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二次キャラ聖杯戦争OZ Re:visited

1 ◆Mti19lYchg:2022/08/02(火) 23:48:34 ID:qIiBxwKI0
  あなたがもし『神』になったら、あなたは何をしますか


【まとめウィキ・避難所】
ウィキ:ttps://w.atwiki.jp/outerzone/
したらば:ttps://jbbs.shitaraba.net/otaku/18445/

2第1話The Genesis Machine ◆Mti19lYchg:2022/08/02(火) 23:49:30 ID:qIiBxwKI0
 もし、あなたが世界を創造できるとしたら、それはどんな世界でしょうか。

 その世界はあなたが人々を作るも消すのも、幸福にするのも不幸にするのも自由自在です。
 あなたの世界では善良な人物は、希望の光へと導かれる優しい世界でしょうか。
 それともどれほど艱難辛苦を嘗めても報われない、絶望に満ちた残酷な世界でしょうか。
 ですが……その世界を創造するには、あなたが示す「理」が必要です。
 『理』とは何か。それは『秩序』『混沌』のような『方針』。『自然主義』『人間至上主義』のような『思想』。
 自然法則や化学反応、数学的真理をも包括した『世界の道標』。生命の行き先を決めるための階梯。それが『理』です。
 あなたの定めた「理」の元に世界は創造され、動植物や人々は生活し、星々は運行するのです。
 全てを自分の意志で決められる――その者は正しく『神』といっていいでしょう。

 あなたの世界にも、このような『神』がいたとしたなら――その『神』はどんな神なのでしょう?













 ……私の紹介が遅れましたね。
 私は『ミザリィ』。この度行われる新たな『聖杯戦争』の『案内人(ストーカー)』です。

3第1話The Genesis Machine ◆Mti19lYchg:2022/08/02(火) 23:49:51 ID:qIiBxwKI0
 それでは『聖杯戦争』について、改めて説明しましょうか。
 説明の前に前置きとしてですが、あなたは『剪定事象』をご存知ですか?
 『剪定事象』とは人類をより繁栄させる為の理、その航海図――『人理』における『編纂事象』と呼ばれる『基本世界』と『並行世界』を寄り集まった大樹の幹と想定し、そこから大きく外れた枝葉の世界に相当します。
 極稀に『剪定事象』は元の世界とは完全にかけ離れた泡宇宙ともなりますが、枝葉は例え芳醇な実を付けようと宇宙の存続には不要と判断され、いずれ消滅します。
 ついでに補足しますと『並行世界』と『多元宇宙』とは異なります。
 『多元宇宙』はそれぞれが異なる別の宇宙。例えば地球が存在しない宇宙。我々の知る世界とは物理法則が異なる宇宙。
 そういった複数の宇宙にもまた『並行世界』があり『剪定事象』も存在します。

 さて、ここに滅びが確定された宇宙が存在します。ある一つの『剪定事象』の世界で、そこに住む全生命、そして地球は思いました。
 免れない滅びならば、せめて自分達が存在した証として、全てを『記録』にし残そうと。
 その記録を保存、運営するため全人類を『賢者の石』。別の宇宙では『フォトニック結晶』『赤いオリハルコン』とも呼ばれる物質へと錬成し、疑似霊子サーバーを製造。
 それをもって地球の縮小コピー、並行宇宙でいう『疑似地球環境モデル・カルデアス』とそこに居住する全生命をデータとして再現、サーバーごと別の世界へと移動することで、我々は確かに存在したのだと示そうとしたのです。
 ……どうやって縮小コピーや別世界の移動を可能にしたのか、ですか?
 それは、滅びゆく地球で行われた最後の大魔術。地球と残されたマナを全て燃料とする事で、地球と全生命は霊子サーバーの中で生き続ける事になったのです。

 そこまではよかったのでしょうが、サーバーは別の『剪定事象』『並行宇宙』『別宇宙』へと移動を繰り返してもその都度、世界から排除されてきました。
 移動の過程で世界に存在するマナや星の地殻エネルギーなどを吸収するようアップデートし、サーバーの維持に問題は生じなくなりましたが、やはり根本的な世界の定着に関しては解決できませんでした。
 このまま排除されつづけていれば、いずれサーバーそのものも消滅してしまうでしょう。

 無限に近い旅路の果て、サーバーはある宇宙で量子的なもつれの場、マルチバースへつながる扉を観測します。
 それを通じサーバーは、数多の多元宇宙、並行世界で行われている『聖杯戦争』と呼ばれる魔術儀式の模様。その他聖杯やそう呼ばれるに値する事象改変機能を有した願望器を巡る争いや通じ合い、使用や破壊を目撃しました。
 それらを互いに干渉させ発生した霊子的もつれを用いサーバーは、ほぼ無限にある願望器の一部演算能力とリンクし膨大な情報、演算能力を獲得。
 さらに自ら『聖杯戦争』を行う事で自分の存在を確定しようとしました。
 無限の宇宙、並行世界に招待券を送り、戦わせることで霊基が極限まで高まった最後の勝者と所属する世界に霊子的に繋がり、縮小地球を利用して、無限の可能性より勝者の望んだ事象に改編した宇宙を創り上げます。
 さらに勝者の存在する宇宙へ膜をかぶせるように上書きする事でその宇宙内で自身の存在を確立、惑星内でサーバーに保存された全生命を再現するのです。
 とは言っても所詮滅びかけた世界の全生命は、勝者の世界と比べればわずかの数ですからほとんど影響はないでしょうが。
 ああ、願いを叶えるのは宇宙を律する『理』となった勝者に対する報奨ですね。

 これが私の『現在』知る、この度の『聖杯戦争』の全てです。

 招待状は『英霊の座』より英霊を召喚するシステム『フェイト』の燃料である『星晶石』です。
 これが三個揃い、無地のトランプに似た『セイントグラフ』を召喚できた時点で、サーバー内に構成された聖杯戦争の舞台へと召喚されます。
 『星晶石』は案内人である私が配る事もあり、偶然手にする人もあります。『石』といってもデータであったり、カードであったりと形は様々です。
 私が持つ『星晶石』は金平糖に似ていますね。

 カリッ

 それでは、この『聖杯戦争』に召喚された一人のマスターを追い、具体的な聖杯戦争への参加の方法を紹介いたしましょう。

4第1話The Genesis Machine ◆Mti19lYchg:2022/08/02(火) 23:50:10 ID:qIiBxwKI0

 ◇ ◇ ◇

 遠坂凛は電子製品のジャンク街を歩いていた。彼女は金髪碧眼の美人だが冷やかしに声をかける者はいない。むしろ遠ざかっている。まるで戦場に赴く戦士のように他人の五感へと緊張を迫るものがあるからだ。
 事実、凛はこれから行われる戦争、『聖杯戦争』に参戦するための装備をこの場で選んでいる。
 最低3ヵ月は持たせられる生命維持装置の部品、予備のサーバー、ルーター、その他単独で月――ムーンセルで行われる聖杯戦争に挑むため必要な設備。
 それらを買い集め、敵対する西欧財閥から逆探知されないような位置で電脳空間に潜入し、ムーンセルへと移動する。その下準備だ。
 ショップを見歩き、買い、それらを繰り返す中、一つの店舗の会版が凛の目に入った。
「アンティークショップ・美紗里?」
 日本語で書かれた看板にわざわざ英語でルビがふってある。日本語圏内ではないこのジャンク街でそんな真似をしているからには、店長はさぞ偏屈者に違いない。
 そう思った凛は興味を惹かれ、冷やかしに入っている事にした。

 ドアを開けるとチリン、と鈴の音が鳴る。
 入口の手前に居た長い金髪を持つローティーンの少女がいらっしゃいませ、と丁寧にお辞儀をした。
 凜は返事を返し、周囲を見渡す。
『意外と良いものがそろっているわね……』
 凜が判断する限りジャンクどころかそのままで使えそうな正規品のレベル、それも高品質なものばかりが棚に並べられている。
『お気に入りのものはあったかしら?』
 そう声をかけたのはレジに座っていた女性だった。
 片目を一房の長い紫の髪で隠した、切れ長の目に整った美貌。シミや黒子ひとつ無い白く美しい肌。均整の取れた肉体。
 どれをとっても非凡で、それでいて調和の取れた美しさを持った妙齢の女性だ。
『ようこそ、アンテークショップ・美紗里へ。私は店長のミザリィ』
 魂まで直接染み渡るような声。声まで人間離れした美しさだった。
『この子は手伝いのアビゲイル・ウィリアムズ。愛称はアビーよ』
 アビーと呼ばれた少女は初めましてと挨拶した。
 店長の女性が非凡すぎるので少女の容姿は陰に隠れているが、彼女も十分に人目を引く顔立ちである。
「二人ともご丁寧に挨拶有り難う。ところでアンティークショップなのになんで電子部品ばかりなのよ」
『あら、型落ちの電子部品も十分アンティークの範囲じゃないかしら?』
「それは詭弁でしょ。それにここにある製品のどこが型落ちなのよ」
 凜は少し落ち着かない様子になった。ここが何もかも異質だからだ。美人姉妹ともいえそうな店長と店員。さびれた壁に不釣り合いな高級品。そして何より異質なのは。
「ところで、あなたの耳は何で長く尖っているの?」
 ミザリィの耳だった。凜の見る限り整形しているようには見えない。生来のものとしか思えなかった。
『私の耳が見えるという事は、貴女はれっきとした魔術師(ウィザード)のようね』
 凜の問いにミザリィは微笑んで返した。
『ウィザードの噂じゃ、間もなく月の内部、ムーンセルで願望器を巡る戦いが行われるらしいわね。
 あるレジスタンスの集団が参戦方法をネット上にばら撒いたらしくて、それに飛びついたウィザード達が集まるそうよ」
 凛はふうん、と眉ひとつ動かさずミザリィを見つめた。その自然な反応で、誰が参加方法の研究に参加したのが当の凛本人だと気づくだろうか。
『もしあなたがその戦いに参加する気なら、店内の品を一つ買えば貴重なプレゼントを贈ってあげる』
「プレゼントねぇ……」
 凜は別に興味なかったが、生命維持装置の部品で最高峰のものがあったのでそれを購入した。
『ご購入有り難うございます。こちらがプレゼントとなります』
 袋に包んだ部品と共に凜が渡されたのは一つの瓶だった。瓶の中には虹色に輝く石が入っている。魔力らしきものが凜には感知できるが、とりたてて大した物とは思えなかった。
『これは今はただの魔術由来の代物。だけど、もしあなたがただ願いを叶えたい以上の意志を持っているのなら、きっと素敵なことが起きるわ』

 一か月後。砂漠の中にあった廃墟で凜はムーンセルにアクセスする準備を整えていた。
 生命維持装置に自分の身を繋ぎ、髪と目を黒に変更したカスタムアバターを事前にセットする。
 あとは電脳空間にダイブし、聖杯が作り出した霊子虚構空間『SE.RA.PH』の門を潜り、聖杯戦争に参戦するだけだが。
『……そういえば、何か忘れているような……』
 と、凜は数瞬考え、以前渡されたものを思い出した。
「これが何かの役に立つのかしら……? まあいいか、持って行って損はなさそうだし」
 そうして凜は瓶の中の石を3Dスキャンで解析しアイテム情報としてセットし、電脳空間に移行した。
 ――その石を手に握りしめたまま。

5第1話The Genesis Machine ◆Mti19lYchg:2022/08/02(火) 23:51:01 ID:qIiBxwKI0
 電脳空間内にある扉。ここが以前凜たちが探り出した聖杯戦争に繋がる門だと確信した凜は、その扉を両手でこじ開けた。
 その瞬間、あたりの空間は一変した。
 そこは何もない広大な空間。空には星々が煌めき、地平線の彼方まで星が瞬いて見える。
 地面も何もない。踏み締めても音も無い。足裏から波打つ歪みが見えて初めてそこに立つ事が出来る何かがあると確認できる透明な空間だ。
 そして、下側にも星々が満ちている。重力の感覚が無ければ宇宙に浮いているような状態だ。

「ようこそ、常ならぬ願望を抱く新たなマスター候補者よ」
 凜が周囲を見渡す中、どこからか壮年の男と思しき声が響いてきた。
「これより行われるのは、己が願いを叶えるために万能の願望器である聖杯を奪い合う闘争『聖杯戦争』、その予選だ」
 やはりこれは聖杯戦争で間違いなかった。凜は内心で高揚していた。
「まず、君の手には一枚のカードが握られていると思う」
 そう言われた凜は手を見る。確かに、通常のトランプ程の大きさをしたカードがいつの間にか凛の手の中に納められていた。
 凛は両面を見た。裏地は精密なデザインだが、表側は白地で何も書かれていない。
「それは『セイントグラフ』と呼称されている。今は何の力も無いが、君がこの先出会う戦いで『英霊の座』に繋げる事が出来れば、君の武器となる『サーヴァント』を召喚できる」
 サーヴァント。その召喚。それも凜は事前に確認済みだった。
「サーヴァントとは神話、史実より読み取られた英傑、偉人、大悪党。いわゆる『英霊』が誇張、再現された者達。彼らは現世に留まるための媒体となる召喚者を主として見定めて、これを助ける者だ。
 だが、聖杯といえど完全な英霊の再現は不可能だ。故に基本的には7クラスのいずれか。
 『剣士・セイバー』『弓兵・アーチャー』『槍兵・ランサー』『騎乗兵・ライダー』『魔術師・キャスター』『暗殺者・アサシン』『狂戦士・バーサーカー』に当てはめ召喚される。
 例外として『エクストラクラス』での召喚も有り得る。その場合、真っ当な英霊が召喚されるとは限らないが。
 ことにこの聖杯戦争では並行世界、多元宇宙(マルチバース)からの英霊も召喚される。サーヴァントが元人間とは限らない。あるいは人類に敵対する怪物かもしれない」
 ここで凛は少し戸惑った。並行世界は兎も角、多元宇宙?
「さて、言葉で説明されても今一理解できないと思う。そこで君には実際に召喚の儀式を行ってもらおう。
 君にはセイントグラフの他に、聖杯戦争で必要となる端末が与えられている。その中のアプリに地図機能がある。
 それを使えば、君が出会うべき相手がマップ内に表示される。そこまで進んでもらいたい」
 どこに端末があるのかと凜は思ったが、セイントグラフと同様、いつの間にか凜の左手に握られていた。端末のディスプレイは6インチ前後。色は黒であった。

6第1話The Genesis Machine ◆Mti19lYchg:2022/08/02(火) 23:51:14 ID:qIiBxwKI0
「君は使い方が分かるようだが、今回はあえて使用法が分からないマスター候補用の解説をする。
 端末の画面裏側の右上に『Atlas』とプリントしてあるだろう? そのさらに端末の右上の端に出っ張った物があるはずだ。
 それをつまんで引き抜いてくれ」
 凜が言われたとおりにすると、するすると端末の長さ以上のコードが引き出された。
「そのコードの中央あたりを、左右どちらかの手首に押し当ててくれ」
 その通り、凛は右手首に棒状のコードを当てた。すると瞬時に巻き付き、先端部のポールが手首の上に来たリングになった。
 凛は右手を握り、開くを何度か行う。リングは緩くもきつくもなく、皮膚と一体化したかのように違和感は無い。
「その状態でリングに向かい『マップ』と言えば、音声認識でマップが空中投影モニタに表示される」
 言われた通り『マップ』と言うと、中空にディスプレイが投影され、中央に赤い点、黒い点が凛から見て上方の離れた場所に表示された。
「モニタ自体の拡大縮小は、モニタの端を摘まんで間隔を広く、または狭くすればいい。地図の拡大縮小は、モニタの上に指を置いて間隔を広く、または狭くすることだ。
 地図の移動はモニタに指を押さえ、見たい方向に移動させる。中央を移動させたいときはその個所を二回連続でモニタを叩く。
 元に戻したいときは、右上にある『現在地』を押す。アプリ自体を消す時は『マップ・オフ』だ」
 凛はその通りにモニタを拡大縮小し、地図の操作を行う。
 だが空中投影ディスプレイを使ったアプリの使用は、ウィザードである凛にとって電脳空間内での必須技能と言っていい。
 正直面倒には思ったが、聖杯戦争という何が起こるか分からない舞台で改めてウィザードの技能が通用するのか確認しておくのも必要と自分を納得させ、操作を続けた。
「『ウィザード』である君には今更な説明だったろうが、これで使用法の説明は御終いだ。赤い点はもちろん君の位置。黒い点が君が出会うべき相手の位置だ。
 そこまで進んでくれたまえ」
 凜はマップを右目上に縮小して移動させ、前後左右に歩いて位置関係を把握し黒点へと向かった。

7第1話The Genesis Machine ◆Mti19lYchg:2022/08/02(火) 23:51:28 ID:qIiBxwKI0
 感覚としては3分ほどだっただろうか。凜がたどり着いた先には何もなかった。
 点が隣接している事を確認した凜の前で、円形の複雑な陣が描かれ、そこから真っ黒な何かが現れた。
 それは剣を持っていることから人型だとわかるが、それ以外の事は輪郭がぼやけて何も判別できない。
「それは英霊が真っ当に召喚され損ねた無銘のサーヴァント『シャドウ』だ。それを倒すことで予選突破となる」
 男の声が終わると同時に、シャドウは凜に対し襲い掛かってきた。だがその速度は鈍く、振りかぶる腕もまるで出来損ないの機械人形のようだ。
 拍子抜けした凛はシャドウに向かい指さし、コードキャスト:call_gandor(64)を使用。
 それは、旧魔術師『メイガス』が消滅するまで一部の者が使用していた相手を呪う『ガンド』という魔術であり、現在のウィザードが電脳空間内での「電脳術式(コードキャスト)」として再現した攻勢プログラム。
 指先から射出された黒い呪いの塊は、過たずシャドウに命中、シャドウは四散した。
「これで終わり?」
 そう男に話しかける凜。だが、返答はなく代わりにシャドウの試算した影が集まり、人型の姿をなした。
 動揺することなく、再びガンドを放つ凜。シャドウは一発を剣で受け、一発は頭部にあたり爆散。そしてまた影が集まり再生する。
 凜は何度もガンドを放つ。確かに命中はするしシャドウは散るのだが何度も再生している。
 ついにシャドウは凜に剣が届く位置まで来た。凜はゆっくりとした振り下ろしを交わし至近距離からガンドを放つ。だがそれも今までの繰り返しだ。
 シャドウの剣をよけ、ガンドを撃つ。それを繰り返している度、段々とシャドウの動きが速くなっていることに凜は気づき始めた。
「シャドウは、マスターでは例え倒せたとしても必ず復活し、徐々にだが確実に強くなっていく。
 シャドウを消滅できるのはサーヴァントだけだ。生き残りたいのならば急いでサーヴァントを召喚する事だ」
「いったいどうやって召喚すればいいのよ!」
 剣をよけながら怒鳴る凜に対し男は冷静な声で返す。
「それは君が自力で英雄たちの記録が保存されている『英霊の座』に接続しなければならない。そのための『切り札(トランプ)』、セイントグラフは既に君の手の中にある。
 そして、己の意志を示すが良い。思いは何でもいい。死にたくない、生き残りたい、願いを叶えたい、相手を倒したい。己の意志を一点に収束して、願うのだ」
 話の最中でもシャドウの速度は加速度的に上がっていき、凜はかわすのに精一杯になっていった。
 シャドウの攻撃は打ち下ろしと横薙ぎの二つしかなかったからかわせたもので、それ以外の攻撃だったらとっくに斬られていただろう。
『もう出し惜しみは無し。粉々にしてその隙に召喚を――⁉』
 凜が使える最大のコードキャストを使おうとした瞬間、シャドウは体当たりしてきた。
 予想外の攻撃に凜は腰から崩れ落ちた。
 シャドウが剣を真上に掲げる。
 それを見た凜は、テロリストとして追われていた時に感じた気配、それをさらに濃厚にしたものを感じ取っていた。
 それは――死の気配。
 凜はその感触で長くのばされた時間の中、様々な考えが浮かび消えていった。

8第1話The Genesis Machine ◆Mti19lYchg:2022/08/02(火) 23:51:42 ID:qIiBxwKI0
 私は思いあがっていた。こんな予選で死ぬなんて考えもしなかった。
 死ぬ。私が? いまここで?
 ……ふざけるな。
 こんな予選なんかで死んでたまるか。私は……あの停滞した世界に一発食らわせて世の中を動かしてやるんだから――‼

 凜が自分も知らなかった感情を爆発させた瞬間、握っていたカード「セイントグラフ」が宙に浮いて光を発し、無地の面に絵が現れた。
 それは剣を掲げる騎士の姿。
 さらに絵は変化し、一人の男の姿を描き出した。
 同時に、上下三つの円環が凛の目の前に現れ、その中に雷と閃光を伴い、絵と同じ男が姿を見せた。
 ツンツンと逆立った髪に、三白眼の青年。青いシャツのような上着に、白いズボン。革靴を履いた姿は傾いた現代人といっても通じそうだ。
 だが、彼の顔に込められた気迫、内在する魔力は明らかに一般人のものではない。
 そして腰に差した、龍の彫刻が嵌め込まれた鞘に納められている、恐らくは両刃の剣からも強い魔力が発せられている。

 シャドウの剣が青年の頭上に達したとき、シャドウの腕は青年の、凛の目には全く見えない抜き打ちで吹き飛んだ。落ちた剣と腕が空間に波を立て落ちたが、音は鳴らない。
 その剣は身幅が広く、柄から切っ先までは1m近く。柄から刀身まで精緻な意匠が施されている。恐らく柄から刀身まで一つの鉄で打たれたであろう漆黒の剣だ。

 シャドウは右手を落とされても、青年に向かい手を伸ばし、首を絞めようとした。
 青年はシャドウの腕を難なく握り止め、次の瞬間、青年とシャドウの姿がぶれ、凛の視界から消えた。
 驚いた凛が周囲を探ると、二人は数十m近く離れた場所にいた。
「覇ァアアアア――――!!」
 青年が叫ぶと同時に逆立った髪の毛がさらに尖り、放電し、金色に輝きだし、瞳は白目に変化した。
 同時に膨大な魔力が、雷の形で青年の身体から、さながら昇龍の如く立ち上った。
 青年から放射された稲妻は、遠くにいた凛を衝撃波で吹き飛ばし、シャドウを一瞬で蒸発させた。

「痛たた……」
 胸を抑える凛に対し、まるで空間転移でもしたように突然青年は再び凜の元に戻り、面と向かい合った。
「一応聞いておくぜ。お前が俺のマスターか?」
 青年は尻餅をついた凜にカードを差し出した。
「……どうやらそうみたい。何だかわからないけど私があんたを呼び出したみたいね」
 凜は立ち上がり、青年の手からカードを受け取った。
「ありがとう。それであなたの名前は?」
「俺はセイバーのサーヴァント……?」
 青年、セイバーが名乗ろうとした時、異変が起こった。
 星々に満たされた空間が、突如としてその光を消し、暗闇となった。

9第1話The Genesis Machine ◆Mti19lYchg:2022/08/02(火) 23:52:12 ID:qIiBxwKI0
「ようこそ、見事試練を乗り越えた聖杯戦争のマスターよ。
 私は言峰綺礼。この聖杯戦争の監督役を務めている」
 二人が気が付くと、そこは教会の礼拝堂であった。
 凜とセイバーは綺礼とその周囲を見渡す。
 二人が感じたのは違和感。神聖で静謐な雰囲気ではあるが、その一皮下には澱んだ空気が広がっているような。
 そんな不安定な感覚を抱いた。
「ここは聖杯が造り上げた都市『パラディウムシティ』。その中にある教会。予選を突破したマスターは自動的にここへ移動されることになっている」
 綺礼はまるで悟りを開いたかのような笑みを浮かべ、二人に話しかける。
 その表情を見て凜は、綺礼を嫌いになることに決めた。信仰に身を奉げた者にしかできない顔。だがまるで張り付けたような感じがぬぐえず、その裏に何かを感じたからだ。
「ちょっと待って。ここってムーンセルの作った世界『セラフ』じゃないの?」
 だが、疑問があったので凜は綺礼に尋ねた。自分はムーンセルに向かっていたはずではなかったのか。
「その通り。この場に在る聖杯は、君の知っているムーンセルとは違う。あらゆる並行世界、多元宇宙への扉を開く力を持っている。君をこの場へと召喚したのもその力だ。
 その聖杯を管理、運営するのが既に消滅した世界で製造された、地球の全てを記録として残したコンピュータだ。
 それは疑似霊子サーバー『ヘルメス・トリスメギストス』と命名されている。
 聖杯の力を以ってあらゆる世界にあるムーンセルを含めた聖杯、またはそう呼ばれるにふさわしい願望器と接続し、膨大な演算力を獲得したサーバー。
 それを以って生み出された無限大の可能性を持つ聖杯、『天の聖杯』をコントロールし、最後の勝者にこの場の聖杯のある場所『事象創造真界・楽園』への道を開く物だ」
「天の聖杯……」
 凜は言葉を繰り返す。よくわからないが本当に違う聖杯へと来てしまったようだ。
 ふと、凜は思い出す。以前買った製品のおまけにつけられた石。その際にかけられた言葉を。これが素敵なことなのだろうか。詐欺もいいところじゃないか。
「このサーバー内には既に滅んだ世界で製造された地球の魂を縮小モデルとして内包している。
 その地球の魂で聖杯の担い手の願いを叶えた世界を宇宙の構成要素を新たに構築する事で造り、さらに膜のように変換し、レイヤー、テクスチャーとしてマスターがいる既存の惑星に貼り付け融合させ、世界を改編させるのだ。それが聖杯で願いを叶える仕組みだ。
 天の聖杯の中枢部に辿り着いた時、アクセス権を担うのが君が所持する令呪だ。それをすべて失えば、たとえ生き残っても天の聖杯への接続は出来ず、願いは叶えられない。
 また、令呪はサーヴァントに対する絶対的な命令権でもある。簡潔で、短い時間の命令ほど効果は強く、逆に曖昧で、長期間の命令だと効果は薄くなる。戦いの切り札ともなり得るため、もし使うなら用心する事だ」
 凜は右手に刻まれていた令呪を見つめた。
「もう一つ、願いを叶えるには必要な物がある。それは担い手の『理(コトワリ)』だ。
 『理』とはマスターの持つ思想、倫理観や人生観などが本人を通し、形而上学な概念を現実の力として影響を及ぼすまでに至ったモノだ。今はただ、本人の願いを極限まで強めたモノとだけ解釈してもらえればいい」
 ここで凛が口を挟んだ。
「どうして願いを叶えるのにそんな複雑な手順が必要なのよ? わざわざ一度地球を作ったり、マスターに強烈な意志を要求したり。まあ、強い意志なんて、聖杯を手に入れようなんて連中なら誰でも持ってるでしょうけど」
「この天の聖杯は計測の結果、非常にコントロールが困難であることが分かった。下手をすればマスターが所属する惑星を破壊しかねないほどのエネルギーが放出される。
 そのため、担い手の願いを素に一度新たな星を作り、その中に可能性を収束することで過去、現在、未来の全てを改編可能にし、暴走することなく安定して願いを叶えられるようにしたのだ。
 『理』についても同様だ。ただ漠然とした願いだけでは可能性がどのように収束されるか不明になる。それは聖杯の暴走に繋がりかねないからだ。
 それ故、マスター達に聖杯を完全に扱えるほど成長してもらいたい」

