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( ^ω^)ヴィップワースのようです
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タイトル変更しました(過去ログ元:( ^ω^)達は冒険者のようです)
http://jbbs.livedoor.jp/sports/37256/storage/1297974150.html
無駄に壮大っぽくてよく分からない内に消えていきそうな作品だよ!
最新話の投下の目処は立ったけど、0話(2)〜(5)手直しがまだまだ。
すいこー的ななにがしかが終わり次第順次投下しやす
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待ってます
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何本飲んでんだよwww
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乙
少しは寝ろよww
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そんな急がなくてもちゃんと見てるんだぜ
体に影響がないレベルで投下してくれ
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( ^ω^)「まさか、ツンまでアルバに来てるとは思わなかったお」
ξ;゚⊿゚)ξ「な、なんで………あんたが、ここに!?」
対峙した恐怖にいつの間にか流れていた涙だが、この雨のおかげかブーンには悟られなかったようだ。
後ろを振り向くと、そこには彼同様に、自分が世話になった人物の姿もあった。
(´・ω・`)「さすがと言うべきか……やはり、随分と世話焼きだね。君は」
ξ;゚⊿゚)ξ「────ショボンに」
爪'ー`)y-「よっこら……っせと。この婆さんは、どこに連れてきゃいいんだ?お嬢さんよ」
ξ;゚⊿゚)ξ「フォックス────!」
呆気に取られたツンをよそに、フォックスがすでにコト婆さんの身体を背に抱えていた。
激しく転倒した時の衝撃で気を失っているようだが、命に別状はなさそうな事に安堵する。
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─────ずり、ずり、ずり。
その彼らの背後、北東の方角から続々と押し寄せる不死者の影が、少しずつ広場へと広がってゆく。
数にして、10や20ではきかないかも知れない───身体が腐敗しきって、所々に骨が露出した者もいる。
それでも、意思を持ったかのようにこちらへと向かってくるのだ。
(;^ω^)「……こりゃ、ビジュアル的にきっついおねぇ」
(´・ω・`)「もはや、人為的な線は明らかだね」
ブーンとショボンがツンと不死者との間に並び立ち、肩を並べる。
ξ;゚⊿゚)ξ「教会─────教会の中まで、走って!」
爪'ー`)y-「……あそこか。お先に行かせてもらうぜ、しんがりは任せた、お二人さんよッ!」
コト婆さんの身を背に抱えるフォックスが、一足早く脱兎の如く駆け出した。
これまでツンが苦心してやってきた頑張りなど何だったのかという程だ。
あれよあれよという間に、人一人抱えているとは思えない程の身軽さで教会の前まで辿りついてしまう。
それを目で追っている内、背後のブーン達に不死者の何人かが迫っていた。
-
(%;℃;;#)「ヴァ……ウゥゥッ」
不気味な声を上げながら、手を伸ばした不死者。
近づいていたその気配に、普段からは想像もつかない程の機敏さで振り向くと同時、剣を抜いていた。
(#^ω^)「………おぉぉッ!」
自らに伸びていたその腕を、一刀の元に切り落とす。
続けて踏み込んだ一太刀は不死者の胸元から入り込み、腹部を通って振り切られた。
(%;℃;;#)「ヴッ……ウ? ……ウウゥ」
─────それが意に介したと見られるのも、一瞬だった。
一度だけ立ち止まったかと思えば、すぐにまた不死者の身は動き出す。
(;^ω^)「ッ!? ……効果、ナシかお!」
(´・ω・`)「【我……奔…魔…】」
ブーンが叫ぶと同時、ショボンが両手で三角形を模りながら、小さく何事かを呟き始めた。
その聞き覚えのある言葉の端に、ツンはあの時の事を連想する。
一つ違うのは、全てを聞き取る事の出来ない程の速さで、言葉が紡がれていた事か。
ξ゚⊿゚)ξ(魔法………!)
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(; °ω°)「ちょ、下がるお!ショボンッ!」
彼の衣服を引っ張って不死者から遠ざけようとするブーンだが、ショボンはそれに構うことなく
魔術の詠唱を続けている。手が触れるぐらいに近くまで、不死者達が迫っているというのに。
不死者と目線を合わせながらも、一切動揺する事の無い集中力。
(´・ω・`)「【力……容…魔を以って…】」
やがて最後の段を言い終えた彼の手からは、眩い光の束が幾つも発現した。
光が全体を包み込んでいるその両手を、左右へゆらりと掲げた─────
(;^ω^)(これって……あのゴブリンが使った魔法と同じ───)
(´・ω・`)「【彼方まで撃ち貫け────魔法の矢】ッ!!」
ξ;-⊿-)ξ「………きゃっ!?」
(;^ω^)(ちがッ……遥かに、あれ以上────!)
眩しさを伴って無数に飛散する光の矢の雨が、両の指から放射状に繰り出される。
その一本一本が何人もの不死者達を穿ち貫き、それでもその勢いは止まる事がない。
広場に無数に散らばった彼らの身を貫通して、視認出来ない遥か彼方まで、矢は突き進んだ。
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(%;℃;;#)「ヴォッ……オッ、アッ……」
ショボンの正面に立っていた一人は、一度に数本もの矢をその身に受けて頭の半分が無くなり、
両足がまともじゃなくなった所で、ようやく地面へと崩れ落ちた。
他にも何人か動きを止める事が出来たようだが、それでも、ショボンの魔法をしてそこまでだった。
(´・ω・`)「足止め程度か……もっと威力のある魔法で、粉々に吹き飛ばさなければ」
表情を崩す事も無く物騒な事を口にするショボンの横顔を、ブーンは口をあんぐりと開けて見ていた。
今しがた10以上もの不死者を同時に貫いた魔法よりも、まだ上を持っている口ぶりだ。
(;^ω^)「十分すごい威力だけど、お……きっと、ブーンなら避けられないお」
フォックスの言っていた通り、魔術師であるショボンが味方について良かったと思えた。
だが、魔法で全体の動きを止めたのも束の間─────
その身に光弾を受けて倒れた者は立ち上がり、また、足を失った者は這いずって。
尚も欲求に駆り立てられるように、こちらへと向かってくる。
ξ;゚⊿゚)ξ「一旦退くのよ……教会へ走って!」
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(;^ω^)「了解したお!」
(´・ω・`)「どうやら、今はそれしかないね」
ツンの言うとおり、この場は退くしかなかった。
どうにかして策を講じなければ、現状では手の打ちようがない。
数もさる事ながら、一度や二度斬ったぐらいではそう簡単に動きを止めないのだ。
(%;℃;;#)「ウゥ……アァァ…」
(;^ω^)「ツン、遅れるなおッ」
ξ;゚⊿゚)ξ「ええっ!」
ブーンがツンの手を取り、一同は教会へ目掛けて一直線に走る。
既にその先では事態を予見して、フォックスが扉を開け放して招きいれようとしていた。
爪'ー`)「遅ぇぜ……ったくよ!」
転がり込むようにして三人が教会へ入り込んだのを確認すると、
すぐに後ろ手で扉を閉め、施錠の為の閂を門扉の中央へと被せた。
爪'ー`)「……どうだ、入れねぇだろ………!」
(;^ω^)「………」
-
ξ;゚⊿゚)ξ「………」
そのまま背を門扉に預けてしたり顔を浮かべるフォックスの様子を、教会の中の全員が見守った。
爪;'ー`)「おわっ!」
─────が、少し遅れてやってきたのは、恐らく何人もの不死者が扉を叩く音。
それが背中越しに衝撃として伝わったフォックスは、すぐさま飛びのく。
「アァー、ウゥゥ……」
「フゥウ、ウアゥ……」
「ヴァァァァァッ、ウオォ」
爪;'ー`)y-「チッ……びびらせやがって」
そう捨て台詞を吐いて、教会内だというのに煙草に火を着けるフォックスを責める者は、誰もいなかった。
皆がただ、協奏曲のように奏でられる不死者達のうめき声に頭を抱え、塞ぎこむばかりだ。
-
(;^ω^)「………はぁ」
頭を抱えてしまうのも無理はない。こんなものを毎晩聞かされては、
自分でもいずれは気が狂ってしまうかも知れないと、ブーンは思う。
コトばあさんを連れて突然現れたフォックスに、泥塗れのツンの手を引いて現れたブーン達。
死者が彷徨い歩く夕暮れになってからアルバを訪れた3人の来訪者に、ビロード神父が尋ねた。
(;><)「あの、あなた達は一体………」
( ^ω^)「……申し遅れましたお」
すっくと立ち上がったブーンが、彼の前に歩み出る。
( ^ω^)「”失われた楽園亭”から、不死者討伐の依頼でやってきた冒険者ですお」
「おぉ………ッ!」
それを聞いて、教会の中で肩を寄せ合う人々の中からどよめきが上がった。
本当ならば騎士団に直接助けを求めたかったであろう彼らだが、
実際に姿を見せたのは、ブーンら、たった三人の冒険者だけだった。
────それにも関わらず、彼らはこの状況にあって心底明るい表情を浮かべている。
やはり、相当に辛い日々を送って来たのだろう。
-
( ><)「私は、ビロード=ヒルバーグ……この場に居る皆を代表しまして、まずは感謝を」
差し出されたその右手と、ブーンは硬く握手を交わす。
