さらに潮汐以外にも、潮流を利用した発電の実証実験を進めている。韓国の南西部、全羅南道の島、珍島(372.12km2)にある珍島潮力発電所(Uldolmok Tidal Power Station)だ。鳴梁海峡の潮流を利用し、2009年3月に出力1MWで運転を開始した。2011年には出力を0.5MW増設しており、韓国政府は2013年末までに出力を■90MWへ増強する計画を立てている。
個別のカプラン水車に接続された発電機の出力は10MW、これが24基あり、最大出力は●240MWだ(平均出力は約68MW)。同発電所を運営しているフランス電力(EDF)が公表した「DOCUMENT DE RÉFÉRENCE RAPPORT FINANCIER ANNUEL 2012」によれば、通算の平均発電量は年間50万MWh(5億kWh)、2012年は50万3000MWhだった。これはブルターニュ地域圏全体の年間消費電力量の3.5%に相当するという。
再生可能エネルギーに関する国際ネットワークであるREN21(Renewable Energy Policy Network for the 21st Century)が2013年6月に公開した「RENEWABLES 2013 GLOBAL STATUS REPORT」によれば、潮汐発電の発電コストは出力1〜250MWの場合、21〜28米ドルセント/kWhである。これは発電所の設計、建設から運営、廃止までの全てのコストを、生涯発電量で割った均等化発電原価(LCOE)の値だ。加えて、建設時の資本コストは5290〜5870米ドル/kWだとした。
「アンナポリス発電所(Annapolis Royal Generating Station)」(1984年完成、出力●20MW)はカナダの大西洋岸、ノバスコシア半島のファンディ湾に位置している。湾の向う側は米国のメーン州だ。最大潮位差が16.4mと世界で最も大きいという地の利を生かした発電所である。
中国には上海の南、東シナ海に面する「江厦潮汐発電所(Jiangxia Tidal Power Station)」(1980年完成、出力3.2MW、●3.9MWまで増強予定)がある。フィンランド国境に近い北極圏のコラ半島に位置するロシアの「キスラヤ潮汐発電所(Kislaya Guba Tidal Power Station)」(1968年完成、出力●1.7MW)は、不凍港で有名なムルマンスク都市圏に属し、世界で2番目に古い潮汐発電所でもある。
出力が1MWを超える今後の計画は2つある。1つは大都市のど真ん中に立ち上げる計画だ。米国ニューヨーク州ニューヨーク市を流れるイースト川沿いを予定する出力●1MWの「ルーズルト島潮汐発電所(Roosevelt Island Tidal Energy)」である。ルーズベルト島はマンハッタン島とロングアイランド島に挟まれた長さ約3kmの非常に細長い島。
キューバにおける海洋温度差発電プロジェクトを扱った「Popular Mechanics誌」(1930年12月号)の内容は、Google booksで閲覧できる。この号の巻頭記事 "Power from the Sea" では、史上初の海洋温度差発電がどのようなものであったのか、図解入りで紹介されている。深海(600m)と地上をパイプで結び、現在でいう真空式温水ヒーターと組み合わせて発電した。
潮流・海流発電では、川崎重工業の実証研究が採択された(図1)。2011年10月19日に同社が発表した内容によれば、潮流発電に力点があり、沖縄電力や沖縄新エネ開発と協力して沖縄海域での実証実験の可能性を探る他、英スコットランドの実証フィールド欧州海洋エネルギーセンターEMEC(European Marine Energy Center)での試験を予定している。
>米風力エネルギー協会(AWEA:American Wind Energy Association)によれば、2012年末に米国の連邦税額控除が期限切れを迎えたため、2013年の下期に向かうにつれて新規導入量が激減したのだ。米国のエネルギー政策は風力発電に対して一貫性がなく、これまでも急速な落ち込みや回復をくり返している。
>>1421-1422
北米市場の落ち込みについて、GWECは直接理由を言及してはいないものの、説明を付けることはできる。米国連邦エネルギー規制委員会(FERC:Federal Energy Regulatory Commission)によれば、2013年1月〜4月の新規導入量は958MWと多かった(関連記事)。ところがその後が悪い。米風力エネルギー協会(AWEA:American Wind Energy Association)によれば、2012年末に米国の連邦税額控除が期限切れを迎えたため、2013年の下期に向かうにつれて新規導入量が激減したのだ。米国のエネルギー政策は風力発電に対して一貫性がなく、これまでも急速な落ち込みや回復をくり返している。
このような成長を引っ張るのは、アジア太平洋や中東、アフリカなどの新興市場だ。風力発電は均等化発電原価(LCOE:Levelized Cost Of Electricity)が低いためだという。関連記事で紹介したドイツFraunhofer研究所の分析によれば、既に風力発電は化石燃料を利用した発電所よりも安価で競争力がある。これは発電所の建設から廃止までを含んだコストの比較だ。