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二次キャラ聖杯戦争OZ Re:visited

261◆A1Sj87dFpOM:2022/10/07(金) 21:33:02 ID:???0


 ◇ ◇ ◇


十分後、礼拝堂には元通り服や下着等を全て着直したリリアとそのサーヴァントのマホロア、そして言峰綺礼の姿がそこにはあった。
幸いなことにリリア、マホロアと一緒にリリアが脱ぎ散らかした服、下着、それに靴や靴下やリボン、リリア自身が持ち込んだ透明薬残り9本とサーヴァントカードに変化したセイントグラフ、予選開始時にリリアに支給されたスマートフォン型の端末等、それら全てが礼拝堂に転送され、床に散乱する形で配置されていたためリリアはそれらを全て回収することが出来た。
勿論着替えている間はマホロアも言峰も一時退室させていたが。

言峰はリリアに率直な感想を述べる。
「しかし驚いたな。私は今まで監督役として幾人ものマスターを見てきたが全裸で予選を突破したものは君が初めてだ。」
「あの時はああするしかなかったからしょうがないでしょ!!」
言峰の感想にリリアは顔を赤らめて頬を膨らませ、マホロアはクックックと笑いながらその様子を楽しそうに眺めている。
「まあそれはさておき、君は聖杯戦争のことについて何も知らないであろう。監督役として私から君に教えられる限りのことを話すからとりあえず話だけでも聞きたまえ。」
そう言うと言峰はリリアに聖杯戦争の説明をゆっくりと始めた。

聖杯によって選ばれた参加者であるマスターとそのサーヴァントが生き残りをかけて戦うということ。
聖杯はどんな願いでも叶える願望機であり、手に入れられればありとあらゆる願いを叶えることが可能だということ。
そして聖杯にアクセスするためには令呪の存在が必要不可欠であり、3画全て失えば失格となるということ。

「……以上だ。他に何か質問はあるかな?」
「……荒唐無稽、としか言いようがないわね。」
リリアは言峰の話を聞いても素直に信じる気にはなれなかった。宇宙を創造したり世界すら作り変えたりするような聖遺物なんてそんなの仮にプラチナスクエアの魔導師たちが力を合わせたとしても作り上げるなんてことは不可能だ。
当の言峰も、「納得できなくて無理もない」という反応を示している。

「でも、ボクは『聖杯』はチャンと存在すると思うナァ。」
その時、リリアと言峰の会話に割り込む者がいた。今まで両者の会話を黙って聞いていたマホロアである。
「何であんたはそう思うのよ?」
「ボクの故郷はネ、『ハルカンドラ』って言う所なんだケド、今は滅びてしまッテいるんだけド、大昔にはとても高度な文明が栄えてイテ、そこで『聖杯』に匹敵するホドの数多くの聖遺物が作り出されたんダァ。」

マホロアはリリアにハルカンドラで生み出された数々の聖遺物の話を語った。
夢を生み出す不思議な杖「スターロッド」、呼び出した者の願いを叶える機械仕掛けの大彗星「ギャラクティック・ノヴァ」、映し出された願いを叶える神聖な鏡「ディメンションミラー」、心を持ち異空間を通ることで遠い場所まで移動することが出来戦闘能力を備える天かける船「ローア」、手に入れた者に無限の力を与える秘宝「マスタークラウン」。
どれも『聖杯』に迫る、もしくは匹敵しかねないほどの強大な力を秘めたアイテム達であり、それらの存在を知っており一部を所持すらしているマホロアにとって『聖杯』は荒唐無稽な夢物語ではなく実在するものだとマホロアはリリアに強く力説した。

リリアは最初、マホロアがリリアを聖杯戦争に参加させるためにでっち上げの作り話をしていると考えたのだが先ほどのシャドウ戦で見せたマホロアの圧倒的強さからそれらの力の一端に触れているというのもあながち嘘ではないと考える。
だがそれでもリリアは聖杯戦争に参加するかどうかは迷っていた。
「あらゆる願いを叶える願望機」なんて例えプラチナスクエアクラスの魔導師ですら喉から手が出るほど欲しがるようなとんでもない代物であり、そんなものを一介の見習い魔導師である自分が手に入れるなんて元の世界にいた頃に周りの人間に言おうもんなら「夢物語」と一蹴されるような事であり、それが現実として目の前にあるというのは非常に魅力的な案件であると言えた。

だがそのために自分以外のマスター、つまり他人を殺すことにはリリアは強い抵抗感があった。
彼女は聖杯戦争に参加する前、自らの研究、欲望のために5人の犠牲者を出し、ヴェルメイを暴走させアルトを一度は死に至らしめたオブシディアン先生のことを思い出していた。
最終的に5人の犠牲者は昏睡状態から回復し、アルトもヴェルメイと命を共有する形で助かったものの、他人を犠牲にして願いを叶える願望機を手に入れるなんてそんなことをしたら自分もオブシディアン先生と同じ穴の狢になってしまうのではと考えたのだ。

262◆A1Sj87dFpOM:2022/10/07(金) 21:34:08 ID:???0
「オヤオヤァ?随分と悩んでいるようだネェ?こんな機会を逃したら2度とチャンスは巡ってこないと思うケドォ?」
「うっさいわね!参加するかどうか決めるのは私なんだからあんたは黙ってなさい!」
そう、あくまで聖杯戦争に参加するかどうか決めるのはマスターであり、サーヴァントには決定権はない。だからマスターが不参加の意向を示せばサーヴァントがいくら参加したがっても参加することは出来ないのだ。
だがそれを承知の上でマホロアはリリアにアドバイスを与える。
「……マア、ボクに決定権は無いからネ、最終的に決めるのはキミだけどキミにアドバイスを送るコト位は出来るヨォ。……キミ、誰かを殺すことに対して強い抵抗感があっテ、それで参加するかどうか迷ってるンデショ?」
「!?な、何であんたにそんなことが分かるのよ!?」
マホロアに図星をつかれたリリアはマホロアに問いかけるがマホロアはリリアを無視して言峰の方を向き、言峰に質問をする。

「ネェ、言峰神父ゥ?マスターは絶対に殺さなきゃダメなのカイ?ソレトモマスターを殺さないで聖杯を手に入れることは可能ナノカナ?」
マホロアの問いに対し言峰は回答する。
「……結論から言ってしまえばマスターを殺さなければならないという決まりはない。聖杯に触れられるのは霊体であるサーヴァントのみ、マスターが生存していてもサーヴァントが失われればその時点で失格となる。」
「ワァオ!ヨカッタねえリリア!マスターの命を奪わなくても良いってサ!」

ただし、と言峰はリリアとマホロアに忠告する。
「サーヴァントを失い失格となったとしてもマスターはその時点で脱落するわけでは無い。他のサーヴァントを奪うか、もしくは主を失ったはぐれサーヴァントと再契約すれば復帰することも可能となる。つまりサーヴァントを失ったからと言ってそのマスターが何もできず完全に無力化する訳では無い。」
それに、と言峰は更に付け加えるように忠告する。

「サーヴァントは同じサーヴァントを以てしても倒すことは難しい。だからこそマスターを狙って潰すのが聖杯戦争におけるセオリーだ。君たちのやり方ではこの聖杯戦争を勝ち抜くことは難しいだろう。その上でよく考えて決めたまえ。」
言峰の言葉にリリアは思案する。
確かにリリアが手も足も出なかったシャドウをマホロアは何の苦も無く倒して見せた。
それほどまでにマスターとサーヴァントには絶対的な力の差があるということだ。
そしてそれは他のマスターとサーヴァントにも同じことが言えるだろう。
悩むリリアに対し、マホロアは彼女の耳元に近づき、囁きかける。

「ダァ〜イジョウブだって。ボクの強さはミタダロ?他のマスター連中だってボク程の当たりサーヴァントと都合よく組めている訳ないサ。上手く立ち回れば絶対勝てるッテ。」
それに、とマホロアは更に言葉を付け加える。
「サーヴァントはオリジナルはトックに死んでいて聖杯戦争で出てくるのは『座』と呼ばれる所から召喚されたコピーみたいなもので死んでもただ『座』に帰るだけなんだッテ。ダカラサーヴァントを殺してもそんなに気に病む必要はナイヨォ。」
そして最後にマホロアはこう言葉を付け加える。
「ソレトモ……キミは折角のチャンスをフイにして後悔しながら生きていくのカナ?」
「!?」

マホロアの言葉にリリアはアルトがヴェルメイを召喚してからの出来事を思い出していた。
元々ヴェルメイはアルトが使い魔を召喚出来ず留年の危機に瀕していた際、偶然発見した召喚魔術の本を使って召喚した使い魔で最初、授業中にも関わらずアルトとイチャイチャしている彼女が気に入らず彼女に決闘を申し込んだのだが手も足も出ずに敗北、力の差を思い知らされていた。
その後も特別試験で自身が魔獣ケルベロスに襲われそうになった際、ヴェルメイが圧倒的な力でケルベロスを倒したこと、アルトが自身よりずっと格上のゴールドスクエアに決闘試合を挑み、ヴェルメイとのコンビネーションで勝利したこと、それらを傍らで見ているたびにアルトが雲の上の存在になってしまったのではと感じていた。

263◆A1Sj87dFpOM:2022/10/07(金) 21:35:03 ID:???0
そしてオブシディアン先生が本性を現しヴェルメイに薬を打ち込みそれが原因でヴェルメイが暴走、先生を殺そうとしてそれを庇ったアルトが命を落とした時も、ヴェルメイが自身に従わず逆上した先生が化け物に変貌して襲いかかってきたときも、ヴェルメイに敵わないと判断した先生が逃亡しようとした時も、自身も現場に居合わせていたにも関わらず、何も出来ずにただ怯えて事態を傍観するしかなかった自分の無力さを呪ったりしたものだ。

だがアルトがヴェルメイと使い魔の契約を結んでからあれほどの活躍を見せたように、自身もこのマホロアと契約し使い魔にすることが出来ればどうだろうか?
あれほどの強さを見せたマホロアを使い魔にすることが出来たならばアルトと肩を並べることも、今までは憧れでしかなかったプラチナスクエアの魔導師になることも夢ではないかもしれない。
ついでにヴェルメイにあの時の決闘試合のリベンジを申し込み、雪辱を果たすことが出来るのであれば言うことなしであった。

決意を固めたリリアは言峰の方を向き、はっきりと宣言する。

「分かったわよ……その聖杯戦争に私も参加してやるわ!!」
「ワァオ!!分かってくれたんダネェ!!」
「フッ……いいだろう。」

リリアの宣言を聞いてマホロアは大袈裟に喜び、言峰は勝ち誇った表情を浮かべる。
「リリア・クーデルフェイト。君の参戦を聞き入れた。聖杯は君を歓迎するだろう。」
言峰がリリアに祝辞の言葉を述べるとリリアは言峰に確認を取る。
「説明はこれで終わり?」
「細かいルールは端末のヘルプで参照できるが、何か質問はあるかな?」
「ないわよ。もうあなたからは十分すぎるほど話は聞けたしね。もう用が無いなら失礼させてもらうわ。」
「フッ……素直じゃないな。」
リリアは言峰に背を向けるとマホロアを連れて教会の出入り口である扉を開き、両者ともに教会を後にする。
その背後で────。

「────喜べ少女よ。君の願いは、ようやく叶う。」

言峰は立ち去るリリアの背中に言葉を投げかけるがリリアはその言葉に立ち止まることも振り返ることもなかった。


◇   ◇   ◇


時刻は誰もが寝静まった深夜1時、C―5地区の月海原学園 初等部。
日中は学校に通う生徒や先生で賑わうこの学園も、現在では生徒、先生共々既に帰宅しており、学園は夜の静寂に包まれていた。
そんな学園の屋外に設営された授業用のプールから金網一つを隔てた外の道路に、リリア・クーデルフェイトは手ぶらで訪れていた。

厳密には使い魔のセルフィードとサーヴァントのマホロアを引き連れて来ていたのだがリリアがこれから行うことを他の人間に見られたら非常にまずいことになるため、彼らにはこの周辺やプールの近くに誰かいないかチェックし、もし仮に誰か近づいてきたらすぐにリリアに知らせるための見張り役を頼んでいるため、リリアの目の届く範囲に両者の姿はなかった。
最も他の人間に見られたら非常にまずいことといってもリリアがこれから行うことは学校の金銭や物品を盗むような窃盗行為や学校の施設や備品を壊すような破壊行為では断じてなく、リリア自身もそのような行為を行うつもりは決してなかった。

リリアは金網に手を掛けて金網をよじ登り、金網の頂きに立つとケガをしないようにプールサイドにゆっくりと降りてプールサイドに立つと、周囲に誰かいないか確認するために辺りを見渡し、今度こそ誰もいないことを確認するとおもむろに着ている制服のリボンに手を掛ける。

264◆A1Sj87dFpOM:2022/10/07(金) 21:35:46 ID:???0
「はぁ……こんな事しちゃいけないって分かってるけど……別にいいわよね。見られなきゃ裸じゃないし誰かに迷惑がかかるようなことをする訳じゃないんだから。」
そう、リリアがこれから行おうとしていることは「夜の誰もいないプールを全裸で泳ぐ」ことであった。元々リリアは特別試験の時に自身が調合した透明薬が飲んだ者の服や下着等を透明にすることが出来ないことに気付き、実際に全裸になって非常に恥ずかしかったため、それに慣れるために誰もいない場所で全裸になる訓練をしていた所、それが癖になってしまい今では時々ストレス解消のために誰もいない時間と場所を見つけては全裸になることを密かに繰り返していた。

それにリリアは以前寮の警備を掻い潜るために透明薬を飲んで全裸になって男子寮に潜入し、合鍵を使ってアルトの部屋に無断侵入したことがあるため、こういった行為に対する罪悪感が薄いという側面もあった。
リリアは慣れた手つきで靴や靴下、着ていた制服を脱いで下着姿になると躊躇することなく下着まで脱いで一糸纏わぬ全裸となる。

そして脱いだ制服や下着等を一か所に纏めると大きな音を立てないように静かにプールの中に入り、壁を蹴ってゆっくりと泳ぎ始めた。
(裸で水の中を泳ぐのって気持ちいい……まるで人魚になったみたい……)
彼女は全身で水を感じながら泳ぐというより、まるで水と戯れるかのようにプールを一周し、やがてプールの真ん中にくると体を水にあずけるかのように仰向けになって水面に浮かび、夜の星空を眺める。

「きれい……」
そう思わず呟いてしまうほど綺麗な星空を眺めながら、リリアは聖杯戦争及びマホロアのことについて考えていた。
マホロアの口車に乗せられて勢いで参加を表明したものの、実を言うと彼女には未だに聖杯戦争に対する不安が残っていた。

オブシディアン先生は確かに自身の欲望のために5人の犠牲者を出し、ヴェルメイを暴走させて従わせようとし、異形の怪物にまで成り下がった外道であることには違いないが、彼とて最初からそうだったわけではなく、その場の感情でゴールドスクエアに決闘試合を申し込んだアルトを心配してたしなめ、ヴェルメイとの関係に悩むアルトの相談に乗ってあげるなど本性を現す前は「いい先生」であることは間違いなかった。今にして思えばあれは自身の本性を隠すための仮面だったのであろうがではもし彼が最初からクソ外道というわけではなく、悪魔の力に魅入られる前は今まで自分たちに見せていた「いい先生」としての顔が本当の物だったとしたら?誘惑に負けて道を踏み外してしまったのだとしたら自身もまたオブシディアン先生と同じ道を歩む可能性がリリアの頭の中をよぎっていた。

最初はマスターを殺さない不殺主義を貫いていても聖杯を手に入れたいという誘惑に負け、他のマスターの命を奪うようになっていったら自身もオブシディアン先生と何も変わらなくなってしまうのではないかという不安が確かにあった。
それに自身のサーヴァントであるマホロアに対しても、心の中では彼を完全に信用してはいけないという気持ちもあった。
確かに彼が語ったハルカンドラ文明の遺産の話はリリアにとっては聖杯同様荒唐無稽な話であったが彼がシャドウを倒したときに見せた圧倒的な力のことを考えると「それらの力の一端に触れた」というのもあながち嘘ではないと思えていた。
だが彼からはどこか、オブシディアン先生と同じ『嘘』の匂いが感じられる気がするのだ。普段の言動の胡散臭さもそうだが、自身を巧みに聖杯戦争への参加へと誘導した彼の口のうまさは、まるでそれだけで世の中を渡り歩いて来たのではないかと思えるほどの巧みさがあったのだ。

「……まっ、万が一の場合でもこの令呪があれば大丈夫よねきっと。」
リリアは右手をあげ手の甲にある令呪をじっと見つめた。令呪とは聖杯戦争の参加者であるマスターに3画配布される自身のサーヴァントに対する絶対命令権であり、これを使って命令すればその命令にサーヴァントは基本的に逆らうことは出来ず、絶対服従するしか出来なくなるため、これがある限りマホロアが自身に危害を加えることは出来ないとリリアは考えていた。

「……これ以上ここに留まっているとそろそろマズいわね……」
色々考えたいこともまだまだあったがこれ以上ここに留まって誰か人が来たら色々と面倒なことになるとリリアは考えたため、彼女はプールから出ると脱いだ下着や服等を着直し、再び金網を乗り越えてマホロアとセルフィードを迎えに行くのであった……

265◆A1Sj87dFpOM:2022/10/07(金) 21:37:00 ID:???0
リリアが全裸でプールを泳いでいるその頃、見張りを言いつけられたマホロアは夜空を眺めながら自身のマスターのことを考えていた。
「……ナーンカ変な子がボクのマスターになっちゃったなあホント。」
マホロアの住んでいた世界では服を着ている種族と服を着ていない種族が当たり前のように混在して生活している世界ではあったのだが、彼女と初めて会ったとき全裸姿だったのは流石にギョッとしたものだ。彼女はやむを得ない事故だと主張しているが今現在も全裸で夜のプールを泳ぎ、自身に見張りを頼むあたり、やはり彼女は露出願望のある痴女なのではとマホロアは考えていた。

「……マッ、ボクの口車に簡単に乗せられちゃうような単純な性格だったのはタスカッタケドネ。」
正直マホロアは彼女が聖杯戦争を降りて自身の世界に帰ると言い出したらどうしようかと思っていた。
聖杯戦争に参加するかどうかの決定権はマスターにあり、サーヴァントが参加したいかどうかは関係ない。更に予選期間の間中は聖杯戦争に参加しないことを選択したマスターは自由に元の世界に帰還することが出来た。
だからといって無理に引き留めようにもマスターには令呪があるし、仮に万が一にもマスターを殺してしまった場合は、マホロアの場合は「単独行動」のスキルがあるとはいえ新たなマスターを見つけられる保証はないため出来れば最初に契約したマスターを上手く言い包めて参加してもらったほうがマホロアにとってはリスクが少ないと考えたからだ。

「……それにしても彼女も可哀想だネェ、ボクみたいな『嘘吐き』が自分のサーヴァントだなんてサ。」
リリアは聖杯にかける望みとして「自身のサーヴァントであるマホロアを自分の世界に連れて帰って使い魔にする」とマホロアに語っていた。それに対しマホロアは「ワァオ!!それは素晴らしい願いダネェ!頑張って優勝してその願いが叶うとイイネェ!!」と言ったがそれは勿論嘘だ。
マホロアは自由人であり誰かの下に就くなんてことが嫌いな性格なため、リリアの願いが叶うなんてことは真っ平御免だった。
そのためこの聖杯戦争の優勝が確定した瞬間、マホロアはリリアを始末し、聖杯に自分の願いだけを叶えてもらうつもりであった。

マホロアの願い、それは「マホロアが最初から全世界、全宇宙ありとあらゆる全ての支配者であり、それを全ての存在が当たり前の常識として受け入れておりそれを誰一人として疑問にも思わない」世界を作り上げることであった。
マホロアは以前カービィ達を騙してランディアを倒させマスタークラウンを手に入れ、マスタークラウンから無限の力を手に入れ全宇宙の支配者になろうとカービィに戦いを挑んで敗れ去ったことがあった。

その戦いで「力のみを頼って支配しようとしてもより大きな力によって敗れ去る」ことを学んだマホロアは『力』ではなく自らのアイデンティティである『嘘』で全てを支配しようと考えたのだ。
この聖杯戦争で優勝者に与えられる聖杯には世界の法則、常識、事実それら全てを改変して使用者の願いを叶える力があるとマホロアは言峰から聞いていた。
更に望むのであれば手に入れた者の思うがままに世界を動かし、欲望を全て叶える事も可能だということも。
ならばその聖杯の力でマホロア自身が最初からありとあらゆるすべての存在の支配者であり、それを誰一人として疑問に思わず、全ての存在がそれを受け入れた世界に改変するつもりであった。

マホロアは生まれたときから今までずっと嘘を付きつづけて生きてきた。ついたあだ名が「虚言の魔術師」であり嘘そのものが彼のアイデンティティであり誇りでもあった。
自身のサーヴァントとしての表向きのクラスである「キャスター」だって彼の本当のクラスではなく、本当のクラスは通常の7つのクラスとは別の『エクストラクラス』と呼ばれる特殊なクラスなのであるが、今の時点ではマホロアはそれを明かすつもりはなく、表向きのクラスである「キャスター」で通すつもりでいた。
ただ、彼自身もカービィ達との間に友情を全く感じなかったわけではなく、ジャマハート騒動の時にはカービィ達と共闘して三魔官やハイネス、復活した破神エンデ・ニルと戦ったり、その後デデデ大王とメタナイトがタッグを組んで「バディファイターズタワー」という塔を建てカービィに挑んだ時にはカービィとタッグを組んでデデデ大王とメタナイトのタッグと戦ったりしたこともあった。
……最も、今でも宇宙の支配者となる野心をまだ捨てたわけでは無いし、現段階ではマスターであるリリアにカービィ達に対するような友情の気持ちを持ってはいないが。

266◆A1Sj87dFpOM:2022/10/07(金) 21:37:48 ID:???0
それでもカービィ達と共闘した今でも『嘘』は彼にとって自身の全てであり、嘘をつくことをやめて『虚言の魔術師』の名前を返上してしまったら自身のアイデンティティそのものを全否定するような気がしていた。
だから聖杯に願って「力による支配」ではなく「嘘による支配」をマホロアは成し遂げるつもりでいた。マホロアが全世界、全宇宙全ての支配者であることが常識であり、それをカービィでさえ全く疑問にも思わないような、そんな力づくではなく嘘で成し遂げられた支配を。

「……ボクはどこまでいっても、噓吐きなんだよナァ。」
最も、カービィ達との共闘で力を合わせる事の大切さを学んだマホロアにとって、他のマスターやサーヴァント達を敵に回して袋叩きにあうことは何としても避けたいことだったので、聖杯戦争中は自身に友好的に接してくるマスターやサーヴァントには友好的なふりをして協力関係を結び、有利な陣営を見定めて上手く立ち回るつもりでいた。自身の優勝が確定するその瞬間まで。

「……オット、そろそろボクの『ご主人様』がボクを呼びに来た見たいダ。そろそろ行かないとネ。」
色々考えている内にリリアは既にプールからあがったのであろう。リリアがマホロアを呼ぶ声がしてくる。
(クククッ、マアボクが優勝するその瞬間まで精々役に立ってくれよ『ご主人サマ』。)
マホロアはそんなことを考えながら自身を呼ぶリリアの元に向かうのであった……。

267◆A1Sj87dFpOM:2022/10/07(金) 21:39:30 ID:???0
【サーヴァント】


【クラス】
キャスター

【真名】
マホロア




























【真名熔解】

【真のクラス】
プリテンダー

【真の真名】
虚言の魔術師 マホロア

【出典】
星のカービィシリーズ

【性別】
不明

【ステータス】

筋力Ⅾ 耐久C 敏捷B+ 魔力EX 幸運 A 宝具 EX

【属性】
混沌・悪

【クラス別能力】
陣地作成:EX
魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。マホロアは独力で遊園地や図書館を建設しているためこのスキルを高いレベルで有する。

道具作成:A+
魔力を帯びた器具を作成できる。
マホロアはよろずやとしてジェムリンゴと引き換えに剣、ハンマー、フラスコ、杖といった武器やヘルム、メット、キャップ、ハットといった防具、体力や攻撃力を上げる薬や前述の武器のステータスを上げる書物などを作成可能。またそれらの武器や防具、薬や書物の作成はジェムリンゴでなくとも魔力を持った宝石など魔力さえ持っていれば他の物で代替可能と思われる。マホロア自身は上記のジェムリンゴを模した爆弾を自力で作成可能であり、戦闘時に武器として使用することもできる。

騎乗:A
幻獣・神獣ランクを除く全ての獣、乗り物を自在に操れる。マホロアは古代ハルカンドラ文明の遺産である天かける船「ローア」を自在に乗りこなせるためこのスキルを有する。

単独行動:EX
フェイカーのクラススキル。マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
 ランクEXならば、マスター不在でも長期間現界可能。
 ただし、宝具を最大出力の使用などの膨大な魔力を必要とする場合はマスターのバックアップが必要。プリテンダーのクラスがフェイカーと≒とされているため、マホロアもこのクラススキルを有している。

偽装工作:B
フェイカーのクラススキル。ステータス及びクラスを偽装する能力で、Bであれば、他のクラスやステータスを相手に見せる事も可能。プリテンダーのクラスがフェイカーと≒とされているため、単独行動同様マホロアもこのクラススキルを有している。

268◆A1Sj87dFpOM:2022/10/07(金) 21:40:12 ID:???0
【保有スキル】
高速詠唱:EX
魔術の詠唱を早める能力。神言ではないが、スキルとしての強さは神言すら凌駕しており、神言すら不可能な「無言かつ身振り一つで大魔術を発動させる」という行為を可能とする。
呪文・魔術回路の接続を必要とせず、詠唱の長さと威力が比例するという法則も適応外。
マホロアはこのスキルにより後述の宝具も含めた魔術全般を通常攻撃のようにタイムラグ無しで連発することが可能。

虚言の鼓舞:A+
都合のいい言葉で味方を鼓舞し、能力を向上させる。マホロアの虚言癖がスキルとなったもので、言葉巧みに味方を煽てることに長けていたことからこのスキルを有する。

商売人:B
プププ王国のよろずや店主及びダイヤモンド・タウンの薬の行商人としての功績がスキルとなっており、発動すると味方全体の魔力が回復するが代償として魔力を回復した味方全ての体力少しがマホロアに吸収される。本人曰く「アゲタんだから返してヨネェ」とのこと。

友情の誠意:A
イカサマタマゴであり、ドノツラフレンズであるマホロア。そんな彼でもカービィとの出会いで自らの心境に変化が訪れたのか、友情の在り方について考えるようになった。マスターが自身のマスターとして相応しくないと判断すればプリテンダーとしての本性を露わにし容赦なく裏切るが、マスターが彼と真の友情関係を結ぶことに成功し、マスターとして認めることに成功すればその誠意に応えるため決して裏切ることなくその力をマスターのために打算無しで振るう。


【宝具】
『ブラックホール』
ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:1〜30 最大捕捉:100人
頭上に自身と同じ大きさの魔法陣を作り出し、そこからブラックホールを発生させ敵を攻撃する。マホロアの目の届く範囲内であればすぐにブラックホールを発生させずに魔法陣を自由に移動させて発生場所を自由に決めることが出来、発生したブラックホールは低位の魔術や飛び道具等を吸い込んで無効化させることもできる。更にスキルによって一度使用した後すぐさま再使用が可能なため、通常攻撃のような感覚で気軽に使用できる。

『超・必殺剣(ウルトラソード)』
ランク:A 種別:対城宝具 レンジ:1〜80 最大補足:500人
自身の身の丈を遥かに超える紫色の巨大な大剣を召喚し、自身の前方を斬りはらう。斬撃の範囲は自身の真後ろを除く真上や真下を含めた前方広範囲で、更にブラックホール同様魔力消費も少なく、通常攻撃のような感覚で連発が可能なため、マホロアはこの宝具と上記のブラックホールを連発して手数で敵を圧倒する戦法を好む。

『天翔ける古代船(トベマホローア)』
ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:1〜99 最大捕捉:1000人
古代ハルカンドラ文明の遺産であり、マホロアの所有船であるローアを召喚し、前方に突撃させ体当たりで敵を粉砕する。ただし威力こそEXランク宝具相応の高威力なものの、マホロア単独でこの宝具を使用することは出来ず、呼び出したローアにマスターか同盟相手のサーヴァントを乗り込ませて操縦してもらわないと突撃すること自体出来ず、更にローアを呼び出している間はマホロア自身は隙だらけと非常に使い勝手が悪いため、マホロアは基本的にこの宝具を使用したがらず、専ら使い勝手のよい上記の『ブラックホール』や『超・必殺剣』で戦うことを好む。


【weapon】
手持ち武器は無し。マホロアは上記の宝具以外にも魔術師として多数の魔術を習得しており、魔力弾(連射可能であり魔力を込めることで巨大な火球を撃つことも可能)、杭ほどの太さの魔力の棘、自らに魔力の風を纏うことによる突進、魔力で生成した自身の体を包みこむ大きさのバリア、空中浮遊魔術、空間転移魔術を習得しており、戦闘時には上記の宝具以外にもこれらの魔術を駆使して戦う。

269◆A1Sj87dFpOM:2022/10/07(金) 21:41:04 ID:???0
【人物背景】
「星のカービィ」シリーズに登場する魔術師。初登場の「Wii」では本編開始前、ハルドラボ火山の地下の迷宮にてハルカンドラの遺産の宇宙船「ローア」を発掘しマスタークラウンを狙ってそれを守護していたランディアに挑むが返り討ちにあい、異空間ロードを通ってポップスターに命からがら逃走する。そしてポップスターで出会ったカービィ達一行に対し無垢な被害者のふりをして接触し、破損したローアのパーツとエナジースフィアの回収を依頼、そしてカービィ達がローアのパーツとエナジースフィアを全て回収するとそれを元にローアの修復に成功し、カービィ達と共にハルカンドラに戻るがランディアの迎撃にあい、カービィ達に嘘をついてランディアの退治を依頼する。そしてカービィ達がランディアの討伐に成功すると本性を現し、マスタークラウンの力で巨大な姿に変貌し自らの目的をカービィ達に明かすと全宇宙を支配すると宣言し異空間ロードに移動する。そして異空間ロードで自らを追ってきたカービィに対しローアを差し向けるが倒されてしまい、異空間でカービィと直接対決をするが一進一退の攻防の末、ウルトラソードの攻撃をくらい敗れるがその直後にマスタークラウンが暴走し第二形態へと変貌、カービィと死闘を繰り広げるが最終的には敗れ去る。
死亡したと思われていたが実は生存しており、その後の「大迷宮のトモダチを救え!」ではローアに乗ってカービィ達の元を訪れており、前述の一件があったにも関わらずカービィに「友達を救ってほしい」と依頼する厚顔無恥ぶりを発揮、当初はカービィ達に不審がられるがそれでもしつこく食い下がって懇願し、それに折れたカービィ達と共にディメンションミラーに突入するが終盤にまたしても本性を現しディメンションミラーを強奪、ディメンションミラーの力で巨大化し、カービィ達に襲いかかるがカービィ達の機転により敗れ去る。
そしてメタナイトに目的を明かすよう詰問されると「一緒に遊びたかった」「友達になりたかった」と自らの想いを吐露、同情したカービィに拘束を解かれると同時に逃亡、その際、カービィに「本当の友達になろう」と言葉をかけられ一瞬動揺するが結局逃亡する。
その後心境の変化があったのか「スターアライズ」ではドリームフレンズとしてカービィに力を貸しハイネス戦及びエンデ・ニル戦でカービィと共闘、「星のマホロア 心からのベストフレンズ」ではバルフレイナイトと戦闘しそれに勝利、「アナザーディメンションヒーローズ」ではカービィと共闘しダークサイドハイネス及び三魔官シスターズと死闘を繰り広げこれに勝利している。
その後の「カービィファイターズ2」でもカービィと共闘して「バディファイターズタワー」を攻略しデデデ大王とメタナイトのタッグと戦闘、最終的に「下弦のマスクド・デデデ」「上弦のマスクド・メタナイト」に変貌した彼らとの戦闘に勝利し彼らを正気に戻すことに成功している。
また商人としても活動しており、「カービィハンターズ」ではよろず屋の店主として、「無限の歯車」では薬の行商人としてカービィに武器や薬を販売したりしている。
当聖杯戦争では「スターアライズ」のドリームフレンズとして「かつてはカービィを騙し敵として立ち塞がったがその後心境が変化し、カービィの味方として共に共闘した」姿で召喚されており、腹黒い性格は相変わらずであるがマスター次第では平気で裏切る可能性も、上記のように「心からのベストフレンズ」として共に共闘できる可能性もどちらも孕んだ存在となっている。

【サーヴァントとしての願い】
マホロアが最初から全世界、全宇宙ありとあらゆる全ての支配者であり、それを全ての存在が当たり前の常識として受け入れておりそれを誰一人として疑問にも思わない、そんな嘘で支配された世界を創り、自身をその世界の支配者にしてほしい

【方針】
表向きはリリアの意向に賛同し、友好的に振る舞うが優勝が確定した瞬間に彼女を切り捨てる。有利な陣営を見定め、自身が有利になるように立ち回る。

270◆A1Sj87dFpOM:2022/10/07(金) 21:41:49 ID:???0
【把握媒体】
ゲーム「星のカービィ Wii」「カービィハンターズZ」「スーパーカービィハンターズ」「星のカービィ スターアライズ」「カービィファイターズ2」、小説「星のカービィ 大迷宮のトモダチを救え!の巻」「星のカービィ 結成!カービィハンターズZの巻」「星のカービィ スーパーカービィハンターズ大激闘!の巻」「星のカービィ 夢幻の歯車を探せ!」「星のカービィ 天駆ける船と虚言の魔術師」などをご参照ください。ゲームはプレイ動画及びムービーがYoutubeなどの動画サイトにUPされています。小説は現在書店にて絶賛発売中です。
Wiiのマホロアを知りたい場合はカービィWiiのプレイ動画及びムービー、及び小説の「星のカービィ 天駆ける船と虚言の魔術師」を重点的に、ドリームフレンズとしてのマホロアを知りたい場合は「スターアライズ」のマホロア関係のプレイ動画及びムービーを重点的に見た方がいいかもしれません。


【マスター】
リリア・クーデルフェイト

【出典】
金装のヴェルメイユ 〜崖っぷち魔術師は最強の厄災と魔法世界を突き進む〜

【性別】
女性

【能力・技能】
『使い魔 セルフィード』
リリアが契約した使い魔(サーヴァントとは別)で風の上級精霊。『召喚』の掛け声とともに呼び出され、リリア自身の魔法と合体させた合体魔法(名称不明。見た目はドラクエのバギ系統に似ている)で敵を攻撃する。
強さのほどは不明だがヴェルメイに上記の合体魔法で全くダメージを与えられなかったことと、特別試験においてケルベロスと直接戦おうとせず、後述の透明薬でやり過ごす選択を取ったことから、大して強くない可能性が高い。


【weapon】
「透明薬」
リリア自身が作成した試験管に入った緑色の薬。アルト曰く「卒業生でも作れる人が少ない高度な魔法薬」とのことでこの薬を飲むと全身が透明になり相手から視認されなくなる。ただし着ている服や下着等は透明にならずそのままなため完全な透明になるためには服や下着等を全て脱いで全裸にならなければならない。また音や匂い等は誤魔化せず、一定時間が過ぎると薬が切れて効果が解除されてしまう。当聖杯戦争においてはリリア自身が処分しようか悩んでいた10本の透明薬をそのまま持ち込んだまま参加したため、予選で消費した1本を除き、現在9本所持している。

