したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

お気に入りのローマ皇帝

1カイザー:2002/06/13(木) 23:16
人気投票にも、『ごく稀に』参加して頂いてる方もいらっしゃるようで
すので、ここでもカキコしてくれたら嬉しいです。

好き嫌いはともかく、オクタヴィアヌスはやっぱり偉大です。
アントニウスじゃ、どう考えてもライバルとしては役不足。いっそのこ
と、カエサルが暗殺されずに2人が天下を巡って争うという歴史IFの
方が面白そうです。

321カイザー:2002/11/27(水) 21:34
シーア派では当然アブー・バクル、ウマル、ウスマーンの正統カリフ時代の3人の
カリフ位は無効の筈です。
まあ、この3人よりもアリーと戦ってカリフ位を簒奪したムアーウィアや、アリー
の子フサインを殺害したムアーウィアの子ヤジードあたりのカリフ位は全く認めて
なさそうですけど。
ちなみに、ムアーウィア1世時代にコンスタンティノポリスを包囲して、コンスタ
ンティヌス4世のギリジア火で撃退されたのは、皇太子時代のヤジードです。

322マッティアス:2002/11/27(水) 22:13
アブー・バクルはムハンマドよりおっさんだったような。いちばんメジャーなのが
征服王ウマルですね。ウスマーンもコーランやら何やら編纂した、と憶えさせられ
ましたねえ。

ギリシア火。後でイスラム側にも取り入れられませんでしたっけ?
確かビジュアル世界史イスラム世界にそんなことが書いてあった気がします。
ビチュメン(瀝青)がよく取れるんですよ、ジャズィーラ地方。
十字軍が来た頃、ムスリム軍がギリシア火を使っていたっていうのは、気のせい?
こういう敵方のやってた手段をどんどん吸収していくカンジ、初期のイスラム帝国
って、カルタゴ戦争までのローマのようですよね。
そういう勢いと柔軟性のある時代とか国って好きなんですよね。

323カイザー:2002/11/27(水) 23:06
そうなんですか?ギリシア火って、ビザンツ帝国の衰退と共に永遠に失われた技術
かと思っていたんで、イスラム世界に火薬があったのは中国経由かと思うのですが
どうなんでしょうか?

アッバース朝初期までのイスラム世界は、本当に敵ナシですよね。
そういえば、アラリックに率いられてローマを占領したという栄光の歴史を誇る西
ゴート王国はいとも簡単にウマイヤ朝のアフリカ方面軍に滅ぼされてますね。何だ
かんだ言ってもビザンツはカルタゴを巡ってムスリムと紛争を繰り返してたりする
だけに、不甲斐ない・・・。

324マッティアス:2002/11/28(木) 12:18
シーア派は、アッバース朝成立時に利用されるだけ利用されて、可哀想ですね。
ギリシア火は銃とか大砲とちょっと違って、ビチュメンをつめた樽を相手の船に投げつけ、
火を放つんだったか、火を点けてから投げ込むんだったか忘れましたが。
そんなカンジで使っていたような。燃え盛るタールだから、簡単には消せないという。
イスラムではそんな使い方をしていたようです。

そういえば、伝書鳩を使う情報網は十字軍時代はもっぱらムスリム(ヌール・アッディン
あたりはこれで大分優勢になった)側が使用しています。これ、ビザンツでも使って
ませんでしたっけ?気のせいかも。
イスラムの教えって、かなり大まかに把握すると、一般庶民には受け入れ易いでしょうね。
キリスト教やユダヤ教よりも、入りやすい。改宗しなくても一神教信者なら生活はできる
わけだし、ユダヤ人がいちばん生活し易かったのはムスリム庇護下の中世〜近代だった
というのはうなづけます。

325カイザー:2002/11/28(木) 21:56
タールと言えば、以前NHKスペシャルでシリアだかレバノンだかイラクだかで、
タールを素手で集めて船倉に塗りつけて防水処理をするという風景が放送されてた
覚えがあります。
仮にギリシア火にタールが使われてたとすると、一体どこからギリシアに輸入して
たのかとか色々想像する余地はありそうですね。

伝書鳩って、最近めっきり聞かなくなった単語ですねえ(笑)。伝書鳩はネタを仕
込むのに死ぬほど時間がかかりそうですねえ。拠点防衛には威力を発揮しそうだけ
ど、逆に攻め込む側なんかは使いづらそうな気が。
伝書鳩ってどこで初めて実用化したんでしょうね。私も良く知らないです。

イスラム教徒はキリスト教やユダヤ教の信者は教典の民として存在を認めてました
からねえ。ユダヤ教徒なんかは、下手に軟弱な形で独立してたヘレニズム時代より
も、安定した生活が遅れてたかもしれませんね。こんなこと言ってたら、殺される
かもしれませんが(笑)。

326マッティアス:2002/11/28(木) 23:51
リチャード1世時代物小説「アイヴァンホー」では、ヒロインでユダヤ人の美少女が、
父とともにイスラム圏のアンダルシアに去るのがラストですしね。
ムスリムの成人男子はちゃんと割礼しているので、他の宗教の人よりは(ユダヤ人から
見て)穢れてないでしょうしね。ってそういう問題じゃない?
ともかくセルジュクやオスマン時代(もっと前からも)が、神殿を失ったとか何とか
あるにしても、ユダヤ教徒がいちばん安全に暮らせたのではないかなと。
それにしても、ラシードアッディンがユダヤ人だというのは本当ですか?

ギリシア火にほんとにタールが使われたかどうか、自信はないんですけどね。
輸入元はヘレニズム時代ならセレウコス朝とか、シリア・小アジア方面ではないかな
と勝手に推測していました。
ギリシアにしろローマにしろ、属州としての小アジアは重要だと思います。
何だかんだで豊かだし。結構著名人を輩出していますよね。
属州アシア総督は執政官クラスの人しかなれない、アフリカ総督とならんでオイシイ
役職だったようですね。タキトゥスの最終職歴もアシア総督(たしか112年)だし。

327カイザー:2002/11/30(土) 00:15
統一時代はともかく、分裂期以降のアナトリアはローマの最重要属州ですね。
ゲルマン人の対抗勢力となり、最終的にゲルマン人を帝国運営が排除する要因と
もなりレオ3世も自称したというイサウリア人を排出した土地でウマイヤ朝やア
ッバース朝の度重なる侵攻を食い止めたのは小アジアでの軍管区(テマ)独自の
抵抗運動があったからだというのが、近頃の通説になりつつありますよね。
セルジュク朝とのマンジケルト戦いの敗戦により、小アジアの領土を保つことが出
来なくなったのがビザンツ衰退のきっかけの一つにもなってます。

逆にオスマン朝が小アジアを制したことが東方世界の覇者となる第一歩となった訳
ですし、世界史の授業では全くといっていいほど注目されないけど本当に重要な地
域と言えそうですね。

でも、エジプトって重要な属州の筈なのに、全然ローマ統治下では光ってないよう
に見えて仕方ないです。私の考え違いでなければビザンツ時代を通してもただ1人
の皇帝も輩出してないし。

328マッティアス:2002/11/30(土) 08:53
属州エジプトは特殊だったようですね。普通なら奴隷と見なされる遺棄された嬰児を
自由身分の人間が養子にすることが認められてたり、前にもお話したように、近親婚
が(統一帝国の)帝政半ばまで続いたし。法はその地域のもともとの慣習に、ある程度
あわすのがローマ式統治ですが。
国際都市アレクサンドリア以外は、ものすごく変わった土地だったと思います。まだ
パルティア人のほうが違和感無かったのではないでしょうか。それに、王家による
統治がものすごく長く続き、王は神の子だとか何とか、ほんとに異質。残虐行為を
したわけでもないから、宗教弾圧もできないし。
思い切りローマ文化になじむ地盤が薄いのだと思います。だから皇帝も出ないのでは
ないでしょうか。かなり強引な解釈ですが。

アナトリアに関しては、ほんとに東西の交差点というか、重要な土地ですよね。
ヒッタイトだってアナトリアに興った国だし。自然環境・文化環境双方から、非常に
豊かでもあり、古来から(領土)戦争も絶えないところだと思うのですが。

329カイザー:2002/12/01(日) 11:44
エジプトはギリシア・ローマ文化には全然馴染まなかったということなんでしょう
ね。その代わり支配者には従順で生産力も高く統治するだけなら申し分ない属州だっ
たということかもしれませんね。

そういえば、アレキサンドリアはウェスパシアヌスが第二次ベドリアクムの戦いの
時に滞在してましたよね。
もし、ベドリアクム戦でアントニウス・プリムスが敗退してムキアヌスがローマへ
入場できなかったら、エジプト・ユダヤのウェスパシアヌス・ティトゥス父子とウ
ィテリウスの間で内乱が長引いたかもしれないですね。
まあ、ウィテリウスがトチ狂った元老議員にでも暗殺されてオシマイというシナリ
オに落ち着きそうな気もしますが(笑)。

330マッティアス:2002/12/01(日) 20:45
ムキアヌスやケリアリスって、なにげにスエトニウスに悪く書かれてますね。久々に
流し読みしてびっくり。この文章読む限りでは、よくウェスパシアヌスを支持する気に
なったものだと思ってしまいます。

ウィテリウスは議員よりも結局は軍隊に殺されそうですね。行き詰まった挙げ句に。
で、そのあとは?共和政万歳?…ありえねえ〜。

エジプトに関しては、ほんとそんなかんじです。よくイスラム化したものです。
コプト派など東方教会もかなり、幅を利かせていた気もしますが。

331カイザー:2002/12/02(月) 00:28
ムキアヌスは金の亡者だみたいな記述はあったような気がしますが、あんまり覚え
てないですねえ。皇帝になるより、皇室に忠実な元老院議員という立場の方を選ん
だということでしょうね。不勉強で全然知らないのですが、ムキアヌスの家系って
五賢帝時代の時とかにも活躍してるんでしょうか?

イスラム支配直前のエジプトはコプト派とか単性論が多数派を絞めていて、カルケ
ドン公会議によって単性論をも異端視するようになった正統派の迫害の対象になっ
ていたという辺りが、異教に寛容なイスラム教を受け入れた契機になっているよう
ですね。
今でもコプト派の教団がエジプトやエチオピアにはあるみたいですし。
そういえば、ファーティマ朝が支配していた頃のエジプトって、シーア派が多数派
だったんでしょうか?それとも、単に支配層がシーア派なだけで住民はスンナ派ばっ
かりということですかね?

