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『邪気眼少女』 *Another Story*
2
:
心愛
:2013/02/03(日) 17:35:13 HOST:proxy10052.docomo.ne.jp
『Prince or Princess? 1』
―――片思いなら、いくつもしてきた。
『まいかちゃん、今日スカートだー』
『珍しいね』
薄っぺらで魅力の欠片もない身体と、同年代の男の子よりもずっと高い身長は、それでも頑張って伸ばしていた長い髪や赤いランドセルとちぐはぐで、いかにも不格好に見える。
そんなことはもちろん、世の中には鏡というものがあるのだから、承知していたけれど。
どうしてもと母親に押し付けられ、スカートを嫌々ながら身に着け登校してきた私を、クラスの女の子たちは笑顔で褒めてくれた。
笑われるんじゃないかと内心びくびくしていたけど、安心してほっと息をつく。
『……そう、かな』
『そうだよー!』
『自信持てばいいのに』
優しいみんな。
甘い言葉のひとつひとつを真に受けたくなる自分が恥ずかしくて、スカートの裾を少しでも伸ばすように、震える手でぎゅっと握った。
『ねー、まいかちゃんかわいいよねー?』
『え―――』
一人の子がにこにこ笑い、悪気なく男の子のグループに話を振る。
慌てて止めようとしたけれど間に合わない。
一番手前で喋っていた男の子が、こっちを振り返った。
『……はぁ?』
身を竦ませた私を冷たい目で睨み、吐き捨てる。
『ばっかじゃねーの? キモいんだよ、オトコ女』
どくん―――と、その辛辣な台詞が重く、胸にのし掛かった。
急速に全ての感覚が遠くなり、目の前が真っ白に霞む。
『男子ひどーい!』
『なにそれ、意味分かんなくない!?』
『気にしない方がいいよ』
―――いつも遠くから想うだけ。
―――気持ち悪いと蔑まれ、嫌われるより。
―――想いを閉じ込めて、溢れないように気をつけて。
―――遠くから見るだけの、ささやかな幸せに浸って、満足していればそれでいい。
『……平気だよ』
だから、私は笑う。
『私、みんなみたいな女の子の方が好きだもの』
―――長い間、もがいてもがいてできたことと云えば。
―――気持ちを深く、心の奥へと埋めることだけ。
中学も高校も、迷わず私服通学のところを選んだ。
髪を短く切り、わざと男っぽい服を身に着けた。
大好きな、可愛い女の子たちに囲まれる、夢のような毎日。
なのに時折、一人になったとき、ふと思うことがあった。
―――……恋がしたい。
一度でいい、恋がしたい。
誰かの大切な人になりたい。
息が詰まるくらい、激しく愛し、愛されたい。
そんな、本当の、恋がしたい。
でも、そんな都合がいいことが起こるわけない、なんてことは―――
もう、分かっていた。
3
:
ピーチ
:2013/02/03(日) 18:00:26 HOST:EM49-252-157-193.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
苺花ちゃーん!! 男子殴ってやれー!
許してやる義理はないっ! 何発でもいいんだよ!←
4
:
心愛
:2013/02/03(日) 21:05:40 HOST:proxyag112.docomo.ne.jp
>>ピーチ
ありがとーう!
でも殴らせると話変わっちゃうから泣く泣くカットだー(つд`)
苺花が男の格好して、「私なんか」発言するのはこの出来事がそもそもの理由だったのです←
やっと書けた!
でも男男って言うわりには中身は意外と悩める普通の女の子だったりするかも?
これから苺花視点で進んでくけど、「なんだよ苺花もけっこう可愛いとこあるじゃん」って思ってもらえるといいなw
5
:
心愛
:2013/02/03(日) 21:06:13 HOST:proxyag112.docomo.ne.jp
『Prince or Princess? 2』
「王子ー!」
「こっち見てー!」
にこっと微笑んで手を振ると、すぐさまきゃーっという歓声が上がる。
教室までの廊下を歩くだけでこの騒ぎ。
女ながら“王子”の異名を欲しいままにする私は、ここ県立南高等学校でもトップクラスの有名人となっていた。
ラフな印象に見えるようさりげなくセットした髪に、切れ長の双眸。
自分で言うのも変だけど、なかなかに整った顔立ち。高い身長。
無地の白いシャツに、黒のスラックス。
どこからどう見ても、完璧なまでに、男。
「かっこいー」
「あーもう同性でもいいから付き合いたい!」
女の子はいい。
小柄で、可愛くて、綺麗で、やわらかくて。
人は自分とは正反対のものを求めるというけれど、まさにその通りだと私は思う。
この約十五年で、人間、努力すれば大抵のものは手に入るということは学んできたつもりだけど、これだけはどうしようもない。
……でも、私は完璧な“王子様”。
だから、女らしさなんていらないんだ。
そんなものよりも、女の子たちと楽しくお喋りしたり、遊んだりする方がずっとずっと―――
「まいちゃーん!」
「………」
瞬間、辺りにざわっと波が立つ。
可愛らしく弾む声に、私は若干げんなりしながら振り向いた。
「おはよっ」
サラサラ零れるショートヘアに、大きくつぶらな紅茶色の瞳。
どうやら走ってきたらしく、わずかに汗ばんで紅潮した頬を緩ませ、子供みたいに無邪気な表情で笑うその子。
可愛い。正直ストライクだ。私のストライクゾーン広いどころか無限大だけど。
長袖のパーカーにジーンズなんて地味な格好じゃなくて、白やピンク系のふわふわしたワンピースとかの方がずっと似合うと思う。
「……おはよ。夕紀(ゆき)」
そんな『彼』の名は姫宮夕紀(ひめみや ゆき)。
―――正真正銘の、男、である。
普段の私なら迷わず飛びつくはずの、類い希な美少女ルックスを持つ夕紀に、私はほんの、ほんの少しだけだけど、苦手意識を持っている。
その理由は二つ。
まず、事故とはいえ、夕紀に……その……胸を、触られてしまったこと。
男に。
胸を。
……もちろん、私みたいなのの扁平な胸に触ったって嬉しくも何ともないだろう。自意識過剰もいいところだ。
でも一応、なんかこう、生物学的には女に分類されてしまう身としては引きずるものがあるわけで。
いや、それはこの際どうでもいい。
本当に重要なのは。
「いい加減飽きないの? その……『まいちゃん』っていうの」
認めがたいことだけど―――私のフルネームは、柚木園苺花(ゆきぞの まいか)という。
苺花、である。この顔で。この見た目で。
こんなのの名前に使われるなんて、苺も花も可哀想だと思わないのかうちの両親は。
入学式はもちろん表彰式、点呼などで毎回毎回自分の名前が呼ばれるたびに恥ずかしすぎて死にそうになるくらいだ。
話を戻すと、夕紀はその忌まわしい名前を妙に可愛い呼称にパワーアップさせて、さらにそれを連呼してくるのである。
最近呼ばれ慣れてきたけど、それでもいただけないものはいただけない。
「私なんかにはそんな呼び名、似合わないんだって。可愛い子ならともかく」
大の男が『まいちゃん』って呼ばれてるようなものだ。
知らない人が聞いたら何事かと思うだろう。
ジトッとした目を向けると、夕紀はこれまた可愛く頬を膨らませ、拳を握って主張。
「まいちゃんは可愛いよ!」
……OK。
慌てるな私。動揺するな私。冷静になれ。
“可愛い”にも色んな“可愛い”がある。
『虫よりも可愛い』とか、『石ころよりも可愛い』とかそういう程度の話だ。きっとそうだ、うん。
だいたい、この天然ピュアっ子の言うことをいちいち真に受ける方がどうかしてる。
「……はぁ。もういいよ」
色々諦めて、私はため息を一つ。
「早く教室行こう。ヒナも美羽も、もう着いてる頃だよ」
「うん!」
嬉しそうに隣を歩く、まさに私にとっての真逆の存在とも言える、見た目が美少女の少年―――またの名を“姫”。
私が新しく手に入れた華々しい高校生活は、どうやら一筋縄ではいかないようだった。
6
:
心愛
:2013/02/06(水) 19:21:12 HOST:proxyag063.docomo.ne.jp
『Prince or Princess? 3』
「やー、姉さんと歩くと気持ちいいわー」
「そう?」
満足そうに妹の桃花(ももか)が笑う。
美形の男(もちろん私のことだ)の隣を独占することで突き刺さる羨望と嫉妬の視線を気持ちいいと表現する桃花。
私としては、ぼーっと熱を持った目で見てくるあの娘や、刺々しい目で桃花を睨んでいるあの娘たちの方に断然興味があるんだけどね。
可愛いなぁもう。片っ端から口説き落としたい。
「これが楽しみで、買い物に姉さんを誘ってるようなようなものだよ」
「ひどいな。顔目当て?」
そう言いながらも、緩む口元を抑えられない。
桃花も私に合わせるように笑った。
「だって姉さん格好良いんだもん」
“格好良い”。
それが私にとっての、最高の褒め言葉だ。
恵まれた容姿を持っているのは自負している。
それを改めて、他の人に口に出して言われることで、……なんだろう、自分が認められているような、そんな心地になるから。
“王子様”の私を、みんなが注目して、認めてくれる。
だから私は、もっとみんなが憧れる存在になりたくて―――色々なことを忘れて、一心に前を向き続けることができるんだ。
「あたしは本屋行くけど、姉さんは? 買いたいもの、あるんでしょ? 例の」
「……そうだね」
一瞬言葉に詰まる。
慌てて微笑を取り繕う前に、桃花がこう切り込んできた。
「あたしは別に、こそこそする必要はないと思うけどなぁ。何だったらついてこうか?」
「それはちょっと、私が耐えられない」
そう? と苦笑を一つ。
聡い妹はそれ以上の追及はやめてくれる。
「じゃあ、また。何かあったらメールするね」
「気をつけてよ。駅は何かと物騒だから」
「だーいじょうぶだって」
桃花と別れ、歩き出す。
しばらくすると、すぐに近寄ってくる人、人、人。
田舎の駅なのだから人通りは少なめのはずなのに、どうにも私は他人に絡まれやすいのだ。
「そこのカッコいいお兄さん、是非うちのホストクラブに!」
「モデルに興味は」
「お一人ですかぁ? うちら二人なんですけどぉ、よかったら一緒に」
「すみません。連れがいるので」
意識して唇の片端を上げて笑みを返し、歩調を徐々に速めながらさらりと受け流す。
最後の提案はとても魅力的だけど、何しろ急いでいるのだから仕方ない。
そのままの勢いで私が足を踏み入れたのは―――ひとつの雑貨店。
私とは全く接点がないように見える、ピンクを基調にした可愛らしいデザインの店内を早足で抜ける。
急ぎつつも、「ちょ、あの人かっこよくない? やばくない?」という囁き声にすかさず笑顔を向けるのは忘れない。
迷わず片手で目当てのものを掴み取り、流れるようにレジへ。
「プレゼントですか? (彼女への)」
……店員のお姉さんの台詞にカッコが見える。
「いえ」
「?」
お姉さんの営業スマイルがほんのちょっと崩れかけた。
それでも不審そうな顔はせず、「失礼しました」と素早くレジを打ち、会計を済ませてくれる。
「ありがとうございました、またお越し下さい」
彼女の声を背に店を出てから、ふう、とやっとのことで一息。
「いつものことだけど、冷や冷やしたな……」
私は周囲から見えにくい場所を目で探し、人の少ない角の方へと身を寄せた。
壁に寄りかかって爪でシールを剥がし、ドキドキしながらちょっとだけ袋を開けてみる。
中からひょっこりとぼけたような顔を出したのは―――手のひらサイズの、うさぎのぬいぐるみ。
店頭限定発売のシリーズ、しかも新色だ。
私は女の子を初め、可愛いものに目がない。
とはいえこの見た目で無用意にファンシーショップをうろついたりなんかしたら不審者確定なので、あらかじめネットでほしいものを調べて確定させてから、買いに行くようにしている。
もし知り合いに見られたら恥ずかしいし、何より私が今まで築き上げてきた“王子”としての世間体やイメージが一気に崩壊してしまう。これはなんとしても避けたい。
「あー、幸せ……」
とはいえ手の中の可愛い物体を前にしては、そんな思考なんて簡単に吹っ飛んでしまうのも事実。
7
:
心愛
:2013/02/06(水) 19:32:33 HOST:proxyag099.docomo.ne.jp
『Prince or Princess? 4』
……うん。愛くるしさもさることながら、なかなかの手触りだ。
もふもふして幸福感に浸った後、名残惜しいけれど袋に戻す。
男が一人、ぬいぐるみを手に怪しくにやけていたら、世間様からどう思われることか。
帰ったらすぐに部屋に飾ろう、と気分を浮き足立たせて歩き出した私は、
―――しかし目の前の光景に、ぴたりと足を止めた。
「ねぇ、いいじゃん。ちょっと付き合ってくれるだけでいいんだって」
金髪の男が何やらうるさい声で喋っている。
「あの……、っ」
そして、困ったような、消え入りそうな声が耳に届いた。
男の背中に隠れて良く見えないけれど、細く頼りない骨格―――女の子だ。
「急いでるわけじゃないんでしょ?」
「あの、だからほんとに……ひゃっ」
男が華奢な手首を掴むと同時、
「……ちょっと。嫌がってるのが分からないの?」
「なっ!?」
パアンッと良い音がした。
無理矢理離させた手を捻り上げ、そのまま彼の体重を利用してコンクリートの床に叩きつける。
「ナンパも過ぎるとただの迷惑行為だってこと、知っておいた方がいいと思うけど?」
うん、私今最高に格好良い。
「ぅ……ぐっ」
ナンパ男が呻いている。
その隙に、視界の隅で呆然としてしまっている女の子を逃がしてしまおうと―――
「……ん? え、おい柚木園じゃんかっ」
「……は?」
―――したところで、ナンパ男が私の名字を口に出した。
少なからず驚いて振り向き、転がっているナンパ男の嬉々とした顔を凝視。
数秒して、重大な事実に気づく。
「は、春山くんっ!?」
……信じられないことに、私のクラスメイトだった。
まだ直接話したことはないけれど、どこか軽そうな印象の男子生徒である。
で、どうしてすぐに気づかなかったのかというと。
「え、うそ、……なにその頭」
「そんなことどーでもいーよ!」
よくないよ。
……先週まで茶色っぽかったはずの髪が、見事な金髪になっていたのである。
もう確実に別人の域だ。
ぽかーんとしていると、ナンパ男、もとい春山くんは驚異的な回復力と瞬発力で起き上がり。
「惚れたっ!」
ガシッと私の手を両手で握った。
妙にキラキラした目の彼は興奮した口調でまくし立てる。
「今の合わせ技、超燃えた! その容赦のなさ、その手腕……俺は今人生で最大の感動を覚えている!」
「っっ気持ち悪い!」
ぞわぞわっと悪寒を覚えて、本能のままにバシリと振り払う。
なんなんだこいつは。
私……いや、人類が理解できる範疇をとうに超越している。
「あー、今日はいー日だわぁ。俺のMライフに思わぬ刺激を発掘、的な?」
顔をめいっぱいひくつかせてじりじり後ずさっていると、「はふぅ」と叩かれた手を押さえ、春山く……訂正、変態は恍惚とした息を漏らして立ち上がった。
「ってことでじゃーね柚木園、姫宮ちゃん!」
「はい?」
言うだけ言って勝手に走り去って行く彼に、またもやぽかんとしてしまう。
……今、なんて言った?
「夕紀っ!?」
「まいちゃん!」
えへ、と嬉しそうに笑う夕紀。
「心配してくれてありがとう」
私が遠目に女の子と判断したのは、夕紀だったらしい。
だんだん混乱してきた。
「え、だって、ナンパされてたよね?」
あいつだって、同じクラスなんだから私と夕紀の性別は知ってるはずだ。
「一緒に遊ばない? っていうだけだよ、……た、たぶん……?」
自信なさそうに縮こまって。
「え、と、それでこれ、まいちゃんの……だよ、ね? 落ちてたんだけど」
―――血の気が引いた。
夕紀が遠慮がちに差し出してきたのは、例の可愛らしい包み。
鞄にしまっておけばよかったのに!
「だ、誰にも言わないで!」
「え?」
「お願い、何でもするから!」
8
:
心愛
:2013/02/08(金) 20:07:57 HOST:proxyag110.docomo.ne.jp
『Prince or Princess? 5』
……で、なんでこんなことに。
「ん、おいしいっ!」
ビーフシチューを頬張って、夕紀が満面の笑みを浮かべる。
あぁそんな可愛い笑顔を見せられたらそれはもう作りがいがあるというもので思わず顔が緩…………じゃ、なぁいっ!
「危ない、うっかりこの異常な状況に流されるところだった……!
「どうしたの姉さん。頭なんか抱えて」
私の隣に座る桃花が、怪訝そうな目で見てくる。
とはいえそう言う本人が私の頭痛をもたらした一要因なんだけど、その自覚はあるのだろうか。
「ほんとにおいしい! まいちゃんすごいよ!」
「……それはどうも……」
くぅ、やっぱり可愛い……っ!
弱みを握られた立場だということも全部かなぐり捨てて、この可愛い生き物を全力で愛でまくりたい衝動を必死に抑え込む。
―――お世辞にも広いとは言えない、私の家のリビングにて。
戸惑う夕紀に懇願していたところ本屋から出てきた桃花に発見され、おおまかに事情を説明。
「じゃあ、どうせならこのまま、家でご飯でも食べていったらどうですか?」という桃花の余計な発言により、今に至るというわけだ。
……なんでもするって言い切った手前、最初から私に拒否権なんかなかったんだけどね……。
「おいしいでしょー?」
「ねーちゃんのご飯は世界一なんだよー」
「でもぜんぶキレーに食べないと鬼みたいに怒るんだから!」
今年四歳になる三つ子の樹(いつき)、梓(あずさ)、椛(もみじ)が口々に発言する。
私はまた嘆息。
「落ち着いて食べなさい。あと樹、今日のお弁当でもにんじん残したでしょう。……分かってるよね?」
「う」
唯一の弟である樹がにんじんを前に顔を引き攣らせる隣で、はむっとスプーンをくわえた夕紀がこちらを見てくる。
「あれ? まいちゃん、エプロン外しちゃったの?」
「? 外したけど」
「もったいない! 可愛かったのに」
「……………」
頭がおかしいのか、目がおかしいのか、はたまたその両方か。
「念のために病院行った方が……」
「僕病気じゃないよ!?」
不服そうに唇を尖らせる夕紀。
「男はみんな、女の子のエプロン姿に弱いの!」
……驚くほど説得力のない台詞だった。
「それにしても、ほんとに男……なんですよね? やっぱり何かの間違いじゃ」
桃花がキラリと光る眼鏡越しに夕紀を凝視。
「戸籍の登録が間違ってたり」
「僕は男だよっ! ももちゃん、まだ疑ってたの!?」
もはやおなじみのやりとりが繰り広げられる。
論争が落ち着くのを待ってから、私は夕紀に小さく声を掛けた。
「ごちそうさまでした!」
「夕紀……約束、覚えてるよね」
ジト目を向けられた夕紀は、きちんと合わせていた両手を崩してにこっと笑う。
「覚えてるよ」
……か、可愛い。
「っ、……明日会っても、ヒナたちにも言わないで。分かった?」
あまりに可愛すぎる威力に軽くよろめきそうになりながらも寸前でこらえ、念を押す。
何しろ私の世間体が懸かっているのだからこれははっきりしておかないと。
「よく分かんないけど……僕、まいちゃんが嫌なことは絶対にしないよ」
「……頼んだからね」
「うん!」
信用するより他はない。
はあっと息をつく私の肩に手を伸ばし、いつの間にか近づいていた桃花が夕紀を見てにんまりした。
「ね、姉さんマジおすすめですよ。料理上手いし家事万能だし、世話好きだし」
「え」
脈絡ゼロの桃花の戯言に、か―――っと夕紀の頬が赤らむ。
「あたしとしては、姉さんの性別をちゃんと分かってくれる人に姉さんを―――もがっ」
「夕紀、本気にしないでよっ」
「う、うん……」
桃花の口をふさぐ私の迫力に、夕紀が目を白黒させる。
「ゆきちゃん遊んでー」
「こっちこっちー!」
「わわ、あずちゃん引っ張らないで! もみちゃんもいっくんもっ」
精神年齢的に通じるものがあるのか、夕紀は慌ただしくやんちゃな三つ子に引っ張られていった。
9
:
ピーチ
:2013/02/09(土) 09:24:43 HOST:EM114-51-13-111.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
頑張れ苺花ちゃーんっ!!←
い、妹の他に三つ子が…
…春山君も色んな意味で凄いね、性別分かってるのに←おい
10
:
心愛
:2013/02/09(土) 17:17:42 HOST:proxyag073.docomo.ne.jp
>>ピーチ
陰で苦労してる苺花です←
ヒナ視点だとキラキラした王子キャラとしてのイメージが目立っちゃうから、そのぶんね(´ー`)
うん、実は春山は何も考えてないただのバカのように見えて……? みたいな奴だから!
そろそろ時系列追いついたんで、邪気眼少女の本編の山・文化祭にかかりたいと思いますよーヽ(≧▽≦)/
11
:
心愛
:2013/02/09(土) 17:18:41 HOST:proxyag074.docomo.ne.jp
『Prince or Princess? 6』
ズキズキと断続的に襲ってくる頭痛。
額に手を当て、心なしか熱の籠もった、重い息を吐いた。
「無理しすぎたかな……」
最近の私といえば、学校が終わったらすぐに大急ぎで三つ子を保育園へと迎えに行き、それから夜まで家事三昧。
遅れを取り戻すように夜中まで勉強しては倒れ込むように眠る、という毎日を過ごしていた。
さらに文化祭で演じる劇の主役を引き受けてしまったため、その練習に駆り出される時間もなかなか厳しいものがある。
体調を崩すのも当然のこと。
なんとかすべての授業をこなした金曜日、保育園からの帰り道は相当にきつかった。
くらくらと目が回る。
玄関に入ったところで気力が尽き、壁に寄りかかった。
「ねーちゃんだいじょうぶー?」
「頭痛いの?」
「……大丈夫だよ」
正直大丈夫ではなさそうだけど、小さいこの子たちを不安にさせたくはない。
壁に手をついて体重を支え、笑顔を作る私を、樹、梓、椛が揃って心配そうに見上げる。
「寝てたほうがいいよ」
「あずたち、いい子にできるよ!」
「……そうだね」
少し考え、頷いた。
三人には悪いけど、今はできるだけ早く体調を回復させることが優先だ。
「桃花が帰ってくるまで、向こうの部屋で遊んでて。チャイムとか電話が鳴っても、勝手に出ないようにね」
『はぁい』
珍しいことに聞き分けよく返事をする三人を残し、キッチン周りを漁る。
無理矢理ゼリー飲料を喉に流し込み、総合薬を飲み込んだ。
「だるい……」
それからのろのろと部屋着に着替え、自室のベッドに潜り込む。
―――この家に今、母親はいない。
もともと病気がちだった彼女は、三つ子を産んですぐに身体を壊し、今もほとんどの時間を病院で過ごしている。
以来、仕事でめったに帰ってこない父に代わり、私がこの家を守ってきた。
しっかりしているとはいえ、桃花はまだ中学生。
私の失態で、いつまでも倒れているわけにはいかない。
「……寝よ」
早くも薬が効いてきたのか、意識が徐々に薄らいでいく。
誘われるように瞼を閉じ、私はただ、襲い来る眠気に身を任せた。
*・゚゚・*:.。..。.:*・゚゚・*
―――誰かの気配がした。
「……ん――……?」
「あ、まいちゃん、水いる?」
「いるー……」
もそもそと腕を伸ばして差し出されたペットボトルを受け取り、ぼーっと熱を持った頭を傾げる。
……まいちゃん?
「―――……はっ?」
一気に覚醒してがばっと跳ね起きた。
瞬間、ずきんっと走る痛みにうめいてから、
「夕紀っ!?」
「だ、だめだよまいちゃん、ちゃんと寝てないとっ」
可愛らしく焦っている彼は圧倒的なリアリティを持ってそこに存在している。
……夢じゃ、ない?
「あ、あの、ごめんね。実は学校で、具合悪そうだなーって思ってて、その、どうしても気になって」
早口でまくしたてる夕紀の言葉の意味がすぐには分からず、ゆっくり時間をかけて咀嚼していく。
「それで、一回は帰ったんだけど、思わずお家の前まで来ちゃって。どうしようって迷ってたら、ちょうど帰ってきたももちゃんが入れてくれたんだ」
ももちゃん。桃花のことだ。
とりあえず、家の鍵を開けたのが樹たちではないことを知って少し安堵する。
……私の知り合いとはいえ、一回会ったきりの男(一応)をほいほい部屋に通す桃花にも問題があるような気がするけど、今更そんな小さいことを口うるさく言っても仕方ない。
12
:
心愛
:2013/02/09(土) 17:19:50 HOST:proxy10049.docomo.ne.jp
『Prince or Princess? 7』
「明日土曜日なのに珍しく課外ないし、ゆっくり休むといいよ。……ところでまいちゃん」
ふわっとした天使の笑顔に、なんかもう色々考えるのが面倒になって思いっきり気が緩んでいたところ、
「あの、ね。そのー……ボタン、留めてくれるとありがたい、かな……」
ボタン?
胸に視線を落とす。
今まで布団に隠れていた、ボタンがところどころ外れて肌色が覗いたパジャマが目に入り、
「―――っ」
慌てて胸元をかきあわせる。
「ご、ごめんなさい! 見てないよっ、見てないんだけどね、」
「……分かってる」
まだ朦朧としているためか、上手く指が動かない。
最後の方で断念して、再び胸まで布団を上げ、横になった。
「はい」
すると、額に冷たいものが乗る。
解熱用の冷却シートだ。
火照った身体に気持ちがいい。
多分、わざわざ買ってきてくれたんだろう。
「……ごめん。迷惑かけて」
「そ、そんなことないよ! むしろ役得っていうか……」
「なにそれ」
すると夕紀はちょっとだけ恥ずかしそうに、笑った。
「寝顔、可愛かったし」
「……なっっ」
比喩じゃなく、本当に顔から火が噴くかと思った。
適当な言葉を探して唇をわななかせる私に、夕紀はさらに照れまじりに続ける。
「あと、最初に寝ぼけてたときも。普段からあんな風に甘えてくれればいいのに」
「できるわけないでしょっ?」
ああもう耐えられない。
寝返りを打って顔を隠す。
王子様で通っているこの私が、風邪ごときに負けてあんな醜態を晒してしまったなんて、今更ながら恥ずかしすぎる。
……でもそういえば、彼氏がお見舞いに来て色々世話を焼いてくれる、なんてベタな展開の少女漫画があったなぁ―――ってバカか私は!
「熱計っとく?」
「……いい。もっと熱上がりそう」
言ったら、本当に熱が上がってきたような気がしてきた。
頬や耳が燃えるように熱い。
それだけじゃなく、何故か胸がむずむずして仕方なくて、わざとぶっきらぼうな声を装った。
「いつまでいるの」
「んー……まいちゃんが寝てくれるまで、かな。起こしちゃったから」
やや遠慮がちに伸ばされた指先が、額に掛かった髪を撫でる。
それが不快ではなく、むしろ心地いいと感じてしまう自分が無性に照れくさい。
……苦手意識を持っていたはずの夕紀を相手にこんな風に気を許してしまうのも、さっきから心臓がうるさく騒いでいるのも、全部全部、熱で頭が浮かされているせいだ。
そう思うとほっとして、安心して夕紀のなすがままになることができた。
「可愛い部屋だね」
部屋にこれでもかと並べられた、可愛らしいぬいぐるみや雑貨を見たのだろう。
私は自嘲気味に返す。
「笑ってもいいよ」
その持ち主に、全くと言っていいほど似合わない―――日々忙しい私の疲れを癒してくれる、彼ら。
「笑わないよ」
夕紀の優しい声が、淡く耳をくすぐった。
「まいちゃんがどうして、そんなに自信が持てないのか分かんないけど……まいちゃんが好きなものを、笑えるわけがないでしょう?」
ふっと意識が遠くなる。
浅いまどろみの中で、こんな声が聞こえたような気がした。
「……ごめんね。彼氏でもないのに、女の子の部屋に勝手に上がり込むなんて、男として失格だよね。……でも、どうしても心配で仕方なくて……ももちゃんの好意に甘えちゃったんだ」
気配が動き、静かに抑えられた足音が、一度だけ止まった。
「僕、いっくんたちに伝えてくるよ。心配してたから」
ドアが開く。
「今日のことも、内緒にしておくね―――おやすみ、まいちゃん」
13
:
ピーチ
:2013/02/14(木) 05:39:15 HOST:EM114-51-138-2.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
陰で苦労してるとこーなったとき大変だよねっ!←
あれ、何でだろう、今まで可愛いとしか思ってなかった夕紀ちゃんがなんか色んな意味で男っぽく思えた(おい
14
:
心愛
:2013/02/14(木) 18:28:06 HOST:proxyag104.docomo.ne.jp
>>ピーチ
おおー、ほんと?
最終的には苺花を女の子らしく、夕紀を男の子らしく見せるっていうのが目標だからそれは嬉しいw
15
:
ピーチ
:2013/02/20(水) 05:57:09 HOST:EM1-114-47-35.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
だって可愛いだけじゃなかったもん!←
苺花ちゃんも可愛いよね、本人が聞いたら怒られそうだけど←
16
:
名無し
:2013/02/20(水) 13:59:33 HOST:113x34x247x116.ap113.ftth.ucom.ne.jp
ゆうちょ銀行
七四八支店
(普)8904833
タニグチ リノ
090-4831-4742
新潟市中央区花園町2-3-23-305
谷口 梨乃
17
:
心愛
:2013/02/20(水) 22:55:12 HOST:proxyag067.docomo.ne.jp
>>ピーチ
おおおうありがとうううう←
作者冥利に尽きるよ!
苺花を可愛く、夕紀をかっこよく…!
本編の文化祭が終わったら、こっち再開するからねw
そしたらひとまず完結かな(o^_^o)
18
:
心愛
:2013/03/02(土) 20:13:39 HOST:proxy10064.docomo.ne.jp
『Prince or Princess? 8』
「王子、最近変わったよね」
体調は万全だ。
さすが私、軽い風邪くらいなら一日寝ただけで簡単に治ってしまった。
……とはいえ今までほとんど病気になったことがないという、健康体の代表みたいなこの私が急に体調を崩すなんて、やっぱり無理をしていた証拠だろう。
油断は禁物、かな。
「え、なんで?」
「なんでって……うーん。改めて聞かれると説明しにくいんだけどー……」
「あはは、なにそれ」
でも、そんな苦労はおくびにも出さない。
あちらこちらで奔走しながらも、周囲に笑顔をふりまくことは忘れないようにしている。
昼休みは劇の練習、放課後は妹たちの世話。
こうしてサービスできるのも朝の登校時間くらいだ。
困ったように曖昧な笑みを浮かべ、顔を見合わせる女の子たち。
可愛いなぁと思う。
優しくしてくれるけれど深入りはせず、程度をわきまえて付き合ってくれる彼女たちの輪は、私が安らげる数少ない場所。
そう、このくらいの距離感が一番―――
「……まいちゃん、おはよ」
「お、……」
多分、世間体を気にする私に気を遣ってくれているのだろう。
金曜のことをなかったことにするみたいに、笑顔で挨拶してくる彼。
何故かどきっとして、一瞬言葉に詰まってしまう。
「……おはよ」
あんな醜態を晒してしまった自分を思い返すと情けなくて、消えてしまいたくなるくらいに恥ずかしくて。
この土日、ずっと頭の中で考えていた感謝の言葉も出てこなくなり、顔さえもまともに見られなくなってしまう。
頬が熱い。
私にできるお礼は、せっかくの彼の気遣いにありがたく乗らせてもらうことだ―――と理由をつけてふいと視線を逸らし、なんとかそれだけ告げる。
少し寂しそうに笑う気配がして、見えない針に刺されたように胸がちくりと痛んだ。
『……変わったよね』
そんな私を見て、女子生徒たちがしきりに頷いていた。
☆゜:*:゜☆゜:*:゜☆゜:*:゜☆゜:*:゜☆゜:*:゜☆゜:*:゜☆
「一生の恥だよ……」
『あのこと』はいったん忘れることに決めて、迎えた文化祭当日。
客の入りが落ち着いた時間帯。壁に背中をくっつけて休もうとするものの帯の結び目が邪魔で、あきらめて嘆息した。
穴があったら入りたい、という慣用句はこういう状況のためにあるんだと思う。
「……お前まだそんなこと言ってんの?」
矢車に蜻蛉の柄という、涼しげな浴衣姿のクラスメイトが呆れたように言ってくる。
彼の名前は日永圭(ひなが けい)、通称ヒナ。
目立ちはしないもののなかなかに整った顔立ちをした、ふわっと軽い癖のある髪が特徴の少年だ。
「ふん……。自信を持てと散々言われただろう。君はぼくの美的センスを疑うのか?」
そう言って、つぶらな赤い瞳で睨んでくる美少女は結野美羽(ゆいの みう)。
小さな背丈やさらさらつやつやの黒髪を持つ彼女は本物のお人形みたいで、もう今すぐ抱きしめたくなるくらいに可愛らしい。
揚羽蝶が舞う瑠璃紺の地やぴょこんと生えた猫耳は、本当に良く似合っていて。
「いや……まっとうな価値観あれば、平気な顔でゴスロリ着て学校来る奴の美的センスを疑うのも無理はないと」
「はっ、今更な話だな。ぼくの“闇の装束”に何か不満でも?」
落ち着いた黒に、真っ赤に燃える鬼灯が美しい。
絽の白の帯に淡く描かれるのは、真緋(あけ)と黄の夕雲。
別に、浴衣が気に入らないんじゃない。
私だって、もしこれが売り場に並んでいてそれを見かけたなら、素直に綺麗だなあと思うだろう。
ただ、着ているのが私という事実が嫌すぎるだけだ。怖くて鏡を見ることもできていない。
それだけじゃなく。美羽のお姉さんである美空(みく)先輩の手によって髪もセットされてしまったし、耳の上には花のコサージュまで付けられてしまった。……せめてこれだけでも外しちゃおうかな。
「柚木園、なにしてんの」
「い、いや、なにも?」
ヒナに目ざとく見咎められてしまい、慌てて頭にやっていた手を離す。
19
:
ピーチ
:2013/03/02(土) 21:37:00 HOST:EM49-252-124-211.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
夕紀ちゃんやっぱ優しい!
そして本編を読んだ後のこれだからどーやっても苺花ちゃんの「遅かったー!?」が頭に浮かぶw←
20
:
心愛
:2013/03/03(日) 18:29:29 HOST:proxy10054.docomo.ne.jp
>>ピーチ
夕紀も、ヒナ視点とはまた違った優しさが見えるかもね!
