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( ^ω^)ヴィップワースのようです
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タイトル変更しました(過去ログ元:( ^ω^)達は冒険者のようです)
http://jbbs.livedoor.jp/sports/37256/storage/1297974150.html
無駄に壮大っぽくてよく分からない内に消えていきそうな作品だよ!
最新話の投下の目処は立ったけど、0話(2)〜(5)手直しがまだまだ。
すいこー的ななにがしかが終わり次第順次投下しやす
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( ^ω^)「なんとか………凌ぎきれたおね」
爪;'ー`)y-「ったく、一時はどうなる事かと思ったぜ」
こ村から一時の脅威が取り除かれた事を、素直に喜び合っていた。
全てが灰燼に帰した広場を後にしようと教会へ足を向け、ブーンが呟く。
( ^ω^)「でも、あの不死者達に罪が無かったと考えると……」
爪'ー`)y-「……気にすんなよ。火葬してやったんだ、寧ろ有難く思ってもらわなくちゃな」
(´・ω・`)「諸手を上げて賛成は出来ないが、一部フォックスの考え方に同意するよ」
( ^ω^)「?」
先ほどの魔法を唱え終わってから、頭を抑えて眩暈に苛まれていたショボンだったが、もう大丈夫そうだ。
やはりあれだけの魔法を唱えれば、精神力の疲労で後遺症的に起こる一時的なものだという。
荒ぶる炎を御す彼の姿は、正しく炎帝の名を借り受けるに相応しい姿だった。
頼もしい仲間がパーティーに加入したものだという事は、今では二人共が思っている。
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なんだ?こんな時間にやるのか
元気だな
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>>700
や・す・み。ちと資料作りながらなんで投下は遅れます
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なんつー時間にwwwwww
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(´・ω・`)「生ける屍となった彼らを退けるには、ああでもするしか他に方法はなかった……それに」
爪'ー`)y-「……それに?」
(´・ω・`)「あながち、彼らは救われなかったという訳でもなさそうだよ?」
教会の夜空に聳え立っていたはずの、巨大な光の十字。
今では影も形もなくなっているが、先ほどまで聳え立っていたはずの場所を見上げた。
ショボンにはなぜだか、行き場を失っていた者達の魂が、そこに吸い込まれていった様に思えたのだ。
(´・ω・`)「───真の立役者、ツンの力によってね」
爪'ー`)y-「もしかして……いっとき不死者どもが動き止めてた時の……あれか?」
(;^ω^)「へ!? まっさかー、うっそでー……だお?」
と────小さく背後に聞こえた足音に、一同は帰路に着くはずだったその動きを止めた。
( )「……ぜ……ぜ……」
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爪'ー`)「おっと───どうやら……」
教会から漏れる微かな明かりに照らされたのは、黒の装束の男。
(#<●><●>)「何故、なんです………何故……お前達冒険者ごときにッ!」
振り返ってみると、途方も無く青白い顔色の男は、唇をわなわなと震わせていた。
暗闇に映える印象的なその瞳が、ブーン達三人に対し遺恨を抱えている事を目で告げている。
不死者と同じぐらい、まるで生気の感じられない男だった。
爪'ー`)y-「チッ……なんだよ、どんなのが出てくるかと思えば……典型的小物じゃねーか」
フォックスが吸い終えた煙草を、男の方へと指で弾き飛ばす。
(#<●><●>)「だ……貴様……誰が、小物なんですか……もう一度、言え、いッ」
爪'ー`)「大物ぶるならよ、もうちっとこう……デーンと構えてさ」
(´・ω・`)「そうだね。台詞は”よくぞ我がしもべを打ち破った”……なんて出だしが良いかも」
( ^ω^)「それは、笑えるお」
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あっけらかんと笑う三人を余所に、男は怒りに拳を打ち震わせていた。
今にも倒れてしまうのではないかという程に、目を剥いてブーン達を見据えている。
そして、怒髪が天を突いて叫びだすかと思われたその時、はっと気付いたように顔を抑え込み、俯いた。
再び顔を上げたそこには、何事もなかったかのように平静さを保っていたのが、不気味に思える。
( <●><●>)「ふぅ………柄にもなく、取り乱してしまいましたね」
(;^ω^)(気色悪い奴だお……)
別人のように先ほどと打って変わった丁寧な話し口調の様子から、二面性を持つ男なのだという事が分かる。
(´・ω・`)「一つだけ───この村で起きていた事は、全て君が仕組んだものかい?」
爪'ー`)(ま、聞くまでもねぇ問いだと思うけどな)
( <●><●>)「えぇ、如何にも────今回は貴方達に阻止されてしまいましたが、この村は
私の調合した強力なゾンビパウダーの投与、その経過を観察する、実験の場でした」
(;^ω^)(こいつ、今なんて……”実験の場”と抜かしたかお?)
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( <●><●>)「どんな手品を使ったのかは存じませんが、私の従順な子供達がああもあっさり葬られるとは。
ですが、改良の余地もある。まぁ……それはわかっていた所でもあるのですが、ね」
爪'ー`)「おめぇ、腐ってやがんぞ」
沢山の死者の身を弄び、それを利用して村人まで襲わせた。
挙句、それをこの男は───実験だ、観察だなどと抜かしたのか。
( °ω°)「………」
何の落ち度もなかった、何の罪も無かったアルバの村人達。
彼らを殺し、また、彼らから大切な家族をも奪い去ったのだ。
それらは全て───この、目の前に立つ誇大妄想に取り付かれた男の所業によって。
こんな人間もこの世にいたのかと、驚きと共に湧き上がる殺意を禁じえない。
鞘から長剣を抜き出して向かって行こうとした折、その前にショボンが腕を広げて、制止した。
(;`ω´)「止めるなおッ、ショボン!!」
(´・ω・`)「───いや。こんな虫けら以下の価値程も無い男に、手を汚す必要は無いよ、ブーン」
言って、ショボンが一歩を歩み出して、男と対峙した。
ショボンの言葉の端に一寸不快感を覚えて目尻を吊り上げた様子だったが、気にしない振りをしているのか。
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(´・ω・`)「はぁ。なんだか、がっかりしたさ」
( <●><●>)「………?」
(´・ω・`)「あれほど苦労した不死者退治の末に、ようやく黒幕を引きずり出したかと思えば……」
言って、わざとらしく肩をすくめるショボン。
傍目からも挑発に乗りやすい男であるというのは見てとれるが、彼のやり口はあまりにもあざとい。
(´・ω・`)「まさかその正体が、ゾンビパウダーなんぞを調合して有難がっているような、
単なるネクロマンサー気取りの三流以下だったとはね……」
(#<●><●>)「なッ! ……貴様、今……何とッ………!」
(´・ω・`)「あぁ……聞こえなかったか。確かにそう愚鈍でもなくては、魔術に行き詰った捌け口として、
沢山の不死者のお友達をこしらえてはそれを眺め……一人でにやつくなどという事はしないか」
一度は冷静さを取り戻していたはずの男の目が、途端に血走ったものになる。
淡々と罵詈雑言の数々を並べたというだけの、極めて単純にして安っぽい話術だが、
変に偏ったプライドばかりが高そうなこの男に対しては、効果は抜群だったらしい────
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(´・ω・`)「おっと、また聞こえなかったか……知覚が閉ざされた人に対して、僕はなんて失礼を」
(#<●><●>)「殺してッ、やッ……」
(´・ω・`)「そうそう、君のやってる児戯は、今日び学院の末端の悪たれですらやらない事だ。
いけない粉遊びも大概にした方がいいよ?先生に怒られて、恥をかく前にね」
(#<●><●>)「ッ………【 我命ず 其が身許に宿せし 業火よ来たれ 】」
(´・ω・`)「………そう来たか」
もはや何を語る事も無いとばかりに、両手を組み合わせながら、男は詠唱に入った。
まるでその様子を気にも留めていないショボンの身を案じ、背後に控えた二人が叫ぶ。
(;`ω´)「何やってるおッ、ショボンも早く……!」
(´・ω・`)「あぁ、大丈夫大丈夫」
「ハンデだから」────そう言って、ショボンも詠唱の準備を始める、
と思いきや、物思いに耽るかのような様子で、またも男へ向けて声を掛けていた。
男は、すでに二段目の下りに入っている。
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お帰り、待ってたよ
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( <●><●>)「【 我が荒ぶる心 荒ぶる炎 其は我と共に在り】」
(´・ω・`)「【炎の玉】か……僕も得意とする術だ────だが」
(;<●><●>)(こいつ……何故唱えないんです……)
笑みを浮かべるショボンのその不敵さに、男は気圧されていた。
時折紡ぐ言葉に引っかかり、危うげな詠唱になりつつも。
そして、最後の下りに入った。
( <●><●>)「 【我が元に宿りて 其は我が敵を 我が意の侭に焼き払わん】」
爪;'ー`)「何してんだッ、ショボン!?」
(;`ω´)「………くッ」
見るに見かねたブーンが、剣を抜き出してショボンの元へと駆け出す。
何をふざけているのかは知らないが、このままでは、確実にショボンは魔法をその身に受ける。
