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【個】『サロン』【他】
1
:
『主宰者』
:2024/06/15(土) 23:23:56
閑静な高級住宅地に立つ『離れ付きの一戸建て』。
『ラベンダー』の花が咲く庭には、心を落ち着かせる芳香が漂う。
ここは『小石川文子』の住まいであり、『市井のスタンド使い』が集う『社交の場』。
詳細は
>>2
を参照。
37
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/09/09(月) 05:17:55
>>36
チャイムを鳴らした涙音は、すぐに小石川によって迎え入れられた。
「――涙音さん、よく来て下さいましたね……」
今はソファーに座るよう促され、ちょうど腰を下ろしたところだ。
まず、たっぷりのミントを使った『ミントティー』が、テーブルの上に置かれた。
グラスに注がれており、よく冷えている。
メントールに由来する清涼感は、まだ暑い時期には相応しい。
砂糖と蜂蜜もあるので、好みで入れてもいいだろう。
「既に笑美さんから聞いていらっしゃる事と思いますが……
民間のスタンド使いが助け合う為の『組織』を立ち上げました」
そして、飲み物に続いて『フルーツゼリーケーキ』が出された。
ケーキ用の型を使って作られた大きなフルーツゼリーだ。
いちご・ブルーベリー・桃・ブドウ・みかんなど、
色とりどりのフルーツが閉じ込められ、宝石のように輝いている。
「……にゃあ」
トッ トッ トッ
帽子猫の『撫子』も姿を見せ、涙音の足元に近寄ってきた。
38
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/09/09(月) 14:32:34
>>37
「どうもありがとうございます。
…またお世話になりますね。」
涙音は頭を下げて家に上がる。
ソファーに座ると、差し出されたミントティーを手に取った。
「まだまだ暑いですからね。
こういうのは嬉しいです。」
そう言って近くにあるはちみつを軽く一匙ほどミントティーを混ぜる。
「はい、お母さんからそのことについては詳しく教えていただきました。
できれば私にも協力を仰ぎたいと…
夏の魔物の一件のこともありますからね。たしかに必要なことだと思います…」
軽くお茶を飲んでから再び答える。
「わあ、このゼリーとっても綺麗ですね!
それにいい匂いで美味しそう…」
すぐに手を付けそうになったところで、涙音は
近くによってきた撫子の姿を確認する。
「フヒヒ、こっちこっち」
そう言って足元にいる撫子を膝に呼ぼうとしている。
膝に座ってもらえるのを期待しているらしい。
39
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/09/09(月) 16:29:46
>>38
蜂蜜入りのミントティーは、爽やかな風味に上品な甘さが加わって、
より飲みやすいまろやかな味わいになるだろう。
「にゃ……」
スッ
しばらく涙音を眺めていた撫子だったが、
その意図を察したのか、期待した通り膝の上に落ち着く形となった。
「ええ――未来に起こり得る『災い』に備えて、
平時から互いに対する『理解』を深め、
いざという時の『結束力』を高める事が、
『サロン』の主な目的です」
フルーツゼリーケーキを切り分けつつ、改めて自らの口から『理念』を語る。
「実は……『会員』の皆さんの『相互理解』をお手伝いする為に、
『レクリエーション』の案を検討していました。
一言で説明すれば『会話ゲーム』です。
初対面だと、なかなか会話が弾まない場面もあるかと思います。
そういった時に役立つのではないかと……」
コト
小皿に取ったゼリーケーキを涙音の手元に置く。
「――こちらに『ルール』を纏めておきましたので、
よろしければ涙音さんと私で試してみませんか?」
ニコ……
微笑と共に1枚の紙を取り出すと、裏向きにしてテーブルに載せた。
そこにゲームのルールが書いてあるらしい。
『会話によるゲーム』という話なので、特に何か用意する必要はなさそうだ。
40
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/09/09(月) 18:27:41
>>39
「…万が一のときに備えることが必要ですね。
こうして集合できる場所があれば助かります。」
ミントティーを軽く飲みながら答える。
どうやら美味しかったようで、その表情は穏やかそうだ。
「よしよし。
…こうしてみれば本当にネコですね。」
膝の上に乗った撫子を軽く撫でる。
「レクリエーションですか。
確かに…会話を考えるのに役に立ちそうですね。
ぜひとも、協力させてください。」
そう言ってゼリーケーキを手に取った。
スッと出されたテーブルに置かれた紙をじっと見つめる涙音。
「ふむ…この紙に話す会話の内容が記載されているってことでしょうかね?」
この紙をひっくり返そうかと思い、小石川に質問する。
41
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/09/09(月) 18:57:38
>>40
フルーツゼリーケーキも事前に冷やされており、
口当たりは涼やかで、果物の自然な甘味が一杯に感じられる。
膝の上の撫子は、気持ち良さそうに目を細めていた。
その名前が表している通り、撫でられるのが好きなのだ。
「――いえ、少し違います。そうですね……」
「『テニス』で『打ち合い』が続く事を『ラリー』と呼びます。
私が考えたのは『会話』で『ラリー』を行うゲームです」
ソ ッ
片手を伸ばして紙を表向きにすると、そこには以下のように記されていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ゲーム名:『コミュニケーション・ラリー』
◯ゲームの目的
交互に『質問』を繰り返す『会話ゲーム』。
『質問の連鎖(ラリー)』を途切れさせる事なく、出来る限り『連続』させる。
『勝ち負け』は存在せず、『全員』が『協力』して、最終的な『高得点』を目指す。
◯基本的なゲームの流れ(2人で行う場合)
1:AがBに質問する。
2:BがAの質問に答える。
3:BがAに質問する。
4:AがBの質問に答える。
(以下、これを繰り返す)
◯ポイント獲得のルール
・相手が質問に答えてくれたらポイント獲得。
・『内容の重要度』に応じてポイント数が変化する。
・『誰にでも話せる内容』なら『1ポイント』加点。
・『限られた相手にしか話せない内容』なら『3ポイント』加点。
・『重要度』は『質問された側』が判定して伝える。
・獲得したポイントは『全員』で『共有』する。
・『最終的な獲得ポイント数』が多いほど良い。
◯その他のルール
・『嘘』をついてはいけない。
・質問に答えられない時は『答えられない』と伝える。
・誰かが質問に答えなかった時点で『ゲームセット』。
◯備考
・なるべく『ラリー』を持続させる為には、
『答えられる質問』には出来るだけ答える事が望ましい。
・また、『相手が答えやすい質問』を出す事も大切。
・『深い質問』は高ポイントだが、『答えてもらえない可能性』がある事には注意。
42
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/09/09(月) 20:28:07
>>41
「これもとっても美味しいですね。
手作り…それともどこかで買ったんでしょうか?」
フルーツゼリーケーキを美味しそうに食べながら答える。
そうしている間にも撫子をそっとなで続ける。
「ふむー、言葉のラリーですか。
続く限り質問と回答をし続ける…
これは意外に面白そうな話ですね…」
じっくりとルールの内容を見続ける。
「それにしても『限られた相手にしか話せない内容』…
色々と答えづらそうな質問もありそうですね。
流石にまず答えられないような話はお互いに悪いですし…
そこら辺はなかなか難しいですね。」
興味深そうにその注意書きを見る。
踏み込んだ内容をいかに調整するかが重要そうだ。
「お互いのことを知るのには使えそうな気がしますね。ふむ…
なるほどー…」
どうやらある程度は理解ができたようだ。
43
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/09/10(火) 06:39:39
>>42
涙音の意見は全面的に正しい。
ゲームだからといって無理に答えさせてはいけないのは言うまでもない事だ。
だから『答えづらい質問は回答を拒否できる』というルールを設けてあった。
そして、誰かが答えなかった時点で『ラリー』が終わってしまうので、
『踏み込んだ質問』には『相応の慎重さ』が必要になる。
逆に言えば、『深い質問』に対して『答え』が返ってきたなら、
それは『信頼の証』と解釈しても差し支えないだろう。
「このゲームは、相手の事を理解していれば、質問を考えやすくなります。
『こういう質問なら答えてもらえる』という予想が出来ますから……。
つまり、『どれだけ相互理解が出来ているか』を推し量る意味もあるのです」
「……涙音さんがおっしゃるように、
答えてもらう為には『相手を思いやる気持ち』が大切です。
また、質問を重ねる内に、少しずつ相手の事が分かっていくでしょう」
「『お互いを理解し合う事』が、そのまま『ハイスコア』に繋がります」
コトッ
「はい……このフルーツゼリーケーキは私が作りました。
気に入って頂けたなら、とても嬉しく思います」
ミントティーで喉を潤してから、再び言葉を続ける。
お菓子は手作りだったようだ。
味も外見も、店売りの品と比べても遜色ない出来栄えだった。
「それでは実際に試してみましょうか。『最初の質問』は私から……」
『朱鷺宮涙音』と『小石川文子』は、何度も顔を合わせている友人同士だ。
既に『相互理解』が進んでいる間柄なので、
お互いに『踏み込んだ質問』をして『ハイスコア』を目指す事も出来るだろう。
これが『初対面』なら、もっと難易度は上がる事になる。
「――涙音さん……『好きな卵料理は何ですか?』」
しかし、まずは分かりやすく『軽い質問』を選ぶ事にした。
これによって『涙音の好み』が分かり、さらに『理解』を深められる。
そうして『理解し合う事』が、このゲームの趣旨なのだから。
44
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/09/10(火) 18:11:43
>>43
「相手のことを理解できるかが大事…
仲良くなるためにはまず相手を理解することですね。確かに。」
「このゲームがその第一歩になったらいいんですけど」
もぐもぐとフルーツゼリーケーキを食べながら答える。
「へぇー、手作りなんですねこれ。
お店で売ってそうなくらい綺麗ですねぇ…
せっかくだから作り方も後で教えてほしいです。」
と言ってから少し質問を待つ。
「好きな卵料理はー…
色々ありますけど『オムライス』が一番好きですね。
お母さんは結構うまく作ってくれるんですよ。
チキンライスとかも手作りして、卵もふわふわに作ってくれるんです。」
「由楽なんておかわりしちゃうくらい大好きなんですよ。
あぁそういえば、炒飯も卵料理に入るならそれも好きですね。
私も作ったりします。」
会話が比較的成り立ったと言えるだろう。
好物の話をすると、自然と他の家族のことも話してしまっている。
由楽も同じようなものが好きなのかも知れない。
「どうでしょうね。次はこっちの質問の番でしょうか?」
と言って顔を上げ、小石川を見る。
「えーと、それじゃあ小石川さんは…
お肉料理とか好きなものありますか?」
小石川の姿をじっと見てから質問をしてみる。
細身に見えたのかも知れない。
45
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/09/11(水) 03:57:44
>>44
「……ええ、構いませんよ。後でお教えします」
ゼリーケーキをスプーンで掬いながら、作り方を尋ねる涙音に微笑みかける。
涙音と由楽が泊まりに来た時にも、同じようなやり取りを交わした記憶があった。
『母親代わり』を務める事が出来たのは、楽しかった思い出の1つだ。
「以前『炒飯はよく作る』とお聞きしました……。
ここで『バターライス』を作って頂いた時です。
きっと笑美さんのオムライスには、
沢山の愛情が詰まっているのでしょうね」
小さく頷いて、『質問の答え』に相槌を打つ。
「『ゲームの流れ』は問題ありません。
このまま進めていきましょう」
客観的に見ても、小石川は肉付きの良い身体ではない。
ただ、朱鷺宮姉妹の為に『チキンカレー』を作っていたので、
食べられない訳ではないのだろう。
しかし、あまり積極的に食べている印象もなかった。
「――『ハムサンド』……でしょうか。
表面を軽くトーストしたパンにマーマレードを塗って、
たっぷりのパセリと一緒にハムを挟むのです」
「少し変わった組み合わせですが、
ハムの塩気がパセリのほろ苦さやマーマレードの甘みと1つになって、
とても美味しいですよ。
よろしければ、また今度ご馳走しましょう……」
『やや珍しい答え』が返ってきたが、
これも『今まで知らなかった一面』と言えるかもしれない。
「では、次は私の番ですね。
もし『旅行』に出掛けるとしたら、
どこか『行ってみたい場所』はありますか?」
46
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/09/11(水) 20:18:38
>>45
「どうもありがとうございます。」
そう言って頭を下げた。
「フヒヒ、そう…ですね。
なんというか炒める系のご飯モノが得意ですね。
由楽があれだけ気に入っているので…
愛情もたっぷり詰まってますよ。きっと。」
少し楽しそうに答えた。
「なるほど、ハムサンドですか…
へぇー、ハムサンドにマーマレードですか!