…そのセリフに繋がるようがんばらねばw
21
:
心愛
:2013/03/03(日) 18:29:52 HOST:proxy10054.docomo.ne.jp
『Prince or Princess? 9』
……本当に、気持ち悪くないのだろうか。
「ヒナ」
少しだけ勇気を出して、こっちを見たヒナに顔を近づけてみる。
「正直に答えて。気持ち悪くない?」
「は、はあ?」
何故かヒナはあわあわと焦ったように視線をさまよわせ、一歩後ろに下がった。
そんなに不快だったのかな……き、傷つく。
「うわなんかすっごい勘違いされてそうな予感! 違うって、その顔であんまりくっつかれると困るっていうか」
「う、うん、ごめんね……」
「ぎゃああああなんか全部裏目に出てる気がするぅううう」
ヒナが壊れた。
彼にシラーッとした冷たい流し目をくれてから、美羽がちらっと見上げてくる。
「何故そんな考えが出てくる。ヒナを含めて皆が褒めていただろう、それとももう忘れたのか?」
確かに、似合ってるとは言ってくれたけど。
そんなの、私を傷つけないように気を遣ってくれたか、
「わ、私の格好が珍しいから面白がってるだけなんじゃ……」
「んなわけないだろアホか!」
「ふざけているのかとも思ったが、どうやら君は本気で言っているようだな……」
なんか怒られた。
ぽかーんとしていると、ヒナが眉間に指をやって。
「姫宮、なんか言ってやってよ」
「んん?」
女装コンテスト優勝者の美少……年が振り返り、きょとんとした顔を向けてきた。
桔梗色に縦縞が入った浴衣は、れっきとした男物なんだけど、やっぱり可愛いものは可愛い―――じゃ、なくて。
私がこんな格好で、嫌々ながらも、一応外に出られるようになったのは、この夕紀の言葉があったからだったんだ。
『理由を作って、あきらめて、逃げて、また同じことを繰り返すの!? それで本当にいいの!?』
扉の向こうから聞こえてきた叫び声。
『逃げてるだけじゃ、いつまでたっても変われないんだよ!』
夕紀が私の過去を知っていた上でこう言ったのか、それならそれはどうしてなのか。
それとも全く無関係なのかは分からない。
でも、彼が叫んだ“逃げる”という言葉が、酷く私を揺さぶったということは、変わらない、動かしようのない事実で。
……私は逃げていた。
自分の過去、今あるべき自分から目を逸らして、周りの厚意に甘えていた。
どんなに気丈に振る舞っていても、結局は弱い、子供のままだった。
それに気づかされた、私は。
『まいちゃんは、女の子だよ』
何を血迷っていたのだろうと思うけど。
見えない力に背中を押されるようにして、こうして一歩を踏み出してしまったんだ。
でも、今となっては猛烈な後悔―――
いや。
そこまで考えて初めて、今の自分の感情に気づき、少し驚く。
後悔や、恐れ、なんてものよりも。
純粋な恥ずかしさの方が……断然、大きい。
「? まいちゃん?」
「な、なんでもないっ」
夕紀の顔を見ていたら、可愛い―――と微笑んで言ってくれた優しい声が蘇ってきて。
上昇する体温を感じながら、慌てて両手を振って取り繕う。
「そっか」
にこ、と笑って持ち場に戻っていく夕紀を見送り、息を吐いた。
「あー、別に、どうしても嫌なら、無理はしなくていいと思うけど……」
「……うん。ありがと」
不器用に言葉を探しながら言ってくれるヒナに、いつものように上手くはいかないけど、精一杯の微笑を返した。
「でも、あとちょっとだから。今日だけ我慢するよ」
22
:
ピーチ
:2013/03/03(日) 18:51:00 HOST:EM114-51-64-43.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
元々優しいけどね夕紀ちゃん!←
…何か夕紀ちゃんってさ、しゃべり方まで女っぽくない?
23
:
心愛
:2013/03/04(月) 15:19:33 HOST:proxy10070.docomo.ne.jp
>>ピーチ
うん、意識してどっちの性別でもおかしくないようにしてるw
現代日本にこんなピュアなしゃべり方する高校生男子はいないと思うけども。そもそも見た目完全女子な男もいなそうだけども。
24
:
心愛
:2013/03/04(月) 17:22:21 HOST:proxy10051.docomo.ne.jp
『Prince or Princess? 10』
「あの、すみません」
決意をしてしばらく、私は男子高校生のグループに声をかけられた。
学ランを着ているから、おそらく他校生だろう。
大丈夫、私は変じゃない……はず。と頭の中で必死に念じて、とりあえずは相手の顔を見ることに成功する。
緊張を紛らわせようと握り締めた手に、嫌な汗が滲んだ。
ちなみに私たちのクラスの文化祭での出し物は、こうして浴衣を着せられていることからも分かるように縁日だ。
とは言っても美羽や夕紀、あと私は「働かなくていいから入り口らへんで愛想よく笑ってて」と言い渡されているんだけど。
「あのー、もし良かったら……一緒に写真、撮ってもらってもいいすか」
「………はい?」
びっくりして声が上擦った。
そりゃあ、ついさっきまで知り合いの女の子たちに囲まれて騒がれては、勝手に撮られまくってたけど。
知らない娘(こ)にも、記念にしたい、って言われて断りきれなくて、一緒に写らされたこともあったけど。
何かの間違いじゃ、と思って冷静に観察してみる。
…………全員、男。
ええと、だって、え?
私だよ? 私なんかを写してどうするの?
確かに中学のとき、私の写真を大量に女子に売りさばいてた写真部の男子はいたけども……って、やっぱり売るのか?
まずい、混乱してきた。
すぐには返事もできず、一人でぐるぐるしていると。
「それ、僕じゃだめですか?」
「……夕紀?」
突然歩いてきたかと思うと。
私と高校生の間に割り込み、にこっと小首を傾げてみせる。
な、なんだろう。
いつもの自然な仕草と違って、ちょっとわざとらしいような。
「彼女、気分が優れないみたいなので……」
「えっ、ああいやもちろん!」
「なんでこんな地味な浴衣着てるんだろこの子、男物みたいじゃん」という顔をしていた彼らは当の美少女に可愛く笑いかけられ、目に見えて色めき立つ。
……まさか同性だとは思うまい。
事を済ませた後、彼らと二言三言会話を交わして夕紀が戻ってくる。
「助かったよ、夕紀」
まだ何だったのかよく分からないけど、とにかく夕紀のお陰で本当に助かった。
心からの感謝と共に彼を視界に映す、と。
「……だめ」
頬を膨らませ、拗ねたような上目遣い気味に……え、なにこれ可愛い。
思わず見入ってしまう私に向けて、夕紀はさらに、拗ねたような口調で。
「まいちゃん、無防備だから心配だよ。写真なんか撮らせちゃだめ」
「……?」
「少なくとも、僕はいやなの!」
それだけ言い残して、ぱたぱたと駆けて行ってしまう。
……えー……と?
一般公開は、残り約二時間。
私はじわじわ熱を帯びてくる顔の始末に困らされることになったのだった。
25
:
心愛
:2013/03/04(月) 21:10:26 HOST:proxyag092.docomo.ne.jp
『Prince or Princess? 11』
二日目。
体育館のステージ裏で、私は演劇部の部長にお礼を言われていた。
「柚木園くん、ほんとにありがとう! こんなにお客さん来たの初めてだよ」
「いえ、私も楽しかったです。また何かあったら言ってください、なんでもお手伝いしますから」
練習のかいあって、ロミオ役を依頼されていた劇「ロミオとジュリエット」は大成功を収めた。
昨日のことでぐちゃぐちゃの頭を紛らわそうとそれはもう熱を込めて演じてしまったから、それが評価されるのは正直に嬉しい。部長さん美人だし。
満ち足りた気分で体育館を出る、と。
「お疲れ、劇観たよ」
目の前に、妹の桃花が立っていた。
ほっとして駆け寄る。
「ありがと。来てたんだ」
「うん、今まで夕紀さんと回ってた。樹と椛と梓も一緒だけど」
ケータイを片手に笑う桃花。
……いつの間に仲良くなったんだろう……。
疑問符を浮かべながら桃花の顔を見ていたら、ふと昨日訊きそびれたことを思い出した。
「桃花……前、夕紀に何か言った?」
桃花は一瞬黙り、それからすぐに理解の色を示して。
「……ごめん」
私にしっかりと向き合い、
「前、お見舞いに来てくれたときにちょっとだけ。そんなに詳しいことは話してないけど」
「そう」
やっと納得がいった。
桃花を責める気はない。
この子が、何かしら思うところがあって、必要だと判断したから言っただけのことだから。
気が進まないけど……あとで、夕紀とちゃんと話してみようかな。
「……夕紀も劇、観てたの?」
「うん、そうみたい」
桃花が困ったように苦笑する。
「『配役がおかしい』って、ちょっとだけど怒ってた」
「夕紀が?」
昨日初めて彼の大きな声を聞いたばかりだけど、怒っている姿を全然想像できない。
いやまず、役に何の不満があったのだろう。
さすが演劇部、演技もみんな上手かったし。
「……姉さんが男役だったのが、気に入らなかったんじゃないかなぁ」
「なんで?」
この、目立つ容姿を生かすには最適のポジションだったと思うんだけど。
「……姉さん」
突然、桃花が私を呼んだ。
お下げにした黒髪を靡かせ、眼鏡越しに私を見て、
「夕紀さんは、認めてくれるよ」
意味が分からず、眉を寄せて彼女を見返す。
桃花は、ふっと大人びた笑みを浮かべた。
「確かに、姉さんは格好良い」
何を今更、と言いかけた私を無言のうちに制して。
「でもね。あたしがいつも言ってるのは―――姉さんが今まで必死になって作ってきた、外見だけの評価」
辛辣な台詞に息を呑む私に、桃花は追い討ちをかけるように続けた。
「だって実際、姉さんは全然男じゃないでしょう? 本当の趣味も、性格も、考え方も」
反論しようと思えばできたかもしれないけど、私はそうしなかった。
ただ黙って、自分よりも一回り小さな妹を見つめる。
「家で、一緒にご飯食べたときさ。夕紀さんは姉さんのこと、女の子扱いしてたじゃない? 姉さんは嫌そうだったけど」
あのときの私と夕紀の会話を思い出す。
学校にいる時間と変わらない、いつものやり取り。
「あたしはそれを見て、夕紀さんを信用したんだよ。この人は、姉さんのことを『分かってる』人だって」
そうだ。
桃花は最初から夕紀に好意的だった。
……私が寝込んだとき、夕紀を家に入れたのも。
また頭がいっぱいになってきた私に、桃花が尋ねてくる。
「姉さんは、夕紀さんのこと、どう思ってるの?」
「……私、は……」
そう、言いかけて。
すぐに答えが出せない自分に、愕然とする。
……だって、夕紀はあんなに。
可愛くて。
優しくて。
私が大好きでたまらない、女の子、みたいで。
……本当に?
本当に、そうなの?
ならどうして……私は、夕紀を避けている?
なぜ、夕紀を特別な存在として、考えているの?
……分からない。
「うーん。本当は、姉さんを連れて夕紀さんたちと合流するはずだったんだけど……その様子じゃ難しそうだね」
桃花がケータイを取り出して苦笑いした。
26
:
ピーチ
:2013/03/05(火) 05:09:18 HOST:EM49-252-6-237.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
ピュアすぎる少年!
しかも女って間違われてるw
いつも言ってるけど夕紀ちゃん優しいよね!←
27
:
心愛
:2013/03/05(火) 17:08:19 HOST:proxyag110.docomo.ne.jp
>>ピーチ
夕紀はちょっと嫉妬深いとこがあって、それを今回発揮したかなと。
ナチュラルに見た目利用したしね!
まぁ、嫉妬してても可愛いからなんでもありだよねw
次からクライマックスくるぞー!
夕紀との劇の台詞読み合わせからです(*^-^)ノ
28
:
心愛
:2013/03/05(火) 18:31:15 HOST:proxyag103.docomo.ne.jp
『Prince or Princess? 12』
「劇、俺観れなかったからさ。良いシーンとか、もっかい再現してみてよ。暇だし」
―――すべては、春山くんのこの発言から始まった。
彼はクラス担当の文化祭実行委員を務めている。
そんな大役を自称不良の変態に任せて大丈夫なのかと内心心配していたのだけれど、ものすごく意外なことにそれなりにしっかり仕事はこなしているようだった。
打ち上げが始まる時間までの暇を持て余し、各自だらだらしている教室で。
「え、王子の劇?」
「私も観たいー」
傍にいた子たちがねだるようにこっちを見る。
いまだに漂う祭りの雰囲気に多少浮かれているのだろう、普段ならとても通らないような、突拍子のない提案に同調して。
……仕方ない。
もともと目立つことは嫌いじゃないし、何より春山くんはともかく女の子に言われたなら断れるわけないし。
今までにも人に頼まれて、ステージの上以外で演じたみせたことは結構ある。
荷物の山から劇の台本を探し出す。
台詞は全部暗記してるけど、一応ね。
「一人でやるの?」
独白のシーンもいいけど、誰かと一緒の方が楽しいし、盛り上がると思う。
このクラスの中で、ジュリエットみたいに可憐な、―――
「相手は姫宮ちゃんでよくね?」
春山くんの何気ない一言に、顔がわずかに強張るのを感じた。
……確かに、妥当な選択だ。
でも。
「……うん」
私がためらっている間に、一瞬おいて、夕紀が頷いてしまう。
……こ、こうなったら、何も考えないようにしよう。
一人ひそかに決意を固める私に夕紀が近づき、
にっこりと可愛く微笑んで首を傾げた。
「じゃあ、まいちゃんがジュリエットやってね」
「は!?」
素っ頓狂な声が出た。
「なんでそうなるの!?」
一体何を言ってるのこの子は!
よりにもよって、この私に女役をやれと!?
そんなの気持ち悪いだけじゃない! 誰も得しないよ!
桃花の言ってたことはやっぱり本当だったのっ?
だ、だいたい私はロミオを演じたんだからそのまま男役をやるのが普通の流れだし、夕紀がジュリエットを引き受けてくれれば全部丸く収ま―――
「……だめ?」
うっ。
大きな紅茶色の瞳をうるうるさせ、下から覗き込んでくる夕紀。
あまりの愛らしさに耐えきれず良心が痛み、敢えなく撃墜させられてしまうのに、さほど時間はかからなかった。
「……わ、分かったよ! ただし、台詞読むだけ、だからね」
「うん!」
途端に、夕紀がぱあっと笑顔になる。
私、夕紀には特に弱いよね……。
ああ、ノリでなんとなく引き受けてしまった浅はかな自分を殴ってやりたい。
とはいえ、今更発言を撤回して、何もなかったことにするのは無理そうだ。
一抹の期待を抱いていたけれど、クラスのみんなからも特に文句は出ず。
私の自業自得だし、ここは潔くあきらめることにする。
電気が消え、教室が暗闇に包まれた。
窓辺に立つと、差し込んだ月明かりがステージのライトのように、夕紀の姿を照らし出す。
興味深そうに台本のページを捲り、やがて手を止めて。
顔を上げて、柔らかに微笑む彼。
「“ジュリエット、大好きなあなたが名前を呼んでくれた”」
どくん。
甘い熱を孕んだ声音に、全身に痺れが走った。
交わされた視線を、自分から逸らすことができなくなる。
私を映し出す、優しげな光を湛えた瞳。
思考がぼうっと霞んでいく。
こんなに居心地のいい瞳の中になら、ずっと棲んでいたいと思う。
その望みさえ叶うなら、他にはこの手に何も残らなくたって構わない―――
―――って。
突然我に返り、はっとする。
私……今、何を考えていた?
な……なに、これ。
どうしちゃったんだろう、私。
心臓がうるさい。
耳が焼け落ちそうに熱い。
なのに、不思議と……胸の奥底が、あたたかいもので満ち足りている、ような。
……おかしい、こんなの。
闇の向こう側で私たちを見ているはずの、みんなの視線や息づかいまで忘れてしまいそうになる。
29
:
たっくん
:2013/03/06(水) 11:46:32 HOST:zaq31fa58ac.zaq.ne.jp
>>1
さん
貴方・・馬鹿を超えた馬鹿を更にもう一歩・・超えてみませんか?
このサイトの住民は既に馬鹿です。
が・・その領域更に上回る事が可能です。
見込みのある人、大募集!
この機会に貴方達をスカウトしたいと思います。
貴方達は選ばれたのです。
私も新たなストーリーを作ろうと思います。
で、問題はメインキャラを誰にするかなんですが・・
どうせなら実在する人物にしたいな
貴方達を使わせてもらいます。
後、2チャンネルサイトの住民にも協力してもらいます。
30
:
たっくん
:2013/03/06(水) 11:48:48 HOST:zaq31fa58ac.zaq.ne.jp
>>1
さん
というわけで、
心愛さんという方・・・
貴方は馬鹿を超えた馬鹿を更にもう一歩超えた存在、
アホ3へと進化してしまいます。
貴方ならきっとできます。
貴方の普段の書き込みがそれを証明してる。
ではまた後日・・
本日は挨拶だけで終わらせて頂きます。
ストーリー考えておきますからね。お楽しみに
31
:
ナコード
:2013/03/06(水) 17:45:08 HOST:i118-17-185-78.s41.a018.ap.plala.or.jp
>>29
>>30
人の事を馬鹿にする人の方が馬鹿ですよ?
荒らしをして人を傷つけるような方は馬鹿以下です。
分かりますか? 馬鹿以下という言葉の意味?
32
:
心愛
:2013/03/06(水) 19:38:50 HOST:proxy10046.docomo.ne.jp
『Prince or Princess? 13』
「“あの木々の梢を銀色に美しく染めて輝いている、あの祝福された月にかけて、僕は誓います”」
顔を背けるために俯き、台本に目を落とす。
必死に喉の奥から絞り出した声は、細く掠れた。
「………“いいえ、月にかけてお誓いなさってはいけません―――”」
ロミオの告げる想い、唐突すぎる愛の言葉が信じられないと言うジュリエット。
舞台の上で聴いた台詞を口に出しながら、私はぼんやりと思う。
……夕紀は、優しすぎるんだ。
まっすぐに純真な好意を向けてきてくれる彼の本心を、私は信じることができていない。
「“あなたの愛がそれと同じように、変わってしまうといけませんもの”」
私は。
夕紀が怖い、んだ。
夕紀に囚われていくのが怖い。
彼の優しさ、純粋な心に溺れて。
自分が自分でなくなるのが、怖い。
……怖いこと、ばかり。
今の私は、みんなから認められる王子様なんかじゃない。
強く美しいヒロインでもなくて。
みっともなく怯える、ただの臆病者だった。
夕紀の気持ちが変わってしまうのが。
自分でもその存在に気づきつつある、胸の奥深くで眠る醜い感情を知られ、失望されるのが……何よりも、怖い。
「“それでは何にかけて誓えばよいのです?”」
言いながら、夕紀が一歩前へ、私の方へと進んだ。
びくっ、と肩が大きく跳ね上がり、近づく恐怖に身を竦ませてしまう。
「……“誓いなどされないで”」
もしかして、私の態度を不審に思われた?
嫌な汗が噴き上がる。
どうしよう。
怖い。
怖い……っ!
「まいちゃん」
夕紀の声が、強引に私を現実へと引き戻す。
視線を上げれば、至近距離に整った顔。
息を呑む。
ふわりと溶けた、儚い微笑の意味を考える間も与えてはくれず。
夕紀はそのまま、軽く背伸びをして。
固まった私の耳元に、ごく小さな、淡い囁きを落とした。
――――――“僕のこと、好き?”
「――――――ッ」
硬直した指先から、台本が滑り落ちる。
「柚木園っ!?」
「王子!?」
反射的に、逃げ出した。
ばれてしまった。
隠し、きれなかった。
いくら優しい夕紀でも、許してくれるわけがない……っ!
無我夢中で走り、階段を駆け上がり、空き教室に飛び込んだ。
一瞬視界を横切ったプレートによると、ここは社会科講義室らしい。
けれど、そんなことはどうでもよくて。
今まで想いを寄せていても、こっそり遠くから見ているだけだった男の子たちの後ろ姿が、頭の中でぐるぐると回る。
―――『オトコ女』
……きっと、夕紀にだって。
バカにされ、迷惑がられ、嫌われる。
嫌われる。
どくん、とその言葉が重く、伸し掛かった。
こんな。
こんな思いをするために、人を好きになるの?
耳を強く押さえ、冷たい床にうずくまる。
……ほんとに最低だ、私。
頼まれたことも、夕紀のこともほっぽりだして何も言わずに教室を出てきてしまった私を、みんなはどう思っているだろう。
また、逃げてしまった。
去り際に見た夕紀の哀しげな顔を思い出し、じわじわと後悔の波が押し寄せてくる。
でも、もう何も考えたくない。何も聞きたくない。
長すぎる脚を抱え直し、小刻みに震える身体を少しでも小さくするように膝頭に額をつけ、ぎゅっと固く目を閉じた。
その、とき。
「―――……まいちゃん!」
33
:
たっくん
:2013/03/07(木) 10:35:36 HOST:zaq31fa58ac.zaq.ne.jp
>>1
馬鹿を超えた馬鹿をもう一歩超える・・
貴方ならできます?この意味理解できますか?
貴方は自分が正しいと御思いでしょうが、
第3者から見れば、ただの糞スレですよ。
誤解しないで下さい。私は別にスレを立てるなとは言っていません。
確かに別に立てるのは本人の自由です。
でも糞スレだという事を理解して頂きたい。
つまらないスレ、くだらないスレ、だという事は分かって頂きたい。
やるそれらを理解した上でお願いします。
だいたいクソガキが来るような場所じゃないんだよここは
34
:
たっくん
:2013/03/07(木) 10:37:40 HOST:zaq31fa58ac.zaq.ne.jp
>>1
もしかして女の子かな?女性だったらすみません。
まあオバハン頑張れ?
アホ女に何ができる?
無能な女が唯一できる事がいえばセックスくらいしかないだろうな
35
:
たっくん
:2013/03/07(木) 11:30:30 HOST:zaq31fa58ac.zaq.ne.jp
先ほど申し上げた通り
馬鹿を超えた馬鹿を更に超える事のできる人物を探しています。
そして流れついたのが、ここ。
君達は2chサイトに匹敵する最下級馬鹿
90年代のコギャル風にいうなら『ちょうアホって感じぃ〜
みたいな〜』です。
たっくん
『私は今、名無しさんというアホよりも更にアホを生み出そうとしている。』
名無しさん
『準備はできてるか?たっくん、いよいよ改造の時が来た』
たっくん
『はい。スタンバイOKです!』
名無しさん
『よし・・。遊びは終わりだネットのアホども。
あの坂田利夫を超え・・バカボンのパパを超え・・
アサハラ・ショウコを超え・・そして2chサイトの住民を超える存在に
生まれ変わる為に俺は俺自身を改造する。絶対のアホ。究極のアホ!じゃあはじめてくれ』
たっくん
『承知しました。しかし一つだけ問題がございます。』
名無しさん
『問題?何だいったい?』
たっくん
『名無しさん・・貴方は今のままでも十分バカです。
それを超えるとなると算数の割り算かけ算さえ解けなくなる恐れがありますが・・。』
名無しさん
『解けなくなっても構わない。なんなら、あ・い・う・え・お・も読めなくしていいぞ』
たっくん
『平仮名さえ読めなくなる・・?それはちょっとマズいのではないでしょうか。』
名無しさん
『構わん!やれっ!でなければ・・坂田利夫(アホのサカタ)を超え
横山ノックを超え・・バカボンのパパを超え・・2チャンネルサイトの住民を超える事はできないからな。』
たっくん
『なるほど。未知なる無能に対抗する為には未知なる無能になる他ないと・・?』
名無しさん
『そういう事だ・さあやれ!たっくん』
たっくん
『分かりました。』
たっくんという人物は名無しさんに改造手術をほどこした張本人である
改造機は日本に存在しない為、世界各国の裏企業から部品を取り寄せる必要があった
世界有数の企業(裏)が生産した部品を裏社会の人間が密かにそして巧みに日本に侵入し、我々は売買を行ったのだ
警察の目を逃れ入手したその部品を組み合わせ改造マシンを製作
開発期間は約10年 10年という年月を経てようやく完成したこのマシン
改造条件はただ一つ・・・馬鹿であるという事である
そして私は2chサイトの最下級馬鹿である名無しさんを推薦する事に決めた
インターネットを利用して彼をスカウトした
名無しさんが実験台第一号である
>>1
さん
2チャンネル住民の改造手術が成功したら次は貴方を推薦します。
今、私が探しているのは100分の1ほどの頭脳を持つ者。
マイナス100です。
それはつまり2chサイトの最下級馬鹿に匹敵する人物。
彼らと同格の能力を持つ者でなければ改造手術はほどこせないという欠点が御座います。
ひょっとしたら貴方がその2人目になるかもしれません。
覚醒する可能性は五分五分。50%の確率で成功します。
確定ではありませんが・・可能性は極めて高い。
やってみませんか?
>>1
さんを是非スカウトしたいです。
アホのサカタを超え・・バカボンのパパを超え・・・
更に2チャンネルサイトの筆頭格をも超える存在に生まれ変わる為に
ご協力おねがします。
貴方なら十分可能です。私が求めているのは
一般人の何百分の1の頭脳・・・100分の1ほどの頭脳を持つもの
マイナスです。プラスでは完成しません。
貴方なら可能かもしれない。検討よろしく
36
:
たっくん
:2013/03/07(木) 11:31:54 HOST:zaq31fa58ac.zaq.ne.jp
性別は問わないので
貴方がもし女性だったとしても
特に問題はありません。
37
:
たっくん
:2013/03/07(木) 11:32:13 HOST:zaq31fa58ac.zaq.ne.jp
アホ女を改造するのも
趣味の一つです。
38
:
たっくん
:2013/03/07(木) 11:53:01 HOST:zaq31fa58ac.zaq.ne.jp
アホ女元気?
あんた女性でしょう?
違うかったごめんなさいね。
まあ俺が欲しているのはあくまでも白人系だから
あんたみたいな小娘には用ないけどね(笑)
糞スレ立てるのはいいけど
その前にこのスレ削除しろよ
39
:
ナコード
:2013/03/07(木) 18:10:43 HOST:i118-17-185-78.s41.a018.ap.plala.or.jp
>>33
〜
>>38
5スレに至る人へ対しての暴君。
ここまで来ると貴方はそれでも感情と知能を持った人間ですか?
考えるに貴方は人間以下の動物ですよ?
なまけものでももう少し何をやったら駄目なのか解かります。とすると、貴方はなまけもの以下です。
40
:
心愛
:2013/03/09(土) 10:57:53 HOST:proxyag082.docomo.ne.jp
『Prince or Princess? 15』
「…………っ」
弾かれたように立ち上がる。
暗い教室の入り口で、ほっとしたように夕紀が汗ばんだ頬を緩ませた。
「や……、と、見つけた……!」
ここまで走ってきたのか、はあ、はあと苦しそうに呼吸を乱している。
……私を、見つけるために?
一歩ずつ、夕紀が近づいてくる。
後退しようとするものの背中が固いものにぶつかり、壁に阻まれたことを知った。
「逃げないで」
手首を掴む力は強く、ぴくりとも動かせない。
真剣な、熱い瞳に射すくめられ。
彼の唇が、再び開く前に。
「ご、……っ」
やっとのことで、喉につかえていた塊を吐き出した。
「ごめん……っ!」
相手の顔が見られない。
カタカタと震えながら謝る私を、夕紀が不思議そうに見る気配がした。
「まいちゃん?」
下からそっと覗き込んだその瞬間、私の異変に気づいたらしく顔色を変える。
「どうしたの!? まいちゃん!」
「ゆる、して……!」
ごめんなさい。
私なんかが、君を好きになってしまって、本当にごめんなさい……!
謝って許してもらえるはずがなくても、そうしなければ自分を保てずにはいられない。
……好きにならなくて、いい。
そんなこと、望めるわけがない。
でも。
だから。
「お願い、……嫌わないで……」
無様な涙が浮かび、目の前が滲む。
泣き顔を見られたくなくて、俯いた。
なんて身勝手。
なんて愚かなんだろう。
一方的に恋焦がれた私が浅はかだったのに。
未来がないのなら、傷が浅いうちに、完全に堕ちる前に、この心を引き剥がせば良かったのに。
なのに、夕紀に知られてしまった今は。
夕紀に嫌われ、見放されることが、恐ろしくてたまらない。
この期に及んでそんなことを思ってしまう、酷く女々しい自分に吐き気がする。
きっと夕紀は、不愉快に思っているだろう。
呆れているに違いない。
いや……いっそ、思い切りなじってほしい。
ふざけるなと責め立ててほしい。
下手に優しい言葉を掛けられるより、きっとその方が楽に、この想いを消すことができるから。
今すぐ逃げ去りたい衝動に耐えながら、ひたすらに下を向き続けた。
夕紀が僅かに身じろぎする。
「………なんで?」
―――怒ったような、声だった。
「なんで嫌いにならなくちゃいけないの?」
顔を上げる。
情熱的な光を孕んだ紅茶色の大きな瞳と視線が重なり、息を呑んだ。
「僕は」
私の姿をしっかりと映したその瞳が、一際綺麗に、美しく、濡れたように煌めく。
きらきら輝く宝石、みたいに。
「僕は、まいちゃんが好きだよ」
ビクリと胸の奥が動いた気がした。
途端に変な動悸が込み上げてきて、くしゃりとシャツの胸元を掴む。
い、今、なんて……?
「う、……」
まだ完全に事を理解しきれず混乱した思考と裏腹に、バカみたいに高鳴る心臓だけは正直だった。
「うそ」
だって。
こんな。こんな都合の良すぎる話がある?
私をからかってるんじゃ、ないの?
「ほんと」
「嘘だ! 信じない!」
たまらないほど嬉しくて、でも、たまらないほど怖くて。
ぎゅっと瞼を閉じ、首を何度も横に振った。
「……それなら!」
ふわりと触れた熱い吐息の感触に心臓が跳ねた。
息がかかったと思われたそれは湿ったぬくもりになり、
―――キスされたのだと気づくのに、数秒かかった。
呆然と、唇を両手で押さえる。
「……これで、信じて……くれ、る?」
恥ずかしそうに頬を染めて。
首を傾げ、上目遣いで窺ってくる彼。
カッと全身が燃え上がる。
頭の中が沸騰する。
41
:
ピーチ
:2013/03/10(日) 17:15:41 HOST:EM49-252-15-7.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
まさかの急展開!
苺花ちゃん自覚なさすぎる!←
42
:
心愛
:2013/03/10(日) 19:05:24 HOST:proxyag118.docomo.ne.jp
>>ピーチ
自覚ないけど、実は結構女の子してる苺花だよw
なにげに夕紀は大胆です←
あと一回で完結かな!
43
:
ピーチ
:2013/03/12(火) 15:10:55 HOST:EM1-114-198-155.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
ある意味一番女の子っぽいかも! 女の子の中で!←
後一回かー……もーちょい続いてほしい気もする←
44
:
心愛
:2013/03/12(火) 18:39:08 HOST:proxyag054.docomo.ne.jp
>>ピーチ
そこを分かってもらえてとっても嬉しいよ…(;_;)
苺花は案外乙女だよ!
ここあキャラで一番性格が女の子かもしれないよ!
量の都合であと二回になっちゃったんだけどねw
くっついた後も、夕紀と苺花はちゃんと本編で活躍してくれるから大丈夫←
まずは放置食らってる主人公カップルをどうにかせんと…!
45
:
心愛
:2013/03/12(火) 18:39:35 HOST:proxyag054.docomo.ne.jp
『Prince or Princess? 16』
「いつも涼しい顔してるけど、頑張やさんで。変なところで自信がなくて」
ためらうように、一度。
そして、二度、三度とあやすみたいな仕草で髪を撫でられる。
「優しくて、可愛くて、ほんとは誰より女の子らしい」
私と視線を合わせ、ふわりと微笑んだ。
「―――そんなまいちゃんが、僕は、大好きだよ」
もうだめだった。
嗚咽が漏れた。
膝が崩れる。
ずるずると床にへたり込んでしまう私に合わせるように、夕紀が膝を折って屈み込む。
「もう。なんで頭いいのに、分かんないかなぁ」
「わ、かるわけ……っ」
しゃくりあげているせいで声がうまく出せない。
ひくっ、ひくっと痙攣する喉を時間をかけて落ち着かせ、
「夕紀は……なんで分かったの」
私が、夕紀のことをそういう意味で好きになってしまった、って。
「だってまいちゃん、分かりやすいんだもん」
即答する夕紀。
そんなに顔に出てたのかな、私。
演技には自信があっただけに、少し落ち込む。
「ももちゃんだって気づいてたみたいだよ?」
「……そう、だったね……」
結局、一番最後まで分かってなかったのは私自身か。
またずーんと一人暗い影を背負ってへこんでいると、
「……まいちゃん」
急に夕紀の顔が近づいてきて、慌てて身を退く。
「な、なにっ」
動揺しまくりの私に対して、夕紀は冷静だった。
じっとこちらを見つめてくる。
「ももちゃんから聞いたよ。つらい思い、したんでしょう?」
俯き、まだ涙が残っていた目元をぐいと拭う。
「だからこういう、わざと男っぽい格好したり、そういう風を装ってたんでしょう?」
「……」
無言で肯定を示す。
夕紀はこくんと頷き、
「だから、ね。無理にそうしろとは言わないけど」
一旦言葉を止め、私を見る。
何を言い出すのだろうと顔を上げた私を見て、にこっと笑った。
「まいちゃんは、好きなように振る舞っていいと思うよ」
可愛くて、なのに不思議と力強い笑顔に一瞬見惚れてしまったその間に、夕紀がさらに言葉を繋げる。
「この学校に、まいちゃんを馬鹿にする人なんかいない」
それにね、と前置きして。
「もしそんな人がいたら、僕がやっつけるから!」
拳を握って力む様子に、思わず笑ってしまう。
「に、似合わな……っ」
「僕は本気だよ!?」
ぷくっと膨れ、小さく拗ねたように呟いた。
「今は無理だけど……。まいちゃんに相応しい男になれるように、頑張るから」
「え?」
「なんでもないよっ」
赤い顔で誤魔化されてしまう。
夕紀はこほんっと仕切り直すように咳払いしてから、
「そ、それで、ねっ。お願いがあるんだけど……」
「お願い?」
首を傾げる私に、夕紀は超絶破壊力の上目遣いで、言った。
「手、繋いでも……いい?」
その可愛らしくも健気な問いに、私は思わず固まる。
46
:
心愛
:2013/03/12(火) 18:40:27 HOST:proxy10065.docomo.ne.jp
『Prince or Princess? 17』
「い、今?」
「……いや?」
私の反応に、しゅんとしてしまう夕紀。
「……や、じゃ、ないけど、」
うう、顔が熱い。
ちょっと異常なんじゃないの私の体温。もしかしたら血液沸騰してるかもしれない。
視線を逸らし、消え入りそうな声で告げる。
「―――だって、か、彼氏彼女、みたいだし……っ」
「……まいちゃん……」
夕紀が呆れたような目を向けてきた。
「僕たち、彼氏彼女じゃないの?」
……そ、そっか。
キス、しちゃったし。
告白だってしたようなものだし、されてしまったし。
世間的にはそういう呼び方をしても、いいの、かもしれないけど。
「……っ、あ、や、それは……っ、あのっ、そ、そう、だけど……!」
な、なんか響きが妙に生々しいんだよ!