細くしなやかな指だが、その手には力が篭っていた。
( ><)「もう……皆が限界に来ていた所なんです。今回来たのは、あなた達三人だけなんです?」
( ^ω^)「それなんだけどお……円卓騎士団は、今は動けないみたいなんですお。
その代わりと言ってはなんだけど、ブーン達三人が全力で依頼に挑ませてもらいますお」
爪'ー`)y-「ま、パーティー結成してから初仕事になるか? ……色々と、危うい面子だけどな」
( ><)「彼女も、あなた達が連れて来たんですか?」
ビロードが視線を外して、そっと地面に横たえられて気を失っていた
コトばあさんの姿を、ちらりと見て尋ねた。
(´・ω・`)「いえ、彼女はそこにいるツンが連れて来たのですよ」
ξ゚⊿゚)ξ「あ、まぁ……」
ショボンが屈み込んで呼吸を整えている最中の、ツンを指差す。
( ><)「危険を省みず、よく連れてきてくれたんです……ツンちゃん」
ξ*゚⊿゚)ξ「い、いえ……話してみると、とてもいい人だったし……」
-
正確には、ブーン達の助けがなければあの場で不死者達に襲われていただろう。
少しだけ照れるが、今はビロードからの賛辞を素直に受け入れた。
爪'ー`)y-「なぁ……この扉、大丈夫なんだろうな?」
だが、状況はそう楽観していられるものでは無いようだ。
数多の不死者達が叩いている教会の門扉にかけられた閂が、時折反り返る。
木製であれば致し方ない事だが、扉の前に不死者達が群を為して溢れ返っている光景が目に浮かんだ。
(´・ω・`)「まずは、これからの事について話し合わないか?」
中央に皆を集め、対応策について話し合いの音頭を取るショボン。
普通の人間なら塞ぎこんでしまうのが普通にも思われるこの状況にあって、実に毅然としたものだ。
( ^ω^)「全部倒す……というのは、やっぱり駄目そうだおねぇ」
爪'ー`)y-「ショボンの魔法ならあるいは、と思ったがな。遠くから見てて、俺もあれにはびびったぜ」
(´・ω・`)「局所的に膨大な威力をもたらす魔法も、あるにはあるさ。
だが、あれは体内で魔力を練り上げる段階において、致命的な”溜め”が要求される」
ξ゚⊿゚)ξ「あれほどの数がいちゃ、そんな暇は与えてくれそうにないわね……」
いつの間にか、彼らの傍らではツンも話し合いに加わっていた。
-
こちらが対抗する為に持ち合わせる主な武器としては、ブーンの剣と、ショボンの魔法だけだ。
だがそこまで考えた時、彼女は自分のとても身近に見落としていた─────ある事に気付く。
ξ゚⊿゚)ξ(………そう言えば)
( ^ω^)「一か八か、打って出るかお?」
爪'ー`)y-「バカ言え、扉を開けた途端にゾンビ共が雪崩れ込んでくるぜ。それに俺の特技は
対人専用のナイフ術だ……お前らと違って、不死者相手に戦力にはならねぇさ」
(´・ω・`)「………もし仮に全てを倒せたとしても、その元凶を排除しない限りは、
またこの村で同じことが起きる可能性がある」
( ^ω^)「ふぅ……困ったもんだおねぇ」
(´・ω・`)「せめて、不死者達を寄せ付けない結界のような物でも張れればね」
頭を悩ます4人の面々の気付かない所で、より絶望的な状況へ向かおうと、事態は動いていた─────
───────────────
──────────
─────
-
ノノ'_')「………」
無知にして無垢な彼には、解るはずもない。
今この扉一枚隔てた向こうで、何が起きているのかという事など。
雨音と幾重にも折り重なって、この扉を外から大勢の人が叩く音が聞こえてくる。
「ウゥ、ア……ヴィ……ル……」
多数の音にかき消されながらも、父の帰りを今かと待っていた彼だけは、
かすかにその声が耳にまで届いた。
ノノ;'_')「っ!?」
父を亡くしている事にも気付かぬ彼に、気付けるはずもなかった。
その名を呼ぶ声が、もはや生前の記憶の中にある父親のものではない事など。
「ヴィ…ル……あけ……」
ノノ'_')「父さん……?父さんが、帰って来たっ!」
そして、意気揚々と扉の前に走りよっては、教会の外と中とを閉ざしていた閂を、押し上げた。
──────
────────────
──────────────────
-
( ><)「ヴィル……?」
入り口に立っていた彼の姿を見ていたビロードが、不審な様子に気付いた。
扉に掛けられた閂を手に取り、それを外そうとしている────
(;><)「ヴィル────ッ! やめるんですッ!」
ノノ'_')「え………?」
その声に振り向いた少年の前には、次の瞬間、亡者の群れが押し寄せていた。
(%;℃;;#) (%;℃;;#)
(%;℃;;#) 「ヴァァ……ウオォォ……ア、オォォ」 (%;℃;;#)
(%;°∀;#)
ノノ;_ )「あ……わ、わぁぁぁぁぁぁぁッー!!」
お互いに様々な意見述べて対策について話し合っていた4人は、
その出来事に気付くのが、少しだけ遅れてしまった。
既に入り口からは4〜5人の不死者が入り込み、想定しうる最悪の事態になりつつある。
-
(´・ω・`)「な─────」
爪;'ー`)y-「─────んだぁ……?」
ξ;゚⊿゚)ξ(そんなッ……駄目! 今からじゃ……とても間に合わない……!)
「どう動けば、最善手か」
それを考えて身を竦ませた一同だったが、結局は一つの結果に行き着いた。
──────”不死者達を退け、再び扉を閉じるしかない”
(;`ω´)「────おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーッ!!」
最も早くその答えに行き着いたのは、ブーンだった。
亡者達の波に飲み込まれようとしている少年の元へ疾駆すると、弧状の剣閃で数人を斬り、怯ませる。
追い討ちとばかりにその中の一体に前蹴りをお見舞いすると、勢い良く外に吹き飛んでいった。
その衝撃に巻き込まれて、扉の前で数人の不死者が転倒したのが、機となり得た。
(;`ω´)「……フォーックス!」
まだ中に入り込んだ不死者が居るのだ。
それが村人達に牙を向く前に、どうにかして追い出さなければならない。
背中越しにでも確実に聞こえるだけの大声で、その名を呼んだ。
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爪;'ー`)「畜生……こちとら、ほとんど生身なんだぜ……」
ブーンと共に自分が行うべき役目はもう理解出来ているらしい。
すぐに教会右側の通路を走り出すと、そこに居た二体の不死者の中央へ突っ込んだ。
(%;℃;;#)「ヴォウッ……」
爪;'ー`)(うへぇ、気色わりぃ!)
二体に挟まれた中央から顔を出して、両側からそれらの身体を押さえ込んで体当たっていく。
爪#'ー`)「おら……出てけッ……よぉぉぉッ!!」
重心を落として、そのまま強引に不死者達の進行を阻止する。
ついには、扉の外にまで不死者を追いやる事に成功した。
(;`ω´)「くっ……おぉぉッ!!」
一方のブーンは、二体をまとめて剣で串刺していた。
ばたばたと手を暴れさせる不死者だが、胸元に差し込んだ剣が幸いしてか、
ブーンに食らいつく事が出来ずにいた。
柄からはずぶり、と拭い去りたくなるような感触が伝わるが、
更にそれを突き出しながら、一歩、また一歩と扉の前にまで進んでゆく。
ブーンもまた扉の前にまで押し出す事は成功したが、ここから先は博打だ。
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フォックスとブーンが押さえつけている不死者の後ろには、すぐにまた別の数体が控えている。
ここで引き下がってしまえば、また教会内へと雪崩れ込まれて同じ事の繰り返しだ。
(´・ω・`)「……僕達が外に出てから、扉を閉ざす他ないね」
いつの間にやらブーンとフォックスの間に立つショボンが、そう呟いた。
だが、中に居る村人達にとっての最善を考えると。
また、不死者達を押さえつけるにも限度がある自分達の体力を鑑みても、それしか手立ては無い。
爪;'ー`)「ふんが……ぎぃ……そ、そいつぁ笑えねぇ冗談だな……!?」
(;`ω´)「………まだ、中に一匹いるお」
(´・ω・`)「………」
ブーンがそう言って目配せをした先には、村人達の元へ到達していた一人の不死者の姿。
辛うじて青年の一人が手近にあった蜀台を振り回し、抵抗を試みているところだ。
(%;°∀;#)「ア…ウ……ウゥ」
「く、来るな!来るんじゃねぇ化け物ぉッ!」
だが、あえてショボンはそれから振り向いて、厳しい言葉で切って捨てる。
-
(´・ω・`)「……そっちは、そっちで何とかしてもらうとしよう」
(;`ω´)「ショボン!?」
(´・ω・`)「時間が無い。今この三人で外に出る機を逃したら、君ら二人じゃ全滅だ」
爪#'ー`)「ま、しゃあねぇか……!」
(;`ω´)「………くっ!」
(´・ω・`)「───行くよ!」
ショボンの考えは正しくも、やむを得ない判断だった。
このまま二人で押さえ込むのも、もはや限界に近いのだ。
ならば、外へと打って出るしかない。
ブーンが、教会の中に居る全員に届く程の声で叫んだ。
(;`ω´)「ツンッ」
ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン……」
(;`ω´)「ブーン達が外に出たら、それと同時にすぐに扉を閉めるんだおッ!」
ξ;゚⊿゚)ξ「でも……それじゃあ」
(;^ω^)「必ず戻るお………だから、中での事は頼んだおッ!」
-
ブーンが剣を持つ手に一層力を篭めたと同時に、フォックスは咆哮を挙げて、最後の馬鹿力を引き出した。
(;`ω´)「お……おぉぉぉぉッ!!」
爪#'ー`)「どりゃあぁぁぁぁぁッ!!」
その二人が防衛線を押し上げたのを見計らって、ショボンもまた外へと躍り出る。
これで、中に入ってしまった一体を除いて、全ての不死者を外へと押し出す事が出来た。
ξ;゚⊿゚)ξ(……今だ!)
