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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

1 ◆V9ncA8v9YI:2015/05/02(土) 12:22:52
ずっと前にマーサー王や仮面ライダーイクタを書いてた者です。
マーサー王物語の数年後の世界が書きたくなったのでスレを立てました。

2007年ごろに書いた前作もリンク先に掲載しますが、
前作を知らなくても問題ないように書くつもりです。

SSログ置き場
http://jp.bloguru.com/masaoikuta/238553/top

488名無し募集中。。。:2015/09/15(火) 18:19:33
ハルナンこえーよw

489 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/15(火) 21:19:21
アヤチョに阻まれたことを理解したとき、フクは敗北を覚悟した。
どういう事情があるのか知らないが、アヤチョは完全にハルナンのことを守りきろうとしている。
ハルナンへのあらゆる攻撃はいとも容易くシャットアウトされて、
このままさっき胸を打たれた時のように、反撃を貰うのだろうと思ったのだ。
しかし、その反撃が今回は無かった。
アヤチョは腕を鞭のように振るうこともなく、ただただハルナンの盾になろうとしていたのである。

(ひょっとして、反撃をする余裕がない?……)

フクの回答は正解だった。
至近距離からハルナンにダッシュを仕掛けたために、
さすがの超反応を持つアヤチョでも間に入るのがやっとで、反撃などしていられなかったのである。
アヤチョに衝突するまで残りコンマ5秒。ここでフクに欲が生まれる。

(だったら……私の攻撃は通る!!)

フクはアヤチョの方へと肩を突き出した。
この姿勢で突っ込めば、フク・ダッシュはショルダータックルに変化する。
今更止めることの出来ないタックルは、アヤチョの胸へと鋭く突き刺さっていく。

「!!!」

興奮状態にあるアヤチョは痛みをほとんど感じていなかったが
その身体は確実にダメージを受けている。
このアヤチョ、自分に対する攻撃は完全に防ぎきってしまうというのに、
ハルナンを庇う時は途端にガードが疎かになるのだから不思議なものだ。
こうしてアヤチョに一撃与えただけでも表彰モノの成果ではあるのだが、
フクはこの程度の褒賞では決して満足していなかった。

「まだ!もっと先へ!!」

血がブシュウと吹き出る脚に力を込めて、フクは更なる前進をする。
それはつまり、タックルをぶつけたばかりのアヤチョをもっと前に押し出すということ。
この後に起こりうることを想像したアヤチョは泣きそうな顔でフクに嘆願する。

「やめてやめてやめてやめてやめて!!ほんとやめて!!」
「やめません!!」

アヤチョは押し切られ、そのまま自身の後ろにいる人物ごと倒れていく。
そう、アヤチョは自らの身体で親友ハルナンを押し倒してしまったのだ。
絶対的に安全だと思い込んでいたハルナンはこの事態にまったく対応することが出来ず、
後頭部から床へと落っこちる。

「!!!……アヤ……ちゃん……」
「ハルナン!ハルナン!うわああああああああああああああああ!!!」

490名無し募集中。。。:2015/09/15(火) 23:33:32
俺ハルナンの事好きだけど…よくやった!とフクちゃんを褒め称えたいw

491名無し募集中。。。:2015/09/16(水) 13:25:44
アヤチョ暴走待ったなし!

492 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/16(水) 19:51:21
「ああああああああああ!!あああああああああ!!!!」

アヤチョは叫びに叫んでいた。
自分の責任でハルナンを傷つけたことが、半身を失うよりも辛いのだ。
己の不甲斐なさをどこにぶつければ良いのかも分からず
戦闘中だというのに、ただただ大声を出している。

「ハルナン目を覚ましてよ!目を、目を、お願いお願いお願い!!!ぎゃあああああ!!」

完全に取り乱しているアヤチョに対して、フク・アパトゥーマは冷静だった。
激痛の走る足に負担をかけないように、地を這いながらゆっくりとアヤチョから離れていく。
今のアヤチョは隙だらけに見えるが、
そうとも限らないことをフクはこれまでの戦いで学習している。
むしろ激昂することで今まで以上に攻撃が激しくなることだってありえるのだ。
現在の足の状態ではダッシュやバックステップで猛攻を掻い潜ることは非常に難しいため、
今は距離を置くことにする。

(とは思ったけど……アヤチョ王の様子、なんだかおかしい。)

ハルナンの敵討ちのために怒り狂うと思われていたアヤチョだったが、
その予想に反して現在の姿はとても弱々しかった。
激しいのは泣き喚く声のみ。それ以外はどんどん萎れていっている。
その原因は、アヤチョのエネルギー源のほぼすべてがハルナンとの友情に起因していたからに他ならない。
アヤチョは自らの手でハルナンを傷つけたことで、友情が完全に消え去ってしまったと思っているのだ。
こんなことをしでかしたからには、どれだけ謝っても許してはもらえないだろうと、勝手に決め付けている。
この世でただ一人の友達を失ったアヤチョの胸の内は、もう空っぽ。
何もかもが虚しくなった結果、戦う気まで失せてしまったのである。

「ハルナン……ハルナン……涙が止まらないよ……」

そんなアヤチョを見て、フクは勝てるかもしれないと思い始めてきた。
壊れかけの足で床を踏みしめては、
廃人寸前のアヤチョの元へと近づいていく。

「アヤチョ王……覚悟してください。」
「?……あれ、あれ……身体が動かないや」

装飾剣「サイリウム」を握ったフクが接近してくるというのに、アヤチョは何も出来なかった。
彼女の精神はもはや己の身体すらも動かすことが出来ないほどにまいっているのだ。
アヤチョの胸が空っぽである限り、フクの脅威を免れることなど出来やしない。

493名無し募集中。。。:2015/09/16(水) 20:22:05
ついにアヤチョ敗退か・・・タイミング的にもう一波乱ありそう

494 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/17(木) 13:01:24
もはや無抵抗状態にあるアヤチョを斬るために足を進めるフクだったが
突然の乱入者によって、それを妨害されてしまう。

「ちょっと待ったぁ〜〜〜!!」

その声の主はハルナン属する天気組団の一人、ハル・チェ・ドゥーだった。
エリポンやサヤシらと戦っていた通路から走りに走って、やっとここまで辿り着いたのである。
床に転がるハルナンを見てすぐに事態を把握したのか
走る勢いのまま、フクへと飛び蹴りをぶちかます。

「あっ!!」

通常であればハルの軽い蹴りなんてへっちゃらなのだが
いかんせんハルナンにえぐられた脚が痛むので、その場に転げてしまう。
だが転倒したとは言っても、戦況が覆るほどのダメージを負ったわけではない。
これまでフクはアヤチョほどの大物と対峙し続けたのだから
この程度の攻撃はなんでもないのだ。

「ハル……ちょっと静かにしてもらえる?」
「え?え?……わっ!」

フクは左手でハルの足首を掴んでは、自分の側に強く引き寄せる。
そうして相手が体勢を崩したところに、装飾剣「サイリウム」をぶつけるのだ。
剣の切っ先ではなく、平たい腹の部分を叩きつけているため死にはしないが
フクの腕力からなる打撃はハルの肋骨を折るには十分すぎるほど強かった。

「いっっ!!……くそっ、苦しい……!」
「大人しくしてて。今、すべてが終わるところなんだから。」

部下を味方につけないハルの実力はこのレベル。
手負いとはいえ、フクの相手にはならないのだ。
これで、なんでもない戦いが終わった。
早くすべてを終わらせるために、フクは再度アヤチョの側を向く。

495名無し募集中。。。:2015/09/17(木) 14:42:47
ハルちゃんw

496 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/18(金) 07:58:39
「え……?」

うなだれているアヤチョの側を見たフクは当惑した。
いや、正確には「うなだれていたはず」のアヤチョを見て、
実際とのギャップに驚かされたと表現するのが正しいかもしれない。
なんと、アヤチョは立ち上がっていたのだ。

「助けてくれた君は誰?……かっこいい。」

萎びていたアヤチョの精神と肉体は、新鮮なエネルギー源に出会うことによって
これまでないくらいにキラキラと輝いていた。
その力の源はもはやハルナンではない……ハル・チェ・ドゥーに移り変わっていたのだ。
研修生や一般兵らをすぐに惚れさせるハルの能力がアヤチョにも働き、
これまでハルナンに対する友愛しか知らなかった王に対して、
恋愛感情という新たな素晴らしき感情を教植えつけたのである。

「なにこれドキドキする!……君のためなら、なんだって出来る!!」

コロッと簡単に惚れたのは、ハルの顔がイケメンだという以外にもう一つの理由がある。
なんとアヤチョは人生20年の中で、己の命を救われた経験が一度として無かったのだ。
つまり、ハルはフクという脅威から助けてくれたナイトということになる。
名前も知らないミステリーなナイトのことが、アヤチョは好きで好きでたまらなかった。

「なんでも言って!君の言葉がアヤの力になるんだよ!」
「???……じゃあ」
「じゃあ?」
「フクさんをやっつけて。」
「うん!」

アヤチョ王を動かす主導権(イニシアチブ)は完全にハルのものとなった。
愛する人の気持ちに応えるため、アヤチョはフクの喉元へと手を伸ばす。

497名無し募集中。。。:2015/09/18(金) 12:14:28
やっぱりハル来てアヤチョ復活wミステリー騎士に主導権…言葉のチョイスサイコーチョーイイネー

