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化学・薬品産業総合スレッド

1荷主研究者:2003/12/07(日) 23:23
これまで「石油・LNGなど=エネルギー総合スレ=」で扱ってきた化学系のネタを独立させます。

社団法人日本化学工業協会
http://www.nikkakyo.org/

石油化学工業協会
http://www.jpca.or.jp/

化学工業日報
http://www.chemicaldaily.co.jp/

石油化学データベース
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/new.htm

1650荷主研究者:2016/04/24(日) 17:18:38

http://toyokeizai.net/articles/-/113049
2016年04月11日 東洋経済
住友化学の好業績、ニワトリが支えていた!世界で脚光浴びる「メチオニン」とは?

渡辺 清治:東洋経済 記者

 メチオニンは鶏の成育には欠かせない必須アミノ酸の一種。飼料添加物として需要が伸びている。写真はマレーシアにある住友化学のメチオニン研究施設内

 総合化学の大手、住友化学のある事業が「収益性」と「成長性」の両面でにわかに注目を集めている。同社の前2016年3月期の連結業績は営業利益が1550億円と前の期より2割強増え、過去最高を更新した模様。その原動力となったのが、これまであまり話題になることがなかった“メチオニン”事業だ。

 メチオニンは鶏や豚、牛など家畜の成長に不可欠な栄養素。リジンやスレオニンなどと並ぶ必須アミノ酸の一種で、主に鶏用の飼料添加物として使用されている。飼料に少量混ぜて与えることで鶏の生育が早まるほか、鶏肉や卵の品質向上、さらには糞と一緒に排出される有害な窒素が減る環境対策効果もある。

需要旺盛で市況高、原料安も追い風

 中国やアジアなど新興国を中心に鶏肉の消費が拡大し、飼料用メチオニンの需要は急拡大している。これまで鶏用の飼料添加物には、同成分を多く含むイワシなどの魚粉が多く使用されてきたが、漁獲量の減少や中国の食用魚需要などで魚粉の価格が高騰。このため、石油由来のメチオニンに切り替える動きが広がり、市場規模はこの1、2年で年間100万トンの大台を突破した。

 住友化学は1950年代に医薬品用途でメチオニンの製造を開始し、1960年代から飼料用途へと進出した。世界シェアは1割強と4位で、現在の生産能力は年間14万トン。全量を愛媛工場(新居浜市)で生産し、その大半は中国、東南アジアなど海外の飼料メーカーに輸出している。

 「足元の事業・収益環境は非常にいい。でき過ぎと言ってもいいくらい」。健康・農業関連分野を統括する西本麗・専務執行役員はこう話す。好調な需要を背景にメチオニン市況は1キロ=4ドル前後と高値で安定推移しているうえ、昨今の原油相場下落によって、原料コストは大幅に下がっているからだ。

 そうした追い風に乗り、同社のメチオニン事業は前2016年3月期に過去最高の収益を記録。事業売上高は600億円規模と前の期から2ケタ伸び、売上高営業利益率で3割超、金額にして200億円前後の営業利益を稼ぎ出した模様だ。

プロピレンなどを化学合成して生産される石油由来のメチオニン。需要は年率6%以上の伸びが続く

 プロピレンやメタノールなどを化学合成して作るメチオニンは化学メーカーの事業領域だが、今のところは世界を見渡してもプレーヤーの数は限られる。

 世界シェアの4割超を握る独エボニックを筆頭に、米ノーバス、中国藍星集団、そして住友化学と、4社で総需要のほとんどを担う。

 設備投資負担が大きいうえ、製造過程で硫化水素などの危険物を取り扱うほか、排水・廃液の処理に手間が掛かる点などが参入障壁になっている。

 ちなみに、世界2位のノーバスは米国企業だが、株主は三井物産と日本曹達。1991年に2社が共同で米国のバイオ化学大手、モンサント社から事業を買収した経緯があり、三井物産が全株式の65%、日本曹達が35%を保有する。そのノーバス社も業績は絶好調で、前2016年3月期に同社は過去最高となる300億円前後の純利益を稼ぎ、日系2社の連結業績に大きく貢献した。

1651荷主研究者:2016/04/24(日) 17:19:16
>>1650-1651 続き

年率6%超の成長、能力倍増投資を検討

 メチオニンが注目を集めるのは、足元の稼ぎっぷりに加え、今後も市場の成長が続くことが確実視されているからだ。新興国の生活水準が上がって食肉需要は年々増えているが、宗教的な制約が少ない鶏肉は特に消費量の伸び率が高い。国連食糧農業機関の統計によると、鳥肉(七面鳥など鶏以外も含む)の生産量は今後10年間で2割以上増え、現在もっとも生産量の多い豚肉を数年内に抜く見通しだ。

 当然、鶏の飼育頭数が増えれば、その餌に使用されるメチオニンの需要も増えていく。魚粉からの切り換えもさらに進む見込みで、住友化学によると、石油由来のメチオニンの需要は年率6%以上の長期的な成長が予想されるという。

 旺盛な需要を受け、愛媛にある同社のメチオニン工場は超がつく繁忙状態にある。「中国の飼料メーカーを中心に引き合いが非常に強い。文字通りのフル操業を続けているが、それでも生産が追い付かない状況」(西本専務執行役員)だ。このため、緊急対策として既存設備を改良・変更し、今2016年内に生産能力を14万トンから1割以上引き上げる。

 焦点は、その後の供給体制をどうするか。同社はメチオニン事業を今後の戦略強化分野の1つと位置づけ、2020年をメドに世界シェア2割奪取を目標に掲げる。目標実現には、最低でも年産10万トン超の新たな大型プラントを立ち上げ、生産能力を現状の倍近くにまで引き上げることが不可欠。そのために必要な設備投資は400億〜500億円規模に上る見込みで、巨額投資に踏み切るかどうかを社内で議論している最中だ。

 「メチオニンの需要はこれから先も間違いなく増えていく。供給能力の拡大は大きな課題で、最低でも(年産)10万トン級、できればそれ以上の製造設備を新たに作りたい」と西本専務執行役員。ただ、意欲は満々だが、まだ最終決定には至っていない。「投資金額が大きいだけに、さまざまなリスクを考えながら、慎重にタイミングを見極めている」のだという。

ライバルが相次ぎ増産、需給悪化懸念も

 不安材料はライバルの動向だ。最大手の独エボニックは昨年末、シンガポール第2工場(年産能力19万トン、2019年稼働予定)の建設を決定。同社は2014年秋に新工場をシンガポールで立ち上げたばかりだが、早くも次の大型投資に踏み切る。2位の米ノーバスも2020年までに年産能力を10万トン以上拡大する方向で検討している。

 また、新たなライバルも出現した。韓国のCJ第一製糖が化学メーカーの仏アルケマと手を組み、メチオンニン市場に参入。独自の醗酵法による生産工場を昨年稼働させ、今後の事業拡大に強い意欲を見せている。

 成長市場ゆえに、各社がシェア拡大へと競って能力増強に走るのは当然のこと。その結果、業界全体の供給能力が短期間に膨れ上がれば、成長市場といえども需給が悪化して市況が大きく崩れる可能性がある。住友化学が投資決定を持ち越しているのも、そうしたライバル増産による市況悪化リスクを危惧しているからだ。

 ただし、今のままでは供給能力拡大に走る上位勢との差が開き、シェア2割の目標実現どころか、市場における住友化学の存在感が薄れてしまう。しかも、メチオニンは装置産業だけに、生産規模の差はコスト競争力の差にも直結する。

 新プラント立ち上げには4年以上かかるため、目標に掲げる「2020年のシェア2割実現」のためには、早急に投資を決断する必要がある。成長市場のメチオニンで世界大手の一角に残るために投資へと踏み切るか、それとも回収リスクを恐れて大型投資はひとまず棚上げするか。住友化学にとって、難しい判断となりそうだ。

1654荷主研究者:2016/05/04(水) 12:59:04

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00382605?isReadConfirmed=true
2016年4月20日 日刊工業新聞
東ソー、難燃剤生産を12月末で停止 国際条約で規制対象

 東ソーは19日、南陽事業所(山口県周南市)で行っている難燃剤「デカブロモジフェニルエーテル(DBDE)」の生産を12月末に停止すると発表した。建築材料や繊維向けのDBDEが2015年に、残留性有機汚染物質を規制するストックホルム条約上の廃絶対象物質に追加されることが確実となったため。商品名は「フレームカット110R」。販売終了時期は17年3月末の予定。今回、停止する製造設備の生産能力は年1200トン。

 国内でDBDEを製造していたのは同社のみだという。

(2016年4月20日 素材・ヘルスケア・環境)

1658荷主研究者:2016/05/04(水) 13:33:34

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00383083?isReadConfirmed=true
2016年4月25日 日刊工業新聞
DIC、産総研東北拠点に研究室

 DICは産業技術総合研究所の東北センター(仙台市宮城野区)に「DIC・産総研化学ものづくり連携研究室」を開いた。産総研が持つ化学プロセス技術や新機能材料などを活用し、まずは今後3年間で電子材料やパッケージ向け材料、ヘルスケア、低炭素化といった分野の製品開発を加速する。東北センターは「技術の橋渡し」を掲げて企業との連携を充実させており、同研究室はその一環。

(2016年4月25日 素材・ヘルスケア・環境)

1659荷主研究者:2016/05/04(水) 13:33:57

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00383250?isReadConfirmed=true
2016年4月26日 日刊工業新聞
三菱ガス化学、車向け塗料原料の生産倍増-新潟でライン増設

 三菱ガス化学は25日、新潟工場(新潟市北区)において自動車のトップコート塗料などに用いるメタクリル酸グリシジル(GMA)の生産能力を現状比2倍の年6800トンに増強すると発表した。製造ラインを1本増設する。2017年1月に着工して、同9月に完成する予定。投資額は明らかにしていない。

 世界の自動車生産の拡大に伴い、耐酸性雨性や耐擦り傷性に優れるGMAを原料にした塗料の需要が伸びているという。

 GMAは自動車向け塗料だけでなく、エンジニアリングプラスチック改質剤や接着剤などにも使用されている。

(2016年4月26日 素材・ヘルスケア・環境)

1660荷主研究者:2016/05/22(日) 20:19:28

http://www.chunichi.co.jp/article/mie/20160428/CK2016042802000029.html
2016年4月28日 中日新聞
中外医薬生産が新工場 伊賀、雇用促進で地域経済に貢献へ

中外医薬生産の新工場完成予想図

 伊賀市ゆめが丘の製薬会社「中外医薬生産」(田山雅敏社長)は、敷地内に医薬品製造工場を新たに増設する。高齢化社会に伴う医薬品需要拡大とともに普及が進められている後発医薬品に対応するため。稼働は十二月を予定。地元出身者を中心に稼働後三年で二十人程度の採用を見込む。担当者は「雇用促進により、地域経済の貢献を図りたい」と話す。

 同社によると、新工場の生産は一般用と医療用の医薬品。錠剤は年間六億錠、顆粒(かりゅう)剤は年間六千万包、坐剤は年間二千五百万個、水虫やかゆみ止めなどの外用液は年間六百万本の生産が可能という。三年後に年間二十二億円程度の売り上げを目標にしている。採用は、研究開発部門と生産部門に稼働一年後で十人程度、三年後で合わせて二十人程度を予定している。

 同社は、痔(じ)の薬や滋養強壮剤を中心に全国のドラッグストアへ製品を供給している。大手製薬メーカー先ブランドによる生産(OEM)もしており、新工場では胃腸薬や抗アレルギー薬、風邪薬など多種類の製造受託を目指す。

 新工場は、同社最大規模の鉄骨三階建て延べ床面積約三千五百平方メートル。最新の品質保証水準を満たし、少量でも製造から包装までを一貫ラインで行う。

 総事業費は約十二億円を予定。生産能力は現在と比べ錠剤は五倍、坐剤は二倍、外用液は四倍、顆粒剤は新規となる。三月に現工場の隣に着工した。同社は一九一九年の創業。従業員八十五人。新工場で創業百年を目指し飛躍を図る。

 (沢田一朗)

1663荷主研究者:2016/06/06(月) 23:07:35

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2016/05/19-24735.html
2016年05月19日 化学工業日報
大明化学工業 18年ぶりに国内工場 上下水・工場排水処理薬剤で