私はちょっとその取り合わせが思いついたことはなかったですね。」
サンドイッチというのは小石川に似合うと思えた。
しかし、取り合わせの方に少し驚いているようだ。
「なるほどねー、塩味と甘さと苦み…
その取り合わせが最高なんですね。組み合わせが大切と…
…今度食べさせていただきます。」
どこかその表情は楽しみそうに見える。
「旅行に行くとしたら…
うーん、色々ありますが…」
少し考えてから答える。
「以前お母さんが別荘地にいったことがありましたよね?
ラベンダーの香りが漂う素敵な場所だって何度も聞いてるんですよ。
それと、とても不思議な出会いがあったとかで…」
「話を聞いているうちに、いずれ行ってみたいなって思うようになったんです。
行きたいのはどこかと言われると、最初に思いつくのはそこですね。」
そう言って微笑んだ。
「…じゃあこちらの質問ですけど…」
少し踏み込んだ質問をしようか、と涙音は考えた。
「私の母…ええ、朱鷺宮笑美のことですが
小石川さんととても仲良さそうな感じがするんですよね。
その、小石川さんから見て母はどういう人だと思いますか?」
涙音にとって、母親は人から見てどう思われているか。
個人的に気になることなのかも知れない。
47
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/09/12(木) 10:01:35
>>46
涙音の答えに頷き、当時を思い返しながら、窓の外を眺める。
笑美が赴いた別荘地には、ラベンダーの花畑があった。
この家の庭にも同じ花が咲いている。
「ええ、『薫衣草園』で笑美さんとお会いしましたね。
……振り返ってみれば、あの時は気付きませんでした」
別荘地で出会う前から、小石川は笑美と面識があったのだが、
それを思い出したのは後になってからだった。
しかし、それは無理もない事だっただろう。
なにしろ幼い頃の記憶なのだから。
「その別荘には『烏丸香奈枝』さんもいらっしゃいました。
私がお誘いして一緒に出掛けた先で、
偶然にも笑美さんと顔を合わせたのです。
以前、私が催した『パーティー』に来て下さっていたので、
涙音さんも烏丸さんの事はご存知だと思いますが……」
今、烏丸は『大きな依頼を受けた』と聞いている。
どんな内容なのかは定かではないが、彼女は物事を誇張する人間ではない。
おそらく本当に『大きな仕事』なのだろう。
そして、『スタンド使い』の彼女が言うからには、
おそらく『スタンド』が関わっているはずだ。
『スタンドが絡む大きな仕事』――烏丸の無事を願わずにはいられなかった。
「是非、いつか涙音さんもいらして下さい。
お互いの都合が合えば、私も同行させて頂きます」
そして、『踏み込んだ質問』を受け、改めて笑美について考える。
涙音にとって、彼女は血の繋がった母親だ。
どう思われているか気に掛けるのは当然だろう。
「実は、笑美さんと私は『昔からの知り合い』なのです。
まだ私が由楽さんくらいの頃に、一緒に遊んでもらいました。
とても優しく接してくれて、楽しかった事を覚えています」
涙音の姿を見つめながら、彼女に『過去の笑美』を重ね合わせ、無意識に目を細める。
「その時から大切な友人ですし、
20年以上が経った今も、それは変わりません。
私が本当に『助け』を必要としている時、
いつも支えてくれる笑美さんには、心から感謝しています」
「――これは『誰にでも話す事』ではありません」
『回答』を終えた後で、そのように付け加えた。
このゲームにおいて『踏み込んだ質問に答える事』は『信頼の裏付け』を示す指標。
小石川文子は朱鷺宮涙音を『信頼』している。
「私からの『質問』ですが……涙音さんは私に対して、
どのような印象を抱いていますか?
よろしければ、率直なご意見を聞かせて下さい」
『ラリー』を続けるように、涙音に『踏み込んだ質問』を返す。
48
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/09/12(木) 22:09:28
>>47
「『薫衣草園』…そこがお母さんの言った場所なんですね。
小石川さんとお母さんはそこで顔合わせをしたと…」
どこか運命的な出会いだとも感じた。
「烏丸さん…あの人とも知り合いだったみたいですね。お母さんは。
なんというか、やっぱり姉妹だと思われてたみたいですね。私とお母さん。
…わかりました。機会があれば行ってみたいです。」
あのとき、ノリで姉妹を名乗ろうとした笑美のことを思い出し、
どこかおかしいと思って微笑んだ。
「まさか、昔からの知り合いだったなんて…
それも20年以上も?
てことはお母さんが学校に行ってたくらいってことになりますか…?」
以外そうな顔で答える。
「まさかその頃からだなんて…
あのときのお母さんはどんな人だったんだろう…って。
質問重ねるのはだめですね。」
「そういえばお母さん、あんまり昔のことは話すようなことなかったなぁ。
お父さんも馴れ初めとかの話をあんまりしないし…
まだまだ知らないことが多いな。」
「ありがとうございます…その踏み込んだ質問に答えていただいて」
彼女にとって母の過去はそこまで詳しいことは知らないのだ。
ただなんとなく『物々しさ』のようなものがあるように感じられることだけはわかる。
小石川を通じてもっと知りたいとも思った。
「ふーむ、小石川さんの印象ですか…」
そう言ってじっと小石川を見つめる。
「…わたしが感じた印象は、なんというか儚げな感じに思えましたね。
正直最初はちょっと近寄りがたい雰囲気を感じていました。申し訳ないことですが。」
「ですけど…何度か顔を合わせるうちに、とても優しい人なんだってわかりましたよ。
誰かのために必死になって、護りたいという思いがとても強い方なんだと思いました。
なんだかうちの母に負けず劣らずの母性を感じるというか」
「サロンの設立も、そんな皆を護りたいという思いで作られたものなんでしょうね。」
そう言って少し微笑む。
「あとは、ちょっとだけ母より年上かな?と思ったかなぁ…
あ、これは流石に他の人には話したりしません…。」
少し申し訳無さそうな顔になる。
母の見た目が若すぎるだけだと内心感じた。
「さて、次の質問はと…」
少し考えると、一つ思いついたように答える。
「そういえば、よく黒系のファッションをしていますよね、小石川さん。
そのファッションにはどのようなこだわりがありますか?」
流石に母について聞くのは踏み込み過ぎかと思い
涙音的には当たり障りのないラリーをかえす。
49
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/09/13(金) 10:00:18
>>48
記憶の中に残る『鵲笑美』は、『朱鷺宮笑美』のように穏やかな雰囲気ではなく、
どちらかといえば『ぶっきらぼう』な少女だった。
しかし、それを怖いと感じた事はない。
彼女の無愛想な態度が、なんとなく『寂しさの裏返し』のように思えたのだ。
「もし気になるのでしたら、
このゲームを笑美さんに紹介してみてはいかがでしょうか?
