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( ^ω^)外道の花道のようです
1
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/06/21(日) 19:20:51 ID:FJOf8d1E0
零
.
328
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/06(日) 10:43:44 ID:eBITXaqQ0
( ゚∋゚)-~「……今後のビジョンはありますか。一先ずの組織運営で済ます……って感じではないでしょう」
( ^ω^)「……ここまで手を付けてんですお。そうなりゃいけるとこまでとことん、ですかおねぇ」
仮に麗の出世だけを目的とするならば彼女を大手のプロダクションに売り込んで僕の仕事は終わりになる。
だが事業として展開され、多くの人々を巻き込んでいる事実からして、そうなると現状、確かに社長はドクオの体だが、実質は僕の手の中に従業員たちの未来があると言っても過言ではない。
となれば稼ぎと実績を確実に出さなければならない。己が買い取ったとはいえ従業員たちにも当然生活がある。適当に巻き込んでいいことではない。だからこそ、僕はこの会社を成長させていかなければならない。
( ゚∋゚)-~「世に多く溢れる芸能事務所、それにより苛烈が極まった群雄割拠の時代は最早終わったも同義だというのに……この時世に殴り込みですか」
( ^ω^)「おー、利権の安定にはしる豚共にはいい刺激になりますお? 業界全体の活性化だって」
( ゚∋゚)-~「ははは、既に成功する未来しかない、と。なんとも大それた未来図ですが、その自信の根拠は……」
( ^ω^)「おっおっ……うちのお姫様ならと、確信がありましてお」
( -∋゚)-~「随分とお気に召している様子ですな。じゃなきゃこうもならなかったでしょうが……」
彼は頬に手を宛がい悩む素振りをする。
( ゚∋゚)-~「懸念は金がないことと、そして実績がないことですね。仕事を貰おうにもどこも相手はしてくれないでしょう。輩出してきた先達の子達は最早その事務所の所属だ、古巣なんぞに手を貸す筈がない」
( ^ω^)「そうなると我武者羅にライブしたりイベントを開いたりして注目を一般から得るか、無理矢理の売り込み営業なんかが手段ですおね。
でも前者は先の見えないストレスや不安で本人には辛いし、後者は僕が暴力を振るう結末になるのは必然でしょうお」
( ゚∋゚)-~「普通、というか往々はそのどちらもが手段として当たり前ですし、皆はそうやって苦労を経験してのし上がっていくもんですよ。ですがそれを否定するんですから、明確なビジョンがなきゃクルーが立ち往生しますよ」
( ^ω^)「ですおねー。しかも場所は僕のまったく知らない土地ですから人脈もない。そもそもが長く業界を離れてた事実からしてまともな情報すらもない……」
そこで僕は言葉を切ると飲み物を改めて口に含む。渋い内容のそれに眉根を寄せつつも、僕は彼へと視線を戻した。
329
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/06(日) 10:44:18 ID:eBITXaqQ0
( ^ω^)「ところがどっこい、幸運ながらに僕の目の前に地域を支配する某極道の親分さんがいるんですおねぇ」
( ゚∋゚)-~「ははは、そんな大した程度ではないですけどね」
( ^ω^)「おっおっ。地方から数多の人物を輩出するだけの手腕があるのにですかお? それから窺えるのは単純に言って潤沢な人脈を持つ事実ですおね」
(; ゚∋゚)-~「それを搦め手に獲得したも同義だから、あなたの暴力ってのは結果を他所にしても恐ろしいですよ」
行き当たりばったりでそうも上手くいくことがあるかよ、と彼は呆れたような顔をする。
僕は彼の言葉に朗らかに笑うと、さて、と本題を切り出した。
( ^ω^)「本日、僕は急に呼び出された訳ですけどお……はてさて何か御用ですかお? まさか僕の見違えた姿を一目見たかった、だなんてことはありますまい」
( ゚∋゚)-~「いや、それも見たかったのは事実ですよ。あの伝説的な戦夜叉が如何に社会人のそれになり切れるかと思えば見事にビジネスマンだ。それもいい稼ぎを予想させる格好で」
( ^ω^)「となると、僕は外に出して仕事を任せても大丈夫な風体だ、と?」
( -∋゚)-~「ふふふ。ええ、合格ですよ。とても極道らしくもない、ちゃんと一般の風貌の、金稼ぎに必死な風の、ビジネスマンスタイルになり切ってる」
さて、この日、僕は件の親分氏に呼び出されて会社へと赴いた。未だ正式な形で会社は機能してはいない。
だがそれはそれ、これはこれだ。元の実績がレーベルの単位でも存在していた事実も含め、幽霊会社とは言っても活動自体は当然ながらに出来る。
今後、正式に看板を起こすことになるとしても、その以前に存在を確立し、人々の印象に残しておくことは実に有意義だ。
故に、僕がこの日、彼に呼び出された事実と言うのは、単純に言うとお仕事の話だった。
( ゚∋゚)-~「すこーし前にね、お友達になった人物がいましてね。地方局の某プロデューサーなんですが。なんか面白いネタはないかと持ち掛けてきましてね」
( ^ω^)「おー、テレビですかお? そりゃまた宣伝効果には最高に抜群じゃあないですかお。うまい話にも程がある」
( ゚∋゚)-~「ええ、まあ、うまいお話なんですよ、あっちからしても。何せ我がレーベルは“そういう会社”でしたからね。特集組む変わりに“おいしいの”を味わいたい訳ですよ」
その言葉に僕は項垂れ、そりゃそうだよな、あっちもそれを期待する訳だ、と項垂れる。
330
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/06(日) 10:45:02 ID:eBITXaqQ0
(; ^ω^)「……往々は事前に“お味見”ですお、奴等のお決まりは。どうすんです、それ受けちゃったんですかお」
( ゚∋゚)-~「そりゃね、これから稼ぎ時なんですから仕事はあって困ることはない。ましてテレビですから。あなたも言ったように最高の宣伝方法ですよ」
(; ^ω^)「と、なると……」
( -∋゚)-~「あなたのお仕事ですよ。早速ね」
言外に彼は言う。そいつをぶん殴って無理矢理に納得させろ、と。
こりゃもう、どう考えても極道のやり方だった。そりゃ相手方は性欲に満ちる豚野郎に違いはないだろうが、よもや初っ端の仕事から暴力沙汰になるとは思いもよらず。
仕事が即座に手に入った事実は素晴らしいが内容からして今後が危ぶまれる。というか路線はこれで正しいのかと疑問すら抱く。
('A`)「……お言葉を宜しいですか、お二人とも」
( ^ω^)「お、ドクオ……」
それまで僕の後ろに控えていたドクオが頭を下げつつにそう言う。
喜ばしい助言であるならば幸いだ、僕が構わずに言ってくれと告げると彼は咳払いをしてからこう言った。
('A`)「そりゃぶっ飛ばしゃ話は早いですが……そんなんじゃ業界内での評価は最悪ですよ。一本独鈷で突っ走ろうって気概なら尚のこと波風を立てちゃよくないでしょう」
( ゚∋゚)-~「そうは言っても内藤さんは業界のそういった在り方を真正面から否定するってんですから、金を積むか女を差し上げるかはアウトでしょうし……」
('A`)「仮に別の生贄の形を取るとしても兄貴は嫌がるでしょうし、だったら……世間への露出は手前等でやりゃいい」
その言葉に僕は疑問符を浮かべるが、親分氏は唸り声をあげ、それもまた難しいだろうと口にする。
( ゚∋゚)-~「例えばインターネットでの配信やらが今時はインディ、アマ問わず、プロでも当然の形ですが、ある意味は飽和状態で注目を集めるのは厳しいですよ、ドクオさん」
('A`)「そりゃ勿論把握はしていますよ。手段が身近になった現代ではより競争が激しくなったし、そもそもは無名からのスタートじゃ当然ながらに誰も目をつけない」
だが、とドクオは言葉を続ける。
331
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/06(日) 10:45:48 ID:eBITXaqQ0
('A`)「商法にも多くの手段がありますよね。例えば炎上なんかはよく見受けられるやり口で」
( ゚∋゚)-~「……何かいい手段があるんですか? 地方局の出演を断るくらいの」
('A`)「いやぁ、だったらほら、逆にその“糞みたいな危機的状況を”――」
と、そこまでドクオが言葉を続けたところで、突如に扉が開かれ、それと同じくして明るい声が響いた。
ζ(゚ー゚;ζ「ひぃー、歌のレッスン厳しかぁ! あのコーチさんすっごい気難しいとよぉ……」
从;'ー'从「ねー、熱意がすごいのはわかるんだけどー、そのせいで容赦なさすぎてー……」
その姦しい空気を運んできたのは麗と、先の事件で悲惨な目に遭った少女だった。
彼女の名前は渡辺といい、あの日を切っ掛けとして麗と親しい間柄になった。単純に言って友達であり、二人は先程まで上の階で歌のレッスンに励んでいた。