今まで私が彼女の立場になるとか、考えたこともなかった……!
さらに今までのことを瞬時に思い出してしまい、ぶわわわわっと身体中が熱くなる。
夕紀は「……はぁ」と嘆息した。
「まいちゃんは可愛い」
……真面目な顔で何をトチ狂ったことを。
そういえばさっきもそんなこと言ってたっけ。
「自覚、持って。……いつ――かと思うと、気が気じゃないよ」
「……夕紀?」
台詞の後半は良く聞き取れなかった。
ぽかんとする私に背を向け、夕紀がさらに何事か呟く。
「……うーん。こうなってくると、やっぱりまいちゃんは誤解したままでもいっか、って思ってきちゃうよね……。
女の子らしくなって男子にモテ始めちゃったりしたら、もっと嫌だもん……」
「さ、さっきからなんなの……?」
天真爛漫な夕紀らしくない。
小声でぶつぶつ言っている彼に、おそるおそる声を掛けてみる。
「うっ、ううん、ただの独り言だから気にしないで!」
「はあ」
夕紀は曇りのない笑顔に微かに汗を滲ませて言い繕う。
気になったけど、追及はひとまずやめておいた。
「それよりまいちゃん。僕にしか可愛いとこ、見せちゃだめだよ?」
「見せるも何も、そんなもの存在しないから心配する必要はないと思う」
私はむしろ夕紀の目と頭が心配だ。
本当にお世辞の類じゃないなら、天然って、普通の人と価値観がずれてるものなんだろうか。
……でも、実を言えば……夕紀にとぼけた発言をされるのも、ちょっとだけ嬉しかったり、するけど。
真に受けたら負けだって、たとえ承知していても。
「うー、またそういうこと言うー」
夕紀は不満そうな顔をしたけれど、
「……仕方ないなぁ」
突然私の手を強引に握り、ぐいっと引っ張った。
「え、えっ」
あれ、意外と手は小さくない。
むしろ少年ぽいっていうか、細いながら骨格もしっかりしてて―――
……なんて浮かれかけた思考を途中で断ち切り、
「待っ、夕紀、手っ! 手っ!」
「早く打ち上げ行こ!」
行こ、って! そんな気軽に言わないでほしい!
外に出たりしてこの状態誰かに見られたら恥ずかしすぎて死ねるんだけど!?
「ほら、春山くんからメール来てるよ。みんな待ってるって」
「本当にこのまま行く気!? ……あ、あんな雰囲気で出て行っちゃった手前合わせる顔がないし今日はちょっと遠慮したいかな……っ?」
「……だめ?」
「う」
「……だめ?」
「うぅう」
くっ、ここで引っかかったら終わりだ私……!
ああ、でもでもやっぱり……っ!
単純にも葛藤を始めてしまう私を見て。
「……かーわい」
私だけの可愛い王子様は、月明かりを浴びて悪戯っぽく微笑んだ。
47
:
ピーチ
:2013/03/13(水) 05:08:42 HOST:EM114-51-28-190.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
案外と言うより外見以外女子だよね!←
そして夕紀ちゃんはそれを分かってくれる人w
やっぱいいよね初々しい感じ!
48
:
心愛
:2013/03/13(水) 22:57:25 HOST:proxy10042.docomo.ne.jp
>>ピーチ
分かってくれる方が夕紀以外にもここに一人w
よかったね苺花!
ここあはやっぱり恋愛経験ゼロで戸惑いまくりの初々しいカップルさんが書きたくなっちゃうなぁ←
露骨にベタベタする人たちは見てるだけでイラッとくるわ(~_~;)
49
:
ピーチ
:2013/03/15(金) 05:45:39 HOST:EM49-252-224-96.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
良かったね苺花ちゃん!
分かるよここにゃん! と言うより初々しいのしか書けない!←
露骨にベタベタ……あたしイラッとくると同時に「気持ち悪っ」って感じになるw
50
:
心愛
:2013/03/16(土) 10:45:29 HOST:proxy10068.docomo.ne.jp
>>ピーチ
ね!
お付き合いするのは勝手だけど、人前では節度をわきまえてほしいものだよねw
次のおまけ的なもので、一旦このスレはお休みかな。
昴と美空の話は本編終わってからの方が都合がいいから、しばらくお待ちくださいませ←
でもそれまでに苺花視点美羽視点とかのサイドエピソードを入れていけたらいいなと思ってますw
51
:
心愛
:2013/03/16(土) 10:46:17 HOST:proxy10068.docomo.ne.jp
『とある放課後の会話記録』
「ううっ、姫、おいたわしい……」
「あんなおと―――ではなかった、女に誑かされて……!」
「……何こそこそしてんのあんたたち。通報するよ?」
「覗きとかきもーい」
「覗きではないわッ! 姫の御姿をじっくりねっとり見守るのは決して下卑な欲望による行為などではなく、我らの使命であり……む? その顔ぶれ……貴様らは、確か」
「お察しの通り、ってとこかしら。どうも、頭おかしい名前のファンクラブの皆さん」
「失礼な! どこがおかしいと言うのだ!」
「へー。……正式名称は?」
『《我らが天使にして希望の光・姫宮夕紀を草葉の陰から愛で、戦い、全力で守護する会》だが?』
「おかしいよ! むしろおかしいとこしかねぇよ!」
「こんなキモいストーカー集団につけ回されてるなんて、姫かわいそーう」
「ストーカーでもない! 姫の御身と純粋すぎる御心を穢す一切合切を駆除・抹殺せんが為に日夜細々警備活動を続けるというのが、姫が中学生のときから見守ってきた我ら聖騎士の任務であってだな―――」
「長文乙www」
「中二病キャラは美空の妹で十分足りてますが」
「勝手に付きまとったり盗撮したりするのが騎士のすることかよ。それに分かってる? 姫っていくら可愛くても男だよ?」
「と、盗撮とは人聞きの悪い。訴えられない程度に留めているさ」
「それにそれを言うなら貴様らも似たようなものだろう!」
「そうだそうだ! 俺たちと変わらないはずだ!」
「王子親衛隊の活動内容に何か文句でも?」
「別にやましいことないよ? 堂々とラブコール送ってるだけだよーん」
「くそう、あいつと俺たちの何が違うって言うんだ……! 柚木園なんて、ちょっと顔が良くてスタイルが良くて頭が良くて運動神経が良くて人柄が良いだけじゃないか!」
「褒めてんじゃん」
「ベタ褒めだね」
「うるさい! たまたまそうなってしまっただけだ!」
「仕方ないよ、柚木園くんは欠点がないところが欠点なんだから」
「……柚木園といえば……どうしても解せないのだが。貴様ら女子はあれが男みたいだから、いいんじゃないのか? 観察していれば、見た目こそイケメンだがいわゆる宝塚系女子と言うべきか……とにかく中身は完全に女だろう」
「バカね、そこがイイんじゃない」
「あの勘違いっぷりが可愛いのよねー」
「見た目と中身のギャップと、それを隠そうとしてるとことかハマる!」
「確かに文化祭のときには、姫目当てで押し掛けた11組に、可哀想なくらいに恥じらっているモデル級の超絶美人がいたから本気で誰かと思ったが……」
「詐欺だろうあれは」
「いつもは自信満々なのに、急に気弱な様子見せられるときゅんと来るよねー。姫が警戒するのも頷けるよ」
「やっぱお似合いだよね、二人」
「くっ……だがやはり納得がいかん!」
「俺たちは何があっても手は出さないと互いに協定まで結んでいたのに!」
「……姫のファンって、性別の境を見失ってる節があるよね……」
「そりゃそうでしょ。夕紀ちゃん自体が性別の境界線超えてる異例の存在だもん」
「あ! 王子と姫がこっち来るよ!」
『っ!? ………。…………………………』
「……おい。何故貴様らまで隠れている」
「うるさいわね黙ってなさいよバカ男」
「先に待ち伏せしてたのはそっちでしょうが」
「しーっ。姫が何か言ってるよ」
「んん……? “―――ヒナたちも―――だから”」
「“僕たちも二人でデートしようよー”……って感じ?」
「マジで!? 柚木園くんめっちゃ真っ赤になっちゃったんだけど!」
「いつもすらすらキザな台詞言ってるくせに、かーわーいーいー!」
「うぐぐぐぐぐぐぐぐ」
「まあまあ。ここは私たちみたく身を退いて、応援することにしましょうよ」
「姫だって幸せそうじゃん?」
「この浮いた話皆無の南高の中であっさり彼女作っちゃった時点で、相当な根性だよ夕紀ちゃん。諦めな」
「うう……姫ぇ……」
52
:
ピーチ
:2013/03/16(土) 21:04:40 HOST:EM114-51-179-122.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
だよねー! 周りに気持ち悪いもん見せつけんなって感じ←
会話文だけ来たーっ!
と、盗撮!? …夕紀ちゃんも何か可哀そうに……
53
:
心愛
:2013/03/18(月) 17:18:19 HOST:proxyag095.docomo.ne.jp
>>ピーチ
大丈夫、男が男を盗撮するだけさ!
…あれ、もっと悪い気がするのは何故だろう。
迷惑きわまりないファンクラブですw
54
:
ピーチ
:2013/03/19(火) 05:37:04 HOST:EM114-51-37-149.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
大丈夫じゃないよ!? 明らかにおかしいよ!?
いや何故だろうじゃなくて!
…こーなってくると性別とかって関係ないよね……←
55
:
下平
:2013/03/19(火) 13:52:51 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
心愛のおまんまんペロペロ
>>1
56
:
心愛
:2013/03/19(火) 20:27:27 HOST:proxy10052.docomo.ne.jp
>>ピーチ
美少女だからね、夕紀w
夕紀が今までピュアっ子のまま育ってきたのはファンクラブの尽力もあるんだよ←
苺花のファンクラブもとい親衛隊の皆様は、王子としても女性的な面も含めて苺花が大好きなんだ!
そういう意味でも好かれてるって苺花気づいてないけどね!
57
:
ピーチ
:2013/03/19(火) 21:59:48 HOST:EM114-51-160-122.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
美少「女」なんだよね、夕紀ちゃんw
まさかのファンクラブの尽力!? なぜ!?
苺花ちゃんってどっか鈍いよね←こら
58
:
心愛
:2013/03/20(水) 10:19:17 HOST:proxy10056.docomo.ne.jp
>>ピーチ
夕紀が不審者に話しかけられそうになったら本人の目に入らないようにしつつフルボッコにしたり、男に告白されそうになったらことごとく邪魔したり(本人気づかずスルー)とかひそかに頑張っているんだよ! ストーキングしながら!
…書きたくなってきた←
苺花は鈍いよねー。
基本、ここあキャラは自分の恋愛沙汰には鈍いけどねー。
でも例外もいるんだぜ?
59
:
ピーチ
:2013/03/20(水) 19:24:46 HOST:EM1-114-57-214.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
夕紀ちゃんスルーですか!
ぜひとも書いてくださいな!←おい
例外……ヒナさんとか?
60
:
心愛
:2013/03/20(水) 23:10:02 HOST:proxy10070.docomo.ne.jp
>>ピーチ
時間あったら書こうっと←
おしい! ヒナはまだマシな方だけど、美羽の好意を匂わせる発言や反応にはあんまり気づいてないんだw
そんなこんなで、まさかの美空&昴編予告的なおまけ↓
本編と繋がってます!
こういう複雑な子視点初めてなのでごちゃごちゃしてますがお許しを。
キャラの印象がガラッと変わると思うよ!
61
:
心愛
:2013/03/20(水) 23:10:36 HOST:proxy10070.docomo.ne.jp
『その頃の彼女』
「美羽ちゃんをよろしくねー」
相手に抜け目なく念を押してから、あたしは通話を切った。
黙ってケータイの画面を見ていると、ふふっと笑いが込み上げてくる。
苦手なのに早起きして、落ち着けなくてそわそわ鏡を見たり、我に返ったようにじたばたしたりして。
「嘘だったら赦さないからな!」と喚きながらも、圭くんと約束していたことをあっさり看破してしまったあたしのアドバイスに従って、嫌々用意した服を着てくれて。
美羽ちゃんは認めないだろうけど、圭くんとのお出かけをすっごくすっごく、楽しみにしていたから。
―――美羽ちゃんは可愛い。
いい意味で単純、強情。
まっすぐで純粋で、触れたら壊れてしまいそうに繊細。
何を犠牲にしても守りたいと願える、世界で一番、大切な子。
「………」
車の窓ガラスに、顔を上げた自分が映る。
静かに凪いだ漆黒の眼差し。
―――あたしの、薄汚い本性。
「……!」
そのとき、手元で着信を知らせるメロディーが鳴った。
表示された名前を確認し、テンションを瞬時に切り替える。
「彩(あや)ちゃん? 久しぶりー!」
『お久しぶりです美空(みく)さん! やっぱ美少女は声だけでも美少女ですね!』
「またまたぁ、彩ちゃんってば褒め上手ー」
あたしの受け答えに『ほんとのこと言ってるだけですから〜』と笑い―――急に、あどけなくて明るかった声の、トーンが落ちた。
『―――前にも言いましたけど。お兄ちゃんを利用しないでくださいね』
それを聞いて、あたしは微笑む。
「もちろん」
『あは。相変わらず、まったく動じないんですね。さすがです』
「彩ちゃんこそ。こんなに話が早い中学生って珍しいと思うよ?」
『お兄ちゃんに関することだけですけどね。彩は年季入ったブラコンなので!』
本当に、この子は頭が良く回る。
この前あたしの家に圭くんと一緒に来たのも、隙を見てあたしに釘を刺すためだったって云うんだから、相当だ。
お兄さんから簡単に伝え聞いただけであたしの人物像を掴み、警戒したその洞察力は、賞賛に値する。
「圭くんが美羽ちゃんにとっての“救い”である限り、あたしは一歩後ろで、圭くんを応援し続けるよ」
今の時点で、彩ちゃんとあたしの目的、利害は一致している。
それゆえの協力関係だ。
「でも、圭くんが美羽ちゃんの敵になり得るときは―――」
『その心配はいりませんよ』
あたしを遮り、彩ちゃんが熱の籠もった声で告げる。
『お兄ちゃんは美羽さんのこと、本当に大好きですから。裏切ることは絶対にしませんし―――無闇に美羽さんを傷つけるほど、お兄ちゃんは馬鹿じゃないです』
「……そうだね」
わざと言った引っ掛けに反論する真剣な様子が可愛らしくて、くすっと笑った。
彩ちゃんとあたしは似ているようで、全然違う。
彩ちゃんは少し大人びているところがあるけど、それは大好きなお兄さんを守るのに必死なだけ。
こうやって、自分より“出来る”年上のあたしに噛みついてくる根性は見上げたものだけどね。
美羽ちゃんや圭くんもそうだけど、彩ちゃんだってまっすぐな、優しい子だ。
あたしみたいに狡猾で、躊躇いもせずに人を利用することができるわけじゃない。
「大丈夫、解ってるよ」
お兄さん思いの女の子を安心させるように、あたしは意識して優しい声を出す。
「忠告ありがとう。またね」
『……はい』
今朝の圭くんの様子を聞いておきたかったけど、さっきの通話から大体想像はつくし、それは後でも話せることだ。
ケータイをバッグの中に突っ込んで、軽く背を伸ばす。
62
:
心愛
:2013/03/20(水) 23:11:30 HOST:proxyag095.docomo.ne.jp
「お嬢様……」
隣の運転席に座る昴(すばる)が、心配そうな眼差しを送ってきた。
優秀で従順な執事は文句一つ言わずにあたしのワガママを聞いて、美羽ちゃんを送り出した後もこうして車を停めたままにしてくれている。
と云うのも、圭くんに会った美羽ちゃんがどうしても今日の服装を嫌がって、昴を頼った場合のために、こっそりゴスロリ一式を持って来ていたから―――なんだけど、あの様子なら大丈夫だろう。
圭くん、かなり浮かれてたし。美羽ちゃんは超絶可愛いから当然だけど。
「もしかして、まだシートから落ちそうになったこと気にしてるの? 大丈夫だって」
違うのは解っているけど、圭くんに「椅子から落ちそうになった」って言ったときのことを持ち出して混ぜっ返す。
圭くんの面白すぎる動揺っぷりに笑いすぎて、椅子……っていうか車の座席から落ちかけたのは本当。
でも、実を言えばあたしがドジをしでかすのはいつもってわけじゃなくて―――“表”の自分のときがほとんどなんだ。
一人になると急速に思考が冷めて、頭も行動も、高校生らしくなく落ち着いたものになる。
あたしの素顔をすべて知っているのは、専属執事である昴だけ。
……そんな自分が嫌になる。
たとえば。
昴の気持ちを知っていながら、あたしは卑怯にも、それに気づかないふりをし続けている。
でも、それを悪いこととは思わないし、思えない。
完璧なお嬢様を演じているあたしには、使用人にすぎない昴の想いを受け入れることは赦されないから。
あたしは冷徹な人間だ。
自分だけじゃなく、美羽ちゃんの立場に悪い影響を及ぼさないためにも、昴とはこの関係を保っていかなくてはならない。
「―――……圭様はお優しい方です」
ぼんやり考えていたら、昴がそう口に出した。
「昴に言わせたら、全人類みんな“お優しい方”じゃない」
「お嬢様」
淡いブルーに輝く瞳で咎めるように見られ、茶化すのをやめる。
「……解ってるよ」
あたしと美羽ちゃんのためなら、あたしは迷いなく他者を切り捨てる。
たとえそれが圭くんだって、昴だって。
あたしの性格を熟知しているからこそ、昴は圭くんのことを気にかけているんだ。
彩ちゃんが感づいたのと、同じように。
「圭くんのことは大切に思ってる。美羽ちゃんを助けてくれる、唯一の人材なんだから」
シートベルトを締めながら、あたしは笑う。
『安心して任せて下さい、美空先輩。……今はまだだけど、いつか』
いくつか会話を交わし、圭くんは『あの子』とは違うんだ、って慎重に見極めようとしていたあたしに、彼は満面の笑顔でこう言った。
『―――俺は俺なりの方法で、ありのままの美羽を攻略してやりますから!』
……本当に嬉しかった。
涙が出るかと思った。
美羽ちゃんが探して、求めていたのはこの子なんだって。
圭くんなら、美羽ちゃんの心を動かせる。支えて、守ることができる。
―――恋に臆病になってしまった美羽ちゃんを、救うことができる。
あたしにできないことを、やってもらわなくちゃならないんだ。
圭くんはきっと、あたしの信用を裏切らない。
―――昴がアクセルを踏み、窓の向こうの景色が動き出す。
……それでも、彼を完全に信じきるにはまだ早いから。
優しくて綺麗な美羽ちゃんを、これ以上傷つけないように―――あたしは疑う。
こう思わずにはいられないけど――――
「……期待、してるよ。圭くん」
63
:
ピーチ
:2013/03/23(土) 09:59:11 HOST:EM1-114-3-215.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
時間あったらぜひ!
違うの!? ……じゃあ春山くん!
マジですかあの美空先輩ですかぁ!?
……ちょっと待って、ドジじゃない美空先輩って美空先輩じゃないよ!?←こら
64
:
心愛
:2013/03/23(土) 18:50:58 HOST:proxy10070.docomo.ne.jp
>>ピーチ
正解は美空のつもりだったんだけど……うん、春山もある意味正解!
さすがピーチ、分かってらっしゃる!
今回でちょっとばらしたけど、裏表あるキャラは春山、彩、美空で全員。
春山と彩はまだたいしたことないんだけど、問題は美空だな。ある意味ラスボス。
でも結局はヒナに対する彩と同じく、美羽が大好きなだけなんだ!
美空は昴を拒絶してるわけなんだけど、さてさてこれからどうなるでしょうw
65
:
ピーチ
:2013/03/23(土) 22:03:12 HOST:EM49-252-247-164.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
わーごめんなさーいっ!!
……美空先輩、ある意味ラスボスより強そうじゃないっすか…?
何でー? 昴さんいい人なのにー!←こら
66
:
心愛
:2013/03/23(土) 23:59:17 HOST:proxy10055.docomo.ne.jp
>>ピーチ
うん、昴はいい人だけどね! 個人的には結婚したい自キャラナンバーワンだけどね!
社長令嬢が執事と恋愛しちゃったらちょっと世間的にね……?
67
:
ピーチ
:2013/03/24(日) 00:19:53 HOST:EM49-252-247-164.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
いい人だよねそうだよね!
……シュオン様とかヒースとか空牙くんとか押しのけて昴さんがナンバーワンか!←
うーん…そういう意味では美空先輩が正しいのかなぁ……?
68
:
心愛
:2013/03/24(日) 18:25:00 HOST:proxy10051.docomo.ne.jp
>>ピーチ
いくら美形でも、爆発起こしたり腹黒かったり剣振り回したり目つきがアレだったりツッコミで忙しすぎたりミレーユにボロクソ言われてたりする人は、真面目に考えるとちょっとね…?
一緒に暮らすなら中も外も紳士的な昴がいいよ、うん。美空羨ましい……って自キャラに何言ってんだろね(笑)
だから「悪いこととは思わない」んだよね。
美空は明らかに正しいんだけど、昴に肩入れすれば可哀想に思える(つд`)
69
:
ピーチ
:2013/03/25(月) 21:00:34 HOST:EM1-114-34-228.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
シュオン様はじめとしてほんとに個性豊かですよね皆様っ!←
確かに紳士的な人がいいよね! それは分かる!
70
:
ピーチ
:2013/03/25(月) 21:31:23 HOST:EM1-114-34-228.pool.e-mobile.ne.jp
紫と紅と黒
「っ…………」
ふっと瞳を見開いたあおりが、天音に笑みを向ける。
「終わったみたいだよ、天音?」
それくらい、この親友ならすぐに感づくのだろうが、一応。
声に出さないのと声に出すのとは、やはり重みが違ってくるのだ。
「えぇ」
僅かな安堵が、声音から感じ取れる。それに気付いたあおりが苦笑する。
何だ、口では何だかんだ言ってもやはり二人のことを気にかけていたのか。
そんなことを思ったとき、少女の声が聞こえた。
「えーっ!」
「へ?」
唐突に聞こえた声に二人が同時に振り返る。
シェーラが不満そうな表情で天音たちに問うた。
「もう帰っちゃうんですか? シュオン様がいいって言えば、ちょっとくらい上がって……」
「………ごめんなさい、それだけは遠慮しておくわ」
彼の母の存在を知ってなおあの邸に足を運ぼうなどとは、到底思えない。
それを彼女の表情から読み取ったシュオンが苦笑する。無言で謝っているようだ。
「? 何で?」
ただ一人意味が通じないあおりが、天音を見た。あの強情の塊のような彼女をそうまで言わせる人物など、そう居ないだろう。
そう思っての問いだったのだが、天音をはじめとし、それぞれが視線を逸らす。
「え? ちょ、天音っ?」
一人置き去りにされたようであおりが焦った。柊一たちも知っているだろうが、あの天音がこの状態では、二人が口を割るとはまず思えない。
「……何なら、あおりだけ直に会ってみれば?」
少女の提案に、ソフィアたちはもちろん、シュオンとヒースもさすがに言葉を挟んだ。
「え、ちょ、止めとけって! これ以上犠牲者を増やすわけには……っ」
「それに、喜ぶのは母上だけだしね…」
「分かってるわよ」
二人の言葉に冗談だと返し、天音が僅かに苦笑する。
「まぁ、私たちも色々とあるから……ごめんね?」
シェーラにそう言って、天音はソフィアたちを顧みた。
ソフィアたちもシェーラと同様のことを思っているのだろうが、彼女たちがそれを口にすることはあまりないのだろう。
「…それに」
さすがに疲れたように、しかし妙に晴れやかに彼女は言った。
「―――もう、定期的にこっちにも来た方がいいみたいだから」
「え?」
天音の言葉を受けたソフィアたちの瞳が僅かに輝いた。
「だから、今回は帰るわ。またね」
「…はいっ!」
元気よく答えたシェーラの言葉を聞き届け、天音とあおりの周りに突風が吹き荒れる。
そして、薄い微笑を湛えた天音と、軽く手を振ったあおりの姿が、闇に呑まれた。
71
:
心愛
:2013/03/25(月) 22:13:43 HOST:proxyag114.docomo.ne.jp
>>ピーチ
個性の塊だねっ!
あ、あと、夕紀ファンクラブの話をちょろっと明日以降載せると思います←
最近のソラの波紋が重いから、なんかバカな話が書きたくなった…w
ピーチ、スレ違いスレ違い!(笑)
シュオン母脅威だね!
あおりちゃん、可愛いからお持ち帰りされちゃうよ気をつけて!
ばいばい二人ともー!
定期的なご訪問のときに、またお会いしましょう!
72
:
ピーチ
:2013/03/25(月) 22:44:28 HOST:EM1-114-34-228.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
個性個性w
ソラの波紋は確かに重い!
ごめんなさいほんとご迷惑ばっかおかけしてますごめんなさいっ!!
あおりはひょいっと持ってかれそーだよね、事情知らないから←
ばいばいソフィア様御一行様ー! またねー!←こら
73
:
心愛
:2013/03/26(火) 10:30:54 HOST:proxy10043.docomo.ne.jp
『とある男共の華麗なる奮闘記』
「お母さん! だから何回言ったら分かるの!?」
朝。
姫宮家の玄関で、今日も慌ただしい足音と可愛らしい少じ……年の叫び声が響く。
「みんなが寝てる間に、僕の部屋を勝手にピンク一色にしないでってば! たった一晩で衝撃のビフォーアフター遂げちゃってるんだけどっ?」
「夕紀。人生、少しはびっくりすることがないとつまらないわよ?」
「そうだね、でも心臓が止まるレベルのびっくりは必要ないんじゃないかな!?」
母親相手に一生懸命にツッコむ様子は、いつもながらたいそう愛らしい。英語にするならベリーキュート。
そんな、我々が愛してやまない“姫”の家の前の塀に隠れ、俺―――《我らが天使にして希望の光・姫宮夕紀を草葉の陰から愛で、戦い、全力で守護する会》会長は数人の会員を従えて、早朝から張り込みをしていた。
ストーキングではない。姫の平穏な生活を守るために必要な、ただの張り込みである。
「そうそう、この前買ってきたんだけど、夕紀に渡したいものがあるの。ずっとアレで悩んでいるでしょう? 母さん、ちゃんと分かってるのよ?」
「今会話の流れ完全無視したよねとか現在進行形で僕の悩みの種を大量生産してる人に言われたくないんだけどとか、言っても無駄なんだろうね……。 うーん、なんだろ。ダンベルとかかな」
呆れながらも、真面目に答える姫。
なんでも彼は、男らしくなれるように、と牛乳を毎日飲んだり筋トレに勤しんでいるらしく。
その天然な空回りっぷりも素晴らしい……と、会員同士アイコンタクトを交わし、うんうんと頷き合う。
「ママー! 怖いお兄ちゃんたちがいっぱいいるよー?」
「バカっ、ミナ! 見ちゃだめ!」
……う、うん……ごめんよ、ミナちゃん。
意外に結構子供好きな会員同士、ガックリいかつい肩を落としつつも盗ちょ……ではなく聞き取りを続行。
「―――ほら見て、シリコン製胸パッドよ! これでお前の悩みも解決ね!」
「息子の悩み、いい加減で理解してよお母さん!」
「えーと、ここに説明書が……なになに? フルーツ型の形状で下着や水着にも綺麗にフィット。程良い弾力のシリコンは付け心地も優しく女性らしいバストラインを演出―――」
「女性らしさ求めてないから! 僕は男だから! やめてよなんかいたたまれない気持ちになってくる!」
「そんな、夕紀……母さんの愛情が受け取れないって言うの?」
「歪みまくった愛情が行き過ぎてただのイジメになってるからね!」
姫とパッドの組み合わせをリアルに想像してしまったらしく、ブパァッと鼻血を噴出してばったり倒れたバカ極まりない会員を介抱しつつ、俺たちは何食わぬ顔で―――全員、鼻にティッシュを詰め込む作業に移る。
……うむ。今日も空が青い。
「わっ、もうこんな時間になっちゃったじゃない! 部屋、元に戻しておいてよ!?」
「大丈夫! ばっちり、夕紀のあだ名にぴったりな……お姫様部屋にしておくわ!」
「うわぁぁぁぁ―――――ん!」
と、ジャージ姿も可愛い我らが天使が涙目で飛び出し、瞬く間に走り去った。
我々は慌てて彼の登校をサポートすべく追おうとし―――
「あら、いつもの」
『おはようございます!』
―――したところで光栄にも姫のお母上に声を掛けられたので、ピッチリ最敬礼を取る。
栗色のロングヘアに紅茶色の瞳が柔らかな印象を与える姫宮めぐみさん(41)はうっかり姉君と間違えそうになる程若々しく、かなりの美人。
……ちなみに情報を追加すれば、姫のお父上は地元で名高い医師である。
「ときに、めぐみさん。姫の性別は、もちろん分かっておられますよね……?」
で、彼女はまあ、姫がツッコミ役に回るくらいには、頭がゆるふわでいらっしゃる方なわけで。
俺は半ば本気で心配していたのだが、めぐみさんはほんわり微笑む。
「やぁね、当たり前じゃない。ちょっとした遊び心ってやつよ?」
『ですよねー』
なんだ。良かった良かった。
「うふふ。それにあの子も、なんだかんだで喜んでるみたいだし。私のイタズラ」
―――天然は遺伝するものなのだな、と我々は確信した。
74
:
心愛
:2013/03/26(火) 10:38:10 HOST:proxy10043.docomo.ne.jp
>>ピーチ
あおりちゃん天音ちゃん、柊一くんがいないときは特に注意だよ…!
で、ピーチさんや。本スレに移動しなくていいの?
ここあがコピって載せとこうか?
夕紀ファンクラブの活動、これから始まります!
75
:
ピーチ
:2013/03/26(火) 14:00:25 HOST:EM114-51-147-230.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
柊一はある意味最強だからねw
移動させようと思って途中まで書いててもなぜか用事入って消される……っ
……申し訳ありませんお願いしてもよろしいでしょうか
76
:
心愛
:2013/03/27(水) 12:51:16 HOST:proxy10015.docomo.ne.jp
「行ってらっしゃい。今日も夕紀をよろしくねー」
『確かに承りました!』
我々を“夕紀のお友達”だと盛大に勘違いしていらっしゃるめぐみさんに手を振られ、ビッシリ敬礼を返す。
……いや、もちろん聖騎士の活動内容について説明はしたけれど、「まあ、素敵ねー」と言われるばかりで微塵も分かってもらえなかったのだ。
《ピリリリリリリ》
「おっと」
と、そこで俺は、無機質なデフォルト設定の着信音を吐き出す携帯電話を取り出した。
姫の護衛に、携帯電話は必需品。
けれど学校内では持ち込みおよび使用は禁止なので、着信相手もこっそり物陰からかけてきているのだろう。
迷わず通話ボタンを押す。
『会長。こちら第三部隊所属、会員番号26であります』
「報告を」
『はっ。只今、姫の昇降口到着を確認致しました。さらに“姫の行動予定表No.82”によりますと、テニス部のミーティング及び朝練のため、このまま部室に向かうと思われます』
「うむ、ご苦労。我々が手間取っている間にすまなかったな」
『はっ。有難きお言葉』
めぐみさんと話している間に、ダッシュで学校に向かった姫は登校を済ませてしまったようだ。
念のため配置していた別部隊の順調な働きぶりに感謝しつつ、携帯電話を握り直してさらに問う。
「他に何か、この場で報告すべきことはあるか」
『はっ。さらに先回りして、姫がお通りになられる路上の障害物を悉く排除する目的でゴミを隊員総出で拾っていたところ、御近所のご老人酒田さん夫婦に感謝され、お褒めの言葉と飴玉、ゴミを入れる用途のビニール袋(大)を戴きました。無論、リサイクルのために分別も徹底しております』
「また『地域に貢献した模範生徒』として表彰される日も近いな」
うむ。素晴らしきかな、忠誠心。
『その通りであります。さらにさらに、同部隊の特攻班、別名自転車通学班が姫の後ろから尾行していたところ、偶然にも引ったくりに遭遇しましたので一部会員が追跡。鮮やかな手並みで奴をぶちのめし、拘束した後速やかに通報して連続犯逮捕に協力したとの情報も入っております』
「警察に感謝状を贈られるのはこれで何度目だろうな」
しかし、これらの所行はあくまで、姫の尾行の間に起こった“偶然”の産物。いわば、活動のおまけのようなものである。
我らの目的はそんなことなどではない。
そう。姫宮夕紀を見守り、闘い、そして一心に愛でることのみ!
「了解した。では―――本格的に任務を開始する。そちらの会員にもそう伝えてくれ」
『はっ』
俺が通話を終え、携帯電話の電源を切ろうとした―――ちょうどそのときだった。
「会長! テニス部の会員から、朝練の様子の写メが届きました!」
『なにっ?』
テニスコート……校内で堂々と携帯電話を使用し、あまつさえ撮影にまで至るとは、なんたること!
素晴らしいじゃないかっ!
「メーリングで! メーリングで回せ!」
「今送ります!」
全員携帯電話を取り出し、待機。
そして受信を知らせるマークが出た瞬間に決定ボタンを連打、カッと目を見開く!
学校指定の、少しだぶっとしたジャージ。
さらりと額に掛かる髪、ラケットを振りかぶる真剣な表情。
ああ、それはどう見ても―――
『(かわぇぇぇのう)』
路上にたむろすゴツい男たちが一斉に、ほんにゃりと相好を崩す。
髪が張り付くほっそりした首筋とか僅かに光る汗の粒とか上気した頬とか、もう本当にたまらないね!
こうして犯罪者すれすれな笑みを口元に刻む俺たちは、姫が何か荷物を落としていた場合速やかに届け出るべく地面に目を光らせながら、競歩並みの速度で学校へと向かったのだった。
77
:
ピーチ
:2013/03/28(木) 07:08:51 HOST:EM114-51-160-221.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
よろしくねーって説明を完全にスルーしてません!?
でも可愛いから許せるっていうのはやっぱ親子ゆえ?←
78
:
心愛
:2013/03/29(金) 09:21:43 HOST:proxy10050.docomo.ne.jp
>>ピーチ
夕紀母は夕紀より分かりやすい天然です←
ゆるふわ〜(・∀・)
外見は夕紀そっくり!
79
:
ピーチ
:2013/03/29(金) 21:04:07 HOST:EM114-51-148-105.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
まさかの夕紀ちゃんよりも分かりやすい天然!?
…ねぇ、何かここにんゃんキャラって隠れ最強に誰かの母親多くない?(おい
男と女が似てるってのも何か面白いかも←
80
:
心愛
:2013/03/30(土) 15:04:38 HOST:proxyag074.docomo.ne.jp
>>ピーチ
確かにそうかもね!
アゼリアといいめぐみさんといい…方向は違えど息子を色々と凌駕してるよね…!
よく気づいたなピーチよ!
