そんなふうに自分もなるんだろうなと、悲観的なシナリオを子どもの誕生前に考えていた。そんなときに原書『Thirty Million Words』を発見した。私の育児はこの本に書かれた科学と実践によって、楽しむことができ、シナリオ通りに育児は大変だが、のらりくらりと乗り越えることができている。前置きが長くなったが、本書について、紹介したい。
魅力はたった一つである。多忙な育児の中でも、0円で、すぐに、誰でも行動に移せることだ。
背景にある研究は、トッド・リズリーとベティ・ハートによる「The Early Catastrophe: The 30 Million Word Gap by Age 3」である。
「明日泥んこ遊びをしますから、汚れてもいい服装で来て、着替えも忘れずに」そう言って子どもたちが大好きな泥んこ遊びをする園も多い Photo by iStock
なぜかと言えば「お勉強」スタイルの幼稚園の子たちは、砂場に水を入れて泥遊びをすることを禁じられていたからです。異様なまでに泥遊びに興じる友人たちを、A幼稚園の卒園児たちは不思議そうな目で見守ります。彼らは在園中に思う存分泥遊びをしているので、小学生になってからそこまでしようとは思わないからです。
昨年、アメリカの経営学誌「ハーバード・ビジネス・レビュー」で紹介された「The Rise of AI Makes Emotional Intelligence More Important(AI台頭はEQをより重要にさせる)」でも、「今後人間ができるAIにできないことは、今までの経験や習慣を利用すること」、「今後も現職を維持しようとするならば、人類の理解や動機付け、相互理解を追求する必要がある」、「説得力や社会的理解、共感などは、人間が人工知能と差別化できるスキルだ」と、今後のEQの重要性を説き、全米で話題となった。