、ほのかな甘みが口内に広がる。
「……『最中派』の内情は、かなり極端でした。
率直に言って、大きな利益のためなら手段を選ばない派閥です。
もし彼らが本腰を入れて捜し始めたら、
小林さんの身辺は安全ではなくなるでしょう」
「現状では、小林さんを積極的に捜している様子はありません。
また、私が受けた印象では、話し合える余地も残されていると感じました。
例えば、小林さんを追うよりもメリットの大きな条件を提示できれば、
それを承知してくれる可能性はあります」
「小野塚さんについてですが……
彼女はノエさんと会ったことがある雰囲気でしたから、
ちょっとした『伝言』を頼みました」
ふと気付いたことがあり、一旦そこで言葉を切ると、しばし考える時間を挟む。
「――今、私は『全身に包帯を巻いている』と言いましたか?」
「『整形』しているなら、包帯は『顔だけ』に巻く方が自然なはずです。
『包帯でグルグル巻き』や『ミイラのように包帯を巻いた』と聞いたので、
全身に包帯を巻いている姿を想像していたのですが、
捉え方に齟齬があったのかもしれません」
笑美が告げた『顔を変えている』という一言から、自らの『間違い』に思い至った。
「『整形が成功した』のであれば、わざわざ包帯で隠す理由は何でしょう?
先程は『念のために用心している』という解釈を挙げましたが、
なんとなく腑に落ちないものを感じます。
その点が納得できなかったので、『整形以外の処置』――
言い換えれば『包帯を外すことのできない処置』を、
小林さんが施された可能性を捨てられなかったのですが……」
小林が整形していることを前提にした上で、自らが抱いた疑問を笑美に投げ掛ける。
175
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/09/26(金) 18:29:05
>>174
一息ついてから再び話を聞く
「…そうですね。
もし小林さんが見つけられたら…
なかなか心配になりますね。」
そう言ってから少し考える。
「しかしよりメリットの大きな条件って、何ができるでしょうね…?
情報を渡すというのはまず論外ですし…」
もしそのような形で小林が追われなくなったとしても
自分を犠牲にしてまで秘密を守った彼に対しての不義理になってしまう。
他に何があるのだろうか…とも思ってしまう
「伝言…それは…」
と聞こうとしたところで、彼女がどこかハッとした様子なのを見る。
「包帯グルグル巻き…
私はてっきり顔を隠したいからと思ってましたけど」
彼女の言葉を聞いて、笑美も不思議そうな顔になる。
「本当に顔を変えてしまったのなら
わざわざ巻いておく意味はなさそうですよね…
そもそも『河川敷に現れる包帯男!』なんて噂になったら
逆に目立ってしまいます。」
「うーん…だとしたら顔面整形じゃなくて…」
少し恐ろしい可能性も考える。
「顔に手酷い損傷を与えてそれを治療してもらったとか?」
176
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/09/26(金) 20:28:21
>>175
片手の指先でストールに触れながら、笑美の話に耳を傾ける。
「こちらが提示できる条件としては、例えば『無報酬で試合に出る』など……。
ただ、彼らが動いていない内は、敢えて取引する必要はないでしょう。
逆に小林さんの生存を悟られかねません」
少なくとも、今は静観しておくのが無難な選択だろう。
「つまり……『顔の傷を隠すため』ですか?」
笑美の言葉を引き継ぎ、自らの口で先を続ける。
「小林さんは『何者かの攻撃』によって意識を失っています。
私は『特別なルート』から、その情報を入手しました。
以前お話していたでしょうか?」
「――その時に重傷を負い、顔が傷付いてしまった可能性はあるでしょう」
そういった事情を踏まえれば、『傷跡を包帯で隠す』というのは有り得る線だ。
「……ただ、彼が運ばれた『旧病棟』には、
『スタンド使いの医師』が所属しています。
私も『特殊治療』を受けた経験がありますが、
『全治1ヶ月』の骨折が『1日』で完治しました。
小林さんの場合も、治療は難しくなかったはずです」
小石川の知る限り、たとえ酷く損傷していたとしても、『旧病棟』なら治せる。
『小林だけ治せなかった』ということは考えにくい。
他に推測できる理由は、精神的な問題だった。
「これは個人的な考えなのですが――」
ソッ…………
脇に置かれたバッグの中から、自然な所作で『包帯』を取り出す。
「ノエと名乗る彼が顔を隠しているのは、
『心を隠そうとする表れ』なのではないかと思っています」
本当に隠したいのは『顔』ではなく『心』だというのが、
小石川文子の視点から見た印象だった。
177
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/09/27(土) 00:28:36
>>176
「そうですね…
向こうも、仮に小林さんのことを知ったとしても積極的に危害を加えるような行動もしないでしょうね…
スタンド使いが何人もいる状況では。
今は様子見でしょうね…」
「もし何かあるとしたら、
小林さんが動く時でしょうか…」
こちらが無理に動けば『最中派』に変な認識を与えかねない。
そう思った笑美は、今は変に動けない、と考えた。
「えっと…確か『スナックマン』…でしたっけ?」
メルヘンな話のことを思い出しながら返事を返す。
「確かに…スタンド使いの人の治療なら傷も…
基本的に後遺症もなく治せる、という話でしたね。
…まさかわざとしなかったなんてありえませんし」
本人の戒め、などとも思ったが
誰かの攻撃を受けて重傷を負ったならその希望があるとも思えない。
「心を隠す…それはやはり…」
視線は彼女の取り出した包帯に向く。
「罪悪感…でしょうか。
仕方なかったとは言え、他の人に危害を加えかねない取引をしたこと…
身を隠さなければいけないという申し訳無さとか…
…或いはもっと別の理由でしょうか…」
小石川にもなにか通じるものがあったのかもしれない。と思う。
178
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/09/27(土) 15:12:38
>>177
小林丈の本心は当人しか知り得ない。
『魔物事件』が起こる前から面識があり、激動の時間を共にしたとはいえ、
元々そこまで付き合いの深い間柄でもなかった。
しかし、彼の気持ちを推し量ることはできる。
「おそらく……笑美さんの言う通りでしょう。
もちろん正確なことは本人でなければ分かりませんが、
きっとノエという人の中には様々な思いがあるはずです」
当然のように出てきた『包帯』だが、ごく普通に考えれば、
常にバッグの中に入れている人間は少ないだろう。
「そして、ノエさんと同じように、私自身も『これ』を持ち歩いているのです」
聞き手が笑美であっても――いや、笑美だからこそ、
『その先』を口に出すことは躊躇われる。
「……私の場合は『手当のため』ですが、同時に『心を埋めるため』でもあります」
いつの間にかストールに触れていた。
分かたれた後も途切れることのない『良縁』の象徴である『玉繭』の生地に。
同時に、今は亡き『最愛の相手』を思い起こす。
「ノエさんと私は、少し事情が違うのかもしれません。
ただ、なんとなく理解できるような気がします。
『魔物』と対峙した時、私も『過ち』を犯しましたから……」
小石川文子とノエには、『包帯』だけではなく、『過去の過ち』という共通点もある。
「ですが、今の彼は『一人』です。
彼を支えてくれる人がいるのかどうか、
あるいは止めてくれる人がいるのかどうか――」
「――だから、心配しています……」
それが何よりも気掛かりだった。
179
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/09/27(土) 22:30:36
>>178
「そのあたりのことは本人が話すのを待つしか無いでしょうね…」
心の傷を隠すための包帯…
それが彼を包むものなのかもしれない。
「…小石川さんも同じような辛さを持っている…
だからこそ、理解できる部分があるんですね。」
彼女の持っていた包帯を見てなんとなく察することはできた。
それは彼女の辛い思い出の象徴なのであろうと。
「…過ちを犯したとしても、人は生きている限りやり直すことができます。
だからこそこうして『サロン』を作るに至ったわけですからね。」
小石川の様子を見ながら、彼女の心配を察すると頷いた。
「もし、小林さん…ノエさんとしてでも良いですが、
その人がサロンに足を運んだりできたなら、少しでも支えになれるかもしれないんですけどね…」
サロンが創られたのも、悲劇を防ぎたい、みんなと協力したいという思いあってのものだ。
しかし、はたして…
「そう簡単に応じてくれそうにもないですけど…」
ここの話を聞いて、そう簡単に来てくれるだろうか。
笑美もまた、どうすればいいだろうと悩む表情を浮かべていた。
180
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/09/28(日) 12:15:38
>>179
『魔物』が引き起こした一連の事件が終わった後、
小林丈は仲間達の前から姿を消し、小石川文子は互助組織を立ち上げる。
両者が辿った道は正反対だ。
今後、再び交わる機会が訪れるかは分からない。
「……来ていただけるなら嬉しいですが、無理に呼ぶつもりはありません。
『サロン』という場は、お互いの信頼が第一です。
彼が知り合いと接触することを避けているのであれば、
その意思を尊重しましょう」
小石川は知る由もないが、ノエは小野塚に『匿名掲示板』を提案していた。
一方、『サロン』は『相互理解』を掲げており、
顔・名前・スタンド能力といった『個人情報』を共有する。
すなわち全く相反する性質を持ち、そこでも真逆の方向を選んだと言えるだろう。
「この話は私達の中だけに留めておいていただけますか?
ただし……『未来の災禍』に備えることが『サロン』の本質です。
将来的に大きな問題が生じた場合は、
『正会員』の『共有情報』にする可能性も検討しなければいけません」
今は差し迫った危険性は薄い。
しかし、これから何かが起こった時は、
『小林に関する調査内容』を、他の会員達にも明かすだろう。
それは小林を取り巻く状況次第だ。
「ひとまず小野塚さんを通して、
ノエさんに『時間と場所』を伝えてもらえるようにお願いしました。
もし彼女を見かけたら、私の連絡先を教えてあげてください」
そして、もう1つ気になることがあった。
「――小林さんの『死亡説』を流布した動画ですが、
これまで調べた結果、あれは『完全な偽り』であることが分かりました。
改めて考えると、彼の逃亡を助けるために偽装したというよりは、
『アリーナ』に反感を抱かせることを目的としていたように感じます。
この一件の裏には『彼らに敵対する人間』がいるのかもしれません……」
その背後関係を調べるのは、『小林丈の捜索』以上に困難だろう。
181
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/09/28(日) 23:25:07
>>180
「そうですね…
やはり、小林さんの意思次第ということですね…」
無理強いはなかなかできないものだ。
果たして再び巡り合うときが来るのだろうか…
「…わかりました。
変に他人に話してしまってはその人にも…
何より小林さんにも決して良い結果にはならないでしょうね。
今はまだ…話す段階ではありません。」
それは笑美自身にもよくわかっていた。
危険性があるかはまだわからない以上
変に藪をつついて蛇を出すわけには行かない。
「了解しました。
小野塚さんと会ったときには、必ずお知らせします。」
そう言って頷いた。
情報の共有は大事なことだろう。
「…やっぱりあれは嘘だったんですね。」
なんとなく察しはついていた。
これまでの調査や目撃証言から見ても、
もはや偽りなのは明らかだろう。
「やっぱり、アリーナ側からすれば得がない行いですよねあれは…
反感を持つものはおそらくたくさんいると思います。
なんにせよ…小林さんが利用されるという状況はいいものではないですね。」
「そちらも警戒をしておいたほうが良いでしょうね。
スタンド使いにとっても味方ではないかもしれませんから。」
182
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/09/29(月) 11:32:43
>>181
包帯をバッグに戻してから、今度はスマートフォンを手に取った。
「小林さんの件と関係があるかは分かりませんが……
笑美さんに聞いてほしい話があります」
スッ
「まずは『こちら』を見ていただけますか?」
────────────────────────────────────────
『関 寿々芽さん。私と同じ清月の生徒でして、利発で以前貧血の方を助ける為に
色々な方達と知り合ってたようなので便りになると思います。
それと、私も【友人】が一人協力してくれそうなので、その人と共に予定日が
決まったら一緒に手伝いますので、こちらこそ宜しくお願いしますね』
────────────────────────────────────────
当時、『遊部から送られてきたメッセージ』を表示させ、笑美に見せる。
(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1456056964/406)
「皆さんに『アロマディフューザー』を配った時、
遊部さんの紹介で『香音』という方がいらっしゃいました。
笑美さんも同じ場所にいましたから、おそらく見かけていると思います……」
それは星見町の各所に『100台のアロマディフューザー』を設置する直前だった。
(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1617983099/536)
「……リスクを伴う計画でしたから、
迂闊に『一般人』を巻き込むことはできません。
私が『あなたはスタンド使いですか』と質問すると、
彼女は『サワガニ』のようなヴィジョンを見せてくれました」
既に『香音がスタンド使いである事実』は確認済みだ。
(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1617983099/597)
「あの時は忙しかったので、それ以上は気を回す余裕がありませんでしたが、
今になって考え直してみると、どこか引っ掛かる部分があるのです」
コト…………
スマートフォンをテーブルに置いて、さらに先を続ける。
「何故なら――彼女だけが『身元不明』だからです。
私自身が声を掛けなかったのは関寿々芽さんと香音さんの2人のみで、
どちらも遊部さんを通して知り合いました。
関さんについては能力や人柄などを把握していますが、
香音さんの情報は極端に少ないのです」
「このメッセージを見る限り、関さんについては詳しく書かれています。
名前だけでなく、清月に在籍する生徒であることや、
『貧血の方を助けるために色々な方達と知り合った』という、
具体的なエピソードまで言及されています」
「一方、香音さんの方は名前さえ出ていないのです。
あまりにも『差』がありすぎるようには思えないでしょうか?」
そして、『遊部が連れてきた』という点も、引っ掛かりを覚える部分だった。
183
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/09/29(月) 18:11:30
>>182
「はい…
こちらは…?」
差し出されたスマートフォンに視線を向ける。
書かれていた内容は関さんの友人が協力をしてくれた、という話だった。
遊部さんも夏の魔物事件で協力してくれた人だ。
「『香音』さんといえば…
確かちょうどここで皆さんが集合した時に一緒にいた方でしたね。
…遊部さんとの知り合いと言っていました。
それに、スタンド使いでもありましたね。」
カニのような見た目のスタンドを出したこともなんとなく覚えている。
とは言えあのときにはスタンド使いの人は大勢居た。
笑美も小石川に言われて、思い出したくらいである。
「…香音さんだけ身元がわかっていないと?」
その言葉を聞いて意外な表情を浮かべた。
正直笑美は誰かの知り合いというだけでなんとなく納得してしまったくらいだ。
「確かに…香音さんのことは詳しく言ってませんね。
とても怪しいですが…」
どうにも不思議そうな顔をしている。
「でも遊部さんは知り合いということ自体は否定はしていなかったということは…
知り合いという一点は間違ってなさそうですが…」
何か細工でもしてあるのか?
と怪しんでいるように見える。
184
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/09/29(月) 20:02:24
>>183
何故、今になって香音が思い浮かんだのだろうか。
その理由は分からなかった。
少なくとも『なんとなく引っ掛かる』というのは確かだ。
「私の考え過ぎかもしれません。
ふと彼女のことが気になったのです。
強いて言うなら……『直感』でしょうか」
思案を巡らせながら、当時の状況を振り返る。
「……あの時は面識のない方も多く集まっていました。
そういった場所では、お互いの素性を確認するのは困難でしょう。
私自身、スタンド使いかどうか尋ねただけで、
それ以上の詳しい追及はしていません」
そこで、『正会員』として招いた一人の言葉が脳裏に閃く。
「以前、『空織清次』さんをお誘いした時、彼から言われたことがあります……」
その内容を、そのままの形で復唱する。
「もしもわたしの『正体』が、
君の言う『夏の魔物』に類する存在だとしたらどうする?」
「偽りの理性で擬態しながら、
先の『魔物』のように気づかれぬうちに、
すでに何人もの『被害者』を生み出していたとしたら――」
(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1665841153/716)
「――そう言われました」
静かな一呼吸を挟み、スマートフォンに目線を落とす。
「……『だから気になる』のかもしれません」
『空織に投げかけられた言葉』が、香音に注意を向けさせたのかもしれない。
185
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/09/30(火) 21:04:17
>>184
「確かに聞いただけならあやしいのですが…
とは言えそれ以上に妙な部分がないと…」
首を傾げながら考えた。
あの時のことは詳しく知る機会はなかったのだ。
「せめて、学校に通っているということであれば
調べることくらいはできそうな気がしますけどね…
素性が確かな人物であれば、ひとまずは大丈夫と思いますけど…」
そんな事を考えていると、小石川から、
『空織清次』さんから言われたという言葉を聞く。
「もしもわたしの『正体』が、
君の言う『夏の魔物』に類する存在だとしたら」
その言葉は笑美自身にも深く響くものだった。
「何食わぬ顔で敵が近くにいる可能性…」
そう言ってから少し考える。
「やはり、信じるにせよそうでないにせよ、
その人のことを知っておく必要があるかもしれませんね。
…少なくとも『どこに所属』なのかくらいは…」
186
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/01(水) 10:28:22
>>185
笑美の告げた言葉に首肯で応じ、思慮の対象は香音から遊部に移っていく。
「これは涙音さんにも話しました(
>>53
)が、
遊部さんは一人で抱え込んでしまう性格のようです。
何かあったとしても、それを表には出しません……」
現状、香音が信用に足る人物かどうかは不明だ。
香音を紹介したのが別の誰かだったとしたら、大きな疑問を感じることはなかっただろう。
しかし、遊部玲実は『多重人格者』であり、その中には『危険な人格』も存在している。
彼女は『空織が指摘した人間』に近い。
『真意の読めない人間が連れてきた素性の分からない人間』では、
全てを信じることは難しかった。
「正直に言えば……私は遊部さんのことも心配しています」
かつて共闘した際に、『遊部の一端』を目撃している。
(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1459695075/794)
「……香音さんに関しては、
遊部さんと同じ清月に在籍しているかどうかは知っておきたい部分です。
私では難しいので、どなたか『学生』の方にお願いしてみましょう」
その時、真っ先に思い浮かんだのは『空井イエリ』だった。
これも『直感』によるものであり、他者には説明しにくい。
小石川自身は知らないことだが、
イエリが遊部と同じく『人格に関する問題』を抱えているせいだろうか。
187
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/02(木) 06:34:45
>>186
「遊部さんはその『香音』という人と話を合わせていたんでしょうかね…
他人に話せない事情をかかえているのかもしれませんね。」
魔物事件は実にいろんな人々が協力し合っていた。
その中には危ない繋がりの勢力も当然いるだろう。
アリーナだけでなく…そう思うと笑美もまた心配そうな顔になっていった。
「確かに大人だと、学園を調べるのには怪しまれてしまいますね。
…知り合いの学生となると…夏の魔物の一件で協力してくださった
方々の中の誰かに頼むべきか…」
「或いは涙音にも相談したほうが良いかしら?」
笑美にとってすぐにでも伝えられそうな人というと
まず思いつくのは娘の顔である。
188
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/02(木) 16:19:24
>>187
小林の件が一段落した今、香音について考えるべきかもしれない。
もし『未来の災禍』に繋がるなら、それは『サロン』で対応すべき問題だ。
場合によっては、遊部にも目を向ける必要が出てくる。
「ええ、涙音さんに伝えていただいて構いません。
今後お願いする機会も出てくると思いますので……」
清月に籍を置く涙音なら、学園内の調査には適任だろう。
「――念のために……私が意識を失った後で、
芦田さんの車に乗らなかった方々を教えてください。
もう一度、考えを纏めておきたいのです」
小林は何者かの攻撃を受けて病院に運ばれた。
それを行ったのは全くの部外者ではなく、
『魔物』と対峙したメンバーである可能性が高い。
そして、現地に残っていた人数が少なければ、候補者を絞ることは可能だ。
189
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/02(木) 17:30:18
>>188
「ありがとうございます。ひとまずわかっていることを報告しておきますね。
ただ…相手がもし、アリーナ絡みだったら深追いは危険かもしれません。
追いすぎないように気をつけるようにと注意深く言っておきますね。」
香音がどういう相手なのかは自分でもよくわからない。
だが少なくとも涙音も知っている相手だ。たとえ詳しいことがわかったとしても
一旦は追わないように忠告しておかないと危険だろう。
「えっと、全てが終わったあとに、芦田さんが車・・・ハイエースでしたか。
それに乗らなかった人ですね。えっと確か・・・」
そう言えば何人か乗らなかった人間が居た。
あのあと車に乗らなかった人は…それを思い出そうと少し考える。
「確か…あのあと車に乗らなかったのは
小林さんの他には、村田さんに関さんが乗らなかったと思います…
あっ、ラッコさんも乗りませんでしたね。」
そう言って少しのどかな情景が思い出された。
「確かラッコさんがキャップを置き忘れたので関さんがラッコさんと一緒に取りに行くとかで…
あんまり関係なさそうですかね?」
流石にラッコが関わっているとは思えない。
笑美的にはあまり関係ない無いかもと考えているようだ。
190
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/02(木) 18:59:00
>>188
笑美の返事を聞いて、小さく頷く。
香音という生徒がいるかどうかぐらいは調べられるかもしれないが、
それ以上の深入りは禁物だろう。
彼女がスタンド使いである点を踏まえても、慎重に行動しなければならない。
「――そうでしたか……」
挙げられた名前について思いを巡らせ、最も有り得る可能性を検討する。
「……私が入手した情報によれば、
小林さんは『一瞬』で打ち倒されたと考えられます。
そして、『明確な意思』が垣間見えることから、
その攻撃は『人間』が行ったものでしょう」
以前、『特殊な知人』から得た手掛かりが、隠された真相を暗示している。
(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1606787541/521)
「すなわち、村田さんと関さんの『どちらか』ということになりますが、
関さんの腕力や能力では難しいのではないでしょうか?」
このように思考を積み重ねていけば、おのずと『結論』は導き出せた。
「おそらく……小林さんを気絶させて病院に運んだのは――」
状況から判断すると、該当する人物は『一人』しかいないはずだ。
191
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/02(木) 21:35:24
>>190
「…今私がお知らせした人の中でなにか…
思い当たることは。」
そう答えたあと、小石川が得たという情報を聞く。
「一瞬で打ち倒した…それほどなんですね。
でもラッコちゃんにそんなことをする理由はありませんね…
小林さんだけが狙われる理由もないですし、何よりラッコちゃんの能力では一瞬では難しい。」
ありえないとは思っているが、一応スタンドについて分析する。
「後は村田さんと関さんのどちらかですよね…
確かに関さんは難しそうですね…
あの人の能力は日用品を手に入れる能力だったと思いますし。
それに生身で戦う感じでもありません。」
関の能力は魔物事件で大いに助けになった。
だが、威力という観点で見れば一人の人間を一瞬で倒すことはできないだろう。
「…村田さんの能力はあの家の中でいっぱい見てきました。
シンプルですがその威力はかなり高いです。
相手を一瞬で打ち倒すほどの…戦闘向けのスタンドだと思います。」
消去法で見えてくるのは唯一人だけとなる。
「おそらく、村田さんが小林さんを気絶させて病院へ運んだ…
間違いないと思います。
そして身を隠すように手を回した…のではないでしょうか。」
どうやら笑美も確信を持ったようである。
192
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/03(金) 11:57:04
>>191
笑美の口から語られた見解は、小石川自身が組み立てたものと『全く同じ』だった。
「実際どの程度の攻撃を加えたかは不明ですが……それ以外には考えられません」
『村田瑛壱』の戦闘力は圧倒的であり、人間を一瞬で打ち倒すことも容易い。
彼以外の者には、小林を攻撃する理由や十分な攻撃力が不足している。
そのように推測すれば、必然的に村田しか残らないのだ。
「これも同じ人物から聞いた話ですが、
その場には他にも『2名』いたことが分かっています。
ただ、あらかじめ取り決めがあったのではなく、
『偶然そこに居合わせた』のでしょう」
そして、彼らも『目撃』してしまったのだろう。
「――小林さんと村田さんを除くと、そちらも『誰なのか』は明らかです……」
おそらく笑美も『似通った考え』を抱くのではないだろうか。
193
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/03(金) 22:39:52
>>192
「どうなのでしょうねぇ…
一撃だったら重傷まで行かない可能性はありますけど」
とはいえ、村田のスタンド能力をこの目で見た笑美としては
たとえ一撃であろうと必殺級の威力だろう。
「他にも2人いたんですね…
偶然居合わせた人間が居たとするならそれは…」
おそらく自分の考えていることは小石川と一緒だろう。
「やはり、残りの二人でしょうか…
偶然居合わせたとするなら間違いありませんね…
まぁ、ラッコちゃんは流石に一緒に居ても気づかれないでしょうけど」
そこまで答えて、やや不謹慎だったかと考える。
「ただ…もし村田さんにとっても小林さんにとっても
『目撃者』が必要だったとしたら…
偶然じゃないかもしれないなとは思いますが…」
これは考えすぎか、とも思いつつ可能性を考えた。
194
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/04(土) 13:41:47
>>193
『ディズィー・スティック』は凄まじいスピードと高い精度に加えて、
『棒術』を駆使した広範囲に及ぶ攻撃力と、
あらゆる局面に対応できる応用性を兼ね備えている。
ヴィジョンのパワー自体は平均的だが、
通常の手段では破壊不可能な『棒』という武器が上乗せされる点を考慮すると、
僅かな『誤差』に過ぎないだろう。
小石川自身、様々なスタンドを目の当たりにしてきたが、
初めて村田の能力を見た時は戦慄を隠せなかった。
「――『目撃者』……ですか」
笑美の意見を受けて、その可能性に気付く。
「まず、村田さんが小林さんを病院に運んだという部分は間違いありません。
彼自身は無傷だったのですから、『自分のため』ではないことは確かです。
『自分以外の誰かのため』であるとすれば、
直前に倒れたと思われる小林さん以外に考えられないでしょう」
「攻撃的ではない動物に、
小林さんを襲う理由が見当たらないことは先程もお話しましたが、
さらに付け加えると病院まで運ぶことも不可能です。
関さんなら運べたかもしれませんが、
やはり小林さんを一瞬で打ち倒せたとは思えません」
これまでの話を整理しつつ、次の話題に移っていく。
「そして、全員が立ち去った後には『明確な証拠』が残らなかったはずです。
たとえ血痕が見つかったとしても、
それだけでは『行方不明』として扱われるでしょう。
一人の人間が完全に姿を消すには不十分です。
ただ、実際に見た人の『証言』があれば――」
笑美が言ったように、『遺体』が発見されていない状態では『死亡』が確定しない。
「村田さんが名乗り出たとしても、信憑性は薄いでしょう。
現場に居合わせた第三者の『目撃証言』が必要です」
「……関さんなら、その役割に相応しいのかもしれません」
人語を理解できない海獣では、どう考えても無理があるだろう。
どこか『商人気質』な関は話し上手で、咄嗟の受け答えも上手い。
おそらく『目撃者役』には適任だ。
195
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/04(土) 20:01:25
>>194
二人が示し合わせての行動だったのは間違いない
そのように笑美は考えている。
「やはり、村田さんが運んだので間違いなさそうですね…」
同意するように頷いた。
「たしかにそうですね。
関さんなら、目撃した後に都合に合わせて証言をさせてもらえるかもしれません。
もし何があったかを聞かれた時に、いい感じの証言をする人として…
関さんが呼ばれたのかもしれないですね。」
自分の考えどおりだとしたら
やはり関さんも同じように村田や小林と示し合わせて行動していたのかもしれない。
「…ひとまず、あの時に起こったことはおそらくそのような感じなのでしょうね。
村田さんが小林さんに重傷を負わせて病院に運び、
関さんがそれを目撃したと」
実際はそこまで単純な話ではないかもしれないが
概ねそのようなことだったのではないか、と考えた。
「…あっ、すいません。
おかわりをいただけませんか?」
少し長く話したように思い、笑美はティーカップを差し出す。
一息つこうと思ったのである。
196
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/05(日) 11:11:38
>>195
当事者の小林と、その関係者である村田と関を思い浮かべながら、笑美の話に耳を傾ける。
「詳細は分かりませんが、大筋は間違っていないと考えていいかもしれません。
実際には『遺体』が存在しない状況で、
小林さんの『死亡』を信じさせるためには、相当な量の『出血』が必要です。
そうした事情を考えると、おそらく『本気』で攻撃したでしょう……」
村田の性格を踏まえても、中途半端に手心を加えるような真似はしないはずだ。
「村田さんの能力は人間であっても『棒』に変えられます。
人知れず小林さんの搬送が可能であり、
『棒化』した人は時間が止まった状態なので、手遅れになることもありません」
『ディズィー・スティック』の『棒化』が驚異的なのは、
生物であろうと非生物であろうと、さらにはスタンドさえも『棒』に変えてしまえる点だ。
例外は『掴めないもの』だけであり、これほど適用範囲が広い能力は稀だろう。
ある意味においては『魔物』すらも霞んでしまう。
「……すみません。長く話しすぎたようですね」
お茶を注ごうとして急須を持ち上げた時、その中身が空っぽになっていることに気付いた。
「よろしければ、ダイニングの方に移りませんか?
