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SS作者の雑談板

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1 : 【ダンガンロンパ】ダンガンライダー龍騎【仮面ライダー龍騎】(29) / 2 : 勝俣「すげえアッコさんw使徒を殲滅してるw」(217) / 3 : のびた「いーでぃーえふ?」(8) / 4 : リレーSSイニング!(2) / 5 : 天使と妖精(16) / 6 : SS作者の雑談スレpart15(891) / 7 : 【艦これ】スーパー艦娘大戦GP長門型三番艦【仮面ライダーネタ】(71) / 8 : 【個スレ】二次の人【ss】(177) / 9 : 晒すスレの者がSSを晒すスレ(593) / 10 : 人の間の、へんな生き物【個人ssスレ】(221) / 11 : 【リレーSS】神速戦隊レーシンジャー(1) / 12 : オリジナルSS(趣味で書いてるSS)シリーズ鎧術師(444) / 13 : ペンギンの遊び小説(105) / 14 : 読心【ペンギン】(40) / 15 : ケロロ小隊絶対に笑ってはいけない囚人24時(6) / 16 : 少年「そんな『憎悪』が、あってたまるか」(71) / 17 : 送り火(178) / 18 : SS作者の雑談スレpart15(1000) / 19 : ??「吾は空想像を書と成す白」(105) / 20 : 俺と少女の変わった関係(39)
21 : SS雑談速報(仮)へのまとめ依頼スレ(85) / 22 : SS作者の雑談スレpart14(1000) / 23 : 綾「コーヒーは、いらない」(57) / 24 : 鎧カリバーの練習スレ(44) / 25 : 陽子「ねえ綾」綾「……」(31) / 26 : 陽子「今日うちに誰もいないんだけどさ」綾「……」ドキドキ(28) / 27 : 173のSS置き場(269) / 28 : SS作者の雑談スレpart13(1000) / 29 : 雑談板作品のwikiについて(14) / 30 : 絶対に笑ってはいけないスマブラ隊員24時(2) / 31 : リレーSS「魔王の紋章」(53) / 32 : 【リレーSS】学園の便利屋さんたち(232) / 33 : 【運営】雑談板のまとめブログ【相談・要望】(204) / 34 : セイ「今度、ガンプラバトルしようよ!」レイジ「何言ってんだセイ」(20) / 35 : 『学園の便利屋さんたち』設定資料集(13) / 36 : 雑談スレpart12(1000) / 37 : オリジナル長編シリーズ鎧術師(まとめ用)(64) / 38 : 便利屋さんたちのサイドストーリー投下場所(144) / 39 : リレーSSフェアリーテイル(1) / 40 : 雑談スレpart11(1000) / 41 : リレーSSフェアリーテイル(2) / 42 : 雑談スレpart10(1000) / 43 : 雑談板・作品一覧(12) / 44 : 【板説明】この板へ初めて来た方へ(17) / 45 : 雑談スレpart9(1000) / 46 : 雑談スレpart8(1000) / 47 : 雑談スレpart7(1000) / 48 : 東方projectベリーショート(44) / 49 : 雑談スレpart6(1000) / 50 : 雑談スレpart5(1000) / 51 : ◆JjxDNGokTU テストスレ(40) / 52 : 雑談スレpart4(1000) / 53 : キョン「ガンプラバトルだと!?」(98) / 54 : 雑談スレpart3(1000) / 55 : 雑談スレpart2(1000) / 56 : 雑談スレ(1000)  (全部で56のスレッドがあります)

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1 【ダンガンロンパ】ダンガンライダー龍騎【仮面ライダー龍騎】 (Res:29)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 1
1鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/10/03(金) 01:31:57 ID:9TRJEPM.
ダンガンライダー龍騎

第一話始まり/鏡の学園はプリズン
 
 「なんだろう、これ……カードデッキ……?」

様々な超高校級の才能を持つ生徒たちが集まるという希望ヶ峰学園の入学式に急いでいた苗木誠は、偶然道端で赤いカードデッキを拾った。

交番に届けた方がいいだろうと思った苗木だったが、時間もない為仕方なくそのまま希望ヶ峰学園に向かった。

しばらくして何とか入学式が始まる十分前に学園についた苗木は、突然頭痛に襲われた。

「うっ……なんだろう、緊張してるのかな……?」

ふとガラスを見て苗木は驚愕した。

鎧を纏った二人の戦士が戦っていたからである。

「な、なんなんだ、あれ……?」

一人は黒く、細い剣を持ちもう一人は金色で長い杖を持っていた。

振り返ってもそこにはそんな鎧はおらず苗木は混乱した。

そしてガラスに手を伸ばそうとすると視界が歪みはじめ、やがて意識を失った。

10鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/10/03(金) 01:50:22 ID:9TRJEPM.
デッキの数は11、受け取れなかった者たちは『この学校のどこかに隠してある救済処置』を手に入れなければならないと言われた。

「こ、こんなのが何だって言うんだ!」

『それはミラーモンスターと契約してある。鏡の中の世界、ミラーワールドを覗く事とその中に入る事が可能となる。鏡の中にいられる制限時間は十分だ、それ以上は二度と出られなくなり、消滅する』

「消滅……?それって死んじゃうって事……?」

『そうだ、そしてデッキを破壊された場合も死ぬ。お前達はライダーに変身し、戦い、相手を殺す、それだけだ』

「ふ、ふざけんじゃねぇぞ!オメェエエエ!!」

声を荒げて駆けだした大和田はステージの上に飛び乗り、鏡に向かって拳を繰り出した。

するとオーディンは無数の金色の羽を撒き散らしてその姿を消し、大和田の拳が鏡に蜘蛛の巣状のヒビを刻んだ。

「なっ……」

そして大和田の背後に金色の羽を撒きながら再びオーディンが姿を現し、振り返った彼を右手で繰り出した裏拳で弾き飛ばした。


11鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/10/03(金) 01:53:38 ID:9TRJEPM.
「うわあああ!」

ステージの上を転がった大和田は更に前蹴りを叩き込まれて吹き飛ばされると、咄嗟に前に出た大神に受け止められた。

「大丈夫か?」

「あ、あぁ……」

『お前達は戦うしかない、最後の一人になるまで戦い続けろ』

「ふ、ふざけんじゃないわよ!私、デッキ受け取れなかったのどーしろって言うのさ?!救済処置なんてあてになるかよ!それに、コロシアイなんて絶対、お断りなんだからね!」

デッキを受け取れなかった江ノ島が抗議するとオーディンはステージからふわりと降り立ち、江ノ島に歩み寄った。

『ならば今ここで私を倒してみるがいい』

「このっ……!」

次の瞬間、江ノ島盾子はオーディン目掛けて蹴りを繰り出したが、また羽を撒き散らしながら瞬間移動され躱されてしまった。

「ちょっ……それひ……」

『ふん、仕方ない』

オーディンは恐ろしく冷酷に続けた。

『見せしめというものも必要か』


12鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/10/03(金) 01:57:02 ID:9TRJEPM.
オーディンは長杖ゴルドバイザーの金の不死鳥を模した装飾の下にあるカバーをスライドさせ、腰のバックルに装填されたデッキから一枚のカードを引き抜くとバイザーに差し込んでカバーを閉じた。

―アドベント

無機質な電子音声が響いた。

その瞬間、鏡の中より現れた金色の不死鳥型のミラーモンスター“ゴルドフェニックス”がステージの鏡から現実世界に現れ、一瞬の内に江ノ島をその足で掴み、鏡の中に引きずり込んでいった。

「た、助け……ぁ゛あ゛あ゜あ゛あ゛あ゛……!!」

その悲鳴は鏡の中に引きずり込まれると途端に途切れ、彼女と不死鳥の姿も見えなくなった。

何が起こったのか、誰もわからないでいると朝比奈が恐る恐るオーディンに尋ねた。

「あ、あの……江ノ島ちゃんは……」

『ミラーワールドに生身で入った時点でモンスターに捕食される或は消滅する、つまり、どのみち死んだという事だ』

それを聞き、途端に実感が湧きあがり皆悲鳴をあげた。

逃げようとする者、唖然とする者、ただ怯える者。

腰を抜かし、今にも壊れてしまいそうな舞薗を抱きしめて苗木は恐ろしさを必死に抑え込みながらオーディンを睨み付けるとオーディンもまた苗木を一瞬、見つめると鏡の中に戻っていった。


13鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/10/03(金) 02:02:53 ID:9TRJEPM.
『逃げるのも、戦うのも貴様たちの自由だ。だが、最後の一人になるまで戦わなければこの学園から出られない事を覚えておけ』

そう言い残して、オーディンは姿を消した。

そして残された生徒たちは、これが遊びではない本気の殺し合いである事を察した。

それからしばらくして、突然の江ノ島盾子の死を経験した生徒たちはそれぞれ生徒手帳に記載された自分たちの部屋に向かっていた。

「苗木くん……私、怖いです……私も苗木くんも皆……死んでしまいそうで……」

「大丈夫だよ舞園さん、絶対に皆で外に出る方法はあるはずだよ」

「は、はい……そうですよね……諦めたりなんかしたらダメですよね!」

「うん、だっていつも」

「『希望はある』、ですよね?」

「え?」

「私、エスパーですら」

「えぇ?!」

「冗談です」

 そんな事を言える程には、落ち着けたんだなと安心する一方で、やはり彼女が無理をしているという事も苗木は理解し、何があっても彼女を守ろうと決めた。

「こんな面白いゲームは久しぶりだ……絶対に勝ち残り、この俺の実力をあの金色に見せつけてやろうじゃないか……!」

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


14鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/10/06(月) 22:20:19 ID:BLcWQESg
第二話変身/鏡の世界
 
仮面ライダーオーディンにより、希望ヶ峰学園卒業を目的とした生徒たちが変身するライダー同士の戦いが開始されて、一日が経った。
 
各自が持つ電子生徒手帳には部屋割りや校内の地図、校則や戦いにおけるルール等が記載されていた。
 
「これからは食堂に集まる事にしよう」と言い出したのは石丸だった。
 
確かに体育館に集まるよりは、食堂の方が椅子もあって座れるし、部屋からも近くて時間が短縮できる。
 
何より、食事を取る為には必ず食堂に行かなくてはならない為、ほぼ確実に全員と顔を合わせる事ができた。
 
「おはよう、皆」
 
「うむ、おはよう苗木くん!今日もいい朝だな!」

「朝かどうかなんて、わっかんねーけどな」
 
「あはは……」

「苗木くん!おはようございます!」

食堂に入ってきた苗木を見た途端、昨日の怯えきっていた表情が嘘のように、明るく挨拶をしながら駆け寄ってきた舞園を見て、苗木も笑って手を振った。


15鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/10/06(月) 22:22:22 ID:BLcWQESg
「舞園さん、おはよう」

舞園は照れ臭そうに笑って、すぐにまた心配そうな表情で苗木に訊いた。

「えへへ、あの……昨日は大丈夫でしたか?」

「うん、大丈夫だったけど……舞園さんは?」

すると彼女は、「大丈夫でした」とは答えず少し俯いて肩を震わせた。

「ま、舞園さん……?」

「な、苗木くん……その……私……昨日、寝ようとしたらあの頭痛がして……そしたら部屋の扉を誰かが無理やり開けようとしてきたんです……!」

「え……?!」 
 
怯えきった舞園の言葉を聞いて、苗木は衝撃を隠せなかった。
 
昨日、大半の生徒たちがコロシアイに反対の色を示していたと言うのに、もう舞園を狙っている者がいると思って、苗木は震えた。
 
ただ舞園さんに用があっただけという可能性も……いや、そうだったならどうしてそんな彼女を怯えさせる必要があるのだろうか。
 
「そ、それで……どう……なったの?」
 
「そ、それで必死に耐えて……しばらくして頭痛が収まると、扉を開けようとしていた人も諦めたみたいで……」
 
そこまで言って、舞園は押し黙った。

それ以上、言えない程に彼女は恐ろしい思いをしたのだと苗木は想像し、彼女の手を握った。
 
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


16鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/10/06(月) 22:23:49 ID:BLcWQESg
そんな二人が微笑ましく笑いながら朝食を取って席に着くと、その前にすみれ色の髪をした少女が歩いてきた。
 
「……おはよう、苗木くん」
 
彼女の名は霧切響子、唯一超高校級の才能を明かしていない。
 
そのどこかミステリアスな外見と、あまり他人と関わろうとしないその態度から昨日は結局、名乗った以外は誰とも喋らず、どこかに行ってしまった事を苗木はなぜか思い出した。
 
「ぁ……お、おはよう霧切さん……」
 
「……おはようございます……」
 
霧切は、ムッとした舞園がそこにいないかのように苗木を見つめるというより睨み付けて、訊いた。
 
「苗木くんあなた、ライダーの戦いを止めようと思っているのよね」
 
突拍子もない質問に、苗木は反応が遅れたが、力強く「うん」と頷いた。
 
「どうして?」
 
「だって、どんな理由があっても殺し合うのは間違ってるって思ったから……それに、皆でこの学園を脱出する方法だってきっとあるはずなんだ」
 
「でも、どれだけコロシアイを望まない人が居ても、必ず殺しは起きるわ。閉鎖空間に閉じ込められて、脱出する手段がそれしかないとあれば……なおさらね」
 
「ちょ、ちょっと!貴女、いきなりなんなんですか?!」
 
机に掌を叩きつけて立ち上がり、怒声を上げた舞園に対して霧切は冷たい瞳を向けた


17鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/10/06(月) 22:27:03 ID:VgBJYPmg
「貴女もデッキは受け取ったのでしょう?」
 
「っ……!どうして……」
 
「わかるもの、デッキを手にしてその力を使おうとしている人の目が」
 
そう言われ、舞園は「わ、私……そんな事……」と否定しようとするが明らかに動揺していて、霧切の言っていた事が図星であった事を肯定してしまう結果となってしまった。
 
「苗木くん、これでわかったでしょう。誰が誰を狙っているのかは、もうわからないわよ」
 
「そ、そんな……」
 
「ごめんなさい……苗木くん……私……私……!」
 
舞園は泣きながら謝り続け、そのまま走り去ってしまった。
 
その後を追おうとした苗木だったが、「待ちたまえ!」と石丸に呼び止められた。
 
「彼女も追い詰められている……今はそっとしておいてやるべきじゃないか……なとは僕は思う」
 
「石丸くん……」
 
するとまたしてもあの頭痛が皆を襲い、食堂の壁にかけられた鏡にオーディンの姿が浮かんだ。


18鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/10/06(月) 22:30:37 ID:BLcWQESg
「な、何しに来たのよ!」と朝日奈が叫び、大神や大和田が身構えた。
 
「てんめぇ……」
 
オーディンは、静かに食堂を見渡すと『今、出て行った舞園を含め3人程いないか』と人数を確認した。 
 
それを聞いた苗木が食堂内を見渡すと舞園以外にも、桑田と葉隠がいなかった。
 
「桑田君と葉隠君もまだ寝てるんじゃ……」
 
不二崎がそう指摘すると、オーディンは『そうかもな』と曖昧に答えた。
 
『まあいい、ここにいる11人に問う。貴様たちは戦うのか、否か、どちらだ』
 
オーディンの問いに皆、少し迷った。
 
戦わないと言えば「ならば戦うだけの理由をやる」と言い出しそうで、苗木は迂闊には言えないと思った。

「私はやだよ!絶対にコロシアイなんてしないんだから!」
 
そう言ったのは朝日奈だった。
 
すると、それに続いて大神もオーディンに向かって拳を突き出して「我も同意見だ」と意思を表明した。
 
更に大和田と石丸も続く
 
「俺だってコロシアイなんてもんにゃ、反対だぞ、ゴラ!」
 
「僕も同意見だ!生徒同士がどうして傷つけあわねばならないのだね?!」
 
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


19鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/10/06(月) 22:31:30 ID:BLcWQESg
「そ、そーよ!あ、あたしだって負ける気はな、な、な、ないわよ……っ!」
 
十神に感化されたのか、腐川もたどたどしくだが、戦う意思を見せた。
  
「貴様はすぐ負けるだろうな」と鼻で笑った十神が、セレスティアに視線を向けると今まで山田に命令して淹れさせたロイヤルミルクティーを飲んでいた彼女も、カップを置いて立ち上がった。
 
「あら、わたくしも負ける気はありませんわよ?ギャンブルの中には命を賭けた物もありましたのよ?」
 
そう自信気な微笑みを浮かべたセレスティアの後ろで山田が「ぼ、僕は別にどちらでもかまいませんぞ!」と強がりを見せた。

この時点で戦いに賛成しているのは、十神、腐川、セレスティアの三名、反対は苗木、朝日奈、大神、大和田、石丸、不二崎の7人。
 
『ならば今すぐに変身し、戦うといい』
 
そう告げたオーディンは静かにゴルドバイザーを召喚し、その柄で床を叩いた。
 
『早く戦えばそれだけ、卒業までの時間も短縮できるだろう?戦え』


20鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/10/06(月) 22:33:41 ID:BLcWQESg
「ふっ……いいだろう……」
 
「ふふ、面白いですわ」
 
十神とセレスティアの二人は電子生徒手帳に記入されていたデッキの使い方に従って鏡の前に立ち、カードデッキの紋章をかざした。
 
すると鏡の中から召喚されたバックルが二人の腰に巻き付いた。
 
「貴様には負ける気がしないな」
 
「ふっ……奇遇ですわね、わたくしもですわ」
 
二人はお互いの顔を見て、不敵に笑うとそれぞれのデッキに定められたポーズを決め、掛け声を放った。
 
「「変身!」」
 
すると四方向から合わせ鏡に映った鏡像の様に複数の仮面ライダーの姿が飛来し、二人に重なると実体化した。

十神は体が緑色で、各部の装甲が銀色のいかにも機械的な外見をした“仮面ライダーゾルダ”に、セレスティアは黒い体に赤いラインの入った緑の装甲の“仮面ライダーベルデ”へとそれぞれ変身を遂げた。


21鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/10/06(月) 22:35:27 ID:BLcWQESg
「と、十神様?!」

「ああ……これはまるでかの有名なバトルアニメのような光景……!」

「い、一体何がどうなっているのだね?!」
 
「お、俺に言われてもわかるかよ!」
 
「ふ、二人とも……」
 
「むぅっ……?!」
 
変身を見た皆が驚く中、二人はそれぞれ鏡の中に飛び込んでいった。
 
現実世界とミラーワールドを行き来する為のマシン“ライドシューター”に乗り込んだゾルダとベルデはお互いに追い抜こうと並走して突き進み、やがてミラーワールドに出た。
 
そこは、鏡の中であるが故に物や文字の向きが左右反転しているのと人がいない以外はまったく、現実世界と変わらなかったが、独特の音が常に響き渡っていた。
 
「ふん……始めるぞ」
 
「ええ、よしなに」
 
次の瞬間、ゾルダは腰から拳銃型の召喚機“マグナバイザー”を引き抜いて、ゾルダ目掛けて発砲した。
 
ベルデは弾丸を華麗に躱しつつ、腰に取り付けられたカメレオンを模した“バイオバイザー”の舌を引き伸ばし、デッキから引き抜いたカードを装填し戻した。


22鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/10/06(月) 22:36:20 ID:BLcWQESg
―ホールドベント
 
無機質な電子音声と共に、虚空から飛来したヨーヨー型の武器バイオワインダーを手にした。
 
「受けてごらんなさい!」

ワイヤーに手をかけ、放たれたバイオワインダーは弧を描いてゾルダに巻き付き拘束した。
 
「ふふふ、案外あっさり捕まりましたわね」
 
ベルデが更にデッキからカードを引き抜こうとした時、ゾルダはかろうじて動く左手でデッキからカードを抜くとマグナバイザーに装填した。
 
―シュートベント
 
召喚された二連装プラズマ砲“ギガランチャー”が肩に装着されると、容赦なくワイヤーを持っていて動けないベルデ目掛けて発射し、吹き飛ばした。
 
「きゃああ!」
 
「言っただろう、俺は負ける気もないと」
 
拘束を解いたゾルダはギガランチャーと共にマグナバイザーを発砲し、一方的にベルデを攻撃して圧倒した。


23鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/10/06(月) 22:38:50 ID:BLcWQESg
その戦いはデッキを持っている苗木たちにも見えていた。
 
「ひ、酷い……あんまりじゃないか……!」
 
それを見た苗木は一方的な戦いを展開する十神に対して、怒りに近い物を覚えた。
 
そんな彼の言葉を受けた霧切は静かに言う。
 
「これがライダーの戦いという物よ」
 
以前から、ライダー同士の戦いを知っているかのような口ぶりを苗木は不思議に思った矢先、たまたまポケットに入れっぱなしだった拾ったデッキの事を思いだして取り出した。
  
「苗木……?それ……」
 
「昨日ばら撒かれたデッキの中にはなかった色だな」
 
そのデッキを見て不思議に思った朝日奈と大神の質問に対し、苗木は「あ、今朝、部屋に落ちてて……」と誤魔化した。
 
苗木は、自分のカードデッキを見て思った。
 
これを使えば、彼らの戦いを止められるんじゃないかと。
 
「やらなきゃ……」
 
「苗木?」
 
「ごめん、僕……戦いを止めて来る!」
 
苗木はそう言うと二人が変身した鏡に向かって走り出した。


24鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/10/06(月) 22:39:52 ID:BLcWQESg
引き返す事はできないかもしれない、それでもやらなきゃいけない。
 
殺させるものか。
 
そう思い、デッキを鏡にかざそうとして驚いた。
 
霧切がいつの間にか隣にいて、紺色のデッキを手にしていたからだ。
 
「霧……切さん……?」
 
「変身するんでしょ?早くして頂戴」
 
「う、うん……!」
 
苗木は改めてデッキを鏡にかざし、バックルが装着されると掛け声と共にデッキを装填した。
 
「へ、変身ッ!」
  
そして苗木は赤い体の、仮面ライダー龍騎へと変身を遂げた。
 
「これが……仮面ライダー……」


25鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/10/06(月) 22:40:58 ID:BLcWQESg
その隣で霧切もデッキをかざした。
 
「…………変身……」
 
霧切は次の瞬間、紺と黒色の騎士の如き姿の仮面ライダーナイトへと変身した。
 
「さあ、いきましょう、苗木くん」
 
「あ、うん……!」
 
本当に鏡の中に入れるのかという不安もあったが、指先が触れるとあっさり鏡の中に吸い込まれるようにして二人はミラーワールドに突入したのだった。


26鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/10/22(水) 01:46:26 ID:aa0dYovk
また詰まってしまった……原作ありきで書き始めるとすぐ詰まう……


27名無しさん :2016/01/07(木) 22:37:07 ID:gFTCxJgg
失踪()


28名無しさん :2016/02/07(日) 10:57:34 ID:k6vzdwrc
どこ行ったんだ...面白いのに...


29名無しさん :2021/12/22(水) 23:57:50 ID:Jwb.pDpY



「やっと……扉が開いた……」

「ははは……何だか、眠く、なってきた」

「ちょっと、おやすみ……霧切さん……」

開け放たれた扉。
光が差し込む。そこに居たのは、2人の子供たち。
1人は少女。背中から凄惨に流れ出た血液はすっかり固まり、壁にもたれ掛けて眠っていた。
1人は少年。少女に寄り添うように眠り、左手で少女の手を優しく握り、右手には血に濡れた龍のカードデッキがあった。

開け放たれた扉から差し込む光は、いつまでも。

いつまでも。2人を明るく照らしていた。


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2 勝俣「すげえアッコさんw使徒を殲滅してるw」 (Res:217)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 2
1鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/08/30(土) 20:09:50 ID:sVF5QzEU
第一話


コ、襲来

198鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/09/08(月) 20:57:45 ID:Piz1tN9.
(アッコさんw無視しないでwどこにいるんすかw)

アッコ「おまw勝俣w何、テレパシーつこうとんねんw」

カツマタ(僕、前の勝俣じゃないんでw二人目なんでw)

アッコ「そかwで、何しに来たんw」

カツマタ(だから迎えに来たんですってばwどこにいるんすかw)

アッコ「勝俣あ!ここやでー!」

カツマタ(そこすかw)

ドドーン

mark9「ギュイン」

アッコ「ワイの船に何してくれとんじゃワレェ!」

カツマタ『さーせんw』


199鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/09/08(月) 21:03:14 ID:Piz1tN9.
KATUMATA『アッコさんwこっち来てくださいよw』

アッコ「嫌や!ワイは今、この船の艦長やねんで!」

KATUMATA『マジすかw』

サクラ「アッコさん!今の音……ってわ!ネルフのエヴァですやん!」

リツコ「駄目よアッコさん!行ったら、誰がこの船指揮するのよ!」

アッコ「行かへん言うとるやろが!」

KATUMATA『でもw来てくれないと困るんすよwwwww』

アッコ「それでも行かへんわw」

KATUMATA『マジ来てくれないと困るっすよ〜wwwww』

アッコ「行かん言うとるやろが!聞き分けない勝俣やな!」


200鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/09/08(月) 21:08:48 ID:Piz1tN9.
KATUMATA『しゃーないっすねw強制的に連れてきますw』グワシ

アッコ「何するんや!離せやボケ!拉致やで、拉致!訴えるぞ勝俣あ!!」

サクラ「アッコさん!」

リツコ「まずいわ!彼女を奪取したという事は、まだトリガーとしての機能がまだあるって事よ!」

アッコ「そいや、トリガーってなんやねんw聞いてへんかったわw」

リツコ「ごめんなさい!DSSチョーカーを……ってあ、着けてないや」

サクラ「ちょwリツコさんw何してはるんですかw」

KATUMATA『それじゃ、行きますw』

mark9「ギュイン」バシュオオオオ

アッコ「ああああああああああああ!」


201鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/09/08(月) 21:12:10 ID:Piz1tN9.
ジオフロント

アッコ「ほんま、何してくれるんや!せっかく空賊ライフ楽しんどったゆーのに」

KATUMATA「すんませんw」

アッコ「それにしても、ジフロ随分と変わったやんけ」

KATUMATA「そっすねw」

アッコ「おまwなんか返事テキトーやなw」

KATUMATA「そっすか?w」

アッコ・KATUMATA「wwwww」


202鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/09/08(月) 21:16:42 ID:Piz1tN9.
バン

ゲンドウ「久しぶりだな、アッコ」

アッコ「髭親父おまwグラサンだっさwwwww」

ゲンドウ「……泣くぞ」

アッコ「泣くなら勝手になけwwださグラサン髭親父www」

ゲンドウ「……時が……来たら……」

アッコ「しっかり言えw」

ゲンドウ「時が来たら、そこの奴とヱヴァンゲリヲン13号機に乗れ」

アッコ「あん?」

濱口「よろしくっすアッコさん」

アッコ「お前wかww」

ゲンドウ「話は終わりだ」

アッコ「ちょw待てやwまだ話す事あるやろw」

ゲンドウ「話は終わりだ」

アッコ「話せ言うとるやろが、ハゲ」

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


203鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/09/08(月) 21:23:01 ID:Piz1tN9.
その後省略

スウウゥゥゥゥゥ……

アッコ「これホンマに槍抜いたら、世界をワイのもんにできるんやろな?」

濱口「間違いないっす。ロンギヌスとカシウス抜いたら、世界はアッコさんと僕で半分こできるそーです」

アッコ「マジかwそれは抜かな損やなw」

濱口「そうですよw抜いたら僕、TOKIOと無人大陸開拓しますw」

アッコ「おまwそれwいつもと変わらんやんけw」

濱口「スケールがデカくなっただけで変わらないっすねw」

アッコ「勝俣の分は?」

濱口「ないかもですねw」

アッコ・濱口「wwwwww」

KATUMATA『ちょw少しはくださいよww』

アッコ「じゃあ、お前w沖ノ鳥島なw」

KATUMATA『ちょwそれwもう沈んでるw』

アッコ・KATUMATA・濱口「wwwww」


204鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/09/08(月) 21:26:28 ID:Piz1tN9.
ズズーン

アッコ「おーついたー」

濱口「手作りライトスイッチオーン!」パッ

アッコ「ドクロだらけw」

KATUMATA『マジだw全部ドクロw』

濱口「でもこれ全部、発泡スチロール製w」

アッコ「雰囲気台無しやなw」

KATUMATA『発砲スチロールの量パネーwww』

アッコ「よっしゃー!さくっと二本抜いてこよかw」

濱口「そうですねw伝説の道具抜いちゃいましょうw」


205鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/09/08(月) 21:33:04 ID:Piz1tN9.
春日『トュウウウウウウウウス!!!』ズズーン

アッコ「ピンクwおまwなんで八号機乗ってこんのやwお前、色的にあっちやろw」

春日『すいません!急いでたもんですから、乗るの間違えました』

濱口「よくそれで動いたねw」

春日『シンクロ率0.07%、奇跡の起動!若林くんの方がね、シンクロ率高かったw』

アッコ「ちょwおまw」

春日『でも槍は抜かせませんよ!あの槍は俺が抜くぜ!!』ビシッ

KATAMATU『させるかwwww』シャキーン

春日『なんだね君は、私の邪魔をするというのかね?!』

ガキーンガキーン

アッコ「勝俣、そいつ任せたw」

KATUMATU『わかりまっしたっww』

濱口「さあ、どんどん行きましょう」


206鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/09/08(月) 21:41:32 ID:Piz1tN9.
ズドーン

KATUMATA「痛っw」

スギちゃん『ガハハ、邪魔はさせないぜぇw春日先輩、アッコさん頼みましたよ』

春日『任せたまえ!ズッバアアアア!』

KATUMATA「させるかw」

スギちゃん『こっちこそやらせないぜぇ!』バシューン

KATUMATA「痛っ痛っ痛っwこっちの攻撃届かねぇw」

スギちゃん『安全に削るぜぇw卑怯だろお?ガハハハ』

KATUMATA「もう無理w機体がw無理かもw」


207鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/09/08(月) 21:45:20 ID:Piz1tN9.
濱口「うーん……」

アッコ「どないした濱口」

濱口「なーんか、遂になるはずの槍が二本とも同じ形っぽい気がするんすよね……」

アッコ「そうかあ?気にせんでええと思うけど」

濱口「そうですかねぇ」

アッコ「ここまで来たんや、抜けばええやろ」

濱口「そうすねw抜かなきゃ駄目っすよねw」

アッコ「おう!抜いたり、抜いたり!」

春日『させるかあ!』ドドーン

アッコ「なんや春日!邪魔は許さへんで!」

春日『あの槍抜いて世界を手にするのは吾輩だ!』ビシッ

アッコ「なんやと?!」

濱口「それはさせんぞ!番組的に!」

アッコ「おまwメタい事言うなw」


208鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/09/08(月) 21:49:57 ID:Piz1tN9.
春日『くらえ!必殺!』

アッコ「なんや?」

春日『カスっカスカスっカスっカスカス、カスミソウ。カスっカスカスっカスっカスカス、カステラ』

濱口「……行きましょ」

アッコ「そやな、いこか」

春日「カスっカスカスっカスっカスカスっ、カスザメ。かすっかすかすっかすっ……」

濱口「おおーついたー」

アッコ「よっしゃ、抜くでー!」

13号機「オオオオ!」グググ……腕ドーン!

ガシッガシッ

アッコ「うおおおおおお!ロンギヌスの槍!」

濱口「カシウスの槍!」

アッコ・濱口「獲ったどおおおおおおおおおおおお!!!!!」スポンッ

春日「あっ」


209鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/09/08(月) 21:53:37 ID:Piz1tN9.
ちゃーちゃーちゃーちゃーちゃー

13号機「ウオオオオオオオオオオ!」

バヒューン

アッコ「おわあああああ!エヴァが飛んだー!?」

mark6「首切られました!ざんねーん!」スパっ

KATUMKTA「よしっ」

12の使徒「やっふー!」ヒュオオオオオオ

アッコ「うわっ巻かれた!動けへん!」ガシッガシッ

濱口「この締め付け……ウツボ以来やわ〜!」

12の使徒「でも、すぐ萎んでコア噛み砕かれちゃいますからー!ざんねーん!」

13号機「コア、ウマウマ」パリーン

デーデーデーデーデーデーデーデー!


210鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/09/08(月) 21:59:13 ID:Piz1tN9.
スギちゃん「あれ、エヴァ止めないとやばい感じじゃないですか?そーですよね?えー」

春日「マジですか?!」

13号機・アッコ・濱口「あははははははははは!!」ヒューン

ズドドドドーン

春日「あれはーヴンダーじゃないですか」

スギちゃん「誰が指揮取ってるのか気になるんだぜ」

ヴンダーブリッジ

サクラ「えーではー、テキトーに1新型のなんか白く光ってるエヴァに集中砲火でよろしゅうたのみます!」

「イェー!!!」

ズドドドドドドドドドドド

リツコ「凄いわ、歴代艦長の中でも一番どうでもよさそうな感じの指揮ね。でも、みんな嬉々として実行しているわ」

ズドドドドド

ガシィっ

サクラ「なんなん今の?!」

青葉「取り付かれました!」


211鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/09/08(月) 22:02:26 ID:Piz1tN9.
mark9「コハァ」ブリブリッ

日向「なんかエヴァmark9、艦板でうんこしてます!」

サクラ「ちょっ、mark9のパイロットはん!何、うんこしてはるんですか?!」

KATUMATA『うんこじゃないっすwこれw俺の操縦効かないっすw』

サクラ「はぁ?!」

青葉「うんこから未知のプログラムが侵入!制御を乗っ取られていきます!」

サクラ「マジでか?!汚っ!どういうハッキングの仕方なん?!」


212鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/09/08(月) 22:09:02 ID:Piz1tN9.
それからなんだかんだでフォースインパクトは止まった(書くのが面倒くさい訳じゃないからな、絶対!)

春日「ちょー、アッコさん、濱口さん、出てきてくださいよー」がんっがんっ

アッコ「やっかましいわ!叩くなボケっ!」

濱口「うぇっ……気持ち悪っ……」

春日「もぉ、ちゃんと立ってくださいってば!私一人で支えられませんわ」

KATUMATA「ちょw待ってくだwさいよwおいてwwかないでwwwww」

スギちゃん「やばいんだぜぇ、スギちゃんの八号機壊れちゃったんだぜぇ」

濱口「歩くしかないっすね」

春日「なんかお笑い芸人以外、近寄れないみたいっすから船が降りられる場所まで行きましょうか」ノシッノシッ

アッコ「あー!歩くか〜!」

KATUMATA「俺も行くッすw」

濱口「食い物はいっぱい持ってるんで、任せてください!」

スギちゃん「一人じゃ寂しいんだぜぇ〜」


こうしてアッコら一同の旅は始まった


213鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/09/08(月) 22:21:11 ID:Piz1tN9.
チャンッチャラッチャラー
次回予告
西暦20XX年、世界はフォースインパクトの光に包まれた!
大地は赤く染まり、海は枯れ、あらゆる生命体は死滅したかに思われた!
だが、しかしである!人間たちは生き残った!
そして14年間もの間受け継がれてきた、恐るべき人型決戦兵器があった!
その名をヱヴァンゲリヲン。
芸能界に連なる芸人たちの魂を連ね、悲しきインパクトの歴史は繰り返される。
そんな世界で、運命を切り開く者がいる。
天に背く者がいる。
それは新世紀ヱヴァンゲリヲンの宿命。
見よ。
今、ヱヴァンゲリヲン20年の歴史に終止符が打たれる。
次回、シン・ヱヴァンゲリヲン笑×笑=爆笑
デーデン











公開日、シン・エヴァ3.0+1.0がテレビ放送されてから(予定)


214イエローの人 ◆sLaYellOWQ :2014/09/08(月) 22:42:55 ID:6OgMbY1M
>公開日、シン・エヴァ3.0+1.0がテレビ放送されてから(予定)

何年後なんだよwwwwwwwww
待ってるからね!!!!!!


215名無しさん :2015/06/10(水) 22:14:42 ID:a2t7T0mY
保守


216名無しさん :2016/02/07(日) 15:49:01 ID:dAVKsfDg
保守


217名無しさん :2021/03/06(土) 20:30:21 ID:1a68bD4g
>公開日、シン・エヴァ3.0+1.0がテレビ放送されてから(予定)
先生、もうすぐ映画公開ですよ!続き待ってます!