271◆A1Sj87dFpOM:2022/10/07(金) 21:42:28 ID:???0
【人物背景】
王立オルティギア魔法学院の中等部2回生(初登場時1回生)の見習い魔導師で年齢はおそらく13〜14歳。主人公のアルト・ゴールドフィルドの幼馴染であり彼に強い恋心を抱いているため彼の使い魔となったヴェルメイのアルトに対する積極的なアプローチに嫉妬し、アルトに決闘を申し込むがヴェルメイに手も足も出ず敗北し、アルトとの約束で(表面上は)ヴェルメイと和解する。作中ではヴェルメイが規格外に強いため目立たないが高度な魔法薬である透明薬の作成に成功したり、2回生の成績優秀者3名の中の一人に選ばれているため、プラチナスクエアやゴールドスクエアの魔導師と比べれば強さが大幅に劣るだけで見習い魔導師の中では優秀な魔導師だと思われる。痴女である可能性があり、学年代表を決める特別試験に合格するため、番犬であるケルベロスを出し抜いて妖精の花を手に入れるため自身が作成した透明薬を飲んだ後、全裸にならなければ完全な透明になれないことに気づき、恥ずかしがりながらも全裸になってその身一つで妖精の花を手に入れようとしたり、課題にかこつけてアルトを誘惑するヴェルメイに怒り、正体を暴くため透明薬の性質を理解した上で透明薬を飲んで全裸になり男子寮のアルトの部屋に忍び込んだり、ブロンズスクエアの認定試験の試験勉強の際に薄着の興奮状態でアルトに詰め寄るなど、羞恥心が薄く全裸になることに対する抵抗意識が低いと思われる。その一方で前述の特別試験でケルベロスに襲われた自身を助けてくれたことに感謝し手に入れた妖精の花をアルトに譲ったり、ヴェルメイが悪魔であることを理解した上で落ち込むヴェルメイを叱咤激励し、アルトとヴェルメイの絆を理解して彼女の背中を押して自身はアルトから身を引くなど義理人情に厚い一面も持っている。

【マスターとしての願い】
自身のサーヴァントであるマホロアを元の世界に連れ帰って自身の使い魔にする。

【方針】
他のマスターを殺さず、サーヴァントだけを倒すことで優勝を狙う。マホロアのことを完全に信用はしない。

【ロール】
アカデミーの学生

【令呪の形・位置】
右手の甲にある

【把握媒体】
「金装のヴェルメイユ 〜崖っぷち魔術師は最強の厄災と魔法世界を突き進む〜」の漫画及びアニメなどをご参照ください。漫画は月刊少年ガンガンで連載中で単行本は現在6巻まで出ています。アニメはAmazon Prime Video、Abemaプレミアム、dアニメストアその他配信サイトで全編配信中です。

272◆A1Sj87dFpOM:2022/10/07(金) 21:45:50 ID:???0
以上で投下終了です。
タイトルは書いてませんが、候補作のタイトルは「嘘つきマホロアくんと裸のリリアちゃん」です。
何か不都合があればご指摘よろしくお願いいたします。

273◆A1Sj87dFpOM:2022/10/10(月) 15:08:14 ID:???0
本スレであるこちらに直接投下させていただきます。
何か不都合がございましたらご指摘よろしくお願いいたします。

274◆A1Sj87dFpOM:2022/10/10(月) 15:09:37 ID:???0
「ここは……、はっ、私もとうとう地獄行きかい。」

暗闇に星々が輝く宇宙のような空間の中、白銀の生地に天に昇る龍が金糸で刺繍されたチャイナドレスを着た老婆がいた。

彼女の名はカイレ、スレイン法国にて「真なる神器」と呼ばれる「傾城傾国」を任されるという大役を背負った人物であり、破滅の竜王の復活に対処するため護衛に漆黒聖典をつけて出撃した所、ヤツメウナギのような見た目をした未知のアンデットと遭遇し、隊長の指示で傾城傾国をアンデットに使用したものの、アンデットの反撃によって重傷を負い、必死の治療も虚しくそのまま死亡したはずなのだ。

彼女にはここに来た理由がまるで見当がつかなかったが思い当たる節が一つだけあった。
漆黒聖典の護衛の元で任務に向かう途中、先行していた第十二席次「天上天下」が虹色に光る金平糖のような形状の石を3つ発見し、回収したことがあったのだ。
最初は未知のマジックアイテムだと思い、第七席次「占星千里」の道具鑑定魔法で鑑定しようとしたのだが彼女でもどのようなマジックアイテムだったのか全く分からなかったため、とりあえず危険は無いと判断し3つとも自身が預かっていたのだがまさかあのマジックアイテムの効果でこの場所に転移したのでは……、とカイレの頭の中に様々な可能性が浮かび上がっていた。
その時、突如として声が虚空から響いてきた。

「半分正解で半分不正解だ。」
「!?だ、誰だい!?姿を見せな!!」
カイレは声の主を探して辺りを見回すがその姿を見ることは出来ない。高位の隠蔽魔法か伝達魔法でも使っているのか、カイレはそう考えつつも声の主はそんなカイレの様子を気にせず言葉を続ける。

「まずご老人。星晶石に導かれたというあなたの考え、そのことに関しては正解だ。
だが、ここは地獄では無い。寧ろ、蘇るチャンスを与えられた天国に近い場所。
例えるなら、「予選会場」という言い方が正しいだろうか。石はそのチケットみたいなものだ。
……だからあなたにはまず『予選』を勝ち抜いてもらわなければならない。」

「予選……?何だいそれは?」
カイレがそう問いかけたとき、突如としてカイレの目の前に円形の魔法陣が描き出され、そこから黒い人型の影のようなものが現れる。
「!?召喚魔法か!!」
カイレは目の前の現象には見覚えがあった。何故なら漆黒聖典の第五席次であるクアイエッセ・ハゼイア・クインティアが召喚魔法と召喚したモンスターの使役に特化したビーストテイマーであり、それ以外にも第三席次と第十一席次が召喚魔法を使うことが出来たため、彼らが召喚魔法を使うのを何度か見たことがあることからカイレは目の前の出来事が召喚魔法によるモンスターの召喚だと理解することが出来たのだ。

「察しが早いな。それは『シャドウ』というサーヴァントのなり損ないだ。彼を倒せば晴れて予選突破となる。」
「はあっ!?冗談じゃないよあたし一人でどうやって戦えと言うんだい!!」
男の言葉に対しカイレは抗議する。彼女は装備しているワールドアイテムを除けば全く戦闘能力を持たない老婆であり、だからこそ任務に就く際にはその弱点を補うために漆黒聖典の護衛を付ける必要があったのであるが今は漆黒聖典もいない彼女一人の状態である。
だがそんなカイレの抗議に答えるかのように男は言葉を続ける。
「安心したまえ。あなたの手にはあなたの代わりに戦う古今東西の英雄の写し身『サーヴァント』を召喚するために必要なカード『セイントグラフ』がある。」
「?ひょっとしてこれかい?」

275◆A1Sj87dFpOM:2022/10/10(月) 15:10:45 ID:???0
カイレは自分の手を見るといつの間にかトランプ程の大きさのカードがカイレの手の中に収められていた。
「シャドウはサーヴァントでしか倒すことが出来ない。そのセイントグラフでサーヴァントを召喚し、敵を倒したまえ。」
「……はっ、アタシもようやく要領というものが掴めてきたよ。」
実を言うとカイレも男の言う『セイントグラフ』と似た効果を持つマジックアイテムの存在を知っていた。

陽光聖典の隊長であるニグンがガゼフ・ストロノーフ抹殺の密命を帯びた際、神官長から『サモン・エンジェル・7th/第七位階天使召喚』が封じられたマジックアイテム「魔封じの水晶」を授かって出撃したことがあり、謎の魔法詠唱者と交戦した際に使用(結果は惨敗だったらしいが)したことをカイレは知っていた。
恐らくこの『セイントグラフ』というマジックアイテムは魔封じの水晶と同じ要領で使用するものだとカイレは認識していた。

だがそうこうしている間にシャドウは手にした弓に矢を番え始める。
カイレは手に持ったセイントグラフを掲げて叫んだ。
「来な、アタシのサーヴァント!我が声に応じ、目の前の敵を討ち滅ぼせ!!」
……だがそんな叫びも虚しく、セイントグラフは何の反応も示さなかった。
そしてそんなカイレの事情に構うことなく、シャドウは番えた矢をカイレの足に向かって射る。
「チクショウ!何でサーヴァントが召喚出来な……ぐあっ!」
射られた矢はカイレのゴボウのような足を貫通し、カイレはその痛みから膝をつく。

(何故召喚出来なかった!?……まさかあの男、アタシに嘘ついたっていうのかい!?それともこのマジックアイテムには何か発動条件があるとでもいうのか!?)
カイレはセイントグラフの発動条件が何なのか必死に思案したが、シャドウは再び弓に矢を番え、番えた矢をカイレのもう一方の足に向かって射る。
「ぐっ……」
射られた矢はカイレの足を貫通し、両足を矢で射られたカイレは痛みからその場でうずくまり、動けなくなる。

そしてシャドウは動けなくなったカイレにトドメを刺すべく、弓に矢を番え始めた。
(ははっ……あたしもここで終わりかい……)
カイレは自らの死を覚悟した。だがその時、カイレの脳内に謎のアンデットの攻撃を喰らった時の光景がフラッシュバックする。
(冗談じゃないよ……折角チャンスを掴んだんだ……何も出来ずにむざむざと死んでたまるかい……)
カイレの中にアンデットに対する強い怒りと憎しみの感情が燃え上がった時、手に持ったセイントグラフが妖しく光り始める。
(何より……あのアンデットに対してまだお礼参りもしてないからねぇ!!)
カイレの中の怒りと憎しみの感情が最高潮に達した瞬間、セイントグラフが宙を舞い、辺りは大きな光に包まれた。
その光にシャドウは攻撃を中断して後方へ下がる。

光が消え去った後、カイレとシャドウの間に巨大な怪物が現れていた。
その怪物は翼のない二足歩行の巨大なドラゴンのような姿をしていた。100メートルを優に超えるであろう巨体を持ち、体形こそ人間に酷似しているものの、全身銀色で口吻の短い竜のような頭部を持ち、四本指の手に長く強靭な四肢を持ち、背中には板状の背びれが生え長い尻尾を持っていた。

カイレは恐らく目の前の怪物が、自身が呼び出したサーヴァントであろうことを察する。
(……何だいこいつは?まさかアタシは竜王を召喚したとでも言うのかい?)
カイレは自身が召喚したサーヴァントの正体を考察していた。カイレが住んでいた世界は大昔は強大な力を誇るドラゴンたちが支配していた。だが500年前に現れた八欲王と呼ばれる存在によってドラゴン達のほとんどは倒され、現在では戦いに参加しなかった一部のドラゴンが生き残っているのみとされていた。

恐らく召喚したのは生き残った竜王の中の一体とカイレは考えたのだが、法国が存在を把握していたのは白金の竜王「ツァインドルクス=ヴァルシオン」を始めとしたアーグランド評議国の永久評議員の5匹の竜王、自身の任務に大きく関わっている破滅の竜王、既に滅んだとされている朽棺の竜王「キュアイーリム=ロスマルヴァ―」、地下の巨大な洞窟に籠っているとされている常闇の竜王、本国は死亡したと判断している吸血の竜王、竜王国の女王であるドラウディロン・オーリウクルスの曽祖父である七彩の竜王、詳細が不明な聖天の竜王と千刃の竜王、そしてツァインドルクス=ヴァルシオンの父親である竜帝であるが、目の前の怪物は法国の情報の中にあったそれらの竜王たちの特徴のどれにも合致しなかった。

276◆A1Sj87dFpOM:2022/10/10(月) 15:11:31 ID:???0
強いて言えばドラゴン・キンと呼ばれるドラゴン種が逆三角形の体格、人間とドラゴンを融合させたような骨格、大木のような尻尾を持った直立した翼のないドラゴンに似た容姿と目の前の怪物と合致した特徴を持っていたのだが、恐らくドラゴン・キンの中で突然変異で生まれた個体が力をつけ、竜王となったのが自身が召喚した怪物の正体であり、表舞台に出てこなかったため法国も存在を把握していなかったのだろうとカイレは考えていた。

「まあ、こいつの正体はどうでもいいさね。こいつの実力を見ればそれもハッキリすることさ。さっ、アンタは私が召喚したんだから私がご主人様だよ。まずは目の前のコイツを倒しな。」
……がカイレの指示に対し、怪物は微動だにもしなかった。
「?どうしたんだい?アタシの命令が聞こえなかったのかい?」
だが怪物は目の前のシャドウ……ではなく、カイレの方に振り向いてきた。

「!?おい!アンタは敵味方の区別もつかないのかい!?」
(くっ……仕方ないね、これを使うしか……)
攻撃される、そう判断したカイレは自身に装備されたワールドアイテム「傾城傾国」の使用を決断する。カイレが念じると傾城傾国に刺繍された龍が光り、そこから光の龍が飛び出し怪物に直撃する。
だがそれと、怪物が腕を振り上げカイレを叩き潰そうとしたのはほぼ同時だった。
そして怪物は振り上げた腕をカイレに向かって振り下ろし、カイレを叩き潰そうとする。

……が、振り下ろされた腕はカイレの眼前スレスレで停止していた。傾城傾国による洗脳支配がギリギリの所で間に合ったのである。
「……ふう、危ないところだったよ。傾城傾国が無かったらアタシは今頃ミンチになっていた所さね。」
カイレは自身の眼前にいる怪物を見上げる。怪物はカイレの指示があるまで待機状態に入っているのか、その場から微動だにもしなかった。
「兎に角、今度こそこれでアタシはアンタのご主人様だよ。さっ、まずは最初の命令を与えるよ。あの「シャドウ」とかいう黒い影みたいなやつを叩き潰しな。」
カイレの指示に反応したのか、怪物はシャドウの方に向き直ると左脚を振り上げる。

シャドウはその場から逃げ出そうとするがそれよりも早く怪物はシャドウに向かって左脚を振り下ろし、全体重を乗せて踏み潰す。
そしてシャドウが脚を上げるとそこにはシャドウの姿はなく、ただ消滅したということが伺えた。
「ふっ、どうやらこいつの実力は本物みたいだね。」
カイレは自らが呼び出したサーヴァントの実力に満足していた。

ドラゴン・キンは特殊能力をほとんど持っていないモンスターであるがその剛腕となかなか尽きない体力は上位モンスターに匹敵すると言われており、恐らくこの怪物も特殊能力の代わりに単純な体力とパワーを追及していった結果、それだけで竜王たちと同等、もしくはそれを凌駕する力を得た特殊個体であろうとカイレは推察していた。

制御できないという点は大きな欠点であったが、傾城傾国による洗脳支配が成功した以上、その点に関しては心配はいらないとカイレは判断していた。何故なら傾城傾国による洗脳支配を解除する方法はカイレが知る限りでは存在せず、サーヴァントそのものが消滅するかもしくは使用したカイレ自身が死ぬまで洗脳支配は有効であり、それまでこのサーヴァントは自身に忠実であり続けるだろうとカイレは考えていた。
しばらくすると、現在いる空間の明かりは消えていき、辺りは暗闇に覆われた。
徐々に光が構成されていき、風景らしきものが表示されていった。

晴れた先にあった施設は、素朴でありながらも広々とした礼拝堂であった。
室内にはサーヴァントはいない。背後のガラスの先には、召喚されたサーヴァントが見えている。
どうにも図体は礼拝堂に入りきらないと判断してか、外に分けられたということらしい。
「……はっ、召喚魔法の次は転移魔法かい。どうにもこの『聖杯戦争』の主催者とやらは高位の魔法詠唱者らしいね。」

277◆A1Sj87dFpOM:2022/10/10(月) 15:12:28 ID:???0
カイレは自身とサーヴァントに行使された魔法として「上位転移」の魔法の可能性を考えたのだが、「上位転移」は第七位階魔法であり、更にカイレの住んでいた世界では「逸脱者」ですら第六位階魔法の行使が限界であるため、恐らくこの聖杯戦争の主催者はかつての六大神や八欲王と同等、もしくは凌駕する力を持った高位の魔法詠唱者であろうとカイレは考えていた。

「────ようこそ、試練を乗り越えた聖杯戦争のマスターよ。」
「!?その声はさっきの!!」
突如としてカイレの耳に予選の時に聞こえてきた声と同じ声が聞こえてくる。
「私は、言峰綺礼。此度の聖杯戦争において監督役を務めている者だ。」
カイレが声が聞こえてきた方向を向くと、そこには背の高い神父のような服装をした男がいた。
カイレは男の外見から、恐らく第四席次「神聖呪歌」と同じ信仰系魔法詠唱者ではないかと考える。

「……あんた、魔法詠唱者だね?それも信仰系の。」
カイレの問いかけに対し、男はフッと笑うと、
「なに、私は魔術師としては平凡でね。治癒魔術こそ得意だがそれ以外の魔術は平凡な物しか使えない。……その代わりに八極拳やアンデット退散には精通しているつもりだが。」
「……やっぱりアンタは信仰系魔法詠唱者じゃないか。」
カイレは治癒魔術やアンデットに対する退散能力、近接格闘に精通していることから、恐らく言峰はクレリックの職を修めているのではないかと考える。

「さて、そろそろ解説に入りたいところだが……その前に、サーヴァントを霊体化してもらいたい。このまま立たされていても迷惑なのでな。」
「……霊体化?アタシが召喚したのはドラゴン系だろ?アストラル系でも無いのにどうしてそんなことが出来るんだい?」
カイレの疑問に対し、言峰は説明する。
「サーヴァントは実体を持った幽霊の類だ。意思によって物質的な肉体を分解し、物理的に消すことができる。」

言峰の説明に対し、カイレはサーヴァントの正体について考察する。カイレが知る限りでサーヴァントに近い特性を持つモンスターは60レベル程の強さを持つ上位アンデットのペイルライダーであるが、このモンスターは実体と非実体を使い分けることが出来、空を飛ぶこともできる厄介なアンデットであり、対処できるのは漆黒聖典でも神人である隊長か番外席次のみという強力なアンデットである。恐らくサーヴァントというのは死んだモンスターをアンデッド作成でペイルライダーの種族特性を持ったアストラル系のアンデッドとして蘇らせ使役させた存在なのであろうと思われた。で、あれば自身が召喚したサーヴァントの正体が何なのかも自ずと分かってくる。恐らく正体は過去に八欲王に戦いを挑み、敗北して死亡した竜王の中の一体なのであろうとカイレは考えていた。

カイレは試しに自身のサーヴァントに対し、霊体化の命令を与える。
すると怪物はカイレの命令を受けると体を非実体の霊体と化し、物理的に姿を消した。
「……驚いたね。あんたの言ったことは本当のようだ。」
「理解してもらえたかなミセス・カイレ。……さて、あなたのサーヴァントから聖杯戦争について聞くのは難しいだろう。代わりに私が聖杯戦争について一通りあなたに解説してあげよう。」
そしてカイレは言峰から聖杯戦争の説明を受けることとなった。

聖杯によって選ばれた(今回の場合は星晶石が招待状)参加者であるマスターとそのサーヴァントが生き残りをかけて戦うということ。
聖杯はどんな願いでも叶える願望機であり、手に入れられればありとあらゆる願いを叶えることが可能だということ。
そして聖杯にアクセスするためには令呪の存在が必要不可欠であり、3画全て失えば失格となるということ。

278◆A1Sj87dFpOM:2022/10/10(月) 15:13:26 ID:???0
「……成程。そして最後の一組になればその『聖杯』とやらが手に入るって訳かい。」
カイレは言峰の説明を聞き、ニヤリと口を歪める。
カイレが言峰の言う『聖杯』の存在を信じたのには理由があった。

スレイン法国では法国を建国した六大神とドラゴンの大半を殺し世界を支配した八欲王に関する伝承が数多く残されていた。現在自身が装備している「傾城傾国」も六大神が遺した「ワールドアイテム」と呼ばれる最高級のマジックアイテムであるが、六大神が伝え残した資料によると「ワールドアイテム」は傾城傾国以外にも複数存在しており、その中でも『二十』と呼ばれるものは世界そのものに影響を与えるほどの強大な力を持つとされ、かつて『始原の魔法』しか魔法が存在しなかった世界に位階魔法が広まったのは八欲王が『二十』を使用して世界の法則を歪め、『始原の魔法』が失われ世界中の人間やモンスターの間で使われる魔法として位階魔法を主流にさせたという文献があったからだ。

それに蘇生魔法でも蘇生が不可能だった自身をこうして蘇らせ、ワールドアイテムごとここに呼び寄せるなんてことは同じワールドアイテムでも不可能な事であり、『聖杯』が「二十」に匹敵、下手したらそれすら上回りかねない力を持つアイテムであることは明白であった。
そのことから世界の法則、常識、事実それら全てを改変して使用者の願いを叶える力を持つという言峰の話も眉唾ではないとカイレは考えていた。

「さてミセス・カイレ。あなたは死者だ。その魂だけがこの場に召し上げられている。聖杯戦争を辞退することも可能だがその場合魂は霧散し消滅する。よってあなたに与えられた選択肢は二つ、この聖杯戦争に勝ち残って最後の勝利者となって聖杯を手に入れるか、それとも自ら自決し命を断つか、さあどうする?」
言峰の問いに対しカイレは
「自決だって?冗談じゃないよ。」
そう即答するとカイレはニヤリと笑いながら、
「この聖杯戦争、アタシも乗ってやろうじゃないか。」
「ほう……」
カイレは聖杯戦争への参加を表明し、言峰は笑みを浮かべる。

カイレは聖杯に対し叶えたい願いがあった。カイレには自身を殺したアンデッドに対する強い怒りと憎しみの気持ちがあり、また法国周辺には人間種に害をなす亜人種や異形種が数多く存在していたため、自身の蘇生と共に現在自身が従えている竜王と共に元の世界に帰還、自身を殺したアンデッドに対する報復と、人間種に害をなす亜人種や異形種共の殲滅に自身が従えた竜王を用いるつもりでいた。
「では汝、自らの力を以って最強を証明せよ。奇跡を欲するならばな。」
「はっ、あんたには世話になったね。これで失礼させてもらうよ。付いてきな、ライダー。」
カイレは言峰に背を向け、教会の出入り口である扉を開き、礼拝堂を後にする。
その後ろをカイレの命を受けたサーヴァントである怪物がただ黙って随伴していった……


◇   ◇   ◇


ここは月海原学園の校長室、そこに一人の年老いた女性がいた。カイレである。
彼女に与えられたロールは『月海原学園の校長先生』であり、表向きは生徒思いの優しい校長先生として振る舞っていた。
カイレはおもむろに部屋の奥にある校長のみが座ることを許された立派な装いの机と椅子に向かって歩き、椅子に腰を下ろして座る。
サーヴァントは霊体化させて学校付近に待機させていた。もし他のマスター、サーヴァントと接触した場合、直ぐに駆け付けられるようにするためである。

カイレは椅子に背を預けながら今後の方針について考えていた。
自身に支給された端末で確認したルールによると、NPCを大量殺害して魂喰いをした場合、監督役のサーヴァントであるルーラーから他の参加者であるマスター全員に討伐令が下されるということが書いてあった。
カイレは自身のサーヴァントの強さに自信を持っていたがだからといって他のマスターとサーヴァント全員を相手にして勝てると考えるほど彼女も愚かでなかった。

279◆A1Sj87dFpOM:2022/10/10(月) 15:14:21 ID:???0
そうでなくても自身のサーヴァントの巨体では否応なしに目立ってしまい、他のマスターやサーヴァントに目を付けられる可能性は常に考えなくてはならないことなのだ。
カイレは自身のワールドアイテムである「傾城傾国」を自身のサーヴァントの制御に使い続けているため、他のマスターやサーヴァントに傾城傾国を使用することが出来なくなっていた。
そのため今のカイレはサーヴァントを従えている事以外は何の戦闘能力も持たないただの非力な老婆に過ぎないため、自身を直接狙われたら成す術がなく、そのことも考慮した上で慎重に立ち回る必要があった。

カイレは机の棚を開けるとその中から生徒名簿を取り出す。
幸いにして今の自分のロールである校長の立場を利用すれば、月海原学園に通う全ての生徒の情報を顔写真付きで把握することが出来た。
自分のような老婆が参加者として参加している以上、まだ未成年の子供も参加者として参加しているかもしれない。
その中には月海原学園の生徒というロールを与えられ、この学園に通っているものもいる可能性があった。

だからこそ自身に与えられた校長の立場を利用して生徒として学園に通っている参加者を見つけ出し、確実に始末するつもりでいた。
そしていずれ不要と判断すれば今の地位を捨て、他のマスターやサーヴァントが疲弊したところを狙って排除し、優勝を狙うつもりでいた。
カイレは生徒名簿を机の中にしまうと立ち上がり、後ろの窓を開けて外の景色を眺めながら一人呟いた。
「待ってなよ法国に仇なす異形種共。アタシが竜王と共に帰還するその時まで精々首を洗って待ってな。」

280◆A1Sj87dFpOM:2022/10/10(月) 15:15:13 ID:???0

【サーヴァント】


【CLASS】
ライダー

【真名】
MECHAGODZILLA

【出典】
GODZILLAvsKONG(2021年版)

【性別】
なし

【ステータス】

筋力 A+++ 耐久 A++ 敏捷 B+ 魔力B 幸運 D 宝具A+

【属性】
秩序・狂

【クラス別能力】
対魔力:B
魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

騎乗:EX
乗り物を乗りこなす能力。MECHAGODZILLAはそれ自体が人間が搭乗して操る乗り物そのものであるため、彼(?)はこれ以上の騎乗を必要としない。本来は人間である芹沢漣が搭乗して制御し操るロボットであるためそれが彼(?)がライダークラスである所以なのだが現在は後述するスキルにより制御下を離れ自律している。

狂化:EX
理性と引き換えに驚異的な暴力を所持者に宿すスキル。身体能力を強化するが、理性や技術・思考能力・言語機能を失う。元々は前述の通り芹沢漣が搭乗して操るロボットで自らの意思を持たなかったのだが、インターフェースに使用されていた生体スーパーコンピューターにゴジラに倒されたギドラのDNAが使用されていたため、起動と同時にギドラの意思が目覚め、自らの意思を持ちパイロットの芹沢の制御を離れ目に付くもの全てを破壊する狂戦士と化してしまっている。現在はマスターであるカイレのワールドアイテム「傾城傾国」により何とか制御下に置くことに成功しているが、万が一カイレの身に何かあった場合、再び制御を離れ暴走する危険性を秘めている。

単独行動:EX
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。ランクEXならば、マスター不在でも長期間現界可能。ただし、宝具を最大出力の使用などの膨大な魔力を必要とする場合はマスターのバックアップが必要。MECHAGODZILLAの場合、本来パイロットである芹沢漣の操縦が必要なロボットであったのだが、起動と同時に自らの意思を持ちパイロットの制御を離れ、単独でゴジラ及びコングと死闘を繰り広げたためこのスキルを有する。このスキルにより万が一カイレの制御下から解放された場合、暴走するMECHAGODZILLAを倒して止める必要がある。

【保有スキル】
無辜の怪獣:EX
スキル『無辜の怪物』が変化したイデススキル。人類によって創り上げられた人造タイタンであるMECHAGODZILLAはハリウッドの映像技術によりミサイルを放ち、口からビームを撃ってジェット噴射で駆け回り、全身が格闘兵器と化している。その在り方はまさに鋼鉄の怪獣。このスキルを使った時、本人(?)はテーマソングが流れてほしいと密かに思っている。

怪力:A++
魔物としての能力。自身の筋力を向上させる。自身と同等の大きさ、重さの怪獣を軽々と持ち上げ振り回すMECHAGODZILLAの筋力は自身の大きさと相まって最上級のものとなっている。

メイサーパワーコア:A+
MECHAGODZILLAの動力源となっているパワーコアで、MECHAGODZILLAにメーサーエネルギーを供給し、自身の活動に必要なエネルギーを常時生成し続けている。また爪や四肢にエネルギーを供給することで自身の格闘攻撃の威力を向上させることもできる。

アルファコール:B
自身以外のサーヴァントに対する命令権を行使できるスキル。元々はタイタン(怪獣)に対する命令権を行使できる能力だったのだが、サーヴァント化にあたって「サーヴァントに対する命令権の行使」というスキルに置き換わっている。元々はギドラが有していた能力であったがMECHAGODZILLAの生体コンピューターにはギドラのDNAが使用されているため、ギドラから引き継ぐ形でこのスキルを所有している。
このスキルを用いて命令を与えることで自身よりもずっと弱いサーヴァントを従順させ、命令に従わせることが出来る。ただし令呪による絶対命令権よりは優先権は劣るほか、一定以上の強さを持つサーヴァントを従わせることも出来ない。

281◆A1Sj87dFpOM:2022/10/10(月) 15:16:02 ID:???0

【宝具】
『A-74プロトンスクリームキャノン』
ランク:A+ 種別:対城宝具 レンジ:1〜80 最大補足:800人
MECHAGODZILLAの口から発射される宝具。口から赤色の熱線を放ち、高熱で敵を焼き尽くしたり高熱刃の要領で敵を焼き切って両断することもできる。威力が劣る代わりに連続使用を可能とした『低出力モード』と、高い威力を誇る代わりに連続使用が不可能な『高出力モード』の二つを使い分けることが出来、高出力モードの威力は地殻を貫き地球の中心にまで通じるほどの大穴を開けるゴジラの熱線と同等以上となる。

【weapon】
全身に装備されたミサイル、三つの鋼鉄の指がついた手を回転させ敵にパンチする「ロータークロウズ」、尻尾についたドリルを回転させ敵を貫く「テイルドリル」、機械の体や四肢を使った格闘能力

【人物背景】
巨大テクノロジー企業「エイペックス・サイバネティクス」が怪獣たちの出現によって地球の支配者の座から蹴り落された人類を万物の霊長に返り咲かせるために開発した対怪獣用決戦兵器。コントロール源としてかつての闘いでゴジラに噛み千切られたギドラの頭部の頭蓋骨を使用したDNAコンピューターが採用されており、外部に置いたギドラの頭骨を改造したコクピットに当たる空間の中に乗り込んだパイロットの芹沢漣との精神リンクによって精密かつ確実な遠隔制御が可能という究極のマンマシーンインターフェースを実現している。
そのためゴジラはメカゴジラをギドラ同然の存在と認識し、これの開発が進められていた同社の施設の襲撃、破壊活動を繰り返していた。
建造当初の出力が40%しか出せない不完全な状態でもかつてコングを苦しめたスカル・デビルを一蹴出来るほどの高い戦闘能力を有していたが、同社CEOのウォルター・シモンズはその結果に満足せず、メカゴジラを完全なものとするため地球の地下奥深くの巨大空間にある未知のエネルギー源に目をつけ、モナークが検討していたコングの地下空間への移住計画に協力する形で、娘のマイア・シモンズを含めた自社の人間と機器を地下空間に送り込み、マイア・シモンズから送信された地下空洞のエネルギーのサンプルデータを基に再現したエネルギーを用いることで出力不足の問題を解決、完成にこぎつける。時を同じくしてメカゴジラの存在を察知したゴジラがメカゴジラが収容されている香港の本社に迫ってきため、迎撃のためにウォルターは起動を強行するがDNAコンピューターに使用されていたギドラの意思により自我が芽生え、パイロットである芹沢の制御を受け付けなくなり暴走、ウォルター・シモンズを殺害、芹沢を感電死させ、香港の住民たちを虐殺しながらゴジラに戦いを挑む。
当初はゴジラが直前のコングとの戦いで消耗していたこともあり終始ゴジラを圧倒、トドメを刺そうとするが復活したコングによって妨げられる。それでも2対1の状況ながらもゴジラとコングのタッグを相手に互角以上に渡り合うが人間側の機転で制御システムのコンピューターにウィスキーがかけられたことで機器が故障、一時的に機能低下する。
その隙をついてゴジラがコングの斧に熱線を放ってエネルギーをチャージ、威力を最大限に高められた斧による猛攻をくらって機体のほとんどを失うほどの大ダメージを負い、最終的にコングに頭部を引きちぎられ、機能停止する。

【サーヴァントとしての願い】
全ての存在の破壊

【方針】
(制御下にある限りは)カイレの意向に従う。

【把握媒体】
モンスターバースシリーズ4作目『GODZILLAvsKONG(2021年版)』をご参照ください。レンタルDVD、ブルーレイが全国のTSUTAYA及びGEOで絶賛レンタル中です。
動画配信サイトではU-NEXTやFODプレミアムやAmazonプライムビデオ等で絶賛配信中なのでそちらでご覧になってもいいかもしれません。

282◆A1Sj87dFpOM:2022/10/10(月) 15:16:52 ID:???0


【マスター】
カイレ

【出典】
オーバーロード

【性別】
女性

【能力・技能】
なし

【weapon】
「傾城傾国」
スレイン法国を建国した六大神が遺した「真なる神器」とも呼ばれる最高級のマジックアイテム「ワールドアイテム」の一つで見た目は白銀の生地に天に昇る龍が金糸で刺繍されたチャイナドレス。
効果は使用した相手を洗脳し支配するものであるが、この効果は相手の耐性を無視して絶対に洗脳支配するという超凶悪なものであり、またこの効果で洗脳支配されてしまうと最上位魔法である超位魔法「星に願いを」の力を以てしても解除することが出来なくなってしまう。そのため対処するには他のワールドアイテムをあらかじめ装備して「世界の守り」と呼ばれる特殊なバフ効果で耐性を得るか、ワールドチャンピオンのスキルをタイミング良く使用して防ぐか、「二十」と呼ばれる上位のワールドアイテムの効果で解除するか、もしくは洗脳支配されたものを殺すしか解除する方法はない。
ただしこの効果で相手を洗脳支配している間、洗脳した相手が死ぬなどして効果が解除されるまで他の相手に使用することは出来なくなる。
当聖杯戦争において、カイレは自身のサーヴァントであるMECHAGODZILLAを制御する手段としてこのワールドアイテムを用いているため、他のマスターやサーヴァントに対して使用することが実質出来なくなっている。

【人物背景】
オーバーロードの作中世界に存在している国家「スレイン法国」に所属している高齢の女性で前述のワールドアイテムを任されていることと神人である漆黒聖典の隊長に様付けで呼ばれていることから法国でも高い地位に就いていると思われる。
作中では陽光聖典のニグンを監視していた土の巫女姫が謎の爆発で死亡したため、破滅の竜王の復活と判断した上層部からの命令で漆黒聖典の護衛付きで出撃、その途中でシャルティア・ブラットフォールンと接触、交戦状態に入ったため隊長の指示でワールドアイテム「傾城傾国」を使用、シャルティアの洗脳に成功するがシャルティアの反撃をくらって重傷を負い、シャルティアを放置して本国に撤退するもその後死亡する。

【マスターとしての願い】
MECHAGODZILLAを従えたまま元の世界で生き返らせてもらい、MECHAGODZILLAの力で自身を殺したアンデット(シャルティア)と法国や人類に害をなす異形種共を皆殺しにする。

【方針】
序盤は自らの立場を利用して情報収集と対象への接近を行い、一人ずつ確実に排除する。
だが、不要と判断すれば地位を切り捨て、独力で勝利を狙っていく。
魔力喰いなどで悪目立ちするようなことはなるべく避け、複数のサーヴァントから袋叩きにあうような事態は避けるようにする。

【ロール】
月海原学園の校長先生

【令呪の形・位置】
右手甲の位置。スレイン法国の国旗のイラストと同じ形をしている。

【把握媒体】
小説「オーバーロード」及びそのアニメ版と漫画版をご参照ください。カイレは原作小説では3巻、漫画版は4巻、アニメでは1期10話に出てくるので最低限それだけ見ればカイレの把握は可能です。

