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( ,,^Д^)ビッグ・トレジャーの大冒険のようです!!!
1
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 15:48:53 ID:MB1Msye.0
前スレ
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1495117626/
まとめ
http://cloudcrying.blog.fc2.com/blog-entry-163.html
.
2
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 15:51:30 ID:MB1Msye.0
.
アメリカ中央にある大都市、クラウン=シティ!!
この街には、ありとあらゆる常識からかけ離れた、ヴィランという超常の犯罪者が跋扈している!!
ある者は火を吐き!!ある者は電撃を放ち!!ある者は大地を凍らせる!!
そんな超常の能力に人々は怯え、安寧の時を迎えられずにいた!!
しかし、そんな窮地を救うため、この街にはSUPER☆BIG☆HEROが存在する!!
.
3
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 15:52:29 ID:MB1Msye.0
.
彼こそが、この街の守護神!!!
,∧,,∧
( ,,^Д^)
,ノ ヽ、_,,,
/´`''" '"´``Y'""``'j ヽ
{ ,ノ' i| ,. ,、 ,,|,,. 、_/´ ,-,,.;;l
'、 ヾ ,`''-‐‐'''" ̄_{ ,ノi,、;;;ノ
ヽ、, ,.- ,.,'/`''`,,_ ,,/
`''ゞ-‐'" `'ヽ、,,、,、,,r'
,ノ ヾ ,, ''";l
./ ;ヽ
.l ヽ,, ,/ ;;;l
| ,ヽ●/ ;;;|
| ,' ;;;l l ;;'i, ;|
li / / l `'ヽ, 、;|
l jヾノ ,ノ ヽ l ,i|
l`'''" ヽ `l: `''"`i
.l ,. i,' } li '、 ;;' |
l ; j / _, -― ' ̄ ̄`ー‐-、_
, .--、,,__,,-' ̄;;"`´ ;; __ __, -―- 、;; ̄`l
;; ,__ ;;' r ' ´;;; ヽ_ゝ_;;| lヽ, /
;, Y´| l __ /`'| | | l l;| l ヽ
| |.;;l_,-'l | V | |.l .| .| l i i | ;lヽ
|.| ''.|/ l |;;;| | | | ;| | | ;l l| i ;;;; l | l
;; i / .il /| |.| | | i | | l i '`i l /
ズウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン…………!!!!!!!!!!!!
( ,,^Д^)「ビィーーーーーーーーーーーッグ!!!!!トレジャーーーーーーーーーーッッッ!!!!!!」
ビッグ・トレジャーその人である!!!
.
4
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 15:53:41 ID:MB1Msye.0
.
ここで改めて読者諸兄に説明をしよう!!!
ビッグ・トレジャーとは、豪腕無双健脚無比、快刀乱麻のスーパーヒーローである!!!
その腕力は数多のヴィランたちを退け、その走力はいかなる事件現場にも瞬時に駆けつける!!!
なぜ彼は素っ裸なのか!!!それは彼の全力(フルパワー)に耐えうる衣服が、この世に存在しないから!!!
ゆえに今日も彼は、フルチンで街を激走する!!!優しき巨チン、ビッグ・トレジャー!!!
これは彼の率いるヒーローとヴィランの、熱き攻防の全史である!!!
.
5
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 15:54:30 ID:MB1Msye.0
.
.
6
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 15:55:25 ID:MB1Msye.0
.
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
(;‘_L’)「あぁ……大丈夫かな……」ソワソワソワソワ
ζ(゚ー゚*ζ「あら、あなた。何をしてらっしゃるの?」
(;‘_L’)「いやぁ……何となく落ち着かなくて……やはり僕たちもついていった方が良くないかな?」
ζ(゚ー゚*ζ「心配性ねぇ。大丈夫、この娘は私たちの娘ですよ?」
ζ(゚ー゚*ζ「それに私たちがお邪魔しても、何の話をしてるかも分からないわよ」
(;‘_L’)「そうかもしれんが……困ったことがあったら、パパたちにすぐ電話するんだぞ?」
ζ(゚ー゚*ζ「私たちは観光してるから、ゆっくりお話して来なさいな」
川 ゚ -゚) チョコーン
川 ゚ -゚)「うん、分かった。そうする」
クォッサ=サリエリ(当時九歳)
.
7
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 15:57:45 ID:MB1Msye.0
.
川 ゚ -゚)「じゃあ、行ってくる。お父さん、お母さん」スタスタ
(;‘_L’)「あぁ……行ってしまった……本当に大丈夫だろうか……」
ζ(゚ー゚*ζ「今日はただの挨拶なんだから、何も起こりはしませんよ」
(;‘_L’)「しかしだなぁ、もし幼女趣味のマッドサイエンティストでもいたらどうする?」
ζ(゚ー゚*ζ「そんなことを心配するより、まずは私をどう楽しませてくれるか考えるのが先じゃなくて?」
ζ(゚ー゚*ζ「せっかくの夫婦水入らずのデートなんですから、杞憂は忘れて楽しみましょう?」
(;‘_L’)「あ、あぁ……そうだな。すまない、君のことを考える余裕がなかったみたいだな」
ζ(゚ー゚*ζ「私、経済センタービルに行ってみたいわ。クーに聞いたんだけど、あそこ見晴らしが凄くいいんですって!」
(‘_L’)「うん。それじゃまずはそこから行ってみようか」
.
8
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 15:58:33 ID:MB1Msye.0
.
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
【総合科学技術研究所】
川 ゚ -゚)「……」ウィーン
( ‘∀‘)「……あら?」
川 ゚ -゚)「こんにちは」
( ‘∀‘)「こんにちは。どうしたのお嬢ちゃん、迷子かしら?」
川 ゚ -゚)「ロマノフ博士に面会させて頂けますか。アポは取ってあります」
( ‘∀‘)「あら……博士のご家族?」
川 ゚ -゚)「いえ、違います。個人的な面会です」
( ‘∀‘)(妙に大人びた娘ね……博士の隠し子かしら?)
( ‘∀‘)「ちょっと待っててくれるかな?今博士に繋げるから」
.
9
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 15:59:39 ID:MB1Msye.0
.
( ‘∀‘)「……」トゥルルル、トゥルルル
『はーい……何であるかー……?』ガチャ
( ‘∀‘)「ロマノフ博士、ご来客がありますが通してもよろしいですか?」
『来客ゥ……?今日は誰と会う予定であったか……』
(;‘∀‘)「ちょっと博士、しっかりしてくださいよ」
( ‘∀‘)「お客さん待たすことになっても、知りませんからね?」
『スケジュール管理は秘書に任せておるでな……それで、来客者はどなたかね?』
( ‘∀‘)「あ、えーと……お嬢ちゃん、お名前は?」
川 ゚ -゚)「クォッサ=サリエリです」
( ‘∀‘)「クォッサ=サリエリさんですって」
『何ィィィィィィィィィィィィィッッッッッッッ!!!???』
(;‘∀‘)「うるさっ……」
『すぐに応接室へお通ししなさいッッッ!!!今すぐ!!!今すぐにだッッッ!!!』
(;‘∀‘)「は、はい……?」
『ワシとしたことがこんな大事な用を忘れるとは……不覚なり!!!』
『ダッシュで行くから待っとるんじゃぞーーーーーーーーい!!!!』
(;‘∀‘)「……」
.
10
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:01:31 ID:MB1Msye.0
.
( ‘∀‘)「ごめんね。博士なにか興奮してるみたいで」
川 ゚ -゚)「いえ、お気になさらず。歳を召されるとよくあることです」
(;‘∀‘)「そ、そうね……それじゃあ応接室までご案内するわね?」
川 ゚ -゚)「はい。よろしくお願いします」
…ドドドドドド
( ‘∀‘)「……えっ?」
川 ゚ -゚)「ん?」
( ФωФ)「クォッサ博士ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」ドドドドドド!!!
(;‘∀‘)「きゃあ!?」ビクッ
川 ゚ -゚)「おぉ……」
.
11
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:02:19 ID:MB1Msye.0
.
(;‘∀‘)「な、何してるんですか博士!!ビックリしたじゃないですかぁ!!」
川 ゚ -゚)「初めまして、ロマノフ博士。お歳に似合わぬ健脚、お見事です」
(;ФωФ)「ハァッハァッ……こ、こちらこそ……ゴフッ、お初にお目にかかるである……クォッサ博士……オゥエッ」
(;‘∀‘)「ほらー!変に走るからすごいむせてるじゃないですか!!」
(;ФωФ)「こ、これが走らずにおられるか……!!」
(;ФωФ)「この娘は我が研究所の迎えた新たなる頭脳、クォッサ=サリエリ女史だぞ……!!」
(;‘∀‘)「そ、そうなんですか……?」
川 ゚ -゚)「恐縮です。私も、博士のご高名はかねがね伺っております」
川 ゚ -゚)「稀代の変態……いや変人……いや天才だと」
(;ФωФ)「誉めるならもっとスムーズに誉めてくれんかね?」
.
12
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:03:27 ID:MB1Msye.0
.
( ФωФ)「さぁさ、クォッサ博士。ここからはワシが応接室まで案内しよう!!」
( ФωФ)「ガーナくん、コーヒーを淹れてくれ。それとも紅茶が良いかな?」
川 ゚ -゚)「では、紅茶を」
( ФωФ)「よしよし。彼女に紅茶と、ワシにはコーヒーをガムシロ増し増しで頼む」
(;‘∀‘)「また激甘コーヒーですか。ほどほどにしないと糖尿で死にますよ?」
( ФωФ)「走ったから糖分消費したんじゃい。それくらい目ぇ瞑らんかい姑じゃあるまいに」
(;‘∀‘)「分かりましたよぅ……他の研究員さんに怒られても知りませんからね!」
川 ゚ -゚)「ロマノフ博士はユニークな方ですね」
( ФωФ)「フハハ。ワシなぞ老いらくの徒花よ」
( ФωФ)「真にユニークなのは、クォッサ博士の発想と柔軟性ですぞ!」
.
13
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:06:33 ID:MB1Msye.0
.
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
( ФωФ)「クォッサ博士の循環エネルギー論の論文、読ませていただきましたぞ」バリボリ
( ФωФ)「あれこそまさに斬新にして質実剛健!!新時代の到来と言えましょうな!!」バリボリ
川 ゚ -゚)「ありがとうございます。その道の権威である博士に、そう仰っていただけるのは本望です」
( ФωФ)「しかし悲しいかな、博士の論文を実用化させられるだけの施設は、このアメリカでも数少ない」バリボリ
川 ゚ -゚)「えぇ。大規模なエネルギー発生装置と、相互循環機構の両方が無くては成し得ません」
川 ゚ -゚)「ですがこちらなら、すぐにでも私の理論の実証が可能なのではと思いましたので」
( ФωФ)「その慧眼は正しかったと言わざるをえませんな!!」バリボリ
( ФωФ)「ここならハイレベルな物理演算装置から本物のロケットエンジンまで、心ゆくまで手広く扱えますぞ!!」バリボリ
( ‘∀‘)「失礼いたします……」ウィーン
(;‘∀‘)「あっ!!博士また来客用のお菓子勝手に食べて!!」
( ФωФ)「糖が足りてないんじゃ糖が……クール博士もいかがですかな?」バリボリ
川 ゚ -゚)「いえ、紅茶だけで」
.
14
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:07:24 ID:uDn7yIV60
待ってた
15
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:07:24 ID:MB1Msye.0
.
川 ゚ -゚)「しかしなぜこんな街中に研究施設を?」
川 ゚ -゚)「郊外に立てた方が、騒音等の苦情もなかったと思うのですが」
( ФωФ)「それなのだよ!!クォッサ博士!!」
( ФωФ)「現在ワシは新たな研究対象を発見しましてなぁ」
川 ゚ -゚)「というと?」
( ФωФ)「ヴィランじゃよ、クール博士」
川 ゚ -゚)「ヴィランですか」
( ФωФ)「きゃつらは人としての常識を逸したパワーを持っている者がほとんどじゃ」
( ФωФ)「そしてその力は時に、覆しようのない物理法則すら容易く越えてしまう」
( ФωФ)「それを解明できれば、人類はまた一歩この宇宙の真理に近づくことが出来る」
( ФωФ)「そのためには、ヴィランの起こす現象をつぶさに観察できる街中がベストなんじゃよ!」
.
16
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:08:25 ID:MB1Msye.0
.
川 ゚ -゚)「しかし、確か博士の専門分野は機械工学とエネルギー力学だったはず」
川 ゚ -゚)「ヴィラン研究というと、博士の専門分野外なのでは?」
( ФωФ)「なぁに、ここには数多の学術分野の専門家がおりますでの」
( ФωФ)「彼らと協力すれば、いつかヴィランたちの力の謎も解明出来ましょうよ」
川 ゚ -゚)「なるほど。確かにヴィランの生態には、私も興味を惹かれるものがあります」
( ФωФ)「じゃろう?老いた脳細胞には、なおのこと良い刺激じゃよ」
( ФωФ)「おお、そうじゃ!実を言うとこの研究所にも、ヴィランの研究を始めた研究員がおりましての」
( ФωФ)「施設見学がてら、話でもしてやってくれませんかの?」
川 ゚ -゚)「良いのですか?研究の邪魔でなければよいのですが」
( ФωФ)「よいよい。耳の穴かっぽじって聞かせますわい」
.
17
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:09:29 ID:MB1Msye.0
.
( ФωФ)「おぉーい。アーサーやー」テクテク
(-@∀@)「おや、博士。こんなところに顔を出すなんて珍しいですねぇ?」
( ФωФ)「お主、いま時間はあるか?あるな、あるに決まっとる。よし来い」
(;-@∀@)「相も変わらず強引でらっしゃる……何の用件かくらい仰ってくれても良いのでは?」
( ФωФ)「なに、ちとお主に会わせたい人物が来ておってな」
( ФωФ)「こちら、循環エネルギー論の著者であるクォッサ=サリエリ博士じゃ」
川 ゚ -゚)「どうも、初めまして」ペコリ
(-@∀@)「おぉ、なんと!!貴女があの論文をしたためた、若き才媛でらっしゃいますか!!」
( ФωФ)「こやつはさっき話した、ヴィラン研究家のアーサー=ピーコック博士じゃ」
(-@∀@)「どうもどうも。私、只今紹介に預りました、アーサー=ピーコックと申します」
(-@∀@)「人体力学と人体生理学を専攻しておりますよぉ」
.
18
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:10:29 ID:MB1Msye.0
.
(-@∀@)「クール博士の論文、私も読ませていただきました!」
(-@∀@)「エネルギーの効率利用化と運用法に関する全く新しいアプローチ!感激しましたとも!」
(-@∀@)「私は産業の歴史の変わる瞬間に、立ち会えたのかもしれませんなぁ!」
川 ゚ -゚)「ありがとうございます」
川 ゚ -゚)「人体生理学に関しては私は門外漢ですが、人体力学の分野ではアーサー博士に教えを請うこともあるかと思います」
(-@∀@)「ははは。あなたのような方に教えることが出来たとなれば、私も一人前ですねぇ!」
( ФωФ)「アーサーよ。彼女はヴィランの肉体構造について興味があるらしいぞ」
川 ゚ -゚)「はい。よろしければお話を伺わせてもらっても?」
(-@∀@)「おぉ、そうでしたか!よろしゅうございますよぉ!」
(-@∀@)「ささ、おかけなさいおかけなさい」
.
19
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:11:53 ID:MB1Msye.0
.
(-@∀@)「とはいえまだこの分野の研究は、ほとんど進んでいないも同然なのですがね」
川 ゚ -゚)「そうではないかと思っていました」
( ФωФ)「ほう。と言うと?」
川 ゚ -゚)「サンプリングがあまりにも少なすぎる、というのが一点」
川 ゚ -゚)「これは倫理的な観点はもとより、ヴィランに協力を仰ぐことの困難さにも依ると思います」
(-@∀@)「その通り!さすがクォッサ女史は問題点が分かっていらっしゃる」
(-@∀@)「奴らは素手で装甲車をも破壊する、人の形をしたモンスターなのですよ」
( ФωФ)「警察や、時には軍隊の手にも余る者を、一介の科学者がどうすることも出来ん」
川 ゚ -゚)「出来るとすれば死亡したヴィランの検死でしょうか」
(-@∀@)「名のあるヴィランほど、死体の挙がるような死に方はしませんでしょうなぁ」
川 ゚ -゚)「なるほど……問題の根は思ったより深そうですね」
.
20
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:12:50 ID:MB1Msye.0
.
(-@∀@)「それでも、擬似的な形でのデータ収集はコツコツと積み上げてございますよ!」
川 ゚ -゚)「擬似的……?」
( ФωФ)「クール博士は、ヴィランと対になるヒーローなる者の存在はご存知ですかな?」
川 ゚ -゚)「えぇ。聞き齧った程度ですが、ヴィランと戦い治安を守る者もいるとか」
(-@∀@)「彼らは能力的には、ヴィランと比べても何ら遜色はないのです」
(-@∀@)「ただ違うのは、それを悪用する意志があるか否かだけでございます」
(-@∀@)「ですからまず私とロマノフ博士は、彼らに聞き取り調査をすることから始めたのです」
( ФωФ)「すると、彼らの大半は元は我々と同じ、普通の人間であったということが判明したんじゃよ」
川 ゚ -゚)「ふむ……では、彼らと我々を分ける物とは、一体何だったのでしょうか?」
(-@∀@)「それなのですが……ヒーローとなった人間には、みな一様に共通点がありましてね」
川 ゚ -゚)「興味深い。その共通点とはなんです?」
(-@∀@)「彼らはみな、夢を見ているのでございますよ。クォッサ博士」
.
21
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:13:40 ID:MB1Msye.0
.
川 ゚ -゚)「ほう……?」
(-@∀@)「なんでも彼らは、あの力を得る以前に、何者かに語りかけられるような夢を見たとか」
(-@∀@)「暗闇の中で、ぼんやりと光る発光体に話しかけられたと」
(-@∀@)「惜しむらくは、会話の内容まで覚えている方がいなかったということでしょうかねぇ」
川 ゚ -゚)「まるでSF映画かおとぎ話のような話ですね……疑う訳ではないですが」
( ФωФ)「だが、統計は恣意的な物でない限りは嘘をつかんよ」
(-@∀@)「なにぶんヒーローの数も乏しいので、今のところ二十名ほどしかデータは取れていませんが」
(-@∀@)「その半数以上が、夢をきっかけに能力に目覚めたと言っているんですねぇ」
川 ゚ -゚)「二十名ですか。まだまだ情報量としては不足していますね」
(-@∀@)「えぇ、えぇ。今後新たにヒーローとなる方の誕生が待たれますねぇ」
.
22
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:14:34 ID:MB1Msye.0
.
(-@∀@)「ところで、クォッサ女史?」ソワソワ
川 ゚ -゚)「はい?」
(-@∀@)「実を言うと私、博士のお話も聞いてみたいのですが〜……」
( ФωФ)「なんじゃ、お前は。クォッサ博士はこれから施設見学じゃぞ?」
(-@∀@)「あの革新的な論を見せられて、話もしたくならないのはモグりでしょう!」
(-@∀@)「お時間は取らせません、五分……いや三分で結構ですから」
川 ゚ -゚)「そんなかしこまらなくとも、好きなだけ質問なさってください」
( ФωФ)「これでは、どっちが年長者か分からんな……」
(-@∀@)「またまた〜!ロマノフ博士も座談は望むところでございましょう?」
( ФωФ)「う、うむ……まぁ、な……」ソワソワ
川 ゚ -゚)「では、見学は後に」
( ФωФ)「すみませんなぁ、クォッサ博士」
.
23
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:15:13 ID:MB1Msye.0
.
川 ゚ -゚)「しかし、こういう言い方は僭越ですが」
( ФωФ)「うむ?」
川 ゚ -゚)「二人とも本当に無邪気で、研究に対して熱心であられるのだなと」
(-@∀@)「それだけが取り柄のようなものでございますからねぇ〜」
( ФωФ)「ま、こやつからそれを除いたらメガネしか残りませんからな」
(;-@∀@)「もっと残りますよ!失礼な!」
川 ゚ -゚)「フフ……私もそうありたいものです」
ヴィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!
川 ゚ -゚)「……?」
( ФωФ)「おや?」
(-@∀@)「何でしょう、この音?」
( ФωФ)「これは……市の非常事態警報じゃな?」
川 ゚ -゚)「何かあったんでしょうか?」
.
24
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:16:04 ID:MB1Msye.0
.
(-@∀@)「ちょっと待ってください。今調べますから」カタカタカタ
川 ゚ -゚)「すみません、お手数をおかけします」
( ФωФ)「して、なんじゃって?」
(-@∀@)「ん〜……どうやら複数のヴィランが、街で暴れているらしいですねぇ」
(-@∀@)「暴動の危険性があるので市民は警察の指示に従って避難するように、と」
( ФωФ)「なに!?本当か?」
川 ゚ -゚)「そんなことがあるんですか?」
(-@∀@)「いえいえ。ヴィランは基本的に単独行動を好みますから、我々も始めての経験ですよ」
( ФωФ)「フム……よし、いっちょ表に出るか!!」
.
25
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:17:28 ID:MB1Msye.0
.
川 ゚ -゚)「そうですね。我々も早く避難した方が……」
(-@∀@)「え?」
( ФωФ)「え?」
川 ゚ -゚)「……違うのですか?」
(-@∀@)「あぁ〜……いえあのですね、我々としては研究対象であるヴィランを間近で観察できるチャンスでして」
( ФωФ)「詳細な検査は出来なくとも、目で見て初めて分かることも多くありますでな」
川 ゚ -゚)「では、まさか現場まで行くのですか?」
( ФωФ)「えぇ。クォッサ博士は他の職員と避難していてくだされ」
(-@∀@)「貴重なお話の機会を、こんな形で失いたくはなかったですがねぇ」
川 ゚ -゚)「……承知しました」
.
26
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:18:32 ID:MB1Msye.0
.
(;‘∀‘)「博士ー!!」ウィーン
( ФωФ)「おん?なんじゃ大声出して」
(;‘∀‘)「避難警報聞こえてなかったんですか!?他の皆さんはもう逃げ始めてますよ!!」
(-@∀@)「あ、我々ちょっと出かけますんで、皆さんお先に避難なさってください」
(;‘∀‘)「こんな時にお出かけ!?」
( ФωФ)「これだけの研究対象を目の当たりにして科学者が逃げられるか!!」
(;‘∀‘)「そんなこと言ってる場合じゃないですよ〜……」
(-@∀@)「ガーナさん、避難区域はどこまで指定されてました?」
(;‘∀‘)「市内全域ですけど、経済センタービル周辺の住民は特に危険なので早い避難をと……」
川;゚ -゚)「……!?」
(-@∀@)「なるほど経済センタービルの周辺に行けばヴィランがいると!」
( ФωФ)「ナイス情報じゃ!」
(;‘∀‘)「あぁっ、火に油!!」
.
27
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:19:20 ID:MB1Msye.0
.
川;゚ -゚)「あの、すみません。経済センタービル周辺はいま危険なんですか?」
(;‘∀‘)「えっ……えぇ。お巡りさんが言ってたから間違いないと思うけど……」
(-@∀@)「どうかしましたか?クォッサ博士」
川;゚ -゚)「両親が、私を待つ間に経済センタービルで観光してゆくと言っていました……」
(-@∀@)「なんと!」
( ФωФ)「電話は、繋がらんのかね?」
(;‘∀‘)「多分ムリですよぉ……私も試したけど、回線が混雑してるみたいで……」
川;゚ -゚)「博士、私もお二人に同行させてください」
(-@∀@)「よろしいのですか?危険極まる行軍となりますが」
川;゚ -゚)「両親の安否が気になります。お手間はかけさせません」
( ФωФ)「……分かりました。くれぐれも気をつけてくだされ」
(;‘∀‘)「勝手に決めないでくださいよぉ!!」
.
28
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:20:45 ID:MB1Msye.0
.
(-@∀@)「となれば私、さっそく車を回して参りますよぉ!」
( ФωФ)「いや、車じゃと避難しとる人間とかち合ってろくに動けん。ここはワシのハーレーで行こう」
川;゚ -゚)「ハーレー……?」
( ФωФ)「ワシの自慢の愛車じゃよ。フフフ……」
(-@∀@)「なんとハーレーで三ケツとは!!胸が踊りますねぇ!!」
(;‘∀‘)「ちょっと博士!クォッサ博士にケガでもさせたら責任問題ですよ!」
( ФωФ)「ガーナくん。これは人命に関わる問題じゃ。ここは一つ寛大な心で見逃してはくれんか」ポンッ
(;‘∀‘)「博士……」
(*>ωФ)「他のみんなには黙っててくれたまえよ☆」バチコーン!!
(;‘∀‘)「あぁ……もうダメだこの人……!!」
.
29
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:21:52 ID:MB1Msye.0
.
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
(;"ゞ)「署長!!フラバンヌ広場でヴィランの襲撃があったと通報が!!」
_
(;゚∀゚)「兄貴!!ファイリアストリートでヴィランが道路を封鎖しちまったって!!」
从#゚∀从「チィッ!!こっちは割ける人員なんざ残ってねーっつーの!!」
从#゚∀从「ジョー!!軍の連中はどうしてる!?」
_
(;゚∀゚)「ダメだ!!奴ら暴徒の鎮圧に手一杯でこっちまで手が回んねー!!」
从#゚∀从「余分に派兵しとけってんだバカヤロー!!ヴィランなめてんじゃねーぞ!!」
从#゚∀从「追加で支援要請出しとけ!!被害次第じゃ大統領のクビが飛ぶぞってな!!」
_
(;゚∀゚)「わ、分かった!!」
……ブロロロロロロロロロロ
从#゚∀从「……あん?」
.
30
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:23:19 ID:MB1Msye.0
.
( ФωФ)「Fooooooooooo!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」ブロォンッ
(*-@∀@)「yaaaaaahaaaaaa!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
川; - )「……ッ」
ビュンッ!!!
从;゚∀从「どわっ!?」
从;゚∀从「な、なんだ今のは……?」
(;"ゞ)「新手の暴走族ですかね?」
从;゚∀从「祭りと見りゃ特に変なヤツが湧きやがるな……」
从 ゚∀从「あんな死にたがりのバカは後回しだ!!デルタ、オメーはジョーと避難民の誘導に当たれ!!」
( "ゞ)「了解!!」
.
31
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:24:16 ID:MB1Msye.0
.
( ФωФ)「ムッ!!」ブロンッ
(-@∀@)「どうしました?」
( ФωФ)「アーサー、聞こえんか?この先から発砲音がする」
(-@∀@)「本当だ。齢によらず耳がよろしいですね」
( ФωФ)「抜かせアホ。ここからは見つからんように徒歩じゃな」
(-@∀@)「クォッサ博士は大丈夫ですか?」
川;゚ -゚)「えぇ……少々動悸はしますが……」
( ФωФ)「ビルまではもう少しです。頑張りましょう」
川;゚ -゚)「はい……」
.
32
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:26:54 ID:MB1Msye.0
.
(-@∀@)「しかしまぁ何と言いますか……」コソコソ
タタァン!!パンパンパン!!
(-@∀@)「思っていた以上に大事になりつつあるようですねぇ」
キャー!!
( ФωФ)「当たり前じゃ。避難命令出とるんじゃぞ」ヒソヒソ
ウォォォォ!!
(-@∀@)「おぉ。軍も鎮圧に来なすってますねぇ」
(-@∀@)「分かっていたとはいえ、我々の場違い感は拭えませんな」
川;゚ -゚)「……」
( ФωФ)「クォッサ博士。心配せずともご両親はきっと無事じゃよ」
川;゚ -゚)「……はい」
(-@∀@)「どれどれ、今回の収穫は〜……肉体強化型ヴィランと異能型のヴィランが一体ずつですかね」
( ФωФ)「そのようだな」
(-@∀@)「これではさほどの収穫とも言えませんねぇ」
(-@∀@)「とりあえず録画だけでもしときましょうか」ジーーコ
.
33
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:27:50 ID:MB1Msye.0
.
(-@∀@)「軍はどう制圧をかけますかねぇ」
( ФωФ)「銃で包囲して終わりじゃろ。いくら強いと言っても人海戦術にゃ勝てん」
(-@∀@)「まぁそうなりますか」
川;゚ -゚)(お父さん、お母さん……どこ……?)キョロキョロ
ヒュウゥゥゥ……
( ФωФ)「ん?」
(-@∀@)「何でしょう、この音……?」
( #,,^Д^)「ヌオォォォォォォォォオオオオオオ!!!!!」ズドォンッ!!
(# ゚∀゚ )「ヒャアァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」ズドォンッ!!
川;゚ -゚)「……!?」
(;-@∀@)「あっ、あれは!?」
(;ФωФ)「ビッグ・トレジャーと……なんじゃあの男は!?」
.
34
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:28:54 ID:MB1Msye.0
.
(# ゚∀゚ )「シャアァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」
( #,,^Д^)「オオオオォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!」
川;゚ -゚)「す、凄い……弾丸を全て弾いてる……」
川;゚ -゚)「けどなんで全裸……?」
(;-@∀@)「あの男、ビッグ・トレジャーと互角に渡り合っておりますよ!!」
(;ФωФ)「一体何者……」ハッ
(;ФωФ)「……そういえば昔、警察関係者から聞いたことがある」
(;-@∀@)「なんですって?」
(;ФωФ)「数年前、身の丈ほどもある刃物を持って大暴れしたヴィランがおったと」
(;ФωФ)「今は鳴りを潜めているらしいが……それがあの男なのか?」
.
35
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:30:44 ID:MB1Msye.0
.
(;-@∀@)「身の丈ほどもある刃物……」
(# ゚∀゚ )「シャラァッ!!」ザンッザンッ
( #,,^Д^)「ヌゥッ!!」ヒュンッ
(;-@∀@)「確かに、持っておりますね……」
(;-@∀@)「もしやあの方、ビッグ・トレジャー級の怪物なのでは?」
川;゚ -゚)「二人の走った跡がクレーターになっています……」
(;ФωФ)「このような現象は初めて見る……アーサー、録画を!!」
(;-@∀@)「はい、もちろん!!」ジーーコジーーコ
.
36
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:31:19 ID:qkPS3g2o0
しえん
37
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:31:43 ID:MB1Msye.0
.
(;ФωФ)「しかし、ヒーローとヴィラン……よもやこれほどのものか」
(;-@∀@)「えぇ。ここまで破壊に特化した生物とは……」
川;゚ -゚)「見て下さい。彼らの衝撃で飛散したアスファルトが、コンクリートの壁に突き刺さってます」
(;ФωФ)「ほとんど隕石のような物ではないか……迂闊に動けんぞこれは」
(;-@∀@)「一体どこから、あのような運動エネルギーが捻出されるやら」
川;゚ -゚)「……ビル、大丈夫でしょうか」
(;ФωФ)「……すまん。これは安易に大丈夫と言えるか分からなくなってきた」
(;ФωФ)「今はご両親が、すでに避難しておることを願おう」
.
38
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:33:05 ID:MB1Msye.0
.
(# ゚∀゚ )「トレジャァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」
(# ゚∀゚ )「逃げるんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」
(#,,^Д^)「お前こそ、今すぐ破壊活動を止めるんだ!!!!ファニー・フェイス!!!!」
(# ゚∀゚ )「ハッ!!俺を止めたきゃ……」ググンッ
(# ゚∀゚ )「テメェが死になッッッ!!!!!!!」
ファニーフェイスは一瞬刃を引き、腰に強力な『溜め』を作った!!!
その溜めを解き放つや、刃はバネを得たかのように鋭く回転する!!!
( ,,;^Д^)「ヌゥッ……!!!」
( ,,;^Д^)(いかん、これは……避ければビルに直撃する!!!)
( #,,^Д^)「オオオオォォォォォ!!!!!」
百戦錬磨のビッグ・トレジャーは、その攻撃が不可避であることを即座に悟った!!!
故に、襲いかかる刃を拳で迎え撃ち、その軌道を反らそうとしたのである!!!
.
39
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:34:29 ID:MB1Msye.0
.
だがしかし!!!ファニーフェイスの挙動は、その動きをさらに上回った!!!
( ゚∀゚ )「ヒャハッ……!!」ニタァッ
彼は、ほんの一秒にも満たい瞬く間に!!!
拳から刃が逃げるよう軌道を変え、トレジャーの脚を狙ったのだ!!!
( ,,;^Д^)「何ッ……!!?くぅっ!!!」
さすがのトレジャーといえど、これには緊急回避を取らざるを得なかった!!!
とっさにジャンプしかわした刃は、ピザにピックを立てるがごとく、ビルの壁面へと容易にめり込んだ!!!
.
40
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:35:22 ID:MB1Msye.0
.
ファニーフェイスの刃は
(;-@∀@)「あっ!?」
激しい衝撃波を迸らせながら
(;ФωФ)「なんじゃと……!?」
質量の差など物ともせずに、ビルを真っ向から分断した!!!!!
川;゚ -゚)「お父さんっ、お母さん!!」
.
41
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:37:20 ID:MB1Msye.0
.
(;ФωФ)「マズイ!!!逃げるぞ!!!」
(;-@∀@)「はいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
川;゚ -゚)「……!!」タタッ
(;-@∀@)「あっ!!ダメですクォッサ博士!!そちらは危険です!!」
(;ФωФ)「いかん!!走れアーサー!!」
(;ФωФ)「クォッサ博士ーーーーーー!!!!」
川;゚ -゚)(お父さん、お母さん……!!)
川;゚ -゚)(どうか、死なないで!!)タタッ
.
42
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:38:20 ID:MB1Msye.0
.
轟音と共に崩れ去る、かつてビルだったコンクリートの塊。
それが頭上に降り注いだ瞬間、クォッサ博士は、闇の中に意識が消え去るのを感じた。
.
43
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:39:52 ID:MB1Msye.0
.
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
川 - )(……)
川 - )(……あれ……私、まだ……生きて……?)
川 - )(暗い……それに、なんだか、寒い……)
川 - )(お父さん……お母さん……ごめんなさい……)
.
44
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:42:02 ID:MB1Msye.0
.
『生存者はいないか!!』
『ダメです、応答ありません!!』
『諦めるな!!呼び掛けを絶やすんじゃない!!』
川 - )(……)
川 - )(……声、聞こえる)
川 - )(でも、駄目……動けない……声も、出ない……)
川 - )(……助けて、誰、か)
……prrrr、prrrr!!
川 - )(……?)
『おい。今なにか音がしたぞ!!』
『こっちだ!!』ガラッ
『掘削機を早く……うわっ!?』
ガラッ、ガシャ、ガシャァンッ!!!
川 - )(……あ)
.
45
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:43:47 ID:MB1Msye.0
.
( ,,;^Д^)「大丈夫か……少女よ……!!」ガシャッ、ガシャッ
( ,,;^Д^)「もう、安心だ……すぐに瓦礫を……撤去する……!!」
( ,,;^Д^) スゥゥゥッ
( ,,;^Д^)「生存者1名発見ーーーーーーーーーー!!!!ただちに担架の用意をーーーーーーーーー!!!!」
(;´・_ゝ・`)「サー・トレジャー!!あなたも重傷なんですから、病院へ直行して下さい!!」
( ,,;^Д^)「駄目だ……私が奴の攻撃を避けたせいで、ビルが……!!!」
( ,,;^Д^)「グッ……!!」グラァッ
ドサァッ……
(;´・_ゝ・`)「サー・トレジャー!!」
.
46
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:45:48 ID:MB1Msye.0
.
少女と隣り合うように倒れたビッグ・トレジャー。
その手は、瀕死の彼女の手のひらを包むかのように重ねられた。
川 - )(……あれ?)
川 - )(……なんだか、すっごく)
川 - )(……あったかいや)
.
47
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:47:34 ID:MB1Msye.0
.
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
【十五年後、総合科学技術研究所カフェテラス……】
川 ゚ -゚)「……それが、私とトレジャーの初めての出会いだったのさ」
*(;‘‘)*「ひぇぇ……」
川;д川「よく生きてたわねぇ、博士……」
川 ゚ -゚)「自分でも驚愕しきりだよ。何せ、三日間も瓦礫に閉じ込められていたんだからな」
*(;‘‘)*「人間の生命力パないですぅ」
川 ゚ -゚)「その後はまぁ、ご存知の通り。長らえた命をヒーロー活動の一助に使っているよ」
川 ゚ -゚)「ロマノフ博士には悪いことをしたな……あの後、私へ向けて何度も謝罪しにきたよ」
川д川「そりゃするでしょう。責任のほぼ全ては間違いなくその博士にあるんだし」
川 ゚ -゚)「責める謂われはないさ。あれは研究者として至極正しい姿勢だ」
川 ゚ -゚)「両親はなんとか責任を取らせようと、躍起になっていたがね」
.
48
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:48:15 ID:MB1Msye.0
.
*(‘‘)*「……あれっ?」
川 ゚ -゚)「なんだ、ヘリ?」
*(‘‘)*「クー博士のご両親、ビルの崩落に巻き込まれたのに生きてたですか?」
川 ゚ -゚)「あぁ、それなんだがな……」
川 ゚ -゚)「二人とも、デートコースを直前になって変えたせいで、経済センタービルには行っていなかったんだ」
*(;‘‘)*「えぇぇぇ……」
川;д川「なんという理不尽な……」
川 ゚ -゚)「おかげで二人とも、私が足を失ったのは自分たちのせいだと嘆く嘆く」
川;д川「そりゃそうでしょうよ」
川 ゚ -゚)「だが、両親がいなければ今の私がなかったのも確かなんだ」
.
49
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:49:09 ID:MB1Msye.0
.
川 ゚ -゚)「あの日、瓦礫の下で私は、声を出すことも出来ないほど衰弱していた」
川 ゚ -゚)「その時、両親は私の身を案じて、何度も電話をかけてくれていたんだ」
川 ゚ -゚)「そして、災害時の混線状態にも関わらず、一度だけ通話が繋がった」
川 ゚ -゚)「その着信音をトレジャーの優れた聴力が拾ったから、私はあの絶望的な状況から救われたんだ」
川д川「へぇー……」
*(‘‘)*「すごい奇跡ですねぇ」
川 ゚ -゚)「あぁ。両親の愛とトレジャーの献身がなければ、今ごろ私はここにこうしていなかったよ」
*(‘‘)*「いい話しですぅ」
川д川(そもそも両親が行き先変えたの伝えてれば、事故にも遭わなかったんじゃ……?)
.
50
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:50:26 ID:MB1Msye.0
.
川 ゚ -゚)「さて、昔話は終わりにしよう」
川 ゚ -゚)「ファニーフェイスも再び動き出した。我々も、備えは欠かないようにしないとな」
*(‘‘)*「ハイです!!」
川д川「当然よね〜」
川 ゚ -゚)「失った脚の落とし前は、必ずつけさせる」
川 ゚ -゚)「それが今の私の、レゾンデートルだ」
川 ゚ -゚)「フ、フフ……フフフフフ……」
*(;‘‘)*「うわぁ……」
川;д川「博士って、アッサリしてるようで意外と執念深いのねぇ……」
.
51
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:51:06 ID:MB1Msye.0
第十五話終わり
52
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:52:13 ID:MB1Msye.0
.
【登場人物紹介】
( ФωФ)
サルバトーレ=ロマノフ
工学博士。クーの恩師であり、総合科学技術研究所を立ち上げた人物。
才能は年齢、性別、人種問わずに相応しく評価されるべきとの持論を持つ。
現在は第一線を退き、研究所の全権をクーに譲渡している。大の甘党。
( ‘∀‘)
ガーネット=コナー
総合科学技術研究所の受付嬢。現在は結婚し寿退職している。
ロマノフを実の祖父のように扱っては周囲から怒られていた。
(-@∀@)
アーサー=ピーコック
人体工学と人体生理学の知識を生かし、ヴィランの研究をする若き学者。
その鋭い見識を買われ、後にヴィラン収容所へヘッドハンティングされた。
引き抜きを受けた理由はもちろん、「研究材料に事欠かないため」である。
.
53
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:52:51 ID:MB1Msye.0
.
ζ(゚ー゚*ζ
ディレッタ=サリエリ
クーの母親。おっとり系美人。
娘を溺愛して止まない。特技は裁縫。
(‘_L’)
フィリップ=サリエリ
クーの父親。高校で教鞭を取っている。
妻と娘が呆れ返るほどの心配性である。
.
54
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:53:27 ID:3BGHHkaU0
新スレ乙
これから読む
55
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:54:24 ID:MB1Msye.0
.
【用語解説】
・肉体強化型能力者
能力のほぼ全てを身体能力の強化に当てている者を指す。
常人を遥かに凌ぐ肉体パフォーマンスを発揮する事が可能。
また肉体の頑強度も上がるため、倒すことが非常に困難でもある。
現在、ビッグトレジャーレベルであれば、ミサイルの衝撃までなら耐えられることが確認されている。
該当例)ビッグ・トレジャー
ファニー・フェイス
モララード=マクレガー他
・異能型能力者
本来、人体には付与されていない能力を得た者を指す。
飛行能力、変身能力、分裂能力等その種類は多岐に渡る。
肉体強化型ほどではないが、こちらも常人よりは強い肉体を持つ。
ただし、銃弾等を弾き返すほどの頑強さは持たない。
該当例)ギコラ=サムスン
サダコ=アヤセガワ
ペニーナ=カートレン他
・混在型
肉体強化型のボディをベースに異能までも習得している特殊なケース。
これは特殊超常能力保持者となる以前から、優れた肉体的素養を持っていた者がなるとされている。
現在確認されているのは、ハハジャ=サウスガットの一例のみである。
.
56
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:55:22 ID:MB1Msye.0
長らくお待たせしてすみません。
新スレでもまた楽しんでいただければ幸いです。
57
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 16:57:16 ID:EnywS.Kw0
乙
58
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 17:05:25 ID:v8ApbRnU0
おつ
クール博士とクォッサ博士が混ざってるけど仕様?
59
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 17:06:33 ID:MB1Msye.0
あ、すみません。クォッサ博士の間違いです。
十五年後のメンバーは全員クー博士呼びです。
60
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 18:30:38 ID:ESksPdFE0
新スレ早々楽しませてくれるなあ乙
61
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 20:35:52 ID:2EovS8820
ファニーフェイスは刃物使いだったのか
62
:
名無しさん
:2018/03/11(日) 20:56:00 ID:L83jPXPE0
おつおつ
63
:
名無しさん
:2018/03/12(月) 02:12:27 ID:otuBF44E0
待ってたぞ!乙!
64
:
名無しさん
:2018/03/16(金) 10:18:57 ID:NFYJikWA0
前スレからまとめて全部読んでしまった
何度も予想を裏切られて面白い
65
:
名無しさん
:2018/03/22(木) 00:46:10 ID:y21lOvgw0
乙です
66
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 20:28:37 ID:V53fHRGY0
.
モララー、お前スモーキータウンって街のこと知ってっか?
アメリカの南の方にある、ゴミ山で出来た町の名前さね。
ゴミ拾いの貧民と浮浪者と、売春婦ばっかりが集まってるような町でよぉ。
住人のほとんどが、ゴミ山の周りに立てられたプレハブに住んでやがるのさ。
街のあちこちでゴミを焼く煙が上がってな、そりゃもう臭ぇの何のって。
聞いた話だと、そこで暮らして30まで生きてる奴は、稀だったんだとさ。
そりゃそうだよなぁ。今でこそダイオキシンだ何だとうるせぇが、あそこじゃ全部垂れ流しだもんな。
俺とあいつ……アヒャルドは、親無しのみなしごとして、その街で生を受けたんだ。
.
67
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 20:29:38 ID:V53fHRGY0
.
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
俺とアヒャルドは物心ついた時から、鉄クズ拾い夫としてゴミ山の親方に飼われてた。
貧困層じゃあよくある話だが、貧乏人にも元締めみたいなのがいてな。
そいつを介さないと鉄クズなんざ誰も買っちゃくれねぇから、ガキどもは親方の言いなりになるしかない。
そういうグループの一員として、俺もあいつも毎日鉄を拾っちゃ二束三文で売り払ってたのよ。
( ゚∀゚ )「……」ザクッ、ザクッ
<おーい!アヒャルドー!
( ゚∀゚ )「……」ピタッ
Σz ゚ー )リ「アヒャルドー!こっちだこっちー!」
( ゚∀゚ )「……」
Σz ゚ー )リ「昼飯くすねて来たぜ。お前も食えよ」ポーン
ダスティン=スニッパー(当時14歳)
( ゚∀゚ )「……」パシッ
アヒャルド=マッケンジー(後のファニーフェイス、当時14歳)
.
68
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 20:31:21 ID:V53fHRGY0
.
俺とあいつは、さほど仲良しってこともなかったがよ。
たまにメシを分けあっちゃ、あーでもねーこーでもねーってくっちゃべってたよ。
もっとも、俺が一方的に話しかけてただけで、あいつはほとんど喋らなかったがな。
Σz ゚ー )リ「なぁ、聞いたかアヒャルド」
( ゚∀゚ )「……」ガツガツ
Σz ゚ー )リ「マートンの奴、昨日親方に食われっちまったとさ」
( ゚∀゚ )「……」ガツガツ
Σz ゚ー )リ「この辺じゃそこそこ器量良しだったからなー。目ぇつけられるのも早かったな」
あの街じゃ、ガキは利用されるだけされて使い捨てにされる。
力のある男は廃物人夫として一生コキ使われて、そうでない奴ぁ
ヤクザに買われてモツ取られるか、よくて鉄砲玉で人生終わりだ。
俺とアヒャルドは、どっちかってぇと力のある方だったから、まだ命拾いしてたんだよな。
.
69
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 20:32:27 ID:V53fHRGY0
.
自分で言うのも何だが、俺ぁガキにしちゃ目端が効くし、聡いガキだったと思うぜ?
要領よく立ち回る方法も知ってるし、他の奴らの半分の仕事で成果を出す方法も編み出した。
大人に媚びへつらって楽するのも、なんてこたぁなかったぜ。
だからって訳じゃねぇが、俺はどんくさくていつも親方に
殴られてるアヒャルドを、哀れに思ってたんだろうな。
鉄クズ拾いのガキの中でも、あいつは特に不気味で浮いてたからよ。
Σz ゚ー )リ「アヒャルド。お前親方に殴られた傷、痛まねぇのか?」
( ゚∀゚ )「……別に」ペロリ
奴が殴られて痛がってるとこを、俺は見たことがなかった。
だから親方も、見せしめにするみてぇにあいつを殴るんだ。
それでいて奴は、他のガキみたいに怯えて親方に従うでもない。
ただ淡々と、ゴミにまみれて鉄クズを拾ってるだけだったんだ。
まるでそれが、生まれつき決められた運命だとでも言うみてぇにな。
.
70
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 20:34:01 ID:V53fHRGY0
.
Σz ゚ー )リ「なぁ、アヒャルドよぅ。お前、夢はあるか?」
( ゚∀゚ )「……」
Σz ゚ー )リ「俺はいつかこんな街捨てて、自力で生きてくのが夢だ」
Σz ゚ー )リ「お前にもあんだろ?そういう、明日への希望ってのがさ」
それを俺が語ったのは、アヒャルドと夢を共有したかったからじゃない。
単なる壁打ちの独り言みてぇなもんだった。
それでも、気晴らし程度にゃなるかなぁと思ってたんだがな。
( ゚∀゚ )「……ねぇよ、そんなもん」
あいつは無口で無気力で、なんとも話し甲斐のねぇ野郎だったよ。
ただその中で、あいつが予言みてぇに呟いてた一言が、今でも忘れられねぇんだ。
( ゚∀゚ )「俺がここを出てくのは、あいつを殺した時だけだ」
そんなことを、奴は冗談でもねぇ真顔で言ってのけたんだ。
.
71
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 20:35:08 ID:3yM7PeZE0
支援!!!
72
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 20:35:14 ID:V53fHRGY0
.
Σz ゚ー )リ「あいつって、親方のことか?どうやって殺るつもりなんだよ」
昔のあいつは、俺よりチビで貧相なナリしてたからな。
腐っても大人の親方に、勝てるわきゃねーと思ってたよ。
( ゚∀゚ )「……」ザクッザクッ
Σz ゚ー )リ「ワケ分かんねー奴。そりゃ夢じゃなくて妄想って言うんだぜ?」
当時はそんなこと言ってたが、今の俺にはハッキリ分かる。
奴の異常な殺気と狂気は、あの時に培われたもんだってな。
『アヒャルドッ!!!』
Σz; ゚ー )リ「やべっ、親方だ!!」
Σz; ゚ー )リ「じゃーなアヒャルド、上手く逃げろよ!」
( ゚∀゚ )「……」
.
73
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 20:36:34 ID:V53fHRGY0
.
|/#゚U゚|「てんめぇ、またサボりくれてやがったのか!!」
こいつが、俺たちの親方だ。
どんな人間かは……見てもらえば分かる。
|/#゚U゚|「てめぇの鉄クズ集めのノルマは他の倍あんだ!!ちんたらやってるヒマなんざねぇんだよ!!」
ハッキリ言って、これは親方のいちゃもんだった。
あいつはサボッてもなけりゃ怠けてもいなかった。
ただこいつが陰気な顔で黙ってるのが腹立たしくて、他のガキよりキツいノルマを課せてただけなんだよ。
この時だって、行きがけにたまたまアヒャルドの顔を見て、勝手に不愉快になったから近づいてきただけだったんだろうぜ。
( ゚∀゚ )「……」
|/#゚U゚|「なんだそのツラは?俺に言いたいことがあるなら言えや!!」
ゴッ
( ∀ )「……ッ」
|/#゚U゚|「てめぇの代わりなんざ幾らでもいるんだ。とっとと働くか、死んでゴミに埋もれるか選びくされ!!」
ゴスッ、ゴスッ!!
( ∀ )「カハッ……」
|/#゚U゚|「ったく……役に立たねぇなら産まれて来るんじゃねーよ!!バカが!!」ペッ
( ∀ )「……」ビチャッ
まぁ、お察しの通り、親方は貧乏人の中でも大概なクソ野郎だったよ。
俺らガキの中で、やつの死を望まない奴は一人だっていやしなかった。
.
74
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 20:37:46 ID:V53fHRGY0
.
親方は、少女売春の元締めでもある。
ゴミの街だけあって、身寄りのないガキを集めるのは鼻クソほじるより簡単だもんな。
奴はほうぼうの娼館に顔が効くし、人脈もそれなりに豊富だって噂だった。
どっちかと言えば鉄クズ拾いより、そっちの方が儲けはデカかったらしい。
ま、こんな街の腐った人脈なんざ、無い方が幾らかマシな人生を歩めるだろうがな。
そして身売りさせられる女は、親方に味見されるのが通例になっていた。
そのあと娼館に売られるか、親方の遊び道具にされるかは、あいつの気分次第だったんだろうぜ。
俺が今でも覚えている、あいつのクソみてぇなセリフがある。
|/゚U゚|『食ったガキの数なんざ100から先は覚えてねぇよ』
|/゚U゚|『俺にとっちゃあんなもん、ヤッた内にも入らねぇからな!』
|/゚U゚|『ま、ディックの錆び落としにゃちょうどいいんじゃねぇか?』
奴は顔見知りの娼館の親父に、そんなことを自慢気に話していた。
聞いたこっちの耳がおかしくなりそうな、ゲスも極まる言い回しだったな。
.
75
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 20:39:23 ID:V53fHRGY0
.
こんな奴に生殺与奪権を与えりゃ、道理なんてモンもねじ曲がるに決まってる。
だが、それがまかり通っちまうのが世間ってもんだ。
弱者に当たる風は冷てぇままで、ろくな風防も分けちゃもえらない。
慈悲なんてもんは富裕層から順に与えられて、俺たちに届くのは腹の足しにもならねぇコーヒーの出し殻みてぇな役割だけだ。
俺はずいぶんと長いことそう思ってたし、覆ることはないと思ってた。
だから親方がとっととくたばるか、さもなくばここから逃げ出す方法を考えなきゃならねぇと思ってたんだ。
だが、チャンスってのは本当に不意に訪れるもんだ。
俺が親方の元を逃げのびるチャンスは、思ったよりも遥かに早くやってきた。
.
76
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 20:40:02 ID:3yM7PeZE0
ドクズだなぁ
77
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 20:40:54 ID:V53fHRGY0
.
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ある日の夜、親方は虫の居どころが無性に悪かったらしい。
俺らガキをプレハブに集めて、容赦なしにぶん殴りだした。
|/#゚U゚|「ダスティン!てめぇ口車で大人だまくらかして、鉄クズチョロまかしてるそうじゃねぇか!」
Σz; ゚ー )リ「ばっバカ言うなよ!俺はそんなこと一度だって……」
|/#゚U゚|「るせぇ!!ケツモチの俺に泥ぶっかける気か親無しが!!誰のおかげで食っていけてると思ってやがる!!」
ゴスッ!!
Σz; ー )リ「ぐっ……!!」グラッ
こんな調子で、俺たちは謂れのない因縁をつけられ、親方の理不尽な暴力に曝された。
親方の機嫌が悪いときはいつもこうだ。俺たちはサンドバッグなんかじゃねぇってのにな?
そして、こういう時にいつも一番割りを食うのはアヒャルドだった。
親方はアヒャルドを必ず一番最後に残して、一番長いこと殴り続ける。
そこに目的や意図はなくて、単にアヒャルドが嫌いだからそうしただけだったんだろう。
.
78
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 20:42:06 ID:V53fHRGY0
.
|/#゚U゚|「極めつけはお前だ、アヒャルド!!」
|/#゚U゚|「てめぇ鉄クズ集めのノルマが全然足りてねぇんだよ!!何考えてやがる穀潰しが!!」
( ゚∀゚ )「……ちゃんと集めたろ、50kg」
|/#゚U゚|「口応えしてんじゃねぇ!!昨日50なら、今日はそれ以上集めるのが当たり前だろうが!!」
ゴキッ!!
( ∀ )「……ッ!!」
あろうことか親方は、手近にあった鉄パイプで奴の頭を殴りやがったんだ。
|/#゚U゚|「死ねっ!!てめぇなんざ死んで詫びろ!!」
ゴキッ!!ゴキッ!!ゴキッ!!
Σz; ゚ー )リ「……」
アヒャルドには悪いが、俺にそれを止めるだけの力なんざ皆無だった。
ただ親方の腹の虫が収まるのを、黙って見てるしか出来なかったんだ。
.
79
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 20:42:51 ID:V53fHRGY0
.
|/;゚U゚|「ハァー…ハァー…」
( ∀ )「……」クタ…
|/゚U゚|「いいかアヒャルド。てめぇは出来損ないの奇形児なんだよ」
|/゚U゚|「親が妊娠中に放射性物質だかに触れて、気色の悪ぃてめぇみてぇなガキが産まれたんだ」
|/゚U゚|「だから親はてめぇを捨てて、さっさとこの街を出ていった。分かるか?」
|/゚U゚|「そんなお前を食わせてやってる俺は、慈悲深い男だよなぁ?」
|/゚U゚|「分かったら明日から俺の足舐めて、感謝しながら仕事すんだよ!!」
( ∀ )「……」
|/゚U゚|「チッ……気絶してやがらぁ」
|/゚U゚|「おいダスティン!!酒!!」
Σz; ゚ー )リ「お、おう」
( ∀ )「……」
Σz; ゚ー )リ(……あいつ、死んでんじゃねーだろうな?)
.
80
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 20:43:48 ID:3yM7PeZE0
頑丈さが不幸を呼ぶのか
81
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 20:43:53 ID:V53fHRGY0
.
介抱してやろうにも、親方の目に止まったら今度は俺が殺されちまう。
誰も手が出せないまま、生き延びていてくれてることを祈るしかない。
だが、どこからどう見ても奴は生きてるように見えなかった。
顔の形が変わるまで殴られたあいつを見て、俺ぁ初めて絶望ってやつを味わったよ。
その日はそのまま嫌な気分で寝ついて、また下らない朝を迎えるんだと思ってた。
夢も希望もクソもねぇ、ただ搾取されて捨てられるだけの、お先真っ暗な人生に。
けど違った。アヒャルドと俺の運命が変わったのは、その夜からだったんだ。
( ∀ )
( ∀ )
( ∀ )「………こ、ろ……す……」ボソッ
Σz; ゚ー )リ「……?」
.
82
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 20:45:59 ID:V53fHRGY0
.
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
Σz ーД )リ「ンガァ……ンゴォ……」
Σz ゚Д )リ「……んぁ?」
( ゚∀゚ )「……」
プレハブの外、ゴミ山の中で立ち尽くすみたいにして、あいつは空を見上げていた。
Σz ゚ー )リ「アヒャルド……?何してんだ、早く寝ろよ……」
Σz; ゚ー )リ「……!?」
そこまで口にして、俺は気づいたんだよ。
なんで鉄パイプでガンガン殴られた奴が、起き上がってられる?
どう少なく見積もっても、完治まで1ヶ月はかかりそうな重傷を負ってたのに。
Σz; ゚ー )リ「お前……ツラの傷どうしたんだ……?」
ほんの数時間前に、親方に殴られてボコボコにされた奴の顔。
それが、傷跡一つ残さずキレイさっぱり治癒しちまってたんだ。
.
83
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 20:48:59 ID:V53fHRGY0
.
人は有り得ないもんを見たとき、奇跡ってもんを信じるらしい。
けど俺が見た奇跡は、悪魔の所業としか言えねぇものだった。
( ゚∀゚ )「……」
奴は俺の質問なんか聞こえねぇみたいに、一直線に隣のプレハブへ歩いていった。
そこは、親方が根城にしてる、ちっとばかり上等なプレハブ小屋だった。
|/ーUー|「グゴォォォォ……」
酒瓶とゴミに埋もれて、親方は眠ってた。
アヒャルドは扉の外から、それをじーっと見つめてやがんだ。
Σz; ゚ー )リ「まさかあいつ……親方を殺るつもりか?」
殺そうと思えばいつでもやれそうなほど無防備だが、そうすりゃまた別のクソがこいつの穴埋めに来るだけだ。
堂々巡りのいたちごっこにしかならないが、俺はそれ以上に、奴がどう親方を殺すのかに興味があった。
.
84
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 20:50:58 ID:V53fHRGY0
.
( ゚∀゚ )「……」
奴はゆっくり親方の側へ近づいて、親方の頭を、素足で踏みつけにした。
|/ーU゚|「……ん?」
|/゚U゚|「……おい、なんだこりゃあ」
( ゚∀゚ )「……」
|/゚U゚|「てめぇ、アヒャルド。何してやがる?」
|/゚U゚|「ぶっ殺されたくなけりゃ、その汚ぇ足どけやがれ」
( ゚∀゚ )「……ヒャハッ」ググッ
Σz; ゚ー )リ「……!!」
|/;゚U゚|「なっ……何だ!?おいっ、止めろアヒャルド!!」
親方はもがいたが、奴のその細ぇ足を、どうしても払いのけることが出来なかった。
.
85
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 20:52:25 ID:V53fHRGY0
.
( ゚∀゚ )「……」ググッ
|/;゚U゚|「バカッよせ……ぐおぉぉ!?」
アヒャルドは徐々に、頭に入れる力を強くしてるみてぇだったな。
細い足に血管が浮き出て、そこだけ別人のパーツみたいに見えた。
|/; U |「ガァァァァッ……!!」
親方は酒瓶を取って足を殴りつけたが、それすらもあいつは意に介してないように見えた。
メキメキ音を立てて頭蓋骨は軋み、親方は苦悶の呻き声を上げて身を捩らせた。
( ゚∀゚ )「……あばよ」
|/; U |「あっ……?」
グチャッ……
そして、スイカみてぇな中身ぶちまけて、奴の脳天は砕けたんだ。
.
86
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 20:54:15 ID:V53fHRGY0
.
( ゚∀゚ )「……」
Σz; ゚ー )リ「……」
俺は声も出せなかったよ。人死にを見るのは初めてじゃないが、こうまで酷い殺しには、さすがにお目にかかれなかったからな。
( ゚∀゚ ) ニタァ…
そして奴は、不気味に口角を歪ませて笑ったんだ。
殺しの快楽に走る時、奴は同じように薄気味悪く笑う。
それが後に警察の名付けた、ファニーフェイスって通名の由来らしいぜ?
( ゚∀゚ ) スタスタ
アヒャルドはすぐに笑いを引っ込めると、一番近くのゴミ山まで歩いていった。
俺は居ても立ってもいられなくなって、思わず物陰から飛び出してた。
.
87
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 20:54:51 ID:3yM7PeZE0
危ないから出ていくなよ…
88
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 20:55:50 ID:V53fHRGY0
.
