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Il record dell’incubo〜悪夢の記憶〜
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霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2011/03/06(日) 23:06:24 HOST:i114-180-240-196.s04.a001.ap.plala.or.jp
初めまして、霧月 蓮(ムヅキ レン)と申します。ここでは始めて小説を書かせていただきます。
更新は非常に亀で、誤字脱字も非常に多いですが、生暖かい目で見てくださると助かります。
出来るだけ遠まわしに表現するように致しますが、グロイ表現が多々あります。それでも大丈夫、と言う方はどうぞよろしくお願いいたしますね。
アドバイス、感想等があれば喜んで。
一応、学園、ファンタジー、歪み、と言った感じの者が中心となっています。特殊能力が出てきたり、魔法使い吸血鬼が出てきたりと、多分滅茶苦茶です
非常に駄文で、まとまりのない文章ではありますが……。
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霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2011/08/17(水) 18:35:24 HOST:i121-114-184-49.s04.a001.ap.plala.or.jp
第五章 体育祭と言う名の小規模戦争
朝早く、鳴り響く轟音で全生徒が叩き起こされた。本日は桜梨が生き返ってから一週間。体育祭の日であった。この学園の様々な行事のいくつかは能力のランクを正確に出すためのものである。その中でも体育祭は能力と能力がぶつかり合うものである。また、この学園の行事の中では珍しく、生徒の保護者も見ることが出来る。他に生徒の保護者が見ることが出来るのは初等部学芸会と、中等部以上の学園祭だけなのだから、保護者が張り切ることも納得できるだろう。事実開始三十分前にして保護者たちは場所取りを完了し、開始を今か今かと待ちわびているのだ。
他の生徒よりも早く出てきて様々な機械の設置を手伝う闇、光双方の生徒会は深くため息をついて、張り切る保護者達に目をやる。毎年のことではあるがいくらなんでも張り切りすぎだろう何て考えて全員が全員呆れたような表情を浮かべた。それでも作業をする手を止めると教師達の怒号が飛んでくるから作業だけはやめない。だんだんミスがあるんじゃないかと心配になってくるが、その辺は最終点検の係に丸なげである。そんな雑な作業でも教師たちが文句を言わないのは人間平気にもなりうるメンバーを下手に刺激したくないからなのだろう。光はそうではないとは言え闇も一緒に作業をしている。実際は闇のメンバーだからと言ってキレやすいと言うわけではないのだが、教師たちは一種の偏見を持っているらしい。
「なぁんか、むかつく物言いですね」
そんなことを言いながら湊を睨みつけているのは刹であった。腕に闇中等部生徒会会長推薦情報処理と書かれた腕章をつけていた。なぜ楓や他のメンバーがバッチなのに刹だけが腕章なのかと言えば、単純にバッチを紛失してしまったからなのであるが、本人は微塵も反省したり探したりする気は内容である。いや、戦闘の途中で粉々に砕け散っているので探しても無駄だったりするのではあるが。睨みつけらている当の湊はと言えばニコニコと笑みを浮かべて刹の頭を撫でていた。そんな様子を眺めて、刹がキレしまわないか冷や冷やするのは月華と蓮だった。八つ当たりとか勘弁だと呟いている。
そんな横では風雅と優希が口論を繰り広げているし、楓は目が見えないから危ないと言われて日陰に避難させられている。それでも作業が順調に進むのは淡々と機材を運ぶ羽音と、精霊を召還して手伝わせている蓮がいるからであろう。この現状を眺めて紅零は呟く。小さな誰にも聞こえないような声で「今年の生徒会は大丈夫なのかしら」と。この言葉が聞こえていたなら蓮や教師たちは同意して頷いていたのだろうが、言葉は紅零以外、誰にも聞こえずに終わった。
「刹、遊んでないで戻って来い」
ため息をついて湊を睨みつけ続ける刹を呼び戻して、作業にもどらせる紅零。湊がキョトンとしながら近づいてこようとしたが紅零はそれを無視して作業に戻った。しばらく固まった後に、少し悲しそうに苦笑いを浮かべて湊も作業に戻った。そうして準備作業は淡々と進んでいく。大騒ぎされるのも嫌だが、淡々と作業されると作業されるでなんだか心配になってくる教師陣。何か企んでいるんじゃないかと考えては闇の方をちらちらと覗き見た。それに多少の不快感を覚えながらも表情に出したりはしない。妙なところでポーカーフェイスの上手い連中だった。まぁ悠斗だけは不愉快そうな表情をしていたのだが。
