こんな状況下で、ただでさえ中国企業の攻勢に曝され経営に苦しみ、生産数量を削減していたドイツの太陽光企業は工場閉鎖にまで追い込まれる状況になっている。攻勢を強めている中国企業も無傷ではない。オーナーが中国一の富豪であり、市場価値では世界一位の太陽光企業と言われている香港市場上場の中国企業漢能太陽能集団(Hanergy Thin Film -HTF)の決算に疑義があると昨年から専門紙では報道されていたが、1月末に英国フィナンシャルタイムズ紙が一面トップで疑惑を報道したことから世間の注目を大きく浴びることになった。
供給過多による過当競争のため中国企業の収益は低迷している。大手のトリナ(Trina Solar)の13年決算は、出荷数量258万kW、売り上げ17億7000万米ドル(2070億円)、純損失7,790万米ドル(91億円)だった。インリーグリーン(Yingli Green Energy)の14年第3四半期の出荷は90万3000kW、売り上げ5億5000万ドル(640億円)、純損失2000万ドル(23億円)だった。政策の転換が行われている欧州市場の成長には期待できず、成長が続く米国市場では課税が実行されることになり、中国企業の苦悩はさらに続くことになりそうだ。