だが、俺の姿なんざ奴の目にはカケラも入ってなかったんだよな。
( ゚∀゚ )「……」グッ
Σz; ゚ー )リ「お、おい!アヒャルド!」
奴は無造作に拳を振り上げて、それをゴミ山の根本に叩きつけた。
一発、二発、三発……何度も、何度も、同じ場所を執拗に殴り続けた。
Σz; ゚ー )リ「……な、なんだ?」
最初は目的が分からなかったが、じきに俺はアヒャルドが何をしようとしてるのか理解した。
殴る回数が増えるごとに、ゴミ山が震えてるのが分かったからだ。
Σz; ゚ー )リ「アヒャルド!止めろっ……」
そして拳を叩きつけること十発目。
( ゚∀゚ )「……オァァァァアアァァァアアアッ!!!!!」
ドンッ…
Σz; ゚ー )リ「わぁぁぁぁっ!!?」
ゴミの山は大きく鳴動して、ぐらりと傾いた。
そしてプレハブ小屋を飲み込むみてぇに、崩れやがったんだ。
.
89
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 20:59:33 ID:V53fHRGY0
.
俺は逃げた。今まで誰に追われてもそこまでしなかったってくらい全力で逃げた。
命懸けなんて言葉、人生でそうそう使うもんじゃないが、その時はまさにそうだった。
雪崩に遭ったアルピニストも、こうまで逃げはしなかっただろうぜ。
ゴミは見る間に地鳴りを起こして、プレハブ小屋を潰していった。
親方の死体も、他に寝てたガキどもも全員巻き添えだったろうな。
恐ろしいことに、アヒャルドのパンチは他のゴミ山にも振動を伝えたみてぇでよ。
ゴミの雪崩が連鎖を呼んで、街中あちこちで崩落事故が多発したらしいぜ。
それをやらかした張本人は、どこ吹く風で余裕のツラだったけどな。
Σz; ゚ー )リ「アヒャルド……」
( ゚∀゚ )「……なんだお前。まだ生きてたのか」
そしてあいつは俺を見て、ゴキリと指を鳴らした。
あれ以上に背筋が寒くなることなんざ、もうねぇだろうな。
.
90
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:01:08 ID:V53fHRGY0
.
俺はすぐに声をかけたことを後悔した。
ちっと頭使えば分かることだったんだ。アヒャルドがゴミ山を崩した理由なんてな。
( ゚∀゚ )「お前……ぜんぶ見てたよな……?」
Σz; ゚ー )リ「……!!」
( ゚∀゚ )「安心しろ。ゴミに潰されるよりは楽に殺してやるよ……」
Σz; ゚ー )リ(こいつまさか、証拠隠滅のために……!?)
アヒャルドに何があったのか、当時の俺には分からなかった。
恐らくは絶命寸前まで追い込まれて、奴のヴィランとしての能力が開花したんだろーな。
だがそこまで推測しなくても、俺の命が風前の灯ってことは理解出来た。
奴を止めるには、崩落から逃げのびる以上の『何か』が必要だったんだ。
.
91
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:02:16 ID:V53fHRGY0
.
Σz; ゚ー )リ(考えろ、考えろ、考えろ!!)
( ゚∀゚ )「……」ユラ…
俺よりタッパのねぇガキから、尋常でない殺気が溢れ出てくる。
固められた拳には筋が浮いて、無表情の顔面がどうしようもなく恐ろしかった。
それを前にして俺は、どうやったらこのピンチを抜け出せるのか必死で考えた。
Σz; ゚ー )リ(奴に恩を売る?ダメだ、あいつは飯を分けた程度で恩に切る奴じゃねぇ)
Σz; ゚ー )リ(同郷の情に訴えるか……だが、ボコされた直後じゃ効果は期待薄だ)
Σz; ゚ー )リ(ならいっそ奴の下に着くか……?いや、これもあいつにはメリットがない)
Σz; ゚ー )リ(……メリット!!そうか、メリットだ!!)
Σz; ゚ー )リ「お、おいアヒャルド!!」
( ゚∀゚ )「……」スゥ
Σz; ゚ー )リ「拳を止めろ!!お前、俺の話を聞かねぇと一生後悔すんぞ!!」
( ゚∀゚ )「聞く気はねぇよ」
Σz; ゚ー )リ「あぁそうかい!じゃあ聞くが、お前これからどうするつもりだ?」
.
92
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:02:55 ID:V53fHRGY0
.
( ゚∀゚ )「どうもしない。この街を出る、それだけだ」
Σz; ゚ー )リ「おーそうかい。だが世間はお前が思ってるよか甘くはねーぞ!?」
( ゚∀゚ )「敵は全員殴り殺す」
Σz; ゚ー )リ「分かってねぇな!そんなことすりゃ、警察はすぐお前をマークしてイチコロだぜ?」
Σz; ゚ー )リ「この街と違って他の警察は有能だ!ただ殴って殺せばお前に一方的に不利なだけだ!」
Σz; ゚ー )リ「だから!俺をお前と一緒に連れてけよ!」
Σz; ゚ー )リ「俺はお前より交渉事もできるし、世間のこともちっとは知ってる!」
Σz; ゚ー )リ「貧民窟の世間知らずが腕力だけで生き残れるほど、外の世界は楽じゃねぇんだ!」
.
93
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:03:58 ID:V53fHRGY0
.
( ゚∀゚ )「……」
Σz; ゚ー )リ(よしっ!顔に迷いが出てる!もう一押しだ!)
Σz; ゚ー )リ「こんな腐った街出ていきたかったのは俺も同じだ、アヒャルド」
Σz; ゚ー )リ「だが俺には力がなかった。あのクソッタレな親方を殺せるだけの力がな」
Σz; ゚ー )リ「お前にはそれが出来る力がある。だがこの世の面倒な仕組みについて、知らないことが多すぎる」
Σz; ゚ー )リ「お前がそれを学ぶ必要はねぇ。代わりに俺を連れてくんだ」
Σz; ゚ー )リ「そうすりゃお前が好きなだけその力を使えるフィールドを、俺が用意してやる」
Σz; ゚ー )リ「お前に泥は被せねぇ!いらんと思ったらいつでも殺せ!」
Σz; ゚ー )リ「その代わり俺らは対等だ!それに文句は言わせねぇぞ!」
Σz; ゚ー )リ「さぁ、どうだ!?アヒャルド!!」
.
94
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:05:49 ID:V53fHRGY0
.
( ゚∀゚ )「……チッ。勝手にしろ」
Σz; ゚ー )リ「……!!」
俺は全身全霊のハッタリで、賭けに勝った。
ギブアンドテイクを演出して、奴に利があると思い込ませた。
そしてどうにか口八丁で丸め込んで、あいつを説得することに成功したんだ。
本当のことを言うなら、奴は外に出ても一人でやっていけただろう。
だが、俺の言うことにも幾らかの真実は含まれてた。
奴の力は明らかに人間の常軌を逸したものだった。
そんな力をホイホイ使っちゃあ、奴の末路は射殺か獄死、どっちかひとつだ。
警察だってバカじゃない。危険人物が街に現れたとなれば、指名手配されて身動き取れなくなるのも時間の問題だろう。
そういう意味じゃ、俺のやったことも奴のためになったと言えなくもない。
そこで状況を見極めて、奴の暴走を未然に防げていたら、だがな。
その時は頭が回らなかったが、後に俺は奴を自制させて、俺のために利用できるんじゃないかと思い始めたんだ。
それがどれだけ身の程知らずな思い上がりだったかも気づかずにな。
これが、俺とアヒャルドの話の第一幕ってとこだ。
.
95
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:05:54 ID:3yM7PeZE0
勇気あるな
96
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:08:15 ID:V53fHRGY0
.
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
それからしばらく、俺たちは街から街へ放浪して、やりたい放題何でもやってたな。
スリ置き引きから始まって、追い剥ぎ強盗車上荒し……やらなかった犯罪の方が少ないくらいだ。
悪事に糸目はつけなかったが、何やるにしても鉄クズ拾いより効率悪いってこたぁなかったぜ。
何しろこっちには、無敵のアヒャルドがいたからな。
Σz ゚ー )リ「アヒャルド。次の街は人が多いらしいから稼ぎどころだぜ!」
( ゚∀゚ )「あぁ、分かった」
あいつは思った以上に、俺の言うこと聞いてくれたよ。
よくよく考えりゃ一度も街の外に出たことねぇんだから、奴にゃ土地勘すらないんだよな。
最初はどこへ行くかの水先案内人程度の関係だったが、しばらくすると
奴の口数も増えて、なんとなく多少の信用は勝ち得たみてぇに見えたな。
そして俺たちは巷のワルの間で、二人きりの少年強盗団なんて呼ばれだしたんだ。
そこからだったかなぁ。俺がアヒャルドを利用して、もっとデカい稼ぎを出せないかって思いだしたのは。
.
97
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:09:44 ID:V53fHRGY0
.
そこで俺が目をつけたのが、アメリカ1の大都市クラウン・シティだった。
人口密集地帯のあそこなら、物もカネもしこたま集まってくる。
それを全てかっさらって、俺はアヒャルドを頭目にした犯罪組織を作ろうと企んでたのさ。
だがそれには、コネもカネもまだ足りない。
まずはその下地を作るために、まとまったカネを得るための金策を練らにゃならなかった。
Σz ゚ー )リ「アヒャルド」
( ゚∀゚ )「あ?」
Σz ゚ー )リ「次の仕事は車の盗難だ。出来るな?」
( ゚∀゚ )「誰に向かってクチ聞いてんだ。俺にできねぇことなんかねぇよ」
たかだか140cm程度のドチビが、バカに自信満々にそう答えやがる。
奴のこれまでの戦歴を知らなきゃ、俺も鼻で笑うような光景だったろうな。
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98
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:10:48 ID:V53fHRGY0
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クラウン・シティまでの道中で、俺は盗んだ車を使って運転技術を必死に覚えた。
どんな車種でも運転出来るようにならにゃあ、車ドロボーなんて夢のまた夢だからな。
そうして行き着くまでに五台の車を乗り捨てにして、俺たちはクラウン・シティにたどり着いたんだ。
ドギツいネオンと夜景が、眼窩にこびりつくような凄まじい夜だったな。
俺らのいた街とは、発展の度合いからして段違いだった。
Σz; ゚ー )リ「……すげぇな」
( ゚∀゚ )「……」
二人ともしばらくの間、車から降りて呆然としてたなぁ。
Σz ゚ー )リ「なぁ、アヒャルド」
( ゚∀゚ )「……なんだ?」
Σz ゚ー )リ「どうせやるならこの街の全部、俺たちでかっぱらってやろうぜ」
Σz ゚ー )リ「この夜景もいずれは俺たちのもんになるんだ。そう思うとワクワクして来ねぇか?」
( ゚∀゚ )「……バーカ。一人で盛り上がってろ」
冷めた口調と裏腹に、俺は初めてアヒャルドが、普通の笑顔を見せたような気がしたんだ。
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99
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:12:03 ID:V53fHRGY0
.
俺がまずやったことは、盗難車だろうと引き取ってくれる車屋を探すことだった。
拠点となる住み処は、盗んだ車を停めて寝起きすりゃあなんとかなる。
それよりも、早く車をさばけずに、足がつくことの方が問題だと思ったからだ。
デカい街ならあるだろうと踏んでいたが、案の定そっちは一週間足らずで見つかった。
/▽▽「車の買い取り?」
それがこいつ、エレクのおっさんだった。
Σz ゚ー )リ「あぁ。車種問わずどんな車でも買ってくれんだろ?」
おっさんは怪訝な顔をして、俺のことをじろじろ見回してやがった。
まぁ、俺が車屋でも同じようにしただろうがな。
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100
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:13:02 ID:V53fHRGY0
.
俺はためしに、クラウン・シティまで乗ってきた車を売ることにした。
俺らみてーなガキを相手にして、どういう態度に出るか見てみたワケだ。
/▽▽「帰れ帰れ、お前らどう見ても未成年だろうが。頭沸いてんのか?」
Σz ゚ー )リ「何でだよ。あんたんとこなら誰のどんな車でも買ってくれんだろ?」
/▽▽「この街にゃ盗っ人のガキなんざわんさといるんだ。いちいち相手してられるか」
まぁ、こういうことになるのも当たり前だわな。
Σz ゚ー )リ「まぁまぁ。そういうのはモノを見てからでも遅くないだろ?」
Σz ゚ー )リ「おっさんに損はさせねぇから査定だけでもしてくれよ、な?」
/▽▽「チッ……見ても買うとは限らねぇぞ?」
Σz ゚ー )リ「いいぜ。どうせ最後は取引することになるだろうからな」
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101
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:14:01 ID:V53fHRGY0
.
/▽▽「……」ガチャガチャ
Σz ゚ー )リ「どうよ、悪くない車だろ?」
/▽▽「ダメだな。こいつぁ出せて500だ。それ以上はやれん」
Σz ゚ー )リ「はぁ?目ん玉腐ってんのか?」
Σz ゚ー )リ「走行距離五万キロ以下、傷も傷みもほぼなし。新古車としちゃ申し分ねぇだろ?」
/▽▽「車はな。問題はお前らに信用がねぇってことだ」
/▽▽「こんな出所の分からん車掴まされて、お縄になっちゃたまらんからな」
大方の予想通り、おっさんはガキの相手と思ってこっちの足元を見てきやがった。
Σz ゚ー )リ「そりゃ初対面だし、信用なんざこれから作ってもらうしかねぇな?」
/▽▽「出入りの業者も山ほどいるんだ。お前らからわざわざ車を買う理由はねぇんだよ」
Σz ゚ー )リ「こんなボロい店のどこに業者がつくんだよ。ヤー公の下請けって素直に言えばいいだろ?」
/#▽▽「るせぇ!!こっちはてめぇなんぞポリに突き出しても構わねぇんだ!!」
/#▽▽「四の五の言わずとっとと消えな!!」
.
102
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:14:50 ID:V53fHRGY0
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Σz ゚ー )リ「おぉそうかい。そんな態度取るならこっちにも考えはあるぜ?」
/▽▽「生意気言いやがって。お前に何の後ろ楯があろうと、んなもんはこの街じゃ何の役にも立たねぇんだよ」
Σz ゚ー )リ「おい、アヒャルド」
( ゚∀゚ )「……」ヌッ
/▽▽「なんだぁ?ガキの仲間か?」
Σz ゚ー )リ「プランBだ。派手にやろうぜ」
( ゚∀゚ )「……おう」
/▽▽「ハッ。クソガキが何のつもり……」
( ゚∀゚ )「……ッシャアッ!!!」ググッ
ドガァンッ!!!
/;▽▽「は……?」
何の変哲もない普通乗用車が、アヒャルドの怪力で虫ケラみたいに軽くひっくり返された。
その時のおっさんのマヌケ顔ったら、ケッサクだったぜ。
.
103
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:15:33 ID:V53fHRGY0
.
Σz ゚ー )リ「ようおっさん。この車が何か分かるか?」
Σz ゚ー )リ「俺らと取引しなかった場合の、あんたの末路さ」
( ゚∀゚ )/;▽▽ ガシッ!!
/;▽▽「ぐっ……!?」
Σz ゚ー )リ「アヒャルド。ゆっくり時間をかけて首を絞めろ」
/;▽▽「ぐふっ……!?」ググッ
Σz ゚ー )リ「なぁ、俺ら今すぐまとまったカネが必要なんだ。車、買ってくれるよな?」
/;▽▽「かっ、買う……買うよ……!!」
Σz ゚ー )リ「幾らで?」
/;▽▽「1000ドルだッ……1000ドル出す……!!」
Σz ゚ー )リ「1000じゃ割に合わねぇな。分かってて言ってんだろ、おっさん?」
/;▽▽「くっ……2000……」
Σz ゚ー )リ「ハァー……安い命だったな。殺れ、アヒャルド」
/;▽▽「分かった4000だ!!4000出す!!」
.
104
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:16:35 ID:V53fHRGY0
.
Σz ゚ー )リ「オーケー!!4000で交渉成立だ!!」
Σz ゚ー )リ「俺ら口座持ってねぇから現金で頼むわ」
( ゚∀゚ )「……」シュタッ
/;▽▽「はぁぁぁ……こんのクソガキどもが……」ヘタッ
Σz ゚ー )リ「だから言ったろ?最後は俺たちと取引することになるってよ」
こうして俺たちは、エレクのおっさんに『快く』協力してもらえるようになったのさ。
そこからは比較的、順風満帆な悪党生活だったな。
アヒャルドがキーを壊して、俺が車を持ち去る。
その単純な繰り返しで、金は見る間に膨れ上がっていった。
昔、俺の地元のゴミ山で、ヒッピー崩れの浮浪者のジジィからエンジンと配線の繋ぎ方は聞いていた。
それさえ分かれば、あとは素人でもやれる簡単な作業だ。
安いモーテルを渡り歩いて獲物を探して、気づけばボストンバッグいっぱいのカネが手に入ってた。
あの頃はまさに、アメリカンドリーム真っ只中って感じだった。
俺がヘタ打たなきゃ、今頃アヒャルドを頭にした組織も出来上がってただろうぜ。
.
105
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:18:26 ID:V53fHRGY0
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ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
俺の犯した最大のポカ。それはこの街のルールを知らなかったことだ。
クラウン・シティに着いてから半年ほど経ったある日。
俺とアヒャルドは、手頃な車を物色するために街中を歩き回ってた。
本当なら事件の発覚を逃れるために深夜の駐車場を狙うんだが、その頃には俺らが
派手に荒らし回っていたせいで、駐車場も警備が厳重になってたんだ。
高く売るには新しい車の方がいい。それも高級な車を、だ。
だが、そんな車がそこらにホイホイ置いてあることなんてない。
アヒャルドを使えば警備を掻い潜ることも可能だろうが、
追われる危険性を考えるとやはり警備は手薄なところがいいと思ってた。
だが俺は失念してたんだ。
警備が手薄ってことは、治安が悪いってことでもあるってな。
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106
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:19:32 ID:V53fHRGY0
.
俺らがいたのはクラウン・シティの中でもごろつきが集まる、北側の通りだった。
普段とは違う河岸で獲物を物色すれば、いいもん見つかるんじゃねぇかっていう浅はかな考えさ。
ゴミは散乱して人通りも少なく、閑散としたとこだったな。
物騒なとこらしいとは聞いてたが、それでもいきなり発砲されない限りは大丈夫だろうと、たかをくくってた。
曲がりくねった路地を、アヒャルドと二人で歩いてよ。
その先で俺らはとんでもないお宝を見つけたんだ。
Σz ゚ー )リ「おっ?」
Σz ゚ー )リ「おいおいマジかよ!」
そこにあったのは、こんな場所に似つかわしくない、やけにゴツい黒塗りのセダンだった。
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107
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:20:12 ID:V53fHRGY0
.
Σz ゚ー )リ「やったな、アヒャルド。遠出してきた甲斐があったってもんだ!」
Σz ゚ー )リ「いつもの通り頼むぜ!!」
( ゚∀゚ )「あぁ」
その時にはもう、俺の頭はこの車を売りさばいてからのことしか浮かんじゃいなかった。
後んなって考えりゃ、ヤバいって判断する材料はそこらに転がってたのにな?
( ゚∀゚ )「……?」ピタ
Σz ゚ー )リ「どーした?人の来ないうちにさっさとやってくれよ」
( ゚∀゚ )「ダスティ。この車、鍵かかってねぇぞ」
Σz ゚ー )リ「はぁ?ウソだろ?」
( ゚∀゚ )「本当だ」ガチャッ
アヒャルドの言うとおり、車は何の抵抗もなしにその扉を開けた。
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108
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:21:32 ID:V53fHRGY0
.
Σz ゚ー )リ「ヒュー!こんなラッキーなことあっていいのかよ!!」
Σz ゚ー )リ「こりゃもう俺たちに盗んでくれって言ってるようなもんだな!」
Σz ゚ー )リ「持ち主のマヌケが帰ってくるまえに、とっととずらかろうぜ!!」
俺は運転席に、アヒャルドは後部座席に乗った。
驚いたことにその車、キーも差しっぱで放置されてやがった。
壊す手間が省けるし、キズモノにしないことでより高く買い取ってもらうことも出来る。
そんなことしか考えてなかったから、俺は大事なこと見落としてたんだよなぁ。
けどその時はそんなことにも気づかずに、浮かれ気分で車を発車させた。
その足で向かったのはもちろん、エレクのおっさんの工場だった。
.
109
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:22:17 ID:V53fHRGY0
.
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
/▽▽「……」カァンッ、カァンッ
Σz ゚ー )リ「よう、おっさん」
/▽▽「あぁ?なんだ、また来たのか」
Σz ゚ー )リ「おう、どうせヒマしてるだろうと思ってな」
/▽▽「オメーらよりは忙しく働いてらぁ。それで?また車の買い取りか?」
Σz ゚ー )リ「あぁ、よろしく頼むぜ」
/▽▽「車の売りにも周期があんの知ってるだろ?そう頻繁に持ってこられてもこっちが損こくわ」
Σz ゚ー )リ「いいじゃねぇかよ。どうせいい車は高値になるまで寝かせとくんだろ?」
/▽▽「よほどヤバい車じゃなけりゃな。今日は何の車だ?」
Σz ゚ー )リ「セダンだよ。状態はめちゃくちゃいい。内装はいじってあるが、あんたならさばけるだろ?」
.
110
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:23:11 ID:V53fHRGY0
.
/▽▽「ほう……どれ、見せてみ」
Σz ゚ー )リ「表に停めてあるから好きに見てくれ。高く買い取ってくれよ?」
/;▽▽「……!!」
/;▽▽「お前、この車どこでパクってきた!?」
Σz ゚ー )リ「北の小汚ぇ大通りだよ。どこのバカか知らねぇが、鍵つけっぱで乗り捨ててあったからよ……」
/#▽▽「バカ野郎ォッ!!」
おっさん、いきなり俺の顔面をぶん殴りやがった。
Σz; ー )リ「ぐっ……!?」
/#▽▽「大バカなのはてめぇの方だ、ダスティ!!」
/#▽▽「こいつはな、うちのバックにいるマフィアの親玉の車だ!!」
.
111
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:23:44 ID:3yM7PeZE0
鍵かける必要がないだけなんだよなぁ
112
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:24:43 ID:V53fHRGY0
.
/#▽▽「鍵かけてねぇのは、んなことしなくてもマフィアの車盗むバカなんざいねぇからだ!!」
/#▽▽「そんなことも知らずにこの商売やってたのか?マヌケが!!」
Σz; ゚ー )リ「お、おい……そんな演技に騙されやしねーぞ……?」
/#▽▽「これが演技に見えるってのか?だとしたらテメェの目玉はとんだ節穴だぜ!!」
/#▽▽「この車は、俺が奴らのために用意して、頭からケツまでチューンナップした車なんだよ!!」
/#▽▽「見間違えるとでも思ってやがんのかクソガキ!!」
Σz; ゚ー )リ「そんな……」
/#▽▽「ったくよぉ……少しゃ役に立つガキだと思ってたが、買い被りが過ぎたみてぇだな!!」
/#▽▽「これでテメェは死ぬまでマフィアと追っかけっこだ!!」
/#▽▽「さっさとここから出てかねぇと、まずは俺がテメェを蜂の巣にすんぞ!!」
Σz; ゚ー )リ「……!!」
俺は黙って車に逃げ込むと、人生で二度目の敗走ってやつに挑む羽目になった。
全く、自分で自分が嫌になるくらいバカなガキだったぜ、俺って奴はよ。
/▽▽「逃げんなら北の大通りから逃げな!!1%くらいは確率が上がるだろうぜ!!」
最後に聞こえてきたのは、おっさんのそんな助言の台詞だった。
だがそれもすぐに、猛然と吹かすエンジン音に紛れて聞こえなくなった。
.
113
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:26:03 ID:V53fHRGY0
.
/▽▽「……」
/▽▽「……」 ピッ、ピッ、ピッ
Prrr、Prrr……
/▽▽「あー、もしもし。俺だ、クルマ屋のダンだ」
/▽▽「今、あんたらの親分の車を盗んだガキが、うちに車を売りに来やがった」
/▽▽「……いや、捕まえてはいねぇ、勘づいて逃げられちまってな。だがガキは北から逃げると言っていた」
/▽▽「追い込みかけるなら北からやりな。奴ら大通りから街の外まで逃げる腹だろうぜ」
/▽▽「じゃーな。今後ともうちの店をご贔屓に」
ピッ
/▽▽「長いものには巻かれろってな……」
/▽▽「これでガキどもの命運も尽きただろうよ」
.
114
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:27:49 ID:V53fHRGY0
.
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
車を走らせながら俺は、あまりにもノータリンな自分に歯噛みして、絞め殺したくなった。
Σz; ゚ー )リ(マフィアの車だとぉ……んなこと知ってたら手ぇ出してねーよ!!)
Σz; ゚ー )リ(いや……考えてみりゃ、駐車場でもねぇあんなとこに車が置いてあるのが不自然だったんだ)
Σz; ゚ー )リ(それにこの趣味悪い内装、スモークガラス……読み取れるヒントは山ほどあった)
Σz; ゚ー )リ(俺がうかつに手ぇ出して、自分でケガしただけだ……クソッ!!)
そこまで頭が回らなかったのは、アヒャルドがいれば何も問題ないと調子に乗っていたからだ。
後部座席で眠るあいつにも、この事情を説明しなきゃならない。
( ∀ )「ンゴゴ……」
Σz; ゚ー )リ「おい!アヒャルド起きろ!」
だが、どうしようもない現実ってのはすぐそこまで近づいていた。
.
115
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:27:52 ID:3yM7PeZE0
おっさんいいやつ
116
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:29:37 ID:V53fHRGY0
.
ドォォンッ!!
Σz; ゚ー )リ「ッ!?」
( ゚∀゚ )「ん……」パチ
車が跳ねたかと思うほど、強い衝撃が走った。
バックミラーには、いかつい顔の男たちを乗せた車が追跡してくるのが写っていた。
Σz; ゚ー )リ「もう追いつかれたのか?……クソッ、エレクの野郎チクりやがったな!!」
( ゚∀゚ )「おい、なんだ。何が起きてる?」
Σz; ゚ー )リ「すまん、アヒャルド!俺がしくじって今マフィアに追われてる!」
( ゚∀゚ )「……そうか。ならあいつら全部ぶっ殺せばいいってことか」
Σz; ゚ー )リ「バカ!短気起こすな!いくらお前でもマフィアに囲まれりゃ終わりだぞ!」
そのうち二度、三度と後ろから追突され、車のスピードは徐々に落ちていった。
このままじゃ終わる。そう思った俺は、近くにあった廃工場に逃げ込んだのさ。
.
117
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:31:48 ID:V53fHRGY0
.
工場は閉めきられて開いてたが、アヒャルドに扉をぶち壊してもらって中に入ることは出来た。
背後からはマフィアどもの怒号が聞こえて、とっととしないと命がないのだけはイヤってほど伝わった。
Σz; ゚ー )リ「アヒャルド!このまま裏口通って奴らを巻くぞ!」
( ゚∀゚ )「迎え撃って殺した方が早いだろ」
Σz; ゚ー )リ「バカ!奴らが手ぶらで追ってきてるとでも思ってるのか?」
Σz; ゚ー )リ「いくらお前でも、素手と銃撃じゃオトナと子供だっての!」
なんでこいつはこうも好戦的なのか。
そう考えて俺は、こいつの性格を利用し続けた自分のせいだと気づいた。
あのゴミ山での一件以来、俺は人を襲ったりなんかの荒事は、アヒャルドに全て任せきっていた。
もちろんこいつにその適性があったのもあるが、それを助長したのは間違いなく俺だ。
策士気取りの自分のせいでアヒャルドは思慮が身に付かず、銃器にも臆さねぇただの暴力バカに成り下がっちまった。
そしてその結果が、結局は俺自身の首まで絞めてやがる。
Σz; ゚ー )リ(笑い話にもならねぇぜ……)
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118
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:33:08 ID:V53fHRGY0
.
そうこうしてる間にも、追っ手の足音は着々と近づいてきた。
アヒャルドは相変わらず、逃げずに戦うと呟くばかりだ。
工場の中にはコンテナが散乱しており、それに隠れるようにして俺たちは逃げ続けた。
時おりマフィアの無鉄砲な銃弾がコンテナを掠めて、肝が冷えたりもしたな。
( ゚∀゚ )「……おい」
Σz; ゚ー )リ「あんだよ!?迎撃なら隠れるもんがなくなってからにしろ!!」
( ゚∀゚ )「違う。奴らの足音が消えた」
Σz; ゚ー )リ「……!?」
慌てて逃げてたせいで気づかなかったが、確かにさっきまでの足音も、怒号も銃声も聞こえて来なかった。
Σz; ゚ー )リ(諦めた……?いやまさか……)
( ゚∀゚ )「……」スンスン
( ゚∀゚ )「ダスティ、ガソリンだ。ガソリンの臭いがする」
Σz; ゚ー )リ「何ィッ!?」
( ゚∀゚ )「奴ら、ここに火ィ着けるつもりだ」
.
119
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:34:48 ID:3yM7PeZE0
鼻がきくな
120
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:35:38 ID:V53fHRGY0
.
アヒャルドの嗅覚は間違っていなかった。
ほどなくして、マフィアどもが入ってきた入り口側から火の手が上がり、俺たちは炎からも逃げにゃならなくなった。
Σz; ゚ー )リ「クソ……人を追い詰める方法を知りすぎだろ!!」
( ゚∀゚ )「どうする?裏口まで走れば間に合わんこたないがよ」
Σz; ゚ー )リ「いや、ダメだ……火を放ったってこたぁ裏口ももう張られてる」
( ゚∀゚ )「んなことがなんで分かる?」
Σz; ゚ー )リ「炎にビビって逃げてきたところをまとめて撃ち殺すつもりだ……火計の基本だよ」
逃げ回る相手には、あえて追い込んでから逃げ道を与えればいい。
そんな簡単な計略にハマった自分が、どうしても許せない。
けどアヒャルドは、この期に及んでまたもあっけらかんと、同じことを言い出した。
( ゚∀゚ )「そうか。てこたぁお前の出番はもう終わりだな」
( ゚∀゚ )「こっからは戦争だ。俺に任せとけ」
.
121
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:37:38 ID:V53fHRGY0
.
Σz; ゚ー )リ「何言ってんだよ……俺たちはもうおしまいなんだよ」
絶望におののいて諦めちまった俺と違って、奴の眼は生き生きと輝いてるように見えた。
( ゚∀゚ )「お前、今さら死ぬのが怖いのか?」
( ゚∀゚ )「あの街でクソの親方に殺されるのも、ここでヤクザに殺されるのも同じことだろ」
Σz; ゚ー )リ「……!!」
( ゚∀゚ )「俺はあの街で一度死んでる。だから今さら怖いもんはねぇ」
( ゚∀゚ )「ビビって逃げるなら火が回る前に早く逃げろってだけだ」
その時に俺は気づいたんだ。
こいつは思慮を放棄してる訳じゃない。
自分がマジで戦えば、武装したヤクザにも勝てると本気で思ってるんだ。
Σz; ゚ー )リ「むちゃくちゃだ……自分の言ってることの意味が分かってるのか?」
( ゚∀゚ )「そうだな……さすがにお前の言うとおり、素手で戦うのは無理があるか」
180度ズレた論点で、奴は手近な武器になりそうなものを探していた。
.
122
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:39:12 ID:3yM7PeZE0
やだ、ファにーフェイスかっこいい
123
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:39:39 ID:V53fHRGY0
.
( ゚∀゚ )「よっと……これでいいかぁ?」
奴が引きずってきたのは、ベルトコンベアの先にしつらえられた、鉄鋼裁断用の巨大なチタンブレードだった。
固い鉄鋼を加工するためのものだけあって、そのブレードは分厚く、重たい。
全長は2メートル前後、厚みに至っちゃゆうに5センチはありそうだった。
Σz; ゚ー )リ「そんなもん、武器になるわけないだろ!?」
車をひっくり返したアヒャルドの筋力からして、重さはどれだけあろうと問題じゃない。
けどそのブレードは明らかに奴のタッパよりデカく、人がぶん回して扱えるような代物じゃなかった。
(; ゚∀゚ )「おっと……重くはないが、バランスが悪ぃな」
当たり前だが、それは人が振るうことを前提として作られちゃいない。
取っ手も握る猶予もなく、奴は人外のパワーでむしるようにブレードの端を掴んでいるだけだ。
片手で使おうとするとどうしても引きずって歩かなきゃならない。
両手で引きずらないように持つと、視界がふさがって前が見えなくなっちまう。
だが、よろけながらも奴は、その不釣り合いなブレードを武器として扱おうと必死になっていた。
(; ゚∀゚ )「こいつを上手く扱えるようになるまでは、それなりに時間がかかる」
(; ゚∀゚ )「それまでに、俺もお前もおっ死んでなきゃいいがな」
Σz; ゚ー )リ「本気かよ……どうかしてるぜ」
(; ゚∀゚ )「へっ。俺がまともだったことが今まで一度でもあったかよ」
(; ゚∀゚ )「いいからお前は、自分のための逃げ道を探してな」
そうして奴は、コンテナの陰から躍り出て、マフィアどものいる方向へ走っていったんだ。
.
124
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:41:56 ID:V53fHRGY0
.
俺は逃げながら、アヒャルドの行方を目で追っていた。
しばらくは奴がブレードを引きずる音しか聞こえなかったが、少しするとマフィアがアヒャルドを見つけた声がした。
『なんだこのガキ!?』
『そんなもんで俺たちに勝てると思ってんのか!!』
そして、銃声。コンテナからコンテナへ移る途中、ちらりとアヒャルドの姿が見える。
(; ゚∀゚ )「くっ……」
奴は自分の背丈よりデカいブレードを盾にして、上手いこと銃弾を弾き返していた。
だが、いくらブレードに隠れても、それを握った手や足の先は覆いきれない。
たちまち手足は被弾し、血塗れになってゆく。
Σz; ゚ー )リ(アヒャルド……!!)
奴の身は心配だったが、俺も逃げなきゃ命はない。
火は今も燃え盛って、工場を飲み込もうとしている。
俺たちに残されたタイムリミットは、そう長くないように思えた。
.
125
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:43:59 ID:V53fHRGY0
.
その時だった。
(# ゚∀゚ )「ウラァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!」
アヒャルドは激しく咆哮して、ヤクザへ突進していった。
銃弾は今までよりさらに酷く奴の肉を抉って、遠目でも肉と血が弾け飛んでるのが見えた。
俺は一瞬、あいつが自棄になって突っ込んだのかと思ったが、そうじゃあなかった。
アヒャルドの肉眼でもヤクザが捉えられるほど、近い距離まで詰め寄った時。
あいつはクソ重てぇブレードを持ったまま、コンテナの上まで跳躍したんだ。
Σz; ゚ー )リ「ウソだろ……!?」
それはもはや、人間に許された運動能力じゃあなかった。
ましてや銃撃を受けて、傷ついた足で出来ることでもない。
ヤクザもそのアヒャルドの挙動には驚いたみてぇで、焦りの表情を繕うことも出来てなかった。
確かに跳躍すれば、バランスの悪さという問題は解決できたろうさ。
跳んでる間、ブレードを手離さないだけのバカげた腕力と握力があれば、だがな。
アヒャルドはそのまま三角飛びの要領でコンテナの天井を蹴ると、ヤクザの死角から襲いかかった。
ブレードの重量を利用して、上空からヤクザを縦割りに両断する。
(# ゚∀゚ )「まずは一匹……!!」
聞こえるはずのねぇ奴の声が、その時の俺にはハッキリと聞こえた気がした。
.
126
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:45:51 ID:V53fHRGY0
.
アヒャルドはブレードに張り付いたマフィアの死骸を、遠心力で別のマフィアに向かって投げつけた。
『うぉっ!?』
怯んだマフィアなんぞ、あいつの敵じゃない。
アヒャルドは自分の体ごと刃を回転させ、今度は横薙ぎにマフィアを真っ二つにしていた。
(# ゚∀゚ )「これで二匹だ!!次ィ!!」
俺がアヒャルドの動向を確認できたのは、そこまでだったな。
思わず足を止めて見入っちまってる間、炎は工場に捨てられた廃油に燃え移って、大爆発を引き起こしたんだ。
Σz; ゚ー )リ「ヤベェ……早く逃げねぇと!!」
幸い……と言っていいかは分からねぇが、裏口に回ってたマフィアもアヒャルドの大暴れに駆けつけて来やがった。
今なら裏から逃げられる。けど、このまま逃げちまって本当にいいのか?
一瞬考えたが、俺にはアヒャルドの暴力を止める術はない。
後ろ髪引かれながら、俺は工場の火の手から、何とか逃げきった。
.
127
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:47:51 ID:V53fHRGY0
.
俺を追ってくるマフィアは一人もいなかった。
全員が、工場のアヒャルドに釘付けにされていた。
アヒャルドがブレードの使い方に手こずったのは、ほんの数分に見えた。
一人殺してからは、困惑なんぞほとんどなくなってたんじゃねぇかな。
それほど、奴とあのブレードは相性が良かったんだろう。
工場の裏手からは、距離が空きすぎてアヒャルドの動きは見えなかった。
だが、あいつの雄叫びとマフィアの死に際の断末魔は、よぉ〜く聞こえてきた。
だから俺はせめて、あいつに逃がされた身として、ここで全てが終わるのを待ってようと思った。
義理も人情も、ましてや友情なんてもんもなかったが、そうしなきゃ俺自身が納得出来なかったからな。
そして火があらかた収まったあとに俺が見たものは、死体の山よりも恐ろしいもんだったよ。
.
128
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:49:29 ID:V53fHRGY0
.
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
俺がエレクの親父に車を見せてから、四時間が経過していた。
辺りはすっかり暗くなり、工場の火も落ち着きを取り戻し始めた。
今改めて思うと、警察も消防もこの事件に動きもしなかったんだから、あそこは
クラウン・シティでも折り紙つきの治安の悪さだったんだろうな。
ま、そんなことはどうでもいいか。
マフィアの声が止み、俺は恐る恐る工場の外周を歩いて回った。
奴らの車が五台、入り口に停めてあったが、当然持ち主はそこに帰って来ちゃいなかった。
マフィアの末路はどうなったのか?
そしてアヒャルドは生きてるのか、死んでるのか?
答えはそこから数メートル進んだ先にあった。
そこにあったものは、信じられないほどめちゃくちゃな肉塊となったマフィアたちと。
Σz; ゚ー )リ「う、ウソだろ……?」
Σz; ゚ー )リ「お前、アヒャルド……なのか……?」
信じられないほどの変貌を遂げた、アヒャルドの姿だった。
.
129
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:50:48 ID:V53fHRGY0
.
( ゚∀゚ )「……」
アヒャルドは、一人のヤクザの胸ぐらを掴んで立ち尽くしていた。
いや、そんなことはどうってことない問題だった。
問題なのは、奴の容姿だ。
ここを訪れた時、奴の身長は俺にも劣る、140㎝程度しかなかったはずだった。
それがこのたった数時間の間で、見てすぐそうと分かるほどに成長してたんだ。
今の奴は、胸ぐら掴んだヤクザと比べても見劣りしていない。
どう少なく見積もっても、170㎝はありそうな背丈に見えた。
それだけじゃない。腕は太く、脚はしなやかに、胴回りの肉付きも申し分なくなっていた。
もはや貧弱なガキのアヒャルドはいやしなかった。けど、なんで?
その答えは、奴のすることを見ていたらすぐに分かった。
.
130
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:51:58 ID:V53fHRGY0
.
( ゚∀゚ )「……お前らのアジトはどこだ。言え」
『く……クラウンストリートの403番地……』
アヒャルドは柄にもなく、敵を生かして尋問してたみてぇだった。
だがそれ以上に、俺には気になったことがあった。
奴の体についてる返り血の位置が、おかしかったんだ。
( ゚∀゚ )「そうか。クラウンストリートか……」
『は、話したんだから生かしてくれ!!頼む!!』
何かが、おかしい。だが俺はその違和感の答えにたどり着かないよう、必死に自分の考えを否定していた。
( ゚∀゚ )「そりゃ出来ねぇな……」
『ヒッ……』
奴の浴びた血糊の痕跡。
上半身と下半身にまんべんなく、そして……。
口の周りに、べったりと。
.
131
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:52:25 ID:V53fHRGY0
.
ガリッ……
.
132
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:54:10 ID:3yM7PeZE0
おえっ
133
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:54:31 ID:V53fHRGY0
.
奴は、殺した人間を食っていた。
食って、そしてあの背丈になるまで成長していたんだ。
Σz; ー )リ「ウッ……オェェッ!!」
たまらず、俺は嘔吐しちまってた。
あの光景を見たら、誰でもそうなると思うぜ?
( ゚∀゚ )「……ダスティか」
そこで奴はようやく、俺がいるのに気がついたみたいだった。
( ゚∀゚ )「お前よぉ、どうしてこんな楽しいこと、俺に黙ってやがったんだ?」
ニタリと不気味に笑って、アヒャルドは問いかける。
その笑みは、奴が親方を殺した時の笑顔と、そっくり同じもんだった。
Σz; ゚ー )リ「く……来るんじゃねぇ!!化け物!!」
俺は恐れを成して、自分の吐瀉物の上に尻餅ついてやがった。
みっともねぇとは思わねぇよ。小便チビらなかっただけマシってくらいさ。
( ゚∀゚ )「クク……そんなにビビるなよ、ダスティ」
奴のその余裕ぶりは、俺たちの立場が逆転したことを物語っていた。
.
134
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:55:48 ID:V53fHRGY0
.
( ゚∀゚ )「俺はこれから奴らの事務所にカチコミかける」
( ゚∀゚ )「これでもう追われるこたぁ無くなるが、お前も来るか?」
Σz; ゚ー )リ「……」
俺はその問いに、イエスと答えることがどうしても出来なかった。
( ゚∀゚ )「そうか。ならお前との仲はここまでだな」
( ゚∀゚ )「あばよ、相棒。楽しかったぜ」
そして奴は、巨大なブレードを軽々と抱えて街へ消えていった。
それは、後にクラウン・シティで名を轟かせる、ファニーフェイス伝説の始まりでもあったんだ。
.
135
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:56:55 ID:V53fHRGY0
.
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
今となっちゃ、俺はなんであの時、奴についていかなかったのかと後悔してばかりだよ。
俺がいれば、奴がその後に起こす犯罪の何割かは防げたかもしれねーのにな。
……いや、やっぱりこれも俺の思い上がりなんだろうな。
奴は誰も止めることが出来ない。むしろ止めちゃいけねぇんだ。
奴の末路が銃殺であれ獄死であれ、もはやあいつは俺が関知出来ない領域にまでのし上がっちまった。
過酷な幼少期を経て、俺という相棒と巡りあい、そしてヤツは今、完全に解放された。
一体誰がその邪魔を出来ると思う?
もう誰にも奴は止められない。
奴は死ぬまで、前のめりに走りつづけるだけなんだろう。
だから俺はせめて、俺に出来ることを一つでも多くやり遂げようと思ったのさ。
.
136
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 21:58:32 ID:V53fHRGY0
.
俺にはもう何かする力は残っちゃいなかった。
寂れたモーテルにでもしけこんで、すぐにでも倒れちまいたかった。
だがふと思い立って俺は、盗んだ車の置いてある場所まで戻ってきた。
事件のどさくさに紛れて忘れてた、ボストンバッグの金の使い道を思いついたからだ。
もうアヒャルドは、俺の言うことに耳を貸したりしないだろう。
つまりこの金で、奴を頭にした組織を作るって俺の野望は、完全に途絶えたわけだ。
だから俺は俺で、独立の道を探らなきゃならなかった。
金だけはあるのに何かデカいものを失ったような喪失感の中、俺はある場所へ向けて歩いていった。
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137
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 22:00:22 ID:V53fHRGY0
.
その場所に着いたのは、真夜中をだいぶ過ぎたころだ。
車を使えば良かったんだろうが、しばらく運転するのはこりごりって感じだったからな。
ふくらはぎは突っ張って、関節は熱を帯び立ってるのもキツかった。
だが、俺は最後の力を振り絞って目の前の扉を叩いた。
Σz ゚ー )リ「エレクのおっさん!いるんだろ、開けてくれ!」ガンガンガンッ
俺が遠路はるばるやってきたのは、エレクのおっさんの車屋だった。
おっさんは戸の隙間をわずかに開けて、深夜の来訪者に応対した。
/▽▽「……てめぇ、クソガキ。生きてやがったのか」
Σz ゚ー )リ「勝手に殺すなよ。俺はあんたに頼みがあってここまで来たんだ」
/▽▽「帰れ。お前なんぞ匿ってると知れたら、俺まで殺されちまうわ」
Σz ゚ー )リ「その心配はねぇよ」
/▽▽「あ?」
.
138
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 22:01:02 ID:V53fHRGY0
.
Σz ゚ー )リ「あんたの後ろ楯のマフィアなら、アヒャルドが……俺の相棒が全部殺っちまった」
/▽▽「なに寝ぼけてやがる。気でも触れたか?」
Σz ゚ー )リ「ウソだと思うなら電話でもしてみろよ。繋がらねぇから」
おっさんはわずかに逡巡したあと、いったん奥に引っ込んで電話をかけてるみてぇだった。
/▽▽「……確かに繋がらねぇな。夜中でも事務所にゃ誰か詰めてるはずだが」
Σz ゚ー )リ「明日になりゃハッキリするよ。あの組はもうおしまいだ」
/▽▽「……それで?てめぇは何の用事でこの無害な俺を叩き起こした?」
/▽▽「返事次第じゃ頭から上が消えてなくなると思え」
Σz ゚ー )リ「……おっさん。俺をここで雇ってくれ。頼む」
/▽▽「はぁ?」
.
139
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 22:01:53 ID:V53fHRGY0
.
/▽▽「バカ言ってんじゃねぇ。寝ぼけてんのかクソガキ」
Σz ゚ー )リ「ジョークでも何でもねぇよ。俺はマジだぜ」
/▽▽「お前がマジかどうかなんざどうでもいいんだよ。あいにく人手は足りてんだ」
Σz ゚ー )リ「ただで雇えとは言わねぇよ。勉強料と思ってこいつを受け取ってくれ」
ドサッ
/▽▽「……これは?」
Σz ゚ー )リ「俺たちが車を売って得た金、つまりあんたの金だ。生活費以外はほとんど手付かずだぜ?」
/▽▽「ハッ、よくまぁ貯め込んでたもんだ。遊んで使っちまや良かったのによ」
Σz ゚ー )リ「もう意味はなくなった金だ。あんたに返すよ」
Σz ゚ー )リ「その代わり、俺をここで雇ってくれ。どんな仕事でもするからよ」
.
140
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 22:02:55 ID:V53fHRGY0
.
俺がエレクのおっさんに目をつけたのはいくつか理由がある。
ひとつは、マフィアをバックに出来るだけのコネクションがあるってこと。
そして、アヒャルドを失った俺が、この街で頼れる人間が他にいなかったこと。
そしてもうひとつ。どれだけ性根が腐ってても、職工としての腕は確かだったってことだ。
Σz ゚ー )リ「おっさんだって俺らの売った車で儲けたんだろ?絶対に損はさせねぇ、俺は役に立つ」
Σz ゚ー )リ「だから頼む、この通りだ!!」
/▽▽「あー……分かった、分かった。だが俺としちゃ、マフィア壊滅の裏が取れんうちはお前を上げる訳にいかん」
/▽▽「明日また出直して来て、情報の真偽を確認出来たら考えてやらぁ」
そう言いつつ、おっさんは俺のボストンバッグを何度かチラチラ見ていた。
たぶん中身がいくら入ってるか推測してたんだろう。セコいヤツだぜ、全くよ。
そしてこの件から二日後、ようやくおっさんは重い腰を上げて、俺を雇い入れてくれた。
.
141
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 22:04:20 ID:V53fHRGY0
.
これはただのカンだが、おっさんも最初は金だけ奪って俺のことをほっぽり出すつもりだったろうぜ。
なんでって、俺がおっさんの立場なら間違いなくそうするからな。
だから俺は金を自分にしか分からないところへ隠し、わりと真面目に立ち働いた。
おっさんは約束が違うとぶーたれてたが、俺が思った以上に使えると分かるや、今度は露骨にコキ使って来やがった。
まぁ、ゴミ山の鉄屑拾いよりキツい作業なんてのはなかったがな。
そうして俺は、車の修理や改装、パソコンの使い方なんかを学んでいった。
今なら分かるが、俺はアヒャルドとは違う形で、頭角を現したかったんだろうな。
我ながらいじましいこったぜ。
.
142
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 22:05:32 ID:3yM7PeZE0
おっさんいいやつ
金目当てだとしても
143
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 22:05:41 ID:V53fHRGY0
.
まぁ、こっから先はなんてことない、ただのオマケだ。
俺はアヒャルドと決別して、別の裏道を歩くことになった。ただそれだけの話だよ。
あの時、俺がマフィアの車なんぞ盗んでなけりゃ。
マフィアに追い立てられて逃げたのが、チタンブレードの無い別の工場だったら。
いやそもそも、俺が故郷のゴミ山の街で、生き残ってなかったら。
たぶんアヒャルドは、怪人ファニーフェイスになることはなかったと思う。
全てはもう終わっちまった後の話だがな。
だから俺は、奴のやることには少しばかり責任を感じてるんだよ。
.
144
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 22:06:42 ID:V53fHRGY0
.
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
Σz ゚ー )リ「……これが、俺の話すことの出来るファニーフェイス誕生秘話ってやつだ」
Σz ゚ー )リ「こっからしばらく、俺は奴の噂を聞くだけで接触することはなかった」
Σz ゚ー )リ「あいつと再び会うようになったのは、あいつが初めての敗北を知った時」
Σz ゚ー )リ「つまりお前らのボスと対峙してからだ」
Σz ゚ー )リ「その先は、トレジャー本人から聞きな。俺よりよっぽど詳しいはずだからよ」
(;・∀・)「……」
(;-_-)「……」
Σz ゚ー )リ「なんだぁ?黙りこくって。なんとか言えよ」
(;・∀・)「お前、すごい人生歩んでんなぁ……」
(;-_-)「僕なんか足元にも及ばないくらいだ……」
.
145
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 22:07:44 ID:V53fHRGY0
.
Σz ゚ー )リ「カカッ、俺としちゃ昔のイキりバカ晒すみてぇで恥ずかしいんだがな」
Σz ゚ー )リ「やっちまったことはやっちまったこととして、取り消せねーからよ」
(;・∀・)「はぁ〜……」
(;-_-)「ちょっと尊敬しちゃいますよ……」
Σz ゚ー )リ「止めとけ止めとけ。俺ぁ環境に負けただけのただの敗残者だよ」
Σz ゚ー )リ「俺がいなけりゃあいつは……って思いは、未だに消えてないしな」
( ・∀・)「心配すんなよ。ファニーフェイスだって、トレジャーのおっさんがきっと倒してくれるさ」
(-_-)「そうですよ。僕らだって協力しますし」
.
146
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 22:08:38 ID:V53fHRGY0
.
Σz ゚ー )リ「ククッ。頼もしいこった」
( ・∀・)「ッシャア!!気合い入ったぜ!!」
( ・∀・)「研究所に帰ったらまた特訓だ!!」
(;-_-)「えぇ〜また特訓ですか……精神汚染レベル5で死にかけないで下さいよ?」
(;・∀・)「お前さぁ!人のやる気に水差すようなこと言うなよなぁ〜……」
(;-_-)「介抱するの僕なんですからね!徐々に慣らしてからにしてください!」
Σz ゚ー )リ「フフッ……まぁせいぜい頑張ってくれや」
Σz ゚ー )リ(それにしても、アヒャルドの奴……なんで今回に限ってマンホールから出てきやがったんだ?)
.
147
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 22:09:15 ID:V53fHRGY0
第十六話終わり
148
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 22:10:34 ID:V53fHRGY0
【登場人物紹介】
|/゚U゚|
シド=ビハード
ゴミ山の元締め。人間のクズ。
Σz ゚ー )リ
ダスティン=スニッパー
お調子者でキレモノ。子供の割には機転が効く。
後に焼失した工場跡地を買い取り、キャノンボールを主催する。
/▽▽
ダン=エレク
クラウン・シティで自動車密売を行う車屋。
表向きは修理工として働き、ヤクザを通じて海外に車をさばいていた。
ダスティが独立した数年後、脳卒中により死亡。享年54歳。
.
149
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 22:11:12 ID:V53fHRGY0
【登場人物紹介】
( ゚∀゚ ) FUNNY FACE
本名:アヒャルド=マッケンジー
身長:十四歳当時141cm(現在は200cm)
体重:十四歳当時44.6kg(現在は120kg)
クラウン・シティ史上最悪のヴィランとして名高い悪名を誇る。
かつて自分の育ての親を殺してから、弱きを虐げることに快楽を見出だした。
その怪力から繰り出されるチタンブレードは、かつて戦車を両断し、ビルを薙ぎ倒した経歴がある。
ヴィラン災害を引き起こしてからは、彼が街に出現すると避難命令が出され、軍隊が出動する手筈となっている。
.
150
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 22:12:17 ID:3yM7PeZE0
乙
アヒャがかっこよく見えてしまった
やったことには同情の余地はないけど、彼も環境の被害者なんだなと
151
:
名無しさん
:2018/04/04(水) 23:39:16 ID:V53fHRGY0
あ、マフィア呼びとヤクザ呼びが混ざってる。
紛らわしくてすみません。
152
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 11:41:41 ID:c7dc7eAU0
乙
153
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 16:49:37 ID:.YQ3dMSE0
乙
ダスティいいキャラしてるな
154
:
名無しさん
:2018/04/06(金) 21:21:54 ID:F4iYmKvY0
数奇な半生だったんだなあ・・・自分もアヒャがかっこよく見えた
乙
155
:
名無しさん
:2018/04/07(土) 12:55:04 ID:gyHB9JK20
乙
156
:
名無しさん
:2018/06/02(土) 23:39:47 ID:tiLTnrk60
乙!
このテの昔話を陰鬱じゃなくカラカラ話すダスティ本当に良いキャラ
キャノンボールの文字で疾走感伝わるのとかモララーの叫び声好きです
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_2525.jpg
157
:
名無しさん
:2018/06/03(日) 07:18:09 ID:GWvLHFsc0
迸る犯罪臭
158
:
名無しさん
:2018/06/03(日) 10:02:38 ID:PUigsnxw0
マッスル!!!
159
:
名無しさん
:2018/06/03(日) 11:13:49 ID:ZkVS1pQg0
パネェ……
160
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 17:37:16 ID:Sxk0hBsY0
.
─────
────
───
──
(ヽ´_ゝ`)「……なぁ、弟者」
(´<_`/)「なんだ、兄者」
(ヽ´_ゝ`)「最後にまともな食事したのって、いつになるっけ……」
(´<_`/)「……かれこれ三日前、くらいかな」
(ヽ´_ゝ`)「……人間って、なかなか死なないんだな」
(´<_`/)「そうだな。このままだと遠からず死ぬがな」
(ヽ´_ゝ`)「俺なんとなく背が縮んだ気がするもん」
(´<_`/)「俺は体重減りすぎて空が飛べるかもしれん」
(ヽ´_ゝ`)「……」
(´<_`/)「……」
(ヽ´_ゝ`)「……腹減ったな」グゥー
(´<_`/)「……そうだな」キュルルル
.
161
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 17:38:25 ID:Sxk0hBsY0
.
(´<_`/)「兄者……意地張らずにもうそろそろ家帰ってもいいんじゃないか?」
(ヽ´_ゝ`)「それは駄目だ。今帰ったらもう二度とヴィランとして大成出来なくなるぞ」
(´<_`/)「現状、路上生活者と大差ない暮らしぶりなんですが」
(´<_`/)「今のところスリも恐喝も窃盗も失敗してるからな?」
(ヽ´_ゝ`)「万引きで何とか食いつなげてるじゃないか」
(´<_`/)「誇らしげに言わないでくれないか。悲しくなる」
(ヽ´_ゝ`)「……そろそろ潮時かなぁ」
(´<_`/)「だろう。ちゃんと母者に頭下げて、詫びを入れればいいさ」
(ヽ´_ゝ`)「……母者、ガッカリするだろうな」
(´<_`/)「……言うなよ、そういうこと」
.
162
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 17:38:57 ID:Sxk0hBsY0
.
(ヽ´_ゝ`)「結局俺たちは、悪党に向いてないってことだったのかな」
(´<_`/)「そうかもな。色々と凡庸なんだよ、俺たち」
(ヽ´_ゝ`)「……はぁ」
(´<_`/)「腐るなよ、兄者。きっとこれからいいことあるさ」
(ヽ´_ゝ`)「しょんぼりMAXやで」
(´<_`/)「しょんぼりMAXとは」
──ピロリロリン、ピロリロリン♪
(´<_`/)「あっ」
(ヽ´_ゝ`)「何の音だ?」
.
163
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 17:39:28 ID:Sxk0hBsY0
.
(´<_`/)「裏サイトに登録してたから求人が来たのかもしれんな。見てみよう」
(ヽ´_ゝ`)「スマホまだ生きてたのかよ……充電は?」
(´<_`/)「ゲーセンで盗電してた」
(ヽ´_ゝ`)「充電器は?」
(´<_`/)「ショップからパクった」
(ヽ´_ゝ`)「お前いつの間にそんなことしてたん?」
(´<_`/)「兄者が段ボールにくるまって寝てる間にな」
(ヽ´_ゝ`)「……地味に小悪党の素質あるよな、弟者って」
(´<_`/)「その褒め方は全っ然嬉しくないぞ」
.
164
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 17:40:19 ID:Sxk0hBsY0
.
===========================================
【急募案件】
運び屋補助募集。荷物を運ぶだけの簡単な仕事。
報酬:2000$〜応相談
条件:秘密厳守、口外無用。
連絡先:下記指定住所にて面談。先着順。
===========================================
(´<_`/)「……運び屋補助、だってよ」
(ヽ´_ゝ`)「ふむ。なんか楽しそうだな」
(´<_`/)「楽しそうって。秘密厳守ってとこ見てないのか?余裕でヤバそうだろ」
(´<_`/)「運ばされるのだって、ヤクか死体か、もっとヤバい物かも分からんぞ」
(ヽ´_ゝ`)「まぁまぁ。このままグズグズしてるよりは何倍もいいさ」
(ヽ´_ゝ`)「とりあえず先着順ってあるし、早めの行動あるのみだな」
(´<_`/)「……だな。やれるだけのことはやっておこうか」
.
165
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 17:41:09 ID:Sxk0hBsY0
.
─────
────
───
──
(ヽ´_ゝ`)「弟者。面談場所ここで合ってるのか?」テクテク
(´<_`/)「住所は確かにここになってるぞ」スタスタ
(ヽ´_ゝ`)「俺には廃屋にしか見えないんだが……」
(´<_`/)「そりゃ、あかん仕事頼むのに普通の場所では出来んだろ」
(ヽ´_ゝ`)「それもそうか」
(´<_`/)「すみませーん、ネットで面談希望出したアーニーとオットーですがー」ドンドコドン
(ヽ´_ゝ`)「……」
(´<_`/)「……」
(ヽ´_ゝ`)「……へんじがない、ただのしかばねのようだ」
(´<_`/;)「あっれぇ、おかしいな?確かに指定された住所はここなんだが……」
.
166
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 17:42:11 ID:Sxk0hBsY0
.
( ゚∋゚)「……」ニュッ
(;ヽ´_ゝ`)「うぉっ!?」ビクッ
(´<_`/;)「あ、あの……」
( ゚∋゚)「面会希望者か」
(;ヽ´_ゝ`)「あ、はい」
( ゚∋゚)「入んな」クィッ
(´<_`/;)「ども」
(;ヽ´_ゝ`)(おい、なんかめちゃめちゃ強面のおっさん出てきたぞ)ヒソヒソ
(´<_`/;)(あ、当たり前だろ裏仕事なんだから)ヒソヒソ
(;ヽ´_ゝ`)(この仕事、本当に受けて大丈夫か?)
(´<_`/;)(今さらこれくらいでビビんないでくれよ兄者……)
(´<_`/;)(あれくらい、母者と比べたらどってことないだろ?)
(;ヽ´_ゝ`)(そりゃそうかもしれんが……)
( ゚∋゚)「私語は止めろ。黙ってついてこい」
(;ヽ´_ゝ`)「は、ハイ!」
(´<_`/;)「すみません……」
.
167
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 17:43:30 ID:Sxk0hBsY0
.
(;ヽ´_ゝ`)「……」テクテク
(´<_`/;)「……」テクテク
( ゚∋゚)「……」ピタッ
(ヽ´_ゝ`)「……?」
( ゚∋゚)「依頼人はこの扉の先だ。あとはお前らだけで行け」
(´<_`/)「あっ……はい」
(ヽ´_ゝ`)(なんだよ、こいつが雇い主じゃなかったのか。あー良かった)
(´<_`/)(アホ。一緒に来ないってことは扉の前で見張りに立つってことだろ)
(´<_`/)(容易に部屋から出られるかも分からんぞ?)