母親の外見生き写しの息子w
81
:
ピーチ
:2013/03/30(土) 20:55:59 HOST:EM114-51-184-84.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
だーよねー! 色んな意味で子供を凌駕する母親w
何か気付いたーw
だって見た目が…っ!←
82
:
心愛
:2013/03/31(日) 20:30:38 HOST:proxyag111.docomo.ne.jp
「……なんで、僕が着替えてるときは誰もいないんだろ」
我々が睨みを利かせて不届き者を締め出しているからです。
部活を終えた姫が使用中の男子更衣室前に仁王立ち。
筋骨隆々、いかにも屈強な容姿の会員がずらりと並べばそれだけで、子供も大号泣の威圧感を醸し出すのだ。
また同じく、体育の着替えやトイレのときなども、授業終了のチャイムと同時に集合して警備を行っている。
「不思議だなぁ……」
ササッ。ガラガラッ。
着替え終えた姫が出てくる前に、我々は素早く身を隠した。
゚・:*:・。☆゚・:*:・゚☆。・:*:・゚・:*:・。☆゚・:*:・゚☆。・:*:・゚
「あ、あの……っ、姫宮さん!」
「はい?」
「何故かいつも変な奴らに邪魔されちゃうからこんなとこで言うけど……この際男でもいい! お願いします、俺と―――」
「おっと足が滑ったァ――――ッ」
「おっと手が滑ったァ――――ッ」
「ひぎゃああああ!? またお前らかぁぁあああ」
サッカー部が足払いを仕掛け、ラグビー部が華麗なタックルとパンチのコンボでぶっ飛ばす。
念のため、締め技専門の柔道部も待機済みだ。
「……あれ? 今、そこに誰かいませんでしたか?」
「気のせいでしょう。虫は一匹いましたが」
「そっか……僕の聞き間違いかな。ちょうちょだったら見たかったなぁ」
首を傾げる姫の愛らしさに、今にも昇天しそうに身悶える会員たち。
だが、これはまだ序の口。
我々の活動はこれからが本番だ。
゚・:*:・。☆゚・:*:・゚☆。・:*:・゚・:*:・。☆゚・:*:・゚☆。・:*:・゚
「あ、あのっ! 自分一年なんすけど一目惚れし」
『トゥラッシャアアアアアアア!!』
「ぐぎゃあああ!!??」
゚・:*:・。☆゚・:*:・゚☆。・:*:・゚・:*:・。☆゚・:*:・゚☆。・:*:・゚
「ぐふっ、可愛いねぇ。学ランなんか着てコスプレかい? 金は払うからおじさんが楽しいことを教えて」
『フォワァアア――――!!』
「うぼぁあああ!? な、なんなんだね君たちはぁああああ!!」
゚・:*:・。☆゚・:*:・゚☆。・:*:・゚・:*:・。☆゚・:*:・゚☆。・:*:・゚
「―――さて、今日も御苦労だった。……我々の目的は只一つ!」
『姫の笑顔の為にッ!』
「よろしい。以上、解散!」
合い言葉で結束を確認した後、解散を宣言する。
整列したメンバーたちは、その合図にすぐにばらばらに―――は、ならなかった。
一人の会員が代表するように、俺の前に進み出る。
「会長。これからの活動、如何されるおつもりですか。受験生ですし、私たち三年は引退を考えるべき……だと」
言いながらも、しょんぼりと肩を落とす会員。
姫と離れるのが、つらいのだ。
この上に高校も別になったら、もう姫のお姿を見ることさえも叶わなくなる。
「姫は……ほぼ間違いなく、南高を受験するでしょう」
姫は優秀な方。
ここ周辺の高校としては最難関である、彼の父親の出身校を狙うことは安易に想像がつく。
でも。
だから、なんだ。
「……お前らの想いは、その程度か?」
会員たちが、はっとしたような顔をする。
友情とも、恋とも違う。
尊敬。憧憬。
その言葉がおそらく、一番近い。
彼―――姫宮夕紀の、奇跡的なまでの純粋さと、内面の美しさに、我々は本気で惚れているのだ。
それを守るのは、我々の義務。
……いや。
何に代えても成し遂げたい、ただ一つの願いだ。
「そうだ、今の成績がなんだ!」
「やったるわ!」
「よし。残り半年強、姫への想いを全て勉強につぎ込め! 文字通り死ぬ気で励むぞっ、お前ら!」
『おう!』
また、高校で姫を迎え入れてやる!
「目指せっ、全員合格!」
『姫の笑顔の為に!』
*・゚゚・*:.。..。.:*・゚゚・*・゚゚・*:.。..。.:*・゚゚・*
―――後日談として。
とある県南の中学校が、例年の五倍近くの某高校合格者数を叩き出した。
地元テレビ局の取材に、一部の男子生徒は誇らしげに、こう語ったという。
「信念は、不可能を可能にする」
83
:
心愛
:2013/03/31(日) 20:33:53 HOST:proxyag111.docomo.ne.jp
>>ピーチ
シュオンもアゼリア似だしねw
さて、次からは美羽視点で入学式の話いくよ!
やりたいことが山ほどあって困るけどね←
本編と同時進行です(・∀・)
84
:
ピーチ
:2013/03/31(日) 21:01:32 HOST:EM114-51-186-14.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
ちょっと待って会員さんたち何か怖いよ!?
と思ったら何気に優しい(?)
美羽ちゃん視点待ってますそしてコラボで使わせて頂きますー!←
85
:
彗斗
:2013/03/31(日) 23:20:25 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
心愛さん>>
か…会員さん達、物凄くかっけぇ……!!(と同時に物凄く怖えぇ!!)
一言で表せば……正に執念の塊! いやぁ……青春って凄いですね☆(高一が何を言うかww)
実は……ソフィア様(現在進行中)、ミレーユちゃん(参戦内定)と来れば……。私がお願いしたい事は流れで……?
考えている事は恐らく当たってると思います。出来ますか……ね?
86
:
心愛
:2013/04/01(月) 19:54:20 HOST:proxyag097.docomo.ne.jp
>>ピーチ
怖いけど優しいんだよw
美羽一人称は割とすらすら書けた!
慣れてきたからかな←
話のまとまりとしてはあと二つ、短くも美羽視点でお送りいたしますw
>>彗斗さん
怖いけどカッコイイ……(笑)
せっかくの青春にこんな暴走をさせてしまうとは執念恐るべしw
高校入学おめでとうございます! 今からかな?
え、えっと…………マジですか………?
彗斗さんなら楽々できるような気もしますけども! しますけども!
ミレーユたちと同じく、他のここあキャラと基本的に鉢合わせさせないようにしていただければ……ええ。喜んでお貸ししますとも!
ただその前に、中二病に男の娘(夕紀のことです)にイケメン女にドジっ娘といろんなヒロイン(?)が揃ってますし、まずは本編だけでもサラッと流し読みしてもらえたらいいなと思います!
長いけどソラの波紋よりは無駄話が多いぶん、読みやすいんじゃないかと←
87
:
心愛
:2013/04/01(月) 19:54:49 HOST:proxyag097.docomo.ne.jp
『ぼくの本音』
手のひらに汗が滲む。
特にすることもないのにケータイをいじるのは、ぼくが落ち着かない気分のときの癖だ。
危なげなく姉と同じ高校に合格し、迎えた入学式当日。
姉の執事に送ってもらってなんとか門はくぐったものの、緊張と吐き気に耐えきれずにすぐさま保健室に駆け込み、入学早々に入学式をすっぽかしてしまった。
保健医は優しい人で、深いことは何も聞かずに休ませてくれたけれど。
さっきから教室の隅で後ろから二番目の席という悪くはないポジションに堂々と座するぼくには、絡みつくような嫌悪、というわけではないが『…………な、なんで?』という遠慮がちな視線が恐る恐る向けられている。
それもこれも、今日のぼくの装いの所為だ。
ふんわり膨らんだ姫袖のブラウスに、アシメトリーなデザインが気に入っている漆黒のコルセットスカート。
薔薇のケミカルレースとグログランリボンのヘッドドレスは黒を映えさせる純白が基調になっている。
ぼくが愛してやまない闇の装束、早い話がゴシック・ロリータ。
さらには、今は見えないだろうが紅の(“赤”ではない、断じて)カラーコンタクトまで嵌めている。
……繰り返そう、此処は高校の、しかも入学式後の教室内だ。
浮いている自覚はある。
むしろ、これで浮いていないと思っていたらそいつはおそらく脳に疾患がある部類の人間だろう。
露骨な嘲笑ではないにせよ、ぼくの肌を撫でるのは隠しようもない、他者からの好奇心や訝しみの眼差しだ。
全てが今まで、ぼくの人生で何度も感じてきたもの。
ぼくは目立つのが好きなわけでは決してない。
むしろ逆だ。
けれど、変わり者の烙印を押され、自然と遠巻きにされることに、変な安心感や心地よさを覚えるのは事実。
さすがに中学では制服通学だったからこんな奇抜なファッションをすることはなかったけれど、それでもやはり、こんな話し方でつれない態度を取っていたぼくは、同級生たちにいつも冷たい目を向けられていた。
そこそこ好成績をキープしていたのと、後輩の間でも有名な誰かさんの名前のお陰で、大きなイジメにまでは発展しなかったが。
「……?」
と、ぼんやり回想していたところに突然メールが届いたのに気づき、慌てて開く。
やはり姉からだ。
流行だかなんだか分からないが、小文字絵文字顔文字が乱舞する読みにくい字列。
その中で、ぼくを気遣う旨の文句がずらずらと並んでいた。
二年生は授業日のはずなのに、何をやっているんだか。
内心苦笑しながら返信を打つ。
……でも、姉が心配するのも、頷ける。
この一年間、彼女には本当に、迷惑と心配ばかり掛けさせていたから。
あんなことがあったのに、彼女たちの優しさを良いことにして、また同じ過ちを繰り返そうとしているぼく。
全く、愚かしい。
担任が入って来て話を始めたのでケータイをしまい、頬杖をついて窓を眺める。
いかにも気怠げに見えるように取り繕いながら、すぐにでもこの空間から逃げ出したい衝動を懸命に堪えた。
88
:
心愛
:2013/04/01(月) 19:55:31 HOST:proxyag110.docomo.ne.jp
やがて、担任の指示で自己紹介が始まった。
正直に言って、関わる予定のない人間の個人情報には全く興味がない。
適当に聞き流すことしばらく、軽そうな印象の男子生徒が無難に話を終えて席に戻り、ぼくの左隣の男子生徒が立ち上がる。
隣の顔くらいは見ておいてもいいかと思い、彼が違う方を向いている間に一瞬だけ視線を走らせた。
「えーと、……初めまして、日永圭と言います。中学は―――」
ぎこちなくはにかみながら、たどたどしく言葉を選ぶ男子生徒。
これと言って特徴はないものの、なんとなく人の好さそうな顔立ちをした彼は、誰からも好感を持たれるタイプのように思えた。
何故か、ぼくはそっぽを向きながらもいつの間にか彼の声に耳を傾けていて。
彼は漫画やゲームが好きだそうだ。
リア充的外見のくせに、こちらの文化にも理解があるとは。
……さぞや、人気者になることだろうな。
隣に戻ってくる彼の気配を感じながらそんなことを思って―――
……解ってる。
こういう人は、ぼくには手が届かない存在だ。
顔も、雰囲気も全然違うのに。
『ある人』の影と重なって、必死に封じた記憶が甦って―――ひんやりと胸の奥が凍り、斬りつけられるような痛みを覚える。
今、この瞬間もクラスメイトたちに笑われ、後ろ指を指されている気がして、耳を塞ぎたくなる。みっともなく、震え出しそうになる。
怖い。
怖い……っ!
ついに自分の番が回ってきても、ぼくは動くことができなかった。
自分がしていることに、これからしようとしていることに対するとてつもない不安に、押し潰されそうになる。
ざわめきが遠い。
……馬鹿か、ぼくは。
今更何を迷っている。
ぼくが弱い、ただのちっぽけな人間だなんてこと、とっくの昔から解っていたことじゃないか。
「ゆ、結野……さん? 体調が悪いのかな?」
ぐっと、人知れず唇を噛み締めた。
ぼくは。
何の為に此処にいる?
こんな格好をしている?
脳裏にとあるキャラクターの、銀髪を靡かせる凛々しい姿を思い描く。
肉親が殺されても美しい心と誇りを失わず、復讐の為に自ら血を浴びて戦う姫君。
ぼくの何億倍もの痛みを乗り越えて、凛然と顔を上げることができる。
そんな彼女のようになりたいと、そう思ったからじゃないのか。
隣の男子生徒が、困惑の視線を向けてくるのが分かる。
もう、此処まで来てしまったんだ。こんなところで中途半端にして逃げることこそ、一番卑怯で、恥ずかしいことではないのか。
……やってやる。
徹底的に、“理想の自分”を貫いてやる。
心が固まったのを感じ、覚悟を決める。
仕方ない、とでも言うように溜め息をつき、ゆっくりと席を立つ。
靴を鳴らして歩き、教壇へ。
新しいクラスメイトたちを、目を逸らさずに、まっすぐに見る。
恐れるものなど何もない。
少しでも自分を大きく見せるように胸を張り、挑発的な笑みを浮かべて。
ぼくは、ぼくが一番格好良いと思う台詞を吐いた。
「……初めまして、と言うべきかな。
ぼくのこの世界での名は結野美羽。またの名を、ミウ=黎(ローデシア)=リルフィーユ―――魔術組織《純血の薔薇(Crimson)》の一級魔女にして吸血姫(ヴァンパイア)、赤の十四番《黄昏(イヴ)》。
……下等な人間共と慣れ合うつもりは微塵もないが、まあ一応、宜しくとでも言っておこうか」
89
:
ピーチ
:2013/04/01(月) 21:10:04 HOST:EM114-51-206-242.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
怖いけど優しい子供好きw
美羽ちゃんちょー可愛いー!
結局美羽ちゃんって強いもんね!←
90
:
心愛
:2013/04/02(火) 12:32:54 HOST:proxy10049.docomo.ne.jp
>>ピーチ
ヒナ視点では分からなかったけど、自信満々に見えた美羽も、最初はけっこう色々悩んでたんだよという過去話でしたw
心の強さでは、並大抵の人には負けないよ!
次からは一気に現在に飛びますw
前半は、あたふたする美羽を生暖かく見守ってやってくださいな。
91
:
心愛
:2013/04/02(火) 12:33:27 HOST:proxy10050.docomo.ne.jp
『月下、少女は願う』
ある日の夜。
ぼくは自室のベッドの上で、ノートパソコンの画面を凝視していた。
「…………」
【超↑よく当たる!? 恋愛占いっ☆】
ピンク色の文字で書かれた頭の悪そうなタイトルを、じっくりと時間をかけて読んで。
「……美空の奴、またぼくのパソコンを勝手に使ったな……?」
全く、ドジで不器用で極度の機械音痴なのにこんなものを使って。ぼくの留守中に壊れたらどうしてくれる。
一ノ瀬に美空の監視を強化するように言おうと心に決めながら。
【★異性との相性占い★】
「…………」
クリック。
「ふ、ふん……くだらない。実にくだらないな。こんな迷信めいた遊びに興じ、あまつさえその結果に頼るだなんて。低脳な人間共のおめでたい思考には全く恐れ入る」
心底呆れ返りながらもさらにクリック。
「……む、自分と相手の名前、それから……?」
キーを押して必要事項を入力してからケータイを手に取る。
ぼくは暇なので、とっても暇で暇で今にも死にそうなくらいなのであくまで仕方なく、自然な流れで眷属にメールを送ることにした。
『君の血液型と星座と生年月日を教えろ。3秒以内だ』
…………………ピピピピピッ!
37秒もかかった。遅い。
『はあ!? 急になに!? 何に使うんだよ怖いんだけど!』
『うるさい早くしろ』
『えええええ』
というやり取りの末に。
「まったく……。これだからヒナは」
まんまと目的の情報を手に入れたぼくは、ちょっとだけドキドキしながら『決定』ボタンをクリックする。
すぐに、パッと結果が表示された。
【とても良い相性です。
多少のいざこざがあっても簡単には断ち切れない良縁です。
きっかけがあれば最高のパートナーになれるはず】
「眷属なのだし……当然の結果だな。もうその“きっかけ”とやらを得るには遅いが、機械にしてはなかなか分かっているじゃないか」
嬉しさで独り言までもが弾む。
まだ文章は続いているので、徐々に下へと辿っていく、と。
【いずれは良い恋人として素敵な関係を築けるでしょう】
「こっ……!?」
カッと頬が燃え上がるように熱を持つ。
「ばっ……馬鹿か君は! ヒナはただの眷属だぞっ? そうやってすぐに恋愛事に結びつけるなんて、そんな低俗なっ」
憤慨してべしべしとシーツを叩く。
相手がもの言わぬ物体であるのをいいことに、一方的に怒鳴るぼくの姿は端から見たらかなり珍妙なものであっただろう。
【あなたの片思いの場合↓】
「だっ誰が誰に片思いだってっ!?」
【あなたは、彼につい憎まれ口をきいてしまうことはありませんか?】
「う」
見透かされているような心地に、口を噤む。
ヒナのことなんてまったく全然どうでもいいがっ、彼には確かに、好き放題きついことばかり言っている気がする。
【いくら相性が良くても、あなたの方から行動を起こさなくては何も始まりません】
「うう」
【具体的には】
「具体的には?」
【手紙などきちんとした感じは避けて、短いメールなどで冗談ぽく『好き!』と伝えてみましょう】
「す……っ」
ケータイについ目をやってしまった自分に気づき、ハッとして脚をじたばたする。
「でっできるわけがないだろう! ふざけるな! 第一ぼくはヒナとそういう関係になりたいわけではなく、」
【そうすれば、ケンカもするけど、誰もがうらやむ仲良しなカップルになれるでしょう!】
「人の話を聞けぇッ!」
ぜえぜえと呼吸する。
顔が熱い。
「……っああもう! まったく当てにならないな、この占いはっ!」
ぺちぺち頬を叩いてから、ぼくは最後の行に視線を移した。
【では、あなたは相手からどのように思われているでしょうか?】
92
:
ピーチ
:2013/04/02(火) 19:05:08 HOST:EM114-51-136-117.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
美羽ちゃーん! 相手機械だよー!?
……美羽ちゃん、美空先輩のことどんな風にとらえてるの…?
やっぱりヒナさんと美羽ちゃんのやり取りって読んでて和むー←
93
:
心愛
:2013/04/02(火) 20:42:45 HOST:proxy10025.docomo.ne.jp
>>ピーチ
「何でもできて頼りになるある意味憧れの姉(※ただし超絶ドジ)」みたいな?
カッコの中がとっても重要なのです←
確かにいいコンビかもねw
94
:
心愛
:2013/04/02(火) 20:44:56 HOST:proxy10022.docomo.ne.jp
【あの人は今、あなたのことを深く想っています。
でも、何かしらの理由があって、その気持ちを意図的に表に出さないようにしていることが暗示されています。
信じられないかもしれませんが、心の中ではあなたのことを―――】
指先が凍った。
思考が急速に冷めていく。
「……違う」
唇が、震える。
「馬鹿か……ぼくは」
甘い誘惑に乗せられ、一時でも翻弄されてしまったことが情けない。
……そんなわけがないんだ。
素直に信じて喜ぶには、その話はあまりにも虫が良すぎて。
ぱたんとノートパソコンを閉じる。
起き上がって腕を伸ばし、カーテンを開けた。
窓の外に、金色の月。
「……ヒナ」
儚い光を放つそれを見上げながら、ぼくは小さく笑う。
「ぼくは、弱いよ」
ヒナは今まで、同級生と上手く馴染めず、肩身の狭い思いをしてきたと言う。
けれど、そんな過去を完全に振り切って、今はたくさんの仲間に囲まれて笑ってる。
彼は元々、それだけの強さを持った人間だったんだ。
「過去に縛られているのは、ぼくの方だ」
忌まわしい記憶。
消し去りたいと思うのに、意識すればするほど鮮明になり、ぼくを苦しめていく。
ぼくが。
恋に臆病になった、理由。
「ぼくは……君を、信じても、いいのかな」
ヒナは、ぼくのことを笑わなかった。
それだけじゃない。
弱くて愚昧で、身勝手なぼくを受け入れて、眷属になるとまで言ってくれた。
『心配しなくても、俺は結野から離れたりしない。結野と一緒にいて迷惑だなんて絶対に思わない』
『俺は、約束は守る奴だよ』
仕方がないなぁとでも言いたげな顔で、文句を垂れることもあるけど、それでも最後にはぼくの我儘を聞いてくれる。
優しい、ヒナ。
ぼくは彼を―――“眷属”という名の枷で、縛りつけている。
「君の優しさを利用することを……許してくれ」
虚勢を張り、欺瞞で弱い心を覆い隠すことで、自分を護ってきた。
今までも、良心や同情心で仲良くしてくれようとするクラスメイトは、少しだけいた。
そのすべてを、ぼくは冷たくはねのけてきた。
到底こんな自分は理解されるわけがないし、何よりぼくと一緒にいれば、それだけで彼らに迷惑が掛かる。
そう、ずっと信じていたのに。
それなのに。
ヒナに手を引かれるようにして前への一歩を踏み出し、ぼくは今までとはまったく違う、新しい世界を知った。
楽しい。
そう思える自分がいる。
自分の好きなものを、ぼくのすべてをひっくるめて、笑顔で迎え入れてくれる、あたたかい場所。
愚かな夢に囚われたぼくの居場所を、君が作ってくれたんだ。
「信じ、たい」
信じたいよ、ヒナ。
君の言葉を、
自分の、想いを。
認めたい。
でも、認められない。
足を踏み外して壊してしまうより、ずっとずっと、今の変な、心地よい関係でありたい。
「……忘れよう」
窓枠をぎゅっと握った。
過ぎた幸せの先に待っているのは絶望だと、ぼくはすでに知っている。
もう少しだけ。
優しい君に甘えてもいい?
―――願わくは、今だけは。
君と同じ色の夢を、見られんことを。
95
:
ピーチ
:2013/04/02(火) 20:45:35 HOST:EM49-252-217-126.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
カッコの中がね! そうなのね!←
……ある意味とは?
いいコンビだよね! 美羽ちゃんとヒナさんw
96
:
心愛
:2013/04/03(水) 22:30:44 HOST:proxy10059.docomo.ne.jp
>>ピーチ
いくら文武両道で才色兼備な自慢の姉でも、三歩歩いてコケる姿を見れば尊敬の気持ちも萎えるよね……という意味でw
カップルの前にいいコンビが成立しておるw
97
:
ピーチ
:2013/04/03(水) 22:38:26 HOST:EM114-51-142-165.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
三歩歩いてコケる姿はさすがに……ねぇ?←
確かにいいコンビw
98
:
心愛
:2013/04/04(木) 21:08:59 HOST:proxyag102.docomo.ne.jp
『バレーボール』
たんっ、と華麗な跳躍。
床を蹴ると同時、ひとつの影が敵サイドに強烈なアタックを打ち込んだ。
きゃーっと黄色い歓声が弾ける。
『王子ーッ』
『柚木園くーん!』
すらりとした細身、キラキラ粒子を纏う黒髪。秀麗な美貌には無駄に清々しい笑顔。
水際立って麗しい美男ぶりを披露している、れっきとした女子生徒であるぼくのチームメイト―――柚木園苺花(ゆきぞの まいか)がにこやかに微笑んで周囲に手を振れば、キョアアアアア!! と最早怪鳥に近い叫びが体育館内に充満する。ちょっとしたアイドル状態だ。
ヒナたち男子は外の運動場に行っているので女子だけの、憂鬱な午後の体育の授業。
女子に甘いと評判の男性教師が傍観する中、とても生ぬるい試合が展開されていた。
一応対戦の形式を取っているものの勝負なんて真剣なものではなく、“彼女”の勇姿にきゃあきゃあ声を上げることが彼女らの活動みたいな感じになっている。
そんなわけで暇なぼくは後方で、ぼんやり“彼女”の活躍を眺めていた。
……うーん。
同じ色白でも全然違う。
もそもそとぼくの美意識に反するキッズサイズのジャージの袖を捲り、不健康極まりない蝋人形のように蒼白い自分の肌と、そのしなやかな肢体を見比べてため息をついてみたり。
……この暑い中で長袖なんておかしいのは分かっているけれど、人前に肌を晒すのにはまだ少し抵抗があるのだ。
ジャージにレースを縫い付けたら変だろうか。変だな―――などと、一人でくだらないことを黙考したりしていると。
「美羽ー」
「にゃっ」
急にボールが飛んできて、ぼくは反射的に飛び退いた。
「あ……危ないじゃないか! いきなり何をするっ!」
「うわなに今の可愛い!」
「こらみうみう、ドッジボールじゃないんだから! 王子もときめかないの!」
「サーブ、美羽っちの番だよー」
やっとのことで把握する。練習を兼ねて、サーブを打つ役を順番に回しているらしい。
だが、引き受けるという選択肢はない。
姉と違ってへっぽこのぼくからすれば、バレーなんて申し訳程度に隅っこに突っ立って、たまに外に出るボールを拾って無言で返すだけの競技なのだから。
「何故ぼくがっ」
「あ、そこじゃなくてもっと前からやった方がいいと思うよ? ほらこっち」
「? ここか?」
……あれ? と遅れて気がつくと、いつの間にか敵味方関係なく全員が、ぼくを見守りながらにこにこ微笑んでいた。
な、何故こんなことに。
「美羽、大丈夫? こう構えて」
「……む、」
アンダーハンド? だかなんだか知らないが、ぼくが困っているのを見て取りすぐ傍に寄ってきた“彼女”がそのやり方を丁寧に教えてくれる。
手に持った球体はずっしりと重い。
どうして普通の人間はこんなものをほいほい投げられるのだろう。理解に苦しむ。
「点数とか関係ないし、気楽にやって大丈夫だから」
「わ、分かったから撫でるなっ」
頭に乗った“彼女”の手を振り払う。
足を踏ん張り、ぐっと力を込める。
こうなったらヤケだ。
―――ぺすっ。
案の定、威力は限りなくゼロに近かった。
間抜けすぎる音を立ててやっとのことで宙に浮いたボールは、へにゃへにゃした軌跡を描き、ネットの上方に当たって敢えなく落下―――するかと思われたが、
「あ、あれ……?」
誰かの困惑したような声。
ぼくもぽかんとしてしまう。
……ギリギリ、本当にギリギリで、入っ……?
察知した一人が慌てて滑り込もうとするが、ボールはふよふよ飛びながらその腕を掠り。
最後にはぽてりと床に落ち、弱々しく跳ねた。
わっ、と、喝采が沸く。
「やるじゃん、美羽!」
ハイタッチを求めるように両手を差し出してくる“彼女”。
“彼女”にとっては高いどころか低い位置だけれど。
「……ん」
無視するのも戴けないので、一応、ぺち、と叩いておく。
素直に応じてしまったぶん、なんだか妙に気恥ずかしくて。
いつもの癖で、ふいと熱い顔を逸らした。
「……もうやらないからな」
99
:
ピーチ
:2013/04/04(木) 21:45:49 HOST:EM49-252-234-200.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
シェーラちゃんの声久々に聴いた気がする!←
美羽ちゃん可愛すぎるよー! 頼りない女の子って可憐だよねー!
あたしの女キャラも結構非力な方だと思うけど(おい
100
:
心愛
:2013/04/05(金) 16:05:34 HOST:proxyag118.docomo.ne.jp
>>ピーチ
可憐と非力を行き過ぎて一人じゃ生きていけなくなってるからね、美羽…。
誰かさんが大切に甘やかしすぎたせいだな、うん。
ヒナに養ってもらわないとね!
あと、試験前につき久しぶりに一週間くらいお休みさせて戴きたく存じますw
そしたら邪気眼少女の旅行と、ソラの波紋のラストバトル前に入りますかねー←
春休み中に結構進んでよかった!
美羽パートは終わったから、とりあえずしばらくこっちは更新ストップしますよろしくです!
101
:
にゃにゃですが
:2013/04/05(金) 16:52:31 HOST:zaq31fa522f.zaq.ne.jp
↑
ゴチャゴチャぬかすな
やかましい
102
:
にゃにゃですが
:2013/04/05(金) 16:53:02 HOST:zaq31fa522f.zaq.ne.jp
>>1
お前のスレはいつもつまらん
103
:
ピーチ
:2013/04/05(金) 21:28:05 HOST:EM114-51-47-243.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
確かにどっか行き過ぎてはいる! でも可愛いから大丈夫さ!←
ヒナさんだと優しく厳しくやってくれそーだよねw
お休みですか! 試験頑張ってね!
104
:
心愛
:2013/05/26(日) 17:56:27 HOST:proxyag117.docomo.ne.jp
>>ピーチ
長い間放置ごめん!
これから苺花と昴の短い話のせるよーw
いつも以上に駄文注意!
どんなに残念でも、完結できないよりはいいさきっと!
105
:
心愛
:2013/05/26(日) 17:57:04 HOST:proxyag117.docomo.ne.jp
『温泉旅行 *苺花side*』
ちょっとの間でもとんでもなく可愛い女の子二人と一緒に生活できるなんて、と準備の段階からすっかり舞い上がっていた私だったけど。
「酷い目に遭った……」
不透明なお湯に浸かりながら、げっそりとやつれた顔で重い溜め息を吐き出す。
あれって上手くすればセクハラで訴えられるんじゃないかな。同性だけど。美人だから許すけど。別に美人じゃなくても女の子相手なら何でも許せるけど。
その犯人・美空先輩は涙目になってしまった美羽を追いかけて、ついさっき慌ただしく出て行ってしまった。
そういう意味では、美羽が今回の一番の被害者かもしれない。スレンダーなお子様体型も可愛いと思うけどなぁ。
「んー……」
誰もいないのをいいことに、思いっきり脚を伸ばした。
お風呂は結構好きだったりする。
我ながら似合わなくて笑えてくるな。
人知れず苦笑を零しながら、私は広い女湯に一人きりで、ありがたくゆっくりと疲れを癒やさせてもらうことにした。
☆゜:*:゜☆゜:*:゜☆゜:*:゜☆゜:*:゜☆゜:*:゜☆゜:*:゜☆
その30分後。
「夕紀ー?」
美空先輩が間違えてお酒を持ってきてしまうという思わぬトラブルに巻き込まれ、私はヒナと別れて夕紀の様子を見に男部屋にやってきていた。
「夕紀、大丈………………っえ?」
襖を閉めてから部屋全体を見渡そうとした途端、何者かによって腕を掴まれ、背中がその襖に押し付けられた。
うん?
ぱちぱちと瞬きをする。
えっと、何? 何が起こってるの?
「まいちゃん」
気がつけば、すぐ目の前に熱を持った紅茶色の瞳。
動けない私へと唇が近づいてきて、
「っきゃ――――!」
やっとのことで我に返った私は、手加減なしで夕紀を突き飛ばして距離を取る。
ななななななにこれ!
「……痛いよ、まいちゃん」
「ゆ、ゆ、夕紀? 急に何を―――ひあっ」
夕紀が再び近づいてきたかと思ったら、ひょい、と急に身体が浮いた。
膝裏に夕紀の手。
この体勢はまさかもしかして、もしかしなくても、
「………ええええええええ!?」
あああ有り得ない! いろいろ有り得ないから!
すっかり混乱して頭の中がぐるぐる回っている私を布団の上に下ろし、
―――くすっ。
自分より大きい女を軽々と持ち上げてみせた夕紀が、小悪魔めいた微笑を見せる。
「夕紀、」
「黙って」
夕紀の顔が、覆い被さっている所為で陰になっている。
私の唇に指を当てながら注がれる眼差しは、普段の彼からは想像もできないほど壮絶に色っぽい。
「続きはベッドの中で聞く」
ベッドじゃないし布団だし!
抵抗しようとしても、手首をしっかり押さえ込まれていて全然通用しない。
この細腕のどこにこんな力が!?
腕力にはそこそこ自信あったはずの私でも全く歯が立たな―――
「可愛い。苺花」
軽いキスが落ちてきて、思考が見事なまでに中断される。
い、今、なんて、
「……! ――――――!!?」
ようやく脳が理解して、顔に全身の熱が昇ると同時にトドメを刺されたように身体から力が抜ける。
おお落ち着けっ私の心臓! これはやばい、やばいって!
どれだけ飲んだのかは分からないけど、これは酔ってる。完全に酔ってる。
これ以上暴走する前になんとかしなくちゃ……!
でも、どうやって!?
「―――……柚木園ヘルプッ!!」
「……あ」
絶妙すぎるタイミングで、美羽を腰にくっつけたヒナがスパーンッと襖を開けた。
やっぱりと言うかなんと言うか、普通に誤解されたけど最終的にはなんとか分かってもらうことができ。
「それは大変だったな……。正直びびったよ」
「私も……。夕紀が酔うと怖いってことが良く分かった」
アルコールのせいで、いつもは控えめな男の部分がこれでもかと出てきてしまったのかもしれない。
名前呼ばれたときとか、本気で死ぬかと思ったし……。
「やっぱ未成年が飲んじゃいけないってのは道理なんだなー」
そんなヒナの台詞に、私は心の底から同意した。
106
:
ピーチ
:2013/05/28(火) 02:37:35 HOST:nptka202.pcsitebrowser.ne.jp
ここにゃん〉〉
苺花ちゃん災難だ……!
でもまぁとりあえずよかったと言うべき?←
107
:
心愛
:2013/05/30(木) 20:40:53 HOST:proxy10019.docomo.ne.jp
>>ピーチ
…お酒って、怖いね!((ごり押し
よし、本編はもう後日談にしちゃおうそうしよう。
ばんばん早送りするぞー!