だが、男の手からは既に赤々と揺らめく炎が発現しようとしていた。
(´・ω・`)「やはり────君は三流以下だね」
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ショボンがそう呟き口角を吊り上げたのは、ブーン達からは見えなかった。
そして、遅れて詠唱に入ったはずのショボンが、男のものと重ねて、次の一言を口にした。
(´・ω・`)「【 我が前に立ち塞がる敵 其はその一切を 業火の元に滅せよ】」
(;<●><●>)「……なッ!?」
それと共に、遅れて詠唱を始めたはずのショボンの手には瞬く間、燃え盛る炎が宿る。
驚愕を浮かべる男の表情をよそに、火球を手の中で練り上げながら背後へと振りかぶった。
お互いに同じ構えから、同じ魔法をぶつけ合う構えだ。
そしてやがて、その時は訪れる。
(´・ω・`)「──────【 炎の玉 】──────ッ!」( <●><●>)
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同時に投げつけられた炎の玉は、20歩以上も距離があるにも関わらず、狙いも反れることなく
意思が植えつけられたかのよう、指向性を持って互いが互いに引き付けられてゆく。
二人の立つ中心地点でそれらは音を立ててぶつかり合い、より大きな炎となった。
ショボンの放った炎球を包み込もうとしてか、一瞬の停滞の後、黒装束の男の炎は眩しく光る。
そのまま飲み込もうとじわじわ炎が広がる光景に、男は勝利を確信して口角を吊り上げ、言いかけた。
( <●><●>)「フフフ……わかっていました!さぁ、悶え苦─────」
(´・ω・`)「─────解っていない」
だが、龍のあぎとのように口を開けて飲み込もうとしたショボンの炎は、かき消せなかった。
大きく広がったかと思いきや、その中央を突き破って炎の残滓を奔らせたのはショボンの方だ。
逆に貫かれた男の火球は中空へと霧散し、完全に掻き消え失せる。
(;<●><●>)「────な、なぁッ!?」
眼前に迫り来る炎から身を庇おうと、手を前に突き出して顔を背ける。
多少なりとも相殺されているとは言え、それでも放射状に襲い来る炎の残滓は、
彼の身を吹き飛ばすに十分な威力を保ったものだった。
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(;<●><●>)「ぐおおぉぉぉッ!!」
一度地面を転がり外套を土塗れに汚しながら、地面に身を引きずられてゆく。
横ばいの体勢からすぐに起き上がろうとするも、身体に刻んだダメージは軽くはないようだ。
呻き混じりに男の口から出るのは、白い煙。焦点がぶれながらも、辛うじて立ち上がった。
(;<○><○>)「か……かはッ……ゲホォッ」
(´・ω・`)「おや?その程度で済んでいる所を見ると、君も案外それなりの術者なのかな」
終始余裕を崩すことの無かったショボンと、黒装束の男との対照的な二人の姿。
ブーン達は、ショボンという魔術師がやはり他と比べても非凡な才を持つ男だという事に納得した。
結局─────剣を手に助太刀に入ろうしたブーンの心配は、杞憂に終わったのだ。
(;^ω^)「………お」
爪'ー`)y-「あいつ……やっぱすげぇんだな」
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(;<○><○>)(バ、バカな───下位魔法では無いんです、こんな結果になるなどとッ───)
(´・ω・`)「理解できない、という顔をしているね」
(;<○><○>)「……ッ!!」
図星を言い当てたショボンの方に、顔をしかめながら顔を振り上げる。
何ら己の魔法を意に介せず、一歩一歩ゆっくりと歩いて来るショボンに気圧され、じり、と後ずさる。
(´・ω・`)「契約する守護精霊の位の違いさ。恐らく君は、サラマンダーなんだろう?」
(;<●><●>)(この男……ッ!)
(´・ω・`)「僕は炎を自在に御す”エフリート”の力によって、急激な詠唱の時短をも可能とする」
(´・ω・`)「あとは……強いて上げれば、術者としてのセンスの差とでも言おうか」
この場は不利と悟ったか、男の顔には明らかに焦燥の色が浮かぶ。
思い知らされたのは、知らずに挑んだ魔術師、ショボン=アーリータイムズの力だ。
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それに、彼の背後に立つ二人の冒険者の姿もある。
剣を鞘に収めたままとんとんと肩を叩くブーンと、拳をぽきぽきと鳴らすフォックス。
男が追い詰められた格好になったのは、もはや明白であった。
爪'ー`)y-「さぁて、こいつどうする?治安隊に突きだしゃ、報奨金ももらえるかもな」
( ^ω^)「ブーンたちの手で、殴り砂袋の刑に処するのも悪くないお」
(´・ω・`)「さて────君はどちらがお望みだい?」
(;<●><●>)「………」
更にじりじりと一歩を退いた男と、にらみ合う三人。
やがて焦れて男に歩み寄ろうとしたブーン達の動きを止めたのは、
胸元へ手を差し入れて何かを取り出し掲げると、狂乱めいた叫びを上げた男の行動だった。
その手の中には、透き通る水晶のような中に、赤く光をたたえた不思議な石。
(#<●><●>)「────黙れぇッ! それ以上、決して近づくんじゃありませんッ!!」
( ^ω^)「ッ!」
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爪;'ー`)y-「ったく、面倒くせー奴だな……」
身構える二人に、そこでショボンは語りかけた。
(´・ω・`)「ッ! ………”火晶石”か。確かに近づかない方がいいね、あれは」
( ^ω^)「あんな石ころ、どうしたっていうんだお?」
爪;'ー`)y-「チッ……知らねぇなら教えてやる。ありゃな、ショボンの魔法ばりに危ねぇもんだ」
( <●><●>)「………」
火晶石とは、高価で取引される魔術道具の一種で、自然物の掘削などにも使われる。
炎の精霊の力を宿した鉱物であり、叩きつければ大変な破壊力をもたらす代物だ。
一般に出回る事はほとんどないが、危険な旅に身を置く冒険者などにとっては、その限りではない。
今この場でそれを叩きつければ、4人全員助かるかは運のみぞ知る所だろう。
(´・ω・`)「保身の手段としては良い方法だ……だが、ここで使えば君も死ぬかもね」
( <●><●>)「黙りなさい。貴方の手段はよくわかりました、もう二度と挑発には乗りません……」
(´・ω・`)「それは結構」
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火晶石を掲げる男と、ショボン達との間に夜風が吹きすさぶ。
皆の外套や衣服をはためかせたそれが過ぎ去った頃、再び男の方から口を開いた。
( <●><●>)「………我が名は”ベルベット=ミラーズ”」
名を問われるともなく、ショボンもまた口を開いた。
(´・ω・`)「”ショボン=アーリータイムズ”だ」
その名を聞いた瞬間、憎しみばかりが渦巻いているであろう彼、ベルベットの瞳に、
ことさらに復讐心が芽生えたかのよう、両目の瞳孔がゆっくりと広がったかのように感じる。
火晶石を掲げる手を下げるとさらに二、三歩を下がり、ブーンやショボンらに背を向けた。
( <●><●>)「いずれ、不死者達の理想郷を創り上げる者────その時が来れば、貴方にもお声を」
(´・ω・`)「邂逅を楽しみにさせてもらうよ」
(────再び会った時。その時は、忘れられない夜にして差し上げます────)
それだけ言い残し、そのままベルベットは闇に包まれた野山へと消えていった。
ブーン達は追う素振りも見せたが、「手負いの鼠は時に病をもたらす」とのショボンの進言から、
このアルバの村に死の粉を振りまいた張本人の追跡を、諦めた。
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恐らくは二度と現れないだろうが、ショボンに向けられた瞳の端に見えた憎悪の炎は、
やがて遠くない未来、再び自分達の前に現れるであろうという事を─────3人の冒険者達に確信させた。
( ^ω^)(これで─────本当に一件落着、といった所かおね)
───────────────
──────────
─────
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ふひいいいいきてるうううう
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─────【アルバの村 教会】─────
ツンの願いが”奇跡”を起こし、この教会を中心として不浄なる存在を消し去ったしばし後。
ビロード神父とツンら二人によって、父親と最後の対面を果たしたヴィルは、ようやく泣き止んでいた。
( ><)「いい子なんです、ヴィル。君は、きっと人の痛みが分かる強い子に育つんです」
ノノ ;_;)「……へへっ、ビロード神父のお髭、こそばゆいや」
( ><)(私が髭キャラとは……随分と嫌な後付設定なんです……)
ξ゚⊿゚)ξ(そういえば………ブーン達が、随分と帰ってこないわ)
その時、安堵のため息がそこかしこから漏らされていた教会内の人々の間に、再び緊張が走った。
どんどんどん!
激しく叩かれた門扉から響く音に、全員が身体を竦ませた。
そして、ツンの中にも少なからず嫌な予感というものが入り込み、それが気持ちを萎縮させる。
ξ;゚⊿゚)ξ(もしかして………)
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ブーン達三人が、不死者の餌食になってしまったのではないかと危惧した。
そして、この教会だけを中心として”聖術”を発動したのでは、不死者達を救うに足りなかったのではないかとも。
もしそんな最悪の事態になってしまっていたのならば、今は自分が皆を守らなければ─────
そう思っていた自分達の元に、次の瞬間間の抜けたような声が外から響き渡り、安堵のため息を漏らした。
「…………お〜い、開けてくれおぉぉ〜!ゾンビじゃないお、ブーン達だおぉぉ〜!………」
ξ゚⊿゚)ξ(ッ!!)