そんなこんなでどうにか準備作業が終了して解散の号令を掛けられる。と言っても作業が終わったのは体育祭開始十分前だ、殆ど時間がないし朝食ももう食べ終わっている。服装については制服でやろうが体操服でやろうが自由なんていうことになっているので着替えさえも実は必要がない。そのためか多くは特別に設けられた生徒会チーム席にそのまま座って開始のときを待っていた。風雅と優希はものすごい速さで着替えに戻っていったが。生徒会チーム席は闇のものと光ものの、二つあるがその二つが隣り合ってしまっているので、非常にピリピリしたムードになってしまっている。まぁこれから起こるであろう事態を考えてか攻撃したりはしないのだが
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霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2011/08/20(土) 01:39:26 HOST:i121-114-184-49.s04.a001.ap.plala.or.jp
そんなピリピリした空気を和らげるように、明るい一般生徒達の声が聞こえてくる。次々と現れては割り振られた席へと座っていく。そんな一般生徒を眺め、刹が僅かに顔をしかめて、視線を別の位置へと移動させる。桜梨はそんな刹の頭を軽く撫でて、辺りを見渡す。刹が少々不満げに見あげてくるがそこは無視だ。相手にして長引くと体力の無駄になるしそんなことを考えて、懐かしい行事の前の雰囲気を楽しむ。それとは対照的に蓮はずっと無表情で、地面を見つめていた。その顔はどこか青白く、不健康なもの。しかし全員が全員行事のほうへと興味が行っている訳で誰も蓮のことを気に留めたりはしなかった。
一般生徒の席を見て桜梨が小さな声で「俺もあっちに座る予定だったんだよなぁ」と呟いた。実は生き返った上に色々な生徒会のどたばたに巻き込まれた桜梨は、いつの間にか闇高等部生徒会会長推薦情報処理に押し込まれていたのである。桜梨からしてみれば傍迷惑な話だが、月華が桜梨が少しでも蓮を見張りやすいようにと考えて行ったことと知り、大人しく生徒会入りの話を受けることにした。実際、桜梨から見れば蓮は見張ってないと何をやらかす分からない、幼い子供のようなものだった。過保護だな自分、そんな風に考えて桜梨は一人苦笑いを浮かべる。
生徒達が楽しげに談笑する中、一人だけ異質な雰囲気を纏った女が現れた。地面につきそうな長さの三つ編みにされた金髪。どこかぼんやりとした右が紫色、左がの薄い青の瞳に、黒縁の眼鏡。服装は真夏の暑い中にもかかわらず胸元に紫のリボンのついた黒の長い上着に、薄紫のグラデーションのかかったワンピースを着ていた。手に持っているのは分厚い本と妙に大きな鍵で、異質を倍増させていた。……そんな彼女はこの聖鈴学園の理事長である。生徒でも名前を知っているものはいないと言われるのだから胡散臭さもあるのだが。
「面倒……」
本部席にたどり着いた彼女はそう呟いて席に座る。その様子を眺めていた月華は「相変わらずの格好だよねぇ」なんていう風に呟いて蓮に口をふさがれていた。蓮の動作も少し遅かったような気もするが、そんな風に桜梨は考えて呆れたような表情を浮かべる。刹はと言えばのんびりと本を読んでいるし、紅零は刹の読んでいる本を横から覗き込んで納得したように何度か頷いている。悠斗は欠伸をしながら一番日光の当たらない位置に陣取ってぼんやりと考え事をしている様子。どうやらこのメンバー誰一人として“体育祭”と言う行事に微塵も興味を示していないようだ。
対照的に風雅のいる光生徒会はやる気満々と言った感じである。風雅は準備体操を念入りに行っているし、優希は優希で軽い準備を行っている。湊と羽音はその二人につられるかのように準備運動を始めていた。憐、涼の二人はストレッチをしていた。楓だけは日陰でのんびりとしているがそれは仕方がないことなのであろう。基本的に風雅と初等部の二人につられているような感じではあるのだが。ちなみに優希の場合はやるのならば負けたくないなんて言っている。
「馬鹿みたいですね」