332マッティアス:2002/12/02(月) 11:11
>ファーティマ朝時代のエジプト
多分、サラディン政権をあっさり受け入れいてたことから、シーア派は軍隊を含む、
支配層がほとんどで、住民はスンニーか東方教会系キリスト教徒、ディアスポラ・
ユダヤ人などが大半だったと思います。
アル・ハーキムとか、狂人扱いされるか一部の熱狂的シンパに神格化される極端な
イマームとかいましたけど。エジプトの住民って支配層の交代にあまり関心が無かっ
たのではないかとさえ、思う事があります。少なくとも、一般書を読んでる限りでは
住民が支配者に対して反抗する、ってケースをほとんど見かけない気がします。
まったくもって従順かつ豊かな、支配者に都合の良い土地だと思います。

ムキアヌスはウェスパシアヌスのことを、当初は自分より格下に見ていたため、軍隊が
そっちを支持する動きが無ければ、ウェスパシアヌスにつく気が無かった、みたいな
記述をされていました。まあ、シリア総督といえば、それなりのキャリアだし。
ケスティウス敗走後に任ぜられたとなれば、それなりに能力がある人なわけで。
せっかくその後執政官に就いたり、権力を欲したりしないで頑張ったのに、スエトニウス
にはそれが偽善に映ったようです。

333カイザー:2002/12/02(月) 22:44
エジプトってそんなもんなんでしょうね。
それにしてもシーア派ってあんまり布教に熱心じゃないんでしょうか?支配層が百
年以上シーア派だったのに、今のエジプトやチュニジアではシーア派って全然耳に
しないですもんね。そういや、ファーティマ朝ってシーア派最大の帝国なんですよ
ね。
今、アラブ人でシーア派なんていてるんでしょうかね?私は完全にイラン系の宗派
というイメージを持ってしまってます。

ムキアヌスがウェスパシアヌスよりも格上なのは、事実でしょうね。事実かどうか
はともかく、ドナウ軍団はウェスパシアヌスではなくムキアヌスを擁立したかった
らしいですしね。
もしムキアヌスに野心があれば、ウェスパシアヌスがムキアヌスの簒奪劇に協力さ
せられたであろうとは思いますね。そうなってれば、ウィテリウスがフラウィウス・
サビヌスやドミティアヌスを人質に取る意味は薄かったでしょうから、サビヌスと
してはそっちの方が良かったかも(笑)。

334マッティアス:2002/12/02(月) 23:35
シーア派は確かに、いまではイラン以外思いつかないですよね。
もともと少数派の上に、細かく思想の異なる宗派がいっぱいあるので、なかなか国家
建設もムツカシイのではないかとも思いますよ。
スンニーはハナフィー派やら何やらあっても、比較的穏健で深く対立してないので、
どうしてもそっちが多数派になるし、まとまりやすいですからね。

ムキアヌスとウェスパシアヌスもそうなんですけど、基本的にその戦争のための特別
司令官と、その土地にいちばん近い軍団付きの属州総督って、揉めやすいですよね。
コルブロがパルティアに行った時もそうじゃないですか。コルブロはしょっちゅう、
他の司令官と揉めて、ひとりで見せ場作ってますけど。
実際の所、どちらも前執政官の資格で複数軍団の最高司令官なわけで、どちらが上か
決まってないのでしょうね。だから、野心家同士だとうまくいかない。

ムキアヌスに野心があったとしても、シリアの軍団がウェスパシアヌス支持だったと
なると、立てないでしょうね。遠くの属州の支持より、枕もとにいる軍団のほうが、
格段に怖いですもの。

335カイザー:2002/12/04(水) 22:10
実際はそうはなってないんで意味のない妄想ですが、ベドリアクム戦のどさくさに
紛れてムキアヌスがローマ市で元老院を脅迫して皇帝即位宣言とかしてたらえらい
ことになってたんじゃ。
ローマを占領したのはドナウ軍団ですからね。
逆に言えばウェスパシアヌスはそこまでムキアヌスを信用していたということなん
でしょう。

三国志の初期の頃なんかだと、刺史と太守が対立してたりしますよね。あんまり混
乱が激しいので、この両者を統合した牧という地位が成立して、強力な権力を持つ
牧となった曹操や袁紹らが軍閥化していくことに繋がっていくのです。

336マッティアス:2002/12/04(水) 23:39
ムキアヌスとウェスパシアヌスが両方皇帝を名乗る事になり、尚且つウィテリウスが
存命という状況が出てくるわけですね。すごい。ますます混乱が深まりますね。
でもなあ、最終的にはウェスパシアヌスが勝つんじゃないかなあ、とか。
オトでさえ、市民同士の戦争に心を痛めて自害したのだから、ムキアヌスがある程度、
まともな思考の持ち主ならば、さらなる混乱と破壊を招こうとは思わなかったのでは
ないでしょうか。

ローマでは中国のように、その土地に長期間(っていうか終身だったり世襲だったり)
封ぜられなかった……属州総督の任期は複数年に亘るといっても、あくまで仕事で、
皇帝の代理人だったことが、軍閥を生まなかった原因ですかね。
属州民が皇帝に訴えるチャンスもあったわけですし。少なくとも帝政前期はとっても
中央集権がうまく行ってますよね。

337カイザー:2002/12/07(土) 01:27
ユリウス・クラウディウス朝〜五賢帝の頃までは、プロ・コンスル資格者で属州総
督をたらい回しにするというローマ独自のシステムはいい感じで機能してますよね。
ペルディナクスやディディウス・ユリアヌスはこのシステムの中で最大の成功を収
めた元老院議員と言えるでしょうね。
まあ、末路は哀れ極まりないのですが(笑)

でも、セヴェルス朝の崩壊と共に当然の如く中国後漢末期のように属州の軍閥化が
進みパルミュラのオダイナトゥス(ゼノビアの夫)やガリアのポストゥムスという
独立勢力によって、辺境防衛がなされるとうになってしまいます。
あくまで中央政府が安泰でなおかつ周辺地域に対して軍事的に優位な状態でなけれ
ば、プロ・コンスル資格者に属州総督を歴任させるというのは、困難なシステムで
はないかと思います。

軍人皇帝時代に破綻してしまったこのシステムを再構築しようとしたのが、ディオ
クレティアヌスの四分統治制だと思うのですが、不勉強な私は後期帝政の属州総督
選出のシステムがいまいち分かってなかったりします。(←あかんやん)

338マッティアス:2002/12/07(土) 07:13
ああ、なるほど。隣国に対して優勢だから、中央がやりやすいカタチを採れてるんだ。
確かに、総督を入替えてる間、敵は待ってくれませんからね。
それに、マルクス・アウレリウスのときもすでにそんなだったらしいですが、周辺国
がしょっちゅう攻め入ってきたり、疫病があったり反乱があったりすると、始終、
人材不足なんですよね。だから、どうしても執政官クラスの人どころか議員も不足して、
騎士階級をがんがん投入する必要にせまられるし、なかなか配置換えできないのかも
知れません。

339カイザー:2002/12/07(土) 17:41
昔のローマの属州総督選出方法って、今の日本外務省の各国大使の任命方法とよく
似てるように思えますね。キャリアを持つ人物で主要ポストをたらい回しにすると
いうのは、一長一短あることでしょう。
まあ、軍権や徴税権を持つローマの総督と限られた権限しか持たない日本の外国大
使を比べても意味はあまりないんですが。

全然時代は違いますが、ユスティニアヌス1世の懐刀の宦官ナルセスは名将ベリサ
リウスの後任として対東ゴート戦を引き継いでからイタリア総督となっており、ユ
スティヌス2世時代に解任されるまでの20年以上その地位を保っていたりします。
重税を課して住民からは嫌われまくっていたそうで、ランゴバルド王アルボインの
侵攻にあっさり領土を奪われたのはこの辺も原因なのかもしれません。

340マッティアス:2002/12/07(土) 20:56
重税ってゼッタイ破綻しますよね。シュミレーションゲームでも。
宦官が結構高官になれるのも、ビザンツの面白い所ですよね。宦官のくせに後宮にいる
わけじゃないし。(もっともイスラムには武人宦官もいますが)
そういえば、ビザンツでの宦官の法的身分、ってどうだったんでしょう?結婚はできない
とか、何か規制はあったのですか?皇帝にはなれないのは、自明の理ですが。

341カイザー:2002/12/07(土) 21:13
ナルセスは元々糸紡ぎを生業にしていたそうですが、宦官になった理由とかは良く知
らないです。ナルセスは宮廷でユスティニアヌス1世の侍従となり、ユスティニアヌ
スにおべっかが気に入られて外交交渉などを任されて軍事方面への才能を認められて
ベリサリウスの配下として初期のイタリアでの対東ゴート戦にも参加しています。

ナルセスはベリサリウスに敵愾心を持っていたようで、「ローマ帝国衰亡史」の中で
はベリサリウスの作戦を無視するかのような行動に出ることもあったみたいです。

ユスティニアヌス1世がベリサリウスをイタリアから左遷したのは、ベリサリウスが
ローマ元老院と共謀して西皇帝即位宣言をてししまうのではという猜疑心が原因とも
言われてたりします。
ナルセスは宦官だから(おそらくは当時でもあったであろう偏見から)皇帝にはなり
得ない存在として、イタリア総督に任命したのかもしれませんね。
でも、ナルセスが解任されたのは、イタリアへの過酷な統治が原因ではなく、先帝時
代の派閥に属するナルセスを疎ましく思ったユスティヌス2世の皇后ソフィアの陰謀
だというのが一般的な見解かと思います。
この直後にランゴバルド族のイタリア侵攻が起こるのですが、新総督のロンギヌスは
ランゴバルド族とまともに戦いさえしてなかったりします。
自身の栄光が失われていくのを聞きながらナルセスは、ナポリで憤死したと言われま
す。

342マッティアス:2002/12/07(土) 21:56
う〜ん…世阿弥の失脚みたい。前の主君が死んだ途端、次代に疎まれるの。
ていうか、父なり前任者が偉大で、つねに劣等感を持っていた相続人の場合、大概は
前任者の側近を粛清なり解任なりしますよね。
>ナルセスの解任

宦官に対する偏見=子をなしえない、半男性、もありますが、五体満足でないと王座に
就けない、というキリスト教=ユダヤ的思想の影響もありますよね。ナルセスが帝位を
奪う危険性がないと見られたのには。
しかし、おべっかで外交戦術の素養を認められるのはわかりますが、軍事的才能はどう
やって見抜いたのでしょう?何か差し出がましいご意見でもしたのでしょうか(笑)?

