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イベント優先スレ

595黒龍「」&フォード『』:2011/11/01(火) 00:18:28 ID:BQ990e1A
>>591
『違う違う、良い造りだと思ってな。凄い興味が沸いたんだ。
おお、そうだ、主の名前を聞いてなかったな。』

「あ、俺も気になる。なんて名前なん?」

二人はカンちゃんを見て、変にプレッシャーを掛ける。
カンちゃん、どういう対応をするのだ…?

>>592
「ん?普通にいい奴だと思ってる。
ノリも良さそうなんだけどな、七郎。」

ちょっぴり残念そうに猫耳カチューシャをしまう。
十夜君にも断られ、ちょっぴりがっかりした黒龍だった。

「そうだ、七郎。トリックオアトリート!
お菓子くれないと、お前のこともふるぜ?」

何を思いついたのか、急に七郎にそんなことを言う。
多分、お菓子持ってなさそうだなーと言う感じからのいたずらである。

596閑古鳥:2011/11/01(火) 00:22:43 ID:1gBuqmPQ
>>592>>595
「サーテ、ドッチガ猫耳ツケルノカナー?」

猫耳のサイズ的に除外される閑古鳥は、十夜と七郎を見比べてひょいひょいと首を振っている。

「オイラハ、ドッチデモイインダゼー?」

しかし猫耳はしまわれてしまった。

「ナンダヨーツマンナイナー。
 十夜かチビ狐のドッチカガ猫耳ツケテクレタラ、オイラノ名前教エテヤンヨ」

やたら偉そうな閑古鳥。これはもうひっぱたいても良いんじゃなかろうか。

597露希「」&澪『』:2011/11/01(火) 00:26:47 ID:BQ990e1A
>>593-594
「(何それーー!ってことは自分が攻撃を受けるのを前提に悪戯を?
なんか理解出来ないなぁ。もう魔王止めよう。)」

しかし、黒蔵が反撃する様子は伺えない。
これでは虚冥の一人勝ちである。

『あ、黒蔵。』

ちょうど澪が黒蔵の顔を確認した。
虚冥の一部始終をみていたし、元々好きではない為、澪はちょっぴり怒っていた。
さらには黒蔵のこの様である。
反撃できない黒蔵なら、代わりに自分がやろう、と覚悟を決め。
気づいた時にはグーパンチで虚冥の顔面目掛けて放っていた。

「わーーーー!?(何これー!?)」

598十夜「」&七郎『』:2011/11/01(火) 00:28:02 ID:SmXQZqJk
>>595
『うお…そうきたか…』

もちろん、七郎はお菓子なんて持っていない。しかし……

『しょうがねぇなぁ、俺がおやつに食おうと思ってたとっておきの味噌をやるよ。特別だからな。』

スッとどこからかパックに入った味噌を取り出す。良い奴だと言ってくれた礼のつもりのようだが、いきなり調味料を出されても普通困るだろう。


>>596
『おいコラ。誰がチビ狐だよ。別に小さくないっての。俺は、猫耳なんざ付けねぇかんな。』

「僕もちょっと……猫耳は……」

七郎も十夜もどこかうんざりした様子。
まぁ、これが普通の反応なのだろう。

599黒蔵:2011/11/01(火) 00:31:31 ID:1gBuqmPQ
>>594
(殴りたい、ああ殴りたい、殴りたい)

しかし今はそのための十分な腕力が無い。
しかもまだ露希は離してくれないし、なにより籠を持っているので、黒蔵は殴れない。
首は絞められたまま、次第に視界もぼやけてきて、周りの状況が良く見えなくなってきた。

(あ)

しかし、反撃として出来ることがまだ一つだけあった。

(蹴ればいいのか)

だいぶ本気度の高い狼男の蹴りが、得意げな先輩ホストの、偶然にも金的を狙った。
そして>>597の澪の行動も、あまりよく見えていないままだった、

600黒龍:2011/11/01(火) 00:40:46 ID:BQ990e1A
>>596
「…七郎、コイツ燃やしちまおうぜ?
焼き鳥にでもなれって感じなんだが。」

黒龍は半笑いしながら、がっちりとカンちゃんを押さえ付けた。
勿論、冗談のつもりではあるのだが。

>>598
「え?おやつ?味噌?」

七郎が味噌を好きなのは少し前に知ったが、
まさかそのままとは思わなかった。

「七郎、冗談だって!お前のおやつを取り上げるとか、そんなことしないって!!
それに俺、味噌をそのまま喰わないから!(もふりたかっただけなんだけど)」

なんとか言いたいことを言って、最後にぼやいた。
素直に言えば良いのに。

601虚冥:2011/11/01(火) 00:41:36 ID:bJBnsqT6
>>597
だから虚冥は常日頃、天狗に悪戯しては殴られるを繰り返し、
それが今や夜行集団での、日常風景と化していたりするのであった。
ちなみに、殴られるのを前提でなく、殴られようと悪戯したい、が正解である。

「お?なんか言いたいことあんのか?っていうwww」

黒蔵のリアクションを見るのに気が行っていたり、
まさか澪が代理するとは思っていなかったりで、
反射的にその拳を片手で止めてしまった虚冥は笑顔のまま、澪に質問をした。

>>599
つまり結果として、今現在意識は完全に澪にだけ向けられていたのである。
今まで反撃がなかった分警戒をしていない虚冥は、
真正面にと言うべきか真下にと言うべきか、思いっきり股間に一撃をくらってしまった。

「っぐあ!?」

男にとってそこへの急襲は、まさにパールハーバーと言われるほどの痛み。
この事実は例にもれず虚冥にも適用され、
ナイトメアの格好の男は膝から崩れ落ちて蹲った。

「て・・・てめえ・・・
 ホストの顔に次ぐ禁止区域を蹴りいれやがって・・・」

声を上手く出せずに蹲る虚冥は、痛みのせいで声がかすれていた。
魔王、堕つ。

602閑古鳥:2011/11/01(火) 00:46:58 ID:1gBuqmPQ
>>600
「キャー!!オマワリサーン、コッチデース!」

魔女っ子龍ちゃんにがっちり体を押さえつけられ、けたたましい声を上げて大騒ぎする閑古鳥。

「コノヒトッテバ変態ナノヨー!!子供に猫耳ツケテモイカガワシイ事スルノヨー!助ケテ殺サレルー!」

カンちゃん、騒ぐのならば大得意である。黒龍はまずその嘴を押さえるべきだった。

603:2011/11/01(火) 00:48:12 ID:BQ990e1A
>>599,601
『くっ…』

あっけなく受け止められた澪は、少なからず屈辱を味わうことに。
もう駄目だと思った時、黒蔵の攻撃が。

『ぶふっww』

クリティカルヒット、であろうか。
その崩れ落ちる虚冥を見て吹き出し、当てられなかった顔面に一発当てといた。
露希はそれを見て、恥ずかしそうに顔を隠していた。

『黒蔵、やるじゃん。』

604十夜「」&七郎『』:2011/11/01(火) 00:57:01 ID:SmXQZqJk
>>600
『あ、そうか。味噌は調味料だったな。忘れてたぜ。』

まさかの発言。まぁ、主食が味噌なので仕方がない。

『ん?燃やすか?』

と、指先に火を灯して見せる。周りに人がいるので控え目だ。

605黒蔵:2011/11/01(火) 00:59:46 ID:1gBuqmPQ
>>601
「…げほっ、ごほっ」

多分一生に一度しかできないんじゃなかろうかというクリティカルヒットを放ったのに、
黒蔵はその場にがくりと膝をつく。
それで少しだけ首輪が緩み、呼吸が戻ってきた。

「ひはーっ、ひはーっ」

まだ焦点が定まらぬまま、だらだらと涎を垂らしながら四つんばいで肺に空気を送り込んでいる
その様子はどう見ても狂犬病の狼男である。
後で何処にどんな風にヒットしたか聞いたら、真っ青になって虚冥に謝り倒すに違いない。
今はついてないものだけれど、その痛みはよく知っているのだ。

>>603
そして自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。
顔をあげると、見たことのある相手。

「澪?」

顎の涎を着ぐるみの腕で拭って、思い出したように喉もとのジッパーを下げた。
首に流し込まれたトマトジュースで中は今、どうなっているだろう。

606黒龍「」&フォード『』:2011/11/01(火) 01:03:58 ID:BQ990e1A
>>602
「なっ!?変態じゃねぇ、これ以上言ったらティ○フィナーレぶちこむぞ!!?」

黒龍、敗北。
騒ぐのが得意なカンちゃん、そして周りの視線が痛い。

『こら、もう少し落ち着きなさい。』

そして空気と化していた老人が、注意した。

>>604
「ああ、もうどーんと!やっちゃって欲しいっ…。
もしやってくれたら、味噌プレゼントするからさぁっ…。」

しかし変に手出し出来ないことが分かった黒龍は大人しくカンちゃんを解放することに。

607虚冥:2011/11/01(火) 01:07:25 ID:bJBnsqT6
>>603>>605
しばらく蹲る虚冥。
今日は仮装な為うかつにも、反撃を兼ねた鉄のガードプレートの入っていないズボンをはいていて、
彼にとっては約数年ぶりの金的である。

しかし、そこは虚冥は場慣れしている、ということなのだろう。
蹲っていたのは10秒前後で、彼はゆっくりながらも立ち上がって見せた。
顔は俯いて表情は窺えないが、
虚冥が何かをしきりに呟いているのは分かる。

「俺1、黒蔵1。
 俺0、澪1。負債1。

 おいおいせっかく±0だったのに余計なことしやがって。
 まあこれで、負債ナシだ」

呟きが止んで顔を上げる虚冥の顔には、またもや悪戯鬼の笑み。
そう、虚冥は澪の一撃が顔に決まった時瞬時に、負債ゼロの一撃を放っていたのだ。

澪の頭上へと、茹でていない硬いままのパンプキンパイが落下してきた。
底の部分と中身だけはくりぬいてあり、丁度他の物の仮装と同じように、
仮面としてかぶれるように作られたものだ。

しかし、澪がかぶせられたジャクォーランタンが他のものと違う所は、
金槌でも持ってこない限り割れないほど硬く、
かつ虚冥の呪詛により明後日までは決して外れない点であった。

「ざまあ見ろっていうwww」

608虚冥:2011/11/01(火) 01:09:29 ID:bJBnsqT6
>>607
パンプキンパイじゃないですパンプキンです、スイマセン

609閑古鳥:2011/11/01(火) 01:10:12 ID:1gBuqmPQ
>>604
「嫌ァー!!放火魔ヨ!放火魔ガココニ居ルワヨ!!誰カ通報シテー!!」

とことん他力本願かよおい。
しかしその、あまりの騒ぎっぷりにお爺さんからの救いの手が差し伸べられた。

>>606
「フゥ、助カッタゼ爺サン。オイラ、郭公時計ノ九十九神、閑古鳥ノカン」

解放された途端に図々しさも復活しやがった。
しかし、救い主に名乗る程度の常識は、この鳥頭も持ち合わせていたらしい。

610十夜「」&七郎『』:2011/11/01(火) 01:15:06 ID:SmXQZqJk
>>606
『まぁ、燃やすってのは冗談だ。こんなとこでやんねぇよ。いや、ここ以外でもやんねぇけど
でも、味噌は欲しいな。』

「し、七郎。味噌なら僕が買ってあげるから…」

『分かってるって。燃やしたりしねーよ。』

心配した十夜とそんな会話をする七郎。

>>609
『だー!叫ぶなっての!冗談だよ!冗談!マジで通報されたらどうすんだよ!』

慌ててツッコむ七郎。表情に疲れが見える。

611露希「」&澪『』:2011/11/01(火) 01:16:44 ID:BQ990e1A
>>605,607
『………………ッ。』

痛い。硬い。取れない。
これぞ虚冥の力なのだろうか。
もう泣きそうで仕方なくなった澪は、走ってどこかに行ってしまう。
きっとノワールだろう。

「とりあえず終わった…のかな?虚冥さんも黒蔵君も大丈夫?
(あの人も変に怪我して無ければいいけど)」

なぜかハロウィンが大乱戦になっていて、露希も入りようがなかったようだ。

612黒蔵:2011/11/01(火) 01:23:31 ID:1gBuqmPQ
>>607>>611
「ああ、やっぱり。クリーニング代がかかる…」

着ぐるみの頭を外して上半分を脱いで見たところ、トマトジュースの赤で
この狼男はなんだか生皮を剥がれている途中のようにも見える。
中で着ていた真っ赤に染み付いたシャツを脱いでみれば、その下には染みと同じ位置に
うっすらと赤く軽い火傷の跡が付いていることだろう。

しかしこの貧乏ホストは、着ぐるみ衣装のクリーニング代に頭を悩ませていた。

「…酷いや、虚冥さん。今日の仕事できなくなっちゃったじゃないか」

泣きそうな顔で見上げるその首からは、まだ首輪と鎖がぶらさがったままである。

「あれ?露希?澪は?」

黒蔵が衣装にかまけて居るうちに、いつの間にか澪は居なくなっていて
困ったような顔の露希がそこに居た。

613黒龍「」&フォード『』:2011/11/01(火) 01:25:40 ID:BQ990e1A
>>609
『九十九神のカン君か、わしはドワーフのフォードだ。
いい子だ、よしよし。
(元々こんな喋り方なのか?ううむ、なぜか気になる。)』