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3 のびた「いーでぃーえふ?」 (Res:8)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 3
1ジャングラ ◆XksB4AwhxU :2016/10/01(土) 23:47:44 ID:oSiBvMTQ
のび太(以下の)「どらえもん。いーでぃーえふってなに?」

ドラえもん(以下ど)「EDFね。地球防衛軍とも言う」

の「それをいまからやるの?」

ど「うん、ちょっと難しいけどね。君の得意な部分もあるだろう。」

の「え?ほんと?やったぁ」

ど「さらに{ゲームの中入り込み機}~」

ど「これを使うと・・・」

の「もうわかるよ」

ど「じゃあ早速始めよう!」

ウィィィィィィィィン

ど「さて、ついたぞ。」

の「イテテ・・・尻から落ちたあ・・・」

ど「何してんの ハイこれ」ドサッ

の「なにこれ」

ど「これは{AF99ST}だよ。」

ど「弾数20 連射速度4.0 攻撃翌力700 射程480 精度S+ の射撃がとくいな君にぴったりの銃だよ。」

の「え、銃!?そんな物騒なゲームなのこれ。」

ど「人間を捕食し、侵略しようとしている{フォーリナー}という巨大な虫や機械から地球を守ると言うゲームさ」

の「巨大な虫?ゾクゾクッ」

ど「大丈夫、そんな怖くないよ。」

の「ならいいけど・・・」

~アーマー ペイルウィング ストーム隊 の知識を叩き込む~

ど「じゃ、行こう!」

ど「{異邦人来たる}でもやるか」

の「難易度は?」

ど「inferno」

の「英語読めないよぉ(泣)」

ど「インフェルノ。難易度の中で最大だよ。」

の「そっか」

ど「(インフェルノと聞いてもびくともしていない・・・このゲームの怖さを知らないな・・・)」

の「よしやるか」

ど「うん」

2ジャングラ ◆XksB4AwhxU :2016/10/01(土) 23:48:42 ID:oSiBvMTQ
ウィィィィィン

の「着いた・・・あ、あんなとこに敵が、くらe」

ど「ストップ!!!」

の「何!?」

ど「まだ撃つな。充分ひきつけてないと、味方に当たる。」

の「それは大変だ。やめておこう」

ど「あ、でもあの赤いヘルメットのは撃っていいよ。」
の「え、なんで!?味方撃っちゃダメでしょ。ひどいなぁ[たぬき]は。」

ど「峰打ち(みねうち)って言って赤ヘル、つまり小隊長はしばしば勝手に待機モードの敵に突撃し、全滅して全てをこちらに押し付けるから倒すんだ。」

の「ナルホド」

ど「そのあと近づくと合流して行動を共にするんだ。峰打ち後にあえて合流せずそのまま放置し囮として活躍してもらう利用方法もあるよ」

の「知らなかった・・・」

の「ということでくらえーー」グワア

ど「そうそう。そうやって赤ヘルを・・・って敵が来てる!合流した仲間と倒そう。」

の「うわあ 怖い!・・・でも、やらなくちゃ!喰らえ!!」ズガガガガガ

キシャァァァァァ
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


3ジャングラ ◆XksB4AwhxU :2016/10/01(土) 23:50:51 ID:oSiBvMTQ
今回は地球防衛軍3です。

の「あれ、ビルが壊れないぞ。」カキンカキン

ど「あのなぁ アサルトライフルでビルが壊せるわけないだろ」

の「え!?壊れないの?」

ど「ったりめーよ」

ドッカーーーン

の「いいなー壊せて かっこいいなー」

ど「うるさい!のび太くんに爆破系渡すとビル以外まで壊したり不用意に打ちまくって自爆するだろ?」

の「どらえもんのケチーーー」

ど「じゃあ次のミンションで爆破系使ってもいいよ。どうなっても知らないけどね。」

の「まあ今は目の前の敵を倒すだけでしょ。」ダダダッ

ど「まあ第1波と違って2波は酸だから不用意に突っ込むと全滅しちゃう・・・っていない!?」

の「いけーーーー」オラオラオラーーーー

ど「のび太くーん 突っ込んじゃダメーー!!」

の「何か言った?」ピタッ

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


4ジャングラ ◆XksB4AwhxU :2016/10/01(土) 23:53:10 ID:oSiBvMTQ
3pでした。


ど「のび太くんのバカ!」†トゥイン†

の「ありがとう。ドラえもん」

ど「1波と違って酸を出してくるんだよあいつら」

の「じゃあどうするの?」

ど「こうするんだよ!」

ズガガガガガアアアアアアアアン

の「!?」

ど「僕の武器はジェノサイドガンといって弾数1 ダメージ100万 リロード3.3 爆発範囲75 射程距離6000 精度S+ だよ」

の「もはやそれ僕がいる意味ねえじゃん」

ど「そんなことはないよ。通信だけど、君のアーマーは貯まる。僕はMAXまで行ったけどね」

の「(まさかここまでドラえもんがEDFに溺れていたとは・・・)」

あれ?ジェノサイドガンって通信で出来なかったんじゃ・・・とか思ってるそこの君!安心して。ドラえもんは自分の回路とゲームを繋ぎ、改造ができるのです。あとAF99STをのび太が持ってるのは、改造Vitaのおかげでドラえもんから武器をもらうことが
できたのです。

ど「第三波は、味方部隊がいた公園端の道路から南側のビル街に出現するため、公園の南東の端で迎え撃って。建物は二波同様に武器が貧弱な場合は極力壊さずに敵の足止めとして残しておくけど今回はいいや。 後ろから回り込んでくるはぐれ蟻もいるのでレーダーの確認を怠らないようにする事。いいね。」

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


5ジャングラ ◆XksB4AwhxU :2016/10/01(土) 23:54:07 ID:oSiBvMTQ
の「よし、ついたぞ。」

ど「まずは本部の言う通り、キャリアー二機とヘクトルを全て掃除してマザーシップを丸裸にしてやろう。 ガンシップはオメガ部隊に任せてしまえばいい。こいつらの対空性能は異常。
とはいえ、数で攻められると危ないのでたまには手助けしてやるように。

の「了解!」

ど「(のび太も頼もしくなったもんだ。)」

の「ドラえもんは、ヘクトルとキャリアーをお願い。僕は邪魔な小型ヘクトルを。」

ど「よし」

の「喰らえェェェ」ズダダダダダダ

ど「よし!いいぞ。じゃあ僕も」キュイィィィン ダダダダダダダダ

ど「よし、あとはガンシッブとマザーシップだ。」

ノド「うおおおおおおおおお」ズガガガガガ

ドォォォォン
の「・・・やった。やったあ!僕は地球を守ったんだ。そして、ペイルウイングが解禁された!」

ど「どうだい。僕と{対戦}もやってみないかい?」

の「僕が勝てるわけないだろ!?」

ど「ははは」

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


6ジャングラ ◆XksB4AwhxU :2016/10/01(土) 23:54:40 ID:oSiBvMTQ
???「お前らなにやってんの?」

の「あ、スネ夫!」

スネ夫以下す「え!?Vitaのなかののび太とドラえもんが喋った!」

ど「{ゲームの中入り込み機}を使ったんだ。これはどういう機械かというと・・・」

す「わかる」

ど「なぜのび太くんと同じ反応をする。」

のす「・・・。」

す「まあ僕はスネ吉兄さんに武器、アーマーをMAXにしてもらったけど。」

ど「フンッ そんなの本当の強さじゃないね。テクニックだよテクニック。」

す「ハッ 強い武器さえあれば、誰だって強いのさ。」

ど「まあ俺は自力でMAXにあげたがな。」

す「そこまで言うなら俺と勝負しよう。{対決}でな。」

の「ドラえもん!負けないでよ!」

ど「もちろん負けないさ。知識が違うんだよ知識が、」

す「なに!?ジェノサイドガンだと?・・・なるほど、お前も改造か。」

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


7ジャングラ ◆XksB4AwhxU :2016/10/01(土) 23:55:43 ID:oSiBvMTQ
ブオオオオオオオオオオオ
ど「思ったより火柱がきついな。さらにあいつの改造セントリーガンで無限に攻撃される。だがあいつは適当に撃ってるだけだ。まだ反撃の猶予はある。」
どうする>>8
1.火柱に突っ込む
2.自分もテキトーに撃ちまくる
3.狙って少しずつダメージを与えていく


8名無しさん :2016/10/05(水) 18:46:17 ID:VfuqzXe2
1


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4 リレーSSイニング! (Res:0)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 4
1名無しさん :2014/12/23(火) 21:57:18 ID:OGxx0aFg
これは、一人のエースピッチャーの物語。

浅木 彰…エースピッチャー。

2名無しさん :2016/03/09(水) 07:54:52 ID:oe8EP.IM
やきう賭博に手を出し解雇されてしまった

おわり


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5 天使と妖精 (Res:0)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 5
1ペンギン ◆pe868B2fwg :2015/07/04(土) 18:14:55 ID:K8yqP/CU
投稿サイトに出すつもりだけど、一応こっちにも貼るお
以前と違い、メモ帳に手書き→打ち起こしの体裁だお

2ペンギン ◆pe868B2fwg :2015/07/04(土) 18:15:57 ID:K8yqP/CU
 俺が塾の帰りに夜道を通っていると――ひゅーんと何かが夜空から飛んで落ちてきた。
最初鳥かと思ったのだが――日の長い夏とはいえ、もうすっかり暗くなった夜の9時近くに鳥が飛んでいるというのもおかし話なのだが、街灯と住宅の明るさがあればあることなのかと思った――、
落ちるそれが目の前を通過する際に、その薄く半透明の羽から昆虫を予想して、虫にしてはあまりの大きさに俺はぎょっとそれから飛びのいた。
ぼてんと地面に落ちて、『ウゥ~』と唸るそれを恐る恐る覗き込むと――俺は仰天を通り越して愕然とした。


3ペンギン ◆pe868B2fwg :2015/07/04(土) 18:17:10 ID:K8yqP/CU
 ――妖精だったのだ――体長15センチほどの女の子の妖精。
アスファルトの道路の上に腕と脚を揃えて折りたたんだ、縮こまった姿勢で目を閉じて倒れている。白い花飾りを付けた、やや亜麻色がかった、長くウェーブのかかった金髪から、妖精のトレードマークの一つといえる先のとがった長い耳が突き出している。
細い眉に、長いまつ毛、薄い唇の間から、相当高い鼻が飛び出しているのだが、細く整っており、それほど不調和に見えず、白い肌の顔に彫りの深さを与えていた。やたら細い腰のところで紐で締められた緑のワンピースの肩の上部分は鋭く尖って華奢な肩から大きく外に三角の角が飛び出しており、短いスカート部分の裾もギザギザと三角の角々で縁取りされている。
俺がよく見るために屈み込むと、その視線の角度の変化に伴って、つやつやした服の表面が街灯の光をシャボン玉の表面のようにきらっきらっと七色に反射した。
そして俺が、その落ちてくる姿を見て虫と勘違いする原因となった――妖精の最大の特徴である――、白く、その薄さから半透明をして、表面に翅脈が浮き上がった細長い四枚の羽――まさにバッタといった昆虫の羽そっくりだった――が、どうやってかわからないが(妖精の存在自体非現実的なのだが)、その緑の服の背中に開いた、羽よりだいぶ小さい縦の二つの切れ込みからくぐらせて突き出ていた。
履いている靴はこれも緑で、小さい縁飾りを付け、先が必要以上に長く尖った爪先部は軽く上にカールしていた。
着ている服から突き出した腕と脚――そして首も――は白くて細長く、華奢で、端正な顔立ちも合わせて体全体が美しい姿態をしていたが、目を閉じたその顔を今は苦痛にしかめていた。
怪我か、それとも疲労だろうか――


4ペンギン ◆pe868B2fwg :2015/07/04(土) 23:17:01 ID:K8yqP/CU
 俺がもっとよく見ようと、屈み込んで顔を近づけたところ、右手の空が突然明るくなり、いきなり現れた光の方に顔を振り仰ぐと――今度は結論だけから言うと女の天使が現れた。


5ペンギン ◆pe868B2fwg :2015/07/04(土) 23:18:03 ID:K8yqP/CU
 道路に立った俺の右横の住宅の敷地内、屋根より2メートルほど上方に、夜闇を圧した煌々たる光を全身から発しながら、後ろに広げた白い翼を羽ばたかせることなく宙に浮いていた。
腿ほどまである長い銀髪がふわりと体から少し浮いて離れてまとわっており、着ているのは丈が足首まであり、ゆったりした裾と袖を持つ厚手の白いローブ。
手には先に装飾がついた杖を持ち、体の浮遊に合わせてかすかにひるがえった裾から覗く白い靴は羽根飾りがついているが、作り自体は、靴底が薄く、足の大まかな輪郭にしたがって丸っこい形をしただけの至ってシンプルなものだった。
背中の翼は広げ切った今、体の幅の何倍もあり、白鳥の翼のようなそれを見ている者――俺だ――を威圧するようだった。
そして、翼以上にそれを身に着けている者を天使だと主張する輝く輪っかが頭の上に浮いており、遠くから見るにもかかわらず、ひときわ強く輝くおかげで、まばゆい光の中、大きく広げた翼を含めた体全体に比べて小さな比率のそれもはっきり見極めることが出来た。
距離があるのと、光と闇のコントラストの内にいるため、顔ははっきり見えなかったが、やや細長で白い肌の顔立ちは遠目にも整って美しく見えた。
全身から発する光は、普段見慣れた蛍光灯の無機質な一辺倒のものでなく、乳白色がかった柔らかい輝きで、どこか見ている俺を癒してくれる効果を与えるような印象を受けた。


6ペンギン ◆pe868B2fwg :2015/07/06(月) 01:27:52 ID:jrxDrNpc
 俺は天使が夜中に発するまばゆい光が近所に住んでいる人や、そばを通りがかる人達の注目を集めるんじゃないかと、直接自分に関係のない心配をしたが、
天使は背中の翼を羽ばたかせることなく、すぅっとこちらの方に宙を滑るように移動して道路の上に出てくると、ブロック塀の上部の辺りの高さに足を浮かせたまま静止し、すぐ目の前にいる俺が眼中にないかのように、道路の上に倒れた妖精だけをじっと見据えた。
――見据えたといっても、そばに来たおかげではっきり見ることの出来た顔立ちのその目はじっと閉じられていたのだが。
――そのあるべき視線ははっきりと妖精の方を向いていた。
髪色と同じ細く整った銀の眉に、真っ直ぐ通った細い鼻筋、真っ白い滑るようななめらかな肌の頬の部分にはほんの少し朱が差さっている。
やはり少し近寄りがたいほどの美しさだ。
ただ、どういうわけか額に汗が浮いており、眉と口元を少ししかめたその表情はしんどげでもあり、ふーふー軽い音ながらも、荒く呼吸する音が少し注意するとはっきり聞こえ、‘見つめる’先の妖精に対して発せられた言葉にもその息切れが反映されていた。


7名無しさん :2015/07/06(月) 21:52:37 ID:jrxDrNpc
「――やっと追い詰めましたよ。――ここまで長かったですが――、これでとどめを――、悪魔よ――」
 天使がさらに浮遊する高度を下げ、塀の中ほど――宙1メートルほど――の高さまで下がって静止し、荒い息遣いと共に手にした杖を振り上げたところ、近づいてきて強さを増した天使の発する光に当てられたのか、
「ウウゥ……」
と、倒れていた妖精は一層苦しげに顔を歪め、手を握りしめて全身をぎゅっと硬直させたが、はっと目を開けた。今にも自分の方向に向かって宙に杖を振り下ろそうとする天使に気付き、一瞬で飛び起きると、
しゅんと――それは例えが悪いかもしれないが蠅のような素早さだった――飛び立って、間一髪天使の杖から発せられた光線を避けた。
目にも止まらない速度でS字を描く低空飛行をし、距離を取ると、宙にとどまって、こちら――天使と、ついでに、その隣にぽかんと突っ立って妖精の方を見ている俺――の方を見た。
それはすぐに憎々しげな睨みつけに変わり、怒りから片方が捩れて開いた口の端から白い牙が覗いた。
かすかな『シャーッ』という威嚇の声も聞こえたような気がする。
普通にしていればさぞかし可愛いだろうが、獰猛に歪められたその顔を見た俺はいつぞや本で見た、狼に育てられた少女というのを思い出した。


8名無しさん :2015/07/06(月) 22:09:41 ID:jrxDrNpc
妖精が今しがた逃げおおせた道路の場所には、杖から発せられた光線が当たって、直径50センチほどのきれいな円形の光がくっきり残り、
その光は『シューシュー』とも『ブスブス』ともいう音を発しながら徐々に弱まり、やがて完全に消えた。
光が消えた後のアスファルトはかすかな破損の後もなかった。


9名無しさん :2015/07/06(月) 22:29:07 ID:jrxDrNpc
 今一歩で妖精にとどめをさし損ねたらしい天使は逃げ飛んで宙に佇む妖精の方を向きながら、これも苦々しげに――それぞれの表情は、妖精が追い詰められた獣のようだとしたら、天使の方はそれを取り逃がしたハンターのようだった――顔を歪めたが、
今放った光線に力をとられたのか、疲労(天使にそんなものがあるとしてだが)の蓄積を感じさせるその顔の動きに力がなく、顔の汗と息遣いも一層激しくなっており、今やその両方とも意識しなくてもはっきり気づくほどまでになっていた。


10名無しさん :2015/07/06(月) 22:54:16 ID:jrxDrNpc
「――悪魔め……」
 息を切らしながらつぶやくが、妖精はその様子を見ても気を許す風なく、今度ははっきりと口を開けて両の牙を剥き出しにシャーッと唸り、吊り上げて細めた目で威嚇して天使を睨み、
そのかたわらに立つ俺の方を最後にちらりと眺めると、身をひるがえし、背中の羽をものすごい勢いで動かし、しゅんと夜空にかき消えて行った。


11名無しさん :2015/07/07(火) 19:45:58 ID:brQS4KDs
「――悪魔め……」
 天使がもう一度、今度はつぶやくというより、声を絞り出すようにするのが俺の耳に届いた。
俺があまりのことに呆然と妖精が飛び去っていった方を見やっていた状態からはっとそちらに顔を振り向けると、いつの間にか天使はアスファルトの地面の上に降り立ち、地に突いた杖に両手をかけ、必死にすがり付いた状態で立っていた。
ゼーゼーいう音はすっかり高くなり、大量の汗が浮かぶその顔を見ていると、本来は美しさに資するはずの肌の白さが本来のものでなく、病的状態による極端な具合の悪さによるものにものに思われてくるほどだった。
さっきまで数メートル四方をまばゆく照らしていた光もすっかり衰え、体の周りを薄膜のようにぼんやり覆うだけとなっている。


12名無しさん :2015/07/07(火) 19:53:44 ID:brQS4KDs
 ただ、そうしてそちらの方を見やる俺には、どういうわけだかで力を使い果たした感の天使からは先ほどまでの神々しさから来る近寄りがたさが消え、どこか親しみやすい人間味を俺に意識させ、改めて間近にいる『彼女』の美しさを俺に意識させた。
真っ白なうなじにも浮かぶ汗の玉はローブの隙間から覗く、ふっくらとした胸の谷間に流れ落ちそうで――
 はっとした。


13名無しさん :2015/07/07(火) 19:54:49 ID:brQS4KDs
「あんた大丈夫か!?」
 我に返った俺は叫んだ。こんな非現実的なことが起こり――起こったからともいえるが――、具合が悪そうな相手――それも恐らくは天使――が目の前にいるというのにぼーっと美しさに心を奪われ、いやらしい妄想までするとは――。


14名無しさん :2015/07/07(火) 20:34:08 ID:brQS4KDs
 あまりの悪そうな具合に敬語を忘れ、素っ頓狂な声を上げてしまったが、今まで俺の存在に気付いていたのかいなかったのか、やっとの思いで立っている天使は杖にすがって前屈みになった顔を初めて俺の方に向けてにっこり笑った。
「――ありがとうございます。――私は――、主の命により、逃げた悪魔を討つべく――、この地まで――」


15名無しさん :2015/07/07(火) 20:35:06 ID:brQS4KDs
 息切れしながら途切れ途切れに話すが、またしても俺はぼーっとしてしまい、まともに言葉を聞けていなかった。
相変わらず目を閉じたままの‘彼女’の笑顔が完全に俺を魅了してしまったのだ。
西洋映画の美しいトップ女優が誰もいない暗い夜道、自分だけのために笑顔を向けてくれるようなものだ。
しかもどんな美人女優でも肌の表面にかすかな色や質感の粗があるが、目の前の‘女性’はそれもなく、顔から、先ほど俺が見とれていた首筋とうなじ、杖にすがる手までの露出面の全てがつるつるとした白い肌で、しかもどこか柔らかい質感がある。
『真珠のような――』という比喩をよく聞くが、俺は今間近に‘彼女’を見て初めてその表現を理解した。それも、あまりに整いすぎると、先ほどまで感じていたような、非人間的な(そもそも人間ではないのだが)近寄りがたさがあるのだが、それもこの笑顔で払拭される。
――閉じたままの目さえ、表情の動きの豊かさを強めているようだった。


16名無しさん :2016/01/09(土) 07:09:42 ID:mdPMuvvU
本当に出会える出会い系ランキング
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6 SS作者の雑談スレpart15 (Res:870)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 6
1鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/12/15(月) 17:57:06 ID:JVN.YRds
【板説明】この板へ初めて来た方へ
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/16777/1406823995/
(初来訪の方は上スレをご一読ください)

・ここは雑談スレです
・誰でも自由に参加できます
・内容も自由、相談や独り言など何でもOK
※ 但し、他人や他板、他サイトの悪口・愚痴は厳禁! ※

・次スレは「>>950を踏んだ人」が、「宣言してから」立てること

以上を守って、
楽しいSS、及び雑談ライフを!


――――――――――――――――――

ホア「なあネーチャン」

ジャンヌ「なにアホちゃん?」

ホア「健康診断行ったら身長伸びてたぜ、胸も一回りデカくなってた」

ジャンヌ「ムッキィイ!4年経っても、大して変わらない私の気持ち考えろおおおお!」

ホア「何キレてんだよ?!バカ姉!」

ジャンヌ「でもアホちゃんと雑談板の皆が大好きです!!!!!」

ホア「お、おう……/////」

872名無しさん :2015/05/17(日) 00:29:41 ID:c/vIUFCg
>>871回答感謝です


873ペンギン :2015/06/08(月) 17:49:08 ID:lGgPbN/M
質問なんですが、PCぶっ壊れてネットから離れていた半年間でここが一気に過疎ってるのはどういうわけですか?
教えて下さいお願いしますm(_ _)m


874ペンギン :2015/06/08(月) 18:48:08 ID:lGgPbN/M
今出先で、また離れます
PCそろそろ直さないとな…
直ったらまたよろしくにゃん


875晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2015/06/12(金) 23:18:11 ID:tbbD4BRQ
>>874
久しぶりだな。
最近はツイッターでの会話が多い。
あとはある小説投稿サイトに投稿している。


876二次の人 ◆boyUn.XHfE :2015/07/02(木) 19:50:41 ID:aH0LnG6U
Twitterをやりはじめたんでふけど

どうやって検索すればいいのかわからないお…… ってかSS書いてないしなぁ


877人間 ◆puRgtI1HCs :2015/07/02(木) 21:40:51 ID:Mjiwp4V6
二次さんtwitter始めたのか!!!
僕は下藤匠っていう名義でやってるから、その名前で検索してみてください。
その後メンバーのIDをお教えしますね。


878二次の人 ◆boyUn.XHfE :2015/07/03(金) 17:55:24 ID:DkCj8P46
まぁモンストのオーブもらえるから始めたようなものですけどね


879ペンギン :2015/07/03(金) 20:48:27 ID:Y.7GvKGk
とりあえずこっちも復活しておく
二次さんもよろしくです


880晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2015/07/03(金) 23:11:23 ID:3YrxjIPc
>>879
いい傾向だ


881ペンギン :2015/07/04(土) 00:00:15 ID:K8yqP/CU
ストリエストリエ!


882二次の人 ◆boyUn.XHfE :2015/07/04(土) 08:14:32 ID:CGqqgj86
先月のシフトを見まちがえて 出勤してしまった俺テラアホス


883ペンギン :2015/07/04(土) 17:38:52 ID:K8yqP/CU
またストリエ投稿失敗したお…
なろうの方にしようと思う


884ペンギン ◆i7L9xlE.yQ :2015/07/04(土) 18:08:29 ID:K8yqP/CU
前のトリ忘れてる…


885ペンギン ◆pe868B2fwg :2015/07/04(土) 18:09:27 ID:K8yqP/CU
こうだっけ?


886ペンギン ◆pe868B2fwg :2015/07/04(土) 18:10:17 ID:K8yqP/CU
わからんしこれで行く!


887ペンギン ◆pe868B2fwg :2015/07/04(土) 23:21:49 ID:K8yqP/CU
     ――第3話――

バブ「うぅ…。また進まなかったよ…」
ホイップ「まあマイペースでいいやん。焦ることあらへんがな」
バブ「うん…」
(後ろから)
女の子「よっ、あんたが泡姫(ありえる)か?」
バブ(振り向く)「――えっ――、あなたは確か転校生の――」
ペンギン「覚えててくれてたか? 京都から転校して昨日同じクラスに入った辺見銀子や。
 前の学校ではペンギンペンギン言われとってな。だからこっちでもそう呼んだってや。
 ――よろしゅう」
バブ「――う、うん…よろしく…」
ホイップ「(何やわてとキャラかぶっとんな)」
バブ「(う、うん…)」


888ペンギン ◆pe868B2fwg :2015/07/04(土) 23:23:27 ID:K8yqP/CU
バブ「――えっと――、どうして私のことを――?」
ペン「いやな、さっきD組のあの子に文芸部の入部届けを出してきたんや。両那【りょうな】――両那――、下の名前が思い出せへんな」
バブ「もしかして紗羅諏ちゃん?」
ペン「――そそ、それや。そしたらあの子――ちょっときつい感じやけどな――、うちの入ったB組にもどんくさい――おっと、のんびりした子がいるゆうててな。それであんたのことかとピンと来たんや」
ホイップ「(えらいいわれようやな)」
バブ「(うぅ…)
 ――それで、ペンギンちゃんもお話書くの?」
ペン「もちろんやで、ちょっと見るか?」


889ペンギン ◆pe868B2fwg :2015/07/04(土) 23:30:34 ID:K8yqP/CU
バブ「うわ…すごい。読めない漢字や言葉が一杯…。これって神道? とかのだよね。それにお話の内容もちょっと怖い感じ」
ホイップ「えらいマニアックやな…」
ペン「かーっ! 何言うてんの! よう読んでみ、そこ!」
バブ「――えっと…巫女さん? 何か袴がひるがえるとか…」
ペン「そそ。そこやで。巫女さんかわえーやろ? うちは巫女さんの可愛さを書きたいから神社とかそんなめんどくさい神道とかのことを書いてるねん。
 やっぱり女の子は清楚でおしとやかやないとな。奥ゆかしくって丁寧な言葉遣いで…。それこそがうちの求める理想の女性像やねん」
バブ、ホイップ「…」


890ペンギン ◆pe868B2fwg :2015/07/06(月) 01:34:19 ID:jrxDrNpc
バブ「ええと――、でも、すごい量だね。ノートにびっしり――」
ペン(ウィンク)「やろ? でもうちほんとは書くの遅いねんで。遅いから毎日こつこつ欠かさず書き溜めるようにしてるんや。そうやないといつまでたっても進まんからな」
ホイップ「(誰かさんも見習わんとあかんな…)」
バブ「うぅ…」


891名無しさん :2016/01/21(木) 12:37:29 ID:a.TPrqYc
http://hayabusa.open2ch.net/livejupiter/


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7 【艦これ】スーパー艦娘大戦GP長門型三番艦【仮面ライダーネタ】 (Res:50)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 7
1名無しさん :2015/04/05(日) 21:22:26 ID:zTk02SYs
――19XX年――

長門「ここまでだな、戦艦水鬼!」

陸奥「もう逃げられないわよ!」

戦艦水鬼「イマイマシイ……ガラクタドモ、メ……ッ!!」

長門「貴様ら深海棲艦による支配はさせん!」

戦艦水鬼「ククク……ソウダナ、私ノ負ケダ……シカシ、タダデハ、沈マン……ココデ、貴様ラモ、死ネェ!」バリバリバリバリ

陸奥「!長門!」

長門「ああ!」バッ

ドオオオォォォ…………

長門「はぁ……はぁ……終わった……のか?」

陸奥「はぁ……そういう……台詞は禁句よ……」ピトッ

こうして深海棲艦は全滅した。
長門と陸奥の長く、辛い苦悩の日々から解放された筈だった――――

52鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/04/06(月) 22:12:27 ID:9BflJzhY
三番艦「とぉお!」ゲシッ

金剛「長門司令?!……の、そっくりさん?!」ビッターン!

三番艦「吸引力の変わらないただ一つの――――!」ギュオオオオオオオオオオ、バタン

吹雪「そんな……」

雷「吸い込まれちゃった……」

電「吸われたのです」

暁「疲れたわ……」ペタッ

響「ん、帽子がない」ペタペタ

戦艦水鬼『フンン……三番艦カ、マアイイ……フハハハハ!完成シタゾ、我ガ最強ノ肉体ガ!見ヨ!』

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

吹雪「あれは……!」

夕立「おっきぃヲ級っぽい?」

夕立「なんなの……一体?」

戦艦水鬼『冥土ノ土産ニ教エテヤロウ!我々深海棲艦ハ歴史改変マシンヲ開発シ、我ガ魂ヲ宿シタ電磁頭脳ニ組ミ込ミ、長門型三番艦ヲ誕生サセ、長門達ヲ葬ッタノダ!ソシテ今、史上最速・最強デハナイガ三番艦ヲコアトシテ取リ込ム事デ、最強ノ肉体ガ完成シタノダ。ソノ名モ、深海ロボ!』

夕立「名前クソダサいっぽい」

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


53鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/04/06(月) 22:13:59 ID:9BflJzhY
夕立「いっぱい出て来たっぽい……!」

睦月「なんて数なの……?」

愛宕「流石に厳しいわよ……」

高雄「大丈夫、勝てるわ」

金剛「そうデース!私がついてるネー!」

比叡「私達もいます!」

榛名「全力で参りましょう!」

霧島「マイクチェック、ワン・ツー、ワン・ツー!さあ、準備よしです!」

雷「私も頑張るわ!」

電「怖いけど……頑張るのです!」

暁「レディたるもの、逃げないわ!」

響「まったくハラショーな皆だ」

吹雪「でも……水雷魂は輝いている!」

赤城「そうよ!私達は運命に抗うのよ!」

吹雪「なんでしれっと混じってるんですか」

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


54鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/04/06(月) 22:15:58 ID:9BflJzhY
泊地棲姫「コノ……!沈メ……沈メ……!」

ビューン!
島風「到ちゃーく!連装砲ちゃん、やっちゃって!」

連装砲「「「クルッピィイイイイイイイイイイイイイ!!!!!」」」

泊地棲姫「?!」

中間棲姫「怯ムナ!戦エ!」ドゴドゴ

南方棲姫「格闘ニ備エルノヨ!」ジャコッ

連装砲「お嬢さん方、退かねえと怪我するぜ!」

連装砲「そんな砲撃が効くモノかよ!」

連装砲「ハハハハハハ!」

雷・電・暁・響「「「「じゃんけん!」」」」

北方棲姫「ホッポ!」

雷・電・暁・響「「「「あいこで!」」」」

北方棲姫「ホッポ!」

北方棲姫「アッチ向イテポッ!」

雷「セーフ!」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


55鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/04/06(月) 22:17:12 ID:9BflJzhY
戦艦棲姫「コノ私ニ勝テルトデモ?」

榛名「榛名、全力で頑張ります!」

戦艦棲姫「デアッ!」ドドド

榛名「そんな攻撃……大丈夫です!」ドドド

戦艦棲姫「深イ、深イ、海ノ底……沈ンデイキナサイ……」グオッ

榛名「は、榛名の全力を思い知りなさい!」グオッ
バキィッ

霧島「はい、マイクチェック、ワン・ツー♪」ドッドゴッ

軽巡水鬼「ワン・ツー♪」ドッドゴッ

霧島「ワン・ツー♪ワン・ツー♪」ドッドゴッドッドゴッ

軽巡水鬼「ワン・ツー♪ワン・ツー♪」ドッドゴッドッドゴッ

霧島「やるじゃありませんか」ニマ

軽巡水鬼「フッフフッ……」ニマ

愛宕「ぱんぱかぱーん!」ドゴオッ!

空母水鬼「パン……パッ……パー……」ドゴオッ!

愛宕「挨拶はできるみたいね」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


56鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/04/06(月) 22:19:08 ID:9BflJzhY
吹雪「三番さん!返事してください!三番さん!」
ズドオッ!

レ級「オ前ノ相手ハ私ダヨッ!」ドドドドド!

吹雪「な、なんて火力なの?!」

レ級「ククッ……レースノ時トハ違ウンダヨ!」グオオオッ!

吹雪「でも……逃げたりなんかしません!」ジャキッ

レ級「ヨク言ウネェ……駆逐艦サン」ズガガガガ

吹雪「てぇええええええええい!」ブォッ

レ級「ハハハハハハハハ!!!!!」ブォオッ!

深海ロボ『フハハハ!モガケ!モガケ!無駄ニ抵抗シ、無駄ニ抗イ、無駄ニ死ンデユケェ!』ズガガガガガガガガ

チュドドドドドドドドドド

吹雪「きゃああああああああああ!」

愛宕・高雄「「くっ……!」」

睦月「夕立ちゃん!」

夕立「ぽいぃ~!」

深海ロボ『貴様達モダァアッ!』
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


57鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/04/06(月) 22:20:47 ID:9BflJzhY
赤城「この声は……?」

天龍「情けねぇな一航戦!この天龍様が来てやったぜ!」バアアアアン!

赤城「天竜さん……」

天龍「お前達、行くぞお!」ドオッ

球磨「クマーッ!」

多摩「ニャーッ!」

妙高「やっと復帰しました」

夕張「死ぬかと思ったけど、また頑張るよ!」

瑞鶴「五航戦の実力を思い知らせる時が来たわ!よく見てなさい!」

那珂「那珂ちゃん、現役復帰だよー!」

艦娘軍団「エイエイオー!」

赤城「どうして……こんなに……一体誰が指揮を……」

大鳳「赤城さん、これは誰に指示された訳でもありません。これは、私達艦娘一人一人の意思です」

赤城「貴女は……」

大鳳「さあ、戦いましょう。戦いは始まったばかりです」

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


58鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/04/06(月) 22:22:52 ID:9BflJzhY
ズシーン……ズシーン……!

大和「大和型一番艦大和!大きくなっても、推して参ります!」

天龍「お!大和の奴、来てくれたか!」

深海ロボ『オノレ……大和ダトォ?!』

大和「はあああああ!」パァンチ

深海ロボ『ウォオオオオオ!』ズガァッ

大和「大和パァアアアアアンチ!」ズドォッ

深海ロボ『グァァアアアアアアアアア!』ドドォォオオオオオオオ!

吹雪「大和さん……凄い……!」

大和「さあ、トドメです!波d……」キュィンキュィンキュィン

深海ロボ『コウナレバ、奥ノ手!』ガバッ

大和「!」

深海ロボ『歴史改変ビーム!』ピカアアアアアアアアアアア

大和「こ、これは……!」スゥッ

吹雪「そ、そんな?!」

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


59鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/04/06(月) 22:24:04 ID:9BflJzhY
深海ロボ『歴史改変ビーム!』ピカアアアアアアアア

球磨「クマァアアアアアアア!」スゥッ

多摩「球磨ちゃ――」スゥッ

夕張「あひゃひゃひゃ!これでど――」スゥッ

深海ロボ『マダマダ!』ピカアアアアアアアアアア

妙高「またぁ?!」スゥッ

蒼竜「また別の歴史で――」スゥッ

飛竜「会える事を――」スゥッ

赤城「ま、また……消える……!私達は……!」

ピカアアアアアアアアア

最上「僕が消えても、水雷魂は忘れないでくれ……!」スゥッ

睦月「最上さん!」

那珂「えっ?!まだ何もして――」スゥッ

夕立「もう駄目っぽぃい~!」バタンッ

吹雪「夕立ちゃん当たってないよね?!」

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


60鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/04/06(月) 22:25:36 ID:9BflJzhY
赤城「どうして……どうしていつもこうなるの?!」ダンッ

天龍「あの野郎……!グハァッ!」ドガッ

深海ロボ『時ノ海ニ沈ンデイケェ……!』ピカアアアアアアアア

赤城「私は……こうなってしまう前に……間違った歴史を変えようと必死に……!でも……歴史を正す事も、こんな被害を出さないようにする事も……できなかった……!」

ヲ級「赤城……サ……」ズキッ

赤城「空母ヲ級……いいわよ、どうせ全滅するのなら、私から……!」

深海ロボ『フハハハ!一航戦赤城、オ望ミ通リ、貴様ヲ消シテヤロウ!歴史改変ビ――』

陸奥『戦艦水鬼!貴女の好きにはさせないわ!』

深海ロボ『何ィ?!』

長門『暁の水平線に我々の勝利を刻むのだ!』

深海ロボ『バ、馬鹿ナ……?!』

長門・陸奥「「とあああああああ!!!!!」」バコォォオオオオオオオオオオオン!