そして捨てられたハルナン・・・

498名無し募集中。。。:2015/09/18(金) 16:05:32
アヤチョは良いも悪いもリモコン次第な鉄人28号じゃねえかw

499 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/19(土) 18:08:36
ハル・チェ・ドゥーは天気組団の「雷の剣士」。
彼女の下した命令は、脳を伝わる電気信号と形を変えて人のココロを動かすことが出来る。
クラゲ使いに使役される電気クラゲのように、アヤチョ王はハルのために喜んで行動する。

「アヤの必殺技は凄いよ!あいつをやっつけちゃうから!」

奇しくもアヤチョはハル同様に「雷」をイメージした戦い方を得意としていた。
異なる点は、それに加えて「風」までも使えるといったところだろうか。
雷神と風神の力をマーブルして、アヤチョは必殺技を繰り出していく。

「"聖戦歌劇"!!!」

雷の如きスピードで放たれた手刀は、ぶつかる直前で向きを変える。
掌の広い面によって巻き起こる暴風は、非常に禍々しいものだった。
この直撃を受けるのはまずいと思ったフクは、愛国の象徴である"サイリウム"で防ごうとする。
だが残念なことに、フクの愛国よりもアヤチョの恋愛の方がより強大だった。

「そんなんじゃ防げないよ!!」

アヤチョの必殺技は装飾剣「サイリウム」の刀身を粉々に砕き
その上さらに、強風でフクを背後の壁まで吹き飛ばしてしまった。
国を思う時には常にそばにあったサイリウムが破壊されたのはとてもショックだが、
悔やんでいる暇は無いと、すぐに立ち上がろうとする。

(ダッシュなら!……あと一発ダッシュを当てれば!)

次にアテにしたのは絶対的な自信を誇る自らのダッシュ力だった。
立つのも辛いくらいにひどく損傷してはいるが、
最後の力を振り絞れば一矢報いることくらいは出来るかもしれない。
しかしそれも結局は無理な話だった。
踏ん張ろうとした足の太ももから、噴水のように血が噴き出したのだ。

「!!!……これは!」

あたり一帯に血の雨が降り注ぐ。
この凄惨な光景は、天気組団の「雨の剣士」しか出来ない芸当であることを、フクは知っていた。

500 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/19(土) 18:11:24
確かにアヤチョは機械的に書いていましたね。
規則的で、システマチックな感じに、、、

501名無し募集中。。。:2015/09/20(日) 01:03:18
サイリウムが砕け…た?

血の雨・・・ベルリンの赤い雨思い出した…ん?ベルリンの壁…壁?なる程(違)

502 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/20(日) 20:56:50
ノハ # ゚ゥ ゚)

503 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/21(月) 06:03:49
太鼓持ちなんて表向き
本当はするどい毒舌よ。
ニコニコ笑顔であなたを
滅多切りしちゃうわ。

ハルナン・シスター・ドラムホールドはこのような考えを常に胸に秘めていた。
自分の目的を果たすためなら、いくらでも本心を隠してみせる。
最後の一勝を確実に収めるためなら、親友だって欺いてみせる。
そう、ハルナンはフクの足を潰すこの瞬間のために、死んだふりをしていたのだ。
波打つ刃のフランベルジュはフクのももを深くまで傷つけている。
太い血管が傷つけられたというのが、"血の雨"が降り注いでいることからもよく分かるだろう。
この"血の雨"こそがハルナンが"雨の剣士"と呼ばれる最大の理由。
ハルナンは同じ天気組団の"雪の剣士"アユミンや"曇の剣士"マーチャンに実力面で劣るが、
この技を使うことによって部位破壊と戦意喪失を同時に引き起こすことが出来るため
国内外にわずかながら存在する反対勢力からは恐れられていたのだ。

「これでもう"ダッシュ"と"バックステップ"は使えませんね……」
「ハ……ルナン……」

ハルナンは自分がなすべき使命を忘れてはいなかった。
"フク・ダッシュ"と"フク・バックステップ"、そして"フク・ロック"の3つの得意技を潰すことで
アヤチョが敗北する可能性を少しでも減らすこと。それが彼女の使命だ。
そしてもう既にそのうちの2つを達成してしまっている。

「あとは"ロック"だけ……その手首、ちょうだいします。」

フク・アパトゥーマは絶体絶命だった。
脚の痛みが強烈すぎてもう少しも立てる気がしないし、
例えここでハルナンの斬撃を避けたとしても、すぐそこにいるアヤチョ王に勝てる気はもっとしない。
壊れた身体で、折れた剣で、いったいどう戦えというのだろうか。
国を、そして仲間を愛する自分のやり方では王にはなれなかったと思うと、悲しくなってくる。



いや、悲しむのはまだ早かった。
彼女にはまだ仲間が残されていたのだ。
ハルナンが死んだふりをしたように、味方陣営にも死んだふりをした人物が二人残されている。
フクと同じくらいに血まみれでまったく頼りなくはあるが、とても心強い味方がいるのだ。

「今やで!」
「おう!」

作戦室から2つの鉄球が飛んでくる。
そのうちの剛速球の方はフクを斬ろうとするハルナンへと、
そしてやや速度の遅い方は、何故か床でうずくまっているハル・チェ・ドゥーへと向かっていた。
突然の出来事にフクも、ハルナンも、ハルも混乱する。
そしてこの場にいる誰よりも戸惑っていたのがアヤチョ王だった。

「え!?え!?え!?ど、ど、どうしよう!?」

504名無し募集中。。。:2015/09/21(月) 09:43:19
すっかりアンジュ2期存在忘れてたー!wこれでまた勝敗が分からなくなった

505 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/22(火) 00:08:26
フクに味方したのは"運動番長"タケ・ガキダナーと"勉強番長"カナナン・サイタチープの2名だった。
自国の王であるアヤチョ王に殴る蹴るの暴行を受けてからしばらくは大人しくしていたが
今こそタチアガール時だと信じ、鉄球を投げたのだ。
ハルナンとハルを目がけて投球したのは決してアヤチョを恐れていたからではない。
こうすることこそがアヤチョを倒す唯一の方法であるとカナナンが考えたのだ。

「ハルナン!愛しの君!いま助けるからねっっっ!!」

アヤチョには「愛する者を絶対にかばう」超反射神経が備わっている。
いくら鉄球の速度が速かろうと、雷神のスピードで動けるアヤチョには無意味のはずだった。
ところが、今のアヤチョはピクリとも動いていない。
自身の身体の変化に、アヤチョは自分で自分が怖くなってくる。

(なんで!?なんで動かないの!!アヤの身体が変になっちゃった!!)

アヤチョの身体は決しておかしくなったわけではない。
反射神経だって依然変わらず正常だ。
ただし、守るべき対象が1名から2名に増えたことによって、脳が混乱しているのである。
遠くにいる親友ハルナンを剛速球から守るべきか、
近くにいる最愛の人ハルを低速球から守るべきか、
これまで複数の人間を同時に愛したことがないために、どうすればよいのか判断することが出来ない。
その結果、アヤチョはちょびっとだけ優先度の高いハルを守ることを選択してしまった。
となれば選ばれなかった側ハルナンに向かう球は止まらない。
勢いをまったく落とさぬまま、平らな胸へと衝突していく。

「はうっっっ!!!」

激しい回転のかかった鉄球はゴリゴリと言った音を鳴らしながらハルナンの骨を粉砕する。
もともと死んだふりをする程に追い詰められていたハルナンに、この攻撃に耐える気力があるはずもなく
フクを斬るより先に床にぶっ倒れてしまう。

「ハルナン!!」

友人がやられるのを見たアヤチョは心臓がえぐられる思いだったが
ここでさっきのように戦意喪失しても仕方がない。
ハルナンの犠牲を無駄にせぬためにも、最愛の人ハルの援護に全力を注ごうとする。
しかし、カナナンの投球はそれすらも許さなかった。

「ウチの弾道計算は完璧です……鉄球はそこで落下する。」

アヤチョが球を弾こうとする直前、低速球の軌道は変化した。
そのボールはなんとフォークボールだったのだ。
球が落ちる先にあるのはハルの脇腹……つまりは折れた肋骨部分にあたる。
フクがサイリウムを叩きつけていた個所に、さらなる追い打ちをかけていく。

「ぎゃああああ!」

スピードは遅くても、鉄球が骨折部にぶつかる痛みは気が遠くなるくらいに強烈だった。
白目をむいて苦しむ最愛の人の姿を目の当たりにして、
アヤチョは吐き気がするほどに気が滅入ってしまう。

「やだ……なんでこうなるの……やめてよ、やめてよ……」

506 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/22(火) 00:10:34
アンジュ2期の4人にはなるべく触れないように書いてましたからねw
カナナンとタケは死んだふりをしていましたが
メイは腹筋への負担が大きすぎて、今回の戦いではタチアガーれそうにもありません。

507名無し募集中。。。:2015/09/22(火) 06:43:14
カナナン某メジャーリーガー仕込みのフォークボールかw

まんまと騙されたわw

508 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/22(火) 18:27:30
ハルナンを自らの手で押し潰した時のアヤチョの意気消沈っぷりを見るに、
今回もハルナンとハルの二人を同時に倒せば、つまりは愛を注ぐ対象を一度に消すことが出来れば
また戦意喪失するのではないかとカナナンは考えていたのだ。
そして実際にその考えは正しかった。
アヤチョはすべての希望が潰えたような表情をして、膝をついている。
こうなればもう戦うことは出来ないだろう。
結果、今回の戦いはフク・アパトゥーマ陣営の大勝利。
これで次期モーニング帝国帝王が決まるはずだった。
……ハルの唸り声が聞こえるまでは。