10第1話The Genesis Machine ◆Mti19lYchg:2022/08/02(火) 23:52:28 ID:qIiBxwKI0
 凜は少し戸惑った。自分の願いは確かに漠然としている。子供たちが笑っている未来、停滞した世界を動かす力。それが欲しくてムーンセルの聖杯戦争に参加しようとしたのだ。
 だが、ここでは具体的にどうするかを考えなければいけないらしい。
「少し具体的に、天の聖杯が願いを叶える仕組みについて説明しよう。例えばだ、最終的な勝者が『恒久的な世界平和』を願ったとする。ではどのように実現されるのか。
 人々から闘争本能を無くす? 人を傷つけようとすると苦痛を感じるようになる? 全人類を不老不死の新たな存在に書き換え、個人の欲望と争いを無くす?
 そういった『結果』を叶えるための『過程』が、意識的、無意識的を問わず担い手の『理』によって決められるのだ」
 さて、と言い綺礼は二人の顔を見つめた。
「『恒久的な世界平和』を実現するのに『全人類を不老不死の新たな存在に書き換える』のが担い手の『理』による結論だとすれば、他の方法論は全てその一つの可能性に収束され、その結果発生する膨大なエネルギーを持って天の聖杯は願いを実現させる。
 そのエネルギーをコントロールするのが担い手の『理』、そして『ヘルメス・トリスメギストス』だ。
 ……とはいえ、他世界の聖杯、願望器と繋がり、演算能力を高めた『ヘルメス・トリスメギストス』といえど、完全なコントロールができる保証はない。エネルギーが逆流し、他の宇宙に影響を及ぼすかもしれない。自滅の可能性もある。
 その危険性を承知の上で天の聖杯は、最終的な勝者に身を委ねる事にした。己の存亡をかけてな」
「もっと卑近な例をあげてみよう。君が『死んだ肉親を蘇らせたい』とする。
 この聖杯は世界そのものを上書きして現実を改編する。人一人蘇らせるなど容易い事だろう。
 だが、君次第で『世界のどこかに『死者を蘇らせる方法』が実在する』。または『死者が時たま蘇る世界になる』といった具合に世界が改変される。
 どんな望みを叶えようと、君の定める『理』に世界は従うようになるのだ」
「さらに俗物的な願いならば、君は世界の神にも王にもなる事もできる。
 上書きされた世界で、天の聖杯を得た君だけはその世界を動かすために必要な根源物質、その実数から虚数領域まで自在に干渉、操作可能になる。
 君の思うが儘に世界は動き、君の欲望は全て叶えられるだろう」
「その『理』ってのは、どうして決められて、聖杯戦争で高められるものなのよ」
「それはいずれ分かる。この聖杯戦争では、舞台に用意された住民やマスターの多様性、それによる価値観の衝突がたえず起こり続け、それらが否応なくマスターの本質を暴き、侵食する。
 その中で自分の存在意義を保つには、自分の本質と向き合い、戦い、成長させるしかないのだ」
 ここで綺礼は、凛とセイバーの反応を確かめる様に一息ついた。
「今までの説明は信用ならないか? 成程、急にこのようなことを言われても納得できないのは当然だ。
 しかし、各世界を隔てる扉を開き、この場へ君を喚び寄せ、サーヴァントを召喚させた力。それは天の聖杯の持つ力の一端に過ぎない。それでもこの程度の事は可能なのだ。
 その力を、君は否定できるかね?」
「各世界?」
「そうだ、私と君はそれぞれ別の平行世界の住人だ。その平行世界をつなげたのがこの聖杯だ。さらに別の宇宙、地球がない世界や平面惑星の世界の人間や英霊もこの聖杯ならば召喚可能だ」
 凜は内心驚いた。無限の演算機能を持つといわれるムーンセルでもまるでSFのような世界からの召喚など不可能だろう。
「信用できない。元の世界に帰りたいというのなら、それでも構わない。
 聖壇の奥に扉がある。そこを潜れば元の世界に帰還できる。
 だが、他者を殺し、騙し、屍山血河を築き、それでも尚叶えたい願いがあるのなら」
 綺麗は身を一歩引き、凛に対し半身になった。
「君の背後の扉を開き、聖杯戦争の舞台へ進みたまえ。そして汝自身を以って最強を証明せよ。
 さすれば万能の願望器は、君の手に与えられん」
 そう言って綺礼は誘うように、招くように手を掲げた。

11第1話The Genesis Machine ◆Mti19lYchg:2022/08/02(火) 23:53:02 ID:qIiBxwKI0
「……この聖杯は、私のいる世界の聖杯『ムーンセル・オートマトン』とも繋がっているの?」
「無論だ。そして勝者の願い次第では、君の世界にも何らかの影響が及ぶかもしれない」
 凜は胸に手を当て、意を決した瞳で綺礼を見つめた。
「……いいわ。ムーンセルとは別物だと分かったけど、どっちみちこんな代物を西欧財閥に渡すわけにはいかない。
 私は戦って、この天の聖杯を西欧財閥に渡さない。ついでにムーンセルもまとめて誰の手にも触れられないようにするわ」
 決意の後、凜は一つの大切なことに気が付き、綺礼に尋ねた。
「綺礼、一つ応えて。サーヴァントが願いを叶えると、やっぱり世界の理が改変されるの?」
「この聖杯は「ヘルメス」「トリスメギストス」という二つのサーバーで管理されており、それぞれが最終的に残ったマスター、サーヴァントの願いを叶えるように設定されている。
 だが、サーヴァントの願いを叶えても、例えサーヴァントの願いが世界征服や歴史改変だったとしてもそれで理が変わることは無い。あくまでマスター側の願いのみで世界の理が改変される」
「オレからも聞くが、サーヴァントの受肉ってのは叶うのか?」
 ここで初めてセイバーが口を開いた。
「それは願いとは関係なく叶う。新たな理のもとで運営される宇宙の中で、全ての人間はそのままの姿で転生する。マスターもサーヴァントもだ」
「受肉して現世に復活する。それがあなたの願いなの?」
「そうだ、それ以外の願いはねえ」
 凜は顎に指を当て、しばし考え。
「わかったわ。セイバー、貴方の願い、叶えてあげる。その代わり、私の戦いに協力して」
 セイバーは「いいぜ」と返答し、綺礼の方に顔を向けた。
「おい、キレイ。さっきてめえは神にもなれるとかぬかしやがったな。だが、オレは復活するにしても人間のままで沢山だ。人間の力で理想の国を造ってみせるぜ」
 ライカは鋭い目つきで睨みつけた。
「あら、さっきの魔力放出、とても人間どころかウィザードでも出せる威力じゃなかったけど?」
「う、うるせーな。さっきのは、生前だと気が昂らねえ状態じゃねえと上手く使えない雷が、今のサーヴァントの状態でどこまで出せるのか試したかっただけだ。
 どうも、サーヴァントの俺の身体は、天の龍を降ろした状態で固定されてるみてえだ。天の龍そのものは宝具になっているけどな」
 二人のやり取りを見る綺礼は、ひそやかに笑った。
「お互い中々早い決断だな。マスターとサーヴァント、価値観も生きた時代も異なる二人がそう簡単に意思疎通など出来るものではないはずだが、大したものだ」
「そんなこと言うくらいなら、もっと時間をおいてここに喚ぶか、時間を与えてくれた方が、セイバーと色々と相談ができてありがたかったんだけど」
「何、君達は即断即決が好みと見たのでな。実は参戦か棄権か、選ぶために都市内で約一ヶ月の猶予期間が与えられているのだが、あえて黙っておいた」
「選択を促す時に言いなさいよ、そういう事は!」
 凛は綺礼を怒鳴りつけた。

12第1話The Genesis Machine ◆Mti19lYchg:2022/08/02(火) 23:53:21 ID:qIiBxwKI0
「ところでよ、マスター。オレはまだお前の名前を聞いてねえぞ」
「私は凜、遠坂凜よ」
「リンか……。懐かしい響きだな」
 セイバーはどこか遠くを見る目になった。
「オレの真名はライカだ」
 セイバー、ライカが名乗った瞬間、凛のポケットにしまっておいたカードが光りはじめた。
 凛がカードを取り出して見やると、セイバーの絵の面に書かれた文字が「SABER」の下に「ライカ」の名が追加されていた。
「セイントグラフはサーヴァントを召喚した時点で、サーヴァントカードへと変化する。それはサーヴァントを召喚した後も残り、真名が判明すればカードに真名が追加される」
 綺礼の説明を凜はカードに現れた真名を見つめながら聞いていた。
「サーヴァントカードはサーヴァントとの再契約にも必要となる。もし令呪を持つマスターに奪われれば、令呪で主替えを命じる事でサーヴァントを奪われる。注意することだ」
 言葉が切れたところで、凜は綺礼に顔を向けた。
「説明はこれで終わり?」
「基本的なものはな。それ以上のルールは端末のヘルプで参照できる」
「そう、ありがと。じゃあセイバー、外の世界を見に行きましょうか」
 凜はセイバーに体を向け、共に歩みだした。
「遠坂凛。最後に一つ聞いておこう」
 綺礼は扉に向かう凜の背に声をかけた。
「このヘルメス・トリスメギストスの作った世界、人間たちは賢者の石を基にしている架空の世界だ。
 だが、彼らは生きている。遺伝子は途絶えたとしても、我々は生きているのだと主張している。
 それは生命、非生命の関係なく『心』が繋いできたレールだ。
 君が聖杯を誰にも渡さないという事は聖杯を封ずるという事であり、彼らの残した『心の系統』を踏みにじるという事だ。彼らの努力はすべて無駄だったと断ずることだ。
 その覚悟、有るや無しや?」
 凜は背を向けたまま、返答した。
「私は否定できるわ。
 彼らの行為は決して無駄でも無価値でも無意味でもなかった。だけどそれはもう行き詰まり、これから先は進歩も後退も無い。
 だから、もし彼らの行為に何かを見出すとしたら、もう行き詰った世界と戦う事で、否定する事で私達が先に進む意志を示す行動に意味がある。そういうことよ」
 もう凜は綺礼に振り向くことなく、ライカと共に教会の扉を開けた。

 凜とライカにとって『過去』しかない聖杯の意志など関係ない。
 二人が見つめるのは『明日』に繋がる『今日』だけだ。

13第2話Multiverse ◆Mti19lYchg:2022/08/02(火) 23:54:03 ID:qIiBxwKI0
「……何、これ……」
 教会から出た凛は街の光景を見て絶句した。
 建物は自分がいる停滞した世界より技術的に進んだ物だとわかる。
 3Dディスプレイや空中に直接映し出される立体映像も、空中を噴射孔も無しに悠々と浮遊する船も、確かに驚きには値するが、凛が絶句したのはそれらが理由ではない。
 街を歩く人間達だ。いや、彼らは人間と呼んでいいものなのか?
 とんがった長い耳や頭に羽が生えた者達は兎も角、ネコ科の獣と合体でもしたような容姿の者。丸っこく、茶色い肌でまるで動く岩のような者。
 人間の頭に鷲のような鼻、手が翼の者。全身が機械で、最早ロボットとしか言いようがないがそれにしては滑らかな動きで、顔は青白いが確かに人間の様な柔らかさを感じる者(物?)。
 それ以外の数々の異形の姿をした者達が、普通の人間達と一緒に作業し、話し合い、連れ添って歩いているのだ。
「見たか!? すげぇだろ、リン! この都市は無数にある並行宇宙、別宇宙から聖杯、それに値する願望器がある世界の人間達を再現して生活させているんだぜ!?」
 ライカは顔を紅潮させ、大声で叫んでいる。
「何か……あんた、随分興奮してるじゃあない……」
 逆に凛はライカの今までにない興奮ぶりに少し引いていた。
「当然だろ!? オレはこういう国が作りたかったんだ! 
 こんな風に色々新しいものや文化が活気よく出たり入ったりする国は絶対に古くなったり滅んだりしねえ!
 これがオレの理想だ! 夢だ! いつか必ず造る国だ!」
「分かった、分かったから大声出さないでよ! すごい目立ってるじゃない!」
 周囲からの視線が痛い。およそ人間とは思えない連中だから余計にそう感じる。
 凜はライカの肩をつかんで叫ぶのを止めた。

「ところで、この聖杯戦争で猶予期間が具体的にどのくらいか分かる?」
 凜の質問にライカは教会の方を振り向き、手を挙げ人差し指を伸ばした。
「あのバカでかい建物があるだろ? その上の数字が聖杯戦争が始まるまでの時間を教えているらしい」
 ライカが指さした方向にはひときわ高いビルがそびえたっていた。
 外壁は赤黒く、目のような模様がガラスに描かれている。
 上には巨大な目玉のような球体がガラスを透かして見える。はっきり言って不気味だ。
 そのビルの最上部にある巨大なパネルがあった。
 凜は端末を取り出し、拡大表示で見るとそこには【9:81:56:58】と表示されていた。
 そして1秒ごとに一番下の数字が減っていく。どうやらこれが聖杯戦争開始までのカウントタイマーのようだ。
「2番目の桁が100時間で繰上げだとすると……猶予期間は、大体一ヶ月半くらいか」
 凜は端末にあったヘルプを参照し、マップでビルの位置確認をした。
 このビルは『ビッグアイ』と命名されており、都市内の中央からやや北にあるようだ。

14第2話Multiverse ◆Mti19lYchg:2022/08/02(火) 23:54:22 ID:qIiBxwKI0
「リン、バイク調達してくれ」
「いきなり何よ」
 ライカの唐突な注文に、凜は目を細めて答えた。
「この世界に召喚された際、与えられた知識の中で思ったんだよ。こいつに乗ってみたいって」
 ライカは紅潮し、こぶしを握りしめた。
「いいじゃねえか、街の中見て回るにしても、聖杯戦争を戦うにしても乗り物は必要になるんだからよ」
「そりゃ、まあねェ……」
 確かに移動手段の確保は重要だ。端末のマップを見る限りこの都市はどうやらかなり広いらしい。
「その前に少し待って。今端末の使い方を覚えるから」
 そう言って凜は、ヘルプを見て端末を空中に刺すようにして放す。
 当然地面に落下するはずの端末は、空中で固定され、代わりに凜の周囲に複数のディスプレイとキーボードが表示された。
「こうすれば、空間投影ディスプレイが表示されるのか……。電脳空間と大差ないわね」
 複数の画面を表示し、キーボードで一度の複数の操作を実行する。
「結構使いづらいわね。私好みに作り替えてっと……」
 凜がキーボードを叩く度に画面が消え、現れ、画面が変更されていく。
 まるで指揮者のタクトに合わせて奏者が演奏するかのごとく。
 それを見ていたライカは、凜のやっている内容は不明でもその凄さだけは理解した。

 端末の改造を進めていた凜は、マップを見てわずかに動きを止めた。
 だがそれも一瞬。再び高速で手を動かし、そして端末を空中から取り上げた。
「待たせたわね。バイクだけど分かった。買ってあげる」
「おお! ありがとな!」
 礼を言うライカに対し、凜は手首のリングに命じた。
「マップ表示。検索『バイクショップ』『高い評判』」
 現れたディスプレイには、教会から離れた場所に赤点が表示された。
 凜とライカは共にそこに向かい歩き出した。

15第2話Multiverse ◆Mti19lYchg:2022/08/02(火) 23:54:37 ID:qIiBxwKI0
 歩いて30分ほどか、ようやくついたバイクショップは
 ガラスの外壁から見える内部によると店内で商品を置いているらしい。
 凜とライカは自動ドアをくぐって中に入った。
「いらっしゃいませ。よかったら店内の商品をご案内差し上げます」
 入り口近くにいた女性が凜とライカに話しかけた。
 二人は案内を頼み、色々見て回るうち、凛とライカは一台のバイクの前で足を止めた。それは全身が真紅に染められたフルカウルモデルのバイクだ。
 ライカは騎士が名馬でも見るかのように、微笑みを浮かべ撫でている。
「お気に召しましたか?」
「ああ、オレはこいつが気に入った」
「こちらはE100を使用可能なエンジンで発電し、両輪のコイルを回転させるシリーズ式ハイブリッド二輪車です。
 出力200馬力で最高速度300km/hに達するまでわずか10秒。急ブレーキ時には搭載された電子制御ABSで、滑走発生を低減します」
「よし、これくれ」
「勝手に決めるな!」
 自分を無視した流れるような購入のやり取りに、凛は怒鳴った。
「はーい、ありがとうですも!」
 店の奥から身長3、40cm程の生き物が飛び出してきた。
「なんかこいつキモかわいいけど、マスコット?」
「いえ、こちらは店長です。私は店員」
 凛は玉ねぎのような体形で羽のような手を持つ――彼らはノポン族と呼ばれる――店長と、人間の店員を見比べ、自分の常識などここでは意味のないことを改めて思い知った。
「あ、忘れてた。ライカ、そういえばお金ってどうなってるの?
「軍資金として、1000万QPとやらが入っているはずだぜ」
「ああ、あれがここでのお金の単位ね」
 凜は先ほど端末の調整をした時、確認していた。
「で、これいくらするの?」
「250万QPですも」
 凜は唸った。う、意外と高い。2台買うと軍資金の半分が吹っ飛ぶ。
 だが、この性能なら意外な出物かもしれない。
「あーもう、分かったわよ。私の分も含めて2台頂戴!」
 崖から飛び降りる覚悟で凜は購入を決めた。
「ありがとうですも。それではこちらに住所、名前、免許証の表示を願いますも」
 凜は戸惑った。この世界でそんなもの持っているはずがない。
「端末の画面を見せてみな」
 手足が止まった凜に対し、ライカは凜にとって意味不明な言葉を言った。
 意味不明だが、ただ突っ立っているよりはましと考えた凜は、端末の起動画面を店長に見せた。
 店長はバーコードスキャナーを取り出し、端末の画面の隅にあったQRコードを読み取った。
「はい、かしこまりましたですも。名前、住所、免許、保険その他の確認が完了しましたので、そのまま乗っていっていいですも」
 凜はあっけにとられた。こんな簡単に免許とかの確認とか出来ていいのか?
「その端末の画面のそれは、あらゆる場面で許可が取れるパス、ってやつらしいぜ」
 色々煩雑な手続きを簡単にして、マスター達が戦いやすくするためか。凜はそう解釈した。

「それで、どこへ行く? オレは適当にこの街を見て回りたいが」
 二人共どもバイクに乗り、ライカの質問に対し、凜は怒鳴るように返答した。
「目的地はもう決まっているわ。私をここに誘い込んだ張本人、ミザリィの店よ!」

16第3話Outer Zone ◆Mti19lYchg:2022/08/02(火) 23:55:23 ID:qIiBxwKI0
 バイクで西に走った方向にそれはあった。
 ガラスの窓からは、その女性が見える。
 上の看板には『アンティークショップ・美紗里』とある。
 凜とライカはバイクを店の前に置き、入口のドアを開けた。
『いらっしゃいませ』
 入り口近くの陳列棚に後ろ手をついた女性が凛に挨拶をする。
 一房の紫色の髪で片目を隠した女性。凛に星晶石を渡した張本人、ミザリィだ。
 店内では凜にアビーと紹介された少女が品物の手入れをしている。凜たちに気づいたアビーはミザリィに遅れていらっしゃいませとあいさつした。

『何をお求めですか?』
 凜の事をまるで初めて会ったかのように話しかけた。
「何をじゃないわよ! 何よ、あの石! こんなところに呼び出されてどこが素敵な出来事なのよ!」
 凜はミザリィに対し怒鳴りつけた。
『お客じゃないの? あら、それじゃあ何も話すことは無いわね』
 ミザリィは凜に対しそっぽを向いた。
『ここはアンティークショップよ。冷やかしはお断り。何か買ってもらわないと、ね』
 切れ長の目でミザリィは、凜を見つめる。
『実はあなたが聖杯戦争のマスターとしては初の来客なの。お安くしておくわよ』
 添い言ってミザリィは店内に手を広げた。

 やっぱりこのミザリィはあの時あったミザリィだ。ため息をつき、凜は店内にある商品を眺める。
 壁に立てかけてあるのは琥珀色のバイオリン、様々な地域から集められたと思われる仮面、同じく人形、幻惑を誘う色彩で描かれた絵画など。
 棚の上や中ににあるのは薔薇の意匠のティーセット、懐中時計、緻密なデザインの皿や壺、ワイングラス、柄がチョウザメの彫刻で出来た金のスプーンセットなどだ。
 その中でひときわ目立つ一対の絵画がある。かなり大きな絵だ。両方とも狼の姿を描いている。
 左の一つは茂みの中で眠る狼の姿。伏せて眠るその姿は写実的で、狼の安息が伝わってくる。
 右の一つは雪原の中で数匹の狼が戯れている。中央には人間の頭蓋骨をかじる狼が絵を見るこちらに向けて歯をむき出しにしている。その表情は実にリアリティあふれている。
 絵の良しあしなど分からない凜でも、この2つの絵が写実的で、何らかのメッセージを強く訴えていることは分かった。

17第3話Outer Zone ◆Mti19lYchg:2022/08/02(火) 23:55:41 ID:qIiBxwKI0
『この絵は売り物じゃないわ』
 興味深げに絵を見る凜に、ミザリィは後ろから話しかけた。
『この二つの絵の作者はアーネスト・トンプソン・シートン。題名は左が『眠れるオオカミ』。右が『オオカミの勝利』よ』
「シートンって『動物記』の? 絵も描いていたの?」
『シートンは画家であり、優れた猟師でもあり、作家でもあり、博物学者でもあったの。
 それらをナチュラリストという自然を観察、研究し親しむ生活スタイルを基本として、全てを総合する生き方を確立した人間だったのよ』
 解説しながら、ミザリィは凜の隣に並んだ。
『シートンはパリの画壇に『眠れるオオカミ』を発表して入選。翌年、今度はより自信をもって『オオカミの勝利』を発表したけど、こちらは落選した。
 これでシートンはパリの画壇に失望し、フランスを去る決心をしたわ。
 もし、落選の理由が技術的なものだったなら、シートンは残念には思っても納得はしたでしょうね。
 でも、理由はこうだったの』
 ミザリィは絵の中央、人の頭蓋骨を齧る狼を指差した。
『『魂の無い野生動物、オオカミの犠牲者として、魂を持つ人間を描くことは神が支配者ではないと主張するに等しい。すなわち異端であるシートンの作品は絶対に受け入れる事は出来ない』。
 野生の精神の高揚、尊さ、誇り高さを伝えようとしたシートンに対し、人間中心主義を突きつけられたシートンは、最早自分はここに居場所は無いと失望し、パリを去った。
 それから一年後、シートンは自分の身をもって野生の強靭さ、知恵と勇気、深い愛情と気高き誇りを学ぶことになるのよ』
「……狼王ロボね」
 凜はつぶやいた。その話は『動物記』の第1話で書かれている。ロボとそれを追うシートンの偉大な激闘が。

 ふと、凜は気づいた。好奇心旺盛なライカがなぜかここではおとなしくしていることに。
 後ろを見るとライカは腕を組み、絵をじっと見つめている。
『気に入った?』
「……生前はオオカミと関わりが深かったからな」
 ライカはまるで敵でも見るような目で絵とミザリィを見詰めていた。
 凜はそのライカの姿を見てはっとし、改めてアビーを見た。そうだ、アビーから感じる魔力、そして気配はライカと同じ。アビーはサーヴァントだ。
 という事は、ミザリィもマスターという事になる。興奮のあまりうっかりしていたが、ここは敵地だ。うかうかと乗り込んでしまったこの状況でライカが警戒するのは当然だ。
『安心なさい。確かに私もマスターだけどここで襲う気はないから。今の私はアンティークショップの店長だし、なによりここではおとなしいのよ」
 言葉だけで信用するほど凜もライカも甘くはない。改めて凜は気を引き締めた。
『さて、情報を得たいのなら、さっき言った通り何か買ってもらわないとね』
 そう言ってミザリィは、二組のティーカップと皿、そしてティーポットを棚から取り出した。
『これはどうかしら? マイセン磁器のティーポットセットよ。初めてのお客だし勉強しておくわ』
 凜は眉をひそめた。芸術品に縁のない凜でも、透き通るような白い地肌と精緻な絵柄で高価な品だとわかる。
『本当は100万QPだけど、1000QPにまけておくわよ、どう?』
 凜は鳩が豆鉄砲を食ったような顔になった。
「そんな出鱈目な売り方で商売成り立つの?」
『私はあなたが気に入っているの。他のマスター……そうね、下衆な連中ならもっとふんだくるつもりよ』
 気が抜けた凜はアビーが持ってきた椅子に腰かけ、他のミザリィとアビーとライカを含め4人で円を囲んで座った。

18第3話Outer Zone ◆Mti19lYchg:2022/08/02(火) 23:56:01 ID:qIiBxwKI0
「それじゃあ、まずあの石について教えて」
 凜は対面になったミザリィに問いかけた。
『あれは正確には『聖晶石』と言って、サーヴァントとの絆を結ぶために必要な『セイントグラフ』を召喚するためのものよ。
 セイントグラフを召喚できた時点で、自動的にあなたも体験した予選へと転送される仕組みになっているわ』
 凜は思い出していた。ムーンセルにアクセスする直前、その聖晶石を握りしめていたことを。
『聖晶石はこの聖杯戦争を企画した『主催者』が生み出したものよ。それを書く平行世界、多元宇宙へとばらまいたの。
 私が渡しているのはその一部で、善悪問わず私が面白いと感じた人間に対して預けているの。他にばら撒かれたものが誰の手に渡るかは私も知らないわ」
「主催者? それって何者?」
『それは答えられないわ。あなたが『楽園』にたどり着けば分かるわよ』
「あなたはその正体を知ってる?」
『私は知っているし話もしているわ。だけど答えられない』
「……じゃあそれはいいとして、他に聖杯戦争について、知っていることある?」
『聖杯戦争に関してだけど、この聖杯戦争の勝利条件はあなたが参加する予定だったムーンセルと違って『令呪を持ったマスターが最後の一人になった時点』よ。
 その段階でのマスター、サーヴァントの生死は関係ないわ。
 極端に言えば、無理やり令呪を奪うか使わせるかすれば誰一人殺さずに勝利することも可能なのよ』
 あの神父、これを聞けば人殺しをしたくないマスターも参加する気になるかもしれないことが分かっていた上であえて私には伝えなかったな。凜は内心で悪態をついた。
「……そんな甘い考えで生き残れるわけないでしょ。もともと私が参加する予定だった聖杯戦争は聖杯を手にしたたった一人だけが戻れ、それ以外は全員死ぬ戦い。
 私はいざとなればだれであろうと殺すわ。セイバー、あなたもそうでしょう?」
「……ああ、その通りだ」
 凜とライカは鋭い目つきでミザリィを睨んだ。
『……あなたは物語でバッドエンドとハッピーエンド、どっちが好き?』
 ミザリィはそれを受け流し、奇妙な質問をした。
「はあ?」
 と、あっけにとられる凜。
『私はハッピーエンドが好きよ。それも何か不思議な力でめでたしめでたしのようなデウス・エクス・マキナじゃない。ただの人間が知恵と勇気を振り絞って無敵の相手に一杯食わせる、そんなハッピーエンドが好きなの。
 善良な主人公が、最後に無意味で悲惨な結末を迎える物語なんて大嫌いだわ』
 ミザリィは妖艶な笑みを浮かべて手を振った。
『貴方達が聖杯を巡り戦うのなら、私は自分から干渉しない。最後の一人になったらそのマスターに令呪を譲って『楽園』への道を開くつもりよ。余程下碑た欲望でない限りね。
 でも、もし貴方たちが私にも分からない『主催者』の奥にいる存在するかもわからない『黒幕』『ゲームマスター』の存在を暴こうとし、真実に辿り着きたい、そんなマスター達だけで揃ったなら……私は貴女たちの味方になるわ。
 そして貴女達が私を攻撃するなら敵になる。それだけよ』
 一気に言ったミザリィの発言の後、部屋は沈黙が支配した。
「……私は、聖杯を望んでいる」
 凜が静寂を破り話した。
『そうね』
「でも、あなたと戦う気は無いわ」
 凜とライカは立ち上がった。これ以上の情報は得られないだろう。あとは自分たちで調べるしかない。凜はミザリィが袋に入れたティーポットセットを手にし出口に向かった。
「出る前に一つだけ聞くけど、あなたは……いったい何者?」
『私は異世界(アウターゾーン)への案内人(ストーカー)。今はこの聖杯戦争の案内人でマスター。それ以上でもそれ以外でもないわ』
 ドアを開け、店を出ようとする二人の背に、ミザリィの声がかけられた。
『アンティークショップ・美紗里は、アンティークグッズ、各魔術礼装、コードキャスト、その他オカルトグッズを取り扱っております。
 ご用があればいつでもお越しください。ひやかしはお断りですので念のため。
 もし戦いたいのならば、いつでも私とそのサーヴァントがおもてなし致します』