不死者の脇を抜け、横の通路側から入り口へと回り込む。
扉の前に立った時、外で激しく不死者達に対し抗うブーン達の背中が瞳に映りこんだが、
躊躇せずに扉を閉じると、傍らに転がり落ちていた閂を再び扉にはめ込んだ。
あとは────中に入り込んだ一体を、どうにかするだけだ。
ξ;゚⊿゚)ξ(はぁ……はぁ……)
「くそっ、来るなッ!……このぉッ」
不死者と対峙する青年は必死に蜀台を振り回しているが、その程度では進行を阻止するぐらいにしかならない。
この状況────先ほど考え付いたばかりのツンの策が、実行に移されるべき時だった。
-
───────────────
──────────
─────
外では、まさにいつ終わるとも知れない三人の戦いが始まった。
右と左を見渡し、どこから亡者の手が伸びてくるのか注視しながら、それを防ぐのがやっと。
そんな防戦ばかりが、下手をすれば夜が明けるまでの間強いられ続ける事になる。
爪;'ー`)「ホント……冗談キッツイぜ!」
言いながら、片手で三本のナイフを投擲した。
そのうちの二本が不死者の眼窩へと収まり、白濁した眼球へと突き立った。
たったそれだけでは動きは止まらないが、それでも一体の動きを乱す事により、
全体の動きに多少なりとも影響を及ぼす事は出来る。
(;`ω´)「ふおぉぉぉ……らぁぁぁーッ!!」
不死者を刺し貫いていた剣を抜くや、付近にいた不死者達の首をまとめて飛ばした。
威力を発揮するに十分な間合いを保つには足りず、がむしゃらに振り回した剣だが、
数打ちゃ当たるとばかりに、その都度何かしらの肉片を地面に落としていった。
突き立て、蹴飛ばしては、横薙ぐ。
斬り上げ、殴りつけては、突き刺した。
だが、数が減っている手ごたえは一向に掴めない。
-
(%;℃;;#)「…ヴォ、ワ…ォェゥ……」
爪;'ー`)「こりゃラチがあかんね……一丁頼むぜ、ショボン」
(´・ω・`)「今始めようと思っていた所さ。くれぐれも……近づけないでくれ」
(;`ω´)「心配はご無用だおッ!」
フォックスが高らかと顎を蹴り上げた不死者がたたらを踏んだ所に、ブーンがその身を両断した。
ブーンが剣を穿って動きを止めた一匹の首へ、フォックスが足を挟み込み、身をよじってへし折る。
───そうしてブーン達が奮戦する中、ショボンは精神を全集中して詠唱を始めた。
(´・ω・`)「【 我が声に耳を傾け 我が望みを聞き入れよ 】」
(%;℃;;#)「ア、アー……ヴオォエェ……」
(;`ω´)「……らぁッ!!」
ショボンへと迫っていた一体の背後、その胸元へと剣を突き上げた。
そのまま無理やりに持ち上げると、後ろに振り返ると同時に背負い投げた。
(´・ω・`)「【 盟約に従いて 其の抱きし業火は 我と共に在れ 】」
放り投げられて吹き飛んだ一体が、落下した先で5〜6体を巻き込んで倒れ込む。
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爪;'ー`)「くそったれッ!ブーン、こっち頼むぜッ」
(; °ω°)「ハァッ…! ……悪いけど、手一杯だおッ!」
(%;℃;;#)「……ヴァー……」
爪;'ー`)「やらせる……かよぉッ!」
投擲用のナイフを掴んで大きく振りかぶると、
それをそのまま不死者の足の甲を目掛けて、地面まで貫通させた。
足を前に出してもがくが、そう簡単に抜けはしない。
爪;'ー`)「これでちったぁ堰き止めになんだろ……」
フォックスの持てるナイフは、その一本で底を尽きた。
徒手空拳では、たとえ一時的にせよどうにかなるような相手ではない。
ブーンはなおも不死者達の身を切り裂き奮戦しているが、
このままではショボンが魔法の詠唱を終えるまでに、完全に包囲を狭められてしまう。
(´・ω・`)「【 そして我が身 我が前に立ち塞がる一切を 灰燼へと帰せ 】」
(;`ω´)(まずいお……間に合ってくれるかどうか……)
-
ちらりと背中越しにのぞき込むショボンは、少しばかり苦しい表情を浮かべている。
彼もまたブーンと同様の心中なのだろう。
かと言って、ここで詠唱を止めてはこれまでの奮戦が水泡に帰す。
一つ派手にかます事さえ出来れば、最悪、夜明けまでを凌ぐ事も出来る。
爪;'ー`)「どうするよ?」
素手でショボンの前に立ち、四方八方へと目を光らせるフォックス。
一応は身構えているが、並の拳撃が不死者に通用するなどと、露ほども思っていなかった。
そのフォックスの更に前に立ち前方へと剣を突き出すブーンも、もはや肩で息をしていた。
矢継ぎ早に群がってくる不死者達を堰き止めるのも、限界だった。
(; °ω°)「……フゥッ! ……フゥッ!」
右方から伸びた手に、もはやまともに取れていない型で斬りかかる。
斬って落としたかと思えば、続く左方から出てきた一体には、すぐには近寄る事が出来ない。
そのまま、ブーンの見せた隙を縫って、数体の群れはフォックスの元へと近づいた。
武器を持たぬ彼にその状況を打破しろというのは、あまりにも酷だ。
(; °ω°)「! ……フォ……フォック───」
-
爪;'ー`)「………くそったれ」
(;´・ω・`)「………ッ!」
不死者の群れに取り囲まれたフォックスは、覚悟を決めたか───そう吐き捨てる。
ブーンが鉛のように重い手足を動かしてその彼の元に駆け出そうにも、追いつかない。
とうとう、足がもつれてその場に膝を着いてしまった。
(; ω )「──────く、くッそおぉぉぉぉッ!!」
ブーンの血を吐き出すような叫びだけが、夜空へと響き────霧散してゆく。
地に手も足も着けてうな垂れていた彼に限っては気付かなかっただろうが、
その瞬間だけは、確かにその場に居た全員共が見えていた。
夜空から雲間を突き抜けこの地へと差し込んだのは───たった一筋の光。
───────────────
──────────
─────
-
( <●><●>)(もがきなさい、冒険者達)
黒の外套の魔術師は、山の高みからずっとその光景を見ていた。
最初に抱いていた印象を覆し、真っ先に死ぬかと思われたが、そうではなかった。
意外にも奮戦し、彼らの中にはそこそこに優秀であろう魔術師が居る事もわかった。
教会に篭城したはいいが、そこからわざわざ内から扉を開いたのだけが解せなかったが、
大方、呼びかける死者達の声に応えてしまったというところであろう。
( <●><●>)(貴方達の死が、私にとっての道となる……)
強度も、効用も日増しに高まっている。
自らの調合したたった一握りの粉末が、今まさに一つの村を滅ぼしかねない勢いだ。
不死者がこうして彷徨い歩く光景を見るたび、自分の中に秘められた才能が
我ながら恐ろしいものだ、ととても良い気分になるのだ。
何も”わかっていない”他の魔術師は、やれ倫理だ何だと正義感を振りかざし、
生と死すらを超越しようとする自分達の存在を、ただ非難するばかりだが。
-
( <●><●>)(そう遠くはないんですよ。私には、それがわかっています────
遍く亡者達を従えた、我が理想郷の完成がね……あぁ、心浮き立ちます)
死者達の楽園は、生者達にとっては地獄となるのであろうか。
そんな下らない事を考えては含み笑いをしていた折に、突然その表情は固まった。
─────とても不可解な、ある現象が起きたからだ。
( <●><●>)(………何事です?)
魔術師である彼のあらゆる知識を総動員しても、全く理解が及ばぬ出来事だった。
黒く染め上げられた天高くから、アルバの村の教会の屋根へと降り注ぐ光の正体。
それは信心の無い死霊使いなどに分かろうはずもない、紛れも無い”神の奇跡”だった。
─────
──────────
───────────────
-
─────【アルバの村 教会内】─────
ブーン達が出て行った後、たった一匹残された不死者の存在に全員の心はかき乱されていた。
うわごとのように言葉を呟きながら、こちらへ歩み寄ろうとしている。
そして生前の朽ちたその記憶が、人肌の温かみを、そして血肉を求めるのだ。
ξ;゚⊿゚)ξ(ブーン達を方法はある───だけど、まずこの不死者を何とかしなきゃ!)
