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昔桃子やベリの学園小説書いてた者だけど〜新狼

402名無し募集中。。。:2015/10/31(土) 22:58:09
ハロプロには残るからいる設定でいいと思うよ〜

403名無し募集中。。。:2015/11/07(土) 03:25:57
新狼になった途端やる気なくしててワロタ

404名無し募集中。。。:2015/11/30(月) 19:06:34
更新をまちわびて毎日スレをひらく

4051:2015/12/27(日) 05:26:39
鞘師卒業に対応してストーリー展開考え直してたら
今度はめいめいとかどうにもならん…。

406名無し募集中。。。:2015/12/27(日) 14:27:50
待ってるよー

407名無し募集中。。。:2015/12/27(日) 20:45:13
あーそかそか大変だなあ
気長に待つよ

408名無し募集中。。。:2016/10/16(日) 15:10:18
1年半ため込んでた狼のログと合わせて一気読みしましたーまさかこんなに面白かったなんて…もっと早く読めば良かった

それにしても鞘師・めいめい・香音と主要メンバー卒業でもう続けるのは難しいのかな・・・

4091:2016/11/15(火) 17:02:42
鞘師は海外留学
めいめいは宝塚合格で転校
みたいな続きもちょっと考えてみたのだが
ズッキが高校辞めて福祉の学校じゃさすがに話が難しい(笑)

410名無し募集中。。。:2016/11/18(金) 13:05:07
思い切って数年後卒業しみなバラバラになった後再会するところから始めてみるのは?

4111:2016/11/26(土) 09:22:42
「幽霊なんか…、いるわけないだろ…」
たぶん粘ったような声で、俺は優樹に言い返したのだと思う。

(それは幽霊じゃなくて、さっきの山木さんの声だ…)と俺はすぐに分かったけど、
いかに優樹とはいえ、そんなことを言うのは山木さんへの冒涜だと、俺は一瞬、カッと頭が熱くなった。

「でも、でも、幽霊の声を聞いたって!」
「知らねえよ、そんなの!」
「でも、でも、小田ンゴが! 小田ンゴがこの辺で聞いたって…」と優樹は言い続けていたけれど、

「何が小田ンゴだよ! 先輩だろ!? うるせえよ、お前!」と、俺は思わず、ドン、と優樹の肩を強く突いて、その場に突き倒してしまった。

床に倒れたまま、一瞬びっくりしたような目で俺を見つめる優樹。

「あっ、いや…、その…」
我に返った俺が言いよどんでいるうちに、優樹の瞳に見る見るうちに涙が溢れ出してきた。

「い、いや、す、すまん…」
「お兄ちゃんのバカー!」
大声で叫ぶなり、優樹は駆け出して行った。

4121:2016/11/26(土) 09:24:19
「おい、優樹…」
と、俺は一瞬口に出したけど、優樹を引き留める気力もなく、その場に立ち尽くしていた。

いくら優樹とはいえ、年頃の女の子だ。そんな子に暴力を振るって突き倒すなんて、いくらなんでもやりすぎだ。激しい嫌悪感に襲われながら俺が立ち尽くしていると、向こうの方から、小田が小走りでやってきた。

「あっ、○○クン、優樹ちゃん来なかった?」と息を切らしながら小田が俺に聞いてきた。

「来たよ…」

4131:2016/11/26(土) 09:25:31
小田がまっずくに俺の目を見つめながら話してきた。
「まーちゃん、どこに行ったのかな? もう…、練習中だって言うのに。私がこの辺で、変な声を聞いたって言ったら、勝手に『幽霊だ、幽霊だ』って大騒ぎしちゃって…。もう…、菅井先生は怒り出すし…。私、どうすればいいんだろう…」

俺は小田に言った。
「幽霊の声なんかじゃない、って、小田は分かってるんだろ?」
「えっ?」
小田が真顔で俺の顔を覗き込んできた。


「幽霊なんているわけないだろ。それは、この暗室から聞こえていた声だよ」
「えっ? 何?」
「小田だって分かってるんだろ? 女の子の声だよ」
「何? 何の話?」
まっすぐに俺の瞳を見つめる小田の顔を見ていると、俺はますます自分の頭が熱くなるのを感じてきた。
「俺と女の子がここで、抱き合っていた、って言ってるんだよ」

4141:2016/11/26(土) 09:26:40
両手で自分の口を塞いで、無言のまま、一歩、後ずさる小田。
「幽霊なんかじゃねえよ! ふざけんなよ!」
俺は一体、自分が何に対して怒っているのかも分からないまま、思わず両手で小田の肩をつかんだ。

「言わないから! 誰にも言わないから!」
突然、小田が叫んだ。

「えっ?」
俺が一瞬怯むと、小田はスルリと俺の手から抜け出して、
「ごめん! ○○クン、わたし、誰にもこのこと言わないから!」
と叫ぶと、突然駆け出して逃げて行った。

俺はそのままそこに立ち尽くしていた。

4151:2016/11/26(土) 09:39:55
俺は自分の頭が激しく混乱しているのを感じていた。

ずっと憧れていた山木さんと、いきなり成り行きでセックスしてしまったけど…、
付き合ってほしいという俺の懇願を拒絶して、山木さんは去って行った。

優樹や小田に怒りをぶつけて何になるというのか…。

俺は訳が分からないまま再び暗室に入ると、また写真の引き伸ばしを始めた。現像液の中から浮かび上がるズッキの、植村の、そして宮本の笑顔は美しかった。

「オレ、いったい何をやっているんだろう…」
引き伸ばしを続けながら、訳も分からず、熱い涙がこぼれてくるのを感じていた。

4161:2016/11/26(土) 17:47:54
家に帰ってくると、玄関には電気も点いておらず真っ暗なままだった。
両親は旅行に行ったままだし、姉ちゃんは一体どこへ行ってしまったのか。

台所のテーブルの上に、置手紙があった。
「アシカが熱出したから、急に呼び出されちゃった。今夜は帰らないかもしれないけど心配スンナ。カップラーメンでも食べてね」と、姉ちゃんの字で書いてあった。

食欲は湧かなかった。それより、安い酒でもくらって、何もかも忘れてしまいたかった。

(昨日の大五郎が残っているはず…)
食器棚の下の引き出しを探したけど、大五郎のペットボトルには、コップ一杯にも満たないほどの液体しか入っていなかった。

俺は諦めて外に出た。

4171:2016/11/26(土) 17:48:51
あてのないまま、駅の方に向かって俺は歩いた。

(『酒を飲みたい』なんて言っても、いまどき高校生に酒を飲ませてくれる店なんて…)
と、そこまで考えて、俺はまことさんの店のことを思い出した。

まことさんというのは、俺の住んでいる地域の兄ちゃんみたいな人で、もともとロックバンドのドラマーをして一旗揚げた人なのだが、最近は音楽活動の噂はさっぱり聞かず、もっぱらアウトドアで楽しんでいるような、まあ遊び人だ。そのまことさんは、夜はバーみたいな店をやっていて、細かいことは言わずに、高校生にでも飲ませてくれるという噂だった。

4181:2016/11/26(土) 17:50:06
俺は肝心の店の名前を知らなかったけど、以前に聞いていた場所に行ってみた。でも、それらしい店は見当たらなかった。

あたりを探して歩いていると、一軒、飲食店らしい店があった。真っ黒い壁に真っ黒いドアの妖しい雰囲気の店で、ドアにはただ一文字「℃」と書かれていた。

「こんな名前だったかな? でもバーって言う感じじゃないな…」

俺が店の前に佇んでいると、突然ドアが開いた。

4191:2016/11/27(日) 02:14:18
「ありがとうございました。またいらしてくださいね!」
そういいながら、ドアから出てきたのは、℃派手なコスチュームを着たお姉さんだった。
http://i.imgur.com/IhlkJwj.jpg

客の見送りに出てきたのだろう。俺は思わず目が点になった。
「何だこの店… 風俗店なのか…」

その時、見送りを終え、店内に戻ろうとするお姉さんと目が合った。
俺は最初はコスチュームにばかり気をとられていたのだが、この人の顔を見て、思わず「あっ!」と叫んだ。
「あなたは…、コンビニの…、舞さん!」
「えっ!?」

舞さんは俺の顔をまじまじと見つめてから、ため息をついて言った。
「はあ…。あのねキミ、こんなところまで舞のこと、ストーカーみたいに後をつけてきたの?」
「はい?」
「はいじゃないが」

4201:2016/11/27(日) 02:15:34
自体の成り行きがのみこめない俺に、舞さんは畳み掛けるように言ってきた。
「ねえ、ストーキングとか気持ち悪いって。どうしてそんな女の子が嫌がるようなことするのかな」
「ストーキング!? ち、違う!」
「違うって、じゃあどうしてこんなところにいるわけ?」
「そ、それはたまたま…」
「たまたまなわけないじゃん。あっ、そうだ。今朝のもキミ、わざとなんでしょ?」
「今朝の?」