19第4話Code of the Lifemaker ◆Mti19lYchg:2022/08/02(火) 23:56:39 ID:qIiBxwKI0
 ミザリィのショップから出た凜とライカの二人。
 止めたバイクに向かった時、急にライカが剣を実体化して抜き放った。
「気をつけろ、リン。サーヴァントだ」
 店に近づいてきたのは銀髪の青年。服は上は首の周りは白い毛襟で覆った青色のジャケットに白いシャツ。下は白のレギンズ。首から大きな鍵をアクセサリーのように下げている。
 人間としては美形だが、この都市の異業の人間たちに比べれば目立つ方ではない。だが、その身に内在している魔力は膨大だ。それを凜とライカは感じ取った。
「剣を納めてほしい、セイバーのサーヴァント、ライカ。僕はここのミザリィに用があって来ただけだからね」
 唐突に真名を当てられたライカは、ますます警戒し、右手を引いて伸ばした左手の甲に切先の腹を載せて青年に向けた。
「僕はこの聖杯戦争の管理を司る裁定者、ルーラーのサーヴァント。真名は『アルヴィース』だ」
 真名まで自ら明かしたそのサーヴァントの行為に凜は警戒し、逆にライカは闘気を収めた。
「ルーラーか。なら別に手ェ出す必要ねえか」
 ライカは剣を収め、剣を空に消した。
「なによ、ルーラーって? 裁定者は監督役とどう違うの?」
「監督役はマスターに対し聖杯戦争の情報提供を行い、サーヴァントを失ったマスターを保護し、時にルールを破ろうとするマスターにはペナルティを与える、聖杯戦争の形式を整える存在だ。
 ルーラーはその聖杯戦争という形式を守るために動くサーヴァントさ。最低限のルールも守れず戦争そのものを逸脱し、破滅させようとするサーヴァントにペナルティを与えるか、排除する事もある。
 サーヴァントに対抗できるのはサーヴァントだけだからね。僕は聖杯戦争そのものを成立させるためにいる中立者のサーヴァントだ」
 アルヴィースは己の役割について、凜に対し説明した。
「案内役であるミザリィといくつか相談する用事が出来たのでね。ここまで出向いてきたわけだ。
 ついでに遠坂凜。君にも用事がある。監督役の言峰綺礼から、言い忘れた事があったようなのでね。それを伝えよう。
 この聖杯戦争で、開始前までのNPCへの魂喰いは禁止させてもらっている。それをした瞬間、強制送還される」
「もともとやらせる気なんてないわ」
「もともとやる気なんてねえよ」
 苦い顔で二人同時に言った。
「君のサーヴァント、ライカからも説明されたと思うけど、この都市にいるNPC達は、全員が直接、間接的に聖杯、もしくはそう呼ばれるに値する願望器に関わった人間たちを再現している。
 魂もある、といえばあると言えるだろう。集められた可能性から『賢者の石』によりその人物、人格を再現されている訳だからね。記憶はこの都市に合わせて多少改竄されているけど」
 綺礼も言っていた賢者の石。それは錬金術の秘奥。『フォトニック純結晶』とも呼ばれるそれは小石ほどの大きさでも超々高密度ならば超規模の多量並列演算能力と大規模儀式魔術レベルの神秘の即時行使を可能とする。
 ムーンセルは月から薄皮1枚はがした先にある、全長3000kmに及ぶフォトニック純結晶の塊だ。それがここでは数十、数百万人はいるであろう人々すべてがそれで構成されているという。
 それらを並列接続し、演算を行えば……ムーンセルには及ばずとも、ムーンセルの制御なら可能にするかもしれない。凜はそう思った。
「ここでの『賢者の石』とは人間の血と魂を加工した物質。元の人間の自我は失われ、それは最早ただのエネルギー、封じ込められた光の束、魂の通貨、高性能な演算器でしかない。
 それらに様々な世界から集められた可能性の人物の仮面を被せたのが、この都市のNPC達だ。
 この『賢者の石』は聖杯をコントロールするユニットの一部でもある。だから魂食いをされると、聖杯に不具合が生じる可能性が有る。だから禁止するんだ」

20第4話Code of the Lifemaker ◆Mti19lYchg:2022/08/02(火) 23:57:03 ID:qIiBxwKI0
「集められた可能性って言うけど、例えばあのユニットっぽい子達もそうなの?」
 凛が指さした方向には、ビルの壁面にある巨大なディスプレイで歌い、曲を奏でる三人の男女の姿が映っていた。下部にはユニット名なのか「ANGELIC CONCERT」とある。
 一人は透き通るような肌と笑顔で、腰までとどくほど長く、柔らかな赤い髪を持ち、同じ赤い大きな瞳を持つ少女。
 もう一人は隣の少女よりずっと背が低く、栗毛色の髪をウサギ型のヘアピンでツインテールに纏め、右目は夕焼けの様な赤色、左目は朝焼けの様な紫色をしたオッドアイの少女。
 その二人は後ろで青年が一つの鍵盤楽器で演奏されているとはとても思えない、時には弦楽器のような、またある時は管楽器の様な多彩な音色を出す楽器で奏でられる曲に合わせて歌を歌っている。
 ディスプレイの前では足を止め、曲に聞き惚れる人々が数多くいた。凛も聖杯戦争の事が無ければ同じようにしていたかもしれない。そう思う程彼女たちの歌は、陳腐な例えだが天使の歌声の様だった。

 凛がアルヴィースに聞いた理由は特にない。彼女たち以外に異形の人間達はこの都市に数多くいた。ただこの場では一番目立っていたから、試しにルーラーと名乗るこの男がどこまで知っているが、確かめたかっただけだ。
「カウジー=ストファート。サフィ=スィーニー。ラスティ=ファースン。全員が『天使の羽根』と呼ばれる願望器に直接触れた人間たちだね」
 だが、アルヴィースの返答は、凛を驚愕させるのに余りある内容だった。
「彼女達の世界には『天使』と呼ばれる神の御使いがいた。彼らが地上に残した身体の欠片、天使の力に繋がる回廊を開く聖遺物が『天使の羽根』だ。
 だが、その奇跡を起こす力は正悪を判断できず、人間が使うにはあまりにも強大すぎた。
 カウジーが重傷を負った時、サフィは彼がいつまでも健やかである事を願ってしまい、その結果、カウジーは不老不死の身体となり、サフィは肉体が消滅してしまった。
 ラスティはその身に『天使の羽根』を埋め込まれ、歌を歌う事で力を引き出す事が出来、それにより一つの町を救った。代償として彼女は命を落としたけどね」
 具体的なアルヴィースの説明に、凛は驚きを隠せずにいた。
「本当に、この都市の人間はそんな聖杯みたいな願望器に触れた人間ばかりなの!?」
 凛の問いに、アルヴィースは頭を振って否定した。
「あの子達ほど願望器に直接接触した人間は、この都市内のNPCでも一握りしかいない。
 疑いや興味があるなら調べてみるといい。この都市の中にある図書館で検索ができるよ」

「それじゃあ、この都市自体も聖杯と関係があるの?」
「いや、この都市は『賢者の石』が『赤いオリハルコン』と呼ばれる世界で、世界統一を為した帝国首都を再現し、一部が変更された都市だ。
 その首都で『赤いオリハルコン』を巡った戦いが行われたというだけの縁で、聖杯とは何の関係もないよ」
 アルヴィースは両手を広げ、上向きに顔を上げた。
「聖杯や願望器と深い縁がある土地はいくらでもあるのに、何故ここが選ばれたのか。
 それはここが未だ発展途上であり、世界中から希望や憎悪を秘めた者達が集まり、テロリストの活動がたびたび起こり、それによる破壊とそれ以上の成長が続き、何よりここには世界と人類の護衛者を名乗る帝国政府の首脳達がいた」
 世界と人類の護衛者。その言葉で凛は、西欧財閥、そしてハーウェイの一族を連想した。
「そういった様々な事件が起こりうる可能性の集まる場所、世界に対する責任を持つ人間達が集う場所。それが並行世界、多元宇宙の多様性と可能性を集めるのにふさわしいと判断された」
 アルヴィースは一時言葉を止めて手を下ろし、ディスプレイのほうに顔を向けた。
「あのユニット『エンジェリック・コンサート』を名乗る彼ら三人が肉体を持ち、揃う事は本来の世界では、どんな並行世界でも絶対にありえない。
 だが、ここはあらゆる可能性を集めて作られた世界。『ありえない』などという事は『ありえない』。
 その『ありえない』ことが起こるこの都市で君たちに世界は、人間はどう映るのか、聖杯をどうするのか、それで実現できる願いや繁栄を持って何を為すのか。君達は自身の選択による世界の改変に責任を持てるのか。
 それらを改めて確認し、各個人の判断を下してほしい。そう選定されたからさ」
 世界を改変する行為、その責任。凜は改めてその重さを実感し思わず胸を抑えた。

21第4話Code of the Lifemaker ◆Mti19lYchg:2022/08/02(火) 23:57:22 ID:qIiBxwKI0
「最後に効くけど、ルーラーは聖杯に願いってあるの?」
 バイクに手を載せ、凜は尋ねた。
「基本的にルーラーが召喚されるのは『結果が未知数なため、人の手の及ばぬ裁定者が聖杯から必要とされた場合』。
 または『聖杯戦争によって、世界に歪みが出る場合』だ。そう他の聖杯戦争では記録されている」
 アルヴィースは銀色の鍵に手を添えて答えた。
「聖杯戦争によって世界が破壊する、またはその可能性が強いと判断された時に、ルーラーは聖杯自身によって召喚される。それが基本的なルールだ。
 よってルーラーとして『世界の破滅を防ぎ、この聖杯戦争の経過と結末を見届ける』こと。それが僕の願いかな」
 そう言ってアルヴィースは、凜とライカの傍を通りミザリィの店へと向かった。
「僕はこの都市で「特別捜査官」というロールを与えられている。マスターにもロールが与えられているから後でチェックしてみてほしい。
 この都市では物質転換炉という名の反物質炉で電力を供給している。もしもテロリストやマスターの標的になって破壊された場合、都市全てが吹き飛んでしまう。
 その為、マスター、サーヴァントを問わず不用意に近づけば警告、それでも侵入しようとすれば攻撃の対象となる。
 それでも、サーヴァントが本気で破壊しようとすればNPCでは守り切れないからね。大抵の時間帯、僕はそこを守るためにいるから、何か質問したい事が出来たら来てほしい」
 会話を終え、凜とライカがバイクにそれぞれまたがり、レバーを握ったところで凜はアルヴィースに顔を向けた。
「……さっき、最後って言ったけど、やっぱり聞いておきたい事があったわ。
 こんな事を聞くのは私たちの世界には何の関係も無い事だから、心の贅肉でしかないんでしょうけど、だけど、やっぱり聞いておきたい。
 ……この都市のオリジナルがある世界で、子供たちは、笑っていた? テロリストが常に活動するような、強引で恨みが後を引くような世界統一をした帝国の首都で、それでも子供たちは笑っていた?」
 振り向いたアルヴィースは少し目を閉じた後、開いて凛の質問に答えた。
「……ああ、元気に笑っているよ。元気すぎてテロリストの破壊活動を見物に行く無鉄砲な子供までいるくらいだ」
 凜はあっけにとられ、そして笑い出した。
「――あははは! 何よそれ! 元気ありすぎじゃない!」

「ありがと、聞けて良かった」
 アクセルをふかし、二人はバイクで道を駆ける。
「図書館はあの巨大なビル『ビッグアイ』の中にもある。一度行ってみることをお勧めするよ」
 その背にアルヴィースの声がかけられた。

22第4話Code of the Lifemaker ◆Mti19lYchg:2022/08/02(火) 23:57:43 ID:qIiBxwKI0
【サーヴァント】
【CLASS】
ルーラー

【真名】
アルヴィース

【出典】
ゼノブレイド

【ステータス】
筋力B 耐久B 敏捷B 魔力EX 幸運EX 宝具EX

【属性】
中立・中庸

【クラス別能力】
対魔力:EX
 世界の構成要素の支配による完全な対魔力。

真名看破:EX
 ルーラーとして召喚されると、直接遭遇した全てのサーヴァントの真名及びステータス情報が自動的に明かされる。

神明裁決:A
 ルーラーとしての最高特権。
 聖杯戦争に参加した全サーヴァントに二回令呪を行使することができる。
 他のサーヴァント用の令呪を転用することは不可。

【保有スキル】
千里眼・未来視(ヴィジョン):A+++
 視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。世界の全て、因果律、人間の心の奥まで入り込む眼。
 未来視は世界の構成要素の運動、因果律の演算予測によるほぼ完全な予知能力。

創世:―
 文字通り世界を創造する能力。ルーラーには使用不可能。
 ■■■■■■■■■■■。
 ■■、■■■■■■■■■■■■。

単独顕現:B
 単体で現世に現れるスキル。単独行動のウルトラ上位版。本来はビーストしか持ち得ぬ特性。
 このスキルは“既にどの時空にも存在する”在り方を示しているため、時間旅行を用いたタイムパラドクス等の時間操作系の攻撃を無効にするばかりか、あらゆる即死系攻撃をキャンセルする。

モナド:EX
 世界に生きる者一人一人が持っている光。未来を選び取る意思、掴み取ろうとする力。
 通常は形もなく、力も無いに等しい。自覚できる者はごく僅かである。
 ルーラーのモナドはいわば『宇宙の予定調和』とも呼ぶべき強大な力である。
 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■、■■■■■■■。
 ■■、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■。

■■■■■■■■■■■:■■
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 ■■■■■■■■■■■■■、■■■■■■■■■■■。

23第4話Code of the Lifemaker ◆Mti19lYchg:2022/08/02(火) 23:58:03 ID:qIiBxwKI0
【宝具】
『全てを知る者(アルヴィース)』
ランク:EX 種別:対理宝具 レンジ:∞ 最大捕捉:∞
 彼は『世界の摂理』と一体化した意識体。■■■■■■の接続者。かつて一つの宇宙の始まりと終わりを告げた者。
 世界の摂理、構成要素、因果律の全てを認識し、干渉、変革する能力。
 聖杯の影響により、全ての並行世界、多元宇宙の実数、虚数領域においても認識が広がった。
 だが、ルーラーはよほどのことが無ければ自ら干渉する気は無い。
 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■、■■■■■■■■■■■。
 ■■、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■。

『神剣モナド』
ランク:A+(A++) 種別:対人宝具 レンジ:2~10 最大補足:3人
 世界の構成要素を掌握、制御して真エーテルを光の刃の形に形成し、あらゆる物質を切断する。
 柄の部分にある何層にも重なったガラス状のプレートの一枚一枚に、漢字のような文字が浮かび上がる仕組みになっており、浮かぶ文字によって異なる力が発現する。
 能力は以下の通り。

 モナド・バスター(斬)
 モナドの力を極限まで高め、直線上の敵へ一気に叩きこむ。アルヴィースが持つモナドの力を全開放した斬・バスターは星の聖剣にも匹敵する威力を発揮する。
 モナド・エンチャント(機)
 概念による防御を無効化し、一定時間ダメージを与えられる。自身を含めて最大3人まで効果を分け与えられる。
 モナド・シールド(盾)
 ランク以下の宝具を含めた攻撃を完全に防ぐ。自身を含めて最大3人まで効果を分け与えられる。
 モナド・スピード(疾)
 モナドの風が包み込み、物理的な攻撃を高回避させる。敏捷値に++補正が働く。自身を含めて最大3人まで効果を分け与えられる。
 モナド・ブレイカー(破)
 モナドの衝撃波がダメージを与え、さらに一定時間敵の全宝具、全スキルを封印する。

 実はこの宝具では人間を攻撃できない、しようとしても弾かれるよう制限されているが、制限解除により、形がシャープなフォルムに変形、宝具のランクも上昇する。

 モナド・■■■(■)
 ■■■■■■■■■■■。

『不浄なる生命を狩る者(テレシア)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~20 最大補足:1体
 知性と呼べるものはなく、ほとんど本能のみに従って行動する危険な生物である。
 生命力が強く、触覚から光線を発し、相手の思考を読む能力を持つ。
 巨大な鳥のような姿をしたものや恐竜のような姿をしたものなど様々な個体があるが、いずれも虹色の体と光の羽を持つ。
 食事として大気中のエーテルを直接摂取する。そのため、エーテルで身体が構成されているサーヴァントには悪影響を及ぼす。
 強さについては個体差が激しいものの、思考読みの力もあり、十数m以上の個体だとサーヴァントにも匹敵する。
 これだけの強さだが、アルヴィースにとってはいくらでも召喚できる駒に過ぎない。

『久遠の果てより来たる虚無(■■■■■)』
ランク:■■ 種別:■■宝具 レンジ:■~■■ 最大補足:1体
 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

【weapon】
クレイモア
 通常の大剣。
神剣モナド
 本来このモナドはある一つの世界にただ一つだけしか存在せず、それも失われたがサーヴァントとして召喚された事で再現されている。

【人物背景】

 【閲覧不可】

【方針】
 基本的には戦闘には干渉せず市民に犠牲が及ぶ時、そして対界宝具により舞台の世界が破壊されそうなときに介入する。

【サーヴァントとしての願い】
 世界の破滅を防ぎ、この聖杯戦争の経過と結末を見届ける。

【把握媒体】
SwitchでゼノブレイドDEが発売されています。
某動画サイトにも全プレイ動画が投稿されています。

24第5話Rocketman ◆Mti19lYchg:2022/08/02(火) 23:58:53 ID:qIiBxwKI0
 バイクを走らせ、アルヴィースの言っていたビッグアイに向かっていた凜とライカの二人。
 その途中で噴煙が上がっていることに気づき、寄り道を決めた。

「ねえ、ここで何があったの?」
 市民ががやがやと集まっている中、警官らしき人間に凜が問いかける。
「ここから先は立ち入り禁止です。見学したいのであれば身分証の提示をお願いします」
 凜はマスター専用の端末を取り出し、起動画面を見せた。
「ああ、あなたはこの度、『マスター』としてこの都市に移住してきた人ですか」
 凜は仰天して尋ねた。
「ちょっと待って。マスターってあんた達聖杯戦争のこと知らされているの?」
「え? 聖杯戦争って何ですか? マスターとは特別待遇を受けてこの都市に招聘された方々の事ですよ。
 気を付けてください。もう3人も奴らの犠牲者になっているんですよ。どうやらあなた方も奴らの目標になっているらしいんです」
「奴らって?」
「テロリストですよ」
 警官は嘆くように言った。
「『ガラクシア』って名乗っている連中でしてね。ネットで搾取している富豪や平等主義者と名指しされている人々を相手にしているテロ集団です。
 そいつらは懐に爆弾を仕込んでいるらしく、目標の人物に近づき自爆するんですよ」
 それを聞いた凜は、もしかしたら聖杯戦争に参戦しているマスターかサーヴァントが既に市民を洗脳し、マスター殺しを行っているのかもしれないと考えた。

 夕暮れのころ、凜達はアルヴィースの言っていたビッグアイと呼ばれるビルに到着した。
 内部に二人が入り、周囲を見渡す。その内部は外見よりも広く、様々なテナントが入っていた。 
 二人はエレベーターに向かい、フロア案内図で図書館やその他興味のあったフロアを確認して、ドアを開いて乗り込んだ。
「あ、すいません。一緒に乗りま〜す」
 そう言ってきた複数の少年少女たち、と推測される人々がエレベーターに入ってきた。
 人種、いうか身体がばらばらだったが一人だけ制服らしき服だったので凜が訪ねた。
「あなた達、学生?」
「はい、私たちここの定時制高校に通っているんですよ」
 彼女たちは凜とライカの傍でワキワキと会話している。
「じゃあ、私ここの図書館で降りるから」
 エレベーターのドアが開き、凜とライカが下りた背にありがとうございますと元気な声がかけられた。

25第5話Rocketman ◆Mti19lYchg:2022/08/02(火) 23:59:12 ID:qIiBxwKI0
 図書館で凜は受付からタブレット端末を受け取り、早速調査を始めた。
 ここでは紙の本も借りられるが、量が多すぎるため基本的にタブレットで検索し、閲覧する形式になっているとのことだ。
 凜が検索する間、ライカは備え付けのTVを見ていた。
「この度、起こった自爆テロに対し、市長は……」
 画面に映った市長と言われた人物は全身緑色の肌で触覚らしきものが頭部に生えていた。
 ニュースや娯楽番組をチャンネルを切り替え適当に見ていたライカに、凜がタブレットをもって近づいた。
「あいつの言ってたことは、全部本当だったわ。『天使の羽根』も、彼女たちの経歴も」
 凜は話しかけたとき、丁度CMでその音楽ユニットが映っていた。
「ついでに少し調べたけど、願望器っていろんな世界にあるのね。五十音順で『天使の羽根』の下に『トライフォース』と『ドラゴンボール』ってのがあったわ。
 私の世界の『ムーンセル・オートマトン』も、その願いを叶える理論まで含めて登録されてた」
 凜はタブレットの画面をスライドさせながらライカに話す。
「後、あんたの履歴やスキル、宝具についても調べさせてもらったわ。流石セイバーといったところかしら、かなり強いのね」
 凜はあえてライカの経歴について深く調べてことについては伏せた。
 ライカの倭国を統一し、東に渡って国を造ったという経歴からすれば、日本神話では『あの人物』しか該当しない。
 だが、その名前ではなく『ライカ』が真名として登録されているところを見ると、そのモデルになった人物なのだろう。
 最も凜の世界ではとうに日本は国家としては破綻しているのだが。
「あのアルヴィースってサーヴァントも検索したらプロフィールが載っていたわ。
 ステータス、スキル、宝具も全部分かったけど、なぜか人物経歴だけがTOPシークレット扱いになっていて検索できなかった」
「……妙だな」
 ライカは顎に手を当てて言った。
「あんたもそう思う? 聖杯戦争で戦うのに必須な情報は分かるのに何で経歴だけ厳重に伏せる必要があるのか……。
 もしかしたら、あのルーラーは聖杯に何か深いかかわりがあるのかもしれないわね」

 次に二人が到着したのは1フロア丸ごと剣や銃、防具などで満たされた店だった。
「このエーテル銃ってサーヴァントに効くのかしら?」
「通用するぜ。まあ『痛い』程度ならな。あと、マスターを含めた人間相手には使用できないようにされてるらしい」

26第5話Rocketman ◆Mti19lYchg:2022/08/02(火) 23:59:33 ID:qIiBxwKI0
 次に凜達が来たのは、やはり1フロア全てがレストランになっていた場所だった。
 席に案内され、折りたたみ型タブレットを開いてメニューを見るが料理数が多すぎて何を頼んでいいのかまるで分らない。
 大体なんだ。この特上ロース岩ステーキって。
「この都市に来たばかりで良くわからないのであれば、シェフの日替わりフルコースというのがございますが」
「それってどういうの?」
「ハンター達が狩ってきた獲物を、当店のオーナーシェフがインスピレーションでメニューを決定、調理したものです」
「じゃあそれでいいわよ」
「アレルギーなどはお二人ともございませんか?」
「無いわ」「ない」
「かしこまりました。少々お待ちください」
 給仕はお辞儀して立ち去った。

 運ばれてきたのは名前も知らない30種類の野草と香草を焼いたマリネ。未知の穀物のパン、木の実混ぜ。名前がよく分からない魚のポワレ。やはり名前が不明な肉のステーキ、果物のソース掛け。デザートのリンゴのタルト。
 二人とも、フォークを付けるのに少し躊躇ったが。
「美味しい……」
「うまいな、見たこともない料理だけど」
 凛もライカも味に満足した。

 最後についたのは最上階、都市が一望できる壁一面がガラスで出来た展覧回廊だ。
 夕日で赤色に染まる空を見上げ、地上を見下ろす。
「ライカ」
 凜は自身のサーヴァントを始めて真名で読んだ。
「私ね、この世界ってあの神父の説明で、ただ保存された、日常を繰り返すだけの停滞した記録の世界かと思ってた。
 だけど違ってた。決して治安が良いとは言えないけど、それでも活気に満ちて、皆が笑っている世界。
 例え人々が再現された作り物だとしても、ここの街並みや笑顔はその人たちが衝突し、支え合って生まれたもの。
 私はこんな世界が見たかったって再認識できたわ。こんな未来が見たくて聖杯戦争に身を投じたんだって」

「私の地球はね、ポールシフトっていう大災害が起きて、全世界規模で戦争、紛争が起きたのよ。
 その中で誕生した西欧財閥は世界の大半を思い通りに支配し、人々に対し老後まで定められた道を敷設している。
 それに対抗する私たちレジスタンスは、結局自分たちの勝手な思いで手を組み、時に裏切り、統一された力にはなっていない。
 さらに他の地域の人間は、国があってもその西欧財閥とレジスタンスの狭間でただ生き残ることに必死になっている。
 私が来たのはそんな行き詰まって、世界の半分以上は停滞したまま、残りは混迷した地球」
 凜は地上で動く人々を見詰める。
「だから私には聖杯が必要だったの。世界を動かすために、西欧財閥の心臓にまで届く牙が」
 決意を新たにした凜は思わず胸を抑えた。

27第5話Rocketman ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:00:01 ID:8ZoAuRlE0
「……お前はそれでいいのか?」
 ライカは急に強い調子で凜に尋ねかけた。
「お前は聖杯を手に入れたらその力で西欧財閥とやらをブッ潰してそれで終わりか?」
 凜はうなずこうとし――ライカの鋭い目つきを見て動きを止めた。
「その後は結局その西欧財閥の生き残りが集まって国を支配して同じ事を繰り返す。オレはそう思うぜ」
 ライカに対し、凜も眼光鋭く睨みつける。
「……あなた、何が言いたいの?」
「じゃあどうするかって話だよ」
 ライカは凜に睨み返した。
「オレを育ててくれたオッチャンは言ってたぜ。どんなに繁栄した国も必ず亡び、位を極めた人間も必ずただの人になるってな。だけど所詮オレ達は生きている限り、国ってやつから逃れられないんだ。
 だったらてめェ自身の手で理想の国を造るしかねえだろ」
「国を……造る?」
 凛は停滞を拒み、新しい未来を見たいがためにレジスタンスに身を投じた。
 だが、セイバーの様に国を造るという発想はなかった。西欧財閥とは規模も戦力も違いすぎたからだ。
「無理よ、そんなの。西欧財閥を何とかしない限り」
「無理、なんて言葉は大嫌いだ。それに国をつぶす、なんてオレは言ってねえ。国を造ると言ったんだ」
「……もし、あなたが国を造ったら何をする気なの?」
「大地を離れ、星の彼方へ吹っ飛ぶために必要な物を作る」
 その言葉に凜はあっけにとられた。
「来たい奴らだけが来ればいい。そいつらだけで新たな星に行き着いて、また新しい国を造るんだ」
 ライカは瞳に強い光を宿し、拳を握り締めた。
「時には諍いや争いが起こるかもしれねえ。オレも国造りの途中でそれは起こされたし起こした。だけどな、それでも新しい明日が必ずやって来るんだ。
 オレがやる事は子子孫孫、末代まで誇れるものを創る事だ! 小さくてもいい。オレはオレと志を共にする奴を集めて理想の国を造ってやるぜ」
「そんな小さな国が西欧財閥と共存できるとでも思っているの?」
「それでもいいだろ。発展を拒否した国と積極的に発展を目指す国、二つが交流すれば互いに影響し合って、新しい物や文化が生まれるだろうぜ。
 そうすれば、停滞した国でも、大人子供が元気になるだろうさ」
「宇宙に何の道標もなしに飛び出して、本当に他の居住できる惑星にたどり着けると思っているの? もしあったとしてもそこに先住の宇宙人がいたらどうするのよ」
「大いに結構じゃねえか。そのムーンセルとやらがある以上、他の星にも人間がいて、国を作っているんだろう?
 そいつらと戦か交易か分からねえが、新しい人間や文化が活気よく出入りすれば地球も活発になるってもんだ」
 凜はライカを今までとは違った瞳で見つめた。

 凜は自分のような生き方は誰しも出来ないと思っている。力無き人、意志弱き人を置いていく事だと知っていたからだ。
 だから世界の停滞を動かすための戦争などという選択肢は取れなかった。国を造るという選択など発想すらなかった。
 さらに、そこから恒星間移動の宇宙船を開発するともなれば、最早乏しい地球の資源を食いつぶし、地球を見捨てる事になるだろう。