カンちゃんが多少、おかしいことを見抜いたのか見抜いてないのか…。
しかし直そうと思えば直せるのだ。

>>610
「七郎、あんまり弟さんに気を遣わせるなよ?
でも、お互いに理解し合ってそうな感じだよな。」

凄く仲の良さそうなのは、見ただけで分かる。
少し羨ましそうに見ていた。

「(零の奴、ハロウィンくらいであんなに捻くれて。)」

614虚冥:2011/11/01(火) 01:29:32 ID:bJBnsqT6
>>611
澪が走り去っていくのでそろそろ嘲り笑うは止めて虚冥は、
少し真面目な顔をして、露希の方を振り向き言った。

「いや、下の方は大丈夫だけどな。
 反撃が来ないと思ってた黒蔵にやられたから頭が混乱してるっていう」

だから姫に宥めてもらう、とまでは流石に口に出さなかったが、
どうやら混乱しているというのは本当の様である。

>>612
「そんなもん他の奴に借りたらいいだろうがっていうwww」

服を気にするそぶりを見せる黒蔵を見つめて、
彼の言葉に軽い調子で笑いながら答えた。
それから、これは頭が混乱しているからなのかそれとも素なのか、
そっとクリーン代に戸惑う黒蔵に、数枚の一万円の紙幣を差し出していた。

「今日はいくらなんでもヘビーなもん食らいすぎたからな。
 この金もらう分、
 今日俺がサボる穴をお前が埋めろよっていうwww」

しかしその行動の理由には、そうしたものがあるらしかった。

615閑古鳥:2011/11/01(火) 01:31:13 ID:1gBuqmPQ
>>610
「冗談デモ火遊ビハ良クナイゼー!マッチ一本火事ノモト!」

火に関しては良い思い出の無い閑古鳥。
まあいつも、口が災いを呼ぶ自業自得なのだが。

>>613
「ドワーフ?モシカシテ、オイラト同郷カ?コウ見エテオイラッテバ、舶来品ナノヨ!」

ちょっぴり得意げに胸を張る閑古鳥。その背中は塗りの少々粗い木製である。
時計職人は努力してくれたのだが、どうも骨董品の風格は感じられない。

「チョットワケアリデ、今ハコンナダケドナ。本当ハモット立派ナ鳥ニ化ケラレルンダ」

立派に化けても黒くて煩い鳥だったよ。

616十夜「」&七郎『』:2011/11/01(火) 01:35:09 ID:SmXQZqJk
>>613
『分かってるって。
ま、こいつは本当の弟のようなもんだからな。』

「ありがとう、七郎。」

そういわれて、少し恥ずかしそうにする十夜。だが、嬉しそうでもある。


>>615
『ああ、まぁ、火事だけは起こさないように気をつけるぜ。』

火の扱いは慣れているが、慣れているからこそ気をつけようと思った七郎だった。

617露希:2011/11/01(火) 01:37:45 ID:BQ990e1A
>>612-614
「澪?ああ、なんか半泣きしながら帰ってったよ…。」

かぼちゃ攻撃は精神的にダメージが与えられる。
よって、澪は余計に虚冥が苦手になったようだ。
澪に軽く同情した露希は、黒蔵にそう伝えた。

「でも黒蔵君もよく反撃しましたよね。
まさか、あんなとこ狙うなんてボクも思わなかったですし。」

黒蔵はわざとやってないとしても、露希から見たら狙った風にしか見えなかったようだ。

618黒蔵:2011/11/01(火) 01:42:42 ID:1gBuqmPQ
>>614
「借りたらって…返さなきゃならないじゃないですか結局ー」

黒蔵はぶつぶつ言いながらもクリーニング代は受け取った。
受け取ってから穴埋めの話を聞かされて、少々慌てながら立ち上がる。

「いやあの、これから俺も店に戻らなきゃならないんですけど?!」

どの道クリーニング代は誰かに借りるしかないのだ。
そして痛みの酷くなってきた首から胸にかけての火傷を、早く冷やさなくてはならない。

>>617
「澪、帰っちゃったのか。何か聞きたそうだったのになー。
 うん、反撃できると自分でも思わなかった…って、あんなとこ?」

着ぐるみの頭と籠を回収しながら、半剥きの狼男は露希の言葉に首を傾げた。
ちゃりん、と鎖が音を立てる。

619黒龍「」&フォード『』:2011/11/01(火) 01:45:11 ID:BQ990e1A
>>615
『舶来品?そうだったか!
お主とは気が合いそうだな♪

ところで、その訳ありって言うのは、修理をすれば直せるのか?
わし、こう見えてももの造りは得意なんだ。』

おじいちゃん、ちょっと機嫌よさげです。
きっとカンちゃんが頼めば、後日、直してくれるはず。

>>616
「それなら安心だ。さて、俺はそろそろ家に戻ろうかな。
実は、彼zy…いや、うん、俺の家族が待ってるからな。
じゃあな、七郎、十夜。」

二人を見ていて、こちらもイチャイチャしたくなったのだろう。
黒龍は別れを言うと、露希を置いて帰るだろう。

620閑古鳥:2011/11/01(火) 01:52:29 ID:1gBuqmPQ
>>619
「直シテクレルノカ!?ソレナラ是非頼ミタイナ♪」

ぴょん、と十夜の肩からおじいちゃんの方へ飛び移った閑古鳥。
おじいちゃんは耳元でカチカチと、かすかな心音のような時を刻む音を聞くかもしれない。

「ヤッパ、コノ身体ジャ強張リガ酷クテナー。一緒ニ行ッテモ良イカ?」

>>616
「ソウ言ウ訳ダカラ、マタナー!」

おじいちゃんの返事もまだ聞いていないのに、十夜と七郎にそう挨拶をし、
この閑古鳥はおじいちゃんの肩ですっかりくつろいでいた。
この口の悪い鳥は、ままおじいちゃんについてゆくのだろう。

621虚冥:2011/11/01(火) 01:55:49 ID:bJBnsqT6
>>617>>618
露希に虚冥は無言で頷いた。
黒蔵との思い出の中で、悪戯を含めても彼の反撃というのは、
これ以上のないほどの衝撃だったのである。

「当たり前だろwwwでもスタッフルームにサラのがあるかもしれねえなwww
 そこら辺は氷亜にでも聞いてくれっていうwww」

黒蔵の不満を流しながら、虚冥は服に関しての自分の記憶を探った。
だが、結局は氷亜に任せることにしたのであった。

「戻りゃあいいじゃねえか。
 どうせ俺は今日店の中の登板だっていうwww

 てか、俺他の奴にもトリックオアミルクトリートしたいし、
 そろそろおいとまするっていうwww」

これから出会う悪戯相手に思いを馳せながら、
虚冥は再び衣装に身を包んだ。

「それと、あれだ黒蔵。
 お前の金的大分効いたぜっていう」

そして彼はそう言い残し、ハロウィンの街へと消えて入った。

/これで僕は落ちにします
/絡みありがとうございました!!

622露希:2011/11/01(火) 02:02:49 ID:BQ990e1A
>>618,621
「……男の人なら、絶対当たると痛いところ、かなぁ…。」

これなら黒蔵も分かるはずだろう。
にしても、やはりホストは大変なんだなぁと実感する。

「ボクもそろそろ帰らなきゃ。虚冥さん、黒蔵君、じゃあね。」

今までのハロウィンとは少し質の違う物となった。
だが、それはそれで良かったのかもしれない。
二人に手を振ると、露希は家に帰っていった。

623十夜「」&七郎『』:2011/11/01(火) 02:04:28 ID:SmXQZqJk
>>619
「さようなら。」

十夜(彼…?)

『ああ、じゃあな。』

七郎(彼…?)

こちらも別れを言い、黒龍が帰っていくのを見送った。


>>620
『おう、じゃあな。直るといいな。』

「さようなら。またね。」

二人は、閑古鳥に別れを言った。


『さって、そろそろ俺らも帰ろうぜ。いろんな奴に会えて、なかなか楽しめたしな。』

「うん、そうだね。」

二人とも満足そうな表情で帰っていった。


/自分もここで落ちます。絡みありがとうございました&お疲れ様です。

624黒蔵:2011/11/01(火) 02:05:24 ID:1gBuqmPQ
>>621
「金…的?」

黒蔵がぴたりと動きを止めた。
ざーーーっと音でも聞こえそうな勢いでその表情から血の気が失せる。

(何でそれで平気なんだ虚冥さん…じゃなくて)

「うわああああ!!マジでっ!?ごめんなさいいいいっっ!!!!」

雑踏を遠ざかる虚冥を追いかけて、飴の籠と着ぐるみの頭を両手に下げた
貧乏ホストも、鎖の音を立てながら虚冥を追って店のほうへ遠ざかってゆく。
きっと別の衣装に着替えるとき、後になってから痛み出す火傷に擦れて悶絶するのだろう。

625フォード:2011/11/01(火) 02:06:29 ID:BQ990e1A
>>620
「おっ、わしと来るか?いいぞ。
それにしても、お前さんを作った職人はいい腕をしておるな。
是非とも、一度は会ってみたいものだな…」

カンちゃんを肩に乗せて、山奥の洋館へと向かうのだ。
十夜たちにも軽くお辞儀をすると、繁華街を後にするのだった。

626名無しさん:2011/11/12(土) 22:49:15 ID:bJBnsqT6
装飾の気間細かく刻まれた長椅子が然として並び、
それらの列の中央に、堂々と敷かれた紅く長いカーペット。
中に数々の色を投げかけるステンドグラスが、上から見下ろすそこは、
運命の怪物、神代の支配する教会である。

司祭の立つ立ち位置には神代が、
敬虔な信者のように、静粛に長椅子の前列に腰掛けるのは、
右から農夫、包帯男、そして榊である。

「くすくす、この構図は少し照れてしまいますね。
 まるで僕が今から演説をするようではないですか」
「いんや、坊ちゃんはおらたちのリーダー、導き手なんだ、
 どっちかっていうと激励の言葉くらいは欲しいな」
「そうだぞ!逆に俺はこの構図結構好きだぞ!
 なんか知らんが、カッケー!」

今から神より授かった命、
穂産姉妹神討伐を前にして彼らはこの教会に集結し、
今、新たに加わった仲間の稀璃華、巴津火を悠然と待っていた。

627巴津火:2011/11/12(土) 23:02:03 ID:1gBuqmPQ
>>626
いよいよその時である。
秋牙羅未の大剣を背負って、ガラス球の入った袋も持った。
念のためにと、ミナクチの一部が小さな翡翠の輪になってついてくることにもなった。

叡肖『万一の時のために、だよ。
    あの黒い奴と、榊の新情報が気になる。俺も支援できるように控えているからな』

そう言い含められていても、お目付けが付いてくるのは正直嬉しくない。
大剣の柄にぶら下げられた翡翠の輪を不満そうに軽く睨んで、巴津火は教会の扉を開いた。

「神代ー、来たぞ」

あまり機嫌の良く無さそうな声が教会に響く。
うっかりすると引きずりそうな大剣を斜めに背負って巴津火はカーペットを歩み、祭壇の前に来た。

「で、どう攻めるんだ?」

まず最初にそう尋ねた。

628稀璃華:2011/11/12(土) 23:06:31 ID:BQ990e1A
>>626-627
時は満ちた。
今日の稀璃華は容姿、雰囲気が今までとは全く違っていた。
長くサイドテールにされた髪は随分と短くなり、
片手には大きな槍を持って。

巴津火の後に続き、教会へと入った。

「………。」

629夜行集団:2011/11/12(土) 23:19:29 ID:bJBnsqT6
>>627
彼らにとって背後に当たる扉の開く音を聞いて、
農夫は訪問者がだれかを知って渋々と、
包帯男は誰かが分からなくとも嬉々として後ろを振り向いた。

「来たか。まあ遅刻はしてねえが、
 なんだそのテンションは死ぬぞ?」
「おお!あの時の蛇じゃないか!!
 新入りはお前のことだったのか驚いたぞ!」
「おい、巴津火が仲間って今知ったのかよ」

「くすくす、みなさん揃いましたね。
 こんばんは巴津火さん、稀璃華さん。
 僕へのご協力、とても感謝しています」

神代はニコニコと優しい笑みをフードの下から覗かせながら、
いつものあの美しい響きで二人を出迎える。

「攻め方は、特別なことはやりません。
 敷いて言うならば真っ正面から堂々と、と言った感じでしょうか。

 英雄譚、新たに神話を作ろうとしている彼らは、
 どうやら格好をとても気にするそうなのです。ヤマトタケルノミコトしかりです」

630夜行集団:2011/11/12(土) 23:20:27 ID:bJBnsqT6
安価ミスです
>>629には>>628へも含みます

631巴津火:2011/11/12(土) 23:31:01 ID:1gBuqmPQ
>>628-629
「あの時の蛇って、おい。そもそもそっちが誘いに来たんじゃないか」

