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アラブ・中東の映画

1さーひぶ:2002/07/18(木) 00:45
最近のアラブ・中東の映画について語りましょう。

2さーひぶ:2002/07/18(木) 00:45
パレスチナ・イスラエル問題を子供たちの視点から描いたドキュメンタリー
映画『プロミス』が、7月13日より東京・中野のBOX東中野で上映されています。
順次、全国各地で上映予定のようです。
 イスラエルの世俗的な一般人・宗教的な右派、パレスチナの穏健派・過激派の
異なる立場の子供たちの意見を、中立的に紹介し、和平を探ろうとしています。

『プロミス』公式サイト http://www.uplink.co.jp/film/promises/index.html
「BOX東中野」 http://www.mmjp.or.jp/BOX/

3さーひぶ:2002/10/16(水) 00:43
『旅の途中で FARDA』を観てきました。

アッバス・キアロスタミ監修!! 日本・イラン初の合作映画!!

毎日仕事に忙殺される日本のサラリーマンが、あることがきっかけで嫌々ながらも
イランを旅することになり、言葉に不自由しながらも、イラン人の人情と大自然に
ふれて、見失っていた自分の心と愛に目覚めてゆくという心温まるストーリーです。

暴力や乱れた性に満ちたハリウッド映画を観ると心がすさむものですが、
豊かな人間性にあふれたイラン映画を見ると心が洗われるような気がします。

監  督 :中山節夫
キャスト :宍戸開、オスマン・ムハマドパラスト、忍足亜希子、寺田農ほか
公式サイト:http://www.farda.jp/

4さーひぶ。:2003/03/27(木) 19:05
当サイトでも紹介済みの9・11事件にちなんだ映画

『11'09''01/セプテンバー11』

が「銀座テアトルシネマ」で4月5日(土)からレイトロードショー(夜21:00〜23:15の1回ずつ)
になるようです。アラビア語編はわずか11分ですが、名優ヌールッシェリーフがユーセフ・シャヒーン
監督に扮して、テロについて熱弁を振るっています。ブルキナファソ編には笑えます。

映画と前夜祭のサイト http://give-peace-a-chance.jp/cinema/
銀座テアトルシネマ http://webs.to/ginza
映画紹介(当サイト) http://arabic.gooside.com/issue/osamabinladen.html

5さーひぶ。:2003/11/22(土) 22:30
今日から【第4回東京フィルメックス】が東京・有楽町ほかで始まりました。
【イラン映画】が好きな方にはうれしい映画祭です。

・開催期間:11月22日(土)〜30日(日)の9日間
・上映会場:有楽町朝日ホール(有楽町マリオン11F、JR有楽町駅から徒歩数分)

以下にイラン映画だけをピックアップしました。
・特別招待作品
 『アブジャッド』(2003年) アボルファズル・ジャリリ監督 11/22夕・11/24朝

・コンペティッション
 『Joy of Madness』(2003年) ハナ・マフマルバフ監督 11/26晩・11/28夜
 『ディープ・ブレス』(2003年) パルヴィズ・シャバズィ監督 11/27晩・11/29夜
 『2つの思考の間の沈黙』(2003年) ババク・パヤミ監督 11/28昼・11/29晩

・特集上映「イスラム革命前のイラン映画」
(長編)
 『大地』(1974) マスード・キミヤイー監督 11/30昼
 『郵便配達』(1973) ダリウシュ・メールジュイ監督 11/23夜・11/26夕
(短編・中編)
 『あの家は黒い』(1962) 11/26夜・11/27夕・11/27夜
 『リリース』(1973) 11/26夜・11/27夕
 『旅』(1972) 11/26夜・11/27夕
 『期待』(1974) 11/29夕
 『経験』(1973) 11/27夜・11/29夕

詳しくは、http://www.filmex.net/ をご覧ください。

6さーひぶ。:2003/11/22(土) 22:48
↑初日、盛況でした。

『アブジャッド』(Abjad)イラン・フランス映画 2003年公開 アボルファズル・ジャリリ監督

 ジャリリ監督の自伝的な作品。
 イスラム革命後の宗教的制約の多い社会で、集団的規律からはみだしやすい奔放な少年エムカンが
 道を踏み外しながらも成長してゆく様を描いています。意外に思ったのは、英語の授業・西洋映画・
 レスリングなど欧米的なものがごく普通にあることでした。しかし、音楽などは宗教的見地から制約
 があるようでしたが。コネや袖の下が幅を利かせている社会で親子とも苦しんでいました。
 少年のユダヤ娘との恋愛とともに、ユダヤ差別も描かれていました。
 
 上映後にジャリリ監督ご自身が登場されてQ&Aがありました。
 映画はともかく、監督の言葉によると、イランではユダヤ人と仲良く暮らしているとのことでした。

7さーひぶ。:2003/11/27(木) 01:13
『Joy of Madness』イラン映画 2003年公開 ハナ・マフマルバフ監督

監督は、あのイラン映画の巨匠モフセン・マフマルバフ監督の次女で、サミラ・
マフマルバフ監督の妹。この作品は、姉サミラ監督によるアフガンでの映画製作の
キャスティング難航の様子を妹ハナ監督が実録的に写し取ったドキュメンタリー。
イラン人によるアフガン物は少なくないですが、これはアフガン国内でもペルシア語
(アフガンでの呼称はダリー語)が通用するためのようです。

上映後のハナ監督の話によると、アフガン人は20年以上の内戦に悩まされて、隣同士で
も信じられない関係になってきたため、他人を信用しないようになっているとのことです。
ちなみにハナ監督は1988年生まれというから14〜15歳でしょうか。ペルシア美人で、
歳の割にはかなり大人びていて、日本の大人など顔負けの堂々とした話ぶり。
日本の中学生とは大違い。イランの若者というのは皆ああなのだろうか?
まあ、巨匠の娘で、英才教育を受け、8歳で監督デビューというから「栴檀は双葉より芳し」
なのかも知れませんが。かなり自信家と見ました。末恐ろし。

8さーひぶ。:2003/11/27(木) 01:44
【特集上映:イスラム革命前のイラン映画】

昨日は短編・中編3本が上映されました。

『あの家は黒い』1962年 フォルーグ・ファッロフザード監督
 何と、ハンセン氏病施設を描いた実録的映画です。「ベン・ハー」のようなメーキャップ
ではありません。皮膚がただれた本物の患者の日常の暮らしをそっくりそのまま描いています。
監督が女流詩人ということで、現実的ながらも詩的な感じに仕上がっています。
短編ですが、キアロスタミ、マフマルバフら巨匠も絶賛したそうです。
この映画は全人類が見るべき傑作なのかも知れません。

『リリース』1973年 ナセール・タグヴァイ監督
 イラン映画になぜかよく出てくる「金魚」にちなんだ話。
海で釣りをしていた少年の一人が金魚を釣り上げる。(ふつう、海水に金魚がいますか?)
ちょっとしたことから他の少年に奪われて、追いかけて取っ組み合いになる。
釣った少年が奪った少年を石で殴って怪我をさせ、父親から物置に閉じ込められる。
奪ったあの少年が格子窓から水を差し入れて言う。「金魚は海に返したほうがいい」
なんとか物置を逃げ出した少年は、海に金魚を返しに行く。
 イラン映画のこども物の秀作は、革命前からあったんですね。
 でもなぜイランに金魚? 海に金魚?

『旅』1972年 バハラム・ベイザイ監督
父親を探す少年を物売りの少年が店を逃げ出して助けながら小さな旅をする小品。
探し当てた父親とおぼしき男と妻から、少年は追い返されてしまう。
ストーリーはそれほど面白いとは思いませんが、革命前のイランの下町の情緒を
感じさせてくれます。

9さーひぶ。:2003/11/28(金) 22:56
『ディープ・ブレス』(Deep Breath) 2003年 パルヴィズ・シャバズィ監督 昨日上映

日本で上映されるイラン映画ではこれまでになかった欧米的な若者映画でした。
前半は、定職のない無軌道な青年2人のロクデナシな暮らしぶりの描写。
女性がヘジャブをかぶっていることを除けば、イランの若者は欧米と変わらないようです。
途中から、男のうち一人が女子大生と知り合って熱を上げ、結末まで突っ走ります。
女子大生の明るくさばけたキャラクターも、これまでのイラン映画には見られないものでした。
冒頭のシーンと後半から結末へ至るプロセスはややあざとい感じ。

しかし、現代イランの若者があそこまでロクデナシとはがっかりしました。
上映後の監督とのQ&Aでは「この映画のテーマは一体何?」と問いかける
質問者がいて、監督はちょっと困っていました。
「イラン映画」を期待して来てがっかりした日本人は少なくなかったかも知れません。

他方、日本のサラリーマンを茶化したようなシーンもあったりして、
イラン人の方でも日本人のことをそんな風に見ているんだろうなということが感じられました。
あるいは、ハリウッド映画の影響かも知れません。

いずれにしても、政治体制とは裏腹に、イランの若者は欧米文化に染まっているようです。日本と同様に。

10さーひぶ。:2003/11/29(土) 22:44
『2つの思考の間の沈黙』2003年 ババク・パヤミ監督

イラン本国では、政府からオリジナルプリントを没収されたという問題作。
あるムスリムの村。男は、村の支配者ハッジから死刑執行人を任されていた。
ところが、ある女の処刑が延期された。処女は天国へ行くのでまずいというのだ。
男は、女囚人との結婚を命ぜられる。女が処女でなくなれば、処刑しなければならない。
男は苦悩する。父や村人からは、ハッジの手下であることを責められ続ける。そして・・・。

オリジナルプリントが没収されたため、編集用ビデオテープでの異例の上映でした。
イスラムが部族の迷信と結び付いたとき、いかに人々を苦しめるか?
そして村が別の思考に目覚めるまでの「沈黙」を描写しています。
アフガンの村を描いているようにも見えますが、イランの保守派を怒らせたわけです。

監督は急に来日をキャンセルしたようです。何か圧力があるのか?
しかい、イラン人の自由な表現を探求する心は、誰にも沈黙させられないことでしょう。

11ゆかり:2004/01/23(金) 10:42
はじめまして。今、アラビア語を習っているのですが、いいアラビア語映画なにかご存知でしょうか。
できれば、恋愛ものがいいのですが・・・

12雷怒:2004/01/26(月) 19:30
突然ですが、業務連絡です。
「さーひぶ」さんこと「●●ちゃん」、
ご無沙汰しております。
近いうちに日本に帰りますので
某所の〇〇〇号室で再会できたらと思います。
お土産はまたタムルでよろしいのかな?