(;ヽ´_ゝ`)(そ、そうか……それもそうだな)
( ゚∋゚)「どうした、さっさと入らねぇか」
(´<_`/;)「すみません!すぐに……」
(;ヽ´_ゝ`)「失礼します!」ガチャッ
.
168
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 17:45:08 ID:Sxk0hBsY0
.
Σz ゚ー )リ「よっ」
(;ヽ´_ゝ`)「……どうも」
(´<_`/;)「こんちわっす」
Σz ゚ー )リ「お前らが今回応募してきた若造どもか」
Σz ゚ー )リ「俺ぁダスティってもんだ。ヨロシクな」
(;ヽ´_ゝ`)「アーニー=カーマインです」
(´<_`/;)「オットー=カーマインです」
Σz ゚ー )リ「オーケー、カーマイン兄弟だな。それじゃ仕事の話に移ろうか」
(;ヽ´_ゝ`)「えっ、ちょ……早くないっすか!?」
(´<_`/;)「もっと話すこととか……」
Σz ゚ー )リ「こっちもヒマじゃねーの。面接じゃねぇんだからサクサク済まそうぜ」
(;ヽ´_ゝ`)「はぁ……」
(´<_`/)「そういうことなら……」
.
169
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 17:46:04 ID:Sxk0hBsY0
.
Σz ゚ー )リ「お前らに今回運んでもらいてぇのはコイツだ」ガシャンッ
Σz ゚ー )リ「このずだ袋を三つ、あるところまで運んでほしい」
Σz ゚ー )リ「本来なら俺の部下にやらせてるんだが、ケガで人手が足りなくなっちまってな」
Σz ゚ー )リ「急を要する案件なもんで、お前らに頼んだのよ」
(;ヽ´_ゝ`)(ヤバい仕事の末のケガなんだろうか)
(´<_`/;)「けっこう大きい袋ですね……」
Σz ゚ー )リ「重さもそれなりだから腰イワせんなよ?」
Σz ゚ー )リ「ま、うちのデュオと一緒ならさほど問題ねーと思うがな」
(;ヽ´_ゝ`)「デュオというと」
Σz ゚ー )リ「お前らをここまで連れてきた、バカデカい男だよ」
Σz ゚ー )リ「車も奴に運転させるから、お前らは袋を運ぶだけだ。簡単だろ?」
(;ヽ´_ゝ`)「ああ……やっぱりあの人も一緒なのか……」
Σz ゚ー )リ「ビビるのは分かるが、顔に似ず気の効く奴だ。そう嫌な顔すんなよ」
.
170
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 17:46:43 ID:Sxk0hBsY0
.
Σz ゚ー )リ「運ぶ場所はデュオが知ってる。お前らはそれに着いていけばいい」
Σz ゚ー )リ「それと、もうひとつ」
(;ヽ´_ゝ`)「なんでしょうか?」
Σz ゚ー )リ「袋の中身は見ても構わんが、どこに持っていったかは誰にも喋るんじゃねーぞ?」
Σz ゚ー )リ「お前らは何も聞かず、何も言わない。それが守られなかった場合は……分かってんな?」
(;ヽ´_ゝ`)「言いません!誰にも!」
(´<_`/;)「袋の中身も絶対見ません!」
Σz ゚ー )リ「そうかい、そりゃ良かった」
Σz ゚ー )リ「じゃ、さっそく仕事に取りかかってくれ。詳しいことはデュオに聞けや」
(´<_`/;)「よっこいしょ……」
(;ヽ´_ゝ`)「けっこう重いな〜……」
Σz ゚ー )リ「カカッ、じじぃかお前らは。じゃ、頼んだぞ〜」
.
171
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 17:47:47 ID:Sxk0hBsY0
.
(;ヽ´_ゝ`)「しかしまぁ何だな、弟者……」
(´<_`/;)「なんだ、兄者」
(;ヽ´_ゝ`)「ボロい商売だと思ってた訳じゃないが、けっこうキツいな……」
(´<_`/;)「そりゃ楽に稼げる仕事なんかあるまい」
( ゚∋゚)「話は終わったか?」
(;ヽ´_ゝ`)「あ、ハイ」
( ゚∋゚)「ならその袋、車に詰みな」
(;ヽ´_ゝ`)「はひ……」ズルズル
( ゚∋゚)「おい、引きずるな!中身こぼれるだろ!」
(;ヽ´_ゝ`)「ご、ごめんなさい!!」
( ゚∋゚)「この程度の荷積みも出来ねぇのかよ……」ヒョイッ
(;ヽ´_ゝ`)「あ、すみません……」
( ゚∋゚)「お前が俺の部下ならぶん殴ってるとこだ。気をつけな」
(;ヽ´_ゝ`)(超死にてぇ……)
(´<_`/;)(兄者……)
.
172
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 17:49:00 ID:Sxk0hBsY0
.
(;ヽ´_ゝ`)「ハァ、ハァ……よっこいしょお」
(´<_`/;)「兄者どんだけ体力ないんだよ」
(;ヽ´_ゝ`)「そういうお前こそ、汗だらっだらじゃないか」
( ゚∋゚)「おいおい。この程度で疲れてもらっちゃ困るんだがな」
( ゚∋゚)「まだまだ先は長ぇんだ。へばるのは後にしな」
(;ヽ´_ゝ`)「はーい……」
(´<_`/;)「前途多難だな」
( ゚∋゚)「まぁいい、乗れ」
( ゚∋゚)「今のうちに休めるだけ休んどけ。こっからはなおさら体力使うからな」
(;ヽ´_ゝ`)(本当に荷物運ばされるだけで終わるんだよな……?)
(´<_`/;)(地獄の行軍に赴く気分だ……)
.
173
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 17:50:12 ID:Sxk0hBsY0
.
─────
────
───
──
ブロロロ…
(ヽ´_ゝ`)「……」
(´<_`/)「……」
( ゚∋゚)「……」
(ヽ´_ゝ`)(会話ねぇな……)
(´<_`/)(なんか喋った方がいいのだろうか)
(ヽ´_ゝ`)「……あのぉ〜、ちょっと聞きたいんですけど」
( ゚∋゚)「なんだ」
(ヽ´_ゝ`)「この荷物、どこへ持ってく予定なんです?」
( ゚∋゚)「お前らは余計なこと考えなくていい」
(;ヽ´_ゝ`)「す、すみません……」
(´<_`/;)「あのでも、念のため場所だけでも知りたいなーと……」
(´<_`/;)「俺たちの心構えも変わってくるんで……」
.
174
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 17:52:15 ID:Sxk0hBsY0
.
( ゚∋゚)「……マンホールだよ、マンホール」
(´<_`/)「マンホール……?」
( ゚∋゚)「クラウン・シティの外れにあるマンホールだ」
(ヽ´_ゝ`)「そこに何かあるんですか?」
( ゚∋゚)「なんだお前ら、そんなに死にたいのか?」
(;ヽ´_ゝ`)「いいえ!!」
(´<_`/;)「百まで生きたいです!!」
( ゚∋゚)「ならそれ以上聞くな。分かったな?」
(;ヽ´_ゝ`)「はーい……」
(´<_`/;)(なんでだろう、生きて帰れる気がしなくなってきた……)
.
175
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 17:53:15 ID:Sxk0hBsY0
.
(ヽ´_ゝ`)「……あれ?でも、てことは」
(;ヽ´_ゝ`)「これからこの大荷物持って、マンホールに降りるんですか!?」
( ゚∋゚)「そうだよ。だから人手がいるんだ」
( ゚∋゚)「いくら俺でもズダ袋三つ持ってマンホールには下りれんからな」
(´<_`/;)「この袋けっこうな重さなのに……」
( ゚∋゚)「それだけじゃねぇぜ」
(;ヽ´_ゝ`)「はい?」
( ゚∋゚)「マンホールに降りたら、そこから10㎞ほど歩いてもらう」
(;ヽ´_ゝ`)「ほぎゃー!?」
(´<_`/;)「つ、つら……」
( ゚∋゚)「あのよぉ……せいぜい3、40㎏の袋なんだから、それくらい文句言わずにやれや」
(;ヽ´_ゝ`)「は、はい……」
(´<_`/;)「頑張ります……」
( ゚∋゚)「……ダスティさんに今度から人を選ぶよう言っとかねぇとな」
(;ヽ´_ゝ`)(すでに見限られかけてる……)
(´<_`/;)(色んな意味でしんどい……)
.
176
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 17:53:57 ID:Sxk0hBsY0
.
( ゚∋゚)「しっかし、よりによってマンホールに双子たぁな」
( ゚∋゚)「Nintendoじゃあるまいに、笑えねぇギャグだぜ」
(;ヽ´_ゝ`)「は……?」
(´<_`/;)「どういう意味ですかそれは?」
( ゚∋゚)「マリオだよ、マ・リ・オ!やったことねぇのか?」
( ゚∋゚)「あいつら双子でいつも穴っぽこに潜ってるだろうがよ」
(;ヽ´_ゝ`)「な、なるほど……?」
(´<_`/;)「あれってマンホールじゃなくて土管じゃあ……」
( ゚∋゚)「チッ……ノリの悪いガキだな……ジョークに決まってんだろ」
(;ヽ´_ゝ`)(いかん、機嫌を損ねた!なんか話題を反らさないと……)
(;ヽ´_ゝ`)「あ、あのーところで!!」
( ゚∋゚)「あん?」
.
177
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 17:56:07 ID:Sxk0hBsY0
.
(;ヽ´_ゝ`)「さっきからなんか閑散とした裏道ばっかり通ってますけど、なんでなんですか?」
( ゚∋゚)「なんだお前ら、知らねぇのか?」
( ゚∋゚)「この辺はクラウン・シティでも治安の悪い、北の労働者区域だ 」
( ゚∋゚)「閑散としてんのはそれだけ人がいねぇからだよ」
(;ヽ´_ゝ`)「あ、そうなんだ……」
(´<_`/;)「話には聞いてたけどこの辺がそうなのか……」
( ゚∋゚)「マンホールまでは、こっちの道から通った方が早いんでな」
( ゚∋゚)「まぁいつギャングどもの銃撃戦に巻き込まれてもおかしかない場所だがよ!!ハハハ!!」
(;ヽ´_ゝ`)「笑って言うことじゃねぇ〜〜〜……」
(´<_`/;)「頼むから安全な道通って……」
( ゚∋゚)「……む?」
キキィッ
(´<_`/)「どうしたんですか?」
( ゚∋゚)「……おい。そこの看板になんて書いてるか読めるか?」
(´<_`/)「看板……?」
.
178
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 17:57:01 ID:Sxk0hBsY0
.
【工事中につき通行止め。迂回路はこちら→】
(´<_`/)「あらま、工事中だって」
(ヽ´_ゝ`)「工事中なら仕方ないな」
( ゚∋゚)「そうか……俺の見間違いじゃあねぇんだな?」
(´<_`/)「しょうがないですよ。誘導員もいるし従いましょう」
( ゚∋゚)「あぁ」
『迂回路はこちらでーす。ご迷惑をおかけしてまーす』
( ゚∋゚)「おう、兄ちゃん」ウィーン
『はい、何でしょうか?』
( ゚∋゚)「この先でなんかあったのかい?」
『どうも先ほどガス管が破裂したらしくて、緊急工事をしてます』
( ゚∋゚)「ふーん、そうかい……」
.
179
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 17:57:50 ID:Sxk0hBsY0
.
( ゚∋゚)っy=― チャキッ
『はっ!?』
(;ヽ´_ゝ`)「ファッ!?」
(´<_`/;)「デュオさん!?」
タァンッ、タァンッ、タァンッ!!
『ぎゃっ……!!』ドサッ
(;ヽ´_ゝ`)「何してんすかあんたぁ!!」
(´<_`/;)「いきなり発砲……しかも無抵抗な一般人を……!!」
( ゚∋゚)「喋るな、舌噛むぞ」
ギャギャギャギャッ!!!
(;ヽ´_ゝ`)「ぎゃあーーーっ!!!」
(´<_`/;)「何なんだこの人はーーー!!!」
.
180
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 17:58:38 ID:Sxk0hBsY0
.
ブロロロロンッ!!!
( ゚∋゚)「〜♪」
(;ヽ´_ゝ`)「ちょ、ちょっとデュオさん!!あんた何してくれてんですか!!」
( ゚∋゚)「あぁ〜?」
(´<_`/;)「こんなことして、警察に追われたら一巻の終わりですよ!?」
( ゚∋゚)「はぁ……お前らとことん世間知らずだな」
( ゚∋゚)「今のはよくある強盗の手だ。それも古典的なやつな」
(;ヽ´_ゝ`)「えっ……?」
(´<_`/;)「嘘でしょう?」
( ゚∋゚)「しょうがねぇ奴らだな。俺は親切だから教えてやるよ」
( ゚∋゚)「あの誘導員は強盗の一味で、細い路地に誘い込んだところを他のメンバーが車を囲う」
( ゚∋゚)「こっちがスピードを出せないのをいいことに、数に任せて人力で車をボッコボコにして」
( ゚∋゚)「あとは中の人間を引きずり出して、金目のものをいただいて一丁上がり、ってな」
.
181
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:00:00 ID:Sxk0hBsY0
.
(;ヽ´_ゝ`)「そんな手口が……」
(´<_`/;)「でも、なんでそれに気づいたんですか?」
( ゚∋゚)「考えてもみろ。こんな貧乏地区、たとえガス管が破裂しても工事なんざ後回しだ」
( ゚∋゚)「そう思って目を凝らせば、通行止めの向こうに工事車両が一台も見当たらなかった。それだけだ」
(;ヽ´_ゝ`)「なんてこった……」
(´<_`/;)「俺らとは注意力が違いすぎる……」
( ゚∋゚)「それに、だ」
(ヽ´_ゝ`)「それに?」
( ゚∋゚)「最近、うちのグループにちょっかいかけてくるバカどもがいてな」
( ゚∋゚)「お前らが雇われたのも、そのケンカで怪我人が出たせいだ」
( ゚∋゚)「今回もおそらく、そいつらの仕業だろーぜ……」
(;ヽ´_ゝ`)(ガチの抗争じゃないか……)
(´<_`/;)(すまん兄者……俺が裏サイトなんぞ覗いてたばかりに……)
.
182
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:02:01 ID:Sxk0hBsY0
.
( ゚∋゚)「ま、要するに敵の遣り口にバカ正直に乗ってやるこたぁないってこった」
( ゚∋゚)「このまま振り切って目的地まで走んぞ」
(;ヽ´_ゝ`)「は、はい!」
(´<_`/;)「でもなるべく安全運転で頼みます!」
( ゚∋゚)「そいつぁ聞けねぇな!!」
ブォォォォォォッ!!!
(;ヽ´_ゝ`)「ぎゃあぁぁぁぁ!!!」
(´<_`/;)「穏便に、穏便にぃぃぃぃぃぃ!!!」
パァンッ!!
(;゚∋゚)「!!」
ギャギャギャギャッ!!!
(;ヽ´_ゝ`)「おんぎゃあぁぁぁぁ!!!」
(´<_`/;)「ぎぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
.
183
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:02:42 ID:Sxk0hBsY0
.
ギャギャギャギャッ、ドォンッ!!
(;ヽ´_ゝ`)「ぎゃっ!!」
(´<_`/;)「ぐぇぇっ!!」
(;゚∋゚)「クソッ……大丈夫かお前ら!?」
(;ヽ´_ゝ`)「大丈夫です……頭打ったけど……」
(;゚∋゚)「あいつら、ここまでやるかよ……」
(´<_`/;)「何なんですか、今の?」
(;゚∋゚)「スパイクベルトだ……車がパンクさせられちまった!!」
(※スパイクベルト…主に警察がカーチェイスの際に使う、車を止めるための防犯器具)
(;゚∋゚)「奴ら、この車をとことん襲う気だ!!来るぞ!!」
(;ヽ´_ゝ`)「うわぁ!?」
(´<_`/;)「ひぃっ!!」
.
184
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:05:05 ID:Sxk0hBsY0
.
ドガァンッ!!
(;ヽ´_ゝ`)「ひぇええ……」
ガンッ、ガンッ、ガァンッ!!!!
(´<_`/;)「こいつらどこから湧いてきたの!?」
(;゚∋゚)「言ったろが、路地で待機してるって!!」
(;゚∋゚)「お前ら絶対車から出るなよ!!タコ殴りにされんぞ!!」
(´<_`/;)「そんなこと言っても、これじゃジリ貧じゃないですか!!」
(;゚∋゚)「今から応援を呼ぶ!!仲間が来るまで大人しくしとけ!!」
(;゚∋゚)「この車は防弾だ、そう簡単にはぶっ壊されねぇ!!」
(;ヽ´_ゝ`)「あ……あ……」
(;ヽ´_ゝ`)「うわぁぁぁぁぁ!!!もうやだぁぁぁぁぁ!!!」ガチャガチャッ
(´<_`/;)「兄者!?」
(;゚∋゚)「おいバカ、パニクるな!!」
.
185
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:06:21 ID:Sxk0hBsY0
.
(;ヽ´_ゝ`)「助けてーーーーーー!!!誰か!!!誰かぁぁぁぁぁ!!!」ガチャッ、ドタバタ
(´<_`/;)「兄者ーーーーーーー!?どこ行くんだ兄者ーーーーーーー!?」ガチャンッ
(;゚∋゚)「出ていくなっつってるだろ!?」
(;゚∋゚)「あのクソバカども……!!中から開けれないようにロックしときゃ良かった!!」
(;ヽ´_ゝ`)「ひぃ……ひぃ……!!」ゼェ、ゼェ
(´<_`/;)「あぁもうバカ兄者!!つられて俺まで飛び出しちまったじゃないか!!」
(;ヽ´_ゝ`)「弟者ぁ……!!」
(´<_`/;)「こうなったら限界まで走れ!!敵が追ってくるぞ!!」
(;ヽ´_ゝ`)「ひぃぃぃ!!!」
.
186
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:07:30 ID:Sxk0hBsY0
.
─────
────
───
──
(;ヽ´_ゝ`)「はっ……はっ……」
(;ヽ´_ゝ`)「あぁ〜〜〜……」クテン
(´<_`/;)「自分から逃げといて疲れてるんじゃないよ!」
(;ヽ´_ゝ`)「誰も追ってきてないみたいだからいいかなって……」
(´<_`/;)「根性ねぇな!人のこと言えないけど!」
(;ヽ´_ゝ`)「なんか……結局俺たちのこと誰も追わなかったんだな」
(´<_`/;)「あぁ。部外者だから見逃してくれたのかも」
(;ヽ´_ゝ`)「……デュオさん、大丈夫かな」
(´<_`/;)「さぁ……防弾仕様らしいし大丈夫じゃね?」
(;ヽ´_ゝ`)「そうか……」
(´<_`/;)「何にせよ見捨てて逃げ出した俺たちが心配する筋合いじゃないと思うぞ」
(;ヽ´_ゝ`)「ド正論やめて……」
.
187
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:08:42 ID:Sxk0hBsY0
.
ドゴォォォォォォンンンッ!!!
(;ヽ´_ゝ`)「!?」
(´<_`/;)「!?」
(;ヽ´_ゝ`)「おい、弟者。車から煙が!!」
(´<_`/;)「まさか今の……爆弾!?」
(;ヽ´_ゝ`)「そんな、ウソだろ……」
(´<_`/;)「……」
(;ヽ´_ゝ`)「どうする、弟者?」
(´<_`/;)「……様子を見に行ってみよう」
(;ヽ´_ゝ`)「いっそのこと逃げた方が早くない?」
(´<_`/;)「どこまでドクズなんだ兄者は」
.
188
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:10:10 ID:Sxk0hBsY0
.
(´<_`/;)「……」ソローッ
(´<_`/;)「誰もいない、かな……」
(;ヽ´_ゝ`)「大丈夫?ボコされない?」
(´<_`/;)「たぶん……もう近寄っても大丈夫じゃないかな」
(;ヽ´_ゝ`)「うわ車横転してる……」
(´<_`/;)「ガチの爆弾じゃんか」
(;ヽ´_ゝ`)「デュオさーん、生きてますかー……?」コンコン
( ∋ ) シーン…
(;ヽ´_ゝ`)「うわっ……血ぃいっぱい出てる……」
(´<_`/;)「……あれ、もう死んでね?」
(;ヽ´_ゝ`)「……」
(´<_`/;)「……」
(;ヽ´_ゝ`)「逃げてなかったら俺らもああなってたってこと?」
(´<_`/;)「……だな」
.
189
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:11:40 ID:Sxk0hBsY0
.
(´<_`/;)「見た感じ、車が横転して頭打ったっぽいなぁ」
(;ヽ´_ゝ`)「どうする、助けるか?それとも見殺す?」
(´<_`/;)「そもそも生きてるのかも分からんし……」
(;ヽ´_ゝ`)「助けないと金の受け渡しもしてもらえんぞ」
(´<_`/;)「だなぁ……死んでたらどのみち無理だけど、やれるだけはやっとこうか」
(;ヽ´_ゝ`)「デュオさーん、開けますよー?」ガチャッ
( ∋ ) シィーン…
(;ヽ´_ゝ`)「……生の死体ってこんななんだ」
(´<_`/;)「勝手に殺すな、まだ生きてるかもしれんだろ」
(;ヽ´_ゝ`)「内臓とか出てたら一目散に逃げてたぞ」
(´<_`/;)「最低だな……と言いたいが、俺も逃げるかも分からんな……」
(´<_`/;)「内臓出てたらさすがにもう生きちゃいないだろうし」
.
190
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:13:27 ID:Sxk0hBsY0
.
(;ヽ´_ゝ`)「デュオさん、デュオさーん……」
(;ヽ´_ゝ`)「応答はないなぁ」
(´<_`/;)「死んでるのかな……やっぱり……」
(;ヽ´_ゝ`)「そうかもしれん」
(´<_`/;)「まぁそれならそれで仕方ないか……」
(;ヽ´_ゝ`)「さっさと逃げようぜ。俺もう胃がもたねーよ」
(´<_`/;)「そうだな……」
( ∋ )「……」
(;゚∋ ) クワッ
(;゚∋ )「があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ……!!!」ガバッ
(;ヽ´_ゝ`)「ぎゃあーーー!!?」
(´<_`/;)「生きてた!?」
(;ヽ´_ゝ`)「ごめんなさいごめんなさい見捨てようとしてごめんなさい!!!」
.
191
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:14:12 ID:Sxk0hBsY0
.
(;゚∋゚)「おま……えら……」
(;ヽ´_ゝ`)「はっ!?な、なんすか!?」
(;゚∋゚)「にもつ………はこ…べ………マンホー………ル…………たの、む………」
(; ∋ ) ガクッ…
(;ヽ´_ゝ`)「ひぇぇぇぇ……成仏してくれぇぇぇぇぇ!!!」
(´<_`/;)「落ち着け兄者!!もう死んでる!!」
(´<_`/)「それにデュオさん、荷物運んでくれって言ってなかったか?」
(;ヽ´_ゝ`)「気のせいだろ……というかそれが正解でも運びたくない早く逃げたい」
(´<_`/;)「まぁそうだけど。とりあえず荷物だけでも車から持ち出そうぜ」
(;ヽ´_ゝ`)「おまっ!!それが原因でコイツが襲われたんだったらどうすんだよ!!」
(´<_`/;)「死人の願いだ、きいてやろうぜ……そして兄者のクズっぷり加速してんな……」
.
192
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:15:29 ID:Sxk0hBsY0
.
(´<_`/)「じゃあ折衷案だ。とりあえずこの場で荷物の中身を見て、ヤバそうな物だったら捨て置く」
(´<_`/)「そうでもなさそうなら持ってってやる、これでどうだ?」
(;ヽ´_ゝ`)「うぅーん……まぁ弟者が確認してくれるなら……」
(´<_`/;)「とことんクズかよ……まぁいいけど」
(´<_`/)「……デュオさん。荷物の中身、勝手に見るけど許してくださいね」ゴソゴソ
(´<_`/)「……は?」ゴソッ
(ヽ´_ゝ`)「どうした弟者。中身なんだった?」
(´<_`/)「……缶詰め」
(ヽ´_ゝ`)「はぁ?」
(´<_`/)「袋三つとも全部缶詰めが入ってる……」
(´<_`/)「オイルサーディン、スパム、ベーコン、コンビーフ……肉と魚ばっか」
(ヽ´_ゝ`)「なんで?マンホールの下にお料理教室でもあるのか?」
(´<_`/)「俺が知るかよ。アホんだら」
.
193
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:16:38 ID:Sxk0hBsY0
.
(;ヽ´_ゝ`)「あっ!もしかしてそれ缶詰めに見せかけた麻薬とか!?」
(´<_`/)「あー……可能性はあるなぁ。マフィアとかがよくやる奴だ」
(;ヽ´_ゝ`)「だとしたらさっさと捨てといた方が良くね?」
(´<_`/;)「うーん……でもどうしようか。ここで捨てたらデュオさんへの罪悪感ハンパないぞ」
(ヽ´_ゝ`)「……弟者」
(´<_`/)「なんだ、兄者」
(ヽ´_ゝ`)「実は俺、十徳ナイフ持ってるんだ」
(´<_`/)「えっ」
(ヽ´_ゝ`)「缶切りもついてるぞ」
(´<_`/)「……」
(ヽ´_ゝ`)「……」
(´<_`/)「……開けてみる?」
(ヽ´_ゝ`)「開けてみようぜ」
.
194
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:17:50 ID:Sxk0hBsY0
.
(ヽ´_ゝ`) キコキコキコ、パコン
(ヽ´_ゝ`)「……」クンクン
(ヽ´_ゝ`)「正真正銘の缶詰めだ」
(´<_`/)「マジかよ」
(ヽ´_ゝ`)「なんでこんなもんをマンホールの地下に?」
(´<_`/)「さぁ……浮浪者に施しでもしたかったのかな」
(ヽ´_ゝ`)「……」グーギュルルルルルル……
(´<_`/)「……」
(ヽ´_ゝ`)「……なぁ、弟者。開けちゃった分はどうしようもないし、食べてもいいよな」
(´<_`/)「……いいんじゃないかな」グゥゥ
(ヽ´_ゝ`)「……弟者も食う?」
(´<_`/)「二人で分けあってもろくな量にならないだろ」
(ヽ´_ゝ`)「だったらもう一缶開けよう」キコキコキコ
(´<_`/;)「兄者さぁ……デュオさんの死体の前でよくもそんな……」
(ヽ´_ゝ`)「義理立てるほどの知り合いでもないだろ?食べないなら俺が食うぞ」
(´<_`/)「……そりゃ食うけどさ」
.
195
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:19:06 ID:Sxk0hBsY0
.
(ヽ´_ゝ`)モグモグ
(´<_`/)ムグムグ
(ヽ´_ゝ`)「うまいなコレ」
(´<_`/)「あぁ」
(ヽ´_ゝ`)「まともな食事にありついたの久しぶりだな」
(´<_`/)「家を出て以来か」
(ヽ´_ゝ`)「そうなるな」キコキコ
(´<_`/;)「おい!!なに自然と缶詰め開けてんの!?」
(ヽ´_ゝ`)「こんだけあるんだから一個や二個減っても分からんよ」
(ヽ´_ゝ`)「それともお前、たった一個で足りるのか?」
(´<_`/;)「……正直、まだ腹は減ってるけど」
(ヽ´_ゝ`)「というか俺、考えたんだが」
(ヽ´_ゝ`)「もうこの缶詰め、全部もらってよくない?」
(´<_`/;)「何を名案考えたみたいに言ってんの!?」
.
196
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:19:58 ID:duZL/hFE0
しえん
197
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:20:54 ID:Sxk0hBsY0
.
(ヽ´_ゝ`)「だってさ、こっちには先方に連絡する手段もないし」
(ヽ´_ゝ`)「このままじゃあ俺たち報酬ももらえずに丸損だぞ?」
(´<_`/;)「いやでも……さすがにそれはなぁ……」
(ヽ´_ゝ`)「弟者、よく考えろ。俺たちが目指してるのは何だ?」
(´<_`/;)「……母者みたいなヴィラン」
(ヽ´_ゝ`)「だろう?だったら悪事に躊躇うことなんかないさ」
(´<_`/;)「母者を目標にするなら不義理は避けるものじゃないかな」
(ヽ´_ゝ`)「俺らと母者じゃレベルが違うだろ。まずはやれることからコツコツとだ」
(´<_`/;)「……兄者、悪いが俺はそれには加担できない」
(;ヽ´_ゝ`)「なんで!?」
.
198
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:22:48 ID:Sxk0hBsY0
.
(´<_`/)「俺はな、たとえ追いつけなくても、志だけはサウスガットの悪党になりたかったんだ」
(´<_`/)「弱者を虐げることなく、はびこる悪人だけを駆逐するような、そんなヴィランにな」
(´<_`/)「兄者もそうだと思ってたけど、残念だよ」スタスタ
(;ヽ´_ゝ`)「おい、どこ行くんだよ!?」
(´<_`/)「死体の持ち物漁るような奴とは組んでられない。あとは一人でやってくれ」
(;ヽ´_ゝ`)「バッカ、お前よく考え直せ!」
(´<_`/)「兄者こそ、よく考え直せよ?自分が何をしようとしてるか、泥を被るのは一体誰なのかをな」
(;ヽ´_ゝ`)「……なんだよ、あいつ。自分だけカッコつけやがって」
(;ヽ´_ゝ`)「……」
(;ヽ´_ゝ`)「とりあえず、一袋だけにしとくか。持ってくのは……」
そしてそれから五日間、弟者が兄者へ連絡を取ることは一切なかった……。
.
199
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:24:31 ID:Sxk0hBsY0
.
─────
────
───
──
(´<_`/)「……」
(´<_`/)(兄者と別れてからもう五日か……)
(´<_`/)(あいつ、どこで何やってるんだか)
(´<_`/)(あの缶詰め、全部持ってったならしばらく食い詰めることはないだろうけど)
(´<_`/)(……)
(´<_`/)「ま、俺が探してやることもないな」
(´<_`/)「ゲスはゲスなりの人生を歩んでくたばればいいさ」
Prrrr、Prrrr…
(´<_`/)「ん」
【着信:兄者】
(´<_`/)「兄者から……?スマホの充電切れてたはずだが」
(´<_`/)「もしもし、俺だけど」ピッ
.
200
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:26:09 ID:Sxk0hBsY0
.
『……オットー=カーマインか?』
(´<_`/;)「……誰だあんた」
『質問してるのはこっちだ。オットー=カーマインで間違いないな』
(´<_`/;)「あぁ、そうだが……その電話、うちの兄貴の物のはずだけど」
『お前の兄貴の身柄は預かった。返して欲しければ北区の廃屋まで来い』プツッ
(´<_`/;)「……切れた」
(´<_`/;)「兄者のやつ、もろにとっ捕まってんじゃないか」
(´<_`/;)「……」
(´<_`/;)「行くしかねぇかぁ……」
.
201
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:27:49 ID:Sxk0hBsY0
.
─────
────
───
──
(´<_`/)(北の廃屋っていったら、俺たちが裏サイトの面談受けた場所だ)
(´<_`/)(てことはもしかしなくても、兄者が捕まったのは例のギャングどもだよなぁ)
(´<_`/)(そうでなくても、カーマインの偽名を使ったのはあの時だけだったし)
(´<_`/;)(……兄者のやつ、下手なこと漏らしてなきゃいいけどな)
(´<_`/)「頼もー。オットー=カーマイン、兄者の身柄を引き受けに来ましたー」ドンドン
ギィッ、ガチャリ
Σz ゚ー )リ「……」
(´<_`/;)「……ちわっす」
.
202
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:30:17 ID:Sxk0hBsY0
.
(´<_`/)(中にはひーふーみーよー……五人か)
(´<_`/;)(でもこの五人だけってこたぁないんだろうなぁ……)
(´<_`/;)(あぁ、兄者のバカ……逃げ切る自信もないのに火事場泥棒なんかするからこうなるんだよ……)
Σz ゚ー )リ「よぉう、カーマイン弟。ご無沙汰だなぁ?」
(´<_`/;)「どうも……五日ぶりですね」
Σz ゚ー )リ「てめぇらが仕事おっぽり出してくれたおかげで、こっちゃえらいことになってたんだ」
(´<_`/;)「す、すみません。これにはやむにやまれぬ事情があって……」
Σz ゚ー )リ「言い訳は聞かねぇよ、カーマイン……」
Σz ゚ー )リ「いや、サウスガットって呼んだ方がいいか?」
(´<_`/;)「……!!」
.
203
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:30:59 ID:Sxk0hBsY0
.
Σz ゚ー )リ「何の因果か知らねぇが、あのサウスガットが俺らの仕事にケチつけるたぁな?」
Σz ゚ー )リ「一体どういう腹か、全部ぶちまけてもらおうか」
(´<_`/;)「ま、待ってくれ!!確かに俺たちはサウスガットファミリーだけど、今回のことにファミリーは何の関係もない!!」
Σz ゚ー )リ「それでハイそうですかと納得すると思ってんのか?ボケが」
Σz ゚ー )リ「こっちは人死にが出てんだ。あんまりバカにしてっと五体満足じゃ帰れねぇぞ」
(´<_`/;)(ダメだ、マジギレしてる……話を聞いてもらえそうにない……)
(´<_`/;)(けど……正直に言うしかないんだよな……)
(´<_`/;)「分かった、話すよ。あの日何があったか」
.
204
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:32:14 ID:Sxk0hBsY0
.
(´<_`/;)「あの日俺たちは、物資を運ぶ途中で強盗に襲われたんだ」
Σz ゚ー )リ「強盗だぁ?」
(´<_`/;)「本当だよ!デュオさんが異変に気づいたけどすでに遅かった」
(´<_`/;)「あんたたち、どっかから嫌がらせ受けてたんだろ?きっとそいつらだ」
(´<_`/;)「最後にはデュオさんが俺らを逃がしてくれたけど、本人は逃げ遅れて……」
(´<_`/;)「俺たちはあんたの連絡先を知らなかったから、逃げ帰るしか出来なかったんだ」
(´<_`/;)(ということにしておこう)
Σz ゚ー )リ「……」フゥ
Σz ゚ー )リ「ほらよ、サウスガット」ポォン
(´<_`/;)「……?」
(´<_`/;)「これ……兄者のスマホ!?」
Σz ゚ー )リ「繋がってる。お前が出ろ」
(´<_`/;)「……もしもし?」
.
205
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:33:35 ID:Sxk0hBsY0
.
『おどじゃあぁぁぁぁぁ!!!!だずげでえぇぇぇぇぇ!!!!』
(´<_`/;)「兄者!!無事なのか!?」
『全然無事じゃな……ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』プツッ
(´<_`/;)「兄者ァーーーーーーー!!!?」
Σz ゚ー )リ「騒ぐな、指へし折っただけだ。いちいち大げさなんだよテメーの兄貴は」
Σz ゚ー )リ「ただしお前が嘘をつけば、指がアバラになり、最後は首を折ることになる」
(´<_`/;)「ほ、本当だってば!嘘なんか(ちょっとしか)ついてない!」
Σz ゚ー )リ「だったらなんで、お前の兄貴は地下へ運ぶはずの缶詰めを持ってたんだ?」
(´<_`/;)(ぎゃー!!あのバカ、缶詰め持ってったのバレやがったのか!!)
Σz ゚ー )リ「おう応えろよ。俺が全部に納得いくようにな?」
.
206
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:35:28 ID:Sxk0hBsY0
.
(´<_`/;)「……く、食い詰めて魔が差したんだ!」
Σz ゚ー )リ「あ?」
(´<_`/;)「俺も兄者も貧乏でその日暮らししか出来なくて……」
(´<_`/;)「だが俺は、盗みなんか止めろって止めたんだ!!」
Σz ゚ー )リ「フーッ……そうかいそうかい」
(´<_`/;)「考えても見てくれ。サウスガットが裏にいるならそんなことする必要ないだろ!?」
(´<_`/;)「俺たちは家を出て独立しようとしてたんだ、だから……!!」
Σz# ゚ー )リ「ざっけんじゃねぇーーーーーーー!!!!!」
ガスッ!!
( <_ /;)「ごへっ……!?」
Σz# ゚ー )リ「理由なんざどーでもいい。お前らがしでかしたことは最悪もいいとこだったんだよ」
.
207
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:36:46 ID:Sxk0hBsY0
.
Σz# ゚ー )リ「あの缶詰めはなぁ、地下にいる化け物の食糧になるはずだったもんなんだよ」
Σz# ゚ー )リ「だがその化け物は食糧が届かなかったせいで地上に現れ、大暴れして人を襲い、食っちまった」
(´<_`/;)「……!?」
Σz# ゚ー )リ「おかげで警察にもヒーローにも、奴が生きていると再び知れ渡った」
Σz# ゚ー )リ「俺が十年以上も隠匿し続けたことが、お前らのせいでパァになっちまったんだ!!」
Σz# ゚ー )リ「その落とし前、てめぇら二人の体で払ってもらうぜ?」
(´<_`/;)「あっ……あぁ……」
.
208
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:37:59 ID:Sxk0hBsY0
.
Σz ゚ー )リ「お前らが払うべき対価は二つ」
Σz ゚ー )リ「一つ目はお前らのせいで死んだデュオへの詫び」
Σz ゚ー )リ「二つ目は仕事を怠り俺たちの邪魔をしたことへの詫びだ」
(´<_`/;)「あぅぅ……」
Σz ゚ー )リ「償いは、お前らのせいで被害にあった人間の痛みの追体験で許してやる」
Σz ゚ー )リ「死なない程度に爆破して、切り刻んで魚のエサにでもしてやるよ」
Σz ゚ー )リ「義理を重んじるサウスガットなら、そうされても無理はねぇって理解するよなぁ?」
(´<_`/;)「まっ……待ってくれぇ!!」
Σz ゚ー )リ「命乞いもさせねぇよ。詫びて死ねバカ」
.
209
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:38:46 ID:Sxk0hBsY0
.
(´<_`/;)「す、すまなかった!まさかそんなことになってるなんて……」
Σz ゚ー )リ「今さら謝罪はいらねぇよ。体で返せっつってんだろ?」
Σz ゚ー )リ「兄貴の方は取り乱して話にもならなかったがな」
(´<_`/;)「兄者……」
Σz ゚ー )リ「さぁて、俺もヒマな身じゃねぇんでね」
Σz ゚ー )リ「さっさと殺して、海にでも撒いてやるぜ」
(´<_`/;)「待った!!それなら俺たちをあんたの元で雇ってくれ!!」
Σz ゚ー )リ「ハァ?」
.
210
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:40:15 ID:Sxk0hBsY0
.
(´<_`/;)「体で返せって言うなら、ただ殺すよりその方が有益だろ?違うか?」
Σz ゚ー )リ「ハァ〜……分かってねぇな?」
Σz ゚ー )リ「俺はお前らを殺して憂さ晴らしさせろって言ってるんだぜ?」
Σz ゚ー )リ「それに俺にはお前らを雇うメリットが何一つねぇな」
(´<_`/;)「デュオさんが死んで人手が足りてないだろう?」
(´<_`/;)「それにあんたら、抗争で怪我人が出たって聞いた!」
(´<_`/;)「その穴埋めだと思って、好きなように使ってくれればいい!」
Σz ゚ー )リ「お前らを使うくらいなら寄生虫でも腹に住まわせた方がマシだな」
Σz ゚ー )リ「お前らはデュオを殺した。それだけはどうあっても覆らねぇんだよ」
Σz ゚ー )リ「デュオを殺した男を、デュオの代わりに雇うと思うか?」
(´<_`/;)「そうだよな……」
Σz ゚ー )リ「分かったらさっさと、辞世の句でも読みやがれ」
(´<_`/;)「だったら、これで許しちゃくれないかな」
.
211
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:41:01 ID:Sxk0hBsY0
.
(´<_`/;)「ぬっ……!!!」ガッ
Σz ゚ー )リ「おい、妙な真似はするんじゃねぇ……」
(´<_`/;)「ぬぁぁぁぁぁぁっ!!!!」ボキィッ
Σz ゚ー )リ「……!!」
(´<_`/;)「ぎっ……やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」
Σz ゚ー )リ「おいおい、バカかお前。こいつ自分の指自分で折りやがった」
(´<_`/;)「こっ……これで足りるとは思ってない……あとの四本はあんたらが折っていい……」
(´<_`/;)「反対の指と足の指もくれてやるっ……だから……!!」
Σz ゚ー )リ「だから?」
(´<_`/;)「……あの、ヘタレの兄者だけは……見逃してやってくれ……」
Σz ゚ー )リ「……ほう?」
.
212
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:42:49 ID:Sxk0hBsY0
.
(´<_`/;)「あいつは……勢いで家を出ただけの半端者だし……指を自分で折る度胸もない……」
(´<_`/;)「だから……俺があいつの代わりに謝るから……」
Σz ゚ー )リ「……」ポリポリ
Σz ゚ー )リ「言っておくが、俺は情にほだされて手加減するようなマヌケじゃねぇ」
Σz ゚ー )リ「やれってんならキッチリ指はいただくが、それで本当にいいんだな?」
(´<_`/;)「お……おう……」
Σz ゚ー )リ「よーし、お前らそいつを押さえとけ。いざとなって逃げられちゃ堪らんからな」
(´<_`/;)「……!!」ガシィッ
Σz ゚ー )リ「まずは中指の爪を剥いで、剥き出しの皮膚に砂利をすりこむ」
Σz ゚ー )リ「その上で指をへし折り、それを全ての指で繰り返す。いいな?」
(´<_`/;)「うぅっ……」
Σz ゚ー )リ「ま、今さら嫌だと言ってもやるんだがな」
Σz ゚ー )リ「恨むならこんなこと提案した自分を恨めよ」
パキッ…
( <_ /;)「ぎっ……!!」
<ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……
.
213
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:44:53 ID:Sxk0hBsY0
.
─────
────
───
──
( <_ /;)「ぁ……ぅぅ……」
Σz ゚ー )リ「よーしお前ら、離していいぞ」
Σz ゚ー )リ「どうせその手じゃ、ロクな反抗も出来やしねーだろ」
( <_ /;)「や………約束だ………これで、兄者を……解放して………くれ………」
Σz ゚ー )リ「大したガッツだぜ。両手どころか足も耐えきるたぁな」
( <_ /;)「それじゃあ……」
.
214
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:45:19 ID:Sxk0hBsY0
.
Σz ゚ー )リ「だが、それとこれとは話が別だ」
Σz ゚ー )リ「俺ぁ一言も、お前の話に了承したとは言ってねぇぜ?」
( <_ /;)「……!!」
Σz ゚ー )リ「次は兄貴にも同じ罰を与える。何でもお前の思い通りに行くと思うなよ」
( <_ /;)「うっ……」
(´<_`/;)「うぁぁぁぁぁっ!!!」ドドッ
Σz ゚ー )リ「おうおう、その体でよく突っかかって来やがるぜ」
Σz ゚ー )リ「だが、ムダだ」ゲシッ
(´<_`/;)「ぎゃっ……!!」
Σz ゚ー )リ「自分の体の状態は理解しとけよ。お前は今、歩くのも難儀する体なんだぜ?」
(´<_`/;)「ぐぅぅぅっ……!!クソォ、クソォぉぉ……!!!」
.
215
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:46:28 ID:Sxk0hBsY0
.
Σz ゚ー )リ「悔しいか、ボーイ。テメーの覚悟を鼻で笑われ、約束を反故にされるのは」
Σz ゚ー )リ「悔しかったらもっと突っかかってこいや。なぁ?」クィクィ
(´<_`/;)「うぅぅぅぅ……!!」ジタバタ
Σz ゚ー )リ「ハッ。まるで死にかけたコックローチだな。しょーもない野郎だぜ」
(´<_`/;)「クッ……」
Σz ゚ー )リ「だが、ま、いいだろ」
Σz ゚ー )リ「合格だ、オットー=サウスガット。お前の根性、見届けたぜ」
(´<_`/;)「………は?」
Σz ゚ー )リ「まだ分からねぇのか?俺はお前を試してたんだよ」
.
216
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:48:01 ID:Sxk0hBsY0
.
Σz ゚ー )リ「お前らはかの有名なサウスガットファミリーの一員だ」
Σz ゚ー )リ「どんな能力持ってっか、完全な保証は出来ねぇからな」
Σz ゚ー )リ「だが、お前は最後まで能力を使って反抗する意思を見せなかった」
Σz ゚ー )リ「義理堅いサウスガットが、家族を殺されるかもしれねぇ危機に演技するなんざ有り得ねぇからな」
Σz ゚ー )リ「つまりお前は、無能力者の安牌ってこった」
(´<_`/;)「そ……それを確かめるために……俺の指を……?」
Σz ゚ー )リ「おいおい、勘違いすんなバカ。指はテメーが壊していいっつったんだろがよ」
Σz ゚ー )リ「自分で自分の指を折るような大バカな真似してなきゃ、お前らはもうとっくに殺されてたんだよ」
Σz ゚ー )リ「言うなれば、俺は指を折っただけで許してやったんだ。寛大な処置だろ?」
(´<_`/;)「どこが寛大だよ……」
Σz ゚ー )リ「殺さなかっただけ、十分寛大だろうがよ」
.
217
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:49:02 ID:Sxk0hBsY0
.
Σz ゚ー )リ「だが、安心するのはまだ早ぇぜ?」
Σz ゚ー )リ「テメーらに任す仕事は、世界一楽勝で世界一キツい仕事だ」
(´<_`/;)「……」
Σz ゚ー )リ「テメーらには、引き続き地下への食糧の運搬をやってもらう」
Σz ゚ー )リ「そのついでに奴の監視と、状況報告もしてこいや」
Σz ゚ー )リ「いつもならエサを届けりゃそれで終わりだが、お前らには奴の食事まで付き合ってもらうぜ」
Σz ゚ー )リ「もし万が一メシが足りねぇとなれば、次に食われるのは監視をしてるお前らだろうな?」
(´<_`/;)「ひ、ひぇぇ……」
Σz ゚ー )リ「奴ぁ気まぐれだから、お前らを殺すも殺さないも機嫌一つってこった」
(´<_`/;)「そ、その化け物って……何なんだよ……?」
Σz ゚ー )リ「ハッ、知らねぇのも無理はねぇか。なんせ潜伏初めて十五年だからな」
Σz ゚ー )リ「奴ぁこの街最強にして最悪のヴィラン、あのビッグトレジャーとも互角に渡り合った怪物」
Σz ゚ー )リ「その名は、ファニーフェイス」
(´<_`/;)「ファニー……フェイス……」
.
218
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:49:40 ID:Sxk0hBsY0
.
─────
────
───
──
( ´_ゝ`)「……」
(´<_` )「……」
( ´_ゝ`)「なぁ、弟者」
(´<_` )「なんだ、兄者」
( ´_ゝ`)「俺たち、家を飛び出してどれくらい経つ?」
(´<_` )「……一ヶ月ってとこじゃないかな」
( ´_ゝ`)「そっか」
(´<_` )「母者たち、心配してるかな」
( ´_ゝ`)「してるんじゃね?探しはしないだろうけど」
(´<_` )「だよな……」
( ´_ゝ`)「……」
(´<_` )「……」
( ´_ゝ`)「なぁ、弟者」
(´<_` )「なんだよ。聞きたいことあるならいっぺんに聞けよ」
( ´_ゝ`)「あのさ……」
.
219
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:50:12 ID:Sxk0hBsY0
.
( ´_ゝ`)「俺たち、なんでこんなことになっちまったんだろうな……」
(´<_` )「……さぁ、分からん」
( ∀ )「グゴォォォォォォォ……グゴッ、グゴォォォォォォォ……」
【クラウン・シティ地下下水道、最深部にて……】
.
220
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:50:52 ID:Sxk0hBsY0
第十七話終わり
221
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:51:47 ID:Sxk0hBsY0
【登場人物紹介】
( ゚∋゚)
デュオ=クルー
ダスティの部下だった男。口は悪いが面倒見は意外と良い。享年31歳。
.
222
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:53:13 ID:Sxk0hBsY0
三ヶ月近くお待たせしてすみませんでした。支援や感想などいつもありがとうございます。
そして
>>156
さん、素敵なイラストをありがとうございました。保存させていただきました。
引き続き、ビッグトレジャーをお楽しみください。
223
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:59:14 ID:Sxk0hBsY0
.
.
224
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 18:59:24 ID:QWWMAVYk0
おかえり、時系列忘れたから読み直すか
225
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 19:00:15 ID:Sxk0hBsY0
.
─────
────
───
──
次回予告。
.
226
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 19:00:54 ID:Sxk0hBsY0
.
_
(;゚∀゚)「あ……アンネさん。もう止めにしませんか、こんな関係……」
決断する男……。
(゚、゚トソン「ウフ、ウフフフ……」
暗躍する女……。
从#゚∀从「テッメェ……人の弟に、何しやがったァッ!!!」
そして、渇望する男……。
.
227
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 19:01:28 ID:Sxk0hBsY0
.
次回、ビッグ・トレジャー。
『PROLOGUE OF CLOWN DEVIL』
──開幕。
.
228
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 20:12:43 ID:ysZ0nLTs0
乙
兄弟はどんどん悪い方向に転がってったなぁだがしぶとい
次も楽しみ
229
:
名無しさん
:2018/06/28(木) 21:41:22 ID:NBU7aAAs0
乙だ
230
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 06:32:55 ID:QNMMbtkM0
おつおつ
231
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 11:07:15 ID:N4XIIVGk0
オットーナイスガッツ
乙
232
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:14:25 ID:yIsMsiPA0
.
第十八話『PROLOGUE OF CLOWN DEVIL 〜前編〜』
.
233
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:16:15 ID:yIsMsiPA0
.
─────
────
───
──
【某月某日、とあるバーにて……】
_
( ゚∀゚)「……」
∬´_ゝ`)「ハァイ、ジョージ」
_
( ゚∀゚)「あ。アンネさん」
∬´_ゝ`)「珍しいわね。あなたから会いたいなんて言ってくるなんて」
_
(;゚∀゚)「い、いやぁ……へへへ」
∬´_ゝ`)「マスター、ブラッディメアリーをちょうだい」
_
( ゚∀゚)「あ、俺はスコッチをダブルで……」
∬´_ゝ`)「それで、今日は何のご用?」
∬´_ゝ`)「またなにか有益な情報でもくださるのかしら?」
_
(;゚∀゚)「……」
_
(;゚∀゚)「あ……アンネさん。もう止めにしませんか、こんな関係……」
∬´_ゝ`)「……ふーん?」
.
234
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:17:52 ID:yIsMsiPA0
.
_
(;゚∀゚)「いつかダメになるとは思ってたけど、ついに兄貴にバレちまったんだ……」
_
(;゚∀゚)「このままじゃあんたにも害が及ぶ。だからもう……」
∬´_ゝ`)「何かと思ったらそんなこと?」
_
(;゚∀゚)「そんなことって……」
∬´_ゝ`)「いいこと教えてあげるわ、ジョージ。乗りかかった船からは誰も降りれないのよ」
∬´_ゝ`)「ましてや、初めに私へ声を掛けてきたのはそっちだものね?」
_
(;゚∀゚)「そ、そりゃ最初はヴィランって知らなかったから……」
∬´_ゝ`)「人目のあるところで人の正体バラさないでちょうだい」
_
(;゚∀゚)「ご、ごめん……」
∬´_ゝ`)「それに、私だって切られると分かったら警察へ密告するわよ」
∬´_ゝ`)「そうなったらあなた、どうしたって懲戒は免れないでしょうねぇ」
_
(;゚∀゚)「……」
.
235
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:18:59 ID:yIsMsiPA0
.
∬´_ゝ`)「何度も言ってること、もう一度あなたに言っておいてあげる」
∬´_ゝ`)「私はあなたなしでも生きていけるけど、あなたにそれを許すほど甘チャンじゃない」
∬´_ゝ`)「どちらにしろ、どう言い繕ったってもうあなたには破滅しかないのよ」
∬´_ゝ`)「だったらそれを少しでも先延ばしにして、恋人ゴッコを楽しみなさいよ?」
_
(;゚∀゚)「……」
∬´_ゝ`)「それと、自分と手を切るのが私のためみたいな言い方止めてくれる?」
∬´_ゝ`)「あなたのそれ、結局は保身でしかないって気づいてないの自分くらいよ?」
_
(;゚∀゚)「……!!」
∬´_ゝ`)「まぁ、ハイド署長にバレちゃったって知れたのは良かったわ」
∬´_ゝ`)「もし縁を切るときがあれば、それはこっちから足切りするときだけ」
∬´_ゝ`)「断じてあなたからじゃないってこと、よぉく覚えておきなさい」
_
(;゚∀゚)「うぅ……」
.
236
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:19:48 ID:yIsMsiPA0
.
∬´_ゝ`)「話はそれだけ?なら私はもうこれだけ飲んで帰るけど」
_
(;゚∀゚)「……」ガタッ
∬´_ゝ`)「あ、ちょっと。どこ行くのよ?」
_
(;゚∀゚)「……便所」
∬´_ゝ`)「……あっそう。早くしてね」
_
(;゚∀゚)「……」スタスタ
∬´_ゝ`)「……トイレと逆に歩いてんじゃないのよ」
∬´_ゝ`)「逃げたわね、あいつ」
∬´_ゝ`)「そろそろ潮時かしらね、彼との関係も」
∬´_ゝ`)「あ、マスター。私の会計さっきの彼にツケといて下さる?」
∬´_ゝ`)「それと次はソルティドッグを一杯お願いね?」
.
237
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:21:51 ID:yIsMsiPA0
.
_
(;゚∀゚)「クソッ……俺はバカだ、俺はバカだ、俺はバカだッ!!」
_
(;゚∀゚)「結局、兄貴の言った通りじゃないか……利用されるだけされて、捨てられて……」
_
(;゚∀゚)「……クソォッ!!」ガァンッ
_
(;゚∀゚)「何だって俺はこんなダメ人間なんだよぉ……チクショオ……」
『あの、すみません……』
_
( ゚∀゚)「……あ?」
『ジョージ=ハートマンさん、ですよね?』
_
( ゚∀゚)「……誰だ、あんた」
『お初にお目にかかります、私……』
(゚、゚トソン「ハイドさんの知人の、トソン=コレークという者です」
_
( ゚∀゚)「兄貴の知り合い……?」
(゚、゚トソン「ちょっとお話できませんか?」
_
( ゚∀゚)「……まぁいいけど。どうせ飲み直すつもりだったし」
.
238
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:22:39 ID:yIsMsiPA0
.
─────
────
───
──
从 ゚∀从「……」
从 ゚∀从(ジョージが出かけてもう三時間か……)
从 ゚∀从(サウスガットとケリをつけに行くなんて息巻いてたが、時間かかりすぎだろ)
从 ゚∀从(まさかあいつ、始末されたなんてことないだろうな……?)
从 ゚∀从「……」
从 ゚∀从「あいつの行きそうなとこ探してみっか……」
从 ゚∀从「案外そこいらで酔い潰れてるかもしんねーしな」
ピンポーン
从 ゚∀从「……!!」
.
239
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:23:47 ID:yIsMsiPA0
.
从 ゚∀从「んだよあいつ……探そうとした矢先に帰って来やがって」
从 ゚∀从「あーい、今開けるっつーの……」
从 ゚∀从「……」ピタ
从 ゚∀从(……あいつならインターホンなんか鳴らすはずねぇ)
从 ゚∀从(じゃ、誰だ?)
『夜分遅く失礼します。ジョージさんのおうちはここですか?』
从 ゚∀从「……」
『ジョージさんが酔われてこちらまで運んだので、開けて欲しいのですが』
从 ゚∀从(この声……どこかで……?)
从 ゚∀从(……ドアの隙間から覗いてみっか)
从 ゚∀从「……」ガチャ
.
240
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:25:18 ID:yIsMsiPA0
.
_
(#)∀メ) グシャ…
从;゚∀从「!?」ガタッ
从;゚∀从「おい、ジョージ!!何があった!?」ガチャンッ
(^、^トソン「グ〜ッドイブニ〜ング」
从#゚∀从「お前は……アルのジジィの……!!」
从#゚∀从「テッメェ……人の弟に、何しやがったァッ!!!」
(゚、゚トソン「静かにされた方がいいですよ?近所迷惑ですから」
(゚、゚トソン「あ、それとこのゴミ、返しておきますね」
_
(#)∀メ)「あ、が……」ドチャッ
从;゚∀从「ジョージ!!」
从#゚∀从「……殺すッ!!」
.
241
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:26:18 ID:yIsMsiPA0
.
フワッ…
从 ゚∀从「あ?」
(゚、゚トソン「さぁ、私の手をよく見て」
(゚、゚トソン キィンッ
从; ∀从 クラッ
从; ∀从「なっ……?」
(゚、゚トソン「まだ怒ってますか?」
从; ∀从「……いいや」
(゚、゚トソン「はい、よろしいです」
(゚、゚トソン「私はあなたの友人。暴行を受けたあなたの弟さんを、ここまで連れて来ました」
(゚、゚トソン「名前は覚えてますか?トソン=コレークですよ?」
(゚、゚トソン「私がここにいるのは何ら不自然じゃないし、あなたは私に感謝する」
(゚、゚トソン「分かったら、今はお眠りなさい」トンッ
从; ∀从「……」ドサッ
(^、^トソン「……ウフ」
.
242
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:27:44 ID:yIsMsiPA0
.
─────
────
───
──
『ハイド、ちょっと話がある。こっちへ来なさい』
从 ゚∀从『なんだよ、父ちゃん』
『父ちゃん、今度再婚しようと思ってな』
从 ゚∀从『え……?』
『お前に、新しい母さんと兄弟が出来るかもしれないんだ』
『お前の意思は尊重するが、弟でも妹でも、出来たら仲良くしてあげてくれないかな』
从 ゚∀从『……別に、父ちゃんの好きにしたらいいじゃん』
从 ゚∀从『弟も妹も母ちゃんも、俺は別に欲しくねーし』
『そうか……すまないな、ハイド。いつもお前には我慢ばかりさせて』
从 ゚∀从『我慢なんか、したことねーやい』
从 ゚∀从『……父ちゃんのバーカ』
.
243
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:29:03 ID:yIsMsiPA0
.
─────
────
───
──
『ほら、ハイド。ご覧、お前の弟だ』
_
( ー∀ー) スヤァ
从 ゚∀从『うわぁ……ちっこいな……』
『あぁ、そうだな。赤ん坊だからな』
从 ゚∀从『……へへ』
从 ゚∀从『うわっ!父ちゃん見ろよ。こいつ俺の指にぎったぜ!』
『本当だ。きっとハイドのこと、気に入ってくれたんだなぁ』
『名前で呼んでやれば、もっと喜ぶかもしれないぞ』
『ジョージって呼んでやっておやり』
从 ゚∀从『……ジョージ。ジョージかぁ』
从 ゚∀从『へへへ……ジョージ!』
.
244
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:30:07 ID:yIsMsiPA0
.
─────
────
───
──
从 ー∀从「ジョージ……」スヤスヤ
从 ゚∀从 パチ
从 ゚∀从「……夢?」
从 ゚∀从「……いつの間に寝てたんだ、俺は」
从 ゚∀从 ボーッ…
从;゚∀从「……そうだ!!ジョージは!?」ガバッ
_
(ロ)ー∀ー)「……」スヤァ
从;゚∀从「……生きてたか。良かった」
从 ゚∀从「いってぇ誰がこんなことしやがったんだ……」
.
245
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:31:49 ID:yIsMsiPA0
.
(゚、゚トソン「おはようございます」
从 ゚∀从「……!」
从 ゚∀从「お前……確か……」
(゚、゚トソン「トソンですよ。まさか忘れたんですか?」
(゚、゚トソン「アルおじさんの姪で、何度かお会いしたじゃないですか」
从;゚∀从「あぁ……そうだっけか……?」
(゚、゚トソン「そうですよ。昨日ジョージさんを介抱して、泊まらせてもらったんです」
从 ゚∀从「ん……そうか、悪いな。どうも昨日の記憶が曖昧でな……」
(゚、゚トソン「いいんです。でも、私もびっくりしました」
(゚、゚トソン「昨日、たまたまジョージさんと行き合って飲んでたんですけど」
(゚、゚トソン「帰りに暴漢に襲われて……二人組の若い男でした」
从 ゚∀从「あんたはケガしてないのか?」
(゚、゚トソン「えぇ……」
从 ゚∀从「そりゃ変だな」
.
246
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:32:33 ID:yIsMsiPA0
.