343カイザー:2002/12/07(土) 23:09
どうなんでしょうね、まだユスティニアヌス1世の時代では目潰しや鼻削ぎで皇帝へ
の復活の芽を摘むという習慣はなかったですからねえ。

ちなみに鼻削ぎの第一号はユスティニアヌス2世リノトメトス(鼻削がれ帝)です。
反乱によって鼻を削がれてハザールへ追放となったユスティニアヌスは、不屈の精神
でハザールを脱出して、ブルガリアのテルベリス・ハンと同盟を結びブルガリアの軍
勢を率いてコンスタンティノポリスを包囲して、帝位を奪回しています。
復讐の鬼と化した復位後のユスティニアヌスは、簒奪者のレオンティウス(ちなみに
鼻削がれ2号)とさらにレオンティウスから帝位を簒奪したティベリウス3世を血祭
りにし、これでもかというぐらいの恐怖政治を行って、破滅してしまうことになりま
す。
一応、このユスティニアヌス2世がヘラクレイオス朝最後の皇帝だったりします。

344マッティアス:2002/12/08(日) 20:38
ひいい〜、「鼻削がれ」ってなんか嫌だ〜(ToT)!!怖いよぉ、助けてお兄ちゃあん。
目潰し鼻削ぎ耳削ぎ禁止〜。痛いじゃないか〜(涙)。ざっくり殺すより、読んでいて痛い感
強いんだってば。ぜえぜえ。

気を取り戻して。ハザールも変わった国ですよね。アジア系なのに、ユダヤ教に改宗した
謎の王国ハザール。ゼミ友が卒論テーマにしたら、邦語文献が(文学作品しか)ない!
と大騒ぎだったハザール。ヘタするとブルガリアより資料無いんじゃないですか?

345カイザー:2002/12/08(日) 20:50
ハザールの資料なんて見たことないですね。結構、興味はあるんで見れば絶対に覚え
てると思います。ユスティニアヌス2世はハンの妹を嫁にしてテオドラという洗礼名
を与えたりしたみたいです。

現在のユダヤ人は従来のパレスチナ系と突然変異的に改宗したこのハザール系との二
派があって、ヨーロッパにいたのは後者だとする説があるようです。でもユダヤ人的
にはハザール系を自称するのが不味いようで、この説は至って不評のようです、とい
うかなかったことにされてるみたいです。

346マッティアス:2002/12/08(日) 21:31
「ハザール」というタイトルの女性用・男性用分かれた謎の本が、6〜7年前に出た
みたいです。ジャンルは、ここいら(東京)では歴史に分類されたようですが、内容は
どうみても幻想文学系だったと友人は語っていました。自分では読んでいないので、
何とも言えませんが、「暗殺教国」や「ヘリオガバルス」並みにジャンルが謎の書物
なようです。

そうですか、いまのユダヤ人にはハザール系が実は多いかも知れないのですね。
ユダヤ人て、妙に整った深刻そうな顔立ち、ってイメージが勝手にあったのですが、
フラウィウス・ヨセフスのといわれている肖像が、なんか普通にヘレニストっぽくて
妙にがっかりしたんですよね〜。あまり関係ないですが。
人は自分の起源を古いものとみなしたがりますからね。ユダヤ人として何千年も遡れ
る先祖がいる〜、ってのとキリスト教以後に突然改宗した民族の子孫、てのとでは、
なんて言うか全然威厳というかありがたみが違いますものね〜。

347カイザー:2002/12/08(日) 23:13
ハザールがあっさりと滅んでなかったら色々と空想でない説が出て来るんでしょう
が、ローマ側の間接的な2次資料しかないようでは難しいでしょうね。
なおかつ、ヘラクレイオス朝〜イサウリア朝にかけてのローマはイスラムの侵攻と
ブルガリアの圧迫によって滅亡寸前に追い込まれてて資料の数が極端に少ないと来
てるから尚更ですよね。

まあ、エフタルにしろアヴァールにしろ、まともな日本語資料が見あたらないけど
重要な民族って色々ありますよね。ブルガリアやハンガリーなんかは、後継国家が
今でも存在してる分だけまだ扱いはマシな方なんでしょう。

348マッティアス:2002/12/08(日) 23:30
そうですね。後継国家って大きいですよね〜。例えば、歴史記述を始めてない段階の
強国に滅ぼされた弱小民族、なんてもう、神話伝承文学の類になって、資料が残らない
でしょうね。
ヒッタイトも、エジプトとか隣国との関連でしか、よくわかってないのではなかった
でしょうか?とりあえず「おけもん」(王家の紋章のことをギャルはこう呼ぶ)での
キャロルの名台詞「ヒッタイトが鉄を発明した頃だわ!」は読者以外にも有名(?)
ですね。カデシュの碑文はアンカラの考古学博物館で見ました。

349カイザー:2002/12/09(月) 21:02
アンカラは行っただけど何処を観光したのかあんまり覚えてないですね。とりあえずは
ローマの浴場跡に行ったのは間違いないですね。それと博物館みたいな所にも行って
るんですが、そこが考古学博物館だったかはもう記憶の彼方に失われてしまってます。
確か死ぬほど長い階段を昇らないといけなかった覚えがあります。
でも、トロイとイスタンブルでトロイの木馬の模型は見物しましたよ。トロイのは実
際に上れて面白かったです。

エジプトの新王国時代って言っても相当ながいスパンな訳だから、下手したら江戸時
代と太平洋戦争ぐらいの時代の誤差はあり得そうですよね。
「王家の紋章」のキャロルにしても「天は赤い河のほとり」のユーリにしろ、全然普
通の女の子じゃないですよね。二人とも方向性は違っても凄まじい才能の持ち主だと
思います(笑)。

350マッティアス:2002/12/10(火) 22:17
>「王家の紋章」のキャロルにしても「天は赤い河のほとり」のユーリにしろ
すごいですよね、って、実はどっちも読んでいないのですが(爆)。
トロイの木馬は、1度目暴風雨の中よじ登りましたよ。TMRのように髪がなびきました。
アンカラといえば、アタテュルク記念館というか陵墓?も印象的でした。これが、ケマル
の着ていた軍服〜、みたいな大興奮でした。記憶飛んでますが(苦笑)。

今日、やっと「痛快!ローマ学」を購入してみたものの、すでに挫けかける情けない私。
「ローマ人」も出てましたね。来年に入ったら図書館で借ります。←やる気ねえ〜☆
塩野さん、中世イスラムの王国(特にオスマンとか)に対してはどう思ってるんでしょう。

とりあえずネット古書でようやくゲットしたSPQRは、考証とか人物描写とか、半端
なくしっかりしているなあ、と感心させられました。面白かったですよ。
主人公が約50年後(40年かも)に、共和政末期のローマを回想している設定のミステリ
なのですが。「第一の市民の時代においては」などと、苦々しげに語られると、かなり
入ります。カティリナとかアントニウスが、結構好きなんですけど。

351カイザー:2002/12/12(木) 00:53
「SPQR」って本、私は知らなかったですね。なかなか面白そうですね。私は「背
教者ユリアヌス」の上巻を紛失したのにショックを受けて、めっきりやる気がなくな
りつつあります(笑)。

カティリナとアントニウスが好きなローマ人というのも今ひとつピンとこないですね
え。ポンペイウスなんかは帝政時代にも地味に人気者だったそうですが、カティリナ
がどういう評価を受けていたのかというのは、ちょっと聞いたことないですね。
カティリナの陰謀もどこからどこまでが本当なのか・・・。キケロが胡散臭く思える
のは私の見方が歪んでるんでしょうか?

352マッティアス:2002/12/12(木) 09:36
主人公D.カエキリウス・メテルスが彼らを好き、というよりは読んでる私が好きなん
です(爆)。2作目、邦題はピンと来ないけど、原題を見るとカティリナ事件とすぐわか
るんですよね。アントニウスはちょっと出てくるだけですが、2作目で初登場。超美形。
彼らふたりの類似性、を主人公が語った時、なるほど!と。カエサルやクローディウス
もなかなか素敵です。キャラ立ってる、というイミで。キケロも素晴らしいです(笑)。
SPQRシリーズは、アメリカ本国では結構人気でペーパーバック賞にノミネートされ
たりして、現在7作目まで出ているのですが、日本では2作目まで出て、廃刊です。
ローマファンじゃなきゃ、ちょっとツライかも、です。Book Offとamazonでゲットし
ました。

昨日、友人から受け取ったフラウィウス関連の論文を2冊読んで、新発見というか、
新事実を知りました。父トラヤヌスの妻って、ティトゥスの2番目の妻(フラウィア・
ユリアの母)の姉妹なんですって。あらあら。

353カイザー:2002/12/13(金) 20:10
「SPQR」暇なときに、古本屋でも探してみます。文庫本なんですか?
もう、普通の本屋さんで探すのは無理なんですよね。

トラヤヌスってフラウィウス朝と血縁関係あるんですね。それだけが理由でもないと
は思っていますが、トラヤヌスがドミティアヌスに比較的好意的だったのも納得です
ね。
それにしてもドミティアヌスって、帝政時代を通して評価が悪かったんでしょうかね
え。ネロなんかにも言えることですが、一度固まったイメージを再検証するという習
慣なんて、なかったんでしょうねえ。
今の日本でも似たようなもんですが。

354マッティアス:2002/12/14(土) 21:09
そうですよね。でも、ネロのがまだ人気あるでしょう。愛嬌あるから。ドミティアヌス、
ちょっと暗いし真面目すぎて、もとの田沼のにごり恋しきってヤツですよ。
しかし、フラウィウス時代に関する論文を何本か書かれている桑山由文先生、ファン的
には嬉しいんだけど、彼らを持ち上げすぎと言うか、重要性を訴えすぎ。
トラヤヌスは血のつながりこそ無いが、フラウィウス朝最後の皇帝であった!みたいな
ことを力説されると、笑ってしまいます。私、性格悪いですね(汗)。

SPQRシリーズは文庫です。ハヤカワミステリアスプレスだったと思います。
『古代都市ローマの殺人』『青年貴族デキウスの捜査』の2作のみ邦訳されてます。
作者はジョン・マドックス・ロバーツです。SF作家としてのが有名です(笑)。

塩野さん、「ローマ人」シリーズ読む限りではフラウィウス朝の評価高いんだと思って
いました。なんか、「痛快!ローマ学」の皇帝成績表、気分でつけた?ってくらい、
納得いかない部分があります(苦笑)。そもそもカエサルって全部100かなあ?