さて、スレタイのお話に戻ります。
>11
いいアラビア語映画って言っても、
出回っているアラビア語の映画ってほとんどエジ映画に
なってしまいますよね。
恋愛モノですか、
余り胸を張ってお薦めできるものが無いのですが、

アブドンナーセルとサーダートという、エジ現代史に輝く
(後者については「泥を塗った」の方が適切か?)
二人の歴代大統領を演じ、
すっかり国策映画の大スターと化したあのアフマド=ザキーと
Lux石鹸のイメキャラとしてエジ女優の地位を固めつつあるモナ=ザキーの
ザキー一族(ところで二人の間に血縁関係ってあるんでしょうか?)が
親娘として共演した『イドハク! ハ・タトラア スーラ ヘルワ』
(はい笑って! 写真映えが良くなりますよ)あたりが、
お決まりの単純なストーリーながらも
比較的楽しめるんではないかと思います。
もっともモナザキストの私が推薦しても
余り説得力が無いかもしれませんがね。

また何か新たな名作にでも廻り合えたら
ここで紹介させて頂きます。

13匿名さん@サラーム:2004/01/28(水) 00:25
雷努様、モナ様の広報活動ご苦労様です。
こちら、かつてモナザキスト党カイロ支部の部長を
務めていた者ですが、現在は日本でおとなしく暮ら
しております。

さて、アラブ圏にも良い映画がそこそこありますが、
いかんせん日本で紹介されることが少なく、ましてや
日本のビデオ屋でアラビア語の映画を見つけるのは
至難の業です。
しかし、最近ようやく良いソフトが出ました。

『炎のアンダルシア』(エジプト、1997年)

去年の末に日本語版のDVDが発売されたばかりです。
劇場公開した際にご覧になった方も多いでしょう。
実は今回初めて観たのですが、予想以上に面白かったです。
9.11の前にこんな映画を作っていたユースフ・シャーヒーン
という人は、ひょっとしたら天才なのかもしれません。
主演のヌール・シャリーフも、こんな良い演技をする俳優
とは知りませんでした(ハッグ・メトワッリーのイメージ
しかなかった)。
エジプトきってのイケメン俳優ハーニー・サラーマが、
この映画がデビュー作とあって、初々しいと言うか、もの
凄く若者(シャバーブ)っぽい演技してます。

何より、日本語字幕付きで生のアラビア語(ただしエジプト
方言ですが)が楽しめるのは、またとない機会でしょう。
ムハンマド・ムニールのテーマ曲も秀逸!
DVDの付録に、若手俳優にラブシーンの演技指導を付ける
シャーヒーン監督の熱烈ぶりが収録されているのも見物です。

以上、長文失礼しました。

14雷怒:2004/01/28(水) 14:37
>13
おおっ!!!
これはこれは、こんなところで
あのエジカルの「いとうせいこう」(?)こと
〇〇た先生に再会できようとはラッビルアーラミンも
ご存知だったことであろうか!(はい、バラーガの手法の一つを
早速使ってしまいました。)

『炎のアンダルシア』(原題;المصير)ですか、
懐かしいですなぁ。
内輪話ですが、
これが東京で上映された時に
「さーひぶ。(上で句点を書き落としてましたすみません!)」氏に
電話して作品の短評のコメントをお願いした憶えがあります。
(●●ちゃん憶えてる?)

また初日の舞台挨拶にでも来たついででしょうか、
ユースフ=シャーヒーン御大、
筑紫哲也にニュース23で対談した時に、
映画の冒頭(エンディングだったかな?)に
わざわざ字幕にまでして訴えたかった
「思想の翼の飛翔は誰にも止めることはできない」
とか何とかというメッセージをここでも盛んに訴え、
一方筑紫君の方は、
我が国では数年前にオウム真理教という、
正に映画の中の「山の長老」(はハサン=サッバーフだったかな?)教団の
ような宗教団体が地下鉄でサリンをばら撒いただのと
一所懸命にヨイショしていたものです。

ハーニーくんはこれがデビューだったんですね。
この後はシャーヒーン御大のまるで「稚児」の如く、
同監督の『アル・アーハル;الآخر』で
モナザキの“天敵”ハナーン=トルクに加えて
ヌールおばさんとも宜しくやってましたね。
そういえばこの作品の冒頭では
米帝の大学に留学している主人公ハーニーに
研究室で相談に乗る故エドワード=ワディーア=サイードも
特別出演していましたね。

まぁ、フランスで映画制作を学んだ御大の作品は
欧米や日本での評価も高く当たりが多いですが、
アラ語初心者だった15年くらい前に観た
『イスカンダリーヤ レー?』は
言葉以上に内容が非常に難解だったような気がします。

ところで「●●た」先生、
「モナザキスト統一世界戦線」
(暫定組織名;のち中央執行評議会の過半数の賛成によって承認される予定)
東京支部長兼学術・文化局長として益々のご活躍を期待しております。
「さーひぶ。」氏には出版・情宣局長のポストを用意いたしております。

それでは。
モナザキスト統一世界戦線(暫定名称;のち中央以下略)
湾岸解放機構モナ革命評議会議長(01/28/2004/DXB指令第2号)

15いかにも、のぶたです:2004/02/01(日) 23:35
>雷怒様
久しぶりに名前をお見かけした懐かしさと、「炎の...」を観た
感動のあまり、ついつい書き込んでしまいました。

ドクトール・サイード・アル=マルフームと共演したのも
ハーニー君だったんですね。その映画、未見ですが、是非
観てみたいものです。
ともあれ日本でのアラブ映画普及のため、シャーヒーン先生には
もう一がんばりして、大ヒット作を作って欲しいものです。
ってもうそろそろだめそうですが。

ところでモナ統東京支部長の肩書き、私には名乗る資格はありません。
といいますのも、カイロ撤退後いろいろありまして、実は昨夏子供が
生まれ、こともあろうにその子に「ハナーン」と名付けてしまった
からです。
(議場から「反動分子め!」との罵声)
モナ統の崇高なる使命を忘れたわけではありませんが、広くエジポップ
カルチャー普及のために、トルキストとの共闘を模索した結果、この
ようなことになってしまいました。かくなる上は評議会のお偉方の耳に
達する前に東京支部長の職を辞任し、一党員となって地道な党活動を
続けていく所存であります。雷怒様にはよろしくご容赦頂けますよう。
(悪のりスレ違い長々とすみません)

16匿名さん@サラーム:2004/02/06(金) 11:43
映画とはちがいますが
東京国際芸術祭2004の
中東3カンパニー公演
すべて見にいく予定っす。
あれってフスハですよね?
アラビア語がどれだけ聞こえるか楽しみッス。
http://www.anj.or.jp/tif2004/index.php

17雷怒:2004/02/06(金) 14:40
>15、
そんな、のぶた先生、
こんなところ(さーひぶ。さんゴメンなさい!)で
お名前をカミングアウトしちゃって大丈夫なんすか?
本郷の研究室に某組織から刺客を送られるか、
オルグされちゃいますよ。(イドハクー、フナー!;

さて、先生にヘルワ・ギッダンなビントが
お生まれになっていたのは先生のサイトで
知っていたのですが、
バラクるタイミングを失っておりました。
ここで改めてバラクらせていただきます。

ミリオ〜ン・マブルーク、
ハフィザッラーフビンタク、ハナーン! アーミーン。

反動分子だなんて、
私も某番組に出演したモナザキの姿を見るまでは
何を隠そう、トルキストでした。もう総括もんですな。
それに我々にとって「ハナーン」と言ったら、
小便臭いエジ女優の方ではなく
ラーマッラーの熟女「ハナーン=アシュラーウィ」先生のこと
がイメージされます。

葉南ちゃんが、ハナーン=トルクの可愛らしさと
ハナーン=アシュラーウィ先生の妖艶さ、もとい知性に
あやかれるよう期待しております。それではごきげんよう。

モナザキスト統一世界戦線(暫定名称;のち中央以下略)
湾岸解放機構モナ革命評議会議長(02/06/2004/TKO指令第3号)

さて私も悪乗りは辞めて本題に戻ることにして、
>16、
『アライブ・フロム・パレスチナ』観に行きたいんですが、
その前に脱日するんで今回は無理ですな。
そう言えば『プロミス(原題;ウオード)』も見逃したし。

18さーひぶ。:2004/02/07(土) 01:07
>>11
ゆかりさん、(亀レスですが)はじめまして。
恋愛ものですか。
『ガリレアの婚礼』というアラビア語映画が日本で上映され、ビデオも出ています。
製作国はフランス・ベルギーですが、監督はパレスチナ人ミシェル・クレイフィです。
恋愛というよりは結婚式そのものなんですが、
イスラエルとの軋轢の中で婚礼を迎えた男女と村の葛藤を描いています。

19さーひぶ。:2004/02/07(土) 01:35
>>12,>>14
雷怒さん、(亀レスですが)お久しぶりです。
業務連絡はできれば「ゲストブック」の方にお書きください。
それから私はいろんな所に顔を出していますが、
ここは匿名掲示板ですので個人情報のネタバレはお慎みください。
あと、タムルはまにあっているようです。むしろ元気な姿を見せることが土産になります。