そういう形で質問すれば、聞きやすいのではないかと思います……」
普段は尋ねにくい事を尋ねられる機会を設けるのも、
『コミュニケーション・ラリー』の狙いなのだから。
「きっと……お互いの事を改めて理解できますよ」
ただ、笑美が話しづらいと思う気持ちも分かった。
誰だって伏せておきたい事はあるものだ。
だから、小石川が行うのは、あくまでも『提案』に留まる。
「……そうですね」
『第一印象』を聞いて口元に浮かぶのは、どこか曖昧な微笑みだった。
『近寄りがたい』という認識は正常なものだろう。
はからずも、『かつての笑美』と似たような印象を抱かれるようになったのは、
ある種の運命なのだろうか。
「こちらこそ、答えて下さってありがとうございます」
笑美も小石川も、自らの『伴侶』を愛し続けている。
そこに違いがあるとすれば、相手の『生死』だ。
小石川は笑美のように子供を持つ事が出来なかったが、
だからこそ人一倍『母性愛』が強いのかもしれない。
「――この『服』は……」
自分の服装を見下ろし、僅かな間が空いた後に口を開く。
「これは『喪服』ですから、普通は『弔事』の正装として着用されます。
でも、私は『これしか着ない』ようにしています」
「……どんな事があっても、
決して変わる事のない『永遠の愛』の証として、
今も身に纏い続けています。
私自身が『最愛の人』の下に向かうまで。
誰にでも話す内容ではありませんが、
涙音さんにはお伝えしておきます」
上質な素材を使用し、露出と装飾を抑えた『ブラックフォーマルドレス』。
涙音は『着物姿』も見た事があるが、それは『和装の喪服』だ。
数少ない例外を除き、小石川が『喪服以外』を身に着ける場面は限られる。
「私からの質問ですが……
涙音さんが『スタンド使い』になられた理由を聞かせて頂けますか?」
小石川のような『後天的なスタンド使い』には、何かしらの動機がある。
涙音が『生まれつき』かどうかは知らないが、
そうでなければ『きっかけ』があった可能性が高い。
それを尋ねてみようと考えた。
50
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/09/13(金) 20:37:36
>>49
「…実際に試してみようかな…
お母さんも割と話をしてくれるかも。
母娘だから、色々と聞きたいこともありますし。」
このコミュニケーションラリーはもしかしたら自分の知らない母親の側面を見られるかも知れない。
そう思うと、どこか楽しみな気持ちもある。
「ああ、第一印象と言っても今は違いますから!」
どこか申し訳無さそうな顔で慌てて返事を返す。
小石川の表情を見て罪悪感を感じてしまったのだろうか。
「喪服…」
小石川の服装に関する言葉を聞いて、少し表情に緊張が走る。
「最愛の人…あぁその、つまり…
その人はとても大事な人なんですね。
…たしかにそれは強い誓いですね。」
彼女の言葉を聞いてなんとなく察することができた。
小石川の最愛の人はもうこの世に居ないということなのだろう。
「わたしはその人のことはわかりませんけど…
きっと幸せになってほしい…んでしょうね。」
今の彼女は多くの仲間とともにいる。
幸せは人それぞれなものの、それが幸いであることを涙音は望んでいるようだ。
そして再び質問に答える側である。
「スタンド使いになった理由ですか?
ふーむ、そうですね。…これはここだけの秘密ですけどね。」
そう言うと、涙音は鳩尾のあたりに手を当てる。
「実を申しますと私は、スゴク運が悪い人間なんです。
なんというか、道を歩けば『ここ』に向けていろんな物がぶつかってくるんですよね。
それが嫌だったんですけど…」
鳩尾のあたりをさすりながら言う。
「そんなあるときに、風の噂で『力』を与えるお店の話を聞いたんです。
半信半疑でしたけど、あのときはもういろんな物がぶつかってシッチャカメッチャカな状況だったので…
もう藁にもすがる思いで、その人に会いに行ったんですよ。」
彼女の鳩尾には能力を手にした『印』が刻まれているのだ。
その結果彼女は今、『フォートレス・アンダー・シージ』を手にしている。
「今でもこの選択は正解だったと思います。
こうしていろんな『スタンド使い』の人たちと出会えたので。」
彼女の表情に確かに後悔はないようだ。
小石川と出会えたこともまた、嬉しいのかも知れない。
「…それでは私も、小石川さんが『スタンド使い』になった理由について、聞いてもいいですか?」
小石川に同じ質問を返す。質問された以上、返すのがちょうどいいと涙音は思ったのだろう。
51
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/09/14(土) 11:33:25
>>50
慌てる涙音を落ち着かせるように、静かに首を横に振った。
「……お気になさらないで下さい。素直に話して頂いて嬉しいですよ」
先程の質問で聞きたかったのは、涙音の正直な気持ちだ。
そして、彼女は打ち明けてくれた。
また1つ理解を深められた事に、大いに感謝している。
「ええ、私は『幸せ』です……。
涙音さんや多くの友人に助けられていますから。
きっと、とても恵まれているのでしょう」
涙音に向かって軽く頷き、それから撫子に視線を移す。
「それに――今では『家族』もいてくれます」
いつの間にか、帽子猫は眠ってしまったようだ。
涙音の膝の上で、すやすやと寝息を立てている。
2人の会話が子守歌になったらしい。
「『力を与える店』……ですか」
自分の知る『音仙』は、店というより『カウンセリング』に近かった。
おそらく違う場所なのだろう。
『力を与える者』が複数いるのは不思議な事でもない。
「笑美さんから『会員証』は受け取っていらっしゃる事と思います。
よろしければ、それを『お守り』の1つにして下さい」
スッ
確認するように『自分の会員証』を見せる。
『ラベンダーのサシェ』だ。
朱鷺宮親子に渡した物と相違ない。
「――私は『最愛の人の後を追う』つもりでした」
おもむろに口を開き、当時を思い出しながら、質問に答える。
「ただ、彼は最後に言い残したのです。
『自分の分まで生きて欲しい』と……。
その『約束』を守る為に生きてきました」
「でも……『彼に会いたい』という欲求が抑えられなくなったのです。
あのままでは、遠からず自分に負けてしまっていたでしょう」
「自分自身に打ち勝つ『きっかけ』を求めて、
『スーサイド・ライフ』を手にしました」
フ ッ ……
利き手である左手を持ち上げ、一瞬だけ『ナイフのヴィジョン』を発現する。
「……では、ゲームの続きを。
『学校内』に『スタンド使いの友人』は、
どれくらいいらっしゃいますか?
『魔物事件に関与した人は除いて』です」
敢えて『魔物事件の関係者』を外したのは、
『交友関係の輪』を広げる必要があるからだ。
そして、『未来の災い』に備える為には、
あらゆる場所に目を向けなければならない。
部外者である小石川にとって『学校』は『死角』になっている。
52
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/09/14(土) 15:12:32
>>51
「ああ、すいません…」
彼女の言葉を聞いて少し安心した表情になる。
「それを聞けて私も嬉しいです。
友人と…新しい家族も居てくれる」
そう言って膝の上で眠っている撫子を見る。
「これもきっと生きようと思うからこそでしょうね。」
そう言って改めて撫子を優しくなでた。
「そうです。『刺青』を彫ることで力を得ることができる店という感じでしたね。
今となってはあの人はどこにいるのかはわかりませんけどね。」
どうやらこれが彼女が能力を手にした場所であるらしい。
しかしその人物はもうすでにどこにいるのかもわからないのだ。
「会員証、ええ。それならもちろん今も持っています。」
そう言って涙音も自分の会員証を見せる。
「最愛の人を失った悲しみですか…
きっとそれは身を裂くほどの思いなんでしょうね」
自分はまだそのような思いはしたことがないが
それでも想像するだけでも辛いことがわかる。
「スタンドを手に入れたことが小石川さんにとっての幸いでしょうね。
…スタンドがきっかけになっていろんな友人と出会えたと言えます。
間違いなく、小石川さんは自分に打ち勝つことができたでしょうね。」
嬉しそうな顔で涙音は答える。
小石川自身の心の強さがスタンドを得られたと思えるのだ。
「学校でスタンド使いの友人ですか?
なかなか難しいですね〜…
何しろ、学校内ではなかなかスタンドを見せてくれる人はいませんから」
腕を組んで考える。
「そういえば、以前演劇部を見に行ったときに
顔を合わせたことがありますね。
龍美丹さんと三枝千草さん。奈津川恋子さんの3人。
あとは、稗田さんもスタンド使いの友人と言えるでしょうね。
赤月さんも同じクラスで知り合った友人ですね。」
そう言ってから少し考える。
「…こうしてみると結構学校にスタンド使いの友人多いみたいですね。」
改めて振り返って答える。
「それじゃあこちらの質問ですが…
せっかくだから小石川さんのご友人さんのことを何人か教えていただけないですか?
