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男「お願いだ、信じてくれ」白蓮「あらあら」
1
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/01/20(水) 05:32:56 ID:GS4PMXIs
このSSは東方の二次創作であり、
男「どこだよ、ここ」幽香「誰!?」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read_archive.cgi/internet/14562/1388583677/
男「なんでだよ、これ」ぬえ「あう」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1400909334/l50
の続きとなっております。
そちらを先にご覧くださると幸いです。
また、オリジナル設定、オリジナルキャラ、東方キャラクターの死亡などが含まれますので苦手な方はご注意ください。
127
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/09(金) 03:08:25 ID:YDgOS2Ss
乙ゥ��
更新頻度上昇ウレシイ...ウレシイ...
128
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/09/09(金) 23:47:43 ID:bJ8dafqg
聖さんに言われた通り水垢離を行う。
といっても滝行ではなく井戸水を使ってだが。
返事をしたはいいものの運動で熱くなった体とはいえ冬の井戸水だ。きっと身を切るような冷たさだろう。
恐る恐る水をくみ上げ釣瓶の中の水に指先を入れる。
男「………いや、無理だろこれ」
入れた瞬間に拒否反応を示すほどの冷たさ。これを全身に被る? 考えたくもないな。
「えいっ」
男「うひゃぁぉっ!?」
釣瓶を前に思案しているとそれを奪い取り俺にぶっ掛ける影が一つ。
ぬえ「早く来なよ。朝ごはんが食べれないんだからさぁ」
さぞ自分が困っているといった口ぶりだがその表情は笑みを抑え切れていない。
俺はあまりの寒さ―――痛さに震えながら頷く事しかできなかった。
129
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/09/10(土) 00:13:52 ID:Trb7DoPc
布で水をふき取り、作務衣に着替えると少しは寒気は収まったがそれでもまだ寒い。
博麗神社の温泉が懐かしかった。
聖「おかえりなさい、男さん。どうですか作務衣の調子は」
男「えぇ。十分です」
少し丈は短いがすごい気になるというほどでもない。贅沢は言ってられないためこれで十分だ。
聖「それでは昨日と同じ場所で皆が待っていますよ」
男「待たせてしまい申し訳ない」
聖「いえいえ、待つ程度で彼女たちの心は揺らぎませんよ。ほら」
聖さんが襖を開ける。するとそこには
130
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/09/10(土) 00:17:24 ID:Trb7DoPc
水蜜「げっ。負けたぁ!?」
一輪「これで朝ごはんのおかずを一品私がもらうわね」
朝ごはんのおかずをかけてジャンケンをしている一輪と水蜜の姿だった。
水蜜「初めから一品しかな―――」
聖「賭け事ですか」
一輪「なぁっ! い、いえ違うんですよ姐さん。賭け事じゃないですよやだなぁ」
聖「申し訳ありません。私は少しやることができたので先に食事をいただいていてください」
男「は、はい」
そうにこやかに言い、聖さんは一輪と水蜜を引きずって寺の奥へ消えていった。
ナズ「気にすることはない。良くあることさ」
男「ナズーリン。いたのか」
ナズ「君が最後なんだよ。早く席に着き給え」
男「すまない」
131
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/09/10(土) 00:25:40 ID:Trb7DoPc
急いで席に着くと星さんがにっこりとほほ笑んだ。
星「それではいただきましょうか。今日は特に忙しくなる日ですから」
「いただきます」
朝食のメニューは白米に大根を混ぜたものと味噌汁、大根の漬物。味噌汁の具はサツマイモか。
博麗神社と比べて………いや比べるのはダメだ。
星「貯蓄があるとはいえこうやって節約していかなければ持たないのですよ。特に私たちは殺生が許されない身分ですから」
男「いえ、別に文句があるわけでは」
ばっちりと見抜かれていた。慌てて訂正するもナズーリンの冷めた視線が突き刺さる。
ナズ「これだから外から来た人間はひ弱でいけないね」
響子「これでも十分美味しいですよ?」
ぬえ「やーい贅沢者〜」
まさかの全員から言われるとは。
この雰囲気が絶えれずかゆのようになったごはんを漬物で強引にかき込み、薄い味噌汁を飲み干した。
132
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/09/10(土) 00:32:33 ID:Trb7DoPc
男「ごちそうさま」
ナズ「食べ終わったなら支度をしたまえよ」
男「どこか行くのか」
マミ「あぁ、行くともさ」
ぬえ「マミゾウ!」
後ろを振り向くと丸い眼鏡をかけた女性………大きな狸のような尻尾のある女性がいた。
ぬえが呼んでいた名前はマミゾウ。そういえば昨日話の中で出てきたような気がする。
マミ「昨日は呼び出したのにいなくてすまなかったの」
―――そういえば呼び出されていたような気もする。すっかり忘れていた。
男「えっと、それでマミゾウさん?」
マミ「マミゾウで結構じゃよ」
男「どこへ行くんですか?」
マミ「分かるだろう。お主がしたいことを叶えてやろうとしているんじゃよ」
マミ「この世界を救いにさね」
133
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/10(土) 01:22:03 ID:rea/bNRU
寝落ちかな?
134
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/10(土) 04:29:22 ID:wQR0lZ7E
あっさり「この世界を救いに」とか言ってのけるとか格好良すぎでしょう?