『炎のアンダルシア』(アル=マスィール)ですか。
ヌールッシェリーフも今や大御所ですね。
9.11を描いた映画では、お茶を濁した作品が多い中、
シャーヒーン監督の製作態度は立派でした。

20さーひぶ。:2004/02/07(土) 01:55
>>15
のぶた様、はじめまして。
どうぞ、悪乗りしていってください。

>>16
ほう、アラブ演劇ですか。
一舞台3500〜4000円で三本はやや財布に厳しいですが、
奮発しますか。

2116:2004/02/18(水) 11:13
逝って来ました>アラブ演劇第一弾。
全くのフスハでした・・・・たぶん。きれいですねああいうアラビア語は。
ガートルード役のぐらまーなお姉さんにほれました(^^ゞ。

22さーひぶ。:2004/02/21(土) 19:33
>アラブ演劇
第一弾は見逃しました。残念・・・。

ただいま第二弾の会場(新宿パークタワーホール)にいます。
開演前のビフォートークというのをやっていて、レバノンの役者4人が背景説明をしています。
司会&通訳はなんとあのNHK講座のアルモーメンさんです!
3500円のはずだったのに、なぜか無料で入れました。
もうすぐ開演の予定。

23さーひぶ。:2004/02/21(土) 19:52
というのは勘違いで、今夜は
 「特別トークセッション」(19:00〜21:00、入場無料)
だったようです。
出演者は、今回の中東3公演の役者で、
 スレイマン・アルバッサーム(クウェート)
 リナ・サーネー(レバノン)
 ラビア・ムルエ(レバノン)
 ジョージ・イブラヒム(パレスチナ)

このほか
 モデレーター:市村作知雄(東京国際芸術祭ディレクター)
 司会 & 通訳:アブドーラ・アルモーメン

24さーひぶ。:2004/02/23(月) 01:48
やっと第二弾を見てきました。

「ラビア・ムルエ(作)&リナ・サーネー(演)」(レバノン)
 ・ビデオ上映『FaceA/FaceB』ほか
 ・パフォーマンス演劇『BIOKHRAPHIA ビオハラフィア』

う〜ん、前衛演劇っていうものなんでしょうか、これは。
かなり欧米の影響を受けている感じなのですが、ちょっと空回りしてるかな?
「これが、レバノン演劇」という感じはありませんでした。

『ビオハラフィア』(リナ・サーネー出演)というのが問題作。
質疑応答のビデオテープを用いたインタビュー風の一人芝居なのですが、
インタビューは途中から「検閲」テープとの口論になってゆき、
最後は「検閲」を象徴する液体をリナが瓶詰めにして
舞台の端に売り子となって座り込み、
合図もなしにそのまま舞台が終わるという奇妙さでした。
観客は訳がわからずしばらくポカーンとしていましたが、
座して不動のリナを取り巻いたり、呆れて帰ったりしていました。

観客を試した実験的パフォーマンスなのでしょうが、
消化不良の感は否めず。あれで3500円はちょっと高いかも。

2516=21:2004/02/27(金) 14:33
第一弾の方が圧倒的に良かったです。
アラビア語の勉強として、という意味でです。
さて第三弾は、どうなることやら(^^ゞ
『ビオハラフィア』はレバノン訛り?があった
ので、あまり聞き取れなかったんです。

26さーひぶ。:2004/03/03(水) 21:40
(レスが遅れましたが)第三弾を見てきました。

『アライブ・フロム・パレスチナ −占領下の物語−』(三軒茶屋のシアタートーラム)

舞台には新聞紙の山々! そこから人々がのそりと這い出てきて、爆撃下での漫才のような会話が始まる。
「Shで始まる言葉は何?」
「シャロン」「シャアブ(人民)」「シャヒード(殉教者)」こんな調子です。
イスラエル圧制下のパレスチナ民衆の生き生きした様子を描いた「演劇」でした。
第二弾と比べると、やっと普通の演劇を見られたかという感じです。

言葉はパレスチナ方言だったようです。
「パレスチナ」をフスハーなら「フィラスティーン」というところが
「ファラスティーン」と言っていたように聞こえました。

27アラビア語初級者:2004/03/04(木) 19:25
第2弾より解りやすかったです>第3弾
でも第1弾が一番解りやすかった。
劇の評価じゃなくて、アラビア語そのものが。

28のぶた:2004/03/11(木) 11:55
東京日仏学院で、アラブ映画特集をやってますね。
上述雷怒さんが言及されている「他人(al-akhar)」も
やるみたいです。サイードの演技を見に行ってきます。

http://www.ifjtokyo.or.jp/culture/cinema_j.html

29さーひぶ。:2004/03/12(金) 22:19
情報ありがとうございます。
日仏学院は、以前から旧仏領アフリカの映画をたびたび特集上映していますね。

日本のフランス語教育界も、最近は仏語圏諸国文化の紹介に力を入れだしてきているから、
これからもアラブ映画の上映など期待がもてます。

30さーひぶ。:2004/06/14(月) 00:42
「イラン映画祭2004」(国際交流基金フォーラム)
日曜までだったのに、つい見逃してしまいました。
来年はあるかなぁ。

31さーひぶ。:2004/09/06(月) 21:45
「アラブ映画祭2005 プレイベント」が9月2日〜4日、東京で催されました。
http://www.jpf.go.jp/j/culture_j/topics/movie/jfsls2.html
「アレキサンドリアWHY?」「他者」「ガリレアの婚礼」を観ました。

ユーセフ・シャーヒーン監督は若者映画が得意ですね。
とくに「他者」は、インド映画みたいな面白さを感じました。
「三大宗教センター」が出現する妄想シーンには大笑い。
結末も意外で非常に良かったです。

「ガリレアの婚礼」は、実はビデオを持っているんですけど観てしまいました。
イスラエル占領下パレスチナ社会におけるイスラエル人とパレスチナ人の緊張感、
そしてパレスチナ社会における男と女の緊張感がよく描かれています。

「アラブ映画祭2005」は、来年2月の開催予定です。

32さーひぶ。:2005/02/15(火) 01:59:46
「アラブ映画祭2005 プレイベント2」が2月11日〜13日、東京で催されました。
http://www.jfforum.jpf.go.jp/event_sch/details/event_sch_detail.html#arab_film

2日目の映画『西ベイルート』を観てきました。
なかなか成熟した感じの映画で良かったです。
詳しくはまた後日

33さーひぶ。:2005/02/20(日) 22:15:12
『西ベイルート』(1998年、レバノン)監督=ジアド・ドゥエイリ
「地中海映画祭2000」でも上映された作品ですが、そのときは見逃していました。

舞台はレバノン内戦初期のベイルート。主人公はフランス系の学校に通う2人のアラブ人
、キリスト教徒少年タリク、イスラム教徒少年オマル、同じアパートの少女メイ。
内戦の開始によって、首都はイスラム教徒の西ベイルートとキリスト教徒の東ベイルート
に分断される。戦火の下で、性にめざめた3人は娼館(売春宿)に潜りこんだり騒動を起こ
し、青春を謳歌するが、激戦が街を覆ってゆく・・・。

米仏で映画を学んだ監督だけに、性の表現は欧米並みに洗練されていて、過激な表現もあり
ますがそれほど嫌らしくはありません。貫禄たっぷりの娼館の女主人が、異教徒の男が利用
したと知って激怒するシーンはユーモラスでさえあります。表では敬虔なムスリムの体裁を
繕うパレスチナ難民のおばちゃんが、家では亭主を激しく誘惑する場面には笑えます。
戦火の下で、宗教の壁・性の壁を越えて成長してゆく少年少女を描いた佳作です。

タリクの父が息子に「お前はアラブ人だろ!」というと「僕はフェニキア人だよ」と切り返し
たのにも感心! アラブ人キリスト教徒は、アラビア半島から来たイスラム教徒の遺伝的影響
を受けていないので、レバノン人キリスト教徒がフェニキア人の末裔であることは十分に考え
られますね。

34さーひぶ。:2005/03/20(日) 21:31:31
【リアル/アラブ映画祭】(http://www.geocities.jp/kebabmovie/
حقيقي/مهرجان الأفلام العربية
の2日目を観てきました(東京・お茶の水のアテネ・フランセ文化センター)

〔石原裕次郎主演『アラブの嵐』〕あとで、別スレに書きます。

〔レバノン映画短編集〕
『ベイルートの風』(هوا بيروت)
建物が老朽化しているベイルートのあるアパート。出勤前にシャワーを浴びていた男
ハリールは、窓から一陣の風が吹き込んで扉をロックし、シャワー室に閉じ込められる。
扉をドンドン叩くが外へは出られない。勤務先にケータイ電話しても、知人が訪ねてきても
ダメ。ついに窓から隣室のベランダへ出るが、タオル一枚の裸のために室内の隣人から怖がられて
あわてて外壁を反対方向へ。立ち往生するハリールは風でバスタオルを飛ばされ、道を歩く
人々からストリーキングと勘違いされる。やっと建物内へ脱出した彼は、警官に取り押さえ
られて安定剤を注射され、意識を失いながら超現実的な幻覚を視る。・・・

2003年ベイルート中東映画祭短編賞受賞。たった15分の小品ですが、とってもシュールで笑えました。
周囲の人々から勘違いされるというシチュエーションが次の『テロリズムとケバブ』と同じです。
>>35へ続く)

35さーひぶ。:2005/03/20(日) 23:03:02
>>34の続き)
〔長編〕
『テロリズムとケバブ』(الإرهاب والكباب)
エジプトの喜劇俳優アーデル・イマーム(عادل إمام)が主演の1992年のエジ
プト映画。テロリズムを笑い飛ばす喜劇「ケバブムービー」です。