「ほら、コン…、あんなの買って。舞がレジにいたからって、わざとああいうの買って、舞の反応見ようとしたんでしょ」
「えっ?」
「そんなことして、舞の気を引こうとしたってダメだからね」

最初は怒っているだけに見えた舞さんだったけど、だんだんとドヤ顔になってきた感じだった。
俺をからかって楽しんでいるのだろうか。それとも酒に酔っているのだろうか。

「あのねキミ。舞のことが好きなんだったらさ、変な小細工とかしなくていいから、男らしくまっすぐおいでよ、まっすぐ」
蓮っ葉な感じの笑みを浮かべながら、舞さんが俺を上目遣いで見上げてきた。

4211:2016/11/27(日) 02:16:32
何と答えたらいいのか…。
俺が戸惑っていると、店のドアが開いて、別のお姉さんが出てきた。
やはり際どいコスチュームだ。
http://i.imgur.com/QDnJvkq.jpg

「舞ちゃん、何かあったの?」
「あっ、舞美ちゃん。あのね、この子が…」

『この子』呼ばわりされた俺を、しげしげと見つめるお姉さん。
このお姉さんの顔には見覚えがあった。

「あれ、キミ千奈美の弟さんじゃない? やっぱりそうだ!」

4221:2017/04/04(火) 04:24:10
「あ、あなたは…?」

俺もそのお姉さんの顔をしげしげと見つめ返した。

(すごい美人だ…)
見つめていると、何故かこちらが恥ずかしくなるような気がしてきて、
俺は思わず目を伏せた。

『千奈美の弟』なんて俺を呼ぶところを見ると、千奈美姉ちゃんの友達なのか?

確かに見たことはある顔のような気がするのだが、どうにも思い出せない。

4231:2017/04/04(火) 04:47:43
そのお姉さんはニコニコとした笑みを浮かべて俺に近寄ってくると、
「××クン!? 久しぶりだねー! わあ!すっかり大人っぽくなって!
びっくりしたなあ!」と、いきなりフレンドリーな口調で話し出した。

「えっと、あの…、俺××じゃなくて○○ですけど…。
てゆーか、××って誰ですか?」

俺が呆れていると、そのお姉さんは、
「あれっ?」と、一瞬小首をかしげるような素振りを見せたのの、
「○○クンよね!分かってるって! 千奈美の弟クンよね!」と、何事もなかったように話をまとめようとした。てゆーか、俺の名前は絶対に忘れていたのだろう。

その堂々とした姿で俺も思い出した。

矢島舞美さん。

千奈美姉ちゃんの小学・中学時代の一番仲良しの同級生で、昔は毎日のように俺のうちに遊びに来てた人だ。

4241:2017/04/04(火) 05:02:55
俺はあらためて舞美さんを見つめ返した。

舞美さんが一番よく家に遊びに来ていたころは、俺は小学校低学年の、まだまだガキの時分だった。

だから、舞美さんのことを性的な目で見つめたことなど、俺にはなかったのだ。

その点、毎日夜のおかずにさせてもらってた、JK時代の須藤さんとは別次元の存在だ。

舞美さんというのは、俺にとってはあくまで活発で優しいお姉さんだったのだ。

そのお姉さんが…。

一体全体、どうしてこんな扇情的なカッコをしているのか…。

俺はつい舞美さんの全身をガン見してしまっていたのだろう。

「ちょっと…、ヤダ…」
それに気付いたのか、舞美さんが慌てて恥ずかしそうな表情をして、あたりを見回してから言った
「とにかく、店の中に入ってよ…」

4251:2017/04/04(火) 05:11:56
そんなやりとりをしている俺と舞美さんを見て、舞さんが、

「あっそ…。舞美ちゃんの知り合いだったんだ。舞じゃなかったんだね。はいはい…。どうせそうだよね」

と、なぜかやさぐれた表情でブツブツ言いながら、先に店の中に入って行った。

「?」という表情で俺を見つめる舞美さん。

「さあ…」と俺が答えると、「いいから入って」と、舞美さんは俺の腕をギュッとつかんで店の中に誘った。

(あっ!)
舞美さんの小ぶりなオッパイが俺の腕に触れて、俺はドキドキした。

4261:2017/04/05(水) 01:40:04
舞美さんに引っ張られるように入った店の中は暗かった。

カウンターとボックス席が4つ。
カウンターの横にはポールダンスの棒があって、妖しげなピンク色のスポットライトが当たっていた。

(この店はいったい…?)

ボックス席に座らされた俺が考えあぐねていると、舞美さんが開口一番、「ね? このお店のことは千奈美には内緒にしてね、お願い」と、俺の耳元でささやいた。

「内緒ってことは…、あの…、もしかして、まさか風俗関係とか…」

俺がそこまで言いかけたとき、「風俗なわけないじゃん!」と、舞さんの怒ったような声が背後から降り注いできた。

「舞美ちゃん! この子、舞美ちゃんの何なの!? 風俗とか失礼すぎ!」
と、おかんむりの舞さん。

舞美さんはそれには答えずに、「あのね、一応『ガールズバー』って話だったんだけど…」と、困ったように顔を赤らめながら言った。

4271:2017/04/06(木) 04:21:35
「ガールズバー、ですか…」

正直言って、高校生の俺には「ガールズバー」というのがどういう形態の店なのか、分かるはずもなかったのだ。ただ、千奈美姉ちゃんの友達の舞美さんの働いている店が、風俗店のような店ではない、という話を信じたい気持ちでいっぱいだった、というのが正直なところだったのだ。

俺が黙り込んでいると、「○○クンはどうしてこんなところに来たの?」と、舞美さんが俺の目を覗き込むようにして聞いてきた。

「俺は…、まことさんの店を探していて…」

そういうと、舞美さんが舞さんと、目線を交わし合ってから、俺に向き直って言った。

「まあ、ここが、まことさんの店なんだけど…」

4281:2017/04/07(金) 04:53:30
「えっ?」
「正確には、まことさんの店『だった』ってことになるけど…」

舞美さんが説明してくれた話を要約すると…。

ここは確かにもともと、まことさんの店「east cloud」のあった場所なのだが、まことさんはアウトドアでの遊びが過ぎて経営が思わしくなくなり、半年ほど前に店をたたんだのだという。その後、まことさんのバンド時代からの後援者だったという山崎さんというおじいさんが、後を引き取ってこの店を出したのだということだった。

「『山崎さん』って、どこかで聞いたことある名前だな…、あっ、そうだ!」

この間、雨の晩に成り行きで田村と相合傘をしてしまったとき、田村たちがバイトしている『コーヒーとホームメイドパイのお店 ANGERME』は、「山崎さんというおじいさんが、行き当たりばったりで開店した」という話を、俺は田村から聞いていたのだった。

その話を舞美さんにすると、「ああ、そうそう。アンジュルムもそうだし、その前にあった『スマイレージ』も、それにホラ、千奈美たちがバイトしていた『BERRYZ工房』も、みんな山崎さんの店なんだよ」と、舞美さんは笑った。

429名無し募集中。。。:2017/04/10(月) 01:32:17
来てた(笑)

430あぼ〜ん:あぼ〜ん
あぼ〜ん

4311:2017/04/28(金) 04:33:39
「そうなんですか…」
正直、よくわからなかったけど、成り行きで俺は相槌を打った。

舞美さんは「でも、ガールズバーって聞いてたから…、こんな感じの店になるとは正直思ってなかったんだけど…」と言って顔を赤らめた。

「はあ…」と俺。

一瞬、沈黙が流れた。

舞美さんはその沈黙をかき消すように、「でも○○クンは、どうしてまことさんの店なんか探していたの?」と、微妙な笑みを浮かべながら、俺を上目遣いで覗き込んで言った。

「酒を飲みたかったんです」
「えっ?」
「ムシャクシャすることがあって…、酒を飲みたかったんです」

舞美さんは一瞬真顔で俺を見つめた後、「じゃ、飲もっか」と、満面の笑みを浮かべて言った。

「えっ?」と俺が声を上げるのと、「ちょっと!舞美ちゃん!」と、舞さんが怒ったように制するのが同時だった。

4321:2017/04/28(金) 04:53:46
「えっ?ダメ?」と振り返った舞美さんに、舞さんは「ダメに決まってんじゃん! だいたいこの子、高校生だよ!」と言って口をとがらせた。

舞美さんは「うーん…」と、少し考え込むようなしぐさをした後、「もう他のお客さんみんな帰ったし…、ちょっとくらいいいんじゃないかな」と小首を傾げてから、「舞ちゃん、もう看板仕舞ってちゃってよ」と、笑みを浮かべて言った。

舞さんは一瞬ポカンと口を開けてから、「はいはい…。でも、知らないよ、舞」と呆気にとられたような口調で呟いた。

「○○クン、何飲みたかったの? ビール?焼酎?」と舞美さん。
「あっ、はい…、でも俺、そんなにお金持ってないし…」
「お金なんて気にしなくていいよ。キミと私の仲じゃん。何でも好きな物飲んでいいよ」
「じゃあビールで…」
「舞ちゃん、ビール二つ!」

