したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

550 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/29(火) 08:47:29
昨日の戦いで大きく負傷したのは帝国剣士だけではない。
アンジュの番長や、果実の国のKASTたちだってあれだけ戦ったのだから安静が必要だ。
そのためモーニング帝国はその全員が身体を休めるのに十分なベッドと医療班を用意することにした。
また、昨日まで敵だった相手と極力顔を合わせぬよう、一国につき一つの部屋が充てられたのだが
アンジュ王国の面々に限ってはその配慮が嫌がらせのように感じられた。

「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」

地獄かよ、とタケは思った。
アヤチョ王とマロ・テスクの2人が終始無言で険悪なムードを作り上げているため
他の四番長らにとっては声を掛けづらかったのだ。
もっともリナプーは構わず睡眠をとっているので、
実際に気を病んでいるのはカナナンとタケとメイの3人ではあるが。

「あっそうだ、王に良い縁談があるんですよ。」

空気を変えようとやっとの思いで切り出したのはメイだった。
とは言っても昨日のことを忘れるなんて無理なため、アヤチョとマロの視線が痛くはあるが
筋肉痛で張ったお腹をさすりながら、なんとか声を振り絞っていく。

「なかなかのイケメンですし!男気もあるし!しかもスタイルも舞台映えしてて」
「やだ。」
「ですよね〜……」

即答だった。
やはりアヤチョに恋愛話は縁遠かったのかとメイは後悔したが、実際はそうではない。

「アヤはね、心に決めた人がいるの。結婚はその人とする!」

この好きな人がいる宣言に、タケとカナナンは嫌な予感しかしなかった。
心当たりがありすぎて、その人物の顔しか頭に浮かんでこない。

「あの、王の好きな人ってまさか……」
「えーー?アヤチョがガチ恋してるの?へぇ〜え。」

ここでマロがにやけた顔をしながら話に割り込んでくる。
今までの鬱憤を晴らすために、アヤチョをからかおうと思っているのだ。

「なにカノンちゃん。アヤが恋しちゃダメなの?」
「いや別にー?」
「じゃあなに!」
「いやね、おめでたい話なんだから号外新聞の一部や二部でも書きたいんどけどさ
 今の私はペンも握れないんだよね。ざーんねん。
 ううん、今だけじゃなくこのさきずっと執筆は無理かも。」

マロはわざとらしく、グニャグニャに折れ曲がった腕を見せつける。
このような嫌味は決して褒められたものではないが
彼女の中でもまだ、執筆能力を奪われたことに対する心の整理がついていないために
愚痴の一つや二つでもこぼさなくてはやってられないのだろう。

「……」
「どした?アヤチョ?なんか言葉はないの?」

マロはアヤチョが怒ったり、喚いたりすることを期待していた。
そうなれば普段の番長たちの空気感を取り戻せるし、
後腐れなくやっていけると思ったのだ。
ところが、アヤチョの反応はマロの思っていないものだった。

「カノンちゃんごめん……」
「は?」
「ごめん!みんなごめん!だから、だからアヤの前から消えたりしないで!!」
「ちょ、ちょっとアヤチョどうしたの!おかしくなった!?なんか変だよ!」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板