公務員のアハマドは、子供たちの転校の許可を申請するために合同庁舎へと向かう
が、長い行列に待たされ、申請窓口では担当役人が不在。窓口の部屋では女性職員
が私用長電話、男性職員が礼拝ばかりをひたすら続けている。このあと彼の妻と二
人の子供との家庭生活、カイロでの生活が描かれる。仕事をなんとか都合つけて再
び役所を訪れるが、担当者がまたおらず、言われるままに外務省からホテル群へと
さんざん探し回るが見つからず、窓口で職員二人と口論、男性職員と喧嘩みたいに
なり、なんと女性職員が警察に電話通報してしまう。
どういうわけか警官隊がやってきてアハマドたちともみ合いになり、偶然から警官
の銃を掴んでしまう。バン、バン。なぜかあわてて逃げさる警官隊。彼をテロリス
トと勘違いした合同官庁の人々はパニック状態になって逃げ去り、残された人々は
「人質」に。いつのまにかテロリストにされてしまった彼の元には、都会に不満の
青年、自殺志望の男、娼婦容疑の客引き女たちが次々と「味方」として加わってい
く。
庁舎は内務相指揮下の特殊部隊に包囲される。「一味」ははしご車で寄ってくる隊
員を消火用ホースの放水で撃退。建物に近づく部隊をガスボンベの投下で爆撃!!
アハマド、お前は『ダイ・ハード』(1988年)のジョン・マクレーン刑事かぁ(笑。
内務相とトランシーバーで交渉の末に彼らが要求したのは「ケバブ」。「ケバブじ
ゃなく、ケンタッキー・フライドチキンをあげよう」という内務相に対し「一味」
も「人質」たちも「カバブがいい」の一点で同調する。
政府に対し要求をするということになり、一味は何を要求しようかと考え悩む。
「内閣を解散しろ」等あれこれ無茶苦茶を言っているうちに、内務相はアハマドを
「テロリスト」ではなく「気ちがい男」としてニュースに流し、明朝までに人質解
放をしないと踏み込むと迫る。驚いたことにテレビニュースは「事件は解決」と報
道、明朝までに「解放」しないと「人質」ともども全員射殺される。もう後がない。
アハマドら「一味」は「人質」らの前で何でこんなことになってしまったかのいき
さつを話し合い出す・・・。
明朝、部隊が庁舎の前を取り囲む中で、「人質」たちが「解放」されてぞろぞろ出
てきて、通りへ向かう。内務相の前を緊張しながら通りすぎるアハマド。部隊がい
っせいに庁舎へなだれ込む。どこを探しても「テロリスト」なんかいない。合同庁
舎を感慨深げに振り返りながら悠然と去ってゆくアハマドであった。(映了)

『勝利への脱出』(1980年米映画)みたいな脱出テクニック(?)でした。
近代デモクラシーとともに西ヨーロッパ発祥であるにも拘らず、アラブに結びつけ
られてしまった感のある「テロリズム」をコメディとして描けるのは、アラブ映画ならでは。
現代エジプト社会の停滞と暗部、政府の腐敗などを痛烈に風刺しながら、テロリズム
なるものを思い切り笑いとばしています。ある意味で『ダイ・ハード』よりも傑作かも(^^)

36さーひぶ。:2005/04/18(月) 00:33:39
【アラブ映画祭2005】

4月15日(金)〜24日(日)東京・赤坂の国際交流基金フォーラムで
遅れに遅れ、待ちに待った「アラブ映画祭2005」が開催中です。

アラブ映画祭公式サイト(国際交流基金)
TOPページ http://www.jpf.go.jp/j/culture_j/topics/movie/arab.html
上映作品 http://www.jpf.go.jp/j/culture_j/topics/movie/arab_2.html
スケジュール http://www.jpf.go.jp/j/culture_j/topics/movie/arab_3.html

10日間にもわたって、ほぼ昼夜ぶっ続けで上映されるため、東京近辺に在
住の人でも、全作品を観るのは無理気味でしょうけど、自分のスケジュール
と財布に相談して、面白そうな作品を選んで観に行きましょう。

スタッフの会場発言によれば、「アラブ映画祭」は今後も繰り返し開催され
る模様。今回は、上映作品17本のほとんどが日本初公開だそうです。

37さーひぶ。:2005/04/18(月) 00:52:48
【『眠れぬ夜』2003年、エジプト】 <アラブ映画祭2005

現代エジプトの3組の若い男女が織り成す性愛の葛藤を描いた青春映画。
エジプトの2大若手人気女優、ハナーン・トルクとムナー・ザキーが主演。
たとえていえば、日本でもNHKで放映されたアメリカのテレビドラマ
『ビバリーヒルズ青春白書』をもっとシリアスで重厚にした現代エジプト映
画版という感じ。BGMもかなり重厚で、映画を重々しいものにしています。

要するに、痴話のドラマなのですが、描写がかなり赤裸々で、笑えます。
中東・アラブの映画でヒトの交尾シーンまで出てくるのはまだかなり珍しい
と思われます。ハリウッド映画や米テレビドラマの影響でしょうか。監督の
ハニー・ハリーファさんは30代。

レバノンの青春映画が、性描写を含めて、西欧・フランス風にサラッと垢抜
けた造り方をしているのと比べると、エジプト映画は米国ハリウッド映画風
で、かなり芝居がかっているし、非常に脂ぎった印象を受けます。(レバノン
映画は大衆にうけていないが、エジプト映画はうけているという見方もあり)

字幕監修は、NHKラジオ講座でおなじみの師岡イマーンさんです。

38さーひぶ。:2005/04/18(月) 01:31:10
【『カサブランカの天使』2004年、モロッコ・イタリア】

たいへん良質な映画、とても考えさせられる秀作映画です。
これまで、欧米がモロッコを描いた映画はいくつも紹介されてきましたが、
モロッコ側の視点から視るとこの国はこんなにもちがった貌(かお)を見せる
のかと、新鮮な印象を持ちました。カメラワークなど映画の造り方がなかな
か巧いのはイタリアが協力しているせいでしょうか。
主人公がベルベル人(自称:イマジゲン)役なのも非常に新鮮!
現代モロッコの大都会カサブランカで働く出稼ぎ労働者と仲間たちの悲哀に
満ちた貧しくて苦しい暮らしぶりを描いています。

モロッコの山奥(アトラス山脈?)の村で暮らすベルベル人のサイードは、
ある日、身重の妻の強い反対を押し切って、カサブランカに出稼ぎに出て、
レストランで働くようになる。村に一つ(?)の携帯電話で連絡を取る夫妻。

サイードのある同僚は、故郷の村に家族と馬を残し、馬のえさなど仕送り
を続けるが、やがて耐え切れなくなって、家族と馬の元に帰っていく。

ある同僚は、貧しいのにショーウィンドーで見た高価な靴にあこがれ、華や
かな結婚式を夢想し、悩みに悩んだあげくに靴を買うが、バスでは靴を踏ま
れ、車がはねた泥で汚され、工事現場で釘を踏んで・・・と高価な靴を買ったた
めに苦労の連続。
>>39へ続く)

39さーひぶ。:2005/04/18(月) 01:32:24
>>38から続く)
産後の肥立ちが悪いサイードの妻は倒れ、彼は長距離バスで帰郷する。バス
に同乗した隣の客は、出稼ぎで15年間フランスで働いたが、その間一度も
家族に会えず、現地では低く扱われ、もうフランスには戻らないと断言。
村に戻ったサイードは妻を大都会カサブランカの医者に診せようと、乗合タ
クシーで急ぐが・・・。

悲しい物語ですが、モロッコの都会と田舎の暮らしぶり、結婚式・民俗衣装
などさまざまな社会風俗、アラブに対するベルベル、都会や欧州への出稼ぎ
問題などをかなりリアルに見せ付けてくれます。
ベルベルはアラブに対する「先住民」とされますが、実際はモロッコのアラ
ブの大半は、ムスリム・アラブ化したベルベルの末裔なのだと思われます。
それにしても、どこの社会でも、弱者は薄情に扱われるものだなぁ。ぐすん(涙

40さーひぶ。:2005/04/20(水) 23:54:29
アラブ映画祭、その後も何本か観たのですが、なかなか映画評を書いている余裕が
ありません。とりあえず、上記2本のアラビア語の題名を記しておきます。

>>37 眠れぬ夜
سهر الليالي (夜毎の不眠)

>>38-39 カサブランカの天使
فوق الدار البيضاء..الملائكة لا تحلق
(カサブランカの上に天使たちは飛ばない)
この作品は、アラビア語名の表記にブレがあるようで、メディアによっては
次のようにも書かれていたりします。
الملائكة لا تحلق فوق الدار البيضاء
الملائكة لا تحلق في الدار البيضاء

続きは後日。

41さーひぶ。:2005/04/23(土) 03:05:45
>>37 大ヒットした『眠れぬ夜』の主役は(3組ではなく)4組の男女8人でした。
現代エジプトの若手スター勢ぞろいなので、以下に役名と俳優名を列挙しておきます。

