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Il record dell’incubo〜悪夢の記憶〜

1霧月 蓮_〆 ◆REN/KP3zUk:2011/03/06(日) 23:06:24 HOST:i114-180-240-196.s04.a001.ap.plala.or.jp
初めまして、霧月 蓮(ムヅキ レン)と申します。ここでは始めて小説を書かせていただきます。

更新は非常に亀で、誤字脱字も非常に多いですが、生暖かい目で見てくださると助かります。
出来るだけ遠まわしに表現するように致しますが、グロイ表現が多々あります。それでも大丈夫、と言う方はどうぞよろしくお願いいたしますね。

アドバイス、感想等があれば喜んで。

一応、学園、ファンタジー、歪み、と言った感じの者が中心となっています。特殊能力が出てきたり、魔法使い吸血鬼が出てきたりと、多分滅茶苦茶です
非常に駄文で、まとまりのない文章ではありますが……。

83霧月 蓮_〆 ◆REN/KP3zUk:2012/01/07(土) 18:59:03 HOST:i114-183-46-33.s04.a001.ap.plala.or.jp
終章 嗤う悪魔

 よたよたと、湊が一つの教室に足を踏み入れる。中では蓮が窓際の机の一つに座ってぼんやりと空を眺めていた。窓から注ぐ、優しい光に照らされていて……その光景に思わず湊は息を飲む。綺麗だ、思わずそう考えてしまった自分に頬を引っ張った。相手は男だ正気に戻れ、なんて呟いているとうちに蓮が湊に顔だけを向けた。何処かぼんやりとした瞳は湊を捉えて動かない。やがて湊の制服にべったりとついている、血を見てほんの少しだけ驚いたような顔をする。首をかしげて、自分の制服を確認して湊は顔を顰めた。
 静かに湊の方へと身体を向ける蓮は、しばらく何かを考えるような動作を見せる。そしてしばらくの沈黙の後に「まぁ、楓も死んだんだな。抱きしめでもしたのか? まぁどうでもいいけど」なんていう風に言って笑った。その言い方にムッとして蓮を睨みつける湊。どうでもいい、その言葉に腹が立って一気に蓮の詰め寄って、胸倉を掴む。蓮は驚く素振りも見せずに小さく笑う。

 「悪いな。生憎、人が死にすぎてて感覚が麻痺してんだよ。不思議と悲しくもねぇし、なんとも思わないんだ。薄情な奴だろ?」

 湊に掴まれたまま蓮は笑う。何処か儚くて、今にも壊れてしまいそうな弱々しい笑み。それを見て思わず顔を逸らした。胸倉を掴んでいたその手は、力が抜けたようで……ダランと垂れた。どうしていいか分からない。今、何をするのが正解なのか、何をするのが間違いなのか……全く検討がつかなかった。誰がこんなことをしているのか、何のために、そんな考えがグルグルと頭をめぐる。闇が? 第三者が? 光を潰すため? それとも湊を殺すため……? 浮かんでは消える言葉に湊は黙って近くにあった机を蹴る。
 ふと蓮の表情が消えた。深く息を吐いて、立ち上がる。少し乱暴に湊の頭を撫でて、様子を伺っているようだった。訳が分からないというような表情をして、蓮を見あげる。それを見て蓮は言葉を紡ぐ。

 「そっちの生徒会を殺す前にこっちの主戦力はやられたぜ? 宣戦布告したまではいいが月華は“アイツ”に殺されたし、刹も死にかけた所に紅零が留め刺すし……紅零は俺がとっ捕まえて寝てもらってるけどな。まったく、駒は大切にしろってんだ」

 腕を組んで蓮が言う。何を言っているのか訳が分からないというような表情をして、ただただ蓮を見つめる湊と、表情の消えた顔に再び笑みを浮かべる蓮。その光景は何処か異質で……。そっと窓に手を置いて外を眺め始める蓮を見て、湊は寂しそうだと思う。感覚が麻痺してるだの、悲しくないだの、そう言ってるくせに本当は悲しいんじゃないだろうか? そう考えて湊は苦笑いを浮べる。自分がそんな憶測をしたところで何も変わらないのだから。