ちょうど看板を仕舞い終えたところだった舞さんは、呆れたようにこちらを見てから、返事もせずに、グラスにビールを注ぎ始めた。そして、しばらくしてから三杯のグラスをお盆に載せてやってくると、お盆をテーブルに置いて、自分もどっかりと俺の横に腰を下ろした。

そんなことにはお構いなし、といった感じで舞美さんが「じゃあみんなで乾杯しよう!」と笑った。

「乾杯!」と舞美さん。
「あ…、乾杯!」と慌てて応じる俺。
怒ったような顔をしながら無言でグラスを持つ舞さん。

4331:2017/04/28(金) 05:06:37
俺は(どうにでもなれ…)と思いながら、ビールを喉の奥に流し込んだ。

今までビールは苦いだけだと思っていたのに、グーッと一気にビールを注ぎ込むと、何だか甘いような感じの味がして、俺は少し驚いた。(あっ、これは旨いかも…)

そう思いながら俺がグラスの3分の1ほど飲んでテーブルに置いた時、舞美さんはまだゴクゴクと飲み続けていて、結局半分くらいを飲み干してからテーブルに置き、「ああ、美味しい!」と笑った。舞さんは、そんな俺たちを呆れたように見てから、ちょこんと一口だけ口をつけてグラスを置いた。

「美味しいね!」と舞美さん。
「は、はい…」と俺。
「…」と舞さん。

4341:2017/04/28(金) 05:22:45
「でも高校生の○○クンが、お酒を飲みたいほどムシャクシャするって、どんなことなの? よかったら、お姉さんに話してみなよ」と、舞美さんが笑った。

「は、はあ…」と、俺が言い淀むと、
「昨日も飲んでたくせに」と、ぼそっと舞さんが言った。
「えっ、なあに?」と小首をかしげる舞美さん。

俺はいちいち俺に突っかかってくる舞さんが、段々と小憎らしくなってきた。

「セックスまでしたのに、俺と付き合えないって女の子がいうから、ムシャクシャして…」
俺はわざと舞さんに当てつけるように露悪的な口調で言った。

「えっ?」と舞美さん。
「!」と、驚いたように両手で口を押える舞さん。

4351:2017/04/29(土) 03:31:53
沈黙が流れた。

舞さんは真っ赤な顔をしながら目を伏せていた。

(俺のバカ! 調子乗ってこんなこと言って…)と、俺が後悔しかけた時、
「そっか…。○○クンもそんな歳になったんだ。早いなあ」と舞美さんが笑った。

「えっ?」
救われたような気持ちになって、俺が思わず舞美さんを見上げると、
舞美さんは「○○クンももう高校生だもん。そりゃ、いろいろあるよね。うん。いろいろ経験するといいよ」と、優しく俺に微笑みかけてきた。

俺は思わず聞かずにはいられなかった。
「舞美さんにも、やっぱりそういうこと、いろいろあったりしたんですか?」

「そりゃね。誰だって高校生くらいの時は、そういうことあると思うよ」と、舞美さんは爽やかな笑みを浮かべた。

(この舞美さんも、やっぱりいろんな男といろんな経験しているのか…)
と、俺が思わずゲスな想像を浮かべた時、

「舞は…、そんなこと全然なかったもん…」と、舞さんが拗ねたような口調でぼそりと呟いたのを、俺は聞き逃さなかった。

4361:2017/04/30(日) 05:02:43
俺が舞さんのそんなつぶやきに思わず聞き耳を立てていると、
そんなことには気づきもしないように、舞美さんが、
「○○クンは、その子のこと、そんなに好きだったの?」と探るような目で俺を見上げながら聞いてきた。

「好きだった、と言い切れればいいんですけど、正直、自分でもよく分からないから、余計にムシャクシャしているんです」と俺は正直な気持ちを言った。

「そっか…」と舞美さんが言うのと、「何よそれ。意味わかんない!」と舞さんが言うのが同時だった。

「ちょっと、舞ちゃん…」と、舞美さんが舞さんをたしなめようとしたけど、舞さんは、
「別に大して好きでもない子とエッチして、その子に振られて、ヤケ酒飲んでるってだけじゃん。何よそれ」と、怒ったような口調で言った。

4371:2017/05/01(月) 04:17:18
「えっ?」
俺が思わず二の句を継げずにいると舞さんは、
「だってそうじゃん。それにその子もその子よ。別にキミじゃなくても、エッチさえできれば誰でも良かったんじゃないの?」と、冷たく言い放った。

「おい、ちょ、待てよ…」
俺は山木さんが馬鹿にされたような感じがして、カッと頭が熱くなった。

思わず立ち上がろうとした俺を制して、舞美さんが
「ダメよ舞ちゃん! そんなこと言っちゃ!」と厳しい口調でたしなめた。

舞さんは「だって…!」と、何か言いかけたけど、舞美さんの厳しい視線に遮られて、「わかったよ…」と、小さな声で不服そうにつぶやいた。

4381:2017/05/03(水) 04:21:57
沈黙が流れた。

俺は、何か興醒めしたような気分になって、思わず壁の時計を見上げると、舞美さんも連られたように時計を見てから、「いけない、もうこんな時間…」とつぶやいた。

俺が舞美さんを見返すと、舞美さんは「ごめんね。そろそろ閉店なの」と笑った。

俺が慌てて「あっ、いくら払えばいいんですか?」と聞くと、「今日はお金はいいよ」と舞美さんは笑ってから、「あのね、舞ちゃんを家まで送ってあげてくれるかな?」と、俺を上目遣いに見てから言った。

「舞美さんはまだ帰らないんですか?」
「うん。私はまだちょっと用事があるから…」

4391:2017/05/03(水) 04:35:53
それからしばらくして…

舞さんが私服に着替え終わるのを待ってから、俺たちは舞美さんに見送られて店を出た。

舞さんと2人ならんで歩いて、大通りに出て…
舞さんはしばらく無言のまま歩いていたけど、「ねえ…、舞美ちゃん、私たちを追い返して、きっとこれから山崎さんと会うんだよ」と、むすっとした表情のまま、突然俺に話しかけてきた。

「えっ? 山崎さんって…」
「さっき言ってた、オーナーのおじいちゃん」

俺は返事に困ってしまった。

舞美さんとそのおじいちゃんが会うなんて言われても…。
それは単に仕事の上での話なのか、それとももっと深い意味でもあるとでもいうのか。

俺は一瞬カッと頭が熱くなったけど、それを舞さんに確かめる勇気も無くて、無言のまま歩き続けた。

4401:2017/05/04(木) 05:13:30
俺が黙って歩いていると、舞さんは「ねえ、怒ってる?」と言って、俺の目を上目遣いに覗き込んできた。

「えっ?」
「さっきのこと。『エッチさえできれば誰でも良かったんじゃないの』とか、言っちゃったけど…」

俺は一瞬またカッと頭が熱くなったけど、気持ちを抑えて黙っていた。

「ごめんね。舞、あんな風にいうつもりはなかったんだ。怒ってるよね?」
「別に…、怒ってはいませんけど…」

441名無し募集中。。。:2017/05/09(火) 23:26:32
まいまいみ楽しみにしてます

4421:2017/05/14(日) 04:52:27
超低速進行で申し訳ないけど(笑)
読んでくださってありがとうございます

4431:2017/05/23(火) 02:51:16
「怒ってはいません、けど…?」
俺の言葉を鸚鵡返しに繰り返すと、舞さんは俺の目を上目遣いに覗き込んできた。

「なんか、気持ちがモヤモヤするって言うか…」
俺が答えるか早いか、舞さんが「うん…。なんか舞もさっきからずっとモヤモヤした気分なんだ」とつぶやいた。

俺が言葉に窮して無言のまま歩いていると、「ねえ…」と舞さんが話しかけてきた。

「はい」
「もう一杯、一緒にお酒飲まない?」
「はい?」
「はいじゃないが」

少し口をとがらせて、俺を見上げる舞さん。

「でも、舞さん、『未成年は飲んじゃダメ』って…」
「昨日もさっきも飲んでたくせに、こんなときだけ未成年アピールして…、ズルいぞ!」

ちょっと酔っているのか、座ったような舞さんの目つきだった。

4441:2017/05/23(火) 03:17:09
そう言われると、俺の中にも少々やさぐれた気持ちが蘇ってきた。
俺はもともと、今日はヤケ酒を飲んで、山木さんとのことを忘れたい気分だったのだ。

「じゃあ…、飲みましょうか」
俺がそう答えると、「うん。舞も飲む」と、舞さんがニコリともせずに言った。

俺は何も考えずに、舞さんの進むにまかせて歩いていたのだが、よくよく考えると、舞さんと俺は、駅や繁華街とは逆の、丘の方に向かって歩いていた。

(どこに向かって歩いているんだろう?)と俺は思った。

丘の上といえば…。
港を見下ろす公園と、外国人墓地、そしてその丘を越したところにある2軒の古いラブホテルくらいしか俺には思いつかなかった。

4451:2017/05/23(火) 03:18:50
(まさか舞さん、いきなり俺をラブホに連れ込む気か…?)