もちろん『スタンド使い』の友人の方に限定させていただきますけど。」
もしかしたら自分の知り合いもいるかも知れないと思い、
小石川さんの友人はどれくらいいるのだろうかと興味を持ったようだ。
53
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/09/15(日) 11:50:01
>>52
涙音が発した言葉には、少し驚いたというのが正直な気持ちだった。
「『刺青』――ですか……」
『刺青を彫る』というのは、スタンド関係なしに『勇気』の要る行動だ。
年若い少女なら尚更だろう。
同時に、それほどまでに悩んでいたのだと理解できる。
「その方を私は存じませんが……
普通の商売と同じように新しく始める人もいれば、
看板を下ろした人もいらっしゃるのでしょうね」
おそらくは『そういうこと』なのだろうと解釈した。
「きっと涙音さんのおっしゃる通りなのでしょう。
『スタンド使い』になって得た『繋がり』が、
今の私を生かしてくれている」
「……そう思います」
願わくば、全ての人間と分かり合えたなら最良だ。
それは不可能に近い理想であり、机上の空論に過ぎないのかもしれない。
だが、一度は対立した相手であっても、いつかは手を取り合えると信じたかった。
「――私は『どれくらいいるか』とお尋ねしました。
涙音さんは『名前』を教えて下さいましたね……」
ニコ…………
「丁寧に答えて下さって、ありがとうございます」
『涙音の答え』を聞いて、柔らかい微笑みを返す。
『スタンド使いの友人』に関する質問は、簡単に答えてもらえる内容ではない。
また、答えてくれたとしても、『人数だけ明かす』という答え方も出来ただろう。
しかし、涙音は違った。
だからこそ、『信頼してもらえたこと』に感謝したのだ。
「……私が知らない方は『龍さん』と『奈津川さん』ですね。
先程お話した『サンドイッチ』は、稗田さんにご馳走したこともありました」
『稗田』の名前が出たことは意外だった。
小石川にとっても、彼女は友人の1人だが、
稗田がスタンド使いだと知ったのは、かなり後になってからだ。
涙音と付き合いがあるというのは予想していなかった。
「そう……ですね」
涙音も知っているように、小石川には『スタンド使いの知人』は多い。
一期一会の相手も少なくないが、今でも交流が続いている人間もいる。
『魔物事件』で人手を集められたのも、そうした人脈があったからだ。
「まず、私が『初めて出会ったスタンド使い』について――」
そう言い置いて、過去を振り返りながら話を始める。
「『水溜意(みずたまりこころ)』という方です。
『魔物事件』の際にも、この家にお呼びしていましたが、
彼女は私が初めて知り合ったスタンド使いでした」
「以前、『アリーナ』が主催する『パーティー』で再会しましたが、
とても『ピアノ』が上手な方ですよ」
『エアピアノ』のヴィジョンを持つ『RLP』は、一度だけ目にしたことがあった。
「それから、『遊部玲実さん』についてお話しましょう。
私が初めて『共闘』したスタンド使いです。
涙音さん達と同じように、『ホームパーティー』にも出席して頂きました」
遊部に関しては、色々と『複雑な事情』が絡んでいる。
「彼女は……何かと抱え込みやすい性格の方です。
悩みがあっても、それを表には出さないような……。
もし顔を合わせる機会があれば、気に掛けてあげて下さい」
遊部が『多重人格者』であることは伏せておく。
個人のプライバシーを侵害するつもりはない。
彼女が他者の権利を尊重している限りは。
「共闘の経験があるといえば、『常原ヤマトさん』という方も私の友人です。
彼は『裁縫』が得意で、気配りも行き届いています。
常原さんも『アリーナのパーティー』に参加されていたのですが、
手際良く『会場の手伝い』をされていました」
そこまで話し、言葉を区切る。
「お互いに、次を『最後の質問』にしましょうか。では、私から……」
「今後、『用意して欲しいお菓子』はありますか?
希望を伝えて頂ければ、今度の機会までに作っておきますよ」
決して『深刻な内容』ではないが、ある意味で『大事な質問』だろう。
54
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/09/15(日) 20:19:13
>>53
「まぁ躊躇しなかったわけじゃないですけどね。
あのときはいっぱいいっぱいでしたから。」
そう言って鳩尾のあたりをさすっている。
そこに刺青が掘られているのだろうか。
「今はどうしているのやら…
まぁまたどこかで同じような仕事をやってるでしょう。」
特にその人物のことを心配していることはないのだろう。
きっとどこかで元気にやっていると思っているのだ。
「スタンド使いは惹かれ合うといいますが…
良縁を引き寄せるということでもあるのでしょうね。それは。
きっと色んな人と手を取り合えますよ。」
彼女が夏の魔物事件で、仲間を救うために頑張っていたことは知っている。
その思いは届くだろうと思う。
「稗田さんとお友達なんですね。
私は割と気が合う者同士と言った感じですが…」
繋がりのある人が居たことに何処か嬉しさを覚える。
「ココロさんは…私もあったことがあります。
色々とお世話になったことがあって…
ピアノがとてもお上手、ですね。」
涙音もかつて世話になったことがある。
よく知った人物なのだろう。
「遊部さんも夏の魔物事件で活躍された方ですね。
あの人とまた話す機会があれば、そのときは…わかりました。」
「それと常原ヤマトさん…ですね。
本当に色々とお世話になる方が多いみたいですね。
いずれ…みなさんとまたお会いしたいです。」
そう言って、感謝するように頭を下げた。
「最後の質問ですね…
うーん、用意してほしいお菓子というと」
そう言って少し考えてから口を開く。
「私はヨーグルト系の味が特に好きなんですよね。
ちょっとアバウトになりますけど…そういうタイプの味があるお菓子とかがあると…
私は嬉しいですね。…ラッシーとかも結構好きですけど。」
自分の好きなおやつはそういう物が多い。
「ふむ、最後の質問となると…
そうですね。」
そう言って少し考える。
「その…今の自分自身は、好きですか?」
小石川の過去を聞いて、どこか気になったのだろう。
今の自分自身のことをどう思っているのだろうかと
55
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/09/16(月) 11:53:04
>>54
『スタンド使いは惹かれ合う』という説には信憑性を感じる。
つい先日も『甘城天音』に出会えたばかりだ。
あの場合は『マシュメロの繋がり』と言った方が正しいのかもしれないが、
いずれにしても『スタンドによる縁』であることには変わりない。
「次は『ヨーグルトケーキ』を作っておきましょうか。
ヨーグルトを使ったレアチーズケーキなど……。
その時を楽しみにしておいて下さい」
頭の中でレシピを思い出しながら、涙音の希望に沿う旨を伝える。
「……自分というのは、決して離れられないものです。
それでいて、自分のことは意外に分かりません」
「『魔物事件』以降、自分自身と向き合う機会が増えました。
そこで『自己理解』を深める内、私は自分に疑問を抱くようになりました。
このままでいいのだろうかと――」
「私は何も成すことが出来なかったのですから」
あの日、『魔物』を救おうとして叶わず、多くの人々の『心』を傷付けてしまった。
この『罪』を、どう償えばいいのだろう。
毎日そればかり考えていた。
「だから、『変わらなければならない』と考えた時もありました。
でも、『今までの自分』を捨てるのは、とても難しいことなのだと悟りました。
同時に、自分自身に無理をさせていたことに気付いたのです。
自分自身を労ってみて、以前よりも自分について理解できたように思います」
「私は――『今の自分』が好きですよ」
ニコ…………
穏やかな微笑と共に『質問の答え』を告げてから、少しの間を作る。
「以前……笑美さんに言われたことがあります」
「多くの命を守ろうとしても、伸ばせる腕にも掬える手のひらにも限りがある。
全てを拾おうとしても、指の隙間からこぼれ落ちてしまう。
でも、一人だけでなければ、より多くの手のひらがあれば、
零れた命も救えるのではないか」
彼女にもらった言葉は、今も大切に持ち続けている。
「そして、私は『サロン』を立ち上げました」
スゥゥゥゥ…………
話し終わると目を閉じて深呼吸し、1枚の白紙と1本のペンをテーブルの上に置いた。
『得点計算』に用いる道具だ。
そこに『これまで出された質問』を纏めていく。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・好きな卵料理は何ですか?
・お肉料理とか好きなものありますか?
・もし旅行に出掛けるとしたら、どこか行ってみたい場所はありますか?
・小石川さんから見て、母はどういう人だと思いますか?※
・涙音さんは私に対して、どのような印象を抱いていますか?
・そのファッションにはどのようなこだわりがありますか?※
・涙音さんがスタンド使いになられた理由を聞かせて頂けますか?
・小石川さんがスタンド使いになった理由について、聞いてもいいですか?※
・学校内にスタンド使いの友人は、どれくらいいらっしゃいますか?
・小石川さんのご友人さんのことを何人か教えていただけないですか?※
・今後、用意して欲しいお菓子はありますか?
・今の自分自身は好きですか?※
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「――『限られた相手にしか話せない内容』に印を付けました。
同じように『チェック』を入れて頂けませんか?」
ソッ
上記を書いた紙を、涙音の手元に差し出す。
56
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/09/16(月) 14:42:30
>>55
「ありがとうございます。
ヨーグルトケーキ…とても美味しそう。
実に楽しみです。」
どうやら新しいお菓子について楽しみになったようだ。どこか嬉しそうに答える。
「そうですか…夏の魔物の一件で…
色んな人の心に残る出来事でしたね。」
なんとなくではあるが、夏の魔物事件でいろいろな人の運命を変えてしまったような予感がした。
「…それを聞いて安心しました。
今の自分を大事にして、捨てることなく
思うことができること…それはとても大事なことです」
そう言って頷いた。
「お母さんがそんなことを…
フヒヒ、さすがお母さん。
素敵なことを言ってくれますね。」
どこか誇らしげにも見える表情で涙音が答える。
「お母さんの言葉がきっかけだったんですか…
なんだか嬉しいです。
それで色んな人を救えると…そう思います。」
そう言って頷いた。
その後、質問がまとめられた紙を見る。
「なるほど…限られた相手にしか話せない内容は…」
そう言って涙音もチェックを入れに行く。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・好きな卵料理は何ですか?
・お肉料理とか好きなものありますか?
・もし旅行に出掛けるとしたら、どこか行ってみたい場所はありますか?
・小石川さんから見て、母はどういう人だと思いますか?※
・涙音さんは私に対して、どのような印象を抱いていますか? ◯
・そのファッションにはどのようなこだわりがありますか?※
・涙音さんがスタンド使いになられた理由を聞かせて頂けますか? ◯
・小石川さんがスタンド使いになった理由について、聞いてもいいですか?※
・学校内にスタンド使いの友人は、どれくらいいらっしゃいますか? ◯
・小石川さんのご友人さんのことを何人か教えていただけないですか?※
・今後、用意して欲しいお菓子はありますか?