「うぅ……うぅ〜……」

苦痛の中にはいるが、かろうじて意識を残している。
そしてその蚊のように小さなうなり声は、位置的に近いアヤチョの耳の中に、確実に入っていた。
それだけてアヤチョは息を吹き返す。
大切な存在にこんなひどいことをした、部下への怒りを添えて。

「タケェェェェェ!!カナナァァァァン!!」

アヤチョは鬼と化した。
全身ボロボロであるのもなんのその。
粛清対象である二人に罰を与えるため、あっという間に作戦室へと突入する。

「タケェ!よくもハルナンを!こうしてやる!こうしてやる!」

アヤチョは雷の如き迫力でタケの脛を蹴り上げた。
そして相手が転倒してからは、無防備なお腹を踏んづける。
踏んづける。踏んづける。何度も何度も踏んづける。
タケが口から血を吐いてもなお、粛清を続ける。

「ゲホッ!……うぅああ……」
「悪いヤツめ!悪いヤツめ!こうしてやる!」

509名無し募集中。。。:2015/09/22(火) 19:14:20
ひえぇぇぇ〜あやちょ怖い((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

510名無し募集中。。。:2015/09/22(火) 19:37:54
まるで菩薩が悪を懲らしてるため変化した明王のようだ…ガクガクブルブル

511名無し募集中。。。:2015/09/22(火) 21:39:28
もうこれ悪役やん…

512 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/23(水) 15:26:06
タケがやられているのを横目に、カナナンはフラフラの身体でフクの方へと向かおうとする。
仲間を見捨てているわけでは無い。
対アヤチョ王の必勝法を伝授することが何よりも大事だと判断しての行動なのだ。
しかし、そんなカナナンの目論見をアヤチョが見逃すはずかなかった。

「逃がさないよカナナン!!!!」

ギロリとカナナンを睨みつけ、さっきまでタケを折檻していた足で床を踏み向ける。
お遍路参りを何回も繰り返すことで鍛えたその脚力であれば、あっという間にカナナンに追いつくだろう。
ところが、ここで新手の邪魔が入る。
まるで透明の大型犬にしがみつかれたかのように、アヤチョの右脚がズシリと重くなっていく。
この大型犬の正体を、アヤチョ王は知ってた。

「リィィィィィィナプゥゥゥゥゥ!!!!」

アヤチョは力いっぱいに右脚を持ち上げると、近くにあった壁に勢いよく叩きつける。
タケを懲らしめた時と同様に、何度も何度も何度も叩きつける。
やがて血が滲み、透明だったリナプーの姿が露わになっても攻撃は止まらない。
いくらやりすぎようともアヤチョ王の怒りは止むことが無いのだ。

「なんてひどいことを……許せ無い……!」

少し離れたところで見ていたフクは這ったままの姿勢で鉄球を拾い上げた。
この鉄球は先ほどタケがハルナンに放った豪速球だったもの。
これをアヤチョにぶつけてやろうと、振り被る。

「待ってください!フクさん!」
「!?」

フクの投球を制止したのは、カナナンだった。
まだ距離が遠いため、声を張り上げながら訴えている。

「投げる場所を、よく考えてください!」
「投げる……場所?……」
「貴方なら分かるはずです!この戦いに終止符を打つ、唯一の場所が!!」

513名無し募集中。。。:2015/09/23(水) 16:09:16
いよいよ決着か!?

514名無し募集中。。。:2015/09/23(水) 22:25:50
ハルナンの壁にぶつけてさらにえぐれさせるんだなw

515 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/24(木) 12:57:14
カナナンにはフクがここで取るべき行動が分かっていた。
だがそれをストレートに伝えてしまえばアヤチョに気づかれ、防がれてしまう。
ゆえに湾曲的な言い回ししか出来なかったのだ。
もっとフクに接近して小声で伝えれば良いのかもしれないが、それもダメだった。
何故ならアヤチョはもうカナナンの背後に迫ってきていたのだから。

「カナナン、怒るよ。」

カナナンは頭を掴まれては、そのまま床へと叩きつけられる。
その様子を見たフクは思わずアヤチョに鉄球を投げつけようとするが、
カナナンが必死でヒントを与えてくれたのを思い出し、グッと堪える。

(私が投げるべき場所……それはどこなの!?)

フクは頭をフル回転させて、これまでの出来事を回想していく。



アヤチョの超反射神経、
アヤチョに防がれた攻撃、
ハルナンをかばう時だけ下がる回避力、
ハルナンを失う時の弱体化、
ハルが登場した時の回復力、
必殺技「聖戦歌劇」、
砕け散ったサイリウム、
飛んできた二つの鉄球、
動けないアヤチョ、
ハルをかばったアヤチョ
気を失うハルナン
小さな呻き声をあげるハル

……
………

「そうか……あそこに投げれば勝てるんだ……」

フクは理解した。
脚が壊れているため、もう立てはしないが
上半身の力だけで投球しようと上体を起こす。
だがここでノンビリはしていられない。
アヤチョもフクが投げるであろう場所に気づいてしまったのだ。

「!!!!!……やめて!それだけは、それだけはやめて!!」

516 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/24(木) 13:11:35
フクが投げるべき場所をクイズにします。
正解は二つのあって、
片方はひねりなしの答え、もう片方はひねった答えになってます、
特に賞品などはありませんが、当ててみてください。

517名無し募集中。。。:2015/09/24(木) 18:03:45
はるなん

518名無し募集中。。。:2015/09/24(木) 18:15:03
ここにきてクイズw某「〜の夜」スレのようにマルチエンディング期待しちゃうなww

普通に考えればハル一択なんだけどそのまま投げても傷付いたフクじゃアヤチョに防がれちゃう…

ここはハルに投げると見せかけてメイに鉄球をパス!事前に透明化したリナプーからもう一つの鉄球を預かっていたメイがハルナンとハルに両方に鉄球を投げる…タチアガーれなくても倒れてる二人なら転がして当てればダメージを与えられる筈

って流石にひねりすぎか?w

519名無し募集中。。。:2015/09/24(木) 21:34:23
天井に投げて崩してハルもハルナンも潰して終わりやん

520 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/25(金) 08:29:27
フクの視線の先にいるのは、ハル・チェ・ドゥーだった。
そう、ハルに球を投げることこそがアヤチョ打倒の唯一策だとカナナンは考えていたのである。
鉄球がヒットすれば、ハルナンとハルという"愛すべき相手"を失ったアヤチョは意気消沈するだろうし、
仮にアヤチョがハルをかばうことが出来たとしても、それで肉体にダメージを与えることが出来る。
どちらに転んでもコトは有利に運ぶし、そうしない手はないとフクも思っていた。
……球を投げる寸前までは。

(待って、もしここで投げたら、私は……)

フクはハッとした。
今から自分は、無抵抗の仲間を傷つけようとしていることに気づいたのだ。
それはまさにアヤチョがこれまでやってきたことと同じ。
正さなくてはならない存在と同じ過ちを犯そうとしている。
明確な意思を持ってこちらに攻撃してきた時のハルならともかく、
今のハルはか細い声で呻いているだけの無力な状態。
どうしてここで投げることが出来ようか。
ここで同志を傷付けて、どの口で立派な王になると言えるのか。
そう考えたフクは握っていた球を床へと落とす。
握るべきものは、他にあるのだから。

「え?え?……なに?なにがどうしたの?」

ここで困惑したのは、ハルを守ろうと飛び出したアヤチョだ。
絶対的な正解である投球を放棄することが彼女には理解不能だったのだ。
だからこそアヤチョはパニックを起こし、
フクが近くまで接近していることにも気付けなかった。

「アヤチョ王。」
「ぎゃあ!なに!?」
「握手を、しましょう。」
「え?え?え?」

混乱しているところにいきなり両手を掴まれたので、
アヤチョは何が何だか全くもって分からなくなってくる。
そしてフクはそんなアヤチョをなだめるように、言葉を続けていく。

「我がモーニング帝国では握手が最上級の愛情表現です。アンジュ王国もそうですよね?」
「そうだよ!国民はアヤと握手すると凄い喜ぶ!だからなに!?」
「良かった、分かっているじゃないですか。」
「はぁ!?」
「これからもハルナンやハルと同じくらい、国民に愛を与えてください。
 私もそうします。モーニング帝国帝王として。」
「!?」

ハルナンがこの戦いで果たしたいと考えていた使命を覚えているだろうか。
それはフクの得意とする3つの技を削ぎ落すこと。
フク・ダッシュは削れた。
フク・バックステップも削れた。
だが、この"フク・ロック"だけはあとちょっとのところで削りきることが出来なかった。
だからこそ、この局面で2人だけの個別握手会が開催されている。

521 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/25(金) 08:30:53
クイズにお付き合いくださりありがとうございました。
正解は「ハル」もしくは「投げない」になります。

アヤチョ戦は、次の話で最後になります。

522名無し募集中。。。:2015/09/25(金) 09:44:46
やられた…まさか「投げない」選択するとは

523名無し募集中。。。:2015/09/25(金) 16:22:10
いい解答だね

524名無し募集中。。。:2015/09/25(金) 21:37:11
個別握手会w

525名無し募集中。。。:2015/09/25(金) 21:39:56
ついにフクが自分の意志で王になる事を宣伝したね
もしかしたらハルナンはこうなるように仕向けたのかも?と思ったり…

526名無し募集中。。。:2015/09/26(土) 16:14:09
そろそろ始まって5ヶ月か
タイトルの「拳士たち」の登場はいつになるのやら…w

527 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/26(土) 17:30:49
"フク・ロック"は相手の手を掴むことで動きを制限する束縛術。
ここから逃れるにはフク以上のパワーで振りほどくしかないのだが
これまでの戦いによってアヤチョの腕の骨は折れに折れているため、どうすることも出来なかった。
ムチのようにしならせて叩こうにも、打点自体をホールドされているのでそれも叶わない。
この鬱陶しさにイラつくアヤチョだったが、まだ攻撃手段はいくらでも残されていた。

(手がダメでも足があるよ!頭突きもいいよね!
 気を失うくらい強烈なのをお見舞いしてあげる!!)