 「さて、約束だしヒントをやろうか。物語を変えるためのヒントを」
 「そうだ!!」

 突然、湊が声を上げた。ビクッと肩を揺らして、戸惑ったような表情をする蓮に向かって湊は、笑った。明るいとはいえない引きつった笑み。訳が分からないというように首をかしげて湊を見つめる蓮は何処か不安そうに見えた。信用してくれてもいいのになぁ、なんて考えながら湊はポケットから小さなナイフを取り出した。蓮の目の前でナイフをチラつかせて見ると、心底呆れたようなため息と表情が帰ってくる。
 深く息を吐いて湊は頷いた。成功するかは分からないが、何もやらないよりはマシだ。自分の中でそう結論付ける。手首にナイフを近づけると蓮は相変わらず呆れたような表情のまま腕を組んでいた。もしかして、自殺するとでも思われているんじゃないだろうか、なんて考えて湊は笑う。一度ナイフを手首から離すと、蓮は黙って首をかしげた。どうした? とでも問いかけてくるような表情。

 「蓮は僕の能力を知っているでしょう? 僕の能力で結末をひっくり返してしまえばいいんですよ。バッドエンドをハッピーエンドに……って具合にね」
 「無理だな。鍵が揃っていない今、俺たちは受け入れることしか出来ない」

_________________________
終章に見えな終章の開始((

84霧月 蓮_〆 ◆REN/KP3zUk:2012/01/07(土) 21:20:46 HOST:i114-183-46-33.s04.a001.ap.plala.or.jp
 思わず、湊は顔を顰めた。なぜ断言できるんだと言いたげな表情で蓮を睨みつける。やる前から諦めているようにしか見えないのだ。それでも蓮は涼しい顔で、気にしていない様子。ギリッと歯軋りをした湊は一気に手首にナイフを押し当てた。手首から流れ出る赤をぼんやりを見つけていると、再び蓮がため息をつく。淡い光が蓮の周りをくるくると回っているのに気づいて湊は首を傾げた。
 気づけば傷は塞がって、ナイフも蓮の手の中。そんなに邪魔したいのか、と湊は頬を膨らませる。失敗したって別にいいのだ。やる前に諦めたくない……ただそれだけ。可能性があるのならそれに縋ろうとするのが人間でしょう? そう考えて湊は小さく頷いていた。そんな湊の考えを悟ったのか蓮は、心底呆れたようにして静かに机に腰を掛けて言う。酷く平坦な声で「残念ながら、お前の能力で物語の結末は変えられない。そういう風に作られているから。詳しくはよくわかんねぇけど、決まった物語全体の結末を変えるような干渉は出来ない。だからここまで来ると死んだ奴は生き返らないし、バッドエンドはバッドエンドのままだ」と……。

 「そんなの諦めているだけじゃないですか!!」

 怒鳴る湊を、蓮は嘲笑う。小馬鹿にするような蓮をきつく睨みつける湊。嘆息を漏らす蓮は足を組んで言葉を吐き出す。

 「お前がひっくり返せるのは“小さな事実”だろ。それこそ一人に対する死、一人に対する生、一人に対する時間。お前の力で有効なのは一人に対するものだけで多くのものに干渉は出来ない。だからいくら足掻いたって最終的に行き着くのはバッドエンド、そういう干渉しかお前には出来ない。下手にいじると今よりも酷いバッドエンドが来るかもしれないぜぇ?」

 湊はギリッと歯軋りする。それを見て蓮は頷いた。小さく震えるその手を見て余計なことを言わずに能力を使わせるべきだっただろうか、と蓮は首をかしげた。それをしたところで何も起きないし、それこそ出血多量で湊が死んで終わるだけなのだが。蓮からしてもどうしていいかわからない。とりあえずヒントを与えようとは思うが、どうせこの世界では役に立たないものだということも分かっている。
 小さく伸びをする。考えるのは面倒くさい。とりあえずヒントだけを丸投げして、自分はさっさと学園を出て紅零を避難させれば上出来だ、そう考えて蓮は小さく頷く。今の状況を見て学園から出るのは薄情な気もするが、自分らしくて、それはそれでいいだろう? と……。

 「まぁ、時間がねぇし、ヒントだけ投げてく。つってもこの世界では意味がないけどな。次があったら、思い出せ。……まず物語をバッドエンドにしないためには四つの鍵となる人物が必要だ。二人は色を苗字か名前に持ち、二人は……俺と刹。俺と刹は次でも名前は変わらない、苗字がどうかは知らんがな。……後は鍵と共に“アイツ”……黒幕を潰せ。手段は選ばなくていい。それだけで俺たちは解放されてハッピーエンド、だ」