135
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/09/11(日) 01:25:44 ID:Pbw97qso
マミ「動くにしても聖がいなけりゃ動けないからの。ちょっと儂に付き合ってくれんか」
そういってマミゾウが手招きをする。
とくに断る理由もないのでマミゾウに招かれるままついていくとマミゾウは庭に下り立ち、懐から煙管を取り出した。
マミ「構わないかね?」
男「えぇ」
マミゾウが煙管の先に指を差し込むと煙管から煙が立ち上り始めた。マミゾウは深く一服すると満足そうに口から煙を吐き出した。
マミ「最初に行っておくが、儂はお前を信じておるよ」
男「そりゃまた、なんで」
マミ「勘なんかじゃない。年寄りの知恵と知識ってやつさね。儂はお前がどういう奴かは知らんがどういう役割を持つかは大体わかった」
マミ「お主は儂等の切り札よ」
マミゾウが二度煙を大きく吐き出す。紫煙が冬の風に浚われ消えていった。
136
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/09/11(日) 01:33:11 ID:Pbw97qso
男「切り札なんて、そんな俺は大したことないし」
マミ「確かに、お主は大したことないよ」
その通りだが、少しグサリとくる
マミ「ただお主の経験と記憶は大したことがある。これからのことは変わっていくじゃろうがまずは我々が先手をとれる。これがどれだけ大きいことか」
マミ「それに変わらぬこともあるじゃろうて。それを拾い集めていけば我々はいったいどうなる。楽しみよのう」
マミ「さて男。儂等に何を求める。言ってみよ」
マミ「佐渡の団三郎。金も力も夢も、全て貸して見せようぞ」
マミ「さぁ、敵を化かしてみせようぞ」
137
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/09/11(日) 01:43:50 ID:Pbw97qso
男「じゃあ力を貸してほしい」
男「小さいことだけど。戦いには関係ないかもしれないけど」
でも、俺じゃあどうしようもないことで。
でもどうにかしなくちゃいけないことで。
マミ「簡単よ。すでに聖に話をしておるんじゃろ?」
男「あぁ、でもその場所がどこにあるか」
マミ「なんてのは簡単よ。のう」
「じゃなきゃあ、あたいが来た意味がないしねぇ」
男「その声は」
小町「やぁ、初めまして、じゃないのか。どういえばいいか困るねこれ。あたいにとっては初対面なんだけど」
男「小町!」
小町が困ったように頭を掻いていた。俺と小町の間にある温度差。理由は分かるがぬえ同様寂しいものだ。
小町「そんな寂しそうな顔しないでおくれよ。あたいが悪いみたいじゃないか」
男「すまん。別に小町が悪いわけじゃないんだ。ただ」
小町「いいっていいって。あたいだって本気で言ったわけじゃない」
138
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/09/11(日) 01:56:21 ID:Pbw97qso
小町「それよりも四季様は大丈夫って言ってたけどあたい個人はお前さんのことをよく知りはしないんだ」
小町「信用させてくれよ。なぜそうまでしてあの子供たちを助けるんだい?」
男「簡単だよ」
それは至極単純な事。
俺の心に残る棘。
男「遊んでやるって約束したんだ―――未来で」
小町「はぁ。やれやれ。傍から聞いたら妄想弁者の戯言。だけれどそんなまっすぐな目で見られたら断るわけにもいかないじゃないか」
小町「ま、四季様に言われた時点で断ることはできないんだけどね。それじゃあいくよ男!」
小町が鎌を振り上げ―――
小町「目標妖怪の山中腹。距離直線にして78キロ。障害物には気を付けて行ってきな!」
地面に真横の一文字を刻むように振り下ろした。
139
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/09/11(日) 02:02:09 ID:Pbw97qso
小町「行き方は分かるだろう?」
男「あぁ。いつも使ってた」
小町「やれやれ、なんだか不思議な気分だねぇ。初対面に人にこんな信頼されるとむず痒いったらありゃしないよ」
男「小町は信頼できるって知ってるからな」
小町「よしてくれよそんなこっぱずかしいこと」
小町はぽりぽりと頬を掻き「あたいはもう帰るから」と言って消えていった。
140
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/09/11(日) 02:04:22 ID:Pbw97qso
マミ「さてこれでいけるのう」
男「でもまずは聖を待たなくちゃな」
マミ「お主だけで言っても連れて帰るのは無理じゃろうしな」
男「マミゾウは来てくれないのか?」
マミ「儂は儂ですることがあるのよ。あぁ、そうそう」
男「なんだ?」
マミ「ぬえ。ぬえのことをどう思う?」
男「………俺が知ってるぬえは今のぬえじゃない」
マミ「今のぬえは嫌いかね」
男「いや、今のぬえも俺が知ってるぬえも同じぬえだ。大きく変わりはしないよ」
男「大好きだ」
マミ「その言葉ぬえが聞いたらどう思うかの」
男「はは、それは恥ずかしいな。今のぬえのことだからきっと「キモイ」とか言いそ、え?」
ぬえ「キモいキモいキモいよ! マミゾウこいつ気持ち悪いよ!!」
141
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/09/11(日) 02:11:48 ID:Pbw97qso
聞かれていた。ばっちり聞かれていた。
そのうえ極限までの拒否反応を示されている。
その反応がショックすぎて俺は膝から崩れ落ちた。
ぬえ「こんな奴と一緒にいられない! 私はいかないからね!!」
そういって消えるぬえ。
男「そんなぁ、そんなことって。うぇっ。あぁもうやばい。吐きそう」
マミ「これこれ泣くでない。いやお主泣きすぎじゃろう。目どころか鼻からもあふれ出ておるぞ」
男「だって」
マミ「気にするでない。ぬえの照れ隠しよ。お主のことを本気で嫌っているわけではない」
男「本当、なのか?」
マミ「本当よ。つまりぬえはお主のことを嫌ってはいない。安心するのじゃな」
男「それは良かった。本当に良かった」
立ち直れなくなりそうなほどの痛み。
それは萃香にぶん殴られたときよりもずっと痛かった。
142
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/11(日) 02:26:15 ID:mCuO5dGw
なんかワロタ
乙
143
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/11(日) 04:07:58 ID:bgKriAt.
まみぞう
144
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/11(日) 04:13:33 ID:bgKriAt.
おのれタッチパネルめ……連投失礼
マミゾウさん。口から出任せじゃあるまいね?
145
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/09/12(月) 12:33:57 ID:8bvvbbwY
聖「お待たせいたしました」
半刻………30分ほど待っただろうか。聖さんがやってきた。
そういえば寺の奥から聞こえていた悲鳴ももう聞こえていない。
俺は心の中で二人に念仏を唱え小町が引いた線に向き直った。
男「行きますよ」
聖「えぇ」
マミ「頑張るんだよ」
線に体を半分進めると景色が急速に歪み、絵の具に別の絵の具を垂らしたかのような曖昧な風景へと変わる。
さらに体を進め完全に線を越えたとき俺の体は見覚えのある鉄門の前にいた。
146
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/09/13(火) 00:14:40 ID:G2rpitKw
聖「行きましょうか」
男「はい」
この鉄門の中にあいつらがいる。
生きて、笑って。
楽しそうにはしゃいでくれるあいつらがいる。
男「………今度こそ」
そう改めて誓いを立て俺は鉄門を開―――
男「んぐぐぐぐ」
開い―――
男「お、重いぃい」
開けなかった。
147
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/13(火) 00:19:49 ID:eQ5U8lKc
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
148
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/09/13(火) 01:05:48 ID:G2rpitKw
そういえばいつも小町か映姫さんに開けてもらっていたなぁ。
映姫さん。俺より力強かったのか。やっぱり閻魔辞めても人間よりは上みたいだな。
聖「私が開けましょう」
男「お願いします」
聖さんの強さは知っている。
さっき見た通りの強さで聖さんは普通の扉を開けるかのような気軽さで鉄門を開いた。
その中はいつか見た洞窟で、もちろん炎に包まれてはいない。
男「………こんにちは?」
