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バイオ燃料・エタノール・新エネルギースレ
1365
:
とはずがたり
:2014/10/23(木) 23:13:44
>>1362-1365
日本は潮汐発電に無関心
ここまで日本の状況については一切触れていなかった。日本には潮汐発電所がないためだ。過去には計画があったものの、実現性は薄い。なぜなら、国内で最も潮汐差が大きい有明海でも十分な出力が期待できないからだ。潮汐差が大きいことで有名な佐賀県太良町の最大潮汐差は4.9mだ。さらに太良町の海岸は直線状であり、立地として適していない。有明海の長崎県側には干拓のために湾の一部を閉じた大規模な堤防があるものの、開門について政治的に解決しにくい状況にあり、現状では潮汐発電所の可能性は見えていない。
海洋を利用した再生可能エネルギーについて、日本政府は波力、潮流、海洋温度差、海流の4分野と洋上風力発電に重点を置いている。現在はこの5分野について順次実証実験を進めているところだ(関連記事)。潮汐については計画がない。大学などの研究機関や、潮汐プラントの建設・輸出に関心がある企業に任された形だ。
なぜ潮の満ち引きが起こるのか
干満は太陽と月の引力が原因となって生じる現象だ。月の影響(起潮力)を1とすると太陽の影響は0.46といくぶん小さい。理解のために月と地球だけの関係を考えると、月に向いた海水が膨らむ理由は納得できる。しかし、実際には月と反対側の海水もほぼ同量、膨らむ。
なぜ反対側が膨らむのか。それは、地球と月の重心が、地球の中心ではなく、中心から約4600km離れた地中(地下1800km)にあるためだ。地球と月の関係だけを考えると、地球はこの地点の周囲を回っている。このため、地表の位置によって働く遠心力の強さが変わる。最も遠心力が強いのは月と反対側の地点。月からの引力は月との距離によって変わる。最も引力が強いのは月に面した地点だ。この2つの力を同時に受けるため、月に面した側と正反対の側の海水が同時に膨らむ。
1日にほぼ2回の潮汐が起こる理由は、引力とは無関係だ。地球が1日に1回、自転しているためである。
地球の全表面が均一な深さの海で覆われていたとしたら、話はここでおしまいになる。実際には、海の形状や深さは均一ではない。潮位差が場所によって大きく異なる理由は、複雑な地形と「共鳴」で説明できる。
満潮から次の満潮までの周期は12.42時間。大規模な「波」が海面上を伝わり、これが地形と共鳴した場合には干満の差が大きくなり、逆の場合は小さくなる。水平に置いた薄板の表面に砂を薄くかぶせ、裏側にスピーカーを付けて鳴らす科学実験の実演を科学館などで見学したことはあるだろうか。実験結果はこうだ。薄板に振幅が最大となる「腹」と振幅が0となる「節」ができ、節の部分に砂がたまって線状の対称図形が現れる。スピーカーからでる音の周波数を変えるたびに模様が変化して面白い。
潮汐はこの実験と似た現象だといえる。海面の形状は一様ではないため、海にできる「腹」や「節」の位置は複雑な分布になる。
潮汐で「節」とは何だろうか。干満の差が0で潮汐が起こらない場所だ。「無潮点」と呼ばれ、はっきりと識別できる大規模なものは世界の海に約40カ所ある。半島マレーシア(タイランド湾)からインドネシア、ニューギニアにかけては9カ所認められ、「油を流したような静かな海」と呼ばれるゆえんだ。
ttp://tohazugatali.web.fc2.com/epower/yh20131221QUIZ_IEAOES_map_590px.jpg
図6 世界の潮位差。赤いほど差が大きい。出典:IEA-OES「International Vision for Ocean Energy」
図6に全世界の海洋の潮位差(半日周期:M2)を示した。色が青いほど差が小さく、赤いほど大きい。赤は「腹」の部分だ。アジアでは黄海や東シナ海が有望であり、南北アメリカ大陸ではカナダ周辺や中米の太平洋岸、アマゾン川河口付近、パタゴニア沖が適している。ヨーロッパ大陸の大西洋岸も適地だ。アフリカ大陸の東海岸やオセアニアにもよい場所がある。
図6を見れば潮汐発電で1位の韓国と2位のフランス、3位のカナダ、4位の中国、5位のロシアがいずれも潮位差の大きな海岸をうまく利用していることが読み取れる。
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