妻:ペリー بيري  演:モナー・ザキー منى زكي
夫:ハーレド خالد 演:ファトヒー・アブドゥルワハーブ فتحي عبد الوهاب

妻:ファラ فرح  演:ハナーン・トルク حنان ترك
夫:アムル عمرو  演:アハマド・ヒルミー أحمد حلمي

妻:ムシーラ مشيرة 演:ジハーン・ファーディル جيهان فاضل
夫:アリー علي  演:ハーレド・アブルナグア خالد أبو النجا

女:イーナース إيناس  演:オラ・ガネム علا غانم
男:サーメハ سامح  演:シェリーフ・ムニール شريف منير

42さーひぶ。:2005/04/23(土) 04:07:03
【『ラシーダ』2002年、アルジェリア・フランス】 رشيدة

テロリズムの嵐が吹き荒れるアルジェリアを、テロにおびえながらもたくまし
く暮らしてゆく人々を、1人の女教師の生き様を通して描いた社会派ドラマ。
首都アルジェ近郊の小学校で教えている女教師ラシーダは、ある日の街中で
元生徒の過激派若者グループから学校に爆弾を持って行けと強要され、拒否
したために腹部を撃たれて重傷を負ってしまう。
首都のテロリストたちから逃れ、テロの恐怖に怯えながら、田舎の静かな村
で母と隠匿・療養しながら、彼女は少しずつ回復する。村で再び教壇に就く。
「授業のテーマ」(موضوع الدّرس)と黒板に書くラシーダ。都落ちした新任
女教師は生徒の間ですでに話題だ。
しかし、この村もテロの例外ではなくテロリストたちに襲われてゆく。拳銃
を腰に差した男を見かけただけで怯えて逃げさるラシーダ。
過激派グループに拉致され、辱められて妊娠し、逃げ出してきて保護された
ある若い娘を、封建的な老父は慰めるどころかこともあろうに「恥をかかし
おって、いっそ死んでくれた方がましだ。もう関わりたくない」と罵る。
村では、テロリストを親に持つそんな子供たちが幾人も養育されている有様。
そんな村の有様を知って嘆く母を、「親は選べない」とたしなめるラシーダ。
宴会の夜、再三テロが村を襲い、逃げる途中で拾った幼児を抱きしめながら
藪の中で朝まで震え続けるラシーダ。またも多くの村人が殺された。
恋人が殺された現場で泣き崩れる若い娘。「こんな地獄から早く立ち去ろう」
と声をかける村人に「地獄は心の中だけ」とやり返す娘。
放心状態から立ち直りながら、登校し、荒らされ尽くした教室で生徒たちを
迎えて授業を始めるラシーダ。いつものように「موضوع الدّرس」と板書する。
>>43へ続く)

43さーひぶ。:2005/04/23(土) 04:31:19
>>42の続き)
テロリズムの嵐が吹き荒れ続けてきたアルジェリアの作品だけに、日常生活
の中でテロが起こる有様を、被害者側の視点から非常にリアルに描いていま
す。テロの被害・恐怖から立ち直ってゆくラシーダは、テロに直面するアル
ジェリアの人々の「あるべき理想像」なのかも知れません。テロリズムに悩
む多くの国の人々に観て欲しい秀作です。

それにしても、これまで日本のメディアでは、パレスチナやイラクの紛争が
大きく報道されてきたのに比べて、アルジェリアの情勢はほとんど報道され
ませんでした。日本のメディアがアメリカ中心に世界を捉えているためでし
ょうか。パレスチナよりもアルジェリアの方がはるかに危険な状況であった
と思われますが。油田地帯や宗教の聖地と関係なければ、アフリカで多くの
人が殺されてもニュースにならないというのでしょうか?

44さーひぶ。:2005/04/23(土) 05:31:34
【『忘却のバグダッド』2002年、イラク・スイス・ドイツ】

「ユダヤVSアラブ」という20世紀国際社会のお決まりの「常識」が虚構
であることを暴き出してくれる重要なインタビュー・ドキュメンタリー映画。
登場するのは4人の「イラク系ユダヤ人」(=ユダヤ系イラク人)、および
イラク系ユダヤ人を両親に持つ在米の女性社会学者エラ・ショハット。
かつてイラクに住むユダヤ人たちは、アラビア語を母語とし、アラビア語の
文化に親しんで暮らしていた。しかし、現代イスラエルが建国されると、
シオニズムと反ユダヤ主義の高まりの中で彼らの立場は微妙なものになった。
シオニズム国家イスラエルは西洋のユダヤ人たちに移住を促したが、移住し
て来た西洋系ユダヤ人は思いのほか少なかった。そこで、パレスチナにおけ
るユダヤ人の人口的優位を築くためにも、東洋系ユダヤ人(ミズラーヒーム)
たちの移住を呼びかけた。
(他のアラブ諸国と同様)イラクのユダヤ人たちは祖国イラクを離れる意思
はなかったが、イラクのシオニストたちが当時のイラク政府と結託して起こ
したと見られるテロ事件が多発した。証拠はなかった。こういったテロ事件
の続発により、イラクのユダヤ人たちは祖国イラクを追われるようにしてイ
スラエルに移住した。イスラエルではなく欧米への移住を希望する者もいた。
イスラエルに移ったイラク系ユダヤ人たちは(まるでナチスに強制収容所に
連れて行かれるようにして)キブツへ連行され、強制的に肉体労働を強いら
れた。地獄のような日々だった、と回顧する人もいる。
イスラエルでは、アラブ系ユダヤ人(=ユダヤ系アラブ人)は「アラブ出身
の劣った、シラミがたかったような連中。悪いユダヤ人だ。」と蔑まれ、
徹底的な差別を受けてきた。現在、イスラエルの人口の過半数は東洋系だ。
このように、イラク系ユダヤ人たちと2世によって、今まで知られていなか
った西洋系「ユダヤ人」によるアラブ系「ユダヤ人」への差別の数々が証言
され、「ユダヤ人」VS「アラブ人」という虚構が解体されてゆく。
>>45へ続く)

45さーひぶ。:2005/04/23(土) 06:10:24
>>44の続き)
「ユダヤVSアラブ」という固定観念が国際的な「常識」のようになってい
ますが、この映画での証言が浮かび上がらせるのは、欧州で差別を受けてき
たユダヤ系[被差別ヨーロッパ人]がイスラエルを建国することによって、
中東アラブ諸国で共存してきた東洋系ユダヤ人が追放同然に祖国を追われ、
その結果としてパレスチナの地が[ユダヤ系の西洋人と東洋人の収容所]と
化し、さらにユダヤ系[西洋人]がユダヤ系[アラブ人]を差別・支配して
いるというシオニズム国家イスラエルの重大な矛盾です。こうしたユダヤ系
[亡命アラブ人]の存在は、「パレスチナ問題」の影に隠れ続けてきました。

この重要な映画を多くの人が観ることにより、「パレスチナ問題」ではなく、
イスラエルとは西洋人がアラブ人を植民地支配・差別する「イスラエル問題」
なのだということが明らかになることを切に望みます。

46さーひぶ。:2005/04/24(日) 23:28:28
【『ビバ! アルジェリア』2003年、フランス・ベルギー・アルジェリア】 Viva Laldjérie

政府がテロ終了宣言を出した直後の(2003年頃の)アルジェリアの首都アルジェで
生き抜く3人の女性の生き様を描くドラマ。

主人公のグセムは27歳の未婚女性で、既婚の医師アニスと不倫関係を続けている。
付き合って3年にもなるが、彼は離婚しようとはせず、グセムを悩ませ続ける。
グセムの母パピシャは未亡人で、元キャバレーのベリーダンサー。テロやイスラーム
化政策によりキャバレーはとうに閉鎖されたが、その思い出が忘れられず、閉店し
たキャバレーの再開に奔走し始める。(演じているのは国民的歌手のビュウナ)
この母子と同じ安ホテルに住む娼婦のフィフィはグセムの親友で、有力者に取り入る。
グセムはクラブに行き、アニスの息子ヤシーヌが男連れのところを見かけるが、
彼は自分がゲイであることを父には言わないでくれと頼む。

ある日、グセムがフィフィの客(秘密警察=公安?)の拳銃を持ち出してしまい、
フィフィは公安に問い詰められ、やがて行方不明になる。グセムは警察に捜索願い
を出しに行き、そこで喧嘩沙汰で連行されたヤシーヌを引き取り、襲いかかってくる
喧嘩相手に拳銃を向ける。ヤシーヌは「この国はだめだ」と絶望し、出国を告げる。
一方、公安に追われていたフィフィは、海岸で発見される・・・。

不倫の愛人、キャバレーの元ダンサー、売春婦と、ドラマの中心となる3人とも、
テロの標的になりそうな女性ばかりというのがミソなのでしょうか?
同じアルジェリアの上映作品『ラシーダ』は、監督が女性(有名監督の夫人)だっ
たためか、性的描写が皆無でした。これに対して本作品は、監督がフランス生まれ、
欧米で映画修行をした30代男性だったためか、性的描写が露骨で、映画の冒頭か
らいきなり交尾・全裸シーンが出てきます。(アルジェリアで大ヒットしたという
のは、このせい?)
>>47へ続く)

47さーひぶ。:2005/04/24(日) 23:42:37
>>46から続く)
台詞は、会話はすべてフランス語。監督・主役たちはフランスでも活躍しており、
おもな出資国も仏語圏。ただし、パピシャ役の大歌手ビュウナが唄うアラブ歌謡は
アラビア語アルジェ方言。フランスの影響が強い国ですが、反発心も強いようです。
劇中で出てくるいくつかの新聞は仏語紙で、「ビン・ラディン」の名が出てくる個
所は、仏語特有の鼻母音で「ベン・ラデン」(Oussama Ben Laden)となります。

丘から見下ろすカスバや紺碧の地中海の風景も見物です。
また本筋とは関係ありませんが、バイパスの傍らに「LG」の巨大な看板が!
LGグループは日本でも有名な韓国の大財閥で、旧称「ラッキー金星」。
韓国企業は、政情不安なアフリカ諸国にも次々と進出しているようで、その進取性
には頭が下がります。リスクを怖れてばかりいる日本企業には太刀打ちできない?