せめてノックの一つはしろ、と拳を震わせるドクオを僕は宥めつつ、この話を子供たちに聞かせる訳にも行かず、兎角として続きは今度改めて、と目配せをする。
( ^ω^)「お疲れ様ですお、二人とも。先生のお話はちゃんとしたプロからのアドバイスだからお、愚痴もいいけどちゃんと聞いてあげてくださいお?」
ζ(゚ヮ゚*ζ「あ、平治さんがいる! 何その格好、お洒落! かっこいい!」
从*'ー'从「わー、チャコールグレーのスーツにブラウンのネクタイが凄くシック〜」
僕が本日事務所に訪れることは誰にも告げていなかったが、少女達は僕を発見するとやんややんやと駆け寄ってきて、様々な角度から見てくる。
適当に相手をする僕だが、先程話を遮られてからのドクオは怒髪冠を衝く勢いで、おい、と声を荒げると麗さんの頭を鷲掴みにする。
(#'A`)「おうこら小娘、テメェはどこの誰に無遠慮に近寄ってやがんだ、あぁ? そもそもはテメェの我儘からこの面倒な事態が始まってんだぞ! 分かってんのかこら!?」
ζ(゚ー゚*ζ「お、社長! お疲れ様でーす! なにをそうも怒ってるんですか? それより手を放してくれませんか?」
(#'A`)「そりゃ怒るわダボが! 兄貴は御多忙の中にわざわざ足を運んでくださったんだぞ! そんなお疲れの兄貴に群がるなアホ娘! ねぎらいの気持ちと感謝をまず口にしろや!」
ζ(゚ー゚*ζ「お! そうだった平治さん! あとでお土産があるとよ!」
(#゚A゚)「話を聞け糞ガキこらぁ!?」
332
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/06(日) 10:46:49 ID:eBITXaqQ0
やいのやいの、ぎゃーぎゃーと騒ぐドクオと麗を後目に、僕は隣に腰かけた渡辺が茶菓子を貪るのを観察しつつ、対面に座る親分氏へと視線を移す。
从*'ー'从「イチゴ味のひよこだ〜! おいし〜!」
(; ゚∋゚)-~「……こりゃまた賑やかしい事務所になったもんですな。以前の様子が嘘みたいに」
( ^ω^)「おー、まるで託児所のそれですおね。緊張感もないし……けども、いい雰囲気ですおねぇ」
先日、この建物では血生臭い暴力沙汰が発生し、生々しい大金が動き、それはもう穏やかなものとは程遠い空気だった。
だが今、この事務所には活気があり、和気藹々とした空気もあり、未来の心配や不安などはどこ吹く風で、各々は各々で生き生きとした風だった。
その様子を垣間見て、触れ、更にその中に己もいるのだと実感を得ると、これがまた不思議と愛しい気持ちになり、こういった緊張感の欠片もない様子を不思議と許してしまえたりする。
(#'A`)「いやいや、ビッとする時はビッとしねーとですからね、兄貴。甘やかしたっていいことはなんもねえんだ、しかも生意気なガキ共ですから、そこははっきりしねーと!」
ζ(゚ー゚*ζ「わーちゃん、それもしかしてあまおう苺のひよこ? 私も欲しい!」
从'ー'从「いいよー、はいあげるー」
(#゚A゚)「よーしテメェ等いい加減にしろぉ? そもそもは兄貴と親分さんの茶菓子をテメェ等勝手に食ってんなボケ! つーか仮にもアイドルだろうが!? だったら甘味をそうも簡単に口にすんな馬鹿野郎!」
ζ(゚д゚*ζ「女の子は甘い物を食べんと死ぬったい、社長!」
(#゚A゚)「高カロリー摂取はアイドルの御法度そのものだろうがドアホが!!」
从'ー'从「でもこんなに美味しいし〜」
(#゚A゚)「美味い物はそりゃ高カロリーだろうがクソジャリ共!! いいから食うな、あと畏まれ!! 仮にも社長とジャーマネと極道の親分がこの場にいんだぞ!?」
ζ(゚д゚*ζ「えー……」
从'ー'从「でもー……」
(#゚A゚)「ぶーたれんじゃねえ、芸能界嘗めてんのか!?」
(; ^ω^)「まあまあ、落ち着けおドクオ、若い子達だししゃーないお」
(; ゚∋゚)-~「そうそう、歳若い女の子たちにあーだこーだいっても……」
(#゚A゚)「何をあんたら隠居したジジイみたいなこと言ってんだよ! こっちが泣くぞマジで!」
333
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/06(日) 10:47:25 ID:eBITXaqQ0
苦労人ドクオは一人でぎゃいぎゃいと騒ぐが、やがて僕の両隣りに麗と渡辺が腰かけ、黙々と甘味を貪る様子に項垂れると、いよいよ諦めたのか深く溜息を吐き、額に手を宛がった。
(;'A`)「手前の身体そのものが商品になるって自覚がねーのか……アイドルは見た目が最重要だっつーのに、お前等ぶっ殺されるぞ先輩方に……」
(; ^ω^)「おー、今後を思うと二人は地獄だろうお。そう考えると今のうちしか好きに飲み食い出来んから、ここは目を瞑ってやろうお、ドクオ」
ζ(゚ー゚*ζ「え? 何ですかその不穏な発言……」
从'ー'从「まるでこれからは好きなものを好きな時に食べられないかのような〜……」
(;'A`)「……食べれんよ。食事制限はダイエットばかりが目的じゃねーんだよ。特にアイドルに限っては永遠の課題だ」
(; ^ω^)「トウガラシとかの刺激物すら許されないお。遅くても撮影の一週間前くらいからは徹底した食事制限が始まるし」
ζ(゚ー゚;ζ「え……えぇ!? そんなに食べ物に厳しいんですか!?」
从;'ー'从「トレーニングやエキササイズだって毎日やってるよ〜?」
(;'A`)「食事内容が及ぼす効果を知らんのか……いやまあ若いから身体の変化なんて気づきもしねーんだろうが……」
(; ^ω^)「こりゃ先が思いやられるおね……」
皆が見る第一線で活躍するプロも含め、日陰にある人物等も含め、美を目的とする制限は想像を絶する域にある。
ある程度の認知はされているだろうが、しかしてその地獄の程はあまり知られていないだろう。皆が羨む美貌や理想的な身体というのは並々ならぬ本人たちの努力から得た物が大半だ。
( ゚∋゚)-~「まあ大半はシャブと避妊薬で肌の調子と体重の増減が狂うのが往々ですけどね」
(; ^ω^)「いらん現実的過ぎる情報だから二人は聞かんでいいお……兎角、ちゃんと事務所にも顔を出してるしコーチの指導のもとに勉強もしているようで安心しましたお、麗さん」
先日、僕に啖呵を切った彼女は真面目に努力をしているようで、未だ事務所的な活動をしていないながらも歌やダンスの勉強に励んでいる様子だった。
それに渡辺も付き合っているようで、お互いはいい友人であると共によきライバル関係とも呼べるようで、互いにいい刺激になり切磋琢磨する間柄になれば最良だと僕は思う。
334
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/06(日) 10:48:12 ID:eBITXaqQ0
ζ(゚ー゚*ζ「そりゃ勿論! 平治さんがマネージャーになってくれたのもあるし、事務所の立ち上げは他人事じゃないですし! 看板背負うってんなら必死にもなりますよ!」
( ^ω^)「おっおっ。燃えてますおねぇ。そういえば近い日にライブも組んでましたおね?」
ζ(゚ー゚*ζ「ええ、来週ですね! これはまだ名義は私個人ですけど、どうなんでしょう、事務所の発表はまだしない方がいいんですかね?」
彼女の質問に僕は数瞬思考を巡らせた。これもまた宣伝効果にはなりえるが、未だ機能をしていない事務所の名を出しても意味合いや効果は薄い。
しかし、ファン層からすれば推しは是非とも出世して欲しいし名が売れる為となれば全面的に企業を支えてくれるだろうし、未だ若い芽である会社そのものを応援してくれるのであれば助かる。
判断は難しいところだ。正直告知に問題はないといえるが――
('A`)「ああ、告知してくれ、小娘。ついでにそのライブ、テレビ回るぞ」
ζ(゚ー゚*ζ「え? テレビ?」
('A`)「ああ。地方局だけどな。お前のドキュメンタリーをつくることにした」
ζ(゚ー゚;ζ「……はいぃ!? いきなり大きなお仕事すぎませんかぁ!?」
从;'ー'从「ふえぇ〜! 麗ちゃんすご〜い!」
('A`)「いやお前もだ渡辺。お前も特集するから。うちの事務所の看板としてお前ら二人にスポットあてるから」
从;'ー'从「ふえぇ〜!? なんでそんな急に大役が〜!?」
突然に話に割り込んだドクオが無茶ぶりをすると、二人の少女は驚愕のあまりに目を見開き、なんじゃそりゃ、と大きく声をあげた。
が、僕と親分氏は顔を見合わせると、よもや先の話を受けるつもりなのか、と緊張を抱く。
(; ^ω^)「ちょいちょい、ドクオ。そりゃ社長はお前だお? けど二人を危険に晒したくないお、僕は。だからまずは僕が動くなり親分さんが着実な根回しを完了させるなりで――」
('A`)「な〜にを甘っちょろいこと言ってんです、兄貴? 正攻法だとか業界のやり方を否定するってんならですよ、そりゃもうとことん異常を極めたやり方じゃねーとどうにも立ちまわれねえんですよ」
そうだろう、と言われて僕と親分氏は、そりゃそうかもしれないが、と眉根を寄せる。
335