 水処理薬剤大手の大明化学工業(長野県南箕輪村、福島士郎社長)は、18年ぶりに国内工場を新設する。宮城県に上下水や工場排水処理に使う薬剤の工場を設け、2016年6月に本格稼働を始める。人口減や企業の海外進出で薬剤の国内需要が減少傾向にあるなか、需要地での生産に切り替えて東北地区の事業基盤を強化する。他の工場と災害リスクを分散し、水道水をつくるのに欠かせない薬剤の安定供給体制を整える狙いもある。

1664荷主研究者:2016/06/06(月) 23:16:53

http://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/201605/0009113569.shtml
2016/5/23 21:15神戸新聞NEXT
タテホ化学 北九州に酸化マグネシウムの新工場

 発電所設備などに使われる酸化マグネシウムで世界シェア40%のトップメーカー、タテホ化学工業(兵庫県赤穂市)は23日、北九州市に新工場を建設した、と発表した。中国や新興国の電力消費拡大に伴う発電所の増設で需要の拡大を見込む。赤穂の本社工場との2工場となり、生産能力は1・8倍に増強。総投資額は約35億円で、10月の稼働を目指す。

 新工場は、親会社の産業用ガス大手エア・ウォーター(大阪市)が保有する北九州市響灘臨海工業団地に建設。一部2階建て延べ床面積8300平方メートル。酸化マグネシウムを製造する本社工場では原材料のにがりを製塩会社から調達しているが、新工場は海水から直接、酸化マグネシウムを生産できる設備を新たに導入した。従業員は約20人で、新たに雇用する。

 酸化マグネシウムは変圧器の電磁鋼鈑製鉄芯の被膜材として使われ、電気エネルギーの交換ロスが低減できる。新工場の酸化マグネシウムは、欧米や中国の鋼板メーカーに販売する。タテホ化学の2016年3月期の売上高は約100億円。(西井由比子)

1667荷主研究者:2016/06/19(日) 12:06:18

http://www.sankeibiz.jp/business/news/160525/bsc1605250500008-n1.htm
2016.5.25 06:24 Fuji Sankei Business i.
化学2社、成長投資強化へかじ 東ソーと三井化学 機能商品へ資源集中

生産能力の増強を予定する三井化学のPPコンパウンド工場=米オハイオ州【拡大】

 東ソーは24日、30年ぶりとなる3カ年の中期経営計画を発表し、成長投資を倍増させる方針を明らかにした。この日は三井化学も経営説明会を行い、最終年度に入った中計について、成長投資を230億円積み増す方針を示した。原油安による原料価格の低下で業績が上向くなか、両社とも積極投資にかじを切り、収益性の高い機能商品に経営資源を集中投入する構えだ。

 東ソーは、中計最終年度となる2018年度の連結営業利益を、850億円と15年度実績に比べて150億円程度増やす。売上高については、円高や原料価格の下落に伴う販売価格の落ち込みもあり、7500億円とほぼ横ばいに設定した。

 期間中に直近3年間の約2倍となる1600億円を投資し、うち300億円をM&A(企業の合併・買収)に振り向ける。自動車の排ガス触媒に使う「ハイシリカゼオライト」や、歯科材料「ジルコニア」の生産能力を増強。「汎用(はんよう)品と機能商品をうまくバランスさせる」(山本寿宜社長)考えだ。このほか、研究開発では「ライフサイエンス」と「電子材料」「環境・エネルギー」の3つを重点分野に掲げた。

 一方、三井化学は現行の中期経営計画で16年度に600億円の営業利益を目指していたが、1年前倒しで達成したため700億円に増額。期間中の成長投資は880億円と当初計画より230億円増やす。今後は変化の早い経営環境を踏まえ、毎年計画を見直す方式に改めた上で18年度に900億円の営業利益を目指す。

 4月1日付で「モビリティ」「ヘルスケア」「フード&パッケージング」の3事業本部を中心とする体制に移行し、それぞれで機能商品に経営資源を集中投入。自動車に使う「PP(ポリプロピレン)コンパウンド」では米国とメキシコ、インドで生産ラインを増やし、17年度に足元より5万トン多い年間105万トンの生産体制を構築する。また、紙おむつなどに使う不織布は4月に名古屋工場(名古屋市南区)の増強を決めたばかりだが、「高機能品は完全に供給不足」(淡輪敏社長)として近く追加増強を判断する。

 このほか、社外取締役の割合を9人中2人から8人中3人に高め、6月の株主総会後にJFEホールディングスの馬田一元社長らが就任することも明らかにした。

1668荷主研究者:2016/06/19(日) 12:08:27

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00386852?isReadConfirmed=true
2016年5月27日 日刊工業新聞
コスモエネ・丸善・荒川化学、紙おむつ原料設備を新設

 コスモエネルギーホールディングスと丸善石油化学(東京都中央区)、荒川化学工業は26日、水素化石油樹脂の製造、販売を共同で事業化する検討に入ったと発表した。紙おむつなどに用いるホットメルト接着剤原料である水素化石油樹脂の需要増大をにらみ、一貫生産設備の新設や共同出資会社の設立について事業化可能性調査(FS)を行う。

 新設を検討するのは、粗C9油から水素化石油樹脂を一貫生産する設備。コスモ石油千葉製油所、丸善石油化学千葉工場内に2019年稼働を予定。生産能力は年約2万トン。

(2016年5月27日 総合4/国際)

1670荷主研究者:2016/06/19(日) 12:20:51

http://www.sankeibiz.jp/business/news/160530/bsc1605300500003-n1.htm
2016.5.30 06:40 Fuji Sankei Business i.
化学大手各社、「機能商品」の育成強化 原油安に黄信号、再編活発化も

三菱ケミカルHDと旭化成が4月から一体運営するエチレン設備=岡山県倉敷市

 化学大手各社は、他社との差別化が容易で収益性も高い「機能商品」の育成を強化する。原油安の下で主力の石油化学事業の採算が改善。好業績を続けてきたが、先週、米国産標準油種(WTI)が一時1バレル=50ドルを突破したのに加え、国際的な業界再編も活発化し安穏としていられない。不安要素をはねのけようと、各社が先週までにまとめた中期経営計画には、得意とする機能商品推進が重点方針として盛り込まれた。

「低空飛行だったのが変わってきた」

 東ソーが24日に開いた31年ぶりとなる中期計画の発表会。山本寿宣社長は、収益改善が着実に進んでいると強調した。

 同社は2008年のリーマン・ショックや、11年に山口県の南陽事業所で起きた爆発火災事故の影響で業績が低迷したものの、15年度は営業利益が694億円と、10年ぶりに過去最高を更新。新中期計画では、最終年度の18年度に850億円まで増やす目標を掲げた。

 今期は三菱ケミカルホールディングス、住友化学、旭化成、三井化学、宇部興産、東ソーの大手6社のうち、3カ年計画の3年目に入った三井化学を除く全社が新中期計画を始動。うち宇部興産を除く4社が、最終年度に過去最高の営業利益を目指す方針だ。

 各社は、原油安を背景に好業績を謳歌(おうか)している。基礎原料のナフサ(粗成ガソリン)価格が下落し、製品価格との差が開いたためだ。

 人口減などによる国内市場の縮小を見越し、コスト削減や生産集約に取り組んできたことも業績好調に寄与している。

隠れた供給過剰

 ナフサから作る代表的な石化製品で、さまざまな製品の元となるエチレンは、国内需要が1997年の596万トンをピークに減少。直近では500万トンを割り込んでいる。このため、14年に三菱ケミカルHDが鹿島コンビナート(茨城県)の設備1基を停止。昨年は、住友化学が千葉コンビナートの設備をやめて国内生産から撤退した。今年4月にも、三菱ケミカルHDと旭化成が岡山県の水島コンビナートにおけるエチレン設備の運営を統合し、2基から1基に減らしたばかりだ。

 そのかいあって、国内エチレン設備はフル稼働状態を維持。石油化学工業協会(石化協)が26日に発表した4月の稼働率は96.7%と、採算ラインとされる90%を29カ月連続で上回った。石化協の淡輪敏会長代行(三井化学社長)は「需給は17年途中まで緩まないのでは」と話し、高稼働が当面続くと予測する。

 だが、それ以降となると楽観はできない。足元の高稼働は、円安による輸出の増加が支えてきた側面もある。集約が進んだとはいえ、国内設備の能力は合計で約681万トンに達し、輸出を除けば単純計算で200万トン近い能力が余る計算だ。円高が進むなどして輸出がしぼめば、余剰は一気に表面化する。

 業界は、数年前から外資との合弁を含めた中東メーカーの攻勢にさらされてきた。さらに18年には、米国のシェールガスを原料にした安価なエチレンが出回り始める見通しだ。前後して中国内陸部でも安い石炭ベースのエチレン生産が本格化するとみられ、日本メーカーの競争力は一段と低下しかねない。

 原油相場の上昇も、不安要素の一つ。石化協の淡輪会長代行は「急激な価格変動が一番きつい」と不安要素を挙げる。

1671荷主研究者:2016/06/19(日) 12:21:25
>>1670-1671 続き

生き残りへ集中投資

 こうした中で、重要性を増してきたのが機能商品事業だ。

 「シェールガスと汎用品で戦っていては生き残れない。機能商品を育てないと」。東ソーの山本社長は、自らに言い聞かせるように話す。同社が機能商品として思い描くのは、排ガス触媒素材の「ハイシリカゼオライト」や、歯科材料などに使う「ジルコニア」だ。

 新中期計画では、東ソー以外にも旭化成が電池材料のセパレーター、住友化学が飼料原料のメチオニンや有機エレクトロルミネッセンス(EL)向け部材といった具合に、それぞれが需要拡大の見込める得意商品に経営資源を重点投入する。環境・エネルギーや医薬品を含むヘルスケア、電子材料などの分野を中心に動きが活発化しそうだ。

 投資積み増しの動きも目立つ。三菱ケミカルHDは20年度までの5カ年計画で総額1兆円の設備投資を盛り込んだほか、5000億円のM&A(企業の合併・買収)を含む戦略投資枠を設定。その前の5カ年計画に比べて2600億円多く、多くを炭素繊維や高機能フィルムといった収益性の高い商品に充てる方針だ。三井化学は現行中期計画について、24日に3年間合計の成長投資を230億円増やす方針を明らかにしたほか、需要が逼迫(ひっぱく)し、4月に名古屋工場の増強を決めた紙おむつ用不織布について、追加増強を視野に入れる。

 農薬を含む化学業界では、世界的な大再編が始まっている。昨年末に米大手のデュポンとダウ・ケミカルが経営統合を決めたほか、今年2月には中国化工集団が農薬世界最大手のシンジェンタ(スイス)を買収すると発表。最近も拒否されたとはいえ、医薬・化学大手の独バイエルが種子・農薬大手の米モンサントに買収提案を行ったばかりだ。規模や汎用品の競争力で劣る以上、日本メーカーはこうした巨大企業と競合しない事業構造に転換するしかない。

 機能商品の育成を怠れば、好業績が「つかの間の春」に終わるだけでなく、生き残りすらおぼつかなくなるだけに、楽観ムードはない。(井田通人)

                   ◇

■化学各社の連結営業利益
 (2015年度実績/18年度目標)

 三菱ケミカルHD 2800/3400
 住友化学 1644/2000
 旭化成 1652/1800
 三井化学 709/900
 東ソー 694/850
 宇部興産 414/500

 ※単位・億円、三菱ケミカルHDの目標は20年度

1676荷主研究者:2016/06/25(土) 19:24:42

http://www.sankeibiz.jp/business/news/160607/bsc1606070500002-n1.htm
2016.6.7 05:17 Fuji Sankei Business i.
アース製薬と大幸薬品、資本業務提携

 「ごきぶりホイホイ」などで知られるアース製薬と、「正露丸」の大幸薬品は6日、資本業務提携することで基本合意したと発表した。各種商品の開発や製品化を共同で行うためで、アースが大幸の株式5.78%を取得する。

 今回の提携で、大幸が除菌・殺菌商品の「クレベリン」などで展開している二酸化塩素の技術を、空間除菌や蚊などの虫除けの分野で事業化を進める。「ジカ熱」など、蚊などが媒介するウイルス感染症の流行が懸念される中で、感染症対策分野の需要がさらに拡大するとみて、マーケティングや商品化を共同で行う。