・今の自分自身は好きですか?※
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「こんな感じですかね。
お菓子はある意味他の人には言わない質問ではありますけどね。」
そう言って嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとうございます。小石川さん。
色々とあなたのことが分かったような気がします。」
57
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/09/17(火) 06:16:28
>>56
『サロン』を立ち上げた最初のきっかけは、やはり『魔物事件』だ。
あの事件の存在が、『未来の災禍に備える重要性』を教えてくれた。
また、何も成すことが出来なかった無力感も、大きく関係している。
そして、最終的に背中を押したのは、『笑美の言葉』だったのかもしれない。
少なくとも、『決意の一部』であることは確かだろう。
「――ありがとうございます」
涙音と自分の間に置かれた紙を改めて眺める。
「1人『6つ』ずつ質問できましたね……。
今日、これだけのことが分かったのです」
このゲームはレクリエーションだが、
お互いについて知る上で、決して馬鹿には出来ない情報量だ。
情報の開示を繰り返していけば、自然と『相互理解』が深まっていく。
先程の『テストプレイ』で、『改善のアイディア』も思い付いた。
「涙音さんと試した結果を反映させて、少し『ルール』を変更しました。
『限られた相手だけに話せる内容』は『5点』にしましょう。
さらに、『秘密』を明かした場合は『10点』とします」
「もちろん『秘密を明かす』というのは、非常に『重み』を伴う行為です。
ですから、『今回は秘密の開示は無しにする』というように、
各自が好きなように『アレンジ』して下さって構いません」
「今回、涙音さんと私は、
『秘密の開示は無しでプレイした』ということにしましょう。
それを踏まえて『得点』を計算すると――」
サラサラサラサラサラ
「……『44点』ですね。
せっかくですから、この数字は2人の『累計得点』として記録しておきます」
ペンを手に取って『今日の得点』を書き込み、もう1枚の白紙をテーブルに広げる。
「分かりやすいように『ルール』を書き直します。
これは目立つ場所に置いておきますので、
必要に応じて『会員』の方々に利用してもらいましょう」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
☆『主宰者』からのお知らせを申し上げます。
『会員間の交流』を円滑に進める為の『レクリエーション』をご用意しました。
必要な際には各自でご自由にお使い下さい。
ゲーム名:『コミュニケーション・ラリー』
◯ゲームの概要
交互に『質問と回答』を繰り返す『会話ゲーム』。
『質問の連鎖』による『ラリー』を途切れさせることなく、出来る限り『連続』させる。
『勝ち負け』は存在せず、参加者が『協力』して、最終的な『ハイスコア』を目指す。
◯基本的なゲームの流れ(2人で行う場合)
1:『A』が『B』に質問する。
2:『B』が『A』の質問に答える。
3:『B』が『A』に質問する。
4:『A』が『B』の質問に答える。
5:『A』が『B』に質問する。
(以下、これを繰り返す)
◯ポイント獲得のルール
1:相手が質問に答えてくれたら『ポイント獲得』となり、
『内容の重要度』に応じて『ポイント数』が変化する。
2:『誰にでも話せる内容』なら『1ポイント』加点。
3:『限られた相手にしか話せない内容』なら『5ポイント』加点。
4:『秘密』なら『10ポイント』加点。
5:『重要度』は『質問された側』が判定する。
6:『獲得したポイント』は『参加者同士』で『共有』する。
7:『相互理解度の目安』に繋がるので、『その回の合計獲得ポイント』を、
『累計得点の一部』として記録しておくことを『推奨』。
◯その他のルール
1:『嘘』をついてはいけない。
2:質問に答えられない時は『答えられない』と伝える。
3:誰かが質問に答えなかった時点で『ゲームセット』。
◯備考
1:なるべく『ラリー』を持続させる為には、
『答えられる質問』には出来るだけ答えることが望ましい。
2:また、『相手が答えやすい質問』を出すことも大切。
3:『踏み込んだ質問』は『ハイスコア』に繋がるが、
『答えてもらえない可能性』があることには注意。
※このゲームの主な目的は『会話のきっかけ作り』です。
なお、上記は『基本ルール』です。
『今回は秘密の開示は無しにする』など、
プレイしやすいように『アレンジ』して頂いても構いません。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「涙音さん……楽しんで頂けましたか?」
涙音のグラスが空いているなら、そこにミントティーを注ぎつつ感想を求める。
58
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/09/17(火) 19:38:03
>>57
「…どういたしまして。」
今までの質問でサロンを立ち上げた理由を知ることができて
どこか嬉しそうな表情の涙音であった。
「6つの質問…これだけでもお互いのことがよくわかりましたね。
この質問ラリーは、仲を深めるのに最適と言えるでしょうね。
…助けになれたのならば嬉しく思います。」
そう言って頭を下げた。
「ふむふむ、秘密を明かすことにはさらに得点をですか…
秘密を明かすくらいの仲になったときに更に踏み込んだ話ができそうですね。」
「44点、これは結構お話ができたほうかも知れませんね。」
どこかその表情は嬉しそうである。
その後、レクリエーションの内容をじっくり読み取って
「こんな感じで良さそうですね。
いい感じのレクリエーションになると思います。」
そう言ってから一息ついた。
「ええ、とても楽しかったですよ。
小石川さんのこともわかりましたし、それに…」
そう言ってミントティーの入ったグラスを手にとる
「私のお母さんのことも、ちょっとわかりましたからね。」
軽くミントティーを飲んで微笑んだ。
59
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/09/18(水) 10:51:55
>>58
一通りの話が終わった後、膝の上の撫子が目を覚まし、おもむろに両目を開いた。
「もし涙音さんに『留守番』をお願いして、
『他の会員』の方がいらっしゃった時は、
私の代わりに『レクリエーションの説明』をして頂けませんか?
実際に試した涙音さんなら、きっと分かりやすく話せると思います」
――――――カラン
自分のグラスにも冷えたお茶を注ぎ、乾いた喉を潤す。
「……実を言うと、他にもレクリエーションの案を考えてあるのです」
「ただ――そちらは『大人数』で行うことを前提にしていますから、
いずれ皆さんに集まって頂いた際に、改めてお伝えします。
楽しみにしていて下さいね」
スッ
ふと思い出してスマートフォンを取り出し、画面に表示させた写真を涙音に見せる。
「先日……『撫子の仲間』と知り合いました。
『ナックラヴィー』という名前だそうです」
写真の中にいるのは2人と2匹。
背景から判断すると、撮影場所は海岸らしい。
『ラムネ瓶』のような猫がいて、その上に『帽子猫』が乗っている。
また、小石川と少女が一緒に写っていた。
ふわふわの髪をツインテールにしており、
気だるげな雰囲気を感じさせる垂れ目が特徴的だ。
「こちらは『甘城さん』です……。
涙音さんと近い年頃なので、
学校で顔を合わせる機会もあるかもしれませんね」
今後、涙音と甘城が出会うことがあったとしたら、
それも『スタンド使いの引力』なのかもしれない。
60
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/09/18(水) 18:46:33
>>59
「わかりました。
留守番することがありましたら、ぜひとも。
お母さんもきっと協力してくれると思います。」
そう言ってから、またお茶を飲む。
「他のレクリエーションも楽しみにしていますね。
大人数で参加するのも…いずれやってみたいです。」
嬉しそうな顔で答え、頭を下げた
「どれどれ」
差し出されたスマートフォンを見ると、そこには少女と小石川、
それと2匹のかわいい生き物を見る。
「へぇ、ネコちゃんがもう一ぴきいるんですね。
こっちはラムネ猫ちゃん…かな。
ナックラヴィーちゃん…こっちも可愛いですね。」
なんとも不思議な見た目だが、こうしてみるとなんとも可愛らしく見える。
「甘城さん…この子がそうなんですね。
…いずれあってみたいものです。
この子もナイさんの力で生まれた子なんでしょうかね?」
いずれまたどこかで会えるかもしれないと思うとどこか楽しくなる。
そしえ、ラムネ猫のこともどこか気になるのであった。
61
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/09/19(木) 11:56:49
>>60
やはり一度は会員同士で顔を合わせてもらいたい。
その為には、ここに集まってもらう必要がある。
各々の都合を考慮しなければならないので、今すぐとはいかないが、
いずれは実現させるつもりでいた。
「『ナイさんの力』――というよりは、
『ナイさんが連れている猫の力』ですが、おそらく間違いないでしょう。
別々の理由で生まれたと考えるよりは、
同じ力によって誕生した可能性の方が高いはずです」
ソッ…………
撫子の長い被毛を優しくかき分けると、ピンク色の『肉球マーク』が見つかった。
「ナックラヴィーにも同じ『印』がありました。
ある意味では『血の繋がり』と言えるのかもしれません」
姿形こそ全く似ていないが、『同じ力で生まれた存在』というのは、
『涙音と由楽の関係』に近いのかもしれない。
「甘城さんは撫子を被ったことがあります。
……涙音さんも被ってみますか?」
撫子を両手で抱き上げ、胸の高さに持ち上げる。
元々は帽子であり、大人しい性格だ。
頭に被ったとしても問題はないだろう。
62
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/09/19(木) 19:16:12
>>61
「なんとも不思議な能力ですねー。
他にもいろんな猫がいるんでしょうか…」
ラムネと帽子、まだまだ色んな種類がいるかも知れない
なんとも不思議な気分に感じた。
「あら、可愛いマークですね。」
肉球マークを見ながらニッコリ微笑んだ。
「血の繋がりってことは、きょうだいとか親戚みたいな感じでしょうかね。
家族と言えるかもしれませんね。」
そう言って軽く撫子をなでてみる。
「…いいんですか?
実をいうと、ずっと被ってみたかったんです。
それじゃあ…」
小石川に言われるまま、撫子を被ってみる。
果たして似合っているだろうか。
「もふもふですね〜…
なんか、普通の帽子よりもあったかくて柔らかいです。」
猫特有の温かさと柔らかさを兼ね備えた帽子。
もし商品として実在したならば最高の発明だろうと実感する感触だった。
「もうしばらく、撫子ちゃんのお相手、させていただきますね。
なんだか被っているとしばらく手放せないです。」
そう言って涙音は微笑んだ。
撫子を愛でることに夢中になり、しばらく帰れそうもないだろう。
63
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/10/02(水) 16:22:05
>(『サロン』正会員)
『正会員』の皆さんに提案があります。
各自の都合を考慮すると、なかなか全員が顔を合わせることは難しいでしょう。
そこで、皆さんに『自己紹介文』を作成して頂けないでしょうか?