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/06(日) 10:48:57 ID:eBITXaqQ0
('A`)「まあ大概は生贄を捧げてから企画を与えられますけどね。そこはほら、親分氏の圧力でお願いするとして」
(; ゚∋゚)-~「うっわ、いきなりの他力本願。しかも無茶通そうってんだから容赦ねーやこの人」
('A`)「んでも確実に性に飢えた獣共は絶対にそれを求めるからこいつらはグチャグチャにされますともよ。地方局と言えど地獄だ、なまじ関西系の局とも強いつながりがあるからこの機会は是非とも無駄にしたくはない」
(; ^ω^)「こいつ結構やべーこといってんな」
('A`)「んだから先のお仕事は確実に受ける。逃す手はない。特集は十分の枠でも上等、肝心なのは地上波デビュー、というか顔を出すことにこそ価値がある。事務所の名も出せる。まだ機能してないけど。でも“存在はアピール”出来る」
つまり、ドクオは先の仕事を受けるつもりだったようで、端から親分氏をも巻き込む腹積もりで、しかも少女達に迫る危機も問題とは考えていない様子だった。
それこそは僕が暴力を得意としている事実や、そんな状況になれば必ず僕が暴れると確信があるからかもしれないが、やはりその方法は血生臭いし、その方法を取るならば業界内では最悪の印象となるだろう。
しかしドクオは指を振り、そんな程度な訳はないと僕に笑う。
('A`)「殴らせやしねーっすよ。今回、兄貴には絶対に拳をふるわせない」
(; ^ω^)「いや、でもだおドクオ? そりゃ仕事を貰う為の生贄を回避できたとしても見返りは確実に要求されるお? そうなると金か女かシャブで、相手方の要求は絶対に女になる――」
('A`)「ええ、それでいいんですよ。替え玉も用意せずこの小娘共に赴いてもらう。そのピンク部屋にね。けども襲わせない。そんで兄貴にも暴力をふるわせない」
ドクオの言葉に僕達は全員して首を傾げる。
何もかも欲しがり屋の台詞にしか思えない。果たしてそれらが全て実現できるとも思えない。
だがドクオが先に“商法には様々なものがある”と口にした事実や“炎上”と言った事実を踏まえると、どうにもドクオの脳内では常軌を逸した目的があるように思えた。
('A`)「古くから世間が求めてるのはね、勧善懲悪なんですわ、お二方。誰だって悪の栄える世なんざ望んじゃいない。ましてうら若き少女等が肉欲に支配されるのなんざね」
(; ^ω^)「……だっつーんならどうするつもりなんだお? 僕に暴力をふるわせない時点で夢物語にしか……」
('A`)「いやね、ヒーローは駆けつけるからこそにヒーローなんですよ、兄貴。敵を倒すから、敵を圧倒するからヒーローなんじゃない。危機的な状況に出現するから奇跡なんですよ」
そう言いつつ、ドクオは己のスマートフォンを手の内で弄ぶと、これまたとんでもない歪な笑みを浮かべる。
336
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/06(日) 10:50:37 ID:eBITXaqQ0
('∀`)「ド派手にいかねーとですよ、兄貴、親分さん。まして美歩の俺らがどうして生ぬるい殴り込みで許しますかね」
そう言えばドクオは言っていた。
今時はインターネットでの配信も手軽だと。そういった手段はプロ、アマ問わず盛んに行われていると。
('∀`)「面白いじゃねーですか。そういうのがいい。初っ端に度肝を抜くような登場がいい。それこそ……業界の闇をのっけから否定するアイドルがいるのも、また面白いでしょうよ」
ああ、こりゃ見えた作戦だ、と僕はうんざりした顔をし、親分氏も参った表情になると同じくして溜息を吐く。
未だ何のことを言っているのか理解出来ていない少女達は顔を見合わせるが、ああ、この二名ならば、そりゃ“下衆な男共に襲われても不思議じゃない”だけの美貌に肉付きであると思える。
そう思えるだけの美しき二名であり、仮にこんな少女二名が襲われるような映像だとか、あまつさえそんな少女二名を救うような光景が世に出回れば、そりゃ誰が見ても大事件だし“凄まじい注目度”を得る。
それは博打だが、無名がのし上がるには派手で兎に角分かりやすい程に単純な手段だ。
業界全体からすれば“絶対に許されない手段”だし、相手方――放送局からすれば最悪な被害になるだろう。
だが我々の目的はそういった闇の粉砕と少女達の出世、そして花道の樹立と確立であり、つまり、そこに立ち塞がる数多の障害に対して何の慈悲を抱く必要はない。
( ^ω^)「こりゃマジで大きな喧嘩になるお、ドクオ。お前昔から容赦ねーけどお、その矢面に立つの僕だお?」
('∀`)「ええ、だからこそですよ。その名が出たら業界人は“黙るしかない”でしょうよ。だからこそのヒーローなんですよ、兄貴は。ある意味は最強の手札さ。誰も相手にしたくない最悪の存在ですから」
こいつに会社を任せて正解だったか否か、というのは難しい質問だ。
だが一つ分かるのは、こいつは嵐を巻き起こす存在であり、これまでの業界の常識を根こそぎひっくり返すくらいに容赦のない、最悪の大嵐だ。
('∀`)「四年ぶりですよ。やるならとことん。いいでしょう、殴り込みってのぁ……こうでなきゃあいけねえよ、兄貴、親分さん」
流石は我等が二茶美歩組“血祭り隊”の男、流石は僕の右腕として活躍し、僕が不在の間、親分の供回りとして常に死中の只中にいただけはある。
やるならとことん、徹底的に――その言葉に呆れるも、けれども自然と胸中が燃えるような、懐かしいような気持ちになるのは何故だろうか。
('∀`)「ほらね、そうやって笑うからこそ……兄貴がいっちゃんこええんですよ、喧嘩の時は」
( ^ω^)「おっお……いやはや面倒で大きく派手な騒ぎになるだろうおぉ。それこそ業界全体に知れ渡って、逃げ場がなくなるくらい……話題になるだろうお」
禁忌に触れ、どころかそれが世に知られたらばどうなるやら。
世に血の降らぬことがあろうか――僕とドクオの笑みに親分氏は天を仰ぎ見て、こりゃ天魔が揃うた、と参ったように吐き出すと、いよいよ僕とドクオは笑い、麗と渡辺は疑問符を浮かべて首を傾げた、
ζ(゚ー゚;ζ「大人は難しい話ばかりったい……なんのことやらさっぱり分からんとよ……」
从;'ー'从「でもテレビか〜……おばあちゃんに教えてあげないとな〜」
あと少しもせずに彼女達は日本国内で名が知られるようになる。どころか知らぬ者なしとなるだろう。
ある意味は被害者として、そしてある意味は加害者として。それこそは闇に抗うが故に、それこそは闇へと殴り込みをかけるが故に、誰にとっても目の離せない時の人となるだろう。
337
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/06(日) 10:51:20 ID:eBITXaqQ0
( ^ω^)(んで、肚を括るのは僕も同じく、だおね)
.
338
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/06(日) 10:51:43 ID:eBITXaqQ0
そして僕の存在が広く知られるのも、じきのことになる。
彼の戦夜叉が闇に舞い戻ったと。
何故にかは不明だが、少女達を護る為に再度闇に身を沈めたと、それこそ“インターネット”を通じて大勢の人物達の目に晒されることになる。
上等だと拳を握りしめる。
驀進する勢いは何よりも必要だ。そうとなれば手段を選んではいられないし、この手段はもしかしたらいい効果を発揮するやもしれない。
闇に世間の目が向くのは悪い影響とは言えない。そういった関心こそが僕の望む闇の粉砕に近づくのかもしれない。
例え己の存在が知られることになろうとも、それすらも策と昇華するならば、僕は頷く。
危機はない。何せ己が傍にあるのだから少女達は何があっても守り抜く。
或いは、これから巻き起こす動乱こそが埴谷刑事達の望んだ未来であっても、僕は僕の意思でそれに頷いた訳であり、誰の思惑に従うつもりはない。
僕は僕のまま、闇を粉砕し、花道を飾るべく、毎度のように荒れ狂うだけ。
荒れ狂い、拳を振るい、欲に塗れる豚共を真正面から相手取り、ぶち壊していくだけだ。
.
339
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/06(日) 10:52:06 ID:eBITXaqQ0
十三 了
.
340
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/06(日) 10:52:39 ID:eBITXaqQ0
おまけ
(; ^ω^)「ふい〜、しかし事務所の様子を見にきたはいいものの……」
(; ^ω^)「結局厄介ごとばかりだおね……ドクオはイケイケだし親分さんも他人事みたいだし……」
(; ^ω^)「おー、なんか疲れちったお……こういう時は、こう、甘いものが食べたい――」
ド━━━ζ(゚д゚*ζ━━━ン!!「その一言を待っとったよ、平治さん!!」
(; ^ω^)(で、でた〜〜〜やっぱりこういう時にここぞとばかりに存在感をアピールしてきた〜〜〜!!)