355カイザー:2002/12/15(日) 01:09
トラヤヌスの父親がフラウィス朝の女性と結婚してたぐらいじゃねえ。
男女差別と言われるかもしれませんが、普通は母系の繋がり(しかも遠縁)だけでは
同王朝とは言わないでしょう。

「痛快ローマ学」は今日本屋さんで購入してきましたが、まだ1ページも読んでいま
せん。塩野先生のカエサル贔屓はネタなのか、脳内妄想(←ひでえ)なのか、多分後
者なんだろうなと思いいつもうんざりしています(笑)。
塩野さん、本気でカエサルをALL100点だと思ってるんでしょうね。

私ならディオクテティアヌスや腹黒いコンスタンティヌス1世辺りに高得点をつけた
くなりそうですが、本編で未登場の彼らには一切言及してないんでしょうね。

356マッティアス:2002/12/15(日) 22:49
うん。五賢帝までしか載ってなかった。別にイイんだけど、カエサルの説得力が100だったら
暗殺なんてチョ〜有り得なくない?(ギャル風に読むべし)
ナナミ的にはカエサルほどすごい人って、どう考えてもありえないっていうか〜、って
カンジですかね。恋は盲目になりきれない私は、ときに彼女が羨ましくなります。

桑山先生がトラヤヌスを「フラウィウス朝最後の皇帝」、と言ったのはむしろ、彼までが
ウェスパシアヌスからの政策(主に当方関連)の流れを汲んでいる、という点です。
人材登用に関して、初めて東方属州出身のコンスルを出したのがウェスパシアヌス。
複数のコンスルや軍隊付属州総督を出したのがドミティアヌス。東方出身者の議員や
高位の人の数が圧倒的に増えたのがトラヤヌス、なのだそうです。

357カイザー:2002/12/19(木) 00:17
「痛快!ローマ学」通信簿の所だけ流し読みしました。
塩野先生の妄想ぶりは相変わらずで、いい加減あの人のFanを止めるときが来たの
かなと自分自身を見つめ直したくなる今日この頃です(笑)。

ペリクレスとカエサルだけが100点満点て・・・。どう考えても塩野女史の好みで
点数つけてますね。依怙贔屓ならそれはそれでいいのですが、何でしょうもない理論
武装をしようとするのかなと。
「カエサル萌え〜」とか書いてくれたら、個人的には塩野先生の評価は格段に上がる
のですが・・・。そしたらエセ歴史ファンの政治家や経営者達はあっという間に塩野
先生の周りから離れていきそうで、私的にはこれでオールOKです(笑)。

桑山先生の著書を読んでないんで何とも言えないのですが、東方出身者の登用が行っ
たのはフラウィウス朝に限ったことでなく、五賢帝時代以降も西ローマ帝国の滅亡に
至るまで一貫した傾向だったんじゃないかなという気がします。アウレリアヌス〜デ
ィオクレティアヌスの軍人皇帝時代を収拾した皇帝達は東方のイリリクム出身ですし
ね。
もしかしたら、ハドリアヌスやアントニヌス・ピウスの時代には反動で西方出身者が
優遇されたりしてるのでしょうか?

358マッティアス:2002/12/19(木) 11:26
桑山先生は東方出身者登用に関して、ユリウス・クラウディウス朝からの転換期としての
フラウィウス時代、と考えているようです。トラヤヌスはフラウィウス時代からの変革の
完成または頂点として位置付けられているようです。
ユリウス・クラウディウス時代には東方に対する抜きがたい偏見があって、高級官職には
東方出身者がなかなかなれる状態じゃなかった、と。
トラヤヌスの政策(完成型)が五賢帝時代の統治の、基本形となったのではないでしょうか。
キリスト教問題に関しては、トラヤヌスのプリニウスへの勅答が基本だし。
とはいえ、桑山氏はフラウィウス朝がほぼ専門のようなので、多少偏りはありますね。
「五賢帝」び南川先生は実はマルクス・アウレリウスとセウェルス朝が、もともとの研究
対象のようですが。

塩野さんの通信簿の強引な理論武装に関しては…笑うしかないですよね。ホント。
贔屓ですよ、って言ってくれれば、どんなにか共感できることでしょう。ところで、実は
文章読んでいないので、どういう基準なのかわからないのですが、説得力ってのは後世の
人から見て、ってことなのでしょうか?相手が同時代人ならば、カエサルのそれは下がる
はずだし、逆にアントニウスはそこそこ高いはず。ピウスなんか100でも良いのでは
ないかと思ったんですよ。

359カイザー:2002/12/21(土) 18:37
ユリウス朝の頃は東方出身者というより、非イタリア以外のローマ人への偏見かとい
う気もしますが、ユリウス朝時代でもガリアやイスパニア出身者もそれなりには出世
してたのでしょうか?
確かトラヤヌスはイスパニア出身でしたよね?

「痛快!ローマ学」は今日から読み始めました。ローマ史を学ぶことの意義をあれこ
れ書いてたのはまあいいのですが、それと併せて日本史も勉強するべきだとの言葉が
なかったのがどうにも納得できません。
当然だから書いてないだけなんだろうか。

360マッティアス:2002/12/22(日) 21:06
どうでしょう?塩野さん、イタリア人ですから(笑)。←かつてゼミの先生が言ってた言葉。
「男の肖像」読んだ限りでは、日本史もお好きだったようですがね。それとも人物萌え?

帝政時代でガリア出身で最初に出世した有名人は、やはり初代エジプト代官のコルネリウス・
ガルスでしょう。BC26には早くも失脚して自害してますが。
それに、クラウディウスの演説で、ガリア(特にナルボネンシスやキサルピーナ)は早い頃から
議員を出せるようになっていましたよね。ウインデクスやウェルギニウス・ルフスも確か、
ガリア出身じゃなかったかな?
ヒスパニアは、トラヤヌス父くらいしか知らないのですが(爆)。西方の属州にはわりと早く
から門戸が開かれていたような気がします。

361カイザー:2002/12/23(月) 21:41
ガリアやイスパニア出身者は比較的早い段階から政権の中枢を担っていたのですね。
東方といってもギリシア人なんかはそうでもないでしょうが、後期帝政で活躍するイ
リリクムの出身者なんかは完全に蛮族扱いだったんでしょうね。

蛮族といえば、「痛快!ローマ学」塩野先生の妄想の中のサッカーチームにスティリ
コが出てて、不覚にもちょっと嬉しいとか思ってしまいました(笑)。密かに終盤で
はスティリコが活躍するお話にしようと構想を練っているのかもしれません。

で、そのサッカーチームを評して
「いやはや、我ながらすごい布陣が出来てしまったものである。はたして、この古代
版ドリーム・チームと21世紀のスター選手を配したドリームチームが戦ったら、ど
ちらが勝つだろうか・・・・・その予想は、あえて言うまでもない気がするのですが。」
とのドリーミーなコメントが・・・。
いや言うまでもないって、その書き方じゃ現代サッカー選手が負けるみたいじゃない
ですか!?
政治や軍事ならともかく(というかそれこそ勝負になんないでしょうが)ことサッカ
ーでの勝負なら、ロナウドやデルピエロやカーン様の現代チームが負ける可能性なん
てありえない。
これは、塩野先生の妄想ネタですよね?

362マッティアス:2002/12/24(火) 12:01
え?それは古代チームが負けるってコトじゃなくって?(←オニ。)
だって、オクタウィアヌスとかドミティアヌスなんて、出るだけで足引っ張りますよ。
ヤツら運動神経どころか体力が無いんだから。45分もフィールド走れません。
それより私は前半攻撃主体チームと後半バランス型チームの対戦が気になる。
塩野さんから見れば後半チームがあからさまに好みっぽいので、そっちが勝つのでしょうが。

スティリコ、活躍して欲しいと思う反面、塩野さんが気に入ったり贔屓にすると、ドリーム
すぎてうそくさい(私には愛せない)キャラ造形になるので、考えちゃいます。
カエサルはもとより、ティトゥスとかトラヤヌスがね、何て言うか物足りないの。ドミティも。

363カイザー:2002/12/25(水) 01:20
そうなんですよね。塩野七生さんがヨイショすると、嫌なところをなかったことに
して誉め殺しにしちゃうんで却って嫌な奴に思えてしまうんですよね。
スティリコもそういう描かれ方になりそうで、今から不安になってきました。サッ
カーチームに名前が挙がってるのを見て喜んでるようではダメダメですね(笑)。
コンスタンティヌス1世もユリアヌスも飛ばして唐突にスティリコなんていう微妙
なポジションの人物名があがってるという辺りがマジやばそうです(笑)。

個人的にはコンステンティウス3世とかリキメールに塩野先生が萌えてくれれば、
私のお気に入りの末期帝国時代をちゃんと記述してくれそうで凄く嬉しいのですが、
多分それは無理でしょうねえ。

364マッティアス:2002/12/25(水) 12:01
いや、私もサッカーにドミティとティトゥスが入っていたので、一瞬♪状態でした。
私見ですが、塩野さんはきっとユリアヌス嫌いですよ。現実を見てない夢想家だから。
スティリコは心配ですよね。「ローマ人」最新巻は来年2月頃読むのではないかと思う
のですが、セウェルスがどういう扱いになっているのか、気になっています。

光ばかりで影というか闇を見据えないと、すごく人物造形が薄っぺらになるんですよね。
まあ、たしかにダメな男ではあるのですが、クレオパトラ小説アントニウスが、軽薄に
見えるのと同じ理論ですかね。そうね、魅力的なのはよくわかったわ、ってカンジで。
たまに闇のない人間もいますが、そういう人って結構面白くなかったりしますしね。

365カイザー:2002/12/27(金) 23:27
スティリコって実は功績だけの人物でもなかったりするんですよね。
ミラノを包囲する西ゴート王アラリックを撃退する為にガリアやイスパニアのローマ
軍を投入するという選択をスティリコはするのですが、このことによって手薄になっ
たライン国境を越えてヴァンダル族、スウェビ族、アラン族がローマ領に侵入すると
いう決定的ともいえる問題を引き起こしてたりします。
イタリアの軍勢は弱体でアフリカは内乱の最中、東ローマの皇帝アルカディウスとは
仲違いしててスティリコ暗殺計画を企てているという状態では止むを得ない事態だった
とも言えるのですけどね。

対東ローマの外交も考えればスティリコの死はデメリットだけでもなかったのかなとも
思ってたりします。

366マッティアス:2002/12/30(月) 22:04
本体が弱っていると、ハッキリ言って打つ手ないですよね。何かを失ってもデメリットも
メリットもそんなにないか、両方そこそこ、ってカンジで。
正規軍がアテにならず、傭兵にだけ頼るようになると、大体弱体化が早いですしね。
それにしてもそうか、スティリコの死で対ビザンツにはメリット(というか光明)もある
可能性があったのか。
塩野さん、その辺は書いてくれるのかなあ?