283◆A1Sj87dFpOM:2022/10/10(月) 15:19:39 ID:???0
以上で投下終了です。
タイトルは書いてませんが、候補作のタイトルは一応「カイレ&ライダー」でお願いします。
何か不都合があればご指摘よろしくお願いいたします。

284 ◆Mti19lYchg:2022/10/11(火) 22:20:23 ID:2Q2WNizc0
毎度こちらにご投稿いただき誠にありがとうございます。支援掲示板の方に禁止の項目は一切触れていないので投下可能なはずなのですが。
>>嘘つきマホロアくんと裸のリリアちゃん
どこか噓、怪しさを感じ取りながらもリリアは力に魅せられてしまっているようですね。
根はかなりいい子なのでマホロアとうまくやっていけるといいのですが。
マホロアの方も嘘をつき続ける事がアイデンティティでも、友情を感じることもある様で、そこがカギになりそうですね。
ご投稿、ありがとうございました。

カイレ&ライダー
おめでとうございます。ゴジラシリーズの怪獣を出したのは二次聖杯戦争企画で私が知る限り貴方が二人目です。
しかしこんなでかいの最高級の洗脳のマジックアイテムを持っていたとはいえよく制御できるものです。魔力による維持も大変でしょうし。
カイレ倒してもメカゴジラ暴れっぱなしとなるともう聖杯戦争というより怪獣大戦争ですね。
ご投稿、ありがとうございました。

285 ◆QUsdteUiKY:2022/10/16(日) 08:58:19 ID:kKp3AbkM0
投下します

286仮面ライダーという在り方 ◆QUsdteUiKY:2022/10/16(日) 09:00:40 ID:kKp3AbkM0
剣崎一真。――仮面ライダーブレイド。
彼は正義の味方の体現者と言えるほどに熱く、正義感の強い男だ。
しかしそれゆえに自己犠牲すら厭わない面もあり親友の相川始を救うために異形と成り果て、運命と戦う道を選んだ。
しかし剣崎は運命と戦い、やがて勝利することだろう。何故なら彼は「勝ってみせる」とまで言ったのだから。



「剣崎さん。私は……どうしたらいいのかわかりません……」

水色髪の小柄な少女――香風智乃が聖杯戦争に対する自身の想いを告げる。
いつものように日常を過ごしていたら、いきなり聖杯戦争というよくわからないものに巻き込まれた。
はっきり言ってチノからしたら意味不明。納得も理解も出来ない状況だ。

叶えたい願い?
そんなものは――少なくとも誰かを犠牲にしてまで叶えたいような願いはない。
そもそも日常を過ごしていたチノからしたら、誰かを蹴落としてまで願いを叶えるということ自体が理解不能だ。
この聖杯戦争は命懸けでも叶えたい願いがある――そんなマスターが必然的に集まっているのだろうが、稀にチノのようなマスターも存在するのだろう。

運が悪い。そうとしか言いようがない事実だ。
だがチノが召喚したサーヴァント――彼はそういうマスターにとっては大当たり。
ヒーローや正義の味方を絵に描いたような――本当に紛れもない英雄である。

「チノちゃんは何もしなくていいさ。俺がチノちゃんやココアちゃん――みんなを守る」

チノに召喚されたサーヴァント――剣崎一真はチノや彼女にとって大切な人々を守ると、何の条件も提示せずに言い切った。

剣崎は仮面ライダー。戦えない人々を守るのが仕事であり、使命だ。
そして剣崎一真の在り方とは仮面ライダーの体現に他ならない。彼ほど仮面ライダーという言葉が相応しい者もなかなか居ないだろう。

叶えたい願い?
当然、あるに決まってる。
今の剣崎は姿こそ人間と変わらないが、その実態は異形だ。もう二度と親友達に再会出来ない。
だから人間に戻って彼らと再び――なんて気持ちがないわけじゃない。

だが。
それでもいきなり聖杯戦争に巻き込まれて困っているマスターがいるのなら、剣崎は喜んで手を差し伸べる。
そもそも誰かを犠牲に願いを叶えるなんて――それ自体が彼にとって論外だ。

叶えたい願いはある。だがそれを理由に人々の命を奪えるほど、剣崎は利己的になれない。
元から自分より他人のことばかり優先する男だ。親友の為に異形になるという自己犠牲を果たしたが、それでも彼の心に後悔はない。……親友の方が剣崎と会えないことをどう思っているのかは、別だが。

「ありがとうございます。でも剣崎さんには叶えたい願いがないんですか?」
「今、俺が叶えたい願いか。――チノちゃんや戦えない人々を守って、聖杯戦争を止めることかな」

それは嘘偽りない心からの本音。
聖杯戦争が理不尽な犠牲を強いるというのなら、それを止める。
自分が人間に戻るとか、そんなことよりも今はそれが一番の叶えたいことだ。

「でもそれは願いというより、俺のやりたいことだ。聖杯に何かを願うつもりなんてないし、みんなのことは自分の力で守る」

聖杯にて願いを叶えるのではなく、自らの手で他者を助けて『やりたいこと』を叶える。
それが剣崎の方針で――つまり彼はいつもと変わらない。サーヴァントになろうが、聖杯戦争に参加しようが、剣崎一真は仮面ライダーだ。

チノの事情についてはある程度聞いている。
保登心愛――彼女の話をする時のチノは、こんな状況でもなんだか楽しそうで。
そのエピソードの数々を聞くに、まるで姉妹だ。姉妹のように仲が良い――というより本当に姉妹のように聞こえる。

(きっと始がチノちゃんに呼び出されても、チノちゃんを守るために戦ったんだろうな)

相川始。
それは剣崎がその身が異形と成り果てようとも救おうとした――そして救った、大切な親友。
彼がチノやココアのことを知ったら、彼女達姉妹を助けるために戦っていたに違いない。

いや――それは何も始に限った話じゃないだろう。
橘朔也も上城睦月も――剣崎の仲間たちがサーヴァントとして呼ばれていたなら、きっとチノに力を貸す。
何故なら彼らは、仮面ライダーなのだから。

287仮面ライダーという在り方 ◆QUsdteUiKY:2022/10/16(日) 09:00:57 ID:kKp3AbkM0

そして当然、剣崎もまた仮面ライダー。
聖杯戦争という運命と戦う為に仮面ライダーブレイドは立ち上がる。たとえどんなサーヴァントやマスターが待ち受けていようとも――彼らの願いを奪うことになろうとも。
決して誰も、傷付けさせやしない。戦えない人々の代わりに、自分が戦う。

「みんな、ですか」
「ああ。サーヴァントも。マスターも。それ以外のこの聖杯戦争に巻き込また人々も――みんな俺が守ってみせる。聖杯戦争という運命に負けたくない。――諦めたくないんだ」

そんなふうに語る剣崎の表情は真剣そのもので。
聖杯戦争からみんなを守るなんて、まるで理想(ゆめ)のような話なのに――彼が本気でそんな理想を叶えようとしてるのがチノにも伝わってくる。

香風智乃はただの一般人だ。
聖杯戦争に対する覚悟なんてまだ何も決まっちゃいない。
賢者の石だとか、サーヴァントだとか、聖杯戦争だとか。まだまだ何も理解出来てない。

素直に元の世界に帰還するという手もあったが、当然強い『意志』なんてものは持ち合わせていない。肉体や精神に変質が起こりうると言われて――不安で怖かった。
だから聖杯戦争に参加せざるを得なかった。自らの手で元の世界へ帰るという『覚悟』すら出来なかったから。

他者を殺し、騙し、屍山血河を築き、それでも尚叶えたい願い?
最強を証明する?
チノからしたら馬鹿げている話だ。しかし聖杯戦争に参加してしまった以上――聖杯を獲得するしかないのかもしれないと思ってた。

だが剣崎が選択肢を与えてくれた。
聖杯戦争を止める。そして元の世界に帰る。
その道が困難を極めることくらいチノにもわかるが――剣崎なら本当に聖杯戦争を止められるかもしれない。
そう思わせる何かが剣崎一真という男――ライダーにはあった。

「でもサーヴァントはマスターの協力無しではあまり力を発揮出来ないと思います」

チノの言葉を剣崎は否定出来ない。たしかにマスターが協力してくれた方がサーヴァントは真価を発揮出来る。
剣崎は一人で全てを背負い込もうとしていたが――それがどれほど無茶なことか。

「だから私も出来る限り協力します。聖杯戦争には反対ですが、剣崎さんの意見には賛成なので……。聖杯戦争を止めるために協力します」
「ありがとう。なるべくチノちゃんには負担を掛けたくないけど……チノちゃんがそう言うなら、令呪とかでサポートはしてもらうかもしれない」
「わかりました。それくらい、私に任せてください」

チノは剣崎と語り合っているカフェ――ラビットハウスによく似ているが、そうじゃない場所――でコーヒーを淹れると剣崎に出した。

「これからよろしくお願いします、剣崎さん」
「ああ。これからよろしく、チノちゃん。それと二人きりの時は大丈夫だけど……それ以外だと俺のことはクラス名で呼んだ方が安全かもしれない」
「わかりました。では誰かいる時はライダーさんと呼びます」

288仮面ライダーという在り方 ◆QUsdteUiKY:2022/10/16(日) 09:01:45 ID:kKp3AbkM0
【CLASS】
ライダー
【真名】
剣崎一真
【出典】
仮面ライダー剣
【性別】
男性
【ステータス】
筋力:C+ 耐久:C+ 敏捷:B+ 魔力:C 幸運:C 宝具:EX (ブレイド変身時)

筋力:A+ 耐久:B+ 敏捷:B+ 魔力:C 幸運:C 宝具:EX (キングフォーム変身時)

【属性】
秩序・中庸
【クラス別能力】
対魔力:B
 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

騎乗:B
騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、
魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。

【保有スキル】
融合係数:A
 アンデッドとどれだけ深く融合しているか、を示す値。
 装着者の精神状態によって変化し、怒りや強い思いによって闘志が高まるのに呼応して上昇、逆に恐れや迷いを抱くことで闘志が失われると低下する。
 融合係数が高まれば筋力、敏捷にプラスの補正を得るが、逆に低下するとマイナスの補正を受ける。
ライダーはラウズカードがない状態でもこの融合係数。つまり精神力によって圧倒的強者を撃破した逸話がある

守護騎士:A
 怪物から人々を守護する、都市伝説の仮面ライダー。
 宝具である鎧を装備している時にのみ付与されるスキル。
 他者を守る時、人を護りたいというライダーの意志により、宝具である鎧との融合係数が向上することで、一時的に防御力を上昇させることができる。

勇猛:A
 威圧・混乱・幻惑といった精神干渉を無効化する能力。
 また、格闘ダメージを向上させる効果もある。

【宝具】
『永遠の切り札(仮面ライダーブレイド)』
ランク:C〜B 種別:対人宝具 レンジ: 1〜10  最大捕捉:──
十三体のアンデッドが封印されているラウズカードの行使を可能とする、剣崎一真の仮面ライダーとしての姿。
通常フォームへさらに魔力を注ぎ込むことで強化形態であるジャックフォームに変身することが可能となる。
ジャックフォーム時は背中に翼が生成され高い空戦能力を得る。
これで変身して戦うのが基本(というか変身しなきゃ他のサーヴァントとロクに戦えない)であり、通常フォームへの変身は魔力をあまり消費せず燃費が良い

『運命の切り札(仮面ライダーブレイド キングフォーム)』
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ: 1〜10  最大捕捉:──
13体の全アンデッドと同時融合することにより圧倒的な戦闘能力を持つ仮面ライダーブレイド・キングフォームに変身できる。

本来であればコーカサスビートルアンデッドの能力をその身に宿すはずだったが、ブレイドの変身者である剣崎のアンデッドとの融合係数が高かったため、13体のスペードスートのアンデッドすべてと融合した――という正真正銘、規格外のフォーム。

『ブルースペイダー』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:1〜10 最大捕捉:10人
仮面ライダーブレイド専用として人類基盤史研究所、通称「BOARD(ボード)」から支給されたビークル。
変身者であるライダーはブレイドでの戦闘時だけでなく、日常的にも移動手段として用いている。
非常に剛性が高く、並のバイクを遥かに上回る出力と合わせて、強力な攻撃手段としてアンデッドへの体当たりも行う。また、ブレイドの脳波操作によって、遠方からでも無人操縦で呼び出すことが可能。
 ラウズカード覚醒機能を搭載しており、サンダーディアー(スペード6)をラウズ(リード)して電撃を纏いながら突進攻撃を行う「サンダースペイダー」、マッハジャガー(スペード9)をラウズしてブルースペイダーをスピードアップする「マッハスペイダー」を発動した。

カードをラウズせず移動手段として使う分にはあまり魔力を消費しない

【weapon】
醒剣ブレイラウザー:ブレイドの姿で使用する剣型の武器。通常フォーム、ジャックフォーム時の主武装。
カードをラウズする事で必殺技も使える。

ラウズアブゾーバー:本体中央部のインサート・リーダにカテゴリーQのラウズカードを装填し、本体側部のスラッシュ・リーダーにカテゴリーJ、もしくはカテゴリーKのラウズカードをラウズ(リード)することで、ジャックフォームおよびキングフォームへのフォームチェンジを果たす。

重醒剣キングラウザー:キングフォームに変身すると同時に実体化する大剣型カードリーダー。ブレイラウザーとの併用も可能。

【人物背景】
自己犠牲の果てに異形となり、親友を救った男

【サーヴァントとしての願い】
存在する……けれど、誰かを犠牲にしてまで叶える気はない。人々を守る
【方針】
チノや人々(聖杯戦争に無関係の民間人含む)を守りながら、聖杯戦争を止める

289仮面ライダーという在り方 ◆QUsdteUiKY:2022/10/16(日) 09:02:13 ID:kKp3AbkM0
【マスター】
香風智乃
【出典】
ご注文はうさぎですか?
【性別】

【能力・技能】
香りだけでコーヒーの銘柄を当てることができるという特技をもつ。一方で味覚は年相応で、コーヒーはミルクや砂糖を入れなければ飲めない
趣味はチェス、ジグソーパズル、ボトルシップなどの一人遊び系。コーヒー占い(カフェ・ド・マンシー)もできる。
【weapon】
なし
【人物背景】
木組みの街で日常を送っていた少女。自称姉のココアと仲が良く、なんだかんだ影響を受けている

【マスターとしての願い】
なし。聖杯戦争を止める

【方針】
剣崎に協力して聖杯戦争を止める

【ロール】
カフェの店員

【把握媒体】
チノはアニメか漫画。
剣崎一真は特撮番組、仮面ライダーブレイドの把握が必須。

290 ◆QUsdteUiKY:2022/10/16(日) 09:03:46 ID:kKp3AbkM0
投下終了です
剣崎はぼくのかんがえたサーヴァント wiki 及び◆.aVFsM47H6氏の コラソン&アルターエゴの相川始を参考にさせていただきました

291◆A1Sj87dFpOM:2022/10/16(日) 19:17:04 ID:???0
本スレであるこちらに直接投下させていただきます。
何か不都合がございましたらご指摘よろしくお願いいたします。

292◆A1Sj87dFpOM:2022/10/16(日) 19:21:36 ID:???0
■■■


誘いに導かれしものは
疾風にさらわれ その風が闇の化身と知る


贄は避けられぬ闇に覆われしまま
生果てるまで吸い尽くされ
給仕はひたすらに主への緑酒を捧げ続ける


贅を尽くし満を持して 闇は月光の下 姿を現す


■■■



「ここは……どこ……?」
一筋の光すらない闇の中。一人の少女が虚ろな目で闇を見上げていた。
少女の名は七海千秋。希望ヶ峰学園77期生で『超高校級のゲーマー』の肩書を持つ高校生であり、学級委員長として同じ77期生の皆をまとめ上げて来たものの、『超高校級の絶望』江ノ島盾子の手に落ちた担任の先生の雪染ちさを助けるため、クラスメイトの皆と共に江ノ島盾子の拠点に突入したものの、江ノ島盾子の仕掛けた罠にかかってクラスメイトの皆と分断、江ノ島盾子の手によっておしおきという名の公開処刑にかけられ、江ノ島の用意したデストラップダンジョンから脱出するために傷つき、痛みを堪えながらも必死に歩き続け、ゴールだと思った最後の扉を開けた途端、発動したトラップによって全身を串刺しにされ、瀕死の重傷を負いながらもその場に現れた日向はじめに寄り添おうと傷だらけの身体を必死に動かして前進しようとして力及ばず倒れ、友への思い、生への執着、やり残したことに対する無念をさけびながら日向はじめの目の前で力尽き、息絶えたはずなのだ。

七海は自身の身体を確かめる。痛みは既になく、体中にあった傷は全て綺麗さっぱり無くなっている。幾ら何でも誰かによって助け出され、治療されたとも考えにくい。ということは、
「はは……やっぱりここは、あの世ってやつだよね……」
考えられる可能性としてはここは天国で今の自分は死んだ幽霊であるという可能性だ。というより、普通ならそうとしか考えられなかった。
だがその考えは突如として虚空より響いてきた見知らぬ男性の声によって否定される。

「安心したまえ。ここはあの世ではない。」
声と同時に、空間がひび割れ、新たな景色が作り出される。
そこは星々が煌めく、宇宙を彷彿とさせるようなどこか幻想的な空間であった。
だが七海はその美しい景色に目をくれることはなく、声の主に対して最大限の警戒をはらいながら問いかける。

「あなたは誰!?江ノ島盾子の仲間!?私を蘇らせて今度は一体何を企んでるの!?」
だが男の声は七海の言葉を即座に否定する。
「安心したまえ。私は江ノ島盾子とは無関係だ。これから行われるのは万能の願望器『聖杯』を求めて戦いあう『聖杯戦争』、そしてここはその予選が行われる空間だ」
だが男の言葉に対し、七海は懐疑的な言葉を投げかける。

「……あなたの言うことが本当なら、私をどうやってここまで連れてきたの?」
七海の質問に対し、男の声は疑問に答えるかのように語り始める。
「まず、君は江ノ島盾子の手によって命を落とした。それは紛れもない事実だ。だが君は死の間際まで星晶石を所持していた。それによって君は聖杯に選ばれ、この聖杯戦争に呼ばれた。君の身体の傷が全て無くなっている理由は、この空間内に召喚された際に自動的に『賢者の石』に変換され、君の肉体は魂の情報により全て復元されたからだよ。」
「『星晶石』?それって一体……あっ!ひょっとして……」
七海は男の言う『星晶石』について一つだけ心当たりがあった。
彼女は連絡が取れなくなった日向はじめに会うために、予備学科の校門前でゲームをしながら待っていた際、ある一人の女性と出会っていたことを思い出した。

293◆A1Sj87dFpOM:2022/10/16(日) 19:22:20 ID:???0
その女性は緑色のウェーブがかかった髪に左目を隠している前髪のひと房が紫色をしていた印象的な姿をしていた。
突然見知らぬ女性に声を掛けられたことで最初はビックリしたものの、話をしている内に次第に打ち解けていき、彼女に日向はじめのことを打ち明けた際、「これを持っていればもしもの時、きっとあなたの助けになる」と言われ、虹色に輝く金平糖のような形状の石を3つ差し出されたのだ。
七海は最初受け取るかどうか悩んだのだが「お礼はいいから」と言われ、好意に甘えてその石を受け取り、それ以来お守り代わりとして肌身離さず持ち歩いていたのだ。
あれ以降その女性と再び会うことはなかったのだが、今にして思えばあの石が男の言う『星晶石』なのであろうことを察する。

だが七海の警戒心は未だ解けることはなかった。自らに星晶石を渡した女性も、虚空から聞こえてくる男の声も本当に江ノ島盾子と無関係である保証はない。
悪趣味な江ノ島の事である。ひょっとしたら瀕死の重傷を負った自身を回収、治療し再び何らかのゲームに参加させている可能性もなきにしもあらずであり、男も女も江ノ島に雇われた、もしくは同志として江ノ島に協力している可能性は十分にあった。

「……一つ聞かせて。『聖杯』って一体何なの?」
「先ほども言った通り、あらゆる者のあらゆる願いを叶えることができる代物だ。絶命した君を蘇らせ、傷を負う前の元の身体に復元したのも聖杯の力の一端の一つだよ。」
「……」

男の言葉に対し、七海は半信半疑であった。七海は『超高校級のゲーマー』と呼ばれるほどのゲーム好きだが現実とゲームを混同するような考え方はしていなかった。
『どんな願いでも叶えるアイテム』なんてそれこそゲームの中にしか出てこないような代物であり、現実に存在するなんて言われても素直に信じる方が頭がどうかしている。
だがその一方で死んだ人間である自身を蘇らせる、もしくは仮に自身の息があるうちに助け出すことに成功し治療したとしても、あれほどあった体中の傷を跡一つ残さず治すなんてことはどんな超高校級の才能を以てしても不可能、よしんば可能だったとしてもそれは最早才能ではなく異能、超常能力の領域であり、男の言葉も全くのデタラメではなく真実の可能性もあるのでは、と七海は考える。

「……それで、私はどうすればいいの?」
だがだからといって七海は男が江ノ島と無関係だと完全に信用したわけでは無かった。もし仮に無関係だったとしても江ノ島が自身を第三者に高額で売り渡し、自身を買い取ったその第三者が江ノ島と同様、余興や自らの趣味でこのようなゲームを自身に受けさせている可能性も無きにしろあらずであり、七海は未だ警戒心を抱きつつも男に次の説明を求める。
「先ほども言った通り君にはこれから予選を受けてもらう。君の両手にはそれぞれ端末と君の代闘士となる古今東西の英雄の写し身『サーヴァント』を召喚するために必要なカード『セイントグラフ』があるだろう?端末で使える地図機能で、表示された場所まで進んでくれたまえ」

294◆A1Sj87dFpOM:2022/10/16(日) 19:23:02 ID:???0

 ◇ ◇ ◇


七海は最初、その場から動けずにいた。理由としてはまず男の指示が罠である可能性が高かったからだ。江ノ島盾子のやり口をその身で直に味わった経験から、男も江ノ島同様、指示された場所で罠にかけるつもりなのでは、と七海は考えていた。
だがその一方でこんな右も左も分からない場所で指示を無視して無闇に動き回ってもかえって状況が悪化する可能性も高かった。

ゲームも同じだ。何もせずにただ黙って立ち尽くしていたり、右も左も分からない場所で指示を無視した行動をとっても事態は何も好転しない。むしろ悪化する可能性すらあった。
七海は『超高校級のゲーマー』としての自身の経験を信じることにし、男の指示通りに地図アプリを頼りに指示された場所へ向かう。
やがて目的地にたどり着くと七海の前に円形の魔法陣が描き出され、そこから黒い人型の影のようなものが現れる。

「!?……やっぱり、罠!?」
今の状況はゲーム的に言えばRPGのゲームで敵とエンカウントしたような状態にあたるだろう。
そしてその考えはまたしても聞こえてきた男の声によって肯定される。
「さすがは『超高校級のゲーマー』、察しが早くて助かるな。そいつは『シャドウ』というサーヴァントのなり損ないだ。彼を倒せば、君は晴れて予選突破となる。」
「倒せば予選突破となる」と言われても七海はこの状況をどうやって突破すればいいか分からなかった。彼女は『超高校級』といってもそれはゲーマーとしての話であり、それ以外は何の戦闘能力も持たないただの普通の少女であった。
目の前の『シャドウ』と呼ばれた存在は手に弓を持っていた。どう考えても丸腰で戦いを挑んでも勝てる相手ではないだろう。
そんな七海に対し、男はヒントを与えるかのように言葉を続ける。

「『どうやって倒せばいいか分からない』といった顔をしているな。そんな君に私から一つアドバイスを授けてあげよう。シャドウを倒せるのはサーヴァントだけだ。そして先ほども言った通り、君の手にはサーヴァントを召喚するために必要なカード『セイントグラフ』があるだろう?そのセイントグラフでサーヴァントを召喚出来ればサーヴァントはシャドウを打ち倒し、君は晴れて予選をクリアできるだろう。私から与えられるヒントは以上だ。」
「召喚?そんなの一体どうやって……」

七海は自分の手の中にあるトランプ程の大きさのカードを見ながら困惑する。七海はゲーマーとしてゲームの中で『召喚』をしたことはあっても現実で『召喚』をしたことはなかった。
だがそんな七海の疑問に対し、男の声が聞こえることは二度となかった。
だが現実として目の前のシャドウは弓に矢を番え始めている。もうあまり猶予は残されていなかった。

七海は『超高校級のゲーマー』としての知識をフル動員し、召喚するための方法を模索する。
普通、RPGにおいて何かしら『召喚』するためには召喚魔法と呼ばれる特別な魔法を用いるか、もしくは専用のアイテムを使って呼び出すのが一般的であった。
だが当然ながら七海は魔法は使えないし、恐らく専用のアイテムにあたるのがこの『セイントグラフ』なのであろうが七海にはこのアイテムの使い方が全く分からなかった。
だが迷っている時間はない。

295◆A1Sj87dFpOM:2022/10/16(日) 19:24:08 ID:???0

七海はゲームでの召喚のイメージから、手に持ったセイントグラフを掲げ、同級生の一人である中二病の田中眼蛇夢から教わったオリジナルの召喚口上を叫んだ。
「……我が盟約に従いて、来たれ 我が盟友よ。我の呼びかけに応じ我が元に来たれ。そしてその力を以て、我が敵を討ち滅ぼせ、召喚!!」
……だがその呼びかけに対し、セイントグラフは何の反応も示さなかった。
そしてそんな七海に構うことなく、シャドウは容赦なく七海の足に向かって番えた矢を射る。
「どうして!?どうして召喚出来な……あ、あああああああぁぁぁぁぁ!!」
放たれた矢は七海の右足を貫通し、七海は激痛のあまり倒れそうになるが決して倒れまいと足を踏ん張って堪える。
だがその間にもシャドウは容赦なく次の矢を番え始める。
(召喚出来なかった……やっぱり罠だったんだ……私をいたぶり殺すための……)
七海の脳内に、今この場にいないはずの江ノ島盾子が自分を嘲笑う声が聞こえてくるようだった。

『お〜っと七海さん召喚失敗!これは致命的だあ〜〜!召喚MPが足りなかったかあ〜〜!?』

(……うるさい。どうせあんたもどこかで私を見てるんでしょ?一度ならず二度までも私にこんな仕打ちをして一体何が楽しいの?)
そんな七海の脳内での問いに対し、まるで回答するかのような江ノ島の声が聞こえてくるかのようだった。

『そりゃあだって、あんたが絶望に染まる顔を見るのが楽しいからに決まってるでしょ?希望の象徴である超高校級の生徒たちをまとめ上げたクラス委員長が一度ならず二度までも絶望の末に殺される!これ以上の絶望は無いってもんでしょ!!』

そしてその言葉が終わると同時にシャドウは番えた矢を七海の左足に向かって放ち、放たれた矢は七海の左足を貫通する。

「つ、ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

右足だけでなく左足にも激痛が走り、七海は涙を流しながら必死に倒れまいと堪えるが最早歩くことは出来ず、立っているだけで精一杯であった。
そしてシャドウは動けなくなった七海にトドメを刺すべく、弓に矢を番え始める。

そしてそんな七海の脳内に、江ノ島が自らを嘲笑うかのような声が聞こえてくるかのようだった。

『ってゆーかぁ?奇跡なんて起こるはずないじゃん。あんたを助けになんか、絶対に誰も来ないよ?』

うるさい。黙れ。

『そう……奇跡なんか起きねえんだよぉ!!』

(……負けない……私は……あなたなんかに負けない!!絶対に……必ず来てくれる!!こんな所で終わったりしない!!)

七海の中の『希望』の感情が最高潮に達した瞬間、握っていたカード「セイントグラフ」が宙を舞うと辺りは大きな光に包まれ、無地の面に絵が浮かび上がった。

その光にシャドウは攻撃を中断して後方へ下がる。
光が消え去った後、七海とシャドウの間に巨大なドラゴンが現れていた。
全身は薄く光沢を帯びた白銀色の甲殻に覆われ、胸元と手首には紅色の体毛が生え、顔全体も白い鋭角的な甲殻に覆われ頭部には2本の金色の角が生えており、翼は鮮血の如き深紅の翼膜で形成され、尻尾の先端は三又の槍のような形状になっていた。
七海はそのドラゴンに見覚えがあった。そのドラゴンの正体は七海も最近プレイしていた大人気ゲーム「モンスターハンター」に登場するモンスターであり、その最新作の看板モンスターであったからだ。七海はそのドラゴンの名をゆっくりと口にする。
「……爵銀龍……メル・ゼナ……」

296◆A1Sj87dFpOM:2022/10/16(日) 19:25:16 ID:???0

七海はそのドラゴンの登場に対して、驚きと同時に安堵の気持ちを感じていた。
何故なら恐らくメル・ゼナは自身が呼び出したサーヴァントであり、自身の強い気持ちに反応して召喚されたものであろうと思われたからだ。
「はは……やっぱり……やればなんとか……なるってやつだよね……」
だがメル・ゼナはシャドウではなく、七海の方に向き直る。

「……え?」
一瞬だった。メル・ゼナは前脚を手のように使い、七海を掴み上げ、締め上げる。
「あ、ああああああああああああああ!!」
凄まじい力だ。骨がきしみ、内臓が圧迫されるのを感じる。七海は苦痛と共に自らの考えの甘さを痛感していた。
「モンスターハンター」のモンスターたちは基本的に人間たちと敵対関係にあり、特に古龍種はそれらのモンスターたちの頂点に立つ「生きた天災」と呼ばれる別格の存在であり、人類の生活圏を度々襲撃し、甚大な被害をもたらす危険な存在でもあった。

事実メル・ゼナも城塞高地を始めとした様々な地を滅ぼし、王国を何度も滅亡の淵に追いやってきた危険なモンスターであり、そんな存在が人間に従順するなんて普通なら有り得ないことであった。そうでなくとも七海はゲーム内で素材集めのためにメル・ゼナのクエストを何度も周回しており、恐らくこのメル・ゼナは今まで狩られ続けていた同族たちの恨みを一身に背負っているのでは、と七海は感じていた。
恐らく古龍に人間の言葉なんて分からないだろう、とは思いつつも、七海は苦痛で意識が飛びそうになりながらも自らを締め上げるメル・ゼナに向かって語り掛ける。

「はは……やっぱり……あなたも……私の事……恨んでいるんだよね……」
「……」

メル・ゼナは締め上げる力を緩めない。だがそれにも構わず、七海はメル・ゼナに語り掛け続ける。

「あなたたちにとって……人間は敵だもんね……それに……仲間たちを……たくさん失って……怒っているんだよね……」
「……」

メル・ゼナは七海に対し何も語り掛けない。ただ赤い眼で七海を見つめ続ける。

「いいよ……ゲームのキャラに殺されるなんて……『超高校級のゲーマー』らしい最期だもんね……それであなたの恨みが晴れるなら……本望だよね……」

だがその時不思議なことが起こった。七海の体から光が発せられるとそれを浴びたメル・ゼナにある変化が起こる。

スッ
「……え?」

なんとメル・ゼナが七海を掴みあげていた前脚をゆっくりと地面に降ろすと七海を優しく開放する。
七海自身にも一体何が起こったのかさっぱり分からなかった。
ただ一つ言えることは目の前のメル・ゼナから先ほどのような敵意は感じられず、代わりにメル・ゼナの身体から光の糸のようなものが発生している。

(あの糸……もしかして……)

ゲームをプレイしていた経験から七海は躊躇せずその糸を手に取ると糸は七海の体を引き寄せるような形で運び、メル・ゼナの背中に騎乗するような形で七海は着地する。
七海はゲームをプレイしていた経験から、これから自分が何をすればいいのか手に取るように分かった。

297◆A1Sj87dFpOM:2022/10/16(日) 19:26:00 ID:???0

操竜、それはカムラの里の周辺地域に生息している『翔蟲』の雌の個体が出す『鉄蟲糸』と呼ばれる極めて強靭な糸をモンスターに絡め、それをハンターが手に取ることでハンターがモンスターを操り、戦うことが出来る技術であり、メル・ゼナがライダーのサーヴァントとして召喚された最大の理由でもあった。
このスキルを使うことでメル・ゼナの身体に鉄蟲糸が再現され、それをマスターが手綱兼操り糸として手に取ることでメル・ゼナとマスターが一心同体となって戦うことが出来、『騎乗する』ライダーではなく『騎乗される』ライダーとしてマスターと共に戦うことが出来る能力でもあった。
七海は鉄蟲糸を手に、自身のサーヴァントであるメル・ゼナに呼びかけるように叫ぶ。
「行くよ、ライダー!!」
「グォオオオオオオオオオオオオ!!」

七海の呼びかけに答えるかのようにメル・ゼナは咆哮し、シャドウはそれに気圧されるかのように怯むがすぐさま立て直し反撃しようとする。

だがシャドウが立て直すよりもメル・ゼナの攻撃の方が早かった。

(まずは弱攻撃!)
七海は鉄蟲糸でメル・ゼナに指示を出すと、メル・ゼナは自身の翼についた巨大な翼爪をシャドウに向かって振り下ろし、シャドウを翼爪で刺し貫く。

翼爪が胴体を貫通したシャドウは霧散、消滅するが戦いはこれで終わりではなく、すぐさま先ほどと似たような形で2体のシャドウが現れる。

(次は回避!)
七海は慌てずに『翔蟲ゲージ』と呼ばれるものを消費して回避行動をとりメル・ゼナの攻撃後の後隙をキャンセルする。

(お次は↓強攻撃!)
そしてシャドウが動き出す前にメル・ゼナに指示を与え、翼を振り上げることで衝撃波を発生させ敵を攻撃する技「翼一閃」で一体目のシャドウを攻撃、衝撃波の直撃を喰らったシャドウは両断され、霧散、消滅する。
そして七海は最後の翔蟲ゲージを消費して回避行動をメル・ゼナにとらせ攻撃後の隙をキャンセル、再び「翼一閃」で最後のシャドウを攻撃、衝撃波の直撃を喰らったシャドウは霧散、消滅する。

(これで終わり……だよね?)
敵がいなくなったことを確認した七海は警戒を解くことはなく辺りを見回すが、シャドウが現れることは二度となかった。


 ◇ ◇ ◇


そして七海はメル・ゼナと共に教会の礼拝堂らしき場所へと転送された。
そして礼拝堂の奥からこの教会の神父であり、この聖杯戦争の監督役でもある男、言峰綺礼が姿を現す。

「ようこそ、見事試練を乗り越えた聖杯戦争のマスターよ。私は言峰綺礼。この聖杯戦争の監督役を務めている」

だが七海は鉄蟲糸を手放すこともメル・ゼナから降りることもなく、言峰の言葉を無視するかのように周囲に向かって叫ぶ。

「ねえ!?どうせどこかで見てるんでしょ!?こんなことさせて一体何がしたいの!?私はあなたの思い通りにはならない!!クラスの皆を返して!!」

そう、未だに七海はこの聖杯戦争を江ノ島が仕組んだものだと思っており、彼女が未だに自身の事をどこかで嘲笑いながら監視していると思っているのだ。
だがそんな七海を諫めるかのように言峰が声を掛ける。

298◆A1Sj87dFpOM:2022/10/16(日) 19:26:39 ID:???0

「少し落ち着きたまえ。何度も言うがこの聖杯戦争に江ノ島盾子は無関係だ。」
「……!!」

七海は言峰の存在に気付くと敵意に満ちた目で言峰を睨みつける。
この男はこの聖杯戦争の関係者であり、先ほどの予選で自身は殺されそうになったのだ。
この男が江ノ島盾子と同類ではないという保証はなかった。

「そう恐い顔をするな。私はあくまで中立の立場だ。そちらから仕掛けてこない限り、こちらも君に手を出すつもりはない。」
「……」

そう言われても七海は素直に信じる気にはなれなかった。しばらく膠着状態が続くがやがてしびれを切らしたのか言峰が口を開く。

「……さて、いい加減君もサーヴァントから降りてくれないかね?このままでは話を進めることが出来ない。このままずっと睨み合ってるわけにはいかないだろう?」
「……はい。」