341
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/06(日) 10:53:28 ID:eBITXaqQ0
ド━━━ζ(゚д゚*ζ━━━ン!!「甘い物は誰しもにとって必要不可欠なものったい! 疲れた時、身体がだるい時、口が寂しい時と様々なシチュがあるったい!」
(; ^ω^)「今回もまた……何その、それなに? ━はなにそれ?」
ド━━━ζ(゚д゚*ζ━━━ン!!「なんか存在感強くできるかなと思って!」
(; ^ω^)「めっちゃ強いですお、強いですからそれ仕舞えます? 全然集中できないマジで」
ζ(゚д゚*ζ「さて今回もやってくったい! ずばり前回も言った銘菓について!」
(; ^ω^)「あーあったなそんなん……言うてもたかだかお菓子ですお? しかもそういうのって値段高い割に対した味じゃないことがほとんどだし……」
ζ(>д<*ζ「ぬぅあま〜〜〜い!! 考えがまるで足りとらんよ平治さん! 確かに各地域に銘菓は数知れず! しかしてその味といえば大抵は“ナニコレ?”ってガッカリ感が半端ないけども!」
ζ(゚д゚*ζ「けれども! 博多に限ってはその期待を裏切らんとよ! 例え都会の人間であろうともその味には納得するはず!」
(; ^ω^)「でもマジで大抵残念な味ばっかですお? 東京バヌヌとかひよことか、こっちの首都圏だって全然大したことh」
ζ(゚д゚*ζ「――今なんつった」
(; ^ω^)「え?」
342
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/06(日) 10:54:17 ID:eBITXaqQ0
ζ(゚д゚#ζ「ひよこは!!!!!! 博多の銘菓ったい!!!!!!!!!」
ζ(゚д゚#ζ「きさんら東京者めが勝手にちょろまかしおって!!!!!!! あれはれっきとした博多のお菓子ったい!!!!!!!」
(; ^ω^)「いやちょ、え? 嘘ですおぉ、あれは東京のお土産じゃメジャーで……」
ζ(゚д゚#ζ「よく見んさい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
(; ^ω^)「怒り過ぎて草も生えねえ……あ、マジだ、これ博多のって書いてある」
ζ(゚д゚#ζ「ひよこ論争は本気で博多の民を、ひいては福岡全土を巻き込んでの大戦争になるけぇ、お気をつけなさい平治さん……ほんまにほんまに……」
(; ^ω^)「マジで博多の人間の郷土愛すげえな」
ζ(゚д゚*ζ「兎に角!! ひよこはさておき、福岡の銘菓は真面目に幅が広くて全てを挙げることはできんと!!」
ζ(゚д゚*ζ「しかぁし!! これを食べとけば間違いはない!! ってやつを今日は平治さんに持ってきたと!!」
(; ^ω^)「あ、さっきなんか渡すものあるって言ってたのってお菓子だったんですかお?」
ζ(゚д゚*ζ「そうと!! んじゃま早速甘味を御所望の様子やけん、王道のこれを食べてもらうったい!!」
343
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/06(日) 10:55:13 ID:eBITXaqQ0
ζ(゚д゚*ζ「博多といったらやっぱりこれ!! 根強い人気と確かな味に誰もが納得をするであろう名作、“通りもん”!!」
( ^ω^)「おー、これは流石に聞いたことありますお! ほお……見た目はお饅頭みたいですおね?」
ζ(゚д゚*ζ「あれ? 知ってる割に食べたことなかと?」
(; ^ω^)「なんつーか然程興味なかったっていうか、ぶっちゃけ“なんだ饅頭か……”って感じで手に取ることもなくて……」
ζ(゚д゚*ζ「なんと愚かな……!! 確かにぱっと見ただけだと普通の饅頭とは変わらんけども、しかしてその味は間違いないものとよ!!」
(; ^ω^)「いや、まぁあれですお? 今日まで幾つか麗さんと美味しい物巡りしたり、その度に驚かされましたけどおぉ……」
(; ^ω^)「そうはいっても所詮はお饅頭、所詮はお菓子ですお? そんな甘味なんて駄菓子屋ですら買えるってのに、わざわざ高いお金払って饅頭食ってどうするってんですかお?」
ζ(゚д゚*ζ
ζ(゚- ゚*ζ
ζ(- -*ζ
ζ(- -*ζ「愚か也、内藤平治」
( ^ω^)「あれお侍かな?」
344
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/06(日) 10:55:47 ID:eBITXaqQ0
ζ(- -*ζ「確かに、確かに銘菓の多くはその値段が結構、いやかなーりネックになるのは事実……」
ζ(- -*ζ「実際、土産の品として買ったはいいものの、白い恋人や萩の月に並ぶくらい納得出来る品は数少なく」
ζ(- -*ζ「どころか“これ普通のラングドシャじゃね?”だとか“これ不二家のあれと同じじゃん”と感想を抱くことも少なくはなく」
ζ(- -*ζ「結局はそういった下手な買い物を含めて、一つの旅行の思い出としては笑い種になったりするのが多々……」
ζ(゚д゚*ζ「だがしかし!! ただの饅頭と侮ることなかれ!!」クワッ
ζ(゚д゚*ζ「確かにその見た目は普通の饅頭と然程変わりはなく!! そこらのスーパーでおばあちゃんが買ってそうな雰囲気やけども!!」
ζ(゚д゚*ζ「その味は“誰もが想像しなかったミラクルな美味しさ”を秘めとうのは全福岡人が保証するったい!!」
(; ^ω^)「めっちゃ大見得きるな〜〜〜」
ζ(゚д゚*ζ「そうもあーだのこーだの文句を言うのなら!! 改めてこう言いましょう、平治さん!!」
ζ(゚∀゚*ζ「食べらんと感想語るとは、それがグルメかのぉ?」
(; ゚ω゚)「――はぁん……?」
345
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/06(日) 10:56:42 ID:eBITXaqQ0
(; ゚ω゚)「おっお、よもやそんな簡単な売り言葉にこの僕が意気揚々と買うとでも、麗さん……?」
ζ(゚∀゚*ζ「いやさ、何も喧嘩ぁうっとりゃせんよ? ただぁ……あ、この人“通りもん”食べたことないんだぁって……」
ζ(゚∀゚*ζ「食べるまでもないとか言ってぇ……」
ζ(゚∀゚*ζ「未知の味覚に恐れをなす、自称グルメな人なんだな〜〜〜〜ってぇ……思ったりは、そんなぁ、しませんよぉ……?」
(; ゚ω゚)「ほ、ほ〜〜〜おぉ、言うじゃあないかお小娘が……いや別に嫌いだとか不得意って訳じゃあないお?」
(; ゚ω゚)「ただ本当に、普通の、変哲もないただの饅頭なんぞ食べる気もおきんと、そう結論付けてただけで……」
(; ゚ω゚)「しかしまぁ、なんだお? よもやここまで期待を膨らませて挙句は上等切られたんじゃあ――」
(# ゚ω゚)「“江戸の皿食い”の異名も泣くってもんだろうがおぉ、麗さん……!」
ζ(゚∀゚*ζ「ふ、ふふふ……見えたねぇこりゃあ、毎度の勝利の道ってやつがよぉ……!?」
346
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/06(日) 10:58:07 ID:eBITXaqQ0
(# ゚ω゚)「おっお、勝利を確信するとは未だ幼い、まるで児戯、言わば熟さぬ実、若い茶葉……この僕を唸らせると確信を得たとて……」
(# ゚ω゚)「僕は甘味にもそりゃあもう五月蠅いからおぉ? 期待に値しない味だったらぁ……その時は“ひよこは東京のものです”と認めてもらおうかおぉ……!」
ζ(゚д゚*ζ「ふふふ、上等……! その喧嘩、福岡人を代表して買いましょう!」
(# ゚ω゚)「吐いた唾ぁ飲めんお、麗さん……然らば玩味してやろうじゃねえかお、その“通りもん”とかいう饅頭をよぉ……!」
ζ(゚ー゚*ζ「はい、というわけで今回は銘菓“通りもん”! 博多と言えばこれだ、と言う人も少なくはない有名なお菓子ったい!」
ζ(゚ー゚*ζ「その見た目は確かに普通のどこにでもありそうなお饅頭! なんだぁこりゃって味を知らない人は結構ガッカリすることがあるとよ!」
ζ(゚ー゚*ζ「けども! その味を知る人達は誰もが目を輝かせて“通りもんだ! やったぜ!”となるのは最早世の常識にまでなっとう!」
ζ(゚ー゚*ζ「そんな見た目からは想像も出来ない神秘の味とギャップを心底味わってもらいましょう、平治さん!」
(# ゚ω゚)「よっしゃあかかってこいお!」
347
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/06(日) 10:59:02 ID:eBITXaqQ0
(# ゚ω゚)「ふむ、早速手に取ってはみたけどお……」
(# ゚ω゚)(……やっぱり普通の饅頭みたいな見た目だお。大きさは掌に収まるくらいの、一口から一口大サイズってくらいかお)
(# ゚ω゚)(香りは……おぉ? なんだかバターの香りのような、乳製品みたいな優しくて柔らかいニオイだおね……)
( ゚ω゚)(ふむ……手で触れた感じは多少のべたつきはあれども、しかしストレスもなく……)
( ゚ω゚)(サイズ感からして、これは正しく口が寂しい時に簡単に摘まめるような、お菓子そのものって感じだおね……)
( ゚ω゚)(手軽さは、成程いい塩梅とはいえ……けれども問題はその味、そして食感だお)
( ゚ω゚)(語るに及ばず、手軽さと味の出来と食感――テクスチャの三要素がとても重要なんだお)
( ゚ω゚)(いいお菓子とは実のところ、その手軽さによって小腹を満たす程に食が進んでしまうことが多々ある……)
( ゚ω゚)(スナック菓子なんかはいい例で、ザクザクとした食感は楽しいし食べてる感が強い。だからついつい食べ過ぎてしまう)
( ゚ω゚)(それが醍醐味でもあり、言わばお菓子にとっての成功は“食べ過ぎちゃうほどの感覚”を与えられるかどうかなんだお)
( ゚ω゚)(それをこんな、昔ながらの饅頭如きが……与えてくれるってのかお?)