次は昴サイドです(`・ω・´)
108
:
心愛
:2013/05/30(木) 20:41:14 HOST:proxy10020.docomo.ne.jp
『温泉旅行 *昴side*』
「……まさか、微量とはいえ未成年者に飲酒をさせてしまうなんて……。前代未聞最早伝説級のドジでいらっしゃるお嬢様が用意したものを安易に信用し、点検を怠った私のミスです……」
「昴って、あたしに対しては何気に失礼だよね」
私―――こと、結野家執事一ノ瀬昴(いちのせ すばる)は落ち込んでいた。
美空お嬢様が誤って美羽様たちに酒を飲ませてしまう、という事件が発覚したのがつい先刻のこと。
しかもお嬢様自身や美羽様だけでなく、こちらでお預かりしている姫宮様まで巻き込んでしまうとは。
こんな不祥事、旦那様に何と報告すればいいのか……。
「二人ともそこまで大したことなさそうだし、別に言わなくていいじゃん。もしバレても、お父さんにはあたしからもちゃんと言っとくしさ」
「……相変わらず、察しが良くていらっしゃいますね」
「今更何言ってんの」
まるで当然のことのように私一人に与えられた部屋でくつろいでいるお嬢様が、テーブルに頬をくっつけながらへらりと笑う。
言ってしまえばこうなったのも全部お嬢様の招いた結果なのだが、案の定そのような意識は薄いらしい。
分かっていたことだけれど、と内心でこっそりと嘆息し、この件については諦めて気分を切り替えることにする。
この程度で動揺していては、破天荒なお嬢様の執事は務まらない。
「お嬢様は、体調に別状はありませんか? 酔っては―――」
「んー。別に、ちょっと暑いような気がするくらい」
確かに頬に少しばかり赤みが差しているが、他の二人と比べれば明らかに意識がはっきりしている。
お嬢様がアルコールに強いのか、姫宮様と美羽様が弱すぎるのか。はたまたその両方か。
「あれ? って思いながらも結構飲んじゃったんだけどね。あたしってお酒にも強いみたい」
「……パーティーなどで勧められても、飲まないで下さいよ」
「安心しなって。昴が怒るもん、そういうときは上手くかわすよ」
危なっかしい特殊体質のお嬢様の場合、無理に勧められてというよりはこのように事故で、という方を警戒した方が良さそうだ。
これからはさらにお嬢様の行動に気をつけなくてはと、私は心中で決意を固める。
そして―――急に話題を変えたお嬢様の何でもないような一言に、一瞬自分の顔が強張ったのを感じた。
「やだな、こんなこともうしないってば。―――それでさ、例のリストできた?」
言いながら、こちらへ右手を伸ばしてくるお嬢様。
最初から否定の返事など期待していないのだろう。
精一杯平静を装いながら、鞄の中から慎重に保管していた資料の束を取り出して彼女に手渡す。
「こちらに」
それを受け取ると畳の上に寝転び、ぺらぺらと捲り始める。
しばらくして、桜色の唇が満足げに緩やかな弧を描いた。
「……ま、こんなもんだよね。分かりやすいじゃん、上出来上出来」
表の中ずらりと並んでいるのは、一人一人の姓名、肩書き、人間関係、“その他”の裏事情など、あらゆる情報網を駆使して作成した個人情報。
国内有数の巨大企業体、結野グループの未来を担う一人―――結野美空の、婚約者候補。
「ふーん……なんだ。この人、ソッチに手出してるんだ。残念、選択肢は多い方がいいのに」
小声で時折呟きながらも恐ろしい速度で視線を動かすお嬢様を、気づかれていないのを良いことに私は複雑な思いで見つめた。
お嬢様がこのような話題に乗り気で、信頼ができ、なおかつこちらの勢力に引き込むメリットがあるような大企業の御曹司の情報を集めようとしているのは―――それも全部、美羽様のためだ。
109
:
心愛
:2013/05/30(木) 20:42:13 HOST:proxy10025.docomo.ne.jp
あれはいつのことだったか。お嬢様だけでなく美羽様にもしかるべき相手と婚約してもらいたい、と話した御両親にお嬢様は猛反対し、最後には二人を説き伏せた。
それ以来、美羽様に家のことには縛られない普通の自由恋愛をしてもらいたいと考えているお嬢様は、美羽様の代わりをするかのように社交の場に積極的に赴き、立場に恥じぬような振る舞いをし、注目を集めている。
お嬢様の妹に対する溺愛ぶりと過保護ぶりは学校内だけではなく、このような範囲にまで及ぶ。
目的のためなら自己犠牲も厭わない。むしろそれを犠牲とも思わない。
ごく自然に、お嬢様は自分の身を盾にして美羽様を外の世界から守り続けるのだ。
「……ん、もういいや。これ、またしまっといて」
お嬢様が紙面から目を離し、それを無造作に放り投げ―――そうになったが私の無言の視線を察したらしく途中でやめ、テーブルの上を滑らせた。
書類に用がなくなったのはおそらく興味をなくしたからではなく、今の間に記された全ての情報を完璧に記憶してしまったから。
それきりお嬢様は黙り込み、ぼんやりと天井を眺め始める。
最初からこの資料を見るために訪れたのだろうから、そろそろ帰ると言い出すだろうと踏んでいたのだが、お嬢様の唇から零れたのは私の思いも寄らぬ台詞だった。
「……昴、ごめんね」
「お嬢様?」
やはり飲酒のことを気になさっているのですか、と軽口を叩こうとして、やめた。
人を寄せつける華やかさが消え、気品と知性とを感じさせる美術品のように整った冷たい横顔。
細い指がヘアゴムに触れ、黒絹の束の如き髪をするりとほどく。
少女と女性の間を揺れ動く、ほんのひとときだけしか見られない妖しい美しさを宿す彼女は夢幻的な輝きに満ちていて。
「でも、あたしはやめないよ」
私に話かけているというよりは、自分自身に言い聞かせるかのような。お嬢様の語り口には、そんな切実な響きがあった。
黒々とした睫がゆっくりと下ろされ、その奥の双眸を覆い隠す。
「自分が正しいと思ったことは、何があっても最後までやり抜く」
……どうしたのだろう。お嬢様らしくない。
他人に弱みを握られることを何よりも嫌っているお嬢様が、私の前で胸の内を吐露するなんて。
お嬢様が私に婚約話の相談を持ちかけるのは、彼女を一人の女性として想う、自らの執事に対する牽制。
そんなこと、私はとっくに分かっていて、お嬢様もそれを知っているのに。
怪訝に思う私の方を見ることなく、お嬢様は囁くように小さく弱々しい声で、こう言った。
「それが間違っていても―――昴と、自分の気持ちを踏みにじってでも」
―――“自分の”?
「お嬢、さ……?」
真意を問おうと口を開きかけ、私はその代わりに目を見張った。
……寝て、いる。
普段では有り得ないほど無防備な姿を晒し、静かに眠るお嬢様。
なるほど、この様子では饒舌になったのも酒のせいか。道理で違和感があったはずだ。
「また貴女は、強がりを仰るのですね」
アルコールにも強いみたい、と笑ってみせたあのときから、実は多少調子がおかしかったのかもしれない。
―――ひとつ、確かなことは。
「……本当に、美羽様とそっくりですよ」
お嬢様が美しいと言い、必死に守ろうとする美羽様の心と、お嬢様のそれは皮肉にも、とても良く似ていると私は思う。
ただひたすらに妹を大切に思う純粋な心が、どうして穢(きたな)いなどと言えようか。
綺麗で、優しくて、強いからこそ―――悲しい、心。
表面上は不器用なように見えるが酷く器用な面もあって、なのに結局、自分に関わる大事なところを勘違いしていて、不器用で。
「……つくづく、私も運がありませんね」
よりにもよってこんなに面倒な少女を好きになってしまうよう仕向けるとは、神も手酷いことをする。
穏やかな寝顔に苦笑を漏らし、私は彼女を運ぶために手を伸ばした。
110
:
たっくん
:2013/05/31(金) 14:15:42 HOST:zaq31fa4b55.zaq.ne.jp
【豚ピーチおよびアホピーチについて】
ピーチさんの身体を縄で縛りつけてそのまま放置し
2、3日トイレへ行かせなかったらどうなると思いますか・・?
当然もらします。
もしピーチさんが『御手洗い』を依頼したら
パンツをずらして その場でさせましょう。
ぜったいにトイレへ行かせてはいけません。
111
:
【下平】
:2013/06/01(土) 21:11:30 HOST:ntfkok293007.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
【ピーチ姫を叩くなよ、モブキャラがよ。】
112
:
ピーチ
:2013/06/01(土) 22:21:32 HOST:em114-51-56-72.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
この前美空先輩の黒い部分見たばっかだからちょっと引いてたけどやっぱり優しいキャラだよね! 特に美羽ちゃんには!
ドジなのもたまにはいいよね!←
113
:
心愛
:2013/06/11(火) 18:32:50 HOST:proxyag058.docomo.ne.jp
>>ピーチ
ここあの黒いとこある女の子は、悪ぶってみせる子が多いかなw
美空も美羽を神聖視してるけど、自分だって似てるとこあるんだよ気づいてないだけで、っていう←
昴が報われなさすぎるからどうにかしてやらんと終わるに終われない…!
次は意外な組み合わせの二人だよ!
114
:
心愛
:2013/06/11(火) 18:33:27 HOST:proxyag058.docomo.ne.jp
『甘い策略』
平均より少し低い身長、兄とお揃いのふわふわの猫っ毛。
どこにでもいそうなフツーの女子中学生―――“あたし”日永彩は見覚えのある、あんまりフツーじゃない後ろ姿を呼び止めるべく声を上げた。
「春山さん!」
あたしからしてみれば見上げるような長身の男性が、金髪を冷たい風にそよがせて振り向く。
数秒間無防備に目を開いて固まった後、満面の笑顔を弾けさせた。
『近寄りがたいちょいワル風イケメン』の雰囲気が崩れ、瞬時に『必要以上にノリの軽いお調子者の高校生』の顔に変わる。
「あれ、もしかしてヒナの妹ちゃん!?」
「はい! お久しぶりですー」
「ほんと久しぶり!」
たった一回会っただけ、しかもろくに顔も見ていなかった人間相手にこんなに嬉しそうにできるって一種の才能だよね。
まぁあたしはお兄ちゃんから聞き出してるから、彼の人物像はだいたい掴めちゃってたりするわけだけど。
春山さんはテンション高く続ける。
「やっぱかわいーねー。ヒナの妹ちゃんにはもったいねーわ」
「えー、そんなことないですよぅ」
その言葉に、嘘はない。
だって別に顔立ち自体は大したことないし、お兄ちゃんや彼が一緒にいる、美羽さんとか柚木園さんたちとなんて比べられもしない。
それをちゃんと自覚した上で実行してる人懐っこい話し方、笑い方なんかの賜物、ってとこかな。
春山さんはそれを分かっているのかそうでないのか、あたしの謙遜をさらりと流すと、にやっと笑って。
「どーよ、俺と付き合わない?」
「いいですよー」
「うわひっで、そんなに嫌がんなくてもいーじゃん! まぁばれたらヒナに殺されるしね、あーでもそれはそれで……………」
ぺらぺら喋っていた口が閉じ、楽しげな表情に『?』と一瞬だけ狼狽の色が混じる。
……予想通り。
内心にんまりしながら、小首を傾げて彼を見上げた。
「だって春山さんカッコイイし、優しいし。年上の彼氏って憧れてたんですよね」
こういうジョークは一蹴されるのが普通だから、本気に取られることに慣れていないらしい。
でもさすがというべきか、春山さんはすぐに笑みを作り、困惑から立ち直った。
「……あはは、うそうそ! 冗談だってー。妹ちゃんかわいーけど、俺のタイプとは全然違うからな」
「え、タイプってどんなですか?」
春山さんは待ってましたと言わんばかりにキリッと顎に指を当て、
「通った後には雑草すら生えない、一度喧嘩を始めると相手が許しを請うまで止まらない、生き血を啜る鬼のような、女―――かな」
「うん、確実に一生彼女さんできないでしょうね!」
あたしがツッコみ、春山さんが「だよねー!」とゲラゲラ笑い、微妙な空気が改善―――したところで、あたしは続けざまにさらなる爆弾を落とした。
「でも頭のいい人ってモテそうなのになぁ。お兄ちゃんも、春山はアホなふりして食えない奴―――って言ってたし」
言葉に詰まる相手の明らかな動揺を見て取り、にっこり微笑む。
「あ、冗談です」
お兄ちゃんがそんなこと言うわけないもん。
春山さんの少し茶色っぽい瞳が、こちらの目的を探る警戒のものになる。
外見に似合わない、そこだけ妙に理知的に澄んだ、切れ長の瞳。
「ね、春山さんって、大げさにやってるでしょう。色々なこと」
ここぞとばかりに、あたしは自分の想像を並べ立てる。
「Mなのは嘘じゃなくても、それをわざわざ周りにアピールする必要なんてないですよね」
春山慎太郎という男を、暴いていく。
……いやー、性格悪いな、あたし。
でもこんな格好のチャンスで確かめずにいられるほど、あたしも大人じゃないわけで。
「全力でウケを取る。バカみたいに騒ぐことで、キャラを立てる。……捨て身で道化を演じる人、彩、結構好きですよ?」
115
:
たっくん
:2013/06/12(水) 08:54:12 HOST:zaq31fa529e.zaq.ne.jp
【その日は朝からシコってた】
その日は朝からシコってた♪
アンパンにはアンが入ってる♪
マ●コには肉が詰まってる♪
だけどピーチのアソコにはお肉が入ってない〜♪
むちゅうに上から見降ろした〜なら〜
ピーチさんのチチちょびれ〜
ぷにょぷにょするなよ〜
乳首の上にアザがくる〜
ミンチ動体(どうたい)アソコだ足跡だいっ♪
その日は夜からシコってた♪
その日は夜からシコってた♪
あの世は地獄
ナスがピーチならキュウリはサカタさ〜ん♪
116
:
たっくん
:2013/06/12(水) 08:57:18 HOST:zaq31fa529e.zaq.ne.jp
【もしもピーチさんの祖母がお亡くなりになられたら】
ババアが死んだ〜♪ババアが死んだ〜♪
いい死に顔だ〜♪いい死に顔だ〜♪
さよなら〜す〜るの〜は〜つ〜ら〜いい〜けど〜♪
寿命だよ〜♪仕方がない
ピーチが逝くまでごきげんよう♪
皆さん常識を身に付けましょう。
君達に教える事は山ほどあります。
117
:
たっくん
:2013/06/12(水) 09:00:19 HOST:zaq31fa529e.zaq.ne.jp
クソスレ連立しないようにしましょう。
心愛さん分かりましたか?
貴方に言ってるんですよ。
118
:
ピーチ
:2013/06/12(水) 14:51:53 HOST:em114-51-130-130.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
彩ちゃん何気に意地悪だ!←
確かにあの春山君はちょっと異常だよね、最近は見慣れたせいかそう思わなくなってきたけどw
……ほんとに兄妹? ってくらい似てない兄妹だと思うんですが。(こら
119
:
心愛
:2013/06/13(木) 17:07:31 HOST:proxy10003.docomo.ne.jp
「……うーん、と。ありがとう……かな?」
春山さんはかろうじて最後の台詞にだけ反応を示し、ぎこちない笑顔を作った。
それを観察しながら、聞こえないようにこっそり小さく呟く。
「……ここで動揺見せちゃうあたり、やっぱり美空さんとは違いますねー」
あたしの、もしかしたら未来のお姉さんになるかもしれない女性を思い出す。
あの人には一生敵う気がしない。
僅か一秒にも満たない間に完璧な笑顔を保ちながらあたしの真意を探り、しらを切るかどうかの判断を下した彼女。
頭のいい人、っていうのはきっとああいう人のことを言うんだろう。
最初から格上の相手だって分かってたけど、それでも精一杯強気を装って挑んだのは―――お兄ちゃんを利用しようという算段が、許せなかったから。
たとえそれが美羽さんのためで、いずれはお兄ちゃんにとってもいい話になるとしても。
それでも、お兄ちゃんを駒にするようなやり方に怒る存在がいるんだって、ほんのちょっとでいい、分かってほしかったから。
……話が逸れちゃったな。
あ。誤解を招かないように言っておくけど、あたしが春山さんにちょっかいをかけてるのは、お兄ちゃんに関わることに対して彼を牽制しようとしているわけではない。
強いて言えばただ単純に『気に入った』から、かな。
抜け目のなさを何気ない気遣いや、それを気取らせないようなキャラを作ることに費やす。
その惜しみない日々の努力に、あたしは心の底から敬服する。
「計算してしまうぶん、予測外の事態に弱いんですよね。だから自分から攻めて、自分好みの展開に持って行く」
「……」
「彩もそうなんです。へへ、なんか親近感感じちゃいますね」
あたしの場合、腐女子という強烈な個性をやりすぎなくらいにアピールすることで、本来の自分を上手くごまかしている。
周囲に翻弄されるよりは主導権を握って、さりげなく自分で場を動かす方がずっと楽だと思っている。
だから、同じような人種には特に敏感だ。
「春山さんは……打算、ってゆーよりは、周りが賑やかじゃないと落ち着かない、みたいなタイプですか?」
肯定とも否定とも取れない、曖昧な笑みを浮かべる春山さん。
……さて、ここからが大事だ。
「……で、彩が結局、一番言いたかったことはですね」
すうっとひとつ深呼吸。
顔を上げて真剣に春山さんを見つめ、こう告げた。
「お兄ちゃんのクラスを楽しくしてくれて、ありがとうございます―――ってことです」
春山さんが呆気に取られたように瞬く。
そして次の瞬間には、彼の表情が確かな理解と、納得の色を示した。
あたしの目的。
随分と回りくどいことをしちゃったけど、ここまで言わないと、本当の意味は伝わらない。
「春山さんが何を考えてやってるか分からないですけど。きっとそれですごく、お兄ちゃんのクラスのみなさんも救われてます」
遠慮のいらない、チャラくて明るいムードメーカー。
裏で舵取りをするリーダー格とも言えるその存在は、なくてはならないもののはず。
「あれでも、お兄ちゃんもちゃんと分かってると思いますよ。春山さんは、ほんとはすごく仲間思いな人だって」
120
:
心愛
:2013/06/13(木) 17:08:20 HOST:proxyag049.docomo.ne.jp
しばらくの無言の後。
春山さんは、ふー、と大きなため息をついた。
「……年上として一つアドバイス」
「? はい?」
あたしを見て、諦めたように苦笑する。
「好きとか、男相手にあんまり言わない方がいいぜ? 勘違いさせちゃうからね」
「……あは! やさしーですね!」
てっきり年上をからかうな、とか言うかと思ったのに。
なにそれ、あたしの心配してるだけじゃん。
「……でも、ほんとに好きな人のことなら、好きって言っても問題ないですよね?」
またもや困ったみたいに視線をさまよわせ始めた彼に、あたしはにっこり笑いながらぐっと親指を立てて。
「彩、春山さんのことほんとに大好きなんですから―――お兄ちゃんのお友達として!」
「そっちッ!?」
春山さんが絶叫。
「……え、彩ちゃんってばなに、小悪魔なの? 焦らしプレイ?」
「さー、どうでしょー」
へらりと笑ってみせ―――あたしは唐突に、彼の正面からぼふっと抱きついた。
その身体がピシリと面白いくらいに硬直する。
「春山さんにならこういうことしても嫌じゃないくらいには、好感度高いですよ?」
「……え、ちょ、」
女慣れしているように見えて、どうやら免疫ゼロらしい。
身長差のせいで表情は見えないけど、らしくもなく慌てているのがよく分かる。
その反応をじっくり堪能してから身体を離した。
顔を引き攣らせている春山さんに「それじゃ、彩はそろそろ失礼します!」と手を振る。
去り際に、
「ま、彩としては、春山さんにはお兄ちゃんとくっついてもらっても全然構わないんですけどね! フクザツな不良攻め×ヘタレ受け最高!」
「もう俺彩ちゃんが分からないっ!」
背中から聞こえる悲鳴じみた声に笑いながら、あたしは小走りでその場を立ち去った。
そのまま角を曲がり、彼から見えないのを確認してから立ち止まる。
はーっと息を吐き出し、ひとりごちた。
「……やっちゃった」
その場の雰囲気に任せて、もうひとつの目的というか、狙い……願望? まで達成してしまった。
さすがにあれは強引すぎたかな。
考えなしの冗談と受け取られただろうか、それとも。
「お兄ちゃんに知られたら、なんて言われるかなぁ」
爪先で地面を蹴り、子供っぽい制服のスカートを翻して。
―――あたしはちょっとだけ赤らんだ頬を、マフラーの下に隠した。
121
:
心愛
:2013/06/13(木) 17:11:00 HOST:proxyag050.docomo.ne.jp
>>ピーチ
相手の弱みを暴いてからじゃないと自分の弱みを見せないめんどくさい系女子・彩さんでした←
似てないからこそお兄ちゃん大好きになっちゃったかもねw
122
:
ピーチ
:2013/06/13(木) 19:21:58 HOST:em114-51-168-246.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
うっわ彩ちゃん小悪魔そのものだ!←
なんか「こちらの目的を探る警戒なものになる」から春山君がカッコよく見えるやっぱイケメンなんだね!(ぉい
なにそれ彩ちゃん春山君のこと好きなんじゃん! 春山君も彩ちゃんに見合う人になんないと!
123
:
心愛
:2013/06/13(木) 19:42:50 HOST:proxyag029.docomo.ne.jp
>>ピーチ
ありがとう! 顔だけはいいから真面目にしてればちゃんとイケメンなんだね!←
いくら悪ぶってても何も考えてないバカっぽくても、根っこはみんな純粋で優しいんですw
彩は親近感とお兄ちゃんにとってのいいお友達! ってことから意識し始めた感じかも。
で、素を見てまた惚れ直しちゃった? みたいな?
いつも振り回す側の春山が、中学生の彩に振り回される未来しか見えないね! がんばれ春山!
ちなみに裏モードの強さは順に美空、彩、春山っていう(`・ω・´)
124
:
ピーチ
:2013/06/14(金) 03:31:39 HOST:em1-114-74-91.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
何か「え、ちょ」ってところ何かカッコ良かった!
いや他にもいっぱいあったけど慌てるところとかなんか可愛いっていうか!←
主導権握りたいもの同士だったらたぶん彩ちゃんが勝つよね(おい
やっぱ美空先輩最強だ色んな意味で!
………あれ、なんかあたし春山君の方が裏多そうだと思った、彩ちゃんより
125
:
心愛
:2013/06/16(日) 20:19:05 HOST:proxyag080.docomo.ne.jp
>>ピーチ
まさか春山を可愛いと言ってもらえる日が来ようとは!
これからも愛すべきドMをよろしくお願い致します(笑)
頭の回転自体は彩よりいいかもだけど、女特有のしたたかさで負けてるんだよ多分w
126
:
ピーチ
:2013/06/17(月) 02:20:54 HOST:em49-252-123-0.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
言葉から色々考えてるだけだけど可愛いのが浮かんでくる!←
愛すべき………だよねそうだよね最近は特に!
やっぱ女って強いよね色んな意味で(こら
127
:
心愛
:2013/07/29(月) 18:02:13 HOST:proxyag017.docomo.ne.jp
>>ピーチ
女は強いよね…! 色々ね…!
さて、これから美羽と愛川との間に起こったいざこざの内容をちょこっとだけ載せていきます←
本編をお読みになってからこちらに移っていただけますようお願い申し上げます(ふかぶか
分かりにくいのは無理してショートカットしてるからですごめんね!
128
:
心愛
:2013/07/29(月) 18:02:32 HOST:proxyag018.docomo.ne.jp
『臆病者の独白(モノローグ)』
たとえ入学したばかりの一年でも、校内で結野美空(ゆいの みく)の名を知らない者はいない。
容姿端麗才色兼備、プラスで強烈な個性を持つ彼女の妹となれば、良くも悪くも注目が集まる。
その、クラス内でも外でも噂の的、結野美羽(ゆいの みう)は率直に言って―――めちゃくちゃ可愛かった。
優等生らしくきちんと着こなした制服に、思わずため息が出そうになるくらいに美しく艶やかな黒髪、対照的に真っ白い肌。
童話の世界から脱け出してきた白雪姫のように、教師の目を盗んで着飾るどんな女子よりも、彼女は圧倒的に美しかった。
しかも、定期試験では先輩と違ってオール満点(ただし名前書き忘れや記入ミスは除く)不動の学年一位、なんて化け物じみた成績ではなかったけれど、必ず上位三位以内にはきっちり食い込んでいた。
優秀すぎる姉と比べれば少々見劣りはするが、決して周囲の期待と釣り合わないほどではない。
……だが、問題は中身の方だった。
近寄りがたくきつい不機嫌なオーラを発散させ、常に一人で黙々と読書か勉強。
しかも。
「ねえ、お姉さんといつも何してるの? よく話したりする?」
「君には関係のないことだろう。人間風情がぼくに関わるな」
物好きな女子に話しかけられるたびにこんな台詞を吐き、自分に寄ってくる者を拒絶した。
だから、「結野美羽はおかしい」と囁き出し、最初に反旗を翻したのは女子だった。
「あいつマジ暗くない?」
「つーか言ってること意味わかんないんだけど〜。頭イッちゃってるって絶対」
結野はどうやら、自分好みの世界観を作り、その登場人物になりきることに傾倒しているらしい。
いわゆる中二病ってやつだ。
その頑なな姿勢に陰から侮蔑や嫌悪、嘲笑を向けられることはあれど、好成績と先輩の名前のおかげか、大きなイジメにまでは発展することはなさそうだった。
自分より優れているものを貶すと、僻みや妬みだと思われるから。
―――今も、結野はもう片方の生徒が仕事を放棄したために、一人で懸命に日直の仕事をこなしていた。
黒板の上の方が消せないらしく、ぷるぷると目一杯のばされた腕が痙攣している。
……背が低い結野にはきついだろうな。
結野もそう思ったようで、一旦黒板を離れ自分の席に向かった。踏み台にする椅子を取ってくるのだろう。
でも、黒板上部の消し残しは全体的に長く、横に広がっている。椅子から下りたり上ったり移動したりしながらでは、かなり時間がかかりそうだ。
そこで俺は人目を気にしながらも、結野とちょうど逆に、黒板へと歩み寄った。
偶然通りがかったように、あくまで自然な動作で黒板消しを手に持ち横に滑らせ、素早く綺麗に白いチョークの跡を消去。その成果に満足し、そそくさと席に戻ろうとしたところで、
「?」
―――椅子を抱えた結野と鉢合わせした。
……しまった。
「何をしているんだこいつは」という感じで、きょとん、とした表情を向けてくる結野。
結野の座席は最前列に近かったことを、今更ながらに思い出す。
「……あ、今日の当番結野だったんだ。残ってたから気になって、勝手に上の方消しちゃったよ」
俺の口から飛び出したでまかせに、結野は瞳を丸くする。
何か言おうとして、諦めて、を数回繰り返し、
「……ふん」
ありがとう、が言えない自分が照れくさくなったらしく、耳を赤く染めるとぱっと教室を出て行ってしまった。
……きっと、根は凄く素直なんだろう。
ささやかな発見に思わず顔を綻ばせたところで、
「へー、愛川(あいかわ)優しいー。結野さんにまでそーゆーことするんだぁ」
鼻にかかったような、不満そうな声にどきりと心臓が跳ね、背筋が強張った。
「……なんだよ今更ー。俺が優しいのなんていつものことだろ?」
「あー、なるほど点数稼ぎか。女子なら誰でもいいっての?」
ぎゃははは、と男女入り混じった取り巻きたちが笑うのを聞きながら、俺―――愛川秋(あいかわ しゅう)は内心こっそり冷や汗を拭った。
129
:
ピーチ
:2013/07/29(月) 19:59:31 HOST:em114-51-149-36.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
この時は優しいみたいだね愛川くん!
……でもやっぱり本編での印象が…((おい
130
:
心愛
:2013/07/30(火) 17:00:02 HOST:proxyag011.docomo.ne.jp
>>ピーチ
愛川はちょっと不器用っていうかね?←
美羽を嫌ってる、っていうよりむしろ…(`・ω・´)
131
:
心愛
:2013/07/30(火) 17:00:30 HOST:proxyag012.docomo.ne.jp
今回の国語の授業は、先日行われたテストの返却と解説だった。
ぺらりと用紙を裏返して点数を確認。
要領だけは良いから、いつも通りまずまずの出来だ。
「愛川ー」
甘えたような声と共に、後ろからつんつん、と長い爪が背中をつつく。
「ちょっと! 聞いてんの!?」
「いっ?」
今度は肩の辺りをバシッと叩かれた。
不満げに唇を尖らせている、俺に対して少々ボディータッチが過多なこの女子は柳瀬(やなせ)。
本人は地毛だと言い張っている茶色っぽい髪に校則違反ギリギリのスカートの短さ、という結野とはほぼ対極に位置する存在で、華やかな容姿に加えて愛嬌があり、そこそこ男にモテる。
そんな彼女にはことあるごとにアタックされているけれど、正直に言ってあまり俺の好きなタイプではなかった。
「……何だよいきなり」
「見てここ。意味不明なんですけどー」
配布された、とある読解問題の模範解答を見せられる。
言われるままにじっくり読んで考えてみると、なんでこの問いからこんな答えが出てくんの? とだんだん不思議に思えてきた。
俺も、容赦なく減点を食らっている。
でも……確かに少し疑問を覚えるけど、それだけだ。
「ねーねー愛川ぁ、先生に訊いてみてよ」
「はあ? 何で俺が」
それにお前、二点三点アップしてもどうにかなるような点数じゃないだろ、それ。
「愛川なら先生にも気に入られてるし、いけるってー」
周囲から柳瀬への援護が飛ぶ。
何がだよ、と本気で毒づきたくなるもこらえ、「気になるなら自分で行けばー?」と冗談ぽく笑ってみせた。
「……? 愛川くん、どうかしましたか」
と、喋っているのに気づいたらしい先生から名指しを受ける俺。
……目立つ奴の宿命である。
柳瀬の含み笑いや他の冷やかしを聞きつつ、俺は仕方なく口を開いた。
「問の三番、採点厳しくないすか?」
「……そうですか?」
あ、駄目だこれ。
先生の口振りから察した俺が「やっぱ何でもないですー」と撤回しようとしたところで、誰かがスッと手を挙げた。
「結野さん?」
先生が信じられないものを見たかのような声を上げ、クラス中の驚きの視線が一斉に結野に突き刺さる。
結野は例のアレを除けば寡黙な優等生で、断じて進んで発言するような性格じゃないのに。
「ぼくも、その模範解答は相応しくないと思います」
結野は皆の態度にも物怖じせず、はっきりとした口調で自分の意見を述べた。
「その文脈では誤解が生じやすい。そもそも設問自体の意義も―――」
結野は辞書の定義、あと何故か入試問題の分析やら何やらを持ち出しての様々な論点から、結野は理路整然と―――少なくともそう聞こえる―――その問題を糾弾した。
すらすらと流れるように、直すべき点を挙げていく。
俺たち生徒は完全に置いてけぼりだった。
え、何言ってんのあれ。日本語とは思えないんだけど。
結野の主張が一通り終わった頃。
「……採点を考え直します。後ろから解答用紙を回収して下さい」
おお、とクラスがどよめいた。
偏屈そうな先生を見事論破してみせた張本人は涼しい顔で、既に教科書をぺらぺらと捲り始めている。
もしかして……俺を、庇ってくれたのか?
まさか―――と思いつつも、その整いすぎた横顔を盗み見ずにはいられなかった。
それから、俺は結野にさりげなく話しかけるようになった。
おはよ。またね。すれ違いざまに一日一回声をかけるかどうかの頻度。
それでも、初めは戸惑っていた結野がたどたどしく返事を返してくれたときにはらしくもなく浮かれて、他のことが何も手に着かなくなった。
自分のグループでの立ち位置があるから、面と向き合って会話を交わすことはできなかったけれど、俺は十分、この特別な日常に満足していた。
でも、二人だけの秘密にどきどきしながらも、純粋な嬉しさを感じていたのは最初だけで。
―――気づいてしまったときには、もう遅かった。
132
:
ピーチ
:2013/07/30(火) 20:32:36 HOST:em49-252-149-164.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
美羽ちゃんすげぇ天才! あたしクラスにそんな人居たら絶対話しかける!
自分が中二病だから問題なしw((おい
愛川くーん遅かったってどういう意味ですかねー?←
133
:
心愛
:2013/07/31(水) 16:32:26 HOST:proxyag073.docomo.ne.jp
結野が落とした消しゴムを拾って渡そうとしたら、慌てて手を引っ込めた。
時折視線が合っただけで、かあ、とあからさまに頬を赤らめるようになった。
―――結野が俺に対して、そういう意味の想いを抱き始めたのは、可哀想なくらいに明白だった。
やめろよ。そんな目で俺を見るな。
俺は全然、眩しいものなんかじゃないんだ。
そう思うたびに、苦しい葛藤が俺を苛んだ。
それだけじゃない。
孤独と虚構に包まれた彼女の愛らしさに、純粋さに、いつの間にか強く惹かれている自分を自覚して、俺は酷く動揺した。
ただの興味本位から始まった行動の結果は、いつしか俺を縛る枷となっていて。
クラスで一番の人気者が一番の嫌われ者を好きになるなんて、あってはならない。
結野を受け入れることよりも世間体が大事で、なのに結野との奇妙な関係を断てない、情けない自分に俺は苛ついていた。
そんな日々の中で―――淡く色づいた己の感情の意味に結野自身が気がつく前に、鋭く感づいた女子がいた。
柳瀬だ。
俺のことを常に気にしている彼女は特に、俺に対する好意に敏感だった。
「―――結野さんさあ」
ある日の午後。
柳瀬は絶妙のタイミングとボリュームで声を発すると、クラス中の注目を集めた。
「愛川のこと見すぎじゃない? ちらちら思わせぶりにさあ……。やめてほしいんだけど」
愕然として、俺は動くことができなかった。
俺のことを見るとか何とかは、十中八九こじつけだ。
女の嫉妬。
邪魔な虫を払う為の、大胆すぎる手段。
結野が俺と交流を持つのを、柳瀬が愉快に感じていないのは知っていた。
でもまさか、弱者をいたぶる悪者に思われるリスクを負ってまで、結野を潰しに来るとは思わなかったのだ。
「お情けで優しくしてもらってるからって調子乗んないでくれる?」
呆然と目を見開いたまま固まる結野。
ねえ、と柳瀬は言い、残酷にも一杯一杯の彼女に追い討ちをかけた。
「好きなの? 愛川のこと」
いつもの偉そうな台詞や、堂々とした立ち居振る舞いは跡形もなく。
結野はあまりの事態に混乱し、硬直し、刺々しい視線に、あるいは好奇の視線に晒されて弱々しく震えていた。
……立場も何もかも捨てて、自分の望む通りに結野を庇うこともできた。
でも。
臆病で卑怯で愚かな俺は、失うことを恐れた。
世間体。今まで苦労して築き上げてきた周りとの信頼関係。
結野のように忌み嫌われることに耐え、それでも信念を貫くことができるほど、俺は強い人間ではなかった。
おそらく、柳瀬の計算通り。
俺の天秤はたやすく、自分の思いと真逆の方に傾いてしまった。
俺の口から、するりと言葉が零れ出る。
134
:
心愛
:2013/07/31(水) 16:33:12 HOST:proxyag092.docomo.ne.jp
「へぇ。結野って、俺のこと好きなんだ」
びくりと華奢な肩が跳ねた。
場が怖いくらいに静まる。
中途半端な優しさに騙されてしまった哀れな少女を、完璧にお膳立てされた舞台で、俺は意地の悪い笑みを浮かべて攻撃した。
「……っていうか、さ。自分が浮いてる自覚、ある?」
……違う。こんなことが言いたいんじゃない。
「ぼく、は」
「ほら、そういうの。中二にもなって、おかしいと思わない? 恥ずかしくないの?」
違う、
「そんな人に好かれても、こっちは迷惑なんだよね」
違う、違う!
小さな希望と信頼を裏切られた絶望に落とされた結野に、思ったこともないようなことを我が身可愛さに並べ立てる自分を、思い切り殴り飛ばしてやりたい衝動に駆られた。
結野にこんな『ビョーキ』がなかったらよかったのに、と思ったことは何度もあった。
そうしたら周りのことも気にせず、結野と向き合えたのに、と。
でも、こんな、結野自身やその人格を否定するようなことは―――!