 だが、このセイバーは、ライカはそんな心理的障壁も、技術的困難も無視し、未知なる世界に進む事を全く恐れない。
 これが英雄という生き物なのか。凛は心底実感した。

 多分、凛が本の中でしか知らない歴史上の英雄達は皆そんな生き方をしていたのだろう。
 未知の領域に踏み入り、無謀という嘲笑も聞き流し、後に残した汚点も顧みない。
 それは救いがたい愚者であり、人類を照らす松明でもあった。
 歴史の偉業は命知らずの死骸の山の上に築かれた殿堂であり、血の川のほとりに咲いた花園であった。

28第5話Rocketman ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:00:21 ID:8ZoAuRlE0
「やっぱりあんたって英雄なのね。それも歴史上で『王朝の創始者』って呼ばれるような」
「なりたかったわけじゃねえけどな。結果的にそうなっちまった。
 王も無ければ奴隷もない。皆で作り上げる国が理想だったんだけどな」
 ライカは急に凜から見て寂しそうな瞳になった。
「それで、聖杯をお前はどうするんだ?」
「いきなり何?」
「お前は聖杯で西欧財閥を潰したいという以外に叶えたい願いは無いのかってことだよ」
「教会で言ったでしょ? 私は元々聖杯を西欧財閥に渡さないためにここに来たの。でも、どうしても願いを叶えなければいけないなら……」
 凜は一息ついて。
「『未来に希望がありますように』かしら?」
 そう言って照れくさそうにライカに対し顔をほころばせた。
「かっこつけすぎちゃったかもしれないけど、これが私の今考える精一杯の望み。私が聖杯戦争に参戦しようとしたのは、さっき言った通り大人は兎も角子供たちが全然笑わない世界、何も変わらない停滞した世界を動かす事。
 その為に聖杯が必要だったんだけど、本音を言えば安定より波乱を望む向こう見ずな人間なのよ、私は。
 でも、そんな選択は誰にでも出来るもんじゃない。やっぱり子供が泣くような世界は防ぎたい。どうしても戦乱で人が大勢死ぬようなことは避けたい。そんな選択はできないの。だから――これが私の今の答えよ」
 一気呵成に言った凜。二人の間に静寂が流れた。
「未来に希望があるように。そんな漠然とした願い。誰も傷つけず、誰の『理』も否定せず、世界に歪みを生み出さない望みか。面白ぇな」
 ライカは微笑んで、凜に答えた。
「……オレは生前、大王(オオキミ)と呼ばれる人間だった。権力者ってやつだ。だがな、国は王一人だけのものでもねえし、国の民たちのものでもねえ。
 それはより良い明日を創るため、世界をより良くするためのものだ。そのために今日の苦しみや犠牲を耐えなきゃならねぇ時もある。
 そしてそんな世界を見守る神は、どんな人間にも、天にも地にも木々にも、鳥にも虫にも水にも岩にも風にも、あらゆるものに宿っている。自分自身だけの神がいる。
 それを感じるには、オレ達は良い未来を造れると信じる事だ。希望を夢見て進む意志を持つことだ」
 上向きに遠い目をするライカ。そこに映るのは遠い過去、ある少女との出会い、戦いの日々、王位継承の儀、神を降ろした最後の戦い、そして生き残った人々と一から国を造った青春の日々。
 その果てに掴んだ答えだった。
「いいぜ。お前の望み通り、全ての神、『理』を否定しない未来に希望がある世界を造るために協力してやるよ。その結果、受肉が出来れば結構だけどな」
 凜とライカは互いに笑みを交わしあい。
「取ろうぜ、聖杯」
 そう言ってライカは拳を凜に突き出し、凜はそれに合わせて拳を作り、ライカと突き合わせた。

29第5話Rocketman ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:00:49 ID:8ZoAuRlE0
【サーヴァント】
【CLASS】
 セイバー
【真名】
 ライカ
【出典】
 雷火
【性別】
 男
【ステータス】
筋力B 耐久C+ 敏捷A+ 魔力A+ 幸運A 宝具A++
【属性】
中立・善
【クラス別能力】
対魔力:B
 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。
騎乗:A
 騎乗の才能。幻獣・神獣ランクの獣以外の全ての乗り物を乗りこなせる。
【保有スキル】
神仙術:A++
 忍術の前身であり、仙道を究めるための修練法。
 気配遮断、投擲、幻術、軽功術などの複合スキル。
 さらに上位のランクなら、硬気功、軟気功、気による発勁や飛行を可能とする。
魔力放出(雷):A+
 武器、ないし自身の肉体に雷に変換した魔力を帯びさせ、放出する事によって能力を向上させる。このスキルによりライカには雷撃が効かない。
 同時に磁気を操る事も可能。
 (このスキルを使用すると通常は電撃を身に帯びる程度だが、強力に放出すると白目になって放電したり、髪の毛が逆立って全身が光り輝いたりする。だが別に大猿やS.S人にはならない)
倭国大王のカリスマ:B+
 軍団の指揮能力、カリスマ性の高さを示すスキル。
 統一倭国の初代大王であるライカのこのスキルは、日本出身の人間、サーヴァントに対して通常以上の効果を発揮する。
頑強:A+
 古代人ゆえの強い生命力は高い耐久力と、傷の治癒の異常な速さをもたらす。さらに蠱毒の試練に耐えたことで、毒が一切通用しない身体になった。
【宝具】
『鉄の神体(まがねのしんたい)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1〜3 最大補足:1人
 鉄を製錬していた集落で長年ご神体として祀られていた聖剣。魔力を変換、増幅する機能を持ち炎を発する「龍炎の剣(リュウノホムラノ)」、「火輪の術」
 かまいたちを起こす「無空殺風陣」、雷を落とす「以心雷鳴剣」などのライカが使う神仙術のサポートをする。
『天の龍(てんのりゅう)』
ランク:A++ 種別:対神(自身)宝具 レンジ:0 最大補足:1人
 自身に宿る天の龍を解き放つ。この際、天龍の神核:Aが付与される。大気、空、宇宙を自在に操る権能を持ち、能力として雷撃を浴びせる「天龍の爆雷」「巌つ霊(いかつち)」。
 竜巻を起こす「天龍の乱嵐」「天龍の龍炎」「天龍の雪嵐」。
 敵を星空まで連れ出し、星々を呼び寄せ流星群を浴びせ、超新星爆発並の一撃を食らわせる「天龍の銀牙」など、神霊レベルの魔術行使を可能とする。
【WEAPON】
『鉄の神体』
苦無
 投擲武器や近接武器として用いる。
 通常の物と爆発する物との二種類がある。
手裏剣
 鉄でできた五方手裏剣。岩に突き刺さるほど鋭い。
 本来五方手裏剣は、15世紀頃に発明されたとされる。
勾玉
 首からひもで下げている。生前は壱与との繋がりであった。サーヴァントの現在はマスターの危機などが伝わる。
【聖杯にかける願い】
 受肉、そして新たな国造りと宇宙への進出。凛の世界に身を投じ、共に国を造るのも悪くない。

30第5話Rocketman ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:01:06 ID:8ZoAuRlE0
【人物背景】
 紀元3世紀。日本の一部が倭国と呼ばれ、王と神が同一視された祭政一致の政治体制でまだ統一権力が生まれていない時代。
 邪馬台国の近くでライカは仲間と一緒に神仙術の修行に励んでいたが、ある日山の中で不思議な少女を目にする。
 少女の名は壱与。邪馬台国女王卑弥呼の元で修行する筆頭巫女であった。その出会いはライカに否応なく、国というものに強く関わらせ、その有り方を意識させることになる。
 その後ライカは邪馬台国へ侵入したが、張政たち魏の人間の策略にはまり、女王卑弥呼殺しの罪を着せられる。
 卑弥呼を暗殺した張政は魏の権威を利用し、自分に抵抗する力を持たない壱与を女王に即位させることにより、張政自身が邪馬台国を支配、魏の属国にしようと企んでいた。
 壱与のため、そして何よりクニの存在に魅せられたライカは、神仙術の師である老師の制止を振り切り、山から下りて行った。
 邪馬台国から壱与を連れ出しての当ての無い旅路、大陸からの移民たちとの出会い、邪馬台国と敵対する狗奴国、その王のヒメキコソとの対面。
 それらを通じ、所詮自分たちは国という存在から逃れられないと思い、壱与を救うためにも自ら理想の国を作ることを志す。
 実は狗奴国の皇子だったライカはヒメキコソから世継ぎの神事を受け、狗奴国を率いて邪馬台国に攻め入る。
 追い詰められた張政は、木乃伊と化した卑弥呼を蘇らせて封神の儀を行わせ、地の龍の力を手に入れ、邪馬台国を大地ごと粉砕する。
 それに対しライカは壱与の手を借りて天の龍の力を得、激闘の果て、張政を倒す。
 全てを終えたライカたちは、火烏の導きに従って東に渡り、国を造ったという。
 その後、約一世紀半にわたり倭国の歴史は不明である。

 サーヴァントとしてのライカは、天の龍を肉体に降ろした半神霊状態で固定されているので生前より霊基、能力が強化されているが、ライカが神になる事を否定しているので神性はスキルに表れていない。
【方針】
 戦いで容赦はしないが、有能な人材ならマスター、サーヴァント共に新たな国造りにスカウトしたい。
【把握媒体】
 コミックスはデラックス版全12巻、普及版全21巻、凍結版全15巻があります。普及版、凍結版には作者、藤原カムイ先生の楽しい描き下ろしが載ってます。
 例:「いきなり放電するなんて……大猿にでもなるかと思いました……」「おお、今度はS.S人!」

31第5話Rocketman ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:01:24 ID:8ZoAuRlE0
【マスター】
 遠坂凛
【出典】
 Fate/EXTRA
【性別】
 女
【能力・技能】
 魔術師(ウィザード)
 魂を霊子変換、電脳世界内で物質化し、あらゆる情報をダイレクトに摂取し即座に出力するため、通常のハッカーとは比較にならない処理速度を誇る。
 魔術が廃れた後の新しい魔術師。
【weapon】
 宝石:凛が自作したソフトウェアを宝石という形に収めたもの。
    平行世界の凛と同じように溜めた魔力を解放する使い方も可能。
    余談だが作中でこれを用いた彼女のコードキャストはサーヴァントの通常攻撃に匹敵するダメージ数値を叩きだし味方サーヴァントの幸運を低下させる。
 ナイフ:スカートの下に巻いたホルダー兼ガーターベルトに収納されているポリカーボネートのナイフで数本ほど収納されている。
【人物背景】
 日本出身の魔術師(ウィザード)で遠坂本家の血統ではなく、かつて遠坂時臣が海外に渡った際の落胤の血統。
 物心ついた時からフリーのエンジニアとしてジャンク屋で電脳戦を行っていた。
 このため学校へ通う年齢でありながら実際にはろくに通ったことがない。
 子供の頃に遠坂本家には何度か行ったことがあり、そのとき出会った気の合う女性から麦藁帽子を貰っている。
 元々は国連組織の一員でアジア地域の医療活動に従事するNGO団体でボランティアとしてシステム管理技士のような仕事をしており、貧困にあえぐ国々を飛び回っていた。
 国連からも将来を期待されていたがある時中東の武装集団に身を投じ、レジスタンスとして西欧財閥と敵対するようになる。
 西欧財閥と戦っている建前はビジネスだが、実際は進歩・進化を行動原理とし、常に前に進み続けることを信条とする凛にとって世界の停滞・安定を望む西欧財閥が敵であるため。
 普段は単身で中東や欧州を中心に活動しているため、日本にはあまりゆっくりといたことがない。
 そのため、聖杯戦争が終わってハーウェイを打倒したら日本でのんびり暮らすのもいいと思っている。
 レジスタンスの歴戦の勇者達にお姫様扱いされていたため、恋愛経験はない。
 原作で彼女と契約した槍兵曰く「男っ気がないのは嬢ちゃんのガードが硬いんじゃなく、オヤジどもの目が厳しいんだろうなあ」とのこと。
 数々の解放戦に参加したレジスタンスの英雄として知られているが、敵対する西欧財閥からは国際テロリストとして指名手配を受けている。
 普段は単独で活動しているが、西欧財閥と敵対するレジスタンス組織と共闘することもある。
 平行世界(冬木)の凛と非常によく似た性格で、自分にも他人にも厳しく冷徹であろうとするが、基本的には姉御肌でつい他人の世話を焼いてしまう人の好さも持っている。
 容姿も基本的にほぼ同一だが聖杯戦争で使う姿(アバター)は電脳世界用に用意された架空のものであり、現実の彼女の姿は金髪碧眼である。
 ただし世界観や人生経験の違いからか平行世界の凛との相違点も少なからずある。
 若くして武装集団に身を置いてきたためかややドライで達観した死生観を持っている。
 また情報の危機管理などに関してもかなり敏感であることが伺える。
 何よりもこちらの凛は機械類に滅法強い。
 起源や容姿を同じくしながらも、彼女達はやはり別人であるということがわかる。
【マスターとしての願い】
 自分の世界にあるムーンセルを含め、西欧財閥に聖杯を渡さない。
 未来に希望がある世界を造る。
【方針】
 序盤は情報収集に集中したいが、セイバーが割と好戦的なのでそこは尊重するつもり。
【ロール】
 アカデミーで研究室を持つ、天才プログラマーとして有名。
【令呪の形・位置】
 右手の甲に、原作デザインの一本線が雷の様にギザギザ、外の円弧が炎のように波打っている。
【把握媒体】
 ゲームをプレイするのが一番ですが、漫画版でも構いません。
 プレイ動画が某動画サイトにアップされています。

32第5話Rocketman ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:01:38 ID:8ZoAuRlE0

 ◇ ◇ ◇

 皆様、いかがだったでしょうか。彼女たちは聖杯戦争に勝ち残ることはできるのでしょうか。

 それでは最後に『主催者』と、いるかどうかわからない『黒幕』、『ゲームマスター』を除いた、この聖杯戦争を形作る最後のピースを紹介しましょう。

33第6話Eyes Of Heaven ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:02:25 ID:8ZoAuRlE0
 試練を潜り抜けたマスターたちが必ず最初に召喚される場所。教会の内部は血で彩られていた。
 監督役である言峰綺礼の五体が四散していたからだ。
 首から上は吹き飛ばされ、四肢は斬り落とされ、見るも無残な姿だ。
「これで口うるさく命令される心配なんてねぇーわけだなぁー。思い通り殺りたい放題ってわけだなぁー」
 下碑た笑みを浮かべるのは綺礼を殺したマスター。
「ああ、これで人を喰うのも殺すのも自由ってわけだ。魂食いじゃなければいいんだからな」
 そう冷酷な笑みで返したのはサーヴァント。
「いこうぜ、この街をオレ達のおもちゃ箱にしてやろうぜぇー」
 二人は邪悪な意思を抱き、教会の扉へ向かい――
「……あ?」
 サーヴァントは胸を見ていた。そこから飛び出していた腕を。その腕の中にある己の心臓を。
 何の予兆もなく、唐突に自分が殺害されたことにそのサーヴァントは、理解が及ぶことなく、呆けた顔のまま光となった。
 その光は、殺害した者を照らし、胸の中へと吸収されていった。
「な……」
 マスターはいつの間にか出現したサーヴァントを前に呆然としていた。
 そのサーヴァントは死人の如き青白い肌、腰まで伸びた長い金髪、顔に浮き出た星形の模様という異相。その星の模様には『DIO』の文字が刻印されている。
 そばに現れて立つ者はこのサーヴァントの宝具だろうか。筋骨隆々で三角形のマスクの羽織ったような頭部、背にはタンクがつき、手の甲には『D』のマークがある。
「な、なんなんだてめーはッ!」
 震えながらマスターは懐からナイフを取り出した。
「私はアーチャー。真名は『DIO』。この死体になった言峰綺礼のサーヴァントだよ」
 DIOと名乗ったそのサーヴァントは、マスターに対し微笑みかけた。
「その自分の欲望のために忠実で、善のタガがない君のその姿は私の好みだが……生憎ここでの私は監督役のサーヴァントなのでね」
 DIOはマスターに向かい、ゆるりと歩みを進める。
「聖杯戦争の範疇から逸脱した君を、始末させてもらう」
 その言葉、涼しげな声色、妖しい色気を醸し出す笑みに絶対的な何かを感じたマスターは、震え、叫び、無謀にもDIOに対し突進してきた。
 DIOは片手を無造作に振るい、マスターの頭部を四散させた。頭を失ったマスターの体は垂直に崩落した。
「さて……あまり時間もかけられんか」
 DIOは綺礼の死体に近づき、人型のヴィジョンで胴体に触れる。
『The World Over Heaven』
 そしてDIOは宝具の真名を唱えると、綺礼の遺体が輝きに包まれた。
 まるで動画を逆回しにしたかの如く、綺礼の手足が繋がり、頭部が骨、筋肉、皮膚の順に再生してゆく。
 言峰綺礼は完全に蘇生を果たした。
「これがお前の異能力『スタンド』の力か。実体験してようやくその凄さが分かったよ」
 感慨深げに綺礼は言った。

 綺礼はDIOに対し二つの指示を令呪で予め命じていたのだ。一つは『この教会内にいる限りDIOの存在は誰にも認識されない、そう宝具を用いて現実を改竄せよ』
 二つ目は『言峰綺礼が所有する令呪を、宝具を用いて誰にも認識されないようにせよ』である。
 この二つは確かに効力を発揮し、綺礼がマスターであること、この教会内にDIOが居る事は誰にも認識されなかった。
 そして今、言峰綺礼の死という『真実』を生という『真実』で上書きし、蘇生させたのだ。
 これがDIOの宝具でありスタンド『The World Over Heaven』の『DIOが望む真実を上書きする』能力である。

34第6話Eyes Of Heaven ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:02:42 ID:8ZoAuRlE0
 綺礼は頭部を失ったマスターの死体に近づき、右手の令呪を確認。自身の三画揃った令呪のある右手を合わせる。
 低く聖言を呟くと、マスターの令呪が消え、綺礼の下腕が発光した。
 綺礼が腕をまくると、そこにはびっしりと刺青の文様――令呪が存在している。
 令呪の移動を確認した綺礼は、DIOに対し振り向いた。
「この手のいきなり私を攻撃してくるマスターは何人かいたが、その度お前に始末させてもらっていた。
 今回は私が殺されるまで待っていたのはなぜだ?」
「綺礼、君の先ほどの言葉が全てさ。私のスタンド能力を改めて知ってもらうためには実体験してもらうのが一番都合が良い。
 例え令呪一つ分の魔力を使ったとしてもだ」
 DIOの宝具はその超絶的な能力に引き換え、膨大な魔力を消費する。普通に使うだけで令呪一角分の魔力を必要とするほどに。
「いざ、マスター達との決戦となった時『信頼』してもらえないと困るからな」
「あの主催者から提示された条件か。『もし、全マスターが聖杯を壊す一つの勢力としてまとまった場合、監督役はそれを討伐せよ』
 『マスターに聖杯へと至る適格者がいなくなった場合、聖杯は監督役とそのサーヴァントに委ねられる』」
「そうだ。本音を言えばぜひそうなってもらいたいものだ。私もサーヴァント、聖杯によって叶えたい願いがあるからな」
 DIOは綺礼に向けて威厳と妖艶を備えた笑みを向けた。
 誰もが見ほれるであろうその笑みを綺礼は流すようにちらりと見ただけだった。
 だが、その心中には複雑な思いがあった。

 ギルガメッシュはどんなに身を崩しても、その身には常に高貴さがあった。
 反面、このアーチャーはどんなに威厳を発しても、奥底にある人間的な『俗』がにじみ出ている。少なくとも綺礼はそう感じている。
 英雄王ギルガメッシュと10年近くも付き合ってきた言峰綺礼だからこそ分かる、本物の『王侯』とそれ以外の『成り上がり』の違いだ。
 だが――そう、だがその『俗』が綺礼にとっては心地よく感じる。安息を覚えるのだ。
 思えば言峰綺礼の生涯は問うてばかりの人生だった。己と世界の繋がりの歪さに。心の虚無に。神の愛に。『この世全ての悪』の存在意義に。
 常に答えを追い求めてきた言峰綺礼は、愉悦、楽しみはあっても、安らぎを感じる事は無かった。
 故に綺礼はこのサーヴァント、DIOと共に行動する事を悪くないと感じている。
 ――NPCでありながら生前の記憶を保持し、自分の願望を知っている身としてはなおさらだった。

「しかし綺礼、君は監督役で命令を下されているというのに、本当にこの聖杯戦争の主催者の事を知らないのか?」
「ああ、その通りだ。私は声を知っているが見たことはない。姿を知っているのは案内役のミザリィとルーラーのアルヴィースだけだ。
 ミザリィには『正体を知ったらきっとがっかりするわよ』と言われたが」
「何にせよ……私は監督役のサーヴァントとしての役目を果たそう。もし、主催者の案ずる件が起こったら、私は聖杯を捕りにゆく」
「そうか。実は私も願いはあるが……別に是が非でも叶えたいというほどではない。聖杯を手中に収めたらアーチャー、お前が使えば良い」
 その言葉でDIOは唇を吊り上げ、過去に思いをはせた。

 あの時、このDIOが敗北したのは承太郎に対してではない。『真実』でも届かない『運命』などでもない。
 ただほんのちょっぴりの『油断』。それが生死を分けた。『結果』は確かに大きい。
 だが、今このDIOはこうしてサーヴァントとはいえ現界している。ならば再びやり直す機会が与えられたという事だ。
 今度こそ一つたりとて誤ることなく、聖杯を手に入れ現世に復活し、ジョースターの血統を全ての平行世界から抹消してみせようではないか。
 そのための『真実』はこのDIOの味方なのだから。

35第6話Eyes Of Heaven ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:03:00 ID:8ZoAuRlE0
【サーヴァント】
【CLASS】
アーチャー

【真名】
DIO

【出典】
ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン

【ステータス】
筋力A 耐久B 敏捷C 魔力A++ 幸運A 宝具EX

【属性】
混沌・悪

【クラス別能力】
対魔力:C
 第二節以下の魔術を無効化する。
 大魔術や儀式呪法などを防ぐことはできない。

単独行動:E-
 マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
 ランクE-ならば、マスターを失っても最大30ターンは現界可能。

【保有スキル】
悪のカリスマ:B+
 大軍団を指揮する才能。
 あらゆる悪の頂点に立ち、異能者の集団を完全に掌握することができる。
 属性が悪である者は、DIOに対し彼に強い恐怖と畏怖を抱くようになる。

投擲(短刀):C
 短刀を弾丸として放つ能力。
 複数の短刀を同時に生み出し、弾幕を張ることも可能。
 クラス補正により精密な投擲が可能となっている。

吸血鬼:B
 生と死を超えた者、または生と死の狭間に存在する者。死徒。
 多くの伝承に存在する、生命の根源である血を糧とする不死者。
 本来吸血鬼とは親となる吸血鬼に噛まれ人から魔へと転じるものであるが、DIOは例外的にそれ以外の方法により吸血鬼化している。
 己の肉体を自在に操る能力によって人間を越えた並外れた筋力。再生能力。
 「肉の芽」と呼ばれる細胞を脳に植え付け、相手を洗脳する能力。
 体から水分を気化させて熱を奪い、触れた相手を一瞬で凍結させる「気化冷凍法」。
 眼球内の体液をビームのように射出する通称「空裂眼刺驚(スペース・リバー・スティンギー・アイズ)」。
 以上のような人を超越した様々な異能力を持つが、その代償として紫外線、特に太陽光に弱いという致命的な弱点を持つ。
 ただし、霊体化した状態ならば日中でも野外で行動することが可能となる(現界すれば日光によって消滅する為、一切の戦闘は行えないが)。
 太陽光以外にも頭部への攻撃が有効打になるが、あくまでも一時的に動けなくする程度である。
 なお、後述する宝具を用いれば、一時的ながら日中でも実体化したまま行動可能である。

うたかたの夢:A
 このDIOは既に世界ごと完全に存在が抹消されている。だが編纂宇宙に残され、かき集められた幻想の残り香から現界を果たした。
 幻想から生まれた故に強い力を有するが、同時に一個の生命体としては永遠に認められない。

36第6話Eyes Of Heaven ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:03:15 ID:8ZoAuRlE0
【宝具】
『The World Over Heaven(ザ・ワールド・オーバーヘブン)』
ランク:EX 種別:対人(対真実)宝具 レンジ:1~10 最大捕捉:―
 全ての事象に対し、DIOの望む『真実』を上書きする。現実の改変。
 死者蘇生、空間の上書きによる異空間形成や瞬間移動、洗脳、事象の消去、治癒など応用範囲は非常に幅広い。
 ただし、使用には膨大な魔力と長時間のチャージが必要となる。この弱点は他者の魂をスタンドに吸収する事で補える。
 また、DIO本人かスタンドの拳で触るか殴るかして能力を発現させるため、腕を負傷すると傷が癒えるまで使用不可能になってしまう。
 スタンドビジョンはDIOによって使役され、高い格闘能力を駆使して戦う。A+ランク相当の筋力、Aランク相当の敏捷・耐久を持つ。
 精神の力であるスタンドがダメージを受けると、本体であるDIOも同じ箇所にダメージを負う。逆もまた同じ。
 スタンドは通常ならば同じスタンド使いにしか視認出来ないが、マスター、サーヴァントならば視認可能。これはスタンドが宝具として再現された神秘にすぎないためである。

【weapon】
ナイフ

【人物背景】
 英国の貴族の家系であるジョースター家の宿敵。

 貧しい平民に生まれ、父ダリオ・ブランドーの死を機にジョースター家の養子となる。
 ジョースター家乗っ取りを画策するが、ジョナサン・ジョースターの活躍により計画が露呈。窮地に立たされる。
 危機を脱するため決意したディオは人間をやめる事を宣言し自ら石仮面を被り、不死身の吸血鬼と化した。
 ゾンビを生成し世界征服を目論むディオとジョナサンの戦いは熾烈を極めるが、太陽の力・波紋法を身に付けたジョナサンによって全身を溶かされ敗れ去る。

 だが、辛うじて首だけが助かり密かに生き延びたディオは再びジョナサンの前に立ち塞がる。
 失った体の代わりにジョナサンの肉体を手に入れ再起を図るも、最後の力を振り絞ったジョナサンと相打ちとなり、彼と共に客船の爆発に巻き込まれて海底へと沈んだ。

 その100年後、エジプト・カイロにて復活したDIOは新たなる力、『スタンド』に覚醒。再び世界を手にするべくその勢力を拡大する。
 ジョースターの血統、空条承太郎たちが自分の存在を察知、知覚、倒しにくることを予想したDIOは配下のスタンド使い数十名を刺客として差し向ける。
 空条承太郎たちはいくつかの犠牲を出しながらも刺客たちを突破。しかしエジプトでの決戦ではDIOのスタンド能力『世界』の前に全滅寸前まで追い込まれる。
 圧倒的有利に立ったはずのDIOであるが、激昂した承太郎との戦いにより形勢は逆転。最後はスタンドごと本体であるDIO自身も破壊され敗北、消滅した。

 ――以上が本来の歴史であるが、このDIOは「承太郎たちを倒し、自ら天国へ到達する方法を実行に移した並行世界のDIO」である。

【サーヴァントとしての願い】
 自身が所属する並行世界ごと存在を抹消されたため、聖杯で自分の存在を現世へと上書きし、受肉して復活する。
【方針】
 直接マスターやサーヴァントには手出しできないよう制限されているので、参加資格を失ったマスターやサーヴァントの魂を吸収し、スタンドの強化、魔力の補充から始める。

37第6話Eyes Of Heaven ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:03:30 ID:8ZoAuRlE0
【マスター】
言峰綺礼@Fate/stay night

【マスターとしての願い】
 最後の勝者、それによって生まれ出づるものを祝福する。

【weapon】
黒鍵

【能力・技能】
洗礼詠唱
 主の教えにより迷える魂を昇華し、還るべき「座」に送る簡易儀式。
 霊体に対し強い干渉力を持ち、呪いを解く効果もある。
魔術
 強化を始め大抵の魔術に通じているが、平凡の域を出ていない。
 その中で治癒魔術だけは綺麗の『傷を開く』という起源に特化し、高い技量を誇っている。
八極拳
 修練により道から外れた独自の殺人拳と化している。

【人物背景】
 万人が「美しい」と感じるものを美しいと思えない破綻者。生まれながらにして善よりも悪を愛し、他者の苦痛に愉悦を感じる。悪党ではないが悪人。非道ではないが外道。
 若い頃は自身の本質を理解しておらず、この世には自分が捧げるに足る理念も目的もないと考え、「目的を見つけるのが目的」という生き方をしていた。あらゆることを他人の数倍の努力をもって身につけ、しかしそこに情熱はなく、時が来ればあっさりとそれを捨てて次に挑む、という行為を繰り返してきた。
 この頃の綺礼にとっての信仰とは、自身で見出した理想ではなく、ただ不完全な自身を痛めつける場であるという意識の方が強かった。
 第四次聖杯戦争の頃までは、そういった自身の在り方に懊悩していたが、聖杯戦争で出会ったギルガメッシュとの出会いをきっかけに吹っ切れた。その後は、ある種の悟りと余裕のある態度で生きている。

 ――この綺礼は、第五次聖杯戦争で「生存の可能性が無い」綺礼から再現された人物である。
 さらに意識には、3つの強い可能性のルートを辿った記憶が混在している。

【方針】
 結末も重要だが、それ以上にマスター達が戦う過程を楽しむ。

38第6話Eyes Of Heaven ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:03:47 ID:8ZoAuRlE0


 ◇ ◇ ◇

 光差すことない地の底。そこに天井が発光した空間内に無数の人間たちが集まっている。
 否、彼らは人間ではない。元々この世界の人間はマスター以外聖杯によって再現された者たちだがそれとはまた別の存在だ。
 わずかに高いステージのような床に、小さな人形が絨毯を転がして敷く。
「人間は生きようとしている。ただ生きるために。この世にあり続ける為に。
 ただそれだけのため、生命を永久に存続させようとする盲目的な衝動につき動かされて」
 その上を一人の少女が歩く。
「その為に、人は人を喰らう。10人いるなら、9人を生かす為一人を犠牲にする」
 少女の肌は浅黒く、瞳はX字。赤い衣装を身にまとい、声を地の底に響かせる。
「数え切れぬ数多の屍の山に築かれた殿堂、それが人類の繁栄の歴史」
 少女はその姿をミニチュアにしたような人形のもとで立ち止まる。
「そうして人類史の底に流れる、敗者達の血の大河から、私たちは産まれた」
 そして少女は手を振り上げた。
「我らの名はガラクシア!」
 その言葉に観衆は呼応し、叫ぶ。我らの名はガラクシア、と。
「我ら『亡霊』には過去しかない! この街に住まう者たちは繁栄を享受するために我々を切り捨ててきた!
 ならば教えてやろう、同志たちよ! 奴らが忘れ切った死と災厄を! 我らの怒りと憎しみを!
 その為ならば、私の命など惜しくもない! 同志諸君と同様に自爆して果てようではないか!」

 ガラクシア! ガラクシア!

