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( ^ω^)文戟のブーンのようです[3ページ目]
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≪とりあえずこれだけ分かっていれば万事OKなQ&A≫
Q.ここってどんなスレ?
A.お題に沿った作品を指定期間内に投下
投票と批評、感想を経て切磋琢磨するスレ
Q.投票って?
A.1位、2位とピックアップを選ぶ
1位→2pt 2位→1pt で集計され、合計数が多い生徒が優勝
Q.参加したい!
A.投票は誰でもウェルカム
生徒になりたいなら>>4にいないAAとトリップを名前欄に書いて入学を宣言してレッツ投下
Q.投票って絶対しないとダメ?
A.一応は任意
しかし作品を投下した生徒は投票をしないと獲得ptが、-1になるので注意
Q.お題はどう決まるの?
A.前回優勝が決める。
その日のうちに優勝が宣言しなかった場合、2位→3位とお題と期間決めの権利が譲渡されていく
Q.使いたいAAが既に使われてる
A.後述の「文戟」を参照
詳しいルールは>>2-9を参照してください!
また雰囲気を知りたい方は
スレ1
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1531744456/
スレ2
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1533540427/
へGO!!
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(//、^*川「――ふふっ」
(//、`*川「私も、私にとって」
(//、-*川「貴方との生活は」
(//、^*川「とっても『美味しい』ものでしたわ――」
もぐ、もぐ。
(//、`*川「――ご主人は、お好きなものは最後に食べるんですのね」
もぐ、もぐ。
(//、`*川「ねぇ、その果実。それが『甘酸っぱい』んですの」
もぐ、もぐ。
(//、`*川「あの日の答え、教えて差し上げますわ」
もぐ。
(//、-*川「『甘酸っぱい』っていうのは――」
ごくん。
.
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_、_
( ,_ノ` )「馬鹿野郎、随分な場所におっ建てやがるじゃねぇか……」
店に入ってくるなり、男はそうこぼした。
厚手の合皮で出来たロングコートを着ていても筋肉質な体つきである事が分かる。
(´・_ゝ・`)「コートは入り口のポールにでも掛けてください」
僕はそれだけ言うと、コップに氷と水を注いで、カウンターの上に乗せた。
_、_
( ,_ノ` )「おいおい、俺は客じゃねぇぞ」
(´・_ゝ・`)「入り口からご入店いただいた以上、誰もお客様です」
_、_
( ,_ノ` )「変わったやつだな。このご時世に料理なんてよ」
(´・_ゝ・`)「好きなんです。それじゃ駄目ですか?」
_、_
( ,_ノ` )「この地下都市で、他人のために何かやることに意味なんてねぇだろ」
(´-_ゝ-`)「食べてくれた人が、美味しいって笑ってくれれば、それで」
_、_
( ,_ノ` )「やっぱりあんた、変わりもんだ。もしくは筋金入りの"偏執狂《パラノイア》"だ」
(´-_ゝ-`)「……そうかもしれませんね」
男はそれに答えることはせずに、お冷の乗ったカウンターの前に座る。
光線銃は手にしていない。
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_、_
( ,_ノ` )「闇市で買った天然素材で作った、前時代の美食を振る舞う……ねぇ」
(´・_ゝ・`)「ちょっとしたコネクションがね」
_、_
( ,_ノ` )「土竜あたりか?」
(´・_ゝ・`)「まぁ、そんなとこです」
_、_
( ,_ノ` )「これだけの規模とメニューだ。金もかかるだろうに」
手元のメニュー表を開きながら、男は顎を撫でる。
(´-_ゝ-`)「焚書士時代に、ちょっとね、色々」
_、_
( ,_ノ` )「言わなくても大体分かるよ。蔵書のたぐいは闇市でも人気の品だ」
(´・_ゝ・`)「それで、お客様、今日は何をお召し上がりになりますか?」
_、_
( ,_ノ` )「だから、俺は客じゃね――」
(´-_ゝ-`)「"反乱分子《レジスタンス》"に正義の鉄槌を下す、勇敢なトラブルシューター様、ですか?」
_、_
( ,_ノ` )「――もういい」
(´・_ゝ・`)「さ、ご注文を」
_、_
( ,_ノ` )「……分かんねぇよ。俺のクリアランスに開示されてる情報じゃ、どれが美味いのか分からん」
(´^_ゝ^`)「どれも美味しいです」
_、_
( ,_ノ` )「――それじゃ、お前のオススメをくれ」
_、_
( ,_ノ` )「美味かったら、見逃してやる」
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(´・_ゝ・`)「……それじゃ、これなんていかがですか?」
僕は、彼の手からメニューを受け取ると、あるページを開いた。
_、_
( ,_ノ` )「……なんだこの、三角形。黄色と白と赤って、本当に食い物か?」
(´・_ゝ・`)「味は、保証しますよ」
_、_
( ,_ノ` )「ほぉ……どんな味なんだよ」
(´-_ゝ-`)「――大変失礼ですが、お客様、恋人がいた経験はおありですか?」
_、_
( ,_ノ` )「なんだ藪から棒に。それと味が関係あるのか?」
(´・_ゝ・`)「大いに」
_、_
( ,_ノ` )「恋人なんて、コンピューター様が管理しているこの社会で、持ってるやつのほうが異常だぜ?」
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(´・_ゝ・`)「それじゃ、きっと、この味は」
(´^_ゝ^`)「お気に召すと思いますよ」
_、_
( ,_ノ` )「なんだそりゃ」
(´・_ゝ・`)「だって、その味は――」
(´・_ゝ・`)Strawberry On The――のようです(//、`*川 【了】
.,
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うおおおぉぉおつ!おつ!好き!
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ミセ*>ワ<)リ「っしゃぁっ!! どやぁっ!!」
ミセ*>ワ<)リ「初めて"デミペニ"使ったけど、いいねっ! いいねでしたっ!」
ミセ;゚д゚)リ「ってもぉこんな時間!?」
ミセ;゚д゚)リ「明日もしご――」
ミセ;゚〜゚)リ「学校早いのにぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
ミセ*>ワ<)リ「夜更かしは美容の大敵だからもう寝るねッ!」
ミセ*>ワ<)リ「それじゃ皆、ちゃんと読んでねぇ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」
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爪;'ー`)y- 「今日、夜遅くまで仕事があるんだ」
爪'ー`)y- 「帰ってきたら投下すれば、セーフだよな?」
爪'ー`)y- 「今回も力作ぞろいで読み応えあったぜ。残りも楽しみだ」
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投下するよー
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(0)
安らぎを得られる時間とはどこだろう?
熱した頭で椎名は思考に耽っていた。
睡眠を回答にする人間はそれなりにいそうだ。
確かにそうだなぁと共感を持てる。
食事や入浴を回答にする人間もそれなりにいそうだ。
羨ましいというよりは妬ましい。
不特定多数に敵意を向け、椎名は手を真っ直ぐに伸ばした。
長方形の鏡に触れ、水蒸気を軽く拭う。
傷を抉る行為だった。既に不快なものを見ているというのに。
それでも止める事は出来なかった。
数秒もしない内に自身の全体像が露わになった。
シャワーに打たれ続けている女が、棒切れのような脚で立っている。
(#゚;;-゚)「はぁ……」
今日も椎名は醜かった。
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(1)
ミセ*゚ー゚)リ「おーい、起きてますかー」
(*゚ー゚)「……え? ああ、うん」
ミセ*゚ー゚)リ「どうしたん? 寝不足?」
教室の机に身を預けていた椎名に、芹沢が声を掛けた。
(*゚ー゚)「いやさ、つい遅くまで机に向かっちゃって」
丁度大学受験を控えている時期だ。
誤魔化すためのカードはすぐ手元にあった。
ミセ;゚ー゚)リ「真面目だねー……しぃちゃんは。
私なんて駄目だよ、快眠続き」
(*゚ー゚)「そんなことないよ。ただちょっとブレーキが効かなくなっただけ」
椎名は立ち眩みを覚えながら帰り支度をした。
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ブレーキが効かなくなった、というのはあながち嘘でも無い。
いわゆるやけ食いというやつだった。中々合格ラインを越え切れない。
そんな焦燥がストレスの種になり、手軽な発散方法を作ってしまった。
ここ半年ほどの椎名は就寝時間が遅くなっていた。
置かれている状況から、両親もどちらかと言えば応援する側だ。
時折夜食まで運んでくれるのだから感謝以外無かった。
しかし、食事に安らぎを見出しすぎてしまったのはこれが原因かもしれない。
ついには自ら買い溜めをし、菓子パンを摂取する毎日。
気づいた時には体重計の一の位が上がっていた。
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ミセ;゚ぺ)リ「んー、昔の感覚で買っちゃうと太る気がするんだよねぇ」
帰路の途中で寄ったコンビニで、芹沢は食べ物を物色していた。
(;*゚ー゚)「昔って、半年も経ってないでしょうに」
ミセ*゚ー゚)リ「いやーハタチで人生折り返しって言うでしょ?