アヤチョは自身の額に、グググッと怨念を込めていく。
来たるべき未来、すなわちハルナンが帝王となる未来を実現するにはフクが邪魔なのだ。
そのフクをぶっ倒す意思をより強固にするために、アヤチョは幸せな未来を空想する。
ところが、その人並み外れた空想力がアダとなった。
先ほどのフクの言葉にあった「モーニング帝国帝王として」という言葉が心に引っかかった結果、
異なる未来を思い描いてしまったのだ。

(これは……なに!?)

アヤチョの瞳には少し未来のビジョンが映っていた。
目の前にいるフクの身なりは綺麗に着飾られていて、まるで王様になったかのように見える。
そしてそのフク王の後ろには12人の少女たちが集結している。
顔も知らない者も何人かいるが、これは未来の帝国剣士たちに違いない。
帝国剣士たちの誰もが例外なくフクを慕うように、剣を握っている。
ハルナンも、ハルも、アヤチョではなくフクを護るためにそこに立っているのだ。

(やだ!なんで!?二人ともアヤよりもそいつの方が大事なの!?
 どうしてそいつの周りにみんながいるの?どうして人が集まるの?
 じゃあ、アヤの周りには…………!!)

アヤチョは自分の後ろを見てしまった。
彼女の瞳に映る未来には、誰もいない。
フクの側についているハルナンとハルはもちろんのこと……

(カノンちゃんは!?カナナンは!?タケは!?リナプーは!?メイは!?
 ムロタンは!?マホちゃんは!?リカコは!?みんなどこにいったの!?
 アヤは、どうして、一人なの……)

自ら空想した未来があまりに絶望的だったためか、アヤチョは気を失ってしまう。
突然こんなことになったのでフクは面食らったが、握った手を放したりはしない。
もうアヤチョが倒すべき敵ではないことを心で理解したのだ。
アヤチョの身体はあの強さからは想像もできないほどに細くて、しかも衰弱しきっていた。
そんなアヤチョにこれ以上の衝撃を与えぬように、フクは腕をそっと引き寄せて、抱きしめる。

「もう無理しなくてもいいんですよ、ゆっくり休んでください。
 アンジュの戦士たちも、ハルナンも、ハルも、みんな休ませます。
 私も……すぐに休みます……」

528 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/26(土) 17:32:21
これでアヤチョ戦は終了です。
第一部完!!……は、実はまだ先になっちゃいそうですw

ハルナンの真意や、拳士の情報とかは近いうちに出せるんじゃないかな〜とは思ってます。

529 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/26(土) 17:45:50

おまけ

戦いも一区切りついたので、選挙戦での撃破数ランキングを書きます。
あいまいな決着も多くありましたが、完全に私の主観で勝ち負けを決めてます。
引き分けの場合は両者勝利・両者敗北って感じですね。

・1位 アヤチョ 4勝(マロ、カナナン、タケ、リナプー)

・2位 マイミ  2勝(アユミン、メイ)
    カノン  2勝(トモ、カリン)

・3位 モモコ  1勝(クマイチャン)
    フク   1勝(アヤチョ)
    エリポン 1勝(アーリー)
    マーチャン1勝(オダ)
    ハル   1勝(サヤシ)
    オダ   1勝(マーチャン)
    カナナン 1勝(ハル)
    タケ   1勝(ハルナン)
    リナプー 1勝(サユキ)
    カリン  1勝(カノン)
    アーリー 1勝(エリポン)

・そのほか0勝の登場人物
 サヤシ、ハルナン、アユミン、マロ、メイ、トモ、サユキ、クマイチャン

※サユ王やクールトーンは戦っていないため対象外

530 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/26(土) 17:50:53

おまけ

-数時間前

マロ「予言してあげる。お前を討つのは他でもない、フク次期モーニング帝国帝王よ。」
ハルナン「……」


-数時間後

> タケ   1勝(ハルナン)

タケ「マロさんサーセンwwwフクちゃんじゃなくて私がハルナン倒しちゃいましたwww」
マロ「てめぇ……」

531名無し募集中。。。:2015/09/26(土) 17:56:30
なんか色々とw

アヤチョ編お疲れ様でしたやっぱりハルナンの真意があるのか…

532名無し募集中。。。:2015/09/26(土) 22:45:04
・そのほか0勝の登場人物
 サヤシ、ハルナン、アユミン、マロ、メイ、トモ、サユキ、クマイチャン←←←←←


圧倒的なパワーを見せつけて登場したはずの前作主人公wwwwww

533名無し募集中。。。:2015/09/27(日) 05:50:27
アユミン結局朝までトレーニングしたのか….

534名無し募集中。。。:2015/09/27(日) 09:34:07
アヤチョ王の4勝が全部自国の者なのがひどいw

535 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/28(月) 03:40:18
すべてが終わったと確信していたフクだったが、ここで気の抜けない出来事が起こる。
なんと果実の国の王であるユカニャ・アザート・コマテンテが作戦室の中から出てきたのだ。
"ハルナン派"であるユカニャ王の登場に、フクはピリッとする。

「あなたはユカニャ王……私を倒すつもりですか」
「そ、そんなの無理です!戦う勇気なんてこれっぽっちも残ってませんよ!
 そもそも私は次期帝王はフクさんでも良いと思ってましたし……」
「え?」
「私の願いは果実の国の平和なんです。今回ハルナンさんについたのもそのためですね。
 モーニング帝国のような強い国に守ってもらえなければ、果実の国は簡単に攻め込まれちゃうんですよ。
 もしもフクさんが我が国を脅威から守ると約束してもらえるのであれば……ぜひ応援したいのですが……」

いかにもな困り顔で気弱そうに言うものだから、フクは少し面食らう。
同じ"ハルナン派"且つ"一国の王"であるアヤチョとは似ても似つかぬ性格であるため、少しおかしくもあった。
思い返してみればモーニング帝国の歴代帝王も、誰一人として似たような性格の者は存在しない。
直接仕えた面々だけでもタカーシャイ、ガキ、サユと三者三様だ。
王がそれぞれ違うからこそ、国の在り方も違ってくるのだということをフクは理解する。

「もちろんです。私が帝王になったら果実の国だけでなく、アンジュ王国もまとめて守りますよ。」
「本当ですかぁ!安心しました……では三国で力を合わせる時代が来るのですね。」

ユカニャ王の表情から敵対すべき存在でないことを悟ったフクは、心から安堵した。
そして緊張の糸が完全に切れたのか、急激にまぶたが重くなってくる。
今度こそ本当に戦わなくていいという安心感からか、安らかな顔で眠りについていく。
それを確認したユカニャ王は、フクを起こさない程度の小声でボソボソとつぶやきだす。

「本当に安心しましたよ。これで我々は"ファクトリー"の脅威に対抗できるんですね。
 この世の真なる悪。悪意なき悪。最も憎むべき悪。"ファクトリー"は三国の総力をあげて潰さなきゃなりませんからね。
 私は結果的に良かったと思いますが、ハルナンさんはどう思ってます?」

ユカニャ王は床に倒れるハルナンに対して声をかけるが、
当のハルナンは鉄球で打たれて気を失っているため、返事が返ることはない。

「ありゃ、死んだふりじゃなくて本当に寝ちゃってるんですね。じゃあ夢の中で聞いてください。
 私が見る限り、モーニング帝国次期帝王はフク・アパトゥーマさんですよ。
 でも、ハルナンさんはここで終わるような人じゃないですよね?……どう巻き返すのか、楽しみにしています。」

536 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/28(月) 03:45:42
>>531
ハルナンが帝王になりたい理由は名誉欲もありますが
それ以上にユカニャ王から聞いた"ファクトリー"に対抗したいという思いがあります。
自分が帝王になれば何かしら出来ると思ったんですね。

>>532
川#^∇^)ピキピキ

>>533
>>534
ハルナンの敵なら自国の者でも斬るアヤチョの異常性と、
ただトレーニングするだけで2人も倒すマイミの怖さが表現できたのではないでしょうかw

537名無し募集中。。。:2015/09/28(月) 07:06:04
ファクトリー!?まさかの急展開…

ハルナンの真意はファクトリーが何かによって明かされるって事か

538名無し募集中。。。:2015/09/28(月) 08:08:01
ユカニャ王が倒れたフクとハルナンの首を取って漁夫の利ENDかと思ってたのにw

しかし自国防衛のためにハルナンを焚きつけて他国を巻き込んだこんな内部分裂を起こさせるとか
実はユカニャ王こそが一番の策士黒幕なのでは…

539名無し募集中。。。:2015/09/28(月) 11:52:00
あざといからな

540名無し募集中。。。:2015/09/28(月) 12:12:24
果実の国の戦績はドーピングしても4人中半分が0
他国に頼りたくなるのも仕方ない

541名無し募集中。。。:2015/09/28(月) 12:51:56
ファクトリー悪役?
はまちゃん…

542 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/28(月) 13:00:37
今回の戦いによって、モーニング帝国剣士9名全員が負傷することとなってしまった。
誰もが例外なく歩くのも困難なほどの大怪我であり、
その日のみならず次の日までも医療室のベッドから起き上がることは出来なかった。

