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『邪気眼少女』 *Another Story*

186心愛:2013/08/26(月) 15:51:22 HOST:proxyag060.docomo.ne.jp






「圭くーん!」



良く通るアニメ声を弾ませ、美空先輩がひょっこり教室の窓から顔を出して手を振ってくる。

艶めくツインテールをさらさら揺らし、まだ外をひしめく柚木園ファンの皆様をたやすく押しのけ、ちゃっかりと教室内に入り込んだ。
こういうとき、有名人の彼女は特別扱いである。



「あ、王子いたー! 姫も」



小さな箱を姫宮と柚木園に手渡して、「わぁい」と姫宮が無邪気に喜んでいる隙に、柚木園に俺までかろうじて聞こえるくらいの声量で囁く。



「で、王子。姫にちゃんとあげた?」



「……え、と……ですね」



「もちろん手作りだよね? 料理上手って噂聞いてるし」



「どこからです!?」



柚木園が青ざめていた。
何故か隠したかったらしい。家庭的な女子ってポイント高いと思うんだけどな。



「悩むくらいならさっさと渡しちゃいなよー。ね、美羽ちゃん?」



「……そうだな」



むっつり口を引き結んでいた美羽が、それだけぼそりと言う。
美空先輩はそんな美羽に向かってにこっと笑うと、俺の腕を取った。



「圭くん、ちょっと外行こっか! 話あるし」



「はぁ」



ビシバシ背中に突き刺さる複数の殺意を感じながら、廊下へ。
そのまま突き当たりまで歩き、美空先輩がようやく足を止めた。



「はいこれ。買ったやつだけど」



「良かった。物凄く安心しました」



「どういう意味ー!?」



もろ市販のパッケージをありがたく受け取る。
塩味しかしないチョコとかはご遠慮願いたかったんだけど、杞憂に終わって本当に良かった。



「昴さんにはあげないんですか?」



「あー、昴? どうしよっかなぁ」



んー、と考える素振りを見せる彼女。



「この前、チョコ作りの練習に一日中付き合わせちゃったんだよね。全然上達しなくて、結局止められたけど」



「……?」



「あいつ、いつも無理して全部食べてくれるから、そのお礼っていうか? もし余ったらあげてもいいかなって」



「……へー」



……半分くらいノロケに聞こえたのは俺だけか?
料理下手な彼女の作ったものに文句言わず食べてくれる彼氏、みたいな。
まあ美空先輩は不器用で料理が下手っていうよりはただドジなだけだし、彼女でもないけどさ。

なんか最近、美空先輩がちょっとだけ分かりやすくなってきたような気がする。



「圭くん、今考えてることを口に出して言ってみてもらってもいいかな?」



「すみませんでした!」



目が怖い! 目が怖いです先輩!

笑顔の圧力にブルブル震えていると、美空先輩はころっと表情を変える。


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