あれは嘘だねきっと。多分部活やめたら折り返しだよ。
もうあっという間。あーあ、そろそろ私もおばちゃんかぁ」
(;*゚ー゚)「その理屈だと部活入ってなかった私はどうなるの?」
ミセ*゚ー゚)リ「えっ、まあ長生きすんじゃない?」
(;*゚ー゚)「雑だなぁ……」
椎名は棚から適当にメロンパンを取り、芹沢も悩む事に飽きたのか同じものを取った。
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会計を終え、店を出た二人は既に封を開けていた。
値段なりの味を楽しめる程度の話に花を咲かせ歩く。
椎名は今だけを考えるように努め、いつも通りの日常を過ごした。
やがて当たり前の別れが訪れる。
芹沢の影が完全に遠ざかると、張っていた気が瞬く間に緩んだ。
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駅のトイレに駆け込み、無理やり嘔吐した。
良くない行為だとは分かっている。なのに体重が気になってしょうがない。
多分病気なのだろうが、通院する時間も勉強に当てたかった。
加えて親にこんな事を言いたくはない。根本的に椎名は見栄を張る人間だった。
可否はともかくとして、椎名は高校を卒業するまで意地を通し続けた。
途中から胃の中身が自然と上がってくるようになった。それでも醜態を晒さないように努めた。
その結果、逃げた。
ほとんど生活の体を成していない一人暮らしを始めた。
死ぬ気で入った大学では単位をかき集めるのが精一杯だった。
キャンパスライフという幻想はあっという間に崩れ去った。
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(2)
椎名は夜が好きだ。
唯一の安寧である眠りが取りやすい時間だ。
しかし、それはそれで虚しかった。
どこに救いを求めているのか、という問いの答えが見えてしまいそうだから。
ただ、夜が好きな理由はもう一つあった。
こうして外に出る際に誤魔化しやすいのは大きな利点だ。
着こなせもしない標準サイズのニットを身に纏いながら、目的地へ足を進めた。
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相も変わらずに毒々しい。
向かっていた場所に到着した椎名は少したじろいだ。
常時クリスマスシーズンを迎えているような外装だ。
寒色と暖色を詰め込んだ蛍光色のライトが目に差す。
防音しきれないノイズが耳を突き刺す。隣接する歩道の隅で騒ぐ学生で頭が痛い。
椎名は少し身を縮こまらせながら、ライブハウスの中へ入った。
ドリンク券と水で割ったようなビールを交換し、客席の後方に立つ。
ステージ上の明かりに近づいて姿が照らされるのは嫌だ。
熱狂に乗るのも難しい。なんとか場に溶け込めそうなのはこのポジションだった。
苦労の対価として楽しみが見合うのかは分からない。
それでも好きなバンドが近くに来たのだから聴きに来ようと思った。
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多分、椎名が高校生ならのめり込まない演奏が始まった。
その理由は大人になったからでもなんでもない。
メジャーなものが受け付けなくなってしまっただけ。
そんな、中学生まで退化しているような笑えるものだった。
別に人との違いを作るために聴いている訳ではない。
寧ろ違いなんて作りたくなかったのに、ここに収まってしまった。
もう愛の言葉は聞きたくない。
今の椎名には到底重ねる事が出来ない。
結局、あなたとか君なんてどこにもいないのだから。
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目が巻き髪で隠れているボーカルが気だるい生活を歌う。
椎名がリピートしている曲だった。聴衆は静かに熱狂している。
なのにどうしてだろう、鳥瞰してしまう自身に気がついた。
ここに集まったファンは似たような思いを抱いているはずなのに、疎外感を覚える。
分かっている。一ミリ単位も狂いがない共感なんて無い。
分かってはいるのに、結局全員他人なんだなと、当たり前の事が胸を重くさせる。
私は何を求めに来たのだろうと、椎名はノイズを聞き流し続けた。
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(,,゚Д゚)「姉ちゃん一人かぁ? 俺と遊ばねぇ?」
俯きながらライブハウスから出ると、一人の男に絡まれた。
顔を上げて分かったが、キャッチという格好には見えない。
恐らくは椎名と同じような年代の学生だった。
半端に茶色が混じった髪をした男は、如何にも酒気帯びといった様相だ。
普段なら軽く断って人混みに逃げるという選択肢もあった。
だが、その日の椎名は無視をしてフラフラと歩くしか無かった。
(,,゚Д゚)「おい聞いてんのか!」
(;*゚ー゚)「……っ!」
-
後方から男に手首を握られた。
チークや服なんかでは誤魔化せない、椎名の中身だった。
(,,゚Д゚)「……は?」
気の抜けた声が聞こえる。
椎名は男を振り払い、足早に去っていく。
(,,゚Д゚)「……きっしょ」
背中に突き刺さった言葉を拭い去る事は、椎名にとってはあまりにも困難だった。
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(3)
電車に乗る素振りもなく、椎名は夢遊病患者のように彷徨っていた。
駅と隣接したコインロッカーに荷物も置いたままだ。
代わりに持っていたのはビニール袋だった。
椎名は中身をあまり把握していなかった。
取りあえず酔っているのだからアルコール類かと推測する。
やがて歩行すらままならなくなり、何か柵の様なものに上半身を預けた。
(*゚ー゚)「……」
視界に映った暗い水面に椎名は少し慄いた。
遠い。
どうやらここは高架橋らしい。
後方から聞こえるエンジン音や、覚束ない視界で把握出来る外装を見るにそうだろう。
歩道があって助かったと言うべきなのだろうか。
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少し強い風が吹き、地面との接触が薄くなった。
痩身と呼ぶにも足らないような細切れに、アルコールは重すぎた。
まともに食いつなげていないのなら尚更だ。
もしかしたらこのまま身を投げてしまうかもしれない。
そして、それは椎名にとっては悪い選択ではない。
とっくに辿り着いていた結論ではあった。
椎名はビニール袋に手を伸ばした。
ロシアンルーレットのそれに近かった。
引き金に見立てた缶を漁るが、中々掴めない。
これは始める前に終わってしまう可能性も出てきたなと笑う。
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(*゚ー゚)「……ん?」
椎名は明らかな異物感を覚えた。
その正体を暴こうと悪戦苦闘する。
缶の手触りでは無いそれは、水気で滑って中々取り出せなかった。
なんとか掴み、思いっきり引っ張り上げると、釣られて缶一本が水底に沈んで行った。
あーあ、と椎名は橋の下を覗く。一回分損してしまった。
まあいいやと気を取り直し、手に持っているものを目にした。
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(*゚ー゚)「……うわぁ、なつかしー」
何の変哲もないメロンパンが包装されていた。
椎名は特に躊躇もせず、封を開けて中身を唇の前まで運んだ。
溶けた脳のせいか、投げやりになっているせいかは分からない。
分からないが、一瞬身体が震えただけで口は開き、舌に甘味が広がった。
(*゚ー゚)「あんまおいしくないやこれ」
いくらで買ったかは忘れたが、値段相応のそれだった。
それでもあの頃は幸福感に包まれていた。
それどころか、今だって同じだった。
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(*゚ー゚)「……あーもうやだなぁ」
その場にへたり込んで、腰を地面に預けた。
パンを掴んでいる手から伸びた腕を見る。
こんなもののために何を捨てた?
数えるだけ無駄だった。
ただ分かっているのは、自らの安寧が一つだけ戻った事だった。
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(*゚ー゚)「……冬眠しよ」
ひたすらに食べて食べて寝る。
もうそれだけで良い。今の椎名は幸せを安く買い叩ける。
ずっとは続かないのも理解していた。いずれは行き詰る時がやってくる。
それでもまだ見ぬ春を待ちながら、眠り続けてみようと思った。
今思えば死ぬのなんて馬鹿らしい。一回しか寝られない。
椎名はなんとか立ち上がって埃を払った。
(*゚ー゚)「帰ろ」
幸せの種を頬張りながら、あの頃のように帰路を進んだ。
(*゚ー゚)は拒食症だったようです 了
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以上!
滑り込み回避出来てよかったー
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('、`*川「ギリギリになっちまったが投下するよー」
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(-@∀@)「お隣さんから栗をもらってしまった」
(-@∀@)「A4サイズの封筒いっぱいに入れるとはなかなか…」
(-@∀@)「どうしようかなぁ」
(-@∀@)「とりあえず半分くらい茹でてみるか」
24センチの鍋に栗と水をを入れる。これだけでもいっぱいいっぱいだ。
(-@∀@)「何分茹でたら良いかわかんないし、とりあえず十分?」
(-@∀@)「タイマーオン!」
(@∀@-)「開いた時間で課題ー課題ー」
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ピピピピピピピピ
(-@∀@)「んー?もうたったの?」
(-@∀@)「どれどれー」
(#-@Д@)「あっづ!!!!」
(;-@∀@)「くそ…栗なんか素手で触るんじゃなかった」
(-@∀@)「とりあえず切ってみるか」
(-@∀@)「あま○りむいちゃいましたの爪を使おう」
(-@∀@)「よいしょっ」
(-@∀@)
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(#-@∀@):
:(#-@Д@):
:(#-@Д@):「あああああああ!!!!!!」
(;-@∀@)「むり…かてぇ…」
(;-@∀@)「大人しく包丁使うか」
(-@∀@)「せいやぁ!」
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(@∀@-)
(-@∀@)
(@∀@-)
(-@∀@)「おかしいな、栗が消えたぞ。そして向こうの部屋に転がっている」
(-@∀@)「おかしいなぁ、ちょっとググってみるか」
(-@∀@)
(-@∀@)「あー…うん。なるほどね」
(-@∀@)「30分は茹でなきゃダメなのかぁ」
(-@∀@)「…」
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鍋の栗をザルに開け、玄関へ向かう。
そして貰った人とは反対のお隣のインターホンを押した。
「はーい」
ガチャ
ミセ*゚ー゚)リ「お、朝日やんけ。どないしたん?」
(-@∀@)「三瀬ちゃん、栗好き?」
ミセ*゚ー゚)リ「栗⁈めっちゃ好き!もしかしてその手にあるのは…」
(-@∀@)「栗」
ミセ*゚ー゚)リ「…くれたりとか」
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(-@∀@)「あげに来た」
ミセ*゚ー゚)リ「やーん!朝日まじ神!!愛してるー!!」
(-@∀@)「どーも」
ミセ*゚ー゚)リ「どうしよっかなー、栗ご飯?甘露煮も捨てがたい…」
(-@∀@)「あー、あのさ」
ミセ*゚ー゚)リ「なに?」
(-@∀@)「もし何か作ったなら、お裾分けしてくれる?」
ミセ*゚ー゚)リ「モチのロン!それくらいはするよ!!」
(-@∀@)「ありがとう」
ミセ*゚ー゚)リ「お礼を言いたいのはこっち!!ほんとありがとう!!美味しいの作るから!!」
ミセ*゚ー゚)リノシ「ほなな」
バタン
(-@∀@)
(-@∀@)「…作れる人が作るべきだよね!」
みかくの飽きのようです
【了】
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('、`*川「はいしゅーりょー」
('、`*川「短編とも呼べないね、この長さだと!」
('、`*川「まぁ、誰かの生活の一片とでも思ってもらえれば良いかな?」
('、`*川「ほのぼのっぽいの書きたかったし」
('、`*川ノシ「じゃね」
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( ^ω^)「今回も見事に化け物揃いで良い感じに怖いお」
( ^ω^)「みんな乙だお!」
( ^ω^)「そしてどうにか形になったので投下するお!!!!っぶね〜〜〜〜!!!!」
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ξ゚⊿゚)ξ こんにちは、しぃさん
(*゚ー゚) 誰……?