流石に包帯男には突っ込み返す。

「神話を創る?誰が?」

そんなことを企んでいるとは初耳だ。巴津火は思わず神代に尋ね返していた。
意図しなくても神々が動けば神話になってしまうのに、それを創るということは、
そこに誰かの意図があり仕組まれた物事があることを示している。

「で、神代はどうするんだ?俺と…稀璃華はどう動けば良い?」

背後の稀璃華に、微妙に身体を斜めにしながら巴津火はそう神代に尋ねる。
流石に稀璃華から抱きついてくる気配はないが、巴津火にとってその警戒はもう習性に
なってしまっているのだ。

(見える範囲にこいつが入ってないと何か落ち着かないんだよ…)

632稀璃華:2011/11/12(土) 23:38:25 ID:BQ990e1A
>>629-631
「よろしく」

いつものように、巴津火に抱きついたり
農夫達を見て騒ぎ立てたりはしていない。
今日、この後に起きる出来事を思慮しての振る舞い方なのだろう。

「正面から戦うのなら、適当に暴れればいいんじゃないのか、巴津火?」

633名無しさん:2011/11/12(土) 23:49:13 ID:bJBnsqT6
>>631>>632
巴津火の言葉に包帯男は立ち尽くす。
包帯で顔は見えないが、なんとなく困惑しているのが窺える彼を見て、
農夫は深くため息をつき、呆れて両手で顔を覆った。

「おらは言ったぞ、ヤマタノオロチを仲間に引き入れたって。
 あの神社に行く前に懇々と説明したよな?」
「説明されたってな!!戦う前だから高ぶってそんなの全部忘れるだろ!!
 そんなことぐらいも分からんのか馬鹿!!」
「おおコラ?」

今にも喧嘩をしそうな二人をほっておいて、
神代は苦笑いをしながら巴津火稀璃華と会話をすることにした。

「くすくす、それは僕達ですよ。
 僕達が穂産姉妹を打倒する、そんな神話を天界は予想しているようです」

稀璃華の言葉を聞いて、榊は静かに立ち上がった。
こつこつと靴音を鳴らしながら近づくのは、
彼女が説明しようというのだろう。

「その通りだ。
 この神話は堂々と神代達が邪を打倒する。
 それだけを天界の者達は望んでいるのだ。だからどう暴れようと問題がない」

634巴津火:2011/11/13(日) 00:00:39 ID:1gBuqmPQ
>>632
「本当に適当に暴れてもいいのならそうするけど、そのかわり巻き込まれる覚悟はしてくれよな」

稀璃華へ笑ってみせた紫濁の瞳は冷たく底光りし、本気であることを示す。
しかしそれはほんの一瞬で、巴津火はフードに隠れた神代の顔を覗き込んで何時もどおりに尋ねた。

>>633
「この前渡したガラス玉、ちゃんと持ってるか?あれ、お前のお守りだからな」

もし神代がそれを持っているなら、いざという時に離れていても巴津火は一度だけ
神代を守る事が出来る。

「それとお前の親の仇を討ったら、神代はその後どうするんだ?」

戦う前にそれだけは確かめておきたかった。
神代の意志、戦いのその先に希望することを、巴津火は知っておきたかったのだ。

榊の言葉には頷き、短く答える。

「判った、好き勝手に暴れれば良いんだな」

大剣の柄からぶら下がった尾を噛む蛇を模した翡翠の輪が、
どこか不安げに絹紐の先で房と一緒にゆれていた。

635稀璃華:2011/11/13(日) 00:13:53 ID:BQ990e1A
>>633-634
「神話か、楽しみだな。
でも、無理はするなよ。」

神代に一言声を掛け、手に持った槍を一振り。

「巻き込んだら、どうなるか分かってるよな?」

巻き込んで、生きていられたら、巴津火は抱き殺されるだろう。
まぁ大丈夫だ、と最後に付け加える。

「さて、巴津火が暴れるんなら僕も本気だそうかな。」

636名無しさん:2011/11/13(日) 00:24:37 ID:bJBnsqT6
>>634
神代は巴津火の言葉を聞いて黙りながら、
ローブの中に手を突っ込んで、巴津火の言うお守りを取り出す。
その手に握られているガラス玉には傷がなく、
あの後神代はそれを大事に、傷つかないようしまってあったのが窺えた。

「ふふ、初めてのお友達ですからね。
 思わず大事に大事にしまっていました」

神代でも、贈り物を厳重にしっかりと守っているのは、
流石にやりすぎだと分かっているのか少し照れている。

「終わった後、ですか。そうですね・・・。
 くすくす、今は秘密、にしておきましょうか」

しばらく質問に考え込む仕草をしてから、
神代は何故か寂しそうに笑い、口元を人差し指で押さえて答える。
その様を、農夫は包帯男を叱りながら横目で見ていた。
あくまでも彼らのリーダーであり、さらに運命に左右され続けた少年、
神代のこれからについては、彼もどうしようもなく気になっていたようである。

>>635
「ふふ、そうですね。
 ですがまずは倒せてからの話です。
 どうか、体にはあなたもお気をつけてください」

頼もしくやりを振るって見せた稀璃華に、
神代は丁寧で優しく微笑んだ。
いまさら言うまでもないことであるが、神話には神々が勝つこともあれば、
ヤマトタケルのようにみじめに一人死したり、
そもそも神々の世界全てが敗北によって消え去ることもあるのだ。

さらに相手は穂産姉妹、元上位神格である。

>>ALL
「ふふ、それではみなさん準備はよろしいですか?」

神代は教会にいる全ての者を見渡して言う。
その言葉に先ほどまでいざこざしていた農夫、
さては包帯の彼すらも凛として身なりを整え頷いた。

637巴津火:2011/11/13(日) 00:39:59 ID:1gBuqmPQ
>>635
「つまり巻き込んだら全部殺せば良いんだろ判ってるさ」

座った目で稀璃華に笑い返す巴津火。
なぜか他の誰とよりもギスギスした雰囲気がこの二人の間には漂う。

(こいつにはもう二度と触らせねーぞ)

あの時を思い出してぞぞぞっ、とシャツの下で巴津火の皮膚には鳥肌が立った。

>>636
「秘密、か」

意味深に、寂しげにそういう神代に、巴津火はつまらなそうに鼻を鳴らした。
そしてフードの耳元に口を寄せ

「終わったところで燃え尽きたりするなよ?
 思い残すことは無い、これでもう死んでも良いなんて思うようだったら…
            ケガレ
 …ボクはお前を"気枯れ″と見なす」

ほんの一瞬、どこか残忍な笑みを浮かべた巴津火は、脅迫するかのように囁いた。
生気が尽きて枯れた状態、それは穢れにも繋がり、水の神格にとっては漱ぐ対象でもある。

「そんなことさえなきゃ、ボクはお前を守る。……始めてくれ」

ころりと普段の表情に戻った巴津火は、神代の肩を軽く叩いて行動を促した。

638稀璃華:2011/11/13(日) 00:49:04 ID:BQ990e1A
>>636-637
「………それでいい、巴津火。
この中で死者が出るなら、僕が弔う。皆、死を恐れるな。」

ゆっくりと頷きながら、身を整えた稀璃華。
準備は万全である。

「僕も大丈夫だ。全力で参る。」

639名無しさん:2011/11/13(日) 00:56:46 ID:bJBnsqT6
大人しく耳打ちを聞いた神代は、
離れた巴津火に対し手を口元までやって静かに笑った。
農夫は内容を気にしていたが、聞いてくる様子はなく、
包帯男のほうはその仕草自体に気付いていないようだ。

「くすくす、大丈夫ですよ。
 僕は燃え尽きませんしそもそも、
 きっと僕は燃えてはいけなくとも最後まで燃える、そんな性を持っているのでしょうし」

さらりと巴津火の笑みを流しながら神代は慣れた手つきで、
手を肩の高さまで上げ、何かを呟いた。
すると見る見るうちに、神代の足元で赤と黒の混じりあった炎が燃え始め、
最後には人の背丈を大きく超える程になる。

「では、行きましょうか」

農夫がライターで出現させていたあの炎は、
どうやら神代の術を半永久的に刻んだものであるようだ。

「・・・守ってほしくはないのです」

そして黒炎の燃え盛る音にかき消されるほどの、
とても小さな小さな声で、神代は呟いた。

>>638
「そう言うな!出来る限りみんな生き残るぞ!!
 ・・・死ぬのは痛いし死体運ぶのがめんどくさいからな!!」
「なんで最後までカッコつけられねえんだよ、」

神代が一番に炎で飛び込んでから、
包帯男と農夫は入る前に稀璃華を振り返って、笑いながら言った。

神代の目標は、こちらの死傷者はゼロ、である。

640巴津火:2011/11/13(日) 01:04:48 ID:1gBuqmPQ
>>638-639
「死を覚悟して戦う奴なら良い。死ぬことが目的で戦う奴がいたら、ボクが食らう」

斜めに背負っていた大剣を下ろし、鞘ごと肩に担いだ巴津火は稀璃華の言葉にそう続けた。

巴津火が穂産姉妹神と戦う理由はこれである。
自ら死のうとした姉妹は既に巴津火にとって漱ぐ対象であり、それを食らうことで巴津火は
また力を蓄えるつもりなのだ。

つまり巴津火には、場合によっては穂産姉妹神どころかこの場にいる全員、いや夜行集団すらも
敵として見なすことにためらいは無い。
このことが叡肖を始め竜宮にとっては頭痛のタネである。
夜行集団とは協力関係の筈なのだが、巴津火は一切そこを考慮しないのだ。

(竜宮の馬鹿どもは勝手に困れば良いんだ)

腹の中で舌をだしながら、巴津火は黒炎に踏み込んだ。

641稀璃華:2011/11/13(日) 01:13:07 ID:BQ990e1A
>>639-640
「くすっ、そうだな。」

二人のやりとりをくすりと笑う。
巴津火に関しては何を考えているのか全く読めず。
喰っちゃだめだろう?と言うと、稀璃華も黒炎へと入った。

「(さて、どうするかな。)」

642穂産姉妹神大社:2011/11/13(日) 01:21:16 ID:bJBnsqT6
>>640>>641
黒と赤、二色の炎が前方を遮るが、
しばらくの時間をおくと、それらは一瞬にして霧散する。
そして彼らの目に映る最初の光景は、荘厳で巨大な一つの建造物。

あたりはしんと静まり返り人気はない。
太陽は沈みきって暗い空には、半分欠けた月が浮かんでいる。
そしてその月が光を降らしているここは、あらゆる因縁の決戦地となる、
名は信仰と人の記憶とともに失われた、穂産姉妹の大社。

だが建築物は全てもれなく風雨、不手入れ、
あらゆる種類の劣化風化にあい、あらゆる箇所が痛んで朽ちている。
そしてそれが神格剥奪の憂いを表しているかのように、
穂産姉妹の本殿、そしてその前を二列になって建つ守護神殿は、
特に劣化ひどく看板、境内、あらゆる場所に穴や崩壊があった。

そして彼らの炎から姿を現して立つここは、
それらに三方向から囲まれた、まさに神代の言った通りの真正面である。

「最初の火蓋は、まあ坊ちゃんがおろすべきなんだろうが、
 巴津火、稀璃華。
 めったにねえ事なんだから、おまえらのどっちか、やってみねえか」

この大社に来てから、少し神代の雰囲気が変わる。
それをどことなく感じた農夫はだしぬけに、
二人の方を振り返って提案をしてみた。彼なりに神代に気遣ったのだ。

643巴津火:2011/11/13(日) 01:39:03 ID:1gBuqmPQ
>>641
「生きものはな、食うか食われるかなんだ」

石にはよく判らない価値観だろうけどな、と稀璃華に答えながら黒炎を抜ける。

>>642
「どっちか、じゃなくてどっちにもやらせたいんじゃないのか?」

農夫と包帯男、榊を見回し、稀璃華にもにやりと笑いかける。
お前達の力を披露しろ、ということなのだと判っていても、あえて乗ることにした巴津火は
鞘ごと大剣を足元に突き刺す。
まだ秋牙羅未の力は解き放たれず、剣は巴津火の振るうがままだ。

「来い!」

まだ荒削りで無駄の多い巴津火の力を、翡翠の輪のミナクチがサポートする。
鞘先から地が割れ、大人が二人入れるほどの裂け目が生じ、呼び起こされた水脈が湧き出した。
ごぼごぼと膝丈ほどに水が盛り上がり沸きたち、次第に地表に広がってゆく。
準備は整ったと見て、巴津火は袋ごとあのガラス玉を全部湧き水に放り込んだ。

「稀璃華、先に良いか?」

以前の戦い方からみて、稀璃華の攻撃が突撃型と読んだため、
その前にまず巴津火が広範囲攻撃を仕掛けるつもりである。
いつの間にか鞘の周りには、水が這い上がって巨大な刃と化している。

透き通った水刃を掲げて巴津火は大きく振るった。
その切っ先が建物を指した時、地の裂け目から沸き立つ水が太い柱となって
正面の建物をぶち破ろうと逆巻きながらうねり走る。
建物の正面をまず吹き飛ばすつもりなのだ。