 まくし立てるように言った後、蓮は教卓の下から紅零を引きずり出して、窓を開け放つ。理解できていないのか、突拍子もない言葉に呆れているだけなのか湊は何も言わなかった。クスリと笑って蓮は「次があったら……また会おうぜ?」なんて言い残して窓から飛び降りた。湊がハッとしたように、引きとめようとしたがその時にはユニコーンの背中に乗って飛び上がった後だ。相変わらず常識がぶっ飛んでやがる、そんな風に呟いて湊はため息をついた。蓮のヒント、ここで使えないなら意味がないじゃないかと考えて。
 状況を確認しよう、そう考えてゆっくりと教室から出ようとした。急に目の前に現れた、小さな少年に驚いて湊は動きを止める。ニコニコと目の前で笑みを浮かべている少年の手に握っているものが見えて、引き下がろうとしたときにはもう遅い。それは容赦なく湊の目に突き立てられた。あまりの痛みに声を上げることもできずに目を押さえてしゃがみ込む。

 「ジ・エンド、ですー、光の会長さん」

 痛みにもがきながらも逃げようとする湊に少年は、馬乗りになった。恍惚とした表情で湊の喉頭にナイフを突き刺して、真横に引き裂く。もう湊は動かなかった。刺された目を手で覆ったまま、力尽きていた。手についた血を舐めて少年は笑う。辺りに散った赤を見ればより一層、楽しげに笑った。真っ白だった湊の制服が赤に染まって……、そこで少年が姿を変えた。

 「ヒントもらってもここで使えないから意味なかったですねぇー? 福バ会長も何考えてるのやら」

 少年……悠斗は無邪気に笑って、首を傾げる。血を浴びて立つその姿はまるで悪魔のようで……。
__________________________
目が、目がああああッ!!((

85霧月 蓮_〆 ◆REN/KP3zUk:2012/01/07(土) 23:32:53 HOST:i114-183-46-33.s04.a001.ap.plala.or.jp
 そんな頃、理事長室というプレートがかかった部屋には優雅に紅茶を啜りながら、本のページを捲る女がいた。本の上には血まみれで横になる湊の姿と、ほくそ笑む悠斗の姿が鮮明に描かれていた。それは、まるでフィギュアを本の上に並べているかのように飛び出している。恍惚とした表情でしばらくそれを眺めた後、不意に女はドアの方に顔を向けた。そこに立っていたのはアズラエルと一人の少年。二人の手には沢山の本が抱えられていた。少年の後ろには同じような本がいくつも固まって浮いていた。

 「あら、アズに利樹。魔道書、それで全部?」

 女の言葉にアズラエルが頷く。そうすれば女は満足げに笑って「そう。お疲れ様。今回は裏方に回ってもらって申し訳ないわね」と言った。少年は小さく首を振って「見てるだけで面白かったしそれで十分だよ」なんていう風に無邪気に笑う。変わり者ねなんてぼんやりと考える女をよそに、少年とアズは魔道書と共に奥の部屋へと姿を消した。それを見た女は深くため息をついて、足を組みなおす。
 再び本に視線を戻せば、肉塊が転がる校舎の中。女は心底楽しそうに笑った。赤に染まっている校舎が、真っ白な光の制服が、綺麗な銀色だったある少年の髪が、真っ白な肌の少女の肌が……赤く染め上げられた全てのものが女にとって、美しく見えた。スッと本に手を滑らせると一人の生徒の苦痛に歪んだ顔が大きく映し出される。それだけで女は大きな満足感が得られた。……こうでなければやっていけないなんて女は呟く。