その内容を『全員』で『共有』して、
『コミュニケーションの一助』にしたいと考えています。
集まった自己紹介文は、私から全員に回し、
『本拠地』でも見られるようにしておくつもりです。
もちろん『明かしても構わない情報』だけで構いません。
『自己紹介文を提出するか否か』も任意です。
私のことは、ある程度ご存知かと思いますが、
『一例』として以下に添付しておきます。
[こんにちは、小石川文子です。
私達が相互理解を深められる場を作るため、
サロンの主宰者として、これからも尽力する所存です。
皆さんにも是非ご助力をお願い致します。
今、私は撫子と名付けた猫と暮らしています。
もし会う機会がありましたら、どうか仲良くしてあげて下さい]
64
:
空織 清次『エラッタ・スティグマ』
:2024/10/02(水) 22:37:06
>>63
(自己紹介文)
[ 『空織 清次 (くおり きよつぐ)』だ。
おそらくこの会の中で
わたしのことを知っている者は一人もおるまい。
特に語り甲斐のある身の上でもないが、
お上品なサロンにわたしみたいな
得体の知れない飲んだくれがいると、
君たちも要らん気を張るだろう。
簡単に自己紹介だけさせてくれ。
小石川氏と知り合いになったのは『偶然の成り行き』で、
サロンに参加することになったのも同じくらい『成り行き』だ。
それでも彼女がこの会に込めた意味には賛同しているし、
自分にできることがあれば力を貸したいと思っている。
そしてそれは小石川氏に対してだけではなく、
彼女が信頼して集めたという君たちに対しても同じだ。
可能かどうかは別として、そうありたいと思っているよ。
なお……わたしは『仕立て屋』を生業としているので、
衣装や服飾に関する相談事があればいつでもお受けする。
特に衣裳を仕立ててほしいという依頼なら大歓迎だ。
仕立て料はハッキリ言って安くないが……
それに見合うだけの品を提供することを約束しよう。
以上だ。
連絡先は書いておくから、話したいことがあればご自由に。
こんな人間だが、仲良くしてもらえると助かるよ。 ]
65
:
一抹貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』
:2024/10/03(木) 16:36:26
>>63
夏の魔物事件でプロフィール丸裸な気がしますが紹介しましょう。
名は一抹貞世。スタンドは『ディヴァイン・インダルジェンス』。
近距離パワー型で接触した生物の『悪感情』を鎮静する珍しいスタンドです。
他にも『慈悲の刃』とか言う隠し武器を持ちます。
これだけ自分のスタンドを何故、明かすのか気になりますか?
それは弱っちいから明かしても結果が変わらないなからです。
でも、戦闘経験から豊富な方かな?
小石川さんとの関係は夏の魔物から救ってくれた仲かな?
勿論、小石川さんがギリギリまで夏の魔物を説得してくれたのは知ってます。
それを踏まえて小石川さんの精神性を尊重して『サロン』に入会しました。
もう、私と夏の魔物のような犠牲を生まないためにです。
どうにもならなくなった時の『安息』係として頑張ります!
66
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/10/05(土) 10:53:48
>(常原)
『月曜日』――お茶とお菓子を用意して、『約束した相手』の訪問を待っていた。
ここに来たのであれば、まず『ラベンダー』の庭が目に入るはずだ。
それから『リビング』に通されて、ソファーに腰を下ろすことになるだろう。
室内に置かれている家具や調度品は、
アンティークとフレンチモダンを融合させた『シャビーシック』で統一されていた。
全体的に『くすんだ色』が基調となっており、落ち着いた雰囲気に包まれた空間と言える。
……………… ……………… ……………… ……………… ………………
床に敷かれたラグの上では、『帽子猫』の『撫子』が寝息を立てている。
ただ、傍目からは帽子が落ちているようにしか見えない。
特徴的な『耳』が伏せているので、なおさら分かりづらかった。
67
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2024/10/05(土) 15:28:31
>>66
(小石川)
『常原ヤマト』は『家政婦』を自称している。
漢らしい名に反さず、実際男性であり、大柄で筋肉質な体格、左目に眼帯。
黒い革ジャンでも羽織っていれば、腕っぷしの強いアウトローのような
近寄りがたい風貌になるのだろうが、
白黒のワンピとエプロン、『メイド服』を纏っているために、
率直に言って近寄りたくない風貌をしている。
「お邪魔いたします」
そのメイド男が、なにやら小石川の屋敷にお呼ばれしてしまったのだった。
「お庭の雑草取り!!!!……は不要そうですね…」
「掃除…………も、いらないですね………」
「洗濯!!!!……も溜まってなさそうですね………
おや、『帽子』が落ちています!これだけでも洗いましょうか?」
キャビネットや机に埃が積もっている様子もなく。
俺にできることと言えば、力仕事くらいだろうか。
海外の大ぶりな調度品を、女性一人で運び込んでいるとも思えず
このあたりは、おそらくは『伴侶』の仕事だったのだろう……
「す……座………!!!!!」
「そんな!!!!!家政婦めが!!!!
お屋敷の椅子に腰掛けようなどと!!!!!!」
68
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/10/05(土) 17:44:55
>>67
一般的な観点から見ると、確かに常原の服装は奇矯に映るだろう。
しかし、それは『喪服』で通している小石川も同じことだ。
他人には理解しがたくとも、当人にとって大切なものはある。
「――いえ、どうかお座りになって下さい。
今日は『話し相手』になって頂くためにお呼びしたのですから……」
コポポ…………
「……それから『味見』もして欲しいのです」
テーブルに置かれたカップに『ラベンダーティー』を注ぐと、
リラックス効果を持つフローラルな香りが漂う。
また、手作りの『ヨーグルトケーキ』とカトラリーも用意されていた。
ビスケットで出来た土台の上に、
クリームチーズとヨーグルトを使ったケーキが載ったスイーツだ。
見栄えは綺麗に整っており、おそらく味も相応だろう。
片手を差し出し、それらを常原に勧める。
「――――にゃあ…………」
ピコッ
不意に『黒いキャペリンハット』から『猫の耳』が生えた。
音量の大きな声で『帽子猫』が目覚めたのだ。
半分ほど開いた両目で『来客』の姿を見上げている。
「この子は『撫子』と名付けました。
『あるスタンド』によって生まれたのですが……
こうして一緒に暮らしています」
常原と出会った頃の小石川文子は『独り暮らし』だった。
いつも心の片隅に『寂しさ』を抱えていたが、今は新しい『家族』がいる。
そのせいなのか、以前と比べると小石川の表情は柔らかだった。
69
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2024/10/05(土) 21:04:37
>>68
(小石川)
「しかし、いや………………かしこまりました。」
あまり固辞するのも、家政婦としてはよくない、と
ソファに腰掛ける。
小石川は『家政婦』ではなく『俺』を呼びつけたのだと、薄々察してはいたが、
こういった場での『客人』としての振る舞いに、慣れていない。
一回のメイドが、座して、奥様が茶を注ぎ菓子を出されるのを見ているだけ……もどかしい。
「(それに、俺は、ここに招かれうる人物たりえるか?とも思う…………)」
食器に手をつけるのも躊躇われ、茶の波紋や、小石川の居住まいを眺める。
いい匂いだな、と思う。
「はっ!?
………お話ですか!!お聞きします!!!!!!」
>にゃあ
「猫!?!? すごく可愛……!! ……!
…………
………愛くるしいですね」
声量は抑える。
70
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/10/06(日) 00:54:20
>>69
どこか落ち着かない様子を見て、こうした状況に慣れていないのだろうと感じた。
彼の立場を考えれば、それは当然のことなのかもしれない。
全く逆の側に回るというのは、にわかに受け入れにくい部分があるものだ。
「常原さん……『もてなされる側』に立ってみるのも、
きっと良い経験になると思います」
ソッ…………
向かいに座る客人の緊張を和らげるように微笑を浮かべ、
常原が手を出しやすいようにするため、自分のカップに口をつけた。
「……つい差し出がましいことを言ってしまいました」
――――コト
静かにカップを置くと、目覚めたばかりの撫子を一瞥してから話し始める。
「まず結論から申し上げます。
私は『組織』を立ち上げました。
市井のスタンド使いが集まる『互助組織』です」
常原にとっては寝耳に水の話だろう。
すぐに理解してもらえるとは考えていない。
だから、順を追って説明する。
「これは決して単なる思いつきではありません。
今から『何故そうしたか』を、常原さんにお話させて下さい。
もし質問があれば、その都度お答えします……」
「――よろしいでしょうか?」
本題に入る前に確認を取り、常原の見解を求める。
71
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2024/10/06(日) 12:56:51
>>70
「………気を遣わせてしまいました!!!
申し訳ありません!!!いただきます!!!!!!!!!!」
カップに指をかけ、慌てて口に運ぶ。
すこし多めに飲んでしまった。
「互助組織、ですか」
「………続けてください」
背筋を伸ばし、話の続きを促す。
細かい部分はこれから明らかになるだろう。
72
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/10/06(日) 14:34:22
>>71
「……以前に起きた『魔物事件』を覚えておいででしょうか?
あの一件で、私が多くの人を集めていたことは、
常原さんもご存知かと思います」
「そうした経験から、私は『3つの学び』を得ました」
そこで言葉を区切り、少しの間を置いて先を続ける。
「第一に、あのように『大きな災い』は、
いつ何処で起きるか分からないということ……。
災害が起きた後に『避難の準備』を始めても間に合いません。
早い段階から備えておけば、有事の際に素早く動くことが出来ます」
小石川が多数のスタンド使いを招集できたのは、
これまで築いてきた『人脈』があったからだ。
しかし、それを最大限に駆使しても、
全員に話をつけるまでには相当な時間を費やしてしまった。
もし、その段階を省けていたなら、他に気を回す余裕が出来ていただろう。
「また、万一の事態に対応するためには、
『人と人の繋がり』が大切だということです。
未曾有の問題が生じた時、『結束』は大きな力になります。
一人では不可能な行動も、複数人が集まれば実現できるでしょう」
かつて『魔物事件』で小石川が立案した計画は、単独では成し得ないものだった。
多数の力を合わせたからこそ、実行に移すことが出来たのだ。
まさしく結束が生み出した結果に他ならない。
「そして……一時的な集まりではなく、『強い絆』が必要になると考えました。
『利害が一致するだけの集団』は、
些細な綻びから瓦解してしまう可能性を孕んでいます。
だからこそ、お互いを深く理解し合い、
助け合うことの出来る『相互理解の場』を作りたいと思ったのです」
『目的を同じくする者の集まり』を作った小石川は、
『魔物事件』の終局において『共に戦ってきた仲間達の離散』を体験した。
それぞれの考え方の違いから対立し、後戻り出来ない亀裂が刻まれてしまったのだ。
『とにかく頭数を揃える』というような方法では、強固な結び付きは得られない。
「常原さん――私は『その場』を『サロン』と命名しました」
73
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2024/10/08(火) 00:43:09
>>72
「『サロン』、ですか」
「……災害………結束……相互理解……」
小石川の言ったことを、口の中で転がすように呟く。
『魔物事件』。俺は顛末を知るようで知らないのだが、
とにかくそういう事変があったのは記憶している。
解決にあたり、小石川が音頭を取っていたことも覚えている。
「…話は読めて参りました!!!