その声が不死者のものだと疑いの念も抱かずに、一も二もなく彼女は扉の閂を取り外した。
瞳に入ってきた、少し苦笑いを浮かべる彼ら三人の姿。多少の返り血や跳ねた泥に塗れてはいるが、
「今帰ったお」とそっと手を上げるその姿に、ツンも顔にもまた笑みがこぼれる。
( ><)「……冒険者の皆さんっ! よくぞご無事で戻られたんですっ」
( ^ω^)「どうやらこっちも片付いたみたいだおね」
ξ゚ー゚)ξ「……あたり前だっつーの。こちとら、聖教都市の主教と黙された人の娘よ?」
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爪'ー`)y-「どんな魔法を使ったのかは知らねぇけど……ま、まずは休みてぇ」
(´・ω・`)「同感だね。さすがに連続で高等魔法を使って、少しばかり偏頭痛に苛まれている」
( ><)「という事は……外の不死者達も……」
( ^ω^)「………」
こくり、とだけ頷いて返事とした。
ショボンの魔法によって消し炭と化した不死者達だったが、やはりあのベルベットという男によって、
墓場から自分の意思とは無関係に故郷の村人を襲う様に仕向けられた事に対し、いい気分はしない。
ショボンがそれに付け加える。
(´・ω・`)「この村の災厄の元凶であった魔術師が再び現れる事は、ないでしょう」
「って事は………っ!」
村人の一人がにまぁっと顔を綻ばせると、つられるようにして村人達の間で歓声が沸きあがった。
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「助かったぞ、俺達は……この村は!」
冒険者達の間を取り囲み、村人は口々に彼らに対して感謝の言葉を述べる。
ツンがその身を運ぶさなかで意識を失ったコトばあさんも、ようやく目が覚めたようで何事かと目を擦っている。
爪;'ー`)y-「お、おいおい。休ませてくれよ」
(;^ω^)「おっおっ……」
( ><)「皆さん、ささやかなものではありますが、宴の準備を」
「えぇ、もちろん!」
ビロードが声をかけると、村人達がそれぞれ散らばって、ブーン達をもてなす支度を始めた。
この教会の場を使い、それぞれの家から食材を持ち寄って行う晩餐だ。
その宴には、死者を弔う為の意味も篭められているのだ。
村人達が続々と教会を後にしていく中、ブーン達はツンと話しながら長いすに身体を預けていた。
離れていた間お互いの状況がどうであったか、何があったかという事を伝え合ったのだ。
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ξ゚⊿゚)ξ「そんな奴が居たの……嘆かわしい」
ベルベット=ミラーズと名乗った魔術師が居た。
不死者の理想郷を築く、などと大層な事をはき捨てて彼らの前を去った。
そして、ゾンビパウダーという歩く死者を作り出す魔法の粉によって、今回の事件が引き起こされた事など。
聖職者からすれば、死霊術士などは対極に位置する存在であろう。
ブーン達の話を聞く内、ツンは大変に憤慨していた。
( ^ω^)「聖ラウンジの秘術、かお」
そして、ショボン以外も初めて知る所となったのが”神に見初められた者”しか扱う事の出来ぬ、
聖ラウンジの秘術、奇跡を起こす力の存在だ。
救いの力をもたらすそれは、決して敬虐なる聖ラウンジの誰しもに許されたものではないが、
ツンはその力で教会の中に入り込んだ不死者、ロイを救った事。
そしてこの地にある悪意ある存在を封じた事で、不死者の魂が死霊術士の企てにより縛られていた
朽ちた肉体を離れて、主の御許に逝けたはずだという事を伝えた。
彼ら不死者に対する火葬と鎮魂が同時に行われていたという事実は、面々の知る所ではないが。
( ><)「ツンちゃん……私は外で彼らに……」
ξ゚⊿゚)ξ「………私も、この教会の中で」
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今回の一件で亡くなった者、また眠りについていたはずの不死者達への鎮魂だ。
ビロードは広場へ行くため外へ。そしてツンは祭壇へと、それぞれ向かう。
ξ-⊿-)ξ「………」
ツンが祭壇の前に膝を折ると、やがてゆっくりと手を組み合わせて祈りを捧げ始めた。
死者を悼むその真摯で健気に祈りを捧げ続ける横顔は、とても慈愛の心に満ち溢れたものだ。
そのツンの姿をじっと見ていた三人の胸には、なぜだか儚い切なさが訪れて、きゅっと心の奥底を締め上げる。
信心深い彼らではないが、行き場を失った哀れな魂が安住の地へ旅立てるよう、必死に祈るツンの姿に。
きっと─────誰もが思っていたのだ。
( ^ω^)「………」
爪'ー`)「………」
(´・ω・`)「………美しい」
ショボンが言った、その言葉通りの事を。
二人はその声に振り返ったが、一度互いに瞳を見合わせると、また何事も言わず向き直った。
───────────────
──────────
─────
-
何という時間に! 今、気がついた
④
-
わふわふ
-
乙乙
-
─────────そして。
残された数少ない村人達によるささやかな宴は、夜が明ける少し前まで続けられた。
宴が終わると、使われていない村人の家を間借りして、日が昇るまで身体を休めていた冒険者の面々だったが、
彼ら全員がまだ眠りから覚めないうちに起床の時を告げたのは、また何事かを予感させる村人の大声だった。
「大変だ、大変ですよ冒険者さんがた!」
( ω )「むぉぅ……Zzz ブーンは……そんなに食べられないお……Zzz」
爪'ー`)「んあっ?何だ何だ、騒々しい……」
(´・ω・`)「また、何か問題が?」
「そうではないんです……けど、とにかく広場に来て下さい───!」
寝ぼけ眼のブーンの頬をフォックスが張り倒してから、ショボンが引きずって連れていく。
けだるい朝を迎えた。疲労感はまだ拭えていないが、問題が起きたのではないならまだ眠れる。
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村人の青年の案内の元、瞳に突き刺さる日光を遮りながら外へと出ると、
日の光を照り返す白銀の甲冑に身を包む、数人の一団の姿があった。
その先頭でビロード神父から話を伺っている男の顔には、紛れもなく見覚えがある。
(;^ω^)「なんだお、ありゃ」
( ><)「……という訳なんです、あぁ、今お見えになりましたよ」
「連れて来ました!この人たちが、その冒険者の人たちで───」
「おぉ、彼らが────なんと勇敢な者た────」
爪;'ー`)「げっ」
(‘_L’)「───ち?」
三人にとっては、嫌という程にその整った目鼻立ちが記憶に焼き込まれた男が、そこにいた。
円卓騎士団と、フィレンクトだ。どうやら、今日の昼になって彼ら自身も問題解決の為に訪れたのだろう。
(‘_L’)「………なぜ貴方達がこんな場所に?」
(;^ω^)「そりゃこっちの台詞だお。依頼を振っておいて、なんであんたが」
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言ってから「しまった」という表情をしたが、時既に遅かった。
襟首を捕まれたブーンは、フィレンクトと至近距離で目が合う位置にまで腕力で手繰り寄せられた。
(‘_L’)「なぜ、こんな場所にいるのかと聞いているのです」
(;^ω^)「ぐぇっ……い、依頼だお」
(‘_L’)「依頼───まさか、貴方達がこの村の不死者騒動を………?」
爪'ー`)y-「ま、そういう事さ。旦那」
(´・ω・`)「全ての元凶である死霊術士は、残念ながら取り逃がしましたが」
(‘_L’)「………話をお聞かせ願えますか?」
───────────────
──────────
─────
-
ブーンら三人は、昨夜起きた出来事の全てを事細かに話した。
”ベルベット=ミラーズ”という男の名前についてはフィレンクトを始め、誰も知らないようだったが、
手配書が出回れば、すぐに彼の身辺が洗い出されて追い詰められる事になるだろう。」
(‘_L’)「……認めたくはありませんが、お手柄でした」
爪;'ー`)y-「認めたくねぇのかよ!」
( ^ω^)「今回はツンと、新たに加わってくれたショボンのお陰だおね」
(´・ω・`)「結果として、おいしい所を頂いただけさ」
面々には、フィレンクトがその場で殴り書いた書状が手渡される。
これをヴィップの騎士団の本営にまで持っていけば、600spの報酬が手渡されるだろう。
フォックスと、そしてショボンとパーティーを組んでから初めての依頼達成。
ブーンの心中には、たった一人で臨んだ始めての依頼の時とは、また違った喜びが湧き上がる。
やはり仲間と共に依頼達成の喜びを共有できるというのも、感慨深いものがあった。
ブーン達から聞いていた会話の内容を思い出しながら、フィレンクトが突然を投げかけてきた。
(‘_L’)「そういえば……ツン様もその場に居た、という事でしたね」
(;^ω^)「あっ、ツンなら……」
-
忘れていた。
ツンは昨日、聖教都市へ帰るようにフィレンクトに促されていたのだった。
昨日の兵舎での二人の会話の中、去り際の場面を思い出す。