ξ゚⊿゚)ξ 私はツン。帝国軍の少尉よ
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ 危害は加えないから身構えなくていいわ
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ 話の前に確認したいのだけど、ギコという獣人を知ってる?
(*゚ー゚) ……私の、恋人です
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ 戦争で亡くした恋人で、間違いないかしら
(*゚ー゚),, コクリ
ξ゚⊿゚)ξ 私、彼を殺したわ
(*゚ー゚)
(*゚ー゚) え
-
ξ゚⊿゚)ξ 詳しく聞きたいかしら
(*゚ー゚)
(*゚ー゚) はい
ξ゚⊿゚)ξ ありがとう
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ 少し唐突なんだけどね……
ξ゚⊿゚)ξ 私の乗ってた艦が沈んで、仲間達と無人島へ漂着したの
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ 同じ頃にギコ二等兵の乗ってた艦も沈んで、同じように漂着したらしいわ
ξ゚⊿゚)ξ やっとの思いで辿り着いて、私達は安堵したわ
ξ゚⊿゚)ξ 後に聞くと、彼も同じ思いだったと言ってた
-
ξ゚⊿゚)ξ お互いに敵と遭遇するとは思っていなかったから、半ばパニック状態で
ξ゚⊿゚)ξ 半日位だったかしら。皆無我夢中で殺し合って
(*゚ー゚) ……ギコくんは、その時に?
ξ゚⊿゚)ξ いえ。彼は生き残ったの。私と彼だけは、生き残ったの
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ 私達は臆病だった
ξ゚⊿゚)ξ 最後の一人と向かい合った時、互いに撃つ事ができなかった
ξ゚⊿゚)ξ 無言で銃を捨てて、それぞれの仲間を埋葬したわ
ξ゚⊿゚)ξ けど私はね、いつ襲われるか気が気では無かった
ξ゚⊿゚)ξ まぁ後で聞いたけど、彼にはそんなつもりは一切無かったの
ξ゚⊿゚)ξ 何故なら、彼は私に貴方の面影を見ていたから
(*゚ー゚)
-
ξ゚⊿゚)ξ けれどお互いにそんな事を知る由もなかった。話をしなかったから
ξ゚⊿゚)ξ そのまま二週間程度だったかしら
ξ゚⊿゚)ξ レーションで命を繋ぎながら救助を待ったわ
ξ゚⊿゚)ξ 本当はお互いに乗ってきたボートで逃げる事が出来れば良かったんだけど、戦闘で壊れてしまったからそれも出来なかった
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ やがて食料も切れて、私達は飢えた
ξ゚⊿゚)ξ 彼は木の根を齧り、草を食みながら飢えを凌いでいたけど、私には食べられる植物の知識なんて無かった
(*゚ー゚) ……彼、自然が好きだから
ξ゚⊿゚)ξ ……そうだったのね
(*゚ー゚)
-
ξ゚⊿゚)ξ そんなある日、見かねた彼が私の元へ食べられる植物なんかを持ってきてくれたの
ξ゚⊿゚)ξ けれど、私は彼を信用していなかった
ξ゚⊿゚)ξ 今にも空腹で死んでしまいそうだった事もあって、それはフルコースにも勝る品々にも見えた
ξ゚⊿゚)ξ けど、繰り返すけれど、私は彼をこれっぽっちも信用していなかった
ξ゚⊿゚)ξ ……いえ
ξ゚⊿゚)ξ 正確には、獣人を
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ フィレンクト大佐ってご存知かしら
(*゚ー゚) いえ
ξ゚⊿゚)ξ そう。帝国では有名なんだけどね
ξ゚⊿゚)ξ 私の父なの
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ ……まぁ、それは後で話すとして
-
ξ゚⊿゚)ξ そんなある日、見かねた彼が食べられる草や木の根を持ってきてくれたの
ξ゚⊿゚)ξ けど、さっきも言った通り、私は彼を信用していなかった
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ 彼の手を、思い切り振り払った
ξ゚⊿゚)ξ 「獣人風情の施しなど信用できるか」……だとか、酷いことを言った気もする
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ けど、彼は怒らなかった
ξ゚⊿゚)ξ それどころか、その中の一つを拾い上げて、私に見せるように食べたの
ξ゚⊿゚)ξ 「どうだ、平気だろ」って
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ それを見て、私は赤子のように泣いてしまった
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ それから必死になって草を貪ったわ。彼が驚くくらいに
-
ξ゚⊿゚)ξ そして、少しずつ、少しずつ色々な事を話したわ
ξ゚⊿゚)ξ 故郷の事、家族の事、軍に入ったきっかけ、戦争の事、あなたの事も
ξ゚⊿゚)ξ そして、将来の「夢」
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ 彼の夢は……
(*゚ー゚) 彼の夢は、猟師になる事だった。故郷で、猟をしながら私と一緒に暮らす事が
ξ゚⊿゚)ξ,,
ξ゚⊿゚)ξ 彼は良い人だった。本当に、本当に良い人だった
-
ξ゚⊿゚)ξ なんの夢も無く、暗い目的の為に軍人になった私には無い物を、沢山持っていた
ξ゚⊿゚)ξ とても羨ましかった
ξ゚⊿゚)ξ そして、生まれてから初めての、憎しみを感じない獣人だった
(*゚ー゚) ……なら
(*゚ー゚) どうして、殺したんですか……
ξ゚⊿゚)ξ
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ ……励まし、助け合いながら、更に一週間の時を過ごした
ξ゚⊿゚)ξ それでも明らかに限界は近付いていた
ξ゚⊿゚)ξ そして、その限界が近いのは彼の方だった
(*゚ー゚)
-
ξ゚⊿゚)ξ 獣人と人間では身体構造に違いがあるの
ξ゚⊿゚)ξ 雑食性の人間と、肉食寄りの雑食性である獣人ではね
(*゚ー゚) ……はい
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ ……だから、私は彼に。自分の肉体を食べて貰おうと思った
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ 今思えば、本当に愚かだった。彼がそんな事を許す筈が無かったのにね
ξ゚⊿゚)ξ 彼に、私の肉体を食べて欲しいと伝えた
ξ゚⊿゚)ξ 当然彼は怒った。どこにそんな体力が残っていたのかと驚く位の剣幕で
ξ゚⊿゚)ξ けど、私も引けなかった。その位彼に対して恩義を……
ξ゚⊿゚)ξ ……いえ。正直に言うわね
ξ゚⊿゚)ξ その位、彼の事を愛していた
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ ……気味の悪い事を言ってごめんなさい
(*゚ー゚) ……いえ
-
ξ゚⊿゚)ξ ……それで、彼に……
ξ゚⊿゚)ξ 酷く、侮辱的で、差別的な言葉をぶつけた
ξ゚⊿゚)ξ 私に対して憎しみを抱くような、酷く尊厳を傷つけるような、そんな言葉をぶつけた
ξ゚⊿゚)ξ ……そうすれば、私に対して殺意を覚えてくれるかも、なんて思った
ξ゚⊿゚)ξ 結果は、真逆だった
ξ゚⊿゚)ξ 彼は、深く傷付いた顔をした後に
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ 悲しそうな、安堵したような笑顔で
ξ゚⊿゚)ξ 拳銃で、自分の頭を撃ち抜いたの
(*゚ー゚)
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ξ゚⊿゚)ξ 私は理解出来なかった。彼の遺体に擦り寄って、赤子のように泣き叫んだ
ξ゚⊿゚)ξ 自分を責めて、泣いて。罪悪感で死んでしまいそうだった
ξ゚⊿゚)ξ けど、彼が最後に浮かべた笑みの理由に至った時
ξ゚⊿゚)ξ 絶対に死ぬ事は出来ないと思った
ξ゚⊿゚)ξ 彼は、私なら。獣人を、人以下の家畜だと言い放った、私なら
ξ゚⊿゚)ξ その身を食べて、生きるだろうと、そう思ったに違いなかったから
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ だから死ななかった。死ねなかった
-
ξ゚⊿゚)ξ 私は、彼を食べた
ξ゚⊿゚)ξ 彼の腕を、脚を、心臓を
ξ゚⊿゚)ξ 可能な限り、全てを食べた
ξ゚⊿゚)ξ お陰で、私は助けが来るまで生き延びることが出来た
(*゚ー゚)
(*゚ー゚) それを
(*゚ー゚) それを聞いた私は
(*゚ー゚) 貴方を殺したいと思っている私は
(*゚ー゚) どうしたら
(*゚ー゚) どうすればいいんですか
-
ξ゚⊿゚)ξ
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ 私の父の話をするわね
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ ……フィレンクト大佐。帝国ではその名前を知らない人間は居ない
ξ゚⊿゚)ξ 父は、貴方達の国へ使者として訪れた
ξ゚⊿゚)ξ 平和的な交流の為。両国発展のための架け橋として
ξ゚⊿゚)ξ 元々、軍でかなりの戦果を上げていた事もあってね
ξ゚⊿゚)ξ あなた達の国には軍事面での視察と、指導も兼ねて訪れたようなの
ξ゚⊿゚)ξ けど、帰らぬ人となった。暗殺されてね
-
(*゚ー゚) ……思い出しました。開戦のきっかけの一つになった、要人殺害事件
ξ゚⊿゚)ξ,,
(*゚ー゚) けど、それは――
ξ゚⊿゚)ξ えぇ。これは獣人による犯行では無かった
ξ゚⊿゚)ξ 父と同じ、私達人間によるものだったと。私は最近になって突き止めた
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ あの人は元々、貴方達獣人と、差別のない交流を実現したかったそうよ
ξ゚⊿゚)ξ まぁ、私がそれを知ったのは戦争が終わってからなのだけど
ξ゚⊿゚)ξ けど、当時の帝国では獣人による犯行として極めて大々的に取り上げられた
ξ゚⊿゚)ξ 口封じの為に、情報統制を行った人物が殺害され、更に殺害を行った人物が殺害される程、厳重に情報が規制された
ξ゚⊿゚)ξ ……そして、それを指示したのが、現在の総統なの
-
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ それから間も無くして母が亡くなった
ξ゚⊿゚)ξ 死因は事故死。列車の大規模な脱輪事故で、百人近い人達と一緒に亡くなったわ
ξ゚⊿゚)ξ それも、誰かが仕組んだことなのかは今となっては分からないわ
ξ゚⊿゚)ξ そんな、天涯孤独の身となった私を救ってくれたのは、軍だった
ξ゚⊿゚)ξ 幼い私は愛国心を徹底的に叩き込まれたわ
ξ゚⊿゚)ξ 獣人を憎み、祖国を愛し、父の仇をとる為に
ξ゚⊿゚)ξ そんな私はまるでマスコットのように昇進を繰り返し、気が付けば少尉にまで成り上がっていたわ
ξ゚⊿゚)ξ 獣人のせいで父を亡くした悲劇のヒロインというのは、プロパガンダに有効だったようね
-
(*゚ー゚)
(*゚ー゚) それを……
(*゚ー゚) それを、私に伝えてどうしたいんですか
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ 私は
ξ゚⊿゚)ξ この国を破壊するわ
(*゚ー゚) !