そちらのテーブルで新しいお茶をお出しします」
スゥッ
トレイの上にお茶菓子を載せてソファーから立ち上がり、ダイニングに通じる扉を指し示す。
197
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/05(日) 22:55:31
>>196
「確かに…そうですね。
私も顔を合わせたのは夏の魔物の時でしたが…
彼はおそらく容赦などはしないでしょうね。
全力で、なおかつ命を奪わない程度に攻撃する。ということをしたかもしれません。」
笑美の予想した通りのことはおそらくあったのだろう。
そして、夏の魔物での活躍から彼のスタンドは器用な立ち回りもある程度可能だと思っている。
本気を出しつつ加減する…ということはできる可能性が高い。
「人も棒に変えることができる…
そうすれば隠しようはいくらでもありますね…
怪しまれることなく運ぶことも可能…
他人を隠すことについてはうってつけの能力かもしれませんね」
ここまででおそらく内容がまとまった…
そのように笑美は考えた。
「いえ、すいません…お気を使わせてしまったみたいで」
軽く頭を下げる。そして、小石川が立ち上がったのを見て
笑美もゆっくり立ち上がる。
「わかりました。
こうしていろいろな話をしましたし、
ちょっと気分を変えるのにも良さそうです。」
そう言うと、小石川についていく形でダイニングに向かおうとする。
198
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/05(日) 23:24:24
>>195
当事者の小林と、その関係者である村田と関を思い浮かべながら、笑美の話に耳を傾ける。
「詳細は分かりませんが、大筋は間違っていないと考えていいかもしれません。
実際には『遺体』が存在しない状況で、
小林さんの『死亡』を信じさせるためには、相当な量の『出血』が必要です。
そうした事情を考えると、おそらく『本気』で攻撃したでしょう……」
村田の性格を踏まえても、中途半端に手心を加えるような真似はしないはずだ。
ともかく『全体像』は見えてきた。
少なくとも重要な点は押さえられただろう。
「……すみません。長く話しすぎたようですね」
お茶を注ごうとして急須を持ち上げた時、その中身が空っぽになっていることに気付いた。
「よろしければ、ダイニングの方に移りませんか?
そちらのテーブルで新しいお茶をお出しします」
スゥッ
トレイの上にお茶菓子を載せてソファーから立ち上がり、ダイニングに通じる扉を指し示す。
※改めて確認したところ、『人を棒に変えられる』という部分は把握していませんでした。
謹んで訂正させていただきます。
よろしければ、こちらに改めてレスをお願いできれば幸いです。
199
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/06(月) 21:38:58
>>198
「確かに…そうですね。
私も顔を合わせたのは夏の魔物の時でしたが…
彼はおそらく容赦などはしないでしょうね。
全力で、なおかつ命を奪わない程度に攻撃する。ということをしたかもしれません。」
笑美の予想した通りのことはおそらくあったのだろう。
そして、夏の魔物での活躍から彼のスタンドは器用な立ち回りもある程度可能だと思っている。
本気を出しつつ加減する…ということはできる可能性が高い。
「おそらく…こういう流れがあの夜にあったのでしょうかね。」
ここまででおそらく内容がまとまった…
そのように笑美は考えた。
「いえ、すいません…お気を使わせてしまったみたいで」
軽く頭を下げる。そして、小石川が立ち上がったのを見て
笑美もゆっくり立ち上がる。
「わかりました。
こうしていろいろな話をしましたし、
ちょっと気分を変えるのにも良さそうです。」
そう言うと、小石川についていく形でダイニングに向かおうとする。
//わかりました。こちらも訂正します。
200
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/06(月) 23:58:16
>>199
ダイニングに通じる扉に手を掛け、そのまま開いていく。
ガチャ…………
そこはリビングと同じく、上品なアンティーク調で統一された内装だった。
一般的に『シャビーシック』と呼ばれるスタイルのインテリアだ。
まず目に入るのは、優美な曲線を描く『猫足』が特徴的なテーブルセットだろう。
テーブルの上に飾られた花瓶には、季節に合わせた花が活けられている。
これは薄桃色の『トルコギキョウ』らしい。
「……ちょうど『金木犀』のお茶がありますから、それを淹れましょう」
金木犀の香りは優しい甘さで知られ、食品やアロマオイルにも利用されている。
「すぐに用意できますから、少し待っていただけますか?」
ダイニングの奥にあるキッチンに入り、お湯を沸かし始める――――。
……………… ……………… ………………
室内の片隅には紙袋があったが、その中身は見えづらい。
201
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/07(火) 22:18:34
>>200
小石川の後を追ってダイニングへと歩いていく。
「失礼しまーす…」
そう言ってダイニングに入る。
そこはとてもきれいなテーブルセット
その上には花瓶が飾られている。
いい匂いが漂っている。
「んー、とても落ち着く場所ですね。
ここでの相談も良さそうかもしれません。」
そう言って、ゆっくりと座って一息つく。
「はい、お待ちしていますね。
ちょうど一息つくのに良さそうですから。」
軽く手を振りながら小石川に微笑みかけた。
「ん…?」
紙袋が片隅に置かれている。
何なのかと思い、じーっと見てみるが…果たしてなにかわかるだろうか?
202
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/07(火) 23:08:12
>>201
テーブルの上に置かれたトレイには、
先程のポルボロンとブール・ド・ネージュが載っているので、
それらを摘みながら待っていても良さそうだ――――。
笑美が見つけた紙袋の中には、幾つかの『瓶詰め』が入っている。
注意深く観察してみると、『手作り』や『甘露煮』といった単語が確認できた。
どうやら、これも『N県の土産物』らしい。
おそらく整理しようとしていた時に、ちょうど笑美が訪れたのだ。
だから、ここに出したままになっているのだろう。
「にゃあ」
────ストン
ふと撫子が笑美の頭上から飛び降り、膝の上を経由して床に着地した。
トッ トッ トッ
そして、そのまま紙袋の方に歩み寄っていく。
おとなしい性格なので、悪戯するようなことはないはずだが、
まだ小石川は戻ってきていない。
一応は気にしておいた方が良いだろうか。
203
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/09(木) 00:23:20
>>202
(あれはお土産類…
なるほど、なんだかどれも美味しそうね。)
紙袋の中には瓶詰めのものがいくつか入っている。
いずれお土産として渡す予定だったのだろうか。
(ここは見てないふりをして、後でありがとうございます!
というところかな?)
そんな事を考えながら軽く微笑むと、
にゃぁ、と撫子が自分の頭からストンと降りる。
「あら、撫子ちゃんどうしたのかな?」
さっきまで寝ていたので元気になったということなのかと
その様子を見ていると…
「あ、ほら撫子ちゃん。
そっちは大事なものが…」
悪戯をするとは思えないが、一応様子をうかがっておく。
一応なにか危ないことがあればスタンドも出せるのだ。なんとかなるだろう。
204
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/09(木) 14:56:45
>>203
瓶詰めであることは分かったものの、その中身は今ひとつ不明瞭だ。
白っぽいものもあれば黒っぽいものもあり、
なんとなく小魚や小海老にも似ているが、あまり見慣れないような気がする。
瓶の表面にはラベルが貼ってあり、辛うじて一部だけは読み取れた。
これが『手作り』や『甘露煮』という表記で、
少なくとも『手作りの甘露煮』なのは間違いないだろう。
しかし、それ以外の部分は角度的な問題で見えづらい。
「――……にゃあ」
グイッ
まもなく撫子は、全身を使って紙袋を押し始める。
ただ、帽子猫の行動は悪戯ではなく、
飼い主の見えやすい位置に移動させようとしているのかもしれない。
『小石川が荷物を忘れている』と思ったようだ。
ズズ…………
だが、このまま動かしていくと、紙袋が小石川の足元付近に来る形となり、
事故の原因になる可能性も考えられる。
205
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/09(木) 22:08:06
>>204
(あれはなんだろう…魚っぽいしエビっぽいし…
ご飯に合いそう…
でも手作りってことはやっぱり小石川さんの手作りのものなのかなー…)
しばらくビンに書かれている内容を見ていたが
「あっ」
グイグイと紙袋を押し始めた撫子を見て
少し驚いた様子を見せた。このままだと小石川が気づかずに色々と怪我を負ってしまう可能性がある。
「ちょ、ちょっと撫子ちゃーん。」
慌てて撫子の元へ歩いていく。
「これは、ご主人のとっても大切なものよー。
場所が急に変わったら、困っちゃうから、
とりあえず今はここに置いときましょうねー」
元々あった場所の方を指さしながら撫子に優しく呼びかける。
忘れ物じゃないということをアピールしようとしているようだが
これで通じるのだろうか。
206
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/10(金) 15:51:26
>>205
主に醤油と砂糖を使う甘露煮は、甘辛い味付けに仕上がる料理なので、
確かに『ご飯のお供』に合いそうな雰囲気だ。
ピタ…………
笑美の言葉が伝わったのか、撫子は動きを止めた。
どうやら注意されたことは分かったらしく、
どことなく悲しげな表情で、笑美を見上げている。
善かれと思って間違ったことをしてしまったと感じているのだろうか。
《にゃあ》
やがて、撫子が『スタンド鳴き声』を上げる。
おとなしい撫子は、明確な意思を表明する際に『これ』を使う傾向があった。
今回の場合は笑美に向けられたものだが、
おそらく『自分の過ちを理解した』という意思表示なのだろう――――。
既に紙袋は移動された後なので、元の位置に戻す方が無難かもしれない。
207
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/11(土) 00:01:22
>>206
「ほらほら、そんな悲しそうな顔しないの。
別に私は怒ってるわけじゃないのよー。」
悲しそうな顔をする撫子を見て
優しく頭を撫でた。
「それでも撫子ちゃんはご主人のことを思って行動したんでしょう。
その優しさであなたのご主人…文子ちゃんを支えてちょうだいね。」
その表情はとても優しげだ。
生き物と一緒に暮らすことは心の傷を癒やすのに良いことだ。
そのうえ優しい子となれば、支えになってくれるに違いない。
「…とりあえず戻しておきますか。」
そこまで動いてなさそうなので、戻すのは難しくなさそうだ。
とりあえずは元々あった位置に戻しておこう…
208
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/11(土) 14:41:25
>>207
頭を撫でられた撫子は、お返しとして指先を舐める。
猫にとって舐める行為は信頼の証であり、それは帽子猫でも変わらない。
きっと笑美の優しさに好感を抱いたのだろう。
スゥッ
「笑美さん、お茶が入りました」
笑美が紙袋に触れた直後、小石川もダイニングに戻ってきた。
ティーポットとカップをトレイに載せており、ほのかに金木犀の香りが漂う。
それらをテーブルに運ぶ途中で、紙袋を見て足を止める。
「――あ……『それ』は……」
やや困ったような表情を浮かべ、小さな声で呟く。
どうやら何か『隠し事』があるようだ。
もしかしたら紙袋の中身と関係しているのだろうか。
209
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/11(土) 21:57:11
>>208
「フヒヒ、可愛いですねぇもう。
もっとナデナデしちゃおうかなー!!」
そう言って嬉しそうに何度も撫でる。
「おっと、うっかり忘れそうだったわ。
これを戻して…」
そう言って紙袋に触れたところで…
小石川がちょうど戻ってきた。
「あっ、どうもありがとうございますー。」
視線を小石川に向けて微笑みかける。
だが小石川の表情を見て、少し困惑した顔になる。
「あー…すいません。
勝手に触ってしまって。
その…」
少し考えてから口を開く。
「ちょっときになってつい…
申し訳ありません。」
そう言って頭を下げた。
撫子が勝手に触っていたことを言わないのは
ご主人思いな撫子のことを思ってのことなのだろう。
210
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/11(土) 22:39:41
>>209
帽子猫が紙袋を動かしたことを知っても、飼い主は気にしないだろう。
しかし、笑美の思いやりは撫子に伝わったはずだ。
あるいは、その気持ちを小石川も察していたかもしれない。
「――いえ……そこまでしていただいては申し訳ありません」
コト
「どうぞ、こちらに座ってください」
コポポ…………
ティーセットをテーブルに置き、お茶を注ぎながら思い悩む。
あの紙袋の中身は見せないようにするつもりだった。
ただ、笑美に頭を下げられてしまっては、
こちらも誠実な態度で応じなければならない。
「……興味がおありでしたら、ご覧になりますか?」
お茶の用意を整えると、再び笑美に視線を戻し、穏やかな面持ちで尋ねる。
211
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/12(日) 01:26:52
>>210
「あの…あっはい…」
もしかしたら実際は察しているのかもしれない、
と笑美は思いつつも、席に座る。
頭を下げてしまったが、少し気を使わせてしまっただろうか…
(なんて考えてもしょうがないかな。)
とりあえずそのあたりは気にしないことにしたようだ。
「んー、いい香りがしますね。」
新しいお茶の匂いをかぎながら、穏やかな表情を浮かべる。
そこで、小石川の表情を伺うが…
「あー、その、見てもいいんでしょうか?
一応…ちょっと中身を見てしまったんですが…」
少し申し訳なさそうにしながらも
紙袋に少し視線が行く…やっぱり気になってしょうがないようだ。
「その…じゃあぜひお願いします。」
中身を見せてほしい、という感じで軽くお辞儀をした。
だんだん気になってきたのもまた事実だ…
212
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/12(日) 12:21:24
>>211
笑美の着席を見届けた後で、自らも向かいの椅子に腰を下ろす。
「これは『桂花茶』と言って、金木犀の花を乾燥させたものです」
温かいカップからは、濃密な甘い香りが立ち昇る。
「分かりました。お見せしましょう。ただ――」
紙袋を持ち上げると、その中身を取り出す。
「……少し驚かせてしまうかもしれません」
コトッ
テーブルの上に『瓶詰め』を置く。
ラベルには『イナゴ』という単語が読み取れる。
これは『イナゴの甘露煮』だ。
コト
「こちらは『ざざむし』の甘露煮……」
コト
「――『蜂の子』の甘露煮です」
名前を挙げながら、順番に瓶を並べていく。
「山間の『N県』は海産物が手に入りにくい土地柄で、
タンパク質を補うために『昆虫食』の文化が根付きました。
私自身、子供の頃から馴染み深いのです。
実は……『故郷の味』を知っていただきたいと思って、
『ホームパーティー』の場にも用意していたのですが、
やはり皆さんも手を出しづらかったようですね」
あの時は控えめに置かれていたせいで、最後まで誰も気付かなかった。
(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1655987686/221)
それ以降、『出さない方が良かったのではないか』と考え直し、
なるべく知人には見せないように注意していたのだ。
213
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/12(日) 18:40:47
>>212
「ふむ…とてもいい香りですね…
それに、美しい色合いです。」
甘い香りの立ち上る桂花茶をゆっくりと嗅いで微笑む。
そしてゆっくりと口に運ぼうとしたところで
「おっ…中身をぜひお見せください。」
どこかワクワクとした表情で紙袋を見つめる。
「驚く?それはまた…」
何なんだろう?と思いつつもその様子を眺めていると…
「わっ…これは?!」
一瞬中身を見てビックリとする笑美。
入っていたのはいろんな昆虫の甘露煮だったようだ。
「…そう言えばちょうど夏の魔物の事件が終わったあたりで
なにか置いてあるなとは思っていたんですが…
それがこれだったのですね…」
少し驚いた様子だが、すぐに落ち着きを取り戻す。
「ふー…しかし、見た目のインパクトはでかいですけど…
やはりこれは…美味しいものなんですよね?」
じーっと瓶の中身を見つつ答える。
「実は私もちょっと悪ぶってた頃に
セミを取って食べてみせたことがあるんですよー。
こちらはしっかり調理されてるものだから、美味しいと確信しています!」
さらっととんでもないことを言いながら笑ってみせる。
やはりというか結構やんちゃをしていたんだろう。
214
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/12(日) 19:57:21
>>213
遠目から見ると、小魚や小海老と間違える場合もあるだろう。
しかし、間近で確認すれば昆虫だと理解できる。
その外見はグロテスクで、見慣れていない者にとっては直視しにくいかもしれない。
「――『蝉』を……ですか」
笑美に荒れていた時代があったことは知っているが、
今の話は初耳であり、このエピソードには驚きを隠せなかった。
「イナゴは『イナゴ捕り』、ざざむしは『虫踏み』、
蜂の子は『蜂追い』というように、それぞれ伝統的な文化です。
私も小学生の頃、田んぼでイナゴを捕る行事に参加したことがありました」
ふと思い立って離席し、すぐに戻ってくる。
「お茶請けになるかどうかは分かりませんが……
よろしければ『試食』してみませんか?」
カチャ…………
3つ並んだ瓶詰めの蓋を開け、キッチンから持ってきた爪楊枝を置く。
215
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/13(月) 00:46:59
>>214
「意外と香ばしかったです。あのセミ…
…お腹壊したけど。」
なにか妙なことをいいながら思い出すように笑った。
多分親に心配されたかったのだろうか。
「にしても…
こんなにいっぱいあるとすごいですね…」
虫がいっぱいいると流石にちょっと直視は難しいかもしれない。
「そうですね。イナゴの佃煮とかはよく知ってますし、
虫食の風習が存在することは知っていましたが…
結構色んな種類があるんですねえ。」
笑美はどうやらイナゴくらいしか知らなかったようだ。
色んな種類があるのには驚いているようだ。
「ん、ものは試しですね。
ぜひともいただかせてください。」
爪楊枝を手に取る。
そして
「じゃあまずは…
よく知ってるこれから」
イナゴを一匹、突き刺して口に運ぶ。
果たしてどんな味か…
216
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/13(月) 12:58:43
>>215
甘露煮と佃煮の違いは、そのまま煮るか焼いてから煮るか程度で、
調理法として大きな差はなく、どちらも甘辛い味付けだ。
「……イナゴは別名『オカエビ』と呼ばれています。
高タンパク質かつ低脂肪、
ビタミンやカルシウムも豊富なので、
健康にも良い食品です」
スッ
笑美に続いて爪楊枝を手に取り、同じようにイナゴを食べる。
カリッ
イナゴの食感は小海老に似ており、また稲を餌にしているせいか、
どこか緑茶の茶葉を思わせる爽やかな風味も感じられた。
「『後ろ足』と『翅』は口の中で刺さることがありますから、
あらかじめ取り除いておくことが多いです。
この甘露煮も下処理してありますね……」
実際に食べてみると、手を出しにくい見た目とは裏腹に、
ごく普通の郷土料理という印象を受けるだろう。
217
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/13(月) 20:26:44
>>216
軽く口をモグモグさせてから一言
「うんうん、見た目はちょっと苦手な人も多そうですけど…
こうして食べてみるとなんだかまるで…小エビみたいな
どこか軽い口当たりなんですね。」
食べた感触はエビに似ている。
少し楽しそうな様子でもう一つイナゴを食べる。
「この感触…たしかに甘露煮と言った感じですね。
昆虫…なかなか美味しいかもしれません。」
いつの間にやら、手が止まらなくなってくる。
「とっても美味しいですよ。
素敵なお土産です。」
そう言ってにっこり微笑んだ。
「涙音は…嫌がるかもしれませんね。
あの子、虫に追い立てられることが多いらしいから。」
軽く笑いながらも答えた。
同じ親子でも苦手なものに違いはあるようである。
218
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/13(月) 21:50:39
>>217
涙音が『すごく運が悪い(
>>50
)』と語っていたことを思い出す。
多分、それと無関係ではないのだろう。
そうでなくても万人受けする種類の料理ではない。
「ええ……涙音さんには出さないようにしておきます」
ス ッ
そして、次に『ざざむしの甘露煮』を差し出す。
「……こちらも食べてみてください」
しっかり調理されているものの、先程のイナゴと同様に、元々の面影を残している。
涙音のように、食べることを躊躇する人は多かった。
だが、おそらく笑美なら問題ないはずだ。
「ざざむしは『水生昆虫の幼虫』の総称で、脂が乗っていて美味しいですよ……」
新しい爪楊枝を取り、自ら率先して口に運ぶ。
219
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/14(火) 21:46:20
>>218
「どうもありがとうございます。」
涙音のことは常に心配しているのだ。
なるべく彼女をびっくりさせたくないという母の思いがあるのだろう。
「ふーむ、これがざざむし、ですか…」
どうやら生のざざむしを見るのは初めてのようだ。
まるで毛の生えたミミズのようにも見えるそれは
なかなかのインパクトを見せている。
しかし
「そうですね。イナゴも食べられたんですから
こっちだって余裕ですよね!」
そう言って思い切って爪楊枝を新たに取り、一つすくい取る。
(でも、こうしてみると結構…根菜に見えなくも…?)