洞窟の奥からは声がしない。
そうか俺が初めて来るから警戒をしているのか。
聖「進みましょうか」
男「えぇ」
149
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/09/13(火) 01:16:06 ID:G2rpitKw
洞窟の中は明るいとは言わないまでも壁に開けられた小さい穴から揺らめく緑色の炎が歩行や認識に支障が出ない程度には照らしてくれている。
大人一人が通れるのがやっとの道を進んでいくと急に開けた場所へ出る。
そこに子供たちがいた。
男「ひさ………初めまして」
そして子供たちを守るようにして一人の女性―――妖怪の女性がたっている。
最後まで子供たちを守ろうとした強くて優しいひとだった。
保母妖「初めまして。この子達の面倒を見ている保母妖怪です」
彼女が頭を下げる。俺も慌てて頭を下げるとこっちをじっと見ている羽少年がいた。
保母妖「四季映姫様から話は聞いております」
男「映姫さんから? じゃあ子供たちを」
保母妖「私としては反対なのです」
保母妖怪が一歩前に出る。俺との距離は1メートル程度。彼女がつけている丸い眼鏡が炎を反射して輝いた。
150
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/09/13(火) 01:24:42 ID:G2rpitKw
保母妖「あなた方の庇護をうけるということは妖怪の山の意思と反することです」
保母妖「私は良い。でもこの子達の未来はどうなるのでしょうか」
………そう、妖怪の山の子供を勝手に連れていくことはできない。さすがに妖怪の山から許可は出ないはずだ。
実際映姫さんだって連れ出そうとはしなかった。あくまで面倒を見るだけ。
だけれどここにいてはいけないということは分かっている。だから俺は
男「………聖さん。ご迷惑をおかけします」
聖「………えぇ」
保母妖「何を、する気ですか」
男「ここに存在する27名。この俺。男が独断で奪い受ける」
男「子供たちはあくまで被害者。あなたも完全に責任無しというわけにはいかないでしょうが被害者」
保母妖「では、それではあなたが妖怪の山へ」
白蓮「白蓮寺一同。罪なき命を守るためならたとえどのような汚名をかぶろうとも、どのような被害を受けようとも構いません」
白蓮「少なくとも私は今までそう生きてきました」
保母妖「………………分かりました」
保母妖「私、保母妖怪はあなた方に喜んで奪われましょう」
151
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/09/13(火) 01:39:07 ID:G2rpitKw
羽少年「先生。俺たちどうなるんだ」
保母妖怪「大丈夫。私が守って見せるから」
犬耳娘「で、でも怖いよう」
羽少年「大丈夫だ。俺が守ってやるからっ」
子供たちから怯えは消えていない。
男「なぁ、そこの少年よ」
羽少年「な、なんだ俺か!?」
男「あぁ、そこの一番好奇心が強そうで勇気に満ち溢れた君だ」
羽少年「なんだよっ」
こいつならこの言葉を聞くはずだ。
羽少年の好奇心に救われたあの日を。
男「―――俺、外の人間なんだ」
152
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/09/13(火) 01:42:48 ID:G2rpitKw
羽少年「っ! だ、だからなんだよっ」
そうやってそっぽを向いたところで一度動いた好奇心は止められない。
今にでも動く。すぐ動く。
うずうずと自分を抑えきれなくなる。
お前はそういう奴だったな。
男「外の世界にはいろんなものがあるんだ。聞きたくないか?」
羽少年「へっ。だからなんだっていうんだ―――」
羽少年「で、でも教えたいんなら教えてくれたっていいんだぜ?」
男「そうだな。じゃあ海の話を」
犬耳娘「!」
ぴこんと犬耳娘の耳が動く。
男「そうだな海ってのは―――」
153
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/13(火) 06:02:48 ID:HjpOynuM
生命の源であり、ロマンの塊だ
154
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/13(火) 06:58:37 ID:cAQRycc2
乙
155
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/13(火) 08:06:28 ID:xYsmwhqo
乙!
さて、これからどう変わってゆくのかな?
156
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/16(金) 05:14:27 ID:oWniYtLQ
きたか
157
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/28(水) 00:27:05 ID:GQoVjBUA
乙です
158
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/28(水) 11:33:42 ID:iyrrjEFk
男「さて、他に何か質問は?」
海について話し終わったころには子供のうちの大半が俺を真剣な目で見つめていた。
角娘「は、はい」
手を上げたのは見た目に反して臆病な角娘だった。
そういえば角娘が何を好きかは分からない。子供たちと会っていた時間が短い間だったし自己主張もしてこないせいだ。
男「なんだ?」
角娘「あの、その」
角娘は何かを伝えようとしているがおどおどとするばかりで言葉に詰まりっぱなしだ。
男「何が、好きなんだ?」
角娘「そ、そうじゃなくて。な、なんで」
角娘「外の世界の人間なのに、わたしたちを、助けようと」
至極当然の疑問。子供だから聞いてはこないだろうと高を括っていたが………
今度は俺が言葉に詰まる番になった。素直に今の状況を伝えると俺は非常に不審な人物となってしまう。
彼女たちにはわかるはずのない事情。答えてはいけない答え。
君たちが死んだからなんて言えるはずもなく。君たちが好きだからといえるわけもなく。
159
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/09/28(水) 11:38:43 ID:iyrrjEFk
男「約束、したんだ」
角娘「?」
全てを隠すにはこの気持ちは心の根底にありすぎて、もう堪えることなんてできなくて。
しかたなく嘘をついて真実をこぼす。
男「き、君たちくらいの子に、約束をしたんだ」
男「遊んでやるって、空手を教えてやるって、拙い、俺なんかの、だから」
支離滅裂な言葉。
嗚咽と涙に邪魔されて言葉も思考もまとまらない。
きっと今の俺の姿はみっともないだろう。
大の大人が気持ちも伝えきれずにただただ泣いているだけなんだ。
あぁ、失敗してしまった。
やっぱり隠すにはこの気持ちは大きすぎたんだ。
160
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/09/28(水) 11:45:12 ID:iyrrjEFk
羽少年「お疲れさま」
男「え?」
羽少年が俺の頭を撫でていた。
羽少年だけじゃない。
犬耳娘も
犬耳娘「頑張ったね」
角娘も
角娘「ありがとう」
俺を慰めてくれていた。
161
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/09/28(水) 11:45:49 ID:iyrrjEFk
羽少年「………あれ」
犬耳娘「なんで私たち」
角娘「………?」
突然呆けたような表情になる三人。
そんな三人を俺は感極まって抱きしめた。
男「ありがとう………っ、ありがとう………っ」
まだ失ってないものがあった。
まだ続いているものがあった。
162
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/09/28(水) 11:59:22 ID:iyrrjEFk
保母妖怪「彼は、何かあったのですか?」
白蓮「………えぇ、事情がありまして」
保母妖怪「それが子供たちを助ける理由ですか」
白蓮「子供たちだけではありませんよ」
保母妖怪「はい?」
白蓮「あなたもです」
保母妖怪「………」
保母妖怪「ただの人間に守られるだなんて、変な気分ですね」
保母妖怪「でも嫌な感じはしませんね、ふふふ」
保母妖怪「よろしくお願いいたします」
白蓮「こちらこそ。ありがとうございます」
163
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/28(水) 22:26:33 ID:ZXMvHeDo
乙
164
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/28(水) 23:21:05 ID:GQoVjBUA
若干前の体験が残っているのか。
165
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/29(木) 04:51:58 ID:KbNKHsnc
乙!
早くも泣かせるじゃねぇかよぅ!