口ではそう言いつつも未だ男への警戒心を抱く七海は、鉄蟲糸から手を離すとゆっくりとメル・ゼナから降り、礼拝堂の床に足をつける。
メル・ゼナは借りてきた猫のようにおとなしくしているが、万が一の場合に備えて七海は言峰から一定の距離を保ちつつ、メル・ゼナの傍らから離れないようにしていた。

「さて、君は聖杯戦争のことについて何も知らないであろうし、サーヴァントから聖杯戦争について聞くのも難しいだろう。監督役として私から君に教えられる限りのことを話すからとりあえず話だけでも聞きたまえ。」
そう言うと言峰は七海に聖杯戦争の説明をゆっくりと始めた。

聖杯によって選ばれた参加者であるマスターとそのサーヴァントが生き残りをかけて戦うということ。
聖杯はどんな願いでも叶える願望機であり、手に入れられればありとあらゆる願いを叶えることが可能だということ。
そして聖杯にアクセスするためには令呪の存在が必要不可欠であり、3画全て失えば失格となるということ。

「……以上だ。他に何か質問はあるかな?」
「……」
言峰の説明を聞き、七海はますます確信を強める。
江ノ島盾子のやり口と同じだ、と。
動機を用意し、参加者同士の殺し合いを煽る。
それこそ、江ノ島盾子が最も得意としているやり方であった。
だがその一方で、この聖杯戦争に江ノ島盾子が関わっていないというのは本当なのでは、という考えも七海の中には生まれていた。

あらゆる願いを叶え、願いの内容によっては宇宙を創造したり世界すら作り変えたりするような代物なんてそんなものは幾ら江ノ島盾子でも用意するのは不可能だし、江ノ島もそんな非現実的な物を餌としてぶら下げるようなことはしない。
それに瀕死の重傷を負った自らの全身の傷を跡一つ残さず修復したこと、宇宙空間のような未知の空間から教会の礼拝堂へと瞬時に転送したこと、そして何より現実に存在しないゲームの中のキャラであるメル・ゼナをこうして現実に召喚することが出来たこと、これらはどんな超高校級の才能を以てしても実現不可能な神の領域であり、この聖杯戦争に江ノ島は全く関与していないこと、言峰の語る聖杯の力もデタラメを言っているのではなく本当のことなのではと七海は思い始めていた。

299◆A1Sj87dFpOM:2022/10/16(日) 19:27:24 ID:???0

だがそれでも七海の気持ちが変わるわけでは無かった。

「……帰して……」
「ん?」

訝しむ言峰に対し、七海は自らの思いを吐露する。
「私は聖杯なんていらないしそのために誰かと殺し合いなんてしたくない!!みんなの所に帰してくれればそれでいい!!クラスのみんなの所に帰して!!」

だがそれに対し言峰は首を振り、こう答える。
「残念だがそれは出来ない。」
「!?どうして!!」

憤慨する七海に対し、言峰はまるで宣告を下すかのように答える。
「先ほども言ったと思うが君は死者だ。聖杯によって蘇ったといってもそれはあくまで魂だけがこの場に召し上げられているだけだ。元の世界に戻っても魂は霧散、消滅する。よって君が選べる選択肢は二つ、この聖杯戦争に参加し最後まで勝ち残って聖杯を手に入れるか、今この場で自決し自ら命を断つか。」
「そんなの関係ない!!」

七海は我を忘れて言峰に掴みかかる。
「私はただクラスの皆と一緒に楽しくゲームをしたり修学旅行とか色んな所に遊びに行ったり、日向君と一緒にゲームがしたかっただけなの!!殺し合いなんて望んでない!!超高校級の絶望とかカムクラ計画とかもうウンザリ!!私の学校生活を返して!!」

七海は先ほどの言峰の言葉を忘れたかのように更に激しく詰め寄るがそれに対し言峰は何ら動じることもなく、ただ冷笑を返すだけだった。

やがて七海は言峰から手を離すと目から涙を流し顔をおさえその場にへたり込む。

「みんなの……所に……帰してよぉ……」

そこには聖杯戦争のマスターでも超高級の才能を持つ生徒でもない、一人の等身大の少女の姿がそこにあった。
そんな七海に対し、言峰は言葉をかける。

「助言になるかどうかは分からないが……確かにこの聖杯戦争は江ノ島盾子は無関係だが、君の大好きなその『クラスメイト』の内の一人がこの聖杯戦争に参加しているかもしれないぞ?」
「……え?」

『クラスメイト』という単語に反応したのか、七海は泣くのをやめ、顔を上げる。

「「クラスメイトの誰かが参加している」って……ねえ!!それって誰なの!?『クラスメイト』の内の『誰』が参加しているの!?ねえ、答えてよねえ!!」

七海は再び言峰に詰め寄るが、言峰は首を振りこう答える。

「残念だがそれに答えることは出来ない。私はあくまで中立の立場だ。参加者に他の参加者の情報を流しては公平性に欠けるのでね。どうしても確かめたいのならこの聖杯戦争に参加し、自分の目で確かめたまえ。」

その言葉を聞くや否や、七海は言峰から手を放して距離を取り、メル・ゼナの傍らに戻ると決意に満ちた表情で宣言する。

「私……やっぱり聖杯戦争に参加します!」
「フッ……いいだろう。」
七海の宣言に対し、言峰は笑みを浮かべる。

「七海千秋。君の参戦を聞き入れた。聖杯は君を歓迎するだろう。細かいルールは端末のヘルプで参照できるが他に質問は……」
だが言峰が最後まで言い切らない内に七海は言峰に背を向け、教会の出口である扉に向かって走り出し、メル・ゼナも七海の後ろに続く。
「もうあなたと話すことはありません。これで失礼します。行くよ、ライダー!」
七海は背中越しにそう言い残し、扉を開けて外に出ると、鉄蟲糸を手に取ってメル・ゼナの背中に騎乗し、メル・ゼナと共に聖杯戦争の舞台であるパラディウム・シティに向かって走り出す。
その背後で────。

「────喜べ超高校級のゲーマーよ。君の願いは、ようやく叶う。」

言峰は立ち去る七海とメル・ゼナの背を見ながらこうつぶやいていた……。

300◆A1Sj87dFpOM:2022/10/16(日) 19:28:19 ID:???0


◇   ◇   ◇


「ごきげんよう、七海さん。」
「おはよう、七海さん。」
「お、おはようございますぅ〜、七海さ……あっ!?」
「またかよこのゲロブタ女!!」
「よう、七海。」
「ガッハッハッハッハッハ!今日も元気か七海!!」
「これはこれはマドモワゼル。七海さん、今日もご機嫌麗しゅう。」
「よう七海元気か!?オレは元気だぜ!!」
「あっ、七海さんおはよ……ソニアさぁ〜〜ん!あなたと今日も一緒に登校出来て俺はとても幸せです!」
「七海千秋よ、我が暗黒破壊四天王が貴様との再会を心待ちにしていたぞ。」
「七海さぁ〜ん、あなたと会えなかった間、唯吹はとても寂しかったッス!」
「七海、おはよう。」
「お……おはよう……七海さん……。」
「みんな、おはよう。」

ここは月海原学園の通学路、そこで七海千秋はかつての希望ヶ峰学園の77期生……の再現NPCたちと一緒に月海原学園に通学していた。
彼女に与えられたロールは『月海原学園に通う高校生』であり、NPC達もソニア・ネヴァーマインド、小泉真昼、罪木蜜柑、西園寺日寄子、九頭龍冬彦、弐大猫丸、花村輝々、終里赤音、左右田和一、田中眼蛇夢、澪田唯吹、辺古山ペコ、御手洗亮太、以上13名が再現されていた。
彼らに囲まれている七海の顔は予選会場や教会の礼拝堂にいたときと異なり、穏やかで優しい笑顔で包まれていた。

彼女はゲームの事や大切なクラスメイトや先生の事となるとつい熱くなってしまう一面もあるものの、本来は優しくて穏やかな性格であり、聖杯戦争に参加する直前に江ノ島盾子によって大切な先生やクラスメイト達を洗脳され、自身も理不尽にいたぶられ殺されたことから心が荒んでしまい、本来の性格が鳴りを潜めてしまっていたものの、仮初のNPCとはいえかつてのクラスメイト達との生活を取り戻せたことから、その生活の中で心の傷は徐々に癒え、本来の穏やかな性格に戻りつつあった。

再現NPC達は全員外見、性格、人間関係等がそっくりそのまま再現されていたものの、超高校級の才能だけは再現されておらず、全員普通の高校生となっていた。

でも七海にとってはそれで良かった。七海が欲しかったのは超高校級の才能で希望ヶ峰学園に入学したことによる地位や名誉ではなく、仲良しなクラスメイト達との楽しい学園生活であり、例えそれが聖杯戦争の間だけの仮初の生活だったとしてもそれで満足であった。

やがて学園の自身のクラスに着き、全員席に座るとしばらくして自身のクラスの担任にあたる教師が教室に入ってきた。
「はーい!みんなーちゅうもーく!!これからホームルームを始めまーす!!」

自身のクラスの担任はかつて希望ヶ峰学園で自身のクラスの担任を務めた元・超高校級の家政婦、雪染ちさ……の再現NPCであった。

彼女もクラスメイト同様、容姿や性格等はそっくりそのまま再現されていたものの、恐らく超高校級の家政婦の才能はない、ただの普通の女性教師であろうと思われた。

雪染が話をする中、七海は教室とクラスメイト達を見回す。
確かに担任の雪染を含めた自分自身を除くクラスの皆はほとんど再現されていたが、ある『2名』だけが同じクラスのNPCとして再現されていなかった。
一人は『超高校級の詐欺師』だ。彼は名前や経歴等が全て不明な正体不明の人物であり、狙った人間の声、雰囲気、性格など、全てを真似ることが出来る詐欺師の才能を持った人物であり、学園生活では御手洗亮太に変装し、御手洗亮太の名を語って本人の代わりに学園に登校していた。
彼に関しては才能を持たず、普通の高校生として学園に登校する彼を再現できなかったため、欠番になったのであろうと思われたが、七海は彼よりもNPCとして再現されなかったもう一人の人物の方が気になっていた。

301◆A1Sj87dFpOM:2022/10/16(日) 19:29:07 ID:???0

(狛枝くん……)
そう、狛枝凪斗、彼だけが詐欺師を除けば自身のクラスメイトの中で唯一NPCとして再現されなかった人物である。

七海の同級生たちは変わった性格をした変人が多かったのであるがその中でも狛枝は変人を通り越してどこか得体の知れない性格、考え方をしていた。

彼は『希望』こそが全て、絶対という考え方をしていたのであるが、彼の場合は最早それは『盲信』『異常』の領域にまで達している上に『希望』のためなら手段すら選ばない側面があり、実技試験を延期してもらうために76期生の3人の先輩たちをハメて試験で安藤先輩の用意したお菓子に下剤を混入、体育館に爆弾を設置してその後自身のバックと忌村先輩のバックをすり替え、忌村先輩に爆弾のスイッチを押させ体育館を爆破、結果先輩たち3人を退学に追い込んだり、罪木さんを探すために地下の隠し部屋に突入、そこで江ノ島盾子と初めて出会った際、「希望を守るため」「希望の踏み台に相応しいかどうか試す」など訳の分からないことを言いながら海外で入手した拳銃で江ノ島を射殺しようとするなど、『希望』のためなら手段すら選ばず、一線を越えるようなことでも躊躇なく実行する彼の異常性は、変人ぞろいの同級生たちの中でも特に異質な、言わば『イレギュラー』と言えるような存在であった。

……でもそんな彼でも、自分にとっては大切なクラスメイトの内の一人だ。
彼は他のクラスメイト達と比べると付き合いが長いとは言えない。
前述の爆破事件の一件で彼は無期限停学処分をくらい、再開したのは自分が死ぬ直前、江ノ島の謀略によって予備学科生徒たちが暴動を起こし学園が混乱に包まれた中での再開で、程なくして自身が江ノ島の手によって殺されたため、彼との付き合いは他のクラスメイト達と比較すると少ないと言わざるを得なかった。
それでも彼も大切なクラスメイトの内の一人であることには変わりがない。雨が降りしきる中、カムクラと化した日向はじめの手によって重傷を負った彼を一人で抱えて必死で教室に戻ったあの時の事は今でも忘れてはいない。

言峰は「『クラスメイト』の内の一人がこの聖杯戦争に参加しているかもしれない」と言っていた。この言葉が自身がこの聖杯戦争に参加した最大の理由の一つなのだが、クラスメイト達の再現NPC達を見て、その答えがハッキリと見えてきた。

勿論、参加した『クラスメイト』が超高校級の詐欺師である可能性も無きにしろあらずなのであるが、彼の性格を考えるとこの聖杯戦争に自ら望んで参加している可能性は非常に低いと思われた。

彼の事だ。「希望のため」と言いながら自ら望んでこの聖杯戦争に参加し、希望のために手段すら選ばず活動する可能性は非常に高いと思われた。

だから自分はクラスの委員長として彼を見つけ出し、彼を止めなくてはならない。
そして聖杯への願いで死者である自身を蘇らせ、彼……狛枝凪斗と自身のサーヴァントであるメル・ゼナと共に元の自身の世界に帰還、世界を絶望に染め上げようとしている江ノ島盾子を今度こそ止めなくてはならない。

七海は決意に満ちた表情で窓の外を見つめていた。
(待っててね……狛枝くん。絶対にあなたを見つけ出して見せるから。)

そうこうしているうちに雪染先生の話はクラスの学級委員長を誰がやるかという所にまでなっていた。

「立候補で決めても良かったんだけど、独断と偏見で決めちゃいました。」
そう雪染はあっけからんと言うと、
「このクラスの学級委員長を、七海千秋さんにお願いすることにしました!」
この雪染の決定に対し、クラスの皆も
「七海さんならピッタリです!」
「俺もソニアさんに賛成です!」
「別にいいんじゃねえか?」
「ワシも賛成じゃ!」
「俺も構わねえぞ。」
「私も一向に構わん。」
「異議なしッス!」
「私もかな。」
「いいんじゃない?」
「ナイスパンチ!」
「わ、私も七海さんなら……」
「フッ……それが世界の選択か。」
「ぼ……僕も賛成するよ……」
と、誰一人として反対意見は出ず、全員一致で「七海千秋を学級委員長に推薦」という話の流れになった。
「七海さん、どうかしら?皆もこう言ってくれてるし、引き受けてもらえない?」
この雪染の問いに対し、七海の回答は早かった。

「……はい!喜んで引き受けます!」

302◆A1Sj87dFpOM:2022/10/16(日) 19:29:55 ID:???0
【サーヴァント】


【CLASS】
ライダー

【真名】
爵銀龍 メル・ゼナ

【出典】
モンスターハンターライズ:サンブレイク

【性別】
不明

【ステータス】

筋力 A+ 耐久 A 敏捷A 魔力 C 幸運 D 宝具A

【属性】
中立・中庸

【クラス別能力】
対魔力: C
第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。
 大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。

騎乗:EX
乗り物を乗りこなす能力。後述の理由からメル・ゼナ自身が人間が騎乗して操る乗り物そのものであるため、彼(?)はこれ以上の騎乗を必要としない。

竜種:EX
最強の幻想種たる竜種である事の証。その出自と格ゆえにEXという規格外のランクを持つ。



【保有スキル】
操竜:A
メル・ゼナをライダー足らしめているスキル。発動するとメル・ゼナの身体の各部位から「鉄蟲糸」と呼ばれる手綱兼操り糸のようなものが発生し、マスター自身がメル・ゼナに騎乗し鉄蟲糸を手に持つことでマスターとメル・ゼナが一心同体となりマスターの意思に合わせてメル・ゼナの行動を制御することが出来るようになる。このスキルによってメル・ゼナは「騎乗する」ライダーとしてではなく、「騎乗される」ライダーとしてマスターと共に戦う。

咆哮:A
その咆哮を聞いたものを怯ませ、一定時間の間行動不能にさせる。行動中の場合はその行動を中断させることも可能。
「勇猛」スキルや耳栓などの物理的に咆哮を聞かない手段を用いれば軽減や無力化が可能。

吸血:B
吸血行為と血を浴びることによる体力吸収&回復。ランクが上がるほど、吸収力が上昇する。メル・ゼナの場合は対象の精気を吸収することによって後述の宝具の発動を可能としている。

飛行:B
翼を用いて自在に飛行できる能力。飛翔して敵の後ろに回り込んで攻撃出来る他、後述の仕切り直しとの併用も可能だがメル・ゼナの場合は空戦よりも陸戦の方が得意なため、通常の飛竜種よりもランクが一段階劣る。

仕切り直し:B
戦闘から離脱する能力。
完全に捕捉された状況であろうとも、ほぼ確実に離脱することができる。
飛行能力などを併用し上空へと逃れた場合、離脱を阻止することは不可能に近い。

【宝具】
『血氣活性』
ランク:A 種別:対人(自身)宝具 レンジ:-  最大補足:1人
吸血により吸収した精気を解放することで自身の本性を露わにした真の姿を解放する。
この宝具を発動すると各部の紅色の体毛が一層鮮やかに輝き出し、白銀だった甲殻は黒ずみ、口元や胸・手首の羽毛、槍状の尾の三叉部分などに紅色の靄を纏うようになる。また自身のステータスを全て1ランク上昇させる他、全身を黒い霧で包んでその直後に敵の至近距離にまで瞬間移動する「ダークロードブリス」も使用可能になり、後述の宝具を発動するためにはこの宝具を発動することが必要不可欠となる。

『ナイトメアクレイドル』
ランク:A+ 種別:対城宝具 レンジ:1〜80 最大補足:800人
上記の『血氣活性』を発動中に発動可能となる宝具。発動するとメル・ゼナが上空に舞い上がり、口からビーム状の龍属性のブレスで周囲一帯を焼き払い、その直後に巨大な球状の龍属性のブレスを真下に向かって吐き出す。
投下された龍属性ブレスは地面に接触すると炸裂して周囲に衝撃波を放った後、蛇行する衝撃波状の龍属性エネルギーをいくつも奔らせる。
ただしこの宝具を発動すると『血氣活性』は強制解除されてしまう。

303◆A1Sj87dFpOM:2022/10/16(日) 19:30:38 ID:???0

【weapon】
翼についた巨大な翼爪や三又の槍のような形状に発達した尾を駆使した攻撃、龍属性のブレス攻撃や衝撃波状のエネルギー波、自らの肉体や身体能力を用いた格闘術

【人物背景】
ゲーム「モンスターハンターライズ:サンブレイク」の看板モンスターにして、同ゲームのメインモンスターを務めるモンスターの中の最上位種「古龍種」の中の一体。
物語開始よりも数百年前、舞台となる観測拠点エルガドを有する王国に突如として現れ、それ以降幾度となく王国を滅亡の淵に立たせるまでに追い込み、今なお“王域を統べる龍”として君臨する大型の古龍種。
王国を何度も崩壊の危機に追い込んだ過去から、王国の人々からは広く恐れられており、その脅威を排除することは王国全体の悲願とされている。
気高い佇まいと美しく優雅な見た目を持つが、しかしその性格は残忍にして狡猾であり、獲物を襲う際にも正面から堂々と戦いを仕掛けるような事はせずに夜の闇に紛れて襲撃を行い、自らの手をできる限り汚さずに全てを得ようとするかのような狡猾な振る舞いを見せる事もある。
また、爵銀龍という別名に相応しいプライドの高さも持ち合わせているようで、
自分が相手をするのにふさわしい者を見定め、力を持つ者相手には技と速さで、
素早く技巧に長ける外敵にはその力で持って沈める戦い方を好む。
同じ「王域三公」に属する剛纏獣ガランゴルム、氷狼竜ルナガロンと比較しても別格の危険度と実力を誇るとされており、メル・ゼナの出現と共に王都近辺に空いた「大穴」の調査のため本作の舞台となる観測拠点エルガドが設立されている。
また「噛生虫キュリア」と呼ばれる謎の生物と共生関係にあり、目撃情報によればメル・ゼナはキュリアを自らの配下として使役するかのように扱い、周囲の獲物や相対する外敵から精気を吸収させ、自身に献上させるような姿が見られたという。
また、メル・ゼナはキュリアが有する毒で体内を満たし、自らの力として行使するという適応性を見せている。
キュリアが目撃される少し前より王域生物がその縄張りを離れて他地方へ侵出する異変が発生しており、この“モンスターの異変”について観測拠点エルガドが調査を行なっていた。
その結果、この現象はキュリアが精気の奪取を目的としてモンスターを噛み、牙から毒性の強いウイルスが入り込む事によって王域生物が狂暴化した事が原因であったと結論付けられ、キュリアを従えるメル・ゼナこそがこの一連の事件の首魁であると目されている。
ストーリー中では氷狼竜ルナガロンを倒したカムラの里から招かれた猛き炎であるハンターと王国騎士であるフィオレーネの前に突如として現れ、猛き炎を翻弄、自らに挑んできたフィオレーネに意識不明の重傷を負わせ、悠々とその場から飛び去る。
その後長らく姿を見せなかったものの、エルガドの調査員に城塞高地を拠点としていたことを暴かれ、城塞高地に乗り込んできた猛き炎と重傷から回復したフィオレーネのタッグを迎え撃つが死闘の末に打ち倒される。
だがキュリアの本当の宿主はメル・ゼナではなく、『冥淵龍ガイアデルム』と呼ばれる超大型古龍であり、大穴を開けた本当の真犯人もガイアデルムであり、メル・ゼナは地上に進出しようとしていたガイアデルムを食い止めようとしていただけであることが後に判明する。
その後百竜ノ淵源ナルハタタヒメと戦うハンターたちの前に別個体が登場、ハンターたちと共闘し百竜ノ淵源ナルハタタヒメの討伐に助力している。

当聖杯戦争において召喚されたメル・ゼナは百竜ノ淵源ナルハタタヒメ戦においてハンターたちと共闘した個体である。


【サーヴァントとしての願い】
(自身の種の存続に関わるような事態にならない限り)特になし

【方針】
マスターと共に戦う

【把握媒体】
ゲーム「モンスターハンターライズ:サンブレイク」をご参照ください。プレイ動画及びムービーがYoutubeなどの動画サイトにUPされています。
メル・ゼナに絞って把握したい場合は「メル・ゼナ」と検索することでヒットする動画を見るのがいいかもしれません。

304◆A1Sj87dFpOM:2022/10/16(日) 19:31:42 ID:???0

【マスター】
七海千秋

【出典】
ダンガンロンパ3 The End of 希望ヶ峰学園 絶望編

【性別】
女性

【能力・技能】
『超高校級のゲーマー』
「ダンガンロンパ」シリーズの物語の中心となる学園「希望ヶ峰学園」において本科生徒として在籍を許される条件として存在する『現役の高校生であること』『特定の分野や職種において大人のプロと同等かそれ以上の才能を発揮、あるいは成果を出していること』の二つを満たすことで希望ヶ峰学園の本科入学と共に得られる称号で、七海千秋がゲーマーとしての才能を学園に認められたことで本科入学と共に得た称号。
上述のようにあくまで『才能』『肩書』の範疇であり、異能の類ではないのだが、七海千秋が聖杯の力によって蘇ったことにより聖杯の力により異能の領域にまで昇華されている。
能力の効果としては「ゲーム作品出典のサーヴァントの召喚に成功した場合、サーヴァントとの信頼度及び絆レベルにプラス補正が掛かる」というもの。

【weapon】
なし

【人物背景】
希望ヶ峰学園77期生の一人で、経緯は不明だがゲーマーとしての才能を認められ、希望ヶ峰学園のスカウトマンである黄桜公一にスカウトされ、『超高校級のゲーマー』として希望ヶ峰学園の本科生徒として入学した女子生徒の一人。肩書通り超がつくほどのゲーム好きで、初登場時は歩きながらゲームに夢中になって他の男子生徒にぶつかるまで気づかなかったり、担任の先生が話をしている最中や、教室が壊れるレベルの乱闘騒ぎが近くで起こってもゲームに夢中になっているほどであり、「私にはゲームしかない」と自虐する一面もあるほどであった。
入学した当初は「ゲームの才能で友達なんて出来るわけがない」と友達作りを諦めていたのだが、担任の雪染ちさから「一人で楽しいゲームなら、みんなと遊べばもっと楽しい」とアドバイスをもらったことで、教室に自らの私物のゲームを持ち込み他の77期生の生徒とゲーム大会を開き、親交を深めるために他の生徒たちと一緒にゲームを楽しんだり、教室の修理に追われ食事をまともにとってない皆に気を遣って同級生の花村輝々に肉じゃがをリクエストしたりするなど徐々に皆と打ち解けていった。
そんな折、雪染から77期生の学級委員に推薦され、最初は拒否するも他の生徒たちからの賛同を得たことで学級委員になることを了承する。
その後上記の経験から心境の変化があったのか、仲の良い男子生徒である日向はじめに「君にもし才能が無かったらどうする?」と問われた際に「人生は才能が全てじゃない、人と関わって思い出を作ることで才能よりも大切な希望が生まれる」「たとえ自分に才能が無かったとしても私はそれとは関係なくゲームが大好き」と自らの考え、思いを日向に吐露している。
その後カムクラプロジェクトの被験者になることを決意した日向に新作ゲームを一緒にプレイすることを誘うも「大事な用事があって出来ない」と断られ、これが最後の別れになると知らずに日向を見送る。
だがその後も音信不通になった日向はじめへの執着を捨てることが出来ず、雪染に日向のことを聞いたり連日予備学科の校門前で日向はじめを待ち続け、再開の時を待ち続けていた。
その後江ノ島盾子の謀略により予備学科生徒たちによる暴動が起きる中、学園に帰還した狛枝凪斗の証言を受け、行方不明になったクラスメイトの罪木蜜柑の捜索に向かうが、捜索のために狛枝と行動を共にした際、偶然隠し部屋を発見し狛枝と共に潜入するもそこで偶然本物の御手洗亮太を発見、その直後に隠し部屋にやってきた江ノ島盾子を射殺しようとする狛枝を制止するも、そこに乱入し狛枝に重傷を負わせたカムクライズルと対面する。
最初は日向がカムクラに変貌したことを理解できず再開を喜ぶも、「お前のことを知らない」と拒絶され、その直後に江ノ島盾子が自身に対し自らが黒幕であることを暴露、直後に乱入してきた雪染にその場を任せ、重傷を負った狛枝を抱えて教室に戻る。

305◆A1Sj87dFpOM:2022/10/16(日) 19:32:25 ID:???0
その後雪染救出に対し狛枝が否定的な意見を述べる中、押し黙るクラスメイト達に自身の雪染に対する思いを吐露、クラスメイト達に発破をかけ雪染救出の決意を固める。
そして雪染を救出すべくクラスメイト達と共に隠し部屋に突入するも江ノ島に洗脳されていた罪木の裏切りにあいクラスメイト達と離れ離れになる。
そして行き着いた通路で既に江ノ島に洗脳されていた雪染と再会、雪染が洗脳されていることに気付かないまま行動を共にする。
そして辿り着いた先で本性を現した雪染によってエレベーターに押し込まれ、そして江ノ島盾子に委員長としてのまとめ役であることに目を付けていたことを告げられ、絶望ビデオを完成させるための生贄としておしおきと言う名の処刑にかけられることになる。
そして江ノ島が用意した死のデスダンジョンにおいて仕掛けられたトラップにより左腕、右足、頭部と体の各部位を負傷しながらもモニター越しに自らの処刑を笑いながら眺めていた江ノ島に対し、痛みを堪えながら自身が決して折れないことと必ず野望を食い止めることを涙を流しながら宣言する。
その後も苦痛を堪えながらも決して諦めないことを宣言し脱出を目指すも、それを嘲笑うかのように江ノ島の作動させたトラップによって左脚を貫かれてしまう。
それでも決して諦めることも心が折れる事もなく自らを嘲笑する江ノ島に対し最後まで抗い続けることを宣言、痛みを堪えながら辿り着いた先にあった扉を開け、そこで大好きなクラスメイト達と雪染の幻影を見るが直後に作動したトラップにより全身を串刺しにされ致命傷を負ってしまう。
だがその状態でも辛うじて生きており、その場に訪れたカムクラに気付くとかつてのカムクラの名である日向の名で必死に呼びかけ続ける。それに対しカムクラに以前の記憶が完全に消去されたことを告げられても決して諦める事はなく、ボロボロの身体を必死に動かして必死に起き上がろうとするもそれも叶わず倒れてしまう。
その光景を理解できないカムクラに対し希望ヶ峰学園で共に過ごしたクラスメイトが心の底から大好きだったという気持ちを吐露、「死にたくない」と自らの死に対する無念を叫びながら「日向君ともう一度ゲームがしたかった」と自らの無念をカムクラに伝え、力尽き絶命する。

「スーパーダンガンロンパ2」に登場する七海千秋とは別人であり、スーダン2に登場する七海千秋の正体は77期生が「もう一度七海千秋に会いたい」という気持ちが全員一致したことで生み出された存在だったとされている。

【マスターとしての願い】
聖杯の力で死者である自身を蘇生、狛枝とメル・ゼナと共に元の世界に帰還、江ノ島盾子を止める

【方針】
狛枝凪斗が参加していたら探し出して見つけ出し、合流する。聖杯戦争を止めようとするマスター、誰も傷つけずに聖杯を手に入れて願いを叶えたいマスターがいたら交渉して協力を取り付ける。人を殺すようなことは絶対にしない。

【ロール】
月海原学園の高校生

【令呪の形・位置】
右手の甲の位置。希望ヶ峰学園の校章の形をしている。

【把握媒体】
アニメ「ダンガンロンパ3 絶望編」をご参照ください。アニメはdアニメストアその他配信サイトで全編配信中です。ゲーム「スーパーダンガンロンパ2」に登場する七海千秋は厳密には別人なので無理に把握しなくてもいいかもしれません。

306◆A1Sj87dFpOM:2022/10/16(日) 19:38:23 ID:???0
以上で投下終了です。
タイトルは書いてませんが、候補作のタイトルは「さよなら希望ヶ峰学園、ようこそ月海原学園」です。
内容を読めば分かると思いますが、NPCの中で狛枝だけ再現されていないのは、
他の書き手様が投稿した候補作の中に狛枝凪斗がマスターの作品があるため、
ある程度その候補作を意識した内容にしたためです。
一緒に採用するかどうかは企画主様にお任せします。
何か不都合があればご指摘よろしくお願いいたします。

307 ◆Mti19lYchg:2022/10/22(土) 17:26:12 ID:0aq1cPqg0
コロナワクチンの副反応による高熱、一週につき一作というノルマを果たせなかった恥からなかなか返答できませんでした。申し訳ありません。

>>仮面ライダーという在り方
何の力もない一般人が参加しにくいこの聖杯戦争企画で、ほぼ初の一般的な感性のチノ。
そんな中、仮面ライダーの剣崎がサーヴァントになってくれたのは実に幸運です。
サーヴァントとしてはアンデッドとしての召喚ではないようなので、願いが勝手に決められていないのもいいことですね。
ご投稿、ありがとうございました。

>>さよなら希望ヶ峰学園、ようこそ月海原学園
両方の原作は未見なのですが、千秋の強さ、弱さと、メル・ゼナの暴れっぷりが伝わってくる作品でした。
生き返りたいがその為に人を殺す気はない千秋がどこまで行けるのか楽しみになってきますね。
ところで千秋のゲームのメタ知識は出来ればこの作品内のみで留めていただければありがたいです。他にゲーム原作のキャラがサーヴァントになっているのであらかじめ能力を知っているとちょっと有利すぎるかと。
後、凪斗組と同時に採用するかは検討中です。
ご投稿、ありがとうございました。

308◆A1Sj87dFpOM:2022/10/30(日) 10:59:34 ID:???0
本スレであるこちらに直接投下させていただきます。
何か不都合がございましたらご指摘よろしくお願いいたします。

309◆A1Sj87dFpOM:2022/10/30(日) 11:00:44 ID:???0
「ちょっと……、ここはどこですのおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?」

暗闇に星々が輝く宇宙のような空間の中、ウェーブがかかった長髪の金髪の少女の上半身に蛇の下半身をもった異形の少女が自らの置かれた状況に対し憤慨の声をあげていた。
少女の名は邪神ちゃん、オカルト好きの女子大生「花園ゆりね」によって魔界から召喚された蛇の悪魔であり、帰還の呪文が分からないため現在はゆりねの住むアパートに居候している立場でもあった。

「ようこそ、常ならぬ願望を抱く新たなマスター候補者よ」
「!?だ、誰だテメエ姿を見せやがれ!!」
そのとき、どこからか壮年の男と思わしき声が響き、邪神ちゃんは驚いて辺りを見回すが声の主の姿を見ることは出来ない。

「『何故ここに呼ばれたのか分からない』といった顔をしているな。ではその答えを教えてあげよう。君は自らの意思で『星晶石』を手にしただろう?それによって君はこの聖杯戦争に導かれたのだ。」
「は?そんなもん手にした覚え……っあ!!?」
邪神ちゃんはここに来る直前、神保町をブラブラしていた際に偶然虹色に光る金平糖のような形状の石を3つ発見していたのだ。あまりに綺麗だったもんで「質屋に入れて大金を手に入れよう」と考え、周りに誰もいないことを確認し勝手にネコババしたのであるが今にして思えばあの石が男の言う『星晶石』なのであろうことを察する。

「くううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!こんなことになるって分かっていたら拾わなかったのに!!」
「こうなったのには君にも責任があると思うがね。」
「うるさいですの!!」
まあそれはさておき、と男が言うと
「まず君にはこれから予選を受けてもらう」
「やだ」
男の声に対し、床に寝そべり鼻をほじりながら邪神ちゃんは即答する。
「だーれがテメエの指図なんか受けるかっつの。私を元の世界に帰してくれるまでここから梃子でも動きませんの。」
「……」
そう、邪神ちゃんはこの通りクズな性格な上に人の指示で動くことが大嫌いなため、男の指示で予選を受けるつもりは毛頭なかった。

やがて男の声はため息らしきものを吐くと、
「……それならこちらで予選を勝手に始めさせてもらう。」
「?」
男の言葉と共に邪神ちゃんの目の前に円形の魔法陣が描き出され、そこから黒い人型の影のようなものが現れる。
「なんですのこいつは?」
邪神ちゃんの疑問に対し男の声は答える。
「そいつは『シャドウ』というサーヴァントのなり損ないだ。彼を倒せば、君は晴れて予選突破となる。」
「へえ……こいつを倒せばねえ……」
男の言葉に対し、邪神ちゃんはニヤリと口を歪ませる。
邪神ちゃんは自分よりも格下の存在を見下す一面もあり、それ故に見た目が大して強くなさそうなシャドウを格下だと彼女は判断したのである。
「だったら今すぐこいつを倒してさっさと予選を突破させてもらいますの!喰らえ殺人ドロップキックと並ぶ第二の殺人技ロイヤルコペンハーゲン!!」
そして彼女は技名を叫びながら目の前のシャドウに向かって利き腕の右手によるストレートパンチをシャドウに向かって放つ。

……が、パンチこそ直撃したもののシャドウに対しダメージを与えられた様子は全くなかった。
「……え?」
呆気にとられる邪神ちゃんに対し、シャドウは邪神ちゃんを押し倒すとそのまま馬乗りになり、邪神ちゃんの顔面に向かって拳の連打を放つ。
「ちょおぶっ何でぶへっ効かなぐはっ助けぐへっ!?」
邪神ちゃんはシャドウに殴られながらも自らの疑問を口にする。そう、邪神ちゃんはいつもはいばっているがその実力は「魔界最弱」と称されるほど弱く、相手を舐めてかかっては返り討ちにあうのがお約束であった。
(や……やばい死ぬ死ぬ死ぬ!!た、助けてくれゆりね!!)
邪神ちゃんはシャドウに殴られながらも脳内に花園ゆりねの姿を思い浮かべる。
すると邪神ちゃんの脳内のゆりねが何か語り掛けてくるような幻聴が聞こえた。