そう思うと俄然強めに緊張してくる俺であった。

「あ、あの…、舞さん」
「何?」
「えっと、こっちの方には…」

俺がそう言いかけた時、舞さんが「そこのコンビニでお酒買って、公園で飲もう」と俺に向かって言った。

「公園ですか?」
「イヤ?」
「いえ、別に…」

ホッとしたような、ガッカリしたような気持ちになる俺であった。

4461:2017/05/24(水) 05:04:28
コンビニに入ると舞さんは、氷結のもも味を選んで籠に入れた。俺はちょっと考えた後、スーパードライの500ミリを手に取った。

「いいからこっちの籠に入れなよ」と舞さんは俺からスーパードライの缶を奪うと、すたすたとレジの方に行って、さっさと会計を済ませてしまった。

「自分の分、払いますよ」と俺は言ったけど、舞さんは「このくらい、いいよ」とそっけなく言って店を出ると、すたすたと公園の方に歩き出した。

俺は慌てて舞さんの後を追った。

4471:2017/05/24(水) 05:26:38
コンビニを出てからダラダラとした坂を登り詰めて、ちょっと曲がったところに公園はあった。

この公園は地元ではそれなりに有名な観光スポットで、俺もガキのころから幼稚園の遠足とかで何度か来たことがあったけど、こんな夜更けに来たのは、初めての経験だった。

目の前には、港と街の夜景が広がっていた。

「わあ…」と俺は思わず口に出した。
港を取り巻く街の灯りと、波止場に佇む貨物船のきらびやかな灯火。

自分の生まれ育った街の夜景が、思いのほか美しいことに初めて気がついて、俺は少し高揚した気持ちになった。

(カメラを持ってくるんだった)と思いながら、俺が立ち尽くしていると、舞さんはそんな俺の気持ちは一切分からないかのように、「ねえ、あそこのベンチに座ろう」と、俺の袖を引っ張った。

4481:2017/05/24(水) 05:34:57
舞さんと二人並んでベンチに座ると、「じゃあ、飲もっか…」と、ぎこちない素振りで舞さんが言った。

2人それぞれ、プシュッ、と缶の蓋を開け、「乾杯…」と言って、カチリと缶をぶつけ合った。

スーパードライを喉の奥に乱暴に流し込む俺。横を見ると、舞さんもちょっと無理矢理気味に氷結を喉に流し込んでいる。

「ゴホっ…」とせき込む舞さん。

「大丈夫ですか?」と俺が心配して聞くと、「大丈夫だよ、こんなの」と、投げやりな口調で舞さんが返事をした。

4491:2017/05/24(水) 05:48:15
俺はもう一度港の夜景に目をやってから、ゆっくりと周囲を見渡した。

すると…。

最初は気がつかなかったのだが、だんだん目が暗闇に慣れてくると、公園のあちこちのベンチには、たくさんのカップルがいて、抱き合ったり、キスをしていたり、中にはもっと激しいことをしている連中もいるのが、少しずつわかってきた。

ベンチだけでなく…

公園の周囲には、停まっている車もたくさんあって、それぞれの車内には人影があって…。
中にはゆらゆらと揺れている車さえあるのであった。

(ここはそういう場所だったんだな)と、俺は初めて気付くと、ちょっと頭がカッと熱くなってきた。

舞さんはというと…。
そんな周囲の状況に気付いているのかいないのか、何事もないように、氷結の缶をちびちびと飲み続けているのであった。

4501:2017/05/25(木) 05:09:51
俺はスーパードライを一口ゴクッと飲んでから、舞さんに声をかけた。

「舞さん…」
「何…?」
「あの…、周り見えてますか?」
「…ムカつく」
「えっ…?」
「何かムカつく!」

舞さんはそういうと、氷結の缶をゴクンと飲んでから、俺に向き直って言った。

「舞美ちゃんってば…、舞のこと、子ども扱いばかりして! 超ムカつく!」
「は、はあ…」

舞さんの目には、周りの景色は入っていないようだった。

4511:2017/05/26(金) 04:18:47
それからしばらくの間…。
俺は舞さんの愚痴ともつかぬ話を、ただ一方的に延々と聞かされ続けたのだった。

曰く…、
舞さんと舞美さんは、町内の子供会で、舞さんが小学校に入ったころからの付き合いだということ。
そして、そのころから今に至るまで、舞さんはずっと舞美さんに子ども扱いされているていうこと。

そのくせ、今回は、帰省ついでに舞美さんに誘われてバイトをしたけど、あんな際どい衣装の店だなんて、ちっとも聞いていなかったということ。

店には舞美さんの他にも何人かの女の子がいるけど、みんなが舞さんのことを子ども扱いしているということ。

「だからさ、いろいろ思うことはあったけど、店の誰にも…、素直に本心を話すなんて、できないかもしれないって」
「はあ、そうなんですか…」
「でもね、私子供じゃない…」

そう言うと、ちょっと座り気味の目で、まっすぐに俺を見つめる舞さんだった。

4521:2017/05/26(金) 04:41:53
正直、(困ったな…)と思いながら俺は舞さんの話を聞いていたのだけれど。

そのうち、舞さんはもっと困ったことを言い出してきた。

「だいたい、キミだってさ…」
「はい」
「昨日は舞のこと『きれいだ』なんて言ったくせに」
「はあ」
「今日は『違う子とエッチした』とか、ぬけぬけと話しだして」
「…」
「舞のこと、馬鹿にしてるんでしょ!?」
「いえ…、そんなつもりは…」

4531:2017/05/26(金) 05:02:15
舞さんは、それから何かまたぶつぶつと話し出したのだけど…。

正直言って、俺は舞さんの話がもうほとんど全然頭の中に入ってこなかったのだった。
というのも…

花壇を挟んで俺たちの向かいのベンチに座っているカップル…、何かすごい美人とイケメンのカップルなんだけど、その二人が俄然強めに愛を確かめだして…、女の人のオッパイなんか、ほとんど丸出しといった感じで、イケメンの手に激しく揉みしだかれ始めたからだった。

(ど…、℃エロいだに…!!)

舞さんのことなんかそっちのけで、ほとんどガン見、という感じで俺は興奮しながらそのカップルを見ていたのだけど、瞬間、その美人と視線が合って、俺は腰が抜けそうになるほど驚いたのだった。

(ちょ! あれ、真野センセイじゃね?!)

俺が驚くのとほとんど同時に、ハッとした感じで俺の方を凝視してくる、その美人。

(ヤバい!)

俺は慌てて、舞さんを押し倒すようにして、真野ちゃんから視線を逸らせた。

「えっ?何!?何!?」と、切迫したような低い声を出しながら、俺を見つめる舞さん。

「あ…、あの…」俺が釈明しようとするより早く、「そんなに舞のこと、好きになっちゃったの?」と、とろんとした目で、舞さんが俺を見上げてきた。

「いや、それは…」
話し出そうとする俺の唇に、舞さんの唇がぴったりと重なり合って、押しとどめてきたのだった。

4541:2017/05/27(土) 00:40:49
一応貼っておくか
https://www.youtube.com/watch?v=orxN4z4Yny0

455名無し募集中。。。:2017/05/28(日) 08:17:56
これじゃマイマイがまるで馬鹿ビッチみたいだろ



いいね

4561:2017/05/30(火) 03:28:12
舞さんの舌がチロチロと動き出すと、俺は反射的に舞さんの背中に手を伸ばしてギュッと抱きしめてしまった。

舞さんの薄手のTシャツは汗でしっとりと湿っていて、舞さんのぬくもりが俺の掌にもハッキリと伝わってくるようだった。

(舞さんの体って、プニプニしていて、触ると気持ちいいな…)と俺は思った。雅さんや山木さんの体が固かった、というのではないけれど、舞さんの体を触っていると、その柔らかさに陶然となりかけて、俺は少し焦ってきた。

4571:2017/05/30(火) 03:28:49
(さすがにこのまま突っ走ってしまうのはマズいのではないだろうか…)
俺の中の良心が俺を咎めた。

舞さんは、俺が舞さんを好きで押し倒したのだと思い込んでいる。
でも、俺は真野ちゃん似の美女の視線を逃れようとしただけなのだ。そう思っている今時点でも、正直、その美女のことが気になって仕方ないというのが本当のところなのだ。