こんな危険な依頼に偶然居合わせた彼女が何を言われるかと、同情の念が沸いた。
ξ-⊿-)ξ「……ふあぁ、よく寝たわぁ」
(;^ω^)「………おっ」
と、そこへ一軒の民家から出てきたのは、噂に登る彼女の姿だ。
ツンの姿を見かけるや否や、フィレンクトはすぐさま走って彼女へと詰め寄る。
(‘_L’)「ツン様ッ!」
ξ;゚⊿゚)ξ「のわっ」
(‘_L’)「何処へ行かれたのかと、我々全員、本気で心配したのですよ……!」
ξ;゚⊿゚)ξ「なな、なんでフィレンクト様がここに……」
爪;'ー`)y-「………ッ」
(´・ω・`)「………っ」
ブーン達に目線を送ったが、彼らはただ無言で首を振るばかりだった。
慌てふためく彼女へ、さらにフィレンクトは詰め寄る。
-
(‘_L’)「話には聞きましたが……”聖術”を、身に付けられたのですね」
ξ゚⊿゚)ξ「……はい、ショボンと会った後から」
(‘_L’)「──────やはり神に見初められたお方だ」
驚きもあったのだろうか、口元を押さえながらツンから視線を逸らしながら、呟くように漏らした。
だが、次にはまた口調を強めて、ツンを説き伏せようと矢継ぎ早に言葉を投げかける。
(‘_L’)「それならば……なおさら、こんな危険な事に介入すべきではないのです。
ツン様ほどのお方ならば、今後は皆の指導者という立場となって────」
ξ゚⊿゚)ξ「………」
ずっと黙ってフィレンクトの言葉に耳を傾けていたツンだったが、除々にその表情が強張っていく。
なおも説教を続ける彼に対し、やがて我慢を重ねていた彼女は、ついに抵抗を試みた。
(‘_L’)「ですから、ツン様にはいち早く亡きアルト司教の………」
ξ゚⊿゚)ξ「──────いやッ!」
(;^ω^)「おっ……」
村の広場に響き渡る勢いで言い放ったその一言に、フィレンクトはツンの表情を覗き込み、呆然とした。
-
(;‘_L’)「………はて?」
ξ゚⊿゚)ξ「だから、イ〜ヤッ!」
(;‘_L’)「………こ、これは………」
これほどまでにツンに強く拒まれたのは初めてなのだろう。
さしものフィレンクトも当惑し、どう言葉をかけてよいものか思案にあぐねているようだ。
「どうしてよいものでしょうか……」などと小声で後ろに控える部下達に考えを求めたが、彼らも首を振る。
ξ゚⊿゚)ξ「フィレンクト様、聞いて下さい」
(‘_L’)「………はい」
頭を悩ましていたフィレンクトだが、ツンの力のこもる眼差しが自分に向けられている事に気付くと、
その瞳に打たれてか、体を正して真剣に話を聞く態勢に入った。
ξ゚⊿゚)ξ「───残した手記で、父はこう言っていました」
ξ゚⊿゚)ξ「私の祈りは”荒んだ人たちの心を清らかにしてくれる”って」
ξ-⊿-)ξ「そして、”人々を思いやる優しい気持ちを忘れるな”って……」
(‘_L’)「………ですが」
-
ξ゚⊿゚)ξ「───私、思うんです。この”聖術の力”は、未だ見ぬ誰かを助けるために授けられた物なんだって」
ξ゚⊿゚)ξ「そして、その”誰か”の力に……助けになってあげたいと思うんです────だから」
( ^ω^)「?」
力強い言葉を口にしながら、熱の篭った瞳をブーン達の方へと向けた。
そして、完全にその存在を彼方まで置き去られた彼らに対し、ツンの口から驚きの言葉が飛び出た。
ξ゚⊿゚)ξ「だから私───この人達と、旅をします」
(‘_L’)「────ッ!」
(; °ω°)「おぉうっ!?」
爪;'ー`)y-「おいおい、そんな事を許可した覚えはねーぞ?」
その言葉に、フィレンクト以上に仰天したのは彼ら冒険者の面々だ。
確かに縁はあったといえど、一介の修道女である彼女が突然そのパーティーに加わるというのだ。
それもあまりに唐突な申し出、否、宣言だ。
なぜだか、彼女の中ではそれについて決定事項となってしまっているらしい。
眉間を指で押さえて俯いた後、フィレンクトが何事かを考え込んで、ブーンの方へと振り返った。
(‘_L’)「そうですか……そうですかツン様……」
(; °ω°)「えっ、えっ、おっ」
-
背中から身の丈を遥かに凌ぐ長大な槍を抜くと、その切っ先がブーンの喉元へと向けられる。
(‘_L’)「そうなのですね……この者達が居なくなれば……それで」
(; °ω°)「ちょっ……ブーン達に何も罪はないおぉッ」
ξ;゚⊿゚)ξ「フィ、フィレンクト様!?」
慌ててそれを遮って間に割って入ったツンにより、フィレンクトの暴走は事なきを得る。
だが、それでもまだ槍を携えたまま、畏怖すら感じるほどに鋭い視線でツンに問いただした。
(‘_L’)「─────決意は、堅いのですか?」
ξ゚⊿゚)ξ「………はい」
(‘_L’)「貴方はこの大陸の綺麗な世界ばかりを見てきました……ですが、今後その逆位置にある、
人というものの醜く淀んだ、暗く薄汚い部分も沢山目にする事になるでしょう」
ξ゚⊿゚)ξ「………」
(‘_L’)「誰もが目を逸らしてしまいたくなるものを直視し続けて、耐えられるのですか?
救われるべき人間ばかりでもないこの世の中で、決して芯を曲げる事なく……」
少しだけ考え、一瞬俯いたツンだったが────それでも、彼女の中の答えは変わらなかった。
ξ゚⊿゚)ξ「それでも……救える人は救いたいと思うから」
( _L )「─────そうですか」
-
(;^ω^)(ほっ)
ようやく槍を下ろしたフィレンクトの姿に、ブーンは安堵して胸を撫で下ろす。
だがそれも束の間、気を緩めようとした彼に思わず背筋がしゃんと伸びるような口調で言葉が投げかけられた。
(‘_L’)「冒険者、ブーン=フリオニールッ!」
(;^ω^)「はいお!」
(‘_L’)「そして、グレイ=フォックスと……ショボン=アーリータイムズ……」
(´・ω・`)「何です?」
(‘_L’)「貴方達3名には、聖教都市ラウンジの次期司教、ツン=デ=レイン様警護の任を与えます」
ξ゚⊿゚)ξ(!)
爪;'ー`)y-「おいおい……何の権限で……越権行為もいいとこじゃねーか」
フィレンクトからは、まるで自らが預かる部下に対し命令するような厳しい口調で、淡々と述べられた。
彼の意図する所としては、”旅に連れ添おうとしているツンを、何が何でも危険から守れ”という事だ。
-
(‘_L’)「黙りなさい、もし先に述べた責務を果たせぬような事があれば────
その時は即刻、我が”クーゲル・シュライバー”の錆びにしてくれましょう」
(;^ω^)(こ、このおっさん……物騒な事をつらっとして……)
爪;'ー`)y-(俺達に自由はないのか)
(‘_L’)「いいですか、それほどの責任を持って警護に当たるのです」
ξ*゚⊿゚)ξ「……ありがとう、ございます!」
深く頭を下げるツンと、腕を組んで険しい表情を浮かべるフィレンクトだったが、
そこからビロード神父に一礼をしたかと思えば、部下達を伴って早々に村を引き上げていくようだ。
依頼は完遂されたのだ。そして、ツンも聖教都市に戻らぬと答えた。
ついぞ自分の口から出してしまった言葉から気変わりしてしまわぬようにか、
フィレンクト=エルメネジルドは、ツンに対して振り返る事もなくアルバの村を後にしていった。
その彼らの後姿を見届けながら、出会った時の印象と変わらず、強情で我が強いツンという女性に
引っ張りまわされる今後を憂いて、ブーンとフォックスがうな垂れながら不平を漏らしていた。
-
ショボンはというと、肩をすくめてこう言った。
(´・ω・`)「ま、仕方ないね……きっと、縁があったんだよ」
(;^ω^)「ブーン達の理不尽な立ち位置にいまいち納得できないけど、そういう事にしとくかお」
ξ゚⊿゚)ξ「さぁ、フィレンクト様も居なくなったし………何してんの、行くわよ?」
と、そこへ割って入ってきたツンの表情を、三人はしげしげと眺めた。
「何なの?」と言わんばかりの彼女に対しては、パーティーに加える許可を与えるか否かの問答など無駄だろうと悟る。
(;^ω^)「こうしていても仕方ないお。支度をしたらツンを連れて……戻るかお、ヴィップへ」
ξ゚ー゚)ξ「そうそう、男なんだから小さいコトでケチケチしないの!」
爪'ー`)y-「ったく、とんだじゃじゃ馬だな」
ブーンの背中をばんばんと叩いて、荷物を取りに民家へと戻っていく彼らを、ツンが送り出す。
そうして自身もまた身辺の用意をしようと思った時、何人かの村人がツンの元へと歩み寄ってきた。
「ありがとうよ、お嬢ちゃん」
そう声を掛けてきたのは、コトばあさん。
不死者騒ぎの際に、家から出るのを拒んでいた老婦人だ。
「今でこそ……だけど、あたしゃどうにか生き延びたみたいだねぇ」
-
ξ゚ー゚)ξ「……いえ、私なんかのお陰じゃないです」
誰かの重荷になる事を拒み、自らを捨て置いて他者を拒んだ。
他者を労わるという気持ちには、そういった自己犠牲の形もあるものだという事を、このコトばあさんから学んだ。
「旅に出るんだね? ……気を付けて行っといで」
ξ゚ー゚)ξ「ありがとう。コトおばあさんも、お元気でね」
顔をくしゃくしゃにして笑顔を投げかけてくれる彼女の表情に、実に心が温まる。
それと同時に、不死者達の手によって脅かされようとしていた彼女の命が結果として救えた事に、
そして彼女自身からも感謝の言葉をかけられた事が、誰かを救う事に対しての喜びとして、胸に刻まれた。
ノノ'_')「───お姉ちゃん!」