310◆A1Sj87dFpOM:2022/10/30(日) 11:01:35 ID:???0

『馬鹿ね邪神ちゃん。ネコババなんてするからバチが当たったのよ。自らが招いた結末なのだから諦めて受け入れなさい。』

(そ、そんな……そんなこと言わずに助けてくれゆりね……)
邪神ちゃんはシャドウに殴られ続けながらも目に涙を浮かべ、脳内のゆりねに懇願する。
……が、その時邪神ちゃんは自らが大切なことを忘れていたことに気付く。
(……あれ?何で私ゆりねなんかに懇願しているんだ?)
そう、元々邪神ちゃんは花園ゆりねに召喚されたことで魔界に帰れなくなってしまったため、魔界に帰るために日々ゆりねの命を狙っていたはずである。
そのことを思い出した邪神ちゃんの中に自らが置かれている状況と花園ゆりねに対する激しい怒りの感情が芽生え、それに呼応するかのように邪神ちゃんが持っていたセイントグラフが妖しく光り始める。
(そうだ……私は花園ゆりねを殺し、魔界に帰るんだ。だから……こんなところで終わってたまるかああぁぁぁぁぁぁ!!!)
邪神ちゃんの中の怒りの感情が最高潮に達した瞬間、セイントグラフが宙を舞い、辺りは大きな光に包まれた。
その光に驚いたのか警戒したのかは分からないが、シャドウは邪神ちゃんから離れ、大きく後ろに後退する。

光が消え去った後、邪神ちゃんとシャドウの間に一人の戦士が出現していた。
全身を白金の鎧で身を包んでおり年齢や性別等を見た目だけで窺い知ることは出来ない。そしてその手には先端に槍状の刃がつき、両側に翼のように広がる大鎌の刃がついた、まるで十字槍のような禍々しい形状の大鎌が握られていた。邪神ちゃんは最初、何が起こったのか分からず呆気にとられていたのだが恐らく目の前の戦士がシャドウに殴られ続けていた自分を助けてくれたのだと察する。
だが、サーヴァントのなり損ないであり、本能や理性を持たないシャドウは一切恐れることなく、呼び出されたその存在に襲いかかった。
が_____

『武技「双空斬」「剛腕剛撃」「流水加速」』

一瞬だった。戦士が大鎌を振るうとその軌跡上に二つの刃のオーラが発生し、まるで飛び道具のように刃のオーラがシャドウに向かって飛ばされ、刃の直撃によってシャドウは切り刻まれ、霧散、消滅する。

その光景を邪神ちゃんはただ見ていることしか出来なかった。ただ一つだけ言えるのはシャドウは倒されたため、邪神ちゃんは無事に予選を突破できたということだけだった。

「あ゛〜〜〜〜よかったあ〜〜〜〜〜死ぬかと思いましたのお。」
邪神ちゃんは安堵感からか、床に仰向けになって寝転がる。
やがて戦士は邪神ちゃんに気付くと邪神ちゃんの方に振り向いてツカツカと歩み寄り、やがて邪神ちゃんの目の前にくると兜をゆっくりと外す。

兜の中から現れたのは少女の顔であった。外見年齢は邪神ちゃんとそう変わらない位であろうか。肩まで伸びた髪は邪神ちゃんから見て左半分が白銀、右半分が漆黒の2色に分けられており、眼の色も左右で違うオッドアイという特徴的な容姿をしていた。

まさか兜の中の顔が少女だと思わなかったのか、呆気にとられている邪神ちゃんに対し、サーヴァントである少女は自己紹介をする。

「サーヴァント、ランサー。真名、アンティリーネ・ヘラン・フーシェ。……アンタが私のマスター?」

311◆A1Sj87dFpOM:2022/10/30(日) 11:02:31 ID:???0


 ◇ ◇ ◇


邪神ちゃんとアンティリーネは気が付くといつの間にか教会の礼拝堂らしき場所へ転送されていた。

「────ようこそ、試練を乗り越えた聖杯戦争のマスターよ。」

声と同時に礼拝堂の奥からこの教会の神父であり、この聖杯戦争の監督役でもある男、言峰綺礼が姿を現す。
「私は、言峰綺礼。此度の聖杯戦争において監督役を務めている者だ。」
「あ゛ーーーーーーっ!!お前その声はさっきの!!」
邪神ちゃんは言峰の声から、最初に予選会場で聞こえてきた声と同じだと察すると、下半身を器用に動かして言峰に近づき、言峰に掴みかかる。
「テメー何してくれてんだ勝手に予選始めやがって!!危うく死にかけたじゃねーか!!」
「まあ落ち着きたまえ。私はあくまで中立の立場だ。そちらから危害を加えてこない限り、こちらも危害を加えるつもりはない。」
「どこがだどこが!!」
言峰の言葉に対し、邪神ちゃんは更に憤慨する。が、
「君は何か望む願いは無いかね?この聖杯戦争に優勝すれば何でも望む願いを叶えることが出来るぞ?」
「……今、何て言った?」
「何でも望む願いを叶える事が出来る」という言葉に反応したのか、邪神ちゃんは急に真顔になると言峰から手を放す。
「今の話、もっと良く詳しく聞かせるですの。」
「ふっ……いいだろう。」

そう言うと言峰は邪神ちゃんに聖杯戦争の説明をゆっくりと始めた。

聖杯によって選ばれた(今回の場合は星晶石が招待状)参加者であるマスターとそのサーヴァントが生き残りをかけて戦うということ。
聖杯はどんな願いでも叶える願望機であり、手に入れられればありとあらゆる願いを叶えることが可能だということ。
そして聖杯にアクセスするためには令呪の存在が必要不可欠であり、3画全て失えば失格となるということ。

「……つまり本当に聖杯を手に入れれば、どんな願いでも望むだけ叶える事が出来るということですの?」
「無論、そのためには最後の一組まで生き残る必要があるがな。君は何か叶えたい願いでもあるのかな?」
「ふっふっふっふっふ、よくぞ聞いてくれましたの。」

邪神ちゃんは意味深な含み笑いをすると指をビシィという効果音が聞こえそうなくらい大袈裟なポーズをしながら指差し、言峰の質問に答える。

「私の願い……それは元の世界に帰ることなんですの!!」
「……は?」

言峰は「何を言っているんだ?」といった顔で邪神ちゃんを見ると説教台の隣にある扉を指差し、邪神ちゃんに説明をする。

「い……いや……別に参加したくないのであればそこの帰還ゲートから元の世界に帰れるのだが……」
困惑する言峰に対し、邪神ちゃんは力説する。
「いーや!あの扉の向こうの世界は私が帰るべき世界にあらず!!私は聖杯の力で花園ゆりねを殺し、契約を解除して元の魔界に帰る!!それこそが私が聖杯にかける願いなんですの!!」
そんな回りくどい願い方をしなくても聖杯の力で契約を解除するとか魔界に強制送還してもらうとか他に方法はあるだろうと思わなくもないが、彼女はまだ願いを言い足りないのか言葉を続ける。
「後はー、聖杯の力で一生働かなくてもいいような使い切れないほどの大金を手に入れるとか。大金が手に入ったら好きなだけパチ打ったりソシャゲに課金しまくったり……うへ、うへへへへへへへへへへ。」
捕らぬ狸の皮算用とはよく言ったもので今から聖杯の使い道を思い浮かべながら恍惚の表情を浮かべる邪神ちゃんに対し、言峰は困惑しながらも参加の意思を聞く。

「で、では君はこの聖杯戦争に参加するということで構わないのだな?」
「はいはいはい!!参加します参加します!!いや是非とも参加させてください!!」
「わ、分かった……いいだろう……」
言峰が邪神ちゃんの意思を汲み取ろうとした時だった。

312◆A1Sj87dFpOM:2022/10/30(日) 11:03:14 ID:???0

「私は嫌よ。」

その時、突如として二人の会話に割って入る者がいた。
それはこれまで邪神ちゃんと言峰のやり取りに対し、沈黙を守っていたランサーのサーヴァント、アンティリーネであった。
「ん?ランサー、どうして君は参加したくないのかね?」
会話に割って入ってきたアンティリーネに対し、言峰は疑問を投げかける。
だがその二人の間に更に割って入って来るものがいた。邪神ちゃんである。
「……おい、神父。」
邪神ちゃんは言峰から背を向け、アンティリーネの方に向き直る。その声には明らかな怒気が混じっていた。
「私は今からこいつと話をつけてくる。テメエは口を挟むな。」
「……いいだろう。」
邪神ちゃんの言葉に言峰は後ろに下がり、邪神ちゃんはアンティリーネと向かい合う。
「……おい、ランサー。今何つった?」
「何度も言わせないでよ。私はね、あんたとは組みたくないと言ってんの。あんたのような亜人種とはね。」
「……は?」
邪神ちゃんは「意味が分からない」と言った顔をした。やがて邪神ちゃんは「馬鹿にされた」と感じたのか、突如として激昂し、大声でまくし立てまくる。

「テメー亜人って何だ亜人って!!私は魔界の農林水産省的な所の一番偉い人の娘、誇り高き魔貴族の邪の神、邪神ちゃんだ!!亜人なんてあんな連中と一緒にすんな!!」
憤慨する邪神ちゃんに対し、アンティリーネは冷静に反論する。
「だってあんたの見た目、どう見てもナーガじゃない。」
「……へ?」
アンティリーネが邪神ちゃんを悪魔ではなく、亜人種だと判断したのには理由があった。

アンティリーネの住んでいた世界にも種族としての悪魔は存在していたが、それとは別に『亜人種』に分類される種族の中に「ナーガ」と呼ばれるモンスターが存在していた。
ナーガは胸から上は人間で、それより下は蛇という外見を持つ種族であり、幾つもの亜種が存在するが、どの種も人間に対しては友好的ではないモンスターであった。
それに目の前の少女は自らの事を『魔貴族』と称していたがアンティリーネの知る限り悪魔の上位モンスターの中には「デーモン」や「魔将」と呼ばれる存在はいても、「魔貴族」と呼ばれるモンスターは存在していなかった。

……最も、法国が存在を把握していないだけで「魔貴族」と呼ばれる悪魔の上位モンスターがどこかに存在している可能性はあるし、更にこれは自身がアインズ・ウール・ゴウン魔導国の捕虜となった際に聞いた話であるが、リ・エスティーゼ王国が魔導国によって滅ぼされた際、王国の第三王女であるラナー・ティエール・シャルドロン・ライル・ヴァイセルフと彼女の従者である騎士クライムが自らの助命と引き換えに魔導国に忠誠を誓い、その証明として『堕落の種子』と呼ばれるマジックアイテムで自らの種族を人間種から悪魔に種族変更したという話を聞いたことがあった。
「ナーガって何だナーガって!!私は!!誇り高き魔貴族の邪神ちゃんだ!!ナーガじゃねーよバーカ!!」

もしかしたら……彼女の正体はナーガの少女が何かしらの手段で『堕落の種子』を手に入れ、ラナー王女と同様、自らの種族をナーガから悪魔、それも「魔貴族」なる未知の種族へと種族変更した存在なのでは、とアンティリーネは考えていた。
確かめてみる必要がある。そう考えたアンティリーネは彼女に尋ねてみることにする。
「それとも……あんたは『堕落の種子』でナーガから悪魔に種族変更したとでも言うのかしら?」
「……は?『堕落の種子』?種族変更?何言ってんだお前?」
聞いた自分が馬鹿だったとアンティリーネは今更ながら後悔する。でもこれではっきりしたことがあった。
恐らく彼女が悪魔であることも「魔貴族」なる種族であることも全て自称だ、とアンティリーネは判断する。
どういうメリットがあるか分からないがやはり目の前の少女はナーガで、自らが悪魔であること、更には「魔貴族」なる存在しない種族をでっち上げ、自らがそれだと吹聴しているのだとアンティリーネは判断する。

313◆A1Sj87dFpOM:2022/10/30(日) 11:04:00 ID:???0

だが彼女が悪魔だろうがナーガだろうが結論は変わらない。
彼女の祖国であるスレイン法国では人間こそが神に選ばれた民である宗教概念を持ち、人間以外の他種族は殲滅すべしという理念を掲げていた。
そのため法国は自身も所属していた漆黒聖典を始めとした『六色聖典』と呼ばれる特殊部隊などを用いて亜人種や異形種などの他種族を積極的に排除しており、そのおかげで自国や周囲の人間国家の安全が保たれていた側面があった。
それに彼女……アンティリーネは「漆黒聖典 番外席次 絶死絶命」として、そして法国を建国した六大神の血をひき、その力を覚醒させた『神人』として、そしてスレイン法国の最高戦力でもある人類の守り手として目の前の亜人の少女と手を組むなんてことは絶対に出来なかった。

もし仮に自分が目の前の亜人の少女をマスターと認め、服従を誓ってしまったらどうなってしまうのであろうか?
そんなことをしたら自らが愛し、自らの命を懸けてでも救おうとした大好きな祖国を裏切ることになってしまう。
彼女にも聖杯にかける願いはあったが、祖国を裏切る位ならいっそのことこの聖杯戦争を辞退する方がマシだと考えたのだ。
「とにかく、私はアンタとは組めない。私がアンタに言えることはただそれだけよ。どうしても参加したければアンタ一人で勝手に参加しなさい。」
「……」

邪神ちゃんは俯き、ただ押し黙っていた。やっと諦めてくれたか、とアンティリーネは安堵するが、その直後、邪神ちゃんが何かを呟き始める。
「……ち……」
「ち?」
何を言っているのか、とアンティリーネは訝しむが、その直後にとった邪神ちゃんの予想外の行動にアンティリーネは驚愕する。
「チクショオォォォォォォォォーーーーーーーー!!!こうなったら力ずくで従わせてやる!!食らえ必殺!!邪神ちゃんドロップキィィィィーーーーーーク!!!」
なんと邪神ちゃんが垂直に飛び上がったかと思うと、尻尾の向きをアンティリーネの方に向け、そのまま一直線にアンティリーネに向かって突撃してくる。

アンティリーネは「ちぃ!」と口の中で舌打ちをする。可能性としては考えていないわけではなかったが、まさか本当に実力行使に打って出てくるとは思わなかったのだ。
アンティリーネは愛用武器の大鎌を手に取り構える。その顔にはいつもの笑みはない、最大限の警戒を払った顔であった。
アンティリーネがここまで警戒するのには理由があった。
ナーガには幾つもの亜種が存在するがその中には「スワンプ・ナーガ」と呼ばれるレベル80に達するモンスターが存在していた。
もし仮に目の前の少女がスワンプ・ナーガであった場合、レベル88のアンティリーネでも全力で戦わなければ足元をすくわれかねない可能性があり、その可能性を考えアンティリーネは目の前の少女を全力で打ち倒すことを決めていた。

そしてアンティリーネは邪神ちゃんを引き付けると自らの武技を発動する。

「武技『流水加速』『超回避』」

その武技の発動は目を見張る結果を生み出す。
まるで時間が操作されたかのような間延びした空間―――粘度の高い液体の中に落ちたように全ての動きが鈍くなる中、邪神ちゃんの速度もやけに遅くなる。
しかし、アンティリーネだけはこの緩やかな世界の中でも同じ速さを維持し、素早く邪神ちゃんの背後に回り込む。そして、

「武技『剛腕剛撃』『超斬撃』」

ザンッ スパッ
「あ゛」

勝敗は一瞬にして決した。武技を使用したアンティリーネの振るった大鎌の斬撃によって邪神ちゃんの上半身と下半身は両断され、礼拝堂の床に大量の血をまき散らしながら落下する。
流石にそれを見かねたのか、事の次第を見守っていた言峰がアンティリーネに声を掛ける。
「おいおい、君たち同士が争うのは勝手だがあんまし礼拝堂を汚さないでくれ。後片付けが大変なのでね。」
「先に手を出してきたのはこいつよ。礼拝堂を汚したのは悪いと思っているけど文句なら私じゃなくてそこに転がっているコイツに言ったら?」
あまりの呆気なさにアンティリーネも正直拍子抜けしていた。でもそれも別におかしなことではないとも思っていた。

314◆A1Sj87dFpOM:2022/10/30(日) 11:04:42 ID:???0

ナーガ種だって幾つもの亜種が存在するが別にそれら全てがスワンプ・ナーガ並みに強いわけでは無い。
例えばトブの大森林には以前は南の大魔獣、東の巨人、西の魔蛇の通称『三大』と呼ばれるモンスターが生息しておりその内の一体『西の魔蛇』リュラリュース・スぺニア・アイ・インダルンがナーガ種であったのであるが、彼のレベルは30代だったと言われており、事実魔導国建国前にトブの大森林を訪れた魔導王によって『東の巨人』グ共々簡単に制圧され服従を誓わされており、現在彼は魔導国の入国管理官の一人として入国希望者への講習の仕事をしているとアンティリーネは耳に挟んだことがあった。

もし仮に自身が殺した少女が『西の魔蛇』と同レベル、下手したらそれ以下だったとするならばレベル88の自身に勝てないのは至極当然の話であり、それ以前にまともなスキルや魔法を使わずただ突撃してくるだけの例えるなら『ガキが棒を振り回しているだけ』の戦い方をするような相手にアンティリーネは負けるつもりは毛頭なかった。

「だが良かったのかね?マスターはサーヴァントが現世に留まるための要石、それを殺してしまった君はいずれ消滅してしまう。その事に対する後悔はないかね?」
「別にいいわよ。亜人と手を組むなんてそんなことは祖国に対する裏切り行為、大好きな祖国を裏切る位ならいっそこのまま消滅した方がいいし、その事に対する後悔なんてないわ。」
自身のマスターを殺したアンティリーネの気持ちはむしろ晴れ晴れとしていた。彼女にも聖杯にかける願いはあるしそれを叶えられないことに対する無念や後悔の気持ちはある。でもそのために自らが命を懸け必死になって守ろうとした法国を裏切ってでも願いを叶えるつもりはなかった。そんなことをしてまで願いを叶えたとしても法国の人々は決して喜ばないだろう。
だからこの結果も自らの運命だと素直に受け入れて消滅する。その事に対する後悔の気持ちはアンティリーネには無かった。

「……?」
だがアンティリーネは自らの下半身に何か違和感を感じ、その違和感の正体を確かめるため、視線を下に向ける。その視線の先の光景を見た途端、彼女の目は驚愕で見開かれていた。
何と上半身『だけ』の状態になった邪神ちゃんが自らの足元に縋り付き、目を涙で潤わせ、懇願するような表情でアンティリーネを見上げていたのである。
予想外の展開にアンティリーネも正直驚いていた。自らに『沙羅双樹の慈悲』のような自動回復魔法でもかけているのか、それともHPや生命力に極振りしたビルド構成でもしているのかとアンティリーネは考えたのだがそんな彼女の考えをよそに邪神ちゃんはアンティリーネに懇願する。
「お゛ね゛がい゛し゛ま゛ず!!あ゛な゛ださ゛ま゛し゛か゛い゛な゛い゛ん゛です゛!!い゛っじょに゛さ゛ん゛がし゛でく゛だざい゛!!どう゛がお゛ね゛がい゛じま゛ず!!」
涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしながら懇願する邪神ちゃんを見て、アンティリーネの心は揺れ動いていた。

アンティリーネは自らの手に握られている大鎌―――『カロンの導き』に目をやる。
このカロンの導きはスレイン法国を建国した六大神の一柱である死の神、スルシャーナが愛用した武器で魔法を内蔵、使用することが出来、その中には第八位階魔法である即死魔法『デス』も含まれていた。
幾らこの少女の生命力が並外れていても即死魔法の『デス』を叩きこめば流石に死ぬだろう。
だがそれでいいのか、という気持ちがアンティリーネの中に生まれていた。
確かにアンティリーネは法国を愛してはいたが、法国の人間以外の他種族に対する差別感情は常軌を逸しており、人間に敵対意識を持っていない種族まで殲滅しようとしたり、同じ人間であっても異種族と仲良くしようとする者を迫害したりするレベルにまで達しており、アンティリーネも内心では流石にやり過ぎなのでは、もうちょっと緩和してもいいのではと思っていたのだが神人であり人類の守り手である立場上、法国上層部にその旨を言い出せないでいた。

そしてもう一つ、アンティリーネは自分の足元で懇願する少女を見つめながら、エルフ国で戦った魔導国の幹部のダークエルフの少女のことを思い出していた。
彼女は六大神と八欲王の血を受け継ぎその力を覚醒させた神人として今まで誰も自分に敵う存在はいないと思っていたのだが、任務でエルフ国を襲撃しエルフの王であり血縁上の父親であるデケム・ホウガンを自らの手で殺害した直後、彼女がその事実を知ったのは魔導国の捕虜になった後の話であるが―――デケムを追いかけてきた魔導国の幹部であるダークエルフの少女と交戦、自らの持ちうる全てを使って少女に喰らいつくも力及ばず敗北、そのまま魔導国の捕虜になってしまったのだ。

315◆A1Sj87dFpOM:2022/10/30(日) 11:05:56 ID:???0

自分は今まで口では「敗北を知りたい」なんて言っていたがそれは本当は自らに流れる血を、自分の力を否定したかっただけであり、敗北を知って初めて、本当に負けることの悔しさを知ったのだ。
敗北とは敵の攻撃に倒れることではない。我が身を賭してでも叶えたい願いを無残に砕かれること、覆しようのない絶望をもたらされることなのだ。
もし仮に目の前の少女の想いを無残に踏みにじり、『デス』を使って少女の息の根を完全に止めたとしたらどうなるのであろうか。
そんなことをしたら自身もあのダークエルフの少女と、そしてアインズ・ウール・ゴウン魔導国と何も変わらなくなってしまう。

アンティリーネは迷った。そして考えに考えぬき……そして決断する。
「……重傷治癒(ヘビーリカバー)。」
「……え゛?」
アンティリーネは自身の使える最高位の治癒魔法を邪神ちゃんに使うと、邪神ちゃんの身体は緑色の光に一瞬だけ包まれ、傷口から流れる血は止まる。
「私だって神官職は修めているからね、完治には程遠いかもしれないけど後はあんたの生命力で何とかしなさい。」
そう言うとアンティリーネは両手で邪神ちゃんの両脇を抱えると邪神ちゃんを持ち上げ自身の目線に合わせる。

「あんたには負けたわ。あんたの言う通り、私もあんたのサーヴァントして聖杯戦争に参加してあげる。だからあんたも私のマスターとしてやれるだけのことはやりなさい。」
「……う゛……」
アンティリーネの言葉に邪神ちゃんの目から再び大粒の涙がこぼれる。そして、
「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ!!あ゛り゛がどう゛あ゛り゛がどう゛わ゛だじのサーヴァント!ごれ゛がら゛も゛わ゛だじのた゛め゛に゛だだがっでぐれ゛ぇ〜〜〜〜〜!!」
邪神ちゃんは泣きじゃくりながらアンティリーネに抱き着き、その様子を見た言峰が二人に話しかける。

「どうやら話は着いたようだな。」
その言葉を聞いたアンティリーネは邪神ちゃんを引き剥がすと邪神ちゃんを自身の脇に抱え、言峰に背を向けると床に転がっている邪神ちゃんの下半身を拾い、それをもう片方の脇に抱え、改めて言峰の方に向き直る。
「邪神ちゃん、そしてアンティリーネ・ヘラン・フーシェ。君たちの参戦を聞き入れた。聖杯は君たちを歓迎するだろう。細かいルールは端末のヘルプで参照できるが他に質問はあるかね?」
言峰の問いにアンティリーネはフッっと笑うと、
「特にないわね。まあ、でも強いて言うなら……世話になったアンタには私から『ありがとう』の言葉を送るわ。」
「ちょ……それ私のセリフ……」
「フッ……」
そう言うとアンティリーネは邪神ちゃんを抱えたまま言峰に背を向け、教会の出口である扉に向かって歩く。
「喜べ魔貴族、そして神人よ。君たちの願いはようやく叶う。」
綺礼は立ち去ろうとするアンティリーネの背中へそう言葉を投げかける―――

―――邪神ちゃんとアンティリーネ・ヘラン・フーシェは教会を後にした。


◇   ◇   ◇

ここはC-4地区、センターロード街にあるとあるパチンコ店。
「また負けましたの……」
悲壮感溢れる表情でパチンコ店の自動ドアから一人の少女が出てきた。邪神ちゃんである。
因みにあの後持ち前の再生能力で上半身と下半身は無事にくっつき、現在の彼女はすっかり元通りの身体になっていた。
彼女に与えられたロールは一応『フリーター』なのであるが彼女は本日、偶然見つけたパチンコ店で一山当てようとパチを打ったものの、案の定負けてしまい軍事費として支給されたQP(クォンタムピーズ)を10万ほどスッてしまったのである。
因みにこういったことは元の世界でも邪神ちゃんは日常的にやらかしており、その度に親友のメデューサからお金を借りたり花園ゆりねの怒りを買ってお仕置きされるなんてことは日常茶飯事な光景なのであった。

316◆A1Sj87dFpOM:2022/10/30(日) 11:06:40 ID:???0

「ううぅぅぅ、打たなきゃよかった〜。何で打っちゃったんだろう?何でたった30分で中身が空になるんだろう?この路地に入りさえしなければ、特売時間なんて気にせずにスーパーに行っていれば……。この右手が、リールを回せと私に囁く……くぅ!何で震えて唸るんですの!?あぁ!人生の無情なさ!時の神様、願わくばお店に入る前の時間に、戻してぇ〜!!」
勿論そんなことを言っても時間が戻る訳がなく、邪神ちゃんは自身の発言の無意味さを悟る。
「……はぁ、もう家に帰るしかありませんの……」
そう言うと邪神ちゃんは自身に支給された生活拠点であるアパートへの帰路につく。
やがてアパートにたどり着き、割り当てられた自分の部屋のドアを開けると部屋の真ん中に置かれた机のそばに座っていた少女が帰宅した彼女を出迎えた。

「お帰り」
少女は軽い口調で邪神ちゃんに声を掛ける。その少女は髪の片方が白銀、もう片方が漆黒の二色に分けられた髪色に瞳の色も左右で異なるオッドアイという特徴的な容姿をしていた。彼女はアンティリーネ・ヘラン・フーシェ、邪神ちゃんが召喚したランサーのサーヴァントである。
彼女は手に持っていたルービックキューブを机の上にコトン、と置くと邪神ちゃんを詰問するかのような言葉を投げかける。

「ねえ、邪神ちゃん。あんた、私に何か言うべきことがあるでしょ?」
「い……いや、別に何も……」
「あるでしょ?」
「……は、はい……パチでQPをスッちゃいました……」
「いくら?」
「じゅ……10万ほど……」
邪神ちゃんのその言葉を聞くとアンティリーネは呆れたようにため息をつく。

「ねえ、邪神ちゃん。あれは今後の生活や戦いに必要な大切な軍資金なのよ?何でパチンコなんてくだらないことにつぎ込んじゃったの?」
「い……いつもの癖で……」
アンティリーネはため息をつくと物思いに耽るかのような表情で邪神ちゃんに語り掛ける。
「いい事教えてあげましょうか?私の祖国のスレイン法国はね?『六大神』と呼ばれる偉大な6名の神様たちが建国なさった国なんだけどその『六大神』様が遺した日記や手記にこんなことが書いてあったのよ。」
「あ……あの……それが私と一体どういう関係があるわけで……?」
「黙って聞いて。」
「は、はい……」

アンティリーネの言葉に邪神ちゃんは黙るとアンティリーネはそのまま話を続ける。
「この日記や手記は風の神『輝煌天使ねこにゃん』様、光の神『アーラ・アラフ』様、闇の神『スルシャーナ』様の3名のやり取りを残したものなんだけどね、『超レアアイテムの指輪を手に入れるために課金ガチャに給料全額つぎ込んじまったwwwwwww』『指輪はめる指開放も課金、課金すればするほど強くなる職業、習得魔法追加も課金、ギルドのNPC作成レベル上限アップも課金、ユグドラシル運営はプレイヤーに課金させることしか考えていないのかよwwwwwwwwww』『ユグドラシル運営クソクソクソクソクソwwwwwwwww』『ユグドラシル運営は金の亡者wwwwwwwww』『だけど俺らは今更ユグドラシルを辞めるわけにはいかないし辞めたら今までの課金が全額無駄になっちゃうんでこれからもジャンジャンプレイしてジャンジャン課金しまーすwwwwwwwww』……そりゃあもう酷いもんよ。偉大なる六大神様達も『運営』なる存在に金をむしり取られていったんだなって。」
「へ……へえ……国を建国した神様たちも色々と大変だったんですね……」
「パチンコも同じよ。どうせあーいった所は胴元が勝つ仕組みになってんだから『運営』なる存在と同じで金をむしり取ることしか考えていないのよ。分かったらあんなところに行くのはやめなさい。」
「……」

アンティリーネの言葉に邪神ちゃんは暫し押し黙った。しかし、
「こ、今回はたまたま運が悪かっただけなんだ!次は絶対勝つ!次はツキが向いている気がするんだ!次やれば今回の損失以上の大儲けが出来そうな気がするんだ!だから見逃してくれなっなっ!!」
「……」
性懲りもなく言い訳をする邪神ちゃんに対しアンティリーネは暫し押し黙る。そして、
「……ねえ、来て。」
「?」
突如としてアンティリーネは両手を広げると邪神ちゃんにこちらに来るように誘う。
邪神ちゃんは彼女の意図が分からなかったのだが他に何をすればいいのか分からないのでとりあえず誘いに乗りアンティリーネの方に近づく。

317◆A1Sj87dFpOM:2022/10/30(日) 11:07:35 ID:???0

やがて邪神ちゃんがアンティリーネの真正面に来るとアンティリーネは彼女の腰回りに抱き着く。
「……ねえ、邪神ちゃん。こんなアンタでも私はアンタの事が大好きよ。だってあなたは私のたった一人のマスターなんですもの。」
「……え?」
アンティリーネの予想外の言葉と行動に邪神ちゃんは戸惑いの表情を見せる。
「だからマスター。私はあなたにずっとついていくわ。これからも一緒に頑張って戦って聖杯を一緒に手に入れて願いを叶えましょう。」
「……うっ……うっ……」
アンティリーネからかけられた言葉に邪神ちゃんの目は涙ぐみ、目から大粒の涙が溢れる。そして、
「うわああぁぁぁぁぁん!!あ゛り゛がどう゛!あ゛り゛がどう゛!私のサーヴァント!!これからも一緒に頑張って戦って聖杯を絶対に手に入れよう!!」
邪神ちゃんは大泣きしながらアンティリーネの背に抱き着く。が、しかし、

「……な訳ないでしょう。」
「え?」
突如としてアンティリーネは邪神ちゃんの腰に回していた両手に力を籠め、邪神ちゃんが逃げられないようにガッチリと固定する
「あ……あの……ランサー、さん……?」
「ねえ、邪神ちゃん。私の祖国のスレイン法国がどんな理念を掲げているか知ってる?『人間こそが神に選ばれた民である、人間以外の他種族は殲滅すべし』だって。私はそんな法国の事が大好きよ。だから私はアンタのことが大嫌い。」
アンティリーネが言葉を紡ぐ間にもアンティリーネの両腕に籠められた力は徐々に増していき、邪神ちゃんは自らの腹部が圧迫されていくのを感じる。
「あの……ランサーさん……さっきと言ってることが違いません……?」
「ねえ、私が漆黒聖典でどんな役回りだったか知ってる?漆黒聖典は法国最強の戦士たちで結成されたエリート部隊なんだけど中には自らの強さを鼻にかけて増長する奴がいるの。そんな奴を叩きのめして自らの身の程をわきまえさせるのが法国最強の戦士である私の役目。」
そう言っている間にもアンティリーネの両腕の力はどんどん増していく。邪神ちゃんは身の危険を感じ、必死に離れようと力を込めるが、まるで頑丈な鎖で拘束されたように離れることが出来ない。

「く、くそ!離せ、離しやがれ!!」
「そうやって叩きのめした隊員の中に漆黒聖典から脱走した奴がいてね……元・漆黒聖典第九席次『疾風走破』―――第五席次のクアイエッセ・ハゼイア・クインティアの妹で名前は確か……クレマンティーヌと言ったかしら?アイツ、脱走した先で漆黒の英雄、モモンと戦って死んだらしいんだけどその死に方が随分と特徴的でね?だから私はあなたに彼女の殺され方をこの場で再現しようと思うの。」
そう言うとアンティリーネの両腕の力はますます増していき、邪神ちゃんは次第に息苦しくなり、骨が軋み内臓がどんどん圧迫されていく感覚に襲われる。
「クソがあぁぁぁ!!死ね!死ね!ぶっ殺してやる!!」
「ねえ、彼女はどんな気持ちだったんだろう。逃げようとしても逃げられず、死の恐怖と苦しみを味わいながらゆっくりと死んでいく感覚。あなたには彼女の気持ちが分かる?」
邪神ちゃんは半狂乱でアンティリーネの背中を拳で叩き、爪が剝がれるほどの勢いで引っ掻き、前歯で噛みつく。だがその全てはアンティリーネに通じず、邪神ちゃんに語り掛けながら両腕の力を更に強める。

「そもそもスレイン法国とか漆黒聖典とか疾風走破とか言ってることが訳分かんねぇよ!!死ね!死ねぇ!!」
「そんなに暴れないでよ。これは罰よ。勝手なことをしたあなたへのね。自らが犯した罪の重さをその身に味わいながらゆっくり反省しなさい。」
そしてトドメとばかりに両腕の力を最大限に強める。
ゴキリという太い骨がへし折れた音が聞こえた。

318◆A1Sj87dFpOM:2022/10/30(日) 11:09:07 ID:???0

「……凄まじい生命力ね。これで死なないだなんて。」
アンティリーネの目の前には腰が有り得ない角度で折れ曲がった邪神ちゃんが転がっていた。口から泡を吹き、目は白目を剝いているが心臓は動き、呼吸はしていることは確認できた。
治癒魔法をかけてあげようかと一瞬考えたが彼女の生命力と再生能力なら暫くすれば元通りに回復するだろう。それにこれは罰だ。治癒魔法をかけるよりも暫くこのまま放置しておいて自らの行いを反省させるべきであろう。
アンティリーネは部屋の窓を開け、外の景色を眺める。自らの祖国の理念に背いてまで彼女と手を組み、参加した聖杯戦争であるが今になって無事に勝ち上がれるかかなり不安になってしまっていた。自身のマスターは確かに生命力、再生能力は目を見張るものがあるが致命的なまでにオツムが足りなかった。

それに他の参加者のサーヴァントの中にはかつて戦ったダークエルフの少女と同等、下手したらそれ以上の強さのサーヴァントもいるかもしれない。
そんな状況で馬鹿なマスターに振り回されていたら勝てる闘いも勝てなくなってしまう。
だから自分が彼女の手綱を握ってやらなければならない。戦士としての闘いの経験は幼少期から訓練を積んできた自分の方が彼女よりも圧倒的に上なのだ。
唯一彼女が自分よりも勝っている点があるとすれば並外れた生命力であろうがそれならばいっそ下手に動いてもらわずにに持ち前の生命力と再生能力で敵の攻撃に耐えてくれた方がよっぽど役に立つとさえいえた。

もう後戻りは出来ない。法国は今もアインズ・ウール・ゴウン魔導国の脅威に晒されているかもしれない。そのため唯一の頼みの綱は自身が優勝し聖杯を手に入れる事しか道は残されていなかった。アンティリーネは夜空を見上げ決意を固める。