从 ゚∀从「ジョージが意識を失ったなら、次はあんたに矛先が向かってもおかしかないはずだが」
从 ゚∀从「なんであんたは、無傷で逃げ帰れた?」
(゚、゚トソン「……これですよ」コトリ
从 ゚∀从「……銃か」
(゚、゚トソン「えぇ。といってもモデルガンですけど」
(゚、゚トソン「相手は素手だったので、襲われてる最中にこれで威嚇したら逃げていったんです」
从 ゚∀从「なるほどな……てことは、相手は完全なジョージへの私怨ってことか」
(゚、゚トソン「恐らく……最初からジョージさんを狙ってる風でしたから」
从 ゚∀从「すまねぇな、嬢ちゃん。俺ぁてっきりあんたも暴漢の仲間かと思ってたぜ」
(゚、゚トソン「疑われるのも当然です」
(゚、゚トソン「私も突然だったので、自衛しか出来ませんでしたから……」
.
247
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:33:26 ID:yIsMsiPA0
.
_
(ロ)ー∀ー)「ムニャ……」
_
(ロ)゚∀゚)「んっ……」パチ
从 ゚∀从「よう。目が覚めたかジョージ」
_
(ロ)゚∀゚)「兄貴……」
(゚、゚トソン「お目覚めですか、ジョージさん」
_
(;ロ)゚∀゚)「……!!」ビクッ
从 ゚∀从「どうした、ジョージ?顔色悪ぃぞ」
_
(;ロ)゚∀゚)「い、いや……あれ……?何でもない……」
从 ゚∀从「そうか……昨日何があってそんなになっちまったんだ?」
_
(;ロ)゚∀゚)「……それが、覚えてねぇんだ」
从 ゚∀从「あぁ?なんでだよ」
_
(;ロ)゚∀゚)「アンネさんと会って……トソンの嬢ちゃんと飲み直したのは覚えてるんだが……」
_
(;ロ)゚∀゚)「えっと……俺なんで襲われたんだっけ……?」
从 ゚∀从「チッ……記憶失うほど飲むんじゃねーよアホ」
_
(;ロ)゚∀゚)「……ごめん」
.
248
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:34:29 ID:yIsMsiPA0
.
从 ゚∀从「だが、こいつぁ立派な傷害罪だ。しかも警官への暴行と来てる」
从 ゚∀从「ジョージ。体調は?」
_
(;ロ)゚∀゚)「まだ完全には……奥歯ギシギシしてるし」
从 ゚∀从「そうか。なら今日一日は仕事休め」
从 ゚∀从「ほんで、署に出て来たら真っ先に被害届提出しろよ」
从 ゚∀从「相手が誰だろーと、俺が責任持って吊るして来てやっからよ」
_
(;ロ)゚∀゚)「おう……」
从 ゚∀从「トソンの嬢ちゃんも、悪かったな。巻き込んじまって」
从 ゚∀从「この礼はいつかするが、今日は俺も仕事なもんでな」
(゚、゚トソン「そのことなんですが……ハイドさん、今日はお仕事お休み出来ませんか?」
从 ゚∀从「あぁ?どういうこった?」
(゚、゚トソン「実は昨日ジョージさんに会ったのも、ここへ来る途中だったんです」
(゚、゚トソン「私の目的は、あなたと話すこと。そのために少し時間を取れませんか?」
从 ゚∀从「そいつぁ警官の仕事ほっぽってでも聞く価値のあることなのか?」
(゚、゚トソン「あると思います。少なくとも私は、客観的にそう判断します」
.
249
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:35:31 ID:yIsMsiPA0
.
从 ゚∀从「……わーったよ。だが俺も署長って立場上サボる訳にゃいかないんでな」
从 ゚∀从「七時には無理やり仕事切り上げてくらぁ。それまでどっかで時間潰しててくれや」
从 ゚∀从「……」サラサラッ
从 ゚∀从「待ち合わせの時間になったらここへ来い。話はそこでだ」ピッ
(゚、゚トソン「分かりました」
从 ゚∀从「ジョージ。お前は必要なら医者行っとけよ」
_
(;ロ)゚∀゚)「そうするよ……いつつ……」
从 ゚∀从「じゃあな、二人とも。養生しとけよ」
(゚、゚トソン「いってらっしゃい」
_
(ロ)゚∀゚)「うぃす」
(^、^トソン「……」ニコッ
.
250
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:37:54 ID:yIsMsiPA0
.
─────
────
───
──
从 ゚∀从「フーッ……」カツ、カツ
( "ゞ)「署長?どうなさったんです?何か考え事ですか?」
从 ゚∀从「あ?あぁ、いや、何でもない」
( "ゞ)「そうですか?イライラしてる時に机をペンで叩くの、署長のクセですよ」
从;゚∀从「む……」
( ^ω^)「ジョージさんがまたサボって、イライラしてるんですかお?」
£°ゞ°)「オー、きっとそうネー!署長一番近くにいるからイライラもひとしおヨー!」
从 ゚∀从「バーカ、そんなんじゃねーよ。それに今日はあいつもボサりじゃねぇっつの」
( "ゞ)「でしたら、なんでため息なんか?」
从 ゚∀从「気にすんな。お前らにゃ関係のねーこった」
从 ゚∀从「おら、散れ散れ。さっさと自分の業務に戻りな」
( ^ω^)「それならいいですけど……」
£°ゞ°)「署長、考え出すと止まらないクレイジートレインだからネー」
从 ゚∀从(……やっぱあの女、怪しいよなぁ)カツカツ
( "ゞ)「……」
.
251
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:39:15 ID:yIsMsiPA0
.
─────
────
───
──
【そして、その日の終業後……】
(゚、゚トソン「……」
从 ゚∀从「よう、トソンの姉ちゃん。待たせたな」
(゚、゚トソン「あ、どうも。お疲れ様です」
从 ゚∀从「コーヒー、ブレンドひとつ。ブラックで頼むわ」
(゚、゚トソン「私はモカを……」
从 ゚∀从「腹減ってたら食い物も頼めよ。代金は俺が持つからよ」
(゚、゚トソン「いいえ、いいですよ。心配されないでください」
从 ゚∀从「そっか。ジョージの様子はどうだ?」
(゚、゚トソン「病院へ行くと行っていたので、そこで別れました。悪化はしていないと思いますが」
从 ゚∀从「そうか。悪かったな、世話させて」
(゚、゚トソン「いえいえ」
.
252
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:40:35 ID:yIsMsiPA0
.
从 ゚∀从「それで?単刀直入に聞くが、俺に話ってのは何なんだ?」
从 ゚∀从「まさかパパの愚痴でも聞かせようってんじゃないだろ?」
(゚、゚トソン「そうですね……何から話せばよいか」
(゚、゚トソン「ハイドさんは、ヒーローやヴィランが元は普通の人間だったという話をご存知ですか?」
从 ゚∀从「あ?あぁ、聞いたことあるぜ」
从 ゚∀从「その手の研究にゃ事欠かないメガネが知り合いにいるんでな」
(゚、゚トソン「では、彼らがどういった経緯で力を手にするかは知っていますか?」
从 ゚∀从「あぁ。なんでも奴らは、奇妙な夢を見るんだろ?」
(゚、゚トソン「ですね。夢の問いかけに答えることで、超常的な力を得るとか」
从 ゚∀从「だが、それがどうした?」
(゚、゚トソン「……もし、その夢を経由することなく力を手に入れることが出来るとしたら」
(゚、゚トソン「あなたはそれを得たいと思いますか?」
从 ゚∀从「……!!」
.
253
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:41:31 ID:yIsMsiPA0
.
从 ゚∀从「どーいうこった。話が全然見えてこねぇが」
(゚、゚トソン「そうですね、順を追って説明しましょうか」
(゚、゚トソン「ヒーローやヴィランは、事前にその夢に望むことで、思った通りの特殊能力を得ることが出来る」
(゚、゚トソン「これは、様々な超常能力者たちに聞いてみた結果、明らかです」
(゚、゚トソン「ですが、その夢を見ることなく超常の力を得た人間が二人だけいるんです」
从 ゚∀从「誰だ、そいつは?」
(゚、゚トソン「それが、ビッグ・トレジャーと、恐らくファニー・フェイスもそうだと思います」
从 ゚∀从「……!!」
(゚、゚トソン「後者は推測に過ぎませんが、前者は確かな情報ですよ」
从 ゚∀从「待ちな、嬢ちゃん」
(゚、゚トソン「はい?何でしょうか」
从 ゚∀从「あんた一体、どこでそんな情報を手に入れたんだ?」
.
254
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:42:55 ID:yIsMsiPA0
.
从 ゚∀从「あんたの言っていることは、機密性が高すぎる情報ばっかだ」
从 ゚∀从「ましてやあのトレジャーが、自分の能力の秘密をそうそう明かすたぁ思えねぇ」
从 ゚∀从「テメェ、デマ吹いて俺を担ごうってんならそこら辺にしとけよ?」
(゚、゚トソン「デマなんかじゃありませんよ」
从 ゚∀从「なら、情報元を開示しな。でなきゃこの話はここまでだ」
(゚、゚トソン「……」フゥ
(゚、゚トソン「クォッサ=サリエリ博士です」
从 ゚∀从「……なに?」
(゚、゚トソン「彼女は、トレジャーの秘密を打ち明けられた数少ないうちの一人です」
(゚、゚トソン「私も交流があったので、彼のパワーについての意見を求められたんですよ」
从 ゚∀从「あの多忙な博士が、一介のエンバーマーごときと接触を持つたぁ考えにくいんだがな」
(゚、゚トソン「証拠ならありますよ」
从 ゚∀从「あ?」
(゚、゚トソン「あの骨です。以前、私のおじがあなたにお渡しした、例の」
.
255
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:44:13 ID:yIsMsiPA0
.
从 ゚∀从「……あれか!」
(゚、゚トソン「あれは私が、クォッサ博士から譲り受けたものです」
从 ゚∀从「だからヴィランの骨だって断定してやがったのか……」
(゚、゚トソン「えぇ。エンバーマーの私なら、工学博士の彼女より人体に精通してますからね」
(゚、゚トソン「これで納得していただけましたか?」
从 ゚∀从「……まぁいい。完全に納得した訳じゃねぇが、話を続けな」
(゚、゚トソン「はい。骨の話が出たついでに話してしまいますが」
(゚、゚トソン「私がクォッサ博士から話を聞いたとき、引っ掛かりを感じたのがそこだったんです」
从 ゚∀从「……」
(゚、゚トソン「彼女の話では、トレジャーはかつて雪山で遭難して、避難した先で七色に光る謎の石を発見したそうです」
(゚、゚トソン「それを握って眠りにつき、目覚めるとあの体になっていたと」
从;゚∀从「なんだそりゃ?どこの夢物語だよ」
从;゚∀从「じゃあ何か?トレジャーは寝て起きて一晩で、あのバカみてぇな体になったってのか?」
(゚、゚トソン「そうなりますね」
.
256
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:45:15 ID:yIsMsiPA0
.
从 ゚∀从「アホくせぇ。信じてやろうにも荒唐無稽が過ぎるぜ」
(゚、゚トソン「そうでしょうか?」
从 ゚∀从「あんたは今の話のどこに、信じる根拠を見つけたんだよ」
(゚、゚トソン「それが、さっきの骨です」
从 ゚∀从「あ?」
(゚、゚トソン「覚えてませんか?おじがあの骨を折った時、その断面が何色だったかを」
从 ゚∀从「それは……」
从;゚∀从「……人の骨とは思えねぇ、綺麗な虹色だった」
(゚、゚トソン「それです」
(゚、゚トソン「トレジャーの言う石の色と、ヴィランの骨の色の類似」
(゚、゚トソン「それが私の引っ掛かりだったんです」
从;゚∀从「……」
.
257
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:46:28 ID:yIsMsiPA0
.
(゚、゚トソン「そしてここが重要な点なのですが」
(゚、゚トソン「目を覚ました彼の手からは、その七色の石は消えてなくなっていたそうです」
(゚、゚トソン「そこで、私は考えました」
(゚、゚トソン「もしやその石は、彼の体内に融合してしまったのではないかと」
从 ゚∀从「……ほう?」
(゚、゚トソン「瀕死の彼の肉体を救うため、石は彼を超人化させた」
(゚、゚トソン「故に彼は、他のヒーローとヴィランを遥かに凌駕する力を手に入れたのでは……」
从 ゚∀从「……ない話じゃあねぇな」
(゚、゚トソン「もうひとつ、この説の裏付けになるエピソードがあります」
从 ゚∀从「なんだ?」
(゚、゚トソン「ファニーフェイスですよ」
从 ゚∀从「……」
(゚、゚トソン「彼は幼い頃、大人から暴行を受けて瀕死の重傷を負ったそうです」
(゚、゚トソン「しかしその傷はたった一晩で完治し、その日から彼は恐るべき怪力を発揮しだしたということです」
从 ゚∀从「おいおい、まーた妙な情報引っ提げて来やがって」
从 ゚∀从「ファニーフェイスの話なんざ、誰から聞いたんだよ」
(゚、゚トソン「ミスターダスティから」
从 ゚∀从「あぁ!?」
(゚、゚トソン「経緯は省きますが、私は彼とも親交がありますので」
从 ゚∀从「そうかい。そりゃ顔の広いこったな」
.
258
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:47:47 ID:yIsMsiPA0
.
从 ゚∀从「だが、これまでの話を聞いて俺が思ったのは一つだけ」
从 ゚∀从「お前がクセェってことだけだ」
(゚、゚トソン「……!!」
从 ゚∀从「ダスティにしろクォッサ博士にしろ、用心深いタチなのは俺も知ってらぁ」
从 ゚∀从「どっちもそんなサクサク情報の得られる相手じゃねぇだろ?」
(゚、゚トソン「そうですね。時間はかかりました」
从 ゚∀从「だが、それを簡単にする推理がひとつだけある」
从 ゚∀从「お前がヴィランで、何らかの能力を使って情報を吐かせたとしたら?」
(゚、゚トソン「あら……お疑いになるんですね」
从 ゚∀从「そもそも、俺に会いに来てジョージに出くわしたってのも出来すぎてらぁ」
从 ゚∀从「お前の目的は分からんが、それが俺をたぶらかすことなら止めとけ」
从#゚∀从「俺ぁ身内に手ェ出した奴ァ、誰だろうと絶対ぇに許さねぇタチだからな」
.
259
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:49:04 ID:yIsMsiPA0
.
从 ゚∀从「どうだ、何か反論の余地はあるか?」
(゚、゚トソン「……復讐」
从 ゚∀从「あ?」
(゚、゚トソン「したくありませんか?復讐」
(゚、゚トソン「あの、ファニーフェイスに」
从 ゚∀从「……どういうことだ」
(゚、゚トソン「先の話の二人は、どちらも人外の力で猛威を振るっています」
(゚、゚トソン「もし、あなたもその力を入れられるとしたら……」
(゚、゚トソン「たとえ私が悪魔でも、聞く価値のある話だとは思いませんか?」
从 ゚∀从「なんだと?」
(゚、゚トソン「ビッグトレジャーに関しては、謎の石があの力に関わり合いを持つということはハッキリしました」
(゚、゚トソン「そして彼らの共通項は、瀕死となることで能力に開花したということ」
(゚、゚トソン「そしてこれが、私の持つ最も重要な情報なのですが……」
(゚、゚トソン「もしこの街に、トレジャーの持った石と同じものがあるとしたら」
(゚、゚トソン「条件次第では、あなたもファニーフェイスに追いつけるかもしれませんよ?」
从 ゚∀从「……!!」
.
260
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:50:10 ID:yIsMsiPA0
.
从 ゚∀从「そんなもんが、本当にあるのか?」
(゚、゚トソン「お話はここまでです。これから先は私への疑念を捨ててくださらないと話せません」
从 ゚∀从「ほう?警察と一丁前に心理戦やろうってか?」
(゚、゚トソン「黙秘権を行使する権利は私にもありますので」
从 ゚∀从「言っておくが、もし弟に手を出したのがテメェなら、黙秘権なんてもんは関係なくヤッちまうぞ?」
(゚、゚トソン「その時は、法廷でお会いしましょう」
(゚、゚トソン「腕の立つ弁護士なら何人か知っていますので」
从 ゚∀从「いーい度胸だ。それならそのつもりでやってやってもいいぜ?」
(゚、゚トソン「ただ一つ、間違いなく言えることは」
(゚、゚トソン「この機を逃せば、あなたに復讐のチャンスは二度と訪れないということです」
从 ゚∀从「……ッ!」
(゚、゚トソン「それと、私は暴行の犯人ではありません。誓ってそう宣言しましょう」
(゚、゚トソン「……長くなりましたね、今日はこの辺りにしましょうか」
(゚、゚トソン「連絡を取りたくなったら、この番号に電話してくださいね」
(゚、゚トソン「では、また」ペコリ
从 ゚∀从「……」
.
261
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:51:19 ID:yIsMsiPA0
.
─────
────
───
──
从 ゚∀从「……」ガチャ
_
( ゚∀゚)「おう、おかえり兄貴」
从 ゚∀从「あぁ。ケガはもういいのか、ジョージ?」
_
( ゚∀゚)「まだ体はズキズキすっけどな。起きて何かやれないほどじゃねーや」
从 ゚∀从「そうか……」
_
( ゚∀゚)「……どうかしたか、兄貴?妙な顔してんぜ?」
从 ゚∀从「なんでもねぇ。それよりお前、仕事に差し支えはなさそうか?」
_
(;゚∀゚)「んぁっ……ま、まだ復帰には時間かかりそうかな……?」
从 ゚∀从「そうか。じゃあ早めに治しとけ」
从 ゚∀从「俺ぁ明日一日、休みをもらうんでな」
_
( ゚∀゚)「えっ?」
.
262
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:52:25 ID:yIsMsiPA0
.
从 ゚∀从「ちっとばかし用事が出来た。お前も早く戦線に復帰して、俺の代わりに働きやがれ」
_
(;゚∀゚)「待てよ!なんでいきなり休みなんて……」
从 ゚∀从「俺が休み取っちゃいけねぇなんて法律はねーぞ?」
_
(;゚∀゚)「……トソンの姉ちゃんに、何か言われたのか?」
从 ゚∀从「あぁ?……バーカ、ちげぇよ」
从 ゚∀从「だったらなおさら警察の仕事なんざ休めねぇだろ?」
_
(;゚∀゚)「じゃあ、何の話をしてきたんだよ!」
从 ゚∀从「そいつぁ言えねぇな。まぁ、なんも悪い話じゃあねぇ」
从 ゚∀从「分かったらもう寝ろ。俺は飯はいらねぇからよ」
バタンッ
_
(;゚∀゚)「……」
.
263
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:53:27 ID:yIsMsiPA0
.
─────
────
───
──
【翌日】
(゚、゚トソン「……」
从 ゚∀从 ザッ…
(^、^トソン「……」ニコッ
(^、^トソン「あなたなら、きっと連絡をくださると思ってましたよ。ハイドさん」
从 ゚∀从「うるせぇよ。見透かしたようなクチ聞いてんじゃねぇ」
从 ゚∀从「言っておくが、お前への疑いは晴れた訳じゃねぇぞ」
从 ゚∀从「道中ボロを出したら即刻逮捕してやる。いいな?」
(゚、゚トソン「構いませんよ。私も手に入れた情報を無駄にしたくないだけですから」
从 ゚∀从「あーそうかい、そいつぁ良かったな」
从 ゚∀从「それで、お前の言う例の石っつうのは、この街のどこにあるんだ?」
从 ゚∀从「そしてお前は、それを使って俺に何をさせたい?」
.
264
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:55:01 ID:yIsMsiPA0
.
(゚、゚トソン「まぁそう焦らず。順を追って説明しますから」
(゚、゚トソン「まずはあなたの意思を確認したいのですが」
(゚、゚トソン「ハイド署長。あなたは、復讐に命を賭ける覚悟はおありですか?」
从 ゚∀从「さぁてな。俺が言えるのは、あのクソッタレのファニーフェイスの野郎は絶対許さねぇってことだけだ」
(゚、゚トソン「その程度では困りますね」
从 ゚∀从「あぁ?」
(゚、゚トソン「あなたは、私の情報へ本当に命を賭けることが出来ますか?」
(゚、゚トソン「私が望むのは、そのただ一点のみですので」
从 ゚∀从「そんなもん、お前が信用出来ねぇうちは出来るかってんだ」
(゚、゚トソン「でも、私へ電話して来たということは、その意思は少なからずあるのでは?」
从 ゚∀从「へっ……考えてみりゃ、こちとらヴィラン特別収容所とも結託してんだ」
从 ゚∀从「今さらどんな悪人にそそのかされたところで、どこ吹く風だわな」
从 ゚∀从「オメーがジョージに手さえ出してなきゃ、だがな」
(^、^トソン「えぇ、えぇ。とても良い判断です」
.
265
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:56:35 ID:yIsMsiPA0
.
(゚、゚トソン「そこまで言えるのなら、私も最後のカードを切りましょう」
(゚、゚トソン「それを聞いてどうするかは、あなた次第ということです」
从 ゚∀从「勿体つけんじゃねぇ。早く言いやがれ」
(^、^トソン「フフフ……」
(゚、゚トソン「私の言うある石とは、あなたも絶対に見たことのある物です」
从 ゚∀从「なんだ、それは?」
(゚、゚トソン「このクラウン・シティの名前の由来ともなった、由緒正しき王冠」
(゚、゚トソン「市庁舎に飾られたあの王冠の宝石こそ、人を超人化させる力を持った石なんです」
从 ゚∀从「……!」
(゚、゚トソン「どうですか、この推理は?」
从 ゚∀从「俺ァまじまじと見たこたぁねぇが、言われてみりゃ確かに虹色の宝石だった気がするな……」
(゚、゚トソン「といっても現段階では、これは推測の域を出ませんがね」
(゚、゚トソン「そこであなたには、とある人物にアポイントメントを取って欲しいんです」
从 ゚∀从「あぁ?第三者に頼み事かよ?」
(゚、゚トソン「鉱物については私も門外漢ですので」
从 ゚∀从「まぁいい。それで、誰に連絡すりゃあいいんだ?」
(゚、゚トソン「ペニーナエレクトロニクスCEO、ペニーナ=カートレンですよ」
从;゚∀从「はぁ!?」
.
266
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 21:57:54 ID:yIsMsiPA0
.
从;゚∀从「ちょっと待てよ。俺はあの女とのコネなんざ持ってないぜ?」
(゚、゚トソン「警察の捜査権限があれば、呼び出すことくらいは出来るのでは?」
从;゚∀从「あのなぁ……警察が何でも出来ると思ったら大間違いだからな?」
(゚、゚トソン「ハイドさん。先ほどあなたは、どんな悪人にそそのかされようともと言いましたよね」
(゚、゚トソン「あの言葉は嘘だったんですか?」
从;゚∀从「……チッ」
(゚、゚トソン「あなたはすでに警察として、大きすぎる規範を人々に示してきました」
(゚、゚トソン「これからは多少足をはみ出しても、きっとみんな許してくれます」
(゚、゚トソン「と、私はそう思いますけどね?」
从;゚∀从「他人事だと思って好き勝手言ってくれるぜ、ったくよぉ……」
从 ゚∀从「分かったよ!連絡すりゃあいいんだろ、連絡すりゃあよ!」
.
267
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 22:00:04 ID:yIsMsiPA0
.
─────
────
───
──
【一時間後……】
从 ゚∀从「……」ボケーッ
('、`*川 ツカツカ
('、`*川「ハァイ、クソッタレのミスターハイド」
('、`*川「こんな喫茶店に私を呼び出して、何のご用かしら?」ドサッ
从 ゚∀从「おーう、クイーン。真っ当に会社経営してやがるか」
('、`*川「そうね。おかげさまで清廉潔白明朗会計でやってるわよ」
('、`*川「こんなとこで警察に呼び出される覚え、ないくらいにはね?」
从 ゚∀从「はっ。美術品売りさばいたカネで建てた会社が清廉潔白ねぇ?」
('、`*川「あら?何がおっしゃりたいのかしら?」
从 ゚∀从「とぼけんなよ。十五年前に活躍したヴィラン、怪盗クイーンはテメェだろ?」
从 ゚∀从「ヴィラン犯罪に時効はねぇんだ。今からでも起訴は出来るぜ?」
.
268
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 22:01:02 ID:yIsMsiPA0
.
('、`*川「その前に、自分のクビを心配された方がよろしいんじゃなくて?」
('、`*川「警察の名前を借りて私人である私を呼び出したの、明らかに職権濫用よ」
('、`*川「行きすぎた警察の捜査、最近ではよく問題になってるわよねぇ?」
从 ゚∀从「ケッ、んなこた分かってんだよ。けったクソ悪ぃ」
从 ゚∀从「これが捜査ならどれだけ気が楽だったかな……ったくよぉ!」
(゚、゚トソン「ハイドさん。お話はそれくらいにして、本題を切り出してくれませんか?」
('、`*川「……さっきから気になってたけど、あなただぁれ?ハイドおじさんの恋人?」
(゚、゚トソン「ハイドさんの友人の、トソンと申します。よろしく」
('、`*川「へぇ。朴念人の署長さんも、若い娘をはべらせたりするのねぇ」
从 ゚∀从「うるっせ、バァーカ」
.
269
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 22:02:14 ID:yIsMsiPA0
.
(゚、゚トソン「我々がお聞きしたいのは、これのことなんです」
スッ…
('、`*川「これは……市庁舎の王冠?」
(゚、゚トソン「えぇ、そうです。写真しか用意出来ませんでしたが……」
从 ゚∀从「美術工芸品に造詣の深いお前なら、こいつについても詳しいかと思ってな」
从 ゚∀从「てかぶっちゃけ、なんで怪盗時代のお前は、この宝を盗もうとしなかった?」
('、`*川「何のつもりか知らないけど、これを利用して私を捕まえようって腹ならお門違いよ」
(゚、゚トソン「ハイドさん、刺激するような言い方はよしてください」
从 ゚∀从「ケッ……」
(゚、゚トソン「率直に聞きますが、この王冠に価値はあると思いますか?」
('、`*川「さぁ?それなりにあるんじゃないの?」
(゚、゚トソン「そうでしょうか」
从 ゚∀从「あ?」
.
270
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 22:03:30 ID:yIsMsiPA0
.
(゚、゚トソン「この王冠、素人の私から見ても造りが粗悪なんです」
(゚、゚トソン「地の金は色がくすんでるし、繋ぎ目もガタガタで……」
('、`*川「へぇ〜、そんなこと分かるんだ?」
(゚、゚トソン「けれど、あくまでも素人判断ですから、プロのご意見も伺いたいと思いまして」
(゚、゚トソン「ペニーナさんから見て、この王冠はどのような出来なのでしょう」
('、`*川「そうねぇ……不勉強な誰かさんと違って勤勉だから、特別に教えてあげるわ」
从 ゚∀从「悪かったな、不勉強でよ」
('、`*川「簡単に言うとこの王冠、私に言わせれば一文の価値もないわね」
('、`*川「土台の金も十八金ですらない混ざり物の多い物みたいだし」
('、`*川「そもそも、派手な色の宝石に金を合わせるセンスが最悪ね!」
('、`*川「そんなことしたら宝石のカラーが死ぬだけよ」
('、`*川「本来絶対しないような色の合わせをしてる辺り、これ作ったのプロの彫金師ですらないんじゃないの?」
('、`*川「つまりこれは何の価値もない、ただの模造品ってコト」
从 ゚∀从「んだよ、じゃあクイーンが狙わなかったのもそれが原因か?」
('、`*川「そんなの、私の知ったこっちゃないわよ」
.
271
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 22:04:32 ID:yIsMsiPA0
.
('、`*川「ま、こんなもの狙うなんて見る目がないって宣伝してるようなものね」
('、`*川「あんたたちも、これ盗むならリターンはないと思ってた方がよくてよ」
从 ゚∀从「人聞きの悪ぃこと言いやがる。そんなにポリが嫌いか?」
('、`*川「いいえ、私は清廉潔白ですもの。嫌いなのはアナタ個人よ」
从 ゚∀从「そうか、俺もオメェが嫌いなもんでな。気が合うじゃねぇか」
(゚、゚トソン「ハイドさん……!」
('、`*川「聞きたいことはそれだけ?なら、私帰るわよ」
(゚、゚トソン「待ってください。最後に、ひとつだけ」
('、`*川「なぁに?」
(゚、゚トソン「この王冠に使われてる宝石、ペニーナさんは何だと思いますか?」
('、`*川「……さぁ、何でしょうね」
(゚、゚トソン「それは、あなたでも判らなかったということですか?」
('、`*川「……イヤなとこ突いてくるわね、あなた」
.
272
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 22:05:08 ID:cth2sBBk0
支援んん!
273
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 22:05:38 ID:yIsMsiPA0
.
('、`*川「これでも私、世界中の宝飾品を見てきたって自信はあるわ」
('、`*川「けど、これに類似該当するような石は見たことないわね」
('、`*川「オパールでもアレキサンドライトでも変色真珠でもない」
('、`*川「早い話、こんな石私にしても初めて見るのよ」
(゚、゚トソン「なるほど。分かりました、ありがとうございます」
('、`*川「これで満足かしら?じゃあ、帰るわね、署長サン」
从 ゚∀从「おう、帰れ帰れ。労いなんざ掛けてやらんからよ」
('、`*川「いらないわよ、横暴ねホント」
('、`*川「あ、それとお嬢さん?私からもひとついいかしら?」
(゚、゚トソン「はい?」
.
274
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 22:06:07 ID:w3nA2pBk0
トソンみたいなキャラ嫌いだわー
275
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 22:06:36 ID:yIsMsiPA0
.
('、`*川「……いたずらも程々にすることね」ボソッ
(゚、゚;トソン「……!!」
('、`*川「じゃあね〜♪」スタスタ
从 ゚∀从「あん?あいつ、何だって?」
(゚、゚;トソン「……署長の子守りをよろしくと言ってました」
从 ゚∀从「はっ。去り際にイヤミかよ、いい性格してやがる」
(゚、゚;トソン「……」
.
276
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 22:07:35 ID:yIsMsiPA0
.
(゚、゚;トソン「……ともかく、これでやはりあの石が怪しいと判明しましたね」
从 ゚∀从「まぁそうなるか……あのペニーナが見たことないってんじゃな」
从 ゚∀从「本当なら、より詳しい専門家に見てもらった方がいいんだろうが」
(゚、゚トソン「仕方ありませんよ。それはの王冠の持ち主が許さないことには……」
从 ゚∀从「……ん?」
(゚、゚トソン「はい?」
从 ゚∀从「王冠の持ち主ってなぁ誰だ?」
(゚、゚トソン「知らなかったんですか?」
(゚、゚トソン「次はその方に連絡を取ってもらうつもりだったんですが」
从;゚∀从「おいおい、また俺かよ!」
(゚、゚トソン「使えるコネはフルに使わないと勿体ないですから」
从 ゚∀从「……てことは、あの王冠の持ち主は俺の知ってる奴か?」
(゚、゚トソン「えぇ、そうです」
.
277
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 22:08:17 ID:yIsMsiPA0
.
(゚、゚トソン「あの王冠の持ち主は、クラウン・シティ前市長」
(゚、゚トソン「ピーター=ショボンニ氏ですよ」
从 ゚∀从「……!!」
.
278
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 22:08:49 ID:yIsMsiPA0
十八話前編終わり
279
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 22:09:37 ID:w3nA2pBk0
乙乙
ヒーロー出なかったな
280
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 22:10:21 ID:yIsMsiPA0
【登場人物紹介】
(゚、゚トソン
トソン=コレーク
暗躍する謎多き女ヴィラン。その能力、目的は不明……。
.
281
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 22:18:41 ID:cth2sBBk0
こんなに笑顔がムカつくトソンなかなかいないぜ
乙
282
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 23:52:16 ID:E0rJbFs60
おつ
気になる終わり方
283
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 23:55:50 ID:27TvAKco0
笑顔トソンはなんでどの作品でもクッソムカつくんだろうか……
284
:
名無しさん
:2018/07/07(土) 17:05:16 ID:IPvzWcY60
臨海学校…
285
:
名無しさん
:2018/07/09(月) 11:41:39 ID:9StgCKDw0
おつ
嵐の前の静けさって感じだ
286
:
名無しさん
:2018/07/22(日) 07:22:39 ID:XU2vwPDE0
ショボンニか・・・
287
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:05:18 ID:kGtiVFWo0
.
第十八話『PROLOGUE OF CLOWN DEVIL 〜中編〜』
.
288
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:05:46 ID:kGtiVFWo0
ビッグ1
─────
────
───
──
('、`*川「ハァイ♪お待たせアンディ」
(´・_ゝ・`)「別に待っちゃいないよ、君も忙しい身だろ?」
('、`*川「そうね。特に最近は警察に呼び出されたりしたし」
(´・_ゝ・`)「お?君もついに脱税か?」
('、`*川「変なこと言わないでよね。無実の罪よ」
(´・_ゝ・`)「ジョークだよ。君は仕事には人一倍熱心だから一層質が悪い」
('、`*川「ま、警察に呼び出されたのは本当よ。今日はそのことであなたに話があったの」
(´・_ゝ・`)「へぇ。わざわざ人を呼び出してまで、どういう話か興味があるね」
('、`*川「私を呼び出したのね、中央署のハイド署長だったのよ」
(´・_ゝ・`)「ほう?」
.
289
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:07:25 ID:kGtiVFWo0
.
(´・_ゝ・`)「あの署長が出てくるなんて、君よほどのことでもしでかしたのかい?」
('、`*川「やぁねぇ、なんでみんな人をワルモノ扱いしたがるのかしら」
(´・_ゝ・`)「前科があるからに決まってるだろ?」
('、`*川「ふふふ、そりゃそうね」
('、`*川「それでね、その署長が女の子つれてたんだけどさ」
('、`*川「なぁんかそれが引っ掛かるのよねぇ」
(´・_ゝ・`)「引っ掛かる、か……どの辺りが?」
('、`*川「あの頭が化石の署長が、仕事に刑事でもない女の子を連れ歩くと思って?」
(´・_ゝ・`)「……それは確かに考えにくいな」
('、`*川「といって、プライベートで私を呼び出してするような話でもなかったし」
(´・_ゝ・`)「何の話だったんだい?」
('、`*川「市庁舎に飾ってある王冠について知りたいって」
(´・_ゝ・`)「王冠?」
.
290
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:07:59 ID:kdjPbx.o0
おリアタイ支援
291
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:08:22 ID:kGtiVFWo0
.
('、`*川「あなたの経験からして、あの署長が女になびくと思う?」
(´・_ゝ・`)「ないだろうな。彼は職務に誇りを持ってる、確率はほぼゼロだ」
('、`*川「私もそう思うわ。だからこそ、あんな行動を取るのはおかしいと思ったの」
(´・_ゝ・`)「それは確かに気になるな……」
('、`*川「まぁ正直、警察がどうなろうと知ったこっちゃないんだけど」
('、`*川「お仕事柄、あなたにだけは伝えといた方がいいと思ってね」
(´・_ゝ・`)「協力、感謝するよ。それで、今回の情報提供料はいくらだい?」
.
292
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:09:15 ID:kGtiVFWo0
.
('、`*川「そうねぇ。20万ドルと言いたいところだけど、今回はロハでいいわよ」
(´・_ゝ・`)「おいおい。君がお代をロハにするなんて、何があったんだ?」
('、`*川「いつもは情報の裏を取るけど、今回は単純に怪しいってだけだから」
('、`*川「いわば女の勘ってやつ?」
('、`*川「その代わり、あなたの力でちょっと用意して欲しいものがあるの」
(´・_ゝ・`)「金より厄介なものでなければいいけどね」
('、`*川「安心なさい。あなたにしか用意出来ないけれど、難しいものじゃないわ」
(´・_ゝ・`)「意味深だね。一体何が望みなんだい?」
('、`*川「この街にかつて存在して、いまだに捕まってないヴィランをリストアップしてほしいの」
(´・_ゝ・`)「……!」
.
293
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:10:15 ID:kGtiVFWo0
.
─────
────
───
──
【クラウン・シティ中央署、待合室……】
(゚、゚トソン スタスタ
从 ゚∀从「……よう」
(゚、゚トソン「お疲れ様です、署長」
从 ゚∀从「職場にまで押しかけてくんなっつーの」
(゚、゚トソン「すみません、進捗のほどを伺いたかったので」
(゚、゚トソン「それで、前市長は捕まりましたか?」
从 ゚∀从「ダメだ、電話じゃあのジジィ何度かけても捕まらねぇ」
从 ゚∀从「秘書だかハウスキーパーだかが、後から取り次ぎますだとよ」
(゚、゚トソン「ペニーナさんの時のように、警察の名前を出してもダメですか?」
从 ゚∀从「相手は一線を退いたとはいえ政治家だ。実業家のペニーナとはワケが違う」
从 ゚∀从「下手に警察の名前なんざ出したら、雲隠れしちまうに決まってら」
从 ゚∀从「だから今回は、あくまでも俺の私的な用事ってことにしねぇとな」
.
294
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:11:22 ID:kGtiVFWo0
.
(゚、゚トソン「では、あの王冠のことで話があると最初から伝えてみては?」
从 ゚∀从「なに?」
(゚、゚トソン「ショボンニさんは市長時代、あの王冠を由緒ある物として市庁舎に飾りました」
(゚、゚トソン「しかしあれが偽物の模造品であることは、もう明確です」
(゚、゚トソン「そこから彼を揺さぶって行けないですかね」
从 ゚∀从「なるほどな……いけるかもしれん。やってみよう」
(゚、゚トソン「お願いします。あなたの手腕にかかってますので」
从 ゚∀从「……ところでよ」
(゚、゚トソン「はい」
从 ゚∀从「あの王冠、結局お前はどうするつもりなんだ?」
从 ゚∀从「持ち主に掛け合ったってことは、何らかの交渉の余地があるんだよな?」
(゚、゚トソン「そうですね……最善手は我々があれを譲り受けること、次善が買い取ることでしょうか」
从 ゚∀从「それも叶わなかったらどーするんだよ」
(゚、゚トソン「最悪の場合、盗難も視野に入れてますが?」
从;゚∀从「やっぱりな……んなこと警察の俺が許すと思うか?」
(゚、゚トソン「あなたの是非はこの際関係ないのですよ」
从 ゚∀从「ああ?」
.
295
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:13:52 ID:kGtiVFWo0
.
(゚、゚トソン「問題なのはあなたが悪に手を染めてでも、ファニーフェイスへ復讐したいかどうかだけです」
(゚、゚トソン「力を得るための過程など、些末なことでしかないでしょう?」
从 ゚∀从「……お前やっぱ、信用ならねぇな」
从 ゚∀从「仮にそうだとして、お前がなんでそんなことするかの説明にゃなってねぇぜ」
从 ゚∀从「なぜ俺に白羽の矢を立てて、超人にしようとするんだ?」
(゚、゚トソン「私としては、石の力の証明が出来さえすればそれでいいんですがね」
从 ゚∀从「……お前まさか、俺の命を狙ってここまでしやがるなんてこたないよな?」
(゚、゚トソン「そんなことありませんよ。邪推もいいところです」
从 ゚∀从「どうだかな。俺がいなくなれば、警察のヴィラン捜査能力は格段に落ちる」
从 ゚∀从「それにお前、俺に命を懸ける覚悟があるか聞いてきたよな?」
从 ゚∀从「結果として俺の命が目的なら、俺に命を懸けさせる理由も分かるんだがな?」
(゚、゚トソン「……では、逆にお聞きしますが」
.
296
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:15:03 ID:kGtiVFWo0
.
(゚、゚トソン「仮に私のが狙いがあなたの命だとして、そうまでしてあなたを恐れる理由は?」
从 ゚∀从「今言ったろうが。警察の捜査能力の低下のため……」
(゚、゚トソン「では現在、警察はヴィランへの抑止力として正しく機能しているでしょうか」
从 ゚∀从「……!!」
(゚、゚トソン「多くはヒーローに取って変わられているのではないですか?」
从;゚∀从「……チッ。ぐうの音も出ねぇよ」
(゚、゚トソン「そんな状況で、署長であるあなた一人を、こんな回りくどい方法で殺して何になると思います?」
(゚、゚トソン「本当に殺しが必要なら、もっと合理的かつ簡単な方法があるでしょう」
(゚、゚トソン「例えばジョージさんを連れ帰ったあの夜、扉の隙間からあなたを撃つとかね?」
从 ゚∀从「……そら正論だな」
.
297
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:16:32 ID:kGtiVFWo0
.
(゚、゚トソン「それに、命を懸けていただくのは我々が石を手に入れてからですよ」
从 ゚∀从「なに?」
(゚、゚トソン「トレジャーもファニーも、瀕死の状態から復活したとき、あの肉体になっていました」
(゚、゚トソン「つまりあなたには、何らかの方法で死の縁に立っていただかなければならない」
(゚、゚トソン「石がないのにそんなことしても、滑稽の極みでしょう?」
从 ゚∀从「そこまでするなら、自分で力を手に入れた方が早いだろーが」
(゚、゚トソン「私は復讐に興味ありませんので」
(゚、゚トソン「それに、前市長やペニーナさんへのコネも、あなたしか持ち合わせてはいません」
从 ゚∀从「早い話が、俺が最適だったってことか?」
从 ゚∀从「オメーみてぇな怪しいのに身を任さないと、復讐も出来ねぇなんてな」
(゚、゚トソン「それだけ敵は強大ってことです」
从 ゚∀从「んなことは死ぬほど噛みしめてるっつーの」
(゚、゚トソン「では、話はこれくらいにしてまた後で」
从 ゚∀从「おう。とっとと帰れよ」
.
298
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:18:46 ID:K9Bn2jgY0
支援!!
299
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:18:54 ID:kGtiVFWo0
.
─────
────
───
──
从 ゚∀从 テクテク
_
(;゚∀゚)「兄貴!!」
从 ゚∀从「あ……?なんだ、ジョー」
_
(;゚∀゚)「仕事中にどこ行ってたんだよ」
从 ゚∀从「別にどこも行きゃしねーよ、小便だ小便」
_
(;゚∀゚)「……兄貴、なんか最近おかしいぜ?」
_
(;゚∀゚)「俺に隠れてコソコソしてるし、仕事にも集中してないだろ」
从 ゚∀从「ケッ、サボり魔のテメーに突っ込まれちゃおしまいだな」
_
(;゚∀゚)「茶化すなよ!俺がボコされて帰った日から、何があったんだよ!」
从 ゚∀从「なんもねーっつってんだろ?」
从 ゚∀从「それよりお前こそ、サウスガットとは縁が切れたんだろうな?」
_
(;゚∀゚)「うっ……そ、それは……まだ……」
.
300
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:20:11 ID:kGtiVFWo0
.
从 ゚∀从「んなこったろうと思ったぜ」
从 ゚∀从「まぁ、いい。こいつぁお前が自分でケジメつけにゃならねぇことだ」
从 ゚∀从「時間かけてでも、テメーでしっかりケツ拭うんだな」
_
(;゚∀゚)「……」
从 ゚∀从「それより、デルタはどこにいる?」
_
(;゚∀゚)「あ、あぁ……特犯課の部署にいるけど……」
从 ゚∀从「そうか、ちょっくらあいつに話がある。お前は業務に戻れ」
_
(;゚∀゚)「待てよ、兄貴……!!」
从 ゚∀从「帰ったら好きなだけ話聞いてやんよ。お前もたまには真面目に仕事しろや」
_
(;゚∀゚)「……兄貴」
.
301
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:21:50 ID:kGtiVFWo0
.
从 ゚∀从「よーう、デルタいるか?」ドガバァンッ
(;"ゞ)「わっ!ドアは静かに開けてくださいって言ってるじゃないですか署長!」
£°ゞ°)「特犯課のドアー、署長のせいでいつもガタガタネー」
( ^ω^)「無駄ですお、デルタさん。署長の乱暴なのは生まれつきですから」
从 ゚∀从「オメーが俺の生まれの何を知ってるんだっつの」
从 ゚∀从「それよりデルタ、お前今時間あるか?」
( "ゞ)「え?えぇ、緊急の出動がなければ……」
从 ゚∀从「そうか、じゃあ署長室までツラ貸せ。話がある」
从 ゚∀从「先に戻って待ってんぜ」
(;"ゞ)「は、はぁ……」
(;^ω^)「何ですかおね、話って……?」
£°ゞ°)「何だロネー?借金のお願い?」
(;^ω^)「生々しいから止めてくださいお」
.
302
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:23:36 ID:kGtiVFWo0
.
─────
────
───
──
【署長室……】
( "ゞ)「署長、ポール=デルタニアン参りました」
( "ゞ)「話とは何でしょうか」
从 ゚∀从「おう。ちょっと座れ、デルタ」
( "ゞ)「はい」ギシッ
从 ゚∀从「……お前と俺がバディ組んでたのは、何年前になるっけか」
( "ゞ)「確か……ヴィラン災害より前ですから、十七年くらい前ですかね」
从 ゚∀从「そうか。お互いに老けたもんだな」
从 ゚∀从「あの頃はお前もまだ、ぺーぺーの新人だったのによ」
( "ゞ)「何です、署長?まだ老け込むような年齢じゃないでしょう」
从 ゚∀从「フッ……まぁそうだがよ」
从 ゚∀从「よくまぁこの街で二十年近くも、ヴィラン相手にドンパチやって生き残ってたもんだな」
( "ゞ)「それは署長の、卓越した慧眼と手腕によるものですよ」
从 ゚∀从「ハッ、そらお褒めに預り光栄ってか?」
.
303
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:25:13 ID:kGtiVFWo0
.
( "ゞ)「署長、本当にどうかされたんですか?昔話から入るなんて、あなたらしくもない」
( "ゞ)「何だか、話を切り出しかねているような雰囲気を感じますが……」
从 ゚∀从「……お前にゃさすがに筒抜けだな」
从 ゚∀从「いいだろ、ごまかしや社交辞令はこの際ナシだ」
从 ゚∀从「デルタ、ジョージの奴をよろしく頼む」
( "ゞ)「頼む、とは……?」
从 ゚∀从「あいつは意気地無しで臆病な怠け者だがよ」
从 ゚∀从「十五年前、ここへ配属になってすぐヴィラン災害に遭ったのがトラウマになっちまっただけなんだ」
从 ゚∀从「本当なら人一倍正義感が強い、真面目なヤツだったんだがな……」
从 ゚∀从「転属させてやろうとも思ったが、甘やかすのもためにならねぇと思って時間だけが過ぎちまった」
从 ゚∀从「だからよ、お前があいつを手助けして、導いてやっちゃくんねーか?」
( "ゞ)「は、はい……ですが、署長。それは私でなく、署長ではいけないんですか?」
从 ゚∀从「……念のためだ。頭の隅っこにでも入れといてくれ」
从 ゚∀从「俺に次いでここのキャリアが長ぇのは、お前だからな」
.
304
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:26:12 ID:kGtiVFWo0
.
从 ゚∀从「本当ならこんなこと、お前に頼める筋合いじゃねーんだがな」
从 ゚∀从「まぁ、古いよしみだと思って聞いてやってくれ」
( "ゞ)「署長。何か思い詰めてらっしゃるなら、私で良ければ力になりますが……」
从 ゚∀从「心配すんな、跳ね馬ハイドはそんなヤワじゃねぇよ」
从 ゚∀从「ただ、あいつもいい加減性根入れ換えさせる時が来たかと思っただけよ」
从 ゚∀从「遅すぎるとかは言いっこ無しでな!」
(;"ゞ)「署長……」
从 ゚∀从「話はそれだけだ。悪かったなデルタ、仕事に戻りな」
(;"ゞ)「……分かりました、失礼します」
ガチャッ、バタン
从 ゚∀从「ふぅ……」
从 ゚∀从(これで万が一俺に何かあっても、後は任せられたか……)
.
305
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:27:58 ID:kGtiVFWo0
.
prrrr、prrrr……
从 ゚∀从「……あん?」
【通知:×××ー×××ー×××】
从 ゚∀从「誰だこんな時間に……知らねぇ番号から電話?」
ピッ
从 ゚∀从「おい誰だテメー。番号違いじゃねぇなら名を名乗りな」
『ハハハ、これはこれは。君から連絡してきたというのにずいぶんな態度だね?』
从;゚∀从「……その声、まさか!?」
『ピーターだよ。前市長のピーター=ショボンニさ』
『署長殿から連絡があったとたった今耳にしてね。取り次ぎミスで返事が遅れてすまなかったよ』
.
306
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:29:48 ID:kGtiVFWo0
.
从 ゚∀从「……まさか、VIP直々に電話してくるたぁ思わなかったぜ」
『君とはまんざら知らない仲でもないからね』
『どうだろう、手が空いてるなら今から出てこれないかい?』
从 ゚∀从「引退したご老体と違って、こっちゃ忙しいんスよ」
从 ゚∀从「……と、言いてぇとこだが、どうせ今しか会える時間がねぇってんだろ?」
『察しが良くて助かるよ。この後トニー君と面談があってね』
『ちょうど署の近くに寄るから、そのついでで良ければ君も来るといい』
从 ゚∀从「……オーケー、だがお互い暇な身じゃねぇんだ。手短に行きましょうや」
『では、場所はカフェサンセットで』
从 ゚∀从「了解。すぐ向かうよ」プツッ
.
307
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:32:03 ID:kGtiVFWo0
.
─────
────
───
──
【カフェ・サンセット】
从 ゚∀从 ツカツカ
(´・ω・`)「やぁハイド君!こっちだよ!」
从 ゚∀从「うぃっす」ドカッ
(´・ω・`)「いやぁ、久しいね。君のそのふてぶてしさも変わらないようで何よりだよ」
从 ゚∀从「久しいもクソも、選挙演説の時に会ったじゃねーっスか」
(´・ω・`)「あれはお互い仕事だったからね。プライベートで顔合わせしたのは久しぶりだろう?」
从 ゚∀从「出来りゃあ、あんまり合わせたくねぇツラではあるけどな」
(´^ω^`)「ハハハ!君を見てると、憎まれっ子世に憚るという言葉を思い出すよ!」
(´・ω・`)「さすが不世出の逸材といったところかな?」
从 ゚∀从「俺が思い出すのは、年寄りの冷や水って言葉だがな」
(´^ω^`)「いいねぇその口振り!いかにも敏腕刑事といった感じだね」
.
308
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:34:10 ID:kGtiVFWo0
.
(´・ω・`)「君のような人間がこの街にいてくれたのは、この街にとって大きかったとつくづく思うよ」
从 ゚∀从「んなおべっかはどうでもいいんスよ」
从 ゚∀从「こっちも仕事の最中に抜け出して来てるんだ、サクッと本題に入らせてもらうぜ」
(´・ω・`)「ふむ、いいだろう。好きなように話したまえ」
从 ゚∀从「市庁舎に飾ってあるあの王冠、あれを俺に譲っちゃくんねーか?」
(´・ω・`)「ほう。これはまた、突拍子もないお願いをするね?」
(´・ω・`)「君はあれがどういう由来の物か、理解して言っているのかね?」
从 ゚∀从「あんたの話を信じるなら、この街の開発途中に地下から出土したモンらしいな」
(´・ω・`)「その通りだよ。あれはこの場所が特別な場所だという証明となるものだ」
(´・ω・`)「だからこそ、僕個人が持つのでなく、市民の誰しもが目にすることの出来る場所へ置いてあるんだよ」
从 ゚∀从「ウソつけよ」
(´・ω・`)「……!」
从 ゚∀从「由緒も由来も、真っ赤な嘘っぱちなんだろ?」
(´・ω・`)「そう断定する証拠はあるのかな?」
从 ゚∀从「土台の王冠は作りが粗悪、金も混ざりものが多くて純金ですらねぇ」
从 ゚∀从「一体これのどこが由緒あるモンなんすかねェ?」
.
309
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:36:43 ID:kGtiVFWo0
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(´・ω・`)「君は、その知識をどこから?」
从 ゚∀从「宝飾品関係の人間が知り合いにいましてね」
从 ゚∀从「そっから聞き齧っただけの知識でさぁ」
(´・ω・`)「ならばそれは誤解だと言わねばなるまいね」
从 ゚∀从「はぁ?」
(´・ω・`)「あれは年代測定の結果、約五百年前の王族の王冠ということが判明している」
(´・ω・`)「五百年も前の時代に、そんな上等な金の錬成技術があると思うかね?」
从 ゚∀从「……」
(´・ω・`)「王冠の制作技術が粗末なのも、時代背景と合わせれば合点が行くはずだ」
(´・ω・`)「君の知り合いは、宝飾品の歴史的価値を加味していなかったと見える」
从 ゚∀从「歴史的価値ねぇ……」
从 ゚∀从(あのペニーナがそこを見落とすとは思えないが……)
.
310
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:38:55 ID:kGtiVFWo0
.
(´・ω・`)「それに君は大きな勘違いをしているよ」
从 ゚∀从「……なんスか?」
(´・ω・`)「あれがニセモノだろうと本物だろうと、所有権は私にあるということだ」
(´・ω・`)「たとえ君があれを贋作と吹聴したところで、私が手放さなければ君に譲る道理はないということだよ」
从 ゚∀从「ま、それはそうでしょうね」
从 ゚∀从「なら、あんたの言い値で俺がアレを買い取ると言ったら?」
(´・ω・`)「それもムリだ。もし言い値でと言うなら、支払いに三代はかかる額を提示させてもらう」
从 ゚∀从「そーなりますわなぁ……じゃ、最後は強行策しかねぇってこった」
(´・ω・`)「それも止しておいた方がいいね。あれは人目につきやすい分、セキュリティは厳重にしてある」
(´・ω・`)「下手に手を出せば、即座に警備が駆けつけて君を発砲するだろう」
从 ゚∀从「……」
从 ゚∀从「あんた、俺がなんでこんなに王冠を欲しがるかは聞かねぇんだな」
.
311
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:41:09 ID:kGtiVFWo0
.
(´・ω・`)「そりゃあ前市長としては、この街の歴史的財産に興味を持ってくれるのは有難いからね」
(´・ω・`)「実際、君ほどあの王冠について熱心に調べてくれる人間はこれまでいなかった」
从 ゚∀从「俺ァ今あの王冠には価値がねぇって言ったんだぜ?」
从 ゚∀从「なのにそんなもんを大枚はたいて買おうとする理由、気にならねぇのかよ?」
(´^ω^`)「ハハハ!人の趣味にとやかく言う無粋は持ち合わせてないんでね!」
(´・ω・`)「物の価値は相対的かつ流動的なものだ。違うかい?」
从 ゚∀从「……」
(´・ω・`)「もっとも、君が私に王冠を手放すよう仕向けるためにそう言っているなら、ムダと断ずるがね」
从 ゚∀从「……フゥーッ。元政治家相手に、化かしあいなんざするもんじゃねーな」
(´^ω^`)「君もまだまだ青いね。ピーター=ショボンニ、老いてますます健在といったところかな?」
从 ゚∀从「ならあんたは、どうすればあれを俺へ譲ってくれる?」
从 ゚∀从「カネも脅しも聞かねぇんなら、何であんたを動かせばいい?」
(´・ω・`)「それを本人に聞くかね。ならば私はこう答えるよ」
(´^ω^`)「私を楽しませてごらん、とね?」
.
312
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:42:54 ID:kGtiVFWo0
.
从 ゚∀从「おうおう、いかにも悪党の好きそうなセリフじゃねぇっすか」
从 ゚∀从「あんたを楽しませれば、王冠をいただけるのかい?」
(´・ω・`)「やぶさかではない、とだけ言っておこうか」
(´・ω・`)「ただ、並みの手腕では私は喜ばないとだけは言っておくよ」
从 ゚∀从「オーケー、肝に銘じておくよ」
从 ゚∀从「なら俺も、あんたへ一言宣言しておこう」
(´・ω・`)「なんだね?」
从 ゚∀从「あれは恐らく、今の俺にとって最も必要なモンだ」
从 ゚∀从「だから俺はどんな手段に訴えても、あれを手に入れる覚悟はあるぜ?」
(´・ω・`)「承知した。ならば私もそのゲームに乗るとしようか」
(´^ω^`)「君にとっては、些か分の悪い賭けになるかもしれないがね」
从 ゚∀从「ヘッ。確実に勝てる賭けなんざこの世に存在しねーよ」
从 ゚∀从「確実に負ける賭けがねーのと同じでな」
(´^ω^`)「ハハハ、まったくだね」
.
313
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:44:30 ID:kGtiVFWo0
.
从 ゚∀从「俺の用件はそれだけだ。そろそろ上がらせてもらうぜ」
(´・ω・`)「あぁ、ちょうどいい。私も面談の時間が近かったからね」
从 ゚∀从「そう遠くねぇうちにまた会いに来るぜ。あんたを楽しませるとっておきのネタを仕込んでな」
(´・ω・`)「そうしてくれたまえ。私も楽しみにしているよ」
从 ゚∀从「じゃーな、ボケジジィ。次に会うまでくたばるんじゃねーぜ」
(´・ω・`)「君も息災にな」
ザッ……
(´・ω・`)「……」
(´^ω^`) ニコッ
(´^ω^`)「王冠の真実にたどり着く者が、ついに現れたか」
(´^ω^`)「人生とはかくも楽しけり、だねぇ。ハハハ、ハハハハ!!」
.
314
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:46:17 ID:kGtiVFWo0
.
─────
────
───
──
从 ゚∀从「……」カツカツ
从 ゚∀从(あのジジィ、俺が王冠を欲しがる理由については一切尋ねなかった……)
从 ゚∀从(そいつぁつまり、俺があれを欲しがる理由を知ってた……いや、『察していた』んだ)
从 ゚∀从(てことはまさか、ジジィはあの王冠がただの宝飾品じゃねぇと知ってるのか……?)
从 ゚∀从(あのジジィはどこまで知っていやがるのか、それとも全部ブラフなのか……)
从 ゚∀从「……」
从 ゚∀从 ピッピッ
prrrr、prrrr……
从 ゚∀从「あー、デルタか?俺だ、ハイドだ」
.
315
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:47:45 ID:kGtiVFWo0
.
『署長!?どこにいらっしゃるんですか!突然いなくなるから皆ビックリしてますよ!』
从 ゚∀从「悪ぃな、ちょっくら野暮用だ」
从 ゚∀从「ついでに事件の聞き込みもしてくるんで、しばらく帰らねぇからよ」
『事件って、何の事件ですか?』
从 ゚∀从「色々とだ、後はお前らで回せ。じゃーな」
『署長!!ちょっ……』
プツン、ツーッツーッ……
从 ゚∀从「……」ピッピッ
从 ゚∀从「もしもし。総合科学技術研究所か?」
从 ゚∀从「こちらはクラウンシティ中央警察署のハイドだ」
从 ゚∀从「今からそっちに向かうんで、クォッサ=サリエリ博士を呼び出してくれや」
.
316
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:49:14 ID:kGtiVFWo0
.
─────
────
───
──
【総合科学技術研究所……】
从 ゚∀从 ウィーン
从 ゚∀从「よう、受付の姉ちゃん。ちょっといいか?」
从 ゚∀从「さっきアポを取ったハイドだが、クォッサ博士へ取り次いでくれ」
『ハイド様ですね、お話は伺っております。一番応接室へご案内しますのでどうぞ』
从 ゚∀从「あぁ、頼む」テクテク
『どうぞ、こちらでお待ちください。クォッサはすぐに参りますので』
从 ゚∀从「あぁ、分かった」ドサッ
.
317
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:51:35 ID:kGtiVFWo0
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从 ゚∀从「……」カツカツ
川 ゚ -゚) ウィーン
从 ゚∀从「よう、姉ちゃん。元気してたか」
川 ゚ -゚)「お久しぶりです、署長。その節はどうも」ペコリ
从 ゚∀从「そうかしこまるなよ。俺もあんたも、あのヴィラン災害を生き残った身だ」
从 ゚∀从「礼儀なんざ忘れて、ざっくばらんに行こうぜ」
川 ゚ -゚)「そうですか、では忌憚のない意見を述べますが」
川 ゚ -゚)「人の就業時間中に、警察の名を名乗って来たからには、それなりの理由があると思って良いんですね?」
川 ゚ -゚)「それは警察の業務に関わりのあることですか、別件ですか」
川 ゚ -゚)「そこをまずは明確にしていただかねば」
从 ゚∀从「まぁ単なる世間話だ、ちょっくら付き合えよ」
川 ゚ -゚)「そうですか、では」スタスタ
从;゚∀从「待て待て!ジョークだ、ジョーク!」
从;゚∀从「ガチの世間話にこんな時間割くわけねーだろ!」
川 ゚ -゚)「ならば最初からそう仰ってください。こちらも多忙ですので」
从 ゚∀从「あーあー、悪かったよ姉ちゃん」
从 ゚∀从「冗談が通じねぇんだからよぉ、ったく……」
.