166
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/10/07(金) 10:38:29 ID:JLwZjy.c
白蓮「それでは皆さん、着いて来てくださいね」
白蓮さんが二度手を叩いて注目を集める。
白蓮さんを先導にして薄暗い洞窟を入口に向かって歩いていく。
子供の人数はそう多くはないとはいえ統率なんかはとれていない。おとなしいとはいえ全員を外に出すのに時間がかかってしまった。
白蓮「さて、それでは―――!」
白蓮さんが出ると同時に空を見上げた。
男「どうしました?」
白蓮「もう気づかれましたか。走ってください、子供たちを連れて小町の引いた線まで」
その言葉を言い終えるのとほぼ同時だった。
数匹の黒い影が遥か彼方から矢のように飛んできたのは。
167
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/10/07(金) 10:48:16 ID:JLwZjy.c
烏天狗「誰かと思えば妖怪寺の尼とは。一体我らの子に何をしている」
白蓮「保護です」
保母妖怪と子供たちを走らせる。後ろから聞こえてきたのは低い声と羽ばたく音。
ちらりと振り返ると大きな黒い羽を持ち、山伏の恰好をした男が数人白蓮さんに相対していた。
最初の子供が線に触れるまで数メートル。あと数秒もすれば逃げ切れる―――
はずだった。
烏天狗「保護? してるではないか。こうして」
一番先頭を走っていた子供の前にいつの間にか強風とともにあいつらのうちの一人が現れ一人の子供の手を握っていた。
子供たちはその男に対して萎縮し、前へ進もうとする足を止める。
保母妖怪「ダメ!」
烏天狗「ぬぅ!?」
その男へ保母妖怪が体当たりをした。
派手なことは起きなかったが衝撃で男がその子供の手を放した。
その隙に子供たちが再び走り出す。
168
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/10/07(金) 10:55:30 ID:JLwZjy.c
烏天狗「まてっ!」
再び子供たちを追おうとする男だったが
白蓮「烏天狗ほど私は速くはないですが、かと言って遅いわけでもない。さて、お話をしましょう」
その首根っこを白蓮さんに掴まれ地面に引き倒されていた。
白蓮「手荒な真似をしてしまうことはお詫びします」
烏天狗「たかが女一人だ! 我々烏天狗に―――」
そう威勢よく言い放とうとした言葉は最後まで言えることはなく代わりに口から泡が噴き出た。
烏天狗「こ、こいつ尼のくせに」
白蓮「殺生はしてませんからご安心を。ただあなた方は話を聞かなさすぎます。誠に哀れで田夫野人でありますね」
白蓮「言の葉には言の葉を、力には力で。あなた達が救われるまでいざ、南無三―――!!」
169
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/10/07(金) 11:01:08 ID:JLwZjy.c
保母妖怪「みんな、走って! さぁ!」
男「あそこの線まで!」
子供たちの足はそれでほど速いわけではない。線まで数秒。
俺たちが逃げれるまで十秒程度。
それは深く数回呼吸をする程度の時間の攻防だった。
荒れる風、黒い影が飛び回っているのがやっと認識できるほどの速度。
しかしその速度に対応し八艘を飛ぶかのように白蓮さんはその影から俺たちを守る。
速すぎて複数人存在するかのようだ。実際残った残像がかき消えているのすら見える。
霊夢も霊夢ですごいし萃香も萃香で常識外。
それと同じくらいのなんと埒外な戦いだろうか。
170
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/10/07(金) 11:08:58 ID:JLwZjy.c
羽少年「俺で最後だ―――
白蓮「っ!」
その瞬間はやけに遅く見えた。
最後羽少年が線を踏むか踏まないかのとき、白蓮さんが逃した一人の男が横から攫おうと飛んできて
保母妖怪「―――っ!」
それを阻止するべく羽少年を突き飛ばした保母妖怪の両腕がすぱりと切断されるのを
烏天狗「ちっ、裏切りものめが」
保母妖怪「う、うぅぁ」
腕は上腕から先が切断され真っ赤な血が噴き出して地面と保母妖怪を濡らす。
白蓮「早くっ!」
その言葉でやっと俺は動けた。
ゆっくりとなった視界が通常の速度に戻り保母妖怪を抱いて線を超す。
ぐにゃりと景色が歪んで一瞬のうちに俺たちは寺の庭に横たわっていた。
171
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/10/07(金) 11:12:18 ID:JLwZjy.c
「先生っ! せんせぇいっ!」
子供たちの声が聞こえる。血で真っ赤に染まった視界ではあまり良くものを見ることはできない。
かろうじて見える右目の端だけを使いあたりを確認する。
移動で生じた頭痛が早く消えろと思いながら見回す。
保母妖怪を囲む子供たち。
向こうから慌ててかけよる星さん。
驚いた顔のぬえ。
真っ赤に染まる地面。
172
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/10/07(金) 11:17:04 ID:JLwZjy.c
保母妖怪は星さんによって寺の奥へ連れられていった。
残された子供たちはぬえが纏めて面倒を見ている。
驚いたのはぬえが手際よく子供たちのパニックを抑えたことだ。
それに比べて俺は、見えていたのに何もできなかった。
今も。
犠牲は減った。たしかに犠牲は減ったけれども。
ベストな結果にはならなかった。
まだもう少し良い結果にすることはできたのではないかと自問自答するが―――
もう拳銃に弾は一つも残っていない。
173
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/10/07(金) 11:22:43 ID:JLwZjy.c
白蓮「彼女は?」
男「あ、おかえりなさい」
衣装の端々をボロボロにしながらも体に傷一つついていない白蓮さんが戻ってきた。
それでようやく俺が地面にずっとへたり込んでいることに気が付いた。
寅丸「聖、戻ってきたのですね」
白蓮「寅丸。彼女はどうなりましたか」
寅丸「傷は塞ぎました。妖怪ですから死ぬことはないでしょう」
寅丸「しかし彼女はそう強い妖怪ではありません。腕が生えるまでかなりの時間が。いえもう生えることはないかもしれません」
白蓮「それで済んだのなら僥倖です。命あっての物種ですから」
寅丸「えぇ、もし死んでしまえば子供たちにどれだけの影響がでるか」
白蓮「………男さん?」
男「あ、あぁ………」
白蓮「男さん?」
男「ごめんな、さい」
ごめんなさい
174
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/10/07(金) 11:24:55 ID:JLwZjy.c
腕がなくなった。死にはしないけれども。
でも腕がなくなった。
見えていた。救えていたはず。
動けなかった。
俺は動けなかった。
だから腕がなくなった。
男「ごめんなさい」
ごめんなさい。
ごめんなさいというしかない。
白蓮「………問題は」
寅丸「こっち、ですね」
175
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/10/09(日) 00:14:46 ID:cQdVUTk6
男よ、失意に沈んでいる暇があるのか?
そうしていると、また次々と失われていくぞ
最後のチャンスなんだろう?それすらもそうやって潰しちまう気か?
