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Il record dell’incubo〜悪夢の記憶〜
73
:
霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2011/12/10(土) 14:38:44 HOST:i121-115-42-103.s04.a001.ap.plala.or.jp
深く息を吐き、呆れたようにしながら優希は銃の引き金を引く。まさか当たるわけがないだろうと思いながら、刹の反撃に備える。冷たい刃が首に当てられた。不思議とそんな状態になってまで優希は冷静だった。刹が短く息を吐く音が聞こえて、咄嗟にしゃがむ。ぎりぎりで交わすことが出来た刀は、髪をかすめてパラパラと髪が舞う。避けられたことにか、それともわざと遅い動きで刀を振るったのに、ぎりぎりで避けたことに対してか、刹は不愉快そうに顔を歪める。
優希はしゃがんだ体勢のまま刹の体勢を崩そうと払いを入れたが、音もなく避けられてしまう。静かに刹が刀を鞘へと戻し優希に背中を向ける。どういうつもりだろうか、そう考えて首をかしげる優希をよそに、刹はさっさと歩き出した。刹が向かう方向にあるのは生徒会室程度で、あとは下の階に下りるための階段があるぐらいである。そうなると紅零と合流するつもりかと優希はため息をついて、刹を追う。
「っち……追ってくんなっての」
小さな声で刹呟いたかと思えば、いくつもの刃が宙を踊った。キラキラと光を反射しながら飛び交う。あまりにも突然すぎて優希は刃の中へと突っ込んでいった。刃が肌を裂く感覚と飛び交う刃の風斬り音に顔をしかめながらも、足を止めようとはしなかった。追いつかなくてはいけないという妙な使命感が優希を支配していく。何とかして刹と紅零が合流するのを阻止しなければ、何か嫌なことが起きてしまうような、そんな気がして、優希は必死に刹を追う。
そんな優希を見て刹は呆れたような表情を見せて、前方に見えてきた扉を確認する。流石にここまで連れてきてしまったらどうしようもないと判断したのだろう。優希に向けて使っていた能力を全て解除して、一刻も早く扉の奥にたどり着くことを優先した。そんな刹をみて優希も走るスピードを上げる。差は縮まらないがどうせ一本道見失うことはない。それこそ瞬間移動でも使われない限りは。
「待てっての!!」
優希の手から白い光線が放たれる。一か八か刹を怯ませることができれば、と放った自らの力を応用して作った不健康なほどに白い光。その光は音もなく真っ直ぐ飛び、刹の背中へと迫る。刹が気づいた頃には、光は既に刹を貫く寸前で……。咄嗟に体を捻らせた刹の横腹を容赦なく抉った。ボタボタと滴り落ちる大粒の血の雫と刹があげた短い悲鳴に優希は思わず目を見開く。楽に避けられるだろうと思っていた、防がれると思っていた。当たってもかする程度だと思った。だから今目の前で起こっている状況を理解できない。……いや、理解は出来るが、それを認めたくない。
大きく揺れた刹の身体は、壁にぶつかってそのまま崩れるかのように倒れこむ。荒い呼吸の中に混じった呻き声は耳を塞いでも聞こえてきて、優希は悲鳴を上げる。今は敵でも、仲の良い友人だった……そんなつながりが優希を戸惑わせる。敵なのだからと放っておくべきなのか、それとも友人だからと助けるべきか。答えは出ているはずなのに優希は動かない。動けない。助けたいのにこいつが死ねば被害が減るかもしれないとそう考えてしまって……。その間にもどんどん刹から紅は流れ出て……。
「あら……遅いと思ったら。刹をそんな風にしたのは貴方?」
扉を開いて紅零が出てきた。ゆっくりと振り返る優希に柔らかな微笑を向けて。優希が警戒するような、それでも刹を気に掛けるような動作をするのを見れば紅零は嗤う。お前がやったんじゃないかとでも言うかのように、銃を構え冷たく嗤う。唾を飲み込む優希の手は僅かに震えていて、かすれた声で能力の発動を宣言する。刹の傷を塞ぐために現実を歪め、別の現実と繋ぎ合わせる自らの能力。能力が完全に発動されるよりも早く、紅零が引き金を引いた。軽い乾いた音が響き、飛び出した鉛弾は容赦なく優希を貫く。
「ねえ、さま……?」
「ごめんね。役立たずは要らないのよ?」
銃口を突きつけられた刹は虚ろな目で紅零を見上げて、涙を零した。そしてゆっくりとした口調で「ね、さまの役に、立て、なかった……。ごめ、なさい」なんて言って、笑う。弱弱しくて今にも壊れてしまいそうなそんな儚い笑み。それを見て紅零は静かに微笑みその頭を撫でる。今までは十分役にたったとでも言うかのように優しく、静かに……。静かな時間を破ったのは刹の唸り声。僅かに顔をしかめて紅零は引き金を引く。
「さようなら。……私の可愛い片割れ……」
74
:
霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2011/12/31(土) 20:52:38 HOST:i118-21-88-174.s04.a001.ap.plala.or.jp
飛び散る赤と、ぐったりと横になる自らの片割れをぼんやりと眺めた後、紅零は静かに歩き出す。頬を透明な雫が伝い、落ちていく。何が悲しいのか、何が辛いのか、紅零には理解できない。いや、理解したくない。雫を拭い、歩くスピードを速める。早くこの場から離れたい。そんな考えが頭を支配していく。そんな考えをかき消すために、まず月華と合流して戦況を確認して、その後は残っている生徒会メンバーを集めて……。そこまで考えて紅零は深く息を吐く。
「流石に身内を殺すのには罪悪感を感じるのかしら?」
そんなことを呟いて一人、月華が待っているであろう場所へと急いだ。
*
屋上。春の暖かな光の中に湊と蓮はいた。湊はぐったりと横になり、蓮はフェンスに座ってぼんやりと空を眺めていた。罵声の響く校内とは違って穏やかな様子。時々、微かな銃声や爆発音が聞こえるが、そんな音は似合わない光景。ぼんやりと空を眺めながら「あんまりドンパチやってると校舎崩れるんじゃねぇかなぁ」なんて気楽に呟く。ふと湊に目を向けてそろそろ目を覚ますだろうか? なんて考えた。
ピクリと湊の手が動く。完全に力が抜けていた身体が痙攣したかのように震えて、もぞもぞと動いた。それを見て蓮の口元が弧を描いた。ゆっくりと確実に湊が身体を起こしす。しばらくの間あたりを確認するようにキョロキョロと周りを見回していたが、フェンスに悠々と座っている蓮を見た瞬間に、勢いよく立ち上がった。鋭く蓮を睨みつけて、ポケットに手を滑り込ませ、植物の種子を握る。
「ずいぶん遅いお目覚めだな。優希、死んだぞ。後は羽音とか言うやつと風雅って言うやつもそろそろ、だ。相変わらず月華は化け物だな」
声を殺して蓮は笑う。面白いことになったと言うわけではなく、投げやりな笑み。声を失う湊はポケットから手を出して、蓮へと蔓を伸ばしていく。深くため息をついた後小さな声で「サラマンダー、焼き払え」と呟く。瞬間辺りが炎に包まれて蔓が焼け落ちた。湊自身は種子から手を放し、咄嗟に炎の届いていない位置へと避けどうにか無傷。それを確認した蓮はつまらなそうに舌打ちをした。