シュタタッ

長門「ビッグセブン長門!」バンッ

陸奥「ビッグセブン陸奥!」ビシッ

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61鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/04/06(月) 22:27:13 ID:9BflJzhY
深海ロボ『シマッタ……コレデハ歴史改変ビームが……!』

三番艦「奴を倒せば全ての歴史が元に戻る!」

陸奥「皆!長門司令の指示に従うのよ!」

長門「全艦、全ての火力を以てして敵を掃討せよ!」

艦娘達「了解!」
アーサーノヒカーリーマブーシクテーウェイッカー

金剛「オー!比叡!榛名と霧島の仇を討つのデース!」

比叡「はい!榛名と霧島を取り戻しましょう!」
コートバモナクテーターダナミノーオトキイーテター

港湾棲姫・南方棲戦鬼「「ウオオオオオオオオオ!!!!!」」
パシッ

金剛・比叡「「バーニング…………ラアアアアアアアアアアアアアアブ!!!!!」」ズドォオオオオオオオオオオ!

港湾棲姫「ナッ……?!」

南方棲戦鬼「コノ力ハ……!」

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!

比叡「やりましたお姉様!」

金剛「イエー!見ましたか、これが私達の姉妹愛の力デース!」
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62鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/04/06(月) 22:28:54 ID:9BflJzhY
タトエ、セカイーノスベーテーミイローニトーケーテーモー
雷「負けてしまった……」

暁「あっち向いてほいで負けるなんてレディ失格だわ……」

響「すまない……」

ほっぽ「私ニ勝テナイヨ!ホッポハアッチ向イテホイノ天才ナンダカラ!」

電「まだなのです……!」

ほっぽ「ポ……?」

電「電はまだ負けてないのです!」
キットアナタノコエーガースルーダイジョウブーカエロッテデモ

ほっぽ「無駄ヨ、私ニハ勝テナインダ!」

電「電の本気を見るのです!」
セカイガースベテハンテンッシテルノーナラー

電「じゃんけん!」
ソレデモーアナタトーマッスグーニーマエヲームイテー

ほっぽ「ホッポ!」

電「あっち向いて――!」
イマーネガイコメーターイチゲーキ

ほっぽ「ホッ……ポオオオオオオオオオオオオオ?!」ほっぺ指ぐさぁ
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


63鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/04/06(月) 22:30:10 ID:9BflJzhY
Sofoolish,don’trepeatthetrgedy
ソンナコトーバーニタヨリーハシーナーイー

吹雪「このぉっ!」ドゴオッ

戦艦棲姫「!」

吹雪「煌めく青空と希望……例え負けて水底に沈んでも……眠らない物がある……それを、赤城さんが教えてくれました!」

イクツモノナミダノーウミーヲーコーエー
吹雪「だから私、こんな所で負けません!」ブォオッ

戦艦棲姫「……!」ベキィッ

吹雪「例え私の全てが過去に消えても!」ブンッ

戦艦棲姫「コノッ……!」バキィッ

吹雪「ずっと、きっと共にあるって……変われるって!だから!」ギュオオオッ!

戦艦棲姫「シカシ、改変サレタ歴史デハ貴様ラハ、幻当然ナノダ!」ボコオッ

吹雪「私の全てが幻だったとしたら……それでも奇跡を信じて、祈りを込めます!」キュオォォォ……

戦艦棲姫「コノ光ハ……」

吹雪(改二)「この一撃、どうか当たってください!」グオオオオオオオオッ!

戦艦棲姫「テ……ィト……!」

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


64鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/04/06(月) 22:34:22 ID:9BflJzhY
赤城「……!長門司令のおかげで皆が奮い立っている……そうね……そうよね、私も立たなきゃ……!」ヨロッ

ヲ級「!ココハ……譲レ……マセン……!」ギリッ

赤城「加賀さん……貴女はまだそこにいるのよね……なら私が!」ダッ

ヲ級「赤城……サ……!」ズキッ

赤城「大丈夫よ、鎮守府へ帰れます!」ユサッ

ヲ級「グゥッ……!デ……モ……歴史ハ……!」ザッ

赤城「大丈夫よ!歴史が変わっても、また変える事ができるから!」

ヲ級「ガッ……!無駄ダ……!ヲ前達ハ……ココデ沈ム……!」ギリッ

赤城「そうだとしても、私は進むわ!だから加賀さんも深海棲艦になんか負けないで!」

ヲ級「黙レェェエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!」バッ

赤城「加賀さん!」

ヲ級「私ハ深海棲艦空母ヲ級!ソレ以外ノ何者デモナイ!ヲ前ノ言ウ事ハ全テ嘘ダ!私ヲ……惑ワスナア!!!!!」ドゴオッ!

赤城「グッ……!」

ヲ級「コレデ終ワリダ……!」

赤城「違う!終わらない!終わらせない!」ドッ

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


65鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/04/06(月) 22:35:38 ID:9BflJzhY
深海ロボ『オノレ、艦娘共……!コノママ押シ潰シテクレルワ!』キンッキンッ

睦月「ど、どうしよう、砲撃が効かない!」

夕立「魚雷も無理っぽ~い!」

愛宕「ぱんぱかぱ~んとはいかなさそうね……」

高雄「ど、どうすれば……!」

金剛「諦めるのはノーネ!バーニングハートで迎え討つデース!」

比叡「ひえぇ~!無理ですぅ!」

天龍「ああ!もうどうりゃあいいんだよ!」

吹雪「でも……撃ち続けましょう!」

深海ロボ『無駄ダ!貴様達ノ弾等通用セヌ!死ネェエ!』

チュドドドドドドドドド

吹雪「くっ……!」


66鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/04/06(月) 22:37:02 ID:9BflJzhY
島風「ぐっ……ぅぁっ……」ガクッ

スーパー大井「ヒャッヒャッヒャッ!北上サン、今デス!」

スーパー北上「一緒ニヤロウ、大井ッチ」

スーパー大井「ハ、ハイ!」

スーパー北上・大井「「沈メエエエエエエエエ!」」ズドオオオオオオオ

島風「がっ……ぁっ…………」ザブンッ

スーパー大井「ヤッタワ!北上サン!」

スーパー北上「ナーンカ悪役ッポイ倒シ方ダヨネー」

スーパー大井「ソ、ソンナ!北上サンハ命令通リ、働イタダケデスワ!悪役ナンカジャアリマセン!」

長門「島風ぇええええええええええ!!!!!」ザザッ

陸奥「長門!」

長門「島風!しっかりしろ!ぜかまし!」

三番艦「無駄だ……もう……」

陸奥「そんな……」

長門「くっ……!」ギッ

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


67鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/04/06(月) 22:38:37 ID:9BflJzhY
深海ロボ『クタバルガイイ……!』ジャコッ


長門「戦艦水鬼!」

深海ロボ『ムゥ?!』

長門「長門キィイイイイイイイイック!」ズドオオオオオオッ!

深海ロボ『グアアアアア!!!!!』グラッ

長門「皆!私達が脱出した穴を狙うんだ!」

陸奥「皆の火力を一か所に集めるの!」

三番艦「吹雪、共に奴を倒そう!」ジャコン

吹雪「三番さん……わかりました!」ジャキッ

長門「整列!構え!」ジャコッ

陸奥「空いてる手はそっと添えて」スッ

愛宕「全砲門解放!」ジャコッ

高雄「全弾装填!」ジャキッ

赤城「標準固定!」キリリッ

瑞鶴「引き絞り!」キリリッ
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


68鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/04/06(月) 22:40:40 ID:9BflJzhY
ゴォォオオオオオオオオオオオオ……

長門「……歴史が修復されていく」

陸奥「全て元通りね……」

吹雪「三番さんはどうなるんですか?」

三番艦「……歴史改変マシンが破壊された事で全ての歪みが正されていく。私もまた歪みの一つだ」

吹雪「そんな……じゃあ」

三番艦「ああ、私も消える」

吹雪「……」

三番艦「そう寂しがらなくていい。私は最初から存在しないのだから」

長門「長門型三番艦!」ザッ

三番艦「長門姉さん……」

長門「本来の歴史では、お前は存在しない。だが、今この瞬間は存在している!」

三番艦「……」

長門「歴史が修繕された時、私の記憶にこの事が残っていかはわからない。しかし、改変された歴史の中とはいえお前が生きていたという事は変わらない。だから……お前の水雷魂はしかとこの胸に刻まれるだろう!」バンッ

吹雪「長門司令官……」

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


69鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/04/06(月) 22:45:03 ID:9BflJzhY
暁「今度こそ大会で優勝するんだから!」

響「ならもっとコントロールを練習しよう」

雷「ふっふっふっ……実は今日、間宮さんの所のスイーツ無料券を福引で手に入れたわ!」

電「皆で食べに行くのです!」

暁「やったー!」

響「ハラショー」

キャッキャッ

間宮「はーいお待たせ~♪」

四人「いったっだきまーす!」パク

四人「美味しい~!」

電「美味しいのです……でも……何か忘れている気もするのです……」モグ

雷「そーいえば……」モグ

暁「何か大切な事を忘れている気がするわ」モグ

響「……?」モグ


瑞鶴「いい?私が真っ先に敵艦隊に攻撃したから体力を作戦時間内に削りきる事ができたのよ!」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


70鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/04/06(月) 22:46:16 ID:9BflJzhY
愛宕「今日もぱんぱかぱ~ん!とストレッチよ~!」

高雄「はい」

愛宕「さあ、まずは三人で……ってあら?私達……二人しかいないわよね?」

高雄「そうね、私と愛宕さん以外に……誰かいましたっけ?」

愛宕「?なんだか釈然としないわ……」

高雄「ですね……」


陸奥「どう長門、調子は」

長門「うむ、最近はさして強力な深海棲艦が現れる事もなく、私としては資料に目を通し判を押すだけだからな……肩がこるばかりだ」

陸奥「もう、言ってくれれば代わるのに……」

長門「いや代わってもらう程の量でもないさ」

陸奥「そう言って根詰めていると、体壊しちゃうわよ~」

長門「気遣い感謝する…………」

陸奥「?どうしたの?」

長門「いや……もう一人……誰か隣にいたような気がしてな……気のせいかもしれんが」

陸奥「……言われてみれば……確かに……なんだか寂しいわね……」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


71鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/04/06(月) 22:47:34 ID:9BflJzhY
~19XX年~

長門「ここまでだな、戦艦水鬼!」

陸奥「もう逃げられないわよ!」

戦艦水鬼「イマイマシイ……ガラクタドモ、メ……ッ!!」

長門「貴様ら深海棲艦による支配はさせん!」

戦艦水鬼「ククク……ソウダナ、私ノ負ケダ……シカシ、タダデハ、沈マン……ココデ、貴様ラモ、死ネェ!」バリバリバリバリ

陸奥「!長門!」

長門「ああ!」バッ

ドオオオォォォ…………

長門「はぁ……はぁ……終わった……のか?」

陸奥「はぁ……そういう……台詞は禁句よ……」ピトッ

こうして深海棲艦は全滅した。
長門と陸奥の長く、辛い苦悩の日々から解放されたのである。
彼女達は今を乗り越え、未来へと舵を取る……

ザザァ……ザザァ……ザザァ……ザザァ……………………ゴポッ…………オッソーイ…………ゴポポポポポ…………ザザァ…………ザザァ…………ザザァ…………ザザァ…………




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8 【個スレ】二次の人【ss】 (Res:156)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 8
1二次の人 ◆boyUn.XHfE :2014/06/30(月) 19:54:26 ID:dz3DwwPc
とりあえず、個スレ作成許可降りたので立ててみた、基本独り言=作品みたいになるとおもうけどまぁ気にしないでちょうだいな

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167削除人 :2014/10/23(木) 14:24:10 ID:81dKz1Cc
レス番号>>157-166は、スレ主の依頼により削除を行いました。


168二次の人 ◆boyUn.XHfE :2015/01/26(月) 20:27:38 ID:BFmK1HzQ
男「父さんが再婚した結果……」







父「息子よ」

男「何?父さん?」

父「父さん再婚しようと考えてるんだ……」

男「いいんじゃない?別に……?」

父「反対しないのか?」

男「反対はしないよ?相手と仲良く出来るかは分からんけどね」


169二次の人 ◆boyUn.XHfE :2015/01/26(月) 20:31:26 ID:BFmK1HzQ
数日後

相手「初めまして、再婚相手の義母です」

父「初めまして」

男「……ども」

義母「そうそう、私の娘も紹介しないといけないわね」

娘「……」

男(あれ?この子どこかで見たような?)

義母「アイドルの娘ちゃんなのよよろしくね?」


170二次の人 ◆boyUn.XHfE :2015/01/26(月) 20:35:43 ID:BFmK1HzQ
娘「よろしくお願いします」

男「よろしく」

男(聞いてないぞ?こんなこと)

自宅

父「これからここが自宅になるんだ気にしないで居てくれ」

娘「はい」

義母「はい」

男(まぁなんとかなるだろ……)


171二次の人 ◆boyUn.XHfE :2015/01/26(月) 20:49:15 ID:BFmK1HzQ
部屋

男「明日から学校かー……」

トントン

男「ん?」

女「男君いる?」

男「なんだアンタか」

女「お母さんから聞いたはずだけど私アイドルだからさ……家族って言っても一緒にいるとさ」

男「だろうな……まぁ学校でも喋るつもりはないし、迷惑かけるつもりはない」

女「ほんと?」

男「嘘ついてどうすんだよ?」

女「あ、ありがとう」

男(お互い距離を取れば問題ないだろし)


172二次の人 ◆boyUn.XHfE :2015/01/26(月) 20:56:58 ID:BFmK1HzQ
学校

男「特に問題もなく放課後まで過ぎたわ」


帰宅


男(あれは……女?なんでこんなところに?)

女「……」キョロキョロ

男(あー、家の帰り道がわかんねぇのか……メール送っておくか) 

女「?」メール確認

男(気がつくか?)

女「!」

男(気がついたみたいだな、後は距離とって行けばいいだろ) テクテク


173二次の人 ◆boyUn.XHfE :2015/02/15(日) 19:18:51 ID:G6.nxSY2
ttp://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1403701770/l50


174二次の人 ◆boyUn.XHfE :2015/02/15(日) 19:19:56 ID:G6.nxSY2
何故か、ブラウザからかきこみできなくなった……なぜじゃ  おーぷんに規制でもあったのか?

これじゃ更新できんだろいい加減にしろ


175二次の人 ◆boyUn.XHfE :2015/03/27(金) 19:53:41 ID:HXVHdTes
>>144
キョン GANTZ 続き


周辺を探す三人、他に生存者がいないかを確認するためである


キョン「玄野の奴だろうな……」

「大丈夫さ、計ちゃんは無事さ」

キョン「その根拠は?」

「計ちゃんはオレにとってのヒーローだからな」

キョン「随分な根拠だな」

「笑いたきゃ笑えば良いさ、でも計ちゃんは生きてるさ」

そんなこんなで、会話をしていると物凄い威圧感を感じた……そう出来れば会いたくはなかった威圧感に……


ボスネギ星人「ヴォォォゴォオァァァオ」

キョン「嘘だろ!?」

「なんだよ……あいつ……」

「いや……来ないで!!」


176二次の人 ◆boyUn.XHfE :2015/03/27(金) 20:02:40 ID:HXVHdTes
キョンは迫ってくるバケモノを前に、策を考えた


① 二人をおいて逃げる

② 銃を使って足止めをする

③ スーツの力を信じてバケモノを接近戦を挑む

④二人を連れて逃げる

⑤ 策はない現実は非常である

キョンが取った策は……


キョン「捕まってろ!!」ダッ

二人を連れて逃げることである


177二次の人 ◆boyUn.XHfE :2015/03/27(金) 20:07:42 ID:HXVHdTes
スーツのお陰で、キョンにとっては二人は居ないようなものであり、逃げることにとっては何も支障はなかった


「うぉっ!?す、スゲェ」

「う、嘘ぉ……」

二人を抱えてバケモノから逃げるキョン、かなりのスピードも出てたお陰かバケモノを降りきることに成功した


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9 晒すスレの者がSSを晒すスレ (Res:572)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 9
1晒すスレの者 :2014/06/30(月) 21:19:43 ID:gakSN7/I
今後はここでSSを晒そうと思う。

574晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2015/02/08(日) 23:13:11 ID:12xBS0a2

==============================


困ったなあ。
僕としてはのびのびと『狩り』を愉しみたかったのに。
邪魔が入ったら出会い頭に攻撃するのが一番のチャンスだと思っていたけど、
入ってきた瞬間の攻撃は避けられてしまった。
その上、幸四郎を刺す羽目になっちゃったし、この人――黛さんって言ったかな。とにかくこの人に包丁を手にされてしまった。
迂闊だったなあ、ちゃんと包丁を拾っておけばよかった。
うーん、まずは武器を持っていない樫添さんって人を先に刺すのがいいと思うけど、彼女は黛さんから離れてくれない。
仮に彼女たちがバラバラになったとしても、樫添さんを攻撃しているときに、後ろから刺されないとも限らない。
うーん、困った。長船さんに入り口から離れてもらうわけにはいかないから、僕一人で彼女たち二人を相手しなければならない。
どうしようかな。僕が柏さんと彼女たちを『狩る』にはどうすればいいかな。
ああ、そうだ。こうしよう。

「柏さん、ちょっとここから離れますよ」

僕は柏さんを屋上の隅に残したまま、屋上の端をつたうようにグルリと迂回する形で長船さんのいる入り口に歩いて行った。
当然、黛さんたちは柏さんを庇うかのように屋上の隅に向かう。

「……なんのつもり? 私たちにエミを確保させるなんて」


黛さんが僕を睨み付けながら問いかける。
だが、その直後に僕の意図を理解したようだ。

「あんた、最低ね」


575晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2015/02/08(日) 23:13:53 ID:12xBS0a2

そう、こうすれば二人は柏さんを庇わなければならないから三人で固まっていなければならない。
二人が僕の攻撃を避ければ、助ける目的の柏さんを見捨てることになる。
向こうの武器は包丁一本。
庇うことで行動が制限されている状態なら、避けるのは簡単だ。
さらに三人がいるのは屋上の隅。逃げることも出来ない。屋上から突き落とすことも出来る。
いやあ、いいなあ。この状況、実にいいなあ。

やはり一方的に攻撃できるのは理想的だ。

「柏さん、今行きますね」

遠回りになってしまったが、ようやく僕は獲物――柏さんを狩ることが出来る。
柏さんを狩った後はしばらく大人しくしよう。そうだなあ、高校に入るくらいにまた『狩り』を始めようかな。
幸四郎がいなくなったのは痛いけど、まあ仕方ないか。僕の邪魔をしたわけだし。
逆に良かったかもしれない。幸四郎を気にせずに『狩り』が出来るのだから。

「ああ、来たまえ香車くん。これで……これで終わりだ」

柏さんは全ての希望を捨て去っている。目を瞑り、来るべき時を待っている。
だが、そんな僕たちの間に邪魔が入っている、まずはそっちからだ。


576晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2015/02/08(日) 23:14:23 ID:12xBS0a2

「……棗 香車」

黛さんが口を開く。あれ、僕の名前知ってたんだ。じゃあ猶更、邪魔だなあ。
そう思っていると、彼女は包丁を樫添さんに渡した。

「あんたの負けよ。この状況を許したあんたの負け」
「……どういうことですか?」
「樫添さん……」

そして、彼女は――


「頼んだわよ」


後ろに跳んで、屋上から消えた。


577晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2015/02/08(日) 23:15:13 ID:12xBS0a2

================================



ついに来たのだ、この時が。
黛くんと樫添くんが私を守るようにして香車くんと対峙している。
だが、無駄だろう。この状態になったということは、彼女たちは私を庇うために行動を制限される。
私がここから動かなければ、彼女たちも動けない。
そして、私たちに逃げ場はない。取っ組み合いで香車くんが黛くんたちに負けるとは思わないし、私を守るために黛くんは避けることも許されない。
今度こそ詰みだ。今度こそ、私は香車くんに殺されるのだ。
逃げることなど出来ない。一方的な蹂躙。それがこれから私の身に降りかかる。

やはり一方的に攻撃されるのは理想的だ。

「……棗 香車」

黛くんが口を開く。この状況でも彼女は諦めていないと言った。
それだけが私の心残りだ。彼女には絶望に身を委ねて欲しかった。自分の死を受け入れて欲しかった。
だが、それは叶わなかった。やはり、彼女は獲物には成り得なかったのだ。

「あんたの負けよ。この状況を許したあんたの負け」
「……どういうことですか?」
「……樫添さん」

この期に及んでも彼女はそんなことを言う。
この状況を打開できるというのか? そんなわけがない。
私たちが生き延びることなど……

「頼んだわよ」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


578晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2015/02/08(日) 23:15:49 ID:12xBS0a2


「……なに?」

黛くん? 何をしている? ここに来て自殺?
いや違う、彼女は諦めていなかった。私を助けることに拘った。
ならこの行動は、私を助けるための行動。
どういうことだ? 何をしようと……
その意外な行動の意図がわからず、思考を巡らせていた直後、下で黛くんが地面に墜落する音が響き渡った。

――待て、響き渡った?

人間が地面が落ちただけでは、ここまでの音は響かない。
私は屋上から、遥か下にある地面を見た。

……そこには。

プレハブの体育倉庫の屋根に倒れている黛くんの姿があった。

――まさか。
まさか、まさか、まさか。

「香車くん! 今すぐにこの屋上から降りるんだ!」


579晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2015/02/08(日) 23:16:33 ID:12xBS0a2

黛くんが落ちた音。
かなりの音だった。辺りに響き渡るくらいに。
校庭には体育の授業を受けている生徒もいた。当然彼らは見るだろう、体育倉庫を。
そして、その屋根にいる黛くんを発見する。
体育倉庫から響いた音、その屋根に倒れている人間。

その二つの事実と、屋上を結びつけるのは容易なことだ。

既に騒ぎは起きている。もしかしたら黛くんが屋上から飛び降りる瞬間も目撃されていたかもしれない。
さらに、私は包丁を持った樫添くんに守られている。短時間で私を殺すのは難しい。
ダメだ、ここにいては香車くんは……!

「お、おい、棗! どうするんだよ!」

長船くんが慌てて香車くんに駆け寄る。
何をやっている! 早く香車くんを連れて屋上を出ないか!
だが、香車くんはその場を動こうとしなかった。

「……あーあ、ここまでか」

彼はため息を吐きながら、ナイフを投げ捨てる。


580晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2015/02/08(日) 23:17:15 ID:12xBS0a2

「きょ、香車くん?」
「……柏さん、今回は失敗です。また考えましょう」
「だ、だから早くこの屋上から……」
「無理ですよ。ここまでの騒ぎになったら、僕が見つからずにここから出るのは無理です」

待て、待ってくれ。
君は『狩る側』だ。君が諦めてしまうのか? 私に絶望を与えてくれないのか?

「柏さん」

そう考えていると、香車くんはいつの間にか、私がいる場所とは反対側の隅にいた。
そして――


「またね」


後ろに倒れこむようにして、頭から落下していった。


581晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2015/02/08(日) 23:18:10 ID:12xBS0a2

「……香車くん?」

今度は大した音はしなかったが、代わりに生徒たちの悲鳴が響き渡った。
待て、待て、待て。

「香車くん? 香車くん!?」

待ってくれ、君は……『狩る側』の君が……

「香車くん!!!」

私を置いていくというのか!?


「ま……んぞくか……」


小さな声が私の耳に届く。
見ると、倒れている柳端くんが私を睨み付けていた。


582晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2015/02/08(日) 23:18:49 ID:12xBS0a2

「満足かよ、柏 恵美……これが、これがあんたの望みが生んだ結末だ!」

望み? 
その言葉で私はたどり着いた。香車くんの狙いに。
彼は言ったのだ。

『またね』

それを信じるのであれば……
そうか、そうか、そうか。

そうだね、香車くん。


――また会おう。


583晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2015/02/08(日) 23:19:28 ID:12xBS0a2


一週間後。

私は警察からの事情聴取を受けた後、病院に向かった。

「エミ……エミ、良かったよぉ……」

私の姿を見るなり、黛くんは涙を流した。
屋上から落下したというのに、彼女は右足の骨を折っただけで済んだようだ。
無茶をする。しかし、同時に安堵もした。

彼女が死なずに済んで良かったと、心から思った。

屋上での一件は、黛くんと樫添くんの証言により、香車くんが主犯だとして扱われた。
柳端くんはまだ証言が出来る状態ではないが、おそらく彼は私が主犯だと主張するかもしれない。
しかし、黛くんと樫添くんの証言とナイフにも包丁にも私の指紋が残っていない以上、その主張を貫くのは難しいだろう。
そして、長船くんは香車くんに手を貸したことを認め、退学となった。
こうして、私たち四人は被害者として扱われた。

「エミ……もう大丈夫だよね? エミはもう棗には殺されないないよね?」

黛くんが私に問いかける。
そう……もう香車くんに殺されることは不可能だ。
諦めるしかない。

「ああ……もうそれは不可能だよ」
「……良かった。本当に、あなたが生きていて良かった」

そう言って、彼女は再び涙を流した。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


584晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2015/02/08(日) 23:20:04 ID:12xBS0a2


数日後。

私は学校で授業を受けていた。
そして、黛くんのことを考える。
私は彼女が死なずに済んで良かったと、心から思った。
そしてそれは、彼女が私に抱いている感情に近いのだろう。
だからこそ、私は彼女に罪悪感を抱く。

――彼女を裏切ってしまうことに。

香車くんは知っていたのだろう。十年前、私に起こった出来事を。

斧寺刑事の死が、私を完成させたことを。

斧寺刑事の望みは、私を絶望で救うこと。
香車くんは知っていた。
人の死が、他人に影響を与えることを知っていた。
だからこそ、大勢の人間の前で自分を殺したのだ。

私は斧寺刑事の死を見たことで、彼の意志を受け継いだことで完成した。
ならば、香車くんの死を見た者はどうなるだろう。
彼らは人の死を見た。そのことで、自分の奥底に眠る欲望を自覚したりしないだろうか。

他人を『狩ってみたい』と思わないだろうか。


585晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2015/02/08(日) 23:20:38 ID:12xBS0a2

その答えは、今現在私が体験している。
感じる。幾多の視線を感じる。

私を『獲物』と見定める視線を感じる。

すごい、これはまさに理想的だ。
私は狙われていることだけしか知らされない。

誰が私を狙っているのかは全くわからない。

私の周りには、幾多の『香車くん』がいる。
だが、それが誰かはわからない。私はわからないまま攻撃を受ける。

ああ、これこそが香車くんの狙いだったのだ。自分を分散させて、私をより狩りやすくすることが狙いだったのだ。
そして、私が助かる可能性は限りなく低い。
当然だ。誰に殺されるのかわからないのだから。

だが、はっきりしていることはある。

「香車くん」

私は決して『香車くん』からは、

「殺したくなったら、いつでもおいで?」

――逃げられない。



(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


586晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2015/02/08(日) 23:21:24 ID:12xBS0a2
終わり!
第一部完。


587バブリシャス ◆ppck5xcEk6 :2015/02/13(金) 19:56:22 ID:VDYvjIYg
そう来たか、と言うのが第一印象
何と、まあ、と言うのが第二印象

完全に予想外だった
いや、特に深読みしていた訳では無いが、柏さんは悲願を達するものだと思い込んでいた
これは予想外、それも良い意味で予想外の展開だった

たいへん面白かった

話の展開、クライマックスは勿論だが、ラスト2レスの胸がざわつく感じとても良い
綺麗に晴れた雨上がりの空に、いつの間にか暗雲が忍び寄る、この感じ
特に第一話のラストをここに持ち込む手法は凄く好き

しかし、まあ、七話に亘るストーリーを、よくも最終話で纏め上げたものだと感心する
素晴らしい作品だった……と言いたいが、「第一部 完」の文字が気になる!
続くんですかね!? これはもう期待するしか!!

と言う訳で長々と失礼しまった
本当に面白かった
本当に御疲れ様でした!


588バブリシャス ◆ppck5xcEk6 :2015/02/13(金) 20:15:32 ID:hmhvEgGo
文章の指摘は、まあ、もう野暮な気がするんだけど
一応少しだけ書くので気が向いたらば参考にでもして欲しい

・全体的に三点リーダが多い
 クライマックスの大事なシーン、間を取りたいキモチは非常に分かる
 からこそダッシュに置き換える部分があっても良い
 読点は三点リーダやダッシュほど長い間のニュアンスは無いが、使いようによっては、これらを凌ぐインパクトも持たせられる
 台詞冒頭の三点リーダは地の文を挿入するなどの工夫も出来る

・レス564で「直接的」になってしまっているのは意図的なものだろうか

・レス576、及び577の黛さんの台詞「樫添さん」が表記揺れしちゃってる(三点リーダの位置が前後してる)で御座る

などなど
取り敢えず通して読んで気になったのは上の三つかな
(二行改行の箇所もあったけど、既に何度か話しているので言及しないでおきます)

まだ今は書き上げた達成感が強いと思うので、更に数日か数週間「寝かせて」読み返すことを御薦めする
特に三点リーダの使い方なんかは、それでかなり工夫が出来るはず!

ともあれ御疲れ様でした!!


589晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2015/02/13(金) 23:37:06 ID:b5eZYk3s
>>587-588
よっしゃああああ! 感想ありがとう!
三点リーダーとダッシュの使い方については工夫をしなければならないな。
あとは二行改行は少し控えて、文章の表記ゆれに気をつけると。
そして面白いと言ってくれて感謝!


590名無しさん :2015/03/12(木) 19:33:08 ID:2p9ioyrM
はいじゃあ、第九話を晒す。
第二部開始


591名無しさん :2015/03/12(木) 19:33:43 ID:2p9ioyrM

3月。
長かった受験勉強も終わり、無事に第一志望である進学校、M高に合格した俺、
萱愛 小霧(かやまな こきり)は、入学手続きも済ませて入学案内を受けにM高を訪れた。

「割と、校舎は古いんだな……」

進学校ではあるが公立のためか、所々痛んだ校舎を眺めながら俺はトイレを探していた。
一通りの案内を受けてあとは家に帰るだけだったが、帰り道でトイレを探したくなかったので、
ここで済ませようと思ったのだ。

「何をしているのかね?」

その時、声を掛けられた。
低めではあるが、女性の声だった。口調からしてここの教師だろう。
もしかしたら、校内をうろついていたのを咎められたのかもしれない。

「すみません、ちょっとトイレの場所……っ!?」

後ろを振り向いた俺の目に映った人物。
その人物は教師ではなくここの生徒、つまり俺の先輩になる人物だった。
しかし――

「どうしたのかな? 何を驚いている?」

その女生徒は本気で俺の動揺の原因を知りたがっているようには見えなかった。
それはそうだろう、その姿を見れば、誰だって動揺する。
だから、女生徒は俺が何故動揺しているか大体わかっているのだろう。

「あ、あの……どうしたんですか? その……ケガは」


592名無しさん :2015/03/12(木) 19:57:04 ID:2p9ioyrM

失礼かとも思ったが、思わず聞いてしまった。
何しろその女生徒は、頭や顔、スカートの下から伸びる両足、さらには両手と、
至る所に包帯を巻かれ、絆創膏を貼っていたのだ。
さらに、袖の下にある両腕にも包帯が見えたことから、見えないところもケガをしているのかもしれない。

「ん、これかね? 日常生活には支障がないから安心したまえ。
 さすがに激しい運動は無理だが」
「あ、ああ、そうなんですか……」

「おや、もしかして君も私を傷つけたいのかな?」

「は?」
「日常生活に支障がない程度のケガでは生ぬるい。自分ならもっとお前を痛めつけているところだと、
 言いたそうな顔をしていたのでね。そうなのかと……」
「なんでそうなるんですか!」

なんだなんだ!? 初対面の人間にいきなり何を言っているんだこの人は!?

「ふむ、さすがに違ったか……」

何故か残念そうな顔を浮かべる女生徒だったが、俺は彼女の発言を思い返し、あることに気がついた。


593名無しさん :2015/03/12(木) 21:46:52 ID:2p9ioyrM

「ちょっと待ってください」
「ん、どうしたのかな?」
「今、『君も』って言いましたよね? 『君も私を傷つけたいのか』と」
「そう言ったね」

「じゃあ、そのケガは誰かに負わされたものなんですか?」

あまり考えたくはない。これから入る高校に、忌み嫌う出来事があるということは。
だが、彼女は言った。

「そうだよ」

認めた。彼女は誰かにケガを負わされたことを認めた。
つまりこういうことだ。

彼女は、暴力を受けている。
しかも、おそらく学校内の人間から。

「……失礼ですが、そのケガについてご両親は?」
「私の両親は既に他界しているよ」

「じゃあ、やっぱりあなたは学校内の人間から暴力を受けているということですね?」

「そうだよ」

学校内の人間に暴力を受けている、しかも全員にケガを負うほどの。
つまりこういうことだ。

――いじめ。


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10 人の間の、へんな生き物【個人ssスレ】 (Res:200)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 10
1人間 ◆puRgtI1HCs :2014/07/03(木) 22:59:31 ID:jCVODrYo
このスレは僕がふと思いついたssを投下する場にしたいと思います

202人間 ◆puRgtI1HCs :2014/12/29(月) 20:52:06 ID:KwQN5Uc2
>>201
早速レスが付いて嬉しい限りです。
僕もこれがなんなのか分かりませんのでww

それはさておき、後半の駆け足気味について。
実は後半駆け足ってのは結構僕の作品の傾向としてあるみたいなんですよね……
修正していきたいところ。


203人間 ◆puRgtI1HCs :2015/02/01(日) 01:05:05 ID:5jFPfrqM
「僕にできること」

僕が思うに、鏡は物質の外見のみを映しだすものであって、鏡はその物質そのものを映しだせるではない。
鏡の向こうには、てんで面白みに欠ける世界が広がっているのだ。
 
たとえば鏡が僕を映す。
僕の質感や手触り、また匂いや味などは、鏡には表現できないのだ。
けれど鏡はそれを生業としており、それを曲げるつもりはないらしい。
 
僕の仕事は、主人の手を温めること。
主人、といっても、彼女は二十歳にしては小柄で、夜歩いていると補導されそうになった程の童顔だった。
その小さな手にあった、小さな手袋が僕だ。
僕には主人の匂いが染みついている。
この匂いまでは鏡にはまねができないだろう。


204人間 ◆puRgtI1HCs :2015/02/01(日) 01:05:38 ID:5jFPfrqM
鏡さん――みんなはそう、彼のことを呼んでいるが、僕には敬称をつけて呼ぶ気はなかった。
鏡さんは主人に毎朝まじまじと眺められている。
羨ましくて、少し嫉妬してしまっている自分も、勿論認識しているつもりだけれど、でも。
ずるい、鏡はずるい。
 
ずるいと言えば、リップクリームもずるい。
毎日、主人と、人間の言葉で言うところの接吻をしているんだ。
僕にもそういうことができないか、と毎日恨めしい目でリップクリームを見ていた。


205人間 ◆puRgtI1HCs :2015/02/01(日) 01:06:24 ID:5jFPfrqM
そもそも僕が主人に使ってもらえる機会なんて、冬場でしかないし、さらに言えば、僕はもうおんぼろの手袋なのだから、そろそろ買い換えられてもおかしくなかった。
今こうして考えている僕は、クローゼットの奥で一人寂しくいじけている、しかも単なる物質にすぎない。

玄関が開いた音がした。
主人が出て行ったのはつい先ほどのことだった。
きっと家に忘れものかなにかをしたのだろう。

クローゼットが開かれた。
主人は僕を手に取り、はめた。
 
僕は主人がアルバイトを始めたことを思い出した。
確か勤め先は、少し離れたところのスキー場だったはずだ。

「スキー場、寒くなるから、よろしくね」


206人間 ◆puRgtI1HCs :2015/02/01(日) 01:06:58 ID:5jFPfrqM
そう、僕は彼女を温めるという仕事を、ただこなせばいいだけだった。
僕は必死に、主人の熱をこもらせ、内側を温める。
 
なんだ、簡単じゃないか。
道具君たちへの鬱屈した思いは消え果てた。
たとえその感情が一瞬であっても、僕は主人に使ってもらえるという事実を大切にしなきゃいけない。
カイロでなく、ジーンズのポケットでなく、主人の手を寒さから守るという使命を任されたのだから。
これ以上嬉しいことはない。


おわり


207バブリシャス ◆ppck5xcEk6 :2015/02/01(日) 01:28:19 ID:wXNrEYfE
温かくなるハナシ
これいいな


208人間 ◆puRgtI1HCs :2015/02/01(日) 01:33:51 ID:5jFPfrqM
>>207
バブリさん、こんな内容のない話に感想を付けていただいてありがとうございます……!
「できるだけ早く書こう」と思って書いてみました。構想から完成まで、30分ほどでした。


209白レンの人 ◆EvBfxcIQ32 :2015/02/01(日) 02:34:35 ID:F2WaGxak
読みますたー
以前初めの1レス目だけを読んでその後すっかり続きを読むことを忘れてしまっていた拷問触手も併せて。いや本当に申し訳ない。

まず今回の手袋くんのお話から。ご主人様のことが大好きで鏡やリップクリームに嫉妬している手袋くんが可愛らしくて、最後に憑き物が落ちたことにとても安心した。今の季節は毎日手袋くんのお世話になるから、精一杯お勤め頑張るんやで……!
ただ1つ気になったのは、初めの書き出しから、鏡と手袋、それぞれの本質についての対比が主題なのかと思ってしまったこと。読み進めてみると思ったほど鏡に比重が置かれていなくて、「あれ?」と思ってしまった。
「出来るだけ速く書くこと」を目標として書いたのなら構成に難が出てしまうのも仕方がないことなのだけれど、書き終えた後にもう一度見直してみると良かったかもしれない。せめて最後に少しだけでも鏡のことに触れられていたらバランスが取れたと思う。


210白レンの人 ◆EvBfxcIQ32 :2015/02/01(日) 02:48:07 ID:F2WaGxak
あとはもう片方、拷問触手について。すっかり遅くなってしまったけれど、こちらについても感想を書きたいと思います。

1つは、晒すさんが言っていた後半の展開の速さ。これについては俺も同意見です。

次に、唐突に出てきた「秘義・お○んコントロールの術」。これは思い切り吹き出して笑ってしまったwwwww いや、本当にいい出し方だったと思う。これ以上に効果的な構成は思いつかないw

最後に、読んでいて「こっちの方が良かったな」と思ったこと。それは「イかせること」ではなく「絶頂させること」、また「テク」ではなく「技術」とした方が良かったんじゃないかなぁということ。何というか、そこだけ俗っぽさが現れてしまっているのよね。
折角の魔法や召喚術が存在する世界なのだから、一つひとつの言葉選びからこだわって世界観(作品の雰囲気)を作り上げてみてはどうだろうか。


211人間 ◆puRgtI1HCs :2015/02/01(日) 08:01:32 ID:5jFPfrqM
>>209


212人間 ◆puRgtI1HCs :2015/02/01(日) 08:07:06 ID:5jFPfrqM
ミスった。
>>209
感想ありがとうございます。
対比させていると言うのは間違いないです。最後に鏡のことについて触れなかったのは僕も惜しいと思いました。
序文でやたらがんばる癖があるんだと思います。

>>210
絶頂、技術という言葉が何度も出てきてくどいかな、と思って言い換えた結果があれです。
もう少し頭をひねって、世界観に即した表現を考えるべきだったなと思います。
これ、「お○んコントロール」が言いたかっただけの話なんやで。


213白レンの人 ◆EvBfxcIQ32 :2015/02/01(日) 08:20:50 ID:oEC54LRk
>>212
>言いたかっただけ
せやろなwww

しかしそうか、重複を避けた結果だったのか
深夜に少し急ぎ足で読んだとは言え、特には気にならんかったで?