176
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/10/09(日) 08:45:40 ID:wR0Cy1ts
落ち込んでいる暇が無いってのは分かっている。
前の世界で失われたものの重さは分かっている。
それでも
白蓮「男さん」
男「白蓮、さん」
白蓮「少し、落ち着きましょうか。お茶でも飲んで」
男「い、いえ、俺は」
白蓮「寅丸」
寅丸「はい」
寅丸さんが俺の体をひょいと持ち上げる。
そのまま俺は俗に言うお姫様だっこの状態で寺の中まで運ばれた。
177
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/10/09(日) 08:54:14 ID:wR0Cy1ts
運ばれた先は星さんと話したあの部屋。
部屋の奥にはいかめしい表情をした仏像がこっちを睨んでいる。
星さんによって俺は座布団に座らせられすぐ対面に白蓮さんと星さんが座った。
白蓮「貴方は少し、いえかなり心が弱すぎる」
男「はい…」
分かっている。それでもそう簡単に治るものではなく。
白蓮「貴方は私たちの希望。私たちの行く末を指す存在。そんな貴方がこう簡単に折れてしまって、悲願成就なるものですか」
男「ですが、それでも」
彼女の身に起きた悲劇はとてもつらいもので
だって
男「子供を抱きしめてやれないなんて―――っ!」
178
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/10/09(日) 10:03:31 ID:wR0Cy1ts
白蓮「彼女にとって、それでも子供達を守りたかったのでしょう。貴方に出来ることは彼女の覚悟を踏みにじることではなくて、彼女に覚悟を背負って進んでいくことではないですか」
白蓮「前の世界で失われた命、思い、願い。貴方はそれを背負ってここまで歩いてきたのではないですか。歯を食いしばってでも歩き続けなければそれは転がり落ちてしまいます」
白蓮「立ち上がりなさい男さん。全て背負って歩き続けましょう。それが今の貴方に出来ること。いや、貴方にしかできないことです」
その通りだ。
俺は全てを助けるって前の世界で誓ったはずだ。それなのに。
でも、重くて、苦しくて。
どんどん圧し掛かってくるそれの重さはただの人間である俺が背負うには大きすぎて。
寅丸「男さん」
男「はい………」
寅丸「支えますから。背中を押しますから。倒れそうなら肩を貸しますから」
寅丸「私たちを導いてください。お願いします」
星さんが深々と頭を下げる。
そう安々と下げていいわけじゃない頭を俺は今までなんど下げられてきただろうか。
そんな人達の願いを俺は―――
179
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/10/09(日) 10:08:03 ID:wR0Cy1ts
男「すいません。また、見失っていました」
寅丸「見失ったなら照らしましょう。虎柄の毘沙門天である私が」
その金色の目が俺を射抜く。
優しくも強いそのまなざしがとっても羨ましい。
いつか萃香のように強く。
この人のように強く。
憧れる人はたくさんいる。
そしていつか霊夢みたいに。
白蓮「男さん。次、助けるべき人は」
男「次―――」
記憶をたどり今から向かうべき場所は
男「―――チルノ」
180
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/10/09(日) 21:15:35 ID:p1N2DpNU
乙!
救われながら、救え
181
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/10/10(月) 00:32:48 ID:9Kj1V.bM
忘れられし神秘が生きる場所、幻想郷。滅びるにはまだ、惜しい者達が住む世界だ
182
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/10/10(月) 03:34:19 ID:thjAbmhI
最高!無理せず続けてくれ
183
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/10/17(月) 23:09:08 ID:23n0zFUI
今回もチルノが味方になるのか
184
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/10/23(日) 14:22:15 ID:6gXXKHT2
遅筆も大概にしてくれ
185
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/10/23(日) 23:03:46 ID:yOe7859Y
↑面白いのを書いてくれてるんだからちょっとぐらいいいんじゃないか?
186
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/11/18(金) 10:24:27 ID:bRsSS9nA
記憶をたどり始めてチルノにあったときを思い出す。
それは確か紅魔館の近くの湖での出来事で、大妖精を奪われたチルノが暴走して―――
それがあったのは明日の昼頃。
男「………霊夢より先に行かないとな」
霊夢を信用していないわけではない。ただチルノを紫のところへ行かせたくなかった。
白蓮「チルノさんが、どうしたのですか?」
男「人間が妖精狩りをしているのは知っていますか?」
白蓮「いえ、そうなのですか?」
聖さんが口に手を当てて目を大きく見開く。
男「人間は魔力を補充するために、その塊である妖精を捕まえています。そして明日チルノの友人である大妖精が捕まります」
白蓮「では、今すぐ行かなければ」
そうしたい。できることならば大妖精に恐ろしい目にあってほしくない。いや、他の妖精もすべて。
だけど、今日行動してしまえば俺が知ってる情報は皆無だ。チルノも大妖精もどこにいるかわからない。
よしんば会えたとしても仲間になる保証はなく、仲間になったとしてもそれがどんな影響を与えるのかはわからない。
男「明日………明日の朝に行きましょう」
187
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/11/18(金) 10:29:30 ID:bRsSS9nA
聖「分かりました。それでは今日は早くお休みなさってくださいね」
男「はい。明日はよろしくお願いします」
男「………あ、聖さん」
聖「なんですか?」
男「保母妖怪さんに会いたいのですが」
寅丸「正直、今会うのは厳しいかと。彼女も今は消耗して寝ていますし」
男「一言だけ、一言だけなんです」
寅丸「どうしましょうか、聖」
白蓮「私に許可をする権利はありません。拒む権利はあれども。その権利は行使するつもりはないのでご自由に」
と、言うことは自由に行動をしても良いが、それに対する責任はとってもらう。ということだろうか。
寅丸「そうですか。では私が連れて行きますので」
白蓮「よろしくお願いします」
188
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/11/18(金) 10:35:32 ID:bRsSS9nA
星さんに案内されたのは神社の中心近く。大事をとってだろう。
寅丸「おや」
寅丸さんの視線の先には数人の子供。
襖の隙間から保母妖怪さんのことを見ている。
男「羽少年と犬耳娘。あれ角娘はいないのか」
羽少年「うわぁっ!?」
犬耳娘「ひぅっ!?」
どうやら突然声をかけられて驚いたらしく、二人はコントさながら襖を倒しながら部屋の中まで転がっていった。
男「何たるリアクション」
寅丸「あ、あはは。歪んでないといいのですが」
寅丸さんが盛大に外れた襖を見て乾いた笑い声をあげた。
寅丸さんのことだから困り顔は見せないと思っていたが、案外人間らしい………いや、妖怪だから妖怪らしい?