「待っててね法国の皆。私が聖杯を手に入れさえすればきっと法国を救うことが出来るから。」


【サーヴァント】


【CLASS】
ランサー

【真名】
アンティリーネ・ヘラン・フーシェ

【出典】
オーバーロード

【性別】
女性

【ステータス】

筋力 B 耐久 A 敏捷 A 魔力B 幸運 D 宝具 EX

【属性】
秩序・善

【クラス別能力】
対魔力:B
魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

気配遮断:C
サーヴァントしての気配を断つ。隠密行動に適している。
完全に気配を断てば発見することは難しい。
アンティリーネはランサーのクラスとして現界したが、ローグの職業レベルを1レベル、アサシンの職業レベルを5レベル修めているためこのスキルを有する。

狂化:B
理性と引き換えに驚異的な暴力を所持者に宿すスキル。身体能力を強化するが、理性や技術・思考能力・言語機能を失う。
本来は「狂戦士」のクラス特性であるのだが、アンティリーネはバーサーカーの職業レベルを10レベル修めているため、「気配遮断」同様このスキルを有する。
また後述するように彼女自身は真っ当な性格をしており、普通に意思疎通も可能で高い思考能力を用いて冷静に立ち回ることが出来るが、幼少期の辛い経験からどこか狂気的な一面を覗かせることもある。

時間停止耐性:A
時間停止に対する耐性。相手が時間停止効果があるスキル、魔法、宝具を使ってきてもその影響を受けることがない。
アンティリーネの場合は時間停止に対する耐性の描写や言及はないものの、
① 作中でアインズが「レベル70以上は全員時間停止に耐性があって当たり前(アンティリーネのレベルは88)」と発言していること
② アンティリーネよりも格下のデケム・ホウガンに時間停止魔法が効かなかったこと
以上の二つの理由から彼女にも時間停止に対する耐性が存在していると思われる。

319◆A1Sj87dFpOM:2022/10/30(日) 11:10:05 ID:???0

【保有スキル】
生まれながらの異能(タレント):EX
文字通りその人物が生まれたときに習得できる独自能力。アンティリーネのそれは大陸でも十指に入る最強クラスのものであり、能力は『自身の装備した武器や防具の以前の使用者の切り札を行使できる』というもの。彼女は死の神スルシャーナが愛用していた武器である『カロンの導き』を装備しているため、このスキルによりスルシャーナの切り札であった後述の宝具の使用を可能としている。

武技:A
転移後の世界の戦士たちが使うオリジナルスキル。アンティリーネは転移後の世界の戦士の中では最高峰の戦士なため数多くの武技を使用できる。確認できる中では「回避」「超回避」「可能性超知覚」「能力超向上」「防御超強化」「痛覚鈍化」「剛腕剛撃」「即応反射」「超斬撃」「超貫通」「流水加速」「双空斬」「疾風超走破」を使用可能。

異端判決:B
インクイジターの職業レベルを10レベル修めたことで取得したスキル。発動すると相手サーヴァントのスキル・魔術・宝具を使用した際の消費魔力を僅かに上昇させる。効果は戦闘中は永続的に続くので一回一回の消費魔力上昇は微々たるものでも長期戦になるほど負担の増加は確実に結果となって現れる。

異端断罪:B
インクイジターの職業レベルを10レベル修めたことで取得したスキル。こちらも発動すると相手サーヴァントのスキル・魔術・宝具の発動失敗確率を上昇させる。この効果でスキル・魔術・宝具の発動に失敗しても魔力はそのまま消費してしまう。

治癒:C
神官職であるクレリックを10レベル、その上位職のハイクレリックを10レベル修めたことにより使用可能となったスキル。第三位階治癒魔法の「重傷治癒(ヘビーリカバー)」を使い自身の傷は勿論、他者の傷を癒すことも出来る。

エクスキューショナー:A
エクスキューショナーの職業レベルを10レベル修めたことで取得したスキル。スキルの効果は「自身のスター集中度アップ」「クリティカル威力アップ」「斬撃ダメージ上昇」の3つの複合効果となっている。

【宝具】
『The goal of all life is death(あらゆる生ある者の目指すところは死である)』
ランク:EX 種別:対人(自身)宝具 レンジ:-  最大補足:1人
アンティリーネが前述のスキルの力を行使することにより使用可能となる宝具。
発動すると使用者の背後に十二の時を示す時計が浮かび上がり、この状態で発動した即死技は、相手にヒットしても効果を発揮するまで12秒掛かるようになってしまうものの、
12秒経ってしまえば相手はありとあらゆる耐性等を無視して問答無用で即死する。ただし効果を発揮する12秒の間にスキルや宝具などで予め蘇生効果を付与されると蘇生効果と即死効果が相殺されてしまい、事実上無効化されてしまう。
また一度使用すると100時間のクールタイムが必要となり、それまで再使用することは出来なくなる。アンティリーネ自身は即死技や即死魔法を覚えていないので後述の自身の武器である『カロンの導き』に内蔵された即死魔法の『デス』と組み合わせることでこの宝具を有効活用することが可能となっている。


『死せる勇者の魂(エインヘイヤル)』
ランク:B 種別:対人(自身)宝具 レンジ:-  最大補足:1人
アンティリーネが『レッサーワルキューレ/オールマイティ』の職業レベルを5レベル修めたことにより使用可能となった宝具。発動すると魔法行使能力やスキルの一部を使用できないものの、使用者と同じ武装、同じ能力値、同じ耐性を持つ全身白色の分身体を創造することが出来る。この分身体は使役者の思考で命令を下すことが出来、戦闘中でも使役者と息の合った連携プレイで敵と戦闘してくれる。
本来この宝具はAランク宝具なのであるがアンティリーネが取得しているのが通常のワルキューレ職ではなくそれよりも劣るレッサーワルキューレ職なのであることと、武器種一つに特化しておらず様々な武器を使いこなすためのオールマイティ職である等の理由により、宝具ランクが1ランク落ちてしまっており、それによって創造できる分身体のステータスが使役者本人よりも1ランク落ちてしまっている。

320◆A1Sj87dFpOM:2022/10/30(日) 11:10:57 ID:???0

【weapon】
「カロンの導き」
スレイン法国を建国した六大神の一人『死の神 スルシャーナ』が愛用していた武器で見た目は先端に槍状の刃がつき、両側に翼のように広がる大鎌の刃がついた、十字槍のような禍々しい形状の大鎌。大鎌として相手を切り裂くことが出来る他、槍のように相手を刺突して攻撃することも出来る。
また魔法も内蔵されており、8時間で2回第八位階即死魔法『デス』を使用することが出来る他、
攻撃に負の追加ダメージを加える「死者の炎」
知性のないアンデッドから身を守る「不死者忌避」
死体を媒介にアンデッドを作り出せる「不死者創造」
相手を病気にする「病気」
退散抵抗のないアンデッドを一撃で滅ぼすチャンスを得る「不死に眠りを」
様々な視線効果の中から選択して能力を得る「邪視」
視線攻撃を防ぎつつ恐怖効果などを強化する「死面」
詳細不明な「栄光の手」
これら8つの魔法の中から一つを選択して合計で4時間ごとに5回発動することも出来る。
また「スパルティアト」と呼ばれるアンデッドの兵隊を召喚、使役することも可能で一度に召喚、使役可能な数は5体まで、24時間で合計30体召喚することが可能。

「風神の鎧」
スレイン法国を建国した六大神の一人『風の神 輝煌天使ねこにゃん』が愛用していた白金の鎧。彼はタンク職の聖騎士であったためこの鎧は装着者の防御力、耐久力を格段にアップさせる効果があると思われる。

321◆A1Sj87dFpOM:2022/10/30(日) 11:11:47 ID:???0

【人物背景】
作中に存在する国家「スレイン法国」の特殊部隊「六色聖典」の中でも最強の部隊「漆黒聖典」に所属する少女で「番外席次 絶死絶命」の二つ名を与えられ、法国を建国した六大神(プレイヤー)の血を受け継ぎ、その力を覚醒させた法国でも3人しかいない『神人』の中の一人でレベルは88。
その力は転移後の世界における現地人の中では真なる竜王を除けば最強の強さを誇る戦士であり、同じ神人である漆黒聖典第一席次『隊長』ですら手も足も出ずに叩きのめされており、元漆黒聖典第九席次のクレマンティーヌからは「人外領域すら超越した漆黒聖典最強の化け物。六大神の血を引くとされる先祖返りのアンチクショウ」と非常に恐れられており、作者からは「異世界のオーバーロード」と称されている。
外見に反して実年齢は100歳を超していると思われ、普段は法国の秘宝である六大神の遺した伝説の武具を守護する任に就いており、暇な時は六大神が遺したルービックキューブで時間を潰している。
また漆黒聖典の中でも自らの強さに鼻をかけ、つけあがって増長した隊員を叩きのめし、身の程を弁えさせ矯正させる役目も担っており、作中で確認出来る中では前述の隊長、クレマンティーヌと第十一席次「無限魔力」の3名が彼女の洗礼を受けており、隊長はかつては「俺一人で漆黒聖典だ!( -`д-´)キリッ」と言い切るほどの傲慢な性格であったのだが前述の通り彼女に手も足も出ずに叩きのめされ、馬の小便で顔を洗わされ「俺はゴミだ」と自らの身の程を弁えさせられ、無限魔力は彼女に叩きのめされた後は彼女に媚びを売るほどの卑屈な性格となり、クレマンティーヌは漆黒聖典を脱走した後も彼女の事を非常に恐れているような発言をしている。
ただしこれに関しては上記の3名の性格の方に問題があった可能性が高く、アンティリーネ自身は後述するように割とまともな性格をしている。
両親はエルフ国の国王「デケム・ホウガン」と法国の切り札であった女性「ファーイン」であり、かつてデケムはファーインを騙して捕え、鎖で縛った状態で彼女を犯し続けたのであるが出産の前にファーインは漆黒聖典に奪還され、法国でファーインは彼女を出産している。
そのような経緯があるためファーインは彼女に対して八つ当たり同然の憎しみの感情を向けており、幼少期は彼女から虐待同然の苛烈な訓練を施されており、しかも「これは死んでも蘇生できる程の実力は既に備えているから例え死んだとしても何一つ問題はない」とまで言い切られている。
そのため一緒に食事をしたり誕生日を祝ってもらうどころか彼女から褒めてもらったり名前を呼んでもらったことすら一切なく、アンティリーネ自身は母親の苛烈な訓練から自身を庇ってくれたり、とろとろの美味しいオムレツを作ってくれた家事手伝いのナズルという女性が大好きだったと語っている。
早い段階から登場していたものの長らく出番がなかったが、法国とエルフ国の戦争が大詰めに入ったことでエルフ王(前述のデケム)を仕留めるための討伐命令を上層部より命じられ、エルフ国の王城に潜入、デケムの子供や妻たちを全員虐殺し、直前のアインズ戦で敗走したデケムを彼の自室で待ち構え、部屋に戻ってきた彼を殺害することに成功する。その際にデケムや彼の妻や子供たちを殺害した理由について、彼に犯された母の恨みを彼女に代わって晴らしたかったということと、仮に生かしておいたとしてもどの道法国ではエルフは奴隷になる運命しか待っていないため、それなら殺して楽にしてあげようという気持ちがあったということを語っている。
だがその直後にアインズの命令でデケムを追ってきたマーレ・ベロ・フィオーレと鉢合わせしてしまい、交戦状態に入ってしまう。
神人としての身体能力と数々の武技、治癒魔法やアンデッド召喚等を駆使してマーレに食い下がるも、レベル100のマーレとのスペック差を埋めることが出来ず徐々に劣勢となる。

322◆A1Sj87dFpOM:2022/10/30(日) 11:12:58 ID:???0
起死回生を狙って切り札である「The goal of all life is death」と即死魔法の『デス』とのコンボを発動するもマーレの発動した蘇生魔法である「不死鳥の炎」により相殺、無効化されてしまう。
その際にマーレが魔導国の関係者であること、魔導王がエルフ国の王都を訪れていることを悟り、今までの出来事全てが魔導王の戦略、策謀、陰謀だったのではと考え絶望しかけるが自らが愛する法国を守るため命を捨てて戦うことを決意、もう一つの切り札である「死せる勇者の魂」を発動しマーレに猛攻を仕掛けるがマーレの切り札である「小災厄」をくらい薄れゆく意識の中で本当は敗北を知りたかった訳ではなく愛情を与えられなかった日々をもたらした自分の力と、母親を否定したかったという言い訳に過ぎなかったこと、愛する法国を守るために本当は負けたくなかったことを悟りながら敗北する。
敗北後は瀕死の状態で辛うじて生きていたがマーレと合流したアインズの手によって捕獲、ナザリックに連行されて捕虜となり第五階層の氷結牢獄に投獄され、アインズが記憶操作の魔法を彼女に使った事によりシャルティアを洗脳した犯人がスレイン法国であることをアインズは悟り、魔導国の全戦力を以て法国を攻め滅ぼすことをアインズは決意する。
その後彼女がどうなったかは現時点では不明。

16巻のキャラ紹介において彼女の敗因は同格以上の存在との戦闘経験の無さが致命的なミスであったと語られており、信仰系魔法等でキチンと自身にバフをかけていれば、マーレとの接近戦において互角以下の戦いにはならなかったと語られている。

【サーヴァントとしての願い】
アインズ・ウール・ゴウン魔導国の消滅

【方針】
馬鹿なマスターの手綱を握りつつ、聖杯の獲得を目指す。
自身よりも格上の存在を視野に入れながら警戒して行動する。

【把握媒体】
小説「オーバーロード」の15・16巻「半森妖精の神人 上巻 下巻」をご参照ください。2冊とも書店にて現在好評発売中です。動画サイト等でも「アンティリーネ」「番外席次」と検索すれば彼女のキャラ紹介を見ることが出来るのでそちらで把握しても大丈夫です。


【マスター】
邪神ちゃん

【出典】
邪神ちゃんドロップキック

【性別】
女性

【能力・技能】
『不死身の肉体』

魔界に住む悪魔として彼女に備わっている能力。刃物で刺されたり腕や尻尾等を切断されても暫く放置するか傷薬等を塗るだけで簡単に肉体を治療、修復をすることが可能で挙句の果てには縦に真っ二つに両断されたり、グチャグチャのミンチ状の肉塊状態になるレベルで肉体を損傷しても生存が可能で時間をかければその状態からも肉体を修復、復元することが出来る。作中での発言から彼女の固有能力ではなく魔界の悪魔は全て同様の肉体を有していると思われるが彼女以外で肉体を損傷するレベルのダメージを負った悪魔が登場しないことと同じ魔界の悪魔であるヴァンパイア族は頭部を吹き飛ばされれば死ぬという発言も出ているため真相は不明。また作中での発言から完全な不死ではなく死の概念が存在すると思われるので例えば上記のアンティリーネが使うような即死魔法等を叩きこめば普通に死ぬと思われる。また痛覚も普通に存在する。

【weapon】
なし

323◆A1Sj87dFpOM:2022/10/30(日) 11:13:37 ID:???0

【人物背景】
オカルト好きの女子大生の花園ゆりねが古本屋で手に入れた魔導書に書かれた悪魔召喚の儀式により召喚された魔界の悪魔で帰還魔法が書かれている魔導書下巻をゆりねが未所持であったため魔界に帰れなくなり、仕方なく彼女のアパートに居候することになった悪魔の少女。帰還魔法以外にも召喚主であるゆりねが死ねば契約が解除されて魔界に帰れるため、日々彼女の命を狙い続けているものの、その度に返り討ちにあうことがお約束となっている。外見年齢は16歳くらいで実年齢は数千〜数万歳位。作中で判明したレベルは46(現在ではもっと下がっている可能性もある)
性格は一言で表すなら「クズ」そのものであり自分より弱い者に対して尊大な態度を取り、いじめや嫌がらせ、物品や食料の強奪などを平然と行う上に勝つために卑怯な手段を用いることを厭わず、自分より強い者には下手に出る。
友人の悪魔としてメデューサやミノスが存在するが両名とも悪魔でありながら邪神ちゃんとは似ても似つかぬ聖人のような性格をしており、特にメデューサには普段自分の要求する物を買わせたり、小遣いとして金をせがんだりと彼女のヒモ同然の関係になっている。その一方で完全な外道という訳ではなく、幼少期に魔界の学校で恐れられ孤立していたミノスを恐れることなく友人として誘い、それによって彼女が皆と仲良く遊ぶきっかけを作ったり、メデューサの連絡袋を笑った同級生の悪魔に激昂し我を忘れて暴れたり、天使の輪を失いホームレスとなった天使のぺこらに対しクリスマスに食事を誘ったり、ゆりねがインフルエンザで倒れた際にミノス達に協力を頼んで彼女を助けたりするなど優しい一面もあり、メデューサからは「根はすごく優しい」、ゆりねからは「一緒にいると変わっちゃう」と好評価を受ける場面もある。

【マスターとしての願い】
花園ゆりねを抹殺してもらい元の魔界に帰還する。後一生遊んで暮らしても使い切れないほどの大金が欲しい。

【方針】
他のマスターやサーヴァントを全て蹴り落して優勝、聖杯を手に入れることを目指す。

【ロール】
フリーター

【令呪の形・位置】
右手の甲にある

【把握媒体】
漫画及びアニメ「邪神ちゃんドロップキック」をご参照ください。漫画は現在単行本が19巻出ていて書店で絶賛発売中です。アニメは1期、2期、3期等が出ていてAmazon Prime Video、Abemaプレミアム、dアニメストアその他配信サイトで全編配信中です。

【備考】
邪神ちゃんがパチンコでスッてしまったため、支給された軍事費の中から現在10万QP消費されています。

324◆A1Sj87dFpOM:2022/10/30(日) 11:18:38 ID:???0
以上で投下終了です。
タイトルは書いてませんが、候補作のタイトルは「番外ちゃんドロップキック」です。
他の書き手様が投稿した候補作の中にルーラーのサーヴァントでリエールが参加している候補作が
ありますが一緒に採用するかどうかは企画主様にお任せします。
何か不都合があればご指摘よろしくお願いいたします。

325 ◆Mti19lYchg:2022/11/04(金) 01:35:21 ID:9iwJbLC.0
>>番外ちゃんドロップキック
邪神ちゃんのドロップキックからの胴輪切り。パチンコですってのベアハッグで何度も痛い目見る姿が楽しいです。
アンティリーネは差別偏見を除けば割かしまともですが、ケンシロウのごとき邪神ちゃんへの虐待、お互いが変にかみ合って北斗の拳ばりのボケ突込みですね。
この命がけのお笑いコンビ、果たしてまともに戦うことができるのでしょうか。
ご投稿、ありがとうございました。

余談。現在リエールを採用する予定はありません。

326◆A1Sj87dFpOM:2022/11/07(月) 07:28:02 ID:???0
♦Mti19lYchg様、毎度自分の投下した候補作への感想ありがとうございます。
自分が支援掲示板に作品を投稿しない、というより出来ないのはそちらの掲示板用
のトリップがなくてそれがないとエラーメッセージが出て書き込みが出来ないからです。
少し前に管理者問い合わせでその旨を伝えたメールを送ったと思うのですが御覧になったでしょうか?
後もう一つ、現在決まっている参加者についてですがそちらの支援掲示板の書き込みで
「現在決まっている参加者は前に答えたのと同じです。」と答えられていましたが、
決められた面子を見た所、ランサーとライダーが歯抜けになっていられますが
ランサーとライダーは参加しないのでしょうか?それともランサー組、ライダー組はこれから決めるのでしょうか?
今すぐ答えられなくてもいいですし、これを見てからでもいいので答えてくださればありがたいです。
よろしくお願いいたします。

327◆A1Sj87dFpOM:2022/11/15(火) 06:41:26 ID:???0
おはようございます。今日は11月15日と11月の折り返し地点になりましたので、
丁度良いタイミングと思いましてこうして確認の意味を込めて書き込みを行いたいと思います。
♦Mti19lYchg様、11月も半ばの時期に差し掛かったにも関わらず一週間以上も誰も書き込みを行っていませんが、
自分が支援掲示板であなた様に送ったメールはちゃんと読んでくださったでしょうか?
つい先ほど念押しの意味を込めてもう一度メールを送りましたが可能なら確認だけでもして下さらないでしょうか?
後もう2点だけ、どうしても確認したいことがございますので見て頂いた後でも構いませんので返答やあなた様の考えをお聞かせ頂きたいと存じます。

①ランサー組とライダー組はどうするおつもりなのか?
支援掲示板での「聖杯戦争の参加者について」の問答において、
「10月も半分終了したので現在決まっている参加者はを聞いても大丈夫ですか?」という質問に対して、あなた様は「現在決まっている参加者は前に答えたのと同じです。」と
お答えされていましたが、気になって確認してみた所、ランサーとライダーの枠が空席となっていました。
これはどういうことなのでしょうか?別にこの企画は所詮二次創作なので本家聖杯戦争みたいに7クラス全部揃ってなくてもいいだろと言われてしまえば反論できませんし、
一部を除けばランサー組やライダー組が出てくる候補作ばかり投稿する自分にこんな質問をする資格はないかもしれません。
しかし聖杯戦争は7クラス揃ってなんぼという所があるのでランサーとライダーの枠が空席なのはどうしてもモヤモヤするのです。
それともランサー組とライダー組はまだ決めている最中で誰を採用するかまだ決まっていないのでしょうか?あなた様に何か考えがあるのでしたらどうかお聞かせ下さらないでしょうか?

②他のクラス(セイバー、アーチャー、キャスター、アサシン、バーサーカー、エクストラ)の主従は別の組み合わせを新しく採用するつもりはないのか?
これは自分の候補作の制作意欲に関わって来るので聞きたいのですが、ランサー組とライダー組に関しては上記の質問の通りですが、
他のクラスの主従に関しては既に決めた組み合わせで変えるつもりはないのでしょうか?
それともこれから新しく投稿された候補作によっては変えることも有り得るのでしょうか?
今後の候補作の制作意欲にも関わってくるのであなた様の考えをお聞かせ頂けないでしょうか?

以上です。上記の質問や要望に関してはこの書き込みを見てからでも構いません。
もう11月も半ばに差し掛かりましたしあなた様の都合次第でもいいので確認や回答をよろしくお願いいたします。

328 ◆Mti19lYchg:2022/11/15(火) 23:25:17 ID:9rt.o3hI0
◆A1Sj87dFpOM様
どうも掲示板の調子がおかしく、メールが届いていませんでした。
質問に関してですが1,2合わせてお答えします。
現在暫定的に決定しているのは以下の組です。

レオナルド・ビスタリオ・ハーヴェイ&セイバー(アルトリア・ペンドラゴン)
巴あや&セイバー(ジークフリート)
衛藤可奈美&セイバー(クトリ・ノタ・セニオリス)
二階堂ルイ&アーチャー(アラン・シルヴァスタ)
ジョセフ・ジョースター&アーチャー(エンタープライズ)
ヴィヴィ&アーチャー(エックス)
オネスト&ランサー(スイムスイム)
ルビー・ローズ&ランサー(フェクト・エフィリス)
邪神ちゃん&ランサー(アンティリーネ・ヘラン・フーシェ)
吉野順平&ライダー(五代雄介)
香風智乃&ライダー(剣崎一真)
七海千秋&ライダー(爵銀龍 メル・ゼナ)
新条アカネ&キャスター μ(ミュウ)
間桐桜&キャスター(黄川人)
リリア・クーデルフェイト&キャスター(マホロア)
千翼&アサシン(金木研)
狛枝凪斗&アサシン(憂城)
ユリウス・ベルキスク・ハーウェイ&アサシン(エミヤ〔アサシン〕)
エドワード・エルリック&バーサーカー(空条承太郎)
上条当麻&バーサーカー(ハンク・ヘンリエット)
ザキラ&バーサーカー(バラモスゾンビ)
衛宮士郎&アルターエゴ(沖田総司〔オルタ〕)
コラソン/ドンキホーテ・ロシナンテ&アルターエゴ(相川始)
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン&ブレイド(ホムラ/ヒカリ)

傭兵システム:アーチャー(エミヤ)
傭兵システム:アサシン(燕青)
傭兵システム:ランサー(クー・フーリン)

これ以上増やすと把握が困難になりそうなので、一旦これで纏めてみます。
まだ期間があるので入れ替えは十分にあり得ます。

329◆A1Sj87dFpOM:2022/11/26(土) 20:21:27 ID:???0
本スレであるこちらに直接投下させていただきます。
何か不都合がございましたらご指摘よろしくお願いいたします。

330◆A1Sj87dFpOM:2022/11/26(土) 20:22:25 ID:???0
「ちょっと……ここはどこおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?」

暗闇に星々が輝く宇宙のような空間の中、赤茶色の髪色の少女が自らの置かれた状況に戸惑いの叫び声をあげていた。
少女の名は桃宮いちご、地球を侵略しようと企むエイリアンとそのエイリアンが放つキメラアニマと戦うため、「μプロジェクト」によってレッド・データ・アニマルの遺伝子を打ち込まれた5人の少女達「東京ミュウミュウ」の内の一人でイリオモテヤマネコの遺伝子をその身に宿し、「ミュウイチゴ」に変身して敵と戦う少女で、少し前に東京タワーでの決戦でキッシュ達を始めとしたエイリアンの大規模作戦を阻止し、雨の降りしきる中で想い人である青山雅也の告白を受け取り、彼に自らの想いを伝えたのであるが、まさかそれから数日後にこのような事態に巻き込まれるとは夢にも思っていなかったのだ。

「ようこそ、常ならぬ願望を抱く新たなマスター候補者よ」
その時、いちごの耳に見知らぬ男性の声が聞こえてきた。
「!?あなたは誰!?キッシュ達の仲間!?また新しいエイリアンなの!?」
いちごは姿が見えぬ男性に対し、男性とキッシュ達エイリアンとの関与を疑うが男性の声はいちごの疑問を否定する。
「安心したまえ。私は君が言う『エイリアン』とは全くの無関係だ。これから行われるのは万能の願望器『聖杯』を求めて戦いあう『聖杯戦争』、そしてここはその予選が行われる空間だ」
男の言葉に対し、いちごの理解は全く追いつかなかった。『願望機』だの『聖杯』だの男の口から聞いたこともないようなワードが次々と出てきたうえに、予選とか言われてもいちご自身にはそんなものに立候補した覚えは全くなかったからだ。

「『願望機』だとか『聖杯』だとかそんなもの一体何なのか私には全然分かんないし、『予選』とか言われても私はそんなものに立候補した覚えは全くないよぉ!!」
「ふむ……君は身に覚えがないと言うのか。では答えを教えてあげよう。君は自らの意思で『星晶石』を受け取っただろう?それによって君はこの聖杯戦争に導かれたのだ。」
「えっ……『星晶石』って一体何の話……っあ!!?」
いちごは男の言う『星晶石』について一つだけ心当たりがあった。
彼女はエイリアン達との東京タワーでの決戦前に想い人の青山雅也に人気バンド「Tierra」のライブのチケットを譲られ、一緒にライブに行く約束をしており、想い人との大切なイベントを絶対に成功させたいと思った彼女は願掛けとしてお守りを買うために『アンティークショップ・美紗里』という名前のお店を訪れており、緑色のウェーブがかかった髪に左目を隠している前髪のひと房が紫色をしていた印象的な姿をしていた「ミザリィ」と名乗る店長の勧めで購入した3つの金平糖のような形の石のことを思い出したのだ。今にして思えばあれが、というよりそれしか心当たりがないのだがあの石が男の言う『星晶石』なのだろうということを察する。

「ふえ〜〜〜〜〜〜〜ん!こんなことなら別の物を買えばよかった〜〜〜〜!」
「まあいいではないか。」
「良くない!!」
まあそれはさておき、と男が言うと
「ではこれより予選を開始する。」
その言葉と共にいちごの目の前に円形の魔法陣が描き出され、そこから黒い人型の影のようなものが現れる。

331◆A1Sj87dFpOM:2022/11/26(土) 20:23:09 ID:???0
「!?……まさか……キメラアニマ!?」
いちごは目の前の人型の影を見て、その影が彼女とその仲間たちが元の世界で戦っている敵、エイリアン達が送り込んでくる刺客『キメラアニマ』だと考えた。だがその考えはまたしても聞こえてきた男の声によって即座に否定される。
「違うな、そいつはキメラアニマではない。そいつは『シャドウ』というサーヴァントのなり損ないだ。彼を倒せば、君は晴れて予選突破となる。」
「キメラアニマじゃない!?それに『サーヴァント』って……分かんないことが多すぎるよお!!」
『願望機』『聖杯』に続き『サーヴァント』といういちごの知らない単語がまたしても出てきていちごの混乱はますます増すが男はそれを意に介さず言葉を続ける。
「もっとも君に敵意を持って襲いかかって来るという点においてはそいつも君が元の世界で戦った『キメラアニマ』と同じと言えるが。ああ、そうそう、一つ忠告しておくが自分一人でそいつを倒そうと思わないほうがいい。シャドウは生身の人間では絶対に倒せない。だが打ち倒すための鍵は既に君の中にある。私から君に与えられるヒントは以上だ。」
「ねえ、待って!!あなたにはまだ聞きたいことが……」
いちごは叫ぶが男の声が再び聞こえることはなかった。

「もぉ〜〜〜〜〜!!こうなったらヤケだぁ!!」
兎に角今は目の前の敵を倒すしかない。そう判断したいちごは変身を決意する。
『ミュウミュウイチゴ!メタモルフォーゼ!!』
いちごが変身のための掛け声を叫ぶといちごの身体が光に包まれ、いちごはピンク色の可愛らしいドレスのような衣装に赤色の髪と頭と尻に猫の耳と尻尾を生やした魔法少女『ミュウイチゴ』へと変身する。
「やいやいそこの黒いモヤモヤ!私はこんな訳の分からないところに無理やり連れてこられて、しかも訳の分からない単語を色々と並べられて無理やり戦わされてすっごく頭にきてるんだから!お礼にタップリ!ご奉仕するニャン!」
いちごはお得意の決め台詞を放つと
「ストロベルベル!」
ミュウイチゴに変身することで装備できる武器の名を叫ぶと尻尾についたベル付きのリボンが姿を変え、持ち手がピンク色のふさふさのファー仕様となっているリング状の武器となりミュウイチゴの手に装備される。

『リボーン ストロベリー チェーーーーック!!』
ミュウイチゴが技名を叫ぶとストロベルベルの中心のイチゴ型の装飾にピンク色のエネルギーが収束され、そこからハート型の巨大なエネルギー弾がシャドウに向けて発射され、シャドウに直撃、シャドウの体にハート型の穴が形成される。
「やった!」
イチゴが喜んだ直後、イチゴの目に信じられない光景が映し出された。
なんとシャドウの体に作られたハート型の穴がたちまち塞がるとシャドウの体は元の姿に戻り、そのまま何事もなかったかのようにミュウイチゴに向かって突進してくる。
「え……うそ……」
自らの必殺技が効かなかったことにイチゴは激しく動揺するがシャドウはそれに構うことなく手に持った剣を振るい、ミュウイチゴの手からストロベルベルを弾き飛ばす。
「きゃあ!」
ストロベルベルを弾き飛ばされ丸腰になったミュウイチゴに対し、シャドウは容赦なく剣を振るい、ミュウイチゴを仕留めようとしてくる。

332◆A1Sj87dFpOM:2022/11/26(土) 20:23:53 ID:???0
(必殺技が効かなかった……こいつを倒すには一体どうしたらいいの……)
ミュウイチゴの身体能力でシャドウの振るう剣を必死に躱しながらイチゴは必死に思案する。イチゴは確かに東京ミュウミュウに選ばれた戦士の一人だがミュウミュウになる前はただの普通の女子高校生でしかなかった。それに必殺技を放てば大体のキメラアニマを倒すことが出来たしピンチになっても他のミュウミュウの仲間たちの助けでいつも切り抜けることが出来た。故に戦闘に関してはずぶの素人であるイチゴにとっては仲間の助けなしにこの場を切り抜ける方法がどうしても思いつかなかったのだ。

(さっきの声は私の中にコイツを打ち倒す方法があると言っていた……でも私はどうしたらコイツを倒せるのか方法がまるで分からない……ああ、もう!一体どうしたらいいのよ〜〜〜〜〜!!)
イチゴは彼女なりに目の前の敵を打ち倒す方法を必死に考え続けるがやがてそれにも限界が訪れる。
「!?いたっ……」
シャドウの振るった剣がイチゴの足を捉え、切り裂いたのである。幸いにもミュウイチゴとなったことで肉体強度も飛躍的に上昇したため深手にならずに済んだがあまりの痛みに体のバランスを崩し、尻餅をつく形で転倒してしまう。
シャドウはその隙を見逃すことは無く、イチゴを叩き斬るべく容赦なくイチゴの頭上に向かって剣を振り下ろそうとする。

(ああ……私、死んじゃうんだ……ごめん、みんと、れたす、プリン、ざくろさん、私はここまでみたい……)

イチゴは自身に迫りくる剣を見ながら、不思議と遅く感じられる時間の中で、同じミュウミュウの仲間である藍沢みんと、碧川れたす、黄歩鈴、藤原ざくろのことを思い起こしていた。

(青山くん……死ぬ前にせめてあなたと結ばれて結婚して……あなたの子供を産んで幸せな家庭を築きたかったよ……)

そして最後にイチゴの脳裏に浮かんだのだ想い人である青山雅也の顔であった。だが、

『いちご!しっかりするんだいちご!!』

え……青山くん……

青山雅也の声が脳裏に響いた瞬間、自らの考えの愚かさをイチゴは痛感した。そうだ、キッシュ達エイリアンの侵攻はまだ終わってない。また彼らの侵攻が再開された時、地球の平和は誰が守るのか。ミュウミュウは5人揃っての『東京ミュウミュウ』である。自分がここで死んでしまったら残されたみんと、れたす、プリン、ざくろに申し訳が立たない。
それに自身の青山への恋心はこの程度で諦められるようなものではなかったはずだ。ミュウミュウとして地球の平和を守る使命を果たすためにも、青山雅也と結ばれる夢を果たすためにも自身がここで死ぬわけには絶対にいかなかった。

(そうだよ……東京ミュウミュウとして地球の平和にご奉仕するためにも……大好きな青山君と結ばれるためにも……私はまだ、ここで死ぬわけにはいかない……)

イチゴのミュウミュウとしての使命感と青山雅也への強い恋心の気持ちが強くなった瞬間、イチゴが手に持っていたセイントグラフがそれに呼応するかのように光り始める。

(私はまだ……ここで諦めたく、ない!!)
そしてイチゴのミュウミュウとして使命感と青山雅也への恋心の気持ちが最高潮に達した瞬間、セイントグラフが宙を舞い、辺りは大きな光に包まれた。

333◆A1Sj87dFpOM:2022/11/26(土) 20:24:34 ID:???0
その光にシャドウは攻撃を中断して後方へ下がる。
光が消え去った後、ミュウイチゴとシャドウの間に一人の幼い少女が現れていた。
だがその少女はただの幼い少女と形容するには異様な姿をしていた。
外見年齢はミュウミュウの仲間である黄歩鈴よりも更に幼い小学生位の年齢に見えた。
深紅の瞳に薄い黄色の髪をサイドテールに纏め、頭にナイトキャップのような帽子を被っており、血の色のようにも見える紅いドレスのような服装に紅い靴を履いていた。
そして背中には翼……というよりは一対の枝に綺麗な宝石のようなものが合計八つぶら下がっていると表現した方が正しいものが翼のような形で背中から直に生えており、手には剣……というよりは長針と短針が一体化して巨大に伸び、尚且つ歪んだような形状をした奇妙な武器を得物として持っていた。