「ひっ、この……野郎っ!」
青年が先ほどから何度も蜀台をその身に叩きつけるが、一度身を仰け反らせても、すぐにまた歩き出す。
この教会の中には、他に武器となりえるものも何も無いのだ。
「くそ、くそぉッ!」
(%;°∀;#)「ア…ヴィ……ウゥ」
青年が不死者へ向けて叩きつける銅製の蜀台、もう何十回目になるか。
今一度振り上げようとしたその時、持つ手から伝わる重量が、やけに軽い事に気付いた。
ξ゚⊿゚)ξ「!」
いつの間にやら蜀台の中ほどからが消失している───折れたのだ。
「あっ、うぅぐ……!」
-
逃げ場はどこにもないというのに、唯一の武器を失った村人達は後退を余儀なくされる。
やがて彼らが壁を背にした時、不死者はそちらではなく、傍らで尻餅を付いていた少年へと向いた。
(%;°∀;#)
ノノ;'_')「あ……あ、あぁっ……!」
(;><)「……ヴィルッ!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「ビロード神父、逃げてッ!」
不死者の進路上にて、恐怖のあまり動けなかった少年を庇い、ビロードは誰よりも早く駆け出した。
その身を抱きかかえたまま、キッと、もはや光の宿っていないその窪んだ眼窩を睨みつける。
(%;°∀;#)「ア……ウ……」
(;><)「………?」
すると、目の前の不死者は少しだけ不可解な反応を示した。
少年を背へと押しやりながら、すっくと立ち上がったビロード。
その自分へ反応を示さない事から、どうやら不死者の興味は少年へと向いているようだった。
(%;°∀;#)「ヴィ……ル……」
そして、酷くくぐもった声で、辛うじて聞き取れる程度にそう発音した事から、何人かが気付いたのだ。
-
(;><)「もしや、あなた」
「お……おい、まさかこいつ………」
ビロードだけでなく、その場に居合わせた青年らがいち早く気付いた。
その瞬間に、さっき彼らから聞かされたヴィルという少年の父親の名が、ツンの頭を過ぎる。
ξ゚⊿゚)ξ「……そんな、残酷な事って……」
あまりにも、惨たらしい。
再会を求めた少年にとっては、これ以上ないという程に無慈悲な仕打ち。
神ではない────これこそが悪魔の所業だと思わされた。
「そうだよ、よくよく見てみれば……確かにロイじゃねぇかよ……畜生!」
青年の一人が声を上げ、やがて確信にまで至ったようだ。
(%;°∀;#)「ヴェ……ヴィ……ル」
(;><)「ヴィルに会いに来た……そうなんですね? ロイ」
少年の目の前に居る不死者は、紛れも無く二日前に消息を絶ったはずの、彼の父親だった。
ノノ;'_')「……とう、さん?」
-
いっそ気付いてしまわなければ良かったのに───と、思うツン同様に、
恐らく周りの人間の心中を、やりきれない気持ちばかりが覆った事だろう。
不死者となってしまったロイは、それでも尚、息子の名を口にしているのだから。
(%;°∀;#)「ヴィィッ……」
( ><)「………」
変わり果てた姿となったロイが、再び息子のヴィルへと手を伸ばそうとした時、
その手を遮るようにして、ビロードが立ちふさがった。
眼前に不死者が居るというのに、表情には一切の怯えなど見せず、佇む。
( ><)「ロイ……良く聞いて欲しいんです」
(%;°∀;#)「アヴァ……ウォ…」
( ><)「貴方は、もう我々には手の届かない……遠くへ行ってしまったはずなんです」
ξ゚⊿゚)ξ「………」
毅然としてかつての住民、ロイを説き伏せようとするビロードの姿を、
その場に居た全員が、固唾を呑んで見守っていた。
自分達と彼らは、もはや話して通じ合える立場にはないというのに。
-
きっついな……支援
-
( ><)「だけど”ヴィルにもう一目だけでも遭いたかった”……きっとあなたは、だからここへ来たんです」
(%;°∀;#)「オ……ォ……」
ξ゚⊿゚)ξ(……もしかして……)
( ><)「貴方は、確かに村の為を思って勇気ある行動をしてくれた、かけがえの無い存在なんです」
そこでツンがふと、先ほどまでとは違う不死者の様子に気付いた。
ビロードが説法を始めてから────明らかにロイはその動きを止めたのだ。
さながら、許しを請うかの様に両腕を前へと投げ出し、歩き出そうとする身体を、
自らの意思でその場に繋ぎ止めているかのように見えた。
ξ゚⊿゚)ξ(今しかないわね────)
ビロードが時間を稼いでくれている今が、ツンの策を実行する好機だった。
策と言っても、その内容だけを他者が聞けば、あまりに陳腐なものだが。
ただ、”願うだけ”
簡単な事だった───真摯に、実直に。
ただ、自らが願う、ありのままの言葉を祈り届ければ良い。
-
その場に膝をついて両手を組み合わせると、そっと瞳を閉じた。
自らの想いを、沢山の人達の願いを───自分の中で形作ってゆく。
ξ-⊿-)ξ「【 我らが主よ ヤルオ=ダパートよ 】」
聖ラウンジ神の使者であるこの”ツン=デ=レイン”には、
そうした奇跡を起こせるだけの力が、あるのだから─────
ξ-⊿-)ξ「【 どうか我が声に耳を傾けて 心からの祈りをお聞き入れ下さい 】」
( ><)「ですが貴方という人物は───道半ばで死んでしまったんです!それにも気付かず、
最愛の息子であったはずのヴィルを、自らが手に掛けるおつもりなんですかッ!?」
────耳に届くのは、不死者に対しても何ら物怖じする事の無い、ビロード神父の声。
ξ-⊿-)ξ「【 どうか今この地を覆う 不浄な存在を封じ込め賜わんことを 】」
そうだ、彼らの想いも───まとめて届けよう。
慈悲深いヤルオ=ダパートの事だ、きっとその願いも聞き届けてくれるはず。
ツンの身体から、薄ぼんやりと乳白色の光が発せられていた事に気付く者はまだ居ない。
また、それは祈りを捧げる事に一心な、彼女自身もそうだった。
-
( ><)「出来る事ならば、せめて貴方の最後の遺志を伝えてやって欲しいんです……
今こうして貴方の前で悲しみ、恐怖するヴィルに向けて────ただ一言」
ξ-⊿-)ξ「【 どうか今この地で死者の身を縛る 悪しき存在のみを取り去り賜わん事を 】」
(%;°∀;#)「オ……ォォ……」
( ><)「たった一言だけでも────いいんです」
”切なる祈りは、確かな力となる”
あの夢うつつの世界の中で対面した、ヤルオ神の言葉だった。
神の告げたその言葉の通り、ツンの祈りには何度でも奇跡を起こす力が秘められていた。
───一度に三つもの願い事をして、欲張り過ぎだと思われやしないかだけが、心配だったが。
──────────────────
────────────
──────
-
───【アルバの村 教会前広場】───
(;^ω^)「………?」
ショボンが詠唱を終える前に、自分とフォックスによる防衛網は破られた。
心が折れかけ、背後には多数の亡者達が群がり、あとはその餌食となるだけだった────
一度は地べたへと伏したブーンだったが、周囲あまりの静寂に思わず顔を上げた。
爪;'ー`)「何だい……こりゃ」
(´・ω・`)(………これは)
教会の屋根を貫くようにして降り注ぐ巨大な光の帯が、天高くへと聳えているようだ。
それだけの現象を起こせる人物に関して心当たりのあったショボンは、にやりと口元だけ笑みを浮かべる。
( ^ω^)「不死者達が……立ち止まってるお」
(%;℃;;#)「…………」
あれほど執拗に腕を伸ばし、何度その身を切り裂こうとも立ち向かってきた不死者の群れが、
その光の帯を見上げながら、ぼうっと立ちつくしていた。
ただの一人の例外もなく、その全てが天を仰いで。
-
爪'ー`)「! ………っとぉ、どうやら、お待ちかねの真打登場みたいだぜ?」
( ^ω^)「もう随分と長年待ち侘びた気がするお……かましてくれお、ショボン!」
手で左右へ大きく開いたショボンの両の掌は、まるで紅蓮のように赤熱を帯びていた。
その彼の前に立っていた二人は、これから魔力の注ぎ込まれる方向から、即座に対比した。
これほど勿体をつけたのだ。相当にド派手なものでなければ、納得しない。
(´・ω・`)「ここまで時間を稼いでくれた二人に、感謝するよ」
──────「そして、これで終わりさ」
「そして、これが最後よ」──────
-
その日、その瞬間に───────祈りと魔術は、交差した。
(´・ω・`)「【其の名は”エフリート”】」
ξ-⊿-)ξ 「【 どうか行き場を失った哀れな魂に 再び道を指し示し賜わん事を 】」
(´・ω・`)「【 其は炎帝の抱擁にて 我に勝利を約束する者也 】」
ξ-⊿-)ξ 「【 どうか届いて……私や、皆の願い 】」
(´・ω・`)「【 故に今 其の力借り受ける─────”爆炎の法”】」
ξ゚⊿゚)ξ 「【 ──封印── 浄化 ──そして───”開放”を】」
───────────────
──────────
─────
-
先が気になる
-
ショボーンの呪い解けてたのか
-
良いところで切りやがった...