644稀璃華:2011/11/13(日) 01:51:33 ID:BQ990e1A
>>642-643
「火蓋?」

姉妹の社を見て、少し不思議な感覚に捉われていた稀璃華。
つい疑問形で発してしまったらしい。

「任せる、巴津火。」

槍に気を溜め始める稀璃華は、巴津火に頷いた。
妖気を纏った刃の部分は、硬く、鋭く変化していく。

645穂産姉妹神大社:2011/11/13(日) 01:59:58 ID:bJBnsqT6
>>643>>644
凝縮された激流が、本殿を襲いかかろうとしたその瞬間、
高さ横幅は人の背丈三つ分、厚さは2mにも及ぶような巨大な土壁が、
突如として出現しそれを完全に防いだ。

「お久しぶり、ですね巴津火君」

土壁の向こうからは、巴津火もよく知るあの声が、
どう考えても今までの彼女と会わないほど力なく聞こえてきた。

「ふふ、ここは晴れ舞台。
 でしたら僕は、礼儀としてフードをはずしたほうがいいですね」

強大な衝突が起こった後、神代はすたすたとおびえることなく前進し、、
何か呟いたかと思うと自身のフードに手をかけ、そっとそれをはずした。

神代がようやくフードで顔を隠さずに堂々と立つ。
そしてその時見えるこの少年の顔は、
どう言えばいいのか言葉をなくすような、とてもちぐはぐな物だった。

「くすくす、醜いですよね?
 僕をこんな体にした報い、ようやく受けてもらいます」

首筋までの長さの髪は、
黒と白がマーブル模様のようにバラバラに色として点在している。
しかし問題は髪色ではない。そしてまた眼球の黒と白が、
きっちりと反転してしまっていることも問題ではないのである。

本来ならば色白の綺麗な肌だったのはずなのに、
右目の周りが大きく、黒に塗りつぶされていることよりも問題なそれとは、
神代がフードをはずしたことによって外に漏れ出した、妖気である。

黒と白、その二つが表すかのように、
神代の妖気からは邪を払う清い、上位神格が持つような清涼な妖気の中に、
それとまったく同じ容量の、
地獄の底、サタンレベルで穢れきった黒の妖気が混在していた。

646巴津火:2011/11/13(日) 02:14:20 ID:1gBuqmPQ
>>645-644
「久しぶりかもな。どうして仲間に話さないで勝手に終わらせようとする?」

案の定、水は土で防がれた。ならば、あれを壊すのは稀璃華に任せたほうが良いだろう。
巴津火はそっと稀璃華に目配せをする。
あの土壁に稀璃華が穴を開けてくれたら、巴津火は第二波を叩き込める。

水を纏った鞘ごとの大剣を肩に担ぎ、榊と包帯男は何をするのだろうかと巴津火は頭を廻らせた。
その間にも裂け目からはこんこんと水が湧き出し、地下の水脈の中へはガラス玉が散って行っている。

「…呪いか」

(さて、秋牙羅未の剣。お前はアレを見てどう思う?祓えそうか?)

フードをはずし呪われた姿を露にした神代と、声だけの姉妹神、双方を伺いながら
鞘の中で眠るこの剣の使い時を巴津火はじっと待っていた。

647稀璃華:2011/11/13(日) 02:32:26 ID:BQ990e1A
>>645-646
「」

神代の姿を見る限り、同情はしなかった。
しかし一種の哀れみという感情は沸いた。
辛かったのか、悲しかったのか、稀璃華には分からなくとも、
そこからあふれ出す妖気が、過去を語っているように見えた。

巴津火の攻撃が弾かれると同時に、走りだした稀璃華。
刃は形を変え、三つに刃が別れた。
巴津火なら分かるかも知れぬその槍の形状は、
海の神が使っていた物と酷似している。

648穂産姉妹神大社:2011/11/13(日) 02:41:01 ID:bJBnsqT6
>>646
「私達は絶対に死ぬからですよ。
 そう言ったら、氷亜や虚冥でなくとも止めてしまうでしょう?」

壁を隔てて聞こえてくるのは声には、
まだやはり強い意志が見えて、力なくともまだ折れるものではなさそうだ。

巴津火の攻撃に反応したのだろう、
彼らを挟んで立つ守護神殿の三か所から、
突如として三柱の、強力な妖気を携えた守護神たちが出現した。

「おれの名前は夏津燈だ、突然だが、死んじまえ」

その中の大槍を持った、人並の背丈の一柱が巴津火めがけ、
目にも止まらぬ速さで突進を繰り出した。
しかしこの攻撃は、地面から突如発生した木々の群れによって止められる。

「おい巴津火。このちっこいのはおらが相手しておいてやる。
 お前は坊ちゃんと一緒に戦え」

ゆっくりと歩きながら本殿より離れる農夫。
大量の木々で夏津燈をからめ捕り、乱暴にそのまま農夫の向かう先に投げ飛ばしていた。

その一方秋牙羅未の大剣は、
神代が姿を現した瞬間既に覚醒し力を漲らせていた。
しかし巴津火は感じれるかもしれない、この力の向く先が、
穂産姉妹でなくあの神代へ、向けられている二つしかないことに。

>>647
日子神は、ある意味油断しているのかもしれない。
なぜなら一度も顔を合していないのだから仕方がないことであるが、
稀璃華のその槍の力を、見くびって稀璃華の接近に対してなんら、
それを妨げるようなことはしていないからだ。

壁の防御は固いが、稀璃華の力があれば貫通するかもしれない。

649巴津火:2011/11/13(日) 02:56:13 ID:1gBuqmPQ
>>647-648
「ボクは止めないぞ。むしろ、手伝ってやるさ」

くすくすと笑いながら巴津火は声に答えた。
そこへ守護の槍が飛び出すのを、農夫が止めた。

「死んじまえ、か。久々にそんな暴言聞いたな。
 ……おい、出来ればそいつは縛っとけ。それが無理なら殺せ」

竜宮で馬鹿丁寧に扱われるよりは、こんな真っ直ぐな罵倒のほうがよほど心地よい。
農夫に夏津燈をまかせて、巴津火は大剣の震えを掌に感じながら神代のほうへと近づく。

「暴れたいところ悪いが、生憎、お前の主はボクなんだな」

秋牙羅未の剣が覚醒しても、まだ神木の材の鞘と、さらにその上から水の刃とが剣を縛っているのだ。

「稀璃華、終わったら直ぐに避けろよっ!」

稀璃華が走ってゆくのを目で追いながら、巴津火も再び水刃を構える。
今度は大きく横に振るって、稀璃華が土壁に穴をあけたらそれを広げるように水流で抉るつもりだ。

しかし土壁の向こうから聞こえた声は一つ。
双子のもう片方は他の守護達と別の場所で行動していることも考えられるのだ。

(まずあの二人に、神代の前へ出てきてもらわなきゃな)

650巴津火:2011/11/13(日) 03:03:26 ID:1gBuqmPQ
//>>649追加

残る二柱の守護へは、視線を走らせたものの巴津火は構えを崩さない。
それぞれの攻撃をまずは受けて、相手の力量を読むつもりだ。

651稀璃華:2011/11/13(日) 03:08:01 ID:BQ990e1A
>>648-649
「轟け、トライデント。」

土壁目掛けて、槍を大きく振り下げ、
追撃するかの如く、次は思い切り振りあげる。
ここは意地でも壊さなくてはいけない。
ちょうどそこへ巴津火の声が聞こえた。

「巴津火、ぶちかませ!!」

槍を軸に、体を浮かせ、巴津火の後ろへと着地しようとする。
その間にも、周りの守護神への警戒は怠らない。

「(あの壁の向こうの主は折れないのか。
もう一人もいるらしいけど聞こえないな、何処かに潜んでるのか?)」

652穂産姉妹神大社:2011/11/13(日) 03:22:31 ID:bJBnsqT6
>>649->>651
「悪いな巴津火。たぶん縛るなんてことはできねえよ。
 おらがたぶん殺しちまうからな」

後ろ手で手を振りながら、農夫は呑気な口調で答える。
きっと巴津火がこちらへひと段落済ませて来ようとも、
農夫はきっちり夏津燈を仕留めてしまって甲斐がなくなるだろう。

今までのそののどかな調子で誤魔化されてきたが、
神代を除いたこの一派の中で農夫は、
もっとも戦闘、それに関しては傍若無人、悪辣非道なのである。

槍によって放たれた稀璃華の二撃は、
土壁を大きく振動させて、さらにその閃きの形どおりに貫通させた。
その穴の奥には、白い、神服を着た人影がちらりと見える。

「油断してはいけませんよ少年。
 吾輩の名前は春宇知厄、あなたを屠って見せましょう」

そして、壁に穴をあけて巴津火の元へ着地しようとした瞬間、
稀璃華の右側から突然、人の背丈の倍ほどの女性が現れた。
稀璃華が気づいて何かの反応をしようとする前に、
既に攻撃の構えをしていた春宇知厄は、強力な正拳を腹部へと放った。

強烈すぎるその威力で、稀璃華は本殿前から大きく離れた場所に、
かなりの速度を持って飛ばされるだろう。

653巴津火:2011/11/13(日) 03:32:39 ID:1gBuqmPQ
>>651-652
「稀璃華よくやった!」

稀璃華の三叉矛が土壁に皹をいれたのを見て、すかさず巴津火は水刃を振るう。
土壁の修復前に大穴があけられれば、その向こう側へダメージを与えられなくても
かまわないのだ。再び水流がうねり、土壁を抉ろうとする。

その時にはもう、春宇知厄が稀璃華に殴りかかっていた。

(てことはもう一人がボクに来るのか)

殴り飛ばされる稀璃華とは別方向に、巴津火も一度飛び下がった。
神代から離れ、日子神に近づく方向だ。

(まだ迂闊に神代に近づかないほうがいいな。先に守護を始末しないと)

稀璃華なら拳程度では参らないだろうと、ダメージについてはあまり気に掛けていない。
落ち着かない様子でカタカタと暴れる秋牙羅未の大剣に少しウンザリしながらも、
巴津火はもう一柱の守護の様子を含め、辺りの状況を伺った。

(包帯男と榊の様子が伺えないのが気になるな)

敵はともかく味方の状況が見えてこないのだ。

654稀璃華:2011/11/13(日) 03:48:30 ID:BQ990e1A
>>652-653
それが並みの拳で有れば、稀璃華にはびくともしないだろう。
だが流石に守護神、と言うだけあって威力はかなりの物。
ふっ飛ばされた稀璃華は、離れた場所の壁にぶつかってようやく止まる。

「こほっ……男の人なら殺すのは気が引けるけど。
女性だしやっちゃおうかなぁ。僕、強いよ?」

吐いた血を拭い、余裕の笑みを浮かべる。
先程溜めた妖気が体に馴染み、石の装甲を身に纏う。
さらに槍は一回り小さくなり、近接近に対応する形となった。

「グングニール。君にはこの武器で終わるのが相応しい。
(早く巴津火たちの元へ戻らないと。)」

655穂産姉妹神大社:2011/11/13(日) 03:58:47 ID:bJBnsqT6
>>653
しかし、巴津火の低めの目的とは反して、
土壁は度重なる会心によってぼろぼろと崩れ去った。
崩壊した土の向こうから見えるのは、
先から言葉を発していた巴津火もよく知る、穂産姉妹神の片割れ、穂産日子神。

「そんなことが出来たのですか、連携なんて。
 あなたの性格には合わないと思っていました」

彼女の恰好は神崩れ、その一言が正鵠を射ていて、
着ている神服はそこらじゅうが破れていたり、穴があいていたり、
これが神服でなかったら、唯の浮浪者と間違ってしまう程だった。

だが巴津火は日子神へ、目を遣っているような暇はなくなった。
なぜなら巴津火の意中どおり、
残りの守護神が二つの鎌を手に持ち振りかぶって、
いつのまにか彼の背後から切り裂こうとしているからだ。
二鎌が唸りをあげて、巴津火の胴体辺りに刃を光らせた。

>>654
「強さは関係ありませんよ。
 侵入、攻撃、これらをした以上吾輩が行うのは、
 排除それだけなのですから」

槍を変えた稀璃華に間髪いれず、
俊敏すぎるフットワークで急接近し、一度稀璃華に背後を見せ油断させた。
しかし一瞬でも心に隙間が浮かんでしまえば、
稀璃華はこの回し蹴りの餌食になるだろう。

「最強の鉾ですか、これは光栄なことであります。
 ですが、それはあなたの鼻っ柱とともに折ってしまいましょう」

そしてたとえこの蹴りが交わされようと、
春宇知厄は既に次の一撃への構えを取ることができる。
三手目は顎への掌底。稀璃華のダウンを狙ったものだ。

656巴津火:2011/11/13(日) 04:25:24 ID:1gBuqmPQ
>>654
稀璃華が立ち上がったのが目の端でちらりと見えた。
あちらは放っておいて良さそうだ。
ここからは完全に単独行動だと、巴津火は紫狂の顔でほくそえむ。

(よし全部ぶち壊す!)

