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Il record dell’incubo〜悪夢の記憶〜

1霧月 蓮_〆 ◆REN/KP3zUk:2011/03/06(日) 23:06:24 HOST:i114-180-240-196.s04.a001.ap.plala.or.jp
初めまして、霧月 蓮(ムヅキ レン)と申します。ここでは始めて小説を書かせていただきます。

更新は非常に亀で、誤字脱字も非常に多いですが、生暖かい目で見てくださると助かります。
出来るだけ遠まわしに表現するように致しますが、グロイ表現が多々あります。それでも大丈夫、と言う方はどうぞよろしくお願いいたしますね。

アドバイス、感想等があれば喜んで。

一応、学園、ファンタジー、歪み、と言った感じの者が中心となっています。特殊能力が出てきたり、魔法使い吸血鬼が出てきたりと、多分滅茶苦茶です
非常に駄文で、まとまりのない文章ではありますが……。

68霧月 蓮_〆 ◆REN/KP3zUk:2011/10/23(日) 21:59:44 HOST:i121-114-185-226.s04.a001.ap.plala.or.jp
第六章 終末への歯車は狂い

 平和。体育最後何の事件も光狩りも起こらずに流れた一週間はそんな言葉がぴったりだった。闇も光を見て怪しい笑みを浮かべるだけで、実際に手を出してはこなかった。始めのうちは警戒していた湊や羽音、風雅はすっかり安心しきって自堕落モードに突入している。行事もしばらくないせいか仕事も少ないのだ。もちろん各部活からの嘆願書もあるのだがそれを確認するもの案外すぐに終わってしまうので意味がない。呆れたような表情で淡々と校内に仕掛けてある監視カメラと睨めっこを続ける優希。楓の方は黙り込んで何かを考えているようであった。そんな学園生活が一週間も続いたわけである。
 優希と楓だけはあの闇が一週間も大人しくしているのは可笑しいといって警戒を解くことはなかった。警戒を解いているのは前記どおり湊、羽音、風雅、それにプラスしてもともとお気楽人間である憐と涼ぐらいであった。もっとも憐と涼の場合はもとより警戒していないだけなのだが、高等部メンバーから見れば、二人はまだ初等部なのだから仕方ないことなのらしい。

 「近いうちに火蓋は落とされる……何とか、何とかしなきゃ……」

 ボソリと優希が呟いた。普段は一切見せないような苦悶に満ちた表情。そんな優希の様子に気づいた湊は不思議そうに優希の顔を覗き込む。その二つの瞳がまっすぐに優希を捉えて、ジッと様子を伺っている。優希は小さく、呻き声にも似た声を上げて隠し事をする子供のようにプイッと顔を逸らした。そんな優希の態度に訳が分からないと言うかのように首をかしげて、優希の顔を覗き込むのをやめた。それでも首はかしげたまま優希の様子を伺う。羽音までもが様子に気づいて首をかしげる中、風雅だけは気にも留めずにイヤホンをつけて音楽を聴いていた。駄目人間である。
 妙な沈黙が続く。誰も言葉を発することをせずに顔を見合わせていた。そんな沈黙を破ったのは乱暴にドアを開く音。飛び込んできたのは平和だった生徒会室には似合わない、血に染まった少年。呼吸のたびにもれる荒く、妙な音、ぽたぽたと滴り落ちる赤。そんな異常な状況を見て生徒会メンバー全員が思わず息を呑んだ。湊が「涼!?」なんていう風に少年の名を呼んでいるのを横目で見た後、風雅は少年、涼を生徒会室に引っ張りこんで、ソファに寝かせた。小刻みに震えて涙を流す少年を見て、大慌てで少年に近づく羽音。そしてその小さく動く唇に耳を近づける。

「憐が死んじゃった……アイツ、憐の言霊も、僕の歪曲も効かなくて……」

 かすれた声。目を見開くのは優希だ。……言霊の少女、憐。性格こそお気楽で、何でもテキトーであるがその能力は確かに学園の中じゃトップクラスのものだった。直接人の命は奪えないとしても、言葉一つで間接的に人を殺めたり、運命さえも捻じ曲げてしまうであろう能力。防御の面で言えばただひとつ、自分には一切傷がつかないなんて指定するだけで、絶対的な防御力を得ることが出来る。足が切り落とされると言えば、それも実現されるし、実際のところ勝負の勝敗でさえも言葉一つで決定してしまう、そんな能力を持った少女が殺されたと言うのだ。ありえない、そう呟いて優希はきつく手を握った。
 小さく音を立てて湊が立ち上がる。小さな声で「アイツ、実の妹を殺しやがった」と呟いて、フラフラとドアの方へと歩いていく。風雅と羽音は訳が分からないと言うように首をかしげて湊の様子を見つめていた。優希は静かに「どういうことだ? 人物が特定できたのか?」と湊に問いかけていた。もしそうならば自分が潰しに行くとでも言うかの様な表情で。ただただまっすぐと湊を見つめる。