-
生殺しなう
-
いつの間にか死んでました。
後は蛇足だけど、日付変わる前ぐらいに続き投下出来ればいいなー
-
待ってるよー
-
待ち
-
申し訳ない、急用でした。
あともう少しだけ続きます。ちょいちょい投下するのもあれなので、
しっかり全文を書き終えった段階で時間を見つけて投下します
-
待ってるよー
-
全角→(´・ω・`)←半角
-
続き待ってますので
書けるように祈ってます
-
いいところで…
急用ならしかたない待たせていただきます
-
それから────教会の屋根には光り輝く巨大な白き十字架が顕現し、全てに救いをもたらした。
───【アルバの村 教会内】───
( ><)「これは……一体」
ξ゚⊿゚)ξ(良かった……ちゃんと、届いた)
ビロードをはじめとした全員が全員、宙にたゆたう暖かで優しい粒状の光を、目の当たりにしていた。
その奇跡の力に触れ───ビロードと対峙していた不死者ロイの姿も、消え去りつつある。
( %;∀;#)「オ───ア───アァ────」
( ><)「ロイ!!」
.:;°∀;#)「ヴィ………ル……」
ノノ;'_')「やっぱり、父さん……なの?」
光の中へ溶け込むようにして、少しずつ身体はその形を崩していく。
自らを縛る楔から”開放”された魂が、”浄化”された事により、その奇跡を可能にした。
-
ξ-⊿-)ξ(───これはロイさん……そして、ビロード神父が望んだ奇跡───)
意思など持たぬ不死者であったはずの彼だが、最後の最期、消え行く瞬間にだけ、
人に戻ることを─────息子に最期の言葉を投げかける事が、ヤルオ=ダパートによって許されたのだ。
.:;°∀#;.「お前は……父さ……んの……」
ノノ ;_;)「父さん……行かないで? 行っちゃ……やだよ……」
.:;°;.「さ、い───あいの────息子だった」
ノノ ;_;)「待ってよ……父さぁんっ!」
もはや形を留めないロイは、それでも最期まで遺志を息子に残そうとしていた。
───ビロード神父に説かれた、言い付け通りに。
もっとも、それは最初から彼自身が伝えたかった言葉なのかも知れないが。
( ><)「────ロイ……」
.:; . (強く……生きて……)
ノノ ;_;)「やっと会えたのに! こんなのひどいやッ!」
-
光に包まれながら、やがて完全な塵芥と成り果てた父の遺骸。
それを小さな手にたった一握り掴み取ると───その手を胸元で抱えて、ヴィルは咽び泣いた。
ξ゚⊿゚)ξ(大丈夫。君は───また元気に歩き出せる)
ξ-⊿-)ξ(今より大きくなった時……きっと、彼の言葉の意味が解るから───)
───────────────
──────────
─────
-
その奇跡の一方で───広場の前で激しく吹き荒れる燃え盛る赤き熱風は全てを焦がし尽くし、消し飛ばした。
(#´-ω-`)「いいかい───絶対に、目を、開けちゃならないッ!」
広場に溢れ返っていた不死者を一匹残らず巻き上げてゆく炎の竜巻を御しながら、ショボンは叫んだ。
その言いつけを固く守っていなければ、今頃熱風に目が焼け爛れていた所だろう。
(; ω )「アヂィッ!アヅヅッ、アヂヂヂヂヂヂヂィーッ!」
爪;ー )「あちゃっ!おわちゃぁぁぁぁぁぁぁーッ!?」
.:;℃#; 「────────ッ」
(#´-ω-`)
その最中僅かに視界の端に映ったのは、炎の渦が不死者達を焦がし尽くしていく光景。
二人にとっては謎深き魔術の更なる深淵の一端を垣間見た────それほどの印象を受ける業だった。
-
後に残るのは、もう人か何かすらわからなくなってしまった消し炭ばかりだ。
広場の中心では地面が溶けて抉れ返り、村の至る所にその強大過ぎる業火の傷跡を残した。
悪夢に見舞われていたはずの村の広場が今では、すっかり静寂を取り戻している。
───────────────
──────────
─────
-
( ^ω^)「なんとか………凌ぎきれたおね」
爪;'ー`)y-「ったく、一時はどうなる事かと思ったぜ」
こ村から一時の脅威が取り除かれた事を、素直に喜び合っていた。
全てが灰燼に帰した広場を後にしようと教会へ足を向け、ブーンが呟く。
( ^ω^)「でも、あの不死者達に罪が無かったと考えると……」
爪'ー`)y-「……気にすんなよ。火葬してやったんだ、寧ろ有難く思ってもらわなくちゃな」
(´・ω・`)「諸手を上げて賛成は出来ないが、一部フォックスの考え方に同意するよ」
( ^ω^)「?」
先ほどの魔法を唱え終わってから、頭を抑えて眩暈に苛まれていたショボンだったが、もう大丈夫そうだ。
やはりあれだけの魔法を唱えれば、精神力の疲労で後遺症的に起こる一時的なものだという。
荒ぶる炎を御す彼の姿は、正しく炎帝の名を借り受けるに相応しい姿だった。
頼もしい仲間がパーティーに加入したものだという事は、今では二人共が思っている。
-
なんだ?こんな時間にやるのか
元気だな
-
>>700
や・す・み。ちと資料作りながらなんで投下は遅れます
-
なんつー時間にwwwwww
-
(´・ω・`)「生ける屍となった彼らを退けるには、ああでもするしか他に方法はなかった……それに」
爪'ー`)y-「……それに?」
(´・ω・`)「あながち、彼らは救われなかったという訳でもなさそうだよ?」
教会の夜空に聳え立っていたはずの、巨大な光の十字。
今では影も形もなくなっているが、先ほどまで聳え立っていたはずの場所を見上げた。
ショボンにはなぜだか、行き場を失っていた者達の魂が、そこに吸い込まれていった様に思えたのだ。
(´・ω・`)「───真の立役者、ツンの力によってね」
爪'ー`)y-「もしかして……いっとき不死者どもが動き止めてた時の……あれか?」
(;^ω^)「へ!? まっさかー、うっそでー……だお?」
と────小さく背後に聞こえた足音に、一同は帰路に着くはずだったその動きを止めた。
( )「……ぜ……ぜ……」
-
爪'ー`)「おっと───どうやら……」
教会から漏れる微かな明かりに照らされたのは、黒の装束の男。
(#<●><●>)「何故、なんです………何故……お前達冒険者ごときにッ!」
振り返ってみると、途方も無く青白い顔色の男は、唇をわなわなと震わせていた。
暗闇に映える印象的なその瞳が、ブーン達三人に対し遺恨を抱えている事を目で告げている。
不死者と同じぐらい、まるで生気の感じられない男だった。
爪'ー`)y-「チッ……なんだよ、どんなのが出てくるかと思えば……典型的小物じゃねーか」
フォックスが吸い終えた煙草を、男の方へと指で弾き飛ばす。
(#<●><●>)「だ……貴様……誰が、小物なんですか……もう一度、言え、いッ」
爪'ー`)「大物ぶるならよ、もうちっとこう……デーンと構えてさ」
(´・ω・`)「そうだね。台詞は”よくぞ我がしもべを打ち破った”……なんて出だしが良いかも」
( ^ω^)「それは、笑えるお」
-
あっけらかんと笑う三人を余所に、男は怒りに拳を打ち震わせていた。
今にも倒れてしまうのではないかという程に、目を剥いてブーン達を見据えている。
そして、怒髪が天を突いて叫びだすかと思われたその時、はっと気付いたように顔を抑え込み、俯いた。
再び顔を上げたそこには、何事もなかったかのように平静さを保っていたのが、不気味に思える。
( <●><●>)「ふぅ………柄にもなく、取り乱してしまいましたね」
(;^ω^)(気色悪い奴だお……)
別人のように先ほどと打って変わった丁寧な話し口調の様子から、二面性を持つ男なのだという事が分かる。
(´・ω・`)「一つだけ───この村で起きていた事は、全て君が仕組んだものかい?」
爪'ー`)(ま、聞くまでもねぇ問いだと思うけどな)
( <●><●>)「えぇ、如何にも────今回は貴方達に阻止されてしまいましたが、この村は
私の調合した強力なゾンビパウダーの投与、その経過を観察する、実験の場でした」
(;^ω^)(こいつ、今なんて……”実験の場”と抜かしたかお?)
-
( <●><●>)「どんな手品を使ったのかは存じませんが、私の従順な子供達がああもあっさり葬られるとは。
ですが、改良の余地もある。まぁ……それはわかっていた所でもあるのですが、ね」
爪'ー`)「おめぇ、腐ってやがんぞ」
沢山の死者の身を弄び、それを利用して村人まで襲わせた。
挙句、それをこの男は───実験だ、観察だなどと抜かしたのか。
( °ω°)「………」
何の落ち度もなかった、何の罪も無かったアルバの村人達。
彼らを殺し、また、彼らから大切な家族をも奪い去ったのだ。
それらは全て───この、目の前に立つ誇大妄想に取り付かれた男の所業によって。
こんな人間もこの世にいたのかと、驚きと共に湧き上がる殺意を禁じえない。
鞘から長剣を抜き出して向かって行こうとした折、その前にショボンが腕を広げて、制止した。
(;`ω´)「止めるなおッ、ショボン!!」
(´・ω・`)「───いや。こんな虫けら以下の価値程も無い男に、手を汚す必要は無いよ、ブーン」
言って、ショボンが一歩を歩み出して、男と対峙した。
ショボンの言葉の端に一寸不快感を覚えて目尻を吊り上げた様子だったが、気にしない振りをしているのか。
-
(´・ω・`)「はぁ。なんだか、がっかりしたさ」
( <●><●>)「………?」
(´・ω・`)「あれほど苦労した不死者退治の末に、ようやく黒幕を引きずり出したかと思えば……」
言って、わざとらしく肩をすくめるショボン。
傍目からも挑発に乗りやすい男であるというのは見てとれるが、彼のやり口はあまりにもあざとい。
(´・ω・`)「まさかその正体が、ゾンビパウダーなんぞを調合して有難がっているような、
単なるネクロマンサー気取りの三流以下だったとはね……」
(#<●><●>)「なッ! ……貴様、今……何とッ………!」
(´・ω・`)「あぁ……聞こえなかったか。確かにそう愚鈍でもなくては、魔術に行き詰った捌け口として、
沢山の不死者のお友達をこしらえてはそれを眺め……一人でにやつくなどという事はしないか」
一度は冷静さを取り戻していたはずの男の目が、途端に血走ったものになる。
淡々と罵詈雑言の数々を並べたというだけの、極めて単純にして安っぽい話術だが、
変に偏ったプライドばかりが高そうなこの男に対しては、効果は抜群だったらしい────
-
(´・ω・`)「おっと、また聞こえなかったか……知覚が閉ざされた人に対して、僕はなんて失礼を」
(#<●><●>)「殺してッ、やッ……」
(´・ω・`)「そうそう、君のやってる児戯は、今日び学院の末端の悪たれですらやらない事だ。
