シリコンバレーにいると、日本企業の人たちがたくさん来て、グーグルの見学に行くのを目にします。グーグルの働き方は興味深いのですが、日本企業にとってはまったく参考にならないと思う。無料でランチを提供したからといって、業績が良くなるのかっていったら、そんなわけない。
でも、例えばドイツ系IT企業のSAPは、10年ほど前から「デザインシンキング」のような新しい概念を取り入れて会社の変革を進めています。こちらのほうがまだ参考になると思う。だってドイツ企業ですよ。マッキンゼーでは、あまりにも細かすぎるチャートを作ると「This chart is too german」なんて言われるんです。ドイツ人はチャートを作る際に、これでもかっていうくらい細かくて複雑なものを作りがちで、それよりちょっとソフトなのが日本人、一番大雑把なのがアメリカ人だと言ってました。アメリカのハイテク企業の真似をしろと言われても厳しいと思うけど、ドイツの会社が取り組んでいるやり方なら、まだ日本人でもできそうな気がするじゃないですか。
そして単に組織が大きいばかりでなく、企業再生法に便乗した不当解雇は無効とする最高裁の決定を得た「山田紡績事件」など、社会的にも影響力の大きい交渉力を保持しています。先代の会長で、前連合会長でもある高木剛氏は、記念講演の中でWorkers First (働く者が一番)の思想を述べていました。株主の利益が一番でないのです。
明日から始まる新組織の動向を、私はこれからも見守りたいと思います。