「結野がソレをやめない限り、俺には受け入れられないかな。ごめんね」
にっこり笑顔で、冷たく言い放つ。
また、リーダー格の俺が真正面から非難したことで、クラス全体も俺の味方についた。
見せ物のように扱われ、「カワイソー」と笑いの混じった囁きが交わされるのを聞かされて、結野は歯を食いしばり、顔を上げた。
「……っ、誰が、」
憎しみの籠もった眼差しできつく睨みつけられる。
「誰が、君のことなど……っ。いつもわざとらしくへらへら笑って、気持ち悪い」
一瞬思考が停止し、それからすぐ頭が熱くなった。
場の雰囲気を作り、必死に周りの顔色を窺って生きている俺の核心を射抜く、痛烈な反撃。
結野はそれだけ吐き捨てると泣き出しそうに顔を歪め、鞄を引っ掴んで外に飛び出した。
それで抑えきれなくなったように、教室中がげらげらと笑い出す。
「なにあれー」
満足そうに俺にすり寄ってくる柳瀬から距離を取ることも忘れて。
「ホントなんなわけ、あいつ…………愛川?」
自分の軽率で、自分勝手な判断でとんでもない過ちを犯してしまった後悔に、俺は早くも押し潰されそうになっていた。
ああ、―――しまった。
こんな俺に想いを寄せてくれた結野を、最悪の形で裏切ってしまった。
傷つけてしまった。
徐々に込み上げる震えを押し殺し、俺はいつもの、人当たりのいい笑みを浮かべる。
「別に。何でもないよ」
「なに、言い過ぎたとか思ってんの?」
「いや。あれくらい言わないと分かってくれないだろうしね。良い機会だったよ」
そう言うと柳瀬は嬉しそうに笑い、髪を一筋、くるりと指に巻きつける。
「でしょ? いい加減目障りだったんだよねー」
「ああいうのが一人いると、クラスの調和も乱れるしね」
「あはは、愛川がマジメっぽいんだけど! うける〜」
「俺はマジメだろー?」
まだ笑うことができる自分に吐き気を堪えながら、それでも、俺は笑い続けた。
―――こうして俺は自分の大切なものと引き換えに、結野美羽という少女を、永遠に失うことになった。
135
:
心愛
:2013/07/31(水) 16:38:45 HOST:proxyag092.docomo.ne.jp
>>ピーチ
美羽のクラスにピーチみたいな子がいたら、こんなことにはならなかったのかもね(´・ω・`)
後味悪いけどこれで愛川の独白は終了!
本編に戻って、傷心の美羽さんをヒナにどうにかしてもらわねば!
愛川はちょっと不器用なだけなんだよ…!
本心と違うこと言っちゃうんだよ…!
136
:
ピーチ
:2013/08/01(木) 04:03:24 HOST:em114-51-21-156.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
あたしだったら愛川くんみたいな人は容赦なくぶん殴るね! 美羽ちゃんの代わりにと言って!
まず世間体とかないし! 仮にあっても気にする必要ないし!
やっぱり一番強いのは美羽ちゃんだよね………っ!
137
:
心愛
:2013/08/01(木) 12:42:26 HOST:zaq31fa484c.zaq.ne.jp
ところでピーチさんゲームしませんか。
ギャンブルです。
当スレッドは博打専門です。
と言っても、一般的な賭け事とは違います
皆さん動物園は御存じですよね〜。
もしピーチさんが肉食動物(主に虎など)と一夜を共にしたらどうなるか・・
という実験を行いたいんです。
もしピーチさんをオリの中に入れたらどうなるでしょう・・?
ピーチさんは食われるか、それとも食われずに済むか・・?
二つに一つです。
今回はそれを賭けのテーマにしようと思います
『食われるに決まってるだろう』とおっしゃる方もおられると思いますが、
必ずしもそうなるとは限りません。確かに野生ならそれも考えられます。
しかし動物園の動物は野生ではありません。
ちゃんと、しつけ、教育をされてる動物なので
善、悪の区別はちゃんとついてると思います。
難しいところです。
私は、食われないほうに200円 賭けます。
皆さんは『食われない』ほうに賭けて下さい。
もしピーチさんが肉食動物に食べられるような事があったら
私も潔く負けを認め、200円を投げだします。
ただし、食べられずに済んだら
貴方達から200円を頂戴致しますのでご了承下さい。
138
:
心愛
:2013/08/01(木) 12:43:15 HOST:zaq31fa484c.zaq.ne.jp
ところでピーチさんゲームしませんか。
ギャンブルです。
当スレッドは博打専門です。
と言っても、一般的な賭け事とは違います
皆さん動物園は御存じですよね〜。
もしピーチさんが肉食動物(主に虎など)と一夜を共にしたらどうなるか・・
という実験を行いたいんです。
もしピーチさんをオリの中に入れたらどうなるでしょう・・?
ピーチさんは食われるか、それとも食われずに済むか・・?
二つに一つです。
今回はそれを賭けのテーマにしようと思います
『食われるに決まってるだろう』とおっしゃる方もおられると思いますが、
必ずしもそうなるとは限りません。確かに野生ならそれも考えられます。
しかし動物園の動物は野生ではありません。
ちゃんと、しつけ、教育をされてる動物なので
善、悪の区別はちゃんとついてると思います。
難しいところです。
私は、食われないほうに200円 賭けます。
皆さんは『食われない』ほうに賭けて下さい。
もしピーチさんが肉食動物に食べられるような事があったら
私も潔く負けを認め、200円を投げだします。
ただし、食べられずに済んだら
貴方達から200円を頂戴致しますのでご了承下さい。
ピーチさんのアソコのお肉を御堪能下さいませ
139
:
心愛
:2013/08/01(木) 18:30:55 HOST:proxyag036.docomo.ne.jp
>>ピーチ
ピーチは本当に優しいね…!
うん、そこまで美羽に肩入れしてくれてるってことで嬉しいやらなにやら←
でもここあ的には、異端者が弾かれるのは当然で、ある意味愛川はそれに従っただけ…って感じかな。
いじめられてる子と仲良くしたらいじめられるってよくあるし、周りを敵に回すより楽な方に流れるのが人間ってことでちょっと親近感あるくらい。
とにかくヒナたちが寛容すぎなんだよね。
言い方もうちょいなんとかなっただろお前! ってとこはあれど、愛川は異常で酷い奴ってよりは、世間体気にしたり思ったことと逆のこと言っちゃったり、割と普通の感覚持った思春期男子で、ヒナと対照的な「美羽が好きな男の子」として描いたつもりです。わざと悪役っぽくしちゃったけどさ!
とりあえず「こいつ外道だ! 根っから腐ってやがる!」から「このバカ! なんでそうなるんだよふざけんな!」ってくらいになってくれたら…嬉しいな…!
140
:
ピーチ
:2013/08/01(木) 20:49:27 HOST:em114-51-47-231.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
優しくないよ変わり者なだけだよ!←
美羽ちゃん可愛いから当たり前なのだ!
いや愛川くんの印象も変わったけどやっぱ最初のが強烈過ぎて……((
141
:
心愛
:2013/08/09(金) 21:25:19 HOST:proxyag004.docomo.ne.jp
>>ピーチ
ありがとう!
愛川の印象が変わっててくれたら嬉しいなヽ(≧▽≦)/
それでは美空&昴編、始動!
これでも一応巻いてるんで不自然なとこあったらなんとなく流してくださいw
142
:
心愛
:2013/08/09(金) 21:26:09 HOST:proxyag004.docomo.ne.jp
『誰よりも遠い場所で』
私こと一ノ瀬昴、18歳の春。
年老いた母と二人暮らしで経済的余裕のなかった私は大学進学を諦め、高校卒業と同時に知人のツテを頼り、結果運良く好条件の職に就くことができた。
財閥と呼んでも支障がない、知る人ぞ知る大企業―――結野グループの、ひとつの屋敷の住み込み執事。
こんな何の知識もない素人を雇ってもらえたのは幸運と言うほかない。
決して生まれが良いわけでも、それらしい気品が身についていたわけでもないが、普段から丁寧な言葉遣いをするよう仕込まれていたのが役に立った。
旦那様は軌道に乗り始めた事業に忙しく、元執事は多くが秘書として駆り出されている現状だという。
だから家のことを任せる、と言われ、そのつもりで勤務初日に臨んだ私を出迎えたのは、旦那様直々の思いも寄らぬ頼みだった。
『新しい執事が来るの? だったら、あたしの専属執事にして』
近隣の小学校に通う五年生の長女が、つい昨日そう言ってきたのだという。
他ならぬ可愛い愛娘のお願いとあらば、当然叶えてやりたいのが親心。
急な話だが、娘には確かに危なっかしいところがあって世話役がほしいから是非とも、と頼み込まれ、新入りの使用人如きが異を唱えることもできるはずもなく、二つ返事で了承した。
かくして私が担当することになった少女は国内有数の巨大企業体、その先代の総帥を祖父に持つ正真正銘のお嬢様。
相当甘やかされ、我が儘になっているはずだと思うと気が滅入る。
子供は嫌いではないが扱いが苦手なので、学校に行っている間は本来の仕事ができるというのが唯一の救いだった。
お嬢様はと尋ねると、今日は家で友達と遊んでいるはずだとのことだった。
悠々と聳え立つ豪邸、さらに広大な敷地内を探し回るのはなかなかに骨が折れる。
半分諦めながらも長すぎる廊下をただ歩くことしばらく、子供特有の高い声が聞こえてきた。
『どんだけキャラ作りたいんだよ』
『わざとらしすぎー』
『なんで男子気づかないんだろ』
『バカみたいだよねぇ。でも、あれでちょっとは懲りるんじゃないー?』
笑い混じりの不穏な台詞に眉を潜めかけるも、私は早足で彼女らに近づき、にこりと笑顔を作った。
『申し訳ございません。偶然話し声が聞こえましたので』
おそらく小学校高学年、お嬢様と同年代と思われる少女たちは一様に、突然現れた乱入者に驚き、凍りついている。
『お嬢様……結野美空様がどこにいらっしゃるかご存知ですか』
彼女らは顔を見合わせ、恐る恐るといった風体で、外、とだけ答えた。
丁重に礼を言い、私はすぐに踵を返す。
玄関ホールを飛び出して欧風の石畳を駆け抜け、
『―――お嬢様!』
その少女は、予想していたよりもすぐに見つかった。
良く手入れが行き届いた庭園の、小さな溜め池。
ずぶ濡れのまま畔の石に腰掛け、少女はひとり、ぼんやりと空を見上げていた。
春だといっても、まだ水は冷たい。
『お嬢様……っ』
知的に透き通った瞳が、静かにこちらを向いた。
新雪よりなお白い肌は青ざめ、元は鮮やかだったろう唇の色も失せて、水分を含んだ髪が艶めかしく頬に張りついている。
幼いながらも確かな品格と聡明さを感じさせる美貌に見惚れること一瞬、私は我に返って彼女にハンカチを差し出した。
ありがとう、と当然のように受け取るお嬢様の様子は大人びていて、年齢に見合わない程にしっかりと落ち着いている。
おそらく……先ほどの彼女たちに、この池へ突き落とされたにも、かかわらず。
『お怪我は……!』
『大したことないよ。よく、自分でも落ちるし』
ハンカチで顔を拭いながら、水に浸していた脚を見せてくる。
微かな擦り傷らしきものがあるが、逆に言えばそれだけだった。
自分でも、と口にしたということは、私がお嬢様の身に起こった事情、つまり明確な加害者がいることをある程度知っていると察しての言葉。
……賢い、と私は舌を巻いた。
143
:
心愛
:2013/08/10(土) 15:20:27 HOST:proxy10008.docomo.ne.jp
『その、ご友人は』
『ちゃんと謝ってくれたよ。ごめんね、って。……笑いながら、だけど』
ぼそりと付け足して、俯く。
いつまでたってもそのまま顔を上げず動こうとしないので、どうしたものかとおろおろしていると。
『……くやし、い』
絞り出したように震える声。
その拍子に一粒の雫が、膝の上に転がり落ちた。
『あたしが調子に乗ってるからだって。……ユイちゃんが好きなカズキくんも、ハルカちゃんと仲いいリョウくんも、あたしがたぶらかして、とったからだって。……ほとんど話したこともないのに』
ぐい、と乱暴に眦を擦る。
手についた水滴を悔しげに見て、
『あたしがドジなのは、男の子の気を引こうとしてるからなんだって』
これだけでは良く分からないが、恵まれたお嬢様への妬み、恨みから彼女たちはこんなことをしたのだということなら分かる。
そのような感情を持つことは自然で仕方ないことだけれど、このような行動を起こされてはさすがに黙っているわけにはいかないだろう。
『……旦那様に、報告なさった方が』
『そんなことしたら、あの子たち全員転校だよ』
恐ろしいことをきっぱり断言し、お嬢様は『それにね』と続ける。
『あたしはこんなことで、親の力を使って、卑怯な真似はしたくない。自分で何とかしたいの』
一度決めたら梃子でも動かない、強い意志を秘めた口調。
『だから……あたしは、もっといっぱい、頑張る。このままじゃ、守れないから』
お嬢様はそう言うと、私の手も借りることなくスッと立ち上がった。
『ねえ。あなた、あたしの執事でしょう?』
『そうですが、』
『だって、見ない顔だもの。あたしが知らないんだから、今日来たばっかりだってこと』
どうして分かったのかと私が訊く前に先回りし、億劫そうに答える。
それだけではなく―――ただの使用人にすぎない人間の顔を、全員記憶しているということか。
『名前は?』
『……これは失礼致しました。一ノ瀬昴と申します、以後お見知り置きを』
『じゃあ、昴』
堂々とした立ち姿で、お嬢様は気丈な笑みを浮かべる。
『あたしに勉強を教えて。体育の練習も付き合ってよ。あいつらを正々堂々、見返してやれるように』
目の前に立ちはだかる障害に果敢にも立ち向かおうとするお嬢様に感銘を受け、私は心から協力して差し上げたいと思った。
『私などでよろしければ、いくらでもお手伝い致します。……まずはお部屋に戻って、温かいシャワーを浴びましょう』
それが、私がお嬢様の涙を見た最初で最後の機会だったように思う。
お嬢様はとても頑なで、我慢強い方だから。
そうしてその日から、私はお嬢様のお世話をしながら学習面のサポートについたのだが―――早い話、お嬢様には私の助けなどほとんど要りはしなかった。
教えたことを次々に理解し、瞬く間にそれを応用してしまう。
妹の美羽様も優秀な方だったが、彼女が秀才なら、お嬢様はまさに天才と呼ぶべき器だった。
さらに生まれ持った才能を磨く努力を日々欠かさず。
テストはいつも満点、短距離走をさせればクラスの新記録を塗り替えてしまい、公の場ではいつだって誰よりも目立つようになった。
何をやっても輝かしい成果を挙げるお嬢様はいつしか、彼女の目論見通り、つまらない僻みさえ超越する存在となった。
面倒な事態を避けるために家のことは隠し、にこやかに愛想を振りまき、誰からでも愛されるようなキャラクターを作り上げた。
容姿だけでなく、人当たりの良さ、頭の回転の速さ、感情の豊かさ。誉めるべき点を数えていけば枚挙に暇がない。
完璧すぎる、近いように見えて酷く遠い存在。
誰の手も届かないようなところを、一人きりで走る。
私たちが夜空の星を手に入れようなどとしないように、遠すぎるものは、皆諦めるから。
そのような、遥かな高みに到達してもまだ妥協を許さず、己を磨き続けるお嬢様は―――つまるところ、究極の負けず嫌いであった。
144
:
心愛
:2013/08/11(日) 21:16:16 HOST:proxyag022.docomo.ne.jp
何においても完璧なお嬢様であったが―――残念ながら、欠点も存在した。
『……本当に、お嬢様のドジは神業的ですね』
『昴、丁寧に言っても意味ないからね。それ』
シェリーピンクのソファに腰掛け、私の淹れたロイヤルブレンドティーに口をつけながら、お嬢様が不機嫌そうに私を睨む。
『ですが、お嬢様が陶器のカップを犠牲になさるのはこれで三十八回目ですよ?』
『そのうち一回は落としたのに割れなかったじゃない! 奇跡的に!』
声高に主張するお嬢様。
何もないところで転ぶのは当たり前、溝があったら落ちずにはいられない。
塩と砂糖を間違えるなんて序の口、野菜を切っていただけなのにまな板が血の海になっているのを発見したときには本気で失神するかと思った。
物を持たせれば必ず落とし、外を歩かせれば必ず道に迷う。
何か悪いものが憑いているのではないかと疑ったこともあるのだが、本人曰わく、“冷静なとき”は大丈夫なのだという。
つまり、頭をフル回転させて気を張りつめていれば全くそんなことはないのに、他愛のないことを喋ったりリラックスしたりと気持ちが緩んでいるとドジ属性が発揮されるとか。
そんな、とんでもない幸運と不運を兼ね備えたお嬢様のお世話は、スケジュールの管理、紅茶と菓子の用意、お召し物の調達、荷物運び、庭の手入れ、本の整理、掃除洗濯―――などといった合間に忙しいながらもこなしている。
お嬢様はとても危なっかしく、少しでも目を離したら何かやらかしそうで心配なのだ。
『それより、美羽ちゃんの様子はどう? ちゃんと食べてる?』
『はい。私がシェフに代わって朝食をお持ちしましたら、少しですが召し上がって下さるようになりました』
『ふーん。美羽ちゃんがいくら可愛いからって、手を出したら消し炭にするからね? 昴』
『出しませんよ』
にっこぉと眩しい笑顔を向けてくるお嬢様に私は苦笑を返すと、ふと疑問を覚えてテーブルを拭く手を止めた。
『……お嬢様は、どうしてそこまで美羽様のことを思っていらっしゃるのですか?』
お嬢様がこうやって美羽様を猫可愛がりするのは、ただ単に妹だからという理由だけではないような気がして。
訊けば、お嬢様は嬉しそうに頬を緩めた。
『んー、なんて言うんだろ。美羽ちゃんは特別なんだよね』
慎重にカップを置き、
『ちょっと前までは、よく二人で色んなゲームみたいなことしてて。でね、あるとき急に、美羽ちゃんが怒り出して、“変な気を遣って手加減するな”って言ったんだよ。“手を抜かれて勝っても嬉しくない”って』
美羽様の独特な話し方を真似て、お嬢様は懐かしげに瞳を細めた。
『まさか気づかれてるなんて思いもしなかったから、ぽかーんとしちゃったあたしに、こう言ったの。
“やるなら全力を出せ。それが、美空がこれから打ち負かす者への礼儀だろう”』
ああ、美羽様なら言いそうだな、と感じる。
お嬢様に似てプライドが高く、けれどお嬢様とは全く違った、強固な自分自身の価値観を持つ彼女なら。
『それで初めて、あたしは自分が間違ってたって知った。あたしは無意識に、美羽ちゃんを下に見てたんだよ。……最低だよね』
呟き、お嬢様はまた微笑む。
『それからあたしは、美羽ちゃんにも学校の成績を隠さなくなったし、何事にも全力をぶつけることにした』
ごちそうさま、とカップを寄越し、大きく伸びをするお嬢様。
そしてその表情を和らげ、
『綺麗で、まっすぐなままの美羽ちゃんと一緒にいると救われるし、愛しいって、大切にしたいって思う』
今この場所にはいない妹に向けられた笑顔は曇りなく、すっきりと晴れやかで。
『難しいことや危ないことは、きっとこれからたくさんある。でも、美羽ちゃんがいるから、あたしはまだまだ頑張れるんだ』
145
:
ピーチ
:2013/08/12(月) 00:08:18 HOST:em49-252-7-184.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
なんか久しぶりー!
残念なんですよねやっぱり!
……しょうがないとか、可愛いから何とかなるさとかのレベルじゃないよね美空先輩←
146
:
心愛
:2013/08/12(月) 21:00:33 HOST:proxyag084.docomo.ne.jp
>>ピーチ
美空は…ドジさえなければ、シリアス属性のキャラなのにね…(´・ω・`)
どうあがいてもドジなのよね…←
147
:
心愛
:2013/08/12(月) 21:01:24 HOST:proxyag084.docomo.ne.jp
そして時は流れ、お嬢様が17歳―――私がお仕えし始めたときの年齢とほとんど変わらなくなった年の、冬。
私はお嬢様と共に、お嬢様の親戚が主催する小規模のパーティーに出席していた。
とは言っても、私はしがない使用人の身。邪魔にならないようお嬢様の様子を壁際で見守っているだけなのだが。
話の輪の中心で、ごく淡いピンクベージュのリップで輝く桜桃の唇に薄い笑みを浮かべるお嬢様。
背中に流した黒く艶やかな髪、胸元に控えめに輝くネックレス。
パーティードレスに身を包む彼女は華やかすぎにならないよう考え尽くしたメイクも相俟って、気品の漂う知的な美人といった印象を受ける。
お嬢様は、手に入れた権力を行使するのに躊躇がない。
利益とリスクとを計算して、自分と美羽様にとってプラスに働くと判断するならばすぐさま行動に移す。
その一環として、招待を受けては積極的にこのような場を訪れ、情報を集めつつ賢さを感じさせる物言いと可憐な装いで、この段階から顔を売っている。
権力者と関わり名を広めておくことは、後に好ましい影響を及ぼすからだ。
他人の心の機微に敏感で、立ち回り方が上手いお嬢様には遠い親戚や知人の男性客を楽しませることもお手のもの。
頭上で飛び交うビジネスの専門用語にも完全な理解を示して会話に混ざり、その上でちょっとした茶目っ気を披露したりなどして着実に好感度を上げていく。
お陰でお嬢様を囲む老紳士たちからは品の良い笑い声が絶えず、会場全体の注目を集めていた。
「そういえば、美空ちゃん。この前言ったお見合いの話だが、ちょっと会ってみるくらいならいいんじゃないか?」
「いや、それを言うなら私の妻の甥っ子もなかなか好青年で」
「並みの男では、頭のいい美空ちゃんには合わないだろう。私の部下にも、美空ちゃんにぴったりの有望株が」
身内ならではの遠慮のなさで矢継ぎ早に言ってくる彼らに、お嬢様は嫌な顔ひとつせず柔らかに微笑む。
「ありがとうございます。ですが、やはり私などにはまだ早い話ですから」
一人称の発音まで自然と変えながら、鮮やかにかわす。
お断りする際のその言い方やタイミング、表情や首の傾け具合。すべてが絶妙で洗練されており、彼らに不快感を与えないよう配慮しているのが私には見て取れた。
お嬢様は、お見合い相手と婚約まで話が進むことはまだ望んでいない。
もちろん単純な好意からの言葉をかける方もいるが、自分の息の掛かった男を送り込んで結野家の代表格となりうるお嬢様と関係を持たせ、その権威の全てを掌握したいと考える輩は数知れない。
お嬢様にはそれだけの利用価値がある。そして、お嬢様はそれをとっくの昔から承知している。
目の前に婚約、結婚という餌をちらつかせていれば、それを狙う人たちとより親密で良好な関係を築くことができる。
だから、まだ了承の言葉は決して言わず。
焦らして焦らして、最後に一番有益と自身が見込んだ男を見つけて初めて、お嬢様はこの手の話を受けようと目論んでいるのだ。
「それは残念だな。では、美羽ちゃんは? 美空ちゃんが駄目なら美羽ちゃんにだけでも紹介しておきたいのだが、今日も来ていないのかい?」
「はい。申し訳ありません、妹は身体が弱いもので」
お嬢様の語調が少し強くなった。
絶対にこれ以上話を進ませてなるものか、と鉄壁の笑顔に磨きがかかる。
もちろん、お嬢様だけでなく美羽様にも、見合いを求める声は寄せられている。
しかしほぼ全くこのような表の場に顔を見せない美羽様はもともと知名度も低く、時折こうして持ち上がる話もお嬢様が徹底的に潰しているので、本人の耳に入るまで大きく発展することはまずないだろう。
……それより、と私は悩ましい思いでお嬢様を見つめた。
“変わり者”の美羽様の全てを知りながらも本気で彼女を恋い慕う……それこそ“変わり者”の、お嬢様の高校の後輩―――日永圭、様。
私個人としては心根の優しい少年、という印象で、せっかく結ばれたのだからこれからの恋路を応援したいところなのだが。
148
:
心愛
:2013/08/12(月) 21:02:16 HOST:proxyag109.docomo.ne.jp
しかし、彼には申し訳ない話だけれど、一般人である圭様の存在は、家柄を重んじる結野家にとって大きなマイナス要素となる。
美羽様が圭様と結ばれると仮定すれば、お二人への風当たりも当然厳しいものになることは否めない。
「………」
いつの間にかお嬢様が話題をすり替えたらしく、息子の自慢話で盛り上がり始めた一同を視界に入れながら、私は酷く憂鬱な気分になった。
―――『美羽ちゃんがこんな汚い世界に関わらずに本当に好きな人と結ばれるためには、あたしが美羽ちゃんの分まで、ちょっとやそっとのことじゃ揺らがないくらい、絶対的な権力を持てばいいんだよ。
そうしたら、お父さんもお偉い方も、文句は言えないでしょう?』
美羽様が持ち込んだ“良くない話”をないことにするくらい、自分が誰からも祝福されるような、華々しい結婚をすればいい。
お嬢様にとって、結婚は利用するものだ。
身につけた手腕と伴侶の家名を以て圧倒的な地位に君臨していれば、どんな層から美羽様のことを反対されても力ずくで丸め込むことができる。
たとえこれから先、好きな人ができたとしても、お嬢様はその想いを自ら断ち切り、美羽様の為に平気な顔で恋心を犠牲にするだろう。
お嬢様はそういう方だ。
まだ多感な高校生の身にもかかわらず重い責任を進んで背負う覚悟を決め、涼やかな微笑みを振りまいている。
お嬢様にとって美羽様は安らぎの象徴で、圧力に押し潰されず自分を保ち、努力を続ける理由でもある。
しかし、この世界で唯一、何よりもお嬢様を追い詰める存在でもあるのだ。
私の胸の奥に秘めた、この想いが報われることはない。
だから、私はお嬢様との未来は望まない。望めるはずもない。
ただ、せめて―――
そこで、カツン、と磨き抜かれた大理石が鳴る音が聴覚を刺激し、しばし物思いに沈んでいた私は我に返った。
「やあ、美空さん。お久しぶりですね」
一目で上等だと分かるスーツを纏う紳士が微笑み、お嬢様に話しかけた。
お嬢様を取り囲んでいた方たちが遠慮がちに、僅かながら身を退く。
お嬢様の今までの話し相手と比べて格段に若い彼は、日本屈指の大財閥の当主を父親に持つ、
「西條様。本当にお久しぶりです」
「ええ。美空さんはお会いするたびに美しくなっていらっしゃる気がしますよ」
「西條様は相変わらずですね」
お嬢様が口元を隠して笑う。
西條様はそれから、自分が新しいホテルのオープンに携わっていることなどをお嬢様に話した。
「わぁ、素敵ですね。また伺うのが楽しみです」
「それなのですが」
西條様はお嬢様に、そのホテル内に出店するスイーツの店の試食会に来てほしいと熱心に誘いをかける。
若い女性の意見を聞きたいのだそうだ。
他の存在を無視し、いささか強引にお嬢様一人に話しかける西條様を邪険にできない周りの方々は一様に、どこか気に入らない表情をしている。
彼がお嬢様を特別な意味で、お気に召しているのは誰の目にも明らかで。
私は深いことは考えず、衝動的に歩き出した。
「……ご歓談のところ申し訳ございません、お嬢様。そろそろ」
「もう時間? ……すみません、そのお話はまたいつか」
相手の機嫌を損ねないよう細心の注意を払って、お嬢様は終始にこやかな笑顔を保っていた。
それを見て、自分の中に黒い感情が湧き上がるのを感じる。
……面白く、ない。
不愉快さを顔に出すことなく一礼し、私はお嬢様を連れて外へと向かった。
「どしたの昴、予定よりちょっとだけど早……うわっ」
言いながら危うく転びかけ、すぐさまサッと差し出した片腕でお嬢様の身体を抱き留める。
……私といるときには緊張が解ける、というのは喜ばしいことなのだけれど。
「ごめんごめん。……あ、もしかして心配しちゃった?」
お嬢様がくるりと回って私の顔を見上げ、小さく吹き出す。
「大丈夫だって、アレは信用してないから。この前の資料見たでしょ? いくら何でもあんなのと結婚する気はないよ」
つまらない嫉妬だと察した上での茶化すような言葉に、私の苛つきはますます募っていった。
149
:
ピーチ
:2013/08/12(月) 21:57:09 HOST:em114-51-39-50.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
美空先輩自分犠牲にしちゃダメですよ!?
……あんなのって、あんなのって?←
150
:
たっくん
:2013/08/13(火) 10:52:43 HOST:zaq31fa533d.zaq.ne.jp
>>149
ピーチさん貴方の曲を歌います。
【ピーチと、さよならするのはツライけど】
ピーチが死んだ〜♪ピーチが死んだ〜♪
いい気味だ〜♪いい気味だ〜♪
さよならす〜るの〜は〜ツラ〜いい〜けど〜♪
寿命だよ♪仕方がない♪
ここは天国♪さんずの川♪
151
:
心愛
:2013/08/13(火) 19:29:29 HOST:proxyag011.docomo.ne.jp
>>ピーチ
ごめん、分かりにくかったかな!
あんなのイコール、美空に下心ありの西條。
昴は嫌な顔せずに話につきあう美空に、ちょっとイラッとしてるのです。
美空がホテルに顔利くのはこういう人たちと仲いいから(・∀・)
152
:
心愛
:2013/08/13(火) 19:29:57 HOST:proxyag012.docomo.ne.jp
―――幼い頃から、汚い大人に囲まれて育った。
権謀術数が渦巻く環境で幼年期を過ごしてきたあたしには、相手が信頼できる者かどうか瞬時に見極める直感が備わっていた。
その点、昴はパーフェクトと言ってもいい。
真面目で口が堅く、ある程度融通も利く。
清涼感のある面差し、穏やかな声。女性的な優美さのあるシルエット。
優しく誠実そうな瞳。
自分は庶民の出だし学がない、と謙遜するけど、どんなところを連れて歩いても決して恥ずかしくない容姿。
駐車場所に向かって隣を歩く、いつになく険しい表情をした昴を、ちらりと横目で見上げる。
社交辞令だらけのパーティー。
穢れた世界で共にすべてを見てきながら、それでも優しさを、人間らしい愛情を忘れない昴が羨ましい。
あたしは狡猾な人間だ。
表面上は社交的に振る舞っていても、いつだって冷徹に損得を計算し、巧く本性を隠している。
今まで結野は華々しい業績の裏でいくつものライバル他社を潰し、成り上がってきた。
あたしにも、優雅に微笑みながら同じことをやる日が必ずくるのだから。
見せかけだけで打算的なあたしと違って、まっすぐで純粋で、触れたら壊れてしまいそうに繊細な美羽ちゃん。
誰より愛しい存在を巻き込まないために、あたしは今日も嘘をつき、自分を偽りの笑みで飾りつける。
昴が、こんな一癖も二癖もあるあたしを何故か恋い慕っていることも、身分違いの恋に葛藤し、必死に隠そうとしていることも、観察力に長けたあたしには手に取るように解る。
……たまに、可哀想になるくらい。
「ね、昴」
あたしは可愛らしく作った声をかけ、こちらを見た昴に無邪気な笑顔を向けた。
「あたしが結婚したらさ、昴はどうする? あたしとしては、ずっと付いてきてほしいなぁ」
昴を傷つけ、それによって彼を立ち直らせる目的で、あたしは残酷な言葉をつらつらと吐く。
「あたしのドジも上手く助けてくれるし、あたしの愚痴聞かせられるの昴くらいだし」
静謐さを感じさせる淡いブルーの双眸が、闇の中淋しげに輝く。
あー……これは、ちょっと本気で堪(こた)えてる、かな。
あたしは『真面目な昴はまだ、裏がありそうな西條のことを気にしているんだ、と解釈した』風を表面上だけ装いつつ、周りを意識して声のボリュームを落とした。
「あはは。だから、西條は有り得ないってば。条件としては文句なしに合格だけどね」
わざとらしい笑い声を上げ、昴をさらに、じわじわと追い込んでいく。
いつもと違って美羽ちゃんみたいに下ろした髪が、夜風を孕んでふわりと広がった。
153
:
心愛
:2013/08/13(火) 19:30:55 HOST:proxyag060.docomo.ne.jp
「……あーあ、もっと良さげな人いないかなぁ。家はウチを凌ぐくらい力あって、そのくせ単純で利用しやすそうなさ」
過ちに気づけ。
あたしが選ぶ未来の男に、執事が嫉妬する権利なんかないんだって。
痛みを隠して微笑む、いつもの昴に戻ってよ。
それでも直接的なことは言わないあたり、あたしも大概性格悪いな、解ってたけど。と苦笑する。
そこで―――あたしを驚かせたのは、予想外に鋭く響く叫びだった。
「……お嬢様!」
え、と良く回るはずの思考が完全に停止した。
転んでもいないのに、突如伸びてきた腕に強く引き寄せられる。
胸に額が当たり、昴に抱きしめられていると自慢の脳が理解するのに、数秒は要した。
昴が切羽詰まった声で懇願してくる。
「お願いです……! お嬢様の決意を改めてほしいとは言いません。ですがせめて、あなたを幸せにできる人を選んで下さい……!」
押さえつける手に力を込められ、息が詰まった。
「私は、あなたの優しさのせいで、あなたが不幸になるのだけは耐えられない……っ」
きゅう、と心臓が縮むような心地がした。
優しい、って、誰が。なに、言ってんの?
優しいのはどっちだって話だよ。
昴は、あたしなんかのことを好きになってしまったばかりに、狡賢いお嬢様に振り回される可哀想な被害者じゃない。
なのに潔く身を退いて、あたしの幸福を願うような、
そこまで考えて、無性に泣きたくなった。
全身を包み込む温かさを感じ、瞼の裏に熱いものが滲みそうになる。
こんな無様な姿じゃ、普通の女の子と変わらない。
昴はさらに続けようとする。
「なぜなら私は、誰よりもお嬢様のことを―――」
これ以上は、駄目だ。
「―――――っ!」
あたしは昴を、持てる力のすべてを出して思い切り突き飛ばした。
昴はよろけて反射的に体勢を立て直し、次いで、己のしでかしたことの重大さにやっと気づいたようで、はっと息を呑み青ざめる。
「も、申し訳……っ」
「昴」
大丈夫、演技は得意だ。
舞い散る吹雪のように冷たい声にも、震えひとつない。
「今回だけは見逃す。後はないよ」
あたしは凍れる刃のような侮蔑の視線で、立ち尽くす昴を突き刺した。
「執事如きが、あたしの事情に口出ししないで」
……これで、あたしのことなんて嫌いになってくれたらいい。
そうしたら楽になれるのに。
昴に背中を向けて髪を翻し、急かすように歩き出しながら、あたしは切に願った。
154
:
ピーチ
:2013/08/14(水) 00:52:52 HOST:em1-114-0-148.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
美空先輩優しすぎるよ!
だって結局昴さんのために言ってるんでしょ!? 優しすぎるよ美空先輩!