ξ゚⊿゚)ξ 私達は、戦争に勝ってしまった。貴方達を、家畜のように飼ってしまった
ξ゚⊿゚)ξ これは、絶対に許されない
-
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ 貴方を買ったそれ
(*゚ー゚)"
ξ゚⊿゚)ξ そう。そこで死んでるそれ
ξ゚⊿゚)ξ 獣人を奴隷化する案を出したのはそいつよ
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ けどこいつだけじゃない
ξ゚⊿゚)ξ 軍部に、政府に、この国の至る所に、こいつ以下のウジが、沢山沢山巣食ってる
ξ゚⊿゚)ξ この国を、世界を、自分達の好きな様に……食べ尽くそうとしてるの
-
(*゚ー゚) ……許せない
ξ゚⊿゚)ξ,,
ξ゚⊿゚)ξ 私は仲間を集めてる。獣人、人間、信頼出来る人物を
ξ゚⊿゚)ξっ
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξっ 手を取って。この鉄の籠から出るの
ξ゚⊿゚)ξっ そして、どうか。私と一緒に、この国を変えて欲しい
ξ゚⊿゚)ξっ 貴方達と、私達の未来の為に
ξ゚⊿゚)ξっ それが、私の「夢」
-
(*゚ー゚)
(*゚ー゚)っ
ξ゚⊿゚)ξっ
ξ゚ー゚)ξ ありがとう
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ いつか、全てが終わったら
ξ゚⊿゚)ξ その時は
(*゚ー゚) ……言わないで
ξ゚⊿゚)ξ
-
(*゚ー゚) それまでに、貴方を許せるかもしれないから
ξ゚⊿゚)ξ
(*゚ー゚) けど、くれぐれも信用しないで
(*゚ー゚) ふとした瞬間に、貴方を殺してしまうかもしれないから
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ 彼の言っていた通りの人ね
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ 食えない女、ってやつ
(*゚ー゚) ふふ
ξ゚ー゚)ξ 行きましょう
(*゚ー゚),,
-
(,,゚Д゚) ブバルディアの蕾のようです
【了】
-
从 ゚∀从 「いいもん書くじゃねえか」
从 ゚∀从 「間に合わねえとか言ってたくせによお」
从 ゚∀从 「乙!」
从 ゚∀从 「投下するぜっ」
-
( ^ω^)「いやはや」
( ^ω^)「本当は序盤の漂流シーンとかも描写するつもりで75レス近く書き溜めてたんだお」
( ^ω^)「けど途中でどう足掻いても間に合わない事に気がついたんで、ラストシーンを使ってダイジェスト形式にしてまとめるっていう荒業で挑んだお!」
(;^”ω^)「正直、今朝の通勤時に書き始めたから絶対に間に合わないと思ったお」
(;^ω^)「ともあれなんとか間に合って良かったお!ハインちゃんとドクオもガンバだお!」
-
―――――
森の住人である一角獣は、人と共に生きている。
小さな角を誇らしげに掲げた繊細なこの獣は、太古の昔から人々に愛されてきた。
―――――
青みがかった灰色の毛並みに覆われた剥製の前で彼女は足を止めた。
ζ(゚ー゚*ζ 「わ。一角獣とこんな所で会えるとは思ってなかったです」
滑らかに整えられた毛並みはあでやかに光を反射し、七色に輝く。
額に生えた白く小さな一本の角を誇らしげに天に突き上げて、その獣は永久の時に縛り付けられていた。
( ^ν^) 「へぇ」
銀色の案内板に刻まれた二行足らずの説明書きを読むともなく眺めていた。
つまらなそうなため息のように響いてしまったのだろうか。
食い入るように剥製を見つめていた彼女が振り返る。
ζ(゚ー゚*ζ 「あんまり、興味ありませんか?」
( ^ν^) 「いや、別に」
ζ(゚ー゚*ζ 「んもう、つれないなぁ」
困ったように眉を下げ、軽く頬を膨らまして。
潤いを湛えた二つの瞳は、何かを探してきょろきょろと彷徨った。
ζ(゚ー゚*ζ 「あ、じゃあこっちは?」
耳の下で緩く結われた髪が、彼女の顔の動きに少し遅れて揺れ動く。
その度に、正体不明の甘い香りが俺を包んだ。
彼女が指さす先にあったのはオランウータンの剥製。
年老いた浮浪者のように怠惰に座り込み、肘をついてこちらをまっすぐ見つめている。
数え切れないほどの皺が刻まれた大きな丸い顔、その中央に鎮座する双眸は濡れたように艶々と光っていた。
.
-
爪;'ー`)y- 「……間に合ったか!?」
爪'ー`)y- 「ハインが終わったら、投下するぜ」
-
( ^ν^) 「なんかコイツ、オッサンくさいのにつぶらな目だな」
顔を寄せ、まじまじと覗き込む。
映りこんだ己の間抜けな表情に気づき、慌てて目を逸らした。
( ^ν^) 「そりゃそうだよな」
ζ(゚ー゚*ζ 「え?」
( ^ν^) 「ガラス玉だよな。本物の目なんかすぐ腐るし」
ζ(゚ー゚*ζ 「ふふ。ニュッさん、ホントの目だと思って見てたんですか?」
( ^ν^) 「いや全然。全く」
右手を口に当ててはにかむ様に笑って、彼女はこちらを見上げてきた。
ζ(゚ー゚*ζ 「オランウータンの顔が大きくなる理由を知っていますか?」
( ^ν^) 「年取るにつれ膨らむ、とかか?」
皺くちゃな肌、深く刻まれた眉間の皺、頭頂部の薄毛。
下腹のたるんだだらしない身体。
どこを見ても、目の前の獣はオッサンだ。オッサンウータンだ。
ふと、気づく。
自分は当たり前のように、人間の中年の条件をこの獣に当てはめていた、と。
ζ(゚ー゚*ζ 「んーと。まあそれも条件の一つにはなるんでしょうけど」
昔聞いた話だから、うろ覚えなんですけどね。と呟いて。
座り込むオランウータンを見つめて彼女は言葉を続けた。
ζ(゚ー゚*ζ 「殺しを重ねると、大きくなるんだそうです」
そう言い切って、彼女はこちらを見上げ、微笑んだ。
.
-
暗い灰色の絨毯を踏みしめ、歩き出す。
死んだ獣が息づくこの部屋も、もう殆ど見て回った。
順路を示した白い矢印を踏みながら、話の続きを促した。
( ^ν^) 「で?」
ζ(゚ー゚*ζ 「オランウータンって殆ど草食なんですって」
栗色の巻き髪の先を人差し指に巻き付けて、くるくると弄びながら口を開く。
俺が知る数少ない彼女の癖のひとつだ。
会話に夢中になるとこうして毛先を弄ぶせいで、右側のヘアセットが乱れやすいことに、彼女は気づいているだろうか。
ζ(゚ー゚*ζ 「でも、稀に肉食を好む個体もあって」
ζ(゚ー゚*ζ 「殺しをすると、男性ホルモンが増えて顔が大きくなるって、どこかで聞きました」
( ^ν^) 「あのさ」
ζ(゚ー゚*ζ 「はい?」
( ^ν^) 「二回目のデートでするような話か? それ」
ζ(゚、゚*ζ
ζ(゚ー゚*ζ 「盲点でした」
声を抑えて語らう間に、いつしか順路も終わりまで来た。
音もなく開いた自動ドアをくぐり抜けると、むわりと蒸し暑い熱に身体が包まれる。
数多の動物の体臭や糞の臭い、鳴き声、羽ばたきや足音、人の声。
波のように押し寄せる匂いと音に出迎えられて初めて、先程まで居た場所の静けさに気がつく。
.