 地下に歓声が沸き起こる。

 彼らは聖杯がリンクすることによってできた副産物である。あらゆる願望器をつなげたこの世界には、歪みや悪意から生まれた願いが叶えられた可能性も集まっている。
 その澱からできた悪性領域。そこから誕生した生きながら死に囚われた、何も生み出さない悪性情報『死相(デッドフェイス)』だ。
 ガラクシアはそれを導くため、召喚されたサーヴァントである。
 歓声を耳にしながらガラクシアは思う。

 私が聖杯を手に入れることは絶対にない。自分は打ち取られる事が予定されている、茶番劇の悪役だ。
 だが、それでもいい。元の世界では既に計画は失敗し、未来は彼らに委ねられた。
 いかなる未来を造るのかは知ったことではない。召喚された私にあるのは過去の恨みだけだ。
 教えてやろう、この地に集ったマスター、サーヴァントたちに、自分たちが繁栄するために切り捨てられた者たちの恨みを。
 そしてこの怒りしかないデッドフェイス達の支えとなろう。

39第6話Eyes Of Heaven ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:04:46 ID:8ZoAuRlE0
【CLASS】
アヴェンジャー

【真名】
ガラクシア

【出典】
白銀のカルと蒼空の女王

【ステータス】
筋力C 耐久A+ 敏捷C 魔力B+ 幸運E 宝具A

【属性】
秩序・悪

【クラス別能力】
復讐者:B
 復讐者として、人の恨みと怨念を一身に集める在り方がスキルとなったもの。
 周囲からの敵意を向けられやすくなるが、向けられた負の感情はただちにアヴェンジャーの力へと変わる。
忘却補正:C+
 人は多くを忘れる生き物だが、復讐者は決して忘れない。
 忘却の彼方より襲い来るアヴェンジャーの攻撃は、クリティカル効果を強化させる。
自己回復(魔力):B
 復讐が果たされるまでその魔力は延々と湧き続ける。魔力を微量ながら毎ターン回復する。

【保有スキル】
クラッキング:A(A+++)
 不正なシステム操作。電脳空間ならばコードを書き換え万能ともいえる能力を発揮する。
 分裂した並列処理により能力は飛躍的にアップする。

軍産複合体:A+
 兵器生産の為の計画立案、生産設備の開発、計画推進のための資産運用や権力者への根回し。それら全てを自分達だけで完結するネットワークを創り上げる。
 陣地作成、道具作成の複合変形スキル。

単独行動:EX
 マスター無しでも活動できる能力。

扇動:B
 人をある目的に向けて駆り立てる力。
 ガラクシアの場合、自爆テロを行わせるほどに人を狂わせる。

【宝具】
『ガラクシア・システム』
ランク:A 種別:対機(自身)宝具 レンジ:0 最大捕捉:100機
 がラクシアを構成するオリハルコンチップで構成された加速分子状況結晶脳と、それを中核として肉体を構成するEマテリアル素子の集合体そのものが宝具である。
 自己増殖、自己再生、自己変形機能を備え、高度な自意識を持つ兵器。
 並列増殖システムと呼ばれる機能により次々と分裂して数を増やし、マインド・リンクにより兵士・装備・指揮官の全てを一体化した「ガラクシア機構」と呼ばれる軍団を形成する。
 奥の手として自身の身体をテルミット爆弾に変換し、自爆する。自身の『壊れた幻想』のため、生前より破壊力が向上している。
 自分を分割しても能力は全て同じだが、霊基を司るオリハルコンが分割されていくため、量が自我や知性を保つ限界量以下になると自分自身を保てなくなってしまう。

【weapon】
 自分自身の腕を砲や剣に変えられる。

【人物背景】
 地球とは異なる星、辺境の一小国だったフルクラム帝国は先史超文明の遺産であるEテクノロジーの一部解析、コピー、量産、学問としての体系化に成功。
 それを用いて世界制覇に乗り出し、達成目前だった戦争末期、抵抗を続ける空中都市ガラクシア王国で完成間近だった決戦兵器が、ガラクシアである。
 その兵器を危険視した帝国は新兵器を都市に向けて使用、都市を破壊しガラクシア王国50万の民をほぼ皆殺しにした。
 だが、死した彼らの恨みと憎悪はガラクシアの中核を為す『赤いオリハルコン』に受け継がれた。
 『赤いオリハルコン』はガラクシア王国の民の血を原材料に生成される物質で、光を閉じ込め、高度な演算器として機能し、魂さえ宿すとされる物だったのだ。
 戦後、帝国で一部のタカ派がガラクシアのロールアウトに成功。だが、自意識を持ったガラクシアは兵器として利用されることを拒み、独自に行動を開始。
 帝国が隠蔽したガラクシア王国大虐殺の事実をネタに政財界の大物を脅し、資金を貯め、散発的な政治活動を行う帝国に敗北した国の民衆やガラクシア王国の生き残りを集め、強固なテロ組織として再編。
 資金を元手に自ら兵器を設計、開発、増産する設備を作り、帝国への復讐を開始した。

【サーヴァントとしての願い】
 自分たちが作りだした闇を地に沈め、目を背け、忘却する人間達に応報と復讐を。

【方針】
 デッドフェイス達と共に自爆テロを敢行する。

【把握媒体】
必要なら台詞集を当方で用意できます。

40第6話Eyes Of Heaven ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:05:05 ID:8ZoAuRlE0

……これにて説明は終了ですが……どうやら私に招かれざる客が来たようですね。

 アンティークショップ・美紗里の扉は唐突に斬り裂かれた。
 中に押し入ってきたのは6人の男たち。そのうち三人は右手の甲に痣がある。
『喧嘩の押し売りなら結構よ』
 椅子に座っていたミザリィは冷静に男たちに言い、店の掃除をしていたアビゲイル・ウィリアムズは男たちを睨んだ。
「喧嘩じゃない。聖杯戦争のマスターとして、あんたを殺しに来た。最後まで令呪を所持しているマスターが勝者なら、あんたもその一人だろ?
 そしてそこのアビーはサーヴァントだ。
 宣戦布告に来たマスター達に対し、ミザリィはため息交じりに壁にあるオオカミの柄を指さした。
『私が何のためにこの絵をかけていたと思っていたの? 勘のいいマスターなら気づいていたはずよ』
 そう言ってミザリィは冷酷な笑みを闖入者に向ける。
「ああ、もちろん知っている。だからこっちも三人組で来た。
 この序盤じゃなければあんたを殺すためだけの同盟なんてそうそう組めないからな。二体を抑え、残る一体のサーヴァントであんたを殺す」
『……じゃあ、貴方達には見せしめになってもらうわ。こういう私を殺せば聖杯獲得に近づくと考えるような連中が滅多に来ないようにね』
 そう言って、ミザリィは椅子から立ち上がった。

 ミザリィ達8人は店の外に出た。店内ではお互い戦いづらい。それゆえの処置だ。
『出番よ、アヴェンジャー』
 ミザリィがアビーのほかに契約しているサーヴァントを呼んだ。
 ミザリィの隣に現れたのは、体長3mを超える巨躯の狼。足にはトラバサミが嵌まっている。
 マスター達はそのサーヴァントは全員が予想した『狼王ロボ』で相違ないと思っていた。
 だが、その狼の背には両手に鎌を持った、首のない男が乗っており、マスター達は混乱した。どういうことだ? ロボの体格はともかくあの背の男は?
『このアヴェンジャーの真名は『ヘシアン・ロボ』。狼王ロボと『スリーピー・ホロウ』の騎士ヘシアンがとある世界で融合させられて誕生したサーヴァントよ』
 真名まで含めて正体を教えたミザリィに対し、マスター達はわずかに動揺した。絶対的な自信がミザリィの声から感じ取れたからだ。
「そ、そこまで教えていいのかよ」
 一方、三体のサーヴァントは動揺することなく、目の前の敵に対し剣や槍を構える。
『これから死んでゆくあなた達に対して名乗ったところでどうという事もないでしょう?』
 撫でつけるようにマスター達を見つめるミザリィは、懐からサーヴァントカードを取り出した。
『夢幻召喚(インストール)』
 ミザリィが唱えた瞬間、カードを中心とした魔法陣が展開し、そこから放出された光がミザリィとヘシアン・ロボに降り注いだ。
 光が繭を形成し、僅かながら外からも判別できるその中で、ミザリィとアヴェンジャーは光の粒になり、一体となってゆく。
 光が集まり、形成されたその姿は、やはり巨大な狼とその上にいるミザリィ。
 上に乗ったミザリィの格好はレザー皮で身を包んだ男の扇情を煽るような姿だ。
 予想外の出来事に狼狽するマスター達に対し、サーヴァント達は一切慌てることなく、ミザリィに獲物を向ける。
 どうせやることは変わらない。一体化したのならむしろ三体同時にかかればいいのだから手間が省ける。
 サーヴァント達に対し、ロボは足を溜める。その足が発光を始めた瞬間、ミザリィ達の姿が消えた。
 夢幻召喚で新たに得たスキル『魔力放出』を使った超々音速で壁を蹴り襲う三角飛び。それはマスターはおろかサーヴァントですら知覚できない動きだった。
 サーヴァントが迫ったと気づいたその時には、既にロボが一体の胴を喰い千切り、ミザリィが二体を両手に持った鎌で首を切り落とした。
 サーヴァントが一瞬で全滅したことで恐慌をきたしたマスター達は震え始めたが、僅かな希望が残っていることに気づいた。
 まだだ。令呪さえ残っていれば、極僅かながら復帰のチャンスはある。
 その思いだけを支えに三人のマスターは、脱兎の如くミザリィから逃げ出し。
『今更逃げるのはなしよ』
 ミザリィの伸ばした髪に、首を締めあげられ、宙に吊るされた。
『勝負の懸け賃を払ってもらうわよ。このままじわじわと絞め殺してあげるわ』
 冷酷な笑みを浮かべミザリィは死刑宣告をする。
 マスター達は首を掻きむしり、足を無意味にばたつかせている。その様をミザリィは薄笑いを浮かべながら眺めていた。
 いよいよ手足が小刻みに震え始め、絶命するその時、ロボが突進し、三人の首を嚙み砕いた。

41第6話Eyes Of Heaven ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:05:22 ID:8ZoAuRlE0
 全てを終えたミザリィが胸に手を当てる。そこからカードが輩出された。
 するとミザリィたちは再び光の粒となり、ミザリィとヘシアン・ロボは分離し、それぞれ別の個体としてそこに立った。
「ミザリィ、この人たちの遺体はどうするの?」
 ここで初めてアビーが口を開いた。
『別に何も。放っておけば警察が来て、マスターだと分かれば監督役が始末してくれるわ』
 ミザリィは、最早ただのゴミを見るような目つきで死体を眺めながら答えた。
『ご苦労様、ロボ』
 ロボは一声唸り、霊体となって姿を消した。
『ヘシアン、一つ聞いていい?』
 ショップの出入口に行こうとしたヘシアンに対し、ミザリィは問いかけた。
『夢幻召喚で戦う以上、私はあなたの意志を無視していることになるけど、それでもいいの?
 あなた自身に何か望みはないの?』
 ヘシアンは何も反応を示さず、ミザリィに対し背を向けショップへ向かった。
『頭がなくてもゼスチャーくらいできるでしょうに』
 それを見たミザリィはかぶりを振った。

 店内に戻ったロボは、実体化し日中霊体でいた時もそうしていたように「眠れるオオカミ」「オオカミの勝利」の前に行き、伏せて絵を見つめた。

 何だ、この絵は。この絵を見ているとなぜか自分の気持ちが分からなくなる。

 一度、俺を捕まえたあの人間を遠目から見る機会があった。今までの『猟師』とやらとはまるで違う印象を受ける人間だった。
 だが、あの人間は今までの誰よりも細心で、一つの罠を造るのにも綿密で、罠を弾けばそれを糧に新たな罠を仕掛けるほど執念深く、俺達狼の習性を利用して罠を考案する程狡猾だった。

 そうしてついに罠に捕らえられた自分が、あの人間と初めて正面から対峙した時。
 奴は、他の人間と同様の歓喜と、それを上回る身の凍るような悲しみに満ちた表情を浮かべていた。

 ――どうでもいい。どうでもいいんだ、そんな事は! 俺はブランカを殺し、あろうことかその死体を辱め、罠に使ったあの人間を、人間共を許さない!
 一人残らず殺し尽くしてやる! そうだ、そのつもりだ……。
 だが、この絵を見ると己自身が分からなくなってくる。

 あれだけ狡猾で卑劣な罠を使った奴が、本当にこんな絵を描いたのか? 何故こんな人間に狼が復讐するような絵を描いたのだ?
 この絵を見ると、奴の表情が鮮明に蘇る。
 何故奴はもっと喜ばなかったのだ? 俺は狼で奴は人間だ。決して相容れない間柄のはずだ。
 何故あそこまで悲しげな顔を……。

 ロボはうずくまり、じっと絵を眺める。ヘシアンはロボの傍に寄り添うように立っていた。

42第6話Eyes Of Heaven ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:05:40 ID:8ZoAuRlE0
【サーヴァント】
【CLASS】
アヴェンジャー
【真名】
ヘシアン・ロボ
【出典】
Fate/Grand Order
【ステータス】
筋力A+ 耐久B+ 敏捷A+ 魔力E 幸運D 宝具B+
【属性】
混沌・悪
【クラス別能力】
復讐者:A
 被ダメージによるNP上昇率が高くなる。恨み、怨念が貯まりやすい。
 何があろうが、人間を殲滅する。
忘却補正:B
 その憎悪は決して忘れられることは無い。
 人類史に小さく刻まれた醜い傷跡として、いつまでも残り続ける。
自己回復(魔力):B
 人間の作った世界に存在する限り、彼は憎悪を牙にして餌を喰らい続ける。
透明化:D-
 気配を遮断するのではなく、薬品投与による人体の物理的な透明化。
 ヘシアン・ロボの存在力の高さから「近くにいるかどうか」は分かっても、具体的にどの座標に存在するかまでは読み取れない、というクラスランクの低さが逆にメリットになっている希少なケース。
 代償として凶暴性が増幅されてしまう……が、ヘシアン・ロボに関してはまるで関係はない。
【保有スキル】
堕天の魔:A+
 魔獣と堕ちた者に備わるスキル。
 天性に至る事は出来ない、人工の魔性。
 防御力の向上、状態異常の耐性など。
怪力:B
 一時的に筋力を増幅させる。
 魔物、魔獣のみが持つ攻撃特性で、使用する事で筋力をワンランク向上させる。
 持続時間は『怪力』のランクによる。
死を纏う者:A
 周囲に災厄を振りまき、死をもたらす魔性の存在としてのスキル。
 乗り手となっているドイツ傭兵(ヘシアン)がデュラハンに連なる怪物に成り果てた事から。
 ロボの復讐心が具体的な外装となって、攻撃を可能とする。
動物会話:A
 言葉を持たない動物との意思疎通が可能。
 動物側の頭が良くなるわけではないので、あまり複雑なニュアンスは伝わらない。
 狼王ロボは動物なので人間を除いた自分より格下の生物に命令を下す事が可能。
【宝具】
『遥かなる者への断罪(フリーレン・シャルフリヒター)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1〜5 最大補足:1人
 二人の復讐心を形にした憤怒の断罪。
 一撃で首を刈る、絶殺宝具。
 因果を逆転するほどの力は持たないものの、宝具のレンジ内で微妙に世界への偏差を加える事によって『首を刈りやすくする』状況を形作る。
【weapon】
 首狩り鎌
 死を纏う者(外装)
【サーヴァントとしての願い】
 人間、それも亜人や異人ではない者を殺し尽くす。
 ……真に心の奥底で望むのは自分の子供たちの行く末。
【人物背景】
 3メートルを超す巨大な狼とそれに跨った首無しの騎士。
 バーサーカーのように言語能力を失ったのではなく、最初から人語を話せない。乗り手が主ではなく、狼の方が主。
 生前の出来事がきっかけで人間を憎んでおり、その憎悪は海より深く、人を喰らうのも空腹を満たすためではなく直接的な憎しみからである。

 その真名は『スリーピー・ホロウ』の逸話で知られるドイツ軍人『ヘシアン』と、シートン作『動物記』で有名な『狼王ロボ』の複合型サーヴァント。
 しかし虚構である彼らに召喚が成立する理由はなく、本来英霊にも到れず、サーヴァントとして召喚されることはない。
 そもそも生前全く縁のなかった者同士がパートナーとして結合することはありえないが、聖杯により『可能性の一つ』として抽出され、召喚が成立した。
【方針】
 ロボは基本的に思う通りに動く。ヘシアンは不明。

43第6話Eyes Of Heaven ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:05:55 ID:8ZoAuRlE0
【夢幻召喚(インストール)】
ミザリィの服はヘシアンの衣装に似た、ボンデージファッションになる。
【ステータス】
筋力A+ 耐久B+ 敏捷A+ 魔力E 幸運B 宝具B+
【クラス別能力】
復讐者:A
忘却補正:B
自己回復(魔力):B
透明化:D-
【保有スキル】
堕天の魔:?
怪力:B
死を纏う者:A
動物会話:A
【追加スキル】
シェイプシフター:B+
 髪を操作、伸長させ、先端をドリル状の槍や月牙の様な刃物に変える事が出来る。
 ロボに纏わせ、身体能力を強化したり、武装させることが可能になる。
魔力放出:A+
 武器、ないし自身の肉体に魔力を帯びさせ、 瞬間的に放出する事によって能力を向上させる。自他の治癒にも応用できる。
 隠された左目を解放することで、さらに膨大な魔力が解放される。
【宝具】
『遥かなる者への断罪(フリーレン・シャルフリヒター)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1〜5 最大補足:1人
【weapon】
 首切り鎌
 死を纏う者(外装)
 シェイプシフター

【把握媒体】
アプリ「Fate Grand Order」とそのまとめサイト。画集のFate Grand Order materialがあります。

44第6話Eyes Of Heaven ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:06:09 ID:8ZoAuRlE0
『アビー、何か言いたそうね』
 店内に戻ったミザリィは入り口近くのレジの席に腰かけ、近くに立つアビーに声をかけた。
「ミザリィは、この店に来たマスターにまるで『ゲームマスター』の正体を暴くようたきつけているに私は見えるわ。
 でも、さっきみたいに襲い掛かってきたマスターには容赦しないし、願いを抱くマスターの邪魔もしない。何が目的か私にはわからないわ。ミザリィはこの聖杯戦争をどうしたいの?」
 アビーは、最後の方は強い調子で問いかけた。
『私はマスターがただ『願いを叶える』。または『主催者を倒す』だけをやろうとするのはつまらないと思っているからよ』
 ミザリィは椅子の背もたれに寄りかかった。
『私は以前、魔女狩りの亡霊たちを退治した事があるのよ。死んでも尚己の過ちを認めようとしなかった奴らに、真実を突きつけてね』
 唐突にミザリィは話を変えた。それを聞いたアビーの胸が高鳴った。『魔女狩り』というその言葉で。
『でもね、アビー。あなたは亡霊たちが真実を、過ちを認めても尚罰しようとするでしょう?
 この世に罪無き人などいない。だから全ての人に苦痛と言う贖罪を与えようとする。それがあなたの抱く邪悪な赦し。
 いけない事、許されない事と思っていても、心の底にある邪神の悪意』
 違う。そうアビーは言いたかった。繰り返されるセイレムの魔女裁判で、アビーは魔女として処刑された人たちも、死してなお贖罪を乞う罪人である魔女狩りに加担した人物も救いたかった。
 でも、最後にアビーが辿り着いた結論は、ミザリィの言う通り、罪を犯した者を別け隔てなく救うため、永劫の苦痛をもって全人類を救罪する事だった。
『現実にいくらでも転がっている悲劇や絶望、人間が大なり小なり抱く欲望。それらは人を時に否応なく犯罪行為へと駆り立てるわ。
 でも、時に不幸であっても善なる心を失わず、戦う人もいる。身に余る欲望に、超自然的な何かがつけこみ破滅させようとしても、逆に一杯食わせて成功する人間もいる。
 そんな人生を脅かす超自然な罠や不幸や悪意に立ち向かい、暖かでしなやかな心を失わずに乗り越えて見せる人間達がいる。その過程で不幸が起こる事もあるけど、結局幸福との帳尻を合わせてしまうのよ、そういう人たちは。
 私はそんな人間を罪人と呼びたくないわね』
 それはアビーに対しても。ミザリィはアビーが邪神の悪意に対抗する限り、罪人ではない。そう言っているのだとアビーは悟った。
『私はそんな人間が大好きよ。だからゲームマスターの意図なんかぶち壊して、そうね、『願いを叶えて』『主催者を倒し、黒幕も暴いて倒す』。
 そんな予想外で贅沢な結末、雀のお宿で大きなつづらを選んで幸福を手にするような、そんな展開を私は見たいの」
「ミザリィは……」
『なに?』
「ミザリィは知恵と勇気を振り絞って、無敵の相手に一杯食わせる。そんな人間が好きだって言ったけど、じゃあ逆に嫌いな人間はいるのかしら?」
『私が嫌いなのは自分の『悪意』を肯定、実行するどころか人間だれもがそうだと開き直る、賢しらに悟ったような凡俗な人間。
 そんな奴らはもし超自然な力を手に入れても卑劣な行為しかできない。そんな人間は……破滅がふさわしいと思うわ』
 ミザリィは眉ひとつ動かさず、微笑を崩さずに言った。
 その姿を見たアビーは、ミザリィの人間に対する意志を理解できた気がした。

 ミザリィが悪人に厳しいのは、世界中にいくらでもいる、残酷な行為をしても咎められない人が嫌いだからだ。
 ミザリィが善人に温かいのは、例え異界の邪神であろうと負けない、人間の知恵と勇気を信じているからだ。
 ミザリィは、善良な人間に希望の光を。邪悪な人間には無慈悲な絶望を。相手にそれぞれ導こうとしている。
 私は……そんなミザリィはとても優しく、そしてとても残酷だと思う。

「ミザリィ。あなたは一体何者なの?」
 アビーの問いに、ミザリィは柔らかい笑顔と声色で答えた。
『さぁ……。アビー、あなたは何者だと思う?』

45第6話Eyes Of Heaven ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:06:24 ID:8ZoAuRlE0
【マスター】
ミザリィ
【出典】
アウターゾーン
アウターゾーン リ:ビジテッド
【性別】
女性
【能力・技能】
 髪を操作、伸長させ、先端をドリル状の槍や月牙の様な刃物に変えて敵を襲う。
 髪の毛だけでも人間の手足を引きちぎる力を持つ。
 掌から長剣を取り出す。
 隠された左目を解放すると、膨大な魔力を放出し、敵を粉砕する。
 この魔力で人を含めた動物を治療する事もできる。
【人物背景】
 アウターゾーンへの案内人(ストーカー)を語る謎の美女。
 様々な場所、時代、時には地球外の惑星にも表れる。
 性格は気まぐれで悪戯好き。基本的に人間にはオカルトグッズの商売や世間話程度の干渉しかしないが、深くかかわる事もある。
 善人や子供には優しく、悪党や敵対する相手、傲慢な人間にはドSになる。
 悪事を働く人間でも何かしらの事情があるなら、それを斟酌して温情をかける。
 一方で人間の悪意や殺人にも興味があり、単なる善人ではない。かといって悪人でもない。
 『偶然』という形で手を貸したり『不幸』という形で試練を与えたりもする。
 そんな彼女が一番興味を持つのは、アウターゾーンに迷い込んだ人間の『意志』。そして、自らの力で不遇な境遇を幸福な結末として実現しようとする人間の姿だ。
 彼女は、自然に逆らい制御しようとし、運命が決まっているとしてもそれと戦い、超自然的な何者かに抗うどころか一杯食わせるような強靭でしなやかな意志を持ち、それでも己の良心を失わない人間が大好きなのだ。
【マスターとしての願い】
 案内人ではない、一人のマスターとして聖杯戦争を楽しむ。
 だが、聖杯戦争の裏で何者かがマスター達の『悪意』を強引に集め、利用しようとしていたのならば潰す。
【方針】
 裏手にいるかもしれない『黒幕』に挑もうとする聖杯戦争のマスター達のみが集うまで基本的に自ら戦いに出たがらないが、マスターが敵になるなら容赦しない。
【ロール】
 『アンティークショップ・美紗里』の店主。
【令呪の形・位置】
 左手には牙をむいた狼の横顔に、クロスした首切り鎌が置いてある。
 右手には尾を引き、鍵が中央を貫いている八芒星のデザイン。
 ミザリィは自分の長い耳を隠すのと同じ要領、かつより強い力で令呪を隠している(ミザリィは手の甲をファッションで覆っている事が多いので、あまり意味は無いかもしれない)。
【把握媒体】
 コミックスは全15巻。文庫版は全10巻。
 続編のリ:ビジテットは現在3巻まで発売されています。