だが、覚えているだろうか。
今回の帝王を決める選挙のルールは「期日前投票禁止」かつ「代理投票禁止」だ。
つまりは自らの足で投票に向かわねば、権利を行使することが出来ない。

「クールトーンちゃん、締め切りまであと何分?」
「……3分です。」
「もうダメかもね。」

激戦の日の翌日、すなわち投票期日。
サユ王はクマイチャンのせいで瓦礫の山となった訓練場に座り込みながら、
投票権を持つ帝国剣士が来るのを待ち構えていた。

「あっ、あっ、時間が……」
「どうなった?」
「過ぎちゃいました……投票の受付は締め切りです。」
「はぁ……やりすぎなのよ、あの子たち。」

Q期組団も、天気組団も、誰も姿を現すことはなかった。
おそらく彼女たちには医療室から訓練場までの道のりがひどく長く感じるのだろう。
しかしこれでは次期帝王を決めようがない。

「あの、この場合は誰が王になるんですか?優勢だったフクさんですか?」
「それはダメ。ルールはルールよ。」
「そんな……じゃあ王位は……」
「私が続投でーす。」
「えええっ」
「……って訳にもいかないのよ。なんとかしなきゃね。
 とりあえずみんなのいる病室にいきましょ。」
「は、はい!」

543 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/28(月) 13:10:15
ファクトリーが何者なのか、正義か悪かは当分言えそうにないですね。

今の段階で言えるのは
第一部はサユが事件を起こす物語。
第二部はベリーズが事件を起こす物語。
第三部は拳士たちが事件を起こす物語。
というだけです。

544名無し募集中。。。:2015/09/28(月) 13:43:50
あと2年はかかるなw

545名無し募集中。。。:2015/09/28(月) 17:47:43
とりあえず第二部が楽しみだ

546名無し募集中。。。:2015/09/28(月) 19:03:16
なるほど
1 さゆ卒業
2 ベリーズ解散
3 こぶしデビュー
って感じですね

547名無し募集中。。。:2015/09/28(月) 19:38:27
サユが事件…1部はまだ続きそうだな

548 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/28(月) 23:21:50
あ、サユが起こした事件ってのは選挙のことですw
ですので第一部は収束に向かってますよ

>>546
さゆ卒業とベリーズ活動休止はその通りですね。
こぶし……デビュー?……ちょっと何のことか分かりません。
拳士の読み方とクールトーンの本名はよく分からないです。

549名無し募集中。。。:2015/09/29(火) 01:07:45
ほぼネタバレだしw3部になる頃には楓士?もできてると良いなぁ…

550 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/29(火) 08:47:29
昨日の戦いで大きく負傷したのは帝国剣士だけではない。
アンジュの番長や、果実の国のKASTたちだってあれだけ戦ったのだから安静が必要だ。
そのためモーニング帝国はその全員が身体を休めるのに十分なベッドと医療班を用意することにした。
また、昨日まで敵だった相手と極力顔を合わせぬよう、一国につき一つの部屋が充てられたのだが
アンジュ王国の面々に限ってはその配慮が嫌がらせのように感じられた。

「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」

地獄かよ、とタケは思った。
アヤチョ王とマロ・テスクの2人が終始無言で険悪なムードを作り上げているため
他の四番長らにとっては声を掛けづらかったのだ。
もっともリナプーは構わず睡眠をとっているので、
実際に気を病んでいるのはカナナンとタケとメイの3人ではあるが。

「あっそうだ、王に良い縁談があるんですよ。」

空気を変えようとやっとの思いで切り出したのはメイだった。
とは言っても昨日のことを忘れるなんて無理なため、アヤチョとマロの視線が痛くはあるが
筋肉痛で張ったお腹をさすりながら、なんとか声を振り絞っていく。

「なかなかのイケメンですし!男気もあるし!しかもスタイルも舞台映えしてて」
「やだ。」
「ですよね〜……」

即答だった。
やはりアヤチョに恋愛話は縁遠かったのかとメイは後悔したが、実際はそうではない。

「アヤはね、心に決めた人がいるの。結婚はその人とする!」

この好きな人がいる宣言に、タケとカナナンは嫌な予感しかしなかった。
心当たりがありすぎて、その人物の顔しか頭に浮かんでこない。

「あの、王の好きな人ってまさか……」
「えーー?アヤチョがガチ恋してるの?へぇ〜え。」

ここでマロがにやけた顔をしながら話に割り込んでくる。
今までの鬱憤を晴らすために、アヤチョをからかおうと思っているのだ。

「なにカノンちゃん。アヤが恋しちゃダメなの?」
「いや別にー?」
「じゃあなに!」
「いやね、おめでたい話なんだから号外新聞の一部や二部でも書きたいんどけどさ
 今の私はペンも握れないんだよね。ざーんねん。
 ううん、今だけじゃなくこのさきずっと執筆は無理かも。」

マロはわざとらしく、グニャグニャに折れ曲がった腕を見せつける。
このような嫌味は決して褒められたものではないが
彼女の中でもまだ、執筆能力を奪われたことに対する心の整理がついていないために
愚痴の一つや二つでもこぼさなくてはやってられないのだろう。

「……」
「どした?アヤチョ?なんか言葉はないの?」

マロはアヤチョが怒ったり、喚いたりすることを期待していた。
そうなれば普段の番長たちの空気感を取り戻せるし、
後腐れなくやっていけると思ったのだ。
ところが、アヤチョの反応はマロの思っていないものだった。

「カノンちゃんごめん……」
「は?」
「ごめん!みんなごめん!だから、だからアヤの前から消えたりしないで!!」
「ちょ、ちょっとアヤチョどうしたの!おかしくなった!?なんか変だよ!」

551名無し募集中。。。:2015/09/29(火) 09:43:27
よくよく考えたら前作では新聞記者、現実はハロ卒業したら作詞家…本当に執筆活動に携わるんだな・・・

作者は預言者かよw

552名無し募集中。。。:2015/09/29(火) 13:41:51
クマイチャンが休める場所はあるのか?
しかも同室?で一緒なのはモモチでしょ?
危険なかおりがする

553 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/30(水) 13:01:05
アヤチョは自身が見たビジョンの話をみなにすることにした。
具体的にはフクの周りに未来の帝国剣士が集結していたことと、
自分の周りには誰もいなくてとても辛かったことの二点だ。
またも空気がズシリと重くなったので、カナナンもタケもかける言葉が見つからないようだが
唯一マロ・テスクだけは躊躇なく突っ込んでいっていた。

「馬鹿ね、アヤチョ。」
「なに!」
「アヤチョの周りに誰もいなくて当然でしょ。だって私たち番長は常に前進してるんだもん。」
「えっ……」

アヤチョがキョトンとするのも構わず、マロは講釈を続ける

「フクちゃんの周りに帝国剣士が大勢いるってのは、王を敵から守るためなんじゃない?
 その分、私ら番長は楽よ。だって王を護る必要が無いんだもん。ねぇカナナン?」
「は、はい、刺客の一人や二人、いや100人くらいはアヤチョさんだけで倒せちゃいます。」
「そ。だから番長はどんどん前に行ける。攻めの姿勢を最後まで貫ける。
 アヤチョに構ってる暇なんかないの。分かった?」
「そっかぁ……」

正直言ってマロの言うことは勢い任せのデタラメではあるが
不思議とアヤチョの心は穏やかになりつつあった。
ずっとずっと不安に思っていたことが解消されて、嬉しかったのだ。
そしてお次はマロが嬉しい思いをする番となる。

「うわ!なんだこれ!」
「身体が重い……!!」

バン!と部屋の扉が開くなり、アヤチョを含む番長全員の身体はズシリと重くなる。
これは空気やムードが重いとかの話ではない。本当に重量が増加するくらいのプレッシャーを一気に感じているのだ。
こんなプレッシャーを放つような人間は、この城内には一人しかいない。

「カノン!私のために戦ってくれたんだって!?ごめんよ〜!」
「あなたは……あなたは……!」

扉をくぐって現れたのは、マロ・テスクが最も憧れている存在だった。
先ほどはアヤチョをガチ恋どうのこうのと、からかっていたが
何を隠そう(隠す意味はないが)マロの方が誰よりもガチ恋していたのだ。

「この身体の重さ……とっても懐かしいですぅ……」

マロはジュースを飲み干した時の自分を愚かだと思った。
あの時自分は、身体が重さを感じないことに対して喜んでいたが
そんな身体でどうして憧れの存在の重圧を感じることが出来ようか。
効果の持続がなくて、本当に良かったと思っている。

「あ!ごめん!つい焦って殺気を出しっ放しにしてた!!」
「いいんですよ。クマイチャン様の重圧、大好きですから。」

554 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/30(水) 13:16:45
花音のブログはエッグ時代から凄かったので、なんとなくは予想できましたねw