隠し持っていた拳銃を取り出して蓮へと向ける。無駄だろうと思う半面、召還を行うのが間に合わなければ、もしかして……なんていう風に考える自分もいて、安全装置を外す。それでも蓮は焦りもせずに、黙って湊を眺めていた。撃てるものなら撃てばいいとでも言うように足を組んで悠々と。鋭く蓮を睨みつけながらギリッと歯軋りをし、湊は引き金に指をかける。沈黙の後に乾いた音が響いた。
「無駄だっての。この学園じゃそんなもの玩具だろ?」
「なぜ妹を殺した? 目的は?」
湊の問いを聞きながら、銃弾を防ぎ、蓮は首をかしげる。しばらく考えるような動作をした後なんでもないことのように「月華の指示さ。宣戦布告をして来いってな」と答えた。湊は凄い速さで蓮の座っているフェンスを蹴る。僅かに目を見開くも、バランスを崩すわけでもない。自分のことを睨みつけている湊を嘲笑ったかと思えば、静かにフェンスから下り、湊の後ろに立つ。
「まぁ、俺はお前と戦うつもりはねぇし。ゲストに登場してもらうか?」
―――――
スランプ到来orz
75
:
霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2012/01/04(水) 00:52:12 HOST:i114-183-46-33.s04.a001.ap.plala.or.jp
蓮の言葉と同時に銀の光が湊の周りを漂った。ゆらゆらと不自然に揺らぐ光はゆっくりと人間のシルエットを作り上げていく。そして一際まぶしい光を放ったかと思えば、光は完全に刹へと姿を変える。刀の柄に手をかけて片膝をついた状態で、瞼はしっかりと閉じられて……。湊が驚いたように目を見開くのをよそに刹は動かない。変わりに、とでも言うように蓮が笑う。その笑みに、何の反応も示さずに片膝をついたまま瞼を閉ざす刹の姿から湊は目を逸らせずにいた。美しいと思ったわけじゃない。……狂気だ。湊はそう呟いて、身震いする。言いようのない不安と、恐怖。
どうするのが正解か、どんなことをしたらいけないのか、上手くこの場を切り抜けるには? そんな考えが雪崩のように押し寄せては消えていく。唾を飲み込み、蓮と刹がどんな行動に出るのかを窺う。ゆっくりと刹が目を開いて、辺りを見回すのを見て思わず身構えてしまって、湊は深くため息をつく。大丈夫だと言い聞かせてまっすぐ刹を見つめる。目を離すとすぐ切りかかられてしまうような、そんな気がして……。
「ふぅん……契約は成立ってことでいいのかな? 蓮」
しばらく自分の手を見つめていた刹がフッと蓮に顔を向けて問う。わざとらしく考えるようなしぐさを見せた後に、蓮は小さく頷く。唖然とする湊に向かって「死霊召還。普通の召還術師は絶対に手を出さない系統の召還さ。それこそ頭がイカレた愉快な奴がやることだ。まぁ、召還物が生きている間に契約を交わす必要があるんだけどな」なんて言って、再びフェンスに腰掛ける。僅かに顔を顰めた湊に刹がいつの間にか抜き放った刀の切っ先を向ける。
その状態でしばらく硬直。何かを請うように蓮を見つめていると答えるように「好きにしろ。こっちに被害が出ないようにしろよ」と蓮がいう。その言葉を聞いた瞬間、刹の唇は弧を描き一気に刀を引いて構える。その瞳は鋭く湊を捉えて動かない。慌てて刹の動きを封じようと植物の蔓を伸ばす湊。それに絡めとられて、身動きを取れなくなっても刹は焦るどころか楽しそうに笑みを浮かべるだけだった。
「ねぇ、湊? 覚えてる? あの日以前にお前がしたことを」
甘い声。それとは酷くかけ離れた刹の冷たい表情に湊は息を飲んだ。刹を捉えるその瞳が不自然に揺らぐ。それを見て刹は満足そうに笑って「覚えてるみたいだね。じゃあ今すぐ償え」と吐き捨てる。目だけが決して笑っていない笑顔と、驚くほど冷たく、低い声。その姿が、声が、全てが不気味で……。
刹那、炎が舞った。炎の赤は鮮やかに揺れて蔓を燃やしていく。咄嗟に蔓から離れた湊は、フェンスに寄りかかるようにして、バランスをとる。炎の中心に立つ刹を見て声を上げる。必死に「あの頃の僕がしたことは、確かに軽率でした。……で、でもあの頃の僕は無知で……」と叫ぶかのように……。そんな湊を炎の中心から刹は冷たく、ただただ冷たく眺める。
「無知は免罪符にはならない。僕たちは、お姉様はお前のことを信用していた。……でもお前は裏切った。なんでもないような顔で輪の中に加わるお前を何度引き裂いて、ばらばらにしてやりたいと思ったか……」
冷たい声。ずるずると力なく座り込む湊に刹はゆっくりと近づく。一歩一歩を確かめるように、しっかりと湊に向かって歩く。カタカタと小刻みに震える湊を見下ろして刹は首をかしげた。意味が分からないというように。静かに振り上げた自らの刀をぼんやりと眺めた後、ため息をつき、刀を鞘へと収めて笑う。そして先ほどの冷たい声が信じられないくらいに明るい、無邪気な声で「昔話をしましょうか?」と言った。
______________________________
書けば書くほど読み難さが進化していく。
読んでいる人がいるのか不安になってきたけど、僕は書き続けます((
76
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◆REN/KP3zUk
:2012/01/04(水) 18:10:43 HOST:i114-183-46-33.s04.a001.ap.plala.or.jp
今にもなきそうな顔で刹を見上げる湊と、楽しそうに笑みを浮かべる刹。その二人をぼんやりと眺める蓮は、落ち着かないようで足を組んだり、伸ばしたりを繰り返す。そんな蓮を咎めるように刹は一瞬だけ顔を蓮に向ける。僅かに肩をすくめた後、脱いでいたフードを深くかぶり、蓮は立ち上がった。そしてしばらく湊を見つめた後、くるりと背を向けて、屋上から飛び降りた。直前に「刹、リミットは三十分だ。無駄話で時間を潰さないようにな。湊は、もし殺されずに済んだら、俺の教室に来い。ヒントをやるよ」なんていう言葉を残して。
わずかに面食らったような表情をしていた刹も、やがて聞こえてきた鳥が羽ばたくような音を聞けば、ため息をついて視線を湊へと戻した。あまり時間は無駄に出来ない、そう考えて刹は静かに息を吸い込んだ。さっさと昔話を終えて償いを……。自然と刀の柄を握る手に力がこもる。死んでいても生きている時とほど変わらないものじゃないかと刹は笑う。
「昔、聖鈴学園は闇と光という区切りではなく一般能力選抜科、特殊能力選抜科と言う区切りで分けられていました。その少年は一般能力選抜に属していながら、嫌われ者だった特殊能力選抜の六人と仲が良く、頻繁に遊んだりしていました。まぁ少年も一般能力選抜の中ではトップでしたしね。……正式名称は長いから次からは略称である一般科と特殊科って言う呼び名を使いますよ? その少年は六人の前ではいい顔をしておきながら一般科の友人の前では特殊科を、特にその中の六人を馬鹿にするような言い方をしていました。絶対に広めないと言う言葉を信じて六人が教えた、彼らの能力の粗を当時、特殊科に攻撃的な行為を仕掛けていた過激派の一般科の生徒に広めた……まぁ信じたほうも信じたほうでしょうか?」