妖怪らしいってなんだよ。
189
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/11/18(金) 10:38:32 ID:bRsSS9nA
男「大丈夫か、羽少年、犬耳娘」
羽少年「い、いてて。いきなり声をかけるなよな! 視界の外から声をかけるんじゃないっ!」」
男「無茶を言うなよ」
犬耳娘「先生が寝てるよぅ しーっ」
犬耳娘が人差し指を自分と羽少年の口に当てて静かにしろとジェスチャーをする。実に微笑ましい。
羽少年「あ」
羽少年の視線の先。
保母妖怪「喧嘩は、いけませんよ」
保母妖怪さんが苦痛に歪む笑みを浮かべていた。
190
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/11/18(金) 11:24:13 ID:bRsSS9nA
羽少年「せ、先生大丈夫か?」
保母妖怪「大丈夫ですよ」
そういって振ろうとした腕はない。保母妖怪さんがはっとして腕を隠すが、犬耳娘が泣き声をあげ始めた。
犬耳娘「せ、せんせぇ………っ」
保母妖怪「大丈夫ですよ。すぐに生えてきますからね」
羽少年「そ、そうだよな。それまで俺が先生の面倒見てやるから」
犬耳娘「わだし、もっ、みるっ」
保母妖怪さんが残ったほうの腕で這うように移動をし、二人の頭を交互に撫でた。
寅丸「二人とも。保母妖怪さんが疲れていますので」
羽少年「………うん」
犬耳娘「わか、った」
星さんが二人を外へ出るように促す。保母妖怪さんは二人を愛おし気な様子で見つめて。
二人の姿が消えたと同時に顔を布団に押し付けた。
保母妖怪「ぐ、くぅっ」
いくら妖怪の体が人間と比べて丈夫だといっても感じる痛みは変わらない。声がまだ近くにいる二人に届かないように布団に押し付けているんだ。
191
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/11/18(金) 11:38:14 ID:bRsSS9nA
声がかけれなかった。痛みに必死に耐える彼女にかける言葉が見つからなかった。
大丈夫ですか。
大丈夫なわけがない。
腕がなくなった姿を子供たちに見せてしまった。
おそらく彼女にとってそれは腕がなくなることよりもつらいことで。
俺は転がった襖を溝にはめて直し、閉めた。少し歪んだ襖はがたがたと音をたて閉まる。
一言、一言だけ謝りたかった。
感謝したかった。
だからその代わりに今の彼女の姿が誰の目にも触れられないように彼女を閉じ込めたんだ。
192
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/11/18(金) 11:58:36 ID:bRsSS9nA
ナズ「なにしてるんだいそんなところで」
襖の前で座り込んでどれだけ時間がたっただろうか。気が付くとナズーリンが訝し気な目で俺を見ていた。
男「誰も入らないように見張ってる」
ナズ「人間の君が?」
と思ったら鼻で笑われた。
基本的にナズーリンは俺のことを鼻で笑うか、じと目で見ている。
ナズ「君、下手したら子供たちに集団で来られたらふつうに負けるんじゃないかい?」
さすがにそれは、と思ったが妖怪の子供なのだからあり得る。
大人とふつうに渡り合うどころか圧倒してる霊夢はいったい………
ナズ「やれやれ、君は困りものだなぁ」
そういいながらナズーリンが俺の隣に座る。
男「………?」
ナズ「君だけじゃ不安だからね。私も見張ってあげるよ。感謝したまえよ?」
生意気な、と思ったらナズーリンに頬をつねられた。どうやら表情に出ていたらしい。
193
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/11/18(金) 12:25:05 ID:bRsSS9nA
ナズ「君こそ人間のくせに生意気だ」
男「と言われてもな」
妖怪とはわかっていても見た目はただの少女だ。
脅威がなければただの女の子に見えるのが当たり前で。
ナズ「勘違いしないでくれたまえよ。私がこう君に世話を焼くのは酒を飲んだことを黙っていてほしいからだ」
男「自分で弱みを作っておきながらか」
ナズ「君は生意気だぞ。この私に向かってその態度とは」
ナズーリンが再び頬をつねってくる。しかも両頬を。
ペンチでつねられたように痛い。
194
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/11/18(金) 12:33:13 ID:bRsSS9nA
ナズ「何度も言うが正直私は君を信じてはいない。ただご主人と聖が君を信じているから力を貸すんだ。だから証明してくれたまえよ。君が本当に正しいのか」
男「なら、手伝ってくれよ」
ナズ「もちろんさ。君じゃあ頼りない」
言いたいことはいろいろとあったが飲み込む。
男「明日、チルノたち妖精を助ける」
ナズ「妖精、達? まさか全員なんてことはないよね」
男「全員だ。全員でなければならない」
ナズ「冗談。この幻想郷にどれだけ妖精がいると」
男「………もう、あまりいない」
ナズ「何を言ってるんだい。妖精は死なないんだ。少しの間消えることはあっても」
男「なぜなら自然そのものだから」
ナズ「そう。知っているのなら自分が変なことを言ってると理解できるだろう」
男「人間は妖精から、自然そのものから魔力を得ている。今まで妖精が死ななかったのは妖精が死んでも自然があるからだ」
男「だけれどこれは違う。妖精が復活するために必要な自然そのものを殺す」
男「冬だから気づきにくいんだ。注意深く見ればわかる。もう自然は死にかけている」
195
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/18(金) 14:50:00 ID:WM0DTqkw
おっきてた
196
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/18(金) 23:55:52 ID:qOixH79g
そんなん注意深く見たって分かんないよw(パンピー感)
197
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/19(土) 07:26:31 ID:Falae0/.
言いたい言葉も言えないとはね……。
198
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/11/20(日) 20:56:03 ID:865YO1d2
ナズ「それは、どうしたものかな。自然がないなんてまるで外の世界だ」
ナズ「失われた自然がここにきて、ここの自然がなくなればじゃあ自然はどこにいくんだい」
男「さぁな」
隣を見るとナズーリンは目を閉じて深く考え込んでいた。
呼吸に合わせて灰色の髪が揺れる。しばらくの間それを見ていたがナズーリンが戻ってくる気配がなかったので邪魔をしては悪いと前を向いた。
沈黙のせいか今まで気づかなかった音が良く聞こえる。
外を行く空風の音。
遠くで走る誰かの足音。
自分の鼓動。
服が体を預けた襖にこすれる音。
気が付けば保母妖怪さんの悲痛な声は収まっていて、それにひどく安堵感を覚えた。
できればその寝息がいつまでも安らかであるようにと。
199
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/11/20(日) 21:29:01 ID:865YO1d2
ナズ「結論としてだが」
男「ん、纏まったか」
ナズ「妖精すべてを救うのは無理だ」
男「それは」
ナズ「だからできるだけ早くこの異変を解決する必要がある」
ナズ「君はたしか地底に行くと言っていたけれど」
―――あ
そういえば聖さんと博麗神社に行かなければいけないということを忘れていた。
男「それについて聖さんと博麗神社に行くって約束が―――」
マミ「その約束なら昨日のうちに儂が終わらせておいたよ」
男「あれ、マミゾウ」
マミ「許可はとった。儂等がどう動くかも博麗神社に敵対しない限りは自由にしていいと」
男「それなら、これからのことは」
マミ「あぁ、かましてやろうじゃないかい。安心せよ。主は前を向いて進むだけでいい。矢雨も刀刃も全て儂が、儂等が払いのけてやろうぞ。のう、ナズーリン」
ナズ「はっ。こんな人間のために。と言いたいところだけど仕方がないからね。力を貸してあげようじゃないか。感謝したまえよ?」
200
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/11/20(日) 21:31:33 ID:865YO1d2