食卓の騎士の部屋については考えてませんでした。
たぶんマイミとクマイチャンはずっとモモコに叱られるんだろうなとは思います。

555 ◆V9ncA8v9YI:2015/10/01(木) 12:58:39
所変わって、KASTらが療養する病室。
そこでは今回の戦いの反省会が行われていた。

「うーん、分かってはいたけど、みんな散々な戦績ね。」

ユカニャ王は紙をペラリとめくりながら戦士たちへと視線を送る。
当人たちも不甲斐ない結果に終わったことは承知しているようで、後ろめたいような表情をしていた。

「トモとカリンちゃんの二人掛かりでカノンさんと引き分け……さすがにこれにはガッカリだね。」
「うん……ユカニャの言う通り。返す言葉もない。」
「トモに同感です……」

カリンはともかく、普段は横柄なトモ・フェアリークォーツがしおらしくなるのはめずらしい。
帝国剣士の一人も倒しきれなかったという事実が相当堪えているのだろう。

「サユキは番長のリナプーに競り負けたかぁ……
 まぁ、連絡担当の仕事は頑張ってくれたからよしとするかな。」
「よしとしちゃダメ。昨日の私はなんにも出来てなかった。」
「そう?」
「うん、明日からマラソンの距離増やす。」

サユキも、よりによってリナプーに負けたというのがショックなようだった。
しかもあのハルも大活躍をしたと聞いている。
元73班の中で唯一結果を残せなかったのは、とても悔しい。

「お、アーリーは結構頑張ったのね。ハルさんとタッグを組んでエリポンさんとサヤシさんを止めてる。」
「えへへへ。」
「うん、アーリーには及第点の評価をあげます。」
「やったー!」

彼女らの中で最も活躍したのがアーリーだというのもトモとサユキのプライドを傷つけた。
お互いのどちらかがKAST最強であると考えていたのだ
実力がやや劣るアーリーに出しぬかれるとは夢にも思っていなかっのだ。

「いや、こういう考え方自体がもうダメなのかもね……」

トモの呟きに対して他の四人が集中する。
らしくないことを言い出したので、不思議に思ったのだ。

「ねぇユカニャ、いやユカニャ王……新しい戦闘スタイルについて提案があるんだけど。」
「……なに?」
「ジュースはもう捨てない? そして、このカリンを中心に据えた陣形を組むのが一番良い気がするんだ。」

556 ◆V9ncA8v9YI:2015/10/02(金) 18:46:47
「えぇーーーーっ!?」

カリンのセンター起用発言に最も驚いたのは他でもないカリン自身だった。
KASTとしては足止めなどのサポート役に徹してたので、今回の推薦が信じられないのである。

「どうして?いつものように私が敵を止めて、みんなが攻撃するやり方が良いんじゃ……」
「それじゃあカノンの奴に勝てなかったでしょ。」
「それは……」
「相打ちに持ち込めたのも、カリンが肉弾戦にシフトしたからだ。」
「……」

トモの言葉に、カリンはうつむいてしまった。
自分が表立って戦うことを恐れているのかもしれない。

「カリン、お前の本当の戦闘スタイルはどういうのなの?どんな武器を使うの?本当のカリンは何者なの?」
「私は私だよぉ……なんでそんな怖いこと聞くの?」
「私たちKASTが帝国剣士と番長に食らいつくためだよ!強くならなきゃならないでしょ!」
「ひぅぅ……」

カリンが精神的に限界だと感じたのか、ユカニャ王が間に入っていく。
王も王で言いたいことがあったのだ。

「強くなりたいならジュースを捨てちゃだめだよ?
 効能に不満があるなら改良するから……」
「王、ジュースの効果は確かに凄いけどさ、それは私たちをダメにする薬だよ。」
「えーーー!?なんてことを……」

ユカニャはひどくショックを受けているようだが
サユキとアーリーにも思いたる節がうくつかあった。

「なんか分かる気がする。 ジュースを飲むとやることの幅が減るんだよね。」
「うん、ウチもオリになって敵を囲むことしかできひん。」

ジュースを飲むことで、彼女らは一芸に秀でることが出来るが
それは裏を返せば、一芸以外のことが出来なくなってしまうということ。

「サユキとアーリーの言う通り。 本当に強い奴は臨機応変に何だって出来るもんだよ。
 だから私たちはジュースなしで戦えるようにならないといけない。
 帝国剣士や番長に肩を並べるためにはね。」
「……」

常人と比べて勇気の不足しているユカニャ王は、反論を恐れるあまり言葉を返すことが出来なかった。
出来ることならば思いのたけをブチ撒けたいところではあるのだが……

(分かってない!みんな分かってないよ!ただの人間がファクトリーに勝てるわけないでしょ!!
 バイ菌を退治するのは天然100%ジュースしかないってのに、なんで分かってくれないの!?)

557名無し募集中。。。:2015/10/02(金) 19:30:26
ファクトリーが何者なのか気になる
早く見たい

558名無し募集中。。。:2015/10/02(金) 20:12:34
ユカニャ王がそこまで怯えるファクトリーとは一体…

559名無し募集中。。。:2015/10/02(金) 21:23:23
しかもバイキンって…ファクトリーの謎は深まるばかりw

560 ◆V9ncA8v9YI:2015/10/03(土) 18:35:17
「フクちゃん、起きて」

誰かの声に起こされたフクは、寝ぼけまなこで辺りを見回す。
寝起き直後ゆえに状況判断能力が著しく鈍ってはいるが
周囲のベッドに帝国剣士らが腰かけていることから、病室だということはすぐに理解できた。
問題はフクを起こしたその人物にある。

「サ、サユ王様!?」
「はーい。」

フクの前に立っていたのはサユ王その人だった。
よく見れば周りの帝国剣士らの表情もピリッとしている。あのマーチャンさえもだ。
これから始まることの重大さをみなが理解しているのだろう。

「フクちゃん、今何時か分かってる?」
「あぁ!!!……投票時刻はもう……」
「うん、過ぎてる。」
「では結果は……」

勝手に最悪の事態を想定して泣きそうな顔になるフクを見て気の毒に思ったのか
サユ王は側にいたクールトーンに説明をさせることにした。

「えっと、票はフクさんとハルナンさんのどちらにも一票も入りませんでした。
 誰も投票場に来れる身体じゃなかったんです。
 なので、次期モーニング帝国帝王はまだ決まっていません。」

それを聞いたフクは安堵のあまり涙を流してしまった。
結局泣くフクを横目に、ハルナンが挙手をした。
他のみんなと同様に今後どうなるのかを気にしているのだろう。

「それでサユ王……この場合、次期帝王は誰になるんでしょうか?」

その場の誰もがゴクリと唾を飲んだ。
サユもそれが分かっていたのか、勿体ぶらずに方針を告げる。

「次期帝王を決めるやり方は、あなた達9人で決めなさい。」
「「「「えっ!?」」」」
「私もね、いろいろ考えるのが疲れちゃった。
 9人全員が納得できる決め方ならなんでもいいよ。任せる。
 その代わり、一人でも納得できないようならずっとずっとずっとずっとやり直しだからね。」

561名無し募集中。。。:2015/10/03(土) 19:49:09
うわぁ一番困難な方法を選んだんだな…

562名無し募集中。。。:2015/10/04(日) 12:42:24
ここで投票すりゃいいのにね
決まるのか?

563 ◆V9ncA8v9YI:2015/10/05(月) 03:19:52
9人全員が納得する決め方。それを定めるのはかなりの難題だった。
どれだけ公正に見える手段であろうと、不満は必ず出るに決まっている。
例えば多数決。一般的には平等であると言われてはいるが
オダ・プロジドリが天気組団の一員だと判明した今、それを採用することは出来ない。
結果は絶対に5対4でハルナンの勝利となるに決まっているし、
そうなれば仮にフクが敗北を認めたとしても、エリポン、サヤシ、カノンが黙っていないからだ。
では多数決ではなく、団長同士の決闘で決めるのはどうか。
……残念ながらこの案も採用はされないだろう。
ハルナンはフクには勝てないと確信しているアユミン、マーチャン、ハルが食い気味に反対するはずだ。
どんな決め方だろうとフク側、ハルナン側のどちらかに有利性が存在する。
それが目立って見えている限りは決して意見は通らないのである。

(そうか……サユ王様の伝えたいことは……)

ハルナンはサユの言葉の本質に気づいた。
この状況で自分の意見を通すためには2つのことが重要であり、
その両方が帝王として人の上に立つのに欠かせないファクターであることが分かったのだ。
一つは「人をまとめあげること」
自分が有利な条件を提示すれば相手側が納得しないし、
かといって相手が有利になるよう仕向けたとしても、その時は味方からの反発を受けてしまう。
そのバランスを保って両者の理解を得られるような最適案を考え抜くのが王の務めなのだ。
もう一つは「不利な条件を受け入れること」
正直言って、今回のルールでは100%有利な条件が採用されることはあり得ない。
となれば大なり小なり自分にとって不利な条件で戦わなくてはならなくなる。
それを許容し、かつ成果を出すような者こそ王に相応しいのである。

(まとめること、そして受け入れることか……私の器じゃどっちも満たせそうにないな……
 だからフクさん!ここであなたに協力してもらう!
 あなたの持つ器の大きさを、ここで利用させてもらう!!)