367カイザー:2002/12/31(火) 22:49
スティリコが死んでたからかどうかまでは私も断言できないのですが、アラリックが
ローマを包囲してホノリウスの政府と交渉している時に、雀の涙程度とはいえアルカ
ディウスが援軍を派遣してるんですよね。もちろんマッティアスさんもご存じの通り、
ローマ市は西ゴート族に占領&略奪されてしまったので結局役には立ってないんです
が。

これ以降の西ローマは打つ手がハズレばかりでもないんですが、ヴァンダル族のアフ
リカ占領→完全なる独立王国の建設という、致命的すぎるダメージを最後までどうす
ることも出来ずに滅んでしまいます。
あんまり一般的な認識はされてないのですが、ローマを滅ぼしたのはアラリックでも
アッティラでもオドアケルでもなく、このヴァンダル族を率いたガイセリックだと言
いたいのですが、理解して貰える知識がある人が身の回りに誰一人居なくて寂しいで
す(笑)。

368マッティアス:2003/01/01(水) 01:15
そういえば、世界史の授業の時「ガイセリックという名前は受験にはでないけれども、
憶えておいてね」みたいなことを、大嫌いな先生が言っていました。
カノジョがギリシア(&ローマ?)萌えでなければ、もう少し早くローマ史も勉強した
でしょうに。悔やまれます(笑)。
ごめんなさい、今年こそギボン読みます。まだ1巻前書き部分(著者の、訳者の)に捕まっ
ております。もうちょっと先の帝国までの通史も勉強するのが今年の課題ですね。
というわけで、元旦らしくカイザーさんの今年の抱負は?

369カイザー:2003/01/01(水) 07:42
ギボンをイッキ読みするのは、流石のマッティアスさんでも無理なようですね(笑)。
私は学生時代に2年ぐらいかけて読んでは戻っての繰り返しで読み切った・・・と
当時は思ってましたが、全然内容を覚えてないし今でも死ぬほど見直してるのに理解
が深まっていきません。

上記の私のカキコ少し間違ってますね。スティリコの死の直前にアルカディウス帝は
病死しており、ホノリウス帝に援軍を派遣したのはテオドシウス2世時代でした。だ
から、スティリコの死と東ローマとの対外関係はあんまり関係なかったのかもしれま
せんね。アルカディウスと共に反スティリコの筆頭だったゴート人部将のガイナスも
戦死してた筈ですからね。

370マッティアス:2003/01/01(水) 21:27
う〜ん…じゃあ、どっちもタカ派が同じ頃死んだので、うやむやに解決したカンジですか?
なんだかそれもビミョ〜ですねえ(笑)。現実なんて、そんなものなのかも。

ちなみに私は、本を読むスピードがとんでもなく遅いです。キッパリ!
音読するようなペースで、ときどき頭がほかの事考えたりしてるので、コバルト1冊読む
のと、岩波文庫1冊読むのがほぼ同ペースという、不思議な脳内構造してます。
いちばん早く読めるのは、海外もの児童文学(歴史物かファンタジー)ですが。
昔はスエトニウスですら上巻読むのに1ヶ月かかった。下巻は3日でしたが(爆)。

371カイザー:2003/01/02(木) 18:32
日記の方で書いた「拳闘暗黒伝セスタス」のネロはいい感じですよ。世間知らずの
ボンボンが人間不信から徐々に暴君化していく過程がマッティアスさん好みなので
はと思います。アグリッピナともちゃんとやってるし(笑)。

そういえば「ローマ人の物語」の最新刊はまだ購入すらしてないですねえ。あの分
厚い本を見ると昔は嬉しかったものですが、最近は何か読むのが大変だなあという
後ろ向きな気持ちが強くなってる気がします(笑)。ローマファンの義務として、
早く買わないといけませんね。

372まってぃあす@携帯:2003/01/03(金) 16:24
『セスタス』気になってはいるのですが、未読です。
そうですか、アグリッピナともちゃんとヤってるんですね。
超おっけーです(^_^)v。

塩野さん最新巻は、彼女の萌えポイントがないらしく、テンション低いと聞いてます。
痛快!すら読むのに苦労している私には、ツラそうです。

373カイザー:2003/01/05(日) 15:19
「拳闘暗黒伝セスタス」はアグリッピナが大活躍してますよ。色んな意味で(笑)。
ちゃんとブリタニクスとかウィンデクスまで出て来るんで、枝来先生はしっかり勉
強してマンガを書いているようでローマファンという偏った嗜好のマンガ読みはの
私も好印象を持っています。
フィクションだからハッタリが多いのも私的にはOKです。
そういえば、コロッセオでは剣闘士ではなく徒手格闘技の見せ物もあったんでしょ
うか?「拳闘暗黒伝セスタス」の中で剣闘士と拳闘士は違うものとして描かれてい
ます。

そうかアグリッピナとネロの肉体関係はやっぱり史実だったんだなと、私の歴史認
識に影響を与えつつある作品です(笑)。

374マッティアス:2003/01/06(月) 12:37
すばらしい!(川平兄弟声希望) ていうか、地元のヘボい書店では見かけないんです
けれども。>『拳闘暗黒伝セスタス』

コロッセオでかどうかよくわかりませんが、闘技場での拳闘競技があったのは、確か
だと思います。アウグストゥスは剣闘よりも拳闘を好んだと、スエトニウスあたりに
あったはず。クラウディウスといい、アウグストゥスといい、自分が格闘向きでない
人間ほど、格闘技に夢中になるという良い例だと思います。ドミティアヌスもか?

アグリッピナとネロはデキてて欲しいなあ、というよくわからない希望があります。
アグリッピナには、息子から見た母親への恐怖と憧憬と愛憎の集大成を見るような気が
します。美人で暴君な母親。あらゆる意味で乗り越えなければならない障壁。

375カイザー:2003/01/07(火) 00:39
そちらではセスタス見かけませんか?
大阪のそれなりの規模の書店では、「ベルセルク」や「ふたりえっち」と一緒に並ん
で普通に売ってますよ。古本屋だと少々厳しいかもしれませんが。

アグリッピナは猛女ですよね。ネロが越えるべき父親がこの世になく、アグリッピナ
の呪縛に捕らわれていたというのが不幸の原因の一つですよね。オクタヴィアやアリ
ッピナという自身の帝位の正当性の拠り所となるべき存在を殺してしまったネロの失
態はどうしようもない。ブリタニクスを利用して、元老院を押さえるぐらいの芸当が
出来ないと帝位は保持できないんでしょうね。

376マッティアス:2003/01/07(火) 11:19
そんな芸当ができるくらい大人だったら、そもそもアグリッピナの強烈な呪縛にかかったり、
オクタウィアを殺したりはしないんでしょうけどね。ネロもかわいそうなコです。

セスタス、買おうと思ってない頃、都市部の書店では見ましたよ。うちから都市部まで大体、
電車で1時間かかるので、なにかのついでじゃないとなかなか買いに行けなくって。
いっそamazon.comで頼むってテもありますが。
地方では、はじめの一歩ですら全巻そろってないような書店が大半ですからね。
わりに品揃えの良かった近所の書店が、ダイエーができてすぐに潰れてしまって、かなり
困ったことになっています。

377カイザー:2003/01/08(水) 23:37
ネロも嘘でいいからブリタニクスに
「父クラウディウスは私に敬愛する兄ネロへ仕えるように言い残した」
とか元老院で演説させるぐらいはして欲しかった所です。直後に影で涙を流すブリタ
ニクス&オクタヴィア姉弟とか、マンガとかなら面白そうですね。もう、そんなの史
実でも何でもない只の妄想なんですが(笑)。

そういえば、コンモドゥスって以外と普通の皇帝かなとか認識が変わりつつあります。
バカだけど(笑)。

378マッティアス:2003/01/08(水) 23:46
うん。馬鹿ですけど、マトモですかも。って、↑それは塩野さんの最新刊を読まれた感想
ですか?私は図書館に入ってから読むので、春頃になると思いますが。
古代西洋史料集とかで、自分で文章書いてないにせよ、属州に対してマトモな判断を下し
てたりしたのみて、あら、と思いました。>コンモドゥス

コンモドゥスは競技場に出ちゃう辺りで、ちょいヤバですが、肉体派なドミティアヌスか、
被害妄想壁のあるアントニウスが皇帝になったくらいのものではないかと、最近思います。
充分、マズイですけど。エラガバルスやカリグラよりは全然電波じゃないかも。
カラカラもそういう意味では、私の中では電波度低めなんですが、どうでしょう?

