>>1421-1422
北米市場の落ち込みについて、GWECは直接理由を言及してはいないものの、説明を付けることはできる。米国連邦エネルギー規制委員会(FERC:Federal Energy Regulatory Commission)によれば、2013年1月〜4月の新規導入量は958MWと多かった(関連記事)。ところがその後が悪い。米風力エネルギー協会(AWEA:American Wind Energy Association)によれば、2012年末に米国の連邦税額控除が期限切れを迎えたため、2013年の下期に向かうにつれて新規導入量が激減したのだ。米国のエネルギー政策は風力発電に対して一貫性がなく、これまでも急速な落ち込みや回復をくり返している。
このような成長を引っ張るのは、アジア太平洋や中東、アフリカなどの新興市場だ。風力発電は均等化発電原価(LCOE:Levelized Cost Of Electricity)が低いためだという。関連記事で紹介したドイツFraunhofer研究所の分析によれば、既に風力発電は化石燃料を利用した発電所よりも安価で競争力がある。これは発電所の建設から廃止までを含んだコストの比較だ。
こんな状況下で、ただでさえ中国企業の攻勢に曝され経営に苦しみ、生産数量を削減していたドイツの太陽光企業は工場閉鎖にまで追い込まれる状況になっている。攻勢を強めている中国企業も無傷ではない。オーナーが中国一の富豪であり、市場価値では世界一位の太陽光企業と言われている香港市場上場の中国企業漢能太陽能集団(Hanergy Thin Film -HTF)の決算に疑義があると昨年から専門紙では報道されていたが、1月末に英国フィナンシャルタイムズ紙が一面トップで疑惑を報道したことから世間の注目を大きく浴びることになった。