したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

Il record dell’incubo〜悪夢の記憶〜

1霧月 蓮_〆 ◆REN/KP3zUk:2011/03/06(日) 23:06:24 HOST:i114-180-240-196.s04.a001.ap.plala.or.jp
初めまして、霧月 蓮(ムヅキ レン)と申します。ここでは始めて小説を書かせていただきます。

更新は非常に亀で、誤字脱字も非常に多いですが、生暖かい目で見てくださると助かります。
出来るだけ遠まわしに表現するように致しますが、グロイ表現が多々あります。それでも大丈夫、と言う方はどうぞよろしくお願いいたしますね。

アドバイス、感想等があれば喜んで。

一応、学園、ファンタジー、歪み、と言った感じの者が中心となっています。特殊能力が出てきたり、魔法使い吸血鬼が出てきたりと、多分滅茶苦茶です
非常に駄文で、まとまりのない文章ではありますが……。

2霧月 蓮_〆 ◆REN/KP3zUk:2011/03/07(月) 20:12:18 HOST:i114-180-240-196.s04.a001.ap.plala.or.jp
序章 闇(ブイオ)と光(ルーチェ)の人々

 しん、と静まり返った校舎の廊下には規則的な足音だけが響いている。ここだけを切り抜くとなんとも階段に良くありそうなシチュエーションではあるが、廊下を歩いている人物……すなわち足音の主である少年は脅える素振りを見せるどころか自分の周りにすら興味を示していなかった。この少年、秋月 湊(アキヅキ ミナト)は、肩より二、三センチメートルほど長い白金の髪に深い青の瞳の持ち主である。ハーフのような顔立ちをしていて、肌の色はと言えば妙に白く病弱なイメージを受けるものだ。さらに言ってしまえば男子にしては細身で、少し力を入れただけで壊れてしまいそうなそんな脆く儚い印象を受けた。
 彼が身に纏っているのは、真っ白なブレザーで、襟や裾に黒いラインの入ったものだ。そのブレザーのボタンは全て開けられていて、下に着ているYシャツと青いネクタイが見えていた。この程度の格好が一番楽だと湊本人は思っているのだが、ブレザーの丈が少々長めなため歩くたびにユラユラと揺れてみているほうとしては非常に鬱陶しく感じる。そんな湊の胸に輝く金の六芒星のバッチには“光高等部生徒会会長”と刻まれていて湊のこの学園での地位の高さを主張し続けていた。
 しかし、現在の時刻は十一時三十分……生徒が見回りをするには少々どころかかなり遅い時間である。普通の一般生徒ならば今頃宿題に追われたり、眠りについていたりと思い思いに過ごしているころだろうか。しかしこの学園……聖鈴学園(セイレイガクエン)は違う。この学園は闇(ブイオ)の生徒と光(ルーチェ)の生徒の二つの大きなグループで構成され、その二つの争いが絶えることはほとんど無いのだ。

 「……遅れました。現在の状況は?」

 港が向かっていたのは、光高等部生徒会室というプレートのかかった教室で、中では二人の少年と、一人の少女がモニターと睨めっこをしていた。。その中の、肩より二、三センチメートルほど短い栗色の髪に、金の瞳の少年……三宮 優希(サンノミヤ ユウキ)が振り向いて少々文句ありげな表情をした後、ため息をつく。そして「相手の方は三人小鳥遊(タカナシ)三兄妹です。あれが出てきたとなると少々僕らが不利ですね。襲われている生徒は高度の自己治癒能力を所有しているため、どうにか持ちこたえています」と説明した。

3霧月 蓮_〆 ◆REN/KP3zUk:2011/03/07(月) 20:48:18 HOST:i114-180-240-196.s04.a001.ap.plala.or.jp
 湊は小さくため息をついた後「またあの兄妹ですか……仕方ないですね。僕が出ましょう」と言う。それを聞いたその場にいた三人は思わず自分の耳を疑う湊はこの学園無いでもぶっちぎってトップを争う平和主義者の二人のうちの一人であり、本気で戦うところ、さらに言ってしまえば他人相手に怒っているなんていうことを目撃したものはいないのである。まぁ、この学園の生徒会は、能力、および力の強さ、頭脳、身体能力などで決められるため、会長である湊はトップクラスの力を持っていると考えて間違えはないだろう。

 「戦う、ですか?」

 恐る恐る、というような感じで、太股のあたりのまでの長さの黒髪に、所々銀色のメッシュを入れている、薄水色の瞳の少女、月見里 羽音(ヤマナシ ハオト)が問いかけた。それを聞いて少し首を傾げた後、小さく頷いた湊は「防ぐだけでも十分戦意を喪失させることは可能ですよ。もっとも時間が掛かりそうですが、問題はないでしょう。要は襲われている生徒の回復を完了させて逃がせば言いのですから」と静かな声で言う。僅かに浮かべた笑みは、自信の表れというよりは悲しげな笑みであった……。

