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『邪気眼少女』 *Another Story*
88
:
心愛
:2013/04/01(月) 19:55:31 HOST:proxyag110.docomo.ne.jp
やがて、担任の指示で自己紹介が始まった。
正直に言って、関わる予定のない人間の個人情報には全く興味がない。
適当に聞き流すことしばらく、軽そうな印象の男子生徒が無難に話を終えて席に戻り、ぼくの左隣の男子生徒が立ち上がる。
隣の顔くらいは見ておいてもいいかと思い、彼が違う方を向いている間に一瞬だけ視線を走らせた。
「えーと、……初めまして、日永圭と言います。中学は―――」
ぎこちなくはにかみながら、たどたどしく言葉を選ぶ男子生徒。
これと言って特徴はないものの、なんとなく人の好さそうな顔立ちをした彼は、誰からも好感を持たれるタイプのように思えた。
何故か、ぼくはそっぽを向きながらもいつの間にか彼の声に耳を傾けていて。
彼は漫画やゲームが好きだそうだ。
リア充的外見のくせに、こちらの文化にも理解があるとは。
……さぞや、人気者になることだろうな。
隣に戻ってくる彼の気配を感じながらそんなことを思って―――
……解ってる。
こういう人は、ぼくには手が届かない存在だ。
顔も、雰囲気も全然違うのに。
『ある人』の影と重なって、必死に封じた記憶が甦って―――ひんやりと胸の奥が凍り、斬りつけられるような痛みを覚える。
今、この瞬間もクラスメイトたちに笑われ、後ろ指を指されている気がして、耳を塞ぎたくなる。みっともなく、震え出しそうになる。
怖い。
怖い……っ!
ついに自分の番が回ってきても、ぼくは動くことができなかった。
自分がしていることに、これからしようとしていることに対するとてつもない不安に、押し潰されそうになる。
ざわめきが遠い。
……馬鹿か、ぼくは。
今更何を迷っている。
ぼくが弱い、ただのちっぽけな人間だなんてこと、とっくの昔から解っていたことじゃないか。
「ゆ、結野……さん? 体調が悪いのかな?」
ぐっと、人知れず唇を噛み締めた。
ぼくは。
何の為に此処にいる?
こんな格好をしている?
脳裏にとあるキャラクターの、銀髪を靡かせる凛々しい姿を思い描く。
肉親が殺されても美しい心と誇りを失わず、復讐の為に自ら血を浴びて戦う姫君。
ぼくの何億倍もの痛みを乗り越えて、凛然と顔を上げることができる。
そんな彼女のようになりたいと、そう思ったからじゃないのか。
隣の男子生徒が、困惑の視線を向けてくるのが分かる。
もう、此処まで来てしまったんだ。こんなところで中途半端にして逃げることこそ、一番卑怯で、恥ずかしいことではないのか。
……やってやる。
徹底的に、“理想の自分”を貫いてやる。
心が固まったのを感じ、覚悟を決める。
仕方ない、とでも言うように溜め息をつき、ゆっくりと席を立つ。
靴を鳴らして歩き、教壇へ。
新しいクラスメイトたちを、目を逸らさずに、まっすぐに見る。
恐れるものなど何もない。
少しでも自分を大きく見せるように胸を張り、挑発的な笑みを浮かべて。
ぼくは、ぼくが一番格好良いと思う台詞を吐いた。
「……初めまして、と言うべきかな。
ぼくのこの世界での名は結野美羽。またの名を、ミウ=黎(ローデシア)=リルフィーユ―――魔術組織《純血の薔薇(Crimson)》の一級魔女にして吸血姫(ヴァンパイア)、赤の十四番《黄昏(イヴ)》。
……下等な人間共と慣れ合うつもりは微塵もないが、まあ一応、宜しくとでも言っておこうか」
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