348
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/06(日) 10:59:55 ID:eBITXaqQ0
( ゚ω゚)(どれ、中身はあずきかお……お、おぉ?)
(; ゚ω゚)「これは、白あん……いや白あん……? 白あんなのかお? この芳しく素晴らしいふくよかな香りは……!?」
(; ゚ω゚)「割った途端に垣間見えるのは白あんだお、そこまではいいんだお、やっぱりその程度かと呆れすら覚えたお」
(; ゚ω゚)「だのに、そんな和風のそのものと対面したと思ったら、この鼻腔をも突き抜けんとする芳醇なバターやミルクの香りといったら予想外にも程がある……!!」
(; ゚ω゚)「どういうことだお、これは和菓子じゃあ……ただの白あんの饅頭じゃねえのかお!?」
(; ゚ω゚)(いやしかし、このニオイ……なんちゅーまろやかさと言うか、甘くてもったりとした空気だおっ……)
(; ゚ω゚)(まだ食べてもいないしテクスチャすらも分からないのに、何故にこうも美味しさを予感させるんだお……?)
(; ゚ω゚)(このニオイの所為、なのかお……? 予感させるほどに我々人類に染み込んだ“バターをふんだんに使ったお菓子は確実に美味い”といった経験に訴えかける、“通りもん”からのアピール……!?)
349
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/06(日) 11:00:43 ID:eBITXaqQ0
ζ( ー *ζ「それこそが期待値ったい、平治さん」
(; ゚ω゚)「――ぬぅっ……!」
ζ( ー *ζ「例えばケーキ、例えばクッキー、例えば……例を挙げれば暇もない程に我々は多くの甘味を食し、それから得た解が誰しもにあるったい……」
ζ( ー *ζ「その見た目が饅頭のそれであれ、しかし記憶と直接に結び付く香りこそは食べ物の持つ最大の強み、食す以前から予感させ訴える“これ美味いんじゃね?”感……!」
ζ( ∀ *ζ「食すがよい、己が散々に侮辱した“たかだか饅頭”を、それをされどと呼ぶか否かは、平治さん次第……!!」
(; ゚ω゚)「……上等じゃあねえかお、そこまで言っておぉ、このグルメ王内藤に対して、麗さん、あんたぁ――」
(; ゚ω゚)「後悔すんなお!? いただきますお!!」
350
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/06(日) 11:01:25 ID:eBITXaqQ0
(; ゚ω゚) パクリ
(; ゚ω゚)
( ゚ω゚)
( ω^)
( ^ω^) 「あこれ
351
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/06(日) 11:01:50 ID:eBITXaqQ0
ω( ^) ^「うめえええええええわこれマジで超うめえええええええええええええ!!」
ω( ^) ^「わあもうごめんなさい!! 美味しいびっくりする何この重厚なまでのバターの味わいとミルクの風味!?」
ω( ^) ^「あれ僕食べたのって白あんじゃないの??? 何でこれ和菓子の味じゃなくて洋菓子の味わいなの???」
ω( ^) ^「例えるならバターケーキに和風テイストを入れたような、いやその逆のような、和洋折衷って言葉がこの一つで体現されてるお!!」
ω( ^) ^「味はくどいとも思える程に甘くて、でもそれが小豆由来じゃなくて洋菓子のようなバター等の乳製品によるものが強い!!」
ω( ^) ^「でもその粘るような、腰の強いような甘さがいい!! まず即座に脳にダイレクトに“これ確実にうめーやつだ!”って予感がぶっ飛んできて、その身に染みる程の甘味にすげーリラックスするんだお!!」
ω( ^) ^「しかもこのテクスチャ!! 饅頭のように、ほろっとしたかと思ったらその味わいは奥深い洋風ですげー意外性が強い!! このギャップが凄い!! 食べてもビックリする!!」
ω( ^) ^「んでやっぱりこのサイズ感、これはもう卑怯だお!! こんな一口サイズでこの凝縮された味わいはいかん、そりゃ手が伸びるしついつい食べ過ぎちゃうお!!」
ω( ^) ^「かつ、この風味はジュースとかも合うだろうし紅茶やコーヒー、なんなら牛乳単体ですらも調和がとれるくらいに汎用性が高い味わいだお!!」
ω( ^) ^「慣れ親しんでいるような感じなのに食感やらは新鮮だし、けれどもこんな深い味わいのお菓子は食べたことがないから脳が混乱する!! 不思議!!」
ω( ^) ^「いやでもすげーシンプルに言うけどこれめっっっちゃいいね!? 何これなんで僕これまでこれ食べてこなかったんだろうねぇ!?」
352
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/06(日) 11:02:21 ID:eBITXaqQ0
ζ(゚ー゚*ζ「ふふふ、その感動は当然ったい。何せギャップや不思議な味わいもそうやけども、その味を保証するかのように、なんとこの“通りもん”……」
ζ(゚ー゚*ζ「約十八年間もモンドセレクションにおいては金賞をとり続けていた超化け物級の銘菓とよ!」
ζ(゚ー゚*ζ「確かに福岡銘菓には多くの魅力的なお菓子がある。例えば筑紫餅やなんばん往来やらは地域住民も好んで食べる程に極まっている……」
ζ(゚ー゚*ζ「けれども敢えて王道中の王道でもある“通りもん”を今回は平治さんに味わってもらったと!」
ζ(゚ー゚*ζ「誰が食べても美味しいと思える風味、手軽さ、テクスチャの意外性、そして輝かしい受賞歴の数々がその実績を支える土台となる!」
ζ(゚ー゚*ζ「これこそが食に情熱を燃やす博多の神髄にして王道! お土産に大量に買いこむ観光客の気持ちが分かるでしょう、平治さん!?」
(* ^ω^)「いやマジでうめえ! なんだこれすげえ脳に染みる程に甘いし香りもいいし食べやすいし最高ですお!」
ζ(゚ー゚*ζ「これを牛乳と食べるのがまたいいんですよねぇ……はいどうぞ、牛乳」
(* ^ω^)「おぉ、これはまた絶好の潮のそれですおね!? うめえ、やっぱり牛乳と相性最高すぎる! うめえ! 身体が砂糖になりそう!」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふふ、すっかり平治さんも博多の味に染まってきたけども……」
353
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/06(日) 11:02:41 ID:eBITXaqQ0
ζ(゚д゚*ζ「しかぁし! 探求の旅は未だ終わらず! この博多において美味は数知れず! それを探し邁進するのが我々博多の民!」
ζ(゚д゚*ζ「こんな程度で満足しちゃあいけんよ、平治さん! 私等の探求の旅はまだ始まったばかりったい!」
(* ^ω^)「おっおっ、そりゃ夢がありますおねぇ、もつ鍋にうどんにお菓子と、色々な驚きはあったけどまだあるんですかお?」
ζ(゚д゚*ζ「そりゃあ当然ったい! 美食の道は果てなき永遠のそのものったい!」
ζ(゚д゚*ζ「だから私と一緒に突っ走ろう! この食のほそみちを!」
(* ^ω^)「お〜、僕達の美食はこれからだ! ですおね!」
ζ(゚д゚*ζ「せやから今日は牧のでまたうどん食べてきましょう! したら天神いって美味しいケーキを――」
おまけ おわり
.
354
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/06(日) 11:04:11 ID:eBITXaqQ0
おまけはこれで終わりで勘弁してください
ひよこ論争は福岡人を本気で怒らせるので安易に言ってはなりません己も殺されかけました
通りもんはバチクソに美味いので是非通販なんかで買ってもらえると最高の味を楽しめます
それではこの程度でまた次回、おじゃんでございました
355
:
名無しさん
:2020/09/06(日) 11:11:49 ID:meiql/GI0
乙乙
356
:
名無しさん
:2020/09/06(日) 22:26:24 ID:xzFpnBmY0
乙🐤!
357
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/14(月) 02:55:27 ID:LLzGAAM20
十四
.