379カイザー:2003/01/12(日) 22:08
一概には言えないのですが、どうも皇帝たる自分への暗殺事件が続発するという緊張
に耐えきれないチキンハートの持ち主が暴君化していくように思えます。ネロ、ドミ
ティアヌス、コンモドゥスなんかはその類だし、クラウディウスなんかにも当てはま
るように思えます。
エラガバルスは生まれた瞬間から違う方向を向いてそうですが(笑)。

ホノリウスやテオドシウス2世といった精神力が逞しくなさそうな皇帝達が、それな
りに帝位を生涯保持できたというのは正直良く分からない。彼らも以外に図太い神経
の持ち主だったんでしょうか?スティリコを殺して平然としてたであろうホノリウス
は大物の素質はあったのかもしれません・・・開花してないけど(笑)。

380マッティアス:2003/01/12(日) 22:44
大物なのか鈍感なのか、ビミョ〜ですねえ(笑)。いや、実は単にさっぱりしただけかも。
>スティリコを殺して平然としてたであろうホノリウス

エラガバルスはね、去勢とかトランスセクシャルの類への興味から、本を読んだけど
何か神憑りで、恍惚と生きていらっしゃるので、凡人には理解しがたい電波です。
私はいくら塩野さんがフォローしようと、カリグラも怖いです。近寄りたくないです。
彼らに比べて、よく言えば繊細、ぶっちゃけ脆弱な精神の持ち主であるから、暴君と
化してしまう人には同情してしまいやすいんですが。(好きなタイプなんだな)

古典を読むと評価低いけれども、近年研究者によって再評価されてる典型が、クラウディ
ウスとドミティアヌスですね。ティベリウスとハドリアヌスも、かな?

381カイザー:2003/01/13(月) 21:44
カリグラは普通に逝っちゃってますからねえ(笑)。私も近寄って痛い目に遭うのは
敬遠させて頂きたく思います。
キチ○イに刃物どころか、専制君主の権力を与えるのは良くないと思います。

再評価で評価がガラリと変わった皇帝というとティベリウスが一番でしょうか。経歴
を俯瞰するだけでも凄まじく有能なのは一目瞭然なのですが、カプリ島での隠遁生活
とセイアヌスの専横のイメージ(だけじゃないけど)が余りにも悪すぎですから、従
前の評価が芳しくなかったのも致し方のないところでしょう。
ハドリアヌスは同時代人の一部の元老院議員達からは嫌われていたようですが、アン
トニヌス・ピウスの尽力で以降の時代では普通に名君扱いされてたと思ってるんです
が、そうでもないんでしょうか?

382まってぃあす@携帯:2003/01/14(火) 00:16
ハドリアヌスの神格プロセスでは、むしろピウスの評価が高まった気が
するのですが。それはちょっと意地悪な意見ですかね。

ティベリウスは、古代でも他の皇帝からの評価は高いんですよね。
フラウィウス朝やトラヤヌスは、彼の政策を、アウグストゥス、クラウディウス
と並んで、評価し、指針としているようですから。
クラウディウスもギボンに暗愚極まりない、とか言われているのを思うと、
同じ苦労をしているためか、先任者たちに対して、現代の研究者に近い評価を
しているのですね(^_^)v。

383カイザー:2003/01/14(火) 23:55
実際に皇帝の身の苦労を知っている方々は冷静な判断を出来るのですね。元老院議員
の評判が後代に残ってしまうので、実像とかけ離れた姿が通俗的に語られてしまうん
でしょうね。
ネロなんかは死んでからも民衆からは人気者だったといいますもんね。そういう世論
を自身の政策に活かす有能さを兼ね備えてないのがネロのネロたる由縁なのですが。
そんな人物が長期間皇帝を務めてたんだからユリウス朝の滅亡も当然の結末ですね。

「ローマ人の物語」の新刊を買って早く読みたい所ですが、先日買い直した「背教者
ユリアヌス」の上中下巻がつん読への道を歩み始めているのをなんとかしようとする
のが先だと考え中です(笑)。

384まってぃあす@携帯:2003/01/15(水) 09:26
あら〜、買い直されたんですか。もし、前の方見付かったら、譲って下さい。
>「ユリアヌス」(^o^)

ネロの、飢饉のときに小麦じゃなくて闘技場の砂を搬入した、ってエピソードはファンでも
フォローできません(^_^;。
まあ、そもそも彼の人気は政治とは殆んど関係ないですからね(>_<)。

385カイザー:2003/01/15(水) 22:20
「背教者ユリアヌス」は多分電車の中に置き去りにしたか、雑誌と間違えてゴミ箱に
投棄してしまったと思われるので永遠に見つからないと思います。というか、心辺り
は大概探しても見つからなかったもんで(笑)。

ネロの人気はバカっぷりにありましたからね。戦車競技で落馬してもオリンピアの祭
典で優勝とかアホですね。そんなので金メダル(はないでしょうけど)貰って何が嬉
しいんだか・・・。

386マッティアス:2003/01/15(水) 23:47
うそでも好きって言ってもらいたいのv(爆)。いや、でもそんなカンジでしょう。
出来れば自分の才覚に対して喝采が欲しいんですが、自分のキャラ(本当は皇帝という立場)
に対しての歓呼でも、ないよりはあったほうが嬉しいじゃないですか。
淋しがりやなんですよ、愛されたい願望と根深い人間不信とがゴッチャになったのが、ネロ
だと思うんですよね。ヤラセで優勝して喜んでる程度なら、可愛いもんです!
↑ああ、やっぱりネロが好きなんだなあ、と実感(笑)。
アントニウスの人気とネロの人気って、ちょっと似てるかなあ?とか思った事もありますが、
それはアントニウスに失礼かなあ、とも(爆)。

やっとギボンはアレクサンデル・セヴェルス辺りです。昨年末には序言で力尽きていたのを
思うとかなりな前進です(笑)。祖母宅ではほかに娯楽がなかったので(涙)。

387カイザー:2003/01/16(木) 23:27
ギボン、順調に読み進んでおられますね♪

私は軍人皇帝時代はゴチャゴチャしてて未だに頭の中が整理出来てないんですよね。
ゴルディアヌス1世、2世、3世の関係と略歴をペラペラ喋れるようになりたいもの
です(笑)。
クラウディウス2世はゴルディアヌス2世の隠し子説というのがあるのはローマファ
ンなら常識ですが(←ウソ)、このクラウディウス2世はゴート人を30万人も殺し
ちゃったというのは、絶対に一桁(もしかしたら2桁)多いと思います。

388マッティアス:2003/01/16(木) 23:56
30万って、いっぺんに?兵士だけでなく都市ごと虐殺とか、生涯に合計して、とかなら
わからないでもないですが。っていうか、ゴート人ってそんなに人口いましたっけ?
アレクサンドリアで大虐殺を行ったというカラカラだって、そんなにいっぱいは殺してない
ですよね。本当だったら、すごいよクラウディウス2世。

それにしても、すでに古典となった本を読むと註が面白いですね。本編が中断されるけど。
原著註に編集者の註、さらには訳者の註まで付いて、羨ましいくらいツッコミ入ってる。
ヨセフスのときも、他の著書との矛盾とか彼の嘘とかを註に書かれてしまうので、笑いなし
には読めません。私ってば超意地悪(苦笑)。

389カイザー:2003/01/20(月) 21:31
もしかしたらクラウディウス2世は30万人を殺したんじゃなくて、30万の軍勢に
勝利したということの勘違いだったかもしれません。どっちにしても嘘臭い事に違い
はないのですが。
どこで見たか忘れたので怪しい記憶ですが、大移動時代の西ゴート族が軍隊や連れて
きた家族など一切合切で30万ぐらいだったそうです。

一体ギボンはどうやって資料とか集めてたのか不思議になりません?ヨーロッパの教
養人はギボンの10分の1ぐらいは普通にローマ史のことを知ってるもんなんでしょ
うか?
素人の私にはあの脚註は便利でしたね。この人誰やねんって人物のオンパレードで、
ちょっとした略歴が書いてあるだけでも重宝しました。

390マッティアス:2003/01/21(火) 00:20
う〜ん。実は脱線してしまった為に(なにげにヨセフス研究論文集だし)、まだギボンは
ゴルディアヌス3世が即位したあたりです(爆)。なので、あんまり詳しいコメントは
できないのですが。
註を見ていて、ギボンはすげえなあと思い、さらに註釈者のビュアリに感心し、翻訳者
の親切さに感謝する、といった有様です。
あ、待って、“脚注”ってことはカイザーさんは岩波文庫版ですか?私はちくま文庫版
です。もしかしてちょっと違うのでしょうか?
ともあれ、ギボンはクリス・スカーが『歴代誌』で参照していた、現存する史料はほぼ
間違いなく読んでいて、それからイギリス(属州ブリタニア)の民間伝承とかまで拾って
いるわけですよね。まさにライフ・ワークというか。学究肌な人なんだなあ。

西ゴート族全体で30万。やっぱりそんなもんですよね。
30万っていうのは破った軍勢だとしても大幅に水増しされているか、ゴート族に加担
した他の部族集団やら何やら含めての数なのかもしれないですね。
中国史なら100万の軍勢を、と実は大袈裟な表現をされても、納得しちゃうところが
あるんですが。

391カイザー:2003/01/21(火) 22:42
私の「ローマ帝国衰亡史」は中野好夫・中野好之・朱牟田夏雄の3人の手によって訳
されたちくま版です。彼ら3人の業績にはただただ脱帽なのです。この間出版された
中倉玄喜のPHP版とかと比べると中身の濃さは段違いですが、塩野七生の「ローマ
人の物語」に比べると世間への影響力の小ささは残念な限りです。
内容が平易とは言い難いのが原因でしょうから、陳瞬臣辺りが「小説十八史略」の二
番煎じとして「小説ローマ帝国衰亡史略」を書いてくれると私的には超ハッピーです。
そこそこ売れると思うんですけどねえ。

392マッティアス:2003/01/21(火) 23:18
そうですね。陳瞬臣氏なら文章力・マーケティング力ともに塩野さんに劣らないと思います。
あとは、酒見さんあたりに、コンスタンティヌスよりも後の時代(ビザンツとか)を小説にして
もらいたいですね。この辺りなら売れるし、出来も期待できますよね。
ギボンはやはり、初心者には躊躇させるものがあります。いっぱい出てるし、こむずかしげ。
ちくまは文庫のクセにちょっと高いし。『アラブが見た十字軍』とか、今は亡きリブロポート
のハードカバーと値段が大して変わらないのが解せない。装丁はかなり落ちるのに。
でも、実の所、著者前書き第何版とか以外は、思ったよりずいぶんと読みやすいですね。
面白いし、集中して読める時間と場所が確保できれば、結構読めますよ。

393カイザー:2003/01/25(土) 22:51
「ローマ帝国衰亡史」の値段が高いのは、発行部数と翻訳家の先生方への謝礼と値段
に関係なく買う奴は買うという類の本だからだと思います。これでも、ハードカバー
版に比べたら半値以下ですからね。
でも、同じちくま学芸文庫の「ゲルマニア アグリコラ」はギボンの半分以下の厚み
しかないのに880円もすることの方が納得できない(笑)。

そろそろ序盤の主役的扱いのディオクレティアヌスまで読み進まれたでしょうか?