そんなことを考えている間も舞さんの舌はチロチロと動き続けて、俺の愚息はどんどん元気君になり続けていたのだった。

4581:2017/05/30(火) 03:29:51
いちおうお約束
https://www.youtube.com/watch?v=ccu7rWRUR8U

4591:2017/05/30(火) 03:32:20
雅さんは『来た球を打て』と言ったけれど…。

昨日その雅さんに童貞を奪ってもらい、今日は昼過ぎに山木さんを抱いてからまだ半日しか経っていないのだ。

それも…。
雅さんには憧れを感じたし、山木さんには淡い恋心があったけど、舞さんのことは…。

ハッキリ言うけど、「可愛い人」とは思うけど、「好きな人」とは違うのだ。

それなのに…。
(このまま突っ走ってしまうのは、人間のクズというものではないだろうか)と俺は強く感じた。

俺は意を決して、(本当のことを言おう)と思った。

4601:2017/05/30(火) 03:46:57
舞さんからいったん体を離すと、舞さんは「?」という顔で俺を見つめた。

「舞さん、あの…」
言いかけた俺の言葉を遮るように、「あのね、もう『舞さん』じゃなくて、『舞』って呼んでいいんだよ!」

そう言うと、舞さんは俺をギュッと抱きしめて、またキスを求めてくるのであった。

勢いに流されてしまいそうになった俺であったけど、理性のかけらと、舞さんのどうしようもない地雷女臭が俺をかろうじて押しとどめた。

(舞さんの親友は光井センセイなんだぞ!)
俺は心に強く言い聞かせた。

4611:2017/05/30(火) 03:48:14
再度身を離した俺に、「どうしたの?」と怪訝そうに聞く舞さん。

「あのね、舞さん…」
「だから『舞』って呼んでいいって…」
「俺、舞さんのこと、『舞』なんて呼べないよ…」
「やさしいんだね。分かった。キミがそう呼びたいんなら、舞はそれでもいいよ」

「えっ?」と俺が正直困りかけた瞬間、もう一度舞さんが俺に抱きついてきて、ぽつりとつぶやいた。
「舞、ずっと、ずっと、独りっきりで寂しかったんだ」
はっとして、舞さんを見ると、舞さんの両目から一滴の涙がポロリとこぼれてきた。

4621:2017/06/01(木) 03:29:33
舞さんの涙を見た瞬間、俺は反射的に舞さんの躰をギュッと強く抱きしめてしまった。男の大半はそうだと思うけど、俺も女の涙には弱いのだ。

「舞さん…」
そう言って俺が舞さんの背中をまさぐっている間も、舞さんはずっと一人語りを続けていた。

「舞の家、コンビニやってるから、子供の時からパパもママも仕事で忙しくて、舞はずっと独りぼっちで…」

俺の家も両親は共働きだし、姉ちゃんは姉ちゃんで一人であちこち遊びに行っちうから、(そういや俺もずっと独りぼっちだったなあ)と、俺は思った。

舞さんが愛おしくなってきて、思わず、舞さんの栗色の髪に顔を埋める俺。

「東京に行ってからもさ…、夏休みになったら、彼氏は舞に断りもせずに、勝手に友達と遊びに行っちゃうし…」

(えっ…?)

「舞はいっつも独りぼっちなんだもん…」

(彼氏いるって…。いや、それ全然独りじゃないだろ…)

4631:2017/06/03(土) 04:45:23
舞さんの話を聞いていて、俺は完全に白けた気持ちになりかけたけど、その後に、嗜虐的な感情がふつふつと湧き起こってきた。

(そういうことなら…、そんなに寂しくて抱いてほしいって言うんなら、お望み通りに抱いてやろうじゃないか! そして彼氏と俺のどっちがいいか、体で比べさせてやる!)

今度は自分の方からキスをして舞さんの独り語りをやめさせた俺は、舞さんのTシャツをほとんどまくり上げるようにして、ピンクのブラジャーの上から荒々しく舞さんの乳房を揉み始めた。

「う、う、ふん…」と甘い声を漏らしはじめる舞さん。

俺はブラのカップの隙間から強引に指を入れると、舞さんの乳首を摘まんで転がした。

「あ、あん、あん」と、眉根を寄せて切なげな表情を浮かべる舞さん。

4641:2017/06/03(土) 04:47:04
胸を揉みながらふと見ると、舞さんの胸と脇の間には、何か乳首のような突起物があることに、俺は気がついた。

(なんだろう…、これ? 副乳ってやつか…?)

思わず、そこに俺は口をあてがって、吸ったり舐めたりしていたのだけど…、

「ねえ…、あのさあ、何やってんの?」と、イラっとした口調で舞さんが抗議してきたので、俺は慌てて舞さんの唇をまたキスで塞いだ。

それから舞さんの背中に手を回して、ブラのホックを外すと、舞さんのこんもりとしたオッパイが目の前に露わになった。

「きれいだよ、舞さん」
俺がそう言ってしばらく眺めていると、舞さんはあたりを見回してハッとして、初めて周囲の状況に気付いたらしく、「ちょっ、周りに結構人いるじゃん! ヤバいって! 誰かに見られてるかも!」と、切迫したような低い声を上げながら、慌ててTシャツの裾を下げようとした。

「大丈夫。みんな自分たちのことに熱中してて、俺たちのことなんか見ちゃいないよ」

俺はそう言うと、舞さんの下ろしかけたTシャツの中に強引に頭を突っ込んで、舞さんの尖った乳首を口に含んだ。

「あ、アン、だめっ、アン…」
舞さんの舌っ足らずな甘い吐息が響いた。

4651:2017/06/03(土) 04:59:58
乳首を吸いながら、俺は舞さんの太ももに手を這わせ、ミニスカートの奥へと進めていった。

俺の指がパンツの裾に触れた時、「だめ…」と囁いて、舞さんは俺の手を上から抑えようとした。

俺は構わず、パンツの中に強引に指を進めていった。
ヌルっとした感触と、思ったよりも熱い舞さんの体温。
瞬間、「あんっ!」と甲高い声を上げてから、慌てたように両手で自分の口を押える舞さん。

俺は舞さんの顔にぴったりと自分の顔が付きそうになるくらい近い距離で、舞さんの目を見つめながら、舞さんの熱い蜜壺の中でゆっくりと指を動かした。

「だめぇっ…」とくぐもった声を上げながら、俺の手を上から抑える舞さん。
無言のまま、俺が指を動かし続けると、ヌチャヌチャとしたいやらしい音があたりに響いた。

「ねえっ…」
ヌチャッ、ヌチャッ、ヌチャッ…

「ホントに…」
ヌチャッ、ヌチャッ、ヌチャッ…

「お願い…」
ヌチャッ、ヌチャッ、ヌチャッ…

「ここじゃイヤなの…」
哀願するような目で舞さんが俺を見上げてきた。

「どこか行く?」
俺がそう聞くと、舞さんがコクコクと首を縦に振った。

4661:2017/06/04(日) 05:43:07
俺にしなだれかかってくる舞さんを促して、俺たちはベンチから立ち上がった。

公園を出るときにチラッと、向かいのベンチの方を確かめたのだけど、そこにはもう、真野ちゃんに似た美女とイケメンのカップルはいなかった。俺が舞さんとのプレイに熱中している間に、一足先に席を立ったのだろうか。

俺と舞さんは、公園から元の道に出て、丘を越えたところにあるラブホテルを目指した。その間、俺は無言のままずっと舞さんのオッパイを揉み続けていて、舞さんも無言のまま、俺の肩に頭をくっつけていた。

しばらく歩くと、古いお城のような形をした、二軒のラブホテルが見えてきた。

4671:2017/06/05(月) 04:53:39
闇夜の中、ようやく現れたラブホテルを目を凝らして見つめると、手前のラブホの玄関にちょうど入ろうとしている一組の先客がいることに気が付いた。

遠くてはっきりしないけど、女の人の服装はさっきの真野ちゃんに似た美人と同じもののようにも見えた。だとすると、俺たちよりも一足先にベンチを立って、ホテルに向けて歩き出していたのかもしれない。

ちょっとドキドキしながらも、俺は舞さんのオッパイを揉み続けて歩いていたのだが、そのとき舞さんが「あっ、満室になった…」と言った。

「えっ? どうして分かるの?」と俺が聞くと、舞さんは「知らないの?」とちょっと呆れた感じの声で呟いてから、「ここのラブホ、満室になったら看板の上のライトが消えるんだよ。この辺じゃ有名じゃん」と、なぜかちょっとドヤ顔をしながら俺を見上げた。

「そなの…?」
(昨日まで童貞だった俺には、まだまだ知らないことがたくさんあるのだな)と思うと、俺は何かシュンとした気持ちになって、舞さんのオッパイを揉み続ける気力もなくなってきた。

オッパイを揉むのをやめると、舞さんは「?」という感じの表情で俺を見上げてきた。俺は舞さんの胸から手を離して、あらためて舞さんの手を握った。

4681:2017/06/05(月) 05:17:16

「じゃあ、もう一軒の方は…」と俺が聞くと、「ああ、あっちも満室みたい。あっちはね、建物の上のツリーのイルミが消えたら満室なんだよ」と、舞さんは蓮っ葉な笑みを浮かべながら、舌足らずな声で俺に解説しはじめた。