 株式は大幸が保有する自社株をアースに売却する。売却株価は決定していないが、6日の大幸株の終値を基準にすると12億3000万円となる。

1677荷主研究者:2016/06/25(土) 19:25:37

http://www.sankeibiz.jp/business/news/160610/bsc1606100500006-n1.htm
2016.6.10 05:00 Fuji Sankei Business i.
昭和電工が高機能ウエハー増産

 昭和電工は9日、送電システムや電車に用いるパワー半導体の基板材料「炭化ケイ素(SiC)エピタキシャルウエハー」の生産能力を増強したと発表した。同ウエハーの中でも、独自開発した高機能品を増産する。量産するのは、同社が「ハイグレードエピ」と呼ぶSiCウエハーの高機能品で、結晶基板に生じる欠陥を大幅に減らしたのが特徴。歩留まりが向上するほか、信頼性や低コスト化にもつなげられるという。同社は今回の製品を昨年10月に開発、パワー半導体メーカーなどにサンプル供給してきた。引き合いが活発なことから、秩父事業所(埼玉県秩父市)に生産ラインを追加し、このほど月産能力を1000枚から3000枚に高めた。投資額は明らかにしていない。

1678荷主研究者:2016/06/25(土) 19:31:51

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20160611_1
2016/06/11 岩手日報
明治HD傘下企業、北上工場閉鎖へ 18年度めど
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 【東京支社】明治ホールディングス(HD)の傘下企業で医療用医薬品、農薬、動物薬などを製造販売する「Meiji Seika ファルマ」(東京、資本金283億6300万円、小林大吉郎社長)が北上市北工業団地に構える北上工場の閉鎖を検討していることが10日分かった。同社によると、従業員は約100人。国内の生産体制を再編し競争力を高めるため、北上工場の機能を他に移管する。閉鎖は2018年度をめどとし、段階的に縮小していく見通しだ。

 北上工場は操業約40年の老舗立地企業。従業員への対応は今後検討する。同社の直轄工場は原薬を製造する北上工場、岐阜工場、製剤拠点の小田原工場(神奈川県)の3工場。北上工場は1976年、操業を開始。約14万平方メートルの敷地に建物面積約1万985平方メートルの工場を構え、抗生物質や抗がん剤などの原薬を生産している。

 同社広報によると、医療費抑制や高齢化社会に伴う薬の需要増など業界を取り巻く環境を踏まえ、生産体制を最適化するため北上工場の機能を他に移管する。移管は段階的に行い、18年度をめどに閉鎖する方向で検討している。北上工場の労働組合にはすでに閉鎖方針を示したという。

【写真=2018年度をめどに閉鎖される方針の「Meiji Seika ファルマ」北上工場=北上市北工業団地】

1679荷主研究者:2016/06/25(土) 19:49:01

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00388772?isReadConfirmed=true
2016年6月14日 日刊工業新聞
三菱化学、イオン交換樹脂の生産再編 高機能品は黒崎 汎用は海外で

昨年末に生産を始めた韓国の合弁工場。今年度内にはフル稼働する

 三菱ケミカルホールディングス傘下の三菱化学は2016年度内にも工業用水処理などに使うイオン交換樹脂の生産体制を再編する。主力の黒崎事業所(北九州市八幡西区)は付加価値のある高機能品に特化させ、汎用品は最新の韓国工場などに集約する。従来は米ダウ・ケミカルなど海外勢に規模で劣り、汎用品分野が比較的弱かった。生産増強によりアジア地域中心に規模拡大を目指す。

 現在は黒崎事業所で発電所や電子デバイス製造に利用する高機能なイオン交換樹脂と、自家発電向けなどの汎用品を両方生産している。15年末に商業生産を始めた韓国・群山自由貿易区の合弁工場が16年度内にフル稼働するのをきっかけに、国内外で生産品目を見直すことにした。

 汎用品はコスト競争力のある韓国と台湾工場で集中生産する体制に切り替える。これまで汎用品分野は同業の米ダウやドイツのランクセスが高いシェアを獲得していた。

 イオン交換樹脂は微細で均一な粒子で、溶液中の不純物を吸着・除去したり、有益な物質(イオン)を抽出したりできる。最近は半導体や液晶パネル製造向けの超純水などの引き合いが強い。さらに、三菱化学は中国や東南アジアで今後新設計画の相次ぐ発電所向けを狙う。

 各工場の年産能力は黒崎が1万3000立方メートル、韓国が2万立方メートルでその半分が三菱化学の引き取り分となる。台湾は4500立方メートル、イタリアが100立方メートルだ。

 イオン交換樹脂の世界市場は現状2000億円規模で、年率2%程度の成長が見込まれている。三菱化学は世界4位に位置している。

(2016年6月14日 素材・ヘルスケア・環境)

1681荷主研究者:2016/07/09(土) 21:33:32

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00389295?isReadConfirmed=true
2016年6月17日 日刊工業新聞
昭和電工、LIB向け負極材を増強 年1500トン体制

 昭和電工は16日、リチウムイオン二次電池(LIB)向けカーボン負極材の生産能力を従来比50%増の年1500トンに引き上げると発表した。大町事業所(長野県大町市)の生産設備を増強し、2016年末の稼働を目指す。好調な電気自動車(EV)用途をはじめ、拡大しているアイドリングストップ向け需要に応える。投資額は非公表。

 今回、増強するカーボン負極材「SCMG=写真」は低い抵抗と長寿命が特徴。今月、中国での委託生産にも乗り出した。1月には充放電特性の向上に寄与する正極用カーボンコート箔「SDX」の中国生産も始めた。いずれも主にEV向けが需要をけん引しており、同社は20年のLIB用材料市場が2兆円規模に成長すると見ている。

 LIBはスマートフォンやタブレットに使われる小型のほか、EVに搭載する大型の採用が伸びている。特に中国では政府による排ガス規制の強化や補助金政策を受け、EVやEVバス向け需要が急拡大。同社は20年までの中期経営計画でも、導電助剤やバインダーを含むLIB材料を競争優位性が高い事業に位置付けている。

(2016年6月17日 素材・ヘルスケア・環境)

1682荷主研究者:2016/07/09(土) 22:00:50

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00390015?isReadConfirmed=true
2016年6月23日 日刊工業新聞
大ガスケミカル、活性炭汎用分野に参入 来月、新ブランド投入

現在展開する活性炭「白鷺」

 大阪ガスケミカル(大阪市西区、武内敬社長、06・4393・0181)は、7月にも汎用活性炭市場に参入する。新たに廉価版の活性炭ブランド「エコシラ」を立ち上げる。従来の高機能高品質活性炭「白鷺」に比べて2割程度安い。発売後5年目に、年2000トンの販売目標を設定した。コストが優先される工場の排水処理や、ゴミ処理場などに提案の幅を広げて国内シェアの拡大を狙う。

 エコシラは活性炭として白鷺と同等の性能を確保した上で汎用商品とした。白鷺で培った高レベルの品質管理技術を元に、2014年に買収したジャコビ・カーボンズ(スウェーデン)の持つ価格競争力のノウハウを組み合わせて完成した。

 大阪ガスケミカルは活性炭の世界シェア3位、ヤシ殻活性炭ではトップ。ジャコビの買収で海外活性炭市場に本格進出した。国内は白鷺ブランドで年2万トン強を出荷している。

 医薬品や機能性食品、醸造・飲料工場、浄水器、空気フィルター向けといった高機能品を中心に展開。顧客それぞれの要求に合わせて、商品を開発してきた。

 国内向け廉価帯商品の開発以外にも、営業や生産などでジャコビとの相乗効果創出を急ぐ。営業では互いの顧客接点を生かし、吸着材などグループ商材の提案を積極化。流通や販売体制も相互に活用する。

 また、国内工場で培った生産技術や品質管理技術を移転し、ジャコビの工場の生産改善や高付加価値品の開発に取り組む。

 大阪ガスケミカルグループの売上高は、16年3月期に約750億円。活性炭事業を中心に伸ばし、21年3月期に1000億円の売り上げを目指す。

(2016年6月23日 素材・ヘルスケア・環境)

1688荷主研究者:2016/07/17(日) 11:25:41

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00390548?isReadConfirmed=true
2016年6月28日 日刊工業新聞
JXエネ、ポリイソブチレン設備増強を検討

 JXエネルギーは27日、建材用複層ガラスのシール剤などとして使われる化学品「ポリイソブチレン」の製造装置の増強に向けた具体策の検討を始めたと発表した。JXエネルギーは同化学品を年間7000トン製造する能力を持ち、世界需要のほぼ2割を賄えるという。製造能力を1万2000トンに引き上げる方向で検討し、2017年度半ばまでに結論を出す。18年1―3月の着工、19年10月の商業運転開始を目指す。

 川崎製造所(川崎市川崎区)にある現有設備の増強について、基本設計の検討や投資額の算定を進め、投資の是非を判断する。ポリイソブチレンは複層ガラスのほか、医療用ばんそうこうなどの粘着剤に使われ、世界全体で需要増を込む。

(2016年6月28日 建設・エネルギー・生活1)

1691荷主研究者:2016/07/26(火) 22:46:21

http://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/201607/0009288502.shtml
2016/7/15 21:30神戸新聞NEXT
化学工業製品の研究機能強化 シクロケムの新社屋完成

シクロケムの新本社ビル。テニスコートも備える=神戸市中央区港島南町7

 化学工業製品を輸入・販売するシクロケム(神戸市中央区)は神戸・ポートアイランド2期に新築した本社が完成し、15日、完成式典を開いた。移転は研究機能の強化が狙いで、従来のサプリメントなどに加え、燃焼効率の高い燃料の開発などにも取り組む方針。

 独ワッカーケミー社の製造する環状オリゴ糖(シクロデキストリン)を扱う代理店として2002年に設立。物質や成分の体内吸収率を高める環状オリゴ糖の特長を生かし、サプリメントや基礎化粧品など自社製品も手掛けている。ポーアイ2期の神戸国際ビジネスセンター内の旧本社から移転した。

 新本社は4階建てで延べ床面積約840平方メートル。研究スペースは1・8倍に拡大した。新本社建設に合わせて従業員56人や地域住民向けテニスコートも備えた。用地(2780平方メートル)取得を含め総事業費は約7億円。同社は「環状オリゴ糖を使い、重油の燃焼効率を高めたり、汚水処理を容易にしたりする研究にも乗り出す」としている。(黒田耕司)

1693荷主研究者:2016/07/26(火) 23:13:22

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00392358?isReadConfirmed=true
2016年7月12日 日刊工業新聞
高級車向け塗料、中級車・EVに広がる-三菱ガス化学、原料の生産能力倍増で米ダウに肉薄

 三菱ガス化学は主に自動車向けトップコート塗料原料に使用されるメタクリル酸グリシジル(GMA)事業で、高級車から中級車へ採用車種が拡大している。需要増に伴い、新潟工場(新潟市北区)で2017年に生産能力を倍増するとともに、既存ラインを含めて品質も向上させる。GMA世界首位の米ダウ・ケミカルに肉薄する生産能力を得て、天然ガス系化学品部門の新たな柱に育てたい考え。(鈴木岳志)

【普及段階】

 三菱ガス化学の手がけるGMA採用先が先進国向けの高級車から、中級車や電気自動車(EV)へ広がっている。「高級車で試してみて、性能、コスト的に中級車でも耐えうるとの判断だろう」(担当者)といい、普及段階に入ったようだ。

 GMAは車用トップコート塗料原料として耐候性や耐傷性に優れており、当初は酸性雨への関心が高い北米向け車種から採用が進んでいた。現状の主な需要地は日米欧だが、中国をはじめアジア地域の引き合いも強まっている。「世界の自動車生産台数以上の伸びを見込んでいる」(同)とし、新興国の経済発展とともに需要地も拡大していく見通し。GMA事業の売上高のうち、車トップコート向けが過半を占める。

【ニーズ先取り】

 新潟工場のGMA年産能力を現状比2倍の6800トンに増強する。17年1月に着工して、同9月に完成する予定。既存ラインと共有する精製設備も強化され、既存ラインを含めて製品の純度が高まって品質向上につながる。品質を重要視する自動車産業などのニーズを先取りして対応するのが目的だ。