しばらくざざむしの甘露煮をじーっと見つめたあと
「それではこちらもいただきます!」
思い切るかのように一気に口に運んで見せる。
おそらく美味しいことは間違いないであろう。
220
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/14(火) 22:43:53
>>219
細長い胴体から6本の脚が生えた外見は、イナゴよりもインパクトが強い。
よく観察してみれば、複数の種類が混ざっていることが分かる。
具体的にはカワゲラ・トビケラ・ヘビトンボの幼虫で、
それぞれ形状や大きさが異なっていた。
「ざざむしはN県の中でも限られた地域で食べられているのですが、
漁には『虫踏許可証』という許可証があって、
それを取得した漁師だけが採ることを許されているのです」
藻を餌にするざざむしからは、海苔にも似た磯の香りが漂う。
それを口に入れると、幼虫の脂肪分に由来した独特の旨味が感じ取れ、
プチプチと弾ける食感が伝わった。
まるでイクラのような味わいであり、
これを『川のイクラ』と表現することもできるだろう。
「――……いかがでしょうか?」
久方振りの『故郷の味』を噛み締めつつ、初めて食した笑美に感想を求める。
221
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/15(水) 23:38:14
>>220
「へぇー…
そういうことを考えると、ざざむしはある意味特別な味という感じなんでしょうかね。
ちょっとありがたみを感じます。」
と言って口の中にざざむしを放り込んだ。
もぐもぐと口を動かしてみると…
「むっ、見た目からは少し想像がつきませんが…
なんというか、海鮮系というか…いや、
どちらかというと海苔みたいな感じでしょうか…
いやしかし、この食感はいいですね。まるで海ぶどうのようなイクラのような…」
そういいつつまた口をモゴモゴさせる。
「ふむ、これはなかなか美味しいですよ。
こうしてみると…虫って割と海のものや川のものと
同じような風味なんですねえ。」
とても興味深そうな感じでもう一匹をつまむ。
もしかしたら昆虫食に興味が湧いてきたのだろうか。
222
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/16(木) 18:25:37
>>221
撫子も2人の試食を眺めているが、人が食べるものであるという意識があるのか、
特に欲しがるような様子は見せていない。
「……やはり水の中に棲む虫ですから、水産物らしい風味になるのでしょう」
小石川は嬉しそうな表情を見せている。
このように『故郷の料理』を共有する機会は少ない。
笑美に食べてもらえたことに喜びを感じているのだろう。
「ざざむしと呼ばれる虫は3種類あって、
『カワゲラ』・『トビケラ』・『ヘビトンボ』です……。
カワゲラはエビに近く、トビケラはイクラのような味わいで、
ヘビトンボはウニに似ています」
「さっき笑美さんが召し上がったのはトビケラの幼虫で……
そちらはヘビトンボの幼虫ですよ」
トビケラは40mm程度だが、ヘビトンボは他の2種類より大型で、
70mmぐらいのサイズがあり、全体的なシルエットはムカデのようだ。
223
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/16(木) 22:11:01
>>222
「ふむふむ…食べるものが魚とかとおんなじという感じでしょうか。
そう考えるとたしかに…有り得そうです。」
もうすでにほぼ抵抗なく食べる笑美。
やはり美味しいというのが一番なのだ。
「へー、ざざむしについてはよくわかりませんでしたけど…
いろんな幼虫の名前に呼ばれるんですね。」
興味深そうに小石川の話を聞いている…
初耳の話が多いのかもしれない。
「なんだか勉強になりますねー。
…もしかして3種類とも甘露煮に?」
未だあるのだろうかと時折、袋を覗き込む。
「こうしてみるともっと昆虫食を見てみたくなりましたねー。
一度そちらに行ってみたいです。」
もちろん昆虫食目当てというだけではないだろう。
小石川の故郷を見てみたいというのもあるはずである。
224
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/17(金) 06:04:09
>>223
トビケラの次に笑美が食べたヘビトンボは肉厚で、
小石川が『ウニに似ている』と説明した通り、噛む度に濃厚な旨味が感じられた。
「今は『漁獲量』も大きく減っていますから、
一つの瓶の中に3種類が入れられているのです。
是非それぞれの特徴を味わってみてください」
改めて『ざざむしの甘露煮』を見ると、複数種の幼虫が混在していることが分かる。
「私の生まれ故郷は農業が盛んな土地柄です。
『山村』を思い浮かべていただけると分かりやすいでしょうか……。
いつか機会があれば、ご案内しましょう」
────カチャ
「……せっかくですので『蜂の子』もどうぞ。
栄養価が高いだけではなく、ミルクのようにクリーミーで、
とても美味しいですよ」
おもむろに瓶の蓋を取り外し、今度は『蜂の子の甘露煮』を勧める。
イナゴやざざむしに劣らず、やはり見た目の刺激は強い。
しかし、おそらく笑美なら平気だろう。
225
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/17(金) 20:07:26
>>224
どうやら笑美が食べたものはヘビトンボのようで…
「むっ、これは確かに…とても美味しいです。
目をつぶって食べれば…とても高級な感じの…
とにかく濃厚ですね。」
どうやらヘビトンボの味もなかなか気に入っているようだ。
「なるほどです。山の中にある村なんですね。
のどかな場所なんでしょうか…ちょっと行ってみたいです。」
少し頭の中に思い浮かんだイメージは
屋根が藁葺きだったり水車が回っていたりとやや田舎すぎるところがあるようだ…
「ぜひお願いしますね。その時には特産品をいっぱい食べてみたいです。」
そう言って微笑みかけた。
家族も一緒に来る可能性はあるかもしれない。
「はちのこ…というと、ふむ…これは
まさに虫がいっぱいって感じですね…」
ちょうど幼虫そのものの見た目である。
蜂の子を一つ取ってみる。
「まぁ、他にも色んな虫と出会ったので
これも平気です。」
そう言って口に運ぶ。
226
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/17(金) 22:23:28
>>225
笑美が考えたイメージは実際の景色と差異はあるかもしれないが、
少なくとも『決定的な間違い』はないだろう。
「森林が大部分を占めている山間の城下町です……。
川沿いに人家や田畑が点在していて、
とても自然が豊かな場所ですから、
日本アルプスの山々を眺めることもできますよ」
蜂の子は乳製品のように滑らかな舌触りで、
ほんのりと蜂蜜の甘味も感じられ、繊細かつ上品な味わいだった。
おかずにもおやつにもなりそうだ。
総合的な評価としては、かなり美味であると称して差し支えない。
「私の故郷は『米どころ』で……
アルプスから流れてくる澄んだ水で美味しいお米が作られています。
いつか笑美さん達を招待した際には、ご馳走させてください」
今この場で食べている品々も、白米と相性が良いとされている。
「……由楽さんは『昆虫食』は大丈夫でしょうか?」
涙音が苦手であることは分かっているが、妹の由楽はどうなのだろうか。
227
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/18(土) 13:28:49
>>226
小石川の語る街の姿は
とても笑美の興味を唆るものであった。
「いいですねぇ。
森と山に囲まれた町ですか…
きれいな山脈を間近で拝むことができるんでしょうね。
そういう場所って空気が美味しいといいますよね…」
都会に比べて空気が澄んでいるのだろう。
などと思いながら笑美は微笑んだ。
「お米の産地でもあるんですね。
涙音も気にいるかも知れません…
お米ときれいな水…だとしたらお酒も造ってたりするんですか?」
どうやら笑美は飲めないわけではないようだ。
お酒はそこまで飲むようなものではないが、嗜むくらいには飲むことがあるのである。
「うーん、私は食べたところを見たところがありませんからね…
由楽は食べてくれるか…一応、虫を探したりして遊んだりはしてますけどね。」
昆虫食を由楽は好むか好まざるかは、微妙なところだろう。
小さい子供であるため、虫採りなどは嫌いではないらしいが…
228
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/18(土) 15:11:00
>>227
小石川は『森林浴』が趣味の一つであり、
それには生まれ育った土地も影響しているのかもしれない。
「……私は子供の頃から食べていましたが、
やはり人それぞれなのでしょうね」
これまでの交流から、由楽は初めての出来事にも物怖じせず、
幼いながら堂々としている印象を持っている。
なんとなく平気そうな気がしていたが、無理強いするわけにはいかない。
笑美の話を聞いて、こちらから積極的に勧めることは止めておいた。
「沢山の醸造所がありますから、大抵のお酒は揃っています。
日本酒・ウイスキー・焼酎・ビール……。
果物も美味しいので、地元のワインやシードルもありますね。
薬用酒なども作られています」
笑美の予想通り、酒類には不自由しない環境らしい。
「笑美さんは『自己紹介文』をご覧になっていると思いますが……
空織さんもお酒が好きな方のようです」
『空織清次の自己紹介(
>>64
)』を思い出す。
おそらく彼も地酒には興味を持つのではないだろうか。
また来訪してくれた際には、話題にしても良いだろう。
229
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/19(日) 00:34:45
>>228
「まぁ、由楽は多分…大丈夫なんじゃないですかね?
あの娘は結構冷静に物事を見るんですよ。
涙音のことが心配、なのかもしれません。」
由楽について、笑美はそのように考えているようだ。
歳の割に気配りができたり、堂々としているのはそのあたりが理由だろうか。
「へぇー、嬉しいですね。
お米だけじゃなくて他にも色々…
ちょっとばかし飲んでみたいなーとは思います。
後は、うちのこ達向けに甘酒もあると嬉しいですね。
そうだ!ジュースがあればもっと嬉しいです!」
そう言って微笑んだ。
果物が美味しいのならば、やはりジュースも欲しいところだ。
「そう言えば自己紹介文にそのように書いてありましたね…
もし会えたときには、ここでの調査等以外でも…
普通にお酒を一緒に飲んだりとかしてみたいです。」
サロンの役目の一つはより親密になることだ。
そう思うと、普通に仲良くなりたいという感覚はある。
230
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/19(日) 13:43:55
>>229
空織と笑美は年齢も近い。
きっと話も合わせやすいだろうと考えている。
いずれ両者が出会う機会は訪れるはずだ。
「それでしたら……少し待っていてください」
ス ッ
椅子から立ち上がり、キッチンの戸棚から2本のボトルを持ってくる。
「――N県のワイナリーで造られた『山葡萄ワイン』と『山葡萄ジュース』です。
これらも地元の製品ですので、よろしければご家族でどうぞ……」
ワインとジュースをテーブルに置く。
ラベルを読むと、どちらも糖度の高い山葡萄を100%使用しているそうだ。
黒いボトルからは高級感が漂う。
「……私も1つお聞きしたいのですが、
『スタンド使いになった経緯』を教えていただけませんか?
笑美さんについて、より理解を深めるためです」
涙音からはスタンドを得た背景を聞いたことがあるが、
まだ笑美の話は聞いていなかったように思った。
231
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/19(日) 21:37:43
>>230
小石川から少し待つようにと言われ
どうしたのだろうと視線を向ける。
やがて…小石川がもってきたのは
「まぁ、これは…ワインにぶどうジュース…
どちらもきれいな色をしていますね。
…それにしても良いんですか?貰っちゃっても…」
そのきれいな色合いのボトルに少し動揺しながら答える。
「…ふむ、私がスタンド使いになった経緯ですか。
了解です。そのおみやげのお返しとしてお話します。」
そう言って一呼吸置く。
「と言っても、そんなに大したことはありませんけどね。」
「私は、スタンド使いになったのは涙音よりも後なんです。
と言っても、そのことを知ったのは涙音が自分自身のスタンドについて
教えてくれたときなんですけどね。」
どこか懐かしいと言った雰囲気の顔になる。
「涙音は、昔から運が悪くて…
いつも何かにぶつかったり、持ち物を落としたりとか…
そういう事が多かったんですよ。」
「でも私は…自分で言うのもなんですけど、とても運が良い方でして…
それでちょっと不安に思ったんです。
もしかしたら、私が幸運な分…涙音が不幸になっていないかと、
私が娘の運を吸い取ってないか…と。」
「そんな中、風の噂で『音仙』という人の話を聞いたんです。
まぁ、ちょっとお悩み相談のつもりで言ったんですけどね。あの時は。」
「それで、彼女の言葉を聞いて手に入れたんです。
『才能』と言われるスタンド能力を」
あの時に言われた『奪うものではない』という言葉を思い出したのか、
少し嬉しそうに答えた。
232
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/20(月) 16:22:48
>>231
ボトルの中身は、どちらも黒みがかった濃いルビー色で、
なかなか上等な品であることが窺えた。
「実家の『トマト農園』と付き合いのあるワイナリーから、
貰い物として頂戴したものです。
私は飲んだことがありますから、
他の方が召し上がってくださった方が宣伝にもなるでしょう。
遠慮なく持ち帰ってください」
先程まで甘露煮の瓶詰めが収められていた紙袋に、
ワインとジュースのボトルを入れて笑美に渡す。
「――笑美さんも『音仙』と関わっていたのですね……」
スタンド使いになってからは、よく耳にする名前だ。
「相手を思いやるからこそ、不安になってしまう気持ちは理解できます。
話してくださって、ありがとうございました」
単なる偶然と片付ける者もいるかもしれないが、
自分自身が運に恵まれていて娘は災難が多いという状況で、
普通は有り得ないような可能性を心配してしまうのが親心だろう。
「……涙音さんは私達と違い、『力を与える店』に行ったと聞きました。
お互いの『スタンドを得た経緯』を把握することは、
『相互理解』を深めるためだけではなく、
この町について知る上でも参考になるのかもしれません」
カップを満たす桂花茶で喉を潤し、さらに思考する。
「つまり『どういった人物が力を与えているのか』ですが……
それを知っていれば、自ずと視野が広がるのではないでしょうか?」
『力を与える者』に関して、これまで気にする機会は少なかったが、
改めて考えてみるべきかもしれない。
233
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/20(月) 23:30:57
>>232
「ありがとうございます。
謹んでいただきますね。
…とても嬉しいです。」
そういって、差し出された紙袋を手に取った。
「はい、あの人との出会いで私は色々と…
変わったような気がします。」
『音仙』との出会いはスタンドの覚醒でもある。
人生が変わるのは間違いない。
「ええ、本当に…正直私のせいではないということを聞いて
安心しました。不安な話だったので。
…でも後で、涙音がスタンド能力をもっていたことを知れたのはとても嬉しかったです。
自分をしっかりと護れていたのだと思うと…」
「『力を与える店』…私の言った場所とは違うのですね?
スタンド能力を与える…あるいは目覚めさせる場所は
この街に結構あるみたいですね。…一体何人いるんでしょう。」
薄々そうだと思ってはいたが、果たして何人いるのかという疑問はある。
「もし動機がわかれば、いま行方が知れない人のこともわかる…かもってことでしょうか。」
234
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/21(火) 18:32:40
>>233
笑美の言葉を聞いて目を閉じ、すぐに開いて話の先を続ける。
「……少し違います。
『スタンドを与える者』は『供給源』であり、
私達のようなスタンド使いと切っても切れない『縁』があります。
『未来の災禍』に備える意味でも、
『スタンドが目覚める過程』を理解しておくことは、
きっと役に立つはずです」
「『音仙』は『心の声を聴く』という形でスタンドを引き出しますが、
他にも方法は色々あるのでしょう。
あるいは『自然に目覚めた』という方もいらっしゃると思います」
「そういった知識を『会員』の中で共有したいのです」
自らの考えを告げた後、笑美の足元で毛繕いする帽子猫を見つめる。
「以前お話しましたが、撫子は『ナイさんの猫』――
そのスタンド能力によって生まれました。
詳しく説明すると、本体が『名前』を付けられた時、
それを他の対象に押し付けることで、
無生物から『猫』を誕生させるようです。
ある意味では『スタンドを目覚めさせる現象』に近いのかもしれません」
眠っているスタンドを引き出す『与える者』と、
奇妙なスタンド生物を生み出す『マシュメロ』は、
どちらも似通った特徴を持っていると言えるだろう。
235
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/21(火) 21:40:23
>>234
「なるほどー…
確かに…未来の災禍…
目覚める人が必ずしも良き人とは限らないですからね。」
スタンドが目覚める過程を知ることはある意味人を知ることでもあるだろう。
「スタンド能力に目覚めた人にもいろいろな理由があるでしょうし…
皆さんの目覚めた理由も知っておきたいですね。」
同意するように頷いた。
「目覚めさせる現象…
ナイさんの能力は無生物を生き物に変える、という感じでしょうか。
…スタンド能力というのも本当に色々ありますね。」
そういいつつも撫子を軽く撫でようと手を伸ばす。
温かくてちょっと気持ちいいのだ。
「能力を目覚めさせる人たちも…
やはり同じスタンド使いなんですよね。
一体どんな理由でそんな能力を手にしたんでしょうね…」
興味深そうに呟いた。
とはいえ、当人に聞いても答えてくれるかは微妙だろう。
236
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/22(水) 15:45:12
>>235
撫でてもらえることを期待したのか、撫子は笑美の膝に飛び乗った。
元が帽子なので体重は軽いが、猫らしい温もりを感じ取れるだろう。
繊細かつ豊かな毛並みは、笑美や常原の奮闘もあって触り心地が良い。
「いえ……ナイさんの能力は『物々交換』なので、
『猫に変える能力』はナイさんの猫です。
『灰色の猫』なのですが、
決まった名前がないので分かりにくかったかもしれません」
訂正を交えながら、笑美の話を引き継ぐ。
「私も『目覚める人』だけではなく、
『目覚めさせる人』についても考える必要があると思っています。
すなわち『スタンドが引き出される仕組み』には、
どういった『パターン』が存在するのかということですが……」
「笑美さんと私は『同じ方法』でスタンドを得ました。
そのような『目覚め方』のバリエーションを詳しく知っておきたいのです」
「魔物――『サマー・フォーエヴァー』は、
自らが目覚めた経緯を『絵日記』で教えてくれました。
私が見たのは『8月6日』の日付と『キノコのような雲』の絵に、
『かげになった』と書かれた文字でした」
『あの時』を思い出し、どこか遠くを見つめる。
「……彼は『本体の死』によって発現するスタンドだったと考えられます。
『そういったスタンドも存在する』という知識を持っていれば、
自然と視野が広がり、『有事の備え』に繋がるでしょう」
サロンの理念は『相互理解』であり、
それは『未来の災禍に備える』という目的のためだ。
無論、あらかじめ何が起きるか予測するのは難しい。
しかし、『スタンドそのもの』について理解を深めておくことは、
決して無駄にはならないだろう。
237
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/22(水) 23:07:09
>>236
「あぁ、そうだったのですね。すいません。
…うーむ、まさにスタンドのあわせ技と言った感じがしますね…」
少し申し訳なさそうに頭を下げる。
しっかりと洗ってあげたおかげか、その柔らかい毛並みは未だに健在。
ちょっとシャンプーのいい匂いが残っているようにも感じる。
「ふーむ、目覚めさせるのに何かしら共通する部分があるんでしょうかね…
涙音が能力を目覚めさせてもらったのがどんな人なのかも聞いておいたほうがいいでしょうか。」
少し首を傾げながら答える。
スタンド能力をもっていたことは知っているが、誰からというのは聞いていなかったようである。
「…きのこのような雲に影になった…
なんとなくですがその本体の亡くなった情景が浮かびそうですね…
驚異的なスタンドではありましたが、同時に悲しくもありました。」
そう言って頷く。
「死によって発動するスタンド…亡くなった人の思いが込められていたのでしょうね。
そしてとても強い力をもっていた…
スタンドが生命の力だとしたら、その人の思いが思いも寄らない力を生み出すのかも知れませんね。」
同意するように頷いた。
「『ゴールデン・キャンドルス』…あの子のスタンドも一歩間違えれば
そうなっていたかも知れないと思うと…
理解することはとても重要ですね。」
笑美と小石川の二人が巻き込まれた『ゴールデン・キャンドルス』の能力…
それを思い出しながら感慨深げに呟いた。
238
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/23(木) 14:56:07
>>237
笑美の手が心地良かったのか、だんだん撫子の両目が閉じていき、再び眠りに落ち始めた。
「涙音さんがスタンドを得た背景は教えていただきましたが、
『どのような方法で引き出されたのか』という点は聞きませんでした。
もし可能であれば、知っておきたいと思っています」
笑美に同意を示しながら、『サマー・フォーエヴァー』の最期を思い出す。
彼が行った所業は許されないものだった。
それに対して、相応の報いが与えられるのは当然の結果だろう。
しかし、最終的には説得に応じてくれたことも事実だ。
あくまでも平等に判断するなら、魔物と呼ばれていた存在にも、
相手を理解しようとする『心』があったことを忘れてはならない。
「――『ゴールデン・キャンドルス』……」
その名前が笑美の口から出た時、意識が現実に引き戻された。
「笑美さんも覚えていらっしゃると思いますが、
あれと似た光景は『民家』に踏み込んだ時にも体験しました。
だからこそ、私は誘惑から逃れることができたのかもしれません」
以前、『夏の思い出』の世界に引き込まれたことがある。
もちろん笑美も同じ場所にいた。
そして、涙音も。
「確かに……『ゴールデン・キャンドルス』と『サマー・フォーエヴァー』には、
それぞれ共通する部分が多く見当たります。
本体が子供であり、肉体と精神に影響を及ぼし、単純な攻撃は意味を成さない。
能力が影響を及ぼす規模を除くと、かなり似通っていると言えるでしょう」
ふと『黄金時代』に招かれた笑美が、姿が変わっていなかったことを思い出した。
「……あの世界でも、笑美さんは『今のまま』でしたね」
『何故なのか』と聞く前に、その理由が何となく分かった。
239
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/23(木) 22:20:06
>>238
「了解しました。
おんなじ場所かもしれませんし…違うなら違うで
他の人のこともわかります。
いつから手に入れたのかはわかりませんが…」
そう言って頷いた。
「どちらも…思いの強さという点では一緒でしょうね…。」
『サマー・フォー・エヴァー』も『ゴールデン・キャンドルス』も想念のようなものを強く感じたのである。
そして空間に引き込むという点も…
「子供の精神はある意味では大人以上に強いものなのかも知れませんね。
純粋な思いも強さの理由なんでしょうか…」
過去の光景を思い起こしながら呟く。
古き友人と出会ったことが、ある意味で過去と向き合うことになったのだろう。
「…そう言えばそうでしたね。」
その時のことを思い出して、自分が変わらなかったことも思い出した。
そしてその理由は何となく分かる。
「あのスタンドは、その人の『一番幸せな時』の世界へと引き込む能力だった…と思います。
そして…あの世界は『私の幸せな時』ではなかった。」
そう言って頷く。
「私にとっての『黄金時代』がまさに今だったからなのでしょうね。
家族も居て…友人にも出会うことが出来た。まさに今この時が。」
彼女は心の底から、今を大事に生きているのがその口ぶりから感じられるはずだろう。
240
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/24(金) 16:34:40
>>239
幼いスタンド使いというのは、知り合いの中にも複数いる。
不意に『ユウリ・桃園・シャルロット』を思い出した。
彼女は『仲間が増えると新しい武器が貰える』と言っていたが、
あの『剣』も特殊なスタンドなのだろうか。
「一概には言い切れませんが、
子供が持つ精神力は良くも悪くも純粋なのでしょう。
秋斗くんの場合は、今後の成熟によって、
スタンドに変化が生じる可能性もあるのではないでしょうか」
当事者だった『斗鬼夏子』と『志那都秋斗』を思い浮かべた。
複雑な事情を抱えた親子だったが、きっと乗り越えられるだろう。
そう確信できる。
「――今が『黄金時代』……」
笑美の言葉を聞き終えて、自分自身を振り返る。
「私は……『結婚式』でした。
それが私の『最も幸せな時』なのでしょう。
ただ、どうしても笑美さんのことが気掛かりだったのです」
あの時、小石川は『笑美と同じ世界』に行くことを望んだ。
一度でも移動してしまえば、二度と『黄金時代』には戻れなくなる。
そのことを理解した上で、笑美を助けに向かった。
「自分が下した選択に後悔はありません」
小石川文子と朱鷺宮笑美は別々の意思を持ち、
それぞれ辿ってきた道筋は異なるが、
『今を大切にしている』という部分は共通している。
241
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/24(金) 22:21:01
>>240
「子供のスタンドは成長もするでしょうし、
いずれあの子のスタンドも成長して
変化するのかも知れません…」
夏子と秋斗、あの二人は今どうしているだろう。
そう思いつつ答えた。
(またいずれ会いに行こうかな…)
と密かに考えた。
「…そうですか。
小石川さんの黄金時代は…」
彼女の過去に関する話…
そのことを考えると少し悲しくなりそうだ。それでも…
「小石川さん、あの時『今』を選んでくれたことを
私は嬉しく思います。」
笑美の表情はすぐに晴れやかになった。
「黄金時代は過ぎ去っても、それは終わりではないですからね。
大勢の友人ができました…
今だってとても…美しい輝ける時代、ですもの。」
今を大切に思うものとして、
それはお互いに思っていることだと思いたい。
242
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/25(土) 15:18:09
>>241
丁寧に一語ずつ噛み締めるように、ただ静かに笑美の言葉に耳を傾ける。
「――ええ……おっしゃる通りです」
まもなく笑美に返した言葉に偽りはなかった。
「私は『幸せ』です。
今が不幸だとは感じていません。
大切な人と交わした約束があり、支えてくれる方々もいるのですから」
理解し合える仲間がいるということは、他の何よりも救われる。
小石川にとって、特に『朱鷺宮家』の存在は大きい。
そして、その繋がりを得られたのは『朱鷺宮笑美』がいたからだ。
「……『サマー・フォーエヴァー』を巡る事件や、
『ゴールデン・キャンドルス』の一件を経て、
私は自分自身の目標を見つけました」
「変えられないことを受け入れる『勇気』と、
変えられることを変えようとする『強さ』を持ち、
それらを正しく見分ける『知恵』を身に付けたいと――」
「私自身が二度と過ちを犯さないために……」
最大限の信頼を寄せる友人に対し、自らが胸に秘めていた『決意』を表明する。
243
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/25(土) 22:33:44
>>242
「そう、ですね。」
「たとえ黄金時代じゃなくても
幸せな時はいつでも来ますから…
これからは色んな幸せを掴みましょう。」
そう言って大きく頷いた。
「『勇気』と『強さ』と『知恵』…
一人では難しい目標ですが、
きっと知り合った皆さんと一緒なら出来ます。
それに…」
「もし足りなければみんなで補いましょう!