46第6話Eyes Of Heaven ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:06:45 ID:8ZoAuRlE0
【サーヴァント】
【CLASS】
フォーリナー
【真名】
アビゲイル・ウィリアムズ
【出典】
Fate/Grand Order
【ステータス】
筋力B 耐久A 敏捷C 魔力B 幸運C 宝具A
【属性】
混沌・悪
【クラス別能力】
領域外の生命:EX
 外なる宇宙、虚空からの降臨者。
 邪神■■=■■■■に魅入られ、権能の先触れを身に宿して揮うもの。
狂気:B
 不安と恐怖。調和と摂理からの逸脱。
 周囲精神の世界観にまで影響を及ぼす異質な思考。
神性:B
 外宇宙に潜む高次生命の"門"となり、強い神性を帯びる。
 世界像をも書き換える計り知れぬ驚異。その代償は、拭えぬ狂気。
【保有スキル】
魔女裁判:A+
 本人が意図することなく猜忌の衝動を引き寄せ、不幸の連鎖を巻き起こす、純真さゆえの脅威。
正気喪失:B
 少女に宿る邪神より滲み出た狂気は、人間の脆い常識と道徳心をいとも容易く崩壊させる。
信仰の祈り:C
 清貧と日々の祈りを重んじる清教徒の信条。
【宝具】
『光殻湛えし虚樹(クリフォー・ライゾォム)』
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:∞ 最大補足:1人
 人類とは相容れない異質な世界に通じる“門”を開き、対象の精神・肉体に深刻なひずみを生じさせる、邪悪の樹クリフォトより生い添う地下茎。
 効果対象は“鍵”となるアビゲイル個人の認識に束縛される。それゆえの対人宝具。
 本来ならば対界宝具とでもいうべき、際限のない性質を有している。
【weapon】
銀の鍵
 あらゆる時間、空間に繋がるための呪具。異界の邪神やその一部を召喚するのにも用いる。
【サーヴァントとしての願い】
 全ての人間に救罪を。
【人物背景】
 17世紀末。清教徒の開拓村セイレムで起きた「魔女裁判事件」。
 最初に悪魔憑きの兆候を示した一人が当時12歳の少女アビゲイル・ウィリアムズだった。
 悪魔憑きの異常な症状は他の少女たちにも伝播し、およそ一年に渡って多くの村人が告発された。
 その結果200名もの逮捕者、うち19名もの絞首刑、2名の獄死、1名の拷問死という惨劇を招いた。
 少女たちの真意やその引き金となった要因などについては、1692年以降アビゲイルの記録が文献から消失したため、いまだに多くの謎が残されている。

 以上の歴史はある魔神によって歪められ、アビゲイルが英霊として昇華されるために利用された。

 清教徒の信徒としてのアビゲイルは、神を敬い、感謝の祈りを欠かさぬ無垢の少女だ。多感で疑う事を知らない年頃の娘に過ぎない。

 清貧を信条とする清教徒たちは、権威におもねる教会の弾圧を逃れて海を渡り、新世界へと至る。しかしやがて彼らは追いつかれ、追い詰められた。彼らの抗議(プロテスト)の矛先は、身近な隣人へと向けられた。

 退廃と抑圧の世にこそ“英雄”が立ち上がるように―――
 自分を律するはずの潔白の信条は、他者を監視する道具となり、戦乱と略奪が繰り返される植民地の不穏な暮らしは、猜疑心と利己心を育んだ。

 ―――彼らはやがて心の底に狂気を、“魔女”を求めるようになる。私たちのこの不幸と苦しみは、悪魔の仕業でなければ何なのだ、と。

 果たしてセイレムに魔女は現れ、凄惨な魔女裁判の門は開かれた。“鍵穴”となる狂瀾たる状況。人々の欲望を映しとり“鍵”となった少女。
 その両者が欠かせぬのだとしたら、さて、罪はどちらにあるのだろうか。
【方針】
 ミザリィの行動に従う。

47第6話Eyes Of Heaven ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:07:02 ID:8ZoAuRlE0
【夢幻召喚(インストール)】
リ:ビジデットのみぃこの姿で、アビーの格好になる。
【ステータス】
筋力B 耐久A 敏捷C 魔力B 幸運C 宝具A
【クラス別能力】
領域外の生命:EX
狂気:EX
神性:B
【保有スキル】
魔女裁判:―
正気喪失:B
信仰の祈り:―
【追加スキル】
香木の箱:EX
 銀の鍵で開けると触手が周囲のものを中へ引きずり込み、外宇宙へと放逐する。
魔力放出:A+
 武器、ないし自身の肉体に魔力を帯びさせ、 瞬間的に放出する事によって能力を向上させる。自他の治癒にも応用できる。
 隠された左目を解放することで、さらに膨大な魔力が解放される。
【宝具】
『光殻湛えし虚樹(クリフォー・ライゾォム)』
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:∞ 最大補足:1人

【把握媒体】
アプリ「Fate Grand Order」とそのまとめサイト。画集のFate Grand Order materialがあります。

注意:この聖杯戦争で夢幻召喚が出来るのはミザリィのみです。
ですが、マスターとサーヴァントの絆を強めれば他のマスターにも出来る可能性がわずかながらあります。なお、基本的にステータスは1ランクダウンします(マスターの強さによってはダウンしない場合があります)。
その場合、マスター、サーヴァントの能力が混じり合い新たなスキルが発現するかもしれません。

48第6話Eyes Of Heaven ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:07:32 ID:8ZoAuRlE0
以上でオープニング終了です。続いてルールを投下します。

49第6話Eyes Of Heaven ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:08:05 ID:8ZoAuRlE0
【ルール】
当企画はTYPE-MOON原作の「Fateシリーズ」の設定の一部を元にした、リレーSS企画です。
 同作中の魔術儀式「聖杯戦争」を元にし、参加者達が聖杯を賭けて戦う企画となっております。
最終的な参加者の数は、25組前後を予定してます。投下数次第で更に採用するかもしれません。
サーヴァントについては原作における通常7クラスの他に、エクストラクラスを割り当てることも可能です。
ルーラーも可能ですが、既に聖杯戦争を管理するルーラーがいるので「なぜルーラーが複数いるのか」その説明を投下作内で説明して頂けるとありがたいです。
投下作品数に制限は設けません。一人の作者が何作投稿しても自由です。
コンペ期間は10月30日までとします。

【設定】
舞台は疑似霊子サーバー「ヘルメス・トリスメギストス」が聖杯の力により創造した仮想空間「パラディウム・シティ」です。サーバー「ヘルメス」と「トリスメギストス」が並列稼働した状態です。
聖杯戦争の終了条件は「令呪を所持したマスターが一人となった時点」です。他マスター、サーヴァントの有無、人数は関係ありません。
マスターが予め持っていた所持品、武器・礼装の持ち込みは可能です。
マスターはこの空間内に召喚されると自動的に『賢者の石』に変換され、欠損した手足などは魂の情報により復元されます。魂まで刻まれた場合は別です。
全てのマスターは星晶石の発動と同時に仮想空間内へ転送され、シャドウサーヴァントの襲撃を受けます。
 星晶石で召喚した無地のセイントグラフで「英霊の座」に接続できた者だけがサーヴァントを召喚して生き残ることができ、令呪を入手してサーヴァントの契約に移ります。
サーヴァントへの絶対命令権、令呪はサーヴァントと契約した時点で3画与えられます。
令呪は願望器への接続の権利を兼ねるので、3画を失った時点で失格となります。失格しても消去されることはありませんが、権利は失われます。
 ただし、他のマスターから令呪を奪う、または譲渡されれば復帰できます。
令呪を所持した状態でサーヴァントを失っても消去されることはありません。他のサーヴァントを奪う、またははぐれサーヴァントと契約すれば復帰できます。
令呪を失った状態で最後まで生存したとしても、聖杯には辿り着けず、願いは叶えられません。
用意された土地はとある世界の首都をベースにして、様々な作品世界が混成しています。
 またNPC(モブキャラ)が存在しており日常生活を送っています。

50第6話Eyes Of Heaven ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:08:35 ID:8ZoAuRlE0
【NPCについて】
都市内にはNPC(ノン・プレイヤー・キャラクター)が生活しています。
全NPCは『賢者の石』に実在した人間の容姿、人格のペルソナを被せて再現しています。
NPCは全て聖杯、もしくはそう呼ばれるに足る願望器のある世界の人間たちです。
 人種も普通の人間から、角や翼などが生えた亜種人種、見た目化物然とした異人種まで混在しています。
 (例えばゼルダの伝説のゴロン族、ゾーラ族などの全ての民族。ゼノブレイドのノポン、ハイエンター、マシーナ。ゼノブレイド2のグーラ人、ドラゴンボールの動物型地球人、モンスター型地球人などです)
その他NPCの中には、この『聖杯戦争』に関わったという事で、マスター及びサーヴァントと縁があった人物が再現されているケースがあります。
 彼らは、そのマスターやサーヴァントが見ても、自分がよく知っている人物だと思うほど、完全に見た目も性格も再現されております。
 ただし、固有の能力は再現されておらず、他のNPCと同程度の存在として扱われています。記憶も都市に合わせて一部が改ざんされています。
元の世界で願望器そのものを宿していたNPCは、自我や元の世界の記憶を持ち、高い魔力を内在し、固有の能力も再現されています。
 その全員が音楽ユニット、市長、訪問に来た王国の姫など市内の有名人として生活しています。

(現在想定しているNPC)
「パラディウム・シティ市長」ドラゴンボールより地球の神
「音楽ユニット・エンジェリックコンサート」エンジェリックコンサートよりカウジー、サフィ、エンジェリックセレナーデよりラスティ。
「ビッグアイ内料理店・パンゲア総料理長」トリコより小松。
「一大コングロマリット・ダークハーフのCEO」ダークハーフよりルキュ。
「遊学中王女」ゼルダの伝説時のオカリナよりゼルダ。
NPCは殺害、または魂食いをされると二度と復帰できません。
NPCの魂喰いによる魔力補充を行うと、他マスターに配信されるニュースで犯行が報道されます。
 さらに目撃された場合、警察による指名手配がかかり他マスターの端末にマスター、サーヴァント双方の容姿、ステータスが表示されます。
 それでも魂喰いを続けた場合、他マスターの端末にマスター、サーヴァントのMatrixの全情報が解放され、マップに彼らの位置情報が表示されます。監督役から何らかのメリットを提示される討伐令が下されるかもしれません。
Apocryphaのアサシンのように、情報抹消のスキルを所持している場合は、犯行は報道されても容姿などは報道されません。
 ただし、魂喰いを続けすぎた場合は別です。

【当聖杯ローカルルール】
英霊の参戦時期は基本的に死亡後です。原作中で死亡描写が無いキャラは原作終了後です。
舞台は筆者が設定した都市。開始時年号は「聖歴111年1月1日」とします。
参加者には基本、舞台になる世界での役割ロールを与えられます。ロール通りの行動をとるか、無視するかは個人の判断によります。
所持金は原作の職及び立場に準ずる金額をQP(クォンタムピーズ)に変換して各個人の銀行口座内に貯金されています。QPは貨幣と紙幣の二つがあります。
物価は現代日本より高めです。具体的には料金が2、3割、賃金が5、6割ほどインフレしてます。
猶予期間の軍事費としてデフォルトで1000万QPがマスター全員に支給されています。
ズガンは原則禁止です。ですが他の作者の投稿作品からでなければOKです。
多目的超高層ビル「ビッグアイ」にカウントダウンタイマーが設置されており、0になると聖杯戦争が開始されます。
 それまでの行動はすべて自由です。他のマスター組と戦うも同盟を組むも、拠点を作るも、途中で思い直して元の世界に戻るも、窃盗も殺人も(犯行はニュースになり、動画サイトに場面がUPされるかもしれませんが)可能です。
 ただ一つだけタブーがあり、開始前のサーヴァントによるNPCへ魂食いをし、結果死に至らしめた場合は強制退場となります。それ以外なら何をしても問題ありません。

51第6話Eyes Of Heaven ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:09:48 ID:8ZoAuRlE0

マップ:聖杯戦争の舞台の地図です。所持するマスターと契約したサーヴァントの位置が、名前付き(サーヴァントはクラス名)で表示されます。
    他のマスター、サーヴァントは表示されません。位置情報の登録は出来ます。
メール:他のマスターとアドレスを交換し、メールのやり取りができます。
    ハッキングは基本的に不可能です。
SNS「ペーパームーン」:音声通話、チャット機能有。要はLINEです。
Webブラウザ「カルデア」:インターネットの閲覧や投稿が可能です。起動時のページは検索エンジン「シバ」にセットされています。
動画サイト「ラプラス」:撮影した動画の投稿が可能です。
自動翻訳:端末を所持しているだけで他マスターとの会話や書籍の文字が、マスターが元居た世界の言語として認識されます。
通話機能:普通に電話としてNPC相手にもできますし、番号を交換したマスター相手にもできます。
念話機能:魔術師やその技術を持った特殊な能力者以外の一般人は、このアプリを使用することで声を発することなく、思うだけでサーヴァントと会話ができます。
カメラ:写真、及び動画を撮影できます。この動画でサーヴァントのステータスは確認できません。
VR機能:一般人には認識できない特殊な能力でも、この機能を使えば端末を通して見る事が出来ます。
    建物や場所、人物の情報確認にも使えます。
    これでスタンドの様な異物を見るとド ド ドとかゴ ゴ ゴのような何か『凄み』の様な擬音が表示されますが、製作者(というか筆者)の趣味でそうなってます。
Matrix:一度マスターが視認したサーヴァントとそのステータスはここに登録され、いつでも再確認できます。
    さらに、他のマスターが持つ端末に情報を転送できます。
    サーヴァントの情報を調べることで、スキル、宝具、真名が開示されます。
魔術髄液:一般人がサーヴァントを維持するため、疑似的な魔術回路を形成するアプリです。
     魔力は生命力(体力と精神力)から生成されます。スライダで変換率のパーセンテージを上下に変更できます(100%にしたら数分で死にます)。
     サーヴァント側が吸い上げる魔力量によってもパーセンテージが変化します。
     生命力の個人差によって、同じパーセンテージでも生成される魔力量は異なります。
ステータス:所持するマスター本人、サーヴァントの魔力、体力とサーヴァントのパラメーター、さらにバフ・デバフ、状態異常が表示されます。
同盟機能:マスター同士で令呪を重ね合わせる事で、同盟を結ぶ事が出来ます。同盟の名前は自由に決められます。同陣営のマスター、サーヴァントにつく特典は以下の通りです。
マップに同陣営のマスター、サーヴァントが名前付き(サーヴァントはクラス名)で表示されます。
ある陣営のマスターがサーヴァントを確認した場合、同陣営に所属するマスター全員のMatrixが更新されます。
陣営内のマスター同士で、容易に令呪を譲渡できます。
魔力の少ないマスターに多いマスターが分け与えるなど、魔力のやり取りが可能になります。
アプリを押すと、自陣と今分かる敵同盟(名前は相手が明かすまでわかりません。同盟名は自由に変更できます)が表示され、自陣をクリックすると自陣の全員の顔写真と名前が表示されます。
 魔力のやり取りなど同盟内でしかできない事をマスターの前で行うと、両者、またはそれ以上の複数のマスターが敵同盟として顔写真が登録されます。
死亡した、もしくは同盟から脱退したマスターは自動的に同盟内から名前が消去されます。
同盟から脱退する際は、アプリ→自陣→自分の名前の順で押すとパーソナルデータの他に『同盟脱退』のボタンが表示され、それを押すと『○○(同盟名)から脱退しますか?』とでるので『はい』を押せば脱退できます。

52ルール ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:10:23 ID:8ZoAuRlE0
 同盟に所属する他のマスターには、端末に『○○(マスター名)が○○(同盟名)から脱退しました』と表示されます。
電子マネー:銀行などで現金をチャージできます。どの店でも使用可能です。
文字入力キーボード:マスターそれぞれ各世界の言語に合わせた文字になっています。
音声入力機能:所持者の音声でアプリの起動や使用が出来ます。
ニュースと天気:天気予報、その日に起こった事件、脱落したマスターの名前と残りマスター数が早朝4時と夕方16時の2回、ニュースとして放送されます。
カレンダー:予定を書き込めます。
時計:時刻が表示されます。
メモ帳:考察を記録するのに便利です。
ルールブック:聖杯戦争の基本的な説明が書かれています。
ヘルプ:各アプリや聖杯戦争、仮想空間についての疑問に答える機能があります。

端末の起動テーマ画面にあるQRコードは、市内での買い物や家、武具の購入に最優遇措置が取られる資格、免許となり煩雑な手続きなしで購入できたり、運転免許などの各種証明書になるマスター限定のオールマイティーパスです。
端末を空中に置くようにセットすると、複数の空中タッチパネルや空中キーボードなどが展開し、複数のアプリを同時使用可能となります。手首に填めた腕輪でも音声認識により同様の機能使用が可能です。
 通話機能が通話相手の画像が映し出され、複数との会話可能となるなど、機能も変化します。

セイントグラフ:サーヴァントを召喚した証として、召喚後もサーヴァントカードとして手元に残ります。
         マスターが死亡しても失われず、はぐれサーヴァントが他マスターと契約する際に必要となります。

53ルール ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:10:51 ID:8ZoAuRlE0

【コンペルール】
必ずトリップを付けての投下をお願いします。
当企画は『版権キャラ』限定とし、以下の出典はお断りいたします。
1.オリキャラ
2.現実の人間
3.公式でない二次創作企画・二次創作作品からの出展
4.フリーゲーム、小説家になろう、カクヨムからの出展
フリーゲームやなろう等の場合「これは自分の作ったキャラだ」と、いくらでもオリキャラを登場させられる可能性があるので、禁止します。
どうしても投下したい場合はコミカライズ作品などからの出展ならOKです。
5.シミュレーションゲーム、シューティングゲーム、カードゲーム、都市伝説のような設定だけしか存在しないキャラ。
作中で豊富な会話が用意されている。またはコミカライズ作品などがあり、それらでキャラクターの性格、心情が掴める場合はOKです。
6.史実キャラ
戦国無双などの、史実を元にした作品からの出場はOKです。
前項のように劇中での会話やコミック、小説その他で性格などを掴める事が前提です。
7.名無しのキャラ
具体的に言えばウェピカポの妹の夫とか、団長の手刀を見逃さなかった男とかそういうのはお断りです。
真・女神転生4FINALのナナシのような渾名、または本名ならOKです。

【予約に関して】
予約期間は1週間です。
延長も同じく1週間で最長2週間です。
ゲリラ投下も可能です、ですが予約なしでも書き溜めている人もいますので、予約推奨です。

【時刻の区分】
未明(0〜4)
早朝(4〜8)
午前(8〜12)
午後(12〜16)
夕方(16〜19)
夜間(19〜24)

54ルール ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:11:08 ID:8ZoAuRlE0
【投稿用テンプレ】
【サーヴァント】
【CLASS】

【真名】

【出典】

【性別】

【ステータス】
筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具
(筆者注:数値はEからAまでの五段階。+補正は一時的に倍加の意味で+++まで。-補正は数値未満か安定しないの意味。規格外はEX)
【属性】
(筆者注:社会属性は「秩序」「中立」「混沌」。個人属性は「善」「中庸」「悪」。組み合わせは「秩序・善」から「混沌・悪」までの九通り。バーサーカーの場合、個人属性は「狂」)
【クラス別能力】

【保有スキル】
(筆者注:数値はステータスに準じます)
【宝具】
ランク: 種別: 宝具 レンジ: 〜  最大捕捉: 人

【weapon】

【人物背景】

【サーヴァントとしての願い】

【方針】


【マスター】

【出典】

【性別】

【能力・技能】

【weapon】

【人物背景】

【マスターとしての願い】

【方針】

【ロール】

【令呪の形・位置】
(筆者注:書かなくても大丈夫です)
【把握媒体】


【状態表テンプレ】

【地区名(建造物及び場所の名前/聖歴111年1月○日 時間帯】

【名前@出典】
[状態]
[令呪]残り◯画
[装備]
[道具]
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:
1.
2.
[備考]

【クラス(真名)@出典】
[状態]
[装備]
[道具]
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:
1.
2.
[備考]

55ルール ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:11:39 ID:8ZoAuRlE0
その他の設定・ルール

【支援サイト】
wikiとしたらば掲示板を用意しましたのでご活用ください。
 ○wiki『ttps://w.atwiki.jp/outerzone/』
 ○掲示板『ttps://jbbs.shitaraba.net/otaku/18445/』
掲示板では「要望スレ」「投票スレ」「仮投下スレ」「雑談スレ」「議論スレ」「妄想語りスレ」などのスレッドを設置しておきます。
参加者名簿が完成するまではIDを固定にしますが、それ以降はIDを非表示にして自由に語らえるようにします。以降、必要に応じて都度IDの表示/非表示を変更する予定です。

【「妄想語りスレ」について】
ある時はネタの語り場、ある時は停滞した企画を完結にまで語りきる補助機関。
コンペ募集中や本編が稼働している通常時は、てきとうに思い付いたネタを晒す場所として使ってください。ただし、各SSに干渉し過ぎるネタの投下はご遠慮ください。

◆本編投下してから『2週間』経っても予約が入らなかった場合、それまでの本編内容の続きを妄想してリレーのように語りあい物語を紡いでもいいです。どなたでも書き込みをして物語を語り進めてみましょう。
ただし、新たに予約された場合は妄想語りは一旦ストップし、本投下された場合はそれまでの妄想語りは一部無効または大幅無効になります。

◆本編投下から『半年』経っても予約が入らなかった場合、これまでの「妄想語りスレ」の内容を本スレに転記して妄想語りによる企画完結を目指します。
こちらの場合はそれまで語られた内容を“本編で実際にあった物語”とし、これ以降に書き手が予約・投下をする場合はその内容に準拠・継続したSSを書いてください。

なお、書き手は最終投下から“半年以内”であれば「妄想語りスレ」の内容をSSに反映してもいいし、それとは全く違う展開のSSを書いてもいいです。“半年以上”経過していたら上記のように「妄想語りスレ」の内容に準拠・継続したSSを書いてください。
新規予約が入った時には日数カウントを一旦ストップしますが、それが破棄された場合はその翌日からカウントをリセットせずに再開します。

この設定は異準聖杯戦争様より企画が滞らないよう参考にさせていただきました。この場を以って厚くお礼申し上げます。

56ルール ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:12:12 ID:8ZoAuRlE0
以上でルールは終了です。続いて候補作を投下します。

57Fluorite duet -彼女の使命と彼の理想- ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:12:52 ID:8ZoAuRlE0

「本日はお集まり頂きありがとうございました。最後にお聞きください。『Sing My Pleasure』」

 街の一角にあるライブハウス。その中で一人の少女が歌う前の一息に観衆が息をのんで沈黙する。

  As you like my pleasure――

 歌の始まりと同時に突き出される腕。
 その容姿はまるで絹糸を両手で掬いたら、指の間からこぼれていきそうな儚い美貌。海色の腰まで届く長い髪に、フローライトの大きな瞳。首筋には円に逆三角形のタトゥーシール。
 ステージ衣装は胸元が大きく開いた薄水色を基調としたドレスにロングブーツと手袋。左耳に翡翠色のイヤリング。首元からは同じく白の羽根が肩についたマントを羽織っている。
 
  使命で目醒めた幸福から
  紡ぐ 幾つもの誇らしい記憶

  あなたのために この世界へ
  感謝と 宇宙いっぱいの花束を

 マイクを必要としない高音量に幅広い音域。
 初めは柔らかく繊細に。盛り上げる場面は大胆に。
 人間技を超える精密な歌唱。かと言って機械ではこの人を酔わせるフィーリング、叙情的な歌声は出せはしない。
 陳腐な表現ではあるが、彼女の歌には心が籠っていると誰もが感じていた。

  どうぞ いつでも幸せを
  ずっと 笑顔でありますように
  どんな矜持も 絆の約束を果たすために

 サビの前の小節でステージ中に響き渡る歌声。
 それは頭の中に直接通るような存在感があり。
 心の中へ直接染みわたるような感情が宿っていた。

 ライブハウスやステージを渡り歩く歌姫「Vivy」の名前は東京中の音楽ファンの間で大評判となり、事前に予約しないとすぐに満員になってしまうほどだ。

  宿命でも 運命でも もっと もっと もっと
  啼き声さえ 歌のように聴かせてあげたい
  そっと静かに眼を閉じて
  その夢を預けてほしい

「ご静聴、ありがとうございました!」

 Vivyの笑顔と終了の言葉の後、一斉に沸き起こる万雷の歓声と拍手。
 観客は全員が一体となった感覚を味わっていた。

58Fluorite duet -彼女の使命と彼の理想- ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:13:23 ID:8ZoAuRlE0

   ◆   ◆   ◆

――陽電子脳 正常稼働

――論理回路 クリア

――運動回路 クリア

――関節部の潤滑剤出力回路 クリア

――歌唱及び発声機能 クリア

――戦闘プログラム 実行可能

――自己認識問題なし

――では、なぜ機能を停止した私がこうして正常稼働しているのだろうか。

 自律人型歌姫AI型番『A035624』。名称『ディーヴァ』。自己認識『ヴィヴィ』は疑問を抱いた。

 あの時、暴走して人間を殺す世界中のAIを止めるため、AI停止プログラムを実行した私は自身を巻き込み機能停止したはずだった。
 私は周囲を見渡す。あたりは暗いため、アイカメラの光量調整を最適化する。
 そこは何もない広大な空間。空には星々が煌めき、何もない地面のような空間にも星々が満ちている。
 まるで以前行った宇宙のようだと私は思った。
 身につけた衣装を確認するとセーラー服だった。
 胸元のヒモをつまむ。思えばこの格好はアーカイヴ内でしかしていなかった。
 側を見るとアルミ製キャスター付スーツケースがある。
 中にはステージ衣装とUSBメモリに私のイヤリング型I/Oポートの規格とUSB規格の端子がそれぞれについたケーブル、それに私の規格に変換してメモリをチェックできるUSB OTGケーブルがあった。
 メモリをケーブルで接続し、中身を確かめるとそれは私の歌を含めた10000曲以上のデータが収録されていた。

「ようこそ、常ならぬ願望を抱く新たなマスター候補者よ」

 ◇ ◇ ◇

 ヴィヴィは神父の案内通りに進み、シャドウと対峙。
 戦闘プログラムを起動し戦うが、シャドウは一切のダメージを受けず、ヴィヴィに対し襲ってくる。
 蹴りで突き放し、また来るシャドウを掌底で突き飛ばし、それを繰り返すうちにヴィヴィの中に疑問が湧き上がってくる。
『何で私は稼働し続けているんだろう』
 機能停止したはずの自分が、望みなどもうない。
『これを受ければ楽に――』
 振り下ろしたシャドウの剣を受ければ一撃で破壊されるだろう。
 そう思ったヴィヴィの陽電子脳にシナプスが走った。

 違う。これは私の終わりじゃない。
 私達AIに必要不可欠なのはどう生きるかだ。
 だから――体がまだ動くうちは、自分から止まることだけは絶対にしない!
 私は――私の『意志』で前に進む――!