【世界は1万5000トン】

 業界トップである米ダウのGMA年産能力は7000―8000トンと見られ、2位が三菱ガス化学だ。世界市場は全体で約1万5000トンとみられ、日本では他に日油などが参入している。

(2016年7月12日 素材・ヘルスケア・環境)

1694荷主研究者:2016/07/30(土) 13:06:22

http://www.sankeibiz.jp/business/news/160720/bsc1607200500009-n1.htm
2016.7.20 06:16 Fuji Sankei Business i.
世界初、アンモニアから燃料電池車の水素 昭和電工などが製造に成功

アンモニアを製造する昭和電工の川崎事業所=川崎市川崎区【拡大】

 昭和電工などは19日、アンモニアから燃料電池車(FCV)に使う水素を製造する技術の開発に世界で初めて成功したと発表した。アンモニアは水素を多く含むが、FCV用の水素燃料は高い純度が求められるなどの理由で作るのが難しかった。昭和電工では開発で「原料活用に向け大きく踏み出した」という。

 アンモニアからFCV用の水素を作るには、分解装置で水素と窒素の混合ガスにして、残存する微量のアンモニアガスを除去した後、さらに水素精製装置で窒素や不純物を取り除く必要がある。しかし、製造には耐久性に優れた分解用の触媒や、高性能の除去材料、水素の純度を高める精製技術が必要になる。

 そこで産業技術総合研究所が高性能のルテニウム系触媒、昭和電工と豊田自動織機がそれを用いた分解装置を新たに開発。さらに広島大学が残存アンモニアの除去能力を3倍に高められる無機系材料を見いだし、昭和電工がこれを用いた除去装置に仕立て上げた。

 さらに大陽日酸が、純度を高められる水素精製装置の開発を担った。これにより、FCV用燃料の国際規格を満たす純度99.97%の水素の製造が可能になったという。

 液体のアンモニアは、同じく液体の水素に比べて大量輸送しやすい。このため、今後はアンモニアを各地に輸送した後で水素を作り、近隣の水素ステーションで“地産地消”するといった利用法が考えられる。また、同じトラックで1.7倍の水素を運べるため、輸送時の二酸化炭素(CO2)排出量も減らせる。

1698荷主研究者:2016/08/07(日) 15:45:32

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2016/07/04-25349.html
2016年07月04日 化学工業日報
神島化学 マグネシウム化合物増産 詫間で4割・10月完成

 無機化学メーカーの神島化学工業(大阪市西区)は、マグネシウム化合物を中心とした化成品事業を拡大する。全売上高の約7割を占める窯業系の建材事業は成熟産業と位置づけ、今年度からの新中期経営計画で定めた2019年4月期売上高目標240億円(16年4月期218億1900万円)の伸長分を化成品が担う計画を打ち出した。今年10月完成をめどに詫間工場(香川県三豊市)で酸化マグネシウムを中心としたマグネシウム化合物の生産能力を約4割増強する計画で、とくに「医薬分野向けに好調な海外市場を開拓する」(池田和夫社長)。化成品事業を成長エンジンに持続発展を目指す。

1699荷主研究者:2016/08/07(日) 15:49:21

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2016/07/25-25613.html
2016年07月25日 化学工業日報
三菱ガス化学 新潟工場の競争力強化

 三菱ガス化学は、新潟工場の競争力を一段と強化する。昨年生産を停止し全量外部購入となったアンモニアは海外投資案件への参画を検討。自社玉確保を通じ、同工場におけるアンモニア系製品を充実する。国内で唯一生産するメチルアミン(MA)の製品群を広げ、誘導品メーカーの誘致も進める。保有するガス田の水溶性天然ガスを原料に、グループ企業と連携してヨウ素・ヨウ素誘導体の新製品や用途の開発も加速する。

1700荷主研究者:2016/08/07(日) 16:13:32

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00394112?isReadConfirmed=true
2016年7月27日 日刊工業新聞
クレハ、車載電池材を5割増強 70億円投資、いわき事業所に新ライン

EV向け二次電池用の高機能PVDF

 クレハは2018年度までに、電気自動車(EV)などに使われるリチウムイオン二次電池(LIB)用バインダー(接着剤)の生産能力を現状比約5割増強する。いわき事業所(福島県いわき市)にポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)の生産ラインを新設。既存設備の改良による生産効率の向上と併せて、車載・民生用LIBへの供給体制を盤石にする。投資額は60億―70億円となる見通し。

 16、17年度にいわきの既存設備を改良し、18年度に新設備を導入。主に車載用LIBのバインダー用途を見込み、特殊品の生産能力を高める。一方、いわきと中国で現在生産しているバルブや継ぎ手向けの汎用PVDFは、16年度中に中国・常熟市の生産子会社に集約。18年度にフル稼働に当たる年産5000トンを目指す。

 中国での需要拡大を受け、海外で初めてとなる「技術センター」を開設する検討も始めた。電池メーカーごとに異なる正極・負極向け活物質とバインダーの組み合わせを提案し、電池メーカーが求める性能を引き出す。将来はポリマーの応用から、実際に電池に採用した場合の評価までを手がける拠点にする考えだ。

 特にEV向けは環境規制の厳格化などを追い風に需要が増大。中国では地方政府の後押しもあり、EVのタクシーや路線バスが普及した。クレハも好調な大型LIB用のPVDFをもう一段伸ばす。例えば、バス用LIBは大きさが乗用車用の約10倍になり一層の需要増が期待できる。

 クレハは18年度に売上高1700億円(15年度は1425億円)、営業利益160億円(同126億円)を目指す3カ年の中期経営計画を進行中。PVDFのほか、自動車部品などに用いるポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)の増産を計画する。PVDFなど機能製品事業の売上高目標は550億円(同365億円)。

(2016年7月27日 総合1)

1702荷主研究者:2016/08/07(日) 16:27:41

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00395025?isReadConfirmed=true
2016年8月4日 日刊工業新聞
高級アルコール工業、医薬品事業に進出 軟こう原料など、年3000トン生産へ

第二工場に設置した液体充填クリーンブース

 【千葉】高級アルコール工業(千葉県成田市、川合清隆社長、0476・73・6020)は、外用薬などの医薬品原料事業に参入する。この一環として、医薬品製造・品質管理基準(GMP)のガイドライン要求を満たす第二工場と研究所を完成し、9―10月をめどに本格生産する。生産能力は年3000トン程度。総投資額は約40億円。新工場の稼働で4年後の売上高を2015年11月期比約20%増の50億円まで引き上げる考えだ。

 高級アルコール工業は化粧品原料の生産が主力。第二工場と研究所は、本社工場がある成田市の大栄工業団地内に建設、完成した。延べ床面積は5581平方メートル。

 第二工場は、本社工場に無かった液体充填クリーンブースなどを設け、医薬品に対応できるようにする。

 新工場は工程や製品にもよるが、反応時間を最大で約2割減らせるなど製造時間を短縮する。最上階から原料を投入して重力により下流工程に流す省エネ構造とし、生産コストを削減する。

 また、研究所は軟こうや湿布などの原料の研究を開始し、4年後をめどに医薬品向けの新製品を提案する計画だ。第二工場と研究所の本格稼働に向け、新規に従業員約20人を採用する予定だ。

 建設にあたっては、千葉興業銀行、商工中金、日本政策金融公庫が総額37億円を協調融資した。

(2016年8月4日 ヘルスケア)

1704とはずがたり:2016/08/23(火) 22:55:52

シンジェンタ、中国化工が5兆円超で買収へ
中国勢による海外企業買収は新次元に
http://jp.wsj.com/articles/SB12751571096197434046704581517842933549576
2016 年 2 月 3 日 16:39 JST

 【チューリヒ】スイスの農業化学大手シンジェンタは3日、中国化工集団(ケムチャイナ)からの現金による買収提案に合意したと明らかにした。買収額は430億ドル(約5兆1600億円)強で、中国企業による欧米企業の買収としては史上最大規模となる。

 シンジェンタは、この提案は1株480スイスフランにあたると明らかにした。同社株の2日終値は392.3フラン。

 シンジェンタの行く末をめぐっては過去数カ月にわたって不透明な状態が続いていた。シンジェンタに対しては除草剤・農業バイオ技術大手の米モンサントが昨年買収を提案したが、8月に計画を断念していた。

 買収を完了する条件として両社は今後、米国などの規制当局から承認を得る必要がある。

 手続きが完了すれば、同買収は中国勢による海外企業買収が新次元を迎えたことを象徴する。中国企業は政府の強い支援の下、海外からの技術やノウハウの取得に務めており、また自国での需要減速を受けて海外での販売拡大に新たな活路を見いだそうとしている。

 シンジェンタにとって、この合意は巨大な中国市場への足がかり拡大の可能性を意味する。一方、ケムチャイナはシンジェンタの種子開発に関する先進のバイオテクノロジーを手にすることになる。

 シンジェンタのミシェル・ドマレ会長は、同社の拠点がスイスに残ることや、既存の経営陣が引き続き同社の指揮を執ることを文書で明らかにした。一方、買収完了時にはケムチャイナの任建新董事長(会長)がシンジェンタ取締役会の会長に就任する。

 ケムチャイナによるシンジェンタの買収をめぐっては、規制当局の厳しい検査の対象になる公算が大きい。法律専門家や金融関係者は、特に米国で厳しい審査に直面する可能性に言及。シンジェンタの売上高の4分の1近くを北米が占めている。

1705とはずがたり:2016/08/23(火) 22:57:31

中国化工集団のシンジェンタ買収、米国の安全保障当局が承認
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-22/OCARAR6TTDS801
David McLaughlin
2016年8月22日 15:17 JST

中国化工集団(ケムチャイナ)によるスイスの農薬・種子メーカー、シンジェンタ買収を米国の安全保障当局が承認した。買収規模は430億ドル(約4兆3400億円)。
  両社の発表資料によれば、対米外国投資委員会(CFIUS)が買収を認めた。年内の買収完了が見込まれているが、引き続き世界中の独占禁止当局の承認が必要だという。
原題:ChemChina Clinches U.S. Security Nod for Syngenta Purchase (1)(抜粋)

中国化工、シンジェンタ買収で当局承認得るためには
http://jp.wsj.com/articles/SB12572346946470444848304581519783260433052
By ABHEEK BHATTACHARYA
2016 年 2 月 4 日 16:10 JST 更新

 スイスの農業化学大手シンジェンタの株主は、中国企業による史上最大規模の外国企業買収を受け入れることで目先の小さな利益を取ることになる。しかし、両社がその買収を完了させるには政治的に賢くなる必要があるだろう。

 シンジェンタは3日、国有の中国化工集団(ケムチャイナ)からの1株475スイスフラン、総額430億ドル規模の現金による買収提案に合意したことを認めた。追加的な特別配当5スイスフランを含むこの提示条件は、2日に買収について報じられる前のシンジェンタの株価を26%、1年前のそれを60%上回る寛大なものと言える。

 農産物への需要が低下しているにもかかわらず、シンジェンタには一連の買収提案を検討する余裕があった。米国のライバルである除草剤・農業バイオ技術大手のモンサントは昨年、現金と株式交換による買収案を提示したが、シンジェンタはこれを拒否。モンサント株が過去1年間に26%安となった事実を踏まえるとシンジェンタの判断は正解だった。ケムチャイナも何度か買収提案をして断られてきた。今回の条件は最初の提示額を5%上回っている。

 中国政府の後ろ盾があるケムチャイナには買収金を支払うのに十分な資金力があるが、仮にモンサントが同じ額を提示した場合でも、シンジェンタの株主はその資金力に確信が持てないことになろう。というのも、モンサントの現在の純有利子負債/EBITDA(金利・税金・償却前利益)倍率は1.7倍だが、買収金を支払うとそれが7.5倍にまで急上昇してしまうからだ。

 したがってモンサントが対抗買収提案に動くことはおそらくないだろう。また、シンジェンタの買収に関して他に候補と取りざたされた米化学大手のダウ・ケミカルとデュポンの2社は統合を計画している。

 ケムチャイナをめぐる不透明感は米国の政治にからむものだ。シンジェンタは北米最大の農薬販売元であり、種子販売でも重要な役割を担っている。外国企業による買収を厳重に監視している米規制当局は極めて重要なセクターとして防衛、金融に加えて食品、農業も挙げている。2013年に中国の民間豚肉加工業者がバージニア州に拠点を置く豚肉加工大手スミスフィールド ・フーズを買収したときには一部の政治家が疑問を呈したものの、これを阻止するまでには至らなかった。