いけない粉遊びも大概にした方がいいよ?先生に怒られて、恥をかく前にね」
(#<●><●>)「ッ………【 我命ず 其が身許に宿せし 業火よ来たれ 】」
(´・ω・`)「………そう来たか」
もはや何を語る事も無いとばかりに、両手を組み合わせながら、男は詠唱に入った。
まるでその様子を気にも留めていないショボンの身を案じ、背後に控えた二人が叫ぶ。
(;`ω´)「何やってるおッ、ショボンも早く……!」
(´・ω・`)「あぁ、大丈夫大丈夫」
「ハンデだから」────そう言って、ショボンも詠唱の準備を始める、
と思いきや、物思いに耽るかのような様子で、またも男へ向けて声を掛けていた。
男は、すでに二段目の下りに入っている。
-
お帰り、待ってたよ
-
( <●><●>)「【 我が荒ぶる心 荒ぶる炎 其は我と共に在り】」
(´・ω・`)「【炎の玉】か……僕も得意とする術だ────だが」
(;<●><●>)(こいつ……何故唱えないんです……)
笑みを浮かべるショボンのその不敵さに、男は気圧されていた。
時折紡ぐ言葉に引っかかり、危うげな詠唱になりつつも。
そして、最後の下りに入った。
( <●><●>)「 【我が元に宿りて 其は我が敵を 我が意の侭に焼き払わん】」
爪;'ー`)「何してんだッ、ショボン!?」
(;`ω´)「………くッ」
見るに見かねたブーンが、剣を抜き出してショボンの元へと駆け出す。
何をふざけているのかは知らないが、このままでは、確実にショボンは魔法をその身に受ける。
だが、男の手からは既に赤々と揺らめく炎が発現しようとしていた。
(´・ω・`)「やはり────君は三流以下だね」
-
ショボンがそう呟き口角を吊り上げたのは、ブーン達からは見えなかった。
そして、遅れて詠唱に入ったはずのショボンが、男のものと重ねて、次の一言を口にした。
(´・ω・`)「【 我が前に立ち塞がる敵 其はその一切を 業火の元に滅せよ】」
(;<●><●>)「……なッ!?」
それと共に、遅れて詠唱を始めたはずのショボンの手には瞬く間、燃え盛る炎が宿る。
驚愕を浮かべる男の表情をよそに、火球を手の中で練り上げながら背後へと振りかぶった。
お互いに同じ構えから、同じ魔法をぶつけ合う構えだ。
そしてやがて、その時は訪れる。
(´・ω・`)「──────【 炎の玉 】──────ッ!」( <●><●>)
-
同時に投げつけられた炎の玉は、20歩以上も距離があるにも関わらず、狙いも反れることなく
意思が植えつけられたかのよう、指向性を持って互いが互いに引き付けられてゆく。
二人の立つ中心地点でそれらは音を立ててぶつかり合い、より大きな炎となった。
ショボンの放った炎球を包み込もうとしてか、一瞬の停滞の後、黒装束の男の炎は眩しく光る。
そのまま飲み込もうとじわじわ炎が広がる光景に、男は勝利を確信して口角を吊り上げ、言いかけた。
( <●><●>)「フフフ……わかっていました!さぁ、悶え苦─────」
(´・ω・`)「─────解っていない」
だが、龍のあぎとのように口を開けて飲み込もうとしたショボンの炎は、かき消せなかった。
大きく広がったかと思いきや、その中央を突き破って炎の残滓を奔らせたのはショボンの方だ。
逆に貫かれた男の火球は中空へと霧散し、完全に掻き消え失せる。
(;<●><●>)「────な、なぁッ!?」
眼前に迫り来る炎から身を庇おうと、手を前に突き出して顔を背ける。
多少なりとも相殺されているとは言え、それでも放射状に襲い来る炎の残滓は、
彼の身を吹き飛ばすに十分な威力を保ったものだった。
-
(;<●><●>)「ぐおおぉぉぉッ!!」
一度地面を転がり外套を土塗れに汚しながら、地面に身を引きずられてゆく。
横ばいの体勢からすぐに起き上がろうとするも、身体に刻んだダメージは軽くはないようだ。
呻き混じりに男の口から出るのは、白い煙。焦点がぶれながらも、辛うじて立ち上がった。
(;<○><○>)「か……かはッ……ゲホォッ」
(´・ω・`)「おや?その程度で済んでいる所を見ると、君も案外それなりの術者なのかな」
終始余裕を崩すことの無かったショボンと、黒装束の男との対照的な二人の姿。
ブーン達は、ショボンという魔術師がやはり他と比べても非凡な才を持つ男だという事に納得した。
結局─────剣を手に助太刀に入ろうしたブーンの心配は、杞憂に終わったのだ。
(;^ω^)「………お」
爪'ー`)y-「あいつ……やっぱすげぇんだな」
-
(;<○><○>)(バ、バカな───下位魔法では無いんです、こんな結果になるなどとッ───)
(´・ω・`)「理解できない、という顔をしているね」
(;<○><○>)「……ッ!!」
図星を言い当てたショボンの方に、顔をしかめながら顔を振り上げる。
何ら己の魔法を意に介せず、一歩一歩ゆっくりと歩いて来るショボンに気圧され、じり、と後ずさる。
(´・ω・`)「契約する守護精霊の位の違いさ。恐らく君は、サラマンダーなんだろう?」
(;<●><●>)(この男……ッ!)
(´・ω・`)「僕は炎を自在に御す”エフリート”の力によって、急激な詠唱の時短をも可能とする」
(´・ω・`)「あとは……強いて上げれば、術者としてのセンスの差とでも言おうか」
この場は不利と悟ったか、男の顔には明らかに焦燥の色が浮かぶ。
思い知らされたのは、知らずに挑んだ魔術師、ショボン=アーリータイムズの力だ。
-
それに、彼の背後に立つ二人の冒険者の姿もある。
剣を鞘に収めたままとんとんと肩を叩くブーンと、拳をぽきぽきと鳴らすフォックス。
男が追い詰められた格好になったのは、もはや明白であった。
爪'ー`)y-「さぁて、こいつどうする?治安隊に突きだしゃ、報奨金ももらえるかもな」
( ^ω^)「ブーンたちの手で、殴り砂袋の刑に処するのも悪くないお」
(´・ω・`)「さて────君はどちらがお望みだい?」
(;<●><●>)「………」
更にじりじりと一歩を退いた男と、にらみ合う三人。
やがて焦れて男に歩み寄ろうとしたブーン達の動きを止めたのは、
胸元へ手を差し入れて何かを取り出し掲げると、狂乱めいた叫びを上げた男の行動だった。
その手の中には、透き通る水晶のような中に、赤く光をたたえた不思議な石。
(#<●><●>)「────黙れぇッ! それ以上、決して近づくんじゃありませんッ!!」
( ^ω^)「ッ!」
-
爪;'ー`)y-「ったく、面倒くせー奴だな……」
身構える二人に、そこでショボンは語りかけた。
(´・ω・`)「ッ! ………”火晶石”か。確かに近づかない方がいいね、あれは」
( ^ω^)「あんな石ころ、どうしたっていうんだお?」
爪;'ー`)y-「チッ……知らねぇなら教えてやる。ありゃな、ショボンの魔法ばりに危ねぇもんだ」
( <●><●>)「………」
火晶石とは、高価で取引される魔術道具の一種で、自然物の掘削などにも使われる。
炎の精霊の力を宿した鉱物であり、叩きつければ大変な破壊力をもたらす代物だ。
一般に出回る事はほとんどないが、危険な旅に身を置く冒険者などにとっては、その限りではない。
今この場でそれを叩きつければ、4人全員助かるかは運のみぞ知る所だろう。
(´・ω・`)「保身の手段としては良い方法だ……だが、ここで使えば君も死ぬかもね」
( <●><●>)「黙りなさい。貴方の手段はよくわかりました、もう二度と挑発には乗りません……」
(´・ω・`)「それは結構」
-
火晶石を掲げる男と、ショボン達との間に夜風が吹きすさぶ。
皆の外套や衣服をはためかせたそれが過ぎ去った頃、再び男の方から口を開いた。
( <●><●>)「………我が名は”ベルベット=ミラーズ”」
名を問われるともなく、ショボンもまた口を開いた。
(´・ω・`)「”ショボン=アーリータイムズ”だ」
その名を聞いた瞬間、憎しみばかりが渦巻いているであろう彼、ベルベットの瞳に、
ことさらに復讐心が芽生えたかのよう、両目の瞳孔がゆっくりと広がったかのように感じる。
火晶石を掲げる手を下げるとさらに二、三歩を下がり、ブーンやショボンらに背を向けた。
( <●><●>)「いずれ、不死者達の理想郷を創り上げる者────その時が来れば、貴方にもお声を」
(´・ω・`)「邂逅を楽しみにさせてもらうよ」
(────再び会った時。その時は、忘れられない夜にして差し上げます────)
それだけ言い残し、そのままベルベットは闇に包まれた野山へと消えていった。
ブーン達は追う素振りも見せたが、「手負いの鼠は時に病をもたらす」とのショボンの進言から、
このアルバの村に死の粉を振りまいた張本人の追跡を、諦めた。
-
恐らくは二度と現れないだろうが、ショボンに向けられた瞳の端に見えた憎悪の炎は、
やがて遠くない未来、再び自分達の前に現れるであろうという事を─────3人の冒険者達に確信させた。
( ^ω^)(これで─────本当に一件落着、といった所かおね)
───────────────
──────────
─────
-
ふひいいいいきてるうううう
-
─────【アルバの村 教会】─────
ツンの願いが”奇跡”を起こし、この教会を中心として不浄なる存在を消し去ったしばし後。
ビロード神父とツンら二人によって、父親と最後の対面を果たしたヴィルは、ようやく泣き止んでいた。
( ><)「いい子なんです、ヴィル。君は、きっと人の痛みが分かる強い子に育つんです」
ノノ ;_;)「……へへっ、ビロード神父のお髭、こそばゆいや」
( ><)(私が髭キャラとは……随分と嫌な後付設定なんです……)
ξ゚⊿゚)ξ(そういえば………ブーン達が、随分と帰ってこないわ)
その時、安堵のため息がそこかしこから漏らされていた教会内の人々の間に、再び緊張が走った。
どんどんどん!
激しく叩かれた門扉から響く音に、全員が身体を竦ませた。
そして、ツンの中にも少なからず嫌な予感というものが入り込み、それが気持ちを萎縮させる。
ξ;゚⊿゚)ξ(もしかして………)
-
ブーン達三人が、不死者の餌食になってしまったのではないかと危惧した。
そして、この教会だけを中心として”聖術”を発動したのでは、不死者達を救うに足りなかったのではないかとも。
もしそんな最悪の事態になってしまっていたのならば、今は自分が皆を守らなければ─────
そう思っていた自分達の元に、次の瞬間間の抜けたような声が外から響き渡り、安堵のため息を漏らした。
「…………お〜い、開けてくれおぉぉ〜!ゾンビじゃないお、ブーン達だおぉぉ〜!………」
ξ゚⊿゚)ξ(ッ!!)