48さーひぶ。:2005/04/25(月) 00:15:49
【『ラミアの白い凧』2003年、レバノン・フランス】 Le Cerf-volant

レバノン・イスラエルの国境で分断されたドゥルーズ教徒(イスラーム教の分派)
の村で起こる結婚ドタバタ劇。イスラエル支配下での結婚を描いた映画には、
ミシェル・クレイフィ監督『ガリレアの婚礼』がありますが、こちらは女性監督で
しかも滅多に映画に採り上げられることのないであろうドゥルーズ教徒が題材。
国境の有刺鉄線でイスラエル・レバノンに分断されたドゥルーズ教徒の村。ある日、
国境のそばで子供たちと白い凧を上げていた16歳の少女ラミアは、凧がイスラエ
ル側鉄線まで風で飛ばされたのを取ろうとしてレバノン側の鉄線を越えてイスラエ
ル側にたどり着き、凧を拾うが、監視塔のイスラエル兵から威嚇射撃を受ける。
イスラエル側へ行ったということは「重大事」で、村の長老会議が開かれて、
ラミアをイスラエル側に住む従兄のサミーと結婚させることが決議される。
緩衝地帯を挟んで、拡声器で連絡を取り合うレバノン側とイスラエル側の親族たち。
意に反する結婚に抗議したものの、しかたなくラミアはイスラエル側へ輿入れする。
監視塔の上から眺めるイスラエルの下級兵士も、同じドゥルーズ教徒のアラブ人。
イスラエル側で暮らすことになったものの、夫をまったく拒否し、なじもうとしない
ラミア。さんざん悩んだ挙句、このゴタゴタを解消するために、イスラエル側の家族
はラミアを離婚して送り返すことにする。コイル状の有刺鉄線が張られた道をレバノ
ン側へ歩いていくラミア。塔の上からラミアに恋していたアラブ人イスラエル兵がラ
ミアに駆け寄る。塔の上から兵を銃で狙う上官。「こんなゴタゴタはもうたくさんだ」
ゴタゴタが終わった幻想的なラストシーン。ラミアは有刺鉄線を魔法のようにすり抜
け、イスラエル側へ歩いて行く。地雷が爆発。次の瞬間、塔の上に出現したラミアの
ゴースト(?)はアラブ人兵と見つめ合う。

国家による親族分断という厳しい現実を突きつけながらも、女性監督らしい(?)幻
想的な仕上がりになっています。レバノン映画は垢抜けている? 台詞はアラビア語
シリア・パレスチナ方言と思われますが、クレジット・字幕はすべてフランス語。

49さーひぶ。:2005/04/25(月) 23:14:45
【『ルート181 パレスチナ-イスラエルの旅の断章』2003年、仏・ベルギー・独】

第2次インティファーダ(パレスチナ民衆蜂起)後のイスラエル・パレスチナ領内を、
1947年の国連パレスチナ分割議決181号によって境界に引かれた「ルート181」をた
どって、南から北へと住民にインタビューしながら縦断するドキュメンタリー。
ベルギー在住パレスチナ人ミシェル・クレイフィ監督と在仏イスラエル人エイアル
・シヴァン監督による共同制作作品。①南部、②中部、③北部の3部構成で、上映
時間は正味277分、休憩各10分なども入れると、実に5時間にも及ぶ長編映画。
こんなに長い映画を観たのは、ソ連映画『戦争と平和』(約9時間!)以来でした。
長いので細部はあまり覚えていませんが、印象的な場面を紹介します。

〔南部〕◆かつてパレスチナ人が住んでいた村の土地はユダヤ人に奪われ、地名も
アラビア語からヘブライ語に変えられている。「昔は隣人だったのに、喧嘩の仲裁
をしたり、良くしてやったのに。今は・・・」とこぼすパレスチナの老女と息子。
売店をやってるイエメン系ユダヤ中年女性は監督らに「あんたら、どうせアラブ寄
りだろ。あんな奴らなんか追放してしまえばいいんだ。」といきまく。
◆コイル状有刺鉄線の制作工場では、オスロ合意後の和平ムードのときはさっぱり
売れずに廃業や業種変えも考えたが、再インティファーダにより商売繁盛だという。
『ラミアの白い凧』(>>48)にも出てきたコイル状有刺鉄線ですが、コイル状に巻く
と乗り越えるのが困難なようです。イスラエルには平和になると困る業者が多そう!
◆政治的シオニズムの提唱者テオドール・ヘルツェルの肖像画が掲げられた「ヘル
ツェルの家」で、婚礼の宴で踊りまくる客たち。今のイスラエルはヘルツェルの理
想通りなのだろうか?
>>50へ続く)

50さーひぶ。:2005/04/25(月) 23:55:52
>>49の続き)
〔中部〕◆ロッド市。ユダヤ系エチオピア人の移民たちの歓迎式。「ヘブライ語は
わかりますかぁ?」と呼びかけるイスラエル人の声にポカンとする移民たち。
役所の前では、ユダヤ人とアラブ人による市民団体が、アラブ人の住宅権利を求め
てデモ行進。役所の中では、市議たちが住宅権について論争中。アラブ系ユダヤ人
議員の発言「私たちはモロッコから来たんじゃない。ここで生まれ育ったんだ。」
アラブ人居住区は「ゲットー」と呼ばれて蔑まれ、ユダヤ人の多くはすでに立ち退
いている。政治的理由で投獄されほとんど失明したアラブ女性は、激しくぶたれる
などの拷問でほとんど失明したのだと語る。彼女の兄弟は終身刑で服役中。
◆ゲゼル。どこの出身かと訊かれてはぐらかしながら、イスラエルに移住したこと
を悔やむユダヤ男性。父親がロシア出身。一方、ベドウィン(アラブ遊牧民)の青
年は、イスラエル兵役を心待ちにする。ユダヤVSアラブとは単純に割り切れない。
◆カランディヤの検問所。ビデオカメラで現場を撮影する監督を止めさせようとす
るイスラエル兵と監督の口論。「ここを写すのは止めろ」「取材の許可を得ている
んだ」しまいにカメラは天を仰ぐ。◆東エルサレム。自爆テロ実行者の家がイスラ
エル軍により破壊され、憤る遺族。
〔北部〕ここでもユダヤ人とアラブ人混合の市民団体がデモ行進。妨害しようとす
るイスラエル兵士たち。◆クファル・シャマイ。開拓者たちの碑が立つ。モロッコ
系の年配のユダヤ女性が語る。イスラエル工作員の指導で、イスラエル移住を勧誘
した。あの頃、イスラエルへの移住は流行のようなものだった。夢のような話を聞
かされて移住したが、ガラクダをつかまされてしまった。今なら(こんな紛争にな
ると判っていれば)移住はしないだろう、と。◆シェフェル。モロッコから来た老
人は「ここは嫌だ。故郷へ帰って死にたい。だがもう無理だ。金がかかる。」
モロッコとチュニジアから来た老夫婦は「ドイツ人はユダヤ人をたくさん殺したが、
故郷ではアラブ人とは隣人で仲が良かった。戦争で息子を失った。移住しなければ
良かった。でもいまさら故郷へ戻ることなど無理」と苦笑いする。
>>51へ続く)

51さーひぶ。:2005/04/26(火) 00:24:10
>>51の続き)
国際社会は「ユダヤVSアラブ」と単純に括ってしまいがちですが、当事者たち、
とくに目立たないアラブ系ユダヤ人たちやイスラエル国籍のアラブ人などの話を
聞かされると目から鱗が落ちます。
例えばモロッコにはかつて中東アフリカ最大のユダヤ人コミュニティーがあったと
いわれています。スペインのイスラーム文化は、ユダヤ人とアラブ人・ベルベル人
の合作によるものです。レコンキスタによって追い出されても、モロッコでユダヤ
人はアラブ人と良好な関係を保ち、反ユダヤ主義は見られなかったらしいです。
それが、パレスチナにおける「ユダヤ人」の頭数を増やすためだけに、うまく甘言
に乗せられて、反ユダヤの紛争地に放り込まれて悲惨な人生に・・・。
(かつて北朝鮮を共産主義の理想郷と信じ込んで渡海して行った人たちに似ている?)

それから、ああやっぱりなと思ったイスラエル人の本音の発言。「先住民をあんな
風にできたアメリカはうらやましい。」「南アフリカが我々の手本だ。」etc.

和平への道はかなり遠いと思います。指導者はあまりあてになりません。しかし、
シオニズムを嫌い、アラブとの対立に反対しているユダヤ人も少なくありません。
和平をめざす草の根の市民平和運動、そしてユダヤ系西洋人の陰でさんざん苦痛
をあじあわされてきた東洋系・アラブ系のユダヤ人たちの声に、これからさらに
スポットライトが当てられ、民間からの和平が達成されることを願って止みません。

これからもユダヤ・アラブ共同によるドキュメンタリーが作られることでしょう!

52さーひぶ。:2005/04/30(土) 23:39:52
「アラブ映画祭2005」とっくに終わっていますが、まとめを書いていませんでした。
関連レスは>>36-51。採り上げた作品は、

 『眠れぬ夜』2003年、エジプト
★『カサブランカの天使』2004年、モロッコ・イタリア
 『ラシーダ』2002年、アルジェリア・フランス
☆『忘却のバグダッド』2002年、イラク・スイス・ドイツ
 『ビバ! アルジェリア』2003年、フランス・ベルギー・アルジェリア
 『ラミアの白い凧』2003年、レバノン・フランス
☆『ルート181 パレスチナ-イスラエルの旅の断章』2003年、仏・ベルギー・独

でした。2部構成でしたが、第1部のイラク編はあまり観られませんでした。
おもに第2部の現代アラブ映画を観ましたが、マグレブ映画、とくに今まで日本で
は紹介されることが少なかったアルジェリア・モロッコの作品を観られたのは大き
な収穫でした。
個人的には、★印の『カサブランカの天使』(モロッコ・イタリア)が金賞、☆印
の2作品がドキュメンタリー賞です。『カサブランカ〜』は、モロッコのベルベル
人を描いた新鮮さ、出稼ぎ労働者の貧苦の物語に打たれました。ドキュメンタリー
2作品は、ともにアラブ系ユダヤ人の存在を扱っていて重要な作品です。

アラブ映画祭、次の開催はいつになりますか。毎年あるといいですね。
中近東映画祭、地中海映画祭に続く今回も作品選びはなかなかタイイブ!
次回も期待しております。

53さーひぶ。:2005/05/05(木) 00:00:39
映画とはやや話がずれますが、>>47で指摘のように『ビバ!アルジェリア』
を観て、韓国企業がアルジェリアに進出していることが判ったのですが、
韓国の新聞「朝鮮日報(チョソン・イルボ)」の日本語サイトによれば、
韓国の大田(テジョン)市と首都アルジェ市が交流協力に調印した模様。
アフリカ諸国の復興を見越して官民一体で交流する韓国はすごいの一語!!