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11 【リレーSS】神速戦隊レーシンジャー (Res:0)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 11
1名無しさん :2015/02/24(火) 00:16:48 ID:iM6ta/iQ
キャッチフレーズは「ドライブ・イン!アクセル全開!」

戦隊のテーマは車。

メンバー

レッドレーシング:速水 光太

キャッチフレーズは「加速のアクセル!」

現役の無名レーサー。エフトロンからレッドレーシングに指名した。人間には優しい。頼れるリーダー的存在。年齢は22歳。

ブラックレーシング:高野 啓二

キャッチフレーズは「高速のマッハ!」

真面目で、光太のサポート役を担当。レーシングカーの整備をしている。実は高所恐怖症。年齢は19歳。

ブルーレーシング:真野 清次

キャッチフレーズは「ワイルドなターボ!」

元宅急便の配達員。ワイルドをこだわる。ワイルドを決めるぜが口癖。年齢は25歳

グリーンレーシング:加島 淳

キャッチフレーズは「強力の速さ」

車に詳しい大学生。パワーファイター。ブルーとは犬猿の仲である。お調子者。年齢は20歳

早川 摩耶:ピンクレーシング

キャッチフレーズは「素早さの輝き」

自転車の修理がピカ一の最年少ファイター。啓二の従兄弟。プライドが高く、活発的な少女。年齢は17歳。

敵 車犯罪組織ボウソーグン

合体ロボ レーシングオー

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12 オリジナルSS(趣味で書いてるSS)シリーズ鎧術師 (Res:423)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 12
1名無しさん :2014/06/30(月) 01:58:27 ID:3fKn.mHQ
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1403412641/
このスレでは↑のスレでレス番号209から書いた鎧術師シリーズを書いていきます
まずはそちらを読んでね

第二話は現在、製作中。完成は未定ですができる限り近い内に完成するよう目指します

それ以外では、思いついた各キャラの短編や、設定などを書き込んでいきます。

質問等は、受け付けますが、まだ固まってない部分もありますのでご了承下さい

とりあえずは明日の夕方以降、書いていきます

425鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/02/01(日) 22:30:45 ID:8oElSndQ
「ゼロ!」
「!」
名前を呼んだのはイザベルだった。
薬の過剰投与によって、その身体はほぼ完全に魔獣化しており、知らぬ者から見れば、人間であるという事はにわかには信じ難いだろう。
しかし、彼女はそんな事は気にせず犬のような四足の体勢で歩み寄ってきた。
そこからスクッと立ち上がって、ゼロの手を取る。
ゴワッとした固い体毛と筋肉の感触を右手に感じながらゼロは無言のまま、視線を合わせた。
「良かった…………壊れてないみたい…………」
「どういう意味だ」
「どうもこうも、無事で良かったって言ってるのよ」
ゼロの手を離して、今度は彼女の頭を数度軽く触れるように優しく叩いたイザベルは、アレキサンダーに視線をやり、「本当に良かった…………」と言葉を漏らした。
ゼロにはイザベルがなぜ喜び、涙ぐんでいるのかわからなかった。
そして自分も結局、人機でしかないのだと改めて認識し直した。
「みんな無事だ…………私も、アレキサンダーも…………ゼロも…………良かった…………私たち、まだ一緒にいる…………!」
「しかし、他の仲間たちは一緒ではない」
「……そうだね、早く探して合流しないと…………っしゃ!探すとすっか!」
カカッと笑った瞬間、一際大きな爆音が響いて、それとほぼ同時に爆風と熱波が押し寄せてきた。
咄嗟にイザベルは爆風に背を向けて、アレキサンダーとゼロを、自分の腹に押し付けて庇った。
爆風と熱波は魔獣化した体でなら十分に耐える事ができ、収まったのを確認して二人を離した。
「今のは……生産プラントか」
「破壊に成功したのか?」
「ちょっと臭いも雑音も混ざりすぎていてよくわかんねぇ…………けどまあ、ぶっ壊れたんじゃないの?今の爆発で」
トラストたちがやったのか、まだ確かではないがとりあえず任務の半分はこれで成功したも同然だ。
そこでイザベルはすぐに次に取るべき行動を判断する。


426鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/02/01(日) 22:31:57 ID:8oElSndQ
「ゼロ、あんたの力もう少し借りさせてもらえないか?」
「私の機能を?」
「うん、私らの通信は今使えない。そこであんたに付けられてる通信機能を使って、なんとか仲間に連絡取れないかなって」
それを聞いたアレキサンダーもゼロに視線を向ける。
僅かな期待が彼女に寄せられた。 
「…………確かに私の通信システムはジャンヌが製作した物でそちらとは機能が別物だ。故にそちらの通信ができなくとも、私の機能は使えるだろう」
「じゃあ」
「ああ、なんとかしよう。お前達の通信端末を同期させれば、同時に通信が聴けるだろう」
渡された通信端末を自分の耳に押し当て、海路を接続し、数秒の間に自分のシステムと同期させて、二人に返した。
「これで同期した」
「おっ、サンキュー♪」
「ありがとう」
アレキサンダーとイザベルが通信機を起動させるのを確認して、ゼロは自分の通信システムを作動させた。
そしてジャンヌも使っていない、この工場が本来使用していた通信回路と接続を試みた。
ここが占拠されて長らく眠っていたシステムはゼロの介在によって、再び目を覚まし、その役目を再起させた。
『……未登録の通信回線より連絡を受けている、何者だ?』
聞き慣れた隊長の声を聞いた瞬間、二人の顔色が晴れやかになるのが見えた。
ゼロは迷わず、「人機ゼロ、別回線から連絡を取っている」と返した。
『そうか、で要件は?』
「生産プラントが爆破された、状況からしてトラストたちが任務に成功したと見られる。そちらの状況は如何に?」
『こちらも、センバたちとは別れたが問題なく探索を続行中、入手した兵装も加えて城に対して爆撃を行っている。工場の爆発については視認している』
「これで我々の任務の半分は達成された、後はツルギの奪還……でいいのか?」
『ああ』
「では我々も捜索に加わった方が」
『頼む、俺も動くので合流を目指す』
「了解、貴殿の魔力波形は登録してある。貴殿はこちらで探す」
『わかった……無事に合流しよう』
「了解」
通信を切ったゼロは魔力探知センサーを起動させて、一帯に蔓延する魔力の中からジャレットの物に近い物を探し出して、歩き出した。
通信の内容から、彼女についていけばいいというのは言われなくとも理解したイザベルとアレキサンダーは何も言わず歩き出した。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


427鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/02/01(日) 22:33:48 ID:8oElSndQ
4

数分前――。
 
ツルギは走っていた。
あの部屋に連れてこられた道を辿って、ただ走る。
今のツルギは、走る事以外の思考は微塵も存在しなかった。
ここに来ている仲間たちとの合流を目指して、ひた走る。
(センバ……隊長……みんな……!)
もう誰が生きているのか予想もつかない状況だった。
近くの廊下を数人で走っていく魔族の鎧術師たちから切れ切れに聞き取れた言葉によれば、城の一角が爆撃されているらしかった。
「……っ?!」
視界に何の前触れもなくスッと彼女が現れた瞬間、ツルギは立ち止まった。
荒げた呼吸を整えながら、ツルギは目を細めて構えた。
「やっと見つけた。どうやって逃げたのかはわからないけど、逃がさないわよ…………ツルギ」
“くん”を付けないのは、それが彼女の本心だからか。
エナは一目見て、怒りを爆発させていると察せた。
「悪いが、俺も捕まる気はない!俺は俺のいるべき所へ帰る!」
「そうはさせないわ、ここがあなたのいるべき場所。鎖で繋がれないとわからない?」
「それは“客人”に対する対応じゃぁないよな」
「そうね……ここまでされてしまったら、流石に客人として扱っている訳にはいかない。多少乱暴でも捕まえる…………!!」
一瞬の内に、エナは鎧に包まれていた。
ドレスと機械が融合したかのようなその鎧は、四年前に対峙した時よりも更に強化されていると一目でわかった。
「“プロトアーマーver.7”…………あれから改良を重ねてきた一品よ」
「そうかよ」
エナが剣を構える間に、ツルギもアビスを展開した。
一瞬の内に周囲へ押し広げられた冷気が床や壁の表面を凍結させ、鮫を模した鎧が頭を上げ、そのスリットから漏れる光が鋭く輝いた。


428鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/02/01(日) 22:35:04 ID:8oElSndQ
「…………そこを退け」
「嫌よ、あなたこそ大人しく降伏して頂戴。傷つけたくない」
「……仕方ない、押し切る!」
「行かせない!」
二人とも正面から斬りかかり、ブリザードブレードとブレードがその刃を交わせる。
相手の刃に触れた場所が凍り付く前に、微細振動波で表面の氷を粉砕し、一歩距離を取ったジャンヌは突くと見せかけて足元を切り払い、アビスの膝に傷を付けた。
表面的な傷しか与える事ができなかったが、次は通じないと理解した。
「……手足を切り落としてでも、止めてやる!」
「そうかよ!」
次の瞬間、ツルギは周囲の冷気を左手に収束し、球状にしたものを地面に叩きつけた。
叩きつけられた冷気は弾けるように周囲に押し広がって、一帯を真っ白に染め上げた。
(目くらまし……?!姑息な真似を……!)
即座にモニターとなっているマスクをサーモグラフィに切り替え、冷気の中を動く熱源を探して、ジャンヌは驚愕した。
(熱が……ない?!)
ジャンヌの瞳には見える筈のツルギの体温が見えず、青く表示される周囲の冷気だけが見えた。
アビスが周囲の冷気と同温となり、内側のツルギの体温を外部に一切漏らしていないのだ。
「ちっ……!だけど、逃がさない!!」
ジャンヌは即座にブレードを振って靄を掃い、その気流の中を走り抜けるアビスを見つけ出して、彼の前に飛び出た。
同時に突き出したブレードがブリザードブレードと切り結び、火花と氷の破片を散らした。
「行かせないと言ったでしょ!」
「だったら押し通るだけだ!!!」
全身から魔力を放出して、ジャンヌを吹き飛ばしたアビスは次の瞬間、全身の装甲を強化し、左腕にブリザードクラッシャーを装備したアヴァランシュへと形態変化を果たした。
全身の防御力と、パワーを増大させた形態。
ツルギは、自分の重量が増して、素早く動けないという事を理解した上でブリザードブレードを下ろした。


429鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/02/01(日) 22:36:28 ID:8oElSndQ
それは一見、隙だらけで、勝負を捨てたように思える。
しかしジャンヌは、それが誘いである事を理解していた。
どんな攻撃をした所で、あの形態では並大抵の攻撃は通じない。
そして、攻撃を受け止めた上で、高められた腕力で斬り上げる。
紙一重の戦法を選んでいる。
ジャンヌは、即座に腰のホルダーから銃を取り出して発砲したが、強固な装甲で防ぐアビスはゆっくりと歩いてくる。
冷静に、親指の腹で銃に取り付けられたダイヤルを回す。
発射される弾丸が変更され、ピッと銃に付けられたランプの色がオレンジへと切り替わる。
途端、発射された瞬間に弾丸が爆発し、アビスの歩みを一瞬止めた。
「ぐっ……!」
「やはり直接の防御力は高いが、その分衝撃は伝わりやすいという事……か」
そう理解し、次々と魔力を収束した炸裂段を撃ち続け、アビスは弾をくらう度に、ザザッと後ろへ後退する。
しかしそれでも前へ進み続け、ツルギは徐々にリーチにジャンヌを捉えようとする。
ジャンヌはそうはさせまいと、少しずつ後ろへ下がり始める。
一見、終わりのないイタチごっこのように思えたが、そうではない。
ツルギは一瞬の隙を伺っていた。
いくら魔力を装填する銃とはいえ、いずれ魔力の補充の為の隙が生まれる筈だ。
その時が来た時、一気に駆け抜けられる距離を保つのだ。
やがて待ちに待った隙が生まれた。
ほんの一瞬、トリガーにかける指を離し、銃に視線をやった。
それと同時に、ツルギはアヴァランシュから通常のアビスへと再度、形態変化させながら走り出した。
強く踏み出す音を響かせて、瞬く間に加速したアビスは数十メートルあったジャンヌとの距離を、数メートルと詰めていく。
二メートル、一メートル、五十センチ、三十センチ――――そして、ブリザードブレードを振るわずそのままジャンヌの脇をすり抜けて駆ける。


430鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/02/01(日) 22:38:01 ID:8oElSndQ
全力で走り続けた。
グングンと距離を離していくツルギは、あっという間にジャンヌの射程距離外に抜けてそのまま角を曲がっても尚走り続ける。
追いつかれる訳にはいかない。
なんとしてでも、仲間と合流する。 
その思いがツルギを支配していた。
「ツルギく――――?!」
両足の裏に力を入れて、強引に止まったツルギは振り返って僅かに聞こえた声の主を確認した。
エナやルメラではない。
そこには、鎧を纏わずエレメントマグナムだけを持ってこちらを見るセンバの姿があった。
「センバ……」
「……ツルギくん、脱出できたの?」
彼女が口を開くまでに、三十秒ぐらい間があったように思われた。 
ツルギは呼吸を整えながら、鎧を解くと三歩程近付いた。
「まあね……なんか、一人変な奴が助けてくれた」
ビクッと彼女の耳が反応した。
「変な奴?」
目つきが鋭い。
助けたのは女だと直感的に見抜いている、とツルギは瞬時に理解した。
「変な奴だけど、組織に不満を持っている奴がいたって事さ。どうしてるかは知らないけど!」
「その人は置いてきたの?」
「置いてきたというより、用が済んだら自分からいなくなった感じというか……」
「ふぅ〜ん……変なの」
ハッとジャンヌが追ってくるかもしれないと思い出したツルギはセンバの手を取って走り出した。
「ちょっ、ちょっと……!」
「みんなの居場所は?!早く合流しよう!」
「そうだ……レイラ……レイラを助けないと……!」
「レイラがどうした?!」
「私を先に行かせる為に、時間稼ぎを……」
それを聞いた瞬間、「まったく面倒な事を」と頭の中で呟いてから、センバに訊く。
「……わかった、どこだ?」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


431鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/02/15(日) 18:40:59 ID:.WQ/87rc
 鎧術師第二十二話
 
ツルギには逃げられ、城は半壊、戦力もズタズタにされた事に加えて生産工場すらも爆破された事によってジャンヌの怒りは頂点に達していた。
「食い止めろと言ったでしょ…………何をしていたの?!」
逃げたツルギを追う途中で合流したデニスに対しての第一声は、普段の彼女とは一転した、余裕のない怒声だった。
しかし、実際に敵を食い止めろという命令は受けていたし、それに失敗して今の状況があるというのはデニスも認める。
だが、腑に落ちない。
自分は、あの二人以外敵には遭遇しなかったし、広すぎて、ここに来てから何年か経った今でも覚えきれない広大な工場と城の中を半分迷いかけながら走り回っていたのだ。
責められる筋合いはない。
だがジャンヌに下手に逆らうような事はせず、言われるよりも先に頭を下げた。
「申し訳ありません、命令されたにも関わらず防衛が叶わなかったのは全て、この俺の責任であります」
「そ、そう……ごめんなさい、あまりの事だから、私も少し気が立っていたわ……」
スウッと一息吐き出して、「もう大丈夫」と付け加えた。
それを許してもらえたとして、尋ねる。
「で、どうすればいいだろう」
ジャンヌは言い放つ。
「決まっているでしょ、ツルギの再確保、そしてこんな事をしてくれた奴らを一人残らず抹殺する」
表面上冷静さを取り戻したように見えても、やはり内側では沸々と怒りが沸騰しているようで、口調がいつもよりも刺々しく、その“抹殺”という判断も、いつもの彼女なら絶対に下すはずがない。
ギラギラとした目つきとなった彼女はいつになく乱暴的で、歩きながら邪魔なフリルを次々と毟り取っては捨てていた。
こうしてみると、やはり妹に似ていると思った。


432鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/02/15(日) 18:46:53 ID:.WQ/87rc
「……武器庫の番人は死亡確実、ルメラも活動停止、エナも同様……強化した部下たちは壊滅、してない奴らに限ってはパニック状態で使い物にならない……まともに動けるのは私とデニスだけ……か……」
ジャンヌは側頭部にくっ付けた司令室のコンピューターとリンクしているデバイスを通して状況確認をしながら、思考を巡らせブツブツと口にした。
左の親指の爪を齧るその横顔に、デニスは少し可愛らしさを感じたが、すぐにそんな事を思っている場合ではないと自分を叱咤した。
せっかく綺麗に施された壁の装飾もボロボロと崩れ落ち、カーペットは煤等で真っ黒に、壁や天井、床にも亀裂が走っている所がある。
衝撃波や風圧で割れたステンドグラスの破片を踏みしめ、デニスは思う。
やはり、あの男を捕虜にするのは間違っていた。
あいつのせいでまた失った。
ルメラ、エナ、ディマイド……。
ルメラは子供っぽいし、我儘で鬱陶しかったが思い返せば、ただ子供だったからかもしれないし、自分に懐いていたようにも思う。
エナは感情の起伏が少ないし、自由意志という物に乏しいからか、談笑をしようにも「そうか」「それは良かったな」といった具合で、せいぜい食い物が近くにある時ぐらいしか彼女から話しかけて来る機会はなかった。
だが、それでも彼女は優しかった。
その優しさすらもプログラムなのかは知らないが、仲間思いで意外に気を配れるし、よくルメラの世話を焼いていたようにも思う。
ディマイドとは……あまり接点もなく、武器庫に用が無かったので会話を交えたのはジャンヌが一週間程、海外に赴いている間ぐらいだったか。
彼は巨体で図々しく、馬鹿だったが、それでも感情の殆どないエナを気にかけている様子だったし、ルメラと遊んでいるのを何度か見かけたから良い奴だったのだろう。


433鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/02/15(日) 18:50:50 ID:.WQ/87rc
それぞれの事を思い出すと殺された事に対して、余計に腹が立った。
例えどんな奴で、殆ど接点がなくても、彼らにどんな秘密があったとしても、かけがえのない仲間だった。
それを、奪われた。
あの小娘一人の相手をしている間か、見逃した後か、それより前かは知らない。
でも、失ってはいけない、そんな連中を失ったのだ。
込み上げてくる激情はジャンヌと同じか、それ以上だ。
「……コロ…シテヤル……」
気付けば、息を吐き出すように口走っていた。
ふと意識が引き戻されて隣を見ると、ジャンヌが横目にこちらをじっと目を細めて見ていた。
「憎悪……って奴か」
「……わかりません」
静かに言ったその言葉は嘘ではなかった。
経験した事のない、未知の感情だったからだ。
憎い、という感覚はある。
でも誰が憎い?
あいつ……あいつとは誰だ?
ツルギ?
確かにあいつは、雀さんを……。
その時、思い出した。
雀さんは一言も、誰と戦っていたのかという事を言っていなかった。
もしかしたら、俺が勝手にツルギのせいで致命傷を負った訳ではないかもしれない。
でも……あいつはあそこにいた。
一体、誰が――誰のせいで雀さんは死んだ?
雀さん以外の、燐鱗やウォーカーさんも……あいつのせいではない…………?
どうして、そんな真っ先に思いつきそうな事に気付かなかった?
俺の体に打たれている薬のせいか?
それとも俺がおかしいだけなのか?
雀さんたちは誰のせいで……。
最終的に、救う事を拒んだのは――――。
違う……違う…………違う――――!
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434鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/02/15(日) 18:56:46 ID:.WQ/87rc
2

イザベルとアレキサンダーは、魔力波を探知してジャレットの下へと向かうエナに続いて歩いていた。
網目状の鉄の床を踏む音を響かせながら、イザベルは魔獣化した身体がいつまで経っても人間の姿に戻らない事に、一末の不安を抱えていた。
このまま元に戻らなかったら、どうなるのだろう。
いや、所詮は薬の効力なのだからいずれは元に戻る。
少しでも気を紛らわせようと、前向きな方向へ思考を働かせる。
ああ、林檎が食べたい。
ふとそう思った。
しかし、持ってきた林檎はさっき食べてしまったし、だからと言ってそこら辺に置いてある訳がない。
「……早く帰りたいなぁ……」
「そうだな」
独り言のつもりで言った事に、アレキサンダーが返事をした。
鎧を解いて歩く彼の頭を見て、フッと笑うと「なんだよ」と振り返る。
「いや、やっぱりハゲだなと思って」
アレキサンダーの頭皮には毛髪がない。
しかし、それは自分で剃っているのであって、決してハゲと言われる筋合いはない。
それでも事情を知らぬ者からは、ハゲと言われるのだろうか。
アレキサンダーは少し悩んだ。
――髪を洗うのが面倒で、スキンヘッドというのを試しているのだが、こうもイザベルにからかわれては流石に精神衛生上良くないかもしれない。
ストレスを感じている事は特になく、毛根への負担は――――何を気にしている俺は?!
一人、苦悩するアレキサンダーを「やっぱハゲてる事気にしてるじゃん」とからかうイザベル。
「だーかーらー!」
それがいつもの会話だというのは、短い付き合いだと認識しているゼロにも理解できる事だった。


435鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/02/15(日) 19:04:14 ID:.WQ/87rc
こうやって、人と冗談交じりに笑って話す事は、もう自分にはできない。
感情がない訳ではない。
希薄なだけ。
しかしそれも人機として少しずつ失われつつある。
もう自分は、笑う事すらできないかもしれない。
「……ジャレット……」
「ゼロか、無事で何よりだ」
彼も合流しやすいように、移動してくれたのが幸いして、こちらが移動を始めてからそう時間も経たぬ間に合流する事ができた。
それはとても喜ばしい事なのだが――――。
「とゅぅうわぁああいちょぉぉおおおおおお!!!」
いつものノリで抱き着こうとしてきたイザベルを躱したジャレットは振り返った彼女の眉間に自動小銃を突きつけて動きを止めて「お前か」と短く言った。
すると彼女は素早く犬のように座って、敬礼の真似事をした。
「はい、イザベルでありますよ。ちょっと薬使いすぎてこの姿ですが」
えらく早口で、芝居がかった言い方で自分の状態を説明したイザベルはピョンと軽く跳ねるようにして立ち上がり、左手で敬礼をした。
「……敬礼は右手だ、馬鹿が」
「どぉもすみませんね、林檎成分不足しておりまして」
「センバの奴が言っていたぞ、魚を食えば頭が良くなるそうだ」
「ほっほーう、良い事聞いた。帰ったらさっそく魚でも買って丸かじりしますか?なぁんて……本当に馬鹿みたいじゃない!」
「アレキサンダー、人機は?」
「あれ、無視?」
獣の姿のまま、しょんぼりとするイザベルを余所にアレキサンダーはすぐに自分が見聞きした事を隊長に伝えた。
「はい。人機の一体であるエナを撃破し、ゼロの話によるともう一体も撃破したそうです」
「そうか……倒したか……そして、工場の爆破は完了、あとはツルギだが…………」
と、視線を這わせた先で、閉まっていた扉が勢いよく破壊され、一人の組織の鎧術師と一体の魔獣が“吹き飛ばされて”きた。
何事かと身構えるイザベルとアレキサンダーをゼロが「待て」と静止した。
「既に生命活動を停止している」
ゼロが告げる。
そして、鎧術師と魔獣に代わって二人の人影が姿を見せた。
「あっ、隊長」
そんな気の抜けた第一声を放ったのは、トラストだった。
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436鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/02/15(日) 19:07:17 ID:.WQ/87rc
3

レイラは、さっきの凄まじい轟音と震動から何か大きな物が爆発したのだと、瞬間的に理解した。
近付く者をいち早く察知する為、モルセーゴ・オレリアの感度を最大にしていたのが災いして、鼓膜がビリビリと激しく痛む。
おそらく鼓膜が傷ついたのだろう。
「っ……!でも……そろそろ動ける……?」
両手を握ったり開いたりしてみる。
多少の痺れはあるが、問題ない。
次に足を動かしてみる。
こちらも問題なかった。
「よし……あいつの水のおかげで傷も治った……本当、良い奴なのか悪い奴なのか、どっちなんだろうね」
ボソボソと呟きながら、レイラは自分の武器を確かめる。
ナイフはいつの間にか刃が欠けてしまっていて、切れ味は期待できないが鈍器としてならまだ活用法はある。
鎧を前にして、通用するかはともかく。
いや、戦う事を前提に考えるな。
自分の最大の武器は耳と素早く動ける小柄で身軽なこの体その物だ。
敵とできるだけ出くわさず、皆と合流できるルートを通ればいいのだ。


437鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/02/15(日) 19:11:15 ID:.WQ/87rc
「よし……拳銃も使えるな……万が一の護身用としては十分ね」
一通り、自分の携帯している武器を確認した後、耳を澄ましてみる。
まだ少し痛むが、十分音は拾える。
――……足音も、何も聞こえない。
慎重に柱の陰から通路を覗き、誰もいないのを見てから意を決して、転がるように飛び出て、膝立ちで拳銃を構えた。
それからもう一度、誰もいないのを確認して自分が来た道を走り出した。
どういう状況になったのかわからないなら、多い方に合流するのが得策だろう。
やられていなければだが。
微かに銃声が聞こえる。
音の大きさからして、この階ではない。
それと同時に、みんなの固有の“音”も聞こえてきた。
――ジャレット、イザベル、アレキサンダーにトラスト……ディディも一緒だ……シャルの音が聞こえない?まさか…………。
最初から、わかっていた筈。
誰がいつ死んでもおかしくないと。
わかっていても、仲間が死んだ時は悲しい。
レイラは泣いている暇はないと、頭を振り、耳を澄ませた。
そこから離れて、センバの音もある。
それに、すぐ近くに……ツルギ。
良かった…………脱出できたんだ!
距離からして、このまま真っ直ぐ行けば二人と合流できる!――
「二人とも…………良かった…………!」
次の瞬間、後頭部に強い衝撃を感じた。
みんなの音を聞く事に集中していて、すぐ後ろの音に気付けなかった。
「え…………?」
一瞬の痛みの後、床に倒れ、滲む視界に鎧術師の足を見た。


438鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/02/15(日) 19:16:34 ID:.WQ/87rc
――ああ、死ぬんだ……せっかく、助けられたのに――
レイラは朦朧とした意識の中で、涙した。
――みんなに会いたい。
顔を見たい。
声を聞きたい。
みんなと…………ご飯を食べたい……。
死ぬのは……嫌だよ……!
こんな所で死ねない。
死にたくない!
「ぁ……ぅ……ぃゃ…………」
敵は私の後ろ髪を掴んで引っ張った。
痛い、痛いよ。
私の顔を舐めるように見ている。
……そうか……私の価値を見てるんだ…………。
そうだよね……女の子が戦場にいたら、そりゃあ生きて捕まえたいよね。
結局…………つまらない人生だったなぁ…………。
使い潰された、物だった鉄くずたち。
つ晴れるともわからない、灰色の雲。
壊れかけの建物と錆びた鉄くずに囲まれた世界で、空は、とても遠かった。
周りの人たちは、みんな、薄汚れていた。
私もそうだった。
誰かが死ねば、それがみんなの肉となる。
そんなおかしな事が当たり前になっている、おかしな世界だった。
ある日偶然見つけた、まだ映るテレビで見たレースは、とても綺麗で、格好良かった。
いつか絶対、あれに乗るんだって決めた。
それから何年も経って、私はそのレースに出ていた…………。
ああ、それがどうしてこんな所で戦って、苦しんで、辱めを受けようとされなければならないのだろう。
私が何をしたって言うの?
……そう……そうか……。
ちくしょう、やっぱり肉なんか食べるんじゃなかった。
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439鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/02/15(日) 19:20:34 ID:.WQ/87rc
「はぁ……はぁ……はぁ……!」
口の中に、相手から噴き出た血が大量に流れ込んできた。
久しぶりの、血の味だった。
「…………うまっ…………」
立ち上がろうとして今度は仰向けに倒れた。
足に力が入らない。
いや、全身だ。
特に頭が凄く痛い。
ドクドクしてる…………。
体が重いや。
クタクタに疲れちゃったのかな。
「……ぁ……センバ……ツルギ…………」
遠くからこちらに向かって走って来る二人が見えた。
そうだな、ツルギはよく見たらあのデニスという奴と似ているかもしれないね。
気のせいだと思うけど、不思議だな。
――イラ?!大丈夫?!
――い!レイラ!しっかりしろ!
ごめんね……少し眠らせて……。
疲れちゃったよ。
一人で頑張ったから。
だから少し……少しだけ……。
……しばらくしたらまた……起きれるから……。
それまでは迷惑かけちゃうけど、守ってね。
――レイラ!レイラ!
ツルギ…………やっぱり、格好いいなぁ…………センバが…………羨ましいよ。
――待てよ……死ぬな!
死なないよ、寝るだけ…………だから…………。
オーベルジュのベッドまでお姫様抱っこで運んでほしいな…………。
それで目が覚めたら…………覚めたら…………言わなきゃね…………この…………気持ち…………。
ツ…………ル…………――――――


440鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/02/15(日) 19:22:40 ID:.WQ/87rc
4

「レイラ……?嘘だろ?レイラ!」
何度揺すっても、腕の中で眠るレイラは目を覚まさない。
血塗れだけど、死んでいるようには見えない。
生きている。
きっと生きている。
そんな気がして、何度も揺すったり、頬を軽く叩いたりしながら呼びかけたが、全く返事はなく、やがて息もしていない事や、心臓の音が止まっている事に気付いた。
その瞬間、死んだという実感が急に込み上がってきて、ツルギを襲った。
「ぁぁぁあああああああああ!!!!!嘘だ!!せっかく、また会えたのに!こんな…………!」
泣いているのは、センバも同じだった。
「私のせいだ……私が、彼女の提案に乗って、一人で行かなければ…………!」
遅かった。
ここまで来るのがもっと早ければ、助けられた筈だ。
ツルギは、泣きながらふと自分の足を見た。
――この足が…………もっと速ければ…………!――
悲しみは怒りに変わった。
自分が許せない。
せっかく自由になったというのに、また一人死なせてしまった。
ここに来なければ、死ぬ事もなかった。
俺を助けようとせず、工場の破壊だけを狙っていれば…………少なくとも、こうはならなかった筈だ。
自分のせいでレイラは死んだ。
誰のせいでもない、自分のせいで…………。
強い、感情が湧いた。
速く、速く、速く、速く、速く――――!
その時、微かにもう一つの腕輪が光った。


441鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/02/15(日) 19:32:32 ID:.WQ/87rc
6

ジャレットたちは突入してきた場所を目指して走っていた。
目的の一つは果たした。
あとはレイラやセンバかツルギ、もしくはその全員との合流さえ叶えばもう一つの目的も果たされ、離脱できれば作戦成功だ。
しかし、そう何もかも上手く事が運ぶ訳がなかった。
あと少しという所で、天井や壁を破壊したのは無数のビームで、そのうち何発かが建物内に侵入して無差別に爆撃した。
「なんだ?!」とジャレットが叫ぶ。
周りがどよめく中、ゼロは冷静に分析していた。
飛来したビームの色、威力、放出された魔力の質、軌道等から得たデータを記録されているデータと速やかに照合させていく。
《照合結果一件該当、ファイル№002.》
「……ホア……」
ボソリとゼロがその名を呟き、それを聞いたジャレットが武器を構え、他の者たちも構えた。
「散開しろ!」
ディディはハリケーンランスを握りしめ、新しい恐怖を堪えた。
更にトラストとアレキサンダーは走り出して瓦礫の陰に身を潜め、イザベルはグルルと威嚇しながら斜めに倒れて壁につっかえている柱の所まで走り、ジャレットは召喚した自動発射できる武器をズラリと並べた。
これで敵を認識した瞬間、一斉に発射され蜂の巣になる筈だ。
ゼロはデータを取りながら、なぜ皆が戦う事を前提にして待ち構えているのかわからなかった。
ヴェロチタ・スクアーロに辿り着けさえすれば、最低でも一人だけは助かる可能性がある。
しかし、どうしてその可能性を投げ捨てるのか。
「理解不能だ」
「何がだ?」
「誰か一人でも逃げられる可能性がある選択を捨て、戦う選択をした事だ」
「ああ……それか。みんな、怖いさ。それでも、“負け”を選ぶ気はないのさ」
「負け?」
「生きている限り、戦いは続く……逃げるって事も、時には必要だ。でも……今じゃない」
「…………」


442鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/02/15(日) 19:40:06 ID:.WQ/87rc
やはり、理解できない。
自分から人間らしい思考が消えかかっているのもあるだろうが、これは流石にいささか無謀すぎると嫌でも理解できた。
敵はホアだけではない。
この場にいる魔族・魔獣全てだ。
野生の魔獣が飛び込んでこないとも限らないだろうし――――。
途中まで浮かんだ事を掻き消すかのように轟音がに響いた。
再び、十二発ほどの光線が発射され、一帯を無差別に爆撃し、無数の瓦礫と粉塵を周囲に押し広げた。
そして、“掃除”を終えたホアは金色の翼を広げたまま内部に入り、空中からジャレットたちを見下ろした。
「へぇ……人間の癖に結構、頑張るじゃん。まあ、関係ないけど……ね!」
ホアは両腕の袖から取り出したトンファガンの銃口を粉塵が立ち込める眼下に向けて、乱射した。
放たれた弾丸は次々と粉塵の中へ吸い込まれるように突き進み、瓦礫や地面や壁に当たって跳弾する音を響かせた。
その間、ホアは口笛を吹いていた。
何もできない雑魚共を、こうやって手の届かない所から一方的に弄るのはとても気持ちがいい。
旅先で沢山の人間をこうやって殺した。
どこから撃たれているのかわからなくて、ようやく自分を見つけた瞬間には「あっ」と声を上げる間もなく全身を撃ち抜かれて死ぬ奴や、何発もの弾丸が体を貫通しても生きていて、死への恐怖をたっぷり味わいながら死んだ奴もいる。
もちろん、撃ち殺すだけでなく撲殺、絞殺、圧殺等の様々な方法で殺した。
なぜなら、撃つだけでは飽きてしまうからだ。
やはり様々な方法を試した方が、やる気を損ねなくていい。


443鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/02/15(日) 19:43:03 ID:.WQ/87rc
「きひっ、きひひひひひひひひひひひひひ!!!!!ヒャーハッハッハッハッ!!!!」
ドスッという衝撃と共に、快楽の世界から現実に引き戻されたホアは、地上から伸びて足に絡み付いた鎖と錘を見た。
「あ?」
「撃ってください!」
粉塵の中、破裂するような音が立て続けに起こり、無数のミサイルがホア目掛けて発射された。
まるでさっき乱射した弾丸やビームがそっくりそのまま主の下へ戻ってきたかのようでもあった。
「ちょっ……!ゴルドシューティング!」
翼が輝きを放ち始めた瞬間、先に飛来したミサイルが自爆し、青白い粒子を撒き散らした。
すると翼の光は疎らになり、輝きを放つ所かどんどんくすみ始めた。
(魔力が集中しない?!抗魔力剤か……!面倒な物を持ち出して来て…………!)
更にそこへ弾丸や魔力弾といった攻撃が続けられ、翼で体を覆うようにして防御するのが精一杯だった。
ホアは信じられなかった。
下等で、なぶり殺してきた奴らと同じ人間相手に、“なぶり殺し”にされようとしている。
「人間如きが……私を殺そうだって……?!……きひっ……ひひっ……!」
だがやはり人間は馬鹿だ。
せっかく撒いた抗魔力剤を自分たちの銃撃で散らしている。
翼に再度集まり始めた魔力が煌々とした輝きをゆらめかせる。
チャージさえ完了すれば、十二発のビームが奴らを薙ぐ。
そうすれば、私の勝ちだ――!
「きひひっ………!ネーチャンの家で好き勝手する害虫は……私が駆除しなきゃね!」
輝きは更に強くなり、ジャレットたちから見ても眩しいと感じる程の光となり、ホアは勝利の確信、少しの間とはいえ自分を追い込んだ人間への怒り、自分の力への妄信、そして自分でも気付かない内に狂ったような高笑いをしていた。


444鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2015/02/15(日) 19:45:19 ID:.WQ/87rc
人間なんか、所詮は支配される側の生き物。
自分が作る、新たな王国では貴様たちなど餌でしかない。
だったら、餌にもならない屑はここで始末してやる。
ホアの怒りは魔力となり、その魔力は翼へと集まっていく。
溢れ出る光は物理的な干渉力を持ち始め、銃弾や魔力弾を防ぐ球体のとなってホアを守る。
広げられた翼に十二の光球が浮かび上がり、はち切れんばかりに膨れ上がっていった。
「人間…………死んじゃえよ」
その瞬間、ホアの意識は別の方向へと向けられた。
それは、鎧の効力で高められた野性的直感とも言うべきもので、それが飛来した時には、“無意識の内に本体を守るべく”翼を閉じていた。
結果、金色の翼の片翼が両断され、ホアは降下せざるを得なくなった。
そして、翼を切り落とした敵を見て、更なる怒りを膨れ上がらせた。
四年前、自分と戦った、あいつだ。
「きっ……ひひ……っ!まさか、お前がいるとは思わなかったよ、ツルギ……!」
「ホア……やはりお前か……!」
着地すると同時に、両手でブリザードブレードを構えたアビスは、全身に鋭利なヒレがついており、表面には牙の様な模様が浮かび上がっていた。
ホアは、また進化したか、と思うと同時に強くなった相手に喜びを感じた。
強い相手と戦うのは、楽しいからだ。
強い奴を叩き伏せ、屈辱を味わらせて、悔しさと絶望の中で殺してやる!
「さっき潰した輩よりかは、楽しめそうだよねぇえ!!」
ホアはトンファガンをブレードモードへ変形させると、アビスに向かって突進し、ブリザードブレードと切り結んだ。
だがその瞬間、背後からの衝撃に襲われ、体勢を大きく崩して転ぶ結果となった。
「なに……?!」
そこに居る筈のアビスはおらず、自分の背後にアビスがいた。
切り結んだのは何かと戸惑い、そして自分が切り結んだと思っていたのは氷の塊である事に気付いた。
「お前は必ず倒す。誰も傷つけさせない」
「そんな事言っても……ここは敵地だぜ!」
残る片翼から六発分のビームを放つが、アビスはその隙間を縫うように走り、一気に近距離に持ち込み、正面から切り掛かると見せかけた一瞬、背後に回り込んでブリザードブレードを振り払った。
ホアはブレードで凌いたが次の瞬間、目を見開いた。
視界に、いくつもの剣の軌跡が“ほぼ同時”に映ったのだ。
「なっ……!」
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13 ペンギンの遊び小説 (Res:84)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 13
1ペンギン :2014/12/01(月) 22:46:59 ID:g3v2LSNo
 僕が小学校に上がる前――4歳から5歳にかけての頃――、午後から仕事で家にいなくなる母によって、僕は幼稚園や保育園に入れられる代わりに、仕事先の町の、神社の神主さんの一家に夜まで預けられていた。
何でも母が仕事の面接のために慣れない街をうろうろ歩き回っていると、そこの神主さんが声をかけて道を教えてくれ、幼い僕がいる事情を聞くと、仕事終わりまで面倒を見てあげようということになったということだ。
僕の父は会社員で毎晩夜遅くまで帰ってこない。

86ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/14(水) 03:59:32 ID:nNjd1xGI
「あれがお守り、あの紙でたたまれているのが神符。あの矢は破魔矢というのよ」
 僕たちに見やすいように、張り出しの上についた手を離して社務所の窓の内側に上体を戻した真希お姉さんの前で、お母さんが抱っこした由香ちゃんを持ち替えて動かしやすいようにした右手で順に指差しながら、由香ちゃんと恐らく僕にもわかるように、社務所に並べてある物の名前を教えてくれた。
「由香ちゃんにも買ってあげようか。何がいい?」
 お母さんが首を曲げて抱っこした由香ちゃんの顔を覗き込むと、依然口に親指と人差し指を当てたままじーっと並べられた物を眺めている由香ちゃんは、やがてちゅぱと口に当てた指を少し中に突っ込んで舌でなめとると、口から出したその右手を斜め下に伸ばし、濡れた人差し指の指先を向けて、
「あれ」
と言った。距離は離れていたが、位置と、自分の娘の好みそうなものから見当をつけたお母さんは、由香ちゃんを抱っこしたまま苦労して膝を曲げて体を落とし、窮屈そうに右手を伸ばすと、小さく丸く赤い、さっきお守りといったらしい物を指先でつまみ上げて、由香ちゃんの顔の前にぶら下げて再び顔を覗き込んで訊いた。
「これ?」
 再び二本の指を口の中に戻してちゅぱちゅぱやっていた由香ちゃんはそれを聞くと、こくんとうなずいた。その間真希お姉さんはそんな二人の方を微笑みながら眺めていた。


87ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/14(水) 04:00:19 ID:nNjd1xGI
「佳くんにも買ってあげるよ。何がいい?」
 由香ちゃんのお母さんが由香ちゃんに今しがた取ったばかりのお守りを渡し、両腕でうまく抱き直すのとあやすのを兼ねて、ゆさゆさと抱っこした由香ちゃんを揺らしながら、抱えたその体越しに首を伸ばしてこっちの方を見下ろして言ってきた。その間由香ちゃんは揺らされながらも、受け取った赤いお守りを両手の指先で紐をつまんで顔の前に持ち上げながら、じーっと眺めていた。両手の指先につまんだお守りが動きに合わせて一緒にゆらゆらと揺れた。
 僕は木箱の中に並べられた物を見渡した。今度は真希お姉さんはこっちの方を見たが、背伸びして一生懸命置かれたものを張り出し越しに見ようとする僕に対し、申し訳なさそうに微笑みかけるばかりだった。やがて、真希お姉さんが僕に見やすいようにと、箱の両端に手をかけ、角度をもっと上げてさらに見やすくするか、張り出しの上に箱を移動させようとするかしようとする時、僕は「これ」と、同じものがいくつかある箱の中の一室を指さした。
 箱に両手をかけた真希お姉さんが顔をうつむけて、僕が背伸びしたままぴょんと飛び跳ねながら、張り出しの上に腕を伸ばして指差した物を確認すると、それを白く細長い指で箱から少しつまみ上げて、軽く振って言った。
「これ?」
微笑みながら訊いてくる。僕はうなずいた。


88ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/15(木) 04:47:46 ID:kY3YNYZA
あれ、何やってんだろ
雨の日のはずなのに描写がおかしい
しばらく間を空けたおかげでぼけてる


89ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/17(土) 04:00:23 ID:NBn3fmkE
>>84から先を訂正して貼る


90ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/17(土) 04:02:03 ID:NBn3fmkE
 再び先に立って歩き出した由香ちゃんのお母さんについて、参道側の、社務所の正面に回り込むと、普段は閉じられている正面の、木枠に曇りガラスがはめられている格子窓が引き開けられていた。
僕は中を見ようとしたが、大人の腰かそれより少し低いくらいの高さに、30センチほどの奥行の木の板の張り出しが窓の下枠のところから突き出ていて、まだ小さい僕には一生懸命背伸びして何とかその張り出しの上から開けられた窓の中を覗き込めるぐらいで、
さらに小さい由香ちゃんは背伸びしても頭が届かず、ちょっと離れたところから斜めに見通すのがやっとで、近づくと張り出しに邪魔されて社務所の中はほとんど見えないようだった。


91ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/17(土) 04:03:27 ID:NBn3fmkE
 由香ちゃんが曲げてくっつけた親指と人差し指を口に当て、好奇心のもの欲しさの目で、一生懸命背伸びして中を覗き込もうとしていると、巫女姿の真希お姉さんが窓からぴょこんと上半身を出し、社務所の庇で雨から守られて乾いている張り出し板の上に両手をついて、由香ちゃんを見下ろしながら優しく微笑みかけた。
と、由香ちゃんのお母さんがしゃがみ込むと、手に持った傘を首と肩の間に挟み、空けた両手を由香ちゃんの脇の下に差し込んで、由香ちゃんの着る雨に濡れたレインコートで自分の服と体を濡らさないように、腕を伸ばして自分と持ったその体との距離を取り、傘を首に挟んだまま窮屈そうに持ち上げて立った。
社務所の中がよく見えるように持ち上げられた由香ちゃんは、時々レインコートのパーカーから滴る水滴の一部を髪や顔に受けながら、なおも親指と人差し指を口に当てたまま、じーっと中を物珍しげに見つめ、そんな由香ちゃんに対し、真希お姉さんは張り出しに手をついたまま、顔を見上げてまた微笑みかけた。


92ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/17(土) 04:04:32 ID:NBn3fmkE
 僕も、しとしとした小雨ながら、時間がたって量が溜まり、滴となってパーカーの縁から滑り落ちる水滴に顔や髪を濡らされ、邪魔されながら一生懸命背伸びして窓の中を見ようとした。
張り出しの他、窓の下の木枠が邪魔だったが、それでも社務所の内側のすぐ窓際に置いてある木箱はこちらに対して斜めに傾斜して向いており、そんな僕にも見やすい角度で、箱の中に入っているものを一通り見ることが出来た。
木箱は外枠が低く底が浅く、中が細かく仕切られており、それぞれの小部屋の中には布で出来た長方形だったり丸かったりして、横に筋がいくつも入ったように見えるちょっと変わった紐が付いているものや、長方形の折りたたんだ白い紙の上に墨で何やら僕には読めない難しい漢字が縦に書かれているものが入っていた。
あと、木箱とは別に、これも斜めに見やすい様に置かれた平らな木の板の上に色々な飾りがついた大きな矢が何本かあり、木箱と矢のそれらに並んで、水平な棚の上に直接、上に小さい長方形の穴が開いたきりの木の筒も立てて置いてあった。
傾けて置いてある木箱の仕切り部屋ごとの下――手前――側に、それぞれ手書きのペン文字で置いてあるものの名前と値段が書かれた小さな白い厚紙が立ち、矢が置いてある木の板の方はその下端と窓枠の間に挟まれた位置に、置いてある長い筒の方は棚の上に直接名前と値段とが書かれた紙がテープで貼られていた。


93ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/17(土) 04:05:12 ID:NBn3fmkE
「あれがお守り、あの紙でたたまれているのが神符。あの矢は破魔矢というのよ」
 僕たちに見やすいように、張り出しの上についた手を離して社務所の窓の内側に上体を戻した真希お姉さんの前で、お母さんが後ろから持ち上げた由香ちゃんの向きと角度を変えることでそれぞれを示し、由香ちゃんと恐らく僕にもわかるように、社務所に並べてある物の名前を教えてくれた。
持ち上げるだけならともかく、さすがに傘を首に挟んだまま体勢を維持して動かすのは難しそうに見えた。


94ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/17(土) 04:06:13 ID:NBn3fmkE
「由香ちゃんに買ってあげるよ。何にする?」
 無理な体勢を続けて少しこわばった声だったが、お母さんが持ち上げた由香ちゃんに後ろから優しく話しかけた。口に親指と人差し指を当てたままじーっと並べられた物を眺めている由香ちゃんは、やがてちゅぱと口に当てた指を少し中に突っ込んで、舌を出して二本の指の間のえらの部分ごとべろりと付いた水滴をなめとると、口から出したその右手を斜め下に伸ばし、人差し指の先を向けて、
「あれ」
と言った。口でなめとった親指と人差し指周りの部分にまた上から雨の滴が降り落ち、とどまった。由香ちゃんが指差した物と社務所に置いているものの距離は離れていたが、指の角度と、自分の娘の好みそうなものから見当をつけたお母さんは、「――よいしょ」と言って社務所の正面まで分かれている、今は雨で濡れている参道の石畳の上に由香ちゃんを降ろした。
すぐに右の首と肩に挟んだ傘を右手に持ち、解放されたという風に軽々と左手に柄を持ち替えると、空けた利き腕を伸ばして、社務所に置かれた木箱の中から小さく丸く赤い、さっきお守りというものだと僕たちに説明した物を指先でつまんで取った。
張り出し板の、覗き込むことの出来ない社務所の中の部分の角度に当てた視線から、お母さんがお守りをつまみ上げて視界に入ったその動きに合わせて首をぐるりと振り向けて目で追い、最後にお母さんがつまんだそのお守りを、雨を受けないように由香ちゃんごと傘で覆いながらしゃがみこんで、由香ちゃんの目の前にぶら下げて、
「これ?」
と訊くと、由香ちゃんは顔の間近に来たそのお守りに寄り目でじっと視線を合わせ、こくんとうなずいた。お母さんが由香ちゃんにお守りを渡す。その間真希お姉さんはそんな二人の様子を微笑みながら眺めていた。


95ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/17(土) 04:06:59 ID:NBn3fmkE
「佳くんにも買ってあげようか。どれにする?」
 由香ちゃんのお母さんが僕に訊いてきた。
 僕はそれを聞くと、再び背伸びして木箱の中に並べられた物を見渡した。真希お姉さんは二人に向けた顔をこっちに向けたが、背伸びして一生懸命置かれたものを張り出し越しに見ようとする僕に対し、申し訳なさそうに微笑みかけるばかりだった。
やがて、真希お姉さんが僕に見やすいようにと、箱の両端に手をかけ、角度をもっと上げてさらに見やすくするか、張り出しの上に箱を移動させようとするかしようとする時、僕は「これ」と、同じものがいくつかある箱の中の一室を指さした。
 箱に両手をかけた真希お姉さんが顔をうつむけて、僕が背伸びしたままぴょんと飛び跳ねながら、張り出しの上に腕を伸ばして指差した物を確認すると(上に伸ばした僕の腕のむき出しの手と、レインコートの袖に付いた雨滴で張り出しの上に点々と水跡がついた)、それを白く細長い指で箱から少しつまみ上げて、軽く振って言った。
「これ?」
微笑みながら訊いてくる。僕はうなずいた。


96ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/17(土) 04:07:53 ID:NBn3fmkE
 僕が選んだのは由香ちゃんが選んだ丸く小さいお守りの色違いの、青色のやつだった。本当は二回りくらい大きくて長方形で平べったい、これも青色――というより紺色――のが欲しかったが、そっちは500円で、由香ちゃんと、僕が今回選んだ小さくて丸いやつの300円より高く、よその子供の僕が由香ちゃんを差し置いてそれより高いものを選ぶのは気が引けたのだ。


97ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/18(日) 06:46:13 ID:BOdnDgy2
「それでいいのね?」
 由香ちゃんのお母さんが僕に訊いてくる。僕は真希お姉さんからそちらに首を向けて、またうなずいた。由香ちゃんのお母さんが真希お姉さんから青い小さなお守りを受け取り、それをこちらに渡してくる。
「――じゃ、この二つと――、あとせっかくだからおみくじもお願いしようかしら――こら! 由香! ふらふらしてないでこっち来なさい!」
 僕にお守りを渡した後、スカートのポケットから黒いがま口の小銭入れを取り出そうとしていたお母さんが後ろの方を振り向いて言った。
振り向いた先では由香ちゃんが、本体が雨に濡れないように、指先で紐をつまんだ両手のひらを上にドーム状に覆うように持ったお守りを顔のそばに近づけてじーっと見つめながらよちよちと、石畳の上の参道と社務所の分かれる辺りまで歩いて出て行っていくところだった。
ちょうどさっきまで拝殿にお参りをしていた中年の男性の参拝客が一人参道を歩いて鳥居の出口に向かって歩いていくところで、傘を差して参道の左端を歩いていたその人はそんな由香ちゃんの方を横目に観察しながら通り過ぎようとしていたが、由香ちゃんがふらふらと参道の方に出、ぶつかりそうになるのを体をよじってかわした。


98ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/18(日) 06:46:47 ID:BOdnDgy2
「由香!」
 お母さんが本格的に体を後ろに向けて由香ちゃんに対し怒鳴りつける。傘を差したまま申し訳なさそうにぺこぺことその参拝客に対し頭を下げもした。参拝客の方は気にしないようにとでもいう風ににっこり笑って、こちらも会釈して返すと、最後に優しく由香ちゃんの方を見つめてそのまま鳥居の方へと歩き去って行った。
「早くこっちに来なさい!」
 お母さんが右手に小銭入れを持ったまま少し怖い顔をして由香ちゃんの方を差し招くと、由香ちゃんはお守りから目を離し、指でつまんだ右手をだらんと横に下げてよちよちとこちらに戻ってきた。ピンクのレインコートに長靴のその格好で不器用に体を揺らしながら歩くたびにレインコートの大きな皺が動きに合わせて位置や形を変え、新たに雨滴を受けながらも、由香ちゃんのその動きでわしわしと表面の水滴を左右に弾き落としてもいった。
もはや雨に濡れることは気にしていないのか、無造作に横に投げ出された右手に持ったお守りを、僕のそばに来て前に立った由香ちゃんは腕を勢いよくあげて僕の顔の前にかざし、にこーっと笑って、
「お揃い」
と言った。どうやら僕が両手で体の前に持った青いお守りをこちらに近づくまでの間に見ていたようだ。僕も思わず笑うと手を上げ、並べるようにして由香ちゃんのお守りのすぐ横に僕のお守りを持ち上げた。


99ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/18(日) 06:57:21 ID:BOdnDgy2
「お揃い」
と言った。どうやら僕が両手で体の前に持った青いお守りをこちらに近づくまでの間に見ていたようだ。僕も思わず笑うと手を上げ、並べるようにして由香ちゃんのお守りのすぐ横に僕のお守りを持ち上げると、
「うん」
と、笑いながらうなずいた。これにしてよかったと思った。


100ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/18(日) 21:49:47 ID:BOdnDgy2
 そんな僕たちの方を由香ちゃんのお母さんがちらりと振り向いて、「二人ともおみくじするわよ」と声をかけてきた。僕たちを見る目の瞳孔が少し開き、心なしかいつもより声と表情が柔らかいように感じられた。真希お姉さんはそんな僕たちの様子を見て相好を崩して微笑んでいるばかりだった。
「佳くんはおみくじは初めて?」
 右手に持った小銭入れを傘の柄を持ったままの左手に近づけ、手慣れた様子で器用にその左手の空いた指でがま口の金具を外し開け、中から取り出した小銭を、「初穂料800円となります」と言う真希お姉さんに渡しながら由香ちゃんのお母さんは訊いてきた。お姉さんがお釣りを渡さなかったところを見るとちょうどそれだけの金額だったようだ。
 僕はうなずいた。と、いってもおみくじ自体どんなものかわからなかったのだが。由香ちゃんのお母さんは真希お姉さんが両手で持って渡す、棚のこちらから向って右端に置いてあった木の筒を片手で掴んで受け取ると、
「この筒を下に向けて振ってね――」由香ちゃんのお母さんは筒を水平より少し傾けて、筒の上を向いていた面を僕たちに見えるように下に向けると、傘の柄を持った左手の人差し指を伸ばし、筒の上面に小さく開いた長方形の穴を指差した。
「――この穴から出てきた木の棒を神主さんか巫女さんに渡すの」筒を持った右手を少し動かして社務所の方を示して言った。普段親しく話している二人の名前を直接言わないのは、こういう神社――おみくじのやり方――一般の作法の事を言っているのと、現に今仕事をしている二人に敬意を表してのことだというのは僕にもわかった。
神主さん――山部のおじさん――の方は社務所の受付の僕たちの対応をさっきから巫女の真希お姉さんに任せきりにして、その後ろの社務所の奥内部でさっきから何やらごそごそ整理らしきことをしていた。


101ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/19(月) 21:00:42 ID:x2Z2R49.
「それでもらった紙に運勢が書いてあってね、それが神様のお告げなんだけど――まあ占いみたいなものよ。――とりあえずやってみる? 重いから落とさないように気を付けてね」
 僕は、さっき買ってもらったお守りをレインコートの底の深い横ポケットに奥深く押し込むと、由香ちゃんのお母さんが再び穴の開いたほうを上に向け戻して渡してきたおみくじの筒を受け取った。言われた通り、小さな僕には重かった。
僕がしっかり両手で持つまで、受け取る間由香ちゃんのお母さんは慎重に渡してくれたのだが、それでもお母さんが手を離した途端ずっしり僕の腕に重さがかかり、その重さで前につんのめってしまった。木の筒と、中にたくさん入っている木の札とかのせいだろう。動くたびに中でからからと音が鳴った。
僕は言われた通り、小さな穴の開いた方を下に向けようと、両腕で抱くようにして重さを支えながら、慎重に持った手と腕で筒を動かした。すでにしとしと降る雨を受け始めているとはいえ、レインコートの袖と胸の部分で大幅に筒が濡れてしまうからしたくなかったが、落とさないためには仕方なかった。
そんな僕の方を、筒を渡した由香ちゃんのお母さんと、再び張り出し板の上に手をついて身を乗り出した真希お姉さんは心配そうに見ており、由香ちゃんは脇にお守りをだらんと下げて持ったまま、ぽかんと僕の様子を眺めていた。
僕はそれらを意識すると一層力が強く入り、少し扱いやすくなるのを感じた。僕は男の子だし、弱味を見せたくなかったのだ。


102ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/19(月) 21:01:22 ID:x2Z2R49.
 うまく上下逆さまに持ち替えると小さな両手で掴むとも挟み込むともいうように筒を持ち、振ろうとした。
――が、このままだと濡れた石畳の上に出てくる木の札が落ちてしまう。僕はそれでいいのかという風にちらりと、身を乗り出してこちらを見守る真希お姉さんの方を見上げたが、それを受けた真希お姉さんは見守る心配そうな表情を少し和らげて、大丈夫という風にこくりとうなずいた。
僕はまだ少し気が引けたが、両手というより両腕をぶんぶん上下縦に振った。降ってきた雨と、僕のレインコートに付いていた雨滴とで木の表面が濡れてはいるが、それほど滑りやすくはなく、六角形の形もしっかり両手で挟み持つのに役立った。
からんと細長いお箸のような、言われた通りの木の札が濡れた石畳の上に落ちた。両手がふさがっている僕のために、由香ちゃんのお母さんが傘を持った左手を肩の辺りに固定しながら素早く屈みこんで、空いた右手で拾った。


103ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/20(火) 06:01:52 ID:.cKRl4ZA
 由香ちゃんのお母さんは拾った竹札の端を手首を返して素早くちらりと見ると、その見た端の方を僕の顔の前に差し出して僕に見えるようにした。墨で何やら書かれていたが、漢字で僕には読めない。
由香ちゃんのお母さんは僕にしばらく見せた後、拾った時から差した傘で雨を受けないようにして、木筒から石畳の上に落ちた時ほんの少し濡れたきりの竹の札を真希お姉さんに手渡した。真希お姉さんはそれを受け取ると、
「七番ですね」
と言って、受け取った竹札を脇に置くと、社務所の内側で屈みこんで何やらごそごそやり始めた。小さな僕には張り出しが邪魔するのと、高さが足りないので見えず、何やら漁る音だけが聞こえる。
「はい」
 真希お姉さんが何やら折りたたんだ紙を由香ちゃんのお母さんに渡そうとした。由香ちゃんは手を出したが、それを受け取ろうとはせず、出した手をぶんぶんと振ると、
「あー、由香の分もするし、後で一緒に受け取って見ることにするわ」
と言った。真希お姉さんは笑って、両手で指し出そうとした紙を竹札と同じ、脇に置いた。
 由香ちゃんのお母さんが手を差し出すと、僕はまた両腕で抱えて木筒の上下を元に戻して(さっきからの扱いで少し慣れたので、今度は割と楽に出来た)、それを由香ちゃんのお母さんに渡した。
受け取ったお母さんは雨に濡れたそれを念のため滑らないようにと、左手に傘を持ち、受け取った右手一本で自分の白のブラウスに軽くごしごし木筒を回しながらこすり、水分を幾分拭き取ってから今度は由香ちゃんに渡そうとしたが、
ふと思い直して、両手を上に差し伸ばす由香ちゃんのそばに屈み込むと、木筒を差し出し、両手でぎゅっと由香ちゃんがそれを掴んでも、持った右手を離そうとせず、一人ではその重さに耐えられない由香ちゃんのために、あまりその動きを邪魔しない程度に手伝って持ち支えた。


104ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/20(火) 06:30:02 ID:.cKRl4ZA
 由香ちゃんが両手に持った筒を上下にぶんぶんと、傍から見ると乱暴そうにも見える勢いで振る。ものすごく真剣な表情だった。腕どころか、首、背中、腰や足まで前後上下にゆらゆら揺れており、木筒の動きに合わせて一緒に動く、お母さんの持ち支えた手も危うくすっぽ抜けそうになるほどだった。由香ちゃんの横にしゃがんだお母さんはその様子で苦笑するほかなかった。
 カランと勢いよく一本の竹札が濡れた石畳の上に落ちる。由香ちゃんは札が出る際に振った勢いで最後に体全体を一揺れさせると、動きを止めた。地面に落ちた竹札を依然真剣そうな表情でじーっと見つめる。先ほどまでと違い、はっきり見る対象が出来たからその眼に色が宿り、その雰囲気を強めていた。


105ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/21(水) 06:21:48 ID:py0bH1RE
 お母さんが立ち上がりながら右手に持った木筒を由香ちゃんの手から離そうと持ち上げると、由香ちゃんはそれに逆らわず、持ったというよりは、今は手をかけただけの両手を木筒と一緒に引かれるままだらんと伸ばし、最後に伸び切った腕の手を完全に離すと、力の抜けたその両腕がぶらんと下に落ちた。
その間中落ちた札に目を当てたままで、引かれて持ちあがる両腕で体と首がねじれたようになっていた。
由香ちゃんのお母さんは素早く木筒を張り出しの上に置いて、すぐに僕の時と同じように屈み込んで空いた手で札を拾おうとしていたようだが、置こうとした木筒を両手を差し出した真希お姉さんが受け取っている間に、
手を離した由香ちゃんが素早くお尻を突き出した格好で膝を曲げてしゃがみ込むと、左腕をぴんと斜め後ろに伸ばし、まっすぐ伸ばした右腕の手をそのまま地面の上に置くようにして落ちた札をちょんと拾った。
拾った札を由香ちゃんは見ようともせずに、お母さんにも渡さず、直接真希お姉さんの方に向けて背伸びして伸ばした腕を差し出し、由香ちゃんのお母さんから受け取った木筒を社務所の元の位置に戻した真希お姉さんは再び窓から身を乗り出し、張り出しの上に精一杯伸ばされた手から竹札を受け取った。


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14 読心【ペンギン】 (Res:19)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 14
1ペンギン :2014/12/25(木) 18:24:31 ID:Ns27X9c2
 やあやあ、よくいらっしゃった。
 遠いところからわざわざようこそ。ささ、入ってください。
 少し遅くなりましたな。あ、さあどうぞそこに座ってください。
電話で言っていたが、バスを一本乗り遅れたとか。はは、ここいらはバスが一時間に一本しかありませんしな。うまく次のバスまで待つことが出来ましたかな。
なに、駅前の喫茶店に入って時間をつぶしたと? それはいい。
私も街の方に買出しに出かけたときなどは、その喫茶店によくお世話になりましてな。こう、重い荷物をトラックに詰め込んだ後、中でゆったりとくつろぐんですわ。
そのおかげで懇意にさせてもらってるが、マスターの入れるコーヒーが絶品でしてな。美味かった? それはよかった。
今の都会から来た方の舌にも合うようでうれしい。
そこでこう、週刊誌などをぱらぱらーっと読みましてな。まあ田舎ですから少し入ってくるのは遅れるようですが。
なに? スマホをいじって時間をつぶしていた? ブログにSNS? ははぁ……。私にはとんとわかりませんわ。

21ペンギン :2015/01/02(金) 05:07:55 ID:BytVnQsU
 そうやって毎日のように‘御飯当てゲーム’を繰り返していましたが、ある日の昼間、リビングでベスと遊んでいると、母親が心配そうな顔でキョロキョロと何かを探し回っている風で開け放しの部屋に入ってきました。
「どーしたのー?」
と訊いても、こちらの方を向いておざなりに笑って、
「ちょっと待ってね」
と言うだけで、またせわしなく何かを探す動きに戻りました。
 私は両腕で抱えたベスの毛を撫でていじりながらそんな母親の姿をしばらく眺めていましたが、やがてふと思いつきました。立ち上がって、動き回る母親の前に行って立つと、両腕を上に伸ばして見上げながら、
「抱っこして―」
とせがみました。
 母親は自分があからさまに忙しそうにしているのに、私がいつものおねだりをすることに驚いたようで、目を丸くして一瞬見下ろしたまま立ち止まりましたが、仕方なさそうに笑うと、しゃがみこんで私を抱え上げました。
 私が額を付けて、目を閉じてじっと探ると、やがてぼんやりと求めているものの映像が流れ込んでくる意識の内に現れてきました。私は目を開けて、額を離すと母親の目を見つめながら言いました。
「ネックレスならベスがソファーの下に隠してたよー」
 母親ははっとして私を抱えた腕を伸ばし、自分も首を引くことで私との顔の距離を取ると、驚いて丸くした目でまじまじと私の目を見つめました。
「どうしてわかったの?」
「お母さんの考えてることは僕はわかるよー」


22ペンギン :2015/01/02(金) 05:09:47 ID:BytVnQsU
 私がにっこり笑って言うと、母親の瞳孔がみるみる開き、目にはっきり怯えの色が現れました。
母親がそうやって怯えた目で凝視した瞬間――そこまで私は何も考えていませんでしたが、その時初めて私は何かしでかしてはいけないことをしてしまったらしいと気づきました――、
数センチ離れた母親の額からぶわっと、色にすれば青黒い何か煙のような感情の想念が飛んでき――それは私が初めて経験する、額を接触させていない状態から感じる相手の意識でした――、私の額を通過すると、寒気を伴う感覚で頭の中へと入り込んできました。その感情ははっきり怯えと恐怖のものでした。
 ――
 ――あの瞬間のことは今でも忘れることが出来ません。恐らく、母親もその時初めて、私が今まで額をくっつけてきたことの意味を悟ったんでしょうな。
飛んで感じ取れたのは感情の想念がほとんどでしたが、かすかに――遠くから言葉が風に乗って届いて来るように、その怯えや恐怖の感情の風に乗ってかすかに――『怖い』『何この子』という、感情を伴った思考の言葉の断片が届いて来ました。
 母親はすぐ私を床に降ろすと、恐怖と怯えを伴った目でちらちらと私の方を見ながら部屋を立ち去って行きました。
私の言ったソファーも同じリビングにあるんですが、そちらのほうにはちょっと目を向けただけで、私を避けるように――また、ほとんど逃げるように――さっさと部屋を出ていきましたな。
私はベスと置いてけぼりにされてその立ち去る姿を見るしか出来なかったわけですが――ともかく、その時初めて私は、この能力が単に家族で私だけが持っているというだけでなく、何か――当時知らなかった言葉を使えば――異端的なものだと自覚させられたわけです。
――そう、額を通して相手の思考を読み取るこの能力がね。


23ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/04(日) 02:50:49 ID:F9r7o14Y
 おや、コーヒーが切れたようですな。どれ、入れ直すとしますか――はは、そんなにのけぞらんといてくださいよ。私の額を通しての読心能力は遠くでも3~5センチまで近付かないと読み取れないんですから。よほど相手の顔に近付かないと読めないというわけです。
 ――そら、入れ直しましたよ。それとお茶請け――コーヒー請けですが――に餡子入りのパイ菓子を持ってきました。――さっきはちと慌ててたのと、農家の方の牛乳を味わってもらいたくて粗相をいたしました。
今度はミルクを持ってこなかったですがよろしかったですかな? なに、よろしい? よかった。やはり甘いものを一緒に食べるにはミルクも入れないブラックがいいですからな。
――どうです、美味しいでしょう。この小豆は私のところが作ったのではないですが、知り合いの農家が作った物でしてな。全国に出荷している質のいいものなんですが、それを駅前の和菓子屋――お見かけにならなかった? それは残念――が丁寧に餡に仕立て上げて使ってましてな。やはり市販の物とは違って甘みが上品で、舌触りも優しい感じですわ。
ちょっとした老舗店でしてな。私も街に出た時よく寄って、こうやってお客様にお出しするための他、自分でも食べる用に買うんですわ。
このパイの中に餡子を詰めたお菓子は割かし新しく、数十年前に出来たようですが、ほれ、北海道は明治期以降西欧化が早く、和洋折衷のものが多く生まれたり広まったりしたでしょう――洋食とか。
それでこういうものを受け入れる風土があるんでしょうな。結構あちこちで見られるようですが、中でもこれは特に評判がいいものですわ。
やはりパイ生地がサクサクと、餡がさらっとしてると食べやすく、対比も生まれて――なに? 話の続きを聞きたい? ――そうですな、失礼しました。私自身このお菓子が好きなものでついついしゃべりすぎてしまいましたわ。
――続きを話すとしましょうか。


24ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/04(日) 04:20:24 ID:F9r7o14Y
 ――その時以来、私が母親に抱っこをせがんだりして額を合わせることはなくなりました。とにかくネックレスの時以来、母親は私を怯えと警戒が入り混じったような目で見て、そばを通る時もあからさまに半円を描くように距離を取って歩き、その間怯えた目でじっと私を見ているんですからな。
瞳孔が開きっぱなしで、顔の筋肉は緊張して、異界の化け物に対して突き放す嫌悪を感じながらも、見つめざるを得ない。そんな感じでしたわ。
無邪気な子供だった私も、母親のその態度を見ては、もう自分が額を合わせることをねだってはいけないことぐらいはわかりました。――ネックレスのことを言った直後の母親の反応――何センチも離れたところから飛んできた恐怖と咄嗟の本能的な嫌悪の感情の念――の印象もその時以来私の頭にこびりついていましたからな。
ともかく――なに? さっき3~5センチといったが、母親が顔を離したということは、その時はもっと離れていたのかですって? 
――そう、その通りですわ。私が具体的に思考や意識を読めるのはその範囲ですが、人間の本源的な感情――中でも恐怖や怒りといったものですな――はもっと遠くてもぶわっと飛んでくるのを感じることがあるんです。ある程度指向性を強く持っていて、それが関係してるんでないかと思いますがな。これらは距離にして――真正面から――10数センチは届いて来ます。
私が本で読んだり、他人同士の反応を見る限り、あなたや、他の一般の方もある程度はそういうところがあるんではないですかな――なに、ある。そうでしょう。無論私は、そういう一般の人達より受容する力が強く、はるかに具体的に内容を感じとれるようですが、人間やはりそういう本源的な感情に関わることはまだまだある程度受容器官が残っているようですな。
無論、愛とか恋愛感情についてもそうですが、やはり自己保存本能が先に立つのか、恐怖や怒り――また、そういうところに立脚した嫌悪――がはるかにはっきりと強く感じられますな。ユングの言う――なに、ユングはよく知っている。さすがですな――多層意識の最深部に近いところがあるのでしょうな。


25ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/04(日) 23:20:30 ID:F9r7o14Y
 ――どこまで話しましたかな。――そう、それと――、母親と額を合わせることはなくなりましたが、母親が私のことを気味悪がっているのは父親との会話でもわかりました。
私がリビングでベスと遊んでいると、台所のテーブルに着いて、父親に何やら私のことを話しているんですな。我が子に対する愛情から私の身を案じるのと、純粋に異変に対する怯えの両方の感情が入り混じった心配そうな話しぶりでした。小声だし、大人同士の会話なので興味を持たれず、私には気付かれないとでも思っていたんでしょうな。
私の心を読み取る能力のことを話したようですが、父親は一笑に付すだけでした。内容の突飛なこともですが――その時の二人の話しぶりから、やはり私の能力が普通の人にとっては特別、というより異常なものなのだということがわかりました――、父親自身は数回しか私に額を付けられていないからそのことに対する印象が希薄だったんでしょうな。
――私が原因とはいえ、このことに関しては話をまともに聞いてもらえない母親に同情と共感をしました――実際、一日中家に一緒にいて、毎日額を付けることをせがまれていたわけですからな。父親とは実感が違うわけですわ――。
ともかく、母親にネックレスのことを話した時の反応と、二人の会話を盗み聞いたことで、私は母親に限らずもう額を付け合わせることをやめました――と、いってもあとは父親とベスの二人ぐらいのものでしたがな。
ベスは相も変わらず無邪気に、時々保護者っぽくもある友達の態度で私に接してきてくれましたが――父親以上に能力のことなど知り得ないのですから当たり前ですが。仮に知ったとしても、裏のない動物の心ならまた変わってきたでしょうな――、私は彼に額を付けることもやめました。
ベスになら以前と同じ暖かい親愛の感情を期待できるとわかっていましたが、両親の能力に対する反応――母親から話を聞かされた父親がありえないと一笑に付する態度も含めて――を知って、自分のこの力が疎ましくなったのがあります。
――しかし後にして思えばベスとはもっと額を合わせて心を通じ合わせておく――私にとってだけですが――べきでしたな。私が小学校高学年に上がったころに亡くなったんですが、今までの人生で、散々ドロドロした人間の感情や意識を読み取ってきた身としては、無邪気な親愛の感情を素朴に伝えてくれる彼の存在がどれだけありがたいものだったかよくわかります。
――東京からここに越してからも犬を――マルチーズですが――飼い始めたんですが、去年病気で亡くなりました。これも可愛いものでしたな。ともかく、まだ自分も周りを疑うことの少ない幼少時にベスの暖かい感情ともっと触れておくべきだったと思います。


26ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/05(月) 23:06:32 ID:5qmURBOI
 やがて小学校に上がりましたが、そこで多くの生徒に触れ、友達も出来たにもかかわらず、額を合わせて他の生徒の心を読むことはしませんでした。
小学校に上がる前から、母親の反応で自分の能力の異常さを自覚し、こんな自分に対するいくぶんの嫌悪まで抱いて、家族に対して使うのを控えているうちに、徐々に能力に対する意識が薄れ、興味を無くしていった他、単純に、それまで保育園にも幼稚園にも行かず、同年代の子と遊ぶのはごくまれだった私に、いきなりたくさんの友達が出来て遊ぶのが楽しく、そちらに夢中だったのがありますな。
時には遊んでいる最中に他の子どもたちの顔が間近まで近付き、反射的に首をのけぞらせて顔を遠ざけたり、顔を背けたりしましたが――この能力が何か厭わしいものだという意識は残っており、母親の時のように、何かの拍子で相手からの好意を失うことになるのではないかと怖かったです――、ほとんどは夢中で遊んでいるうちに、もうすっかり能力のことがきれいさっぱり頭から抜け落ち、忘れているのがほとんどでした。
母親も少し長い間私の方を怯えた目で見ていましたが、私が額を付けるのをねだらなくなり、小学校に上がってからは学校や外、近くの友達の家で思い切り遊び、体を使い切った上気を伴う満足感の疲労で、家に帰った後笑顔で元気いっぱいに母親にその日の友達との遊びを報告するといった生活を繰り返すうちに、
母親の方も徐々に以前のことは忘れ、自然に出る笑顔で私の方に接し、顔を近づけることにも――とはいってもやはりほんの微かな‘間’は常にありましたが――抵抗を無くしていったようでした――もちろん、そういう時はこちらからも必要以上に顔を近づけて相手に刺激を与えることはしないように気を付けていましたがな。
以前のことを完全に忘れたはずもありませんが、内向的な子供の幼少時に時に見られる特殊な才能の類で、小学校に通って他の児童たちと活発に触れているうちに無くなったとでも解釈したのかもしれません。


27ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/06(火) 20:25:43 ID:h8Z1OpgQ
 とはいっても、毎日学校内外でたくさんの生徒や友達と触れるわけですから、否が応でも自分の能力を自覚させられる――どころか新たな発見すらありました。
中でも、体育の授業後、教室に戻って着替えている時、皆で上気しながらがやがやしていると、その空気に乗ってピリピリと、時には何メートルも先から思考が飛んでくるんですな。
『さっきのドッジ・ボール、○○が上手く球を受けたな』『あいつ転んで泣いてたけど(まあ小学校低学年の話ですからな)、まだ保健室から帰ってこないのかな』とかそんな感じですわ。
このことはもちろん、大人になってもずっと続いたわけですが(高校を出ると、体育の授業がなくなって運動をする機会が減る分、そういう経験をすることはほとんどなくなりましたが)、あれですな、やはり運動は人間の思考や精神にとって大事――というか特別なものなんだと思いますわ。
この現象は私と他の人間両方が運動して、ある程度落ち着いた時に現れるんですが、活発に運動して息を切らせたり、汗をたくさん流して自律神経系を刺激するとともに、前頭野――体を動かす中枢は前頭野にありますから――や、脊髄反射を強く働かせることが関係ある――潜在能力が発揮される――んじゃないかと思いますわ。
ほれ、武道の達人――私は武道はしませんがな――、――合気道の達人の植芝盛平とかいう人がお弟子さんの心を読んだとかいう話があるでしょう。
あれなんかは普段から体を使いまくることで、何らかの形でそういう超能力が現れたのではないかと思いますが、私のその現象もその人のものと通じ合うところはあると思いますわ(あと、あの人の頭が禿げ上がっているのも、髪の毛の邪魔が無い分、周囲からの受信をしやすくしているのかもしれませんな――私はそこまで試す気はしませんでしたが。東西の僧が剃髪してるのもそれと関係あるのかもしれませんが、これはまた別の話ですな)。


28ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/06(火) 22:16:11 ID:h8Z1OpgQ
 あと、朝の登校時――小学校だから集団登校ですが――や、教室に着いて朝礼が始まる前の、友達同士朝の挨拶やふざけ合ったやり取りをして過ごす騒がしい時間にも、やはりピリピリと同じように思考が飛んでくることがありました。
これも起きた直後に行動を起こすことで自律神経が強く働くことと、脳が徐々に目覚めていく感覚が関係ある他、朝の通学、出勤時間帯特有の、社会の人間皆の共有する、これから他の人間と交わって共同活動を起こしていこうとする意識が何らかの指向性を持って外に飛び出るのではないかと思います。


29ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/07(水) 01:08:01 ID:/RJf7USI
 ――そういう‘発見’はあったものの、やはり自分から積極的に能力を使うことは無く、そのまま4年生に上がったんですが
――ちょうどそのくらいの時、ベスが亡くなりました。年を取って腎臓を悪くしてのことですが、単純に悲しかったですな。幼い時以来、再び額を合わせて暖かい感覚を味わうことはありませんでしたが、普通に家族として、友達として大切な存在でした――、
ある日の夜、リビングでテレビを見ていると、とある番組で超能力特集をやっているのを見て、再び自分の能力に興味が湧きました。
その番組は読心――テレパシー――能力は扱っていませんでしたが、海外の念力やパイロキネシス――発火能力ですな――事例が紹介されていて(子供心に、自然発火する少女の話は怖かったですわ)、番組のスタジオには伏せたカードを当てる透視能力者や、占いで未来を当てるというおばさんなんかが出てましたな。それと超能力とは関係ないですが、神隠しといったオカルトや超常現象の類を少々。
今にして思えば――実際こんな能力を持つ私が言うのもなんですが――どの程度本当で、どの程度やらせやトリックだったのかはわかりませんが、初めて実際に自分と同じような能力者を見聞きすることで、私は興奮しました(それまでにも漫画で超能力の類を扱っているのは見ましたが、実際の事例に触れた内容のものはその時までに読まなかったし、それにやはり漫画では少し割り切って読んでましたな)。
その時母親がそばにいなかったのは幸いでしたが――私が食い入るように超能力番組を見ているところを見たら、私が小学校に上がる前のことを思い出して、また怯えや警戒を出し始めるのは確実でしたからな――。
中でも魅せられたのが、そこでは超能力は単なる嫌悪の対象でなく、何か畏怖するべき存在(それでも、異質なものを感じ取って戸惑う感はスタジオの出演者や、ギャラリーにありましたが)として扱われていることで、
小学校高学年にもなると、それこそ何も考えずに夢中で遊んで過ごした低学年と違い、自我や自意識も出始め、ぽつぽつ自分のことを顧み始める頃ですから――それでも、この能力に絡んだことで私は少し内面的に早熟だったとは思いますが――、ちょうど改めて自分の能力と向き合ってみようという気になったのです。


30ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/08(木) 01:07:51 ID:KTavD2FA
 初めはそれまであまり使うこともなく貯めていたお小遣いのお金で近所の本屋に行き、特にテレパシー関連の超能力の本を買って読んでみました。
具体的には、私のようなはっきりした形でテレパシー能力を持った人はあまり載っておらず、夫婦で同じ夢を見たとか、すれ違った瞬間頭に何かを感じた男女が生き別れの兄妹だったとかの事例紹介が多かったですが、昔の海外の、顔を向き合わせた状態から心を読むという人の話は読んでいて興奮しましたな。私と同じ、額を受信器にしていたのではないかと考えたものですわ。あと、さっき言った植芝盛平の話なんかもそういう本で得た知識ですな。
買った本は自分の部屋のベッドの下や本棚の裏などに隠しておきました。もし私が再びこういうものに興味を持っていると母親に知れたらおおごとですからな。


31ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/08(木) 01:51:04 ID:KTavD2FA
 ――そうやって読んで知識を蓄えましたが、また同時に本で知る様々な現実の事例――これも先のテレビ番組と同じく、そうでないのが混じっていたかもしれませんが、現実に私自身テレパシー能力を持っていますからな。基本的にほとんど信じ込みましたわ――に共感を覚えたり、自分が特別なことを改めて自覚させられて力付けられると、どうしても再び実際に自分の能力を使って試したいという気持ちになりました。
――しかし、再び家族――今ではベスがいなくなり、両親だけになりましたが――に使うことはあり得ませんし、学校の生徒――主に同級生――相手に試そうにも、いくら仲が良く、また子供同士といっても、家族と違って、馴れ馴れしく額を付け合わせることなどできません。
どうしようかと考えていると、ふと、私が再び自分の能力を見つめ直すきっかけとなったあの超能力番組に出ていた、予知能力者と称する占いの女性――おばさん――のことを思い出しました。


32ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/08(木) 02:20:24 ID:KTavD2FA
 そのおばさんはタロットと水晶玉を使っての占いをしていましたが、私もそういう道具を用い、占いと称してもっともらしく額を相手に付ける口実にしようかと思ったのです。
いつも行く本屋でカード付きのタロット占いの本があったのを以前から目にしていたので、早速買うこととしました(その店の転調やアルバイトらしき店員ともお互い顔を覚えましたが、いつも超能力関連の本を買う小学生についてどう思っていたでしょうな。考えると少し微笑ましくなりますわ)。
――こうやってタロット占いの本を買うことについては、素朴に、私自身その番組や超能力の本を見て占いや予知能力に興味を惹かれた面もあったのですが、この分野に関してはよくわからずじまい――実際にそういうことが出来るのか――でしたな。まあこれはこの話の本題とは関係ないのですが。


33ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/08(木) 21:51:40 ID:KTavD2FA
 とりあえず、買ってきた本とカードで占いの方法を練習して大雑把に解釈方法などを覚えると
(その本を読んで初めて、タロットには大アルカナの22枚と小アルカナの56枚があることを知り、その本には大アルカナの22枚しか付いていませんでしたが、カードが付いているにしては安い本でしたし――1500円ほど――、あまり気にしないことにしました。もちろん、自分の能力を試す口実のための副次的なものとはいえ、どうせなら全部揃っている方が良かったですがな)、
さっそく学校で仲の良かった友達に試してみる――実際は私の読心能力をですが――ことにしました。


34ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/08(木) 21:52:57 ID:KTavD2FA
 学校の休み時間に友達の席に行き、空いた前の席の椅子を後ろ向きに使って座り、友達の机の上にタロットを置いて、
「これからお前のことを占ってみる」
と言うと、友人は驚いたようですが(当然です。私は今まで友達と体を使って動き回ったり、トランプや将棋などのゲームで遊んだりしましたが――当時まだ子供が手軽にやるようなテレビゲームはありませんでした――、こういう内面的なものへの興味は少しも示していませんでしたから――まあ、実際それまでは普通の遊びに夢中だったんですがな)、すぐに興味を持ったらしく、
「うっそ。お前占い出来るの!? 占ってみてくれ」
と、食い付いて来ました。私がもっともらしく置いたタロットに興味津々なのも明らかでした――実際、小学四年生でタロットカードを持っているなどいくらもいないでしょうからな。
 とりあえず私は、
「何を占ってほしいですか?」
と、占い師らしい口調で訊いてみました。
 それを聞くと友人はちょっと考え込んだようですが、
「日曜のサッカーの試合について」
と答えました。――彼が地域の少年サッカー団に所属しているのは私も知っていました。


35ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/09(金) 02:25:06 ID:mBuf84cU
 私がカードを手に持ってシャッフルしだすと、元々初めから周りにいた私たち二人共通の仲のいい友人の他、物珍しさから離れたところにいた同じクラスの友人や同級生が寄って来、タロット占いというところに惹かれたのか、普段あまり話さない女子たちも集まって、やや遠巻きにですが我々の方を見てきましたな。
 私が家で勉強して練習した型通りに、机の上に置いたタロットカードの山――タロットデッキ――を右手で扇形に広げると、私は考えていた通りに、
「ではここで、目を閉じて、額をカードに近付けて、念をカードに送り込んでください」
と言いました。
 これは私が付け合わせやすいように相手の額を前に出させる方便で、実際にそんなことをしろなどとは――念を込めながら、込めた人がシャッフルするというのは載っていましたが――読んだ本に書いてなかったわけですが、いかにももっともらしく考え付いた方法で、うまくそれに素直に従った友人が目を閉じて、座ったまま前屈み気味になり、首を俯けると、都合よくちょうど額が私の顔の正面を向いて突き出されることになりました。
「ではこれから占います」
と言うと、小さな机から落とさないようにチラと位置関係を確認した後、私も目を閉じてタロットを両手で机の上に広げてかき混ぜ始めながら――前屈みになってこつんと額を友人の額に付け合わせました。
 相手はあからさまに驚いたようでしたが、私は「そのまま念を送り続けてください」と、これもあらかじめ考えていたもっともらしい言葉で動かないようにさせ、周囲の驚いたらしい反応も無視してそのままタロットを両手でかき混ぜ続けました。


36ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/09(金) 19:36:42 ID:mBuf84cU
 小学校に上がる前以来ですからもう5年程振りでしょうか――私は再び他人に――しかも家族ですらない相手に――額を付けることへの緊張と警戒に身を固くしながら――それでもその間机からカードを落とさないように気を付けて、外面的には一生懸命平静を装いながらタロットを両手でかき混ぜました――友人に額を付け合わせました。
 ――内心恐る恐る額を付けたのですが、意外や、入ってきた思考、意識は私にとって違和感のある、驚く感覚の強いものではありませんでした。
初めに、私が額を付けた瞬間、相手のびくっとした動きと共に、突発的な驚きの感情(というか反応の感情というか。極めて短い瞬間のものでした)がすごい勢いで駆け抜けていった後、『何してるんだこいつ』『本当に当たるのか』といった思考の言葉――独白――がこれもまた額を通して素早く私の頭に入り込んできました。
私は、これ――額を付け合わせる行為――もタロット占いの一環であるかのように平静を装って、先に言った通り、「念を送り続けてください」と言って相手の驚きの感情・反応と、(額を離す)動きを抑えると、こぼさないように慎重にタロットをかき混ぜながら、本来の目的通りの思考を読み取ることに集中しました。


37ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/09(金) 19:38:42 ID:mBuf84cU
 ――さっき言った通り、実に5年ぶり、しかも家族以外の者と初めて額を合わせるにも関わらず、私にとって、友人の額を通して入ってくる思考、感情は違和感の強いものではない――初めに額を付けた時驚きの感情と共に入って来た意識の雰囲気というか色合いというかは、――ベスは別として――むしろ両親よりしっくりくるものでした。
警戒して額を付けた私にはかえって拍子抜けでしたが、思えば、同年代の同性という極めて近い立場はこれが初めてですし、何といっても高学年といえるかいえないかくらいの(9~10歳の)小学生男子の考えることなんて単純で皆同じようなものですからな。
遊ぶことと体動かすこと(まあこれも遊びの中ですることが多いですが)――時々極端に内向的な子がいるにしても大体こんなものですわ。この年齢では恋愛にもさほど興味を示しませんからな。
――こう、カッと乾いた熱性の風が来る感じで――いうなればそう――サバンナの風と空気とでもいいますかな――、遊びと体を動かすことが興味のほとんどを占めており、友達関係――現に今額を付け合わせている私と彼の友情関係――も大部分そのことでつながっているわけで、私に対する親愛というか、友情の念もその乾いた熱い空気の中に自然に紛れ込んでおり、かえってわかりやすかったですわ。
加えて彼は、さっき言った少年サッカー団にも参加しているスポーツ少年で、なおのことそういう傾向が強かったですな。


38ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/09(金) 19:52:24 ID:mBuf84cU
――あと、さほど違和感を感じなかった理由に、先ほど言った体育後や、朝方のピリピリ飛んでくる思考をしばしば受けていたことにより、同じ生徒、友達同士の立場として、今回入って来た思考や意識の色合いにあらかじめ慣らされていたのもあるでしょうな。


39ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/10(土) 01:20:14 ID:CCSLtTOk
 そのように、5年振りに他人に額を付けて入って来た初めの思考、意識の印象は意外にもすんなり受け入れられるものでしたものでしたが――さて、肝心のサッカーのことに関しては、当然私には思考や意識を読むことは出来ても、未来を予知することは出来ないわけですから、そこらへんは方便として利用したタロットの占いを素直に読んで、適当にごまかすしかないと考えていました。
しかし、せっかくですから、ある程度相手からサッカーに関する思考を読み取ってみようという思いもまたありました。
さすがに、サッカーの試合について占うと言ったのに、それについて――たとえろくに出来ることは無いにせよ――何もしないのは気が引けましたからな――私の中のちょっとした誠実な面といえましょうか。
――そうすることで、占うと言った自分の内心の折り合いを付けるとともに、ひょっとしたら、そうやって読み取った内容が占いや判断の助けになるかもしれないという思いもありました。


40ペンギン ◆aTogMd7XVM :2015/01/10(土) 01:22:17 ID:CCSLtTOk
 ――そうやって、サッカーに関する思考を読み取ろうとしたのですが――私が相手の驚きの気持ちを抑えるために「念を送り続けてください」と言うと、一呼吸スース―風通しのいい薄い‘流れ’が来た直後、一気にブワッと大量のサッカーに対する意識、思考が額から流れ込んできました。
私は仰天したんですが、相手にしてみれば、素直にサッカーのことを考えたんですな。おまけに‘念を送れ’と言ったわけですから、相手に私のようなテレパシー能力の認識がないとはいえ、こうなるのは当たり前だったわけで――まあ、素直に従ってくれるいい友人で、‘占い’相手だったということですな。
――それはもう、すごい意識の量で、サッカーボールが体に当たった感覚や、ボールを追ってグラウンドを走っている時の息の切らし方にグラウンドの土埃の臭い(当時はサッカーブームでもないですからな。芝生でなく土のグラウンドを借りての練習や試合のようでした)、周りのプレーヤーの掛け声、うまくシュートがゴールに入った時の快感まで――触覚、視覚、嗅覚、聴覚、運動感覚にサッカーにまつわる感情の動きまでいちどきに大量に入ってき――一番厄介だったのは、運動感覚で、サッカープレイしている時の体を動かしている意識の再現でしたな。
私も体育の授業や、休み時間、放課後にその友人も合わせて大勢でよくサッカーで遊びましたが、やはり、普段からかけ離れて上手い彼のプレイを意識の中とはいえ再現されると、彼ほど深くサッカーに入り込んでおらず不慣れな上、私にはついていけないプレイ――体の動き――意識の流入に、私の脚や腰が思わずむずむずと動きそうになるぐらいでした。
――これはある意味、小学校に上がる前に父親の額から読み取った仕事の意識――情報――が入って来た時の戸惑いと似ており、友人の方は趣味とはいえ、それだけ一生懸命だったんでしょうな。普段は他愛もなく遊んでいるだけでしたが、そういう面をこのことで感じ、ちょっと感心した記憶がありますわ。


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15 ケロロ小隊絶対に笑ってはいけない囚人24時 (Res:0)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 15
1名無しさん :2015/01/01(木) 21:02:50 ID:xhevfFhk
ケロロ小隊が刑務所行き!?

ケロロ達は絶対に笑ってはいけないを参加するのであった。

漫画、ゲーム全てのキャラの登場あり!

2名無しさん :2015/01/01(木) 21:32:06 ID:7dRPRdcg
ケロロ「こんな時に五人から新たに一人増えればいいのにな。」

タママ「しょうがないですー。軍曹さん。」

ギロロ「五人で何とかして頑張るぞ。」

ドロロ「!?ここに止まれ?」

クルル「なんだ?」

すると、チアリーダー達が来たのだった。


3名無しさん :2015/01/01(木) 22:04:18 ID:Bm6jUHhg
チアリーダー「「「gogoおじさま!タママ!ふぉー!!」」」

ケロロ「なんやねん。しかも、モア殿が含まれているであります!」

チアリーダー「「「gogo!クルル、ギロロ!!ふぉー!!」」」

チアリーダー達が決め技を出した。

チアリーダー「「「おじさま!タママ!ギロロ!クルル!うー!ファイトー!」

ドロロ「あの……拙者の名前が言ってないでござる……。」

チアリーダー達は最後にポンポンでハートの形を作った!!

チアリーダー「うー!K・E・R・O・R・O・ケロロ小隊!」

曲が終わり、チアリーダー達は退場した。

モア「皆さん、よく来ましたね。今年は刑務所です。」

タママ「看守?」

モア「囚人として、24時間生活してもらいます。」

ケロロ達「「「「えーー!!?」」」

ケロロ「うそーん!我輩何も悪くしてないであります。」

モア「いいえ、貴方達は絶対に笑ってはいけないに参加しなければならないのです。」

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


4名無しさん :2015/01/01(木) 23:31:21 ID:brer1jdU
モア「それでは、着替え完了しましたかー?てゆーか、準備完了?」

モア「では、まず、おじさま!」

ケロロ印象…侵略よく失敗するへっぽこガエル囚人

モア「似合っていますね。」

ケロロ「ありがとうであります。」

モア「次にタママさん。」

タママ印象…メタボになりそうなおたまじゃくし囚人

モア「おかし食べ過ぎたかな?」

タママ「ちがうですー!!」

モア「次にドロロさんどうぞ!」

ドロロ印象…影が薄い囚人。

モア「次にクルルさん。」

ドロロ「スルー!!?」

クルル印象…カレー大好き変人囚人

モア「クルルさん、目が回りました?」

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


5名無しさん :2015/01/01(木) 23:40:09 ID:Q9mtwYYA
モア「それでは、バスがもうすぐ着きます。てゆーか、準備完了?」

ケロロ「準備ができていますであります。」

ケロロ達は決意を出して、バスに乗った。

絶対に笑ってはいけない囚人スタート!

先にクルルがバスに乗った。

クルル「では、いくぜ…くーくくく。」

デデーン!クルルout!


6名無しさん :2015/01/01(木) 23:43:14 ID:Yf/pLR0s
クルル「え?」

ばしぃぃぃーん!

クルル「にょーー!!」

ケロロ「笑っちゃだめだろ!!」

五人はバスに無事に乗り発車した。

ギロロ「いや、普通、バスではないやろ。わざわざバス必要か?」


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16 少年「そんな『憎悪』が、あってたまるか」 (Res:50)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 16
1晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/28(日) 00:56:27 ID:EmwBDx7U

間違いない。
一瞬だが、フードに隠された顔が見えた。
俺は見逃さなかった。その顔の主が俺の人生を狂わせたアイツであることを見逃さなかった。

間違いない、□□だ。

52晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/30(火) 10:34:32 ID:yqhHm6Xw
その夜。
遺体は司法解剖に回されるとのことで、あれ以上息子の側にいられなかった私は、
呆然とした頭で、久しぶりに自宅へと戻った。
出迎えてくれるものはいない。妻は、息子が小学校に入った直後に他界している。
私はせめて、金銭面では息子を不自由させまいと、
父から受け継いだ人脈を必死に守り、政治家となったのだが……

いつのまにか、息子と顔をあわす回数は減っていった。

それなのに、今は息子との思い出が次々とよみがえってくる。
まだ、父の秘書をしていた私の仕事を見て、尊敬のまなざしを向けてくれた息子。
自分の父親はすごいんだぞ、と自慢げに友達に話す息子。
率先してリーダーの役目を担い、友達を率いていた息子。

小学校に入ってからはうまく話すことが出来なかったが、それでも彼との思い出はたくさんあった。

だが、もうその思い出を増やすことは出来ない。
その未来は全て奪われてしまった。

……犯人によって。

許せない。いじめだと? おそらく犯人は逆恨みで右膝を刺したという少年だろう。
それなら今回も逆恨みに決まっている。そうだ、あれほどの惨劇を起こしたんだ。
犯人はまともではない。生きていても害しか振りまかない。
なんとしても、死刑にしてやる。


53晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/30(火) 10:35:29 ID:yqhHm6Xw
二日後。
私はありとあらゆるコネを使って、検察や裁判所を抱き込むために準備をしていた。
順調だ。たとえ犯人が未成年であろうと、死刑になった判例はある。
あとは、うまく抱き込めればいい。
そう考えながら、私は被害者遺族として警察署に向かい、捜査状況を聞くことにした。

担当刑事の◎◎が、資料を持ってくる。

「犯人は容疑を全面的に認めています。凶器にも犯人の指紋が残されていましたし、
 犯行当時に着ていた服にも被害者の血痕が付着していました」

なら決まりだ。これで……

「××先生。ここからは受け入れ難い内容となりますが、捜査本部が公式に下した結果ですので、
 心してお聞きください」
「? どういうことですか?」
「当時の同級生達への聞き込みの結果……
 ご子息によるいじめが実在したのはほぼ間違いないことがわかりました」
「なっ!?」


54晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/30(火) 10:36:19 ID:yqhHm6Xw
バカな! 息子がいじめだと!?
そんなことがあるか!

「いじめですって!? バカバカしい! 男同士なら殴り合いの喧嘩くらいするでしょう!
 犯人が逆恨みをしたのではないですか!?」
「私たちもその線を考えました。ですが……」

そして、◎◎は持ってきた資料を私に見せてくる。

「正直……ここからは口に出しづらい内容ですので、心してご覧ください」

その資料には息子がやったといういじめの内容がまとめられているようだった。


55晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/30(火) 10:37:17 ID:yqhHm6Xw
――――――――
…………

な、なんだ……

「なんだこれはああああ!?」

一通り目を通した私は、資料を机に叩きつけて◎◎に掴みかかった。

「貴様ぁ、どういうつもりだ! こんなデタラメな報告書が信じられるか!」

怒鳴りつける私を、別の刑事が引き離す。

「信じられないお気持ちはわかります。
 ですが、数々の証言、そして数々の証拠から下した結果です」
「バカなことを言うな! こんな、こんなことを息子がやったというのか!?」
「元同級生たちの証言、そして教師もご子息に灯油を運んでもらっていたということを認めています」
「そんなバカな! こんな、こんなのはいじめではなく……」

それにふさわしい言葉は、

「拷問じゃないか!」

それ以外になかった。


56晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/30(火) 10:38:20 ID:yqhHm6Xw
大人数で殴る蹴る、階段から突き落とす、宿題を燃やす、
椅子の上に立たせて首を縄で吊り、椅子を蹴って恐怖心を煽る、
本当に椅子を取っ払って苦しむ姿を楽しむ、
風呂の底に寝そべらせた状況で縛り、徐々に水を入れる、
手のひらや腕にタバコを押しつける、
『ストーブ』に見立てて灯油をかけて火を点ける、
火のついたタバコを目に押しつける、
そして、それら全てを自分の『友人』に罪を被せ……

逆らうものには、私の名刺を突きつけて黙らせる。

「こ、んな……こんなことが……こんなことをしたら……」

こんなことをしたら、

「           」

私はすんでのところで、その言葉が心の中で形になる前に阻止した。
だが、だが、これが事実だとしたら。
息子は、そして犯人は――


57晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/30(火) 10:39:36 ID:yqhHm6Xw
警察署から自宅に戻った私は、あまりのショックで検察に手を回すのを忘れていた。
そうこうしているうちに、事件はニュースで大きく取り上げられることになった。
当然だ、現役の国会議員の息子が殺人事件の被害者。
世間の興味は大きくそそられるだろう。

だが、息子が行ったいじめの内容が明らかになると、世間の興味をそそるだけでは済まなかった。

息子は被害者であったため、事件が起こった直後から実名と顔写真が公表されていた。
だからこそだろうか、息子が行った数々のいじめを告発する電話が新聞社やテレビ局に殺到したそうだ。
もはやいじめではなく拷問といっていい息子の行いは、連日取り上げられた。

殺人事件の被害者であるはずの息子が、まるで殺人犯のように扱われていた。

現役議員の息子の腐りきった裏の顔。
決して自分の手を汚さない卑劣な手段。
犯人の少年に一生消えない傷を負わせた!?
いじめに立ち向かった勇気ある少年が逮捕!?

因果応報、勧善懲悪、自業自得。


58晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/30(火) 10:40:15 ID:yqhHm6Xw
ゴシップ誌はもちろん民放のワイドショーでさえ、息子を救いようのない悪人として扱い、
逆に犯人はいじめに屈しなかった英雄かのように扱われていた。

もちろん、世間の追及は父親である私にも向かい、マスコミに追われるばかりか、
自宅には脅迫文が届き、正義の名の下に徹底的に叩こうとする魂胆が透けて見えていた。
所属している政党からも追及を受け、私は議員を辞職せざるを得なくなった。

わからない、わからない、わからない。

息子に抱いていい感情がわからない。
悲しみ? 哀れみ? 怒り? 
何が起こっている。私の心に何が起こっている?
わけのわからないまま、犯人の裁判の日を迎えた。


59晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/30(火) 10:41:17 ID:yqhHm6Xw
裁判は犯人が未成年であることと、世間の注目を集め過ぎているということで、
関係者だけが傍聴することになった。
☆☆県内では犯人の無罪を求める署名活動まで行われているようだ。
被害者遺族である私は、傍聴席に座って裁判の開廷を待つ。

そして、その時初めて犯人の少年を見た。

…………

なんだあの表情は?
事前に聞かされた通り、少年は首と左頬に火傷を負い、右目に眼帯をしていた。
だが、私が驚いたのは彼の表情だ。

あれが、あんな憔悴した表情が十代の少年のそれなのか?