……ですが、自分からも3つ…………」
指を3本立てる。問いかけねば。
「1つ目。『誰も彼も招き、動かす』わけでは無いでしょうね?」
奥様の事だ、互助の意識、去る者拒まず、のスタンスなのだろうが、
『招くべきでない人物』………
『悪意のある人物』はどうするのか?
そして『お坊ちゃま、お嬢様』を無理に巻き込むようであれば…………。
「2つ目。様々な事柄に『どう責任を取る』のですか?」
中立や専守を気取っても、いやだからこそ、災害と縁は絶えない。
結束のお題目のもと、敵を共有する、その恐ろしさ。
哀しみ。痛み。怪我。死。
「3つ目。『なぜ、奥様がそれをする』のでしょうか?」
指を立てたまま、その隻眼で、小石川を見つめる。
74
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/10/08(火) 14:22:55
>>73
常原ヤマトと小石川文子が向かい合って座るのは、思い返せば『あの時』以来だった。
「常原さんのご質問に答える前に、
その『前提』となる部分からお話しましょう……」
「『サロン』は『招待制』です。
『他の会員から紹介された方』のみ入ることが出来ます。
なお、『正式な会員』には『会員証』をお渡ししています」
…………スッ
小さな布袋を取り出し、テーブルの上に置く。
ハーブティーと同じ花の香りが漂う。
『ラベンダーのサシェ』だ。
「これを持っている方を『正会員』とし、
お持ちでない方は『仮会員』とします。
両者の主な違いは、『本拠地』を訪れる方に対し、
応対する資格を持つか否かということになります」
「つまり、『ここ』です。
また、『会員証』をお渡しするのは『主宰者』の役割になっています」
「そして――『主宰者』は私です」
いったん言葉を止め、まもなく再び口を開く。
「『1つ目』の答えですが、
最低限の『協調性』を持ち合わせていない方はお断りしています。
『正会員』にはなれませんし、
場合によっては『仮会員』の資格も取り消す可能性があります」
「『サロン』の『互助』は『自由意志』に基づきます。
お願いすることはあっても、強制することはありません」
「『2つ目』に移らせて頂きます。
何らかの『問題』が生じた際には、私が『責任』を持ちます。
すなわち、率先して『会議の場』を設け、全体の『舵取り』を行います」
「これは『主宰者が会員証を渡す理由』でもあります。
『責任の所在』が明らかでなければ、以後の対応は円滑に進みません。
また、『仮会員』の方は、基本的に『会議』にはお呼びしないつもりです。
一人の発言が全体に影響を及ぼすという『自覚』を持って頂きたいからです」
「ただ……常原さんがおっしゃりたいのは、『実際に危険がある場合』でしょう」
「『サロン』として動く場合、それは『関わった全員の責任』です。
お断りしておきますが、『会員だから』といって、
常に関わらなければならない『義務』は存在しません。
関わるかどうかは『本人の意志』で決定され、
判断するために必要な情報を伏せておくことはありません」
「『3つ目』をお答えします。
『それ』というのが『責任』という意味でしたら、
『主宰者としての役割』です。
善意で加わって頂いたのですから、皆さんが過ごしやすい空間を維持するのは、
私の果たすべき務めだと考えています。
重ねて申し上げますが、『サロンとしての責任』は『全員の責任』です」
「……初めてお会いした時のことを覚えていらっしゃいますか?
ずいぶん前になりますから、お忘れかもしれませんが、
私は常原さんに言われた『言葉』を覚えています。
私は、私自身のことを、しっかり見てあげて欲しいと――」
常原ヤマトと小石川文子が知り合ったのは、一軒の『喫茶店』だった。
僅かな時間だったものの、お互いについて語り合えたのは貴重な経験だったように思う。
その中で投げ掛けられた一言を、無意識の内に振り返る。
(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453647631/267)
「これまでの私は、『それが出来ていた』とは言い難いでしょう。
『全てを独りで背負おう』とした結果、大きな『過ち』を犯してしまいました。
その『重み』に耐え切れず、『折れてしまった』のです」
常原を見つめ返す瞳は、あの頃と変わらず憂いを帯びている。
同時に、『当時の姿』を知る常原は、明確な『変化』に気付くことが出来た。
この町で『スタンド使い』として生きてきた経験が、そうさせたのだろう。
陰を含んだ瞳の奥には、幾重にも折り重なった『過去』が秘められている。
一瞬、そのように感じられた。
「――『私だけが全責任を負う』ということは『しません』。
その考え方は私だけでなく、他の方々にも迷惑を掛けてしまうからです」
一通りの回答を終え、常原のために沈黙を挟んだ。
75
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2024/10/08(火) 23:59:06
>>70
・招待性でセーフネットを張るが、参加は自由意志。
・主宰が取り纏めを行うが、各員に発現の権利あり。
・集団として動く場合には、動いた者たちの『連帯責任』。
といった所か。
「……それでもですよ。それでも、………『サロン』。
人が寄り合えば、『衝突』はあります。絆があろうと。
そして『組織の外』。危機を乗り越えるために………寄り合い、何かや誰かと『敵対』する。
これから先、奥様は『無傷』ではいられないでしょう………」
「最後に一つ、問わせてください………」
あなた、また傷つくぞ。今からでも思い直して、
何にも関わらない平穏な暮らしを送るべきじゃあないか?
…………と、疑問を投げかけようとしたところで。
小石川の黒い瞳に見つめ返される。
たしか喫茶店で相席をした、その程度の邂逅だったが。
互いに、古傷を見せ合うような会話があった。
その時のこの女性は、ようやく傷を克服し、再び立ち上がり始めたような様子だった。
今は………………
「(…………愚問か)」
肩の力を抜き、息をつく。質問を変えよう。
「――――――『家政婦』のお手伝いは必要でしょうか!?!?!?!?
丁度ここに一人いるのですが!!!!!!!!!!!」
76
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/10/09(水) 15:19:49
>>75
『あの頃の自分』なら、
『平穏に生きるべきだ』という助言を受け入れられただろう。
星見町で『スタンド』を得てから、幾度も争いの渦中に身を投じている。
今から後戻りするには、あまりにも多くのことを知り過ぎてしまった。
しかし、後悔はしていない。
また傷付いたのなら、その度に立ち上がれば良いのだから。
『常原ヤマト』を見つめる『小石川文子』の瞳は、
そのように物語っていた――――。
「こちらにいらっしゃる方には、
『お茶』と『お菓子』を出すことにしています。
私が不在の場合、他の会員に『留守番』をお願いするのですが、
経験豊富な『ハウスキーパー』がいて下されば、
きっと安心できるでしょう……」
テーブルの上に置かれた『香り袋』に視線を落とす。
「『ラベンダー』には『鎮静作用』があります。
将来、この町で『災禍』が起きた時、
それを『鎮静』したい――そういった意味を込めました」
小石川自身、ラベンダーの香りには助けられてきた。
どうしようもなく心に乱れが生じた時、精神の安定をもたらしてくれる。
その効能を知っているからこそ、ある種の『象徴』として選んだ。
「……『私の話』をお聞きになった上で、
もし『来て頂ける』のであれば、これを収めて下さい」
神妙な面持ちで顔を上げ、眼前の『友人』に向けて恭しく告げる。
77
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2024/10/10(木) 01:44:37
>>76
「……奥様とは違って、俺は……たぶん………自分の痛みに、向き合えてはいない
あなたほど、俺は、俺を信頼できない………」
常原ヤマトは、少しの間、呟きながらカップの波紋を見ていた。
一人の人間としての己を顧みて、『己は相応しいか』?自信はない。
加えて、組織に対しての心配事も尽きたとは言えない。
それでも。
「それでも……
『よく乾いてアイロンがけされたシャツ』…
『季節のもので作られた食事』…!
『水垢のない洗面台と磨かれた鏡』!!
仲の良い家族!!安心して帰れる『家』!!!!!」
「俺の実現したいものです!!
……だから、『サロン』の『理念』に、
いち『家政婦』として、賛同させていただきます!!!!」
人よりも大きめな手を、『香り袋』の上に乗せる。
常原ヤマトは、落ち着きのある方とは言えないため、
鎮静作用がうまく効くかはちょっとわからないが。
そういう上辺の事じゃない、もっと意義のある物品だ。
『香り袋』を受け取りたい。
78
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/10/10(木) 11:49:00
>>77
初めて出会った時、彼は『妹の話』をしてくれた。
妹の誕生日に『人形』を贈り、その修理のために『裁縫』を始めたのだと。
そして、それが『形見』になったと聞いている。
詳しい事情は知らない。
ただ、『苦しみに立ち向かうために針仕事を始めた』と語った彼の姿に、
確かな『共感』を覚えたことは事実だ。
「以前、『同じ事件』に居合わせたことがありましたね……。
『魔物事件』ではなく、もっと前です。
あの時も、常原さんにはお世話になりました」
ふと口にしたのは、『ある雨の日に起きた出来事』に関わる記憶。
『スタンド使い』として力を合わせ、共に困難を切り抜けた。
それも今となっては懐かしく思える。
(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1454252126/404-555)
「――改めてよろしくお願い致します」
目線を合わせ、会釈を行う。
『香り袋』――『サシェ』は、常原の手と比べると小さい。
しかし、『匂い』は分かる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「私は、この香りが好きなんです。
気持ちが落ち着きますから……」
「家の庭でも育てているんです」
「そういえばニオイって妙に脳とか記憶を刺激しません?