一気にまくし立てるように言う刹と、耳を塞いで謝罪の言葉を繰り返す湊。それを見て刹は嘲笑を浮べて、湊の腹を蹴る。力なく倒れこんで咳き込む湊の足を踏みつけた。麗らかな春の日差しが幻に見えるような、そんな光景。ガタガタと身体を震わせて、必死に許しを請う湊を始めは嘲笑を浮べながら見ていた刹の表情はどんどんと冷たくなって……。
「……そしてあの日、事件が起こった。特殊科第一寮の生徒の惨殺……。覚えてるでしょう? 蓮が大暴走したあの事件……って、固有名詞出しちゃったよ。まぁいいか。あんた、桜梨さんが死んで悲しむ蓮を慰めておきながら一般科ではなんて言っていたんですっけ? “人の心を持たない化け物が何泣いてんの? 化け物は惨殺されて当然なのに”でしたっけ? まぁ桜梨さんが死んだのは蓮の暴走のせいだからその責任は問いませんが。事件を起こしたのは貴方が能力の粗を広めた過激派の連中でしたね。だから生き残った過激派の連中に仕返ししようと言ったとき、貴方は勝てないからやめろと言ったのでしょうか? お姉様は事実を知らないから貴方のことを仕返しを諦めた愚者、としか言いませんけど……。ちなみにこの情報は蓮の精霊さんが拾ってきた事実です。と言うか事実じゃなきゃそんな反応しないでしょ?」
クスリと刹が笑う。スッと湊から離れてくるりと回れば「信じてたのに。バラさないって、克服を手伝ってくれるって言ったのを信じてたから沢山、沢山能力の粗とか教えたのに。しかも貴方も特殊科に来るべき能力を持っていたんですもんね。嫌になっちゃいます」なんて言い放つ。やっと身体を起こした湊は俯いて、涙を零す。フェンスに掴まってゆっくりと立ち上がりながら湊は言葉を紡ぎ始めた。
______________________________
プロットが失踪してズタボロorz
そろそろ終焉です
77
:
霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2012/01/04(水) 19:19:10 HOST:i114-183-46-33.s04.a001.ap.plala.or.jp
「確かに僕は酷いことをしました。あの事件だって僕が原因ですしね。でも、関係ない生徒まで巻き込む必要なんてないじゃないですか。狙うなら僕だけにすればいいのに……ボクにつくという理由だけで他人に攻撃するな」
刹は答えなかった。無言で刀を抜いて、時計を確認した。残り二十五分、ずいぶん時間を無駄にしてしまったな、とため息をつきながら刹は刀を構える。しばらくの沈黙。風の微かな音だけが響いていた。沈黙を破ったのはやはり刹であった。短い吐息と共に、湊の懐へと一気に踏み込む。性格に湊を狙って振るわれた刀が、湊を切り裂くと同時にその姿は光に溶けて聞けていく。忌まわしそうに「視覚掌握か。あくまで償うつもりはないようだ」と呟いた。
静かに今までいた位置とは真逆の方向に現れた湊は笑う。涙を零しながら右目に手を翳して「僕は生きることで償うつもりです。死ぬなんて逃げでしかないでしょう? まぁ殺されるのは別にいいですけど」なんて言って。青い瞳は徐々に黒く染まって……。それを見た刹は思わず息を飲む。面倒な奴、小さな声で呟いて刀を振るう。それと同時に無数の刃が現れて湊へと飛ぶ。
湊は交わさなかった。刃が当たったところからはドロドロと紅が流れ出ていく。それでも焦るようなそぶりは見せずに、湊は涙を拭う。
「知ってます? 僕の能力の中には事実を正反対にひっくり返すことが出来るものがあるんです。あるをないに、闇を光に、悪意を善意にって具合にね。まぁ結構、血を外に出さないといけないので滅多に使いません。面倒ですしねそんな条件。血出しすぎて死ぬのは間抜けですし」
湊は笑う。悲しげに、笑って静かに刹を指差した。低く舌打ちをした後、ならば必要な量の血が出る前に殺せばいいなんて結論に行き着いて、刹は一気に湊の懐に踏み込んで刀を振るう。それを見て小さく頷いた後、湊はふらつきながら声を上げる。叫ぶように「小鳥遊刹残された時間があるという事実を、ないという事実に」と。瞬間に刹の姿が霧散して消える。深くため息をついて湊は座り込んだ。一瞬で自らの傷を塞ぐ。
「はぁ……皆はどうなったのかな」
よたよたと校内に進む湊が見たのは廊下に転がる死屍累々。原形をとどめているもの、留めていないものがごろごろと転がっている。湊は強烈な吐き気に襲われて口元を押さえて、半歩後ろに下がった。原型を留めているものたちの制服を眺めると光のものだけでなく、闇のものも多くある。遠くの方に呆然と立ちすくむ人影を見つけて湊は走り出す。制服の色は白……光のものだ。放っておいたら危ない、そう考えて湊は走るスピードを上げる。
近づくにつれてはっきりと姿が見えてくる。腰の辺りまで伸ばした銀の髪、近くに放置された車椅子……。立ちすくんでいたのは楓だった。湊がその肩を叩くと大げさに肩を揺らして、ペタンと座り込んだ。その足元に転がるのは黒い長い髪をした少女とオレンジがかった茶髪の少年……楓が言うのよりも早く湊は二人の名前を呟く。かすれた声で「羽音、さんと風雅、さん?」と。小さく頷く楓の包帯はところどころ赤く変色していて……。制服のあちこちに赤、赤、赤……。
_______________________
終わりも近いので一気に更新
次も多分すぐに出せると思います
78
:
霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2012/01/04(水) 20:20:29 HOST:i114-183-46-33.s04.a001.ap.plala.or.jp
「ふ、二人とも私を庇って……。魔法を使おうにも相手を捕捉出来なくて……それで」
大きく身体を揺らしながら楓は言う。湊はギリッと歯軋りをしながらも、楓の背中をさすって落ち着かせようとした。深く息を吸い込んでは吐き出す。それだけの簡単な動作が酷く億劫そうに見えて、湊は心配そうに楓を見つめた。何度も息を深く吸ったり吐いたりを繰り返すうちに楓も落ち着いたようで、軽く湊を押して、口元に笑みを浮かべる。まだ引きつったぎこちない笑み。
「一体誰が?」
「私にもさっぱり……。姿形を全く捉えることが出来ない。音もしなかった……それで天使の力を借りた羽音さんと悪魔の力を借りた風雅さんが私を突き飛ばして、気づいたら……」
楓がきつく手を握り締める。小刻みに震えるのは、恐怖か怒りか……そんな事、楓も分からなかった。楓を車椅子に座らせて、湊は深く、深くため息をついた。何度目かも分からないため息。とにかく楓を安全なところに避難させて、蓮の元に行こうと考えて、車椅子を押して廊下を走り始める。辺りに転がるものを避けるのは大変だったが、どうにか引っ掛らずに済む。安全な場所、そう考えて走るも、結局思いついたのは一緒に連れて行くことだけ。今の学園じゃ一人にした時点でどの場所も危険にしか思えなかったのだ。