かつて、戦争から帰ってきた外国の兵士のドキュメンタリー番組を見たことがあるが、
その時に見た、兵士の表情に似ていた。

生きているのではなく、生き残ってしまったかのような表情。
もはや生きる意味などないのに、生き残ってしまっているかのような表情。

彼はどれほどの地獄を経験したのだろうか、どれほどつらい目にあったのだろうか。
彼を見たとき、あの時形になりそこなった言葉が蘇ってしまった。


「こんなことをしたら、殺されて当然だ」


60晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/30(火) 10:42:11 ID:yqhHm6Xw
結局、犯人に下された判決は懲役三年というものだった。
犯行に及ぶまでの過程は情状酌量の余地があるものの、
その後の犯行の残虐性が判決の要因だそうだ。
この判決は世間に大きな怒りを抱かせ、
結局は権力者が得をするのか、いじめに立ち向かった結果がこれなのか、
そういった意見が各地で出ていた。

私は考える。
確かに息子は犯人の少年、□□に消えない傷を負わせ、彼の人生を破壊した。
もし息子が生きていれば、立てなくなるまで殴り、私と共に一生をかけてその償いをさせただろう。
いや、息子が死んでも、私だけは彼に償いをすべきだ。

だが、私は惨たらしく殺された息子の姿を忘れられなかった。

どうしても考えてしまうのだ。
果たして、本当に息子はあそこまでの報いを受けなければならなかったのだろうか。
もしかしたら、いじめは関係ないのではないか。
本当は、息子は自分の行いを後悔していたのではないか。

父親として、どうしてもそれを考えてしまった。

息子は□□に許されない行為をした。
だが、□□も息子に許されない行為をした。
□□の人生はまだ続くが、息子の人生はもう戻らないのだ。

やはりどうしても彼を許せない。息子を殺した犯人を許せない。
私は――


61晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/30(火) 10:43:10 ID:yqhHm6Xw
そして、三年の時が経ち、現在に至る。
出所した□□の後を尾け、彼が人気のない道路に差し掛かったところで、
一気に車を彼の横につけた。
そして素早く車を降り、彼の前に立ちはだかる。

「□□くんだね? 私が誰かわかるか?」
「……はい」
「なら、用件もわかるね?」
「……」
「車に乗りなさい」

□□は特に抵抗することなく、車に乗った。


私は世間の追及を避けるために元の住居を手放し、安いマンションの一室に引っ越していた。
その自宅に、彼を押し込むように入らせる。

□□を窓際に立たせ、私は入り口を塞ぐように立った。

「……よく抵抗しなかったね。これから自分の身に何が起こるかわかるだろうに」
「……」
「あくまでだんまりか」

そして私は、懐から拳銃を取り出す。
□□が使ったという改造電動ガンではない、本物だ。
議員をやめた後にも残っていたコネをフルに使って手に入れた。


62晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/30(火) 10:44:13 ID:yqhHm6Xw
「……確実に君を殺すために準備させてもらった。
 この銃で、今から君を殺す」

そうだ、私は今から彼を殺す。
その決意をするために、こうして宣言をしている――

「なぜ、それを僕にわざわざ言ったのですか?」

だが、それが偽りであることを彼に見抜かれた。

「……本当は、まだ迷っているのではないのですか?」

……気づいていたのか。

「君は、不思議な人だな。初めて言葉を交わすのに、心の中を見透かしてくる。
 そうだ、私はまだ迷っている」

なぜか、彼には心中を打ち明けなればならない気になった。

「息子が君にした行いは到底許されることではない、わかっている。
 私は一生かけて、君に償いをすべきだ、それはわかっている!
 だが、だが……」

だが、それでも。

「それでも、あの子は、私のたった一人の息子だったのだ!」


63晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/30(火) 10:45:02 ID:yqhHm6Xw
どうしても、その感情が抑えられない。
頭では、自分が被害者ぶる資格などないとわかっている。
それでも、彼を許せないという感情が抑えられない。

彼に贖罪をすべきだという考えと、彼を許せない感情。

その二つが、私を攻撃している。

「僕は、あなたの気持ちがわかります」

その時、彼が私の言葉に応えた。

「……人を憎む気持ちは、自分ではコントロールできません。それどころか、自分さえも攻撃してくる。
 その上、あなたは僕に償いをすべきという理性まで持ってしまっている。その苦しみは僕を上回るでしょう」
「君を、上回る?」
「はい、僕も××くんをずっと憎んできました。そして、彼を殺した後もそれは変わらない。
 死んだ人間を憎み続けてもどうにもならないのに、その感情は止められない」

当然と言えば当然だが、彼は息子を憎んでいた。
だからかもしれない、あのような憔悴した表情をしていたのは。

「でも、それでも言わせてください」

その後、少年は残った左目から涙を流しながら、


「じゃあ、僕はどうすればよかったんですか?」


そう言った。


64晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/30(火) 10:46:01 ID:yqhHm6Xw
「黙っていじめを受けていればよかったんですか?
 ですが、あのままいじめを受けていれば死んでしまう可能性もあった。
 僕はそれがいやだった、だから反撃した。
 そうしたら、右目を潰された上に少年院に送られた。
 そして、彼への憎しみが暴走したら、今度は少年刑務所に送られた。
 ようやく出所したら、今度はあなたに殺されそうになっている。
 あなたが拳銃を持っている以上、僕が助かる可能性は低いでしょう。
 でも、ここで死んでしまうのであれば……」

そして、彼は初めて感情を爆発させた。


「僕の人生は何だったんですか!?」


……おそらくこれは命乞いや同情を誘うものではない。
おそらくは、ただの文句。
自分に降りかかった理不尽に対する文句。
せめて文句くらいは言わせてくれという感情。

「僕はあなたの息子を殺しました。その報いを受けるべきかもしれません。
 あなたの『復讐』を受け入れるべきかもしれません。
 でも、それでも、僕の本音としては……」

聞かされる、彼の本音。


「その『復讐』を、受け入れるわけにはいきません」


65晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/30(火) 10:46:44 ID:yqhHm6Xw
……もしかしたら、彼はようやくなのかもしれない。
ようやく、息子への憎しみから解き放たれようとしているのかもしれない。
だが、それが何だ? お前が息子を殺したのには変わりがない。
そうだ、私は彼を憎むべきだ。彼を殺すべきだ。

息子の、ためにも。

拳銃を彼に向け、狙いを定める。
彼は諦めたわけではないだろう。逃げるチャンスを窺っている。
それでも、私は彼の未来を奪うべきだ、私は彼を……


66晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/30(火) 10:47:32 ID:yqhHm6Xw
――――――――
…………


出来なかった。
気づけば、私は拳銃を下に降ろしていた。
なぜだろう、気づいてしまったからだろうか。

私が彼を必死に憎もうとしていることに。

彼は言った。憎しみはコントロールできるものではないと。
憎もうとしている時点で、彼への憎しみが減少していたのだ。
いや、そもそもこれは『憎悪』だったのだろうか。

ただ、私が息子の育て方を間違えた故に起こった悲劇を、彼のせいにしたかっただけではないだろうか。

わからない、それでも、その感情は彼も私も攻撃している。
どうあっても、彼を許すことなど出来ないのだ。
彼を殺すことも出来ない、彼を許すことも出来ない。
そうなると、私の『復讐』は決まっていた。

銃口が、私のこめかみに向けられる。

目の前の彼が驚いて私を止めようとするが、
これだけは譲れなかった。

だから、お願いだから、せめて、


「せめて、このくらいの『復讐』はさせてくれ」


67晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/30(火) 10:48:52 ID:yqhHm6Xw
========================

聞きたくなかった銃声の後に残ったのは、
頭から血を流す、××くんの父親だったもの。

止められなかった、いや、止めなかった。

僕の『憎悪』の対象には彼も含まれていたから。

でも、それ故に彼の『復讐』の効果は覿面だった。
彼は逃げたのだ。
贖罪と憎しみの板挟みになる苦しみからも、、
これからも世間の追及を受け続けるであろうことからも、
息子の死に向き合うことからも、

そして、僕の『憎悪』の対象になることからも。

これが、これこそが、この人の『復讐』。

「ぐ……うぅ……」

まただ。
また、僕のせいで人が死んでしまった。
もう、彼を憎むこともできない。彼に言葉をぶつけることもできない。

どうしてだろう、どうしてこうなってしまったのだろう。


68晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/30(火) 10:49:57 ID:yqhHm6Xw
誰が原因だったのだろう、
わかっている、諸悪の根源などいないことに。
いじめをした××くんが悪いのかもしれない、育て方を間違えた父親が悪いのかもしれない。
××くんを殺してしまった僕が悪いのかもしれない、立ち向かう勇気がなかった『友人』たちが悪いのかもしれない。
どう考えても、この問題に解決など見えてこない。

でも、それでも、僕は思い出す。

「ここで、終わって、たまるか」

そうだ、ここで終わったら僕の人生は何だったんだ。
そして、僕のせいで死んだ、××くんたちは何だったんだ。

なにがあっても、僕は幸せになってやる。

僕自身のためにも。

だからこそ、

「あなたを、許します」

××くんの父親を無視するわけにはいかなかった。
そして、僕は部屋にあった固定電話から警察に通報することにした。





69晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/30(火) 10:51:03 ID:yqhHm6Xw
終わり


70晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/30(火) 10:51:56 ID:yqhHm6Xw
終わり!

たとえ悪人だったとしても、その死を悲しむ人はいる


71ペンギン :2014/12/30(火) 13:18:35 ID:cS.JtrN.
書くの早いんだな
うらやましい
やはり暗いかんじなのね


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17 送り火 (Res:157)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 17
101. 漂う紫煙は夕焼けに染まり ◆ppck5xcEk6 :2014/10/05(日) 00:33:51 ID:Ad79Z8nk

〈黒鷺:そうなんですよぅ。みんな口ばっかで動かないし〉

 自動更新され、画面には相手の言葉が表示される。彼女は文化祭の責任者だが、クラスのメンバーが働いてくれないらしい。

 何処にでもある――俺自身も経験したことのある――愚痴だ。

 だが彼女には悪いが、俺の視線はチャット・ルームを向いてはいなかった。

 画面右下。時刻表示。

 16:37

 そろそろか。

 そう思って俺はキーボードを叩く。中学の時に叩き込まれた御陰でタイピングはほぼ完璧だ。

〈陸奥:本当そう言う奴等って腹立つよな。俺も経験したから良く分かるよ〉

 取り敢えず此処まで打ってエンター・キー。

 そして間髪置かずに再び、

〈陸奥:おっと、もうこんな時間か。悪いけど落ちますわー〉

〈黒鷺:あ、用事かなんかですか?お疲れさまでしたー!〉

〈陸奥:まぁ似たようなもんかな。また準備の話とか、色々聞かせてくれな〉

〈黒鷺:そりゃもうぜひ!てかお願いですから聞いてください!〉

〈陸奥:楽しみにしてるぜ!じゃあまたなー〉

 そう言い残して俺は退室ボタンをクリックする。

 続けてパソコンの電源も落とし、ブラック・アウトした画面を見て一言。

「まぁ用事と言うか……儀式みてぇなモンなんだがな」

 時計の針は16時43分を指していた。

15903. そして紫煙は秋雲に溶け ◆ppck5xcEk6 :2014/10/15(水) 15:34:47 ID:TMrkivb2





「……っと、此の辺で良いよ」

 煌夜祭も終わり、文化祭は閉幕した。其処此処で打ち上げ騒ぎが起こっている中、俺と朱鷺は入り口のアーチまで歩いて来た。

「え……でも。良いよ、駅まで送るよ」

 彼女は、そう申し出た。慣れてくれたのだろうか、気付けば彼女は、完全にタメ口で話してくれるようになっていた。

「や、悪いよ。片付けとか……友達と騒ぐとか、忙しいんじゃないの?」

「片付けは明日丸一日掛けてするの。皆は今日、私が勝負掛けるの知ってるから大丈夫」

 にや、と笑って見せる。意地の悪い言い方だ。そんな事を言われても、俺は苦笑で返す他に無い。

 ──いや、他にもあるか。

 諦念で、俺は胸中で呟いた。

「御言葉に甘えて、駅まで送って貰おうかな」

 彼女は、笑顔で頷いてくれた。


16003. そして紫煙は秋雲に溶け ◆ppck5xcEk6 :2014/10/15(水) 15:36:13 ID:TMrkivb2



 煌夜祭が終わった時点で、殆どの客は帰ってしまったのだろう。閉幕後の此の時間、街灯に照らされた歩道を歩く影は少ない。

「朱鷺は、此の後どうすんの? 片付けは明日なんでしょ?」

 素朴な疑問だった。

「うん。バスで高校まで帰って、親が迎えに来るの」

「こっから朱鷺の高校まで、バスが出てるんだ?」

「あ、学校が用意したバスね」

「そう言うことか」

 取り留めの無い会話。此の道を逆に歩いていた時と変わらない。

 ──二人の距離は、どうだろう。

 ふと、そんなことを考える。

 ──近くなったか、遠くなったか。

 物理的な距離は変わっていない。問題は──


16103. そして紫煙は秋雲に溶け ◆ppck5xcEk6 :2014/10/15(水) 15:37:32 ID:TMrkivb2

「長門さん」

「ん?」

 俺を見上げた朱鷺と目が合う。

 彼女は視線を前方に戻して、

「今日は来てくれて有難う」

「何を言ってる」

 俺も視線を戻す。

「誘ってくれて有難うよ」

 声こそ聞こえなかったが、隣で彼女が笑顔になるのが分かった。

「それと……うん」

 目を遣ると、少し伏せ気味の朱鷺。

「色々と、有難う」

「其れこそ──俺の方こそ、有難う」

 うん、と彼女は小さく頷いた。複雑な心境だろうが、微笑んでくれる。

 良いのか悪いのか分からないが、俺にも微笑が浮かんだ。


16203. そして紫煙は秋雲に溶け ◆ppck5xcEk6 :2014/10/15(水) 15:39:18 ID:TMrkivb2



 “市民公園前”駅は、小さい割に明るい照明で闇に浮かんでいた。

 出入り口をくぐり、自動券売機で乗車券を買う。

「……さて」

 そう言って俺は、俺の背中を見ていた朱鷺に向き直る。

「今日は本当に有難う。……楽しかった」

「本当?」

「おいおい、楽しんでたように見えなかったか?」

 彼女は笑ってくれた。

 遠くから闇の静寂を破って、音が聞こえる。もうすぐ電車が来るらしい。


16303. そして紫煙は秋雲に溶け ◆ppck5xcEk6 :2014/10/15(水) 15:40:04 ID:TMrkivb2

「……握手」

 彼女は目を伏せて手を差し出した。

 俺は笑って、

「握手」

 握り返す。

 先刻と同じ冷たい感触が掌に伝わる。

「長門さん、暖かい手してる」

「朱鷺の手は冷たいな」

 何でも無いことで笑い合える。俺は良い友人を持った。

 電車の音が近付いて来た。それを聞き付けた俺はホームの方を見遣る。

「また、会えるよね?」

 其の言葉に、俺は再び朱鷺を見た。


16403. そして紫煙は秋雲に溶け ◆ppck5xcEk6 :2014/10/15(水) 15:40:47 ID:TMrkivb2

「──当たり前だ。また会おうぜ」

「うん、会おうね」

「おう」

 其の応えに重なって、電車が駅に着いた。

「本当に有難うな。気ぃ付けて帰ってくれよ」

「長門さんも」

 俺は頷いて、握手したばかりの手で、

「わ?」

 朱鷺の頭を、くしゃくしゃと撫でてやった。

「じゃあな」

 そう言って、彼女が再び顔を上げる前に回れ右して、改札を抜けた。


16503. そして紫煙は秋雲に溶け ◆ppck5xcEk6 :2014/10/15(水) 15:41:28 ID:TMrkivb2

「長門さん!」

 声に振り向けば、俺に乱された髪も其の侭に、今にも崩れそうな顔の朱鷺が居た。

 首を振る彼女。

 きっぱりと、強い調子で。

「駄目」

 俺の右眉が、気付いた拍子で跳ね上がる。「──悪い」

「じゃあ、またな」

 彼女は泣きそうな顔の侭で笑った。手を振ってくれた。

 俺は右手を上げて其れに応え、電車に乗り込んだ。


16603. そして紫煙は秋雲に溶け ◆ppck5xcEk6 :2014/10/15(水) 15:42:06 ID:TMrkivb2



 “市民公園前”駅で乗ったのは俺一人だった。

 俺が乗り込むのを見計らったように扉は閉まり、電車は出発した。



 電車は、俺を俺の日常へと引き戻して行く。

 電車は、朱鷺を朱鷺の日常へと引き戻して行く。



 ──一切の容赦も無く。

 ──微塵の慈悲も無く。


16703. そして紫煙は秋雲に溶け ◆ppck5xcEk6 :2014/10/15(水) 15:43:15 ID:TMrkivb2




 揺れる車内。ふと窓から空を見上げれば、白銀の月が浮かんでいた。

 もみじも何処かで、同じ月を見ているだろうか。



 朱鷺は、泣いてはいないだろうか。


16803. そして紫煙は秋雲に溶け ◆ppck5xcEk6 :2014/10/15(水) 15:44:41 ID:TMrkivb2





 幾ら考えても答えは出なくて、俺は煙草の箱を握り潰した。





―03. そして紫煙は空雲に溶け 完―

 送り火 了


169 ◆ppck5xcEk6 :2014/10/15(水) 15:46:50 ID:TMrkivb2
これにておしまい


170晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/10/17(金) 20:02:39 ID:gZrnW9Hw
切ない!

最後の朱鷺さんは本当は長門くんに駆け寄ってもらいたかったけど
自分の引き際はここだと自分に言い聞かせたんだろうか

煙草がキーアイテムでありながらも主役が高校生なのは、
大人になろうとしていることの表れなのだろうか

てっきりもみじさんは亡くなっているのかと思いきや、
理由を告げずに姿を消したのか
少し希望があるだけにきついぜ……

お疲れ様でした!


171<削除> :<削除>
<削除>


172 ◆ppck5xcEk6 :2014/10/18(土) 22:30:03 ID:5CnWii4k
>>170
最後まで御付き合い頂いて感謝です

切なさを楽しんで貰えたなら幸いです
登場人物などの意図を私が説明してしまうのは反則であろうと思うので割愛させて下さい、申し訳無い

ただ、死別だけは避けるよう意識したのは確かです
これはこれで、個人的には色んな意味合いがありますが、上手く活かせられたら幸い

こまめなレスに元気付けられました、有難うでした


173人間 ◆puRgtI1HCs :2014/10/19(日) 22:44:57 ID:IFnZv1hA
誤読を恐れずに感想を述べさせていただきます。

僕はこの物語を、ある種の反復と受け取りました。過去にお互い想いを告げられず別れてしまった主人公ともみじ。
その経験はオレンジ色の風景、それに鐘の音が印象的です。そして朱鷺との交流が、同じシチュエーションで繰り返される。

文章を読み返してみると、「ちょっと、ぼうっとしちゃっただけ」「口の中が苦い」「握手」と言った言葉が何度も反復して使われている所から、そう考えました。

そんな中で、最後の朱鷺との別れは、僕は救いのある展開だと思いたい。主人公ともみじの最後の交流のシーンでは、もみじは煙草を吸わなかった。
けれど、主人公は朱鷺に煙草を吸わせています。ここが、もみじと朱鷺との違い。

文化祭での主人公と朱鷺との交流を甘く儚い思い出として取っておきながら、ネット上で、あるいはリアルの友達として、二人にはこれからも交流を続けてほしいと僕は願いました。


174バブリシャス ◆ppck5xcEk6 :2014/10/20(月) 16:57:10 ID:eBkehXDs
>>173
読んで頂いて感謝感謝
語って良いとのことなので、あれこれ御話ししつつ御返事させて頂きやす

> ある種の反復
> オレンジ色の風景、それに鐘の音
正しく、それです
同じシチュエーションを印象づけた上で、変わるものと変わらないものを浮き彫りにさせたかった

> 言葉が何度も反復
普段であれば言葉を変えて表現するところを、敢えて同じ言葉で重ねた部分ですね
御気付き頂けて光栄です

逆に情景描写は同じシチュエーションでありながら、別の言葉を用いて読み飽きないよう努めたつもりですが、どう感じられましたでしょうか

> 救いのある展開
だと私自身も信じています
煙草も然り、別れの言葉も然り、です
パンドラの箱のような作品になっていたら嬉しいなぁ、なんて(喩えが大袈裟ですがw)

> 二人にはこれからも
二人の今後を願って頂いて嬉しい限りです
そこを語るのは流石に蛇足だと思うので割愛させて頂きますがw


読了&感想、どうも有難うでした!


175人間 ◆puRgtI1HCs :2014/10/20(月) 20:54:05 ID:tkMG756w
>>174
なんか堅苦しい文章ですみませんwww
読んだものの感想を書くときはこうなっちゃうんですwwゆるしてwwww

ずけずけと考察をさせていただきましたが、見当違いなことを書いていなかったようですのでほっとしました。

よく、ループものってあるじゃないですか。あれ、同じような展開や描写が続けば退屈で鑑賞を途中で止めてしまうことがあります。
バブリさんの豊かな表現力が、反復という構造に気づかせながら、読み手を飽きさせないことに成功していると思います。
やや硬派な文体の中で、時折艶のあるフレーズを混ぜてくるあたり、ニクいなと思います。いや、面白かった。

パンドラの箱、ですか。そう言われれば……。大げさではないような気がしますよ。

美しい物語をありがとうございました。ごちそうさまです。
また次の作品に期待しております。


176 ◆ppck5xcEk6 :2014/10/21(火) 07:52:36 ID:xNN/kQdw
>>175
あぁ、いや、私こそ、このスレではこのテンションで行こうと思うておったのでw
御構いなくですです

> 見当違いなことを
例え私の意図と違う感想を頂いたとしても、それはそれで貴重な意見です
なので気軽に書いて頂けたら嬉しい

> 反復という構造に気づかせながら、読み手を飽きさせない
これは何と嬉しい御言葉……!
成功しているようで安心しました、感謝感謝

> 時折艶のあるフレーズ
おぉ、そんなの書けてましたか私w
もし宜しければ、一つでも良いので該当箇所を教えて頂きたい
……なんて言う厚かましい御願い(´・ω・`)

> いや、面白かった
> 大げさではない
> 美しい物語を
これまた勿体ない御言葉を有難う御座います(´;ω;`)
次……は、いつになるや分かりませんがw
また御付き合いを頂ければ幸せです、本当に有難うでした!!


177人間 ◆puRgtI1HCs :2014/10/22(水) 14:40:50 ID:zlbcVDQs
>>176
レスに気づくのが遅れてしまいました……すんまそん

艶のあるフレーズだなといくつか思いましたものをおつたえ致します。

6レス目
>傾く太陽色に染まる空。雲。家。道。車。人。
この体言止めの繰り返し、好きっすわ。

7レス目
>四辺を囲む銀色の檻が金色の光を反射していた。
銀と金の対比。檻って表現もニクい。122レス目にも金銀の対比がありましたね。
てか冒頭の場面、全部美しい。

93レス目
>彼女は所詮、画面の中に居る者に過ぎない。俺にとって黒鷺は、何処まで行っても黒鷺だった。
>だが、彼女は違った。確かに自らの感情を疑問に思いつつも、感情を歪めるような真似はしなかった。陸奥の向こう に、まだ見ぬ長門を見ていた。
陸奥の向こう、ってのがすごいなあ。

137、138レス目
>そして追い討ちを掛けるように──あの鐘の音が響いた。
>遠くから、微かに。遠くから、確実に。
>オレンジの空気を震わせ、金に舞う埃を揺さぶり、俺の背中に触れた。
>音は俺の背中に当たると全身を這い回り、その蠢く感触に産毛が逆立った。汗が吹き出たが、暑さの所為で無いことは明白だった。
音に肌触り、感触を持たせる表現、参考になります。

157レス目
>ほど無くして、炎の円舞が始まった。炎は闇と闇の間を駆け抜け、夜の帳を粉微塵に切り裂いた。
>演者の意思からも外れたが如く、狂ったように闇を掻き乱す。其の頭上、かなりの低空で再び花火が炸裂した。炎を取り囲む群衆から、わっと言う歓声が上がる。
この部分、情景が頭に浮かびすぎてやばいですわ。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


178バブリシャス ◆ppck5xcEk6 :2014/12/19(金) 10:36:05 ID:0/J/2Qok
>>177
これは本当に感謝の極み
とてもとても今後の参考になります
そして遅くなったと言うレベルじゃない御返事……許してくれとは言いますまい(´・ω・`)


> 6レス目
> >傾く太陽色に染まる空。雲。家。道。車。人。
> この体言止めの繰り返し、好きっすわ。

一つ一つピントを当てたかったシーンです
読点で並べると流してしまうかな、と多少強引に句点で並べてみました
好きとは嬉しい評価


> 7レス目
> >四辺を囲む銀色の檻が金色の光を反射していた。
> 銀と金の対比。檻って表現もニクい。122レス目にも金銀の対比がありましたね。
> てか冒頭の場面、全部美しい。

対比、対句が好きなもんで、気付いて貰えて嬉しいです
檻の表現にインパクトを受けて頂けたら光栄


> 93レス目
> >彼女は所詮、画面の中に居る者に過ぎない。俺にとって黒鷺は、何処まで行っても黒鷺だった。
> >だが、彼女は違った。確かに自らの感情を疑問に思いつつも、感情を歪めるような真似はしなかった。陸奥の向こう に、まだ見ぬ長門を見ていた。
> 陸奥の向こう、ってのがすごいなあ。

画面を陸奥と言い換えた場面ですね
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


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18 SS作者の雑談スレpart15 (Res:979)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 18
1名無しさん :2014/10/13(月) 21:28:36 ID:nUo9pOZ.
【板説明】この板へ初めて来た方へ
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/16777/1406823995/
(初来訪の方は上スレをご一読ください)

・ここは雑談スレです
・誰でも自由に参加できます
・内容も自由、相談や独り言など何でもOK
※ 但し、他人や他板、他サイトの悪口・愚痴は厳禁! ※

・次スレは「>>950を踏んだ人」が、「宣言してから」立てること

以上を守って、
楽しいSS、及び雑談ライフを!


――――――――――――――――――


(人間゚∀゚)アハハハハ八八ノヽノヽノヽノ\/\

981ペンギン :2014/12/16(火) 20:02:22 ID:KyOYPScc
>>980
レビューにあるとおり、シュールなのとベタなのが混在してるんだが、それがまた独特の空気感と間を作っている
個人的に主人公っぽい佐藤ちゃんが一番面白いかも
お勧めですぜ
あと「ろりせん?」って4コマ漫画も素晴らしかった
砂岡天音さんが可愛すぎる


982ペンギン :2014/12/16(火) 20:08:40 ID:KyOYPScc
とあることで行き詰った


983晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/16(火) 20:15:51 ID:JCLvHze2
真面目な作品を書こう


984晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/16(火) 20:32:06 ID:JCLvHze2
ペンギンさんには感謝している


985晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/16(火) 20:59:54 ID:JCLvHze2
みんな創作中かな


986ペンギン :2014/12/16(火) 21:02:45 ID:KyOYPScc
かいてるけどちょっと進みが遅いな
まあまったりいこう


987晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/16(火) 21:07:33 ID:JCLvHze2
まったりはいいことだ


988ペンギン :2014/12/16(火) 21:17:52 ID:KyOYPScc
だんだん定型文を使う率が上がってる…
しかし考えて捻りすぎても進まないしな


989ペンギン :2014/12/16(火) 22:47:29 ID:KyOYPScc
ふおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
一段落
疲れて集中力と気力が切れるにしたがって散漫な思考から定型文が出てくる
それが悪いと決まったわけでなく、一つの共通の型として利用できればいいのだが、価値判断力も落ちるからな

何はともあれ今日はここまでかな


990晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/16(火) 22:53:19 ID:JCLvHze2
>>989
お疲れ、主人公の名前は明かすのか


991ペンギン :2014/12/16(火) 23:04:20 ID:KyOYPScc
>>990
いずれ他の人との会話で出てくるから
もっと早くに出すべきだったかもだけど結局今になって出て来た


992ペンギン :2014/12/16(火) 23:04:51 ID:KyOYPScc
夜食くおう


993ペンギン :2014/12/16(火) 23:14:27 ID:KyOYPScc
カレームシャムシャ


994晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/16(火) 23:22:59 ID:JCLvHze2
俺も夜食くう


995ペンギン :2014/12/16(火) 23:23:52 ID:KyOYPScc
トルティーヤとタコスって一緒なのかしら
某所にあるコンビニでしか売ってないバジルチキントルティーヤがめちゃくちゃ美味くて、そのそば行くたびに買ってるんだが、
「タコスうまー」と言いたくてたまらない


996晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/16(火) 23:26:50 ID:JCLvHze2
>>995
バジルチキントルティーヤねぇ……


997ペンギン :2014/12/16(火) 23:47:01 ID:KyOYPScc
風呂入ろう


998晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/16(火) 23:47:44 ID:JCLvHze2
>>997
風呂という試練


999人間 ◆puRgtI1HCs :2014/12/17(水) 00:00:01 ID:PhN2mWTU



1000人間 ◆puRgtI1HCs :2014/12/17(水) 00:00:35 ID:PhN2mWTU
1000なら今年中にオフトゥン


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19 ??「吾は空想像を書と成す白」 (Res:84)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 19
1白い人 ◆EvBfxcIQ32 :2014/07/02(水) 17:52:38 ID:3kO6asns
「ようこそ、この素晴らしき校正空間へ」

86白レンの人 ◆EvBfxcIQ32 :2014/12/01(月) 23:55:56 ID:0lu9Wlao
◆鎧カリバー氏作・「鎧術師」第五話の誤字脱字・その他不自然な箇所の訂正

次回の予定は今のところ未定。目標は今週中。


・力と力のぶつかり合い
 目の前で殺しあうシドウと波沙深
 殺しあう必要はないはずなのに
 殺意同士がぶつかり合っていて
 二人が殺し合う様を見ていた
←表記揺れ


・「センバちゃん、こっちツルギくんは頼むわ!こいつらは私が!」
⇒「センバちゃん、ツルギくんは頼むわ!こいつらは私が!」


・ソルシエールを纏い、ハルバートを振り回す椿の頼みを承諾し、センバはヴェロチタ・スクアーロのクラッチを解放し、時速六十キロ近い速度を無理やり叩き出して正面に向かって走りながらエレメントマグナムを撃つ。

⇒ソルシエールを纏いハルバートを振り回す椿の頼みを承諾し、センバはヴェロチタ・スクアーロのクラッチを解放する。そのまま時速六十キロ近い速度を無理やり叩き出し、正面に向かって走りながらエレメントマグナムを撃ち放った。

※通常時の描写でもそうだけど、戦闘時に一文が長くなるとテンポが一気に悪くなる。短く出来るところは短くしよう。ラストを「撃ち放った」としたのは単なる趣味なので、深い意味はありません。


・弾丸は全て、クラブシザーの盾に防がれるがそれでも尚、方向変換や原則する事無く走り続け、やがて前輪を大きく持ち上げウィリー走行の体勢を取ってそのまま前輪をクラブシザーに叩きつけた。

⇒弾丸は全てクラブシザーの盾に防がれるがそれでも減速する事無く前進し、衝突する直前でウィリー体勢を取ってそのまま前輪を叩きつけた。

※戦闘時の描写は以下略。どのくらい短くするかは鎧氏のセンス次第なので、校正例は参考程度にして下さい。

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


87白レンの人 ◆EvBfxcIQ32 :2014/12/01(月) 23:58:48 ID:0lu9Wlao
>>86の続き

・そこに何か意味があるだけでもなく、ただ、悪意のない、仲間がいるという事を感じさせるだけ。
⇒そこに何か意味があるという訳ではなく、ただ、悪意のない、仲間がいるという事を感じさせるだけ。


・手は震え、声も泣いていて、いつものような明るさも戦っている時のような勇ましさもなく、ただ恐ろしいことに怯えるただの少年がそこにいた。
⇒手は震え声も泣いていて、いつものような明るさも戦っている時のような勇ましさもなく、ただ恐ろしいことに怯えるだけの少年がそこにいた
※「ただ」の繰り返し回避。


・あんなのは、あの時だけだと思わずに……ちゃんと、考えて置けば……!
⇒あんなのは、あの時だけだと思わずに……ちゃんと、考えておけば……!


・甘い香りがツルギの鼻を通り抜け、涙を零しながら見開かれた瞳は間近にあるセンバの顔を捉え、口の中に入り込んだ下は無理やり絡められ、やがて離れた。
※ここは、ディープキスにする必要があったのだろうか、と思った。普通のキスどころかお付き合いもしたことのない女の子が、その場の勢いとはいえ、自分から舌を絡めるほどの勇気と積極性を持つことが出来るのかどうか。センバのキャラクター性に関わるところだから、よーく考えてみてほしい。


・と心中でどうしてあんな事をしたのか、理解できず混乱している自分を言いなだめる。
⇒と心中でどうしてあんな事をしたのか、理解できず混乱している自分に言い聞かせる。
※「なだめる」という言葉は興奮して冷静さを書いている相手に使うものなので、この場合は「言い聞かせる」が適しているかなと思う。


・『君は、守る為に自分を捨てる事はではるのかい?』
⇒『君は、守る為に自分を捨てる事はできるのかい?』


・例え、死ぬになっても、守れてよかったと思えるのか。いや……そうじゃない。
⇒例え、死ぬことになっても、守れてよかったと思えるのか。いや……そうじゃない。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


88白レンの人 ◆EvBfxcIQ32 :2014/12/02(火) 00:03:08 ID:HhngsCcA
>>87の続き

・「……で、ジャンヌはしばらくは様子を伺うという意見でいいか?」
 沈黙していたクローツがまだ意見していないメリッサに目を向けると、メリッサは「そうだのう」と、言い始める。

※ここは書き間違いだろうか? もしクローツの台詞が間違いでないのなら、ジャンヌに一言相槌を打たせた後でメリッサに話題を振るのが良いと思われる。


・そしてクローツは静かに一台のラジオにクラブシザーが映った瞬間、そのテレビ目掛けて召喚した剣を投げつけ突き刺すのだった。
⇒そして一台のテレビにクラブシザーが映った瞬間、クローツはそのテレビ目掛けて召喚した剣を静かに投げつけるのだった。
※ラジオに映像は映らないだろうからそこを訂正し、「静かに映る」というのも意味が分からないので場所を変えて「投げつける」に掛かるようにしてみた。「突き刺

す」を削ったのは、「投げつける」だけでも意味が通じると思ったから。


・かつて自分の父を殺した歩きタバコの上に火のついたままのそれを目の前で投げ捨てられたのを見て、波沙深は絶対に許せないとし、断罪する為に鎧を纏った。
⇒かつて自分の父を殺したタバコ。それが目の前で投げ捨てられるのを見て、波沙深は鎧を纏った。絶対に許せない、断罪してやる、と怒りに燃えながら。
※まず思ったのが、「歩きタバコ?」ということ。単なる「タバコ」でいいような気がした。ついでに、文節が長くて分かりにくくなっているのを短くまとめて整頓してみた。大分アレンジしてしまったので、これも参考程度に。


・人を始めて殺した時、波沙深の心は恐ろしく冷静で、なんの罪悪感も抱かなかった。
⇒人を初めて殺した時、波沙深の心は恐ろしく冷静で、なんの罪悪感も抱かなかった。


・溢れる地は生々しく、鮮烈な赤を広げていくその光景にセンバは声が一瞬出せず、込み上がる嘔吐感に襲われた。
⇒溢れる血は生々しく、鮮烈な赤を広げていくその光景にセンバは声が出せず、込み上がる嘔吐感に襲われた。
※嘔吐感に襲われたとあっては、一瞬どころじゃ済まないのではないかと思った。


・その全てが強固な盾に防がれるのも意に介せず、ただ感情に任せたまま引き金を引き続けた。
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89白レンの人 ◆EvBfxcIQ32 :2014/12/02(火) 00:05:13 ID:HhngsCcA
>>88の続き

・「わかるよ!みんな、戦うのは怖い、戦う理由はなんなんだろうって思ってるさ!
 「人は皆弱いさ……だからやせ我慢して、背ぇ伸ばして生きてんだよ?
←「皆」の表記揺れ


・「センバ!椿さん!っ、どいてくれ!俺の鎧術師だ!」
⇒「センバ!椿さん!っ、どいてくれ!俺は鎧術師だ!」


・椿は「そう、振り切ったのね」と納得し、波沙深との戦闘を継続した。
⇒椿は「そう、吹っ切ったのね」と納得し、波沙深との戦闘を継続した。
※「迷いを振り切る」といった言い方はするけれど、ここま「吹っ切る」「吹っ切れる」とした方がしっくり来る気がした。


・その恐怖心の欠片もない表情からは、あの戦うことに対して異様に怯えていたあの姿の影は全くなく、本当に同じツルギなのかとも思ったセンバだったが、「戦うよ」と言ったツルギを見て「うん」と頷いた。

⇒その恐怖心の欠片もない表情からは、戦うことに対して異様に怯えていたあの時の姿の影は全くなかった。一瞬、本当に同じツルギなのかとも思うセンバだったが、「戦うよ」と言ったツルギを見て「うん」と頷いた。

※「あの」を片方削除し、長い一文を二つに分けた。及び微調整。


・広がる冷気の肌寒さを鎧の隙間から感じながら、センバはツルギがアビスを纏っていくのを隣に感じて、エレメントマグナムを構えた。
⇒鎧の隙間から伝わる冷気を肌寒く思いながら、センバはツルギがアビスを纏っていくのを隣に感じて、エレメントマグナムを構えた。
※「感じる」の繰り返しを回避。


・そして鎧を纏ったツルギは、迷うことなくブリザードブレードを呼ばず、素手で構えた。
⇒そして鎧を纏ったツルギは、いつものようにブリザードブレードを呼ぶのではなく、素手のままで構えを取った。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


90白レンの人 ◆EvBfxcIQ32 :2014/12/02(火) 00:08:15 ID:HhngsCcA
>>89の続き

・その胸からは、二連装と思われる砲身が伸びていて、取り押さえようとしてきた機動隊目掛けて砲撃したり、その怪力で放り投げたりして蹴散らし始めた。
⇒その胸からは二連装と思われる砲身が伸びていて、取り押さえようとしてきた機動隊目掛けて砲撃したり、その怪力で放り投げたりして陣形を蹴散らし始めた。
※目的語が抜けていたので補完。


・機動隊の列が乱れた事と、ツルギたちの意識が一瞬そちらに向けられた隙を突いて逃げ出した波沙深をツルギが追い、その肩を掴んで引っ張り寄せた所を殴り飛ばされた。
立ち上がった所に、更なる追撃が繰り出され、咄嗟に盾で防いだが衝撃で体勢を大きく崩した所に三撃目を受けるはめになったがまたすぐに立ち上がって、鋏と盾を構え、アビスと相対する。

⇒機動隊の列が乱れた事と、ツルギたちの意識が一瞬そちらに向けられた隙を突いて波沙深が逃げ出そうとする。ツルギはそれを追い、追い付きざまに肩を掴んで引っ張り寄せ、間髪入れずに殴り飛ばした。
続く攻撃を咄嗟に盾で防ぐも、衝撃で体勢を大きく崩した所に三撃目を受ける波沙深。しかしその後すぐに立ち上がり、鋏と盾を構え、アビスと相対した。

※今回の中で一番よく分からなかった部分。一文目を読んだ時、吹っ飛ばされたのはツルギだと思ったから。
なのに、倒れて追撃を受けているのは波沙深だった。「誰が」「何に」「どうされているのか」がはっきりと伝わるようにしよう。あと、一文が長くならないように気をつけよう。テンポもそうだけど、長くなればなるだけ文の複雑さが増して、意味が理解しづらくなるから。


・砲撃の隙を突いて、駆けだした椿が素早く間合いに飛び込み、ハルバートを浴びせて怯みはしたが、ダメージと言える程の傷を負わせられずそのまま振るわれた砲身によって弾き飛ばされてしまった。

⇒砲撃の隙を突いて駆けだした椿が素早く間合いに飛び込み、ハルバートを浴びせて怯ませる。しかしダメージと言える程の傷は負わせられず、逆に振るわれた砲身によって弾き飛ばされてしまった。

※分割&微調整


・ガッツポーズする椿だったが、すぐに残る機動隊に逃げるよう促し自らは、再び魔獣に斬りかかった。
⇒ガッツポーズする椿だったが、すぐに残る機動隊に逃げるよう促し、自らは再び魔獣に斬りかかった。
※句読点の位置を考える時には、音読してみるのが効果的。「読みやすい区切り方」というのが自然と分かるはず。


・クラッシャーから放出され始めた膨大な魔力がアビスの両腕を包み込んで放った一撃を盾で受けた瞬間、その破壊力は凄まじく、盾の亀裂は明確なひびへと変わった。
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91晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/02(火) 00:22:47 ID:/xPhQaRg
白レン氏の本気


92白レンの人 ◆EvBfxcIQ32 :2014/12/02(火) 00:38:52 ID:2/gJTrQM
>>91
可能ならば、年内に第一部を終わらせたいと思っている。それが出来たのならば、もう少しペースを落として、他の人の作品にも目を通していきたい。