 「言霊には一つ弱点があります。……神相手には宣言が適用されない。この学園で神の力を行使できるのは召喚能力の霧月蓮だけです」

____________________
可笑しなところで改行されてたし……orz

69霧月 蓮_〆 ◆REN/KP3zUk:2011/10/23(日) 23:59:28 HOST:i121-114-185-226.s04.a001.ap.plala.or.jp
 「ご名答。つっても力使うとこっちもきついんだがな」

 ふわりと身に纏ったロングコートを揺らして蓮が現れた。まるで挨拶代わりです、とでも言うかのように湊は蓮に殴りかかる。しかし蓮も大人しく殴られるわけもなく、少し動いただけで避けた。真っ向から生徒会メンバーからの敵意を受けながらも、蓮は深くかぶったフードを脱ぐ。フードの下から現れたのは返り血の良く映える真っ白な肌。赤と青の二つの瞳は生徒会メンバーの誰を捉えるわけでもなく、ただただぼんやりと宙を見つめる。弧を描く唇と、何の表情も浮かんでいないガラスのような瞳のミスマッチさが不気味で、背中に悪寒が走るのを優希は感じていた。
 まっすぐと蓮を睨みつけて、湊は動かない。優希は冷や汗を流しながらも蓮の様子を伺う。その後ろのソファでは羽音が苦しげに呼吸を繰り返す涼を自らの後ろに隠すように立ち、風雅は楓を守るかのように楓のすぐ傍に立つ。そんな様子を眺めて蓮ははっきりと歪んだ笑みを浮かべる。それを見てまるで噛み付くかのように湊が吼える。「なぜ自らの手で、実の妹を殺したのだ」と……。

 「っふん、宣戦布告だ。初等部の連中はとっくに動き出してしまってるぜ?」

 蓮が嗤う。湊はギリッと歯軋りをしてふざけるな、と呟いた。握った拳が無意識のうちに小刻みに震える。そんなことを無視して蓮は歩き始めていた。規則的な足音を立てて、廊下を歩いていく。聞こえてくるのは、罵声、爆発音、断末魔……。僅かに鼻を突く鉄の臭い。蓮の後を追おうとするも、その鉄の臭いに思わず顔をしかめて、足を止めてしまった。一週間は嗅ぐことのなかった、大嫌いな臭い。相当な量の血が流れているのだろうか、そう考えて湊は口を押さえる。吐き気、不快感。一週間程度でここまで耐性が落ちるものかとため息をついて、深く息を吐く。
 優希はすっかり顔を青くして辺りを見渡す。幸い生徒会室周辺では争いは起きていなかった。血が転々と落ちではいるが、生徒会室のドアの辺りで消えているのを考えると、涼のものであろう。響き渡る罵声にどう対応すべきか、必死に考えて答えを出そうとする。何も思い浮かばない。警戒していたとはいえ、あまりにも突然すぎて頭の中が真っ白になってしまっていた。火種や悪夢なんていう言葉だけが真っ白になった頭の中に浮かんできては消えていく。
 ゆっくりと蓮を追って湊は歩き出す。吐き気を必死に抑えながら、鉄の臭いのする廊下を突き進んでいく。一発でもいいから蓮を殴ってやるなんて考えて廊下を進む。後から優希がついてきているのかを確認しながら歩くためか、吐き気のせいで歩くペースが遅くなってしまっているせいか、蓮の姿は見えるか見えないかのところまで離れてしまっている。罵声や悲鳴などは大分収まったが、臭いが酷くなっているような気がして。

 「……何で警戒を解いてしまっていたのでしょうか」

 後悔しても遅い、そんなことをしている暇があったらさっさと闇の連中をぶん殴って、事態を収拾しなくては、そう考えても不思議と言葉が漏れていた。駄目だな自分、そんな風に考えてため息をつく。蓮の姿は大分遠くなってしまったが、道的に生徒会室に行くはずだ。優希が歩くスピードを速めたのを確認をして、湊もスピードを上げる。
 ……刹那、視界の端で銀が揺れた。

