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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

503 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/21(月) 06:03:49
太鼓持ちなんて表向き
本当はするどい毒舌よ。
ニコニコ笑顔であなたを
滅多切りしちゃうわ。

ハルナン・シスター・ドラムホールドはこのような考えを常に胸に秘めていた。
自分の目的を果たすためなら、いくらでも本心を隠してみせる。
最後の一勝を確実に収めるためなら、親友だって欺いてみせる。
そう、ハルナンはフクの足を潰すこの瞬間のために、死んだふりをしていたのだ。
波打つ刃のフランベルジュはフクのももを深くまで傷つけている。
太い血管が傷つけられたというのが、"血の雨"が降り注いでいることからもよく分かるだろう。
この"血の雨"こそがハルナンが"雨の剣士"と呼ばれる最大の理由。
ハルナンは同じ天気組団の"雪の剣士"アユミンや"曇の剣士"マーチャンに実力面で劣るが、
この技を使うことによって部位破壊と戦意喪失を同時に引き起こすことが出来るため
国内外にわずかながら存在する反対勢力からは恐れられていたのだ。

「これでもう"ダッシュ"と"バックステップ"は使えませんね……」
「ハ……ルナン……」

ハルナンは自分がなすべき使命を忘れてはいなかった。
"フク・ダッシュ"と"フク・バックステップ"、そして"フク・ロック"の3つの得意技を潰すことで
アヤチョが敗北する可能性を少しでも減らすこと。それが彼女の使命だ。
そしてもう既にそのうちの2つを達成してしまっている。

「あとは"ロック"だけ……その手首、ちょうだいします。」

フク・アパトゥーマは絶体絶命だった。
脚の痛みが強烈すぎてもう少しも立てる気がしないし、
例えここでハルナンの斬撃を避けたとしても、すぐそこにいるアヤチョ王に勝てる気はもっとしない。
壊れた身体で、折れた剣で、いったいどう戦えというのだろうか。
国を、そして仲間を愛する自分のやり方では王にはなれなかったと思うと、悲しくなってくる。



いや、悲しむのはまだ早かった。
彼女にはまだ仲間が残されていたのだ。
ハルナンが死んだふりをしたように、味方陣営にも死んだふりをした人物が二人残されている。
フクと同じくらいに血まみれでまったく頼りなくはあるが、とても心強い味方がいるのだ。

「今やで!」
「おう!」

作戦室から2つの鉄球が飛んでくる。
そのうちの剛速球の方はフクを斬ろうとするハルナンへと、
そしてやや速度の遅い方は、何故か床でうずくまっているハル・チェ・ドゥーへと向かっていた。
突然の出来事にフクも、ハルナンも、ハルも混乱する。
そしてこの場にいる誰よりも戸惑っていたのがアヤチョ王だった。

「え!?え!?え!?ど、ど、どうしよう!?」


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