イチゴはその少女に対し、頭の中で思ったことを直ぐに口に出していた。
「逃げて!そいつは私たちを殺そうとしている!ここにいたらあなたも巻き込まれる!私が時間稼ぎをするからあなたはその隙に……」
だがその少女はイチゴの言葉に対し、予想外の返答を返してきた。
「逃げる、ですって?こんな雑魚相手に?私も舐められたものね。」
その言葉と同時にシャドウは少女に向かって突進してきた。それに対応するかのように少女の武器に炎が宿り、まるで神話の武器の再現とも言えるような炎の剣が形成される。
同時だった。
シャドウが少女に向かって剣を振るうのと少女が炎の剣をシャドウに向かって振るうのは全く同時だったにも関わらずシャドウの剣は少女を傷つけることは出来ず、シャドウだけが炎の剣によって一方的に焼き斬られ、霧散、消滅する。
だが戦いはこれで終わりではなかった。今度は二つの魔法陣から先ほどと似たような形で弓を持ったシャドウと槍を持ったシャドウが現れる。
だがそれに対する少女の対応も早かった。

少女の武器から炎が消えると少女は武器をまるで弓のような形に持ち替え、弓を持ったシャドウに対しまるで白くて太い針のような矢を武器から連続発射し、放たれた矢によってシャドウは全身を刺し貫かれ、霧散、消滅する。
そして最後に残った槍のシャドウが跳躍し、少女を上から刺し貫こうとするが少女は再び武器を剣のような形に持ち替えると武器に再び炎が宿り、降下してきたシャドウに炎の斬撃を放つ。そして最後に残ったシャドウは炎の斬撃によって一方的に切り裂かれ、霧散、消滅する。
シャドウが倒された後、再びシャドウが現れることは無く、その事実が戦いは終わり、少女が勝利したことを証明していた。

(強い……ただ見ているだけしか出来なかった……この子、いったい何者なの……)

イチゴは目の前の少女の正体が誰なのかは分からなかった。ただ少女の圧倒的な強さと異様な見た目から、自分たちミュウミュウともキッシュ達エイリアンとも違う、何か別の存在なのではないかと感じていた。

やがて少女は戦いが終わったことを確認すると、浮遊しながらイチゴに近づき、イチゴの目の前に降り立つと可愛らしさと礼儀正しさが同居したような幼い声でイチゴに自己紹介する。

「サーヴァント、アーチャー。真名はフランドール・スカーレット。……貴方が私のマスターさん?」


 ◇ ◇ ◇


ミュウイチゴとフランドールは気が付くといつの間にか教会の礼拝堂らしき場所へ転送されていた。

「ようこそ、見事試練を乗り越えた聖杯戦争のマスターよ。私は言峰綺礼。この聖杯戦争の監督役を務めている」

突如としてイチゴの耳に『予選』の空間に呼ばれた時に聞こえてきた声と同じ声が聞こえてくる。イチゴが驚いて声が聞こえてきた方向を向くとそこにはこの教会の神父であり、この聖杯戦争の監督役でもある男、言峰綺礼の姿があった。

「あなたは誰?キッシュ達の仲間?私をこんなところに連れてきて一体何を企んでるの?」

イチゴは変身を解くことはなく、ストロベルベルを手に言峰を警戒しながら睨みつける。

「まあ、落ち着きたまえ。さっきも言った通り、私とこの聖杯戦争は君たちの言う『エイリアン』とは全くの無関係だ。それに私の立場はあくまで中立、そちらから仕掛けてこない限り、こちらも君に危害を加えるつもりはない。」
「……」

334◆A1Sj87dFpOM:2022/11/26(土) 20:25:18 ID:???0
そう言われてもイチゴは素直に信じる気になれなかった。変身状態のまま暫く睨み合いが続くがやがてしびれを切らしたのか言峰が口を開く。

「さて、いい加減君も変身を解除してくれないかね?このままでは話を進めることが出来ない。このままずっと睨み合ってるわけにはいかないだろう?」
「……分かりました。」

イチゴは未だ男を信用することは出来なかったが取り敢えず向こうが危害を加えてこないことが分かると変身を解除して元の桃宮いちごの姿に戻り、言峰の話を聞くことにする。

いちごは言峰から聖杯戦争のルールについて一通り教わった。

聖杯によって選ばれた(今回の場合は星晶石が招待状)参加者であるマスターとそのサーヴァントが生き残りをかけて戦うということ。
聖杯はどんな願いでも叶える願望機であり、手に入れられればありとあらゆる願いを叶えることが可能だということ。
そして聖杯にアクセスするためには令呪の存在が必要不可欠であり、3画全て失えば失格となるということ。

「……なに、それ……幾ら何でも意味分かんないよぉ……」
「まあ、そうだろうな。大体のマスターは君のように荒唐無稽な夢物語と一蹴するのが普通だ。」

いちごは自らもミュウミュウに変身したり、宇宙からやってきたエイリアンと戦ったりしている身ではあるが、言峰の話はそんな自らの実体験を遥かに上回るような荒唐無稽な話であり、自らがミュウミュウであることと、キッシュ達エイリアンの存在を除けば普通の女子高生に過ぎないいちごにとっては言峰の話を現実として受け入れるのは無理がある話であった。

それに仮に言峰の話が全て本当の事だったとしてもいちごはこの聖杯戦争に参加する気にはなれなかった。

「……もう帰して……」
「ん?」

訝しむ言峰に対し、いちごは自らの意思をはっきりと伝える。

「私は願いを叶えるために他の誰かを殺すなんてそんなこと全然理解できないし、そんなことに参加なんてしたくない!!私はそんなことに参加なんてしたくないから私を元の世界に帰して!!」
「そうか……君はこの聖杯戦争に参加しないというのか……」
綺礼は目を細め、心なしかつまらなさそうな口調になる。
「君が参加したくないと言うのであれば私からはもう何も言うまい。帰還ゲートはそこの扉だ。すぐにでも使用可能だから好きに使うといい」
言峰綺礼は説教台の隣にある扉を指さす。いちごがその扉の存在を確認し、真っ直ぐ扉に向かおうとした時だった。

「あら、あなたは本当にそれでいいのかしら?」

帰還ゲートに向かおうとしたいちごの背中に幼い声が投げかけられた。
それはこれまでいちごとと言峰のやり取りに対し、沈黙を守っていたアーチャーのサーヴァント、フランドール・スカーレットであった。
フランドールの言葉に反応したのか、いちごはその場で足を止め、フランドールの方に向き直る。
「本当にそれでいいのかって……それってどういうこと?」
「だってあなたは地球の未来を守る魔法少女『東京ミュウミュウ』なんでしょ?目の前で人の命が奪われようとしているのにそれから目を背けて元の世界に逃げ帰るなんて……恥ずかしいとは思わないの?」
自分よりも幼い少女に上から目線で説教されたことが我慢ならなかったのか、いちごは思わずその場で憤慨する。
「何よ!!まだ小さな子供のくせに分かったような口をきいて!!あなたに一体何が分かるっていうの!?」
「あら、あなたは相手を見た目で判断するのかしら?言っとくけど私はあなたよりも遥かに長い年月を生きているのよ?」
普通なら今のフランドールの言葉をハッタリだと一蹴する所であるが、いちごはそうすることは出来なかった。

確かに目の前の少女、フランドール・スカーレットは見た目だけなら自身よりとずっと幼い少女であるが普通の生物では有り得ないような奇妙な形状の翼や彼女の身に纏う雰囲気、そして何より予選でシャドウ相手に見せた圧倒的な強さから、目の前の少女の発言がハッタリではなく本当のことなのではないかといちごは感じていた。
「それとも……私はあなたのことをこう呼べばいいのかしら?『いちごのおねえちゃん』?」
「!!?」
フランドールの言葉にいちごは思わずズキューンときてしまった。彼女の仲間の中にはいちごの事を「いちごのお姉ちゃん」と呼び慕う、メンバー最年少の黄歩鈴がいたがそんな歩鈴よりも幼い容姿のフランドールに「いちごのおねえちゃん」と呼ばれたことでいちごの心は思わず揺り動かされてしまったのだ。
「か……かわいいぃぃぃーーーーー!!!」
いちごはたまらずフランドールに駆け寄り、彼女に急接近すると彼女の小さな身体を抱き上げる。彼女は元々可愛いものが好きという女の子らしい趣味があったのだが、それだけでなく彼女は家では兄弟姉妹がいない一人っ子であったため、妹の存在に心の中では密かに憧れを抱いていたのだ。

335◆A1Sj87dFpOM:2022/11/26(土) 20:26:44 ID:???0
「ちょっ……やめてよいい加減に離れなさい!」
だがフランドールはいちごに抱きしめられたことを迷惑と感じたのか、小さな身体からは想像も出来ないような凄まじい力でいちごを無理やり引き剥がすと背中の翼で空中に浮遊し、いちごを真上から見下ろせる位置で浮遊する。
「勘違いしないで頂戴。さっきのは冗談で言っただけよ。私が本当に姉と呼び慕うのはレミリアお姉様だけ、あんたのような人間を姉と呼び慕うなんてそんなことは絶対に有り得ない話だわ。」
フランドールは先ほどまでとは打って変わって冷たい声色でイチゴを見下す。その表情は礼拝堂が薄暗いこともあっていちごからはハッキリと伺うことは出来ない。だが薄暗い闇の中でもフランドールの目だけが紅く不気味に輝いており、先ほどの発言と相まっていちごは目の前の少女が人間ではなく別の何かなのではないかという思いを強くする。

「あなた……一体何者なの?」
いちごは思わず少女に問いかけていた。その問いかけに対し、フランドールは答えを口にする。
「私?私が何者なのかですって?そうねえ、敢えて表現するなら……吸血鬼で破壊神で……そしてあなたと同じ魔法少女と言った方が正しいかしら?」
「……え?吸血鬼?破壊神?魔法少女?一体何を言ってるのあなた?」
意味が分からなかった。吸血鬼だとか破壊神だとか魔法少女だとか肩書が多すぎて目の前の少女の正体がますます分からなくなってしまったのだ。

「それにあなた……元の世界では『エイリアン』って連中と戦っていたと言っていたわね?その『エイリアン』って連中……そいつらは饕餮尤魔や摩多羅隠岐奈よりも強いのかしら?」
「は?……饕餮尤魔とか摩多羅隠岐奈って……誰?」
「え?知らないの?饕餮尤魔は剛欲同盟の同盟長で、摩多羅隠岐奈は幻想郷を創った賢者の一人よ?あの二人を知らないなんてあんたどんだけ田舎暮らしなのよ?」
意味が分からなかった。『聖杯』『聖杯戦争』に続いて『幻想郷』だの『剛欲同盟』だの自分の知らないワードがまたしても飛び出してきていちごの頭はパンクしそうになっていた。
そんないちごの様子に毒気が抜かれたのか、フランドールは空中を浮遊することをやめゆっくりと床に降り立つ。
「ねえ!吸血鬼だとか破壊神だとか魔法少女だとか幻想郷だとか剛欲同盟だとか饕餮尤魔だとか摩多羅隠岐奈だとか私の知らない単語ばかり並べられてもあなたのことが全然分かんないんだけど!?ちゃんと一から説明してくんないと分かんないよぉ!?」
「あーはいはい、説明不足だったわね、ちゃんと一から全部説明してあげるからよく聞いて頂戴。」

こうしてフランドールはいちごに対して自らの出身や最近の自らの経験をいちごに語って見せた。
幻想郷は「外の世界」と称される人間社会とは隔絶された秘境であること。その幻想郷には「紅魔館」と呼ばれる勢力が存在し自身はその勢力の長であるレミリア・スカーレットの妹で自身は姉を含めた幻想郷に二人しかいない吸血鬼の内の一人であるということ。ついこの間石油が幻想郷中で噴出する異変が発生し、その犯人である剛欲同盟の同盟長である饕餮尤魔を倒すために幻想郷を創り上げた賢者の一人である摩多羅隠岐奈に自身が目を付けられ、彼女の依頼で饕餮に戦いを挑み、死闘の末に勝利を収めて異変を解決したこと。その後隠岐奈が用意した試練である「剛欲な挑戦」に挑み、戦いの連続でボロボロになりながらも最後に待ち構えていた隠岐奈と戦い、死闘の末に勝利を収めて隠岐奈に認められたこと。フランはそれらの出来事をいちごに自慢げに語って見せた。

「どう?あなただってエイリアンの襲来という『異変』を解決したかもしれないけど私だって石油噴出という『異変』を解決したのよ?これで私をあなたと同じ『魔法少女』として認めてくれるかしら?」
「……」
いちごはフランドールの話を聞いてやはり目の前の少女が只者ではないということを改めて痛感していた。彼女の話を聞いているだけでも饕餮尤魔や摩多羅隠岐奈が如何に強大な存在であるかということが嫌というほど伝わってきた。仮に自身を含めたミュウミュウの5人の力を合わせて饕餮や隠岐奈に戦いを挑んでも恐らく勝つことは出来ないであろう。
そんな存在に勝った目の前の少女の実力は本物だといちごも認めざるを得なかった。
……最も、それでも『吸血鬼』だの『破壊神』だの『魔法少女』だのと肩書が多すぎだとは思うが。

336◆A1Sj87dFpOM:2022/11/26(土) 20:27:47 ID:???0
「……ねえ、私はどうしたらいいと思う?私は人を殺してでも願いなんて叶えたいとは思わない。勿論願いがないと言えば噓になるけどそのために人を殺すなんて嫌。そんな私に何か出来ることが本当にあるの?」
「あら、簡単じゃない。エイリアンの襲来や石油の噴出が『異変』であるのならこの聖杯戦争もまた『異変』と呼べるものじゃないかしら?それを解決するのもまた、魔法少女としての使命じゃないかしら?」
「……」
フランドールの言葉を聞いてもいちごの内には未だ迷いがあった。東京タワーでの決戦以来、キッシュ達エイリアンの活動は報告されておらずミュウミュウとして活動する必要性は元の世界では現状失われているがだからといって殺し合いに身を投じるのには未だ引け目を感じていた。

いちごはダメもとで言峰綺礼に質問をしてみる。
「あの……もし仮に私が聖杯戦争に参加しなかったとして……それで参加人数が足りなくなって聖杯戦争が中止に……なったりはしませんかね?」
だがいちごの質問に対し、言峰は無情にも首を振り、回答する。
「残念だがそれはないな。仮に君が参加しなかったとしても聖杯戦争は他の参加主従で予定通りに行われる。そして参加したマスターとサーヴァント同士で聖杯を巡って殺し合いが発生するだろう。要はこの聖杯戦争に君たちが参加して介入するかしないか、それが変わるだけの話だ。」
それに、と言峰は更に言葉を続ける。
「聖杯の力は数多の平行世界・多元宇宙へと及ぶ。手にした者の願いによっては君の世界にも影響が及ぶかもしれん。そのうえでよく考えたまえ。聖杯戦争を辞退し元の世界に帰るか、聖杯戦争に参加しマスターとしてサーヴァントと共に戦い抜き、聖杯を目指すか。」
「……」

言峰の言葉を聞き、いちごのこれからの方針が固まりつつあった。いちごは欲張りなのである。いちごは青山雅也が大好きである。だがそれだけでなく、同じミュウミュウの仲間として出会った藍沢みんと、碧川れたす、黄歩鈴、藤原ざくろとの絆も、彼女たちとカフェミュウミュウで皆とお喋りをしたりして楽しく過ごした時間も、カフェミュウミュウで赤坂圭一郎が作ってくれる美味しいケーキも、自分の大切なお父さんとお母さんも、学校の友人である本条みわと柳田もえも、青山雅也と一緒に行った動物園や河原もみんなみんな大好きなのであった。
それら全てを聖杯の力によって歪められ、失ってしまうことはいちごにとっては何よりも耐え難いことであった。

いちごは決意を固めた表情で言峰を見据え、言葉を発する。
「私……聖杯戦争に参加します!」
「へえ……覚悟は決まったようね。」
「ほう……それはどういった風の吹きまわしかな?」
言峰の疑問に対し、いちごは理由を話す。
「私だってまだ誰かを殺して願いを叶えたくないという気持ちはある……でもミュウミュウになったその日から、この力を誰かを救うために使うと決めていました。目の前で誰かの命が奪われようとしているのにそれを見て見ぬふりをする位なら……私はその人に手を差し伸べて全力で救うことを選びます。それがミュウミュウとして私にできる闘いです。」
「フッ……いいだろう。」
いちごの宣言に対し、言峰は笑みを浮かべる。

「桃宮いちご。君の参戦を聞き入れた。聖杯は君を歓迎するだろう。細かいルールは端末のヘルプで参照できるが他に質問はあるかね?」
言峰の最後の問いかけにいちごは決意を込めた表情で答える。
「大丈夫です。話がこれで終わりならこれで失礼します。さっ、行くよアーチャー。」
「一時はどうなるかと思ったけどこれで一安心ね。これであなたも立派な魔法少女だわ。」
「だから私は魔法少女じゃなくてミュウミュウだってば。」
いちごとフランドールはそんなやり取りをしながら言峰に背を向けて、、教会の出口である扉に向かって歩く。
「喜べ東京ミュウミュウ。君の願いはようやく叶う。」
綺礼は立ち去ろうとするいちごの背中へそう言葉を投げかける―――

―――桃宮いちごとフランドール・スカーレットは教会を後にした。


◇   ◇   ◇

337◆A1Sj87dFpOM:2022/11/26(土) 20:28:45 ID:???0
時刻は夜の7時、ここはC-4地区、多目的超高層ビル「ビックアイ」前の待ち合わせスポットとして人気の広場。

「桃宮さん!ごめん、待った?」
「ううん、青山君。私も今来たばかりだから全然待ってないよ。」

桃宮いちごは想い人であり、現在は恋人となった青山雅也……の再現NPCと「ビックアイ」前でデートの待ち合わせをしていた。
彼はあくまで再現NPCであるものの、容姿、性格、そしていちごとの関係がそっくりそのまま再現されており、そのため東京タワーでの決戦後における彼からの告白を受けた後の彼との関係がこの聖杯戦争においてそのまま維持されており、今日は彼との夜のデートを「ビックアイ」で過ごすために「ビックアイ」前で待ち合わせをしていたのだ。
何故「ビックアイ」なのかというと「ビックアイ」の内にはショッピングモール、図書館、映画館、プラネタリウムといった若い男女のデートに最適な施設が幾つか存在しており、いちごは青山と一緒に映画館で映画を見たりプラネタリウムで星空を眺めたり、ショッピングモールで一緒に買い物をする予定を立ててきたのだ。

「ご機嫌ね、マスター。」
「えへへっ、そりゃあ、もう……って、え!?」
再現NPCとはいえ、大好きな青山とのデートで浮かれているいちごの背後から、突如として聞き覚えのある声が聞こえてくる。
驚いて背後を振り返るとそこには自身がこの聖杯戦争で召喚したアーチャーのサーヴァント、フランドール・スカーレットがそこにいたのだ。
「な、なんであんたがここにいんのよ!?」
「あら、今はもう夜の7時よ?吸血鬼にとって苦手な太陽はもう出ていないし外を出歩こうが私の勝手でしょ?それにこのパラディウム・シティには亜人種や異人種も普通に出歩いてるし、私が街をうろついていたって別に誰もおかしいとは思わないわよ。」
「そ、そういうことじゃなくて別に私にくっついていなくたってあんたは問題ないはずでしょ!?なんで私のデートについてくんのよ!?」

そう、フランドールはアーチャーのサーヴァントであり、アーチャーにはクラススキルとして「単独行動」のスキルがある。このスキルによってフランドールはいちごからある程度離れて自由に行動しても支障が少ないはずなのだ。
「何故って……あんたがベタ惚れな『青山雅也』って人間がどんな奴か顔を拝んでおこうと思って。これから長い付き合いになるかもしれないんだから挨拶をするのが当然でしょ?」
「う、うるさい!余計なお世話!!」
「い、いちご……」
いちごがフランドールの態度に憤慨した次の瞬間、青山に肩を叩かれハッとなって後ろを振り返る。

「えっと……この子は?」
「あっ……え、えっと……」
青山の問いに対し、いちごは直ぐに答えることは出来なかった。まさかこの子が吸血鬼だとか自身が召喚したサーヴァントだなんて馬鹿正直に言えるわけがない。いちごは少し悩み、適当に嘘をつくことにする。
「えっと……私は家で外国人一家をホームステイさせていて、この子は一家の娘さんなの。だから彼女とは血のつながりはないんだけど……私にとっては妹同然に可愛がっていて……それで……」
咄嗟にでっち上げた作り話であるが青山はいちごの話を信じたのか、フランドールの前に来てしゃがんでフランドールの目線に合わせると自己紹介をする。
「初めまして、僕の名前は青山雅也。君の名前は?」
青山が自己紹介をするとフランドールはスカートのすそを上げ、丁寧にお辞儀をすると自らも自己紹介をする。
「初めまして、私の名前はフランドール・スカーレットです。いちごさんには毎日お世話になっています。」
フランドールは最初、クラス名で自己紹介しようかと考えたのだが相手は聖杯戦争の参加者ではなく、聖杯戦争のことを何も知らないNPCであり、そういった相手にクラス名で自己紹介する方が逆に不自然と考え、真名で自己紹介することにしたのだ。
「へえ、フランちゃんっていうのか。日本語が上手なんだね。」
「はい、お父さん、お母さん、それにいちごさん一家の人たちが一生懸命日本語を教えてくれましたから。」
勿論嘘だ。フランドールは生まれた瞬間から、両親がいない状態で、いや、最早そもそも両親が存在するのかどうかすら分からないまま、姉のレミリアと共に今までずっと紅魔館で生きてきたし、博麗霊夢や霧雨魔理沙と普通に会話できる以上、日本語は普通に話せるのであるがそんなことを話したら逆に話がややこしくなるのでいちごの話に合わせてあげているのだ。

338◆A1Sj87dFpOM:2022/11/26(土) 20:29:27 ID:???0
「それでフランちゃんはどうするの?よかったら一緒に行く?」
「いえ、大丈夫です。いちごさんの恋人がどんな人なのか気になって挨拶に来ただけですから。それでは私はこれで。」
「そっか、でももう今は夜遅いからね。悪い人に絡まれないように気を付けて帰るんだよ。」
「ありがとうございます。じゃあね、いちごのおねえちゃん。デート楽しんできてね。」
そういうとフランドールは二人に背を向けて歩き出し、雑踏に紛れて見えなくなってしまった。

(も〜〜〜〜〜〜〜う!!どうせ私たちのことをからかいに来ただけなのに何が「ありがとうございます」よ全く!!)
フランドールの背を見ながらいちごが心の中で憤慨していると突如として空から雨が降ってきた。
「?……雨……青山君、早く「ビックアイ」に入ろっか。」
いちごがそう言って青山に背を向けると、突如として青山は自分が着ていたパーカーをいちごに被せてきた。
「……濡れるよ。」
「……青山君……」

あの時と同じだ。自分が今一緒にいる青山雅也は本人ではなく、ただの再現NPCであるということはいちごは理解しているはずなのであるが、それでも胸の高鳴り、ドキドキ、興奮を抑えることは出来なかった。
(だ……ダメ……落ち着け、私。でないと、青山君の前で……ね、猫耳が……)
ピョコッ、そんな擬音と共にいちごの願いも虚しく、いちごの頭部から猫の耳が生える。
(で……出ちゃった〜〜〜〜〜〜。ど、どうしよう……)
「……いちごが本当の猫だったら、このまま連れて帰れるのにな……」
あの時と同じだ。今の言葉は本気ではなく、ただの比喩表現だということは分かってはいるのだが、今の青山の言葉を聞いて、胸の高鳴り、ドキドキ、興奮が自分の中で更に上昇していくのが嫌でも実感できた。
(ど、どうしよう……これ以上は……もうダメ……)
このままでは限界が来る、そう判断したいちごは思わず駆け出していた。
「ご、ごめんなさい!」
「いちご!!」
青山の制止も虚しく、いちごはパーカーを被ったまま、夜のパラディウム・シティの街中へ消えていった……

『はぁ……はぁ……危なかったぁ……もー何でいっつもこうなの?いっつもいい所で猫耳が出ちゃうんだからぁ。』
夜のパラディウム・シティの街中、パーカーを被った何かが路地を歩いていた。因みに
先ほどの雨はにわか雨だったのか、つい先ほど止んだばかりであった。そして強い風が吹くとパーカーが何処かへ飛んでいき、パーカーの下の存在の姿が露わになる。
『ん?あ、あれ?』
その存在は自らの違和感に気付いたのか、近くのビルのガラスを鏡代わりにして、自らの姿をまじまじと見つめる。
『う……嘘ぉぉぉーーーーー!!?私ってば、また猫になっちゃったよぉぉぉ!!?』
そう、その存在の正体は猫化してしまった桃宮いちごであった。彼女はイリオモテヤマネコのDNAとの適合率が上昇し過ぎたあまり、ある一定の条件を満たすと強制的に猫化してしまう体質になってしまっており、以前も猫化したことで大変な思いを経験したばかりであった。

「ママー、あの猫ちゃんかわいー。」
猫化したいちごの存在に気付いたのであろうか、子供のNPCがいちごに近づき、いちごに触ろうとしてくる。
『もぉ〜〜〜〜〜〜!!!一体どうしたらいいのぉーーーーー!!?』
「まってー、ネコちゃーん。」
突然の不測の事態に混乱したのか、いちごは子供から逃げるように走り出し、裏路地の中に迷い込む。
そして裏路地を進もうとした瞬間、いちごは何か大きなものにぶつかり、弾き飛ばされてしまう。

339◆A1Sj87dFpOM:2022/11/26(土) 20:30:09 ID:???0
『あたた……って、ええっ!?』
いちごは目の前の存在が何なのか確認した途端、あまりの衝撃に思わず固まってしまう。
何と目の前にいたのは以前いちごが猫化した際にキスをしようとしつこく絡んできた黄色いデブ猫……の再現NPCであった。
まさかこのような形で再会する羽目になってしまうとは思わなかったのか、いちごは恐怖のあまりその場で固まってしまう。
やがてデブ猫はいちごの存在に気付いたのか、ゆっくりといちごの方に振り向き、口からよだれを垂らす。

『おんやぁ〜、カワイ子ちゃんがいる〜!』
(な……何でコイツがここにいんの!?)
『ぼ、ぼ、僕チンとデートしな〜い?』
(ぜ、絶対イヤーーーーーー!!!)
いちごが恐怖でその場で震えているのを恥ずかしがっていると勘違いしたのか、デブ猫は更にアプローチをかけてくる。
『いや〜だニャ〜〜、そんな恥ずかしがらなくていいのに〜〜照れ屋さ〜ん。』
『い……イヤぁーーー!!』
兎に角デブ猫から逃れようといちごはデブ猫とは反対方向に逃げ出すが、デブ猫は逃すまいといちごをしつこく追いかけ回す。
(もぉ〜〜〜何でこんな目にぃ〜〜〜!!)
逃げるいちごをデブ猫が捕まえようとしたその時であった。

何と何処からともなく一匹のコウモリがその場に現れ、デブ猫に襲いかかってきたのだ。
「ギィーーー!!ギィーーーー!!!」
『な、何よこのコウモリは!?い、痛い痛い痛いやめてやめて!!お、お助け〜〜〜〜!!』
コウモリの激しい攻撃にこりゃたまらんと思ったのか、デブ猫はいちごとコウモリから離れるように何処かへ逃げ去っていった。
(た、助けてくれたの……?でも何で……?)
突然の事態に状況がよくのみこめなかったのか、いちごは唖然として空中のコウモリを見つめる。
すると突然、いちごの頭の中に聞き覚えのある声が響いてきた。

『マスター、マスター。』
『え……この声……もしかしてアーチャー!?』
何と声の主はアーチャーのサーヴァント、フランドール・スカーレットであった。
いちごはフランドールの姿を確認しようと辺りを見回すがその姿を確認することは出来ない。
『一体何処にいるの!?姿位見せてよ!?』
『ここよここ、今あなたの目の前にいるじゃない。』
『えっ……それってもしかして……』
いちごはフランドールの発言から、目の前にいるコウモリの正体を察する。
『まさか……あなたがそうだというの?一体その姿はどうしたの!?』
『あら、私は吸血鬼なんだからコウモリへの変身能力位持っていて当たり前じゃない。それに驚いたわ、あなたも猫への変身能力を持っていたのね。』
『なりたくてなった訳じゃない〜〜〜!それにあなた帰ったんじゃなかったの!?』
『そんなの嘘に決まってるじゃない。帰ったふりをしてあんたの様子をずっと見てたのよ。』
『じゃあ何ですぐに助けてくれなかったの!?』
『さっきまでにわか雨が降ってたでしょ?吸血鬼は流水を渡れないのよ。だから雨が止むまで私は動くことが出来なかったわけ。』
そう言うとフランドールはコウモリへの変身を解除し元の姿に戻る。

「さっ、何がしたいのか分からないけどもう十分楽しんだでしょ?あんたも早く元の姿に戻ったら?」
『……出来ないの。』
「……え?」
いちごの意外な発言に最初フランは面食らった様子であったが、やがて全てを察するといたずらっ子のような笑みを浮かべる。
「……もしかしてあんた……自分の能力の制御が出来ないの?それで年上ぶってただなんておっかしー!」
『笑わないでよ!大体この体質だってなりたくてなった訳じゃないんだから!』
「じゃあその姿から元の姿に戻る方法はあるの?……まさか一生その姿のままって訳にはいかないでしょ?」
『……あるけど……』
「なぁんだ、あるじゃない。じゃあ早く言ってよ。」
フランドールが催促するといちごは決意したような表情になり、フランドールを見る。

『……キスをして……』
「……は?」
最初、フランドールは何かの冗談で言ったのかと思った。だがいちごの真剣な表情から、冗談ではなく本気で言っているのだということを察する。
『お願い、キスをして。キスをしてくれないと私は元に戻れないの。だからキスをしてお願い!』
「……んー。」
フランドールは最初、何か考えるような仕草をしていたが、やがてどうするか決めたのか、しゃがんでいちごの目線に合わせると自らの意を伝える。

340◆A1Sj87dFpOM:2022/11/26(土) 20:31:01 ID:???0
「……いいわよ。」
『え!?ホント!?』
「ただし条件があるわ。」
『え!?一体何!?』
一体何を言われるというのだろうか、いちごは思わず身構えるがそれに対し、フランドールは悪戯っぽい笑みを浮かべ、条件を伝える。
「取り敢えず私に付き合ってくれない?そうしたらその後でキスでも何でもしてあげる。」
『え?それってどういう……え、ええっ〜〜〜〜!?』
言うなり、フランドールは猫化したいちごを抱えるとそのまま空中に飛び上がり、パラディウム・シティの夜空を駆け抜けるように何処かへ飛び去っていった……


―――ここはA地区のどこかの森林の中にある泉。

『た、助けてよぉ〜〜!猫は泳げないんだよぉ〜〜!』
「ほらほら、頑張って。あと少しだから。」
泉の、比較的陸に近い浅瀬で、猫かきで必死に泳ぎながらフランの所まで泳ごうとする猫化いちごと、そこから少し離れた所に、水遊びをするために服や下着等を全て脱いで一糸纏わぬ全裸となったフランドールが、楽しそうな笑顔でいちごに水をかけていた。
『だから私は泳げないんだって〜〜!もう勘弁してよぉ〜〜〜!』
「そんなことはないわよ。だってあなた、イリオモテヤマネコのDNAを体に打ち込まれたんでしょ?だからあなたは本当は泳げるのよ。」
『えっ……それってどういう……?』

よく、猫は泳ぐことは出来ないと言われており、実際大体の猫はそうなのであるが、猫の中には環境に適応した結果、泳ぐことが出来る猫も存在していた。
そう、イリオモテヤマネコがまさにそれである。
イリオモテヤマネコは沖縄県の西表島のみに生息しており、そこの大自然で生き抜くために陸の小動物だけでなく、水の中を潜って泳いでエビや魚を狩猟して食べる生活を送っていた。そのため彼らは猫でありながら泳ぎが大得意なのだ。
だからイリオモテヤマネコのDNAを打ち込まれた桃宮いちごだって、猫化した状態でも本来は泳ぎが大得意なはずなのだ。

やがていちご自身も水に慣れたのか、泳ぎがスムーズになり、猫化した状態で水の中をスイスイと泳ぎ始める。
(すごい……イリオモテヤマネコって泳げるんだ……私、今まで知らなかった……)
そういった知識量においても、所詮レッドデータアニマルの知識を齧った程度しか知らない桃宮いちごと、紅魔館でパチュリー・ノーレッジから借りた本を色々と読み漁って知識を蓄えたフランドール・スカーレットとの間で、圧倒的な開きがあるのであった。
やがていちごは泳いでフランドールの元にたどり着くと、フランドールはいちごを抱え、翼で空中を浮遊する。

「何だ、やれば出来るじゃん。」
『ねえ、こんなことやらせたくてわざわざここまで連れてきたの?』
「んー、それもあるけどあなたには私の能力の一端を見てもらいたいと思って。」
(……あれ?確か吸血鬼は流水を渡れないんじゃなかったっけ?何でこの子は平気なの?)
そう、吸血鬼は流水を渡れない、それは日光と並んで有名な弱点であり、それはフラン自身も確かにそう言っていたはずなのだ。
何故なのか、いちごがそう考えていると突如として木々の間から何者かが姿を現す。

グルルルルルルルルル……
(え!?魔獣!?どうしよー!こんなタイミングで出てくるなんて!!)
現れたのは一匹の血に飢えた魔獣であった。そもそもここはA地区、魔獣の生息域であり、この場に魔獣が現れるのは何らおかしいことではなかった。
ミュウイチゴの状態ならともかく、ミュウイチゴに変身できない猫の状態では魔獣に対して勝ち目はない、そう思っていちごがフランドールの顔を見た瞬間、いちごは背筋が凍るような感覚に襲われる。
何故ならいちごが見たフランドールの表情は先ほどまでの純粋無垢な幼い少女のそれではなく、幼い少女が……いや、人間がするとは思えないような狂気すら感じるような恐ろしい笑みを浮かべていたのだ。
「……それに、女の子の裸を覗くような変態さんにはここで退場してもらわないとね。」
ボンッ!!
その言葉と同時だった。フランドールが手を握りしめると魔獣の頭部がザクロのように弾け飛び、頭部を失った魔獣はその場で倒れ、息絶える。
(え……今の何?一体何が起こったというの?)