-
( ^ν^) 「あっつ」
ζ(゚ー゚*ζ 「戻りますか? 資料館に」
彼女は今出たばかりの建物を振り返る。
水色のタイルに覆われた壁の向こうの、生ける屍のような彼らを思いだし、俺は首を振った。
( ^ν^) 「いや、俺は別に」
ζ(゚ー゚*ζ 「そうですね。そんなに面白いものなかったし」
ゆるやかなスロープを下ると猿山が見えてきた。
すり鉢状に掘られた深い穴の中で日々を営む猿の群れが。
それよりも、視界の隅に映りこんだ赤いのぼりに心を惹かれた。
ソフトクリームを模った立体看板の置かれた、小さな売店がそこにはあった。
白字でクレープと書かれたのぼりを指さし、彼女に声をかける。
( ^ν^) 「なんか少し、食いませんか」
ζ(゚ー゚*ζ 「ふふ、いい匂いがする。ポップコーン食べたいな」
前回のデートの際に、食の好みは聞いていた。
肉や魚は一切口にしない、所謂菜食主義者だという彼女が口にできる料理は、このような店ではあまり種類がない。
財布を取り出そうとする彼女を制してポップコーンとホットドック、そしてコーラを二つ注文する。
威勢のいいオバサンからそれらを受け取り、周囲を見渡した。
土曜日の午後ということもあり、適度に賑わいを見せる園内。
猿山に向かい合う形で置かれたベンチのうちの一つが空いていたのでそちらへ向かう。
.
-
ζ(゚ー゚*ζ 「ここ、景色がいいですね」
そう言ってベンチの右側に腰を下ろした彼女の前で、俺は少し、迷う。
婚活サイトを通して出会い、今日が二回目のデートである。
会話は少しずつ弾んでは来たが、寄り添って座るほど親密でもない。
少し悩んで、彼女の隣に食品の入った紙袋を置いた。俺はその隣に腰かける。
ポップコーンとコーラの幅が、今の俺たちの適切な距離だろうか。
ポップコーンが溢れんばかりに収められた紙カップを紙袋から取り出す。
コーラの紙コップはこの短時間でもうすでに汗をかいていた。
ζ(゚ー゚*ζ 「いただきまーす」
人
手を合わせる彼女を横目で見つつ、ホットドックの包み紙に手をかける。
いいトシして律儀にいただきます、か。
純粋さや育ちの良さと見るか、あざとさと思うか。男によって評価が分かれるところだろう。
婚活サイトを通して出会うのがお互い初めてではないことは、前回の顔合わせで確認済みだ。
ケチャップとマスタードで極彩色に彩られたホットドックにかぶりつく。
水分を含んでふにゃりと柔らかくなったコッペパンは、ほんの僅かの間俺の歯を拒み、やがて力に耐えかねる。
中に横たわったソーセージは確かな弾力で歯を受け止め、パキリと弾けて旨味を溢れさせた。
ζ(゚ー゚*ζ 「あ、出来立てで美味しい」
芳しいバターの香りが鼻をくすぐる。
さくりさくりと軽い音を立てて咀嚼する彼女を見ていると、無性に食欲がそそられた。
.
-
( ^ν^) 「ひとつ、くれ」
ζ(゚ー゚*ζ 「もちろんですよー! これ全部ひとりで食べたら太っちゃいます」
差し出された紙カップから遠慮なくいくつかをつまみ取る。
透き通った黄金色の液体で艶やかにコーティングされた一粒を躊躇なく口に放り込む。
サクッと奥歯でひと噛みすると、塩気と香りが口内を満たした。
( ^ν^) 「……うま」
ζ(゚ー゚*ζ 「美味しいですよね! 止まらなくなっちゃう」
ホットドックをまた一口。
零れ落ちるほどにぎゅうぎゅうに詰められたキャベツと玉ねぎが
マスタードに染められ旨味のハーモニーを醸し出す。
ストローでコーラを啜ればチープな味わいを生み出し、
爽やかな余韻を残して全てを洗い流した。
温かなうちにホットドックを食べ終え、白い包み紙を丸めた。
クシャクシャと大きく響いた軽い音は、
腹が満たされぼんやりしていた俺の頭を覚醒させるには十分だった。
( ^ν^) 「で」
( ^ν^) 「お前、何のために俺に近づいた?」
ζ(゚ー゚*ζ 「へ?」
不意打ちの疑問に驚いたように、大きく見開いた二つの瞳がこちらを振り返る。
両頬は口いっぱいに頬張ったポップコーンのおかげで小動物のようにまん丸く膨れていた。
そのふざけた顔に思わず笑いがこみ上げるが、頬の裏を噛んで堪える。
前回も今回も、演技なのか天然なのか判断しかねる彼女の態度にペースを崩されてばかりであった。
.
-
ζ(゚、゚*ζモサモサ 「あのお、二回目のデート、お嫌でしたか?」
( ^ν^) 「そうじゃねえよ。わかってんだろ」
ζ(゚、゚*ζ 「一体、何のことだか……」
澄んだ瞳で真っすぐに見つめられ、心がぐらりと揺らぐ。
それでも言葉を続けられたのは、断固とした確信があったからだ。
( ^ν^) 「今日、この動物園を選んだのは何故だ?」
一拍置いて、噛みしめるようにゆっくりと問いかける。
( ^ν^) 「一角獣の剥製が展示されているここに、拝鳴村出身の俺を連れてきたのは、何故だ」
ζ(゚、゚*ζ
突然の追及に驚き、傷ついたかのように困惑した表情を見せていた彼女は、
しばらく待っても俺の態度が揺らがないことを悟り、にっこりと笑った。
ζ(゚ー゚*ζ 「ニュッさんてば、そんなんだからおモテにならないんですよ」
( ^ν^)
絶句した俺を見て気を良くしたのか、彼女は更に言い放つ。
ζ(゚ー゚*ζ 「もし私が、ニュッさんの身の上を受け止めた上で
理解してくれるようなけなげな女の子だったとしたら」
ζ(゚ー゚*ζ 「こんなヒドイこと言っちゃ破局ですよ! ハキョク!」
( ^ν^) 「うっせーぞ。クソ記者」
いまいましいと睨みつけると、彼女は更に笑みを深める。
.
-
ζ(゚ー゚*ζ 「あ。もうそこまで気づいてらっしゃったんですか」
ζ(゚ー゚*ζ 「ただのフリーライターですけどねぇ」
そう言って彼女はぺろりと舌を出した。
弁明の一つでもするのかと思いきや、呑気にポップコーンを頬張っている。
さく、さくと乾いた音を立てて、またひとつ放り込まれた。
無邪気に咀嚼を続ける姿をしばらく眺めてから、俺は口を開いた。
( ^ν^) 「お前、何のために俺に近づいたんだ」
ζ(゚ー゚*ζ 「私がフリーライターだと気づいていたのなら、
そして、今日ここに来たことで確信したのなら」
ζ(゚ー゚*ζ 「理由ももう、気づいているでしょう?」
ζ(゚ー゚*ζ 「ホライゾン商会の創業者の一人息子さん?」
( ^ν^) 「けっ」
いつの間にやら、足元には数羽の雀が集っていた。
ポップコーンのおこぼれを探しては啄ばむ姿を眺めているとむしゃくしゃしてきたので、思いっきり蹴り飛ばす。
見事に空振りした足の行き場に困り、余計に気分は悪くなった。
ζ(゚ー゚*ζ 「ひとつ、訂正させてもらうと」
ζ(゚ー゚*ζ 「ニュッさんに近づこうと思って婚活サイトに登録したわけではないですよ?」
ζ(゚ー゚*ζ 「だから、何のために近づいたか、なんて問いはナンセンスです」
ナンセンス、なんてダサい言葉を使うダサい女には初めて出会った。
好き好んで文章を書いているような奴は総じて偏屈で陰鬱だ。間違いない。
( ^ν^) 「けっ」
.
-
( ^ν^) 「あのな、完全無欠な俺が数え切れないほど婚活に失敗してきた理由はただ一つ」
( ^ν^) 「俺があの拝鳴村出身だからだよ」
拝鳴村。
高校を卒業してから一度も戻ってはいない。
己は故郷を捨てたつもりでも、故郷は、過去は俺を縛り付ける。
拝鳴の血を引く者、拝鳴で生まれ育った者というレッテルは十年経った今でも剥がすことは出来ずにいた。
( ^ν^) 「出身地を伝えても引かないお前が怪しいから、少し、調べさせてもらった」
調べるといっても、さほど苦労はしなかった。
初顔合わせで聞いたままの名前でSNSを利用していたので、そこから手繰っただけだ。
ζ(゚ー゚*ζ 「今どきの若い子なら、あんまり気にしないんじゃないですか?」
ζ(゚ー゚*ζ 「部落出身だなんて」
呑気な顔で彼女はストローでコーラを吸い上げる。
残量が少ないのか、ザザッと耳に触る音を立てた。
( ^ν^) 「んなこたないだろ」
( ^ν^) 「付き合うだけならまだしも、結婚となりゃ親が反対するさ」
( ^ν^) 「二回目の約束が果たされたのは今日が初めてだよ」
ζ(゚ー゚*ζ 「私の正体がわかっていたなら、なぜ」
ζ(゚ー゚*ζ 「何故、今日、会ってくれたのですか」
喉のすこし下がビクリと跳ねる。
不愉快な熱が喉の奥で生まれ、顔面へと広がっていく。
( ^ν^)
( ^ν^) 「ん、まぁ……目的が知りたかった、かな」
.
-
ζ(゚ー゚*ζ 「じゃあ、私を拝鳴村へ連れて行ってください」
( ^ν^) 「ハァ?」
( ^ν^) 「いや、え?」
微笑みは絶やさぬまま、しかし鋭い瞳が俺を貫いた。
視線の強さにただ圧倒されておののき、少し遅れて言葉の意味が脳へと届く。
ζ(゚ー゚*ζ 「一角獣と共存する世界唯一の村に、取材に行きたいんです」
( ^ν^) 「んなもん勝手に行けよ」
ζ(゚ー゚*ζ 「ただ聞きまわったって、肝心なことは何も教えてくれないでしょう?」
ζ(゚ー゚*ζ 「ね、お願い。連れてって?」
ζ(゚ー゚*ζ 「剥製師のお母さまにお会いしてお話し伺いたいの!」
( ^ν^) 「無理」
( ^ν^) 「喧嘩して飛び出してきたし、もう実家には帰れねぇよ」
ζ(゚ー゚*ζ 「あ、丁度いいじゃない」
( ^ν^) 「は?」
.
