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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

489 ◆V9ncA8v9YI:2015/09/15(火) 21:19:21
アヤチョに阻まれたことを理解したとき、フクは敗北を覚悟した。
どういう事情があるのか知らないが、アヤチョは完全にハルナンのことを守りきろうとしている。
ハルナンへのあらゆる攻撃はいとも容易くシャットアウトされて、
このままさっき胸を打たれた時のように、反撃を貰うのだろうと思ったのだ。
しかし、その反撃が今回は無かった。
アヤチョは腕を鞭のように振るうこともなく、ただただハルナンの盾になろうとしていたのである。

(ひょっとして、反撃をする余裕がない?……)

フクの回答は正解だった。
至近距離からハルナンにダッシュを仕掛けたために、
さすがの超反応を持つアヤチョでも間に入るのがやっとで、反撃などしていられなかったのである。
アヤチョに衝突するまで残りコンマ5秒。ここでフクに欲が生まれる。

(だったら……私の攻撃は通る!!)

フクはアヤチョの方へと肩を突き出した。
この姿勢で突っ込めば、フク・ダッシュはショルダータックルに変化する。
今更止めることの出来ないタックルは、アヤチョの胸へと鋭く突き刺さっていく。

「!!!」

興奮状態にあるアヤチョは痛みをほとんど感じていなかったが
その身体は確実にダメージを受けている。
このアヤチョ、自分に対する攻撃は完全に防ぎきってしまうというのに、
ハルナンを庇う時は途端にガードが疎かになるのだから不思議なものだ。
こうしてアヤチョに一撃与えただけでも表彰モノの成果ではあるのだが、
フクはこの程度の褒賞では決して満足していなかった。

「まだ!もっと先へ!!」

血がブシュウと吹き出る脚に力を込めて、フクは更なる前進をする。
それはつまり、タックルをぶつけたばかりのアヤチョをもっと前に押し出すということ。
この後に起こりうることを想像したアヤチョは泣きそうな顔でフクに嘆願する。

「やめてやめてやめてやめてやめて!!ほんとやめて!!」
「やめません!!」

アヤチョは押し切られ、そのまま自身の後ろにいる人物ごと倒れていく。
そう、アヤチョは自らの身体で親友ハルナンを押し倒してしまったのだ。
絶対的に安全だと思い込んでいたハルナンはこの事態にまったく対応することが出来ず、
後頭部から床へと落っこちる。

「!!!……アヤ……ちゃん……」
「ハルナン!ハルナン!うわああああああああああああああああ!!!」


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