- 1 :言理の妖精語りて曰く、 :2018/09/23(日) 11:26:39
- この場所は特に制限を設けない総合記述スレッドとして汎用的に扱います。
ここに記述された文章が神話を構成する断片となります。
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- 290 :言理の妖精語りて曰く、 :2024/06/06(木) 15:22:58
- 死者には勝てない
思い出や負の記憶が、絶対の価値として現在を規定し続けるように、過去は永遠不変の価値として永久に今を苛み続ける 失われた初恋は常に最高の幸福であり、土中に眠る恋人は、不動の第一位として心の中の玉座を占め続けるのだ
だがしかし、物語ることが単なる記録の再生や検索ではなく、再認そして再構築であるのなら 悲惨な別れの後に新婚の記憶が黒く塗りつぶされるように、あるいは貧困や飢えや寒さのうちに、すべての物事が悪く思えるような再解釈こそが、記憶のメカニズムにおける『想起』なのだとしたら 再構築を真なる『脱構築』と成し、全てを語り直すこともあるいは出来るのかもしれない
もしそれが、単なる"上書き"ではなく、深く淀む陰のような己が裡(うち)なる"闇の鏡"との対話となるなら……あるいは、死者をある意味で墓から掘り起こして蘇らせ、それと対等に戦うことさえ不可能ではないのかもしれない 黄昏と暁のように昼と夜、光と影が入り混じる境界、または真夏にこそ深まる木下闇、太極図における黒の中の白点、白の中の黒点のように 存在と非存在を共に調停する、黄泉平坂の半ばのような地点に辿り着けたなら
きっとそのとき生者(わたしたち)は、恨み言と怨念を以って失われた愛と理解を求め、死者(かのじょたち)は、幸福を阻害された恐怖と怒りそして愛するものを失った嘆きを以ってこれに応えるのだろう 全てが正逆でそれゆえに全てが正しい、そんな対話を以って
- 291 :言理の妖精語りて曰く、 :2024/06/29(土) 22:26:32
- 【エクトプラズムの発見】
霊能と電脳の精神転移魔法実験において確認された現象。 物理的霊現象を起こす媒体となる幽電物質の発見。 これにより、精神世界と電脳世界の通信分析が可能になった。 エクトプラズムは煙のように希薄で青白く発光する半透明のペースト状の半幽電物質が視覚できる現象であり、紐状や布状などさまざまな形態を取る。 視覚的な現象がホログラムに似ているために発見が遅れたとされる。 エクトプラズムは万人が有しているが、それは「活力」として既に万人に認識され利用されているためである。
- 292 :言理の妖精語りて曰く、 :2025/01/14(火) 08:03:56
- 【図書館迷宮】では年に何十人も失踪者が出る
それはなにも、迷宮の罠や怪物、本の呪いや魅了によって脱出不可能となったり死亡した者たちだけではない この迷宮に訪れる人びとの目的は様々だが、中には探すことが不得手なものや自分が何を探しているのかが分からない者さえも存在するのだ
それでも、大抵の問題は司書碑文や有志のボランティア職員、古代文明の遺産である機人司書といったガイダンス勢に尋ねることで解決するのだが……しかしそれでもどうしても不可能な探索というものも存在する その探し求める謎が、人類の存在意義やその救い、愛や人間性の本質といったあまりにも大きな問いである場合、探しものとそれを求めている場所(ぶんるい)が「木に縁りて魚を求む」ように見当違いである場合、全く新しい発想や独自の作品のための手がかりを既存作品の集積に求めていつまでも自作に取り掛からないやり方、そして探している幸福(あおいとり)を最初から持っているのにそれに気づいていない場合(ケース)…… 迷う理由は人それぞれであり、それゆえ失踪者の数は年々増え続ける一方である いかなる熟練の探索者といえど、迷うときは本当に深く致命的に迷ってしまうものなのだから
【図書館迷宮】は万人に開かれており、そこへ迷う資格もまた全ての者が持つ 今年もまた多くの者が迷宮へと挑み、そのうちのいくらかはもう二度と帰っては来ないだろう
そう、私たちの愛したあの人ももはや迷宮から帰って来ないのかもしれない それでも、私たちは待ち続けるのだ それもあるいは、図書館に呑み込まれた別種の失踪者であると言えるのかもしれないが……
- 293 :言理の妖精語りて曰く、 :2025/01/27(月) 23:01:59
- はるか昔には、解読を嫌う極小文字のことも【トントロポロロンズ】と呼んだ
だが、これは大魔術師グ・ゴールによって駆逐されてしまい、今ではほとんど残っていないのだ
- 294 :言理の妖精語りて曰く、 :2025/02/15(土) 06:53:59
- マーディキ神群の名前をつけた曜日が有名なのは、その信者たちが作った暦が極めて正確であり便利だったからである
それでも、宗教上の理由などから表向きには他の神々や聖人、英雄などの名を用いた暦を使っているところも多い これはこれで、宗教的な儀式や儀礼と密接な関係があるので(例:ルウテトの日に葬式を行い、キュトスの日に結婚を行う)必要不可欠であることには代わりはないのであった
- 295 :言理の妖精語りて曰く、 :2025/04/13(日) 10:23:22
- 言語魔術師の一派である碑文使い達は世界に散らばる叙事詩にこそ力が宿ると考えた
「言葉は無闇に操るものではなく、規則性と美しさが必要である」 彼らは世界を構成する言葉を強制的に書き換えることができると信じたゆえに戒律を自らに課していたとされる
- 296 :言理の妖精語りて曰く、 :2025/10/06(月) 07:43:13
- 昨今の出版社には、異世界転生ガチャーー巨大くじ引きマシーンが不可欠である
出版社は、これにひたすら作家を放り込むことで、いわゆる”当たり”の異世界転生作品を引き当てる
ただし、どれだけ名作で続きが期待されていても、目当ての異世界を引き当てるまでは続きを出版することは出来ない それが、この方式の大きな欠点なのであった
また、運良く異世界に転生できるとも限らなかったりもする そのため、今日も出版社では余った大量のティッシュにチラシを挟むこむ作業だけが、順調に捗るのであった
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