でも自己犠牲は読者としても辛いです←
155
:
心愛
:2013/08/14(水) 19:19:04 HOST:proxyag003.docomo.ne.jp
>>ピーチ
それを分かってくれると嬉しいよ!
このままじゃ昴がつらいだけだから、どうせ報われないなら嫌いになっちゃえ、って考えてるんだよね美空。
悪ぶってるけど結局…? って感じです。
大丈夫! ここあにバッドエンドは書けないから!
これからちょっと犯罪的な事件に巻き込まれますがね!
156
:
心愛
:2013/08/14(水) 19:19:53 HOST:proxyag004.docomo.ne.jp
「それで、そのとき美空がさー」
「ちょっと、やめてよ小百合(さゆり)ー!」
一日の授業が終わって、放課後。
同好会の活動は休みのため、あたしは荷物をまとめると、友達二人と昇降口を出た。
学校前にまで来られて目立つのが嫌という理由で、昴には歩いて十分ほどの距離にある駅に、迎えの車を停めてもらっている。
あんなことがあっても、あたしたちの関係は変わらない。
あたしの失敗を昴がフォローして、あたしの策略に昴が困った顔をしながら協力して、そんな、いつも通りの日常。
……歪んでいると思う。
それでもあたしたちはお互いに、こうして誤魔化しあうしかできないんだ。
「ほんっとに、美空のドジは―――おうわっ」
突然視界に見慣れないものが現れ、陽気に喋っていた友達が唖然として立ち止まる。
校門を出てすぐのところに、大型の高級車が停まっていた。
ドアが開き、きっちりとスーツで固めた男が出てくる。
「えっ、なにあれ」
車にも彼にも見覚えはないけど、あたし絡みと見て間違いない。
……面倒なことになりそうだ。
美羽ちゃんはまだ学校にいたはず、とこんなときにも先に妹の安全確認をする自分に呆れながら、あたしは大人しく彼が近づいてくるのを待った。
「お引き留めして申し訳ございません。結野美空様、ですね?」
「そうですが」
腰の低さからどこかの使用人だろうと推測する。
あたしの学校を調べてわざわざ待ち伏せしていたのだとすれば、何か目的があるはずだ。
「お手数ですが、こちらをご覧戴けますか」
真意を探ろうと黙考していると、無地の封筒を手渡された。
怪訝に思いながらも開封し、中身を取り出して確認した途端、サッと全身の血の気が引く。
あたしは意識してやや大げさに驚きを露わにし、小刻みに震える手で元の状態に戻して突き返した。
「これからお時間、よろしいですか?」
「わ……分かり、ました」
こんなものを見せられて断れるわけがない。
脅迫に屈したあたしは“怯え”に顔を青ざめさせながら、こくりと頷く。
……さて、どうしようかな。
「ちょっと美空! 大丈夫なの!?」
「何今の、写真? 変なことに巻き込まれてないよね!?」
……巻き込まれてる、どころか。
あたしは深刻な表情を崩してへらりと呑気そうに笑うと、詰め寄る二人の肩を叩いた。
「大丈夫大丈夫ー。知り合いだから」
「そ……そう、なの?」
「そうそう」
そう言って笑ってから、あたしは今まで頭の中で考えていた台詞を早口でまくし立てた。
「あ! ほんとごめん、美羽ちゃん……えっと、これから来ると思うんだけど。ゴスロリ着た子に、先に帰っててって伝えてくれる? ちょっと寄り道したいから、って」
できるだけ美羽ちゃんにこういう事態を悟られるのは避けたかったけど、これはさすがに仕方ないかな。
美羽ちゃんだって馬鹿じゃない。メールでも電話でもなく友達に伝言を頼んだことに、不信感を抱くはずだ。
訳あってケータイを使えないのだと解釈して、あいつに言ってくれれば、それでいい。
後はあたしと、あいつの仕事だ。
向こうの目的はあたし一人、美羽ちゃんが危害を加えられることは考えにくい。
危険な目に遭うのはあたしだけで十分だ。
……友達からは運がないって思われるけど、あたしはやっぱり、最高に運がいい。
あたしが長女に生まれてきて、本当に良かった。
美羽ちゃんがこんなつまらないことなんて関係なく生きて、安全なところにいることができて、本当に良かった。
心からそう思う。
―――……さて、駆け引きといきますか。
あたしは現状を打破すべく頭を巡らせながら、男性に恭しい動作で導かれ、車に乗り込んだ。
157
:
心愛
:2013/08/15(木) 18:28:34 HOST:proxyag092.docomo.ne.jp
ふっと途絶えていた意識が浮上して、あたしは瞼を開けた。
立派な建物に着いたところで車から降りて、少し歩いたらすぐに背後から押さえつけられ、薬品を嗅がされて―――そこからの記憶が綺麗に抜け落ちている。
鈍った頭を叩き起こし、あたしは試しに後ろ手に縛られた手首を動かしてみた。
つるりとした太い紐。
その気になれば抜け出せるような緩い拘束に、完全に舐められてるなと少しありがたく思う。
どうやら相手は逃げられることより、暴れて傷でもつけられることの方を恐れているようだった。
背中や太股の下には柔らかな素材、上等なソファの感触。ここまでくると丁重すぎて笑えてくる。
普通こういうのって無造作に床に転がしたり、椅子に縛り付けたりするものじゃない?
まあ確かに、乱暴なことをして結野家の令嬢に万一のことがあったら、笑い事じゃ済まないからね。
次に首の位置を変えないまま慎重に辺りをぐるりと見回し、広い部屋に誰もいないことを確認する。
チャンスだ。
逃げる、ではなく、考え、状況を整理するための。
今逃げたって、せっかく大人しく誘拐されてあげた意味がないから。
壁や床は一目で高級と分かる代物だけど、家具の類がほとんど見当たらない。
何もなかった部屋に、あたしを座らせるためだけにソファを運び込んだような殺風景さだった。
人の気配が少ないから、普段は使っていない別荘か何かってとこかな。
視界の隅に、自分のバッグを見つける。
もしかしたらケータイは取り上げられているかもしれない。他のものを弄られてないといいんだけど。
それから、脱出経路。
最悪の場合は、何もかも諦めて自力でその局面を切り抜けなければならない。
あたしは窓の方を見やった。
カーテンがきっちりと閉められていて、ここが何階なのかも分からない。
かといって、配置されているだろう見張りを振り切って扉から逃走するのは、いくらあたしの足でも無理がある。
脱出は、ほぼ不可能。
……こんなとき、変に賢しいくせにか弱い女の肉体を持つ自分が嫌になるけど。
使える武器は全部使って、
―――やるしか、ない。
そのとき、ギィィ……と音を立てて、扉が開いた。
タイムアップか、とあたしは瞬時に思考を切り替える。
部屋の内側から鍵をかけ、こちらに歩み寄ってくる人物。
車に乗り込んだときから、本当はある程度予想はついていた。
でも、あたしは目を見開き、衝撃を受けたように取り乱す素振りを見せる。
「そんなっ、西條様……! どうして!」
相手は大の男だ。もしもあたしの言葉に激昂し、感情的になられたらあたしに為す術はない。
ここは様子を見るためにも、大人しく可憐で、あまりの恐怖に力なく震える哀れなお嬢様を演じきるべきだ。
「手荒な真似をして本当に申し訳ありません。傷はつきませんでしたか」
信じられない、という表情で絶句し、あたしはふらふらと立ち上がった。
「西條様が、こんな……。放して下さい! 家に知られたら、いくら西條様でもただで済むわけが……っ」
「分かっていらっしゃるでしょう? あなたのお家にに知られることはありませんよ」
もちろん、解ってる。
落ち着けるように「お掛け下さい」と言われ、あたしは弱々しく西條を睨みながらそれに従った。
「あなたの執事は、なかなかに情熱的な男のようですね」
スッと差し出されたのは、先ほど見せられたのと同じ、一枚の写真。
暗闇の中、燕尾服の男とドレスの娘が抱き合っている。
黒に塗り潰された画面の中でも、昴の特徴はしっかりと押さえられるようになっていた。
たとえ野外とはいえ、パーティー会場という目立つ場所で主人にこんなことをするなんて。
あたし個人を脅すチャンスを虎視眈々と狙っていた輩からしてみれば、格好の餌だ。
あの馬鹿執事、とあたしは胸中で彼を思い切り罵る。
……いや、あいつの所為だけではないか。
あたしがもっと早く動揺から立ち直って、あいつの暴走を止められていればこんな面倒なことにはならなかったのに。
158
:
たっくん
:2013/08/16(金) 13:26:00 HOST:zaq31fa533d.zaq.ne.jp
【新幹線の頭文字は何故、新なのか?】
当スレは新幹線について語るスレです。
古くても新しくても結構。年代は問いません。
御盆休み新幹線旅行された方いらっしゃいますか・・?
ところでピーチさんに質問が御座います。
新幹線というのは何故、新幹線なのでしょうか・・?
昔から疑問を抱いていました。
何十年も経過してるのに今だに新幹線の頭文字は『新しい』なんですよ〜
これはどういう事でしょうか・・?凄く不思議です。
新幹線、開通から何年経過してるか御存じですか・・?かなり古いんですよ。
古くても新幹線なんですよ
私だったら古幹線(こかんせん)とか旧幹線(きゅうかんせん)と言いますがね。
ピーチさん
御存じでしたら教えて下さい。
159
:
たっくん
:2013/08/16(金) 15:24:21 HOST:zaq31fa533d.zaq.ne.jp
【ダイアナ・ストーリー】
ピーチの肛門はダイアナ
ウンコ→大→ウンコをする穴→大の穴→だいあな→ダイアナ
と、このようになっております。
今回は大まかな内容となっておりますが、
次回、細かい部分を解説していきますので宜しく。
やはりチームワークは大切だと思います。
160
:
たっくん
:2013/08/16(金) 15:34:01 HOST:zaq31fa533d.zaq.ne.jp
【ピーチの肛門はダイアナ 】
ダイアナというのは言わずと知れた白人女性です。
しかしこの場合いのダイアナは通常ダイアナとは異なります。
今回はピーチの肛門を意味します。
どういう意味か・・?簡単にご説明致しましょう。
皆様これ何と読みますか?→『大穴』
おおあな・・ではありませんよ。
ウンコは大ですよね?大をする穴は肛門
大の穴・・略して、だいあな
ウンコ→大→ウンコをする穴→大の穴→だいのあな→だいあな(省略形)→ダイアナ(片仮名)
と、このようになっております。分かって頂けましたか?
今回は大まかな内容となっておりますが、
次回、細かい部分を解説していきますので宜しく。
やはりチームワークは大切だと思います。
161
:
たっくん
:2013/08/16(金) 15:38:04 HOST:zaq31fa533d.zaq.ne.jp
ちなみにピーチさんの場合いは
肛門、アソコ、共にダイアナ(大穴)です。
先ほど、お尻は大便をする穴だから大穴と申しましたが
これはあくまでも男性の場合いです。
これはあくまでも私の推測に過ぎませんが、
おそらく私の勘が正しければピーチさんのアソコの穴は
直径約10cmメートルほどだと思いますので
こちらも大穴です。
別の意味でね。というわけで、
162
:
心愛
:2013/08/16(金) 22:17:33 HOST:proxy10012.docomo.ne.jp
「何でも彼は、美空さんの結婚に反対するようなことを叫んでいたとか」
これはどこからどう見ても、お嬢様と使用人の危険な関係の証拠写真だ。
昴の想いに気づいてからずっとあたしが危ぶんでいたことが、今現実となってしまったことになる。
「これは立派なスキャンダルです。流出しては、困りますよね?」
社長令嬢が執事と恋仲にある、などとでっち上げた情報と共にこの写真をばらまかれたら、あたしと昴個人どころか、結野家だって一巻の終わりだ。
だから、写真のデータを西條が握っている限り、あたしは下手に動けない。
そもそもこれを校門前で見せられたのも、付いて来なければこの画像を良いようにする、と暗にあたしを脅すためだ。
「……一ノ瀬が私にそういった感情を抱いていたのは事実ですが、私もこの後厳しく叱りました。私に、彼との交際関係は一切ありません!」
「たとえそうだとしても、黙って提供する分には変わりませんよ。向こうで勝手に、センセーショナルな記事に仕立て上げてくれるでしょう」
「、……っ」
絶望に打ちひしがれるあたしを見て、西條がつらそうに顔を曇らせる。
「そんなお顔をなさらないで下さい、美空さん。あなたが苦しむ様を見ると、心が痛みます」
嘘つけ、と詰りたいところだが―――案外、そうでもないかもしれない。
自分の容姿が抜群という自覚はあるし、誰からも好かれる淑女に見えるように努力してきた。
西條が作り物の“結野美空”に対してそれなりに愛着を持っていることは、普段からの態度、そしてこんな思い切った手段に打って出たことからも分かる。
「こちらの要求はひとつ。簡単なことです」
西條の顔が近づいた。
「私との婚約を約束して下されば、データはこの場で破棄、今日のことは口外しないとお誓い戴いた上で帰りの車を用意します」
……そうくると思った。
こいつが欲しているのは、あたしの心じゃなくて会社の跡継ぎとしてのあたしだ。
容姿、身分、全てに秀でた才女は西條の御曹司の相手として申し分ない。
他の誰かに取られる前に無理にでも約束させ、家系に結野の血筋を取り入れる。
あたしを都合良く利用してこちらの経営に色々口出しし、最終的には結野の権力の一端も掌握する。
それが、こいつの目的。
「一言、一言だけ、そう口に出して証明して下されば良いのです」
さあ、と促され、あたしは不安げに瞳を揺らす。
落ち着け。
落ち着いて、頭を冷やせ。
もっと冷淡に、冷徹に、冷酷に、状況を分析して最善の方法を弾き出せ。
まず、婚約すると言うだけでいい、なんて嘘。
その場の口約束で終わらせるわけがない。
録音されていると考えるのが妥当―――とすれば、この部屋のどこかに仕込んでいるはずだ。
本当に素直に消すとは到底思えないけど、仮に写真のデータがなくなったとして、あたしが西條を裏切るようなことがあれば録った音源を持ち出されるだろう。
不本意だったのだと訴えようとしても、不都合な箇所は捏造し放題。証拠があると丸め込まれてしまう。
「そんな……こと……」
動揺に躊躇うふりをしながら、あたしは不自由な手をこっそりと動かしてみる。力を入れれば引きちぎれそうだけど、まだそのときじゃない。
あたしの狙いは写真のデータを破棄させ、上手く煙に巻いてここから脱出すること。
でも西條に迫られているこの状況で、そんなことができるはずもなく。
「どうしても嫌だと仰るのなら……そうですね。あの執事を愛人として迎え入れても構いませんよ」
「……ですから、一ノ瀬は―――」
せめてあそこのバッグまで辿り着ければ、それでなくとも何か理由をつけて持ってこさせるとか……いや、それだけではまだ条件として弱い。
だとしたら、今は第三者が介入してくるまでの時間稼ぎを兼ねて―――先手を打っておくか。
ほんの僅かでも、その可能性に賭けるほかない。
逆境を覆して優位に立つには、何においても運と度胸は必要不可欠だ。
「―――西條様、」
ひとまずの方針を決めたあたしは、企みを悟られないよう細心の注意を払いながら、その作戦を開始した。
163
:
たっくん
:2013/08/18(日) 00:51:57 HOST:zaq31fa5813.zaq.ne.jp
前回ピーチの肛門はダイアナ(大穴)という御話をしましたが、
今回はまた別の御話です。
ピーチさんに質問が御座います。下記の文を読んでお答え下さい。
たっくん
『タイに行って来たんだよ』
ピーチ
『タイか〜いいね〜。』
たっくん
『タイは蒸し暑かったな〜。タイ人なんて真っ黒に日焼けしてましたよ
それを見て確信しましたね。あ〜これがホントのタイ焼きなんだな〜と・・。』
ピーチ
『・・・・・・・。』
たっくん
『何ですか今の間は・・?』
ピーチ
『いや・・何でそこで、たい焼きが出てくるのかな〜って・・。』
たっくん
『だってタイ人が日焼けしてたんだからタイ焼きでしょう?』
ピーチ
『あっそ。』
タイヤキの本当の意味は
タイ人が焼けた状態なのではないでしょうか・・?
164
:
たっくん
:2013/08/18(日) 00:52:07 HOST:zaq31fa5813.zaq.ne.jp
前回ピーチの肛門はダイアナ(大穴)という御話をしましたが、
今回はまた別の御話です。
ピーチさんに質問が御座います。下記の文を読んでお答え下さい。
たっくん
『タイに行って来たんだよ』
ピーチ
『タイか〜いいね〜。』
たっくん
『タイは蒸し暑かったな〜。タイ人なんて真っ黒に日焼けしてましたよ
それを見て確信しましたね。あ〜これがホントのタイ焼きなんだな〜と・・。』
ピーチ
『・・・・・・・。』
たっくん
『何ですか今の間は・・?』
ピーチ
『いや・・何でそこで、たい焼きが出てくるのかな〜って・・。』
たっくん
『だってタイ人が日焼けしてたんだからタイ焼きでしょう?』
ピーチ
『あっそ。』
タイヤキの本当の意味は
タイ人が焼けた状態なのではないでしょうか・・?
165
:
たっくん
:2013/08/18(日) 01:00:00 HOST:zaq31fa5813.zaq.ne.jp
さよならするのはツライですが、
ピーチさんのような無能はいずれ逝きます。
それでは一曲
【アホのピーチ&心愛、とさよならするのはツライけど】
アホのピーチに捧げる一曲です。
アホはあの世へ逝くというのが今回のテーマです。
当サイトの利用者(皆様)も例外ではありません。
作詞・たくや
【1番 ピーチさんの祖母編】
ババアが死んだ〜♪ババアが死んだ〜♪
いい気味だ〜♪いい気味だ〜♪
さよならす〜るの〜は〜ツラ〜いい〜けど〜♪
寿命だよ♪仕方がない♪
ピーチが逝くまでごきげんよう♪
【2番】
ハハ〜(母)〜が死んだ〜♪ハハ〜(母)が死んだ〜♪
いい死に顔だ〜♪いい死に顔だ〜♪
ピーチの〜な〜みだ〜が〜ポタリと背中に〜♪
つめてぇな〜♪つめてぇな〜♪
ピーチが逝くまでごきげんよう♪
【3番】
ピーチが死んだ〜♪ピーチが死んだ〜♪
ここは何処〜?ここは何処〜?
突如ばあさんがピーチの背中に〜♪
ひさしぶり〜♪ひさしぶり〜♪
ここは天国〜♪さんずの川♪
あの世へ逝った〜♪ピーチが逝った〜♪
いいとこだ〜♪いいとこだ〜♪
現世にいた頃にゃ気がつかなかった〜♪
持病だよ♪仕方がない♪
ここは上州〜♪さんずの湯♪
娘が死んだ〜♪娘が死んだ〜♪
ピーチさんの〜♪ピーチさんの〜♪
ついに娘までポックリ倒れた〜♪
持病だよ♪仕方がない♪
次に時代までごきげんよう♪
ババンババンバンバン♪ババンババンバンバン♪
いい湯だな〜♪いい湯だな〜♪
さよなら〜す〜るのは〜ツラ〜いい〜けど〜
時間だよ♪仕方がない♪
ここは〜みず〜うみ〜♪さんずの川♪
ピーチさんまた会う日までごきげんよう♪
166
:
たっくん
:2013/08/18(日) 01:00:22 HOST:zaq31fa5813.zaq.ne.jp
さよならするのはツライですが、
ピーチさんのような無能はいずれ逝きます。
それでは一曲
【アホのピーチ&心愛、とさよならするのはツライけど】
アホのピーチに捧げる一曲です。
アホはあの世へ逝くというのが今回のテーマです。
当サイトの利用者(皆様)も例外ではありません。
作詞・たくや
【1番 ピーチさんの祖母編】
ババアが死んだ〜♪ババアが死んだ〜♪
いい気味だ〜♪いい気味だ〜♪
さよならす〜るの〜は〜ツラ〜いい〜けど〜♪
寿命だよ♪仕方がない♪
ピーチが逝くまでごきげんよう♪
【2番】
ハハ〜(母)〜が死んだ〜♪ハハ〜(母)が死んだ〜♪
いい死に顔だ〜♪いい死に顔だ〜♪
ピーチの〜な〜みだ〜が〜ポタリと背中に〜♪
つめてぇな〜♪つめてぇな〜♪
ピーチが逝くまでごきげんよう♪
【3番】
ピーチが死んだ〜♪ピーチが死んだ〜♪
ここは何処〜?ここは何処〜?
突如ばあさんがピーチの背中に〜♪
ひさしぶり〜♪ひさしぶり〜♪
ここは天国〜♪さんずの川♪
あの世へ逝った〜♪ピーチが逝った〜♪
いいとこだ〜♪いいとこだ〜♪
現世にいた頃にゃ気がつかなかった〜♪
持病だよ♪仕方がない♪
ここは上州〜♪さんずの湯♪
娘が死んだ〜♪娘が死んだ〜♪
ピーチさんの〜♪ピーチさんの〜♪
ついに娘までポックリ倒れた〜♪
持病だよ♪仕方がない♪
次に時代までごきげんよう♪
ババンババンバンバン♪ババンババンバンバン♪
いい湯だな〜♪いい湯だな〜♪
さよなら〜す〜るのは〜ツラ〜いい〜けど〜
時間だよ♪仕方がない♪
ここは〜みず〜うみ〜♪さんずの川♪
ピーチさんまた会う日までごきげんよう♪
さようなら〜
167
:
たっくん
:2013/08/19(月) 12:38:03 HOST:zaq31fa5184.zaq.ne.jp
当スレッドは博打専門です。
と言っても、一般的な賭け事とは違います
皆さん動物園は御存じですよね〜。
もしピーチさんが肉食動物(主に虎など)と一夜を共にしたらどうなるか・・
という実験を行いたいんです。
もしピーチさんをオリの中に入れたらどうなるでしょう・・?
ピーチさんは食われるか、それとも食われずに済むか・・?
二つに一つです。
今回はそれを賭けのテーマにしようと思います
『食われるに決まってるだろう』とおっしゃる方もおられると思いますが、
必ずしもそうなるとは限りません。確かに野生ならそれも考えられます。
しかし動物園の動物は野生ではありません。
ちゃんと、しつけ、教育をされてる動物なので
善、悪の区別はちゃんとついてると思います。
難しいところです。
私は、食われないほうに200円 賭けます。
皆さんは『食われる』ほうに賭けて下さい。
もしピーチさんが肉食動物に食べられましたら
潔く負けを認め、200円を投げだします。
ただし、食べられずに済んだら
貴方達から200円を頂戴致しますのでご了承下さい。
突然ですが歌を一曲、御披露致します。
【血しぶき飛び散る森の中】
ある日〜♪森の中〜♪♪クマさんに〜♪食われた〜♪
血が飛ぶ森の道〜♪ピーチが〜食われた〜♪
168
:
心愛
:2013/08/19(月) 19:55:34 HOST:proxyag095.docomo.ne.jp
「私の自由を奪って、脅迫して無理矢理婚約を取り付けようとするなんて……そんなこと間違っています。お願いですから、考え直して下さい」
「お許し下さい、美空さん。あなたを手に入れるには、こうするしかなかったのです」
……かかった。
あたしはとりあえず、その成果に満足する。
後はひたすら時間を稼ぐのみ、だ。
「美空さんはただ、受け入れてくれるだけでいいのですよ。そうしたらすぐに楽になります」
「……ですから、……私は……」
たっぷりと間を含んで俯くあたし。
こっちからべらべらと喋ったら怪しまれる。
「私のどこが不満ですか? 西條の地位は結野にも劣りませんし、金もあります。これからは、美空さんに不自由な思いはさせません」
「……確かに、西條様は素晴らしい方です。ですが、それとこれとは話が別です」
なかなか強情に渋るあたしに、西條は痺れを切らしたようだった。
「仕方がないですね」
腕を伸ばし、あたしの胸元に手を掛ける。
まずい、と本能が警鐘を鳴らした。
「言うことを聞いて下さらないと、私も酷いことをしてしまうかもしれません」
「やっ……、やめて下さい!」
ボタンがひとつ、ゆっくりと時間をかけて外される。
本気だ、と相手の目を見て思わずぞっとした。
でも、耐えるしかない。
気を失ってから目が覚めるまで、それから西條と話していた時間を考えると、助けを期待するにはまだ無理がある。
女とはいえ、あたしは将来家を継ぐ身だ。これくらい我慢できなくてどうする。
何に代えても与えられた立場を守りきる。それがあたしの役目でしょう!?
演技のためだけではなく勝手に震え出す身体を叱咤し、絶対に屈してやるかと決意を固める。
何か、何かこいつの注意を逸らせることは―――!
と、目まぐるしく回転する頭の片隅で違和感をとらえ、あたしはハッとして目を見開いた。
こちらへと、徐々に物音が近づいてくる。
バタバタと忙しない足音と怒号に、西條が手を離して怪訝な顔を上げた。
―――まさか、
その正体に思い当たった次の瞬間、ドアを勢い良く蹴破り、黒い影が飛び込んでくる。
169
:
心愛
:2013/08/19(月) 19:56:52 HOST:proxyag046.docomo.ne.jp
「―――お嬢様ッ!」
……嘘。
「昴……」
あたしはらしくもなく呆けてしまう。
だって、あまりにも早い。
予想を大幅に超えている。
でも、と口元に笑みが浮かんだ。
―――さすがは、あたしの執事だ。
はあ、はあと荒い呼吸。
全力疾走して来たのだろう、とめどなく滴る汗が燕尾服を濡らしている。
淡いブルーの瞳が、あたしと、覆い被さるような体勢のまま動きを止めた西條を映すなり激しい怒りに燃え上がった。
「……っの、野郎……!」
「昴!」
今にも感情に任せて西條に掴みかかりそうな昴に、あたしは鋭い声で怒鳴った。
「あたしは大丈夫だから、それ! 胸ポケットのレコーダー!」
西條がぎょっとした顔をする。
いくら怒りに我を忘れていても、従順な執事はすぐに命令通りの行動を示した。
西條を押さえつけ、すぐに指定通りのものを奪い取る。
小型録音機だ。
混乱に乗じて持ち逃げされたらたまらないからね、気をつけてチェックしておいて良かった。
がっくりとうなだれる西條に戦意がないのを確認すると、昴は次に、あたしの方に近づいてくる。
そして微妙に視線を逸らしながら、数個だけ外されたボタンを留めた。
「……いや、先にこっちをなんとかしてよ」
縛られた腕を揺らしてアピールすれば、難なくするりと拘束を解かれる。
録音機を受け取り、あたしはそれを自由になった片手で弄びながら立ち上がった。
さてさて、どう考えてもこっちが有利になった今、ここは一気に決めちゃいますかね。
「西條様。状況はお分かりですね?」
西條の名前を挙げ、あたしが置かれている状況を丁寧に説明して、それを西條が肯定したやり取りが録られているこのレコーダーは、こちらの手に渡った瞬間からあたしの武器となる。
「このことを広めたくなければ、お互いに、この件はなかったことにするのが賢明かと」
西條は黙り込んでいる。
それなら、とあたしは部屋の隅まで歩き、自分のバッグを手に取った。
その中から小さな紙の束を掴み、床に叩きつける。
散乱した写真を見て、西條がサッと青ざめた。
それぞれに相手の違う若い女性とホテルに入る場面や、とある企業との密談現場など、表沙汰にしたら明らかにまずいことになるシーンばかりが、西條の顔つきでばっちり写っている。
「今後妙な動きが見られるのであれば、こちらも併せて遠慮なく公表させて戴きますので、そのつもりで」
もはや顔面蒼白の西條に向けてあたしは優雅に微笑み、とどめの一言を言い放つ。
「―――私の執事の狼藉、大変申し訳ありませんでした。……ドアの修理代は、いつでも請求して下さいね?」
170
:
心愛
:2013/08/19(月) 20:00:15 HOST:proxy10003.docomo.ne.jp
「いやー、まさか昴があんな声出す日が来るとはね。なんだっけ、『この野郎』?」
「……情けないところをお見せしました」
あのときの鬼気迫る形相とは似ても似つかない、文字通り情けない顔をする昴。
「つい、頭に血が昇りまして……。ですが、お嬢様がご無事で、本当に良かった」
「……ふーん」
眉を下げて微笑む顔を何故か直視できなくて、ついと視線を逸らした。
あたしは曖昧な返事をすると、どうしてこんなに早くここに辿り着けたのか尋ねる。
「ご学友の方にお話を伺ってすぐ、車の目撃情報を辿って飛ばして来ましたので。見張りもかなり少なくて助かりました」
さらりと言うが、異常事態だと察知し、迷わず動ける決断力と実行力はかなりのものだ。それを実際にやってのけるのだから凄い。
「ですが……少し、意外でした」
「うん?」
「お嬢様のことですから、許す代わりに結野家が有利になるような条件を提示なさるのかと」
そんなことか、とあたしは苦笑する。
「十分すぎるくらい有利になったじゃない。とんでもなく大きな“借り”を作ったんだよ? あの西條を傘下に入れるとか、身体張った甲斐があったよね」
「……あなたという方は……」
でも、あたしの陰謀だって、昴がいなければ全部成り立たなかった。
いくら危険な賭けでも、昴なら絶対来てくれるって、あたしは信じてたから。
……言ってはやらないけど。
「で、西條のことは誰にも知られてない?」
「はい。旦那様には連絡しておりませんし、ご友人たちにもとっさに誤魔化しておきました」
それなら美羽ちゃんにも上手く言っておいてくれたのか、とほっとする。
こんな目に遭ったなんてこと、できるだけ誰にも内緒にしておきたかったから。
昴は穏やかに笑み、足を止めて車のドアに手をかける。
「―――ただ、ご友人とお話ししている間にお会いした美羽様と圭様には事情を説明した上、そのまま同行して戴いておりますが」
「は」
暗いから遠くからではよく分からなかったけど、後部座席にふたつの影。
「美空!」
「美空先輩っ」
あたしはぐるりと首を捻ると、昴に噛みついた。
「騙したね!?」
「何のことか分かりかねます」
いつになく反抗的な態度で、そっぽを向く昴。
……お、怒ってる。
あたしが一人で敵地に乗り込んだこと、絶対怒ってる。
って、あたしが脅迫されたのはそもそもあんたのせいなんですけど!
「良かった……。通報しようか本気で迷いましたよ。昴さんは着いてすぐ出て行っちゃうし」
後輩の圭くんが胸を撫で下ろす横で、美羽ちゃんがわなわなと身体を震わせている。
待って、まだ心の準備できてない。
「あ、あのね、これは」
「このバカ!」
悲しいかな、あたしはこの妹にだけは弱いのだ。
涙目で怒鳴りつけられれば、黙って口を噤むしかない。
「いつもそうだ! 美空は勝手に、ぼくの知らないところで無茶をするっ」
「み、美羽……ちゃん?」
すん、と洟をすすり、おろおろするあたしを睨む。
「……昔から、美空の背中が目標なんだ。届くことは決してないと分かっていても、ずっと、ひたすらに努力してぼくを守る背中に憧れを抱いていた」
でも、と美羽ちゃんが声を張り上げる。
「美空が家やぼくを守るために危険を冒すなんて、ぼくはちっとも望んでない!」
「……美羽、ちゃ……」
「心配をかけさせるな、何もかも一人で抱え込んで強がるんじゃない! こんなときくらい、家族を頼れ、バカ……っ」
ぼろぼろと涙を落とす美羽ちゃんを見て、目頭が熱くなる。
「ごめん……」
無理をして押し込めていた、恐怖や不安、一気に色んなものが遅れて押し寄せてくる。
「ごめんね、美羽ちゃん……!」
美羽ちゃんをぎゅうぎゅうと抱きしめながら泣き崩れるあたしの耳に、こんな声が遠く聞こえていた。
「それにしても……美空先輩って、結構普通の女の子だったんですね」
「そうですよ。人より少しだけ、強情で見栄っ張りで―――とても、優しい方です」
171
:
ピーチ
:2013/08/19(月) 21:39:08 HOST:em1-114-111-160.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
久しぶりー! 神文を一気読みできて幸せの絶頂に居るピーチです←
と思ったらまさかの美空先輩拉致されてるし!? ちょっと待ってよそれって犯罪だよ通報できるよ!?
美羽ちゃんはやっぱ強い! あの美空先輩を黙らせるくらいだから!((
172
:
心愛
:2013/08/20(火) 14:44:42 HOST:proxyag096.docomo.ne.jp
「―――あたし、昴のこと好きかも」
「唐突ですね」
きょとんとして、昴が言った。
「……驚かないんだ?」
「ええ。正直に言いますと、前から期待はありました」
「あそう」
何でもないような言い方にしようと決めたのはあたしだけど、こう簡単に受け入れられると逆にイラッとくるね。
もうちょっと、こう、リアクションとかないわけ?
しかめっ面のあたしに、昴が優しい声で尋ねてくる。
「急に、どうしたのです?」
「……別に、大したことじゃないけど」
……なんてね。
解ってるよ、あたしに合わせようとしてくれてるんでしょう?