394マッティアス:2003/01/26(日) 21:23
すみません(汗)。ここのところ、相方の職場で借りてもらっている書籍に追われて、ギボンが
まったく進んでいません。まだ1巻の終わりの方です。2巻なんてまだ買ってもいないし(爆)。
ヨセフスの著作はまだしも、研究者の論文集なんてやめときゃよかったです。
『ゲルマニア アグリコラ』は結局、重版されることもなく在庫切れのままです。なので、涙
ながらに古書店でハードカバーで(年代記込みのを)買いました。でも、そっちのが安かった。

ゲルマン民族について描くときのギボンは微妙に、走ってます?気のせい?
っていうか、アルタクセルセスがアルデシールと同一人物だと初めて知りました。

395カイザー:2003/01/26(日) 22:49
人物名の表記が一般的なのと違うのはギボンのせいというより、翻訳者の感覚の問題
でしょうね。西ゴート王国のアタウルフ王(アラリックの義弟でガッラ・プラキディ
アの夫)なんかもアドルフスって書いてましたよ。
文字がない時代の大移動時代までのゲルマン人の人名と現在のドイツなんかだと発音
が違うそうです。

今、パラパラと2巻を眺めていたのですが、軍人皇帝時代の末期の皇帝達は本当にイ
リリクム出身者ばっかり。全員が有能ということもないのですが、アウレリアヌスと
ディオクレティアヌスは別格ですね。

396マッティアス:2003/01/27(月) 13:25
アウレリアヌス、よくわかってないけど好き〜p(>o<)q。カッコイイ〜☆
30人僭帝あたりから、何が何だかよくわからなくなるんですよね。その前もだけど。

人物名の表記は、ほんとに翻訳者のセンス(あるいは趣味)による所が大きいですよね。
英語表記だったり現地読みだったり、原文表記に忠実だったり。好きじゃなかったら、
投げ出したくなるくらい統一されてないです。
日本ではわりと用語とか、ラテン語に忠実であろうとする場合、ドイツ語文献からので
定着しているので“ci”を“キ”といったカンジの表記をしますよね。
塩野さんはイタリア人なので(?)“ce”を“チェ”などといった表記をします。
どっちが正しいのだかわかりませんが(両方とも間違ってないのでしょうが)、一般人の
読者としては、そういうので混乱する事もありますよね?
役職などについても、訳語が統一されないのは、日本に無い概念だったりするので仕方
ないのですが、わかりづらいことこの上ないです。

397カイザー:2003/01/27(月) 17:20
そもそも「皇帝」なんて訳し方事態が間違ってるというか、何というか。
いちいちアウグストゥス、カエサル、インペラトル、バシレイウスとそのままカタカ
ナにしてた方が意訳するより、良かったのではと思うことしきりです。ローマ(ヨー
ロッパ)史に関心がなかったら、どうでもいいことだったりするのですが。
ローマの役職でどの先生方も共通して使用してる日本語訳は「護民官」かなと思うの
ですが、どうでしょう。他の役職はカタカナ名を使ったり違う日本語訳があったりで、
素人の私にはややこしくて仕方がありません。

そういえば「コンスタンティノープルの陥落」で塩野先生が後書きで、ギリシア(ラ
テン)語読みのコンスタンティノポリスは、読者に違和感があるから、敢えてコンス
タンティノープルを使ったと書いてましたが、今考えるとコンスタンティノポリスで
押し通しても良かったんじゃないかと思いますね。そんなに違和感ないと思うんです
けどねえ。
でも、本の題名だけはコンスタンティノープルを使うとか。

398マッティアス:2003/01/27(月) 23:35
そうですよね。コンスタンティノポリスで違和感ある人は大抵、コンスタンティノープルでも
古臭いとか、どこ?ってカンジでしょうし。それは言いすぎ?

皇帝の称号とか、カタカナに相応しい意訳を自分で考えるのも、楽しいですけどね(笑)。
カエサル=宮様、とか(爆)。インペラトール=最高司令官はメジャーですよね。でも他は…。
「総督」もムツカシイですよね。皇帝属州なのか元老院属州なのかで呼び名(原語)が違うし、
軍隊がいるかいないか、属州の格とかでも違っちゃうでしょう。研究者でさえ苦労している、
とかいうものが私達素人にわかるわけがないでしょう!と逆ギレしてみたり(笑)。

399カイザー:2003/01/28(火) 22:30
コンスタンティノープルは流石に大人なら5割ぐらいの人は知ってる名前でしょう。
やっぱり、少ないかな?(笑)
意味的にはコンスタンティノープルとかアドリアノープルより、コンスタンティノポ
リス、ハドリアノポリスの方が分かりやすくてOKですよね。コロニア・コンモディ
アナなんてのもありますよね(笑)。
都市名に自分の名前をつけるなんてのは、バカか天才のどっちかという結論でよろし
いでしょうか?

400マッティアス:2003/01/29(水) 01:15
よろしいと思います。アレクサンドリアもいっぱいよね。うふv
そういえば、記憶の断罪もあるからわからないけど、ドミティアヌスやカリグラも、自分の
名前を街につけそうなタイプですが、そんな街はないですね。
実は人名にちなんでるとかいって、セバステがアウグストゥスってのはいきなりすぎてマジ
わからなかったです。アウグストゥスをギリシア語でセバストゥスって言うんですって。
わかりづらいことすんなよ、ヘロデ!

アドリアノープルがハドリアノポリスだと気付くのは、歴史ファン(というかオタク?)だけ
でしょうね。少なくとも高校の授業中とかだと。「シリアのアドリアーノ」(オペラ)も初め、
タンビぶった話なのかなあ?と勘違いしていました(爆)。H音が消えると、微妙に気取った
カンジになるというのは、思い過ごし?ヘラクレスもエルコーレだとタンビ。

ところで、なにげにこのスレッド400です。

401カイザー:2003/01/31(金) 23:38
400かあ。
この掲示板も999までレスを保存できるんでしょうかね?

アウグストゥス=セバストゥスというのは私も2、3年前まで知りませんでした(笑)。
そういやマケドニア朝以降のローマでインペラトルの称号は生き残ってたんでしょう
か?カエサルとアウグストゥス(セバストゥス)は身分のデフレ現象で皇族が名乗る
程度の身分に格下げされちゃってますが、インペラトルがどういう位置づけになって
いたのかが良く分からない。
マヌエル1世が主役的扱いの「ビザンツ幻影の世界帝国」にマヌエル1世の帯びた称
号が書かれてたかなと思ってざっと見直してみましたが、どうもこの本には書いてな
いみたいです。
う〜ん、気になるなあ。

402マッティアス:2003/02/01(土) 00:30
インペラトールか〜。気になりますよね。ビザンツというとバシレイウスってイメージ。
ギボンは1巻読み終わったけれど、2巻がまだ手に入っていません。まとめ買いしとく
べきだったかな〜(汗)。
ビザンツ関連の本はそういえばほとんど読んだことが無いですね。十字軍関連でしか。

関係ないですけど、カエサルの名前のデフレといえば、原題ではメジャーなところで、
ペットフードの「シーザー」ですが。
我々が小学生〜中学生あたりに、住宅情報だかなんかのCMで、助けた女に名を聞かれた
ヒーローが「セ・ザール」と答えるやつ、インパクトありました。憶えてます?
ていうか関西でやってました?

403カイザー:2003/02/01(土) 00:42
バシレイウスはバシレイウスで語源が良く分からない(汗)。
何でアウグストゥス(セバストゥス)じゃダメなんだろう。バシレイウスはホスロー
2世をやっつけたのに、ヤルムーク河畔の戦いでこてんぱんにやられちゃう悲劇のヒ
ーローヘラクレイオス1世が採用した称号らしいんですが、ギボンを読み返したらそ
の辺の事情も書いてるかもしれませんね。

住宅情報のそのCMは知らないですねえ。小中学生時代はそれなりにTV見てたと
思うんですが、全然覚えてないです。もしかしたら、関東ローカルのCMなのかも
しれませんね。

404マッティアス:2003/02/01(土) 01:16
助けてオダギリジョー(←使えないって!)。もしくは、聞いてみてくれギボアイコ!
>バシレイウスの語源とアウグストゥス(セバストゥス)称号の関連。

ギボンの文章、面白いですね〜。早くアウレリアヌス様にお会いしたいわ(アイタタ)。
1巻ではなにげにアルデシールがカッコイイと思ったんですけどね(笑)。
ゲルマニアやガリアの部族名については、タキトゥス、カエサル、ギボンのどれを読ん
でもあんまり理解出来ない私は、かわいそうなクラウディウスよりおバカなのです。

405カイザー:2003/02/01(土) 01:57
ゲルマンはともかくガリア系は完全に素人ですね。ゲルマン系にしても、私がちゃん
と(って言っても怪しいけど)知ってるのは、西ゴート、東ゴート、ヴァンダル、フ
ランクがいい所で、ブルグントとかスウェヴィとかアレマンニなんかはチンプンカン
プンです。
ちなみにリキメールの甥でグリュケリウス帝を擁立したグントバトは、ブルグント族
の王子様なのですが、ローマから帰国後ブルグント王になったらしいです。

もうちょっと、ゲルマン国家の概略史が詳しく知りたいとは思いますね。一番メジャー
なフランク王国でもクローヴィスの次はカール・マルテルのトゥール・ポワティエ間
の戦いというのは端折りすぎですよね。メロヴィング家の王位争いは大概ドロドロだ
ったという程度の認識しかない私です(汗)。

406マッティアス:2003/02/01(土) 14:14
ほんとに、はしょられてますよね。なんか、メロヴィング時代についての記述も読んだ
気もするんですが。中世かキリスト教関連の本で。でも、ぜんっぜん憶えてないです。

ケルトなんだかゲルマンなんだかよくわかってない、てのも相当ヤバいですね(笑)。
ブリタニアは哲人皇帝のマルコマンニ戦争のあと、ゲルマニア部族の一部が強制移住さ
せられているので、混血したのだか、部落が分かれたのだかも気になります。
サトクリフの「辺境のオオカミ」では、かなりいろんな習慣を持つ部族がいたイメージ
があったのですが。