70霧月 蓮_〆 ◆REN/KP3zUk:2011/10/30(日) 02:48:17 HOST:i121-114-185-226.s04.a001.ap.plala.or.jp
 横一線。鈍く輝く刃が湊たちの前を横切った。ぱらぱらと数本の髪の毛が落ちていくのを見て、湊の表情が凍りつく。後数歩前に進んでいたら確実に血を流していただろうなんて考えて身体を震わせた。そんな湊の後ろで険しい表情をしているのは優希だ。胸元に手を入れて鋭い目つきで前を睨みつける。フッと湊たちの前に姿を現したのは刹。その長い銀髪の髪が、風のない校舎の中にもかかわらずふわふわと不自然に揺れていて、まっすぐに湊を見つめるその瞳には明らかな敵意と狂気が宿っていた。僅かに顔をしかめ湊は後ろへと下がる。しかし刹も逃げることは許さないとでも言うかのように、湊が引き下がった分、前へと進んでいく。
 軽い破裂音が響く。反射的に音のした方を湊が確認すると、優希が銃口を天井へと向けて刹を睨みつけていた。まるで威嚇するかのように鋭い目つき。普段優希を見慣れている湊でさえ驚くほどに鋭く冷たい表情。まるで邪魔をするなら殺すことだって躊躇わないとでも言うような……。そんなことを気にせず刹は嗤う。まるで悪魔のように刀を構え狙いを一点に定めながら嗤う。
 風斬り音と共に放たれる払い。受け止めるにも湊は刀を防げるような武器は持っていない。短く舌打ちをして半歩後ろに下がったところで、無常にも刃は湊の腹を裂く。噴出す赤と見開かれる青の瞳。痛みに声を上げることさえ忘れて湊は傷を押さえた。出血の量のわりには傷は浅いようで……鈍い痛みが続けざまに襲い掛かる。痛みに顔をしかめながらもまっすぐと刹を見れば全身に悪寒が走るのを感じた。心底楽しそうな、まるで玩具で遊ぶ子供を髣髴(ほうふつ)させるような様な笑み。窓から差し込む太陽の光が照らすその姿は余計に不気味で……。大声で優希が叫ぶのと同時に湊の意識は闇の中へと落ちていく。

 「歪曲せよ、我が言葉のとおりに。秋月湊は傷を負わなかった!!」
 
 優希の言葉の後不自然に辺りが歪む。歯車が噛み合うような音と、悲鳴にも似た甲高い音が響き渡る。刹が思わず顔をしかめると優希は勝ち誇ったように笑う。跡形もなく消え去る赤と、塞がる湊の傷。まるで何もなかったかのように、最初からそうだったとでもいうかのように、穏やかな寝息を立てている。低く舌打ちをして刹は刃を振るった。優希が黙って手をかざせば刀の軌道が不自然に曲がり床へと向かう。ありえないと呟いて刹はまっすぐに優希を睨みつけた。無表情で刹の様子を伺う優希の頬を汗が伝い落ちていく。
 呆気なく刹は刀から手を離した。地面に倒れる刀の音が思っていたよりも反響したのか少しだけ驚いたような表情をして、ため息を一つ。

 「昔よりも簡単に発動できるようにでもなったのかなぁ? 少なくとも昔は放たれてすぐの攻撃には対応できなかったよね?」

 紅零といるときは打って変わり口調を崩して刹は話す。懐かしむような声色とは違い表情は氷のように冷たく、明らかな殺意に満ち溢れていた。それを見た優希は軽く鼻で笑い「お互い様じゃないか。お前何時の間に創作能力以外の能力を使えるようになったんだ?」なんていう風に問いかける。殺気を孕んだ鋭い視線と、冷たいのにどこか悲しげな視線が絡み、互いの動きを縛り付ける。横たわる湊の吐息だけが場違いで……。
 沈黙を先に破ったのは刹だった。反響する足音と押し殺したような息の音。それらの音も静電気が発する音にも良く似た音にかき消されていく。銃声、罵声、何かが飛び交う音……辺りを忙しない音が支配していく。互いが言葉を発することはなく、ただただ相手の攻撃を防ぎ、反撃する。そんな単純な展開が永遠と繰り返されていく。余裕綽々の表情で、相手の出方を伺ってはさも愉快だと言うように嗤って、ただの様子見だと言うかのように。
 刹が氷の刃を無数に放てば優希が得体の知れぬ力で辺りを歪めてそれを防ぎ、優希が得体の知れぬ力を使って辺りを崩せば、刹は同じように得体の知れぬ力で一瞬にして辺りを修復させ。銃を放てば念動力を応用した壁を作ってそれを防ぎ、刀を振るえばその軌道を狂わせて……。遊戯にも良く似た茶番のような展開。面白くないというように刹はため息をついて、一度優希から距離をとる。