 米大統領選挙の年に、中国の国有企業が米国の食糧供給プロセスの重要な部分を支配するということになると、米国の議員らは確実に神経を尖らせるだろう。シンジェンタ株の2日終値がケムチャイナの提示額を17%も下回ったのは、投資家がそうした不透明感を察知したからに違いない。

 とはいえ、シンジェンタの株主から支持が得られるような解決策が1つある。ケムチャイナはシンジェンタを買収した後にその北米事業の一部またはすべてをスピンオフ(分離・独立)すればいいのだ。北米事業はシンジェンタの総売上高の24%を占めているが、欧州や南米の事業ほど大きくはない。これを今回の買収の代償と捉えるべきかもしれない。それでもケムチャイナはシンジェンタの技術の大半――重要な研究センターはスイスにある――を獲得できる一方、北米事業の売却益は買収で背負った債務の返済にも役立つことだろう。

 シンジェンタがこの解決策を検討すれば、投資家は喜んで同社の株価を買収提示額近くまで押し上げるはずだ。一方、この策が検討されなかった場合、投資家は株価よりも政治的な横やりが入る可能性に対して心配し続けることになるだろう。

1707荷主研究者:2016/08/28(日) 16:28:36

http://www.at-s.com/news/article/economy/shizuoka/267850.html
2016/8/6 07:50 静岡新聞
新工場「医薬棟」が竣工 富士の旭化成ファーマ

 旭化成の100%子会社で医薬品などを製造する旭化成ファーマ(本社・東京都、堀一良社長)が富士市鮫島の旭化成富士支社内に建設を進めていた新工場「医薬生産センター富士医薬工場医薬棟」が完成し、5日、現地で竣工(しゅんこう)式が行われた。主力医薬品である血液凝固阻止剤「リコモジュリン」の原薬を製造する。

 旭化成ファーマは2008年に富士医薬工場でリコモジュリンの原薬の製造を開始した。海外での販路を拡大するためにさらなる安定供給体制を構築しようと、約45億円を投じて15年2月に医薬棟の新設に着手した。

 医薬棟は鉄骨3階建てで、延床面積約4400平方メートル。17年4月に稼働する予定で、富士医薬工場だけだった従来と比べ、供給能力は2倍になる見通しという。売上高も昨年度の123億円から来年度以降は最大150億円を目指す。

 竣工式で堀社長は「安定的に供給するためにはこれからが本番。医薬棟に命を吹き込んで」と呼び掛けた。

1712荷主研究者:2016/08/31(水) 22:42:20

http://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/201608/0009395099.shtml
2016/8/16 21:09 神戸新聞NEXT
塗料メーカーなど2社、神戸複合産業団地に進出

ミクニペイントの新本社(同社提供)

 神戸市は16日、塗料メーカーのミクニペイント(大阪府豊中市)と精密部品加工のウィンテック(神戸市西区)が神戸市西区の「神戸複合産業団地」に進出した、と発表した。いずれも新本社を構える。

 ミクニペイントは1952年創業。従業員39人、2016年3月期の売上高は約9億円。ポリウレタン樹脂塗料を初めて国産化し、ゴルフなどスポーツ用品や住宅向け塗料を手掛けている。

 新本社は、敷地面積約5213平方メートル、延べ床面積約2114平方メートルの平屋。16日から操業を始めた。総事業費は約8億5千万円。

 ウィンテックは、同区の「神戸ハイテクイースト工業団地」から本社を移転。従業員13人、15年6月期の売上高は約2億円。エアバッグ部品を中心に、精密機械部品を加工する。

 新本社は、敷地面積約1157平方メートル、延べ床面積約480平方メートルの2階建て。地中熱を活用した空調システムを導入し、16日に完成した。総事業費は約2億円。(黒田耕司)

1713荷主研究者:2016/08/31(水) 22:51:55

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00396211?isReadConfirmed=true
2016年8月15日 日刊工業新聞
東ソー、山口に臭素の新プラント 難燃剤用にアジアで需要増

 東ソーは2017年に、南陽事業所(山口県周南市)の臭素の製造設備を刷新する。投資額は42億円。新興国の経済発展によって、アジア地域の臭素需要は18年にかけて年率5%の成長を予想する。樹脂用難燃剤などの用途以外に、水処理や石油掘削、火力発電向けでも事業拡大を目指す。同社全体の臭素の年産能力は2万4000トンと、現状とほぼ同等になる見込みだ。

 東ソーは南陽事業所の老朽化した臭素の製造設備を停止して、新棟を建設する。新製法を導入して生産効率を従来比で数十%向上させる。現在の年産能力は定期修理年ベースで2万4000トンだが、老朽設備のため実際の生産量はそれより少なかった。

 同社は海水から臭素を抽出する製法を採用している。一方、イスラエルや米国の臭素メーカー世界大手は死海など塩分濃度の高いかん水から製造している。ただ、将来的に湖の水量減少や濃度低下などが心配されており、臭素原料の調達問題が深刻化する恐れがある。東ソーは海水から抽出する製法で、効率を高める技術を開発し、新プラントに応用する。

 臭素由来の難燃剤は電子機器向け樹脂部品、繊維、建設材料に用いられる。特に新興国では機器などの難燃化を義務付ける規制の導入がこれから活発になると想定され、需要拡大が見込める。

 同社は臭素を他社へ供給するほか、自社で難燃剤まで仕上げて販売している。16―18年度の中期経営計画でも重点領域の一つとして臭素・難燃剤事業を位置付けている。また、水処理の殺菌や石油掘削時の比重調整、石炭火力発電で排出される水銀の除去などの用途もさらに開拓し、事業を拡大する。

(2016年8月15日 総合1)

1714荷主研究者:2016/08/31(水) 22:53:39

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00396580
2016年8月18日 日刊工業新聞
日立、和光純薬工業の買収に名乗り 富士フイルムも意欲、熾烈な争奪戦へ

日立は買収でヘルスケア部門を強化したい考え(日立本社)

 日立製作所は武田薬品工業の子会社で、研究用試薬や臨床検査薬を手がける和光純薬工業(大阪市中央区)の買収に名乗りを上げた。子会社の日立化成を通じ、和光純薬売却の入札に応札した。和光純薬買収を巡っては、富士フイルムホールディングス(HD)も買収に意欲を示しており、熾烈(しれつ)な争奪戦が繰り広げられそうだ。

 日立は買収で成長事業のヘルスケア部門を強化したい考え。同部門の2016年3月期売上高は3326億円。中期経営計画で19年3月期に4400億円への引き上げを目指す。約1000億円の伸長に自律的な成長とM&A(合併・買収)を活用する意向だ。

 同部門は画像診断装置などの「診断・臨床」、分析装置などの「検査・試薬」、医療ITなどの「インフォマティクス」の三つのコア事業で構成。各事業で収益、成長をけん引するビジョンを描いている。例えば診断装置では、今月初めに三菱重工業のX線治療装置事業の買収で合意。世界でも強みのある粒子線治療システムとともに、放射線治療領域を強化する方針だ。

 さらに新領域として子会社日立ハイテクノロジーズが15年6月、分子診断事業大手の独キアゲンと遺伝子検査事業で提携したほか、日立化成も16年3月に再生医療用細胞受託製造最大手の米PCT(ニュージャージー州)に出資し、日本国内向け受託製造事業に参入している。

 医療関連市場は持続的な成長性を見込み、新規参入やM&Aなどが活発化している。今春には東芝メディカルシステムズ(栃木県大田原市)買収を巡り、キヤノンと富士フイルムHDなどが争い、最終的にキヤノンが買収を決めていた。

(2016年8月18日 総合3)

1715とはずがたり:2016/09/10(土) 22:31:00

独バイエル、米モンサント買収で来週にも合意の可能性-関係者
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-09/OD8WSVSYF01Y01
Aaron Kirchfeld、Naomi Kresge
2016年9月10日 01:57 JST

独バイエルと米モンサントの交渉は最終段階に差し掛かっており、世界最大の種子・農薬メーカーの誕生決定に近づいていると、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
  交渉が非公開であるため匿名で話したこれらの関係者によると、早ければ来週にもバイエルのモンサント買収で合意が成立する可能性がある。バイエルの監査役員会はこの件で協議するために14日に会合を開く。交渉は継続中であり、決裂の可能性もあるという。
  バイエルは今週、モンサントとの「交渉進展」を発表し、買収提示額を1株当たり127.50ドルに引き上げたことを明らかにした。規模560億ドル(約5兆7600億円)の買収が実現すれば、ドイツ企業による買収案件としては過去最大となる。
原題:Bayer Said Closer to Winning Monsanto With Deal Seen Next Week(抜粋)

1716荷主研究者:2016/09/11(日) 11:30:06

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2016/08/01-25717.html
2016年08月01日 化学工業日報
石化改革なお道半ば シェールなど脅威増す クラッカー共有化も焦点

 日本の石油化学産業の構造改革が一巡した。三菱ケミカルホールディングスが中国とインドの高純度テレフタル酸(PTA)事業の売却を決めたことで、国内石化の収益を大きく押し下げる不採算事業は現況下ではほぼなくなった。原油安や円安は改革効果を押し上げ、各社の石化事業は好況期に突入したかに見えるが、「構造改革はまだ足りない」。石化首脳の表情はいぜん険しい。米シェール由来の石化製品や中国・石炭化学の影響度は従来予想を上回るからだ。これをいかに乗り越えるか。石化構造改革は新局面に移る。

1717荷主研究者:2016/09/11(日) 11:30:27

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2016/08/02-25705.html
2016年08月02日 化学工業日報
昭和電工 大分で石化・石油・製鉄一体運営へ 新日鉄住金と連携

 昭和電工は、大分コンビナートで地域連携を強化する。JXエネルギーとの石油・石化留分の融通などの検討に加え、新日鉄住金ともエネルギー活用をはじめとした連携に関して協議を開始した。製鉄所の余剰熱を活用し、ナフサクラッカーで燃料に使用している留分やガスを石化製品の原料に転換することなどを狙う。将来的には海底トンネルを設置することも想定。新日鉄住金を巻き込んで石油精製・製鉄・石化でコンビナートの一体運営を目指す。

【大分コンビナート全体でエネルギーと原料の最適化を進めていく (下からJX、昭和電工、新日鉄住金)】

1719荷主研究者:2016/09/11(日) 11:50:11

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2016/08/26-26050.html
2016年08月26日 化学工業日報
日産化学 アンモニア事業の基盤強化 富山の原料転換完了

 日産化学工業はアンモニア事業の基盤強化を図った。富山工場(富山市)で進めてきたアンモニア原料転換工事が完了、8月から稼働を始めた。事業構造改革の一環となるもので、原料をナフサから価格変動幅が小さい天然ガスに切り替えた。これにより尿素、メラミン、硝酸など各種誘導品の収益安定化を図り、ディーゼル車の排ガス浄化システムに使われる高品位尿素水「アドブルー」など成長製品に位置づける誘導品展開の強化につなげる。

【天然ガスへの原料転換工事を終え8月から稼働開始したアンモニアプラント】

1722荷主研究者:2016/09/22(木) 12:22:43

http://www.sankeibiz.jp/business/news/160909/bsc1609090500006-n1.htm
2016.9.9 05:00 Fuji Sankei Business i.
旭化成 マテリアル事業、自動車向け拡大

 旭化成は7日、電池材料のセパレーター(絶縁材)や樹脂、繊維を含むマテリアル事業の説明会を開き、担当の小林友二副社長は「自動車関連ビジネスの拡大が重点課題」として、経営資源を集中投入していく考えを示した。4月に立ち上げた社内組織「オートモーティブ事業推進室」を核に、手薄だった欧州などで拡販を図る。

 同社は、マテリアル事業における自動車向けの売上高を、2025年度に現在の約3倍となる3000億円に増やす計画。小林副社長は今後の取り組みとして、(1)傘下の技術などを融合した新規製品の創出(2)顧客ニーズへの対応や提案力の強化(3)グローバルでの旭化成ブランド向上-を掲げた。