407カイザー:2003/02/01(土) 21:42
私もちゃんと関心を持って蛮族の活躍を調べたことがあるのは、大移動時代以降だけ
ですから、それ以前のことはマッティアスさんの方がお詳しいかもしれませんよ。

ブリタニアもややこしそうですね。七王国時代とかクヌートのデーン朝のこともさっ
ぱり分からないと断言できる程度の知識しか持ちあわせてないです(汗)。
ブリタニアがローマから失われた事情というのは他の属州と比べてちょっと特殊です
よね。ホノリウス時代に僭帝コンスタンティヌス父子がブリタニアからガリアに攻め
込んでしまって、ホノリウスはコンスタンティヌスの反乱鎮圧後もブリタニアを放棄
してしまってます。
ヴァンダル族や西ゴート族と紛争を繰り返しながら、ガリアとイスパニアを押さえる
ので手一杯だったんでしょうが、ブリタニアを統治するメリットもあんまりなかった
んでしょうね。

408マッティアス:2003/02/01(土) 22:28
ガリアやヒスパニアに比べて、ブリタニアは遠いし、別に産業的にも重要じゃなさそげ。
そんなことを言うとすごく差別してるっぽいですが。
真珠や美味しいカキが採れる、とかいうタキトゥスの記述をおぼろげに憶えているだけで、
ブリタニアってなんで皇帝たちが征服しようと思ったのか、いまひとつ理解しがたいです。
フビライが日本を征服しようと思ったのと同レベル?とか(爆)。

皇帝たちのブリタニア政策で、いちばん阿呆なのは間違いなくカリグラのブリタニア遠征
の顛末でしょうね。

409カイザー:2003/02/02(日) 11:32
カリグラのブリタニア遠征未遂事件をブリタニア政策と呼んでいいのかどうかがそも
そも疑問な私です(笑)。

ドミティアヌスもアグリコラを罷免してまで、ブリタニアでの拡張政策は望まなった
ですし、ハドリアヌスやアントニヌス・ピウス時代にも一時的にスコットランドを制
圧しても、すぐにブリタニアまで後退してるという辺りにローマ側の消極的姿勢が見
えますよね。
ティベリウスやコンモドゥスが先代皇帝の政策を無視して占領地を放棄した、ゲルマ
ニア政策にも似たようなことが言えるんでしょうね。

410マッティアス:2003/02/02(日) 12:56
でも、占領地を長く持っているほうがデメリットが多いと判断すると、民衆は「腰抜け」
呼ばわりしますよね。辛いトコですが。
ティベリウスやハドリアヌスはのちの人に賢明な選択と評価されるのですが、そのこと
自体は賢明な方策であっても、ドミティアヌスやコンモドゥスのような暴君・暗君だと
その時代背景とかいろいろ見ないで、ダメダシされてしまうのが可哀想ですね。

いま半身浴しながら、マキャベッリ「君主論」をちょろちょろ読んでます。ときどき、
ローマ皇帝をたとえにとられるのですが、ペルティナクスが出てくるとは思わなかった。
セウェルスは褒められてました(笑)。エラガバルスは語る価値もないって。

411カイザー:2003/02/02(日) 22:25
マキャベリはセプティミウス・セヴェルスを分裂状態のイタリアに登場するべき理想
の一つとしていたとか聞いたことありますよ。マキャベリがそれに近い活動をしてた
として評価したのが塩野先生お気に入りのチェーザレ・ボルジアだそうです。
塩野先生の「我が友マキャベッリ」ぐらいしか読んだことないんでちゃんとは知らな
いんですけどね。多分、マキャベリはアルビヌスと同盟を結んで副帝の地位を約束し
ていながら、ニゲルを滅ぼした後に遠慮なくアルビヌスをも滅ぼしてしまうという、
何でもOKなセヴェルスの容赦なさがマキャベリ的にはポイント高かったんでしょう
ね。

でも、コンスタンティヌス1世の方がセヴェルスより、マキャベリストのレベルは高
いんじゃないかと思うのは私だけでしょうか?(笑)

412マッティアス:2003/02/02(日) 22:53
狐と獅子の使い分け、という点で評価されてたんですよね、セウェルスは。
多分、哲人皇帝からマクシミヌスまで、というのが一番典型例を続けざまに挙げられる
から、選んだのだと思います。
確かにコンスタンティヌスも、かなり残虐なところもあり狡猾でもあったと思います。
が、何となくマキャベリ好みではないような(あくまで直感です)気がします。

マキャベリの理論で有名なのは「愛されるよりも恐れられるべき」とか「獅子のように
猛々しく、狐のように狡猾に」あたりですよね。
個人的に感動したのは、「憎まれる事と軽蔑される事は何があっても避けなければなら
ない」という点。そしてそれが「恐れられる事」と両立するという。
恐れる者を傷つけるより、愛する者を害する方が人間にはたやすい、とか読むと、ネロ
やらアレクサンデル、ペルティナクスあたりが失脚しやすかったのがわかります。

413カイザー:2003/02/04(火) 21:16
マキャベリがコンスタンティヌス1世を評論しなかったのは、単にマキャベリが研究
した時代から外れてるだけなのかもしれませんが、コンスタンティヌス1世がキリス
ト教皇帝として聖人扱いされてたことも原因だったのかなと、ふと思いました。
コンスタンティヌス1世の素行を普通に眺めれば善人とか聖人とかからは100万光
年ぐらい離れてるのはすぐに分かりますもんね。

ペルディナクスとかディディウス・ユリアヌスなんかは経歴だけ見てるとティベリウ
ス級の実力を想像してしまうのですが、皇帝としてのへタレっぷりが泣けてきますね
。マルクス・アウレリウス時代の蛮族対策に謀殺されてた属州総督って実力者じゃな
くても勤まるとも思えないんですけどねえ。

414マッティアス:2003/02/05(水) 00:35
そうですよね。しかもペルティナクスって親が解放奴隷とか言われてるでしょう?
それがそこまでのし上がるのって大変なコトだと思います。
そういえば少なくともフラウィウス時代までは、戦争で軍団(大抵複数)の指揮を執るのは、
属州総督か特別司令官ですよね。ところが、五賢帝時代後半あたり、おそらく両アントニ
ヌス以降から、近衛隊長がプラエトル級議員であるはずの軍団長たちの上位で指揮するよ
うになったそうです。近衛隊長は戦時においては、皇帝の親征でない場合、最高司令官の
代行をしたとか。
さっき読んだ論文の受け売りなんですが。これってやっぱり、貴族化した議員がすっかり
戦場嫌いになった結果だとは思うのですが。こうして近衛隊による皇帝擁立とか、近衛隊
長が皇帝になったりする地盤が、この時代にできつつあったんだなあ、と。

415カイザー:2003/02/07(金) 22:57
そういえば親衛隊長→皇帝という経歴の持ち主って、あんまりいないような気がしま
すね。調べたらすぐ分かるんですが、ぱっと思いつくのはアナスタシウス1世(←も
う、東ローマやん)だけだった私はローマファン失格なのではと思うことしきりです
(笑)。

元老院議員が軍隊嫌いの傾向が強くなったのが五賢帝時代だという説は、南川先生も
唱えてたと思いますよ。ローマ史の通説なのかまでは、私も知らないのですが。

帝政中期以降はローマ市民権を持つ志願兵だけでは正規軍を維持できなくなり、補助
兵にしか従軍出来ない筈の非ローマ市民も正規軍に編入する必要に迫られたり、軍隊
への入隊と同時にローマ市民権を与えたりと、アウグストゥスの統治システムは破綻
しかけていたみたいですね。
カラカラの全自由民への市民権付与が市民権獲得を目的としていた属州民の軍人とし
ての質を急激に低下させたとのサーモンの古典的な論を否定する気はありませんが、
カラカラの政策は現実の後追い的な意味で捉えることも出来る様な気はします。

416マッティアス:2003/02/07(金) 23:59
南川先生によれば、貴族や元老院議員家系の2世3世が軍務に就かないような傾向は、
フラウィウス朝時代かネロ時代くらいまで遡れる、らしいです。確かそう言ってた。

上記の近衛隊長職についてのほか、フラウィウス研究論文を近年何本か書いている桑山
先生は多分、南川先生の弟子です。どっちも京大だし。
なので、多少の発展はあっても、基本的路線は似ているんですね。

近衛隊長から皇帝というと、やはりマクリヌスじゃないですか?エラガバルスごときに
負けてしまいましたが(笑)。
あ!最初に近衛隊長→皇帝っていうのはティトゥスじゃないですか(笑)?←特殊例

417カイザー:2003/02/08(土) 12:54
そういやティトゥスは親衛隊にも従事してましたね。何で、ウェスパシアヌス以降の
皇帝は危険極まりない身近な軍事力を持つ親衛隊の隊長を皇族とかに任せなかったん
でしょうね。
カリグラ暗殺犯が親衛隊の軍人だった訳だから、五賢帝時代以前からその危険性は分
かってた筈なのに。

エラガバルスはマクリヌスとの内戦で勝利してますね。シリアの属州軍が強力だった
だけで、エラガバルスの能力とは関係ないと思いますけどね(笑)。ホノリウス時代
にスティリコやコンスタンティウス(3世)が大活躍してたのと似たような状況です
ね。

418マッティアス:2003/02/08(土) 20:05
なんか、勝手に祭り上げるだけ祭り上げておいて、ちょっと何かあるとすぐ殺されるから、
セウェルス朝以降、3世紀の内乱時代の皇帝にはなりたくないですよね。

近衛隊長職はもともと騎士身分の役職ですからね。王朝が絶えたら元老院の中から皇帝が
出なければいけないと考えられていた時代には、皇族が就くのは、基本的にはありえこと
でしょうね。ティトゥスの場合、同僚近衛隊長が2人いたようです。
近衛隊長職が騎士身分の最高職になったのはフラウィウス朝時代で、ユリ・クラ朝時代は
エジプト総督職が最高だったようです。これはやはり、ティトゥスがその職に就いた影響
ではないかと思ってみたり、時代の趨勢かな、と思ってみたりです。

419<削除>:<削除>
<削除>

420マッティアス:2003/02/08(土) 20:07
あ、エラー表示出たのでいろいろいじってたら、二重投稿になってしまいました。
419削除してください(汗)。




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板