 そんな頃、モニターに映し出されていた部屋では二人の少女が机に座り、ただただ少年が刀を振るうのを眺めている。標的にされているのは湊と同じデザインの制服をきちんと着ている少年であった。しかしその制服は、血で紅く染まってしまっているうえに、あちこちが切り刻まれてしまっていて、かろうじてデザインが分かると言うような感じになってしまっている。逆に刀を振るっている白銀の髪、右が薄紫、左が水色の瞳に真っ黒なブレザーで襟と裾に白いラインの入った制服を身にまとった少年、小鳥遊 刹(タカナシ セツ)は全くといっていいほど傷ついておらず、返り血で制服とその髪の一部を紅く染めている程度だった。

 「あ……あぁ……」

 虚ろな目をして刹を見つめ必死に後ろへと逃げようとしている少年は斬り付けられては、傷が塞がれなんていうような堂々巡りを繰り返して疲れ果ててしまっている。自己治癒能力だなんて非常に便利なようにも感じるが、斬りつけられた瞬間の痛みをなくすことは出来ないし、簡単に死ぬことは出来ないし……もしかするとただ単に苦痛を与え続けるだけのものなのかもしれない。回復するだけで反撃は結局自分の力で行わなければいけない。攻撃には向かない能力なのだ。
 フッと机に座っていた少女の内、太股の辺りまでの白銀の髪、右が薄紫、左が水色の瞳に、黒のケープ調の上着に真っ白なリボン、真っ白なラインの入ったものに、濃い灰色のワンピース、かかとの高い白のブーツを履いている少女、小鳥遊 紅零(タカナシ クレイ)が立ち上がって、ドアを見つめる。そんな彼女の胸元には銀の六芒星のバッチが輝いていてそれには“闇中等部生徒会会長”と刻まれている。

 「さぁ……出来損ないの光の会長の登場だ……」

4霧月 蓮_〆 ◆REN/KP3zUk:2011/03/08(火) 19:14:26 HOST:i114-180-240-196.s04.a001.ap.plala.or.jp
 ダンッと少々乱暴な音を立てて教室のドアが開く。入ってきたのはすっかり息を切らして肩で息をしている湊。しかしその目だけは鋭く刹や、紅零を捉えて揺らがない。しかし机に座っているもう一人の少女には注意が行っていない様だ。逆に机に座っているもう一人の少女、踝までの白銀の髪を黒いリボンでツインテールにしていて、紅零と全く同じ制服を身に纏った、薄紫の瞳の少女、小鳥遊 月華(タカナシ ゲッカ)はスチャッと机から降りて興味ありげに紅零の横に並ぶ。ちなみに身長は非常に小さく紅零と並んで立つと完全に妹のように見えてしまう。しかしその胸には“闇高等部生徒会会長”と刻まれた銀の六芒星のバッチがつけられているため、高等部の人間であり、紅零の姉であることを示している。もっとも飛び級制度がない学園だからこそこう断言できるのであるだけなのだが。

 「久方振りですね……紅零さん、刹さん」

 静かな、それでいて威圧感の漂う声で湊は言う。それを聞いた月華は両手をバタバタさせて「ボクの方は無視かよぅ!?」なんて非常に子供っぽい声を上げた。それを聞いて僅かに表情を緩め「貴方は全く変わっていないようで。お久しぶりです月華さん」と軽く頭を下げる。だからと言って威圧感が消えたというわけでもない。単純に言えば表情が緩んだだけでその他は呼吸が安定した以外何の変化もない。
 刹が刀を振るう手を一度止めて、不思議なものでも見るように湊に目を向ける。その姿は月明かりに照らされた……悪魔。やれやれ、と小さく声を漏らした後「こんなことを言っても無駄かと思いますが……こんな無駄なこともうやめませんか?」と問いかける。刹は無言で首を傾げた後、紅零のほうを見た。紅零は嗤う。静かに嗤う……。

 「あら……やはり出来損ないは出来損ないね? 復讐を諦めた愚者なんてそんなものかしら?」

 巻き起こるのは嘲笑。静かに目を閉じて息を吸い込んだ後「はてさて……こんなことをしても“あの人たち”が戻ってくる訳ではないのに、復讐と称して殺意を他者に向ける……一体どちらが愚かでしょうかね。勿論僕も愚かである事は認めますが」と言い放つ。ギリッと歯軋りをした後、刹になにやら指示を出す紅零。嗚呼……どうやら平和的には終わらないようだ、そんな風に考えて僅かに悲しそうな表情をする湊。もっともそんなこと無意味なのは分かっているのだが。
 静かな光が刹の手に舞い降りたかと思えば、その光は一瞬にして弓矢へと姿を変える。……創作能力、自分の思い浮かべたものを作り上げる特殊な能力の一つである。高度なものになればなるほど作り上げることのできるものは緻密で、より美しいものを一度に複数個作り上げることが出来るようになる。しかし元々、その場にはないものを作り出すので必ずそのものは三十分の間に形を崩してしまうなんていう不便な点も多々ある。所詮能力なんてそんなものなのだ。メリットがある分それに見合ったデメリットが必ずある。それが身体的な面か、精神的な面かは問わずに、だ。