高等部三年A組教室前。そこで湊は楓の様子を確認する。元々体の弱い楓だ、殺気の出来事のせいで疲れてダメージを受けていないかが気になるのだ。動きが止まった車椅子に気づいたのか楓は不思議そうに首をかしげて「どうかしたんですか? もしかして敵が?」と問いかける。そんな楓の様子にクスリと笑みを浮かべて「いえ。体調の方は平気かなぁ、と思いまして」と答えた。
瞬間、鋭い光が湊と楓の周りをグルグルと回る。何かの攻撃だろうか、そう考えて咄嗟に楓を覆うように抱きかかえて、きつく目を閉じる。ポケットから種子を落として光と自分達の間に蔓でドームを作り上げた。出来るだけ強度を高くして、その中できつく楓を抱きしめる。楓の方は驚いたように短く声を上げた後は、驚いて身体が動かないのか、それとも何かを悟ったのか動かずにジッと、湊が拘束を解くのを待っている様だ。
「……もう大丈夫でしょうか?」
僅かに身体を越して、耳を澄ませながら湊は呟く。楓は返事をしない。少し可笑しいなと思いながらも、何の音もしないことを確認して蔓を枯らす。辺りを見回しても特に変化はないようだ。光もすっかり消えて何もなかったような光景が広がっている。ふいにゴトン、と何かが落ちる音がした。恐る恐る音のした方を見ると抱きかかえた楓の姿。ボタボタと“それ”があったであろう位置からは紅が噴水を髣髴とさせるように吹き出されていた。
湊は地面におっこちたそれを静かに拾い上げる。……頭だ。紅で化粧をした、今まで抱きしめていた人物の頭。防御に入るのが遅かったんだ、そんな言葉が湊の頭に浮かんだ。その場に崩れ落ちて声を上げる。守れなかった、ごめんなさいと何度も繰り返して、縮こまって身体を震わせる。もっと早く防御に入っていれば、もっとあたりを警戒していれば……こうしていれば、ああしていれば、そんな考えがいくつも、いくつも浮かんできて湊を責め立てる。
人のいない廊下には湊の泣き叫ぶ声だけが響いた。
NEXT Story〜番外 復讐と狂気 銀の欠片〜
_____________________________
なんか六章がとてつもなく長く感じました
戦闘描写が出来ません。わかりきっていたことです
目次
序章 闇(ブイオ)と光(ルーチェ)の人々
>>2-5
第一章 光(ルーチェ)の人々
>>6-15
第二章 闇(ブイオ)の人々
>>16-21
>>23
第三章 聖鈴学園
>>30-35
>>39-40
>>42
番外 悪夢の日 紺の欠片
>>44-45
第四章 能力定義と禁忌
>>46-47
>>49-55
第五章 体育祭と言う名の小規模戦争
>>57-60
>>63-65
第六章 終焉への歯車は狂い
>>68-71
>>73-77
79
:
月峰 夜凪
◆XkPVI3useA
:2012/01/05(木) 16:04:00 HOST:softbank221085012009.bbtec.net
お久しぶりです、そしてコメント失礼しますノ
体育祭の明るい雰囲気から一気に逆転しましたね!月峰がこの学園に入学したら、秒殺どころか瞬殺でs((
やっぱり最終回は光か闇が全滅、となってしまうのでしょうか……?蓮くんと湊くん両方好きなので、これからどうなるかドキドキしています。
そして湊くんの「事実を正反対にひっくり返すことが出来る能力」、かっこいいです!最終回で「バッドエンドをハッピーエンドに変える」なんていう風に使ったりするのかn((
それにしても戦闘描写の上手さ、さすがです!色々と盗ませて頂きまs((蹴
これからも続き、楽しみにしてます!それでは短いですがこれにて。お互い頑張りましょう^^
80
:
霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2012/01/05(木) 22:23:00 HOST:i114-183-46-33.s04.a001.ap.plala.or.jp
番外 復讐と狂気 銀の欠片(刹視点)
復讐。あの日起こった事件の後、そのためだけに僕は力を望んで刀を手に取ったのだ。始めは玩具を与えられた子供がその玩具で夢中で遊ぶかのように、木の的に向かって刀を振っていた。それが強さにつながるのか、それは僕には良く分からなかったけど……。でも僕が刀を振るう練習を木の的相手に繰り返す間、蓮は微笑ましいものを見るかのように僕を見守っていた。もちろんそれだけだったら僕のやる気は出ないのだけど。
お姉様もそこにいたんだ。上達すれば笑って僕の頭を撫でてくれた。蓮も同じだ。なんというか学園に来てからずっと会っていない父さんを思いださせるような優しさが蓮にはあった。他にも時々訓練の相手をしてくれた湊やお兄様、月華お姉様に優希……そんな人たちが作り上げる輪の中で、ぬるいともいえるような、心地よく過ごしていた。もちろんそのころの復讐の相手は事件を起こした連中で、他の一般科の連中はどうでも良かった。関係ない奴を潰したって意味がないしね。もっとも復讐と言う行為自体が愚かなことのような気もしたけど。
「蓮兄ちゃん? 泣いてるの?」
ある日、蓮が一人で泣いているところを見つけた。元々感情の起伏が小さい上に僕たちといると、絶対に涙だけは見せない人だった蓮の……。あ、ちなみにその頃の僕は基本的に年上の相手は、兄ちゃんか姉ちゃんをつけて名前を読んでいた。今は絶対にやらないけどね。まぁそんな事は置いといて、蓮が泣いている状況を目の前ではっきりと見てしまって僕はどうしたらいいか分からなかった。
混乱しながらも湊が蓮を慰める時にしていたように、ギュッて抱きしめてその頭を撫でてみた。そしたら蓮、僕のことを思いっきり突き飛ばして、首を絞めてきた。嘘つき、原因はお前だったじゃないかって次々に言葉をぶつけて来たんだ。もう訳が分からなくて泣き出した僕を見て、蓮は目を見開いていたよ。しばらくしてフラフラと僕から離れて俯いていた。呼吸をどうにか整えて、何があったのかを連に聞く。
「湊の奴、俺らのこと散々馬鹿にしてやがった……。俺らの前では大切な友人だとか言ってたくせに、一般科の連中の前ではあんな化け物は死ぬべきだ、あれは人間じゃない、ゴミ、、獣……居るべきじゃない……だってよ。ふざけんな」
蓮が声を荒げて、そう言う。話を聞いていけば、過激派の連中に僕たちが克服するのを手伝ってくれるって湊を信じて教えた特殊能力の弱点や、粗、を事件を起こした一般科の連中に広めたこと、事件のときに桜梨さん、優希、楓、蓮みたいな一般科の連中が相手にすればまず勝てない相手を外に連れ出して、数で押せばいいようになるように手伝ったこと……。僕とお姉様は、正直その頃は能力さえ特殊でもその力をまともに扱えなかったし、警戒する必要なしって判断されたらしいけどね。抜け出す蓮を見つけてついていくって、ごねなければ僕たちも殺されていたんだろう、って蓮は言った。月華お姉さまはその時里帰り中で気を引く必要もなし。
簡単なお仕事だったろうって笑ってた。湊は弱点広めて、蓮たちの気を引いていればいいだけだったんだしね。あの日にやったことを提案したのは湊だったらしい。もっとも本人は冗談のつもりで、特殊科の第一寮を掃除したいなぁって言ったらしいけど。本気にして行動した奴を手伝ってるんだから同罪だと思ってもいいでしょう?