 一方、同事業の売上高に占める欧州の割合は15年度で約5%にとどまり、その後買収した米セパレーターメーカー、ポリポア社の売り上げを加算すると、さらに低くなる。このため、4月にドイツで設立した旭化成ヨーロッパが中心となり、鉄以外の素材活用に積極的な欧州自動車メーカーへの売り込みを強化。25年には、医療機器などのヘルスケア事業を合わせた欧州売上高を、現状の約7億ユーロ(約800億円)から3倍に増やす。

 旭化成のマテリアル事業は、15年度の売上高が約1兆円で全体の52%を占め、ヘルスケア、住宅とともに主要3事業を構成している。

1725荷主研究者:2016/09/29(木) 22:34:11

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00399916?isReadConfirmed=true
2016年9月15日 日刊工業新聞
三菱化学、日本化成を完全子会社に 三菱ケミ、経営資源を最適化

 三菱ケミカルホールディングス(HD)は14日、傘下の三菱化学がその子会社の日本化成を完全子会社化すると発表した。2017年1月1日付で、日本化成の株主に三菱ケミカルHDの株式を割り当てる「三角株式交換」を行う。三菱化学と日本化成の関係をより強固にし、両社の経営資源を最適化するのが狙い。日本化成は16年12月28日に上場を廃止する。

 日本化成の普通株式1株に三菱ケミカルHDの0・21株を割り当てる。現在、日本化成に対する三菱化学の出資比率は64・9%。60年に資本参加して以降、長きにわたり提携関係にあった。13年12月にさらなる連携強化を目的に三菱商事の持ち分を譲り受け、出資比率を引き上げていた。

 その後、三菱ケミカルHDが三菱化学・三菱樹脂・三菱レイヨンの3社統合を決定。その流れの中で三菱化学が日本化成との協業をさらに発展させるべく、15年8月に完全子会社化を提案していた。

(2016年9月15日 総合3)

1727とはずがたり:2016/09/30(金) 13:37:42
タンカー浸水、沈没の恐れ 劇物400トン積載 山口
http://news.goo.ne.jp/topstories/nation/610/4427239cd48c8c84cd313c476c846b24.html
(朝日新聞) 12:40

 30日午前10時45分ごろ、山口県周南市の徳山下松港でタンカー「洋和丸」が浸水したと徳山海上保安部に連絡があった。船は劇物のカセイソーダ約400トンを積み、沈没の恐れがあるという。乗組員4人はすでに船から避難し無事だった。

劇物カセイソーダ400トン積載、タンカー浸水
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20160930-567-OYT1T50091.html
12:44読売新聞

 30日午前10時45分頃、山口県周南市の徳山下松港で、タンカー「洋和丸」(199トン)が浸水したと海上保安庁に連絡があった。

 乗組員4人は全員無事。徳山海上保安部によると、強アルカリ性劇物のカセイソーダ(水酸化ナトリウム溶液)約400トンが積まれているという。

1728荷主研究者:2016/10/08(土) 23:03:21

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00400297?isReadConfirmed=true
2016年9月20日 日刊工業新聞
三菱ケミと旭化成、水島でエチレン増産 包装材など内需堅調

三菱ケミカルHDと旭化成は水島地区でエチレンプラントを共同運営する

 三菱ケミカルホールディングス(HD)と旭化成は2017年に共同運営する水島工場(岡山県倉敷市)でエチレンを増産する。一部設備の改造で、年産能力を現状の49万6000トンから1万トン上積みする。化学大手は近年、国内設備を集約・閉鎖した結果、基礎化学品の需給が均衡してエチレンプラントは足元でフル稼働が続く。包装材などの堅調な内需もあり、今後は各社が生産能力を再び引き上げる可能性もある。

 水島のエチレンプラントは三菱ケミカルHD傘下の三菱化学と旭化成が折半出資する三菱化学旭化成エチレン(東京都千代田区)が運営する。増産に伴う投資額は数億円の見込み。17年5―6月の定期修理に合わせて、増産工事を実施する。

 工場の精製設備などを一部改造して、原料のナフサ(粗製ガソリン)から分解・精製して出るエチレンの生産量を増やす。一方、ナフサの投入量は変えないため、同じ基礎化学品のプロピレンの生産量が減少する。

 石油化学品は一般的にナフサを分解して、エチレン3割、プロピレン2割など一定の比率で生産する。今回はエチレンの割合を高めるが、市況に応じて元に戻せるよう弾力的な生産体制を築く。

 エチレンは汎用樹脂の原料で、包装材や容器、家電製品などに広く使われる。11年頃から新興国で石化設備の新増設が相次いだため日本からの輸出が成り立たなくなり、各社は生産再編に動いた。しかし内需が想定ほど落ち込まず、石油化学工業協会によると8月までのエチレンプラントの平均稼働率は、損益分岐点の目安となる90%を33カ月連続で上回った。

 一方、中長期的には米国のシェールガス由来や中国の石炭由来の安価な化学製品がアジア市場へ供給されることが予想される。石化業界は需給バランス維持に向けた難しい判断を迫られそうだ。

(2016年9月20日 総合1)

1729荷主研究者:2016/10/08(土) 23:13:08

http://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/201609/0009518594.shtml
2016/9/24 07:00 神戸新聞NEXT
住友化学、宝塚に農業研究拠点統合

 兵庫県は23日、大手総合化学メーカーの住友化学(東京)が、大阪工場(大阪市)の農業部門の研究機能を宝塚市の研究所に統合し、同研究所の敷地内に新棟を建設する、と発表した。県が昨年度に設けた本社機能立地支援制度の適用7例目となり、法人税の軽減など優遇措置を行う。

 農薬や肥料、殺虫剤など農業部門の化学製品の研究拠点を宝塚市の「健康・農業関連事業研究所」に集約する。老朽化した研究棟を取り壊し、6階建て延べ床面積約9800平方メートルの新棟を建設する。今年12月に着工し、2018年6月の稼働を見込む。研究員など従業員は現在200人以上いるが、異動や新規雇用で30人程度増やす。

 新棟建設に伴う住友化学の設備投資額は60億円程度で、県は5%に当たる約3億円を補助し、法人税を5年間3分の1減免する。地元の新規正規雇用者や、異動に伴って住民票を県内に移す社員1人につき30万円を補助する。宝塚市も、固定資産税と都市計画税を5年間半分減免する。

 住友化学は「研究拠点の集約と設備強化で、農薬開発のスピードアップを図る」としている。(西井由比子)

1731とはずがたり:2016/10/16(日) 23:01:45
>>1723-1724

太陽電池で大ヤケド、"名門"トクヤマの失態
社運を懸けた事業で1200億円の減損損失
http://toyokeizai.net/articles/-/103260?utm_source=yahoo&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=related
渡辺 清治 :東洋経済 記者 2016年02月03日

緊急の業績修正会見で、マレーシア第2期プラントの減損処理について説明する、トクヤマの横田社長
1918年設立、山口県有数の名門老舗企業が窮地に陥っている。苛性ソーダ・塩ビ類やセメント、半導体用シリコンなどを手掛ける大手化学品メーカー、トクヤマのことである。

同社は1月29日に緊急の業績修正会見を開き、2015年度の決算が1030億円の最終赤字になる見通しだと発表した。100年近い歴史の中で最大の赤字額で、2期連続の最終赤字に沈む(前期は653億円の赤字)。財務体質の悪化は著しく、通期決算を発表する4月末までに、資本対策を含む再建策をまとめる。

マレーシアでの巨額投資が裏目

巨額赤字の震源地はマレーシアだ。太陽電池(太陽光発電パネル)用の多結晶シリコン生産に向け、現地に2つの大型プラントを建設したが、事業の前提が根底から崩れて投資回収が困難になった。

そのため、2014年度に第1期プラントを減損(減損処理額は748億円)したのに続き、2015年度はより大規模な第2期プラントについても、ほぼ資産計上額の全額に相当する1234億円の減損処理に追い込まれた。

売上高3000億円規模のトクヤマにとって、マレーシアでの新プラント立ち上げは社運を懸けた一大プロジェクトだった。投資決定したのは2009年。その工事が始まった2011年には、さらに巨大な第2期プラントの建設も発表。投資額は第1期分が800億円、第2期分は1300億円に上った。

トクヤマは半導体用の多結晶シリコンで世界3大メーカーの1社。ただ、半導体用のシリコンは需要自体が頭打ちとなっているうえ、苛性ソーダ、塩ビ、セメントといった、その他の既存事業も内需依存で先細りが避けられない。そうした中で、グローバルで成長可能な新事業として期待を寄せたのが、太陽電池用のシリコンだった。

太陽光発電の世界的な普及により、同用途のシリコン需要は拡大が続いている。太陽電池用は半導体用ほどの高い品質(純度の高さ)が要求されない分、技術参入障壁が低く、競合も多い。だが、電力代などのコストが安いマレーシアで大規模生産すればコスト競争にも勝ち残れると判断、巨額投資に踏み切った。

しかし、この大型投資が会社の屋台骨を揺るがす事態を招く。最大の誤算は、想定以上の市況下落に見舞われたことだ。

プラント建設を決めた当時、太陽電池用シリコンの需給が比較的タイトで、相場は1キログラム当たり60ドル前後だった。が、中国勢などの相次ぐ参入で供給量が急増。2011年後半から市況は急落し始め、第1期プラント完成直前の2012年後半には20ドルを割り込む水準にまで下落した。

この価格では完全な逆ザヤ(製造コストより販売価格が安い状態)で、作れば作るほど赤字が膨らんでしまう。そこでトクヤマは、第1期プラントで生産するシリコンを半導体用に変更。もともと、第1期分はグレードの高い半導体用も生産可能な最先端の析出装置を採用していたため、用途の変更は可能なはずだった。

ところが、海外メーカーから調達したこの析出装置に重大な欠陥があり、高純度の半導体用シリコンの生産ができずに時間だけが経過。結局、2013年2月に完成した第1期プラントはまったく売り上げが立たないまま、2014年度決算でほぼ全額を減損。同年度は600億円を超える最終赤字に転落し、プロジェクトを推進した当時の社長が引責辞任に追い込まれた。

第2期プラントも減損強いられる

トクヤママレーシアが運営する第2期プラント。2014年秋に営業運転を開始したが、市況下落で赤字操業が続いている
新体制で経営の建て直しを進める同社に重くのし掛かったのが、2014年に完成した第2期プラントの存在だった。

1732とはずがたり:2016/10/16(日) 23:02:01

こちらは太陽電池用シリコンの専用生産設備だが、市況の低迷で稼働当初から完全な逆ザヤ状態。コスト低減のためにさまざまな改善策を講じたが、現在の1キログラム当たり13ドル程度の市況では赤字操業の解消メドが立たない。結局、第2期プラントについても、2015年度決算でほぼ全額を減損処理せざるをえなくなった。

1月29日の会見で、横田浩社長は「価格下落が止まらず、計画との乖離が看過できない状況になった」と説明。そのうえで、「株主や投資家をはじめとするステークホルダーの皆様に、多大なご心配とご迷惑をおかけしたことをお詫びしたい」と謝罪した。

赤字の責任を取り、社長ら役員が報酬を今年6月まで3〜5割返上。経営再建に向けて、昨年7月に公表した中期経営計画を見直し、再建プランを早期に策定するという。

減損は帳簿上の資産価値を減じる会計処理で、今回の巨額赤字が資金繰りに直接影響するわけではない。とはいえ、2期連続の巨額赤字により、バランスシートは急激に悪化。2年前に約2300億円あった自己資本の大半が吹き飛び、今年3月末には600億円弱に、自己資本比率も2年前の約4割から1割台にまで下がる見込みだ。

横田社長は今後の経営再建について、「マレーシア以外の事業はきちんと利益を稼いでいる。こうした既存の事業で国内にある設備を最大限に活用して、会社全体の資産効率と収益力を高めていく」とコメント。急激に悪化した財務の再建も重要課題と位置づけ、追加的な資産売却や資本増強策も検討する。

償却負担ゼロでも操業赤字が続く

太陽電池用シリコンの需要は増えているが、アジア勢の参入などで供給過剰状態にある(写真はイメージ)
経営再建を進めるうえで大きな焦点となるのは、巨額損失を招いた太陽電池用シリコン事業の今後だ。今回、第2期プラントも資産計上額のほぼ全額を減損処理したため、今後の同事業は年間50億円規模の減価償却負担がなくなり、身軽にはなった。