相変わらず偉そうなナズーリンに心の中で噴き出しつつナズーリンの頭を支えに立ち上がる。
ナズ「ふぎゃっ」
男「できるかな」
マミ「あぁ、できるさね」
男「ありがとう。マミゾウ」
マミ「なぁに。若者を導くのも年寄りの務めじゃて」
201
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/11/20(日) 21:42:11 ID:865YO1d2
次の日。子供たちが起きる前にはすでに寺を出ていた。
井戸水で洗った顔は冬の冷気で冷え、切れるような痛みを持つ。
どれだけ歩いただろうか。今まで小町に頼り切りだったため小町のありがたさが改めて身に染みる。
人間に見つからないように森を進むその先頭は白蓮さん。素手、手刀で草木をかき分け進む。
それに続くのが一輪、俺、マミゾウ。
俺意外はスタスタと進み、俺が行進の速度を遅めていた。
マミ「確かに死んでる木々がちらほらとあるのう」
一輪「えっと、どれ?」
マミ「あそこの灰色に乾いた木は死んでおるの。自然に死んだとは思えない数はある」
白蓮「なんと悲しいことでしょうか」
白蓮さんが立ち止まり近くの木に手をあてた。
マミ「ん?………ん?」
マミゾウが白蓮さんが手をあてた木をまじまじと見る。
マミ「………死んだの」
その言葉と同時に木が急速に痩せ衰え、乾いていく。
202
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/11/20(日) 21:47:45 ID:865YO1d2
一輪「え!?」
マミ「急がねばな」
男「今日は妖精狩りをしている奴がいるはずだ」
マミ「えぇい、この速度では霊夢とばったり会ってしまうやもしれんぞ。仕方ない乗れ男!」
そういってマミゾウがしゃがみ込み、子供を負ぶるときのように両手を後ろに構えた。
男「いや、それは」
マミ「はようせい!」
男「あ、はい、すいません」
その声に押されてマミゾウの背に体を預けた。
身長的には俺より小さいが腕力で無理やり背負い、マミゾウが走り出す。
マミ「一輪! 殿は任せたぞ!」
白蓮「それでは行きましょう!」
一輪「え!? 姐さん! マミゾウ!! それはさすがに速い! 速すぎるから!!」
白蓮さんは疾風のように。マミゾウは野をかける獣のように進んでいく。
そして一輪の声はどんどん遠ざかっていった。
203
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/11/20(日) 22:03:08 ID:865YO1d2
二人は速く、とても速くその甲斐あって予定よりも早く湖までたどり着いた。
霧に包まれた湖から冬の空気よりも冷え切った冷気は感じられずチルノが暴れてはいないことが分かる。
マミ「さて、どうしたものかの」
一輪「ふ、二人とも、飛ばしすぎ、ですよっ!」
マミ「遅い」
一輪「そんな無茶な………」
遅れてたどり着いた一輪が両ひざに手をあてて肩を上下させながら息を整える。
男(さて、チルノはこの湖の近くにいる。とは思うが)
俺はマミゾウの背から降りると霧の湖の畔を森の方に向かって歩き出した。
白蓮「手分けをしましょうか」
マミ「なら儂は男とこっちへ行くから主らは逆へ」
白蓮「えぇ、急ぎましょう、一輪」
そういって駆け出す白蓮さんにまたしても一輪がおいてかれていた。
204
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/11/20(日) 22:06:04 ID:865YO1d2
マミ「我が眷族でも呼べば早いんじゃろうが朝はのう。あやつら寝とるじゃろうて」
男「眷族?」
マミ「ムジナよムジナ。狸と呼んだほうが通りはいいかの?」
あぁ、そういえば化け狸か。でも揺れる尻尾は狸のものではなくアライグマ………いや、化けだぬきだから尻尾も違うのだろう、きっと。たぶん。
男「マミゾウは夜行性じゃないのか?」
マミ「儂か? 儂は人間のほうに合わせておるよ。その方がいろいろと都合が良い」
男「ん、あれは」
マミ「………! 大妖精じゃな」
緑色の髪が草木の中で目立ちにくいが地面にへたり込んでいるのはチルノの親友である大妖精だった。
男「人間がいるのか!?」
彼女を守るために駆け出す。妖精を捕まえるのに使うのは瓶のはずだ。それさえ割ってしまえば
マミ「まて男!」
マミゾウがなぜか制止をする。
205
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/11/20(日) 22:12:20 ID:865YO1d2
大妖精「!!」
その声でこちらに気づいた大妖精が
大妖精「い、いやぁっ!」
叫び声をあげて、這いながら逃げて行った。
マミ「驚かせてどうする! お主も人間じゃろうが!!」
男「そういえば………」
こっちは知っているが向こうにとっては初対面というのはなかなか困ったものだ。とっさの行動に現れる。
大妖精は立ち上がろうとしているようだが上手くいかず、まだ這っている。走ればすぐにでも追いつくだろう。
追いついて事情を説明すれば、と踏み出した足に切られたような痛みを覚え、足元を見る。
氷が俺の足をくるぶしの少し上あたりまで凍らせていた。
チルノ「いじめたな! 大ちゃんをいじめたんだな人間野郎!!」
チルノが両腕を組んで中空に浮いていた。
その瞳は俺が敵であると告げており、パキパキと音をたてながらツララが作られていく。その切っ先はすべて俺に向けられており。
しのぎ切れるかと考えては見る者の動きを封じられた状態でしのげる量では明らかにない。数本ではない。すでに十本以上は向けられており。一つでも刺さればかなりの傷を与えてくるだろうということが容易に想像できた。
チルノ「死んで反省しろ!」
206
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/11/20(日) 22:23:12 ID:865YO1d2
ツララが飛んでくる。一本ずつではなく一斉に。
あ、無理だ。
せめて致命傷は避けなければと思い両腕で頭を隠す。
マミ「えぇいっ!!」
男「マミゾウ!」
飛んできたツララをマミゾウが両腕を振って叩き落す。
マミ「チルノ! ちょいと止まれ!!」
チル「………誰だお前!!」
マミ「冬になって少しは賢くなったと思ったがバカはバカか」
チル「誰がバカだ! 円周率だって20桁まで言えるんだぞ!!」
賢さの説明の仕方がバカであった。
なんて思ってる場合ではない。いくら力をこめようとも氷が食らいついて離さない。
マミ「結局は戦うしかないのか。とりあえず氷は砕いておくから逃げい!」
マミゾウが思い切り地面を踏みしめるとみるみるうちに氷がひび割れていく。
思い切り足を上げると氷は砕け、両足が自由になった。
207
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/11/20(日) 22:37:45 ID:865YO1d2
マミゾウに言われた通り逃げる。わけにはいかない。森の方へ逃げた大妖精を追って走る。
そうするためには立ちはだかったチルノの攻撃をかわし潜り抜けなければならないが。
マミ「前向いて走れ! 儂が相手をしておくから安心せい!」
チルノ「あっ、こらっ。あたいを無視して―――」
マミ「だから相手は儂じゃぞ」
こっちへ手を向けて阻止しようとしたチルノだったがマミゾウ相手によそ見は厳禁で空中のチルノにマミゾウが飛び掛かって地面へ引きずり倒していた。
チルノ「いたぁっ! こらっ、離せぇー はーなーせー!!」
ジタバタと暴れるチルノの横を通り抜け森の中へ入る。まだ遠くに行ってないはずだ。最悪の事態だけは避けなければ。
208
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/11/20(日) 22:41:34 ID:865YO1d2
森の中では大妖精の姿は目立たない。彼女の身長と髪色が森の中へ隠れるからだ。
這っていればなおさらだ。
注意深く、だけど速やかに進まなければならない。
だけれど白蓮さんのようにはいかず、無理やり草木をかき分けた代償として手足に細かな裂傷が生まれていく。
耳に入る情報と折れた枝と落ちた葉を目印にして探す。
折れた枝と落ちた葉の量が多い。どうやら大妖精の移動速度は予想よりも速いようだ。逃げられてしまう可能性もある。
大妖精「きゃぁっ!!」
男「!」
大妖精の叫び声。人間に見つかったのか!?