318
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:52:50 ID:kGtiVFWo0
.
川 ゚ -゚)「それで、用件は何ですか?」
川 ゚ -゚)「デミタスでなく私を呼び出したということは、重要性の高い情報と判断しますが」
从 ゚∀从「まぁそう焦れるなよ。二、三質問したら帰るからよ」
川 ゚ -゚)「あなたと駆け引きをしている時間が惜しい。簡潔に伝えるのが無理なら出直していただきたい」
从 ゚∀从「あーそーかい、じゃあバッサリ行かせてもらうがよ」
从 ゚∀从「あんたんとこから、トレジャーについての情報が漏洩している可能性はねぇか?」
川 ゚ -゚)「……それはたとえば、どのような情報ですか?」
从 ゚∀从「ある女から、トレジャーのパワーの源についての情報を聞いた」
从 ゚∀从「そしてそいつは、情報のリーク先をクォッサ=サリエリだと言っていた」
从 ゚∀从「それが本当なら、あんたが誰かにトレジャーの情報を漏らしたってことになるが」
从 ゚∀从「真偽のほどはどうなんだ?」
.
319
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:54:50 ID:kGtiVFWo0
.
川 ゚ -゚)「あり得ませんね。こう見えて口は固い方なので」
从 ゚∀从「どうだろうなぁ。たとえば、自白を強要するような能力を持ったヴィランがいたとしたら?」
川 ゚ -゚)「その場合、まずはそのような能力を持ったヴィランに情報が漏れたと周知される」
川 ゚ -゚)「そこから敵を確保し、情報の拡散を防ぐのはそう難しい問題ではありません」
从 ゚∀从「なるほどな……対策は講じてると」
川 ゚ -゚)「はい。今のところ、致命的な情報の漏洩が起こったことはありません」
从 ゚∀从「だろうなぁ……となるとやっぱりあの女の情報はガセだったか」
川 ゚ -゚)「逆に私からもあなたに聞きたい」
川 ゚ -゚)「その女性から聞いた情報というのは、一笑に付すことも叶わないほど信憑性のあるものだったのですか?」
从 ゚∀从「いや、俺も頭っから信じてた訳じゃねーよ」
从 ゚∀从「確か雪山で遭難して瀕死になって……とか何とか言ってたな」
川 ゚ -゚)「……ッ」ピクッ
从 ゚∀从「……!」
.
320
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:55:56 ID:kdjPbx.o0
トソン侮れないな
321
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:56:40 ID:kGtiVFWo0
.
川 ゚ -゚)「……そのような事実はありません。騙されたのでは?」
从 ゚∀从「そうか、それならいいんだがな」
川 ゚ -゚)「何にせよ、その女性が何らかの意図を持って署長へ近づいたのは明らかですね」
川 ゚ -゚)「その方の名前は分かりますか?」
从 ゚∀从「トソン=コレークだ。聞き覚えは?」
川 ゚ -゚)「トソン……いや、ありませんね」
从 ゚∀从「だが、何かと動きに不審が多い女だった」
从 ゚∀从「てめぇらも何か起こる前に、気をつけておいた方がいいぜ」
川 ゚ -゚)「ご忠告、感謝します」
川 ゚ -゚)「では私は仕事を残してますので、この辺りで」
从 ゚∀从「待てよ。まだ話は終わってねーぞ?」
川 ゚ -゚)「何か有益な情報が得られたら私までご連絡を。それでは」ウィーン
从 ゚∀从「……案外、感情の出やすい女なんだなあいつ」
从 ゚∀从「動揺してんのバレバレじゃねーか」
.
322
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 20:59:51 ID:kGtiVFWo0
.
─────
────
───
──
【クラウンシティ・セントラルパーク】
从 ゚∀从「……」
(゚、゚トソン テクテク
(゚、゚トソン「お呼びですか、ハイドさん」
(゚、゚トソン「今はまだ警察署にいる時間では?」
从 ゚∀从「よう、来たか。早かったな」
(゚、゚トソン「時間はありますので」
(゚、゚トソン「それで、何か進展があって私を呼び出したのですか?」
从 ゚∀从「あぁ、あったぜ」
从 ゚∀从「オメーはクロだって進展がな」
(゚、゚トソン「……!」
从 ゚∀从「今、クォッサ博士と顔合わせて話をしてきた」
从 ゚∀从「奴さん、お前の名前すら知らなかったが、あんたはどう弁明してくれるんだ?」
(゚、゚トソン「さぁ。匿名で話をしただけでしたので」
.
323
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 21:01:25 ID:kGtiVFWo0
.
从 ゚∀从「だがクォッサ博士は、お前の言う雪山で遭難したって話も否定してたぜ?」
从 ゚∀从「それについて、何か言うことはねぇのか?」
(゚、゚トソン「仲間内の秘密を、あのクォッサ博士がはいそうですと肯定するでしょうか」
从 ゚∀从「そういう問題じゃねぇんだよ。てめぇ、やっぱ何か俺に隠してるだろ?」
(゚、゚トソン「隠し事のない人間など、いませんよ」
从 ゚∀从「そういうこっちゃねぇんだよ!!」
从 ゚∀从「俺はてめぇが俺に取り入って、何しようとしてんのか聞いてんだぜ?」
从 ゚∀从「さっさと答えろよ、トソン=コレーク!!」
(゚、゚トソン「では、あなたはクォッサ博士の話を信じ、クォッサ博士の側に着くと?」
从 ゚∀从「当然だ。お前の目的が分からねぇ以上、行動を共にするのはリスクでしかねぇ」
(゚、゚トソン「ということは、王冠を奪取するのも諦めるのですね?」
从 ゚∀从「そうだよ。テメーの口車に乗せられてたまるかってんだ」
(゚、゚トソン「では、ここでお別れですね」
从 ゚∀从「……あ?」
(゚、゚トソン「私は情報を提供した上で協力してくれる方を必要としていましたので」
(゚、゚トソン「あなたがその定義から外れるなら深追いはしません」
(゚、゚トソン「そうなれば次はまた、別の方を探すだけです」
.
324
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 21:03:47 ID:kGtiVFWo0
.
从 ゚∀从「イヤにあっさり引き下がってくれるじゃねーか。却って怪しいぜ」
(゚、゚トソン「別に私には、あなたに執着するメリットがないというだけですよ」
(゚、゚トソン「あなたが私を選択するリスクを、負わなかったのと同じように」
从 ゚∀从「そうかい。なら俺とジョージに二度と近づくな」
从 ゚∀从「次に顔見たら、女だろうと問答無用でぶん殴らせてもらう」
(゚、゚トソン「分かりました。ではそのように計らいましょう」
(゚、゚トソン「今後あなたの前には現れないし連絡も取らない、それでいいですね?」
从 ゚∀从「いいだろう。それで手打ちだ」
(゚、゚トソン「では、ごきげんようミスターハイド」
(゚、゚トソン「あなたの前に、幸運が拓けますように」
从 ゚∀从「へっ。人のために白々しく祈ってんじゃねーよ」
从 ゚∀从「幸運なんてもんは、俺のやり方でこじ開けてやっからよ」
.
325
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 21:06:08 ID:kGtiVFWo0
.
─────
────
───
──
从 ゚∀从 カリカリ
从 ゚∀从(……今俺が手にしてる情報は、こんなもんか)
トソン=コレークから得た情報
・トレジャーはかつて雪山で遭難してあの力を得た。
・それには謎の七色の石が関与している。
・その情報の発信源はクォッサ=サリエリ。
・市庁舎の王冠にその石が使われている可能性がある。
・力を得るには石を持って瀕死になる必要がある。
ペニーナ=カートレンから得た情報
・王冠に金銭的価値は皆無。
・王冠に使われている宝石はペニーナにも判別出来ない。
ピーター=ショボンニから得た情報
・王冠は五百年前のもの。粗悪な造りはそのせい。
・彼は何をしようと王冠を譲渡する気はない。
クォッサ=サリエリから得た情報
・トレジャーが雪山で遭難したという事実はない。
・クォッサ本人はトソン=コレークを知らない。
.
326
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 21:09:02 ID:kGtiVFWo0
.
从 ゚∀从(見れば見るほど、情報が錯綜してやがんな)
从 ゚∀从(一体誰を信じればいいのやら……)
从 ゚∀从(……順を追って整理するか)
从 ゚∀从(まず発端になったのは、トソン=コレークが俺を訪ねて来たこと)
从 ゚∀从(暴行されたジョージを介抱したって話だったが、そこがまず怪しい)
从 ゚∀从(それから奴に引き回されるように方々を回っていったが……)
从 ゚∀从(そもそもなんで俺は、違和感なくあいつを受け入れたんだ?)
从 ゚∀从(アルのジジィの姪っ子だからか?)
从 ゚∀从(いくら初対面じゃねぇからって、女を家に招き入れる?)
从 ゚∀从(ジョージが怪我してたなら、引き取って女はタクシーで返しても良かったんだ)
从 ゚∀从(てか、普段の俺ならそうしてる)
从 ゚∀从(あの時の俺がそうしなかったのは、何故だ……?)
从 ゚∀从(あのタイミングで何かされた……あの短い時間で……?)
从 ゚∀从「……!!」ハッ
从;゚∀从「まさか……記憶の改竄か……!?」
.
327
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 21:10:25 ID:kdjPbx.o0
気付くのか
トソンの能力がしょっぱいのかハイドが切れ者なのか
328
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 21:10:48 ID:kGtiVFWo0
.
从;゚∀从(そうだ、それなら辻褄が合う)
从;゚∀从(ジョージの暴行は俺への接触のきっかけ……その後記憶を操作されたとしたら……)
从;゚∀从(短時間に一切の違和感を排除して、俺へ近づくことができる)
从;゚∀从(クォッサの姉ちゃんは俺の話を聞いて動揺していた……デマならあんな動揺はしねぇ)
从;゚∀从(つまりトソンの話は、真実だったってぇことになる)
从;゚∀从(なのにトソンの名前を知らなかったのは、奴に記憶をいじられてたから……?)
从;゚∀从(待て。それが可能なら、奴がアルのジジィの姪っ子ってのも信用ならなくなんぞ)
从;゚∀从(奴は骨を俺に渡したあの時から、俺に何かさせようとしてたのか?)
从;゚∀从(何か……決まってる。王冠を手に入れされることだ!)
从;゚∀从「なんてこった……自分の行動を省みにゃ気づかねぇなんて……」
从;゚∀从「トソン=コレーク……一体どこまでがお前の意図なんだ……?」
.
329
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 21:12:28 ID:kGtiVFWo0
.
从 ゚∀从(どうする……もしも全てが奴の掌の上なら、このまま踊り続けるのは危険だ)
从 ゚∀从(それとも全て承知の上で、奴の思惑に乗り続けるか……?)
从 ゚∀从「……」ピッピッピッ
prrr、prrr……
『もしもし?』
从 ゚∀从「おう、カフェオレのか。俺だ、ハイドだ」
『ハイド署長。僕に電話とは、珍しいですね』
从 ゚∀从「あぁ。普段なら絶対電話なんざしねぇがな」
『どうされました。先ほどクー博士とも面会されたようですが……』
从 ゚∀从「率直に聞くぞ。お前、記憶を操作するヴィランに心当たりねーか?」
.
330
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 21:15:01 ID:kGtiVFWo0
.
『記憶操作……いえ、今のところそのようなヴィランは記録にありませんね』
从 ゚∀从「そうか、なら気ぃつけな。俺はもしかしたら、もうやられちまったかもしれん」
『やられたというと……記憶を操作されたということですか?』
从 ゚∀从「あぁ。ついでに言うと、クォッサの姉ちゃんも記憶をやられてる可能性がある」
从 ゚∀从「トソン=コレークって女を見かけたら、問答無用で捕縛しろ。これは警告だ」
从 ゚∀从「身長160センチ程度、短めの黒髪を後ろで括った痩せ型で、瞳は鳶色の女だ」
『待ってください。あなたはその情報をどこから?』
从 ゚∀从「企業秘密だ。黙って聞いとけ」
从 ゚∀从「それともう一度聞くが、記憶操作かそれと同じような能力に、マジで覚えはねぇんだな?」
『ありません。今クォッサ博士とも話をしていますが、能力を使われた痕跡もない』
从 ゚∀从「そうか、分かった。思い出したらいつでも俺のケータイに連絡しろ」
『署長、よろしければこれから詳しい話を聞かせ……』
从 ゚∀从「……」プツンッ
从 ゚∀从 ザッ…
.
331
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 21:16:39 ID:kGtiVFWo0
.
【翌朝、中央警察署…】
( ^ω^)「おはようございますお!」
( "ゞ)「あぁ、おはよう」
£°ゞ°)「グモニー、ブーン!」
( ^ω^)「……あれ?署長はまだ来てないんですかお?」
( "ゞ)「来てないみたいだな。署長室にも捜査資料室にもいなかった」
£°ゞ°)「珍しいよネー。いつもなら署員の誰よりも早く来てるのに」
( ^ω^)「寝坊ですかおねー……珍しい」
_
(;゚∀゚)「おぉい!!お前ら!!」バァンッ
(;"ゞ)「わぁっ!?扉壊れるって!!」
£;°ゞ°)「どしたノー、ジョージさん?そんなに慌ててー」
_
(;゚∀゚)「兄貴はこっちに来てるか!?」
( "ゞ)「え。いや、来ていないが……」
( ^ω^)「ジョージさん、署長と一緒じゃないんですかお?」
_
(;゚∀゚)「昨日兄貴は、家に帰って来なかったんだよ……」
_
(;゚∀゚)「そんで今朝起きたら、机の上にこれが……」パサッ
( "ゞ)「それは?」
.
332
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 21:17:52 ID:kGtiVFWo0
.
【辞表】
ジョージへ
起きたらこいつを署まで届けてくれ。
これからはデルタたちと四人で協力するように。
ハイドより
(;"ゞ)「じっ、辞表!?」
£;°ゞ°)「嘘でショー!?」
(;^ω^)「そんな……突然過ぎますお!?」
_
(;゚∀゚)「俺だって信じらんねーよぉ……あの責任感の塊みたいな兄貴がこんないきなり……」
(;"ゞ)「……とりあえず、それを提出するのはまだ待ってくれ」
(;"ゞ)「もしかしたら署長は、何かの事件に巻き込まれたのかもしれない」
£;°ゞ°)「ショッキングネー……」
(;^ω^)「署長、まさかもう殺されてたり……」
_
(;゚∀゚)「縁起でもねぇこと言うんじゃねぇ!!」バンッ
(;^ω^)「す、すみませんお!!」
_
(;゚∀゚)(兄貴ィ……どうしたってんだよぉ……!!)
.
333
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 21:19:59 ID:kGtiVFWo0
.
─────
────
───
──
【クラウン=シティ共同市営墓地…】
从 ゚∀从 ザッ…
从 ゚∀从「……フゥー」
从 ゚∀从「ここへ来るのはもう何度目だろうな」
从 ゚∀从「こうして、慰霊碑へ向けて手を合わせるのも」
从 ゚∀从「お前らは、あっちで元気にやってんのか?」
从 ゚∀从「窮屈な思いしてなきゃいいがな……」
.
334
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 21:21:30 ID:kGtiVFWo0
.
从 ゚∀从「チャーリー、てめぇは熱心なクリスチャンだったな」
从 ゚∀从「あっちでも神様の訓示を聞いて、目ぇ輝かせてやがんのか?」
从 ゚∀从「チャック。お前はバスケが好きだったな」
从 ゚∀从「お前の贔屓のデトロイトオリオンズ、今年も優勝争いには絡めなかったみてぇだぜ」
从 ゚∀从「マイケル、フォーリー、サム、ケイン、トーマス、ベル」
从 ゚∀从「キース、ベン、ウォルト、リチャード、ハロルド……」
从 ゚∀从「お前らのこたぁ、一瞬だって忘れたこたぁねぇよ」
从 ゚∀从「お前らが殉職してから、ただの一度もな」
.
335
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 21:23:16 ID:kGtiVFWo0
.
从 ゚∀从「なぁ、聞いてくれや。俺ァ一体どうすればいい?」
从 ゚∀从「このまま、奴の思い通りに動いちまっていいいと思うか?」
从 ゚∀从「俺はファニーフェイスへ復讐する。そいつぁいい」
从 ゚∀从「だが、トソン=コレークの目的も分からねぇうちに、それに乗っかっていいと思うかよ?」
从 ゚∀从「なぁ……誰か、教えちゃくれねぇか?」
ヒュゥッ……
从 ゚∀从「……ヘッ。そうだよな、分かってたんだよ」
从 ゚∀从「死人は結局、何も言っちゃくれねぇ。背中なんて押しちゃくれねぇんだ」
从 ゚∀从「お前らが望もうと望むまいと、答えは自分で出すっきゃねぇ」
从 ゚∀从「腹ァ括れよ、ハイド=ハートマン」
从 ゚∀从「てめぇは何のために警察官になった?」
从 ゚∀从「のさばる悪党をふん捕まえるためだろうが」
.
336
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 21:24:11 ID:kGtiVFWo0
.
从 ゚∀从「お前らの仇は、俺が絶対に取ってやらぁ」
从 ゚∀从「悪魔に魂を売り渡してでも、復讐は成就させてやる」
从 ゚∀从「だからお前らはそっちで、ファニーフェイスが来るのを待ってやがれ」
从 ゚∀从「そっちで好きなだけ奴を囲んで、タコ殴りにしてやんな」
从 ゚∀从「……」ザッ
.
337
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 21:25:06 ID:kGtiVFWo0
十八話中編終わり
338
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 21:25:30 ID:kGtiVFWo0
後編は明日の同じ時間帯に投下します。
339
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 21:26:06 ID:kdjPbx.o0
おつおつ
340
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 21:34:42 ID:K9Bn2jgY0
乙ぅ!
ハイド、このあとどうするんだろう
341
:
名無しさん
:2018/07/26(木) 23:08:28 ID:S4g5aY3s0
乙!
ショボンニいいキャラしてる…!
342
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:52:01 ID:mViQHq660
乙
やはり一筋縄ではいかない署長
343
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 02:27:54 ID:5mIhdXj.0
かっこe
344
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 19:34:52 ID:dinXch2k0
.
第十八話『PROLOGUE OF CLOWN DEVIL 〜後編〜』
.
345
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 19:36:47 ID:dinXch2k0
.
─────
────
───
──
【ハイド辞職から三日後の深夜、ショボンニ邸……】
(´ーωー`)「……」スピー
prrr、prrr……
(´ーω・`)「んっ……」パチ
(´・ω・`)「誰だ、こんな夜更けに……」
【通話:ハイドくん】
(´・ω・`)「……!」
(´・ω・`)「もしもし、ハイドくんかね?」ピッ
『よう、ジジィ。思ったより早く電話に出たな?』
『まさかまだ起きてやがったのか?』
(´・ω・`)「起こされたに決まってるだろう?……いや、今はそんなことどうでもいいな」
.
346
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 19:38:25 ID:dinXch2k0
.
(´・ω・`)「噂に聞いたよ。君、警察官を辞めたそうだね」
『ほう、もう話が届いてんのか。地獄耳なこって』
(´・ω・`)「君ほど仕事熱心な人間が辞めたとあれば、嫌でも耳に入るよ」
(´・ω・`)「それで、君は今何をしているんだい?」
『なぁに。この三日間、あんたを楽しませる方法をずっと考えてたのさ』
(´・ω・`)「それで電話してきたということは、何か算段がついたと考えても?」
『あぁ。あんた、今から市庁舎まで来れるか?』
(´・ω・`)「運転手はもう返してしまったんだがな……まぁ、何とか工面は出来るだろう」
『そうかい。なら、先にこっちで待ってるぜ』
(´・ω・`)「私がそちらに行かなかった場合、どうなるのかね?」
『あんたはただの証人だ。楽しみたくなけりゃ来なくても構わねぇさ』
(´^ω^`)「フフフ……そうかね。では、楽しみにそちらへ向かうとしよう」
.
347
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 19:39:51 ID:dinXch2k0
.
【市庁舎前…】
キキィッ……
(´・ω・`)「あー、運転手くん、君は先に帰りたまえ。私を待っていなくて構わないよ」
(´・ω・`)「少々時間がかかるかもしれないのでね」バタンッ
(´・ω・`)「さて……誘われて来たはいいが、ここからどうすればいいのかな」
prrr、prrr
(´・ω・`)「……!」ピッ
『来たか、ジジィ。なら裏口から入って、北側の非常ドアから中に入りな』
『中に入ったらそのまま正面エントランスまで来い。鍵は開いてる』
(´・ω・`)「なぜ鍵が開いてるのかは、聞かない方がいいのかな?」
『それも後で説明してやんよ。とりあえずお互いにツラ合わせようや』
(´・ω・`)「……承知した。ひとまずは君の言うとおりにしてみようか」
.
348
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 19:40:24 ID:dinXch2k0
.
カツ、カツ……
(´・ω・`)「やぁ、ハイドくん」
コツ、コツ……
从 ゚∀从「よう、ジジィ」
.
349
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 19:41:58 ID:dinXch2k0
.
(´・ω・`)「今日は突然のお誘い、どうもありがとう」
(´・ω・`)「まずは君がどうやってここまで来たのか、聞いてもいいかな?」
从 ゚∀从「知人に超優秀な鍵屋がいてな。そいつのおかげだ」
从 ゚∀从「複製を作るのに三日もかかっちまったが、その分仕事は上等だぜ?」
(´・ω・`)「ほほう。電子ロックのキーを複製するとは、生半可な腕前じゃないね」
(´・ω・`)「そこまでして呼び出してくれたんだ。さぞや楽しい話題を提供してくれるんだろう?」
从 ゚∀从「まぁ落ち着けよ。ジジィのクセに早漏かっての」
(´・ω・`)「わざわざ王冠の飾ってあるエントランスに呼んでくれたんだ。期待もするさ」
(´・ω・`)「それはつまり、どうあっても王冠を我が物にするということだね?」
从 ゚∀从「さてな……それより、ジジィが来るまでに王冠をじっくり観察させてもらったんだがよ」
(´・ω・`)「ふむ、どうかね?」
从 ゚∀从「俺にゃあやっぱり、この手のモノの価値なんざ分からねぇよ」
从 ゚∀从「どこがどう粗悪で最低なのか、サッパリ見当もつかねぇわ」
(´・ω・`)「君ももう少しいいものを見るようにすれば、分かるようになるさ」
从 ゚∀从「……」
.
350
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 19:43:38 ID:dinXch2k0
.
从 ゚∀从「……あんた、ここまで来ても俺が王冠を欲しがる理由、聞かねぇのか」
(´・ω・`)「言っただろう?そんなことは些末なことだ」
(´・ω・`)「大事なのは君が、どう私を楽しませてくれるかだけだよ」
从 ゚∀从「いいや、違うね。あんたは俺が王冠を欲しがる理由を、もう察してるんだろ」
(´・ω・`)「さぁね。皆目分からないな」
从 ゚∀从「とぼけるのも大概にしろよ」
从 ゚∀从「本当にその王冠が惜しいなら、偽物だと指摘された時点でそうだと言えばいいだけだ」
从 ゚∀从「王冠が無価値と分かりゃあ、普通の人間なら諦めるはずだからな」
从 ゚∀从「あんたがそうしなかったのは、その王冠に別の価値を見いだしているから」
从 ゚∀从「そして俺も、別の意味で王冠を欲しがっていると理解していたからじゃねぇのか?」
(´・ω・`)「想像力たくましいね、君は。うらやましい限りだ」
从 ゚∀从「ほーう?あくまでもシラ切ろうってのか?」
从 ゚∀从「ならこっちも、それなりの勝負札を切るっきゃねぇな」
.
351
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 19:44:34 ID:dinXch2k0
.
从 ゚∀从「この三日間、俺ァ散々考えつくしたよ」
从 ゚∀从「どうすりゃあんたの興味を惹く話が出来るかってな」
(´・ω・`)「勤勉なことだね、実に君らしい」
从 ゚∀从「そして、ひとつの結論に至った」
(´・ω・`)「それは?」
从 ゚∀从「あんたは百戦錬磨の政治家だ。並の手練じゃ動じねぇ」
从 ゚∀从「だからいっそのこと、全部本当のことを話しちまおうと思ったのよ」
(´・ω・`)「ほう!まさかそんなことを考えていたとはね」
(´・ω・`)「面白い……続けたまえ、ハイドくん」
.
352
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 19:46:51 ID:dinXch2k0
.
从 ゚∀从「あの王冠は……いや、王冠に収まってる石は、トレジャーのパワーの源となってるモンと恐らく同じだ」
(´・ω・`)「……!」
从 ゚∀从「奴はかつて、あれとそっくりな石を持ったまま雪山で遭難したらしい」
从 ゚∀从「そして生死の境をさ迷った末、起きた時に石は消え去り、今のバカげた体に成り果てたそうだ」
从 ゚∀从「恐らく石が体と同化したんじゃねぇかって話だったな……」
(´・ω・`)「その石が、王冠の石と同じものであるという証拠は?」
从 ゚∀从「ねぇよ。だからこれはバクチなんだ」
从 ゚∀从「見通しの効かねぇ、分の悪すぎるギャンブルよ」
(´・ω・`)「ふむ……全てを賭けたギャンブル、か」
(´・ω・`)「ならば私も、全てをさらけ出さないとフェアじゃないだろうね」
从 ゚∀从「なに?」
(´・ω・`)「君の話してくれたことは、私の持つ情報とはいささか違っていたようだ」
(´・ω・`)「私はてっきり、君がこの石を奪取して廃棄するつもりだと思っていたんだよ」
.
353
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 19:48:37 ID:dinXch2k0
.
从 ゚∀从「なんで俺がそんなことをすると思った?」
(´・ω・`)「そりゃそうだ。君はヴィラン専門の刑事で、この石はヴィランを産み出すのだからね」
从 ゚∀从「なんだと?」
(´・ω・`)「教えよう、ハイドくん。全ての事の起こりを」
(´・ω・`)「この石は人をランダムに選び、夢を見させている」
(´・ω・`)「普通の人間を、超常能力者に変えてしまうあの夢をね」
从;゚∀从「なにぃ……?」
(´・ω・`)「つまり、ヴィランであれヒーローであれ、この石無くしては存在し得ないということだ」
(´・ω・`)「断言しよう。全ての元凶はこの石だ、それは間違っていない」
(´・ω・`)「だからこそ私は、君に王冠を譲る訳にはいかなったのだよ」
从;゚∀从「……なんてこった」
.
354
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 19:50:08 ID:dinXch2k0
.
(´・ω・`)「君はおかしいと思ったことはなかったかね?」
(´・ω・`)「いかに大都市とはいえ、米国のヴィラン犯罪の約八割が、この街で起こっているという不思議を」
从 ゚∀从「……アメリカ1の都市なんだ。そんなもん普通だと思ってたぜ」
(´・ω・`)「そうではないんだ。答えは、この石が絶えず超常能力者を生み出していたから」
(´・ω・`)「だから必然的に事件数は増え、統計の割合は上がってゆく」
(´・ω・`)「そしてさらに憶測を言うならば……この石は、ここに飾られている物が全てではないはずなんだ」
从;゚∀从「そんな物騒なモンが、まだありやがるってのか?」
(´・ω・`)「統計の残り二割だよ、ハイドくん」
(´・ω・`)「石がヴィランとヒーローを生み出しているなら、この街以外で生まれた超常能力者も起源は同じはず」
(´・ω・`)「つまり、発生源となる石が他にもあることの証明になるんだよ」
从 ゚∀从「待てよ!なんであんたはそんなこと知ってんだ?」
从 ゚∀从「まるであらかじめ全部分かってやってたみてぇな言い方じゃねぇか」
(´・ω・`)「その通り、分かってやっていたんだよ」
(´・ω・`)「何故なら私も、この石の見せる夢を見た一人なんだからね」
从;゚∀从「……!!」
.
355
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 19:51:44 ID:dinXch2k0
.
(´ーωー`)「……少しだけ昔話をしようか、ハイドくん」
(´・ω・`)「あれはこの街が近代化する以前、半世紀近くも前のことになる」
(´・ω・`)「この街はかつて、開拓民の安息所として栄えた街でね」
(´・ω・`)「名前もまだクラウンシティではなく、カウベルタウンという名前だった」
(´・ω・`)「その頃にちょうど、アメリカの象徴となる新しい都市を作ろうという計画があってね」
(´・ω・`)「白羽の矢が立ったのが、大陸の中央に位置するこの街だったのさ」
(´・ω・`)「当時の私は、中央からこの街へ派遣された役人として、様々な開発に奔走していたんだ」
(´・ω・`)「その頃はここもまだ、道路整備すらおぼついていなくてね……毎日が上を下への大わらわだったよ」
(´・ω・`)「ある日、工事の現場に赴いていた私は、廃土の中から不思議なものを見つけた」
(´・ω・`)「それは七色に光る、神秘的な石ころだった」
(´・ω・`)「私はそれが捨てられる前に、こっそり持ち帰って確保することに成功した」
(´・ω・`)「その石のあまりの美しさに、私はそれが希少な石なのではないかと思ったんだよ」
(´・ω・`)「業者が懐に入れる前に見つけたのは、奇跡としか言い様がなかったね」
从 ゚∀从「じゃあ、出土したのは王冠じゃなく石だけだったのか」
(´・ω・`)「そうだ。君の言うとおり、王冠部分は質の悪い、後付けの台座に過ぎなかったんだよ」
.
356
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 19:53:10 ID:dinXch2k0
.
(´・ω・`)「その石を持ち帰ったその夜、私は不思議な夢を見た」
(´・ω・`)「石に象徴されるのと同じ、七色の光が私に問いかける夢だ」
(´・ω・`)「その光は、同じ言葉を何度も私へ投げかけてきた」
(´・ω・`)「『望め』、とね」
(´・ω・`)「そしてさらに不思議なことに、その夢は私の家族や使用人、全員が見ていたのだよ」
(´・ω・`)「屋敷にいた十人のうち、全員がだ。そんなことあり得ると思うかね?」
从;゚∀从「……」
(´・ω・`)「私は直感したよ。あの謎の石が、あの夢を見させていたのだとね」
(´・ω・`)「そしてその数日後、私はあの夢の意味も理解することになる」
.
357
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 19:54:40 ID:dinXch2k0
.
(´・ω・`)「使用人の一人が、超常能力者として開花してしまったんだよ」
从;゚∀从「……!!」
(´・ω・`)「まだ特犯課の出来るはるか前だ。欲にまみれた彼は、最終的に警察に射殺されたよ」
(´・ω・`)「『俺は夢で、触れたものを金に換えることが出来るようになった』と、言い残してね」
(´・ω・`)「その意味が分かったのは、彼の体から黄金の弾丸が溢れ落ちるのを見た私だけだった……」
(´・ω・`)「あの夢は、願った者を望む通りの体に作り替えてしまう、恐ろしい夢だったのだよ」
从 ゚∀从「待てよ、ジジィ」
(´・ω・`)「なんだね?」
从 ゚∀从「ジジィは夢に向かって、なんて答えたんだ?」
从 ゚∀从「まさかあんたも、ヴィランの一人だったなんて言うつもりはねーよな?」
(´^ω^`)「ハハッ、安心しなさい。私は正真正銘、人間だよ」
(´・ω・`)「夢だって、答えに窮してる間に覚めてしまったんだ」
从 ゚∀从「どうだかな……政治家って輩が正直なはずねぇだろ?」
(´・ω・`)「疑うのも無理はないがねぇ。私は、ただの人間で十分なんだよ」
从 ゚∀从「……」
.
358
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 19:57:49 ID:dinXch2k0
.
(´・ω・`)「私はいずれ老い、死んで行くただのピーター=ショボンニで十分だ」
(´・ω・`)「超人になどならなくても、この街はそれだけで楽しめる」
(´・ω・`)「私が死んでからも、世にスーパーマンは増え続けるのだろうがね」
从 ゚∀从「解せねぇな……なんでそんなことしやがるんだ?」
从 ゚∀从「あんた今、例の夢は恐ろしい夢だって言っただろうがよ」
(´・ω・`)「座興だよ。ハイドくん」
(´・ω・`)「私も最初こそ石を恐れたが、そのうちこれは面白いことになるんじゃないかと考えを改めたんだ」
(´・ω・`)「この街は年追うごとに大きく膨れ上がり、アメリカ中の都市のモデルケースとなりつつあった」
(´・ω・`)「その渦中にあって、ヒーローとヴィランが、街へどういう影響を与えるか見てみたくなったんだ」
(´・ω・`)「だからより人が多く集まる市庁舎へ王冠を飾り、都市の名前もクラウン・シティへと変更した」
(´・ω・`)「それに、ただの人間が超人を御していることこそ、真に面白いと思わないかい?」
从 ゚∀从「陰気な趣味だぜ。黒幕気取りで高見の見物かよ?」
(´・ω・`)「どちらかというと、映画監督とでも言って欲しかったね」
.
359
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 19:59:52 ID:dinXch2k0
.
(´・ω・`)「ふぅ……短く語ると言った割に、長々しゃべってしまったね」
(´・ω・`)「そういう訳で、私の持ちうる情報はこれが全てだ」
(´・ω・`)「ご期待に沿えるものだったかは君次第だがね?」
从 ゚∀从「よーく分かったぜ。あんたが市民を危険にさらす、要注意人物だってな」
(´・ω・`)「そう言ってくれるな。危険人物という意味では、今の君もそう大差ないよ」
从 ゚∀从「……チッ」
(´・ω・`)「しかし……石が夢を見させていたのは知っていたが、石を取り込むとより顕著な力が発揮されるとは」
从 ゚∀从「あぁ。それで俺が石を欲しがる理由も分かったろ?」
(´^ω^`)「それどころか、今私は面白い推論を思いついたところだよ」
从 ゚∀从「あ?」
(´・ω・`)「ファニーフェイスだよ。もしかしたら彼のルーツも、この街にあるのかもしれない」
从 ゚∀从「……どういうこった?」
.
360
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:01:06 ID:dinXch2k0
.
(´・ω・`)「さっき私は、廃土の中から石を見つけたと言ったろう?」
从 ゚∀从「あぁ、言ったな」
(´・ω・`)「その廃土、どこへ捨てていたか知っているかい?」
从 ゚∀从「んなもん、俺が知るかよ」
(´・ω・`)「スモーキータウンだよ。ファニーフェイスの生まれ故郷の、ゴミの町だ」
从 ゚∀从「……!!」
(´・ω・`)「もし廃土の中に、まだあの石があったのだとしたら……」
(´・ω・`)「それを吸収してファニーフェイスがあぁなった可能性は高いのではないかな?」
从;゚∀从「じゃあテメーが全ての元凶なんじゃねーか!!」
(´・ω・`)「当時の私は木っ端役人だからね。意図して悪いことしてたのとは違うよ」
(´・ω・`)「廃土を捨ててたのも上からの指示だし、不問不問」
从;゚∀从「くっ……なんか解せねぇな……」
.
361
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:02:43 ID:dinXch2k0
.
(´・ω・`)「さて……ひとまず私の話せることはこれで終わりかな」
(´・ω・`)「これを受けて、君はどうコールする?」
从 ゚∀从「変わらねーよ。俺は過去に何があろうと、その王冠をいただくだけだ」
(´・ω・`)「それは、君も石を取り込んで超人となるということかね?」
从 ゚∀从「あぁ。そう取ってもらって構わねぇぜ」
(´・ω・`)「なるほどね……警察を辞めてまでここへ来るはずだ」
(´・ω・`)「だが、そう易々と目的は果たさせないよ」
从 ゚∀从「だろうなぁ」
从 ゚∀从「あんたの目的がヒーローとヴィランを増やすことなら、石は必要不可欠だからな」
(´・ω・`)「そういうことだ」
(´・ω・`)「君には悪いが、王冠はあきらめてもらおうか」
.
362
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:04:00 ID:0JZGZDmA0
しえん
363
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:04:33 ID:dinXch2k0
ビッグ64
从 ゚∀从「残念だが、俺も全てを捨ててここへ臨んでるんでな」
从 ゚∀从「はいそうですかと、引き下がる訳にゃいかねぇのよ」
(´・ω・`)「ならばどうするかね?」
(´・ω・`)「君の話は十分に興味深かったが、我々の対立を深める役目しか果たさなかった」
(´・ω・`)「このまま議論が平行線を辿れば、君は何も得ることなく舞台から下ろされるだけだぞ?」
从 ゚∀从「だから気が早ぇっつーの。遊びはまだこれからだろ?」
从 ゚∀从「俺はにはまだ、残されたカードがある」
(´・ω・`)「それは?」
从 ゚∀从「こいつさ」
从 ゚∀从っy=ー チャキッ
(´・ω・`)「……!」
.
364
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:05:14 ID:JxesfVuI0
なんという食わせ者
365
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:05:41 ID:dinXch2k0
.
(´・ω・`)「およそ考えうる最も下らない策を取ったものだ」
(´・ω・`)「銃で脅して、王冠を得るつもりかね?」
(´・ω・`)「言っておくが、私を殺したところで警備が解除されるはずもない」
(´・ω・`)「ショーケースに触れれば即座に警報が鳴り、君は追われる身となるだろう」
(´・ω・`)「それでも良ければ、好きにするといい」
从 ゚∀从「ジジィ、今日三度目だ。あんたせっかちすぎんだよ」
从 ゚∀从「結論を急ぐ前に、もっと楽しむ余裕を持ちな」
从 ゚∀从「あんたが俺に、そう教えたんだぜ?」
(´・ω・`)「……ほう?」
.
366
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:07:55 ID:dinXch2k0
.
从 ゚∀从「さぁ、ショータイムの始まりだ」
从 ゚∀从「こいつぁ命を的に掛けた、俺の最後のバクチだぜ」
从 ゚∀从「瞬きしねぇうちに、よぉく目に焼き付けときな」
从 ゚∀从「演目は、ロシアンルーレットなんてどうだ?」
(;´・ω・`)「ロシアン……? まさか、待て!早まるなハイドくん!!」
ショボンニが止める間もなく、ハイドは銃身を自らの胸へ強く押し当て、その引き金を引いた!!
そして、無慈悲なる銃声は、高らかに鳴り響く!!
.
367
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:08:38 ID:dinXch2k0
.
ドンッ、ドンッ…!!
.
368
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:09:56 ID:dinXch2k0
.
从; ∀从「……」
从; ∀从:∵∴ カハッ
(;´・ω・`)「ハイドくん!!」
从; ∀从「へ……へへ……」
从; ∀从「これくらい、しねぇと……あんた……楽しめねぇだろ……?」
(;´・ω・`)「バカな真似を……すぐに止血するんだ!!」
从; ∀从「寄るんじゃねぇ……まだ俺の賭けは……終わっちゃいねぇ……!!」
(;´・ω・`)「……君は一体何を?」
从; ∀从「あー……クソが……やっぱ死ぬほど痛ぇなぁ……」
从; ∀从「けどよぉ……お前らはもっと……痛かった、よな……」
从; ∀从「なぁ……みんな……」
.
369
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:11:18 ID:dinXch2k0
.
从; ∀从「あの日から……後悔しねぇ日は一日だって……なかった……」
从; ∀从「俺が……お前らをちゃんと止めてりゃ……」
从; ∀从「ファニー、フェイスを……追うなと……律していれば……」
从; ∀从「だから……俺が、仇を取る……取らなきゃ……ならねぇんだ……」ズリッ、ズリッ…
(;´・ω・`)「まだ動けるのか……!?」
从; ∀从「なぁ、王冠よぉ……聞こえるか……?」
从; ∀从「ここに……瀕死の、バカがいるんだ……力を貸せよ……」
从; ∀从「俺に……力をっ……!!」
.
370
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:11:43 ID:crufaPc.0
石仮面みたいなものか
支援
371
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:12:11 ID:dinXch2k0
.
从# ∀从「……力をッ、寄越せェェェェェェェェェェ!!!!!!」
从# ∀从「ウアァァァァァァァァァァァァァッッ……!!!!」
.
372
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:13:17 ID:dinXch2k0
.
─── シィーン………
.
373
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:14:58 ID:dinXch2k0
.
从; ∀从「……へっ」
从; ∀从「やっぱそんなに……甘く、ねぇってことかぁ……」
从; ∀从「あーあ……最後に、下手なバクチ……打っちまった、な……」
ドサッ…
(;´・ω・`)「ハイドくん!!」タタッ
(;´・ω・`)「……意識なし、脈拍なし、出血多量。胸部損傷はショック死に至るに十分」
(;´・ω・`)「これは……もう助からない……」
(;´ーωー`)「なんてバカな死に方をしたんだ、君は……」
.
374
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:16:52 ID:JxesfVuI0
あらま
375
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:16:57 ID:dinXch2k0
.
(´・ω・`)「君はバカだよ……本当に、バカな男だ……」
(´・ω・`)「こんなことで、私が喜ぶと思ったのかね?」
(´・ω・`)「こんなことで、賭けに勝ったと勇むつもりだったのかね……」
(´・ω・`)「君はもっと、賢い人間だと思っていたがなぁ」
(´ーωー`)「怒りはかくも、人の心を鈍らせるということか……」
(´・ω・`)「賭けは私の勝ちだ。なんとも虚しい勝利だよ、ハイドくん」
(´・ω・`)「死に場所を求めるだけのギャンブルなど、何の意味があるというのかね」
(´・ω・`)「賭けに負けた者は、惨めにその死に様を晒すといい」
(´・ω・`)「さよならだ。そして、もう二度と会うこともないだろう」
.
376
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:18:05 ID:dinXch2k0
.
───カタンッ
.
377
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:18:37 ID:crufaPc.0
おっ
378
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:18:57 ID:dinXch2k0
.
(´・ω・`)「……?」
(´・ω・`)「今の音は……?」
カタンッ、カタンッ……
ガタガタガタガタッ……
(;´・ω・`)「……!?」
(;´・ω・`)「王冠が、動いてる……!?」
それはまるで、余震から本震への推移のように!!
沖のさざ波が、岸に着けば津波へと変貌するように!!
ガラスを打つ小さな挙動は、より大きく、より激しい動きへと連なってゆく!!
その波動の発生源は、ケースに収められた王冠であった!!
(;´・ω・`)「な、なんだ!?」
そしてショーケースが内部から打ち破られると同時に!!
王冠から、七色の強烈な閃光が迸った!!
.
379
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:20:52 ID:dinXch2k0
.
(;´・ω・`)「うおぉっ!?」
まばゆい光線はショボンニの体を素通りし、一直線にハイドの方へと進む!!
その光が当たるや、ハイドの血の気の失せた肌に朱が差し、傷口が音を立てて修復された!!
(;´・ω・`)「な……なんと……」
同時に、ショーケースが破られたことで市庁舎の警報が鳴り響く!!
轟音と閃光の真っ只中、まるで自ら意思を持つように、石は王冠から外れ、ハイドの方向へと転がってゆく!!
(;´・ω・`)「ま、待て!!行くな!!」
制止の声も虚しく、石は仰向けに倒れたハイドの胸の傷へ吸い込まれてゆく!!
既に七割がた修復されていたその傷は、石が触れることにより跡形もなく消え去った!!
(;´・ω・`)「こんなことが……起こり得るのか……!?」
そうして石は、ハイドの体内へと吸収されたのだ!!
.
380
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:22:04 ID:JxesfVuI0
どう転ぶかなぁ
381
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:22:42 ID:dinXch2k0
.
从 ∀从 シュウゥゥゥ…
从 ∀从「……」ムクリ
骸のように!!灰のように!!そして不死鳥のように!!
ハイドはゆったりと、その体を起こす!!
(;´・ω・`)「あ……悪魔……」
常軌を逸したその光景に、ショボンニはそう呟かずにいられなかった!!
从 ∀从「悪魔、か……いいじゃねぇか……」
从 ∀从「一度死んだ俺には、ちょうどいい名だ」
从 ∀从「今この瞬間から、俺はもうハイド=ハートマンじゃねぇ」
从 ∀从「俺はクラウンシティの悪魔、復讐の鬼……」
.
382
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:23:34 ID:dinXch2k0
.
从 ゚∀从「リベンジャー 、クラウン・デビルだ」
.
383
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:25:37 ID:dinXch2k0
.
【同時刻、総合科学技術研究所……】
( ,,^Д^) 「……ムッ!!」ピキィーンッ
( ,,^Д^)「何だ……今の気配は……?」
.
384
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:26:26 ID:JxesfVuI0
ネーミングが実にアメコミ
385
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:26:32 ID:dinXch2k0
.
【同時刻、地下排水路……】
( ∀ )「グガァ……グゴォ……」
( ∀ ))) ピクッ
( ∀ )「アヒャッ……」
( ∀ )「アヒャッ……アヒャッ……」
( ∀ )「アヒャヒャヒャヒャヒャッ……!!」
(;´_ゝ`)「弟者ぁぁぁこいつ寝てるのにめっちゃ笑ってるよ怖ぇよぉぉぉ」
(´<_`;)「落ち着け兄者、害はない……多分」
.
386
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:28:10 ID:dinXch2k0
.
─────
────
───
──
その後、警報を受けて駆けつけた警備員により、大きく破損した王冠と茫然とするショボンニ氏が発見された。
警察は周到に計画された盗難事件と判断し、捜査を進める。
破損した王冠は、犯人が腹いせに壊したものと見て捜査したが、
ハイド=ハートマンの関与にまで捜査のメスは及ばなかった。
現場には大量の血痕が残されており、警察は傷害事件としての立件も視野に入れると発表する。
また、事件の被害者である王冠の持ち主、ピーター=ショボンニ氏は、一切のコメントを拒み固く口を閉ざしたままだという。
.
387
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:28:12 ID:crufaPc.0
ハイドー!かっこいいー!
388
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:29:10 ID:dinXch2k0
.
絶世のスーパーヒーロー、ビッグ・トレジャー。
狂乱のスーパーヴィラン、ファニー・フェイス。
孤高のスーパーリベンジャー、クラウン・デビル。
今ここに、全く異なる三者が、全く異なる高みより、この街へ集結したのである。
.
389
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:31:33 ID:dinXch2k0
.
ビッグ・トレジャー第十八話
『PROLOGUE OF CLOWN DEVIL(クラウン・デビルの序章)』
and…
『EPILOGUE OF HIDE HARTMAN(ハイド=ハートマンの終章)』
END.
390
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:32:13 ID:dinXch2k0
十八話後編終わり
391
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:33:27 ID:JxesfVuI0
おつおつ
3人がどうやりあうか楽しみだ
392
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:35:47 ID:dinXch2k0
.
.
393
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:37:39 ID:dinXch2k0
第十八話・裏「そして目的を果たした女」
394
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:39:01 ID:dinXch2k0
.
─────
────
───
──
『こちらは、事件の現場となった市庁舎前です』
『関係者は必死の捜索を続けていますが、犯人の足取りは未だ掴めていません』
『現場には大量の血痕が残されており、警察は犯人グループが仲間割れしたのではとの見解を見せています』
『有力な目撃情報をお持ちの方は、クラウンシティ中央署までご連絡下さい……』
(//‰ ゚)「……」
.
395
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:40:49 ID:dinXch2k0
.
「ハーイドさん」
(//‰ ゚)「……!」
(゚、゚トソン「こっちですよー」
(//‰ ゚)「……」
(゚、゚トソン「こんにちは、署長……いえ、今は元署長とお呼びしましょうか?」
(//‰ ゚)「……トソン=コレーク。テメェ、なんでここにいる……?」
(゚、゚トソン「無論、あなたに会うためですよ」
(゚、゚トソン「そんな変装したくらいで、バレないと思ってるんですか?」
.
396
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:41:24 ID:JxesfVuI0
ハインがイボ太郎にッッ!
397
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:41:28 ID:crufaPc.0
トソンはどう動く
398
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:41:49 ID:dinXch2k0
.
(//‰ ゚)「なぜ俺がここにいると分かった……」
(^、^トソン「ウフフ……そのコート、よぉくお似合いですよ?」トントン
(//‰ ゚)「……チッ。発信器でも着けてやがったか」
(゚、゚トソン「いかに超人的能力を得ても、人間の技術力は侮らない方がいいですよ?」
(゚、゚トソン「まぁその迂闊のおかげで、またあなたに会うことが出来たんですけど」
(//‰ ゚)「……何の用だ。俺はお前に金輪際近づくなと言ったはずだ」
(゚、゚トソン「そう邪険にしないでください。私はあなたを祝福しにきただけなんですから」
.
399
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:44:23 ID:dinXch2k0
.
(゚、゚トソン「ハイドさん。人間卒業おめでとうございます」
(゚、゚トソン「私も、影で暗躍した甲斐があったというものです」
(゚、゚トソン「あなたなら、たとえ私と決別しても、独力で事を成すと思っていましたよ」
(//‰ ゚)「……お前の目的は、結局なんだったんだ?」
(゚、゚トソン「言ったじゃないですか、石の力の真実を暴きたいだけだって」
(゚、゚トソン「そのために、あなたは最高のコマとして動いてくれましたよ」
(//‰ ゚)「そうか。だがそんな物言いして、俺が凶行に走るとは思わなかったのか?」
(゚、゚トソン「さぁ。あなたにはそんな暇ないと思いますが」
.
400
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:44:57 ID:/7J5qTgs0
トソン腹立つわ
401
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:45:32 ID:crufaPc.0
わかる
ムカつく
402
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:46:07 ID:dinXch2k0
.
(゚、゚トソン「力を手に入れた今、あなたの目的はファニーフェイスの他にあり得ない」
(゚、゚トソン「ならば私なんかに関わっている時間、ないと思いますが」
(//‰ ゚)「……あぁ、そうだな」
(゚、゚トソン「でしょう?」
(//‰ ゚)「だがな」ヒュンッ
(゚、゚;トソン「……!!」
メキィッ…!!
( 、 ;トソン「ぐっ……!?」
(//‰ ゚)「テメェはジョージに手を出した」
(//‰ ゚)「その報いだけは、キッチリ受けてもらう」
ドスッ、ゴッ、バキッ…!!
( 、 ;トソン「うがっ……あっ……!!」
.
403
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:47:27 ID:dinXch2k0
.
( 、 ;トソン ボロッ…
(//‰ ゚)「テメェの目的が何だったかなんざ、今さらどうでもいい」
(//‰ ゚)「だが、これに懲りたら二度と俺の前に姿を見せるな」
(//‰ ゚)「命だけは残してやる。さっさと俺の前から消えろ」
(//‰ ゚) ザッ…
(//‰ ゚)「……あぁ、そうか。まだ発信器付きのコートがありやがったか」
(//‰ ゚)「わりと気に入ってたコートだったんだがな……」バサッ
( 、 ;トソン「……」
( ー ;トソン「……」ニヤァ…
.
404
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:48:46 ID:dinXch2k0
.
─────
────
───
──
( 、 ;トソン「う……く……」
( 、 ;トソン「うふ……うふふふ……」
( 、 ;トソン「やはり……とんでもない力を手に入れて……帰って来ましたねぇ……」
( 、 ;トソン「ゲホッ!!オェッ、ゲェェェッ……!!」ゲボッ
( 、 ;トソン「……ゲロに……血が混じってる……今にも死んじゃいそう……」
( 、 ;トソン「けど……『それ』が手に入るなら……安い買い物です……」
.
405
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:49:52 ID:dinXch2k0
.
( 、 ;トソン「私が欲しかったのはぁ……あなたの、そのコート……」ズルッ、ズルッ
( 、 ;トソン「発信器があると知れば……あなたは必ず……それを捨てると踏んでいた……」
( 、 ;トソン「これさえあれば……我々はますます、磐石になる……」
( 、 ;トソン「手に入れましたよぉ……ボスぅ……最高の、至宝を……」
( 、 ;トソン「うふ、うふふ、ふふふふふ……」ギュッ
.
406
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:50:26 ID:dinXch2k0
第十八話裏・終わり
407
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:50:45 ID:JxesfVuI0
組織的なもんがあるのか?
408
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:51:32 ID:dinXch2k0
【登場人物紹介】
(//‰ ゚)
CROWN DEVIL
本名:ハイド=ハートマン
王冠強奪未遂の犯人であり、クラウンシティに現れた第三の超人。
頭部を包帯で幾重にも巻いており、その素顔を見ることは出来ない。
その正体は元中央警察署署長、ハイド=ハートマン。
ファニーフェイスの首を狙い、今日も街を徘徊する。
(゚、゚トソン
MAD COLLECTOR
本名:トソン=コレーク
ついに目的を果たした謎の女。
コートを手に入れた後の消息は不明。
.
409
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:54:02 ID:crufaPc.0
乙
コート、どんな品だったっけ
読み返さなくちゃ
410
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 21:40:59 ID:X4dIgmGY0
なんというアツい展開
乙
411
:
名無しさん
:2018/07/28(土) 19:43:01 ID:rqh0/LYg0
乙
コートに一体なにが
412
:
名無しさん
:2018/07/28(土) 21:14:09 ID:IFEM/gw20
コレクターだからただの署長ストーカーの可能性もあるぞ!
413
:
名無しさん
:2018/07/29(日) 07:23:40 ID:9B/amdA60
>>412
へ、変態だぁー!!!
414
:
名無しさん
:2018/07/29(日) 07:42:22 ID:F329GUNA0
>>413
全裸のムキムキなおっさんが出てくるのに比べれば…
415
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 19:58:46 ID:XCQ3iK3U0
.
─────
────
───
──
『王冠強奪未遂から五日が経過しましたが、犯人は現在も捕まっておりません』
『警察は捜査範囲をさらに拡大し、犯人の足取りを追うとのことです』
从 ゚∀从「……」プツッ
从 ゚∀从「俺も長く警察のメシ食ってきた身だがよぉ」ヴゥゥン…
从 ゚∀从「まさか犯人目線で事件のニュースを見る日が来るとは、思わなかったぜ」ヴヴゥン…
(´・ω・`)「だろうね」
从 ゚∀从「こうしてみると警察ってなぁ、滑稽なモンだったんだなぁ」ヴゥン…
从 ゚∀从「今までの俺の努力は何だったのかって、アホらしくなってくるぜ」ヴゥーン…
(;´ーωー`)「……ハァ」
(´・ω・`)「そんなことより君、いつまで私の家に居座るつもりだい?」
(´・ω・`)「そうして余裕ぶって見てるテレビも、私のものなんだがね?」
从 ゚∀从「ケチくせぇこと言うない。これだからジジィはみみっちくて困るぜ」ヴーン
(;´・ω・`)「そういう問題じゃないだろう……」
.
416
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:01:13 ID:XCQ3iK3U0
.
从 ゚∀从「しょうがねぇだろ?俺の正体を知ってるのはあんただけなんだからよ」ヴン、ヴーン
(´・ω・`)「あのなぁ……私が市庁舎の監視カメラの映像握りつぶしてなかったら、君は今頃お尋ね者だぞ?」
(´・ω・`)「そこのところを考えて、少しは私に感謝してほしいものだがね」
从 ゚∀从「人のためみてぇな言い方してんじゃねーよ」ヴゥーン
从 ゚∀从「映像が出回ったら、あんたも王冠泥棒の共犯だと疑われるからだろ?」ヴゥ、ヴゥ
(´・ω・`)「それも無論あるが、どちらかというと石の力で君が変貌したのを、知られたくなかったんだよ」
(´・ω・`)「君は今や、争い事の火種となるのに十分すぎるほどの力を手に入れたんだからね」
(´・ω・`)「それなのにいざ逃げる段階になったら、私のとこに転がり込んで来るし……」
从 ゚∀从「元いた家にゃ戻れねぇし、しばらくここを拠点にしようと思っただけだ」ヴヴヴヴ
从 ゚∀从「迷惑はかけねぇよ」ヴーン
(´・ω・`)「いるだけで迷惑とは思わないのかなぁ……」
.
417
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:02:59 ID:XCQ3iK3U0
.
(´・ω・`)「使用人たちもいきなり君が来て、ビックリしてるんだよ」
(´・ω・`)「彼らから君の情報が漏れても、私は責任を取れないぞ」
从 ゚∀从「心配すんな。今の俺は、並の人間がどうこう出来るレベルじゃねぇ」ヴォォン
从 ゚∀从「たとえ1000人が相手でも、無傷で切り抜けてやるさ」ヴヴヴ
(´・ω・`)「それに、私は君の食事まで工面するつもりはないが?」
从 ゚∀从「それがよぉ、この体になってから、食欲はあるが腹は減らねぇんだよな」ヴーン
从 ゚∀从「多分飲まず食わずでも、一週間はフルで活動出来んじゃねーかな」ヴヴゥ
(´・ω・`)「ずいぶんと人間離れしたものだ。それが超越者の特権なのかね」
从 ゚∀从「さぁな。今は俺もまだ模索してる段階だから、何とも言えねぇがよ」ヴヴ、ヴヴ
(´・ω・`)「……ところでさっきから妙な音がしてるが、君ハエでも飼ってるのかい?」
从 ゚∀从「これか?こりゃ企業秘密って奴だ、気にするこたねぇ」ヴォォン
(´・ω・`)「……」
.
418
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:04:15 ID:XCQ3iK3U0
.
(´・ω・`)「やれやれ……石は失う、厄介者は増える、妙な音は聞こえる。私も災難続きだね」
从 ゚∀从「自業自得だろ。黒幕気取ってふんぞり返ってっからだよ」ヴゥーン
从 ゚∀从「ま、厄介払いしたくなる気持ちも分からなくはねーからよ」ヴーン
从 ゚∀从「ちったぁ家主の言い分に従って、お外でも散歩して来ますかね」ヴヴヴ、ヴッ
(´・ω・`)「どこへ行くつもりかね?」
从 ゚∀从「腕試しだよ。今の自分がどこまで出来るのか、奴と当たる前に確かめとかにゃな」ヴー、ヴー
(´・ω・`)「おいおい、外はマスコミが張り込んでるんだぞ?」
(´・ω・`)「君が出入りしてたら明らかに怪しいじゃないか」
从 ゚∀从「屋根づたいに跳んできゃまずバレやしねぇだろ」ヴンヴヴヴ
从 ゚∀从「あんたん家にあった包帯、ちょっくら借りてくぜ!」ヴゥンッ
シュンッ
(´・ω・`)「……消えた」
(´・ω・`)「日に日に行動が化け物じみていくなぁ」
.
419
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:06:34 ID:p49nivnc0
来たか支援
420
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:07:36 ID:XCQ3iK3U0
.
─────
────
───
──
【数十分後。クラウンシティ北西部、とある廃工場……】
(//‰ ゚)「……」ザッ
(//‰ ゚)(この工場は、サウスガットのアジトじゃねぇかって昔っから噂されてた場所だ)
(//‰ ゚)(潰れた工場だが、何故か毎月電気水道ガス代が支払われ、ライフラインが維持されてる)
(//‰ ゚)(登記簿の登録名にはトニー=バクスターとあるが、恐らくこいつぁサウスガットの用意した偽名だろう)
(//‰ ゚)(聞いた話じゃ、工場地下に秘密基地を増築して、そこに盗んだ品を溜め込んでるって話だ)
(//‰ ゚)(警察時代の俺じゃ、ここの堅牢なセキュリティは破れなかった)
(//‰ ゚)(だが、今の俺なら……)
.
421
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:08:52 ID:prZItAgo0
支援
422
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:09:16 ID:XCQ3iK3U0
.
(//‰ ゚)「……」コンコン
(//‰ ゚)「……」コンコン
(//‰ ゚)「……」カンカンッ
(//‰ ゚)(ここだけ地面の音が違う。この下に空間がありやがるな?)
(//‰ ゚)(どれ……)ググッ
ゴォンッ!!!
(//‰ ゚)(……固ぇな。どんだけ高い建材使ってやがる)
(//‰ ゚)(根気よくノックするしかねぇか……)
ゴォンッ、ドォンッ……
ドゴォォォンッ!!!
(//‰ ゚)(固い建材を壊すのに素手で四発……トレジャーとファニーならそれぞれ一発で壊せるだろう)
(//‰ ゚)(単純な腕力じゃ二人に劣る……あとは何でそれを埋めるかってとこか)
.
423
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:10:51 ID:XCQ3iK3U0
.
@@@
@#_、_@
( ノ`)「うるさいよ!!誰だい!!」ヌゥッ
(//‰ ゚)(おっと、いきなり真打ちのご登場か)
(//‰ ゚)(ハハジャ=サウスガット……この体の試運転にゃあちょうどいい相手だ)
@@@
@#_、_@
( ノ`)「見ない顔だねぇ……人ん家にズカズカ上がり込んで来て、喧しいったらないよ」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「ここがサウスガットファミリーのアジトと知っての狼藉かい?」
(//‰ ゚)「……」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「まぁ、地下の入り口を壊してくれたんだ。知っててやったと考えるのが妥当だろうね」
(//‰ ゚)凸 クィ、クィ
@@@
@#_、_@
( ノ`)「……何だいそれは。ケンカ売りに来たのかい?」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「だとしたらそのケンカ、高くつくよ」
.