341◆A1Sj87dFpOM:2022/11/26(土) 20:31:48 ID:???0
いちごは目の前で起こった出来事が全く理解できなかった。戸惑いながらも再びフランドールの顔には先ほどの笑みは既になく、外見相応の純粋無垢な笑顔がそこにはあった。
「驚いた?これが私の能力『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』、この能力は元々持っていたんだけど最近になって能力を鍛え直して実戦で使いやすいように調整したんだ。」
そう、フランドールは最近の石油噴出異変の解決の前に、摩多羅隠岐奈の協力の元、自らの能力を鍛え直し、弱点である流水をカバーするために吸収してしまった水や石油を魔力消費の代替として消費、排出することでダメージを避けると同時に遠距離の敵に能力を行使することが可能となり、弱い敵なら一撃で倒せ、一定以上の実力者相手でもダメージを与えることが出来るようになっていたのだ。
これが流水が弱点の吸血鬼であるフランドールがある程度水に耐えることが出来るカラクリの正体であった。

「さて、もうこれで用件も済んだし、あなたの望み通り、キスをしてあなたを元の姿に戻してあげる。」
『えっ!?ちょ、ちょっと今ここでそれをしたら……』
いちごの制止も虚しく、フランドールは猫化いちごと唇をあわせキスをし……いちごの姿は元の人間の姿に戻る。そう、泉の真上の空中で。
「あ」
「あ゛」
気付いた時には時すでに遅しであった。いちごはバランスを崩して空中から落下し、そして。
バッシャアアアアァァァン!!
服を着たまま泉に豪快にダイブしてしまう。そして水の中から顔を出したいちごの目は完全に涙目であった。
「も〜〜〜〜イヤァァァァァァ!!!何で私がこんな目にィィィィィ!!?」

少し時間が経過した後、泉には一糸纏わぬ全裸の桃宮いちごの姿がそこにはあった。
因みに服や下着等は先ほど泉に豪快にダイブしたことでずぶ濡れになってしまっており、乾かすために全て干している最中であった。
「うう……恥ずかしい……」
「ごめんごめん、悪かったって。どうせここには他に人はまず来ないし、乾くまで私と一緒に遊びましょうよ。」
基本野外で肌を晒すことに慣れていないいちごは顔を赤らめるが、やがてどうせ他に人は来ないだろうし、ここには同性のフランドールしかいないと開き直ると、サーヴァントであるフランドールとの親睦を深めるため、彼女と水遊びをすることにする。

「きゃはは、それそれ〜!」
「も〜う、冷たいってば〜!」
いちごとフランドールは暫し時を忘れ、お互い水をかけあいながら水と戯れ続けていた。
やがて暫くすると、フランドールは突如として手を止め、いちごに予想外の言葉をかける。
「……ねえ、抱っこして。」
「……え?」
最初、彼女は自分をからかうために言ったと思ったのだが、彼女の寂しそうな顔から冗談で言っているのではないというのを悟り、ゆっくりと彼女の傍まで近づき、抱き上げる。
(……あったかい……)
フランを抱き上げたいちごは彼女の温もりを直に感じていた。お互い全裸で素肌で直に触れ合っていることで温もりを直に感じ取れているような気がするのだ。

(私も……将来、青山君と結婚して……子供を産んでお母さんになったらこうして自分の子供を抱いたりする時が来るのかなあ……)
将来の青山雅也との結婚、そして青山との子供を出産して母親になり、自らが産んだ子供を抱く未来の自分の姿を想像していると不意にフランの口から予想外の言葉が飛び出してきた。
「……いちごのおねえちゃん……」
「……え?」
最初、彼女はまた自分をからかうために言ったのだと思った。だが今までのからかうような口調ではなく、どこか寂しそうな、か細い口調であることにいちごは気づいていた。
いちごはフランから聞かされていた彼女の今までの出来事や境遇を思い出していた。

342◆A1Sj87dFpOM:2022/11/26(土) 20:32:34 ID:???0
彼女……フランドール・スカーレットは幻想郷でまず最初に行動を起こし、紅霧異変という騒動を起こした紅魔館の主、レミリア・スカーレットの妹で、彼女自身もその騒動の前後辺りのタイミングで博麗の巫女である博麗霊夢と戦い、早い段階から存在を認知されていたのであるが、その後も幻想郷で数々の異変が発生したにも関わらず、彼女はそれらの異変にほとんど関与することはなかった。
では紅魔館が異変に関わらなかったのかと言えばそんなことはなかったのだが、基本的に異変解決のために行動を起こしていたのはメイド長である十六夜咲夜がほとんどで、たまにレミリアが行動を起こすことがあったり、基本的に図書館にいることが多いパチュリーでさえ、何かしらの形で外出し異変に関わることもあったというのにフランドールは彼女たちと違い、表舞台に出てくることは最近までほとんどなかった。

何故か、それは彼女は基本的に地下に幽閉されており、咲夜やレミリアと異なり積極的に自ら行動を起こすことが出来ず、いつも異変解決に向かう彼女たちを紅魔館で見送る役目しか出来なかったのだ。それ故にほとんど交友関係が広がることもなく、彼女と深い関りがあるのは同じ紅魔館のメンバーしかいなかった。それはこれから先もずっと続き、いずれは過去の存在として誰からも忘れ去られ、埋もれていく存在になっていくのだと思われていた。

だが最近になってそんな彼女の境遇に、ある一つの大きな変化が訪れた。
幻想郷を創った賢者の一人、摩多羅隠岐奈が彼女の元を訪れたのである。
最初はまさか賢者が自分の所を訪れるとは思っていなかったらしく、とても驚いたらしいのだが石油噴出騒動の主犯である饕餮尤魔を倒すため、全てを破壊する力を持つ彼女の力が必要だと力説されたため、久しぶりに自身も行動を起こすことを決め、そのために隠岐奈と特訓をしてブランクの解消と自らの力を高めることに成功し、立ちはだかる様々な敵を倒した後、異変の主犯である饕餮尤魔と対峙、饕餮の強大な力に傷つきながらも死闘の末に饕餮を破壊、異変を解決することに成功したというのである。

その後は摩多羅隠岐奈の主催した「剛欲な挑戦」に挑戦し、隠岐奈に認めてもらいたい一心で数々の強敵たちと戦い、傷つきながらもボロボロの身体で最後に待ち構えていた隠岐奈と対決、必死の思いで戦い、最終的に彼女を下し、彼女に認められたという。そしてその際に彼女に挑戦成功の証として贈られた「すばらしい!君は破壊神として崇められるだろう」と書かれた彼女の直筆のサイン入り色紙は今でも紅魔館の地下の彼女の自室に大切に飾られているという。

(フラン……)
いちごは自身が抱いているフランドールを見ながら彼女が戦った饕餮尤魔、摩多羅隠岐奈のことを彼女の話の中から思い出していた。
饕餮尤魔、彼女は幻想郷に存在する畜生界の三大組織の勁牙組、鬼傑組と肩を並べる剛欲同盟の長で表向きは畜生界最弱を装っているが実際は畜生界でも最強の力を持つ存在で「何でも吸収する程度の能力」という強力な能力を持ち、博麗の巫女である博麗霊夢ですら彼女の討伐を諦め、異変解決を投げ出した程の存在であるということをいちごはフランから聞いていた。
そして摩多羅隠岐奈は八雲紫と肩を並べる幻想郷を創った賢者の一人で後戸の神・障碍の神・能楽の神・宿神・星神・地母神・能楽の神・星の神・養蚕の神・障碍の神・被差別民の神・幻想郷の賢者と数多くの肩書を持つ正真正銘の神様で尊大で自身家な性格とそれに裏打ちされた強大な力と強力な能力を持ち、最強でこそないものの彼女に勝てる存在は幻想郷では数えるほどしかいないともいちごはフランから聞かされていた。

343◆A1Sj87dFpOM:2022/11/26(土) 20:33:26 ID:???0
いちごは当然両者に会ったことも彼女らの戦いぶりを見たわけでもないので詳しくは分からないものの、フランの話を聞くだけでももし仮に自分が……いや、ミュウミュウの5人の力を合わせて饕餮や隠岐奈に戦いを挑んでもまず勝てないであろうということは何となく感じていた。
そんな強大な存在に立ち向かっていったのだ。自分の手の中にあるこの幼い少女が。怖かっただろう、辛かっただろう。でも「異変を解決したかった」「賢者に認めてもらいたかった」その一心で饕餮や隠岐奈に戦いを挑んだのだ。

それまで誰からも相手にもされず、孤独だった彼女にとって饕餮尤魔や摩多羅隠岐奈は自らの存在意義や幻想郷での居場所を証明してくれる存在であったのであろう。
そんな彼女たちからも相手にされなくなってしまったらまた誰からも忘れ去られていった孤独な日々に逆戻りしてしまうのかもしれない。
先ほどの呟きもそんな気持ちが思わず声に出てしまい、自身の事を単なる戦力やマスターとしてではなく、そんな自分を無視せず常に相手をしてくれる存在として見ているのではないかと感じたのだ。

そう考えるとやっぱり元の世界に帰らずこの聖杯戦争に参加して良かったと思う。
彼女は表面上は気取ってはいたがもし仮に自身が元の世界に帰ってしまっていたら彼女はまた誰からも相手にされない孤独な存在に逆戻りしていたかもしれない。
そんな不安な気持ちでいっぱいだったかもしれないのだ。
いちごはフランを強くギュッと抱きしめる。
元の世界で侵攻を再開しているだろうキッシュ達エイリアンやそれと戦っているであろう仲間の4人に対する申し訳なさや不安は確かにある。
だけど人々を守る東京ミュウミュウとして、そして何より自身が抱いている少女のマスターとして、それら全てを投げ出して元の世界に帰る気持ちにはなれなかった。
いちごは改めて決意を固める。ミュウミュウに選ばれたものとして、そして目の前の少女のマスターとして、人々を救い、聖杯戦争を共に戦い抜こうと。

その決意の気持ちが、いちごの口から自然と溢れていた。
「……もう一人にしないからね、フラン。」


【サーヴァント】

【CLASS】
アーチャー

【真名】
フランドール・スカーレット

【出典】
東方projectシリーズ

【性別】
女性

【ステータス】

筋力A 耐久B 敏捷 A 魔力B+ 幸運 C 宝具A+

【属性】
混沌・善

【クラス別能力】
対魔力:B
魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

単独行動:A
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。 ランクAならば、マスターを失っても一週間現界可能。

344◆A1Sj87dFpOM:2022/11/26(土) 20:34:05 ID:???0
【保有スキル】
グレイズ:EX
「弾幕ごっこ」「少女達の遊び」と呼ばれるフランドールを始めとした幻想郷の人間・妖怪・神々の少女たちが戦いの中で身に着けた能力。このスキルによってフランドールの通常攻撃に「グレイズ属性」と呼ばれる属性が付与され、通常攻撃している間は敵の通常攻撃に一切被弾することがなくなり、完全無敵の状態となる。またフランドールはそれ以外にも任意で蝙蝠に変身することが出来、その状態においてもフラン自身に「グレイズ属性」が付与され、通常攻撃に対して完全無敵となる。ただし蝙蝠に変身している間は魔力消費が激しくなるため、長時間変身を維持することは出来ない。また通常攻撃が途切れると「グレイズ属性」が消滅して無敵状態が解除されてしまう他、宝具に対しては「グレイズ属性」が付与されていても無敵が適応されず通常通りに喰らってしまう。

幻想の吸血鬼:A
幻想郷という隔離された世界に存在する吸血鬼。
スキルランク同等の怪力・飛行・吸血・変化のスキルを兼ね備える複合スキルだが代償として太陽・流水に対して極端に弱くなってしまっており太陽光や流水を一定以上照射、吸収してしまうとダメージを負ってしまう。ただし流水に関しては後述のスキルを使うことである程度カバーすることが可能。また上記のグレイズと飛行・変化能力を併用することで魔力消費量が激しくなる代わりに飛行・変化中に自身に「グレイズ属性」を付与することが可能なほか、「グレイズ属性」を付与しないことで魔力消費量を抑えて飛行・変化能力を行使することも可能。

ありとあらゆるものを破壊する程度の能力:A
幻想郷における実力者の少女達が兼ね備える能力の中でフランドールが有している能力。後述の宝具の発動に必要不可欠な能力であり魔力の代わりに吸収した流水・石油・流血等を魔力の代替として消費することで後述の宝具の発動を可能としている。また代替を用いずに直接魔力を消費することで宝具を発動することも出来る。
またこの能力を応用することで鍵のかかったドアに触れることで鍵だけを破壊してドアを開閉するといった芸当も可能。


【宝具】
『きゅっとしてドカーン』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1〜99 最大補足:1人
前述の「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力」を行使することで使用可能となる宝具。万物には『目』と呼ばれる「その物の一番弱い箇所」と称される急所が存在し、それをロックオンして手で握り潰すことで『目』を直接攻撃する。相手をロックオンできなくても蓄積した流水を消費することが可能なため、流水の蓄積によるダメージを避けるために流水を消費する目的で空撃ちすることも可能。

『禁符・スカーレットニヒリティ』
ランク:A+ 種別:対人宝具 レンジ:1〜99 最大補足:1人
幻想郷の賢者である摩多羅隠岐奈との特訓で新たに獲得した必殺の宝具。一定以上の流水・石油・流血かもしくは自身の魔力を一定以上消費することで使用可能となる宝具で破壊エネルギーを凝縮した紅く輝くリンゴ型の爆弾を生成し、それを敵に直接ぶつけて爆破することで敵を爆砕する。元々フランドールはこの宝具を有していなかったものの、隠岐奈との特訓で「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力」を成長させたことで「剛欲異聞」において新たにこの技を新規に獲得している。

【weapon】
「レーヴァテイン」
フランドール・スカーレットが愛用する北欧神話に登場する伝説の武器の名を冠した武器で、見た目は時計の長針と短針が一体化して巨大化し、尚且つ歪んだような形状をした奇妙な見た目の剣。元ネタ通りに炎を纏わせることで炎の大剣として相手を焼き切る近接武器として扱えるほか、武器の持ち方を変えることで弓として扱うことも出来、この状態では魔力で作り出した矢を発射して遠距離の敵を攻撃する遠距離武器として扱うことも出来る遠近両用の万能武器。
この戦法は「剛欲異聞」においてフランドールが前述の「スカーレットニヒリティ」と共に摩多羅隠岐奈との特訓で編み出した戦い方であり、彼女が当聖杯戦争において「アーチャー」のクラスで現界した最大の理由である。

345◆A1Sj87dFpOM:2022/11/26(土) 20:34:46 ID:???0

【人物背景】
「東方project」の舞台である幻想郷の勢力の一つである「紅魔館」の主、レミリア・スカーレットの妹で幻想郷に二人しかいない吸血鬼の内の一人で作中での発言から年齢は少なくとも495歳以上だと思われる。
初登場は「東方project」の事実上の第一作にあたる「東方紅魔郷」のEXステージで本ゲームの裏ボスを務めており、本編の紅霧異変の一件で異変解決にあたった博麗霊夢に興味を持ち、紅魔館の外に出ようとした所、勢力の一員で紅魔館の図書館の管理人を務めているパチュリー・ノーレッジによって館の周囲に雨を降らせるという方法で阻止され、その一件の調査で館を訪れた博麗霊夢と対面、霊夢に勝負を挑むものの死闘の末に敗北する。
二次創作においては「姉のレミリアを始めとした紅魔館の他のメンバーによって強制的に地下に幽閉されており、そんな自らの置かれた境遇に悩み苦しみ、外への自由を求め続ける」みたいなキャラ付けをされることが多いが、公式漫画である「東方智霊奇伝」に登場した際に「自分は閉じ込められてなんていなかった」「苦手な日光も当たらず無償で衣食住を提供してくれる居心地のいい快適な生活に不満なんてない」「そもそも自らの能力で何でも破壊できるのだから自身を閉じ込めるなんてそもそも無理」と上記の二次創作におけるキャラ付けを否定するような発言をしている。だがその一方で後述の「東方剛欲異聞」においては幻想郷の賢者である摩多羅隠岐奈は「危険な能力故に閉じ込められていたから鬱憤が溜まっていたんだろう。」と考察しているため実際の真相は不明。
初期の頃から登場していたキャラであり知名度や人気が非常に高いキャラでありながらも上記のスタンスの関係もあってほとんど活動せず長らく出番がない状態であったのだが「東方剛欲異聞」において幻想郷の各地で石油が流出する異変が発生しその犯人とされる饕餮尤魔を倒すため、彼女の「ありとあらゆるものを吸収する能力」に対抗すべく、幻想郷の賢者である摩多羅隠岐奈が秘密裏に彼女に接触し饕餮討伐を依頼、これを承諾する。そして隠岐奈の能力の支援を得て各地を転々とし、異変解決のため幻想郷に住まう人妖たちと戦いを繰り広げるがその最中偶然にも博麗霊夢と再会する。そして彼女と会話していく中で彼女が饕餮討伐を諦めたこと、異変解決を投げ出したことに失望する。その際、「以前自分の所にやってきたお前は全てを破壊する目をしていた」「その頃を思い出せ、敵は殲滅せよ」と自身の霊夢に対する感情をぶつけ、彼女と戦闘を繰り広げそれに勝利している。
そして石油の海の最奥にて異変の主犯格である饕餮尤魔と遂に対峙、彼女と戦いを繰り広げる。戦闘においては当初は優勢に戦いを進めるものの、血の池地獄から注ぎ込まれる力を吸収されたことで饕餮がパワーアップしてしまい、形勢を逆転される。それでも何とか饕餮を追い詰めるものの追い詰められた饕餮は奥の手である「お腹を空かせたグリードモンスター」を発動、それに対抗するため隠岐奈と共に編み出した新技である「スカーレットニヒリティ」を発動させ、死闘の末に饕餮を破壊、異変を解決することに成功する。
その後饕餮は血の池地獄の管理人となり、隠岐奈から近況報告と異変解決達成の知らせを受け取り、お互い挨拶を交わした後隠岐奈と別れる。
その後隠岐奈が用意した「剛欲な挑戦」に挑み幾多の強敵と戦いを繰り広げた後最後に現れた摩多羅隠岐奈と戦い、死闘の末に勝利している。

「剛欲異聞」にて描かれた石油噴出異変の真の黒幕は摩多羅隠岐奈であり、石油を自身の管理下に置くため饕餮を共通の敵に仕立て上げ、異変が解決した後堂々と石油を自身の管理下に置くことが今回の異変において彼女が仕組んだシナリオであったことがEDにおいて語られている。

346◆A1Sj87dFpOM:2022/11/26(土) 20:35:43 ID:???0

【サーヴァントとしての願い】
強いていうなら日光に晒されても大丈夫な身体にしてもらい、太陽光の下でも自由に出歩くことが出来るようになりたい。後幻想郷中の皆にもっと相手にしてもらえるようになりたい。

【方針】
また孤独に戻るのは嫌なのでマスターと一緒に戦いたい。一人はもう嫌なのでマスターと別れたくない。

【把握媒体】
「東方紅魔郷」「東方文花帖」「東方智霊奇伝」「東方剛欲異聞」などをご参照ください。「東方智霊奇伝」は全国の書店にて絶賛発売中で「東方剛欲異聞」はNintendo Switchにて絶賛配信中です。ただ「剛欲異聞」は難易度が非常に高いためキャラ把握をしたいだけならYoutubeなどの動画サイトで把握した方がいいかもしれません。またフランドール単体で知りたいなら動画サイト等でキャラ解説動画があるのでそちらで把握してもいいかもしれません。



【マスター】
桃宮いちご

【出典】
東京ミュウミュウ にゅ〜

【性別】
女性

【能力・技能】
『ミュウイチゴ』
イリオモテヤマネコのDNAを打ち込まれたことによって備わった能力。「ミュウミュウ・イチゴ・メタモルフォーゼ!」の掛け声と共に「東京ミュウミュウ」の一人である魔法少女「ミュウイチゴ」に変身することが出来る。この姿になると身体能力と肉体強度が飛躍的に上昇する他、後述する武器である「ストロベルベル」を装備することが出来る。

『猫変化』
イリオモテヤマネコのDNAとの適合率が上昇し過ぎたことによって強制的に身についてしまった能力。ある一定の条件を満たすと肉体が猫の姿に強制的に変化してしまう。この姿になってしまうと前述のミュウイチゴへの変身が不可能になってしまう他、人間時の思考を維持できるものの人間の言葉を話すことが出来なくなり猫の鳴き声を出すことしか出来なくなってしまう。
また自らの意思で人間の姿に戻ることは出来ず、この状態を解除するには他の生物とキスをすることでしか解除する方法はない。
作中での描写から「興奮状態となり心拍数が一定以上の数値に達すること」がこの能力の発動条件だと思われるが「何故戦闘時における興奮状態でこの能力が発動しないのか」「何故変身が解除された際に変身前に着ていた服がそのままの状態で維持されているのか」「猫に変身した際に着ていた服が猫化に巻き込まれるなら何故羽織っていたパーカーが猫化に巻き込まれなかったのか」「猫に変身していた際に河で溺れたりシャワーを浴びたりしていたのに人間に戻った際に何故服がずぶ濡れになっていなかったのか」等色々と不可解な部分も多い謎の多い能力。

【weapon】
「ストロベルベル」
「ミュウイチゴ」に変身することによって装備することが出来る武器で見た目は中心にイチゴ型の装飾が付いて装飾の下にベルがぶら下がっており、持ち手がピンク色のふさふさのファー仕様となっているリング状の武器。
エネルギーを込めることによってベルが付いた装飾の部分からピンク色のハート型のエネルギー弾「リボーン ストロベリー チェック」を放つことが出来る。
また出力を抑えることでエネルギー弾を連射することも可能なほか、ブーメランのように直接敵に投げつけて攻撃することも可能。

347◆A1Sj87dFpOM:2022/11/26(土) 20:36:23 ID:???0

【人物背景】
元々は同級生で剣道部のエースである青山雅也に恋心を抱く普通の女子高校生であったのだがある時学校に潜入していた藍沢みんとから受け取ったチケットを手に青山をデートに誘い、デートのために訪れたレッド・データ・アニマル展で彼女の適合率の高さに目を付けていた白金稜によって「μプロジェクト」の対象に選ばれ、イリオモテヤマネコのDNAを打ち込まれ地球を侵略しようとしているエイリアンに対抗する戦士である「東京ミュウミュウ」の内の一人「ミュウイチゴ」に変身する力を得た少女。
初戦闘で「ミュウイチゴ」に変身し、エイリアンが送り込んだ生物兵器である「キメラアニマ」を倒した後、「μプロジェクト」の中心人物である白金稜と赤坂圭一郎に自らが戦わなくてはならない敵とミュウミュウとしての使命を二人に告げられ、普段は高校に通ったり白金達のアジトである「カフェミュウミュウ」でアルバイトをしたりしつつ、既に仲間になっていた「ミュウミント」こと藍沢みんとと自分自身を除く他の3人の仲間を捜索しつつ、エイリアンやキメラアニマと戦う「東京ミュウミュウ」として活動していくことになる。
基本的には少々ドジっ子で天然ボケの慌てん坊だが、根は真面目でカフェ内では物凄い働き者で、戦いとなると一気にリーダーっぷりを発揮する一面もある。
終盤、青山に対する思いから興奮しすぎたことととイリオモテヤマネコのDNAとの適合率が上昇し過ぎた結果、猫に変身してしまい元に戻るために奔走、河で溺れて青山に自宅に連れ込まれそこで正体がバレそうになったり、青山宅から脱出した後猫の姿のままで街中をさ迷い歩くが、時を同じくしてキッシュ達エイリアンが東京タワーで大規模な作戦を展開し、それを食い止めるためミュウミュウの他の仲間4人が必死になって戦っている姿をニュースで偶然知ってしまう。
それを見たことで仲間の元に駆け付けることを決意、何とか元の人間の姿に戻ることに成功し、直後ミュウイチゴに変身して仲間の元に駆け付け、戦いの末にキッシュ達エイリアンの作戦を阻止することに成功する。
だがその日は青山と「Tierra」のライブを一緒に見に行くことを約束していた日であり、遅刻が確定したことを理解しつつも青山に自身の想いを伝えるため、雨が降りしきる中必死になって会場に向かい、たどり着いた会場で雨の中自身を待っていた青山に告白され、自身も青山に自らの想いを伝え、晴れて二人は恋人として結ばれる。

【マスターとしての願い】
出来ればキッシュ達エイリアンを聖杯の力で撃退したいとは思うが、そのために他の人を殺すのは論外だし、エイリアン達は自分たちの力で何とかするつもりなので、聖杯を求めるよりも困っている人を助ける方向で活動したいと思う。もし聖杯が手に入っても自身ではなく、サーヴァントの願いの方を叶えてあげたい。

【方針】
東京ミュウミュウとして誰かを苦しめたり不幸にしたりするような願いを持つマスターや、聖杯を手に入れるためには手段を選ばず誰かを殺すことも厭わないマスターとサーヴァントがいたら戦って止めて聖杯戦争の未来にご奉仕する。でも人を殺すようなことはしたくない。

【ロール】
カフェのアルバイトをしつつ月海原学園に通っている高校生

【令呪の形・位置】
右手の甲の位置。右太ももの内側の股の付け根にあるアザと同じ形をしている。

【把握媒体】
漫画「東京ミュウミュウ」及びアニメ「東京ミュウミュウ」「東京ミュウミュウ にゅ〜」などをご参照ください。漫画は新装版が現在10巻出ています。アニメは旧版、新版共にdアニメストアその他配信サイトで全編配信中で、新版は2023年4月に第二期が放送されます。キャラ設定や造形等は2022年の新版「にゅ〜」の方に寄せているので把握する場合は「にゅ〜」の方を把握した方がいいかもしれません。

348◆A1Sj87dFpOM:2022/11/26(土) 20:43:53 ID:???0
以上で投下終了です。
タイトルは書いてませんが、候補作のタイトルは「魔法少女 ミュウスカーレット」です。
もう締め切りが迫って来ているので候補作の投稿はこれで最後にします。
またこの作品及び主従を暫定組と入れ替えるかどうかは企画主様の裁量にお任せします。
また当聖杯戦争におきましては『正式な』(←ここ重要)参加者が全て決まり次第、自分は可能な限り本編の制作、投稿をしていきたいと思います。
それまで当企画を楽しみにしつつ正式に参加者が全て決まるまで待ちたいと思います。
何か不都合があればご指摘よろしくお願いいたします。

349 ◆Mti19lYchg:2022/11/28(月) 00:28:57 ID:U2aoRq/Y0
◆A1Sj87dFpOM様 数々の魅力あるチームとSSのご投稿、ありがとうございます。
>>魔法少女 ミュウスカーレット
いちごとフラン。どこか姉妹のようでそうとも言えない互いによりあう関係性がいいですね。
特にいちごが参加する理由としてフランの孤独を放っておけなかったというのがいいです。
ご投稿、ありがとうございました。

追伸。現在ほぼ決定した参加者を発表します。

No.01 遠坂凛 セイバー ライカ
No.02 巴あや セイバー ジークフリート
No.03 レオナルド・ビスタリオ・ハーヴェイ セイバー アルトリア・ペンドラゴン
No.04 衛藤可奈美 セイバー クトリ・ノタ・セニオリス
No.05 二階堂ルイ アーチャー アラン・シルヴァスタ
No.06 ジョセフ・ジョースター アーチャー エンタープライズ
No.07 ヴィヴィ アーチャー エックス
No.08 桃宮いちご アーチャー フランドール・スカーレット
No.09 オネスト ランサー スイムスイム
No.10 ルビー・ローズ ランサー フェクト・エフィリス
No.11 邪神ちゃん ランサー アンティリーネ・ヘラン・フーシェ
No.12 吉野順平 ライダー 五代雄介
No.13 尾形百之助 ライダー ゾルタン・アッカネン
No.14 香風智乃 ライダー 剣崎一真
No.15 七海千秋 ライダー 爵銀龍 メル・ゼナ
No.16 新条アカネ キャスター μ(ミュウ)
No.17 間桐桜 キャスター 黄川人
No.18 桂木桂馬 キャスター 雪華綺晶
No.19 千翼 アサシン 金木研
No.20 ユリウス・ベルキスク・ハーウェイ アサシン エミヤ〔アサシン〕
No.21 錦木千束 アサシン 夏木花
No.22 狛枝凪斗 アサシン 憂城
No.23 ザキラ バーサーカー バラモスゾンビ
No.24 エドワード・エルリック バーサーカー 空条承太郎
No.25 上条当麻 バーサーカー ハンク・ヘンリエット
No.26 衛宮士郎 アルターエゴ 沖田総司〔オルタ〕
No.27 小蝶辺明日子(■■■■) アルターエゴ ウォルター・C・ドルネーズ
No.28 コラソン/ドンキホーテ・ロシナンテ アルターエゴ 相川始
No.29 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン ブレイド ホムラ/ヒカリ

【傭兵システム】 アーチャー エミヤ
【傭兵システム】 ランサー クー・フーリン
【傭兵システム】 アサシン 燕青

少し多いようでしたら、ここから3チームほど減らします。

350名無しさん:2022/11/28(月) 15:27:29 ID:53h95URQ0
自分で書き切れもしないのにむやみやたらと参加者を増やす悪癖やめなよ。

351無名:2022/11/28(月) 20:07:36 ID:gOiDn1Ds0
批判を書かれてますが大丈夫ですか?
あまり気にしない方がいいですよ。参加者をどれだけ登場されるかは管理者さんが決めることですからね。

もしも批判が続くなら弁護士さん相談するのも一つの手かもしれないです。

よけいお世話ならすいません。

352◆A1Sj87dFpOM:2022/11/28(月) 20:33:57 ID:???0
>>350
ならあなたも書き手として参加したらどうですか?これはリレー小説です。
一人だけで創り上げる訳ではなく、皆で参加して書き上げて創り上げる、それがリレー小説なんですから、
人手は多ければ多いほどいいと思います。現時点では参加者は確定ではなくあくまで暫定なのでまだ書きませんが、
締め切り日が過ぎて参加者が確定したら候補作を提出した以上、責任をもって本編も書きたいと思っています。
後◆Mti19lYchg様、↑の方の意見を擁護する訳ではありませんが、
参加主従を減らすことを検討されているようですが、
他の聖杯ロワの企画である「Fate/Over The Horizon」は参加主従は合計23組、
「Fate/Aeon」は参加主従は24組なのでそれらの企画も参考に検討されてもいいかと思います。
最終的に決めるのは企画主様なので企画主様の裁量にお任せしますが、未把握作品の把握の手間や
書き手が離れていくことによる企画の停滞、それによる企画の過疎化はファンとしては悲しいことですし、
なんとしても避けたいと思うので企画の継続のためにもある程度検討はされてもいいかと思いますし、
あなた様が決めたことであれば自分も従います。来月初めの締め切り終了日の後日までお待ちしています。

353無名:2022/11/28(月) 20:42:19 ID:gOiDn1Ds0
>>352

354無名:2022/11/28(月) 20:46:23 ID:gOiDn1Ds0
>>352
あの、あなたのことを言ったわけではないのですが……勘違いさせちゃいました……すいません。あなたは自分の考えを持っているので批判とは思ってはいなかったのですが……違う人のことだったんですが……不愉快させたならすいません。

355 ◆Mti19lYchg:2022/11/28(月) 23:34:34 ID:U2aoRq/Y0
>>350
やはり多すぎると自分でも思っていたので減らしました。いかが最終決定になります。

No.01 遠坂凛 セイバー ライカ
No.02 巴あや セイバー ジークフリート
No.03 レオナルド・ビスタリオ・ハーヴェイ セイバー アルトリア・ペンドラゴン
No.04 衛藤可奈美 セイバー クトリ・ノタ・セニオリス
No.05 二階堂ルイ アーチャー アラン・シルヴァスタ
No.06 ジョセフ・ジョースター アーチャー エンタープライズ
No.07 ヴィヴィ アーチャー エックス
No.08 桃宮いちご アーチャー フランドール・スカーレット
No.09 オネスト ランサー スイムスイム
No.10 ルビー・ローズ ランサー フェクト・エフィリス
No.11 邪神ちゃん ランサー アンティリーネ・ヘラン・フーシェ
No.12 吉野順平 ライダー 五代雄介
No.13 香風智乃 ライダー 剣崎一真
No.14 七海千秋 ライダー 爵銀龍 メル・ゼナ
No.15 ウィキッド/水口茉莉絵 ライダー ドンキホーテ・ドフラミンゴ
No.16 新条アカネ キャスター μ(ミュウ)
No.17 間桐桜 キャスター 黄川人
No.18 千翼 アサシン 金木研
No.19 ユリウス・ベルキスク・ハーウェイ アサシン エミヤ〔アサシン〕
No.20 狛枝凪斗 アサシン 憂城
No.21 ザキラ バーサーカー バラモスゾンビ
No.22 エドワード・エルリック バーサーカー 空条承太郎
No.23 上条当麻 バーサーカー ハンク・ヘンリエット
No.24 衛宮士郎 アルターエゴ 沖田総司〔オルタ〕
No.25 コラソン/ドンキホーテ・ロシナンテ アルターエゴ 相川始
No.26 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン ブレイド ホムラ/ヒカリ

【傭兵システム】 アーチャー エミヤ
【傭兵システム】 ランサー クー・フーリン
【傭兵システム】 アサシン 燕青

356◆A1Sj87dFpOM:2022/11/29(火) 18:47:36 ID:???0
◆Mti19lYchg様、↑の面子が最終決定とのことですが、オープニングはいつ投稿されるのでしょうか?
旧企画を見返してみた所、参戦面子が正式に決定された後に「聖杯戦争、開幕」のタイトルで
オープニングにあたる作品が投稿されていましたが、やはり正式な締め切り最終日である明日の11月30日が過ぎた後、
12月以降に投稿される予定なのでしょうか?当然ですが自分はオープニング投稿後に本編を投稿したいので、
どうする予定なのか聞かせてくれるだけでもありがたいです。お返事お待ちしております。

357 ◆Mti19lYchg:2022/11/29(火) 20:13:24 ID:.UcjwXNI0
>>356
一つNPCを取り上げたSSを書いた後、12月中にOPを投下します。

358◆A1Sj87dFpOM:2022/11/30(水) 18:55:51 ID:???0
◆Mti19lYchg様、本日は11月30日、締め切り最終日となりました。
明日以降から本編制作を本格的に開始したいと思い、参考までに旧作の本編を見てみた所、二つほど気になる点がございましたので、
出来れば早めに回答して下さればありがたいです。ではいきます。

①参加主従達は本編開始直後から他の主従が誰なのか全員把握している設定なのか?
まず気になった点としては参加主従達が本編開始直後から既に同盟を結んでいたり、他の主従の事を把握していて
いきなり戦闘が始まったりするような展開が旧作には開始直後から見られた点でした。
そこで質問なのですがこの聖杯ロワにおいては参加主従は他の主従の顔、容姿、位置情報や与えられたロール等を
全て把握している設定なのでしょうか?

②参加しているキャラの出展作品から雑魚敵や上級NPCといった形でキャラを出すのはありなのか?
これも旧作本編の中にあった展開なのですが、参加キャラの出展作品から雑魚敵や上級NPCという形で
参加主従とは別のキャラが登場するという展開がありました(例えば雑魚敵としてドラクエからスノードラゴンやごくらくちょうが出てきたり、
上級NPCとしてまどマギから鹿目まどかや暁美ほむらが出てきたり)
これを自分の採用候補作に当てはめるなら例えば雑魚敵枠として「RWBY」からベオウルフやアーサ、「ディスカバリー」からバッファルホーンやガブルネーク、
「オーバーロード」からデスナイトやナザリックオールドガーダー、「モンハン」からランポスやフロギィなどを雑魚敵ポジションで出したり
上級NPCとして上記の作品からネームド敵(具体的に誰を出すかはまだ決めていませんが)を出したりするとかそういった展開はありなのでしょうか?

返答次第では今後の制作本編の内容が大幅に変わって来るので出来れば早めに返答をいただけるとありがたいです。
回答お願い申し上げます。

359 ◆Mti19lYchg:2022/12/01(木) 01:08:22 ID:8IiaznF.0
>>358

①基本的にはマスターはお互いを知らない設定です。
ただし、キャスターなど一部のマスター組は多少マスターやサーヴァントを知っています。
他にも自作のヴィヴィはほとんどの組にマスターだと知れ渡っています。
初話でマスター達が同盟を組んでいるという設定はありです。

②雑魚敵に関してですが、今回は聖杯もしくはそれに値する願望器のある世界のみで限定して登場させてください。
上級NPCですが、こちらも同じくそのキャラ自身が願望器を宿していたか、願望器を造ったなど深いかかわりを持つキャラでしたら登場させてもOKです。

360 ◆TUV54iMsXU:2022/12/01(木) 06:34:15 ID:tXV03CFM0
>>358
①の事前にマスターのことを把握していたり、同盟を組んでいたりするという設定についてですが。
恐らく、このロワの猶予期間が一ヶ月弱とかなり長く、加えて活動拠点(月海原学園やアカデミー)やロールが同じになる組み合わせも多いため、という点によるものかと思いますね。
故に「同じ場所に長期間居て、知らないのは無理があるのでは」という暗黙の了解が生じ、結果として「開始前から関係が構築されている」という飛躍した展開に繋がっていったかと思います。


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