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労働運動

1522とはずがたり:2017/08/22(火) 10:10:26

>>1519-1522
 この労働者のマネジメントに、日本軍式の組織運営術を導入するという「働き方改革」は効果てきめんだった。生産性がぐーんと上がって、これまでは泣き言を言って急に姿をくらますような若者が激減して、「出勤率も向上」(同紙)したという。

 そのあたりの体験談は、今も自動車用照明で名をはせている小糸製作所で勤務していた当時27歳の若者がこんな風に言っている。

 『ここ一ヶ月でも私達の出勤率が向上し遅刻の常習者も改まった、軍隊のあの緊張を一泊二日でも見た者にとって、賃金本位に自分の利益を計算して勤めることは、日本人の本心としてはできない』(同紙)

 彼のような若者がちょうど「管理職」になった20年後、日本のサラリーマンは鉄道ストさなかでも定時にしっかりと会社に到着するなどの「勤勉さ」を発揮するようになる。

70年たった今、「ブラック企業」に

 管理職になればなるほど高い出勤率を誇るという事実からも、この戦中世代のサラリーマンたちが学んだ軍人精神が、その後の日本のサラリーマン像に大きな影響を与えているのは明らかだ。

 それは同じ紙面で25歳の「産業戦士」が感動して語っている言葉を見てもよく分かる。

 『軍隊には個人主義がない、わかっていたつもりでもこれには感動した。美しい絶対服従も戦勝の基と思う。上長に深い教養と理解があり、精強な部下がこれに絶対服従する組織を私達の職場に建設したい』(同紙)

 彼が理想だと感じた「精強な部下がこれに絶対服従する組織」は、70年たった今、「ブラック企業」と名を変えてしっかりと後世の我々に受け継がれている。「美しい絶対服従」こそが勝利に結びつくという思想も同様で、今も日本の職場に溢れる「パワハラ文化」のなかに見つけることができる。

 このように日本企業が蝕まれている「病」のルーツが軍人精神にあることを踏まえると、なぜ我々が「時差通勤」という習慣に強い抵抗があることの原因が見えてくる。

 それは一言で言ってしまうと、我々が70年前に刷り込まれた「産業戦士」の呪縛からいまだ解き放たれていない、ということだ。

 軍隊のように組織に「絶対服従」することこそが企業人なので、個人の裁量で出勤などできるわけがない。「働き方」は自分で決めるのではなく、組織や「上」が決めるのだ。本気で「時差通勤」を普及させようと思うのなら、まずはこの「常識」を破壊すべきである。

 「時差ビズ」普及のため、これから小池さんのメディア露出が増えてくる。そこで提案だが、禁煙CMのように、こう呼びかけてはどうだろう。

 「スマホもパソコンも普及して、ネットを介してどこでも打ち合わせや商談ができるのに、毎朝決まった時間に会社に行く。そんなあなたは、もしかしたらかなり重い病にかかっているかもしれません」

 定時に会社に到着することが「働く」ということではない。この常識が広まらないことには、どんな改革を訴えたところで、「通勤地獄」は決してなくならないのではないか。

窪田順生氏のプロフィール:
 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで100件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
 著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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