上手く行けば穂産姉妹も神代も巴津火の餌となるかもしれない。
下手をすれば穂産姉妹も神代も助かってしまうかもしれない。

全てはこの反逆の申し子と姉妹神にかかっているのだ。

>>655
「連携?ボクとしては利用って言って欲しいなぁ」

日子神に向けてニタリと笑う表情は、かつての窮奇のそれと酷似していた。
背後からの鎌の片方へと、秋牙羅未の大剣が鞘ごと振るわれた。
鎌の一撃で鞘が破れ、かつての守護の刀身が一部露になる。
もう片方の鎌は、半歩避けた巴津火のわき腹から背中をやや深めに抉った。

「痛いじゃないか。
 ほら、この通りボクは秋牙羅未の役を引き継いでいるんだけど、
 君は同士討ちをしたいのかい?」

自分に攻撃してきた冬の守護に、くすくすと笑いながら
半邪神は見せ付けるかのように血を流す傷と大剣とを示して見せた。

「見ているだけならそっちも、自分の守護同士の対決をお望みだと見て『良い』のかなぁ?」

血で濡れた傷を負いながら、ニヤニヤ笑いを深める巴津火の妖気の質が変わった。
毒気と悪意を含んだ、神格混じりとは思えない強い邪気である。

「この剣に護られし我が主の思し召しとあらば、同士討ちも致し方ないね」

日子神の耳を汚す毒を含む言葉を、二股の舌が紡いだ。
巴津火は暗に要求しているのだ。日子神が神代を殺せと命じるのか否か、を。
曲がりなりにも守護の立場を受け継ぎながら、主である立場の姉妹神を試して面白がっている。
日子神が巴津火を敵と見なすか、味方として守護を命じるか、どちらにしても同士討ちには変わりないのだ。

657稀璃華:2011/11/13(日) 04:39:54 ID:BQ990e1A
>>655-656
「ねぇ、僕のことなめてるでしょ、君。

槍は一本じゃないんだよね。」

稀璃華が春宇知厄と距離を取ると、彼女のいる地面から、無数の槍が飛び出す。
彼女のフットワークなら問題ないだろう。
しかしそれでも、数は多い。

「君は、なんの為に守護神やってるの?
排除、たったそれだけの意しか持たない君が僕に勝てるの?

………無理だなぁ。きっと。」

稀璃華の笑みは絶えない。
これは何かの予兆か。
もしくは泣塔に手を出した物はただでは済まないことを
表してるのかもしれない。

658穂産姉妹神大社:2011/11/13(日) 04:49:03 ID:bJBnsqT6
>>656
日子神は遠目からでもわかる、巴津火に引き継がれた邪心を見た。
しかし、光がなくなって意思だけが込められたこの瞳が動じることは無く、
ただまっすぐに向こうの神代と面しているだけであった。

「くすくす、利用、ですか。確かにそう言えば反転してしまいますね」

日子神の言葉を代弁するかのように、
立ち尽くしたままの神代は口角を先ほどよりも上げて、
こちらも彼女に視線を送っている。

「我は士通冬、破邪の神なり。
 一切の邪、一切の不義を消しさる」
「どのような武器であっても、何が残されても本当は、
 使う者だけが行動の義を持っているのです。
 それに私は、同士打ちとなってももとより止まる気はありません」

巴津火の逆心の力も届かないほどに、
穂産姉妹神の心は硬く、そして揺るげないものと変わってしまっていた。
日子神が巴津火に命令を執行せず、
代わりに士通冬にさらなる追撃として、片方の鎌を巴津火の足元に刈り取らせた。

どうやら彼女は同志討ちを物とも思わず、
巴津火を敵として判断したようである。
そして巴津火が負うべき同志討ちによる不義は、穂産姉妹神への反逆となった。

>>657
足場を失くしたことによって回し蹴りはあきらめる。
しかしそこは守護神、すぐ飛び上がった姿勢から、
構えは既に行われていた掌底を稀璃華に放つ。

「排除とは護衛の一義ですよ少年。
 それに、意を複数持つ様な不純な行動で、己の意思をしかと持てるのですか?」

そして掌低の最中に下の槍は複数折られ、
彼女の着地のエリアはもう確保されていた。
さらに上段蹴りを着地とともに放つ準備も。

659巴津火:2011/11/13(日) 05:31:47 ID:1gBuqmPQ
>>658-659
「なーんだ、そういう選択かぁ」

ため息とともに一部が壊れた鞘が払われ、投げ捨てられた。

「残念だったね秋牙羅未の剣、ボクが持ち主だとその力はお仲間に認めてもらえないってさ。
 あと、ボクは無駄な同士討ちは好まないんだ」

士通冬の鎌が振るわれた瞬間、巴津火の姿がつつっと滑るように動いた。
歩いたようにも走ったようにも見えないが、かなりの移動速度で一撃は避けられる。

「無駄な同士討ちなんかよりもさ、下克上ってほうがずっと『良い』選択肢だと思わない?」

士通冬の目の前から神殿へ、まだ溢れ続ける湧き水を飲み込んで広がりつつある水溜りは、
先ほどの二本の水柱の成れの果てである。
その水面を滑るように移動してきた巴津火は、ねぇそうでしょ?と笑顔で同意を求めながら
秋牙羅未の大剣を日子神の白い喉元に突きつけていた。

姉妹をまた復活させることが出来ると知っている巴津火は
守護神の妨害があったところで、笑いながら躊躇い無く日子神を手に掛けることだろう。
それはまた同時に、神代に穂産姉妹を殺害させようとする何者かの意図を妨害する一端にも
なりうるのだ。

(穂産姉妹の力の源が手に入るなら、多少の怪我も我慢しないとな)

「『悪い』けど、また死んでもらうね?」

強い邪気を纏った子供の半邪神は、日子神に無邪気に笑って見せた。

660名無しさん:2011/11/13(日) 09:26:39 ID:HbHPxpxY
>>657-658
「護衛かぁ。君はあの姉妹を守る為に生きてるのか。
確かに一つの意は固く、物事を貫き通せる。
だけど、それだけじゃ駄目なんだ、気付いた時にはもう遅い。」

上段蹴りを避けるかと思えば、がっしりと構え、それを受け止める。

「今、ここにいる君はこの意を最後まで貫き通せ。
そして、もし。君に新しい世界が訪れた時は、もっと別の意を持て。
君は理解出来る人だと信じている。」


次の瞬間、彼女を投げ飛ばし、追撃をかける。
装甲を外したが為に動きは早い

661穂産姉妹神大社:2011/11/13(日) 11:33:16 ID:bJBnsqT6
>>659
「我は邪を滅するものなり」

さらなる一撃を喰らわそうと二つの鎌を振り上げるも、
一瞬にして射程距離外に言ってしまった巴津火にどうすることもできない。
大きく開いた距離を士通冬は、素早く接近を始めた。

しかし、この守護神が到着する前には、
巴津火がさまざまなことを行う時間が発生してしまうだろう。

「邪神の種を持っているというのは伊達でありませんね。
 ですが、あなたは何故切りかかる前に質問をするのですか?

 相手に恐れを抱かせたい?それとも自分鼓舞したい?
 相手の了承がないと、やはりあなたは斬れないのですか?」

半分不死の体をもつからなのか、
喉元に刃が光っても取り乱す様子はなく、むしろ笑っていた。
蔑むように笑って見つめる日子神は、
あたかも巴津火を挑発しているかのようである。

>>660
岩すらも易々と砕く、そう呼ばれ続けた彼女は蹴りを止められ、
少し驚いて目を丸くしていた。
そのため一瞬隙が生じ、彼女は投げ飛ばされてしまった。

「なるほどなるほど。
 物事をまだ知らぬ少年かと思っていましたが、
 存外あなたにも考え付いたものがあるのですね」

しかしさっと空中で身を翻し、受け身も取らずに地面へと、
難もなさげにすとっと着地して見せる。

「ですがどうであろうと、吾輩は一を貫きますよ。
 少なくとも吾輩と、あそこの夏津燈は以前より穂産姉妹神の守護。

 これが生きる道を固定されたつもりはありませんが、
 どのような世界でも吾輩たちは、あの姉妹の盾と槍」

接近する稀璃華を撃退するように、
腰を少し下ろして態勢を下げ、拳は顔の前に置かれる。
もし彼が攻撃可能な領域に入れば、最高速度の中段正拳が襲いかかる。

662巴津火:2011/11/13(日) 12:17:26 ID:1gBuqmPQ
>>660-661
「問いとは、必ずしも答えを待つためのものとは限らないよね」

秋牙羅未の剣が重く軋んだ。
こんな使い方のために在るのではないと、この神器は主である女神を害することに使われるのを厭うた。
しかし巴津火はわき腹を濡らす己の血を片手に掬うと、それを大剣の刀身にたっぷりとなすりつけた。
その途端、苦しむかのように大剣の軋む音が高くなった。
そして刀身を伝って巴津火の血は、この神域の主である日子神の胸にも垂れかかってゆく。
破れた白い衣に、点々と赤い染みが付く。

「ボクは、結果がどうなるとしてもボクがこうするには、理由があると知っておいて欲しいだけ。
 そして考えて欲しいから問いの形で投げかけるんだ。答えを求める問いじゃなく、ただの謎掛けだよ」

その言葉とともに、邪神の血に狂わされた神器が、主の喉元を貫いた。
巴津火の表情と纏う気配は、その行動の凶悪さとは裏腹に、その一瞬だけ清々しさを含む神格の
気配へと転じ、紫濁の瞳のなかには火の粉のような橙色の煌きが点々とよぎった。

(日子神、その負うものを漱がれよ。ボクの名は巴津火、この力は禊)

日子神を殺害することで、この半分だけの神格は日子神の負う罪とその一切を己へと移そうとした。
それは同時に、神代の手を汚さないための方便でもある。

663稀璃花:2011/11/13(日) 12:54:06 ID:HbHPxpxY
>>661-662
「主を守る槍と楯、ね。
ますます興味深いっ。」

中段正拳が向かってくるのに、稀璃花は彼女の懐に突っ込んで行く。
正拳は確かに腹にあたり、辛そうな表情が伺える。
だが、吹っ飛ばされることなく、槍を構え、瞬時に突いた。

「ぐっ、痛いじゃないか。でも君と戦ってると、なぜか楽しいよ。ねぇ、もっと話そうよ?
例えば君の友人と、あそこの子供、どちらが勝つか、とかね?」

ちらりと巴津火を見ると、何やら巴津火は押されているのか、血まみれである。
だが、稀璃花は巴津火が負けるとか思っちゃいない。それも引っくるめ、問い掛けた。

664穂産姉妹神大社:2011/11/13(日) 23:02:24 ID:bJBnsqT6
>>662
堂々と、巴津火の前に不動を貫く。
この姿勢は巴津火が自身の血を、守護神の形見から伝わせてきた時すら、
変わることなく彼女の神服は紅の色を付けた。

「・・・っ」

これを挑発と見ていたのか、彼女は油断し、
巴津火の剣が喉元を貫いた時は思わず苦しそうな声を発した。
しかし、日子神はそれから眉間にしわを寄せるも、
痛みのために呻くこともなく、凛として巴津火を睨む。

『君には・・・この罪を負うことはできない・・・
 実力がじゃない・・・覚悟がじゃない・・・
 罰がそもそも・・・誰も変わって贖罪できないから・・・』

神格の力の行使によって、一瞬、日子神の妖気と伴って
因果が巴津火へと流れ込み始めた。
しかし、それは彼の背後から現れた彼女によって、
惜しくも中断を余儀なくされる。

『神代は・・・全ては・・・僕たちの死しか望んでいない』

日子神の纏う神服と同じように、雨子神は朽ち果て切った布を着ている。
そして間髪をいれずに雨子神は片手を上げ、
地を操作して巴津火を囲うように、鋭く大きい牙を作り出した。

「・・・っ」

当たり前のことを考えればこれらの牙は、
雨子神を合図として閉じられ、巴津火を八つ裂きにするだろう。
しかし彼は逃げることができない。

それは、喉元に突き刺されたままの日子神が、
自らの手で大剣をつかんで決して離そうとしていないから。

>>663
春宇知厄は自身の、しっかりとした一撃の会心を感じたが、
それと同時に、襲い来る槍の脅威も感じ取っていた。
しかし深く入った拳を元に戻すのは、多少の時間がかかるため彼女は
何とかかわそうと身をよじるも、稀璃華の放った槍は強く、
彼女の右肩を貫ききる。

「これは油断しました・・・!」

穂産姉妹神と違って、肉体の再生の聞かない春宇知厄はすぐさま後ろへ飛びのき、
稀璃華とはもう一度数歩距離をあけた。

「戦闘の途中私語など、本来であればそれこそ無礼。
 目的の義もぶれ、話にならない滑稽な道化と化してしまう。

 しかし、この質問は特別、吾輩が答えましょう。
 答えはあの蛇の少年です」

春宇知厄が距離を開けたのは、さらなる追撃を避ける為だけではない。
ゆっくりと力をためるように膝を曲げて、
一瞬の間の後、彼女は強烈な速度で稀璃華へと走った。

数歩助走をつけて放たれる技はとび蹴り。
シンプルかつ隙が大きくはなるも、加速の付いたこれの威力は、
そうとうな重みを持って稀璃華の腹部へと衝撃を与えるだろう。

665巴津火:2011/11/14(月) 01:47:08 ID:1gBuqmPQ
>>663-664
「ボクには罪を負えない?そんなことは知ってる。
 だから罰として殺しにきてあげたんじゃないか」