そのための、サロンですものね。」
改めて笑美も力強く告げた。
「私も、その目標を一緒に目指します!」
小石川の目標を尊重し、そして自分もまた目指すことを自身を持って告げる。
どこか、その姿は頼もしさも感じられるものだっただろう。
244
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/26(日) 06:27:53
>>243
無意識の内に、自分の両手に視線を落としていた。
左右の薬指には、同じデザインの『銀の指輪』が煌めく。
その曇りのない輝きが、研ぎ澄まされた『刃』を思わせる。
「……笑美さん――あなたと『再会』できて良かった」
ニコ…………
再び正面に向き直り、笑美の宣言に微笑を返す。
お互い大人になり、それぞれ人生の変化を経験した後も、
幼少時代に遊んでもらった記憶は消えていない。
あの時に生まれた思い出は、この瞬間にも繋がっているのだろう。
「『未来の幸せ』のために、これからも助け合いましょう」
ス ゥ ッ
笑美の口から告げられた『サロン』の理念を肯定する。
そして、『会員証』である『ラベンダーの香り袋』を取り出す。
ラベンダーが持つ『鎮静作用』のように、
星見町に安らぎをもたらしたいという願いを込めたものだ。
「――ありがとう……『お姉さん』」
そんな言葉が紡ぎ出されたのは、今も心の片隅にいる『小さな文子』が、
『鵲笑美』に感謝を伝えたかったせいなのかもしれない。
245
:
朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2025/10/26(日) 22:42:33
>>244
「…私もそう思います。」
幼少期のあの子が前に踏み出すことを選んだ。
そのことはまるで自分の子供のように嬉しく思えてくる。
「ええ、もちろんです。
私も、手に入れた幸せを護るために、
そして皆さんの幸せのために一緒に頑張ります。」
小石川が取り出した袋を見て、笑美も同じく袋を取る。
心に深く響くような匂いを感じる。
「お姉さん…か…」
かつて言われた自分への言葉。
それを聞いて普段細くしている目を、見開いてみせる。
雰囲気は変わっていたが、どこか人を寄せ付けなそうな鋭い目は健在である。
「…まかせろ。
これからは笑顔ばっかりにしてやるからな…
覚悟しとけよ、ガキンチョ。」
どこか強気なその言葉は、かつての彼女…
破壊女神なんて言われてた頃のものだ。
それはとても頼りになるような、そんな声に感じられるだろう。
246
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【5/7】
:2025/10/28(火) 17:46:21
>>245
小石川文子と朱鷺宮笑美の出会いは、数奇な巡り合わせの積み重ねだった。
20年以上前に出会った2人が、スタンドを得て再会し、今は同じ志を抱いている。
そう感じられることが本当に心強い。
「――にゃあ……」
そして、これからも『サロン』の営みは続いていくだろう――――。
247
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/11/14(金) 23:45:13
>(涙音)
長期に亘る調査の末、『小林丈の生存』を確信できた今、残る大きな不安は一つだ。
────────────────────────────────────────
小角さんの件について、準備をしておきたいと思っています。
『室内遊技同好会』の方々に渡すために、お菓子を手作りするので、
調理を手伝っていただけますか?
よろしければ『サロン』でお待ちしています。
────────────────────────────────────────
「――……」
上記のメッセージを送信し、『正会員』の『朱鷺宮涙音』を待っていた。
248
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/11/15(土) 17:17:17
>>247
────────────────────────────────────────
お菓子作りですか?いいですねー。
同好会の皆さんと仲良くしておきたいですし、ここは協力させてください。
一応、小角さんが好きなタイプのお菓子を選びたいですね。
────────────────────────────────────────
メッセージは以上のように返ってきた。
おそらく間もなくやってくるだろう。
ピンポーン
しばらくして、チャイムが鳴り響いた。
「すいませーん。いますかー?」
どうやら涙音が来たようだ。
249
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/11/15(土) 18:50:02
>>248
チャイムの音を聞いて玄関に移動し、ドアを開けて涙音を出迎える。
「……来てくださってありがとうございます」
スッ
軽く頭を下げると、先に立って廊下を歩いていく。
「お菓子の件ですが、実は『トマト』を使ったものを作ろうかと考えています。
以前、『ミステリーツアー』に出かけた際に、
小角さんを含めた同好会の方々とお会いしたのですが、
『私の実家はトマト農園を営んでいる』と話したことがありました。
その時、興味を持っていただけていたようですから、
『トマトを使ったお菓子』を持っていきたいのです」
旅行中の会話を思い出しながら、涙音に説明する。
(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1552052081/71)
(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1552052081/75)
250
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/11/15(土) 19:32:39
>>249
「はい、お邪魔します。」
軽く頭を下げたあと、小石川の後ろからついていく。
「お菓子作り…とても楽しみにしています。
まああんまりやったことはないんですけどね…」
ちょっとそのへんについては不安に思っているようだ。
「へぇー、トマトを使ったお菓子ですか…
たしかにそれなら興味を惹かれそうですね!
しかし…」
少し不思議そうな顔をしながら首を傾げる。
「トマトを使ったお菓子というのはあんまり知らないですね。
どんな感じのを創るんでしょうか?」
251
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/11/15(土) 20:11:09
>>250
以前、朱鷺宮姉妹と『チキンカレー』を作ったことがある。
涙音には『バターライス』を任せたが、彼女の手際は良かった。
当時を振り返れば、そう心配はしていない。
「……大丈夫ですよ。
それほど奇抜なものは作りません。
『多くの人が知っているお菓子にトマトを加える』と考えてください」
ニコ…………
「具体的には『トリュフ』です。
フルーツトマトのピューレとホワイトチョコレートを使って、
『ピンク色のトリュフ』を作ります」
トリュフと呼ばれる球形のチョコレートは、おそらく涙音にも馴染みがあるだろう。
「それから『ラベンダー』のお菓子も一つ作るつもりです。
そちらは『ショートブレッド』にしましょう。
バタークッキーの一種です」
撫子が眠るリビングを通り抜け、まもなくキッチンに到着した。
252
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/11/15(土) 23:53:44
>>251
「へー、トマトってそういうのにも使えるんですね…
トリュフ…それなら作れそうな気がします。」
感心するように答えた。
とは言えフルーツトマトならばたしかに問題ないだろう。
「ラベンダーは香り高いから、お菓子に入れるのも悪くないですねー。
クッキー焼いたことあるので問題ないですよ!」
そう言ってぐっと手を握った。
「ふむ、そこまで凝ったものを創るわけではないですね。
早速やりますか?」
どこか楽しそうに答える。
料理を作ることは好きな様子である。
253
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/11/16(日) 02:58:28
>>252
一般的に、フルーツトマトは特別な栽培方法で作られた高糖度のトマトを指す。
文字通り果物のような味わいで、そのまま食べても甘味が強い。
だからこそ、お菓子の材料としても適している。
「目新しさを残しながらも、比較的とっつきやすく仕上げたかったので、
今回あまり凝ったものは避けました。
涙音さんがよければ、始めていきましょう」
キッチンの調理台には、既に材料や調理器具が用意されていた。
「まず、ホワイトチョコレートを溶かしやすくするために、包丁で細かく刻みます……」
トントントントントン
「――涙音さん、このように刻んでいただけますか?
刻み終わったら、そちらのボウルに入れておいてください」
まな板の上に包丁を置くと、自分はトマトピューレと生クリームを計量カップで量る。
254
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/11/16(日) 11:46:19
>>253
「はい、いつでも準備は…」
そういいつつ、涙音はエプロンや三角巾の準備を行っている。
「はい、出来ました!
じゃあ始めましょう!」
手を念入りに洗い、手伝う準備を整えたようだ。
「あっはい。細かく刻めばいいんですね?
大丈夫です、お任せください。」
そう言って、小石川の動きを見様見真似で包丁を扱い始める。
トントントントン
「これくらいでいいでしょうか?」
手慣れた様子でチョコレートを刻んでいく。
どうやら問題なく行えているようだ。
255
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/11/16(日) 18:05:17
>>254
準備を整えた涙音を微笑ましく見つめ、小さく首肯を返す。
「……ええ、良い調子です。そのまま続けてください」
────ピッ
「トマトピューレと生クリームを混ぜて耐熱容器に入れ、
電子レンジで軽く沸騰するまで加熱します……」
涙音の様子を確かめつつ、自分自身も手を止めず、淀みなく作業をこなす。
「先程お話した『ミステリーツアー』について、
詳しく説明しておきましょうか?
『室内遊技同好会』と出会ったのは、丁度その時でした。
それについて知っておけば、話題の一つになるかもしれません」
調理を進めつつ、涙音に話を振る。
まな板の隣にはボウルが出してあった。
刻んだチョコレートは、この中に入れておけばいいだろう。
256
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/11/16(日) 23:58:47
>>255
「どうもありがとうございます。」
そういいつつ包丁をトントンと動かしていく。
「ふむ、もうちょっとやってみますね。」
そう言って多めにチョコレートを刻んでいく。
どうやらスタンドを使って…というようなことはないらしい。
「そう言えば…ミステリーツアーの話、ちょっと気になりますね。
面白い話とかも色々あるんじゃないですか?」
そう言って一旦手を止めて、小石川の方を振り向く。
「話題を振るためにも…というだけじゃなく、
純粋にどんな事があったのかも気になるという感じですかね。
ぜひ教えて下さい。」
257
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/11/17(月) 20:42:13
>>256
涙音と同じく『スーサイド・ライフ』には頼らない。
個人的にスタンドの使用を禁じているという事情もあるが、
何よりも大きな理由は自分の手で心を込めて作りたいからだ。
また、特別な力を使わずに調理できるからこそ、その料理は他の人にも教えられる。
「……分かりました。
『相互理解』は『サロン』の理念です。
私が見聞きしたことをお伝えしましょう」
コト…………
電子レンジから耐熱容器を取り出すと、かつて体験した出来事を語り始める。
「――スカイモールの抽選会で『ミステリーツアー』のチケットが当たったのです。
『行き先が明かされていない旅行』でした」
「私達は朝に集合して、駅前でバスに乗車しました。
およそ3時間ほど走り続け、
星見町のある『S県』から『A県』を経由して、
『G県』に入ったのです」
「私は『N県』の生まれですから……実家の隣ということになりますね」
今にして思えば、ツアーで向かった場所は、小石川の出身地と隣接している県だった。
「あの時に『赤い霧』が出ていたことを覚えています……」
トマトピューレと生クリームが混ざったものをボウルに移し、それを涙音の手元に置く。
「このボウルにチョコレートを加えてから、
全体が馴染むまで混ぜてくれますか?」
ソッ
手が空くタイミングを待って、ゴムベラを差し出す。
258
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/11/17(月) 22:01:52
>>257
「ぜひ、お願いします。」
そういいつつ時折、残りのチョコレートを細かく刻む。
「ミステリーツアー…
往く場所がわからないというのはなかなか面白そうですね。
ただ…スタンドを持つとちょっと気になるところですね。そこは…」
「ふむ…実家のお隣県だったんですね。
…赤い霧…」
少し手を止めてその話に聞き入る。
「なにか不穏な気配がしますね…っと」
自分の手元に置かれたボウルを見てハッとする。
「わかりました。
ちょうどチョコレートもいい感じに出来ましたし。」
そう言ってチョコレートを混ざりあった素材の中に入れていく。
「旅行先でなにかある…というのは
割とあることなんでしょうかね…
母もそうでしたし。」
なにか縁があるような気がするのかも知れない…
259
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/11/17(月) 22:45:53
>>258
旅行先で奇妙な事件に巻き込まれたのは、笑美も同様だろう。
そこには小石川も居合わせていたので、涙音が言いたいことは分かった。
また、『大きな依頼を受けた』と言っていた烏丸の現在も気掛かりだ。
「……では、こちらを使って混ぜ合わせてください」
涙音にゴムベラを手渡し、彼女に代わってまな板の前に立つ。
次に取り上げたのは『ドライトマト』だ。
天日干しで余計な水分が抜け、元々の甘味が凝縮されている。
「これも加えましょう……。
そちらのトマトピューレと同じように、
『実家』で収穫したフルーツトマトを加工したものです」
トントントン
トントントン
トントントン
扱い慣れた包丁を握り、ドライトマトも刻んでいく。
「ええ――その『赤い霧』は夕焼けのような色で、スタンドの力が作用していました。
スタンドを持たない方には、普通の霧に見えていたようですね。
『空の色』も赤かったのですが、やはりスタンド使い以外の目には、
自然な空に映っていたいたようです」
「やがて、私達は『紅鏡町』という不思議な場所に着きました。
全体的に赤色の建物が多い町で、『赤い町』という表現が相応しいでしょう」
「そして、私は主催者側の会話を小耳に挟み、
『ツアーの予定ではない土地』に迷い込んでいることを知ったのです」
ふと、トマトを彩る赤色が、あの時の記憶を蘇らせるような気がした。
260
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/11/18(火) 00:12:57
>>259
「了解しました。
こうしてこう、と…」
手渡されたゴムベラを丁寧に使いながら
混ぜ合わせていく。手並みも問題なさそうだ。
「ドライトマト…後でちょっと食べさせてもらっても?」
とても美味しそう、と思ったのだろう。
かなりドライトマトに興味を持っているようだ。
「…やはりそれは、スタンドの空間だったんでしょうか。
参加者の皆さんは…まぁスタンド使いはほぼ居なかったでしょうけど。」
丁寧に混ぜ合わせながらも彼女の話を聞く。
「全部赤い街だなんて、落ち着かなそうですねぇ。
ツアーの主催者側がスタンド使いではない、ということになりますかね…」
261
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/11/19(水) 09:47:19
>>260
トマトピューレと生クリームの中に、
溶けたホワイトチョコレートが混ざり合い、淡いピンク色に変わっていく。
「参加者は20人でしたが、スタンド使いは複数人いたことを覚えています。
ただ、積極的に動ける人間は少なく、
私の他には『黒峰』という女性だけでした。
もし彼女がいてくれなかったら、
たった一人で切り抜けなければならなかったでしょう」
黒峰には大いに助けられた。
できれば挨拶しておきたかったが、
連絡先が分からないので、あれから一度も会っていない。
今頃どうしているのか、少し気になるところだ。
「……到着後は『自由行動』になりました。
主催者側としては、参加者を混乱させないために、
『ミステリーツアーの一貫』として通すことにしたのです」
食べやすく切ったドライトマトをボウルに加える。
「私は『遊園地』に向かい、『バンジージャンプ』を体験しました。
町全体を見渡せる場所に立ってみれば、
何か見えるかもしれないと考えたからです。
実際、森の中には『空間の歪み』のようなものが確認できました」
あの時バンジージャンプに挑戦したのは、
幸せな家族連れを見て『死に対する欲求(デストルドー)』を感じ、
気持ちを切り替えたかったという理由もある。
「その後、『観覧車』で改めて『歪みの位置』を確かめ、
私は森の方向に足を運びました……」
いったん話を切ると、ドライトマトを摘み上げ、涙音の口元に近付ける。
「――涙音さん、口を開けていただけますか?」
それと同時に、ドライフルーツを思わせる甘い香りが漂う。
262
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/11/20(木) 00:14:55
>>261
「ふう、もうちょっと混ぜておきますね。」
とりあえず滑らかになるまで混ぜるつもりだろう。
「…そうですか。そこまで言うほどの恩人なのですね。
その人…黒蜂さんはどのような人だったんでしょう…
ちょっと会ってみたくなります。」
小石川の言葉に興味を惹かれる。
彼女にとって友人のような存在になれたのだろうか…とも考えているようだ。
「そこは仕方ないでしょうね。
…不測の事態と言ったらパニックになりそうですし。」
少し手を止めて、視線を小石川に向ける。
「空間の歪み…
スタンド空間だとしたらそれが鍵でしょうか…
ん?」
ふと考えているうちに涙音はドライトマトが自分に向けて運ばれているのを見た。
「い、いいんですか?
それじゃあ…んぁーん…」
少し嬉しそうに口を開ける。
263
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/11/20(木) 10:24:37
>>262
黒峰について知っていることは少ないが、あの場においては心強い味方の一人だった。
「あまり個人的な話をする余裕はありませんでしたが……
『睡眠』に対するこだわりが強い方です。
彼女のスタンドは『ベッド』で、
まるで『四足獣』のように動いていました」
これまで様々なスタンドを見てきたが、
似た能力は見た覚えがなく、かなり特殊なタイプだった。
「――……どうぞ」
ソッ…………
次の瞬間、ドライトマトが涙音の口に入る。
通常のトマトよりも糖度が高い上に、乾燥させて風味が増した果肉からは、
濃厚な甘さが感じられるだろう。
まさしくフルーツトマトという呼び名に相応しい。
「おっしゃる通り、私が見つけた『空間の歪み』は、
一種の『出入り口』の役目を果たしていました。
ただし、背後関係は単純ではありません」
「結論から言うと、まず『紅鏡町を作った能力』が存在し、
また別に『紅鏡町を維持する能力』もあったのです。
さらに『紅鏡町に入れる能力』があり、
それが『歪み』を生み出した要因です。
そして、その機会に乗じ、『良からぬ目的を持って侵入した勢力』も……」
「あの時、私達は混乱した状況の中に迷い込んでしまいました」
ボウルの中身は次第に滑らかになってきており、あと少しで次のステップに進めそうだ。
264
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/11/21(金) 19:03:48
>>263
「ベッドがスタンド像なのですか…
乗り物として活用できそうな見た目のスタンドですね。
こだわりというのはどのような感じのこだわりなんでしょうね…」
そういいつつ微笑みかける。
「むぅっ…このトマトは!」
口をモグモグさせながらその表情はとても嬉しそうになる。
「これは…とても甘くて美味しいです!