 「……戦うつもりはないのですが?」

 そんなことを言ったところで刹は問答無用で弓矢を放つだろう。そう想像してすっかりため息をつくことぐらいしか出来なくなってしまう湊。案の定、だ。刹は優しげなそれでいて悪魔のような笑みを浮かべて弓を放つ。それに大人しく当たるか、と問われれば流石に否な訳で、とりあえず湊はヒラリと矢を避けることにする。能力を使えば早いのではあるのだが、湊の力はある条件が揃わないと使えないのだ。それ故に湊が能力を使うことは非常に少ない。まぁ結局ピンチに陥ったときはかなり強引にでも条件を揃えたりもするわけなのだが。

5霧月 蓮_〆 ◆REN/KP3zUk:2011/03/09(水) 20:38:05 HOST:i114-180-240-196.s04.a001.ap.plala.or.jp
 ヒラリ、と一片の花弁が舞った。湊の手から不可思議な蔓が伸びて刹の手足を絡めとり、動きを封じ込める。条件が揃っていない状態で使える最小限の能力……先ほど条件が揃わないと能力は使えないと言ったばかりだったか。では訂正しよう。湊の能力は四つありそのうちの二つは条件が揃わないと使えない謎の能力、後の二つは植物を自在に操る植物操作と幻術などを見せ正常な視覚情報を奪う、視覚掌握である。二つの能力とも非常に高度なものであり、それ故に湊のことを悪魔と呼ぶものも多い。もっとも湊がこのような能力を使うのはあくまで防衛のためであり、攻撃のためではないのだが。
 静かに紅零が手を動かす。一瞬にして蔓があっけなく朽ち果ててしまう。それを見てクククッと不気味な笑みを浮かべた後「忘れたのかしら? 俺の一つの能力、能力掌握の力を」と静かに告げる。能力掌握……他者の能力を一時的に奪い取り、自分のものにしてしまう能力である。勿論奪い取るといっても、劣化版複製に近いものであり、元の能力よりは劣る能力になることが多い。その辺はあくまで能力の持ち主の体調と気分によって変動するものであってなんとも言えないところがあったりもするのだが。
 弓を刀へと変え、スイッと湊の首筋に鈍く光る刃を当て「所詮はそういうことです……。貴方はいつまで経っても出来損ない」と刹が嗤う。フッと虚ろな目をしていた少年の横にも湊が姿を現して、少年に立つように指示をしていた。ヒュンッという風斬り音がして、刀が振り下ろされる。

 「残念でした。本物はこっちです」

 弱弱しくも自分の足で立ち上がった少年を庇いながら湊が静かに告げた。その瞳に宿る光は強い意思。相手に攻撃の意思を見せないことを誓いながらも、自分の後ろに隠した少年は守るという絶対的な意思の光。振り返った刹は無言で息を呑む。湊の目に宿った光は闇に墜ちた彼等にはあまりにも鋭すぎて……。

 「っはは……クソが!! お前がいなければ全て何事も無かったように回っていた!!」

 吐き捨てるように、あまりにも突然刹が叫んだ。突然すぎて話の繋がりが見えずに黙って首を傾げる月華。紅零は腕を組み、刹の後ろから、湊を睨みつけている。刹と、紅零……どちらの目にも宿っているのは闇……。信じることを忘れ。疑うことしか出来なくなった悲しき闇……。そんな闇が湊には暗すぎて……。
 ギュッときつく拳を握って湊は叫ぶ。「ええ。全ては僕のせいです。だから恨むのなら僕を恨め!! 関係のない人に刃を向けるな!!」と。小さく肩を揺らしながら、刀を銃に変える刹。引き金を引こうとする刹を制そうとする紅零……。撃たれてしまわぬ内に、少年を逃がそうと窓を植物で叩き割り、抱きかかえるような形で飛び出す湊。ユラリユラリと湊に近づく刹。
 嗚呼……無情にも悪魔の弾丸が放たれる。パン、という人を殺すにしては間抜な音と同時に、窓から飛び出して少年を突き飛ばした湊の肩から鮮やかな紅が噴出す。
 肩を押さえそれでも植物を操作して少年を地面に叩きつけられないようにする。自分よりも他人……それが秋月湊という少年の生き方なのである……。

 NEXT Story〜第一章 光(ルーチェ)の人々〜


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板