424
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:12:21 ID:XCQ3iK3U0
.
その台詞が終わらないうちに、ハハジャ=サウスガットの掌から衝撃が迸る!!
彼女の固有能力、空気弾である!!
空気を圧縮・放出し、その圧力で周囲の物体を吹き飛ばす!!
かつてその威力の前に立っていた者は、ビッグ・トレジャーのみであった!!
しかし!!
(//‰ ゚)「……」
空気は、ハイドの着衣の裾をはためかせるだけにとどまった!!
@@@
@#_、_@
( ノ`)(あれを耐えるのかい……それなら……!)
ハハジャは空気圧を連射しつつ、それを盾にハイドへ接近する!!
そして立ち尽くすハイドへ、至近距離から拳での打撃を加えた!!
.
425
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:16:30 ID:XCQ3iK3U0
.
@@@
@#_、_@
(# ノ`)「るぁあっ!!」
それは速く、そして重い右ストレートだった!!
通常の人間が受けたなら、たとえ格闘技のチャンピオンでも、骨は粉砕され肉は断裂しただろう!!
その拳はハイドの顔面を捉え、遥か彼方まで吹き飛ばすはずであった!!
(//‰ ゚)「……」ミシッ
しかしハイドは、それを食らってなお平然とその場に直立していた!!
@@@
@#_、_@
(; ノ`)(なんだって……!?)
(//‰ ゚)(体の丈夫さはまずまずだな……ハハジャのパンチでも脳が揺れねぇ)
ハイドは繰り出されたハハジャの腕へ、無造作に手刀を振り下ろした!!
@@@
@#_、_@
(; ノ`)「っ……!?」ギシッ
さほどの力がこめられているようには見えなかったものの、それを受けたハハジャの顔は苦悶に歪む!!
その威力のほどは、後退することを知らないハハジャが思わず後ずさったことでも分かるだろう!!
.
426
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:18:20 ID:XCQ3iK3U0
.
@@@
@#_、_@
(; ノ`)(こいつ……何者だい……!?)ズキンッ
ハハジャはそれまでの侮りを捨て、すぐさま最大級の警戒態勢へと移った!!
@@@
@#_、_@
(; ノ`)「アンネ!ナージャ!」
∬;´_ゝ`)「は、はい!」
l从・∀・;ノ!リ人「のじゃ!」
地下から顔を覗かせたのは、サウスガットファミリーの誇る超人姉妹だった!!
もしもの時にいつでもハハジャへ加勢できるよう、身を潜めていたのである!!
@@@
@#_、_@
(; ノ`)「二人とも、作戦Cだ。全力を持ってあいつを排除しな!!」
∬;´_ゝ`)「オーケー!」
l从・∀・;ノ!リ人「分かったのじゃ!」
二人はハハジャがトレジャー以外に苦戦する様を見たことがなかった!!
故に、目の前の謎の男が驚異であることを、即座に理解したのである!!
@@@
@#_、_@
( ノ`)「私に合わせな!!行くよ!!」
そうしてハハジャは、ハイドへ向けて火のごとく突進を開始した!!
.
427
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:23:36 ID:XCQ3iK3U0
.
それと同時に動いたのはアンネである!!
∬´_ゝ`)「ハァッ!!」
アンネはハハジャの体の死角から、ハイドへ向けてナイフを投擲する!!
ハイドはそれを身をよじるだけでかわし、ハハジャの打撃へと備えた!!
@@@
@#_、_@
( ノ`)「かかったね!」
(//‰ ゚)「……!」
しかしそれは、サウスガットファミリーの仕掛けた巧妙な罠だった!!
@@@
@#_、_@
( ノ`)「ナージャ!!」
ハハジャはハイドへ真っ直ぐ突っ込んでいた巨体を避け、一本の道を作った!!
その道は後方に待機していた、ナージャ=サウスガットへと続く!!
l从・∀・;ノ!リ人「むむむむっ……!!」
l从・∀・ノ!リ人「マグネティカー!!なのじゃー!!」
ナージャ=サウスガットの手から放たれた波動は、ハハジャの作った道を真っ直ぐ駆け上がる!!
ナイフを避けるために体を捻っていたハイドは、その波動を避けることが出来なかった!!
ナージャ=サウスガットの能力、それは磁性体を生成し、敵のボディへ磁力を付与することである!!
その波動を受けたハイドは、自身の体が鉛のように重くなるのを感じた!!
.
428
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:27:05 ID:XCQ3iK3U0
.
(//‰ ゚)「……」ズシィッ
@@@
@#_、_@
( ノ`)「鉄筋に足が引っついて、身動き取れないだろ?」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「あとはこっちの好き放題ってところかねぇ?」
(//‰ ゚)「……」
そう言いつつも、ハハジャは油断なく間合いの一歩外から構え、ファイティングポーズを崩さない!!
ハイドに対し、一分の隙も与えない構えである!!
ハイドはその動向を見逃さないよう、一挙一動に目を見張っていた!!
動けない今、この場で最も警戒すべきはハハジャであると、知っているためだ!!
@@@
@#_、_@
( ノ`)「そぉら!ダメ押しだよ!」
ハハジャが再び空気弾を放つ!!それを弾くため、ハイドは両腕で体の前面をガードする!!
しかしそれこそ、ハハジャの思う壺であった!!
(//‰ ゚)(……!!)ビチィッ
ハイドの両腕は、空中で強烈に固定されてしまう!!
それは先ほどの物と違い、攻撃ではなく拘束のために使う空気弾であった!!
.
429
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:28:55 ID:XCQ3iK3U0
.
(//‰ ゚)(そういやこんな技もあったな……圧縮空気の枷だったか……)
周囲の空気を固着させ、体の自由を奪うための技である!!
炸裂弾と圧着弾、ハハジャの二つの奥義がハイドの体の自由を奪う!!
そしてサウスガットの猛攻は、それだけに留まらなかった!!
サウスガットが殺しを行う場合、それは銃器でなく肉体を行使して行われる!!
万が一銃が発射されなかった場合を考慮し、トドメの一撃は
己が手で確実に仕留めることを鉄則としているのだ!!
それはハイドに対しても例外ではない!!
では、一体誰がその役目を買って出たか!?
彡⌒ミ(その命、俺がもらい受ける!!)
そう!!サウスガットファミリーの伏兵、チチジャ=サウスガットである!!
彼はハハジャと共に地下から這い出て、透明になり潜伏していたのだ!!
ハハジャの言う作戦Cとは、対象を全力で足止めした後、透明化した
チチジャが背後から対象の命を刈り取る作戦だったのである!!
.
430
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:30:31 ID:XCQ3iK3U0
.
彡⌒ミ(驕ったな、侵入者!!ハハジャだけがサウスガットじゃないんだよ!!)
とかく目立ちがちなハハジャであるが、その実績は実のところほぼ囮にあると言っても過言ではない!!
彼女がその巨体を生かして暴れれば、他のファミリーへ警察の目が行くことがなくなるからだ!!
その後に汚れ仕事を請け負うのは、大抵がチチジャの役目なのである!!
それだけに彼の暗殺術は、他のファミリーの誰よりも抜きん出ていた!!
彼はアンネの投擲したナイフを拾い上げ、ハイドの背中へと迫る!!
そのナイフでハイドの首を掻けば、ジ・エンドだ!!
彡⌒ミ(誰かは知らんが、サウスガットを倒して名を上げようなんざ百年早かったな)
彡⌒ミ(これで終わりだ!)
そしてナイフは無慈悲にも、ハイドの首へ突き立ったかに見えた!!
.
431
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:32:08 ID:XCQ3iK3U0
.
(//‰ ゚)「……」ギチィッ
;彡⌒ミ(なっ……何ィッ!?)
@@@
@#_、_@
(; ノ`)「……!!」
ハハジャが目撃したもの!!それは背後から奇襲したナイフが、あっさりと弾かれる様子だった!!
首に潜り込むかと思われたナイフは、まるで固い地面に投げられたかのように、容易に刀身を曲げたのだ!!
ハイドのしたこと!!それは攻撃に備えて体に力をこめただけである!!
逆に言うならば、それしか出来ることがなかったとも言える!!
磁力に足を吸着され、空気弾に腕を固定され、それでもハイドは内心に笑みを湛えていた!!
(//‰ ゚)(背後からの攻撃……恐らくはチチジャ=サウスガット……)
(//‰ ゚)(並の刃物なら皮膚すら通さねぇか……いいねぇ)
(#//‰ ゚)「……ッ!!」ミキミキィッ
奇襲を退けたと知るや、ハイドの体にみるみる血管が浮かぶ!!
それに応じるかのように、彼の体を固定していた空気の錠が破壊された!!
@@@
@#_、_@
(; ノ`)(枷を力で!? これじゃまるで、トレジャーと同じ……!!)
そして磁力をまとった体は、何の障害も感じさせずに動き始めた!!
.
432
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:34:31 ID:XCQ3iK3U0
.
手始めにハイドは、見えないはずのチチジャへ向けて、正確な肘打ちを食らわせる!!
;彡⌒ミ(はぅっ……!?)カクンッ
それはチチジャの顎を射抜き、意識を体の外へ弾き飛ばすことに成功した!!
l从・∀・;ノ!リ人「マグネティカが効いてないのじゃ!?」
@@@
@#_、_@
(; ノ`)「違う!パワーだけで磁力を振り切ってるんだ!」
そしてハイドは、瞬く間にナージャへと接近!!その幼い体へ当て身を食らわせた!!
l从 ∀ ;ノ!リ人「あうっ……」
@@@
@#_、_@
(; ノ`)「ナージャ!!」
∬#´_ゝ`)「このぉっ……よくも妹を!!」
@@@
@#_、_@
(; ノ`)「止しな!!アンネ!!」
(//‰ ゚)「……」フォンッ
振り向き様の裏拳は、アンネの腹部へとめり込む!!
∬;´_ゝ`)「ぐぅっ!?」
その拳を受けたアンネは、滑るように五メートルほども吹き飛ばされていった!!
.
433
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:35:46 ID:XCQ3iK3U0
.
∬; _ゝ )「がっ……はっ……」
l从 ∀ ;ノ!リ人「……」クテン
彡⌒ミ
(; _ゝ )「……」ドサッ
(//‰ ゚)「……」コキッ、コキッ
@@@
@#_、_@
(; ノ`)「……あんた、ただ者じゃないね」
@@@
@#_、_@
(; ノ`)「そのパワー、スピード、反射神経。まるでトレジャーでも相手にしてるみたいだ」
@@@
@#_、_@
(; ノ`)「だが、私も家族をやられて黙っちゃいられないんでね」
@@@
@#_、_@
(# ノ`)「たとえこの体弾け飛ぼうとも、あんただけは殺す!!」
@@@
@#_、_@
(# ノ`)「ハァァァァァァァァ!!!!!」
.
434
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:36:41 ID:XCQ3iK3U0
.
気合いと共に、ハハジャの手のひらへ圧縮された空気が集まる!!
それは凝縮され、収斂し、まるで固体のように白く可視化された!!
@@@
@#_、_@
(# ノ`)「特大の空気弾だよ……当たれば骨も残さない……」
@@@
@#_、_@
(# ノ`)「食らいな!!」
(//‰ ゚)「……」ヴヴンッ
ハハジャはそれを、ナックルと共にハイドの顔面へと叩き込んだ!!
しかしハイドも、ただそれを受けるだけにとどまらない!!
二人の体は交差し、ハハジャの手のひらからは強烈な爆風が放たれた!!
从 ゚∀从「……ッ」
ハハジャの必殺技は、ハイドの顔の包帯を引き剥がす!!
@@@
@#_、_@
(; ノ`)「……ぐあぁぁぁっ!!!」
しかしダメージを負ったのは、ハイドではなくハハジャであった!!
@@@
@#_、_@
(; ノ`)「ハァ……ハァ……ぐぅっ!!」
ハイドの顔面を叩いたハハジャの腕は、肘が逆方向に折れ曲がり、無惨にも骨折させられていた!!
.
435
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:37:46 ID:XCQ3iK3U0
.
@@@
@#_、_@
(; ノ`)「くうぅ……」ガクンッ
@@@
@#_、_@
(; ノ`)「あんた……ハイド=ハートマンかい……?」
从 ゚∀从「あーあ、せっかく隠してたのにバレちまったかよ」
从 ゚∀从「まぁいい。クラウン=デビルのデビュー戦はこんなもんだろ」
@@@
@#_、_@
(; ノ`)「あんた、どこでそんな力を……」
从 ゚∀从「オメーに話す義理はねぇな、サウスガット」
从 ゚∀从「さて、最後の仕上げだ」ヴゥゥンッ
ハイドの腕から、奇妙な音が鳴り響く!!
ハハジャはそれを空気弾で迎え撃とうと、折れた腕とは反対の腕を持ち上げる!!
だが!!
.
436
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:38:41 ID:XCQ3iK3U0
.
@@@
@#_、_@
(; ノ`)(空気弾が出ない……!?)
ハハジャの体は痺れ、かろうじて持ち上げた腕にも力は入っていない!!
从 ゚∀从「知ってっか?お前ら超人の体は、強い振動を体の内部に叩き込むと機能を停止させるんだ」
从 ゚∀从「オメーの怪力も空気弾も、今じゃ何の用も成さねぇよ」
そうそれは、かつてハイドが収容所で見た風景そのものだった!!
アーサー=ピーコックの開発したショックウェーブアブソーバー!!
その機構を、自らの肉体で再現できるように修練したのである!!
彼を取り囲む羽虫のような音は、筋肉を微細に振動させ、敵の肉体へ衝撃波を送り込むためのもの!!
超人と化してからこの日までの数日、彼はショボンニの邸宅で絶えず振動の習得に明け暮れていた!!
その練習台となったのが、サウスガットファミリーだったのである!!
空気弾を顔面に受けながら、ハイドはハハジャの腕へ、振動衝撃波を叩き込んでいたのだ!!
まさに肉を切らせて骨を断つ、必殺の仕事と言えるだろう!!
.
437
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:40:00 ID:XCQ3iK3U0
.
从 ゚∀从「今までサウスガットにゃ何度も煮え湯を飲まされて来たが、それも今日で終わりだ」
从 ゚∀从「眠りな、ハハジャ。次に起きたら、そん時ゃ収容所だぜ」
振動音と共に、ハイドはハハジャへ歩み寄る!!
@@@
@#_、_@
(; ノ`)「クッ……サウスガットを、舐めるんじゃないよ!!」
震える膝を無理に起こし、ハハジャは立ち上がる!!
しかし彼女にはもはや、抵抗する力は残されていなかった!!
从#゚∀从「オォォォォォッ!!!」ヴンンッ
掌底打に振動を乗せ、ハイドが放つ!!
その掌は、ハハジャの鳩尾へ正確に吸い込まれていった!!
@@@
@#_、_@
(; ノ`)「ぐはぁっ……!!」
衝撃はハハジャの体を伝い、鉄筋で固められた地面をも砕いた!!
そして彼女は、その巨体を地面へと横たえることとなったのである!!
.
438
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:40:42 ID:XCQ3iK3U0
.
@@@
@#_、_@
(; ノ )
∬;_ゝ )
彡⌒ミ
(; _ゝ )
l从 ∀;ノ!リ人
从 ゚∀从 ザンッ
从 ゚∀从「あばよ、サウスガット。二度と会うことはねーだろうがな」
.
439
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:42:18 ID:XCQ3iK3U0
.
─────
────
───
──
【中央警察署……】
_
(;゚∀゚)「はぁ……」
£°ゞ°)「オーウ、どしたノージョージさーん?」
_
( ゚∀゚)「あーん?何でもねぇよ」
£°ゞ°)「まだ署長から連絡ないの気にしてるノー?」
£°ゞ°)「署長も子供じゃないんだから、どっかで生きてるヨー!」
_
( ゚∀゚)「うっせぇなぁ、そんなんじゃねっつの」
£°ゞ°)「オーウ……じゃあどしたの?またサボり?」
_
(;゚∀゚)「あぁっ、もう!あっち行けロミス!しっしっ!」
£;°ゞ°)「オーウ……ファーック……ガッデーム……サノバビーッチ……」
_
(;゚∀゚)(兄貴もそうだが、アンネさんからも連絡ないなんて言えねぇだろ……)
.
440
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:43:19 ID:XCQ3iK3U0
.
(;^ω^)「たっ、大変ですおー!!」ドカバァンッ
_
(;゚∀゚)「うわっ、ビックリした!ドアは静かに開けろって言われてんだろ!」
£°ゞ°)「お前モナー。んで、どしたのブーン?」
(;"ゞ)「のんびりしてる場合じゃないですよ、ジョージさん!」
_
(;゚∀゚)「なんだなんだ、デルタまで……祭りでも始まるってのか?」
(;^ω^)「今、署に匿名の電話があって……『サウスガットファミリーを確保した』って!」
_
( ゚∀゚)「はぁ?んなもんガセだろ、いちいち騒ぐなよ」
_
( ゚∀゚)「あのサウスガットがそうそう簡単に捕まるかっての」
(;"ゞ)「それが、指定された住所がサウスガットのアジトと目される場所で……」
(;^ω^)「警察関係者でもないのにその場所を知ってるってことは、マジ情報っぽいんですお!」
_
(;゚∀゚)「……ウソだろ?」
£°ゞ°)「オーウ、そりゃ一大事ネー!さっそく現場に急行しないと!」
_
(;゚∀゚)「いやいや、ちょっと落ち着け。情報の真偽を確かめてからでも遅くは……」
(;"ゞ)「何言ってるんですか!現場に走った方が確認するより早いでしょう!」
(;"ゞ)「今すぐパトカーを回します!皆で向かいましょう!」
_
(;゚∀゚)「お、おう……」
.
441
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:44:49 ID:XCQ3iK3U0
.
─────
────
───
──
【サウスガットアジト近辺……】
(;^ω^)「通報があったのはこの辺りのはずですお……」ブロロロ
_
(;゚∀゚)「や、やっぱガセだったんじゃねぇの……」
( "ゞ)「工場の中も見てみましょう!奴らがいるとしたら、そこが一番怪しい」
£°ゞ°)「ワッホゥ!!本当にサウスガットいたら大手柄ネー!!」
_
(;゚∀゚)「ったくよぉ……んなしょうもない情報に踊らされるんじゃねーっての」
£°ゞ°)「どしたノー、ジョージ?なんかソワソワしてるネー?」
_
(;゚∀゚)「別にソワソワなんてしてねー!!」
(;^ω^)「あっ……ジョージさん、あそこ!!」
_
(;゚∀゚)「んあっ!?」
.
442
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:45:43 ID:XCQ3iK3U0
.
@@@
@#_、_@
(; ノ )
∬;_ゝ )
彡⌒ミ
(; _ゝ )
l从 ∀;ノ!リ人
_
(;゚∀゚)「アンネさ……!!」ガタンッ
£°ゞ°)「?」
_
(;゚∀゚)「あっ、いや……姉(あね)さんまでいやがるぜ、サウスガットの!」
(;^ω^)「確かに、サウスガット勢揃いですけど……」
(;"ゞ)「気絶してる、のか?」
£°ゞ°)「何があったんだろネー?大惨事だヨーコレ」
(;^ω^)「でも、これはビッグチャンスですお!」
( "ゞ)「ジョージさん、奴らが起きないうちに早く逮捕しましょう!」
_
(;゚∀゚)「あ……あぁ……」
.
443
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:46:37 ID:XCQ3iK3U0
.
_
(;゚∀゚)(ヤベェ……ヤベェぞこれは……)
_
(;゚∀゚)(どうにかしてアンネさんだけでも逃がしたいが、この状況じゃ無理だ!)
Prrr、Prrr……
_
(;゚∀゚)「だ、誰だこんな時に!?」ビクッ
【メール受信:アニキ】
_
(;゚∀゚)「……!!」
_
(;゚∀゚)「何だって、このタイミングで兄貴から……?」ピッ
【最後のケジメはテメーでつけな、ジョージ】
_
(;゚∀゚)「!?」
_
(;゚∀゚)(この文面、まさかサウスガットをやったのは兄貴なのか!?)
_
(;゚∀゚)(てことは、兄貴もまだこの近くにいるのか!!)キョロキョロ
.
444
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:48:40 ID:XCQ3iK3U0
.
( "ゞ)「どうしたんです、ジョージさん。早く捕まえないと大変なことになりますよ!」
_
(; ∀ )「うっ……」
(;^ω^)「ジョージさん……?」
_
(; ∀ )「ぐぅぅぅっ……!!」
£°ゞ°)「ハリアーップ、ジョージ!!」
_
( ∀ ) プツンッ
ゴンッ!!
(;^ω^)「ジョージさん!?」
(;"ゞ)「何してんですか!?」
£;°ゞ°)「えぇ……」
.
445
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:49:15 ID:XCQ3iK3U0
.
_
( ;∀;)「あぁぁぁぁぁぁっ!!!」ガンッ、ガンッ、ガンッ!!
(;^ω^)「ジョージさん落ち着いて!!」
(;"ゞ)「一体どうしたんですか!!」
£;°ゞ°)「オーウ……ジョージおかしくなっちゃったノー……?」
_
( ;∀;)「バッキャロー!!サウスガットが手錠で拘束できるか!!」
_
( ;∀;)「今すぐ本署に連絡して、拘束着持ってこさせるんだよォ!!」
(;^ω^)「そ、そうですおね!」
(;"ゞ)「今すぐ連絡します!」
£;°ゞ°)「でもナンで号泣!?」
_
( ;∀;)「るっせー!!さっさとしろバーカ!!」
£;°ゞ°)「オウフ……要求が理不尽すぎるヨー……」
_
( ;∀;)(うぅぅ……すまねぇ、アンネさん……!!)
.
446
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:49:49 ID:XCQ3iK3U0
.
【サウスガットファミリーアジト、屋上……】
从 ゚∀从「……」
从 ー∀从 フゥ
ヒュンッ
.
447
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:51:38 ID:XCQ3iK3U0
.
─────
────
───
──
从 ゚∀从「ただいまー」ガチャ
(;´・ω・`)「おぉうっ!?」ドキッ
从 ゚∀从「おうおっさん、今帰ったぞ」
(;´・ω・`)「いきなり顔出すの止めてくれないかな。心臓に悪いんだけど……」
(;´・ω・`)「というか君、どこから入ってきたの?」
从 ゚∀从「天井裏が開いてたんでそこからな」
(´・ω・`)「開いてたねぇ……どうせ君のことだ、力ずくで開けたんじゃないのかね?」
从 ゚∀从「しゃーねーだろ、玄関先にゃまだマスコミがいるんだからよ」
(´・ω・`)「フーッ……とんだ厄介者を抱え込んだ気分だよ」
(´・ω・`)「これで君を匿ってたなんて噂が立ったら、私は生きていけないんだがねぇ」
从 ゚∀从「ヘッ。あんた初対面の時より、だいぶ小物じみて来たな」
从 ゚∀从「黒幕ヅラしてた時より、よっぽど親近感わくぜ?」
(´・ω・`)「うるさいよ、君」
.
448
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:52:21 ID:XCQ3iK3U0
.
从 ゚∀从「ところでおっさん、聞きてぇことがあるんだが」
(´・ω・`)「なんだい。明日の天気ならテレビに聞いてくれよ?」
从 ゚∀从「ちげーよ。この辺り、野良犬の溜まり場でもあんのか?」
(´・ω・`)「野良犬?そんなもの、ここに住んでから一度も見たことないよ」
(´・ω・`)「仮にもクラウン=シティ随一の高級住宅なんだ。野良犬の出るような立地じゃない」
从 ゚∀从「だよなぁ……だが、屋根から俯瞰して見たら、屋敷の周りに犬がわんさかいたぜ?」
(;´・ω・`)「えぇ……」
从 ゚∀从「しかも、パパラッチどもの目につかねぇよう隠れて潜んでやがった」
从 ゚∀从「もし心当たりがあんなら、出掛けに襲われねぇよう気をつけときな」
(´・ω・`)「……それ、君の方が心当たりあるんじゃないのか?」
从 ゚∀从
从 ^∀从
(;´・ω・`)「おいっ、何だその爽やかな笑いは!?明らかに何か知ってる顔だろそれ!!」
从 ^∀从「ンナハハハ、じゃーなおっさん!」
ヒュンッ
(;´・ω・`)「おーい!?ちゃんと説明したまえ!!おーい!!」
.
449
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:53:29 ID:XCQ3iK3U0
.
こうして、ハイド=ハートマンは復讐の第一歩を踏み出した。
そしてそれと時を同じくして、再び始動した獣が、もう一人……。
.
450
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:53:53 ID:XCQ3iK3U0
.
▼・ェ・▼「……」ヒョコッ
.
451
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:54:25 ID:XCQ3iK3U0
第十九話終わり
452
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 20:59:28 ID:XCQ3iK3U0
【登場人物紹介】
l从・∀・ノ!リ人
MAGNETICA
本名:ナージャ=サウスガット
サウスガットファミリー次女。アーニーとオットーの妹に当たる。
幼いながらも強力な能力を有し、ファミリーの盗みに貢献していた。
能力「マグネティカ」は、磁性体を生み出し敵の肉体に磁力を付与させる。
その強さは地面が鉄である場合、全く身動きが取れなくなるほどである。
.
453
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 21:15:50 ID:prZItAgo0
ドルチェの出番キタコレ
乙
454
:
名無しさん
:2018/08/31(金) 22:22:15 ID:JTZurxy20
今回もおもしろかった!乙
455
:
名無しさん
:2018/09/01(土) 00:52:59 ID:ovQ7gdE20
乙
456
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 12:38:47 ID:wCxcQFdo0
かなりの化け物だな
乙
457
:
名無しさん
:2019/02/12(火) 00:26:28 ID:4kEB1O9s0
待ってるやで
458
:
名無しさん
:2019/05/23(木) 00:59:42 ID:Y1FzIwFQ0
ビーーーーーッグトレジャーーーーーー
459
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 21:33:08 ID:EF2jqLeg0
前回までのあらすじ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
460
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 21:33:28 ID:EF2jqLeg0
.
从 ゚∀从 before…
↓
(//‰ ゚) after!!
ハイド署長、覚醒!!!
.
461
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 21:34:03 ID:EF2jqLeg0
@@@
@#_、_@
(# ノ`)<Fuck!!
∬#´_ゝ`)<Goddam!!
l从・∀・#ノ!リ人<Son of a bitch!!
_
(;゚∀゚)<Oh,No!!!!
サウスガットファミリー、逮捕!!!
.
462
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 21:34:27 ID:EF2jqLeg0
.
∧_∧
( ,,^Д^)
( ∪ ∪
と_)●__)
ビッグ・トレジャー、全裸待機!!!
以上!!!
.
463
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 21:35:41 ID:EF2jqLeg0
.
─────
────
───
──
『本日、クラウンシティを震撼させたヴィラン、サウスガットファミリーが特別収容所へ収監されます』
『検察は主犯格であるハハジャ=サウスガットとチチジャ=サウスガットへ、無期懲役を求刑』
『それに対し裁判所は、訴えを全面的に認める判決を下しました』
『警察による厳戒態勢が予想されますので、周辺住民の方々は警察車両へ近づかないようご注意ください』
|゚ノ ^∀^)「はーあ、あのサウスガットが逮捕かい!」
|゚ノ ^∀^)「世の中なにが起こるか、分からんもんだねぇ〜」
( ∴)「……」
|゚ノ ^∀^)「この街も、ぼちぼち悪党どもの天国とは言えなくなってきたね」
|゚ノ ^∀^)「バカども相手に荒稼ぎ出来てた頃が懐かしいよ」
|゚ノ ^∀^)「あんたもそう思うだろ、ギャシャール?」
(,,;゚-゚)「いやあの……ボク最近越してきたばっかりなんで……」
(,,;゚-゚)(なんでボクこんな愚痴聞かされてるんだろ……)
.
464
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 21:36:53 ID:EF2jqLeg0
.
|゚ノ ^∀^)「けど、こうまで街が騒がしいと、あんたにとっちゃ稼ぎ時だろ?」
(,,;゚-゚)「いえ、そんなことは……」
|゚ノ ^∀^)「嘘つきなよ。あんたが裁判所に張り込んでるって話、聞いたんだよ!」
(,,;゚-゚)「それは〜……サウスガットの入廷シーンが撮れればいいなって……」
|゚ノ ^∀^)「で?どうだったんだい?」
(,,;゚-゚)「けっこういい値段で売れましたけど〜……」
|゚ノ ^∀^)「ほれ見たことかい!あんたもけっこうやるじゃないか、この銭ゲバ!」グリグリ
(,,;゚-゚)(あぅぅ……帰りたいよぉ……)
(,,;゚-゚)(帰ってカメラのレンズ磨きたぁい……)
(,,;゚-゚)(ひたすら無心でキュッキュッキュッキュッキュッキュッ……)
( ∴)「……おい」
(,,;゚-゚)「は、はい!!」ビクッ
( ∴)「……コーヒー……おかわりいる……?」
(,,゚-゚)「あ、お願いします。砂糖とミルクアリアリで」
( ∴)「……あいよ」コポコポ
(,,゚-゚)
(,,゚-゚)(なんか普通に馴染んじゃってるのがダメなんじゃないかなボク)
.
465
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 21:38:02 ID:EF2jqLeg0
.
( ∴)「ババァもその辺にしといてやれや……」
( ∴)「ほい……コーヒー……」コト
(,,゚-゚)「あ、どうも」
|゚ノ ^∀^)「あァン?ガキが口挟むんじゃないよ!」
( ∴)「年寄りは無駄話が長いんだよ……」
( ∴)「あんた、それ飲んだら帰っていいよ……」
(,,゚-゚)「あ、はい。そうします」
|゚ノ ^∀^)「私にもコーヒー淹れな!アメリカンでね!」
( ∴)「あんたは自分でやれ……客でもないクセに……」
|゚ノ#^∀^)「ジル、あんた最近ナマイキだよ!誰の金でメシ食ってると思ってんだい!」
( ∴)凸「うっせバーカ……有り金置いてさっさとくたばれ……」
|゚ノ#^∀^)「キィ〜〜〜!!!このクソガキがぁ〜〜〜!!!」
(,,;゚-゚)「あっあの!!そろそろボクおいとましますね!!」
( ∴)「おう……またな……」
|゚ノ#^∀^)「ジル!!あんたは殺してやるからそこに座りな!!」
( ∴)「やってみろ……返り討ちだババァ……」
(,,;゚-゚)「しっ失礼しま〜す!!」シュタタッ
.
466
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 21:38:40 ID:EF2jqLeg0
.
(,,゚-゚)「はぁ〜、やっと出られた……一度つかまると話が長いんだよなぁ大家さん……」
(,,゚-゚)「今日はただ家賃払いに行っただけなんだけどなぁ〜……」
(,,゚-゚)「でもうちテレビないから、たまに厄介にならないと情報入って来ないしなぁ……」
(,,゚-゚)「それにしても、サウスガット今日収監なんだ……知らなかった」
(,,゚-゚)「また張り込んでれば、いい写真撮れないかな?」
(,,゚-゚)「……そうだ!アンドリューさんに連絡してみよう!」
(,,゚-゚)「そんなに有名なヴィランなら、ヒーローたちもきっと動いてるはず!」
(,,゚-゚)「それに便乗してれば、写真の一枚や二枚サクサク撮れるかも!!」
(,,゚-゚)「よーし、さっそく電話だ!」
ピピピッ
.
467
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 21:39:25 ID:EF2jqLeg0
.
─────
────
───
──
(´・_ゝ・`)「……」カタカタ
( ,,^Д^)「デミタス!!」ウィーン
(´・_ゝ・`)「サー・トレジャー。お疲れ様です」
( ,,^Д^)「サウスガットの任意護衛の準備は出来たかね?」
(´・_ゝ・`)「えぇ、最善は尽くしました」
(´・_ゝ・`)「ここに所属するヒーロー総出で、サウスガットファミリーを収容所まで見送りますよ」
( ,,^Д^)「そうか、ご苦労!!」
(´・_ゝ・`)「しかし、あのサウスガットが捕まるとは……何があったんでしょう」
( ,,^Д^)「分からん……迂闊な敵に挑む一団ではないはずだがな」
( ,,^Д^)「私としても、彼女らを収容所送りにせねばならないのは心苦しいものがある」
(´・_ゝ・`)「ですが、逃走すれば市民に危険が及ぶのも事実です」
(´・_ゝ・`)「それだけは避けなければ……」
( ,,^Д^)「そのことなんだが、実は今ある人たちからサウスガットの情報を入手してな」
( ,,^Д^)「君も一緒に聞いてくれないか」
(´・_ゝ・`)「ふむ?どなたですか?」
( ,,^Д^)「入ってくれ!!君たち!!」
.
468
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 21:40:13 ID:EF2jqLeg0
.
(゚A゚* )「やーどーもどーも!お久しぶりですー!」
¥・∀・¥「どうも、こんにちは」
爪゚ー゚)「ちぃーっす」
(´・_ゝ・`)「あなたたちは確か……交番勤務の人たち?」
(゚A゚* )「そうですそうです!交番勤務のノートンですわ!」
¥・∀・¥「同じく交番勤務のマニーです」
爪゚ー゚)「ジーノっす」
(´・_ゝ・`)「あなたたち、サウスガットの送監で忙しいんじゃ……」
(゚A゚* )「うちらのやること言うたら、一般人が護送車に近寄らんよう交通整理するだけですから」
(゚A゚* )「たまたま担当地域がこの辺やったんで、ついでにちょっと顔出しさせてもらったんですわー」
爪゚ー゚)「素直にサボりって言えよ」
(゚A゚* )「やかましわ!サボってなんかない!」
(゚A゚* )「ヒーローに助けを請うて何が悪いんや!」
¥;・∀・¥「警察としてそれでいいのかって気はするけどね……」
( ,,^Д^)「しかしそのおかげで、ひとつの有益な情報を得たぞ!!」
(´・_ゝ・`)「と言いますと?」
.
469
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 21:41:09 ID:EF2jqLeg0
.
(゚A゚* )「なんや聞いた話なんですけど、ハハジャが捕まる時、えらい憔悴してたらしいんですわ」
¥・∀・¥「連行された時もほとんど抵抗らしい抵抗をしなかったそうです」
爪゚ー゚)「そんで、あのハハジャの鉄骨みたいなぶっとい腕が、誰かにブチ折られてたんですと」
(´・_ゝ・`)「なんだって?」
( ,,^Д^)「クラウン=シティでも有数の肉体強度を誇るハハジャが、そこまで追い込まれていたらしいのだ!!」
(;´・_ゝ・`)「まさか相手は、ファニーフェイス……!?」
( ,,^Д^)「いや。ファニーフェイスが相手なら、骨折などという生易しい怪我では済むまい!!」
( ,,^Д^)「あくまでも私見だが、その敵はハハジャを無力化したかったように感じられるな!!」
(´・_ゝ・`)「では、一体誰が……」
(゚A゚* )「それなんやけどなぁ。今うちの署内で、ミョーな噂が流れてましてね……」
(´・_ゝ・`)「噂?」
.
470
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 21:42:58 ID:EF2jqLeg0
.
(゚A゚* )「ハハジャが捕まったとき、誰かに気絶させられてたらしいんですわ」
(゚A゚* )「そんで拘束してパトカーに乗せられる時に、ポツリとうわ言呟いた言うんです」
(゚A゚* )「『ハイド=ハートマン』……って」
(;´・_ゝ・`)「それは……!!」
( ,,^Д^)「うむ。行方不明の署長の名を、何故か呟いたというんだ!!」
¥・∀・¥「ですが、我々も署員総出で逮捕に当たったので、誰がそれを聞いたのか分からないんです」
爪゚ー゚)「誰かの空耳なんじゃねーかとも思うんスけどねぇ」
( ,,^Д^)「しかし、偶然や空耳にしてはあまりにタイミングが良すぎると思わないかね?」
( ,,^Д^)「署長の失踪、残された彼の名前、そしてハハジャを無力化した痕跡……!!」
(;´・_ゝ・`)「確かに……あまりに符号が合いすぎる……」
( ,,^Д^)「私は、その二つの事件に何らかの関係があるものとして見ている!!」
( ,,^Д^)「君もそのつもりで事に当たってくれ!!」
(´・_ゝ・`)「了解です。サー・トレジャー」
.
471
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 21:43:47 ID:EF2jqLeg0
.
(゚A゚* )「まぁ署長がなんかしら噛んでるんやとしたら、こっちにもいずれ連絡来るんやないか思ってます」
¥・∀・¥「逆に警察にも話せないとなると、それなりの事件に巻き込まれてる可能性もありますし」
爪゚ー゚)「どっちにしろ、生きてる証明にはなるから楽観はしてますけどね?」
(´・_ゝ・`)「そうですか。ご協力感謝します」
(゚A゚* )「あとうちらにも守秘義務あるんで、このことは内密にな!」
( ,,^Д^)「無論です!!このことは我々だけの秘密としましょう!!」
¥・∀・¥「では、そろそろ交通整理に戻りますので」
爪゚ー゚)「ぼちぼち拘置所からサウスガットが出てくる時間だしな」
(´・_ゝ・`)「ご苦労様です。我々も準備しましょう」
( ,,^Д^)「うむ!!皆には私から声をかけておこう!!」
.
472
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 21:44:34 ID:EF2jqLeg0
.
ティロリロリン、ティロリロリン
(´・_ゝ・`)「……おや?」
( ,,^Д^)「電話かね?」
(´・_ゝ・`)「誰からだろう……」
【from:ギャシャールくん】
(;´・_ゝ・`)「あー……ギャシャールくんからです……」
( ,,^Д^)「ふむ。出てはどうかね?」
(´・_ゝ・`)「いや、よしておきましょう」
(´・_ゝ・`)「今は多忙な時です。酷なようだが彼に応じている猶予はない」
( ,,^Д^)「そうだな!!申し訳ないが今はご遠慮願おう!!」
(´・_ゝ・`)「それよりサー・トレジャー、各々の護衛担当地域について相談が……」
( ,,^Д^)「うむ、聞こう!!」
.
473
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 21:45:34 ID:EF2jqLeg0
.
─────
────
───
──
(,,;゚-゚)「……ダメだぁ、繋がんない」
(,,゚-゚)「そりゃそうか。忙しい最中だもんなぁ」
(,,;゚-゚)「あーこのままじゃ決定的なスクープ逃しちゃうよ〜〜!!」
( ∴)「……何してんの?」
(,,゚-゚)「あ、ジルさん。お外出てきたんですか?」
( ∴)「ババァがマジギレしたから逃げてきた……」
(,,;゚-゚)「そ、そうですか……」
( ∴)「あんたこそ……こんなとこで騒がれると迷惑なんだけど……」
(,,;゚-゚)「すみません!けど生活かかってるんで……これでも……」
( ∴)「まぁ……写真屋が写真撮れなきゃ飯の食い上げだからな……」
(,,゚-゚)「そう!そうなんですよ!だから困ってたんです!」
( ∴)「だからってこんなとこで地団駄されてもな……」
(,,;゚-゚)「ぐっ……正論なんて嫌いだ……」
.
474
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 21:46:51 ID:EF2jqLeg0
.
(,,;゚-゚)「でもなー……このまま黙って見過ごすには惜しすぎるスクープなんだよなぁ……」
( ∴)「……」
( ∴)「良かったら車、出してやろうか……?」
(,,゚-゚)「え、ホントに?」
( ∴)「収容所近くは警備厳しいから遠目に見るだけになるが……」
(,,゚-゚)「やったぁ!!助かります!!でもなんで?」
( ∴)「……ババァ一度キレると三時間はキレっぱなしだからな……時間潰し……」
(,,;゚-゚)「な、なるほど」
(,,゚-゚)「でも本当にありがとうございます!前に一度殺されかけたけど!」
(;∴)「……あんたさては、意外と根に持つタイプだな?」
(,,゚-゚)「車出してくれるなら帳消しですよ!早く行きましょ!」
( ∴)「……現金なやつ」フゥ
.
475
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 21:48:19 ID:EF2jqLeg0
.
─────
────
───
──
【一方その頃、中央警察署……】
( "ゞ)「ジョージさん。署員の警備配置、終わりました」
( ^ω^)「ヘリの出動要請もオーケーですお!」
£°ゞ°)「準備万端ネー!!」
_
( ゚∀゚)「あぁ、分かった」
_
( ゚∀゚)「これから拘置所へサウスガットを迎えに行く。お前ら気ィ引き締めて行けよ」
( ^ω^)「はいですお!」
£°ゞ°)「モチロンヨー!」
_
( ゚∀゚)「俺ァ小便済ませてくるから、先にパトカー乗っとけ」
_
( ゚∀゚)「じゃーな」バタン
.
476
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 21:48:51 ID:EF2jqLeg0
.
( ^ω^)「……ジョージさん、最近ちょっと頼もしくなりましたおね」
£°ゞ°)「ホントにネー。まるで署長がいるみたいに感じることあるヨー」
( ^ω^)「サウスガットを逮捕して、一皮剥けた感じですかおねぇ」
£°ゞ°)「サボり魔だった頃とは大違いネー。これで特犯課も安泰だネ!」
( "ゞ)「あぁ、そうだな……」
( ^ω^)「これでデルタさんも一安心ですおね!」
( "ゞ)「……すまん、ブーナー、ロミス。私もトイレを済ませてから行こう」
( ^ω^)「あ、はい。分かりましたお」
£°ゞ°)ノシ「パンツ濡らさないようにネー」
.
477
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 21:50:12 ID:EF2jqLeg0
.
_
(;゚∀゚)「……ふぅ」バタン
_
(!i! ∀ )「うっ……」ビクッ
_
(!i! ∀ )∵「オエッ……」ゲボッ
_
(!i! ∀ )「ゲェッ……ゲヘェッ……!」ボタボタッ
_
(!i! ∀ )「オェェェェッ……!!」ビチャァッ
_
(!i! ∀ )「ハァ……ハァ……クソがっ……!!」ゴシゴシ
_
(!i! ∀ )「バカか俺は……この程度のことにプレッシャー感じてんじゃねぇよ……!!」
.
478
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 21:50:49 ID:EF2jqLeg0
.
_
(!i! ∀ )「こんなんじゃ兄貴の代わりなんて務まらねぇ……こんなんじゃ……!!」
コンコン
_
(!i! ∀ )「……!!」ビクッ
( "ゞ)「ジョージさん、いるんでしょう?」
_
(!i! ∀ )「デルタ……」
( "ゞ)「あぁ、大丈夫です。どうかそのままで」
( "ゞ)「顔色が優れなかったので、個室にいるだろうなとは思ってました」
( "ゞ)「ご気分は?」
_
(!i! ∀ )「……へへ、人生で一番の絶好調だぜ」
( "ゞ)「……そうですか。強がれるなら大丈夫ですかね」
.
479
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 21:51:46 ID:EF2jqLeg0
.
_
(!i! ∀ )「悪いな、落ち着いたらすぐに行くからよ……」
_
(!i! ∀ )「どーも腹具合が悪くていけねぇや……」
( "ゞ)「人生で一番の絶好調じゃなかったんですか?」
_
(!i! ∀ )「ケッ……そうやってすぐ言葉尻掴みやがる……」
( "ゞ)「……ジョージさん。あまり無理はしないでくださいね?」
( "ゞ)「あなたはあなた、署長は署長です。署長の代わりを務めようとしなくてもいいんです」
_
(!i! ∀ )「るっせぇ!!俺じゃなきゃ誰が兄貴の代わりするってんだよ!!」
_
(!i! ∀ )「お前らだって本当は兄貴がいればと思ってるんだろ!?」
( "ゞ)「それは確かに、署長がいるといないとでは効率は段違いです」
_
(!i! ∀ )「ほらな、だから俺がやらにゃいけねぇんだ……」
( "ゞ)「ですがそれは、あなた一人が責を負えばいいという問題ではありません」
_
(!i! ∀ )「……!」
.
480
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 21:52:56 ID:EF2jqLeg0
.
( "ゞ)「我々は何のためにチームを組んでるんです?」
( "ゞ)「一致団結して、ヴィランを逮捕するためではないんですか?」
_
(!i! ∀ )「……」
( "ゞ)「署長のいなくなった今こそ、我々の団結力が試されているんです」
( "ゞ)「あなた一人がプレッシャーを負う必要は何一つありません」
( "ゞ)「ですから肩の荷を下ろして、力を抜いてください」
( ^ゞ)「我々のためにも、ね?」
_
(; ∀ )「……」フゥ
ガチャッ
( "ゞ)「ジョージさん」
_
(;゚∀゚)「悪かったな、デルタ。ちょっと落ち着いた……」
.
481
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 21:53:45 ID:EF2jqLeg0
.
( "ゞ)「お気になさらず。あの署長の実弟というだけで、重圧を感じるのは当然のことですから」
_
(;゚∀゚)「兄貴は毎回こんなプレッシャー感じてたんだな……」
_
(;゚∀゚)「よくもまぁあんなに平然としてられたもんだぜ」
( "ゞ)「バランス感覚に長けた人でしたからね……気を抜くべきところではちゃんと息抜きしてましたから」
_
(;゚∀゚)「……俺よぉ、ホントはサウスガット逮捕して、ビビってたんだよな」
( "ゞ)「と、いうと?」
_
(;゚∀゚)「実力でもねーのにたまたまサウスガットみてーな大物逮捕して、いつか報復されるんじゃねぇかって……」
_
(;゚∀゚)(アンネさんのことも気がかりだったし)
( "ゞ)「なるほど。それがサウスガットの搬送になって吹き出したと」
( "ゞ)「安心なさい。報復される時は我々も一緒ですよ」
_
(;゚∀゚)「何の慰めにもなってねーよ、それ」
( "ゞ)「四人いれば死ぬ確率は1/4ですから、くじ引きみたいなもんです」
_
(;゚∀゚)「ドライだなお前……いっぺんに死ぬ確率もあるだろうに」
( "ゞ)「さぁ、もう十時です。そろそろ行きましょう」
_
( ゚∀゚)「……あぁ、そうだな。気合い入れっか!」
.
482
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 21:55:10 ID:EF2jqLeg0
.
【AM10:23】
サウスガットファミリー、拘置所から移送
< ゚ _・゚>「ご苦労様です、警部どの!」
_
( ゚∀゚)「おぅ、ご苦労さん。フィリップ」
( "ゞ)「ご苦労様です、フィリップ看守長。サウスガットの様子はどうですか?」
< ゚ _・゚>「大人しくしてますよ、えぇ」
< ゚ _・゚>「チチジャだけは消えたり現れたりして、落ち着かない様子ですがね」
_
( ゚∀゚)「そうか……奴らなら一目散に逃げると思ってたけどな」
( "ゞ)「観念したということでしょうかね……」
( "ゞ)「少なくとも、あのハハジャが拘束具程度で縛れるとは思えませんが」
< ゚ _・゚>「それも見ていただければ分かるかと」
< ゚ _・゚>「どうぞ、こちらです、えぇ」
_
( ゚∀゚)「おう」
( "ゞ)「はい」
.
483
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 21:57:13 ID:EF2jqLeg0
.
< ゚ _・゚>「今は四人とも落ち着いてますが、ここへ連れて来られた時はそれはもう大騒ぎでしたよ」
< ゚ _・゚>「拘置所から出すときに一番手間取るのは、恐らくチチジャでしょうね、えぇ」
_
( ゚∀゚)「なんでだ?」
< ゚ _・゚>「消えると着衣ごと見えなくなるので、監視に苦労してるんですよ」
< ゚ _・゚>「なのでまずは、独房内に間違いなくいることを確認しなければなりません」
_
( ゚∀゚)「なるほどな、捕まえてからも確保が面倒なんだな」
ガッシャァァンッ!!
_
(;゚∀゚)「!?」
∬#´_ゝ`)「あいつだよ!ジョージ=ハートマン、ヤツが私に警察の情報を売ってたんだ!」
∬#´_ゝ`)「あんた、私が捕まってご満悦かよ!この恥知らずが!」ガシャンッ、ガシャンッ!
< ゚ _・゚>「あぁ、またか……気にしないでくださいね、警部」
< ゚ _・゚>「先日から錯乱してるようで、ずっと同じ台詞を繰り返してるんです」
( "ゞ)「警部、彼女と面識が?」
_
(;ー∀ー)「……あるわけねぇだろ。見たことも聞いたこともねぇよ」
< ゚ _・゚>「ですよね」
∬#´_ゝ`)「ふざけんな!この××××!死んで詫び入れやがれ!」
< ゚ _・゚#>「やかましい!静かにせんか!」
_
(;ー∀ー)(すまねぇ……アンネさん……)
_
(;゚∀゚)(後で上手いこと根回しすっから、今は我慢してくれ……!)
.
484
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 21:58:40 ID:EF2jqLeg0
.
< ゚ _・゚>「そしてこちらが、ハハジャの独房です」
_
(;゚∀゚)「……」ゴクリ
< ゚ _・゚>「拘束具ごとこちらのストレッチャーへ乗せて、護送車へ運びます」
< ゚ _・゚>「拘置所員総出でかかりますので、ご安心を。えぇ」
_
(;゚∀゚)「なんか緊張してきた……」
< ゚ _・゚>「毎日ヴィランを相手取る特犯課の警部殿でも、やはり緊張なさいますか」
_
(;゚∀゚)「お、おう。そりゃサウスガットクラスともなればな!」
( "ゞ)(相手取ってないんだよなぁ)
< ゚ _・゚>「今、解錠しますので少しドアから離れてください」
< ゚ _・゚>「何をしでかすか分かりませんからね、えぇ」
.
485
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:00:10 ID:EF2jqLeg0
.
< ゚ _・゚>「ハハジャ=サウスガット、拘置所より移送!全職員待機!」
< ゚ _・゚>「解錠!」ガコンッ、ギィィィ…
@@@
@#_、_@
(■■)「……」ズオォッ
_
(;゚∀゚)「いつ見ても迫力ありやがんな……」
( "ゞ)「……けど、あのサウスガットにしては嫌に大人しいですね」
_
(;゚∀゚)「まさか、死んでやしないだろうな……?」
< ゚ _・゚>「それが、ここへ勾留されてからはずっとこの調子なんですよ」
< ゚ _・゚>「今のところ、我々へは一言も喋りかけてはおりません。えぇ」
< ゚ _・゚>「まぁ話しかけられたところで、応じはしませんがね。えぇ」
( "ゞ)「それが無難な対応でしょうね」
< ゚ _・゚>「ハハジャ=サウスガット。今からお前を収容所へ連行する」
< ゚ _・゚>「抵抗は無駄と思え!!」
@@@
@#_、_@
(■■)「……フン」
.
486
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:01:04 ID:EF2jqLeg0
.
ガシャンッ、ガラガラガラ……
@@@
@#_、_@
(■■)「……」
_
(;゚∀゚)「……ピクリともしねぇな」
(;"ゞ)「却って不気味ですね……何か企んでるんでしょうか」
< ゚ _・゚>「安穏としてはいけませんが、最大限注意を払い護送車へ連れて行きましょう」
_
( ゚∀゚)「あぁ、そうだな……ところであんた」
< ゚ _・゚>「はい?何でしょうか?」
_
( ゚∀゚)「あんた、ホクロがクソでかいってよく言われね?」
< ゚ _・゚;>「そ、それは言わないでください!気にしてるんですから!」
_
( ゚∀゚)「いやぁあんまり目立つからわざとやってんのかなと」
< ゚ _・゚;>「わざとって何ですか、わざとって」
(;"ゞ)「今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょう、ジョージさん」
_
( ゚∀゚)「悪い悪い。一度気になりだすと止まんなくてよ」
(;"ゞ)「全く……あなたって人はデリカシーがないんだから……」
.
487
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:02:20 ID:EF2jqLeg0
.
@@@
@#_、_@
(■■)「……その声、そこにいるのはジョージ警部かい?」
_
(;゚∀゚)「うぇっ!?」ビクッ
< ゚ _・゚#>「私語は慎め!ハハジャ=サウスガット!」
@@@
@#_、_@
(■■)「……フン。兄弟そろって、熱心なことだね」
_
(;゚∀゚)「兄弟そろって……?」
_
(;゚∀゚)「おい!お前、兄貴のこと何か知ってやがんのか!?」
@@@
@#_、_@
(■■)「……」シーン
_
(;゚∀゚)「おいっ!何とか言えよ!おいコラ!」
(;"ゞ)「どうしたんです?ジョージさん」
_
(;゚∀゚)「いや……すまねぇ、取り乱した」
_
(;゚∀゚)「実を言うと、こいつらを捕まえる前に兄貴からメールが来てたんだ……」
_
(;゚∀゚)「『あとはお前がケリをつけろ』……って」
(;"ゞ)「なんですって!?」
< ゚ _・゚;>「そんなことが……」
.
488
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:03:38 ID:EF2jqLeg0
.
_
(;゚∀゚)「もしかしたら、サウスガットを潰したのは兄貴なのか……?」
(;"ゞ)「確たる情報はないですから、何とも……それに署長は普通の人間ですし……」
(;"ゞ)「ともかく今は、サウスガットの搬送に注力すべきかと」
( "ゞ)「気を抜いて手に負える相手ではないですから」
_
(;゚∀゚)「そ、そうだな。バシッと気合い入れねーと」
ガラガラガラ、ガシャアンッ…
( ^ω^)「ジョージさん!護送車の受け入れ手配、終わってますお!」
£°ゞ°)「途中で襲撃受けても問題ナッシングヨー!!」
_
( ゚∀゚)「おう、お前らお疲れ。ハハジャ乗せんぞ」
< ゚ _・゚>「運転は私にお任せを!」
( "ゞ)「ハハジャ=サウスガットは第一車両、アンネとナージャは第二車両」
( "ゞ)「チチジャ=サウスガットは第三車両にて連行します」
_
( ゚∀゚)「最後まで気ィ抜くんじゃねぇぞ、野郎ども!!」
( "ゞ)「了解!!」
( ^ω^)ゞ「はいですお!!」
£°ゞ°)ゞ「オーケーねー!!」
.
489
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:05:37 ID:EF2jqLeg0
.
─────
────
───
──
【AM11:23】
サウスガットファミリー、特別収容所へ到着
ブロロロロ…
( ∴)「……ついたぞ」ガチャ
(,,゚-゚)「ありがとうございます!」ガチャ
( ∴)「ここなら遠巻きに収容所撮れるだろ……」
(,,;゚-゚)「んん〜……でもちょっと遠いなぁ。もうちょい施設の近くに行けません?」
( ∴)「アホ……この厳戒体勢の中に突っ込んだら、不審車両として一発逮捕だぞ……」
( ∴)「望遠で遠くから撮るだけにしときな……」
(,,゚-゚)「はぁい……仕方ないかぁ……」
.
490
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:06:32 ID:YWRhz2R20
>>461
チチジャ…
491
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:06:45 ID:EF2jqLeg0
.
( ∴)「じゃ、俺帰るから……後は好きにしな……」
(,,;゚-゚)「えっ!いっしょにいてくれるんじゃないんですか!?」
( ∴)「いや俺犯罪者に興味ないし……ババァも適当にあしらっときゃ機嫌治るし……」
(,,;゚-゚)「こんな荒野におっぽり出されたらハゲ鷹の餌ですよぅ!」
( ∴)「知らんがな……あんたが自分で選んだ仕事だろ……」
( ∴)「迎えには来てやるから、終わったら後で電話しな……」
(,,;゚-゚)「えぇ〜……心細いからいっしょにいてくださいよぉ……」
( ∴)「……前にあんたを殺そうとした俺といて、安心出来るのか?」
(,,゚-゚)
(,,゚-゚)「それもそうか」
.
492
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:08:19 ID:EF2jqLeg0
.
( ∴)「じゃ、あとは適当に頑張れ……」ガチャ、ブロロ…
(,,;゚-゚)「あぁん……本当に行っちゃった……まぁいいけど……」
(,,;゚-゚)「でもどうしよ……せめてもうちょっと収容所に近づけないかな……」
(,,゚-゚)「徒歩で行けば気づかれずに何とかなりそう……かな……?」
(,,゚-゚)
(,,゚-゚)「これ一歩間違えれば射殺されかねないよね?」
(,,゚-゚)「やっぱりやめといた方が……」
(,,;゚-゚)「いや!ここまで来て諦める訳にはいかない!」
(,,゚-゚)「命を捨てる覚悟なんて、カメラマンになるときにとっくに済ませたじゃないか!」
(,,゚-゚)「やるぞ!ギャシャールやるぞ!」
(,,゚-゚)「うぉぉぉぉ!!」ザッザッ
……この時彼女は、後にこの決断を後悔することになるとは思いもよらなかったのであった。
.
493
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:10:07 ID:EF2jqLeg0
.
─────
────
───
──
『指紋認証確認、虹彩認証確認』
『音声認証を開始します。AからGまでのアルファベットを発音してください』
_
( ゚∀゚)「えーびーしーでぃーいーえふじー」
『認証されました。ロックを解除します』
ガコンッ……
_
( ゚∀゚)「ふぃー……いつ来てもここは地獄の一丁目って感じだな」
( ^ω^)「我々は外で待機してますお!!」
£°ゞ°)「あとはお二人で頑張ってネー」
( "ゞ)「ジョージさん」
_
( ゚∀゚)「おう、なんだ」
( "ゞ)「ジョージさんの網膜が認証されたってことは、前にもここへ来たことがあるんですか?」
_
( ゚∀゚)「あー、一度だけ兄貴に連れられてな」
_
( ゚∀゚)「ろくでもない施設だってこたぁ知っとけって言われたんだよ」
( "ゞ)「なるほど……私は来たことがなかったものですから」
_
( ゚∀゚)「ま、来るもんじゃねーよこんなとこ」
_
( ゚∀゚)「お前も一度見たらそう思うようになるぜ」
( "ゞ)「……」
.
494
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:11:16 ID:EF2jqLeg0
.
(-@∀@)「おやおや、ひどい言い方ですねぇ〜ジョージさん」ツカツカ
_
( ゚∀゚)「お、変態クソ博士じゃねぇか。ようやくお出ましか?」
(-@∀@)「あのサウスガットが収容と聞いて、いても立ってもいられなくなりましてねぇ!」
(-@∀@)「とはいえ、クソ博士はさすがに言い過ぎですよ〜」
( "ゞ)(変態なのは否定しないのか)
( ゚¥゚)「……」ペコリ
( "ゞ)「あ、どうも」ペコリ
( "ゞ)「ジョージさん、こちらは?」
_
( ゚∀゚)「看守長のミスターセモナと、ヴィラン研究家のアーサー博士だ」
_
( ゚∀゚)「実質この二人が、この施設のツートップだな」
(-@∀@)「よろしくどうぞ〜」
(-@∀@)「ハハジャ=サウスガットの状態……あ、健康状態はいかがです?」
.
495
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:12:23 ID:EF2jqLeg0
.
_
( ゚∀゚)「そいつぁ本人に聞いてみてくれや。ほれ」
@@@
@#_、_@
( ■■) ズズゥウン…!!
(-@∀@)「おっほー!!素晴らしいですねぇ!!」
(-@∀@)「肌ツヤも申し分ないし健康きわまりない!!」
(-@∀@)「これは研究しがいがありますねぇ!!」
(;"ゞ)「な、何なんですこの人。ハハジャを研究対象としてしか見てないんですか?」
_
( ゚∀゚)「気にすんな、そーいう男だよこいつは」
∬#´_ゝ`)「おい、そこの変態メガネ!!人の母親にツバかけてんじゃねぇぞ!!」
l从・∀・#ノ!リ人「母者に手を出したら殺すのじゃー!」
彡⌒ミ
(#´_ゝ`)「こっちが捕縛されてなかったら命はなかったぞ、お前……!!」
(-@∀@)「オホホ、他の方々も素晴らしい元気でいらっしゃる」
(-@∀@)「これは研究家として腕がなるというものですよ〜」
(;"ゞ)「……」
_
( ゚∀゚)「こいつのがよっぽどヴィランっぽいよな、マジで」
.
496
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:13:10 ID:EF2jqLeg0
.
_
( ゚∀゚)「それより、さっさとこいつら独房にぶちこんでくれねぇかな」
_
( ゚∀゚)「俺だって早く帰って休みてぇんだからよ」
(-@∀@)「えぇ、えぇ。分かってますとも」
(-@∀@)「セモナさん!彼らの搬送をお願いしますよ〜!」
( ゚¥゚)「はい」ペコリ
( "ゞ)「我々も行きましょう」
_
( ゚∀゚)「あぁ」
ガシャァン…
(-@∀@)「しかし、サウスガットのような大物が捕まるとは、何が起こるか分かりませんねぇ」
( "ゞ)「狡猾に立ち回っては上手く逃げ仰せていましたからね……」
_
( ゚∀゚)「これで少しゃ平和になればいいんだが、そうも行かねぇよなぁ」
( "ゞ)「そうですね……悪党のパワーバランスが崩れれば、どうなるか予想はつかない」
( "ゞ)「だからこそ我々も、最善を尽くさなければ……」
(-@∀@)「及ばずながら私もご協力しますよ〜」
(-@∀@)「ヴィランの研究こそ一番の防犯になると、私は信じてますから!」
_
( ゚∀゚)「間違っちゃねぇが、あんたが言うとろくでもないな」
.