まさにフルーツ!…これをお菓子の素材にしたら
間違いなく美味しいお菓子になりますよ!」
涙音もトマトの味がたいそう気に入ったようだ。
うっかりもう一個食べてしまいそうである。
「作る能力と維持する能力。スタンド能力が2つ…
スタンド使いは二人いたんですか。
…いや、それどころか」
小石川の言葉を聞いても状況がかなり混沌としていることが伺えた。
「状況は紅鏡町の能力者だけではなくなってきたんですね。
…その良からぬ目的の勢力は一体何を?」
265
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/11/21(金) 22:37:56
>>264
涙音の表情を見て、思わず笑みが零れる。
「――気に入ってもらえて安心しました……」
自分の生家で栽培したものを認めてもらえることは素直に嬉しい。
「『紅鏡町に入れる能力』の本体は『アリーナのスタンド使い』でした。
笹暮という男性ですが、彼のスタンドは『鍵を開ける能力』です。
それを使って『出入り口』を作ったのでしょう」
「彼が来た目的は『紅鏡町を維持する能力』の本体に会うことです。
しかし、『出入り口』を開けた途端に奇襲され、
身動きの取れない状態にされていました。
笹暮さんを不意打ちしたのが、先程も話した『紅鏡町に侵入した勢力』です」
「彼らは……『隕石』を求めていると聞きました。
それが何なのかは分かりませんが、実際に大掛かりな動きをしている以上、
かなり重要なものであることは間違いありません」
話の途中で涙音の手元を見やり、出来具合を確かめて小さく頷く。
「……そろそろボウルの中身は良さそうですね。
成形しやすい固さになるまで、しばらく置いておきましょう」
次の段階だ。
涙音が多めに切ってくれたホワイトチョコレートの一部を、あらかじめ分けておいた。
それを別のボウルに入れて、鍋で湯を沸かしながら、もう一つボウルを取り出す。
「今度はコーティング用のチョコレートを作ります。
これから行うのは『テンパリング』という温度調整作業で、
表面に光沢を出したり、適度な食感や固さを得るための工程です。
こちらに半分ほど水を張っていただけますか?」
スッ
取り出したばかりのボウルを涙音に差し出した。
266
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/11/22(土) 19:38:53
>>265
「フヒヒヒ、こんなに美味しければ本当に…
何個でも食べたくなりますよ。」
すっかりお気に入りになったのか、少し飲み込むのが名残惜しそうだ。
フッと軽く笑いながらも楽しそうである。
「うーむ、アリーナのスタンド使いにも色々いるのですね。
しかも鍵を開ける能力…いかなる厳重な扉も開けられるんでしょうか…
厄介な能力と言えます…」
そういいつつ何度も混ぜ続けていたが、そろそろと感じたのか手を止める。
「あっ了解です。
それじゃあそのように…」
涙音は次の作業に出る。
サバー…
まずは水をボウルの中に半分ほど入れていく。
「隕石…それはその『町』の中にあったんでしょうか?」
267
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/11/23(日) 11:46:29
>>266
調理されていくチョコレートによって、だんだんキッチンに甘い香りが漂う。
「……笹暮さんのスタンドは『オフビート・ミミック』という名前でした」
そのように付け加え、話を本題に戻す。
「私は『隕石』と呼ばれるものを見ていないので、それについては何とも言えません。
ただ、『紅鏡町』は『存在しない町』です。
分かりやすく言うと、『かつて存在した町の再現』でしょうか……」
「『紅鏡町を作った能力』の本体は……既に亡くなっていました。
本来であれば、本体の死亡と同時に『紅鏡町』も消えるはずでしたが、
『紅鏡町を維持する能力』が作用したことで、ずっと残り続けていたのです」
「『紅鏡町』を維持していたのは『出雲明』という方です。
彼の『イレテ・ユンヌ・フォア』は、『時間を繰り返す能力』を持っていました」
お湯が沸いたタイミングで、
チョコレートの入ったボウルを鍋の中に入れ、湯煎で溶かしていく。
「まずはチョコレートを溶かします。
これはホワイトチョコレートですから、概ね40℃まで加温します」
調理用の温度計を手に取り、チョコレートの温度を確認した。
「――丁度いいですね。
次は、水を張ったボウルにチョコレートが入ったボウルの底を当て、
25℃程度まで温度を下げましょう。
空気が入らないように注意しながら、丁寧に混ぜていきます」
涙音の代わりにゴムベラを扱い、溶けたチョコレートを混ぜる。
268
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/11/23(日) 21:32:53
>>267
「うーん、とてもいい匂いがしますね。」
思わず鼻も膨らむ匂いを嗅いで
軽く深呼吸をする涙音。
「『オフビート・ミミック』…
そのようなスタンドがあるとは…」
「かつて存在した町…ってことは
その人の過去のイメージでしょうか。
もうすでに亡くなっていた人のスタンド…だったとは」
驚いた様子を見せる。
死後に残るスタンドというのは涙音も知らないようだ。
「…つまり、死んだ人間の生きていた時間を繰り返すことで
死んだ人の能力を維持し続けていたと?」
考えられる可能性として一つ答える涙音。
能力を維持する方法としてまず思いついたようだ。
「ふむ、結構手間がかかりますね…チョコ作りは…」
269
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/11/24(月) 06:40:33
>>268
自分が体験した出来事は、可能な限り詳しく伝える。
相互に情報共有しておけば、いつか役に立つ時が来るかもしれない。
それが『サロン』の意義だ。
「温度が下がったことを確かめたら、もう一度28℃ぐらいまで加温します」
再び湯煎を行いながらチョコレートを混ぜて、
温度計で温度をチェックすると、湯の中からボウルを引き上げた。
「……これで『テンパリング』は完了です。
主成分であるカカオバターの結晶が安定して、
チョコレートが美味しくなりますよ」
コト
調理台にボウルを置き、ステンレス製のバットとスプーンを準備する。
「――その通りです。
『繰り返し』を止めた『紅鏡町』は消滅しました。
そこに至るまでには困難を乗り越える必要もありましたが……」
「もう先程のボウルは十分でしょう。
固まっている『ガナッシュ』……トリュフの中心になる部分を、
スプーンでくり抜いて手で丸めてから、そちらのバットに並べてください」
少しずつ完成が近付いていた。
トリュフというチョコレートは、
核となるガナッシュにコーティングを施して成立するお菓子だ。
ここからは、また涙音に手伝ってもらいたい。
270
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/11/24(月) 20:19:29
>>269
「ふむふむ、これまた…」
彼女の手際のいい動きにウンウンと頷きながら確認する。
「こうしてみるとやっぱり料理は科学ですね…
なんだか科学の実験みたいで面白いです。」
テンパリングの様子が見ていて楽しいようである。
「…なるほど、その消滅に至るまでにいろんなことがあったのですね。
困難、ですか…どんな困難があったのでしょうね。」
内容的に見て悲しい結末が待っていたように思える。
少しそこは気になる部分デアはあった。
「了解です。
これを、こうすれば…良いんですね?」
そう言ってスプーンを手に取り、
ガナッシュをくり抜きに行く。
「おっと、ちょっと思ったより柔らかい…」
そういいながらなんとかきれいにくり抜いて見せる。
「なんだかねんどみたいですね…」
丸めている様子はどこか楽しそうだ。
とは言え手に載せすぎたら人肌で溶けてしまうだろう。
なるべくで早くやっている。
271
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/11/25(火) 19:00:47
>>270
ガナッシュは完全に固まっていない状態だが、
だからこそ形を変えることも難しくないだろう。
「――ふふ……そうかもしれませんね」
料理と科学の共通点を考えたことはなかったものの、
一つの意見としては興味深い言葉だ。
「私達が直面した困難を話す前に、
『紅鏡町』に侵入した勢力についてお話します」
そう前置きしてから、再び口を開く。
「『侵入者』は『5人』で、
『イズ』・『ゴウ』・『トウゲ』・『テルヤ』という男性4人と、
『レイト』という女性1人です。
リーダーはイズさんで、全員がスタンド使いです。
彼らは何者かに雇われて行動しているようでした」
「ただ、テルヤさんだけは所属が異なり、
『雇い主から貸与された戦力』であると……」
あの一件には謎が残されており、未だに解決していない。
「……結局『雇い主』の正体は不明のままです」
涙音に続く形で、ガナッシュを丸く整える。
「私にとって、料理で大事なのは『心』です。
相手に喜んでもらうことを考えながら、
気持ちを込めて作れば、きっと上手くできますよ」
コロロ…………
穏やかな心持ちで捏ねると、自然と角の取れた球形に仕上がっていった。
272
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/11/25(火) 23:34:13
>>271
「せっかくだから、他にも色んなお菓子に挑戦してみたいですね。
興味深いです…」
そういいつつ軽くこねながら丸形を造っていく。
「5人も居たんですか…
正直スタンド使い同士の戦いなど、一人でも大変なのに
それだけの相手は…流石に大変そうです。」
5人いるスタンド使い…
涙音は想像して少し恐ろしくも感じている。
「雇い主?…うーむ…
それは誰なんでしょう…いえ、暗躍するようなタイプで
スタンド使いというと『エクリプス』の残党もありえますけど…」
そう考えているうちにきれいな丸形が出来上がった。
「ふう、心を込めて…ですね。
この調子でどんどんと造ってみせますよ。」
そう言って、出来上がった丸型のチョコを優しく置いていく。
次も手際よく始めていくだろう。
273
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/11/26(水) 04:48:46
>>272
優しい手つきでガナッシュを丸め、それらを一つずつ並べていく。
「積極的に動けるのは私と黒峰さんだけでしたから、
もし戦えば勝ち目はなかったでしょう。
それに『一般人』のツアー客も多数いたので、
私は争いを避けることを最優先に考えて、ある作戦を提案しました」
そこまで話した後、次の言葉を告げる合間に、涙音が発した名前が耳に入る。
「――涙音さんも『エクリプス』をご存知なのですね。
私も『アリーナ』の知人から聞いた覚えがあります。
以前この町を支配しようと試みた組織だそうですが……」
あの時、笹暮は奇襲を受けたことに驚いていた。
実行者であるイズ一味を操り、裏で糸を引いた何者かは相当な手練れらしい。
謎に包まれた『雇い主』と『残党』を結び付ける涙音の仮説は、
単なる憶測に留まらない説得力を感じる。
「……涙音さんの言う通りだとしたら、
何故『隕石』に興味を持ったのでしょうか?」
そして、まだ分からないのは『動機』だ。
「あれには……『秘密』が隠されているのかもしれません」
もちろん詳細は知る由もないが、
おぼろげながら何かがあるのではないかと考え始めていた。
274
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/11/26(水) 22:36:29
>>273
「よいしょ、どのくらい作りましょうか?」
そういいつつ、いくつか丸まったガナッシュを作り上げる。
「たしかに…普通に戦うのでは不利になりますね。
相手の能力もわからない状況と、一般人を巻き込むことも出来ませんし…
ある作戦というと…?」
少し気になったようで顔を向ける。
「ええ、実を言うとそういう相手と戦ったことがあります。
まぁ私は手酷くやられてしまって、他の方の活躍のお陰で助かりましたけど…
私はエクリプスが何を目指していたのかはわかりませんでした。
病院で治療を受けている間に大方の戦いが終わっていたみたいで…」
母がスタンド使いになるよりも前の話だろう。
涙音も結構危ない戦いをしてきたようだ…
「隕石ねぇ…
何らかのエネルギー、未知の金属…そういうのが漫画とかアニメとかの定番ですけどね…
もしかしたらまだその人達が欲しがってるものがどこかにあるのかも…」
それだけの価値があるものかまでは、涙音にもわからない。
275
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/11/27(木) 04:11:52
>>274
優しくガナッシュを転がす手が止まり、思わず驚いた表情を浮かべる。
「――そうだったのですか……」
涙音が以前からスタンド使いだった話は聞いているが、
崩壊前の『エクリプス』と交戦した経験があったというのは初耳だ。
これは貴重な情報であり、共有しておけば役立つかもしれない。
しかし、まずは問いかけに応じることを優先した。
「私が『アリーナの一員』に成りすまし、彼らのリーダーと『交渉』する作戦です。
もうすぐ『アリーナの増援』が到着するので、
今の内に手を引いた方が得策だと信じさせ、『撤退』を決断してもらいました」
また手を動かしながら、涙音の質問に答える。
「幸い、慎重な判断を下せる方でしたから、『4人』の説得には成功しました」
しかし、最初に言った通り、敵の総数は『5人』だった。
「残った『1人』――『テルヤ』さんだけは、私達に攻撃を仕掛けてきました。
彼は『雇い主』と直接的な繋がりがあったようですから、
何か特別な指示を受けていたのかもしれません」
ふとバットの上に並べられたガナッシュを見やる。
「……もう少し作って、余った分は2人で『味見』しましょう」
ニコ…………
涙音を見つめて穏やかに笑う。
最初に準備したボウルの中身は減ってきており、全て丸めるのも時間の問題だろう。
次の工程に移るまで、そう長くは掛からないはずだ。
276
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/11/27(木) 19:03:01
>>275
「足のダメージがそれはもうひどく…
あっ、そのあたりは気にしなくで大丈夫ですよ。
重傷は負いましたけど、病院の治療は
後遺症ゼロで治してもらえますから。」
そう言って軽く微笑みかけながら足をさす。
「アリーナの一員だと思わせること…
なるほど…それであ相手が応じたのですか。
アリーナ関係者でしょうかね…」
どうやら4人の説得には成功したらしい。
だが…
「むう、なぜその人だけは残ったのでしょうね…
そうなると、戦うしかなくなりましたか。」
一気に緊張感を感じる状況になったと思い、
少し息を呑む。
「…はっ、そうですね!
せっかくだからもうちょっと造っちゃいましょう。」
しかし、肝心のお菓子作りに関しては
すぐに楽しそうに作業を再開する。『味見』ができると聞いてますますやる気が出てきたのだろう。
277
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/11/28(金) 11:12:31
>>276
涙音が大怪我を負っていたと聞き、改めて『エクリプス』の脅威を実感した。
組織そのものが滅んだ後、『残党』が活動を行っていることも見過ごせない事実だ。
大きな『災禍』を招きかねない存在である以上、
万一の備えとして周知しておく必要を感じる。
「ここまで『雇い主』という言葉を使いましたが、厳密に言えば少し違います。
彼らの会話を盗み聞きした際、背後にいる人物を『協力者』と呼んでいました。
つまり、少なくとも表面上は『対等な関係』だったのでしょう。
ただ、正体不明の『影の協力者』は『狡猾な人間』だと……」
これと同時に、他にも『重要な情報』を聞き取っていたが、ひとまず後に回す。
「彼らは笹暮さんの『オフビート・ミミック』が開けた『出入り口』の前に陣取って、
『紅鏡町』を出ていく者達――つまりツアー客の『荷物』を調べました。
その時、私は『鞄の中』に隠れていたので、
危ない橋を渡ることになりましたが……
なんとか見つからずに『紅鏡町の外』に出られました」
『スーサイド・ライフ』の能力を知る涙音なら、この言葉の意味は分かるだろう。
「……ですが、私は『交渉』のために引き返しました。
笹暮さんが彼らに捕えられており、
そのままでは『命』を奪われる可能性が高かったからです」
「先程お話したように話し合いは成功し、
『協力者の身内』であるテルヤさんを残して、
イズさん達は引き上げてくれました。
テルヤさんは交戦するしかありませんでしたが、
戦力的には私達が有利になっていましたので、
あまり時間を掛けずに無力化できました。
それから彼は『アリーナ』に身柄を拘束されたようです」
あるいは、おそらくテルヤから情報を得たであろう『アリーナ』は、
既に『全貌』を把握しているかもしれない。
「そして、私達は星見町に戻ってくることができました……」
話している間にも、順調にガナッシュの数が増え、次第にバットの面積を埋めていく。
278
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/11/28(金) 23:24:43
>>277
「むむ、協力者…ですか。
しかし狡猾な人間だとしたら…
そこに隕石があるという話自体も実際にそうなんでしょうかね?」
少し不思議そうに首を傾げた。
「…鞄の中に自分の体を入れて、
荷物と一緒に外に出されたというわけですか…」
彼女のスタンドは自分の体を切り離すことができる。
その能力を活かせばあとは解除すればいいのだと考える。
「流石に他の人を残したままには出来ませんね…
笹暮さんは無事…だったのですね?」
そこは特に心配なのかも知れない。
「無事に戻ることが出来たのは良かったです…
その、テルヤという人ははどんなスタンドを?」
数でなんとかなる相手だとは思うものの、
雇われた相手なだけにそこそこの実力はあるかと考える。
「ふむ…なかなか大変なことが起こったのですね…
とはいえ、結局その協力者のことはいまだわからず…でしょうかね?」
そう言っている間にもガナッシュをどんどん造っていくが。
「…ふう、ちょっと疲れました。」
さすがにずっと続けていたためか、てを軽く振って一休みする。
279
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/11/29(土) 06:05:07
>>278
涙音が口にした疑問を受けて、自らの考えを語り始める。
「……『隕石がある』という話は本当でしょう。
最初に『隕石』の情報を掴んだのは『協力者』ではなく、
リーダー格のイズさんでした。
それ以前の段階では、外部の人間は『隕石の在り処』を知らなかったのですから、
場所を誤魔化すような嘘は言えないはずです」
「そして、私の説得に応じたことからも分かる通り、
イズさんは慎重な性格の持ち主なので、
『紅鏡町に隕石がある』と確信しなければ、実際に行動しなかったでしょう」
「これは予想ですが、おそらくイズさん達は、
最初から『捨て駒』だったのではないでしょうか。
彼ら4人に注意が向いている隙に、テルヤさんが『隕石を奪取する』ことが、
『協力者の計画』だったのかもしれません」
別れ際にイズが言い残した『狡猾な人物』であれば、
味方を出し抜く策謀も巡らせていただろう。
「『協力者の正体』は不明ですが……笹暮さんは無事に助けられました。
当時は負傷していましたが、涙音さんと同じように、
元気を取り戻しているでしょう」
あの時、笹暮を救えたのは幸いだった。
ふと彼の現在が気になったが、簡単に連絡を取ることはできないし、
そもそも連絡先すら分からない。
相手が『アリーナ所属』では、近況を知ることは困難だ。
「テルヤさんのスタンドは『ギリースーツ』で、
『隠密性』に特化した能力です。
涙音さんの『フォートレス・アンダー・シージ』と、
『ジャンル』が似ているかもしれませんね……」
カモフラージュとして着用する『迷彩服』と、
『狙撃手』のヴィジョンを持つ涙音のスタンドは、どちらも『軍隊』という共通点がある。
「――お疲れ様でした。
もうガナッシュは十分ですから、今から『仕上げ』に入ります」
バットの上には、淡いピンク色のガナッシュが多く並べられ、次の工程を待っていた。
「その前に――1つ食べてみてください」
新しいバットを準備しながら、涙音に『味見』を促す。
280
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/11/29(土) 18:36:07
>>279
「まぁ…本人が来ないということは
捨て駒だったのでしょうね。
とは言え単なる雇い主だとしたらそのくらいの扱いでしょうか…」
「…とりあえず笹暮さんが無事だったのは良かったです。
他の人にも被害が出ていないのも…幸いでしたね。」
無関係な人間が巻き添えになることは
避けられたのだろう。安堵した表情を見せた。
「隠密性…姿や気配を消すということですか?
うーむ、デザインと言うと、見た目が『兵士』っぽさがあるのですか…
でも戦う相手としては厄介ですね。それに…」
「その能力的に見ても他の4人は囮にするつもりだったと見ていいかも知れませんね。」
そう言って頷いた。
「ふぅー、結構疲れますね。この作業も…」
軽く手を振りながら答える涙音。
その表情はどこか嬉しそうだ。
「むっやっと味見ができます!
こういうのは作る側の特権ですね。」
そう言って歓びながら、一つだけつまむ。
「いっただきまーす。」
口の中にヒョイッと放り込む。果たしてその味は?
281
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/11/30(日) 03:22:11
>>280
さっき用意した新しいバットの上に粉砂糖を敷きながら、
幻の町で起きた『唯一の戦闘』を振り返る。
「テルヤさんのスタンドは『マイ・ソロ・ホロウウォーク』……。
おそらく『本体が動いている間だけ姿が消える』――そういったものでした。
最初から裏切る予定で送り込まれてきたとしたら、
涙音さんの言う通り『最適な能力』でしょう」
テルヤの能力と役割の関係について、涙音の意見に同意を示す。
「笹暮さんが『紅鏡町』を訪れた目的は、
『時間を繰り返すスタンド使い』である出雲さんを、
『アリーナ』にスカウトすることです。
そして、その役目も果たされました」
「……今までは確信に至らなかったのですが、
私は『隕石に繋がる可能性のある情報』を持っています」
薄桃色に染められたガナッシュを口の中に放り込むと、
濃厚な甘味と適度な酸味の甘酸っぱい風味が広がっていく。
ホワイトチョコレートとフルーツトマトピューレは相性が良く、
両方が合わさった味わいはクリーミーかつフルーティーだ。
刻んだドライトマトはドライフルーツのようなアクセントを生み出し、
全体に華を添えていた。
「――涙音さん、いかがですか?」
いよいよ次は『仕上げ』の段階に入れるだろう。
282
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/11/30(日) 21:48:55
>>281
「なるほど…
消えることができるスタンドなのですね。
騒ぎが起こっている間にこっそりいなくなることも十分できそうです。」
能力の詳細を聞いてより確信した様子を見せる。
「うーむ、つまりアリーナに行くことになったのでしょうか…
まぁ、場所次第では悪くないと思いますけど…」
笹暮のことを少し心配しつつ答える。
「隕石につながる…その情報とは何でしょうか?」
少し気になったようでじっと小石川を見つめてくる。
もし機密事項ならばこれ以上聞くつもりはなさそうだが。
…一通り話し終わった後で
ガナッシュがようやく口の中に入った。
「むぐむぐ…これは…」
目を輝かせながら答える。
「とても美味しいです!
チョコレートとフルーツトマト、どっちも違う甘さで
それでいて喧嘩しないでうまく溶け合ってます!
それとドライトマトの食感もなかなか面白いです。」
とても嬉しそうだ。どうやらとても良い出来だったようだ。
「ふむ、この調子ならきっと気に入ってもらえますね!」
283
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/01(月) 04:45:11
>>282
『アリーナ』に対する見解は、こちらも同意見だ。
現に『最中派』という極端な派閥も存在する。
しかし、笹暮は誠実な人間であると考えているので、
彼が属する派閥にも一定の信用があった。
「そう言っていただけて安心しました。
『室内遊技同好会』の皆さんにも美味しく食べてもらえるように、
最後まで心を込めて作りましょう」
ニコ…………
涙音の感想を受け取り、柔らかい微笑みで応じる。
「『隕石』を求めるイズさん達は、
同時に『鞘と刃』と呼ばれる何かも探していたようです。
その詳細は定かではありませんが、彼らは『絶大な力』だと話していました。
もし、これらが『同じもの』だとすれば……」
一呼吸する程度の間を挟み、涙音を見つめ返しながら口を開く。
「――『隕鉄の刀剣』なのかもしれません」
それが最終的に辿り着いた『結論』だ。
「この情報を涙音さんも覚えておいてください。
ただ、信頼できる人を除いて、あまり口に出さない方が良いでしょう。
現に『紅鏡町』では大きな争いが起きていましたから、
また誰かが傷付いてしまうことは避けたいのです」
スッ
テンパリングしたホワイトチョコレートが入ったボウルを、
粉砂糖を敷き詰めたバットの隣に置いた。
「……ガナッシュをチョコレートに浸してから、
粉砂糖の上で転がしていただけますか?
こうすることで、全体が斑なくコーティングされていきます」
手本を見せるように、一連の流れを淀みなく行う。
284
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/01(月) 23:30:19
>>283
「ふー、とても美味しかったですよ。
…後はこれに心を込める、ですね。」
精神的なものが効果はあるか…
というのはスタンド能力を持っている以上、あり得るかもと思えるのだ。
「むむ、鞘と刃?…
隕石から刀剣を造ったということですか?