「人の心を持たない化け物が何泣いてんの? 化け物は惨殺されて当然なのにって笑ってたらしいぜ? 俺達って化け物なのかなぁ……」
_________________________
グダグダ番外。正直必要ない気がする蛇足品。
実は番外は完成させているんでこの続きも数分のうちに投稿しますよ。
81
:
霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2012/01/05(木) 22:34:09 HOST:i114-183-46-33.s04.a001.ap.plala.or.jp
蓮は笑っていた。涙を零しながらも、ずっと笑ってた。そういえば湊、事件を起こした奴らに復讐しようって言ったとき顔を真っ青にして「勝てないからやめておこう」なんて言ったのか、なんて考えた。
その日から僕の復讐の標的は湊になっていた。蓮が精霊を出してそれを相手に刀を扱う練習をしたり、蓮自身が刀を持って練習に付き合ってくれたりした。筋がいいなって褒められたときは本当に嬉しかった。そしてやっぱりお姉様を守れるようになる、湊に復讐をしてやるんだって思うと不思議と疲れも感じないで練習に打ち込む出来た。お姉様は酷く心配そうにしていたけどね。無理だけは禁止ってでこピンされたのを覚えてる。
中等部に上がる少し前に、一般科と特殊科という区切りがなくなった。始めは様々な能力に触れることでより優秀な能力者を……って言ってたけど、特殊科第一寮の生徒を惨殺した事件で特殊科の連中は、酷く殺気立っていたよ。一般科の生徒はなぜかやたらと友好的だったけどね。それが余計に元特殊科の連中を怒らせた。
そして出来上がったのが“闇(ブイオ)”と“光(ルーチェ)”。闇は月華お姉様が率いて、一般科であった生徒達を惨殺していく。それに対抗して出来たのが湊率いる光。ちなみに特殊科の中でも復讐は意味をもたないって言うやつは光に移って行ったよ。 優希がいい例だね。
もちろん一般科の中でも闇に移ってくるやつはいた。……まぁ大抵が人殺し好きの狂った連中だったけど。そうして出来た二つの派閥はいつの間にか学校公認のものになって、制服までもがそれぞれに別のものが与えられた。……まぁ色を変えただけの単純なものだけど。
僕はもちろん闇についた。練習がてらに光の連中を的にして刀を振るって……。気づいたらそれが楽しくなっていた。逃げ惑う相手を切りつけて、悲鳴を聞いて……笑って刺して抉って……時には相手の腕を切り落として、目の前でチラつかせてみたり、わざと急所をはずして苦しめながら殺したり……。
それがとてつもない快感を僕に与えてくれていた。命乞いをする奴を踏みつけるのが好きだった、圧倒的な差を見せて潰すのが好きだった、自分が追い詰められても、最終的に相手を殺すのが楽しかった。血の色が、臭いが、滴る音が好きだった。相手があげる絶望の声が好きだった。
いつの間にか復讐という理由をかかげて殺しを楽しむようになっていた。もっと残酷に、もっと惨く、もっともっともっと……。やむことのない欲望のままに刀を振るって……。まぁもちろん昼間の間だけは、真面目で優秀な生徒を演じていたけど、教師達は当然僕の行動に気づいていただろうさ。気づいた上で止めなかったんだよ? 酷い話だね。いや、僕が言えた義理じゃないけど。
光狩りが本格的に始まってからも僕は変わらずに、どうやったら相手を最高に苦しめて殺すことが出来るのかだけを考えていた。もちろん湊に復讐するときに使う手段の研究、って言ってね。お姉様はあまり苦しませないように止めを刺してやれっていっていたけど、僕にはどうしても無理だった。散々遊んで踏みにじるのが好きだった。全てを復讐という言葉で正当化しようとしてたけど、狂気の沙汰だったろうね、きっと。復讐といいながら、関係のない他人も随分巻き込んでいたし。湊につくのは全て敵だ、とか言っちゃってね。
……僕は狂っているのでしょうか? もしそうなら狂わせたのは誰? 湊? それとも……。僕には分からない。自分が狂っているのかさえ……。
NEXT Story〜終章 嗤う悪魔〜
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ついに終章かぁ……。
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霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2012/01/05(木) 22:44:54 HOST:i114-183-46-33.s04.a001.ap.plala.or.jp
>>月峰 夜凪様
コメント有難うございます。
そうですね。確かに体育祭は完全にほのぼので書こうというか明るくしようと思って書いたものですし、逆に六章は本気で暗くしようとしています。落差が好きなんです(( ちなみに霧月も生き残る自身はありません。きっと刹君辺りに嬲り殺されるでしょう。
それは見てからのお楽しみ。ここまで来るとどんでん返しもできないものですが……。
蓮君と湊は僕も好きですよ。ただ協力してくれているリア友含め、なぜか湊君の人気が高いので嫉妬中です。とりあえず同情できないような形にはしてみましたが((
湊君の能力は強力ですねー。使い手はどうしようもないヘタレなのですが……。バットエンドをハッピーエンドには、出来ません。終章で明かしますけどね(ネタバレ乙
戦闘描写についてはまだまだ改善の余地ありすぎです。と、言うかその他描写も危うい……((
有難うございます。その言葉だけで僕は数倍張り切れます!(( いえいえ、こちらこそ有難うございます。
後もうしばらくこの駄作に付き合っていただければ幸いでございます。
83
:
霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2012/01/07(土) 18:59:03 HOST:i114-183-46-33.s04.a001.ap.plala.or.jp
終章 嗤う悪魔
よたよたと、湊が一つの教室に足を踏み入れる。中では蓮が窓際の机の一つに座ってぼんやりと空を眺めていた。窓から注ぐ、優しい光に照らされていて……その光景に思わず湊は息を飲む。綺麗だ、思わずそう考えてしまった自分に頬を引っ張った。相手は男だ正気に戻れ、なんて呟いているとうちに蓮が湊に顔だけを向けた。何処かぼんやりとした瞳は湊を捉えて動かない。やがて湊の制服にべったりとついている、血を見てほんの少しだけ驚いたような顔をする。首をかしげて、自分の制服を確認して湊は顔を顰めた。
静かに湊の方へと身体を向ける蓮は、しばらく何かを考えるような動作を見せる。そしてしばらくの沈黙の後に「まぁ、楓も死んだんだな。抱きしめでもしたのか? まぁどうでもいいけど」なんていう風に言って笑った。その言い方にムッとして蓮を睨みつける湊。どうでもいい、その言葉に腹が立って一気に蓮の詰め寄って、胸倉を掴む。蓮は驚く素振りも見せずに小さく笑う。
「悪いな。生憎、人が死にすぎてて感覚が麻痺してんだよ。不思議と悲しくもねぇし、なんとも思わないんだ。薄情な奴だろ?」