俺は歩くのをやめた。
「じゃあ、ダメじゃん」と俺が言うと、「そんなこと、舞に言われても困るよ」と、舞さんがふくれっ面をした。

俺たちはそのまま数秒、顔を見合わせた。
「帰ろっか…」と、舞さんがつまらなそうに言った。

仕方なくその場から回れ右をした俺たちは、元来た道を戻り始めた。

すると…
来るときは気がつかなかったのだが、公園とラブホの間の長い雑木林の中から、それもあちこちから、女の人の喘ぎ声のような音が、聞こえてくるのだった。

俺と舞さんは思わず顔を見合わせた。

4691:2017/06/05(月) 05:26:05
「舞さん…!」
「…うん」
「この中で…、してる人たち、いっぱいいるみたいだ」
「…そう、…みたいだね」

俺は舞さんの手をギュッと握った。
瞬間、一歩後ずさる舞さん。

「舞さん…!」
「…はい?」
「俺たちも…」
「えっ?」
「俺たちも…、林の中に行こう」
「ちょっ…!? ええっ!?」

俺は舞さんの手をつかんで、強引に林の中に誘おうとしたけど、「ちょっと!待ってよ!」と舞さんは腰を引き気味に立ち止まった。

「舞さん…」
「ちょ! こんなところで…、外でなんて、ヤダヤダヤダ! 絶対嫌だからね、舞!」と、舞さんは耳まで真っ赤に染めながら小さく叫んだ。

4701:2017/06/08(木) 01:44:16
俺はというと、ここまできてお預けなんていうのも、とても我慢できない気持ちになって、舞さんを強く抱きしめた。

「お願い。舞さん。舞さんが欲しい!」
そんなことを言いながら舞さんのお尻を揉んでいると、舞さんは「困った子ね…。でもそんなかわいいこと言っても、ダメなものはダメだよ。こんなところでなんて、舞、絶対恥ずかしいし…」と、舌っ足らずな声でいいながら、上目遣いに俺の目を覗き込んできた。

「でも…」
「それならさ…、帰り道に…、駅の裏手の方にもラブホあるじゃん。あっちに行ってみて、空いてたら入ってもいいよ。ねっ、ねっ?」

そういうと、舞さんは俺の手を引いて、坂の下の方に向かって歩き出した。

4711:2017/06/08(木) 01:46:29

ダラダラとした坂を下り、もと来た電車通りに沿って、俺と舞さんは手をつないで歩いていた。

舞さんはさっきも話していた、東京の学校での彼氏への不満話などを、またぬけぬけと話し出して、俺を辟易させ続けた。

その時、前の方から、一台の怪しげな車、〜その車は紫色に塗られてローダウンした旧型のセルシオで、夜中だというのに大音量のヒップホップを流していたのだが〜、がやってくると、ちょうど俺たちとすれ違ったあたりで急にUターンをして、俺たちに並びかけて停まった。

俺は焦って、思わず五クりと唾をのみこんだ。

(ヤンキーに絡まれるのか…。でも、何があっても舞さんだけは逃がさないと…)

俺はつないでいた舞さんの手を一度ギュッと握ってから、俺の背中で舞さんを隠すようにした。もう片方の手は、ズボンのポケットの中で握りこぶしを固めた。

4721:2017/06/10(土) 04:10:39
俺が身構えていると、セルシオの助手席のフルスモークの窓ガラスがゆっくり下がってきた。

助手席に乗っていたのは髪を金色に染めた女の人で、窓が開くなり「ちょっと舞ちゃん! こっちに帰ってたんなら連絡くらいくれればいいのに!」と、俺のことなど眼中にない感じで、舞さんに向かって舌足らずな声で叫んだ。

途端に舞さんが「えっ!千聖じゃん! 元気?」と、俺を押しのけるようにして、車に駆け寄った。

車の中を伺うと、運転席にはチャラそうな男、後ろの席にももう一組の男女が乗っているようだった。

千聖と呼ばれた女の人が、「ウチら今までサバゲーしてたんだけどさ、これから千聖の家で飲む直すんだ。そうだ!舞ちゃんも来ない?」と聞くと、舞さんは車を覗き込んで、「あっ! なっきぃもいるんじゃん! 行く行く!」と明るい声で答えながら、後ろのドアに手をかけた。

4731:2017/06/10(土) 04:12:36
俺が呆気にとられていると、千聖という人が「ところで舞ちゃん、この子舞ちゃんの彼氏? もしかして高校生? 舞ちゃんまさか高校生と付き合ってんの? 超受けるんだけど」と俺を見て蓮っ葉な笑みを浮かべた。

舞さんは「ちょっと千聖! 変なこと言わないでよ!」と怒ったような声を出して、「この子は舞も会ったばっかりで、良く知らないんだけど、舞美ちゃんの知り合いの子なんだってさ」と言うと、俺に向き直って「ごめんね。久しぶりに友達に会ったから、今日はここまででいいかな?」と、悪びれる様子もなしに言った。

「えっ…」
返事も出来ずにいる俺をその場に残して、舞さんは後ろの席に乗り込むと、「ばいばい。またね」と、何故だかちょっと赤い顔をして、俺に手を振ってきた。

呆然として立ち尽くす俺を残して、車はタイヤの音を軋ませながらUターンして、そのまま走り去って行った。

4741:2017/06/10(土) 04:44:41
俺はしばらくの間、その場から動く気力もなくなり、立ち尽くしていたのだけれど、そのうち、なぜだか可笑しくなってきた。

「ハハハハ」と、力のない笑い声が出た。

手マンまでさせておきながら、俺のことを「良く知らない」なんて言う舞さん。でも、よくよく考えれば、俺の方だって、別に舞さんのことなど深く知っているわけでもなんでもなかったのだ。

しょせん、寂しいもの同士が一晩、勢いだけで互いを慰めあおうとしていただけの話なのだ。これでよかったのかもしれない。

そんなことをぼんやり考えながら歩き出したけど、そのうち、舞さんがさっきの男女と乱交しているような妄想が頭の中で止まらなくなってきた。

男に後ろから激しく突かれながらお尻を叩かれて、別の男の一物もしゃぶらされている舞さん。その男は千聖っていう人とディープキスなんかしてたりして…。

俺は思わず首を振った。

すると、今度はさっきの古いホテルの一室で、真野ちゃんがさっきのイケメン風の男に駅弁スタイルで突き上げられて喘いでいるような妄想が頭の中に浮かんできた。

(俺、頭がおかしくなったんじゃないか…)と、俺は自分で自分に呆れてきた。

(それにしても、あの人は本当に真野ちゃんだったのだろうか…)

475名無し募集中。。。:2017/06/10(土) 07:08:02
嫌な予感はしてたがお預けルート残念すぎる
長期間に及ぶ期待が直前で消えてしまってつらいw

476名無し募集中。。。:2017/06/10(土) 13:29:25
サバゲー(笑)

4771:2017/06/11(日) 05:35:10
>>475
マイマイはまたの機会に

4781:2017/06/11(日) 05:50:39
俺は駅の方に向かって、ブラブラと歩き出した。

歩く気力は全然湧かなかったけど、いつまでもこんなところに立ち尽くしていても仕方ない。市電はとっくの前に終わっているし、タクシーに乗る金もない。自分の足で歩いて帰るしか他にないのだ。

歩き出すと、山木さんのこと、舞さんのこと、それに真野ちゃんのことも頭に浮かんできた。でも、そのたび、俺は頭を強く降って、とにかく歩き続けた。

4791:2017/06/11(日) 05:51:55
駅前を通り過ぎる時、駅舎の時計を見ると、午前1時半を回っていた。繁華街の飲食店も、ほとんどの店は既に電気が消えていて、明かりのついている店がぽつりぽつりとある程度だった。例の「ANGERME」も、もちろんシャッターが降りている…。

そのまま市電の線路に沿って歩き続け、高校の前まできたとき、このまま線路に沿って歩くより、毎日チャリで通る通学路をショートカットした方が近いことに気が付いて、俺は路地を曲がった。

4801:2017/06/11(日) 06:24:43
ずっと歩き続けて、ようやく高校と家の中間くらいまでたどり着いた。

(今はとにかく早く家に帰って、布団に入りたい)
それだけを考えていたのだが…。

小さな川沿いに「赤ちょうちん横丁」という、古い平屋の長屋が向かい合った、怪しげな飲み屋街があった。いつもは朝か夕方しか通ったことがなくて、店が開いているのを見たことは一度もなかったので、建物全体が空き店舗なのだと俺は勝手に思っていたのだが、今見ると、そのうちの数軒に明かりがついている。

(へえ…。こんな遅い時間にやっていたのか)

そんなことを考えながら、思わず立ち止まると、ちょうど一番手前の店のちょうちんの灯りが消えて、ガラガラと引き戸が開くと、中から割烹着姿の女の人が出てきた。

ちょうちんを店の中に仕舞おうとする女の人と、一瞬、目が合った。

4811:2017/06/11(日) 06:25:59

(こんな店のママさんなのだろうから、結構な年のおばさんだろう…)
そう思って何の気なしに見上げると、その人はおばさんどころかすごく若い、しかも相当な美人だったので、俺は一瞬たじろいだ。

(いくつだろう…、舞さんとどっちが年上かな? いずれにしても二十歳そこそこくらいかな…)