ハルナンは痛みに耐えながら、その場に立ち上がった。
そしてフクに対してこう言い放ったのだ。

「フクさん、ここは決闘で決めましょう!
 私たちは戦士です……全員が納得できるような白黒の付け方なんて、それしかないでしょう?」

いきなり"決闘"を持ち出したハルナンに、その場の誰もが驚いた。
これにはもちろんアユミンら天気組団の反発が来ると思われたが、
次の言葉でハルナンはそれすらも阻止する。

「決闘とは言っても私とフクさんとのタイマンでは無いですよ……"チーム戦"です。
 フクさん、エリポンさん、サヤシさん、カノンさんのQ期団4名と
 私ハルナン、アユミン、マーチャン、ハルの天気組団オリジナルメンバー4名で戦いましょう。
 より強い組織を作り上げた者こそが帝王に相応しい……というのはどうでしょうか?」

一騎打ちではなくチーム戦。しかも戦うのはQ期団と天気組団。
そう聞いたアユミンたちは反論することが出来なくなってしまった。
ここで不利だと騒げば自分たち天気組団の方が劣ると認める形になってしまうし
そもそもガチンコ勝負でQ期団に勝てないとは微塵も思っていないのだ。
ならばハルナンに反対する理由など一つもない。
そしてそう考えるのはQ期団たちも同じだった。

「そっちがそのつもりならええっちゃけど。」
「今度こそ本当に容赦はせんけぇ……」

自分の意見が通りつつあることに対してハルナンはニヤリとする。
だがこれではまだ足りない。100%勝利できるという確証がない。
王になるには「不利な条件を受け入れること」が大事だとは分かってはいるが
その不利は可能な限り小さく抑えたい。
だからこそハルナンはフクに更なる提案を持ち掛ける。

「フクさん……私とフクさんの二人でチーム戦のルールを決めませんか?
 お互いが納得できるような、気持ちの良い勝負ができるルールを制定しましょう!」

564名無し募集中。。。:2015/10/05(月) 05:43:53
再戦すんのか

565名無し募集中。。。:2015/10/05(月) 06:50:54
フクはハルナンから決闘の申し出を
→受ける
 受けない

これで命運が決まりそうだw

566 ◆V9ncA8v9YI:2015/10/06(火) 12:58:47
ハルナンの提案は勢い任せにもほどがあったし、
Q期の慎重派、カノン・トイ・レマーネもその案をひどく怪しんでいた。
ここで承諾しなかったとしても、決して逃げたことにはならないのだが……

「いいよ、ハルナンの言う通りにしよう。」

フクはあまりにも簡単に意見を聞き入れてしまった。
いや、というよりは「不利な条件を受け入れる」心構えが出来ていたと表現するのが正しいのかもしれない。
ハルナンは表情こそにこやかだが、フクに王の素質があることを痛感して、内心穏やかではなかった。

(ほんと落ち込むわ……こうも差を見せ付けられると、ね。
 でも、これをチャンスと思わないとやってけない。
 隠すのよ!こちらの有利な条件を、甘い言葉の中に!!)

ハルナンはフクにぺこりとお辞儀をし、ルールの提案を開始する。

「まず日程ですが、ちょうど1ヶ月後というのはいかがでしょうか?
 今すぐ……というのは負傷の度合いから言って難しいでしょうし、
 かといって全員の完治を待つとなると、次期帝王の決定を先延ばしにする形になってしまいます。」
「先延ばしは……良くないね。」
「では1ヶ月でも?」
「うん、いいよ。そうしよう。」
「分かりました。お次は決闘の場所を決めましょうか……私は訓練場こそ相応しいとは思いますが。」
「えっ!?あそこはクマイチャン様の被害で瓦礫だらけになってるんじゃ……」
「はい、だからこそ我々への"戒め"になるんです。」
「???」
「今回私たちは味方同士だというのに争ってしまいました。
 しかも食卓の騎士を筆頭に、他国の戦士まで巻き込んで……」

ハルは「全員ハルナンが呼んだんじゃないか」とツッコミたくなったが
ここは黙っておくことにした。

「そのような醜い争いを今後しないと誓うために、今回の決闘を最後の戦いにするために
 投票場でもあった訓練場で決着をつけるのが最適だと思ったのです。」
「すごいね……そこまで考えてたんだ。」
「多少戦いにくいかもしれませんが、瓦礫はそのままにしておきましょう。これも戒めです。」
「天井の穴も?あれもクマイチャン様が開けたんだけど……」
「はい!その方がお天道様にも決着を見ていただけますしね!」
「なるほど〜そうしよう!」

567名無し募集中。。。:2015/10/06(火) 13:55:16
ハルナン「地の利を得たぞ!」

568名無し募集中。。。:2015/10/06(火) 16:34:20
オダ自身の心境が気になる

569名無し募集中。。。:2015/10/06(火) 17:25:26
前作ようやく読み終わった

570 ◆V9ncA8v9YI:2015/10/07(水) 08:38:40
制定はまだまだ続く。

「肝心の決着の付け方ですが……勝利条件をどう定めれば全員納得しますかね?
 ポイント制の導入とかは、辞めた方が良いですよね?」
「うん、ダメだね。どちらかが戦えなくなるまで戦い抜くべきだと思う。
 決闘って、そういうものだから。」
「フクさんがそう言うならそうしましょう!
 ただ、そこに一つだけルールを追加してもいいですか?」
「なに?」
「武器は訓練用の模擬刀にしましょう。極力、血は流したくないですし、それに……」
「それに?」
「ほら、フクさんの剣……折れてしまったじゃないですか。」
「あ……」

フクの愛用する装飾剣「サイリウム」。
昨晩アヤチョ王に破壊されたばかりであるし、
あの壊れ方からいって1ヶ月そこいらで修復できるとは到底思えない。

「フクさんだけが持ち慣れない仮の剣を使うなんてフェアじゃないですよね。
 ですので、ここは全員一律で模擬刀と訓練着を使うのが良いと思ったんです!」
「ありがとう……そうしてもらえると助かる。」

話の流れに対してサヤシは少し思うところがあったが
自分たちの大将が良いと言うのだから、意見を引っ込めた。

「他に決めるべきは……うん、立会い人ですね。」
「立会い人?」
「次期帝王を決める戦いなんです。見届けるに相応しい人物をお呼びするべきでしょう。」
「なるほど……でも、サユ王以外に誰かいたっけ? あ、オダちゃんにも見て欲しいけども。」
「マーサー王です。」
「え?」
「マーサー王をお呼びするんです。」

フクにはハルナンの提案が信じられなかった。
確かにマーサー王国はモーニング帝国の最重要同盟国ではあるが……

「そんな、そこまでする必要って……」
「必要あります。 今回の勝者は王になるんですよ。つまりはマーサー王と肩を並べることになりますよね。
 ならば、次期帝王をいち早くお伝えできる場に招待しなくては失礼にあたります。」
「そ、そうか……」

コトが大きくなってきたので、フクのみならず他の帝国剣士らも冷や汗をかきだした。
そして、さすがのサユもこの件に関しては口を挟まずにはいられなかったようだ。

「ちょっと待って、マーサー王を招待する手はずは誰が整えるの?
 私は嫌よ?面倒くさいし……」
「私が全責任を持ちます!ですので、許可をください。」
「それと分かってる?マーサー王は一人じゃ外出できないの。
 いつ何が起きても良いように、マノちゃんって子が付き添うことになってるんだけど……」
「承知しています。マノエリナさんという方にも見届けていただくつもりでした。」
「そう?じゃあ何も言うことはないわ。」
「それと……食卓の騎士のキュート戦士団長であるマイミ様にも立会い人になっていただきたいのですが……」
「マイミも!?……理由は?」
「今回、私はマイミ様とクマイチャン様を私欲のために騙してしまいました……
 その罪滅ぼしとして、心を改めた私の戦いを見て欲しいんです。」
「はぁ……勝手に交渉しなさい。二人にはちゃんと謝っておくのよ。」
「はい!」

フクはやや置いてけぼりではあったが、
これでサユ王、オダ、マーサー王、マノエリナ、マイミの5名に立会い人になってもらうことが決定した。
他にも細々とした決め事はあるが、基本的な流れはみなが理解したことになる。
これで全員が納得すればおしまいだ。
フクがQ期団に、ハルナンが天気組団に確認を取る。

「みんな、これでいいよね?」
「納得出来ない人はいないよね?」

引っかかることが無いと言えば嘘にはなるが
お互いのリーダーが納得し合っているので、特に不満などが出ることはなかった。
ただ、一人を除いては……

「私、納得できません!!」

病室中に響き渡る大声に、一同驚いた。
特にハルナンはしまったと言うような顔をしながら汗をかいている。
何故なら意義を申し立てたその人は、天気組団の一人、オダ・プロジドリだったからだ。

「オダちゃん……?」
「ハルナンさん、約束が違いますよ!」

571 ◆V9ncA8v9YI:2015/10/07(水) 08:40:00
前作を読まれた方にはタイムリーな展開かもしれませんねw
ログ整備は暇を見つけて頑張ります……

572名無し募集中。。。:2015/10/07(水) 11:47:42
さすが一筋縄ではいかない女!