( ><)「ツンちゃん……あの人達と、旅に行かれるんですね?」
ヴィル少年と、ビロード神父もツンの傍へと駆け寄る。
フィレンクトとしていた問答を聞いていたのか、ビロードもツンの身を案じているようだ。
それでも彼なりに送り出してくれようとしているのか、自らの首に掛かった十字架を取り外すと、
それをツンの元へと差し出した。
-
ξ゚⊿゚)ξ「ビロード神父……これは」
( ><)「お守り代わりに、と。出来れば身に付けていて下さい……旅の無事を、祈っていますよ」
受け取った十字架を自分の首に繋ぎ止めながら、ぼそりと言った。
ξ゚ー゚)ξ「……ありがとう、ビロード神父。昨日この村に来て……良かったです」
( ><)「え?」
ツンの言葉の意味はビロードには理解できなかっただろうが、旅を諦めかけていた彼女が
昨晩このアルバの村を訪れた事で、再び自分にとっての道を見出せた事に大しての礼だった。
そしてそれは、ビロード神父が他者に救いを差し伸べようとする姿勢から得られた所が大きい。
初心であった”誰かを救いたい”というフィレンクトに告げた願いは、この神父によって再び照らし出された答えだ。
ノノ'_')「お姉ちゃん、なんか凄かったね」
ξ゚⊿゚)ξ「………」
ヴィル少年にはそう言葉を掛けられたが、返答に非常に困る。
何せ不死者となってしまった父親をこの世から跡形も無く消し去ったのは、自分の聖術なのだから。
ノノ'_')「僕、決めたよ」
ξ゚⊿゚)ξ「?」
-
だが、どうやら少年を気遣った彼女の思いは、いらぬ世話だったらしい。
快活そのものの笑顔を満面にたたえて、はきはきと話すのだ。
ノノ'_')「お父さんが、”強く生きろ”って言ったんだ」
ξ゚⊿゚)ξ「………」
ノノ'_')「だから僕……お父さんに言われた通り、強く生きてくんだよっ」
ξ゚ー゚)ξ「……うん」
亡き後も我が子の事を気に掛けていた、一人の父親が居た。
道半ばにして逝ってしまった彼にとっては、彼の成長を見届ける事が出来ないのはさぞや悔しいだろう。
それでも───彼の遺志は、確実に息子本人へと受け継がれていた。
大切な誰かを失っても、大切な何かを失っても。
人はまた歩き出す事は出来るのだという事を、最後にこの子から教わる事になった。
ξ゚ー゚)ξ「偉いぞ? お父さんは、いつもあそこから君を見守ってるからね」
言いながら天高く指差した先の空模様は、今のツンの心中同様、実に晴れ晴れとしたものだった。
-
( ^ω^)「お〜い、置いてくお〜?」
いつの間にか支度を終えて出てきていたブーン達が、村の入り口辺りで声をかけていた。
ξ;゚⊿゚)ξ「っと……こうしちゃいられない、私、行くね!」
すぐさま支度を整えなければならない。
走っていった先でツンを待つのは彼ら、冒険者達の姿。
初めての出会いは突然だったが、こうして共に冒険へと連れ立つのもまた突然だった。
自分達に限らず出会いはいつだって突然で、これからの旅先でどんな人物に会うかも解らない。
ツン一人で長期的な旅を続け、その道すがらで誰かの助けになるなどとは困難な話だが、
それも彼らと一緒に行動するならば、可能となるような気がしていた。
気の置けない仲間に────そして、長い付き合いになりそうだとも。
───────────────
──────────
─────
-
( ^ω^)ヴィップワースのようです
第4話
「正しき怒りと、切なる慈悲と」
(後編)
―了―
-
途中、投下間隔が空いたりしたのをまず反省。
それと後編だけでこれまでで最長になったのも、なんか文章をうまくまとめ切れないからか
あまりに冗長になりすぎて、お察しな感が否めない。
これを反省材料として、今後はテンポの良さを意識しまっさ
-
乙
-
乙
いいねぇ
-
( ^ω^)ヴィップワースのようです
幕間
「月を抱く獣」
-
─────大陸のとある場所、ある森にて─────
(;゚д゚ )「ハァッ……ハァッ……」
男は両の拳を血で染め上げ、眼下に横たわる巨大な狼に視線を奪われていた。
一撃で致命傷に及ぶでであろうその狼の牙や爪から繰り出される脅威を、幾度となく回避した。
そして幾度となく己の持ち得る最高の技を叩きつけ、ついにはこの狼を倒す事が出来たのだ。
手に何も武器を持つ事なく、徒手空拳のみだ。
並の人間が知れば、驚嘆を露にする出来事であろうが、ただ一点を己の肉体のみに絞り、
たゆまぬ鍛錬によって磨き上げられてきた彼の肉体と精神、技こそがそれを可能にした。
山から山へと旅歩き、ある日その山中深くで彼と狼は対峙したのだ。
─────今宵は、満月だった。
月には魔が潜むと言われてはいるが、その魔がもっとも活発となるとされるのが、今日の月だ。
-
いつか、誰かが言った”山の守神”と呼ばれた、大いなる獣。
それは今日という日にだけ山へと現れ、いつものように夜空に浮かぶこの月へと遠吠えするはずだった。
それが彼という男を見つけ、獲物として見定めてしまったばかりに、今、息絶えようとしている。
獣の名は”ムーンロア”
20年以上を生きながらえ、山のふもとの村人にも恐れられていた狼だった。
これまで討伐に向かってきた誰しもが生きて戻る事は適わず、そのあまりの強さに、
もはや魔力すら秘めた獣なのではないかと噂されていた。
そして────確かに獣の眼は、魔的な魅力を秘めた瞳をしていた。
どこか吸い込まれそうになるような、そんな恐ろしい力を感じる。
(;゚д゚ )「よく……勝った……俺は、よく生き残った……」
肩で息をしながら、後から後から溢れ出て来る冷や汗をせき止めようと、自分を鼓舞する。
正しく本心だった。
-
一撃で意識を断絶され、そして恐らくは一撃で四肢を持っていかれていたであろう、獣の爪牙。
それらから実にかすり傷程度で勝利を収める事が出来たのは、神に祈っても足らないぐらいの奇跡だと思えた。
だが────そんな事を考えながらも、なぜか獣の瞳から眼を逸らせずにいた。
もうすぐ閉じられようとしている、その虚ろな瞳。
その中には自分の姿と重なって、その背後に浮かぶ満月が映っているのが見て取れた。
─────不意に、この獣に対して哀れみを覚える。
誰に頼るでもなく、たった一匹で今まで生きてきた”獣”
とても強く、とても気高く。
とても孤高な存在だった。
その姿が何かに似ていると思い、それが自分自身なのだという事にすぐに思い至ると、
何故だか少しだけ笑みが零れた。
(;゚д゚ )「ふふ……俺も、同じかも知れんな」
-
孤高に生き、そして孤高に果ててゆく。
それが、今歩む自分自身の生き方なのだ。
─────自分とこの狼は、似た物同志。
それゆえ哀れみを覚えて、瞳を逸らす事が出来ないのかも知れない。
尚も血が滴る両手を左右に、じっとその場で立ち尽くしていた。
(;゚д゚ )「いつの間にか、俺も人としての道から外れ───お前と似たような道を歩んできた」
(ドクン)
その時、胸が大きく高鳴った気がした。
思わず手で確かめてから視線を戻すと、狼の瞳は、大きく見開かれていた。
それに────心なしか先ほどよりも近くに自分を映し出しているかのように感じた。
-
(;゚д゚ )「俺もいつか、獣のようになってしまうのかもな」
そう言って、自嘲気味に笑みを零す。
だが、仮にそうであっても悔いなどないだけの人生を送ってはずだ。
いや─────一つだけあったか。
(;゚д゚ )(あるいは自分でも気付かない内に、他人から映る自分はもはや獣と同じなのかも知れん)
それでもまだ、人としての悔いは残っている。
あの時の選択が、彼女を突き放した事への後悔が。
そんな気持ちがまだ自分の中にあった事に安心し、ふっと笑みを漏らした。
先ほど大きく見開かれようとしていた獣の瞳は、最後に満月を焼き付けておきたかったのだろうか。
今ではもう完全に閉じられようと、薄く閉じたり、開いたりされている。
そこでようやく血で染め上げられた両手をだらりと投げ出し、彼もまた背後の月を仰ぎ見た。
やはり、これには魔力が秘められているのではないか。
狼の瞳同様に吸い込まれそうになった景色に、そんな事を思い浮かべる。
-
(ドクン)
( ゚д゚ )「………?」
再び、大きく自分の心臓が高鳴った。
解せない、とばかりに自分の胸を触りながら、感触を確かめる。
だが、やはり何の変化も感じられないのだ。
自分の身に起きている異変に関して何も答えを掴み取る事が出来ないまま、
この静かな山中深くでは、彼と、獣と、月だけの────ただただ不思議に時間が流れていた。
「獣はもう息絶えただろうか」
ふと、そんな事を考えながら何気なく振り向いた時、再び心臓が高鳴った。
先ほど閉じかけられていた獣の瞳が─────自分に向けて、また大きく見開かれているのだ。
-
( ゚д゚ )「………」
その瞳が映し出すのは、この自分自身の姿。
いや─────違う。
よくよく見てみればそこに映っていた顔は、先ほどから倒れているはずの狼のものだったかも知れない。
定かではないが、そんなような気もする。
違ったような気もするが、やはり解せない。
また月を見る。
(ドクン)
心臓が高鳴った。
(ドクン)
-
また獣の瞳を見た。そこには自分が?映っている。
(ドクン)
解せない。
( д )(これは……錯覚か?)