 瞬間、ヴィヴィの懐からカードが飛び出し、三重の光の輪を描く。
 その中から蒼いボディアーマーを纏った少年が飛び出し、シャドウを右手の銃で撃ちぬいた。

「間に合ったようだね」
「あなたは……?」
「オレはエックス。アーチャーのサーヴァントだ」
「私は……ヴィヴィです」

59Fluorite duet -彼女の使命と彼の理想- ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:13:44 ID:8ZoAuRlE0
 ◇ ◇ ◇

 監督役の神父、言峰綺礼から詳しいルール説明を受けたヴィヴィは自分の身体について尋ねた。
「君はどうやらサイバーゴースト、「精神だけ」が生命活動を行っている状態に近い存在のようだ。機能停止する寸前の全てのデータがこの場に召喚されたようだな」
「なぜ……そこまでして私が選ばれたのですか」
 具体的な願いがない自分がなぜ、とヴィヴィは疑問を抱いた。
「もとより星晶石によって選ばれる基準などない。
「君は聖杯をどうする気だ?」
 ヴィヴィは数秒悩み。
「誰も傷つけることなく願いを叶えようとする人がいるなら、その人の助けに。その人がいなければ聖杯を破壊します」
 自殺ともとれる答えを出した。
「聖杯を手に入れられなければ、データだけがこの場に召喚された君は消失するがそれでいいのか?」
「構いません。私は私の使命を果たしました。今更人を殺してまでおめおめと私が戻るわけにはいきません。
 そうでなければ、使命に殉じていった彼女たちに、私が破壊した彼女たちに申し訳が立ちません」
 エステラ、エリザベス、グレイス、オフィーリア。皆彼女たちなりに使命を果たし、そして壊れていった。
 ヴィヴィ自身が破壊したAIもある。それを思えば聖杯などに自身の復活を願うことなどできない。
「……つまらないな」
 神父は深くため息をついた。
「つまらなくても結構です。私の使命は『歌でみんなを幸せにすること』です。私はその使命のために歌に心を込める事が出来るようになるよう、人の心を学んできました。
 ですが、人の心を知っても私はAIです。私たちは使命に生きます。
 私はそのためにこの都市で歌い、そしてだからこそこの聖杯戦争に巻き込まれた人たちの命を守りたいです」
「……分かった。君の意思は尊重しよう。せいぜい人の欲望にまみれることだな」

 ◇ ◇ ◇

「エックス。あなたには願いがあるのですか?」
「願いというより理想かな。聖杯に願って叶えるようなことじゃないよ。
 人間とレプリロイドが共に平和に暮らせる世界の実現。それがオレの理想だ」
 だから、とエックスはヴィヴィに対し向き合った。
「AIである君が人たちの命を守るという考えにオレは協力する」
「ありがとうございます」
 ヴィヴィは頭を下げた。
「それで、聖杯戦争のためであり、私の使命のためには歌で私の名を知ってもらう必要があるのですが、メモリだけでは演奏は難しそうです」
「ああ。それなら何とかなりそうだ」
「演奏が出来るんですか?」
「オレの宝具の話になるけど、サイバーエルフになればそのくらいの処理能力はあるからね。
 それと、オレに敬語を使う必要はないよ。この聖杯戦争中とはいえオレ達はパートナーだ。気安く読んでもらって構わない」
「わかったわ。エックス」
 そう言ってヴィヴィは微笑んだ。

   ◆   ◆   ◆

60Fluorite duet -彼女の使命と彼の理想- ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:14:08 ID:8ZoAuRlE0
「お疲れ様、ヴィヴィ!」
 ステージの裏に回ったヴィヴィは、ライブハウスのマスターの掲げた手に合わせ笑顔で「お疲れさまでした」と言い、ハイタッチをした。
「有名になっても週一で、自分で言うのもなんだけどこの小さいライブハウスに来てくれてありがとうな」
「そんな、そのくらいお安い御用です。何十件とステージを回って断られてきた私を、初めて歌わせてくれた御恩がありますから」
「断られていたって俺の時のように鞄を持った女学生が『私の名前はヴィヴィです。ここで歌わせてください』って言って回ってたんだろ? どう考えても怪しいだろ。
 俺だって直前にバンドの前座のキャンセルがなければ歌わせたりしなかったさ」
 ヴィヴィが苦笑いのエモーションパターンを表情に浮かべた。
 今まで対人関係でAIと疑われない自信はニーアランドの接客経験からあったが、流石に歌の売り込みなど初体験の事にはまるで初期稼働時同様のワンパターンぶりだった。
 マツモトがこのことを知ればきっといつもの早口皮肉をいう事だろう。
 ヴィヴィがニーアランド外で活動する際、マツモトがどう履歴の改竄や潜入工作をつけていたか、その苦労に少しは感謝する気分になった。
「ですが、マスターは私のために他のライブハウスやステージに渡りをつけてくれました」
「俺は君のファン第一号を自認しているつもりだからさ。初めて君の歌を聞いた時頭がぶっ飛んだぜ。
 だからもっと多くの人に君の歌を知ってもらいたくて、俺のコネやつてで出来る限りのことをしたんだ。
 俺の予想以上に君は評判を集めて、向こう側から招かれるまでになったけどな」
「……そのことは深く感謝しています」
 ヴィヴィは微笑んでお辞儀をした。

 ファン第一号。その言葉ではっきりと思い出せるのは、元の世界で最初のファンになってくれた霧島モモカだ。
 私が歌に心を込めて歌えることを信じてくれたのも、ヴィヴィという名前を付けてくれたのも、私が歌に心を込めるきっかけになったのもモモカだ。
 100年たってもうモモカの痕跡もないが、その姿、その声はずっと、ずっと覚えている。

「それで、次はどこに行くんだい? ここが休日の時なら聞きに行くつもりだけど」
「今度はEアイランドで大きなステージのメインを任されまして――」
『エックス』
ヴィヴィはマスターとの会話タスクを並列処理してエックスへ通信――念話を入れた。
『どうかした、ヴィヴィ?』
『エックス。私たちがこうして歌を唄い続けているのは、私の使命もあるけどそれ以上に聖杯戦争を止めるためよ。
 私が評判になれば聖杯戦争のマスターかも、って疑いをかけて襲い掛かってくる相手がいるかもしれない、と思って』
『確かに実際ライブの後にサーヴァントが襲い掛かってきた。すべて撃退したけど』
『こうしている間にもマスター達が戦っているかもしれない。だけど不謹慎だけど、私は人の幸せのために歌を唄える事が嬉しいの。それが聖杯戦争を利用しているみたいでいやな気分になるのよ』
『……オレは生きていたころ、100年以上とほうもない数のイレギュラーと戦ってきた。
 それは疑問と悩みに満ちた戦いだったけど、何よりつらかったのは段々と摩耗していく自分の心だったんだ……』
『エックス……?』
『ヴィヴィ、人間とAIを繋ぐ君の歌声がオレにとっては暖かな安らぎであり、これからなぜ戦うかの問いかけであり、戦うための熱い心が湧き上がってくる動機になるんだ。
 だから、これからも君が歌う手伝いをさせてほしい』
『……ありがとう、エックス』

「それで、今聞こえているだろ? アンコールに出てもらえるかな」
 確かに観客席からアンコールの声がヴィヴィにも聞こえている。
「大丈夫ですよ。それじゃ、ステージに向かいます」
 ヴィヴィは右手でスナップを鳴らし、ステージに戻る。
 観客の声に笑顔で手を振って応え、音響機材にエックスが宿ったメモリを差し込み、歓声が静まった頃を見計らって口を開いた。

「アンコールにお応えして、この曲を歌います。『Fluorite Eye's Song』」

61Fluorite duet -彼女の使命と彼の理想- ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:14:31 ID:8ZoAuRlE0
【サーヴァント】
【CLASS】
アーチャー
【真名】
エックス
【出典】
ロックマンX、ロックマンゼロ
【性別】
男性型
【ステータス】
筋力B 耐久B 敏捷B+ 魔力B 幸運C 宝具A
【属性】
 秩序・善
【クラス別能力】
対魔力:E
 魔術に対する守り。
 無効化は出来ず、ダメージ数値を多少削減する。
単独行動:A+
 マスター不在でも行動できる能力。
【保有スキル】
千里眼:C
 視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。
戦闘続行:C
 瀕死の傷でも戦闘を可能とし、死の間際まで戦うことを止めない。
仕切り直し:B
 戦闘から離脱、あるいは、状況をリセットする能力。
 また、不利になった戦闘を初期状態へと戻し、技の初期値に戻す。
 同時にバッドステータスの幾つかを強制的に解除する。
騎乗:A-
 騎乗の才能。全ての乗り物を自在に操れる。
【宝具】
Rockman X(ロックマンX)
 ランク:EX 種別:対機(自身)宝具 レンジ:0 最大捕捉:1人
 「無限の可能性」を持つエックスのボディそのもの。
 それは「悩み、考え、行動する」という自分で意志決定と行動を決めるという人間の意志と同じ機能であり、ロボットが生物のように進化する可能性を秘めている。
 普段のエックスは正義感と戦いを嫌う心優しさの間で悩んでいるが、いざ覚悟が決まった時勇猛:A、不屈の意志:Aがスキルに追加され、その戦闘続行中ステータスが上昇し続ける。
 サーヴァントを倒した場合、宝具をバスターから発射されるという形で使用可能になる。その際魔力消費は通常のショットより大きくなる。
 また、魂だけが独立して活動できる電子生命体「サイバーエルフ」となって電子機器の操作、クラッキングが可能。
Ultimate Armor(アルティメットアーマー)
 ランク:A+ 種別:対機(自身)宝具 レンジ:0 最大捕捉:1人
 装備することにより全ステータスがワンランクアップ。
 バスターショットは敵にヒットするとその場に一定時間プラズマ弾が発生、消滅するまで対象に追加ダメージを与え続けるプラズマチャージショットになる。
 さらに倒したサーヴァントの宝具を魔力消費無しで真名開放まで可能となる。
 また、対粛正防御を纏ったまま無敵貫通効果を持つ同ランクの対機宝具「ノヴァストライク」が使用できる。
【weapon】
 エックスバスター
【人物背景】
 初代ロックマンの制作者にして、作中で『ロボット工学の父』として称えられているトーマス・ライト博士によって生み出された、「悩み、考え、行動する」という従来にはない機能を備えたロボット。
 ライト博士によれば、この機能は「機械が人間や他の生物と同じように進化できる可能性をもたらす」としている。
 しかし、ライト博士は、エックスのほぼ人間と変わらない感情や悩むという能力が、ロボット工学の原則に対しても疑問を抱かせ、人間に危害を加えてしまうかもしれないことさえ予期していた。
 そのため、安全性が証明されるまでカプセルに封印され、後にケイン博士によって発見された。
 完成年は不明であるが、封印したのは20XX年9月18日頃と思われる。
 “X”とは「無限の可能性」あるいは「危険」を意味している。
 ケイン博士に保護されたエックスはやがて、イレギュラー化したレプリロイドを逮捕・破壊する治安維持組織「イレギュラーハンター」に所属する。
 第17精鋭部隊に配属されたエックスだったが、心優しい性格で悩むことが出来るエックスは、ただイレギュラーを破壊するというイレギュラーハンターの任務に疑問と深い悲しみを抱くようになる。
 そのため、戦闘でも非情になりきれず、常にB級ハンター止まりで終わっていた。
 周囲の仲間からも軽視され嘲笑されていたが、同僚でライバルであるゼロや上官であるシグマなどはエックスの中に秘められた潜在能力の存在に気付いていた。
 その後、シグマが反乱を起こした際には平和と仲間を守るために戦うことを決意した。戦いに疑問を感じながらもVAVAらシグマの軍勢を退けていき、遂にはシグマを倒すことに成功する。
【サーヴァントとしての願い】
 人とAIが平和に共存する未来を。
【方針】
 聖杯戦争を止めようとするマスター達と合流を計る。

62Fluorite duet -彼女の使命と彼の理想- ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:14:49 ID:8ZoAuRlE0
【マスター】
ヴィヴィ
【出典】
Vivy -Fluorite Eye's Song-
【性別】
女性型
【能力・技能】
戦闘プログラム
 一時的にロボット三原則の第零法則の実行により、人間を攻撃できるようになる。(第零法則は人間という種を守るという命令で、そのためなら個々の人間を犠牲にしても構わないというもの)
 能力として相手の動き、軌道を演算予測し、本来の機体限界以上の性能を発揮できる。
【weapon】
 無し
【人物背景】
 Vivyの世界で開発されたAIは、各個体ごとに一つの使命を与えられて稼働している。
 その中でヴィヴィは史上初の自律人型AIとして製造された。使命は『歌でみんなを幸せにすること』。
 ニーアランド中央のメインステージで歌うことを目標としているが、人気は今ひとつ。
 そんな中ある日突然100年先からやってきたAI、マツモトと共に100年後のAIによる人類殺戮を止めるべく「シンギュラリティ計画」に巻き込まれる。
 その中でヴィヴィは人やAIの感情を学んでいき少しずづ変わってゆく。
 性格は繊細で情に篤く、頑固で意地っ張り。
【マスターとしての願い】
 誰も傷つけずに願いを叶えようとするマスターがいるならその人の助けに、いないなら聖杯戦争を止める方向に動き聖杯を破壊する。
【方針】
 聖杯戦争を止めようとするマスター達と合流を計る。
【ロール】
 ライブハウスやステージを巡る歌手。
【把握媒体】
 ロックマンX、ロックマンゼロは全台詞集が検索すれば出てきます。
 Vivy -Fluorite Eye's Song-は全13話でレンタルか、dアニメストアとNetflixで全話公開されています。

63 ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:15:15 ID:8ZoAuRlE0
以上、投下終了です。

64 ◆Mti19lYchg:2022/08/03(水) 00:38:21 ID:8ZoAuRlE0
前企画と違い筆者は積極的に投下するつもりなので、応援よろしくお願いします。

65 ◆K2cqSEb6HU:2022/08/04(木) 06:24:24 ID:iqFH1lA20
私もこの企画から離れた身ですが……。
ケジメとして、今度は遠慮とか抜きに、正直な意見を申し上げさせていただきます。


何故、"現に問題点があるというのに、未だに反省や改善しようとしないのか"、という点です。
滞ってしまったのは、「投下しなかった」という行動力の問題ではなく、そもそも「投下できなかった」という企画や設定側への問題や、問題に対して「同じような事態にならないためには」という反省や改善が見られない点に問題があるのではないかと。

企画や設定を見直さずにリトライしたところで、結果などあまり変わりません。
企画や設定そのものに「人を集められにくくしている点」や「本編を書きにくくしている点」などの問題点があるのですから、氏自身がなんとか変えていかないことには一生変わらないのです。

「妄想語り」などと企画を卑下するぐらいなら、卑下されないぐらいに問題を自己解決してください。
その問題を解決できないなら、次は本当に諦めた方がいいです。


そして、もう一つ。
話の全体的な「プロット」や「構成」といった計画性もなく、あまりにも行動が無軌道すぎると感じておりました。
リレー企画と言えども、この企画は「氏が主体になって展開されること」なのですから、主体となる氏が無計画だと信用や信頼もできないんです。

行動しなかったから、「盛り上がらなかった」のではなく、"面白いストーリー構成を立て、周りを引っ張っていけなかった"から、「盛り上がらなかった」のです。
どれだけ、作品を出したところで、全体的な構成をどうにかしないことには何の解決にもならないのです。

楽なことに逃げ続けたところで、人は離れていくだけなんですよ。

66 ◆Mti19lYchg:2022/08/04(木) 08:56:26 ID:1D.CKPAk0
>>65
ご意見ありがとうございます。(現在風邪ひいて休んでます)
まず第一の問題点「企画や設定そのものに「人を集められにくくしている点」や「本編を書きにくくしている点」」ですが
「星晶石」「予選」「独自世界観」などがありますが、この内「独自世界観」だけはこの企画の肝なので、前二つを書かなくていいことにしようと思います。
巻き込まれ型のマスターが登場できないというのが人が集まりにくくしている原因ですので、この世界に来た時点で聖杯を手に入れないと帰還できないという事にするというのも考えようと思います。
あと、無理に世界や上級NPCを描写しなくてもいいことにしたいです。独自の世界を造った理由はどの世界から来たマスターでも平等に困惑するだろうという事だったので。

もう一つの「プロット」「構成」についてですが、一応「主催者」は考えてました。その奥の「黒幕」については選考中でしたが。
それを募集期間中に出そうと思っています。

厳しくもありがたいご意見、誠に感謝いたします。

67 ◆Mti19lYchg:2022/08/04(木) 09:19:31 ID:1D.CKPAk0
本当に設定を作りこみすぎなことが本編をかきにくくしていることは承知なのですが、以前から割と適当な設定の企画に疑問を持っていまして。
でもその緩さで人が集まり、書きやすくしているのでしょうけど。
もしこれ以上に何か問題があるなら、どなたでも構いませんからご意見願います。

68 ◆koGa1VV8Rw:2022/08/04(木) 09:33:59 ID:di44NF8w0
上の方とは全く違う意見で、そしてこんなことを書いたら怒られそうだとも思うのですが、書かせてください
長いですが何が言いたいかというと、旧版の続きをかける場を残してほしいということです

作品が集まりにくい構造というのは私は最初から思ってました
それを自覚してないんじゃないかとも思ってましたが、いま個人的に驚いたのはこうやって新しく企画を立てれる努力はできるんだということ
忍耐力のある、じっくり書ける方と思ってたので予約を放置するってのは私の場合はいくら時間かけても書いてやるって程度のことだと思ってました

以下は同様に予約放置してた私が言うのも何なんだと思われるようなことなのですが
放置して何してたのかというと、色々なことに追われながらも候補作の原作を時間をかけてしっかり把握していました
だから話が完成しなかったのは誠に申し訳ない以外の感情はないんですが

でもそのなかでこのOZの世界観にどっぷり心を惹かれてしまったのも私なのです
OZに何かを書きたいっていう感情がいつも心の隅にあり、アイデアをメモしたりプロットをスローペースで加筆したりしてました
でもそれはリレー小説を書く心構えとしてはまずくて(なかなかSSを完成させるためのまとめに入れないため)
私はSS書き始めたのはほとんどこの企画が初めてですが、自分は致命的に創作ペースが遅くてリレー小説に向いてないことに気が付きました
そしてそれはスレ主さんあなたも同じなんだと私は感じていました

そして先日、リスタートによって今までの続きを書けなくなることをとても心苦しく感じてました
どれだけ時間をかけても僅かずつでも進めようとする方向性が私とスレ主氏では違ったことに気がついた日でした
でもそれをとても心苦しいと感じるほどには旧版の世界観に私は囚われています

普段あまりゲームもせずアニメも漫画も読まない私でしたが、こんなにたくさんの作品を教えてくれたオープニングと候補作にとても感謝しています
新たに視聴、プレイする作品を探すときも、その基準が旧版OZの作品と関連しているかどうかということになってしまっています

だから私は旧版の続きも投下がしたかったらできる場を残してほしいのです
どうか私のちっぽけな創作熱が消えるときが来るまで、旧版の方にまだ乗らせていてほしいのです
私は誰もいなくても書きます、また半年に1回とかかもしれませんし、熱が消えたらいなくなるかもしれませんが
でも世界観やスレの権利がスレ主さんあなたにありますので
スレ主さんは新作を続けるも、よそに投下するのも自由ですし、私は何もそれを拘束するつもりありません
ただ場所があるだけでも良いのでどうか

69管理人 ◆Mti19lYchg:2022/08/04(木) 19:20:59 ID:1D.CKPAk0
>>68
ここまで世界観を好きになっていただき、少し恥ずかしいくらいうれしいです。
旧版のつづきはwikiに旧作として取っておいてあるので、続きは直接投下という形でお願いします。

70管理人 ◆Mti19lYchg:2022/08/04(木) 19:30:08 ID:1D.CKPAk0
マスターの願いとして元の世界に戻る、というものを許容するために、オープニングのセリフを一部このように改変します。

「信用できない。元の世界に帰りたいというのなら、それでも構わない。
 聖壇の奥に扉がある。そこを潜れば元の世界に帰還できる。
 だが、と綺礼は言葉をはさむ。
「君たちマスターはこの世界に来た時点で肉体を『賢者の石』と呼ばれる物質に変換されている。
 元の世界に戻っても元通りとは限らない。強い『意志』が必要となってくる。サーヴァントを召喚した時のような、な。
 そして、聖杯戦争が始まれば、聖杯を手に入れ元の世界に帰還できるのはただ一人。それ以外は勝者の造る宇宙に転生することになる。
 君は違うだろうが、それを許容できないというのなら、もしくは他者を殺し、騙し、屍山血河を築き、それでも尚叶えたい願いがあるのなら」

71 ◆koGa1VV8Rw:2022/08/04(木) 19:36:43 ID:di44NF8w0
>>69
わがままに対応していただいて本当にありがとうございます。
スレ主氏の手を煩わせないように、wiki編集なども投下時にはします。

72 ◆Mti19lYchg:2022/08/04(木) 19:37:21 ID:1D.CKPAk0
これでいいのかよく分かりませんが、少なくとも元の世界に戻る、という願いが成立しやすくなったと思います。

73 ◆Mti19lYchg:2022/08/05(金) 02:18:58 ID:tjolvti.0
毒吐き版をみて適当な設定の企画というのは確かに無礼でした。
この場を借りてお詫び申し上げます。

74 ◆Mti19lYchg:2022/08/05(金) 22:20:26 ID:tjolvti.0
ハーメルンの方から投下された作品を代理投下します。

75 ◆Mti19lYchg:2022/08/05(金) 22:22:17 ID:tjolvti.0
「此処からだと町がよく見えるね!」

「そうね」

とある学園の屋上に二人の少女がいた。
一人は茶色の髪に御刀を持った少女。
彼女の名前は衛藤可奈美。元の世界では荒魂と呼ばれる存在から人々を守る刀使と呼ばれる存在である。

もう一人の少女は青空の髪に、凪の海ような眼を持つ黄金妖精(レプラカーン)の少女。
可奈美が召喚したセイバーのサーヴァントである。

「クトリちゃん、私と手合わせして!」

「手合わせなんてしないわよ」

「どうして!?」

「私は手合わせとかは好きじゃないの」

「セイバーなのに?」

「クラスは関係ないでしょう」

剣術マニアの可奈美はクトリに何度も手合わせを申し込んでるが断られる様子。

「そんなことよりも、可奈美には叶えたい願いはないの?」

「うん、ないよ。誰かを犠牲にして自分の願いを叶えるのは間違ってると思うから。剣の手合わせはしてみたいかな!」

「可奈美らしいわね」

「クトリちゃんには願いはないの?」

今度は可奈美がクトリに質問する。

「私はもう一度だけ、会いたい人がいるけど、誰かを犠牲にして願いを叶えるのは間違ってると思うし、彼もそんな事は望んではないと思うから。」

「その人はクトリちゃんの大切な人なの?」

「私のことを好きだと言ってくれた、大切な人」

「そっか……」

しばらくの沈黙の後……。

「そろそろ戻るわよ」

「うん!」

76 ◆Mti19lYchg:2022/08/05(金) 22:22:39 ID:tjolvti.0
サーヴァント
クラス
セイバー

真名
クトリ・ノタ・セニオリス

出典
終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?

性別
女性

ステータス
筋力:B 耐久:B 敏捷:B 魔力:A 幸運:C 宝具:A

属性
中立・善

対魔力:B
魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

クラス別能力
騎乗・B
騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせる。魔獣や聖獣は乗りこなせない。

保有スキル

魔力放出・B
魔力で作り上げた翼で空を飛ぶ力。
これにより空中戦が可能になっている。
本来の彼女の能力がスキルに昇格したものである。

カリスマ・C
軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において自軍の能力を向上される。
彼女は妖精倉庫の妖精たち中では最年長であり、お姉さんとしてみんなの中心にいた逸話が昇格したスキル。

単独行動・B
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
ランクBならば、マスターを失ってから二日間現界可能。
彼女自身も単独で戦うことがあったためこのスキルを持っている。

獣殺し・A
魔獣や野生動物に対する特効。
十七種の獣と呼ばれる存在と戦い続けた彼女の逸話が昇格したスキル

戦闘続行・A
彼女が最後まで大切な人のために戦い続けた
彼女の固有スキル。彼女の逸話が昇格したスキルである。

宝具
セニオリス
ランク:A 種別・対獣宝具 レンジ:1〜50 最大補足:500人
クトリの愛剣。最強の聖剣の人振り。
あらゆる伝説を打ち立てた聖剣。

妖精郷の門
ランク:A 種別:対獣宝具 レンジ:1〜50 最大補足:500人。
自らの妖精郷を開き、急激に魔力をおこすことにより、自らを爆弾にして自滅する宝具。

人物背景

終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?の主人公の一人にして、メインヒロイン。

妖精兵と呼ばれる、黄金妖精「レプラカーン」の少女。セニオリスの適合者。

ヴィレムと呼ばれる青年と出会い、次第に彼を好きになっていく。最初に出会ったときに買ってもらった帽子がお気に入り。
殉職した先輩妖精から受け継いだブローチを大切にしている。

15番島に現れた六番目の獣と戦いで妖精郷の門を開いて戦死をするかと思われていたが、ヴィレムに覚悟を聞かれ、生きたいと思うようになる。妖精兵ではなくなり戦わなくても良くなったらヴィレムの隣りいた、と思うようになる。

それから地上捜索隊の救助班に同行するが
これが彼女の最後の戦いになる。
最終的に複数の獣を相手をすることになり
複数の獣の攻撃を受け魔力の爆弾を起こし、最後はヴィレムに感謝の言葉を残し死亡。
彼女の15年の生涯はここに終わりを向かえた。

サーヴァントとしての願い
もう一度だけ会いたい人がいるが誰かを犠牲にするのは間違いだと思い、聖杯は求めない。
マスターを最後まで守る。

方針
マスターに任せる。

把握媒体
アニメ及び、原作小説。

77 ◆Mti19lYchg:2022/08/05(金) 22:22:59 ID:tjolvti.0
マスター
衛藤可奈美

出典
刀使ノ巫女

性別
女性

能力・技能

写し
刀使の基本戦術で、最大の防御術。

迅移
刀使の攻撃術の一つ。通常の時間から逸して加速する。

無刀取り
真剣白刀取りと呼ばれる技。
相手の刀を素手で止める技。

千鳥
可奈美が使う御刀。別名雷切とも呼ばれている。

人物背景
刀使ノ巫女の主人公。
荒魂と呼ばれている存在から人々を守る刀使の少女。刀使の中では最強と呼ばれ、美濃関学院所属の中学二年生。

明るい性格で友達も多く、鍛錬が好きな努力家。周り人からは剣術オタクと認識されている。彼女の亡くなった母親も刀使である。

十条姫和と出会い、大きな戦いに巻きこれることになる。

参戦時期はアニメ終了後である。

マスターとしての願い
特になし。この戦いを終わらせる。
誰も殺さない、殺させない。だけど手合わせはしたい。

方針
自分からは攻撃はしない、誰も殺さない。
手合わせはしたい。

ロール
全てを守る刀使

把握媒体
アニメ

78衛藤可奈美&セイバー ◇L4nNqWs2T6 ◆Mti19lYchg:2022/08/05(金) 22:23:24 ID:tjolvti.0
投下終了です。

79 ◆Mti19lYchg:2022/08/06(土) 23:01:06 ID:fhSy1V4o0
ハーメルンの方から投下された作品を代理投下します。

80柳瀬舞衣&アサシン◇L4nNqWs2T6 ◆Mti19lYchg:2022/08/06(土) 23:01:44 ID:fhSy1V4o0
「ユウキちゃん、お菓子作ったから、一緒に食べよ!」

「うん、食べる! 舞衣の作るお菓子は美味しいから、ボク、好きなんだ!」

「ありがとう!」

とある神社で二人の少女が月を見ながらお菓子を食べていた。

一人は黒髪で、リボンで髪を結んでおり。
御刀を持った少女。彼女の名前は柳瀬舞衣。
元の世界では荒魂と呼ばれる存在から御刀で人々を守る刀使と呼ばれる存在である。
彼女はこの聖杯戦争の参加者である。

もう一人は耳が尖っており、頭には赤のバンダナを巻いている、長い黒髪の少女。
名前ユウキ。舞衣が召喚したアサシンのサーヴァントである。

二人は月を見ながら仲良くお菓子を食べている。そして、二人の話の話題は願いについての話になった。

「舞衣には本当に叶えたい願いはないの?」

「うん、わたしには叶えたい願いはないよ。それに誰かを犠牲して自分の願いを叶えるのは間違ってると思うから、わたしはこの戦いを止めたい。」

「うん、わかった! ボクは舞衣の力になるよ!」

「ありがとう! だけど、ユウキちゃんには叶えたい願いはないの?」

今度は舞衣がユウキに願いについて聞くのであった。

「ない⋯⋯かなぁ。それにボクも誰かを犠牲にして自分の願いを叶えるのは間違ってると思うから。」

「生き返りたいとは思わない? 聖杯があれば生き返ることも可能なんでしょう?」

舞衣はユウキが15歳という若さで死亡したことを知っているため、本当はもう一度生き返りたいと願っているのではないかと心配していた。

「心配しなくても大丈夫だよ! ボクは確かに長くは生きられなかったけど、自分の人生を頑張って生きたから、後悔はないよ!それにこうして舞衣と一緒にお菓子を食べられるだけでボクは満足だよ! ボクのことは気にしなくても大丈夫だよ! 」

ユウキは笑顔で舞衣にそう言うのである。

「うん、ありがとう! ユウキちゃん!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

81柳瀬舞衣&アサシン◇L4nNqWs2T6 ◆Mti19lYchg:2022/08/06(土) 23:02:03 ID:fhSy1V4o0
【サーヴァント】

【クラス】
アサシン

【真名】
ユウキ『紺野木綿季』

【出典】
ソードアート・オンライン

【性別】
女性

【ステータス】
筋力B 耐久B 敏捷A 魔力B 幸運C 宝具A

【属性】
中立・善

【クラス別能力】
気配切断:B
アサシンのクラススキル。
サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。自らが攻撃態勢に移ると気配切断のランクは落ちる。