しかしますますその…刀剣にどんな効果があるのかと思えますね…」
小石川の言葉を聞いて不思議そうに首を傾げた。
只者ではない隕石…ではなく隕鉄で作られた剣なのだ。
どんな価値があるのかナゾに思っているようだ。
「えっと、はい…よく覚えておきますよ。
それに…これらの話は、もしかしたら
アリーナの人の耳にも入ってしまうかも知れませんし…
何より、意外と近くに『雇い主』がいたりするかも知れませんし…ね。」
同意するように頷いた。
どんなものかは自分にはわからないが、それでもそこまでして欲しがる価値のあるものなのだろう。
またなにか起こるようなことがあってはいけない。
「ふむふむ、なるほど…
まるで粉雪みたいになるように、ですね?」
小石川の動きを真似するようにチョコレートにガナッシュを浸す。
ムラにならないように粉砂糖を軽く転がして見せる。
285
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/02(火) 04:24:16
>>284
涙音の手つきを見守りながら、自分もガナッシュを摘み上げる。
「……涙音さんも私も、自分に合ったサイズの服を着ていますね。
『心を込める』というのは、それと同じようなものですよ。
『相手の心に合うサイズ』を探すことです。
『室内遊技同好会』の皆さんは、全員が涙音さんと同年代の女の子ですから、
『同級生』にプレゼントするつもりで作ってみてください。
そうすれば、自然と心の籠もったお菓子に仕上がるでしょう」
ふと『最愛の人』――『彼』を思い出していた。
「いえ……既に『アリーナ』は『鞘と刃』を知っているはずです。
『テルヤさんがアリーナに身柄を拘束された』と言いましたが、
おそらく彼から情報を聞き出したでしょう。
もしかすると『どんな力を持つか』も把握済みかもしれません」
イズはテルヤを名指しで、『アリーナの尋問を受ければ吐くだろう』と評していた。
その通りの人物だとしたら喋っただろう。
また、『アリーナ』には数多くのスタンド使いが所属している。
その中に『吐かせる能力』が含まれていても不思議はない。
いずれにせよ、『アリーナ』が情報を得ていることは確実だ。
「少なくとも『紅鏡町』は消滅しました。
あの町に『鞘と刃』があったとしても、誰も手に入れることはできません。
しかし……」
「――『これで終わった』とは思えないのです」
もし、どこかに『鞘と刃』が現存しているとしたら、それは大きな災いを招きかねない。
286
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/02(火) 22:08:51
>>285
「心を込める…相手の心に合うサイズを探す…
なかなかいいことをいいますね。
そう考えるとなんだか、いいものが作れそうな気がしてきました。」
小石川の言葉を聞いて納得するように頷いた。
たとえとしてもとてもわかり易いのだ。
「それでは心のサイズに合わせて作り、更に素敵にデコレーションしましょう。」
そう言って微笑みかけた。
「ふむ…アリーナもそれを欲しがっているのでしょうか…
一体どんな力があるんでしょうね。」
どこか疑問でしょうがないようだ。
一体どんな力を持つ刃なのだろう…或いは鞘も?
「…結局未だに鞘と刃は見つからず…ですか。
これからも、そのアイテムを巡って争いが起こるのでしょうかね…」
不安が一瞬表情を曇らせる。
またなにか起こるのだろうかという不安がまだあるのだ…
287
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/03(水) 07:13:18
>>286
涙音に微笑を返し、『心』を込めてチョコレートにコーティングを施していく。
「『鞘と刃』に大きな力が秘められていることは確かですが、
それが何なのかは分かりません。
ただ、例えば『エクリプス』の手に渡ってしまえば、
良くないことに使われるのは予想できます。
『アリーナ』としては、そのような事態は避けたいでしょう」
実際そうなってしまったら、星見町全体に危険が及ぶ。
「今後、なるべく私も情報を集めたいと思っていますが、
今のところ他に手掛かりを見つけていない状態です」
今この瞬間にも、どこかで災いが進行しているかもしれない。
未来を予測することは困難だが、それを想定して備えておくことはできる。
だからこそ、互助組織である『サロン』は存在意義を持つ。
「……涙音さんは『特別な刺青』を彫ることでスタンドが目覚めたのでしたね」
以前ここで涙音と交わした会話が思い浮かび、何気ない口調で呟きを漏らす。
一般的な刺青というのは、まず針で皮膚を傷付け、
そこに色素を注入して絵を描く行為だ。
何か『引っ掛かり』を感じたものの、それ以上は掴み切れない。
288
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/03(水) 21:59:04
>>287
「…何にしても、そこまでして欲しがるものですからね…
エクリプスの生き残りが手に入れたら悪いことに使うのは目に見えていますね。
アリーナの人が手にしたら、普通に保管してくれるといいんですけどね…」
少し作業の手を止めながら考える。
アリーナの側にもよからぬことを考えている人間がいるだろうが
いずれにしてもエクリプスが持つよりはマシなはずだ。
「手がかりを探そうにも、そもそもどんな代物なのかもわからないですよね。
まさに雲を掴むような話です…」
軽くため息を付きながら答える。
刃だということがわかっても、それ以上何があるのかも不明だ…
「あ、はい。
刺青を彫り込んでもらうことでスタンド能力を手に入れたんです。
ただそれがあの人の能力だったのかはわかりませんけど。」
思えば、刺青を彫り上げるときにその様子を見ていなかったような気がする。
わからぬことだらけのままスタンド能力を得てしまったように思う。
「…或いは…なにか特別な『モノ』を使って彫っていただいたから能力を得たかですが…
…む…もし仮にそれが出来たとしたら」
「その刃というのに『スタンドを目覚めさせる力』…があるという可能性もありますね。」
あくまで仮定の話だが、涙音は答える。
同じような事例は自分が身を持って受けているのだから、ありえなくはないかも知れないと。
289
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/04(木) 11:20:12
>>288
涙音の言葉を聞いたことで、無意識下で感じた『引っ掛かりの正体』に気付いた。
「針と刃は両方とも『金属』で、
形こそ違うものの『鋭い』という共通点があります。
もし『材質』が似たものだとしたら、
それによって起こる『結果』も近いのかもしれません。
そして、そうだとしたら『絶大な力』と呼べるでしょう」
『刺青を彫った者』については知る由もないが、刺青なら針を使ったはずだ。
あるいは『特別な針』だった可能性もある。
『紅鏡町』に存在した『鞘と刃』も、『同一の特徴』を備えていたかもしれない。
「『スタンドを目覚めさせる刀剣』……この仮説が正しければ、
イズさん達や彼らの背後にいた人物が、
入念な準備を整えて動く理由になります」
誰でも『音仙』のような芸当が可能になるというのは、
計り知れない脅威に成り得るだろう。
「……おそらく『アリーナ』は、
『保管』よりも『破壊』を優先するのではないでしょうか?
『どの派閥が管理するか』で、不毛な争いが生まれかねません」
特定の派閥だけが強力な武器を得るという状況は、
『派閥の集合体』である『アリーナ』にとって、決して歓迎すべき事態ではない。
「涙音さんのお陰で『新しい手掛かり』を見つけられました。
『お互いを知ること』は大いに意味があるのです」
一見すると無関係に思える事柄が、時として予期せぬ形で繋がっていく。
『涙音がスタンドに目覚めた経緯』を知らなければ、ここには辿り着けなかった。
こうした『相乗効果』も、まさしく『サロン』の意義だ。
290
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/04(木) 21:42:56
>>289
「スタンドを目覚めさせる刀剣…もし刺青と同じような存在だとしたら
スタンド使いを『生産』することも可能になるかも知れませんね。
エクリプスがそのことを知って探しているならなおのこと
彼らのもとに渡ってしまうのは危険であると言えますね。」
刺青を彫ってくれたあの人はどのような方法で彫り上げたのかは彼女にもわからない。
しかしその可能性はありうること何度あろう。
「確かに、その刀剣の存在そのものが災いになりかねませんね。
破壊するのを選ぶでしょうか…もし出来たらですけど。」
材質も不明なので破壊可能なのかもナゾだろう。
更に…
「破壊するのであれば欠片一つ残さないくらいやらないと危なそうですね。
もし破片になっても効果があったら大変ですし…」
もう一つの危惧でもあるスタンド能力を覚醒させるものが『増える』可能性も涙音は考えているようだ。
「私でもお役に立てたのなら幸いです。
少なくとも、探し求めているものの『形』と『能力』について
憶測ではありますが掴むことが出来たと思います。」
そう言って頷いた。
自分がスタンドを覚醒させた話が、謎の解明に繋がったのならば
涙音にとっても嬉しい限りのことだろう。
291
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/05(金) 04:21:16
>>290
涙音の意見は的を得ている。
例の『刃』に対して、中途半端に壊すことは逆効果だ。
もし破壊する時は、この世から完全に消し去るつもりで、徹底的に行わなければならない。
「おっしゃる通り、破壊するという行為そのものが、
事態を悪化させてしまう可能性は考えられます。
ただ、『アリーナ』には大勢のスタンド使いが所属していますから、
相応しい能力を用意することはできるでしょう。
例えば、完全に『消滅』させてしまえるような……」
今のところ心当たりはないが、おそらく『星見町のスタンド使い』の中にも、
そういった力を持つ者は存在するだろう。
「ただ……それでも油断は禁物です。
万一のために『刃を消滅させられるスタンド使い』が必要になるかもしれません」
会話の最中も手を止めず、チョコレートを作り続けていた。
「……もうすぐ全て仕上がりそうですね。
これが完成したら冷蔵庫に入れて、
次は『ラベンダーのショートブレッド』に取り掛かりましょう」
調理は順調に進み、そろそろ『フルーツトマトのトリュフチョコレート』が出来上がる。
292
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/05(金) 23:28:13
>>291
「ふーむ、完全に消滅させられる能力ですか…
思い当たる人は、私の知る人の中には多分
居ないかな…」
そう言って首を傾げた。
とは言え、アリーナならばそういう人材もいる可能性はあるだろう。
「一応、こちらが先に手に入れたときのことも考えないといけないでしょうね。
もし意外と近くにあったら、大変ですから…」
万が一にもほどがあるとは思うものの、スタンド使いが集まる街なのだ。
そのようなことは考えておく必要があるだろう。
「と、もうすぐ出来上がりそうですね。
こうして話していると、なんだか直ぐにできてしまったみたいですね。
…色々と考えてたからでしょうか。」
涙音も一旦考えるのをやめて、お菓子の作業を手伝っている。
もうすぐ出来上がるのもあって、どこか楽しみそうだ。
293
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/06(土) 02:26:36
>>292
小石川自身、今まで多くのスタンド使いに出会ってきた自覚はあるものの、
『物体を消滅させられる能力』は見たことがなかった。
「仮に『鞘と刃』が現存しているとして、
『アリーナ』や『エクリプス』も動いているなら、
おそらく彼らが先に見つけるでしょう。
しかし、誰も『魔物』の存在を知らなかったように、
今後どういった事態が起こるか分かりません。
私達にできる範囲で、あらゆる可能性に備えておくべきです」
そう言った後、しばらくお菓子作りに集中し、完成まで進めていく。
「――『できあがり』ですね……」
やがて、乳白色のホワイトチョコレートでコーティングされ、
雪を思わせる粉砂糖を纏ったトリュフチョコレートが、バットの上に整然と並ぶ。
「あとは冷蔵庫で冷やしておいて、それからラッピングしましょう。
涙音さん、また『味見』をしてもらえますか?」
先程はガナッシュだったが、今度は完成品のトリュフを勧める。
294
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/06(土) 16:57:54
>>293
「そうですね。
サロンはそういう万が一の時のために設立された…という話を聞いています。
お母さんにもそのような事態を想定するように伝えておきますね。」
そう言って頷いた。
何が起こるかはわからないのだ。これからのことも考えなければならないだろう。
そんなこんなで小石川のお菓子作りを手伝い…
「ふう、出来ましたね。」
トリュフチョコレートがようやく完成した。
たくさん並んだそれを見て、とても嬉しくなってくる。
「む、また味見をしてもいいのですか?
もちろん喜んで!」
そう言って頷きつつ、一つトリュフを取ろうとする。
「あっ、直接触らないほうがいいですよね…」
ひとまずフォークなどがないかと確認する。
295
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/07(日) 06:40:29
>>294
フルーツトマトを混ぜた薄桃色のガナッシュを、
テンパリングしたホワイトチョコレートが包み、最後に粉砂糖でコーティングした。
見た目は白いトリュフで、その中身は食べるまで分からない。
もちろん涙音は知っている。
「ええ――『鞘と刃』のことは、笑美さんにも情報共有をお願いします」
ジャアァァ…………
次の作業のために、まずは流し台で手を洗う。
「……気を遣ってくださったのですね。
このトリュフに込められた『心』も、きっと彼女達に伝わってくれるでしょう」
ソッ
「どうぞ……これを使ってください」
涙音の配慮に感謝しつつ、引き出しから取った一本のフォークを差し出す。
296
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/08(月) 00:15:46
>>295
「んふふー、見た目も綺麗ですね。
これはとても美味しそう!」
出来上がってきたトリュフチョコを見て
すっかり嬉しそうな様子を見せる。
中に入っているフルーツトマトはまずわからないだろう。
「お母さんもきっとこのことを放っておかないでしょうね。
色々手助けしてもらえると思います。」
そう言って頷いた。
「フヒヒ、なんだかそう言われると照れてしまいますよ。
…保証できますよ。味は。」
フォークを受け取った涙音はニッコリと微笑む。
「ありがとうございます…それでは
いただきます。」
軽く会釈してから一つフォークに刺して口の中に運んだ。
想像できる。美味しいものに違いない。
297
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/08(月) 07:12:26
>>296
まず、きめ細やかな『粉砂糖』と『ホワイトチョコレート』が混ざり合い、
少しずつ口の中で溶けていく。
事前に『テンパリング』してあることによって、チョコレートは滑らかな舌触りが楽しめる。
その中心部分には『フルーツトマト』を使った『ガナッシュ』が収まっており、
こちらは先程と同じものだ。
しかし、全体をコーティングされた完成品は、より満足感のある味わいを堪能できるだろう。
また、『自分達で作った』という実感も、少なからず影響を及ぼしていることは間違いない。
「――……涙音さん、いかがでしょうか?」
涙音が味見している間に、使い終わった調理器具を片付けながら、
『トリュフチョコレート』の感想を尋ねる。
『小角宝梦の様子を探る』という目的はあるものの、
『室内遊技同好会』の『仲真紗蕗』と『大丸六花』に喜んでほしい気持ちも本当だ。
そして、もちろん『朱鷺宮涙音』にも美味しく食べてもらいたかった。
298
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/08(月) 17:30:57
>>297
目にも鮮やかなトリュフチョコレート。
見れば見るほど食べるのがもったいないが…
それでもひとくち食べてみる涙音。
「むぐむぐ…」
しばらく口を動かしていたが、すぐに表情がほころんだ。
「これは、美味しい!
チョコレートと砂糖のとろける感触もいいですけど、
その中からフルーツトマトの心地よい酸味が溢れてきます!」
よほど美味しかったのだろう。
すごく嬉しそうな表情で小石川に視線を向ける。
「むぅ、差し入れとするのがもったいないレベルですよ。
お店に出せるくらいです!」
涙音は笑顔で太鼓判を押す。
この調子なら、おそらくは同好会のメンバーも気にいるかも知れない。
299
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/09(火) 06:50:22
>>298
涙音が食べた後で、自分も同じように味見を行い、まもなく頷いてみせた。
「……ありがとうございます。
これは冷蔵庫で冷やしておいて、それからラッピングしましょう」
トリュフの載ったバットを持ち上げ、いったん冷蔵庫に収める。
「次は『ラベンダーのショートブレッド』を作りましょう。
まずはオーブンを160℃に予熱して、その間に生地を用意します……」
ピッ
口頭の説明と並行して、オーブンレンジを160℃に設定して予熱を開始する。
「ショートブレッドはバター・小麦粉・砂糖・塩で作るお菓子です。
今回は乳酸菌を加えて発酵させた『発酵バター』を使います。
芳醇な香りとコクの強い風味が特徴で、シンプルなお菓子と好相性です」
コト
「あらかじめ常温で柔らかくしておきました。
こちらのボウルにバターを入れますから、
泡立て器でクリーム状になるまで練ってください」
バターをボウルに投入しながら、再び涙音に手伝いを頼む。
「それから……『学園内の行動』についておさらいしましょう。
まず最初に何をするか――覚えていらっしゃいますか?」
実際に現場で動いてもらうのは、現役の『清月生』である涙音だ。
彼女を信頼しているが、万が一にも失敗することは避けたい。
そのために、ここで改めて『全体の流れ』を確認しておきたかった。
300
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/09(火) 19:32:45
>>299
「このままだともっと食べたくなっちゃいそうです…」
「さてさて、次のメニューも美味しそうな感じがしますねー。」
次に作るのはラベンダーのショートブレッドだ。
「ふーむ、バターに小麦粉と…
つまり卵を使わないクッキーみたいなものですか。
ラベンダーの香りは大好きですし、これもいい仕上がりにすれば
喜ばれるんじゃないでしょうか。」
そういいつつ、泡だて器を手に取る。
「もちろん、お手伝いはお任せください!」
自信あり!とでもいいたげな表情だ。
「学園内の行動ですか…えっと。」
少し手を止めながら考える。
少々考え事をしているようだ。
「確か…学校の中等部に噂を流していただきたいと言う話でしたか?」
301
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/09(火) 20:56:20
>>300
必要な材料を調理台に並べていき、また涙音に向き直る。
「ええ、丁度そのようなお菓子です。
それでは、お任せしますね……」
コト…………
薄力粉や塩と一緒に準備した砂糖の瓶には、ラベンダーの花が混ざっていた。
「これは『ラベンダーシュガー』と言って、
グラニュー糖にラベンダーの香りを移したものです。
私が庭で育てた花を摘んでおきました。
こちらをショートブレッドに使いましょう」
ボウルにラベンダーシュガーを加えると、優しく甘い芳香が漂う。
「いえ……今は状況が変わりましたので、噂を流すことは中止しましょう。
最初に『室内遊技同好会』の活動場所を見つけていただきたいのです。
あくまでも『同好会』なので、決まった部屋はないのかもしれません。
その場合は、『仲真紗蕗さん』と『大丸六花さん』を探してください」
彼女達の特徴は分かっており、涙音と同じ『中等部』であることも含めれば、
そこまで困難な大仕事ではないはずだ。
「……お二人の外見は覚えていらっしゃいますか?」
一応、念のために『齟齬』がないことだけは確かめておきたい。
302
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/10(水) 21:16:43
>>301
「了解しました。
早速…やっていきますね。」
そう言ってバターの入ったボウルを
泡だて器でかき混ぜ始める。
「ふむ、これは意外と力がいりますね…」
柔らかくなったとは言え、まだ個体であるバター。
混ぜるのには少々力がいりそうだ。
「…確かに、色々と場の状況が変わってしまいましたね。
えっと、室内遊戯同好会の活動場所ですか…
それだったら、二人のどちらかに声をかければ…
きっと活動場所に案内してくれますね。」
そう言って頷いた後、もう一つの質問を聞く。
「えーと、二人の外見ですか?
確か…仲真紗蕗さんは『明るい茶色の髪にベレー帽』で…
大丸六花さんは『三つ編みでメガネ』…でしたか?」
そういいつつも泡だて器を回し続ける。
「イメチェンしてない限りそうだとおもいますけど…」
303
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/11(木) 05:25:19
>>302
最初は固く感じるが、力を入れて混ぜ続けると、次第に柔らかくなってきた。
「泡立て器を使うとバターの中に空気が入って、
滑らかなホイップバターに仕上がります。
最初は難しいかもしれませんが、
しっかり混ぜた分だけ美味しくなりますので……」
「ええ――その通りです。
実際に教室を回るよりも、『職員室』で訊いた方が早いかもしれません。
涙音さんは同じ学校に通っているのですから、同好会に興味があると言えば、
『室内遊技同好会』の活動場所を教えてもらえるでしょう」
パラパラ…………
発酵バターとラベンダーシュガーの入ったボウルに、少量の塩を加える。
「仲真さんと大丸さんに会った後は、
『彼女達を捜していた理由』を話してください。
どんな風に説明する予定になっていたか、
私に教えていただけますか?」
あらかじめ涙音に伝えておいた手順を辿りながら、さらに確認を行う。
304
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/12(金) 14:47:45
>>303
「ん、段々と柔らかくなってきましたね。
この調子で行きますよ」
そういいながら、涙音はかき混ぜる手を早める。
ただしあまり激しくしすぎないように気をつけるのだ。
「あちこち回ってるとちょっと目立っちゃいますかね。
…同好会のことならひとまずお任せください。」
そう言って頷いた。
興味がないわけでもないのだ。少し同好会に対しての興味は純粋にある…
「えーっと、お二人に会いに来た理由についてですね。
確か…小石川さんが小角さんと連絡が取れなくて心配しており…
私が事情を確かめるという理由で会いに来た…という話をすればいいんですよね?
たしかお二人とはミステリーツアーの時にお知り合いになったんでしたよね。」
305
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/13(土) 07:42:26
>>304
涙音の答えに首肯を返し、薄力粉と粉ふるいを手元に引き寄せた。
「……ええ、その通りです。
ただ、彼女達は『スタンド』の存在を知らないはずですから、
あくまでも『普通に旅行した』という体裁を保つ必要があるでしょう。
もしかすると旅行中にトラブルがあったことは察しているかもしれませんが、
それについて尋ねられたら『聞いていないので分からない』と答えてください」
パッ パッ パッ
調理台にクッキングペーパーを敷くと、
その上から薄力粉をふるってダマを取り除き、粒子の間に空気を含ませる。
「それから……もし誰かが近付いてきたら、十分に注意してください。
小角さんの身に何が起きているか分からない以上、
学校内だからといって油断できません」
小角と連絡が取れないことに、もし何者かが関与しているとすれば、
涙音に接触してくる可能性も有り得るだろう。
「――二人を捜していた理由を説明した後は、
どうする予定になっていたでしょうか?」
サラ サラ サラ
全体が均一になった薄力粉が、一足早い新雪のように降り積もっていく。
306
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/13(土) 20:52:51
>>305
「あぁ、そうですね…
ツアーのことについては…スタンドを知らない人に
伝えるのは難しいでしょう。」
同意するように頷く。
ある程度かき混ぜたら視線を再び小石川に向ける。
「このくらいでいいでしょうかね…?」
いい感じに混ざったと感じたのだろう。
見た感じはちょうど良さそうだ。
「確かに、そうですね。
お母さんはあやしい人間が学園内にいるかも知れないと言ってましたし…
夏の魔物の件で…でしたね。」
香音という人物についての話は聞いている。
もし本当に学園内にイたら大変だろう。
「えーと、その後は確か小石川さんとの電話を繋いで…
そこでお二人とお話をする…でしたか?
もちろんスピーカーにして二人にも聞こえるように…」
307
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/14(日) 03:46:33
>>306
しばらく練っていると、
ボウルの中でバター・ラベンダーシュガー・塩が混ざり合い、
空気を含んだクリーム状に変わっていた。
「――ちょうど良い具合ですね。
次は、このボウルに薄力粉を加えて、切るように混ぜていきます。
ここからは私が担当しましょう」
ス…………
涙音に代わってボウルの前に立ち、ゴムベラを手にして生地を混ぜ始める。
「香音さんが清月生かどうかは定かではありませんが……
そちらの件も併せて注意をお願いします」
涙音の言葉に頷く。
以前、遊部が連れてきた香音も、不審な点がある人物だ。
小角の消息に関わっている確証はないものの、彼女にも注意を払わなければならない。
「……それで間違いありません。
ただ、あれから考え直してみて、
『ビデオ通話』が適切であると感じました。
お互いの顔が見えた方が話しやすいと思うのですが、
涙音さんの意見を聞かせてください」
その場合も、おそらく『ここ』で話すことになるだろう。
308
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/14(日) 19:10:57
>>307
「どうもありがとうございます。
結構かき混ぜたのでちょっと腕が疲れちゃったので…」
そう言って両手をブラブラとさせる。
スタンドを使えばもっと楽だろうが、それはしないようだ。
「通っていない可能性もありますが…
あの話をするためにあえて学校に潜入しているという可能性もあります。
探りまわるのは警戒されそうですね…顔を合わせていますし…」
同意するように答える。
夏の魔物の件に参加しているため、顔は割れているのだ。
「ふう、どうやら正解みたいですね。
…ふむ、ビデオ通話ですか。確かに単なる通話よりも
顔を合わせての会話のほうがわかりやすいと思います。
それに、実際に心配しているということを信用してもらえるでしょうし。」
どうやら涙音はビデオ通話に同意しているようだ。
そのほうが話が早いと思ったのだ。
309
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/15(月) 06:45:23
>>308
切るように混ぜていると、徐々に粉っぽさがなくなり、一つの生地として馴染んでいく。
「仲真さんと大丸さんから小角さんのことを聞ければいいですが……
もし何も分からなかった場合は完全な『手詰まり』になります。
くれぐれも慎重に動きましょう」
この線を追うことが唯一の手掛かりであり、
もし失敗してしまえば、これ以上の追跡は不可能になる。
「……涙音さんの『フォートレス・アンダー・シージ』について、
改めて話していただけませんか?