そんなことを考えていると、その女の人がいきなり「○○クン!」と、俺に向かって呼びかけてきたので、俺は二度驚いた。

(えっ… 誰だろう、この人…)

俺は無言のままドギマギした。

4821:2017/06/11(日) 06:27:55
「分からない?」とその人は小首を傾げながら、上目遣いに俺の目を覗き込んできた。その目つきで俺はようやく気がついて、思わず大声を上げた。

「お前…、小田か!?」

その人…、いや、俺と同じクラスの小田さくらは、恥ずかしそうに顔を赤く染めると、コクンと一つ頷いた。

「お前、前髪下ろしてるの初めて見たから…、全然気がつかなかった。てゆーか…」

話しをしながら、落ち着きを取り戻して周囲を見回すと、店の看板には「スナックさくら」と書いてあった。

「てゆーか、お前、高校生のくせにスナック経営してんの?」

俺がそう聞くと、「してるわけないじゃん。店をやってるのはお母さんで…、私は今日は夏休みだからたまたま手伝ってただけ…」と、小田は消え入りそうな声で答えた。

483名無し募集中。。。:2017/06/11(日) 16:38:23
ようやくばくわら世代に戻ってきたか

4841:2017/06/12(月) 04:04:45
「そうなのか…」と俺が答えると、「でも、学校のみんなには…、誰にも言わないでね。お願い!」と、小田が赤い顔のままで囁いた。

「あ、ああ…」と俺。

(それじゃ、これでお互いに秘密を一つずつ共有したってことになるのかな…)と、俺は思い出した。

今日は暗室で山木さんとあんなことをした後、山木さんに振られて混乱した俺は、優樹が「幽霊の声がした」なんてふれ回っていたせいもあり、カッとなって、ほとんど八つ当たり気味に、小田に本当のことを話してしまっていたのだった。

その時、「誰にも言わないから」と、生真面目な顔で俺に叫んた小田。

そんなことを考えていると、昨日からのことや、さっきまでのことが次々と脳裏に浮かびあがっては、止まらなくなってしまった。

(あれ、俺、泣いているのか…)
なぜだか、涙が出てきてしまっているのに気が付いて、俺は激しく狼狽した。

「どうしたの、○○クン?」と、驚いたように俺の顔を覗き込む小田。

「い、いや、なんでも…」

4851:2017/06/12(月) 04:53:34
「別に、なんでもない…」
俺は自分に言い聞かすように、そう答えたけど、涙は止まらなかった。

考えてみれば…。

これは前にも経験したような光景だった。

そう。昨年の宿泊研修の後の、2学期終了のクラスの打ち上げの後のことだ。

宿泊研修で宮本に告白して玉砕した(と思い込んだ)俺は、安酒に悪酔いして、泣きながらズッキの膝の上で介抱されていたのだが、その時も、今みたいにどうにも涙が止まらなかったのだ。

(俺って、女の前で涙腺が緩むタイプなのか…、情けない…)

「ねえ、何かあったの? 本当に大丈夫? …ちょっと落ち着くまで、うちの店で休んで行ったら?」と、小田が心配そうに言った。

4861:2017/06/12(月) 05:01:55
俺は慌てて、「いや、店の中に小田の母ちゃんいるんだろ? いいよ。いいよ」と断ったのだが…。

小田は「大丈夫。お母さんいないから」と、小さく微笑んでから、「お母さん、今日疲れてて体調悪そうだったから、さっき店閉めたらすぐ、先に帰ってもらったの。で、私一人で洗い物とか店の片づけしようとしていたところだったんだ。だから…」

そう言いながら、小田は俺を背中から押すような形で店の中に押し込んだ。

4871:2017/06/12(月) 05:15:01
店の中には、カウンターとボックス席が一つ。

外の看板には「スナック」とは書かれていたけれど、入ってみると、焼き鳥屋かおでん屋のような造りの店だった。それともこういう店を「小料理屋」というのだろうか。カウンターの奥にはカラオケのセットが置かれていた。

(それなら「和風スナック」とでもいうべき店なのだろうか…)

俺が店内を見回していると、後ろ手に玄関の引き戸を閉めて入ってきた小田が、「その辺にでも座ってて。あっ、そうだ。お茶でも飲む?」と言って、「サッポロビール」とロゴの入った冷蔵ケースの中を探りはじめた。

「そう言えば俺、今日はヤケ酒飲もうとして出てきたんだった。でも、酒なんて飲んでも、何もいいことなんてないもんだな」

ようやく涙のとまった俺がそう言って力なく笑うと、小田は真面目な顔をして数秒俺の顔をじっと見つめた後、無言のまま冷蔵ケースからサッポロ黒ラベルの中瓶を取り出し、俺の前に持ってきた。

4881:2017/06/13(火) 04:59:33
無言のままビールの栓を抜くと、俺の前に小さなコップを置き、注ぎ始める小田。

「えっ…」
おどろく俺を尻目に、小田は「私、注ぐのなかなか上手いでしょ。さっきもお客さんに褒められたんだ」と、小さく笑ってから、「ねえ、一体何があったの? これ飲んで、イヤなこと全部忘れちゃうといいよ」と、つぶやいた。

「小田、お前…」
思わず俺が真顔になって話しかけようとすると、小田は「ごめん! 詮索とかするつもりじゃなくて…。そうじゃなくて、元気出してほしいな…、って私思って…」と、言い訳するように言ってから、「私、洗い物済ませちゃうから、ゆっくり飲んでてね」と言って、カウンターの中に入った。

俺はしばらくコップのビールを見つめてから、一息にそれを飲み込んだ。

4891:2017/06/13(火) 05:02:40
空になったコップに手酌でビールを注ぎ足してから、「でも、小田が俺にビールを注いでくれるなんて、夢にも思わなかったわ」と、俺はつぶやいた。

カウンターの向こうで洗い物を始めながら、「えっ、どうして?」と生真面目な顔で俺を見上げてくる小田。

「小田とは1年生の時から同じクラスだったけど、俺たちあんまり接点なかったし、深く話したこともなかっただろ…。それにホラ、お前、俺なんかと違って頭もいいし真面目じゃん。去年は学級委員長もやってたし。そんな優等生のお前が、劣等生の俺に飲酒を注意することはあっても、まさか酒を勧めてくるなんて、想像もしてなかったから」

俺がそういうと小田は、一瞬、洗い物の手を止めて、「えっ、私はクラスの中では、〇○クンとは仲がいい方だと思ってたんだけど…。それに、私…、優等生なんかじゃない…」と言って、ちょっと寂しそうな表情を見せた。

4901:2017/06/14(水) 05:38:07
「えっ、いや…、その…」
小田の寂しげな表情を見て、俺は思わず言葉に詰まってしまった。

(俺はなんでいつも、物事を深く考えもせずに喋ってしまうのかな)と、俺は自分の軽口を後悔した。

「何か…、スマン」
俺がそう言うと、小田は「いいよ…、別に」と言って、また下を向いて洗い物を始めた。

沈黙が流れた。

何か話題を作ろうとして、俺は「ところで、あのあと優樹、どうなった?」と聞いた。そして、聞いてからまた後悔した。

小田は洗い物を続けながら、「優樹ちゃん…、あの後大変だったんだから。音楽室に戻ってきて大泣きして。『お兄ちゃんに突き飛ばされた』とか大騒ぎして。それ聞いて、合唱部のみんなも、そう、植村さんとかも『女の子に暴力振るうなんて最低』って、○○クンのこと、怒ってたよ」と、真面目な顔をして言った。

4911:2017/06/14(水) 06:13:55
(あの植村あかりに嫌われたのか…)
俺が何気にショックを受けていると、「でも、私はそうは思わないけど」と小田が言った。

「えっ?」
「いや、私もそんなによくは分からないけど…。○○クンが理由もなしに優樹ちゃんに暴力振るうなんて、私には想像つかないもん。きっと、何か行き違いがあったんじゃないのかな? 優樹ちゃんって、感情的になるとすごく大げさなこと言ったり、嘘ついたり、人の話聞かなくなったりするところあるし…」
「…」
「植村さんも、○○クンのこととかよく知りもしないくせに、優樹ちゃんの言い分だけを真に受けて、悪く言ったりしない方がいいのにって、私思った」

俺は恥ずかしさで自分の顔が赤くなるのを感じていた。と同時に、小田の俺への底抜けな買い被りにも似た同情に、正直言って戸惑ってもいた。

4921:2017/06/15(木) 04:19:08
「いや、小田、あのな…」
「何?」
「庇ってくれるのは嬉しいけど…、やっぱり俺が悪かったんだと思う…」

小田は数秒俺の顔を見てから、「ねえ…、いったいあのとき何があったの? あっ、いや…、言いたくないなら、別に言わなくてもいいんだよ」と、早口で言って、俺を見た。

俺は何て答えればいいか数秒迷ったけど、コップのビールをグッと飲み干してから、小田の疑問に答えることにした。

「あの時も言ったけど…」
「うん…」
「俺は暗室で、好きな先輩と、その…、抱きあってたんだ。声も響いてたと思う…」
「…」
「でも、俺、フラレてな…」
「えっ?」
「それで…、落ち込んでたところに、優樹が来て、幽霊だの何のって…。俺、ついカッとなって」
「そう、なんだ…」