湊に掴まれたまま蓮は笑う。何処か儚くて、今にも壊れてしまいそうな弱々しい笑み。それを見て思わず顔を逸らした。胸倉を掴んでいたその手は、力が抜けたようで……ダランと垂れた。どうしていいか分からない。今、何をするのが正解なのか、何をするのが間違いなのか……全く検討がつかなかった。誰がこんなことをしているのか、何のために、そんな考えがグルグルと頭をめぐる。闇が? 第三者が? 光を潰すため? それとも湊を殺すため……? 浮かんでは消える言葉に湊は黙って近くにあった机を蹴る。
ふと蓮の表情が消えた。深く息を吐いて、立ち上がる。少し乱暴に湊の頭を撫でて、様子を伺っているようだった。訳が分からないというような表情をして、蓮を見あげる。それを見て蓮は言葉を紡ぐ。
「そっちの生徒会を殺す前にこっちの主戦力はやられたぜ? 宣戦布告したまではいいが月華は“アイツ”に殺されたし、刹も死にかけた所に紅零が留め刺すし……紅零は俺がとっ捕まえて寝てもらってるけどな。まったく、駒は大切にしろってんだ」
腕を組んで蓮が言う。何を言っているのか訳が分からないというような表情をして、ただただ蓮を見つめる湊と、表情の消えた顔に再び笑みを浮かべる蓮。その光景は何処か異質で……。そっと窓に手を置いて外を眺め始める蓮を見て、湊は寂しそうだと思う。感覚が麻痺してるだの、悲しくないだの、そう言ってるくせに本当は悲しいんじゃないだろうか? そう考えて湊は苦笑いを浮べる。自分がそんな憶測をしたところで何も変わらないのだから。
「さて、約束だしヒントをやろうか。物語を変えるためのヒントを」
「そうだ!!」
突然、湊が声を上げた。ビクッと肩を揺らして、戸惑ったような表情をする蓮に向かって湊は、笑った。明るいとはいえない引きつった笑み。訳が分からないというように首をかしげて湊を見つめる蓮は何処か不安そうに見えた。信用してくれてもいいのになぁ、なんて考えながら湊はポケットから小さなナイフを取り出した。蓮の目の前でナイフをチラつかせて見ると、心底呆れたようなため息と表情が帰ってくる。
深く息を吐いて湊は頷いた。成功するかは分からないが、何もやらないよりはマシだ。自分の中でそう結論付ける。手首にナイフを近づけると蓮は相変わらず呆れたような表情のまま腕を組んでいた。もしかして、自殺するとでも思われているんじゃないだろうか、なんて考えて湊は笑う。一度ナイフを手首から離すと、蓮は黙って首をかしげた。どうした? とでも問いかけてくるような表情。
「蓮は僕の能力を知っているでしょう? 僕の能力で結末をひっくり返してしまえばいいんですよ。バッドエンドをハッピーエンドに……って具合にね」
「無理だな。鍵が揃っていない今、俺たちは受け入れることしか出来ない」
_________________________
終章に見えな終章の開始((
84
:
霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2012/01/07(土) 21:20:46 HOST:i114-183-46-33.s04.a001.ap.plala.or.jp
思わず、湊は顔を顰めた。なぜ断言できるんだと言いたげな表情で蓮を睨みつける。やる前から諦めているようにしか見えないのだ。それでも蓮は涼しい顔で、気にしていない様子。ギリッと歯軋りをした湊は一気に手首にナイフを押し当てた。手首から流れ出る赤をぼんやりを見つけていると、再び蓮がため息をつく。淡い光が蓮の周りをくるくると回っているのに気づいて湊は首を傾げた。
気づけば傷は塞がって、ナイフも蓮の手の中。そんなに邪魔したいのか、と湊は頬を膨らませる。失敗したって別にいいのだ。やる前に諦めたくない……ただそれだけ。可能性があるのならそれに縋ろうとするのが人間でしょう? そう考えて湊は小さく頷いていた。そんな湊の考えを悟ったのか蓮は、心底呆れたようにして静かに机に腰を掛けて言う。酷く平坦な声で「残念ながら、お前の能力で物語の結末は変えられない。そういう風に作られているから。詳しくはよくわかんねぇけど、決まった物語全体の結末を変えるような干渉は出来ない。だからここまで来ると死んだ奴は生き返らないし、バッドエンドはバッドエンドのままだ」と……。
「そんなの諦めているだけじゃないですか!!」
怒鳴る湊を、蓮は嘲笑う。小馬鹿にするような蓮をきつく睨みつける湊。嘆息を漏らす蓮は足を組んで言葉を吐き出す。
「お前がひっくり返せるのは“小さな事実”だろ。それこそ一人に対する死、一人に対する生、一人に対する時間。お前の力で有効なのは一人に対するものだけで多くのものに干渉は出来ない。だからいくら足掻いたって最終的に行き着くのはバッドエンド、そういう干渉しかお前には出来ない。下手にいじると今よりも酷いバッドエンドが来るかもしれないぜぇ?」
湊はギリッと歯軋りする。それを見て蓮は頷いた。小さく震えるその手を見て余計なことを言わずに能力を使わせるべきだっただろうか、と蓮は首をかしげた。それをしたところで何も起きないし、それこそ出血多量で湊が死んで終わるだけなのだが。蓮からしてもどうしていいかわからない。とりあえずヒントを与えようとは思うが、どうせこの世界では役に立たないものだということも分かっている。
小さく伸びをする。考えるのは面倒くさい。とりあえずヒントだけを丸投げして、自分はさっさと学園を出て紅零を避難させれば上出来だ、そう考えて蓮は小さく頷く。今の状況を見て学園から出るのは薄情な気もするが、自分らしくて、それはそれでいいだろう? と……。
「まぁ、時間がねぇし、ヒントだけ投げてく。つってもこの世界では意味がないけどな。次があったら、思い出せ。……まず物語をバッドエンドにしないためには四つの鍵となる人物が必要だ。二人は色を苗字か名前に持ち、二人は……俺と刹。俺と刹は次でも名前は変わらない、苗字がどうかは知らんがな。……後は鍵と共に“アイツ”……黒幕を潰せ。手段は選ばなくていい。それだけで俺たちは解放されてハッピーエンド、だ」
まくし立てるように言った後、蓮は教卓の下から紅零を引きずり出して、窓を開け放つ。理解できていないのか、突拍子もない言葉に呆れているだけなのか湊は何も言わなかった。クスリと笑って蓮は「次があったら……また会おうぜ?」なんて言い残して窓から飛び降りた。湊がハッとしたように、引きとめようとしたがその時にはユニコーンの背中に乗って飛び上がった後だ。相変わらず常識がぶっ飛んでやがる、そんな風に呟いて湊はため息をついた。蓮のヒント、ここで使えないなら意味がないじゃないかと考えて。
状況を確認しよう、そう考えてゆっくりと教室から出ようとした。急に目の前に現れた、小さな少年に驚いて湊は動きを止める。ニコニコと目の前で笑みを浮かべている少年の手に握っているものが見えて、引き下がろうとしたときにはもう遅い。それは容赦なく湊の目に突き立てられた。あまりの痛みに声を上げることもできずに目を押さえてしゃがみ込む。
「ジ・エンド、ですー、光の会長さん」
痛みにもがきながらも逃げようとする湊に少年は、馬乗りになった。恍惚とした表情で湊の喉頭にナイフを突き刺して、真横に引き裂く。もう湊は動かなかった。刺された目を手で覆ったまま、力尽きていた。手についた血を舐めて少年は笑う。辺りに散った赤を見ればより一層、楽しげに笑った。真っ白だった湊の制服が赤に染まって……、そこで少年が姿を変えた。