497
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:14:36 ID:EF2jqLeg0
.
─────
────
───
──
【同時刻】
ヴィラン特別収容所地下、下水道内部……。
▼ーェー▼「……」
▼・ェ・▼ カッ!
▼ーェー▼ スゥゥゥ…
▼ーェー▼「アォ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン!!!!!」
『アンッ!アンッ!』
『キャオーン!!』
『ワウッ、バウッ!!』
▼・ェ・▼「……アンッ、アンッ」
ドドドドド…
▼・ェ・▼「アオンッ!!」
.
498
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:17:47 ID:EF2jqLeg0
.
ドドドドド…
( "ゞ)「……ん?」
_
( ゚∀゚)「どした、デルタ」
( "ゞ)「今何か、変な物音がしませんでしたか?」
_
( ゚∀゚)「そうか?」
( "ゞ)「えぇ、何かこっちに近づいてくるような……?」
ウォーーーーーーーン!!!
ウォーーーーーーーン!!!
_
(;゚∀゚)「なっ……なんだ!?」
(-@∀@)「これは、緊急時のサイレンですねぇ」
(-@∀@)「何かあったんでしょうか?」
.
499
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:18:51 ID:EF2jqLeg0
.
『緊急所内放送、緊急所内放送!!!』
『地下下水口より生物反応多数!!何者かが侵入しています!!』
『アーサー博士、セモナ看守長!!これより所内はレベル5厳戒体制に入ります!!』
_
(;゚∀゚)「なんだって!?」
(;"ゞ)「看守長!!」
( ゚¥゚)「落ち着いてください、お二人とも」
( ゚¥゚)「全所員、警戒体勢!!不審者は発見次第即射殺せよ!!」
(-@∀@)「これはヴィランの襲撃ですかねぇ〜!」
(-@∀@)「面白くなってきた!!」
(;"ゞ)「面白くって……そんな場合ですか!!」
(-@∀@)「こうしちゃいられませんね!私は監視カメラで侵入者の動向を観察しますので!」
(-@∀@)「サウスガットの搬送はお願いしますよ〜!!」
(;"ゞ)「ちょっと博士!!一般人は避難してください!!」
_
(;゚∀゚)「ほっとけデルタ!ここまで来たら残るも死ぬも自己責任だ!」
_
(;゚∀゚)「それより、何が来てもいいように銃は抜いとけ!!」
(;"ゞ)「は、はい!!」
.
500
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:21:16 ID:EF2jqLeg0
.
(;"ゞ)「でも、ジョージさん」
_
(;゚∀゚)「あ?なんだ!」
(;"ゞ)「下水口って普通、蓋してありますよね?」
(;"ゞ)「ヴィランだとしても、人間大の生き物が通るのは不可能なはず……」
_
(;゚∀゚)「だとしたらなんだ?ネズミでも大量発生したってのか?」
『アォンッ!!』
_
(;゚∀゚)「うぉおっ!!?」
『ワンッ!!ワンッ!!』
『アォーーーンッ!!』
『キャンッ、キャンッ!!』
(;"ゞ)「こ、これは……犬!?」
(;"ゞ)「しかも愛玩犬ばかり……!!」
_
(;゚∀゚)「ぎゃあああ!!変な生き物が足にまとわりついてくるゥ!!」
(;"ゞ)「落ち着いて!!それただの濡れたプードルです!!」
_
(;゚∀゚)「ホントだ濡れたプードルって気色悪ッ!!」
.
501
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:22:11 ID:EF2jqLeg0
.
(;"ゞ)「けどとんでもない数だ……百匹は下らないぞこれは……」
_
(;゚∀゚)「特に攻撃とかもしてこないから、所員も撃っていいのか図りかねてるな……」
(;"ゞ)「近くでペットショップからの脱走でもあったんですかね……?」
_
(;゚∀゚)「こんな荒野のど真ん中にペットショップがあるか!」
( ゚¥゚)「総員、撃ち方止めィッ!!犬は比較的大人しい!!」
( ゚¥゚)「攻撃反応を控え、犬の捕獲と保護に専念せよ!!」
( ゚¥゚)「ただし暴れる犬には銃の使用を許可する!!」
( ゚¥゚)「お二人はサウスガットの檻をお願いします。私は犬の捕獲に向かいますので」
(;"ゞ)「はい!」
_
(;゚∀゚)「わ、分かった!」
.
502
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:23:19 ID:EF2jqLeg0
.
─────
────
───
──
【AM11:36】
謎の犬、捕獲作戦
_
(;゚∀゚)「デルタ!!そっちに一匹行ったぞ!!」
(;"ゞ)「ジョージさんも股ぐらから一匹抜けてます!」
_
(;゚∀゚)「あーもーちょこまか鬱陶しいな!何なんだこいつら!」
(;"ゞ)「サウスガットどころじゃありませんよこれ……」
(;"ゞ)「ほっといたら何をしでかすか分からないですし」
_
(;゚∀゚)「アーサー博士も呼んで捕まえさせろ!!」
(;"ゞ)「いやいや、博士も一応民間人ですから……」
_
(;゚∀゚)「もー!!やだー!!」
▼・ェ・▼ ヒョコッ
▼・ェ・▼「……アンッ」
三三三三▼・ェ・▼ タターッ
.
503
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:24:52 ID:EF2jqLeg0
.
【収容所内、監視ルーム】
(-@∀@)「ふんふふんふーん♪」
(-@∀@)「知将とはこういうとき、高みから見物するものなのですよ〜♪」
(-@∀@)「しかし、侵入したのが攻撃意思の見られない小型犬ばかりなのは、いただけませんねぇ」
(-@∀@)「もっとこの施設のポテンシャルを発揮できるような、アグレッシブな敵が良かったのですが」
(-@∀@)「……おや?」
【 三三三▼・ェ・▼ 】
(-@∀@)「ふむ……この犬だけ、他の犬とは違う行動を取っていますねぇ」
(-@∀@)「しかも向かっているのは、危険なヴィランのみを集めた重犯罪者特区……」
(-@∀@)「これは偶然とは思えませんねぇ……念のため注意を促しておきますか」
(-@∀@)「所内放送ボタンぽちーっと」
(-@∀@)「あーあー、マイクテスマイクテス」
(-@∀@)「ただいま一匹の犬が、重犯罪者特区に向かって走って行きましたよー」
(-@∀@)「所員の皆さんは、その犬の捕獲を最優先事項としてくださ〜い」
(-@∀@)「犬種はチワワの一種、素早く動くので先回りして捕まえるのをオススメしますよ〜」
(-@∀@)「それでは皆さん、頑張ってくださいねぇ〜」
(-@∀@)「アーサーからのご連絡でした〜」
.
504
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:25:45 ID:EF2jqLeg0
.
(;"ゞ)「……ですって、ジョージさん」
_
(;゚∀゚)「チッ。要するにこの大量の犬は陽動ってワケか?」
(;"ゞ)「我々も、そのチワワを追いましょう!」
_
(;゚∀゚)「待て待て。サウスガット置いてくつもりか?」
_
(;゚∀゚)「それに俺らじゃ、重犯罪者特区ってのがどこかも分かんねぇだろ」
_
(;゚∀゚)「追うのはここの所員に任せて、俺らはサウスガットどもを移動させるぞ!!」
(;"ゞ)「そ、そうですね……でも移動ってどこへ……」
_
(;゚∀゚)「とにかく、どっか安全なところだ!!」
ビキッ…
(;"ゞ)「……えっ?」
_
(;゚∀゚)「あっ!?」
.
505
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:27:09 ID:EF2jqLeg0
.
@@@
@#_、_@
(#■■)「ぬぁぁああああああああああああ!!!!!!!!」
ビキッ、ビキビキビキィッ!!!
(;"ゞ)「拘束具が!!」
_
(;゚∀゚)「バカ!!逃げろデルタ!!」
バッキィィィィィィィン!!!!!!
@@@
@#_、_@
( ノ`)「フゥゥゥゥ……!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…
(;"ゞ)「さ、最悪だ……このタイミングでサウスガットが……!」
_
(;゚∀゚)「ボーッとすんな!!さっさと物陰に隠れろ!!」
(;"ゞ)「す、すみません!!」
.
506
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:27:40 ID:EF2jqLeg0
.
@@@
@#_、_@
(# ノ`)「シャラァッ!!」ゴキンッ
@@@
@#_、_@
( ノ`)「アンネ、ナージャ、あんた!!無事かい!?」
∬;´_ゝ`)「だ、大丈夫よ!」
l从・∀・ノ!リ人「のじゃ!!」
彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「問題ない!それより、お前こそ右腕折れてるはずだろ!?」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「それこそ、何も問題ないね。さっさとこんなところずらかるよ!」
.
507
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:29:09 ID:EF2jqLeg0
.
【AM11:46】
サウスガットファミリー、脱走
彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「しかしまぁ、何だってんだろうなこの騒ぎ」
∬;´_ゝ`)「犬がどうとか聞こえてきたけど……なんで収容所に犬が?」
l从・∀・ノ!リ人「ワンちゃん!ワンちゃんなのじゃ!かわいいのじゃ!」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「浮かれるのは後だよ、ナージャ!!」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「あんたたち!!フォーメーション『サウスガットトレイン』、スタンバイ!!」
彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「お、おう!!」
∬;´_ゝ`)「分かったわ!!」
l从・∀・ノ!リ人「のじゃ!!」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「この千載一遇の脱出のチャンス、絶対に逃すんじゃないよ!!」
.
508
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:30:54 ID:EF2jqLeg0
.
@@@
@#_、_@ 彡⌒ミ
( ノ`)∬;´_ゝ`)l从・∀・ノ!リ人( ´_ゝ`)
ガッシィィィィーーーーンッッッ!!!!!
@@@
@#_、_@
( ノ`)「サウスガットトレイン、ゴーッ!!!!」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「ハァァァァァァァァァッッッ!!!!」
説明しよう!!
サウスガットトレインとは、サウスガットファミリーがハハジャを先頭として、1列に隊列を組んで進む!!!
かの有名なグレイシートレインに着想を得たフォーメーションである!!!
@@@
@#_、_@
( ノ`)「ここから先は混戦が予想される!!」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「私から離れるんじゃないよ!!」
ただ1列に並んだだけと思うなかれ!!!
サウスガットトレインは、ハハジャが圧縮空気で周囲を防御することに真価を発揮する!!!
その堅牢な守りは、たとえマシンガンであろうと弾き返すほどなのだ!!!
.
509
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:31:58 ID:EF2jqLeg0
.
@@@
@#_、_@
( ノ`)「このまま一気に進むよ!!後に続きな!!」
彡⌒ミ
( ´_ゝ`)「おうっ!!」
∬´_ゝ`)「分かったわ!!」
l从・∀・ノ!リ人「ついてくのじゃー!!」
ズドドドドドドッ!!!!!
(;"ゞ)「クソッ……サウスガットが止まらない!!」
_
(;゚∀゚)「あいつら、今の今まで猫かぶってやがったな……!!」
(;"ゞ)「このままでは脱獄されてしまいます!!止めなければ!!」
_
(;゚∀゚)「どうやって止める気だよ!?立ち塞がっても止めらんねぇぞ!!」
(;"ゞ)「こうなったら、私が……!!」
_
(;゚∀゚)「落ち着けって!!」
_
(;゚∀゚)「外にはヒーロー連中も待機してる!!サウスガットは奴らに任せろ!!」
(;"ゞ)「そうやってあなたはいつも人任せにして!!」
_
(;゚∀゚)「ちげーよ!!ここで俺らが足手まといになる方が迷惑なんだよ!!」
_
(;゚∀゚)「俺らのやることは兄貴の……ハイド署長の跡をしっかり継ぐことだろうが!!」
_
(;゚∀゚)「しっかりしろ!!」
(;"ゞ)「……すみません、取り乱しました」
.
510
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:33:19 ID:EF2jqLeg0
.
─────
────
───
──
三▼・ェ・▼ シュタタタッ
「くそっ、こいつ妙にすばしっこいぞ!!」
「慌てるな、囲めば捕まえられる!!」
「待てぇ犬ッコロ!!!」
三▼・ェ・▼「アンアンッ」シャッ
「うおぉっ!?」
「こいつ、通気ダクトに逃げるぞ!!」
「出てきたところを捕まえるんだ!!」
.
511
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:34:42 ID:EF2jqLeg0
.
『アーサー博士!例の犬は通気ダクトに逃げ込んだ模様です!』
『現在、所員総出で行方を追っています!』
(-@∀@)「通気ダクト?はて、妙ですねぇ……」
(-@∀@)「通気ダクトの先は排気用のファンが回っていて、行き止まりのはずですが」
(-@∀@)「それになぜあの犬は、重犯罪者特区まで迷いなく走ることが出来たのか……」
(-@∀@)「……これはもしかすると、こちら側に内通者がいるのかも」
(-@∀@)「となると、早めに捕まえないと大変なことになりますねぇ」
(-@∀@)「所内放送ボタンぽちっと」
(-@∀@)「えー皆さん、わんこちゃんは通気ダクトに入り込んだとの情報があります」
(-@∀@)「ひとまず他の犬はほっておいて、そちらを探してください」
(-@∀@)「あ、あとサウスガットも逃がさないようにお願いいたしますね〜」
.
512
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:36:09 ID:EF2jqLeg0
.
【PM12:04】
サウスガットファミリー、前進
@@@
@#_、_@
( ノ`)「シャオラァッ!!!」
ズドドドドドドッ!!!!
「と、止まれ!!!」
「うわぁぁぁぁぁ!!!」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「その程度で私が止まると思うかい!!」
彡⌒ミ
( ´_ゝ`)「さすが母さん。右腕が折れてるとは思えないキレだ」
∬´_ゝ`)「やっぱりうちの母さんってサイコーね!」
l从・∀・ノ!リ人「のじゃ!」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「ナージャ!!あんたはマグネティカで援護しな!!」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「圧縮空気で物理攻撃は通らないが、磁力なら向こうの武器を無効化できる!!」
l从・∀・ノ!リ人「おけーなのじゃー!」
l从・∀・ノ!リ人「マッグネティカー!!」ズビビビッ
.
513
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:39:07 ID:EF2jqLeg0
.
「な、なんだ!?銃が、引っ付いて……!!」
「弾丸が発射されないぞ!?」
l从・∀・ノ!リ人「鉄砲は磁石になったのじゃ!!もう使えないのじゃ!!」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「さぁ、どんどん進むよ!!」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「まずはいったん、下水道に潜る!!準備しな!!」
∬´_ゝ`)「下水道?」
l从・∀・ノ!リ人「なんでなのじゃ?」
彡⌒ミ
( ´_ゝ`)「地上はヘリやら何やらで上空から追跡されるからな」
彡⌒ミ
( ´_ゝ`)「そうなったらたとえ俺たちでも、容易には逃げられん」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「ほらほら、話は後にしな!!」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「下水道を掘り当てたら、トレインを一旦解除する!!」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「そしたらすぐに走って逃げな!!いいね!!」
∬´_ゝ`)「うん!!」
l从・∀・ノ!リ人「のじゃー!」
彡⌒ミ
( ´_ゝ`)「若いもんにはまだまだ負けんぞ!」
.
514
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:41:00 ID:EF2jqLeg0
.
【PM12:12】
特犯課二人、右往左往
(;"ゞ)「あっ、そうだ!!」
_
(;゚∀゚)「どうした、デルタ!!」
(;"ゞ)「ジョージさん、対ヴィラン用の試作武器持ってきてましたよね?」
(;"ゞ)「衝撃を内部に伝えるって触れ込みの、あの銃!!」
_
(;゚∀゚)「お、おう」
(;"ゞ)「今は一刻を争う時です!それ使いましょう!!」
_
(;゚∀゚)「わ、分かった!」ゴソゴソ
(;"ゞ)「ともかく、ハハジャだけでも止めないと我々の存在意義が……」
_
(;゚∀゚)「……あっ」ピタ
(;"ゞ)「ジョージさん?どうしたんですか」
_
(;゚∀゚)「……デルタ。落ち着いて話を聞いてくれ」
(;"ゞ)「え、まさかあなたそんな……ウソでしょう?」
_
(;゚∀゚)「……護送車に武器、置いてきちゃった」
(;"ゞ)「あなたって人はーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
.
515
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:42:17 ID:EF2jqLeg0
.
_
(;゚∀゚)「すぐに、すぐに取ってくるから待っててくれ!!」
(;"ゞ)「もう!!バカ!!アホ!!早くしてください!!」
_
(;゚∀゚)「ごめんて!!急ぐから!!」
_
三三三(;゚∀゚) シュタタタッ
@@@
@#_、_@
(# ノ`)「ウオオォォォォォォォォォ!!!!!!」
ズドドドドドドドドドドドドッ!!!!!!!!!!!!
_
( ゚∀゚)「えっ、ウソ?」
_
(;゚∀゚)「ちょ、ちょまっ!止まれ、止まれハハジャー!!!」
.
516
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:42:44 ID:EF2jqLeg0
.
@@@
@#_、_@
(# ノ`)「オォラァァァァァァァァァァァッッッッッ!!!!!!!!」
ドゴォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!!!!
_
(; ∀ )「ギャアァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!」
(;"ゞ)「ジョージさんが轢かれたーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
∬´_ゝ`)「……なんか前方不注意のアホが轢かれたわ」
∬´_ゝ`)「いい気味ね」
l从・∀・ノ!リ人「おどるアホウなのじゃー」
.
517
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:44:56 ID:EF2jqLeg0
.
─────
────
───
──
この騒動から時は遡りーー。
【AM10:00】
その頃、ヒーローたちは……
(´・_ゝ・`)「みんな、よく集まってくれた」
(´・_ゝ・`)「これより、ハハジャ=サウスガットに対する任意護衛を開始する」
(´・_ゝ・`)「まずは編成の最終確認だ。聞きたいことがあれば今のうちに聞いておけ」
(´・_ゝ・`)「まずは先行部隊。サー=トレジャーとモララー」
( ,,^Д^)「うむ!!!」
( ・∀・)「あいよ!!」
(´・_ゝ・`)「君たちは、何か問題が起こった際に真っ先に現場へ駆けつけてくれ」
(´・_ゝ・`)「そのために、ヒーローの中でもスピードに特化した二人を選んでいる」
( ・∀・)「おう!!俺とおっさんの速さに任しときな!!」
( ,,^Д^)「ムハハ!!頼りにしているぞ、モララー!!」
.
518
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:45:43 ID:EF2jqLeg0
.
(´・_ゝ・`)「次、中間護衛部隊」
(´・_ゝ・`)「ミシェーラくん、サダコくん、ギコ」
ミセ*゚ー゚)リ「あいなー」
川д川「はいはい」
(,,゚Д゚)「ういーっす」
(´・_ゝ・`)「君たちは、サウスガットが逃亡した際に施設周辺で迎え撃ってくれ」
(´・_ゝ・`)「戦闘力はもとより、捕獲力なら君たちの右に出るものはいない」
ミセ*゚ー゚)リ「バッチリオッケー!」
川д川「この辺乾燥してるから、上手いこと草木を調整しないとね」
(,,゚Д゚)「久々の出番だぁ、やってやんぜ!!」
.
519
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:46:52 ID:EF2jqLeg0
.
(´・_ゝ・`)「最後、最終防衛ライン」
(´・_ゝ・`)「ヒクソンくん、マオさん、ダードリーさん」
(´・_ゝ・`)「それと特別増員のシンさん」
(;-_-)「は、はい!」
(#゚;;-゚)「アイアイヨー」
|(●), 、(●)、|「腕がなるわぁ〜、んっふふふふ」
( `ハ´)「フン!フン!」
(´・_ゝ・`)「あなた方は、前衛で対処出来なかった場合の最終手段です」
(´・_ゝ・`)「もしもの場合は遠慮せず、最大戦力で向かってください」
(;-_-)「き、緊張する……」
(#゚;;-゚)「お腹痛くしてる場合と違うヨ、ビシッとするネ」
|(●), 、(●)、|「あとで胃薬あげるから、飲んでおきなさい」
(´・_ゝ・`)「それと、本来なら特殊能力を持たない人間を引っ張り出したくはないんだが」
(´・_ゝ・`)「シンさん本人のたっての希望で、今回後衛として参戦していただくことになった」
( `ハ´)「当たり前ネ!娘が戦うのにお前らだけに任せておけないヨ!」
(#゚;;-゚)「年寄りの冷や水ネー」
.
520
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:48:04 ID:EF2jqLeg0
.
(´・_ゝ・`)「編成は以上だ。何か質問は?」
ミセ*゚ー゚)リ「はいはーい」
(´・_ゝ・`)「なんだい、ミシェーラくん?」
ミセ*゚ー゚)リ「今うちらがいるのって、収容所から1キロくらい離れた場所じゃん?」
ミセ*゚ー゚)リ「なんでもっと近くで護衛しないのー?」
(´・_ゝ・`)「警察にも面子がある。表立って我々の助力を請う訳にはいかないんだ」
(´・_ゝ・`)「あくまでも我々は、警察と看守で対応出来なかった場合の補助ということだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「なるほどね。警察との関係を悪化させないための配慮かぁ」
(,,゚Д゚)「メンドクセェやっちゃな、警察も」
川д川「それで対応遅れたら、うちらの責任になるのよね。やだやだ」
(´・_ゝ・`)「これだけのメンバーだ。いかにサウスガットでも取り逃しはしない」
(´・_ゝ・`)「そのために我々がいるということ、忘れないでくれ」
.
521
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:48:53 ID:EF2jqLeg0
.
(;-_-)「すみません、僕からもひとつ……」
(´・_ゝ・`)「どうした、不安かい?」
(;-_-)「は、はい……僕みたいなぺーぺーが殿なんて……」
(´・_ゝ・`)「そう萎縮するな。君には、サー=トレジャーに膝をつかせた戦果があるんだからな」
( ,,^Д^)「そうだぞ!!君の能力は、すぐにでも実践で使える実用性がある!!」
( ,,^Д^)「もっと自信を持ちたまえ!!!」
(;-_-)「は、はい……」
(#゚;;-゚)「ハイハーイ。私からもひとつ聞きたいことあるヨー」
(´・_ゝ・`)「うん、どうしました?」
(#゚;;-゚)「うちのパパ、足手まといにならない?」
(;´・_ゝ・`)「あー……いやそれは……」
.
522
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:49:37 ID:EF2jqLeg0
.
(;´・_ゝ・`)「正直な話、僕はシンさんの戦うところを見たことがないので何とも……」
( `ハ´)「案ずることないネ、小僧」
( `ハ´)「アメリカに渡って封印したワタシの拳、鈍ることはあり得ないヨ」
(;´・_ゝ・`)「そ、そうですか」
( ,,^Д^)「シンさんの拳なら、私が保証しよう!!」
(´・_ゝ・`)「サー=トレジャー」
( ,,^Д^)「氏の拳の鋭さとキレは、私ですら見切るのは困難なほどだ!!!」
(#゚;;-゚)「気を使わなくていいヨ。パパの拳、トレジャーに一回も当たったことないネ」
( `ハ´)「フン!こんな変態に本気だしてると思わないことヨ!」
(;´・_ゝ・`)「まぁ、後衛ですから出番はあまりないかと……」
( ,,^Д^)「もしもの時はよろしくお願いします、シンさん!!!」
( `ハ´)「言われなくてもそうするネ!!」
.
523
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:50:42 ID:EF2jqLeg0
.
(´・_ゝ・`)「質問は以上かな?」
(´・_ゝ・`)「それなら各自、配置についてくれ」
( ・∀・)「オーケー!」
ミセ*゚ー゚)リ「りょかーい」
川д川「把握よん」
(,,゚Д゚)「よっしゃ、やるか!」
(;-_-)「うぅー……胃がキリキリするぅ……」
(#゚;;-゚)「観念するネ、お兄ちゃん」
|(●), 、(●)、|「紫外線対策しとかないと」
( `ハ´)「フン!フン!」
( ,,^Д^)「みんな、くれぐれも気をつけてくれたまえ!!!」
.
524
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:52:36 ID:EF2jqLeg0
.
─────
────
───
──
【PM12:31】
アーサー博士、気づく
(-@∀@)「……おかしいですねぇ?」
(-@∀@)「排気ファンにぶつかったなら、とっくに犬が出てこないといけない」
(-@∀@)「だが、犬は一向にダクトから出てこない……」
(-@∀@)「なぜ……?」
(-@∀@)ハッ
彡(;-@∀@)キョロキョロ
シィーン……
(;-@∀@)「施設内の空調が止まってる!?そんなバカな……!!」
(;-@∀@)「これじゃあ通気ダクトを伝って、どこにでも行けてしまう!!」
(;-@∀@)「……電気系統のオンオフの権限を持つのは、私ともう一人しかいない」
(;-@∀@)「まさか、彼が……?」
.
525
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:53:26 ID:EF2jqLeg0
.
( ゚¥゚)「……」
.
526
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:54:28 ID:EF2jqLeg0
.
【PM00:37】
ドルチェ、目的地へたどり着く
▼・ェ・▼「……」サカサカ
▼・ェ・▼「……!」ピクッ
▼・ェ・▼「アンアンッ」ガサガサッ
バキッ!!
▼・ェ・▼「……」ストンッ
『……誰だい』
▼ーェー▼ スゥッ
ξ 'A`)ξ ファサッ
『おやおや……犬かと思ったら人間だったよ……』
『お初にお目にかかるけど、どちらさまかな……』
.
527
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:56:51 ID:EF2jqLeg0
.
ξ 'A`)ξ「……やっと見つけたよ」
ξ 'A`)ξ「私はあんたに、協力してほしいことがあってここまで来た」
『へぇ……わざわざこんなところまで、ご苦労様……』
『ところで、君は何者だい……?』
ξ 'A`)ξ「私は、虐げられたヴィランを救いたいだけの人間さ」
ξ 'A`)ξ「だが、そんなことは今はどうでもいい」
ξ 'A`)ξ「あんたの力を貸りるために、ここから脱走させてやるよ」
『へぇ……いい案じゃない……』
『面白そうな話だね……』
ξ 'A`)ξ「ただし、交換条件だ。ここから出す代わりに、私の言う人間を一人暗殺してほしい」
ξ 'A`)ξ「あんたなら簡単に出来るはずだよ」
.
528
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:57:23 ID:EF2jqLeg0
.
ξ 'A`)ξ「レイニーキッス……カルロ=フォクシー」
爪'ー`)「ふふふ……んふふふふ……」
.
529
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 22:58:43 ID:EF2jqLeg0
第二十話前編終わり
530
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 23:26:28 ID:LKwzX5yY0
乙
待ってたよ
531
:
名無しさん
:2019/06/26(水) 23:27:40 ID:ywhsiSvw0
>>526
【PM12:37】の間違いです。申し訳ない……
532
:
名無しさん
:2019/06/27(木) 00:03:58 ID:IjsY11fs0
乙
混沌としてきた
533
:
名無しさん
:2019/06/27(木) 06:58:29 ID:vSft6xNU0
お帰りおつ
534
:
名無しさん
:2019/06/28(金) 01:56:42 ID:Fuq5erHA0
やっと帰ってきた!読み直すわ
535
:
名無しさん
:2019/06/30(日) 23:35:14 ID:gMy1yqoc0
.
【PM12:40】
レイニー=キッス、解放
ガシャンッ……ガシャッ……
ξ 'A`)ξ「よし。これで拘束具は取れたよ」
爪'ー`)「ふぅ……辛かった……」
ξ 'A`)ξ「そりゃそうだ。拷問まがいの実験されて、辛くないはずが……」
爪'ー`)「こんなセンスのない拘束具に縛られるの、耐えられなかったんだよねぇ」
ξ;'A`)ξ「……は?」
爪'ー`)「やっぱりさ、相手を縛るのってすっごくセンスのいることじゃない?」
爪'ー`)「その辺分かってない人間に自由を奪われるの、嫌で仕方なかったんだよ」
爪'ー`)「分かる?お姉さん」
ξ;'A`)ξ「……ま、無駄口叩けるくらい体は丈夫ってことかね」
爪'ー`)「そんなことないよぉ。僕って繊細なんだから、体の方もボロボロさ」
.
536
:
名無しさん
:2019/06/30(日) 23:36:58 ID:gMy1yqoc0
.
ξ 'A`)ξ「あんたの体調なんざどうでもいいさ」
ξ 'A`)ξ「それより、さっさとここから逃げないとね」
爪'ー`)「そうだね。監視カメラもあるし、看守どももすぐここへ集まるだろうねぇ」
爪'ー`)「それで、どうやって逃げるかは考えてるの?」
ξ 'A`)ξ「頼りきりで悪いが、あんたの力を使わせてもらうよ」
ξ 'A`)ξっ[] チャキッ
爪'ー`)「何それ、爆弾?」
ξ 'A`)ξ「発煙筒だよ。こいつを外へ向かって投げる」
ξ 'A`)ξ「すると、どうなると思う?」
爪'ー`)「……あぁ、なるほどね。そういうこと」
.
537
:
名無しさん
:2019/06/30(日) 23:37:30 ID:gMy1yqoc0
.
ξ 'A`)ξ 三三三[] シュッ
と彡
シュゥゥゥゥ……ボンッ!!
ピーッピーッピーッ
シャァァァァァァァ……
ξ 'A`)ξ「発煙筒の煙を関知すれば、スプリンクラーが作動する」
ξ 'A`)ξ「爆弾でも良かったが、こっちの方が簡単に用意出来るからね」
ξ 'A`)ξ「あとは水を操るあんたの仕事だよ」
爪'ー`)「ふふふ……やるじゃない、お姉さん」
爪'ー`)「本当は雨水がいいところなんだけど、まぁ我慢しておいてあげるよ」
ξ 'A`)ξ「戯れ言はよしな。ここからどう足掻くか、見させてもらうよ」
.
538
:
名無しさん
:2019/06/30(日) 23:37:55 ID:gMy1yqoc0
.
爪'ー`)「そうだねぇ……とりあえず、外から人が来ないように扉押さえておいてくれる?」
ξ 'A`)ξ「分かった」ガシッ
爪'ー`)「じゃ、準備しよっか」
爪'ー`)「扉の下側に隙間が開いてるの見えるよね」
ξ 'A`)ξ「あぁ。それが?」
爪'ー`)「いや、見えてるならいいよ」
ξ 'A`)ξ「……?」
「なんだ、この水は?」
「スプリンクラーが作動してる!気をつけろ!」
「犬はレイニーキッスの独房にいるぞ!!」
「取り囲め!!発砲許可は出ている!!」
ザザザザッ
ξ 'A`)ξ「人が集まって来たよ!早くしないと!」
爪'ー`)「いいんだよ、そのままで。むしろ人は多く集まった方がいい」
ξ;'A`)ξ「何考えてるんだい!あんまり大人数で来られると私でも止められないよ!」
爪'ー`)「いいから、いいから。気にしなさんな」
.
539
:
名無しさん
:2019/06/30(日) 23:38:45 ID:gMy1yqoc0
.
「カルロ=フォクシー!!お前たちは完全に包囲されている!!」
「三十秒以内に投降しない場合、突入して銃撃する!!」
ガンッ、ガンッ!!
ξ;'A`)ξ「チィッ……あんた、何かやるならさっさとやっておくれ!!」
爪'ー`)「まぁ待ちなって。三十秒ギリギリまで待ってみようよ」
ξ;'A`)ξ「あんた、何がしたいんだい?」
爪'ー`)「んー?そうだな、強いて言うなら麦の刈り入れかな?」
ξ;'A`)ξ「はぁ!?意味がわからない!!」
爪'ー`)「天才の所業ってのは凡人には理解できないの」
爪'ー`)「いいから黙って見てなって」
ξ;'A`)ξ「ふざけるのも大概に……」
「三十秒経過した!!突撃する!!」
ξ;'A`)ξ「しまっ……!!」
爪'ー`)「オーケー。準備は整った」
爪'ー`) シュンッ
ξ;'A`)ξ「……!!」ゾクッ
.
540
:
名無しさん
:2019/06/30(日) 23:39:37 ID:gMy1yqoc0
.
スパァンッ!!
「ぎゃあぁぁぁ!!」
「どうした!!何があった!!」
「足が……足がぁぁぁぁ……!!」
スパンッ、スパァンッ!!
「ぎゃあっ!!!」
「うわぁぁぁぁぁ!!!」
「ひぃいいいい!!!」
スパァァァンッ!!!
爪'ー`)「ウォーターカッターって知ってるかい?」
爪'ー`)「ダイヤをカットするのにも使われる、水の刃さ」
爪'ー`)「今、僕の操る水はウォーターカッターと同じ圧力で噴出してる」
爪'ー`)「この狭い扉の隙間からじゃ、攻撃もろくに見えなかっただろうね」
爪'ー`)「麦の刈り入れより簡単な仕事だったよ」
.
541
:
名無しさん
:2019/06/30(日) 23:40:27 ID:gMy1yqoc0
.
ξ;'A`)ξ「あんた!私が気づいて飛び退かなかったら、巻き添えにしてたね!?」
爪'ー`)「いいじゃない、気づいたんだから」
爪'ー`)「それにこの程度避けられない相手の言うことなんか、聞く気にならないよ」
ξ;'A`)ξ「……噂以上のサイコ野郎だね、胸糞悪い」
ξ;'A`)ξ「こんな真似しなくても、水で溺れさせれば良かったじゃないか」
爪'ー`)「分かってないなぁ……僕が欲しかったのは、看守の血液なんだよ」
ξ 'A`)ξ「なんだって?」
爪'ー`)「僕の操る水と混ざれば、血液だろうと自由に操れるようになる」
爪'ー`)「ウォーターカッターは威力が高いだけに、水の消費も激しいからね。補給が大事ってワケ」
爪'ー`)「成人男性でだいたい5リットル。それが血液量の標準だ」
爪'ー`)「ここからは看守を殺した分だけ、使える水が5リットル増えるってことさ」
ξ;'A`)ξ「な……なんていう恐ろしい思考してるんだい、あんた……」
.
542
:
名無しさん
:2019/06/30(日) 23:41:21 ID:gMy1yqoc0
.
爪'ー`)「さ、厄介な看守どもも殺ったし、そろそろ出ようか」ピチャ、ピチャ
ξ;'A`)ξ「ま、待て!まだ全員殺った訳じゃ……」
「出てくるぞ!!撃て!!」
タァンッ、タァンッ、タァンッ!!!
爪'ー`)「甘いよ」ギュンッ!!
ギャリィィィッ!!!
ξ;'A`)ξ「ッ……!?」
爪'ー`)「水を高速で展開させれば、弾丸をも弾く盾になる」
爪'ー`)「そんなことも知らなかったのかい?」
スパァンッ!!
「ぎゃあっ!!」
爪'ー`)「あっははは!血だるまの一丁あがりだねぇ!」
爪'ー`)「この調子で、どんどん殺っていこうか」
.
543
:
名無しさん
:2019/06/30(日) 23:42:24 ID:gMy1yqoc0
.
ξ;'A`)ξ「待ちな!あんたやりすぎだよ!」
ξ;'A`)ξ「無関係な人間は極力殺すんじゃないよ!!」
爪'ー`)「おやおや。殺人鬼に助力を請うておきながら、人道を説くつもりかい?」
爪'ー`)「だったら最初から、僕を頼らなければ良かったじゃないか」
ξ 'A`)ξ「その通りさ。そこをどうこう言うつもりはない」
ξ 'A`)ξ「だが、今のあんたは見過ごせない。これ以上殺るなら私があんたを殺すよ!」
爪'ー`)「甘っちょろいねぇ……まぁいいや」
爪'ー`)「君に逃げる策があるなら、僕は殺すのを止めてあげるよ」
ξ 'A`)ξ「そうかい、案外聞き分けがいいじゃないか」
爪'ー`)「『僕は』、ね?」
ξ 'A`)ξ「は?」
.
544
:
名無しさん
:2019/06/30(日) 23:43:48 ID:gMy1yqoc0
.
爪'ー`)「さぁ、ショータイムはここからが本番さぁ!!」
爪'ー`)「牢獄に囚われ、憐れにも理不尽な扱いを受けるヴィランども!!」
爪'ー`)「今こそお前たちを虐げた収容所へ、復讐する時だ!!」
ξ;'A`)ξ「……!!」ハッ
バチッ、バチバチバチッ!!!
ξ;'A`)ξ「こいつ……水で電子ロックをショートさせてる!?」
爪'ー`)「重犯罪者特区に収容された同胞たちよ!!」
爪'ー`)「ドアの鍵は開いた!!今こそクラウン・シティに、再び混沌を与えてやるがいい!!」
ξ;'A`)ξ「なっ……バ、バカ野郎!!!」
.
545
:
名無しさん
:2019/06/30(日) 23:44:22 ID:gMy1yqoc0
.
『ウオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
.
546
:
名無しさん
:2019/06/30(日) 23:47:12 ID:Gv8g0frw0
.
─────
────
───
──
【PM12:56】
ヴィラン、脱走
『博士、大変です!!重犯罪者特区のヴィランが脱走しました!!』
『さらに、脱走したヴィランが通常区域のヴィランも逃がそうとしています!!』
『首謀者はレイニーキッス、カルロ=フォクシーで……う、うわぁぁぁぁぁ!!!』プツンッ
(;-@∀@)「もしもーし、もしもーし?」
(;-@∀@)「これは……大変にマズイ状況ですねぇ〜……」
(;-@∀@)「このままでは、私の大切な研究材料たちに逃げられてしまう……」
(-@∀@)「……やむを得ません、こちらも実力行使と行きましょう」
(-@∀@)「対ヴィラン用防護シャッター、作動!!」
(-@∀@)「所員の皆さんは、閉じ込められて行き場の無くなったヴィランから捕まえてくださ〜い!!」
.
547
:
名無しさん
:2019/06/30(日) 23:49:01 ID:xOeirsh60
.
ガッシャァァァァァンッ!!!!!
爪'ー`)「おや」
ξ;'A`)ξ「しまった!」
爪'ー`)「防犯シャッターか……まぁ、こういう施設には当然あるだろうね」
ξ;'A`)ξ「チィッ……調子に乗ってのんびりしてるからだよ!」
ξ;'A`)ξ「どうするんだい。私だけなら、通気ダクトから逃げれるけどね」
爪'ー`)「そしたら僕を利用出来なくなるから、そんなことはしないだろう?」
爪'ー`)「まぁ任せなって。流動的な水分なら、どんな狭い隙間も通せる」
爪'ー`)「ちょっとフェンスの向こうを探って、制御基盤でもショートさせてくるよ」シュルルルル……
ξ;'A`)ξ「たいそう便利な能力だね、全く……」
スパァンッ!!
「ぎゃあぁぁぁぁ!!!」
ξ;'A`)ξ「ついでみたいに看守を殺すな!!」
爪'ー`)「あ、バレた?」
.
548
:
名無しさん
:2019/06/30(日) 23:50:53 ID:xOeirsh60
.
爪'ー`)「ちょっと水分量が心許なかったもんでね、悪い悪い」
ξ;'A`)ξ「まったく、油断も隙もない……今度やったらぶん殴るからね!」
爪'ー`)「……おや?」
ξ 'A`)ξ「なんだい。またろくでもないことかい?」
爪'ー`)「……やっぱりそうだ。誰かが僕の能力に干渉してる」
ξ 'A`)ξ「なんだって?」
爪'ー`)「フェンスの向こうから、僕以外の誰かが水を操作しようとしてるみたいだ」
ξ;'A`)ξ「……あんた以外に水を操れるヴィランがいるのかい?」
爪'ー`)「別に、水分操作は僕の専売特許って訳じゃないしね」
爪'ー`)「このままどうなるか、あっちに水を操らせといてみようか」
.
549
:
名無しさん
:2019/06/30(日) 23:52:20 ID:gMy1yqoc0
.
爪'ー`)「うーん……どうも向こうはシャッターの様子を探ってるぽいね」
ξ 'A`)ξ「そうかい。でも、なんでそんなことを……」
ドッゴォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!!
ξ;'A`)ξ「ふぎゃっ!?」
爪'ー`)「……あ?」
ノパ⊿゚)「お?」
爪'ー`)「お前、まさかヒート?」
ノハ*゚⊿゚)「おぉ、カルロォッ!!テメェこんなとこに居やがったか!!」
ノハ*゚⊿゚)「よぉ〜やく見つけたぜぇぇぇぇぇ!!!」
.
550
:
名無しさん
:2019/06/30(日) 23:53:49 ID:gMy1yqoc0
.
ξ 'A`)ξ「なんだい。もしかして知り合いなのかい?」
爪'ー`)「あぁ、昔ちょっとね」
爪'ー`)「まさか、お前もヴィランとしてここへ捕まってたのか?」
ノパ⊿゚)「話は後だ!!看守どもが追ってきてる!!」
ノパ⊿゚)「水があるなら俺に寄越しな!!」
爪'ー`)「今お前が使ったので最後だよ」
ノパ⊿゚)「チッ……ならさっさと逃げるぞ!!」
爪'ー`)「まぁ待てよ。お前も水を使う能力ってことで合ってるんだな?」
ノパ⊿゚)「そうだぞ。それがどーした?」
爪'ー`)「オーケー。姉さん、発煙筒ちょうだいよ」
ξ 'A`)ξ「あ?」
爪'ー`)「まさか僕を逃がすのに一本だけしか持ってないなんて、あり得ないだろ?」
ξ 'A`)ξ「……チッ。残り二本で最後だからね」ポィッ
爪'ー`)「十分だよ、二本もあればね」
.
551
:
名無しさん
:2019/06/30(日) 23:55:49 ID:gMy1yqoc0
.
シュゥゥゥゥ……ボンッ!!
ノパ⊿゚)「なるほど!!スプリンクラーか!!」
爪'ー`)「これで水はある程度使い放題だ。お前がどうするか、見せてみろよ?」
ノパ⊿゚)「ケッ、えらそーに!!お前がやれっつーの!!」
「いたぞ!!カルロ=フォクシーとヒート=マックスガイだ!!」
「撃てぇ!!」
ノパ⊿゚)「遅いんだよ、無能どもがよォ!!!」
ドォォンッ!!!
「ぐわぁぁぁぁぁ!!!!」
ノパ⊿゚)「俺の能力は水を爆発させる能力だ!!」
ノパ⊿゚)「さぁ、どんどん殺るぜェェェェェェ!!!!!」
ドゴォォォォォォォォォォン!!!!!!!
爪'ー`)「……シャッター壊した時点で予想はついてたけどさ」
爪'ー`)「何というかお前らしい、粗野で単純な能力だねぇ」
ノパ⊿゚)「うるせーよ!!」
.
552
:
名無しさん
:2019/06/30(日) 23:57:16 ID:gMy1yqoc0
.
爪'ー`)「お前、もしかして俺とバンド組んでる時からヴィランだったのか?」
スパァンッ!!
ノパ⊿゚)「んなワケねーだろ。俺がこの力を覚えたのは、お前が逮捕されてからだよ!!」
ズドオォンッ!!
爪'ー`)「なるほどね……つまり、水を爆破する能力は、僕の能力のパクりってことか」
スパァンッ、スパァンッ!!!
ノパ⊿゚)「誰がテメェの真似なんかするかよ!!たまたまだ、たまたま!!」
ボバァァァンッ!!!
爪'ー`)「で?重犯罪者特区に入れられるほど、何をやらかしたんだよ」
スパッ!!スパッ!!スパァンッ!!
ノパ⊿゚)「ヘッ!!今じゃ俺も、前科もんのテロリストだ!!」
ノパ⊿゚)「仲良くやろうじゃあねぇか、殺人鬼カルロよぉ!!」
ドッゴォォォォォォォン!!!!!!
爪'ー`)「やなこった」
スパァァァァァァァンッ!!!!!!
.
553
:
名無しさん
:2019/06/30(日) 23:58:52 ID:gMy1yqoc0
.
ξ;'A`)ξ(こいつら、目も合わせずに完璧なコンビネーションを……)
ξ;'A`)ξ(なんて化けもんだい、二人とも……!)
爪'ー`)「さてと。これで追ってきた看守はあらかた殺せたかな?」
ノパ⊿゚)「あぁ!つっても、ここまで大事になったら軍も出動するかもしんねーな!」
ノパ⊿゚)「そうなったらどうすんだ、カルロ?」
爪'ー`)「軍人なんて物の数でもないけど、それよりもっと厄介なのはヒーローたちの動向だね」
爪'ー`)「特に、ビッグ・トレジャーとは鉢会わせたら逃げようがない」
ξ 'A`)ξ「それなら、私に任せな」
ノパ⊿゚)「お?」
ξ 'A`)ξ「他のヒーローはともかく、トレジャーへの対策だけは講じて来たよ」
爪'ー`)「へぇ、やるじゃん?」
ノパ⊿゚)「なぁ、さっきからこのババァ何者なんだ?」
ξ 'A`)ξ「うるさいね、誰がババァだガキ」
.
554
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:00:12 ID:K6ILwtHg0
.
─────
────
───
──
時は遡りーー。
【PM12:00】
ビッグ・トレジャー、悶絶
prrr、prrr……
(´・_ゝ・`)「もしもし」
『デミタス。こちらクォッサだ』
(´・_ゝ・`)「お疲れ様です。収容所の様子はどうですか?」
『それが、どうもおかしいんだ』
『内部で何かが起こっている可能性があるぞ』
(´・_ゝ・`)「なんですって?」
.
555
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:01:47 ID:K6ILwtHg0
.
『サー・トレジャー、只今クォッサ博士から連絡がありました』
『収容所内部に不審な動きありとのことです。至急現場へ向かってください』
( ,,^Д^)「了解した!!!すぐに向かうぞ!!!」
( ・∀・)「……いっつも思うんだけど、おっさんて全裸なのに通信機どこに持ち歩いてんの?」
( ,,^Д^)「ム?しまう場所がないから、基本的に連絡はインカムでしか取らないぞ!!!」
( ・∀・)「だよな……でもたまにスマホとか使ってた気がするんだけど……」
( ,,^Д^)「それより、収容所に不審な動きありだ!!!先行部隊の我々から行く!!!」
( ・∀・)「お、おう。オッケー!」
( ,,^Д^)「全力で走るぞ!!!遅れるな!!!」
( ・∀・)「おっさんこそ、俺に抜かされんなよ?」
.
556
:
すみません抜けがありました、前のレスとの間に入れてください
:2019/07/01(月) 00:04:21 ID:K6ILwtHg0
.
【収容所上空100m地点】
川 ゚ -゚)「今、収容所内部から銃の発砲音がした」
川 ゚ -゚)「それと、人の叫び声らしきものも……」
川 ゚ -゚)「サウスガットが中で何かしでかしたのかもしれん」
『分かりました。すぐに駆けつけます』
川 ゚ -゚)「あぁ、頼む」シュゴォォォッ!!
今さらであるが説明しよう!!クーの両足は義足である!!
そして義足に仕込まれたジェットブースターで、空を飛ぶことが出来るのだ!!
今回、本人立っての希望で、上空からの収容所の監視を駆って出たのであった!!
.
557
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:05:38 ID:K6ILwtHg0
.
( ,,^Д^)「行くぞモララー!!!レディ……」スッ
( ・∀・)「……」スッ
キュピンッ
『ワンワンワンワン!!!』
『アオーンッ!!!』
( ,,;^Д^)「ぬっ……ぬおぉっ!!?」
(;・∀・)「なっ、なんだこの犬!?どっから出てきた!?」
『アンアンッ、アオンッ!!』
『キャンッ、キャンッ!!!』
『ワーン、ワーン!!!』
ペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ
( ,,;^Д^)「ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」
(;・∀・)「何やってんの!?」
.
558
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:07:12 ID:K6ILwtHg0
.
( ,,;*^Д^)「わ、私は乳首が弱いのだアァァァファァァァ……!!!」
( ,,;*^Д^)「乳首を責められると弱体化してしまアォッフゥゥゥゥゥゥン……!!!」
ペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ
(;・∀・)「この非常事態に何してんだよ!!犬、どけコラ!!」
『ガルルルッ!!』ガブッ
(;・∀・)「ぎゃあ!!噛まれた!!」
( ,,;*^Д^)「も、モララーぁぁぁ……私を置いて先に行けアフヌゥゥゥゥン!!!」
( ,,;*^Д^)「これは敵の襲撃である可能性が高ァァァァァァァァン……!!」
( ,,;*^Д^)「私もすぐにイクゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!」
ペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ
(;・∀・)「もー本当なんなんだよ!!」
(;・∀・)「先行くからな!?いいんだな!?」
( ,,;*^Д^)「す、すまなオォォーーーーーーーーーン!!!!!!!」ビクビクーンッ!!
.
559
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:08:52 ID:K6ILwtHg0
.
─────
────
───
──
ξ 'A`)ξ「あまり知られてない事実だが、ビッグ・トレジャーは乳首が弱い」
ξ 'A`)ξ「そこを利用して、犬たちに乳首を責めさせトレジャーを足止めする作戦」
ξ 'A`)ξ「名付けて、『ニプルアタッカーズ』!!」
爪'ー`)「君はバカなのかい?」
ξ 'A`)ξ「実情を知らなければそう思うさ。だがこれでも、トレジャーのことは知り尽くしてるんでね」
ξ 'A`)ξ「これで間違いなく、トレジャーの進行は阻止することが出来る」
ノハ;゚⊿゚)「ただの変態じゃねーか!!」
ξ 'A`)ξ「そうだよ。この街最強の変態さ」
ξ 'A`)ξ「だからこそ世界一厄介なんだよ」
爪'ー`)「……ま、どうでもいいよ。これでトレジャーを止められなかったら、姉さんに責任取らせるだけさ」
ξ 'A`)ξ「好きにしな」
ノパ⊿゚)「だったら次は、外に出る道を確保すればいいか?」
.
560
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:10:17 ID:K6ILwtHg0
.
爪'ー`)「いや。まずは脱獄した囚人たちから、使えそうなのを仲間に引き込む」
爪'ー`)「それから屋上へ向かうことにしよう」
ξ 'A`)ξ「屋上だって?」
ノパ⊿゚)「そんなの、追い詰められたら飛び降りるしか出来ないぞ!」
爪'ー`)「頭が悪いねぇ、お前は……とりあえず、屋上までは黙ってついてきなよ」
爪'ー`)「それまではスプリンクラーを使って、水を切らさないようにするよ」
ノパ⊿゚)「なんか知らんが、とにかく屋上だな!?」
ノパ⊿゚)「そこまでは看守どもを蹴散らしてやるぜ!!」
ξ 'A`)ξ(……こいつ、何を考えてるんだろうね?)
.
561
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:12:48 ID:K6ILwtHg0
.
【PM13:09】
あの人は今
ノパ⊿゚)「オラオラどけどけどけぇ!!」
ズドォン、ドゴォン、ボガァン!!!
ξ;'A`)ξ「あいつ、ノリノリかよ」
爪'ー`)「あんた、ヒートの殺しは止めないの?」
ξ 'A`)ξ「世の中、バカと物知らずは止まらないもんだよ」
爪'ー`)「あんな勢いこんでいって、どうなっても僕は知らないけどねぇ」
ノパ⊿゚)「やべぇ、カルロ!!水が涸れた!!発煙筒くれ!!」
爪'ー`)「水を消費するペースが早いよ、アホ」
爪'ー`)「屋上まで保たないから、自力でなんとかしな」
ノハ;゚⊿゚)「えー!?」
「爆発が止んだぞ!!」
「今だ、撃て!!撃て!!」
ノハ;゚⊿゚)「わぁああああ!!!!」
.
562
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:14:17 ID:K6ILwtHg0
.
「キェェェェェェェェアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」
( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)
( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)
( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)
( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)
( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)( <●><●>)
ズッラアァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!
ノハ;゚⊿゚)「ぎゃあ!!な、なんだこれ気持ち悪っ!?」
(;<●><●>)「ハァ、ハァ……く、来るな……俺のそばに来るな……」
(#<●><●>)「クケェェェェェェェェェェ!!!!!」
( <●><●三#<○><○>三 <●><●>) ズリュリュリュウゥッ!!
「あ、あいつは!!」
「分裂能力のワコードです!!」
「早く無力化しろ!!通路が通れなくなるぞ!!」
.
563
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:16:15 ID:K6ILwtHg0
.
ξ;'A`)ξ「うわっ!通路が完全に塞がれてる……!!」
爪'ー`)「へぇ……看守の進路を自由に制限できる能力か」
爪'ー`)「いいねあいつ。ちょっと勧誘してみよう」
ξ;'A`)ξ「あっ、ちょっとあんた!!」
爪;'ー`)「うわ、通路がヌチョヌチョしてる……」
爪;'ー`)「……見たところ、あの分裂体がヌルヌルの液を分泌してるみたいだね」
爪'ー`)「なら、こいつの使い時かな?」
シュゥゥゥゥ……ボンッ!!
シャァァァァァ……
(;<●><●>)「ケキャッ!?」
爪'ー`)「水とぬめりは相性が良さそうだね」
爪'ー`)「やぁ、囚人仲間。調子はどうだい?」
.
564
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:18:43 ID:K6ILwtHg0
.
(;<●><●>)「お、お前は……!?」
爪'ー`)「カルロ=フォクシー。レイニーキッスって名乗ったら分かる?」
(;<●><●>)「あっ!!むかし新聞に載ってた、殺人鬼の男……!!」
爪'ー`)「そうそう」
爪'ー`)「ヒート!!僕、ちょっとこいつと話してるから、看守は頼んだよ」
爪'ー`)「水は好きなだけ使っていいから」
ノパ⊿゚)「おう!!任せとけェ!!」
爪'ー`)「君さ、良かったら僕たちと一緒に脱獄しない?」
爪'ー`)「このヌメヌメの分身、僕の水と合わせたら看守の足止めに使えそうだからね」
(;<●><●>)「なんでもいい!!ここから逃げれるならなんでもする!!」
(;<●><●>)「もう拷問も尋問もこりごりだぁ!!」
爪'ー`)「オーケー。それじゃ、決まりだね」
.
565
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:20:19 ID:K6ILwtHg0
.
爪'ー`)「そうと決まれば、さっさと行こうか」
爪'ー`)「この能力は、分身を消すことは出来ないの?」
(;<●><●>)「時間が経てば消えるが、自由意思で消すのは無理だ……」
爪'ー`)「じゃあ、屋上までは遠回りしなきゃいけないか」
爪'ー`)「君、今後分身出すのは僕が声をかけた時だけにしてくれる?」
爪'ー`)「無思慮に使うとめんどくさそうな能力だからさ」
(;<●><●>)「わ、分かった!」
ノパ⊿゚)「話は終わったかぁ!!」
爪'ー`)「あぁ、屋上までちょっと遠回りしていくよ」
爪'ー`)「こいつは好きなように使ってくれていいってさ」
(;<●><●>)「そんなこと一言も言ってない……」
ノパ⊿゚)「なるほど、奴隷くんか!!よろしくなっ!!」
(;<●><●>)「……あぁ、もう命があるなら奴隷でいいや」
.
566
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:22:56 ID:K6ILwtHg0
.
ξ 'A`)ξ「屋上に繋がる階段はこっちだよ!!」
(;<●><●>)「ゼェッ、ゼェッ……」
ノパ⊿゚)「うぉぉぉぉ!!行っくぜぇぇぇぇ!!」
爪'ー`)「気をつけろ、ヒート。階段で看守に出会ったら、不意に撃たれるぞ」
ノパ⊿゚)「大丈夫大丈夫……」
「待てぇ!!」
「動くな!!」
ノハ;゚⊿゚)「おぁあああ!!?」
爪'ー`)「フラグ回収早いよ」
ξ;'A`)ξ「一度ならず二度までも……」
ノハ;゚⊿゚)「お助けぇー!!」
.
567
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:24:03 ID:K6ILwtHg0
.
「パンティ・スナッチャー妙技、金玉爆砕(ゴールデンボンバー)!!」
「はぎゅっ!?」ギュウゥゥッ
「ぎゃあぁ!!」プチュンッ
爪'ー`)「おや?」
ノパ⊿゚)「なんだ?看守が突然倒れた?」
( ν )「……あんたらの逃走劇、見させてもらったぜ」
( ν )「どうやら、あんたらについていくのがここを抜ける一番の策らしいな」
( ^ν^)「助太刀するぜ……この、パンティ・スナッチャーがな!!」ドォォォンッ!!
爪'ー`)「はぁ」
ξ 'A`)ξ「また変なのが来たね……」
.
568
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:25:40 ID:K6ILwtHg0
.
( ^ν^)「この俺の、パンティを自在に操る能力があれば鬼に金棒だ」
( ^ν^)「俺もあんたらに同行させてもらうぜ」
爪'ー`)「……まぁ、勝手について分には止めないけど」
(;<●><●>)「何があったらパンティを操る能力なんて欲しがるんだ……」
ξ 'A`)ξ「変態のことなんてどうでもいいよ。それより、もうすぐ屋上だよ!」
ノパ⊿゚)「よっしゃ!!鍵は俺に任せろ!!」
ドガァンッ!!
ノパ⊿゚)「それで、ここから先どうするんだ!?」
爪'ー`)「僕の目的のものがここにある。それさえ掴めば、ゴールは目の前さ」
.
569
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:27:38 ID:K6ILwtHg0
.
「脱獄犯ども、止まれ!!」
「神妙にお縄につけ!!」
ノハ;゚⊿゚)「げぇ!!看守ども、まだ追って来やがる!!」
ノパ⊿゚)「どーすんだカルロ!!水はもうないぞ!!」
爪'ー`)「バカだねぇ、ヒート。水なら目の前にあるじゃない」
ノパ⊿゚)「えっ?」
ξ 'A`)ξ「そうか……あんた最初からこれを狙って屋上に……!!」
爪'ー`)「そういうこと」
爪'ー`)「姉さん、あんたしばらくの間、看守たちの時間稼ぎしといてくれる?」
爪'ー`)「奴隷クンも、好きなだけ分身作って足止めしていいからさ」
(;<●><●>)「えっ、あっ……わ、分かった!!」
ノハ;゚⊿゚)「俺は!?」
爪'ー`)「お前は水がないと足手まといなんだから、黙って援護に回れ」
ノハ;゚⊿゚)「ち、チクショー!!」
.
570
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:28:04 ID:K6ILwtHg0
.
( ^ν^)「パンティ・スナッチャー妙技、連続金玉爆砕(アンリミテッド・ゴールデンボンバー)!!」
(;<●><●>)「き、キェェェェェェェェェェ!!!!!!!!」
( <●><●>三; <●><●>三 <●><●>) ズニュゥゥッ
▼・ェ・▼ シュンッ
▼#・ェ・▼「ガルルルッ!!」ガブッ
ノハ;゚⊿゚)「こ、このやろー!!」
ノハ;゚⊿゚)「腕力だけでもやってけるってとこ、見せてやらぁ!!」
「こ、こいつら止まりません!!」
「怯むな!!銃弾を絶やすことなく撃ち続けろ!!」
「ま、待て!!屋上から何か妙な音がするぞ……!?」
ドドドドド……
.
571
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:30:50 ID:K6ILwtHg0
.
▼・ェ・▼
ξ 'A`)ξ シュンッ
ξ;'A`)ξ「……来る!!」
ξ;'A`)ξ「みんな!!柱に掴まれ!!」
ξ;'A`)ξ「でないと流されるよ!!」
ノパ⊿゚)「流され……?」
(;<●><●>)「……!?」ハッ
(;^ν^)「上だ!!上を見ろ!!」
ズドドドドドドドドドドドドッッッッッッッッッッッッッ…………!!!!!!!!!!!!!
ノハ;゚⊿゚)「な、なんじゃありゃあーーーーーーーーー!!!!!」
ξ;'A`)ξ「奴の狙いは、屋上に据え付けられた貯水タンクだったんだよ!!」
爪'ー`)「お待たせ、諸君。それじゃ、脱出といこうか」
ノハ;゚⊿゚)「つ……つ……!!」
ノハ;゚⊿゚)「津波だーーーーーーーーーー!!!!!津波が来るぞーーーーーーーー!!!!!」
.
572
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:33:15 ID:K6ILwtHg0
.
ドドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「がぼっ……ごぼごぼっ……!!」
「た、助けてくれぇぇぇ!!!」
ノハ;゚⊿゚)「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
ノパ⊿゚)「……ってアレ?流されてない?」
爪'ー`)「僕が水流を調整してやってるんだよ、バカたれ」
ノパ⊿゚)「おぉ、助かる!!いきなりだったから対応出来なかったぞ!!」
爪'ー`)「まぁ正直、他は流されても構わなかったんだけど……」
.
573
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:34:01 ID:K6ILwtHg0
.
▼・ェ・▼「……」ヒョコッ
爪'ー`)「ちゃっかり人の服に掴まってる奴もいるし」
(;<●><●>)「ハッ、ハッ……!!」プカー
ノパ⊿゚)「おぉ!!分身を浮き輪代わりにしたのか!!」
爪'ー`)「あっちに至っては意味が分からないよ」
( ^ν^)「咄嗟に集めた下着をサーフボード型に固めただけだ」スィー
爪'ー`)「……あっそ」
ノパ⊿゚)「しかしまぁ、これであとは脱出するだけだな!!」
爪'ー`)「その前に、これだけ水があるんだから、爆破で逃走経路を作ってくれると助かるんだけど?」
ノパ⊿゚)「ハッハー!!任せとけって!!」
爪'ー`)「察しの悪いバカはこれだから困るよ……」
.
574
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:50:31 ID:K6ILwtHg0
.
【PM13:33】
サウスガットファミリー、脱走
@@@
@#_、_@
( ノ`)「オラァァァァ!!!」ドゴォンッ!!!
∬;´_ゝ`)「母さん、看守どもがまた……!!」
@@@
@#_、_@
(; ノ`)「チィッ……!!」
彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「致命的な攻撃は食らわないが、こっちも逃げ道が確保できんなぁ……」
l从・∀・;ノ!リ人「ま、マグネティカー!!マグネティカー……!!」
l从・∀・;ノ!リ人「ハァ、ハァ……」
∬;´_ゝ`)「ナージャ、無理しちゃダメよ!顔色悪いわよ?」
l从・∀・;ノ!リ人「だ、大丈夫なのじゃ……」
l从 ∀ ;ノ!リ人 フラッ
∬;´_ゝ`)「ナージャ!!」
@@@
@#_、_@
(; ノ`)「能力を使いすぎたね……アンネ、ナージャを頼むよ!!」
∬;´_ゝ`)「分かった!!」
.
575
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:51:58 ID:K6ILwtHg0
.
彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「しかし弱ったな……このままじゃ看守を皆殺しにするまで出れないぞ」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「それまでにヒーローや軍が来たらおしまいだよ!」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「なんとか下水道までの道を確保するんだ!!」
彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「おう!!」
ドドドドド……
∬´_ゝ`)「……あら?」
.
576
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:52:22 ID:K6ILwtHg0
.
@@@
@#_、_@
( ノ`)「どうしたね、アンネ!」
∬´_ゝ`)「母さん。遠くから地鳴りみたいな音がするわ」
彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「地鳴り?」
@@@
@#_、_@
(; ノ`)「まさか、軍がタンクでも呼んだんじゃないだろうね?」
@@@
@#_、_@
(; ノ`)「だとしたら、一巻の終わりじゃないか!!」
∬;´_ゝ`)「なんだろう、でもこれ……音が、近づいてきてる……?」
彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「なっ、なんじゃありゃあああ!!?」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「なんだい、あんた!!」
彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「母さん、正面二時の方向!!大量の水が来てる!!」
ズドドドドドドドドドドドドッッッッッッッッッッッッッ……!!!!!
@@@
@#_、_@
(; ノ`)「なっ……!?」
.
577
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:52:46 ID:K6ILwtHg0
.
@@@
@#_、_@
(; ノ`)「なんだい、あれは……津波!?」
∬;´_ゝ`)「母さん!!圧縮空気のバリア大丈夫なの!?」
@@@
@#_、_@
(; ノ`)「並大抵のことじゃ壊れないが……しかしなんであんな……!?」
彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「来るぞ、二人とも!!備えろ!!」
ドォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!!!!!!!
@@@
@#_、_@
(; ノ`)「くっ……!!」ビリビリッ
@@@
@#_、_@
(; ノ`)「大丈夫かい、二人とも!!」
∬;´_ゝ`)「こっちは平気!!」
彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「なんともないぞ!!」
@@@
@#_、_@
(; ノ`)「そうかい!!」
.
578
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:54:12 ID:K6ILwtHg0
.
@@@
@#_、_@
( ノ`)「けど、これはチャンスだよ!!」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「見な!!今ので私らを追ってた看守が流されたよ!!」
彡⌒ミ
( ´_ゝ`)「逃げるなら今がチャンスってワケか!!」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「アンネ!!今から私らの足元の床をぶち破る!!」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「ナージャは私が抱える!!あんたと父ちゃんは落ちてもいいように構えときな!!」
∬;´_ゝ`)「う、うん!!分かったわ!!」
.
579
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:54:56 ID:K6ILwtHg0
.
@@@
@#_、_@
(# ノ`)「ハァァァァァッッッ……!!!!」ゴゴゴゴ
@@@
@#_、_@
(# ノ`)「セヤァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!」
ズガシャァァァァァァァァァァァァン!!!!!!!!!!!
∬;´_ゝ`)「きゃぁぁぁぁ!!!」
彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「アンネ、安心しろ!!下は下水だ!!」
ドッポォォォォォン……
@@@
@#_、_@
( ノ`)「このまま泳いで下水を出るよ!!」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「力尽きたら、私に掴まりな!!」
580
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:55:35 ID:K6ILwtHg0
.
【PM13:42】
そして、永遠の眠りへ
爪'ー`)「ヒート!!」
ノパ⊿゚)「おう!!なんだ!!」
爪'ー`)「僕、水を分岐させて別行動してくるから」
ノパ⊿゚)「どこ行くつもりだ!?」
爪'ー`)「なぁに、ちょっとお礼参りにね」
爪'ー`)「このまま流れに身を任せてればいいから、適当に看守ども殺っといてくれよ」
爪'ー`)「水が止まったら、僕が死んだと思ってくれていいからね」
ノパ⊿゚)「ハッ、殺しても死なないクセによく言うぜ!!」
爪'ー`)「じゃ、あとは任せたよー」スィー
( ^ν^)「……何をするつもりだ、あいつ」
(;<●><●>)「は、早く逃げ出したい……」ガタガタ
.
581
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:56:04 ID:K6ILwtHg0
.
─────
────
───
──
【同時刻、監視ルーム】
『は、博士ェェェェェェ!!!!!』
『た、助け……ぎゃああああ!!!!!』
『く、苦しい……ごぼっ、ごぼっ……』
(;-@∀@)「な……なんということ……」
(;-@∀@)「あの犬の目的は、最初からレイニーキッスだったのですね……!!」
(;-@∀@)「おまけに大量の水まで奪われる始末」
(;-@∀@)「……セモナ看守長のいない今、指揮系統も何もあったものではありませんね」
(;-@∀@)「研究材料は惜しいが、命にまでは代えられない……逃げましょう!」
……バチッ!!
(;-@∀@)「……?」
.
582
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:56:47 ID:K6ILwtHg0
.
バチッ、バチバチッ!!
(;-@∀@)「電子ロックがショートを……!?」
(;-@∀@)「これは、レイニーキッスの使っていた技……!!」
ドォォォンッ!!!
爪'ー`)「やぁ〜、博士。こんなところにいたんだ?」
(;-@∀@)「か……カルロ=フォクシー……!!なぜこの場所が……!!」
爪'ー`)「あんたなら、いの一番に安全な場所へ隠れると思ってね」
爪'ー`)「監視カメラに映らないように水を分岐させたから、気づかなかったろう?」
ガシィッ!!
(;-@∀@)「ヒィッ!!」
爪'ー`)「ここまで来たんだ。僕が何しに来たかは分かるよね?」
.
583
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:57:40 ID:K6ILwtHg0
.
(;-@∀@)「ふ、復讐ですか……あなた方を虐げた、私への……!!」
爪'ー`)「そゆこと。まー他の有象無象のヴィランのことなんか知らないけどさ」
爪'ー`)「僕をあんな趣味の悪い拘束具で閉じ込めてたことは、許せないよねぇ?」
ズリッ、ズリッ……
爪'ー`)「ねぇ、どんな死に方がいい?」
爪'ー`)「溺死に水死、あと難しいけど鎰死も出来るかな?」
爪'ー`)「今なら君に選ばせてあげるよ」
(;-@∀@)「……ハッ、ハハハハ!!」
(;-@∀@)「そうですねぇ。私とて、ヴィランに好き勝手した身の上です!!」
(;-@∀@)「いつかはこうなることくらい、予測していましたとも!!」
(;-@∀@)「いいでしょう、甘んじて受け入れようではありませんか!!」
(;-@∀@)「自らの死を!!受ける報いを!!その全てを!!」
.
584
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:58:16 ID:K6ILwtHg0
.
爪'ー`)「あっそう。案外聞き分けがいいんだね」
爪'ー`)「日頃から人徳を積んでれば、助けてくれる看守の一人もいたかもしれないのにね」
(;-@∀@)「それこそ余計なお世話というものですよ!!」
(;-@∀@)「そんなことより、殺すなら一思いにやってください!!」
爪'ー`)「死に方は?」
(;-@∀@)「ならば、焼死なんぞでいかがですかねぇ!!」
(;-@∀@)「水を操るあなたには、些か酷かもしれませんがねぇ!!」
爪'ー`)「おやおや、ずいぶんと意地の悪い博士だ」
(;-@∀@)「よく言われますねぇ、アハハハハ!!」
爪'ー`)「ふっ……ふふふふ」
(;-@∀@)「アハハハハハハハハ!!」
爪'ー`)「……死ねよ、クズ」
(;-@∀@)「死ぬのは、お前だ!!」
(;-@∀@)っy=ー ジャキンッ
タァンッ、タァンッ、タァンッ!!
.
585
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:59:10 ID:K6ILwtHg0
.
爪'ー`)「……ふぅ〜」ギャギャギャッ!!
爪'ー`)「看守どもの銃が効いてないのくらい、ずっと見てただろうに」バキィンッ
(;-@∀@)「……はは、でしょうねぇ」
(;-@∀@)「水を高速展開させるあなたの技……見事でしたよ」
爪'ー`)「誉めなくていいからさ、さっさと死んでくれる?」ガシッ
ゴシャッ!!
(;-@∀@)「がふっ……!!!」
ゴシャッ、ゴシャッ、ガスッ!!
.
586
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 00:59:34 ID:K6ILwtHg0
.
爪'ー`)「さ、これで一丁上がりかな?」バシャッ
バチッ、バチバチバチバチィッ!!!
(;-@∀@)「ぐぎゃあああああああああああ!!!!!!!」ビリビリィッ
爪'ー`)「漏電した電気で焼死させてあげたよ」
爪'ー`)「これで、お望み通りの死に方になったねぇ?」
( ∀ )プスプス…
爪'ー`)「……もう聞こえてないか」スタスタ
アーサー=ピーコック、死亡……。
.
587
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 01:00:09 ID:K6ILwtHg0
.
【PM13:57】
そして、悪魔は遠くから眺める
(//‰ ゚)「……」
.
588
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 01:00:43 ID:K6ILwtHg0
第二十話中編終わり
589
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 01:05:18 ID:K6ILwtHg0
.
【用語解説】
・重犯罪者特区
懲役二十年以上の重罰を課せられたヴィランが収容される特別区域。
彼らを待ち受けているのは、通常より厳しい警戒と拷問である。
・金玉爆砕(ゴールデンボンバー)
パンティ・スナッチャーの技のひとつ。
下着で股間を締め付けることにより生殖器へダメージを与える、えげつない技。
・ヴィラン特別収容所
クラウン=シティから離れた荒野の真ん中にある施設。
荒野に建てられているため、貯水量は他の施設より多い。
今回はそれをレイニーキッスに見抜かれ、利用されてしまった。
.
590
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 10:07:20 ID:rvIohkmU0
おつおつ!
待ってたよー嬉しい
591
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 23:15:31 ID:k75KoJb60
おつ!いやーヴィラン大暴れだな
これは全員死刑だわ
592
:
名無しさん
:2019/07/01(月) 23:27:50 ID:MEMhRi4.0
乙
593
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:10:01 ID:Iw3A2.YA0
.
【PM12:21】
ヒーロー、到着
(´・_ゝ・`) ザザッ
( ・∀・)「遅いぜ、デミのおっさん!他のやつらは?」
(´・_ゝ・`)「すでに所定の位置で待機してる」
(´・_ゝ・`)「何があっても、これで抜かりはないよ」
( ・∀・)「そっか、そうだよな」
(´・_ゝ・`)「……おや?サー・トレジャーの姿が見えないな」
(;・∀・)「あっ」ドキーン
(´・_ゝ・`)「予定では君と最前線を衛っているはずだったが」
(´・_ゝ・`)「モララー、サー・トレジャーはどちらに?」
(;・∀・)「あー……あー、うん。えーとな……」
(´・_ゝ・`)「どうした。まさかサー・トレジャーの身に何かあったのか?」
(;・∀・)「……犬が」
(´・_ゝ・`)「うん?」
(;・∀・)「犬に襲われて、ここには来てない……」
(´・_ゝ・`)「なんだって?」
.
594
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:10:44 ID:Iw3A2.YA0
.
(´・_ゝ・`)「悪い冗談はよしてくれ。サー・トレジャーが犬に負けるはずがないだろう?」
(;・∀・)「そっ、そうなんだけどぉ!今回は状況がちがくて!」
(´・_ゝ・`)「モララー……報告は正確に頼む。僕も判断は揺るがせにしたくないんだ」
(´・_ゝ・`)「サー・トレジャーに何があったんだ?」
(;・∀・)「……ち、乳首」
(´・_ゝ・`)「うん?」
(;ー∀ー)「犬に乳首を舐められて足止めされてた……」
(;´・_ゝ・`)「えっ」
(;・∀・)「どっからか知んないけど出動前に犬が湧いてきてさぁ……」
(;・∀・)「トレジャーのおっさんにまとわりついて、乳首舐めて止まらなかったんだ」
(;´・_ゝ・`)「ちょ、ちょっと待て。それじゃあサー・トレジャーは本当にここへ来てないのか?」
(;・∀・)「……うん」
.
595
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:11:19 ID:Iw3A2.YA0
.
(;´・_ゝ・`)「なんてことだ……モララー、お前一緒にいて犬を止められなかったのか?」
(;・∀・)「トレジャーのおっさんが先に行けって言ったんだよぉ!」
(;・∀・)「敵の襲撃の可能性があるからって……!!」
(;´・_ゝ・`)「……そうか、すまない。サー・トレジャーの判断なら仕方ないな」
(´・_ゝ・`)(だが、犬に乳首を襲わせるこの戦法……)
(;´・_ゝ・`)(まさか、ドルチェが何らかの関わりを……!?)
(;´・_ゝ・`)(だとしたらこの事件、サウスガットの収容だけで終わる気がしない……)
(;^ω^)「デミタスさん!」
(´・_ゝ・`)「ブーナーさん」
(;^ω^)「良かったー、ヒーローの方も来てくれてたんですおね!」
£°ゞ°)「ホッと一安心だヨー」
.
596
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:12:32 ID:Iw3A2.YA0
.
(´・_ゝ・`)「中はどうなっているか、分かりますか?」
(;^ω^)「それが、ジョージさんからもデルタさんからも皆目連絡がなくて……」
£°ゞ°)「中で何かあったら連絡するって事前に言ってたんだけどネー」
( ・∀・)「あんたらは中入らなかったの?」
(;^ω^)「権限があるのが、年長者の二人だけだったんですお」
(´・_ゝ・`)「しかし、定期連絡がないとなると何か起こってる可能性が高いですね」
(´・_ゝ・`)「監視網より、包囲陣を敷いておいた方がいいかもしれないな……」
( ^ω^)「是非お願いしますお!」
£°ゞ°)「あ、そうだ!ヒーローのお兄さんにこれあげるヨー!」
£°ゞ°)っy=ー チャキッ
(´・_ゝ・`)「その銃は……?」
.
597
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:13:33 ID:Iw3A2.YA0
.
£°ゞ°)「これ、対ヴィラン用のショックウェーブガンネー!」
£°ゞ°)「ホントはジョージさんに持たせるつもりだったんだけど、忘れてったみたいヨ!」
(´・_ゝ・`)「それならあなた方が持っていた方がよいのでは?」
£°ゞ°)「これ試作機だから、扱い難しいノヨネー」
£°ゞ°)「使えたのボクらの中で、ジョージさんとデルタさんだけだったネ!」
( ^ω^)「僕たちも警官ですから、自分の身は自分で守れますお!」
( ^ω^)「助けを請わないといけないとはいえ、ヒーローの皆さんも民間人ですおね」
(´・_ゝ・`)「そうですか……それなら、今だけお借りします」
( ・∀・)「あー、いいなー。デミのおっさんだけずりーんだー」
(;´・_ゝ・`)「あのなぁ……僕は再生能力以外何も持ってないんだから、見逃してくれよ……」
.
598
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:16:24 ID:Iw3A2.YA0
.
【PM13:15】
ヴィラン包囲作戦
『デミタス、応答願う。こちらクォッサだ』
(´・_ゝ・`)「こちらデミタス。どうしました、クー博士?」
『様子が変だと思っていたが……どうやらヴィランどもが、中で暴動を起こしているようだぞ』
(;´・_ゝ・`)「なんですって!?」
『看守たちが応対しているが、外へ逃げるのも時間の問題に見えるな』
『私は収容所内の監視を続行する。君は他のヒーローたちへ伝達を頼む』
(´・_ゝ・`)「分かりました。すぐに包囲しましょう」
.
599
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:17:01 ID:Iw3A2.YA0
.
(´・_ゝ・`)「どうにも中が騒がしいと思ってはいたが、最悪のパターンが訪れるとはな」
(´・_ゝ・`)「サダコくん、ギコ、ミシェーラくん、こちらデミタスだ」
『なぁに、デミさん。どうかしたの?』
(´・_ゝ・`)「緊急事態だ。収容所内部でヴィランが逃げ出したらしい」
『ウッソ!?ヤバいじゃん!!』
(´・_ゝ・`)「かなり大規模な暴動になることが予想される、心してかかれ」
『了解よ!』
(´・_ゝ・`)「それと、僕は周囲の警戒に走るから他のメンバーへ連絡を入れてくれ」
(´・_ゝ・`)「『我々の全力を持って、一人たりとも外へ逃すな』とね」
『……うん!』
.
600
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:17:40 ID:Iw3A2.YA0
.
( ・∀・)「なんかやべーことになってきたなぁ」
(´・_ゝ・`)「あのサウスガットが関係している以上、ただでは済まないと思っていたよ」
(´・_ゝ・`)「それよりモララー。お前には少しキツい仕事を割り振るが、いいな?」
( ・∀・)「ダメっつってもやらすんだろ?分かってるから早く言えよ」
(´・_ゝ・`)「では、君は収容所の外周を走って、ヴィランが逃亡していないか報告してくれ」
(´・_ゝ・`)「この広さだ、クー博士の視界の及ばないところも絶対に出てくる」
(´・_ゝ・`)「君には足で、そのフォローを頼みたいんだ」
(´・_ゝ・`)「ヴィランを見つけたら、近くの仲間へ救援要請を出せ」
(´・_ゝ・`)「それと、一般人の保護とヴィランの確保が同時なら、保護を優先して行うようにな」
(;・∀・)「それもしかして、暴動が収まるまでずっと続けんの?」
(´・_ゝ・`)「そうだ。サー・トレジャーのいない今、君の足が最も早い」
(´・_ゝ・`)「任せたぞ、モララー」
(;・∀・)「チッキショウ、外周だけで何㎞あると思ってんだよ!!」
(´・_ゝ・`)「キャノンボールよりは短い距離だろう?」
(;・∀・)「ゴールのない徒競走は精神的にキツいんだぜ……ったくよぉ……」
.
601
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:18:37 ID:Iw3A2.YA0
.
川д川「ミセリ!ギコ!二人とも聞いてたでしょ?」
川д川「今からヤバいヴィランがわんさか出てくるかもしんないから、皆で警戒するよ!!」
ミセ*゚ー゚)リ「オッケー!!」
(,,゚Д゚)「なぁ、サダコ。ここら一帯お前の植物で囲んだ方が早ぇんじゃねぇの?」
川#д川「辺りが乾燥してるせいでそれは出来ないってさっき説明したでしょこのバカ!!」
(,,;゚Д゚)「そ、そうだっけ!?すまん!!」
ミセ*゚ー゚)リ「ギコやんホント人の話聞いてないねー」
川д川「まぁ丈の低い灌木くらいなら生やせるけど、ここまで水気がないとジャングルとかは絶対無理だね」
(,,゚Д゚)「じゃあ植物で囲んで敵の探知も出来ねぇってことか」
川д川「そうね。だからあくまで私の役目は、敵の捕縛程度になるかしら」
(,,゚Д゚)「まぁどうにかなるだろ」
川;д川「楽天的ねぇ……」
ミセ*゚ー゚)リ「シッ!!来たよ、二人とも!!」
『オォォォォォォォ……!!!』
(,,゚Д゚)「おーおー、鼻息荒くして騒ぎやがって」
(,,゚Д゚)「目にもの見せてやりますかねぇっと!!」
川д川「カッコつけてんじゃないわよ、バーカ」
ミセ*゚ー゚)リ「さっさと済ませて、ちゃちゃっと帰るよ!!」
.
602
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:19:20 ID:Iw3A2.YA0
.
(#`ハ´)「アチョーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」シュババババッ
『ぐわぁぁぁぁぁ!!!』
『な、なんだあのジジィ!!クソ強いぞ!!』
(#゚;;-゚)「パパー。ちゃんと風下にいないと、私のガラス当たるヨ」パキパキッ
『目が!!目がぁぁぁ!!』
『死ぬぅぅぅぅぅ!!!!』
( `ハ´)「案ずることないネ。風向きくらい肌で感じて分かるアル」
( `ハ´)「こちとら伊達や酔狂で拳法修めてないってことアルヨ」
(#゚;;-゚)「刺さっても知らんぷりするから覚悟しておくネー」
|(●), 、(●)、|「はいはーい。気絶したヴィランは私に引き渡してねン☆」
|(●), 、(●)、|「間違いなく眠らせて、起きないようにしとくから」
(#゚;;-゚)「任せたネ、おじ……おば……オニばぁ」
|;(●), 、(●)、|「その呼び方だと私が鬼ババみたいに聞こえるから止めてくれない!?」
(#゚;;-゚)「だって名前がオニキスだから……」
|;(●), 、(●)、|「あぁそのオニね!だったらいいわよって言うわけないでしょおバカ!」
.
603
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:21:45 ID:Iw3A2.YA0
.
パァンッ、パァンッ!!
『ぐわぁっ!!』
(´・_ゝ・`)「動くな!動けば容赦なく撃つ!」
パァンッ!!
『な、なんだ……!?』
『力が抜ける……』
(´・_ゝ・`)「なるほどね……」パァンッ
(´・_ゝ・`)「ロミスさんから預かったこのショックウェーブガン、なかなかのものだ」
(´・_ゝ・`)「電極が伸びて対象へ衝撃を加える仕組みなんだな」パァンッ
(´・_ゝ・`)「問題は衝撃のせいで狙いが定まりにくいところか……」
(´・_ゝ・`)「今度改良して、こちらも使わせてもらおう」パァンッ
『もしもーし!こちらモララー!デミのおっさん応答してくれー!』
(´・_ゝ・`)「どうした、モララー」パァンッ
『南側の防壁からヴィランどもが逃げようとしてる!近場にいるやつ寄越してくれ!』
(´・_ゝ・`)「了解。すぐに向かう」
『チックショー!!奴ら全然減らねー!!まだまだ収容所から出てくるぜ!!』
(´・_ゝ・`)「頑張れ、モララー。サー=トレジャーのいない今、君のスピードは生命線だ」
『わぁーってるよ!!じゃな!!』プツッ
(´・_ゝ・`)(……我々だけでの対処も限界があるな)
(´・_ゝ・`)(せめてあと一人、サー=トレジャークラスの人間がいれば……)
.
604
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:22:28 ID:Iw3A2.YA0
.
(;-_-)「精神汚染、レベル5!!」
(;-_-)「ヤァァァァ!!」ブゥンッ
『ぐぉあぁぁぁぁ!?』
『げぼぉっ……』
(;^ω^)「おお、すごい……ホントに触れもせずヴィランたちが倒れていくお……」
£°ゞ°)「ブーン!!見とれてないで僕らも応戦するヨー!」
(;^ω^)「は、はいですお!!」
(;-_-)「無理はしないでくださいね!!銃が効かない相手もいますから!!」
£°ゞ°)「了解ネー!!」
(;^ω^)「にしても……これだけの被害が出てるのに、なんでジョージさんたちは連絡してこないんですお?」
£;°ゞ°)「おかげで軍との連携ガタガタだネー……」
(;^ω^)「まさかもう、死……」
£#°ゞ°)「それ以上言ったらダメよー!!ブーン!!」
£°ゞ°)「僕らが生存を疑ったら、本当にそうなっちゃうネー」
(;^ω^)「す、すんませんお!!」
£°ゞ°)「今は被害を食い止めるのが優先ヨ!オーケー?」
( ^ω^)「はいですお!」
(;-_-)「敵、第二波来ますよ!!迎撃準備お願いします!!」
£°ゞ°)「任せときナー!!」
( ^ω^)「了解ですお!!」
.
605
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:23:08 ID:Iw3A2.YA0
.
【PM13:18】
孤軍のデルタ
(;"ゞ)「ハッ…ハッ…」ゼェゼェ
『サツがそっちへ逃げたぞ!!』
『追えー!!ぶっ殺せぇー!!』
『一人残らず皆殺しにしろォ!!』
(;"ゞ)(サウスガットファミリーに謎の犬、レイニーキッスまで脱走……)
(;"ゞ)(レイニーキッスは他のヴィランを逃がして、被害を拡大させようとしている)
(;"ゞ)(そしてこっちには、デカいお荷物がひとつだけ……)
_
(; ∀ ) 死〜ん
(;"ゞ)(なんでこの人は肝心な時にこうなんだか……!!)ズルズル
(;"ゞ)「もしもし、こちらデルタ。ブーン、ロミス、応答してくれ!!」カチカチカチ
(;"ゞ)「クソッ!!」ガシャァンッ!!
(;"ゞ)(こんな時に無線まで壊れてる始末……)
(;"ゞ)(いったん外に出なきゃ、支援要請も出せやしない……!!)
(;"ゞ)(今日はどこまでツイてないんだ……!!)
.
606
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:24:02 ID:Iw3A2.YA0
.
(;"ゞ)「とりあえず、ここから逃げないことには……」
(;"ゞ)「サウスガットもレイニーキッスも他のヴィランも、一介の警察には手に余りすぎる!」
『いやがったぞ!!こっちだ!!』
(;"ゞ)「チッ……」
『死ねぇ!!』ドゴォッ
(;"ゞ)「くっ……!!」ダダッ
(;"ゞ)(せめて看守からの援護射撃でもあれば逃げられるのに……!!)
(;"ゞ)(……そういえば、看守たちはなぜこっちの囚人を追って来ないんだ?)
(;"ゞ)(いくらなんでも、私が襲われているのくらい分かるはず……)
(;"ゞ)(何か、連携に著しく齟齬が生じているような……)
.
607
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:25:21 ID:Iw3A2.YA0
.
『逃げられるとぉ……思ってんのかぁ!!!』
ズガァァァァァァン!!!
(;"ゞ)「ぐぁぁっ……!!」ズザァッ
『追い詰めたぜぇ〜ポリ公がよぉ』
『クソでも食って命乞いしろや!!』
『ギャハハハハハハッッッ!!!』
(;"ゞ)「ハァ…ハァ…」
(;"ゞ)「レイニーキッス……奇妙な犬……サウスガット……」
(;"ゞ)「……サウス、ガット?」
『あばよ、ポリ公。地獄に落ちな!!!』
ブォンッ!!
.
608
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:26:12 ID:Iw3A2.YA0
.
ヒュンッ!!
『……えっ?』ガクンッ
(;"ゞ)「ハァ…ハァ…フゥゥ……」
( "ゞ)「……ようやく、理解したよ」
( "ゞ)「通信器機の故障は、ナージャ=サウスガットの磁力の影響だ」
( "ゞ)「彼女の強力な磁界のせいで、精密機械は軒並み狂わされていたんだ」
『て、テメェ今何を……!!』ガクガクッ
( "ゞ)「ということは、監視カメラもとうぜん故障の対象となっているはず」
( "ゞ)「それがどういう意味か、お前らに理解出来るか?」
『死ねぇぇぇぇぇ!!!』
( "ゞ)「見られていなければ、どうとでも対処できるってことだよ」ビリッ
『ぐっ……ぎゃああああああああああああ!!!?』
.
609
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:27:09 ID:Iw3A2.YA0
.
─────
────
───
──
_
(; ∀ )「う……うーん……」
_
(;゚∀゚) ハッ!!
_
(;゚∀゚)「うぎゃあああ!!!」
( "ゞ)「あ、起きた」
_
(;゚∀゚)「デルタ!?お前なんで……」
_
(;゚∀゚)「痛てててて!!?」ズキーン
( "ゞ)「動かない方がいいですよ」
( "ゞ)「骨折とかはないですけど、打ち身とか打撲がスゴいですから」
_
( ゚∀゚)「あぁ、そういや俺、ハハジャに轢かれて……」
_
(;゚∀゚)「って、なんだその倒れてる奴ら!?」
ズシィン…
( "ゞ)「ジョージさんが気絶してる間に、ヴィランどもが脱獄したんです!」
_
(;゚∀゚)「なんだって!?」
.
610
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:27:54 ID:Iw3A2.YA0
.
( "ゞ)「こいつらは仲間割れ始めて、共倒れしたみたいで……」
( "ゞ)「ちょうどいいから、我々が隠れるための肉壁になってもらっていたところです」
_
(;゚∀゚)「お、おう。お前勇気あるな、倒れてようがヴィランだぞ?」
( "ゞ)「それと、サウスガットのせいで通信器機が全て破壊されてます」
( "ゞ)「外に出ないと、救助要請も出せません」
_
(;゚∀゚)「分かった。とりあえずここから脱出することが先決ってこったな」
( "ゞ)「えぇ。急ぎましょう!」
.
611
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:29:28 ID:Iw3A2.YA0
.
【PM14:06】
カルロ帰還。パンティスナッチャー離脱。
爪'ー`)「やぁ、ただいま」スィー
ノパ⊿゚)「よぉ、帰って来たか!!何の用だったんだ?」
爪'ー`)「ちょっとゴミ掃除にね……ところで、彼どうしたの?」
ノパ⊿゚)「あぁ……」
(;<◯><◯>)「あぁ……あば、あばばばば……」ガクガク
爪'ー`)「さっきより数倍気色悪くなってるけど」
ノパ⊿゚)「なんか本人いわく、ヤクのフラッシュバックらしいぞ」
ノパ⊿゚)「定期的にこーなるからほっときゃいいってよ」
爪'ー`)「あっそ……ヤク中とか使えないなぁ……」
.
612
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:30:00 ID:Iw3A2.YA0
.
( ^ν^)「おい、狐目の兄さん。悪いが俺は、ここらで別行動とさせてもらうぜ」
爪'ー`)「パンツ操る人は会話に参加しないでくれる?」
( ^ν^)「俺には監獄から救いだしてやらにゃならん仲間がいるんでな……」
ノパ⊿゚)「おいどーするこいつ、全然人の話聞いてないぞ」
爪'ー`)「いなきゃいないで問題ないから放っておけ」
( ^ν^)「パンティ=スナッチャー妙技、浮遊下着翼(フライング・パンティ)!!」フワッ
ノパ⊿゚)「パンティが飛んだ!!」
爪'ー`)「お前もいちいちリアクションしなくていいよ」
( ^ν^)「今後何かあったら、このパンティ=スナッチャーをいつでも呼びな。力を貸してやる」
爪'ー`)「いいから、さっさと逝け」
ノパ⊿゚)ノシ「達者でなー」
(;<◯><◯>)「あばばばばばば……」
.
613
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:31:01 ID:Iw3A2.YA0
.
爪'ー`)「さて……大方の問題は片付いたところで、本題に入ろうか」
爪'ー`)「わんこ姉さん、いるんだろ?出ておいでよ」
▼・ェ・▼ ヒョコッ
爪'ー`)「あんたが僕をここから逃がした理由……まだ聞いてなかったよね?」
爪'ー`)「確か、殺してほしい相手がいるとか言ってたと思うけど」
▼ーェー▼「……」
ξ 'A`)ξ スッ
ξ 'A`)ξ「そうだね……そろそろ話しておこうか」
ξ 'A`)ξ「私の敵……そしてあんたに殺して欲しい相手」
ξ 'A`)ξ「それは……」
ノパ⊿゚)「待て!」
爪'ー`)「どうした、ヒート」
ノパ⊿゚)「あそこ、俺らの進行方向に誰かいるぞ!!」
爪'ー`)「ん〜、あれは……?」
.
614
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:31:24 ID:Iw3A2.YA0
.
( ゚¥゚)「……」
爪'ー`)「おやおや……堅物の看守長殿は、まだ生きておられたか」
爪'ー`)「しょうがない、水で押し流して脱出を……」
ξ 'A`)ξ「待ちな!!」
爪'ー`)「うん?」
ξ 'A`)ξ「あの男は、私をここまで手引きした内通者だよ」
ξ 'A`)ξ「殺すんじゃない!!」
爪'ー`)「へぇ……収容所内部に裏切り者かぁ。やるじゃない姉さん」
.
615
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:32:33 ID:Iw3A2.YA0
.
ξ 'A`)ξ「ここへ来て私に接触するってことは、向こうで何かあったのかもしれない」
ξ 'A`)ξ「一旦水を止めな!!話を聞く!!」
爪'ー`)「はいはーい……」
ピタッ…
ξ 'A`)ξ「なんだい、セモナ看守長!私に何か用かい?」
( ゚¥゚)「……」
ξ 'A`)ξ「……悪いが、寡黙なのは後にしてくれないかい?」
( ゚¥゚)「……私は」
( ゚¥゚)「この施設の在り方に、常々疑問を抱いていた」
( ゚¥゚)「いかに凶悪なヴィランといえど、人権を剥奪するような真似が許されるのかとな」
爪'ー`)「へぇ〜、話の分かりそうなおじさんじゃない」
( ゚¥゚)「だからこそ、ドルチェ。あなたの声かけに賛同した」
( ゚¥゚)「虐げられているのは人間でなくヴィラン。だからこそ私に協力してほしい、と」
( ゚¥゚)「空調を止め、あなたの侵入経路を確保し、看守側の連携を乱した」
ξ 'A`)ξ「……それで?」
( ゚¥゚)「だが……これはやりすぎだ」
( ゚¥゚)「レイニーキッスだけでなく、他のヴィランまで軒並み逃がすとは聞いていない」
ξ 'A`)ξ「予定外のことが起こってね……すまないと思っているよ」
( ゚¥゚)「これでは、守るべき市民にまで害が及んでしまう」
.
616
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:33:44 ID:Iw3A2.YA0
.
ξ 'A`)ξ「だが、あんただってヴィランの脱獄に荷担した以上、綺麗事じゃすまないのは分かってたはずだろ?」
( ゚¥゚)「そうだな。だが、騒動の尻拭いは誰かが必ずせねばならない」
( ゚¥゚)「それが、絶対の理だ」
ノパ⊿゚)「アァン!?俺らがその尻拭い担当だってことかァ!?やんぞコルァ!!」
( ゚¥゚)「違う」
( ゚¥゚)「恥を濯がねばならないのは、ヴィランの口車に乗せられた私だ」
( ゚¥゚)「責任を取るべきは、私なんだ」
っy=ー( ゚¥゚) ジャキッ
ξ;'A`)ξ「まっ……待てっ!!」ハッ
タァーンッ…
.
617
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:34:20 ID:Iw3A2.YA0
.
( ¥ )ドサッ…
ノパ⊿゚)「おーおー、何の躊躇もなく引き金引いたぞコイツ」
ξ;'A`)ξ「……あんた、バカだよ。なんで、そんなこと……」
爪'ー`)「まーまー。そのバカが責任取ってくれるってんだからいいでしょ」
ξ#'A`)ξ「テメェッ……!?」ピキッ
爪'ー`)「それより、さっさと逃げるよー」
ザザザァンッ……!!
ξ;'A`)ξ「……クソがっ!!」
.
618
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:35:32 ID:Iw3A2.YA0
.
ξ;'A`)ξ「胸糞の悪い結果になっちまったね……」
ノパ⊿゚)「ケッ。後悔するくらいなら最初からやんなきゃいいんだよ」
爪'ー`)「悪事を働くつもりなら、ここの人間皆殺しても罪悪感なんて持つべきじゃないね」
ξ 'A`)ξ「あんたらと一緒にするんじゃないよ、殺人鬼にテロリスト」
(;<●><●>)「こ、こいつら絶対頭おかしい……」
爪'ー`)「おや、お目覚めかいジャンキーくん」
ノパ⊿゚)「ラリパッパすんのは逃げ切ってからにしろよな?」
爪'ー`)「さぁ、そろそろ外に出る頃だ」
爪'ー`)「ここから先は、マンホールから地下に逃げる」
爪'ー`)「そしたらあとは水の流れに沿って、警察を撒けばいい」
ノパ⊿゚)「それより、さっきの話の続きは?」
爪'ー`)「……ん?」
ノパ⊿゚)「お前に殺してほしい人間がいるとかなんとか……」
爪'ー`)「あぁ、まぁ今はいいよ。逃げ切ってから聞くことにしよう」
ノハ;゚⊿゚)「適当だな!?」
ξ 'A`)ξ「勝手な男だね……」
.
619
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:36:22 ID:Iw3A2.YA0
.
【PM14:15】
いてはいけない場所にいる人
(,,;゚-゚)「へはー……へはー……」ゼェゼェ
(,,;゚-゚)「や、やっと着いた……」
(,,;゚-゚)「なんで収容所ってこんなデカいの……敷地の一部に住まわせてよ……」
(,,;゚-゚)「……というか」
『ウォォォォォォォ!!!』
(,,;゚-゚)「なんだろうこの声……そこら中から聞こえてきてない?」
(,,;゚-゚)「中で運動会でもやってるのかな」
(,,;゚-゚)「よく分かんないけど邪魔しちゃ悪いし……裏手側から回り込も……」
.
620
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:37:29 ID:Iw3A2.YA0
.
(,,゚-゚)「はぁー……でも心細いなぁ」トコトコ
(,,゚-゚)「どこかに知ってる人でもいないかな」
(,,゚-゚)「なんてね。収容所に知り合いなんているはずが……」
『マンホールからはここからすぐの場所にある。蓋は水でこじ開ければいい』
(,,゚-゚)「……ん?」
(,,゚-゚)「誰かの声?」
『ヒート、水で壁を爆破しろ』
『おうよ!』
ズドォォォォォォォンッ!!!!!
(,,;゚-゚)「にゃわぁ!?」
爪'ー`)「ん?」
(,,゚-゚)「……え?」
爪'ー`)「あっ、君は……!!」
(,,;゚-゚)「ぎゃっ……ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
(,,;゚-゚)「カルロ=フォクシー!?」
爪'ー`)「ギャシャールちゃ〜ん!!久しぶりじゃないか!!」
.
621
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:38:31 ID:Iw3A2.YA0
.
(,,;゚-゚)「なっ、なんであんたがこんなとこに!?」
爪'ー`)「こんなとこってここそもそも収容所だけど」
(,,;゚-゚)「そうだったボクの方が異端なんだった!!」
爪'ー`)「ちょうどいいや。君これから僕らの人質ね?」
ザパァンッ!!
(,,;゚-゚)「わぎゃあーーー!!」
爪'ー`)「僕ら今、脱獄中なんだ。だから適当に盾になって協力してくれよ」
(,,;゚-゚)「誰が協力なんてするかー!!」
爪'ー`)「しないならこの場で殺すけど?」
(,,;゚-゚)「喜んで協力します!!」
ノパ⊿゚)「おい、誰だよそいつは?」
爪'ー`)「僕が逮捕される前に殺し損ねた女の子さ。名前はギャシャールちゃん」
ノパ⊿゚)「へー……テメェみてえな変態に好かれるなんざ、運がねぇな?」
(,,;゚-゚)「それ一番嘆きたいのボクだからね!?」
.
622
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:39:32 ID:Iw3A2.YA0
.
爪'ー`)「まーこれで仮にヒーローが止めに来ても、逃げきれる算段が上がったね」
爪'ー`)「いざとなれば弾除けにもなるし、血液抜いて水分補給にしてもいいし」
(,,;゚-゚)「ろくな扱いされてねぇ〜〜〜〜……ボクの人生って一体なに……?」
ξ 'A`)ξ「まったく……危ないことに首を突っ込むからこうなるんだよ」ヒョコッ
(,,゚-゚)「あっ!ドルチェちゃ……さん!比較的まともな顔見知りがいた!」
(,,゚-゚)「お願いドルチェさん!あなたからボクを逃がすように、この人に言ってくれません?」
ξ 'A`)ξ「私の言うこと聞くくらいなら、最初から人質なんて取らせてないよ」
(,,;゚-゚)「ですよねー!!はぁ……」
(;<●><●>)「おい!喋ってる場合じゃないぞ!」
(;<●><●>)「前方に人影だ!警戒しろ!」
ノパ⊿゚)「まーたかよ!今度こそさっさと爆破して逃げるぞ!」
ξ;'A`)ξ「……!!」ハッ
ξ;'A`)ξ「ま、待て!!あれは……!!」
623
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:40:17 ID:Iw3A2.YA0
.
(//‰ ゚)「……」オォォォォォ…
ξ;'A`)ξ ゾワッ
爪;'ー`)「!!」 ゾクッ
.
624
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:41:44 ID:Iw3A2.YA0
.
ドパァァァァァァァァァンッ!!!!
ノハ;゚⊿゚)「うぉぉぉぉ!?なんだぁ!?」
爪;'ー`)「この量の水を弾いたのか……素手で……!?」
ξ;'A`)ξ「カルロ!!あいつがお前に殺してほしい相手!!」
ξ;'A`)ξ「ハイド=ハートマンだよ!!」
(//‰ ゚)「……!」ピク
爪;'ー`)「おやおや……警察署長殿がずいぶんと剣呑な姿になって……」
ξ;'A`)ξ「あんたも警察には恨みがあるだろ!!総掛かりでぶっ殺すよ!!」
爪;'ー`)「オーケー、いいでしょ。ここを切り抜けなきゃ、逃げるのは無理そうだ」
(//‰ ゚)「……」スウゥゥゥ…
.
625
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:43:23 ID:Iw3A2.YA0
.
(//‰ ゚)「……お前のその体臭」
(//‰ ゚)「ショボンニのジジィの屋敷を嗅ぎ回ってた犬どもと、同じ臭いだ」
ξ;'A`)ξ「……!」
爪;'ー`)(水にまぎれた体臭を嗅ぎ分けられるのか……?馬鹿げた嗅覚だこと……)
(//‰ ゚)「そして複数の犬を操れるなら、マンホールで俺たちを襲ったやつと同一人物」
(//‰ ゚)「つまり、俺のことを監視してたのはテメェってワケだ……」
(//‰ ゚)「テメェは、トレジャーんとこのドルチェの真の姿ってとこか」
ξ;'A`)ξ「……それが、何だってんだい!!」
(//‰ ゚)「まぁ、今となっちゃあそれもどうでもいいことだ」
(//‰ ゚)「たかが犬ッコロに倒せるような俺じゃなくなったしな……」
(//‰ ゚)「だが、これでも元警察官なんでな」
(//‰ ゚)「市民の安全だけは守らにゃあ寝覚めが悪い」
(//‰ ゚)「ドルチェ。テメェのしたこたぁ市民の明日を脅かす行為だ」
(//‰ ゚)「万死に値するぜ」
爪;'ー`)「おっと、動くな!」グィッ
(,,;゚-゚)「にゃーっ!?」
爪'ー`)「動けば水の散弾が、彼女の体を穴だらけにするよ!!」
爪'ー`)「分かったら道を空け……」
.
626
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:45:02 ID:Iw3A2.YA0
.
フォンッ
(//‰ ゚爪;'ー`)「消えっ……!?」
ブヂィッ!!
爪;'ー`)「がっ……ぐあああああああああ!!!!!」
(,,;゚-゚)「ぎゃああああああ返り血があああああああ!!!」
ノハ;゚⊿゚)「カルローーーー!!?」
ズブッ……
ノハ;メ⊿゚)「ぎゃあぁっ!?」
ゴリッ!!
(;<●><◯>)「ぎぃいいいいいい!!」
(//‰ ゚)「オメーらは、片腕と片目ずつで特別に許してやらぁ」
(//‰ ゚)「だがドルチェ。お前は生かしちゃおかねぇ」
(//‰ ゚)「諸悪の根源であること、地獄で懺悔してくるんだな」
ξ;'A`)ξ「……チィッ!」
.
627
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:46:35 ID:Iw3A2.YA0
.
ξ;'A`)ξ(楽に殺せる相手じゃないとは思ってた……)
ξ;'A`)ξ(だからヒーローを頼らず、あえて脱獄の先導者として汚名を着るつもりでいた)
ξ;'A`)ξ(なのに……三人がかりでさえ、こんなにも差はデカいのか……!!)
(//‰ ゚)「どうした。来ねぇならこっちから行くぜ?」
ξ;'A`)ξ「……ハァァッ!!」ヒュンッ
(//‰ ゚)「トロい」ガシィッ!
ξ;'A`)ξ「ガハッ……!?」
(//‰ ゚)「分かったろ。天地が返ってもお前じゃ俺には勝てねぇ」
(//‰ ゚)「見逃すこたぁねぇが、お前の目的さえ喋れば、痛みも苦しみもなく楽に死なせてやる」
ξ;'A`)ξ「くっ……!!」ジタバタ
(//‰ ゚)「トレジャーのため……なワケないな?」
(//‰ ゚)「ヤツぁ脱獄なんて手段で喜ぶ外道じゃねぇ」
(//‰ ゚)「下水道で邪魔したことを考えると、ファニーフェイス絡みか?」
(//‰ ゚)「どうなんだ、えぇ?」
.
628
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:47:26 ID:Iw3A2.YA0
.
ξ;'A`)ξ「あんたに話すことなんか……一言もないね!!」
▼;・ェ・▼ ヒュッ!
スルンッ
(//‰ ゚)「……!」
▼#・ェ・▼「ガルルルルッ!!」
ガブゥッ!!
(//‰ ゚)「……言ったろうがよ。犬ッコロに負ける俺じゃねぇってな」
(//‰ ゚)「このままテメェの脳天、地面に叩きつける」ググッ
▼;・ェ・▼(牙が抜けない……!!筋肉を締めつけてるのか……!?)
(//‰ ゚)「あばよ、ドルチェ。次に会うときゃ、地獄だぜ」ブォンッ
▼;・ェ・▼「……!!」
(;<●><◯>)「キ……キ……キ……!!」
.
629
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:49:36 ID:Iw3A2.YA0
.
(;<●><◯>)「キェェェェェェァアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!」
( <●><●>( <●><●>( <●><●>三三三(;<●><◯>)三三三<●><●>)<●><●>)<●><●>)
ズリュリュリュリュリュウッ!!!
(,,;゚-゚)「ぎゃああああああ!!キモーーーーーーッ!!!」
(//‰ ゚)「……!!」ビタッ
▼;・ェ・▼(これは……禁断症状による能力の暴発!!)
爪;'ー`)「ハァッ……ハァッ……!!」
爪;'ー`)「ヒートォッ!!その分裂体、全て爆破させろォッ!!」
ノハ;メ⊿゚)「おっ……オォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!!!!!!!!!
爪;'ー`)「水よ!!俺たちを安全な場所まで運べェェェェェ!!!」
ザパァァァァァァァァァンッ!!!
(//‰ ゚)「チッ……」ヒュンッ
(,,;゚-゚)「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
ξ;'A`)ξ「……!!」ヒュンッ
.
630
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:50:51 ID:Iw3A2.YA0
.
(,,;゚-゚)「ゲホッ、ゲホッ……」
(,,;゚-゚)「な……何が起こったの……?」
ξ;メ'A`)ξ「うっ……あ……!!」ボロッ
(,,;゚-゚)「わぁぁぁ!?ドルチェさん!!大丈夫ですか!?」
(//‰ ゚)「……どういうつもりだ、ドルチェ」
(//‰ ゚)「オメー今、人質を爆破から守ったろ?」
(,,;゚-゚)「えっ!?この怪我ボクのせいなの!?」
(//‰ ゚)「そうでなきゃそこまでダメージは負ってねぇ……違うか?」
(//‰ ゚)「脱獄先導なんつーゲスをした割には、ずいぶんと殊勝なことじゃねぇか」
(//‰ ゚)「地獄で情状酌量でも申し込むつもりかよ?」
ξ;メ'A`)ξ「ハッ……確かに、私は……忌むべき外道だよ……」
ξ;メ'A`)ξ「脱獄を、先導し……人々を混乱に陥れ……死者も山ほど出た……」
ξ;メ'A`)ξ「けどねぇ、私にだって……最後に通すべき義理はある……!!」
ξ;メ'A`)ξ「目の前で死にかけた民間人がいるなら……助けに走るのが、ヒーローだろ……!!」
(,,;゚-゚)「ドルチェさん……!!」
(//‰ ゚)「……惨めなもんだな、ドルチェよぉ」
.
631
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:52:05 ID:Iw3A2.YA0
.
(//‰ ゚)「逃がした凶悪犯には逃亡され、俺を倒すこともままならねぇ」
(//‰ ゚)「爆破のキズで、放っておいても遠からず死ぬだろう」
(//‰ ゚)「テメー、もう終わってんよ」
ザッ…
ξ;メ'A`)ξ「ま、待ちな……まだ戦いは終わってない……!!」
(//‰ ゚)「いいや、終わりだ。そのままそこで、黙って死んでいきな」
(//‰ ゚)「それとも、立ち上がれるならかかってきてもいいんだぜ?」
ξ;メ'A`)ξ「く、そ、がぁっ……!!」
(//‰ ゚)「……」クルッ
(,,;゚-゚)「ぎゃあっ!!」ビクーンッ
(//‰ ゚)「あー……そんなビビんな。危害は加えねぇから」
(//‰ ゚)「怪我は……かすり傷程度か。奇跡的だな」
(//‰ ゚)「立ちな。他のヒーローんとこに連れていってやらぁ」
(,,゚-゚)「あ……ど、どうもすみません……」
(,,゚-゚)(なんだこの人……意外といい人?)
.
632
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:54:02 ID:Iw3A2.YA0
.
『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!』
(//‰ ゚)「……?」ピク
(;・∀・)「ハイパーウルトラデリシャススーパーストロングモララーキーーーーーーーーーーーーック!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
メキャアアアアアアッ!!!!!
(//‰ )「……!!」グラァッ
(;・∀・)「ヘイ、こちらモララー!!西口防壁でヴィランに襲われてた民間人を確保!!」
(;・∀・)「現場には大量の血糊と爆発痕と、なんかすんごいヌルヌルした粘液が大量に飛び散ってる!!」
(;・∀・)「毒の可能性とかありそうだから、民間人つれてさっさと逃げるぜ!!」
『了解。迅速に頼む』
(;・∀・)「坊主!!俺に掴まれ!!」
ガシィッ!!
(,,;゚-゚)「んにゃっ……!」
ドギュゥゥゥゥンッ!!!!
(,,;゚-゚)「にゃあああああ!!?」
.
633
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:55:17 ID:Iw3A2.YA0
.
(//‰ )「……」ゴリッ
(//‰ ゚)「……おー痛ぇ、さすがにあの速度の蹴りは多少効くみてぇだな」コキコキ
(//‰ ゚)「まぁ、ヒーローに受け渡したのは違いねぇからいいだろ」
ξ;メ A )ξ「……」クタ
(//‰ ゚)「……ふん。最後に意地見せやがったかよ。ドルチェよぉ」
(//‰ ゚)「オメーは外道だったが……その善行に免じて、遺言だけは残させてやらぁ」
ザッ…
.
634
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:56:22 ID:Iw3A2.YA0
.
ギュワァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!
(,,;゚-゚)(ヒィィィ!!死ぬっ、死んじゃう!!早いっ、早いぃぃぃ!!!)
(,,;゚-゚)(何なのこいつー!?)
( ・∀・)「……」シュバババッ
ムニムニ
(;・∀・)(うーん……?)
(;・∀・)(なんか、背中にやわこいもんが当たってる……?)
(;・∀・)(こいつ男……だよな?ハトムネか?)
(;・∀・)(まぁいいや。とりあえず安全なとこまで運ぼ)
ズドドドドドドド……
.
635
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 18:58:30 ID:Iw3A2.YA0
.
【PM14:30】
ビッグトレジャーとクラウンデビル
( ,,;^Д^)「オ、オ、オ、オォォォォォォォォォォン……!!」
『アンッ、アンッ!!』ペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ
『ワフンッ』ペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ
( ,,;^Д^)「ヌォォォォォォォォ!!私は負けなアフゥゥゥゥゥゥゥゥン!!」
( ,,;^Д^)「たとえ両の乳首が取れようとも、私は折れぬゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!」
『ワン……』ピタッ
『ワウ?』ピタリ
( ,,;^Д^)「お、おう?」
『アンアンッ』トトトーッ
『キャウンッ』スタスタ
( ,,;^Д^)「犬が帰って行く……?」
( ,,^Д^)「能力者の支配から解放されたのか!!」
( ,,^Д^)「……!!」ハッ
( ,,;^Д^)「これがドルチェの能力ならば……ドルチェの身に何かが!?」
( ,,;^Д^)「いかん!!急がねば!!」
.
636
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 19:00:20 ID:Iw3A2.YA0
.
( ,,#^Д^)「ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!!!!!!!!!!
( ,,^Д^)「ヌッ!!」キキィッ!!
(//‰ ゚)「……」ヌゥッ…
( ,,^Д^)「その異様……尋常の者ではないとお見受けした!!!」
( ,,^Д^)「何者だ!!!」
(//‰ ゚)「……収容所西側の防壁で、お前の犬が死にかけてる」
(//‰ ゚)「行くならさっさと行け。残された時間はねぇぞ?」
( ,,^Д^)「……!!」ハッ
( ,,^Д^)「その声……もしや、ハイド……!!」
ヒュンッ
( ,,;^Д^)「消えた……!!」
( ,,;^Д^)「ハイド署長……まさかあなたも、あの『石』を受け入れてしまったのか……!!」
( ,,^Д^)「……いや、今はそれも後回しだ!!」
( ,,^Д^)「ドルチェ、すぐに行くぞ!!」
ドギュゥゥゥゥンッ!!!!
.
637
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 19:01:10 ID:Iw3A2.YA0
.
【PM14:32】
遺言
( ,,^Д^)「デミタス!!応答してくれ!!こちらトレジャー!!」
『サー・トレジャー!!お待ちしてました!!』
『事態は収束へ向かいつつあります。事後処理をおまかせしても?』
( ,,^Д^)「そうしたいのだが……ある筋から、ドルチェがここにいるという情報を得た!!!」
『なんですって!?やはりドルチェが……!!』
( ,,^Д^)「真偽を確認してからそちらへ向かう!!まずは西側防壁へ向かうので、何かあれば連絡を!!」
『了解です。ご武運を』プツッ
( ,,^Д^)「ドルチェーーーーー!!!どこにいる、ドルチェーーーーー!!!」
.
638
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 19:02:50 ID:Iw3A2.YA0
.
( ,,^Д^)「おーーーーい!!!ドルチェーーーーー!!!」
( ,,^Д^)「ヌッ!!!」ピタッ
ボロッ…
( ,,^Д^)「ここが西側防壁……なぜここだけこんなにボロボロなのだ……?」
( ,,^Д^)「それに、この粘液……どこかで見覚えが……」
( ,,^Д^) ハッ!
ξ;メA )ξ「……」
( ,,;^Д^)「ど……ドルチェーーーーーーーーーー!!!!!!」
.
639
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 19:03:28 ID:Iw3A2.YA0
.
ξ;メ A )ξ「う……」ピクンッ
( ,,^Д^)「良かった!!!まだ息はある!!!」
( ,,^Д^)「ドルチェ!!!しっかりするんだ、気を確かに持て!!!」
ξ;メ'A`)ξ「と、れじゃー……?」
ξ;メ'A`)ξ「はは……ついに、幻覚が見えてきたか……」
ξ;メ'A`)ξ「どうやら、お迎えも……近そうだね……」
( ,,^Д^)「幻覚ではない!!!私は実物だ!!!」
ξ;メ'A`)ξ「いいんだ……どっちに、しろ……私は、長く……ない、から……」
ξ;メ'A`)ξ「幻覚でも……本物でも、いい……私の、最後の願いを……聞いてくれ……」
( ,,;^Д^)「その前に応急手当てを……」
ξ;メ'A`)ξ「ファニー……フェイス、を……」
ξ;メ'A`)ξ「アヒャルドを……助けて、やって、おくれ……」
( ,,;^Д^)「!?」
( ,,;^Д^)「ファニーフェイスを……!?なぜ、ドルチェが……!!」
.
640
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 19:04:18 ID:Iw3A2.YA0
.
ξ;メ'A`)ξ「筋違いは、承知の上で……頼む……お願いだ……」
ξ;メ'A`)ξ「あの子の生涯を……台無しに、したのは……私、なんだ……」
( ,,;^Д^)「もういい!!!喋るな、ドルチェ!!!安静にしていろ!!!」
ξ;メ'A`)ξ「あぁ……どれだけ懺悔しても……あの子は、許しちゃ……くれないだろうさ……」
ξ;メ'A`)ξ「けど、私は……私は……!!」
ξ;メ'A`)ξ「我が子の、幸せも……願っちゃ、いけないのかい……!?」
( ,,;^Д^)「なっ!?」
ξ;メ'A`)ξ「あの子は……スモーキー、タウンで……私が産んだ……実の子供……」
ξ;メ'A`)ξ「あの子はっ……私の……息子、なんだよ……!!」
( ,,;^Д^)「何ィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!!!!!!!」
.
641
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 19:05:02 ID:Iw3A2.YA0
.
ξ;メ'A`)ξ「お願いだよ……トレ、ジャー……」
ξ;メ'A`)ξ「あの子を、救って……あげ……て……」
ξ;メ'A`)ξ「……おね……がい…………」
ξ;メ A )ξ ガク…
( ,,;^Д^)「ド……!!」
( ,,;^Д^)「ドルチェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
.
642
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 19:05:48 ID:Iw3A2.YA0
.
─── ドルチェ=マッケンジー、永眠……。
.
643
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 19:06:22 ID:Iw3A2.YA0
第二十話後編終わり
644
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 19:07:26 ID:Iw3A2.YA0
.
【登場人物紹介】
( ,,^Д^) BIG TREASURE
二時間半もの間、犬に乳首を責められていたナイスガイ。
(´・_ゝ・`) CAFEAULAIT DEMITASSE
本名:アンドリュー=デミナンス
適切な対応で被害を最小限に食い止めた。
.
645
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 19:08:04 ID:Iw3A2.YA0
.
( ・∀・) SUPER SPEED STAR
本名:モララード=マクレガー
今回一番の功労者。とても疲労したがやりきった感はしている。
(,,゚-゚) ギャシャール=ホプキンス
本名:キャサリン=ホプキンス
モララーにおっぱいが当たっていたことには気づいていない。
.
646
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 19:08:36 ID:Iw3A2.YA0
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ξ 'A`)ξ DOGGY POISON
本名:ドルチェ=マッケンジー
ファニーフェイスの実母。
( ゚∀゚ ) FUNNY FACE
本名:アヒャルド=マッケンジー
ドルチェ=マッケンジーの息子。本人はその事実を知らない。
.
647
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 19:27:24 ID:0GbMVTvw0
ドルチェやっと死んでくれたか
648
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 19:48:36 ID:7eeMu1I20
乙
二時間半も乳首責めされてんじゃねえよ!w
649
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 19:48:47 ID:hX4DmIII0
乙
ドルチェ……
650
:
名無しさん
:2019/09/12(木) 21:13:29 ID:RsPOU2cU0
デルタは何者なんだ…
651
:
名無しさん
:2019/09/13(金) 07:51:59 ID:OsbdcdR.0
otu
652
:
名無しさん
:2019/10/28(月) 16:33:32 ID:KVMcTw3I0
ツイッターの話題で申し訳ないけど作者さん、もしかして打ち切りかい?
653
:
名無しさん
:2023/07/24(月) 17:12:31 ID:Y6VgHl2U0
まだかよトレジャー
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