-
ζ(゚ー゚*ζ 「絶縁状態だった息子が帰ってくるには真っ当な理由でしょう?」
ζ(゚ー゚*ζ 「結婚相手を紹介するっていうのは」
( ^ν^)
( ^ν^) 「おま、え、お前さぁ……」
ζ(゚ー゚*ζ 「ん?」
予想外の展開に狼狽えた己に心の中で喝を入れる。
ストレートな言葉で受けた頬を張られるような衝撃から覚めると、代わりに呆れに似た感情が胸を満たした。
( ^ν^) 「随分体張って仕事してるなぁ」
ζ(゚ー゚*ζ 「えへ。照れる」
( ^ν^) 「褒めてねーよ」
ζ(゚ー゚*ζ 「ね、一緒に拝鳴に帰ろう?」
( ^ν^) 「なあ、お前、何でそんな必死なの?」
( ^ν^) 「食うにも困ってんのか? フリーライターってのは……」
ぐう、と。
見計らったかのようなタイミングで、腹の音が鳴り響いた。
勿論、俺の腹ではない。
( ^ν^)
ζ(゚ー゚*ζ 「えへ、まあ、そういうコト」
.
-
拝鳴村は本州から弓の字を描いて海へと突き出す下螺馬半島の先端部分にある。
半島は人の入らぬ鬱蒼とした深い森に覆われており、
本州から村への交通手段は海を経由するしかない。
文字通りの陸の孤島である。
俺たちは一日一便の連絡便に乗り込んだ。
ナァ、ナァと甲高い声を上げて、幾羽もの海鳥が此方へと向かい来る。
くすんだ青に染められた海面に白い尾を長く伸ばして船はひた走る。
旅立ちの日に見た光景とよく似たそれらは、あの時味わったほろ苦い郷愁を思い出させた。
左手に見える、黒々と盛り上がった半島を指さして、
彼女は海風やエンジンの音に負けじと声を張り上げる。
ζ(゚ー゚*ζ 「あの森が、一角獣の棲み処?」
( ^ν^) 「らしいな。そのせいで村の住人は不便でたまらねぇよ」
陸続きの本州に気軽に行き来出来ない理由がまさにそれだ。
天然記念物に指定されている希少生物、一角獣の住まいの環境を守るため。
獣の為に人間が不便を強いられているのもおかしな話かもしれないが、
本州に住まう誰も異を唱えない。
拝鳴の地は昔、流刑地であった。
過去の犯罪者の地を引いた村人たちと、外の人の交流はほぼ無いに等しい。
だからこそ、地繋ぎにする必要性を唱えるものなど誰もいなかった。
拝鳴に住まう村人もまた、閉じたコミュニティにおおむね満足しているようだった。
( ^ν^) 「はぁ……」
暗く塗り込められた高校生活を思い出す。
空気になるために毎朝この連絡船に乗っていた頃の、あの息苦しい日々を。
.
-
本土の人間は、俺をいじめることはなかった。
ただ、存在すら無いものとして扱われただけだ。
透明人間のような生活を三年も味わえば、故郷を捨てたくもなるだろう。
ζ(゚ー゚*ζ 「ニュッさん、どうしたんですか? お腹減ったの?」
( ^ν^) 「それはお前だろ」
軽く頭をはたいてもまるで応えた様子もなく、彼女はへらへらと笑っていた。
と同時に何やらくぐもった音が聞こえた気がしたが、おそらく空耳だろう。
( ^ν^) 「まったく、不本意だ」
ζ(゚ー゚*ζ 「えー? 今さらそんなこと言わないでよ」
ζ(゚ー゚*ζ 「乗り掛かった舟じゃないの」
( ^ν^) 「けっ」
糞みたいなダジャレを黙殺し、船の進行方向へと視線を向ける。
村の港が目視で確認できるほどに近くまで来ていた。
( ^ν^) 「はぁ……」
憂鬱な心とは裏腹に、夕焼け空は美しい藍色へと染められつつあった。
.
-
ζ(゚ー゚*ζ 「まずはねぇ、一角獣が見たいなぁ」
港に降り立った彼女は呑気に言い放つ。
同じ船から降りた村人たちはこちらに訝し気な視線を向けながらも家路を急ぐ。
( ^ν^) 「あんまりな、この村では夜歩きは勧められねぇ」
ζ(゚ー゚*ζ 「え、どうして?」
( ^ν^) 「わかんね。なんつーか、夜は出歩くもんじゃないって昔っからこっぴどく……」
手元の液晶画面に嬉々としてメモしだした彼女に気づき、途中で口をつぐむ。
彼女は沈黙を訝しみ、顔を覗き込んできた。
ζ(゚ー゚*ζ 「こっぴどく、何?」
( ^ν^) 「いや、何でもない」
ζ(゚、゚*ζ 「取材に協力してくれるって、約束したじゃない!」
( ^ν^)
んもう! と拗ねたように俺の腕を一押ししてくる。
不本意ながら渋々頷こうとして、やめた。
どんなに記憶を辿っても、そんな約束などした覚えがない。
( ^ν^) 「村に連れて行くとは言ったが、取材に協力するとは一言も言ってねぇぞ」
ζ(゚ー゚*ζ 「酷いなぁ。それじゃニュッさんは何が目的で私をここに連れてきたんですか?」
.
-
間をおかず畳みかけるように言葉を重ねてくる。
ζ(゚ー゚*ζ 「私と結婚出来ればそれでいいってこと?」
ζ(゚ー゚*ζ 「そっかー。私と結婚したいだけなんだね!」
( ^ν^) 「うっせーな……」
ζ(゚ー゚*ζ 「ニュッさん、あの時まんざらでもない顔してたもんねぇ」
( ^ν^) 「分かったから」
( ^ν^) 「質問、答えるから、近い近い」
顔がくっつきそうなほどに詰め寄られ、彼女の肩を押して距離を取る。
そこまで想定済みだったのだろうか。
勝ち誇った顔をして、彼女はまた質問を続けてきた。
ζ(゚ー゚*ζ 「夜歩きしちゃいけないっていうのは、
ニュッさんが子供だったから言われていたんじゃないですか?」
( ^ν^) 「いや」
否定を入れてから、改めて思考を巡らせる。
幼き日々にて、昔の俺はどのような夜を過ごしていたか。
家族は、隣人は、恐ろしい夜をどのように過ごしていただろうか。
( ^ν^) 「それも勿論あるだろうけど、でも、親父とかもそんなこと言われてたし」
( ^ν^) 「あとなんか、歌もあった」
ζ(゚ー゚*ζ 「歌?」
( ^ν^) 「夜に歩くと影が奪われる〜みたいな歌詞の、童謡」
脳裏に浮かぶのは、赤く燃える夕焼け空。
村のあちこちに設置されたスピーカーから一斉に流れ出す、女性の声。
おひさまが帰るよ、ぼくらも帰ろう、背中に長く伸びた影をつかまれる前に。
もう何年も耳にしていないはずのメロディが、勝手に鼻歌になって響きだす。
.
-
ζ(゚ー゚*ζ 「それもやっぱり教育のための歌ではないの?」
( ^ν^) 「いや、うまく説明できないけど、でも違うと思う」
( ^ν^) 「大人も日が暮れたら外にはでなかったから」
夜は外には出ない。
ごく当たり前の光景だったので、村で暮らしていた頃に疑問に思うことはなかった。
本土で暮らして初めて、夜も外で遊んでいいのだと知った。
繁華街のネオンや深夜の雑踏、コンビニエンスストアなどに一々感激していた頃を思い出す。
( ^ν^) 「コンビニすらない田舎だからな、外に出たって仕方ねぇんだ」
ζ(゚ー゚*ζ 「でも、おかしくない?」
( ^ν^) 「何が?」
ζ(゚ー゚*ζ 「誰も夜歩きしないなら」
ζ(゚ー゚*ζ 「どうしてこんなに明るく照らされているの?」
話し込むうちに、すっかり夜の帳が下りていたことに俺は気づいていなかった。
今立ち止まっていたこの場所も、辺りを見渡しても。
昼間の明るさと見紛うほどに煌々と照らされているのである。
光源は、夥しいほど乱立された街灯である。
等間隔に並んだ古びた街灯の間を埋めるように、新旧様々な型の街灯が立ち、我こそはと明るさを競っている。
( ^ν^) 「眩しいな」
ζ(゚ー゚*ζ 「ニュッさんが住んでいた頃からこうだったの?」
( ^ν^) 「いや、わかんねぇ」
( ^ν^) 「この時間、外に出たことはなかったから」
村一番の大通りにまったく人通りがないこの光景に、恐怖を覚えた。
ひとつ息を吸って、彼女の手を取り駆け出した。
無数のスポットライトをくぐり抜け、俺の実家へと走る。
( ^ν^) 「急ごう」
ζ(゚、゚*ζ 「う、うん」
.
-
ζ(゚ー゚*ζ 「止まって!」
強く手を引かれ、バランスを崩しかける。
急に止まるなと文句を言いかけ、彼女の表情を見て言葉を飲み込んだ。
ζ(゚ー゚*ζ 「ねえ、あそこ、何かがいる」
道路の反対側、街灯の明かりの外側で蠢く何かを見たという。
( ^ν^)
人気のない道だ。
港からここまで誰ともすれ違うことはなかった。
異様な静けさが胸の鼓動を煽る。
俺たちは息を殺したまま、蠢く闇を見つめ続けた。
ζ(゚ー゚*ζ 「あ」
( ^ν^) 「……なんだ」
スポットライトの下へと姿を現したのは青みがかった灰色の毛皮を纏う、一匹の一角獣であった。
ζ(゚ー゚*ζ 「さすが拝鳴だね。野生の一角獣をこんなに近くで見られるなんて」
( ^ν^) 「……いや」
( ^ν^) 「村の中で見るのは俺も初めてだよ」
ζ(゚ー゚*ζ 「そうなの?」
一角獣が首を持ち上げ、こちらに正対する。
細面の両側にある大きな瞳と、何故だか目が合った気がした。
( ^ν^) 「行こうか」
ζ(゚ー゚*ζ 「……うん」
そのままの姿勢で動かぬ一角獣から視線を逸らして、歩き始めた。
ふたたび手を握ったのは俺からか、それとも彼女からだったか。
.