小さくそう呟いたのは刹だった。流れる体育祭開始のアナウンスと、理事長からの長ったらしい言葉、張り切る奴ら、全てが刹にとってくだらないもののように見えた。紅零に今日だけは余計なことをするなと釘を刺されているため、大人しくしているだけで、それがなければ既に数人を殴り飛ばしていただろう。そう考えて刹は鼻で笑った。何を分かりきったことをとでも言うかのような感じだ。それを見て僅かに首をかしげたのは桜梨だ。良く分からないままぽんぽんと刹の頭を撫でてやる。うーっと声をあげながら刹を見て明るく笑ってやると、いかにもバツが悪そうに顔を逸らされた。一度自分が死んだときのことを引きずっているのだろう、そう考えて桜梨は一人頷くことにする。
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霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2011/08/21(日) 21:28:42 HOST:i121-114-184-49.s04.a001.ap.plala.or.jp
張り裂けんばかりの歓声。ついに始まった体育祭を喜ぶ声、拒否する声……。湊は薄い笑みを浮かべて生徒達を見る。闇も光もこうなると大差ないものだ、そんなことを考えて声を漏らして笑う。優希が気持ち悪いものを見るかのような目で見てきたのを無視して生徒会メンバーに声を掛けた。全員が全員笑ってそれに答える。それは明るい楽しげな光景。
紅零はそんな光景冷ややかな目で見つめた後、周りの生徒会メンバーに声を掛ける。光の生徒会の明るい笑顔に対して、闇の生徒会メンバーが浮かべたのは暗い歪んだ笑み。光に照らされることで出来る影のように暗くて冷ややかなもの。
「じゃあ、基本ルールの説明をするぞ。チームは光一般チーム、光生徒会チーム、闇一般チーム、闇生徒会チームだ。能力の使用については自由だ。ただし相手の命を奪うようなことになったら失格。これは毎年の事だから分かっているな? 最終的にポイントが高いチームの優勝だから特に一般チームは頑張れよ」
ルールー説明をしていくのは妙に良いガタイの体育教師。どうせ毎年変わらないんだからルール説明なんてせずにさっさと始めろよとぼやく生徒をよそに教師は淡々とルール説明を進めていく。退屈そうにする生徒と、真剣に聞く生徒、その違いは単純に元から学園にいる生徒か、どこかから新しく来た生徒かだけである。能力の使用は自由と聞いて怯えたような表情で顔を見合わせるのも新しく来た生徒。そんな事もう慣れっこな他の生徒たちは談笑を始めていた。無論生徒会メンバーも同じである。この学園の人間は安全基準が狂っているのだろうか、そんな風に新しく来た生徒たちは首をかしげた。
ルール説明を終えた体育教師は満足げに頷いて本部席に戻っていく。すかさずにアナウンスで一番最初の競技の説明が入る。それを聞いた刹は本を置いて席を立つ。湊もメンバーの応援を受けながら席を立つ。横目で立ち上がった刹を見て少々嫌そうな顔をする。大して刹はと言えば湊が立ったことに気づきながらも何も言わずさっさと待機場所へと向かった。始めの競技は短距離走だ。もっとも安全な競技で、もっとも地味な競技だと保護者達の間ではちょっとした噂になっていたりするが、やる側としては危険すぎるのでご遠慮したい競技の一つとなっている。と言うか生徒達の共通認識は死にはしないが全競技等しく危険、と言うものだった。
「刹、さん。お互い頑張りましょうね!」
極めて明るい笑みを浮かべながら湊が刹に声を掛けた。刹は心底不愉快そうに振り向いた後「随分余裕ですね。まぁいいですけど。負けませんから」と冷たく声で吐き捨てるかのようにそう言う。やっぱりかなんていう風に呟いて湊はため息をつく。そんなのお構いなしに刹はさっさと歩いて行ってしまう。湊が待機場所にたどり着く頃には審判の教師と談笑を繰り広げていた。自然とその周りには闇の生徒が、少し離れた位置に光の生徒が固まっている。小さく頷いた後「ま、こんなもんですよね」と呟くのは湊だった。そんな湊の腰の辺りを叩いたのはアズラエル。明るい笑顔で「頑張りましょうなの」とだけ言って初等部の輪に戻っていった。
しばらく様子を眺めてクスリと湊は笑う。光が刹を中心とした闇から離れているのは怖がっているからだと思ったが実際はそんな事はないようだった。真剣に勝つためにどんなタイミングで能力を使えばいいのかだとか、流れ弾を味方に当てないためにはだとかそんなことを話し合っているだけ。その話し合いが終わったら湊の周りに集まるもの、闇の回りだろうが関係なしに楽しげに走り回って遊ぶもの、笑顔で闇の数名に話しかけるものと色々な生徒がいた。そして多くは闇を恐れることなく好き勝手に待ち時間をすごしたり、闇の生徒に話しかけたりちょっかいを出したりしていた。刹はそれを見て不愉快そうな表情をしたが、他の闇の生徒も話しかけられるがままに話したり、ちょっかいを出されたら微笑ましい程度でやり返したりと案外平和的な様子。何だ自分が考えていたほどに自体は悪化していないんじゃないか、そう考えてほっと胸を撫で下ろした。