>「大田市、アルジェリアの首都アルジェ市と交流協力に調印」
> 大田(テジョン)市は4日、アフリカ・アルジェリアの首都アルジェ市と
>交流協力調印式を行い、両都市間の交流協力を増進していくことに合意した
>と発表した。
> アルジェ市を訪問中の廉弘竽(ヨム・ホンチョル)市長は同日、アルジェ
>市庁でモハメド・アルジェ市長と交流協力意向書を締結し、IT分野など先端
>科学技術情報の交流と経済、環境、文化芸術、体育などの分野に交流協力を
>増進していくことにした。
> チョソン・ドットコム

54さーひぶ。:2005/05/05(木) 00:03:44
↑URLを貼り忘れました。
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2005/05/04/20050504000033.html

55さーひぶ。:2005/07/25(月) 23:41:45
使徒ムハンマドのイスラーム伝道を描いた【『ザ・メッセージ』(1976年映画)】が
DVDで発売されているのを見つけ、思わず買ってしまいました。家にある中古の
VHS版テープはとうにくたびれていましたし。主役であるはずのムハンマドは、
偶像禁止の教義により画面に登場しないということで、『アラビアのローレンス』
に出演したメキシコ人俳優アンソニー・クインがハムザという役で事実上の主演に
なっています。『釈迦』(1961年)で主演の本郷功次郎がどうどうと出演しているの
と対照的。主役が画面に出ないという演出法を観るだけでも一見の価値ありかも。

この映画(リビア・英・レバノン合作)はアラブでも有名らしく、子供向け(?)
のアラビア語教本か何かに الرسالة(アラビア語題名)と描かれたビデオのイラスト
みたいなのが描かれていました。

DVD発売元:パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン㈱ 税込¥4,179

http://en.wikipedia.org/wiki/The_Message_%28film%29
http://www.imdb.com/title/tt0074896/

56さーひぶ。:2005/08/30(火) 01:19:04
9月3日(土)の晩に、池袋の新文芸坐でイラン映画の巨匠アッバス・キアロスタミ
特集のオールナイト上映をやるようです。

イラン映画ブームの先駆け アッバス・キアロスタミ
友だちのうちはどこ?(1987)
そして人生はつづく(1992)
オリーブの林をぬけて(1994)
桜桃の味(1997)
http://www.shin-bungeiza.com/allnight.html

いずれも私でさえ何回も観た有名な作品なので、いまさらという感じですが、
イラン映画をこれまで知らなかった人には入門編としておすすめです。

57さーひぶ。:2005/09/23(金) 23:32:07
【アジア中東映画ライブラリー】(9月22日〜9月24日、国際交流基金フォーラム)が開催中で、
9月23日(金・祝)は、「イラク&アラブ映画の豊饒」特集でした。
http://www.jpf.go.jp/j/culture_j/topics/movie/jfsls5.html

もっとも、上映4作品のうち3作品は、先の「アラブ映画祭2005」の再映でした。
11:30 『乾き』(イラク/1972年/93分)監督:ムハンマド・シュクリ・ジャミール
14:00 『ジャッカルの夜』(シリア/1989年/102分)監督:アブドルラティフ・アブドルハミド
16:30 『ラジオのリクエスト』(シリア/2003年/91分)監督:アブドルラティフ・アブドルハミド
19:00 『露出不足』(イラク/2005年/70分)監督:ウダイ・ラシード

私の場合は間際になって偶然知ったので観に行けましたが、あまり宣伝して
いないのか、金曜(祝日)とはいえ、昼間の3作品は、会場ガラガラでした。
でも最後の『露出不足』は、夜の上映かつ米イラク侵攻のドキュメンタリー
的作品のためか、大入りの感じでした。
いずれも日本で劇場公開はされないだろうから、これからもちょくちょく再映
していただきたいものです。国際交流基金て貴重な存在ですね。

58さーひぶ。:2005/10/03(月) 23:40:13
【ミシェル・クレイフィ監督映画特集】
今月、クレイフィ監督の来日と映画上映が重なるようです。

①『ルート181 パレスチナ〜イスラエルの旅の断章』(クレイフィ&シヴァン監督)
 東京特別上映&監督来日トーク
・上映&監督舞台挨拶:10月14日(金)15時〜、東京経済大学E201教室(国分寺駅)、資料代別途
・上映&監督2人との公開シンポジウム:15日(土)13時半〜、東京日仏学院(飯田橋駅)、2500円、先着順
・上映&監督舞台挨拶:16日(日)13時半〜、東京都・ブレヒトの芝居小屋(西武・武蔵関駅)、1800円(前売)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/558/1026920718/49-51 で紹介しました。)

②ミシェル・クレイフィ監督特集(会場=御茶ノ水、アテネ・フランセ文化センター)
 作品A=『豊穣な記憶』(1980年)
 作品B=『マアルール村はその破壊を祝う』(1985年)
 作品C=『ガリレアの婚礼』(1987年)
 作品D=『石の賛美歌』(1990年)
・10月18日(火)上映 13:20〜 A+B、16:30〜 C、19:00〜 D
・10月19日(水)上映 13:40〜 D、16:00〜 C、18:30〜 A+B

いずれも、すでにたびたび上映された作品なので、いまさらの感もありますが、
これからパレスチナ映画に初めて出会う人にはおすすめです。

59TAN-TAN:2005/10/22(土) 11:38:09
アラブ映画ね・・・・・・・・・・。(・ω・;)

60さーひぶ。:2005/11/07(月) 20:35:13
【アフガニスタン映画祭】

11月26日(土)・27日(日)の両日、東京・大田区池上会館にてアフガニスタン
の映画祭が催されるようです。

1- Stoning「石打ち刑」
2- Kabul Cinema「カブール・シネマ」
3- Sacrifice「いけにえ」
4- Shabnam「シャブナム」
5- Stranger「ストレンジャー」
  ※カンヌ映画祭2003 カメラドール受賞監督未公開作品
6- Land of Pamil  documentary
7- Woman and Cinema  documentary
8- Buzkashi (English version) documentary
9- Buzkashi (Dali version)  documentary
10- Kabul Triangle  documentary

アフガニスタンを扱った映画はこれまでにも日本でたびたび上映されてきま
したが、イランなど外国製作のものだったりしました。ようやく、アフガニ
スタン映画だけで映画祭が開けるようになったんですね。でも当のアフガニ
スタンでの人気は、やはりインド映画でしょうか。

61さーひぶ。:2005/11/07(月) 21:13:12
↑URLを貼り忘れました。
http://www.cross-arts.org/report/afghan_fes.html

62さーひぶ。:2005/12/29(木) 22:03:41
>>55の使徒ムハンマドのイスラーム伝道を描いた『ザ・メッセージ』(1976年映画)
のムスタファー・アッカード(مصطفى العقاد)監督(シリア系アメリカ人)が、
アンマン自爆テロ事件(11月9日)により11月11日に75歳で逝去されていたと知りました。
代表作は『砂漠のライオン』と『ザ・メッセージ』。ご冥福をお祈りします。

http://en.wikipedia.org/wiki/Moustapha_Akkad
http://en.wikipedia.org/wiki/Mohammad%2C_Messenger_of_God_%28film%29
http://en.wikipedia.org/wiki/2005_Amman_bombings

63さーひぶ。:2006/02/18(土) 15:15:27
【アラブ映画祭2006】
一昨年、昨年に続いてシリーズ化しつつある「アラブ映画祭 第2回」。
今年は、新作7本とアンコール3本、計10本の上映。
そして>>62でふれたアッカード監督追悼講演会もあります。
アンコール作品ではドキュメンタリー『忘却のバグダッド』がおすすめです。
期間:3月3日(金)〜3月11日(土)
会場:国際交流基金フォーラム 
映画祭公式サイト http://www.jpf.go.jp/j/culture_j/topics/movie/arab2006.html

アラブ映画新作パノラマ New Arab Cinema
 『夢』 2005年/イラク=英=蘭 監督:ムハンマド・アル=ダラージ
 『イラク、わが故郷 亡命者サマーワへ還る』 2005年/イラク=豪 監督:ハッディ・マフード
 『長い旅』 2004年/モロッコ=仏 監督:イスマエル・フェルーキ
 『天井の下で』 2005年/シリア 監督:ニダル・アル・ディブス
 『夢と現実の日々』 2005年/シリア 監督:ワーハ・アル=ラーヒブ
 『Waiting』 2005年/パレスチナ=仏 監督:ラシード・マシャラーウィ
 『消えゆく者たちの年代記』 1996年/パレスチナ=仏 監督:エリア・スレイマン
アラブ映画祭2005アンコール Encore of Arab Film Festival 2005
 『露出不足』 2005年/イラク=独 監督:ウダイ・ラシード
 『忘却のバグダッド』 2002年/イラク=スイス=独 監督:サミール
 『D.I.』 2002年/仏=パレスチナ 

ちなみに昨年の「アラブ映画祭2005」の模様が中東諸国で紹介されているようです。
http://www.jpf.go.jp/j/culture_j/topics/movie/arab_5.html

64さーひぶ。:2006/03/12(日) 10:32:31
「アラブ映画祭2006」が閉幕しました。
3月という年度末やら春闘やらの比較的に忙しい時期に、しかも平日昼間の
上映が多いとなると、首都圏在住であっても一般社会人にはなかなか鑑賞し
にくいと感じます。なぜか最近、この時期に中東・アラブ関連のイベントが
集中するようになりました。