「ヒントもらってもここで使えないから意味なかったですねぇー? 福バ会長も何考えてるのやら」
少年……悠斗は無邪気に笑って、首を傾げる。血を浴びて立つその姿はまるで悪魔のようで……。
__________________________
目が、目がああああッ!!((
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:
霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2012/01/07(土) 23:32:53 HOST:i114-183-46-33.s04.a001.ap.plala.or.jp
そんな頃、理事長室というプレートがかかった部屋には優雅に紅茶を啜りながら、本のページを捲る女がいた。本の上には血まみれで横になる湊の姿と、ほくそ笑む悠斗の姿が鮮明に描かれていた。それは、まるでフィギュアを本の上に並べているかのように飛び出している。恍惚とした表情でしばらくそれを眺めた後、不意に女はドアの方に顔を向けた。そこに立っていたのはアズラエルと一人の少年。二人の手には沢山の本が抱えられていた。少年の後ろには同じような本がいくつも固まって浮いていた。
「あら、アズに利樹。魔道書、それで全部?」
女の言葉にアズラエルが頷く。そうすれば女は満足げに笑って「そう。お疲れ様。今回は裏方に回ってもらって申し訳ないわね」と言った。少年は小さく首を振って「見てるだけで面白かったしそれで十分だよ」なんていう風に無邪気に笑う。変わり者ねなんてぼんやりと考える女をよそに、少年とアズは魔道書と共に奥の部屋へと姿を消した。それを見た女は深くため息をついて、足を組みなおす。
再び本に視線を戻せば、肉塊が転がる校舎の中。女は心底楽しそうに笑った。赤に染まっている校舎が、真っ白な光の制服が、綺麗な銀色だったある少年の髪が、真っ白な肌の少女の肌が……赤く染め上げられた全てのものが女にとって、美しく見えた。スッと本に手を滑らせると一人の生徒の苦痛に歪んだ顔が大きく映し出される。それだけで女は大きな満足感が得られた。……こうでなければやっていけないなんて女は呟く。
「おや、お姫様はまだ残酷なお話を堪能している途中でしたかー」
ドアの方から間の抜けた声が飛んでくる。至福の時を邪魔されたとでも言うかのように女は声の主を睨みつけた。部屋に入ってきたのは悠斗だ。湊を殺したときに付いた血はすっかり綺麗に落とされていた。女の射抜くような視線も気にせずに悠斗は笑う。それを見た女はといえば不服そうに顔を逸らして、また食い入るように本を見つめ始めた。自然と口元が緩んでいく。
その様子を見た悠斗は苦笑いを浮べながらもコーヒーを入れて、女の横に座った。ぼんやりと本に描かれた生徒達の苦痛に歪んだ顔を見て、何度か頷く。現状に満足しているとでも言うかのように……。深く息を吐いてコーヒーを啜った後、横目で女を見る。口元が緩みっぱなしの女を見て、こりゃ駄目だなんていう風に呟いて、肩をすくめる。少々不愉快そうな顔をされたけど気にしない。
「それにしても今回は随分強引に終わらせたね?」
「ええ、気に入らなかったから。結果、次の世界からはもう一人の俺も動くようだし、満足だよ? 湊少年がヒントを生かせるかは眉唾だけどね」
悠斗の言葉に、女は笑った。相変わらず自由人なようだ、そう考えて悠斗は深くため息をついた。そんな悠斗の様子に女は黙って首を傾げる。しかし、女の興味はすぐに本へと戻っていく。よほど赤に染まった校舎が好きなのだろう。悠斗はぼんやりと湊を殺したときのことを考えながらコーヒーを啜る。手ごたえがなくてつまらなかったなぁ、というのが悠斗の感想なのだが。
どちらにせよ、今までの間散々暴れることが出来たのだ。これぐらいの不満は我慢すべきだろう、そう考えて悠斗は立ち上がる。何気なく窓際に立ってみれば胸糞が悪くなるほどの晴天。学園の中では酷いことが起きたというのに、一歩外に出れば平和で、心底退屈そうな世界が広がっている。それを見ると悠斗は、やはりこの女に協力したのは正解だと思えてくるのだ。よほど退屈というものが嫌いらしい。
86
:
霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2012/01/08(日) 00:02:31 HOST:i114-183-46-33.s04.a001.ap.plala.or.jp
「さて、お姫様? 次の世界はどうするつもりかな?」
考えるようなしぐさをする女。しばらくするとアズラエルと少年が消えた方部屋から、明るく「また学校がいいなぁ」なんていう声が聞こえてきた。その言葉を聞いた女は何度か頷いた後「こことよく似た学校でまた遊びましょう? 何度も、何度も、ね」と笑う。悠斗は少し苦笑いを浮べた後、同意するとでも言うように頷く。
「まぁ退屈しないなら僕も文句はないからねぇー。ところでお姫様、今回は随分えぐい事をしたねぇ……生徒全殺し、って」
悠斗の言葉を聞いた女は鼻で笑う。何、分かりきったことを言っているのだとでも言うかのように。だんだんと下がってきた眼鏡を上げて、一瞬だけ本から視線を外す。そして言うのだ。不敵な笑みを浮かべて「物語の最後なんて、惨たらしいものでしょう?」なんて。そして苦笑いを浮べる悠斗に向かって、机の上においてあった本を突きつける。
「俺、この世界を自由に弄繰り回せるのが楽しいの。俺好みの物語がいくつも出来上がる」
狂ったような笑い声。反響して本来の音よりも大きく聞こえる、それに悠斗は顔を顰めた。そんなことお構いなしに女は続ける。流れるように、歌うかのように言葉を紡いでいく。
「俺が綴る悪夢は巡るの、そしてその悪夢の物語は惨たらしく幕を閉じて当然」
そこまで言ったところで女は一瞬言葉を止めた。そしてまるで同意を求めるかのように、本を持っていない方の手を悠斗へと伸ばす。そして、まるで新しい玩具を与えられた子供のように無邪気に笑って「ねぇ、そういうものでしょう?」という。やれやれ、そんな風に呟きながらも悠斗は女の手を掴んで頷いた。それは、一人の女が綴る遊びに付き合うという意思表情。終わりまで女に協力するという誓い。……女は笑う、満足そうに笑う。
……そう、これはとても簡単なお話。狂った一人の女が人の命を弄んだ、そんな簡単なお話。そして小さな学園では何度も何度も悪夢が繰り返される、それだけのお話。そして、一つの始まりに過ぎないとても、残酷な序章……。
Il record dell’incubo〜悪夢の記憶〜 END
____________________________
終章というよりは、完全に序章っぽい終わり方。漂うやっつけ感((
87
:
霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2012/01/08(日) 00:55:14 HOST:i114-183-46-33.s04.a001.ap.plala.or.jp
あとがき
やっつけで終わった小説ですが、作者は友人にラーメンを食べたいといったら、さっさと小説を完結させろと言われたからむしゃくしゃしてやったと供述しており(ry
さて、そんな下らないことは置いておき、最後までお付き合いくださった方はどれほどいらっしゃるのでしょうか?