 「お互い本気でいきましょうよ。出し惜しみなどせずに」

71霧月 蓮_〆 ◆REN/KP3zUk:2011/11/21(月) 22:58:25 HOST:i121-115-42-103.s04.a001.ap.plala.or.jp
 それを合図として、真っ白な光線が放たれる。悲鳴にも似た声を上げながらも優希はどうにかそれを打ち消す。刹の口元に浮かぶ歪んだ笑みを見て、ギリッと歯軋りをして、右手を振り上げた。歪む空間と不規則な形をした欠片が刹に向かって飛ぶ。飛び交う破片は容赦なく刹を切りつけて……。挙句の果てには攻撃を放った張本人である優希まで切りつけている。攻撃を仕掛けた本人が血を流して顔をしかめているのは少々滑稽な光景であった。仕舞いには二人揃ってフラフラ。
 刹を攻撃していたはずなのになぜ自分まで、そう考えて優希は深くため息をつく。再び風斬り音。ぽたぽたと血を垂らしながら連続して刹は刀を振るう。振るわれる刀は金属の光とはまた違った怪しい光が尾を引いていき……。まるで血を望み、誘うかのようにその光が揺らいで、辺りに溶け込んで。気合を入れるためか否か優希は短く息を吐き、ただただまっすぐと刹を睨みつける。沈黙。涼しげに嗤う刹と、何処か悲しげに、それでも鋭く刹を睨みつける優希。
 妙な緊張感と、快感。なぜか張り詰めたその空気が心地よくて、優希は首をかしげた。自分はついに可笑しくなってしまったのだろうか、と。
 そんな事お構いなしに、二人の間を金の光線が引き裂く。思わず目を閉じてしまうほどに眩い光。一瞬たじろいだ後、刹は「蓮! 余計なことはするな」なんて声を荒げて言う。物陰から出てきた蓮は気だるげに「へいへい」と返事を返して、欠伸を一つ。なんとも緊張感に欠ける存在であったが、その腕の中にはつい先ほどまで床に転がっていた湊がいて、優希は思わず息を飲む。

 「んじゃ、俺はこの障害物を撤去して帰りますよっと」

 そう言って、軽々と湊を持ち上げて蓮は歩き出す。一体なんだったんだと呟く刹の表情は、明らかに不愉快そうなものに変化していた。せっかく面白くなってきたのに邪魔しやがって、とでも言うかのように。対して優希は湊が連れて行かれたことに焦りを感じていた。目の前で起こったことなのに、何もすることが出来なかった、と唇をかんで……。きつく握った拳は小刻みに震えていた。
 再び横一線。鈍い光が目の前を過ぎる。思わず仰け反る優希に向けて刹は冷たく「余計なこと考えてると殺しちゃうよ?」と言い放つ。まずは目の前の敵か、そう考えてため息をつけば、黙って拳銃を刹に向けた。当たるとは微塵も思っていないが、威嚇ぐらいにはなるだろうと考えての行動である。しかし刹は楽しげに笑って刀を構えた。腕や横っ腹から流れる血は無視して、ただただ目の前にいる優希を殺すために。

 「一つ、聞いていいか?」

 恐る恐る優希が口を開く。お預けを食らって少々不服そうにしながらも刹は「一つだけね」と言って言葉を促す。早く切りかかりたいと言う衝動を押さえ込んでいるかのようにしきりに、早くしろと言う刹に優希は思わず笑みを零した。刀とあふれ出る殺気さえなければ可愛いやつなのに、そんな風に考えて優希は笑う。

 「お前は何で光を嫌う?」

 優希の問いに刹は首をかしげる。何分かりきったことを聞いているのだろうかとでも言いたげな表情で、ジッと優希を見つめる。そしてはっきりとした声で「お姉様が光を嫌うから。後は単純に湊が嫌い。それに味方する奴も。だから僕としては湊を殺せれば満足かもね」と言った。それを聞いて半ば呆れたような表情をしながらも「なぜ湊が嫌いなんだ?」と優希は問いかける。そうすれば刹は「一つだけって言ったじゃん」と笑うのだった。


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