その時頭をよぎったのは、あの言葉。
”満月─────今宵の月には、魔力が秘められている”
-
( д )(山を………下りよう)
もう、獣の瞳を見ている事は出来なかった。
最後に見たその瞳が、閉じていたかも開いていたかも解らない。
ただ、そこに映し出されていたのが狼だった事は覚えている────いや、違う。自分自身の筈だ。
月はやはり、吸い込まれそうなほどに丸く、綺麗だった。
-
( ^ω^)ヴィップワースのようです
幕間
「月を抱く獣」
―了―
-
資料作りの合間の息抜きで幕間投下したとこで、次回は5話頑張ります!
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お疲れです!
楽しみだ!
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長丁場の投下お疲れ、今回も面白かったよ
全然蛇足なんかじゃなかったと思った
この先の展開楽しみ、(´・ω・`)の復活が嬉しい
モララーを倒す迄は完全復活ではないけど
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はやくクーが合流したとこみたいなー
乙
-
乙乙
クーゲルシュライバーで笑ってしまうwwww
-
乙
一件落着して次は何かなーとかwktkしてたらミルナに変なフラグが立っとる…
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>>762-765
次回はクーが出てくる「薬草取りの依頼」です。
今回も短編のつもりが思いがけず自分的にわりと長編になってしまったので、多分次も……
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よぅし、書き溜めが10kbしかないぞ。
今日の内に頑張って投下を目標に……ちと原作やってこよ。
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ペロッ……これはそっちに夢中になって結局投下できなくなるフラグ!
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ヴィップ南西部一帯を覆い包む、広大な森があった。
肥沃な大地に恵まれ、数多くの動植物が生息する”カタンの森”は、
その土地の周辺に住まう人々に様々な恩恵をもたらすものだった。
だが───────時を遡ること、2年前。
「天から落ちてくる星を見た」
森の周辺の住人は、口々にそう呟いたという。
その夜、人々に恩恵をもたらす森は火事となり、赤く燃え広がった。
周辺の人々はすぐに総出でその消化にあたったが、森に残された傷跡は深いものだった。
魔術師学連などから調査員も派遣され、この森に火災が起きた原因も、日が経つにつれ見えてきた。
2年前に空から落ちてきたのは、ようやく”隕石”として断定された。
それが地上へ墜落した時に出来たものか、地表には巨大な衝突地形を形作っていたという。
-
それが地上へ墜落した時に出来たものか、地表には巨大な衝突地形を形作っていたという。
だが、今や自然はわずか2年という歳月の間に、人々も驚くほどの回復力で瞬く間に緑を取り戻しつつある。
見た目には以前と変わらぬ森だが、少しずつ、少しずつ異変の兆候は起こり始めていた。
魔術師学連らの報告によれば、衝突地形の中心部には、僅かだけ残された隕石の破片があった。
そしてその鉱物の全体には、”小さな苔のようなもの”がびっしりと覆っていたという事だ────
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ブーン一向がアルバの村から戻って、三日ほどの月日が流れた。
高額な報酬を得たばかりで、しばらく全員の旅の資金には困らないだろう。
皆の疲れも癒えた今、そろそろ次の旅に出てもよい頃だ。
( ^ω^)「マスター!鳥腿炒め、もう一丁追加だお!」
爪'ー`)y-「親父よぉ、緋桜とかさ……たまに良い酒はねぇのか?」
今日も、”失われた楽園亭”には騒がしい二人の声が響き渡る。
忙しそうにしているマスターは、そのやかましさに時折頭に青筋を立てぴくぴくさせているが。
騎士団からの依頼、不死者の討伐を終えた彼らは旅先でまた新たな仲間を引き連れて戻ってきた。
数日前にこの宿を騒がせた渦中にある人物である、マスターも見覚えのある彼女を。
(´・ω・`)「さて、僕は少し二階で読書でもしてこようかな」
ξ゚⊿゚)ξ「あの、マスター。すいません……騒がしくして」
ツン=デ=レイン。荒々しい男達の姿も多いこの盛り場にあって、彼女の存在は紅一点だ。
ふわりと巻き上げられた金髪に、清楚さをたたえる白の修道服。
-
彼らと共に旅歩く事を機に、捲らずとも歩けるようにと裾の丈は少しだけ詰めているが、
その清潔感には何ら代わりがなく、かわりに健康的な活発さも見られる。
彼女の容姿に惹かれてか、話し掛けてきたりする者も後を立たず、客引きにも貢献しつつある。
(’e’)「あぁ、いいんだいいんだ……ツンちゃんのせいじゃあねぇからな」
( ^ω^)「マスター?鳥腿……」
(’e’)「だがブーンにフォックス。こやかましいてめーらは駄目だ、少しは他の二人を見習いな」
爪'ー`)y-「そんな事言ったって、ここは酒を飲ます所じゃねーか」
(’e’)「俺はここを一人でふらっと訪れた冒険者が、卓で一人静かにグラスを傾ける―──そんな店を目指してるんだ」
ζ(゚ー゚*ζ「それはお父さんの昔の夢でしょ? ───今この現状じゃ、もう無理じゃない」
と、横から姿を現したのはマスターの娘であり、また、この楽園亭の看板娘でもあるデレだ。
アルバの村から戻って来た際再びこの宿を訪れたツンは、デレと初めて挨拶を交わしたが、
名前に共通点があるという事から話が膨らみ、少しずつ親交を深めていた。
元々誰に対しても愛想の良いデレと、同姓に対しては気を使うタイプのツンだからか。
今では気の合う友人の一人になりつつあるようだ。
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ξ゚⊿゚)ξ「おかえり、買出し終わったの?デレ」
ζ(゚ー゚*ζ「あ……ツン!うん、今日はね、ちょっと遠くの市場まで足を伸ばしたんだ」
ξ゚⊿゚)ξ「そう。何か良い収穫はあった?」
ζ(゚ー゚*ζ「鮮魚が安かったんだ〜、だから今日は魚料理がオススメだよ?」
ξ^ー^)ξ「解った、夕食楽しみにしてる」
2階の寝室、窓際で飽くなき知識の研究に余念が無いショボンは、階下から伝わってくる
彼らの賑やかな声にふぅと鼻を鳴らしつつ、読書に集中しきれないで居た。
だが、そんな彼らとマスター達とのやりとりが大声で聞こえてくる度、笑みが零れる。
窓の外の眼下でヴィップの街中を歩く人たちの姿を眺めながら、ふと思った。
(´・ω・`)(自由の風に吹かれてというのも、案外悪くないものだね)
「早く、本当の自由に────」
ぽつりとそんな欲求が湧き出ては、また次の冒険への意欲も駆り立てられる。
-
趣味や目的も違えど、なぜだか気の合う仲間たち一緒にいるのは、全員ともが苦には感じなかった。
彼らはきっと意識した事もないだろう。
幾度もの物語を経て、パーティーを結成したばかりの彼らブーン一行の絆。
漆黒の闇の中でこそ試されるその光が、輝きを強めていく為の道程は、まだこれからなのだ。
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-
( ^ω^)ヴィップワースのようです
第5話
「静寂の深緑」
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─────
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川 ゚ -゚)「………」
交易都市ヴィップの街中を颯爽と歩くのは、小剣をぶら下げるしなやかな細身の女性。
この界隈ではそれなりには顔の知られた冒険者、”クー=ルクレール”
そこいらの街娘が束になっても適わない彼女の美貌はそのままに、
街中を練り歩く彼女の表情には、陰りが見られた。
だが、それも当然といえば当然か。
完遂した依頼の裏に隠された真実を知る自分達を狙い、暗殺者の襲撃に遭ったばかり。
その最中で旅を共にした仲間とは離れ離れになり、街中を駆けずり回ったにも関わらず、今も行方知れず。
何より、彼女の目の前であっさりと人が人を殺す光景を、目の当たりにしてしまった。
初めて見る訳などではないが、やはり慣れたいなどとは思わないものだ。
-
男の手口はあまりに手馴れ、そしてそこに何の感情も残さないものだった。
なぜ人はあんな事を出来るのだろうか、結果として自分を助けたのはその男だったが、
それでも有難い事だなどとは到底思わない。
”他人など、やはり信用できるものではない”
幼少の頃植えつけられた心の傷跡は、次第に周囲への疑念として、いつしか自らの心の中で強まっていた。
一応は旅の相棒であった”ギコ=ブレーメン”を探す為、あの後彼女はヴィップ各地で聞き込みを行った。
だが、どうしても行方は知れなかった彼の無事を、今は彼女自身、案じる事しか出来ないのだ。
剣技に関してはどがつく素人だったが、そう簡単に死にそうな男ではなかったと、言い聞かせた。
そうして、彼女はいつもの宿へと戻って来た。
”失われた楽園亭”だ。
この間は何事かの騒動に巻き込まれて店を閉めていたが、今日はいつも通り沢山の人の姿に溢れていた。
店の中央で卓を囲んでいた客の中には、いつもは見ない顔が4人。
-
ξ゚⊿゚)ξ「そっかぁ、デレはまだヴィップから出た事ないんだ」