もちろん大体のことは分かっています。
ただ、まだ私が知らない部分があれば、念のために教えてください」
涙音の能力は概ね把握していた。
『攻撃に向かう的』を設置する人型スタンドで、
破壊力・スピード・精密性を兼ね備えたヴィジョンに加えて、
ライフルという武器を有する強力なスタンドだ。
本体である涙音は穏当な性格であるものの、
極めて戦闘向きのスタンドと言えるだろう。
「例えば『魔物事件』で使われなかった力など……」
学校で『FUS』を出すような場面はないと思うが、万一の可能性が有り得るかもしれない。
310
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/15(月) 23:11:24
>>309
「ふーむ、あの二人がなにか知っているといいのですが…
それもありますけど、なにより…
他の無関係な人まで巻き込むことになることは避けたいですね…」
もちろん小角の手がかりを探ることも大事だが、
もし危険なことに他の人を巻き込むことになってしまったら、という危惧もあるのである。
「私の能力ですか?
そうですね。お互いの能力を改めて把握しておきたいですね。
それでは改めて能力を説明しますね。」
そう言うと涙音は
「では…『フォートレス・アンダー・シージ』」
ドギュゥン!!
自身のスタンドを発動させた。
傍らに佇むのは屈強そうな兵士の姿。
ライフルを抱えており、その姿はいかにも強そうだ。
「以前もお見せしましたね。
私のスタンドは弾丸を撃ち込んだ相手に『的』を設置する。
そしてその的は攻撃に向かうように動きます。」
そう言ってから更に、自分のライフルをよく見せる。
「そしてもう一つ…『ナイト・カレス』は…」
ギュンッ! とライフルにスコープが発現する。
「新たに追加されるスコープ。これによって狙いはより定まり、
弾丸の射程も『200m』に延長することが出来ます。
ただし、精密に狙うには数秒を要します。」
と、改めて能力を説明した。
「ああそうだ。攻撃を受けた『的』は受けた瞬間に急停止し、慣性を失います。
これは解除した場合も同様ですから、応用はできるかと。
…的は破損するか、攻撃を『6回』受けたら強制解除です。
的の設置最大数は…同じく『6個』ですね…」
「ふむ、もっと私のスタンドで聞きたいことがあれば…お願いします。」
なにか役に立てられただろうか、と涙音は期待している顔で答える。
311
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/16(火) 08:14:22
>>310
生地を混ぜていた手を止めて、
『フォートレス・アンダー・シージ』を見つめ、涙音の説明に耳を傾ける。
「『ナイト・カレス』……そんな能力があったのですね」
『兵士』に向けられていた視線が、『ライフル』から『スコープ』に移っていく。
かつて涙音と共闘した経験はあるものの、これは見覚えがない。
やはり、まだ知らない部分が残されていたようだ。
「――それは『成長』によるものですか?」
自分自身に当てはめて、そのように判断した。
「『ナイト・カレス』は『200m』まで狙えるそうですが、
『的』の射程距離を教えてください。
つまり、『スコープ』で狙った場合にも、
『的』を設置できるのかということですが……」
『的』の設置が不可能だとしても、
『200m先』からの『超精密長距離狙撃』を察知できるスタンド使いは、
そうそういないだろう。
ほぼ確実に不意を打てるだけで、十分すぎるほど頼りになる能力だ。
もちろん、その力を使う必要がなければ、それに越したことはない。
「それから……望遠鏡や双眼鏡には、倍率を変えられるものがありますが、
『ナイト・カレス』にも『ズーム』は可能でしょうか?
あるいは、他に『特別な機能』があれば、そちらも併せてお願いします」
一通り質問を終えると、再びゴムベラを動かし、また生地を作り始めた。
312
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/16(火) 12:35:00
>>311
「フヒヒ、個人的に気に入ってるんです。こちらのスコープは。
いかにもスナイパーっぽいですよね?」
そう言って軽く見せびらかしている。
気に入っていることがうかがえるだろう。
「…まぁ、そうですね。
夏の魔物のときにも少し使ってはいましたが…
エクリプスとの戦いの後に『成長』をすることが出来ました。
色々ありましたので」
どうやらエクリプスの戦いの後に手に入れた能力であるようだ。
死線を一度くぐり抜けたことによる成長なのだろうか。
「うーむ、一度試したことがありますが…
たとえ200mまで射程を伸ばしたとしても
『50m』よりも遠くへ『的』の設置はできませんね…
一応銃弾自体にもそれなりの威力(パC)はありますから
不意のダメージを与えるくらいのことはできると思います。」
実銃ほどではないが、彼女のスタンドの弾丸はそこそこの威力がある。
それを長射程から撃てるということは強みになるかも知れない。
「ふむ、確かに『ナイト・カレス』にはズーム機能が搭載されています。
少なくとも射程内であればバッチリ見えると思いますよ。」
これもまた、一つの強みとなるだろう。モノを遠くから見るというやり方で使えるかも知れない。
「後は…そうですね。最初から『スコープ』を付けた状態でも発現できます。
精密な狙撃をするにはスコープを覗くことが必要…という感じでしょうかね。」
そう言ってじっとお菓子を作る様子を眺める。
「どうでしょう…参考になりましたか?」
313
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/17(水) 04:45:16
>>312
スコープを自慢する涙音を見て、柔らかい微笑みで応じる。
「――そうですか……」
成長の経緯について、それ以上は言及しない。
この場で訊かなければならない理由はないし、おそらく並々ならぬ戦いだったのだろう。
そういった背景を考慮に入れると、簡単に触れるべきではないと感じた。
「今後、『狙撃手』として力を貸していただく機会も、
いつか有り得るかもしれません。
今すぐ必要ではありませんが、万一のために、
何か『合図』があれば役立つでしょう」
もしかすると涙音が喜ぶのではないかと思い、そのような話題を振った。
「……もう少し知りたいのですが、
『的』を設置する際に制限はあるのでしょうか?
例えば、『生物』や『スタンドに対しても、
『無生物』と同じように能力を行使できますか?」
────ピタ
「それから……相手の『大きさ』は問わないのでしょうか?」
まもなくゴムベラを動かす手を止め、生地の出来具合を確認する。
「――涙音さんが疲れていなければ、また手伝っていただけますか?
この生地を手で捏ねて、ちょうど良い一塊にしてほしいのです。
その工程が終わったら、概ね全体の半分は完了しますよ」
再びボウルを涙音に託し、まな板と麺棒の用意を始めた。
314
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/18(木) 00:01:54
>>313
「どうもありがとうございます。
そうですね、狙撃手として活用させていただけたら
嬉しいです。私も…ある程度は激戦を越えてきたので
なんとかなる気がしますよ!」
過去に色々あったことを特に気にしていない様子だ。
不幸などを乗り越えるにはこれくらい前向きになる必要があったのかも知れない。
「ふむ、的の設置の件ですか…
生物にも的は設置できますね。
ある程度設置に適したものである必要はありますが…」
設置されても違和感を感じないもの。という制限があるのだ。
サンドバッグを人間にぶら下げる。といったことも不可なのだろう。
「ふむぅ…大きさについては上限はワゴン車くらいの大きさが限界ですかね…
あくまで動かせる的としてですが…
設置できる場所の上限はおそらくないと思いますが…
まぁ、生きものには大体できると思いますよ。」
少なくとも人間までのものは設置したことがあるが
どこまでの大きさの相手まで可能かは少し曖昧そうだ。
「あっ、ちょうどよかったです。
それじゃあ早速手伝いますよ。」
少し嬉しそうに手を動かすと、
ゆっくりと手で生地をこね始める。
多少休んだ効果は出ているようだ。
315
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/18(木) 06:11:07
>>314
涙音の過去を考えて、明るく振る舞おうと意識したが、その必要はなかったようだ。
彼女が強いことは分かっている。
ただ、それを信じればいい。
「……最初に思っていた以上に、色々なことができるようですね」
『フォートレス・アンダー・シージ』の能力は、
『トループス・アンダー・ファイア』と似ている。
ただ、違っている部分も少なくない。
やはり、別々の存在にスタンドを引き出されたことが関係しているのだろうか。
「それが終わったら、成形した後で食べやすくカットしましょう。
焼き上がったものは味見していただきますので、また感想を聞かせてください」
生地を捏ねる作業は涙音に任せ、予熱しておいたオーブンの様子を確認する。
「涙音さんもご存知かと思いますが、
私は『スタンドを使わない』というルールを、
今の自分自身に課しています。
その間、色々と考えることがありました……」
涙音の隣に戻りながら、再び口を開く。
「例えば……人間として強い人は、
スタンドに頼らなくても窮地を切り抜けられるということです。
私は、それを実際に体験し、まだ自分が未熟であると感じたのです」
ある日、『神社』で起きた出来事を振り返り、同時に『巫女』の姿を思い出す。
316
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/18(木) 20:43:40
>>315
「ふむ、そうですね…
できることが多いと却ってどうすればいいのかなーって
迷ってしまうことも多くなるんですけどね。」
少し困った顔をしながら答える。
とは言え見た感じでは、そこまで悩みのタネというわけでもなさそうである。
「了解です。
試食が楽しみになってきました。」
嬉しそうな顔でこね回す作業を続ける。
出来立ての味見は料理づくりの特権だろう。
「スタンドを使わない…
そうですね。出来うる限り私も使わないようにしています…
万が一の時以外に使わないようにと」
小石川の言葉に同意するように頷いた。
「人間としての強さ、ですか…
確かに、スタンドの強さはそのままその人の強さとなるわけではないです。
でも…きっと己が強くなれば、スタンドも答えてくれるかも知れません。」
「小石川さんは、夏の魔物の時からずっと強くなっていると感じます。
サロンを設立して、色んな人と協力することを考えて…
私にはちょっと出来ないことですよ。」
そう言って微笑みかける。
317
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/19(金) 06:30:22
>>316
涙音の手で形を変えていく生地には、ラベンダーシュガーに使われた花が混じっており、
フローラルな香りと共に彩りを添えている。
「これは実践する前から分かっていましたが……
『スタンドを使わない』という試みは、かなり個人差が出ます。
私や涙音さんのように、日常的に使用していない場合、
ほとんど『普段通りの生活』を送ることになるでしょう。
その中で何かを見つけられるかどうかは、結局のところ『その人次第』です」
今日まで続けてきて、『スタンドを出せなくて困った場面』は滅多になかった。
そういった点を踏まえても、万人に勧められるものではない。
しかし、大切なのは『機会の活かし方』だ。
ただ漫然と過ごしているだけでは、大きな変化は起こらないだろう。
何かを見出そうとする心構えが伴うからこそ、自然と新たな発見に繋げられる。
「少なくとも、私は『気付き』を得られました。
涙音さんが言われたように、『一人の人間』として強くなれば、
その人は『スタンド使い』としても強くなれます……」
軽く目を閉じてから、すぐに開く。
「……それら両方において、まだ私は未熟者です。
だから、『もっと強くなりたい』と感じ、『もっと強くなれる』と思うのです」
やんわりと涙音の言葉を受け止め、自分の両手を見下ろす。
『スーサイド・ライフ』と『ビー・ハート』――初めて自覚してから長い付き合いになるが、
完全には向き合いきれていない。
それを掘り下げるためにも、自ら『スタンドの見える一般人』として過ごした日々は、
良い『きっかけ』になっていた。
318
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/19(金) 23:28:12
>>317
「ふむ、私もたまーにしか使いませんね…
さほど困ることはありませんでした。
…色々とぶつかりましたけど。」
そう言ってみぞおちを軽く撫でる。
彼女はどうやら自分に降りかかる『不幸』を回避するのにたまに使っているようだ。
「なるほど…自分がまだ未熟だという『理解』を得ることで
更に強くなれる、ということですか…
私もなんとなく理解できます。
スタンドはあくまで『きっかけ』でしか無いですからね」
そう言って頷いた。
「自分を見つめ直すことが自分の強さに繋がる…
私もそう思います。
きっとその気付きを得るのも強くなったと言えるかも知れませんね。」
小石川の言葉に共感を多く得ているようだ。
自分が能力を得ようと思ったきっかけも『不幸』に立ち向かうためであった。
そして自分自身を見つめ直す余裕もできたのだ。
「ならば小石川さんはもっと強くなるでしょう!
私が保証します。」
そういったところで、捏ねる動作を止める。
「ふう、いい感じに出来たと思いますよ。」
そう言って生地の様子を見せる。
丁寧に作ったため、ちょうどいい塊になっているだろう。
319
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/20(土) 03:08:12
>>318
涙音に頷いた後、ボウルから生地を取り出し、まな板の上に載せる。
「まず、この麺棒で1cmの厚さになるように伸ばします」
ゴロ…………
生地の上で麺棒を転がすと、適度な厚みを持った四角い形が出来上がった。
「それから、仕上げ用のラベンダーシュガーをまぶします」
サラ サラ サラ
全体にグラニュー糖とラベンダーの花を振りかけていく。
「次は、食べやすい大きさにカットしましょう」
トン トン トン
トン トン トン
包丁を手に取り、片手で摘める程度のサイズに切り始める。
「――『できることが多いと迷ってしまう』とおっしゃっていましたが、
そうした場合は『できることを減らしてみる』と捉えやすくなりますよ。
例えば、能力を使わずにヴィジョンだけで解決する方法を考えるなど……」
「そうすることによって、
今まで気付かなかった新しい使い方を発見できるかもしれません。
私が行っている『一般人に近い立場』に身を置く試みも、
それと同じようなものです。
たとえスタンドが使えなくても、本当に強い人であれば、
きっと何らかの方法を見つけられるでしょう」
「そして、『できること』を徐々に増やしていけば、
自分自身について理解を深める助けになるのではないでしょうか?」
手際良く作業を進めながら、自らの思うところを語る。
320
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/20(土) 18:48:40
>>319
「ふむふむ、いい感じの形になってきましたねー。
目にも鮮やかで美味しそうです…」
ラベンダーシュガーをまぶされた生地は
一気に鮮やかな雰囲気が出始めている。
「できることを減らしてみる…ですか。
確かに…私のスタンドは力も器用さも結構ある方ですし…
他のことで色々できるかも知れません。」
人型のヴィジョンはできることも多い。
その点で言うと彼女のスタンドはできることが多いのかも知れない。
「後は…はい、できることを増やすことで応用力も強くなる…かも知れませんね。
もしかしたら、今までできなかったことも見えてくるかも…」
そう言うと、頭を軽く下げて
「ありがとうございます。
小石川さんのアドバイス、参考にさせてもらいますね。」
感謝の言葉を述べた。
涙音にとって、能力の使い方の道筋になるのかも知れない。
321
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/21(日) 03:57:56
>>320
いったん手を止めると、隣に立つ涙音を見つめて穏やかに微笑んだ。
「……お役に立てたのでしたら、私も嬉しく思います」
トン トン トン トン トン
そのまま包丁を動かし続け、まもなく切り分ける工程が完了した。
「あとは焼き上げれば完成ですが……その前に模様を付けておきましょう」
スッ
引き出しから爪楊枝を取り出し、調理台の上に置く。
「これを使って、生地の表面に穴を開けてください。
基本的には等間隔に配置すれば、見栄えも良くなりますよ」
ショートブレッドに模様を入れる作業は、涙音にも手伝ってもらいたい。
「――小角さんにも食べていただきたかったのですが……」
使い終わった調理器具を片付けながら、ふと小角の顔を思い浮かべる。
もし彼女が危険な状態に置かれていたら。
小角の能力を考えれば、それは大いに有り得る可能性であり、
だからこそ心配は尽きなかった。
322
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/21(日) 21:22:17
>>321
「はい…スタンドについてはまだまだ
私は未熟です。」
そういいながらも小石川の感謝を感じられる表情だ。
「おお、そろそろ完成ですね〜。
…あっ、これで穴を開ければいいんですね。」
そう言って爪楊枝を手に取った。
「そう言えばこういう形のものに…
穴がこういうふうに空いているのをよく見ますね。
こうしたら、ちゃんと焼けるんですか?」
そういいつつ、慎重に爪楊枝を生地に向けて刺していく。
「…大丈夫ですよ!」
小石川の表情を見て、涙音は顔を上げる。
「小角さんのために…また作りましょう!
今度はサロンに招待して、できたてほやほやのやつを用意して!
ほら、またお菓子は作れますから。」
彼女なりの励ましなのだろう。
お菓子は何度も作れるのだから
後でまた、お菓子を振る舞ってしまおうということなのだ。
323
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/22(月) 05:05:31
>>322
涙音の顔を見つめ返す表情には、隠しきれない不安が滲み出ていた。
しかし、今は涙音が隣にいてくれる。
それが何よりも心強く、同時に嬉しかった。
「――涙音さん……」
目を伏せながら、静かに口を開く。
「私は……小角宝梦さんを『サロン』に迎える意思はありません。
もし彼女が危険な目に遭っているなら、
私が力を使わせたせいかもしれないからです。
だから、無事を確認できた後は、もう二度と関わらないつもりでした」
その声色には、どこか物悲しいような寂しさが感じられた。
「でも、『小角さんにも食べてほしい』という気持ちも本当です。
もし叶うなら、労いの意味を込めて渡したいと思っています」
ニコ…………
「……『小角さんの分』は、別にラッピングしましょう」
やがて自らの想いを告げ、涙音に微笑みかける。
涙音の意見と同じではないものの、励まされたからこそ、
『小角の分を用意する』という考えに至ったのだ。
そこには大きな意味があった。
「表面に穴を開けておくことで水分が抜けやすくなり、
サクサクした軽やかな食感が生まれるのです。
もうすぐ出来上がりですから、また味見してくださいね」
穴開けの工程は順調に進んでいき、残っているのは半分程度だろうか。
324
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/22(月) 23:02:30
>>323
「…そう、ですか…
小石川さんがそう思うならそうします。
でも…小角さんとはいいお友達で居ましょうよ。」
小石川の様子を見て、励ますように声を返す。
関わらないで居続けるのは、もしかしたらどちらにも辛いかも知れないと思ったのだ。
「それじゃあ、おみやげとして小角さんにも渡しましょう。
きっと美味しいと言ってくれると思いますから。」
小角へとお菓子を渡す。その思いはどちらも一緒だ。
無事であると信じるからこそ、彼女の分まで作っておくのだ。
「なるほどねー。
あのポツポツにそういう仕組があったとは…
それじゃあもう少しで出来ますので…」
そう言って順調に穴を開けていく。
意外と手慣れているようだ。
「味見!もちろんさせてもらいます!」
325
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/23(火) 07:03:50
>>324
こちらの気持ちに理解を示してくれたことに対する謝意と、
涙音の気持ちに対する同意を込めて頷きを返す。
「焼き上がりを待つ間、一緒に『お手紙』を用意しましょう。
小角さんに渡していただく分には、そちらも添えておくのです。
たとえ何かがあったとしても、『必ず渡したい』という思いを込めて……」
穴を開ける作業を行いながら、さらに言葉を続ける。
ただお菓子を渡す以上に、きっと『心』が伝わるはずだ。
もし小角と話せなかった場合も、ある程度は対応できるだろう。
「――ちょうど良い模様を付けられましたね……」
やがて、穴開けの工程も滞りなく完了した。
オーブントレイにクッキングシートを敷き、そこに生地を並べていく。
あらかじめ予熱しておいたオーブンに入れて、その中で焼き始める。
「……完成まで20分ほど掛かりますので、
先程お話した手紙を準備しておきましょうか」
────ピッ
まず手を洗い、キッチンタイマーをセットしてから、
お菓子に添える手紙を書くためにリビングへ向かう。
326
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/23(火) 22:28:11
>>325
「ふむ、お手紙ですか。
小角さんに対しての手紙…
書くとしたら、ご病気を心配する文章になるでしょうね。」
なにかあったとしても、まずは普通に友人としての文章を書くことが必要だろう。
「ふむ、よく出来ましたね。
そろそろ…完成しそうです。」
オーブンの中に入った生地を見て
楽しみそうな表情を浮かべる。
「そうですね…お手紙…
どんな内容にしましょうかね。
色々考えないと…」
涙音も後をついていく。
どんなことを書けば良いのか、多少悩みどころだ。
327
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/24(水) 05:56:54
>>326
リビングに戻ってきた後でキャビネットを開け、
そこから筆記用具とレターセットを取り出して、テーブルの上に載せた。
「私が小角さんと知り合ったのは、スタンド使いになって間もない頃でした。
しばらくは会う機会がなかったのですが、
『ミステリーツアー』に参加した際に再会したのです。
そして、『魔物事件』でも呼びかけに応じてくださいました」
「――にゃ……」
それから、自分もソファーに腰を下ろす。
向かいの席では、帽子猫の撫子が目覚めたところだった。
以前も訪れた涙音のことを覚えているらしく、観察するように眺めている。
「涙音さんも、小角さんと顔を合わせていらっしゃると思いますが……」
かつて『20人のスタンド使い』を集めた時に、2人も対面しているからだ。
しかし、それ以前に面識があったかどうかは把握していない。
もっとも、同じ学校に通う同性かつ同学年の生徒なのだから、
会話を交わしたことがあっても何ら不自然ではないだろう。
サラサラサラ…………
涙音に話しかけながらペンを取り上げ、静かに筆先を走らせ始める。
────────────────────────────────────────
小角宝梦さんへ
朱鷺宮涙音さんと一緒に、この手紙を私の家で書いています。
長く連絡が取れず、心配していました。
お加減いかがでしょうか?