背後からの雨子神の声に、振り返りもせずに巴津火は答える。
その顔には既に紫狂のニタニタ笑いが戻ってきていて、己を取り囲む牙を
避ける代わりに大剣の柄から絹紐を探った。

「だから、望まれた通りさっさと殺されてくれよ。
 それとも全てのものが君たちの死を望むわけじゃない、とかそいつに諭されたいの?」

くすくすと笑いながら、巴津火はミナクチの化けた翡翠の輪を絹紐から外して
肩越しに雨子神へと放った。

〔あっ!!〕

護るべき主から放り捨てられた蛇神の欠片は慌てたが、既にその身は宙を舞っている。

〔いけません!〕

喋ることも変化を解くことも出来ないうちに、翡翠の輪は雨子神の手元へと飛ばされてゆく。

「何のためにボクがここに居ると思っているんだ」

(そして何のためにわざわざこの剣で殺しに来たと思っている…ふん)

雨子神のほうは振り返りもせずに、日子神を貫く剣へと力を込めた。
牙を避けるつもりも、日子神を解放するつもりも、巴津火には無い。

(ボクがこれを受け止められない程弱いと思うなよ)

自信と歪んだ光とが紫濁の瞳に満ちた。

666稀璃花:2011/11/14(月) 07:30:29 ID:HbHPxpxY
>>664-665
「君もそう思う?なら、守らなくていいのかい?主を守る槍と楯なら、お互いに助けあってもいいんじゃないか?」

瞬時の飛び蹴りをまともにくらい、ゲホッと吐血しながら吹っ飛ぶ。
地面に着地すると腹を押さえて咳込む。
ダメージはかなりのものだったようだ。

「けほっ、ではなぜ巴津火が勝つ?何かしらの根拠があるから言えるのだろう?」

667穂産姉妹神大社:2011/11/14(月) 19:57:26 ID:bJBnsqT6
『だから君は・・・罰すらも・・・』

雨子神は論を、術を伴って行おうとする。
しかし、その標的となる彼の動きは予想を外し、
結果として何手も後の動きを余儀なくされてしまった。

そして一方、巴津火に剣を突き立てられた彼女も同様に驚く。
しかしすぐさま、彼女は牙の術の行使権を、
雨子神から日子神へ、
自らの物へ転嫁させ喉に空いた風穴をいとわず手を上げた。

『僕たちが全て終わらせるんだ・・・生きたいわけじゃない・・・
 ただ・・・死に方だけは・・・討伐者だけは・・・
 神代じゃないと駄目なんだ・・・』

もはやここまで来たのだ、この際構わない、
と雨子神は手にミナクチの冷たさを感じながら、目に意思を込めて話す。
そして彼女の視線は、閉じられた牙の彼を見ていた。

いくら巴津火が丈夫で、上位神格の卵で、どのように硬い意思を持っていようが、
穂産姉妹の強力な術の牙は、当然のごとく彼に突き刺さるだろう。
もしそうであるならば、全ては貫通しきって、
形による無駄なスペースが外した牙を除いたとしても、
傷はおおよそ6か所くらいに及ぶ。

「巴津火さん、お熱くなるのは構いませんが。
 大事なことを一つ、忘れていませんか?

 穂産姉妹、彼女たちはいかような攻撃を身に受けたとしても、
 神体が害されなければ復活できることを」

ダメージを負う巴津火へ優しく、明瞭な声で遠くから語りかけるのは、
少なからず仲間の負傷で声を出して笑うことはなくなったものの、
笑顔を顔に張り付かせている、神代であった。

彼は今、穂産姉妹神本殿の戸の前に立っている。
どうやら神代は巴津火が二人をひきつけ、自身が接近する隙を窺っていたようだ。

>>666
「現に今行っているでしょう?
 吾輩は今しがた、外敵のあなたに膝をつかせているのでは?」

一般の戦士ならば、稀璃華の状態を好機を見て、
さらなる非常な追撃を与え続けるだろう。
しかしそれをしないで凛として目の前に立って見せているのは、
どうやら彼女なりの筋があるためらしい。

「根拠はありません。
 吾輩や夏津燈、四武神たちが知りえる情報は日本神話人世第34章だけ」

そういうと彼女は首をそっと、
今まさに凄惨な光景を生み出している穂産姉妹神達へ向けた。

「ですが、感ずるのですよ。
 仲間内である上に守護神ともなれば余計に、
 彼女たちからまったくもって、生きる意志が感じられないことを。

 穂産姉妹神は死ぬ気です。
 それがなにをもってしてか、なにがあってなのかは、やはり判りませんが。」

若干の憂いが、春宇知厄の目に映った。

668巴津火「」 ミナクチ『』:2011/11/14(月) 23:01:51 ID:1gBuqmPQ
>>666-667
「神代!何をぼうっとしている。今のうちにそっちの片割れを始末しろ」

雨子神の背後の神代へ、ピシリと鞭で打つような厳しい声が飛んだのと、
日子神の牙の術の行使はほぼ同時だった。
巨大な土の顎が巴津火の姿をくわえ込んで隠した。
日子神からは半球状に閉じた土壁の隙間から大剣が見えるだけとなる。

『殿下!駄目ですっ!』

雨子神の手の中で変化を解いたミナクチは、ようやく口にくわえた尾を離し声を上げた。
この小さな蛇の役割は幼い主に危険が迫った時に、その身柄を水伝いに運び去ることだった筈。
しかし幼い主はそれを許さず、彼を放り出し戦いに身を投じてしまっている。

〔姉妹を助ける為に潜入した筈だったのに、一体何故…〕

しかし巴津火は熱くなっているわけでも、潜入した目的を忘れているわけでもなかった。
土の顎の中で身体を牙に貫かれながらも、秋牙羅未の剣は離さない。

「その神体、ってのをな、ボクは貰いに、来たんだよ」

神体があれば姉妹が復活するのは承知の上の行動である。
息はついているもののその声は力と毒気を失わず、
土の顎の隙間からは、真っ赤な液体がごぼりと染み出して溢れた。
その量は見る見るうちに増え、溢れて広がってゆく。
ここは姉妹神の神域であり、血で汚すだけでも彼女らの力は削ぎ取られることを
神格としての巴津火は知っていた。

「秋牙羅未の剣で死ぬ機会をくれてやる!
 神代の手にかかることはボクが許さない。それがお前への犯した罪への罰だ!」

土の顎の中から、巴津火の声が響いた。
先ほど邪魔をされた禊の力が、土の顎の中の巴津火から大剣を通じて日子神に流れ込んだ。
役割をゆがめられていた神器は、巴津火から日子神へとその力を余さずに伝え、因果は巴津火へと流れ込む。
その力はまた同時に秋牙羅未の大剣をも漱ぎ、一度は狂わされた神器を本来の役割に戻す。

竜宮も夜行集団も神代たちの思惑も利用したこの紫狂は、全てを曲げるためにここに来たのだ。
姉妹神と神代の運命を、その死に方を、窮奇から受け継いだ力で根本から歪めるつもりでいる。

669稀璃花:2011/11/14(月) 23:14:41 ID:HbHPxpxY
>>667-668
「辛いのか・・・。姉妹の死が。」

槍の構えを止め、巴津火達へと目を向けた稀璃花。
春宇知厄の憂いを感じ取った稀璃花は、掛ける言葉を見つけられないまま、立ち尽くしていた。
だが、春宇知厄が望むなら出来ることはある。

「姉妹、助けたいか?」

槍を下げたまま、一歩近づく。
戦う気力は感じられない。

670穂産姉妹神大社:2011/11/14(月) 23:40:17 ID:bJBnsqT6
>>668
あの巴津火ならば、一撃程度の致命傷では命を落とさないだろう、
そう言った半ば信頼にも似ている確信のもと、
神代はあらゆる術や技の隙間をかいくぐって、今現在本殿と対面している。

そして神代は、幼い蛇神の思いに関わらず意を決し、
本殿の扉を破壊して中に入ってしまった。

「(やめて・・・ください・・・!!
  あなたではせお・・・背負いきれない・・・!!)」

禊が自身の体に流れ込むのを感じた日子神は、
何とか力を振り絞って、声の出ないままこの流れを止めようと足掻いた。
しかし、単純な戦闘はともかく魂本位での争いとなると、
ただの付喪神の日子神に適うはずがなく、どんどん因果は巴津火へと。

『巴津火まで・・・この運命に呑まれる必要はない!!』

いつぶりだろうか、雨子神は大きく巴津火へ慟哭した。
いつも眠気に支配された瞳には、もう呑気な光はない。

「ふふ、そうですよ、それに困ります。
 最後の一手は、僕がやりたいのです」

そんな雨子神の言葉を継いだのは、神代であった。
既にその手には、穂産日子神、穂産雨子神、
両柱の神体が握られていた。

「さらに言えば、運命はあなたが思う以上にもっと酷く、
 そしてもっと喜劇に歪んでいるんです」

>>669
「・・・そうですね。
 いかに神格が奪われようと、吾輩は彼女たちの守護神」

向こうを見据えたまま、春宇知厄は静かに答える。
しかし、再び顔が稀璃華と対面させて時には、
もう哀しげな面持ちの表情はそこにはなかった。

「ですが、吾輩は甘んじて穂産姉妹神の意思を汲みましょう。
 どんな窮地、どんな悲劇にあっても、人のため、
 妖怪の子供のため、愛のため、生きることを止めなかったあの二柱が、
 終ぞ死を望んだ。

 何かを守るためであろうその意思を、吾輩は何よりも尊重する!!」

稀璃華の態度と反し、彼女にはまた戦闘の火が。

671巴津火「」 ミナクチ『』:2011/11/15(火) 00:08:20 ID:1gBuqmPQ
>>669-670
日子神が弱ってゆくとともに、巴津火を捕らえた土の顎も弱る。
孵化するかのごとく、土の半球を崩して這い出してきたのは黒い鱗を濡らした蛇の姿だった。

「誰かを困らせるのはボクの本来の役割の一つだ。『悪い』な神代」

色が黒いため血の色ははっきりしないが、這い出した大蛇の背中には所々酷い穴が開いていた。
雨子神の手から這い降りた小さな青い蛇が、慌ててそちらへ這い寄っていこうとする。

「運命に呑まれる?ボクは自分で選択しただけだ。
 死にたがりは黙っているか、きちんと申し開くかどちらかにしろ」
 
既に日子神の負っていた因果は巴津火のものだ。
半分の神格は、姉妹の因果のうち丁度半分だけを背負ったことになる。

「それが神体か、随分小さいな。神代はどうする?その喜劇とやらを続けるか?
 そっちの死にたがりを始末するならボクは止めないぞ。
 お前がやらなきゃボクが祓うまでだからな」

運命の歪みなど気にしない。
そもそも巴津火はもっと歪めてしまうつもりなのだ。
ぐん、と大きく鎌首を持ち上げて、橙の目を輝かせた大蛇は丸太のような身体で大きくとぐろを巻いた。
その高さからは、稀璃華たちの様子がよく伺える。

(あちらはあちらで、動いたようだな)

672稀璃花:2011/11/15(火) 00:25:46 ID:HbHPxpxY
>>670-671
「どんなことがあっても、主の為、そういうことだな。」

春宇知厄の表情が変われば、こちらもやはり戦闘は免れない。
一歩バックステップし、再び巴津火を見る。
だが、そこにいたのはとぐろを巻く蛇。
流石に向こうの現状を理解することは出来ず、こちらをなんとかするしかないようだ。

「・・・・・・・・・。」

ぐらり、春宇知厄の立つ、地面の周辺が揺れる。
地から現れたのは、5mは越えるであろう石塔。
それは、隙間なく、円を描くように春宇知厄を囲んで行く。

「こちらも時間がない、決めさせてね。」

673穂産姉妹神大社:2011/11/15(火) 00:33:39 ID:bJBnsqT6
>>671
神体をしっかり確保した神代は若干上の立ち位置である、
本殿の境内からどこか清々しい、
と言った雰囲気を醸し出しながら、辺りをゆっくりと見下ろし見渡した。

『日子神!!』

まだ妖気は吸われつくされてはおらず、
体の崩壊は免れた日子神はそれでもふらりと態勢を崩した。
しかし瞬時にそれを察知した雨子神は、
憎まれ口を叩く巴津火に一瞥しながら、
いち早く駆けよって、倒れる日子神の体を両手で抱きとめる。

声が出ないため口だけを動かし礼を言う。
そして日子神は、そしてその動作に気付いて雨子神も、
ゆっくり境内で、自分たちの心臓を握っている神代を見上げた。

「ふふ、包帯さんは士通冬と交戦中。
 農夫さんは、直に倒しますね。今は遊んでいるのでしょうか?」

巴津火への返答を後回しにして、仲間の状況を確認する。
その時の今までは貼り付けていることもあった神代の笑顔は、
今まさに、混じりけのない、むしろ子供の笑うような、
無邪気な微笑みをその顔にたたえていた。

「くすくす、どうしましたか?穂産姉妹さん。
 そんな解放されたような、救われたような顔をして

 それと巴津火さん、残念ですが僕は喜劇を続けるつもりはありません。
 なぜなら僕も、ようやくここまで来れたのですから。
 壮大なペテンを終わらせるための、二人だけの奮闘をね」

