新型コロナウイルスの感染拡大で1都3県への緊急事態宣言が発令された場合、観光支援事業「Go To トラベル」の全国一時停止は延長される見通しとなった。首都圏からの利用も多く、再開後の誘客を準備してきた県内の観光関係者は「影響は大きい」と不安の声を上げ、対応策を探っている。
「ここに来ての緊急事態宣言は影響が大きい」。大正浪漫調の街並み整備が進む会津若松市の七日町通りでまちづくりにあたる渋川恵男(ともお)さん(73)は肩を落とす。昨年4月の緊急事態宣言で観光客は一時激減したが、10月と11月には修学旅行生や個人客を中心ににぎわいが復活、平日も含め大勢が通りを行き交った。しかし、「Go To トラベル」の一時停止も影響し、年末年始は例年以上に静かだった。「アフターコロナを見据え、準備をする時期と捉えるべきなのだろう。生き残るため知恵を絞る」と声を絞り出す。
二本松市岳温泉の温泉旅館のおかみは「(政府は)いつもぎりぎりになってから、突然に決断され、振り回される」と憤る。「Go To トラベル」の一時停止で予約がキャンセルとなり、年末年始の宿泊客は例年の2、3割程度。だが、再開予定の12日以降の土、日曜日にはGo To利用の予約が満室に近い状態だっただけに「一時停止が延長されれば、またがらがらになるのが予測できる。年は越したが、このまま続けられるか」と懸念する。
高湯温泉観光協会(福島市)の遠藤淳一会長(65)は、「Go To トラベル」の再開予定後の予約もキャンセルが出ていることを挙げ「感染拡大が続けば、再開しても、すぐに客足は回復しない。高湯は首都圏からの宿泊客が中心で、影響は大きい。耐えるしかない」と吐露した。
現在、コロナの感染再拡大に伴い、複数の地域で食事券の販売は一時停止されているが、飲食店への支援を継続するため、第3次補正予算でも食事券は追加発行されることになった。
ニューノーマルな時代に飲食店に求められること
しかし、食事券は一時的な効果しか生まない。コロナ禍でも客を引きつける魅力あるメニューや感染対策を意識した店舗構造など、客が求めるニーズは変化している。飲食店には「Go To Eat」のその先を見据えた工夫や試行錯誤が求められる。
旅館はプールを併設し、悩んだ末に営業を決めた。すると、近郊の公営プールが休業していたことが追い風となり、来館者が例年の数倍に増え、感染予防のため、入場を断る日もあった。政府の支援策「Go To トラベル」も始まり、秋には念願の修学旅行生が戻ってきた。久しぶりに響くはしゃぎ声。「いつもはこんなにぎやかさだったと、うれしくて涙が出そうだった」
知らず訪れ「がっかり」 首都圏などで新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が出される中、金沢市のひがし茶屋街の店舗で臨時休業が相次いでいる。「Go To トラベル」停止以降、客足が激減しており、界隈(かいわい)に並ぶ約80店のうち通常営業するのは1〜2割とみられる。宣言延長決定後、最初の日曜日となった7日も花街はひっそりと静まり返り、休業を知らずに足を運んだ観光客からは「がっかりした」との声も漏れた。
観光庁は10日、観光支援事業「Go To トラベル」を使った昨年12月の宿泊者は、割引を全国で停止した28日までの推計で1029万人だったと発表した。月間の人数は8月以降で最少。新型コロナ感染が広がった地域を目的地とする旅行が相次いで割引対象外となったことが影響した。7月22日の事業開始後の累計は8781万人となった。
赤羽一嘉国土交通相は24日の衆院国交委員会で、観光支援事業「Go To トラベル」を4〜5月の大型連休前に全国で再開するのは難しいとの認識を示した。新型コロナウイルス感染が全国的に落ち着く必要があると指摘した。政府は、事業停止の長期化に伴い、宿泊割引など独自に旅行補助を行っている自治体に財政支援する方針を固めた。
自民党の二階俊博幹事長は4日に放送されたBSテレ東の番組で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて停止中の政府の観光支援策「Go To トラベル」について「経済効果がある」として必要性を強調した。再開する場合の一定の感染リスクを認めつつも「恐れとったら何もできない」と述べた。
再開は困難ではないかと聞かれた際、二階氏は「全国旅行業協会の会長もやっているから、Go To トラベルばっかり『やれ、やれ』って言うわけにはいかない」としたうえで、トラベルについて「それぞれの地域、市町村、過疎、過密(の状態にかかわらず)あらゆる都市にくまなく、努力しただけの経済効果がある」と指摘した。
昨年の大型連休は、通りのほとんどの店が自主的に休業した。その後、政府の観光支援策「Go To トラベル」が始まり、さらに昨年10月以降に東京都が割引対象に追加されると、街はいったんにぎわいを取り戻す。ところが、感染が再拡大し、2回目の緊急事態宣言につながった年末年始ごろからは、もとの閑散とした状態に逆戻りした。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言下で4連休を控える中、観光客が一定戻る兆しがある。航空関係者によると、連休の予約は前年同期比で8割からほぼ横ばい。宣言延長でキャンセルは出ているものの、「Go To トラベル」が始まった昨年の同時期と比べると減少幅は大きくない。レンタカーも少人数での予約も一定数ある。一方、政府が実施する沖縄便の搭乗者への無料PCR検査が始まったが、予約数は国も県も把握していない。観光業界からは実効性のある水際対策を求める声が上がる。