358
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/14(月) 02:55:50 ID:LLzGAAM20
( ,,^Д^)「いやはやどうもどうも、本日はよろしくお願いします」
( ^ω^)「いえいえ、こちらこそよろしくお願いいたしますお」
嘘くさい笑顔を張り付けたような顔をした男だった。
名前は高良というらしい。差し出された名刺を己のものと交換し、それを受け取ると改めるようにして確認する。
対面の席に腰かけた男、高良は僕を適当に観察すると、僕の隣に腰掛ける少女へと視線を向かわせた。
( ,,^Д^)「いやあ、お話には聞いていたんですが本当に別嬪さんですね、デレさんは!」
ζ(゚ー゚*ζ「あはは、ありがとうございますー!」
地下アイドルのデレとして挨拶を返したのは麗で、適当な返事にも思えたがその表情には緊張が浮かんでいた。
それもそのはずで、何せ相手方は地方局とはいえプロデューサーとして企画を立ち上げる人物だからだ。
彼女のような一介の、それも未だスタートラインに立ったばかりのド新参からすれば頭の上がらない相手であり、それを実感するが故に畏まった風でもあった。
( ,,^Д^)「いやあ、親分さんからお話いただいた時は若干不安でしたけどぉ、けれどこれなら安心ですねぇ! また地下アイドルってのがいい! 話題性がありますよ!」
( ^ω^)「そういって頂けるとありがたいですお。本人もとてもやる気がありますから、ご期待に沿えるようにしっかりと――」
( ,,^Д^)「デレさんお歳は? いくつ? 高校生くらいだよね?」
ζ(゚ー゚*ζ「え、あ、はい、十六です」
( ,,^Д^)「へ〜十六! わっかぁ! それなのにもうプロダクション所属って将来有望じゃないですかぁ! 歌も音源で確認しましたよー、いやぁ本当にいい歌声で!」
( ^ω^)「…………」
僕の言葉を遮り高良は麗に質問を投げかける。それに戸惑いつつも麗は対応するが、彼女は横目で僕を心配そうに見ていた。
高良はその視線すらも気にしていない。僕に興味がないだとかという話ではない。彼にとってはこの問答すらも重要な品定めの一時なのだろう。
359
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/14(月) 02:56:13 ID:LLzGAAM20
( ,,^Д^)「でもまぁあれですよ? 親分さんからのお話でしたから無下にはできませんでしたけどぉ、業界的には事前にね? お食事とかね〜しときたかったんですよねぇ」
ζ(゚ー゚;ζ「あ、その、すみません……何分、時間の余裕がなくて、いろいろと……」
( ,,^Д^)「あははは、それもまた若さですねぇ。そういう事情は相手方には何一つ関係ありませんから。まあでも年若いってことで、ここはね、構いませんよぉ! 礼儀云々なんて今時、ねぇ!?」
ζ(゚ー゚;ζ「あ、あはは、すみません、ありがとうございます〜」
早速厭味というか、これも洗礼と呼ぶべきか、ある種は“業界における暗黙のルール”を口にする。
事前の食事だの打ち合わせだのは当然のごとくに建前であり、その答えは“何故に味見をさせてくれないのか”といった文句だった。
しかし高良の言及はその程度であり、それもこれも例の親分氏による口添えがあってのことだった。
( ,,^Д^)「それでー……あー、マネジャーの内藤さん? 早速軽いインタビューから入りますけどぉ……」
( ^ω^)「……当人は不慣れでしょうから。これも初めてのお仕事ですお、僕も同席させて頂きたいのですがよろしいですかお? 臆面なく下手なことを言っちゃ事務所的にもよろしくありませんからお」
( ,,^Д^)「あー……じゃあまあそんな感じでいきますかね。それじゃあデレさん、何故あなたは地下アイドルという道を――」
高良の態度に内心では殴り掛かりたくもなるが、そうであっては計画の全てが水の泡となる。
僕は大人を演じたままに圧のある言い方をするが、渋々と頷いた高良はありふれた質問内容を口にする。それらに答える麗は、段々と緊張が薄らいでいくようだったが、しかし胸中の不安は拭いきれぬままのようだった。
( ^ω^)(見え透いた下心なんてのは女性からすりゃ不快でしかないだろうし、そりゃ怖いだろうお……)
言ってしまえば彼女が相手取るのは己を性の捌け口としてしか見ていないケダモノのそれだ。
見定めるように幾度と視線を這わせ、時にバストやウエストを注視され、笑顔の下に隠れているだろう下衆な野心が見え隠れすると畏縮すらしてしまうだろう。
それでも彼女は折れず屈せず、時に隣に座る僕に視線を寄こしつつも、丁寧に返事をし、その言葉を高良は適当な具合で書きとめる。
360
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/14(月) 02:56:33 ID:LLzGAAM20
( ,,^Д^)「ふんふん、じゃあこんな具合で文は出来たんで……映像はまた別で撮るんで、その時までにセリフを選びますから、デレさんはそれを自然と受け答える感じで言ってもらう感じでいいですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「え? あ、え……ああ、インタビューってリハーサルあるんですね? このやりとりって所謂台本づくり……?」
( ,,^Д^)「やり方は様々ですよ〜。こっちで作りきってセリフを言ってもらうことも少なくないですし。今回は地下アイドルっていう特殊なワードですから、本人から出たセリフが一番生々しいしリアリティが生まれるんですよ」
ζ(゚ー゚;ζ「ほえ〜、すっごい……やっぱり考えてあるんですね〜」
( ,,^Д^)「あはは、そりゃそうですよ! 映像もまた作品ですし商品ですから、マーケティングも含めて戦略は当然たてますよ〜!」
一見すれば色欲の権化でありどうしようもない男かと思えたが、中々どうして仕事の具合はまともに思えた。
( ^ω^)(ふーむ、これが恐ろしいところなんだおね。優秀な奴ってのは能力がそもそも優れてるからその立場にある……それこそ実力ってやつだけどお。伊達に企画制作の立場を担ってるわけじゃないおね)
無論、コネ等も大きな力であり、それがあるとないとでは出世の道のりは大きく変わってくる。
今回の仕事も言ってしまえば親分氏のコネから得たものだ。そうなるとやはり、人脈というのは何よりとして重要な要素といえる。
( ,,^Д^)「んじゃカメラは二台で、ライブの状況を撮る程度ですかねぇ。作曲風景やレッスンの風景も撮りたかったんですがー……未だ事務所は機能をしていないそうですし、そうなるとねぇ」
( ^ω^)「流石に名前を出す程度が限界ですおね。ご配慮ありがとうございますお、痛み入りますお」
( ,,^Д^)「ま〜親分さん絡みですから、そうなるとこっちもね、数字稼ぐだけのお話じゃなくなりますし」
そうでしょう、と高良はお道化たように問う。それに僕は何を言うでもなく寡言を貫くが、高良は鼻で笑うと煙草を咥えて火を灯した。
揺れる紫煙の向こうでは相も変わらず胡散臭い笑顔があり、視線はねぶるような風で、麗をくまなく観察している。
( ^ω^)「……デレさん。インタビューは終わったので少し上の階で休んでてくださいお」
ζ(゚ー゚;ζ「え? でも……」
( ^ω^)「今日は新曲もあるでしょう? 本番でトチるのもまた愛嬌ですけどお、折角の初テレビですから、バチッとキめてくださいお」
しどろもどろとしつつも麗は僕の言葉に頷くと場を後にする。
現在、場所は僕が買い取った事務所の一階、客間だった。狭い室内で改めて向かい合った僕と高良の間には不穏な空気が流れている。
361
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/14(月) 02:56:53 ID:LLzGAAM20
( ,,^Д^)-~「……で? マネジャーさんは無論オーケーなんでしょうね?」
( ^ω^)「訊くまでもないことを訊くんですおね」
( ,,^Д^)-~「そりゃ齟齬があっちゃまずい。あるいはあんたらの間での疎通に間違いがあっちゃ誰かが嫌な気持ちになるでしょう? あの女の子本人の気持ちは他所にしてもね」
彼の問う確認というのは“会社の意向として彼女を差し出すことは全体で把握されているのか”というものだ。
それに僕はうんざりとしつつも頷きを返し、高良は満足したように頷くと懐からビニルの、小さな袋を取り出した。
内容物は白い粉末で、軽く指で摘まむとそれを舌で舐めとる。それから少しもして感嘆の息を漏らすと、己の咥える煙草の先端にそれを塗した。
熱によって粉末は燃え、空気となって室内に漂う。それを紫煙と同時に深く吸い込む高良は間違いなく腐れシャブ中だった。
( ,,^Д^)-~「相変わらずい〜い粉ですねぇ、おたくのとこのは。値段もお優しい」
( ^ω^)「……あまり、そうも大胆に焚かれちゃ困りますお、高良さん」
( ,,^Д^)-~「あははは、そうもビビらんでくださいよ? おたくも好きそうな顔をしてるじゃないですかぁ」
事実を語るならば、日本という国で見た場合、麻薬の流通には地域によって大きな差がある。
東西で分けると圧倒的に西部圏での取引が盛んだ。単純に流通経路の独占と、地理的に輸出入が安易であることが理由として挙げられるが、こんな地方局のプロデューサーですら常習しているのが実情だった。
( ^ω^)「おっお……喰いすぎて肝臓やっちまいましてお。もう御免なんですお」
( ,,^Д^)-~「ははは、こりゃ極悪人だ! 俺なんぞよりよっぽど闇が深い!」
そう言って笑う高良だが、僕が言った台詞は当然ながらに嘘八百だ。
古い極道は確かにポン中が多い。だがその数よりも圧倒的にアンチ薬物派の極道の方が多い。
我々は確かに薬物を商売の品として扱うがそれを常習することも、ましてや手を出して呆れるほどにかっ喰らうこともしない。