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霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2011/08/28(日) 21:42:54 HOST:i121-116-245-124.s04.a001.ap.plala.or.jp
そんな湊とは対照的に刹は心底不愉快そうな表情のまま、息を吐く。対立が表面化してきたと思ったらこうだと悪態をつくかのように呟く。もっと事態が悪化していてくれた方がいいのになんて考えて、笑う。歪んだ不気味な笑み。周りに残っていた数名の生徒が震えたのを見てフイッと顔を逸らす。鳴り響くのは銃声。どうやら第一走者が走り出したようだ。短距離走は闇、光、双方の一般チームから十一人の代表を出して行う。一回に走るのは六人程度。生徒会のメンバーは人数が少ないので出す代表は一人で、一位から三位までに入ると一般生徒のチームの倍の点数をもらえることになっている。まぁそうでもしなければ人数の関係で代表を出せない生徒会メンバーは勝てないし、逆に生徒会メンバーが四人も出れば一般生徒に勝ち目はないのだ。
全く面倒だ、そんな風に呟いたところで、とてつもない強風が吹き渡る。闇側の生徒が光を攻撃したようであった。あまりの強風に同じ闇の生徒までもがなぎ倒されている。刹は顔色一つ変えずにそれを眺めていた。怪我はないだろうかと大慌ての湊のほうがよほどイレギュラーに見えるような反応。闇の生徒達も多くは口元に笑みを浮かべ様子を眺めるだけ。仲間であろうと防ぎきれなかった連中の心配はしない主義のようだ。
「やれやれ、とでも言えばいいんでしょうか?」
小さな声で湊が呟いた。念入りに準備体操をして、スタートラインに立つ。どうやら刹も一緒の順番のようで湊の横に無言で並んだ。その横に着くかのように並ぶほかの生徒達の表情は何処か強張っていて……、何が起こっても大丈夫なようにと幾重にも能力を張り巡らせているようである。まぁ生徒会チームの人間と走るとなると、流れ弾がかすっただけでも酷い目に遭う可能性があるのだから仕方がないのかもしれない。第一走者がゴールして、次は大二走者。深く息を吸ってピストルの音だけに神経を集中させるのは湊。それに比べ刹はあちこちを見渡して余裕の表情。
鳴り響く銃声。刹と湊が走り出したのはほぼ同時であった。全力で走り抜ける。どうやらお互いに能力を使うつもりはないらしく、周りで火花が散ったりしても基本的には無視。ひたすらゴールに向かって走るのみ……といっても所詮は短距離走。あっという間にゴール間近まで来てしまっている。先にスピードを上げたのは刹だった。慌てて湊もペースを上げるも結局は無駄。一位は刹の手に渡ることになる。二位でゴールして明るく「あーあ。相変わらず早いですね、刹さんは」なんて言って笑うも相手にして貰えなかった。少しではあるが流石の湊もショックを受けた。
「危なかったねぇ、刹」
生徒会席でそんな風に言うのは月華。へらへらと笑いながら、能力が見られないのは残念だなぁとかそんなことを付け足すかのように言う。それを聞いていた風雅は「会長惜しかったなー」なんていう風に呟いて天を仰ぐ。腹が立つぐらいの晴天だ。ニィッと笑みを浮かべて頬を叩く。そんな様子を怪訝そうに眺める優希を軽くからかっては、いつものとおりだと自分に言い聞かせていた。なぜだか分からないが妙な不安が彼、風雅の中にはあるのである。どんな? と聞かれると答えることは出来ないが、居心地の悪さを感じる嫌なもの。深く息を吐き出して新鮮な息を吸い込む。
「何を考えてるんだか、俺」
らしくもない、そう考えて首を振る。気にするなどうせ下らない杞憂だ、時間がたてば忘れるさそんな風に思考を持っていく。怪訝そうな表情でちょっかいを出してきた優希にしか仕返しをする。倍返しで殴られて、羽音に慰められて……。そうして笑う。そうしていれば心配事なんてなくなるんだとでも言うかのように笑った。優希には「その笑いが気持ち悪い」と言われたがいつものことだから気にしない。そう、気にしなければいい、いつものことなのだからいつも通り必死に言い聞かせて、勢いよく立ち上がる。
「さぁて、次は俺の番だな!!」
そう言って風雅は待機場所へと向かう。
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