勝者が自身を誇示するように、神代は神体を上に高く上げた。

>>672
「そういうことです」

むしろ明るく、望むところだという通りに彼女は笑う。
そして覚悟は既に決まったらしく、次なる技の構えをとった。

しかし、その突如に春宇知厄の周りの状況は、
著しく変化をして彼女は驚くこととなるのだ。

「なにが来ようと、吾輩が排除して見せましょう」

うかつにこれらの石塔を破壊してしまっては、
一体どのようなことが起こってしまうか、皆目見当もつかない春宇知厄。
罠かもしれないしそうでないかも知れない。
だがどちらを決めることもできない状況で彼女は、
一般ならば半ばあきらめを現すような、後だしをあえて選択をした。

674巴津火「」 ミナクチ『』:2011/11/15(火) 00:54:56 ID:1gBuqmPQ
>>672-673
傷を癒そうとする青い小蛇に、黒い大蛇はそれを許さなかった。

「お前は運ぶ為に連れて来た。回復は不要だ」

その背の傷口からはまだ血が流れている。
地の裂け目から溢れる水はひたひたとあたりを濡らし、周りの地面はすっかり濡れて水溜りが広がっている。
蛇の血は水溜りへ流れ込み、本殿の床下で濁った水を赤く染めていた。

(水脈の道を結ぶ準備をしておけ)
〔はい〕

命じられてぽとりと青い小蛇が水溜りへ飛び込んだ。
そして黒い蛇は榊の気配を探り始める。彼女についてのみ神代が言及しなかったためだ。
秋牙羅未の剣のお陰で命を護られた日子神のほうへは視線すら投げずに、
黒い大蛇は神代が神体を掲げるのをじっと橙色の2つの目で見つめていた。

「ならば終わらせて、そしてそのペテンを明かしてやれ」

675稀璃花:2011/11/15(火) 01:04:09 ID:HbHPxpxY
>>673-674
「その石塔は・・・・・・。」

一言ずつ話ながら、稀璃花は攻撃を進める。
いずれは、石塔は周囲を完全に囲むだろう。

「葬られた魂が眠る場所・・・。」

囲んだ石塔の中に、青い炎が燈ると、ちょうど空の見える真上から。
槍が落ちて来た。

「新たな魂・・・ここに燈す。」

676穂産姉妹神大社:2011/11/15(火) 01:15:22 ID:bJBnsqT6
>>674
「巴津火、ミナクチに私を探す必要はないと言っておくといい」

無感情で冷淡な声が、ミナクチが水面へ飛び込んでから丁度数秒後、
大きくはないが皆に聞こえるように聞こえてくる。
起伏の少ないその声が聞こえてくる場所は、
巴津火が目を向ける先、神代の隣であった。

「ふふ、榊、術式をお願いしま」
『止めろ!!』

いつの間にか神代と肩を並べていた榊へと、
彼は驚く様子もなく穂産姉妹神の神体を両方とも、彼女に手渡した。
その時、境内にいる二人へと、雨子神は強く叫んだ。

今先ほどまでは神代の言った通り、どこか解放された風があった穂産姉妹。
しかし、神代たちを見上げて叫ぶ雨子神の声は、懇願のようであり、
姉妹の表情には驚愕か、それとも怯えか、失望か、
それとも全てを混ぜ入れた様な絶望が浮かんでいた。

「くすくす、では巴津火さんの言うとおり全てのペテンを、
 解き明かしてしまいましょうか。

 日本神話人世第34章いや、天界、全ての神々の嘘を」

対照的な神代には、凄惨な笑いが浮かんでいる。

>>675
いつ何時どのような攻撃が来ても、
すぐさま対応できるように深く一回呼吸をする。
見る見るうちに研ぎ澄まされていく集中力は、
彼女の瞳を見ればその鋭さと俊敏が分かるのだろう。

「―――上!!」

空気の音、気配、
あらゆる五感を総動員させた彼女のセンサーによって、
頭上からの奇襲にも似た攻撃は察知される。
構えはしっかり作られていたため呼び動作は用いられずに、
空から降る槍を迎撃するよう、強烈なストレートをそれに放った。

677巴津火「」 ミナクチ『』:2011/11/15(火) 01:31:05 ID:1gBuqmPQ
>>675-676
「ようやく来たか、どこで油売ってるのかと思ったぞ」

黒い大蛇はゆるりと身体を伸ばして廻らせる。

「あとそっちの、煩い。黙れ」

そして長い尾の先を伸ばして雨子神・日子神の足元を絡めて払う。
もし二人が転べばそこはゆるく巻いた蛇の尾の上。
怪我をさせないように、しかしぞんざいに尾が二人を巻き取って邪魔にならない場所へ移そうとするのだ。
そして大蛇の頭のほうは、好奇心にかられて榊のすることを覗き込みに行く。

「天界の嘘?面白そうだな。何の話するんだ?」

まるで紙芝居の前の子供のようであるが、その動きは傷の為に緩慢だ。
同時にその鎌首は、稀璃華との距離を測っても居る。
這い回る大蛇の腹がざりざりと床をかく音に混じって、床下ではごぶりと水の沸くようなおかしな音がした。

678稀璃花:2011/11/15(火) 01:42:01 ID:HbHPxpxY
>>676-677
「春宇知厄・・・。僕の動きに惑わされたね。」

ストレートは、本来ならば入っていたかも知れない。だが、それは幻影、先程の石塔が作り出した幻なのだ。

「泣塔である僕に、あんなでかい攻撃など出来るものか。場を伺い、そして[仕留める]」

隙のある春宇知厄の後ろから、腹を目掛けて槍を放つ。
当たれば、春宇知厄はしばらく動けなくなるはず。
あくまで、殺しはしない。みねうちだ。

679穂産姉妹神大社:2011/11/15(火) 01:56:12 ID:bJBnsqT6
>>677
「『!?』」

今にも泣き出してしまいそうになる二人は、
意識が全て神代へと向けられていたため簡単に足元をすくわれる。
蛇の体がクッションとなって怪我は無いが、
それでもまだ神代へ、すがるような目を向ける彼女達には関係がないように思われた。

「ふふ、それよりもまず、僕の立ち位置をはっきりさせておきましょう」

そんな視線を受ける神代は、口元に手をやって楽しそうに笑う。
しかし逆の手では、既に黒と赤の炎によって鋭く長い、
三又の槍が創生されていた。

遠くからでもそれが恐ろしいほどの妖気を込められたものだと、
霊感がなくとも直感でわかるような槍を神代は天へと構える
そして槍が放たれた時には、凄まじい轟音を立てながら、
空へ雷光のように昇り雲を貫く。

「ぐうああああああああああ!!」

すると雲のほうから、男性のつんざく悲鳴が轟いた。
そして槍をくらったのであろう男性は、断末魔の叫びを上げながら遥か上空の雲より、
既に絶命が確認される様なほど黒こげの状態で、堕ちてきた。

「彼は、神界の中でも上位の、
 天界に神格を持つ、とある上位神です」

どしゃ、と肉の地面に当たる嫌な音を立てながら、
今しがた降ってきた者を見つめて言った。

>>678
拳は確かに槍を真芯をとらえ、当たれば砕くことができる一撃であった。
それゆえ彼女も技の勝利を確信しにやと笑うが、
全力を持って放たれた拳には手ごたえがない。

「・・・なn」

それが疑似餌だと気付いた時にはもう遅い。
春宇知厄は重い一撃をくらって蹲り、四肢をどれも動かせなくなった。

「油断・・・しました・・・」

680巴津火「」 ミナクチ『』:2011/11/15(火) 02:11:11 ID:1gBuqmPQ
>>678-679
蛇の尾は姉妹を本殿の屋根の下から遠ざけてゆく。
そこはもし建物が崩れたとしても、彼女らに影響しない場所であった。
黒い蛇の頭のほうは榊と神代の直ぐ傍まで来て、彼らの言葉に耳を傾ける。

「うんうん。……で、これ食っても良い?」

目の前に、空からこんがり焼けて香ばしい肉が振ってきたのだ。
傷を負い、いい加減出血の多い黒い蛇は、思わぬおやつに目を輝かせる。

(天の神格の肉たべたら、天に行く力が付くのかな)

もしこれを食べることができたなら、この上位神について
巴津火は何がしかの知識を得ることができるかもしれない。

「あと、あの距離で当てられるのは凄いな」

地上から天界の一人をピンポイント狙撃した神代を、蛇神の最上級は素直に賞賛した。

681稀璃花:2011/11/15(火) 07:32:24 ID:HbHPxpxY
>>679-680
「駄目だよ、油断なんて。その油断こそ、君の命取りになるから。」

倒れた彼女を、置いてある石塔にくくりつけながら、言葉を繋げる。

「最後まで姉妹がどうなるか見ていきな。君の生死はそれからだ。」

括りつけ終えれば、真面目な表情の稀璃花が巴津火達の元へ駆け寄る。
そしてそこにあったのは黒い焦げた物。何か不信に思いつつも、現状を聞こうと巴津火に問い掛ける。

682穂産姉妹神大社:2011/11/15(火) 08:16:43 ID:bJBnsqT6
>>680
動くこともせず、完全に沈黙して死体を判断できるそれ。
だが神代が言葉を信じてもらうために加減したのか、
多少ばかり男性の体には、まだ焦げていない白い神服の部分が見受けられた。

「くすくす、もちろん!」

傍から見れば恐ろしいやりとりを、両者とも平然と笑いながら行う。
それにしても先ほどからの神代には、
無理に張り付かせた笑顔は垣間見えず、本心からの笑みが多いように思える。
それはおそらく、
神代にとっての何かがうまく行こうとしているからなのだろう。

「ふふ、これでも色々頑張ったのです。
 ちなみにあの技は遠くからでも裁きを下す、
 雷の神のみわざを僕なりにアレンジしたものなんですけどね」

神代にとってのなにかが、とても上手く行きそうなのだろう。
術の説明は仲間達からも止められているが、
上機嫌な彼は敢えて口を滑らした。

>>681
「なるほど・・・では吾輩はこの機に甘んじて、
 穂産姉妹の最後をしっかりと見る栄誉を受けましょう」

動かない体を石塔にくくられながら、
春宇知厄は静かな声で稀璃華に呟く。
顔には笑顔、ある意味これも、
彼女の願う形の一つであったのかもしれない。

だが、彼女がそう言って見据えた光景は彼女の予想と反し、
穂産姉妹はまだ死なず、知らない神が殺されていた。
そんな理解できない光景が広がるも、
春宇知厄はこの原因が、あそこに佇む白と黒、漆黒、にあることを感じる。

683巴津火「」:2011/11/15(火) 18:27:50 ID:1gBuqmPQ
>>682-683
「稀璃華?」

まだ戦えるのか、相手守護神の始末は大丈夫かと、黒い蛇はその一言のみで尋ねた。
稀璃華の口元にこびり付いている血は、守護神との戦いでそれなりにダメージを受けたこと
を示していたからだ。

「これか?神代がさっき打ち落とした天界の上位神だそうだ。
 で今からはボクのおやつ。稀璃華も喰う?」

鼻先で黒く焦げた肉塊を転がしながら、黒い蛇はそう尋ねた。
地に叩きつけられたそれは、良い具合に骨も砕けていて呑みやすそうだ。
しかしこの黒い蛇は、実は別の餌食を狙っていた。

(隙を見てあの二つの神体も喰ってやろう)

穂産姉妹の力の源、巴津火がここに来た目的の一つだ。
舌を伸ばせば届きそうな距離の、榊の手の中にある神体は、
これからまだ何かをするために使われるらしい。
今は機会を伺うべき時だと見て、黒い蛇は待つことにする。

「ふーん。雷はボクも使うけど大体は雲から呼んで使ってる。
 ただ撃つほうだとどうしても拡散して威力は弱くなるからな。
 玉にして使うこともあるけどそれは天ッ堕のご飯用」

雷獣の子供に食べさせていたのは檣頭電光、またはセントエルモの火と呼ばれるものだ。

684稀璃花:2011/11/15(火) 20:43:40 ID:HbHPxpxY
>>682-683
「・・・・・・・・・。」

こくっと、頷き、辺りを見渡した。
地面には巴津火の流した血が染みて、異様に赤黒くなっているのが分かった。

「神格を一撃でか、神代は強いな。(何者だ、コイツ。)」

食べない、と首を横に振り何かが起きるであろう瞬間を待っていた。

(巴津火、目的は忘れてないよな・・・。何かあったら僕一人だけでも止めてみせる・・・!)