この長ったらしい上にまとまりのない文章ですが……。
ちなみにこの話、実はプロット自体は私が小説を書き始めた頃、四年前からあったものです。当時の私には設定だけで精一杯になってしまったのですが。
ただそのときのプロットはあまりにも設定が浅すぎて……。唸りながらプロットに手を加えていました。
後半でなぜかそのプロットが消えてしまったんですけどね。もう思いつきでつなげてやりました((
執筆期間は書き始めたのが2011年三月、書き終えたのが2012年一月ですから、約十ヵ月程度でしょうか。自分の中では最速記録です
そもそも最近はまともに小説を完結させてませんでしたしね。過去のものから書き方を変えてやっと馴染んできたところなのです。
途中でアドバイスを下さった方がいましたが、それを反映せずに終わってしまったのがなんだかなぁ、という感じです。改行の少なさがすっかり癖になってしまっていて……。
後は続編について。一応書くつもりでいます。このスレッドを使うか新しく建てるかで悩んでいますが。改行についても出来るだけやろうと思っています。
ちょっとキャラについても触れましょうか? 使われなかった設定とか
一番変更点が大きいのは紅零と蓮、そして刹です。
紅零さんはただのヘタレ、脅されて闇をやってるだけの会長になる予定でしたし、刹君は終章で出てきた黒幕側の人間になる予定でした。
蓮君なんて始めは何の力も持たないのに学園に乗り込んできた幼女の予定……面影がちっともありません。
他にも羽音さんがヤンキーで会長だったり、湊がただのかませだったり……本当に大きく変えて書き始めています。
羽音の能力が結局出ませんでしたが、天使化といいます。一定期間だけ天使の力を借りれる力です。使いたかったんですけどねぇ……。
そしてキャラを借りていたのに殆ど出番がなかった二人を最後の最後で出させていただきました。キャラをお貸しくださった方、本当に有難うございます。
もっと活躍させたかったのに……。
長くなりましたが、ここまで読んでくださった皆様、本当に有難うございます。
コメントを下さった皆様のおかげで、完結させることが出来ました。
長い間有難うございました! 続編、またはその他小説で出会うことがありましたら、よろしくお願いします
88
:
霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2012/01/08(日) 01:18:08 HOST:i114-183-46-33.s04.a001.ap.plala.or.jp
目次
序章 闇(ブイオ)と光(ルーチェ)の人々
>>2-5
第一章 光(ルーチェ)の人々
>>6-15
第二章 闇(ブイオ)の人々
>>16-21
>>23
第三章 聖鈴学園
>>30-35
>>39-40
>>42
番外 悪夢の日 紺の欠片
>>44-45
第四章 能力定義と禁忌
>>46-47
>>49-55
第五章 体育祭と言う名の小規模戦争
>>57-60
>>63-65
第六章 終焉への歯車は狂い
>>68-71
>>73-77
番外 復讐と狂気 銀の欠片
>>80-81
終章 嗤う悪魔
>>83-86
89
:
月峰 夜凪
◆XkPVI3useA
:2012/01/10(火) 16:42:13 HOST:softbank221085012009.bbtec.net
コメントさせて頂きますね!
まさかの最後に利樹とアズが登場して、ちょっとテンションが上がり気味の月峰でs((
それにしても湊くん、最後のあれは痛そうだったz(( 読みながら某大佐のセリフが頭に浮かんでいたので、霧月さんのコメントでつい笑ってしまいましたw
そして最後に出てきた『お姫様』が気になります。世界を自由に弄繰り回すなんて、もはや神じゃないk((
もし続編が出るのなら、また別の世界の湊くん達が活躍するのか……もしくは、別の新しい子達も登場して見事悪夢を突破して見せるのか、とにかく楽しみです!
でも、あのお姫様を倒す術を探すのも結構時間掛かりそうですね。物語○○個分、ぐらいのとんでもない時間が((
それともお姫様は『倒す』対象ではないのでしょうか……?
それではこの辺で。とても楽しく読ませて頂きました! そして、お疲れ様でした^^ノ
次回作、または続編、楽しみに待ってますね^^
90
:
霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2012/01/10(火) 17:13:42 HOST:i114-183-46-33.s04.a001.ap.plala.or.jp
>>月峰 夜凪様
アズちゃんと利樹君、シナリオカットしなければもっと出番が会ったんですけどね。いろいろな事情でシナリオカットが凄いことになったので、黒幕側についてもらいました((
目は痛いですよね。悠斗君なんでそんなとこ突き刺したし(( 実際あのコメントは台詞になる予定だったんですよw 横にいた人物Aにそれは某大佐にしか見えない方やめろ、と言われて消しましたが((
お姫様は神、と言う括りで問題なかったりします。ただそれはあくまで学園内で起きている物語の支配者、ということですね。作者と変わりないと思います(オイ
ちなみにお姫様、一度ストーリーの中に出てきています。、容姿等の描写があるのに名前が出てない人ですね。
湊君……出るは出るけど……という感じです。分かる人にはわかるあの性格です(( 実を言うと黒幕以外キャラは約二名を除いて総入れ替えです。黒幕さんのあの子も名前を変えてしまいますしね。
まぁ物語の統括者、ですからね。しかしもっとヤバイ奴が出てくるんでなんともいえません。蓮みたいな明らかに“何かを知っている”ようなよく分からないやつもいますしね。
お姫様についてはなんともいえないのです。黒幕である以上……って感じなんですがね((
いえいえ、こちらこそ駄文にお付き合いいただき、有難うございます。
はい、ねたがつきない限りは頑張るつもりですから、お暇でしたらまたよろしくお願いしますね^^
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