 「おや、お姫様はまだ残酷なお話を堪能している途中でしたかー」

 ドアの方から間の抜けた声が飛んでくる。至福の時を邪魔されたとでも言うかのように女は声の主を睨みつけた。部屋に入ってきたのは悠斗だ。湊を殺したときに付いた血はすっかり綺麗に落とされていた。女の射抜くような視線も気にせずに悠斗は笑う。それを見た女はといえば不服そうに顔を逸らして、また食い入るように本を見つめ始めた。自然と口元が緩んでいく。
 その様子を見た悠斗は苦笑いを浮べながらもコーヒーを入れて、女の横に座った。ぼんやりと本に描かれた生徒達の苦痛に歪んだ顔を見て、何度か頷く。現状に満足しているとでも言うかのように……。深く息を吐いてコーヒーを啜った後、横目で女を見る。口元が緩みっぱなしの女を見て、こりゃ駄目だなんていう風に呟いて、肩をすくめる。少々不愉快そうな顔をされたけど気にしない。

 「それにしても今回は随分強引に終わらせたね?」
 「ええ、気に入らなかったから。結果、次の世界からはもう一人の俺も動くようだし、満足だよ? 湊少年がヒントを生かせるかは眉唾だけどね」

 悠斗の言葉に、女は笑った。相変わらず自由人なようだ、そう考えて悠斗は深くため息をついた。そんな悠斗の様子に女は黙って首を傾げる。しかし、女の興味はすぐに本へと戻っていく。よほど赤に染まった校舎が好きなのだろう。悠斗はぼんやりと湊を殺したときのことを考えながらコーヒーを啜る。手ごたえがなくてつまらなかったなぁ、というのが悠斗の感想なのだが。
 どちらにせよ、今までの間散々暴れることが出来たのだ。これぐらいの不満は我慢すべきだろう、そう考えて悠斗は立ち上がる。何気なく窓際に立ってみれば胸糞が悪くなるほどの晴天。学園の中では酷いことが起きたというのに、一歩外に出れば平和で、心底退屈そうな世界が広がっている。それを見ると悠斗は、やはりこの女に協力したのは正解だと思えてくるのだ。よほど退屈というものが嫌いらしい。

86霧月 蓮_〆 ◆REN/KP3zUk:2012/01/08(日) 00:02:31 HOST:i114-183-46-33.s04.a001.ap.plala.or.jp
 「さて、お姫様? 次の世界はどうするつもりかな?」

 考えるようなしぐさをする女。しばらくするとアズラエルと少年が消えた方部屋から、明るく「また学校がいいなぁ」なんていう声が聞こえてきた。その言葉を聞いた女は何度か頷いた後「こことよく似た学校でまた遊びましょう? 何度も、何度も、ね」と笑う。悠斗は少し苦笑いを浮べた後、同意するとでも言うように頷く。

 「まぁ退屈しないなら僕も文句はないからねぇー。ところでお姫様、今回は随分えぐい事をしたねぇ……生徒全殺し、って」

 悠斗の言葉を聞いた女は鼻で笑う。何、分かりきったことを言っているのだとでも言うかのように。だんだんと下がってきた眼鏡を上げて、一瞬だけ本から視線を外す。そして言うのだ。不敵な笑みを浮かべて「物語の最後なんて、惨たらしいものでしょう?」なんて。そして苦笑いを浮べる悠斗に向かって、机の上においてあった本を突きつける。

 「俺、この世界を自由に弄繰り回せるのが楽しいの。俺好みの物語がいくつも出来上がる」

 狂ったような笑い声。反響して本来の音よりも大きく聞こえる、それに悠斗は顔を顰めた。そんなことお構いなしに女は続ける。流れるように、歌うかのように言葉を紡いでいく。

 「俺が綴る悪夢は巡るの、そしてその悪夢の物語は惨たらしく幕を閉じて当然」

 そこまで言ったところで女は一瞬言葉を止めた。そしてまるで同意を求めるかのように、本を持っていない方の手を悠斗へと伸ばす。そして、まるで新しい玩具を与えられた子供のように無邪気に笑って「ねぇ、そういうものでしょう?」という。やれやれ、そんな風に呟きながらも悠斗は女の手を掴んで頷いた。それは、一人の女が綴る遊びに付き合うという意思表情。終わりまで女に協力するという誓い。……女は笑う、満足そうに笑う。
 ……そう、これはとても簡単なお話。狂った一人の女が人の命を弄んだ、そんな簡単なお話。そして小さな学園では何度も何度も悪夢が繰り返される、それだけのお話。そして、一つの始まりに過ぎないとても、残酷な序章……。

Il record dell’incubo〜悪夢の記憶〜 END
____________________________
終章というよりは、完全に序章っぽい終わり方。漂うやっつけ感((


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