それでも、同プラントにおける太陽電池用シリコンのキャッシュコスト(償却負担を除く生産コスト)は現在、1キログラム当たり20ドル弱。つまり、償却負担がゼロでも、現在の市況では依然として逆ザヤ状態の操業赤字が続く。

「今回の減損やプラントの改良、稼働率の引き上げによって、2017年度には1キログラム当たり12ドル程度までコストが下がり、単年度ベースで黒字化できると見ている」と横田社長は話す。が、計画どおりにいくか、なお不透明だ。

成長の牽引役になると期待してマレーシアでの太陽電池用シリコン事業に巨費を投じ、市況暴落で大きな傷を負ったトクヤマ。経営再建の行方は、巨額減損後の同事業の動向にかかっている。

名門トクヤマ、2000億円投資の悲しい結末
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161004-00138223-toyo-bus_all
東洋経済オンライン 10月4日(火)6時0分配信

名門トクヤマ、2000億円投資の悲しい結末
市況下落で赤字操業が続くマレーシアの太陽電池用シリコン工場。2000億円を超える巨額投資は失敗に終わった
 老舗の化学メーカー、トクヤマは9月下旬、マレーシア工場を韓国企業へ売却すると発表した。同工場は太陽電池(太陽光発電パネル)に使用される多結晶シリコンの生産拠点で、完成してからまだまもない。しかも、2000億円以上を投じて立ち上げたにもかかわらず、たったの100億円で手放すというのだ。一体、なぜなのか。

 トクヤマは100年近い歴史を有する山口県の名門企業で、半導体ウエハ用の多結晶シリコンや苛性ソーダ・塩ビ、セメントなど幅広い事業を手掛ける。中でも半導体用シリコンでは、世界3大メーカーの1社に名を連ねる存在だ。

 同社が将来の新たな柱にしようとしたのが、太陽光発電の世界的な普及で需要が伸びている太陽電池用のシリコンだった。電力代が安いマレーシアでの工場建設を2009年に決定。その工事が始まった2011年には、より大規模な第2工場の建設も決めた。

 投資額は第1、第2工場の合計でおよそ2100億円。連結売上高が3000億円規模の同社にとって、これだけの巨費を投じるマレーシア工場建設はまさに社運をかけた一大プロジェクトだった。第1工場は2013年に、第2工場も2014年に完成した。

1733とはずがたり:2016/10/16(日) 23:02:20
>>1371-1373
■価格は3分の1以下に急落

 しかし、この巨額投資が同社の屋台骨を揺るがす。投資決定から工場完成までの間に市況が暴落し、事業計画の前提が根底から狂ってしまったからだ。

 2009年当時、太陽電池用シリコンは需要の伸びに供給が追い付かず、1キログラム当たり60ドル以上の高値で取り引きされた。が、半導体ウエハ用と違って、太陽電池用のシリコンは純度などの品質要求がさほど厳しくないため技術的な参入障壁が低く、中国などアジア勢の相次ぐ参入で供給量が激増。大幅な供給過剰に転じて2011年後半から市況が急落し、2012年以降は20ドルを割り込む水準が続いている。

 こうした環境下で完成を迎えたマレーシア工場は投資回収のメドが立たず、トクヤマは2014年度に第1工場の設備の減損などで653億円の最終赤字を計上。翌2015年度には、第2工場も設備のほぼ全額について減損処理を余儀なくされ、過去最大の連結最終赤字(1005億円)を出した。

社長が明かした譲渡交渉の内実
 2度の巨額減損でマレーシア工場は償却負担がなくなったが、それでも現在の1キロ当たり十数ドルの市況下では、生産コストより販売価格が低い逆ザヤ状態だ。このため、今2016年度もマレーシア工場は数十億円規模の営業赤字が続く見込みで、依然として経営の大きな重荷となっている。

 一連のプロジェクトを推し進めた当時のトップは、すでに昨年春に引責辞任。後任として会社の再建を任された横田浩社長にとって、このマレーシア工場をどうするかが最大の懸案事項だった。

 「太陽電池用のシリコンは世界的に供給過剰構造で、さらに市況が悪化する可能性もある。経営のリスクを減らすためには、事業自体の売却が妥当と判断した」。東京本社で会見した横田社長は、売却に至った理由をこう説明した。社長に就任した直後の昨年半ばから売却に向けて動き、水面下で同業他社との交渉を重ねてきたという。

 工場の売却価格は約100億円(9800万ドル)。投じた金額を考えるとタダ同然の値段だが、それでも売れただけマシだ。なにしろ、太陽電池用シリコン業界は軒並み赤字。「複数の企業に事業譲渡を打診したが、こんな市況下ではどこも設備能力を増やすことに消極的で、交渉は非常に難しかった」(横田社長)。

 売却先に決まった韓国のOCI社は、太陽電池用シリコンの世界3位メーカー。地元韓国で大きな工場を操業し、低コストオペレーションに長けている。100億円程度で最新鋭の工場が手に入るなら、独自の効率化施策によって黒字化は可能と判断したようだ。

■財務体質は大きく毀損

 最大の懸案だったマレーシア工場の売却に踏み切ったトクヤマ。前期までに投資額のほぼ全額を減損の形で損失処理済みのため、売却に伴う追加損失は80億円程度にとどまる。株式市場は経営の大きな重荷が切り離されることを好感し、売却発表翌日の同社株価は16%も上昇した。

 ただし、社運を懸けたプロジェクトの失敗で負った傷跡は大きい。2014、2015年度と2年連続の巨額赤字によって、2013年度末に約2300億円あった自己資本は前2015年度末に500億円台へ減少、40%前後だった自己資本比率も13%にまで低下した。今年6月には企業再生ファンドから200億円の出資を受けて資本増強を図ったが、かつての優良な財務体質にはほど遠い。

 「今後は半導体用シリコンを始めとするコア事業に経営資源を集中しつつ、(ほとんどの品目を生産する)徳山製造所の効率化を進める。収益力を高めて、着実に財務の再建を進めていきたい」と横田社長は話す。マレーシアで負った大きな傷痕を修復すべく、トクヤマの地道な経営再建が続く。

渡辺 清治

1734荷主研究者:2016/10/22(土) 14:41:03

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2016/09/02-26144.html
2016年09月02日 化学工業日報
JX―東燃ゼネ統合 化学事業は川崎エチレン統廃合が焦点

 JXホールディングス(JXHD)と東燃ゼネラル石油が経営統合し、来年4月に「JXTGホールディングス」グループとして新発足、化学品事業は同ホールディングス傘下の新事業会社「JXTGエネルギー」で推進されることになった。当面の焦点は川崎地区の相互のエチレンセンターの統廃合だが、「やれることはまだある」(武藤潤東燃ゼネラル石油社長)と、まずは東燃ゼネラル石油の製油所と合わせた3工場の一体運営による競争力強化を優先させる構え。ただ2018年にも「エチレンの環境変化が進む」(杉森務JXエネルギー社長)とみられるなか残された時間的猶予は長くない。新会社の判断次第で、日本の石化産業の行方が左右される事態もありえそうだ。

1735荷主研究者:2016/10/22(土) 14:42:50

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2016/09/07-26241.html
2016年09月07日 化学工業日報
三菱化学 リチウムイオン2次電池(LiB)の電解液の原料を増強

 三菱化学はリチウムイオン2次電池(LiB)の電解液の原料を増強する。2017年5月をめどに鹿島事業所(茨城県神栖市)でエチレンカーボネート(EC)の生産能力を現状比25%増の年1万トンに増やす。LiBは自動車向けを中心に急速に需要が拡大する見通しにあり、韓国やシンガポールの協業先と連携して海外に新工場を設置する検討も始めた。鹿島に続き、早ければ18年に同5000トン規模の第2拠点を確保したい考え。

1736荷主研究者:2016/10/22(土) 14:43:24

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2016/09/16-26362.html
2016年09月16日 化学工業日報
オーシカ 名古屋のマルチ設備稼働 工業分野で新製品

 木材用接着剤で国内最大手のオーシカは、新規分野の開拓を加速する。名古屋工場(愛知県)に新設したマルチプラントがこのほど稼働を開始した。これにともない、車載用デバイスや家具など工業部品を対象に拡充してきた新製品の供給を本格化させる。金属同士の接合に適するウレタン樹脂系接着剤は今春から冷凍コンテナ製造用に供給を開始。また、ホットメルト接着剤は新たに車載用デバイスへ採用を広げ、今秋から供給開始する。新プラントを非住宅分野向け生産拠点として運用し、主力の木質建材用接着剤に続く新たな収益基盤の開拓を加速させる。

1737荷主研究者:2016/10/22(土) 14:43:40

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2016/09/26-26443.html
2016年09月26日 化学工業日報
旭化学合成 合成ゴム系ホットメルト接着剤を増産

 ホットメルト接着剤専業の旭化学合成(東京都板橋区、小林直樹社長)は、合成ゴム系ホットメルト接着剤を増産する。弾性に富む接着剤で、シール材としても使用可能。自動車や家電向けに国内外で採用を拡大させていることに対応し、向こう2年で生産能力を現状の2倍となる年間2000トンへ引き上げる。栃木工場(栃木県)で段階的に生産設備の合理化を図り、2020年までに同3000トン体制とする計画。増産による拡販分で売上高に10億円の上乗せを目指す。

1741荷主研究者:2016/10/29(土) 16:16:45

http://www.sankeibiz.jp/business/news/161021/bsc1610210500002-n1.htm
2016.10.21 05:00 Fuji Sankei Business i.
昭和電工、独SGLから黒鉛電極事業を156億円で買収

 昭和電工は20日、ドイツのSGLカーボンから、黒鉛電極事業を買収する、と発表した。買収額は約156億円。黒鉛電極は、鉄スクラップを溶かして鉄を作る、電炉と呼ぶ生産設備に使われる。中国の鉄鋼メーカーの過剰生産に押されて、電炉を使った鉄の生産が落ち込む中、各社とも需要低迷に苦しんでいるが、逆に事業拡大の好機と判断した。昭和電工は、2017年半ばにSGLから同事業を手がける子会社の全株式を取得し、完全子会社化する計画。費用は手元資金と借り入れでまかなう。

 SGLは、生産能力ベースで世界2位の黒鉛電極メーカー。直近の事業売上高は約403億円で、従業員数は約900人。一方、昭和電工は3位で、買収すれば米グラフテックを抜いて1位に浮上する見通し。同社では今後、機能統合などに取り組み、年間60億円のコスト削減効果を引き出したい考え。昭和電工の市川秀夫社長は同日の記者会見で、「黒鉛電極は電炉に不可欠な存在。中期的には(需要は)回復していく」と語った。

1743荷主研究者:2016/10/29(土) 16:17:59

http://toyokeizai.net/articles/-/141918
2016年10月26日 東洋経済
昭和電工、黒鉛電極で「逆張り買収」の勝算
全プレーヤーが赤字の事業をどう立て直す?