その声が不死者のものだと疑いの念も抱かずに、一も二もなく彼女は扉の閂を取り外した。
瞳に入ってきた、少し苦笑いを浮かべる彼ら三人の姿。多少の返り血や跳ねた泥に塗れてはいるが、
「今帰ったお」とそっと手を上げるその姿に、ツンも顔にもまた笑みがこぼれる。
( ><)「……冒険者の皆さんっ! よくぞご無事で戻られたんですっ」
( ^ω^)「どうやらこっちも片付いたみたいだおね」
ξ゚ー゚)ξ「……あたり前だっつーの。こちとら、聖教都市の主教と黙された人の娘よ?」
-
爪'ー`)y-「どんな魔法を使ったのかは知らねぇけど……ま、まずは休みてぇ」
(´・ω・`)「同感だね。さすがに連続で高等魔法を使って、少しばかり偏頭痛に苛まれている」
( ><)「という事は……外の不死者達も……」
( ^ω^)「………」
こくり、とだけ頷いて返事とした。
ショボンの魔法によって消し炭と化した不死者達だったが、やはりあのベルベットという男によって、
墓場から自分の意思とは無関係に故郷の村人を襲う様に仕向けられた事に対し、いい気分はしない。
ショボンがそれに付け加える。
(´・ω・`)「この村の災厄の元凶であった魔術師が再び現れる事は、ないでしょう」
「って事は………っ!」
村人の一人がにまぁっと顔を綻ばせると、つられるようにして村人達の間で歓声が沸きあがった。
-
「助かったぞ、俺達は……この村は!」
冒険者達の間を取り囲み、村人は口々に彼らに対して感謝の言葉を述べる。
ツンがその身を運ぶさなかで意識を失ったコトばあさんも、ようやく目が覚めたようで何事かと目を擦っている。
爪;'ー`)y-「お、おいおい。休ませてくれよ」
(;^ω^)「おっおっ……」
( ><)「皆さん、ささやかなものではありますが、宴の準備を」
「えぇ、もちろん!」
ビロードが声をかけると、村人達がそれぞれ散らばって、ブーン達をもてなす支度を始めた。
この教会の場を使い、それぞれの家から食材を持ち寄って行う晩餐だ。
その宴には、死者を弔う為の意味も篭められているのだ。
村人達が続々と教会を後にしていく中、ブーン達はツンと話しながら長いすに身体を預けていた。
離れていた間お互いの状況がどうであったか、何があったかという事を伝え合ったのだ。
-
ξ゚⊿゚)ξ「そんな奴が居たの……嘆かわしい」
ベルベット=ミラーズと名乗った魔術師が居た。
不死者の理想郷を築く、などと大層な事をはき捨てて彼らの前を去った。
そして、ゾンビパウダーという歩く死者を作り出す魔法の粉によって、今回の事件が引き起こされた事など。
聖職者からすれば、死霊術士などは対極に位置する存在であろう。
ブーン達の話を聞く内、ツンは大変に憤慨していた。
( ^ω^)「聖ラウンジの秘術、かお」
そして、ショボン以外も初めて知る所となったのが”神に見初められた者”しか扱う事の出来ぬ、
聖ラウンジの秘術、奇跡を起こす力の存在だ。
救いの力をもたらすそれは、決して敬虐なる聖ラウンジの誰しもに許されたものではないが、
ツンはその力で教会の中に入り込んだ不死者、ロイを救った事。
そしてこの地にある悪意ある存在を封じた事で、不死者の魂が死霊術士の企てにより縛られていた
朽ちた肉体を離れて、主の御許に逝けたはずだという事を伝えた。
彼ら不死者に対する火葬と鎮魂が同時に行われていたという事実は、面々の知る所ではないが。
( ><)「ツンちゃん……私は外で彼らに……」
ξ゚⊿゚)ξ「………私も、この教会の中で」
-
今回の一件で亡くなった者、また眠りについていたはずの不死者達への鎮魂だ。
ビロードは広場へ行くため外へ。そしてツンは祭壇へと、それぞれ向かう。
ξ-⊿-)ξ「………」
ツンが祭壇の前に膝を折ると、やがてゆっくりと手を組み合わせて祈りを捧げ始めた。
死者を悼むその真摯で健気に祈りを捧げ続ける横顔は、とても慈愛の心に満ち溢れたものだ。
そのツンの姿をじっと見ていた三人の胸には、なぜだか儚い切なさが訪れて、きゅっと心の奥底を締め上げる。
信心深い彼らではないが、行き場を失った哀れな魂が安住の地へ旅立てるよう、必死に祈るツンの姿に。
きっと─────誰もが思っていたのだ。
( ^ω^)「………」
爪'ー`)「………」
(´・ω・`)「………美しい」
ショボンが言った、その言葉通りの事を。
二人はその声に振り返ったが、一度互いに瞳を見合わせると、また何事も言わず向き直った。
───────────────
──────────
─────
-
何という時間に! 今、気がついた
④
-
わふわふ
-
乙乙
-
─────────そして。
残された数少ない村人達によるささやかな宴は、夜が明ける少し前まで続けられた。
宴が終わると、使われていない村人の家を間借りして、日が昇るまで身体を休めていた冒険者の面々だったが、
彼ら全員がまだ眠りから覚めないうちに起床の時を告げたのは、また何事かを予感させる村人の大声だった。
「大変だ、大変ですよ冒険者さんがた!」
( ω )「むぉぅ……Zzz ブーンは……そんなに食べられないお……Zzz」
爪'ー`)「んあっ?何だ何だ、騒々しい……」
(´・ω・`)「また、何か問題が?」
「そうではないんです……けど、とにかく広場に来て下さい───!」
寝ぼけ眼のブーンの頬をフォックスが張り倒してから、ショボンが引きずって連れていく。
けだるい朝を迎えた。疲労感はまだ拭えていないが、問題が起きたのではないならまだ眠れる。
-
村人の青年の案内の元、瞳に突き刺さる日光を遮りながら外へと出ると、
日の光を照り返す白銀の甲冑に身を包む、数人の一団の姿があった。
その先頭でビロード神父から話を伺っている男の顔には、紛れもなく見覚えがある。
(;^ω^)「なんだお、ありゃ」
( ><)「……という訳なんです、あぁ、今お見えになりましたよ」
「連れて来ました!この人たちが、その冒険者の人たちで───」
「おぉ、彼らが────なんと勇敢な者た────」
爪;'ー`)「げっ」
(‘_L’)「───ち?」
三人にとっては、嫌という程にその整った目鼻立ちが記憶に焼き込まれた男が、そこにいた。
円卓騎士団と、フィレンクトだ。どうやら、今日の昼になって彼ら自身も問題解決の為に訪れたのだろう。
(‘_L’)「………なぜ貴方達がこんな場所に?」
(;^ω^)「そりゃこっちの台詞だお。依頼を振っておいて、なんであんたが」
-
言ってから「しまった」という表情をしたが、時既に遅かった。
襟首を捕まれたブーンは、フィレンクトと至近距離で目が合う位置にまで腕力で手繰り寄せられた。
(‘_L’)「なぜ、こんな場所にいるのかと聞いているのです」
(;^ω^)「ぐぇっ……い、依頼だお」
(‘_L’)「依頼───まさか、貴方達がこの村の不死者騒動を………?」
爪'ー`)y-「ま、そういう事さ。旦那」
(´・ω・`)「全ての元凶である死霊術士は、残念ながら取り逃がしましたが」
(‘_L’)「………話をお聞かせ願えますか?」
───────────────
──────────
─────
-
ブーンら三人は、昨夜起きた出来事の全てを事細かに話した。
”ベルベット=ミラーズ”という男の名前についてはフィレンクトを始め、誰も知らないようだったが、
手配書が出回れば、すぐに彼の身辺が洗い出されて追い詰められる事になるだろう。」
(‘_L’)「……認めたくはありませんが、お手柄でした」
爪;'ー`)y-「認めたくねぇのかよ!」
( ^ω^)「今回はツンと、新たに加わってくれたショボンのお陰だおね」
(´・ω・`)「結果として、おいしい所を頂いただけさ」
面々には、フィレンクトがその場で殴り書いた書状が手渡される。
これをヴィップの騎士団の本営にまで持っていけば、600spの報酬が手渡されるだろう。
フォックスと、そしてショボンとパーティーを組んでから初めての依頼達成。
ブーンの心中には、たった一人で臨んだ始めての依頼の時とは、また違った喜びが湧き上がる。
やはり仲間と共に依頼達成の喜びを共有できるというのも、感慨深いものがあった。
ブーン達から聞いていた会話の内容を思い出しながら、フィレンクトが突然を投げかけてきた。
(‘_L’)「そういえば……ツン様もその場に居た、という事でしたね」
(;^ω^)「あっ、ツンなら……」
-
忘れていた。
ツンは昨日、聖教都市へ帰るようにフィレンクトに促されていたのだった。
昨日の兵舎での二人の会話の中、去り際の場面を思い出す。
こんな危険な依頼に偶然居合わせた彼女が何を言われるかと、同情の念が沸いた。
ξ-⊿-)ξ「……ふあぁ、よく寝たわぁ」
(;^ω^)「………おっ」
と、そこへ一軒の民家から出てきたのは、噂に登る彼女の姿だ。
ツンの姿を見かけるや否や、フィレンクトはすぐさま走って彼女へと詰め寄る。
(‘_L’)「ツン様ッ!」
ξ;゚⊿゚)ξ「のわっ」
(‘_L’)「何処へ行かれたのかと、我々全員、本気で心配したのですよ……!」
ξ;゚⊿゚)ξ「なな、なんでフィレンクト様がここに……」
爪;'ー`)y-「………ッ」
(´・ω・`)「………っ」
ブーン達に目線を送ったが、彼らはただ無言で首を振るばかりだった。