何故ならば“骨の髄までシャブられた”馬鹿共を幾人も見てきたし、廃人になった阿呆共も見てきたし、オーバードーズの果てに命を散らした愚者を数えきれないほど見てきた。
だから手を出さない。過去に己もシャブを喰っていたが、それこそ小僧の頃だったし、極道の道に入ってからは嫌悪感すら抱くほどに薬物には拒絶反応がある。
( ^ω^)(関東のほとんどじゃ古くからタブーの扱いだけども、関西じゃ大きな組織であっても暗黙の下にシャブばら撒いてんだから、やっぱ地域差が凄いおねぇ)
末路を見てきたが故にはっきりと言える。
麻薬に手を出すべきではない。一時の多幸感と引き換えに人生を狂わせてもいいというのであれば止めはしない。
仮に現在、ドツボに嵌る人がいるのならば“意思が強ければ必ずに辞められる”から、今からでも引き返せるなら引き返すべきと言える。
362
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/14(月) 02:57:16 ID:LLzGAAM20
( ,,^Д^)-~「兎角、このプレゼントがあったから、親分さんの面子も加味して仕事は成立してるんでぇ……そこんとこ、ちゃんと理解してくださいよ?」
( ^ω^)「……映像ばかりは回さないようにお願いしますお。仮に世間に流れることになったらお互い、大きな損となりますからお」
( ,,^Д^)-~「ははは、それこそ“暗黙の了解”でしょうに。時に流出して世を騒がせるアホ共なんざ道の浅い若手や日の目に浮かれたバカだけですよ。心がけてりゃ映像なんて回すわけがない」
適当に手を振る高良は立ち上がると携帯端末を手に取りそれを操作する。
どうやらスタッフからの連絡のようだった。
( ,,^Д^)-~「んじゃこっちもスタッフがきたんで、機材の確認と段取り済ませてきますから。そっちさんはふつーにライブしてくれりゃいいんで。客の入りは大丈夫そうですか?」
( ^ω^)「ええ、画的にはいいものになると思いますお。デレの客層は派手で熱狂的ですから」
( ,,^Д^)-~「いやはやオタク産業ってのは儲かりますねぇ。世に多くあるコンセプト系のオタク向けカフェやバーの九割方がヤクザによって運営されてるなんて誰が想像できるやら?」
( ^ω^)「そんなこといったらテレビ局を含めた芸能界も全て極道に管理された世界ですお。金になると分かりきっている商売は全て余すことなく、手広く我々が関わっていますから」
( ,,^Д^)-~「おっそろしい、幾ら暴対法が強化されようともあなた方ヤクザをこの世から排除する術なんてものはないんでしょうねぇ……」
怖や怖や、と捨て台詞を残して高良は応接室を後にし、残った僕は大きく息を吐くと天を仰ぎ、己の顔を手で覆う。
散々なまでに募ったストレスを何とか消化し、数度瞼を強く擦り、それから数秒ほど数えて、ようやっと僕は心を落ち着かせることが出来た。
( ^ω^)(嘘とはいえ、麗さんを囮のように捧げるだの、まして手段として利用するってのは、どうにもこうにも嫌な気持ちになるおね……)
甘いことばかりで世を渡っていけるのならば誰も苦労などしない。まして業界のあり方や常識といったものを真っ向から否定するとなれば生半なことではないのは明らかだ。
当人にも全ての説明は済んでいる。それを受け強く頷いたのも見ているし、ドクオの作戦に全体が理解を示しているのは事実だ。
だが胸中は穏やかにはなれない。それもこれもやはり麗が主軸となる内容だからというのもあるが、こう、直情的に暴力を振るうことがないようにと自身に歯止めを利かせるのも苦労する。
( ^ω^)「理想を追求するってのは、難しいんだおねぇ……」
ぽつりと零した言葉は本音だった。
夢物語を現実へと引きずり込み、それを実現するとなると、多くの障害があり、また、そこに関与する力も様々であり、何とも世知辛い世だと僕は項垂れる。
363
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/14(月) 02:57:40 ID:LLzGAAM20
( ^ω^)「お……?」
そんな風にあれこれ考えていると、不意に己の携帯端末が震動した。
てっきり先の高良か、或いはドクオか親分氏かと思ったが、しかし表示されているのは見慣れない番号だった。
そもそもが電話帳に登録されていない事実に嫌な予感を抱きつつも、僕は通話のボタンを押して応答する。
( ^ω^)「もしもし?」
『――不用心に出るもんですなぁ、内藤さん。あかんですよ、それは無防備が過ぎる』
聞き覚えのある声、どころではなく、それこそは因縁の人物の声であり、僕は再度ため息を吐くと背凭れに身を沈める。
( ^ω^)「……なぁんで番号知ってんですかお、埴谷さん」
『必要な情報だったんでね、買い物したんですよ。そんだけのことですわ』
( ^ω^)「おーおー、流石は鬼の埴谷ってかお、平気で暗部に踏み込んで情報収集まで余念なく済ますってんだから最悪極まりない」
『そうも褒められると照れますよ、内藤さん。あんたほど腐れちゃあいない』
ああ、やはりこいつは嫌な奴だ、と僕は眉根を寄せる。
『兎角、まずは新組織の設立、おめでとうございます。立派な戦力を手にしたようで何より。復帰も間近ですかな』
( ^ω^)「そんなこたぁするつもりはありませんから。真面目に芸能界でのし上がろうってだけで――」
『芸能界で? 真面目に? 真っ当に? ははは……寝言はね、寝てからいいなさいよ内藤さん。そんなことは無理だって分かってんでしょう』
遮るような台詞は嘲りを帯びていたが、しかしそれは突き放したような態度ではない。
何かしら己は勘づいているぞ、と言外に伝えられた僕は諦めたように言葉を零す。
( ^ω^)「先に言いますけどお、僕は今回の件で暴れることはしませんお。ドクオにきつく釘を刺されましたからお」
『あの人もまぁ流石はというか“生き残り組”なだけはありますよ。あんたが矢面に立つのは仕方ないとしても暴れさせたら状況が崩れると理解してるわけだ』
まるでドクオの気持ちを汲んだような台詞に内心では意外な気持ちだった。
が、それでも警戒心が勝る。何せ先の事務所襲撃を嗾けたのはこの男だ。その事実からして埴谷刑事は僕に対して真に友好的とは言えない。
364
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/14(月) 02:58:07 ID:LLzGAAM20
『ところで内藤さん、あんたサンドイッチとおにぎりどっちが好きですか?』
( ^ω^)「は?」
『まあどっちもあるんですけどね。お、ここか……どら、お邪魔しますよ、と』
突然の質問に疑問符を浮かべた僕だが、チャームの音が聞こえると同時に氷解し、更には応接室の外から怒声が響くといよいよ僕は肩を垂れてしまう。
何故にこうも面倒は押し寄せてくるのかと散々な気持ちだったが、兎角、僕は扉を押し開け、一階の入り口付近で罵詈雑言を口にするドクオを見やる。
(#'A`)「テメェ、埴谷!! なにを平然と入ってきてんだクソボケ野郎がぁ!?」
(,,゚Д゚)「そうも声を荒げんでくださいよ、ドクオさん……先までお客さんきてたんでしょう? あんま騒いでると怪しまれますよ」
(#'A`)「テメェがやってきたから一つの騒ぎになってんだろうが!! よもやのカチコミかこら、上等だクソが!! しょっぴけるもんならやってみやがれって――」
( ^ω^)「どーどー、その辺にしとけおドクオ」
荒れ狂うドクオを宥めつつ、僕は事務所へと入ってきた男、埴谷刑事へと視線を移す。
彼は本当に何食わぬ顔で、どころか手にはコンビニの袋を抱えこみ、中身といえば飲み物や食べ物がぎっしりと詰まっていて、先の台詞を思い返すと、ああ、差し入れか、と察する。
察しはするが同時に呆れもでてきて、この男ほどに破天荒な輩もおるまいな、と本日何度目かの溜息を吐いた。
( ^ω^)「……アポもなく、しかも忙しい日にひょっこり顔なんて見せにきて。先のお金の応酬ですかお」
(,,゚Д゚)「あーいうね、物で解決するってのはこっちとしてもまったくもって困る対応ですんでね。茂名のやつはあんたに甘すぎる。ましてビビってんだから、そりゃ付け込まれるってもんですよ」
( ^ω^)「あんたいつか殺されるお、そんだけ突っ張ってると」
(,,-Д゚)「あんたほどの暴力主義者がいたら、そりゃ殺されるかもですなあ」
互いの文句はその程度で済んだ。少々の沈黙を挟み、ドクオへと声をかける。
( ^ω^)「ドクオ、お茶を淹れてくれお」
(#'A`)「……こんなチンピラと何を話す必要があるんってんですか、兄貴」
( ^ω^)「対応せんと面倒だからお。極道よりも性質が悪いんだから、この人」
(;゚Д゚)「本人を前に言ってくれるなぁ、あんたも……」
365
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/14(月) 02:58:37 ID:LLzGAAM20
間も無く、新しく向かい合う構図が出来上がった。
しかしその光景というのは中々に緊張感があって、応接室に招かれた埴谷刑事と言えば第一に臭気で面を歪ませる。
(,,゚Д゚)「禄でもない野郎ですな、他社で平然とシャブですか。こりゃ思った以上に南部は荒れてやがる」
くせえくせえと何度も呟きつつ、ドクオに差し出された湯飲みを手に持ち、その内容が白湯と理解するとレジ袋からペットボトルを取り出してそれに口をつける。
怒り心頭のドクオは再度突っかかろうとしていたがそれを制し、取りあえずはサシで話をさせてくれと僕は言った。
(,,゚Д゚)「んでどうです、おにぎりとサンドイッチ。おにぎりは鮭と昆布と、えーとサンドイッチは……」
( ^ω^)「いや、いいですお。差し入れは後でありがたく頂きますから。そんなことよりあなたの要件をさっさと済ませたいですお」