-
「どなた?」
インターホンの向こうから聞こえてきたのは、母のかすれた声だった。
( ^ν^) 「俺だよ、母さん」
緊張し、身構えていた割には自然に返事ができた、と思う。
その力をくれたのは、おそらく右手から伝わる温もりだろう。
ξ゚⊿゚)ξ 「ニュッくん? ニュッくんなの?」
ξ゚⊿゚)ξ 「あれ?」
ζ(゚ー゚*ζ 「……こんばんは」
訝しげに彼女の顔を覗き込んでから、母は眉尻を下げた。
ξ゚ー゚)ξ 「とりあえず、入って」
母が身を引いた後ろに見えるのは、記憶のままの姿の玄関。
親しげな顔で俺たちを迎え入れる。
ζ(゚ー゚*ζ 「おじゃまします」
( ^ν^)
( ^ν^) 「た、ただいま」
ξ゚ー゚)ξ ζ(゚ー゚*ζ
母と彼女が顔を見合わせ微笑みあった。
玄関の橙色の明かりに染められた二人の横顔は、どこか、雰囲気が似ていて。
まるで、作り物のように美しくて。
そう、髪質がそっくりなのだ。親子か姉妹かと見紛うほどに。
微笑ましい光景を前に、何故だか背中に冷たいものが走った。
ξ゚ー゚)ξ 「おかえり」
( ^ν^)
( ^U^)
優しい母の声に、俺は黙って笑顔を返した。
.
-
色とりどりの料理が並ぶ食卓を前に、彼女と母の会話は弾んでいた。
安心しつつも僅かな疎外感を抱いて、俺は料理に手を付ける。
( ^ν^) 「いただきます」
菜っ葉のお浸しを口に含む。
特有の青臭さが鼻に抜け、ひと噛みするとじゅわりと旨味が染み出した。
次に箸をつけたのは、根菜の黒酢炒め。
きらきらと光を反射する黒酢にコーティングされたレンコンは、シャキシャキと心地よい音を立てる。
咀嚼しているうちに、大切なことを思い出した。
彼女が菜食主義者であると母に伝えることをすっかり忘れていたのである。
( ^ν^) 「デレ」
ζ(゚ー゚*ζ 「ん?」
( ^ν^) 「食えないもん、残していいからな」
ξ゚⊿゚)ξ
それを聞いて、母が眉を顰める。
失言だったかもしれない。まるで偏食であるかのように聞こえてしまっただろうか。
( ^ν^) 「あ、母さん悪い。コイツ、ベジタリアンなんだよ」
ξ゚⊿゚)ξ 「あら、そうなの。それはちょうど良かった」
( ^ν^) 「ん?」
どういう意図での丁度いい、なのか。
問いかけようとしたところで、彼女の声が遮った。
.
-
ζ(゚ー゚*ζ 「ニュッさん、大丈夫。全部食べられるものばかりよ」
ξ゚⊿゚)ξ 「私もね、少し前から肉類食べるの止めたのよ」
( ^ν^) 「なんか、流行ってんの?」
ζ(゚ー゚*ζ 「健康にいいですし、ね?」
ξ゚⊿゚)ξ 「そうよね。肌の調子がかなり良くなったわ」
またしても会話に取り残され、侘しく人参のフライを貪った。
ξ゚⊿゚)ξ 「ところで、あなたたちいつまで滞在するの?」
( ^ν^) 「三連休だから、休みの間はここにいようかと思っていたんだが」
ξ゚⊿゚)ξ 「あら、そうなの」
( ^ν^) 「なんかまずいか?」
ξ゚⊿゚)ξ 「いえ、ウチは全然問題ないんだけど、明日の晩、ちょっとね」
ξ゚⊿゚)ξ 「さっき、荒巻さんのおじいちゃんが亡くなったって、連絡回ってきたのよ」
( ^ν^) 「それがなにか……あ」
拝鳴村はいくつかの地区に別れ、それぞれの住人で小さなコミュニティを築いている。
荒巻のじいさんとは同じ地区という繋がりはあるが、血のつながりはない。
死んだからといって、何か用事などあるだろうか。
用事?
明日の晩?
その時、記憶の海深くに沈んでいたひとつの言葉が浮かび上がった。
.
-
ξ゚⊿゚)ξ 「そう。御影遷しがあるのよ」
ζ(゚ー゚*ζ 「みかげうつし?」
ξ゚⊿゚)ξ 「参加する?」
ζ(゚ー゚*ζ 「いいんですか?」
平然とした顔で誘った母と、身を乗り出し目を輝かせる彼女。
話の展開のあまりの早さに眩暈を感じつつ、手を上げて制止する。
( ^ν^) 「おいちょっと待て。そんなに気安く……」
ξ゚⊿゚)ξ 「そりゃヨソの人を参加させるのはマズイけど、デレちゃんは嫁に来るんでしょう?」
( ^ν^)
( ^ν^) 「確かにその話をしに来たわけだけど、ちょっと待て」
( ^ν^) 「なあ、親父はどこに行ったんだ?」
食卓には、三人分の料理しかなく。
昔、親父の指定席だった椅子は空席のままであった。
彼女について報告をしようにも、父不在では意味がない。
ξ゚⊿゚)ξ 「お父さんね、仕事が忙しいのよ」
ζ(゚ー゚*ζ 「ニュッさんのお父様は確か、ホライゾン商会の」
ξ゚⊿゚)ξ 「そう。ちょっとね、今出かけているの」
( ^ν^) 「いつ帰ってくる?」
ξ゚⊿゚)ξ 「さあねぇ、あの人、マメに連絡してくれないから」
.
-
確かに、父は昔から連絡を忘れては母に叱られていた。
滞在中に父に会うことはできるだろうか。
不確実なら、母にだけ結婚の報告をするべきか。
迷ったときにはより面倒な選択肢を選ぶべきだと、漫画で読んだような気がする。
( ^ν^) 「親父と母さんが揃ったときに、ちゃんと報告させてくれ」
ξ゚⊿゚)ξ 「そうね、それがいいわ」
ちらりと様子を窺うと、彼女は満足そうな笑顔で野菜を頬張っていた。
.
-
暗闇のなかに、宮司の声が朗々と響き渡る。
村と森の境に建つ神社の敷地内、開けた野原に村人が集まり始めたのは夕方、まだ日も沈まぬ頃。
俺たちはここに立ちつくして、ただ夜を待った。
己の鼻先も見えぬほどの暗闇で、宮司の声に従い頭を下げ、目を閉じる。
ザッ、ザッと荒々しい音によって、参列者たちは穢れを払われた。
御影遷しの儀が始まる。
手元の提灯の微かな明かりだけを頼りに宮司は棺の元へ向かう。
橙色のともし火が、ゆらり、ゆらりと揺れながら、森との境に寝せられた棺へ向かう。
宮司が無事たどり着いたのを見届けた瞬間、ともし火すら消されてしまう。
「ロオオオオオオオオオオオオオオオ」
完全な暗闇の中で、野太い声が響く。
闇を揺らし、風を揺らし、棒立ちで見守る村人たちの鼓膜を揺らし、天高く響き渡る。
呼応するように風がひとつ吹き上がり、森の木々を揺らす。
コン、コン
コン、コン
手に持った何かで棺を叩く乾いた音が聞こえている。
聞こえるのはそれだけではなかった。
極限まで足音を殺した集団が押し寄せる、そんな地の揺れを足元から感じる。
一角獣の群れだ。
木と木の隙間から覗く数え切れないほどの瞳。
僅かな光もないこの場所で、彼らの瞳だけが光源になっている。
.
-
どれほどの時が立っただろう。
不意に一角獣が全身をさらけ出す。
広場の四隅に立てられた松明に、炎が灯されたのだ。
棺と宮司の足元に、影が色濃く描かれる。
地面の匂いを嗅ぐように、一角獣たちは棺の周りに集い、地に鼻先をつける。
彼らが満足し、一匹残らず森に帰るまで、村人たちは固唾を飲んで見守り続けた。
.
-
目を覚ましても暫く、ぼうっとしていた。
若い頃、毎朝俺の起床を見守ってくれていた天井が出迎えてくれたもんだから、混乱していたのだ。
そういえば、実家に帰って来ていたんだった。
隣に敷かれた布団は綺麗に畳まれている。
スマートフォンで時間を確認すると、もう10時を回っていた。
彼女を探して廊下に出る。
一階への階段を降りようとしたところで、母の声が聞こえてきた。
「デレ、あの子を連れて帰って来てくれて、ありがとう」
耳をそばだてる。
声は、父の書斎の扉から聞こえてきた。
「大変だったでしょ? 連れてくるの」
「そうでもないよ」
彼女の声、のはずだ。
聞き覚えのある声が、昨夜とは違う口調で、俺の母親と話している。
「結構ちょろかったよ」
「ま、ブーン君引っ掛けたツンちゃんには負けるけどねぇ」
「引っ掛けた、なんて人聞きの悪い」
「誰も聞いてないんだし、気にしなくていいじゃん」
「そうでもなさそうよ?」
「ニュッくん、盗み聞きしてるんなら入ってきたら?」
.