93白レンの人 ◆EvBfxcIQ32 :2014/12/07(日) 01:16:28 ID:FTvVvgE2
◆鎧カリバー氏作・「鎧術師」第六話の誤字脱字・その他不自然な箇所の訂正

次の目標は月曜日。


・レス番号115、164、168
←これらだけ、文頭の一字下げが入ったり入らなかったりしているけど、どうしてだろう? もし字下げを入れるつもりなら、台詞(鍵括弧)の前にはいらないよとだけ。あと、115の「しかし、これ程の数が同時かつ同じ場所に出現するという事は、今まで一度もなかった」が文の途中で改行されちゃってるね。


・自滅しないよう、支えてやり、時に道を示してやるのも自分の役目だと割り切って入るのだが――。
⇒自滅しないよう支えてやり、時に道を示してやるのも自分の役目だと割り切ってはいるのだが――。


・センバちゃん、何が会ったかは知らないけど、ツルギくんに当たってほしくないわ。
⇒センバちゃん、何があったかは知らないけど、ツルギくんに当たってほしくないわ。


・あ、おい!センバ……なんだよ、あいつ……
⇒あ、おいセンバ!……なんだよ、あいつ……


・気付けば、都市部や祖母祖父の家がある町から離れた、山の中にある道路を走っていた。
⇒気付けば、都市部や祖父母の家がある町から離れた、山の中にある道路を走っていた。


・街灯はあるものの、人の気配はなく、ここがあまり使われていないか、たまたま通らないだけなのかはわからないが、気分を落ち着けるには丁度いいだろうと思い、路肩にヴェロチタ・スクアーロを停めたセンバはヘルメットをミラーに引っ掛けると大きく息を吸った。

⇒街灯はあるものの人の気配はなく、気分を落ち着けるには丁度いいだろうと思ったセンバはヴェロチタ・スクアーロを路肩に停めた。
「っ、はぁ……」
ヘルメットをミラーに引っ掛け、大きく息を吐く。元々あまり使われていない道なのかたまたま今車が通っていないだけなのかはわからないが、いずれにせよ都合がいいことには変わりがない。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


94白レンの人 ◆EvBfxcIQ32 :2014/12/07(日) 01:26:31 ID:FTvVvgE2
>>93の続き

・一瞬で熱さと衝撃が全身を駆け巡り、咄嗟に飛び上がって火を掻き消したホアは「なんだよ!?」と叫び、後ろを向くとそこにはさっきの爆発で起きた炎の中に佇む人影がいた。
真紅の鎧を纏った人がそこにいた。

⇒「あ゛あ゛あ゛っ!!?」
熱さと衝撃が一瞬で全身を駆け巡り、ホアは咄嗟に飛び上がって火を掻き消した。
「なんだよ!?」
叫びながら後ろを向くと、さっきの爆発で起きた炎の中に、何かがいた。
真紅の鎧を纏った人が、そこにいた。
「なっ……!?」

※「そこには(中略)いた」と「そこにいた」が被っているので前を少し改変。ついでに、文章を区切りつつやりたい放題←


・そして、自分を助けた真紅の鎧を見たセンバは目を見開いてその姿をしっかりと眼球に焼き付け、いつかの記憶を目覚めさせた。
⇒そして、自分を助けた真紅の鎧を見たセンバは、目を見開いてその姿をしっかりと網膜に焼き付け、いつかの記憶を目覚めさせた。
※「姿を〜焼き付ける」なら、眼球じゃなくて網膜が適切かと。


・そしてブリザードブレードを逆手に持ち替えて凍り付いた地面に突き刺す凍り付いた魔獣たちがまるでハンマーで叩かれたかのように砕け散った。
⇒そしてブリザードブレードを逆手に持ち替え氷結した地面に突き刺すと、凍り付いた魔獣たちがまるでハンマーで叩かれたかのように砕け散った。
※「凍り付いた」の繰り返し回避。


・少し鎧を使う上での手解きをしたとはいえ、本の一か月半程前までただの一般人だった少年が、これほど多くの魔獣を圧倒するほどの戦闘力を発揮する……鎧との相性や才能、呑み込みの早さ等の要因が重なっているのだろうが、それでも今の様な強力な技を“いつの間にか”習得して使いこなせるようになっているのだとしたら、それは天才か或は……。

⇒少し鎧を使う上での手解きをしたとはいえ、ほんの一か月半程前までただの一般人だった少年が、これほど多くの魔獣を圧倒するほどの戦闘力を発揮するなんて……。鎧との相性や才能、呑み込みの早さ等の要因が重なっているのだろうけれど、それでも今の様な強力な技を“いつの間にか”習得して使いこなせるようになっているのだとしたら、それは天才か或いは……。

※「ほんの」を「本の」と表記するのは間違っていないけれど、平仮名の方が馴染みが深いのではないかと思われる。また、以前にも触れた「或」は、やはり送り仮名があった方が読みやすいと思う。それと、語り口を完全な第三者視点からかなり椿よりのものにしてみた。椿の独白とも言える内容だと思ったので。
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95白レンの人 ◆EvBfxcIQ32 :2014/12/07(日) 01:29:51 ID:FTvVvgE2
>>94の続き

・「椿さん、落ち着いて!センバぐったりしてるだろ。ライさんも、話は後で聞く
⇒「椿さん、落ち着いて!センバぐったりしてるだろ。ライさんも、話は後で聞くから」
※終わりの鍵括弧が抜けていた。


・そう問われ、ライは指を三本立てた。/まず一本、薬指を折る。/二本目、中指を折る。/三本目、人差指を折ったライは
⇒そう問われ、ライは一つ咳払いをしてから/まず一本、人差し指を立てる。/二本目、中指を立てる。/三本目、薬指を立てたライは
※読点を打つ時の音読ではないけれど、この場面は実際に自分でやってみてもらいたい。自分が何か三つの重大な事柄を説明する時、初めに指を立てた後で一本ずつ折っ

ていくだろうか。それとも、拳の状態から順番に指を立てていくだろうか。個人的な見解ではあるけれど、俺は後者の方が相手により強い印象を与えることが出来ると思

う。


・「二つ、中世頃、魔族は現人類により駆逐された事」
⇒「二つ、中世頃、魔族は現人類によりほぼ駆逐された事」
※僅かでも生き残りがいる限り、「駆逐された」とは言い難いかと。


・だが、呼び寄せた大量の魔獣も問う虚とその近辺にいる鎧術師や警察の魔獣対策課による活躍により、大方殲滅された。
⇒だが、呼び寄せた大量の魔獣同士の共食いと、その近辺にいた鎧術師や警察の魔獣対策課の活躍により、大方殲滅された。
※ここが今回の中で一番分からなかった。正直、何と打とうとしていたのだろうか? 前後の文脈からそれっぽいのを入れされてもらったけど、正解である自信はない^^;


・窓を開けるとそのカラスは部屋の中にある上着掛けに移動すると、足に括り付けられたクリスタルを光らせ、メリッサの姿が投影された。
⇒窓を開けそのカラスが部屋の中にある上着掛けに移動すると、足に括り付けられたクリスタルが発光し、メリッサの姿を壁に映し出した。
※「〜ると」の繰り返しを回避し、「カラス」がクリスタルを光らせているように受け取れる表現を改め、映写における目的語を追加した。

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96白レンの人 ◆EvBfxcIQ32 :2014/12/07(日) 01:32:47 ID:FTvVvgE2
>>95の続き

・そこには動画サイトCtubeのある動画が映し出されていた。
⇒そこには日本の動画サイト「Ctube」のある動画が映し出されていた。

・『やあ、人間の皆様。初めまして、私は魔族と呼ばれる、人間とは異なるヒト科の知的生命体の一人で、クローツという』
⇒『やあ、日本の皆様。初めまして、私は魔族と呼ばれる、人間とは異なるヒト科の知的生命体の一人で、クローツという』

※この後のクローツの演説、最後の方の「無関係だと思っている平和ボケした日本の国民諸君」という一文を読むまで、全世界に向けて一斉配信しているものだと思って

いた。もし対象地域が日本に限定されているのなら、最初からそのことを明示しておいた方がいい。


・そして、我々は訴えた、君たちと争う気はないと。
⇒それでも我々は訴えた、『君たちと争う気はない』と。


・だけど、人間たちはそれを聞かず、我々を虐殺し、迫害し、弾圧して追いやった……それがもう何百年も前になるのかな。
⇒だけど人間たちはそれを聞かず、我々を弾圧し、排斥し、虐殺して追いやった……それがもう何百年も前になるのかな。
※この演説の中で「迫害」が三回出てくる。こういう時こそ語彙力が問われる時。辞書でもパソコンでも何でも使って違う言い回しを使おう。「虐殺」を最後に持ってき

たのは、一番“強い”言葉だと思ったから。


・あろう事か、その虐殺を“魔女狩り”だのなんだのとして、自分たちの罪を正当化して魔族の存在を消し去ったのだ!
⇒あろう事か、その虐殺を“魔女狩り”だのなんだのとして正当化し、魔族の存在を消し去ったのだ!


・そして、現在も各国政府は魔族の事を認知し、迫害し、人里離れた政府の管理下にある場所に隔離し、人権も尊厳も認めずに、凄惨なる弾圧を続けている。
⇒そして、現在も各国政府は魔族の事を認知し、迫害し、人里離れた政府の管理下にある場所に隔離し、自由も尊厳も認めずに、凄惨なる弾圧を続けている。
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97鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/12/07(日) 21:22:10 ID:6JuOHZi2
これだけの校正、毎話本当にありがとうごさいます
うーん……書いたり、投下している時は特に問題なくできているなと思っていても、結構あるものですね。気を付けてはいるんですけど…………。
あと、メリッサの研究室については完全に描写とか説明不足だったな……
半分趣味で魔術とかの研究をしている……っていうのを書きたかったけど上手く描写・説明できず、反省点です

これからはもっと注意しないとなって思った次第です。


98白レンの人 ◆EvBfxcIQ32 :2014/12/07(日) 22:44:24 ID:cMeqfueM
>>97
そう思ってもらえたのなら、俺もチェックした甲斐があるよ。
鎧術師シリーズは、世界観や設定といった「題材」は悪くないのに、それらを描写した際の「文章」に粗が目立つのが勿体無いと読んでいて思うんだ。何と言うか、勢いだけで書き進めてしまっているような印象がある。

もし文書が印刷出来る環境にあるのなら、投降前に一度印刷して、紙にしたものを点検することをお勧めする。この方法だと、セルフチェックであっても、結構誤字脱字を見付けやすいんだよね。それ以外にも、書き込みが出来るから、改善点を探す時にも役立つし。
理想は、印刷したそれを友人に読んでもらうこと。そうすることで感想も聞けるし自分では気付くことが出来ないミスも見つかるし、何より「友達に見せる(見られる)」ということを強く意識するようになるから、今まで以上に注意して文を書けるようになる。これは単純な誤字脱字に留まらず、「この表現は分かりにくくないかな」「この書き方で読みづらくないかな」といった自問自答にも繋がるから、非常にオススメ。
俺はこのやり方を大学時代ずっと(サークルやゼミで)やっていたけど、これ以上にチェックが上手くいく方法は知らないね。やっぱり、いくらデジタル化が進んだとしても、紙と手によるアナログ手法が消えてなくなることはないと思うよ。


99晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/12/07(日) 23:54:22 ID:vGH7MPdA
>>98
柏さんシリーズを印刷して点検し、改善点を見つける……
「乳房」、「殴打」を印刷して点検し、友人に見せる……


100白レンの人 ◆EvBfxcIQ32 :2014/12/07(日) 23:56:45 ID:cMeqfueM
>>99
うん、オススメだよ?(ニッコリ)


101鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/12/08(月) 00:17:47 ID:hmZKasWQ
>>100
どっかの愉悦部が勝手にやりそう


102白レンの人 ◆EvBfxcIQ32 :2014/12/12(金) 23:46:15 ID:uhHU7Mr6
◆鎧カリバー氏作・「鎧術師」第七話の誤字脱字・その他不自然な箇所の訂正

「目標は月曜日」なんて言っていたのに、金曜日になってしまった……。次はちゃんと守ろう。
ということで、次の目標は月曜日です、ハイ。


・そして、クローツが更に動画を上げ明日、東京渋谷にある、ウイング製薬本社の爆破が告知され、政府は緊急の記者会見を開かざるを得なくなった。
⇒それに加えてクローツが更に動画を上げ、翌日に東京渋谷にあるウイング製薬本社が爆破されることが告知されたため、政府は緊急の記者会見を開かざるを得なくなった。
※次の文章と「そして」が重複するためそれを回避。また、主観的視点のない三人称の地の分で「明日」と言うのは少し違和感を覚えるので、「翌日」に変更した。


・そして、その会見の様子を、テレビを通して椿たちは嶋らと共に見ていた。
⇒そして椿たちは、嶋らと共にその会見の様子をテレビを通して見ていた。


・『では、礼のサイトはご覧になってますよね?!自称、魔族の男・クローツによる犯行予告です!』
⇒『では、例のサイトはご覧になってますよね?!自称、魔族の男・クローツによる犯行予告です!』


・指や爪を鋭い刃や壁や天井に張り付く吸盤にできたり、背中から翼を生やして空を飛んだり、或は全身を魔獣の様な姿に変質させ、強大な戦闘力を発揮したり、色々ある。
⇒指や爪を鋭い刃や壁・天井に張り付く吸盤にできたり、背中から翼を生やして空を飛んだり、或いは全身を魔獣の様な姿に変質させ強大な戦闘力を発揮したりと……色々ある。


・俺はこの能力を“形態変化(メタモルフォーゼ)”と名付けた
←あまりにそのまま過ぎて「名付けた」と言うのは些か大仰なので、「呼んでいる」くらいにするのはどうだろう。


・形態変化は5〜15分程度が限界だという事だ。それに肉体の細胞を強制的に変化させているんだ、そう連続して使える訳じゃない。日に1、2回が限度という事だ。
⇒形態変化は5〜15分程度が限界だという事だ。それに肉体の細胞を強制的に変化させているんだ、そう連続して使える訳じゃない。日に1、2回が精々らしいな。
※「限界(だと)いう事だ」の繰り返し回避。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


103白レンの人 ◆EvBfxcIQ32 :2014/12/12(金) 23:48:03 ID:uhHU7Mr6
>>102の続き

・「第一、魔族は本当に要るのかね!?」
⇒「第一、魔族は本当に居るのかね!?」


・とうとう、警察側にまでそういう事を言い出す奴が出始めた、もう纏まらんかもね、と半田は思ったが口に出さなかった。
⇒とうとう、警察側にまでそういう事を言い出す奴が出始めた。もう纏まらんかもね、と半田は思ったが口に出さなかった。


・それすら無しに、言っているってんならこっちは降りるぞ!!!
⇒それすら無しにゴチャゴチャ言っているってんなら、こっちは降りるぞ!!!


・今、考えていてもどうする事も出来ない。
←「できる」の表記揺れ


・クローツによるテロ宣言、日本首都圏及びその周辺の制圧を速やかに行うよう、指示は出したがまさかこれほど大きな規模で、表立った攻撃をすると人間たちに宣言するとは、組織の上層部は予想していなかった。

⇒某時刻、とある洋上に浮かぶ孤島。
日本の動画サイトにおいてアップロードされたクローツのテロ宣言だったが、その影響力は凄まじく、今や世界中で閲覧が可能な状態となっていた。
そして、その動画を見て少なからず驚いている者たちが、ここにもいた。
日本首都圏及びその周辺の制圧を速やかに行うよう指示は出したが、まさか人間たちに攻撃するとこれほどまでに表立って宣言するとは、組織の上層部は予想していなかったのだ。

※最初の「クローツのテロ宣言」がどうしてそこに入っているのかがよく分からなかったのと、「日本で動画がアップされた」という事実に対して「組織」の反応を無理なく説明するために、導入部を新たに設けてみた。あと、クローツがやったのは日本で動画をアップしたことだけだよね? 「これほど大きな規模」と言うのは少し大げさじゃないかと思った。


・だが、世界的に目を向けても、今まで組織が行ってきたのは抗争や小規模な民族紛争レベルのごく小さな範囲での攻撃だったが、クローツの予告したテロが成功したらそれは組織史上最大の攻撃という事になる。

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


104白レンの人 ◆EvBfxcIQ32 :2014/12/12(金) 23:49:26 ID:AbffrqvE
>>103の続き

・愛する家族を守る、私にはあそこでしかこの子たちを養ってあげられないから……さっ、この話はお終い!いいわね
⇒愛する家族を守る、私にはあそこでしかこの子たちを養ってあげられないから……。さっ、この話はお終い!いいわね?


・「手を合わせて、いただきます!」
「「頂きまーす!」」
←これ、一回目が漢字で二回目が平仮名の方が良くないかな。ただ、次のレスではデニスが「いただきます」って言っているんだよね。意図したものじゃないのなら表記揺れなので、要検討。


・魚、と聞いた瞬間、燐鱗の目の色が変わり本当に猫の如く、鼻息を荒くして机に置かれた瞬間に魚の部分だけを取り始め、食べだした。
⇒魚、と聞いた瞬間燐鱗の目の色が変わり、本当に猫の如く鼻息を荒くして、それがテーブルに置かれた途端に魚の部分だけを取り分けて食べだした。
※読点の位置変更。それと、「〜しだす」という言い方では、「とうとう、警察側にまでそういう事を言い出す奴が出始めた」と漢字表記をしているものがあるので、統一を。


・でも、それを止める事は誰にもできない。
⇒でも、それを止める事は、誰にもできない。
※個人的趣味。


・皆、感極まっているだろう。
⇒皆、気持ちが昂っているだろう。
※「感極まる」という言葉は何かが成し遂げられた時に使うものだから、少し表現を変えてみた。


・主な荷物は今回の様子を記録する為の使い魔に撮り付ける記録媒体が主なものだが、中にはクローツから依頼されて、一晩で組み上げた道具もある。
⇒主な荷物は、今回の様子を記録する為の使い魔に取り付ける記録媒体が主なものだが、中にはクローツから依頼されて一晩で組み上げた道具もある。


(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


105白レンの人 ◆EvBfxcIQ32 :2014/12/12(金) 23:50:28 ID:uhHU7Mr6
>>104の続き

・クローツ等という男の虚言になど、付き合ってられん
⇒クローツ等という男の妄言になど、付き合ってられん
※「虚言」というのは、早い話が「嘘」のこと。


・そして、待合で突如、姿を見せたシドウから紙袋を受け取った。
⇒そして、待合席で突如、姿を見せたシドウから紙袋を受け取った。


・はは、後は合図があるまで適当に暇をつぶしておいてくれ。合図が会ったら、好きに殺っていいよ
⇒はは、あとは合図があるまで適当に暇をつぶしておいてくれ。合図があったら、好きに殺っていいよ


・通り過ぎた高校生ぐらいの男女三人のグループの会話を耳にして、一度は放っておこうと思ったデニスだったが、やはりみすみす危険な目に合わせたくはなかった。
⇒通り過ぎた高校生ぐらいの男女三人のグループの会話を耳にして、一度は放っておこうと思ったデニスだったが、やはりみすみす危険な目に遭わせたくはなかった。


・結局、デニスの静止は意味を成さず、三人は製薬本社の方に早足で歩いていった。
⇒結局、デニスの静止は意味を成さず、三人は製薬本社の方へ早足に歩いていった。


・その言葉は三人に向けたものなのか、それとも強引にでも止めなかった自分に対してか。
⇒その言葉は三人に向けたものなのか、それとも、強引にでも止めなかった自分に対してか。
※個人的趣味。


・ライとは別にSATと共に地上の警備に当たっていた椿もなんとなくだが、通り抜ける風が変だと感じていた。
⇒ライとは別にSATと共に地上の警備に当たっていた椿も、なんだか通り抜ける風が変だと感じていた。
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20 俺と少女の変わった関係 (Res:18)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 20
1少女の喰事 ◆OPO1uqcrCU :2014/11/07(金) 23:11:19 ID:ZJs.yMc6

ワンピース姿の少女は、安いパイプ製のベッド上に座り込んでじっとりとした視線を向けていた。

警戒心や敵対心はない。

ただ、「早くしろ」という言葉を目で訴えかけているだけだ。

「じゃあ…………」

少し近づいてやると、少女の方から手を頬に添えてきた。

少女は少し、嬉しそうに笑った。

その笑顔は可愛いという感じではなく、本当にただ満足気な笑み。

少女は顔を近づけてきて俺の瞳を覗き込みながら舌を俺の頬に這わせた。

これは彼女なりの愛情表現とのようなものらしい。

別に舐める事で興奮したりしている訳ではない。

無論、俺も頬路を舐められて興奮するような変人ではない。

彼女に舐められると、どことなくざらざらした感触がする。

少女はゆっくりと、顔の角度を変えて俺の顔を舐めまくる。

少女は頬と顎とおでこと鼻先を実に十分程かけて舐め回すと、満足したようでぱっと顔を話すとたどたどしく「あ、り、が、と」と言った。

でも、これだけでは終わらない。

まだもう少し、彼女の時間は続く。

一番重要で、一番大変な事が。

「グル……」

少女は力み、口を開ける。

犬が唸り声を上げて口を開ける感じだ。

俺はぐっと耐える心構えをした。

「いただ、キマ……す」

「どーぞ」

次の瞬間、彼女の口がぐわっと“裂けた”。

それこそ口裂け女みたいに頬まで。

そして少女は俺の首筋に噛みついてきた。

「うぐぅっ……………!」

相変わらずその痛みに耐える事ができず、俺は声を上げた。

20少女の喰事 ◆OPO1uqcrCU :2014/11/12(水) 21:44:45 ID:EGJc4zQc
父親は事故死、母親は自殺。

友達だった奴らは、遠ざかっていった。

俺を引き取った親戚も俺の事を煙たがっていたから、こっちから出て行ってやった。

そしてあいつは、喰うだけ喰って、どこかに行きやがった。

なんでどいつもこいつも……俺の前から……!

「食い逃げは許さねえぞ、クソガキがああああああああ!!!」

「誰ガ、クソガキだ、人間ノ癖に」

その声は、確かに少女の物だった。

振り返るとそこに、竜が居た。

出会った時と同じ、異形の竜が。

「どうして……いなくなった?」

「お前が、起キヌカラ、待ちくたびれたのだ」

「じゃあ、なんで俺が目覚めてから三ヶ月も出てこなかったんだ?!」

「スマヌ…………知るノガ、遅くなった……」

竜は、少女の姿に変身しながら謝ってきた。

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21人間 ◆puRgtI1HCs :2014/11/12(水) 22:27:18 ID:3CucN9JQ
乙乙です!

いや、変わった試みだな、と思います。痛みを喰う少女という設定と、それを自然と受け入れている主人公のアンバランスさがいい意味でおかしく、面白い。
変なところつっつきますが、少女のカタコト具合の表し方が上手いww
落ちの展開もスピード感があってすらすらと読めた。末永く爆発してくださいね。

ところで、これ続くんですかね。


22鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/11/12(水) 22:49:22 ID:EGJc4zQc
>>21
んーどうだろう、続くかどうかは今のところわからん

まあちと、考えてはいる裏


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26少女と霞の森 ◆OPO1uqcrCU :2014/11/17(月) 23:58:53 ID:ruKHW0Hc
少女が帰って来てまた一ヶ月ぐらいが経った。

少女は相変わらずハンバーグやラーメンを要求し、時折俺の痛みを喰っている。

生きる為に必要な痛みを喰う時は無表情の癖に、ラーメンやハンバーグを食う時は満面の笑みというのはなんなんだ。

普通逆だろ、といつも思わされている。

そして俺は今、コンビニからの帰り道だ。

袋には俺の昼飯の弁当と、あいつの分のカップラーメン、そしてポテチといくつかのフリーペーパー。

ポテチはあいつと一緒につまむ為だ。

あいつはハンバーグとラーメンが大好物だが、それ以外の物もちゃんと食えるし、好んでいる。

食ってくれなかったら、俺の貯金が持たん。

俺は現在、無職であいつと俺の生活費は貯金を切り崩しているが、そろそろヤバいかもしれないと思い、新たなバイトを探す事にしてフリーペーパーを頂戴してきたという訳だ。

少女も外見的には悪くても中学生、良くて17歳ぐらいと言い張れる外見だ、あいつも働いてくれたら楽だが残念ながら戸籍がない。

人間じゃないから当然だ。

戸籍がないから、今の家に住まわせるのも苦労したし、ご近所さんにどう誤魔化すかも相当悩んだ。

結果的に、友人の知り合いの家出娘で、俺の家に居候しているという形で収まったが。

無論、友人なんていやしないし、家出娘なんて存在しないが。

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27少女と霞の森 ◆OPO1uqcrCU :2014/11/18(火) 00:08:16 ID:bWGe7J7s
沸いたお湯を注ぎ、カップラーメンが出来上がる三分の間、少女は行儀よく座ってワクワクした表情で待っていた。

その間に俺は、弁当の蓋を開けて先に食べ始めていた。

「そういえば、お前さっき何のテレビ見てたんだ?」

「ン?あぁ、シ……シンリ―ヨクとかユーノダ」

「あ?なんだって?」

「ダ・カ・ラ、シンリ―ヨクだ」

「あぁ……森林浴ね」

「ソーソー、ソレ、だ」

森林浴ねぇ……こいつはそういうの好きだっけ?

「シカ、し、とんだ肩スカシ、であったな」

「なんでだよ」

「シンリー“ヨク”と言っておきながら皆、服を着ていたし、浸カッテモいなかったゾ」

「それな」

こいつは森林浴を本当に風呂か何かだと思ってたのか。

思ってたんだろうなぁ…………。

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28少女と霞の森 ◆OPO1uqcrCU :2014/11/18(火) 20:44:39 ID:bWGe7J7s
「お前、俺が拾う前は森とかにいたんじゃないのか」

「まあな、だが……人の痛み、喰ウ為ニ、すぐ山を出た、カラナ」

少女はズズッと麺を啜りながら言った。

俺からすれば初耳だが、少女は生まれ故郷とかに思う所はないらしい。

だが、森に行ってみたいというのはどういう事だ?

こいつも、自然とかを愛でたりするのだろうか。

「……森ねぇ……」

「ソ、だ。是非、連れてけ」

「是非ってそういう風に使うもんだっけ?」

「さあ……ナ、でどうなのだ?私を、連レテク気に、ナッタカ?」

「駄目だ」

言った瞬間、少女は麺ごと箸を噛み切った。

噛み砕いたというのが正しいかもしれない。

「何故……駄目……なのだ?」

「お前が危なっかしいからだ」

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29少女と霞の森 ◆OPO1uqcrCU :2014/11/18(火) 22:43:57 ID:bWGe7J7s
「なあ」

「ナン……だ、どうせ連れてく、気ナンカ、ない癖に」

「その事なんだけどさ」

少女の、目が変わった。

少しの期待と、多くの不満を目で訴えてる。

「いつくか、俺との約束を守れるって言うなら連れてってやるよ」

そう言うと、呆気にとられた少女の口元が少しずつ吊り上がり始め、やがて目は見開いたまま口だけが笑っているという最高に気持ち悪い笑顔を浮かべた。

「気持ちワルっ」

またぶん殴られた。

口が滑ってしまった。

少女の顔から笑みが消え、頬を膨らませて「失礼ナ、奴め」と怒っている。

「その通りだ……すまん」

こういう時、菓子折りでも出せば許してくれるのだろうか。

こいつの場合は菓子折りの代わりにハンバーグとラーメンかな。

「フン…………まあ、イイ」

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30少女と霞の森 ◆OPO1uqcrCU :2014/11/19(水) 21:27:47 ID:RBip7.J2
「な、ナゼダ?!せ、専門店だゾ!ゆ、夢ト、美味い物、イッパイ、ある……!」

これまでにな程に取り乱し、俺の上から転げ落ちた少女は目をまん丸にして口を頬まで裂いて俺にしがみついてきた。

こいつ、俺が怪我した時もここまで動揺してなかっただろ!

「ダッテ、ハンバーグと、ラーメンダゾ?!」

「思考を読むんじゃねえ!」

まったく、こいつは自分の事ばっかり…………いや、俺も大概だな。

お互い自分の食欲と、心の隙間を満たす為に利用しているにすぎないのだから、自分の事ばっかりなのも仕方はあるまい。

「まあ、ちゃんと座れ。お茶飲め」

「ん…………」

少女はちょこんと可愛らしく正座して、湯呑に注いだお茶を一口啜って、ぷはぁとこれまた可愛らしく息を吐いた。

普段は偉そうな態度を取る癖に、時々子供っぽい事をするのが可愛らしく思う。

「落ち着いたか?」

「う、ウム……しかし、ナゼ、駄目なのダ?」

「まず、俺は無職だ」

「ソ、だな」

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31少女と霞の森 ◆OPO1uqcrCU :2014/11/20(木) 21:26:31 ID:EroYf02g
「まあ、ハンバーグとラーメン作るだけの金はまだあるから安心しろ」

それを聞いて、少女は安堵の表情をして「良カッた」と胸を撫で下ろす。

そんな彼女を見ながら、俺はスマホを操作して検索した画面を見せた。

「ムッ…………」

「森に行きたいんだろ?あちこちの森の情報だ、好きなの選べ」

スマホを渡すと、少女は慣れない手つきで画面を触ってみて、時々「あっ」と声を上げたりして可愛らしい。

ここに来てからも、スマホだけは一切触らせずに過ごさせてきたから、彼女にしてみればどうして触るだけで動くのかとても興味深いのだろう。

しばらくして、どうすればいいのか理解してきたらしくスラスラと指を滑らせていく。

そして。

「ココ……」

「んん?」

さっき俺がしたように、スマホの画面をこちらに向けて差し出してきた。

覗いてみると、そこには「富士」の文字。

「樹海か?」

「ソウ、とも言う」

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32少女と霞の森 ◆OPO1uqcrCU :2014/11/24(月) 20:25:01 ID:/7pm19y.
何日かして俺は少女の分も含めて準備を整え、その日を迎えた。

……なんてカッコいい言い方をしても、気分的には散歩の延長線でしかないが。

「ほら、ちゃんと靴履けよ」

「ウム」

そう言いながらも、少女はいつもの履き慣れないスニーカーに悪戦苦闘し、結局俺が紐を結んでやった。

今日の少女はTシャツにジーパンといつもより、動きやすい服を着ていた。

他の服のようにいつの間にか少女が手に入れていた物ではなく、この日に向けて一緒に選んだものだ。

靴を履いた少女は最後に、服と一緒に買った帽子をかぶると、にかっと笑った。

口が頬まで開かなければ可愛らしいのだが……

「行く、ゾ」

「はいはい」

駅までの道のりで、ラーメン屋を見かける度少女は、涎を垂らしそうな程にガン見したりしていて危うく転びそうになったりしていた。

「そんなに食いたいのか?」

全力で上下に何度も頭を振る。

長めの髪がそれに合わせて、あたかみ鞭みたいな動きをしていた。

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33少女と霞の森 ◆OPO1uqcrCU :2014/11/24(月) 21:33:26 ID:/7pm19y.
駅について、まず驚いたのは少女が意外とリアクションが少ないという事だ。

こいつの事だ、「凄い凄い!」だの「これが……駅……!」とテンションが上がると思っていたのだが……

さすがに前みたいに、なんでもかんでも目新しいという訳ではないか。

「イヤ、カンドーしすぎて、言葉が、出ナイ、のだ」

「また心を読んだな?!その能力、なんかに使えないのか?!」

「何の……事、ダ……?」

こいつ……自覚してない?!

だとしたら、部屋でゆくゆく妄想もできねーぞ?!

やべえよ、俺はこいつに初めて命とは別種の危険を感じたかもしれない。

しかし確証はない、試しに今ここであいつの悪口を思い浮かべてみよう。

ニート、寄生虫、ヒモ、大食らい、我儘…………駄目だ、あまり思いつかない上にいくつか俺も該当していて胸が痛い。

「?何シテ、いる?早く、行こう」

「あ、ああ……切符買うか」

券売機に向かい、千円札を入れ、少女の外見的な事も考えて大人二枚を買い、お釣りから二百円ほど先に手に取って、少女に渡した。

「?」

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34少女と霞の森 ◆OPO1uqcrCU :2014/11/25(火) 23:05:59 ID:trwZnWn.
電車の中は、大変だった。

席には座れたが、今度は少女が外の風景に目を輝かせているだけならまだしも、テンションが上がったのかやたら動き回る為、注意と周りの人たちへの謝罪の連続だった。

「まったく、お前な……大人しく座ってろって言ったろ」

「ダガ、景色が動く、ノガ、あんな面白いとは、思わなかっタ」

「それはそうかもだけどなぁ…………」

「貴様は楽しく、ナイ、のか?」

「……楽しいさ」

「ムウ、何ダカ、怪しー言い方だな」

「別に誤魔化したりなんかしてないさ」

俺なんかよりずっと外で生きていた筈のお前には俺たち人間社会の事なんて、他愛もない事なのだろうと思っていた。

でもこいつは、初めての事を全て楽しんでいる。

初めてテレビゲームをした時も、初めて公園の子供たちに混じって野球の真似事に興じた時も、ハンバーグを初めて食べた時も、俺の痛みを喰った時も……

体験する事全てが新鮮で、楽しくて、面白くて仕方ないのだろう。

でもどうしてなのかは……わからない。

『次の停車駅は、河口湖駅〜お降りの…………』

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35晒すスレの者 ◆iJwtISSDjM :2014/11/25(火) 23:40:10 ID:5OIJXjjU
ふむ、ここまで読んだぜ
相変わらずいい設定だな。主人公と少女の微妙な関係もほほえましい。
ただ少しなんだろう、見たことある感じはあるかなとは思った。


36少女と霞の森 ◆OPO1uqcrCU :2014/11/25(火) 23:42:35 ID:trwZnWn.
「らっしゃい」

「あ、醤油ラーメンと……」

「この、チャーシュー麺ヲ、固麺で大盛り、アト……味玉、二つ、ツケテ、ほしい」

「あいよ」

カウンター席に並んで座り、出された水を軽く口に含む。

どうして店で出される水はこんなに美味いと感じるんだろうか。

少女に至っては、置かれてるラー油を水に放り込んで飲んでるがそういう使い方じゃねえだろ。

ラー油の水割りなんていう、飲み物良く思いつくな……俺ならまずやらないぞ。

「…………美味いのか、それ…………」

「美味い、ゾ」

「そう…………」

「飲むか?」

「いらん」

「残念……」

そんな会話をしている内にも、俺の醤油ラーメンが先に運ばれてきた。

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37鎧カリバー ◆OPO1uqcrCU :2014/11/25(火) 23:44:59 ID:trwZnWn.
>>35
俺も書きながら思ってる

なんか、どっかで見たような感じだな〜って…………たぶん想像力の限界だ、許せ


38少女と霞の森 ◆OPO1uqcrCU :2014/12/03(水) 22:50:47 ID:jxSNP7AU
ラーメン店を出てから、更にバスに乗ってようやく樹海の入り口についた頃には、少女は欠伸を繰り返すようになっていた。

「疲れたのか?」

「馬鹿、言うナ、退屈なだけだ」

「あっそうですか」

「ナンカ……腹立つ、ナ」

「別にいいだろ、ほら行くぞ。お前が来たいって言ったんだろうが」

「ウム」

少女と並んで、他の遊覧客に混じって遊歩道に入ると、案外少女は大人しく俺についてきた。

来る前のワクワクした目ではなかった。

なんとなく退屈そうというか、期待したほどのものでもなかったという感じか。

「どうした?」

「ウン…………」

「思ってたのとは違うか?」

「ウム…………」

やっぱり、樹海はもっとうっそうと木々が生い茂った密林のような所を想像していたのだろう。

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39少女と霞の森 ◆OPO1uqcrCU :2014/12/08(月) 22:43:18 ID:hmZKasWQ
遊歩道から外れて森の中に足を踏み入れ、200mも歩けばもう遊歩道の様子も見えなくなった。

森の中は、前後左右同じような光景が広がり、一度入ったら二度と出られないなんていう噂もあながち嘘ではないのかもしれないと思ったりもした。

そして、やはり森の中は歩きにくい。
 
草木が生え放題なのもあるが、妙に水を含んだ半ば泥のような土やむき出しとなった木の根が、歩き辛くしているのだ。

しかし、歩き辛くてもたついている間にも、少女はぐんぐん前へ進んでいく。

草や根なんてないかのような、軽快な足取りだ。

「何、シテル?早くこい」

「そんな事言われたってなぁ……歩き辛いんだよ!」

「情け、ナイ、な、人間」

「うるせえ!お前が勝手に、森の中に入るからだろ!」

「ムゥ……匂いが、スル、のだから仕方、ナイ」

「犬かよ」

「竜、ダ」

「それはわかってる」

「ソカ……」

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