渡辺 清治:東洋経済 記者

 化学メーカー大手の昭和電工が、構造不況に直面する不振事業でM&Aに動いた。

 同社は10月20日、炭素・黒鉛製品メーカーの独SGLカーボン社から黒鉛電極事業を買収すると発表した。取得額は156億円。SGLカーボン傘下で黒鉛電極を手掛けるSGL GE社(昨年度売上高は430億円)の全株式を2017年半ばまでに取得する。

 昭和電工は石油化学や化学品、アルミ、ハードディスクなど幅広い事業を手掛け、黒鉛電極も主力事業の一つだ。黒鉛電極は鉄スクラップを溶解して鋼材を生産する電炉の生産設備で、大電流を流して炉内を加熱する電極棒として使用される。

大手から下位まで軒並み赤字

電炉の電極棒として使用される黒鉛電極(写真上部分)は鉄鋼不況で需要が冷え込んでいる

 電炉用の高グレード品で昭和シェルは世界3番手の一角。2位メーカーのSGL GE社買収により、世界シェアは3割前後にまで増え、米GTI社(グラフテック・インターナショナル)を抜いて最大手に躍り出る。

 もっとも、この黒鉛電極の産業は近年厳しい事業環境にあり、大手から下位まで軒並み赤字に陥っている。高炉を中心とする中国鉄鋼メーカーの過剰生産で、電炉の操業度が世界的に低下し、消耗品である黒鉛電極の需要も細っているからだ。需給の悪化により、足元の黒鉛電極の販売価格は5年前の半値程度にまで落ち込んでいる。

 こうした中、最大手の米GTIは業績不振で投資ファンドの傘下に入った。また、独SGLグループは昨年、利益が出なくなった黒鉛電極を非コア事業に格下げし、本体から分社化。事業の将来性に見切りをつけ、複数の企業と売却に向けた交渉を進めていた。

 SGLから事業を買い取る昭和電工にしても、黒鉛電極の赤字は経営の大きな重荷となっている。同製品を柱とする無機部門はかつて200億円規模の利益を稼ぐほどだったが、2013年に赤字転落して以降、前期まで3年連続で赤字を計上。今2016年12月期は出荷数量、販売価格とも一段と落ち込み、部門赤字が50億円超(前期赤字額は12億円)にまで膨らむ見通しだ。

 にもかかわらず、その赤字事業で買収に踏み切るのはなぜかーー。会見した市川秀夫社長によると、今回の買収は必ずしも規模拡大を目的としたものではなく、一番の狙いは「再編による徹底的なコスト削減」にある。

統合効果で2019年に黒字化目指す

今回の買収により、昭和電工は電炉向け黒鉛電極の世界最大手になる

 昭和電工が日本と米国、中国の3工場で黒鉛電極を生産しているのに対し、SGL GEは欧州や米国、豪州など5カ国で計6工場を操業している。昭和電工は再編後に生産体制見直しや管理部門の機能集約などで60億円以上のコスト削減が可能と試算しており、2019年での事業黒字化を目指すという。

 赤字事業での買収だけにリスクは否めないが、市川社長は「全社が赤字になっているような異常な状況は長く続かない。少なくとも、市況がこれ以上悪くなる事態は考えにくく、統合効果で黒字化は十分可能」と事業の建て直しに自信を見せた。

 不振が続く黒鉛電極事業での生き残りに向け、買収という逆張り戦略に打って出た昭和電工。果たして、その経営判断は吉と出るのかーー。逆張り戦略の成否に注目が集まる。

1744とはずがたり:2016/11/04(金) 09:47:49
武田が胃腸薬事業の買収交渉、1兆円規模…米紙
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20161102-OYT1T50109.html?from=yartcl_outbrain2
2016年11月02日 18時59分
 武田薬品工業がカナダの製薬大手バリアント・ファーマシューティカルズ・インターナショナルの胃腸薬事業を買収する方向で交渉をしていると、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが1日(現地時間)報じた。


 買収額は100億ドル(約1兆400億円)規模で、数週間以内に合意する可能性があるとしている。

 報道によると、武田が買収を検討しているのは、バリアントが2015年に買収した米サリックス・ファーマシューティカルズで、下痢止め剤などの胃腸薬事業に強みがある。武田は「消化器」を、「がん」や「中枢神経」と並ぶ重点領域に掲げていた。

 武田は2日、報道について、「常に複数の相手先との案件について交渉を行っている。現時点で開示すべき合意事案はない」とコメントした。

(ここまで325文字 / 残り74文字)
2016年11月02日 18時59分 Copyright c The Yomiuri Shimbun

1745とはずがたり:2016/11/09(水) 12:29:06

武田が胃腸薬事業の買収交渉、1兆円規模…米紙
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20161102-OYT1T50109.html?from=yartcl_outbrain1
2016年11月02日 18時59分

 武田薬品工業がカナダの製薬大手バリアント・ファーマシューティカルズ・インターナショナルの胃腸薬事業を買収する方向で交渉をしていると、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが1日(現地時間)報じた。

 買収額は100億ドル(約1兆400億円)規模で、数週間以内に合意する可能性があるとしている。

 報道によると、武田が買収を検討しているのは、バリアントが2015年に買収した米サリックス・ファーマシューティカルズで、下痢止め剤などの胃腸薬事業に強みがある。武田は「消化器」を、「がん」や「中枢神経」と並ぶ重点領域に掲げていた。

 武田は2日、報道について、「常に複数の相手先との案件について交渉を行っている。現時点で開示すべき合意事案はない」とコメントした。

(ここまで325文字 / 残り74文字)
2016年11月02日 18時59分

1746荷主研究者:2016/11/12(土) 18:41:15

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2016/10/13-26670.html
2016年10月13日 化学工業日報
三井化学 EOチェーン構造改革着手

 三井化学は酸化エチレン(EO)チェーンの構造改革に乗りだし、事業基盤を強化する。国内需要が低迷しているEO誘導品のエタノールアミンの製造を同業の日本触媒に委託する契約を結んだ。三井は販売を継続する一方で大阪工場(大阪府高石市)の自社プラントを停止し、製造から手を引く。固定費を引き下げて採算改善を図る。EO誘導品は界面活性剤や電池の原料といった、より採算に優れる分野を充実させていく。

1747荷主研究者:2016/11/12(土) 18:42:40

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2016/10/13-26681.html
2016年10月13日 化学工業日報
丸善石油化学 コスモ松山と提携強化 新規製品の創出も

 丸善石油化学は、溶剤事業でコスモ松山(愛媛県松山市)との連携を一段と強化する。コスモ松山にメチルシクロヘキサン(MCH)などの生産を委託し、販売を丸善石化が手掛けてきたが、両社が人材交流を行い製販一体運営で情報を共有。製造コストと市況などを分析して一部の製品で輸出に乗り出すなど、新たな動きが出てきた。新規製品の創出の検討も始めている。石油製品の需要が減少するなか、溶剤事業を拡大しグループ全体の収益力を高めていく。

1748荷主研究者:2016/11/12(土) 18:45:24

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2016/10/17-26631.html
2016年10月17日 化学工業日報
【戦後70年 激動の化学】 リーダーの証言 / ダイセル 小川大介相談役 《上》

 安定性と将来性を併せ持つ化学企業として、各方面から高い評価を集めているダイセル。その基盤は、就任初年度の1999年度から9期連続で増益を達成した小川大介社長(現相談役)の時代に築かれた。小川氏が実践したのは、ユニークで高い技術力を持つ事業への選択と集中だ。「他社と同じことをやっていては収益は上がらない」。

 現在のダイセルの事業をみると、自動車エアバッグ用インフレータ(ガス発生装置)、タバコ用フィルター原料(アセテート・トウ)、液晶保護フィルム用原料の酢酸セルロース(TAC)、光学異性体分離(キラル)事業など、屋台骨を支える主力製品に世界シェアトップクラスの製品がずらりと並ぶ。どれも小川氏が社長時代に思い切って経営資源を投入した事業だ。

 大型投資やM&A(合併・買収)といった重要案件の決断では、即断即決を旨とした。「考えを巡らせるばかりで決断しないのが一番まずい。できるだけ時間をかけないで判断してきた」。一体、何が判断基準だったのか。小川氏は、「経営者に大切なのは感性、感覚であり、僕は感覚的に判断してきた」と応じてから「ツキもあった。でもツイているように見える人は、実は陰でいろいろ勉強している。だからツイている人の感性は当たるんですよ」と付け加えた。小川氏のその感性は、社長就任の前からダイセルに大きな影響を及ぼし始めていた。

PS事業の蹉跌

 「昔のよしみで酒でも飲もう」。97年、前年の取締役経営企画部長から1年で常務に昇格した小川氏に、電気化学工業(現デンカ)の松上孝専務から連絡があった。「松上さんとは有機化学品の酢酸営業担当時代に交流があった」。会うと、話はダイセルが93年に新規参入したばかりのポリスチレン(PS)事業に及んだ。電気化学はPS業界の雄で、シンガポールにも工場を持っている。国内だけの生産能力でみても、年産5万トン強にすぎないダイセルの4倍以上だった。「ウチでもPS事業はガタガタなのに、君のところは大丈夫なのか」。

 松上氏の指摘どおりだった。「新規参入で規模も小さく、製造プロセスにも優位性はなかった。当社のPS事業の存続が難しいことは、社内の人間も理解していた」。

 ダイセルは1919年(大正8年)、国内の大手セルロイドメーカー8社が事業統合し、大日本セルロイドとして創業した。食器、眼鏡フレーム、文具、玩具、写真フィルムなどに大量に消費されていたセルロイドは、人類が初めて実用化した熱可塑性樹脂だ。その流れを汲む合成樹脂事業では、82年の堺工場の事故により重合プロセスを手放しており、事業付加価値の向上を狙って、PS重合からの垂直事業展開を図ったものだった。

 しかし、バブルが崩壊して失われた20年が始まる90年代は、化学業界にとっても苦難の時代だった。とくに汎用樹脂は、韓国、台湾など周辺国での事業化が相次いだことや、折からの円高もあり国際競争が激化した。結果として国内では業界再編の嵐が吹き荒れた。

東洋スチレン

 松上氏は小川氏にPS事業の統合を提案した。「その提案を児島社長に上げ、統合を進めようということになった」。98年度にはスチレン事業で40億円を超える損失を出す中、電気化学との協議を進め、99年、新日鉄化学(現新日鉄住金化学)も加えた3社でPS事業を統合し東洋スチレンを設立した。

 「松上さんは本体の電気化学から離れ、『俺は東洋スチレンの人間だ』という考えで事業統合を進められたので、われわれも乗りやすかった。ただ、資産の簿価を落として事業移管するなど、当社も相当出血した」。

 ダイセルがPS事業に費やした資金は総額500億円を超えていた。しかし、小川氏はこの決断が後にダイセルが進める事業の選択と集中に大きく寄与したと指摘する。「スチレン事業から手を抜けなかったら、他の戦略事業を伸ばすことは難しかった」。

1749荷主研究者:2016/11/12(土) 18:46:10
>>1748-1749 続き

ダイセル式生産革新

 小川氏が経営企画担当として手掛けた仕事に次世代化学工場構築プロジェクト(後の生産革新プロジェクト)がある。ダイセル式生産革新は今や、21世紀型のモノづくりイノベーションとしてその名を轟かせている。しかし、用役、原料、製品などのパイプラインが複雑に絡み合う化学工場で、生産性を革命的に改善することは想像をはるかに超える大仕事だった。若手の技術者が中心となり、主力の網干工場で実施するそのプロジェクトは、「社内に摩擦を引き起こした」が、これを支持し若手を支援したのが経営企画時代の小川氏だった。

 「最終的に決断した児島社長は立派だったが、役員の間でも意見が分かれていた。結構な投資も必要だった。それでもプロジェクトを発案し推進した小河義美さん(現取締役常務執行役員)など若手は、このプロジェクトに相当な覚悟を持っていた」。人生を賭けて会社を改革したいと訴える社員の覚悟を、小川氏の感性は見逃さなかった。「彼らの目の光を見たら、わかるじゃないですか。逆にこれができなかったら、優秀な人材が会社を辞めてしまうという危機感を持った」。

 「まずは、簡単で泥くさいことから始めた」というそのプロジェクトは、後にグローバル競争を打ち勝つ強靭な生産現場をダイセルにもたらしたばかりか、社内の意識変革に大きな力を発揮したという。「初めはみな、お手並み拝見とばかりに冷ややかに見ていた。しかし、実際に生産革新を進めるとトラブルが減ってくる。現場の負荷が減り安全性も高まる。それを見て、われわれもやるか、応援しようかという人達が少しずつ増えていった。当社の意識改革を促す大きな契機となった」。

負の遺産

 経営企画担当常務としてのメインの仕事は、2000年度からスタートする10年間の長期経営計画作りだった。小川氏は、ダイセルの将来に危機感を持つ30代、40代の若手を長期計画作りに参画させ、合宿を重ねながらダイセルの未来の姿を描いていった。PS事業は再編に漕ぎ着けたとはいえ、ダイセルはそれ以外にも「負の遺産に苦しんでいた」。食品添加物事業では、米国向け輸出で内外の大手メーカーが関連するカルテルの嫌疑がかけられた。ライフサイエンス事業では、「大きく期待していた製薬会社の大型新薬向けの原体事業がとん挫した。上市までされたのに副作用問題で、それまでの投資がフイになった」。

 こうしたさなかに児島社長に呼び出された。後任社長を託されたのだ。取締役に昇格してからまだ3年。55歳だった。


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