異彩を放つのは、修道服を纏う金髪の女性だった。
デレと仲むつまじく話しているが、「なぜこんな所に修道女が?」という疑問が掠める。
「よぉフォックス! …どうだ、今日も賭けカードとしゃれこまねぇか」
爪'ー`)y-「あぁ?またかよ……10戦10敗だってのに、お前さんも懲りないねぇ」
銀の長髪を後ろに結んだ、粗野で軽薄そうな男とも面識がない。
一見すると盗賊風の男だが、本職の彼らと比べてはまるっきり隙だらけに思える。
(´・ω・`)「そうだね。僕も魔術というものに関して造詣は深い方だと思っていたが、
君の今の発言は、案外その真理へと踏み込んだものかも知れないな」
「わはは!冗談が過ぎらぁ、お前さんはよぉっ」
物静かで落ち着いた物腰の魔術師風の男は、知的なジョークを用いて自分とは対照的に粗野で荒々しい
冒険者の人間達を笑わせていた。数日前にどこかの街で目にした顔のような気がするが、思い出せない。
-
(;^ω^)「げふぅっ……食べ過ぎて、もう動けないお」
最後に気になったのは、同じ席に着くその三人が外側の卓へ声をかけているのをよそに、
大量の食事を終えて、にやにやと満面の笑みをその顔に貼り付けている、少し体格の良い男だ。
薄汚れた格好をしているが、背に収めた剣は年季の入りようを思わせた。
ζ(゚ー゚*ζ「あっ……クー!この間はどうしてたの?」
川 ゚ -゚)「なに……ちょっとな」
ξ゚⊿゚)ξ「………?」
冒険者同士でパーティーが結成されたのなら、ましてやこのヴィップでクーが知らない訳はなかった。
だが、たまたま偶然が重なって行き違った一人と四人は、これまで面識がなかったのだ。
デレに対して少しそっけない態度で彼らの卓の横を通り過ぎると、クーは一直線にカウンターへと向かう。
一番端に腰掛けて足を組むと、手振りだけで注文。慣れ親しんだマスターは、彼女の好みも熟知しているのだ。
手練の動作でグラスに乳白色の液体を注ぐと、それを差し出すと共に切り出した。
-
(’e’)「よう………デレが心配してたぞ。なんかあったんじゃないかって、な」
川 ゚ -゚)「話すと少し長くなる。また別の機会にしよう」
「それより」と前置きし、背中越しに彼らが座る卓の方へ一瞥して尋ねた。
川 ゚ -゚)「見ない顔だな、あの4人」
「……あぁ、あいつらな」
皿を荒いながら、一瞬間の抜けた表情をしたマスターが、手を拭いながら答えてくれた。
(’e’)「例のホラ……こないだ話した馬鹿があそこの二人。その仲間が、あの二人さ」
あぁ────忘れていたと、思わず手を叩いて納得した。
例の騎士団につっかかっていった、後先の事を考えない馬鹿な冒険者。
お陰でこの店もまた三日間も営業を差し止められる憂き目にあったのだった。
その事をクーがマスターに指摘するも、彼はさほど気にした風な口ぶりではなかった。
(’e’)「そう気にしちゃあいねぇさ。あれでなかなか悪い奴らじゃない」
-
川 ゚ -゚)「………ふん」
横目で彼らの騒がしい様子を気にかけながら、鼻を鳴らした。
爪'ー`)y-「なぁ、デレちゃん……俺にもお酌してくれ」
ζ(゚ペ*ζ「お尻を撫で回すような人には、二度としてあげません」
爪;'ー`)y-「すまねぇ、ありゃ事故なんだ……人生最高に飲みが過ぎて、それで……」
ξ゚⊿゚)ξ「へぇ……あんたって、そんな不潔な事する人だったんだ。最低ね」
爪;'ー`)y-「そう言われると、心に来るものがあるぜ……おいブーン、何とか言ってやってくれ」
( ^ω^)「しつこい男はもっと嫌われるお?」
(´・ω・`)「違いない」
談笑をする彼らは、明るく能天気な日々を過ごしたいだけなのだろう。
ただ中身の無い冒険を繰り返し、自由を謳歌出来ればそれで─────
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時として大きな名声をもたらす職業であるだけに、目指す者は数知れず。
それでも、確たる目的や志を持たない者、蛮勇を振りかざして無謀を重ねる者など、すぐに消えていく。
もう随分といい歳の冒険者の中には、生活の糧と割り切っているものばかりだ。
彼らは自分達の身の丈を知り、引き際というものの線引きをしっかりと心得ている。
豊富な知識や経験、まだまだ自分などでは到達できない域に立つ者が多い。
だが、若く己の実力を過信する冒険者は、単なるパーティーのお荷物でしかない。
中途半端な気持ちで冒険へ勇み出るのはいいが、そういった彼らは周りを巻き込む。
だからこそ、”仲良しごっこ”のパーティーというものを、クー自身は拒んでいた。
場合によっては同じ依頼に飛びついた者を同行者として伴うが、互いに深入りはしない。
依頼を終えればそこで協力関係は終了。
そして信じるのは、自分だけ。
その彼女の姿には───いつか共に旅歩いた、一人の男が影として重なっている。
孤高の彼を探して、それを心のどこかで目標として、冒険者としてのクーは形作られている。
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川 ゚ -゚)「……どうでもいいさ」
そんな彼女だから、群れたがる冒険者達を好ましく思わなかった。
これまでずっと一人でやってきた彼女は、恐らくこれから先も自分の旅を誰かに委ねる事はないだろう。
しかし、なぜだかその彼らの姿に、様々な出来事が乖離しては上手く行かない自分の境遇とを重ねて、対比してしまう。
(’e’)「………なぁ」
普段から感情を面に出す事の少ないクーだが、彼女の態度から浮かない部分を察して、マスターが優しく声を掛けた。
(’e’)「ちっと人里を離れて、たまには雄大な大自然にでも囲まれてきちゃどうだい」
川 ゚ -゚)「?」
(’e’)「これさ」
取り出した一枚の依頼状を、マスターはクーへと手渡す。
それにざっと目を通してみると、内容は実に簡単なものだった。
”カタンの森”から採れる高級な薬草。
それがこのところ、依頼主が営む薬草屋の元へ届かないという。
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クーの記憶によれば2年前に大規模な火事が起こった森だったが、
今ではすっかり元の森の姿を取り戻しているらしい。
”薬草の採取”と、調査のために同行する”依頼者の護衛”が依頼内容だった。
もっとも、森の中での脅威と言ったら猛獣や、低級妖魔の類ぐらいのものだろうが。
川 ゚ -゚)「なぜ、私にこれを?」
(’e’)「なぁに、ずっと街に居たら息が詰まっちまうだろ。たまには緑に囲まれて新鮮な空気を吸ってきなよ」
川 ゚ -゚)(報酬50sp+出来高払い……ねぇ)
報酬額の心もとなさにしばし考え込むクーの元に、一人の少女が現れた。
从'ー'从「もしかして……依頼を受けてくれる冒険者の方ですか?」
川 ゚ -゚)「?」
気付けば、可憐でしとやかな一人の少女が、カウンターに掛けるクーの横に立っている。
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从'ー'从「あっ……初めまして、私……”サン=ワタナベ”って言います」
それを聞いて手元の依頼状の文末に目を落とすと、彼女が名乗ったのはそこにある依頼人の名だ。
珍しい名から、彼女がヒノモトの出身であろうという事を悟る。
その彼女の顔を見て、マスターは「あぁ」と思い出したように紹介してくれた。
(’e’)「昨日からウチの店に泊り込みで同行者を探しに来てるのよ。依頼者のお嬢さんだ」
川 ゚ -゚)「そうだったか。しかし……まだ決めるとは───」
そう言おうとしたクーの言葉を遮り、彼女は深々とお辞儀をしていた。
再び顔を上げた時には満面の笑みを覗かせ、白い歯を見せながらまくし立てる。
从'ー'从「ありがとうございますっ! ……私、冒険者って粗野な男の人だとばかり思ってたから、
こんな綺麗で格好良い女性の方が同行してくれるなんて……嬉しいです」
この娘は何を言っているのだろう、と思いながら聞いていたクーだが、
最後の方の言葉に少しばかり頬を赤らめ、気を良くしてしまう。
川 ゚ -゚)「…なっ」
川*゚ -゚)「そ、そんな事もないがな……」
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从'ー'从「………それで。申し訳ないんですが、出来るだけ人数が多い方がいいんです」
川 ゚ -゚)「だから、まだ受けるとは──」
从'ー'从「でもでも! ……沢山薬草を持って帰って来られれば、それだけ報酬も多くお支払い出来るんです。
だからあと4人ぐらい募集してから、カタンの森に向かいたいんですけど……」
川;゚ -゚)(………この娘)
このワタナベという少女はわざとはぐらかしているのか、それとも天然で人の話を聞かないタイプなのか。
会話の主導権を掴ませず、ひらりひらりと避けているという印象をクーに与えた。
从'ー'从「………」
クーが「依頼を受ける」、と折れるまで言葉を覆い被せようというのか、ワタナベは彼女の
次の言葉を、じぃっと上目遣いで瞳を覗き込みながら待っているようだった。
だが、そこへクーにとっていらぬ気を回したのがマスターだ。
(’e’)「4人か……なら、丁度いいのが居るぜ」
从'ー'从「本当ですか?」
-
「おぉい、ブーン!」
それぞれに卓で盛り上がる面々に向けて、マスターが声を掛ける。
その声に振り向いたのは、先ほどクーが一瞥くれた冒険者達だ。
( ^ω^)「?」
川;゚ -゚)「お……おい」
席を立つとてくてくとこちらへと歩いてくる男から視線を背けながら、マスターに小声で訴える。
御免だ。あんな連中と組まされるくらいなら、依頼は受けない。
从'ー'从「………?」
しかし、小悪魔のような少女はそんな狼狽するクーの様子に一度だけ首を傾げると、