-
それっきり、二人の会話は聞こえなくなった。
父の書斎の扉のドアノブに手をかける。
回す勇気は出なかった。
母と彼女が、俺のいない所で、親し気に会話を弾ませている。
ああ、なんて素敵な展開だろう。理想的だ。
いくつもの違和感から目を背ければ、これほど幸せなことはない。
何故、親し気に名前を呼びあっているのだろう。
何故、父の書斎にいるのだろう。
何故、父は不在なのだろう。
何故、二人の横顔を似ていると感じたのだろう。
全ての疑問の答えは、扉一枚隔てた向こう側にある。
汗ばんで湿った掌で額の汗を拭う。
大きく息を吸う。そして鼻からゆっくりと吐く。
未だ高鳴る鼓動を抑えきれぬまま、覚悟を決めて扉を押し開けた。
.
-
( ^ω^)
初めに目に入ったのは、椅子に深く腰掛けた父の姿であった。
柔らかなクッションの入った背もたれに身体を深く沈めて、ひじ掛けに腕を預けている。
全裸であることを除けば、全く違和感はなかった。
( ^ν^) 「いや、いやいや」
( ^ν^) 「まずは服を着ろよ、親父」
( ^ω^)
返事はない。
口を開くことも、微笑みを崩すこともなく、微動だにせず父は裸をさらし続ける。
動いたのは、彼女だった。
ζ(゚ー゚*ζ 「ありゃりゃ、忘れてた」
そう言って、彼女は傍らから服を取り出すと、父の前に立ち。
父の両耳の辺りに掌を当てて。
カポリ。
父の頭部を取り外した。
ζ(゚ー゚*ζ
( ^ω^)⊂
ζ(゚ー゚*ζ 「よい、しょっと」
父の頭部を机に仮置きした彼女は、シャツを胴体に被せ、首元のボタンを閉める。
あちこち引っ張って服の皺を伸ばしてから、彼女は、父の頭部をもとの位置へと戻した。
( ^ω^)
衣服を纏った父は、先程と変わらぬ穏やかな微笑みを湛えていた。
.
-
ξ゚⊿゚)ξ 「ねえ、デレ」
ζ(゚ー゚*ζ 「なあに? ツンちゃん」
ξ゚⊿゚)ξ 「朝ごはんにしましょうか」
ζ(゚ー゚*ζ 「そうね、私、お腹が減っているのよ」
ζ(゚ー゚*ζ 「しばらく前からね」
( ^ν^) 「お前、いや、お前ら、何者なんだ一体」
( ^ν^) 「親父を殺したのは、お前らか」
ξ゚⊿゚)ξ 「ブーンを殺したのは、ブーンの強欲さよ」
ξ゚⊿゚)ξ 「私はね、ブーンのことを食べるつもりはさらさらなかったのよ?」
ξ゚⊿゚)ξ 「もう何年も、ちゃんと我慢していたでしょう?」
( ^ν^) 「食べる、つもり?」
ξ゚⊿゚)ξ 「私があなたのお母さんにあたる人を食べたのは、ブーンがホライゾン商会を立ち上げたから」
ξ゚⊿゚)ξ 「近くで監視する必要があったから、仕方なく食べるしかなかったのよ」
( ^ν^) 「母さん、を、食べた?」
.
-
('A`) 投下の途中で悪いがフォックスの次に投下するぜ
-
(;^ω^)「支援だお……ウゴォ……」
-
ζ(゚ー゚*ζ 「ゆうべ、見たでしょう?」
ζ(゚ー゚*ζ 「我々の同胞たちの、食事を」
( ^ν^) 「昨夜……?」
父を、食べた。
母を、食べた。
我々。同胞。
理解不能な言葉の羅列からつかみ取った、俺でも理解できる単語から、何とか情報を読み解きたかった。
昨夜、何があった?
ξ゚⊿゚)ξ 「ホライゾン商会の設立自体には、反対するつもりはなかったの」
ξ゚⊿゚)ξ 「珍しい獣でいるにはそれなりにリスクがある」
ξ゚⊿゚)ξ 「乱獲を防ぐために、同胞の死体を剥製にする役目に名乗り出たの」
ξ゚⊿゚)ξ 「でもね」
ξ゚⊿゚)ξ 「最初は珍しがられた一角獣の剥製も、ある程度の施設に設置されると注文は落ち着いてしまった」
ξ゚⊿゚)ξ 「それで、ブーンは、中国の富豪向けに販路を広げようとした」
ξ゚⊿゚)ξ 「それは、我々の望む未来ではなかった」
ξ゚⊿゚)ξ 「だからね、私がブーンになることにしたの」
ξ゚⊿゚)ξ 「ブーンの影を、食べて」
ξ゚⊿゚)ξ 「ブーンの身体を着て、ホライゾン商会の舵を取るしかなかったの」
ξ゚⊿゚)ξ 「我々の、存続のために」
.
-
ζ(゚ー゚*ζ 「私の着ているこの体は、誰だったか、覚えてる?」
ζ(゚ー゚*ζ 「あなたの同級生のしぃちゃんだよ」
ζ(゚ー゚*ζ 「髪はツンちゃんの毛のストックを使ったけどね」
現実離れした言葉たちの濁流に飲み込まれ、声も出せずに立ちつくす俺に、彼女はゆっくりと近づいてくる。
ζ(゚ー゚*ζ 「ねえ、ニュッさん」
ζ(゚ー゚*ζ 「何のために近づいた、って、聞いてくれたよね」
かぱりと、口を大きく開いて彼女は笑う。楽しそうに。朗らかに。
ζ(゚ー゚*ζ 「生簀からエサが逃げちゃったら、追いかけて、食べちゃわないといけないでしょう?」
ζ(゚ー゚*ζ 「本当は、死んだ人間の影しか食べちゃいけないんだけどね」
鮮やかに赤い口内が網膜に焼き付いた。
それが、俺の見た最後の光景。
.
-
【カゲクイ】
森の住人であるこの一角獣は、人と共に生きている。
小さな角を誇らしげに掲げた繊細なこの獣は、太古の昔から人々に愛されてきた。
動物園の剥製に添えられていた説明書きを思い出す。
瞼を閉じ、こうべをたらして己の影を捧げてしまうのも、きっと必然なのだろう。
遺伝子に刻まれた、餌の矜持である。
【カゲクイのようです 了】
-
从 ゚∀从 「時間オーバーして悪かったぜフォックス!」
从 ゚∀从 「一週間ってみじけー!!」
-
(;^ω^)「乙だお……」
(;^ω^)「かわいいニュッデレだと思ったのに滅茶苦茶ホラーじゃねぇかお……」
-
爪'ー`)y- 「いやいや、((((;゚Д゚))))ガクガクブルブルしながら読んでたら、あっという間だったぜ」
爪'ー`)y- 「乙!」
爪'ー`)y- 「じゃあオレも投下するぜ」
-
窓から差し込む橙色が少しずつ青みを帯びていく。
少しずつ色を変えながら明日へ明日へと流れて行く雲。その中に一つ、先程からやけにゆっくり進んでいる小さな雲を見つけた。
なんとなく大人になり切れない、そんな自分を重ねてため息を一つ。どうやらそろそろ帰らなければいけない時間のようだ。
鍵盤に置いていた指を離し、椅子の横ににあったはずのカバンに手を伸ばすが、何もない。
椅子の下をのぞき込む。どうやら自分に酔いしれながら、弾いていたのが彼にも伝わっていたらしい。
カバンは辟易とした様子でぐったりと、椅子の脚にもたれかかっていた。
(-_-) 「ごめんごめん…つい入り込んじゃった」
なんだか急に阿保らしいような気がして、自嘲気味に笑った。
人とは上手く話せないのに、物言わぬ物とは話せるのというのだから、我ながら呆れたものである。
(-_-) 「それじゃあ、またね」
カバンに言い訳したのだから、ピアノにだって挨拶しなくっちゃ変だろう。
そんな風に思って、苦楽を共にしてきた相棒に声をかけた。
-
僕がここでピアノを弾くようになってから、もう十年になる。
初めて見たときは、おんぼろの駅舎と不釣り合いなくらいにピカピカだったこのピアノも、経年劣化によって段々と塗装のひび割れなんかが目立つようになってきた。
パーツもだいぶ弱ってきたのか、近頃は優しく弾いても歌っちゃくれない。僕が魂を込めて弾くと彼女もようやく乗り気になるのか、重い腰を上げて歌い始めるといった具合である。
長いこと素人が使い、メンテナンスもしてきたのだから当たり前なのかもしれない。
一度、業者を呼ぼうかとも考えたのだが、僕以外の人にここを知られるのは嫌だったので、結局は自分でメンテナンスをしながら、騙し騙しで延命しているのが現状だ。
初めて彼女の歌声を聴いた、あの時の音と同じにすればいいだけなので、調律は何とかなったのだが、他は本やネットの情報から自己流で何とかしていた。
(-_-) 「何とかしなくっちゃなあ…」
後頭部を掻きながら、そう独り言ちた。別に頭が痒かったわけじゃない。
僕の中の何かを悩んでいる人のイメージを真似てみただけだ。
でも、こうすることで悩みの種が粉々になってどこかへ飛んで行って、解決策を連れて来るんじゃないかなんて、心の隅ではちょっと期待していた。
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(-_-) 「さて、帰ろっかな」
そう言って、部屋を出ようとした時、僕の目の前に夕陽を浴びてキラキラと輝く黒い何かが躍り出た。
――――――僕はこの日、天使を見てしまった。
頭のお堅い現実主義者の皆は、今から僕が言うことを決して信じないだろう。
なんせ、高校二年生になってもどこかに、宇宙人や髭もじゃの赤服おじさんがいるんじゃないかと、心のどこかで思っていたりするこの僕だって、思わず自分の目を疑ったくらいなんだから。
西洋画なんかでモチーフにされる天使は美しい金髪をしていることが多いが、僕が見た天使は濡れたカラスの羽のような艶やかな黒色の髪をしていた。
ちらりと覗いたワニ口クリップみたいな八重歯なんかむしろ悪魔的だし、翼だって生えちゃいない。
服だって気崩されたどこかの高校の制服だ。皆が思い浮かべる天使とは似ても似つかないだろう。
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