今後もし可能であれば、どこかで会って、
お互いの近況などを話すことができればと思っています。
それが難しい場合は、電話やメッセージでも構いません。
今、黒猫を飼っています。
脚の短い長毛種で、とても大人しい性格です。
撫でられることが好きなので、撫子と名付けました。
いつか、また落ち着いた時に、小角さんのことも聞かせてください。
小石川文子より
────────────────────────────────────────
コト
「……涙音さんから見て、どこか不足している部分はありますか?」
ひとまずペンを置き、涙音に感想を求める。
328
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/24(水) 21:35:31
>>327
「へぇ、そうだったんですか…
ミステリーツアーで色んな人と出会いがあったんですね…
夏の魔物でもいろんなことに協力していただいて…
小石川さんと小角さんが色んな人を繋いでいったんですね。」
夏の魔物事件のことを思い返しながら感慨深げに呟く。
本当にいろんなことがあったと思いながら頷いた。
「ああ、私と小角さんはその…
割と出会いは偶然でしたね。
転びそうになった彼女を偶然助けて…
まぁそれから知り合いになりました。」
どうやら夏の魔物より前から知り合いであったらしい。
「手紙を早速書くんですね。
ふむ…」
じっと手紙を確認する。
「見た感じ、いい感じの手紙だと思いますね。
…せっかくだからかわいい猫ちゃんの写真も一緒に
添付してみたりとかどうでしょうか。
あとは…ふむ、体調を崩していると聞きました、みたいなことを言うと
心配の気持ちが伝わってくるかな…と思いますが。」
小石川の手紙は優しい気持ちが伝わってくる感じがする。
後はこれくらいでいいか、と提案をしてみる。
329
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/25(木) 08:12:45
>>328
涙音の言葉を傾聴し、しばし考えた後で口を開く。
「健康状態については『ここ』で触れているのですが、
きっと分かりにくかったのでしょうね……」
手紙の『お加減いかがでしょうか?』という部分を指差す。
これは怪我や病気で療養中の相手に使用する表現で、逆に健康な人間には使わない。
つまり、小角の体調不良を知っていることを、先方に知らせる意図も含んでいる。
「……正直に言うと、私は『これは体調の問題ではないのではないか』と考えています。
だから、病気を建前にするようで気が引けてしまったのですが、
小角さんに気持ちが伝わらなければ意味がありません。
涙音さんの意見を参考にさせていただきます」
────スッ
「撫子の写真は……実際に会ってほしいので敢えて同封しないつもりでしたが、
喜んでもらえるのなら添えるべきでしょうか?」
新しい便箋を用意し、涙音の手元にも同じ物を置き、ペンを差し出した。
「よろしければ、涙音さんも書いてみてください。
あまり気を張らずに、短いものでも大丈夫ですよ」
以前からの知り合いなら、色々と積もる話もあるだろうと考えて、
涙音にも手紙を書くことを勧める。
330
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/25(木) 21:24:04
>>329
「ええ、こんな感じで大丈夫でしょう。
…もしかしたら体調の問題じゃないかも知れませんが…
それでも余り踏み込んだことを言うよりは、心配という思いを告げるのが良いかと思いまして…」
彼女が考えたのは、あんまり探ろうとする発言を自重したいという思いだろう。
「ふむ、実際にあってほしいですか…
たしかにそのほうがいいかもしれませんね。
帽子猫の見た目で興味を引くというのも考えたんですが…」
小石川の考えを聞いて、それならばいいだろうか。とも考える。
涙音もそこまで細かい指示をするつもりはなさそうだ。
「…あっ、はい。
私も書いてみますね。
ふむ…とはいえ…」
少し考えながらペンを受け取る。
「どういうふうなことを書くべきでしょう…」
そう思いながら少しペンを回して考え事をする…
「……ふむ、こんな感じでしょうか。」
少し考えてから、サラサラと書き始めた。
────────────────────────────────────────
小角宝梦さんへ
小角さん、お久しぶりです。夏の魔物の時以来ですね。
しばらく会えなかったのでちょっと心配に思い
どうせなら、思いを込めてみようと思い、ペンを取りました。
せっかくなので、どこかでお話ができればと思います。
体調が優れないのであれば無理強いはしませんが…
そうであれば、メールなどでのやり取りでも私はOKです。
うちのお母さんもあの時のお礼を改めて言いたいそうです。
今度はうちの妹ちゃんと一緒にお話しませんか?
朱鷺宮涙音
────────────────────────────────────────
「うーむ、いざ手紙を書いてみると…
ちょっと自身がなくなってきますね。」
どうやら文面は出来たようだ。小石川にもこの手紙を見せる。
331
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/26(金) 05:07:48
>>330
小角を心配する気持ちは本当だが、
それが単なる体調不良によるものである可能性は低いと考えていた。
ここで『体調を崩していると聞きました』と書くのは、
彼女に対して嘘をつく形になってしまうのではないか。
そのように感じていたからこそ、
『お加減いかがでしょうか?』という控えめな表現に抑えていたのだ。
しかし、涙音の助言は相手を思いやる『優しい嘘』だろう。
時として、そういった方便も必要になるということを思い出す。
「――……『思いを込めてみようと思い、ペンを取りました』というのは、
とても素敵な言い方だと感じます。
きっと涙音さんの気持ちが伝わりますよ」
サラサラサラ…………
────────────────────────────────────────
小角宝梦さんへ
朱鷺宮涙音さんと一緒に、この手紙を私の家で書いています。
朝山さんから体調を崩していると聞き、
長く連絡が取れずに心配していました。
その後、お加減いかがでしょうか?
今後もし可能であれば、どこかで会って、
お互いの近況について話す機会を作りたいと思っています。
それが難しい場合は、電話やメッセージでも構いません。
今、黒猫を飼っています。
脚の短い長毛種で、とても大人しい性格です。
撫でられることが好きなので、撫子と名付けました。
いつか、また落ち着いた時に、小角さんのことも聞かせてください。
小石川文子より
────────────────────────────────────────
改めて書き直すと、ペンをテーブルに置き、涙音に向き直る。
「『撫子の写真』の代わりに……
『私達の写真』を同封するというのはいかがでしょう?
小角さんが元気になれるような写真を撮って、同じ封筒に入れておくのです」
こちら側の様子を伝えられるし、小角にも喜んでもらえるかもしれない。
332
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/26(金) 15:56:31
>>331
「フヒヒ、ちゃんと思いが伝わりますかね?
そう言っていただけると、私も嬉しいです。」
彼女の顔はとても嬉しそうだ。
涙音は思ったままの内容を書き記すことを考えていただけに
他の人から良いと判断されることは嬉しかったようだ。
改めて書き直された手紙を確認して…
「ふむ、これはいい感じの手紙だと思います。
これだと心配という気持ちもより良く伝わる…と思います。」
うん、と涙音は頷きながら答える。
手紙の内容を気に入ったようだ。
「私たちの写真ですか。たしかにそれなら…
元気になってもらえそうな気がしますね。」
そう言ってあたりを確認する。
「あぁ、写真ってことは…カメラが必要になりますかね。」
333
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/27(土) 06:58:38
>>332
便箋を丁寧に折り畳み、セットになった封筒に入れる。
このレターセットはアンティーク調のデザインで、
蓋と封筒本体にボタンのような部品が付いていた。
それらに付属する紐を巻きつけることで閉じられる『玉紐付き封筒』だ。
この手紙も贈り物の一つである以上、なるべく小角の好みに合わせたい。
彼女も『室内遊技同好会』の一員なら、
こういった『仕掛けのあるもの』が喜ばれるのではないだろうか。
「……大丈夫ですよ。
『これ』で撮ったものをプリントして添えます」
自分のスマートフォンを取り出し、目の高さに持ち上げる。
「『撮影してくれる人』が必要になりますね……」
この場には2人しかいないが、それが可能な方法はあるはずだ。
「『フォートレス・アンダー・シージ』で撮影していただけませんか?
撮る時には……立っていた方が良いでしょう」
スゥッ
ソファーから立ち上がり、スマートフォンを涙音に差し出す。
ライフルの代わりにカメラを構えてもらおうという意図だ。
どちらも『狙いを定める』という共通点があり、
『狙撃手』である『FUS』の得意とする分野だろう。
334
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/27(土) 22:36:27
>>333
「この封筒も結構いいデザインですね。
なんだか、おしゃれな感じがします…
レトロな雰囲気も興味を引くでしょうか。」
封筒を興味津々に眺める。
室内遊戯同好会となれば、一昔前のレトロなゲームを思わせるものが似合うだろう。
「ああ、プリントすれば…写真はできますね。
それなら、ぜひやりましょう。」
そう言ってちょうど小石川と並ぶように近くに立つ。
「…ふむ、こういう時に違和感なく自撮りができるのが
スタンドの良いところですね。それでは…」
彼女の提案に大いに喜んだようだ。
涙音は『撮影してくれる人』を呼び出すことにする。
「お願いしますねー。『フォートレス・アンダー・シージ』」
ドォン!!
彼女の意志に答えるように軍人じみた外見のスタンドが姿を表した。
「バッチリですよ。
手ブレもありえないくらい綺麗に撮ってみせますから。」
そう言って小石川から受け取ったスマホを
『FUS』に持たせる。
「とりあえず…二人ともが枠に入るようにしないとですね。
そうそう、ポーズもキメときましょう。」
そういいながら、スタンドをちょうどいい距離まで離れさせる。
335
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/28(日) 09:17:10
>>334
『フォートレス・アンダー・シージ』にスマートフォンを渡す。
その時、『FUS』の足元に撫子が近寄ってきた。
帽子猫はスタンド生物であるため、スタンドに触れることができる性質を持つ。
「にゃあ」
軍人のヴィジョンを通して、涙音に柔らかい感触が伝わるだろう。
まもなく離れると、『フォートレス・アンダー・シージ』を見上げる。
もしかすると写真撮影の様子を見守っているのかもしれない。
「――涙音さん、お願いします……」
自然体の姿勢で柔らかく微笑んだ表情を作り、そのまま写真に収まる。
あとは涙音のタイミングでシャッターを切れば問題ない。
『カメラマン』のお陰で、おそらく綺麗に仕上がるはずだ。
336
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/29(月) 01:02:47
>>335
「おっと…フヒヒ、ちょっとくすぐったいです。
でも、なんだか悪くないですね。」
スタンドの足元にすり寄ってくる猫の感覚に
どこか心地よさも感じる涙音。
どこか不思議な感触であった。
「ふむ、それじゃあいきますね。
私も、こんなふうに」
そう言ってピースサインを見せてにっこり笑ってみせた。
「チーズ!」
というと同時に
パシャッ
軽くシャッター音が聞こえた。
撮影ができたようだ。
「はい、撮影できましたよ。
どうでしょう。もう一回やりますか?」
そう言って撮影した写真を見せる。
スタンドの腕前ならばいい感じに撮影ができたはずだ。
337
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/29(月) 03:36:59
>>336
渡されたスマートフォンを受け取り、撮ったばかりの写真を確かめた。
グレーとベージュの中間色である『グレージュ』を基調とした室内に、
フレンチテイストの『猫脚』を持つソファーが見え、
その手前に2人の人物が写っている。
出来栄えとしては十分だ。
「――ありがとうございます。
あとでプリントして入れておきましょう」
ピピピピピ…………
その時、奥の方からタイマーの音が聞こえてくる。
「……『20分』経ったようですね。
ショートブレッドの様子を見てみましょうか」
涙音に微笑みかけ、再びキッチンに向かう。
今頃は『ラベンダーシュガーのショートブレッド』が焼き上がっているだろう。
味見をして、問題がなければラッピングを行い、
それも済ませたら一連の準備は完了する。
338
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/29(月) 23:46:54
>>337
「ふむ、なかなかの出来栄えですね。
それにお互い元気そうですし。」
励ましに重要なのはこっちが元気そうに見えることだ。
とてもいい感じの写真に仕上がった。という自負を涙音は感じている。
「おー、ついに焼き上がりですね…
確認してみましょう。」
小石川の後を追ってキッチンに向かう。
出来上がりを確認すると…
「ふむ、これはとても良さそうな仕上がりですね…
美味しそうです。」
出来立てのショートブレッドはとても美味しそうな出来だ。
ラベンダーの香りがあたりに漂ってくる。
「それでは早速…味見をさせていただいてもいいでしょうか?」
少し小石川の様子を確認しながら涙音が聞いてきた。
流石に出来立てはアツアツすぎるだろうが。
339
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/30(火) 06:51:59
>>338
キッチンに戻った時、ショートブレッドは焼き上がっていた。
オーブンレンジを開けると、
フローラルな甘さとハーブ特有の爽やかさが調和した芳香が広がり、
紫色の花が混ぜられた外見は目で楽しむこともできるだろう。
もちろん舌も満足させてくれるはずだ。
「少しだけ待っていてください」
カチャ…………
鍋つかみを使ってオーブントレイを取り出し、調理台の上に置いて軽く冷ます。
「――……良いですよ。
涙音さん、食べてみていただけますか?」
適度なタイミングで涙音を促し、『味見』を勧める。
口の中に入れたなら、発酵バターの豊かな風味が感じられ、
サクサクした軽やかな食感と共に、ほろほろと心地よく崩れていく。
同時に、ふわりと香るラベンダーが、この焼き菓子に華を添えていた。
340
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/30(火) 19:20:16
>>339
「ふむぅ…とてもいい匂いがしますね。
このラベンダーの香り、とても素敵です。」
そう言って軽く鼻を鳴らす。
甘い匂いと爽やかな香り、いずれも食欲を掻き立てられる。
「フヒヒ、いいですね。
早速いただきます…」
そう言って笑いながら一つを手にとって…
口の中へと運んだ。
「むう、これはとても…いい香りと
サクサクした食感…それと程よい甘さ…
これは…とてもいい味がします!」
嬉しそうな顔で答えた。
どうやらその味わいはとても良いものだったらしい。
そこまで重たくない、良い香りが口の中から鼻へと抜けていく。
「ふむ、いい感じですよ。
これはきっと喜んでくれます!」
期待できる!と思ったのか
ぐっと手を握って答える。
「お土産は…こんな感じでしょうか。」
お菓子作りも勉強になったと思って頷く。
まだなにか作るなら…という期待の目を向けている。
341
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2025/12/31(水) 10:30:17
>>340
小角を含めた『室内遊技同好会』の面々に喜んでもらうために作ったものだが、
手伝ってくれた涙音にも美味しく食べてほしかったので、
彼女から好意的な感想を聞けたことは素直に嬉しかった。
「――気に入っていただけたなら、私も作った甲斐がありました」
ニコ…………
「それではラッピングしましょう。
手が汚れないように、一つずつ『キャンディ包み』で個包装します。
『ボードゲーム』が好きな皆さんに渡すので、こちらを……」
まず包装紙を用意し、それを調理台に広げる。
『外国の新聞紙』をイメージしたデザインで、
片面は『カラーの新聞風』、反対側は『モノクロのチョークアート調』になっていた。
裏返して使うことで2パターンに対応できる製品だ。
「……お菓子を中央に載せて、両端を捻じるだけですので、とても簡単ですよ」
クルッ
クルッ
涙音に説明しつつ、冷蔵庫から出してきたチョコレートを使い、実際に試してみせる。
あっという間にキャンディのような包装に仕上がった。
非常に簡単で、特に難しい部分はない。
「トリュフチョコレートは『カラー面』が表になるように、
ショートブレットは『モノクロ面』が表になるように、
それぞれ包んでみてください」
2人で協力して作業を進めれば、そう時間は掛からないだろう。
342
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2025/12/31(水) 20:42:44
>>341
「フヒヒ、もっと食べたくなるくらい美味しいですよ。
まぁ次は色んな人と一緒に…がいいですね。」
そう言って微笑んだ。
とても美味しいというのは確かに感じられる表情だ。
「ラッピングですね。
それも、お任せください!
…おーこれは…なかなかシックなデザインですね。」
ボードゲームとの相性が良さそな見た目に
どこか嬉しそうな表情になる。
「ふむ、わかりました。
…こういう器用なのはちょっと
スタンドに頼りすぎてた感じがします…」
小石川の手際の良い動作に感心し、
その様子を真似るように包装を手に取る。
「ふむ、トリュフはカラー面が表で…
ショートブレッドはモノクロ面が表…ですね。」
そう言って軽くクルクルと包装で包んで見せる。
「なるほどー、結構簡単にできますね。」
どこか楽しそうな様子だ。
とは言え素早くはせずに丁寧に包装している。
なるべくきれいな状態で渡したいという考えからである。
343
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2026/01/01(木) 07:06:06
>>342
涙音の丁寧なラッピングを見て、そこに表れた気持ちを読み取る。
「……涙音さんの『心』が込められていますね」
少し前、トリュフを作っている時に出た話題を思い出す。
小石川にとって『心を込める』というのは、『相手の心に合うサイズ』を探すことだ。
『綺麗な状態で渡したい』と思うのも、それに近い考え方であると言えるだろう。
「スタンドに頼らなくても、できることは意外に多いものです……。
涙音さんも上手に仕上がっていますよ」
自らも涙音と同じく、『心を込めた包装』を続ける。
「先程お話しましたが……
『スタンドを使わない』という私の試みは、もうすぐ終わります。
『スタンドを解禁する』――
それは『スタンド使いになった瞬間を再び体験すること』だと考えています。
今よりも強くなるために、この機会に改めて自分を見つめ直すつもりです」
事前に定めた修行期間は、まもなく満了を迎える。
一般人に近い立場に身を置いた後、またスタンドを取り戻す。
余計な先入観は捨て去り、新しい可能性を見つけたい。
344
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2026/01/01(木) 22:24:59
>>343
「ふむ、これならちゃんと伝わるかも知れませんね。
私たちの気持ちが。」
どこか満足げにラッピング作業を続けていく。
このままきれいなラッピングを続けていけば
順調に作業を終わらせることができるだろう。
「頼り切らない生活も結構なんとかなりますね。
最初からもっていなかったこともあるのかも知れませんが…」
小石川のラッピングも軽く確認する。
よく出来ていると感心しているようだ。
「…なるほど、スタンドを使わない理由は
もう一度スタンドを使うため…ですか。
今度はスタンド使いとしての自分を見つめ直すんですね。」
どこか感心するように答える。
「スタンドを使わない…それは過去の自分も今の自分も見つめ直すためだったんですね。」
345
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2026/01/02(金) 04:43:04
>>344
ラッピングは滞りなく進み、およそ半分ほど済ませることができている。
「ええ――今よりも強くなるためには、
これまでの認識を改める必要を感じました……」
会話の間も手を止めず、手作りのお菓子を一つ一つ包んでいく。
「『一般人にもできること』と、
『スタンド使いだからこそできること』の両方を知り、
この世界に生まれ変わるような気持ちで自分自身と向き合いたいのです。
既に『方向性』は掴んでいますから、
いずれお見せすることがあるかもしれません」
そうして作業を続けていると、まもなく最後の一つに差し掛かった。
「……『そろそろ』ですね」
全てを包み終わる頃合いを見計らい、サイズの違う透明な袋を2つ取り出す。
「大きめの袋には仲真さんと大丸さんの分を、
小さな袋には小角さんの分を詰めましょう。
『リボン』は……私は落ち着いた色合いが良いと思いますが、
涙音さんはいかがですか?」
締めくくりとなるであろう飾り付けに関して、涙音の意見を求める。
346
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2026/01/03(土) 00:13:50
>>345
「そうなのですね…
きっと、小石川さんは以前よりも
強くなっているかも知れませんね。」
そう言って顔を向ける。
「ぜひその時を楽しみにさせていただきます。
私自身にとっても勉強になるかも…しれません。」
期待を込めた眼差しをしている。
小石川のスタンドとの向き合い方を参考にしてみたいようだ。
「はい、これで出来ました!」
どうやら涙音は自分の分も包み終えたようだ。
「了解です。
小角さんの分もしっかりやりますよ!
色合いは…そうですね。」
袋と合わせて交互に見てみる。
「ふーむ、これだったらシックな感じで
青色とかを使ってみるのはどうでしょうか。
落ち着いた色合いですが、鮮やかさもありますし」
347
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2026/01/03(土) 09:50:40
>>346
一旦その場から離れると、まもなくリボンを手にして戻ってくる。
「――『ロイヤルブルー』のリボンです。
鮮やかさの中に『知性』や『冷静さ』を感じさせる色なので、
涙音さんの意見を取り入れて選びました」
ロイヤルブルーは、『イギリス王室の公式カラー』として知られる深い青色のことだ。
目を引く華やかな色合いであると同時に、誠実で落ち着いた印象も与え、
『ロイヤル』という名前が示す通りに『品格』を感じさせる。
そのリボンを2つ用意してきた。
「まず、お菓子を袋に詰めていきましょう。
それにリボンを結べば『完成』です……」
スッ
大きめの袋を手に取り、
そこに個包装したチョコレートとショートブレッドを詰め始める。
「……私は仲真さんと大丸さんの分を詰めますから、
涙音さんは小角さんの分をお願いします」
先程、涙音が小角に渡す分に対して張り切っていたので、
そちらは彼女に任せることにした。
348
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2026/01/03(土) 18:16:54
>>347
「わぁー、きれいな色ですね。
そこまで派手さはなくとも鮮やかさは感じられます。
これですよこれ!」
嬉しそうにリボンを手に取った。
「わかりました。
私の方も直ぐにできますよ。」
そう言って小さい袋の方にチョコレートとショートブレッドを詰め始める。
壊れないように丁寧に。
「じゃあリボンは…ふむ」
心を込めてと考えると…
「なるべく綺麗に結ばないとですね。」
軽くリボンを結ぼうとするが…
「うーん、もうちょっと綺麗にできたらなぁ。」
少し上手く行っていないようである。
きれいなちょうちょ結びにしようとしているようだ。
349
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2026/01/04(日) 09:42:41
>>348
こちらも全て袋に詰め終わり、最後のリボンを結ぶ工程に入った。
「……蝶結びはシンプルな結び方なので、
綺麗な形を作るためには、全体のバランスを意識することが大切です。
よろしければ、一緒に試してみましょう」
グルッ
涙音に見せるように、袋の口にリボンを回し、手前で交差させる。
「これは『横一文字掛け』と言って、最も基本的な蝶結びになります」
キュッ
さらに、片方の端を下から潜らせ、そのまま締める。
「次に、余っている部分の長い方で、1つ目の輪を作ります」
ソッ
輪を保持しながら、残りの部分を回り込ませ、2つ目の輪を作る。
「ここまで進んだら、結び目の近くを持って、リボンを引き締めてください。
そこから形を整えて、綺麗になるように調整していきます……」
クイッ
ひとまず途中まで結び、涙音の手元を見守る。
350
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2026/01/04(日) 23:28:08
>>349
「ああ…その、ありがとうございます…
きれいに結ぶのが結構大変で…」
あまりなれていないのかも知れない。
そのまま、小石川の結び方をじっくりと見る。
「ふーむ、なるほど…
そんな感じで…はい、やってみます!」
小石川の動きを確認して納得するように頷くと
ゆっくりと丁寧に、その動きを真似ながら
結び目を作っていく。
「ふむ、こうしてこう…ですね。
…いい感じに出来ました。」
どうやら先程よりも綺麗にできてきたようだ。
「ありがとうございます。
スタンドを使おうかと思いましたが…
ですがやっぱりこうして自分の手を動かすと
色々と、大変さがわかりますね…」
351
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【6/7】
:2026/01/05(月) 10:21:23
>>350
確かに『FUS』は器用で、大抵の作業は不自由なく行える。
しかし、当然ながら『本体の知らないこと』はできない。
そこに限界は存在するものの、『新たな理解』を得て越えられる壁もあるだろう。
「私の見たところ……『フォートレス・アンダー・シージ』には、
まだ多くの可能性が感じられます。
こうして色々なことに挑戦すれば、
今まで気付かなかった『応用の発見』に繋がり、
いつか『スタンドの強さ』に変えられるでしょう」
それとなく涙音の手つきを見つめ、
正しく結べていることを確認してから、次の段階に移る。
「……では、見ていてください。
まず右手の人差し指を輪の中に入れてから、親指で結び目を押さえます。
その状態で左下の部分を引き締めて、全体の形を整えましょう」
スス…………
「反対側も同じ方法ですよ。
今度は右下を引っ張って、さらに調整します」
スス…………
「最後に右手で右側の輪を、左手で左側の輪を摘んで、この2つを同時に引きます。
輪の形が膨らんで、綺麗な蝶結びが完成しました……」
パ ッ
説明を終えると、ロイヤルブルーのリボンが袋の口を留めていた。
352
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2026/01/05(月) 19:38:13
>>351
「確かに…自分でできることがわからないと
スタンドの動かし方もうまく行かないかも知れませんね。
…もっと色々と自分でやってみます。」
そういいつつ丁寧に指を動かす。
「私のスタンドは人型…
自分自身の動き方を覚えることも
スタンドの強さを知るのに大事なことですね。」
小石川の指の動きを注意深く確認する。
「ふむ、ふむ…」
リボンが丁寧に結ばれていくのを確認すると。
「…わかりました、やってみます。」
そう言ってゆっくりと小石川の動きを真似して見せる。
ススス…
「こうしてこう…よし、出来ました。」
そう言って結ばれたリボンを見せる。
「小石川さんほどすぐには出来ませんが…
丁寧さでは負けてないと思います。」
どうやらきれいに結ぶことが出来たようだ。
ややぎこちなくはあるが、そこまでキにするほどのものではないだろう。
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