573名無し募集中。。。:2015/10/07(水) 16:06:05
マノちゃんきたか
オダはやっぱり一筋縄じゃいかないよねw

574名無し募集中。。。:2015/10/07(水) 21:52:23
マーサー王までくるのか…天のお告げで舞踏会でフクとダンスを踊る事になるんだなw

575名無し募集中。。。:2015/10/07(水) 22:11:57
>>574
トライアングルかよw

576 ◆V9ncA8v9YI:2015/10/08(木) 08:22:51
「何言ってるんだよオダァ!」

いつものように怒鳴りつけるアユミンだったが、内心ではオダの意図するところを分かっていた。
オダの言う約束とは、以前、作戦室で教えてくれたものに違いない。
もしもそれが実行されるとなれば大変なことになる。

「ハルナンさん、約束してくれましたよね?
 "ハルナンさんが選挙に勝ったらすぐにでも帝王を斬らせてくれる"って……」
「うん……」
「このままだと選挙をやらなくなるじゃないですか。私との約束、どうなるんですか?」

そんな約束をしたとは思いもしていなかったQ期たちは、揃いも揃って背筋を凍らせた。
オダが味方を斬りたいと考えていたことがそもそも驚きだし、
「選挙に勝ったら」という条件付きとは言え、帝王になった自分を危険に晒す約束をしたハルナンも恐ろしい。
それだけ今回の戦いに賭けていたということなのだろうか。

「オダちゃんダメ!!そんなのマーが許さないから!!」

ここでマーチャン・エコーチームが声を荒げたのも意外だった。
ハルナンのことを尊敬しているようには見えなかったが、やはり天気組団の一員といったところだろうか。
そんなマーチャンの成長に感涙しつつ、フクが話に割って入る。

「オダちゃん、そんな約束は私からも認められないよ。」
「!!!……フクさんは関係ないじゃないですか。」
「ううん、関係ある。 これ以上血が流れるのを黙って見逃すことはできない。」
「私は帝王を斬ることを目標にして、ハルナンさんに協力してきたんですよ!
 それなのに、全て終わったら約束を反故にするって……あんまりじゃないですか!
 斬らせてください!帝王が私の上に立つに値する人間なのか、確かめないと気が済みません!」

このように激昂する様はいつもの冷静なオダらしくなかった。
しかしここはなんとかして宥めないといけない。
実力から言って、ハルナンがオダに斬られたとしたら痛いでは済みそうもないからだ。

「だからそこをなんとか抑えて!きっとハルナンも他の褒賞を用意してくれるはずだから!」
「そんなの無価値ですよ!私が最も願うのは……」
「なんだっていうの!?」
「サユ帝王を斬る、それだけです。」
「…………ん?」

この場にいる殆どが頭の処理が追いつかず、ぽかんとしてしまった。
サユ王も「私?」と言った表情をしている。
その中でもオダの世界観についていけているのは、
頭を抱えているハルナンと、相変わらず食ってかかるマーチャンの2人のみだった。

「だーかーらー!ミチョシゲさんは斬らせないって!」
「マーチャンさんには口を挟む権利はありませんよ。
 とにかく、私はサユ王の実力を測らないといけないんです。
 私は私より強い人にしか従う気はありませんので。」
「オダちゃんひょっとして馬鹿?ミチョシゲそんの方が百万倍強いってみんな思ってるよ。」
「やってみなきゃ分からないじゃないですか!!」

オダの言う帝王とは、ハルナンではなくサユを示した言葉だった。
確かに選挙が終わった時点では、ハルナンはまだ王ではない。
その後の正式な手続きをすべて踏み終えるまではサユが王なのだ。
ひとまずハルナンが斬られる訳ではないと知った一同は安心したが
それでもまだ一件落着とは言い難い。

「身の程を知れよオダァ!王がお前なんか相手する訳ないだろ!」
「アユミンさんひどい!……私だってそれくらいわかってますよ……
 でも、ハルナンさんが約束してくれたんですもん……
 それを聞いて嬉しかったのに……ウッ……ウッ……」
「おいオダ……泣いてるのか?」

577 ◆V9ncA8v9YI:2015/10/08(木) 08:24:34
トライアングルは私もやっとDVDを見れました!
色々とネタに使えそうな要素が多かったですね。

578名無し募集中。。。:2015/10/08(木) 10:03:11
おいおい…自分が次期帝王に決まったら即前王をオダに斬り捨てさせるってどんだけ冷徹なんだよハルナン!w

579名無し募集中。。。:2015/10/08(木) 11:28:29
さすがオダァ
ハルナンもハルナンだけどw

トライアングルネタも楽しみです

580名無し募集中。。。:2015/10/08(木) 12:07:27
これからはトライアングルネタも増えるかな?

邪魔者は全て排除する・・・ハルナン怖いわw

581名無し募集中。。。:2015/10/08(木) 18:46:55
ハルナンなんて約束を

582 ◆V9ncA8v9YI:2015/10/08(木) 22:28:13
ハルナンは仕方ないといった表情で、サユの方へと顔を向ける。
無礼であることは承知しながらも打診することに決めたのだ。

「サユ王様、おヒマな時にでもオダと手合わせを……」
「イヤよ、どうせ真剣でやれってんでしょ?痛いのはイヤ。」
「ですよね……」

サユにあっさりと断られてしまったため、話はいよいよまとまらなくなってしまった。
次期帝王の決め方を定めるには全員の納得が必要なのだが
サユとの決闘が約束されない限りはオダが反対し続ける。
しかも、サユは決闘する気はさらさらない。
これでは決め事は一生締結されない。
先ほど定めたチーム戦のルールが承認されないことは、ハルナンにとって非常に都合が悪かった。

(仕方ない、この手は使いたくなかったけど……)

ハルナンは身体の痛みに耐えつつ、サユの元へと接近していく。
そして、他の誰にも聞こえないような声でサユに耳打ちするのだった。

「覗き部屋のこと、研修生たちにバラしてもいいですか?」

それを聞いた途端、サユの四肢はビリビリと痺れだす。
急に頭がクラクラするし、吐き気も催したような気がしてくる。
なぜハルナンがそのことを知っているのかは定かではないが
それはさておき、サユは次の言葉しか喋ることが出来なかった。

「いいよ、オダと戦ってあげる。」

サユがそう言うなり一同は驚き、ハルナンは安堵の表情を浮かべ、オダの顔はパアッと明るくなる。
そしてその勢いのままオダは早口で質問をするのだった。

「本当ですか!?い、いつですか?今ですか?剣を取ってきますね。」
「ちょ、落ち着いて!」

最大の懸念事項が吹っ飛んで気分の良くなったハルナンは
この件までもチーム戦へと絡めていく。

「オダちゃん!どうせなら怪我を治した健康体で王に臨みたいでしょ?
 だからこうしましょう。サユ王様とオダちゃんの戦いはエキビションマッチとして、
 Q期組さん対天気組が始まる前にやってもらいましょう。
 サユ王様、オダちゃん、それでいいですね?」
「……はぁい」
「はい!」

583 ◆V9ncA8v9YI:2015/10/08(木) 22:30:01
念のため補足をしておきますが
ハルナンはオダがサユ王に勝てるとは微塵も思っていませんw
約束だけして、王に適当にあしらわれるのを期待してたんですね。

584名無し募集中。。。:2015/10/08(木) 23:32:02
しかしオダァは敗北を知らない女・・・

585名無し募集中。。。:2015/10/09(金) 07:59:37
最初オダの約束聞いたとき策士だなと思ったけど…やはりオダは己の欲望に忠実な女で安心したギンギン

586名無し募集中。。。:2015/10/09(金) 10:12:06
ハルナンの悪な魅力たまらん

587 ◆V9ncA8v9YI:2015/10/09(金) 12:57:47
承諾はしてくれたものの、依頼が急すぎたことを反省しているのか
ハルナンは小声でサユ王に謝りだした。

「本当にすみませんでした……当日はサクッと済ませてもらえば結構ですので……」
「そんな気軽なものじゃないのよ、どこまでマリコを抑えられるか……」
「マリコ?どちら様ですか?」
「あぁ、いや、こっちの話。」

サユの言葉は少し不思議だったが
それはさておき、ひとまずこれで全員の納得を得ることが出来た。
日程は一ヶ月後、場所は訓練場、ルールは模擬刀を用いたチーム戦。
立会い人はサユ王とマーサー王、そしてマイミ、マノエリナ、オダ。
チーム戦の前にはサユ王とオダのスペシャルマッチ有り。
この場にいる全員が全員、これらのルールを受け入れることが出来た。
ここまで決まれば、後は各チームに別れて作戦会議でもしたいところだが……

「フクさんの怪我が一番ひどいですよね。
 どうしましょう。私たち天気組が別室に移りましょうか?」
「ううん、ちょっと用事があって、今から席を外すから大丈夫。
 Q期のみんな。一緒に付き合ってくれる?」

そう言うとフク・アパトゥーマは歩行器を利用して、エリポン達を連れながら部屋を出てしまった。
オダ以外の天気組の面々も、一つのベッドに集まって決闘当日のことを話し始める。
全員が全員、次期帝王を決めるために一丸となって動く様子を目の当たりにして、
クールトーンはなんだかワクワクしてくる。

「どうしたのクールトーンちゃん。鼻息荒いようだけど、興奮してるの?」
「はい!帝国剣士さん達の決闘が見られるのが、今から楽しみで……」
「あ、クールトーンちゃんに見る権利はないけど分かってる?」
「!?」

サユの発言に、クールトーンはショックを受けた。
確かに立会い人の名前にクールトーンの名は無かったが
いつものようにサユ王にくっついていれば観戦出来ると思い込んでいたのだ。

「そもそもクールトーンちゃんはもう書記でもなんでもないしね。」
「えええええええ!く、クビですか!?」
「クビっていうか、うーん、ちょっと合宿に行ってもらいたいの。」
「合宿?」
「そう。テラっていう施設で行われるから、向かってもらえる?
 私も用事を済ませたらすぐ行くから、先に3人となんとかやっといて。」
「3人?」


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