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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」
566
:
◆V9ncA8v9YI
:2015/10/06(火) 12:58:47
ハルナンの提案は勢い任せにもほどがあったし、
Q期の慎重派、カノン・トイ・レマーネもその案をひどく怪しんでいた。
ここで承諾しなかったとしても、決して逃げたことにはならないのだが……
「いいよ、ハルナンの言う通りにしよう。」
フクはあまりにも簡単に意見を聞き入れてしまった。
いや、というよりは「不利な条件を受け入れる」心構えが出来ていたと表現するのが正しいのかもしれない。
ハルナンは表情こそにこやかだが、フクに王の素質があることを痛感して、内心穏やかではなかった。
(ほんと落ち込むわ……こうも差を見せ付けられると、ね。
でも、これをチャンスと思わないとやってけない。
隠すのよ!こちらの有利な条件を、甘い言葉の中に!!)
ハルナンはフクにぺこりとお辞儀をし、ルールの提案を開始する。
「まず日程ですが、ちょうど1ヶ月後というのはいかがでしょうか?
今すぐ……というのは負傷の度合いから言って難しいでしょうし、
かといって全員の完治を待つとなると、次期帝王の決定を先延ばしにする形になってしまいます。」
「先延ばしは……良くないね。」
「では1ヶ月でも?」
「うん、いいよ。そうしよう。」
「分かりました。お次は決闘の場所を決めましょうか……私は訓練場こそ相応しいとは思いますが。」
「えっ!?あそこはクマイチャン様の被害で瓦礫だらけになってるんじゃ……」
「はい、だからこそ我々への"戒め"になるんです。」
「???」
「今回私たちは味方同士だというのに争ってしまいました。
しかも食卓の騎士を筆頭に、他国の戦士まで巻き込んで……」
ハルは「全員ハルナンが呼んだんじゃないか」とツッコミたくなったが
ここは黙っておくことにした。
「そのような醜い争いを今後しないと誓うために、今回の決闘を最後の戦いにするために
投票場でもあった訓練場で決着をつけるのが最適だと思ったのです。」
「すごいね……そこまで考えてたんだ。」
「多少戦いにくいかもしれませんが、瓦礫はそのままにしておきましょう。これも戒めです。」
「天井の穴も?あれもクマイチャン様が開けたんだけど……」
「はい!その方がお天道様にも決着を見ていただけますしね!」
「なるほど〜そうしよう!」
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