685穂産姉妹神大社:2011/11/15(火) 22:34:39 ID:bJBnsqT6
>>683
捕食者となった巴津火が今彼らに手中にある、
彼女たちの神体を狙っていることなど露も知らないで、
榊、また神代は術式を開始した。

「ふふ、僕の力は自然の神気以外からも供給されているのです。
 確かに条件がそろった場合は自然派には負けますが、
 やっぱりオールマイティーって便利でしょ?」

榊の術の準備が終了するまで、巴津火との談笑をするようだ。
証明するように、胸元に挙げられた片手に電気を纏わせ、
神代は巴津火に見せつけるようにくすりと笑った。
しかし上機嫌な神代も、流石に力の他の供給源は言わず、
それは俗にいう企業秘密ということなのだろう。

「準備はそろった、後は神代、神代の合図次第だ」
「くすくす、いよいよですね。本当に長かったです」

再び神代の隣についた榊は言う。
そして言葉を聞いた神代が向いた先にあるのは、とある魔法陣。
よほど術に精通した者でないと内容が分からないほど、
それは古い、神世にも遡る陣であった。

「ふふ、では巴津火さん、見ていてください。
 穂産姉妹神が今、堕天すること瞬間を」

>>684
神代が陣へ気を移す少し前には、
少し離れた場所にいた稀璃華の声を聞いて、彼のほうを振り向いていた。

「ふふ、これでも相当な修練は積んだと自負しますからね。
 ですが上位神の彼も、やはり油断はしていたようですよ。
 彼の心の臓ど真ん中でしたから」

褒められて少し気を良くしたのだろう、
照れて口元を何気なく隠しながらも、口元は褒められた子供のように笑っている。

「」

その神代の後ろ側から、
感情を感じなせないながらも無言の圧を飛ばす、異様な者がいた。
それは榊。

まるで彼女は決心をする稀璃華に感づいたように、
しかと彼を見据えている。

686巴津火「」:2011/11/15(火) 23:12:31 ID:1gBuqmPQ
>>684-685
「ボクの独り占めだな。いただきまーすっ」

蛇の顎が裂けたようにぱくりと開いて、上位神だったものを飲み込んでゆく。
喉の皮膚は伸びて餌食を包みこみ、その膨らみはゆっくりとその胴のほうへと降りてゆく。
傷だらけの胴部が膨れ傷口が広がるのではと思いきや、その膨らみは喉の下ですっとしぼんで
蛇の胴体が膨れることはなかった。

「流石にちょっと焦げ臭い。けど、この力は悪くないな」

腹は膨れなくても、食べたことによる影響はあった。
血を失った身体に温かさが戻ってくるのを、黒い蛇は心地よく感じていた。
これでまだ少しは戦える。
これからの戦いは今までのよりもっと激しくなる、いや、激しくするのだ。

「ああ、神代は強い。だからボクは神代が好きだ」

(自然の他からというと、祈りによる信仰の力でも授かっているのか。
 まったく神代って奴は、恵まれているのか疎まれているのかよく判んないな)

稀璃華に頷き、今だけは機嫌良さそうに欠伸して顎の骨を直しているこの蛇に、
上位神の何がしかの情報は流れこんでくるだろうか。

「あの陣で堕天するのか。単純に神体を壊すんじゃないんだな」

榊の注意が稀璃華に向いているのを良いことに、黒い蛇は神体のほうを伺っている。
あの神体が術で壊されないのなら、巴津火にとっては都合が良い。

「ところで稀璃華、お前榊に嫌われたっぽいけど、あいつに何かしたのか?」

榊と稀璃華の仲を煽るかのように、蛇の裂けた舌先は毒ある言葉を注いだ。
稀璃華が女性に敵対心を持つと知っていて、あえて二人をぶつけるように仕向けたのだ。

(稀璃華が隙を作ってくれたらいい、そうでなくても、どの道神代とは敵対するんだ)

神代が示した力の通り十分強いのなら、巴津火にとって彼は敵とするに不足は無い。

687名無しさん:2011/11/16(水) 07:04:17 ID:HbHPxpxY
>>685-686
「油断はいけないよな、あそこのも油断してああなった。」

縛り付けた春宇知厄をちらっと見て、うれしそうにする神代を眺めた。

直後、背後から現れた榊に無言で見られ、少しキョトンとした。

「な、なんだよ・・・。巴津火、僕は何もしてない。
榊もなんで・・・。」

女性に関しては嫌いではないのだ、ただ好きになることはないが。

688穂産姉妹神大社:2011/11/16(水) 08:06:00 ID:bJBnsqT6
>>686
堕天の様を見ることを巴津火に提案してから、
なかなか彼らのほうへ神代が振り返らないのは、きっと照れ隠しなのだろう。
確かに神代でなくともこうもきっぱり褒められれば、
中の思いを意識してもやはり照れてしまうもので、人付き合いのない神代は特に、
こういった出来事には弱いのであった。

「おや?くすくす、あの榊が何かを気に留めるなんて、珍しいですね」
「いや、直観として稀璃華のほうへ気が向いただけ。
 特別意味を込めたつもりはないが、気にしたのならすまない」

なんとなしに神代がそうやって声をかけると、榊は首を小さく振って否定する。
すぐに頭を下げた榊の行動のせいで、巴津火の思い通りとはいかなかったようだ。

そして、そんな人間臭い反応を表す彼が殺めた、天界の神の死体からは、
おそらくメデゥーサのように意図的な記憶の蓋といった物は感じないだろう。
なぜなら、死を覚悟できたメデゥーサと違ってこの神の死は突然で、
彼自身は咄嗟に記憶を封印することはできず、
機密に当たる情報は全開にされた状態で巴津火の前へと落ちたのだから。

丸のみによって更に巴津火へと伝わる情報は、限りなくクリアだ。
そして天の神の記憶の中にあるのは、日本神話人世第34章、
だけではなく本来ならば決して地上には存在しない、
絶対的な機密事項、神々の最大の痛手、日本神話人世第34章禁伝第2項であった。

『なんでそんな無駄な術をするの?
 僕達の能力の代償として神体は、とても脆い物だって知ってるのに?馬鹿なの?』

神の死体から情報が取り出されようとしている一方で、
神代に対し、雨子神は出し抜けに声を発した。
いつの間にか喉元の修繕を終えた日子神の隣で、雨子神はその顔に、
巴津火も誰も見たことがないであろう程邪悪で、そして下劣な笑みを浮かべている。

『ふ、普通に殺すだけでは気が済まないから、もう一度僕たちにあの時の、
 神格を奪われた時と同じような屈辱を味わわせたいっていうの!?

 どこまで下劣なんだ!やっぱりあの時呪っておいて正解だったじゃないか!
 異種族の愛が厳禁だということもよく理解していない、馬鹿で愚鈍な悪魔!
 その上そんな悪魔に恋する○○な巫女!

 そんな馬鹿の間に生まれる子供が、まともな筈ないじゃないか!!
 やっぱり呪っておいてよかった!!
 おかげで少なくとも普通な生き方を出来るみたいな、
 恥知らずなことをしないですんだんだから!!むしろ感謝してよ!!』

689巴津火「」:2011/11/16(水) 18:26:53 ID:1gBuqmPQ
>>687-688
稀璃華と榊の間には波風が立てられなかった。つまり神体はまだお預けである。

(いざとなったら力押しで、この場の全員を喰えば良い)

元は黒蔵のそれだった黒い蛇の胃袋は、ほぼ底なしだ。
そして胃の腑で溶けゆく神格の記憶がじわじわと巴津火に伝わってくる。
日本神話人世第34章、禁伝第2項、さらに、ヤマタノオロチのあの伝承についてもそこにはあった。
あんな風に貶められた伝説が残されたのには、天界の意図もあったと今初めて巴津火は知ったのだ。

湧き上がる力と共に巴津火は、実に子供っぽい怒りを覚えた。
悔しさと上手く言葉に表せないもどかしさとが入り混じったところへの、雨子神の罵倒である。

「煩い!!お前なんかそもそも神代よりずっと下だ!」

挑発だろうと心のどこかでは判っていても、苛立った黒い蛇の目は鬼灯色に燃え始めている。
そもそも巴津火は同じ紫狂の弟妹のような冷静な性質ではないのだ。
神代たちよりはほんの少しだけ巴津火と付き合いの長い稀璃華ならば、今の巴津火が周囲の全てにとって
危険であることを感じ取れるかもしれない。

(天界の意など知るものか!あの姉妹の救出だってそもそもボクにはどうでも良いんだ。
 竜宮の馬鹿どもなんざ糞喰らえ、ボクは紫狂として勝手を通してやる!)

「神代、お前がやらなきゃボクがあいつを黙らせる」

黒い蛇が尾で地を叩くと、その怒りに呼応して地下の水が噴き出してきた。
その場所は本殿の床下。
噴き上がった水はそれまでのどの水柱よりも太く、本殿の床板と屋根と突き破り
根太や梁の太い材木も容易く折り砕いて、天高くへと跳ね上げた。

690稀璃花:2011/11/16(水) 19:15:36 ID:HbHPxpxY
>>688-689
「(コイツ、気でも狂ったのか?)」

下劣なる笑みを浮かべながら話す雨子神を見ながら思った。
どうやら本性をぶちまけているのか、静かに聞いていた。

一方で焦げ死んだ神格を食べて、機嫌が良くなったと思っていた巴津火が大声を出す。
流石の稀璃花も、黙って見ている訳にもいかない。
今、ここで巴津火をほっとけば、何をしでかすか知ったことじゃない。

「煩いのはお前だ、巴津火!」

槍の柄の部分だが、稀璃花は黒い蛇の頭目掛けて殴ろうとする。

(巴津火、自己中は止めろ)

691穂産姉妹神大社:2011/11/16(水) 23:32:53 ID:bJBnsqT6
>>689>>690
『何が下だ!!
 唯でさえ馬鹿で性欲の制御も働いてない奴らの子供に、
 今までまっとうに神様してきた僕が下回るものか!!
 ただでさえ!!世界をなめきったようなクズたちの餓鬼に!!』

巴津火、稀璃華、
二人の視線が自分へ注がれていようと、雨子神は罵声をやめない。
その一方の日子神は、平然と黙って全てを雨子神へ託していた。

「少し待ってください巴津火さん。
 もう少し冷静にならないと」

おそらくそれが宿敵といえど、自らでも嫌う呪われた出生をこうまで、
口汚く罵られれば神代の言葉から笑い声が無くなるのも当然である。
顔には憂いか、それとも心奥底の憤怒か、
どちらにせよこの顔に浮かぶ笑いが、嘘だと簡単に見抜ける程に神代は追い詰められている。

そんな彼を追い詰める過去の惨劇。
巴津火が得た情報の中には、その全てが刻まれているのだ。

そして穂産雨子神の言葉通り、神代の両親に当たる二つの魂は、
地獄に名を轟かす屈強かつ聡明な悪魔、
禊、神官の名門と謳われた神代家の巫女達であった。

更にはこの二人の間に、禁じられながらも子を宿したことも、
哀しいまでに本当であった。

692巴津火「」:2011/11/17(木) 00:17:44 ID:1gBuqmPQ
>>690-691
歴史とは勝者によって作られるものではあるが。

(あの話しか残されなかったのはそのせいだったか!)

真っ向勝負ではなくて、酒に酔わされ寝首をかかれ、果てはその身を刻まれた。
強大なる神格にとって、罠にはまった愚かで間抜けな悪者にされた話しか残らなかったのは、
実に悔しいことだった。
その後もヤマタノオロチが転生するたびに祟りをもたらした伝承があるのには、
そんな裏側があったのかもしれない。

「黙れ!」

雨子神に憤る大蛇の頭への稀璃華の一撃は寸前で止められた。
その槍の柄を蛇の顎が、がっちりと咥え込んだのだ。

(だって稀璃華…!!)

天界の神格に諮られた悔しさを湛えた鬼灯色の眼と、冷静な稀璃華の目がかちあった。
両者はしばし槍の柄を引き合うも、直ぐに大蛇の頭は駄々を捏ねるように横に振られ、
稀璃華の手からは乱暴に槍が奪われる。
代わりに稀璃華の直ぐ傍に、本殿と一緒に噴き飛ばされたあの秋牙羅未の大剣が振ってきて、
その刀身の半ばまで地に突き刺さった。

「もういい!!神代がやらないならボクがやる!」

仕返しもしない神代のことも癪にさわり、
槍を吐き捨てた黒い蛇は、穂産姉妹の神体を狙ってその首を伸ばした。

(助けるつもりで来たけど、もう知らない!やっぱり双子の力、奪ってやる!)

巨大な顎は、神体を二つとも丸呑みにしようと大きく開かれる。
その瞬間、黒い蛇はその弱点である首を、神代と榊に無防備に晒すこととなった。

693稀璃花:2011/11/17(木) 07:58:47 ID:HbHPxpxY
>>691-692
「巴津火、止めろ!!」

ヤマタノオロチの伝承については自分も聞いたことがある。
自分では特に気にも止めなかった伝承が、神格持ちの巴津火に取っては悔しく、そして恥なのだ。

「・・・・・・」

もうどうにでもなってしまえ、と稀璃花は思う。
この際にすべてばらしてしまおうと、春宇知厄を横目で見ながら口を開く。

「君の主がどう思おうが、僕は姉妹を助ける。」

運よくそこに落ちて来た大剣、それを軽々と持ち上げた。

「死ね、神代。」

694名無しさん:2011/11/17(木) 08:03:00 ID:HbHPxpxY
追加
(今回の目的の為だ、巴津火。)

姉妹へと手を出そうとした巴津火へ、大剣を投げた。
もっと方法はあったんじゃないか、と後悔しながら。


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