にこやかな笑みを向けて、投げかけようとしたその言葉を思いとどまらせた。
( ^ω^)「何かお?マスター」
(’e’)「お前さんがたもそろそろサボってないで、依頼にでも行ってきな」
川;゚ -゚)(………)
気が向かないのに、なし崩し的にマスターやこの依頼者の娘に乗せられてしまっている。
静かににこにこと依頼状を読む男の方から「ふむふむ」などと声が聞こえた。
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一人当たり50sp+歩合ならば、人数の多いパーティーならば悪い話ではないだろう。
だが、クーにとってはこんな能天気な新顔の冒険者達と組むのはやはり我慢ならない。
( ^ω^)「”カタンの森”……どんな所かは知らないけど、行ってもいいお?」
从^ー^从「ありがとうございますっ!」
(’e’)「んで……今回の依頼に同行するのがこのクー────」
川;゚ -゚)「勝手に決めてくれるな! ……私は行かないからな」
从'ー'从「えっ?」
川 ゚ -゚)「えっ」
マスターがブーンらにクーを紹介しようとしたところで、彼女の言葉に沈黙が流れる。
やがて、ワタナベという少女は泣き出しそうな表情を浮かべながら行った。
从' -'从「依頼……受けてくれるんじゃなかったんですか……?」
川;゚ -゚)「いや、だからまだ一言も受けるとは……」
( ^ω^)「おっおっ。依頼ならブーン達が引き受けるから、安心してくれお」
(’e’)「そうしてやんな。実家の薬草屋は今回の件で結構な痛手らしいからな」
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从'ー'从「ありがとうございます。……でも、あとお一人くらいの手が欲しいんです」
そう言って、ちらりと視線を向けた方向にはクーの顔。
意識的にそれから目を逸らしたが、構わずブーンがワタナベをたしなめる。
( ^ω^)「依頼に対して自信が無かったり、体調が悪かったりする事だってあるお。
ブーン達は4人のパーティーだけどお、人見知りの人は入りづらいかも知れないお」
川#゚ -゚)ブチンッ
从'ー'从「はぁ……そんなもんでしょうか」
「自信が無いだの、人見知りだの?」
それは、15の時から5年も冒険を重ねてきた自分に対して向けられた言葉か。
このヴィップに居ついてさほど日も浅いであろう新参風情のその言葉に、クーは瞬時に血が昇った。
ついぞ口から飛び出した言葉は、酒盛りしてる全員の視線を集めるのに十分な声量だった。
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川#゚ -゚)「私は一向に構わんッ!!」
(;^ω^)ビクゥッ
从'ー'从「……じゃあ、決まりですね?」
川#゚ -゚)「あぁ、どこぞのあほ面を引っさげた冒険者気取りよりかは、お役に立ってやるさ!」
そう言いながら振り返ったクーの顔には怒りの色が浮かんでおり、その鬼の形相にブーンは気圧された。
それと同時に、恐らくは自分に向けられているその怒りの理由に考えあぐねるばかりだ。
(;^ω^)(な、なんでこの人怒ってるんだお……?)
(’e’)「まぁ、仲良くやんな。気張らないようにな、クー」
从'ー'从「よろしくお願いしますっ」
川 ゚ -゚)「………あぁ」
大見得を切った手前、一度出した言葉をひっこめる訳にもいかない。
後悔の念が押し寄せてくる中、グラスを満たす乳白色の液体を一気に飲み干す。
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音を立ててカウンターにグラスを叩き付け、余計なおせっかいをしたマスターを睨むが、
静かな笑みをたたえながら、洗い終えた皿を拭いているばかりだ。
(’e’)「お天道さんの下で、ゆっくり羽根でも伸ばしてきたらいいさ」
川 ゚ -゚)(はぁ………)
「やはりこの世はうまくいかぬ事ばかりだ」
クーは己の不運を嘆いては────呪った。
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────【カタンの森 道中】────
それから二日と半日、サン=ワタナベという少女の案内の下、冒険者達はカタンの森を目指し歩いていた。
「ブーン=フリオニールだお」
「クー=ルクレールだ」
最初から必要以上に多くを語らないクーに対し、ブーンらはこれまでの道中もどこかぎこちなさを感じていた。
冒険者としては珍しく女性である彼女に歩み寄ろうとしたツンも、そっけなく突き放される。
ξ゚⊿゚)ξ「あの、クー……さん?」
川 ゚ -゚)「なんだ?」
ξ゚⊿゚)ξ「女性の冒険者って、珍しいよね?」
川 ゚ -゚)「そんなに物珍しいか、私が」
ξ;゚⊿゚)ξ「いや、そういう意味じゃなくて……」
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川 ゚ -゚)「私には、お前の方がよほど珍しく見えるがな」
下から上までツンの服装をなめ上げてから指差したのは、ツンの衣服。
少しばかり丈を畳んだとは言え、おおよそ冒険をするに相応しいとは言いがたい、動きづらい修道服だ。
ξ゚⊿゚)ξ「……これは」
川 ゚ -゚)「そんな服装で森を探索できるというのか、甚だ疑問だな」
ξ゚⊿゚)ξ「っ………!」
外敵より自分の命を守る術を知らないツンは、この中でただ一人一般人の様な存在だ。
だが、その彼女を守るという使命をフィレンクトより課せられた3人が居てくれる。
その甘えがあったのかも知れないが、それでもツンにとっては────
(´・ω・`)「彼女にとっては、それが正装なんだ」
川 ゚ -゚)「?」
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ξ-⊿-)ξ(………ふぅ)
少しばかりかっとなって言い返してしまいそうになっていたツンだったが、
それを見越してか合間に割って入ったショボンの一言に救われ、気は紛れた。
爪'ー`)y-「なぁ、そうつんけんしなさんな」
川 ゚ -゚)「………」
爪'ー`)y-「お互い、今回は仕事仲間なんだ。仲良くやろうぜ」
いつの間にか隣を歩いていたフォックスが、クーに声を掛ける。
端麗ではあるが、軽薄さを醸し出してしまう彼の容姿が気に食わなかったのか。
川 ゚ -゚)「気安い」
爪'ー`)y-「へ?」
川 ゚ -゚)「私は、お前のような手合いは好きじゃない」
爪;'ー`)y-「たはは……手厳しい事で」
あるいは単に虫の居所が悪かっただけなのかも知れないが、彼もまた冷たくあしらわれた。
また、彼女に対して気を回そうとする面々をはっきりと拒絶するように、言い放つ。
-
川 ゚ -゚)「私とお前達とは仕事仲間。それ以上でも、それ以下でも無い」
(´・ω・`)「………」
ξ゚⊿゚)ξ「………」
爪'ー`)y-(けっ)
間合いに気をつけろ、そういった意味合いの言葉を彼らに掛けた。
ワタナベのすぐ後ろを歩くブーンは、時折背後でのそのやり取りを気にかけて振り向く。
( ^ω^)「………」
从'ー'从(あの、ブーンさん)
( ^ω^)「?」
从'ー'从(何だか、雰囲気悪くないですか? ……私、ちょっと責任を感じてしまって)
少し強引な態度でクーに依頼を受けさせた彼女にも、冒険者同士の空気が伝わったのだろうか。
一抹の責任を感じて、ブーンへと耳打ちする。
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( ^ω^)「君が気にする事じゃないお………大丈夫、きっとその内仲良く慣れるお」
从'ー'从(そう……だといいんですけど)
ブーン自身にとっても、こうあって欲しいと願っての言葉。
共に旅を歩く以上、誰であろうとその仲間の事を少しずつでも知っていきたい。
経験においては自分達よりも勝るであろうクーだが、有事の際に自分達の事を
信頼してくれないようでは、対処できるものも出来なくなってしまう。
今は頑なに自分以外を拒絶するような彼女だが、帰りの道程の時には互いに笑い会えるような───
そうあれば良いという、ブーンによる希望的な観測だ。
从'ー'从「あっ───見えて来ましたよ」
( ^ω^)「おっおっ、着いたのかお?」
なだらかな上り坂の頂点を折り返すと、眼下には広く深い森が姿を現した。
聞いていた話では2年前に一度延焼してしまったという事だが、見る限りでは緑深く、
そんな事があったとは思わせない程の自然が群生している。
この分なら、野生の動物なども多く生息しているだろう。
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从'ー'从「森の近くに私の叔父の山小屋があるんです。まずはそこで休みませんか?」
ξ゚⊿゚)ξ「賛成……ちょっと、疲れちゃった」
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─────【カタンの森前 山小屋】─────
从'ー'从「こんにちは」
「おぉ、サン!」
入るなり、久しぶりに出会う姪っ子の姿に喜びを露にするのは、彼女の叔父だ。
ぞろぞろと続いてくるブーン達冒険者の姿には驚いたようだったが。
( ^ω^)「お邪魔しますお」
「あんたたちは………?」
从'ー'从「叔父さん。私達、カタンの森の薬草を採りに来たんです」
彼女がそう告げると、「そうかそうか」と言いながら全員を奥へと招き入れてくれた。
全員が用意されていた椅子へと腰掛けると、空いていた一脚へ彼もまた腰を下ろす。
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