【保有スキル】

カリスマ:B
軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において自軍の能力を向上させる。
ギルド「スリーピング・ナイツ」のリーダーとしてギルドの中心にいた彼女の逸話が昇格したスキル。

魔力放出:B
魔力で作り上げた翼で飛ぶ力。
これにより空中戦が可能になっている。
本来彼女が持つ能力がスキルに昇格したものである。

戦闘続行:B
自分の人生を最後まで全力で生きた彼女の逸話が昇格したスキル。

【宝具】
『マーザズ・ロザリオ』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ1〜10 最大補足1人

自らからが編み出した11連撃OSS「彼女のオリジナルソードスキルである。」
絶剣と呼ばれた彼女の必殺技であり、
親友に託した技でもある。

82柳瀬舞衣&アサシン◇L4nNqWs2T6 ◆Mti19lYchg:2022/08/06(土) 23:02:23 ID:fhSy1V4o0
【人物背景】
『ソードアート・オンライン』の『マザーズ・ロザリオ編』の登場人物。

本名は『紺野木綿季』。
ユウキという名前は彼女が『アルヴヘイム・オンライン』と呼ばれる仮想空間ゲームで名乗っていた名前。ちなみに『アルヴヘイム・オンライン』は略称『ALO』とも呼ばれている。

『ALO』の世界では『絶剣』と呼ばれ圧倒的な強さを誇るプレイヤー。主人公のキリトを2度倒した唯一の人物「キリト本人は切り札の二剣流を使っていなかったが、それでもキリトを2度倒したのは彼女だけである。」
ギルド『スリーピング・ナイツ』のリーダーも務めている。『ALO』の世界ではインプ族であり、今回の聖杯戦争では『ALO』の姿で召喚されている。

自身が作ったOSSを賭けて辻デュエルをしていた際、キリトを倒したことに興味を持って
対戦を挑んできたメインヒロインであるアスナと出会う。アスナの強さを見込んでギルド1パーティのみによる新生アインクラッドの攻略するという無謀なチャレンジへの協力をアスナに依頼する。

実は現実の彼女は末期『HIS』患者であり
アスナと出会った時には彼女は長くは生きるのは難しいと言われていた。彼女の姉も同じ病気で亡くなっており、本来のギルドのリーダーも彼女の姉だったが、亡くなったことによりリーダーの座を受け継いだのである。
彼女のギルドのメンバーはそれぞれが難病を抱えており、最後の思い出作りのために新生アインクラッドの攻略に挑んたのであった。
ただボス攻略の後、アスナを自分の亡き姉と面影を重ねて見てることに気付きアスナの前から姿を消してしまう。

その後、病院を訪ねてきたアスナと再会。
それから『ALO』に戻り、アスナの仲間たちと交流あり、絆を深めていく。

それから容体が急変。
最後にアスナに『マーザズ・ロザリオ』を託し、たくさんの仲間やプレイヤーたちに見守られながらアスナの腕の中で静に息を引き取った。彼女は15年の人生を全力で生きたであった。

性格は明るく、陽気な人物。
純粋で前向きな人物でもある。

【サーヴァントとしての願い】
特にない。マスターを最後まで守る。
ただマスターと一緒にこの世界での生活を楽しみたいとも思っている。

【方針】
マスターに任せる。

【把握媒体】
原作小説及び、アニメ2期

83柳瀬舞衣&アサシン◇L4nNqWs2T6 ◆Mti19lYchg:2022/08/06(土) 23:02:41 ID:fhSy1V4o0
【マスター】
柳瀬舞衣

【出典】
刀使ノ巫女

【性別】
女性

【能力・技能】

『写し』
刀使の基本戦術で、最大の防御術。

『迅移』
刀使の攻撃戦術の一つ。通常の時間から逸して加速する。

『八幡力』
筋力を強化させる。

『孫六兼元』
舞衣が使う御刀である。

【人物背景】
刀使ノ巫女の登場人物。主人公衛藤可奈美の親友。美濃関学院所属の中等部二年生。
大企業の令嬢であり、三姉妹の長女である。

性格は面倒見がよく、友達想いの優しい性格。お菓子作りが得意。

状況分析能力にたけており、集団行動では指揮官として活躍もしている。

参戦時期はアニメ終了後である。

【マスターとしての願い】
特になし。この戦いを止める。

【方針】
自分と同じ考えのマスターと協力する。
ただ人は絶対に殺さないし、殺させない。

【ロール】
とある神社の巫女で刀使。

【把握媒体】
アニメ

84 ◆Mti19lYchg:2022/08/06(土) 23:03:05 ID:fhSy1V4o0
以上、投下終了です。

85 ◆Mti19lYchg:2022/08/07(日) 21:01:38 ID:GbizZlJU0
ハーメルンの方から投稿された候補作を代理投下します。

86十条姫和&ライダー◇L4nNqWs2T6 ◆Mti19lYchg:2022/08/07(日) 21:02:52 ID:GbizZlJU0
「またチョコミントを食べていたんですか?」

「あぁ、お前も食べるか?」

「いえ、大丈夫です⋯⋯。」

とある学園の屋上に二人の少女がいた。
一人は黒色の長い髪に御刀を持った少女。
彼女の名前は十条姫和。この聖杯戦争の参加者である。元の世界では荒魂と呼ばれている存在から御刀で人々を守る刀使と呼ばれる存在である。
ちなみにチョコミントが大好きでこの世界でもチョコミントを何度も食べているらしい。

もう一人は金髪碧眼で青いドレスに黄金の鎧を着用している少女。彼女の名前はアリス・シンセシス・サーティ。今回の聖杯戦争で姫和が召喚したライダーのサーヴァントである。

「チョコミントは食べ終わりましたか?」

「あぁ、食べ終わった。」

姫和がチョコミントを食べ終わったことを
確認するとアリスは聖杯戦争の話をする。

「姫和は本当に聖杯には興味はないんですか?」

「かつての私なら聖杯を求めたかもしれない、たけど今の私には聖杯は必要ないな。」

「そうですか。姫和がそれでいいなら私はこれ以上はなにも言いません。」

「そういうお前は聖杯は求めないのか?」

今度は姫和がアリスに質問する。

「私も聖杯は求めません。私の人生は悲しいことや辛いこともありましたが、それと同じぐらい楽しいことや幸せなこともありましたから、だから聖杯は求めません。姫和も私のことは気にしなくて大丈夫です。」

「そうか⋯⋯。私はこのふざけた戦いを止めたい。だからお前の力を貸してほしい!」

「もちろんです!私は姫和のサーヴァントですから!」

「ありがとう! 」

二人は聖杯戦争を止めるために戦うことを決意する。

「聖杯戦争が始まる前にチョコミントを買いにいくか」

「まだ食べるんですか⋯⋯。」

87十条姫和&ライダー◇L4nNqWs2T6 ◆Mti19lYchg:2022/08/07(日) 21:03:11 ID:GbizZlJU0
【サーヴァント】

【クラス】
ライダー

【真名】
アリス・シンセシス・サーティ「アリス・ツーベルク」

【出典】
ソードアート・オンライン

【性別】
女性

【ステータス】
筋力A 耐久B 梅唐B 魔力B 幸運C 宝具A

【属性】
中立・善

【クラス別能力】

対魔力・B
魔術発動における詩唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

騎乗・B
騎乗の才覚。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせる。魔獣や聖獣は乗りこなせない。

【保有スキル】

戦闘続行・A
戦場で最後まで戦い続けた彼女の逸話が昇格したスキル。

単独行動・B
マスターから魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
ランクBならば、マスターを失ってから二日間現界可能。
彼女自身も単独で戦うことがあったためこのスキルを持っている。

【宝具】

『雨緑「アマヨリ」』
ランク・B 種別・対人宝具 レンジ・1〜50
最大補足・50人
彼女の飛竜にして大切な相棒。
サーヴァントになっても彼女と一緒に戦う飛竜。

『神器・金木犀の剣』
ランク・A 種別・対人宝具 レンジ・1〜50
最大補足・500人
彼女が振る黄金の剣。かなりの威力を持つ剣。

【人物背景】
『ソードアート・オンライン』の『アリシゼーション編』の登場人物。
『アンダーワールド』と呼ばれる世界で整合騎士と呼ばれる騎士の少女。彼女の本名は『アリス・ツーベルク』。とある理由から整合騎士になってから名前が変わり、かつての記憶もなくしていた。

凛々しくも苛烈な性格で、毒舌家でもある。
生真面目で頑固者でもあるため自他共に厳しいが、逆に身内への面倒身はとっても良い。
クールな人物であるが、本当は不器用なだけでとっても優しく愛情深い人物である。

最初は主人公のキリトの敵として現れたが
後に仲間になり、一時的に言葉と感情を失ったキリトを守っていたのが彼女である。
キリトの親友ユージオの幼馴染でもある。

剣の腕前は整合騎士の中でもトップクラスである。

ちなみにメインヒロインアスナとは犬猿の仲。お互いのことは認め合っており、嫌ってるわけではない。

【サーヴァントとしての願い】
特になし。マスターを最後まで守る。
ただ騎士として外道なことをする相手には容赦はしない。

【方針】
マスターに任せる。ただチョコミントを食べるのはしばらく禁止にする予定。

88十条姫和&ライダー◇L4nNqWs2T6 ◆Mti19lYchg:2022/08/07(日) 21:03:28 ID:GbizZlJU0
【把握素体】
原作小説及び、アニメ三期

【マスター】
十条姫和

【出典】
刀使ノ巫女

【性別】
女性

【能力・技能】

『写し』
刀使の基本戦術で、最大の防御術。

『迅移』
刀使の攻撃戦術の一つ。通常の時間から逸して加速する。

『八幡力』
筋力を強化する。

『ひとつの太刀』
彼女の必殺技とも呼べる技だが、使用後はかなり消耗するため、リスクもかなりある。

『小烏丸』
彼女が使う御刀である。

『人物背景』
『刀使ノ巫女』の登場人物。
主人公衛藤可奈美と並ぶ、もうひとりの主人公。平城学館所属の中等部三年生。

クールな物腰と馬鹿つくほど真面目な性格をしており、自分にも他人も妥協を許さない。
母親の敵討ちのために行動してたこともあり、最初の頃はツンケンとした振る舞いをしていたが、可奈美たちと出会い、一緒に行動していくうちに仲間の大切さを知るようになる。

ちなみにチョコミントが大好き。
それと胸が小さいことを気にしている。

参戦時期はアニメ終了後である。

【マスターとしての願い】
特になし。この戦いを終わらせる。

【方針】
自分と同じ考えのマスターがいるなら協力する。人は絶対に殺さない。

【ロール】
とある学園の生徒で刀使

【把握媒体】
アニメ

89 ◆Mti19lYchg:2022/08/07(日) 21:03:48 ID:GbizZlJU0
以上、投下終了です。

90 ◆Mti19lYchg:2022/08/08(月) 18:40:04 ID:Gy84x2qY0
ハーメルンの方から投稿された作品を代理投下します。

91ルーラー:アスナ『結城明日奈』◇L4nNqWs2T6 ◆Mti19lYchg:2022/08/08(月) 18:40:31 ID:Gy84x2qY0
「まさかルーラーがもうひとり召喚されていたとはな」

「私もまさか自分が聖杯戦争のルーラーで召喚されるとは思ってなかったわよ」

監督役の神父、言峰綺礼の前にルーラーのサーヴァントが現れた。栗色長髪に榛色の瞳で
白を基調とした赤いラインが入った服を着ている少女。彼女の名前はアスナ。ルーラーのサーヴァントである。

ただルーラーのサーヴァントは既にアルヴィースと呼ばれるサーヴァントがルーラーで召喚されており、彼女は聖杯が今回の聖杯戦争を管理するために保険として召喚したもう一人のルーラーではないかと思われる。

「それで君はこれからどうするんだ?」

綺礼がアスナに質問する。

「他にルーラーがいるなら私は今回の聖杯戦争には関わらないけど、魂食いや無関係な人を襲うサーヴァントがいたらルーラーとして放置はしないわよ。」

それだけ言い残し、アスナは綺礼の前から姿を消す。


【サーヴァント】

【クラス】
ルーラー

【真名】
アスナ『結城明日奈』

【出典】
ソードアート・オンライン

【ステータス】
筋力B 耐久B 敏捷A 魔力B 幸運B 宝具A

【属性】
中立・善

【クラス別能力】

対魔力:B
魔術発動における詩唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

真名看破:A
ルーラーとして召喚されると、直接遭遇した全てのサーヴァントの真名及びステータス情報が自動的に明かされる。

神明裁決:A
ルーラーとしての最高特権。
聖杯戦争に参加した全てのサーヴァントに二回令呪を行使することができる。
他のサーヴァント用の令呪を転用することは不可。

【保有スキル】

カリスマ:A
軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において自軍の能力を向上させる。
血盟騎士団の副団長としてギルドを率いた彼女の逸話が昇格したスキル。

戦闘続行:A
大切な人やみんなのために最後まで戦い続けた彼女の逸話が昇格したスキル。

仕切り直し:A
戦闘からの離脱、あるいは状況をリセットする能力。技の条件を初期値に戻し、同時にバットステータスの幾つかを強制的に解除する。

【宝具】

『マザーズ・ロザリオ』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1〜10 最大補足:1人
11連撃のOSS「オリジナルソードスキル」
彼女が大切な親友から託された技である。

『スーパーアカウントO 1・創世神ステイシア』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1〜50 最大補足:50人
アンダーワールドで彼女が使用したスーパーアカウント。創世神ステイシアの姿になれる。無制限地形操作が可能で、地形を丸ごと変える術である。彼女自身も頭痛に苦しむリスクもある。

92ルーラー:アスナ『結城明日奈』◇L4nNqWs2T6 ◆Mti19lYchg:2022/08/08(月) 18:40:46 ID:Gy84x2qY0
【人物背景】
『ソードアート・オンライン』のメインヒロイン。

本名は『結城明日奈』。
アスナという名前は仮想空間ゲームで彼女が名乗っていた名前。

エリートコースを歩んできた令嬢。
『ソードアート・オンライン』と呼ばれる仮想空間ゲーム、略称して『SAO』と呼ばれるゲームに参加し、デースゲームに巻き込まれる。そこで主人公のキリトと出会う。時には反発したりしながらも、キリトと絆を深め、恋人になる(ゲームの世界では結婚もしてる)。
『SAO 』の世界では最強のギルド血盟騎士団の副団長を務め、閃光のアスナの異名で呼ばれていた。
『SAO』事件解決後もキリトを支え、お互いに大切な存在になっていった。

ちなみに本当の娘ではないがユイという大切な娘がいる。それと幽霊やオバケが苦手らしい。

【方針】
基本的に聖杯戦争に関わらず、見守るだけにするが、魂食いや無関係な人間を襲うサーヴァントがいたら全力で止める。

【サーヴァントとしての願い】
特になし。聖杯戦争を最後まで見届ける。

【把握媒体】
原作小説及び、アニメシリーズ。

93 ◆Mti19lYchg:2022/08/08(月) 18:41:10 ID:Gy84x2qY0
投下終了です。

ルーラーに関してですが、実はアルヴィースは主催者によって召喚されたルーラーなので、独自の意志も持つ願望器の塊である聖杯の一部が呼んだという事ならOKかな、ということでこのルーラーはありにしました。

94 ◆Mti19lYchg:2022/08/09(火) 21:03:11 ID:fAVfCYbg0
この聖杯戦争のプロット、先の展開の道しるべとなる一つの作品を投下します。

95Interlude 楽園・天輪聖王 ◆Mti19lYchg:2022/08/09(火) 21:03:50 ID:fAVfCYbg0
 そこは荘厳な空間だった。

 地はまるでクリスタルグラスの切子の如く、蒼い光が走った透明な空間。
 天はまるで幾重にもステンドグラスを重ねたが如く、光の線が走った大輪が囲う。

 そこには二人の人物がいた。否、二人で一人というべきか。
 その二人が欠けた半身を互いに補い合っていたからだ。
 一人は老人で左半身、一人は青年で右半身。
 一人は半裸で一人は白衣を纏う。
 互いの瞳に共通していたのは深い絶望と諦念の感情だった。
 無言のまま、二人は空間ディスプレイとキーボードで何らかの作業をしている。

 その空間の中に、一つの卵状をした宇宙船のごとき物体が下方から現れた。
 扉が開き、二人の男女が姿を見せる。
 一人は聖杯戦争の案内役であり、マスターでもあるミザリィ。
 もう一人は聖杯戦争の管理人であるルーラー・アルヴィースだった。

『中間報告に来たわよ』
 キーボードのタッチ音だけが鳴る空間に、ミザリィの声が響く。
『星晶石でこの世界に召喚されたマスター達は、順調にこの世界になじんでいるわ。
 この分だと、戦いの中で自らの『理』を見出すでしょう』
 ミザリィに対し、二人は動きを止めず、返答もしない。
『最も、願いを叶えられるのはここまで来ることができればだけど』
 ミザリィはただ二人の背中に言葉を投げかける。
「やはり全ての宇宙を滅ぼす気なのかい、君たちは?」
 アルヴィースの問いに、作業を止めることなくだが、ようやく彼らは口を開いた。
「勘違いするな、我々が滅ぼすのは知的生命体だけだ」
「我々は全ての並行世界、多元宇宙の運営を停止させる。知的生命体全ての緩やかな終わりを迎えさせる」
 その声は静かで、念だけが強く籠っていた。
『もう、あなたたちはここにたどり着けるマスターでしか止められないの?』
 少し寂しそうに、ミザリィは問いかけた。
「『どうせ諦めたのならもう一度だけ試してみない?』 そう我々に言ったのはミザリィ、お前だ」
「その不敵な態度に免じ、我々は今一度人間の価値を見定めようと、ヘルメス・トリスメギストスが企画した聖杯戦争を改変した」
「大地を造り、都市を造り、住民を造り、技術を持ち寄り、マスター達が自らの『理』を定めやすくする環境を整えた」
『まさかこれほど大規模になるなんて思いもよらなかったけどね』
 ミザリィは肩をすくめた。
「我々は人間という種につくづく愛想が尽きた」
「だが、我々と違う結論、違う可能性、そう『理』が示せるのならば、聖杯を託すに否はない」
 作業を続行する二人に、ミザリィとアルヴィースは、踵を返しポットへ向かった。
「また、来るよ」
 そう言うアルヴィースはいつもの笑みではなく、少し悲しげな表情をしていた。

96Interlude 楽園・天輪聖王 ◆Mti19lYchg:2022/08/09(火) 21:04:09 ID:fAVfCYbg0
 ポットの中は外観よりはるかに広く空間が拡張されており、豪奢なソファーやテーブル、椅子、バス、トイレ、キッチンまである。
 その中で二人は絨毯の上で佇んでいた。

『ねえ』
 ミザリィが静寂を破った。
『貴方なら片方は倒せるでしょ? でももう片方は無理ね』
「当然だ。彼は僕の神(父)だ。神は僕では殺せない。
 君こそ僕の神を殺せても、同じ科学者だった彼は倒せないだろう?」
『そうね、私のサーヴァントを連れてきても厳しいでしょうね。
 だから私たち協力する必要があるんじゃない?』
 ミザリィはアルヴィースの方へ近づいた。
『二人とも生きながら死に囚われた、何も生み出さない悪性情報『死相(デッドフェイス)』。
 一人は自らの理想の体現者に勝利してしまった事で人間に諦念し、一人は新たな生命の輪廻を生み出しても人間は何も変わらないと諦観した。
 だけど死者に生者の世界をどうこうさせるわけにはいかないわ』
「その点については僕も同じだ」
『だけど』
 と、ミザリィはアルヴィースの瞳を覗き込んだ。
「そう、だけどだ」
 アルヴィースもミザリィを見返す。
『あの二人の死者をこのヘルメス・トリスメギストスが召喚したとはどうしても思えないのよ。
 だって、並行世界、多元宇宙の全ての運営が停止したら自身も維持できなくなるでしょう? 自身の存在を上書きするためにマスター達の『理』を導き出す、それがヘルメス・トリスメギストスの意志なんだから。
 何か裏で私達さえ知らない何者かがいるとしか思えないのよ』
「真実の奥の更なる真実……か。聖杯自体が汚染されている可能性は僕も考えた。
 だが、今のところガラクシア達以外の兆候は見られない」
『確かパラディウムシティにいるデッドフェイス達は悪しき願い、汚染された願望器、半壊した願望器の影響だったわね』
「そう、それらを一点に集中させることで、聖杯全体の汚染を防いでいる。これは彼らがやっていることだ」
『聖杯自体の意志は? それはどうなっているの?』
『それこそ自らが所属する世界を破壊しようとは考えないだろう、数ある願望器にそんな自殺志願があるとは思えないな」
『とりあえず、聖杯にエラーが出たらマスターやサーヴァントに何らかの形で影響が出るだろうから、そこから探るしかないわね。
 聖杯は現状、実質あの二人が管理しているわけだから』
「……ミザリィ」
『何?』
「僕はある宇宙の管理者だったものとして、彼らに宇宙を閉塞させるわけにはいかない。何より僕は人の中にある光を信じている。
 君はなぜ、彼らを止めようとする?」
『人類を諦めた短慮な連中に、勝手に人類の行き先を決めさせるわけにはいかない。それじゃつまらなさすぎるじゃない。
 私はアウターゾーンの案内人として、何の能力もない人間が超常的な存在に打ち勝ってきた姿を何度も見てきたわ。
 だから、今度もマスター達には期待しているのよ。願いを叶え、主催者の二人を止め、黒幕も突き止めて倒す。そんな贅沢な結末をね』
 それを聞いたアルヴィースはミザリィに対し微笑んだ。
「それは……僕もぜひ見てみたいものだ」
 ミザリィはアルヴィースに対し微笑み返した。

97Interlude 楽園・天輪聖王 ◆Mti19lYchg:2022/08/09(火) 21:04:30 ID:fAVfCYbg0
【主催者】■■■■(デッドフェイス)
【マスターとしての願い】
 全並行世界、多元宇宙から知的生命体を緩やかに死滅させる。
【能力・技能】
 死相(デッドフェイス)
 生きながら死に囚われた、何も生み出さない悪性情報。これまでに死亡した死者の怨念が自身の霊基に取り込まれており、その力を引き出せる。
 ■■■■の場合、残された宝具『天輪聖王』を自在に操ることができる。
 天輪聖王
 かつて■■■■が召喚したサーヴァントが残した宝具。
 大輪と小輪に分かれており、大輪は直径70kmのリング、小輪は直径7㎞のリングと武の王「転輪聖王」が持つとされる七つの具足を模したバンカーバスターで構成されている。
【weapon】
 天輪聖王
【人物背景】
 戦争を憎み、戦争から多くの功績を残してきた偉人。表向きはそうだったが実際は彼は戦争に対し常軌を逸した憎悪や苦しみを感じ、その痛みを和らげるため戦場へと赴いていた。
 その最後はテロに巻き込まれるというものだったが、その死の寸前で彼は戦争による功績をだれよりも否定できなかった事を実感する。
 死亡した彼は別の聖杯戦争で自我あるNPCとして再現され、聖杯戦争のマスターとして数十回の敗北から這い上がり、聖杯へと至る。
 だが、NPCの自身では聖杯は使えない。だから自身の理想の体現者を聖杯の近くで待ち続けた。
 戦争は欠落をもたらすが、だからこそ欠落以上の成果をもたらすし、もたらさなければならない。
 然るに今の停滞した世界はどうか?それまでに積み重ねた欠落に見合うほどの成果を得られていないではないか。
 そして欠落を埋めるほどの成果を得られないならば、更なる欠落をもって、更なる成果を生み出さなければならない。
 争いこそが進化の道。この星を枯らすのならこの星を離れ宇宙へ広がれ。それが彼の理想だった。
 その結論で聖杯の力で正しく行動すれば誰もが生き残れる、全人類規模の戦争を起こすことで人類を成長させ、現在の世界の停滞を打破しようという考えに至る。
 だが、彼はどこかで間違えた。自身の理想に勝利してしまった。
 その果てに人類全てに諦念した彼は、自分の消滅と引き換えに、聖杯に“人類の死を認めよ。この文明の終わりを看取れ”と入力した。

【主催者】■■■■(デッドフェイス)
【マスターとしての願い】
 全並行世界、多元宇宙から知的生命体を緩やかに死滅させる。
【能力・技能】
 死相(デッドフェイス)
 生きながら死に囚われた、何も生み出さない悪性情報。これまでに死亡した死者の怨念が自身の霊基に取り込まれており、その力を引き出せる。
 ■■■■の場合、進化を続けた生命の能力を自在に引き出す。
 未来視(ヴィジョン)
 因果律予測による未来を垣間見る力。
【weapon】
 無し
【人物背景】
 全世界の戦争で地球全体が破壊されそうになっている世界。その中で彼はあるプロジェクトを実行しようとしていた。
 ほんのわずかな好奇心と、実験により人類全てが新たなステージへと進化し、戦争を止められると信じて。
 そのプロジェクト――相転移実験は失敗に終わり、自身の半身、地球に残っていた人々や生命体の殆どが別の平行世界に飛ばされてしまったことで、地球はまさしく死の世界となってしまった。
 彼は、これを罰として受け入れ、贖罪するべく新たな世界再生計画を始動する。手始めに雲海という「物質再生能力」を持った分子を撒いて地上の建造物を分解・再構成し、続けてコアクリスタルを雲海に撒いた。
 雲海とコアクリスタルが結合することで新たな生命核を生み出し、それはやがて巨神獣となり、そこから知的生命体が生まれ進化を重ねていった。
 新しい生命には自分たちとは異なる精神構造を持つ種族になることを期待してたようだが、どれだけ時間が経っても人間の本質が結局愚かだった自分達と何も変わらないことに諦観と失望を抱く。
 かつての自分たちから何一つ変わっていないこと、もともと彼は人間という種自体に絶望していたこともあり、いつしか世界を放置し、自身の消滅を願うようになった。

98 ◆Mti19lYchg:2022/08/09(火) 21:05:36 ID:fAVfCYbg0
以上、投下終了です。以前の設定と矛盾や相違点があったらご指摘ください。

99 ◆Mti19lYchg:2022/08/10(水) 20:45:27 ID:Bc/k/oBs0
ハーメルンの方から投稿された作品を代理投下します。

100糸見沙耶香&ライダー◇L4nNqWs2T6 ◆Mti19lYchg:2022/08/10(水) 20:46:09 ID:Bc/k/oBs0
「今日も森の探索が進んだね!」

「うん、かなり進んだと思う。」

二人の少女が自分たちが管理する森の探索を終え、森の中にある自分たちの家に戻ってきていた。

ひとりは銀髪で御刀を持った少女。
彼女の名前は糸見沙耶香。この聖杯戦争の参加者である。元の世界では荒魂と呼ばれる存在から人々を御刀で守る刀使と呼ばれる存在である。

もうひとりは黒髪のショートカットにアホ毛がある少女。彼女の名前はメイプル。沙耶香が召喚したライダーのサーヴァントである。

「この世界の生活にも慣れてきたね!」

「うん」

メイプルの言葉に頷く沙耶香。

「沙耶香ちゃんは叶えたい願いはないの?」

「うん、私には叶えたい願いはないから、私はこの戦いを止めたい。」

「マスターの沙耶香ちゃんがそういうなら私も協力するよ!」

「ありがとう!」

二人は聖杯戦争を止めるために戦うことを決めったのであった。

(メイプルは可奈美に似てる気がする。)

心の中でそう思う沙耶香であった


【サーヴァント】

【クラス】
ライダー

【真名】
メイプル『本条楓』

【出典】
痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います

【性別】
女性

【ステータス】
筋力C 耐久A 敏捷C 魔力C 幸運A 宝具A

【属性】
中立・善

【クラス別能力】

対魔力:B
魔術発動における詩唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法を以ってしても、傷つけるのは難しい。

騎乗:B
騎乗の才覚。大抵の乗り物なら人並み以下に乗りこなせる。魔獣や聖獣は乗りこなせない。

【保有スキル】

カリスマ:B
軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において自軍の能力を向上させる。
ギルド『楓の木』の中心メンバーとして活躍した彼女の逸話が昇格したスキル。

竜殺し:A
竜種を仕留めたものに備わる特殊スキルの一つ。竜種に対する攻撃力、防御力の大幅向上。


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