呑気に会食と洒落こむほどに暇はない。本日はライブもあるし撮影も控えているし、夜中には大本命の作戦が控えている。
そうなるとここで警察が介入する事態となれば最悪だ。全てがご破算であり、出来るならば早々に埴谷刑事を追い出したい。
(,,゚Д゚)「或いは金の無心でもすると思っていますか?」
( ^ω^)「あなたが金で動けばどれだけ楽なことか。こうして行動までしていることこそが意思表示でしょうお」
(,,-Д゚)「ははは……落ち着けない性分でしてね。事件性があり、ましてそこにあなたが関与するとなれば、そりゃ黙っているわけにはいかない」
言葉だけを見れば優良刑事にも思える。だがその真実は大きく否であり、彼が悪徳不良刑事であるのは我々闇の人間からすれば常識にも等しいことだ。
出来るならば金で済ませたい。だが受け取るつもりはないというし、しかもわざわざ直接出向いてきた事実からして、彼の伝えたい意思というのは――
( ^ω^)(警告だおね。それもあからさまな)
今夜、僕達がしでかそうとする作戦に対する警告と、僕達の意思の確認をする為に足を運んだのだろう。
彼は確かに僕を操作するつもりでいる。だがその目的も背景も不明だ。故に警戒心しか抱かないが、それでも彼の人情じみた気持ちも理解はしているつもりだ。
互いはどうあっても敵同士であり利用をしあう同士だ。だがそうであるからこそに、己の予期せぬタイミングで危機に踏み込ませるわけにはいかないと思うだろう。
366
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/14(月) 02:59:00 ID:LLzGAAM20
(,,゚Д゚)「大方、襲われているお嬢ちゃんをあんた方が助けに入る形にしたいんでしょう。更にその様子をネットに流出させるだの、或いはライブ配信するだのと……」
( ^ω^)「…………」
(,,゚Д゚)「手段としては異常のそのものだし前例がない。間違いなく業界全体に激震が走るし話題性は世間からすればとんでもない。よもやの生配信中に某局のプロデューサーに襲われたと、
そんなタイトルでも冠するならば世の闇の露呈に誰しもが関心を寄せる。一気にスターダムへとのし上がる爆発的な影響を得る」
はぐり、とサンドイッチを貪る埴谷刑事は僕達の作戦を読み切ったように口にする。
が、それに僕は何も言えない。何せ彼の口にした内容が僕たちの描いた画のまんまで、何故にこうも簡単に看破されるのか、と焦燥すら抱く。
(,,゚Д゚)「だがこれだけじゃ危険すぎる。芋づる式に被害が拡散するし与えてはならない衝撃の余波が生じる。今現在、最前線で活躍する人々すらも闇営業の疑惑を向けられる」
( ^ω^)「それも含めての闇の払拭になるでしょうお。必要な被害ですお。誰かが皺寄せを喰わなきゃならない。だったら甘いことなんて言ってらんない――」
(,,゚Д゚)「まるで人の夢を喰うように言いますな、内藤さん」
その言葉に僕の中にある正常の箍が外れかける。
(,,゚Д゚)「そりゃあんたは外道の身だ、泥を被るのも慣れてるでしょうしその苦しみやらも誰よりも知っている。だけれども今までひたむきに頑張ってきた人々をも巻き込んではいけない。それは負の連鎖にしかならないでしょう」
( ^ω^)「……だっつっても手段がないでしょう。僕達の手段なんてのは誰かを陥れたり嵌めたり欺いたり傷つけることだけなんですお」
(,,゚Д゚)「たった一人の、それもどこの馬の骨とも知れぬ女の子の為に、今を輝くアイドル達を犠牲にすると」
そこで彼の手は止まり、僕を真っ直ぐに見つめてこう言った。
(,,゚Д゚)「なんだってそうもつまらねえことを言いやがる、内藤さん」
( ^ω^)「…………」
(,,゚Д゚)「そりゃあんたはそういう人間だ。暴れ狂って状況を粉砕するしか能がないともいえる。それによって危機を脱してきた。数多の死地をも越えてきた。けれどもね、覚悟のない人々を振り落とすのだけは、それはいけねえよ」
その道を往くと決めた人々に覚悟があるかないか、というのは、難しい話だろう。
麗も先の公園における会話で本心を口にしていた。そういう噂を知ってはいたが、果たして己がその状況に至った時、仕方がないからと受け入れることができるのかと、そんな自問をしていた。
きっと、それが多くの人々の心の内だ。理解はすれども、本当の意味で命を懸けるだとか、後のことなどお構いなしに突き進むことが出来る人物というのはごく一部でしかないのだろう。
367
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/14(月) 02:59:25 ID:LLzGAAM20
(,,゚Д゚)「手段がないのならアテを頼ればいいだろうに。まして相手は反社と関係のあるシャブ中だ。だったらやりようがある。夢に突っ走る人々に直接の被害がいかないようにできるんだ」
彼はどうしてこう、僕にばかり固執するのだろうかと疑問があった。
浅からぬ関係だ。何度も殴り合いをしたし何度も殺し合いをした。敵対関係は何十年と続いているし、もし可能ならばこの瞬間にでも互いは互いの命を奪うことを厭わないほどに極悪な関係だ。
だが、そんな関係だからか、お互いはお互いの思うことや抱く気持ちを理解できるし、今、差し伸べられている手の意味だって理解もできる。
(,,゚Д゚)「借りを作りたくねえってんなら拒めばいい。だがあんたが“任侠”を背負い“極道”を名乗ってきた侠客であるならば、己の恥なんて下らねえものを飲めるんなら……手を取るべきなんだ、内藤さん」
きっと、僕にできることなんて限られている。会社の一つを暴力と金で支配したって、それでも人々の心や感情を操作したり、世情を突き動かすことなんて出来やしない。
だが、もしもそこに国家権力が手を貸してくれたのならば、或いは今後生じるかもしれない混乱を最小にとどめることが出来るのならば、僕はそれを受け入れるべきだろう。
何せ僕は外道だからだ。外道には暗黙のルールがある。それこそは他者に迷惑をかけてはならないということ、そして一般人を巻き込まないことだ。
( ^ω^)「ドクオが怒りますおね、こりゃ」
(,,゚Д゚)「あの人が組んだ作戦でしょう、どうせ。あんたなら困ったら誰かに訊くでしょう。ましてもっと分かりやすい手段を取るはずだ」
( ^ω^)「相変わらずに拳一本で全部ぶっ潰す、って?」
(,,-Д゚)「ええ、そりゃもう。回りくどいの嫌いでしょう。真正面からぶん殴っていくのがあんたですから。それは今後やっていけばいい。けれども初っ端が肝心だ。ここをヘマると後戻りなんて出来なくなる」
煙草を咥えた埴谷刑事は煙を深く喫むと厭らしく、それこそ歪な風に笑う。
(,,゚Д゚)-~「シャブ中、お互いに大嫌いでしょう。だったら“それで捕まえる”……世間はそれで納得する。ほかの誰にも迷惑がかからない。あんた方への注目度も変わらない。全て世はこともなし、ですな」
( ^ω^)「おっお……国家権力が介入した状況こそは大きな問題でしょう。そうまでして危険を避ける理由ってのはなんなんですかお、埴谷さん。僕を誰から護ってんですかお」
確信をつく問いに、けれども彼は誤魔化すように笑い、僕に大して指を差す。
(,,゚Д゚)-~「あんたのケツを狙うスキモノから、ですよ。ぎこははは……」
( ^ω^)-3「……だぁからあんたが嫌いなんですお、埴谷さん。どこまでもふざけてやがるおねぇ……」
改められた作戦内容は単純明快ではあるが、その分かりやすさが返っていい塩梅だ。
僕は頷くと、再度食事を始めた彼の様子に呆れつつも、残りのおにぎりを手に取り、それに噛りついた。
368
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/14(月) 02:59:48 ID:LLzGAAM20
十四 了
.
369
:
◆hrDcI3XtP.
:2020/09/14(月) 03:02:31 ID:LLzGAAM20
本日はここまで
少しばっかり忙しない状況になってきまして、申し訳ない気持ちですが、これからは二週間か三週間に一度の投下頻度になると思われます
冬眠する前に微笑むシリーズも書ききりたいのそこらへんはなんとかしたいですが、ご理解いただけたらば幸いです
毎度、乙や感想等ありがとうございます、今後はもう少しさぱっと展開進めたいと思います
それではおじゃんでございました、また次回
370
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 09:33:43 ID:gqCqMQtA0
乙です!
371
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:50:58 ID:tY68pPWs0
乙です
めっちゃ面白い
372
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:56:26 ID:0lqfC4Kc0
おつ!
そうか、夏が終わってしまうのか…
373
:
名無しさん
:2020/10/01(木) 19:33:30 ID:k/EV5HzA0
冬眠した?
374
:
名無しさん
:2021/05/01(土) 06:59:12 ID:x.n6v2fM0
解凍せよ
375
:
名無しさん
:2021/05/01(土) 16:34:01 ID:azz/tjIU0
まだ春だから寝てるだろ
376
:
名無しさん
:2021/05/13(木) 19:01:30 ID:pZ.BVc7I0
続きが……読みたいです……
377
:
名無しさん
:2021/08/05(木) 21:07:19 ID:hR2YyIPQ0
この暑さなら流石に溶けてるはずだ
待ってんべ
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