声のした方へ駆け出そうとした瞬間に衝撃。重いものが俺の体に降ってきて、耐えきれず俺は地面に倒れた。
209
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/11/20(日) 22:42:50 ID:865YO1d2
一体なんだと落ちてきたものを確認すると。
大妖精「い、いたた」
大妖精だった。
男「………やぁ」
大妖精「き、き」
再び叫びだそうとしたその口を両手で抑えた。
なにかとてつもなくしてはいけないようなことをしている気分で、いやその通りなのかもしれないが。
しかしその判断は間違っていたのか大妖精は両手両足を大きく動かし俺から逃れようとする。
何か、何か落ち着かせる方法でもあればいいのだがかける言葉もなにも思い浮かばない。
結果人間に見つからないように彼女を地面に組み伏せ、口を押え体力が切れるまで粘ることにした。
大妖精「んーっ! んうーっ!!」
間違ったことはしてない。
してないはずなんだ。
210
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/20(日) 22:43:58 ID:w2A70F8o
男の身長はどのくらいあるんだろう?
211
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/20(日) 22:57:08 ID:F.RyXFsY
乙!
東方の妖精はそこそこデカいけど、どうやってビンなんかに入れるんだ?それともそんなデカいビンを量産してんのか?
212
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/21(月) 00:37:41 ID:gE6FunJQ
どう見ても事案
しかし他に考えられる方法もなし。語りかけるにしても今の人間不信ではな……今は命蓮寺に世話になってるから、根気よくやってみるのもアリかも知れんが
213
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/21(月) 11:18:53 ID:Nq93F8kQ
というか、誰が大妖精を男の方に投げたんだ?
214
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/21(月) 15:11:23 ID:w2OWMya2
テレポート
215
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/21(月) 17:13:23 ID:Tlh3RJl2
その手があったか(某青ダヌキ風)
216
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/11/30(水) 20:23:54 ID:IuP23BTw
大妖精って筋力は弱いのかな?
217
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/12/05(月) 19:20:29 ID:sbqFdsYc
男「安心してくれ。人間から君を助けに来ただけだから」
なんて説得力のない台詞を吐いては見るが効果はない。
抵抗を続ける大妖精によって地面に落ちた枯れ枝がぺきぺきと音をたて、辺りに響いていく。
おそらく、このままでは
村人「おん? みねぇ顔だがお前さんも妖精狩りかい」
村人2「おぉ! よくやった。そいつはさっき逃げた妖精だ!」
見つかった。
二人組の村人。片方は瓶をいくつも腰にぶら下げており、もう片方は幅が広い鉈を持っていた。その傷つき具合から見て真っ当な使い方はされていないのだろうということが分かる。
瓶の中では小さくなった妖精がこっちを見て必死に瓶を叩いている。しかし音も声も聞こえない。
村人「よぉし。今日はこれで最後だな」
そういって瓶をぶら下げた男が空の瓶の蓋を開き、こちらへ向ける。
どういう理屈かは知らないが向けられただけで妖精が吸い込まれるってことは分かっている。
男「ちょいと待ったっ!」
地面を殴りつけるようにして反動で起き上がり、不意をついて瓶を叩き落とす。
パリンと瓶が地面に落ちて割れた。
218
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/12/05(月) 19:25:27 ID:KH/NXdUQ
http://slow-hand.jp/url/?id=899
219
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/12/05(月) 19:33:36 ID:sbqFdsYc
村人「お?」
突然のことに対応できてない男の襟首を押し、鉈を持った男にぶつける。
村人2「いってぇっ!!」
いけるか。人間二人ならば。
イメージトレーニングはばっちり。二人を近くの木にぶつければいい。蹴りや殴りよりもよっぽど簡単で威力も大きい。だができるのは今この一瞬だけ。
できるか俺。
やれるよな俺。
相手の重心は後ろに向いている。そのちょうど後ろに木。後ろに向いた重心を利用して押すだけだ。
男「恨みはねえが―――いやありまくりだぁっ!!」
チルノを傷つけた二人。今も大妖精を傷つけようとしている二人に怒りを向け突進。
220
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/12/05(月) 19:40:11 ID:sbqFdsYc
村人2「ぎっ」
イメージ通り体は動いてくれた。鉈を持った方は木に頭を強く打ち付け泡を吹いた。問題は瓶の方だ。後ろの男がクッションとなって大したダメージは入っていない。
男「そぉら! もういっちょう!!」
戦いの流れはまだ俺にある。まだ体勢を崩したままの男の頭を両手で掴み勢いをつけて木へ直にたたきつけた。
一度目。まだ意識がある。泡を食って俺に掴みかかろうとしたところに二度目。三度目、四度目、五度目。
男「はぁっ、はぁっ」
ぬるりと男の体が先に倒れた男に重なるようにして崩れ落ちた。木には鮮やかではない赤。俺の手にもべっとりとついたそれは白い煙をあげていた。
大妖精「な、なんで、なんでぇ?」
時間にして十数秒。突然目の前で起きた人間対人間に理解が追い付いていない大妖精が震えた声で疑問符を出す。
男「だから、言ったろ。助けに来たって」
肉体の疲れではなく精神の疲れから俺はその場にへたり込んだ。
パァンッ
男「熱っ」
突然頬に熱を感じた。次に衝撃。続いて痛み。
銃弾が俺の頬を掠めたと気づいたのは衝撃で揺らいだ脳がキィーンとなる耳鳴りの先でカランカランと薬莢が地面に落ちる音を聞いたから。
221
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/12/05(月) 19:47:44 ID:sbqFdsYc
眩暈と耳鳴りからくる吐き気を堪え後ろを振り向いたと同時に二発目を装填する音。
三人目。いたのかよ。知らねぇよ。
猟銃を構えた女が今度こそ外すまいと俺に狙いを付けていた。
それはちょうど女と俺と大妖精を直線で結んでいて、どうすれば二人とも助かるだろうかを考えては見るものの返ってくる答えは不可能であるとの結論だけ。
大妖精は死にはしない。だけれどもそこまで切り捨てる思考を持ってはいない。
マミゾウを呼ぶ。無理だ。いくら速くとも俺が声を出す前に撃たれる。
無理だ。無理だ。無理だ。もう無理だ。
見捨てれば。見捨てれば。見捨てれば。
見捨てれば!!
大妖精「や、やぁ、いやぁ」
―――無理。
222
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/12/05(月) 19:51:26 ID:sbqFdsYc
男「逃げろっ!!大―――」
ドンッ
大きな音。だがしかしそれは先ほどの銃声とは明らかに違う。
ならその音の原因は?
男「ようせ―――聖さんっ!?」
真空飛び膝蹴りをかました聖さんが原因だ。
白蓮「待ちましたか?」
男「聖さぁんっ!?」
223
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/12/06(火) 02:14:46 ID:48y6vBN6
銃見ちゃうと無理だよなー。まぁなー
224
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/12/06(火) 09:39:19 ID:NdxONQ7o
謎の瓶の仕組みの謎
225
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/12/07(水) 01:00:45 ID:7Rp36jUQ
ゼルダとポケモンが混ざったみたいな瓶だ
226
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/12/07(水) 08:34:51 ID:sUZsvpRA
さすひじ
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