シリアの2作品『夢と現実の日々』『天井の下で』を観ましたが、
国際関係(とくに対米関係)が厳しい割には、現代のシリアはかなり欧風に
垢抜けている印象です。『夢と現実の日々』では志願兵めいた内容もあり、
イランとイメージがダブります。
国別の上映配分はバランスが取れている感じですが、エジプト・チュニジア・
アルジェリアの作品は上映されませんでした。
日本で劇場公開されないと、映画祭作品の日本でのDVD化は難しいでしょうか。
今回、追悼されたアッカド監督の『ザ・メッセージ』は日本でDVD化されていますが。

65匿名さん@サラーム:2006/05/09(火) 12:48:48
高知県で「シリア&イラク映画祭」があります。

6月10日(土) シリア映画
「魂のそよかぜ」「ジャッカルの夜」「ラジオのリクエスト」「欲」
6月11日(日) イラク映画
「アリアとイサーム」「乾き」「忘却のバグダッド」「露出不足」
会場:高知県立美術館ホール(高知市高須353−2)
http://kochi-bunkazaidan.or.jp/~museum/iraq/iraq.htm

66アートネットワーク・ジャパン:2006/07/31(月) 18:46:07
【緊急企画】レバノンに捧ぐ短編映像作品上映&トーク

レバノンのアーティストや、日本の関係者の方々からの心温かいご協力のもと、
以下のような企画を急遽立ち上げることができました。
非常に急な告知となってしまい申し訳ありませんが、
ぜひ、ご参加ください! お待ちしています。
以下、ご自由にご転載・ご転送ください。

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■にしすがも創造舎 Camo-Cafe Vol.2

【緊急企画】ベイルート、真夏の夜の(悪)夢
       −レバノンに捧ぐ短編映像作品上映&トーク

日時:2006年8月5日(土)18時スタート
会場:にしすがも創造舎 Camo-Cafe (校舎2Fサロン)
----------------------------------------------------------------------

今世界で最もダイナミックなアートの胎動を遂げる都市のひとつベイルート。
しかし今、ベイルートを含むレバノン全土は、イスラエル軍による攻撃で
危機的状況に直面しています。

東京国際芸術祭2007では、在レバノンの気鋭のアーティスト、
ラビア・ムルエの新作(国際共同制作、世界初演)を計画中ですが、
このような危機的状況に対し、改めてレバノンのアーティストたちへの
連帯を表明すべく、日本のアーティストやアート関係者とともに、
Camo-Cafe 緊急企画を開催いたします。

世界の舞台芸術界のみならず現代美術界でも大きな注目を集める
気鋭のアーティスト・演出家ラビア・ムルエ、
東京フィルメックス2005など世界の映画祭で高い評価を受ける
映画監督ジョアナ・ハジトゥーマ&カリル・ジョレイジュをはじめ、
レバノンが生んだ世界のトップ・アーティストの短編映像作品を特別上映。
日本初公開作品も含む必見の内容です。

特別ゲストには、つい先日まで戦火のベイルートで研究を続けていた
アラブ映画専門家・佐野光子さん、パレスチナの劇団とのコラボレーション
を経てますます世界にコミットするアーティスト・椿昇さん、
レバノン・ベイルートの様々な断片を写真におさめる写真家・松嶋浩平さんら、
中東・レバノン×アートの目撃者・活動家が集結。
最新映像&トークで、レバノンを語りつくします。

Camo-Cafeならではの、アラブ風ドリンク付。是非、お運び下さい!

■特別上映作品■
「Face A / Face B 」 by ラビア・ムルエ
「魂と血をもって」 by ラビア・ムルエ
「Rounds」* by ジョアナ・ハジトゥーマ&カリル・ジョレイジュ
「灰」* by ジョアナ・ハジトゥーマ&カリル・ジョレイジュ
ほか   * 日本未公開作品 

■Camo-Cafe トーク■
ゲストトーカー:
佐野光子(アラブ映画研究者/在ベイルート)
椿 昇 (アーティスト) (予定)
松嶋浩平(フォトグラファー)   ほか
ホストトーカー:
相馬千秋(ANJ/東京国際芸術祭 国際プログラム担当)

■Camo-Cafe メニュー■
レバノン産アニス酒、赤・白ワイン モロッコ風ミントティー etc. 各300円


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開催概要

▼日 時:2006年8月5日(土)18時スタート

▼会 場:にしすがも創造舎 Camo-Cafe (校舎2Fサロン)
     地図はこちらから http://sozosha.anj.or.jp/map/

▼入場料:1000円(1ドリンク付)

▼申込方法:なるべく事前にメールにてお申込下さい。c-soma@anj.or.jp 
タイトルは「Camo-Cafe Vol.2参加希望」とご明記ください。
        
▼お問合せ:NPO法人アートネットワーク・ジャパン 
tel : 03-5961-5200  fax : 03-5961-5207 c-soma@anj.or.jp (担当:相馬)

主催/NPO法人アートネットワーク・ジャパン 
協賛/松下電器産業株式会社

67さーひぶ。:2006/11/26(日) 22:36:42
【第7回東京フィルメックス 2006】映画祭
が閉幕しました。今年の中東映画は、イランが5作品、イスラエルが1作品。
私はイランの4作品を観てくることができました。評価は、
『半月』(バフマン・ゴバディ監督)         ★★★★
『オフサイド』(ジャファル・パナヒ監督)       ★★★
『メン・アット・ワーク』(マニ・ハギギ監督)      ★★
『スクリーム・オブ・アント』(モフセン・マフマルバフ監督)★
です。
 巨匠マフマルバフ監督の『スクリーム・オブ・アント』は、イランの夫婦が
新婚旅行でインドの聖者に会いにへ行く話ですが、かなり奇をてらいすぎ?
いままで彼と一家のアフガン作品を多く観てきただけに、違和感あり。

『メン・アット・ワーク』(マニ・ハギギ監督):高原をドライブ中の男たち
が、崖っぷちにそそり立つ細長い奇岩を倒そうと悪戦苦闘する話。たわいない
話ですが、通りがかる車の人たちを巻き込んでさまざまな人間模様が吹き出す。
たったそれだけの事を映画にしてしまうのは、大したもの。
>>68-69へ続く)

68さーひぶ。:2006/11/26(日) 23:00:03
>>67の続き)
【『オフサイド』(ジャファル・パナヒ監督)】 ★★★
サッカーを国民的スポーツとして愛好するイランのサッカー少女たちの奮闘。
ベルリン映画祭の銀熊賞受賞作。

イラン国内では、女性はサッカーのスタジアム観戦を禁じられている。しかし
毎回多くの少女たちが男たちに混じって観戦しようと躍起になる。ある少女が
男たちに混じって入場しようとして兵隊に拘束され、スタジアム裏の鉄柵の間
に連行される。そこへ、ボーイッシュな容貌の少女、兵隊の軍服で変装した少
女など数人のサッカー少女が連行されてくる。少女たちは、兵隊たちにあれこ
れ交渉して何とかして観戦しようと奮闘する。夕刻の試合後半になり、兵隊た
ちは少女らを車で分隊へ護送する。車中のラジオ観戦で興奮して騒ぐ少女たち。
ついにイランがバーレーンに勝利してW杯進出を決め、興奮した群集が街頭に
あふれると、車は停止。兵士が外に出た隙に、少女たちは逃げ出して興奮する
群集の間に姿を消す。

とにかく、サッカーに夢中になるイラン国民の熱気が伝わってくる作品です。
核開発問題で北朝鮮とともに難局にあることを感じさせない、というよりそん
なイラン像を吹き飛ばしてくれる快作です。
ベルリン銀熊賞は、欧州からのエールでしょうか。
>>69へ続く)

69さーひぶ。:2006/11/26(日) 23:37:00
>>68の続き)
『半月』(バフマン・ゴバディ監督) ★★★★
イラクのサッダーム・フセイン政権崩壊後も苦境が続くクルディスタンの現在
を躍動的に描く秀作。『亀も空を飛ぶ』のゴバディ監督の最新作。

あらすじ:イラクのサッダーム政権崩壊後のイラン領クルディスタン。著名な
クルド人音楽家のマモは、イラク領クルディスタンで数十年ぶりのコンサート
を開くため、息子たちを集めてバスで出発する。イランでは女性は歌手になれ
ず、山間に女性歌手1000人以上が流刑になった村がある。マモ一行はそこ
へ立ち寄り、番兵に袖の下を渡して女性歌手を連れ出す。女性をバスの床下に
隠して警察の検問を通過。ところが、イラク領へ近づくと、米兵が銃をぶっ放
していて危険であり越境できない。さらにバスで国境付近を行くと、再び検問。
女性歌手を連れ出したことが発覚したのだ。検問の警官により楽器は壊され、
歌手は連行される。楽器も歌手も失ってマモらは窮する。
一行の一人がパソコンでネット地図を調べ、西アゼルバイジャンからトルコと
の国境付近を通れば、イラク領へ行けると判明。楽器も調達できるかも。
クルド人警官に袖の下を掴ませて女性歌手を取り戻すが、不安に駆られた女性
歌手はトルコ国境付近で何者かに連れ去られる。マモの親しい音楽家に会おう
と近くの村に行くが、バスの運転手が携帯電話で知らせていたので、彼は親友
が来ると知り心臓発作で亡くなっていた。楽器も歌手も失い途方にくれる。
そこへ「ニェマン(半月)」と名乗る謎の美女が出現。イラク側のコンサート
会場で準備はできていると告げ、彼女と仲間が一行を個別に徒歩やソリで連れ
て行く。年老いて旅にも疲れたマモはついに力尽き、偽装用の棺桶に倒れこむ。
ニェマンが息子をマモの元に連れて戻ったときには、マモは永眠していた。
「わしが死んでも、舞台に上げてくれ」の言葉を残して。(完)

幾重にも積み重なっている困難。劇中の逆境はクルド人の状況そのもの。
しかし、クルドは負けずに前進する。そんな思いを伝えてくれる秀作でした。


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