昔から持ってたヌイグルミの香りとか、
嗅ぐ度に胸がギュ―ゥ―――――――ッ!!として」
「昔思い出して泣いちゃいますよ俺」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
あの日の喫茶店で、そう言葉を交わし合った。
かつて常原自身が言っていたように、匂いは記憶を刺激する。
『ラベンダーのサシェ』からは、『あの時と同じ匂い』が感じられた。
スッ
まもなく、1枚の紙とペンをテーブルに用意する。
「お手数ですが、こちらに『自己紹介文』をお願い出来ますか?
他の会員の方々に常原さんを紹介する際に、使わせて頂きたいのです。
その内容は『サロン』の会員間で共有されますので、
『明かせることだけ』で構いませんし、提出するかどうかも『任意』です」
「今の時点で『2人分』受け取っています。
……実際にお見せしましょう」
もう1枚の紙を取り出し、
『空織清次(
>>64
)』と『一抹貞世(
>>65
)』の自己紹介文を見せる。
79
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2024/10/11(金) 01:26:10
>>78
「ええ、懐かしいです。あの事件……」
ちょっとした事件の記憶。また少し目を伏せる。今日の俺はうつむき過ぎだ。
あの騒ぎだって、俺からすれば嫌なオチがついて、その記憶は不安になるんだ。
……懐かしい芳香でふと我に返る。
…小石川は、人を愛する人だ。
そして、愛と覚悟をもって手を下せる人だ。
何かがあっても…………きっと。
「……おっと失礼しました!!
自己紹介ですね!手早く書きます!!!!!」
他の会員の自己紹介に目を通しながら、紙にじぶんのことを書き連ねる。
サラ サラ
「一抹貞世さま!!覚えました!!!
この町にも、まだまだ俺の知らないお坊ちゃまがたくさん……
す、救いたい!!!!すべてのお坊ちゃまお嬢様を!!!うおおおおお!!!!」
カリカリカリカリ
「この空織さまという方、『テーラー(仕立て屋)』なのですか!!!
是非ともお会いしてみたいですね!!!!!!!!!!!!」
そんな事を叫びながらも、
>>80
の内容を記入し終えたので、
いかがでしょうか!!!!!と差し出す。
80
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2024/10/11(金) 01:26:50
>>63
常原大和(ツネハラ ヤマト)と申します。
流しの家政婦を生業としております。
ひとえに家政婦と申しましても、様々な伝統、スタイルがございますが、
この常原の流派は、メイドの流派でございます。
西洋の、白黒エプロンドレスを着用して家事に臨むのが伝統です。
お嬢様、お坊ちゃま、ご主人様、奥様が。
俺のメイド服にビックリされてしまうことは多いのですが、
それでも満足いただけるよう、愛をこめて家事をさせていただきます。
掃除洗濯家事炊事、何でもご用とあらば、
この常原をお呼びつけください。
補足:特に裁縫が得意で、趣味でもあります!
81
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/10/11(金) 13:39:11
>>79-80
自己紹介文を受け取ると丁寧に目を通し、肯定の意を込めて小さく頷いた。
「――確かに『受領』いたしました。
常原さんに頂いた内容は、他の方々にもお伝えしておきます」
「それから……会員同士のコミュニケーションを助けるために、
私の方で『レクリエーション』を用意しました。
必要な際には、ご自由にお使い下さい」
一連の『ルール』が記されたもの(
>>57
)を見せる。
「一度『ある方』と試した時は『44点』でした。
多いか少ないかは別として、このように数字として可視化することで、
『相互理解の度合い』を分かりやすくするという狙いもあります……」
「それぞれの事情がありますので、
なかなか全員が集まることは難しいですが、
折を見て『機会』を設けたいと考えています。
そこでは『別のゲーム』を行うつもりですから、
ご都合が合えば常原さんも是非いらっしゃって下さい」
そこで、手つかずの『ヨーグルトケーキ』が載った皿に視線を移す。
「……差し支えなければ、感想を聞かせて頂けますか?
常原さんのご意見を伺いたいのです」
カチャ…………
自らもフォークを手に取り、ケーキの一片を口に運ぶ。
濃厚なクリームチーズと爽やかな酸味の効いたヨーグルトの味わいが広がり、
土台を形成するビスケットの香ばしさがアクセントを添えている。
主観的には、概ね成功と呼べる出来具合だ。
82
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2024/10/12(土) 12:51:01
>>81
『レクリエーション』のルールと睨めっこしていたが、
菓子を促され、そういえば手を付けていなかった事に気付かされた。
「いただきます!!!!」
がっつり切り分けて、食べる。
ちょっと濃い目のクリームチーズも、
ヨーグルトの酸味と水気でするすると喉を通る。
土台の硬さもいい感じ。
「おいしい!!」
子供みたいな反応をしてしまった。
83
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/10/12(土) 16:07:34
>>82
普段、用意する料理は1人分だけ。
誰かに食べてもらえるというのは、それだけで嬉しいことだった。
口に合ったのなら、なおさら喜ばしい。
「――ふふ……」
無邪気な反応を受けて、柔らかな微笑みを返す。
「『リビング』・『ダイニング』・『キッチン』は、
ご自由に使って頂いて構いません。
常原さんが『留守番』の際に、
どなたかがいらっしゃった時は、よろしくお願い致します」
改めて頭の中を整理して、伝え忘れたことがないか確認する。
「これで一通りお話しました……。
私からは以上ですが、よろしければ『離れ』をご覧になりますか?
もし必要な場合は、そちらを利用して頂くことも出来ます」
「……『アトリエ』として使われていた場所で、
今は幾つかの『絵』を展示してあります」
そこは亡き伴侶の『仕事場』だった。
同時に複数人が居合わせている時、
『2人だけで話したい』といった場合などには便利だろう。
そのように考えて開放している。
84
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2024/10/12(土) 21:56:27
>>83
「かしこまりました。
俺も別のハウスキーピングがあり常駐できない時もありますが、
奥様が不在の際には、なるべくこの常原、駆け付けて対応をさせていただきます。」
(ちなみに常原の言う『別のハウスキーピング』には、
正しい依頼で任された家事だけでなく、
目に付いた家や学生寮に違法に侵入し許可なく家事をする行為、も含まれる。
小石川が自身の住居を任せることにより、
この町の『不法侵入』の件数が減るのは間違いない。)
「離れですか!!よいですね
少し、お邪魔させていただきます」
ケーキを平らげると、何かを思い出している小石川の様子に気づき、
「………本当に、立ち入ってよろしいですか?」
奥様にとって神聖な場所なのではないか。
不法侵入になんの頓着のないメイドだが、
立ち入るな、と言われれば立ち入らない程度の良識がある
(この男のある種厄介な部分とも言える)。
85
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2024/10/13(日) 01:14:28
>>84
常原の呼び掛けに応じる形で、一瞬の郷愁から現実に引き戻される。
「ええ、もちろん構いません。
それに、常原さんにも見て頂きたいですから……」
スッ
ソファーから立ち上がると、先に立って玄関を抜け、
ラベンダーの咲く庭を通り、その先に立つ『離れ』に向かう。
「――どうぞ」
ガチャ…………
おもむろに扉を開けて、常原を室内に招き入れる。
そこは『小さな美術館』を思わせる空間だった。
風景画・静物画・人物画など、様々なジャンルの『絵画』が飾られている。
それらは繊細かつ力強く描かれており、鑑賞者に『生命力』を感じさせる筆致だ。
そうした絵の数々と対を成しているかのように、空っぽの『イーゼル』が佇んでいた。
「……私と出会う前から、『彼』は身体が弱かったそうです。
自分の『生きた証』を残すために、
『絵』を描き始めたのだと教えてくれました」
小石川が見つめるのは、花瓶に生けられた色彩豊かな『花々の絵』。
多種多様な花が描かれているものの、
別々の季節に咲く品種が共存するところから、
現実には有り得ない組み合わせであることが分かる。
おそらく自由な考えに基づいて製作されたのだろう。
静物画は『動かない命』と呼ばれているが、
光の陰影や茎のうねりは生き生きとした雰囲気を醸し出す。
また、透けるような花弁の表現から、瑞々しさと同時に儚さが感じ取れた。
「私も……『彼』と交わした『約束』を守るために、
これからも生きていくつもりです」
常原に視線を戻し、自らの信条を口にする。
『約束の内容』については、詳しく話す必要はないだろう。
以前、既に伝えていたのだから。
86
:
常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』
:2024/10/13(日) 03:13:34
>>85
小石川の後ろをついてゆく。
途中、薄紫に染まった庭園を眺め、
「さすがにこれは俺も触れません!!!!
ちゃんとした庭師か、奥様ご自身で!!手入れされるのがよろしいかと!」
と申し上げながら、『離れ』のドアをくぐる。
絵の具やら何やらで汚れた『画家』らしい風景を想像していたが、
想像より整えられた部屋だな、と感じた。
夫婦揃って几帳面だったのが伺える。
確か、『自分のぶんも生きろ』、だったか。
その言葉と、こんなに豊かな絵を、思い出を遺されたのだから、
小石川に『後を追う』という選択肢はなかったのだろう。
「………死のうと思ってた、俺 実際に身も投げたんですがね」
「やはり そんな事するべきじゃあない」
「この常原、造詣は深くないのですが……」
「いい絵です。間違いございません。」
自分の死と生のことについて、すこし感傷に浸った。
そういう力のある絵だ。
どこかに『ラベンダー』の絵もあるのだろう。
あるのだろうか。観覧を続ける。
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