赤い顔をしながら、俺を見つめる小田。

4931:2017/06/15(木) 04:32:13
「その先輩って、写真部の人? もしかして…、山木さん?」
「…」
「ごめん。詮索したりして…」

沈黙の中、小田が食器を洗い続ける音だけが響いた。

「でも…、こんなこと言ったら怒られるかもしれないけど…」そう言って、小田が上目遣いで俺を見上げた。

「何?」
「私、ちょっとホッとしたな」
「どゆこと?」
「私、○○君って、うちらのクラスの鈴木さんか…、もしかしたら植村さんのことが好きなんじゃないかって、勝手に思ってたの。でも、そうじゃなくて、その先輩が好きだったんだね」

俺は小田の言っている意味が分からなくて、黙っていた。

「別にフラれたっていいじゃん! 女の子なんて星の数ほどいるんだよ。○○君のこと好きな子だって、きっといるよ」
小田はまっすぐに俺の目を見て言った。

4941:2017/06/15(木) 04:46:44
小田は小田なりに俺のことを励ましてくれているのかもしれないけど…。
その無責任な口ぶりに、正直俺は少し腹が立った。

「何で小田にそんなこと分かるんだよ」
「だって…」
「だって?」
「私、知ってるもん!」
「何を?」
「○○君のこと、好きだっていう女の子がいること、私、知ってるもん!」
「誰だよ、それ?」
「そんなこと…、言えないよ…」

そう言うと、また小田は下を向いて、洗い物に集中してしまった。

4951:2017/06/15(木) 05:16:49
そのまま小田は黙って洗い物を続けた。

俺も黙ってビールを飲み干すと、コップと瓶を小田に渡した。

しばらくして小田は「じゃあ、後片付終わったから…、店閉めるよ」と言った。
「お、おう…」と俺。

2人並んで店を出ると、小田は玄関にカギをかけて、シャッターを下ろした。

「おい、こんな時間になったし、お前の家まで送っていくよ」と俺は言った。
「いいよいいよ。だいたい私の家、○○君の家とは反対方向だし」と言って、首を振る小田。
「えっ、お前、俺の家知ってんの?」と俺。
「あっ、いや…、よくは知らないけど…」と小田。

「まあ…、それはいいけど…。遠慮すんなって。てゆーか、こんな時間に、女の子一人じゃいくら何でも危ないだろ」と俺が言うと、小田は少し考えるような素振りをしてから、「それじゃ、お言葉に甘えて送ってもらおうかな…。ホントはね、正直言うと、一人で帰るの、ちょっと怖かったんだ」と言って、頬を赤くして俺を見上げた。

4961:2017/06/15(木) 05:31:47
小田の家は、そこから高校の方に少し戻ったところの、歩いて5分くらいの場所だった。

今まで小田のことは別に何とも思ったことはなかった俺だけど、こんな時間に、クラスの女の子と二人きりで歩いていると思うと、少しドキドキとしてきた。それに、正直に言うけど、割烹着を脱いでワンピース姿になった小田は、俺が思っていたよりもずっとオッパイが大きく見えて、俺は目のやり場に困って緊張していたのだ。

俺だけじゃなく、どういうわけか、小田もほとんど無言のままで歩いていた。

「私の家、ここなんだ」と言って小田が指さしたのは、お世辞にも立派とは言えない、古い木造アパートの二階の一室だった。

「小田…、今日は何かスマンカッタな…」
「えっ、どうして…」
「何か俺、酔っ払って絡んだみたいで…」
「そんなことないよ。私の方こそ、わざわざ送ってもらって…」
「あっ、そうだ。ビール代払うの忘れてた」
「えっ、別にいいよ。そんなの」
「よくないだろ」
「そんな…。あっ、そうだ!じゃあ、ツケにしておくから、また今度きてよ」
「えっ?」
「…機会があったら、でいいから」
「お、おう」

そう言うと、小田は早足でアパートの鉄製の階段を昇って行って、自分の部屋の前で一度俺に振り向いて手を振ると、部屋の中に消えていった。

497名無し募集中。。。:2017/06/15(木) 22:11:28
本命は小田ちゃんか

4981:2017/06/18(日) 04:31:05
家まで帰ってくると、玄関に電気がついていた。

カギを開けて中に入ると、居間のテーブルに千奈美姉ちゃんが突っ伏して寝ていた。

姉ちゃんの姿を見ると、またさっきまでのいろいろな出来事が一気に押し寄せてきて、俺は泣きそうになってしまった。(いっそ、姉ちゃんに話を聞いてもらおうかな…)と、俺は一瞬思った。

「姉ちゃん、こんなところで寝てると風邪ひくぞ」と声をかけて体を揺さぶると、千奈美姉ちゃんはむくっと起き上がって

从*´∇`)<ちょっとアンタ! こんな時間まで何やってたの!

と大声を上げた。

「いや、別に心配してもらわなくても…」と俺が言いかけると、姉ちゃんは俺の言葉を遮って

从*´∇`)<心配? ハァ?

と首をかしげてから

从*´∇`)<そんなことどうでもいいけど、それより聞いてよ! ちいちゃんの大活躍で、アシカの赤ちゃんたちが劇的に回復したんだから! それをアンタに話してやろうと思ってわざわざこうして待ってたんだから!

というと、姉ちゃんは早口で一方的にアシカを治した自慢話をし始めた。

(姉ちゃんに話を聞いてもらおうと思った俺が馬鹿だった)と思ったけど、姉ちゃんの笑顔を見ていると、なんだか元気が出てくる俺でもあった。

4991:2017/06/18(日) 05:02:07
姉ちゃんの長い話を聞き流し…、
部屋に戻って時計を見ると、すでに時刻は午前3時半を回っていた。
(疲れた…)と俺は思った。

パジャマに着替えてすぐに布団にもぐりこんだのだが…。
すごく疲れていて、すぐにでも眠りたいのに、どういうわけか神経が高ぶって、目を閉じても眠れない。

(困ったな)と俺は思った。

これはきっと…、舞さんとセックスするつもりでいたのに、直前で寸止めされたのも影響しているのではないか。

(だったら、一本抜いて、スッキリしてから寝よう)

俺はベッドから這い出ると、おもむろに部屋のドアにカギをかけた。

5001:2017/06/18(日) 05:05:01
ズボンとパンツを脱いで、一物を握りしめた。

すると、頭の中には舞さんではなく、自然と山木さんのことが浮かんできた。

(山木さん…! 梨沙!)

昼のことを思い出すと、気持ちが昂揚してはきたのだが、「〇○君とは、やっぱり付き合えない…」という山木さんの言葉を思い出すと、自然と萎えてきてしまった。

(これじゃダメだ! もっと鬼畜になって、舞さんの…、体のことだけを考えよう)

俺は目を閉じて、舞さんを後ろから抱きしめているところを想像した。

(舞さん!舞さん!)

後ろからオッパイを揉みしだくと、妄想の中の舞さんのオッパイは、さっき実際に触った舞さんのオッパイよりも大きかった。

(あれ、舞さんじゃない! キミは!?)

肩をつかんで振り返させると…
そこにいたのは舞さんではなく、顔を真っ赤に染めた、さっきのワンピース姿の小田だった。

(えっ!? 小田…)

俺が叫ぶと同時に、俺の胸の中に飛び込んでくる小田

(くそ…!)
俺は訳が分からなくなって、妄想の中で小田を押し倒し、奥深くまで貫いた

(小田…!、さくら…!、さくらッッ!)
小田の中で勢いよく果てると同時に、猛烈な睡魔が俺を襲ってきた。

5011:2017/06/20(火) 05:20:27
ドン、ドン、ドン
ドン、ドン、ドン
と、激しくドアを叩く音で目が覚めた

从*´∇`)<ちょっと! アンタ! 何で部屋にカギなんかかけてんのよ!

そう言って、姉ちゃんが俺の部屋のドアをガチャガチャと開けようとしている。

俺は慌てて飛び起きた。

気がつくと、俺は下半身裸のまま、ティッシュを握りしめてベッドで大の字になって寝ていたのであった。

急いでパジャマのズボンを履いてから、部屋のドアを開けた。

「ちょっ…、何だよ姉ちゃん…。まだ朝早いだろ!」

俺がそう抗議したのにも構わぬ素振りで、姉ちゃんは俺の部屋に一歩入ると、

从*´∇`)<何!? なんかこの部屋、男臭い!

と言って、顔をしかめた。

「そ、そりゃ、男だもん、男臭いに決まってるだろ…。それより、何だよこんな時間に?」
と、俺がしどろもどろになって言い返すと、姉ちゃんは

从*´∇`)<電話だよ、電話! それも、可愛い声の女の子から!

と言って、ニヤニヤと俺の顔を覗き込んできた。


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