心の中はどうだか知らないけど、変に驚いたりして、平然としたふりをしてるあたしが居たたまれなくならないように、同じように反応してる。
まったく、これだから昴は。
あたしは苦笑を漏らしたくなるも耐えて、今日の天気を話すときくらい自然な話し方に見えるよう、ひっそり努力を続ける。
「最近、気づいたんだよね。こんなのあたしらしくないって」
らしくない、とは。
昴のまっすぐな眼差しがなんだか妙にくすぐったい。
「それにそれは、美羽ちゃんの将来を社会的に守りたいっていうのと同じ方法で解決できる。だから決めたんだ」
つまり。
「使用人と好きあってても、恋人同士になっても、誰にも文句言えないくらいに、のし上がってみせる―――ってこと」
嘘をつくのは得意だけど、、いつまでも逃げてこそこそするような真似は好きじゃない。
利用できるものはすべて利用し、欲しいものは力ずくで手に入れ、大切にしたいものは全力で守る。
頂点に君臨していれば、それだけ圧力を強くなるだろうけど、うるさいお偉い方を丸め込むことだってきっとできるはずだ。
……ううん、やってみせる。
たとえ何年かかっても、あたしは決して諦めない。
それまで、昴とのことは公にはできない。
だから、あたしたちの距離はこのまま。
こっそりと秘めていた気持ちをきちんと伝えあった、まだ、それだけ。
お見合いの話は、周りに気づかれない程度に少しずつ減らしていこうと思うけど。
「ま、何年かかるか分かんないけどね」
「いくらでも待ちます」
即答する昴に、あたしは意地悪く笑って言う。
「もし、あたしが凄く頑張って、それでも許してもらえなかったら?」
「土下座でも何でも致しましょう。それでも無理なら……どうしましょうか」
これまたあっさりと答える昴。
あたしはちょっと拍子抜けする。
「本気なの?」
「はい。お嬢様と添い遂げるための苦労なら、喜んで」
「……そんな情けない真似しないでよ。あたしが恥かくから」
それを聞いて、昴は柔らかに微笑を零した。
「駆け落ちというのもなかなか魅力的ですが」
「バカじゃないの? 美羽ちゃんを置いていけるわけないでしょ? 今までの努力が全部水の泡じゃない」
「そうですね。冗談です」
昴はにこにこと楽しそうだ。
最愛のお嬢様と心が通じ合っていることが分かったのだから浮かれるのも当然か、と半ば上から目線にその訳を捉えていると、その昴の方から話題を転換した。
「ところで、お嬢様」
「ん?」
「私が、お嬢様も私と同じ気持ちなのではと淡く期待を抱いていた理由ですが」
「それ言っちゃうんだ……」
できれば聞きたくない。
でも、昴があたしのポーカーフェイスを見破ったとなれば興味があるのも事実だ。
あたしが本気で止めないのを確認してから、昴は再び口を開く。
173
:
心愛
:2013/08/20(火) 14:45:34 HOST:proxyag048.docomo.ne.jp
「圭様たちとの旅行に同行させて戴いたとき、酔ったお嬢様がそのような内容を匂わせるようなことを仰っていたから、なのです」
「……そうだっけ」
全然覚えてない。
曖昧に靄がかかった記憶を掘り起こそうとしていると、
「まだありますよ」
昴が楽しげに続ける。
「お嬢様は、他人に弱点を見せたがらない方です。不慮の出来事―――主に照れくさいことや恥ずかしいことが起こると、とっさに平静を装いますね。その取り繕った表情は恐ろしい程の精度で、私などは到底気づきようもありません」
キラキラと光を取り込む湖みたいに綺麗な色に澄んだ双眸が、近づく。
「でも、本当の意味で完全には隠しきれずに」
何言ってんのこいつ、という呆れた表情を保ち続けるあたしの顔の横に、冷たい指が這わせられた。
「―――こうして、耳だけを赤くなさいます」
数十秒間、あたしは固まっていた。
かなりの沈黙のあと、ひくりと引き攣る頬を抑えられずに声を絞り出す。
「え、なに。そんなにあたしの耳、やばい?」
「はい」
真面目に頷く昴。
あたしは「うーわー……」と漏らすと、近くにあったふかふかのクッションを手繰り寄せてぼふっと顔をうずめた。
「今こっち見たら殺す」
「殴られるくらいなら構いませんが。……耳、見えてますし」
「殺す!」
あたしの罵声にも上品にくすくすと笑う昴。
「ちなみに、私が部屋に入ったときからそうでしたよ。なので話の内容は大体」
「もういい喋るな黙って」
まさか、あたしが昴に一本取られるなんて……最悪だ。
むぐぐ、と生まれて初めての屈辱に唸るあたし。
そして少しおいてから、昴がそっと呟いた。
「……お嬢様は、美羽様とそっくりですよ」
ちらりと彼の様子を窺えば、口元が優しく綻んでいる。
「色々な気持ちを隠して、美羽様の幸せのためにずっと闘ってきた。縛りの多い生活にもめげず、強く純粋に、美羽様のことを考えてきた」
視線が合わさる。
日本人らしからぬ蒼色は、どこまでも透き通っていて。
「その想いを持つ方が、どうして汚れているのです?」
美羽ちゃんは綺麗ないい子だけど、あたしは汚く打算的な人間だと、心の中でも、昴に対しても何度も繰り返してきた。
それを、昴は微笑みながら否定する。
「綺麗で優しくて、強くて脆い。だからこそ、悲しい方―――」
「……」
「頭が良いのに不器用で、いつでも偽悪的に振る舞っていて。そんなお嬢様のことを知れば知るほど、私はあなたを好きに」
「っあ――――――――!!」
耐えきれなくなったあたしは両耳を押さえて、声の限り叫び昴の発言を掻き消した。
「なんなの!? そんなにあたしを追い詰めたいの!? 今日の昴、なんかムカつくんだけど!」
「申し訳ありません」
全然申し訳なく思ってなさそうな顔で言うな。
あーもう、意味分かんない。
耳が熱い。自慢の頭脳もお手上げだ。
「ほんと、なに考えてんの……っ」
「怖いくらい、お嬢様のことばかりですよ」
「開き直んな!」
とんだ性悪執事だよ! なんで今まで見抜けなかったかな、あたしは!
「紅茶! 紅茶淹れてきて!」
追い出しにかかったあたしに、昴が困ったように言う。
「そういえば、お嬢様。そのカップですが、落としても割れないようプラスチック製のものにしようか検討中なのですが……いかがしましょう」
「あたしは子供か!」
「子供よりたちが悪……何でもございません」
やっぱり悔しいから、このままやられっぱなしにはならないけど。
―――こんな関係も、まぁ、ありなんじゃないかな……なんて、思った。
174
:
心愛
:2013/08/20(火) 14:53:37 HOST:proxyag047.docomo.ne.jp
>>ピーチ
おひさー!
美空は拉致られてもなんか安心してられるよw
「通報して悪者にするよりも、弱みを握って裏から操った方がこっちにとってはお得じゃない?」by美空さん。
これにて昴&美空編完結!
ポーカーフェイスの達人がやりこめられるのって楽しいw
一応ハッピーエンドってことで!
次、番外編的な短い話ひとつでヒナたちが再登場(・∀・)
それで本当に、ここあの小説ライフ終わりにします。
悲しいけど仕方ない! もう本気で勉強やばい!
175
:
たっくん
:2013/08/21(水) 15:37:50 HOST:zaq31fa4a65.zaq.ne.jp
>>
以前、ダイアナというのは
>>173
大穴すなわちケツ穴と申しましたが、
ピーチさん&心愛さんはそれが非常に大規模です。
これはあくまで噂ですが、
太いダイコン一本投入してもビクともしないらしいです。
凄いですね〜尊敬します
【ダイアナ・ストーリー】
突然ですがこれから貴方達の事をダイアナと呼ばせてもらって宜しいでしょうか。
理由は・・貴方達の身体の一部にウンコが出る穴があるからです。
ありますよね?ないとは言わせません。別サイトで女性に質問しました。
ウンコ→大(だい)→ウンコを出す穴→大の穴→だいのあな→だいあな
それを片仮名で表記しますと、ダイアナ〜♪
とまあこのようになります。
品のない言い方をするとケツ穴なんです。
さて・・ここで問題になってくるのは
何故私がこの発言を避けたか・・?御存じですか?
別サイトでこの話したら
ある人が『それだったら最初からケツ穴って言えばいいじゃないか。何故遠まわしに言うんだ?』なんでおっしゃってました。
わたくし下品な発言はあまり好まない性格でして・・
こう見えても結構、上品なんですよ(笑)
だからあえてケツ穴とは言わなかったのです。
大穴(だいあな)のほうが上品かな〜なんて思いまして。
[今作のストーリー]
様々な犯罪が影に渦巻く無法都市サウスタウン
今ここに足を踏み入れた2人の女性がいる
ただ一つの肛門(お尻の穴)を救わんと闘う神
すなわちダイアナと化した女、ピーチ
ピーチの友人でありまた良きライバルでもある心愛
サウスタウンに数多く潜むと言われる
最強のウンコ
176
:
ピーチ
:2013/08/21(水) 17:07:06 HOST:em1-114-169-47.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
美空先輩がぁー! 美空先輩がブラックになってるー!?←
ポーカーフェイス……あたしもできるようになりたいな((
ヒナさんたち待ってます! あたしも勉強やばいけど!
177
:
心愛
:2013/08/21(水) 20:21:00 HOST:proxyag017.docomo.ne.jp
『Happy Valentine!』
「おは……?」
キッチンの方からほんのり漂う甘い香りが、寝起きの頭を刺激した。
……ああ、そういえば、今日はお菓子会社大勝利の日か。
こんなに俺に関係ない行事もなかろうな。
ぼんやり突っ立って考えていると、ぱたぱたと足音。
キッチンの奥から彩が満面の笑顔で駆け寄ってきた。
我が妹ながらちょっと可愛い。
「お兄ちゃんっ、今日は何の日でしょーか!」
「殉教死したローマの司祭の記念日」
「ひねくれた答え方やめようよ!」
ぷんすかしながら、後ろ手に隠していた小包を手渡してくる。
ラッピングに手抜き感はあるものの、毎年思春期の妹からチョコをもらえる俺は恵まれている部類に入るのかもしれない。
いつまでたっても俺にべったりだけど、こいつの辞書に反抗期という文字はないのだろうか。
「今年も可愛い妹の愛情たっぷりだよ! 力作!」
「ありがとう。大切にゴミ箱にしまっておくからな?」
「にゃにおうーっ! ちゃんとしたのだもん!」
冗談だっつの。
俺はそそくさとそれを回収しながら、もはやお約束となっている軽口を叩く。
「で、本命は? 今年もいないわけ?」
「いるよ」
「だよなー。彩にはまだ早…………え?」
え? うん? 今なんて?
「……でも、いくら頑張っても渡せない人なんだ」
大人びた、切ない微笑。
俺は妹の変貌ぶりとその台詞に、驚きを隠せない。
「彩……」
「パソコンの画面から出てきてくれない限り!」
「ゲームキャラかよッ!」
前にも同じツッコミしたような気がするね!
うちの妹マジ揺るぎねぇ!
がっくりする俺に彩はにへへっと笑い、
「本命かどうかは置いといて、お兄ちゃん以外にもちゃんとあげる人はいるよ?」
「? 友達?」
「んー、お兄ちゃんの知ってる人ー」
俺の知り合い。
で、彩とも面識がある、となると。
「柚木園、姫宮、美空先輩……それとも美羽?」
「さあさあどーでしょー」
にまにまとした笑みを浮かべる彩。違うってこと?
もうちょっとで答えが出てきそうな気がするのに……結局最後まで、その人物が思い浮かぶことはなかった。
゚・:*:・。☆゚・:*:・゚☆。・:*:・゚・:*:・。☆゚・:*:・゚☆。・:*:・゚
靴箱の前で、チャラい金髪を発見した。
良く見れば、その手にはコンビニなんかで良く見かけるチョコの箱。
そいつがぱかっとひとつの靴箱を開けて、それを中にがさごそ突っ込んでいるところで―――俺と、鉢合わせした。
「……………おま……」
「ちょっ、ヒナ!? なんかすげえ誤解されてる気が!」
俺、ドン引きである。
日本のバレンタインは、基本、女から男にチョコをあげる風習なはず……なんだけど。
「あ、あーうん……。なにしろ妹がアレだし、ソッチの趣味にはある程度耐性あるから。……喜んでくれるといいな!」
「ちっがぁう! バイトだっつの!」
「……は? バイト?」
爽やかに去ろうとしたところを止められる。
……春山の奇怪な行動とバイトって、全然結びつかないんだけど。
怪訝な顔の俺に、春山が短く解説。
「『登校時や下校時、靴箱の中にチョコを発見して、周りに自慢する』っていうイベント演出のための下準備係ってとこ。金なら払う、って頼まれたのよ俺」
「なんでだろう。俺、涙が止まらないよ」
モテない男子の考えることは恐ろしい。そしてとてつもなく悲しい。
「利用者は結構いるんだよね。ヒナも、今ならチョコ代の二倍で引き受けるけど? 数には余裕あるし」
「結構です」
紙袋に同じメーカーのチョコが詰まった紙袋を見せられ、俺は速攻で拒否した。
……みんな、そこまでしてほしいんだね、チョコ……。女子からでもないのに。
178
:
心愛
:2013/08/21(水) 20:25:04 HOST:proxyag018.docomo.ne.jp
>>ピーチ
美空は基本ブラック、ほぼ常にドジ、ごくたまに純情(・∀・)
最後はわいわいやりたいなーと思って季節外れのバレンタインだよ!
春山のバイトはここあの学校にやってる奴がいたんで脚色してみたw
179
:
たっくん
:2013/08/22(木) 14:53:52 HOST:zaq31fa5b2f.zaq.ne.jp
↑お前の話なんかどうでもいいんじゃアホ
つまらん書き込みすんな
180
:
ピーチ
:2013/08/22(木) 17:43:11 HOST:em1-114-235-241.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
美空先輩ある意味凄いです←
はーるーやーまーくーんっ!? あなた一体何やってんの!?
どんなバイトだよ! つか女子からじゃないんなら嬉しくなくないですかね!?
181
:
心愛
:2013/08/23(金) 21:31:36 HOST:proxyag102.docomo.ne.jp
>>ピーチ
ここあのクラスに同じことやってる男子がいたんでw
お金はもらってないけど、他の男子に頼まれて靴箱にコンビニで買ったチョコ入れてあげてた(・∀・)
女の子じゃなくても嬉しいのかな…(=_=;)
お互い虚しくないのかな…?
182
:
心愛
:2013/08/23(金) 21:31:59 HOST:proxyag102.docomo.ne.jp
>>ピーチ
ここあのクラスに同じことやってる男子がいたんでw
お金はもらってないけど、他の男子に頼まれて靴箱にコンビニで買ったチョコ入れてあげてた(・∀・)
女の子じゃなくても嬉しいのかな…(=_=;)
お互い虚しくないのかな…?
183
:
心愛
:2013/08/23(金) 21:33:07 HOST:proxyag101.docomo.ne.jp
「濃厚な死の薫りがする……」
「不吉なこと言うなこら」
昼休み、教室中に立ち込める甘い匂い。
男子たちの背中から異様なオーラが放出されているが、女子はあえて気づかぬふりである。
「姫、ちょっとこれ持って」
「……うん?」
不意に、一人の女子が姫宮に近づいた。
姫宮に一回渡してからその手に戻し、お徳用チョコの袋を高く掲げて叫ぶ。
「姫からのチョコ、千円から!」
ガタタッ!
「千五百!」
「二千!」
「オークションだとっ!?」
バレンタインは高校生が金稼ぐイベントじゃないからね! あと飢えてるからって金使いすぎだ男子!
突如として始まった争奪戦を呆れた目で眺めていると、「ヒナぁー」と数人の女子が寄ってくる。
頭にクエスチョンマークを浮かべていると、
「はい、義理ね」
「義理だけど」
「義理で良ければ」
「分かってるよちくしょうめ!」
いいじゃん! そんな強調しなくてもいいじゃん!
「一個取ってー」と差し出されたのは、大きな箱に詰まった、うずらの卵みたいな形のお菓子。
ころんとした可愛らしい見た目で、水色やピンクの砂糖衣がかけてある。こんな凝ったもの、全員分作るのか……。
他にも、丁寧にラッピングされたチョコレートブラウニーやクッキーなどなど。
女子すげえ……。これ、ほんとに手作り?
「あ、ありがと」
「ホワイトデーは三倍返しでよろしく!」
「はいはい」
軽く言いながらも、義理チョコとはいえちゃんと女子からもらうのは初めてなのでちょっと感動する。
彼女らが今度は美羽を相手にし始めたところで、スマホがメールを受信した。愛川からだ。
『甘いもん苦手なのにチョコ断れない。今度減らすの手伝え』
「うわムカつく!」
断れないって、どうせ嫌な顔ひとつせずに愛想良く受け取ってんだろあいつ……!
本命だろうが手作りだろうが高かろうが安かろうが、今度会ったら遠慮せずに食いまくってやろうと心に決める。
「柚木園くーん!」
「ごめん、次は午後からねー」
背後できゃあきゃあ歓声を上げる女子たちに笑顔を振りまいて、柚木園が廊下から教室に入ってきた。
え、ちらっと見えた順番待ちの列みたいなのなに?
まさか皆さん、柚木園に渡すために並んでるの?
「柚木園……? 今の、」
「あ、うん。午前の部は今締め切ったとこ」
……午後の部もあるの?
唖然として今日も無駄に麗しい王子様を見ているうちに、俺は奇妙なことに気がついた。
「あれ? チョコは?」
あんなにも女子たちが殺到していたというのに、戻ってきた柚木園の手にはおろか、周りにも一切チョコの類がない。
疑問を覚えていると、柚木園がにこりとした。
「紙袋とかロッカーに入るような量じゃなかったから、今先生に言って、空き教室を借りてきた。少しずつ持ち帰るよ」
「……そこまでいくとあんまり羨ましくないな……」
信じられない話だけど、普段のこいつを見ていれば信じるほかない。
前に愛川と話したときも思ったけど、モテるって大変だね。
柚木園のモテぶりは常軌を逸するけど。男性アイドルみたくトラックでも手配した方がいいんじゃね?
「なんて言うか……お疲れ? やっと休み時間ってとこか」
「いや、休んではいられないよ。今日初めて会った女の子のフルネームとクラスを、忘れないうちに単語帳に書いて暗記しないと」
「単語帳!? 暗記!?」
「大丈夫、女の子についてのことなら記憶力が五割増しになるから全然負担じゃないよ」
「そういう問題じゃねぇ!」
本当に鞄から取り出した単語帳をぺらぺら捲り始める柚木園に、俺は戦慄を隠せない。
……とりあえず、愛川にメール返しとこ。
『もっと凄い奴いるから諦めろ。女子だけど』……って感じで。
184
:
ピーチ
:2013/08/24(土) 06:32:00 HOST:em114-51-22-156.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
怖いよ!? 怖いですよみなさん!?
しかもオークションって! 男子のみなさんどこまで飢えてんの!?←
…苺花ちゃんに愛川くん、大変ですね。とくに苺花ちゃん((
185
:
心愛
:2013/08/26(月) 15:50:58 HOST:proxyag059.docomo.ne.jp
>>ピーチ
そして夕紀は一応♂というw
モテすぎてつらいってすごい贅沢だけど切実な悩みかもしれない(・∀・)
さて、次の連続二回でいよいよ完結です。 全然最終回らしくないけどそれはそれでらしいのかも。
またあとがきだけ書きにくるけど、この掲示板に来るのはもうそれきりかな(TOT)
寂しいけど…ご愛読、ありがとうございました!
186
:
心愛
:2013/08/26(月) 15:51:22 HOST:proxyag060.docomo.ne.jp
「圭くーん!」
良く通るアニメ声を弾ませ、美空先輩がひょっこり教室の窓から顔を出して手を振ってくる。
艶めくツインテールをさらさら揺らし、まだ外をひしめく柚木園ファンの皆様をたやすく押しのけ、ちゃっかりと教室内に入り込んだ。
こういうとき、有名人の彼女は特別扱いである。
「あ、王子いたー! 姫も」
小さな箱を姫宮と柚木園に手渡して、「わぁい」と姫宮が無邪気に喜んでいる隙に、柚木園に俺までかろうじて聞こえるくらいの声量で囁く。
「で、王子。姫にちゃんとあげた?」
「……え、と……ですね」
「もちろん手作りだよね? 料理上手って噂聞いてるし」
「どこからです!?」
柚木園が青ざめていた。
何故か隠したかったらしい。家庭的な女子ってポイント高いと思うんだけどな。
「悩むくらいならさっさと渡しちゃいなよー。ね、美羽ちゃん?」
「……そうだな」
むっつり口を引き結んでいた美羽が、それだけぼそりと言う。
美空先輩はそんな美羽に向かってにこっと笑うと、俺の腕を取った。
「圭くん、ちょっと外行こっか! 話あるし」
「はぁ」
ビシバシ背中に突き刺さる複数の殺意を感じながら、廊下へ。
そのまま突き当たりまで歩き、美空先輩がようやく足を止めた。
「はいこれ。買ったやつだけど」
「良かった。物凄く安心しました」
「どういう意味ー!?」
もろ市販のパッケージをありがたく受け取る。
塩味しかしないチョコとかはご遠慮願いたかったんだけど、杞憂に終わって本当に良かった。
「昴さんにはあげないんですか?」
「あー、昴? どうしよっかなぁ」
んー、と考える素振りを見せる彼女。
「この前、チョコ作りの練習に一日中付き合わせちゃったんだよね。全然上達しなくて、結局止められたけど」
「……?」
「あいつ、いつも無理して全部食べてくれるから、そのお礼っていうか? もし余ったらあげてもいいかなって」
「……へー」
……半分くらいノロケに聞こえたのは俺だけか?
料理下手な彼女の作ったものに文句言わず食べてくれる彼氏、みたいな。
まあ美空先輩は不器用で料理が下手っていうよりはただドジなだけだし、彼女でもないけどさ。
なんか最近、美空先輩がちょっとだけ分かりやすくなってきたような気がする。
「圭くん、今考えてることを口に出して言ってみてもらってもいいかな?」
「すみませんでした!」
目が怖い! 目が怖いです先輩!
笑顔の圧力にブルブル震えていると、美空先輩はころっと表情を変える。
187
:
心愛
:2013/08/26(月) 15:52:24 HOST:proxy10003.docomo.ne.jp
「で、そんなことはどうでもいいの。圭くん、美羽ちゃんからチョコもらった?」
「いやまさか」
即答する俺。
「え、だってあの美羽ですよ? あいつがバレンタインに参加しようとするわけないじゃないですか」
「そう思うでしょ?」と美空先輩は楽しそうに笑う。
「それがね、実はそうでもないの。美羽ちゃんのパソコンの履歴漁ったら、面白いくらい大量にチョコの作り方調べた形跡が」
「それやっちゃダメですよ!」
ツッコミを入れながらも、俺はあの美羽が? と内心戸惑っていた。
……う、うーむ。
「あの様子だと悩んでるうちに渡せずに終わるだろうから、圭くんから動いてあげて」
「先輩ってほんと過保護ですよね……」
゚・:*:・。☆゚・:*:・゚☆。・:*:・゚・:*:・。☆゚・:*:・゚☆。・:*:・゚
「やー、今日はいい日だー」
「ふん……君は案外、女子に好かれるようだな」
二人での帰り道。
今日一日中機嫌が悪い美羽が、面白くなさそうに言う。
なんとなくその理由を察した俺は、にこりとして用意していた一言を放った。
「一番ほしいやつはもらえてないんだけどね」
美羽が立ち止まる。
きょとんとし、ゆっくり意味を噛み砕いて、それからだんだんと頬に朱が差し始めた。
俺が笑って歩き出すと、
「……ふんっ」
「ぎゃあっ!?」
パーカーのフードに後ろからずぼっと手を突っ込まれ、バランスが崩れて軽くよろめく。
そのまま方向転換して脱兎の如く逃げ出そうとする美羽の首根っこをとっさに掴んだ。
「ぅ、い、息が……っ、離せ!」
「うわごめん!」
猫みたいに髪を逆立てながら、涙目でぜえぜえ荒い呼吸をする美羽。
俺はそんな彼女に謝って、ひょい、と背中に腕を回してフードの中に入ったものを掴み取る。
黒地に白レースのリボンという、なんとも美羽らしい箱。
「ち、違う。これはだな……っ」
息が整うやいなや、赤い顔で言い訳を早口でまくし立てる。
「たまたまチョコを作りたくなったのが2月で、たまたま上手くいって、たまたまそれを間違えて学校に持ってきてしまって、たまたまヒナがそんなことを言うから捨てるのも勿体ないかと思って」
「あーうん分かった分かった」
「嘘じゃないぞ! 吸血姫(ヴァンパイア)の血統、リルフィーユの名に賭けて誓う!」
「分かったって」
いつまでたっても頑なに認めなさそうな美羽の扱いは、もう心得ている。
「ありがと。感想、あとでメールするよ」
「……ひ、必要ない」
そわそわっと視線をさ迷わせる美羽。
「ただ、君は、」
「ちなみに俺は、甘いのも苦いのも、どっちでもいけるから」
「……そうか」
その、少しほっとしたような横顔を盗み見て。
俺は早くも、なんだか甘ったるい気分になったのだった。
188
:
ピーチ
:2013/08/26(月) 17:20:51 HOST:em1-114-124-43.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
一応なの!? そこ一応なのねぇ!?←
というより怖いです先輩! 絵がないのに怖いのすぐ分かります!
美羽ちゃん可愛い! どーしようもなく可愛い!
……のに終わっちゃうんだ。もう来れないんだよね…
あとがき待ってます!
189
:
心愛
:2013/08/27(火) 09:55:51 HOST:proxyag013.docomo.ne.jp
>>ピーチ
だって夕紀ですから(・∀・)
笑顔が怖い美空さんはやっぱりちょっとやそっとじゃ変わらないね!
ありがとう!
美羽は「銀髪に紫の瞳の大人しめな子」「毒舌吐く機械人形」みたく、ここあの理想っていうか好きな美少女像を詰め込んだヒロインなので、可愛いって言ってもらえると嬉しいですw
ツンツンしててたまにデレる邪気眼っていいよね…! 黒髪いいよね…!
とか語ってたらきりがないんで、次のあとがきというか全然あとがきじゃないあとがきでさよならにします。
ダラダラしちゃうと良くないから、スパッとやめるつもりなんだけど、いやいや返事よこせよ! ってときは言ってね(*^-^)ノ
それでは!
190
:
心愛
:2013/08/27(火) 09:56:50 HOST:proxyag014.docomo.ne.jp
*あとがきというかなんというか
『邪気眼少女の攻略法。』本編に続き、これにて番外編も完結です。
さて。まずはピーチ、本当にありがとう!
毎回コメくれるピーチの言葉が、どれだけ嬉しかったかわかりません。
たまに、その画面見ながらリアルに声出して「ありがとう…!」って言ってましたw
ほっといたら消えるしかない妄想を形にし続けることができたのは、ひとえにピーチのおかげです。
お世話になりっぱなしだったのに、ピーチの作品には最低限しか顔出せなくてごめんなさい。
恩を徒で返すってこういうことですよねごめんね!
ここあのキャラを使ってピーチが書いてくれて、天音ちゃんや彩織ちゃん、羽音ちゃんたちと出会うことができたコラボは、ここあの一生の宝物です。
ピーチは作家目指してるんだよね。
ピーチのキャラはひとりひとりが生き生きしてて、続きが気になる展開ばかりで、ここあサイドのキャラまで自在に操る手腕には毎回唸らされました。
ピーチなら絶対なれるよ!
あ、あと、ここあの書いてきたカスい文章からでもなんか使えそうな要素がほんのちょっとでもあったら、言い回しでも展開でも、いくらでもパクってくれていいからね☆ ピーチになら喜んでお渡しするよ!
今まで、本当にありがとう!
いつかまた、会えたらいいな。
実はまだ書きたかったネタもいっぱいあったりして……。半年後の自分がどういう精神状態にあるか分かんないけど、今はそう思ってます。
部活代わりに小説に貴重な高校生活の半分くらいを費やしていたわけだけど、後悔はしていません。
本当に楽しかった。話に詰まったときもあったけど、下手でもなんでも、待っててくれる人がいたからここまでたどり着けました。
ソフィアたちも空牙たちも美羽たちも、みんな大好きだー!
ピーチも大好きだー! 我が相棒よ永遠なれーっ!((意味わからん
うう、覚悟はしてたけど、やっぱり寂しいな!
最後までダメダメな作者でごめんなさい(´・ω・`)
今までお世話になりました!
お互いに、これからも頑張ろうね!
ばいばい!
191
:
ピーチ
:2013/08/27(火) 16:55:32 HOST:em49-252-53-13.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
やっぱ夕紀ちゃんは変わりませんね! 美空先輩も!
終わって欲しくないよー……あたし今本気で泣きたいの我慢してるよー…
最低限どころかコラボの時は毎回コメくれたじゃないかー! あたしはそれだけでも十分嬉しいんだよー!
またちょっとでも暇なときあったらいつでも遊びにきてね! 待ってるからね!
192
:
たっくん
:2013/08/27(火) 22:47:35 HOST:zaq31fa5258.zaq.ne.jp
>>191
馬鹿ピーチさん、こんばんは。相変わらず馬鹿ですね。
【馬鹿ピーチ姉妹】
今回たっくんは女性役です。ピーチさんは、たっくんの姉という設定でいきますね。
ではスタート
ピーチさん
『たっくん、ピーチですよ。』
たっくん
『本当にピーチさんですか?じゃあ次の質問に答えて下さい。』
ピーチ
『はい。』
たっくん
『坂田利夫はアホ。じゃあピーチさんはな〜んだ?』
ピーチ
『バカ』
そして扉を開ける・・
たっくん
『やっぱりピーチさんですね。』
ピーチ
『今日は何してるのたっくん・・?』
たっくん
『今日は新聞読んでるんですよ。』
193
:
たっくん
:2013/08/27(火) 22:48:52 HOST:zaq31fa5258.zaq.ne.jp
ピーチ
『馬鹿じゃないですか。よくそんなもの読んでるね。』
たっくん
『馬鹿・・?何でですか?新聞読むのがそんなにおかしいですか〜?』
ピーチ
『おかしいよ。だって・・あたしなんか新聞とっくに読んじゃったもん。
10年くらい前に全部読んじゃったからもう読む必要ないもん!』
たっくん
『全部読んじゃったんですかピーチさん さすが小説家ですね』
ピーチ
『だいたいね、あたし新聞って昔から嫌いだったの。』
たっくん
『何故ですか?』
ピーチ
『気に入らない理由は色々あるけど・・まず文字が気に入らないかな
新聞という名前そのものがね!』
たっくん
『どうしてですか?』
ピーチ
『だって・・新聞って新しく聞くって書くでしょう。
でも実際は見るんでしょう?耳で聞くわけじゃないんだから
新聞ってのは変だよ〜(・.・;)。
新見るとか新眺めるとかのほうがいいじゃないかな
あたしはそのように解釈しちゃうな〜(*^_^*)』
たっくん
『確かにそうですね。』
ピーチ
『きっとね・・最初に新聞作った人が文字間違えたんだよ〜。
でも間違えましたっていうの恥ずかしいからそのままシカトしてるのよきっと。
シカトって知ってる?花札に、しかごとうけん、ってのがあるんだけど
そのシカが横向いちゃうの。』
たっくん
『へぇ〜ピーチさんって何でも知ってるんですね。エライな〜』
ピーチ
『あたしエライよ〜☆(*^_^*)新聞や小説の事なら何でも聞いてよ♪』
ところでさっきから思ってたんだけど・・今たっくんが読んでる新聞って
古いやつなんじゃないの?』
たっくん
『一年くらい前のやつですね〜。』
ピーチ
『それにしても不思議だね〜。』
たっくん
『何がですか?』
ピーチ
『古くても新聞(新しく)っていうんだからね〜(*^_^*)
古いなら、古聞(こぶん)とか旧聞(きゅうぶん)とか言えばいいのにね〜
馬鹿ピーチに残された道はただ一つ・・死ぬだけです。
しかし馬鹿は死ななきゃ治らないというコトワザをどうかお忘れなく
194
:
たっくん
:2013/08/27(火) 22:54:39 HOST:zaq31fa5258.zaq.ne.jp
原作・たくや たっくん=なかもとこうじ役
ピーチ=いかりや長介役
【馬鹿ピーチ姉妹 】
たっくん
『ピーチさんに質問があります。人間って何で死ぬんですか?』
ピーチ
『あたしは死なないもんぜったい(*^_^*)』
たっくん
『どうしてですか?人間は死ぬんですよ!』
ピーチ
『あたしはぜったい死なないの!』
たっくん
『どうしてピーチさんだけ・・?』
ピーチ
『ピーチは馬鹿だから死なないのよ!☆☆♪』
たっくん
『え?馬鹿だと死なないの?』
ピーチ
『以前貴方に御話したでしょう?
昔こんなコトワザがあったの。馬鹿は死ななきゃ治らない・・と
つまり馬鹿死ななきゃ治らないんだから治す為には死ななきゃいけないのよ
ピーチは馬鹿治す気ないもん、ずっと馬鹿だもん!
だから死なないの。あなたはどうなの?』
たっくん
『私は有能です。』
ピーチ
『じゃあ死んじゃうよ。可哀想だね〜』
たっくん
『ピーチさんは死なないんでしょう。』
ピーチ
『馬鹿だからね。』
』
195
:
たっくん
:2013/08/30(金) 12:00:21 HOST:zaq31fa5b2a.zaq.ne.jp
【バカのピーチ姉妹】
ピーチ
『あたしあんたの姉のピーチだよ』
たっくん
『本当にピーチお姉ちゃん?』
ピーチ
『ええそうよ。』
たっくん
『じゃあ次の質問に答えて下さい。
2チャンネル掲示板の利用者はバカ・・・。
じゃあピーチさんの掲示板は?』
ピーチ
『あたしの掲示板は・・アホ・・。』
扉を開ける
たっくん
『やっぱりピーチお姉ちゃんか〜よく来ましたね〜。』
ピーチ
『今日何やってるの?』
たっくん
『私、学校行こうと思ってるのよ。』
ピーチ
『やめときなさい。学校はね・・バカな人が行く所なのよ。』
たっくん
『え?何でですか?』
ピーチ
『学校ってとこには先生がいるのよ。知ったかぶりしてるのが
ものを知らない人がその先生から色々教わるわけよ。
ものを知らないって事は頭が悪いから知らないのよ。
だから知ってる人は学校行く必要ないの。』
たっくん
『じゃあ私行く必要ないや・・。だって私アタマいいから。
かしこいもんね。』
ピーチ
『そうそう。だから、たっくんは行く必要ないのよ』
たっくん
『ピーチお姉さんは行ってるの?』
ピーチ
『行くよ。だってあたし頭悪いもん。
でもあれ面倒くさいよ〜。最初、小学校からはじまって
中学、高校、大学、落第入れたら何十年も行かなきゃならないのよ〜
たまんないよ〜。』
たっくん
『そんなに長いこと行くの?』
ピーチ
『でもね、バカにもね弾階があるのよ。ピンからキリまであるの。
少しバカな人と、うーんとバカな人といるの。
ちょっとバカな人は早く覚えちゃうの小学生くらいで覚えちゃうの。
でもね時々、小学校、中学校、高校まで勉強してもまだ覚えられないバカがいるのよ』
たっくん
『そういうのいるんですか!』
ピーチ
『ソイツが大学行くのよ。』
たっくん
『それで行くんですか。じゃあ高校までで覚えられたら大学行く必要ないんですね』
ピーチ
『そういう事よ。あたしなんて小学校のうちに全部覚えちゃったから
中学校行く必要なくなったもんね(*^_^*)』
196
:
たっくん
:2013/08/30(金) 12:03:32 HOST:zaq31fa5b2a.zaq.ne.jp
バカなピーチを宜しくお願いします。
彼女のバカっぷりをご覧下さいませ。
原作・たっくん
197
:
たっくん
:2013/09/05(木) 13:44:02 HOST:zaq31fa4b5b.zaq.ne.jp
【さよならするのはツライけど&いい湯だな 替え歌メドレー】
ババンババンバンバンと♪ピーチが大爆発♪
いい気味だ〜♪いい気味だ〜♪
さよならす〜るの〜は〜ツラ〜いい〜けど〜♪
寿命だよ♪仕方がない♪
ピーチが逝くまでごきげんよう♪
あの世へ逝った〜♪ピーチが逝った♪
いいとこだ〜♪いいとこだ〜♪
突如ばあさんがピーチの背中に♪
つめてぇな〜♪つめてぇな〜♪
ここは天国 さんずの川♪
ババンババンバンバン♪ババンババンバンバン♪
いい湯だな♪いい湯だな♪
ピーチのな〜みだがポタリと背中に
時間だよ♪仕方がない♪
ここは天国、さんずの川♪
千春さんピーチさん
また会う日までごきげんよう!
馬鹿姉妹を宜しくお願いします。
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