したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

イベント優先スレ

668巴津火「」 ミナクチ『』:2011/11/14(月) 23:01:51 ID:1gBuqmPQ
>>666-667
「神代!何をぼうっとしている。今のうちにそっちの片割れを始末しろ」

雨子神の背後の神代へ、ピシリと鞭で打つような厳しい声が飛んだのと、
日子神の牙の術の行使はほぼ同時だった。
巨大な土の顎が巴津火の姿をくわえ込んで隠した。
日子神からは半球状に閉じた土壁の隙間から大剣が見えるだけとなる。

『殿下!駄目ですっ!』

雨子神の手の中で変化を解いたミナクチは、ようやく口にくわえた尾を離し声を上げた。
この小さな蛇の役割は幼い主に危険が迫った時に、その身柄を水伝いに運び去ることだった筈。
しかし幼い主はそれを許さず、彼を放り出し戦いに身を投じてしまっている。

〔姉妹を助ける為に潜入した筈だったのに、一体何故…〕

しかし巴津火は熱くなっているわけでも、潜入した目的を忘れているわけでもなかった。
土の顎の中で身体を牙に貫かれながらも、秋牙羅未の剣は離さない。

「その神体、ってのをな、ボクは貰いに、来たんだよ」

神体があれば姉妹が復活するのは承知の上の行動である。
息はついているもののその声は力と毒気を失わず、
土の顎の隙間からは、真っ赤な液体がごぼりと染み出して溢れた。
その量は見る見るうちに増え、溢れて広がってゆく。
ここは姉妹神の神域であり、血で汚すだけでも彼女らの力は削ぎ取られることを
神格としての巴津火は知っていた。

「秋牙羅未の剣で死ぬ機会をくれてやる!
 神代の手にかかることはボクが許さない。それがお前への犯した罪への罰だ!」

土の顎の中から、巴津火の声が響いた。
先ほど邪魔をされた禊の力が、土の顎の中の巴津火から大剣を通じて日子神に流れ込んだ。
役割をゆがめられていた神器は、巴津火から日子神へとその力を余さずに伝え、因果は巴津火へと流れ込む。
その力はまた同時に秋牙羅未の大剣をも漱ぎ、一度は狂わされた神器を本来の役割に戻す。

竜宮も夜行集団も神代たちの思惑も利用したこの紫狂は、全てを曲げるためにここに来たのだ。
姉妹神と神代の運命を、その死に方を、窮奇から受け継いだ力で根本から歪めるつもりでいる。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板