慌てふためく彼女へ、さらにフィレンクトは詰め寄る。
-
(‘_L’)「話には聞きましたが……”聖術”を、身に付けられたのですね」
ξ゚⊿゚)ξ「……はい、ショボンと会った後から」
(‘_L’)「──────やはり神に見初められたお方だ」
驚きもあったのだろうか、口元を押さえながらツンから視線を逸らしながら、呟くように漏らした。
だが、次にはまた口調を強めて、ツンを説き伏せようと矢継ぎ早に言葉を投げかける。
(‘_L’)「それならば……なおさら、こんな危険な事に介入すべきではないのです。
ツン様ほどのお方ならば、今後は皆の指導者という立場となって────」
ξ゚⊿゚)ξ「………」
ずっと黙ってフィレンクトの言葉に耳を傾けていたツンだったが、除々にその表情が強張っていく。
なおも説教を続ける彼に対し、やがて我慢を重ねていた彼女は、ついに抵抗を試みた。
(‘_L’)「ですから、ツン様にはいち早く亡きアルト司教の………」
ξ゚⊿゚)ξ「──────いやッ!」
(;^ω^)「おっ……」
村の広場に響き渡る勢いで言い放ったその一言に、フィレンクトはツンの表情を覗き込み、呆然とした。
-
(;‘_L’)「………はて?」
ξ゚⊿゚)ξ「だから、イ〜ヤッ!」
(;‘_L’)「………こ、これは………」
これほどまでにツンに強く拒まれたのは初めてなのだろう。
さしものフィレンクトも当惑し、どう言葉をかけてよいものか思案にあぐねているようだ。
「どうしてよいものでしょうか……」などと小声で後ろに控える部下達に考えを求めたが、彼らも首を振る。
ξ゚⊿゚)ξ「フィレンクト様、聞いて下さい」
(‘_L’)「………はい」
頭を悩ましていたフィレンクトだが、ツンの力のこもる眼差しが自分に向けられている事に気付くと、
その瞳に打たれてか、体を正して真剣に話を聞く態勢に入った。
ξ゚⊿゚)ξ「───残した手記で、父はこう言っていました」
ξ゚⊿゚)ξ「私の祈りは”荒んだ人たちの心を清らかにしてくれる”って」
ξ-⊿-)ξ「そして、”人々を思いやる優しい気持ちを忘れるな”って……」
(‘_L’)「………ですが」
-
ξ゚⊿゚)ξ「───私、思うんです。この”聖術の力”は、未だ見ぬ誰かを助けるために授けられた物なんだって」
ξ゚⊿゚)ξ「そして、その”誰か”の力に……助けになってあげたいと思うんです────だから」
( ^ω^)「?」
力強い言葉を口にしながら、熱の篭った瞳をブーン達の方へと向けた。
そして、完全にその存在を彼方まで置き去られた彼らに対し、ツンの口から驚きの言葉が飛び出た。
ξ゚⊿゚)ξ「だから私───この人達と、旅をします」
(‘_L’)「────ッ!」
(; °ω°)「おぉうっ!?」
爪;'ー`)y-「おいおい、そんな事を許可した覚えはねーぞ?」
その言葉に、フィレンクト以上に仰天したのは彼ら冒険者の面々だ。
確かに縁はあったといえど、一介の修道女である彼女が突然そのパーティーに加わるというのだ。
それもあまりに唐突な申し出、否、宣言だ。
なぜだか、彼女の中ではそれについて決定事項となってしまっているらしい。
眉間を指で押さえて俯いた後、フィレンクトが何事かを考え込んで、ブーンの方へと振り返った。
(‘_L’)「そうですか……そうですかツン様……」
(; °ω°)「えっ、えっ、おっ」
-
背中から身の丈を遥かに凌ぐ長大な槍を抜くと、その切っ先がブーンの喉元へと向けられる。
(‘_L’)「そうなのですね……この者達が居なくなれば……それで」
(; °ω°)「ちょっ……ブーン達に何も罪はないおぉッ」
ξ;゚⊿゚)ξ「フィ、フィレンクト様!?」
慌ててそれを遮って間に割って入ったツンにより、フィレンクトの暴走は事なきを得る。
だが、それでもまだ槍を携えたまま、畏怖すら感じるほどに鋭い視線でツンに問いただした。
(‘_L’)「─────決意は、堅いのですか?」
ξ゚⊿゚)ξ「………はい」
(‘_L’)「貴方はこの大陸の綺麗な世界ばかりを見てきました……ですが、今後その逆位置にある、
人というものの醜く淀んだ、暗く薄汚い部分も沢山目にする事になるでしょう」
ξ゚⊿゚)ξ「………」
(‘_L’)「誰もが目を逸らしてしまいたくなるものを直視し続けて、耐えられるのですか?
救われるべき人間ばかりでもないこの世の中で、決して芯を曲げる事なく……」
少しだけ考え、一瞬俯いたツンだったが────それでも、彼女の中の答えは変わらなかった。
ξ゚⊿゚)ξ「それでも……救える人は救いたいと思うから」
( _L )「─────そうですか」
-
(;^ω^)(ほっ)
ようやく槍を下ろしたフィレンクトの姿に、ブーンは安堵して胸を撫で下ろす。
だがそれも束の間、気を緩めようとした彼に思わず背筋がしゃんと伸びるような口調で言葉が投げかけられた。
(‘_L’)「冒険者、ブーン=フリオニールッ!」
(;^ω^)「はいお!」
(‘_L’)「そして、グレイ=フォックスと……ショボン=アーリータイムズ……」
(´・ω・`)「何です?」
(‘_L’)「貴方達3名には、聖教都市ラウンジの次期司教、ツン=デ=レイン様警護の任を与えます」
ξ゚⊿゚)ξ(!)
爪;'ー`)y-「おいおい……何の権限で……越権行為もいいとこじゃねーか」
フィレンクトからは、まるで自らが預かる部下に対し命令するような厳しい口調で、淡々と述べられた。
彼の意図する所としては、”旅に連れ添おうとしているツンを、何が何でも危険から守れ”という事だ。
-
(‘_L’)「黙りなさい、もし先に述べた責務を果たせぬような事があれば────
その時は即刻、我が”クーゲル・シュライバー”の錆びにしてくれましょう」
(;^ω^)(こ、このおっさん……物騒な事をつらっとして……)
爪;'ー`)y-(俺達に自由はないのか)
(‘_L’)「いいですか、それほどの責任を持って警護に当たるのです」
ξ*゚⊿゚)ξ「……ありがとう、ございます!」
深く頭を下げるツンと、腕を組んで険しい表情を浮かべるフィレンクトだったが、
そこからビロード神父に一礼をしたかと思えば、部下達を伴って早々に村を引き上げていくようだ。
依頼は完遂されたのだ。そして、ツンも聖教都市に戻らぬと答えた。
ついぞ自分の口から出してしまった言葉から気変わりしてしまわぬようにか、
フィレンクト=エルメネジルドは、ツンに対して振り返る事もなくアルバの村を後にしていった。
その彼らの後姿を見届けながら、出会った時の印象と変わらず、強情で我が強いツンという女性に
引っ張りまわされる今後を憂いて、ブーンとフォックスがうな垂れながら不平を漏らしていた。
-
ショボンはというと、肩をすくめてこう言った。
(´・ω・`)「ま、仕方ないね……きっと、縁があったんだよ」
(;^ω^)「ブーン達の理不尽な立ち位置にいまいち納得できないけど、そういう事にしとくかお」
ξ゚⊿゚)ξ「さぁ、フィレンクト様も居なくなったし………何してんの、行くわよ?」
と、そこへ割って入ってきたツンの表情を、三人はしげしげと眺めた。
「何なの?」と言わんばかりの彼女に対しては、パーティーに加える許可を与えるか否かの問答など無駄だろうと悟る。
(;^ω^)「こうしていても仕方ないお。支度をしたらツンを連れて……戻るかお、ヴィップへ」
ξ゚ー゚)ξ「そうそう、男なんだから小さいコトでケチケチしないの!」
爪'ー`)y-「ったく、とんだじゃじゃ馬だな」
ブーンの背中をばんばんと叩いて、荷物を取りに民家へと戻っていく彼らを、ツンが送り出す。
そうして自身もまた身辺の用意をしようと思った時、何人かの村人がツンの元へと歩み寄ってきた。
「ありがとうよ、お嬢ちゃん」
そう声を掛けてきたのは、コトばあさん。
不死者騒ぎの際に、家から出るのを拒んでいた老婦人だ。
「今でこそ……だけど、あたしゃどうにか生き延びたみたいだねぇ」
-
ξ゚ー゚)ξ「……いえ、私なんかのお陰じゃないです」
誰かの重荷になる事を拒み、自らを捨て置いて他者を拒んだ。
他者を労わるという気持ちには、そういった自己犠牲の形もあるものだという事を、このコトばあさんから学んだ。
「旅に出るんだね? ……気を付けて行っといで」
ξ゚ー゚)ξ「ありがとう。コトおばあさんも、お元気でね」
顔をくしゃくしゃにして笑顔を投げかけてくれる彼女の表情に、実に心が温まる。
それと同時に、不死者達の手によって脅かされようとしていた彼女の命が結果として救えた事に、
そして彼女自身からも感謝の言葉をかけられた事が、誰かを救う事に対しての喜びとして、胸に刻まれた。
ノノ'_')「───お姉ちゃん!」
( ><)「ツンちゃん……あの人達と、旅に行かれるんですね?」
ヴィル少年と、ビロード神父もツンの傍へと駆け寄る。
フィレンクトとしていた問答を聞いていたのか、ビロードもツンの身を案じているようだ。
それでも彼なりに送り出してくれようとしているのか、自らの首に掛かった十字架を取り外すと、
それをツンの元へと差し出した。
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