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『邪気眼少女』 *Another Story*
172
:
心愛
:2013/08/20(火) 14:44:42 HOST:proxyag096.docomo.ne.jp
「―――あたし、昴のこと好きかも」
「唐突ですね」
きょとんとして、昴が言った。
「……驚かないんだ?」
「ええ。正直に言いますと、前から期待はありました」
「あそう」
何でもないような言い方にしようと決めたのはあたしだけど、こう簡単に受け入れられると逆にイラッとくるね。
もうちょっと、こう、リアクションとかないわけ?
しかめっ面のあたしに、昴が優しい声で尋ねてくる。
「急に、どうしたのです?」
「……別に、大したことじゃないけど」
……なんてね。
解ってるよ、あたしに合わせようとしてくれてるんでしょう?
心の中はどうだか知らないけど、変に驚いたりして、平然としたふりをしてるあたしが居たたまれなくならないように、同じように反応してる。
まったく、これだから昴は。
あたしは苦笑を漏らしたくなるも耐えて、今日の天気を話すときくらい自然な話し方に見えるよう、ひっそり努力を続ける。
「最近、気づいたんだよね。こんなのあたしらしくないって」
らしくない、とは。
昴のまっすぐな眼差しがなんだか妙にくすぐったい。
「それにそれは、美羽ちゃんの将来を社会的に守りたいっていうのと同じ方法で解決できる。だから決めたんだ」
つまり。
「使用人と好きあってても、恋人同士になっても、誰にも文句言えないくらいに、のし上がってみせる―――ってこと」
嘘をつくのは得意だけど、、いつまでも逃げてこそこそするような真似は好きじゃない。
利用できるものはすべて利用し、欲しいものは力ずくで手に入れ、大切にしたいものは全力で守る。
頂点に君臨していれば、それだけ圧力を強くなるだろうけど、うるさいお偉い方を丸め込むことだってきっとできるはずだ。
……ううん、やってみせる。
たとえ何年かかっても、あたしは決して諦めない。
それまで、昴とのことは公にはできない。
だから、あたしたちの距離はこのまま。
こっそりと秘めていた気持ちをきちんと伝えあった、まだ、それだけ。
お見合いの話は、周りに気づかれない程度に少しずつ減らしていこうと思うけど。
「ま、何年かかるか分かんないけどね」
「いくらでも待ちます」
即答する昴に、あたしは意地悪く笑って言う。
「もし、あたしが凄く頑張って、それでも許してもらえなかったら?」
「土下座でも何でも致しましょう。それでも無理なら……どうしましょうか」
これまたあっさりと答える昴。
あたしはちょっと拍子抜けする。
「本気なの?」
「はい。お嬢様と添い遂げるための苦労なら、喜んで」
「……そんな情けない真似しないでよ。あたしが恥かくから」
それを聞いて、昴は柔らかに微笑を零した。
「駆け落ちというのもなかなか魅力的ですが」
「バカじゃないの? 美羽ちゃんを置いていけるわけないでしょ? 今までの努力が全部水の泡じゃない」
「そうですね。冗談です」
昴はにこにこと楽しそうだ。
最愛のお嬢様と心が通じ合っていることが分かったのだから浮かれるのも当然か、と半ば上から目線にその訳を捉えていると、その昴の方から話題を転換した。
「ところで、お嬢様」
「ん?」
「私が、お嬢様も私と同じ気持ちなのではと淡く期待を抱いていた理由ですが」
「それ言っちゃうんだ……」
できれば聞きたくない。
でも、昴があたしのポーカーフェイスを見破ったとなれば興味があるのも事実だ。
あたしが本気で止めないのを確認してから、昴は再び口を開く。
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