月別では、コロナ流行が本格化する前の1月が87万人で前年同月比5・9%増だった。その後は、入国制限などで外国人が激減。緊急事態宣言が発令されていた昨年5月に同93・2%減に落ち込んだ。国の観光支援策「Go To トラベル」の効果などで、11月に同37・2%減まで回復。ただ、12月は「第3波」の影響で再び減少した。
観光庁は31日、7月の日本人の国内宿泊者数(速報値)が、のべ3007万人(前年同月比29・9%増)だったと発表した。3千万人を超えるのは、政府の観光支援策「Go To トラベル」が全国で実施されていた昨年11月(3668万人)以来、8カ月ぶり。新型コロナの感染拡大が収まらないなか、夏を迎えて旅行する人は増えていた。
新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言が全面解除されたのを受け、全国知事会は2日、オンライン会議で国への提言をまとめた。感染の第6波が「必ず到来する」として、第5波で感染者数が急増・急減した原因などの分析を求める一方、地域経済の再生に向けて、政府の需要喚起策「Go To キャンペーン」を感染状況に応じて再開することなどを盛り込んだ。
「新しい旅」の再開に合わせて、交通事業者が販売する割引チケット(最大30%割引、複数の交通機関で最大50%割引)に道が補助金を出す「ぐるっと北海道」も15日から再開する。国の飲食店支援事業「Go To イート」は、現在は持ち帰りや宅配のみの利用に限っているが、10月中旬からは「4人以下の利用」を条件に店内での利用も認める方向で検討している。(中野龍三)
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観光庁は20日、停止中の観光支援事業「Go To トラベル」に代わり、青森や広島など36県が19日時点で、国の補助金を活用した住民向け旅行の割引事業を実施していると発表した。新型コロナウイルスの緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が全面解除され、感染者数も減ってきたため、再開する地域が相次いでいる。
Go Toキャンペーンを計画的に悪用している事業者側の人たちに、客をもてなすこころなど皆無だろう。それどころか客の気持ちを踏み躙り、税金まで詐取しようという許されざる行為だが、証拠の保全が難しい状況と相手なので、客が彼らの悪意を立証することは極めて困難だ。結局、騙されて損害をかぶらされたと分かりながら、泣くしかないのは客だ。世情に流され、われ先にキャンペーンを利用したいという気持ちは理解できるが、冷静になることが、被害から免れる唯一の方法であることも改めて認識しておくべきだ。
政府が観光支援事業「Go To トラベル」の再開を含む経済対策を19日に決定したことを受け、京都の観光事業者から歓迎の声が上がった。長引く新型コロナウイルス禍に苦しむ業界は、観光消費を大きく持ち上げた前年のGoTo効果の再来を渇望する。だが宿泊料金が高い宿泊施設に利用が集中した従来の仕組みは大きく変わらず、幅広く恩恵が及ぶかは見通せない。
新型コロナウイルスの感染者数の減少に伴い沖縄への旅行需要が回復しつつある中で、年末年始のレンタカー予約が難しくなっているなど、レンタカー車両の供給不足が顕著になっている。コロナ禍で各社が保有台数を大幅に減らしてきたことに加え、世界的な部品調達停滞による自動車生産の落ち込みで、増車も見込めないことがある。レンタカー不足は来春のプロ野球キャンプや卒業旅行シーズン、「Go To トラベル」キャンペーン時まで長引き、沖縄観光回復の制約要因になってしまうという見方が出ている。
共同通信
観光庁は8日、観光支援事業「Go To トラベル」を来年再開した場合、春休み期間は割引対象外とする方針を明らかにした。3月下旬〜4月上旬を想定しており、具体的な除外日は今後、調整する。政府は早ければ1月下旬〜2月上旬の事業再開を目指しているが、春休みは割引がなくても旅行需要が見込めると判断した。
世界遺産の厳島神社がある宮島(広島県廿日市市)。土産物店を経営する佐々木健一さん(44)は「正月休みが短かった分、この3連休に期待していたのに」と落胆した様子。観光支援事業「Go To トラベル」も再開されず、「『またか』という思いが強い。(政府には)支える政策をやってもらわないと」と危機感をあらわにした。
2020年末に停止された全国一律の「Go To トラベル」の代替策として始まった。国が都道府県を通じ、1人1泊当たり5000円を上限に旅行代金の50%を補助する。飲食店などで使えるクーポンも2000円分付き、支援額は最大7000円だ。近場を旅してもらうため、当初の対象は各都道府県内だったが、今年4月からは関東、近畿など6地域ブロック内に広げている。
政府は12日、「Go To トラベル」に代わる全国旅行支援を早ければ月内に開始する方向で調整に入った。新型コロナウイルス感染拡大で見送っていたが、感染者数が減少傾向となっているため。9月下旬の3連休明けから当面、年末までを支援対象とする案が浮上している。新型コロナの水際対策も緩和し、1日当たり5万人の入国者数上限を10月にも撤廃する方向で調整。訪日客に義務付けている短期滞在ビザの取得免除や、個人旅行の受け入れ解禁も検討する。複数の政府関係者が12日、明らかにした。厚生労働省は、オミクロン株に対応した新ワクチンの製造販売を特例承認した。
例として、鉄道旅行商品を扱う「JR東日本びゅうツーリズム&セールス」は、往復の鉄道と宿を組み合わせて自分の好きな「旅行商品」にできる「ダイナミックレールパック」を展開しています。これは昨年の「Go To トラベル」でも割引対象となっており、今回も同様と思われます。同社HPでは4日付けで「開始日時は、詳細が分かり次第、お知らせいたします」という趣旨の発表を行っています。